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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等基本計画検討会(第2回)議事録


(開催要領)

日時: 平成17年5月23日(月)14時~18時50分
場所: 内閣府本府庁舎3階特別会議室
出席者:
  座長 宮澤 浩一 慶応義塾大学名誉教授
  座長代理 山上 皓 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
  構成員 井上 正仁 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  同 大久保 恵美子 社団法人被害者支援都民センター事務局長
  同 岡村 勲 全国犯罪被害者の会代表幹事
  同 久保 潔 読売新聞東京本社論説委員兼編集委員
  同 小西 聖子 武蔵野大学人間関係学部教授
  同 中島 聡美 国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
  同 山田 勝利 弁護士
  同 加地 隆治 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  同 片桐 裕 警察庁長官官房総括審議官
  同 荒木 慶司 総務省大臣官房総括審議官
  同 河村 博 法務省大臣官房審議官
  同 太田 俊明 厚生労働省政策統括官(労働担当)
  同 平田 憲一郎 国土交通省総合政策局次長
  協力者 泉 紳一郎 文部科学省高等教育局審議官

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。
 

(議事次第)

 1. 開会

 2. 村田大臣あいさつ

 3.骨子案の検討について(2)
  ・ 損害回復・経済支援への取組について

 4.その他

 5.閉会

<附属資料> ※資料のリス トが別ウィンドウで開きます。




○事務局(加地内閣府犯罪被害者等施策推進室長) それでは、皆様おそろいでございますので、ただいまから第2回犯罪被害者等基本計画検討会を開催いたし ます。
 初めに、村田大臣からご挨拶がございます。お願いいたします。

○村田大臣 本日も第2回の検討会を開催することができましたが、大変お忙しい中、ご出席を賜りました皆さん方に心から御礼を申し上げたいと思います。
 先日、第1回の会議が開かれまして、私もマスコミでどれくらい大きく報道されるかということを期待しておりまして、かつまた、本件につきましては、事務 局に丁寧にブリーフをするようにということで、前もってブリーフをしてもらって臨んだわけでございますが、報道は、皆様方のこの問題に対する長年の懸案が やっとスタートが切られたという思い入れに反して、かつまた、私どもに課せられた大変重い責任に反しまして、NHKがちょっと放送しただけで、あと新聞は ほとんど掲載されなかったということで、私もちょっと拍子抜けをいたしまして、記者会見の折に、新しい事象に対して新聞記者の皆さん方の対応力というのは 大変少ないねという苦言を表した次第でございまして、それはなぜかといいますと、例えば私どもがカバーできないような、そういう犯罪被害者に対しまして は、こういう枠組みが始まったということを報道で知らせていただくことによって、いろいろなまだまだすくい上げ切れていないいろいろな問題がそれによって 私どものところヘ寄せられるという、そういう可能性を期待して報道できちんと報道されるということを私は期待したわけでございますが、見事に裏切られたと いうのは残念でございますが、改めて私自身、本問題に対してのまだまだ国民の各界、各層におきます問題意識が少ないということ、改めて皆さん方の長年にわ たるご努力に対して敬意を表しますとともに、私ども一生懸命やらなければいけないなという感を改めて強くしたわけでございます。
 本日の会合ですが、前回会合において事務局がスケジュールとして検討スケジュールに示したそれにのっとりまして、第1回目として損害回復・経済的支援へ の取組に関する施策について議論をしていただきたいと、こういうふうに思います。
 犯罪被害者等が犯罪等により受けた被害を回復して、経済的な負担を軽減するようなことができるように支援するということは、大変重要だと私ども認識して おりまして、被害者各位からもこうした問題についてのご要望が大変強いということもございます。
 犯罪被害者等基本法の中でも、第12条で損害賠償の請求についての援助という1条がありますし、第13条で給付金の支給に関する制度の充実等というのが あります。それから、第16条で居住の安定、第17条で雇用の安定の施策を求めているわけでございまして、こうした犯罪被害者等からの要望につきまして、 基本法に書かれた基本的施策等も踏まえながら、ふさわしい基本計画にしたいということでございますので、本日も皆さん方に活発なご議論を頂戴したら誠にあ りがたいというふうに思うわけでございます。本日もひとつよろしくご審議のほどお願いをいたしたいと思います。

○事務局 それでは、これから議事に入りますので、司会を宮澤座長に交代いたしたいと思います。

○宮澤座長 それでは、司会を交代いたします。
 本日は、文部科学省からのご参加をいただいておりますので、ご紹介申し上げます。
 第2回犯罪被害者基本計画検討会は、犯罪被害者等のための具体的施策に関する検討を行う最初の検討会であります。そこで、検討会の進め方について、事務 局からご提案があればよろしくお願いします。

○事務局 それでは、提案をさせていただきます。
 本日の検討課題に関しましても、犯罪被害者の方々などから多数の要望が寄せられているところでございます。その中には、議論に特に時間を要すると思われ るものといたしまして、第12条の関係では附帯私訴や損害賠償命令の導入、それから損害賠償債務の国による立替払及び求償等に関するものの要望がございま す。また、13条の関係でございますが、犯罪被害給付制度、その他の犯罪被害者等のための社会保障、福祉制度に関するもののご要望がございます。時間に限 りがありますので、効率よく議論を進めていただくことが必要となろうかと思います。
 そこで、ご議論につきましては基本法の条文ごとに行っていただきたいということ、具体的には、各条文ごとに事務局の方から、各条文が求めております施策 の前提となります現状認識についての考え及び犯罪被害者等の要望に係る施策をお示しいたしまして、これを踏まえまして、特に関係の深い省庁の構成員から現 状認識及び犯罪被害者等の要望に係る施策に対するお考えでありますとか、現状の施策及び今後の取組方針につきましてご発言をいただいたらというふうに思い ます。そして、このご発言を基礎としてご議論をいただくのがよいのではないかというふうに思います。

○宮澤座長 ただいま基本法の条文ごとに関係の深い省庁からご発言いただいた上で、議論を進め、深めていくことではどうかという提案がなされましたけれど も、特にご意見、ご異議がございましたら、どうぞご発言ください。
 それでは、ご異議がないようでありますので、条文ごとに事務局や関係の深い省庁から現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策に関してご発言をいただいた 上で議論を進めることにいたしたいと思います。
 では、早速、基本法第12条関係の損害賠償請求についての援助等について、事務局からご説明を願います。

○事務局 それでは、お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。この資料1につきましては、事前に構成員の皆さんに配付した資料と同じものでございま す。基本法第12条関係(損害賠償の請求についての援助等)の現状認識、それから犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、この資料の1ページ目から 3ページ目の記載のとおりでございます。
 それから、4ページでございますが、ここに記載してありますものは、去る今月の17日に児童虐待ですとか性暴力、それからドメスティック・バイオレン ス、ストーカーといった被害者の立場からのご要望、それから身体医療に関するご要望、これらにつきましてヒアリングを行いました。その中で、基本法の第 12条に関して寄せられた具体的な要望の詳細でございます。

○宮澤座長 ただいまご説明のあった点に関して、こうした施策と特に関係が深い法務省、警察庁及び国土交通省の構成員の方々にご説明をお願いいたします。
 説明に当たりましては、言うまでもないことでございますが、事前配付された資料の内容であればできるだけ省略をし、要点のみを強調していただきたいと存 じます。よろしくお願いします。

○河村構成員(法務省) それでは、基本法第12条関係につきまして法務省からご説明いたします。
 今回のテーマに関しましては、前回の検討会で私の方からもご提案させていただいたように、ヒアリングによって抽出されました様々なご要望につきまして、 その趣旨に沿って適宜分類させていただいております。その上で、それぞれに関します現行の施策、次に現在検討している施策、さらに関連する意見・要望のう ち、主なものに対します私どもの現時点における考えという構成でご説明いたしたいと考えております。
 まず、基本法第12条関係の現行施策につきましては、本日、お手元に配付されております資料3、法務省資料にございますように、被害者が加害者に対しま して損害賠償を請求することについての援助と、刑事手続を利用して民事上の損害の回復を図るための施策の2つに分類されると思われるのでございますけれど も、現在、損害賠償請求のための側面支援といたしましては、全国の地方検察庁に被害者支援員が配置されておりまして、弁護士会の相談窓口等の紹介を行って おります。また、加害者自身に対する働きかけといたしまして、取調べの際には検察官が、また保護観察の段階では保護観察官等が被害者に対する損害賠償や贖 罪などを行うよう事実上働きかけを行ってきております。
 また、犯罪によって被害者が被られた損害を迅速、的確に回復することは必ずしも容易ではないという実情を踏まえまして、刑事手続を利用して民事上の損害 回復を図る制度の整備を行ってきておりまして、説明資料1の(2)の①から③にありますように、被害者と加害者の間で和解と申しますか、示談が成立した場 合には、その内容を公判調書に記載することによりまして、別途民事訴訟を提起しなくても強制執行が可能となる刑事和解制度でございますとか、刑事事件の記 録を閲覧または謄写したり、不起訴になりました事件の記録でも損害賠償請求などのために必要な場合には、なるべく広い範囲で開示するなどの施策を行ってき ております。それぞれの制度の利用実績につきましては、添付資料1に記載いたしております。
 次に、現在、基本法第12条関係で法務省において検討いたしております施策・課題でございますけれども、まず日本司法支援センターによる情報提供の準備 を進めております。日本司法支援センターは既に法律が制定されておりまして、現在、設立準備中でございます。来年、平成18年秋ごろから業務を開始する予 定でございますけれども、日本司法支援センターでは、犯罪被害者支援に精通した弁護士を紹介するなど、適切な社会支援等について情報提供業務を行うことが 予定されております。このセンターの発足によりまして、犯罪被害者の方々が損害賠償請求をするに当たりまして、有益な情報が得やすくなるものと考えており ます。
 そして、この情報提供という点につきましては、現在、犯罪被害者の方々の保護と支援についてのパンフレットなどを作成いたしておりまして、全国の検察庁 及び各都道府県警察などの待合室などに置きましたり、同じ内容を法務省、検察庁のホームページにも掲載して周知を図っているところではございますけれど も、いまだ十分とは言えないとのご批判があることも承知いたしておりまして、さらにそれを周知するための方法を検討いたしておるところでございます。
 また、刑事手続を利用いたしまして、民事上の損害回復を図るための措置につきましては、没収・追徴を利用して損害回復を図る制度の導入の可否や犯罪被害 財産の回復を容易にする制度の導入の可否を検討いたしております。これは、提出させていただきました資料の2ページの(2)の②、aとbに記載いたしてお ります。
 まず、aでございますが、現在、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律では、例えばいわゆる振り込め詐欺によりまして犯人の口座に入金さ れました金銭などのこういう財産犯などによりまして、犯人が被害者から得た財産であります犯罪被害財産につきましては、これは没収・追徴いたしますと、被 害者の犯人に対する損害賠償請求権の実現を困難にするおそれがありますため、被害者の損害賠償請求権の実現に配慮いたしまして、没収・追徴が禁止されてお ります。しかし、単に没収・追徴を禁止するだけでは、被害者の犯人に対する損害賠償請求が行われないときなどには、その収益を犯人の手元に残してしまう結 果となりかねません。
 そこで、平成11年の法制審議会、これは以前法改正をさせていただきました被害者保護2法を検討いただいた法制審でございますけれども、このような犯罪 被害財産につきまして、犯人から没収・追徴できることとした上で、これを被害者に帰属させることができることとする制度などについて議論が行われました。 これが添付資料2でございまして、関係する資料を同じく添付資料3としてお付けいたしております。
 ただ、これからの添付資料にございますように、この案につきましては、不起訴事件の被害者は対象にならず、かえって被害者相互間で不公平感が増すような 場合もあるのではないかなどの問題点が指摘されまして、直ちには導入に至らなかった経緯がございますが、法務省におきましては、その後も引き続き国による 犯罪被害財産の没収・追徴を可能にした上で、これを利用して被害者の損害の回復を図る制度を導入することができないかについて、現在検討を進めておりま す。
 次にbでございますが、これは例えば詐欺罪や窃盗罪などの場合、刑事裁判の場で被害者がどんな財産をどれだけ失ったかが審理され、認定されるわけでござ いまして、まさにそこに被害額等が認定されるということでございますので、その審理の結果を利用いたしまして、被害者が失った犯罪被害財産の価格の回復を 容易にする制度を導入することができないかについて、検討を進めておるところでございます。
 さらに、刑事裁判が継続している間の公判記録の閲覧・謄写につきましては、先ほどご説明いたしましたように、当該事件の被害者の方々からの申し出が損害 賠償請求権の行使のために必要であるなど正当な理由がある場合に、相当性を判断の上で認めるという仕組みになっておりますけれども、その要件をさらに緩和 するなど、その範囲を拡大することができないかについても検討を進めております。
 これらの制度の導入の可否につきましては、現在、様々な角度から鋭意検討しているところでございますけれども、その詳細につきましては、現時点ではいま だご説明できる段階ではないのでございますけれども、引き続き現行の刑事訴訟法の基本構造を基盤とし、かつ迅速な刑事裁判の実現と調和する形で、刑事手続 を利用して民事上の損害を回復をするための施策の充実を図っていきたいと考えております。
 次に、その他の犯罪被害者の方々などの要望に係ります施策について、現時点でどのように考えているかという点につきまして、順次ご説明いたします。
 損害賠償をめぐるさまざまなご要望につきましても、そのご要望の本質に着目して整理していきますと、やはり犯罪被害者等の方々が損害賠償請求を行うに当 たっての援助のあり方にかかわりますものと、刑事手続を利用して民事上の損害回復を図るための施策のあり方にかかわるものに大別できるのではないかと思わ れます。
 まず、損害賠償債務の国による立替払及び求償等についてでございますけれども、損害の対象や範囲は個別の事件や被害者ごとに異なりますので、いわゆる損 害賠償ということになりますと、その金額などの確定は事案ごとに判断されるということになります。その意味で、損害賠償債務を国が立替払いするべきとのご 要望につきましては、民事裁判によって損害債権額が確定した後の執行の問題と思われますので、それを前提に考えてみたものでございます。
 損害賠償は、加害者が自己の行為の責任として行うのが原則でございます。その債務を国が立替払いする制度を導入することになりますと、国が求償権を行使 して、その弁済を受けるまでの間は、事実上、国がその債務を負担したのと同様の結果になりますし、仮に加害者から弁済が受けられなかった場合、その負担は 広く国民全体にかかってくることになります。このような点につきましては、社会の共生という観点から実施されております犯罪被害者給付制度等との関係もご ざいますので、慎重に検討する必要があると思われます。
 そして、次に損害賠償請求の際にかかります種々の出費、これは印紙代でありますとか、記録謄写費用、弁護士費用等々の補償などについてでございます。こ の点につきましては、提出させていただいた資料に記載したとおりでございますけれども、特に記録の謄写費用につきましては、刑事事件の記録はその性質上、 損失、破損、情報漏えい等がないよう慎重かつ厳重に取り扱う必要がございますので、閲覧だけではなく謄写もしたいという場合には、一般の方に記録をお貸し したり、お預けしたりすることが困難だという問題点がございます。なお、刑事記録の謄写につきましては、コピー機等による謄写に限られておりませんので、 閲覧者であられます被害者の方々などが閲覧室に持ち込まれたデジタルカメラなどによりまして、記録の撮影なども可能な運用をしておりまして、すべてにおい て謄写の費用がかかるものではございません。
 次に、附帯私訴及び損害賠償命令につきましてご説明いたします。これらのご要望は、刑事手続の成果を利用することにより損害を回復するための制度を拡 充・整備してほしいという点に要点があるものと考えられます。
 まず、附帯私訴の制度の導入につきましては、主な問題の一つといたしまして、現行の刑事訴訟の基本的な構造との関係から生ずるものがございます。つま り、現行の刑事訴訟は公益の代表者たる検察官が刑罰法令の適正な実現を求めて事実を主張・立証し、被告人側がこれに反論して防御するという、いわば二当事 者間の攻撃・防御によりまして犯罪事実の存否や内容が明らかとなっていき、これを中立の裁判所が判断するという構造となっております。
 附帯私訴制度を導入いたしまして、ここに民事上の請求を行う被害者の方々が、検察官とは別にもう一人の当事者として加わって独自に主張・立証活動を行う ということになりますと、3つの方向からの攻撃・防御が行われることになってまいります。検察官からの攻撃とは別に、被害者からの攻撃についても被告人は 防御をしなければならないことになります上、裁判所は検察官の主張いたします事実関係のほか、被害者の方々の主張する事実関係につきましても、検察官と被 告人の刑事に関する攻撃・防御に加え、被害者と被告人の民事に関する攻撃・防御を踏まえて判断をするという極めて複雑な審理を行わなければならないことに なりますので、審理が錯綜して真実の発見が困難となったり、裁判がいたずらに長引くなどして、適正かつ迅速な処罰の実現を阻害することになるのではないか という問題でございます。
 次に、損害賠償命令の制度の導入につきまして、厳密に被害額を認定し、この支払いを命ずることとするのでございますと、民事上の複雑な争いが刑事裁判に 持ち込まれることとなる結果、迅速な刑事裁判の実現を阻害することになるのではないかという問題がございます。
 例えば、慰謝料や逸失利益等の額については、民事訴訟においてもその認定は必ずしも容易ではございませんが、刑事裁判においてこれらの額についても証拠 により厳密に認定することとなりますと、刑事裁判が遅延し、適正かつ迅速な処罰の実現を阻害することになってしまうのではないかという問題でございます。
 以上のとおり、我が国におきましては、外国で行われております附帯私訴制度や損害賠償命令を導入することにつきましては、種々の問題点が指摘されている ところではございますけれども、附帯私訴制度や損害賠償命令制度を導入してほしいとのご要望につきましては、結局、刑事手続の成果を利用することにより損 害を回復するための制度を拡充・整備してほしいという点に要点があるものと考えられます。
 そこで、法務省におきましても、先ほど申し上げましたような没収・追徴を利用して損害回復を図る制度の導入等の可否について、鋭意検討いたしておるとこ ろでございまして、このような施策の運用状況を見ながら、この附帯私訴制度や損害賠償命令制度につきましては、なお被害者等の保護・支援のために必要かど うかの検討を続けるべきではないかと考えられます。
 それ以外の項目は……。

○宮澤座長 一応それで。先ほど申しましたけれども、なるべく議事を効果的に進めたいので、できるだけ簡潔にお願いしたいということを私として申し上げま す。
 では、次に、片桐構成員にお話を賜りたいと思います。

○片桐構成員(警察庁) 警察庁のこの12条関係の資料としましては、資料2というルビがついている1ページ目でございます。
 簡潔に申し上げますが、警察庁の損害賠償に対する支援という意味では、「被害者の手引」という、こういった小さなパンフレットを作っておりまして、これ はいわゆる身体犯、身体の障害等を負われた方に対するものと、交通事故被害者に対するものと、あわせて二通り作っている県が多いのでございますけれども、 中身的には各県警それぞれ工夫をしながらこういったものを作って、損害賠償制度の概要を記載し、また弁護士会等の相談機関の紹介を行っていると。これは、 被害者の事情聴取を行った捜査官から直接手渡して説明をするという形をとっております。あと、暴力団犯罪の被害者につきましては、お手元の資料のとおり暴 力団対策法等に基づきまして、訴訟の支援等、また交渉の支援等を行っているという状況でございます。
 そのペーパーにはございませんが、ご要望として、損害賠償を完済するまでの間、運転免許証を発行しないシステムを導入してほしいというご要望がありまし たので、これにつきまして簡単にご説明をしたいと思いますけれども、自動車の運転免許と申しますのは、ご承知のように、法的に申しますと運転を一般的に禁 止し、しかしながら、他方で運転に関する知識とか技能、適性を有する方については、この運転を許可をするという形で免許証を発給するという形になっており ます。それで、その後、運転免許証を取った後に違反を繰り返すとか、また交通事故を起こすといった方につきましては、運転免許証の効力を停止するとか、ま た取り消すという形をとっているのでございますが、それはそもそもそういった方々がその後にまた事故とか違反を繰り返し、交通の現場で支障を生じる可能性 があるというふうに我々が認めて、これを停止、取り消しをするという形をとっているものでございます。
 そこで、ご指摘の損害賠償の支払いをまだ完了していない方について、この運転免許証をあげない、出さないという形がとれるかどうかというと、こうした方 が一概にもう運転に関する適性を有していないというふうに見ることはなかなかできないということで、したがって法律目的からしても、こういった制度をとる ということは困難であるというふうに、適当でないというふうに考えております。また、損害賠償の支払いをさせるという意味では、やはり運転免許証を持たれ る方については運転をさせ、そしてそれによって報酬を得て、そこから賠償をさせるという形をとった方がむしろ効果的ではないかというふうに考えておりま す。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。次に、国土交通省の平田構成員、お願いいたします。

○平田構成員(国土交通省) 私どもの省の関係で基本法の12条関係では、自動車損害賠償保障法に基づく各種の措置ということで資料を付けさせていただい ております。資料6でございます。
 まず、損害賠償請求の実効性の確保のための制度の整備ということで、損害保険会社への指導を含めた適切な損害賠償が保障される制度の確立でありますと か、誠意のない、態度が悪い保険会社には罰金を課すというような項目についてでございますが、ここのペーパー中に書かれてございますように、保険会社への 指導につきましては、自賠法に基づきまして、以下の仕組み、①、②、③というような仕組みに基づいて支払いの適正化を図ってきてございます。この①、②、 ③は、実は平成13年に自賠法の改正を行ったときにこの制度が入れられているわけでございますが、損害保険会社への指導を踏まえた適切な損害賠償が保障さ れる制度として、犯罪の被害者保護のための新たな規定を整備することによって確立されているというのが①、②、③の項目でございます。
 この①は、自賠責の保険金の支払いに関します紛争の公正かつ的確な解決のための財団法人、これは東京と大阪に置かれておりますけれども、自賠責保険・共 済紛争処理機構におきましては、被害者の方の申請に基づいて、お医者さんですとか弁護士の専門的な知識を有する専門委員によります民間調停を無料で実施を させていただいているところでございます。
 それから、③でありますが、保険会社が支払基準に従っていないような自賠責保険金の支払いをした場合には、被害者の方からの法律上の申し出に基づきまし て、国土交通大臣が当該保険金の支払いをした保険会社に対しまして、適正な支払いを行うことを指示するということになってございます。その指示違反に対し ては命令、違反した場合には罰金というような形になってございます。
 それから、2番目に自賠責の保険金の支払いにつきましては、資料6の2枚目のポンチ絵にも入れてございますけれども、昭和42年から財団法人の日弁連交 通事故相談センター、現在、相談センターは140カ所ほどございますが、弁護士さんによります自賠責保険に係わります損害賠償の支払いに関する法律相談、 それから示談斡旋を全国の相談所において無料で行っていただいておりまして、被害者の方が適切な損害賠償を受けられるための支援を行ってきているところで ございます。こうした政策によりまして、保険会社によります保険金の支払いの適正化の一層の確保を図っていきたいと考えております。
 また、この資料の中には入れてございませんが、加害者を特定できないひき逃げでありますとか、無保険者によって被害に遭われた方に対しましては、政府が 本来の加害者に代わりまして直接損害の補てんを行います、いわゆる政府保障事業を行ってございます。この政府保障事業による保障金の支給も政府として行っ てございますし、各種支援をしているところでございます。
 この資料のほかに12条関係では、山上構成員の方から再質問というような形で、保険会社の職員が損害賠償額の算定との関連で、被害者に直接あるいは間接 的に二次被害を与えているようなことがしばしばあるので、この辺に対する何らかの指導をしていただければというご質問がございました。
 今、私が申し上げましたように、自賠法に基づきます保険の損害額の算定については、保険会社は、この保険の支払い基準というものが定められておりますの で、これに従って保険金を支払うことが法律上義務づけられているわけでございます。仮に、保険会社が支払い基準に従うことなく保険金を支払うというような 場合、いわば明らかに法令違反というふうな場合につきましては、これは国土交通大臣は当該保険金の支払いをした保険会社に対して適正な支払いを行えという 指示をすることが法律上、可能になっておるところでございます。これは、法令違反が明確な場合。山上構成員からのお尋ねは、一般的にこういうような法律違 反ではないんだけれども、グレーゾーンみたいな形の場合にどうするんだというお尋ねかと思いますが、一般的には、保険会社に対する一般的な指導というの は、現在は金融庁の方から行うことになってございますが、国土交通省としても、この自賠責保険の損害額の算定との関連において、被害者からの苦情に基づき まして、保険会社の事実確認を行った上で是正すべきところがあれば指導を行っているところでございますが、これからもそういった観点から考えていきたいと 思っております。

○宮澤座長 ありがとうございました。先ほど示しましたように、本日、文部科学省からご出席をいただいております。例の大阪教育大学附属池田小学校での殺 傷事件に係わる被害補償について、災害共済給付制度の利用状況、被害者の方との合意について、簡潔にご紹介を賜りたいと存じます。

○文部科学省(泉審議官) 大阪教育大学附属池田小学校の事件でございますけれども、これはお手元の資料4でございますけれども、3ページ目、2枚めくっ ていただきましたところに、これは合意書の別紙という形でこの事件の概要がついているわけでございますけれども、ご案内の方も多いかと思いますけれども、 今から約4年前の平成13年6月8日に、池田小学校に出刃包丁を持った男が侵入いたしまして、校舎1階の教室等において児童、教員を殺傷したというもので ございます。被害者は児童が8名死亡、それから負傷者は児童13名、教員2名ということだったわけですが、この事件につきまして、死亡児童のご遺族との間 で平成15年6月8日に合意書というものを交わしまして、この中で、文部科学省及び大阪教育大学、池田小学校は、この事件の責任を認めて謝罪し、国は損害 賠償を行うとともに再発防止対策を講じることについて、ご遺族との間で合意書を締結したわけでございます。
 合意書そのものを資料でおつけしているわけでございますが、内容といたしましては、前文に事件に至るまでの経過及びその中で国の措置が十分でなかった点 の指摘に言及してございます。
 それから、第1条につきましては、謝罪ということで、8名の児童の命が奪われたことについての反省と謝罪を述べております。
 それから、第2条におきまして、池田小学校の安全管理の過失を認めて、ご遺族への賠償責任を認めるということを述べておるところでございます。
 それから、第3条におきましては、再発防止策ということで、文部科学省、それから大阪教育大学、それから附属の池田小学校それぞれがハード、ソフト面の 学校安全対策等をそれぞれのレベルで行っていくということで示されているところでございます。
 それで、第2条の損害賠償でございますけれども、第2条の文言をごらんいただきますとおわかりいただけますように、本合意書に基づく具体的な賠償金額を 記載した合意条項を別途作成・締結すると。これは、ご遺族の8家族と個別にそれぞれ交わしたものでございますけれども、賠償金額の総額は8家族分で6億 円、このうち2億円につきましては、当時の特殊法人日本体育・学校健康センター、現在は独立行政法人日本スポーツ振興センターになっておりますけれども、 この災害共済給付制度に基づきまして、死亡見舞金として給付し、さらに国の損害賠償支払額は4億、センターからの給付金が2億ということになっておりま す。
 それから、負傷した児童との合意書を、先般、5月8日に締結をいたしておりまして、基本的に事件の責任、謝罪等は同等でございますが、負傷しました児童 のうちの重傷8人につきまして、国立大学は去年の4月に法人化したわけでございますので、国立大学法人の大阪教育大学が損害賠償を行うとともに再発防止策 を講じること等について合意書を交わしております。賠償額は8人分の総額として1億円、このうち4,000万円が日本スポーツ振興センターの災害給付制度 で支払われておりまして、大学の損害賠償支払額は6,000万ということになっております。
 なお、これ以外の児童、軽傷者が8人、それからメンタルケアを受けている児童もおりますけれども、引き続き大阪教育大学の方で保護者のご意向を伺いなが ら対応をしていくという状況でございます。
 それで、この中で少し申し上げました独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度でございますけれども、資料の一番最後のところに1枚紙を おつけしてございますけれども、これはかなり以前からこういった制度がございまして、恐らく小さいころに学校におられてけがをしたときなどに、当時は日本 学校安全会という組織が行っていた制度でございますけれども、学校の管理下における子供の負傷、疾病、障害、死亡について、児童生徒等の保護者等に対して 医療費、障害見舞金、死亡見舞金等の支給を行うものでございまして、学校の設置者とセンターとの間で災害共済給付契約を締結いたしまして、共済掛金を支払 うということによってなされるものでございます。
 子ども一人当たりの掛け金は資料の方の3のところにあるように、学校の種類、それから本土と沖縄によって若干違っておりますけれども、こういったことに なっておりまして、横のところに書かれてございますように、義務教育諸学校では4割から6割、その他の学校では6割から9割の額で、学校の設置者が決める 額を保護者が負担して、残りを設置者が負担するということになっております。対象になる災害の範囲と給付金額については、4のところの表に書かれていると おりでございます。
 なお、この制度には免責特約がございまして、災害救済給付は、学校管理下の児童生徒の災害について給付がなされるわけですけれども、この中には被災した 児童生徒等以外の第三者の過失による災害もあるわけでございまして、その第三者に学校設置者が該当する場合もあるということもあり得るわけですが、そう いった場合に、設置者の突発的な財政負担の分散を図るということで、学校設置者が別途この資料3の掛金とは別に免責特約の掛金を払いまして、その掛金で、 もし学校設置者が過失責任を問われて賠償に応じる場合は、そちらの方でカバーするということになっておるわけでございまして、先ほどの附属池田小学校の場 合につきましても、この免責特約により国の6億の中の一部、先ほど数字を言い漏らしましたけれども、2億円は災害給付の方で対応しております。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。これまで関係省庁の構成員のご発言を伺いますと、犯罪被害者等の要望に係る施策と合致している面もあれば、必 ずしもそうでないものもあるようでございます。
 先ほど、事務局から議論に特に時間を要する検討課題として指摘のあった附帯私訴制度の導入、損害賠償命令の導入について、まずご論議をいただきたいと存 じます。この両者については、制度としての性格が異なる面もあると思いますが、検察官の立証の成果を利用し、犯罪被害者等の負担を軽減する制度としては共 通する性格を有しており、あわせてご議論いただくのが効率的であろうと思います。
 次に、それぞれの構成員のご発言を賜るわけでありますけれども、法務省の河村構成員からのご発言にありますように、慎重に検討する必要があるということ でありましたけれども、各構成員のご意見、ぜひ端的に、率直にお話を賜りたいと存じます。どなたでも結構ですから、どうぞ。

○岡村構成員 附帯私訴について。法務省の方からそれ以外についてもありましたけれども、今、座長がおっしゃいましたように、附帯私訴ということでありま して、私から意見を申し上げます。
 まず、法務省の方からは附帯私訴を導入すると――私の第2回犯罪被害者等基本計画検討会として赤い表題のついている附帯私訴に関する検討課題、資料10 でございます。これに基づいてお話をしたいと存じます。
 それの2枚目でございますけれども、法務省資料に挙げられた問題点を問題点として、それに対して私どもの考えを下の方に書くという形をとっております。
 それで、まず検討課題の1として、法務省の方としては、刑事訴訟に民事被害者が当事者として参加すると、公訴参加の場合と同様に検察官の主張・立証等と 被害者のそれとが大きく食い違って、今の訴訟構造のもとにはなじめないのではないかと、こういったことを言っておりますけれども、これはその前の1ページ にありますように、今の日本の訴訟制度を見ますと、地裁には88%、簡裁では95%がそのまま一審で刑事裁判を確定してしまっている、こういう実情にある わけで、刑事裁判自体がそんなに複雑になっているわけではありません。もちろんオウムのような事件はありますけれども、一般の事件はこのような形で解決し ている。民事の裁判が入ったからといって、この構造がそんなにややこしくなるとは思われないわけでありまして、そうして、私たちの考えている附帯私訴とい うのは、まず刑事事件の裁判をして、そして判決を行い、その後、民事についての裁判を民事の法則に従って行う、こういうようなことを考えておりますので、 決して複雑になるということはない、刑事は刑事、民事は民事の裁判が行えると考えればよろしい。そして、ややこしくなるような複雑なような場合には、普通 の民事の法廷へ移送すればいいと、こういうふうに考えておりますので、法務省がおっしゃるようにややこしくなることはありません。
 2ページの検討課題2でありますけれども、同じように過失相殺は民事の過失相殺の点が刑事裁判の持ち込まれると非常に複雑になって、迅速な刑事裁判の実 現を阻害するとありますけれども、これもこのようにややこしいものは民事裁判に移送すればいいわけでありまして、複雑化することはない。もちろん、法務省 の方としては、あまり例のないような事件を殊さらに一般化して反対の理由に挙げられているのではないかなと、こういうような印象さえ受けました。
 それから、検討課題の4でありますけれども、刑事は事後審であって、民事は続審という訴訟構造の違いが附帯私訴を導入した場合の控訴審のときにはどうな るだろうかということがありますけれども、刑事の公判は事後審という性質がもちろんあります。しかし、私訴のために新たに証拠調べを行わないので、直ちに 判決を言い渡すということであれば、別に民事も刑事も不都合ということはないのであります。そのままの証拠で判決ができるのなら、別に構わないと。
 それから、民事を特に裁判をしなければいけないということになれば、民事の裁判を分離して移送の申し立てをすればいいということになって、特に不都合は ないと、こういうふうに考えております。

○宮澤座長 すみません、ちょっとその辺ぐらいで。

○岡村構成員 はい、わかりました。

○宮澤座長 今の附帯私訴について、さらに独特なといいましょうか、お考えがあればお聞かせいただきます。もし、なければ損害賠償の方を簡潔にお願いしま す。

○岡村構成員 それから、当事者が違うではないかと、雇い人があった場合なんかはどうするんだと、被告人と雇い人が被告になると、こういうようなことも挙 げておられますけれども、これは普通の一般の民事訴訟でやるべきであって、附帯私訴でやるべきではないと、こういうふうに思っております。
 それから、国選弁護人が附帯私訴の代理人になれるかという問題について、これは将来、検討しなければいけないと思っておりますが、知恵の出しどころはあ ると思います。
 長くなりますけれども、決してやれないのではないわけであって、やれる方法はあると、そのための前向きの工夫をしていただきたいというのが私たちの主張 です。

○宮澤座長 ありがとうございました。他の委員からこの問題についての発言、ご意見はありますか。

○山田構成員 一番最後に、資料14ということで、お出ししております。
 私は、日弁連から参りましたけれども、これから申し上げることは、必ずしも日弁連の方で統一した見解ということであるわけではございませんで、もちろん それらを一応の参考にはしてございますが、あくまで私の意見ということでご了解くださいますよう初めにお願いを申し上げておきます。
 附帯私訴の件につきまして、いろいろ長所、短所はあろうかと思うんですが、比較考量してどうも短所の方が重たいのではなかろうかなと。そうしますと、 今、犯罪被害者の救済、犯罪被害者に手を差し伸べるということがかなり焦眉の急として急がなければならないのではなかろうかと。そのような場合に、こうい う複雑な問題を抱えていながら、これの検討に時間をとられているということはいかがなものかなという感じはしておるわけでございます。法務省の方も先ほど 現在検討中であるとおっしゃっておられまして、私としましては、ご質問として、その検討の結果というのはいつごろ出るというふうな見通しがおありなのか、 おありでないのか、そこら辺もわかりませんが、法務省の方でそういう状態ですと、法律の専門家の集団でございます私どももなかなか難しい問題があろうかと 思います。
 岡村構成員が今おっしゃられたようなことも、一つ一つ申し上げると時間もないんですが、要は、お聞きしていますと、移送すればいい、それは民事事件でや ればいいということになりますと、それが大部分あるような感じ、結局民事事件でやるのかなと。そうすると、大山鳴動してしてネズミ3匹ぐらいかな――い や、それはわからないんですよ。そういう感じをしまして、大騒動して刑事訴訟法を改正して何やかんややってみて、そんなに被害者のためになるんだろうかな という疑問があります。
 基本的に、被害者のためになるという制度を設けることについて、反対する人はどなたもいらっしゃらないと思うんですね。ですから、それが本当によければ よろしいのですが、どうなのかなと。その中でも、一つ二つもし申し上げるとすると、控訴した場合には移送すればよろしいんですか。控訴審になった場合は、 どなたが、どこの裁判所が裁判するんでしょうかね。一審の裁判官が裁判するのか、二審の裁判官が裁判するのか。それは民事訴訟としては一審になるんでしょ うかね。そうでないと、審級の利益というものを奪ってしまうことになりますよね。一審の判決が終わってから一審の裁判所がやるとした場合でも、いろいろ抗 弁等がありますとかなり長引きますが、裁判官の転勤等を考えますと、もちろんそれがすべてであるわけではないんですけれども、そういった場合、本当にそれ が有用な制度になるのかなと。そういうことよりも、むしろ訴訟記録等の民事事件への利用というものについての便宜をより的確に、明確に図ることによって、 裁判の被害者が起こす民事裁判の権利の実現ということは、やはり同等に図られるのではなかろうかなという感じはしているということでございます。

○井上構成員 今議論をしている実質的な目標は、犯罪被害者の方々が犯罪によって被った財産的あるいは精神的損害を迅速、確実かつ効果的に填補できるよう な仕組みを構築することにあると思うのですね。そして、そういう実質については、どなたも異存がないし、私もその方向で考えていかなければならないと思う のですが、そういう目標から一足飛びに附帯私訴、あるいは損害賠償命令の制度を採用すべきだというふうに直結させるのは、いささか性急過ぎるのではないか と思います。なぜ、具体的にその制度でなければならないのかというところが、まだいま一つ理解できないところがあるのです。
 それらの制度を採るというのは、もちろん、一つのアイデア、考え方だとは思うのですが、それ以外に、実効性という点で遜色がない、あるいは実際上より効 果的で、かつ、いま山田構成員が問題にされたような副作用も小さいものがあれば、そういう制度とする方が合理的であり、妥当ではないかなというふうに考え ています。
 その観点から、附帯私訴ないし損害賠償命令につきましては、やはり、なお検討しなければいけない点が多い。それは、現行の訴訟のあり方に様々な影響を実 質的に与えるかもしれないものですので、やはり慎重な検討が必要だろうと思います。そのような制度が、カテゴリカルに排除されるということではもちろんな いのですが。
 附帯私訴について、岡村構成員のご提案の趣旨も、補充的に今回説明されたところも、よく読ませていただいたのですけれど、幾つかその制度のメリットとし て挙げられており、その一つは、刑事手続の証拠や訴訟記録をそのまま活用して、民事の賠償を迅速に行うということだと思うのですが、その点では、別の形 で、刑事手続の訴訟記録等の民事訴訟での利用をそれ自体として容易にするという制度整備ということも可能であるように思われます。
 もう一つは、被害者が、民事の当事者としてではあれ、訴訟手続に参加し、その中で一定の活動をなさるということであると思うのですが、これについては、 山田構成員が指摘されたように、検察官と主張に食い違いが起こったような場合にどうするのかという問題もあります。岡村構成員の御説明では、その場合には 民事裁判所に移送すればよいということなのですけれども、その食い違いをどの段階で判断するのかによって違ってくるように思います。審理が始まった後、証 拠調べの過程で、証拠調べ請求あるいは証人に対する尋問の仕方、あるいはその過程で主張されることなどが食い違ってきた場合、移送ということで済むのかど うかということなのです。その場合には、既に審理には影響が及んでいますので、単に移送すれば足りるということでは済むかは疑問です。特に数年後には裁判 員制度が発足し、被害者の方が亡くなられた事件の多く、が、裁判員制度の対象になる。その場合に、公判前にいろいろ争点や証拠を整理して、公判審理は迅速 かつ集中的に行わなければならないという要請がある中で、途中でそのような食い違いが明らかになった場合に、移送するということで済むのかどうかですね。 それらの点を含め、慎重に検討しなければならないと思っています。
 さらにもう一つ、一回的な解決ということが強調されておられますが、その点で、刑事判決の後、民事判決をするということですけれども、審理も分離するの かどうかですね。刑事についての審理・判決の後に民事についての審理・判決が来るのか、それとも審理は一体としてやって、刑事についての判決をした後、民 事についての判決をするということなのか。後者ですと、さきほどと同様、審理への影響という問題が出てきますし、審理に時間がかかるおそれもある。他方、 前者ですと、1回で迅速にやるというメリットがどの程度あるのかわからないところがあり、刑事手続の記録とか証拠を民事手続で利用して審理をするというの とそれほど違わないようにも思うのですね。
 最後に、否認事件とか問題があるような場合は民事裁判所へ移送ということだとしますと、自白事件で検察官と被害者の方の考えもそれほど違わない、専らそ ういう事件で附帯私訴が利用されることになるように思われるのですが、これですと、現在の刑事和解の制度をもっと使いやすいものにする、弁護士さんの援助 についても民事扶助の範囲を拡大するとか、刑事事件の記録等をもっと活用できるようにするということで、かなり賄えそうに思うのですが、そういった方策よ り、やはりどうしても附帯私訴でなければならないという理由がまだ私には納得いかないとといいますか、十分理解ができないのです。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。今、いろいろなご意見で岡村構成員のご発言に対するご意見があったんですが、別の何か。

○山上構成員 法律家ではないから適切に言えるかどうかわかりませんが、私たちも被害者の方が民事訴訟で立証の責任を負う、ものすごく苦労されて、しかも 刑事の記録を十分利用できないということで、それが非常に大きな難点だということでしょっちゅう目にするものです。附帯私訴の制度を持つような国の方たち が受けているのと同じ程度の応援を得られるのであれば、附帯私訴に私はこだわらなくていいと思うんですけれども、それがこの附帯私訴はだめだと言ってすま されてはならないと思います。確かに日本にはいろいろな壁があって、今、附帯私訴が難しいと言った理由の中には、例えば被告人が賠償のことを意識すると訴 訟がうまく進まない可能性と言いましたけれども、もし刑事記録が全部また民事で利用できるとなると、そこでも同じような心理的な影響を与えるのかもしれま せん。ですから、もしこの制度を導入しないというのであれば、結果的にそれと同じレベルの支援が被害者に与えられるようなことを積極的に考えていただきた いと思います。

○小西構成員 私も法律のことは全然わからないので、被害者から聞いたことというので申し上げたいんですけれども、例えば今、文部科学省の方から池田小学 校の報告がございました。私は、メンタルサポートセンターの方にも実際にかかわっております。非常に悲惨な事件で、8人の方が亡くなって、6億で合意され たということに関しては、恐らくこのような悲惨な事件でお子さんが亡くなって、家族の慰謝ということも考えてお金を出すのであればこれくらいが妥当であろ うと多くの方が思われるお金なんだと思うんですね。
 一方で、国土交通省の方でお話がありましたように、無保険者の場合には保障の制度がある。これも恐らく自賠責だけだと多くの人はとても運が悪かったとい うふうに考えるのが今の日本の常識だと思うんですね。その場合に、ですから保障していくという話があった。そういうことを全部含めても、少なくとも犯罪被 害者に関して何らかの経済的な補償というのをもっと考えなくちゃいけないということは、もうこれは大前提としてあるんだと思うんですね。
 ということは、もしその中で損害賠償や附帯私訴というものを全く扱わないというのであれば、かなりの決意を持って国の方も、ほかのところでちゃんと補償 するんだ、あるいはそういうことができない司法制度の中で、被害者が何か自分の権利をちゃんと確保していくためには、例えば手続の面で保護をつけるんだと いうことを決意することだということもこの場で確認しておきたいと思うんですね。それが今、私が申し上げたかったことです。

○大久保構成員 例えば附帯私訴のような中で、刑事裁判の中できちんと損害賠償命令が出されるのであれば、加害者に与える刑事罰と同様に経済的な補償も行 われて当たり前だ、国が命令をしてくれたんだから自分は安心して受け取ってもいいんだ。そのお金を受け取って精いっぱいこれから生きていこう、そのように 思えるんだと思いますが、それさえも受け取れないでいまだに悩んでいる、そういう被害者の方がたくさんあるわけですね。
 あるいは反対に、わずかなお金であっても、出したんだから加害者である自分の減刑のために嘆願書を書けと半強制的に強要されたり、あるいはわずかなお金 を出した後、今度は加害者あるいは家族から、お金を出したんだからこれ以上何事も言うなということで脅迫をされているという事例がたくさんあるということ をぜひ皆さんにも知っていただきたいと思いました。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。もう大分時間が予定していたよりも過ぎてしまって……。

○岡村構成員 私にいろいろ……。

○宮澤座長 もちろん、もちろん、そういうわけですので、これから岡村構成員の意見の、誤解もあるかもしれないし、あるいは補足してのご説明をなさりたい かもしれません。ぜひ議事進行にご協力を賜りながらご発言していただきたいと思います。

○岡村構成員 私ども、今、附帯私訴法案をつくっておりまして、これが間に合えばよかったんですが、間に合ってまいりませんでしたので、それで今いろいろ な誤解が出ていると思います。
 まず、山田構成員の方から、何でもかんでも移送、移送とするなら最初から民事を起こしたらどうだと、こういうお話がありました。これは、私どもは移送す る必要はほとんどないと思っています。ただ、法務省の方から、こういう場合どうするんだ、どうするんだというようなご指摘がありましたので、そういう例は 私どもはあまりない、滅多にないと思っておりますが、そういう例が出てきたならば移送すればいいんじゃありませんかと言っているので、何でもかんでも移送 してしまえと言っているのではありませんから、その点、誤解を解いていただきたいと思います。
 それからもう一つは、刑事の裁判の後で民事の裁判をやると申しましたのは、こういうことです。これは旧法もそうなっておるのでありますが、まず刑事の証 拠法によって刑事の裁判をします。もちろん、附帯私訴で民事訴訟は起こしておりますが、刑事の証拠法則に従って刑事の裁判が進んでいるわけです。そして、 そこで刑事の判決ができるようになれば、刑事の判決をすればいい。その後、何が問題になるかというと、ほとんど損害額なんです。刑事の判決を原因判決とし てそのまま損害賠償の認定の基礎に使えばそれで事は済む。
 簡単な事例ですと、フランスの例なんかを聞きますと、刑事の裁判を終えて、そして二、三時間、裁判官が民事の損害賠償の証拠調べだけして判決をすると、 こういうようであります。旧法を見ますと、刑事の裁判と同時にすると書いてありますが、同時にするというのはそういう趣旨であろうと私は思っております。 だから、そんなに何日も置いてやるわけではない。何日も置きますと、それは刑事の裁判を終えてから身柄拘束が続くことになりますから、それはそうしない。 そして、刑事の裁判で今まで認定した事実で民事の判決ができるというなら、それはそこから何回か、二、三回か、損害額の裁判だけ民事法則に従ってやって判 決すればよいということになりますから、そんなに手間暇かかるものではないと思っております。
 もちろん、刑事の裁判の途中で、例えば鑑定人が出てきたと、こういうときにまた民事の裁判のときに出て来てもらうのは気の毒だから、そういうときに一緒 にやらせてもらうと、刑事法則に従って民事の質問をさせてもらうということはあり得ると思いますけれども、民事と刑事と並行して審理をするものではないと いうことです。
 例えば、私の例を申しますと、私は、妻を私の身代わりに殺害されました。私は、本当に加害者は嘘八百を言う人間的にも極めて低劣な人間であったと思いま す。それに2年間、刑事の判決が出るまで振り回されました。くたくたになりました。そして、私は民事の損害賠償を仮に取れなくても、慰謝料1億円の請求を したいと思いました。だけど、またあの男を相手に1年も1年半も訴訟をやるのかということは、もう精神的に耐えられなかった。時効ぎりぎりまで私は考えま したけれども、自分自身が涙を出しながら民事の訴訟を起こすエネルギーがなかった。附帯私訴の制度があれば、当然私は起こしました。
 そのように、刑事の裁判でくたくたになって、民事の訴訟をこれ以上起こせないという人がいっぱいあるわけです。刑事の記録を取って、謄写して、それで訴 訟を起こせばいいじゃないかとおっしゃいますけれども、それは本当に訴訟、刑事事件の被害者になった者の苦しみを知らない方の発言ではないかと思います。 実際に苦しんだ者は、そう何回も刑事と民事とやっているわけにはいきません。民事裁判を起こすという人は、よっぽどこれではもうおさまらない、これでは仏 様に申しわけないというふうな気持ちで起こしている方がほとんどであって、これが刑事と民事と一本でやり、刑事の証拠の90%以上が民事の証拠にそのまま 使える、新しく記録の謄写の必要もない、印紙も張る必要もないということになれば、どれだけ助かるかわからないということなんです。ぜひそこをお考えいた だきたいと思います。
 それから、先ほど井上構成員から否認事件なんかについてはどうするんだと、刑事和解の制度を使ったらいいじゃないかというようなお話がありましたけれど も、否認事件をするようなものが刑事の和解をするはずはありません。また、刑事和解というのは、裁判所が関与するのではなくて、原告と加害者と被害者が法 廷内で話し合って決めることであって、今までも和解をして、公証人役場へ行って、公正証書をつくっていた。その費用が要らなくなったということとほとんど 変わりません。むしろ刑事和解というのは裁判所が関与するものであるから、履行の確保について裁判所が責任を持ってくれるであろうという、そういう錯覚を 持っている被害者がたくさんおります。にもかかわらず取れない、これはどういうことかと言って、逆に裁判所を恨むようなことがあるので、刑事和解制度がで きたからといって、調書状を書いてくれたからといって、これが被害者にとってどれだけ大きなメリットになっているのか、これは私は甚だ疑問だと思っており ます。
 時間がありませんから、この辺で。

○宮澤座長 どうもありがとうございます。
 それで、大分時間がたったんですけれども、先ほどの構成員の発言の中で、私は大事な発言だと思うのですが、いろいろ反論なさりたいお気持ちはあるとは思 いますけれども、河村構成員にお尋ねしたいのは、先ほど山田構成員がおっしゃったように、慎重に検討しておられるというけれども、一体いつぐらいにその検 討結果が明らかになるんだろうかという点だけでも結構ですので、お聞かせいただければと思います。

○河村構成員(法務省) 慎重に検討を要する問題が多々含まれておりますということを申し上げたわけでございまして、それ以外に、ただ現行制度のままでい いのかというと、それはいろいろと考えなきゃならないものがあるだろうということでございまして、その意味で、先ほど例えば刑事の裁判において、まさに審 判対象になっておるものと民事の請求の重なり合いの多いものとして財産的な被害、財産犯罪等についての損害賠償命令みたいなものでございましたり、あるい は没収・追徴を利用した形での犯罪被害財産の回復について、現在、検討はいたしております。
 その意味で、その検討中の事柄につきまして、いつかと言われますと、ちょっと今の時点ではまだ具体的にいついつまでとは申し上げられないのでございます けれども、これ自体検討しているということでございますので、しかるべき時期にその辺についてももっと具体化させていただきたいと思っております。
 附帯私訴につきましては、先ほど岡村構成員から、法務省がこういうことまでも問題としているということでございますが、これは研究会の中でいろいろな方 からご指摘があったという事柄でもございます。そういうご意見があること自体は間違いございませんし、一方で岡村構成員のようなご意見があることも承知い たしておりまして、そういった問題点を克服すると申しますか、解決するのには、いつまで検討すれば足りるんだというには、ちょっと今の段階では難しい問題 が多いということでございます。

○宮澤座長 いかがでしょうか。この辺で、内閣府の構成員から何か今までの進行状況を踏まえて、甘かったなというふうに思っておられるか、それともいや甘 くはないんだというようないろいろお立場はあると思いますけれども、ご発言を求めます。

○事務局 この会の考えのまとめという形で、こういうことでいかがでしょうかというご提案をさせていただきたいと思うんですが、まさに今ご議論をいただい ておりましたように、この附帯私訴や損害賠償命令等というのは、我が国で本当に機能するような制度とするためには、やはり大変多くの議論すべき、検討すべ き点というものがあろうかと思います。この検討会で、そういったいろいろな検討をすべき点まですべて議論を尽くすというのは、これは時間的にもなかなか難 しいと思います。
 一方で、諸外国が有しているような検察官の立証の成果を利用する制度というのは、これは現在、我が国にはないわけでございまして、何とか我が国の制度と してふさわしい何らかの新しい制度を導入する方向でやはり検討を行う意味合い、必要性というものは十分にあるのではないかというふうに思うわけでございま す。
 そこで、この問題につきまして、法務省におきまして、附帯私訴あるいは損害賠償命令等、損害賠償の請求に関して検察官の立証の成果を利用することによっ て、犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易・迅速な手続とすることのできる制度を新たに導入する方向で必要な検討を行うということで考え方をまとめていくとい うことでいかがかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○宮澤座長 どうでしょう、今の点。ご異議ありますか。

○岡村構成員 ちょっと質問ですが、附帯私訴の問題はこれ以上、今回限りであとはやらないということですか。

○事務局 この検討会におきましては、前回の第1回の検討会でお決めいただいたように、ほかの非常に多くの犯罪被害者等の皆様からのご要望というものをご 議論いただかなければいけません。そして、8月までに骨子案を策定して、そして12月に計画案を策定する、そのもとになる議論を構成員にしていただかなけ ればいけないということもありますので、先ほど申しましたように、一つ一つの制度につきましての問題点をすべて議論していくということになりますと、そう いった全体の骨子案とか計画案に向けたご議論がなかなかしていただけないということになってはいけないということで、法務省の方できちっとそのあたりの検 討をしていただいたらどうだろうかということを申し上げたところでございます。

○岡村構成員 私どもは、今日いろいろ意見が出ましたので、また文書を提出したいと思いますけれども、その文書はここに述べたと同じような扱いをしていた だけるかどうか。今日間に合わなかったものを後で書類を出してもいいというようなお話が前回ありましたよね。

○事務局 それはもうご意見としてお出しいただいたらいいんじゃないかなというふうに思います。

○岡村構成員 というのは、基本法の12条に被害の請求について、被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充と、せっかくここま で言ってきているものですから、ただそれが、一番連携がかかるのが附帯私訴だと思いますけれども、これがいろいろな問題点があるから先へ進めないというこ とでは、またそもそも論に返ってしまうわけですので、私ども、これからまた文書を出しますけれども、よくここで出た議論と同じように構成員にもお読みいた だいてお考えいただきたいと、こう思います。

○宮澤座長 わかりました。何しろこれでもう審議が終わるということはありませんので。
 今、こうやってずっと議論したそれを踏まえて、事務局としてさっきのようなまとめ方をしたらどうだという、そういうご意見だったわけですが、今の点につ いて法整備をやはりする必要があるだろう、予算措置を必要とするだろうというようなことを踏まえて、お答えをいただければと思います。

○河村構成員(法務省) 附帯私訴について直ちに法整備ということになるわけではございません。事務局から、ここは議事録上どうなるかですが、今、おっ しゃった意見、初めて伺いましたですが、その方向で考えさせていただきたいというふうに考えております。また、それについて特にコメントすべきことがあれ ば、次回以降にでも申し上げることがあるかもしれないという留保を残させていただきたいと思っております。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。
 先ほどともしかするとダブるかもしれませんけれども、先ほど来の構成員の方々のご意見などをもし集約することが許されるとするならば、法務省において附 帯私訴、損害賠償命令等、損害賠償の請求に関して検察官の立証の成果を利用することによって犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易・迅速な手続とすることので きる制度を新たに導入する方向で必要な検討を行ったらどうだという、そういう点で構成員のご意見を集約という合意になったというふうにしていただければと 思いますが、よろしいですか。

○大久保構成員 大体いつごろまでにそれを。

○宮澤座長 そうですね。それが先ほどあった同じ質問になって恐縮なんですが、ぜひ今の点、法整備と予算措置を伴うような制度改革になるかもしれないけれ ども、4年も5年というのではなくて、できれば2年以内ぐらいでいかがでございましょうか。

○河村構成員(法務省) 鋭意検討いたしまして、できること、すべきことは順次検討をさせていただいて、必要な措置を講じられるものは講じていきたいとい うふうに考えております。

○宮澤座長 お立場上、苦しいところはよくわかっておりますが、今のお答えがいわゆる官僚的答弁でないことを期待しつつ、やはり被害者のためによかれとい う制度を我々考えようというわけですので、ぜひしかるべき時期に、恐らく大臣の心の中でもそういうふうに思っておられると思うんで、やはり国民が希望して いるものを我々が先取りして、どういう法律をつくるかというようなことの議論をみんなしているわけでありますので、どうぞよろしくお願いします。
 どうしましょう、中休みを入れますか。そうしますと、5分で足りるかわかりませんが、一息入れたいと思います。

○宮澤座長 それでは、続行いたしたいと思います。
 犯罪被害者あるいは遺族の問題というのは、皆さんこれだけ大勢の方がいらっしゃっているところを見てもおわかりのとおり、各省庁にかかわるテーマでござ いますので、面倒たると言っては非常に失礼ですけれども、各テーマについて省庁の方のご発言が終わりますと、それでは一体いつぐらいをめどにというような 確認をさせていただきます。やはりこれは座長の義務として、そういう嫌な立場、発言をせざるを得ないんですが、どうぞご了承ください。
 河村構成員にお尋ねしますけれども、目途というのでしょうか、大体2年ぐらいを目標にして、ひとつ鋭意努力してくださいということでよろしゅうございま すか。よろしゅうございますねという念を強くいただいて、あとはもうどうぞ。

○河村構成員(法務省) わかりました。
 ただし、先ほど何人かの構成員からもお話がございましたように、それですべてにイエス・ノーをつけるかということになりますと、2年というのはちょっと 短いことになろうかとも思いますが、承知いたしました。

○宮澤座長 お立場はよくわかりますが、そういうことにいたしましょう。
 それでは、第3の論点ということになろうと思いますが、損害賠償債務の国による立替払及び求償等について議論をしたいと思います。
 この点についての法務省の河村構成員からのご発言では、やはり同じように慎重に検討する必要があるというようなことでございましたが、他の構成員のご意 見をお聞かせいただければと思います。

○山上構成員 代理で支払うというのは、制度上とても難しいということは私も感じますので、むしろ犯給法の給付の額をきちんと多くして、それを加害者から 逆に取り立てるのは国ができるものですから、そういうところで損害賠償の制度を国が運営するという形でそこを取り返せばいいのではないかなと。むしろ、犯 給法の額を大幅に増すようなことにしていただければというように考えるんですが。犯給法は後になりますね、この議題の次ですか。

○宮澤座長 はい、13条になりますね。

○山上構成員 それでは、この次に言わせていただきます。

○宮澤座長 どうぞ、今の損害賠償債務のこの点について、ご発言があればと思いますが。

○大久保構成員 今度、司法支援センターもできるということで先ほども説明がありましたけれども、日本の憲法では、加害者に国選弁護人をつけるのは刑事被 告人になってからとしか書かれていないにもかかわらず、起訴前から今度は国選弁護人がつけられるというようなことも聞いています。いただきました資料の中 では、もう現状でも―ちょっとこれだけの数のお金を数えたことがないので計算するのも大変だったんですけれども、79億弱あるような国選弁護人費用がある にもかかわらず、被害者関係にはほとんどそういう費用もありませんし、弁護士さんがつけられる制度もありません。
 ある方からの説明を受けたときには、たとえ被告人であっても、やはり訴訟費用は被告人に払わせているということを説明としてもお聞きしましたけれども、 実際にはほとんどの場合は免除措置をとって、被告人は弁護士費用を払っていないと聞きますし、私たち民間の被害者支援センターでは、裁判の傍聴支援もやっ ております。その中でも、裁判官が訴訟費用を払うようにということを判決の中でおっしゃっているということも聞いたことはありません。
 加害者に対してでは、弁護士の面でもこのように厚遇がなされている中で、被害者にもやはり何らかの形で公費によって損害賠償のできるようなものをぜひ考 えていただきたいと、そのように思います。

○宮澤座長 ありがとうございました。
 ただ、今の点は次のテーマになりますので、これから議論したいのは、損害賠償債務の国による立替払、求償権の行使といった点に限って議論をしたいのです が、もうもし議論が先ほどの説明等々で出尽くしているとすれば、進んでもいいでしょうか。

○岡村構成員 国の補償という点、これはこのテーマから外れますか。

○宮澤座長 次にやります。

○山田構成員 損害賠償債務の国の立替ということになりますと、その理論的な前提としまして、損害賠償額の確定という作業がどこかでなされているというこ とになるのでしょうか。つまり、民事事件におけるか、あるいは先ほど議論されました刑事事件の中における附帯私訴等の裁判の中で確定された債務、そうする と、それを加害者の方が履行しないという場合に、あるいはその履行を待つまでもなく国が立て替えるんですよと。そういうことになるんだとすると、前提問題 として先ほどの話に戻りますよね。国の損害賠償債務をどうするかという点に戻る。そうでないのだとすれば、これからお話しされるであろう犯給法の話になる ということになるのだと思うんですけれども。

○事務局 それでは、今のご指摘なども踏まえまして、私の方からご提言をさせていただきたいと思いますけれども、結局、損害賠償債務の国による立替払とか 求償ということになりますと、これは実質的には損害賠償債務を国が肩がわりをするということになろうかと思います。
 そこで、そういうことになれば、まずは損害賠償請求の適正かつ円滑な実現を図るための施策によって対応すべきだと。それからまた、犯罪被害給付制度とか そのほかの社会保障、福祉制度の充実ということによって対応すべきだというふうに思います。
 したがって、これらの施策についてできる限りのことをした上で、なお必要であり、また相当でもあるかどうかということを検討するべき課題ではないかとい うふうに思います。

○宮澤座長 ご意見がございましたら、どうぞご発言ください。
 もし先に進もうということであるとするならば、次のように集約することが許されますでしょうか。すなわち、損害賠償債務の国による立替払及び求償権等に ついて、現行及び今後実施する損害賠償請求の適切・円滑な実現を図るための諸施策と犯罪被害者等の経済的負担軽減のための諸施策を踏まえ、さらに必要かつ 相当かということを検討したい。まとめとして、こういうことでよろしゅうございますか。
  それでは、これを構成員のご意見を集約したものとして進めたいと思いますが、また恐縮ですけれども、法務省の河村構成員に確認させていただきたいのです が、ただいまの点について、法整備、そして若干の予算措置が必要となると思われますが、その点のご意見を求めたいと思います。

○河村構成員(法務省) 今、座長がおっしゃいましたように、まさに諸施策でございますので、私どもの方で、それについて承知いたしましたというのは ちょっといかがかなと……。

○宮澤座長 「聞きました」とおっしゃってくださればいいですよ。

○河村構成員(法務省) 私どもとしてのそういう支援のための法整備と申しますか、手続法等々でありますれば、そちらはそれとして検討してまいらなければ いけないとは思っております。

○井上構成員 今、座長から法務省の方に確認された点はちょっとよくわからなかったのですが、さきほどのまとめ案ですと、現行の、ないしはこれから新設さ れるかもしれない損害賠償等の実効的な施策と被害者に対する補償制度等、それを総合的に見た上で、なおそういう立替払等の制度が必要で、かつ、妥当かとい うことを検討しようということだったと思うのですけれども、その後ろの方の部分は、最初の方の成果を総合して見た上での話でありますから、それを待たない と制度整備をすべきかどうかも決められないはずだと思うのですね。したがって、その制度整備をいつまでにやるのかと今の段階で問うのは、無理な話だと思う のですね。むしろ、最初の方を、さっきまとめていただいたように、積極的に検討してもらうということでよいと思うのですが。
 そのときに、それを実効的なものにする、つまり損害賠償を命じたとしても取れないということだと、絵にかいた餅のようなことになるので、その辺の実効性 までにらんだ制度整備を、まず考えていただきたい。それと、これから議論します給付金等の補償の問題、これの拡充とあわせた上で、さらに必要かどうかとい う話になるのではないかと思うのですね。
 この立替については、他の国民の方々の理解を得るのもなかなか容易ではないところもあると思いますので、順序として、やはり最初にまとめられたところの 前段の方についてまず努力していただきたいということだと思います。

○宮澤座長 この点については、後ほど議論が進んでいくだろうと思いますので、ご発言はよくわかりました。
 以上の議論について、事務局から何か補足するご意見はありますか。

○事務局 特にございません。

○宮澤座長 わかりました。
 次のご意見といたしましては、先ほども出てまいりましたけれども、公費による弁護士選任という問題、国による損害賠償請求費用の補償、こういう問題に議 論を進めたいと思います。
 この両者については、要望として異なる面もあると思いますけれども、損害賠償請求費用の負担を国に求めるものであるということから、あわせてご論議をい ただくのが効率的ではないかと思われます。
 まず、その議論をするのに先立ちまして、論点の整理をしていただけますか。

○事務局 この点に関しましては、先ほど法務省の方からもご説明がありましたように、民事法律扶助制度による支援、これは当然行うべきというふうに思いま す。それ以上のことについてでありますけれども、これはまさに損害賠償請求費用の負担を国に求めるという制度でございますので、先ほどの損害賠償債務の国 による立替払、あるいは求償の議論とあわせて検討すべきものだというふうに思います。
 ただ、公費による弁護士の要望でございますけれども、これにつきましては損害賠償請求以外のいろいろな支援の問題も含んでおりますので、そうした要望に つきましては、別途、検討する必要があるのではないかというふうに考えます。

○宮澤座長 それでは、構成員の方々のご意見をお聞かせください。

○小西構成員 質問です。今、「別途」とおっしゃいましたのは、今日の中で別途ということですか。

○事務局 いや、そうではなくて、このお手元のスケジュールの中では、このスケジュールを改めてまたお配りしておりますけれども、第5回の支援等のための 体制整備への取組の中で、そういった問題についてご議論いただく予定にしておりますので、その中で改めてご議論いただくという趣旨で申し上げました。

○小西構成員 わかりました。

○山上構成員 被害に遭った直後の緊急の弁護士への相談などというのは、支援体制の方でもあるいは言うことになるのかもしれませんけれども、被害者に対す る無料での弁護士相談というのは、そういう直後の法律に関する相談という意味でもぜひ必要なものですから、民事訴訟の弁護士の問題だけでなく、そういうこ とも含めて検討していただきたいというのが1つございます。
 それから、日本司法支援センターの活用ということも、これは後でまた出てくるんでしょうけれども、それも関連してくると思うんですけれども、恐らくここ は……

○宮澤座長 いいですよ。

○山上構成員 今、一緒に言ってもいいでしょうか。国選弁護人の予算のかなりの部分が、加害者の業務にかかわることですけれども、被害者の支援もここでで きるという制度であればよい。少なくとも予算の1割ぐらいは被害者用に使えるような、被害者のための法律相談をできるようにしていただければというふうに 私は思います。

○山田構成員 先ほどのお出ししました資料14の3ページ、公的費用による支援弁護士制度というペーパーを用意いたしましたけれども、要はここに活動内容 というのを書きましたが、起訴前にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、テ、ト、チ、リ、こういったことをいろいろしなくてはなりません。起訴後もこういうことをしなくて はなりません。判決後もこのようなことがあります。その他もこのようなことがあります。弁護士から見れば、こういうことをしなければならないということで すが、被害者の方から見れば、こういったことをしてもらわなければならないと。なかなかこれは、ご自身でなさることとしましては、ショックを受けているつ らいときに大変なことだと思うんですね。
 ですから、第5回の支援のための体制のときに議論するにしましても、こんなふうにまとめておきましたので、ひとつお考えいただけたらと思い、今この段階 で発言させていただく次第です。

○井上構成員 その際の議論の参考にしたいのですけれども、これは河村構成員に伺いたいのですが、現在つくろうとしている日本司法支援センターは、さっき のご説明ですと、いろいろな情報提供をしたり紹介をしたりということを主とするということのようなのですけれども、センターそれ自体として、この種の法律 相談を行うということは事業内容に含まれているのかどうかです。またもう一つは、センターでは民事法律扶助に関する業務を行うことになると思うのですが、 その対象として犯罪被害者の方々というのが含まれているのかどうかです。公的な費用といっても、いろいろな形の出し方があり、例えば法律相談を弁護士さん に受けた場合の費用の援助、扶助といいますか、そういうものが含まれているのかどうかですね。

○河村構成員(法務省) いわゆる総合法律支援法によりまして、新たな法人でございます日本司法支援センターを設立すると。そして、その際の業務なのでご ざいますけれども、相談窓口業務あるいは民事法律扶助、それと被疑者・被告人に対する国選弁護人等々ということでございまして、確かに犯罪被害者支援もご ざいますが、そこで申しておりますのは、今のところ情報提供ということが予定されております。
 そこで、まずこの基本的な前提と申しますか、今、民事法律扶助とか、被疑者・被告人に対する国選弁護人の選任ということなのでございますけれども、共通 にご理解いただきたいことといたしまして、現行の刑事の国選弁護人制度と申しますのも、刑事裁判におきまして弁護士を雇うだけのお金がない、資力のない者 を対象とした制度でございまして、私選弁護人を頼める資力のある者は、原則として国選弁護人の対象にはならないということ。それと、国選弁護制度は無償で 弁護人を付するというものではございませんで、これは訴訟費用ということで、有罪となった被告に負担させるのを原則とする制度であることをご理解いただき たいのでございます。もっとも、実刑などの場合には負担させないこともございますけれども、原則はこの費用は負担させるというものでございます。
 そして、この資力が乏しい方に対しまして、公的に費用を立て替える制度といたしまして民事法律扶助がございますけれども、この場合、自力では民事訴訟が できない方が民事の訴訟を提起することが可能になる、そのための相談等も可能になるということでございます。
 もっとも、これは民事の関係での一連の、最終的に場合によりましては訴訟というところまでを見据えた民事法律扶助でございますけれども、資力に問題のな い方でございますと、これは訴訟を提起するに当たって経済面における障害が存在しないということになってまいります。したがって、それは刑事の国選弁護と いうことと比較いたしましても、そういった方はその対象にはならないのが今の枠組みというふうに考えていただければと思っております。

○岡村構成員 ちょっとその点でよろしいでしょうか。刑事の国選弁護の場合に、資力のない人ということをおっしゃいましたけれども、実態はそうではないん です。「弁護士がいません、弁護士を知りません」と言っただけで、国選弁護はつくんです。私の知り合いの弁護士は脱税の事件をやって、追徴金1億円、脱税 をぱっと払った被告人の弁護をしました。それだけの金があるのに、彼は国選弁護料として20万から30万で弁護されたわけです。こういう例がありまして、 無資力者じゃなくて、弁護士がいなければ裁判が進まないものだから国選弁護人がつく、こういうことで、ほとんど地裁、簡裁では8割ぐらい国選弁護、地裁で も5割は国選弁護じゃありませんか。もっとでしょう。資力というのは、ほとんど関係なくなっていますよ。
 それからもう一つ、被害者についても、現在は法律扶助協会で訴訟救助がなされているんですね。これは財団のお金かどこか知りませんけれども、やられてい る。弁護士の報酬も出るんですよ、被害者が弁護士を雇った場合。ところが、今度の支援センターになると、紹介と情報提供だけで、被害者に対する訴訟援助は なくなっていくと。これは、非常に私どもは後退だと考えているんですよね。その辺、被害者にはお金を出さないけれども、加害者には依然として多額のお金が 行くと。これは日弁連でも、被疑者に対してはお金を会費から集めてやり、加害者についてはやり、被害者についてはやってくれないということで、絶えず不満 を述べているんですけれども改まらない。被害者がそれだけ世の中から置き去りにされているという、この事実を認識していただきたいと思うんです。

○河村構成員(法務省) 今の点でございますけれども、資力要件と関係なしにという点につきましては、ちょっと私は法律的な建前等々から見まして、特定の 事件におきまして、弁護士さんがいなければ開廷できない事件につきまして何らかの手が打たれたのかもしれませんが、国選弁護というのは原則として資力のな い方だということなのでございますが。
 それと、訴訟救助という言葉をお使いになりましたので、訴訟救助と申しますのは訴え提起の場合の民事の裁判手数料、これの支払い猶予のことでございまし て、そういったものとは別に、民事的な裁判費用でありますとか弁護士の方への費用等の立替などの民事法律扶助は、この日本司法支援センターが受け持つこと となっております。

○岡村構成員 訴訟救助と言ったのは私の間違いでしたが、民事、被害者の弁護士ですね。これに対して、お金を支援センターは出してくれるんですか。その制 度は、今ないと思いますよ。

○河村構成員(法務省) それはないでしょうね。

○岡村構成員 ないでしょう。だが、今の扶助協会にはあるんですよ。これが、支援センターが扶助協会を吸収したような格好になったためにさらに悪くなっ て、なくなっちゃったんですよ。そこを問題にしているんです、私は。

○井上構成員 関連して、国選弁護の関係については、今度の制度整備で資力要件を課し、それを充たした人に国選弁護人を付すということと、資力のある人に ついては、原則として、まず弁護士会等に弁護人選任の申し出をしてもらい、それで選任できなかった場合にはじめて国選の方になる、こういう二本立てになっ ており、また、資力要件を充たさない人については、国選弁護人をつけた場合も、訴訟費用の一部として弁護士報酬に相当する額を支払ってもらう、こういう仕 組みになっていると思うのですね。
 それとの対比で考えていくと、民事事件の代理等の場合には民事法律扶助でいくという整理になると思うのですけれども、その場合の、資力要件の決め方もあ ると思うのですね。今はかなり厳しい設定になっていますので、それですと、先ほどから問題になっている被害者の方々が、なかなか乗ってこれないというとこ ろがあるのではないか。その辺も含めて検討していく必要があるように思います。岡村構成員が言われたように、被害者であるから当然に出るという仕組みは、 現在の制度には乗ってこない。ただ、扶助についての最低所得額とか、その辺のところをもう少し柔軟に考えられないのかなと思っています。

○河村構成員(法務省) 先ほど、岡村構成員からおっしゃられましたのは、いわゆる現行の民事の法律扶助の自主事業の部分ではないかと思われますけれど も、被害者支援につきましては民事法律扶助のほか、非営利団体等からの委託であればできますので、いわゆる2項業務と呼んでおりますけれども、そういった 今の自主事業のうち、構成員がおっしゃったような被害者への支援といった形での行われている業務につきましても、法制的には可能でございます。

○山田構成員 私も、公費による支援弁護制度は実現された方がいいと思っておりますが、ただ、国選弁護について岡村構成員の言われたお金持ちでも国選弁護 を選任できる、それはそのとおりなんですね。
 しかし、それはそうなんですけれども、現実に判決では、この被告人は金を持っているのじゃないかと思われるような場合は、判決でもって、訴訟費用、弁護 費用は被告人の負担とするという判決を下していますね。ですから、実際には法律の建前どおりに運用されていると思います。
 それからもう一つ、法律扶助につきましては、先ほどごらんいただきました資料14の3ページをごらんいただきたいんですが、先ほど申し上げました活動内 容というところの下については、これは今、法律扶助協会では10万円とか15万円とかわずかですけれども、弁護士費用を交付しているんですね。それはなぜ できているかというと、日本財団から助成を受けているからできている。つまり、助成を受けておりますので、自主事業ではない。
 ところで、これが司法支援センターに移っていった場合はどうなるかというと、自主事業ではございませんから、委託事業として引き継がれないということに なる。そうすると、この点が保護されないではないかということを岡村構成員はおっしゃっているんだろうと思うんですね。それはそのとおりでございまして、 この日本財団が「もうお金を出すのはやめるよ」というふうに言っておるという情報が、かなり信憑性のあるものとして入っておりますので、そうなれば、やは り現在よりも後退することは事実であろうということでございます。

○岡村構成員 そういう財団からの寄附がなくても、やってもらいたいんですよね、被害者は。
 それからもう一つ、お金持ちの国選弁護の場合は、訴訟費用は被告人の負担と言っているけれども、実際、あまり取り立てられておりません。実刑になった者 は、ほとんど取り立てられておりませんし、そうでない者についても、執行はあまりなされていないのが事実上であります。

○宮澤座長 もう本当に時間に追われてまことに申しわけないんですが、いかがでしょうか。日本司法支援センターによる法律扶助制度の活用によって、弁護士 費用その他の損害賠償請求費用の負担軽減を図るということ。損害賠償請求に関する弁護士費用及びその余の費用の補償については、損害賠償債務の国による立 替払及び求償等の要望とあわせて議論するというふうにまとめさせていただきますが、それでよろしゅうございますか。
 それでは、またくどいようですけれども、以上のことを構成員のご意見の集約というふうに考えたいと思いますが、法務省のお立場として、ただいまの点につ いて法整備、予算措置等必要になりますが、それでよろしゅうございますか。必要となるかどうか、その点だけのお答えで結構です。

○河村構成員(法務省) 様々な観点から、必要な検討は行ってまいりたいというふうには思っております。

○宮澤座長 ありがとうございました。以上の議論に関して、事務局から何か補足することがございましたらどうぞ。

○事務局 では、1点申し上げます。最高裁の方にお聞きいただけたらと思うんですけれども、公判記録等の謄写・閲覧の費用が、端的に言えばコピー代が民間 に比べて非常に高いというご指摘があるんですけれども、これについて最高裁のお考えを簡単にお聞かせいただければと思います。

○最高裁判所(伊藤事務総局刑事局第二課長) ただいまの刑事事件の記録の謄写費用の関係でご質問がございましたけれども、先ほどもどこかで出ておりまし たが、事件記録というものは極めて重要な書類が整理されておりまして、これが万一紛失したりするということになりますと、大変な問題であると。それから記 録というのは、綴りの順番にも非常に厳密にやっておるものですから、コピーする際にその順番がずれるということだけでも大きな問題になりかねないというこ とでございまして、そういうことの起きないように、信用のできる専門業者に裁判所内で謄写を行ってもらうように委託している、こういうことでございます。 謄写代金につきましては、そのコスト等を勘案して業者が独自に設定しているものでございまして、裁判所といたしましてはその額について法的に関与すること はできないということをご了解いただければと思います。
 ただ、謄写料金が高過ぎるのではないか、こういうご要望が出ていることは、裁判所の方から業者に伝えさせていただいておる、こういうところでございま す。

○岡村構成員 業者とおっしゃっても、例えば東京では司法協会、これは裁判所の職員の方々あるいは検察庁の方々、お辞めになった方々がやっておられるん じゃないですか。普通の民間の業者じゃないでしょう。だから、民間の業者が例えばコンビニでコピーしようと思ったら、1枚10円で済むわけです。綴り方に いろいろ問題があると言っても、1枚45円というのはあまりにも高過ぎるわけですよ。これは、普通の業者じゃなくて、裁判所あるいは法務省に勤めていて定 年になった方々がおやりになっておられる、だから高くなっていると、こういうふうに私ども、弁護士は受け取っております。間違いでしょうか。

○最高裁判所(伊藤課長) 確かに、司法協会に頼んであるところもございますが、地方によっては、弁護士会に謄写を委託しているところもございます。必ず しもすべて司法協会でやっているということではございません。
 それから、料金につきましては、コンビニでコピーすれば10円ではないかというのはおっしゃるとおりなのでございますが、ただ、それは多分ご自身が行っ て、自分で1枚ずつコピーする、こういうことでございまして、業者に委託するということは、その業者がコピーする人件費等の問題も当然発生するわけでござ います。それから機械そのものも、業者が持ってきて使っているわけでございますから、コンビニでコピーするのと同じ代金でできるはずではないかというふう におっしゃられましても、そういうご意見もあろうかとは思いますが、いずれにしても、裁判所がこうしろというふうに言える性質のものではないということを ご了解いただきたいと思います。

○岡村構成員 それにしても高いですよね、手間賃が。と思いますよ。
 というのは、私ども、コピーするのに17万かかったんですけれども、控訴趣意書なんかも、検察庁に下さいと言ったら、これはあげるという制度がないか ら、したがって裁判所へ行って謄写しなさいと言って、一生懸命私どもも検察官と一緒に協力して書いた控訴趣意書についても、金を45円払って裁判所で謄写 させられて、非常に何となく嫌な思いがいたしました。

○宮澤座長 ご意見として記録させていただきます。
 では、次に、日本司法支援センターの活用という点について議論したいと思います。何かご意見がございましたらどうぞ。

○事務局 この問題につきましては、法務省の方からのご説明もございましたように、日本司法支援センターの具体的な業務のあり方につきまして、犯罪被害者 等やその支援に携わる者の意見を踏まえて準備作業を進めること。警察庁その他関係機関と十分に連携すること。これは、若干敷衍をさせていただいております けれども、こういった形でまとめとされてはどうかというふうに思います。いかがでしょうか。

○宮澤座長 ただいまのご発言について、関連して何かありますか。

○山上構成員 もう一度、まとめの文を。

○事務局 日本司法支援センターの具体的な業務のあり方につきましては、犯罪被害者等やその支援に携わる方の意見を踏まえて準備作業を進めることというの が1点でございます。もう1点が、警察庁その他関係機関と十分に連携することでございます。

○宮澤座長 これは、まだ絵に描いた餅みたいなところはあるんですよね。実態はまだなくて、それをつくろうとする準備室というのがあるわけで。今の点につ いて、もし特段のご発言要求がなければ、どうでしょうか。

○大久保構成員 先ほど私が少し早目に発言してしまいました分は、今ほどの中に入れておいていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○宮澤座長 ごめんなさい、被害者に関して……

○大久保構成員 司法支援センターができるに当たりましても、またいろいろ法改正もあって、加害者には早くから国選弁護人がついてますます手厚くなってい る中で、日本財団の補助が何か消えるのかもしれないというお話を今聞きましたので、刑事事件に関する弁護士の補助というものも全くなくなるということもわ かりましたので、先ほどの発言を入れておいていただければ結構です。

○宮澤座長 実は私、この間、日本司法支援センターについて話を聞いて、どういうような事業があるのかという、その事業の4本の柱のうちの一つの重要な柱 としては、犯罪被害者支援ということがありまして、情報の提供であると。その情報の提供というのは何かというと、被害者の援助に詳しい弁護士や専門機関等 を紹介するという、そういう情報提供というのが一つの重要な柱だというふうに伺ってきましたけれども。

○大久保構成員 そうですね。でも、基本法もできたことですので、もし詳しい弁護士さんの紹介ということであれば、多少はやはり公費によって被害者にも弁 護士をつけるという制度もぜひ検討していただきたいと思います。

○宮澤座長 まさに、それは先ほどの議論ということになるのだろうと思いますけれども、ご発言の内容として、そうするとこの司法支援センターというもの を、ただ情報提供の機関ではなしに、さらにもう少し積極的に弁護士に最初の相談に行くときの費用ぐらいを持ってみたらどうだというような具体的な提案にな りますか。

○大久保構成員 そうですね。欲を言えば、最初だけではありませんけれども、とりあえずは。

○小西構成員 ちょっと時間がなくて遠慮していたんですけれども、性暴力被害者で、刑事の方に結局告訴に行く前に弁護士に相談して、同行してもらいたいと いうケースが実際にはたくさんあるわけです。今のお話のどこに入ってくるのか、私はよくわからなかったんですけれども、そういうケースで出てこないと、実 際には性犯罪の被害の場合には、有効な支援にはならないことが多いわけですね。告訴から当初の段階で、弁護士が非常に必要になるケースが多い。そのことを 考えると、今、山田構成員が出していただいた弁護士の仕事の中にもそれは当然入っておりましたので、そこの部分の経済的な支援が必要だと私は思います。

○事務局 それは、まさに先ほども申し上げましたけれども、第5回の支援等の体制整備のとき……。

○小西構成員 お金のことが絡んでも、そちらで大丈夫ですね。

○事務局 というところでも、またご議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

○小西構成員 はい、わかりました。

○井上構成員 今の点は、さっきまとめられた民事法律扶助の活用等というところにも関連してくるのではないでしょうか。最後の関係機関のところに、弁護士 会も例示として入れておかれた方がよろしいのではないですか。警察だけじゃなくて、弁護士会の協力も当然得ないといけないわけですから。

○山田構成員 すぐ終わります。記録にとどめておいていただければ結構でございます。
 総合法律支援法がございますね。この30条1項5号というものがございまして、そこに確かに情報の提供というのがあるんですが、それは一例であって、基 本的には犯罪被害者の援助が実効的に行われることということに読めるのではなかろうかなという気がいたしますので、後ほどの検討材料にさせていただけたら と思っております。

○宮澤座長 ありがとうございました。
 まとめということになるのでありますけれども、もうダブるかもしれませんけれども、犯罪被害者等のために、その支援に精通した弁護士の紹介などを含めた 種々の情報を速やかに提供してほしいということ。それから、民事法律扶助制度を活用して犯罪被害者等の支援を行うということ。日本司法支援センターの具体 的な業務のあり方について、犯罪被害者、遺族、その支援に携わる者の意見を踏まえて、平成18年秋の業務開始を目標に準備作業を進めることというような意 見に集約。それから、警察庁その他関係機関と十分に連携すること。それから先ほどありましたように、弁護士会と連携すると。こういうふうにまとめることが できると思いますが、いかがでしょうか。

○宮澤座長 それでは、これを構成員のご意見を集約したものといたします。
 その点について、恐縮ですが、河村構成員に今の点について、法整備の必要もあるかもしれないし、予算措置は当然必要になると思いますけれども、しかるべ きご努力をお願いしますということを確認させていただきます。

○河村構成員(法務省) 本日の取りまとめ、いずれもこの場で頂戴しておりますので、おまとめの趣旨は承知いたしました。これにつきましては、これまでに おまとめいただいたテーマもそうでございますけれども、ほかの部分とも関連する、その意味で若干コメント等を別途出させていただくことがあり得るというこ とをお含みおきいただきたいと思います。

○宮澤座長 正確を期すると、必要性があるという点についてご確認くださいというふうにいたしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 そのほか、補足するべきところはありませんか。

○事務局 特にございません。

○宮澤座長 それでは、7番目のテーマなのでありますけれども、その他損害賠償請求の実効性確保のための制度の整備について議論したいと思います。
 関係の深い省庁の構成員の方々からは、先ほど施策についてご発言がございましたけれども、犯罪被害者等の要望に係る施策のうち、先ほどの関係省庁の構成 員のご発言で触れられていないもの、あるいは補足すべきものがございましたら、事務局にご指摘をいただきたいと思います。

○事務局 それでは、先ほど法務省の方からも、ご説明されようとしてされなかったと思うんですが、例えば服役中の作業賞与金を損害賠償に充当することを求 めるという要望についての考えですとか、精神障害者や少年が加害者の場合に保護者等に民事賠償の責任があることを法律に明記することを求める要望でありま すとか、あるいは損害賠償債務を履行しない者に対するいろいろなペナルティー、これは警察庁からは運転免許証の問題がご説明ありましたけれども、その他破 産者に準ずる扱いですとか、あるいはすべて起訴し、原則として有罪とするというようなご意見、あるいは前科・前歴は消滅しないものとするというようなご意 見がございます。それから、刑事和解におきまして和解条項を守らない加害者に対して、執行猶予を取り消す、あるいは仮出獄を認めないというようなペナル ティーが必要ではないかというようなご要望がございます。そういったことについて、お考えを伺えればと思います。

○河村構成員(法務省) まず、服役中の作業報奨金を自動的に賠償命令や債務名義に充当してほしいとのご要望についてでございますが、作業報奨金、現行法 では作業賞与金でございますけれども、これは受刑者の勤労意欲を喚起し、かつ、社会復帰時の当座の生活維持や就職準備等のための更生資金として役立たせる ために釈放の際に支給されるものでございまして、これらの意義からいたしますと、服役中の作業報奨金を自動的に賠償命令や債務名義に充当させることは困難 と考えております。
 ただ、先般成立いたしました刑事施設法におきまして、受刑者から釈放前に支給を受けたい旨の申し出がございまして、その使用目的が被害者に対する損害賠 償への充当等相当なものであると認められるときには、在所中でも支給することができる規定が設けられております。
 それから、加害者が精神障害者でございますとか少年の場合に保護者等に民事賠償の責任があることを法律上明確にしてほしいというご要望についてでござい ますけれども、加害者が精神障害者や少年であります場合には、その者が民事上の責任能力を備えておりませんときには、民法上、明文をもちまして監督義務者 等が原則として損害賠償の責任を負うこととされておりますし、加害者がそのような精神障害者や少年でございまして、その者が民事上の責任能力を備えている 場合でありましても、その監督者が注意義務を怠りまして、損害との間の因果関係も認められますときには、民事法上、その監督者は損害賠償の責任を負うこと とされているものと承知しております。
 したがいまして、加害者が精神障害者や少年の場合に保護者等に民事賠償の責任があることは現行法上も明確になっていると考えております。
 次に、損害賠償の当事者間で合意いたしました条件を遵守しない等の滞納者について、「贖罪拒否債務者」として、破産者に準ずる扱いとするような制度が必 要であるというご要望についてでございますけれども、このような者につきましては、破産者に準ずる扱いをするということによりどのような効果を期待するの かご要望の趣旨が必ずしも明らかではございませんけれども、仮に破産者に発生いたします各種の資格あるいは権利についての制限に着目されているといたしま すと、破産法自体は懲戒主義をとっておりませんで、破産手続開始の決定に基づいて破産者に発生する各種の資格あるいは権利の制限につきましては、それ以外 の各種の法令におきましてそれぞれの政策目的により設けられているものにすぎないのでございまして、その意味では、仮にご提案のようなカテゴリーをつくっ たといたしましても、その者に対しまして破産者同様の資格等の制限をするかどうかにつきましては、各種法令の政策目的に応じて判断されることになると思わ れます。
 それから、被害者等への損害賠償の支払いが完了していない加害者は、すべて起訴すべきではないかというご意見につきましては、検察の現場におきまして も、公訴を提起するかどうかの判断に当たりまして、被害者に対する損害賠償の有無、程度を十分考慮しているものと承知いたしております。ただ、犯罪や被害 の程度、その他の情状を一切考慮しないで、損害賠償の支払いを完了していないことのみをもって必ず起訴するということが適当かどうかという問題があると考 えております。
 刑事処分の確定時に、被害者・遺族への損害賠償の支払いが完了していない加害者につきましては、「贖罪・更生支援機関」に登録して、自治体・金融業関連 の各種団体などと協同して管理を行うというご意見につきましては、損害賠償等を行わない加害者に対しまして、謝罪を含め慰謝の措置をどのように行わせてい くかという観点からのご意見と思われます。現在、保護観察を実施するに当たりましては、保護観察対象者に自己の犯罪に対する反省を深めさせ、事件の内容に 応じて被害者の意向等に配慮しながら、慰謝、被害弁償等を実施するように働きかけましたり、本人や家族に対しまして、慰謝、被害弁償の方法など被害者や遺 族への対応について指導、助言するなどしておるところではございますが、自治体や金融業関連の団体などとどのような連携をとってどのような管理を行うのか という点で、ご意見の真に意図されますところが必ずしも明らかではございませんので、お答えは難しいと考えているところでございます。
 それから、損害賠償の支払いが完了するまで前科が消滅しないこととすべきであるとのご要望についてでございますが、かつて刑に処せられた者でございまし ても、その者をいつまでも前科者として扱いまして、法律上、資格の取得等、回復を認めないとすることは、刑による不利益を必要限度以上に科し、犯罪者の更 生意欲をそぐことなどから、刑法は罰金以上の刑に処せられないで一定期間経過するという善行の保持を条件といたしまして、刑の言い渡しの効力を失わせ、前 科のない者と法律上同様の待遇を受けるという制度をとっております。損害賠償の支払いを完了するまで前科の消滅を認めないとする制度につきましては、民事 上の責任の不履行によりまして刑罰の効果を維持させるものでありまして、犯人の資力により刑罰の効果の有無が左右されるという不公平な結果が生ずることと なるのではないかなどの問題がございまして、慎重に検討すべきものと考えております。
 また、示談の気配だけで加害者に有利にするなど、ねじれた民事不介入は廃止というご意見につきましても、起訴するかどうかの判断に当たりましては、示談 の有無や内容だけではなしに、犯行態様、被害結果の大小、被害者の処罰感情や前科の有無など様々な要素を勘案して処分を決定いたしておるところでございま す。
 それから、民事裁判等に加害者を強制的に出させるというご意見につきまして、民事訴訟におきましては、当事者本人に期日における出頭義務が課されており ませんで、期日に出頭しなかった場合には、原告の請求が認められて敗訴するなどの不利益を受けることがあるにすぎないとされているところでございます。た だ、加害者が訴訟当事者ではない者の証人として採用された場合には、裁判所の審理のために出頭義務を負うことになるわけでございます。
 犯罪被害者の方のきょうだい固有の損失、損害賠償請求権を適正に認めてほしいとのご要望につきましては、民法711条が生命侵害の場合につきまして、被 害者の父母、配偶者及び子につきまして固有の慰謝料請求権を認めておるところでございますが、被害者のご兄弟につきましては、明文上はこれを認めていない ことを指しておられるのではないかと考えられるわけでございますけれども、被害者のご兄弟につきましても、同条を類推適用することが認められた判例もござ いまして、個別の事案に応じて適切な解決が図られているものと承知いたしております。その一方で、明文でもって一律に固有の慰謝料請求権を認めることは、 かえって法的保護の範囲が広きに失することとなるおそれがあることと考えられます。
 それから、刑事和解において和解条項を守らない加害者に対しまして、執行猶予の取り消し、仮出獄を認めないなどの制裁措置が必要ではないかとのご意見に つきましては、私法上の債務不履行に対して刑罰を科することになると思われるのでございますが、それが妥当かどうか、他の紛争解決手段によって民事上の紛 争を解決した場合に被告人がこれを履行しなかった場合との均衡をどのように図っていくかなど、これにつきましても慎重な検討が必要と思われるわけでござい ます。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。
 今のご意見について、何かコメントがございましたらお願いします。

○岡村構成員 執行猶予の食い逃げというのが、あまりにも多いんですよね。「何とか示談にしてくれ、執行猶予については必ず返します」と言って、執行猶予 をとる。そうしたら、途端にいなくなるというケースが非常に多いわけですが、これなども一つの民事の問題としてとらえるのではなくて、執行猶予自体を取り 消すというところまでやってもらわないと、被害者としては泣き寝入りというケースが余りにも多いんですね。その辺、いかがでしょうか。

○河村構成員(法務省) 保護観察なりなんなりと申しますか、単なる執行猶予でございますと、現行法上の守るべき条件というのは限られておりますし、保護 観察の場合にも一定の条件ということではございますけれども、ただ、被害弁償ということをどういうふうに位置づけるのかということにつきましては、もちろ ん前提といたしまして、構成員のおっしゃる食い逃げが多いのかどうか、ちょっと私は今、手元に資料がございませんので何とも申し上げがたいのですが、きち んとした社会復帰を図るためには、そういった被害者等を含めたさまざまな社会環境がきちんと整っていくということは非常に重要なことでございますので、き ちんとした検討はしていかなければならないだろうと思っております。
 ただ、最初に申し上げましたのは、例えば裁判所からこういった、これは損害回復命令などとも共通する事柄でございますけれども、それを刑事の中で取り扱 いましたときに、何らかのサンクションということでいろいろおっしゃることにつきましては、一般的に申しますと、日本の場合、いわゆる裁判所の命令に対す るコンテンプトという制裁を持っていないという中で、被害者の救済と加害者である判決を受けた者の改善・更生をどういうふうな調整の中で効果的に実現して いくかという問題であろうとは思っております。

○岡村構成員 特に、刑事和解した場合の執行猶予の食い逃げですね。刑事の際に、執行猶予がついたような場合。

○村田大臣 それは、河村構成員、ちょっと違うんじゃないかな。やはり執行猶予でも保護観察付きの問題については、最近ちょっと刑事事件でもいろいろな問 題が出ていて、要するに執行猶予あるいは保護観察付きの仮出獄とか、そういう問題について法務省の対応が非常に甘過ぎるというので、私どもも、国家公安委 員会委員長としても非常に問題を持っているわけね。だから、そんな答えじゃなくて、もうちょっときちっとした答えを、法務大臣もその中の一部の保護観察制 度についてはきちんと見直すと言っているわけだから、きちんと言わなきゃいけないんじゃないですか。

○河村構成員(法務省) 保護観察付き執行猶予の在り方ということでございますと、それのあり方については十分検討を行っていかなければならないというふ うに考えております。

○岡村構成員 ついでですけれども、起訴猶予の食い逃げもあるんですよね。これは、検事さんが起訴してくれれば一番簡単ですから、起訴猶予の食い逃げの場 合も、ぜひ起訴していただきたい。示談ができたから、それでは起訴猶予にしてやるということで起訴猶予にしてもらったのに、起訴猶予になると金を払わな い。かといって、では改めて起訴猶予にした者を起訴するかというと、ほとんどないんです。この辺も改めてもらいたいなと思いますけれども。

○河村構成員(法務省) 法律的には、起訴猶予というのが既判力等を持つような意味での法的処分ではございませんので、事案に応じまして適切にその起訴等 を行っていくということになろうかと思われます。

○岡村構成員 なろうかと思うと言われますが、なかなかなってくれないのが現状ですので、よろしくお願いします。

○大久保構成員 1つよろしいですか。先ほどの説明の中で、服役中の作業賞与金を被害弁償に充てるのは難しいという点が……

○宮澤座長 今度、刑事施設法ではそれができるようになったという、あれはそうですよね。

○大久保構成員 そうですか。たとえ額は少なくとも、やはり被害者の痛みを多少でもわかる。働きながら、その一部が被害者の方に行くということを自覚して いれば、また被害者への贖罪の気持ち、あるいは再犯防止にもつながるのだと思いますので、また有効な制度となりますようお願い申し上げます。

○宮澤座長 それは、だから立法上、ある程度の解決があるので、将来はそういうことがないであろうとしか言えない。

○大久保構成員 いつ。

○宮澤座長 いや、だから、刑事施設法の施行はいつですか。この間、参議院で成立したんですよね。

○河村構成員(法務省) 成立したばかりで、申しわけございません、私の方でちょっと資料を持っておりません。

○宮澤座長 それでは、その他損害賠償請求の実効性確保のための制度の整備云々という、そういう第7番目の問題の残りがあるんですが、これは各省庁から次 のようなことになっているという、そういうご紹介があるわけなので、それを読み上げますのでお聞きください。
 没収・追徴を利用して損害回復を図る制度、その他犯罪被害財産の回復を容易にする制度の導入に向けた検討を行う。
 刑事和解、公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示と現行制度の周知徹底を行う。
 公判記録の閲覧・謄写の範囲を拡大する方向で検討を行う。
 自賠責保険・共済紛争処理機構における調停、保険会社に対する立入検査、適正な支払いを行うことの指示等により、自賠責保険の支払いの適正化を図る。
 それから、財団法人日弁連交通事故相談センターにおける弁護士による無料の自賠責保険に係る自動車事故の損害賠償の支払いに関する法律相談、示談あっせ ん等により、適切な損害賠償が受けられるよう支援を行っていく。こういう回答が来ております。
 これらについて、もしご意見があるようでしたらご質問いただきたいのですが。

○山上構成員 国土交通省から、私、一言だけここで意見を述べましたら、それにお答えをいただいたんですが、実は私が述べたのは少し意味が違いまして、交 通被害のときに、その保険会社の方がまず加害者に謝りに行くということをとめるとか、それから実際に被害者に接するときに、その亡くなった被害者の責任を 少し重く言っていくような、そういうことがあって、事件後に被害者がとてもさらにそれで傷つけられるということがあるというように感じるんですが、そのこ とを聞いたつもりです。その場合の額のこと、賠償のことでは直接ないんですけれども、それを一体どういうところが関与し、指導することができるんだろうか と思いながら書いたものです。

○宮澤座長 要するに、二次被害を避けるという意味ですよね。

○山上構成員 ええ、そうです。

○宮澤座長 それはどうでしょう。お答えいただけますか。

○平田構成員(国土交通省) 先ほどお答えしたときに、私ども、自動車損害賠償保障法という法体系の中でのお話ということで、保険支払基準に従った形で保 険金の支払いを行うことが、法律上、義務づけられていると。この支払い自身がちゃんと行われていない明らかな法令違反の場合には、被害者の方による申出制 度、これに対応する、おかしなことがあったらまずいという保険会社に対する指示制度があるという法律上のお話をさせていただきましたが、要は一般的に保険 会社に対します、今、構成員のご指摘のような指導につきましては、保険会社全体をどういう形でやっていくのかというような金融庁からのご指導に前提として はなってまいりますが、国交省としても、自賠責保険の損害額の算定との関連がないと、これは私ども、法律に基づく指導というのができませんので、この関連 につきましては、被害者の方々からの苦情が国土交通省に参りましたら、保険会社にも事実関係を行いまして、それでちゃんとやっているのかどうかということ を確認して、是正すべきところがあれば指導を行ってきたところでありますが、今後ともそれを続けていきたいと、こういう趣旨でございます。

○宮澤座長 それでは、先ほど各省庁からのご回答について読み上げましたけれども、事柄の性質上、どうしてもやはり法務省が多くなってしまって恐縮なので ありますけれども、法務省からのご回答だったということなんですが、没収・追徴を利用して損害回復を図る制度、その他犯罪被害財産の回復を容易にする制度 の導入に向けた検討、公判記録の閲覧・謄写の範囲を拡大する方向での検討、この検討にどのくらいの期間、例えば1年ぐらいでというふうにこちらで認識して よろしゅうございますかというのはどうでしょうか。お答えにくいのは、重々承知しておりますけれども。

○河村構成員(法務省) 現に今、検討を開始しておりますので、それを踏まえてしかるべき時期にと考えております。

○宮澤座長 ありがとうございました。できれば1年以内にというふうにお願いしたいんですけれども、そういうことで処理させていただきます。

○事務局 検討期間の件でご提言なんですけれども、被害者の方々のご要望にこたえていくということになりますと、やはりできるだけ早くということになろう かと思います。
 したがいまして、原則といたしまして、やはりこういう検討をしていかなければいけないということについては、1年以内に結論を得るというのを原則とし、 それから大きな法改正ですとか、あるいは大きな財源の検討を必要とするといったようなものについては、少しそれを超える期間というのが必要だと思います が、そういう方向で考えていけばいかがだろうかと思いますけれども、どうでしょうか。

○中島構成員 期間のことで1点質問があります。もちろん、その期間内に終わらないというのは重々承知なんですが、今、1年ぐらいに検討するというお話が ありました。検討が終わらなくとも1年後ぐらいには、その中間方針とか、どこまで決まったかということをご報告いただけるというようなことをご確認いただ けると大変うれしいんですが。

○宮澤座長 どこに報告ですか。

○中島構成員 この検討会に。

○宮澤座長 1年も続くかしら。

○中島構成員 検討会は続かないにしても、この議事に載ったことですから、何らかの形で公表していただくなりしていただけないでしょうか。

○事務局 これから具体的にどうしていくかということになりますけれども、当然、検討の過程、どういう検討が行われているかということについては、やはり 必要に応じた報告というのは必要じゃないかなというふうに考えております。

○宮澤座長 それでは、私の非常に稚拙な司会で、大変皆様にはご負担をかけて恐縮なんですが、予定されている事項もまだたくさんございまして、しばらく続 けさせていただきたいと思います。
 第12条関係の最後のテーマになりますが、その他損害賠償請求に関する援助について議論をしたいと思います。
 関係の深い省庁の構成員から、先ほど施策についてご発言がございましたけれども、犯罪被害者等の要望に係る施策のうち、先ほどの関係省庁の構成員のご発 言で触れられていないもの、あるいは補足すべきものがあれば、事務局の方からご指摘いただければと思います。

○事務局 その点につきましては、1点ございます。法務省の関係でございますけれども、交通事故につきまして、これを専門とする弁護士をつくることを求め るという要望がございます。これについてのお考えをお聞かせいただければと思います。

○河村構成員(法務省) 今の専門弁護士をつくること、医者に小児科、精神科がございますように、弁護士にも交通事故専門弁護士の養成が必要であるという ご意見につきましては、弁護士につきまして専門認定制度を設けますことや、弁護士が特定の分野における専門性を身につけるための継続教育のあり方などにつ きましては、弁護士の指導・監督を担っておられます日弁連及び弁護士会において検討されるべきものであると承知いたしております。

○宮澤座長 ありがとうございました。
 その他損害賠償請求に関する援助という項目、これに対するご回答ですけれども、日本司法支援センターにより、犯罪被害者等のために、その支援に精通した 弁護士の紹介なども含めた様々な情報を速やかに提供するという答え。損害賠償請求制度の概要、その他犯罪被害者等の保護、支援のための制度について紹介し た冊子、パンフレット等について、警察庁及び法務省において連携し、一層の内容の充実を図るとともに、十分な周知のための努力をするようにと。それから、 暴力団犯罪の被害者については、都道府県暴力団追放運動推進センター、各弁護士会の民事暴力対策委員会等とも連携しつつ、暴力犯罪の被害の回復を支援する ということになるかと思いますけれども、これらの事項について特段のご意見がございましたら、どうぞ。

○岡村構成員 私だけしゃべって恐縮ですけれども、実は民事の損害賠償請求について、刑事事件の記録の謄写というのは大変大きな意味を持っているわけでご ざいますけれども、これが刑事の記録の謄写を裁判所がどこまで許すかというのは、裁判所の裁量にゆだねられておりまして、見せてもらえない場合がかなりあ るんです。例えば、否認事件だと全然見せてもらえないというようなこともある。プライバシーに関する部分だから見せないと言われる部分がある。それに対し て、被害者は何の不服の申し立て方法もないわけです。
 というのは、いわゆる保護法自体が恩恵法であって、権利法になっていないからです。これが権利法になっておれば、裁判所が見せないときには決定を下すで しょうし、その決定に対して不服申し立てという制度があるでしょうけれども、何もない。いわゆる「ありがとうございます、そうでございますか」ということ で引き下がらなければいけない状況ですので、何とかこれを権利法に改めると。少なくとも裁判所の決定に対して不服申し立てする方法を考えていただきたい、 こう思います。

○宮澤座長 ただいまのご意見に、もし関連してお答えが得られるならばと思いますが、いかがでしょうか。あるいは法務省か裁判所から、今のご質問に対する 対応はいかがでしょうか。

○最高裁判所(伊藤課長) ただいまのお話は、民事の裁判所の方で、記録の送付の嘱託をしたのに対してということでございますか。

○岡村構成員 いえ、そうではなくて、民事の訴訟を起こそうとする場合に、刑事事件の記録の謄写ができるでしょう。そのときに、謄写させてくれないケース があるんですよ。

○最高裁判所(伊藤課長) 要するに、犯罪被害者保護法に基づく謄写の際に、そのすべての謄写が認められていないケースがあると、こういうことですか。

○岡村構成員 ええ。部分を特定されたり、あるいは全面的に見せてもらえなかったり、それは裁判所の裁量にかかっていて、それに対する不服申立ての手段が 被害者にないと、こういうことを申し上げているわけです。

○最高裁判所(伊藤課長) これは、ちょっと法律の制度の問題かもしれませんが、裁判所といたしましては、請求がありました場合には、法律の趣旨にのっ とって必要な部分を謄写していただいていると、こういう認識なわけでございますが。

○岡村構成員 認識はあられるでしょうが、現実はそうなっていないことがあるということなんです。全く見せてもらえなかった被害者もいるんです。これは否 認事件だから見せられませんと言われたということです。それから、ある部分を限ってだけ見せてもらったというケースもあります。

○河村構成員(法務省) まず、先ほどのプライバシー等に係ることとの関係で申しますと、もともと損害賠償請求などのために見ていただくということから、 一部見ていただく対象から外れたのがあるのかもしれませんが、私の方でちょっとその実態を把握いたしておりませんので何とも申し上げかねるのですが、た だ、もう一つ、否認ということで参りましたケースにつきましても、これは一方で、その事実、事案自体の具体的なケースがわかりませんので一般論として申し 上げるしかないわけでございますけれども、被害者ということで登場していただくとなりますと、証人として証言等をやっていただかなきゃならないケースがご ざいます。そうなりますと、見ていただく時期の問題が出てくる場合もあろうかとは思っております。
 ただ、いずれにしましても、現行で認められている範囲以上に、裁判中、公判継続中の訴訟記録についての閲覧というものにつきましても検討してまいりたい というふうに考えております。

○岡村構成員 プライバシーに関するからと言われれば、「そうですか」と言って引き下がらざるを得ないんですね。だから、そこのところを、やはり不服申立 てをしてさらに裁判所に考えていただけるような制度が欲しいということなんです。

○宮澤座長 もしお答えいただけるのであればお答えいただいて、あるいはこの検討会でもってこういう意見があったんだがというのをそれぞれお持ち帰りくだ さって、急に突然出てきたものに責任ある答えを求めるというのは、私はせつない思いがしますので、その辺、いかがでしょうか。場合によっては、次回にこの 点について、こういうようなご質問についてはこういうふうに部内的に検討したというようなことを口頭で言ってくださっても構いませんけれども、裁判所の方 も、ひとつよろしくお願いします。そういうことがあったということをですね。

○最高裁判所(伊藤課長) 先ほど先生がおっしゃったケースが、具体的にどういう場合に開示されなかったのかというのがわからないものですから、ちょっと なかなか確定的な答えはしにくかったわけでございますが、裁判所といたしましては法律に基づいて適切に開示されるよう、その点に関する研修等は行っており まして、例えばその開示されなかった事例については、いろいろ調べてはおるわけですけれども、例えば被害者に当たるかどうかということに疑問があるような ケース、例えば実際の被害者ではなくて、保険金の関係で何か関係のある方が代わりに来たとか、そういう場合にどうかというようなことで、必ずしもご要望に 沿いかねている場合があるということは把握しておるわけですけれども、いずれにいたしましても、適切な運用がされるように、さらに研修等で考えてまいりた いというふうに考えております。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。
 本当にせかして申しわけないんですけれども、では次に第13条、給付金の支給に係る制度の充実等、この問題についてご議論をいただきたいと思います。
 基本法第13条関係の給付金の支給に係る制度の充実等について、事務局の方から現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策と要望の詳細について説明をお願 いします。

○事務局 それでは、基本法第13条関係、給付金の支給に係る制度の充実等につきまして、現状認識及び犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては、お手 元の資料1、5ページ、6ページのとおりでございます。
 また、今月17日に行われましたヒアリングで寄せられましたご要望につきましては、7ページのとおりでございます。

○宮澤座長 ただいまご説明のあった点に関して、こうした施策とは別に、特に関係の深い警察庁、法務省、厚労省の構成員にご説明をお願いいたします。説明 に当たりまして、だんだん時間があれになるものですから、事前に配付された資料の内容であればできる限り省略して、要点のみお答え願いたいと思います。

○小西構成員 すみません。今後の進行について、ちょっと時間の目途を教えていただけると……。

○宮澤座長 目途が立たないから困っているという事態でありまして……。

○小西構成員 もうこのまま無期限に、では必要なことはずっとやるというふうに考えていらっしゃるのですか。

○宮澤座長 予定とすれば、そうなんですけれども。

○小西構成員 それによって、対処の方法がいろいろ違いますので。

○事務局 今後のスケジュールを考えますと、非常にまだまだ第3回以降も論点が多うございますので、大変ご迷惑かもわかりませんけれども、できましたら今 日予定されております議題についてはご議論いただければというふうに事務局としては考えております。

○宮澤座長 これはもちろん会議でありますから、構成員のご意見で、そんなの聞いていなかったということで、今日はもうやめようというようなことが多数意 見であれば、それはしようがないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小西構成員 いえ、これは大事なことですから、ちゃんとやりたいと思います。思いますけれども、今日、もうやるのだということであれば、ちょっとこの後 のものをいろいろキャンセルしたりということが必要になってくるので。

○宮澤座長 それでは、すみません、5分ほど休憩をとっていただいて、この点について検討したいと思います。

○宮澤座長 本当に申し訳ございません。私自身の不手際でこういうことになりました。しかし考えれば、数十年被害者はこれを待っていたわけでありますの で、その時間と比べればやはりこの1、2時間はいただければと思います。一番お忙しい大臣が今日やれとおっしゃるので、心安らかに続けたいと思いますが、 先ほど申しましたように第13条関係の問題について、あらかじめ出された資料はもういいとして、何かつけ加えるようなことがございますれば、それぞれの関 係省庁のお話を伺い、それに対してこちらからご質問するというような形で効率的に進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

○片桐構成員(警察庁) 手短にというお話でございますので、手短にお話ししたいと思いますが、ちょっとご説明をしたい部分がございますので、その部分は ちょっとご容赦いただきたいと思います。
 お配りしている資料、頭の2枚は私どものスタンス的なペーパーをお配りしているんですけれども、その後に犯罪被害給付制度の概要とあります。これはもう ご承知のとおりでございますので、格別説明を加えることは差し控えさせていただきますが、平成13年に一応大幅な拡充を図ったということではございます。
 その後ずっと拡充の状況とか支給裁定の推移、そしてまたこれまでの運用実績という資料がございますけれども、1点ぜひご説明したいのは、諸外国の例でご ざいます。ちょっとこれはご説明させていただきたいと思います。横長の資料が手元にあると思いますけれども、全世界で今、40カ国ぐらいでこういった犯罪 被害者に対する給付制度というものが導入されているというふうに我々承知しておるんでございますけれども、ここに挙げておりますアメリカ、カナダ、これは 特定の州だけしかちょっと調査が及んでおりませんけれども、あとイギリス、フランス、ドイツを挙げていますけれども、これらはいずれも我が国に比べてずっ と充実したところのみを挙げております。
 まずは制度の趣旨でございますけれども、いろいろそこに書いてございますが、日本はご承知のとおり社会連帯共助の精神に基づく見舞金的な給付だとなって おりますけれども、アメリカ、カナダは労災補償的な考え方を導入し、イギリス、フランスはやはり我が国と同じように同情と連帯共助の精神からの補償、ドイ ツはちょっと独特でございまして、個別の犯罪について、これを防ぐことができなかったという意味での国の責任を認めて賠償的な趣旨でもって給付をするとい う形になってございます。
 申請の件数とか給付の実態をそこに書いてございますけれども、我が国は、特に亡くなったとか極めて重大な傷病を負われたとか、また障害が残ったという極 めて大きな被害を受けられた方のみについてやっておりますので、件数も総額も大変小さくなっていると。ほかの国はもう少し支給の範囲が広いものですから、 件数もそしてまた額も多くなっているということがございます。ただ、1件当たりの給付額でいうと、我が国は他に比べて遜色、見劣りはしない。ただ、これは 我が国は非常に重い部分だけ手当していますので勢いこうなるのであろうというふうに思われます。ご遺族に対する支給金については、これは各国比較しました けれども、我が国はそれほど遜色がない程度のものが給付されているという実態でございます。
 支給の範囲はそこに書いてございますように、今申し上げましたように我が国は非常に重大な、極めて重大な被害を受けられた方のみでございますけれども、 他の国々はそれよりは大分緩和していると。ただ、イギリスは全治6週間以上に限って給付をするという形になっています。
 制度上の支給額、そこに書いてございますけれども、資料には書いてございませんがアメリカとカナダは上限がない州ももちろんあるんですが、これはむしろ 例外的でございまして、多くの州では300万円程度を上限にしているというふうに聞いております。イギリス、フランス、ドイツは相当額が高いという実態で ございますが、フランスがなぜ額が高いかと申しますと、そこの財源のところに書いてございますように、損害保険1契約当たりに450円というお金を課税し ておりまして、これを特定財源にしてやっているという関係もあって高くなっているという状況でございます。あとは大体一般財源の国が多いんですけれども、 一部で罰金等を財源にしている国もあるという状況でございます。
 それから、他の給付等との調整なんでございますけれども、これについて特に申し上げたいのは、欧米諸国、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイ ツ、いずれも年金等の公的給付が給付される場合にはそれとの調整をしてしまうと。給付される限度において犯罪被害者に対する給付金を減ずるという形をとっ ておりますけれども、我が国はそうではなくて、年金等については調整を図らない。労災はもちろん図るんですけれども、通常の年金等については調整を図らな いという形をとっておりまして、なぜかというと我が国の制度は早期における、これは法律にも書いてございますけれども、早期における精神的、経済的打撃を 緩和するために、まずそこで一時金を給付しましょうというふうな趣旨でございまして、その後についてはそのほかの社会福祉制度に橋渡しをしていくという考 え方でございますので、他国とはここちょっと違うと、制度の立て方が違うということはぜひご理解をいただきたいと存じます。
 そのあとには、アメリカの9・11の補償の制度が若干書いてございますけれども、これは一番下にございますように、この給付というのはそこにありますよ うに、航空運輸の安全及び安定化法という法律に根拠をもっておりまして、そこの基金に請求するのでございますが、そこに補償請求をしますと、航空会社への 訴訟提起を放棄するということでございまして、したがって航空会社の一種救済的な意味合いが込められておりますので、若干これは意味合いが違うのではない かなというふうに思っております。
 以上が資料のご説明でございまして、その後はいただいたご意見、ご要望に対するお答えでございます。すべて網羅的になるかどうかはわかりませんが、主な 点をピックアップして考え方を申し上げておきたいと思います。
 まず、重傷病給付金の支給対象の拡大というふうなお話がございました。現在はその資料にもございますように重傷病給付というのは全治1か月以上の傷病で あって、なおかつ14日以上の入院を要する、そういったものに限られておるんでございますけれども、それについて今、3か月を限度として医療保険との差額 の部分、自己負担部分について給付をするという形になっておるんでございますが、これでは救済としてあまりにも貧弱であるというご要望、ご意見だと思いま す。これにつきましては、私どもも問題意識を持っておりまして、これで果たしていいのかどうかということについては、実態等も調べ、またなおかつ医療関係 者、専門家からの意見も聞きながらこの対象、また期間の拡大ができるかどうか、現在検討を進めているところでございます。
 次は、性犯罪被害者への支給の問題がございます。現在性犯罪被害者については、今申し上げました重傷病給付の基準には該当しない方がほとんどでございま して、したがって犯給金の関係からは支援が受けられていないという状況にあります。しかしながら、そういったことでもって一見すると被害は軽そうに見える んでございますけれども、大変精神的な打撃が大きいという問題があり、またなおかつ性病に罹患していることのおそれでありますとか、また妊娠に対するおそ れでありますとか、もし妊娠があれば中絶の費用をどうするかということでもって、大変に経済的にも負担が重いというふうに我々も認識をいたしております。 そういった意味で、現在警察では多くの都道府県で初診料と診断書料については都道府県が負担をするという制度をとっておりますけれども、ただ、今申し上げ ました中絶とか緊急避妊であるとか性病検査とか治療等を要する経費については対象になっていないという問題がございます。これを犯給法の世界でやるのか、 それともまた各都道府県に補助金を出してそれで負担をしてもらうのか、いろいろな方法はあるんですけれども、これについても検討してみたいというふうに考 えております。
 それから、精神的被害の支給でございますけれども、現在我々がやっていることをちょっとご紹介しますと、各都道府県別の職員には、全県ではないんですけ れども、臨床心理士の資格を持った職員を配置いたしておりまして、したがってその職員が事件発生当初はカウンセリングを行うということは今現にやっておる ところでございます。それから精神科医の支援が必要な場合には、一定の回数でしかないんですけれども、これも国庫補助しまして、精神科医に無料でかかれる というふうな制度も今実施しております。またカウンセラーについても一部都道府県ではその費用を負担するということもやっておりますが、いずれも早期の段 階にとどまっておりまして、継続的にそういったカウンセリングとか治療が必要な場合には、そこまでの負担には至っていないという状況にございます。
 重傷病給付との関係はどうかということなんでございますけれども、観念的に、理論的には重傷病給付の支給対象にはなり得ます。1月以上の治療を要し、な おかつ14日以上の入院ということに当たれば重傷病給付の対象にはなり得るんでございますが、現在のところ実施後3年を経ていますけれども、支給実績は今 のところございません。ただ1件だけ今、支給申請がきて現在審査中というふうに聞いています。
 問題はカウンセリングの問題なんですけれども、保険診療の対象になっていないという問題がございますので、この点については関係省の方でもご検討いただ ければというふうに思います。
 また、今後その短期的な部分については各都道府県で大分措置をしているんでございますけれども、それ以後についてどうするかについては、いろいろな方法 があり得ると思うんでございますけれども、我々のそもそもの趣旨が今申し上げましたように、短期の期間における立ち直り支援でございますので、その後の問 題について民間の団体の方々等々といかに連携をしていくのかということについて検討してまいりたいということで考えております。
 それから、親族間犯罪の被害に係る支給でございますけれども、現在ご承知のように犯給法では、原則、直系血族等は不支給という形になっております。ただ 特別の事情があれば3分の1支給が可能という形になってございますけれども、これにつきましては果たしてこれでいいのかどうかということは我々も問題意識 を持っております。大変お気の毒なケースもございますので、これについてどうするか。同時に平成13年の法律改正の際に国会の附帯決議で指摘された問題で もございますので、これにつき措置すべき方法があるのかどうか、現在検討を進めているということでございます。
 それから、遺体搬送費とか、葬祭料とか、医療機関への通院のための交通費とか介護費、これについて支給をというふうなお話でございますけれども、現在の 犯給法の建前は一時金の支給でございますけれども、これはいろいろなことにお使いになるということを前提にしながら一時金として支給すると、お支払いをす るという形になっていますので、言い換えれば、個別のかかった経費を積み上げて支給するという形にはなっておりません。したがって、観念的に申し上げます れば、そういった遺体搬送、葬祭料等にもお使いいただけるようにというふうなつもりで支給されているものなので、これをまた一回、一回積み上げるという形 になりますと、相当制度の建て方を大きく変更することになりますし、他方で被害者の方にとっても1件、1件の領収書を全部集めていって、それをいちいち請 求するという形が本当にいいのかどうかということは、被害者の方のご負担という意味でもあろうかと思いますので、ちょっとこの辺については難しいのかなと いうふうには思っております。
 ただ、司法解剖後の遺体搬送費につきましては、半分以上の県で公費で負担をいたしております。あわせてご遺体の修復費についても半数近い県でこれについ ては負担をしているという状況にございます。
 次は、支給額の増大でございまして、自賠責並みの支給をしてほしいというご要望でございますけれども、これは申すまでもなく自賠責の方は原因者負担の考 え方によって、保険という方法で損害の一部を賠償するという趣旨のものでございまして、なかなか犯給法のはそれに対して一般財源から国民のみんなの負担で もってその支援をしましょうという発想でございますので、同列にはなかなか論じることができませんし、また現に各国でもやはり自賠責の方が補償は厚いとい うことについては各国とも同じ共通の点があろうかと思います。
 それから、ちなみにご参考までに申し上げますと、警察官の職務に協力援助した者に対する給付金というのがございまして、これは自らの身を賭して犯人の逮 捕をしたり、またそれから人命救助に当たったり、そこで亡くなったり、また傷害を負われたりというふうな方々について支給をするという制度があるんでござ いますけれども、これは公務災害、我々警察官が公務災害を負った場合と同じような支給をしているんでございますけれども、これもやはり身を賭してやられた 方でございますので、これをも上回ることはなかなか難しいのではないか。そういうことで自賠責、今申し上げました犯人逮捕とか人命救助に当たった方々との 関係もあって、それよりは上回れないということでもって今の支給水準が決まっておりますので、なかなかこれを一気にポンと引き上げることは現在の制度の均 衡上、非常に難しい面があるのではないかというふうには思っております。ただ、給付水準の見直しについては、これは継続的に我々は検討していかなければな らない思っておりますので、これは引き続き給付範囲の拡大の問題ともあわせまして、どこまで給付水準を上げることができるかについては検討してまいりたい というふうに思っております。
 あと、年金方式の支給をしてほしいということでございますけれども、今申し上げましたように、犯給法の場合には早期の立ち直り支援でございまして、まさ に早期の段階における経済的負担を我々がカバーしましょうということでございますから、なかなか年金で継続的に支給をしていくということは難しいと思われ ますし、また我が国の先ほどもちょっと申し上げましたように、年金制度ではこれはカバーされることになっておりますので、年金制度の導入というのが若干難 しいのかなと。諸外国を見ても、ちょっと今申し上げました資料から説明を落としましたけれども、年金制度をとっているのはドイツだけでございまして、ほか の国々はすべて一時金という形になっております。
 それから、裁定支給が遅いのではないかというふうなご指摘があります。実際、確かにおっしゃられるとおり、事件の発生から、特に申請までの期間が大変長 くなっておりまして、これはなぜかちょっと私もよくわからないんでございますけれども、約36%ぐらいが1年を超えて申請がなされると。非常に長期の期間 を要しているという状況がございます。では仮給付はどうかというと、仮給付も大変申請までの期間が長かったり、また支給までの期間が長かったりという形に なっておりまして、早期支援という趣旨からすると、若干運用上問題があるのかなという問題意識は持っております。ただ、なぜそういうことで申請までの期間 が長いのかということは、これは被害者の方々、個々のご事情もあろうかと思いますので、ちょっと実態を調べてみたいというふうに思っています。そこで我々 の対応に何か問題があるのであれば、至急改めてまいりたいということで考えています。とりあえず、以上だけ申し上げておきます。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。この件について法務省のご発言がもしありましたら。この犯給法。

○河村構成員(法務省) 特に罰金を財源とした補償制度ということにつきましては、本日提出させていただいております資料に記載させていただいたとおり、 資料3の4ページ目に記載させていただいたとおりではございますけれども、もちろんこういった補償ということになりますと、今お話しございましたような犯 給法との調整であるとか、いろいろな制度との関係等をも見据えなければいなけいと思っております。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。それでは、厚生労働省関係。

○太田構成員(厚生労働省) 時間の関係もありますのでポイントだけ申し上げます。
 資料5でございますけれども、まず医療費等はそこにありますように、これは厚生労働省で所管しております一般的な医療保険の制度、それから介護保険の制 度、それから障害保健福祉制度、年金制度でございますので説明は省略いたしますけれども、犯罪被害者のだれでも一定の要件を満たしている場合には、給付な りサービスの提供が受けられるということでございます。
 それから、要望をいただいている点でございますけれども、医療費での無料化ということでございますけれども、医療保険制度の中での無料化ということでご ざいますと、この制度はすべての被保険者の保険料等から成り立っているということでございまして、医療を受けるものと受けないものとの負担のバランスを図 るという趣旨から、かかった医療費のうち患者の自己負担分として一部負担金を求めることを原則としている制度でございますので、この制度の枠内の中で考え ますと、犯罪被害に遭ったという事実をもって自己負担分を無料化するということはなかなか困難ではないかということでございます。なお、この点に関係し て、先ほどお話がございました犯給法の一部負担金相当額の支給があるということでございます。
 それから、もう一つ要望をいただいている点は、医療保険利用の利便性の確保ということで、我々もできるだけ利便性の確保を図っていきたいと思っておりま すけれども、一つは会社に知られたくないということでございますけれども、これも今年の4月から個人情報保護法等も施行されておりますので、会社などの第 三者に個人情報を提供できないということになっておりますので、制度としては保険診療を受けたことが会社に知られることはないという制度になっておりま す。ただ、具体的な要望があるということは、そういう事実があるのかなということでございますので、ひとつ参考のための具体的なケースを後日でも結構です からご教示いただければありがたいと思っております。
 それから、保険が使えないということでございますけれども、これも制度としましては医療機関で被保険者証を提示すれば負傷の原因を問わずに保険診療を受 診できることになっております。この点につきましても、ご要望のとおり具体的な不都合が生じている場合はどういう場合か、具体的な場合をご教示いただけれ ば、これは大変参考になると思っています。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。
 それぞれの方には本当にご無理を申し上げて大変恐縮しておりますが、今の3者のご発言に対してご意見、コメント等がありましたら、どうぞご遠慮なくご発 言ください。

○小西構成員 今、給付金の範囲の拡大の問題とその水準引き上げの問題と大きく分けて2点だと思いますけれども、先に範囲の問題がございましたので、そち らから申し上げたいと思います。
 性犯罪被害者に全く出ていない。というか、この445件というのは、犯罪被害者に給付しているというにはあまりにやはり少ない。もちろんこれが大変貴重 な支援になっていることは間違いないです。間違いないですけれども、日本の犯罪被害を受けた方全体とか、あるいは支援の必要な人全体からすれば非常に少な い。
 例えばアメリカが人口大体2倍だと思いますけれども、けたが3つ違います。イギリスはむしろ日本より半分ぐらいなのに何十倍もある。一つはこれは当然ふ やさなくてはいけないということだと思います。今どうなっているかちょっと存じ上げませんけれども、少し前までは給付金の申請をするときに、何も条件がな いように見えて実際には申請してもいいよとか申請できるよということが警察の方からお話があって、限られた人しかできない。例えば今、性犯罪被害者の中で も入る人がいるかもしれないとおっしゃいましたけれども、運用上そういうふうになっていなかったということは実際にございました。今現在がどういうふうに なっているのか少し伺いたいと思います。
 もう一つ、大きな問題として医療の問題が今出てきましたけれども、先日の被害者のヒアリング、2日にわたってやっていただいて大変ありがたいと思いまし たが、ほぼ全員がおっしゃっていたのが医療費の無料化ということです。これについてはいろいろな問題がありますが、まずは、一つは今まで警察でなさってい る例えば精神的打撃に対する援助というのは、むしろ医療とか治療には入ってこないタイプの必要な支援ですけれども、それとは違うものなので別枠で考えてい ただければというふうに思います。
 実際に私の方で今度の医療の問題のところでお話しするべきことだと思っていたので持ってきていないのですが、保険診療か給付金かという話が今ありました けれども、これはちょっと両方使う必要があると思っています。ヒアリングで実際に傷害を受けた方が直接ご自分で話していただきましたが、ナイフで刺されて かなり重い傷を負って入院されたんだけれども、保険診療はもちろん受けたんだけれども、なぜ3割を自分が負担しなくてはいけないのか。3割だけでもかなり 大きい。
 例えばその分について、何か他から補償ができないのだろうか。もう一つ保険が必要だと思うことは、実際には性犯罪の被害者の、私は約9割ぐらいだと思っ ていますけれども、の人は警察で認知されないわけです。もちろん犯罪被害、今回の基本法がどこまで対象としているかというのは大きな問題ですけれども、警 察に行けないからといってそういう人たちを放っておいていいのかと。実際には、医療の現場にはそういう人たちはたくさん押し寄せているわけですね。そうだ としますと、少なくともほかの部分についても今後議論が必要だろうとは思っています。というのは、今の保険では十分でないことがたくさんあると思ってい る。それは今度またお話ししたいと思います。給付金の方でそれに足して出していくという必要があるというふうに考えています。カウンセリングが保険診療に なっていない、そこも一つ大きな問題としてありますけれども、これももしかしたらこの次の問題になのかなというふうに思っております。
 親族間の犯罪については、特にDVとか虐待の被害者の中には、非常に悲惨なケースがあって、なのに給付金が出てこないと。家族で非常に困窮しているケー スというのを実際に目にしますので、これも範囲に含めていただきたいというふうに考えています。
 先ほど厚生労働省の方からそういうケースがどうして出てくるのかわからないと。これもヒアリングのときにもそういう話が出てきましたけれども、恐らく第 三者行為なのでお金は払わないということがもしかしたら医療機関の中で曲解されているのではないかと思われるケースがあります。
 例えば交通事故を扱い慣れている病院なんかで、その扱いと同じようにしようとして保険診療を一旦ためらうとか、あるいは手続を要求するとか、そういうこ とがあるのではないかなと思うんですけれども、ここは少し実態がはっきりしませんが、被害を受けた方の方から聞くと、保険がうまく使えなかったということ はやはり実際に聞くんですね。本人の誤解なのかもしれませんが、誤解を与えるような制度とか説明がなされていることは確かですので、そこは善処していただ かないといけないと思っています。
 水準の問題についてはまた後なのかもしれませんので、一応それだけお願いします。

○中島構成員 今の小西構成員の意見にちょっと補足する形で述べさせていただきたいと思います。
 先ほどの12条関連の討議を受けまして、逆に補償制度を充実させなければいけないというふうに私は理解いたしました。差し当たって現状にあるものを拡大 するということは非常に有用でありますし、ただいま警察庁の方から犯罪被害者等給付金を検討をいただいているということで大変うれしく思っておりますの で、それについて若干補足をさせていただきたいと思います。
 現在、2カ国と比較して日本が少ないのはさっきお話が出たように重傷病等、遺族に対して出ている。重傷病の基準を見ていただくと入院です。しかし、多く の被害者は通院です。しかも入院の2週間以上というのは極めて重傷です。逆に言いますと、医療が向上すればするほど、この補償を被害者は受けられないとい うことになってしまうわけです。したがって、この対象を通院者に対しても拡大する必要というのはあるのではないかと思います。
 もう一つ、通院者に拡大することによって精神医療へ拡大できます。精神医療は厚生労働省の方、よくご存じだと思いますが、入院ではなく通院を推進しよう としているわけです。そうしますと精神障害に関して積極的に官公庁がしていることに反して、給付金が受けられないという不均衡が生じますので、通院するこ とによって精神的な医療費についても補償されるという必要性が出てくると思います。ですから、まず現状の枠を通院まで拡大して、性暴力の被害者であると か、身体暴力も含め、入院に至るまで重傷でなくてもある程度の補償が医療の自己負担分だけでもいいのですが、受けられるというふうになった方がよいと思い ます。
 もう一つの問題は、保険適用以外の医療費について負担しなければならない面がかなりあることです。その代表がカウンセリング、心理的カウンセリングで す。ヒアリングでも出たと思いますが、現在、心理的カウンセリングは最低5,000円から、1万5,000円、高いものは2万ぐらいかかります。これを週 に1回受けて、治るのに6カ月とか1年とかかかります。そうすると、その莫大なお金をなぜ被害者が自分で負担しなければならないのかということになりま す。それを負担するだけの資力のある被害者というのは非常に限られてくるわけです。このように医療費で補償されないものについて補償制度がサポートする必 要があると思います。
 また、先ほど出てきました産婦人科に係る費用につきまして、緊急避妊に人工妊娠中絶費用、検査費用、諸費用というのは被害者側の負担であります。これを 被害者が負担するというのも理不尽な話であると同時に、これが負担されることによって警察に通報しようという被害者も出てくる可能性があると思いますの で、医療保険の適用外のものについては積極的に給付金の枠の中で支給していただくように検討していただけたらと思います。

○大久保構成員 私も今、小西構成員、中島構成員から発言がありましたように、ぜひ充実を図っていただきたいと思います。先ほど厚生労働省の方から受診が 知られるのが嫌でなかなか受診ができないということの具体例についてということでしたが、確かに4月からできました個人情報保護法がどこまで効いているの か、ちょっと私もわかりませんが、実は被害者支援都民センターの方に相談をなさってくる被害者の多くの方は、職場に知られたくない、そういうことをおっ しゃいます。では具体的に知られるのかどうなのか、その被害者の方がどこまで調べたのかはよくわかりませんが、それが不安で行けないということがありま す。それとこれは私自身が体験したことですが、私は保健師として長く働いておりましたので、保健師として、例えば事業所の保健室、あるいは企業の健康管理 室、そういうところで働いている方たちとの交流があります。ごく最近でもあるところから相談を受けましたのは、企業で働いている疾病のある人が何名ぐらい いるのか名簿を出すように言われて、その保健師の方はとても悩んでいました。私が5年前まで公務員として働いていましたとき、私宛てに毎月、自分が受診し たときには、何回受診をした、保険外、あるいは保険の医療費がどれぐらいだったという報告がきました。ときには、こういうところに本当に受診をしたんです かと確認の電話が入ったこともありました。ということは、やはりわかる、わかってしまうという恐怖を感じる場合が多いのでなかなか受診できないということ だと思います。
 それとあと、保険診療は病院によりまして対応がかなり違います。第三者行為の場合は自費でと言われますが、保険者の方が了解をしてくださって、それなり の書類を整えれば保険診療していただけるということはわかっておりますが、面倒なのでそれはやりたくないというような医療機関がないわけではありません。 そういうところを現場の方では感じております。

○山上構成員 私は意見書の中に、せめて自賠責相当の額をというふうに書いたんですけれども、私は交通被害で何年か後の被害者の状況をときどき見る機会が ありまして、事故を起こした運転者が自賠責保険にしか入っていなかったときには、その後の生活が非常に苦しく悲惨なものがあるものですから、任意の保険に 入っていると随分違うという感じを、気の毒に思うんですけれども、その気の毒な人たちよりもさらに相当低い給付水準ということはやはり問題ではないだろう かというふうに感じます。
 また、私がこういう保険制度とはまた違うとはいいますけれども、私はやはり法律家の考え方と違うかもしれませんけれども、国民の安全を守る責任が国にも あるわけですし、税金を納めているのはそういう保険の、国が守ってくれるという意味合いもあるわけですので、それをやはり相当の額を自賠責で最低限認めて いるぐらいは認めても私はいいのではないかというふうに、このように思います。
 また、先ほど警察に協力された方で亡くなった方との兼ね合いと言いましたけれども、もしそれが自賠責程度に達しないのであれば、それはむしろそれを増額 するように考えるべきなのではないかなというふうに思います。また、いずれにしてもそういうふうに大幅に私も支給の対象、特に医療費に関しては自己負担分 をより長期にわたってきちっと補償できるようになるというふうに思いますけれども、それを補償するには相当の財源がいるわけで、財源は給付制度だけではな くて、これからあるいは被害者支援の問題とか、研究と教育の体制、診療の問題、いろいろなものにかかってくるので、その財源を同時にきちんと確保すること も論じていかなければいけないと思うんです。それで、罰金の問題やいろいろ問題もあるとは言いましたけれども、私はその1割程度は被害者支援に向けると か、あるいは先ほど損保の保険に課税するとか、そういうことがありますが、何かそういう財源を同時にここできちっと考えてそういう施策を前向きに論じやす いようにしていただければと思います。

○井上構成員 また河村構成員にご質問なのですけれども、この法務省から提出されている資料で、説明されなかった部分なのですが、罰金を財源とするという ことについての問題点の指摘で、ここに書かれていることはそれとしてわかるのですけれども、罰金というのは、当該犯罪の被害者に対する賠償とか、あるいは 被害者に対しての謝罪金として徴収するものではないわけですね。ですから、罰金を科す理由となった犯罪とそれを財源として補償金等を被害者に支払う場合の 犯罪というのが必ず一致しなければならないという必然性はないように思うのですね。。そこのところ、犯罪を対応させないといけないということに何か法制上 の根拠とか、あるいは実質的な理由というものがあるのでしょうか。

○河村構成員(法務省) 歳入と歳出と申しますか、財源としてその関係につきまして、これまで特別に仕切った形で関連づけたものの制度がいろいろ他にはご ざいます。これにつきましては、罰金を財源とするということになりますと、ほかの似たようなものの考えとはちょっと異質なものになってまいりますというこ とを申し上げているわけでございまして、この辺になりますと、ちょっと法務省の方からお答えするのが適切かどうかという問題もあろうかとは思いますが。

○岡村構成員 資料第10以下に私の資料があるんですが、その中に第2回資料として、犯罪被害者等補償制度というものに、私どもの求める被害者補償制度が 書かれております。グリーンの見出しがついているものでございます。資料第10の中のグリーンの見出しがついているのがあると思うのですが。犯罪被害者等 補償制度、ここに書かれておりますので、時間の関係がありますから、私はこれを読んでいただくことにして大きいところだけ申し上げたいと思います。
 まず、2ページにありますが、国は被害者に対する補償義務があると正面から認めていただきたいということなんです。これは加害者から取るのが筋だといっ たって、身体生命違反の加害者はほとんど支払い能力がありません。にもかかわらず被害者はどんどん犯罪によって増えているとなると、誰かが払わなければい けない。そうすると国が払わなければいけないということをはっきり書いてもらいたい。そして加害者から払われたならば、二重払いを受ける必要はありません から、国はその分は払わなくてもいいんですけれども、国が支払い義務があると、補償義務があるということをはっきり書いていただきたいなと思います。
 それから、イギリスでは連帯共助の精神からお金が払われるという警察庁のお話がございましたが、まさにそうですけれども、しかしながら払われるのは一般 会計であって、社会が払っているわけではありません。連帯共助の精神に基づいて国は払っている、国が一般会計で払っているということで、結局は国が補償義 務を認めたと同じことになっております。ドイツにおいては、同じように安全補償義務違反ということで、国が補償義務を認めて、もうそろそろ日本も被害者に 対して国が補償する義務があるんだということを認める時期に来ているのではないかと、こういうふうに思います。
 それから、補償の仕方、これ4ページ以下ですけれども、今までは一時金だけでやって、それで済ませているんですが、私はやはりそれと同時に年金を支給し てもらいたいと思います。先ほどの警察庁のお話では、早期の一時的に要る金を犯給法で出して、そして後は他の制度に譲るということでしたけれども、他の制 度はございません。福祉、この制度くらいしかないんですね。生活保護の福祉。これは非常にみじめなものであって、悪いことをしているのではないか、ごまか しているのではないかということで、絶えず監視されております。こういう制度しかないのに、一時金のお金を少なく出して後は何もしないというのはおかしい のではないかと思いますので、一時金のお金もぐっと上げてもらいたい。最高1,800万とかいうのではなくて、もっと上げてもらいたいし、そして年金とい う制度も出してもらいたい。
 これはよく子供が被害を受けて身体が動かなくなったご両親、私どもの会員ですけれども、ご両親は精いっぱい介抱しております。自分が生きているうちは何 とかやるけれども、死んだら後どうするだろうと思ったら死んでも死に切れないと、こういうことをおっしゃっている方がいらっしゃるわけです。その方々はお 二人働いて、そのうちの1人分は全部医療費に消えたそうですけれども、今は奥さんが勤めを辞めて、旦那さんの収入だけでやっています。そこに資料4という のがあって、集計というのがありますが、その山本さん、頭はクリアだけれども心身が全く動かなくなったお子さんのためにどれだけお金を使ったかということ がここに書かれております。これは後でごらんいただければいいと思いますけれども、これだけの被害を受けますと、自動車保険では約9,000万ぐらいのお 金を受け取れるんですけれども、ちょっとその金額は落としましたが、犯給法では4百何十万ではなかったかと思います。今正確な数字がきますけれども。それ でいて出したお金は1,100万を超えております。それは家族の労力費は全く勘定に入れておりません。ヘルパーを頼めばいいんですけれども、ヘルパーとい うのは、これは交通事故についてはヘルパーさんは来ません。そういうことで、全部家内で、家族で一生懸命やっているという例がある。これは年金ででももら えたら人を雇うこともできるしということで、非常に困っている例でございますので、後でも見ていただきたいと思います。
 それから、今申しましたような親族、先ほどお話がありました親族間、これは全く関係がなくなっているきょうだいに殺された場合でもお金が出ないというふ うなこと、これもおかしいですし、最近私どもの会員で問題になるのは、外国旅行中に殺されたと、こういう例がかなりあります。それに対して犯給法は適用さ れておりません。
 それから、請求するには時効がありますけれども、犯給法の時効の説明も今は警察が一生懸命やってくれるようにはなりましたけれども、まだまだ落ちがあり ます。これをもっとわかるようにしていただきたいということ。
 それから、7ページにありますが、この間、生活保護を受けている人が犯給法を、お金をもらった。そうすると生活保護のお金を返せという、そういうような 判決でしたかね、ありました。返す必要がないという判決でしたが、ありました。そういうようなわずかなお金でも併給をやめさせるという制度ではなくて、自 賠法で計算すればある一定の金額になる、それに達しないまでの併給であるならば、その併給は認めてほしいと、そういうことであります。
 それから、最後に8番目に私どもは一時金だとか、いろいろなことを申しました。そうすると今の警察だけでそれを処理することができるかなと思います。医 療費の無料化とか介護費の無料化とか特別資質とか、PTSDの心理療法費用とか、そういうふうなことをいろいろいろいろ私どもこの中で要求しております が、そうなると、これは公安委員会にお任せするにはちょっと荷が重いのではないだろうかと、そういうようなこともあって、何か認定機関が新しく要るのでは ないかなと、こういうふうな気がしております。
 端折って申しましたけれども、以上のようなところでございます。

○山田構成員 私の意見は、また資料14の1ページ目から2ページ目にまとめてございまして、今まで出た意見もおおむねそこに入っているかなと思っており ます。
 私は先ほど来聞いておりまして、拡大していただきたいというふうな意見が続いておるんですが、私はいただきたいというのではなくて、拡大すべきであると 思います。
 犯罪被害の経験はございませんが、つくづくとそう思います。今の社会、これだけの人口がいて、これだけ複雑化された社会においては、一定の比率で必ず犯 罪が発生すると。誰がその犯罪に遭うかわからない。言ってみるならば、誤弊があるかもしれませんが、犯罪に遭われた方々は私や私の家族の身代わりかもしれ ないという思いがいたします。そのような場合には、やはり犯罪者が出た場合、その犯罪に遭った人たちをみんなで連帯してそれは補償をすべきであろうという ことだと思います。文明国家、文化国家と言われる以上、そういったことが当然できなくてはいけないというふうな感じがしております。
 ところで、先程来お聞きしておりますと、まず現在の犯給法の運用でできることと、運用ではできない、犯給法を改正しなければできないだろうと思われるこ とがあろうかと思います。先ほど犯給法というのは早期の時点における救済であるということですが、それではずっと後々のことまでもと考えた場合には、やは り犯給法の改正が必要かもしれません。カウンセリング費用であるとか、通院も認めようとか、過失犯にも適用しようとかいうようなことを考えますと、犯給法 の改正で、私のメモには新犯給法を制定すべきだというふうに書きましたが、これを改めまして現在の犯給法は廃止すると。そして新たに犯罪被害者補償法を制 定すべきであると。犯給法から脱却した、そういったものを制定すべきではないかと、そこまで踏み込んだ気持ちがありませんと、また現実にそういう制度にし ませんと、本日の冒頭に議論されました附帯私訴の問題であるとか、あるいは損害賠償の立替の問題であるとかいうこと、それらを導入しないでおいて、犯給法 もほとんどお茶を濁すようなことであってはならないと思うんですね。犯給法の改正を抜本的な改正がないとなれば、附帯私訴だとか、損害賠償の立替というこ とも、それは当然のこととして浮かび上がってくると思うんです。
 そのために、もし財源という問題があるならば、思い切ってニュージーランドのように、強制的社会保険といいますか、そういった制度もこの際踏み込んで考 えてみる。例えば介護保険などというふうな制度とあわせて考えるならば、それも可能ではなかろうかと。国民の数が1億2,000万人おりまして、1人1円 ずつで1億2,000万円、1カ月で。1人100円ずつで1年間ためますと1,400億円ぐらいになります。そうしますと、1,400億円のうち犯罪被害 者に給付すべき金額は6~7百億円であろうかと思います。残りは犯罪を予防、防災のために、例えば街灯をつけるとか、ちょっと思いつきませんが、そういっ たことごとに使うことも可能。単に被害者に配るというだけではなくて、犯罪の予防というふうな視点からも考えるならば、1月100円というのは可能ではな かろうかと思うわけです。全くのこれは今私の思いつきで恐縮ですけれども、そういったことも含めて抜本的な解決がぜひとも必要であると思います。

○小西構成員 ただいまの犯罪の給付ではなくて、被害補償法にするということに私は賛成です。既にやはり見舞金というところは、もう捨てなくてはいけない コンセプトなんだというふうに思います。
 ちょっと全額でどのくらいお金が必要かということについて申し上げたいんですけれども、例えばイギリスは一般財源で400億近くのお金が出ているわけで す。本当にどこか新しい財源を探さなくてはいけないのか、日本の状況で今どうなのかということはありますけれども、こういう歴史のある国ではこれぐらい出 ているわけですね、一般財源でも。
 それから、もう一つぜひ考えていただきたいのは、イギリスやアメリカはこの外に民間の非常に分厚いサポート制度があってこれだということです。例えば民 間のNPOなんかがたくさん被害者を支えていますけれども、アメリカ、イギリスではそういうところには寄附がすぐ集まります。多くのNPOが安定して活動 していて、例えば今、警察でやっていらっしゃるような早期支援の部分についてもかなり民間で担っているところはあったりするわけです。正直言って日本の民 間組織というのは非常に脆弱ですし、恐らく警察の支援がなくては成り立たないような状況にあるわけですね。そのことを考えますと、例えばイギリスやここに あるような先進国と同じぐらいのレベルに日本を持っていくとしたら、恐らく財源としては人口割にしてこれよりたくさん必要なはずなんですね。水準としては 日本はそういうところにあるということをちょっと念頭に入れて議論していただきたいというふうに思います。

○片桐構成員(警察庁) ちょっと時間がなかったため早口で申し上げたので、私の言ったことについてきちんと伝わっていない部分もあるんですけれども、性 犯罪被害者については、現在の重傷病給付には入っておりません。これはほとんどの場合そうだと思います。入院14日以上という形に恐らくなりませんから。 であればこそ今申し上げたように、何らかの手当を考えなければいけないということを申し上げたつもりでございます。
 あと、保険診療外の医療費を別枠でというお話なんですけれども、今の制度の立て方は、さっきも申し上げましたように、個々にかかった費用を積み上げる形 ではなくて、一時金として当座お使いいただけるものというこのような形でやっていますから、ちょっと別枠で医療費をということについては、にわかに私から そういたしますということはちょっと申し上げられないということでございます。
 あと、親族間の問題は、これも先ほど申し上げましたけれども、大変お気の毒なケースがあるということは我々も十分承知しておりますので、これについて何 らかの方法、今は特別な事情がある場合に限って本来の支給額の3分の1になっていますけれども、これがこれでいいのかどうかという問題意識を我々も持って いますから、これをさらに拡充できないかどうか、現在検討しているということでご理解をいただきたいと存じます。
 重傷病給付の話で、入院要件を外してほしいというお話なんですけれども、確かにご趣旨もわかるんですけれども、他方でいろいろな犯罪がありまして、例え ば加療1か月といっても、本当にこれが重い傷害とはなかなか限らないわけなので、今の支給の立て方が極めて重い傷害を負われた方について支給をしましょう ということになっておりますので、入院要件をすべて外すということがなかなか難しいのかなと。ただ、今ご指摘があったように、14日という期間が本当にい いのかどうかについては、これは検討の俎上に上げてまいりたいと、それは思っております。どれぐらいになるかちょっとわかりませんけれども、ただ、ご参考 までに申し上げると、入院される方の中で14日以内の方の比率というのは、それが上がっていない。ですから医療水準が上がったから14日以内で退院される 方が増えているのではないかというご指摘なんですけれども、ちょっとその数字を見る限りでは、そこまでは言えないのかなという感じがしていますけれども、 いずれにしてもそれは検討させていただきたいと思っています。
 あと、中絶とか検査、緊急避妊の費用、これも現在は支給金の範囲では出ておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、都道府県が措置している県もご ざいます、ごくわずかなんですけれども。ですからこれを犯給金でやるのか、都道府県の方でやるのか、まさにこれをやれば犯罪捜査に協力していただける方が 増えるのではないかという観点であるならば、これは都道府県の方の捜査に協力していただけるような形になりますので、そういった形で出すということも考え られますから、それも含めて今検討しているところでございます。
 あと、山上構成員から協力援助した方に対する支給をむしろ増額すべきだというお話なんですけれども、確かに我々は心情的には非常にシンパシーを持つんで すけれども、これをいじりますと公務災害とか、労災全部に跳ね返ってくる話なので、ちょっと私もにわかにこれも引き上げてほしいということは言いづらいと いうことはちょっとご理解をいただきたいなというふうに思っています。
 それから、岡村構成員から国が義務があるという形にすべきだと、むしろそういうふうに考えるべきだというご指摘なんでございますが、ちょっとこれは私ど も考え方が違いまして、やはり現在は違法行為、不法行為をやった人間がまず第一義的に責任があるんだろうと。その責任をむしろ薄めることにこれはなってし まうので、私は国が個々の犯罪について責任を負うという形はむしろとるべきではなくて、むしろそういう形をとると個人の責任が薄まり、なおかつ治安対策上 の好ましい効果は上がってこないのではないかという危惧を持っていますので、ちょっと個々の犯罪について、それについて国が賠償責任があるという形には ちょっとにわかに私は賛成できないなというふうには思っています。これは犯給金をそもそも昭和55年につくるときに、有識者の方々にお集まりをいただいて 議論する中でも、当然議論になったんですけれども、そういう形はとり得ないという結論になったという経緯は一応申し上げておきたいと思います。
 あと、年金については、他に制度がないというお話なんですけれども、今国民皆年金でございますので、原則的には国民年金の方で手当がなされております。 年金が支払われると。諸外国では先ほど申し上げましたように、それも調整されてしまうんですけれども、我が国はそこは調整をしませんという形になっていま すので、それが今も私がちょっと申し上げた他の福祉政策に対する橋渡しと申し上げたのはそういう意味なんでございまして、したがって国民年金とか厚生年 金、これは犯給金が払われようが払われまいが支給がされると。加えて生活保護の関係がございましたけれども、これも生活保護を受けているか否かに関わら ず、犯給金はまったく調整されませんので、私どもは調整するなんていうことは申し上げていないと思うんですけれども、ちょっとどこか誤解があったのかなと いうふうに思われます。
 それから、時効の問題で落ちがあるという話なんでございますけれども、もしそういうことがあるのであれば、これは大変な問題でございますから、きちんと 我々は時効についてはご説明申し上げて、期間内に申請していただけるようにご支援をしていきたいというふうに思っております。
 山田構成員から補償のお話がありましたけれども、これもなかなか今ちょっと申し上げたようなことによって、今にわかに私がそれについて賛成だということ はなかなか申し上げづらいということはご理解いただきたいと思いますし、あと過失犯にもというお話なんでございますけれども、諸外国の例を見ても、過失犯 まで広げて支給対象にしているところは極めてまれでございまして、ほとんどが故意犯でございます。なぜかというと、この犯給制度というのは、ほかの福祉政 策とか、いろいろなシステムがあって、モザイクの上にあって、そこから犯罪被害者の部分がすっぽり落ちていたと。ここをやはり救済すべきだということで もって始まっておりまして、他方、過失犯の方は相当程度手当が進んでおりますので、したがって今、犯給金の世界では、これについての手当をするという形に はなっていないということでございます。
 あと、財源の問題はちょっと私からは申し上げられない話でございますので、ご理解いただきたいと思います。

○岡村構成員 ただいま犯給法の根拠の問題がありましたけれども、これは20年前の話なんですよね。それからこちら凶悪犯罪も激増しているわけなんです よ。ですから、そういう前の見舞金的な連帯共助の見舞金的なものでおさまるのかどうかということであって、どうしても国が補償義務を負わないということな ら、それなら武器を携帯させてくれということになる。夜、暗いところを歩くときには武器を持って歩かなければ歩けれないという場所がいっぱいあるわけなん ですよ。そういうことになりかねないので、やはり私はそれを防ごうとすれば、国が補償義務があるというところにせめてもっていかなければならないのではな いかと、そういうふうに思っております。
 それから、先ほど述べた被害少年は、多人数の加害者による犯罪で四肢が全く動かなくなった。この場合、大勢の加害者がいたものですから600万円補償金 は受け取りました。そうすると犯給法の申請しますと、600万もらったならば、もう犯給法は出ないと、こう言われたんです。あまりにひどいではないかとい うことで弁護士が交渉して330万もらったそうですけれども、そういうふうに非常に厳しいんですね。それくらいの金はあっという間に消えてしまうわけなん です。
 それから、「オヤジ狩り」に遭ったある一流会社の社員の方々、これは病院に入って、院内感染で、感染性の膿が出るものですから、個室に移されておりま す。それが感染防止するためのエプロン、そういうものをお医者さんや看護婦さん、それから家族がその個室内に入っていく、そういうときには全部使い捨ての エプロンを使う。何やかんやで1か月27万くらいの金がかかったというんです。一級障害になっているから医療費は別だということだけれども、いろいろか かっているわけなんですね。
 それから、高額医療の問題にしましても、1か月何十万とられるという人もいるんです。保険じゃ賄われない。これが1か月になろうと、3か月になろうと、 あるいは6か月になっても、長期になればなるほどひどい人が後に残るんですね。それに対する手当がやはり必要だと思います。
 それから、山田さんがおっしゃった保険制度、これは全く私も賛成ですが、ただ私どもは日常支払う税金の中で、いざというときには払ってくださいよという 保険料が既に国に対して払っている、納めている、そういうふうなつもりでおります。

○宮澤座長 何かだんだん切りがなくなってきたような気がするんですけれども。なるべく短くお願いします。

○山上構成員 やはり支給の対象とか、額をかなり増額しなければいけないと、これはよその国並みとすると、恐らく100億円程度のお金は必要となるので しょうし、ほかの政策に関してもいずれもかなりのお金が必要になんですが、私は国会の委員会でのときに財務省の方が非常に冷淡に対応して、財源をつけます ねと言ったら、非常にそっけない返事をずっとしていたものですから、そういうことを考えると、いくら施策を立てようとしても、財源はどこから出るのか、出 ないだろうかとか、そういうことになると、やはり展開の限界が出てくると。ですから、同時に施策の話を進めていくときに、同時にそれだけの財源をどこから どうやってとるのか、それからそれを内閣府できちんとそういう確実なところをとれるような、そういう方法を考えるということを同時に進めていただければと 思うんです。

○小西構成員 すみません、ちょっと補足で提案しておきたいんですけれども、長期の特に精神的な心理治療ということがかなり出てきましたけれども、こうい うことを全部犯給法というか、給付だけでやろうとするのはなかなか難しいと思います。こちらについては、例えば現物給付であるとか、いろいろな形の現物給 付が実際に行われている国もありますけれども、そういうものとあわせて検討されることを望みます。ですからこれだけで解決しようと思うとちょっと難しいと ころも、恐らく保険診療との絡みで難しいところもありますので、それをちょっとご提案しておきたいと思いました。

○宮澤座長  ご案内のとおり、この検討会には非常に有力な閣僚がおられますわけで、その大臣から、ぜひ立法者の皆さんにお伝えいただきたい、この熱気ある議論をです ね、お願いしたいと思うんですが。いろいろ聞いてみますと、やはりそれぞれの官庁がそれぞれの分野においていろいろ現行法をいじったり、あるいは少し長期 の視野に立って改正する必要があるのではないかという、そういう姿勢はお持ちだということはあると思うんですが、そういう意味でこの点についてのまとめと いいましょうか、事務局が事務局なりに考えておられたところとこうやって各委員のご意見が出てきたのを踏まえて、何かもしご発言があるんでしたらお願いし ます。

○事務局 それでは、この検討会としてのまとめのご提言をさせていただきたい、ご意見を申し上げたいと思うんですが。恐れ入りますが、内閣府が配付してお ります資料1の5ページをごらんいただきたいと思います。基本法13条に係る現状認識と犯罪被害者等の要望に係る施策について取りまとめたところでござい まして、その要望に係る施策の①から⑤をあわせて今ご議論いただいていたわけでございます。そして、そのうち①から④につきましては、これはそれぞれまさ に犯罪被害者の皆さんに対する経済的支援制度に係るものでございますので、この①から④につきましての検討会としてのまとめの提言、ご意見をまず申し上げ たいと思います。
 それで、いろいろ各省からのご説明を伺っておりますと、我が国の犯罪被害者等に対する経済的支援制度といたしましては、一つは犯罪被害給付制度が存在す ると。それから一般的に利用が可能である制度といたしましては、医療費、あるいは介護費等に関する制度、その他社会保障、福祉制度というものがあるという ことでございます。こうした制度を前提に今までのご議論を伺っておりますと、まさに犯罪被害者等の皆さんに対する経済的支援制度がいかにあるべきかという ことについては、やはり社会保障とか福祉制度全体の中でどうあるべきか、やはり一つ一つの制度単独ではなかなかそういう議論が難しかろうというふうに思う 次第でございます。
 一方、先ほどご議論いただいた第12条の損害賠償債務の肩代わりの問題ですとか、あるいは請求費用の補償の検討の関係も出てまいります。ところが、そう いったいろいろな論点、議論すべき、検討すべき点のことを考えますと、やはり基本計画検討会そのものの場でそうした諸点について議論を尽くすということは やはり時間的な困難性があるというふうに思います。しかしながら、非常にご議論の中でありましたように、犯罪被害者等に対する経済的支援制度、これは現状 よりも手厚くすべきだということは、これは確かなことであるというふうに考えます。
 そこで、この施策の①から④の関係につきましては、推進会議のもとに「検討のための会」を設ければどうかというふうに思います。そしてその構成といたし ましては、まず有識者の方、それから関係の省庁といたしまして、私ども内閣府のほかに警察庁、法務省及び厚生労働省、これらのメンバーから成ります「検討 のための会」を設けまして、まさに社会保障、あるいは福祉制度全体の中で犯罪被害者等の皆さんに対する経済的支援制度のあるべき姿はどういうものなのか、 それから議論の中でもご指摘がございました非常に大きな財源を必要とするわけでございますので、どういった財源がいいのかということを検討いたしまして、 一定期間内に結論を出して、その結論に従った施策を実施するというようなことをこの会のまとめとしてはどうかというふうに考える次第でございます。なお、 その一定期間が何年なのかということについては、またご議論があろうかと思いますけれども、先ほど私の方からご提言をいたしましたように、やはりできるだ け早く、しかし大きな法制度の問題、あるいは財源の問題を抱えるという特殊事情があるということを考えますと、やはり2年以内に結論を出して、そしてその 結論に従った施策を実施していくということでこの会の取りまとめとされてはいかがかというふうに考える次第でございます。
 これが①から④の関係でございまして、それから⑤は、ちょっと①から④とは違った問題でございます。これにつきましては、厚労省の資料、ご説明によりま すと、医療保険事業の利便性の確保、現状に問題はないというようなご発言、あるいは資料かというふうに考えたわけでございますが、一方で、やはり医療保険 がスムーズに使えないと。あるいは個人情報の問題も現にあるというようなご指摘があるところでございますので、この会の取りまとめといたしましては、現実 に医療保険がスムーズに使えないという状況があるのかどうか、そういったことをまず調査いたしまして、そしてそうした状況があるということであればそれを 解消するための施策を検討し、それに従った施策を実施に移していくということを厚生労働省の方でご検討いただければどうかというふうに考える次第でござい ます。
 この関係につきましての検討、調査に要する期間ということでございますけれども、先ほどのご提言のように、原則としてできるだけ早くということで1年以 内に結論を得て、その結論に従った施策の実施という方向で対応するということをこの会のまとめとしていただければどうなんだろうかというふうに考える次第 でございます。

○岡村構成員 ちょっと質問がありますが。①から④までについて、委員会というんでしょうか、何かつくるというお話ですが、これは基本計画の中にそれを書 き込むということですか。

○事務局 基本計画の中で、おっしゃるとおり、こういう検討の会をつくって、一定の期間内に結論を得て、そして結論に従った施策の実施を行っていくという ようなことを盛り込もうということでいかがでしょうかというご意見を申し上げたところでございます。

○宮澤座長 何かコメントがございましたらどうぞ。そうしますと、どうですか。ではそういうことで認められたということで処理を……

○太田構成員(厚生労働省) ちょっと1点。医療保険が使いにくいという実態調査なり、それを踏まえて検討せよという話でございますけれども、どうも聞い ていると、制度がきちっと運用されていれば問題ないと思うんですけれども、どうもお聞きしていると、実態としては問題があるということでございますので、 実態把握をした上で必要なことをやっていくということが必要だと思いますが、ちょっと犯罪被害に基づくものでございますので、厚生労働省だけでやるといっ てもなかなかできない部分がありますので、やはり犯罪を担当する警察などにご協力いただく中で、どういう形でやっていくかということが必要だと思いますの で、その辺はちょっと協議をさせていただきたいと思いますが。

○山上構成員 本日のテーブルに犯罪被害者等の早期直接支援の充実に必要な施策についての総合的研究という報告書を出させていただきましたが、これはこの 重要なところは、台湾の法務省の保護局に該当するところですが、そこが更生保護事業団と同じように、被害者保護の事業団をあわせて併設して、被害者に対す る支援を加害者に対する支援と同じ程度に取り組む体制をつくったということであります。中央更生保護審査会での被害者の感情調査の例なんかを見てみます と、加害者を30年間お世話してここまで立ち直ったので、被害者に恩赦に同意してくれるかといって訪ねたりしています。被害者は30年放ってあるというよ うな状況があるものですから、ぜひ法務省でもそういう取組をしてほしいと思いますし、また被害者支援団体は非常に財政的に困難な状況でやっているわけです けれども、これを警察庁、法務省の共管ででもこういう被害者保護事業団のようなものをつくっていただければと思って、資料として提出させていただきまし た。

○片桐構成員(警察庁) 今の医療保険が使いづらい場合があるのではないかということなんですけれども、私ども警察として、それは承知をしているかどうか ちょっとわからないんですけれども、ちょっと現場にいろいろ聞いてみたいと思います。加えてうちが所管しているというか、犯給法にある早期援助団体とか、 あと大久保構成員とか小西構成員の方がよくご存知かもしれませんから、皆さんで協力しながらそういったもし実態があるのかどうか、できる範囲で調べてみた いと思います。

○宮澤座長 何かほかにコメントございますか。なければほかの点について、事務局、ご説明いただけますか。

○事務局 特にございません。

○宮澤座長 そうですか。そうしますと。

○事務局 それでちょっとご提案ですけれども、時間も大分遅くなったんですが、できれば16条の居住の安定とそれから17条の雇用の安定につきまして、あ わせてご議論いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○宮澤座長 では、それぞれこの論点についてコメントをいただければと思いますが。その前に事務局から。

○事務局 それでは、まず基本法第16条関係、居住の安定の現状認識と犯罪被害者等の要望に係る施策でございますが、これはお手元の別添1の資料の8ペー ジと9ページにわたっております。居住の安定については8ページ、それから17日のご要望については9ページでございます。
 それから、続きまして基本法第17条関係、雇用の安定の現状認識と犯罪被害者等の要望に係る施策につきましては同じく10ページ、それから17日のご要 望の内容につきましては11ページでございます。

○平田構成員(国土交通省) では時間がございませんので、簡単にご説明させていただきます。
 私どもの資料6の4ページと5ページに公営住宅に関します優先入居ということにつきまして取り組んでいかせていただきますということを書いてございま す。特に制度の概要、5ページをちょっと見ていただきながらご説明をさせていただこうと思っています。
 公営住宅につきましては、公営住宅法に基づいて同居の親族要件、それから経済的に困っている方、入居に当たります収入要件、それから住宅の困窮を本当に 真に住宅を必要とされているという困窮要件、この3つの要件があるわけでございますが、公営住宅につきまして、犯罪被害者の方に同居の親族要件の緩和を行 うということで、いつまでにという先ほど来、いろいろ議論されておりますが、17年度中に実施をしたいと思っています。
 それから、公営住宅への優先入居につきましては、公営住宅の入居者の選考に際しまして、事業主体、これは都道府県とか市町村が主体となりますが、この判 断によりまして、犯罪被害者を優先的に取り扱うこととするということでございますけれども、上記の公営住宅の単身入居の制度化を図ると同時に、私ども国土 交通省の方から事業主体であります公共団体の方に優先的な取扱いをされたいという形で通知を行おうと思っております。ということで私ども対応していきたい と思いますが、課題を申し上げておきます。施策の対象となるべき犯罪被害者の範囲を一体どこまでとらまえていくのか。それから、認定方法についての検討が 必要でございます。と申しますのは、ここの参考の欄に単身入居制度の概要の中でも書いておりますが、現在単身入居でも入居が可能な方というのは、身体障害 者でありますとか、生活保護の被保護者の方、こういった方々が単身入居の制度的に可能になっているわけですが、これらの方は身体障害者手帳とか、生活保護 者の手帳を保持していらっしゃるものですから、こういったところでの確認が可能なんですけれども、こういった認定の方法をどうするのかということを私ども 国土交通省だけでなかなか判断ができませんので、警察庁など関係省と連携をとりながら制度設計を行っていきたいと、こういうことでございます。
 それから、DV、ストーカー被害者、身体医療に係るご要望ということで、幾つか掲げられているところにつきまして、触れさせていただきます。冒頭、内閣 府からご説明がございました。9ページに載っているところでございますが、犯罪被害者は日常生活の中で起こることが多いため、事件を思い出す場所を回避す ることに大きなエネルギーを使っていらっしゃると。被害者が希望したときには、いろいろな速やかな引越しなどの支援を行ってほしいとか、住宅あっせんなど の便宜を図ってほしいというご要望がございました。
 これにつきましては、全国の地方公共団体、地方の住宅供給公社、その他関係団体から構成される協議会というのがございます。この協議会におきまして、全 国の公共賃貸住宅の事業主体が登録をお受けしております入居の募集にかかわります情報でありますとか、相談窓口リストを入居を希望される方がホームページ 上で簡単に見ていただける、見て入手できる公共賃貸住宅インフォメーションというものを整備してございます。これは平成13年10月から運用開始してござ いまして、犯罪被害者の円滑な住みかえにも活用していただけるものと考えております。
 それから、大久保委員の方から資料としてお示しされていたんですが、この犯罪被害者等基本法の施行前の被害者にもこの公営住宅についての適用が何とかで きないだろうかと、こういうお話でございました。公営住宅法の建て方をお話し申し上げましたように、公営住宅というのは真に住宅に困窮する低額所得者に対 して、低廉な家賃で住宅を供給するということでございます。この犯罪被害者の基本法16条の観点から、私どもこの施行前の被害者に対しましても、先ほど申 しましたような関係省、警察庁さんを初めとする関係省とも連携しながら、適切な対応を図るような形で前向きに対応していきたいと考えております。
 それから、さらに大久保委員の方から公営住宅への入居が決定するまでの間、一時宿泊先を公費により確保云々というご報告がございましたが、これは私ども 国土交通省におきましては、住宅以外の施設問題について、ちょっと言及する立場にございませんので、ご了解いただきたいと思います。

○太田構成員(厚生労働省) 16条、17条、一緒でよろしゅうございますか。まず16条でございますが、もう資料がございますのでポイントだけ申し上げ ますけれども、被害直後の緊急の入所としてのとりあえずの衣食住の確保につきまして、児童につきましては児童相談所の中での一時保護と。それから女性につ きましては配偶者からの暴力の防止とか、被害者の保護に関する法律、DV法に基づいて配偶者からの暴力被害者の一時保護等を実施しているところでございま して、引き続きこういう形での救済に努めていきたいということでございます。
 その要望の中でカウンセリングの話とか、あるいはPTSDの話がございまして、カウンセリングを今やっておりますけれども、さらに強化していきたいとい うこと。それからPTSDも研修をやって専門家を増やしたり、あるいは知識のレベルアップの研究等をやっておりますけれども、こういうことを通じまして、 引き続き専門家を増やし対応していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、17条関係でございますけれども、事業主との理解の増進ということでございまして、現在も先ほど母子家庭の母の場合のトライアル雇用とか、あ るいは事業主に対する雇用管理に関する援助等もやっておりますし、またハローワークでもそれぞれの個別、個別の対応の中で犯罪被害者の方々につきまして は、それぞれの状況に応じたきめ細かな就職支援を実施しているところでございます。今後も事業主を対象とした雇用管理研修会で犯罪被害者等の雇用管理に資 するテーマを取り上げるとか、あるいはハローワークの研修でも犯罪被害者等の理解に資するテーマを取り上げて強化をしていきたいというふうに考えておりま す。
 それから、ご要望で職業訓練、能力開発の優先的な取扱いということもいただいておりますけれども、これもハローワークの中できめ細やかな相談をやってい きますので、その中で受講指示というのもありますので、できる限りその中で配慮ができるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、休暇制度でございますけれども、一般的な制度としましては、その労働基準法に基づく年次有給休暇制度がありまして、この使用目的は自由でござ いますので、捜査の協力とか訴訟手続とか治療等のために取得することは可能ではございます。これの制度とは別に特別の休業制度を設けるかどうかにつきまし ては、これはやはり犯罪被害者等を捜査や裁判の中でどう位置づけるか、あるいは犯罪被害者等の権利利益をどのようなものと考えるかという基本的な考え方を 前提としまして、裁判制度のあり方とか、総合的な犯罪被害者援助の観点から検討されるのが適切ではないかというふうに考えているところでございます。

○小西構成員 国交省の方の公営住宅の優先入居につきましては、何人も被害者の方に聞いてみましたけれども、それはいいという一言でした。当事者がそうい うふうにおっしゃる施策はとても珍しいと思います。ぜひこれが実効があるようにやってください。
 それから、インフォメーションがインターネットで引けるということですけれども、恐らく事件直後、あるいはその後しばらくの被害者というのは、そういう ところに積極的にアクセスできませんから、例えば警察と協調されて、警察の方で配られるときに同じようなインフォメーションをもっと積極的に出していただ きたいと思います。パンフレットを一緒に入れるとか、いろいろなことができると思います。
 それから、中期的なシェルターの設立というのが言われておりまして、厚労省の方からは児相と婦相が出ていますけれども、当然ご存じだと思いますけれど も、被害者は子どもだけでもDV被害者だけでも、母子の子どものいる母だけでもありませんので、行けない人がたくさんいるんですね。例えば実際に必要な人 たちをかなり大きな事件になってマスコミが周りを取り囲んでしまっているときの被害者及び家族が家に帰れないとか、あるいはストーカー被害や性犯罪の被害 者が一時的に帰れないことがありますけれども、今そういうときに行くところがなく、ほとんどの方はホテルにとまったり、友達の家に行ったりしています。建 物は私は必要ないと思っているんですけれども、制度として、できたら警察でそういう場所を確保していただいて使えるようなところがあるとよろしいのではな いかというふうに思っています。何々シェルターと麗々しくある必要はありませんけれども、そういうときに自前でホテルを予約して荷物を持っていくのではな くて、適切に泊まれるところが必要ではないかというふうに思っております。

○宮澤座長 何かご質問、あるいはご意見ございますか。
 事務局から何かお話になることはございますか。

○事務局 それでは、ご議論なければ、私の方から第16条及び第17条関係について、この検討会としてのまとめのご意見を申し上げたいというふうに思いま す。
 先ほど内閣府の資料のまず8ページをごらんいただきたいと思うんですが、第16条の一つの論点は、公営住宅への優先入居の関係でございます。これにつき ましては、国交省の方からご説明がありましたとおり、まとめといたしましては、「犯罪被害者等が事件現場になった自宅に住めないなどの事情がある場合に は、公営住宅の同居親族要件を緩和し、単身入居を可能とすることや、管理主体の判断で公営住宅への優先入居ができるよう検討し、平成17年度中にも所要の 措置を講ずる」ことということでいかがかと思います。
 それから、次に②の被害直後の緊急入所という論点、中期的な居住環境の整備という論点でございますけれども、これにつきましては、ご説明にもありました とおり、児童相談所及び婦人相談所による一時保護の適正な運用に努めることということについてはまとめとしてよろしいかと思うんですけれども、先ほどのご 説明の中で、この児童相談所、婦人相談所による一時保護の適正な運用に努めること、これで十分かどうかということにつきましては、既に犯罪被害者等の支援 に当たられておられる構成員の方からのご意見もいただいておりますように、現状には問題有りというご意見があろうかと思います。また必要があれば後ほどご 発言いただきたいと思いますけれども、そういった点を踏まえてどうするのかというまとめが必要になろうかと思っております。
 それから、第17条の関係でございますが、これは内閣府の資料10ページをごらんください。2つの論点がありまして、1つは事業主等の理解の増進という ことでございます。これは厚生労働省からのご説明、資料のとおり幾つかまとめるべき内容があろうかと思いますが、1つは母子家庭の母等に対するトライアル 雇用事業の適正な運用に努める。2つには雇用、能力開発機構都道府県センターにおける事業主に対する相談援助の適正な運用に努める。3つには、雇用能力開 発機構都道府県センターにおける事業主を対象とした雇用管理講習会において、犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマについて取り上げる。4つには、公共職 業安定所における求職者に対するきめ細かな就職支援の適正な実施に努める。5つには、公共職業安定所職員に対する研修において犯罪被害者等への理解に資す るテーマを取り上げるということでよろしいのではないかと思うのですが、当然のこと、いわずもがなかもしれませんけれども、それに加えまして、以上申し上 げたような各施策につきましては、犯罪被害者等に対する十分な理解に基づくものであることということをつけ加えればどうかというふうに考えます。
 それから、10ページの2つ目の論点、被害者家族のための休暇制度の導入でございますけれども、先ほど厚労省の方からのご説明では、現行施策、現在の年 次有給休暇を取得することによって対応が可能というふうに受けとめることができるのですけれども、これにつきましても他の構成員からのご指摘の中で、やは り別の休暇制度が必要だというご指摘がございますので、必要であればまたご意見をお聞かせいただきたいと思いますが、それに基づくまだまとめが必要かと思 います。

○岡村構成員 17条関係ですけれども、職場を探してもらう制度、これができないでしょうか。というのは、私たちの会員にガソリンをかけられて全身丸焼け になった女性がおられます。この方は強度のPTSDということですが、PTSDを治すには職業を探してあげることだということを私はお医者さんから言われ たんです。それは職業に就かない限り、PTSDからは解放されない、こう言われたんですが、なかなか適当な仕事がないんですね。若いお嬢さんですけれど も。そういうふうなところで、例えばパソコンを教えるとか、何かしたりして職業訓練をし、就職させるような方策をとっていただけたらと思います。

○太田構成員(厚生労働省) 制度的というよりも、むしろ個別、個別のご相談の中だと思いますけれども、ハローワークで個別、個別のご相談をさせていただ いて、訓練が必要ならば訓練を受けていただき、職業紹介、仕事を探して、仕事紹介して仕事に就いていただくと、そういうことを最大限努力させていただきた いと思っています。

○宮澤座長 今の問題について休暇制度、あるいは一時保護、支援に携わっていらっしゃっていろいろ経験がある方のご意見がもしあれば。あり過ぎますが。

○中島構成員 休暇制度のことで前向きにどうするという討議がなかったので、1点だけ付け加えさせていただきます。年休をとるとしても、裁判に行ったり、 医療にかかったりすれば年休などというものはあっという間になくなってしまいますから、現状で済むというわけではなくて、検討していただくという点をはっ きり認識していただけたらと思います。ただその点だけです。

○太田構成員(厚生労働省) 私も休暇制度が必要ないということを申し上げたのではなくて、労働基準法の年休とはまた別の制度が必要ではないかというこ と。その制度を考えますと、やはり犯罪被害者も権利利益なり犯罪被害者の救済をどうするかと、あるいは裁判所のあり方とか、犯罪被害者援助の観点から検討 すべきではないかということで、いわゆる一般の労働者保護の観点とはちょっと違うのかなと。犯罪被害者保護という観点から検討すべきではないかということ を申し上げたんです。

○宮澤座長 一時保護の施設等に関する点で何かご意見ありますか。なければそろそろ終局へ進んでいきたいと思うんですが。

○大久保構成員 一時保護のことで、住居の方は本当に国土交通省さんのご努力によって大変ありがたく思っております。一時入居したときのとりあえずの衣食 住あたりですね。それは厚生労働省さんとしてもほかのところで考えるというようなお話がございましたが、実は私が出させていただきました資料9の3、4枚 目に、杉並区では、犯罪被害者等支援条例の制定に向けてということで、専門委員会が開かれまして、その中では、被害直後には何らかの区役所の職員、あるい はホームヘルパーさんのような方たちがとりあえずは駆けつけて身の周りの世話をするというところも討論されまして、多分それも有効に動き出すのではないか と思っておりますので、またその点もご参考にしていただければと思います。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。何かご発言、ご疑問がございますか。

○小西構成員 ちょっと次回のことでお願いしたいことがあるのですが。
 恐らく次回は、心理的支援、あるいは医学的な支援ということが話題になってくると思いますけれども、多分疾病面としてはPTSDないし外傷性ストレス障 害が中心になってくると思われます。これに対応する部局は、厚労省の社会援護局の障害保険福祉部精神保健福祉課だと思うんですね。多分そこにかかわること が大変多くなると思いますので、一緒に来ていただいた方が話がわかるのではないかなと思います。私の方からも提案を早く提出させていただきたいと思います ので、お話し合いがそれでできたらと思います。

○宮澤座長 今の点よろしゅうございますか。

○太田構成員(厚生労働省) 専門家をちゃんと出したいと思いますので。精神保健福祉課長なり、専門家で対応したいと思います。

○事務局 それでは、先ほど16条と17条の論点の関係でペンディングにしておりました2点について確認、ご意見を申し上げたいと思うんですけれども、一 つは第16条の2つ目の論点でございまして、犯罪被害者等の被害直後に緊急入所して、とりあえず衣食住の確保や介護を受けられる場所及び生活の立て直しを 図るための中期的な居住環境の整備という論点でございますけれども、一つは児童相談所及び婦人相談所による一時保護の適正な運用に努めること。それからも う一つは現状につきまして、必要な調査を行いまして、そして必要な措置について検討し、得られた結論を実施に移すというような形でいかがかと思います。な お、期間については原則的な考え方として、特に大きな法改正とか、大きな財源の確保の問題等なければ1年以内に結論を得るということでいかがかというご提 言を申し上げたいと思います。
 それから、第17条の関係の休暇制度の問題でございますけれども、これにつきましても先ほどご意見がありました、そのことを踏まえまして、これについて も必要な調査、休暇制度の問題について必要な調査を行った上で休暇の円滑な取得のためのさらなる施策が必要なのかどうか、そういったことを検討し、その結 論に基づいて実施に移していくということでいかがかというふうに思います。なお、これにつきましても大きな法改正、あるいは財源の問題がなければ1年以内 に結論を得るということでいかがかと思います。

○宮澤座長 ご意見がございましたらどうぞ。
 それでは、何か補足的なご議論が事務局の方からおありでしたらどうぞ。

○事務局 それでは、1点申し上げたいと思います。内閣府の資料でもお示ししておりますように、今月の17日に行いましたヒアリングで出されましたご要 望、幾つかあるんですけれども、これらについては、ちょっとヒアリングの日から今日までの時間的な問題もありまして、各省庁で検討を事前に十分する余裕が なかったということでございます。したがって、本日の議論の対象とならなかったというものもございます。これらにつきましては、改めて今後の検討会の中で 適切な時期に取り上げていただきたいというふうに考えております。また各省庁におかれましてはよろしくお願いいたしたいと思います。

○宮澤座長 本当に大幅に時間を超過いたしまして、もうこれは厳罰ものだなというふうに私自身反省しております。
 それでは、この第2回の検討会を閉会する前に、大臣から一言いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○村田大臣 時間が遅くなりましたから、本当にただ私が申し上げたいのは、ここまでご協力ありがとうございましたの一言でございます。
 役所の皆さん方には、私が法案を読んだときに、これはもう相当なことを書いてあるなと、やはり役所側は覚悟してかからなければいけないなというふうに 思った次第なんで、今日もちょっと聞いたんですが、今までのいろいろな枠組み、システムをちょっと縄延びしてという考え方ではなくて、もう一度原点に立っ てやはり考えなければいけないということがあるのではないかなと。延長線でどうも考えているような発言が結構多かったから、そういう意味では、もう一度こ の法律を逐一読んでみると、かなり厳しいことが書いてございますから、それを覚悟で、もう一度、要するにこれからの計画づくりに当たっての各役所の心構え というものをつけていかなければいけないのではないかなと私が思っているということをお伝え申し上げたいと思います。
 それから、あとはとにかく時間が大変、恐らく毎回そうなると思うんですが、今日から5回目までは割合関連することがあるものですから、出たり入ったりす る必要がないかと思うんですが、皆さん方に関連する5回の会議で、あと4回ですが、ひとつ皆さん方にご協力を引き続きよろしくお願いいたしたいと思いま す。ありがとうございました。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。
 本日ご議論いただきました結果につきましては、事務局において骨子案(2)としてまとめ、次回の検討会までに構成員の皆様にお示しすることとしておりま す。次回の検討会は既にご案内申し上げておりますように、6月6日、月曜日、午後2時から午後4時30分までということで内閣府の3階特別会議室において 開催することとしております。どうぞ今日のご経験も踏まえて論点について端的に質疑をお願いしたいと。つたない司会者が言うべき言葉かどうかわかりません けれども、皆さんにお願いする次第であります。本当にありがとうございました。




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