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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等基本計画検討会(第1回)議事録


(開催要領)

日時:平成17年4月28日(木)15時05分~17時03分
場所:総理大臣官邸4階大会議室
出席者:
  座長宮澤 浩一慶応義塾大学名誉教授
  座長代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
  構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
  同大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
  同岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
  同久保 潔元読売新聞本社論説副委員長
  同小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
  同中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
  同山田 勝利弁護士
  同加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  同片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
  同荒木 慶司総務省大臣官房総括審議官
  同河村 博法務省大臣官房審議官
  同太田 俊明厚生労働省政策統括官(労働担当)
  同平田 憲一郎国土交通省総合政策局次長

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。


(議事次第)

 1. 開会(犯罪被害者等施策推進室長)

 2. 村田大臣あいさつ

 3. 宮澤座長あいさつ

 4. 検討会運営細則について

 5.骨子案の検討について(1)
  ・ 施策の現状及び犯罪被害者等からの要望に関する説明
  ・ 基本方針について
  ・ 重点課題について
  ・ 計画期間について

 6.検討会における今後の検討スケジュールについて

 7.自由討議

 8.閉会

<附属資料> ※資料のリストが別ウィンドウで開きます。




○事務局(加地内閣府犯罪被害者等施策推進室長) ただいまから第1回犯罪被害者等基本計画検討会を開催いたします。私は、内閣府の犯罪被害者等施策推進室長の加地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ご承知のように、先ほど開催されました犯罪被害者等施策推進会議におきまして「犯罪被害者等基本計画検討会の開催について」が会長決定されましたが、この検討会は会長決定に基づきまして、内閣府の犯罪被害者等施策を担当する村田国務大臣によって招集され、開催されるものでございます。
 ここで、村田大臣から一言ごあいさつをいただきたいと思います。

○村田大臣 犯罪被害者等施策を担当する国務大臣の村田吉隆でございます。
本日は、皆様、大変ご多忙中のところ、また、第1回犯罪被害者等施策推進会議に引き続きご協力をいただきまして、ありがとうございます。犯罪被害者等基本計画検討会を開催するに当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 昨年12月、国会におきまして犯罪被害者等基本法が成立し、今年4月1日に施行されました。今後、犯罪被害者等施策推進会議において犯罪被害者等基本計画案の作成、その他犯罪被害者のための施策に関する重要事項の審議、実施の推進、検証、評価、監視を行うこととされておりますが、まずは犯罪被害者等基本計画の案を作成することが最優先の課題でございます。犯罪被害者等基本計画検討会では、推進会議での基本計画の案の作成に資するため、多数の論点について、専門的な立場から多角的に調査・検討していくことになるわけでございます。
 言うまでもなく、検討会の役割は非常に重要となりますけれども、ここにお集まりの方々はそれぞれの分野の第一人者でございますので、そのご見識を遺憾なく発揮されまして、犯罪被害者等の方々のニーズを適切に反映した基本計画が一日も早く策定できるよう、ご協力をお願いいたしたいと思います。私も基本計画の策定に全力で取り組んでまいる所存であり、本検討会が十分な成果を上げられることを切に願い、私のあいさつとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。続きまして、先ほど犯罪被害者等施策推進会議で会長から犯罪被害者等基本計画検討会の座長に指名されました宮澤様から、一言ご挨拶をいただきたいと思います。

○宮澤座長 宮澤です。先ほど少し申し上げたことをいささか詳しく申しますと、メンデルソーン氏の「被害者学」という紹介論文が昭和33年、犯罪学雑誌に中田修助教授の手でなされました。それは2年前の1956年に公刊された論文であります。吉益先生のところに送られてきて、吉益先生が中田さんに、これを紹介するようにと指示なさったと聞いております。これは犯罪に関する学問等々の中で、恐らく日本で最初のこういう出来事だったのではないか。つまり、オリジナルが発表されてたった2年の後に日本人に日本語で紹介されるなどということは、本当に珍しいことなのであります。
 その次の年にシンポジアムといって、先ほどお話しいたしました吉益先生とか古畑先生、それから近喰さん─後に広瀬さんという名字になられましたが、この近喰さんが女性犯罪の研究をやっておられて、そういうデータ、つまり日本のデータに基づいて被害者の問題を論じられました。それから警察庁から、ちょっとお名前は失念してしまいましたが、まだお元気でいらっしゃる方、刑事局に属しておられたと思いますが、日本の警察統計を処理して、被害者の問題をそこで議論されました。
 それから数年して、先ほども申しましたように、法務総合研究所あるいは科学警察研究所、あるいは家庭裁判所調査官研修所、そういうところで、自分たちが扱ったデータに基づいて日本の被害者学に関する基礎的な論文が非常に多く出ました。今でも覚えているのですが、大井町周辺がまだ焼け跡の頃に、そういう傷害罪とか恐喝罪というような事件について、被害者側にどういう問題があるのかといった非常におもしろい調査・研究が科警研の報告に出たりしておりました。そういうものをこつこつ集めまして「日本の被害者学」という講演をドイツでやらせてもらったのが1969年のことであります。
 それまでは、本当に日本はよくやっていました。だけれども、研究費が安過ぎるわけなんですね。本当に安いのです。私の知り合いの我々より若いドイツの学者が、自分1人でアシスタントを使ってやったのですけれども、東西ドイツの統合の後の混乱の犯罪学的研究というのに「2億円もらったよ」とにこにこしていました。そういった状況でありましたので、先ほど言いましたように、60年代に入るころまでは日本の被害者学は非常によかったのだけれども、その後とてもおかしくなってしまったというようなことがあります。
 いずれにしても、日本の実務家は、被害者に関する研究を当初から非常によくやってくれていたのであります。それに理屈をくっつけたのが私でありましたが、先ほど言いましたように、主として刑事訴訟法をやっている仲間たちからは本当にばか呼ばわり、もしくは「体制べったり型」といったようなレッテルを大分張られまして、それでもこつこつ説得して、若い同僚たちに被害者の問題の大切さといったものを説いてきました。
 それから、先ほど第1回推進会議にて大久保委員のご発言がありましたけれども、犯罪被害者等給付金制度の発足10周年のシンポジアムで、遺族の立場から、精神心理的なケアを制度化してほしいという発言があり、そのときに、果たして被害者にどういうニーズがあるのかということになりまして、そのニーズを調査しようではないかといったことから、警察庁の外郭団体である犯罪被害救援基金からお金をいただいて、2年間かけて実態調査をやりました。
 エピソードとしては、「250万円もらったんだ」とドイツで言いましたら「1人かい?」と言われたものですから、「26人です」とは言いにくくて「まあ、そんなようなものだ」ということで押し通してしまいましたけれども、そういうようなことで、とにかく被害者の支援の必要性を調査し、それに基づいて6カ月、警察の被害者支援に関する小委員会で被害者政策について提案をし、その提案に基づいて1996年でしたか、警察庁、そして都道府県警察に被害者支援のためのシステムができたわけです。
 こういうことをずっと経験してきたものですから、基本法ができ、その基本法に本当に必要な事項が大体網羅され、その網羅されたものが単なる形容詞ではなく、これから名詞に変わろうとしているわけなので、そういうものを見て生きていてよかったなと思ったり、最後のご奉公として、できるだけ被害者に役立つような細かい政策についての提言を皆さんのお知恵を拝借しながらまとめていきたいなと、そういう意味で、交通整理の役をいたしますので、どうぞご協力を賜りたいと思います。どうもありがとうございました。

○事務局 ありがとうございました。それでは、ここから宮澤座長に司会を引き継ぎたいと思います。宮澤座長、よろしくお願いいたします。

○宮澤座長 では、お手元の議事次第に従ってまいります。最初に、犯罪被害者等基本計画検討会運営細則についての審議に入りたいと思います。どうぞこの点につきまして、事務局で作成した案等々についてご説明願いたいと思います。

○事務局 それでは、お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。本運営細則でございますけれども、先ほどの推進会議で決められました「犯罪被害者等基本計画検討会の開催について」で決められました事項をさらに補足する議事運営上の事項を、犯罪被害者等施策担当大臣が定めるものでございます。それでは、要点のみご説明させていただきたいと思います。
 第1項でございますが、座長の代理を座長の指名によりあらかじめ決めることとするものでございます。
 第2項及び第3項でございますが、関係行政機関の職員たる構成員につきましては、当該行政機関の事務に関する知見に着目して任命されているため、代理の者の出席を認めることといたします。有識者につきましては、その方の有する知見等に着目した任命となっておりますので、代理の者の出席は認められない一方、欠席される場合には、書面その他の方法による意見提出ができるとするものでございます。
 第4項でございますけれども、議事に関するものでございまして、有識者委員の過半数が出席しなければ会を開くことができないとするものでございます。
 第5項、第6項は議事要旨、議事録に関するものでございますけれども、推進会議に準じて作成、公表することとするものでございます。

○宮澤座長 ただいまご説明をいただきましたが、何かご質問はないでしょうか。とにかくこういう手続をきちっと定めるというのが我々法律家の性格でございますので、法律家以外の構成員には、あるいは退屈な議論が出てくるかもしれませんけれども、ぜひ最初にこの運営について、こういう点はどうだろうかといったご意見等ございましたらご発言お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山田構成員 5項、6項に関係して、5項は「速やかに」ですから、これは顕名ではないのだろうと思いますけれども、6項の方は、検討会に諮った上で公表するとなると、これは一応顕名と考えておいた方がよろしいでしょうか。

○事務局 ご指摘のとおりでございます。議事録につきましては、行政機関の情報公開の観点から作成・公表されるものでございまして、おっしゃるとおり、発言者の氏名も含めて公表することを考えておるものでございます。なお、議事録の公表に際しましては、その規定にありますように、検討会にお諮りをし、これを公表する時期あるいは内容について検討会にお諮りした上で公表することを考えておるところでございます。

○山田構成員 もう一点。日弁連からまいっているものですから、ちょっとお尋ねするのですが、名前をあらわしての公表が後になるとなりますと、例えば、私が今日、日弁連に帰りまして、いろいろ質問を受けたりすることがあるんですね。そのときに、この会議の様子について相応の報告をしなくてはならない。そのときに、私のメモにある「どなたがこういうご意見でした」といったことはどうするのかなとさっきから悩んでいるのですが、その点はいかがしたらよろしいでしょうか。

○事務局 規定を今までご説明いたしましたとおり、これは議事要旨あるいは議事録という形で公表するということでございまして、その会議の内容がどうであったかということについて、外部に伝わることを一般的に規制をする考えはございません。ただ、その中で出てまいります個人情報でありますとか、あるいは一部だけが伝わって全体の議論に誤解を生じるといった懸念もございますので、その取扱いについては慎重にお願いしたいと考えております。

○井上構成員 その点は、日弁連の推薦というのは事実上のものであり、我々は個人の資格でここに出ているわけですので、メモをとって「こういう様子であった」と人に伝えるときは、それぞれ自己の責任においてやるべきことだと思います。今、ご注意あった点も含めて、自分の責任で、慎重におやりになればよろしいのではないかと思います。

○山田構成員 趣旨はよくわかりました。

○井上構成員 ついでで申しわけないのですが、検討会に諮るというのは、内容の確定について諮るということですか。

○事務局 内容につきましてもそうでございますし、公表の時期についてもございますし、内容の中には、今のご指摘のように、非公開にする部分についても。

○村田大臣 確認ですが、個人情報保護の観点は情報公開とぶつかるところがあるのだけれども、この問題は、名前を出したら嫌な人がいるでしょう。名前が書かれてしまったら困るというような具体的な。個人情報と情報公開とどういうぶつかり合いがありますか。

○事務局 まさに、第6項の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条各号に掲げる情報のいずれかを含む場合」に、今、ご指摘のような特定個人に関する情報も入っております。

○村田大臣 もう一度確認なのですが、それは今、構成員の皆さん方からご質問があったように、口頭で報告する場合、個人の責任でと言うけれども、そこはやはり何か基準が要るような感じが私はするので、そこは明確にした方がよろしいのではないか。

○大久保構成員 被害者支援都民センターでは、実際の支援の現場から、ぜひここを入れてほしいという話も多分出てくると思うのですね。そのときに、具体的な事例をお話しした方が皆さんにはわかっていただきやすいと思うのですが、それがそのまま載るとなりますと、やはり守秘義務などもあって問題になると思いますので、そこは個人的なものは載せない等の取り決めをしておいていただいた方がありがたいと思います。

○事務局 わかりました。情報公開法の第5条に、原則開示をするけれども、次のいずれかが記録されている場合は除くということで6つ規定がございます。その中に「個人に関する情報」ということで、「それを公にすることによって個人の権利・利益を害するおそれがあるもの」とございます。議事録の公表に当たっては、情報公開法の精神に照らしながら、公表する内容や時期について、この検討会で検討していただいて、判断していただく、そういう規定として考えております。したがって、最終的に議事録として公表する場合には、そういったご懸念がある点は非公開といった形でお決めいただいて、それは載せないことになります。
 したがって、会議の内容をいろいろお話しになる場合にも、そういう点について十分ご留意していただきたいという趣旨で、先ほど申し上げたわけでございます。

○井上構成員 文章になるときに今のような確認をするということですが、先ほど村田大臣がおっしゃったように、前もって話すときには、「この点は特にご留意ください」というようにご注意いただいて、みんなそういうことはわかっていると思うのですが、本当にご懸念があるときには、特に注意していただければ。

○宮澤座長 今の点について、2つ申し上げていいですか。1つは、事前に確認をというのは、例えば、「こういうものをつくりましたけれども、字句について修正のご希望のある方は……」といって来る、そういう形ですね。

○事務局 そういうご確認も当然、構成員の皆様には事前にしていただくことを考えております。

○宮澤座長 もう一点は、大久保構成員に伺いたいのですが、私どもにそういうケースをご紹介になるのに、例えば場面設定を変えたりして紹介すると客観性がなくなるから、とにかくそういうものを紹介するときには、できるだけ事実、例えば相談者から電話があったまま「こういう事件です」ということで、できるだけ正確に伝えた方がいいとお考えでしょうか。

○大久保構成員 いえ、それは場合によりけりでして、何人かの事例をリンクさせてお伝えする場合もあれば個人的に少し内容を変えてお話しするような場合もありまして、その時々で違うと思います。

○宮澤座長 いずれにしても、公表するときに、大久保構成員がそれをお読みになって、ちょっとまずいなと思われるようなことがあったら、それはチェックするということになりますね。

○大久保構成員 特に被害者の場合は共通する問題が多いものですから、その方のことを言っていなくても、読んだ方が「あ、自分のことを言っている」と誤解して受け取られる場合もあります。そういうことも極力避けたいと思っています。

○山上構成員 大きな事件ですと、個人の名前を伏せても、みんなが「あ、あの事件」とわかる部分もあるものですから、やはりそういうケースについての公表は、口頭でも、原則として非常に慎重にということを確認しておいた方がいいのではないかと思います。

○小西構成員 今のでよろしいと思いますが、実際には、やはり個々のケースあるいは有名になった事件のケースについて話さないとわからないこともあるのですよね。そこのところを全部省いてしまっては、特にここの会議でビビッドな議論もできないと思いますので、全員がその辺をよく理解するというところで柔軟に進めていただきたいと思います。
 基本的に、電話相談というのは了解がとれていませんので、あまり使わない方がよろしいかと私は思っております。むしろ基本的に話してよいとおっしゃった方のものを混ぜるという形で話すのがよろしいのではないかと思っています。

○山田構成員 結構です。ここで皆さんで確認し合えばよろしいだろうと思いまして。

○岡村構成員 特に、「公表」というところが問題になりますね。この公表というのは、インターネットで公表されるわけですか。

○事務局 そういう媒体も考えております。

○岡村構成員 そうすると、個人的にメモして持ち帰る場合だけでなくて、インターネットで公表されることの方が、もっと影響があるかもしれませんね。だから、議事要旨は座長がおつくりになることになっておりますけれども、その辺の配慮は必要だと思います。
 確かに、現実の問題をお話ししなければ十分な理解が得られない場合はあると思うんですね。いろいろ創作しても、やはり創作だけではやり切れないところがありますし、せっかくの検討会ですからある程度突っ込んだお話もしたい。それがパッと流れるとなると、これは困りますので、公表する前に見せていただくことができればいいなと思います。

○事務局 まさに今、おっしゃったようなことを考えておりまして、議事要旨につきましても、公表する前に構成員の皆様にチェックしていただくということで、いろいろなご懸念の点がないようにしたいと考えています。今のご心配はないようにさせていただきたいと思っております。

○岡村構成員 検討会の構成員同士は、これはもうこの席でお話ししたことですから、もうみんなわかっておりますけどね、それが外に出るとなりますと、いろいろ問題が起こると思いますので。

○久保構成員 この議事要旨、検討会の終了後、速やかにというのは、記者発表みたいなものを想定しているのですか。

○事務局 議事要旨につきましては、会議後、直ちにというタイミングではなくて、ある程度の正確性とか適切さをきちっとチェックした上でという趣旨で、事前に皆様にお配りし、チェックをしていただく。会議の後は、記者へのブリーフとして会議のご議論の内容についてご説明するということで、この運営細則をお決めいただいた後で座長からご指名いただいたものがブリーフをし、そして議事要旨を作成する。ですから、議事要旨は時間的には少し後になります。

○岡村構成員 そうすると、検討会の構成員もいただけるのは議事要旨だけで、いろいろ入れたのは自分でメモしている以外に印刷物にはならないということですか。

○事務局 今のご指摘は議事録のことかと思いますが。

○岡村構成員 いや、どういう話が出たかということ。議事録ではなくて、何と言えばいいんでしょうかね、メモですよね。

○事務局 それにつきましては、議事要旨の部分を見ていただくときにお渡しするのですが。

○井上構成員 今、ご心配になっているのは、各構成員が手控えとして持っているメモを公表する、あるいは人に伝える、そこのところではないのですか。

○岡村構成員 この会議体としては、発言内容を議事要旨とは別につくることがありますかということ。

○井上構成員 議事録がそれではないのですか。

○岡村構成員 議事録は詳細で、議事要旨は簡単なものですね。

○事務局 そうでございます。最終的に議事録というのは、全体の記録としてまとめて公表する。その前の段階で議事要旨という、ですから、議事録よりは少し概要というような形になろうかとイメージしておりますけれども、それはまた議事録のさらに前の段階で作成し・・・。

○岡村構成員 ヒアリングした結果は詳細な文書にしていただいておりますので、そういうようなもの、この検討会の中でどういう発言がどういうふうに行われたかということもお作りになられるのかなということでお聞きしたんです。

○事務局 それはまさに議事録だと思いますので、それはもちろん作成いたします。

○井上構成員 2つ論点があり、1つは、ここで公式のものとしてつくる議事要旨ないし議事録ですが、これについてはあらかじめ我々も見せていただいて、特に議事録については「この部分を公開するのは適切ではないのではないか」といった話もここでさせていただいて、それから公表するということですから、今、ご心配になっている点は確認できると思います。
 もう一点は先ほどご発言があった点で、個々の構成員が手控えをもとにして外に伝える。そのときに、さっきからのご懸念を前提にすると、ここで大体どういう点について話があって、どういう議論が出たかということはよろしいかと思うのですが、具体例等についてはやはり差し控えた方がいいかなという感じがします。そういう具体例には触れなくても、大体こういう議論が出て、こういうポイントで今、検討が進んでいるのだということで日弁連の方も伝えられるのではないでしょうか。

○山田構成員 私は、もう問題の趣旨はわかりましたので、大丈夫です。

○岡村構成員 もう一つ。2項の構成員の欠席のところで代理人はだめということですが、オブザーバー的に、例えば私が来られないときに他の会員に出てもらうとか、そういうことはよろしいでしょうか。

○事務局 先ほどご説明の中でも申し上げましたように、専門委員の先生方、委員の先生方ももちろんそうなのですが、それぞれがお持ちの知見に着目をしてということでございますので、基本的に代理という形でご出席いただくことはできないというのが、この細則の趣旨でございます。ただ、ご検討をいただいていく中でいろいろな形で、例えばヒアリングという形でそういった関係の方のお話を聞くでありますとか、そういった形での対応はあろうかと思いますけれども、代理という形は、ちょっと趣旨としては……。

○岡村構成員 代理ではなくて、オブザーバーといいますか。代理ではないけれども、事実上、来ていただくということはできませんか。

○宮澤座長 ちょっと理解しにくいのですけれども、代理の場合はだめと言っておいてオブザーバーが発言するということになると。

○岡村構成員 いや、発言ではなくて、私の代わりに聞いている……。

○事務局 今日もお越しのように、この検討会の状況を聞いていただいているというのは、これはもう事実上、ほかの構成員の関係の方もたくさんおられますので、それはもう。

○村田大臣 来ておられるんですか。お付きの人というか、秘書の人というか。来ていないでしょう。

○事務局 いえ、今、いらっしゃるのです。ですから、このように来ていただきまして、どういう議論がなされているかお聞きいただくのは結構ですが、代理という形で検討の中に加わっていただくというのは、趣旨からして、この運営細則の中では考えていないということでございます。

○岡村構成員 そうではないんです。来て、聞いているという。

○井上構成員 今おっしゃったのは、欠席された場合のことですか。

○岡村構成員 欠席している場合ですね。それから、在席している場合も。

○山田構成員 もしオブザーバーが聞かれた場合に、先ほどの個人のプライバシーの問題とか、そういう情報処理の問題が同じように出てくると思いますが、そういう方をきちんと拘束できるのかどうか、その辺の問題が残るような気がします。

○村田大臣 議事録ないし議事要旨というのは会が終わってからどのくらいのタイミングで出せるか、それを説明して差し上げたら、その心配が解決できるかもしれない。

○事務局 速記をしていただいておりますので、この速記を記録にしていただきまして、事務局の方にお持ちいただいて、それをもとに構成員の皆様に見ていただいて、まずは議事要旨という形で公表するということでございまして、大体1週間ないし10日というようなイメージでございます。次に議事録ということになりますと、これはいろいろ、内容的なもの、それからどういったタイミングがよろしいのかといったことも含めて、この検討会の中でご議論いただいて、公表していくことになります。ですから、そこには公表に際してタイミングをはかるいろいろな事情もあろうかと思いますので、そういったものも含めて決めていただくといったことを考えております。

○宮澤座長 さらにご質問がありますか。もしなければ、ここにお示しした案のとおり犯罪被害者等基本計画検討会運営細則を決定いただくことにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。それでは、先ほど事務局から説明のありました中で、まず座長の代理でありますけれども、この検討会のメンバーの中で、山上構成員を座長代理に指名させていただきたいと存じます。どうぞご了承ください。それから、検討会終了後の記者ブリーフィング、それから議事要旨の作成及び公表、これは事務局の責任者である内閣府犯罪被害者等施策推進室長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 続きまして、基本計画の骨子案の検討に移りたいと思います。事務局から説明をしてください。

○事務局 まず、施策の現状、被害者等からの要望についてでございますが、被害者等からの要望に関しましては、先ほど推進会議の中でご説明申し上げましたとおりでございますので、ここでは省略させていただきたいと思います。それから、施策の現状につきましても、既に推進会議の場でお配りいたしました資料のとおりでございますので、この場でのご説明は省略させていただきたいと思います。なお、第2回検討会以降に個別の論点を検討していくこととなりますけれども、施策の詳細につきましては、その際に、それぞれ所管する省庁からご説明いただくことになります。
 次に、骨子案のその1としまして、お手元に資料3をお配りしておりますので、ご覧いただきたいと思います。基本方針、重点課題、計画期間についてでございます。
 第1回の検討会でお示しいたしますのは、基本計画の全体像を把握いたしまして、第2回検討会以降での各論検討の際に重要となります計画の大枠に関する事項でございます。具体的には、基本方針、重点課題、計画期間について事務局の素案をお示しいたしまして、ご議論いただきたいと考えております。
 初めにご留意いただきたい点といたしましては、基本方針、重点課題、計画期間は、今後の議論あるいは検討を行っていく上での便宜を考えまして、仮のものとしてご提示するということでございます。すなわち、今回の検討会で提示させていただきました上で、第2回から第6回までの検討会で重点課題ごとに個別の施策を議論し、検討した後、もう一度重点課題等を議論し、検討することを考えております。これは、当初から基本方針あるいは重点課題の案を念頭に置いて、個別施策の議論や検討を進めていく方がより効果的であろう、また、個々具体の施策を議論・検討していくに当たりまして、各検討会ごとに関連の深いものをまとめて議論・検討することが便宜であるといったことを考えまして、今回、初回の検討会でご提示することとしたものでございますので、ご理解をお願いしたいと思います。
 まず、基本方針についてでございます。基本法は、その総則におきまして、犯罪被害者のためのすべての施策が基本に据え置くべき基本理念でありますとか、あるいは国、地方公共団体、国民それぞれの責務が定められているわけでございます。これから作成してまいります基本計画でございますが、初めてのものとなりますので、特に基本法の第3条から第6条になりますが、基本理念や、国、地方公共団体、国民の責務を全うすることができるように基本計画は定められるべきであるという考えでございます。そのような考え方から、犯罪被害者等のためのすべての施策が基本とするべき方向性とか視点ということで、基本法に定められました基本理念等に基づいた施策を展開していく、そういった旨を規定するものとして基本方針を定めるものでございます。
 基本方針といたしましては、資料3の1ページにありますとおり、4つを掲げております。これらは、基本法第3条第1項から第3項までの基本理念が基本方針として設定するにふさわしい、それと同時に、基本理念に則った施策の策定、実施の責務が規定されていない第6条、これは国民の責務の規定でございますが、この第6条に関する事項につきましても、4点目の基本方針として設定することが妥当ではないかという考え方に基づいて、掲げておるものでございます。
 まず、「(1)犯罪被害者等の個人の尊厳を重んじ、その尊厳にふさわしい処遇を保障すること」、「(2)犯罪被害者等のための施策を、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ずること」、「(3)犯罪被害者等のための施策を、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ずること」、この3つは、それぞれ基本法の第3条(基本理念)の第1項から第3項までに対応するものでございます。それから「(4)国、地方公共団体はもとより、国民全体が犯罪被害者等に対し、理解をし、配慮し、社会全体が協力し合って犯罪被害者等の権利利益の保護に取り組んでいくこと」、これは基本法第6条(国民の責務)に対応するものでございます。これを規定するのは、犯罪被害者等が被害から立ち直り、地域で平穏に生活していくためには、犯罪被害者等に対する様々な支援のみではなくて、国民が犯罪被害者等について正しく認識し、支援の輪が国民の総意を形成しながら社会全体に広がっていくことが大切であるということで、そうした社会形成に関連する必要な施策を講じていく必要があると考えられるからでございます。以上が現段階で事務局からお示しする基本方針の案でございます。
 次に、重点課題でございますが、犯罪被害者等の要望は非常に広範囲に及び、また、極めて多岐にわたるものであることから、政府が横断的かつ集中して取り組むべき課題として設定するものでございます。これらは、各省庁がその一部を担っているという意識のもとで連携、協力し合って横断的に取り組むことが必要かつ効果的である課題と、必ずしも複数省庁にまたがらないけれども、所管省庁を中心に特に集中して取り組むべき課題といったものが考えられると思います。
 広範多岐にわたる犯罪被害者等の抱える問題と、それを踏まえたニーズにつきましては、本年2月に犯罪被害団体等からヒアリングを行ったところでございますけれども、その結果や基本法の第2章、第11条から第23条でございますけれども、この基本的施策を踏まえまして、次の5つを重点課題として設定してみたものでございます。
 なお、各重点課題でございますが、先ほど申し上げましたとおり、個々具体のこれからの施策の議論の便宜のために、今回、提示をさせていただいたものでございます。また、重点課題の分類でございますが、先ほど施策の現状と犯罪被害者等の要望のご説明のときに用いた分類と同じでありますので、ここではそれぞれの重点課題について、該当する基本法上の条を紹介することとさせていただきたいと思います。
 まず、「(1)損害回復・経済的支援への取組」でございますが、これは基本法第12条(損害賠償の請求についての援助等)、第13条(給付金の支給に係る制度の充実等)、第16条(居住の安定)、第17条(雇用の安定)が関係するものでございます。次に、「(2)精神的・身体的被害の回復・防止への取組」についてでございますが、基本法の第14条(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)、第15条(安全の確保)、第19条(保護、捜査、公判等の過程における配慮等)が関係いたします。「(3)刑事手続への関与拡充への取組」でございますが、これは基本法第18条(刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等)が関係いたします。「(4)支援等のための体制整備への取組」でございますが、これは基本法第11条(相談及び情報の提供等)、第21条(調査研究の推進)、第22条(民間の団体に対する援助)が関係いたします。そして「(5)国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」でございますが、これは基本法第20条(国民の理解の増進)が関係いたします。
 最後に、計画期間でございますけれども、本基本計画によって措置されます事項の中には、制度改正等にある程度の時間がかかるものもあると考えられます。その一方で、盛り込まれた措置につきましては速やかに実施に移される必要があると考えられるわけでございます。 また、施策の進捗状況を含めまして、犯罪被害者等を取り巻く環境の変化等、これらを踏まえた適切な見直しあるいは改定を担保する必要もあるということから、事務局としては、計画期間を本基本計画の閣議決定時から平成22年度までの5か年強とすることを考えてございます。

○宮澤座長 大変多岐にわたるご説明だったのでありますけれども、何か確認をしたい、もしくはもう少し説明してほしいということがありましたら、ご遠慮なくご発言ください。

○小西構成員 5つの重点課題の中で、連携、協力し合って省庁が横断的に取り組むことが効果的である課題、それから1つの特定の省庁が集中的に取り組む課題ということで書いてあるのですが、どれがとお考えなのか示していただけますでしょうか。

○事務局 例えば、刑事手続への関与拡充への取組は主に法務省の関係だと思いますが、その他、損害回復・経済的支援ですとか精神的・身体的被害の関係ですとか、支援のための体制整備といったことにつきましては、具体の細かい施策によってそれぞれ違ってくると思いますけれども、関連する省庁が幾つか出てくる施策が多かろうということでございます。今、一つ一つについてはちょっと、時間の関係もございますので。

○小西構成員 先ほど衛藤厚生労働副大臣が、例えば今回の尼崎の事件について、厚生労働省がやるのか国土交通省がやるのかわからないとおっしゃいましたけれども、そういう縦割りこそが、今まで被害者が非常に苦しい目に遭ってきた根本にあるのですね。実際に被害の現場で「どこの省がお金を出してくれるのか決まらないし、命令系統がないからわからない」と言われたままに非常に混乱した状況に置かれて、ケアもできないし、実際に自分たち臨床家が行ってもできないということがたくさんあるのです。刑法犯であろうとそうでなかろうと、被害を受けた人の中にはかなりの率で具合の悪い方が出てくるわけですね。そして補償も必要になる。そういう点では皆さん、横断的に取り組むというのは何の問題もないことですけれども、少なくとも参加される方は、それがどういうことであるのか理解されてお話しいただきたいと思います。先ほど伺っていてちょっとショックを受けましたので、確認していただきたいと思います。

○事務局 まさに今ご指摘のような点、各関係の機関、団体の連携ということも、これからご議論いただく大変重要な論点になってこようかと思います。したがって、まさにそういった問題点を含めて、今後、各具体の施策についてのあるべき姿はどのようなものなのかといったことをいろいろな角度からご指摘いただき、また、ご議論いただければと事務局として考えておるところでございます。

○宮澤座長 今の問題について、詳しくは大久保構成員か山上構成員からお話ししていただいた方がいいかもしれませんが、被害者支援都民センターで扱ったケースで、精神障害で前に起訴猶予か何かになった人によって息子を殺され、それを阻止しようとして妻が重傷を負った。そういう夫に、起訴されるかされないかわからなかったけれども、とにかく被害者支援都民センターは直接支援をしたのです。恐らくそれは、都民センターの持っているお金でやったのではなかったかと思いますが、これから全国どんなところでも起こる問題だろうと思うのですね。 そういったときに、一体全体それは誰が、どういうふうに、どのお金で即座に直接支援をやるのかというようなことは、あるいは議論を煮詰める段階で問題提起されるかもしれませんね。

○山上構成員 犯罪被害にかかわる方には、まず支援をする。省庁で役割が違うのでしたらお金の問題は後で、その中でやってもらえばいいことで、被害者に類するような、同じような体験をされた方を即座に支援するというのは、我々は当然のこととしてやっておりますので、そういう形でされるのがいいのではないかと思います。

○大久保構成員 もう一つ、今回の事故のような場合もそうですけれども、集団で何か被害に遭った場合でも、集団で皆さんが「では、どこかで一斉に」というのではなくて、やはりその被害者の方が「自分はここが一番いい」というところを自分で選んで行けるような、そういう体制を整えることもとても大事なことだと思います。それと、犯罪被害の場合は、直後にきちんとした支援をしますと、その後の回復の程度が違います。ただ、最近よく「心のケア」とか言われますけれども、犯罪被害者が本当に辛くなって「自分は周りの人とすっかり違ってしまった、元の生活を取り戻せない、どうしよう」と思うようになりますには、実は1年から3年かかります。そのあたりのところを十分理解して、縦割りではなくて、どこの時期でも、どの方でもちゃんと今回の基本法の理念のように、網の目のようにちゃんと、被害者の方の日常生活が少しでももとに近づくことができるようなものを、ぜひこの中で皆さんで考えて、構築していっていただければと思います。

○井上構成員 既に他の方がおっしゃられたことなのですが、一つは、「犯罪被害者」として捉える範囲の問題だろうと思います。これは、例えば刑事手続の関係などになりますと、手続的な確実性が要求されますので、あるところで明確な線を引かなければならないと思いますが、ケアの問題というのは必ずしもそれと同じでなくてもよく、幅広にとらえて、問題を抱えた方をできるだけケアできるような体制を考えていく。そういう使い分けというか、問題あるいは事柄の性質に応じて柔軟に考えていく必要があると思います。
 もう一つは、縦割り云々の問題なのですが、実質的にそういう問題に対してどういう対応が適切であるのかを考えて、その適切な対応をするためにどういう省庁が関係してきて、その連携が必要ならばどういう仕組みをつくるのか。多分これは仕組みをつくらないと、「協力しましょう」「お願いします」と言っていても実際には動かないと思います。そういう順序になるのかなという感じがします。これは具体的な方策の検討の中でいろいろな角度から、こういう問題もある、こういう問題もあるというのを出して、それでまとめていくのがよろしいのではないかと思います。

○宮澤座長 既に自由討論に入ったような感じがあるのですが、私、座長として、とにかく今後、被害者によかれという施策を皆さんの経験と知恵を出し合ってつくっていきたい、そういう基本的なスタンスなんですね。
 実を申しますと、こういういろいろな会合で司会の役をしたことがあるのですが、だんだん慣れてまいりまして私の思ったことは、まず最初に議論するみんなが、どういう雰囲気なのか全く知らないでこういうところに参加された方もあるでしょう。だから、そういういろいろなメンバー同士がとにかくいろいろな立場、いろいろな考え方、あるいは問題に対するアプローチ、くせ、そんなものを一番最初にぶちまけ合ったら、お互い同士が留保しないで率直に議論に参加していただけるのではないかと思ったものですから、あまりきちっきちっとしないで、それでお話が進んでいくようにというつもりで先ほどから私……。もうちょっと司会はきちっとしろと思っておられる方が多いかもしれませんけれども。
 そこで、自由討議に入りたいと思いますが、その前に、この被害者の基本的な計画をこれから皆さんで議論するために、私の存じる例を少し話させていただきたいと思います。先ほどもお話が出ましたとおり、去年の12月にできました犯罪被害者等基本法、これは本日お配りいただいた資料の中にもありますように、犯罪被害者等の施策の現状はどうなのか、それから犯罪被害に遭った方々がどういうことを希望しておられるかといったことを今年の1月から3か月、4か月という非常に短い期間の間にこれだけまとめていただいたことは、本当に大変な努力だったと思います。そういう意味で、事務局のご努力に大変敬意を表したいと思っているわけです。そして、この検討会はそれを追認するのではなくて、それを一つのたたき台としまして、基本法に基づいて、犯罪被害者のためにどういう施策が必要であるのか、どういう施策が被害者にとって大事なのかといったようなことを総合的、計画的に進めるための実りある提案、その提案づくりをするのが私たちの役割だと思います。
 先ほどもご案内にありましたように、犯罪被害者等のニーズを踏まえて第3条の基本理念、あるいは第11条以下の基本的施策の論点、これを、言ってみれば議論のスタートラインといたしまして、このスタートラインに沿って、より具体的な施策を、私たちの知識と経験でもってみんなで論じ合いながら求めていこうと思います。そういった場合に、この具体的な施策について何か問題があるとか、あるいはそれは今の法律とは矛盾するとか、あるいは公共の福祉に反するといったような特段の理由があればともかく、そういうものがない限りは、できるだけ理想に合ったようなものを実現しよう、そのためにみんなで力を出し合おうではないかと考えて、今後、大いに活発な議論をしたいと思います。
 それから、言葉が過ぎたら訂正いたしますけれども、このいろいろな重点課題やそういったものは、現在までの日本の被害者が不満に思っているところ、あるいは「こうしてほしい」というものが出てきているわけですね。それから、内閣府にお集まりの各省から選り抜きのすぐれた方々がそれぞれお考えになって、「こうではないか」といったことでできたものなのでありますが、もしかすると、他の国ではこういうおもしろいことをやっているから日本でもやってみたらどうだとか、自分たちが実際にやってみて、こういう解決がもし日本でできたらどんなにいいかというようなこととか、要するに、ここにあるたたき台を最小限の議論の出発点と考えないで、それが最小限かもしれませんけれども、とにかくここにないものでも、被害者のためによかれと思って「こういうものはどうだろうか」というようなアイデアがありましたら、ぜひそういうものも披瀝をしていただいて、それで「どうだろう」と。その議論のときに、「どうせ金が出てこないだろうから、こんなこと議論するのはやめておこう」なんて思わないで、被害者にとって何が大事なのか、どうすることが彼らを立ち直らせ、社会生活が普通の市民と同じようになるためにはどういう工夫が考えられるだろうかということを、本当に腹蔵なく議論していただきたいと思うわけであります。
 ある意味では我々は、大久保構成員を除いては被害経験がないわけで、そういう意味ではちょっと……(「岡村構成員が」の声あり)すみません、大変な方がいらっしゃるのを忘れていました。そういうことで、本当に気の毒な被害者あるいは被害者の遺族、こういう人たちにできるだけ理想的なものが実現できる、あとは政治とか行政が決めることでありますから、そのもとづくりになる我々の議論においては、ぜひいろいろなアイデアをお出しいただきたいと考えます。そういう意味で、司会としては、時々「司会はもう少し黙ってりゃいいのに」なんていうようなことがあるかもしれませんが、こういう点はどうだろう、こういう点はどうだろうと、皆さんが遠慮しておられると思ったときには私が挑発的なことを言うかもしれませんけれども、ぜひお許しいただきたいと思います。
 これが私のスタンスでありますが、いかがでしょうか。何か皆さんのご意見について伺う前に、今後のスケジュールをやっておかないといけませんよね。

○事務局 それでは、事務局から今後の検討スケジュールをご説明したいと思います。資料4でございます。
 資料にお示しいたしましたように、第2回検討会以降、それぞれの重点課題について個別に検討してまいります。そのペースにつきましては、8月の第1週をめどに骨子案をまとめるということから逆算いたしますと、大体月に1、2回程度検討会を開催していく、そういうスケジュール案でございます。
 その後、資料4には示しておりませんけれども、先ほどの推進会議で決定されましたとおり、検討会で骨子案をまとめた後、翌週ごろに予定しております第2回の犯罪被害者等施策推進会議におきまして骨子案を決定していただき、その後、おおむね1か月程度、国民あるいは被害者の団体、さらには民間被害者援助団体等から骨子案に対する意見の聴取あるいは意見交換を行うことを想定いたしております。その後、骨子案を具体的な計画の案文にするために引き続き検討会を開催いたしまして、検討・協議していただき、年内には基本計画案を取りまとめ、閣議決定をする、そういった段取りになるわけでございます。
 さて、検討会における夏までの具体的なスケジュールでございますが、第2回の検討会を来月23日に開催する予定でございまして、「損害回復・経済的支援への取組」に係る個々の施策について検討してまいります。対象となる条文でございますけれども、基本法第12、13、16、17条となります。
 さらに第3回の検討会でございますけれども、6月6日に開催を予定しております。その際には、前回の論点に関する取りまとめ、すなわち第2回の検討会でご議論をいただいた論点に関する取りまとめの検討をしていただきまして、その後、「精神的・身体的被害の回復防止への取組」に関します個々の施策について検討をしてまいります。その対象となる条文は、基本法の第14、15、19条となります。
 以後、第4回から第7回までの検討会の議題の予定でございますけれども、お手元の資料に記載いたしましたとおりでございます。
 各回の検討会における検討について改めて申し上げますと、まず、その前の回に検討していただきました課題について、検討を踏まえた骨子案の素案を提示させていただきたいと考えておりまして、これについてご議論いただきました上で、構成員の皆様にご了承いただき、その上で、今度はその回に予定している課題について検討を行うことを考えております。ただし、先ほどご説明いたしました骨子案(1)につきましては、説明のときに申しましたように、これからの具体的な施策をご検討いただくに際し、まず全体像をお示しした方がいいだろうということでお示しさせていただきましたので、次回、第2回検討会には骨子案として提示することは考えておりませんで、第5回までの議論を踏まえまして、骨子案として第6回の検討会に提示させていただいて、再びご検討いただくことを考えております。なお、条文につきましては、その視点のとらえ方によりまして複数の重点課題に該当するようなものも出てくると思いますけれども、その点につきましては、今後、適宜調整させていただきたいと考えております。

○宮澤座長 もう既に実質に入った議論がありました中でちょっと事務的なということになるかもしれませんけれども、中断させていただきました。先ほどのような趣旨で、議論の順序といったものにはあまりとらわれずに、それぞれのご専門、それぞれのご経験等に基づいて、この事務局のお考え、あるいはそれに対する質問等を聞いてさらにご意見をお出しいただくというような自由討論を積極的にお願いします。まだ時間的には40分ぐらいあると思いますので。
 貴重なお時間をこの会議のために割いていただいている犯罪被害者等施策担当大臣がせっかくいらっしゃるところでありますので、ぜひ皆さんのいろいろなご意見を。

○河村構成員(法務省) 今、検討会の今後の議論の進め方についてご説明がございましたけれども、その点で、1点ご提案させていただけないかなということがございます。
 この検討会で犯罪被害者等の方々のための施策をご議論していただくに当たりましては、犯罪被害者等の方々のご希望を十分に踏まえる必要があることは当然でございますけれども、その場合に、そのご希望のあらわれ方にはいろいろあるわけでございます。例えば先ほどの基本方針、重点課題とマトリックスのようになったものでまいりますと、ご要望の中身それ自体にいたしましても、非常に具体的なある特定の国における制度をイメージされたものと、むしろそうでもないものといった様々な項目が並んでおるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こういった方々が真に望んでおられるニーズのコアの部分を注意深く見極めていただいた上で、そのご希望を実現するために一体どういう施策を考えていけるのかといった形でのご議論が重要ではなかろうかと思っております。
 具体的に申しますと、これは次回以降の検討テーマではございますけれども、この要望事項として書かれておりますことそれぞれが、一個一個同等の意味合いにおいてと言われますと、どうなのかなと。つまり、附帯私訴制度の導入や損害賠償命令制度の導入など、幾つか並んでおりますけれども、これはある意味、それぞれの国の司法制度のあり方等を踏まえて、確かに外国の法制にあるけれども、具体的な制度の組み方の違いはあるにしましても、結局、刑事手続の成果を利用することによって損害を回復するための制度をきちんと整備してほしいというご要望ではなかろうか。また、こういった意味合いから見ますと、同じ大きな枠の中にありながら、ここでの小項目としては別のところに書かれているご要望の施策が、実質においたら相互にリンクしておるものもございます。また、刑事手続への参加の拡充への取組という中でも、起訴への関与などといった項目と公訴参加制度の導入などにつきましても同様、これは刑事手続に被害者などとして直接関与したいというご希望のあらわれであるように思われまして、そういう意味で、そのニーズのコア、お望みのところの実質には共通するものがあると思われます。
 現実的にそのニーズにどういう形でこたえて施策を講じていくのかということを考えてまいりますと、これらの要望事項をご議論いただくに当たっては、実質が共通すると考えられるものにつきましては一個一個順次に取り上げるというよりも、ある程度、適宜グループ化するなど一体として相互に連関するものを、ニーズを実現する施策の一つの例示という形でご議論いただいた方がいいのかなという気がいたします。

○宮澤座長 先ほどちょっと申しましたとおり、これは、このときはこれしか議論しないという意味ではなくて、議論をするきっかけとしてこのように整理されたものと考えたいと思っておりますし、実は、この項目にない問題があるんですよね。例えば矯正にしても保護にしても、法務省の問題として、被害者のことを考えながら立ち直りのための処遇をしてください、このように言うでしょう。矯正研修所などにその話をしますと、謝りたいのだけれどもどうやって被害者のところにアクセスするんですかという質問が来て、困りましてね。その被害者がもし被害者支援都民センターのテリトリーのところにおられ、そういうケースを我々、持っていたならば、その被害者に意向を打診して、そして「加害者が謝りたいと言っているのだけれども会ってくれないか」ということは都民センターが絡むものならばできるかもしれないと答えたことがあるのですけれども、そういうように、これは全国どこでもと考えながら制度化するときには、やはりそういう問題はどうしたらいいかといったことをどこかで議論しなければなりませんでしょう。
 だとすると、例えば矯正がどうなるかとか保護がどうなるかといったときに矯正や保護の関係官が一緒に来てくださるかどうか、そういう話題がいつ出てくるかがわからないと困るでしょうね、そういう意味ではね。

○河村構成員(法務省) その意味で、逆に一回一回それらの項目をすべて終わらせてしまうことが無理な場合はあろうかと思います。事柄によりましては相当大きいテーマもございますので。それと、今、宮澤座長がおっしゃった話は、見ようによりましては、被害者に関する情報の加害者への伝達というのが1つございますけれども、もう一方で、逆に加害者側への被害者側からのアクセス、その情報の結節点をどうやってつくっていくか。実は似たような、情報提供でもありながら、またそれが1つ上の、出所の際の住居等の情報開示とかいろいろございます。1人の被害者の方が被害に遭われてから、最後、本当に社会復帰されるまでの間に様々な事象がございますけれども、その切り方が違って別項目になっている点もございますので、その意味で、1回ですべてが終わる、1回ごとにそのテーマを終わらせるというのは難しい部分もございますし、ほかのところに乗っかっているテーマと、実際問題としては非常に関連している事柄も多々あろうかと思います。

○井上構成員 先ほど河村構成員がおっしゃったことと、実質的に同じ意見なのですが、結局、これだけの回数で案をまとめなければならないわけですので、細かな、技術的な話に終始してはだめだと思います。ですから、コアとおっしゃったけれども、結局、実質的に何が必要とされていて、どういう方向で解決していくべきなのか、そういう議論をすべきだと思うのですね。
ここに挙げられているいろいろな制度はその材料であって、しかも、外国でやられているのを勉強しながらということなのでしょうが、外国でやられているのは、そういうものが出てきた社会的バックグラウンドとか、司法制度のあり方とか、それぞれの国の事情を反映したものですので、それにあまりとらわれ過ぎると、必ずしも我が国にふさわしいものになるとは限らないように思うのですね。ですから、実質的に何が必要とされていて、どういう方向でそれに対応して物事を解決していくか、あるいは制度をつくっていくのか、そこをまず押さえるべきだと思います。外国の例を決して軽視するわけではないのですが、大いに参考にはしながらも、しかし、我が国にふさわしい問題解決の仕方というのは何なのか、そのコアをとにかくここで議論するということが今の段階では必要だと思います。そういう意味で、河村構成員のさきほどのご意見には賛成です。

○宮澤座長 実は私が懸念しているのは、それは少数の極端な例かもしれないけれども、「こういう制度があるじゃないか、なぜ日本にそれを取り入れないのか」といった場合に、ちょっと待って、日本は当事者主義なので、職権主義でうまくいっているからといって当事者主義でそれができるのかと、一歩退いて外国のことを考えることが大事だと内心思っていまして、それにしても、あまりそれにとらわれて「日本で採用できるもの」とすぐ結論を出してしまって、それで議論が膨らまないとつまらないなという意味で申し上げたんです。

○井上構成員 そこは私も実質同じ意見ですが、ただ先ほど申したような形で議論しますと、その制度の中に入っているせっかくのいい知恵とかアイデアを全部トータルで拒否してしまうことになってしまうおそれがあります。むしろそういう中身といいますか、アイデアを学び、それをどういう器に盛ってつくっていくべきなのか、そういう議論の仕方の方がいいのではないか、そういう趣旨で申し上げたのです。

○岡村構成員 その点ですけれども、新しい提案をすると「今の日本の司法構造ではできない」とよく言われます。「今の制度を改めてほしい」と言っているのに、今の制度ではできないとよく言われます。それでは、一体いつになったらできるんだということになるんですよ。だから、今の制度がおかしいと言っているのですから、それではどう変えればいいかというところまで議論していただかないと意味がない。例えば、参加についてはその機会を増大しろと基本法はうたっているのですから、後戻りするような議論は意味がありません。どう進めるかということについて議論していただきたいと思うのです。
 それからもう一つ、ちょっとこれ聞き落としたかもしれませんが、第6回に骨子案が出るということですが、これは、それまで議論されたことが6回目にまとめて出るわけですか。

○事務局 いえ、先ほどご説明いたしましたのは、今日お示しした基本方針、重点課題、計画期間の骨子案については、第2回に出すのではなくて、全体の個別の施策の議論が終わる第6回に改めて、個別の施策の議論を踏まえてもう一度大枠についてのご議論をいただいた方がいいだろうということで、第6回にお示しするという意味です。

○岡村構成員 としますと、例えば2回目に議論しまして、議論した結果が、骨子案という格好で出るわけではないわけですね。

○事務局 その点をもう一度ご説明いたしますと、具体的に、第2回目の「損害回復・経済的支援への取組」のご議論を5月23日に行っていただきます。そのときの議論を踏まえて事務局で骨子案という形で整理いたしまして、それを第3回の基本計画検討会、これは6月6日予定でございますが、その際に事前に構成員の皆様にお配りして、それを踏まえて第3回で、第2回にご議論をいただいた「損害回復・経済的支援への取組」の骨子案について、まずご議論いただく。その後に、第3回のご議論のテーマであります「精神的・身体的被害の回復防止への取組」についてのご議論をいただく、こういうイメージでございます。

○岡村構成員 そして、その次回に3回目の……。

○事務局 そうでございます。ですから、もちろん第2回の検討会の前には損害回復・経済的支援への取組の論点を整理いたしましたもの、これも前広にお配りをして、それでご準備いただいて第2回に臨んでいただき、そして、第2回のご議論の結果は終了後、骨子案という形で事務局で取りまとめをして、第3回目。そして順次議論をしていただいて、骨子案にまとめて次回に検討、こういう段取りで考えております。
 ただ、私が「基本方針、重点課題、計画期間については、第2回ではなくて第6回に」と申し上げましたのは、そもそも全体枠については、基本的には具体的施策について全部ご議論いただかないと、その是非についてのご議論もなかなか難しかろう。ただし、最初にお示しして、構成員の皆さんにイメージを持っていただいた上でご議論いただく方がいいだろうという便宜を考えた上でのことでございます。したがって、本日お示しいたしました骨子案につきましては、次回ではなくて第6回に提示をし、再検討していただこうと考えておるところでございます。

○井上構成員 簡単に言えば、総論部分は各論部分を議論した上でもう一度議論しようということなのでしょう。

○事務局 そのとおりです。

○山上構成員 論議の進め方について確認させていただきたいことがあるのですが、それは、国の施策と地方公共団体の施策の問題です。たまたま私と大久保構成員は杉並区の被害者支援の条例の検討に参加していまして、そこで、国にはできない施策、あるいは国よりも地域の方が向いている施策ということでヘルパーの派遣であるとか生活の支援、育児の支援、あるいは住宅の確保、あるいは国にはない制度ですが貸付金とか、そういう案をいろいろ出し合って答申をまとめたところなのですが、ここで論議するのは国の施策ということですか。それとも、地域でできることに関しては総務省とかそういう方がかかわる、そういう形でされることになるのでしょうか。

○事務局 もちろん、犯罪被害者等の方々への施策というものは、国あるいは地方公共団体、あるいは国民それぞれの責務として規定されておりますように、その内容によって、それぞれその役割分担ということもあるでしょうし、また、連携という問題もあるでしょうから、もちろん国の施策に限ってというようなイメージは持っておりません。もちろんトータルとしてどういう対応、あり方がいいのかをご議論いただく、そういう考え方を持っております。

○宮澤座長 大久保構成員、今の点で何かご発言ありますか。

○大久保構成員 その被害者の方がもとの日常生活に一日でも早く戻れるような、そういう施策をたくさん盛り込んでいただきたいと願っています。ただ、こういう論議をしますと、もともとある法律がどうしてもイメージとして大きくなって「それは無理だろう」と考えがちですが、新しいものをつくるわけですから、なければつくればいいと思うんですね。そうでなければ、これだけ変化をしてきた日本の社会の中にきちんと浸透していかないと思いますし、また、次世代に安全で安心な社会を贈るのは今の大人たちがやるべきことです。この基本法をしっかりとしたものにつくり上げることは必ずや次の世代に役立ちますので、みんなで力を合わせてつくっていくことができればと願っています。

○中島構成員 この検討を進めるに当たって、ちょっと検討していただけたらと思うんですけれども、内閣府の方々のご努力で、非常に細かい要望が各団体から吸い上げられているのですが、例えば、私は精神保健ですけれども、その医療の立場から見ると、各団体に所属していない方々、あるいはある年齢のターゲットの方々で意見が吸い上げられない層があるわけですね。例えば、乳幼児の虐待について乳幼児には聞けない。あと、ここで漏れているのは児童虐待の直接の学童であるとか、あと、先ほど小西構成員も言ったように女性の性暴力被害者、ドメスティック・バイオレンスの被害者。そして、実は身体被害者が一番多く訪れるのは、精神保健ではなく身体医療なんですね。救急であるとか、あるいは産婦人科であるとか。そういった声は、まだ今の段階ではここに反映されていないと思うのです。それをいきなりこの場に持ってきて全部議論するのは、とても難しいことではないかと思いますので、もし可能であれば、例えば事前にあるテーマについて各構成員からの意見をいただいて、それを事前に確認した上でまたこの場で議論すると、時間の無駄というのもおかしいですけれども、すぐに深まった議論ができるのではないかという印象を持っているので、各論点について事前に意見を聞いていただくような形があったらよいかなと思っております。
 もう一つ、これはお願いできることかどうかわかりませんが、ここに出ておられない省庁で私が大変出てきてほしいと思っているのは、実は文部科学省なんですね。なぜかといいますと、1つには、被害者に対する啓蒙、啓発というのは学校教育からなされなければいけないと思います。これはさっき「外国の」とは言いましたけれども、欧米ではかなり学校教育を使って予防がされている状況がございます。ですから、それを学校教育に取り入れていただくことと、もう一つは、今、子どもの被害は学校現場で起こることが非常に多いのは皆さんご存じだと思いますし、そのケアに当たるのは、文部科学省が中心となってスクールカウンセラーが出ていますので、非常に被害者支援にかかわっている省である。もう一つの問題は、心のケアに当たるカウンセラーの養成にかかわっているのは、厚生労働省ではなくて文部科学省の方が中心であります。ですから、臨床心理士も含めてカウンセラーに対する施策を盛り込むのだとしたら、ぜひ文科省の方にもご参加いただいた方がいいのではないかと思いますので、どこだかの場面ででもかかわっていただけたらと思っております。

○事務局 2ついただきましたけれども、まず、事前に構成員の皆様のご意見を伺うというのは、私どももそのように考えておりまして、論点を整理したものを前広に送付させていただき、それに対してご意見を承り、限りある回数の中で効率的なご議論をしていただけるようにと考えておりますので、そのようにさせていただきたいと思います。
 それからもう一つの、文部科学省の出席ということでございますが、先ほど推進会議の席でお決めいただいた中に「検討会は、必要に応じ、関係行政機関の職員その他の者の出席を求めることができる。」とございますので、ご議論の中身によって関係省庁の出席を求めて必要なヒアリングをする、あるいは意見交換をすることは十分可能と考えます。

○宮澤座長 そうしますと、例えば何回目にそういう問題が出そうだというときには連絡をして、事前に来ていただく。

○事務局 そうでございます。

○宮澤座長 まだ時間がございますが、ある意味では非常に世論というものを吸い上げられているマスコミ関係の感覚で、何かご意見がありましたら。

○久保構成員 この図を見まして、それから被害者のヒアリングも随分幅広く吸い上げられていて、ここで非常にきれいに整理されている点、ご努力は非常に多とするのですが、私もこれを拝見しながら感じたのは、今、中島構成員がおっしゃったように、世の中の組織とか仕組みというのは、つくるのはいいのですけれども、それは具体的に動かしたり後押ししたりしていく場合には、世の中の意識の改革といいますか、そういうものが大事だろうという感じがしておりまして、それに果たす教育の役割といいますか、そういうことを考えますと、文部科学省もいてしかるべきかなという感じを持っておりました。それは、全く検討の対象にはなっていなかったのでしょうか。

○事務局 もちろん関係のあるところとして、また、ヒアリングの中でも文部科学省に関するご要望も出てまいりましたけれども、推進会議のメンバーは法律で10人以内となっておりまして、その構成の中で、特に関係の深い大臣と有識者の方ということで指定・任命されたものと認識しております。ご指摘のように、必要な意見交換やご議論につきましては、先ほど申し上げましたような枠組みもございますので、そういった中で十分必要なご議論をしていただけるように、また、座長ともお諮りをして進めていただければと思う次第でございます。

○井上構成員 その点、私が関与しました司法制度改革の提案の中でも、法教育の推進というのをうたっていまして、法務省の方でも、そういうことについての検討会を設けて議論を進めてきているはずです。そこだけの問題ではないと思いますけれども、そういうものと連携をとりながら、必要な教育を進めていくことは非常に大事ではないかと思います。
 それと、法律家の教育においても、これまでそういう視点が全く抜けていたと思うのですね。私は今、法科大学院に関係して1年やってきたのですが、法科大学院の学生の間ではこの問題は非常に関心が高く、いろいろな方に来ていただいて、まず話をしていただくことが最初かなと思っています。そういうふうに、なるたけいろいろなところで問題についての理解を広めていくことが必要なのではないかと思います。ですから、第6回の会合などでは、まさにそういう検討を行うのだと思います。単にパンフレットを配ればいいという話ではなくて、やはり時間をかけて忍耐強くやっていかなければ、理解は広まらないのではないかと思っています。

○宮澤座長 山田構成員、何か大所高所から。

○山田構成員 いや、そうではありませんが、先ほど河村構成員がおっしゃった、これだけの項目があって、これをすべて同等にといいますか、話をすると時間もなくなるでしょうし、コアを見つけてと。それと同じテーマで井上構成員がおっしゃったことについては私は賛成なのですが、それにしましても、この議論の仕方としまして、10項目あったり12項目あったり、7項目であったりということもありますけれども、これを120分で割りますと1項目12分ぐらいしかできないという計算になってしまいますよね。さて、これをどうしてやるのかな、宮澤座長の腕の見せ所かなと思ったりしておるのですけれども、どう考えたらよろしいでしょうか。それはどうお考えですか。

○事務局 先ほど申しましたように、本当に多岐にわたる項目についてご議論いただくことになりますので、事前に論点を整理いたしまして、その中には関係省庁の現行施策を踏まえた取組の考え方とか、あるいは先ほど「コアを」ということでしたが、被害者の方々あるいは支援団体の方々からのご意見の、評価という表現が適当なのかどうかわかりませんけれども、まさに「これとこれについては、こういう対応でどうなんだろうか」というようなものも含めた、いわゆる議論をしていただく前提となる論点を整理する資料を前広にお届けしたいと思っております。そして、先ほどご意見いただきましたように、それについてのご意見も事前にいただけるものはいただいておきまして、それをまた必要に応じてフィードバックさせていただいたり、そういった形で限られた時間の中でご議論していただこうと。五十歩百歩かもしれませんが、2時間半を考えております。いずれにしましても、限られた時間で十分なご議論をいただけるように、事前の、会議に臨んでいただく前のいろいろな事務的な段取りといいますか、そういった必要な対応をさせていただくことによって、効率的にご議論いただけるようにという努力はしてまいりたいと思っています。

○山田構成員 その場合、その都度ご予定もおありでしょうし、必ずしも確定的なことはお話しいただけないのかもしれませんけれども、大体どのぐらい前にいただけるのでしょうか。1週間とか10日とか。

○事務局 事務的には、遅くとも1週間前とは考えております。

○大久保構成員 ちょっとお尋ねしたいんですけれども、何かこちら側が希望する資料があれば、それを出していただくことは可能でしょうか。具体的に言いますと、例えば、第1回目に損害回復ですとか経済的支援とありますけれども、日本の国では罰金がどれぐらいあって、具体的にどういうことに使われるとか、刑務所の間の報償金はどれぐらいで、皆さんどんな形でそれを持って出ていくのかというあたりの資料があると、物事を考えるときに大変役立つと思います。例えばそのほかにも、加害者にかかわっている金銭的なものもありますよね。そのあたりの資料も、出していただけるようであればお願いしたいと思います。

○事務局 もちろん、ご指摘のように考えております。ご議論いただく前提として、現在の実態がどうなっているのかという資料、これは不可欠だと思っております。なおお気づきの点があればこれからもどんどんご指摘いただければ、そういう資料ももちろん準備をし、前広にお届けしたいと考えております。

○村田大臣 冒頭に小西構成員からご質問があったのですが、DVとか児童虐待とか、性暴力とか、犯罪被害者等でまだ拾い上げられていないものがあって重点課題に影響するということがあれば、早くお聞きしなければ進んでしまって間に合わなくなってしまうということがありますので、そこはまとめられるものか。いつごろまでにそういう意見を吸い上げることができるだろうか、あるいは特別セッションみたいなものを設けなければいけないのか。早目に取り上げないと重点課題に影響してしまうでしょう。

○小西構成員 そうですね、早目にやらないと。恐らく幾つかのところにかかわってくると思うのです。

○村田大臣 その都度、出てくればいいということですか。

○小西構成員 ただ、基本的に幾つかの団体にヒアリングをなさったように、本来は、やはりそういうものがあるべきだと思うんですね。やはりたくさんの要望を持っていらっしゃいますので。なかなか大きくてしっかりした団体がないのも事実ですけれども、それがこういう被害者の特徴ですよね。ですから、やはり幾つか当たる努力をまずしていただくのと、こちらからも、例えばNPOの情報などはぜひ差し上げたいと思いますけれども、それを早くしていただいて、かつ、例えば実際にそういう方に出会っている専門家も少数ながらいますので、そういう方から汲み上げることも考えていただきたい。もちろんご協力はしますから。

○村田大臣 それでは、具体的にあとどういうケースが足りないとお考えですか。ここでパッと見て。

○小西構成員 中島構成員が触れたところとかなり重なりますが、まず、女性の被害。確かに、DVと虐待というのは虐待防止法、DV防止法の方で扱われてはいるけれども、ここの中に入ってくる部分もあるわけですね。それから、実際障害を負うにしても非常に様々な形があって、この中に拾われていないような人たちもあると思います。そういう意味で言うと、例えばストーカーの被害ですとか、そういうものも拾われていないと思います。今、漏れなく挙げることは難しいので、それも含めて考えさせていただいて、なるべく早くご報告したいと思います。

○村田大臣 もし皆さん方で知恵があれば、私どももまだちょっと不十分かなと思っていますので。

○小西構成員 あと子どもの、亡くなった人の親御さんからのご意見はたくさんあると思いますが、障害を負った子どもとか性犯罪の被害を受けた子どもというのは、なかなかこういう当事者の意見として出てきませんよね。それもかなり大きい。考えてみるとこれもありますね。ぜひ早目に進めていただきたいと思います。

○事務局 今の点につきまして、事務局としても、これからも足りないところはご意見を伺う努力をしていきたいと思います。DVと児童虐待、つい最近また団体ができたようでございまして、そこからもまたお話を伺って、ご議論に反映できるようにしたいと思います。

○小西構成員 DVの方は、法律ができたこともあって、比較的吸い上げは可能だと思います。非常に難しいのは、やはり子どもの当事者の要望と性暴力被害、特に単発の性暴力被害が難しいと思っています。

○事務局 小西構成員にもそういった意見をお聴きいただいて、こちらにも情報をお寄せいただければ、ご議論に反映できるようにさせていただきたいと思います。

○小西構成員 私がやるよりも、むしろできるところをご紹介して、やっていただいた方がいいように思いますので、ご紹介したいと思います。

○山上構成員 課題によっては個々のいろいろな要望と、それから所管の省庁とでなかなか間を詰められないような問題も出てくるかと思います。そこの調定は非常に重要な問題だと思うのですが、場合によってはワーキンググループのような小さなものであるとか、そういうことは考えられないのですか。原則として、事務局が個々に間を連絡して調整というか、そういうことなのでしょうか。調定に関してはどうお考えでしょうか。

○事務局 各関係省庁との必要な連絡ですとかそういったものは、当然私どもでさせていただきたいと思っております。

○山上構成員 例えばコアの部分は個々でとって、しかし、具体的にするのであればこういうのが来るということを、やりとりする時間があるだろうか。それがあればできるものも大分広がるのでしょうけれども、時間的になくて、ぎりぎりできつい判断を迫られる可能性があるかもしれない、そういう感じがするものですから。

○事務局 いろいろなケースがあろうかと思いますけれども、基本的には先ほど来ご説明申し上げたような段取りで、会議の前の作業を事務局として鋭意努力してまいりたいと考えております。

○岡村構成員 先ほどの続きですけれども、やはりこの基本法というのは、被害者に権利が与えられていなかったという反省からスタートしているんですよね。そして、その権利・利益を守るような制度をつくらなければいけない、そして被害者の尊厳と、それにふさわしい権利がなければいけないということになっておりますので、今までの制度がどうだからということよりも、被害者の尊厳を守るためにはどうすればいいかということで前向きに考えていただきたいと思います。今までない裁判員制度というとてつもない制度だってつくってしまったんですから、それに比べれば、附帯私訴とか参加というのはずっと小さいと思います。
 それから、4月21日に最高裁の判決が出ました。最高裁の今までの判決は捜査、裁判は公の秩序維持のためにやるのであって、被害者のためにやるのではないということでずっと来ていたのですが、4月21日の最高裁判決では裁判長の少数意見がありました。犯罪被害者が提出した証拠物が捜査中に処分された、それによる損害賠償の事件ですけれども、少数意見は、「犯罪の被害者は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される人格的権利を有する」、「告訴権も人格的権利の一部をなす」として、基本法の表現がそのまま使用されています。その証拠品は被害者が所有権を放棄して捜査当局に出したものだが、少数意見は、被害者は捜査がきちんと行われるように期待することの利益を持っていると踏み込んでおります。多数意見は今までのとおり、公の秩序維持のためにやるということではねたのですが、少しずつ司法も変わってきている。私どもは、裁判制度、捜査は被害者のためでもなければいけないと言ってきたのですが、それがだんだん変わってきています。
だから、その辺はお考えに入れられて、被害者が何を望み、何を欲しているのか、それを与えるにはどうすればいいかという点を前向きにお考えいただいて、あまり今の制度ばかりに目をとられないようにしていただきたいと思います。

○宮澤座長 そうですね。そろそろ時間が迫ってまいりましたので、閉会する前に、誠に申しわけありませんが、村田大臣から一言お言葉を頂戴したいと思います。

○村田大臣 今、岡村構成員からもご指摘がありましたように、この作業は大変重要な作業だと思います。しかし、被害によって毎日お苦しみの被害者のことを考えると、一刻も早くその作業を形づくらなければいけない、そういう要請もあります。推進会議で定められました12月に基本計画をつくるという時間的制約と、大変意欲的な内容をつくらなければ期待に添えないだろうという要請とで、この数か月というものは、構成員各位に大変ご無理を申し上げるスケジュールになるだろうと思います。事務方も、考えてみれば4月に施行になって、ほとんど5月の今日からスタートで、3か月で骨子をつくるということでございますので、事務方も督励いたしますけれども、なかなか大変な作業で、これはみんなでフル回転しないと予定どおりスケジュールが全うできないかなと思いますので、まずは皆さん方のご協力をあげてお願いを申し上げたいと思います。みんなで力を合わせてやればできないことはないだろうと思います。
 皆さん方がお感じになっているように、大変不完全ながら被害者のための既存の制度もありまして、そういう既存の制度があるがゆえに縦割りになっていた、特に原因者があるような場合には縦割りな制度を形づくってきたところもございますし、新しい制度をつくるというのは、やはり役所との関係でも困難が予想されることだろう、担当大臣としてはそう思っております。しかし、皆さん方のご支援をいただければ、そうした困難を乗り切ることができるのではないかと思いますので、改めて皆さん方にご支援を賜りたいと思います。
 先ほど中島構成員からご指摘のあった文部科学省の件についても事務方が検討すると思いますし、私も、この社会はカウンセラー制度が非常に貧弱だとかねてから思っておりまして、政治的にも、もっと改善しなければいけないという動きもありますが、こういう制度の改善も含めまして、どうかひとつ今後とも皆さん方のお知恵を賜りますよう心からお願いいたしまして、今日の私の皆さん方に対する感謝の言葉とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

○宮澤座長 どうもありがとうございました。先ほども言われましたけれども、次回は5月23日午後2時から開催の予定であります。詳細が決まり次第、事務局からご連絡が参ります。どうぞ今日と同じように活発なご意見、ご討議をお願いしたいと思います。これをもちまして第1回の検討会を終わらせていただきます。ご協力どうもありがとうございました。


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