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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等基本計画検討会(第9回)議事要旨


日時:平成17年10月25日(火)
14時01分~18時29分
場所:合同庁舎4号館4階共用第4特別会議室

議事要旨


       出席者:

座長代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
久保 潔元読売新聞本社論説副委員長
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
山田 勝利弁護士
加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
荒木 慶司総務省大臣官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
塩田 幸雄厚生労働省政策統括官(社会保障担当)
代理出席瀧口 敬二国土交通省総合政策局政策課長
協力者板東 久美子文部科学省大臣官房審議官

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。

※ なお、構成員、協力者、村田大臣及び説明者として発言を求められた者のいずれの発言についても、便宜上、「構成員」と表記した。



(議事次第)

 1.開会

 2.村田大臣あいさつ

 3.基本計画案(1:推進体制及び損害回復・経済的支援等への取組)について

 4.基本計画案の検討について(2)
   ・精神的・身体的被害の回復・防止への取組
   ・刑事手続への関与拡充への取組

 5.その他

 6.閉会


<附属資料>

 資料犯罪被害者等基本計画案(1)関係資料
 資料1内閣府資料[pdf形式]
 資料1ー2 内閣府資料[pdf形式]
 資料1ー3 内閣府資料[pdf形式]
 資料2警察庁資料[pdf形式]
 資料3金融庁資料[pdf形式]
 資料4総務省資料[pdf形式]
 資料5法務省資料[pdf形式]
 資料6文部科学省資料[pdf形式]
 資料7厚生労働省資料[pdf形式]
 資料8国土交通省資料[pdf形式]
 資料9最高裁判所資料[pdf形式]
 資料10大久保構成員資料[pdf形式]
 資料11岡村構成員資料[pdf形式]
 資料12久保構成員資料[pdf形式]
 資料13小西構成員資料[pdf形式]
 資料14中島構成員資料[pdf形式]
 資料15山田構成員資料[pdf形式]

 資料        犯罪被害者等基本計画案試案 その2


 (以上)



(議事内容)

○ 犯罪被害者等施策担当大臣から、犯罪被害者等基本計画検討会第9回会合の開催に当たり、「本日の議題は、推進体制についての前回の議論を皮切りに、経済的な被害の回復や精神的な問題について、これは重要な事項であるので、皆さん方のご検討をよろしくお願いしたい。また、新聞協会からご提言いただいた内容についても、本日、ご協議願いたい」旨の挨拶があった。

○ 第9回犯罪被害者等基本計画検討会の進め方について
 事務局より、第9回検討会では、第8回検討会の検討結果を取りまとめた基本計画案(1)について確認した後、基本計画案の各論部分(すなわち重点課題)に係る具体的施策のうち、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」及び「刑事手続への関与拡充への取組」に関する部分についての基本計画案(2)の検討、また、総論部分でこれらの重点課題に対応する部分についての意見を行う旨説明するとともに、これまでと同様、円滑な議事進行のために、事前に書面として提出されたものについては、口頭での説明を省略することを提案し、構成員了承。

○ 基本計画案(1)について
 基本計画案(1)について、前回検討会での議論を踏まえ基本計画(1)の事務局案を提示している旨説明。なお、前回検討会において議論された事項のうち、総論部分に当たる「目的、基本方針、重点課題(1)」については第11回検討会で提示する予定であり、本日は提示していない旨説明。
 その後、座長代理より行政機関の職員である構成員に対し、補足説明を求め、その後、議論。

(構成員)構成員からの質問に対してお答えする。先回の検討会において、訴状における住所については、お礼参り等の防止のため、被害者の実際の住所を書くことを求めないということをこちらから申し上げたが、では、その後の訴訟手続、執行手続における当事者の表示はどうするのかという趣旨の質問であったと思う。例えば、委任状や判決書、また、民事執行の申立書等についても住所記載が求められていることになっているが、これらの記載についても訴状と同様、厳格に実際の住所を書くことを求めないというように考えている。
 また、では強制執行の場合にどのようにして債務名義の当事者と執行手続の当事者との同一性を確認するのかということであるが、裁判体の判断にもよるが代理人がいるときには代理人から適宜事情聴取するし、また、いない場合にも、例えば訴訟記録に編綴された被害者等の委任状の署名押印と事件記録とにの署名押印を照らし合わせることによって、その者であるかどうか確認できるということで、いずれにせよ相手方である加害者側に被害者の実際の住所がわからない方法で民事上のすべての手続を処理することが可能と考えている。

(構成員)Vの「重点課題に係る具体的施策」4ページで、前回、「むしろ通例であって」ということが随分問題になったが、そこのところが「相当多い」と書いてあるけれども、「相当」を取って「多い」とだけしてほしい。相当多いとか相当少ないというのは比較を表す言葉であるが、「ことが多い」というふうにしてほしい。「通例であって」は、これは取ってもらって結構だ。

(事務局)この部分の表現は、前回の議論でいろいろ意見があったけれども、絶対量においてかなりの程度多いとは言えるという意見の一致はあったと思う。今指摘のように「多い」とするか「相当多い」あるいは「極めて多い」という意見があったが、「多い」ということでは、絶対量においてかなりの程度多いというニュアンスが十分に伝わらないのではないかということで「相当」という案で事務局としてまとめた。もちろん、また議論してもらっても結構である。

(構成員)「相当」がない方が多いイメージがある。国語の先生がいないからわからないけれども。

(事務局)一応調べたところ、「多い」というのは、数や量が豊かであるということで、「相当」というのはかなりの程度であるさまということで、「多い」よりは「相当多い」とした。ただ、「極めて」というと、これは例外がないぐらいということで、これは通例と同じようになってしまうので、こういう案にした。

(構成員)前回、大分やった。「多い」というのを申し上げたのは私で、それにかなり抵抗があったので、もっと程度の高いものをという提案だったと思うが、構成員の方で「多い」の方が抵抗が少ないということなら、それはそれで結構なのではないか。

(構成員)私は読んだときに、やはりこれは、普通よりも多いのだということがわかるには、「相当」が入っていた方がいいと思う。

(構成員)普通では困る、もっと多くないと困る。だからそのためには副詞を取った方が、「多い」一本の方がいいのではないかと思う。このことであまり時間かけたくないが、どうか。

(構成員)国語的には「相当」が入った方がより多いというふうに表現できるということを、今、説明を受けたので、私はあった方がいいと思う。

(構成員)私は、自然に読むと「相当」がある方が自然の多いというふうなことが強調されるのではないかなという、これはニュアンスの問題で、どちらでもよろしいかと思うが。

(構成員)それでは、入れて、「相当」ということでよろしいか。

(構成員)そうしよう。

○ 基本計画案(2)(精神的・身体的被害の回復・防止への取組、刑事手続への関与拡充への取組)に関する説明
 基本計画案(2)に該当する「重点課題に係る具体的施策」について、事務局より、まず、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組(基本法第14、15、19条関係)」について、続いて、「刑事手続への関与拡充への取組(第18条関係)」について議論するとともに、総論部分でこれらの重点課題に該当する部分についても構成員の意見を伺いたい旨提案(なお、総論部分については、第11回検討会において再度議論する)。
 また、議論に当たっては、「事務局案その2-1」が「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」に関する具体的施策を取りまとめたもの、「事務局案その2-2」が「刑事手続への関与拡充への取組」に関する具体的施策を取りまとめたものであり、これらを基に議論してほしい旨説明。

○ 基本計画案(2)のうち「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」に関する具体的施策についての議論
 事務局より、「事務局案その2-1」について、骨子からの変更については赤字で記載しているが、これまでの検討会での議論を踏まえ現状認識を見直しているほか、修辞上の修正と、新規施策の追加をしている旨説明。座長代理より、行政機関の職員である構成員に対して補足説明の有無を求めたところ、概要以下のとおり。

(構成員)差替えで配布した資料について簡単に説明したいと思う。事前に配布していた資料について、説明が不足していたり言葉足らずの点があったので、差替えということで資料を配布した。
 1ページ目で、これは少年被害者の方に関する学校及び児童相談所等の連携の充実のところで、犯罪被害者であることを知られたくない者もいる場合があるということに十分留意すべきであるという指摘があり、このあたり、各種通知・会議等を通じて指導しているということを書いているけれども、少し補足して、通知などにおいても個人情報保護等への配慮、秘密保持の徹底といったようなあたりについて特に通知の中に盛り込んでいるということを説明として追加している。
 2ページ目で、少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実についての指摘があった。この赤で書いているところを追加しているけれども、連絡協議会を設けており、これは教員や児童相談所など関係機関との連携のあり方とか、それから個別事例研究などの研修を行っているということである。指摘の内容については、こういった連絡協議会の場を活用して協議するようにさらにお願いしていきたいということで、そのあたりの説明を追加した。
 それから、構成員からの意見があり、スクールカウンセラーの関係などについては、心のケアということだけにいろいろとどまっているのではないかという話があり、このあたりについても、先ほどの連絡協議会などを通じて様々な機関の連携を行っているということで追加しているし、それから学校全体としていろいろな角度から全体としての取組体制を充実させ、例えば指摘のように、地域のいろいろな資源を十分に活用、生かした形での解決を図っていく、将来に向けての解決を図っていく必要があるのではないかという指摘があるので、学校全体としてスクールカウンセラーだけではなく取り組んでいくという体制のさらなる充実、あるいは外の機関との連携も一層進めていきたいということを書いているということである。

(事務局)補足説明として、基本法第14条の関係で、資料7の17ページ、犯罪被害者団体等からの意見であるが、「脳死臓器移植の是非とは別に、犯罪によって脳死にされたもの、その家族の心情を把握してほしい」という要望があり、その回答の中で、前段の部分だが、これは内閣府が犯罪被害者等の方々の置かれた状況の継続調査、追跡調査をするという施策が21条関係で立っているが、この中で行われることが適切という回答である。内閣府としては、追跡調査については、犯罪被害者等の置かれた状況について基礎的な事項を継続的に調査していこうというものであり、その中で、このご要望にもかかわる事項について聴取できるのかどうか検討したいというふうには考えている。ただ、この要望の「把握してほしい」という中には、脳死臓器移植における家族の方々の心情をより専門的な見地から把握して、それを担当する職員等に反映させるという意味を含んでいるのではないかと考える。したがって、当該専門分野を所掌する厚生労働省として、この要望に対して前向きな施策が可能なのかどうか提示願いたいと思うし、また、構成員の間で議論してほしい。
 次に、関係省庁に補足的に説明願いたい点を申し上げる。基本法第15条の関係で、「事務局案その2-1」の17ページの(2)、犯罪被害者等に関する情報の保護で、ウ、住民基本台帳の閲覧制度のあり方に関する検討会についての項であるが、この中で、住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会の報告書を踏まえて住民基本台帳の閲覧制度等の抜本的見直しを行うというふうにされているが、その進捗状況がどうなっているのかについて説明願いたい。
 2つ目に、同じページのエで、犯罪被害者等に関する情報の保護の関係で、警察による被害者の実名発表、匿名発表についてという項であるが、これについて削除すべきという意見を構成員からいただいている。それから修正のご意見を構成員からいただいている。これらについてどう考えるかということを説明願いたい。
 3つ目は、同じ資料の23ページの(8)で、児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等について、児童虐待を行う親に対する治療が必要だという意見がある。これについてどう考えるかということを説明願いたい。
 同じく児童虐待の関係で、通告義務に関して罰則の必要性を検討すべきという要望があるけれども、これについてどう考えるかということを説明願いたい。
 最後になるが、日本新聞協会から骨子に対して意見書が寄せられたので報告する。これまで構成員には、国民から寄せられた意見そのものを配布しており、それと同様に日本新聞協会からの意見書そのものを事前に配布した。意見書は、警察による被害者の実名発表、匿名発表についての項目を削除してほしいとの内容である。この後の議論では、その点も踏まえて議論願いたい。

(構成員)住民基本台帳の閲覧等について説明する。10月20日に開催された第9回の「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」において報告書が取りまとめられ、総務大臣に提出された。その概要、骨子を申し上げると、住民基本台帳の閲覧制度について、何人でも閲覧できる現行の制度を廃止した上で、国、地方公共団体や公益性の高い場合にのみ閲覧できる制度に再構築をすることにする。また、本人確認等についても厳格化を図ることにする。さらに、選挙人名簿抄本の閲覧制度についても、閲覧できる場合を法令上明確化し、住民基本台帳に準じた手続を整備することとしている。
 今後は、この報告書を踏まえ、住民基本台帳や選挙人名簿の閲覧制度等について抜本的な見直しを行うことにしたいと考えている。このため、次期通常国会に住民基本台帳法及び公職選挙法の改正法案を提出したいと考えている。

(構成員)警察による被害者の実名発表に関する問題であるが、この問題はもう既に議論があり、私の方からも意見を申し上げているところであるので、繰り返しになるが、この項目は被害者団体等からの要望を踏まえながら、また、他方でマスコミによるところの実名発表の要望があるということも考慮して、両者の事情を総合的に勘案した適切な発表となることが適当であると考えられたことから、この項目が置かれていると承知している。また、パブリックコメントを拝見したけれども、全般的には実名発表に対する批判というものが強いというふうに私ども受け取っており、したがって、この項目を削除することは、こういった被害者、またパブリックコメントの要望を考慮しないということになることから、適当でないと考えている。
 これまた繰り返しになるが、私どもは発表するか否かについては、個人のプライバシーであるとか、また、捜査への支障の問題であるとか、また、他方で発表することによる公益性といったものを総合的に判断して実名発表にすべきか否かを判断しているところであるので、したがって、実名発表の原則、また、他方ですべてについて同意に基づけということについては、いずれの立場もとることができないと考えている。
 ちなみにちょっと補足して話したいと思うが、まずこの骨子の考え方だけれども、私どもとしては、この骨子に盛られた内容というものは、従来、私どもが運用している中身それ自体であるというふうに考えており、したがって、従来の私どもの考え方を何ら変更するものではない。各都道府県警察では、従来からこの考え方に沿って判断をしてきたと承知しており、今後ともこの辺については変わるところはないと思っている。ただ、仮に個別の事案について都道府県警察の対応に問題があるというふうに考えられる場合には、警察庁としても是正を図るよう指導していきたいと考えている。
 それから、新聞協会の意見の中であった実名発表するか否かを警察の判断に委ねるべきではないという意見だけれども、一般に行政機関は、それぞれの目的を遂行するために必要な情報を集め、そしてまた保有をしており、そしてまた加えてその公表のあり方についても、一方で今申し上げた個人のプライバシーの問題、そしてまた行政目的への支障の問題、また他方で、発表することによって得られる公益性等様々な要因を勘案して決定しているというのが行政機関全般の考え方であると承知している。これらは、この情報を収集、保有するそれぞれの機関が、その名と責任において決定すべきものであり、警察においても被害者に係る情報を含めて同様の取り扱いをしているということである。この趣旨は、情報公開法を見ても法的に明らかであると考えている。
 したがって、警察が報道機関等に発表した中身については、被害者の実名を含めた発表に係る責任は警察が負うということにならざるを得ないわけである。報道機関は、実名とすべきか否かは警察が判断すべきではなく、報道機関において適切に判断すべきだとするわけであるが、これまでずっと報道機関と話を続けているけれども、報道機関の言い方は、発表した以上はやはり警察も責任を負うべきだということははっきり言っているわけで、一方で警察の責任を認めながら、また、他方で発表に係る権限を認めずにすべてマスコミに委ねろというのは論理として一貫しないと考えている。

(構成員)臓器移植の関係で、17ページで、今回、私どもが提出した回答は、脳死臓器移植の是非とは別にということであったので、そうした臓器移植と無関係な部分についての心情把握というものについては、内閣府において行われることが適切ということで意見を提出したところである。その後、なお書きで書いてあるように、また、今、事務局から指摘もあったけれども、脳死臓器移植に絡むドナーと家族の心情把握というものについては、このなお書きに書いてあるとおり、ドナー家族の心情把握等作業班において引き続き行っていくということである。これは既に骨子に記載されているとおりである。

(構成員)児童虐待の関係であるが、この点については、資料7の25ページで、児童虐待通告義務に関して罰則の必要性ということについて、厚生労働省の考えが記載されているところである。要するに児童虐待の通告というのは、できるだけ広く通告を得て、そういう虐待されている児童の救済を早期に幅広く行うという趣旨があるのだと思われるので、罰則を科すということでその要件などを厳密に絞っていくとすると、必ずしも本来の目的を達成することにならないのではないかと思われるが、私どもとしても、このような理由から、罰則を設けるということについては必ずしも賛成できないという考えである。

(構成員)児童虐待を行った親への治療ということで意見があったけれども、現在、児童虐待を受けた子ども、児童福祉施設などに入所しているけれども、そうした児童福祉施設では、子どものケアだけではなく、虐待を行った親に対するいわゆる家族療法と言われるものの取組を始めている。こうしたものについてさらに充実できないか検討したいと思っている。

(構成員)17ページの「エ」、実名、匿名の発表の仕方だが、検討事項がたくさんある中で繰り返し時間をもらって大変恐縮だけれども、やはり私どもが削除を今回お願いしたということは、私が先日提出した意見と、それから今回、新聞協会が出した意見書、これに尽きると思うので、重複は避けて、3点だけちょっと強調したいと思う。
 実名、匿名という問題は、やはりこれは広く国民生活にかかわる情報ということで、やはりそれが一行政機関の恣意的な判断に委ねられるということについては抵抗を感じるわけである。今、構成員も言ったように、やはり一般的に行政機関というのは、行政目的に沿っていろいろな情報を集めて、それを発表する場合には、その行政機関の名前と責任において行うんだと、これはまさにそのとおりだと思うけれども、一方で、その一連の行政権限の行使について、第三者的に私どもが権限行使の是非というか、それについて客観的に検証するということも必要なわけであり、匿名というふうなことが広がると、検証が困難になるということを1点強調したいと思う。
 それから第2点で、これはだいぶ構成員にも厳しいご指摘を受けたけれども、犯罪被害者とマスコミの報道、これを対立的に捉えるというのはどうも抵抗がある。報道が、被害者救済とか、犯罪の抑止に対して一定の役割を果たしてきたということを認めていただき、やはり双方の調和を今後とも模索していきたいというふうなことを考えている。
 それから3点目で、匿名社会の無秩序な広がりというのも我々は危惧しているわけだが、この匿名社会というのはかえって犯罪の温床になる側面が否定できない。犯罪抑止とか、捜査に対しても支障を来すおそれがあるということにも着目しなければと思う。

(構成員)私の方も文書で提出しているので、時間の関係で省略するけれども、実名発表されると、もう雲霞の如くマスコミ人が押しかける。これは葬式もできない、お通夜もできない、外にも出られない、近所の人たちまで雨戸を閉めなければおれないというぐらいな攻撃を受ける。それについて構成員の意見は触れられていない。その取材の恐ろしさ、これは現実に、今でも続いている。だから匿名で発表してもらうか、あるいは被害者が同意したときのみ実名で発表するか、そうしなければ救いようがない。そしてまた、知る権利だとか再犯防止のためとか、社会全体で怒りを共通するとか言うけれども、それ以前の問題がある。そして健全な民主主義社会をつくるためには、マスコミの役割が必要、それは私どもも同感だけれども、しかし、そのために被害者が泣かなければいけないのか。被害者が泣かなければできないような立派な社会なら、そんな社会でなくて結構だと、被害者はそう思う。そこのところが新聞協会の意見にはほとんど触れられていない。やはり私は、匿名で発表すべきであるし、実名で発表する場合は被害者の同意を得ると、こういう原則を立ててもらえなければ被害者は救われないと思う。
 また、マスコミの方でいろいろ自主規制をやるべきだと言うけれども、人権擁護法案が廃案になってから4年経つけれども、自主規制というのは現在も行われていない。またもう一つは、立派な会社は自主規制ができ、守られるとしても、マスコミの中に、それを守らない人たちが必ず出てくる。そういうことがあるので、ぜひとも私は、被害者の同意があったときだけ警察が実名で発表すると、こういう原則を打ち立ててもらいたいと思う。

(構成員)(2つ前の)構成員の話には、大変同感できるところがあると思う。ただ、もっと基本的に、要は取材の自由というか報道の自由というか、民主主義の根幹であるというところをやはり十分にとらえるべきであろうかと思う。そもそも警察にかからしめるということが制度として民主的であると言えるのかというところだ。(1つ前の)構成員の話もよくわかるけれども、被害者の意思を尊重しなくてはならないと思うけれども、まさに警察であれ、マスコミであれ被害者の意思を尊重ということをするわけだと思うが、被害者の意思にかからしめるというのはあまり被害者の一辺倒ということになり過ぎて、やはり全体的なバランスというもの、被害者の保護とのバランスというものを考えなくてはならないと思う。その場合に、被害者の意思を尊重するのは重要だけれども、より民主主義の根幹であるという制度そのものの重要性というものに着眼すべきであろうかと思う。だから、被害者の意思にかからしめるというところだけではとても賛成できないし、警察の方によるというのではなくて、やはりマスコミによると。ただ、これはくれぐれもマスコミによる著しい被害ということは誰もが感じているところなので、そこは十分に反省をしてもらわなくてはならないところであろうかと思う。意見はそうであるが、構成員に質問だが、これは外国のマスコミではどうなっているのか。

(構成員)ちょっと詳しくは。

(構成員)今の意見で、民主主義の建前から言ってということだけれども、民主主義というのは、みんなが幸せになるために人間がつくった制度だ。その制度を前提に振り回されてはたまらない。その制度が破綻しているならば、それは変えなければいけない、取材の自由とか言論の自由とか、報道の自由というものが国民生活を苦しめるものであるならば、それを変えていくのが進歩というものであって、今までの既成概念にとらわれるべきではないと思う。
 それから、被害者の意思にかからしめるという言葉がいけなければ、被害者の同意があったときに限りとか、そういう表現でもいいと思う。いずれにしても実名ですべてを発表しなければいけないという主張には私は反対だ。

(構成員)私も実名報道には反対という立場だ。以前出した資料にもあるように、実名報道された後の被害者の長きにわたる二次的な被害、報道されたことによって周囲からも孤立してしまう、そこに住むことさえもできなくなってしまう、そういう現実を重く受けとめてほしいと思う。だから、やはり被害者の同意があったときには実名報道でも構わないというような形にしてほしいと思う。
 実はこのことに関しても、私は、基本法が始まって、メディアから取材を受ける機会が何回かある。そのときは、ぜひ基本法全体を取り上げて広く社会にも知らしめて新たな一歩を踏み出せるようなものにメディアもぜひ後押しをしてほしいとお願いをするが、それが形となって報道されたときには、それでもまだ問題がある。それは被害者の実名報道か匿名報道かというような形で、結局メディアのほうに偏った形でそれがまとめられるというようなことを体験している。先日も、あるメディアの人から、メディアの者に対して被害者が置かれている実情などを話をしてほしい、理解を深めたいので、そういう依頼があった。私はそのときお願いした。まだまだ日本では被害者支援の必要性が十分理解されていないので、被害者支援の必要性もぜひ番組にしてくれるのであれば、私はそこへ行って話をするということで行ってきた。その後、その人から連絡があったのは、実名報道か匿名報道かで特別番組をつくるので協力をしてほしい、また、そのように言われてしまった。もう少し被害者がどれだけ実名報道することによって長く苦しみ、社会生活ができなくなっているのかというあたりにも視点を当ててメディアの者には物を考えてほしいと、心からそのように思う。

(構成員)(2つ前の)構成員の結びのほうの発言も、ただいまの構成員の発言も、実名報道の弊害、それから匿名報道のプラスという点について話しているが、今、最前からここで議題となっている論点は、実名報道か匿名報道かということではなくて、その判断を警察がするのかマスコミがするのかという点であったかと思う。実名報道、匿名報道、これについては、大方匿名報道の重要性というもの、それからまた実名報道の持つ意味合いというものもそれぞれの方々が理解していると思う。問題は、マスコミに委ねるのか、あるいは警察に任せるのか、本当に警察に任せていいのかという点にあろうかと思う。

(構成員)1つ追加をしたい。実は被害直後の被害者は、周りからいろいろ聞かれてもどのように答えればいいのかさえもわからない混乱状態にある。そういうときに警察の方の十分な説明を受けて、話し合いをして、そして決めていくというのであれば、それは被害者に害を与えるものではないと思っている。それとあと、先ほど外国ではどうなのかという質問があったが、アメリカなどでは、実は被害に遭ったら、被害直後から被害者支援センターがメディアに対する要望事項、あなたはメディアに対して取材を断る義務もある等、20数項目書かれた用紙をきちんと配るというような体制も整っている。

(構成員)取材を断る権利のことだな。

(構成員)そう、取材を断る権利があるというようなことが20数項目書かれたものが配られる体制になっている。日本では、被害直後の支援の確立もまだできていないので、そういうあたりでは、やはり警察にお願いをするしか現状ではないわけである。その点も理解して、被害者の意向が伝わるような形で実施していってほしいと思っている。

(構成員)(4つ前の)構成員の問題のとらえ方も不正確で、実名報道すべきかどうかを警察にコントロールさせるかどうかという問題ではない。報道機関に報道の自由ないしは取材の自由があるかどうかという点では、そのような場合にもあるのであって、それに対して直接何か規制を加えるというものではない。むしろ、警察がその報道のためにどこまでの情報を提供するのかという話だと思う。その点については、さっき構成員も言ったと思うが、基本的には、当の情報を集めた行政機関の責任と権限において判断すべき事柄であり、それについてどのようなことをどの程度配慮してくれというのか、というのが、ここでの論点であるはずだ。ただ、新聞協会とか構成員が懸念しているのは、要するに、今の事件報道の実態として、ほとんどすべて警察発表に依存しているということがあり、それを当然のことのように前提にした話だと思う。そのような実態があるということは認めるが、それ自体、本当にそれでいいのかということをかねがね疑問に思っているところだが、そういう実態を前提にして警察から情報が出てくるのがせき止められると、報道が事実上規制されるのではないか、そういう意見だと思う。しかし、その点は他方で、これも構成員自身がお認めのように、被害者の方のプライバシーあるいは生活の平穏を守るという必要があることも否定できないのであって、その両方を個々の事案に応じて考え、どこまでの情報を提供すべきかを警察が判断してもらっていいのかどうかと、こういうことだと思う。警察が判断してはいけないとなると、ではどこが判断するのかということになるが、どこが判断できるのか、また判断させるのが適切だといえるのか。今までも、警察としては、すべての事実を明らかにしなければならないという義務を負っているわけではなく、具体の事案に応じて、どこまでの情報を開示するかということを適宜判断してやってきたと思う。その開示の範囲をさらに広げろという議論なのかどうなのか。その判断の仕方について、こういう意見とこういう意見があり、その両面を踏まえなさいとなっており、報道の自由に資するという面も十分考慮してくれと、そういうことも入っているわけで、私はこの原案の書き方、両者を対立させているように見えるところは構成員が言われるように気になるかもしれないけれど、この原案は、そういう点を十分踏まえた書き方になっているように思う。そういう意味で、原案を支持したいと思う。

(構成員)被害者の意思に関係なく警察が発表するということになっても困る。被害者にとっては、事件直後に取材にわっと来られると何が何だかわからないわけだ。一定の時期が来れば、被害者自身もむしろ聞いてもらいたい、社会に訴えたいという時期が来ると思う。そのときに取材しても遅くないのに、マスコミは、事件直後が賞味期限と考えてわっと寄ってくる。そうして、他社よりも一歩先に抜け出そうとしていろいろな攻勢をかけてくる。ここが大変なわけで、やはり被害者の意思を尊重して警察が発表するかそうでないかを決めてもらえばいいと思う。こうしてもらわないと、実際、被害者は生活できない。私の体験からいっても、私も1か月間、ほとんど家から出られなかった。買い物にも行けないので、コンビニから運んでもらって生活していた。近所の人たちも1軒1軒、何回も取材を受けて、マイクをぱっと玄関の中へ入れるものだから玄関を閉めることもできなくて1時間も取材をやられたと、そういうことがある。だからもっと落ち着いてから取材するならすると、そうすればいいと思う。そして実名を知るということは事件の核であると新聞協会は書いているけれども、被害者の名前が核ではない。尼崎事件の核はやっぱり脱線転覆であって、乗客の名前が事件の核ではないと思う。ここは被害者を保護するためにどうするかということを議論する場所だから、ぜひマスコミもそこを理解してもらいたい。実名発表をもしマスコミが判断するということになったら、これは必ず押しかけてくる。我々にとっては耐えられないことだ。その後の報道も、匿名でされたとしても、その地域のかなり広い部分の方々にはわかる。結局、そこに住めなくなって引っ越すという人たちもいる。

(構成員)私のちょっと感じることを述べたいが、警察の権限に関して言えば、この報道に関する発表を盛り込むというのは、権限が特に内閣府案によって強化されるという意味ではなくて、逆に警察が従来自分で集めた情報を、犯罪の被害者に関してはある程度、慎重にはしたのだろうけれども、それが出されすぎるために被害者が随分二次被害を被っているという状況があるから、むしろその発表を制限してほしい、発表についての権限をもう少し慎重に行使してほしいということです。被害者の立場とかいろいろなものを配慮してほしいということであるから、むしろ警察に権限を任せるということではないのだと思う。
 それから、警察自体、犯罪被害者保護の問題を本来の職務として位置づけているわけだから、被害者に対する配慮というのは当然する能力があるわけなので、そういう配慮をもってするというのは、むしろ被害者のためになるだろうと思うし、こういう基本法の理念に沿った対応につながっていると私は感じている。

(構成員)確かに取材の問題というのは、かなり犯罪被害者に負担をかけているという部分は否定しないし、それについては、前回の骨子案のときに出した資料で、取材の改善についてはかなり各メディアとも真剣に取り組んでいる、その部分については我々の今後の努力を見てほしい、というのが1つ。前回に書いたために、今回あえてその重複を避けるために書かなかったわけだ。
 そしてもう一つは、今言われたように、確かに警察が自分の責任においてというのは私も正面から否定するつもりは全くないし、先ほど申したように、それはそれとしてやる。ただし、それはお互いの阿吽の呼吸でやっているので、だからここにあえて書く必要があるのかどうなのかということに私は疑問を出させてもらったわけだけれども、発表というものは、やはり被害者があり、それから発表する主体があって、それを受けとめて、またその国民に知らせる、我々も一方の当事者であることは間違いないのであって、だからそこのところの判断が、一方的な、恣意的な警察の判断で行われることについてかなりの危惧を持っていると、こういうことである。

(構成員)先ほどから一行政機関警察が恣意的に判断しているのではないかということであるが、別に決して恣意的に判断しているつもりはない。確かに昔はいろいろあったかもしれないけれども、報道機関の果たすべき役割については、これはもう現場レベルまで十分承知をしているつもりである。他方で、被害者に直接に接する者として被害者の立場とか権利利益についての理解が進んでいることも、これは間違いのない事実であり、現場の捜査員は、この両者の狭間でもって非常に苦労しているというのが実態である。ぜひその点は理解してほしいし、我々は決して情報を隠そうとか操作しようとかいうふうな恣意的な判断でもってやっているわけではない。いずれこれは公判になれば全部わかるわけだから、そんなことはするはずがないわけであって、それはないということはぜひ理解してほしいと思う。それから、我々がもし実名を公表できない場合、これはその理由を報道機関に対してきちんと説明をするので、それがもし間違っていればぜひ批判してほしいと思う。
 また、この新聞協会の中にもあるけれども、警察が被害者の声を仲介する場合は警察と真摯に協議するとあるけれども、我々も報道機関と被害者の間に立って必要な橋渡しはするつもりでいるので、決して報道機関の取材を妨害しようとか、恣意的に抑えようとかいうつもりは全くないので、ぜひその点は理解してほしいと思っている。 あともし個別に問題があれば、それは現場レベルできちんと話しをしてほしいということである。

(構成員)その場合に、やはり被害者の意見は聴いて、警察は被害者の立場を考えてやるのだろうか。被害者抜きでマスコミ対警察の間だけで処理されては困る。

(構成員)これも昔はいろいろあったかもしれないけれども、すべて被害者の意向を伺っているかどうかといえばそうではないと思うが、ただ、被害者の意向を伺うケースが相当増えているということは現場から聞いている。被害者から匿名にしてほしいという要望があれば、中身にもよるけれども、要するに取材も受けたくないという人と、取材を受けてもいいけれども匿名で報道してほしいとか、両方あると思うけれども、その後者の場合には報道機関に名前を知らせて取材はしてもらうというふうなことをやっていると思うけれども、前者の場合は、最もこれは悩ましい問題で、どうしても取材にも応じたくないという人については、我々現場レベルでは相当被害者の考えも尊重しながら運用していると考えている。

(構成員)実際に被害者にいろいろ話を伺っていると、マスコミが全部決めてあげるから大丈夫だというのは、やはりとても無理。今言われたように、マスコミの中に、メディアの中にそういうことを真摯に考えている者がいて、報道も改善されてきていることはわかるが、現実としてそうでないメディアというのは、どうやってもこれからもそうだろうということもある。一方で、警察も非常に努力してきて変わってきていることは知っているけれども、幾つかのケースで、非常に不適切、被害者の支援という立場から見たときに不適切なことがあったのは間違いないことだと思う。そうすると、要するにどちらが決めるかというレベルで言われると、多分被害者の立場から言えば、それはどちらにも任せたくないし、そのことについて決定したいと、自分も関与したいというのが被害者の言うことではないかと、私は自分の経験から思うので、私の結論としては、原案の中に「被害者の意思を尊重して」というようなことをちゃんと盛り込んでもらうということを条件に原案のとおりでよろしいのではないかと思う。

(構成員)この書き方だと、前段では、被害者の匿名を望む声とマスコミの知る権利を理由とする実名報道と、こうあるので、それで今言われたように、「被害者の意思を尊重し」みたいなことを入れるなら、やはり我々の意思も尊重してもらいたいというふうなところで、前段で2つ並べてある以上はやはり、「意思を尊重し」というふうなことを入れるのであれば、「双方の」とか、そういう部分を入れてほしいと思う。

(構成員)今の「被害者の意思を尊重して」というのは、具体的にはどういうような形でどこに入れるのがよろしいのか。

(構成員)17ページにもとの原案があるが、入れるとしたら、「総合的に勘案しつつ」のところに「被害者の意思を尊重し」というのを入れればいいのではないかと思う。あるいは「被害者の意思に配慮し」と。すべてのケースが被害者の言うとおりにならないのではないかと、実際にそういう件があるだろうということは私は予想するので、被害者の決定のとおりにとはここは書けないところだと思う。だから、「配慮」あるいは「尊重」だというふうに考えている。

(構成員)その点は、前段のところに既に入っているのではないかと思う。「それを踏まえ」て判断するということなのだから。それを、さらにどちらかだけ付け加えると、確かに構成員が言うようにバランスが欠けることになり、後ろの方の要請もまた再度書かないといけないということになる。匿名発表を望む意見ということで被害者の意見を十分踏まえることになっているのではないかと思う。

(構成員)プライバシー保護というのも入っている。

(構成員)私も被害者に接して、実名が報道された場合に非常に苦労されるということは十分理解できるので、慎重な発表が行われるということについては、ぜひそういうふうに考えてほしいところだが、同時に例えば非常に犯罪等が公益にかかわる問題である場合にされなければならないという事情もあるだろうとも思う。このところは、警察が既に今までにも行っている被害者の要望とその公益性を勘案してやっていることをさらに慎重に行うべしと書いてある段であると思うし、被害者等の意見、マスコミの自由、また、その後段にもプライバシーの保護、公益性の事情と両方書かれているので、私はこの文面でよろしいのではないかと思う。

(構成員)何回も繰り返すようだけれども、被害を受けたために何で国民の知る権利の義務、つまり知られる義務をなぜ負わなければいけないのかということだ。被害を受けることだって大変なことなのに、国民に知られる義務まで背負わされるということは、被害者には耐えられない。構成員が言われたように、「被害者の意思を尊重し」などの表現でもないと困る。原案では両方調和をとってということになっているけれども、被害者にとっては、被害を受けた上にそれが報道されたり、取材をされたりすること自体が嫌なわけだ。それを我慢しなければいけない社会なら、正直言って、私はもうこんな社会に住みたくない。なぜ被害を受けたために国民の公益に奉仕させられる義務を負うのかということだ。その答えがない。いろいろな方、マスコミの方に私は質問した。「何で被害者は被害を受けた上に公のために協力する義務があるの」というと、誰も答えてくれない。

(構成員)あまり論争はしたくないけれども、国民の知る権利に奉仕する、我々としての使命、仕事というのがあるけれども、被害者に協力する義務があるとは私も考えていないが、例えば今回、構成員が書いているように、尼崎の事故についても、やはり核心は確かになぜぶつかったか、脱線したかということだろうと思うけれども、ただ、その背景をいろいろ探っている中では、やはり被害者というものが一つ欠かせない情報としての一つの要素になると思う。だからそれについて再発防止を考える上で協力をお願いするというふうなことは、例えば犯罪のデータとか調査研究の蓄積について犯罪被害者等の協力を求める行為というものとそれほどかわりはないのではなかろうかと思う。

(構成員)法律の専門家ではないので、非常に素人くさい考えで言わせてもらうが、専門家がどう思われるかわからないけれども、多分一般の人はそう思っていると思うことだが、例えば少年事件の加害者について匿名にする。それは事件の核心であっても、当然みんな少年の権利を守るため、あるいは教育的配慮で報道しないというふうになっているわけだ。それから、とても大きな事件の加害者が出所するときにも、それは個人の権利だから報道しないということになっている、これは「なっている」からではないかというふうに素人は思える。じゃあどうして被害者はそういうときに「なっていない」のか。恐らく法律的にはたくさんの議論があると思う。でもそれは多分普通の人にとっては、どうもそういうふうに決まっているらしい、決まっていて非常にバランスを欠く、そういう気持ちになるのが普通だと思う。
 私は全然法律のことを最初知らないので、法律の専門家に聞くと、あなたは専門ではないから、知らないからだ、法律の常識がないからだと、ずっとこの被害者のことをやっているときに言われてきた。そういう点では、なぜそうなのかというところから、そのバランスということについては本当は考えなくてはいけないことなのだと思う。
 だから、あまり紋切り型で言われているような報道の自由とか、もちろん大事なことだと思うけれども、そこだけで議論しているとこの話は始まらないのではないかと思っている。

(構成員)アメリカでは、確か実名発表をしないというのが原則になっていると聞いたことがある。

(構成員)先ほど構成員が言われた中に、被害者は欠かせない情報だとあったが、別の構成員も言われたけれども、被害者でも直後は混乱をしているし、報道されるということで迷惑を、たくさん二次的な被害を受けるものなので、それを嫌がる者がほとんどである。ただし、2年、3年経ったときに、この被害者が置かれている理不尽な状況は何なのだろうか、社会にぜひ訴えたいと、そういったときは実名で堂々とメディアの取材を受けたいという者が反対に増えるはずなので、そういうときにメディアはぜひ取り上げてほしいと思うし、今回のこの犯罪被害者の支援の必要性なども広く社会に広まってきたのも、メディアの大変大きな力があったということでありがたいと思っているので、特にこの発表するときの実名か匿名かにあまりこだわらなくても、メディアはメディア本来の立派な仕事ができるのではないかと、そのように思う。

(構成員)やはり聞いていると、要は実名報道をしない方がいいとか、あるいはすべきかすべきでないかというところにずっと話が続いているように聞こえる。それはもう被害者の立場を考えれば、実名報道をする必要もない、してはならないというか、する必要もないだろうと思う。ただ、それをマスコミのほうを主体的に考えて、報道の自由と民主主義の導入というものをやはり基盤に置くということは重要である、これは繰り返しになるのでもう申し上げないが、そのように思う。

(構成員)繰り返しになるけれども、ただ、マスコミにいったん公表してしまうと、そういう規制が自主的に常識的にできるところと、そうはできないところが一緒になってしまうので、恐らくそういう責任をマスコミとして取り切れるのかどうかという問題も起きると思う。

(構成員)私どももいろいろなことを提案した。例えば代表取材とか、ある新聞社か、報道機関が代表して被害者のところへ来て、取材に応じてもらえるかとか、もし「応じる」と言えば、その1社だけがやるとか、数社来てもいいかとか。「嫌だ」と言えば、それではその気になったら連絡してほしいと言って帰るとか、いろいろなやり方があるのではないかということを提案してきたが、真剣に考えてもらえなかった。大変残念だと思う。4年間、私はそれを随分やってきた。

(構成員)真剣に考えられないというのは、どういう。

(構成員)考えてくれなかった。

(構成員)報道の側が。

(構成員)そうだ。

(構成員)だけどそれは、この問題は、やっぱり被害者を傷つけて済むという時代ではないということはほとんどのメディアは十分に認識していて、それについてかなり真剣に各社とも組織を持って研究したり、議論したりしているのは間違いないと思う。

(構成員)ちょっと堂々めぐりになってきているので、そろそろこの辺で意見をまとめてもらったほうがいいと思うが、今の構成員の意見は、やはり建前論にとどまっている。実際、いろいろなメディアがあり、いろんな人がいて、確かに言っておられることは正論だけれども、実態としては必ずしもそのとおりになっていないというのが実情だと思う。被害者の方達は、そういうことを心配されているのだろう。
 伺っていてもよくわからないのだが、この文章を削除することによって、逆に、警察は今配慮していることもやめて、すべてマスコミに対しては明るみに出せというか発表しろと、そこまで言おうという趣旨なのか。おそらく、そうではないのだろうと思う、さっきからの話では。そうすると、この文章を置くことによってどういうことが起こると懸念しているのかが、まだよくわからない。警察は現状よりますます情報を閉ざすだろうと、そういうことなのか。その点については、ちょっとさっき構成員が言われたように、必要もないのに閉ざすメリットはどこにあるのだろうかという感じがする。この文章の趣旨は、今でも十分配慮して運用されているのをもっと慎重にしてくれということに尽きると思うのだけれども、それを「恣意的」というのは、言葉がどうも躍っているような感じが私もする。

(構成員)今の最後の点について、骨子案のときに話したけれども、やはり現実に一線の警察での発表が、かなりの匿名発表というものが広がっているのは間違いない。そして、それについて我々も各警察ごとに、これはもちろん言われるように警察庁が云々できる話ではなくて、各警察ごとに交渉したりいろいろなことをやっておるという現実があって、今回、こういうことがあると、これが物差しになって、事件ごとに警察が適切に判断して発表していくんだというふうなことが、また全国の警察の物差しになっていくと、そして匿名発表がさらに広がりを見せる、そういう点を我々は危惧しているということである。

(構成員)私たちは、被害者の同意をとってから警察が発表してくれるようにと、こういうことを願っているわけだ。一切発表するなというわけではなくて、被害者の同意をとってやってほしいと、こういうことである。

(構成員)現実に今も性犯罪の被害者とか子どもが被害者になっている場合、匿名にしている場合が当然あるだろうと思うけれども、そういうことを考えると、ここに書いてあるのは、今取り組んでいることを今後より慎重にということで確認していることで、改めて削除しなければならないことでもないというふうに感じるけれども、どうだろうか。現状がまずいということなのか。

(構成員)言われたように、現実に今、警察がやっていることを書いたというふうなことなのだが、それは我々とのいろいろな交渉の中で歴史的な経緯もあって、阿吽の呼吸でやっているということを今回ここに、逆に言うと、削除しなければいけないというのではなくて、あえてここになぜ出さなければいけないのかということも伺いたいと思う。

(構成員)恐らく警察、マスコミの阿吽の呼吸ではなくて、被害者をきちんと視点に入れて、その施策の中に入れるべきだという考えなのだと思う。

(構成員)それはもういろいろな要素を加味して、現実に阿吽の呼吸でやっているということだ。

(構成員)そこは、構成員の間に意見があるように、もっと強い形で書け、つまり、被害者の意思を尊重するとか、それを前提要件にしろと、こういう意見もあるところだ。それをこのぐらいに抑えて書いているということなのではないか。だから、書かないということに対しては非常に強い反対意見になるだろうと思う。言われるような阿吽の呼吸には任せておけないというのが反対の立場の意見なので、これまで議論して、骨子の段階でこういう文章を入れたということではなかったか。

(事務局)「その2-1」の資料の21ページ、内閣府意見という形で記載しているが、どういうことでこの施策が入ったかというのは、今、構成員からも話があったのと同じことであるけれども、要は被害者等の方々から匿名発表をしてほしいという要望がヒアリング等であって、それはほかの被害者の要望と同じように一つ一つについて議論した。その結果、匿名発表を望む犯罪被害者等の意見と、それから報道の自由とを理由とする実名発表を望むマスコミの要望等を踏まえて、プライバシーの保護と発表することの公益性等、総合的に勘案して個別具体的な案件ごとに適切に行われる、あるいは配慮していくという、まさにこういうことで入ったわけである。それで今までずっと議論されているけれども、まさにこういう経緯で入ったものであるが、新聞協会等からの意見、それから今までの議論を伺っていて、大変強い懸念の中に、安易に匿名に流れてしまうのではないかという懸念が示されているわけだが、例えばそういった懸念を踏まえた上でこの部分を修正すると。例えば報道についての公益的な使命とか、あるいは匿名発表が安易に拡大することによる懸念とか、そういったものを書き込むことによって、ご意見の一致を見られればいいと思うわけである。
 もしよろしければ、今までの議論を踏まえた上で、この会議中に再びこの点について議論する前提となる「たたき台」を事務局で今から準備して、それを示した上で再度検討してはどうかと思う。本日、まだほかにも議論しなければならない案件もあるので、そういう形でよければ、今から準備をするので、その間にほかのものも議論して、そして最後にまたこの部分の議論をしてはどうかと思うが、どうか。

(構成員)ただ、新聞の公益性だけを考えて一つの案をつくるということでは困る。

(事務局)あくまでもここで議論するための「たたき台」なので、またそれを踏まえていろいろ議論してほしい。

(構成員)これよりも後退したような格好になるのか、私たちの意見が。マスコミの方が強くなるようなたたき台になるのか。

(事務局)議論のために何か具体的なものがあった方がいいのではないかという提案なので、その議論のためのたたき台をまた見た上で必要な議論をしてほしいと思う。もしよければ、そういう準備をしたいと思うが、どうか。

(構成員)1つ質問だが、この原案に対して、ほとんどの構成員はこれで構わないという意見なのだけれども、それでも一人でも二人でもやはり納得できないという構成員がいれば、とことん全員が納得するまでずっと進めるということなのか。

(事務局)今までの施策についての議論もそうだったと思うけれども、犯罪被害者等からの意見について、この議論の場で一つ一つ検討した。そして、例えばかえって被害者等のためにならないとか、あるいは公共の福祉の理念に反するとか、あるいはほかにもっといい案があるというものでない限りはできるだけ盛り込む、そしてそれは意見の一致を見たもの、ということであるので、事務局としても、できれば意見が一致するまで議論してほしいと考えている。これは構成員の間で意見が対立している議論なので、そういうふうにさせてもらえればと考えている。

(構成員)わかった。

(構成員)意見を述べているので、それについて言わせてほしい。「基本計画案試案その2-1」の2ページで、この意見のとおりだけれども、幾つかちょっとさらに変えた方がいいと思うところがある。
 1つは、「罹患しているもの」というところをもう少し明示した方がいいと、これは意見どおりだが、「もの」という言葉に換えて「精神的な後遺症」というふうに入れた方がいいということと、それからもう一つ、最初に「重度のPTSD等重篤で難治性のもの」と、言葉が重ねてあるけれども、まずはPTSDの訳語だが、今、DSM-IVあるいはICD-10と、普通に日本で使われている診断体系の中では「外傷後ストレス傷害」と訳されているようなので、それは「心的」を取った方がいいと思う。
 それからその下の方に、私は、「重度のPTSD等犯罪被害に対する重篤で持続的な精神的後遺症」というふうにすることを提案しているけれども、構成員の意見も伺って、この「重篤」が2回重なっているので、「重度のPTSD等犯罪被害に対する持続的な精神的後遺症」とするのでいいのではないかと思う。
 なぜこんなことをごちゃごちゃ言っているかということがわからないと思うので少し説明するが、事件の後、起こってくる精神的後遺症というのは、必ずしもPTSDだけではない。その他のこともたくさんあるし、それから、むしろなかなか精神障害として認定できないようなこともあるわけで、やはり総合的に考えていくということが必要だということで言っている。それから、重度のPTSDといった場合には、既に重篤だし持続的だということはわかっているはずなので、重ねる必要はないのではないかということがある。というところで、ちょっと変更をお願いしたいというふうに考えている。

(構成員)私も同意見を述べているので、PTSDの翻訳については、やはり既に精神医学的な概念としての言葉を、ここではPTSDの訳なのでつけた方がよいだろうと思われることと、同様に「もの」という言葉だとちょっとやはり不明確かと思われるので、それなりにそれが精神的な長期な影響を残しているということが理解できるような言葉の方がよいかと思う。

(事務局)確認させてほしいのだが、そうすると、この部分は「重度のPTSD(外傷後ストレス傷害)等重篤で持続的な精神的後遺症」ということでよろしいか。

(構成員)「重篤な」は要らないと思う。

(事務局)それともう1点は、同じ「その2-1」の資料で5ページになるが、(2)の表現で、「重度のPTSDと重度ストレス反応の治療等のための高度な専門家の養成云々」という、ここの表現は。

(構成員)ほぼ同じようなものを指しているのに別の言い方がされているので非常に気になることはなるのだが、もし後遺症というふうに訳すと、こちらは治療について述べているところなので、医学的な概念としてであれば「重度ストレス反応」でもいいかなというふうにも思うが、重度のPTSDと重度ストレス反応というのも何だか変な感じだなというふうには思う。重度のPTSDと持続的な精神的後遺症─治療という言葉につなげるために、全く同じにするということでもできると思うが、ここはこのままで結構だ。医学的な言葉の使い方からしてちょっと引っかかるところがあることは事実だが、このままで構わない。

(構成員)もともとそこは私の方で意見を出した部分で、5ページの(2)について、これは治療とかなので、より医学的な言葉を用いた方がよいだろうということで、前段と少し言葉を変えることを以前提案した記憶がある。重度ストレス反応としたのは、PTSD以外の様々な精神疾患すべてというのを書くのはなかなか難しいのだが、ICD-10の概念でPTSDの含まれる症が重度ストレス反応という概念でとられているので、それに倣って、より医学的なニュアンスを含めたということで、そのように提案したという次第。

(構成員)これについて特に意見はない。確認させてほしいが、「心的」を取るということと、「重度のPTSDと犯罪被害に対する持続的な精神的後遺症」というのが最初の議論で、後の5ページの(2)は原文のままという理解でよろしいか。

(構成員)結構だ。

(構成員)二人の専門家の先生の意見なので、それを尊重する形でこちらの中に入れてもらえればと思う。

(構成員)12ページの一番上段で、「警察において少年被害者が受ける精神的打撃の軽減を図るため云々」というところであるが、これは意見を出しているけれども、半分ぐらいは質問である。警察が持続的に、継続的に支援を推進するというふうな括りで読めるのかなと思うが、失礼ながら警察は第一線にあって、よく被害者、加害者のことを知っているわけだろうから、適切なアドバイスというものの一番直近にいると思うけれども、カウンセリング、特に少年などの場合、非常に難しいこともあるので、継続的に警察に任せるということでよろしいのかどうか、いささか疑問があるので、質問したいと思う。

(構成員)では、実態を説明するが、警察では全国に少年サポートセンターというものを設置している。ここには、少年相談、継続補導、被害少年に対する支援等に関する専門的知識・技能を有する職員を配置して、相談等に対応している。こういった職員に対しては、警察大学校等でカウンセリングに関する専門的技術の教育を施していて、また、これと同時に、臨床心理士の資格を持っている者も相当数この中には含まれている。 また、仮にこれらの職員では対応できない場合には、少年被害カウンセラーという形で委嘱をあらかじめしてあるけれども、臨床心理士とか、精神科医等の外部の専門家の助言を受けながら対応しているところであって、したがって、現在、ここに書かれているような継続的な相談に応じたり、また補導をするということは可能な体制になっているということである。

(構成員)被害者が、今の説明で納得されるようなところがあるのか。それならそれで結構だけれども。

(構成員)当事者ではないが、警察がそういうカウンセリングの、今言われた教えに行ったり実際にしている者の立場からちょっと申し上げると、むしろ警察がほぼ入ってもらえるのは、特に被害者に関しては直後の時期が多い。この時期には、なかなか被害を受けた者が、その他のところにアクセスすることが非常に難しい、例えば事件でも呆然として1時間後というようなときに入れるところが、やはり警察のかかわりがある人というのでないと、なかなか信用されないというような現実がある。緊急の時期における警察が持っているカウンセリングの体制というのは、むしろ私はもっと拡充してもらいたいと思っている。ほかの者が入れない時間、入れない領域だ。やはり、確かにそれだけではうまくいってないケースもあるから、ここに書いてあるように、民間支援団体や、あるいはその他の警察とかかわりがない専門家が入る余地というのは確かに残っていた方がいい、そういうのも伏線としてあった方がいいと思う。
 それから、スーパービジョンなどが現在、やはり足りないのではないか。もう少し、むしろ技術を上げてほしいと思っていることはたくさんあるけれども、これを不向きであるというのはちょっと現実の被害者の支援の連続的な流れからいって、無理があるのではないかというふうに、私の立場からは考えている。

(構成員)私の方で意見を、ちょっとぎりぎりになって出してしまったので、回答する時間はなかったものと思い、ここで確認したいけれども、1点が、7ページ、これはあくまでもパブコメを踏まえた上で、この案そのものに対して修正を加えてほしいということではない意見で、現状の例えば思春期青春保健対策の研修会で、より児童虐待等に関する研修を充実させるであるとか、そういった考え、あるいはその検討がなされるものかどうかということについて回答してほしいという趣旨である。

(構成員)我々としては、PTSDに関する研修会、あるいは思春期問題に関する研修会をやっているけれども、さらに犯罪被害者の立場、実情などを踏まえて、どういった専門家を養成、研修していくべきかということは検討する必要があると考えており、現在、厚生労働科学研究も活用して、専門家の先生方による研究を始めたところなので、その成果も踏まえて必要なあり方を検討して、実施していきたいと考えている。

(構成員)もう1点、10ページで、これもパブコメの方の意見を踏まえて、もし修正が可能であり、またそういった施策について検討してもらえるものであれば、このように修正した方がよろしいのではないかという意見だけれども、特に児童虐待、DV等について、的確な診断といったものが求められている、特に司法領域に提供される資料においては、診断というのが求められている事情をかんがみて、もともとは精神医学に限定されていたが、これをより広げた形での研修等について検討する余地があるかについては答えてもらえるか。

(構成員)児童虐待で外傷があった場合などが、要するに虐待かどうかというのを医療機関でなかなか見分けにくいという現実があるのも確かであるので、そうしたところについては、医療機関の対応力の向上というのは、今後の課題だというふうに思っている。あともう少しほかの分野で、イメージは、例えばどういう分野で研修が必要だという具体的なイメージがあるか。

(構成員)具体的には今の児童虐待の件と、例えば救急医療等において、外傷を受けた被害者が、それがDVの被害であるとか、あるいは虐待の被害であるということを見極めるということと、また司法に関して紹介をするとか、これは司法的な関連を持つものであるとか、通告義務が与えられているものであるといった基本的な知識について、現場の医療の方々が十分な知識を踏めるような研修といったものを想定して言っている。

(構成員)虐待の場合は、当然、対象は子どもで、それが虐待によるものかどうかということが自分では話せないので、そういうところは医療機関においての見極めというのが重要だということは、それも認識している。DVの場合というのは、それは当然、被害者は大人だと思うので、外傷の場合に当然DVかどうかというのは、外傷の状況にも、むしろ本人が話すというのが通常だと思うが、そこの見極めをするような知識というのが必要だということか。

(構成員)あまりここで長く時間をとりたくないので、この点については、この文面のような形で修正できるのかどうかについて検討してもらえればいいと思うが、今のDVに関しては、DVの被害者の面接のことを知らないと、例えば加害者である夫と同席面接をしてしまったり、そのことによって被害者が十分な話をできないとか、DVの理解が不十分だと我慢するようにとか、あなたが悪いというような二次的被害が起こるということで、やはりそういった知識というものは必要ではないかと考えている。

(構成員)追加をする形でお願いをしたいと思う。最近、犯罪被害に、特に性暴力被害に遭ったという子どもからの相談があるが、そういうとき、児童相談所に行っても、そういう犯罪被害はうちではないからということで、都民センターに回されたり、他のところを回されたり、だけれども、そこでも対応してもらえなかったという事案が増えているので、ぜひその点は児童相談所にきちんと通知をして、周知をさせてほしいと思っているので、よろしくお願いしたい。聞いていてくれたか。

(構成員)それはそういう要望ということだね。

(事務局)確認だが、先ほどの10ページの(12)の構成員からの修正意見、「精神医学」のところを「関連の医学知識と技術」と修正するということについては、構成員はいかがか。

(構成員)修文で結構だ。

(構成員)「その2-1」の関係で、2点ある。1点目は、4ページで、その前のページから来ているが、事務局の方で意見を書いてもらって、そして最後にその修正案というところで6行の修正案が書かれているところである。表現の問題なのかもしれないが、読んでみたところ、やや重複した言葉が多くて、もうちょっとすっきりならないのかなという程度の問題である。この「『重症』、『軽傷』という言葉ではなかなかとらえられない重篤な被害というものがある」ということをここで表現したいということなので、例えば、その4行目の「少なくなく、云々」というところをもう「少なくない。」で止めてしまって、あと消しても意味はあまり変わらず、重複もなくなるという感じがする。表現ぶりなので、ほかの構成員の意見をいただければというふうに思う。

(構成員)医者が2人いるので、何か意見をと思うけれども、今のでよろしいのではないかと思う。というのは、「重傷」、「軽傷」といった言葉では理解しがたいという後半の部分は、少し抽象的でわかりにくい。しかも、理解しがたいという言葉があまりいい響きでないので、むしろ前半に書いてあるような、長期にわたる治療を余儀なくされたり、あるいは重篤な後遺障害があるという具体的な表現でよろしいのではないかと思う。

(構成員)もう1点は、ちょっと後ろに方になるが、26ページで、ここは25ページから来ていて、私どもの方で、「犯罪被害者等の希望にかかわらず」ということの意味が少しわかりにくかったので、質問したところ、事務局の方で回答があり、最後に修正案が出されている。ただ、ここを修正した結果、若干どうかなというふうに思うところがある。というのは、修正案によると、「犯罪被害者等が、捜査や公判によって名誉やプライバシーが侵害され、精神的苦痛を受けることを恐れるなどして捜査や訴追を望まなくても、捜査機関からは」、その後は24ページの方を見ないとわからないが、「捜査機関等からは捜査や訴追のための協力を求められる。」というふうになることになるが、簡単に言うと、犯罪被害者等は捜査・公判によるいろいろな負担を恐れて、捜査や訴追を望まなくても捜査機関から協力を求められるということが書いてある。望まなくても協力を求められるということは、引っかかりは2点あって、1つは、もちろん被害者の方が捜査あるいは訴追を望まない場合には、事務局の意見にもあるように、捜査機関の方ではあえて捜査を続けることをしない、あるいは訴追をしないということで配慮することは当然あるわけなので、常に捜査や訴追への協力が求められるという形で書き切るのはいかがかなというのが1点である。もう1つは、望まなくても協力を求められると書かれると、これは私どもの感覚かもしれないが、何か悪いことをしているかのように感じる。私どもの捜査・訴追の事務・業務が、もともとは法令の義務に従ってやっている、まさに公益のためにやっていることで、それがいろいろな負担をかけることは重々認識はしているけれども、望まなくても協力を求められるというふうに書くと、こちらが無理やり何かをしているという形のニュアンスが強くなってしまうかなという感じがしたところである。
 それで、今日、席上に追加の資料として配付した2枚紙で、表に「追加」と書いてあるものであるが、こんな表現はどうだろうかということで、「犯罪被害者等は処罰の必要性という公益上の理由から行われる捜査の過程で、様々な負担を恐れるなどの理由から、自ら処罰を望んだ場合でなくても、必要な協力を求められることがある」との意見を提出させていただいた。申し上げたいことは、私どもの立場としては、まさに公益の必要から法令上の義務に基づいて捜査なり訴追ということを行っているわけなので、その辺のニュアンスは多少なりとも入れてもらえないかということが1点と、それから最後は「求められる」と言い切るのではなくて、求められることがある、求められる場合があるとしてもらえないかということである。そういう形で書くことよって、事務局の方で表現したかったことというのは、特に損なわずに表現できているのではないかと思われるので、検討してほしい。

(事務局)その趣旨を踏まえて、基本的に次回までに修文案を、事務局案を示したいと思う。ただ、この中で「様々な負担」ということで、さっと抽象的に修文するとの意見だけれども、やはり犯罪被害者等の方々が置かれている状況というのをきちっともう少し具体的に趣旨が明確になるような記述が必要かなということで、内閣府の修正案としては26ページのような、捜査や公判によって名誉やプライバシーの侵害をされたり、あるいは精神的苦痛を受けることを恐れるというような記述をしているので、そういったことも含めて、具体的修文案を次回までに構成員の皆様に示すことでよろしければ、そのようにしたい。

(構成員)文章表現の点だけだが、構成員から示されたこの文案では、文章としてつながっていないように思う。「理由から、自ら処罰を望んだ場合でなくても」という部分で、理由から望んだというところにつながっているとすると変だ。だから、そこに何か、「理由から」を受けた文章にしないと、「理由から……場合でなくても」というのも、やはり日本語としてはおかしいと思う。だから、そこの点を適切に修文してほしい。

(事務局)あと、議論していないのは、8ページ、9ページだ。

(構成員)ここで意見を挙げたのは、臨床心理士に関するところと、それからスクールカウンセラーに関することだ。スクールカウンセラーに関して、私だけではなく複数の者が意見を述べている。多分、これらの者が感じた基本的な問題というのは、そのスクールカウンセラーに関しての答として最初に出されたものは、一般的なスクールカウンセラーの業務というところから出ていないというところがやはり大きかったと思う。特に、具体的に言えば、部屋で待っていて話を聞いてという形では、被害少年に対しては非常に不十分であるのにもかかわらず、それについての具体的な技能というのは、今のままだと十分には取得できないのではないかというところが、そこからは私の意見だけれども、そういうことがあって聞いた。回答が出されて、連絡協議会を利用するというふうになっているが、この連絡協議会というものの実情は、そういうことができる場所なのだろうか。そのことについて説明をしてほしい。

(構成員)連絡協議会だけということではないと思うけれども、スクールカウンセラー、現状においては非常勤という形で来ているし、それから被害少年など以外にもいろいろな相談ごとも受けたり、ケアをしていかなければいけないということもあるので、構成員からの指摘のように、必ずしも十分な対応をしてないのではないかという話があるが、むしろその被害少年などに対して、全体として、スクールカウンセラーだけではなくて、校長、教頭などを始めとしての学校全体としてのいろいろな取組ということが必要になってくるのではないのかと。いろいろな機関との連携なども含めて、その協議会の場というのもあるということである。

(構成員)連絡協議会は、恐らく今、虐待の対応だけでも仕切れていないような状態にあるのではないかと思う。通知すると言っても、多分犯罪被害そのものに関して、今構成されている連絡協議会が具体的に動ける何かツールを持っているか、あるいはそういう時間を持っているかというと、とても持っていない。連絡協議会というのを挙げてもらったのは、確かに少し最初よりは前進したと思うけれども、もう少し具体的に犯罪被害にアクティブに対応していくということを何か盛り込めないかなというふうに回答を見て思った。

(構成員)ちょっと繰り返しになるけれども、スクールカウンセラーだけでそれを期待するのかどうかという問題が1つあろうかと思う。被害少年に対するいろいろな教育的な、全体の扱いなり、地域、その他とのいろいろな連携なり、今後の対応なりということを考えると、スクールカウンセラーだけではなくて、学校全体としてやはりきちんとした一体的な体制をみんなで取り組んでいかなければいけないのではないか。

(構成員)そうだとしたら、学校全体の取組について、どこかに入っているか、具体的に。

(構成員)少しそれを書いたつもりではあるが、ちょっと抽象的な文言にはなっているかとは思うが、例えば、先ほどの差替えで配った資料でいえば、その一番最後のところで、最初の段落のところにあるように、「学級担任、スクールカウンセラー、養護教諭などを始めとして」と、これにもちろん加えて、校長・教頭といった管理職というのは当然責任を持って当たっていかなければいけないかと思うけれども、その学校全体が一体となって、その他のいろいろな機関なども連携を図って取り組んでいくということが、一層進められる必要があるのではないかということで書いたつもりではある。つまり、スクールカウンセラーだけでなかなか全体のいろいろな機関との連携、その他について、全部実施をしていくというのはなかなか難しいのではないか。

(構成員)今のはすごく矛盾した答だと思う。では現状認識としてどうなのかということでいった場合に、小学校などで事件が起きたときに、実際に確かに校長がどのように動くかとか、そういうことに非常に影響されているけれども、全般としてうまく動いていない。それから、学校の中でなおケアの体制とか、支援の体制がうまくいっていないという現状認識についてはいいのか。そうだとしたら、せめてスクールカウンセラーぐらいはその知識を持って、もう少しちゃんと動けるようにしてほしいという「せめて」でこれが出ているわけで、それが全員が動いているからというか、全員が動いていないからというところにまた戻されてしまって、この回答は、現状認識さえも怪しくなっているというふうに私には読めるけれども。

(構成員)今指摘のように、例えばこの連携その他について十分かという点については、十分ではないと思っている。これはいろいろなところで、例えば校長会、その他でも繰り返して、そういった具体的な問題なり、具体的な児童・生徒に対して、学校全体で取り組む、それを校長などもリーダーシップをとって、学校も非常にある意味では閉鎖的ではないか、連携が十分に進んでないではないかという指摘も強いので、そのあたりを進めていくようにということで話しているところであり、ここのところは不十分であるという指摘はそのとおりだと思う。

(構成員)これもあまり時間とってはいけなさそうな気がするので、またちょっと意見を出すので、現状認識が今そういう認識であるというふうに言われたから、それについて少し書き加えてもらうようなことで、またお願いしてもいいか。

(構成員)今、現実にどうであるかと、あるいはその改善方策として、そういうことを進めていきたいと。

(構成員)改善が必要だということをもう少し書いてほしい。

(構成員)そのあたりの記述は変えることはできると思う。

(構成員)今のことに少し関連して、私が出した意見は、資料10の2枚目の後ろのページに載せてあるが、現状のスクールカウンセラーの仕事としては、やはり面談をするというような形が多いので、被害に遭った子どもたちを本当に回復させていくためには、もちろん学校の中でも必要だが、周りの社会資源の活用も必要だと思う。そういうときには、スクールカウンセラーというよりも、スクールソーシャルワーカーというように、先進国ではもう既に導入されているような、そういう制度も視野に入れて、これからは考えていかなければいけないのではないかということで、この意見書を出したので、その点もまた勘案して、また構成員から出される要望とあわせて、またまとめてほしい。

(事務局)それでは確認だが、「その2-1」の中で、まず実名・匿名発表の関係は、後ほどまた議論してもらうということで、そのほかについての確認である。 1ページの第14条関係、現状認識のところで、一番下の行の中ほどから、「心的」を取り、「重度のPTSD(外傷後ストレス障害)等」、その次、「重篤で難治性のもの」を削除して、その部分に「持続的な精神的後遺症」と修正する。
4ページの現状認識のところで、重傷、軽傷のところであるが、4ページの四角で囲んだ意見を踏まえての修正案のうち、下から3行目、「余儀なくされたり、重篤な行為障害を負うことが少なくない。」を削る。
 9ページの(12)、それからこれは11ページの(18)にも関連するのではないかと思うが、ここについての議論を踏まえた修正意見を後ほどいただいて、それに基づいて、修正、調整するということにしたい。
 10ページの(13)の施策の関係であるが、構成員意見どおり、「精神医学」を「関連の医学知識と技術」に変えるということで修正する。
 26ページ、第19条関係の現状認識のところで、構成員からの追加意見を踏まえて、具体的修文案を作成し、次回までに示したいと思う。
 実名・匿名発表以外の「その2-1」につきましての取りまとめ、修正点は以上であり、その余のものについては、「その2-1」の案どおりとしたいと思う。

○ 第15条関係(2)エの議論を踏まえたたたき台の提示
 事務局より、実名・匿名発表に関する資料の修文案を配付し、これについて、概要以下のとおり説明。
 「今配布した資料は、後ほど議論をしてほしいと思うが、第15条関係(2)エの関係について、今までに意見として出されたもの、それから本日の議論を踏まえて、それぞれの意見、それから懸念されていること、いろいろな趣旨の議論があったけれども、それらの議論をすべて盛り込んだ形で取りまとめてみたものである。これは後ほど、どういった形にしていくべきなのかということを議論してほしい。」

○ 基本計画案(2)のうち「刑事手続への関与拡充への取組」に関する具体的施策についての議論
 事務局より、「事務局案その2-2」について、骨子からの変更は赤字で記載しているが、これまでの検討会での議論を踏まえた現状認識の見直しのほか、修辞上の修正と新規施策の追加をしている旨説明。座長代理より、行政機関の職員である構成員に対して補足説明の有無を求めたところ、特段の発言はなかった。その後の議論は概要以下のとおり。

(構成員)2ページの下に「しかしながら」というのがあるが、ここのところが、意見募集の結果などを見ると、ちょっと弱いのではないかということで、訂正意見を申し上げた。これは、被害者の刑事手続上の権利はきわめて不十分な状況にあるということをまず書いてある。また、現行法においては、被害者は事件の当事者であっても、刑事手続の当事者としての地位までは認められておらず、単なる証拠として扱われているに過ぎない。そのため、犯罪被害者等から、刑事に関する手続及び少年保護事件の調査・審判の手続に関し、一層の情報提供と参加を権利として認めるよう要望する声が多いと意見書で書いたが、この「権利として認める」という言葉がよくわからないというという意見があったので、ここは「参加する権利を認めるよう」というふうに訂正する。
 それから、4ページに事務局の意見が青字であるが、刑事手続上の権利は極めて不十分な状況であるとまで言い切ることについての認識が一致していたとは言えないということであるが、私どもは、極めて不十分であると思う。意見陳述制度というのは権利でなく、一つの制度に過ぎない。裁判所が陳述をさせないこともある。そしてまた、その陳述も被害者の心情とか、被害の影響とかということに限られており、事実関係に触れることも許されていない。意見陳述制度があるからといって「極めて不十分」であるとは言えないとは考えていないわけである。そういうことで議論してほしいと思う。

(構成員)少なくとも構成員の提案のように「不十分な状況にある。」「過ぎない。」という形で文章を完結させてしまい、現状はそうであるというふうな断定的な書き方をするとすれば、そこまで意見は一致していないというふうに私は言わざるを得ないと思う。原案の方は、声が多い、あるいは意見もあるという形で括ってあるので、そういう意見の中身としてどこまでのことを書くべきかということで、むしろ考えていくべきだと思う。中身的には、極めて不十分か十分か、権利ではないのかという、そこは認識が分かれるところだと思う。2番目の文章の「単なる証拠として扱っているに過ぎない」というところは、事務局の意見にあるとおりで、ちょっと言い過ぎだろうというふうに思う。だから、中身についてはこれから議論してほしいと思うが、この事務局の修正意見については、「過ぎず」と「受けていないとして」というところを、文章としては入れかえた方がいい。つまり、「犯罪被害者等は証拠として扱われているに過ぎず、事件の当事者にふさわしい扱いを受けていないと批判する意見もある」というふうに、文章としてはそうした方がいいのではないか。これは単なる文章だけのことだ。

(構成員)不十分である(というのが言い過ぎだ)ということは、十分であるということか。

(構成員)いや、「極めて」ということまでは言えないのではないかということだ。

(構成員)というのは、意見陳述制度があるからか。

(構成員)それだけではないと思うけれども。

(構成員)例えば、どういうような権利があるのか。

(構成員)そこの実体論を議論し出すと議論の蒸し返しになるし、私としてもいろいろ言いたいことはあるけれども、ここでは、これまでの議論の経過を踏まえて、どういうまとめにすべきかということを話し合っているのであるから、むしろ、こういう意見がある、犯罪被害者あるいはその関係者からこういう指摘があるというまとめの中に、そういう文章を盛り込むというのは一つ考えられることだが、構成員のご提案のように、不十分だ、あるいは証拠として扱われているに過ぎない、と言い切ってしまうと、違う見方もあり得て、そこを議論し出すとまた実質論の蒸し返しになると思うので、さきほどのような意見を申し上げた。

(構成員)今の構成員の意見の関係で、刑事手続上の権利は極めて不十分な状況にあるという表現、そういう意見もあるということではなくて、そういう状況にあると断定することについては、これは恐らく、ここに「刑事手続上の権利」というように非常に抽象的に書かれているので、内容としてどういうものを想定するか、思い浮かべるかによって、現状が不十分かどうかというのはかなり違うのだろうと思う。そういう意味で言うと、立場や意見によって不十分なのかどうなのかというのは、かなり議論がわかれるところではないかと思う。例えば、いわゆる公訴参加というものを権利として認めるべきであるという立場からすれば、極めて不十分であるという評価というのもあるのだろうが、ただ、刑事手続上、これまでのいろいろな法改正で被害者のために認められた制度、それを権利と呼ぶかどうかという問題はあるかもしれないが、いろいろな形でこれまで認められてきたものがあるわけなので、そういうものも含めて評価して、さらにどこまで進むかということを考えれば、必ずしも「極めて不十分」とまでは言えないのではないかという立場も、それはあるのだろうと思うので、そういう意味で言えば、こういう形で意見が一致しているというふうに言うのはなかなか難しいかなという感じがしている。
 証拠として扱っているかどうかという問題も、やはりここに書いてあるような意見陳述の制度等々、ほかのいろいろなものを踏まえると、必ずしもそうではないのではないかという議論も当然あるところなので、そういう意味で、この形で断定していくというのはちょっと適当ではないかなという感じがしている。

(構成員)確認したいが、不十分であるとか、単なる証拠に過ぎないというのは客観的な事実として述べるのは誤りにつながるのだろうと思う。ただ、そういう声が強いということは、またそれ自体は事実であろうと思う。だから、犯罪被害者が必要になるものとして、左に曲がっているのを真っすぐにするために、右に一時的に曲げるというような趣旨での文章であるならば、こういった表現もあろうかと思うけれども、やはり一応この検討会での客観的な意見ということになれば、構成員の言われたようにすべきではないかと思う。

(構成員)ただ、要望する声が大きいことは事実だ。

(構成員)そこはそのとおりだ。

(構成員)そういう声を入れるような形をやっていくと。

(構成員)そうだ。極めて不十分であるとか、そういう声があるというところだから、ここのところは。現状認識自体が、そういう声があるということでの認識になってしまう。だから、パブコメの結果を利用すれば、私どもが書いたようになっても不思議ではない、そういう要望があると書いても不思議ではない。そうすると、この丸をとって続くような文章にして、「要望がある」とすればよろしいか。「状況にあり、」として。非常に長い文章になってしまうけれども。

(構成員)全体の構成を変えない限り、なかなか文章がつながらない。そうするためには、例えば、「しかしながら」の次に「現状について」という文章を持ってきて、後はずっと、「過ぎないと批判し」、それで「声が多い」というふうに続けないと、全体の文章としては続かないと思う。うまく修文できるかどうか、今この場で。

(構成員)事務局に今やっていただいて、その間、先に進めようか。

(事務局)取りまとめをするのは、もちろん事務局としてはやるけれども、例えばどういうものが加わるべきなのかとか、そういった意見の一致を見るまでの議論がないままということになれば、ちょっと取りまとめもなかなか難しいかなと思う。

(構成員)この構成員の修正案と原案を対照すると、原案に文章として全く欠けているのは、一番最初の「被害者の刑事手続上の権利は極めて不十分な状況にある」というところだけである。あとは、「情報提供と参加の機会の拡充」というのを、「参加する権利」というふうに修正すべきだというご提案で、そこが違っているけれども、文章のもとの形はある。「単なる証拠」という部分も、もとの文章にある。そうすると、構成員としては、この「刑事手続上の権利が極めて不十分だという意見が被害者等からは多い」ということを盛り込むのと、「参加の機会の拡充」というところを「参加する権利を認めるよう」というふうに改めろと、この2点が実質的に違うということか。

(構成員)それと、少年保護事件についても触れているということ。

(構成員)それは原案にも入っている、「少年保護事件の調査・審判の手続に関し」と。申し上げたいのは、原案でも形というか枠としてはあるので、その部分をもう少し強めるとか、そういうことで済むのかどうかということだ。作業していただくにしても、そこのところは意見が一致しないと、作業できないだろうから。

(構成員)被害者の声がこの辺で強いというところを盛り込むような修文をして、十分検討してもらうということでよろしいか。

(構成員)被害者の権利が不十分であるということは、これはやはり国民からも出ているわけなのだから、これはやはり入れていただきたいと思う。

(構成員)先ほどもちょっと申し上げたが、被害者の刑事手続上の権利は極めて不十分な状況にあるといっても、その権利はどういうものを想定するかというのが書いてないと、要するに意味はどうにでもとれてしまうものになるような気がする。ここで一番主張されたいというか、構成員の方で権利の中身として考えているのが、情報提供だとか参加ということを内容とするのであれば、実質的な中身をむしろ書いて、必要があればそれを修文するという形にすべきである。そうすることによって、意味はそれなりに満たされていくのではないかという感じがするし、翻って証拠として扱われているに過ぎないというのも、もっと積極的に参加するなり、あるいは情報提供を受けるということが必要だという意見が、そういう表現であらわされているのではないかなという感じがするので、その辺の実質をむしろ書いていった方がいいのではないかという感じはする。

(構成員)不十分であるというのは、それとする意見も多いということであれば、内容をどこまでさらに分析する必要もないんだろうけれども、それは意見の、かなりいろいろな立場であるけれども、例えばそういう表現でいいのであれば修文で済むかと思うけれども、まず客観的に「不十分である」と言い切ると、それはいろいろと問題が起きてくるのだと思う。だから、あるとする意見が多いとか、そういう表現でよろしければ、事務局の検討に委ねていいかと思うけれども。

(構成員)ちょっと思いつきだが、もし今、構成員が言われたとおりであるとすれば、「しかしながら、犯罪被害者等からは、現状について犯罪被害者等は証拠として扱われているに過ぎず、事件の当事者にふさわしい扱いを受けていないという批判があり、刑事に関する手続及び少年保護事件の調査・審判の手続に関し、一層の情報提供と参加する権利を認めるよう要望する声が多い。」と、こういうふうに書けば実質は盛り込めると思うけれども。

(構成員)それでよろしいか。

(構成員)そうだね。

(構成員)全くの思いつきなので。

(事務局)今の議論を踏まえて、事務局で取りまとめ案を作成し、次回までに示したいと思う。

(構成員)1ページの現状認識の2行目の「捜査・公判」の次は「・」ではなくて「、」にしたほうがよい。捜査・公判というのは言うまでもなく刑事事件のもので、少年審判とは手続上違うので、それだけのことだが、同じことは4行目の右の方にある。
 もう一つは、「少年審判等に対し、事件の真相を知ることができ」というのはちょっと文章として変なので、「少年審判等に対し、それを通じて事件の真相を知ることができ」というような文章の方がいいのではないか。
 あと、「正義が示される」というのは、ちょっと私の語感、日本語能力ではついていけないので、「正義が行われる」とかそういう表現の方がよいのではないかと思う。
 あとは、その2つ下の情報提供のところで、「公判等の情報提供」というのは「公判等に関する情報提供」の方がよろしいのではないか。

(事務局)確認だが、「その2-2」の7ページと8ページの関係で、構成員からの「個別に説明するか書面で送付するべき」という意見に対して、事務局の意見で「議論してほしい」というふうにさせてもらった。

(構成員)これは少年事件についての各種制度の問題であるが、所管している検察庁の事務の関係で申し上げると、少年事件は、必ずしも検察官を経由しない事件もあるので、そういう意味で言うと、全体的に被害者に検察官のほうでこうするということが、もともと言いにくい立場にあるということが1点ある。
 ただ、構成員の指摘のように、各制度について知らないまま過ぎてしまうということがあっては、もともとの制度の目的を十分達し得ないわけなので、ここの骨子にあるように、こういった制度についての周知に努めなければいけないということだろうと考えている。具体的な周知の方法としては、もちろんパンフレットを置くというやり方も一つだろうが、それではなかなか足りないとすれば、被害者の耳に届くように、あるいは目に届くように、どういうふうにそれを認識してもらえるようにお知らせするのか、そういった周知の方法、あり方についても含めて検討して、その努力をしていくということを考えていきたいということである。

(構成員)私どもがこういう提案をしたのは、意見聴取とか記録の閲覧・謄写とか結果通知と、こういう制度があるということを知っている被害者が非常に少ない。だから、単にポスターを貼るとか、パンフレットを置くとかというのではなくて、警察、検察、それから家庭裁判所、それぞれの段階で被害者に対して個別的にこういう制度があるよということを知らせてもらいたいということがこの趣旨だ。検察官と書いたけれども、検察官を素通りしていく事件もあるだろうから、検察官に限らず、警察、検察、家庭裁判所、それぞれの段階で被害者に対し、個別に知らせる制度を設けていくようにしてほしい。被害者は、現段階では本当に知らない。だから、パンフレットだけぽんと置くのではなくて、こういう制度があるよということを書いた紙を渡すとか、パンフレットを渡すという、とにかく知らせると、こういうことを具体的にやってほしいということだ。

(構成員)趣旨は十分了解するところではあるが、当方の立場で申し上げられることとすれば、先ほどもちょっと申し上げたように、検察官、検察庁の方でこの少年事件について被害者と個別に接触する機会というのは、具体的に統計はないが、少ないのが現状であるので、その辺の工夫をいかにすべきかということになろうかというふうに思っている。

(構成員)むしろ警察、家庭裁判所、これらだろうか。実効があるのは。検察庁はバイパスみたいになっているから。だけど、それでもやはり。

(構成員)家庭裁判所では、一件記録が回るけれども、これを見た段階では、被害者の方が事件について知らせてほしいと思っておられるのか、あるいは逆に一切かかわってほしくないと思っているのか、あるいはその中間のどの辺にあるのかというのは、これだけでは本当にわからないところである。現状では、警察あるいは検察庁におかれる被害者等通知制度などがあるので、そういったものを通じて被害者の方から裁判所に問合せがあった場合については、平成12年の改正少年法で設けられた諸制度について説明したり、あるいは申出期間があるので、その関係で申請をすべき期日はいつまで、だから、例えば意見聴取であったら、審判期日が決まっていれば何日までなので何日までに申し出てほしい、こういうふうなものなどを柔軟に伝えるようにしている。

(構成員)それは、被害者に個別に伝えているわけか。

(構成員)申し出があれば、その段階で電話などで個別に伝えるようにしている。

(構成員)申し出がなくても積極的にやってほしい。申入れというのは、そういう制度があるということを知っていてはじめてできるわけで、一般の者は知らない。裁判所のほうから積極的に、「こういうことができる」という通知をしてほしいと思っている。

(構成員)ここは逆に質問したいところだが、我々の認識では、被害者の方には、むしろ裁判所から電話など、そういう関わり合いがあること自体を拒否される方もいるのではないか。かえって意向もわからないのにこちらからすべてやるのもいかがなものかなと思ったが、そういうものではないのか。その辺はいかがなのか。

(構成員)そういう心配はないと思う。特に、被害少年になると、当然、加害者は家裁へ送られるであろうということはわかっているし、裁判所の封筒が来たからといってびっくりするということはないと思う。そこのところは。

(構成員)ここのところは、最初にかかわるのは警察だろうが、警察、検察、それから家庭裁判所というその流れが被害者を中心に動かないで、縦割りで、ここでぽんぽんと切れていくので、そこをうまく連携しながら、被害者がずっと継続的に情報を提供され、何が起きているかわかるという、そういうシステムを検討していくことは大事かと思う。だから、法務省だけということでもなくて、連携が大事なような気がする。

(構成員)少年犯罪の被害者が一番不満に思っているのは、知らないうちに何もかもやられてしまうということだ。家庭裁判所の審判を受けたぐらいなことは、新聞記者に聞いたり、警察で聞いたりしてわかるが、裁判所へ行ってどうしていいかということになると全くわからない。弁護士のところへ行けば教えるけれども、被害者が全員弁護士のところへ来られるわけではない。懸念のように、裁判所からそういう書類が来ることによって、不快感を持つということはないと思う。よくやってくれたなと思って感謝するのではないかと思っている。

(構成員)必ずしも一件記録で、被害者の方の今の現住所とか電話番号が記載されているとは限らない場合もあるし、今、構成員が言われたとおり、これは各種機関の連携の問題だと思うので、今の意見を十分踏まえて、実務の運用で、どの程度きちんと通知申し上げるのが一番適当なのかということについて、またよく検討していきたいと考えている。

(構成員)6ページの下の方の(6)で、書面を出してなくて恐縮だが、質問ということで、「法務省において、加害者の保釈に関し、検察官が、犯罪被害者等から事情を聴く」とあるが、この事情の内容というのは、どういう内容なのかということ。被害感情とかそういったものについては、これは裁判の中で斟酌されて量刑等に反映されるのであろうかと思う。保釈にはそれは関係がない。客観的な危険性とか、そういったことについてなのか、つまり事情ということに絞りがないために、非常にわかりづらくなっているのではないかと思っているわけである。
 申し上げるまでもなく、刑事訴訟法の89条5号で、被害者との関係についてはもう既に定めがあるところなので、殊さらこのようなことをしたためなくても、そちらで十分に賄えることではないかと。このように申し上げているところは、基本的には、もうおわかりかと思うが、弁護士という立場からすると、やはり現在なお人質司法とよく言われるようなことというのは現にあるので、ここにつながりかねないような内容ではなかろうかなという危惧がある。
 ということで、この被害者等に聴く「事情」というのは、どういうことになるのかと。できるならば、その事情というものを踏まえた表現にならないものかなと。検察官が聴くのは当然だと思う。ただ、その内容をここに明らかしないで書くということに対して、ちょっと疑念があるということだ。

(構成員)保釈について、もちろん要件は法律に定められているわけなので、それに従って行われるということ自体は当然であるけれども、ここで、こういう形で書き込まれたのは、一つには、保釈の要件にかかわる罪証隠滅なり、被害者を含むそういう証人、関係者に対する威迫のおそれなり、そういったことを判断する上で被害者等から事情を聞くということが、その要件の判断にもかかわるし、その安全確保にもかかわるということで書き込まれているのだろうというふうに思う。また、仮に保釈するとしても、保釈時のいろいろな条件設定というのもあるので、そういう意味で条件を設定して、さらに犯罪被害者の保護を図るといったことも考えられるので、そういう面で被害者から事情を聞いて、いろいろな状況を把握するといったことは有益であるし、そのことについて適切な対応を求めるという趣旨だろうというふうに理解している。

(構成員)構成員はやや深読みし過ぎではないかと思う。原文でも「聴くなどその安全確保」と、そこにつながっているので、当然、安全確保にかかわる事情を聞くということだろうと思う。「人質司法」云々というのは、論理的には関係がない。何でそこに結びつくのかよくわからない。
 もし心配なら、「事情を聴くなどにより、その安全確保を考慮して」というふうに、事情を聴くのは安全確保の考慮のための方法であるということをより明確にしてはどうか。それで心配はなくなるのではないか。

(構成員)これは被害者団体が強くお願いをしたところだ。

(構成員)もちろんこれがこのままあれば心配のないところはあるけれども、犯罪被害者等にいろいろ聞くことによって、当然、中に被害感情も入る。そういったことのために、検察官の意見等も、あるいは裁判所の判断も保釈に対する考え方が一層厳しくなると。現状でもなかなか保釈を認められないところにあるので、そこにつながるということは十分に考えられるのではないかと思う。今、「事情を聴くなどにより、その安全を考慮して」ということだけれども、保釈と安全ということだが、それはもちろん関係があるのだろうけれども、今の説明等を伺うと、この事情の中を絞るとすれば、保釈条件にかかる事情というようなことを入れるのはどうなのかなと、ちょっと今考えているけれども、これはまさに思いつきなのでどうかわからないが、「保釈条件にかかる事情を聴く」ということであるならばよろしいのかなと思うが、どうか。

(構成員)先ほど申し上げたように、保釈条件も一つだろうが、そもそも保釈するかどうかの要件の判断でも関係をする事柄であろうかというふうに思っている。

(構成員)くどくど申しわけないけれども、保釈するかどうかというのは、まさに保釈条件そのものであろうと思うけれども。

(構成員)正確に言うと、構成員は保釈の「要件」のことを言われている。保釈条件というのは、保釈するにあてって付す条件、例えば、被害者と接触しちゃいかんとか、そういうことを指すもので、言葉のずれだと思う。

(構成員)保釈要件と言われたが、そういうことであればよろしいか。

(構成員)よい。

(構成員)やはり、心配し過ぎではないかという気がする。保釈の要件がなければ保釈できないし、保釈をしないというのも要件がなければできないので、結局、裁判所が判断するのはそこしかない。今もそういうことでやっていると思うが、弁護士会などからの批判は、そういう要件の判断にほかの要素が紛れ込んでいるのではないかと、こういうことだと思う。しかし、もしそれが事実であるとすれば、どのように書こうと、その書き方では防げない問題だろう。私は、こういうところであまりごちゃごちゃと書かない方がいいような感じがするけれども、あまりこだわらない。

(構成員)被害者の安全確保というのは基本法にもきちんと触れられていることだし、そのために検討会をやっているわけだから、あまりあちこち飛ばないで、構成員が言われたように、深読みしないで進めてほしいと思う。

(構成員)一言申せば、構成員も刑事事件をやっておわかりのように、なかなか保釈の現状というのは厳しいものがある。だから、これは日弁連などの意見でも、このところについては深読みかどうかは別として、現実に相当強い懸念する意見があるということは申し上げておかざるを得ないことであろうと思う。

(構成員)保釈要件をというのは、どういう言葉で入れればよろしいのか。

(構成員)「犯罪被害者等から保釈要件にかかる事情を聞くなどにより」か。だから、ちょっとおかしいなと思うのは、保釈要件にかかる事項は、安全確保につながるということとの結びつきが、レトリック上、出てこないかなという、ちょっとそういう感じはしている。

(構成員)今の構成員の話で、そういう言葉を入れるとかえって考えなかった人も深読みするような感じになるので、ここはきちんと言葉の中にも保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実ということで、事情を聴くなど安全確保をということになっているので、犯罪被害者の立場からすれば、被害者の安全確保ということがここできちんとうたわれているということはとても大切なことだと思うので、このまま生かしてほしい。

(構成員)議事録にしたためておいてくれれば、私としてはこれ以上申し上げないことにする。ただ、今の構成員のご意見もそうだが、もちろんこの場は犯罪被害者の検討会ではあるけれども、やはり私としては、常にさまざまな角度からのバランスというものを考えておかなくてはならない、そのバランスの上から申し上げていることだということだけは、ぜひ理解のほどをお願いしたい。

(構成員)また言葉だが、12ページの上から6行目に「周知する」というのがあるが、これは官庁用語ではこういう言い方をするのか。「周知させる」というのが普通の言い方かなと思うけれども。ただ、表現だけの問題だ。オの2行目、これは別に深刻な問題ではない。

(事務局)後ほど確認したいと思う。

(構成員)お任せする。

(構成員)9ページで、(10)の公費による弁護士選任の是非に関する検討で、私の方から文書でもってその下の枠の中、黒字のとおり大幅に中間を削除して、真ん中を抜いてまとめてみたらどうかというふうな意見を申し上げたところ、構成員から大変強いお叱りを受け、これは骨抜きにしようというものだと。特に、刑事手続参加、附帯私訴等に対する事柄を意識してのことだというふうな話があったので、そのことについて若干申し上げたいと思う。公費による弁護士選任については、私の5月23日、第2回の検討会に提出した資料14というところに積極的にこれは実現すべきであるという意見を述べているので、その点はここでは申し上げないことにするが、この9ページのまとめを見ると、真ん中に、「更に必要かつ相当であるか検討することとし」という表現があり、公費による弁護士選任が、必要かつ相当であるかを検討するということになっている。これは、公費による弁護士選任制度は、もう必要であるということは、当然の前提として考えた方がよろしいのではないかと。これは被害者にもよろしいのではないかと思うわけである。相当であるかというふうなことは弱まるなと。したがって、ここは削除したいなと思った。そうなると、文章がなかなか前の方から続かなくなってくる。それで、前には確かに3つのことが書かれている。1つは損害賠償請求の実現ということ、それから2つは刑事手続参加の機会拡充ということ、3つは経済的負担軽減という、この3つを踏まえてさらに必要であるかどうかを調べようと、こう言っているわけだが、そう考えてみると、この3つのうちのどれか1つ、2つ、あるいは3つがもし十分に実現されなかったような場合には、公費による弁護士選任の是非に関する検討、これは実現しなくなってしまう危険がないのかなというふうなことが心配になったわけだ。
 したがって、構成員から指摘のあったような格別の魂胆があって申し上げたことではないことを了解してほしいと思う。この3つのほかに、公的弁護士制度が必要であるというのが、取り調べの実況検分への立ち会いであるとか、それから出所の情報であるとか、証拠品の還付手続であるとか、あるいはDVに対する保護命令の申し立てであるとか、生活保護の申し立てであるとか、マスコミへの対応とか示談とか、ここに掲げられていること以外にも多々弁護士がしなくてはならないことがあろうと思う。そういったことのためにも、公的弁護士制度というのは、ぜひ実現しなくてはならないところであろうかと思うので、この3つを殊さらに掲げることはないのではなかろうかなということで意見を申し上げただけである。
 なお、ちょっとだけ申し上げておくと、弁護士会としては、今度、犯罪被害者のみならず、それより先立ち、被疑者国選が今は数千件だが、やがて二、三年のうちにこれが何万件に、10万件に達するようになる。それから、公的な付添人の問題であるとか、様々な問題を抱え、ここでまた犯罪被害者の公的な制度というのができると、それだけ非常に重たい責任を背負っていくことになるわけであるので、それらを覚悟してこういった制度の実現を図るべきであるという意見を述べていることをぜひ理解してほしいと思う。

(事務局)構成員からの意見に対しては、「その2-2」の11ページに記載したとおりである。それと、ただいまの指摘の中で、公費による弁護士選任の関係であるが、既に確認した「第8回検討会で検討したもの」の7ページの(3)の施策として立てているので、この関係での検討もなされるということで理解してほしいと思う。

(構成員)公的弁護人制度の導入が必要であるというふうに言い切ってしまえ、途中の文章は書く必要がないということだが、これも、「公的弁護人制度」というものの中身としてどういうものを想定するのかによってだいぶ違ってくると思う。その点は、構成員の意見に対する事務局の意見として書かれているとおりであって、前段のところでどういう制度枠組みを取っていくのかによって、弁護士の援助というもののあり方というか、形も違ってくると思う。だから、刑事でいう公的弁護のようなイメージでとらえるのが適切かどうか。むしろ、扶助型ということもあり得るわけで、そういうものをも含めて考えると、前段でどれだけの内容の施策が取られるのかによって、やはり必要性とか相当性も違ってくるので、その辺を含んだのが原文だと思う。弁護士会の立場はよくわかるけれども、弁護士会の主張しているとおりにここで全員が一致したというわけでは、まだ必ずしもないので、その辺は前段のところとの連関において検討しようというのが、今の段階でのまとめ方ではないか。

(構成員)私はこの意見書を出して、真ん中のあんこの部分はとっちゃったらどうかなと思ったけれども、申し上げている趣旨は、先ほど来申し述べたところに尽きるわけで、今、構成員が言われたところもよく理解はできるところである。ただ、ただいま申し上げたのは、別の構成員からのご意見に、私の方から申し上げれば相当程度の誤解があるというふうに思ったので、その誤解の点だけは、ぜひとも解いておいていただかなければならないだろうと思って申し上げたことである。したがって、この意見としては、公費による弁護士制度が、ほかのところでももちろん触れられているところであるので、あわせて検討されるということであって、各被害者がこちらの方がよろしいということであるならば、そこに異論はない。

(構成員)誤解は解けたので。

(構成員)また質問で恐縮だが、18ページの上段で(23)というところで、保護司のことが書いてある。これは保護司に、いろいろ犯罪被害者のことについてお願いをして、その仕事として担当させるというふうなことがあるけれども、これは犯罪被害者の方々で保護司にこういったことをしていただくということでよろしいのか。というのは、保護司もまた、どういうふうに理解しておられるのか、そこら辺のことはどこかで検討されたというか聞いているかというか、そういう場合はどうなのだろうか。つまり、保護司は今まで加害者の面倒をいろいろ見てこられた。その方々が被害者の便宜のために働けるのか。頼む方も、それから頼まれた方も戸惑いがないのだろうかという、この点はいかがなのか。

(構成員)この点は、私どもももちろんそういう制度をはっきり導入するというふうに決めたという制度の設計を含めて、こういうものだということでいろいろな検討が細かくなされたというわけではもちろんないし、ここにあるように、今後さらに検討する中で、そういったことをどうしていくかということを考えていくわけであるが、少なくともこれまでのところ、そういうことについて保護司に意見を伺うというか、そういったことで話をする機会も持ってきているが、その中ではそういうことについて、保護司が被害者のそういった心情を加害者に伝達するといったことだとか、そういった被害者とのかかわりを持つことについて、保護司の方でもそういう役割を担うことについて、それを受け入れるといいうか、それを積極的なものとお考えになる方もいるというふうに聞いているので、今後いろいろご意見はもちろん伺いながら、どういう形が適当なのかということを検討していきたいということである。

(構成員)この点については、私もこれまでの検討会の中で意見を出しているけれども、保護司は、今、更生保護のプロセスの中で恩赦に関連して被害者感情調査の被害者に接することに、もう職務上接することがあるわけだけれども、現在公的に加害者だけ何十年とお世話しながら、被害者のところに突然何十年ぶりに加害者のことで意見を伺いに行くということは、どちらかというとかなり外傷的な結果しか残っていないだろうという感じがする。
 ただ、そういう意味で被害者との接点がもともとあるところを、やはり早くから改善する努力が要るのではないのかなということを感じます。以前私、台湾の保護局、法務省の保護局に該当するところを視察しましたが、そこでは第5課を被害者保護課としてつくり、そこで更生保護団体と同じような仕組みで被害者保護団体を全国につくって、そこで保護司とは別に被害者の保護にかかわる人を置いてお世話していた。だから、保護司が両方、加害者も被害者も別々に、組織を別にしてお世話する体制をつくっていたわけで、その例も挙げて、日本でもそういう国が本格的に、加害者だけではなくて、被害者もお世話することが大切でないかというように感じて、私はそれを考えてほしいというように希望したわけである。
 また、加害者の世話をしてきた者ではどうかと言うが、実は日本には被害者のお世話を専門的にしてきた人はもともといなかったわけで、その点が弁護士も多分にそうだったということになる。それが保護司のように人間関係について訓練を受け、また司法とも接点を持っている人たちというのは、やはり被害者の支援にも適性がある人はあるわけである。その中から被害者支援に向く人を振り向けたりとか、そういうことで推進する方法は幾らでもあるのではないかというのが、私の意見である。

(構成員)保護司さんが両方兼ねるということはないのか。

(構成員)むしろ分けた方がいいと。窓口を完全に分けた方がいいと。

(構成員)もともと加害者の方に接している保護司と、被害者にかかわるこれからの保護司は必ず分けてほしいということは、この検討会の当初から、被害者としては強く希望していることだし、それに対して、多分それなりに考えてくれているのではないかと思いつつ、明確な答は今もまだもらっていないので、その点がちょっと気にはなるが、必ず分けてもらわなければ、被害者は加害者のところにも行っている保護司が被害者のところにも来たというと、プライバシーが果たして守られるんだろうかということで、また被害者はその保護司が近づくだけで二次被害を受けるということになるので、必ず分けて、数は少なくてもいいので、被害者専任の保護司制度、そしてそれを指導する被害者支援保護観察官制度もぜひ実現してほしいと強く思う。
 それと、もう一つ追加だけれども、やはり被害者の側にとっても、もちろん民間支援団体等もあるけれども、そうではなくて、国が関与をしているそういう職員が、被害者に接していたということは、国も被害者のことを気にしていてくれているというように、回復のためにも、とても大きな被害者専任保護司の制度は大きい意味合いがあるので、その点よろしくお願いしたい。

(構成員)制度の設計を尽くしたわけではないので、なかなか言い方が難しいところもある。もう一つは、実際の受け手の方の保護司の体制というか考えもあるので、それと実際には協議をしながら制度をつくっていくということになると思う。ただ、加害者担当の保護司と、被害者担当の保護司が一緒になっているということの問題というのは、こちらも当然認識しているので、そういう意見も当然踏まえて、よい形の制度をつくっていく必要があると思っている。

(構成員)先ほどの9ページの構成員の言われたところで、「諸施策を踏まえ、更に必要かつ相当であるかを検討することとし」と、これはどういうことを言っているのか。さっき説明あったかもしれないが、ちょっと聞き落とした。下の枠の構成員の意見のところである。こちらの事務局の書かれた原案があるが。

(事務局)資料の11ページに、先ほども申し上げたように、内閣府意見ということで取りまとめている。12条の関係の公費による弁護士選任というのは、現在ある損害賠償請求訴訟を前提としている。それから、第18条のものについては、そこに2つ記載しているように、新たな制度、我が国にふさわしい制度によって、新しく現行制度にない新たな役割というものが弁護士に発生するということであって、新たな制度に基づくものについては、その制度の検討というものとの関連性が出てくるので、その関係が明確になるように記載しているということである。

(構成員)損害賠償請求の施策と刑事手続の参加と、それから経済的負担の軽減の話とこの3つ、それ以外の部分が出てくるのではないのだろうかと、こういうことか。

(事務局)そうではなく、第18条関係というのは、一つは損害賠償請求に関して刑事手続の成果を利用するということで制度の検討がなされる。それから、司法制度、刑事裁判手続への関与についても検討がなされるが、それらについては、現行制度にない新たな役割が弁護士に発生しうるわけであり、それとの関連であるということが明確になるように記載をしているということである。

(構成員)この「必要かつ相当であるかを検討するため」と言われると、諸施策を踏まえと言った、この諸施策をさらに見直すのかというふうな誤解をちょっと。

(事務局)そうではない。それぞれの検討というのは、それぞれの場でなされるということで施策が立っている。それとの関連があるということで、12条関係の公費による弁護士選任の検討とはまた違った性質があるということを明確になるように記載してある、そういう意味であって、そのもとになる検討に影響を及ぼすという意味合いではない。

(構成員)わかった。

(事務局)「その2-2」の関係について確認をさせていただきたい。
 1ページで、現状認識について、幾つかのご指摘があった。事件の捜査・公判、1行目から2行目にかけてと、4行目の「・」を「、」にする。それから、「正義が示される」を「正義が行われる」。それから2行目の「少年審判等に対し、それを通じて事件の真相を知ることができる」。それから5行目で、「少年審判等に関する情報提供を欲する」という点について修正する。それから、「しかしながら」からの5行については、先ほど議論の中で指摘のあった修文案に基づいて、事務局でとりまとめ、案を示したいと思う。
 6ページ(6)の3行目であるが、「事情を聞くなどにより」という「により」を加えるということで修正をする。
 12ページ(11)オの施策であるが、「周知する」が正しいのか「周知させる」が正しいのか、確認をした上で示したいと思う。
 その余のものについては、「その2-2」のとおりとさせていただく。

○ 総論部分のうち、重点課題(2)及び(3)に関する意見
 事務局より、総論の重点課題部分のうち「(2)精神的・身体的被害の回復・防止への取組」と「(3)刑事手続への関与拡充への取組」について、これまでの検討会での議論を踏まえて「事務局案その2-3」を提示し、これに対する構成員の意見を踏まえて、第11回の検討会において、改めて事務局案を提示したい旨提案。その後の議論は、概要以下のとおり。

(構成員)基本的には、ここに書いたとおりということだが、2つある。それで、また今度議論されるということなので、そこでしていただければと思うけれども、一つは1ページで、「犯罪等という悪意の攻撃あるいは悪質な行為の対象となる」というふうに書いてある。ここは、直接犯罪が意図したことでなくても、ほかにも被害があるということを述べているところだが、例えば精神的被害のところでずっと議論されていることは、悪意ということにあまりこだわらずに、例えば悪意がなくても目撃した場合でも、あるいはDVの目撃なんかは典型的なケースだと思うけれども、被害者等に含まれるということになっている。そのことを考えると、ここはちょっと「悪意の攻撃」という言い方は、あまり精神的な支援にはなじまない言葉ではないかというふうに考えて、「予期せぬ突然の攻撃」や、その「悪質な」というのはちょっと気にはなっていたが、それ以上の言葉が思いつかず、「予期せぬ突然の攻撃や悪質な行為等の対象となったり、それらに巻き込まれることにより」というふうに変えてはどうかというふうに思っている。
 それからもう1か所は、19条の二次的被害のところを述べたところで、実際には法律の条文の上では、「犯罪被害者等の保護、その被害における刑事事件の捜査または公判等の過程においての二次的被害」と確かに書いてあるが、内容的には今までのところを見ると、それ以外の被害についても当然話し合われている。かつ、パブリックコメントでも、それから以前の被害当事者からの聴取でも、例えば福祉の場面あるいは相談の場面、医療の場面での二次的被害については、たくさん述べられていたが、それについては結局ここに集まっているので、そうだとしたら、最初の重点課題の問題、それからそこに書くところで、既にもうそのことを入れてしまった方がいいのではないか、要するに拡張した方がいいのではないかというのが、私の意見である。

(構成員)私の方もそこに書いてあるとおりで、別に内容の点で大きく変更してほしいということではなく、読んだ場合に理解しやすく、頭に入りやすく、あとはもう身体被害と精神被害、あまり対比させるというのはパブコメでもそういう意見があったので、よくなかろうということで、そういった書きぶりを提案した次第だ。

(構成員)言葉だけだが、今出てきた1ページの「保護」というのは、ほかのところを読めばわかるけれども、少年保護なら少年保護というふうにつけた方がわかりやすいのではないか。保護というのは、そういう意味なのだろう。保護と一般的に言うと、もっと広いのか。

(事務局)この保護は、児童虐待とか、婦人の保護等、広い意味である。

(構成員)かなり広いのか。わかった、それなら撤回する。

(事務局)ただいまの構成員の意見を踏まえ、第11回の検討会において改めて事務局案を提示したいと思う。なお、総論部分に対して意見がある場合、前回もお願いしたが、具体的な修正案あるいは具体的な対案の形で、11月4日までに提出願いたい。

○ 第15条関係(2)エの議論を踏まえたたたき台を踏まえた議論
 事務局より、配布した「たたき台」について、これは今までの文書での意見あるいは本日の議論などを踏まえて、その中で出された意見や、特に懸念の部分などをすべて盛り込んで、たたき台として示したものであり、これをもとにまた議論をしてほしい旨提案。

(構成員)せっかく直してもらったけれども、幾つか意見を申し上げたい。まず「匿名発表の安易な拡大によって」とあるけれども、この安易な拡大をするのは警察というふうな趣旨だろうと思う。先ほど申し上げたけれども、我々は匿名発表を安易に拡大するつもりは毛頭ない。このように言っているのは、マスコミの側の言い様であり、そういった一方的な言い分を政府の文書として書くのはいかがなものかと思う。
 2つ目には、「実名発表を原則とすべきであると」云々で「尊重し」とあるけれども、実はこれは、前にも構成員から話があり、ただ私どもとしては、実名発表は原則としていないので、それは尊重することはできないと申し上げたけれども、その意見に変わったところはない。
 3つ目には、「尊重」と「踏まえ」ということが書いてあるけれども、ちょっとこのご趣旨がよくわからない。また、全体のバランスとして、いかにも報道機関の側の利益に軸足を移したというふうに、恐らくこれは読んだ現場の職員は思うのではないかというふうに思う。いかにもバランスがよろしくない、方針が変わったのではないかというふうに思われる可能性があり、これについてもバランスの問題について、もし本当に書くのであれば、報道被害の実態も書くべきではないか。ただ、そうなると長々となるから、それで本当にいいのかということは、よく検討してほしい。ちょっとこれを読んだだけでは現場はどうすればいいのかと、非常に混乱するのではないかと私は思っている。

(構成員)私も似たような意見で、ここまで書くのであれば「犯罪被害者等の匿名発表を望む意見」のところにも、こういう観点から、こういう理由があり、「望む意見」が出てきているというふうに書かないとバランスを失すると思う。そういうことを考えると、私は原案のままというのが一番いいのではないかというふうに思っている。仮にここの文章を直すとすれば、「マスコミ」以下のところについて、「報道機関の報道の自由、国民の知る権利に奉仕する使命という点からの実名発表に対する要望・要請」というぐらいにすれば、気持ちは含まれるのではないか。私はこの「安易な拡大」とか、そういったところは今構成員が言われたとおりで、一つの見方をあらわしているけれども、違う意見は当然あるというふうに思うので、修文するとすれば、そのくらいかなと。しかし、原案どおりというのを第一の提案とさせていただきたいと思う。

(構成員)私も、匿名を原則とすべきであると。しかも、被害者のどういう主張でそれになると言ってきたが、ここに加わったものを見ると、原案の方がずっといいと思っている。これだと、構成員が言われたことと同じで、被害者が要求することは書かないでおって、マスコミが要望することだけをここに書かれると。こうなると、やはりちょっと、悪いけれどもこれは納得できない。原案の方がいい。

(構成員)私も各構成員の意見と全く同じで、ぜひ原案を生かしてほしいと思う。

(構成員)私も同じだ。原案でいいと思う。「尊重するとともに」を入れたために、後ろが何行も大変バランスを欠いて、どうしても議論がおかしいと思うのは、例えば医療で非常に悪徳の医療があって、一方ではちゃんとやっているお医者さんもいるというときに、悪徳医療の被害についていろいろ話しているときに「いい医者もいるよ」といって、それが入ってくるというか、何人かの人が言っているけれども、やはりここでは被害者の現実というところで、具体的な施策を出すということなのだから、そこはやはり、ちょっと考えてほしいというふうに思う。

(構成員)私も同様に、やはり文章から見ても、これはどちらかというと被害者の要望よりも、報道機関の要望をここの条項に取り入れたという印象を、やはり普通に読んだらとってしまう。本来の意図は、やはり被害者の希望をいかにこの施策に取り入れていくかということを考えると、やはりはるかに原案の方が望ましいと思われる。

(構成員)私が申し上げたのは、警察が匿名報道か実名報道かを決定するということをうたっているのであるとするならば、それはいかがなものかということで申し上げた。これは18ページに書いて、そのとおり記載してあるとおりであるが、18ページの一番下に書いてあるが、この最前来の話でもって、そこのところはそういうことではないというふうな説明もあったので、また今改めて出されたものを見ると、いささか散文的というか文学的というか、そんなところもあるので、ここの修正文はどうかなという感じはしている。警察によってなされる、その発表についてのくだりということであるならば、あえてこれ以上は申し上げないでよろしいかなと思う。

(構成員)皆さんの意見はそういうことなのだが、私としてちょっと修文意見を言わせてもらうと、これは骨子のもとの文意だけれども、「実名発表、匿名について、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と」、2つ並んである。ここを、「匿名発表を望む意見を尊重するとともに、報道機関による報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名原則への要請を踏まえて」、これまで骨子のところで警察から非常に抵抗されたので、「配慮し」とか「尊重し」とか、「要望」は「要請」にして結構だけれども、「理由とする実名原則の要請に配慮し」、あるいは「踏まえ」で残してもらうだけで、またそれもいいと思う。

(構成員)前々回、前の第3回の繰り返しで恐縮だけれども、我々実名発表の原則というのはとっていないわけであり、それを「尊重する」とか「踏まえ」ということは私どもとしては言えないということなので、ぜひこの点は理解してほしい。

(構成員)「実名発表に対する要請を踏まえ」。

(構成員)それは結構だ。

(構成員)それは書いてある。「要望を踏まえ」と書いてある。

(構成員)「原則実名に対する要請を踏まえ」。私の意見としたら、ここに「実名発表に対する要請」というのではなくて「原則実名に対する要請」と。

(構成員)それが報道機関の関係者の要請ないし要望であることは事実だとしても、それに配慮し、あるいは尊重して、警察において適切な発表になるように配慮していくということをここで申し合わせたということになると、やはりその原則なるもの自体を肯定したかのような意味合いを持ってくるように思う。今より、それを強めるという意味合いを持ってくるので、反対の側は、それには抵抗感が強いのだろうと思う。そこまで言うと、今度は被害者の方も、「匿名原則」というふうに書くべきだと主張することになると思う。そういう趣旨のことを言っているわけだから。そして、そんなふうに書くことになると、原則と原則で、一体どうすればいいのか分からなくなってしまうと思う。だから、それはちょっと無理な筋ではないかというふうに私は思うけれども。

(構成員)今の構成員の話は理解できるが、その後段に、警察として「適切な発表内容となるよう配慮していく」という、警察の主体がここに出ているので、その前段に、私どもの要望である「実名原則」を入れてもらうことについては、別段私はこちらに偏っているとも思えないけれども。

(構成員)いや、もしそれをやるなら、前段では、「匿名原則」と書けというふうになると思う。

(構成員)当然なる、もうなった。

(構成員)だから、そういうことを言い出すと、非常に分裂した文章になり、正反対のベクトルを2つ並べているようなことになってしまって、おかしいと思う。

(構成員)実名原則というのは、もう現実味がなくて、あらゆるところで配慮しなければならないというのも、それは当然受け入れているわけだから、今さら。

(構成員)それはわたしどもが主体的に配慮する。

(構成員)だから、「実名発表」という表現を望むというふうに書くだけで足りるのではないかと思うが。

(構成員)そういうふうにいろいろな、主張されると、ますます我々怖くなってくる。先行き、またやられるんじゃないかというような気がする。

(構成員)何を。

(構成員)マスコミ攻勢をかけられたり、いろいろやられるのではないかというような不安がますます高まってくるので、原案でどうだろうか。私も折れるので。

(構成員)これは、だから警察が主体的に判断して、発表、その前段には私どもの、構成員は両方入れるとすれば匿名原則、実名原則の両方ということを言っているが、私たちの使命としては、被害者対策以外にもいろいろな要素があるものだから、それに対する国民の知る権利を理由とする実名原則、これは、だから我々として、今譲れない一線ではないかというふうに私は考えている。

(構成員)これは、被害者問題についてのだから、それ以外の被害問題なんかについては、あまり心配なさるのは。

(構成員)これまでも繰り返し申し上げているけれども、被害者問題だけでこういうふうな発表の仕方とか、非常にある種制限するようなものの言い方はされたくないと。その側面からだけね。

(構成員)そういうふうに言われて、人権擁護法案のときも反対されたわけだけれどもね。でも、ここは被害者問題だから、それ以外のことまで考えると、前に進まないと思う。ここは被害者問題に限って考えてほしいと思う。それはまた、別のところでやってほしい。

(構成員)それは理解できるが、エの原案だと「被害者問題に限って」というふうに読めるだろうか。

(構成員)犯罪被害者等基本法の中のものなので、やはり犯罪被害者と誰もが理解するのではないだろうか。

(構成員)犯罪被害者の基本計画に書かれるわけだから、被害者問題に限らないとは思われないのではないか。

(構成員)ちょっとお尋ねするけれども、多分だめなのだろうが、原案の「警察による被害者の実名発表、匿名発表について」とあるが、この「ついて」の次に「は」というの入れて、「ついては」と。警察の行うそれについてはというふうにした場合、若干ニュアンスが変わってくるかとは思うが。なかなかメディアとしては、それは難しいということになるのか。

(構成員)結局そこを受けていると思う、実名発表に対する要請ないし要望というのも。被害者の名前についての実名発表をしてほしいという要請と、そういう文脈だと思う。一般的に実名かどうか、実名か匿名かと、そういう文脈では決してないと思う。マスコミの方が、この原案の中で言われているのは、報道の自由、国民の知る権利に奉仕するという観点から、被害者の名前についても実名発表をしてほしい、こういう要請だと思う。

(構成員)そう。

(構成員)だから、そういうふうにとらえれば、原則とまで言わなくてもいいのではないかと思う。

(構成員)「ついては」を入れるわけか。

(構成員)「ついては」ということで、両方にそれがかかっていることを明確にするということだ。原文でもわかると思うけれども。

(構成員)簡潔で、バランスのとれた原案かというふうに感じる。

(構成員)確かに、文章は非常に簡潔だけれども、「個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮していく」という、「個別具体的な案件ごとに」という部分は、削ることは可能か。「総合的に勘案しつつ、適切な発表内容となるよう配慮していく」と。

(構成員)決めるときは、個別具体的なところで決めることになるのは当然で、やはりこれは警察が決することなのだろう。

(構成員)その辺は当然のことなのだろうが、その場合には、我々の意見も個別具体的に案件ごとの場合には、私どもの意見も聞いてほしいというふうなことがある。

(構成員)まさにそういう趣旨で、個別具体的な案件ごとに、先ほど申し上げたけれども、もし我々が実名を出さないのであれば、理由を説明するので、それを、おかしければそこで議論してほしい。従来からそうやってきたはずだ。そこで議論してもらって、我々は決して硬直的に対応してきたつもりはないし、マスコミの要望に答えたこともあるので、だからまさに、そういう意味で、個別具体的に判断してほしい。その場で、我々が犯罪被害者の立場に立ってものを言うことがあるけれども、その場合には、ぜひマスコミの方も犯罪被害者の立場を理解した上で、お互いに一緒に議論していこうという趣旨なので、ぜひそういう趣旨でこれは生かしてほしいと私は思っている。

(構成員)であれば、「個別具体的に、犯罪被害者あるいは我々の意見」、どうするか。「双方の意見を踏まえつつ」とか「相談しつつ」とか。

(構成員)だから、そういう趣旨で前段に、匿名発表を望む犯罪被害者の立場を一つ考え、そしてまた報道機関の考えも考え、それでまた両者のバランスをとりながら、現場レベルできちんと話をして、あり方を決めていこうというのが趣旨なので、これはもう従来のやり方そのままのことを私ども書いているということなので、ぜひこの点は何も、我々はこれによって物事を隠ぺいしようとか、発表を遅らせようとか思っているわけではないので、そこは現場レベルできちんと。またこれは統一的な基準を示すということはなかなか難しいと思う。だから、やはり個別具体的に、お互いに話合いをしながら、我々も犯罪被害者の立場、考えを尊重しながら話をするので、そこでお互いに議論し合おうという趣旨であるので。

(構成員)今言われたようなニュアンスが、少しでも、一言でも「個別具体的な案件ごとに」のところに入れば。だからこれまでは阿吽の呼吸とか、いろいろなことでお互いにやっていたわけだ。話したりいろいろな議論をしたり。

(構成員)我々現場レベルで、そういうマスコミの方々等の要望をお聞きし、議論をすることについてはやぶさかではないので、そういう意味で、個別具体的な案件ごとに適切な内容となるように配慮するというふうに申し上げているので、だからそこの意味合いは、この中に私は込められているというふうに思っている。

(構成員)いや、込められていると言うけれども、現場の受けとめ方として、やはりそうは受けとめられない現実があるわけだ。

(構成員)そこで、もし批判があるんだったらしてもらって、議論していこうと。

(構成員)それはこれまでどおりやるけれども、そういう現実があることを考えるならば、ここでもう少し、その辺に歯止めのかかるような表現があってもしかるべきではなかろうかと。

(構成員)最近、匿名が増えていると言うけれども、これは全然統計的に実証された話ではないだろう。それを前提にして話すのはちょっとどうかなと、私は思っている。

(構成員)いや、私どもも全国調査をやった結果を踏まえて言っているわけだけれども。

(構成員)統計的に、かつてに比べて増えているということがあるのか。

(構成員)ある。

(構成員)それは、恐らく統計的にとり得ない話だと思う、私は。

(構成員)現場の記者が、以前との比較をしながら。

(構成員)それは実感レベルの話ではないか。

(構成員)実感というか、発表の現実を踏まえて言っているわけである。

(構成員)仮に、もしそういうことがあるとすれば、私は現場レベルで、これはまさに犯罪被害者の立場とか、利益とかに対する理解が進んだあかしだと思う。

(構成員)私どもも同様に理解が進んだと思う。

(構成員)だから、そういうふうなことを踏まえながら、現場レベルでもマスコミの方も、あまりこの「原則」に固執されるのではなくて、やはりそういった犯罪被害者の立場を考えながら、お互いにそういったことを尊重し合いながら、現場レベルの話をしていこうということだと思う。

(構成員)「具体的な案件ごとに」というふうな言葉を入れるのであれば、その後に、ちょっと今、突然であまりいい言葉が浮かんでこないけれども、「いろいろなことを相談する」とかね。

(構成員)それだったら「被害者にも相談する」ということを入れてほしい。

(構成員)そこは、前段で犯罪被害者のご要望と、あとマスコミの要望を踏まえて申し上げているのだから、ここでマスコミの皆さんの声を聞かないということを言っているのではなくて、ここでちゃんと聞くということを申し上げているわけだから、なぜそれに加えてまた書かなければいけないのかというと、今、構成員が言われたように、ではまた犯罪被害者の声を聞いてほしいという話になると思う。

(構成員)個別具体的な案件ごとに判断されるわけだろう、警察が。その場合の判断は、どうやって判断されるのかということ。

(構成員)私が飛行機会社から聞いたのだが、アメリカでは飛行機が落ちても、被害者、乗客の名前は絶対発表しないという。これは、飛行機会社が全部調査して、それぞれの家族、遺族に連絡をする。それだけプライバシーが守られているということだ。日本のある航空会社が、アメリカの会社と提携したら、飛行機が落ちた場合に被害者に連絡をしなきゃいかぬというので、50台電話を増設することと、専門の要員も確保していくという条件を呑まされて、アメリカの会社と締結したという話を聞いた。それくらい被害者の名前のプライバシーが守られている。ニューヨークの事件でも、一々亡くなった人の名前は発表しなかったそうだ。だれそれが被害を受けたということは、天下に公表する必要はないわけだ。こういう事件が起こった、それだけで十分ではないか。何で被害者のことは根掘り葉掘り聞きたがるのか。間違った警察発表によって、間違った第一報が流れたり、風評が流れたりすることをなくするために、被害者の言い分を直接聞きたいという希望を、新聞もお持ちだろうけれども、被害者としては、とにかくそっとしておいてくれということが一番大きいし、それから後で報道されることによって、非常に傷つけられるということがあるわけだ。だから、私どもも、この事務局案には、実は内心は不満だ。不満だけれども、しかしそればかり言っても、これは終わらないということで、妥協して原案でいこうと言っているわけだから、ぜひ構成員もこの辺で、ひとつ折れてくれないか。新聞協会に対しては、十分顔を立てたと思う、あれだけ頑張れれば。

(構成員)私はそういうつもりで言っているのではなくて、要するに「個別具体的な案件ごとに」というのを削除していただけないか。

(構成員)でも、発表は個別具体的に、個別で発表をするわけだ。

(構成員)むしろ、構成員が懸念されていることを前提として言うならば、それを削った方がよっぽど危ないと思う。全国統一で、こういう基準でやるんだというふうに読めてくる。それより「個別具体的な案件」で、被害者の意見も伺う、そして、どうぞと言われれば、そこのところは軽くなるわけであるし、これだけの重大な事件で社会的に広がりがあるから、こういう理由で被害者名も必要なのだということを、ちゃんと記者の方で説明されればそれも考慮する。そこは全部「個別具体的な案件」の中で行われることだと、そういうふうに読めるのだけれども。
 前段は一般論であって、後段だけが個別具体的な事項だと、そういうふうに読まれると、ご心配がむくむくと大きくなるのかもしれないが、その語句を削った方がよほど危ないと思う。

(構成員)構成員の意見は十分に、議事録に残るので、その辺で原案どおりということでまとめてよろしいか。

(構成員)では、1点だけでやめる、引き下がるが、「総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに」とある。総合的に勘案し、その「個別具体的な案件ごとに」というところに「双方の意見に配慮しつつ」というふうな。同じか。繰り返しになるか。

(構成員)配慮は双方の意見だけではなくて、いろいろな環境の問題が入っているはずだ。

(構成員)私、この原案どおりで、懸念のようなことはないと思うが、思いつきだけれども、「個別具体的な案件ごとに」をいっそ冒頭に持っていくことも考えられるのではないか。「実名発表、匿名発表については、個別の案件ごとに云々」と。そうすると、意見を聞くのも要望も、個別の案件ごとであるということが文章上はっきりする。それでも全然構わないと思うけれども。

(構成員)「実名発表、匿名発表については、個別具体的な案件ごとに」か。

(事務局)事務局として提案したいと思うが、この問題は、実は次回議論する第20条の国民の理解の増進の中でも再掲で出てくる。その場面でも議論をすべき案件であるし、それで今、非常に議論が白熱をして、いろいろな意見が出て、また具体的な修正意見等についても、また新たに議論の中で出てきたということなので、今日の議論を踏まえて、また具体的な修文案等についても、改めて次回までに考えをいただいた上で、次回また議論するというような方法もあるが、どうか。

(構成員)せっかくの提案だが、ほぼ意見は出尽くしていると思う。圧倒的多数は原案どおりでいいということであったのだから、もし提案のような進め方をするとすれば、この原案どおりでは問題があると言う構成員から修正案を次回までに用意してもらって、それについてさらに検討するというのが筋だろうと思う。私自身は、もうここまで議論をしたのだから、ここでもう決めるべきだという意見だ。

(構成員)私も、ぜひこの場で決めてほしいと思うし、このいろいろな基本計画案の中では、もっともっと盛り込んでほしいということはたくさんある。それでも、やはりきちんとまとめあげるために、飲み込んだものもたくさんあるので、その点もぜひ構成員にも理解してもらって、結論を出してほしい。

(構成員)今、大勢がそういう原案どおりということであれば、私はあまり長くこの問題を、いろいろある中で大変恐縮な気持ちでいるけれども、この辺は引き下がらせてもらう。もし、次回議論するのであれば、私はまた修文案を出させてもらうけれども。その辺は、皆さんのご意見はもう固まっているのだろう。

(構成員)私も大分くたびれたから、この辺でもう決着にしてほしい。もう毎日毎日メールが来るから、もう体がもたないような状況だ。

(構成員)これでよろしいか。

(構成員)結構だ。

(構成員)「は」はよいか。

(構成員)それは、構成員のことをちょっと考えて申し上げたので、あった方がいいかなと思っているけれども、それはどちらでもよろしいかなと思っているので、「は」を入れたらよりクリアになるかなと。恐らく構成員の方から、次回までにまた戻られて、今ここで思いつきじゃなくて案が出てくるかもしれないし、それを全く拒否するという今までの流れでもないと思うので、そのときにまた議論して。大体は、今日意見が出たなということは、もう間違いないところだと思うけれども、そんなふうに思っている。

(構成員)「ついては」は、「は」を入れることにしようか。

(構成員)「は」は入れよう。

○ 最後に、事務局より、本日議論したもののうち、基本計画案の各論部分、すなわち重点課題に係る具体的施策(「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」及び「刑事手続への関与拡充への取組」)については、事務局において基本計画案(2)として取りまとめ、次回の第10回検討会までに構成員に提示するとともに、総論部分については、第11回検討会に改めて事務局案を提示することとし、目的、基本方針、重点課題(1)に対するものも含め、各構成員から意見がある場合には、具体的な修正案または具体的な対案の形で11月4日までに提出してほしい旨提案。
 また、次回の検討会は、11月7日(月)午前10時から午後0時30分までを予定している旨を紹介。



(以上)


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