(開催要領) | |
日時: | 平成17年6月6日(月)14時~19時25分 |
場所: | 内閣府本府庁舎3階特別会議室 |
出席者: |
座長 | 宮澤 浩一 | 慶應義塾大学名誉教授 |
代理 | 山上 皓 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 |
構成員 | 井上 正仁 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 |
同 | 大久保 恵美子 | 社団法人被害者支援都民センター事務局長 |
同 | 岡村 勲 | 全国犯罪被害者の会代表幹事 |
同 | 久保 潔 | 読売新聞東京本社論説委員兼編集委員 |
同 | 小西 聖子 | 武蔵野大学人間関係学部教授 |
同 | 中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長 |
同 | 山田 勝利 | 弁護士 |
同 | 加地 隆治 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 |
同 | 片桐 裕 | 警察庁長官官房総括審議官 |
同 | 河村 博 | 法務省大臣官房審議官 |
同 | 太田 俊明 | 厚生労働省政策統括官(労働担当) |
同 | 平田 憲一郎 | 国土交通省総合政策局次長 |
代理出席 | 下河内 司 | 総務省自治行政局自治政策課長 |
協力者 | 板東 久美子 | 文部科学省大臣官房審議官 |
※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。
※ なお、構成員、協力者、村田大臣及び説明者として発言を求められた者のいずれの発言についても、便宜上「構成員」と表記した。
(議事次第)
1.開会(宮澤座長)
2.村田大臣あいさつ
3.骨子案(2:損害回復・経済的支援への取組について)について
4.骨子案の検討について(3)
5.その他
6.閉会
<附属資料>
(議事3.関連) | ||
資料 | 基本計画骨子案(2:損害回復・経済的支援への取組について) | |
(議事4.関連) | ||
資料1 | 内閣府資料(pdf形式:106KB) | |
資料2 | 警察庁[1](pdf形式:129KB) [2](html形式) | |
資料3 | 総務省資料(pdf形式:81KB) | |
資料4 | 法務省資料(pdf形式:56KB) | |
資料5 | 文部科学省資料(pdf形式:25KB) | |
資料6 | 厚生労働省資料(pdf形式:164KB) | |
資料7 | 最高裁判所資料(pdf形式:192KB) | |
資料8 | 大久保構成員資料(pdf形式:42KB) | |
資料9 | 岡村構成員資料(pdf形式:41KB) | |
資料10 | 久保構成員資料(pdf形式:16KB) | |
資料11 | 小西構成員資料(pdf形式:33KB) | |
資料12 | 中島構成員資料(pdf形式:44KB) | |
資料13 | 山上構成員資料(pdf形式:23KB) | |
資料14 | 山田構成員資料 [1](pdf形式:12KB) [2](pdf形式:218KB) [3](pdf形式:231KB) [4](pdf形式:282KB) |
(議事内容)
○ 犯罪被害者等施策担当大臣から、犯罪被害者等基本計画検討会の第3回会合の開催にあたり、招集の趣旨として、概略以下のとおり、挨拶を兼ねた発言があった。
「本日は、『損害回復・経済的支援への取組』関する骨子案について議論をしていただき、その後で、『精神的・身体的被害の回復・防止への取組』に関する施策について議論をお願いしたい。基本法においても、第19条で、刑事手続における適切な対応その他の配慮を通じてさらなる精神的被害を受けることを回避するということが規定されており、また、第14条において、既に受けている心身への影響から回復できるよう適切な保健医療サービス等の提供が規定されている。被害の再発防止についての施策もあわせて第15条において講ずることとされているので、精神的・身体的被害の回復・防止への施策について、本日は議論をしていただきたい。」
○ 議事に入る前に、構成員より、検討会の進め方について意見があり。これについて議論。
(構成員)第2回の検討会で犯罪被害者等施策担当大臣が、犯罪被害者等基本法は、これは大変な法律であり、役所にも義務を課するものであるし、従来の発想じゃいけないというご発言があった。私は感銘深くこれを受けたのだけれども、この基本法は、今まで犯罪被害者等の権利が尊重されず、被害者に苦しみを与えたことを反省した上で、被害者の声に耳を傾けて、被害者の視点に立った施策を講じて権利保護を図らなければならないと、前文でうたってある。また、目的や理念のところも、被害者の権利の保護とか尊厳とか、尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有すると書かれているので、あくまでもこれを被害者の声を聞く、被害者の立場に立って物を考えるという観点から議論されるべきものであると思うのだが、前回の議論を聞いていると、必ずしも私はそういう情熱を感じることができなかった。
例えば法務省は、保護法の運用によって被害者の保護ができるという立場しかとっておらず、被害者に新たな権利を与えるというところまで言っていない。また、検討会は、犯罪被害者のための施策に関する基本計画、法律の第8条1項の草案づくりであるが、犯罪被害者のための施策とはどういうものかということが第2条3項に書いてある。それを見ると、「犯罪被害者のための施策」とは、犯罪被害者がその受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう支援し、「犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与する」、これが我々のつくろうとしている犯罪被害者のための施策の基本計画である。その辺が抜けた議論がされているのではないかと思う。そして、基本的施策の12条には、当該損害賠償請求について、その被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充等必要な施策を講ずるものとすると定められており、これが附帯私訴も視野に入っている、どういう附帯私訴をつくるかは別として、視野に入っていると言わざるを得ない。
また、18条は、被害者等が刑事手続への参加の機会を拡充するための制度の整備となっており、これも訴訟参加の検討が含まれていると思っている。
私どもは、実は署名運動をやって全国に55万7,215人の署名を集めて総理大臣に提出した。これは、附帯私訴、訴訟参加、被害者のための刑事司法を求めるものであり、この55万というのは、私たちの会員だけでなく、全国の会員が参加して集めたものであり、これが犯罪被害者の声である。
そして、骨子案の2の事務局案は、附帯私訴とか損害賠償命令等、損害賠償の請求に関し「検察官の立証を得る成果を利用することにより」となっているが、立証は検察官だけがするものでもなく、裁判官が職権ですることもあり、また被告人側の立証の結果も使用しなければならないこともある。また、将来、訴訟参加が実現すれば、参加人の立証の成果も使用することになる。したがって、私どもは事務局案はあまりにも狭くて、「刑事手続を利用することにより」と改めるべきだとしたのであるが、これは全部基本法の精神にのっとっているものだと私は思っている。
そして、この被害者の声に耳を傾ける、被害者の視点に立った観点からすれば、この要望書の要望の趣旨を最大限尊重していただきたい。これが基本法の精神でもあると思う。また、最高裁は、傍聴について被害者の名誉、恐怖心の払拭、精神的圧迫等を考慮して犯罪被害者と他の傍聴者との間に遮蔽することは、被害者の尊厳を守り、それにふさわしい処遇をすることであると我々は考えているのだけれども、これも裁判所はそうすることを嫌がっている。これも基本法の求めるところに反すると思う。傍聴人は被害者の顔を見たくて来るわけではなく、遮蔽が傍聴の自由を阻害することはあり得ない。基本計画の策定はあくまでも従来の制度、理論を見直して、被害者の立場から新しい制度をつくろうとするものであるから、現状がこうだ、今の日本の理論はこうだというところからだけで議論すべきではないということで、これはその点を、大臣の発言もそのように私ども理解している次第である。
そしてまた、国民に信頼される司法ということを盛んに言うけれども、犯罪被害者は現行の司法制度、特に刑事司法制度に対して大きな不満を抱いている。犯罪被害者が信頼しない司法をどうして国民が信頼すると言えるだろうか。刑事司法との接点のある国民は、被害者等だけであり、その被害者等が信頼しない司法を国民が信頼する司法ということはできない。この観点もお忘れなく、情熱を持って私は議論を進めていただきたいと思う。
(構成員)私も、今お話しのあったようなことを、実は前回の会議ではとても強く感じた。犯罪被害者等基本法は、今まで本当に数え切れないほどの被害者の犠牲の上に立ってようやくできたもので、できるに当たっても、元法務大臣は、世界一立派な基本法にしようと力を込めておっしゃってくださった。それでも、実際にこちらの方に出てお話を聞いていると、被害者の要望を取り入れた施策を充実させるとか、制度をつくる、あるいは必要な法律をつくるというような視点はあまり情熱としては感じられない。そして、今ある制度を何とかこね回して、それでおさめてしまえばいいのではないか、そういうように考えていろいろな資料も出されてくるように感じてならない。魂のこもった基本計画をしっかりとつくり上げるため、本当に精いっぱい皆さんのお力を出していただきたいと思う。被害者から出された要望をどのようにすれば入れることができるのかという視点でしっかりと考えていっていただきたい。そうでなければ、今まで無残にも殺されていった被害者、あるいは今も苦しんでいる被害者、遺族たちはこれから先、日本の社会や国に対して誰一人信頼感を持つことができなくなってしまうと思う。今、こういう機会なので、私たちの子どもや孫が安心して住める日本の社会をつくるためにも、今精いっぱいの力を皆さんに出してつくり上げていってほしいと切に願っている。
(構成員)今お二人が話されたことのうち、被害者の方のお考えやお気持ちを最大限尊重するということは、私どもも当然、この会に参加する以上は認識をし、そういう覚悟で来ている。ただ、基本法を読んでも、「適切に」関与するとか、制度の「拡充等必要な施策を講じる」というふうに書かれており、そのことから見ても、方策の具体的なあり方についてはいろいろな考え方があり得るように思う。その点についても、構成員が提案なさっているのをそのまま受け取れ、そのまま実現しろと言われるのでは、この検討会で議論する意味はほとんどなく、最初から結論が決まっているということになろうかと思う。
私は、そういうふうには受けとめていなくて、基本法の趣旨を具体的にどういう制度に結びつけていくのかについては、いろいろな考え方があり、また、ご提案についても、この前も何人かから指摘があったように、問題がないわけではないので、そういう問題が本当にあるのかどうか、これからさらに検討しなければならないと思う。そういうこともあるので、大きな制度をつくるかどうかというときには、やはり慎重な検討が必要だろうと考えている。
その際に、今お二人から既存の制度、あるいは既存の理論とか考え方をあくまで大前提にし、それは動かないものとして、一部をいじるだけで対応しようとしているのではないかというお話があったが、私は必ずしもそうは考えておらず、今の制度や基本的な考え方自体も先ほどのような趣旨から見直してみる必要はあるだろうと思う。ただ、今、そういう基本的な考え方とか制度になっていることには、それはそれで、それなりの理由があるわけだから、そこをどういうふうに考え直していけばよいのか、あるいはそうすることはやはり無理なのか、そういう点をさらに検討をしないといけない。そういう趣旨で、この前、私自身は申し上げた次第である。自由に議論をする場であるはずなので、最初から結論は決まっているんだというようにおっしゃられると、どうも私などはここに参加している意味がないのではないか、そういうふうに感じた。
(構成員)今のは誤解があるように思う。私どもは、参加法案をつくったけれども、丸飲みしろと言っていない。附帯私訴をつくるにはどういうふうに工夫してやればいいのかというような工夫もしないで、附帯私訴だからだめであると、損害賠償命令だからだめであるというふうに頭からおっしゃらないようにしていただきたいということだ。じゃあつくるにはどうすればいいだろうかとかというふうな議論が全くなくて、否定的な議論が多いのでは私ども疑問を感じる。決して丸飲みしろと言っているわけではない。
(構成員)前回、附帯私訴に消極的な立場をとった者として一言。私もこの基本法の精神を十分に酌んで、被害者の立場というものを十分に酌んで、さあこれから被害者のためにと、そのためにここに集まっているということには変わりないと思う。しかし、だからと言って、ほかの制度との兼ね合いというものも考えなくてはならないことは現実だろうと思う。今まで被告人の人権ばかり言っていたという批判があり、しかし、じゃあこれからは被告人の人権は無視してもいいという意見ではもちろんないと思う。だから、その兼ね合い、バランスというものを考えるというのが現実的な問題だろうと思う。そうすると、この基本法の精神を酌みつつ、その中でどのような手段をとったらいいのかというのは非常に重要だろうと思うので、私はそのように考えて発言した。決して初めからこうだと言ったのではなくて、「附帯私訴はいけないと頭から」とおっしゃったけれども、やはり比較考量をして、附帯私訴についてはいかがなものかなということを申し上げたつもりである。なお、この検討会においては、今後ともこのような姿勢で臨みたいと思っている。
(構成員)熱意が欠けていてとかそういう批判があったが、そういうことをちょっと省庁の回答の中に感じるときもある。ただ、私はやはり被害者支援の問題も、10年、20年という歴史があってここまでようやく来て、ここで一気にすべてが達成されるということではない。今、当面数年でできるベストの政策は何かという視点で、ある程度妥協をしながら、省庁でできる限りのことをしていただくという、その線を探していただくことが大事なんじゃないかというように感じている。
○ 第3回犯罪被害者等基本計画検討会の進め方について
検討会の進め方について、事務局から、前回議論が行われた「損害回復・経済的支援への取組」の骨子案の確認を行い、その後、「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」(基本法第14、15、19条関係)について議論する旨説明するとともに、今回は各条文ごとに大括りに議論し、事前に書面として提出されたものについては、口頭での説明を省略することを提案し、構成員了承。
○ 犯罪被害者等基本計画骨子案(2)について
犯罪被害者等基本計画骨子案(2)について、前回検討会での議論を踏まえ事務局から事前に構成員に提示したものに対する修正意見及びその後の再修正意見を、概要下記のとおり説明の後、議論。
(事務局)資料1の2ページの「今後講じていく施策」(1)に関する意見で、これから2年以内を目途に検討していくその例示として、附帯私訴、損害賠償命令のほかに、没収・追徴を利用した損害回復を入れてはどうかという意見が出ていた。これについて、別の構成員からも、今回の基本計画により援助等を拡充しようとしている対象は「殺人事件の遺族や性犯罪被害者など精神的に重い負担に苦しむ犯罪被害者等」に限られるものとは理解しておらず、そのように限るのは適切であるとも考えない旨の意見があった。私どもも、まさに基本計画の対象というのは、殺人事件あるいは性犯罪被害者など精神的に重い負担に苦しむ犯罪被害者に限られるとは考えていない。ただ、この検察官の立証の成果を利用する制度についての検討においては、やはり財産犯だけということになってしまっては、これはここの必要な検討がなされたということにはならないのではないかと考える。まさにこのご要望の根底にあるのは、殺人事件の遺族あるいは性犯罪被害者など精神的に重い負担に苦しむ犯罪被害者等の負担を軽減するということであるので、その例示としては、やはり財産犯被害者に限定される没収・追徴を利用した損害回復というのは適切ではないのではないかと考えている。なお、この没収・追徴を利用した損害回復についての検討はなされないわけではなく、当初より積極的な検討についての意見を出していただいていたので、また骨子案の中でも、別途1年以内に結論を出すということでご検討いただくということにしているので、こういった検討についても別途やっていただければどうかと考える次第である。
それからもう一つ、医療保険利用の利便性確保について、「厚生労働省において、警察庁の協力を得て、犯罪被害者等において医療保険の利用ができないといったケースがないか実態を把握した上で、1年以内を目途に結論を出し、必要な措置を講じる。」に修正されたいという再意見が出ている。これについては、3点、確認的にお尋ねしたいと思う。1点目は、医療保険がスムーズに使えない理由の一つとして、個人情報が会社等に漏れてしまうという問題が指摘されていたが、そういう指摘についての調査というのは行わないという意味合いなのかどうかという点。2点目は、当初案で「調査」としていたのを「実態を把握」と改められた理由は何かということ。それから3点目は、「必要な措置を講じる」とされており、これは「施策を実施する」から「措置を講じる」に改められたわけだが、その理由についてお尋ねしたい。
それから、被害直後及び中期的な居住場所の確保についての再意見で、厚生労働省では行わないという意見になっている。これについては、前回の検討会でまとめの提案をさせていただいたときの認識としては、厚生労働省から児童相談所や婦人相談所の一時保護を引き続き行っていくというご説明があった。一方、それでは十分ではないという複数の意見が出ていたわけで、それを踏まえて、被害直後に保護される場所としての居住の確保について必要な調査を行い、必要な施策を講じていくという必要があるという議論であったというふうに理解していた。それから、中期的に住んで今後の生活の立て直しができる居住環境の整備ということであるが、これについても、単に公営住宅の優先入居等で住む場所を確保するということを意味するものではなく、費用面、あるいは安全面、ともに保護をされると、保護という性格、そういう保護される場所として犯罪被害者等に居住する場所を提供するということを意味していると理解したわけである。したがって、一時的ではない中期的な保護施設のあり方について調査をした上で、必要な施策を検討するという議論であったというふうに承知をしているところである。これは、まさに以上のような調査は厚生労働省において実施することが相当であるというふうに考えている。なお、中期的な居住の確保については、2月のヒアリングをさせていただいた際に構成員から意見として出されている。できれば構成員から、中期的な居住の確保という意味合いが単に公営住宅の優先入居等を意味するものなのか、あるいは保護という性格のものなのかということはご確認させていただければと思う。
それから、被害回復のための休暇制度導入の是非ということで、この中では、裁判や捜査のための休暇を必要とすることが多いのだから、そういった制度の中で検討されるべきという再意見が出されているが、これは犯罪被害に遭った労働者について、年次有給休暇制度とは別の特別な休業制度を設けるべきかどうかということであり、まさに労働政策であるということで、厚生労働省の方で調査の上、必要な検討を行い、施策を講じていただきたいと思っている。原案どおりとしたいということである。
(構成員)まず、1点目の医療保険利用の利便性確保について、これはいろいろな議論があり、制度的にはかなり利便性の確保はされているわけであるが、ただ、実態面から見るといろいろ不便な面が多いというようなご意見もあったので、私どもも、そういうものを踏まえて利便性の確保について必要な施策を実施していくという点については、やっていきたいと思っている。ただ、前回もご発言申し上げたけれども、実態把握において、私どもでは犯罪被害者という観点でとらえているわけではないので、やはり犯罪被害者全体がどういう不便を持っているのかという点については、むしろ警察庁の方がよく情報をお持ちなので、警察庁で調査をしていただいて、その結果、私どももそれをいただいて検討したいということで、こういう意見を申し上げた。
それから、2点目の居住の安定であるが、児童相談所なり婦人相談所の取組についてご説明申し上げたし、必ずしもそれは十分ではないということもあったので、私どもそういった形での今後とも適正な運用に努めるということについては、別段、全く異論はない。ただ、中期的な居住の確保について、厚生労働省でやるべしという議論はなかったのではないかと考えているところであり、児童相談所、児童なり婦人の虐待の問題について実態把握というのはともかくとして、犯罪被害者全体の生活の問題の中期的な居住について、厚生労働省がすべてやるというのは所掌からしてなかなか難しいのではないかと。決してそういう全体的な中期的な居住の確保についての調査が必要ないとかということを申し上げているわけではないが、私どもで犯罪被害者の実態を全部把握しているわけではないので、その調査を全部厚生労働省でやるというのはなかなか難しいのではないかということで意見を申し上げたところである。
それから、3点目であるが、これはまさに私ども年休制度を持っているので、その運用の中でできる範囲のことは本当に努力するが、犯罪被害者が犯罪被害を回復していく上での休暇制度全体となると、これは労働者という観点よりも、むしろ犯罪被害者が裁判なり捜査によって自分の被害をどうやって回復していくかと、そういう観点から検討する方が適当ではないかということで、まさに犯罪被害者の権利利益の保護をしている、あるいは被害の損害の回復とか軽減を本来の業務としている内閣府なり警察庁が主体となって制度的な検討を行う方が適当ではないかということである。例えば、裁判員休暇についても、これは労働者という観点もあるけれども、これは裁判員制度の枠組み、その全体の中で議論が行われたということなので、この被害回復のための休暇制度というのも犯罪被害者全体をどうやって救済するかという観点から議論するのが適当ではないかということで意見を出したものである。
(構成員)ただいまの基本計画の骨子案に関するご意見に関して、私どもが要望していることと、理解に差があるのではないかと若干感じた。例えば、利便性確保のところはよろしいのだが、特に、雇用の安定について、内閣府、警察庁、厚生労働省においてというところで、これは本来、犯罪被害者のことは厚生労働省では把握できないので、ここから厚生労働省ということは省いていただきたいというお話があったが、犯罪被害者全体について厚生労働省一つで調査してほしいとは誰も思っていない。厚生労働省のできる調査、例えば、今現在、病院において犯罪被害者がどのような処遇を受けているのか、あるいは個々の企業において犯罪被害者のための休暇について配慮がなされているのかどうか、そしてまた、その結果が出たときに、病院であれ、個々の労働環境であれ、それを提言するのは厚生労働省の役割であるので、全部やれと言っているわけではないので、名前を省くということについては、実際に運用されるに当たりさまざまな支障が出るかと思うので、そのようにご解釈いただき、厚生労働省の名前を残していただくというふうにご検討いただければ幸いである。
(構成員)今、ご返答いただいたわけだが、私は直後のシェルターに関して中心的に述べたつもりではあったので、その中期シェルターについては、もし他の構成員のご意見があれば伺いたい。そのことについて言わなかったのは、むしろ厚生労働省のこの前のご見解について、ある意味ではちょっとがっかりしたというか、現状のままの児童相談所と女性の一時保護所についての答弁だけで犯罪被害者のシェルターについての議論が足りるような形での答弁がなされたことに関して、あきれてしまったので、それについての議論が本格的にできなかったということだと、それは認識していただきたいと思う。
一つお願いしたいことは、具体的にそれではそのようなシェルターに、実際に今犯罪被害者と言えるような人がどれくらい入っているのか、それから利用されているとしたらどのような利用をされているのか、もう少し、こういうふうにおっしゃるのであれば、それについて資料を出していただきたいと思う。
それから、この前、私の申し上げた「直後のシェルター」については、これはむしろ警察にお願いしたことだったけれども、ここのところがなぜ中期シェルターの話と一緒にされてしまったのか私はわからない。ただ、こういう形でお答えをいただくということは、厚生労働省の方で犯罪被害者の実態をあまりにも御存知ないのではないかというふうに考えている。構成員の中の犯罪被害者の実態を知っている人たちにこの問題について聞いてみたのだが、私の発言をこういう形で受けとられた方はだれもいなかった。そういう点では、これまでの政策をただ切って出してきて、それでオーケーという形にぜひ今日もお考えにならないように、それをお願い申し上げたいと思う。
(構成員)14条のところで申し上げようと思ったが、今お話があるので、関連で厚生労働省に対してちょっとお話ししたいと思う。今、皆さんがおっしゃったように、医療とか福祉政策というのは事柄の性格上、全国民を対象にした一般的な幅広い政策であるというのは理解できるけれども、しかし、前回、今回と話を拝聴していると、こういう制度があるんだというようには、あるいは福祉にはこういうものが用意されているんだというふうな一般論の段階でとどまっているような印象を非常に受ける。こういう制度が犯罪被害者にどんな形でどこまで利用されているのかという実態を踏まえた上での議論をいただければと思う。その上で、例えば現行の制度の運用とか工夫によって、被害者の要望にどこまで答え得るのかと、あるいは足りない部分はどういうふうな法制をまた新たに用意しなきゃいけないのかと、そういった前向きの議論というか、そういうものをお聞かせ願えればと思う。
(構成員)それと、先ほどから中期的シェルター、あるいは中期住宅の話が出ていたので、これを出した理由を少しお話しさせていただきたいと思う。ただ、今まで出てきた中でも、私は一つ足りないと思っているものがある。それは、厚生労働省の方が、直後は、例えば虐待とかDVの場合はシェルターがある。確かにそれはあるので承知している。しかし、そこに入れるのは犯罪被害に遭って、自宅が血だらけになって、そこに住めなくなった人がそこに入れるわけではない。だから、犯罪被害に遭った、殺人とか強盗、そういうような被害者の方が入れる直後のシェルター的なものは今ないと思うので、ぜひそれは創設をしていただきたいと思っている。
中期的な住宅がなぜ必要なのかと言うと、犯罪被害者が被害に遭ってから、これからの自分の人生が考えられるようになるのには、大体3年から5年はかかる。国土交通省で、犯罪被害に遭った方が優先的に公営住宅に入れる、その制度をつくっていただいたということはとてもありがたいことで、感謝をしている。ただ、そこに入っているときにも家賃とか、職を失ったような場合どのように生活をしていくのかというようなところがまだ細かく決められてはおらず、そこの部分はどこの省庁が担うのかということは、私としてもこことは言えないので、住宅は国土交通省かもしれないが、その他の支援、例えば時々生活状況を見に行く、あるいは健康管理をするということになると、それはまた厚生労働省にぜひお願いしたいことだし、1カ所の省庁だけでできるということではなくて、皆さんの知恵を出し合って、中期的な住宅に入って、そこからまた新たな生活ができるような犯罪被害者の支援というものを考えていただきたいということで、この中期的という言葉を出している。
(構成員)第13条関係の医療保険利用のことに関してもちょっと意見があるが、犯罪被害者、例えば大やけどを負って多額の医療費がかかったようなケースで、第三者行為であるからとして保険事務の担当者から多額の返金を要求されたり、病院から何百万と支払いを要求され続けたというケースは何件か知っているので、私が知っているだけでもそのぐらいあるので、全国にはかなりそういう医療費の問題で被害者が困られた例があるだろうと思う。そういう把握は、別に厚生労働省が犯罪被害者全体の医療費の問題を把握しなくてもいいのだが、病院でそういうふうに被害者は大変苦しんで、担当者も困られた例というのはたくさんあると思うので、そういうことはそちらで調査していただけるといいのではないだろうか。その解決法の一つの端緒になるんじゃないだろうかと思う。
(構成員)前回、私の方から、居住の安定の確保というところで公共賃貸住宅のインフォメーションの提供をさせていただいている。犯罪被害者の方の円滑な住居の住み替えにも活用できるというようなお話をさせていただいた結果、資料の11ページの一番上の「イ」を見ていただくと、「公営住宅への入居に関する犯罪被害者等への情報提供を警察庁及び法務省と十分連携をして行う【国土交通省】」、こう書いてあるが、趣旨は、こういったような情報の提供を積極的に行うということは非常に重要だと思っている。犯罪被害者への支援という観点から、まず必要な情報をワンストップでいろいろ入手ができた方が、犯罪被害者の方も非常に利便性が増すというか、ベターだと思っていて、こういうワンストップで入手することができるような仕組みを構築した上で、各種情報を提供するということを、先ほど来お話が出ているが、前向きの姿勢で政府全体の施策として明確にすることが必要なのではないかと、こういうような趣旨で意見を出させていただいた。内閣府の方から伝わってきているところでは、7月の上旬に開催される第5回目の検討会で、基本法の11条の「相談及び情報の提供等」という柱建てがあり、ここでいろいろ議論がなされるということを伺っている。したがって、現段階において内閣府が示した暫定案というよりも、今私が申し上げているようなワンストップ化を含む情報提供のあり方について、7月の上旬の検討会の場でしっかり議論いただいて、その結果を踏まえた上で骨子案の取扱いを検討するべきではないだろうかというのが私どものポジションである。
したがって、暫定案とした上で原案のとおりとしたいという提示があったが、この点については、もうちょっと前向きに考えた方がよろしいのではないかという意見を申し上げさせていただいて、留保させていただきたい。
(構成員)役所同士であまり議論するのも何だが、第1点目で、「警察庁の調査を踏まえ」となっていたのを「警察庁の協力を得て」に変えていただいた。これはやはり施策に責任を持つ官庁は調査にも責任を持つべきだろうと。ただ、我々は協力はしようということでこのように申し上げたつもりだったが、今のご発言だと、また「警察庁の調査を踏まえ」とおっしゃったので、また元に戻ってしまったのかなという感じがしたけれども、そうではないということか。
(構成員)そういうことではない。私どもで調査できることは当然調査したいと思うが、犯罪被害者全体になると、私どもで調査できない部分もあるので、警察庁の調査を踏まえて、ということで、協力をいただいてということである。
それから、16条の関係も、例えば犯罪被害者の被害直後というか、児童虐待とか女性の被害直後の問題について、今の施策で決して十分であると思っているわけではないので、さらに施策の充実が必要だと思っているので、その調査を行って、必要な施策を実施するということについては、決して異論があるわけではなく、前向きに考えたいと思っているけれども、ただ、犯罪被害者の中長期の居住も含めて全部厚生労働省でやるというのはなかなか難しいので、それぞれの関係各省が連携して、持ち場持ち場で、総合的に考える必要があるのではないかということである。
それから、休暇制度も、先ほどお話があったように、例えば病院とか我々で把握できるものは把握をしたいと思うけれども、むしろ裁判とか捜査となると我々では把握できないところがあるので、それぞれ所管のところで把握していただくのがいいのではないかということで、厚生労働省だけでこういう休暇制度の導入というのはなかなか難しいのではないかと。むしろ休暇制度の導入という全体のことになると、我々、持ち場持ち場で協力はするけれども、犯罪被害者の救済なり、被害回復をどうするのかという観点から所管のところで検討し、それぞれ協力するのが適当ではないかということを申し上げたわけである。
(構成員)それでは、今までのご議論を踏まえて提言をさせていただきたいと思う。まず、厚生労働省の再意見の資料の1ページのところで、先ほどちょっと確認させていただいた原案との表現の違いについてのご説明はなかったが、もし、特に意味合いというか、それがなければ、原案に戻して骨子案とすればどうか。
それから、2ページで、16条の関係、この「中期的な」ということであるが、先ほど構成員からお聞きしたところ、中期ということについては、これからの人生を考える3年から5年、公営住宅に入ったとしても、例えば家賃とか職を失った場合の支援という、そういう意味合いであるというお話があった。
(構成員)それと、日常生活支援も入る。
(構成員)ということになると、前回、これは推進会議の下に検討のための会を設けて、社会保障制度、あるいは福祉制度全体の中で犯罪被害者の方々に対する経済的な支援はどうあるべきかということを検討するという、資料の8ページの(4)だが、この中で議論をするということではどうか。したがって、この16条関係の中から中期的な居住の確保というのは、場所の確保という点からすると国土交通省の方で公営住宅の優先入居という検討を17年度中に行っていただくということになっているので、場所の確保という点ではそちらの方へ、そして経済的支援、日常支援も含めたそういう問題についてはここの資料1の8ページの推進会議の下に置く有識者、それから内閣府、警察庁、法務省及び厚生労働省からなる検討のための会の中であわせて検討する。したがって、第16条関係の原案の中から被害及び生活の立て直しを図るための中期的な居住というのを省いて、犯罪被害者等の被害直後の居住の確保につき、現状に関する必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施するというのを厚生労働省の方で行っていただくということでどうか。
それから、17条の関係で、これはやはり雇用、労働に関する被害を受けた労働者ということであり、裁判制度とか捜査、それから、例えばご意見を構成員の方からも前回いただいたと思うけれども、精神的なケアだとか、身体的な治療のために病院に通うための休暇というもろもろも含めてということであるので、やはりここは厚生労働省の方で主体となって調査をして、検討していただかなければいけないというふうに思う。その際に、例えば裁判制度だとか捜査の関係で現状についてなかなか厚生労働省で把握できないということであれば、警察庁と法務省の協力を得てということで、厚生労働省の方で主体的に調査をし、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施するという案でいかがかと思う。
(構成員)そうすると、この16条の原案のところで、その中期の居住の方が除かれたわけで、原案どおりという形になると、具体的には原案はどういう形になるか確認したい。
(構成員)後でちょっと細かい文言整理があり得べしということでお聞きいただきたいと思うが、「厚生労働省において、犯罪被害者等の被害直後の居住の確保につき、現状に関する必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する」。ただ、この「居住」という表現がいいかどうか、ご意見を賜りたいと思う。
(構成員)その直後の居住というと、イメージが大分違う。多分、一時保護に類することで、問題は児相や婦相が適正に使われているかどうかということではなく、恐らくここには載ってこないのに一時保護が必要な犯罪被害者がいるということだから、適正な利用に努めるの「ア」の方が私は非常に不十分だと思うので、もちろんこれは適正な利用をしていただかなくてはいけないけれども、それでは不十分であるということをせめて文言として一つ確認していただければと思う。
(構成員)そうすると、「児童相談所及び婦人相談所による一時保護の実態に関する必要な調査」というような表現の方がよろしいか。
(構成員)それでも結構だ。そこに今犯罪被害者がどの程度いて、人数としてはどれくらいかを調査していただくということで。
(構成員)それとお尋ねだが、児童相談所、婦人相談所での一時保護の期間というのが今決められている。これらの期間が適当なのかどうかというようなあたりもご意見の中に含まれているのではないかと理解していたが。
(構成員)ここも、今、DVの一時保護所の期間が適当かどうかということについては、男女共同参画の会議の方でも議論があるわけで、むしろそれでは一番必要な生活支援について不十分ではないかという意見が非常に委員の間ではたくさん出ていると思う。そういう点では、現在のこの適正な運用のみでは、児相と婦相の対象者だけでも不十分なわけなので、そこで議論が錯綜してしまうが、犯罪被害者についても、ではなぜ一時保護が必要なのか、さっきから話が出ているけれども、例えば安全の確保だとか、あるいはその時期の本人の生活の保護という点からはどれくらいの日数が必要なのかということは、あまりここでは時間がなくて議論できていないんだと思う。そのことも含めて議論していただくというふうに書いていただければありがたいと思う。
(構成員)それでは、文言の整理は後刻させていただくこととし、今までのご議論を踏まえると、このような案でどうか。「厚生労働省において、児童相談所及び婦人相談所による一時保護の現状に関する必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。」
(構成員)結構だ。
(構成員)今の関連で1点だけ。13条と16条の基本的な考え方は今の整理でまとめるよう相談させていただきたい。17条であるが、これはやはり私ども所掌の範囲でできることは当然するけれども、これを労働者保護という観点からの休暇制度と考えるというのは、どうもやはり私どもからするとちょっと違うのではないかということで、あくまでもこれはやはり犯罪被害者の保護のための被害回復のための休暇制度となると、犯罪被害者全体を所掌している内閣府なり、しかるべきところが中心になって、私どもが協力してやるというのが適当ではないかということである。
(構成員)先ほど来、内閣府の所掌事務として犯罪被害者等の権利利益の保護があるじゃないかというご指摘があるが、ここで一言申し上げたいと思うけれども、犯罪被害者等の権利利益の保護というのは、これは基本法をお読みいただいてもおわかりのように、これは政府一丸となって目指すべき「目的」である。したがって、「目的」を分担管理するということはないわけであって、まさに各省庁が、基本法に基づいて、法目的が図られるように、所管されているそれぞれの制度を犯罪被害等の権利利益の保護という観点からしっかり取り組むというものであり、それがあるから内閣府だということになると、ではすべてが内閣府なのか、ほかの省庁の所掌がなくなるのかという議論になるわけであり、それはやはりそれぞれの省庁で担当されていることについて、犯罪被害者等の権利利益の保護のためにという観点をしっかりと持って取り組んでいこうということである。
それで、もし内閣府設置法の第4条第2項のことをおっしゃっているのであるとするならば、それは閣議決定された基本的な方針に基づいて、さらに強力な、いわゆる内閣府補助事務と言っている総合調整の機能が付与されるという話であり、それを行うことがあり得べしということで例示として書かれているもので、今それに相当する閣議決定はなく、また、そのときでも、各省庁が所管されている事務について、かわって内閣府が行うことができるというところまでの条文ではない。
(構成員)先ほど聞き落としたかもしれないが、被害直後の居住と、それから生活立て直しのための中期的な居住、これは2つあるのか。
(事務局)先ほどご議論いただいて、中期的な居住の確保という問題の趣旨は、1つはそういう場所をやはり優先的に入居できるようというものと、それから入居した場合のそういう家賃と、あるいは日常生活支援も含めた経済的支援が必要だというご趣旨であったので、これはこの16条の居住の安定の、いわゆる一時保護の実態の問題としての検討とは別のところで行っていただければいいではないかと。それぞれの検討の受け皿があるではないかと。1つは、公営住宅の優先入居の問題は国土交通省の方で検討していただくということになっているし、それからもう1つの経済的支援の問題については、全体の社会保障制度、あるいは福祉制度の中で犯罪被害者等の方々のための経済的支援がいかにあるべきかという、その場で検討していただこうということである。
(構成員)それはわかっているが、一時保護というのは児童相談所と婦人相談所のこの2つに限っている。だけど、男性でも、奥さんや子どもを殺されてたった1人になった男性もいる。一時保護が要るわけである。だから、児童相談所とか婦人相談所だけに限ることは一時保護に欠けると思う。奥さんが子どもを殺して、奥さんも自殺未遂を起こしたとかというふうなときには、そこにもう住めない。
(構成員)今のご意見を踏まえると、児童相談所及び婦人相談所に限定しない表現にするということでよろしいか。
(構成員)むしろそうしていただきたい。私の趣旨も同じだ。
(構成員)ぜひそうしていただきたいと思う。
(構成員)児童なり、婦人なり、そういう観点は私ども責任を持ってやらせていただくけれども、男性まで含まれると、ちょっと私どもの所掌範囲を超える部分があるので、それは全体の中でご検討いただきたいと思う。
(構成員)ちょっとよくわからなくなったが、「ア」の方は、現在ある制度がどういうふうに運用されているかについて調査をして、必要に応じてそれを改めていくという趣旨かなと思った。それで、今の構成員から出された問題は、むしろ「イ」の方の一環なのではないかなという感じがする。被害直後にそこに住めない、それで、居住というよりはむしろ生活全般を立て直すのに支援をするということなのではないかと思ったのだが、「イ」に含めるということはできないのか。「ア」の方はむしろ現在ある制度がどういうふうに運用されているのか、どうなっているのかということを、きっちり認識して、それを改めるなら改めると。今お話の部分は現在は制度としてあるわけではない。それまで「ア」に入れてしまうと焦点がぼけてしまって、何の調査をするのか、どこが調査するのか、こういう話になるのではないか。
(構成員)それはおっしゃるとおりだ。それはそもそも、ご答弁が非常に不十分であるというところから出てきているわけで、一時保護に関しても、では男性の被害者はどうすればいいか、それから実質的に、例えば性犯罪被害者も強盗の被害者もそういうものは利用できてない。では、その人たちの一時保護について、この文言の中にどうやって入れていくかという問題で、一つは、一時保護というところにこの「ア」の方の焦点を置いて、児相、婦相、それ以外のことも含めるように書いていただくというのがあるかもしれない。厚生労働省だけではできない、ということだったけれども、むしろそれはやっていただかなくてはいけないわけで、できないのであれば、どういう形でやるかご検討いただきたい。 「イ」の方は多分生活支援につながっていくような連続的な流れとして何か実質を調査してほしいということだと思うので、直後、一時保護と、全体の流れという2本にここを整理して、今のように、問題はむしろここに書いてないことにある、というのが最初から議論されていると思うので、そのことを入れていただきたい。
(構成員)それでは、今のご発言を踏まえると、「ア」は原案のまま残して、「イ」として、「厚生労働省において、犯罪被害者等の被害直後の一時保護の現状に関する必要な調査を行う」ということにすれば、児童相談所と婦人相談所に限らずに、そのほかの現状、それからそれを踏まえた必要性についての調査検討ということになろうかと思うけれども、どうか。
(構成員)先ほど申し上げたとおり、児相と婦相の問題について、現状を調査して、必要な施策を実施するということについては、私どもも積極的に取り組んでいきたいと思っているが、例えば男性被害者の問題、これは新たな問題なので、それはむしろ犯罪被害者全体をどうするかという、先ほど推進会議などでご検討されると言ったけれども、新たな仕組みをどうするかということなので、その中で検討される方が適当ではないかと考えている。
(構成員)では、少なくともそういう困っている人がいることを明らかにしていただくということでどうか。今、私たちはそういう人がいることを知っているけれども、数字としても、正確な統計としても出てこないからこういう形になる。犯罪被害者の直後のニーズについてきちんと調べていただきたい。それは省庁にかかわらず調べるということを入れてほしい。
(構成員)それでは、文言の整理はするとして、今のご指摘の、現在、児童相談所と婦人相談所以外の一時保護の関係について、どういうふうにするべきなのかという点については、推進会議に設ける検討の会の中で検討をするということにし、ここでの厚生労働省の調査及び施策の検討の対象としては、児童相談所と婦人相談所における実態を調査し、そして必要な施策の検討を行っていただき、実施に移していただくと、こういう方向でいかがか。
(構成員)決して時間延ばしとか後ろ向きということではないが、責任を持ってできることとできないことがあるので、それで申し上げたいが、休暇制度の観点であるが、労働基準法の観点、労働者保護ということであれば、私ども責任を持ってやらせていただくけれども、やはり被害回復全体になると、ここもあわせて全体の犯罪被害者の被害回復をどうしたらいいかという形で、全体の中の推進会議の中で検討させていただくのが、もちろん私どもも入らせていただくけれども、全体の中で検討させていただくのが適当ではないかと思っている。
(構成員)すごく簡単なことではないかと思うが、4ページの基本法第17条関係の雇用の安定のところで、修正意見で、「内閣府、警察庁」の後に「厚生労働省」に二重線を引かれた。二重線を引かなければよいだけだというふうに私は思った。
(構成員)それでも結構だ。
(構成員)それであれば了解。
(構成員)今の点、二重線が引かれているので、やはり身を引いているという印象が強い。また、理由の中で、裁判員制度との関係で、その場合は内閣の下に設けられた審議会ないし推進本部の方で検討したのではないかと書かれているが、確かに、そこで議論したけれども、その上で労基法との関係で何か措置が必要だということになっていたとすれば、当然厚生労働省の方にお願いをして、労基法との関係で問題があるのかどうかを検討していただくということになっていたと思う。そこまでいかないで、労基法の公務を理由に休みを取るのを不利益に扱ってはならないという規定の範囲で対応しようということになったので、厚生労働省の方には持ち込まれなかっただけである。そういうことが必要であるということになれば、当然、厚生労働省の方でご検討をいただいていたと思う。 だから、この問題も同じようなところがあって、厚生労働省の方では扱えず、内閣府等で検討すべきではないかということではなく、当然、厚生労働省の所管する労基との関係で問題があり得るわけなので、厚生労働省としてもご検討の上、問題があればそれを積極的に出していただく、あるいは、労基法の方で対応できるならばこうできるというふうに対応されるのがやはり筋ではないかと思う。
(構成員)労基法の中で私ども対応するのが難しいということで申し上げているけれども、確かに検討も必要なので、先ほど来お話があったように、私ども逃げるつもりはないので、この二重線は消していただいて、内閣府、警察庁、厚生労働省、関係各省で検討するということでしたら結構だ。
(構成員)わかったが、ここに法務省も入っていただかないといけないと思う。裁判制度等あるので。
(構成員)それは結構だ。
(構成員)裁判員制度との関係については、構成員のおっしゃったことが結論的と言うか、この被害回復のための休暇制度と裁判員というものになると、ちょっとまた違った面もあろうかとは思われる。ただ、こういう検討について、その関係も含めてバランス論として必要ではないかということであれば、私どもそういう前提で検討させていただきたいとは思う。
(構成員)この被害回復のための休暇だけれども、裁判傍聴のための休暇、これは入るのか。
(構成員)まさにそういったことも含めて検討していくことになるのではないかと思うが。
(構成員)ぜひ入れていただきたいと思う。
(構成員)被害者にとって、裁判を傍聴するということ自体が被害回復に大きな意味合いがあるので、ぜひ入れていただきたいと思う。
(構成員)内閣府の資料の1ページ下段から3ページにかけてで、附帯私訴、損害賠償命令というのは、いずれも例示であるとお答えいただいている。その「例示」という意味だが、例示であるということは、とりもなおさず附帯私訴あるいは損害賠償の請求等のそれぞれについては導入の是非、可否を含めて検討するんだという趣旨であって、導入は当然の前提としたもの、導入ありきということではないという趣旨だということで理解してよろしいか。そこのところが明確でないので、はっきりとお答えをいただければと思う。
(事務局)まさに前回のご議論の中で、賛否相半ばするご議論があったわけあり、それを踏まえて、このような原案を提案させていただいたが、おっしゃるように例示であり、現時点において、それを附帯私訴だとか損害賠償命令制度だとか、それを導入するという意味でもないし、それを排除するという意味でもない。
(構成員)この「検察官の立証の成果」というふうに限定しているけれども、先ほど申したようなことがいろいろある。
(事務局)その点については、3ページ、(1)の3行目の後段から見ていただくと、「修正意見を入れることに特段のご異論がなければ修正させていただきたい」と、このように考えている。
(構成員)先の論点からまず議論をして、それで今、構成員から出された論点について議論をしていただかないと、混乱するのではないか。
(構成員)先ほどの例示の点も含めて、本日再修正意見ということで出させていただいておるとおりである。これらの制度そのものというふうに言われると非常に困難、今の時点で結論は、そのものを導入するというふうな結論が出たとは思われないということである。
それからもう1点、先ほどの説明でいくと、財産犯の損害賠償については、没収・追徴ということで、別に切り分けるというお話であったけれども、財産的被害の回復ということで考えていくと、ここで例示として出ている附帯私訴とか損害賠償命令、いずれの国の制度においても、片方は財産犯、片方は身体犯というふうな整理はそもそもなされておらず、どういう制度を考えるのか、非常に、内閣府のご指摘の趣旨を理解しかねるところである。やはりここは被害者の損害の回復のために、こういった附帯私訴、損害賠償命令とともに、没収・追徴を利用した損害回復といったことも例示にして、ただし外国で行われておる制度そのものが、直ちに日本にそのままの形で導入すると、さまざま困難な点もあるので、我が国にふさわしいものを導入する方向で必要な検討を行うということでいかがかということである。
それとともに、ここに「検察官の立証の成果を利用」というふうに書いているのは、現行法でいく、立証責任を負う原告官である検察官の立証が主といったことから、こういった書きぶりをしているけれども、より正確に申し上げるならば、「刑事手続の成果を利用することにより」というのが、より正確であろうとは思われる。
(構成員)幾つか言われたと思うが、私も、最初の没収・追徴を利用した損害回復というものについて、それを異なった性質の制度だというふうに事務局が整理されたのは、ちょっと引っかかっている。また、そのように、それは今考えているものとは趣旨が違うのだということになると、附帯私訴あるいは損害賠償命令というものを考えていくときも、そういう重い犯罪で被害者の方々が精神的に重い負担に苦しんでいるというものだけを念頭に置いたものを考えるべきだということになってしまいかねない。今そこまで絞る必要はないのではないか。いろいろな制度を考えていった上で、対象があまりにも広すぎるので狭めるとか、何らかの正当な理由があってそういうことにするのならばいいのだけれども、今はとにかくこれから検討していこうという段階なので、例示としては間口が広い方がいいのではないか。
さらに、さっきのご説明では、この没収・追徴を利用した損害回復の制度さえとれば、この点の要請は充足されるというふうに受けとめられるのは困るということであったが、例示されているような制度を複数、重ねて取り入れるということだってあり得るので、こう書いたからどれか一つだけで事足りると受け取られるということには必ずしもならないから、まだ十分なお答えにはなっていないのではないかと思う。
さっき構成員が言われた点については、「について」というふうにし、「我が国にふさわしいもの」というふうに書けば、例示であることは明確になるので、その点は、その提案が採用されれば、私の意見は撤回させていただく。
(構成員)この「我が国にふさわしいもの」というのが、これはなかなかくせ者だと私は思う。どの制度だって我が国にふさわしくないものは、これは採用されるはずはないのであって、ここのところにだけ「我が国にふさわしいもの」というふうに書かれることは、何か理由があるんじゃないかと推測する。これはとっていただいて当然のことだと思う。
(構成員)まず没収・追徴を利用して損害回復を図る制度というのが、全く別の制度であるので除くというふうに、もしご理解をされたということであれば、それは違うということをまず申し上げたい。それから、決して殺人とか性犯罪被害者といった、精神的に重い負担に苦しむ犯罪被害者に限るものとして考えるべきというふうに思っているわけでもない。ただ、この附帯私訴あるいは損害賠償命令制度を導入すべきというご要望の趣旨は、そういう大変重い負担に苦しむ犯罪被害者等のご負担を軽減するというための制度として、ぜひ導入をというご意見であったというふうに私は理解している。一方、没収・追徴を利用した損害回復を図る制度というのは、財産被害者を対象とするものである。もちろん、財産犯被害者を対象とすることは当然だけれども、もし、ここの取りまとめで言っている検討の結果として、没収・追徴というところでとどまるならば、これは本来のご要望の趣旨から外れてしまうのではないか。したがって、その例示として含めるべきではないのではないかということを申し上げたわけである。
それと、複数でも例示の中から取り得ると、もちろんそうであるけれども、先ほど申し上げたような点からして懸念が残るということで、例示としてはふさわしくないのではないかと申し上げた。
それから、「我が国にふさわしいもの」というくだりは、これはまさに諸外国の制度をそのままやはり導入するというのは、これはなかなか難しいというご議論もあって、それを踏まえて例示として示したわけだが、その例示であるという趣旨がより明確になるということでのご意見なので、これは修正するということでいかがかというふうに考えているところである。
(構成員)基本法では、「刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度」と、こういうふうにはっきり書いている。それを具体化していくのが基本計画だが、これでは、それがより不明確になるような感じになると思う。
(構成員)それはちょっとご心配が過ぎるような気がする。これは、新たに何らかの制度を導入する方向で必要な検討をするということなので、「我が国にふさわしい」と書いているだけであり、これがあるから例示されているような制度が排除されてしまうということにはならないと思う。例示されているものが、最初から検討の対象から排除されるというものではないということは、すでに確認されているので、その点を含めて検討がなされるのだと思う。その部分を削ってしまうと、「制度について」に続くところで何を言えばいいのかがわからなくなってしまう。逆にもとに戻すと、今度は、私などが懸念しているような誤解を招きかねないということがあるので、法務省ないし事務局から提案のあった修正案でよろしいのではないかと思う。
(構成員)先ほど没収・追徴を利用した損害回復について、財産犯に限られるというふうに誤解を与えているのかもしれないが、これは、例えば財産犯について、まず措置するようなことを検討するとしても、将来的にそれに限定されるのかと言うと、ここはいろいろな観点から考えていくべき事柄であって、その意味でもこちらの方で若干ご説明させていただいた部分の、その一部を取り上げて、非常に限られたものとしてそれぞれ例示に入る、入らないというご議論はいかがなものであろうかと。むしろ、没収・追徴を利用した損害回復といったものについても、ここに例示を入れていただくことで、さまざまな制度、その果てと言うか、そういったものを踏まえた新たな制度について検討をさせていただくということとさせていただけないか。
(構成員)わかった。では、折衷案。「制度について被害者の視点に立った我が国のふさわしい」というふうに「被害者の視点に立った」ということを入れていただければと思う。視点に立った我が国にふさわしいものを新たに導入すると。
(構成員)そこの「被害者の視点に立った」という語句が、どういう意味を持つのか、なぜそれが必要なのかはちょっとよくわからないが、今回の骨子案全体が被害者の方々のご要望あるいはお気持ちにできるだけお答えできるような制度整備等を考えていこうというのが、そもそも基本法を貫く考え方なので、ここだけ特に、さらにそれを強調されると、またちょっと別の観点から別の懸念が生ずることにもなるかと思う。「わが国にふさわしい」というのは比較的ニュートラルな表現だと思うので、それでよろしいのではないかと思う。
(構成員)今、最終的に「没収・追徴を利用した損害回復」というのを例示として入れるかどうかということで、内閣府の意見は、財産被害者を対象とするものということで、ちょっとここの例示ということには消極。それから先ほど法務省の構成員の方からは、それに財産犯被害者に限定されないんだというご説明があって、その上でこれを例示として書き得るべしということで、これは分かれているけれども、できたらこれについてのご意見をいただければと思う。
(構成員)「没収・追徴を利用した」というのは、入れていただいた方がわかりやすいのではないかと思う。それから、制度については、まさに制度についてと、このとおりにしていただくと。それから、「我が国にふさわしいもの」は、やはりこのままにしておかないと文章として締まらないし、ここに「犯罪被害者の視点に立って」というものを入れるのには反対である。「検察官の立証の成果を利用することにより」というのは、刑事手続を利用するということではないので、「検察官の立証の成果を利用する」ということで、このままでよろしいと思う。
(構成員)私が感じるのは、この没収・追徴を利用した損害回復というのは、法務省でもともと検討していたところと似通っているものだから、この3つを加えて3つ目だけできたというべきか、2つ目の方の趣旨のものが何か違った形で、日本に合う形で何かできるんじゃないかと期待を持っているが、そんな結果になってはいけないなというふうに感じているが、そういう意味ではないということであれば、加えていただいてもいいかというように思う。
(構成員)この「検察官の立証の成果」を「刑事手続の成果」というふうに改めてほしい。
(構成員)その点については、3ページをごらんいただきたいが、この検察官の立証の成果を利用するだけではないという、その前提については、まさにこれは18条の議論の中身にもかかわってくることというふうに考えているが、ただそこに、(1)に記載しているように、皆さん特段のご異論がなければ、こういうふうに修正させていただいていいのではないかというふうに考えている。
(構成員)その点は、正確には「刑事手続の成果」をとすべきではないかというご発言があったが、構成員の修正意見のご趣旨も、刑事手続そのものというより成果を利用するということのようなので、その方が正確かなと思う。構成員からも、今ご提案があったので、「刑事手続の成果」とすることでよろしいのではないかと思う。
(構成員)3ページ、「刑事手続を利用することにより」という修正案になっているが、「刑事手続の成果を利用することにより」ということでよろしければ、このように修正させていただきたいと思う。
(構成員)3ページの方に移っていなかったので、2ページの中で勝負をするならば、このままでよろしいというふうに申し上げたので、3ページに移って「刑事手続の」という文言に変えるとするならば、当然「成果」というふうに入れるべきであると思う。
(構成員)2ページの没収・追徴を利用した損害回復の関係であるが、ここはまさに経済的な、財産犯被害者に限定されるかどうかというところでの認識が違ったと思う。したがって、その文章を整理するとして、財産犯被害者に限定されないという趣旨のことをここに加える。そして提示をするというのはいかがか。
(構成員)もともとここで書かれているのが、損害賠償請求とあるけれども、これは財産だけではないので、当然のことというふうに思われるが。当然のことであって、書くとかえって誤解を与えるように思われるが。
(構成員)その点は、現在の没収・追徴の制度を念頭に考えると、財産犯がもっぱらの対象になる、おそらくそういう頭で来た。事務局の方でも当然そういう頭でお考えだったと思うが、それ以外の犯罪をも対象にした没収・追徴ということも、理論的には考えられないことはないと思う。実際に本当にそういうを作ることができるかどうかはわからないが、この段階ではあまり可能性を狭くしないと方がよく、その意味で、あくまで例示なのだし、入れておいた方がよいのではないかなという感じがする。書き分けると、逆に、限定されてしまうことにもなるように思うので。
確かに、附帯私訴や損害賠償命令について、これを取り入れるべきだというご意見は、ここの理由に書かれているような重大な事案を主として対象にしたものであることは事実だが、基本法の第12条自体は、必ずしもそういった事案のみに限定していないように思う。だから、間口をより広いものにしておいた方がよい。今後検討を進める上での手を縛らないという意味で、そうした方がいいのではないかという感じがする。
(構成員)私どもは、訴訟参加については、生命身体と重大だけれども、附帯私訴については損害賠償全般を考えているので、同じように。だから、これはこのままでいいのではないかなと、こう思っている。
○ 基本法第14条関係(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)に関する説明
基本法第14条に係る施策に関し、事務局より、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策について、資料1の1ページ以下を参照いただきたい旨発言。その後、座長から関係省庁の構成員に、追加で説明が必要な事項の有無とその説明を求めた。追加説明の概要は以下のとおり。
(構成員)後遺障害の関係だが、症状固定化した後、転院が必要だということでご要望があったわけだが、私ども医療機関の機能分担を進めており、やはり急性期、例えば手術などを行ったところと、それからその後療養するところは、やはり分けていかなきゃならないと思っている。転院が必要だということについては、申しわけないが、そこは私どもでいろいろな病院や診療所間の連携なども進めて対応していきたいと考えている。
女性、少年被害者の関係で、在宅支援を行うための保健師の増員云々というところだが、在宅支援を行うというのは、保健師が何を意味しているか必ずしも明らかではないが、児童相談所において児童福祉士とか児童心理士などを配置している。それの配置基準も今見直しを図ったところであり、そういった環境の整備を進めていきたいと考えているところである。
その他の医療福祉サービスの充実ということで、総合支援ケアセンターという言葉でご要望いただいている。これも、内容は必ずしも不明なところであるが、私どもの所管する児童福祉施設などで母子生活支援施設というのがあり、そこで対応を図っていけたらと思っている。
次に、高齢者等への助成サービスを使えないかということだが、例えば介護はホームヘルプサービスなどいろいろあるけれども、それはやはり介護の一般的な原因を問わない要介護状態について、保険制度で対応しているものなので、そういうものを流用するにしても、その財源のあり方というのはやはりあるわけで、それはやはり先日、第2回の会議で2年間の検討会、経済的支援について検討されるということなので、そちらの方で議論して、その上で私どもの所管している介護や障害福祉のサービスが利用できるかどうか、そういったことを検討していくのがよいのではないかなと思っている。
精神保健センター、保健所の関係だが、PTSDに対する養成研修などを行っているところであり、これについては今後とも進めていきたい。
すべての医療機関に相談業務として、被害者の対応というご要望だが、これはやはり医療機関それぞれ役割があって、診療科もいろいろ違うと思う。そこは、適切な連携を図っていくということが大事なんじゃないかなと思っている。
次に、療養施設の方に被害者の優先入所ということだけれども、そういう療養が必要な度合いというのは、原因を問わないでいろいろな状態があると思うので、状態に応じて、そこは施設をよく探していくということで対応するのがいいのではないかなと、連携が大事なのではないかなと考えている。
15条関係で、児相、婦人相談所については、いろいろ処遇がよくないのではないかということ、特に混合処遇の問題が指摘されているが、これは改善するために5年間の目標を定めて取り組みたいと考えているところである。また、これは先ほどのシェルターの話とかぶるわけだが、一時的な保護については、地方自治体を調査して対応するということを先ほど申し上げたところである。
子どもの虐待などのレビューだが、これは社会保障審議会の児童部会のもとに、検証する専門委員会を設置して対応するということとしている。本年4月に第1次報告書を取りまとめたところである。
里親については、児童相談所から里親とするものを派遣するような援助事業であるとか、里親自身の資質の向上を図る援助事業を創設しているところであり、積極的に進めたいと考えている。
関係職員の研修等だが、PTSDの関係の専門家研修、それから13年度からだが、思春期精神保健の専門家の養成研修を始めているところである。
民生委員の方がどうもよくない対応をされているのではないかなという指摘についてご要望がある。これについては、民生委員が秘密を守るのは当然のことなので、これはよく指導を徹底してまいりたいと思う。また、具体的な事例があればご指摘いただきたいと思う。
最後に、公的シェルターでの人権侵害等だが、婦人相談所等関係施設で二次被害があるという指摘があるのは承知しているので、これはきちんと専門研修の予算をとって進めていきたいと考えている。
(構成員)あえて追加させていただくとなると、検討中の施策の実施ということで、資料4の2の(1)の中に[1]、[2]があるけれども、これを導入することになると、当然刑事訴訟法等の改正という法整備が必要になってくるので、相応の期間が必要になるということはご理解いただきたいと思う。
○ 基本法第14条関係についての議論
(事務局)14条の関係で、犯罪被害者等からのご要望に対して、各省庁から事前にいただいた資料、もう既にお目通しいただいていると思うが、この中で今後の新たな取組とか、あるいは前進させる取組、そして提出いただいたもの、これは別に配付した内閣府資料のとおり取りまとめている(第3回犯罪被害者等基本計画検討会、精神的・身体的被害の回復・防止への取組について(各省庁提出に係る施策等とりまとめ))。これは、ただいま申したように、各省庁から事前にいただいた中で、今後の新たな取組、あるいは前進させる取組を提出していただいたものを別個取りまとめたものである。この資料の1、基本法第14条関係というところに、5つの論点について、それぞれ各省庁から提出いただいたものを整理している。
まず、これらのものについては今後の新たな取組、あるいは前進させる取組ということであり、これらについては骨子案に盛り込むことを提案させていただきたいと思う。その上で、そのほかの講ずるべき施策についてご議論いただければと思う。
なお、この資料の中で下線を付している部分がある。ここは、各省庁からいただいたものをもとに、それを敷衍させていただいたり、あるいはより趣旨を明確にさせていただいたりというようなことで、事務局の方で加筆をさせていただいた箇所である。その点も含めてご確認をいただければと思う。
(構成員)最初の(1)にあるPTSD等の精神被害に関するサービスの点からだが、厚労省の配付した資料の方にもあるし、どこにもたくさん書いてあるけれども、PTSDに関する取組について質問すると、常にPTSD対策にかかわる専門家の養成研修が出てくる。
ところが、今これがどのくらいのレベルにあるかというと、私も講師として参加しているのでよく存じているが、役には立っている。要するに、これは主に災害支援に関して、地域保健の観点から入門的なPTSDについて知るという研修のレベルになっていて、ところが今回のヒアリングを見てみても、ほぼ全員が言っていることは、PTSDに関して本当に治療できる人をくれということだ。
PTSDの治療に関しては、日本トラウマティック・ストレス学会というのがあるので、恐らく、多分一番専門家が多いところと思うけれども、そこの理事が大体20名ぐらいいるが、その全員が治療に関しては、患者の数が自分のキャパシティをはるかに超えていて、ほぼお手上げの状態で、ほとんどほかに持っていく場所がないという状況にある。なので、この研修では非常に不十分である。
ここに「医療、福祉関係者に対する啓発をさらに推進する」とあるが、PTSDの治療に関して本当に治療できる専門家、医師をふやすためには、継続的な研修を行うか、あるいは集中研修とスーパービジョンを重ねて行う、私の提案の方に書いたけれども、そういうようなことが必要になるし、そういうようなことを実際にしようと思うと、これは何らかの研修センターのようなものを持たない限り、現状では不可能だと思う。私だけの意見でなく、ほかの構成員のお話も聞いていただければわかるが、PTSDの治療者の不足というのは、今本当に甚だしい。幾ら被害者支援組織ができても、もちろんそういうところは大変役に立っているが、ではそこからどこに治療を頼めばいいのかというところで現在大きな壁に突き当たっている。この点に関しては、ぜひ今回何とかしていただきたいと、どうしても変えていただきたいというふうに私は思っている。
例えばそういうところでやっていただきたいことに関しては、もっとほかにもあるが、今回ここのところで議論していただきたいことは、そういう治療者を育てるということと、それからもう一つ、やはりPTSDにかかわる費用で、治療について、費用をどうやって負担していくかということについて、保険診療とそれ以外の方式の組み合わせが何か必要ではないかと私は思っているけれども、この2点である。
今申し上げた、治療者をつくってくれというのがまず第1点目。
それから2番目としては、厚生労働省資料6の1枚目の紙に、ちょうど今の2つが書いてある。1がPTSDに対する取組で、2の方がPTSD患者の保険診療、治療薬の保険適用となっているけれども、現在PTSD治療については、ここでは医療保険の適用対象となっているが、それは薬の治療のときに何とか保険が使えるということだけであって、例えばPTSDには、現在アメリカで行われているエビデンスに基づいた治療の中では、SSRIという薬物と、それから認知行動療法などを中心とする特定の心理療法が有効であるということになっているけれども、この2つは、どちらも保険の適用になっていない。さらに、例えば司法で評価を正確にするためには、PTSDの構造化面接を使えということになっているが、これも日本では保険の適用になっていない。実際に例えば患者さんが、SSRIの治療をまず受けたいというときに、PTSDという名前では今受けられない。もう一つ、それから今度は認知行動療法を受けようと思うと、本当にこれは1回1万円とか2万円とか払える人以外は受けられない。実質そういう人は少ないから、結局、今治療を受けられている人は、たまたま大学や研究所の中で、私どものような研究者が、ただでもやっていけるような、普通でない治療の形にしか組み込まれないということになっている。これは、本当にゆゆしいことだと思う。そこのところを変えていく必要があるというふうに考えている。
(構成員)ただいまお話があったので、関連なので補足と、ちょっと若干違う視点でお話しさせていただきたいと思う。
厚労省に関して、既にいろいろな施策があることを私どもも十分承知しているし、被害者の方も承知している。なのに、なぜこれだけほとんどの被害者から要望が出るかという点について、まずお考えいただきたい。なぜ施策があるにもかかわらず出るのかということ。それをどのようにお考えになっているのかということだと思う。つまり、施策があるのに出るということは、不足しているからだという答えが一番簡単な答えではないかと思う。したがって、その不足しているものをどのように補うかというのが、この検討会の中で検討されるべきであり、また厚労省の方にも積極的にお考えいただきたい点であるかと思う。
それで、厚労省の資料の最初に、その保険診療について、若干ちょっとこれを皆さんにもわかるようにお話ししたいと思うのだが、PTSDに関する治療について医療保険の適用の対象になっている、それは間違いないということだけれども、診療費に関しては。先ほどお話のあった、PTSDに有効だという治療薬SSRIはうつ病等に関しては保険の対象になっているけれども、PTSDという名前では保険の対象になっていない。したがって、うつ病が合併している患者さんには使えても、もしPTSD単独である、ある意味非常にピュアな犯罪被害者ということになるが、その方には有効な治療薬は保険適用にならない、場合によっては自費で払うということになって、この矛盾を解決していただきたいというのが要望である。
もう一つ、資料12をめくっていただいて、支援案として書いてあるところで少し説明をしたいのだが、支援案と書いてあって大きな四角の2番目、PTSDと精神的被害に関する利用、福祉サービスの充実の、下の方の保険における改善ということで、先ほど言った薬に関しての適用を認めていただきたいということと、CAPSなどと書いてあるが、これはPTSDを正確に診断するためにはなくてはならないツールであるが、1時間半ほどかかる。これが現在保険適用になっていない。この正確な診断がなされないことが、裁判等においても非常に被害者にとって不利をこうむるものだと考えている。したがって、これらが保険適用になれば医療機関で実施が可能になり、それがひいては刑事司法関係で大きな益を与えるものだというふうに考えている。このような有益なツールに関しての保険診療を認めていただきたい。
あと、治療効果があると言われている認知行動療法については、1回1時間半から2時間、有効だと思われているものについて、それが12回かかるわけで、このような時間のかかるものについて、通常の保険点数の範囲内で医療機関がやる気になるかといったらやる気にならない。そうすると、何らかの形でこれを別個の、やや高めの保険制度につけていただかない限り、実施するというのは一般医療機関ではほぼ不可能だというふうに考えるので、こういった保険医療における優遇といったものをお考えいただければよいのかと思う。
それで、きょう私の方で新たに追加させていただいた資料として、図がついているのがある。望むことはたくさんあるけれども、この中で要点だけお話ししたいが、こういったさまざまなPTSDに関する専門家の数が少ないこと、調査研究がなされていないことを解決するための一つの方法として、仮の名前で、ナショナル・トラウマティック・ストレスセンター、なぜかというとPTSDに限定されないという意味で。ナショナルセンター構想というものをぜひしていただきたい。ここにおいて、被害者の調査、治療、高度医療の開発等を行って十分な研修というものをここで行うことができれば、今まで上がっている問題に対する解決に対する、かなり大きな寄与となるというふうに私は考えている。これがナショナルでなければならない理由として、例えば兵庫県にある心のケアセンターは兵庫県以外のことで起きたことに対して責任を負うことはできないし、派遣されることもできない。全国をカバーするための唯一の方法はナショナルであるということに尽きる。したがって、このナショナルというものをつくっていただきたいということになる。
そして、これらの下部組織として精神保健福祉センターを挙げてあって、ここで相談は既になされていると書いてあるけれども、これを実際に運用するためには、精神保健福祉法において、精神保健福祉センターの業務として「犯罪被害者の相談」という一文を入れていただくことによって、これを自分たちの仕事であると自覚が出るので、単になされているということではなくて、それをはっきり明示すると、そういうふうな形で対応していただけることを強く求める。
もう一つ、2枚目のページで、茨城県で、被害者支援センターのネットワークをつくっていて、さまざまな工夫をしているけれども、その中の、このネットワークの中で排除されているところが救命救急医療である。犯罪被害者の多くは負傷を負った、あるいはご遺族であれ、救命救急センターに運ばれてくるが、ここにおいているその後の連携がなされていないというのが明らかである。
3枚目は、国立精研の方の調査だけれども、実は災害医療センターの救命救急において、どのような患者さんが入院されているのかということを調査した。ここも常勤の精神科医はいない。たまたま私ども研究の関係で今1人配置されているだけに過ぎないが、心的外傷体験を持った患者さんというのが実に3割いる。交通外傷、災害等も含めて。対人暴力となると1.4と少ないけれども、これだけの方が救命救急にいて、その後の精神的な処遇ケアについて、連携がなされていないというのは甚だ問題があるかと思うので、少なくとも三次救急において精神科医療をそこで行えるような体制といったものをつくっていただくということを要望する次第。
(構成員)PTSDは、犯罪の被害者、特にレイプの被害者あるいは遺族の方々に非常に高率に出てくるものである。これを、やはり一つには、発症をできるだけ防ぐ意味でも、早期の援助が必要だし、治療的な援助あるいは性犯罪者の被害者の方々などには、早期にカウンセリングなどが無料でできるようなシステムが必要だと思うけれども、ある確率で、必ず重い後遺障害を持つ人たちが出てくるので、そこに対する治療の体制あるいは治療的な援助を提供できる体制が非常に不備であるということは、今お二人が言われたとおり、私たちが被害者支援組織の方から、こういう方をまず各地で相談を受けて、直ちに医者を探すときに大変苦労をするもので、この研修を盛んにやっているというレベルではとても間に合わない。我々が信頼できる、そういう深い傷を負った方たちを紹介できるところというのは、非常に限られたところしかない。やはり、この問題を考えるのに、やはり教育と研修をしっかりとした形でできるところ、それからLSを持った治療をちゃんと確立していくような、しっかりとした施設をやはり幾つかつくっていく必要があるのではないかと、私も感じる。
(構成員)私どもも精神保健福祉センターとか、そういうところを活用して、いろいろな相談とか研修もさせていただいている。私どもは、それをまず今回、この法律ができたということを周知徹底をさせていただかなければいけないということで、ことしの1月19日に、全国のそういう関係部局長会議が厚生労働省であったので、そのときの資料の中に、今回、犯罪被害者等基本法が成立したということと、法律の簡単な概要だけれども、それを各都道府県の部長、局長あたりに、資料の中でご紹介させていただき、保健所とか精神保健福祉センターにおける相談支援体制の充実等を含め、犯罪被害者等に対する各種施策の評価、推進を図っていただきたいということを、その資料で、各都道府県にお知らせをさせていただいたところだ。
ただ、都道府県の方が、この法律について、多分現場も十分承知していない点もあるかと思うけれども、そういうことで今私ども、この法律ができたということで、現場の精神保健福祉センターとか保健所とか、そういうところの担当者に、まずちゃんとそういうことで自覚というか、ご理解いただくところからまず始めさせていただいているところである。
それから、研修の話も出たけれども、研修の中身についても、私ども専門の、まさに研修を担当していただいている先生方のご意見を承りながら、カリキュラム等もいろいろと工夫をさせていただいているので、本日ご提案があったことも含め、私どもの研修の中で、先生方にどういうふうなカリキュラムにしていくのかということも含めて相談をさせていただきたいというふうに思っている。
(構成員)医療保険関係について、ご要望のあったCAPSなどの、いわゆる診断評価のための心理テストとか、それから認知行動療法、そういったものについて、これは一部保険にも入っているわけであるが、そういう取扱いについて。現在、一部のものについては先ほどお話しされたように、既に保険適用になっているわけであるけれども、新たな医療技術というものを診療報酬に導入するに当たっては、一応科学的な根拠に基づいて有効性等の評価というものが必要で、学会などからも希望に基づいて、私どもの中に医療技術の評価を行う専門的な組織があり、そちらの方で専門的な見地からの評価を行い、具体的な導入に向けての対応をする。それから同じように、現在の診療報酬点数に入っているものに関して、この枠組みの現在の中では十分に対応し切れないというような場合についても、同じように先ほどこのくらいの回数で、どれだけのものがあるとこういう成果があるんだというお話があったので、そういったものを、学会を通じて、私どもの方にご要望いただければ、ちょうど今、実は次の診療報酬改定に関する学会要望の締切が今月末なので、ぜひそういった形でご活用いただければというふうに思う。
それからあとは、医薬品の方であるが、これは薬事法等の関係もあって、なかなか保険だけの話にはおさまらないわけであるが、先ほどお話があったけれども、SSRIのうちのパキシルについては、現在我が国においても治験が行われているということで、この結果などをもとにして、薬事法の承認を得られれば、医療保険においても迅速に適応対象になるということで、取組がオン・ゴーイングであるということである。
(構成員)今、お2人の方からお話をいただいたが、それぞれについて申し上げたいと思う。一つは、研修を検討していきたいという、その程度の形でいただいたけれども、多分現状はわかっていらっしゃらないと思う。今、ちょうど構成員から茨城県での実践例という紙が出てきたから、これに基づいて実態をお話ししたいと思うけれども、私、実は茨城県で精神科の単科の病院に週1回、ごく普通の臨床をしに行っている。茨城県は、比較的ほかの都道府県に比べて、警察と医療の連携がうまくいっているところだと思うけれども、これで例えば茨城の被害者支援センターがどこに被害者を送ってくるかというと、国立病院に送っても専門家がいなかったりする。このため、私がいるところは、田舎の普通の小さい精神科の単科の病院だが、県南地域の被害者が週1回しか行っていない私のところへ全部集まってきてしまうような状況がある。もし治療のキャパシティがあればもっと、患者さんが集まるのだろうが、私が実際にそこで1時間半の療法をやろうと思うと、普通の診療の中で、1日に二、三人診られればいいくらいで、ほかの患者さんも診なくてはいけないから、そういう状況の中で、お断りしている状況である。また被害者支援センターだけでなく、児相からも性的虐待の被害者が来るというふうに、すごく集中してくる。
何でそうなるかというと、国立病院などに本来だったら、そういうPTSDの重い人たちを診てくれる機能というのがあればいいのだけれども、そういうふうになっていない。私の行っているところは、最寄り駅というのがないようなところで、車で1時間半ぐらいかかってくる被害者の人もいる。でも、そうしででも治したいと思ってこられるのに、時間がなく十分な治療ができないという状況が実際にある。うまく動いているところでそうであって、そうではないところは、ほぼこの図の線がもうばらばらに切れていて、せっかく警察に行っても、それから支援センターに行っても、その先治療につながらないというのが現実だということを知っていただきたいと思う。どこにもとは言わない、それは現実的ではないと思うけれども、ぜひ、各都道府県に一つぐらいは、かなり重度のPTSDの人もきちんと受けとめられる医師がいる機関というのは必要だと思う。私も、だから何か、国の研修ができるセンターとともに、都道府県に一つ専門拠点のようなものを置いていただきたいというふうに思っていた。例えば国立病院とか自治体病院とか、基幹になるような病院に専門の医師を置けたらよいのになというふうに思っている。それにはかなり時間がかかるから、専門の医者を一人育てるのは短期研修では無理。そういう重い人たちに対応するための継続的な、育てるという教育を考えていただきたいと思う。もう少し、だから前向きにご答弁いただかないと、また同じことになってしまうと思うので、ちょっとまた考えてほしい。
それから、もう一つ、保険診療の方だが、現在今でも点がとれるとおっしゃった、多分、通院精神療法のことだと思うが、通院精神療法は大体15分程度で、15分の療法ではPTSDはとても使えない。認知行動療法、専門の療法を使わない場合でも、大体1時間ぐらいはかかってしまうのが普通で、そうじゃなくやっていくと、やはり非常に二次被害の原因になりやすいし、診療報酬を請求できることとなっていると書いてあるが、現実にはそうなっておらず、実際に各地の病院でPTSDを診ている先生は、要求していないけれども、もっと長い時間やっているというのが現状であることをご理解いただきたいと思う。
(構成員)今、医師のお話が出たので、その医師とともに働く、例えば看護職とか、あと心理関係の人たちも不足をしているというお話をさせていただきたいと思う。
被害者支援センターでは、犯罪被害者の方がいらっしゃると、まず医療が必要だとなると、やはり先ほど構成員からもお話が出たように、どこどこの病院ということができないので、日本トラウマティック・ストレス学会の理事の先生にお願いをして、この近くにこういう先生いらっしゃらないかということで、個人的な努力によって医師を探して、そこに行っていただくというような形をとっている。ただ、一般的にどこでも行くと二次被害を大変深く受ける。その二次被害を精神科だけではなくて、例えばけがをして受診をした外科とか、整形外科の人たちからも被害を受けると、精神的な衝撃がどのような形で出るのかということの理解もされていないので、もともと問題のある、医師の指示にも従えない、問診をしてもきちんと答えられない、だめな患者というような烙印が押されてしまいがちで、そこへ受診し続けることが被害者自身にとっても苦痛でできなくなって、治療を中断してしまうということがよくある。
犯罪被害者等基本法の精神は、いつでもどこでも適切な支援が網の目のように受けられるということだが、たまたま運がよければいい先生に出会えて回復できる、それではおかしいと思う。そのためにも、周りでまたその人とともに働く職種の育成も大切だと思う。医師も一朝一夕では育成できないというお話が今あった。私は、保健師でも社会福祉士でも全部同じだと思う。私は、過去に精神保健相談員の資格を取るため、2カ月間精神保健福祉センターの方に毎日通って実習にも行ったという記憶がある。犯罪被害者に特化した相談、指導ができるようになるには、そのような形で実習も含めた、きちんとした対応がとられなければ、日本の犯罪被害者への支援というものはなかなか広がっていかないのではないかと思っている。
それと、日本の被害者支援は話を聞くというところから始まったので、精神的なケアでまずお話を聞くというところが、あまりにも強調され過ぎているように感じているが、その話を聞くというのも、犯罪被害というのは、ちょっと困っているような問題ではなくて、他人の不法行為によって犯罪被害を突然に受けるものなので、その深さあるいは人に対する信用、信頼感、全く根底から失ってしまっている。そういうときに、きちんと安心をして話ができる専門家を見つけるということは、大変難しいことだ。
大学教授でもあり、カウンセラーでもある先生のところに行ったら、真っ先に言われたことは、「とにかく早く事件は忘れなさい。あなたこれだけ大変な目に遭ったんだから、そこから何か得るものがあるはずだ」というようなことを言われるということは、これは不思議なことではない。しょっちゅうこういうことが起きて、被害者はだれにもわかってもらえない、そして自分だけがこれだけおかしいのかなということで孤立して、社会との縁も切って家に閉じこもっている、そういう人がたくさんいるので、医療に期待することは本当にたくさんあるので、今ある制度ではなくて、新しい制度も積極的につくって広げていくという姿勢で、ぜひお願いしたいと思う。犯罪被害者への支援ができれば、私はもういろいろな病気、もう命がないと思えるような病気の人であっても、きちんと対応できる医療関係者を育てることができる、そのように信じているので、ぜひよろしくお願いしたい。
(構成員)先ほど、医療保険についてお答えいただいて前向きに取り組んでいただけているという話だったので、学会等を通して積極的にこちらも要望を述べさせていただきたいと思うので、それをご検討いただければ幸いである。
つけ加えること2点、あとお答えいただきたいのは、私の申し上げたナショナルトラウマセンターについて、私だけではないと思うが、この要望が出ているのは、これについて厚労省のお考えをお伺いしたいということと、先ほど厚労省のできることでつけ加えることを忘れたが、私の要望として、卒前教育について徹底していただくことで、授業の中に犯罪被害者に対する機会についての授業を設けることと国家試験にそれを取り入れると。国家試験のあるものについては、国家試験の項目としてそれを取り入れるとすれば、いやが応でもだれでも勉強するので、そういったことについてのお考えはどうかということが、厚労省の方にお伺いしたいところだ。
(構成員)国立のセンターということだが、極めて大きなお話をいただいたと思う。また、国立のセンター、4つぐらい書いてあるが、そのうちの一つは精神・神経センターなので、そちらの方でできるところはやるというのがいいのではないかなと思っている。もう1点は国家試験、医師の国家試験・・・。
(構成員)医師だけではなく看護師もすべて、社会福祉士も厚生労働省管轄の国家試験。
(構成員)看護師についてだが、確かに不十分だというお声があるというのは、担当課の方でも認識はしている。来年、ちょうどまず、国家試験直接ではないけれども、養成上の方のカリキュラムについては、来年見直しに向けて検討する時期に来ているので、その中でも検討を進めていくというのが一つと、さらにその専門看護師の分野、そういったものについては関係する学会とか団体とか、そういったところに働きかけを進めていきたいと、そのようなことである。
(構成員)この問題については言いたいことがたくさんあるので、今の現状というのは、本当にもう自分が過労で死にそうなので、どうしてもたくさんある。私のさまざまな意見については、資料11の2と3のところをごらんいただけるとありがたいと思うが、今出ていないことについて、ちょっと幾つか申し上げると、PTSDの認知行動療法が、エビデンスがあれば保険になるかもと今おっしゃっていただいたので、ぜひそれは要望していきたいと思うが、実際にこれが日本で本当に普及して、日本でエビデンスのある研究が出せるようになるには、かなり時間がかかるというふうに私は思っている。それでも、被害者の方の、今本当に待ったなしの状況であり、それからさっき二、三人自分でしか診られないと言ったけれども、経済的にも病院に迷惑をかける状態でしかできていない。引き合っていない。
それから、何も認知行動療法だけではなくて、多くの被害者の方の求めているのは、今自分がどういう症状があって、これからどうなっていって、大体どういう治療を受ければいいのかということに関する専門的なアドバイスだ。これは、連続じゃなくても1回でもいいけれども、それをきちんと受けることというのも非常に望まれている。その中に、先ほど構成員が言われたような、例えば司法に関するアドバイスなんかも一緒に入ってくると、多分一番望ましいと思われていると思う。だから、少し医療だけにかかわらないカウンセリングでの、そういうきちんとしたアセスメントも必要としている人が多い。そういうことをいろいろ考えてみると、これは私見だが、保険だけではちょっと無理なのではないか。そうだとしたら、例えばそういうときのアセスメントとアドバイスなんかも含めて、カウンセリングなり相談なりの何か無料のチケットを発行していただくとか、これまた先ほど経済的支援の話と重なってきてしまうが、そういうことが必要ではないかというふうに私は思っている。
3ページのところにずっと最初から書いてあるが、2ページの下が専門機関でアドバイスが可能な専門家の養成。11の3ページのところで、「イ」がCAPSの保険診療組入れ、これはお話しした。次が、治療薬の保険診療の組み入れだが、その次に一定の条件を満たす専門家の心理治療について、チケットを配布するとか、あるいは一定の条件を満たす専門家の精神的被害についての相談、こちらの方が少し広いけれども、カウンセリングについてチケットを給付するとか、こういう形がないと、今のようにただ志のある者がただでやるという形では、これはもう絶対広がらないので、これをお願いしたいと思う。
そのほか、実は臨床心理士、心理の専門の専門家も、この分野には大きくかかわっているけれども、現状の「心のケア」と言われるレベルは、やはりコミュニティー全般の保健というところからまだ脱していない。しかし中には少数ながら専門診療、例えば認知行動療法などの専門診療をされている方もいるから、そのことを考えても、医療だけでないこういう給付も多少考えられないと、実際に被害者が治療に出会うということが非常に難しいと考えている。
(構成員)文科省の資料の最初の提言に、少年被害者に対する医療サービスの提供ということで、要望として、小・中・高校に専門カウンセラーの常置が必要とあることに関して、現状こういうふうに配置されているというお話があったが、この「常置」という言葉の解釈の問題かと思うけれども、ご存じのように非常勤職員で週に1日で1年契約、この体制では学校等で犯罪が発生して、別に学校の責任ではなくても発生するし、交通事故の被害者が発生したとき、ほぼ対応するのが難しい。私どもの論ずる常置というのは、職員として毎日いるカウンセラーが必要だというふうに考えているが、これについて文部省で何かご検討があるか。
(構成員)今、構成員からお話のように、今配置をして、特に中学校は全校配置を目指しているスクールカウンセラー、非常勤ということがあるけれども、おっしゃるように、ケースによっては、学校によっては常勤の職員が必要ではないかというご要望もあるところであり、実は教職員の定数改善と言うか、それぞれの学校でどういう教職員を備えていくべきかという定数改善計画というのを文部科学省はつくっているわけであるけれども、それが来年度以降のものをどういうふうに考えていくか。それから、これはちょっと三位一体の議論になっているけれども、義務教育費の国庫負担制度なんかがカバーしている職員の範囲というものをどういうふうに考えていくか。それから弾力的な運用をどう考えていくか。そのあたりの話について、今検討をしているところなので、ご意見としては、例えばそういった学校が備えるべきスタッフの中に、いろいろな専門スタッフ、おっしゃるような臨床心理関係の専門スタッフを常勤で置けるような、そういった弾力化を図るべきじゃないかということもあるので、そういった点も検討の方に入ってくるということである。
ただ、今ご指摘のように、なかなか専門的なスタッフとして常置できるものの数というのがどれぐらいかという問題があるので、全部が常置というのは難しい話だろうと思うけれども、学校あるいは子どもの状況によって、専任の常駐スタッフを配置することも可能のような形に持っていくべきじゃないかと、そういった検討をさせていただくことになっている。
(構成員)文科省の方に。こちらの資料を見てみると、平成17年度には臨床心理分野の専門職大学院が開設されたとなっているけれども、実は臨床心理士の今までのカリキュラムの中に地域保健がないと思う。そうすると、人というのは犯罪被害者であっても、社会で生活をしており、そこの視点の欠けた方が被害者支援にかかわると、かえって傷つくということもよくあることなので、また資質向上という意味からも、カリキュラムをもう一度見直す、そして再度しっかりとした教育をしていただくというようなことも、ぜひお考えになっていただければと思う。
(構成員)文科省にお尋ねするけれども、加害少年の場合は少年院に入り、そこでそれなりの教育を受ける。ところが被害少年や、それからそのきょうだい、その子たちはもうショックで、不登校になったり寝込んだり、家にこもったりする子がいっぱいいる。その子たちは加害少年のような教育は受けない。全部それは家族が背負い込んでしまっている。だから、そういう被害少年に対して学校が、教師が行って授業をするとか、あるいはカウンセラーを派遣するとか、そういう手当をしていただきたいと思う。というのは、被害者の話を聞くと、被害少年だけでなくて、そのきょうだいも同じようなショックを受けて、みんな学校に行かなくなる、そういう子がいっぱいいる。その辺考えていただきたいと思う。
(構成員)最初の臨床心理士が、大学におけるカリキュラムの問題もあるけれども、おっしゃるようないろいろな点については、臨床心理士については資格認定は民間資格という形になっているけれども、いろいろな形で、例えば今ご議論としては少し国家資格的なものを考えたらどうかというご議論もあるようだし、カリキュラム自体のあり方については、常に協会の方でも見直しをされているということなので、そのあたりについては、またご趣旨をお伝えしながら検討をお願いしたいと思っている。
それから、大学院教育自体についても、各大学・大学院がそれぞれ特色を発揮してという部分は当然あるわけだけれども、必要な部分、こういった社会的なニーズに応じて、どのような大学院が、あるいは大学の学部が期待にこたえた努力をしていけるか、このあたりについては文部科学省としても、逐一大学の方にああいうふうな形で情報提供したり呼びかけていきたいというふうに思っているところである。
それから、被害者の児童あるいは家族に対するサポートであるが、これもなかなか一律にということにはなかなか踏みにくいかと思うが、今、不登校の子ども一般についても、もう少しきめ細かくフォローしていこうというような形で、学校なりあるいはサポートをしていく地域の方々あるいは専門家も含めて、チームをつくりながらいろいろな形でサポートをさせていただくと、これは加害児童に対しても、そういったサポートをしていくわけだけれども、被害者に対しても、よりきめ細かな、そういった地域における体制をつくって対応させて個々に工夫をさせていただいているかと思うし、それから養護教諭とか、あるいは臨床心理士などのそういったところの配置についても、文部科学省としてもできる限り支援をしていきたいと思っているので、例えば養護教諭などが、犯罪被害などが起きた学校などで加配という形でプラスアルファで配置をされ、今かなりきめ細かい対応がされているというケースもあるので、そういう点も考えたいと思う。
今お話のように、学習支援ということも問題になろうかと思うので、それについても個々にどういった対応を図っていくかという事例の収集、提供なども積極的に図っていくべきではないかというふうに考えている。ただ、かなり個別のケース、いろいろなケースがあろうかと思うので、ちょっと一律にこういう形でというふうにはなかなか対応しにくいのではないかと思っている。
(構成員)今まで既に意見が出て、重なる部分は省くが、資料13として書いてあるところで、重ならない部分だけちょっと述べさせていただきたいが、厚労省でもPTSD等に関する医療・福祉サービスの中で、精神保健福祉センターや保健所でスタッフを養成していっている、研修をさせていくことがあるが、実際に支援にかかわって、どこか保健所にとかセンターにといっても、そこの窓口となれるだけの人がまだいない。できれば、特定の人が被害者の方にきちっと対応できる、専門的なプランニングを受けていく形を1人、窓口として精神保健センターなどに置いていただければ、そういうことを非常に依頼しやいすし、被害者の方も二次的な被害を受けずに済むだろうという感じを持つ。
それから、2番目の後遺障害に関する医療サービスに関してだが、重い後遺障害を持って、例えば植物状態などでもう入院が長引くときには、被害者遺族の人たちがどんどん、長く長期化するときには移る病院を探さなきゃいけないとか、こういう悲惨な状況があって、またようやく見つけた病院では、かなり個室のお金を別に払わなきゃいけない、そういう長期にわたる医療を考えれば、いずれ行き詰まることが見えるようなところがあるから、そういった方たちに対する、何かもう少し継続的な援助を出してほしいということ。それから同じく植物状態になったときに、いつも介護で家族が、親が付き添っていて、なかなか外にも出られないというような状況もしばしばあるので、そういうところでのいろいろなサービスができると思っている。
それから、そのほか医療・福祉サービスのところで、やはり犯罪の被害者が医療機関で、先ほどちょっとあったけれども、産婦人科の病院とか、あるいは救急の病院などで二次被害を負うことはしばしばあるので、やはり医師あるいは医療関係者の教育をしっかりとしていただければと思う。
最後に一言、地下鉄サリン事件のときのような、ああいう大きな中毒などによる障害が大規模に発生したような場合というのは、新型の感染症なんかが発生したときの厚労省の素早い動きとは違って、これは犯罪被害者ということの違いがあるのだろうが、大規模のものでもなかなか対応が遅いように感じられる。また、それをしかし、多数の方が健康被害を一斉に受けて、しかも将来どうなっていくか、後遺症のこととかいろいろと思っているわけだから、ある規模のものが起きたときには、厚労省としてもそういう緊急のきちっと対策をとってフォローするという、そういう体制をつくっていただければというふうに思う。
(構成員)厚労省の方にぜひお願いしたいが、先ほど通達を出したとおっしゃっていたけれども、保健所は本当に忙しいところで、通達が出てきてもなかなか、気持ちがあっても時間がないというところがあるのもまた実情だと思う。そこで一つ、厚生労働省にも多分いいかと思われることを一つ提案させていただくと、運営報告の精神保健の中に、犯罪とか事故、事件という項目を再載として載せるということは無理なことだろうか。もし、それがあると、それをゼロとして毎年厚労省に報告するということは、ちょっと恥だと考えるのが一般的なので、多分効果が上がるのではないかと思うが、いかがか。
(構成員)幾つか初めていただく要望もあり、それについて今ここでお答えできる状況になく、まことに申しわけない。例えば今の保健所の関係の報告であるとか、サリンの関係の対応であるとか、もちろん過去サリン事件等を対応していた人の調査などをしたことがあるが、今後体制をどうするかであるが、そういったことについては、今ちょっとお答えする用意がない。
また、今までご要望いただいた中で、医療機関外のカウンセリングなどについては、これは医療保険制度の適用にならない。とすると、ではそういったサービスを利用したときに、だれが負担してどういうレベルまで経済的支援を行うかということであろうと思うので、今度は推進会議のもとに設置される検討会でどういったものがいいのか、例えば生活支援サービスというようなご要望があった。そういうものは幅広く検討していただくのがいいのではないかなと思っている。
(構成員)多分これは、そちらの検討の場に回さないとだめなことであろうとは思っている。ただ、保険と2本立てということを確認してもらいたい。というのは、必ずしも警察に行く人だけが被害者じゃないということはあるわけで、少なくともヘルスの観点から言えば、被害を受けて具合が悪い人については何らかの対策が必要なわけで、そういうことを考えると、犯罪被害者等給付金だけで考えていこうとか、あるいは損害賠償だけで考えていこうというのでは無理があるということは確認していただきたいと私は思う。
それから、さっき国立のセンターは非常に大がかりな話だと言われたけれども、どう考えても一つ国で持っていないと、多分その治療も難しい。それからもう一つ今日は言えないかもしれないけれども、例えば子どもの犯罪に関して、司法面接という専門の技術がある。司法面接をすることで、それこそさっきワンストップとおっしゃったが、ワンストップで子どもの情報を全部とって、検察も警察も使うことができ、それから医療の方でも使えるというような機能とか、技術も実はこの分野には非常に必要だが、これはとても各県、個々に対応してとか言えるような形のものではないと思う。今の子どもの件、それから司法の件、そういうことも含めても、ぜひひとつ、国で研修したり調査したりするものをつくっていただかないと、きっと進まないんだろうというふうに考えている。
(構成員)ただいまの件で、先ほど厚労省の方から、国立精神・神経センターがあるではないかというお話があったけれども、成人精神保健部においては、長らく1人で対応してきた。その後、1,2年の間に室長が2人増えたけれども、中越地震に派遣する、尼崎に派遣する、これをやっている。これしか人はいない。このような人員配置で今の状態でできないので、厚生労働省がここがあるじゃないかとおっしゃるのであれば、この中にナショナルセンターを推進するための予算配分、人員配置について前向きなご検討をいただけるというようなご発言があると、うれしいなというふうに存じているが、いかがか。
(構成員)ナショナルセンターというのは、とても大きなお話なので、ここで前向きなというわけにはいかない。ただ、先生の方で、これからナショナルセンターとしての成人精神保健部をどう発展させていくかという、いろいろお考えがあると思うので、ここら辺は精神保健研究所長と相談されて、例えば組織要望されるなりしていただければと思う。ここで、いやこれだけ頑張るとか、そういうことはとても申し上げられない。
(構成員)では、これだけ確認だが、要望が出た場合にご検討いただけるというご発言というふうに思ってよろしいか。
(構成員)ご要望というか、そういう組織要求であれば、当然それぞれについて検討されると思っている。
(構成員)この第14条の関係について、まとめの案として提案をさせていただきたいと思う。先ほどの繰り返しになるけれども、まずお手元の3枚物の「☆」の項目がたくさん並んでいる資料をごらんいただきたい。これは先ほど申し上げたように、各省庁から新たな取組とか、あるいは前向きの取組について、前もって提出されたものを取りまとめたものである。ただいまご議論に出ていた中身などもあり、これらはご異論なければ、このとおり、まとめとさせていただきたいと思う。
それから、この中に含まれていないもので、いろいろ犯罪被害者等の皆さんから、あるいは構成員の皆様から、事前にヒアリングあるいは資料提出という形でご意見をいただいている。そして、さらにただいま14条関係についてご議論をいただいた、いろいろな点がある。それらを踏まえて、次のような形で取りまとめとしてはいかがかということについて申し上げたいと思う。5つの項目に関して10点ある。
最初の14条関係(1)のPTSD等精神的被害に関する医療・福祉サービスの充実という論点についてであるが、1点目としては、PTSDの精神的被害の診断治療あるいは鑑定をするハイレベルの専門家、医療機関の不足という指摘があった。これらを踏まえて、「厚生労働省において、犯罪被害者等のPTSD等の精神的被害について、犯罪被害者等に特有の対応を要する面があることを踏まえ、診断、治療、鑑定等を行う専門家及び施設が不足していることを前提に、実態を把握し、その上で必要とされる専門家の養成及び組織、施設の増強に資する施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し必要な施策を実施する」というのが1点目である。
2点目は、医師について学生のときから犯罪被害者等の精神的ケアについて教えてほしいという要望がある。これらを踏まえて、「文部科学省において、厚生労働省の協力を得て、犯罪被害者等のPTSD等の精神的被害について、医療従事者になろうとする者の大学その他教育課程の中で、必要な知識、技能を修得させるための施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し、当該施策を実施する」というのが2点目である。
3点目は、身体医療に連動した精神的ケアの重要性についての指摘がある。これを踏まえて、「厚生労働省において、身体医療に連動した精神的ケアのための体制整備に資する施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し当該施策を実施する」、これが3点目である。
4点目は、PTSDについて、治療薬への保険の適用あるいは保険診療の適用を求める要望、指摘があった。これを踏まえて、「厚生労働省において、PTSDに対する治療について、医療保険適用の範囲の拡大について検討し、1年以内を目途に結論を出し必要な施策を実施する」、これが4点目である。
2番目の論点、後遺障害に関する医療・福祉サービスの充実の関係であるが、これについては、重度の障害を負ったことによる医療、介護等の負担の訴え、さらにそれに加えた捜査、刑事、民事の裁判等の負担ということについての声がある。そういったことに対する支援の要望を踏まえて、「推進会議のもとに設置される犯罪被害者等に対する経済的支援を手厚くするための制度のあるべき姿及び財源に関する検討のための会議において、特に犯罪等の被害による後遺障害者に対する経済的支援及び福祉サービスのあり方について十分に検討する」、これが後遺障害に関する医療・福祉サービスの充実の関係である。
次に、3番目の論点、女性被害者・少年被害者に対する医療・福祉サービスの充実の関係で3点ある。1つは、児童精神科医の増員あるいは少年に関する専門的な心理カウンセラー、臨床心理士、ソーシャルワーカー、保育士、児童福祉士の養成を求める要望が寄せられている。そういったご要望を踏まえて、「厚生労働省において、少年被害者の被害について、犯罪被害者等に特有の対応を要する面があることを踏まえ、治療または保護を行う専門家が不足し、そのための体制及び施設が十分ではないことを前提に、現状に関する必要な調査を行い、その上で少年被害者が利用しやすく地域的な隔たりなく十分な治療、配慮を受けられ、また十分な期間保護が受けられるようにするため、児童精神科医等専門家の養成、その適正な配置、その他の体制整備及び施設の増強に資する施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し、当該施策を実施する」、これが1点目である。
女性被害者、少年被害者の関係の第2点目であるが、これは捜査終了後も少年被害者の心理等に関して、親の相談に乗れる専門家を捜査機関が紹介するべきだという意見が寄せられている。これを踏まえて、「厚生労働省において、少年被害者の被害に対する相談、治療等を行う専門家、医療施設、その他の施設等を把握し、警察とも連携して、その周知に努める。」
それから、女性被害者、少年被害者の関係の3点目であるが、これは強姦被害者のための24時間対応の専門医療機関の設置とか、あるいは地域に2,3の産婦人科医を協力病院に指定する制度などを求める要望が寄せられている。こういったご要望を踏まえて、「厚生労働省において、性暴力被害者について特有の対応を要する面があることを踏まえ、実態を把握し、その上で性暴力被害者が利用しやすく、地域的な隔たりなく、十分な治療、配慮等を受けることができるような医療体制の整備に資する施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し当該施策を実施する」、以上が3番目の論点の女性被害者・少年被害者に対する医療・福祉サービスの充実である。
次に、4番目の論点、犯罪被害者等の支援に精通した心理職・精神科医・法律家等の養成、これについては1点である。これは、裁判に頼るだけの科学的な検証や診断書の作成ができる医療関係者の増加の要望が寄せられている。先ほどもご議論に出たところであるが、これらのご要望、ご指摘を踏まえて、「厚生労働省において、警察庁及び法務省の協力を得て、現状及び諸外国の状況に関する必要な調査を行い、厚生労働省及び文部科学省において犯罪の実情及び刑事司法に精通し、犯罪被害者の置かれた状況を踏まえた支援、捜査、裁判を見通したケア、検査、診断書の作成等を行うことのできる医療従事者、福祉関係者を養成するための施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し当該施策を実施する」ということである。
最後、5番目の論点、その他医療・福祉サービスの充実については1点である。これは、個々の医療機関、特に基幹となる医療機関についてはPRが必要であり、いざというときに窓口になるところを周知しておく必要が、ただいまのご議論でもあった。こういうご要望を踏まえて、「厚生労働省において、犯罪被害者等が利用しやすいように医療機関の情報を周知するとともに、関係機関において当該情報を共有し、適時適切に犯罪被害者等に提供する」、以上である。
(構成員)時間の関係で申し上げなかったが、被害者の家族が困っているのは、被害者が後遺症が確定したために、もう体が動かなくても家に帰されてしまう、病院に置いてくれない、家に人手が足りない、こういう人たちがかなり多くいる。そういう人たちを病院に入れてあげるような、そういう施策が足りない。それは、私たちの意見書には書いてあるけれども。これは深刻な問題になっている。それを追加していただければと思う。
(構成員)今の植物状態なり症状が固定したといって、転院を迫られるというようなことか。
(構成員)それはもう、ほとんど数カ月過ぎると、そのように迫られる。家族は犯罪被害に遭って自分たちの生活も立ち直っていないのに、追い出されるような形で、病院を探さなければいけないということが現状としてある。
(構成員)これについては、先ほど厚労省の方から、この「確認事項について」というペーパーが出ているけれども、この最初に、今ご指摘のご要望に対する厚労省の考え方が出ている。
(構成員)大体、保険点数の関係で、3カ月たったらもう病院を出されることが多い。
(構成員)病院、いろいろそれぞれ機能があって、急性期にいろいろスタッフを用意して、ぱっとやる機能もあれば、それで手術などが終わってから症状が落ち着いて、その後では療養すると、家に帰って、そういう機能もあって、それは入院、医療機関によって特徴がそれぞれあるので、そこは最初の急性期の治療が終わったら、やはりそれなりの、また別なところに移っていただくというのは合理的なのではないかなと思っている。そこら辺のわずらわしさとか大変さというのは、非常にあるのではないかなと思うけれども、一方で医療をし、リソースを使って効率的に進めるためにはこれはやむを得ないことなんだと思っているので、何とかご了解いただけないかと思っている。
(構成員)それはわかるが、それでは、次に引き受けてくれる病院を紹介してくれればいいのだが、これはまた家族が探さなきゃいけないけれども、なかなか引き受けてくれる病院がない、現実問題として。それが非常に困っている。
(構成員)非常に大変お悩みになられていると思う。こういう声は、犯罪被害者の方々に限らず結構多く、私ども今、いろいろ医療提供体制の観点でいろいろ考えてはいる。その中では、今日も、先ほど1ページ目にちょっと抽象的でわかりづらいかもしれないが、書かせていただいたのは、医療機関の間の連携であるとか、あるいはさらに福祉サービスに移行していただく場合には、適切な福祉サービスへのつなぎ、そういったことが進んでいくような法改正整備、そういったことを進めていこうということで今考えておるところである。また、犯罪被害者に特化して、その連携がということではないけれども、一般的な連携をどんどん進めていこうと、こういうことで今考えているところである。
(構成員)それは、骨子の中には入れていただけないか。
(構成員)ではご提案だが、ご指摘のような植物状態になって症状が固定したということで転院を迫られている、そういう実態について、厚生労働省の方で調査をしていただいて、その調査に基づいて必要な施策について、1年以内を目途に検討していただいて、その必要な施策についての実施をしていただくというようなことが、一つ案として考えられるのではないかと思う。
(構成員)必ずしも、植物状態ではなく、一部動くとか、意識ははっきりしているけれども体は動かないと、こういう人たちがいる。だから、それは植物状態とはちょっと違うが、同じように困っている。植物状態と私申し上げたけれども、それも意識ははっきりして、体が自由にならないという意味である。
(構成員)これは言葉のこともあると思うけれども、犯罪被害等によって長期療養、要するに療養型の病院が少ないということだと思う。だから、長期療養を必要とする被害者に対する施設の確保とかについて検討していただけるというような形だったらどうかと思うが。
(構成員)一般論として申し上げれば、確かに今医療機能の分化ということを進めている。急性期の方は急性期、そこを比較的入院期間が短く退院していただいて、まださらに療養する長期療養が必要な方であれば、長期療養の別の方に移っていただくと、さらには療養型の施設を充実していこうと、そういうことは一般的な方向としては私どもも一般的なこととして考えているので、そのような対応の枠組みの中でということであれば、それはしていくことかと思うが。
(構成員)それでは、ちょっと文言の整理をした上で、骨子案のお示しをする際に長期療養の実態というものを厚生労働省の方で調査をしていただき、そしてその調査に基づいて必要な施策があるのかどうか、検討していただいて、1年以内に、というような方向で取りまとめて骨子案としてお示しをしたいと思うけれども、いかがか。では、そのようにさせていただく。
○ 基本法第15条関係(安全の確保)に関する説明
基本法第15条に係る施策に関し、事務局より、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策について、資料1の11ページ以下を参照いただきたい旨発言。その後、関係省庁の構成員から、追加で説明が必要な事項の有無とその説明があった。追加説明の概要は以下のとおり。
(構成員)資料2の中に第15条関係は記載をしている。特に補足はないが、1点だけ匿名報道の発表の話だけ若干補足すると、我々の本音の気持ちとしては、できるだけ被害者のご要望に沿って、被害者の方が匿名を希望されるのであれば、私どもとしては発表はしないという方向でやりたいという気持ちは大変強く持っているし、現にそういうふうな匿名発表をしたことは多々あるけれども、そのたびごとにマスコミの方から、権力のチェックができない、または知る権利に反するということでもって抗議を受けて、そこでいろいろやりとりをしながら、ある場合には我々はそういった申し出があってもそれを拒否する。ある場合には、マスコミの方のご要求に応じてそれを発表をするというようなケース・バイ・ケースで大変苦悩をしている状況なので、その点ご理解をいただきたいと思う。あとは記載のとおりである。
(構成員)先ほど第15条の関係もあわせた形でご留意いただきたいということを申し上げたところであるが、資料4で提出させていただいたとおりである。ただ、本日配布された「各省庁提出に係る施策等の取りまとめ」という中で、基本法第15条関係(1)、(2)の中で「1年以内を目途に結論を出し云々」とある。これについては、先ほど相応の期間が必要になるということを申し上げたけれども、検討ということについては、目途として1年以内ということは可能かなという、努力できるかと思われるが、その際立法措置が必要ということになると、これは実施まででこの1年以内が入っていると、これは非常に困難と言わざるを得ないと考えている。
それから、あとこれは表現ぶりだけの問題かもしれないが、(2)の1つ目の「☆」のところで、最初に証人等の住所等が関係者に知られることがないよう求める制度、これは法律上の制度である。ところが後段にあるのは、それと並ぶようなものではない。その意味では、制度ではないということと、もう一つが運用するものという表現でくると、運用していただくのは、実は私どもの職員だけではなく、裁判所であったり、弁護士の方もいらっしゃるので、法務省において意識向上と言われても、この表現ではちょっと誤解を与えるかもしれない。たとえて申せば、ほかのところでは検察官等ということで、法務省でなし得る内部のさまざまな施策ということがあるので、研修等を通じたその辺との整合性をご考慮いただければと思う。
(構成員)第15条関係については、シェルターがあり、先ほど第14条関係でも申し上げた任意相談所、児童相談所のそういう施策をしている。また、今虐待を受けた子ども、非行児童の保護処理が問題になっているので、その改善を実施するということを掲げさせていただいた。
(構成員)ご要望いただいた項目の中に住民基本台帳の閲覧制限という項目があり、資料3をつけさせていただいている。特につけ加えることはないが、基本的にはドメスティック・バイオレンスとかストーカー行為などの被害者保護のための住民基本台帳事務における閲覧の制限といったことについて、記載させていただいたように、16年7月1日から統一的にこういった支援措置を講じているわけだが、ご要望の中にあったように、警察等の意見を聞いて、その必要性を確認して、不当な目的に利用されることを防止する支援措置を講じているわけであるけれども、必ずしも私どもは十分な措置であるというふうには考えていないところである。
それで、資料3の3ページをごらんいただくと、住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関するそもそものあり方について検討を始めたところであり、幅広くこういった閲覧制度が住民基本台帳で利用されているわけだが、社会経済情勢とか個人情報保護に関する意識の変化から、見直しを求める意見が寄せられているし、また閲覧制度を悪用したと考えられる刑事事件も発生した。この17年5月から始めた検討会で、今年の秋までに何とか結論をまとめたいというふうに考えているところである。
それで、それまで何もやらないのかということであるが、閲覧等の請求事由の厳格な審査を行ったり、請求者をきちっと確認をすると、こういった徹底を行うように通知を地方公共団体に出させていただいており、できるだけ窓口でそういったチェックを十分に行っていただくような対応を今お願いをしているところである。
ちょっと1つだけお願いであるが、内閣府がきょう提出された3枚紙のペーパーで第15条関係のところに、私どもは一番後ろのところに4ページのちょうど真ん中あたりに内閣府が出されたページがあり、3のちょっと1つ上のところに「☆」がついていて、「総務省において、住民基本台帳の閲覧等については、「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」において」、の次、「犯罪被害者等の保護の観点から」というふうに書いてあるけれども、必ずしも住民基本台帳については、これは保護の観点からだけ行うものではなく、個人情報保護ということで検討させていただいているので、できればここは「犯罪被害者を含めた個人情報保護の観点から十分な検討を行い」という形にさせていただくというふうに思っているので、どうぞぜひご審議いただければというふうに考えている。
○ 基本法第15条関係についての議論
(事務局)第15条関係について、今ご説明いただいたけれども、第14条のときと同じように、各省庁から事前に犯罪被害者等からの要望に関して、各省庁から事前にいただいた中で、今後の新たな取組、あるいは前進させる取組を提出していただいたものについては、ただいまごらんいただいた3枚紙の2.の第15条関係のところで整理をさせていただいた。これらについては骨子案に盛り込むことを提案させていただきたいと思う。下線を引いた部分は事務局で加筆させていただいたものである。
なお、先ほど法務省の方からご指摘があったが、3ページの一番上の「1年以内を目途に」というのは、大きな法改正等の関係もあり、難しいという点であるが、これは例えば2年以内の結論、2年以内を目途に結論を出すということでいいのかどうかというあたりも後ほどお聞かせいただければと思う。
それから、先に全部申し上げたいと思うが、②の最初の「☆」のところで、運用するものというのが法務省関係者以外の関係者にも及ぶというご懸念があるので、ここはそれでは例えば「検察官等」というようなことを例として挙げられたが、そういう法務省関係者ということにきちっとおさまるような表現ぶりであればいいのかどうかということもお聞かせいただきたいと思う。
それから、総務省の方から、4ページの第15条関係、最後の「☆」のところで、犯罪被害者等を含めた個人情報の保護の観点からという修正意見があったが、それを前提にご確認いただければと思う。
(構成員)出所者のお礼参りというのを被害者は本当におそれている。仮出所、仮出獄の場合は保護観察所が管理して、住所等も把握し、それを被害者に伝えることができるけれども、刑期満了になったならばあとはどこ行くかわからない。たとえ出るときに「大阪に行く」と言ったって、北海道に行くことだってある。出所してしまえば、どこへ行ったかわからない。刑期満了者の方がむしろ凶悪である場合があるわけで、びくびくすると、こういうこと。
そこで、私はやはり重大な犯罪については、刑期満了者についての住所を把握する制度、つまり新しい法律をつくるべきであると思う。そして、情報提供する。それは加害者の保護にもつながる。つまり加害者も10年も刑務所にいて出てくると、もう食っていく方法がない。人も雇ってくれないし、家族も面倒見ないということで、結局食えないからまた犯罪を起こすということになるわけで、刑期満了者についても国が把握して、できるだけ生活ができるような支援を続けると、この両方をねらった立法をつくっていただきたいと思っている。
そして、これは今運用でやっているけれども、運用でいろいろやっても、仮出獄の場合はそれはできるだろうが、出所してしまえば何もできないと、こういうのが現状なので、特別な立法をぜひお願いしたいと思っている。
(構成員)資料14の特に第15条の関係で1枚だけであるが、今、構成員がお話しされたことに関連して、受刑者が出所するときの情報について、これはこのペーパーに記載したとおりであるが、受刑者釈放通知の希望申出書というのがあるが、それを送付するところと送付しないところがある。それから、希望申出書の中身も現行はばらばらというか、ちょっとそれぞれ違っている。横浜地方検察庁と東京高検とではまた違うし、それから東京高検と最高検あてのもまた違い、それぞれちょっと皆違う。希望する通知内容を問うているものもあれば、それを問うていないものもある。さらには、受刑者釈放通知制度についての説明書というものを添付しているところもあれば、添付していないところもあるというようなことなので、結局はこれは運用によっているので、ばらばらになっているのかなと。したがって、先ほど構成員が言われたとおり、法律でもって決めていけば統一的なことができるのではないかと思っている。
(構成員)名前の原則非公開と匿名だが、これはマスコミの過剰報道ということで二次被害とか、いろいろな問題を起こしているが、ここで警察庁がお書きになっているように、プライバシーの保護と公益性ということを総合的に勘案しつつ、個別具体的に配慮していくという線をぜひ維持していただきたい。報道の自由とか、それから知る権利なんて大げさに構えるまでもなく、犯罪の背景とか、いろいろな面を多角的に検証していくには、ケースによっては名前が必要かなということで、マスコミ自身が最近警察の発表とは別に、名前を出していくのかいかないのかということについてもかなり内部で検討しているし、研究もしているということで、さっき悩んでおると言われたけれども、我々も同様悩ませていただいて努力させていただきたいというふうに思う。
(構成員)先ほどの釈放関係の情報について、どういった制度を構築していくのか、そのあり方というのは今後検討をすべき課題であることは承知をしているが、構成員からご指摘のあった書式の不統一であったり、書式の中で書いてある文言が違ったりといったことは、これは実は今年の1月にこれまでの運用を踏まえて、様式などを一部改正しており、そのためにその前後で若干何か取扱いが違ったのかなというふうに誤解を与えている向きがあるかもしれない。いずれにしても、運用ベースとしても、制度の適正な運用を全国の検察庁に対し周知徹底させていただきたいというふうに思っている。
(構成員)加害者にしつこくつきまとわれたりして、身辺に危害を感じて何回も警察へ証拠を持っていっても捜査してくれない場合があった。どうしても捜査をしてくれない場合には、例えば裁判所の令状で捜査開始命令を出すとか、何かそういうふうなことをしていただかないと、何回警察へ行っても相手にしてくれないうちに殺人事件が起こったというのが何人もいる。それをひとつ考えていただきたい。
それから、ストーカーが今は恋愛感情の問題だけでとらえているようだけれども、それをまた当初原案にあったように、恋愛感情の問題を取り除いて、つきまとう者はとにかく処理ができると、こういうふうに法を改めていただきたいと思う。
(構成員)趣旨としては、告訴制度があれば、告訴していただければ、適正に受理されれば我々捜査機関は捜査する義務があるから、告訴制度を使っていただければ従前のようなことは全くそれはないと思うので、その制度をぜひお使いいただきたい。あえて捜査開始命令というような制度までは踏み込む必要がないのではないかというふうに思っている。
あとストーカーの関係であるが、なぜこれは恋愛感情とか恋の感情に絞ったのかというと、立法当時いろいろいきさつがあったようだけれども、1つにはストーカーでご相談があるもののほとんどがこういった恋愛の問題、好意が満たされない怨恨の問題というふうなことになっていると。平成16年の数字を見ますと95%以上がそういった形になっているという状況なので、これ以上に今のところ広げる必要はないのではないかというふうなことではないかと。これはもともと議員立法なので、そういった趣旨でもってやられているというふうに理解をしているし、私は前に、かつて警視庁がこの範囲を広げたいということでもって条例を出したけれども、いろいろな反対運動が結構あって、一遍頓挫をし、条文を修正して出し直して通ったという経緯があり、まだまだどうも広げると弊害を心配される方が多くて、なかなかそこまで行ってないというのが実態である。
(構成員)告訴制度を利用しろというお話だけれども、告訴してもなかなか取り上げてくれない。こういう証拠を持ってこい、こういうあれが足りない、これが足りないということで、今まで何回も告訴したが、取り上げてくれなくて困って、検察庁に出して、検察庁で取り上げてもらった事件がかなりある。だから、捜査をしないために、いろいろな理屈を言うのが現場にいらっしゃる。まじめにやっている方ももちろんいらっしゃるが、そうでない方がいらっしゃるので、そのときはどこかで捜査をしなさいというような命令を出してもらわないと困るなと思っている。
(構成員)ご指摘のような問題があったことは事実だし、今も全くないと私は断言もできないけれども、ただ平成12年の警察改革以後、告訴、告発についてはきちっと受理しなさいということで厳しく徹底をしていて、また告訴相談、告発相談の状況については、とりあえず県警本部がきちんと把握をするという制度になっているので、相当改善されているはずなので、ぜひその辺を見守っていただきたいというふうに思っている。
(構成員)被害者の氏名・住所の原則非公開という点だけれども、内閣府の3枚物のペーパーの3ページ、(1)、この原則非公開、原則公開で例外的に非公開とするのかなと思うが、これはさておくとして、(2)の2つ目の「☆」の3行目あたりに「検察官又は弁護人が、証拠開示の際に、相手方に対して、被害者の氏名等が知られないようにすることを求める」と、「相手方に対して」というのは、これは当の本人だと思うが、これはその前の文章は公開の法廷においてということがあるから、事件と関係のない一般の傍聴の人たちに広く知られてしまうということは、それは防ごうというのはよくわかるが、相手方に対してというとこれはどうなのだろうか。つまり被告人の側から見た場合、その国の弁護権や防御権というものがあるわけで、示談をしたいとか、申しわけないと思っていて何とか償いたいというような場合もあるわけだが、その点との関連というものがちょっとこの文章にはない。つまり国民の防御権、弁護権に対する配慮の視点というものを踏まえて、こういったことを検討されるということをちょっとお願いをしたいと思うが。
(構成員)被害者の現住所を加害者側に知られるのが非常に困るということ、怖がる、証人も同じだ。特に相手が暴力団関係の人たちなんかの場合にされると、そういう復讐が怖いものだから、住所はひとつ知らせないのを原則にしていただきたいと思う。証人も同様だ。
(構成員)これについては、現行の制度としては、報復等の加害行為がなされるおそれがある場合には、これは法制度としてであるが、お互い、つまり検察官、弁護人、双方相手方に対して配慮を求めるということができるようになっているけれども、今お話にあったような加害行為以外でも非常に傷つかれたりということに対する配慮に対して、どういった方策があり得るかということであって、もちろん被害者の安全、あるいは不安感と言うか、そういったものの保護とともに、防御権といった観点からの考慮も当然必要だということで、その意味でこれは原則非公開と書いてあるが、私どもとしてもともと公開されているものについて、今あるいは法制上朗読をせざるを得なかったりといった事柄について、その辺の被害者への配慮というものをさらに進める制度というものを当然被告人等の防御権との調整の中で、導入できないかどうかということを検討するということである。
(構成員)幾つか意見があるが、1つ今の被害者の情報の関連で、先ほど総務省の方から犯罪被害者等を含むという表現に変えられて、含む個人情報という表現をされたけれども、これは恐らく一般の個人情報とは別に犯罪被害者の安全を守るという視点があった方がいいと私は思うので、これは並列して犯罪被害者等の保護の視点並びに個人情報の関連と、そういう方がいいのではないかと私は感じている。
それから、私が言いたいのは、ストーカー事件の相談なんかに乗ることがあるわけだが、今の法務省で通知するという制度とは、加害者がどこに出所するか、帰省先が被害者にはわからない、そこの保護観察所に行って初めて情報が入るという、非常に心もとない情報の出し方なもので、今の制度のもとではいろいろな限界がある。結局は警察に行き、警察からいろいろな連絡をとってもらって、最終的には被害者にある程度情報が入るようにできたけれども、そういう幅広い範囲を加害者が動くので、今そういう矯正施設関係、あるいは警察同士の関係とか、そういう連携というのはとても大切だと思うので、その点をぜひしっかりこれから検討していただければと思う。また、その中で保護観察所、保護司と保護観察官を生かした被害者への情報の提供等、そういうものがぜひしっかりと重視した形でできるようにしていただきたいと思っている。
(構成員)先ほどの法務省の方の説明の中でも、それが「できる」という表現をしたけれども、回答を読ませていただくと、ほとんどができる、できる、できるとなっている。でも、被害者は皆さん大変な思いをして再被害、あるいは公判の中での傷つけられるということがたくさんあるので、裁量にゆだねられるという現状ではあるが、そうではなくていろいろな制度を被害者の権利と司法関係者の義務としてぜひ制度化していただきたいと思う。
遮蔽のことについても説明文があったけれども、希望があればやっているとおっしゃるけれども、決してそうではない。遮蔽するかどうかは当日決める。そこへ行くのさえ怖いのに証言に行かなければいけない。その朝決めると、あまりにも被害者を軽んじていると思う。だから、制度はとにかく希望があればできるようにしていただきたい、それを明文化していただきたいと思う。
(構成員)今の点だが、「できる」というのは先ほどの構成員のご意見等にあったように、これを被害者等の権利とし、司法関係者がそれによって義務づけられるということになると、ほかの考慮が一切排除されるということになるので、「できる」という形にしているのだと思う。私もその方が制度としては妥当な制度ではないかというふうに思っている。
もう一つついでに申し上げると、先ほどの総務省関係について、構成員からご提案のように並列するということになると、個人情報の保護の観点からというのはこの検討会としてあえて言うべきことではなくなってしまうので、犯罪被害者等の保護の観点をも含めて十分な検討を行っていただくというふうにしてはどうか。個人情報の保護の観点からの検討は本来のこととして既に行われているはずなので、そこに特に犯罪被害者等の保護という点にも配慮して行っていただくということにしてはどうかというふうに思うが。
また、さっきの構成員からご発言のあった「相手方に対して」という点は、証拠開示の相手方に対してそういうことを求めるという趣旨なのだろうと思う。相手方が関係者に住所等を漏らさないようにしてもらいたいということだろう。「関係者に」というのが抜けているので、相手方にも知らせないのかという誤解を生んだので、相手方というのは弁護人だと思うけれども、そのように解するのは証拠開示という点からすると問題があることになる。このまとめ方の文章がちょっと誤解を与えているのではないかという感じがする。
(構成員)最後の点、既にある加害のおそれの場合の配慮というものについて、加害のおそれ以外のさまざまな弊害に対する配慮をお願いできる仕組みというのはないのかという検討をさせていただけないかということである。
それから、権利としてはどうかというお話であるが、これ以外の要素が一切排除されるとなると、これはやや制度として困難であると言わざるを得ないのではないかと思われる。また、裁判所として「できる」とかということで裁判所の権限として規定する規定ぶりという問題もあるけれども、仮に純然たる権利ということで不服申し立てというふうなものまで考えるとなってくると、その不服の当否を判断するために審理を実施したり、その不服の当否に関する判断が出た後の証人尋問のあり方とか、その結果としての迅速かつ適正な処罰の実現への支障とか、その辺もさまざま配慮しなければならないことだと思われる。
(事務局)確認だが、論点を整理したその論点になかなか含み切れないものについて何点かある。そして、一部は既にペーパー提出でご説明いただいているが、法務省の関係で何点かある。
ざっと言うと、出所の際の住所、矯正の程度と犯罪被害者等が求める情報の開示の中で出所時の住所だけではなく職場そのものの住所、住居移動を犯罪被害者等に情報提供してほしい。収容先、刑務所内での加害者の更生プログラムへの参加状況、矯正の程度などを情報提供してほしい。それから、虐待DV、性暴力、ストーカーに関し加害者に対する教育、治療、ケアを求める要望があるけれどもどうか。それから、加害者の保釈や服役後の釈放に際し、被害者の安全確保を考慮して被害者が意見を述べる機会を設けること。被害者の安全確保のために必要な条件遵守を義務づけられるようにすることが要望されているがどうか。それから、未成年の子の親に対する法的権利の拡大を求める要望があるがどうか。それから、最後、再被害の防止に関して多くの要望が寄せられているが、具体的な施策の必要性、相当性を検討する前提として、再被害の実情いかんの問題となるところ、法務省において再被害の実態をどのように把握しているかという点についてご説明いただければと思う。
(構成員)これについては、刑の執行段階における犯罪被害者やそのご遺族の方々などへの支援施策が十分でないとの認識のもとに、検討を行っている。
ただ、この提供を希望される情報は多岐にわたっており、一方で加害者の再犯を防ぎ、新たな犯罪被害者等を生み出さないためにも、改善、更生に必要な環境を確保することも重要なことであるので、提供させていただける情報の種類、範囲などについて、慎重に検討しなければならないと考えている。もっともこれについては、2年以内を目途のこの検討というものを進めているところである。
それから、加害者の保釈または服役後の仮釈放時に被害者の方から意見を言う機会を与えてもらいたいという要望については、被告人が被害者等の身体もしくは財産に害を加え、または畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるときは法律上保釈ができないとされており、検察官においては適宜被害者等から事情を聞くなどして、意見を裁判所に提出させていただいておるところである。
仮出獄の決定については、各地方更生保護委員会において、必要に応じて当該事件に係る犯罪被害者やご遺族の方々から心情等をお聞きしているところであるが、なお不十分であるとのご批判があることは承知しており、今後これについてもそのあり方を鋭意検討をしてまいりたいと考えている。申しわけないが、それ以外の項目はちょっとメモを取れなかったのだが。
(事務局)あと3点あるが、1つは虐待、DV、性暴力、ストーカーに関し、加害者に対する教育、治療、ケアを努める要望、それから2つ目が未成年の子の親に対する法的権利の拡大を求める要望、3点目が再被害の防止に関しては、多くの要望が寄せられているが、具体的な施策の必要性、相当性を検討する前提として、再被害の実情のいかんが問題となるけれども、法務省において再被害の実態をどのように把握しているかの3点があと残っている。
(構成員)再被害の関係での調査については、私どもとして今調査をしていないが、必要であればその調査についても検討はさせていただきたいと思っている。それと、未成年者の子の親に対するとおっしゃったが、あと未成年者の件か。
(事務局)それから、加害者に対する教育、治療、ケアの関係、虐待、DV、性暴力、ストーカーの関係。
(構成員)加害者の更生段階におけるプログラム等については、性犯罪について、既に研究を進めているけれども、それ以外の犯罪類型についても、必要な検討を進めてまいりたいと考えている。
それから、未成年者の場合についての要望というと幾つかあるけれども、特にどの点か。
(事務局)未成年の子の親に対する法的権利の拡大を求める要望が出ている。
(構成員)今の未成年の子の親に対する権限強化ということか。具体的にどの要望を取りまとめられたというふうに考えさせていただいたらよろしいか。
(事務局)例えば、財産管理の関係とか、その他子どもの権利をより強化するべきだというものである。
(構成員)財産管理という点については、現在でもそれに親権者としてふさわしくない場合には、親権喪失の宣告という手続がある。この中には、財産管理という面での喪失ということを求める、制限するという仕組みもあるし、これらについては、当該子ども以外の者の申立てが可能な制度となっている。具体的に申せば、親権者である親が子を虐待した場合などには、家庭裁判所が子の親について、親権喪失の宣告をした上で、親族等の請求に基づき、未成年後見人を選任すると、この後見人が子の法定代理人の立場で慰謝料等の請求ができるなどされていて、それ以外にも先ほど申し上げたような財産管理に限った形での親権を喪失させた上で未成年後見人の選任ということができる仕組みにはなっている。
(構成員)今お話しになったDVや虐待の加害者の問題というのは、むしろどちらかというと事件化する前の厚生労働省の段階で、それがどんどん悪化していくのを防ぐようなときに、被害者だけをサポートするだけではなくて、加害者側の教育や治療とか、そういうものの可能性も厚生労働省の方で取り組むことも考える余地があるのではないかと感じるが、そういうことは検討されないものなのか。
(構成員)今ご指摘のように例えば児童虐待一つをとってみると、もともと養育支援が必要な家庭で発生していると。養育支援にはいろいろな要因があるわけで、私どもはこういう犯罪というか、虐待を起こさないための予防対策として、養育支援家庭を早期に発見して、そこで主として市町村の保健活動がメインになるかと思うけれども、そういうところでさまざまな保健師さん、あるいは場合によっては子育てサポーターといったような子育て経験のあるような方を積極的に個別訪問をして、発生予防につなげていくといったような事業を16年度からスタートさせて大々的にやっているところである。
そういうことで、起こってからの対応というのはまた別途あるけれども、極力こういう問題が起こらないような保健福祉面での支援というものもあわせてやっていくことが重要だろうというふうに思っている。
(構成員)確認だが、内閣府の方からいただいた資料の3ページの「(3)加害者が逮捕されるまでの間、危険を回避するための犯罪被害者等専用シェルターの確保」について、ここの「☆」では既存の施設の適切な運用のみ書かれているが、先ほどの議論で既に性暴力被害者、あるいは男性の被害者においてこういう施設がないということが出ているので、先ほどの議論でそれは別途検討するんだという話があったが、そこには危険回避のためのシェルターというような文言は多分入ってなかったかと思うので、もし別途そういったここには入らない被害者に対する危険回避のシェルター等を検討するのであれば、先ほどの施設、中長期一時的施設といったところにこういった危険回避の目的といったようなことを入れていただく必要があるのかと思う。
その中で、特に強調していただきたい点が1点あって、私は先ほどの14条の方にうっかり入れてしまったが、欧米にあって日本に最も欠けているものがレイプクライシスセンターと呼ばれる強姦被害者に対する24時間で施設保護も備えたシェルターで、そういった観点をぜひその中に盛り込んでいただけたらと思う。
(構成員)ご指摘の点を踏まえて、文章整理をさせていただきたいと思う。
私の方から取りまとめ案について確認をさせていただきたい。まず内閣府が配布した3枚物の「☆」の項目が並んでいるペーパーだが、ご議論の中でまず3ページの「(2)刑事手続における被害者の氏名・住所の原則非公開」の最初の「☆」で、法務省からのご指摘を踏まえて、このように変えてはいかがかと思う。「法務省において、証拠開示の際に証人等の住居等が関係者に知られることがないよう求める制度について、また性犯罪の被害者等について、公開の法廷では仮名を用いる運用がなされていることについて周知を徹底するとともに、検察官の意識を向上させる。」
それから、同じペーパーの4ページの総務省の関係だが、2.の最後「☆」であるが、先ほどのご議論を踏まえて、傍線部分、「犯罪被害者等の保護の観点も含めて十分な検討を行う」ということで修正させていただければと思う。
それから、(3)の関係で、先ほどのご指摘の点を踏まえて文章整理をさせていただこうと思う。
それから、この資料の各まとめの項目以外に犯罪被害者等の方々や構成員からのご意見、ご要望を踏まえて、1点取りまとめ案として提言させていただきたい。これは児童虐待の関係で、早期発見について、虐待事実発見促進と通報につなげるため、医療機関内ネットワークの構築が必要だというご意見などがある。それらのご意見を踏まえて、「厚生労働省において医療施設における虐待の早期発見のための取組を推進するための施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し、当該施策を実施する」ということでいかがかと思う。
(構成員)ちょっと確認の意味もあるが、先ほど検察官の意識を向上させるとおっしゃったが、それだけでは少し無理があるようで、弁護士が漏らすということもよく現場ではお聞きすることもあるので、弁護士という言葉も一言入れていただくという、あるいはその関係者、そういう形で何か入るということは可能だろうか。
(構成員)なかなか難しいのではないか。弁護士自治という視点があるので、弁護士会が弁護士会において十分に勉強をし、研究していくけれども、これを今回の政府の所管するところでの話ということでは難しいような気がする。
(事務局)今の観点だが、3枚ものの5ページ、次の第19条の関係でご議論いただくけれども、弁護活動における配慮等ということで、政府の施策ではないが、こういうことで研修を充実させるというようなことをいただいているので、そういう形でよければ内容をまたお示しした上で含めさせていただければと思う。
(構成員)私が難しいのではないかという申し上げようをしたのは、まさに文章にしてみないとわからんなという点もあるので、最後の5ページ目の(3)については私どもは承知していたのだが、そういうことなので、よく検討をさせていただきたいと思う。
(事務局)では、先ほどのご指摘を踏まえて調整させていただきたいと思う。
(構成員)いちいち確認するまでもないことと思うが、第2回検討会から今回の検討会にかけてと同様に、今取りまとめられたことについては、改めて文書でいただいて、それに対してこちらから再度意見を申し上げる機会があるということを承知して、そういうことでよろしいか。
(事務局)おっしゃるとおりである。
(構成員)先ほど、検察官の意識を向上させるという話があったが、刑事訴訟法の第196条には、「検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他捜査に関係のある者は、被疑者その他の名誉を害しないように注意し」とあるが、被疑者の次に被害者等を入れてもらったらどうだろうと思う。これは資料9の6枚目の上に書いてあることである 。
(構成員)今の問題については、犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ、そういった方々の負担が軽減されるように犯罪被害者等の心身の状況、その置かれている環境などに関する理解を深めるための訓練、啓発、専門的知識または技能を有する職員の配置など、必要な施策を犯罪被害者等基本法においても規定されているところであり、まずは被害者の方々の立場、心情、名誉等への配慮については、検察官等の能力や意識等によって、意識等をより一層向上させるべく、指導、教育を徹底するのが大事ではないかというふうに考えている。この196条の関係で申せば、ご指摘のとおり、主体として刑事手続にかかわる方すべてが入ってくるということでもあり、今は被疑者その他の者となっておるところに犯罪被害者等を加えるということであるが、こういったことは犯罪被害者等の名誉への配慮については、まずもってこういった方に接する関係機関の職員の能力や意識の向上をどのように図っていくかという問題とも考えられるわけであり、刑訴法をご指摘のような形で改正することについては、法的な必要性であるとか、実際上の効果なども含めて十分検討していく必要のあるテーマかと思う。直ちに導入というふうな形で結論を出すのは非常に難しい問題があろうと思っている。
(構成員)特に性犯罪の被害者は非常に名誉を傷つけられることがある。4字か5字か、少し字を入れるだけで済む。
(構成員)字数はおっしゃるように一応少ないが、先ほどほかの構成員の方からもいろいろとご意見があるところであり、どういった形でその辺の配慮を実効あらしめていくかということもあるので、そういう趣旨として受け取っていただければと思う。
(構成員)これだけ言わないと、きっと女性団体から怒られてしまうので、最後の方で内閣府の方から厚生労働省に対してそういう虐待の早期発見のいろいろなネットワークの推進ということを言っていただいて大変ありがたい。そして、私はそれを言わなければいけなかったのだが、ここにDVを入れていただきたい。DVは非常に見逃されている。そして、DVに関してはDV防止法により、医療関係者はその防止等について、義務があるとなっていたと思うので、ぜひ入れてほしい。
(事務局)では、そのようなご指摘を踏まえてまとめ案を作成するが、よろしいか。
(構成員)原案は医療ネットワークの構築ということで今おまとめか、内閣府の方でご提示のあった。
(事務局)最後に申した、「厚生労働省において医療施設における虐待」、今ご指摘があった「DVの早期発見のための取組を推進するための施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し、当該施策を実施する」ということになろうかと思う。
(構成員)一応持ち帰って検討させていただきたいと思う。
(構成員)内閣府の方で取りまとめた先ほどの資料の3ページ目だが、①の「☆」の「1年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する」とある部分と②の2つ目の「☆」の「1年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する」ということで、これについては法改正等が必要という場合には、それも考えるとやはり2年以内というふうな形でお考えいただけるとこちらとしてはありがたいというか、そうしていただけないかという思いがある。
○ 基本法第19条関係(保護、捜査、公判等の過程における配慮等)に関する説明
基本法第19条に係る施策に関し、事務局より、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策について、資料1の18ページ以下を参照いただきたい旨発言。その後、関係省庁の構成員から、追加で説明が必要な事項の有無とその説明があった。追加説明の概要は以下のとおり。
(構成員)第19条関係は資料2の4ページ以降になる。研修の充実と職員の対応、施設の改善関係であるが、二次被害の実態についての調査ということをお求めがあったので、そこにお付けをしてある。既にお読みいただいていると思うので、中身は省略させていただく。
後で配った資料を若干ご説明申し上げるが、まず被害者の方から事情を聞く場合に被害者対策専用の車を今各県に配布をしており、中にテーブルがあって、窓は全部遮蔽ができる、中の様子がわからない形になっていて、例えば性犯罪の被害の現場に行くとか、また被害者の方が警察に行くのを躊躇されるという場合には、こういった車を使って、そこで事情を伺うということを今やっているところである。これは国の予算で相当数の車が現在各県に配布をされているところである。
被害者の方から事情をお聞きする場所だが、よく鉄格子のはまった取調室で聞かれるというふうなこともあって、被害者の方から苦情をいただいているところだったけれども、平成12年から5カ年計画ですべての警察署について施設の改善を行い、明かりを広く取り入れ、なおかつ部屋の雰囲気も明るくした、そういった別途の部屋を準備をして、そこで事情を伺うというふうなことをやっていて、これはほぼすべての警察署でこういった整備が終わったという状況にある。
それから、もう1点、職員の教育の観点だが、部内用で、中で被害者支援に当たった人間、非常に中には苦労している人間もいるけれども、そういった支援員の体験を我々の中で共有しようという趣旨のもとに、体験記を毎年募集をして、それを幾つか選んで冊子にして各県に配り、そしてまたそれをこの仕事に当たる人間ばかりでなく、職員みんなが読んで、そういった体験を共有しようということでもってつくっている。
(構成員)いわゆる二次被害的な資料についても、ご紹介があったが、私の方で先ほど再被害と伺ったのがいかなるものかわからなかったが、いずれにしろ犯罪被害者等が捜査、公判等の過程において受けた新たな精神的被害、いわゆる二次被害の実情を焦点とした調査というものは行ってはいないが、平成11年度に法務総合研究所において、現実の被害者等に対するアンケート方式による調査を行っており、その中で捜査協力及び証人出廷の負担に関する調査がある。
あと第19条関係プロパーの問題として、関係職員の研修の充実等々については、資料に述べさせていただいておるとおりである。
(構成員)私どもの施策については、資料7に記載させていただいている。それで、関係職員への研修については、この2枚ものの後に3ページ目からゴシックの2枚がついており、こういう研修をやらせていただいていると、こういう関係である。
この関係で、先ほど、構成員から、司法研修所の研修が来年で終了するのではないかと、不十分ではないかと、こういう意見をいただいたけれども、確認したが、来年以降やめるという話はないようで、ただ来年度のカリキュラムは現在未定であるということだけのようである。被害者関係の研修というのを重点施策の一つにしているので、それを拡大することはあれ、縮小することはないのではないかというふうに私は思っている。
それから、修習生にそういう被害者についての知識が乏しいとショックを受けられたと、こういうご指摘であるが、この点は要するに実際に講師に来ていただいた方がそういうふうに見えたということは、恐らくそういう観点が否めないのであろうと思う。そのあたりも含めて、今後さらに研修を充実させていく必要があると思っているところである。
それから、施策のその他の点もよろしいか。当方としては、基本的には、決められた法律にしたがってその制度を的確に運用すると、これが基本的な施策ということになる。その観点で言うと、現時点においては、犯罪被害者保護二法をいかに適切に運用するかということである。その点については、先ほどお配りした、第3回犯罪被害者基本計画検討会の追加留意事項について(最高裁判所)という5枚組みの資料の一番最後のページをごらんいただくと、犯罪被害者保護二法に基づく制度の運用状況について記載しているところで、この紙を見ていただければわかるとおり、例えば遮蔽については、平成12年11月から平成17年3月までで合計で4,256件利用されている。それから、前回ご指摘があったが、被害者等に公判記録の閲覧謄写をさせた事例数というのは2,866件ある。させなかった事例というのは42件しかないと、こういうことになっている。
それから、裁判所のビデオリンクや遮蔽の装置が全国で使えるようになってないのではないかと、こういうご指摘が紙であったと思うが、ここは資料7に書いているけれども、ビデオリンク装置については、全地方裁判所及び主要な合議事件取扱い支部、合計で65庁に配備済みである。それから、遮蔽装置についてはさらに広く、全部で百十数庁に配置している。それで、いずれも運搬が可能なものなので、基本的に要望さえあればどこでも使用できると、こういうふうになっているところである。
○ 基本法第19条関係についての議論
(構成員)第19条の関係について今ご説明をいただいたけれども、先ほどの3枚紙をごらんいただきたいが、同様に第19条関係についても犯罪被害者等からのご要望に関して、各省庁から事前にいただいた中で、今度の新たな取組、あるいは前進させる取組を提出いただいたもの、これを3枚紙の4ページの3.第19条関係ということで取りまとめをした。これらについては、骨子案に盛り込むことを提案させていただきたいと思う。
それから、先ほどと同じように、この論点にまとめ切れないご要望について、それぞれ事前に各関係省庁にお願いをしたが、その中で法務省の関係はペーパーを提出していただいていないので、大変恐縮だが、また申し上げるので、お考えを伺いたいと思う。
1つが、法務省において庁舎の建て替えを予定している検察庁では、被害者専用待合室を設置し、それ以外の検察庁についてはスペースの有無、設置場所等を勘案しつつ、専用待合室の設置について検討していくとしているが、専用待合室整備の具体的に予定はどうかということが第1点。それから、遮蔽措置、ビデオリンク等の措置がより広範に運用されることを求める要望が寄せられているが、どうか。それから、被害者が二次被害を訴えることのできる苦情相談窓口が必要であるとの要望が寄せられているが、どうか。また、そうした苦情の声を生かした研修を行うべきであるとの要望が寄せられているが、どうか、これも法務省分をお答えいただきたいと思う。それから、次に特別のトレーニングを受けた者による司法面接を求める要望、子どもの証人保護のため、安心できる機関等でのビデオ証言を証拠として採用することを求める要望、警察、検察、医師、心理、家庭裁判所など、各専門家が集まって出した結果や判断がどこでも通じて、このまま何度も話をしなくてよい形をとってほしいという要望。それから、児童虐待専門の警察官、検察官、弁護士などの育成を求める要望が寄せられているが、どうか。それから、次に欧米のように検察、裁判所にいて、児童専門のスタッフを配置し、二次被害を受けないよう、支援することを求める要望が寄せられているが、どうか。それから、次に女性についても思い出すことも苦痛な被害体験を繰り返し話さなければならないシステムの改善を求める要望が寄せられているが、どうか。それから、民事訴訟においても遮蔽措置、ビデオリンク、付添いを民事訴訟法上認めることを求める要望が寄せられているが、どうか。
それから、警察の関係で、警察における急性期心理支援についての専門技術を確立し、対外的連携をスムーズにし、連続的な支援を行うことを求める意見が寄せられているが、どうか。これは警察庁はまだお答えがなかったと思う。
それから、警察、検察、裁判所等に被害者専任支援員を常駐させる制度の整備を求める意見が寄せられているが、どうか。これは法務省の分をお願いしたいと思う。
それから、最後だが、被害者支援員の性別の偏りの是正を求める意見が寄せられているが、どうか。これは警察庁及び法務省からお考えを伺いたいと思う。
(構成員)非常に多岐にわたっているけれども、司法面接とか、被害者が繰り返し事情聴取などに応ずる、あるいは証人尋問を繰り返し受けるといったようなことによる負担、被害の軽減というか、そういった観点については、司法面接というものがどういう制度をイメージしておられるかということによるが、医療的な観点からの質問と犯罪立証、あるいは日本の場合非常に詳細なものが要求されるものもあるし、量刑も含めたあたりの事情を伺う必要もあり、そういったもので一度にこれを行うということになると、なかなかその後の証拠調べとか、証拠能力等々の関係で検討すべき課題は多いと思われる。なお、この司法面接なり何なりで一度の聴取、取り調べの結果をそのまま証拠とすることについて、反対尋問の機会すら許さないということになると、これより大きな問題を提起することになるわけである。
しかしながら、現在においてもそういった被害者の方に対する配慮といったものについても、職員等の研修、あるいは日常の一連の処理の過程等を通じて、できるだけご負担をおかけしないように指導をしているところであるし、例えば法廷で証言いただくということになっても、繰り返し同一事実についての証言が予定されるといったようなことを避ける場合には、ビデオリンクで行われた証人尋問の中身を被害者の方が同意なさるのであれば、録画させていただいて、これを別の裁判で使えるといった制度も導入させていただいているところである。
それから、弁護士の専門家の方の養成ということについては、これはそういった認定、あるいは教育、訓練等を含めた事柄についても、弁護士会の方で対応していただく法制となっているものと理解している。
それから、民事訴訟法の改正というか、ビデオリンクや付添い、遮蔽等について、民事の裁判においても同様の手続が行えるようにすべきではないかというご意見については、遮蔽についてはごく一部の民事の事件において現に実施された例もある。ただ、ビデオリンクを決めて、これを民事訴訟において導入することになってくると、その辺については、被害者等の方々のニーズや民事裁判としての当事者の手続的保障を踏まえた検討が必要であるし、検討するものに法改正を伴うといったこともあるので、検討自体に基本的な計画策定から少なくとも1年間のご猶予はいただきたいというふうに思っている。
それと、支援員については、これは扱う事柄が検察の実務についての知識が要求される、あるいはこういった刑事手続等についても、習熟したということから、検察事務官のOBの方になっていただいておるわけだけれども、現時点ではそういった検察の業務に精通した経験豊かな方の中に女性の数が少ないということから、女性の支援員が少なくなっているものと思われるが、女性の被害者に対する支援については、女性の検察官、検察事務官等が対応するなどの配慮をしているし、今後は女性の被害者の方々に、よりきめ細かな配慮ができるよう、ご指摘の点についても検討を進めてまいりたいと考えている。
苦情相談窓口という点については、この支援員自体がそういった犯罪被害者のご相談等に応じているわけで、この窓口に従事する者についても、必要な研修を実施している。また、日常業務においても上司による指導等を通じて、犯罪被害者の方々などの気持ちに対する理解の増進に努めているところである。
そして、設備面というか、提出の関係で具体的にいつまでということであるが、これについては現に被害者専用待合室の設置について、これまでの被害者の方々からのご指摘を踏まえて、今後庁舎の建て替えを予定しております検察庁においては、設置する予定である。そして、被害者専用待合室が設置されていない検察庁については、設置を検討するに当たり、設置のためのスペースの有無、あるいは被疑者等の動く線と交わらない場所といった配慮も必要であるので、今後可能な限りそういった事情を勘案しつつ整備を進めていくという予定である。
なお、繰り返しになってくるが、研修関係については、さまざまなご指摘を踏まえて、さらに充実を図ってまいりたいと考えている。
(構成員)1つは急性期心理支援に係る専門技術の確立と対外的連携の関係であるが、まず私どもの専門的技術の確立という観点から申し上げると、現在、各都道府県警察においては、全部ではないけれども、27都道府県で68人の臨床心理士の資格を有する者を部内に配置している。まずこういう者が当たるとか、またこれ以外にも、毎年、警察大学校をはじめとして被害者のカウンセリング技術を専門に教育する、そういった課程を設けて、そこに各県のカウンセリングに当たる職員、主に女性であるが、来てもらって研修をするとか、そういったようなことをやっており、またこういったものでも対応ができないという場合には、部外の精神科医とか臨床心理士に委嘱するなどによって早期に危機介入を図るということは現在進めているところである。なお一層、こういった知識、技能の向上に努めてまいりたいというふうに考えている。
それから、連携の関係であるが、すべての都道府県及び全警察署単位に被害者支援連絡協議会というものをつくっており、これは検察庁とか知事部局、弁護士会とか医師会、臨床心理士会等と犯罪被害者支援に当たる関係の団体がすべて入っているものであるけれども、こういったネットワークをつくっており、継続的な支援が必要であるということであれば、こういったネットワークを使って連携をスムーズにし、支援を行っているという状況であり、なおこういった活動をさらに強化、推進してまいりたいと考えている。
それから、被害者支援員の性別の関係だが、若干数字を申し上げると、平成16年6月現在の数字であるが、全国で2万2,322人の被害者支援員を指定しており、このうち女性は4,039人、約18%台ぐらいになると思う。ちょっと今、計算が間違っているかもしれないけれども、ざっとそんな感じかなと思う。これが、一昨年、その前年の平成15年12月末現在では、2万1,377人を全体で指定し、女性がそのうち3,737人であるので、数字的には女性の比率が上がってきているという状況にある。警察は、ご承知のように女性職員が大変少なく、警察官だけで申し上げても、現在、女性警察官の全体に占める比率は4%台であるので、性別の偏りということは、構造的に同じようにするということはなかなか難しいけれども、ただ、こういうことで、全体の女性職員の比率からすれば、相当多くの女性支援員を指定しているという現状にあるということはご理解いただきたいと思う。
(構成員)資料14を見ていただくと、1枚目は先ほどもう申し述べたので、1枚目の裏からであるが、ここにゴシックで書いてある(1)と(2)というもので、(1)項は、「被害者に二次的被害を与えて加害者を有利にする弁護士の手法は見直してほしい」ということである。(2)項は、2ページであるが、「弁護士は、被害者遺族の対応について、定期的に研修を受けることを義務づけること。あまりにも資質の低い弁護士は、弁護士資格を剥奪すること」ということをいただいている。
これに対する回答をここに書いているが、その内容については、ここにいらっしゃる方の大方の方がもうご存じのことかと思うので省略して申し上げるが、弁護士の仕事、職業というものは、自由で、かつ、独立した立場のもとに行わなければならないということは、これはもう歴史が生んだことで明らかであろうかと思う。また、その弁護士の仕事、職務というものは、検察官が合理的疑いを超えて有罪の立証をした場合にのみ刑罰が科せられることになるということからして、不十分な証拠で冤罪を生んでしまうことのないように尽くさなくてはならないということがある。他方、刑事裁判で事実関係に争いがある場合は、目撃者や被害者の供述が重要だが、必ずしもそれが正しいかというと、またそうでもない。思い違いもあれば、時には自分の被害を誇張するというようなこともなくはないわけである。そういったことを前提にして考えた場合に、弁護士が二次的被害を与えて加害者を有利にする、そういう「手法」と呼べるようなものがあるかどうか。ないのだと思うけれども、しかし、時としてそういうふうな二次的被害を与えてしまっているということも、もちろんあるのだろうなと思う。
ただ、こうした場合に、個々のそういう弁護活動に対して介入できないということは、これは自由、独立という視点、弁護士の自治という視点から、できないわけである。当然そこには、弁護士が自由で独立した姿勢を持ってその職務を行わなければ、逆に弁護士としての存在、弁護士の責務、使命を果たせないという問題に帰着することになるからである。
とはいえ、弁護士が信義、誠実に、かつ、真実を尊重して職務を行わなければならない、アンフェアであったり名誉毀損したりしてはならないということは事実であるけれども、こういった問題については、やはり日弁連の方として研修を充実させて、個々の弁護士の意識の改革を求めていくというよりないのだろうと思っている。
「資質の低い弁護士は、弁護士資格を剥奪すること」とあるが、これは懲戒委員会でもって処理をしなくてはならないけれども、懲戒委員会というのは公正・公平でなくてはならないから、弁護士会の会長とか役員であってもこれに口を挟むことはできないというシステムになっており、個々の事案でもって懲戒委員会が真剣に公正に審議しているということである。
なお、添付した「犯罪被害者支援について」という資料があるが、初めが1月11日付、2枚目が5月31日付であるが、時間の関係上、省略して申し上げると、2枚目の下の方の「記」というのがあるが、精通した弁護士の名簿の作成をしろということを日弁連の方から各弁護士会の会長にあてて要請している。弁護士会においては、まだ弁護士専門認定制度というものが、今、議論はされているが、まだできてはいない。しかしながら、この犯罪被害者については精通している弁護士というものについての名簿作成を具体的にするということである。
なお、その研修に、一応申し上げると、研修ビデオを用いてのサテライト研修というものを、7月1日、行うことになっている。次のペーパーの裏、2ページ目で、研修ビデオというものが、ここに1巻、2巻、3巻というふうにあり、これによって研修している。最後のペーパーだが、7月1日にはシンポジウムを開催するというようなことになっている。
(構成員)私の資料8の3ページの⑦のところにも書かせていただいたが、確かに警察のカウンセリング体制は整備されてきていて、そして、ただ、部外の精神科医や臨床心理士に委嘱しているということを今もお話しくださったけれども、臨床心理士というような形である種の職種に限定するのではなくて、「精神科医及び犯罪被害者支援に精通した者」としていただけると、もっともっと犯罪被害者支援にかかわる人たちが、しっかりと被害者にかかわって回復を手助けするということに役立つのではないかと思うので、その点、またお考えいただければと思う。
(構成員)今は、心理的・精神的被害に対する打撃の緩和というか、そういう観点から申し上げたが、さっき後でちょっと申し上げた被害者の支援員だけれども、こちらは必ずしもそういった専門家でない人が入っているけれども、まずこういった方が被害者に付き添ったり、それからまたいろいろな相談に応じたり、情報提供するという形でもって初期の危機介入をするけれども、その後、いろいろな生活上のご不便に対する援助とかというものは、今申し上げた被害者支援のネットワークとか、また各県、全部ではないが早期援助団体とか、またそのほかの支援団体もあるので、そういったところに速やかに引き継いでいくという形でやっているので、この被害者支援員がまさにキーパーソンというか中核になりながら、そういうものの連携を図っていくということをやっているということである。
(構成員)きちんとペイされる臨床心理士、それが適用にならない犯罪被害相談員というところで、何かもう少しお考えいただけないものかと思ってお尋ねした。
(構成員)それは、もっと犯罪被害者の気持ちがよくわかった人を置いてほしいというふうなことか。
(構成員)そうではなくて、例えば厚生労働省も、国家資格を持ったいろいろな職員の研修もこれから力を入れていくとおっしゃっているので、1つの職種に限定するということが、ちょっと納得できない。「心理面で精通した」とか、そういう物の書き方ならわかるけれども、職種に限定しているというところがとても不思議だ。
(構成員)「心理面にも」というふうに理解いただければいいと思うけれども、そこだけではなくて、それ以外のいろいろなご支援をするについても、いろいろな知識を持ちながら関係団体に引き継いでいくとかというふうな形である。
(構成員)ただ、臨床心理士でなければ、それをお願いしたときに費用は払えないということを言われているので。
(構成員)部外の臨床心理士に委嘱した場合に、その経費が公的に支給されていないという問題について何とかすべきだというお話か。
(構成員)何とかではなくて、それはそれでいい。別の職種にも、それが適切だと思われるような職種であれば、広げていただきたいということ。
(構成員)それ以外の支援についても……。
(構成員)そうではなくて、精神的緩和のために被害者に接したとき、あるいは調書をとるときに、被害者の方が精神的に落ちつかないというようなときには付き添うということがあるが、そういうとき、精神科医または臨床心理士であればきちんとペイされるけれども、その他の職種には支払いはできないということをお聞きしているので、その職種の幅を広げていただきたいとお願いしている。
(構成員)当座というか、早期の段階における付き添いとかは、この支援員というのはご承知のように警察職員がやっているので、ペイとか何とかという問題ではないのではないかと思うのだが。
(構成員)委嘱した臨床心理士には払っているということか。
(構成員)委嘱した臨床心理士には払っているけれども、それ以外の例えば支援のネットワークを使って……。
(構成員)そうではない。では、また後ほど。
(構成員)申し訳ない、趣旨がよくわからなくて。
(構成員)2つばかりお願いがある。1つは、保護二法では法廷の付き添いは被害者が証人になったときだけであるが、しかし、被害者がつらいのは証人になったときだけではない。
弁護士は家族ではないから、一般の傍聴人と同じように朝早く並んで傍聴券を得て、そして付き添ってくれる。そういうことをしなくても済むように、証人にならない場合にも付き添いがぜひ必要だと思うので、その制度をつくっていただきたい。私も、ある人の事件で付き添いに行ったが、傍聴券が手に入らないために、遠く山口まで行きながら、付き添うことができなかったということがある。
それからもう一つは、冒頭に申したが、傍聴席の遮へいだ。これは、最高裁が前回、いろいろな理由を挙げてできないと言われたけれども、私が今日申したように、別に遮へいをしたからといって傍聴の自由を制限するわけでもないし、暴力団の家族あるいは加害者の家族と混在して並んで傍聴するということは耐えられないことであるし、特に性犯罪の被害者になると、皆に顔を見られたくないし、しかも被害者と顔を合わせたくない、こういうことがあるものだから、傍聴席を遮へいしたからといって、傍聴の自由を制限するわけではないと思うので、この2つをぜひお願いしたいと思う。
(構成員)先ほどのビデオリンクの件は、たまたま私たちが相談に乗ったケースで、それを急に望むと、実際に出廷しなければならない日が決まっていたわけだが、その日にそういうものを利用できるかどうかというと、そうたくさん数はないので日を延ばさなきゃいけないとか、そういう可能性もあるとか、そういう話があったので、もう少し自由に選択ができるだけ充実させてほしいという希望であった。
それから、私の要望のところに書いたけれども、裁判所にも被害者に対応する窓口をぜひつくっていただきたい。そして、専任の人をぜひ1人置いていただきたいと思う。検察は、支援員を置く制度をつくり、その方たちは検察事務官を何十年と勤められて退職された方たちなどがいらっしゃるわけだが、私たちはよく一緒に活動することがあるが、彼らは何十年と検察に勤めていて被害者の気持ちをこのようにじっくり聞くことが初めてで、それで被害者のことをちっとも知らなかったということがわかったとよく言われる。そういうように専任の人がいて初めて被害者も安心して相談できるし、専任だからしっかりと被害者の気持ちを受けとめるということができるようになると思うので、そういう退職された方、パートの形でも結構だが、専任の人をぜひ置いていただきたいということがある。
それからもう一つ、裁判所内に待合室でも、あるいは証人として出るときでも、傍聴人として出るときでも、被害者が安心していられる部屋、加害者たちに接しないで済むような安全な部屋をひとつ用意していただくということはぜひ実現していただきたいと思う。
(構成員)関連して、内閣府の方でまとめていただいた3枚物の5ページを見ると、上から2つ目の「☆」で、「法務省において、庁舎の建て替えを予定している検察庁では云々」とあるが、これは裁判所でも、例えば現に今、八王子支部では八王子市から立川市の方へ移転しようとする動きがあるし、あるいは墨田簡易裁判所の方に全部簡裁をまとめようというようなことがあるけれども、そういった折にも、ぜひ待合室であるとか、あるいは通路、出入口に、被害者と加害者が遭遇しなくても済むような工夫というものが、やはり今のうちにできるようにしていただきたい。
それから、裁判員制度を導入するに当たっては、全国で恐らくいろいろと法廷をいじらなくてはならない事態になるだろうというふうに考えられるが、そこで何がしかの工事が行われるのであるならば、ぜひただいまのような点もお忘れなきようお願いしたいということである。
(構成員)現行制度で、被害者の方々などが証人となられたときには付き添いの制度があるということであるが、これの意味のある部分というのは、いわゆるバーの内側で、証人席のそばに証人以外の方が入っていただけると。それは、訴訟関係人全部の同意があれば、以前も可能であったのだが、仮に同意なさらないときであっても可能とする制度ということで導入させていただいている。その意味で、傍聴席ということになってくると、もともとそういう制限はない。他方で、被害者の方については特に優先的な配慮ということを、私どもで申している被害者保護二法のうちの1つの中で規定させていただいているけれども、付き添いの方のお気持ち、被害者の方と付添人の方のニーズはわかるわけではあるが、ただし、他方で物理的な制約もある。また、被告人側にとっても、被告人の配偶者等といった者への配慮といったことも必要になってくるので、そういう意味で優先的な傍聴とはされていないけれども、そのお立場に応じた配慮が可能であるということである。 したがって、それを法制的に規定するかということになると、一体どこまで入っていただけるのか、あるいはほかの方とのバランス等でどうやって切り分けをしていくのかといった観点の検討が出てくると思われる。
(構成員)そんなに大勢でない場合などに、1人、2人付き添ってやっても、傍聴券が外れたために付き添いできなかったという例がある。私自身がそういう体験もしたので、何とかその辺を工夫していただきたいと思う。
(構成員)今の傍聴券の問題となると、基本的に裁判所の問題になるわけだが、被害者保護法で優先傍聴が認められている方にしか優先傍聴を認めていないということではなく、余裕がある限り、もちろんほかの傍聴人、あるいはプレス等の要望等もあるので、その数には限度があるわけだが、できる限り付き添い等にも傍聴券が渡せるような配慮というのはしておるつもりだ。たまたま構成員が傍聴に行かれた事件でそういうことができなかったということを今お聞きしたけれども、そこはそういう配慮はしておるつもりだということだけご理解いただければと思う。
それから、遮へいの関係であるが、これも結局、法廷がすいているというような場合を考えると、例えば1ブロック全部を区切ってしまえばいいわけなので、比較的問題がないわけであるが、実際には特に大きな事件になると、傍聴希望の人もたくさんいて、そうするとその一部だけをコの字型に切ったりすることになると、結局、そのコの字型の背後にいる人のところは裁判長の席から見えないということになり、法廷警察権等の行使に支障がある場合があり得るという観点で検討が要るというふうに申し上げておるわけである。
(構成員)例えば、何かついたてを立てるとか、いろいろな工夫があると思う。全部隠す必要はないので、何とかそこを工夫してもらいたいと思う。
(構成員)そういう観点で申せば、そもそも傍聴席の一部に遮へいをとる措置をとってはいけないという法律はもともとないわけで、それは運用上、どこまでできるかという話だろうと思う。そこを検討しないというつもりは全くないので、どういう方法が可能なのか考えていくということだと思う。
それから、専門の職員の配置についてご要望があった。裁判所においては、被害者等の方から相談や問合せがあった際には、総務課あるいは担当の書記官室においてできる限り丁寧に説明するようにという指導をしており、そういう対応がされているのではないかというふうに考えてはおるわけだが、被害者等の方々からそういうご要望があるということは、まだまだ不足しているのだろうということだと思う。その点は、さらに今後も研修等に努めていきたいというふうに考えている。
また、実際に研修をいろいろやっているので、対応に当たる場合に、難しい事件等においては習熟した職員が応対するということも十分にある。これを進めて、さらに被害者問題専任の職員を配置すべきだということになると、これは今度、裁判所というのはご存知のとおり全国に多数あるもので、地方ごとにどういう事情があるかということも、事件数等を見きわめながら検討していく必要があるだろうというふうに考えている。
それから、待合室の関係だが、この点についての考えをご説明したいと思う。傍聴を希望する犯罪被害者等の待合室については、現在どういうことをしておるかというと、要望に基づいて、例えば一般の目に触れないように証言まで別の部屋にいたいのだと、こういうご要望があれば、そういう一般の方から触れないような部屋を用意して、そこで待機していただいているということもよくやっている。それから、例えば普通の法廷の入口から入らずに、裁判官と同じように裏廊下を通っていただいて法廷に入っていただくということも、ご要望があればやっている。要するに、来庁時間、待機場所、法廷を案内する時間、経路等、いろいろな事件ごとに細かい配慮をしているというふうにご理解いただければと思う。裁判所としては、専用の待合室、要するに箱を設けておくということだけでは、被害者の具体的な保護としては十分ではないのではないかというふうにむしろ考えており、待合場所等について、具体的な希望に基づいて、必要な場所や案内経路等を配慮して対応すると。そのために、一般の待合室と別の待合室が必要だというケースについては、個別に対応する部屋を用意させていただいている、こういうことでご理解いただければと思う。
(構成員)先ほどのお話で、確認だが、要するに部外の精神科医とか臨床心理士に委嘱した場合には公的負担があるのに、それ以外の民間の支援の方が支援した場合には公的負担がないというのはおかしいではないかという……。
(構成員)おかしいとは言わない。職種を犯罪被害者支援に精通した犯罪被害相談員等にも広げてほしいということである。
(構成員)実態を申し上げると、今、民間の支援員の方に対しては、電話相談については国が補助金を出して、各県がそれを予算化して、電話相談については委嘱経費を払って、それで支援された方にお支払いするという形はできているようだが、ただ、これを予算化するかどうかは各県の判断で、実際には予算化している県はまだ少ないという実態にあるので、こういった制度をもっと使ってもらうようにはしなければいけない。また、こういった予算を流す際には、だれがどういう支援をしたか、するかについて、ある程度、範囲を明確にしなければいけないけれども、それがどの程度できるのかどうかということについて、まだ勉強が進んでいないので、また支援団体の方々といろいろとお話をしながら、調査、勉強してみたいと考えている。
(構成員)法務省の方からお答えの十分ではなかった点が1点ある。司法面接に関するところで、多分、司法面接という言葉を使わなくていいが、子どもの被害者に対しての適切な面接をするための教育とか専門員の養成、あるいは法廷における子どもの証人を保護するようなプログラム等の実施について、法務省が現在実施しているものがあるのかどうかということと、実施するつもりがあるのかどうかということだと思うのだが、それについてお答えいただけるか。
(構成員)司法面接という言葉の中で、実はイメージいたしたのが、イギリスの医療にも通じた方がソファーのあるところで被害者から事情を伺って、それを録画したものを証拠としてそのまま採用するというふうな制度をお考えかなと思ったので、先ほど証拠の扱いとか、いろいろクリアしなければならないということで申し上げたわけである。ただ、先ほど来、被害者の方の負担をできるだけ少なくするということについては、研修の機会、あるいは日常の指導などの面でも、職員に対して指導・教育をしているところではあるし、またそういう意味で、より少ない負担のもとで適切なお話をいただけるように努力しているところである。また、先ほども少し申し上げたけれども、法改正の中でも、ビデオリンクによる尋問の映像と音声によって、他の共犯者等の公判で一から繰り返し証言しなくてもいいという制度も導入させていただいている。
その意味で各種研修、会合等において周知を図っておるところではあるけれども、今後とも、より一層、検察官等の能力や意識の向上をさせるための方策をさらに検討してまいりたいと思っている。
(構成員)ということは、現在、子どもに特化したトレーニングはしていないということか。
(構成員)子どもに特化したトレーニングということになると、実は例えば子どもということで、私ども日々、これは犯罪を行った方、受けた方、事情聴取というか、取調べであったり、必要な場合には法廷でご証言いただかなきゃならないところも含めてやっておるところで、そういったことから、それだけに特化した研修というわけではないが、日常の業務処理においても、当然、上司等の指導を行っているとともに、少年特有、小さいお子さん特有の問題についても、研修等の機会にその辺についての知見なり意識をより深めてもらうための努力はしているし、さらに今後ともそのための方策ということを検討していきたいということを申し上げているわけである。
(構成員)これ以上突っ込むつもりはないが、子どもに関しては特別な問題がいろいろあるので、全体の中でちょっと扱うというのは非常に不十分なので、子どもに対しては特別のプログラムを、研修あるいは証人保護について検討していただければということをお願いする次第。
(構成員)よろしければ、第19条関係の取りまとめ案をご提案させていただきたいと思う。
最初に、3枚物、「☆」のものを整理させていただいた。この4ページの3.で整理させていただいたものを、まず取りまとめ案としてはいかがかというふうに思う。
それから、このほかに犯罪被害者等の方々から寄せられたご意見とかご要望、それから構成員の方から寄せられたご意見、ご要望、そしてただいまのご議論などを踏まえて、5点、取りまとめ案として提言させていただきたいと思う。
1つは、遮へい措置だとかビデオリンク等の措置の関係で、「法務省において、裁判所におけるビデオリンク装置の配備の進展等を踏まえ、ビデオリンク等の犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努めていく。」
2番目は、これは民生委員による二次被害の関係のご指摘があったけれども、この関係については、「厚生労働省において、民生委員に対し、犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための指導を実施していく。」
3点目が、性暴力被害の方への対応で、同性の捜査官の配備の問題であるが、この点については、「警察庁において、性暴力被害者への対応等に資するよう、同性の捜査官の配備にさらに努める。」
4つ目が、公的シェルターでの人権侵害や女性相談員への不信の訴えというものがあった。これについて、「厚生労働省において、公的シェルターにおける犯罪被害者等への対応を確実にするための研修・啓発を実施していく。」
最後、5点目が、民事訴訟においても遮へい措置、ビデオリンク、付き添いを認めてほしいというご要望があった。これを踏まえて、「法務省において、民事訴訟においても遮へい措置、ビデオリンク、付き添いを民事訴訟法上認めることについて検討を行い、1年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施する。」
(構成員)最後の民訴の法整備の検討であるが、私どもも前向きに検討はする。ただ、1年ということで申せば、精いっぱいやるが、やや困難な、基本的な手続法制の整備そのものであるので、そこはほかの刑事手続に関する法整備と同じ程度の猶予をいただければありがたいと思う。
(構成員)皆様のご異論がなければ、2年以内というふうにさせていただきたいと思う。
○ 犯罪被害者等施策担当大臣より、締めくくりの言葉として、概要以下の通り発言。
「前回に引き続きロングランの検討会になり、皆さん方の熱心なご議論に感謝したい。
私も、じっと聞いていて、片や大変細かい議論が一つあり、片や訴訟手続とか犯罪被害者に対する身体的、精神的、あるいは経済的な非常に新しい支援のシステムができるかどうかという本格的な部分と両方相まって議論しているので、細かいところに入り過ぎたり、あるいはもとに戻ったりしながら議論が進められているわけで、皆さん方、役所側も含めて、その固まっていないところをもやもやしながら議論しているわけだから、行きつ戻りつの議論になるのも当然だと思いながら聞いているわけである。皆さん方には時間の点で大変ご負担をおかけするが、どうか新しい制度に向かっていくとすれば、これも重要な過程であるので、今後とも引き続きご協力を願えたら大変ありがたく思う。」
○ 最後に座長より、検討会の事前準備に当たってのお願いとして、下記の発言あり。
「基本計画の作成作業自体、この夏までに骨子案を作成するという大変タイトなスケジュールである。検討会では、効率的な議論を行うことが必要であり、そのために、事前にまず各省庁が考えていることを資料として提出していただき、各構成員に配付している。そして、有識者の構成員にもそれぞれのお考え、意見を事前に提出していただいている。検討会の場では、これら提出のあったものを前提に、検討会の場でどう考えるかという議論をするのである。
しかしながら、検討会の直前になって提出されたものについて、これを受けとめる各省庁にとっては検討時間がないということになり、追加の議論について深まらないおそれもないわけではない。大変厳しい注文ではあるけれども、意見等の提出については、事務局が事前にお示ししたスケジュールどおりに提出していただけるよう、ぜひともご協力願いたいと思う。もとより官庁側においても、期限を守っていただくようお願いするものである。」