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犯罪被害者等施策
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警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 犯罪被害者等基本計画検討会 > 第2回議事要旨

犯罪被害者等基本計画検討会(第2回)

(開催要領)
日時:平成17年5月23日(月)14時~18時50分
場所:内閣府本府庁舎3階特別会議室
出席者:
座長宮澤 浩一慶應義塾大学名誉教授
代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
久保 潔読売新聞東京本社論説委員兼編集委員
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
山田 勝利弁護士
加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
荒木 慶司総務省大臣官房総括審議官
河村 博法務省大臣官房審議官
太田 俊明厚生労働省政策統括官(労働担当)
平田 憲一郎国土交通省総合政策局次長
協力者泉 紳一郎文部科学省高等教育局審議官

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。

※ なお、構成員、協力者、村田大臣及び説明者として発言を求められた者のいずれの発言についても、便宜上「構成員」と表記した。



(議事次第)

1.開会

2.村田大臣あいさつ

3.骨子案の検討について(2)

4.その他

5.閉会

<附属資料>

資料1内閣府資料[PDF形式:113KB]
資料2警察庁資料[PDF形式:71KB]
資料3法務省資料[PDF形式:62KB]
資料4文部科学省資料[PDF形式:139KB]
資料5厚生労働省資料[PDF形式:52KB]
資料6国土交通省資料、表紙-1P[PDF形式:56KB]2P-3P[PDF形式:279KB]4P-5P[PDF形式:245KB]
資料7環境省資料[PDF形式:35KB]
資料8最高裁判所資料[PDF形式:16KB]
資料9大久保委員資料[PDF形式]
資料10岡村専門委員資料、附帯私訴に関する検討課題についての考え[PDF形式:189KB]犯罪被害者等補償制度[PDF形式:218KB]訴訟参加制度案要綱および趣旨説明・表紙-3P[PDF形式:116KB]4P-7P[PDF形式:144KB]8P-11P[PDF形式:152KB]12P-14P[PDF形式:214KB]15P・別紙1・別紙2[PDF形式:71KB]
資料11小西委員資料[PDF形式]
資料12中島専門委員資料[PDF形式]
資料13山上専門委員資料[PDF形式]
資料14山田専門委員資料[PDF形式]

(議事内容)

○ 犯罪被害者等施策担当大臣から、犯罪被害者等基本計画検討会の第2回会合の開催にあたり、招集の趣旨として、概略以下のとおり、挨拶を兼ねた発言があった。
「本日の会合では、損害回復・経済的支援への取組に関する施策について議論をしていただきたい。
犯罪被害者等が犯罪等により受けた被害を回復し、経済的な負担を軽減することができるように支援するということは、大変重要だと認識しており、被害者等からもこうした問題についてのご要望が大変強い。犯罪被害者等基本法の中でも、第12条で損害賠償の請求についての援助等、第13条で給付金の支給に関する制度の充実等、第16条で居住の安定、第17条で雇用の安定の施策を求めているわけであり、こうした犯罪被害者等からの要望について、基本法に書かれた基本的施策等も踏まえながら、ふさわしい基本計画にしたいということであるので、本日も皆様方に活発なご議論をちょうだいしたらまことにありがたい。」

○ 第2回犯罪被害者基本計画検討会の進め方について
検討会の進め方について、事務局から、犯罪被害者の方々から多数の要望が寄せられており、その中には、議論に特に時間を要すると思われるものがある一方、時間に限りがあり、効率よく議論を進める観点から、下記のとおりとすることについて提案し、了承。

○ 基本法第12条関係(損害賠償請求についての援助等)に関する説明
基本法第12条に係る施策に関し、事務局より、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策について、資料1の1~4ページを参照いただきたい旨発言。その後の構成員からの説明は以下のとおり。

(構成員)今回のテーマに関しては、ヒアリングによって抽出された様々なご要望について、その趣旨に沿って適宜分類させていただいている。その上で、それぞれに関する現行の施策、次に現在検討している施策、さらに関連する意見・要望のうち、主なものに対する私どもの現時点における考えという構成でご説明したい。
まず、基本法第12条関係の現行施策については、本日、お手元に配付されている資料3にあるように、被害者が加害者に対して損害賠償を請求することについての援助と、刑事手続を利用して民事上の損害の回復を図るための施策の2つに分類されると思われるが、現在、損害賠償請求のための側面支援としては、全国地方の検察庁に被害者支援員が配置されており、弁護士会の相談窓口等の紹介を行っている。また、加害者自身に対する働きかけとして、取り調べの際には検察官が、また保護観察の段階では保護観察官等が、被害者に対する損害賠償や贖罪などを行うよう事実上働きかけを行っている。
また、犯罪によって被害者が受けた損害を迅速、的確に回復することは必ずしも容易ではないという実情を踏まえ、刑事手続を利用して民事上の損害回復を図る制度の整備を行ってきており、資料3の1(2)[1]~[3]にあるように、被害者と加害者の間で和解というか示談が成立した場合には、その内容を公判調書に記載することにより、別途民事訴訟を提起しなくても強制執行が可能となる刑事和解制度であるとか、刑事事件の記録を閲覧または謄写したり、不起訴になった事件の記録でも損害賠償請求などのために必要な場合には、なるべく広い範囲で開示するなどの施策を行ってきている。それぞれの制度の利用実績については、資料3に添付した資料1に記載している。
次に、現在、基本法第12条関係で検討している施策・課題であるが、まず、日本司法支援センターによる情報提供の準備を進めている。日本司法支援センターは既に法律が制定されており、現在、設立準備中である。平成18年秋頃から業務を開始する予定であるが、日本司法支援センターでは、犯罪被害者支援に精通した弁護士を紹介するなど、適切な社会支援等について情報提供業務を行うことが予定されている。このセンターの発足により、犯罪被害者の方々が損害賠償請求をするに当たり、有益な情報が得やすくなるものと考えている。そして、この情報提供という点については、現在、犯罪被害者の方々の保護と支援についてのパンフレットなどを作成しており、全国の検察庁及び各都道府県警察などの待合室などに置いたり、同じ内容を法務省、検察庁のホームページにも掲載して周知を図っているところではあるけれども、いまだ十分とは言えないとのご批判があることも承知しており、さらにそれを周知するための方法を検討しているところである。
また、刑事手続を利用して民事上の損害回復を図るための措置については、没収・追徴を利用して損害回復を図る制度の導入の可否や、犯罪被害財産の回復を容易にする制度の導入の可否を検討している。これは、提出した資料3の2ページの(2)[2]a・bに記載している。
まず、aであるが、現在、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律では、例えば、いわゆる振り込め詐欺によって犯人の口座に入金された金銭などのこういう財産犯などによって犯人が被害者から得た財産である犯罪被害財産について、これは没収・追徴すると、被害者の犯人に対する損害賠償請求権の実現を困難にするおそれがあるため、被害者の損害賠償請求権の実現に配慮して、没収・追徴が禁止されている。しかし、単に没収・追徴を禁止するだけでは、被害者の犯人に対する損害賠償請求が行われないときなどには、その収益を犯人の手元に残してしまう結果となりかねない。そこで、平成11年の法制審議会、これは以前法改正をさせていただいた被害者保護2法を検討いただいた法制審であるが、このような犯罪被害財産について、犯人から没収・追徴できることとした上で、これを被害者に帰属させることができることとする制度などについて議論が行われた。これが資料3に添付の資料2で、関係する資料を同じく添付の資料3として付けている。ただ、これらの添付資料にあるように、この案については、不起訴事件の被害者は対象にならず、かえって被害者相互間で不公平感が増すような場合もあるのではないかなどの問題点が指摘され、直ちには導入に至らなかった経緯があるが、その後も引き続き国による犯罪被害財産の没収・追徴を可能にした上で、これを利用して被害者の損害の回復を図る制度を導入することができないかについて、現在検討を進めている。
次にbであるが、これは例えば詐欺罪や窃盗罪などの場合、刑事裁判の場で被害者がどんな財産をどれだけ失ったかが審理され、認定されるわけであり、まさにそこに被害額等が認定されるということであるので、その審理の結果を利用して、被害者が失った犯罪被害財産の回復を容易にする制度を導入することができないかについて、検討を進めているところである。
さらに、刑事裁判が継続している間の公判記録の閲覧・謄写については、先ほどご説明したように、当該事件の被害者の方々からの申出が損害賠償請求権の行使のために必要であるなど正当な理由がある場合に、相当性を判断の上で認めるという仕組みになっているけれども、その要件をさらに緩和するなど、その範囲を拡大することができないかについても検討を進めている。
これらの制度の導入の可否については、現在、様々な角度から鋭意検討しているところであり、その詳細については、現時点ではいまだご説明できる段階ではないが、引き続き現行の刑事訴訟法の基本構造を基盤とし、かつ迅速な刑事裁判の実現と調和する形で、刑事手続を利用して民事上の損害を回復をするための施策の充実を図っていきたいと考えている。
次に、その他の、犯罪被害者の方々等の要望に係る施策について、現時点でどのように考えているかという点について順次ご説明する。損害賠償をめぐる様々なご要望についても、そのご要望の本質に着目して整理すると、やはり犯罪被害者等の方々が損害賠償請求を行うに当たっての援助のあり方に係わるものと、刑事手続を利用して民事上の損害回復を図るための施策のあり方に係わるものに大別できるのではないかと思われる。
まず、損害賠償債務の国による立替払及び求償等についてであるが、損害の対象や範囲は個別の事件や被害者ごとに異なるので、いわゆる損害賠償ということになると、その金額などの確定は事案ごとに判断されることになる。その意味で、損害賠償債務を国が立替払いするべきとのご要望については、民事裁判によって損害債権額が確定した後の執行の問題と思われるので、それを前提に考えてみたものである。損害賠償は、加害者が自己の行為の責任として行うのが原則である。その債務を国が立替払いする制度を導入することになると、国が求償権を行使して、その弁済を受けるまでの間は、事実上、国がその債務を負担したのと同様の結果になるし、仮に加害者から弁済が受けられなかった場合、その負担は広く国民全体にかかってくることになる。このような点については、社会の共生という観点から実施されている犯罪被害者等給付金制度等との関係もあるので、慎重に検討する必要があると思われる。
次に損害賠償請求の際にかかる種々の出費、これは印紙代とか、記録謄写費用、弁護士費用等々の補償などについてである。この点については、提出した資料に記載したとおりであるが、特に記録の謄写費用については、刑事事件の記録はその性質上、損失、破損、情報漏えい等がないよう慎重かつ厳重に取り扱う必要があるので、閲覧だけではなく謄写もしたいという場合には、一般の方に記録をお貸ししたり、お預けしたりすることが困難だという問題点がある。なお、刑事記録の謄写については、コピー機等による謄写に限られておらず、閲覧者である被害者の方々などが閲覧室に持ち込んだデジタルカメラなどによって、記録の撮影なども可能な運用をしており、すべてにおいて謄写の費用がかかるものではない。
次に、附帯私訴及び損害賠償命令について説明する。これらのご要望は、刑事手続の成果を利用することにより損害を回復するための制度を拡充・整備してほしいという点に要点があるものと考えられる。
まず、附帯私訴の制度の導入については、主な問題の一つとして、現行の刑事訴訟の基本的な構造との関係から生ずるものがある。つまり、現行の刑事訴訟は公益の代表者たる検察官が刑罰法令の適正な実現を求めて事実を主張・立証し、被告人側がこれに反論して防御するという、いわば二当事者間の攻撃・防御により犯罪事実の存否や内容が明らかとなっていき、これを中立の裁判所が判断するという構造となっている。附帯私訴制度を導入して、ここに民事上の請求を行う被害者の方々が、検察官とは別にもう一人の当事者として加わって独自に主張・立証活動を行うということになると、3つの方向からの攻撃・防御が行われることになってくる。検察官からの攻撃とは別に、被害者からの攻撃についても被告人は防御をしなければならないことになる上、裁判所は検察官の主張する事実関係のほか、被害者の方々の主張する事実関係についても、検察官と被告人の刑事に関する攻撃・防御に加え、被害者と被告人の民事に関する攻撃・防御を踏まえて判断をするという極めて複雑な審理を行わなければならないことになるので、審理が錯綜して真実の発見が困難となったり、裁判がいたずらに長引くなどして、適正かつ迅速な処罰の実現を阻害することになるのではないかという問題である。
次に、損害賠償命令の制度の導入について、厳密に被害額を認定し、この支払いを命ずることとすると、民事上の複雑な争いが刑事裁判に持ち込まれることとなる結果、迅速な刑事裁判の実現を阻害することになるのではないかという問題がある。例えば、慰謝料や逸失利益等の額については、民事訴訟においてもその認定は必ずしも容易ではないが、刑事裁判においてこれらの額についても証拠により厳密に認定することとなると、刑事裁判が遅延し、適正かつ迅速な処罰の実現を阻害することになってしまうのではないかという問題である。
以上のとおり、我が国において、外国で行われている附帯私訴制度や損害賠償命令を導入することについては、種々の問題点が指摘されているところではあるが、附帯私訴制度や損害賠償命令制度を導入してほしいとのご要望については、結局、刑事手続の成果を利用することにより損害を回復するための制度を拡充・整備してほしいという点に要点があるものと考えられる。そこで、先ほど申し上げたような没収・追徴を利用して損害回復を図る制度の導入等の可否について、鋭意検討しておるところであり、このような施策の運用状況を見ながら、附帯私訴制度や損害賠償命令制度については、なお被害者等の保護・支援のために必要かどうかの検討を続けるべきではないかと考えられる。

(構成員)資料2の1ページ目で、損害賠償に対する支援という意味では、「被害者の手引」という小さなパンフレットをつくっており、これはいわゆる身体犯、身体の障害等を負われた方に対するものと、交通事故被害者に対するものと、あわせて二通り作っている県が多いが、中身的には、各県警それぞれ工夫をしながらこういったものを作って、損害賠償制度の概要を記載し、また弁護士会等の相談機関の紹介を行っている。これは、被害者の事情聴取を行った捜査官から直接手渡して説明をするという形をとっている。あと、暴力団犯罪の被害者については、お手元の資料のとおり、暴力団対策法等に基づいて、訴訟の支援等、また交渉の支援等を行っているという状況である。
ペーパーにはないが、ご要望として、損害賠償を完済するまでの間、運転免許証を発行しないシステムを導入してほしいというものがあったので、これについて説明したいと思うが、自動車の運転免許というのは、法的にいうと、一般に運転を禁止をし、しかしながら他方で、運転に関する知識や技能、適性を有する方については運転を許可をするという形でもって免許証を発給するという形になっている。それで、運転免許証を取った後に違反を繰り返すとか、また交通事故を起こすといった方については、運転免許証の効力を停止したり取り消すという形をとっているが、それはそもそもそういった方々がその後にまた事故とか違反を繰り返し、交通事故の現場で支障を生じる可能性があると我々が見て認めて、これを停止、取り消しをするという形をとっているものである。
そこで、ご指摘の損害賠償の支払いをまだ完了していない方について、この運転免許証を出さないという形がとれるかどうかというと、こうした方が一概にもう運転に関する適性を有していないというふうに見ることはなかなかできないということで、したがって法律目的からしても、こういった制度をとるということは困難であり、適当でないというふうに考えている。また、損害賠償の支払いをさせるという意味では、やはり運転免許証を持たれる方については運転をさせ、そしてそれによって報酬を得て、そこから賠償をさせるという形をとった方がむしろ効果的ではないかというふうに考えている。

(構成員)自動車損害賠償保障法に基づく各種の措置ということで資料をつけさせていただいている(資料6)。
まず、損害賠償請求の実効性の確保のための制度の整備ということで、損害保険会社への指導を含めた適切な損害賠償が保障される制度の確立や、誠意のない、態度が悪い保険会社には罰金を課すというような項目についてであるが、資料の中に書かれてあるように、保険会社への指導については、自賠法に基づき、資料6の[1]、[2]、[3]というような仕組みに基づいて支払いの適正化を図ってきている。この[1]、[2]、[3]は、実は平成13年に自賠法の改正を行ったときにこの制度が入れられているわけであるが、損害保険会社への指導を踏まえた適切な損害賠償が保障される制度として、犯罪の被害者保護のための新たな規定を整備することによって確立されているというのが[1]、[2]、[3]の項目である。この①は、自賠責の保険金の支払いに関する紛争の公正かつ的確な解決のための財団法人、これは東京と大阪に置かれているが、自賠責保険・共済紛争処理機構においては、被害者の方の申請に基づいて、医者や弁護士の専門的な知識を有する専門委員による民間調停を無料で実施をさせていただいているところである。それから、[3]であるが、保険会社が支払基準に従っていないような自賠責保険金の支払いをした場合には、被害者の方からの法律上の申出に基づき、国土交通大臣が当該保険金の支払いをした保険会社に対して、適正な支払いを行うことを指示するということになっている。その指示違反に対しては命令、違反した場合には罰金というような形になっている。
それから、2番目に自賠責の保険金の支払いについては、資料6の2枚目のポンチ絵にも入れているけれども、昭和42年から財団法人日弁連交通事故相談センター、現在、相談センターは140カ所ほどあるが、弁護士による自賠責保険に係わる損害賠償の支払いに関する法律相談、それから示談斡旋を全国の相談所において無料で行っていただいており、被害者の方が適切な損害賠償を受けられるための支援を行ってきているところである。こうした政策により、保険会社による保険金の支払いの適正化の一層の確保を図っていきたいと考えている。
また、この資料の中には入れていないが、加害者を特定できないひき逃げや、無保険者によって被害に遭われた方に対しては、政府が本来の加害者に代わり直接損害の補てんを行う、いわゆる政府保障事業を行っている。この政府保障事業による保障金の支給も政府として行っているし、各種支援をしているところである。
この資料のほかに12条関係では、保険会社の職員が損害賠償額の算定との関連で、被害者に直接あるいは間接的に二次被害を与えているようなことがしばしばあるので、この辺に対する何らかの指導をしていただければというご質問があった。今申し上げたように、自賠法に基づく保険の損害額の算定については、保険会社は、この保険の支払基準というものが定められているので、これに従って保険金を支払うことが法律上義務づけられている。仮に、保険会社が支払基準に従うことなく保険金を支払うというような場合、いわば明らかに法令違反という場合については、国土交通大臣は当該保険金の支払いをした保険会社に対して適正な支払いを行えという指示をすることが法律上、可能になっている。ここは、まさに法令違反が明確な場合。お尋ねは、一般的にこういうような法律違反ではないんだけれども、グレーゾーンみたいな形の場合にどうするんだということかと思うが、一般的には、保険会社に対する一般的な指導というのは、現在は金融庁の方から行うことになっているが、国土交通省としても、この自賠責保険の損害額の算定との関連において、被害者からの苦情に基づき、保険会社の事実確認を行った上で是正すべきところがあれば指導を行っているところであるが、これからもそういった観点から考えていきたい。

(構成員)大阪教育大学附属池田小学校の事件であるが、お手元の資料4の3ページ目に、これは合意書の別紙という形でこの事件の概要がついている。ご案内の方も多いかと思うけれども、今から約4年前の平成13年6月8日に、池田小学校に出刃包丁を持った男が侵入して、校舎1階の教室等において児童、教員を殺傷したというものである。被害者は児童が8名死亡、それから負傷者は児童13名、教員2名ということだったわけだが、この事件について、死亡児童のご遺族との間で平成15年6月8日に合意書というものを交わし、この中で、文部科学省及び大阪教育大学、池田小学校は、この事件の責任を認めて謝罪し、国は損害賠償を行うとともに再発防止対策を講じることについて、ご遺族との間で合意書を締結した。
合意書そのものを資料でつけているが、内容としては、前文に事件に至るまでの経過及びその中で国の措置が十分でなかった点の指摘に言及している。それから、第1条については、謝罪ということで、8名の児童の命が奪われたことについての反省と謝罪を述べている。それから、第2条において、池田小学校の安全管理の過失を認めて、ご遺族への賠償責任を認めるということを述べている。それから、第3条においては、再発防止策ということで、文部科学省、大阪教育大学、附属の池田小学校それぞれがハード、ソフト面の学校安全対策等をそれぞれのレベルで行っていくということで示されているところである。 それで、第2条の損害賠償であるが、第2条の文言をごらんいただくとおわかりいただけるように、本合意書に基づく具体的な賠償金額を記載した合意条項を別途作成・締結すると。これは、ご遺族の8家族と個別にそれぞれ交わしたものであるが、賠償金額の総額は8家族分で6億円、このうち2億円については、当時の特殊法人日本体育・学校健康センター、現在は独立行政法人日本スポーツ振興センターになっているが、この災害共済給付制度に基づき、死亡見舞金として給付し、さらに国の損害賠償支払額は4億、センターからの給付金が2億ということになっている。それから、負傷した児童との合意書を、先般、5月8日に締結をしており、基本的に事件の責任、謝罪等は同等であるが、負傷した児童のうちの重傷8人について、国立大学は去年の4月に法人化したので、国立大学法人の大阪教育大学が損害賠償を行うとともに再発防止策を講じること等について合意書を交わしている。賠償額は8人分の総額として1億円、このうち4千万円が日本スポーツ振興センターの災害給付制度で支払われており、大学の損害賠償支払額は6千万円ということになっている。なお、これ以外の児童、軽傷者が8人、それからメンタルケアを受けている児童もいるが、引き続き大阪教育大学の方で保護者のご意向を伺いながら対応をしていくという状況である。
それで、この中で少し申し上げた独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度について、資料の最後に一枚紙をつけてあるが、これはかなり以前からこういった制度があり、恐らく小さいころに学校におられてけがをしたときなどに、当時は日本学校安全会という組織が行っていた制度であるけれども、学校の管理下における子供の負傷、疾病、障害、死亡について、児童生徒等の保護者等に対して医療費、障害見舞金、死亡見舞金等の支給を行うものであり、学校の設置者とセンターとの間で災害共済給付契約を締結して、共済掛金を支払うということによってなされるものである。子供一人当たりの掛金は、この一枚紙の3にあるように、学校の種類、それから本土と沖縄によって若干違っているけれども、こういったことになっており、横のところに書かれているように、義務教育諸学校では4割から6割、その他の学校では6割から9割の額で、学校の設置者が決める額を保護者が負担して、残りを設置者が負担するということになっている。対象になる災害の範囲と給付金額については、この一枚紙の4のところの表に書かれているとおりである。
なお、この制度には免責特約があり、災害共済給付は、学校管理下の児童生徒の災害について給付がなされるわけだが、この中には被災した児童生徒等以外の第三者の過失による災害もあるわけで、その第三者に学校設置者が該当する場合もあり得るわけだが、そういった場合に、設置者の突発的な財政負担の分散を図るということで、学校設置者が別途、この資料3の掛金とは別に免責特約の掛金を払い、その掛金で、もし学校設置者が過失責任を問われて賠償に応じる場合は、そちらの方でカバーするということになっており、先ほどの附属池田小学校の場合についても、この免責特約により国の6億の中の一部、2億円は災害給付の方で対応している。

○ 基本法第12条関係のうち、付帯私訴制度、損害賠償命令の導入に関する議論
はじめに座長から、「附帯私訴制度の導入、損害賠償命令の導入の両者については、制度としての性格が異なる面もあると思うが、検察官の立証の成果を利用し、犯罪被害者等の負担を軽減する制度としては共通する性格を有しており、あわせてご議論いただくのが効率的であろう」旨の発言があった。その後の議論の概要は以下のとおり。

(構成員)附帯私訴について、資料10の「附帯私訴に関する検討課題」に基づいてお話をしたい。それの2枚目であるが、法務省資料に挙げられた問題点を問題点として、それに対して私どもの考えを下の方に書くという形をとっている。
それで、まず検討課題の1として、法務省資料では、刑事訴訟に民事被害者が当事者として参加すると、公訴参加の場合と同様に検察官の主張・立証等と被害者のそれとが大きく食い違って、今の訴訟構造のもとにはなじめないのではないかと、こういったことを言っているけれども、これはその前の1ページにあるように、今の日本の訴訟制度を見ると、地裁では88%、簡裁では95%が、そのまま一審で刑事裁判を確定してしまっている実情にあるわけで、刑事裁判自体がそんなに複雑になっているわけではない。もちろんオウムのような事件はあるけれども、一般の事件はこのような形で解決している。民事の裁判が入ったからといって、この構造がそんなにややこしくなるとは思われない。そして、私たちの考えている附帯私訴というのは、まず刑事事件の裁判をして、そして判決を行い、その後、民事についての裁判を民事の法則に従って行う、こういうようなことを考えているので、決して複雑になるということはない。刑事は刑事、民事は民事の裁判が行えると考えればよろしい。そして、ややこしくなるような複雑なような場合には、普通の民事の法廷へ移送すればいいと考えている。
2ページの検討課題2であるが、同じように過失相殺は民事の過失相殺の点が刑事裁判に持ち込まれると非常に複雑になって、迅速な刑事裁判の実現を阻害するとあるけれども、これも、ややこしいものは民事裁判に移送すればよいわけであり、複雑化することはない。法務省資料では、あまり例のないような事件を殊さらに一般化して反対の理由に挙げられているのではないかなと、こういうような印象さえ受けた。
検討課題の4であるが、刑事は事後審であって、民事は続審という訴訟構造の違いが附帯私訴を導入した場合の控訴審のときにはどうなるだろうかということがあるけれども、刑事の公判は事後審という性質がもちろんある。しかし、私訴のために新たに証拠調べを行わないので、直ちに判決を言い渡すということであれば、別に民事も刑事も不都合ということはない。そのままの証拠で判決ができるのなら、別に構わない。
それから、民事を特に裁判をしなければいけないということになれば、民事の裁判を分離して移送の申立をすればいいということになって、特に不都合はないと考えている。
それから、当事者が違うではないかと、雇い人があった場合などはどうするんだと、被告人と雇い人が被告になると、こういうようなことも挙げておられるが、これは普通の一般の民事訴訟でやるべきであって、附帯私訴でやるべきではないと思っている。
それから、国選弁護人が附帯私訴の代理人になれるかという問題について、これは将来、検討しなければいけないと思っているが、知恵の出しどころはあると思う。
決してやれないのではないわけであって、やれる方法はあると、そのための前向きの工夫をしていただきたい。

(構成員)資料14ということでお出ししている。附帯私訴の件について、いろいろ長所、短所はあろうかと思うが、比較考量してどうも短所の方が重たいのではなかろうか。そうすると、今、犯罪被害者の救済、犯罪被害者に手を差し伸べるということがかなり焦眉の急として急がなければならないのではなかろうかというような場合に、こういう複雑な問題を抱えていながら、これの検討に時間をとられているということはいかがなものかという感じはしている。法務省の方も先ほど現在検討中であるとおっしゃっておられて、私としては、ご質問として、その検討の結果というのはいつごろ出るというふうな見通しがおありなのか、おありでないのか、その辺もわからないが、法務省の方でそういう状態だと、私どももなかなか難しい問題があろうかと思う。
今、構成員おっしゃられたようなことも、一つ一つ申し上げると時間もないが、要は、お聞きしていると、移送すればいい、それは民事事件でやればいいということになると、それが大部分あるような感じ、結局民事事件でやるのかなと。そうすると、大山鳴動してネズミ3匹ぐらい、わからないが、そういう感じがして、大騒動して刑事訴訟法を改正して何やかんややってみて、そんなに被害者のためになるのだろうかという疑問がある。
基本的に、被害者のためになるという制度を設けることについて、反対する人はどなたもいらっしゃらないと思う。だから、それが本当によければよろしいのだが、どうなのかなと。その中でも、一つ二つもし申し上げるとすると、控訴した場合には移送すればよろしいというが、控訴審になった場合は、どなたが、どこの裁判所が裁判するのか。一審の裁判官が裁判するのか、二審の裁判官が裁判するのか。それは民事訴訟としては一審になるのか。そうでないと、審級の利益というものを奪ってしまうことになる。一審の判決が終わってから一審の裁判所がやるとした場合でも、いろいろ抗弁等があるとかなり長引くが、裁判官の転勤等を考えると、もちろんそれがすべてであるわけではないけれども、そういった場合、本当にそれが有用な制度になるのか。そういうことよりも、むしろ訴訟記録等の民事事件への利用というものについての便宜をより的確に、明確に図ることによって、裁判の被害者が起こす民事裁判の権利の実現ということは、やはり同等に図られるのではなかろうかという感じはしている。

(構成員)議論をしている実質は、犯罪被害者の方々の犯罪によって被った財産的あるいは精神的損害を迅速、確実かつ効果的に填補できるような仕組みを構築すること、こういうことであると思う。これについては、どなたも異存がないことで、私もその方向で考えていかなければならないと思うが、そういう目的から一足飛びに附帯私訴、あるいは損害賠償命令というふうに結びつけるのは、ちょっと性急じゃないかと思う。なぜその制度でないといけないのかというところが、まだいま一つ私には理解できない。もちろん,それも一つのアイデア、考え方だと思うが、ほかに実効性という点で遜色がない、あるいはより実際上効果的で、かつ副作用も小さいものがあれば、その方が合理的あるいは妥当ではないかなというふうに考えている。
その観点から、附帯私訴ないし損害賠償命令については、やはりなお検討しなければいけない点が多い。場合によっては現行の訴訟のあり方に様々な影響を実質的に与えるかもしれないものなので、やはり慎重な検討が必要だろう。そのような制度がカテゴリカルに排除されるということではないが。
附帯私訴について、ご提案の趣旨も、補充的な意味で今回説明されたところもよく読ませていただいたが、幾つかメリットとして挙げられており,その一つは、刑事手続の証拠、訴訟記録をそのまま活用して、民事の賠償を迅速に行うということだろうと思うが、その点では,別の形で,訴訟記録等をそれ自体として利用を容易にするという制度整備というものも可能ではないか。もう一つは、被害者の方が民事の当事者として参加され、訴訟で一定の活動をなさるということかと思うが、その点では、先ほども指摘のあったとおり,検察官と主張に食い違いが起こったような場合にどうするのかという問題がある。ご説明では,民事裁判所に移送すればいいということだが、その食い違いをどの段階で判断するのかによって違ってくるように思う。審理が始まった後、証拠調べの過程で、証拠調べ請求あるいは証人に対する尋問の仕方、あるいはその過程で主張されることなどが食い違ってきた場合、移送ということで済むのかどうか。それによって既に審理には影響が及んでいるので、単に移送すれば済むということで済むのかは疑問である。特に、数年後に裁判員制度が発足して、被害者の方が亡くなられた事件の多く、すべてではないと思うがその多くが、裁判員制度の対象になる場合に、公判前にいろいろ争点や証拠を整理して、公判の審理は迅速かつ集中的に行わなければならないという要請がある中で、途中で食い違いが明らかになった場合に、移送するということで済むのかどうか。それらの点がもうちょっと慎重に検討しないといけないのではないかと思う。
さらにもう一つ、一回的な解決ということが強調されているが、その点で、刑事判決の後、民事判決をするということだけれども、審理も分離するのかどうか。刑事についての審理・判決の後に民事についての審理・判決が来るのか、それとも審理は一体としてやって、刑事についての判決をした後、民事についての判決をするということなのか。後者であれば、さきほどと同様,審理への影響という問題が出てくるし、それによって時間がかかるおそれもある。前者だと、1回で迅速にやるというメリットがどの程度あるのかわからないところがあり、民事の方で刑事の記録とか証拠を利用して審理をするというのとそれほど違わないようにも思う。
最後に、否認事件とか問題があるような場合は民事裁判所へ移送ということだとすると、自白事件で検察官と被害者の方の考えもそれほど違わない、専らそういう事件で附帯私訴が利用されることになるように思われるが、これだと、現在の刑事和解の制度をもっと使いやすいものにする、弁護士の援助についても民事法律上の範囲を拡大するとか、刑事事件の記録等をもっと活用できるようにするということで、かなり賄えそうに思うが、そういった方策より,やはり附帯私訴でなければならないという、そこのところの理由がちょっとまだ私には納得いかないというか、理解がまだ十分できない。

(構成員)私たちも被害者の方が民事訴訟で立証の責任を負う、ものすごく苦労されて、しかも刑事の記録を十分利用できないということで、それが非常に大きな難点だということをしょっちゅう目にするのです。附帯私訴の制度を持つような国の方たちが受けているのと同じ程度の応援を得られるのであれば、附帯私訴に私はこだわらなくていいと思うが、それがこの附帯私訴はだめだと言ってすまされてはならない。たしかに日本にはいろいろな壁があって、今、附帯私訴が難しいと言った理由の中には、例えば被告人が賠償のことを意識すると訴訟がうまく進まない可能性と言ったけれども、もし刑事記録が全部また民事で利用できるとなると、そこでも同じような心理的な影響を与えるのかもしれない。だから、もしこの制度を導入しないというのであれば、結果的にそれと同じレベルの支援が被害者に与えられるようなことを積極的に考えていただきたい。

(構成員)被害者から聞いたことというので申し上げたいが、例えば今、池田小学校の報告があった。非常に悲惨な事件で、8人の方が亡くなって、6億で合意されたということに関しては、恐らくこのような悲惨な事件でお子さんが亡くなって、家族の慰謝ということも考えてお金を出すのであればこれくらいが妥当であろうと多くの方が思われるお金なんだと思う。一方で、無保険者の場合には補償の制度がある。これも恐らく自賠責だけだと多くの人はとても運が悪かったというふうに考えるのが今の日本の常識だと思う。その場合に、だから補償していくという話があった。そういうことを全部含めても、少なくとも犯罪被害者に関して何らかの経済的な補償というのをもっと考えなくちゃいけないということは、もうこれは大前提としてあるのだと思う。
ということは、もしその中で損害賠償や附帯私訴というものを全く扱わないというのであれば、かなりの決意を持って国の方も、ではほかのところでちゃんと補償するんだ、あるいはそういうことができない司法制度の中で、被害者が何か自分の権利をちゃんと確保していくためには、例えば手続の面で保護をつけるんだということを決意することだということもこの場で確認しておきたいと思う。

(構成員)例えば附帯私訴のような中で、刑事裁判の中で、きちんと損害賠償命令が出されるのであれば、加害者に与える刑事罰と同様に経済的な補償も行われて当たり前だ、国が命令をしてくれたんだから自分は安心して受け取ってもいいんだ、そのお金を受け取って精いっぱいこれから生きていこう、そのように思えるんだと思うが、それさえも受け取れないでいまだに悩んでいる、そういう被害者の方がたくさんいる。あるいは反対に、わずかなお金であっても、出したんだから加害者である自分の減刑のために嘆願書を書けと半強制的に強要されたり、あるいはわずかなお金を出した後、今度は加害者あるいは家族から、お金を出したんだからこれ以上何事も言うなということで脅迫をされているという事例がたくさんあるということをぜひ皆さんにも知っていただきたい。

(構成員)私ども、今、附帯私訴法案をつくっており、これが間に合えばよかったのだが、間に合わなかったので、それで今いろいろな誤解が出ていると思う。
まず、何でもかんでも移送とするなら最初から民事を起こしたらどうだと、こういうお話があった。これは、私どもは移送する必要はほとんどないと思っている。ただ、こういう場合どうするんだ、どうするんだというようなご指摘があったので、そういう例は私どもはあまりない、滅多にないと思っているが、そういう例が出てきたならば移送すればいいのではないかと言っているので、何でもかんでも移送してしまえと言っているのではなく、その点、誤解を解いていただきたいと思う。
それかもう一つは、刑事の裁判の後で民事の裁判をやると申したのは、これは旧法もそうなっているが、まず刑事の証拠法によって刑事の裁判をする。もちろん、附帯私訴で民事訴訟は起こしているが、刑事の証拠法則に従って刑事の裁判が進み、そして、そこで刑事の判決ができるようになれば、刑事の判決をすればいい。その後、何が問題になるかというと、ほとんど損害額である。刑事の判決を原因判決としてそのまま損害賠償の認定の基礎に使えばそれで事は済む。簡単な事例では、フランスの例を聞くと、刑事の裁判を終えて、そして2,3時間、裁判官が民事の損害賠償の証拠調べだけして判決をすると、こういうようである。旧法を見ると、刑事の裁判と同時にすると書いてあるが、同時にするというのはそういう趣旨であろうと私は思っている。だから、そんなに何日も置いてやるわけではない。何日も置くと、それは刑事の裁判を終えてから身柄拘束が続くことになるから、それはそうしない。そして、刑事の裁判で今まで認定した事実で民事の判決ができるというなら、それはそこから何回か、損害額の裁判だけ民事法則に従ってやって判決すればよいということになるから、そんなに手間暇かかるものではないと思っている。
もちろん、刑事の裁判の途中で、例えば鑑定人が出てきたと、こういうときにまた民事の裁判のときに出て来てもらうのは気の毒だから、そういうときに一緒にやらせてもらうと、刑事法則に従って民事の質問をさせてもらうということはあり得ると思うけれども、民事と刑事と並行して審理をするものではないということである。刑事の裁判でくたくたになって、民事の訴訟をこれ以上起こせないという人がいっぱいいる。刑事の記録を取って、謄写して、それで訴訟を起こせばいいじゃないかと言うけれども、それは本当に訴訟、刑事事件の被害者になった者の苦しみを知らない方の発言ではないかと思う。実際に苦しんだ者は、そう何回も刑事と民事とやっているわけにはいかない。民事裁判を起こすという人は、よっぽどこれではもうおさまらない、これでは仏様に申しわけないというふうな気持ちで起こしている方がほとんどであって、これが刑事と民事と一本でやり、刑事の証拠の90%以上が民事の証拠にそのまま使える、新しく記録の謄写の必要もない、印紙も貼る必要もないということになれば、どれだけ助かるかわからないということである。ぜひそこをお考えいただきたい。
それから、否認事件などについてはどうするんだと、刑事和解の制度を使ったらいいではないかというようなお話があったけれども、否認事件をするような者が刑事和解をするはずはない。また、刑事和解というのは、裁判所が関与するのではなくて、原告と加害者と被害者が法廷内で話し合って決めることであって、今までも和解をして、公証人役場へ行って、公正証書をつくるというその費用が要らなくなったということとほとんど変わらない。むしろ刑事和解というのは裁判所が関与するものであるから、履行の確保について裁判所が責任を持ってくれるであろうという、そういう錯覚を持っている被害者がたくさんいる。にもかかわらず取れない。これはどういうことかと言って、逆に裁判所を恨むようなことがあるので、刑事和解制度ができたからといって、調書状を書いてくれたからといって、これが被害者にとってどれだけ大きなメリットになっているのか、これは私は甚だ疑問だと思っている。

(構成員)先ほどの各構成員の発言の中で、私は大事な発言だと思うが、いろいろ反論なさりたいお気持ちはあるとは思うけれども、お尋ねしたいのは、慎重に検討しておられるというけれども、一体いつぐらいにその検討結果が明らかになるんだろうかという点だけでも結構なので、お聞かせいただければと思う。

(構成員)慎重に検討を要する問題を多々含めているということを申し上げたのであって、それ以外に、ただ現行制度のままでいいのかというと、それはいろいろと考えなきゃならないものがあるだろうということであり、その意味で、先ほど、例えば刑事の裁判において、まさに審判対象になっておるものと民事の請求の重なり合いの多いものとして財産的な被害、財産犯罪等についての損害賠償命令みたいなものであったり、あるいは没収・追徴を利用した形での犯罪被害財産の回復について、現在、検討している。その意味で、その検討の事柄について、いつかと言われると、今の時点ではまだ具体的にいついつまでとは申し上げられないけれども、これ自体検討しているということであるので、しかるべき時期にその辺についてももっと具体化させていただきたいと思っている。
附帯私訴については、これは研究会の中でいろいろな方からご指摘があったという事柄でもある。そういうご意見があること自体は間違いないし、一方で構成員からあったようなご意見があることも承知しており、そういった問題点を克服すると言うか、解決するのには、いつまで検討すれば足りるんだというには、今の段階では難しい問題が多い。

(構成員)この会の考えのまとめという形で、こういうことでどうかというご提案をさせていただきたい。まさに今ご議論をいただいたように、この附帯私訴や損害賠償命令等というのは、我が国で本当に機能するような制度とするためには、やはり大変多くの検討すべき点があろうかと思う。この検討会で、そういったいろいろな検討をすべき点まですべて議論を尽くすというのは、これは時間的にもなかなか難しいと思う。一方で、諸外国が有しているような、検察官の立証の成果を利用する制度というのは、これは現在、我が国にはないわけであり、何とか我が国の制度としてふさわしい何らかの新しい制度を導入する方向でやはり検討を行う意味合い、必要性というものは十分にあるのではないかというふうに思う。
そこで、この問題について、「法務省において、附帯私訴あるいは損害賠償命令等、損害賠償の請求に関して検察官の立証の成果を利用することによって、犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易・迅速な手続とすることのできる制度を新たに導入する方向で必要な検討を行う」ということで考え方をまとめていくということでいかがかというふうに思うが、いかがか。

(構成員)附帯私訴の問題は今回限りであとはやらないということか。

(構成員)この検討会においては、第1回の検討会でお決めいただいたように、ほかの非常に多くの犯罪被害者等の皆様からのご要望をご議論いただかなければならない。そして、8月までに骨子案を策定して、そして12月に計画案を策定する、そのもとになる議論を構成員の先生方にしていただかなければいけないということもあるので、先ほど申したように、一つ一つの制度についての問題点をすべて議論していくということになると、そういった全体の骨子案や計画案に向けたご議論をなかなかしていただけないということになってはいけないということで、法務省の方できちっとそのあたりの検討をしていただいたらどうだろうかということを申し上げたところである。

(構成員)私どもは、今日いろいろ意見が出たので、また文書を提出したいと思うけれども、その文書はここに述べたと同じような扱いをしていただけるかどうか。今日間に合わなかったものを後で書類を出してもいいというようなお話が前回あったが。

(事務局)それはもうご意見としてお出しいただいたらいいのではないかなと思う。

(構成員)というのは、基本法の12条に、被害の請求について、被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充と、せっかくここまで言ってきているのだから、一番連携がわかるのが附帯私訴だと思うけれども、これがいろいろな問題点があるから先へ進めないということでは、またそもそも論に返ってしまうので、私ども、これからまた文書を出すけれども、よくここで出た議論と同じように委員の先生方にもお読みいただいてお考えいただきたいと思う。

(構成員)今、こうやってずっと議論したそれを踏まえて、さっきのようなまとめ方をしたらどうだという、そういうご意見だったが、今の点について法整備をやはりする必要があるだろう、予算措置を必要とするだろうというようなことを、お答えをいただければと思う。

(構成員)附帯私訴について直ちに法整備ということになるわけではない。今、おっしゃった意見、初めて伺ったが、その方向で考えさせていただきたいというふうに考えている。また、それについて特にコメントすべきことがあれば、次回以降にでも申し上げることがあるかもしれないという留保を残させていただきたいと思う。

(構成員)先ほどともしかするとダブるかもしれないが、先ほど来の構成員の方々のご意見などをもし集約することが許されるとするならば、「法務省において、附帯私訴、損害賠償命令等、損害賠償の請求に関して検察官の立証の成果を利用することによって犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易・迅速な手続とすることのできる制度を新たに導入する方向で必要な検討を行う」としたらどうだという、そういう点で委員のご意見を集約、合意になったというふうにしていただければと思うが、よろしいか。

(構成員)大体いつごろまでにそれを。

(構成員)法整備と予算措置を伴うような制度改革になるかもしれないけれども、4年も5年というのではなくて、できれば2年以内ぐらいでいかがか。

(構成員)鋭意検討して、できること、すべきことは順次検討をさせていただいて、必要な措置を講じられるものは講じていきたいというふうに考えている。

(構成員)お立場上、苦しいところはよくわかっているが、今のお答えがいわゆる官僚的答弁でないことを期待しつつ、やはり被害者のためによかれという制度を我々考えようということなので、ぜひしかるべき時期に、やはり国民が希望しているものを我々が先取りして、どういう法律をつくるかというようなことの議論をみんなしているわけであるので、よろしくお願いしたい。
お尋ねするが、目途というのか、大体2年ぐらいを目標にして、ひとつ鋭意努力してほしいということでよろしいか。よろしいねという念を強くいただいて。

(構成員)わかった。ただし、先ほど何人かの委員からもお話があったように、それですべてにイエス・ノーをつけるかということになると、2年というのはちょっと短いことになろうかとも思うが、承知した。

○ 基本法第12条関係のうち、損害賠償責務の国による立替払及び求償等に関する議論

(構成員)代理で支払うのは制度上とても難しいということは私も感じるので、むしろ犯給法の給付の額をきちんと多くして、それを加害者から逆に取り立てるのは国ができるものだから、そういうところで損害賠償の制度を国が運営するという形でそこを取り返せばいいのではないかなと。むしろ、犯給法の額を大幅に増すようなことにしていただければというように考える。この議題の次に言わせていただく。

(構成員)今度、司法支援センターもできるということで先ほども説明があったが、日本の憲法では、加害者に国選弁護人をつけるのは刑事被告人になってからとしか書かれていないにもかかわらず、起訴前から今度は国選弁護人がつけられるというようなことも聞いている。いただいた資料の中では、もう現状でも、これだけの数のお金を数えたことがないので計算するのも大変だったが、79億弱、国選弁護人費用があるにもかかわらず、被害者関係にはほとんどそういう費用もないし、弁護士がつけられる制度もない。 ある方からの説明を受けたときには、たとえ被告人であっても、やはり訴訟費用は被告人に払わせているということを説明としてもお聞きしたけれども、実際にはほとんどの場合は免除措置をとって、被告人は弁護士費用を払っていないと聞くし、民間の被害者支援センターで、裁判の傍聴支援もやっている中でも、裁判官が訴訟費用を払うようにということを判決の中でおっしゃっているということも聞いたことはない。加害者に対しては、弁護士の面でもこのように厚遇がなされている中で、被害者にもやはり何らかの形で公費によって損害賠償のできるようなものをぜひ考えていただきたいと思う。

(構成員)今の点は次のテーマになる。損害賠償債務の国による立替払、求償権の行使といった点に限って議論をしたいが、もうもし議論が先ほどの説明等々で出尽くしているとすれば、進んでもよいか。

(構成員)国の補償という点、これはこのテーマから外れるか。

(構成員)次にやる。

(構成員)損害賠償債務の国の立替ということになると、その理論的な前提として、損害賠償額の確定という作業がどこかでなされているということになるのか。つまり、民事事件におけるか、あるいは先ほど議論された刑事事件の中における附帯私訴等の裁判の中で確定された債務、そうすると、それを加害者の方が履行しないという場合に、あるいはその履行を待つまでもなく国が立て替えるということになるのだとすると、前提問題として先ほどの話に戻る。国の損害賠償債務をどうするかという点に戻る。そうでないのだとすれば、これからお話しされるであろう犯給法の話になるということになるのだと思う。

(構成員)今のご指摘等も踏まえ、ご提言をさせていただきたい。結局、損害賠償債務の国による立替払や求償ということになると、これは実質的には損害賠償債務を国が肩代わりをするということになろうかと思う。そこで、そういうことになれば、まずは損害賠償請求の適正かつ円滑な実現を図るための施策によって対応すべきだと。それからまた、犯罪被害給付制度やそのほかの社会保障、福祉制度の充実ということによって対応すべきだと思う。したがって、これらの施策についてできる限りのことをした上で、なお必要であり、また相当でもあるかどうかということを検討するべき課題ではないかというふうに思う。

(構成員)もし先に進もうということであるとするならば、次のように集約することが許されるか。すなわち、「損害賠償債務の国による立替払及び求償権等について、現行及び今後実施する損害賠償請求の適切・円滑な実現を図るための諸施策と犯罪被害者等の経済的負担軽減のための諸施策を踏まえ、さらに必要かつ相当かということを検討する」ということでよろしいか。(異議なし。)恐縮だが確認させていただきたいが、ただいまの点について、法整備、そして若干の予算措置が必要となると思われるが、その点のご意見を求めたい。

(構成員)まさに諸施策であり、私どもの方で、それについて承知したというのはちょっといかがかなと。

(構成員)「聞いた」とおっしゃってくださればいい。

(構成員)私どもとしてのそういう支援のための法整備というか、手続法等々であれば、そちらはそれとして検討してまいらなければいけないとは思っている。

(構成員)今、確認された点はちょっとよくわからなかったが、さっきのまとめ案では、現行ないしこれから新設されるかもしれない損害賠償等の実効的な施策と被害者に対する補償制度等を総合的に見た上で、なおそういう立替払等の制度が必要で、かつ、妥当かということを検討しようということだったと思う。その後ろの方の部分は、最初の方の成果を総合して見た上での話で、それを待たないと制度整備をすべきどうかも決められないはずだ。その制度整備をやるかどうか、いつまでにやるのかと問うのは、ちょっと無理な話だと思う。むしろ、最初の方は、さっきまとめていただいたように、積極的に検討していただく。そのときに、それを実効的なものにする、つまり損害賠償を命じたとしても取れないということだと、絵にかいた餅のようなことになるので,その辺の実効性までにらんだ制度整備をまず考えていただきたい。それと、これから議論する給付金等の補償の問題、これの拡充とあわせた上で,さらに必要かどうかという話になるのではないかと思う。この立替については、他の国民の方々の理解を得るのもなかなか容易ではないところがあると思うので、順序として、やはり最初にまとめられたところの前段の方についてまず努力していただきたいということだと思う。

○ 基本法第12条関係のうち、公費による弁護士選任、国による損害賠償請求費用の補償に関する議論
はじめに座長から、「この両者については、要望として異なる面もあると思うが、損害賠償請求費用の負担を国に求めるものであることから、あわせてご議論いただくのが効率的であろう」旨の発言があった。その後の議論の概要は以下のとおり。

(事務局)この点に関しては、先ほどご説明があったように、民事法律扶助制度による支援、これは当然行うべきというふうに思う。それ以上のことについてであるが、これはまさに損害賠償請求費用の負担を国に求めるという制度であるので、先ほどの損害賠償債務の国による立替払、あるいは求償の議論とあわせて検討すべきものだというふうに思う。ただ、公費による弁護士選任の要望については、損害賠償請求以外のいろいろな支援の問題も含んいるので、そうした要望については、別途、検討する必要があるのではないかというふうに考える。

(構成員)今、「別途」と言ったのは、きょうの中で別途ということか。

(事務局)そうではなくて、第5回の「支援等のための体制整備への取組」の中で、そういった問題についてご議論いただく予定にしているので、その中で改めてご議論いただくという趣旨で申し上げた。

(構成員)被害に遭った直後の緊急の弁護士への相談などというのは、支援体制の方でもあるいは言うことになるのかもしれないけれども、被害者に対する無料での弁護士相談というのは、そういう直後の法律に関する相談という意味でもぜひ必要なものなので、民事訴訟の弁護士の問題だけでなく、そういうことも含めて検討していただきたいというのが1つ。
それから、日本司法支援センターの活用ということも、これは後でまた出てくるのだろうが、それも関連してくると思うけれども、国選弁護人の予算のかなりの部分が、加害者の業務にかかわることであるが、被害者の支援もここでできるという制度であればよい。少なくとも予算の1割ぐらいは被害者用に使えるような、被害者のための法律相談をできるようにしていただければというふうに私は思う。

(構成員)資料14の3ページ、公的費用による支援弁護士制度というペーパーを用意したけれども、要はここに活動内容というのを書いたが、起訴前にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、こういったことをいろいろしなくてはならない。起訴後もこういうことをしなくてはならない。判決後もこのようなことがある。その他もこのようなことがある。弁護士から見れば、こういうことをしなければならないということだが、被害者の方から見れば、こういったことをしてもらわなければならないと。なかなかこれは、ご自身でなさることとしては、ショックを受けているつらいときに大変なことだと思う。だから、第5回の「支援等のための体制整備への取組」のときに議論するにしても、こんなふうにまとめておいたので、ひとつお考えおきいただけたらと思い、今この段階で発言させていただく次第。

(構成員)その際の議論の参考にしたいのだが、今、つくろうとしている日本司法支援センターは、いろいろな情報提供をしたり紹介をしたりということ主とするというお考えのようだけれども、支援センターそれ自体として、この種の法律相談を行うということは事業内容に含まれているのかどうか。またもう一つは、民事法律扶助の業務を行うことになると思うが、その対象として犯罪被害者の方々というのが含まれているのかどうか。公的な費用といっても、いろいろな形の出し方があると思うが、例えば法律相談を弁護士に受けた場合の費用の援助、扶助、そういうものが含まれているのかどうか。

(構成員)いわゆる総合法律支援法により、新たな法人である日本司法支援センターを設立する。そして、その際の業務であるが、相談窓口業務あるいは民事法律扶助、それと被疑者・被告人に対する国選弁護人等々ということであり、確かに犯罪被害者支援もあるが、そこで申しているのは、今のところ情報提供ということが予定されている。
そこで、まずこの基本的な前提と言うか、今、民事法律扶助とか、被疑者・被告人に対する国選弁護人の選任ということであるが、共通にご理解いただきたいこととして、現行の刑事の国選弁護人制度も、刑事裁判において弁護士を雇うだけのお金がない、資力のない者を対象とした制度であり、私選弁護人を頼める資力のある者は、原則として国選弁護人の対象にはならないということ。それと、国選弁護制度は無償で弁護人を付するというものではなく、これは訴訟費用ということで、有罪となった被告に負担させるのを原則とする制度であることをご理解いただきたい。もっとも、実刑などの場合には負担させないこともあるけれども、原則はこの費用は負担させるというものである。
そして、この資力が乏しい方に対して、公的に費用を立て替える制度として民事法律扶助があるけれども、この場合、自力では民事訴訟ができない方が民事の訴訟を提起することが可能になる、そのための相談等も可能になるということである。もっとも、これは民事の関係での一連の、最終的に場合によっては訴訟というところまでを見据えた民事法律扶助であるけれども、資力に問題のない方では、これは訴訟を提起するに当たって経済面における障害が存在しないということになってくる。したがって、それは刑事の国選弁護ということと比較しても、そういった方はその対象にはならないのが今の枠組みというふうに考えていただければと思う。

(構成員)その点で、刑事の国選弁護の場合に、資力のない人ということだったけれども、実態はそうではない。「弁護士がいません、弁護士を知りません」と言っただけで、国選弁護はつく。無資力者じゃなくて、弁護士がいなければ裁判が進まないものだから国選弁護人がつく、こういうことで、ほとんど地裁、簡裁では8割ぐらい国選弁護、地裁でも5割は国選弁護ではないか。もっとだろう。資力というのは、ほとんど関係なくなっている。
それからもう一つ、被害者についても、現在は法律扶助協会で訴訟救助がなされている。これは財団のお金かどこか知らないけれども、やられている。被害者が弁護士を雇った場合、弁護士の報酬も出る。ところが、今度の支援センターになると、紹介と情報提供だけで、被害者に対する訴訟援助はなくなっていく。これは、非常に私どもは後退だと考えている。その辺、被害者にはお金を出さないけれども、加害者には依然として多額のお金が行く。これは日弁連でも、被疑者に対してはお金を会費から集めてやり、加害者についてはやり、被害者についてはやってくれないということで、絶えず不満を述べているけれども改まらない。被害者がそれだけ世の中から置き去りにされているという、この事実を認識していただきたい。

(構成員)今の点だが、資力要件と関係なしにという点については、法律的な建前等々から見て、特定の事件において、弁護士がいなければ開廷できない事件について何らかの手が打たれたのかもしれないが、国選弁護というのは原則として資力のない方だということである。それと、訴訟救助という言葉をお使いになったので、訴訟救助というのは、訴え提起の場合の民事の裁判手数料、これの支払い猶予のことで、そういったものとは別に、民事的な裁判費用や弁護士の方への費用等の立替などの民事法律扶助は、この日本司法支援センターが受け持つこととなっている。

(構成員)訴訟救助と言ったのは私の間違いだが、民事、被害者の弁護士、これに対して、お金を支援センターは出してくれるのか。その制度は、今ないと思う。

(構成員)それはないだろう。

(構成員)ないだろう。だが、今の扶助協会にはある。これが、支援センターが扶助協会を吸収したような格好になったためにさらに悪くなって、なくなった。私はそこを問題にしている。

(構成員)国選弁護については、今度の制度整備で資力要件を課し,それを充たした人に国選弁護人を付すのと、資力のある人については、原則としてまず弁護士会等に弁護人選任の申し出をしてもらい、それで選任できなかった場合にはじめて国選に来る、こういう二本立てになっており、それで資力要件を充たさない人については、訴訟費用の一部として弁護士報酬に相当する額を支払ってもらう、こういう建前になっていると思う。そういうものとの対比からすると、民事事件の代理等の場合には民事法律扶助でいくという整理になると思うが、その場合の資力要件の決め方の問題もあると思う。今はかなり厳しい設定になっていて、それだと先ほどから問題になっている被害者の方々が、それにはなかなか乗っかってこれないというところがあるのではないか。その辺も含めて検討していく必要があるのではないか。それだけで十分賄えるかどうかはわからないけれども、被害者であるから当然に出るという仕組みは、それには乗ってこない。ただ、扶助のところの最低所得額とか、その辺のところをもう少し柔軟に考えられないのかなと思う。

(構成員)先ほどおっしゃったのは、いわゆる現行の民事の法律扶助の自主事業の部分ではないかと思われるが、被害者支援については民事法律扶助のほか、非営利団体等からの委託であればできるので、いわゆる2項業務と呼んでいるけれども、そういった今の自主事業のうち、被害者への支援といった形で行われている業務についても、法制的には可能である。

(構成員)私も、公費による支援弁護制度は実現された方がいいと思っているが、ただ、国選弁護について、お金持ちでも国選弁護を選任できる、それはそのとおりであるけれども、現実に判決では、この被告人は金を持っているのではないかと思われるような場合は、判決でもって、訴訟費用、弁護費用は被告人の負担とするという判決を下しているので、実際には法律の建前どおりに運用されていると思う。
それからもう一つ、法律扶助については、資料14の3ページ、活動内容というところの下については、これは今、法律扶助協会では10万円とか15万円とかわずかであるが、弁護士費用を交付している。それはなぜできているかというと、財団から助成を受けているからできている。つまり、助成を受けているので、自主事業ではない。ところで、これが司法支援センターに移っていった場合はどうなるかというと、自主事業ではないので、委託事業として引き継がれないということになる。そうすると、この点が保護されないではないかということをおっしゃっているんだろうと思う。それはそのとおりで、財団から「もうお金を出すのはやめるよ」というふうに言っておるという情報が、かなり信憑性のあるものとして入っているので、そうなれば、やはり現在よりも後退することは事実であろうということ。

(構成員)そういう財団からの寄附がなくても、やってもらいたいのだ、被害者は。それからもう一つ、お金持ちの国選弁護の場合は、訴訟費用は被告人の負担と言っているけれども、実際、あまり取り立てられていない。実刑になった者は、ほとんど取り立てられていないし、そうでない者についても、執行はあまりなされていないのが事実上である。

(構成員)「日本司法支援センターによる法律扶助制度の活用によって、弁護士費用その他の損害賠償請求費用の負担軽減を図る」ということ。「損害賠償請求に関する弁護士費用及びその余の費用の補償については、損害賠償債務の国による立替払及び求償等の要望とあわせて議論する」というふうにまとめさせていただくが、それでよろしいか。(異議なし。)それでは、以上のことを構成員のご意見の集約というふうに考えたいと思うが、ただいまの点について法整備、予算措置等必要になるが、それでよろしいか。必要となるかどうか、その点だけのお答えでよい。

(構成員)様々な観点から、必要な検討は行ってまいりたいというふうには思っている。

(事務局)公判記録等の謄写・閲覧の費用、端的に言えばコピー代が、非常に高いというご指摘があるけれども、これについてお考えを簡単にお聞かせいただければと思う。

(構成員)ただいまの刑事事件の記録の謄写費用の関係でご質問があったが、先ほどもどこかで出ていたが、事件記録というものは極めて重要な書類が整理されており、これが万一紛失したりするということになると、大変な問題である。それから記録というのは、つづりの順番にも非常に厳密にやっておるものなので、コピーする際にその順番がずれるということだけでも大きな問題になりかねないということで、そういうことの起きないように、信用のできる専門業者に裁判所内で謄写を行ってもらうように委託している。謄写代金については、そのコスト等を勘案して業者が独自に設定しているもので、その額について法的に関与することはできないということをご了解いただければと思う。ただ、謄写料金が高過ぎるのではないか、こういうご要望が出ていることは、業者に伝えさせていただいておるところである。

(構成員)業者と言っても、例えば東京では司法協会、これは裁判所の職員の方々あるいは検察庁の方々、おやめになった方々がやっておられるのではないか。普通の民間の業者ではないだろう。だから、民間の業者が例えばコンビニでコピーしようと思ったら、1枚10円で済む。つづり方にいろいろ問題があると言っても、1枚45円というのはあまりにも高過ぎる。これは、普通の業者じゃなくて、裁判所あるいは法務省に勤めていて定年になった方々がおやりになっておられる、だから高くなっていると、こういうふうに私どもは受け取っている。間違いだろうか。

(構成員)確かに、司法協会に頼んであるところもあるが、地方によっては、弁護士会に謄写を委託しているところもある。必ずしもすべて司法協会でやっているということではない。それから、料金については、コンビニでコピーすれば10円ではないかというのはおっしゃるとおりであるが、ただ、それは多分ご自身が行って、自分で1枚ずつコピーするということで、業者に委託するということは、その業者がコピーする人件費等の問題も当然発生する。それから機械そのものも、業者が持ってきて使っているわけで、コンビニでコピーするのと同じ代金でできるはずではないかというふうに言われても、そういうご意見もあろうかとは思うが、いずれにしても、こうしろというふうに言える性質のものではないということをご了解いただきたい。

(構成員)それにしても手間賃が高いと思う。控訴趣意書なんかも、検察庁に下さいと言ったら、これはあげるという制度がないから、したがって裁判所へ行って謄写しなさいと言って、一生懸命私どもも検察官と一緒に協力して書いた控訴趣意書についても、金を45円払って裁判所で謄写させられて、非常に何となく嫌な思いがした。

(構成員)ご意見として記録させていただく。

○ 基本法第12条関係のうち、日本司法支援センターの活用に関する議論

(構成員)この問題については、ご説明もあったように、「日本司法支援センターの具体的な業務のあり方について、犯罪被害者等やその支援に携わる者の意見を踏まえて準備作業を進める」こと。「警察庁その他関係機関と十分に連携する」こと。これは、若干敷衍をしているけれども。こういった形でまとめとされてはどうかというふうに思うが、いかがか。

(構成員)これは、まだ絵にかいた餅みたいなところはある。実態はまだなくて、それをつくろうとする準備室というのがあるわけで。

(構成員)司法支援センターができるに当たっても、またいろいろ法改正もあって、加害者には早くから国選弁護人がついてますます手厚くなっている中で、財団の補助が何か消えるのかもしれないというお話を今聞いたので、刑事事件に関する弁護士の補助というものも全くなくなるということもわかったので、先ほどの発言(事務局注:加害者に対しては弁護士の面でもこのように厚遇がなされている中で、被害者にも何らかの形で公費によって損害賠償のできるようなものをぜひ考えていただきたい、との発言)を入れておいていただければ結構である。

(構成員)実は私、この間、日本司法支援センターについて話を聞いて、どういうような事業があるのかという、その事業の4本の柱のうちの一つの重要な柱としては、犯罪被害者支援ということがあり、情報の提供であると。その情報の提供というのは何かというと、被害者の援助に詳しい弁護士や専門機関等を紹介するという、そういう情報提供というのが一つの重要な柱だというふうに伺ってきたけれども。

(構成員)そうであるが、基本法もできたので、もし詳しい弁護士さんの紹介ということであれば、多少はやはり公費によって被害者にも弁護士をつけるという制度もぜひ検討していただきたいと思う。

(構成員)まさに、それは先ほどの議論ということになるのだろうと思うけれども、ご発言の内容として、そうするとこの司法支援センターというものを、ただ情報提供の機関ではなしに、さらにもう少し積極的に弁護士に最初の相談に行くときの費用ぐらいを持ってみたらどうだというような具体的な提案になるか。

(構成員)欲を言えば、最初だけではないけれども、とりあえずは。

(構成員)性暴力被害者で、刑事の方に結局告訴に行く前に弁護士に相談して、同行してもらいたいというケースが実際にはたくさんある。今のお話のどこに入ってくるのか、私はよくわからなかったが、そういうケースで出てこないと、実際には性犯罪の被害の場合には、有効な支援にはならないことが多い。告訴から当初の段階で、弁護士が非常に必要になるケースが多い。そのことを考えると、弁護士の仕事の中にもそれは当然入っているので、そこの部分の経済的な支援が必要だと私は思う。

(事務局)それは、まさに先ほども申し上げたけれども、第5回の「支援等のための体制整備への取組」のときに。

(構成員)お金のことが絡んでも、そちらで大丈夫か。

(事務局)またご議論いただきたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

(構成員)今の点は、さっきまとめられた民事法律扶助の活用等というところにも関連してくるのではないか。最後の関係機関のところに、弁護士会も例示として入れておかれた方がよろしいのではないか。警察だけではなくて、弁護士の協力も当然得ないといけないわけだから。

(構成員)記録にとどめておいていただければ結構である。総合法律支援法の30条1項5号というものがあって、そこに確かに情報の提供というのがあるが、それは一例であって、基本的には犯罪被害者の援助が実効的に行われることということに読めるのではなかろうかなという気がするので、後ほどの検討材料にさせていただけたらと思っている。

(構成員)まとめということになると、「犯罪被害者等のために、その支援に精通した弁護士の紹介などを含めた種々の情報を速やかに提供する」ということ。それから、「民事法律扶助制度を活用して犯罪被害者等の支援を行う」ということ。「日本司法支援センターの具体的な業務のあり方について、犯罪被害者、遺族、その支援に携わる者の意見を踏まえて、平成18年秋の業務開始を目標に準備作業を進める」ことというような意見に集約。それから、「警察庁、弁護士会その他関係機関と十分に連携する」こと、というふうにまとめることができると思うが、いかがか。(異議なし。)それでは、これを構成員のご意見を集約したものとする。この点について、法整備の必要もあるかもしれないし、予算措置は当然必要になると思うけれども、しかるべきご努力をお願いするということを確認させていただく。

(構成員)本日の取りまとめ、いずれもこの場でちょうだいしているので、おまとめの趣旨は承知した。これについては、これまでにおまとめいただいたテーマもそうだが、ほかの部分とも関連する、その意味で若干コメント等を別途出させていただくことがあり得るということをお含みおきいただきたい。

(構成員)正確を期すると、必要性があるという点についてご確認いただくというふうにいたしたいと思うが、よろしくお願いしたい。

○ 基本法第12条関係のうち、その他損害賠償請求の実効性確保のための制度の整備に関する議論

はじめに、事務局より、「服役中の作業賞与金を損害賠償に充当すること」、「精神障害者や少年が加害者の場合に保護者等に民事賠償の責任があることを法律に明記すること」、「損害賠償債務を履行しない者に対するいろいろなペナルティー(警察庁からは運転免許証の問題について説明があったが、その他破産者に準ずる扱いをする、すべて起訴し、原則として有罪とする、前科・前歴は消滅しないものとする)」、「刑事和解において和解条項を守らない加害者に対して、執行猶予を取り消す、あるいは仮出獄を認めないというようなペナルティーが必要」等のご要望への回答を、それぞれ関係の深い省庁に依頼し、議論。概要以下のとおり。

(構成員)まず、服役中の作業報奨金を自動的に賠償命令や債務名義に充当してほしいとのご要望についてだが、作業報奨金、現行法では作業賞与金であるが、これは受刑者の勤労意欲を喚起し、かつ、社会復帰時の当座の生活維持や就職準備等のための更生資金として役立たせるために釈放の際に支給されるものであり、これらの意義からすると、服役中の作業報奨金を自動的に賠償命令や債務名義に充当させることは困難と考えている。ただ、先般成立した刑事施設法において、受刑者から釈放前に支給を受けたい旨の申し出があり、その使用目的が被害者に対する損害賠償への充当等相当なものであると認められるときには、在所中でも支給することができる規定が設けられている。
それから、加害者が精神障害者あるいは少年の場合に保護者等に民事賠償の責任があることを法律上明確にしてほしいというご要望については、加害者が精神障害者や少年である場合には、その者が民事上の責任能力を備えていないときには、民法上、明文をもって監督義務者等が原則として損害賠償の責任を負うこととされているし、加害者がそのような精神障害者や少年であって、その者が民事上の責任能力を備えている場合でも、その監督者が注意義務を怠り、損害との間の因果関係も認められるときには、民事法上、その監督者は損害賠償の責任を負うこととされているものと承知している。したがって、加害者が精神障害者や少年の場合に保護者等に民事賠償の責任があることは現行法上も明確になっていると考えている。
次に、損害賠償の当事者間で合意した条件を遵守しない等の滞納者について、贖罪拒否債務者として、破産者に準ずる扱いとするような制度が必要であるというご要望については、このような者については、破産者に準ずる扱いをするということによりどのような効果を期待するのか、ご要望の趣旨が必ずしも明らかではないけれども、仮に破産者に発生する各種の資格あるいは権利についての制限に着目されているとすると、破産法自体は懲戒主義をとっておらず、破産手続開始の決定に基づいて破産者に発生する各種の資格あるいは権利の制限については、それ以外の各種の法令においてそれぞれの政策的目的により設けられているものにすぎないので、その意味では、仮にご提案のようなカテゴリーをつくったとしても、その者に対して破産者同様の資格等の制限をするかどうかについては、各種法令の政策目的に応じて判断されることになると思われる。
それから、被害者等への損害賠償の支払いが完了していない加害者は、すべて起訴すべきではないかというご意見については、検察の現場においても、公訴を提起するかどうかの判断に当たり、被害者に対する損害賠償の有無、程度を十分考慮しているものと承知している。ただ、犯罪や被害の程度、その他の情状を一切考慮しないで、損害賠償の支払いを完了していないことのみをもって必ず起訴するということが適当かどうかという問題があると考えている。
刑事処分の確定時に、被害者・遺族への損害賠償の支払いが完了していない加害者について、贖罪・更生支援機関に登録して、自治体・金融業関連の各種団体などと協同して管理を行うというご意見については、損害賠償等を行わない加害者に対して、謝罪を含め慰謝の措置をどのように行わせていくかという観点からのご意見と思われる。現在、保護観察を実施するに当たっては、保護観察対象者に自己の犯罪に対する反省を深めさせ、事件の内容に応じて被害者の意向等に配慮しながら、慰謝、被害弁償等を実施するように働きかけたり、本人や家族に対して、慰謝、被害弁償の方法など被害者や遺族への対応について指導、助言するなどしておるところではあるが、自治体や金融業関連の団体などとどのような連携をとってどのような管理を行うのかという点で、ご意見の真に意図されるところが必ずしも明らかではないので、お答えは難しいと考えているところである。
それから、損害賠償の支払いが完了するまで前科が消滅しないこととすべきであるとのご要望については、かつて刑に処せられた者でも、その者をいつまでも前科者として扱い、法律上、資格の取得等、回復を認めないとすることは、刑による不利益を必要限度以上に科し、犯罪者の更生意欲をそぐことなどから、刑法は罰金以上の刑に処せられないで一定期間経過するという善行の保持を条件として、刑の言い渡しの効力を失わせ、前科のない者と法律上同様の待遇を受けるという制度をとっている。損害賠償の支払いを完了するまで前科の消滅を認めないとする制度については、民事上の責任の不履行によって刑罰の効果を維持させるものであり、犯人の資力により刑罰の効果の有無が左右されるという不公平な結果が生ずることとなるのではないかなどの問題があり、慎重に検討すべきものと考えている。
また、示談の気配だけで加害者に有利にするなど、ねじれた民事不介入は廃止というご意見についても、起訴するかどうかの判断に当たっては、示談の有無や内容だけではなしに、犯行態様、被害結果の大小、被害者の処罰感情や前科の有無など様々な要素を勘案して処分を決定しているところである。
それから、民事裁判等に加害者を強制的に出させるというご意見について、民事訴訟においては、当事者本人に期日における出頭義務が課されておらず、期日に出頭しなった場合には、原告の請求が認められて敗訴するなどの不利益を受けることがあるにすぎないとされているところである。ただ、加害者が訴訟当事者ではない者の証人として採用された場合には、裁判所の審理のために出頭義務を負うことになる。
犯罪被害者の方のきょうだい固有の損失、損害賠償請求権を適正に認めてほしいとのご要望については、民法711条が、生命侵害の場合について、被害者の父母、配偶者及び子について固有の慰謝料請求権を認めておるところであるが、被害者のきょうだいについては、明文上はこれを認めていないことを指しておられるのではないかと考えられるが、被害者のきょうだいについても、同条を類推適用することが認められた判例もあり、個別の事案に応じて適切な解決が図られているものと承知している。その一方で、明文でもって一律に固有の慰謝料請求権を認めることは、かえって法的保護の範囲が広きに失することとなるおそれがあることと考えられる。
それから、刑事和解において和解条項を守らない加害者に対して、執行猶予の取消、仮出獄を認めないなどの制裁措置が必要ではないかとのご意見については、私法上の債務不履行に対して刑罰を科することになると思われるが、それが妥当かどうか、他の紛争解決手段によって民事上の紛争を解決した場合に被告人がこれを履行しなかった場合との均衡をどのように図っていくかなど、これについても慎重な検討が必要と思われる。

(構成員)執行猶予の食い逃げというのがあまりにも多い。「何とか示談にしてくれ、執行猶予については必ず返す」と言って、執行猶予をとる。そうしたら、途端にいなくなるというケースが非常に多いが、これなども一つの民事の問題としてとらえるのではなくて、執行猶予自体を取り消すというところまでやってもらわないと、被害者としては泣き寝入りというケースがあまりにも多い。その辺、いかがか。

(構成員)保護観察なりなんなりと言うか、単なる執行猶予では、現行法上の守るべき条件というのは限られているし、保護観察の場合にも一定の条件ということではあるけれども、ただ、被害弁償ということをどういうふうに位置づけるのかということについては、もちろん前提として、先生おっしゃる食い逃げが多いのかどうか、私は今、手元に資料がないので何とも申し上げがたいが、きちんとした社会復帰を図るためには、そういった被害者等を含めたさまざまな社会環境がきちんと整っていくということは非常に重要なことであるので、きちんとした検討はしていかなければならないだろうと思う。
ただ、最初に申し上げたのは、例えば裁判所からこういった、これは損害回復命令などとも共通する事柄であるけれども、それを刑事の中で取り扱ったときに、何らかのサンクションということでいろいろおっしゃることについては、一般的に申せば、日本の場合、いわゆる裁判所の命令に対するコンテンプトという制裁を持っていないという中で、被害者の救済と加害者である判決を受けた者の改善・更生をどういうふうな調整の中で効果的に実現していくかという問題であろうとは思っている。

(構成員)それは、ちょっと違うのではないか。やはり執行猶予でも保護観察つきの問題については、最近、刑事事件でもいろいろな問題が出ていて、要するに執行猶予あるいは保護観察つきの仮出獄とか、そういう問題について法務省の対応が非常に甘過ぎるというので、私どもも非常に問題意識を持っている。もう少しきちっとした答えを、法務大臣もその中の一部の保護観察制度についてはきちんと見直すと言っているわけだから、きちんと言わないといけないのではないか。

(構成員)保護観察つき執行猶予のあり方ということでは、それのあり方については十分検討を行っていかなければならないというふうに考えている。

(構成員)ついでだが、起訴猶予の食い逃げもある。これは、検事さんが起訴してくれれば一番簡単だから、起訴猶予の食い逃げの場合も、ぜひ起訴していただきたい。示談ができたから、それでは起訴猶予にしてやるということで起訴猶予にしてもらったのに、起訴猶予になると金を払わない。かといって、では改めて起訴猶予にした者を起訴するかというと、ほとんどない。この辺も改めてもらいたいなと思う。

(構成員)法律的には、起訴猶予というのが既判力等を持つような意味での法的処分ではないので、事案に応じて適切に起訴等を行っていくということになろうかと思われる。

(構成員)なろうかと思うが、なかなかなってくれないのが現状なので、よろしくお願いしたい。

(構成員)先ほどの説明の中で、服役中の作業賞与金を被害弁償に充てるのは難しいという点が。

(構成員)今度、刑事施設法ではそれができるようになったということだと思うが。

(構成員)では、そのことで一つの事例を紹介させていただきたいと思う。この方は、殺人事件のご遺族の方だが、事件があってからもう十数年たち、加害者が仮出獄してきた。被害者のご遺族の方は、十数年間ずっと何を思っていたのかというと、10年前は被害者支援という観点もなかったので、弁護士さんにご相談しても、民事を起こしてもむだだからやめなさいということでやらなかった。十数年たって、今、出てきて、せめてその賞与金にだけは手をつけないで、謝罪として出してほしかったと。まずそのことを聞いたら、もう既に使ってしまっていた。それでものすごくショックを受けて、3日間寝込んでしまって、相談があったことがある。たとえ額は少なくとも、やはり被害者の痛みを多少でもわかる。働きながら、その一部が被害者の方に行くということを自覚していれば、また被害者への贖罪の気持ち、あるいは再犯防止にもつながるのだと思うので、また有効な制度となるようお願いしたい。

(構成員)それは、だから立法上、ある程度の解決があるので、将来はそういうことがないであろうとしか言えない。

(構成員)いつ。

(構成員)刑事施設法の施行はいつか。この間、参議院で成立したのだろう。

(構成員)成立したばかりで、資料を持っていない。

(構成員)「その他損害賠償請求の実効性確保のための制度の整備」という問題の残りがあるが、これは各省庁から次のようなことになっているというご紹介があるわけなので、それを読み上げる。「没収・追徴を利用して損害回復を図る制度その他犯罪被害財産の回復を容易にする制度の導入に向けた検討を行う」。「刑事和解、公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示と現行制度の周知徹底を行う」。「公判記録の閲覧・謄写の範囲を拡大する方向で検討を行う」。「自賠責保険・共済紛争処理機構における調停、保険会社に対する立入検査、適正な支払いを行うことの指示等により、自賠責保険の支払いの適正化を図る」。「財団法人日弁連交通事故相談センターにおける弁護士による無料の自賠責保険に係る自動車事故の損害賠償の支払いに関する法律相談、示談あっせん等により、適切な損害賠償が受けられるよう支援を行っていく」。

(構成員)意見を述べたら国土交通省からそれにお答えをいただいたが、私が述べたのは少し意味が違って、交通被害のときに、その保険会社の方がまず加害者に、謝りに行くのを止めるとか、それから実際に被害者に接するときに、その亡くなった被害者の責任を少し重く言っていくような、そういうことがあって、事件後に被害者が、さらにそれで傷つけられるということがあるというように感じるが、そのことを聞いたつもりだ。その場合の額のこと、賠償のことでは直接ないけれども、それを一体どういうところが関与し、指導することができるんだろうかと思いながら書いた。

(構成員)要するに、二次被害を避けるという意味だろう。

(構成員)そうだ。

(構成員)私ども、自動車損害賠償保障法という法体系の中でのお話ということで、保険支払基準に従った形で保険金の支払いを行うことが、法律上、義務づけられている。この支払い自身がちゃんと行われていない明らかな法令違反の場合には、被害者の方による申出制度、これに対応する、おかしなことがあったらまずいという保険会社に対する指示制度があるという法律上のお話をさせていただいたが、要は一般的に保険会社に対する、今ご指摘のような指導については、保険会社全体をどういう形でやっていくのかというような金融庁からのご指導に、前提としてはなってくるが、国交省としても、自賠責保険の損害額の算定との関連がないと、これは私ども、法律に基づく指導というのができないので、この関連については、被害者の方々からの苦情が国土交通省に参ったら、保険会社にも事実関係を行い、それでちゃんとやっているのかどうかということを確認して、是正すべきところがあれば指導を行ってきたところであるが、今後ともそれを続けていきたいと、こういう趣旨である。

(構成員)没収・追徴を利用して損害回復を図る制度、その他犯罪被害財産の回復を容易にする制度の導入に向けた検討、公判記録の閲覧・謄写の範囲を拡大する方向での検討、この検討にどのくらいの期間、例えば1年ぐらいでというふうにこちらで認識してよろしいか。お答えにくいのは、重々承知しているけれども。

(構成員)現に今、検討を開始しているので、それを踏まえてしかるべき時期にと考えている。

(構成員)できれば1年以内にというふうにお願いしたいが、そういうことで処理させていただく。

(構成員)検討期間の件で提案だが、被害者の方々のご要望にこたえていくということになると、やはりできるだけ早くということになろうかと思う。したがって、原則として、やはりこういう検討をしていかなければいけないということについては、1年以内に結論を得るというのを原則とし、それから大きな法改正、あるいは大きな財源の検討を必要とするといったようなものについては、少しそれを超える期間というのが必要だと思うが、そういう方向で考えていけばいかがだろうかと思うけれども、どうか。

(構成員)期間のことで、もちろん、その期間内に終わらないというのは重々承知だけれども、今、1年ぐらいというお話があった。終わらなくとも1年後ぐらいには、その中間方針とか、どこまで決まったかということをご報告いただけるというようなことをご確認いただけると大変うれしい。

(構成員)どこに報告するのか。

(構成員)ここに。

(構成員)1年も続くだろうか。

(構成員)続かないにしても、それは何らかの形で、この議事に乗ったことだから、公表していただくなりしていただけないか。

(事務局)これから具体的にどうしていくかということになるけれども、当然、検討の過程、どういう検討が行われているかということについては、やはり必要に応じた報告というのは必要ではないかと考えている。

○ 基本法第12条関係のうち、その他損害賠償請求に関する援助に関する議論

(事務局)交通事故について、これを専門とする弁護士をつくることを求めるという要望がある。これについてのお考えをお聞かせいただければと思う。

(構成員)医者に小児科、精神科があるように、弁護士にも交通事故専門弁護士の養成が必要であるというご意見については、弁護士について専門認定制度を設けることや、弁護士が特定の分野における専門性を身につけるための継続教育のあり方などについては、弁護士の指導・監督を担っておられる日弁連及び弁護士会において検討されるべきものであると承知している。

(構成員)その他損害賠償請求に関する援助という項目に対する回答だが、「日本司法支援センターにより、犯罪被害者等のために、その支援に精通した弁護士の紹介なども含めたさまざまな情報を速やかに提供する」という答え。「損害賠償請求制度の概要、その他犯罪被害者等の保護、支援のための制度について紹介した冊子、パンフレット等について、警察庁及び法務省において連携し、一層の内容の充実を図るとともに、十分な周知のための努力をする」ようにと。それから、「暴力団犯罪の被害者については、都道府県暴力団追放運動推進センター、各弁護士会の民事暴力対策委員会等とも連携しつつ、暴力犯罪の被害の回復を支援する」ということになるかと思う。

(構成員)実は民事の損害賠償請求について、刑事事件の記録の謄写というのは大変大きな意味を持っているわけであるが、これが刑事の記録の謄写を裁判所がどこまで許すかというのは、裁判所の裁量に委ねられており、見せてもらえない場合がかなりある。例えば、否認事件だと全然見せてもらえないというようなこともある。プライバシーに関する部分だから見せないと言われる部分がある。それに対して、被害者は何の不服の申立方法もない。というのは、いわゆる保護法自体が恩恵法であって、権利法になっていないからだ。これが権利法になっておれば、裁判所が見せないときには決定を下すだろうし、その決定に対して不服申立という制度があるだろうが、何もない。いわゆる「ありがとうございます、そうでございますか」ということで引き下がらなければいけない状況なので、何とかこれを権利法に改めると。少なくとも裁判所の決定に対して不服申立する方法を考えていただきたいと思う。

(構成員)ただいまのお話は、民事の裁判所の方で、記録の送付の嘱託をしたのに対してということか。

(構成員)そうではなくて、民事の訴訟を起こそうとする場合に、刑事事件の記録の謄写ができるだろう。そのときに、謄写させてくれないケースがある。

(構成員)要するに、犯罪被害者保護法に基づく謄写の際に、そのすべての謄写が認められていないケースがあるということか。

(構成員)そうだ。部分を特定されたり、あるいは全面的に見せてもらえなかったり、それは裁判所の裁量にかかっていて、それに対する不服申立の手段が被害者にないと、こういうことを申し上げている。

(構成員)これは、法律の制度の問題かもしれないが、請求があった場合には、法律の趣旨にのっとって必要な部分を謄写していただいていると、こういう認識であるが。

(構成員)認識はあられるだろうが、現実はそうなっていないことがあるということ。全く見せてもらえなかった被害者もいる。これは否認事件だから見せられない、と言われたということ。それから、ある部分を限ってだけ見せてもらったというケースもある。

(構成員)まず、先ほどのプライバシー等に係ることとの関係で申せば、もともと損害賠償請求などのために見ていただくということから、一部見ていただく対象から外れたのがあるのかもしれないが、私の方でその実態を把握していないので何とも申し上げかねる。ただ、もう一つ、否認ということで参ったケースについても、これは一方で、その事実、事案自体の具体的なケースがわからないので一般論として申し上げるしかないけれども、被害者ということで登場していただくとなると、証人として証言等をやっていただかなきゃならないケースがある。そうなると、見ていただく時期の問題が出てくる場合もあろうかとは思う。ただ、いずれにしても、現行で認められている範囲以上に、裁判中、公判継続中の訴訟記録についての閲覧というものについても検討してまいりたいというふうに考えている。

(構成員)大体、不服申立の方法がないという、プライバシーに関するからと言われれば、「そうですか」と言って引き下がらざるを得ない。だから、そこのところを、やはり不服申立をしてさらに裁判所に考えていただけるような制度が欲しいということ。

(構成員)もしお答えいただけるのであればお答えいただいて、あるいはこの検討会でこういう意見があったんだが、というのをそれぞれお持ち帰りいただき、急に突然出てきたものに責任ある答えを求めるというのは、私はせつない思いがするので、その辺、いかがか。場合によっては、次回にこの点について、こういうようなご質問についてはこういうふうに部内的に検討したというようなことを口頭で言ってもらっても構わないけれども、ひとつよろしくお願いしたい。

(構成員)先ほど構成員がおっしゃったケースが、具体的にどういう場合に開示されなかったのかというのがわからないので、なかなか確定的な答えはしにくかったが、法律に基づいて適切に開示されるよう、その点に関する研修等は行っており、例えばその開示されなかった事例については、いろいろ調べてはおるわけだが、例えば被害者に当たるかどうかということに疑問があるようなケース、例えば実際の被害者ではなくて、保険金の関係で何か関係のある方が代わりに来たとか、そういう場合にどうかというようなことで、必ずしもご要望に沿いかねている場合があるということは把握しておるわけだが、いずれにしても、適切な運用がされるように、さらに研修等で考えてまいりたいというふうに考えている。

○ 基本法第13条関係(給付金の支給に係る制度の充実等)に関する説明 基本法第13条に係る施策について、事務局より、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策について、資料1の5~7ページを参照いただきたい旨、発言。その後の構成員からの説明の概要は以下のとおり。

(構成員)お配りしている資料2の、頭の2枚は私どものスタンス的なペーパーをお配りしているのだが、その後に犯罪被害給付制度の概要とある。これはもうご承知のとおりであるので、格別説明を加えることは差し控えさせていただくが、平成13年に一応大幅な拡充を図ったということではある。その後ずっと拡充の状況とか支給裁定の推移、そしてまたこれまでの運用実績という資料があるが、1点ぜひご説明したいのは、諸外国の例である。横長の資料が手元にあると思うが、全世界で今、40カ国ぐらいでこういった犯罪被害者に対する給付制度というものが導入されているというふうに我々承知しているのだが、ここに挙げているアメリカ、カナダ、これは特定の州しか調査が及んでいないが、あとイギリス、フランス、ドイツを挙げているが、これらはいずれも我が国に比べてずっと充実したところのみを挙げている。
まずは制度の趣旨であるが、いろいろそこに書いているが、日本はご承知のとおり社会連帯共助の精神に基づく見舞金的な給付だとなっているが、アメリカ、カナダは労災補償的な考え方を導入し、イギリス、フランスはやはり我が国と同じように同情と連帯共助の精神からの補償、ドイツはちょっと独特であり、個別の犯罪について、これを防ぐことができなかったという意味での国の責任を認めて賠償的な趣旨でもって給付をするという形になっている。
申請の件数や給付の実態をそこに書いているが、我が国は、特に亡くなったとか極めて重大な傷病を負われたとか、また障害が残ったという極めて大きな被害を受けられた方のみについてやっているので、件数も額も大変小さくなっている。ほかの国はもう少し支給の範囲が広いものだから、件数も額も多くなっているということがある。ただ、1件当たりの給付額でいうと、我が国は他に比べて見劣りはしない。ただ、これは我が国は非常に重い部分だけ手当しているので勢いこうなるのであろうというふうに思われる。ご遺族に対する支給金については、これは各国比較したが、我が国はそれほど遜色がない程度のものが給付されているという実態である。
支給の範囲はそこに書いているように、今申し上げたように我が国は非常に重大な、極めて重大な被害を受けられた方のみであるが、他の国々はそれよりは大分緩和していると。ただ、イギリスは全治6週間以上に限って給付をするという形になっている。
 制度上の支給額、そこに書いているが、資料には書いていないがアメリカとカナダは上限がない州ももちろんあるのだが、これはむしろ例外的であり、多くの州では300万円程度を上限にしているというふうに聞いている。イギリス、フランス、ドイツは相当額が高いという実態であるが、フランスがなぜ額が高いかと言うと、そこの財源のところに書いているように、損害保険1契約当たりに450円というお金を課税しており、これを特定財源にしてやっているという関係もあり高くなっているという状況である。あとは大体一般財源の国が多いのだが、一部で罰金等を財源にしている国もあるという状況である。
  それから、他の給付等との調整だが、これについて特に申し上げたいのは、欧米諸国、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、いずれも年金等の公的給付が給付される場合にはそれとの調整をしてしまうと。給付される限度において犯罪被害者に対する給付金を減ずるという形をとっているが、我が国はそうではなくて、年金等については調整を図らない。労災はもちろん図るのだが、通常の年金等については調整を図らないという形をとっており、なぜかというと我が国の制度は、法律にも書いているが、早期における精神的、経済的打撃を緩和するために、まずそこで一時金を給付しようというふうな趣旨であり、その後についてはそのほかの社会福祉制度に橋渡しをしていくという考え方であるので、他国とは制度の立て方が違うということはぜひご理解をいただきたいと思う。
  そのあとには、アメリカの9・11の補償の制度が若干書かれているが、これは一番下にあるように、この給付というのは、航空運輸の安全及び安定化法という法律に根拠をもっており、そこの基金に請求するのであるが、そこに補償請求をすると、航空会社への訴訟提起を放棄するということであり、したがって航空会社の一種救済的な意味合いが込められているので、若干これは意味合いが違うのではないかなというふうに思っている。
 以上が資料のご説明であり、その後はいただいたご意見、ご要望に対するお答えである。すべて網羅的になるかどうかはわからないが、主な点をピックアップして考え方を申し上げておきたいと思う。
 まず、重傷病給付金の支給対象の拡大というふうなお話があった。現在はその資料にもあるように重傷病給付というのは全治1カ月以上の傷病であって、なおかつ14日以上の入院を要する、そういったものに限られているのだが、それについて今、3カ月を限度として医療保険との差額の部分、自己負担部分について給付をするという形になっているのだが、これでは救済として余りにも貧弱であるというご要望、ご意見だと思う。これについては、私どもも問題意識を持っており、これで果たしていいのかどうかということについては、実態等も調べ、またなおかつ医療関係者、専門家からの意見も聞きながらこの対象、また期間の拡大ができるかどうか、現在検討を進めているところである。
  次は、性犯罪被害者への支給の問題がある。現在性犯罪被害者については、今申し上げた重傷病給付の基準には該当しない方がほとんどであり、したがって犯給金の関係からは支援が受けられていないという状況にある。しかしながら、そういったことでもって一見すると被害は軽そうに見えるのだが、大変精神的な打撃が大きいという問題があり、またなおかつ性病に罹患していることのおそれであるとか、また妊娠に対するおそれであるとか、もし妊娠があれば中絶の費用をどうするかということでもって、大変に経済的にも負担が重いというふうに我々も認識をいたしている。そういった意味で、現在警察では多くの都道府県で初診料と診断書料については都道府県が負担をするという制度をとっているが、ただ、今申し上げた中絶とか緊急避妊であるとか性病検査とか治療等を要する経費については対象になっていないという問題がある。これを犯給法の世界でやるのか、それともまた各都道府県に補助金を出してそれで負担をしてもらうのか、いろいろな方法はあるのだが、これについても検討してみたいというふうに考えている。
  それから、精神的被害の支給であるが、現在我々がやっていることをちょっとご紹介すると、各都道府県別の職員には、全県ではないのだが、臨床心理士の資格を持った職員を配置しており、したがってその職員が事件発生当初はカウンセリングを行うということは今現にやっているところである。それから精神科医の支援が必要な場合には、一定の回数でしかないのだが、これも国庫補助して、精神科医に無料でかかれるというふうな制度も今実施している。またカウンセラーについても一部都道府県ではその費用を負担するということもやっているが、いずれも早期の段階にとどまっており、継続的にそういったカウンセリングとか治療が必要な場合には、そこまでの負担には至っていないという状況にある。
 重傷病給付との関係はどうかということなのだが、観念的に、理論的には重傷病給付の支給対象にはなり得る。1月以上の治療を要し、なおかつ14日以上の入院ということに当たれば重傷病給付の対象にはなり得るのだが、現在のところ実施後3年を経ているが、支給実績は今のところない。ただ1件だけ今、支給申請がきて現在審査中というふうに聞いている。
 問題はカウンセリングの問題なのだが、保険診療の対象になっていないという問題があるので、この点については関係省の方でもご検討いただければというふうに思う。
 また、今後その短期的な部分については各都道府県で大分措置をしているのだが、それ以後についてどうするかについては、いろいろな方法があり得ると思うのだが、我々のそもそもの趣旨が今申し上げたように、短期の期間における立ち直り支援であるので、その後の問題について民間の団体の方々等々といかに連携をしていくのかということについて検討してまいりたいということで考えている。
 それから、親族間犯罪の被害に係る支給であるが、現在ご承知のように犯給法では、原則、直系血族等は不支給という形になっている。ただ特別の事情があれば3分の1支給が可能という形になっているが、これについては果たしてこれでいいのかどうかということは我々も問題意識を持っている。大変お気の毒なケースもあるので、これについてどうするか。同時に平成13年の法律改正の際に国会の附帯決議で指摘された問題でもあるので、これにつき措置すべき方法があるのかどうか、現在検討を進めているということである。
それから、遺体搬送費とか、葬祭料とか、医療機関への通院のための交通費とか介護費、これについて支給をというふうなお話であるが、現在の犯給法の建前は一時金の支給であるが、これはいろいろなことにお使いになるということを前提にしながら一時金として支給すると、お支払いをするという形になっているので、言いかえれば、個別のかかった経費を積み上げて支給するという形にはなっていない。したがって、観念的に申し上げれば、そういった遺体搬送、葬祭料等にもお使いいただけるようにというふうなつもりで支給されているものなので、これをまた一回、一回積み上げるという形になると、相当制度の建前を大きく変更することになるし、他方で被害者の方にとっても1件、1件の領収書を全部集めていって、それをいちいち請求するという形が本当にいいのかどうかということは、被害者の方のご負担という意味でもあろうかと思うので、ちょっとこの辺については難しいのかなというふうには思っている。ただ、司法解剖後の遺体搬送費については、半分以上の県で公費で負担をしている。あわせてご遺体の修復費についても半数近い県で負担をしているという状況にある。
次は、支給額の増大であり、自賠責並みの支給をしてほしいというご要望であるが、これは申すまでもなく自賠責の方は原因者負担の考え方によって、保険という方法で損害の一部を賠償するという趣旨のものであり、なかなか犯給法のはそれに対して一般財源から国民のみんなの負担でもってその支援をしようという発想であるので、同列にはなかなか論じることができないし、また現に各国でもやはり自賠責の方が補償は厚いということについては各国とも同じ共通の点があろうかと思う。それから、ちなみにご参考までに申し上げると、警察官の職務に協力援助した者に対する給付金というのがあり、これはみずからの身を賭して犯人の逮捕をしたり、またそれから人命救助に当たったり、そこで亡くなったり、また傷害を負われたりというふうな方々について支給をするという制度があるのだが、これは公務災害、我々警察官が公務災害を負った場合と同じような支給をしているのだが、これもやはり身を賭してやられた方であるので、これをも上回ることはなかなか難しいのではないか。そういうことで自賠責、今申し上げました犯人逮捕とか人命救助に当たった方々との関係もあって、それよりは上回れないということでもって今の支給水準が決まっているので、なかなかこれを一気にぽんと引き上げることは現在の制度の均衡上、非常に難しい面があるのではないかというふうには思っている。ただ、給付水準の見直しについては、これは継続的に我々は検討していかなければならない思っているので、これは引き続き給付範囲の拡大の問題ともあわせて、どこまで給付水準を上げることができるかについては検討してまいりたいというふうに思っている。
あと、年金方式の支給をしてほしいということであるが、今申し上げたように、犯給法の場合には早期の立ち直り支援であり、まさに早期の段階における経済的負担を我々がカバーしようということであるから、なかなか年金で継続的に支給をしていくということは難しいと思われるし、また先ほどもちょっと申し上げたように、我が国の年金制度ではこれはカバーされることになっておるので、年金制度の導入というのが若干難しいのかなと。諸外国を見ても、ちょっと今申し上げました資料から説明を落としたけれども、年金制度をとっているのはドイツだけであり、ほかの国々はすべて一時金という形になっている。  それから、裁定支給が遅いのではないかというふうなご指摘がある。実際、確かにおっしゃられるとおり、事件の発生から、特に申請までの期間が大変長くなっていて、これはなぜかちょっと私もよくわからないのだが、約36%ぐらいが1年を超えて申請がなされると。非常に長期の期間を要しているという状況がある。では仮給付はどうかというと、仮給付も大変申請までの期間が長かったり、また支給までの期間が長かったりという形になっており、早期支援という趣旨からすると、若干運用上問題があるのかなという問題意識は持っている。ただ、なぜそういうことでもって申請までの期間が長いのかということは、これは被害者の方々、個々のご事情もあろうかと思うので、ちょっと実態を調べてみたいというふうに思っている。そこで我々の対応に何か問題があるのであれば、至急改めてまいりたいということで考えている。

(構成員)特に罰金を財源とした補償制度ということについては、資料3の4ページ目に記載させていただいたとおりではあるが、もちろんこういった補償ということになると、今お話しがあったような犯給法との調整であるとか、いろいろな制度との関係等をも見据えなければいけないと思っている。

(構成員)資料5であるが、まず医療費等はそこにあるように、これは厚生労働省で所管している一般的な医療保険の制度、それから介護保険の制度、それから障害保健福祉制度、年金制度であるので説明は省略するが、犯罪被害者のだれでも一定の要件を満たしている場合には、給付なりサービスの提供が受けられるということである。
 それから、要望をいただいている点であるが、医療費での無料化ということであるが、医療保険制度の中での無料化ということであると、この制度はすべての被保険者の保険料等から成り立っているということであり、医療を受けるものと受けないものとの負担のバランスを図るという趣旨から、かかった医療費のうち患者の自己負担分として一部負担金を求めることを原則としている制度であるので、この制度の枠内の中で考えると、犯罪被害に遭ったという事実をもって自己負担分を無料化するということはなかなか困難ではないかということである。なお、この点に関係して、先ほどお話があった犯給法の一部負担金相当額の支給があるということである。
  それから、もう一つ要望をいただいている点は、医療保険利用の利便性の確保ということで、我々もできるだけ利便性の確保を図っていきたいと思っているが、一つは会社に知られたくないということであるが、これも今年の4月から個人情報保護法等も施行されているので、会社などの第三者に個人情報を提供できないということになっているので、制度としては保険診療を受けたことが会社に知られることはないという制度になっている。ただ、具体的な要望があるということは、そういう事実があるのかなということであるので、ひとつ参考のための具体的なケースを後日でも結構だからご教示いただければありがたいと思っている。
 それから、保険が使えないということであるが、これも制度としては医療機関で被保険者証を提示すれば負傷の原因を問わずに保険診療を受診できることになっている。この点についても、ご要望のとおり具体的な不都合が生じている場合はどういう場合か、具体的な場合をご教示いただければ、これは大変参考になると思っている。

○ 基本法第13条関係(給付金の支給に係る制度の充実等)に関する議論

(構成員)今、給付金の範囲の拡大の問題とその水準引き上げの問題と大きく分けて2点だと思うが、先に範囲の問題があったので、そちらから申し上げたいと思う。
  性犯罪被害者に全く出ていない。というか、この445件というのは、犯罪被害者に給付しているというにはあまりにやはり少ない。もちろんこれが大変貴重な支援になっていることは間違いない。間違いないが、日本の犯罪被害を受けた方全体とか、あるいは支援の必要な人全体からすれば非常に少ない。例えばアメリカが人口大体2倍だと思うが、桁が3つ違う。イギリスはむしろ日本より半分ぐらいなのに何十倍もある。一つはこれは当然増やさなくてはいけないということだと思う。今どうなっているかちょっと存じないが、少し前までは給付金の申請をするときに、何も条件がないように見えて実際には申請してもいいよとか申請できるよということが警察の方からお話があって、限られた人しかできない。例えば今、性犯罪被害者の中でも入る人がいるかもしれないとおっしゃったが、運用上そういうふうになっていなかったということは実際にあった。今現在がどういうふうになっているのか少し伺いたいと思う。
  もう一つ、大きな問題として医療の問題が今出てきたが、先日の被害者のヒアリング、2日にわたってやっていただいて大変ありがたいと思ったが、ほぼ全員がおっしゃっていたのが医療費の無料化ということ。これについてはいろいろな問題があるが、まずは、一つは今まで警察でなさっている例えば精神的打撃に対する援助というのは、むしろ医療とか治療には入ってこないタイプの必要な支援だが、それとは違うものなので別枠で考えていただければというふうに思う。実際に私の方で今度の医療の問題のところでお話しするべきことだと思っていたので持ってきていないが、保険診療か給付金かという話が今あったが、これはちょっと両方使う必要があると思っている。ヒアリングで実際に傷害を受けた方が直接ご自分で話していただいたが、ナイフで刺されてかなり重い傷を負って入院されたんだが、保険診療はもちろん受けたのだが、なぜ3割を自分が負担しなくてはいけないのか。3割だけでもかなり大きい。例えばその分について、何かほかから補償ができないのだろうか。
もう一つ保険が必要だと思うことは、実際には性犯罪の被害者の、私は約9割ぐらいだと思っているが、の人は警察で認知されないわけである。もちろん犯罪被害、今回の基本法がどこまで対象としているかというのは大きな問題だが、警察に行けないからといってそういう人たちを放っておいていいのかと。実際には、医療の現場にはそういう人たちはたくさん押し寄せているわけである。そうだとすると、少なくともほかの部分についても今後議論が必要だろうとは思っている。というのは、今の保険では十分でないことがたくさんあると思っている。それは今度またお話ししたいと思う。給付金の方でそれに足して出していくという必要があるというふうに考えている。カウンセリングが保険診療になっていない、そこも一つ大きな問題としてあるが、これももしかしたらこの次の問題になのかなというふうに思っている。
親族間の犯罪については、特にDVとか虐待の被害者の中には、非常に悲惨なケースがあって、なのに給付金が出てこないと。家族で非常に困窮しているケースというのを実際に目にするので、これも範囲に含めていただきたいというふうに考えている。
先ほど厚生労働省の方からそういうケースがどうして出てくるのかわからないと。これもヒアリングのときにもそういう話が出てきたが、恐らく第三者行為なのでお金は払わないということがもしかしたら医療機関の中で曲解されているのではないかと思われるケースがある。例えば交通事故を扱いなれている病院などで、その扱いと同じようにしようとして保険診療を一たんためらうとか、あるいは手続を要求するとか、そういうことがあるのではないかなと思うのだが、ここは少し実態がはっきりしないが、被害を受けた方の方から聞くと、保険がうまく使えなかったということはやはり実際に聞く。本人の誤解なのかもしれないが、誤解を与えるような制度とか説明がなされていることは確かであるので、そこは善処していただかないといけないと思っている。水準の問題についてはまた後なのかもしれないので、一応それだけお願いする。

(構成員)今の意見にちょっと補足する形で述べさせていただきたいと思う。先ほどの12条関連の件を受けて、そうすると逆に補償制度を充実させなければいけないというふうに私は理解した。差し当たって一番現状あるものを拡大するということは非常に有用であるし、ただいま警察庁の方から検討をいただいているということで大変うれしく思っているので、それについて若干補足をさせていただきたいと思う。
 現在、2カ国と比較して日本が少ないのはもちろんさっきお話が出たように重傷病等、遺族に対して出ている。重傷病の基準を見ていただくと入院なのである。多くの被害者は通院である。しかも入院の2週間以上というのは極めて重傷。逆に言うと、医療が向上すればするほど、この補償を被害者は受けられないということになってしまうわけである。したがって、この対象を通院者に対しても拡大する必要というのはあるのではないかと思う。もう一つ、通院者に拡大することによって精神医療のほとんどは、厚生労働省の方、よくご存じだと思うが、入院ではなく通院しようとしているわけである。そうすると精神障害に関しては積極的に官公庁はそういうことをしようとしておいて、これでは受けられないという不均衡があるので、通院することによって精神的な医療費についても補償されるということが出てくると思う。だから、まず現状の枠を通院といったところまで拡大して、性暴力の被害者であるとか、身体暴力も含め、ここまで重傷でなくてもある程度の補償が医療の自己負担分でもいいのだが、受けられるというふうになった方がいいと思う。   もう一つの問題は、そうなったときに保険適用以外の医療費について負担しなければならない医療がかなりある。その代表がカウンセリングである、心理的カウンセリング。ヒアリングでも出たと思うのだが、現状、心理的カウンセリングは最低5千円から1万5千円、高いものは2万ぐらいあるが、これを週に1回受けて、治るといったら6カ月とか1年とかかかる。そうすると、その莫大なお金をなぜ被害者が自分で負担しなければならないのか。それを負担するだけの資力のある被害者というのは非常に限られてくるわけである。逆にこういうふうに医療費で補償されないものについてこういった補償制度がサポートする必要があると思う。
また、先ほど出てきた産婦人科に係る費用について、緊急避妊に人工妊娠中絶費用、検査費用、諸費用というのは被害者側の負担である。これを被害者が負担するというのも理不尽な話であると同時に、これが負担されることによって警察に通報しようという被害者も出てくる可能性があると思うので、逆にその医療保険の適用外のものについては積極的に給付金の枠の中で支給していただくように検討していただけたらと思う。

(構成員)私も今、両構成員から発言があったように、ぜひ充実を図っていただきたいと思う。先ほど、受診が知られるのが嫌でなかなか受診ができないということの具体例についてということだったが、確かに4月からできた個人情報がどこまで効いているのか、ちょっと私もわからないが、被害者の多くの方は、職場に知られたくない、そういうことをおっしゃっている。では具体的に知られるのかどうなのか、その被害者の方がどこまで調べたのかはよくわからないが、それが不安で行けないということがある。例えば事業所の保健室、あるいは企業の健康管理室、そういうところで働いている方たちとの交流がある。ごく最近でもあるところから相談を受けたのは、企業で働いている精神障害者の人が何名ぐらいいるのか名簿を出すように言われて、その保健士の方はとても悩んでいた。私が働いていたとき、私あてに毎月、自分が受診したときには、何回受診をした、保険外、あるいは保険の医療費がどれぐらいだったという報告がきた。ときには、こういうところに本当に受診をしたのかと確認の電話が入ったこともあった。ということは、やはり、わかってしまうという恐怖を感じる場合が多いのでなかなか受診できないということだと思う。
それとあと、保険診療は病院によって対応がかなり違う。第三者行為の場合は自費でと言われるが、保険者の方が了解をしてくださり、それなりの書類を整えれば保険診療していただけるということはわかっているが、面倒なのでそれはやりたくないというような医療機関がないわけではない。そういうところを現場の方では感じている。

(構成員)私は意見書の中に、せめて自賠責相当の額をというふうに書いたのだが、私は交通被害で何年か後の被害者の状況をときどき見る機会があり、事故を起こした運転者が自賠責保険にしか入っていなかったときには、その後の生活が非常に苦しく悲惨なものがあるものだから、任意の保険に入っていると随分違うという感じを、気の毒に思うのだが、その気の毒な人たちよりもさらに相当低い給付水準ということはやはり問題ではないだろうかというふうに感じる。また、こういう保険制度とはまた違うとはいうが、国民の安全を守る責任が国にもあるわけだし、税金を納めているのはそういう保険の、国が守ってくれるという意味合いもあるわけなので、それをやはり相当の額を自賠責で最低限認めているぐらいは認めても私はいいのではないかというふうに思う。
 また、先ほど警察に協力された方で亡くなった方との兼ね合いと言ったが、もしそれが自賠責程度に達しないのであれば、それはむしろそれを増額するように考えるべきなのではないかなというふうに思う。また、いずれにしてもそういうふうに大幅に私も支給の対象、特に医療費に関しては自己負担分をより長期にわたってきちっと補償できるようになるというふうに思うのだが、それを補償するには相当の財源がいるわけで、財源は給付制度だけではなくて、これからあるいは被害者支援の問題とか、研究と教育の体制、診療の問題、いろいろなものにかかってくるので、その財源を同時にきちんと確保することも論じていかなければいけないと思う。それで、罰金の問題やいろいろ問題もあるとは言ったが、私はその1割程度は被害者支援に向けるとか、あるいは先ほど損保の保険に課税するとか、そういうことがあるが、何かそういう財源を同時にここできちっと考えてそういう施策を前向きに論じやすいようにしていただければと思う。

(構成員)法務省から提出されている資料で、説明されなかった部分なのだが、罰金を財源とするというについての問題点の指摘で、ここに書かれていることはそれとしてわかるけれども、罰金というのは、当該犯罪の被害者に対する賠償とか、あるいは被害者に対しての謝罪金として徴収するものではない。だから必ず理由になった犯罪とそれを財源として補償金等を被害者に支払う場合の犯罪というのが一致しないといけないという必然性はないように思う。罪を犯した償いとして納められた罰金を広い意味で刑事司法のために使う、特に今問題になっている犯罪の被害を受けて困窮しておられる方のために使うという制度もあり得るように思う。そこのところ、犯罪を対応させないといけないということに何か法制上の根拠とか、あるいは実質的な理由というのはあるのか。

(構成員)歳入と歳出と申すか、財源としてその関係について、これまで特別に仕切った形で関連づけたものの制度がいろいろ他にはある。これについては、罰金を財源とするということになると、ほかの似たようなものの考えとはちょっと異質なものになってまいるということを申し上げているわけであり、この辺になると、ちょっと法務省の方から答えるのが適切かどうかという問題もあろうかとは思うが。

(構成員)資料10の中で、犯罪被害者等補償制度というものに私どもの求める被害者補償制度が書かれている。まず、2ページにあるが、国は被害者に対する補償義務があると正面から認めていただきたいということである。これは加害者から取るのが筋だといったって、身体生命違反の加害者はほとんど支払い能力がない。にもかかわらず被害者はどんどん犯罪によって増えているとなると、誰かが払わなければいけない。そうすると国が払わなければいけないということをはっきり書いてもらいたい。そして加害者から払われたならば、二重払いを受ける必要はないから、国はその分は払わなくてもいいのだが、国が支払い義務があると、補償義務があるということをはっきり書いていただきたいなと思う。
 それから、イギリスでは連帯共助の精神からお金が払われるという警察庁のお話があったが、まさにそうだが、しかしながら払われるのは一般会計であって、社会が払っているわけではない。連帯共助の精神に基づいて国は払っている、国が一般会計で払っているということで、結局は国が補償義務を認めたと同じことになっている。ドイツにおいては、同じように安全補償義務違反ということで、国が補償義務を認めて、もうそろそろ日本も被害者に対して国が補償する義務があるんだということを認める時期に来ているのではないかと思う。
それから、補償の仕方、これ4ページ以下だが、今までは一時金だけでやって、それで済ませているのだが、私はやはりそれと同時に年金を支給してもらいたいと思う。先ほどの警察庁のお話では、早期の一時的に要る金を犯給法で出して、そして後は他の制度に譲るということだったが、他の制度はない。福祉、この制度くらいしかないのである。生活保護の福祉。これは非常にみじめなものであって、悪いことをしているのではないか、ごまかしているのではないかということで、絶えず監視させられている。こういう制度しかないのに、一時金のお金を少なく出して後は何もしないというのはおかしいのではないかと思うので、一時金のお金もぐっと上げてもらいたい。最高1,800万とかいうのではなくて、もっと上げてもらいたいし、そして年金という制度も出してもらいたい。
子供が被害を受けて身体が動かなくなったご両親が、精いっぱい介抱している。自分が生きているうちは何とかやるけれども、死んだら後どうするだろうと思ったら死んでも死に切れないと、こういうことをおっしゃっている方がいる。その方々はお二人働いて、そのうちの1人分は全部医療費に消えたそうだが、今は奥さんが勤めをやめて、旦那さんの収入だけでやっている。その方が、頭はクリアだけれども心身が全く動かなくなったお子さんのためにどれだけお金を使ったかというと、これだけの被害を受けると、自動車保険では約9,000万ぐらいのお金を受け取れるのだが、犯給法では4百何十万ではなかったかと思う。それでいて出したお金は1,100万を超えている。それは家族の労力費は全く勘定に入れていない。ヘルパーを頼めばいいのだが、ヘルパーというのは、これは交通事故についてはヘルパーさんは来ない。そういうことで、全部家族で一生懸命やっているという例がある。これは年金ででももらえたら人を雇うこともできるしということで、非常に困っている例である。
それから、今申したような親族、先ほどお話があった親族間、これは全く関係がなくなっている兄弟に殺された場合でもお金が出ないというふうなこと、これもおかしいし、最近私どもの会員で問題になるのは、外国旅行中に殺されたと、こういう例がかなりある。それに対して犯給法は適用されていない。
それから、請求するには時効があるが、犯給法の時効の説明も今は警察が一生懸命やってくれるようにはなったが、まだまだ落ちがある。これをもっとわかるようにしていただきたいということ。
それから、生活保護を受けている人が犯給法を、お金をもらった。そうすると生活保護のお金を返せという、そういうような判決だったか、あった。返す必要がないという判決だったが、あった。そういうようなわずかなお金でも併給をやめさせるという制度ではなくて、自賠法で計算すればある一定の金額になる、それに達しないまでの併給であるならば、その併給は認めてほしいと、そういうことである。
  最後に、一時金だとか、いろいろなことを申した。そうすると今の警察だけでそれを処理することができるかなと思う。医療費の無料化とか介護費の無料化とか特別支出とか、PTSDの心理療法費用とか、そういうふうなことをいろいろ要求しているが、そうなると、これは公安委員会にお任せするにはちょっと荷が重いのではないだろうかと、そういうようなこともあって、何か認定機関が新しく要るのではないかなと、こういうふうな気がしている。

(構成員)私の意見は、資料14の1~2ページ目にまとめてあり、今まで出た意見もおおむねそこに入っているかなと思っている。
私は先ほど来聞いていて、拡大していただきたいというふうな意見が続いておるのだが、私はいただきたいというのではなくて、拡大すべきであると思う。犯罪被害者の経験はないが、つくづくとそう思う。今の社会、これだけの人口がいて、これだけ複雑化された社会においては、一定の比率で必ず犯罪が発生すると。誰がその犯罪に遭うかわからない。言ってみるならば、語弊があるかもしれないが、犯罪に遭われた方々は私や私の家族の身がわりかもしれないという思いがする。そのような場合には、やはり犯罪人が出た場合、その犯罪に遭った人たちをみんなで連帯してそれは補償をすべきであろうということだと思う。文明国家、文化国家と言われる以上、そういったことが当然できなくてはいけないというふうな感じがしている。
ところで、先ほど来お聞きしていると、まず現在の犯給法の運用でできることと、運用ではできない、犯給法を改正しなければできないだろうと思われることがあろうかと思う。先ほど犯給法というのは早期の時点における救済であるということだが、それではずっと後々のことまでもと考えた場合には、やはり犯給法の改正が必要かもしれない。カウンセリング費用であるとか、通院も認めようとか、過失犯にも適用しようとかいうようなことを考えると、犯給法の改正で、私のメモには新犯給法を制定すべきだというふうに書いたが、これを改め、現在の犯給法は廃止する、そして新たに犯罪被害者補償法を制定すべきであると。犯給法から脱却した、そういったものを制定すべきではないかと、そこまで踏み込んだ気持ちがないと、また現実にそういう制度にしないと、本日の冒頭に議論された附帯私訴の問題であるとか、あるいは損害賠償の立替の問題であるとか、それらを導入しないでおいて、犯給法もほとんどお茶を濁すようなことであってはならないと思う。犯給法の抜本的な改正がなければ、附帯私訴だとか、損害賠償の立替ということも、それは当然のこととして浮かび上がってくると思う。
そのために、もし財源というのであるならば、思い切ってニュージーランドのように、強制的社会保険というか、そういった制度もこの際踏み込んで考えてみる。例えば介護保険などというふうな制度とあわせて考えるならば、それも可能ではなかろうかと。国民の数が1億2千万人おり、1人1円ずつで1億2千万円、1カ月で。1人百円ずつで1年間ためると1,400億円ぐらいになる。そうすると、1,400億円のうち犯罪被害者に給付すべき金額は6、7百億円であろうかと思う。残りは犯罪の予防、防災のために、例えば街灯をつけるとか、そういったことごとに使うことも可能。単に被害者に配るというだけではなくて、犯罪の予防というふうな視点からも考えるならば、1月百円というのは可能ではなかろうかと思うわけである。全くのこれは今私の思いつきで恐縮だが、そういったことも含めて抜本的な解決がぜひとも必要であると思う。

(構成員)ただいまの犯罪の給付ではなくて、被害補償法にするということに私は賛成である。既にやはり見舞金というところは、もう捨てなくてはいけないコンセプトなんだというふうに思う。
ちょっと全額でどのくらいお金が必要かということについて申し上げたいのだが、例えばイギリスは一般財源で400億近くのお金が出ている。本当にどこか新しい財源を探さなくてはいけないのか、日本の状況で今どうなのかということはあるが、こういう歴史のある国ではこれぐらい出ているわけである、一般財源でも。
それから、もう一つぜひ考えていただきたいのは、イギリスやアメリカはこの外に民間の非常に分厚いサポート制度があってこれだということである。例えば民間のNPOがたくさん被害者を支えているが、アメリカ、イギリスではそういうところには寄附がすぐ集まる。多くのNPOが安定して活動していて、例えば今、警察でやっていらっしゃるような早期支援の部分についてもかなり民間で担っているところはあったりするわけである。正直言って日本の民間組織というのは非常に脆弱だし、恐らく警察の支援がなくては成り立たないような状況にあるわけである。そのことを考えると、例えばイギリスやここにあるような先進国と同じぐらいのレベルに日本を持っていくとしたら、恐らく財源としては人口割にしてこれよりたくさん必要なはずなのである。水準としては日本はそういうところにあるということをちょっと念頭に入れて議論していただきたいというふうに思う。

(構成員)性犯罪被害者については、現在の重傷病給付には入っていない。これはほとんどの場合そうだと思う。入院14日以上という形に恐らくならないから。であればこそ、今申し上げたように、何らかの手当を考えなければいけないということを申し上げたつもりである。
あと、保健診療外の医療費を別枠でというお話だが、今の制度の立て方は、さっきも申し上げたように、個々にかかった費用を積み上げる形ではなくて、一時金として当座お使いいただけるものというこのような形でやっているから、ちょっと別枠で医療費をということについては、にわかに私からそうするということはちょっと申し上げられないということである。
あと、親族間の問題は、これも先ほど申し上げたが、大変お気の毒なケースがあるということは我々も十分承知しているので、これについて何らかの方法、今は特別な事情がある場合に限って本来の支給額の3分の1になっているが、これがこれでいいのかどうかという問題意識を我々も持っているから、これをさらに拡充できないかどうか、現在検討しているということでご理解をいただきたいと思う。
重傷病給付の話で、入院要件を外してほしいというお話だが、確かにご趣旨もわかるのだが、他方でいろいろな犯罪があり、例えば加療1カ月といっても、本当にこれが重い傷害とはなかなか限らないわけなので、今の支給の立て方が極めて重い傷害を負われた方について支給をしようということになっているので、入院要件をすべて外すということがなかなか難しいのかなと。ただ、今ご指摘があったように、14日という期間が本当にいいのかどうかについては、これは検討の俎上に上げてまいりたいと、それは思っている。どれぐらいになるかちょっとわからないが、ただ、ご参考までに申し上げると、全入院される方の中で14日以内の方の比率というのは、それが上がっていない。だから医療水準が上がったから14日以内で退院される方がふえているのではないかというご指摘だが、ちょっとその数字を見る限りでは、ちょっとそこまでは言えないのかなという感じがしているが、いずれにしてもそれは検討させていただきたいと思っている。
あと、中絶とか検査、緊急避妊の費用、これも現在は支給金の範囲では出ていない。ただ、先ほど申し上げたように、都道府県が措置している県もある、ごくわずかなのだが。だからこれを犯給金でやるのか、都道府県の方でやるのか、まさにこれをやれば犯罪に協力していただける方が増えるのではないかという観点であるならば、これは都道府県の方の捜査に協力していただけるような形になるので、そういった形で出すということも考えられるから、それも含めて今検討しているところである。
あと、協力援助した方に対する支給をむしろ増額すべきだというお話だが、確かに我々は心情的には非常にシンパシーを持つのだけれども、これをいじると公務災害とか、労災全部に跳ね返ってくる話であるため、ちょっと私もにわかにこれも引き上げてほしいということは言いづらいということはご理解をいただきたいなというふうに思っている。
国が義務があるという形にすべきだと、むしろそういうふうに考えるべきだというご指摘だが、ちょっとこれは私ども考え方が違い、やはり現在は違法行為、不法行為をやった人間がまず第一義的に責任があるんだろうと。その責任をむしろ薄めることにこれはなるので、私は国が個々の犯罪について責任を負うという形はむしろとるべきではなくて、むしろそういう形をとると個人の責任が薄まり、なおかつ治安対策上の好ましい効果は上がってこないのではないかという危惧を持っているので、ちょっと個々の犯罪について、それについて国が賠償責任があるという形にはちょっとにわかに私は賛成できないなというふうには思っている。これは犯給金をそもそも昭和55年につくるときに、有識者の方々にお集まりをいただいて議論する中でも、当然議論になったのだが、そういう形にはとり得ないという結論になったという経緯は一応申し上げておきたいと思う。
年金については、他に制度がないというお話だが、今国民皆年金であるので、原則的には国民年金の方で手当がなされている。年金が支払われると。諸外国では先ほど申し上げたように、それも調整されてしまうのだが、我が国はそこは調整をしないという形になっているので、それが今も私がちょっと申し上げた他の福祉政策に対する橋渡しと申し上げたのはそういう意味であり、したがって国民年金とか厚生年金、これは通常どおり犯給金が払われようが払われまいが支給がされると。加えて生活保護の関係があったが、これも生活保護を受けているか否かに関わらず、犯給金はまったく調整されないので、私どもは調整するなんていうことは申し上げていないと思うのだが、ちょっと理解にどこか誤解があったのかなというふうに思われる。
時効の問題で落ちがあるという話だが、もしそういうことがあるのであれば、これは大変な問題であるから、きちんと我々は時効についてはご説明申し上げて、期間内に申請していただけるようにご支援をしていきたいというふうに思っている。
  補償のお話があったが、これもなかなか今ちょっと申し上げたようなことによって、今にわかに私がそれについて賛成だということはなかなか申し上げづらいということはご理解いただきたいと思うし、あと過失犯にもというお話であるが、諸外国の例を見ても、過失犯まで広げて支給対象にしているところは極めてまれであり、ほとんどが故意犯である。なぜかというと、この犯給制度というのは、ほかの福祉政策とか、いろいろなシステムがあって、モザイクの上にあって、そこから犯罪被害者の部分がすっぽり落ちていたと。ここをやはり救済すべきだということでもって始まっており、他方過失犯の方は相当程度手当が進んでいるので、したがって今、犯給金の世界では、これについての手当をするという形にはなっていないということである。
 あと、財源の問題はちょっと私からは申し上げられない話であるので、ご理解いただきたいと思う。

(構成員)ただいま犯給法の根拠の問題があったが、これは20年前の話である。それからこちら凶悪犯罪も激増している。だからそういう前の連帯共助の見舞金的なものでおさまるのかどうかということであり、どうしても国が補償義務を負わないということなら、それなら武器を携帯させてくれということになる。夜、暗いところを歩くときには武器を持って歩かなければ歩けれないという場所がいっぱいある。そういうことになりかねないので、やはり私はそれを防ごうとすれば、国が補償義務があるというところにせめてもっていかなければならないのではないかと、そういうふうに思っている。
 それから、先ほどの例で述べた被害少年は、多人数の加害者による犯罪で四肢が全く動かなくなった。この場合、大勢の加害者がいたものだから600万円補償金は受け取った。そうすると犯給法の申請すると、600万もらったならば、もう犯給法は出ないと、こう言われた。あまりにひどいではないかということで弁護士が交渉して330万もらったそうだが、そういうふうに非常に厳しいのである。それくらいの金はあっという間に消えてしまうわけである。
 それから、親父狩りに遭ったある一流会社の社員の方々、これは病院に入って、院内感染で、感染性の膿が出るので、個室に移されている。それが感染防止するためのエプロン、そういうものをお医者さんや看護婦さん、それから家族がその個室内に入っていく、そういうときには全部使い捨てのエプロンを使う。何やかんやで27万くらいの金がかかったというのである。一級障害になっているから医療費は別だということだが、いろいろかかっているわけなのである。
  それから、高額医療の問題にしても、1カ月何十万とられるという人もいる。保険では賄われない。これが1カ月になろうと、3カ月になろうと、あるいは6カ月になっても、長期になればなるほどひどい人が後に残る。それに対する手当がやはり必要だと思う。  それから、保険制度、これは全く私も賛成だが、ただ私どもは日常支払う税金の中で、いざというときには払ってという保険料が既に国に対して払っている、納めている、そういうふうなつもりでいる。

(構成員)やはり支給の対象とか、額をかなり増額しなければいけないと、これはよその国並みとすると、恐らく100億円程度のお金は必要となるのだろうし、ほかの政策に関してもいずれもかなりのお金が必要になるのだが、私は国会の委員会でのときに財務省の方が非常に冷淡に対応して、財源をつけるねと聞いたら、非常にそっけない返事をずっとしていたものだから、そういうことを考えると、いくら施策を立てようとしても、財源はどこから出るのか、出ないだろうかとか、そういうことになると、やはり展開の限界が出てくると。だから、施策の話を進めていくときに、同時にそれだけの財源をどこからどうやってとるのか、それからそれを内閣府できちんとそういう確実なところをとれるような、そういう方法を考えるということを同時に進めていただければと思う。

(構成員)補足で提案しておきたいのだが、長期の特に精神的な心理治療ということがかなり出てきたが、こういうことを全部犯給法というか、給付だけでやろうとするのはなかなか難しいと思う。こちらについては、例えば現物給付であるとか、いろいろな形の現物給付が実際に行われている国もあるが、そういうものとあわせて検討されることを望む。これだけで解決しようと思うとちょっと難しいところも、恐らく保険診療との絡みで難しいところもあるので、それをちょっとご提案しておきたいと思う。

(構成員)資料1の5ページをご覧いただきたいと思う。基本法13条に係る現状認識と犯罪被害者等の要望に係る施策について取りまとめたところであり、その要望に係る施策の[1]から[5]をあわせて今ご議論いただいていたわけである。そして、そのうち①から④については、これはそれぞれまさに犯罪被害者の皆さんに対する経済的支援制度に係るものなので、この[1]から[4]についての会としてのまとめのご意見をまず申し上げたいと思う。
それで、いろいろ各省からのご説明を伺っていると、我が国の犯罪被害者等に対する経済的支援制度としては、一つは犯罪被害給付制度が存在すると。それから一般的に利用が可能である制度としては、医療費、あるいは介護費等に関する制度、その他社会保障、福祉制度というものがあるということである。こうした制度を前提に今までのご議論を伺っていると、まさに犯罪被害者等の皆さんに対する経済的支援制度がいかにあるべきかということについては、やはり社会保障とか福祉制度全体の中でどうあるべきか、やはり一つ一つの制度単独ではなかなかそういう議論が難しかろうというふうに思う次第である。
一方、先ほど第12条の損害賠償債務の肩代わりの問題だとか、あるいは請求費用の補償の検討の関係も出てくる。ところが、そういったいろいろな論点、議論すべき、検討すべき点のことを考えると、やはり基本計画検討会そのものの場でそうした諸点について議論を尽くすということはやはり時間的な困難性があるというふうに思う。しかしながら、非常にご議論の中であったように、犯罪被害者等に対する経済的支援制度、これは現状よりも手厚くすべきだということは、これは確かなことであるというふうに考える。
そこで、この施策の[1]から[4]の関係については、推進会議のもとに検討のための会を設ければどうかというふうに思う。そしてその構成としては、まず有識者の方、それから関係の省庁として、内閣府、警察庁、法務省及び厚生労働省、これらのメンバーから成る検討のための会を設け、まさに社会保障、あるいは福祉制度全体の中で犯罪被害者等の皆さんに対する経済的支援制度のあるべき姿はどういうものなのか、それから議論の中でもご指摘があった非常に大きな財源を必要とするわけであるので、どういった財源がいいのかということを検討して、一定期間内に結論を出して、その結論に従った施策を実施するというようなことをこの会のまとめとしてはどうかというふうに考える次第である。なお、その一定期間が何年なのかということについてはまたご議論があろうかと思うが、先ほどのご提言のように、やはりできるだけ早く、しかし大きな法制度の問題、あるいは財源の問題を抱えるという特殊事情があるということを考えると、やはり2年以内に結論を出して、そしてその結論に従った施策を実施していくということでこの会の取りまとめとされてはいかがかというふうに考える次第である。
 これが[1]から[4]の関係であり、それから[5]は、ちょっと[1]から[4]とは違った問題である。これについては、資料、説明によると、医療保険事業の利便性の確保、現状に問題はないというようなご発言、あるいは資料かというふうに考えたわけであるが、一方でご議論の中で、やはり医療保険がスムーズに使えないと。あるいは個人情報の問題も現にあるというようなご指摘があったところであるので、この会の取りまとめとしては、現実に医療保険がスムーズに使えないという状況があるのかどうか、そういったことをまず調査して、そしてそうした状況があるということであればそれを解消するための施策を検討し、それに従った施策を実施に移していくということを厚生労働省の方でご検討いただければどうかというふうに考える次第である。
 この関係についての検討、調査に要する期間ということだが、先ほどのご提言のように、原則としてできるだけ早くということで1年以内に結論を得て、その結論に従った施策の実施という方向で対応するということをこの会のまとめとしていただければどうだろうかというふうに考える次第である。

(構成員)[1]から[4]までについて、委員会というのか、何かつくるというお話だが、これは基本計画の中にそれを書き込むということか。

(構成員)基本計画の中で、おっしゃるとおり、こういう検討の会をつくって、一定の期間内に結論を得て、そして結論に従った施策の実施を行っていくというようなことを盛り込もうということでいかがかというご意見を申し上げたところである。

(構成員)医療保険が使いにくいという実態調査なり、それを踏まえて検討せよという話だが、どうも聞いていると、制度がきちっと運用されていれば問題ないと思うのだが、実態としては問題があるということであるので、実態把握をした上で必要なことをやっていくということが必要だと思うが、ちょっと犯罪被害に基づくものであるので、厚生労働省だけでやるといってもなかなかできない部分があるので、やはり犯罪を担当する警察などにご協力いただく中で、どういう形でやっていくかということが必要だと思うので、その辺はちょっと協議をさせていただきたいと思うが。

(構成員)本日のテーブルに犯罪被害者等の早期直接支援の充実に必要な施策についての総合的研究という報告書を出させていただいたが、これはこの重要なところは、台湾の法務省の保護局に該当するところだが、そこが更生保護事業団と同じように、被害者保護の事業団を併設して、被害者に対する支援を加害者に対する支援と同じ程度に取り組む体制をつくったということである。中央更生保護審議会での被害者の感情調査の例なんかを見てみると、加害者を30年間お世話してここまで立ち直ったので、被害者に恩赦に同意してくれるかといって訪ねたりしている。被害者は30年放ってあるというような状況があるものだから、ぜひ法務省でもそういう取組をしてほしいと思うし、また被害者支援団体は非常に財政的に困難な状況でやっているわけだけれども、これを警察庁、法務省の共管ででもこういう被害者保護事業団のようなものをつくっていただければと思って、資料として提出させていただいた。

(構成員)今の医療保険が使いづらい場合があるのではないかということだが、私ども警察として、それは承知をしているかどうかちょっとわからないのだが、ちょっと現場にいろいろ聞いてみたいと思う。加えてうちが所管しているというか、犯給法にある早期支援団体とか、あと構成員の方がよくご存知かもしれないから、皆さんで協力しながらそういったもし実態があるのかどうか、できる範囲で調べてみたいと思う。

○ 基本法第16条関係(居住の安定)及び第17条(雇用の安定)に関する説明
基本法第16条及び第17条に係る施策について、事務局より、現状認識、犯罪被害者等の要望に係る施策について、それぞれ、資料1の8~9ページ、10~11ページを参照いただきたい旨、発言。その後の構成員からの説明は以下のとおり。

(構成員)資料6の4,5ページに公営住宅に関する優先入居ということについて取り組んでいかせていただくということを書いている。特に制度の概要、5ページをちょっと見ていただきながらご説明をさせていただこうと思っている。
公営住宅については、公営住宅法に基づいて同居の親族要件、それから経済的に困っている方、入居に当たる収入要件、それから真に住宅を必要とされているという困窮要件、この3つの要件があるわけだが、公営住宅について、犯罪被害者の方に同居の親族要件の緩和を行うということで、いつまでにという先ほど来いろいろ議論されているが、17年度中に実施をしたいと思っている。
それから、公営住宅への優先入居については、公営住宅の入居者の選考に際して、事業主体、これは都道府県、市町村が主体となるが、この判断によって、犯罪被害者を優先的に取り扱うこととするということであるが、上記の公営住宅の単身入居の制度化を図ると同時に、私ども国土交通省の方から事業主体である公共団体の方に優先的な取扱いをされたいという形で通知を行おうと思っている。ということで私ども対応していきたいと思うが、課題を申し上げておく。施策の対象となるべき犯罪被害者の範囲を一体どこまでとらまえていくのか。それから、認定方法についての検討が必要である。と申すのは、ここの参考の欄に単身入居制度の概要の中でも書いているが、現在単身入居でも入居が可能な方というのは、身体障害者であるとか、生活保護の被保護者の方、こういった方々が単身入居の制度的に可能になっているわけだが、これらの方は身体障害者手帳とか、生活保護者の手帳を保持しているものだから、こういったところでの確認が可能なんだけれども、こういった認定の方法をどうするのかということを私どもだけでなかなか判断ができないので、警察庁など関係省と連携をとりながら制度設計を行っていきたいということである。
それから、DV、ストーカー被害者、身体医療に係るご要望ということで、幾つか掲げられているところについて、触れさせていただく。犯罪被害は日常生活の中で起こることが多いため、事件を思い出す場所を回避することに大きなエネルギーを使っていらっしゃる、被害者が希望したときには、いろいろな速やかな引っ越しなどの支援を行ってほしいとか、住宅あっせんなどの便宜を図ってほしいというご要望があった。これについては、全国の地方公共団体、地方の住宅供給公社、その他関係団体から構成される協議会というのがある。この協議会において、全国の公共賃貸住宅の事業主体が登録をお受けしておる入居の募集に関わる情報であるとか、相談窓口リストを、入居を希望される方がホームページ上で簡単に見ていただける公共賃貸住宅インフォメーションというものを整備している。これは平成13年10月から運用開始しており、犯罪被害者の円滑な住替えにも活用していただけるものと考えている。
それから、構成員から資料としてお示しされていたのだが、この犯罪被害者基本法の施行前の被害者にもこの公営住宅についての適用が何とかできないだろうかと、こういうお話であった。公営住宅法の建て方をお話し申し上げたように、公営住宅というのは真に住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で住宅を供給するということである。この犯罪被害者の基本法16条の観点から、私どもこの施行前の被害者に対しても、先ほど申したような関係省、警察庁さんを初めとする関係省とも連携しながら、適切な対応を図るような形で前向きに対応していきたいと考えている。それから、公営住宅への入居が決定するまでの間、一時宿泊先を公費により確保云々というご報告があったが、これは私どもにおいては、住宅以外の施設問題について、ちょっと言及する立場にないので、ご了解いただきたいと思う。

(構成員)まず16条であるが、被害直後の緊急の入所としてのとりあえずの衣食住の確保について、児童については児童相談所の中での一時保護と。それから女性については配偶者からの暴力の防止とか、被害者の保護に関する法律、DV法に基づいて配偶者からの暴力被害者の一時保護等を実施しているところであり、引き続きこういう形での救済に努めていきたいということである。要望の中でカウンセリングの話とか、あるいはPTSDの話があり、カウンセリングを今やっているが、さらに強化していきたいということ。それからPTSDも研修をやって専門家を増やしたり、あるいは知識のレベルアップの研究等をやっておるが、こういうことを通じて、引き続き専門家を増やし対応していきたいというふうに考えているところである。
それから、17条関係であるが、事業主との理解の増進ということであり、現在も母子家庭の母の場合のトライアル雇用とか、あるいは事業主に対する雇用管理に関する援助等もやっているし、またハローワークでも、個別の対応の中で犯罪被害者の方々については、それぞれの状況に応じたきめ細かな就職支援を実施しているところである。今後も事業主を対象とした雇用管理研修会で犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマを取り上げるとか、あるいはハローワークの研修でも犯罪被害者等の理解に資するテーマを取り上げて強化をしていきたいというふうに考えている。ご要望で職業訓練、能力開発の優先的な取り扱いということもいただいているが、これもハローワークの中できめ細やかな相談をやっていくので、その中で受講指示というのもあるので、できる限りその中で配慮ができるようにしていきたいというふうに考えているところである。
それから、休暇制度だが、一般的な制度としては、労働基準法に基づく年次有給休暇制度があり、この使用目的は自由なので、捜査の協力とか訴訟手続とか治療等のために取得することは可能である。これの制度とは別に特別の休業制度を設けるかどうかについては、これはやはり犯罪被害者等を捜査や裁判の中でどう位置づけるか、あるいは犯罪被害者等の権利利益をどのようなものと考えるかという基本的な考え方を前提として、裁判制度のあり方とか、総合的な犯罪被害者援助の観点から検討されるのが適切ではないかというふうに考えているところである。

○ 基本法第16条関係(居住の安定)及び第17条(雇用の安定)に関する議論 (構成員)公営住宅の優先入居については、何人も被害者の方に聞いてみたが、「それはいい」という一言でした。当事者がそういうふうにおっしゃる施策はとても珍しいと思う。ぜひこれが実効があるようにやっていただきたい。それから、インフォメーションがインターネットで引けるということだが、恐らく事件直後、あるいはその後しばらくの被害者というのは、そういうところに積極的にアクセスできないから、例えば警察と協調されて、警察の方で配られるときに同じようなインフォメーションをもっと積極的に出していただきたいと思う。パンフレットを一緒に入れるとか、いろいろなことができると思う。
  それから、中期的なシェルターの設立というのが言われており、児相と婦相が出ているが、当然ご存じだと思うが、被害者は子供だけでもDV被害者だけでも、母子の子供のいる母だけでもないので、行けない人がたくさんいるのである。例えば実際に必要な人たちをかなり大きな事件になってマスコミが周りを取り囲んでしまっているときの被害者及び家族が家に帰れないとか、あるいはストーカー被害や性犯罪の被害者が一時的に帰れないことがあるが、今そういうときに行くところがなく、ほとんどの方はホテルにとまったり、友達の家に行ったりしている。建物は私は必要ないと思っているけれども、制度として、できたら警察でそういう場所を確保していただいて使えるようなところがあるとよろしいのではないかというふうに思っている。何々シェルターと麗々しくある必要はないが、そういうときに自前でホテルを予約して荷物を持っていくのではなくて、適切に泊まれるところが必要ではないかというふうに思っている。

(構成員)第16条及び第17条関係について、この検討会としてのまとめのご意見を申し上げたいというふうに思う。資料1の8ページをご覧いただきたいと思うが、第16条の一つの論点は、公営住宅への優先入居の関係である。これについては、ご説明があったとおり、まとめとしては、「犯罪被害者等が事件現場になった自宅に住めないなどの事情がある場合には、公営住宅の同居親族要件を緩和し、単身入居を可能とすることや、管理主体の判断で公営住宅への優先入居ができるよう検討し、平成17年度中にも所要の措置を講ずる」ことということでいかがかと思う。
それから、次に[2]の被害直後の緊急入所という論点、中期的な居住観点の整備という論点であるが、これについては、ご説明にもあったとおり、児童相談所及び婦人相談所による一時保護の適正な運用に努めることということについてはまとめとしてよろしいかと思うが、先ほどのご説明の中で、この児童相談所、婦人相談所による一時保護の適正な運用に努めること、これで十分かどうかということについては、既に犯罪被害者等の支援に当たられておられる構成員の方からのご意見もいただいているように、現状には問題有りというご意見があろうかと思う。また必要があれば後ほどご発言いただきたいと思うが、そういった点を踏まえてどうするのかというまとめが必要になろうかと思っている。
  それから、第17条の関係だが、資料1の10ページをご覧いただきたい。2つの論点があり、1つは事業主等の理解の増進ということである。これはご説明のとおり幾つかまとめるべき内容があろうかと思うが、1つは「母子家庭の母等に対するトライアル雇用事業の適正な運用に努める」。2つには「雇用能力開発機構都道府県センターにおける事業主に対する相談援助の適正な運用に努める」。3つには「雇用能力開発機構、都道府県センターにおける事業主を対象とした雇用管理講習会において、犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマについて取り上げる」。4つには「公共職業安定所における求職者に対するきめ細かな就職支援の適正な実施に努める」。5つには「公共職業安定所職員に対する研修において犯罪被害者等への理解に資するテーマを取り上げる」ということでよろしいのではないかと思うが、当然のこと、いわずもがなかもしれないが、それに加えて、「以上申し上げたような各施策については、犯罪被害者等に対する十分な理解に基づくものであること」ということをつけ加えればどうかというふうに考える。
それから、資料1の10ページの2つ目の論点、被害者家族のための休暇制度の導入だが、先ほどのご説明では、現行施策、現在の年次有給休暇を取得することによって対応が可能というふうに受けとめることができるのだが、これについても他の構成員からのご指摘の中で、やはり別の休暇制度が必要だというご指摘があるので、必要であればまたご意見をお聞かせいただきたいと思うが、それに基づくまだまとめが必要かと思う。

(構成員)17条関係だが、職場を探してもらう制度、これができないだろうか。というのは、強度のPTSDの方で、PTSDを治すには職業を探してあげることだということを私はお医者さんから言われた。職業につかない限りPTSDからは解放されない、こう言われたのだが、なかなか適当な仕事がない。そういうふうなところで、例えばパソコンを教えるとか、何かしたりして職業訓練をし、就職させるような方策をとっていただけたらと思う。

(構成員)制度的というよりも、むしろ個別のご相談の中だと思うが、ハローワークで個別、個別のご相談をさせていただき、訓練が必要ならば訓練を受けていただき、職業紹介、仕事を探して、仕事紹介して仕事に就いていただくと、そういうことを最大限努力させていただきたいと思っている。

(構成員)休暇制度のことで前向きにどうするというのがなかったので、1点だけつけ加えさせていただくと、年休をとるにしても、裁判に行ったり、医療にかかったりすればあっという間になくなってしまうから、これで済むというわけではなくて、検討していただくという点をはっきり認識していただけたらと思う。

(構成員)私も休暇制度が必要ないということを申し上げたのではなく、労働基準法の年休とはまた別の制度が必要ではないかということ。その制度を考えると、やはり犯罪被害者も権利利益なり犯罪被害者の救済をどうするかと、あるいは裁判所のあり方とか、犯罪被害者援助の観点から検討すべきではないかということで、いわゆる一般の労働者保護の観点とはちょっと違うのかなと。犯罪被害者保護という観点から検討すべきではないかということを申し上げたのである。

(構成員)一時保護のことで、住居の方は本当に国土交通省さんのご努力によって大変ありがたく思っている。一時入居したときのとりあえずの衣食住あたりである。それは厚生労働省さんとしてもほかのところで考えるというようなお話があったが、資料9の3、4枚目に、杉並区では、犯罪被害者等支援条例の制定に向けてということで、専門委員会が開かれ、その中では、被害直後には何らかの区役所の職員、あるいはホームヘルパーさんのような方たちがとりあえずは駆けつけて身の周りの世話をするというところも討論され、多分それも有効に動き出すのではないかと思っているので、またその点もご参考にしていただければと思う。

(構成員)先ほど16条と17条の論点の関係でペンディングにしておった2点について確認、ご意見を申し上げたいと思うが、一つは第16条の2つ目の論点であり、犯罪被害者等の被害直後に緊急入所して、とりあえず衣食住の確保や介護を受けられる場所及び生活の立て直しを図るための中期的な居住環境の整備という論点であるが、一つは児童相談所及び婦人相談所による一時保護の適正な運用に努めること。それからもう一つは現状について、必要な調査を行い、そして必要な措置について検討し、得られた結論を実施に移すというような形でいかがかと思う。なお、原則的な考え方として、特に大きな法改正とか、大きな財源の確保の問題等なければ1年以内に結論を得るということでいかがかというご提言を申し上げたいと思う。
それから、第17条の関係の休暇制度の問題だが、これについても先ほどご意見があったことを踏まえて、これについても必要な調査、休暇制度の問題について必要な調査を行った上で休暇の円滑な取得のためのさらなる施策が必要なのかどうか、そういったことを検討し、その結論に基づいて実施に移していくということでいかがかというふうに思う。なお、これについても大きな法改正、あるいは財源の問題がなければ1年以内に結論を得るということでいかがかと思う。

○ その他、第3回検討会においては、心理的支援や医学的な支援が話題になり、疾病面としてはPTSDないし外傷性ストレス障害が中心になってくると思われるところ、これに対応する厚生労働省の部局として、社会援護局の障害保険福祉部精神保健福祉課にもご参加願うことが提案され、了承。

○ また、5月17日に行った性被害・DV・児童虐待等に関するヒアリングで出された要望等については、改めて今後の検討会の中で適切な時期に取り上げていただきたいこと、また、各省庁におかれてはよろしくお願いいたしたい旨、事務局より発言。

○ 議論の後、犯罪被害者等施策担当大臣から、概略以下のとおり、締めくくりの挨拶があった。
「役所の方には、私が法案を読んだときに、これはもう相当なことを書いてあるな、やはり役所側は覚悟してかからなければいけないなと思った次第で、今日も聞いたが、今までのいろいろな枠組み、システムを縄延びしてという考え方ではなく、もう一度原点に立って考えなければいけないということがあるのではないか。延長線で考えているような発言が結構多かったので、そういう意味では、もう一度この法律を逐一読んでみると、かなり厳しいことが書いてあるから、それを覚悟で、もう一度、これからの計画づくりに当たっての各役所の心構えというものをつけていかなければいけないのではないかなと私が思っているということをお伝え申し上げたい。あとはとにかく時間が大変、恐らく毎回そうなると思うが、皆様方に引き続きご協力をよろしくお願いいたしたい。」

○ 最後に、座長より、ご議論いただいた結果については、事務局において骨子案(2)としてとりまとめ、次回の検討会までに構成員の皆様にお示しすること、次回の検討会は6月6日(月)午後2時から開催の予定である旨、発言。

(以上)

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