民間団体への援助に関する検討会(第9回)概要
日時: | 平成19年3月12日(月)15時00分~17時00分 |
場所: | 中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室 |
出席者: |
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座長 | 冨田 信穂 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 |
中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長 |
林 良平 | 全国犯罪被害者の会幹事 |
番 敦子 | 弁護士 |
荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 |
小田部耕治 | 警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 |
生嶋 文昭 | 総務省自治行政局自治政策課長 |
辻 裕教 | 法務省刑事局参事官 |
北村 彰 | 厚生労働省社会保障担当参事官 |
(議事概要)
○ 国による民間団体への援助の在り方について、援助の拡充方策の検討が行われた。主な意見は以下のとおり。
<犯罪被害者等早期援助団体(早期援助団体)及びその指定を目指す団体への財政的援助の拡充>
●都道府県警察費補助金の執行の促進
- 都道府県警察費補助金が都道府県の財政当局の理解が得られずに予算措置されていないのが問題ではないか。
- 知事部局では、犯罪被害者支援について、必ずしも地方公共団の仕事であるという意識があまりないのではないか。その必要性について、理解を財政当局に求めていかなければならないのではないか。
- 補助金等の執行を促進する、つまり、補助金の執行というのは、要するに事業に取り組むかどうかということなので、事業の取組を自治体に向けて促進するには、やはり研修を含めた普及啓発、これを都道府県、場合によっては市町村も含めてやっていく、この問題に対する理解促進をやっていただくのが先ではないか。
- 今の前提では、地方公共団体における取組のさらなる促進を図るのであれば、国からの助言と法律上は規定されているが、その形態の一つとして要請するという形態でやっていくしかない、その前提で取り組みを促進するには、やはり普及啓発、研修など理解促進が第一かと思う。
- 民間団体において知事部局に対して、警察庁から予算措置をしているので、これを実現できるようにお願いします、被害者支援はこれだけ大切なのだと、具体的な活動を示してアピールしていく。もちろん補助を求めることも大事であるが、自助努力なり広報啓発なりは必要なのではないか。
- 民間団体が知事部局に働きかけるといっても、これには限度があるので、内閣府、警察庁、総務省など関係省庁が後押しする仕組みをぜひつくってほしい。
●早期援助団体の指定を目指す団体への援助の拡充
- 早期援助団体に指定されると、危機介入であるとか付添いであるとか自助グループの支援に対する補助が受けられるが、現段階ではその指定を受けていない団体はこれが受けられていない。
- 目指す団体でも直接支援業務を熱心に取り組んでいるところもある、そういうものを含めて何ができるかということについては、(警察庁として)引き続き考えていきたい。
●傘団体(NPO法人全国被害者支援ネットワーク)への援助
- 現在、研修に対して、警察庁から国費補助が行われているが、それを広報啓発にも広げられないか。
- やはり研修という部分が非常に重要な部分を占めていると思うので、この研修の部分の充実なり援助という点で今後とも考えていきたい。
- 支援のための連携検討会において、この傘団体に支援員の研修とか、あるいは資格の認定みたいなことをお願いしようという提言案ができている。研修の標準的なプログラムのモデル案をつくり、それを周知するという業務があるが、傘団体と連携・協力するという方向で、それを通じて傘団体の業務の充実を図ることは、可能性としては考えられるのではないか。
- 傘団体である全国被害者支援ネットワークの大きな役割は、早期援助団体の指定を目指す団体にさまざまな支援をして、指定を受けられやすくしていく、そのための活動が必要である。その財政的援助も必要であるが、それ以外に活動ができやすくなるようなさまざまなサポートが、関係省庁から必要になってくるのではないか。
<早期援助団体及びその指定を目指す団体以外の団体への援助>
- モデル事業はすばらしいことで、重点課題にはなっているがなかなか実施されていない性暴力被害者に対する支援プログラムの立ち上げ等に大きな力を発すると思う。ただ、モデル事業の難点は期限があって、これが終わってしまった後の継続性をどのようにして担保していくかにあるのではないか。
- 何らかのプログラムを用意して、明確なニーズがあればそこに申請していくという形があるのではないか。
<警察以外の援助の経路の可能性・方策>
- 基本法、基本計画ができ、その中で地方公共団体の役割が非常に重要である。本当に被害者の方にとって身近な地方公共団体が、みずからも被害者の方と直接対応してきちんとやるということも大事であるし、また民間の支援団体と連携・協力をより一層強めていくことが、非常にポイントではないか。
- 知事部局と民間団体との連携・協力を促進するような取組を、これをモデル事業として国として設計して、これで進めていくことは非常に大事なことではないか。
- 国と地方公共団体との間で被害者支援に対する役割分担をはっきりしておくと、支援団体のやりようも出てきて、そこにもそれならこういう予算をつけられるのではないか。
- 地方自治体に対するガイドラインとまでは言わないが、どういうことをやるということについて、19年度予算でマニュアルをつくって自治体に配布しようと考えている。
- 知事部局における取組に対する地方財政措置は、標準的に自治体の業務として定着しているものに対してはなされるので、国との役割分担が明確になっていく中で、地方公共団体はこういう業務をやるのだと、それが一般化していくことが確認できれば、いわゆる地方財政対策の中に算入されていくことになると思う。
<管理運営費補助の可能性・方策>
- 設立そのものから一般財源でできないかというのは一般論としてなかなか難しいのではないか。
- 民間団体のメリットというのは、国や地方公共団体ができない柔軟性のある機動的な、あるいは個々の被害者の状況に応じた支援をする上で、やはり民間団体の役割は大事だと思うので、その柔軟性を残すためにも、国あるいは地方公共団体のお金で設立運営費まで全面的にみるのはなかなかきついのではないか。
- ほかに方策がないのであれば、やはり都道府県に対する要請のときに、支援センターの運営のかなり厳しい状況を説明する。民間浄財の活用や会員の募集などについて都道府県もバックアップするとか、そういう方策をやはり要請していくことしかないのではないか。
- 法令外負担金というか、県内の市町村から負担をしていただいて、これは管理運営に使える費用であるので、そういうやり方も一つの方法としてあるのではないか。
- 内閣府から地方自治体のガイドラインのようなものをつくるということがあったが、例えば公的な建物の貸与とかについて積極的に相談に乗ってあげてほしいというような形で、民間被害者支援団体が困っている点についてガイドライン等で示していただいて、非常に低額で使えるように、計らっていただけるように推進したらよいのではないか。
<民間資金の活用>
- 民間の資金は、先行きはわからない。例えば広く企業からの寄附とか、被害者支援がみんなにとって大事なことで、あるいは企業イメージのアップとか、そういうところをやはり社会で盛り上げていかないとなかなか難しい。
- 民間企業など、被害者支援との接点がなかなか見えづらいところがあるので、実はかなり密接に関係しているのだということを、いろいろな機会をとらえて説明して、理解を求めていく活動も大事なのではないか。
<基金構想>
- 公益法人に対する行政の関与の在り方や補助金等の交付により造成した基金等に関する基準が閣議決定され、総合的な見直しを行って行政改革を進めていく方針の中、新しく法人をつくったり、既存の法人に新しい業務を加えるのはなかなか難しいのではないか。
- 寄附の受け皿と、国からのお金ではどうしてもできない事業とかに対する助成として、基金はあった方がよいのではないか。
- 基金の役割としては、管理運営費、いわゆる労務費としての事業費的なものが基金から出たら大分違うのではないか、また、全国ネット加盟団体以外の団体への助成を強化できたらよいのではないか。
- 一般財源を投入することによって非常に活動の制限が強くなってしまうのではないか。企業寄附等を中心にした民間のみの財源で非常にフレキシビリティーの高いものの方がよいのではないか。
- 一般の財源を入れることが難しいのであれば、経済的支援に関する検討会で、民間の資金を受ける受け皿づくりということで検討されているならば、そちらに譲りたい。
- 全国被害者支援ネットワークが既存の傘団体としてあるので、ネットワークが自分の加盟団体に対する傘団体として基金的な機能を持てるのであれば、それもよいのではないか。
- 基金そのものに一般財源を入れてつくるのは、その有効性、必要性において疑問があるのではないか。どうしても受け皿みたいなものが要るのではないかということであれば、民間の既存の基金を活用する方法と、どうしても一般財源を入れるのであれば、独立行政法人みたいなところにお願いするしかない。
- 既存の基金等で候補になるのは財団法人犯罪被害救援基金とか、あとは法テラス(日本司法支援センター)が考えられるのではないか。
- 民間の浄財を得て、基金なりいろいろな活動を行うとなると、民間から寄附する場合に、インセンティブが働く仕組みがないと寄附は集まらないのではないか。民間の浄財の活用を考える場合には、受け皿をどこにするにせよ、基金にするにせよ、別の団体を考えるにせよ、税制上のインセンティブ的なものも併せて検討する必要がある。
○ その他
次回の民間団体への援助に関する検討会は、4月に開催予定。
(以上)