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民間団体への援助に関する検討会(第9回) 議事要旨


(開催要領)

日時:平成19年3月12日(月)15時00分~17時00分
場所:中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
生嶋 文昭総務省自治行政局自治政策課長
辻 裕教法務省刑事局参事官
北村 彰厚生労働省社会保障担当参事官

(議事次第)

1.開会

2.国による民間団体への援助の在り方について

3.その他

4.閉会


(配布資料)

資料1民間団体の現状と問題点等について[PDF形式:50KB]
資料2民間団体に対する国による財政的援助の現状について[PDF形式:16KB]
資料3援助の拡充方策検討のための論点について(案)[PDF形式:11KB]
資料4各種行政改革関連決定

4-1 公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画[PDF形式:32KB]

4-2 補助金等の交付により造成した基金等に関する基準[PDF形式:75KB]
資料5中間取りまとめに向けた たたき台等に対する各構成員意見資料

5-1 中島構成員資料[PDF形式:23KB]

5-2 林構成員資料[PDF形式:19KB]

5-3 番構成員資料[PDF形式:18KB]

5-4 警察庁資料[PDF形式:11KB]

5-5 総務省資料[PDF形式:10KB]
資料6警察庁資料[PDF形式:386KB]
資料7厚生労働省資料[PDF形式:206KB]
資料8全国被害者支援ネットワーク資料 [1][HTML] [2][PDF形式:81KB]
資料9中間取りまとめに向けた たたき台(第8回会合配布資料)[PDF形式:35KB]

○「民間団体への財政的支援」についての要望(特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワーク提出)




(議事内容)

○国による民間団体への援助の在り方について検討
援助の拡充方策の検討が行われた。概略以下のとおり。

(事務局)本日は、前回会合における議論、あるいは各構成員から後日提出された意見を受けて、事務局で作成した論点ペーパーをもとにご議論いただければと考えている。
 また、議論に入る前に、現在の国による財政的援助の状況や、あるいは行政改革の流れ等について、事務局より説明したい。
 資料を何点か配布しているので、簡単に紹介する。
 資料1は、前回会合で配布した事務局の資料に、前回の各構成員からの意見等を追記したものである。本日の議論の参考にしていただきたい。
 資料2は、民間団体に対する国による財政援助のイメージをポンチ絵にしたものである。後ほど説明したい。
 資料3は、先ほど申し上げた援助の拡充を検討するための論点について、ご議論していただければということでつくったものである。
 資料4は、各種の行政改革関連の決定である。後ほど説明する。
 資料5は、前回会合の終了後、各構成員から提出された意見である。
 資料6から資料9は、林構成員から提出依頼のあった資料である。
 資料6は、都道府県別の刑法犯の認知件数を罪種別に分類したもの。
 資料7は、厚生労働省における児童虐待関係支援団体への援助に関する資料。
 資料8は、全国被害者支援ネットワーク加盟団体の財務の状況、事業の実施状況に関する資料である。
 なお、交通事故被害者の支援団体に対する援助について国土交通省に照会を行ったところ、該当する援助はないという回答があったので、報告する。
 資料9は、中間取りまとめに向けたたたき台、前回会合に示した基金、援助の経路以外の部分についてのたたき台である。
 なお、全国ネットワークから要望書が提出されたので、別置きしている。
(構成員)事務局から説明があったように議事を進める。その前に、事務局資料以外の配布資料について、補足説明の必要や質問があればご発言願いたい。資料5については、現時点で特に補足説明しておきたいことがあればお願いする。資料6は統計資料であるが、警察庁で特に補足説明しておきたいことはあるか。
(構成員)ない。
(構成員)資料6であるが、各構成員から質問はあるか。
(構成員)資料7について、厚生労働省からご説明願いたい。
(構成員)資料7に関して説明させていただく。お手元の「厚生労働省資料」と題しているものである。厚生労働省が直接行っているものではないが、独立行政法人福祉医療機構がある。そこに、子育て支援基金がある。私どもが承知している範囲でどういうものがあるのかということであるが、独立行政法人福祉医療機構が高齢者、障害者、子育てについての民間福祉活動を支援しているという中の一環として、子育て支援基金がある。子育て支援活動の一環として、1ページの(5)にあるように、民間団体が行う児童虐待の防止活動についても、審査の上、助成金を交付している例がある。これはあくまで子育て支援を目的としているものである。その中の一環として、児童虐待に関する活動をしているところに対して、これは人件費の補助ではなく、また継続的な運営費の助成でもない、あくまで直接の活動に対する物件費等が対象になるようであるが、地方で活動しているところに対して助成する。これは、毎年、申請を募集して、その全体の中で審査した上で適切ということになれば、そのような助成をするものである。
 なお、DVの方は、子育て支援ということではないので、あくまでもこれは児童虐待で子育て支援基金の対象になっているということである。
(構成員)厚労省の説明であるが、この独立行政法人の基金の規模はどのくらいか。
(構成員)毎年、実際に交付されている金額はかなり違っている。これは、基金の果実として行っているもので、先ほど申し上げように高齢者、子育て支援、障害者という形全体で見て、年によって違うが、平成17年度でいうと37億円程度、これは高齢者、障害者、子育て、全部を含めてである。その中で、児童虐待についても、対象になるものが審査の上である。それぞれの助成の金額は、団体により、あるいは申請した審査の内容により違うが、例えば百数十万円という単位での助成が行われていると聞いている。
(構成員)(全国被害者支援ネットワークの)加盟団体に対して地方公共団体から財政的援助の額がどのぐらいあるかをお聞きしたい。
(構成員)そういうものは把握していない。
(構成員)次第の2、国による民間団体への援助の在り方について。これに関連して、事務局から資料が提出されているので、説明をお願いする。
(事務局)資料2、3、4について説明する。
 まず、資料2の民間団体に対する国による財政的援助の現状について説明する。
 縦方向が、早期援助団体、援助団体の指定を目指す団体、それからその傘組織、DV民間シェルター、自助グループ、その他団体と分けている。右側が活動の種類で、相談・紹介業務、危機介入業務等々となっている。
 この黄色い部分とオレンジ色の部分は、基本的に国による援助が既に行われている部分である。オレンジ色の部分は、実はピンク色の部分があり、これまでの議論あるいはヒアリング等を通じて、特に優先してというか、ニーズが高いではないかと思われるところをピンクで塗っており、ピンクと黄色の部分が一緒になったところがオレンジ色で、3カ所あるが、これが重なっているという意味である。
 それから、下の方のその他の団体に対するいろいろな援助は、現在のところ、ニーズはあるが、援助そのものはなかなか行われていないということを示している。
 右の方に、一時保護があるが、早期援助団体等については空欄になっている。実は19年度予算政府案では、警察から警察費補助金として3,200万円の補助金措置が行わる予定である。
 それから、一番右側が水色部分であるが、要は人件費であるとか管理運営、設立の支援経費であり、民間団体からのヒアリング等において、特に何とかならないかということで、これまでの取り組みではカバーされていないし、ご議論をぜひいただきたい。
 資料3は、前回の議論等を踏まえて、こういうことを論点として検討を行ってはどうかということで5点ほど挙げた。
 1つは、早期援助団体及びその指定を目指す団体への、既にかなりの部分、財政援助が行われているが、この拡充をどうしたらよいのか。その中でも1つは、もう既に補助金があるが、これがなかなか地方公共団体で予算化されていない、要は補助金を出しても空振りに終わっているのを、どう促進していくのかという論点があるのではないか。2つ目に、先ほどの資料2の部分でいうと、早期援助の指定を目指す団体の付添いだとか、あるいは自助グループ支援みたいな今援助の対象になっていない部分が特にそうであるが、これらについてもっと援助の拡充はできないのだろうか、早期援助団体を目指す団体が早期援助団体になるためのあるいは援助ができないのかどうかというようなことについてご議論いただきたい。それから、傘団体への援助も、今800万円ほどあるが、これはいわゆる全国ネットワークであるが、これに対してもっと拡充が何かの形でできないかをご議論いただければと思う。
 順番としては、早期援助の関係はかなりニーズも高いし、ある程度の援助も行われているが、それをどう拡充するかが1番目。前回の検討会において、警察が行っている援助以外の援助の経路ということで、この可能性・方策を探ってはどうか。具体的には、いろいろな方策があるので、後ろの方とも関連するところもあるかと思うが、特に2のところでは知事部局を通じた援助はできないのだろうか。これは、支援のための連携に関する検討会などでもそうであるが、地方に行くと、警察は頑張っているが、まだまだ地方公共団体の取り組みが弱いではないかという声がかなりあり、窓口がやっとできたぐらいということで、これを何とか身近な地方自治体にどういう被害者支援、あるいは支援団体支援をやっていただけるのか、そういう経路の可能性と方策についてご議論をいただいてはどうかと考えている。
 それから3点目が、いわゆる管理運営費について、ニーズはものすごく高いが、果たしてそういった援助をやるのがよいのかどうか、あるいはどういう方策であればできるのかといったようなことについてご議論いただきたい。
 4番目が、これはあまり政策にはならないかもしれないが、これまでも早期支援団体等もそうであるが、民間の日本財団といった企業の方からかなりの資金援助が得られており、日本財団からだけでもここ数年で各全国の支援センターに、合わせると2億円ちょっとの支援が行われており、民間団体の存在意義であるフレキシブルな本当にまさに民間の浄財であれば、管理運営費なども当然できるわけであり、そういったものをいかに調達していくのか、それについて国が何か応援できることはないのかを、ぜひご議論いただきたい。
 最後に、基金構想で、これはこれまでも議論に上がっており、経済的支援に関する検討会でも構想がある。経済的支援に関する検討会では、今の検討会の状況としては、あくまで民間の基金だけで一般財政を入れずに、公的な給付からこぼれる部分について、民間の基金、既存の基金にしかならないが、この基金を活用して本当に困っている被害者の方に直接給付をしたらどうかというような議論がされている。これは一般財源を民間の法人などに入れると、当然のことながら、使途ががちがちに決まってしまい、非常にフレキシブルな支援ができないという問題もあり、一応、経済的支援に関する検討会ではそうなっている。民間団体の援助を目指す場合に、基金がそもそも1から4のことをやって、さらに必要性があるのか、ニーズがあるのか、あるいは今言った、仮に必要であるということになれば、具体的な方策として、後ほど申し上げるが、いろいろな国の行革の方針などもあるので、そういったものの流れと考え合わせて、どういうことが可能なのかについてご議論賜ればと思う。
 この5点ぐらいで順番に議論していただけると、かなり詰まってくるのかと思う。
 資料4は、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」であるが、要は財団法人だとか社団法人という民間法人について行政がどう関与するのか、かなり改革が進められており、3ページをご覧いただいて、補助金等の見直しで、要は国の金を入れているときに、その公益法人がさらにもらった金を第三者に分配するのはおかしいではないか、これは見直しをやろうということがうたわれている。その下であるが、補助金依存型公益法人ということで、年間収入の3分の2以上を国の補助金で賄っているような公益法人、これもおかしいではないか、解消するために改善計画を立てようというようなことで、要するに好ましくない、官と民の切り分けをきちんとしようではないか、こういった閣議決定がなされている。
 次の4ページ、下の方であるが、公益法人が行っている事務・事業を国又は独立行政法人へ移管する場合には、既存の体制を合理的に再編する。どうしても、国又は独立行政法人でなければ、要するに国のお金で直接やることが必要だというもの以外はなかなか難しいということが書いてある。
 それから、10ページには、既存の補助金依存型、あるいは第三者分配型の法人について、新規発生防止のための措置ということで、原則としてそういう法人はつくってはいけないということがうたわれている。
 さらに資料の4-2で、補助金等の交付により造成した基金等に関する基準も閣議決定になっており、4つほど、この基金について基準があり、終了時期に関する基準、それから目標達成度の評価に関する基準、基金の保有に関する基準、使用見込みの低い基金等に関する基準、要は今の補助金によってできた基金についても、総合的な見直しを行って厳しく行政改革を進めていくという方針になっており、新しくつくる、あるいは既存の法人に新しい業務を加えることになりますと、この辺のクリアが必要になる。

●犯罪被害者等早期援助団体及びその指定を目指す団体への財政的援助の拡充について検討が行われた。概略以下のとおり。

(構成員)今の説明を基本的なものとして、これを参考にしながら進めていく。
最初であるが、早期援助団体とその指定を目指す団体への財政的援助の拡充についてご意見を伺う。
 先ほど説明があったように、資料2であるが、3つのブロックに分けて検討を進める。1つ目は、都道府県警察費補助金の執行の促進、資料2のイメージ図にある黄色い部分である。特に、黄色い部分とピンクの網かけ部分が重複しているオレンジ色部分について、対応策をどのように考えるかという問題である。
 2つ目は、早期援助団体の指定を目指す団体の援助の拡充、特にピンクの網かけになっている部分であるが、付添い、自助グループ支援などに要する費用への援助を拡充するためにどのような方策が可能であるかについての検討である。
 3つ目は、傘団体に対する援助を拡充するためにどのような方策が可能かの検討である。
 まず、既に都道府県警察費補助金により措置されている部分について、どのように考えるかご意見を伺う。
(構成員)意見ではなく、まず質問であるが、今までの会議の中でも、既にこれについては幾つか出ていたとは思うが、改めて確認の意味も含めて質問させていただく。
 一番の問題は、この都道府県警察費補助金の執行の促進とあるということは、今まで滞っていたという事情があるかと思うが、どういう理由でこれが滞っているのかについて、内閣府、警察庁、あるいは総務省にお伺いしたい。
(構成員)当方の補助金は、まず都道府県警察でそういう委嘱をする。それに必要な予算措置が、都道府県財政当局のご理解を得て予算化されて、初めて補助金が生かされていくという形であるので、都道府県の財政当局で予算措置がなされなければ、そういう形では使われていかないということである。
(事務局)これは質問であるが、今、現にどのくらい執行されているかというのは、おわかりになるのか。
(構成員)今は分からない。手元に数字がない。
(構成員)予算措置がなされないということが、今、一番の問題である。そうすると、なぜ予算措置がなされていないのか。
(事務局)先ほども申し上げたが、やはりまだ知事部局では、犯罪被害者支援について、必ずしも自分のところの仕事であるという意識があまりないのではないかと実は危惧しており、それは支援のための連携に関する検討会、あるいは各種のヒアリングを通じても、あるいは調査したときに回答率が非常に悪い、やはり警察が今まで一生懸命やってきたが、これはどうしても警察の仕事なのだという意識が非常に強いのではないかと懸念している。また、その必要性について、理解を財政当局に求めなければいけないが、その辺についてもなかなか十分な理解が得られていないのではないか、私の拙い記憶では、予算化はまだ半分ぐらい、半分ちょっとだったかもしれないが、そういう感じで思っており、被害者施策の責務を持っているわけであるから、やはり地方自治体、知事部局のその辺の認識を、内閣府としても、窓口の設置を初め少しずつ要請し、会議なども開いてやっているわけであるが、さらにこれを強力にやることが、ひいては援助の充実にもつながるのではないか、予算化にもつながるのではないか。この辺のところが、まだまだ足りないのかと考えている。
(構成員)前にも質問したが、シェルターの話で、厚生労働省が虐待の方でするのがあるが、例えば性犯罪の被害者の人とか、この一時保護というのは非常に大事である。これがまだ使われていない、これからやはり行ってほしい。基本法、基本計画ができる前とできた後では支援の在り方が違うということを、やはり支援団体そのものがもうちょっと考えないと、この間出てきたネットワークのいろいろな資料を見ても、どこにやっているか、非常にばらつきが多い。罪種別にどういう対応をしているかというのも、やはり読み込めない。広報啓発を民間団体がやるよりは、やはり内閣府とか、そちらでやった上で、民間団体がこんなところに使うよりは、自助グループの支援とか付添いとか、危機介入は、どういうことをやるのかもよくわからないので、具体的な需要は何かということをまず考えていただいて、そこをもうちょっとやりなさいと後押しすることも大事だと思う。法テラスの方でも、法律のあれもするけれども、ここでもできるようにとか、いろいろなもっと必要な政策を打ち出して民間団体がやっていかないと、民間団体に対する不信感というのも、結構、被害者からは多い。それをなくするための何か方策を、民間団体も考えなければいかないし、私たちもきちんと示していくということが大事かと思っている。中身を考えていただきたい。
(構成員)結局、都道府県が予算措置しないということで現実に執行されていないということになると、例えば都道府県警察の補助金、そういう形でできたものは流用されてしまっているのか、ほかのところに使われてしまっているのか。
 もう1点、この相談・紹介とか危機介入とかのどの部分が対象となっているのか。例えば、相談といったら、弁護士だと日当になる。例えば付添いのときの交通費とか、茨城の支援センターの○○さんが「ガソリン代がかかります」とかと言われていた、そういうところなのか、だから、人件費には全然回らない部分という理解をしていればいいのか、具体的に教えていただきたい。
(構成員)各県で予算措置されなかった場合には、県警に対する補助金全体の中で、各県警で適切な執行方法を考えていると思う。
 それから、相談とか危機介入の関係で、交通費とか、そういうものが出ているかということであるが、個別の直接支援ごとの交通費という形では出ていなかったと思う。基本的に、業務を委嘱した場合には委嘱費など、何件ぐらい相談があるだろうという形のもとに考えられていたように記憶している。
(構成員)ある程度、相談事業の中での使い道は、比較的自由になると考えてよいのか。つまり、人件費等の部分とか何かに行っているものは、相談なら相談事業の中でということであるが。
(構成員)それは、相談に従事する方の謝金なりに当てられている必要はあると思う。
(構成員)今のお話だと、都道府県の側からの予算措置がなくて、実際使えていない。その予算措置がつかない理由は、都道府県の経済状態の問題にあるのか、あるいは都道府県の方も、つけようとしたところで、民間被害者支援団体がそういったものを要求していないとか、こういうことが必要だという訴えがなければつけられない、よくわからないためについていないのか、情報が入っていればお伺いしたい。
(構成員)総務省で全部把握しているわけではないが、まず1つは、確かに財政面で自治体は大変厳しい状況にあることは事実である。今回の話題になっている補助金は、いわゆる奨励的補助金であり、執行を義務づけられている法定受託の事務であるとか、法令で根拠が明確になっている事務ではないので、自治体によっては財政面の理由でそれをつけていない場合があるかもしれない。ただ、金額的には何億円とか何千万円という話ではないので、やはり今、構成員がおっしゃったとおり、何をしたらよいのかわからないという面が多々あるように思っている。そういう話を聞く。
 結局、総務省から、これまでの会合でも何回も申し上げているが、こうした犯罪被害者対策は、自治体も何かをしたいと非常に思うような分野である。非常にシンパシーを持って対応しておられる方も多いが、問題は、例えばこうした補助金の対象となる事業がどう行われているかということを、知事部局、首長部局で把握しているセクションが通常はない。恐らく県内でも、何かを考えようと思えば、公安委員会なり警察にお聞きして検討するしかないだろうと思う。日常、そうした機会がないと思う。
 そこで、こうした補助金等の執行を促進する、つまり、事業の取り組みを自治体に向けて促進するには、研修を含めた普及啓発、これを都道府県、場合によっては市町村も含めて、自治体、地方公共団体に向けてやっていただいて、この問題に対する理解促進をやっていただくのが先ではないか。今、取り組みの進んでいる自治体というのは、ご理解されている自治体だと考えている。
 いずれにしても、もし全国一律に何か自治体に事業をさせようと思えば、これは法律で定めるしかないというのが今の制度になっているので、法改正などをして根拠づけて、法定受託事務にして国費で措置すれば、一律にどの団体も義務づけでやらせることができるが、これは立法の問題になる。今の前提では、取り組みのさらなる促進を図るのであれば、国からの助言の一つとして要請する、お願いしていくという形態でやっていくしかないので、その前提で取り組みを促進するには、やはり普及啓発、研修など理解促進が第一かと思う。
(構成員)被害者からの推測ということで、繰り返して言うが、これが使われていないというのは、基本法、基本計画ができる前には、例えばシェルターとか、要は施策がないわけであるから、今までこういう民間団体がやっていたことは電話で聞きましたよと、それでもう終わりである。あとは、支援をちょっとやるというか、付添いをやる、支援傍聴をやる、それぐらいしかなかったわけで、基本法、基本計画ができたら、例えば大阪府では、「既に家を予約しましたよ」と。そうしたら支援相談員の人たちも、「こういうケースではこういうところを紹介していきましょう」という次の新たな施策が出てくると思う。これまでそれがなかったわけであるから、基本法、基本計画でそれができたと。それはまた、市町村レベル、都道府県レベルではこういう取り組みをやりますよという具体性が出てくれば、支援する団体もこれからそれに対してはこうしましょうという具体的な次の支援の有りようが出てくると思うが、そこの部分がないままずっと議論しているから、空回りしていると思う。全国均一でということは、市町村レベル、都道府県レベルで条例を作って、それに対して支援団体が何をするかという選択肢がふえてくれば、被害者に対して非常に資する政策になってくると思う。今まで政策がなかったから予算措置がなされていなかったのではないか。
(構成員)今、早期援助団体について議論されているが、早期援助団体の活動については、犯給法の23条で、相談事業、広報啓発、それから物品の供与、貸与、役務の提供、申請補助と規定され、仕事すること、やるべきことはかなり明確になっている。したがって、それについて警察庁から補助が対応する形でついているわけである。その点は、かなり明確である。
 ただ、先ほど来出ているように、それについて地方公共団体からの予算化がなされていないので執行されていないということになっている。ではどうするかというと、地方公共団体に義務づけることは、立法すれば別であるが、制度上できない話なので、そうなると、やはりこれも出た話であるが、民間団体で知事部局に対して、こういうことで必要なので、せっかく警察庁から予算をつけてくれているので、これをちゃんと実現できるようにお願いします、被害者支援はこれだけ大切なのだと、具体的な活動を示してかなりアピールしていかなければならない。今まで民間団体で十分できていなかったのではないかと思う。もちろん補助を求めることも大事であるが、自助努力なり広報啓発なりは必要なのではないかと思っている。やるべきことは、明確になっていると思う。
(構成員)ここの検討会で言うべきなのは、民間団体に啓発しろということではなくて、国が何をするかということだから、国がその後押しをするために何ができるか、それが検討課題である。民間の方たちは、恐らくそんなことをする暇がなくて、一生懸命やっている。例えば法改正をしなければ無理だというなら、では法改正すればいいと思うが、それがどうしても今できないということであれば、やはり要請を強く求める。それは、基本計画ができたということで事情が違うわけであるから、その要請の仕方をどうするかとか、創意工夫が必要なのだと思う。本当に各都道府県が対応は別々であるし、地方分権の流れが1つ大きくあり、なかなか国が上から物を申したところでということはあるにせよ、やはり警察庁、内閣府が一緒になって、いろいろ要請を強くしていくことは大事だと思う。もう要請しかできないということであれば、ではそれを強くやって、できる限り聞き届くような形での何か広報啓発を考えなければいけないのかと思う。
(構成員)民間団体が知事部局に働きかけるといっても、これは限度があるので、やはりこれを内閣府なり警察庁なり、総務省もそうだと思うが、関係する省庁が後押しする仕組みをぜひつくってほしいというか、期待したい。
 最初の議論は、大体意見の一致を見たかと思うので、次に早期援助団体の指定を目指す団体への援助の拡充へ進みたい。ピンクの網かけの部分であるが、付添いだとか自助グループ支援に要する経費について、だれがどのような形で援助することが必要か、また可能であるのかについてご意見を伺いたい。
(構成員)これが一番難しいところの一つではないかと認識しているが、この図を見ると、早期援助団体に指定されていると、危機介入であるとか付添いであるとか自助グループの支援に対する補助が受けられるが、現段階ではその指定を受けていない状態ではこれが受けられていない。しかしながら、早期支援団体を目指そうとすれば、こういう活動を推進しなければならないという非常なジレンマに陥っているのではないか。
 警察庁に対するご質問であるが、指定を目指すといったレベルでは、やはりこの危機介入、付添い、自助グループ支援等に対する資金援助は、現状では難しいものなのか。
(構成員)表にあるとおり、この直接支援業務については、現在、早期援助団体に対して行っており、目指す団体に対しては行っていない。目指す団体がこういった直接支援業務を適正にできるかどうかということも、恐らく当時、こうした要求をする中で一つの議論になって、今の形になっているのだとは思う。
 ただ、目指す団体の方でこうした取り組みを熱心にやっておられるところも随分承知しているので、そういったことについても、当然、過去からも考えているし、そういうものを含めて何ができるかということについては、引き続き考えていきたい。
(構成員)このピンク色になっている部分も、都道府県警察補助金等の対象になれば、1つは解決できる要素になるのではないかということが1点。また、これは早期援助団体の指定を目指すということからは少し外れるが、今回はここに入っていないが、全国ネットワークに属さない他の団体が活動したいといった場合に、例えば警察からだけではなくて内閣府等から、こういうものを目指すという団体に関して一つの研究的な試みに対するモデル事業への支援といったような形で助成を行う仕組みは可能かどうかということである。
 それをなぜ申すかというと、私は、内閣府の交通事故被害者支援事業の委員をしており、そこでは支援事業に対するモデル事業に対して助成がなされたわけである。それは、例えば自助グループを立ち上げるということ。そうすると、そうした形で研究的な新しく立てるものについての内閣府など警察庁以外の助成も可能なのではないかと少し思ったので、もし内閣府から、そういった可能性についてご意見等があればお伺いしたい。
(事務局)大事なところなので意見を述べさせていただきたい。先ほど、警察庁から、ピンク色の部分も検討したいという話があった。ここは物すごく大事だと思っており、実は警察がやらないのであればどこかほかのところでとも考えたが、よくよく考えると、早期援助を目指す団体であるから、これはどうしても警察にやってもらわないと、どうも理屈がどうしても通りようがないと考えており、ぜひ前向きなご検討をお願いしたい。
(構成員)資料を見ると、目指す団体でも、直接支援というのは危機介入、付添い、自助グループ支援、この3つを言うのか。直接支援費とかといって支出合計を出しているところが結構ある。要は、早期支援団体に認められると、警察からの情報が来るということと、もう一つ、いわゆる犯給法に基づく申請を代行できるという、その2点である。でも、犯罪が起こったときに新聞に載り、結局、そのルートで被害者とめぐり合うことができて、付添い支援とかをやっている場合があるわけである。実際そういうものは、前も言ったように支援傍聴に行ったりしているわけであるから、別に早期、早期と言わずに、どんなの支援があるのかはっきりしてほしい。でも、事実上、付添いは結構やっているのではないかなと思っている。
(構成員)早期援助団体の趣旨は、被害直後の混乱している方は、やはりどこへ行ったら支援を受けられるかわからない。それから、どんな場合でも必ずしも周りから支援を申し出る人がいるとは限らない。そこで、警察が、こういう支援をするところがあると紹介するところなので、それに応じて民間団体が支援に赴くという仕組みで、それはそれで非常に大きな役割を果たしていると理解している。
 構成員に対して回答になったかどうかはわからないが、この点については、早期援助団体を目指す団体に対して、我が国の支援のレベルを上げるためには、この数がふえることが非常に大事なことだと思うので、そういうことを目指している民間団体に対して、財政的には難しいところはあるかもしれないが、申請のためのノウハウであるとか、あるいは規定の整備であるとか、そういう実質的に立ち上げを支援するようなことも、あわせて必要だと思う。
 ただ、早期援助団体の指定を受けるハードルはかなり高いが、これを下げるのは支援の水準も落ちることになるので、やはり現状を維持すべきだと個人的には考えるが、やはりその指定を受けるためのノウハウというかサポート体制を、もう少し充実していただきたい。財政的援助だけの話ではないが、意見を述べさせていただいた。
(構成員)次に、傘団体、umbrella organizationへの援助、民間団体のいわば上部団体への援助であるが、これもお手元の資料でオレンジになっているように、警察庁から国費補助が行われているが、さらにだれがどのような形で援助することが必要なのか、あるいはまた可能であるかについてご意見を伺いたい。
(構成員)この表を見ると、研修等というところで、「等」というのがどこまで入るのかよくわからないが、例えば広報啓発というところにまで広げてもいいのではないか。恐らく上部団体である全国ネットなどは、これからは体制がさらにしっかりしてくる、傘団体の体制がしっかりしてくればくるほど、またそこに参加、加盟してくる団体がふえたり、あるいは全国的な展開が非常にスムーズにいったり、あるいはまた新たなお金の流れができるようになったりということが考えられるので、ここには現状以上に手厚くする方策、広報啓発も含めるとか何かそういう配慮によって、あるいは研修等のところについてもう少し厚くするということは考えたいと思うが、このルートでなければやはりだめなのか。というのは、立場が傘団体であるので、もう少し違うルートでできる可能性はあるのかという、そこがわからない。
(構成員)それ以外のルートで、可能性としては別の意味合いで、この研修とかでない何か別の意味合いをつけてということが考えられるのであれば、と思う。今日の論点のもう少し先の方でお話が出るのかもしれないが、それも考える。
(構成員)後半の部分は、警察以外のということで議論になるかと思う、前半部分について警察庁から何か。今、研修についていると。これ以外のところにまで、傘団体に対する補助みたいなことは考えられるのかどうか。
(構成員)今年度、この研修に国費をつけているが、やはり研修という部分が非常に重要な部分を占めていると思うので、まずこの研修の部分の充実なり援助という点で今後とも考えていきたい、今の時点ではそう思っている。ただ、具体的に何かがあるわけではない。
(事務局)これは、実は支援のための連携検討会において、この傘団体に実は支援員の研修だとか、あるいは資格の認定みたいなことをお願いしようということで、一応、提言案ができており、そういう場合に研修の標準的なプログラムのモデル案をつくって、それを周知するという業務があるが、これについて傘団体と連携・協力するという方向で、それを通じて傘団体の業務の充実を図ることは、可能性としては考えられるのではないか。
(構成員)全国ネットワークの体制については、全国ネットワークから要望書が出ており、それを見ると、全国ネットワークがいろいろな活動をする上で一番必要なのは、スタッフと場所の問題で、いろいろな研修をやっていただくにせよ何にせよ、その部分が強化されないと、お金だけおりても動けないという非常に困った状況が生じるのではないかということがある。非常に重要な機能であるから、できるだけ全国ネットワークについてはそれができるような支援体制を組むことは重要かと思う。その意味で、構成員が言われたように、研修等だけになっているが、広報啓発とか、先ほど構成員からお話があった早期支援を目指すように促進するという機能が、まさにこの全国ネットワークの機能になるかと思う。そういった事業費を「等」という形で含まれるかもしれないが、ここで申請できるような形になっていればよいのかと思った。
(構成員)私見であるが、この傘団体である全国被害者支援ネットワークのかなり大きな役割は、やはりこの早期援助団体となろうとしている団体にさまざまな支援をして、指定を受けられやすくしていく、そのための活動が必要だと思うので、その財政的援助ももちろんそれには必要であるが、それ以外に活動団体の方ができやすくなるようなさまざまなサポートが、各関係省庁から必要になってくるという意見を持っている。

●警察以外の援助の経路の可能性・方策について検討が行われた。概略以下のとおり。

(構成員)資料3、2の警察以外の援助の経路の可能性・方策を議論する。
 ここでは、警察以外の援助の経路として、まず国レベル、関係省庁それぞれで何ができるのかが1つあると思う。それから次に、地方公共団体レベルで、警察以外の知事部局や市町村で何ができるのかという点についてご議論いただきたい。また、その中で早期援助団体や早期援助団体の指定を目指す団体以外の団体について援助の在り方をどうするか、ご議論いただきたい。
 なお、民間レベルについては、論点ペーパーの4、民間資金の活用方策でご議論いただきたい。
(構成員)これを見ると、やはりどうしても民間団体といっても、要は早期援助団体、こちらばかりであるが、ここの2の言葉もそうであるが、「警察以外の援助の経路の可能性」という言葉は、要は地方自治体、知事部局、市町村が、やはり結局これは援助団体にどうするかという経路の話になってくるわけである。大阪府の知事部局の「安全なまちづくり推進課」がつくった指針があり、非常に大事なことであるが、大阪府では取組指針に、民間団体への連携と援助ということを書いてある。前から言っているが、警察中心の支援だけでいいのかということである。これは両方合わせて検討しなければならないのに、何かこちら側ばかりやっている話だと思う。平行して、やはり知事部局もどういうことができるかを考えてもらわないと、前にも申したが、被害者にはいろいろなタイプの人がおり、警察だけのことばかりを考えても、被害者の援助に関して広がりが出てこない。そこも考えた上での議論にしていただきたい。
(事務局)先ほど来話が出ているが、いつも構成員が言われるように、やはり基本法ができて基本計画もできたわけであるから、その中で地方公共団体の役割が非常に重要だと考えており、国はもちろん非常に重要な役割があると思うが、やはり本当に被害者の方にとって身近な地方公共団体が、みずからも被害者の方と直接対応してきちんとやるということも大事である、またそういう民間の支援団体について、これと連携・協力をより一層強めていくことが、非常にポイントではないかと考えている。
 先ほど、構成員から、何かそういうモデル事業みたいなものをどうかということで、国で全部こういうものをやれといってなかなかできない、どうしてもモデル事業みたいな形、モデル事業は箇所数が限られて、しかも年が限られるという制限はあるが、何とかそういったものの可能性はないのかと。これは別に内閣府に限らない、各省庁、あり得ると思う。それぞれの立場で、知事部局の福祉部局もあるからそういったところで、それぞれの団体とどういう連携が可能なのかについて、知事部局と民間団体との連携・協力を何か促進するような事業を組んでいただければ、これをモデル事業として国として設計して、これで進めていくことは非常に大事なことではないかと考えている。
(構成員)そのイメージとしては、そのモデル事業をする民間団体、最終的にはそういう団体になるのであろうが、そこに直接行くお金ではなくて、地方に入るわけか。私が経験したのは、実はDVで加害者更生プログラムがあり、千葉県と東京都に対し、モデル事業的に予算をつけて、内閣府から委託したというケースがある。そういうような形と考えればよいのか。
(事務局)もちろんモデル事業であるから、国が直轄でやるような、あるいは地方公共団体のお金と一緒になってやるような形になる。そのときに、連携・協力のための事業がやはり必要であるから、その中で、民間の団体にはこういうことをやってもらうということになる、その中でお金が流れていくと。先ほど、構成員からもあったが、例えば何か事業をやるときに、このときにはやはり人が必要だと。この事業をやるについてこういう非常勤の人が要るという話になれば、それは事業としてその分を連携・協力事業の枠組みの中で提供する、これはいろいろな別の方面で前例もあるので、そういった形で全部が民間団体に直接行くわけではないが、事業の中で民間団体にもお金が回る仕組みは可能ではないか。いろいろな組み方があると思う。
(構成員)その場合、ぜひ予算措置をしていない地方自治体を選んで、連携と広報を兼ねてやっていただくとありがたい。
(構成員)このモデル事業は、かなり魅力のあるというか、これからも継続して検討していく必要があるかと思う。
(構成員)構成員が言われたが、国としては大まかな目標を示して、都道府県レベル、市町村レベルで具体的な話をするという話があり、今後の知事部局は、多分そういう形になってくると思う。これから知事部局と市町村レベルとの役割分担はどういうことになるのか、やはりここら辺を明確にしないと、市町村レベルと都道府県レベルでの支援が何かごちゃごちゃになってしまうような部分があるが、そこら辺の役割分担はどうなるのか、教えていただきたい。
(構成員)これは、私も同じことを考えており、基本法でも地方公共団体の責務は書いてあるが、その中で都道府県と市町村のそれぞれの役割というか、そこがどう分担していくのか、あまり見えていないようであるが、その辺について、何か内閣府であればお教えいただきたい。
(事務局)確かにあまりはっきりしていないが、いずれ市町村も一番の基礎自治体として、大変大事である。
 ただ、現段階では、まず都道府県レベルで何とかやり、福井県みたいに市町村の担当窓口を決めて会議などをやっているすばらしい取り組みをしているところもあり、そういったことにいずれはなっていくと思うが、とりあえず国レベルで何か事業を起こす場合には、市町村も入れた方がいいと思うが、そういう形でやはり徐々に組み込んでいくということが現実的かなとは思っている。
(構成員)まさに同じこと。本当の窓口は都道府県レベルより、直接窓口は市町村レベルであるから、ここの役割がどうか、それでは都道府県ではどうするか、国はどうするかということを、下から行った方が早いような気もする。そういう取り組みと具体的な施策を、やはり「責務」と書いてあるわけで決めてもらえれば、支援する人たちの取り組みにバラエティーも出てきて、もっと充実した支援が出てくると思う。そこをはっきりせずに、援助の在り方や仕組み、ルートがどうだと言っていても意味がない。やはり国と地方自治体、都道府県の被害者支援に対する役割分担をはっきりしておくと、本当に援助団体のやりようも出てきて、そこにもそれならこういう予算をたくさんつけられるぞという、国民の総意にも納得し得るものが出てくると思う。その具体性がないままお金をこうしましょうと言っていても、何かよくわからないまま進んでしまうような気がするので、やはりできたら役割分担をもうちょっと具体的にしてほしいと思う。
(事務局)その辺が、一番やはり問題のところで、実は地方自治体に対するガイドラインとまでは言いないが、どういうことをやるということについて、これは19年度予算で予算をとってつくろう、マニュアルをつくって自治体に配布しようというようなことで進めている。要は全体で被害者支援が盛り上がればよいのであって、必ずしも市町村がどう、都道府県がどうということはあまりないと思う。いずれにしても、一番身近な自治体としての市町村の役割とか、あるいはそれを包括する団体としての都道府県の役割とか、支援のための連携に関する検討会でも検討されているが、今、支援協議会ができている。警察署単位で大体できている。これは、ばらつきもいろいろあるが、この連携方策をどうするか、協議会の中には必ず市町村が入っているから、まさにそういう一番身近な基礎的な自治体レベルでの連携・協力、これを推進するための仕組みと財政的な在り方というので、この検討会では財政的にどう援助するのかということではないかと思う。
(構成員)先ほど来、知事部局に向け取り組みの促進の重要性が指摘されているが、この知事部局が独自に実施する民間団体への援助だとか業務委託に対して、地方財政措置の可能性があるのかどうかについて総務省にお伺いしたい。
(構成員)地方財政措置は、標準的に自治体の業務として定着しているものに対してはなされうるので、国との役割分担が明確になっていく中で、地方公共団体はこういう業務をやるのだと、それが一般化していくことが確認できれば、いわゆる地方財政対策の中に算入されていくことがありえると思う。
(構成員)早期援助団体あるいは早期援助団体を目指す団体以外について、まだ議論がなかったが、資料2の図の一番下であるが、これについて何かご意見はあるか。
(構成員)今までの議論にもダブるところがあると思うが、私も知事部局が、この点においても重要な役割を果たすのではないかと思う。モデル事業は大変すばらしいことで、特に重点課題にはなっているがなかなか実施されていない性暴力被害者に対する支援プログラムの立ち上げ等に大きな力を発すると思う。構成員からも話があったように、モデル事業の難点は期限があって、これが終わってしまった後の継続性をどのようにして担保していくかにあるのではないか。
 例えば、1つの例では東京医科歯科大学に心的外傷ケアユニットがあるが、これは研究費が終わると終わってしまう。非常によい活動をしていても、それで終わってしまうという非常に残念な結果が出ているので、このモデル事業の後も継続性を維持するための方法として、やはり知事部局を通して都道府県からよい活動を支援していくことが必要である。早期援助団体等を目指す団体等以外についても、こちらの方から支援していただくのが一番妥当なのではないか。
 その意味でも、例えばドメスティック・バイオレンス施策が非常に有効に機能した一つの理由は、知事部局の男女共同参画というセクションにうまくおりたということがあると思う。だから各都道府県にそういうおさまりのよい部局を、ぜひ内閣府の方で推進していただけたらよいのではないか。
(事務局)全くおっしゃるとおり。今は、まだ窓口ができましたというぐらいのところが多いが、これを何とか促進して、そのためには、先ほど総務省から心強いお言葉があったが、何とか財政措置みたいなものをやはり講じないと、なかなか裏づけがないこともあるので、知事部局独自の措置をいかにたくさんやってもらうか、それを国として、今は補助金の時代ではないので、どう支援していくのかが、やはりここでの一番の鍵ではないかと思う。
(構成員)その中に、早期援助団体、あるいはそれを目指す団体以外も同じように考えて、何らかのプログラムを用意して、明確なニーズがあればそこに申請していくという形があるのではないか。
(構成員)今、民間団体はこちらにあるが、その次の別の団体がどうするかというと、なかなか具体的にはあるようでない。前にも言ったが、やはり大きな目で見て、いろいろなシステムが動いた後に、また新たな民間団体、支援団体ができて、それが知事部局の目にもかなうもの、警察の目にかなうものであれば、それでやはり育てていく。それが、ネットワークを通じなくてもその他の形でできるような大きなものを後で考えていけるわけであるから、ここで急に決めなくてもいいと思うが、その道だけは残しておいてほしい。
(構成員)犯罪被害者一般の支援であればそうであるが、女性の性被害の支援はもう古くから歴史がある。救援センターとか、歴史のあるところがあったり、DVの被害など、やはりずっとやっている民間支援団体があったりするので、モデル事業などについては早期援助団体を目指す団体以外の団体も認定されるような形にしておいていただきたい。DV防止法について考えると、配偶者暴力相談支援センターをつくれというような形で中身が決まり、その改正によって、市町村もそういう支援センターができるとしたところで、市町村もやらなければいけないので、だんだん都道府県から市町村に移譲するという動きが、今、あるわけである。やはり先ほどどういうことに取り組むかというガイドラインをつくると言われたが、そういうことをやはりきちっとつくって、何をしてほしいか、それをきちっと都道府県に示して、そこから今度は市町村に流していくしかないと思う。

●管理運営費補助の可能性・方策について検討が行われた。概略以下のとおり。

(構成員)次の項目、管理運営費補助の可能性・方策について検討する。資料の一番右側の青の部分であるが、この点についてのご意見を伺いたい。
(構成員)私も、資料5-3で意見を出した。この意見は、日弁連の犯罪被害者支援委員会の意見ということで、意見を聴取してつくったものである。日弁連の当委員会には、民間団体に携わっている弁護士も数多くおり、やはり管理運営費関係について、自助努力とは言われるが、相当やっている、それを、自助努力でそこは勝手にまずやりなさいと言われて突き放されても、非常に大変な状況である、早期援助団体をみんな目指しているが、なかなかそれがそのレベルまで達しないのは、管理運営費の問題であるという意見が非常に多く出た。
 その方策として、私は基金だとかいろいろな方法を考えて、何とかそこに回すことができないかと切に願っているが、例えばモデル事業みたいな形でそこまである意味では敷衍して使えるのかどうか、あるいはそこに賄えるのか。それができないとなると、先ほど資料4で、基金はだめだということが出ているように思われて、あるいは民間のお金を相当つくって、それを主体とした基金にしなければいけないということになると、非常に難しいように思う。
 そうであれば、逆に方策があるのかを伺いたい。今まで言っていたいろいろな策以外にあるのか。例えば、モデル事業みたいな形にすれば、ある程度そこは可能性があるのかとか、補助金ではできないということ、このプログラムに絡むことはわかったが、それを伺いたい。
(事務局)そもそもの考え方で、やはり民間団体があって、それをいかに公が支援するかという話であり、この水色の部分について、要は設立そのものから一般財源でできないかということについては、モデル事業の組み方がいろいろあるとはいっても、一般論としてはなかなか難しいのか。どうやったらできるのかと言われても、よくわからないが、絶対できないことではないと私も思う。要は、今でも支援センターをつくるときに、ある程度、民間の浄財に加えて、地方公共団体が現に支援した例もあるので、そういう形で、やはり自助努力という言葉は当然であるが、まずそういうものがないと、丸抱えでやると、結局、ご案内ようにまたもとに戻って、それは国がやる話ではないか、あるいは独立行政法人の話ではないかとなってしまう。そうなるとまたフレキシビリティーが失われるし、ちょっと変ではないかと。やはり、あくまで民間団体のメリットというか、私は、国や地方公共団体ができない柔軟性のある機動的な、あるいは個々の被害者の状況に応じた支援をする上で、やはり民間団体の役割は非常に大事だと思うので、その柔軟性を残すためにも、後で出てくるかもしれないが、ある程度、民間資金のこれをまずやらないと、それを国あるいは地方公共団体のお金で設立運営費まで全面的にというのはなかなかきついのかなと個人的には思っている。
(構成員)どこでも丸抱えにしてもらえるとは思っていない。そこだけは訂正する。
 ただ、一部を負担するという形はできないのかと言われていたが、例えば都道府県レベルで支援するというときには、可能性としてはないことはないのではないか。設立というか運営に関して、例えばその都道府県に1つしか支援センターがないというようなことになった場合に。
 そうすると、ほかに方策がないと言われるのであれば、やはり都道府県に対する要請のときに、支援センターへの援助ということを、運営もかなり厳しい状況であると、民間のそれこそ浄財とか、少ない会員の会費とかに頼っているわけで、会員の募集などを都道府県もバックアップするとか、そういう方策をやはり要請していくことしかないか。
(構成員)今のお話を伺い、私が関係しているが、地方公共団体からの財政の予算措置が講じられなかったということで、どういう手を打ったかというと、市町村レベルの被害者支援連絡協議会に働きかけをして、そこから民間団体に対する人口に応じた負担金というようなものをお願いして、法令外負担金というのか、よくわからないが、市町村に負担していただいて、それはかなり自由に、使途が制限されていないということで、ほぼ県内全部の市町村から負担をしていただいたことがあって、これは管理運営に使える費用であるので、こういうやり方も一つの方法としてあるのではないかという気はする。それがすべてだとはもちろん思っていない。
 それから、話は違うが、法務省に伺います。贖罪寄附を民間団体支援に活用できないかどうか、この辺の可能性についてお聞きしたい。
(構成員)贖罪寄附というのは、罪を犯した人が罪の贖いの証として民間団体に寄附するという形であるので、受けられたものをどのように使われるかは、それを受けられた民間団体で決めになることであり、それを少なくとも我々の方でどうしろ、こうしろというのはなかなか難しいかと思う。
(構成員)それについて、今、法務省で資料的に何か、どの程度贖罪寄附があって、どんなところにどのように使われているというようなデータはお持ちか。
(構成員)少なくとも、いまは手元にない。
(構成員)今まで贖罪寄附は、法律扶助協会が受け皿になって、それで証明を出していたが、今後、法テラスがこちらにと言っている。それから、弁護士会が、日弁連でも各単位会でもいいからどうぞと。それで、日弁連や弁護士会に来たものについて、裁判所はそれを考慮するという合意ができていると聞いている。
 福岡などは、贖罪寄附を弁護士会の基金に取り込んで、弁護士会の基金から民間団体に援助するという取り組みをしているようである。このように、直接、贖罪寄附が民間支援団体に行くのではなくて、一たん弁護士会の方に来て、そこからという形でやっているケースもある。そういう形でやれれば、それもいいと思うが。
(構成員)贖罪寄附は、もともとが罪を犯した人が自分で考えて、あるいは弁護士に相談して、どこの団体に寄附すれば自分の犯した罪に照らして適当か、罪の贖いの証になるか考えてもらって、それぞれまさに自主的にやるものであるので、どこに寄附するか自体を決めるわけには、なかなか本来いかないもので、昔も法律扶助協会が確かに多かったが、それは多かったという程度だと思うので、そのほかの団体に対する贖罪寄附がないかというと、そんなことはもちろんない、それを一定の方向に誘導できるかというと、なかなか難しいところもあるのかという気はしている。
(構成員)法テラスがやっている。
(構成員)今、構成員が言われたように、既に弁護士会を通じての取り組みもあるので、これを今後活用していくという方策は、それは受ける側の態度決定もあるが、一つの方策としては考えられることだと思う。
(構成員)贖罪寄附を被害者のために使うことは、だれでもそれは納得することなので、そういう方向にいけばいいとは思うが、なかなか今やっているところはそんなに多くはなく、福岡は基金としてつくっているのでそれができているということのようである。
(構成員)管理運営費のことであるが、直接管理運営費を出すのは確かにどこでも非常に難しいことだと思う。方法として直接ではないが、先ほど内閣府から地方自治体のガイドラインをつくるということがあったので、これを指導するわけにはいかないが、例えば公的な建物の貸与などについて積極的に相談に乗るというような形で、民間被害者支援団体が困っている点についてガイドライン等で示しいただき、非常に低額でそういったものが使えるように、計らっていただけるように推進したらよいのではないか。管理費については、警察から出ているのは相談員と直接支援員に対してで、実際に相談にかかわる人に対してのみ支払われる形になっているかと思うが、一般的に相談員だけいても事業は回らないわけで、賃金ではないが、労務という形で事務に当たる人たちに対して労務補助という形でお金が出るようなものが通常はあるのかと思うが、これは現状では出るような形になっているのか。
(構成員)そのような形にはなっていないと思う。
(構成員)もう一つの方法としては、事業につくお金であるが、当然、事業については事務費が必要だというのはどんな事業でもついていることなので、そういった形で恒久的なものではないが、若干、事務の支払いに対してできるような扱いを検討できたらと思う。
(構成員)それは、先ほどの設立運営費の話にかかわると思うが、やはりそれはもう設立運営費そのものではないかという見方になってくる部分が多いのではないかと思う。

●民間資金の活用方策について、検討が行われた。概略以下のとおり。

(構成員)民間資金の活用について何かご意見等がありましたらお願いしたい。
(構成員)確かに日本財団は、今、被害者支援事業に非常に積極的になっている。弁護士に関係する事業としては、犯罪被害者法律援助制度といって、民事法律扶助に当たらない弁護士による被害者支援に対する弁護士費用の交付、立て替えではなくて交付制度になっているが、その8割を助成している。ただ、これも、公費によっていずれは賄われるという過渡的な事業であるという認識の上にやっているので、非常に今後の見通しは確実ではないということで、できれば公費にそれをスイッチしてほしいということをずっと言っているわけである。しばらくは、この事業も継続されて、日弁連が扶助協会から引き継ぎ、そこで法テラスに10月から委託することが決まっている。
 民間の資金は、現実に出ているものをどんどん活用してやっていただいていいのだが、それは先行きはわからないとなると、例えば広く企業からの寄附を集めるためには、被害者支援がみんなにとって大事なことで、あるいは企業イメージのアップとか、そういうことを社会で盛り上げていかないとなかなか難しいだろうなと、日本財団のケースも何度も何度も話に行って、扶助協会がなくなってどうなるかということで苦労した者としては不安である。そういう社会的な運動にしていかないと、非常に難しいと思う。
(構成員)民間資金についてであるが、合衆国の飲酒運転に反対する会のMADDなどについては、自動車業界、フォードなどがかなり大幅に寄附している。そういう会社の事業と支援活動は、かなり関係が見えてくるのでやりやすいところもあると思うが、一般の民間会社など、被害者支援との接点がなかなか見えづらいところがあるので、実はかなり密接に関係しているのだということを、いろいろな機会をとらえて説明して、理解を求めていく活動も大事なのかなという気がする。

●基金構想について検討が行われた。概略以下のとおり。

(構成員)5番目の基金構想であるが、基金構想についてはさまざまな論点があると考えられる。まず、その基金の必要性について、既存の援助制度であるとか、これまで議論の拡充策を踏まえた上で、現時点でそれでも不十分だ、基金による対応が有効なのだという部分があるかについてご意見を伺いたい。
(構成員)出していただいた資料の中にも基金などのことも書いてあるので、お考えがあればお願いしたい。
(構成員)今までの議論の中でも、どうしても国からの援助になると限られるということがあったので、基金ができることによって、必要だけれども国からはやはりどうしても出せないお金についてカバーすることは必要だと思うので、基金はその意味では非常に重要かと思う。
 もう一つは、先ほどの贖罪寄附ではないが、やはり寄附したいが、個別の団体にするのは嫌だとか、どこにしたらよいかわからないということで寄附できないという状況もあるかもしれない。そういった「したいけれども」というものに対する受け皿、また、被害者の方では、直接の加害者からのお金を受け取りたくはないけれども、場合によっては被害者みんなのた、どこかに寄附してもらえるならありがたいという希望もあるかと思うので、そういった寄附の受け皿と、国からのお金ではどうしてもできない事業に対する助成として、基金はあった方がよいのではないかと思う。
(構成員)構成員のお考えの基金の財源は、主として贖罪寄附のようなものだとか、あるいは民間からということで、一般財源はあまり考えていないのか。
(構成員)今までのお話を伺うと、一般財源を投入することによって非常に制限が強くなってしまうのではないか。そうすれば、一般財源の方は、むしろ今まで出てきたようなものに対して十分に使って、企業寄附等を中心にした民間のみの財源で非常にフレキシビリティーの高いものの方が、ダブらないでいいのかと思う。
(構成員)お金のいろいろな方面からの受け皿というか、それは大事だと思うが、それは新たな財団というか、基金をつくらないとうまくいかないのか、既存の基金のようなものではうまくいかないのかどうか、その辺はいかがか。
(構成員)私はそこまでアイデアがない。それは、経済的支援に関する検討会で基金について検討されているということがあるので、それに乗っての話と私は思っているが、経済的支援に関する検討会の方で独立した基金の設立について既に検討がされているのであれば、そのままそれについての案を活用すればよいのかと思う。
(構成員)私も、基金のようなものは必要だと思う。しかし、現状では一般財源を入れることは非常に難しいことも理解した。
 そうすると、経済的支援に関する検討会で民間の基金を受ける受け皿づくりということでいろいろ検討されているならば、もちろんそちらに譲りたいと思うが、こちらは民間の団体への援助ということを考えると、ネットワークが既存の傘団体としてあるので、ネットワークが自分の加盟団体に対する傘団体として基金的な機能を持てるのであれば、それもいいかなと思っている。そこで、例えば民間団体の援助だけではなくて、被害者に対する短期の貸し出しということまでできるのであれば、何も国が入れるものではないのであるから、自由にそこでやっていただく。きちっとした組織としてそれができるのであれば、やっていただいてよろしいのではないか。
(構成員)今までのご意見では、一般財源は難しいし、また、あまり適当ではないと理解したが、どこがふさわしいのか。
(構成員)私は、適当ではないと思っていない。これは国がやることなので、基金は本当は国が望ましいと思うが、できないと言われるから。
(構成員)できないという前提で。次善の策としてということだと理解したが、その場合にどこがふさわしいのか、ネットワークという話も出たが、これは先ほど公益法人改革との関係で、うまくいくのかどうかということもあるかと思うが、その辺はいかがか。
(事務局)経済的支援に関する検討会で、まだ中途の段階であるが、一応、既存の財団法人を活用して、先ほど申し上げたように公の給付がなかなかできないものについて何らかの対応ができないかということで検討がされており、それは今も民間の浄財で成り立っているわけで、全く公のお金は入れずに、そのための財源も集めて―しっかり企業回りをしてということになるのだと思うが、それでフレキシブルに対応できるようにしたいということになっており、そういう意味では新たに基金を設立するという検討は、今のところは経済支援の検討会では行われてない。経済支援の検討会は、あくまで被害者に対して直接お金を渡すという意味の経済支援を実は考えており、この民間団体への援助検討会では、まさに被害者支援を行う民間支援団体に対しての支援の財源、あるいはその基金が必要なのかどうかと、やはり分けて考えざるを得ないのではないかと思っている。先ほど来、議論が出ているが、基金そのものを一般財源を入れてつくるのは、なかなかその有効性、必要性において疑問があるのかなということと、全く新たにではなくて、やはりどうしても受け皿みたいなものが要るのではないかということであれば、民間の既存の基金を何とか活用する方法と、いろいろ候補はあると思うが、どうしても一般財源を入れるのであれば、やはりこれは独立行政法人みたいなところにお願いするしかないので、それが一番スムーズだとは思うが、ではそういった場合に何か候補となる独法があるのかをご議論いただければと思う。
(構成員)説明があったが、これを踏まえていかがか。そうなると、民間団体への援助を目的とする、それだけの新たな基金をつくるのは、やはりなかなか困難で、既存の基金等を活用するのが現実的かという考えが出てきたと思う。
(構成員)昨日、幹事会があって、そういう話もしていたが、警察職員の方々がポケットマネーを出している基金がある。うちの被害者の中で、義務教育の人たちにやっていると。やはり被害者の中には、事件とかいろいろな被害によって給食費も払えないという人もいると思うので、そういうところが非常に適切かと思う。そこで義務教育を卒業させることができたという被害者の方もおられたし、もともとやっている基金が警察の方であるから、これまでの実績も高い。それで、この間聞いたら、お金がもう足りなくなっているらしい。大阪府警に聞いたら、いろいろな被害者の問題で申し込みがふえてきている、底をつきかけているという話であったから、そこをもうちょっと充実させていく方が非常によろしいかと思ったりもしている。
(構成員)説明があったのは、犯罪被害救援基金のことかと思うが、私が思うには、既存の基金等で候補になるのは犯罪被害救援基金と、あとは法テラスかなという感じがするが、今、救援基金が出たので、それについて警察庁から何かご意見、ご説明等があればお願いする。
(構成員)犯罪被害救援基金については、今お話があったが犯罪被害に遭われた方の遺児に対する奨学金の給付などをこれまでもやってきているところであり、犯給法の成り立ちのときに、そういった部分が犯給法の対象になっていないではないかというところからそうした事業がなされている面もあるという意味で、今お話が出ているような部分に親和性のある部分もあるのかとは思う。
 ただ、民間の浄財を得て、基金なりいろいろな活動をやっていくことになると、やはり民間の方が寄附する場合に、インセンティブのあるような仕組みがないと、なかなかそういったところに寄附しようという形になってこない部分がある。今、犯罪被害救援基金については、奨学金事業といった基金がやる活動に対して税制上の優遇措置があり、寄附金を寄附した場合に一定の割合で損金算入の特例等がある。そういった税制上のインセンティブみたいなものもあわせてご検討していただくことが、受け皿をどこにするにせよ、基金にするにせよ、別の団体を考えられるにせよ、一定の公益法人に対して寄附して、それで活動していくことを考えると、やはりそういうものが必要かと思う。
(構成員)法テラスに贖罪寄附がある程度行くかもしれないが、私たちが議論しているのは、法テラスがその集まった贖罪寄附を何に使うのかということ。法テラスの運営とかに使われてしまって被害者支援業務に使われないのだったら何なのだろうと、つまり、法テラスは、被害者支援だけではないわけである。それと、言われたように寄附控除の問題があって、弁護士会も同じであり、寄附控除にならない。贖罪寄附の場合は、それによって有利な判決を得ようとか有利な処分をという、そちらの目的があるので、控除は関係ないのかもしれないが、先ほど言ったもっと資金を集めるということであれば、やはりそこの点が問題になる。だから、法テラスがそれを集めて、それをきちっと犯罪被害者支援として、例えば民間への助成とか、弁護士費用につなげていくとか、支援活動につなげていくのならいいのであるが、今、なかなかそこまでの仕組みはできていないような気がする。
 救援基金の方も、恐らく今までの機能でいけば、民間団体までのルートはどうなのだろう、また全然違うことなのかなと思うし、どうそれを統合していくか、あるいは統合する必要がないのか、なかなか結論は出ないのかとは思っている。
(構成員)法テラスと受け皿等の関係について、法務省から何かご意見等があればお願いする。
(構成員)この基金ができて、具体的にそこで何をやるかにもよってくるのだが、例えば困っておられる被害者の方に直接的に支援することになると、ちょっと法テラスは受け皿にはなりにくいのではないかと思っている。
 それは、法テラスの目的が、そういう事業にそもそもなじまないというか、そういう設立目的にはなっていない。法テラスは総合法律支援法に基づいて設立されていて、総合法律支援を行うということでつくられている。それは簡単に申し上げると、司法アクセスを拡充する、つまり法律専門職のサービスを、より簡易に身近に受けられるようにするということであるので、その設立目的からすると、被害者の方々への直接的支援はかなりなじまないかと思っている。それは法律を改正すれば済むという問題ではなく、法テラスの本来の性格を根本的に変える話になってしまうので、なかなかそこは難しいのかと考えている。
(構成員)救援基金については、今までもネットワークの開催する会合などにも救援基金から出ているし、それから古い話になるが、1992年に犯罪被害者に対する支援の在り方を考えたり、実態を調査したりするために、91年のシンポジウムを踏まえて、92年から3年間かけて犯罪被害者の調査を実施して、たしか2、3千万円だったと思うが、救援基金からお金が出て、それが最終的には日本の被害者支援の在り方を提示したと私は理解している。そういうことで救援基金は、今までも直接被害者に対して給付するだけではなくて、被害者支援全体の底上げのためにも貢献してきたので、かなり近いところにあるのかなと思う。この民間団体に対する補助などについてもできるようなところにあるのかなと私は思う。
 それから、この議論の中で、そもそも基金を通じて、基金に一体何を期待するのか、基金は何をすべきなのかについて、議論がなかったように思うので、その点についてご意見を伺いたい。
(構成員)もちろん使途をフレキシブルにして、管理運営費まで賄えるような形の援助を可能にするという意味合いで、私は考えている。
(構成員)構成員の言われるように管理運営費、人件費を丸々出すのは難しいので、今のところ警察庁で出せない、いわゆる労務費としての事業費のようなものがこちらから出れば、かなり違うのではないか。全国ネットワーク以外の団体についての補助は、知事部局を通じてとあるが、なかなかすぐには難しいところがあり、そういったその他の団体についてなどは、基金からの方が割に早く助成できるような立場になるかと思うので、そういった面も強化できたらよいのかと思う。
(構成員)その辺がメリットだというご指摘があったと理解した。
(事務局)管理運営費みたいなものも補助できるような基金的なものが要るのではないかということで、それは当然、これまでの議論を踏まえると、民間の浄財を想定したということかと思う。民間資金の活用というところでも触れられたかと思う。では国として、救援基金になるのかどこになるのかわからないが、ほかにもそういう団体があってもいいと思うが、そういうところに民間資金をもっとやってもらうための方策みたいなことがやはり必要ではないか。そうでないと、国による援助であるから、民間に任せるといっても、先ほどの地方公共団体の話もそうであるが、やはりもう少し企業にも被害者支援の重要性みたいなことを、例えば日本財団などは国土交通省の管理下にあるし、そういう助成団体が結構ある。競輪もあれば競馬もあるかもしれないが、そういったお金のありそうな団体をそれぞれの省庁も抱えているから、例えばそういう省庁を挙げて、やはり被害者支援は大事だからと―言うことを聞くかどうかはまた別の問題であるが、そうやって重要性を国を挙げて国民運動的に盛り上げることがやはり大事ではないか。それによって、企業も動きやすくなり、基金的なところも、民間団体も寄附をもらいやすくなるだろうし、あるいは国もそれをバックアップすると、せいぜい国としては、民間法人の基金的なところについては、それが限度なのかなと。それとあわせて、やはり国として、先ほどから出ているモデル事業みたいなものであるとか、あるいは地方財政措置みたいな、これによってできる限りのことを手厚くしていくのが大事かなと思っている。
(事務局)何とか3つの検討会そろって、5月中ごろあるいは6月、そのぐらいには中間報告できるようにしたいと考えている。

○次回検討会は、4月開催予定。

(以上)



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