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民間団体への援助に関する検討会(第7回) 議事要旨


(開催要領)

日時:平成18年12月7日(木)14時59分~16時43分
場所:中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
生嶋 文昭総務省自治行政局自治政策課長
辻 裕教法務省刑事局参事官
北村 彰厚生労働省社会保障担当参事官

(議事次第)

1.開会

2.民間団体による犯罪被害者等支援の在り方について

3.国による民間団体への援助の在り方について

4.その他

5.閉会


(配布資料)

資料民間団体の現状と問題点等[PDF形式:32KB]



(議事内容)

○民間団体による犯罪被害者支援の在り方について検討
 民間団体の支援活動の位置付け、民間団体の活動の在り方(国・地方公共団体との役割分担、民間で行った方が効果的な活動は何か。)について検討が行われた。概略以下のとおり。

(事務局) 前回会合で現状と問題点等ということで論点を整理して、ご了解を得た。本日は、その資料に沿い、民間団体による犯罪被害者支援の在り方あるいは国による民間団体の援助の在り方について検討を進めていただきたい。次回の会合で一通り論点の検討を終えることができればと考えている。
(構成員)民間団体による犯罪被害者等の支援の在り方について検討に入る。資料の冒頭をご覧いただきたい。
 ここでは、国・地方公共団体と民間団体との役割分担や民間団体で行った方が効果的な活動など、被害者支援全体における民間団体の活動の位置付けやその在り方についてご意見を伺いたい。
(構成員) 民間団体の位置付けということで、警察庁の方に2点お願いしたい。これまで、性犯罪、交通事故、暴力団とか、ストーカー、DV等々の相談窓口というのは警察にあるが、殺人事件等々の相談窓口がない。これはどういう理由によるものなのか。殺人事件の被害者窓口をできたら早くつくっていただきたい。その理由については、これまで地方自治体というか知事部局というか、これまで犯罪被害の対策に無縁だった部署がこれから基本計画に基づいて支援を行うということになってきたが、警察にそういう殺人事件の人々の相談窓口がないということは、特に別のプログラムがあるのかなというか、錯覚を起こしてしまうのではないか。
 犯罪被害者等基本法というのは、私たち殺人事件の被害者遺族が中心となって働いてきてできあがったものであり、今まで被害者というのは国民の錯覚の中でほうっておかれたような気がしてこういう活動をしてきた。今後、今、ここにいる皆さんは殺人事件等々が犯罪被害者等の一番トップにあると思っていらっしゃるかもしれないが、10年、20年後になったときに、その中に殺人事件という言葉なり、警察の組織に窓口がないとなると、結局これはDVとか性犯罪とか交通事故の人たちを支援すればいいと解釈されかねないと思う。それを将来にわたって、そういう勘違いが起こらないようにぜひお願いしたい。
(構成員) 殺人事件の相談窓口がないという意味が理解できないが、要は犯罪被害については各警察署に犯罪被害者支援の係なり課がある。
 そこは、どういう犯罪であれ、犯罪被害の観点からのできるサポートをするセクションとしてあり、個々具体の罪種をあげたセクションではないが、そういった窓口がある。
 本部にあっても、犯罪被害者対策室なり犯罪被害者支援室なりがあって、そこが対応している。
(構成員)結局ストーカーとか、DVとか、これについては刑事事件として立件するというだけではなく、例えばDVであれば警察の方でいったん相談を受け、それをきちんと書面化しておくことがその後の裁判所における保護命令の発動につながっていく、ストーカーであれば刑事事件として立件するだけではなく、警告をいったん掛けてそれに対する違反があれば行政処分で中止命令を科する、特別な手続があり、そこの部分については、直接担当しているセクションが最初からご相談を受けるという方が合理的であるという形で、そこに個別の対応の相談窓口ということから明記している。
(構成員) 殺人事件の方が窓口がないというのはそういう理由だということですか。
(構成員) 窓口がないのではなく、窓口はあるが、具体的な名称としてはそういうことである。
(構成員)今お話になったことを民間団体の活動とか役割分担ということについては何か、どういう感じか。
(構成員) 今、地方公共団体も被害者支援という258項目の中でいくわけで、民間団体ができること、公共団体がやる中でも、やはり被害者が殺人事件の窓口はないからもう関係がないのかなと思ってしまうことが10年後、20年後、出たら嫌だなという将来への懸念から言っている。
 今は、そういうことはないと思うが、やはりどうしても「等」という言葉が入ったものだと、付随という言葉はおかしいが、殺人事件の被害者の支援というのを求めて活動してきたもので、何か範囲が大きくなりすぎてぼやけてしまっているような気もする。まず殺人事件の被害者遺族の支援の在り方とか、まずこれをきちんとやれば、ほかのものも付随的にスッときっちりなっていくのではないかと思う。
 殺人事件はどうしても数が少ない。発生レベルというか、例えば交通事故に比しても10分の1。殺人事件被害者のことを今この時点できちっとしておかなかったら、あと運用の時点で5年、10年たったとき、相談件数の多いところが主体になってしまい、結局声が上げられないというか、取り上げられなくなるのではないかなという、そういう懸念がある。
(構成員) 民間団体の支援の位置付けということだと思う。今、構成員が心配されていたが、逆にいうと民間団体というのはまさに重大な犯罪被害者というものを中心に扱っていく場所に一番なり得る場所ではないかと思う。
 現実に、今、早期援助団体はまさに警察から重大犯罪の被害者の方の情報を受けているので、民間団体の役割とか形というのがはっきりしてくれば、今、ご懸念の点といったようなものも解消されていく可能性があると思う。
 民間被害者支援団体の位置付けは、こちらの資料の方で構成員から幾つか意見が出ているとおりと思うが、一番重要なことは刑事司法の中で相談が受けられない人にも相談が受けられるということと、それが終了した後も支援が行えるという、この2点が非常に大きなことだと私は理解している。
 ただ、役割の在り方について、このあたりをどうしたらいいのかと私自身も考えている。地方公共団体に窓口ができた場合に、そことの連携や役割分担といったものをどこら辺に持っていったらいいのかということである。
 例えば、生活上の支援とか、直接支援になると、地方自治体の方もこれに多分かかわってくるのではないかと思う、例えば民間被害者支援団体の生活上の支援というのはある程度短期で、長期になったら、それは地方自治体の福祉関係の方に移行していくという形での一種のすみ分けといったようなものが考えられると思う。
(構成員)1つは民間団体の役割については既に資料にあるように、現在も考えている。それからもう1つ、基本計画の中に民間団体は多様な経験だとか能力を持った方が入っていると。それが非常に1つの意義だという文章があるので、その辺も重要な点なのかなと考えている。
 それから今、構成員がいわれたこと、私も全く同感であり、地方公共団体の方が直接支援、生活支援の方に入っていき、それと民間の被害者支援団体のすみ分けをどうしたらいいのかというのは大きな問題というか課題だと思う。
 余談になるが、小さな民間被害者支援団体だと、都道府県などの公共団体が入ってくると自分たちのやることは残るのかというような不安とまでいかないが、そういうことを懸念しているところもあると考えている。
(構成員)地方公共団体との役割分担とのお話があった。生活支援の話になると、厚生労働省の方でも所管されている制度があるので、そうしたものとのバランスというか、すみ分けを今後この場でも検討していくことになると思う。またその中で、民間団体の活動で対応した方が良いだろうという分野とのすみ分けも、そうした中で明確にしていただければ、総務省を通じて、自治体の方にそうした自治体としてのかかわり方のあるべき姿を厚生労働省などと一緒にご提示していくこともあるのかなと考える。
(構成員)構成員が6番に書いたコスト削減、これも非常に大事なことであり、省庁と民間団体と両方にお金かかれば、結局全体としてコストはかさばってしまう、今ある民間団体等とか特殊な技能とか知識を持ってコーディネート役をやるというのが非常に大きな役割に今後なっていくと思うが、そのときの教育をどうしたらいいかということも今後考えてもらったらありがたい。
(構成員)その問題は、もう一つの連携の方でも議論されていて、いずれ合同会議などでその辺も出てくるのではないかと思う。

○国による民間団体への援助の在り方について検討
 被援助団体の範囲、対象となる事務の範囲等についての検討がなされた。概略以下のとおり。

(構成員)国による民間団体への援助の在り方についての検討である。まず、被援助団体や援助の対象となる事務の範囲についてご議論いただきたい。
 前回の自由討議においては、被援助団体の範囲について、犯罪被害者と早期援助団体か否かが1つのメルクマールになるだろうということが出た。
 2つ目に、早期援助団体に対する財政的援助を充実させるとともに、早期援助団体の数を、今後全国的に増やす必要があるという意見も出た。
 それから3つ目に、早期援助団体であれ、それ以外の団体であれ、公的な資金援助を受ける場合に、どのような資格要件が必要になるか議論する必要があるといった意見が出たかと思う。
 そこで、早期援助団体に対する財政的援助を充実させる必要性については、おおむね意見の一致を見ていると思うが、財政的援助を充実させる際には、1つには財源の問題がある。それから、もう一つ各団体が独立した組織として自主的に活動しているという点もある。それから、公益法人等改革により、公益法人に交付される補助金等の見直しが行われているということもあり、これらの点にも留意する必要があると思う。こういう点を踏まえて、構成員からご意見を伺いたい。
(構成員)最初に確認だが、ここの議論、課題については、大きく分けるとどのような民間団体に対して支援を行うべきかという点と、あと具体的にどのような支援をどのような形で行うかというところに集約されると思ってよろしいか。
(構成員)それで結構。
(構成員)どのような団体に支援を行うべきかということだが、やはり公的支援ということは国民の税金ということで、ある程度の資格要件というのが当然必要になるのではないかと思うが、現段階で非常に公的な形で承認を受けているというのは、やはり早期援助団体ということになるかと思う。
 早期援助団体の国からの支援の仕方とそれ以外の団体については、少し分けて考える必要がある。
 それ以外の団体についてどのような形で支援を行うかということについて、1つの問題は国レベルで決めるのか、例えばこれは財源の分け方にもよるが、地方公共団体の方にそれを委託して、地方公共団体のレベルで、それらを判断、地域には特性があるということをかんがみて、そこで判断するのかということがあるのかと思う、そういった判断や資格をつくる基準というのをどこで行うべきかというようなことについて、今までご議論が出たか、あるいは内閣府等でご懸案のことがあるのか伺いたい。
早期援助団体の方は、これは既に公安委員会の認定を受けているので、別個に考えた方がいい。それ以外の団体が資金援助等を受ける場合の資格ということが一つこれから問題になると思うが、その資格を決めるところを国レベルということで統一して考えるのか、それとも地方自治体の方で委託してそこが決めていくような形になるのか、既にご議論等あるいはお考えがあれば伺いたい。
(構成員)それを今これからまさに議論しようということである。その点について、構成員の方から何かご意見があれば伺いたい。
(構成員)大きな基準というのを国の方である程度決めて、より細かい基準についてはその地域の特性とかがあるので、地方自治体の方が決められるような形になっているとよいのではないかと思う。
 多分、アメリカはどちらかというとそういうところがあるのかと思う。
(構成員)アメリカではOVCのおおまかなガイドラインがあって、それに従って各州を通じて申請する。アメリカの場合、連邦があり、地方は地方のまた別枠もあるので、そういう一種の二重構造というか二重の基準になっているというのは、合衆国も同じ、ご指摘のとおり。
 早期の援助団体の制度を所管している立場から早期援助団体に対する財政的な援助を拡充する場合に課題となる点について、警察庁の構成員からご意見を伺いたい。
(構成員) 警察というか国レベルで、早期援助団体を含めて、早期援助団体を目指しているネットワーク加盟団体に対して、相談員の委嘱であるとか、直接支援員の委嘱等の経費について補助をしている。
 また、都道府県レベルにおいても、早期援助団体、それからまだ早期援助団体になっていない民間団体にもいろいろな財政援助をしている県もある。
 早期援助団体を含めて、いろいろ状況を警察に聞くと、やはり財政的援助という観点では人件費であるとか、事務所の借上費であるとか、そういった運営経費の面が非常に財政的な面では課題になっているという話を聞く。
 そういった財源の確保については、やはり内閣府を含め政府全体で、また、地方公共団体においても、もう一度必要な財源確保というものを検討していただくということも必要になるのではないかと思う。
(構成員)早期援助団体も非常に厳しい状況だというのは、照山さんからのヒアリングでも十分わかったし、都民センターも大変だということも聞いている。
 早期援助団体への支援がもっと充実するということはもちろん異論はない。異論はないが、前も申し上げたが早期援助団体が今の数ではそこだけ財政援助を厚くしても全然意味がなく、そうすると被害者の地域格差ということが広がるばかりである。
 少なくともネットワーク加盟の団体の中で、早期援助団体を目指してまじめにやっているところについても底上げを図ることができるような援助にしていただきたい。
 例えば、ネットワーク事務局がそういう財政援助の受け皿になり得るのかという問題であるが、できれば既存のシステムを使った方が簡敏だと思う。事務局長のヒアリングのときに、それはちょっと難しいというお話があったが、別途、私が聞いたところによると、全国被害者支援ネットワークはNPO法人化された。その理事の方のお話などを聞くと、いや、そういうのはもっとしっかりした組織にしようとしているので、必ずしもできなくはないと、やりたいというお話も一方で聞こえている。
 だから、やはり犯罪被害者支援ということでまとまった大きな1つのネットワークという組織があるので、これはやはり生かしていきたいという気持ちはある。
 また、性被害の問題を扱っているグループとかもあるので、構成員がいわれるように、ある程度の申請のチェックのガイドラインを決めて、地方自治体に申請していくというような道筋もあわせて考えられればよい。ネットワークの事務局がだめであれば、新たにそういうものをつくるのか、OVCみたいな形でつくって、内閣府の推進室の中でそれをつくるのかどうかはともかくとして、何かそういう受け皿的なものをつくって、公平に行える機関をつくれるのであればつくっていただきたいと思う。
(構成員)今、早期援助団体に対する財政的援助ということが出ましたので、私の意見も述べさせていただく。
 今、構成員もお話になったが、早期援助団体については、公安委員会による厳しい指定基準があり、団体としてきちんとしていると考えてよいかと思う。個々の活動に財政的援助をするだけではなく、今、構成員のお話にもあったように、人件費であるとか運営費についても補助の対象とするということを私は望みたい。
 それからもう一つは、これは援助の経路に関することにもなるかと思うが、現在、警察庁の方で早期援助団体に対して幾つかの項目について補助金が出ているが、いずれも国庫の補助は2分の1であり、あとは都道府県の方で負担する、県費で負担するということになっており、都道府県によっては2分の1分が出ないということがあって、せっかく国の方で予算をつけても、現実的に生かされないというところがあるので、ここがいい方向に行かないのかなと個人的には思う。
(構成員)やはり早期支援というのは非常に重要であるから、最終的には各都道府県に必ず1個ぐらいあるような形にまでもっていってこそ、初めて価値というものが大きくなるのではないか思う。そうするとやはりそれを底上げしていく、それを推進していくということがあって、それは個々の機関がやるのはやはり非常に難しく、どこかでそれを推進させていく推進力になるような団体が必要なのだろうと思う。
 そういう意味では、全国被害者支援ネットワークの事務局、あるいはそれに代わるようなところが支援員の技術援助や、その立ち上げのノウハウであるとか、そういうところを支援していくという必要があるので、個々の団体に支援するのと同時に、それを推進するセクションというものに対する財政援助というのはかなり重要になってくると思う。そういった枠組みというものをある程度想定して、財政援助を考えていくというのがあると思う。
 構成員が言ったように、残りの2分の1をどうするかという点についても、このような団体があるとそこで寄附なり助成なりを受けて、その分を足りない団体に補充するというような形のシステムも可能性としてつくれるのかなと思うが、これはアイデアである。
 地方自治体からの2分の1が受けられないところも、傘になる団体があるとそこから補助するという形で補う可能性というのが出てくるのかと思う。
(構成員)今、既に議論に出ているが、早期援助団体の指定を受けている団体は現在9団体にとどまっており、これを全国的に増やしていく必要があるということについては、今まで構成員の方からのお話で意見の一致を見ていると思う。
 指定を目指す団体の集まりとして、全国被害者支援ネットワークがあるが、その中には公益法人ありNPO法人あり任意団体があり、活動内容や組織、規模にも相当ばらつきがある。したがって、早期援助団体を目指す団体とひとくくりにして、一律に援助の在り方を議論するのが難しいと思う。
 早期援助団体の指定を目指す団体にどのような援助が必要、または可能であるかについての議論がぜひ必要になるわけだが、議論の中で、ネットワークの機能を充実させて、そこが指導をしていく、あるいはネットワークに対する財政的な援助も考えていくというような意見が出されたが、ほかにいかがか。
(構成員)警察が推進する団体だけでいいのかということと、もう一つ違う組織はやはり考えた方がいいだろうなということは気持ちの中に入れてもらいたい。
(構成員)早期援助団体を目指す団体については、先ほど話したように全国被害者支援ネットワーク加盟団体について、私どもの方でできる支援というのはしているが、いずれにしても早期援助団体ということになると、必要な犯罪被害相談員の確保であるとか、被害者の方と面接する際に適切な面談室を確保するという場所的な要求であるとか、やはり人件費、事務職員費等の運転資金的なものとかそういった財政的なものが非常にネックになっているので、そういった部分をどういうふうに解決していくのか。
 それから、ネットワークの話も出ているが、ネットワークはいろいろなネットワーク加盟団体を通じて、立ち上げのノウハウを持っており、そういった観点からネットワークが何らかの形で関与していくことは非常に重要なことだと思う。
 早期援助団体の指定を目指す以前の財政以外の問題として、ときどき声を聞くのが、犯罪被害相談員の人材確保、この辺が非常に難しい。これは警察で犯罪被害相談窓口だった、これは少数しかいない、あとは民間支援団体で犯罪被害相談の経験があるとか、それと同等の能力を持っている方、精紳科医の方であるとか、臨床心理士の方であるとか、一定の専門知識を持っておられる方に限定して、犯罪被害相談員としての要件があるということで認めさせていただいている。そういった一定の資質を持った方をどうやって養成していくのかということも、形だけ指定していても意味がないので、やはり身のあるサービスをしていただくためには相談員の研修なり一定の資格を認めていく、そういう仕組みも非常に大事なことなのかなと思う。
 ネットワークとときどき話をするときに、ネットワークの方でもそういった研修なりいろいろなことを考えていかなければいけないと聞いたこともあるが、もしそういった形で一定の研修等によってそういった犯罪被害相談員に足り得るだけの養成をしていただくようなことがあって、それが実際の支援の現場の方から見てもなるほどこういった方であればきちんと相談員としてやっていただけるという状況があれば、そういったものも我々の方で例えば一定の要件の1つとして加味していくということもあり得るのかなと思う。
(構成員)今、構成員の方のご意見、私も全く同感であり、意見を述べさせていただくと、早期援助団体の指定を受ける際の最大のネックは、早期援助団体に関する規定の中で相談員の数をそろえるということが一番高いハードル、専門家の相談員であれば、それに犯罪被害者支援に関する専門的知識を有していれば、それはすぐにでもなれるわけだが、いわゆるそういう方は大体お忙しいので、実際に直接支援に赴けないというようなことがあって、専任あるいは準専任で相談員となり、直接支援に当たれる人の確保というのが何よりも大事だと私も考えている。
 そのときに、一般の方が相談員になるためには、よく言われるように1日4時間、週3日、3年という経験がないと、相談員となることができないということがあり、いわゆるボランティアというものとはかなり違う、本当にかなりフルタイムに近づいてくる。どこもこの確保に困っていると伺っており、この辺の財政的支援というか、そこができるとかなり早期援助団体の立ち上げもうまくいくのではないかと個人的には思う。
 我が国には、早期援助団体や当該団体の指定を目指す団体のほかに身体犯一般やDV、児童虐待など特定の被害類型を対象に支援活動を行う団体があり、一部の団体に対しては地方公共団体から財政的な援助が行われている。
 これらの団体の設立形態はさまざまであり、形式的な基準を設けて援助を行うのは難しいと考えられるが、支援活動の種類そのものに着目して、財政的な援助の在り方を議論するのが適当ではないかとも考えられる。
 ただし、活動、種類に着目して援助を行う場合にも、援助の対象となった支援活動が確実に実施されるよう、財政運営や活動内容に関する透明性の確保など、一定の資格要件が必要になると考える。
 したがって、どのような活動を重点的に援助すべきか、次の対象となる事務の範囲ということでご議論いただくとこになるかと思うが、ここでは今申しましたような団体について今度財政的な援助を行う場合にどのような資格要件が必要となるか、その点についてご意見を伺いたい。
(構成員) 先ほど、資格をどこで決めるかということについてお話させていただいたが、実際にどのような資格が必要かということで資格そのものを厳正にするというのはなかなか難しいところがあり、それを調べるために莫大なお金や手間がかかってしまうので、資金援助というのは構成員の方からもご意見があったように、活動プログラムということに重点を置くのがいいのだろうと思う。
 ただ、プログラムをするに当たって、最低限の団体の資格というものが必要になってくるのかと思うが、私としては前回海外の報告でOVCが犯罪被害者団体に対する援助の一定の全米の基準というのを出しているかと思うが、そこに挙げられているような非営利団体であるとか、犯罪被害者に対してその団体が最低でも7割以上のサービスをしているとか、きちんとそれを有効に提供しているとか、これは州の団体に対するものだが、特定の宗教とか、余りにも特定の概念に偏らないとか、そういったような基準と、あと情報管理、そのあたりについて基準を定めておくというようなことが必要かと思う。
(構成員)その点については、OVCが行っている財政的援助というのはかなり参考になるのではないか。
(構成員)私も、構成員と同じで余り細かい基準は多分できないので、OVCのそのような基準などを大枠にして考えるしかないのかなと思う。
(構成員)今の資格要件等の話ですが、これにつきまして関係省庁の方々から何かご意見はあるか。
(構成員)厚生労働省の方のDV法に基づくサービスとして一時保護があるが、その場合には厚生労働大臣が定める基準というのは一応決まっている。
 この基準は、一つはかなり抽象的ではあるが、社会福祉法人あるいはNPOなども含めた法人、あるいはいろいろなDV被害者の保護実績、相当の活動実績があるという条件が一つ。
 それから、一時保護というサービスをするわけで、当然ながらそれに必要な設備が必要だということ、例えばプライバシーの保護であるとか、あるいは衛生面、あるいは安全面、あるいは不特定多数の人が入ってこられない、開放されていないという設備面の条件、そういう方がDVの被害者が一時保護をされるという意味でいうと、2週間以上継続して入所できる場所があり、食事なり衣服なり、そういう必要なものを提供できるようなこと、あるいは婦人相談所とかそういったところと連携がきちんととれるという条件。
 さらには、都道府県への報告徴収、こういうものは特に一時保護の場合はきちんとした保護は必要なわけで、報告徴収についてもきちんとできるような体制がとられていると、そういったようなことを最低限の条件ということで定めている。
(構成員)こちらでの基準を考える場合に非常に参考になるご意見、情報である。
 いろいろな意見を出していただいたが、私自身は財政的援助を受ける団体に求められる資格要件については次のように考える。
 1つは、やはり法人格のような形式的な基準というのはあるいは必要なのかもしれないという気がする。
 それから1つは経理等の透明性、多少抽象的な話になるが、透明性であるとか、あるいは効果測定というか、何らかの報告をして、どれだけ実績があったのかということできちんと事後的にもチェックをしていくというような体制が必要であるかと思う。
 それからもう一つ、非常に抽象的な話になるが、あるプログラムに対して補助を付けた場合にしても、それに支援活動に携わる人についての倫理綱領みたいなもの、行動準則というか、行動基準というか、そういうようなものも定めることも遵守というようなことも必要ではないか。ただ、そういう倫理綱領にしても倫理委員会のようにそれを実行するための機構というのが必要になると思うが、具体的なそこに携わる人の行動に関する規則のようなものもつくるといいのではないかなどと漠然とではあるが考えている。
(構成員)まさにおっしゃるとおり。
(構成員)次の論点に移りたいと思うが、自助グループへの支援については、現状では主に民間の援助団体を経由して行われている。国や地方公共団体からの財政的な援助は行われていないと思う。自助グループは、犯罪被害者等の精神的な支えとなる点で非常に重要な役割を果たしているが、直接財政的な援助を行う場合には、先ほど来議論しているところの資格要件の問題もあり、また援助の対象となる活動にも一定の公益性ということも考えなければならない。
 そこで、以上のような資格要件であるとか、公益性というような点を踏まえ、自助グループに対してどのような支援が可能であるのか、この点についてのご意見をいただきたい。
(構成員)確かに、自助グループは回復のためにとても有効であるということが実証されていると思うので、それはよろしいかと思うが、先ほどのような法人格を求めるということは難しいと思う。
 私は、資格要件について法人格が要るかどうかということは民間支援団体についても余り思っていないが、特に自助グループについてはそういう要件よりも継続して活動しているというようなことが、形式的には必要かと思う。実際に活動しているということである。
 恐らく、自助グループが継続して活動してノウハウを持っているということが一番大事なのだと思う。ただ単に集まりましたということではなくて、実際に活動していることが重要ではないか。それぐらいの要件でよろしいのではないかと思う。
(構成員) 実際、私たちあすの会は自助グループとは余り思っていないが、関西集会で毎月定例会を行い、68回目を、この前、12月3日にやったが、それほどお金が要るわけではなくて、集会の場所代とそこに集まるメンバーの交通費ぐらい。これを全国レベルにすれば、例えば代表者会議にその代表が行くという形でおおまかに考えると、交通費が主になってくると思う。全体の予算からいうと大したことではないし、被害者、当事者の意見というのも今後のためにも非常に大事と思う。
 DVの被害者の自助グループの意見も次の政策、年がたてばDVに対する必要な法律等々も変わってくると思うので、常にそういう人たちの意見が生かされるようなものをつくると。そのためには自助グループというのは大事だが、そんなにお金は要らないと思うから、先ほど構成員がいわれたように、そんなに資格要件を厳しくするよりは活動に対する直接的な資金援助が必要であると思う。余り大した金額は要らないという前提で考えてもらったらありがたい。私たちも毎月大体20人ぐらいずつ集まりますが、そこの会場費が1万円ぐらい、それぞれ岡山とか、和歌山とか遠くから集まりますが、1人の交通費が5,000円ぐらい、20人集っても大した金額ではない。繰り返しになりますが、継続しているということ自体が大事かと思う。
(構成員) 自助グループに対する援助というのは、今までの当事者以外の団体とやはり少し違うのではないかと思う。
 1つの理由は、構成員がいわれたように、自助グループはその人の善意の力によって創設された。その方がおやめになったらそれで終わってしまうかもしれないということで、活動の継続性ということがどの程度あるのか、それをどの程度広めるのかということがあると思う。
 ただ逆に、財政的援助がないために、そういうふうに終わってしまうというジレンマも同時にあるので、援助を行うことによってそういった活動は継続されるということもあるのではないかと思う。
 自助グループに対する援助の仕方について、これはもし例えば厚生労働省であるとか、今まで患者さんの団体であるとか、そういったものに対して援助をされているような実績があるのかどうかという点についてお伺いしたい。
 やはり、今までの活動の内容の継続性と、今後の継続性の見通しといったようなものに関して、きちんと活動計画なりを提出できるということと、ある一定度の規模というものが要求されて、事務的なスタッフとして継続的にかかわれる人が少なくとも1人はいることといったような活動の継続性と、ある一定度の公共性のようなことが基準になるのではないかと思う。
(構成員)聞いている限りでは、先ほど申し上げた一時保護あるいは人材教育のためのいろいろな研修等、そういうものに対しては都道府県を通じた支援というのはしているが、自助グループに対する直接補助をするとか、そういうことはしていないと聞いている。
(構成員)自助グループの理解の仕方だが、私は、被害者の団体ではなくて、被害者そのものの集まりというとらえ方ではない。ファシリテーターがいて、その方が自助グループの被害者の回復のためのノウハウを持って、会議の持ち方とか、話の持っていき方とか、本来そういうようなノウハウを持った方が中心でやっていかなければいけないというように物の本で読んだ。
 話をするルールというものも自然にそこになければいけない。そういうものが被害者の回復のために支援となる、被害者自身が自分たちを支援するというような団体という形で理解している。
 だから、そういう活動を中心でやっているところということで、構成員も同じようにスタッフという言い方をされたと思う。
 そういうところに限って、自助グループとして見るしかないのかなと思う。
(構成員)私も意見を述べさせていただくと、1つは継続性であるとか、運営を的確に行うというスタッフのことが出てきた。そして、それに伴い費用のことが出ていたが、この点がなかなか難しいので、やはり今その部分を各地の援助団体が担っているというか、肩代わりをしているというのが現状だと思う。
 それから、2点目は自助グループの定義というか、自助グループが何であるのかということ、またその活動が何であるのかという理解がさまざまで、ここを整理する必要があるのかなと感じた。
 1つは、いわゆるピアカウンセリングみたいな話し合いで精神的な回復を目指すというのがもちろんあるかと思うし、それが我が国では中心になっていると思う。
 ただ、海外の事例などを見ますと、1つはいわゆるアドボカシー活動というか、権利を主張する、あるいは場合によっては立法活動に参加するというのもあって、多様な活動がある。
 私の個人的な意見としては、その自助グループ全体に対する援助というのはなかなか難しいのではないかと。やはりそこにある活動に着目して、そこに対して補助をするというのが現実的なのではないかという気がする。
 雑談的になるが、アメリカでこの自助グループ的なものに対してOVCのお金を出すときに、いわゆる権利の主張はいいと。ただ、ロビー活動には使うことができないとか、いろいろ細かい基準があって、なるほどと思ったことがあった。関連づけて、その話をさせていただいた。
(構成員)構成員のファシリテーターというのは、要するに女性、性犯罪の被害者の団体、私たちは殺人事件の団体であるから、過去形の問題があったり、先ほど言うように、やはり罪種別の何かがあるのかなと……
(構成員)違う。
(構成員) 違うのですか。ちょっと違いがあると思うので、やはり自助グループにもそれぞれの特性というのがあると思う。それに合わせた予算の振り分け方もある方がいいのかなと、逆に今の話で思ったが、違いますか。
(構成員)今、構成員からお話があって、そのような見方をすると私が理解している狭い意味の自助グループの活動に対してという形で限定するということでいいのではないか。恐らく構成員のおっしゃっているのは広義の意味の、被害者団体、私たちが通常考えている被害者団体すべてを含んだような形で、アメリカなども自助グループととらえられているようだが、私は狭い意味のとらえ方をずっとしていた。
 そうすると、やはり回復を目指して精神的なケアをするという意味の活動などに限定して援助するというような形になるのではないか。それで自助グループは別に性被害ということに関係なくて、殺人の被害者のご遺族とか交通事故で亡くなられた被害者のご遺族とか、そういう方の方が自助グループをたくさんつくっていると思う。
(事務局)ここの資料にもあるが、今の議論を聞いていると、やはり自助グループというのは余り組織としてルーズなところがあるので、兵庫などでやっておられるように、ある程度やはり国や地方公共団体が直接やるのもあってもいいと思うが、原則的には支援団体というか、そういうところがフレキシブルに対応する方が、むしろ実態に合った、それでおっしゃったように、余りたくさんの大きなお金がかかるわけでもない場合が多いでしょうから、場所の提供だとか、そういったことで対応できるので、そちらの方がむしろ原則的なことというふうに理解してよろしいか、ご意見を伺いたい。
(構成員)それは非常に大事だと思う。要は、例えば関西集会に限って言えば、何か世話役がまた被害者とは違う人がいて、予算も出てくれば本当に楽だと思う。中心的人物の犠牲の上で、自助グループは成り立っていると思うので、非常にそういう提案のというのはありがたい。
 しかし、悪いのですが、警察との緊張関係という言葉は使いたくないが、やはり被害者にはそういういろいろな人がおられるので、全部が全部支援団体経由となったときに、その人が組織から邪魔者扱いされると嫌やなというのもあるし、そこら辺も大幅に緩めて見ていただける前提の話であれば、今の提案は、ありがたい。私たちの組織には、やはり警察と国賠をやっている人もいるし、そういう人たちが居られない組織というのは、私たちとしてはちょっと耐えられない部分もあるので、そこら辺をどう考えてくださっているのかなというのはあるが、非常にいい提案であると思う。
(構成員)今の必要なお話が出たので、ちょっとご参考までにいうと、同じ内閣府の方で、これは構成員も一緒に私も担当しているが、交通事故被害者支援事業というのがあり、そちらの方で自助グループ立ち上げ支援というのをもう3年、4年でしょうか、3年ぐらい継続しており、これは各地の民間援助団体を通じて、この交通事故被害者遺族の方々に対する自助グループの立ち上げの支援をし、さらには具体的な運営の支援をしていて、これは内閣府の方のそのページにも活動等が出ているが、その辺は既に交通事故被害者支援事業という形で行われているので、私のイメージとしては、これがやはり全体にも広がると、ひとついいのではないかなと思う。
(構成員)今のご議論を伺っての意見であるが、構成員のお話はもっともで、今そうやらないとなかなか立ち上げられない団体もあるから、その団体にだけというよりは、むしろそういった地方の民間支援団体を通じてサポートされるという形が一つあると思う。
 ただ、逆にそこを経ないまでも、既に活動実績があるようなところだとすると、単独で支援を受けたいとか、もう直接受けられるだけの力があるところもあるので、そういった場合には一般の民間被害者支援団体に対する支援と同じような基準、例えば自助グループでも会則をもって、それなりの組織をきちんと持っているというような場合は、そちらと同じような基準で対応するというような形もあるのではと思った。
(構成員)次の議論であるが、援助の対象となる事務の範囲について検討したい。民間団体の活動については、一つには電話、面接による相談が中心ということが言えるかと思う。それに反して、被害直後の付き添い活動であるとか家事支援等のアウトリーチ的な活動、それから自助グループへの支援というのが十分行われていないのではないか、それから広報啓発活動をさらに充実させる必要があるのではないか、こういう点が今まで指摘された。
 こうした民間団体の現状や被害者のニーズを踏まえながら、財源の限りがある中で、具体的にどのような活動を重点的に援助すべきか、この点についてご議論いただきたい。
(構成員)これが、先ほど最初にお話しした地方自治体の活動とのすみ分けに少しかかわってくる部分かと思うので、やはり重点的に支援すべき部分というのは、被害者支援団体でないとできない部分というのが、非常に大きいのではないかと思う。
 被害者支援団体でないとできないという活動の中の大きな部分は、特に早期の危機介入的なプログラムと、被害者に対する直接のカウンセリング相談業務あるいは電話相談といったものと、あともう一つは、刑事司法に関連したサービスというのは、多分他ではまず行えない部分だと思う。例えば法廷の付き添いサービスであるとか、そういったものを他で行うのはなかなか難しいのではないかと思う。
 特に生活支援の部分については地方自治体の方で行える部分というのはあると思う。もちろん早期については民間被害者支援団体が中心的にということになる。民間被害者支援団体以外のところで行えない部分というものをリストアップして、それに対する支援を出していくと、支援を行っていくという考え方があるのではないかと思う。
(構成員)限られた予算と言わずに、できるだけ加害者にはたくさん使われているので、ゼロなわけですから、そういうとらえ方をせずに、大きな予算があるかもしれないという発想でお願いですが。
(構成員)財源については、また別途検討が進んでいるようですので。ほかに各省庁いかがか。
(構成員)この民間団体の支援について、まさに構成員もおっしゃたけれども、やはり警察は警察としてできる方法があるわけだが、警察にできない部分がある。やはりそういったところであると、民間の方がやった方がなじむ、そういった業務について、ぜひ活動していただくということが重要だと思っており、私たちもこれまで、いろいろ乏しい中で補助をしている内容も、相談業務の委嘱であるとか危機介入あるいはいろいろな付き添いとかの直接介入、直接支援的な部分、こういったところを特に重点を置いて、今までも補助をしてきたところである。これからさらにどうしていくかということについても、先立つのは財源の問題をどうするかということがあろうかと思うが、考え方としては民間の方にしかできない、あるいは民間の方がやった方が適切である、そういった部分に重点を置くということがいいのではないかと思う。
(構成員)先ほど構成員の方から法廷関連サービスの話が出て、検察庁に検察支援員がいて、そういう法廷関連的なサービスが行われていると伺っているが、それと、この民間がそこに、現実には活動が行われているようだが、何かその点についてお考えというかご意見があったら、お聞かせ願いたい。すみ分けみたいな話だが。
(構成員)まず前提として、今ご紹介いただいたように、法廷付き添いサービスみたいなものは、各検察庁に被害者支援員というのがおり、ご希望のある被害者の方には行える体制、十分かどうかは別にして、一応している。それに対して、民間の団体の方も法廷付き添いとか、そういうことをやっておられる。どちらが適当かというのは、ちょっと私の立場で今申し上げられるだけのものはないが、申し上げるのも適当ではないが、先ほどお話があったように、およそ官の側でやっていないかというと一部やっているところもあるので、そういうことも踏まえて、今後どちらに重点を置いていくのかが適当かというご議論をいただければと思う。
 一言だけ申し上げると、検察庁にいる被害者支援員というのは、ほとんどが検察庁職員のOBであり、そういう意味では刑事手続に関する詳しい知識というのは持っており、そういう面での法廷付き添いでの適性というのはあるのかなと思っている。被害者の方々へ接するときの心構えであるとか、そういうことについての一定の研修もやっているので、そういうことも踏まえて、どの方面、どちらの活動が重点的であるべきかといったご議論をいただければいいのではないかと思う。
(構成員)国の各省庁、また民間団体と連携していけるように自治体は進んで取り組んでもらう。これはもうご説明したとおりである。今せっかく警察庁、法務省から発言あったので若干つけ加えると、今年3月に都道府県、政令市の主管課を集めて、基本計画に基づくいろいろな取り組みの説明をした。その中で、各自治体が一番懸念していたのは、首長部局に窓口を設けるというのはいいが、それが意味することが警察からの一種の切り離しであるとすると、自治体は大変困るよということが、繰り返し繰り返し出ていた。それは今おっしゃったとおり、警察は警察としてできる裁量、また法務省さんもOBの方を始め関わっておられる。そうした国なりノウハウのある方の取り組み、それから民間で先ほどお話があったように民間でやるべき、あるいはやられることが被害者の方にとってもいいという部分の整理があれば、あと自治体は何をすべきかというのは、おのずから整理されてくると思う。
 今後そうした役割分担というか、デマケーションの整理がされれば、自治体としてどういうことを担うのかというのが明確になってくると思うので、それを私ども自治体と役割分担の整理で、窓口を果たしていきたいと思う。
(構成員)先ほど申し上げたとおり、厚生労働省の方ではDVの一時保護もやっているし、シェルターのスタッフとか、あるいは支援をしている人の教育研修等、そういうことをやっているわけで、さらにプラスして一般施策にはなるが、精神保健福祉センターなり保健所とか、そういうところのサービスもやっている。
 そういう中で、もちろんこちら側もできるだけそういうものを通じて、犯罪被害者の方々にお役に立てるようにしていきたい。ただし、やはりそこのきめ細かいサービスという意味では、お互いに連携をとりながらやっていくというのが非常に大事だろうと思う。
(構成員)法廷傍聴の付き添いは、かなり弁護士もしている。それで、民間の支援員が付き添って、弁護士も付き添うというのは大きい事件ではかなりそういう形で、人数分だけ優先傍聴券をもらうということでやり、ちょっと意味合いが違っていて、弁護士がつけば、先ほどのお話ししたように刑事手続に関してどうなっているかというのがわかるのと、検察の支援員と違うのは、では今後何をするか、つまり被害者がその手続の流れを見て、自分が証人で出たいとか意見陳述をこうしたいとか、そういうことについてのそこまでの支援を弁護士が行う。今後、被害者の刑事司法に関していろいろな被害者の行えることが広がって大分違ってくると、法律家の付き添いと民間の方の付き添いという意味は、さらに違ってくると思う。
 民間の支援員の付き添いというのは、またそういう別の意味でそれも重要であり、ただ刑事手続を説明するということであれば、刑事手続がわかっている人、例えば法学部の学生とかロースクールの学生のボランティアとか、そういう人もいいのではないかなという議論も弁護士の間で出ていたことがある。弁護士は期日がなかなか入らないから。でも、本当は基本計画で、期日は被害者に配慮して決めるとされているが、ただ余り検察官は知らない。基本計画をいろいろ使って新しいことをしていくには、やはり弁護士がついていた方がいいのだろうと考えながら聞いていた。民間の支援の方の付き添いというのはまた違う意味があって、これはこれでとても重要なことで、心強いとかそういう意味合いでは非常に重要なことだと思う。
 どういう活動にというのは、やはり相談業務と直接支援に関して、今なされていること、構成員が言ったことと大体一緒になるのではいなかと私も思う。
(構成員) 実例みたいな話で、民間団体とのすみ分けというのは多分出てくると思う。ちょうど時期が一緒なのだが、○○○と×××××の裁判があったので、私両方とも傍聴に行った。○○○のご遺族は、マスコミも結構来ていたから、警察車両がずっと毎回隠して、送迎をやってくれていた。一方、×××××のご遺族は、やはり同じ町在住だが、事件が別の□□だったからなのかもしれないが、自分たちで電車で裁判所へ行っている。警察にも警察車両の限度があったり、いろいろなことがあって全部できないと思うので、そういうときに民間団体がかわりにやってくれたらいいのかなとか思ったり、それが多分、民間団体の役割でもあるのかなと思う。
 あともう一つ、今、被害者支援というのが全面に出ているので、もうごちゃごちゃしていると思うが、これから整理されていくと思うので、あれだこれだとすべて決めずに、とりあえずやっていって、様子見というのも必要なものもあるのかなというのが私の今の意見である。
(構成員)この援助の対象となる、この事務の範囲に関係することだが、組織の運営の方を今度見てみると、第一線の現場の支援員それから現場の管理運営などを統括する者などの有給スタッフが不足しているという問題が指摘されている。継続的な支援を行う上で、優秀な人材の確保は必要不可欠であるということは言うまでもないが、一方、財源に限りがあるし、各団体は、それぞれ独立した組織として自主的に活動していることもまた留意する必要がある。
 そこで、人件費を初めとする組織運営一般に要する経費について、財政的な援助を行うべきかどうか。行うべきであれば、どのような援助の仕方があるかご意見を伺いたい。人件費等の組織運営に関する援助の在り方である。
(構成員) 今、構成員からお話があった点、一番難しいところだと思う。本音を言えば、多分民間被害者支援団体は、例えば常勤スタッフ何名につきの給料とか、そういう形で欲しいとは思うが、先だってから話があったように、給付する場合に活動ということにすると、それはそういう形で人に対して出すのではないという話があると思う。ただ、活動に出す場合としても人に出す可能性というのはあるわけで、例えばそれこそ研究費などを出す場合には、研究に対して支払っているのだが、それに要する人件費というのがそこに含まれているわけで、相談業務を行う人の人件費というものが1年単位にはなるかもしれないが、活動プログラムの中に含まれるというような形で支給する方法があるのかと思っている。場合によっては、研究費ではそれこそ備品費とかもあるので、その活動に使うということを中心の目的として支給するというやり方がいいのかと思う。
(構成員)例えば相談業務についての活動に絞って援助をするというようなことになれば、もちろんそこに相談担当の者の人件費、これは当然そこに含まれると考えていいのでしょうか、そういうような理解でよろしいか。
(構成員)どうなのか。この辺は、活動につけるといった場合に、そこに人件費―今、構成員のお話のあったこととも関係するが、それの具体的な支援活動を行うことに伴う人件費というのを含めて考えていいのかどうかということだと思う。
(構成員)含めないと何に対して、例えば相談業務とか直接支援とかといったときに、何に対してのことをイメージしたらいいのか、ちょっとわからない、それを教えてほしい。業務にある程度の援助、一定の支援業務についての費用援助ということになると、もちろん人件費も入るだろうし、そうではなくて人件費一般とか運営費一般ということがどうかということをお聞きになっているのか。
 面接相談のための費用とか直接支援のための費用といったら、人件費が基本的に一番大きいもので、ガソリン代もあるとか、そういうようなお話もあったが、それも含まれてくると思うし、だからどのように理解したらいいか、教えていただきたい。
(構成員)私自身もその辺、その問題があることはわかっていて、明確に言葉の使い方として整理していなかったが、警察庁の方でいろいろ活動について、先ほどの早期援助団体につけている補助、どういう考えになっているのか。
(構成員)先ほど私の方で申し上げた、例えば相談なんかであると人件費そのものではなくて、例えば大体、年間相談件数がこのぐらいだと。そうすると、その電話相談でかけたり受けたりに要する通話料はこのぐらいだろうという形で、例えば電話料がこのぐらいかかるというところに着目したりとか、それとか例えばいろいろな方にその都度、非常勤という形でお願いするということでは、その都度の件数に応じた謝金ということで積み上げるとか、そういう形でやっており、常時雇用する人件費という形で予算はとっていない。
(構成員)そうすると、広い意味での人件費は含まれることになりますか。どうですか。
(構成員)先ほどの相談であれば、相談業務に従事する人の人件費そのものについては出ていない。その人が実際に相談業務を実施するのに際して必要になる、例えば電話をかけたりするときの通話料とか、そういった部分のお金を補助すると、そういう感じ、イメージである。
(構成員)先ほど出たDVであるとか、あの辺の考え方、いわゆる人件費的に。
(構成員)先ほど申し上げたように、一時保護の方のサービスは人件費、入っておられるときの入所の費用も含めて助成しているが、そうではなくて、むしろ今お話になっている相談の方、こちらの方は人件費ではなくて、むしろ研修をするときの費用に関して助成をしている。それは都道府県が実際には実施するわけだが、それに対して一定の助成をしているということで、それ以上の団体の人件費に対して補助をするとか、そういう仕組みはとっていない。
(構成員)先ほどいろいろな相談員というか、被害者支援を行う人にお金が足らないからということがあったが、今の考え方だったら、結局被害者のことをきちんとわかった相談員というか、資格を持った人たちを育てる予算規模にはならないということになっていく。単純なボランティアだけの話、現状は。それを一回乗り越えて、やはり専門的な人間をこれから増やしていかないといけない。全国規模で全国の被害者が公平な支援を受けるということで考えると、僕はそういう全国を飛び回る人々の大きな組織や何かがあって指導していくというパターンもあってもいいというのは思っていたものですから。やはり今の考え方だけじゃだめなので、やはり給料として、きちんとする時期もあってもいいのかなという気がする。そういう組織が、例えば全国規模で言ったら東京ではこのくらいあるから、その規模に応じて常勤は何人に分けるとか、ちゃんとお金を回しましょうという形の方が、将来を見据えていく上で大事かなと。被害者に対するものというのは初めてですから、被害者学とかいろいろなものがこれから広がっていくには最初が肝心だと思うので、まじめに考える人たちというか、そういう人たちを簡単に切り捨てないで、ちゃんと育てていくという形の常勤形態も必要かなというのは、何となく私は思う。
(構成員)この人件費等の話について、何かお話あればお願いしたい。
(構成員)総務省の場合、まず民間団体に直接補助等は行っておらず、自治体への交付税措置ということになる。その場合、やはり自治体が措置を行う考え方というのが国との役割分担を整理していく中で、自治体が果たすべき役割が明確になった時点で財政措置というのを検討することになる。
 国の方でも一切、人件費、組織運営費の方をみないとなると、自治体だけがそれを担うというのはなかなか難しいと思うので、一回そこは基本的な整理を国、地方、民間の役割分担の中でご検討いただかないといけないだろうし、そうでないと自治体も納得しないだろうとは思う。
(事務局)総務省に地方公共団体での公益法人なんかに対する援助のノウハウを有する方ということでお聞きしたいが、普通はそういう直接組織運営の運営費そのものを全部税金で面倒見るというようなことは、これは余りないと思うが、ただし、よくあるのは、先ほどのカウンセリングなどの話が出てるが、カウンセリングに例えば何時間かかる、当然それは謝金とか、謝金というのがどういう性格かわからないが、そういった形で実質的な人に要する費用も見ると。ただし、例えば事務局があって経理をやると、そういうふうな費用に出している例とか、そういうのもあるのかどうか。あるいはそれは、そういうような法律なのか条例なのか知らないが、どういう感じなのかというのをお聞きしたい。
(構成員)補助に対する考え方というのが、財政法上整理されているわけではないが、ただ法人格を持っている団体であれば、基本的な設立運営に必要な財産を保持していることが法人格の取得の前提になるので、その上で今度は活動に必要なもので公益性が高いものを自治体が補助対象とするというのが、普通の補助の整理ではないかと思う。
(構成員)今の総務省からの意見は、説得力があると思った。支援活動を選んでということ、公益性の高いものという視点で、今の民間支援団体がすることが適切である、あるいはふさわしいことということを考えると、その中の、例えば相談業務などは、基本的には、やはり人なのだと思う。だから、だから、謝金とかという形で、人件費的なものを手当するのがいいのだろう。というのは、今はボランティア的要素で行っていて、みんなの善意で、あるいは有給であっても非常に低く設定してやっているのが現状で、実際上はそのような状況であることは、もう把握しているのであるから、そこに人件費的なものを盛り込んでいただかないと、なかなか人は育たないだろうと思う。
(構成員)いろいろご議論いただいたが、私が考えていることは、確かに給与とか、そういうものには総補助するというのは難しいかとは思うが、ただその活動に伴う広い意味での人の費用、これはやはりある程度補助の対象にしないと、現実的には活動が促進されないのではないか。とりわけ、これは先ほど私が申し上げたこととも重複するが、早期援助団体についていうと、相談員の養成のために来ていただくときの費用であるとか、あるいは相談業務に伴う人的な費用であるとかというのは、やはり何らかの形で補助の対象とするのがいいのかと思う。
 それから、海外の例だが、OVCの場合は具体的には活動であるが、その中に人件費的なところ、人に関する要素も考慮されているし、それから連邦から州への犯罪被害者補償についても、たしか5%はちょっと記憶がたしかではないが、人件費に使ってもいいと後に改正されて、そこを手当しないと実際業務が運営できないということで改善されたように記憶している。
(構成員)賛成意見ということで、僕はいつも講演に行くときに言うのですが、私は基本的にはボランティアでそういうことをされるのが嫌いだと。というのは、ボランティアというのは、ある意味受ける方からすると善意の押しつけで、ボランティアだから断り切れないとかというのが出てくると思うので、有給の人。そこには責任が出てくると思うので。被害者の支援というものには、やはり責任性がないとだめ。お金をもらっている人だということであれば、この人たちにきちんとした文句も言えたり、これはこうしてくださいということも言えると思うので、ボランティアは余り前面にしないということが大事だと、被害者の立場から言っている。きちんとそれなりの予算措置をする方向で考えてもらった方がうれしい。
(構成員)ここまで被援助団体の範囲と援助の対象となる事務の範囲について、ご議論いただいたわけだが、これらの論点、さらにご意見のある方はご発言をお願いしたい。
(構成員)今までご議論があったとおりで、民間被害者支援団体にとって、やはり一番の資金の問題は場所もあるが、人件費だと思う。人件費は、やはり人一人を雇用すると何百万という単位でかかって、それを寄附とかで行うというのは大変難しい。それから、その部分の補助がないというのは、なかなか民間被害者支援団体が発展していかないということになるから、何らかの形でそれに対する助成というものが必要かと思う。
 一つは、もしどこかで検討いただければと思うが、地方自治体であり、国であり、そういう人件費という形で、今まで民間の団体に補助するような制度とか、そういうものがあったのかどうかということをどこかで調べていただけるといいのかなと。まずその道があるのかどうかということを検討してもらえたらいいと思う。そして、その道がないということであれば、先ほど座長からお話があったように、活動ということで、その活動に要する人の謝金なりという形で、人件費が払われるというような趣旨というものに含まれていくのかなというふうに思う。ただ、この欠点は毎年申請しなければならないということで、継続性がやや乏しく、そういった不安があると思う。
(構成員)ストレートに人件費につけるというような例はあるのか、もし、ご存じの方があればお教え願いたい。今のところご意見ないようですが、それも含めて検討して、それが全く無理であれば次のステップというご意見かと思う。
 (事務局)厚生労働省の方で、そういう例がもしあれば、お教えいただけると非常に参考になるのではないか。なければつくってもよいが、つくる場合には、何かどうしても法律的にこういうネックがあるとか、、そういうご意見を聞かせていただきたい。
(構成員)一般論で恐縮だが、今、国の方の全体の財政状況は非常に厳しいという状況の中で、例えば民間団体に対する補助、とりわけ人件費に対する補助というのは基本的には認められていないというのが現状である。私どもの方で、民間団体がやっている様々な活動に対して何か補助をするとか、あるいは民間団体が活動する際に、先ほど申し上げたような研修をしてレベルアップをするとか、そういうふうなことによって、全体の底上げを図るようなものについて補助、助成を一部するとか、そういうふうな何らかの工夫をして、それが結果的にその分野の底上げを図っていくと、あるいは結果的に団体の方からしても役に立つというような形の助成の仕方で財政当局と折衝するというのが通例である。いわゆる団体に対する人件費補助というのは過去全くなかったかというと、過去はあったものはあるが、そういうものに対しては例年もう過去から極めて厳しい見直しが行われてきており、極めて新しいものについてはほとんど不可能だろうというのが私の個人的な印象である。
(構成員)今のご説明のとおりで、あえてつけ加えるとすると国、地方を通じて大変厳しい財政状況で、大変厳しいルールで行政改革というか見直しを進めることを求められており、人件費をそのまま補助をするとことについては、やはりかなり厳しいことになるであろう。
 総務省の中でも地財措置をやるのは、また別のセクションであるが、そこは当然そういうことに対しては大変厳しい姿勢をとることが予想されると考えている。
(構成員)厳しいというのはよくわかったが、一つ心配なのは、私も構成員と同様で、本当は人件費というような形で手当てしないと、それこそ民間支援団体は厳しい状況であるが、ただ、そのような形でもしできたとしても、例えば民間団体に対する監査のようなチェックが厳しくなり過ぎると民間団体はやはり逆に大変で、本当に民間という部分のよさがなくなる。きちんと報告を受けてということはもちろん必要だが、余りチェックが厳しくなるのもいかがなものかと思うので、兼ね合いがある。そこも見据えて考えなければいけない。
(事務局)今までのところについては、中間報告に向けて何か取りまとめみたいな案をつくってまいりたいと考えている。次回は、残っている財政援助以外の人的・物的援助と、財源、経路の問題等について議論いただく予定である。

○次回検討会は、平成19年2月に開催予定。

(以上)



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