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民間団体への援助に関する検討会(第4回)議事要旨


(開催要領)
日時: 平成18年7月13日(木)15:00~17:00
場所:中央合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
座長代理中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
構成員林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
廣田 耕一警察庁犯罪被害者対策室長
下河内 司総務省自治行政局自治政策課長
辻 裕教法務省刑事局参事官
代理出席荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
辻 裕教法務省刑事局参事官
山口 高志厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐

※各構成員のいずれの発言についても、便宜上、「構成員」と表記した。


(議事次第)

1.開会

2.民間団体等の活動の実態等についての有識者からのヒアリング

 (1)渡辺 直 氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長)

 (2)照山 美知子 氏(社団法人いばらき被害者支援センター事務局長)

 (3)川崎 政宏 氏(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長)

 (4)土師 守 氏(自助グループ「六甲友の会」世話人、全国犯罪被害者の会(あすの会)幹事、NPO法人ひょうご被害者支援センター監事)

3.海外調査の調査項目等についてて

4.その他

5.閉会


(配布資料)

  資料1  渡辺直氏資料 [1][PDF形式:27KB] [2][PDF形式:28KB]
  資料2  照山美知子氏資料 [1][PDF形式:27KB] [2][PDF形式:KB]
  資料3  川崎政宏氏資料 [1][PDF形式:39KB] [2][PDF形式:77KB] [3][PDF形式:72KB] [4][PDF形式:67KB]
  資料4  土師守氏資料 [1][PDF形式:43KB] [2][PDF形式:47KB] [3][PDF形式:84KB]
  資料5  内閣府資料 [PDF形式:19KB]

○民間団体等の活動の実態等についての有識者からのヒアリング
民間団体等の組織体制、活動状況、財源等の実態等について、実際に民間団体等で支援活動を行っている有識者から説明がなされた。概略以下のとおり。

《全国被害者支援ネットワークの加盟団体全般と事務局の活動状況について》
●有識者から説明
 現在私どものネットワークが抱えているさまざまな課題あるいは問題も含めて、格好悪いところも含めて正直にご報告したい。
 資料の末尾に図1から図5までグラフを載せてあるが、ご覧いただきたい。今回ご報告をするに際し、全国被害者支援ネットワーク加盟団体に、問い合わせた。その結果得られたデータをもとにしてつくったグラフである。
 全国被害者支援ネットワークにおけるボランティア、非常勤、常勤全部入れて1,054という数字が出たが、そのうちのボランティア、常勤、非常勤をあらわしたのが図1である。無償ボランティアが圧倒的に多い、常勤が少ないというのが図1から見える。
 図2が働いている人間の年齢分布である。年齢の記載のない回答もかなりあったが、有効回答671というところから抽出したが、やはり50代以上が圧倒的な多数ということになる。
 それから、図3では、性別内訳、女性が52%になっている。無回答のうちの大多数は女性であろうと推測している。
図4は、被害類型別の比較であるが、これは早期援助団体、それ以外の団体とで分けた。早期援助団体9団体平均の数と、それ以外の数の平均であるが、かなりの開きがあると推測できる。
 図5は、支援内容比較について、これも早期援助団体とそれ以外の団体の比較をとってみた。やはり早期援助団体に件数が多い。
 全国被害者支援ネットワークに加盟する団体は、全国40都道府県に42の団体がある。来年度あるいは今年度中にはさらに3つのところで新しい団体が設立するとの情報がある。現状は社団法人16、NPO法人15、任意団体が11という構成になっている。早期援助団体はそのうちの9団体。早期援助団体はいずれも社団法人である。
 常勤、非常勤の分布は先ほどのグラフのとおりである。常勤のいるところが72%、常勤のいないところが28%となる。ただ、今回の調査の中で常勤について何人いるかと質問したところ、常勤の勤務時間に関して週16時間、週30時間で常勤とする答えもかなり出てきてばらついていたが、常勤という報告で上がってきたものはすべて常勤のところにまとめた。非常勤職員のいるところも同じように72%である。
 常勤の賃金の最高額が年収450万、最低額が96万という数字が出ている。最も多いのが200万円台、200万円を超える賃金が全体の56%、常勤の平均年齢52歳、男女比は3対7、最高齢者は74歳、一番若い者は25歳である。
 ボランティアに関しては、いわゆる有償ボランティアのみを配置しているところが1割、無償ボランティアのみを配置しているところが60%、両方を配置しているところが残り30%であり、現場一線を支えているのは無償ボランティアが中心だとの、日ごろの感触がそのとおり数値になってあらわれたようである。
 各センターの予算等々について調査したが、年間予算で一番大きいのは1億4,000万円、一番小さいものは3万円という調査結果が出た。3万円という予算で実際に仕事をしているのかというクエスチョンマークがつくが、いわばかなり格差があるということは言える。年間予算2,000万円を超えているところが17%、1,000万円以下が50%、残りは1,000万と2,000万の中間ということになる。
 そのうち公的な援助については、地方公共団体からの援助を受けているものが76%であった。援助の額、最高額が1,600万円、最低額は29万という数値である。全体的に見ると、援助の500万円以下の部分が74%と最も多い数値になっている。
 次に、会費収入であるが、会員にはどこも正会員と賛助会員の2種類がある。正会員からの収入で最多の団体は740万円。正会員からの収入で最も多いのが100万円以下で68%である。一方、賛助会員という会員を抱えている団体も大変多いが、これはいわばスポンサーであるが、賛助会員からの会費を最も多くもらっている団体は5,400万円であった。全体的に見ると賛助会員からの会費が500万円以下というところが全体の62%である。正会員の会費が2,000円、3,000円、5,000円、1万円、大体この4種類。賛助会員は3,000円から2万円の間で何種類かある。ある団体によっては賛助会員は1口1万円で5口以上というような条件をつけているところもある。
 次に、民間からの寄附あるいは補助のところを見ると、民間からの寄附金で最も多額なものは1つの企業というか1つの団体から1,200万円いただいたのが最高の額である。センターによっては寄附ゼロというところもある。それから、補助金で最高額は700万、これは1つの団体から700万円をいただいたということである。民間からの寄附、補助ともにいただいていないセンターが1つある。  それぞれの事務所がどうなっているのかを聞いた。事務所に関して援助を受けている団体が全体で28%、11団体である。そのうち無償援助が10団体である。月々の賃貸料が最高額が30万円、最低額3,810円である。一番多いのが10万円以下、全体の75%が10万円以下に集中している。
 専門家の配置は、資料に記載したとおり、各職種の方がすべて配置されている。
 全国の加盟団体が今望んでいることを調査してみたが、まず事務局体制の強化が全体の70%に達している。常勤を配置したいというのが一番強い希望である。全国的な傾向としては管理・事務を統括する常勤と、現場一線の支援事業を統括する常勤とをそれぞれ欲しているということが明らかである。常勤者の低賃金を何とかしたいという声もあった。
 広報・啓発については、現状の広報・啓発というのは主にリーフレット、ちらしあるいはポスターというものを一定の場所に置く、飾るというスタイルが主流であるが、今後は電車、バスあるいは駅張りといったような交通媒体、移動媒体を利用したいという意見が出てきている。しかし、これは予算等々の関係から現状ではかなり難しいと考えられる。
 さらに、現場として必要であるけれどもできていないことを質問した。答えは資料にあるとおりで、相談内容あるいは事業内容の検証、自助グループの立ち上げ、会員獲得活動等があげられる。さらに、事務所拡充を是非したいとの希望がある。これは早期援助団体の指定を受けるためにどうしても必要であるが、なかなかうまくいかない。さらに人材、人手の不足、人材養成をしたいというのも大変強い希望になっている。
 次に、どうしてもやりたいこと、欲しいものというものを調査してみた。資料に記載のとおりである。特に人材を確保し、物理的な条件を整えて早期援助団体の指定を受けたい、あるいは公益法人化の認可をいただきたいというものが切実な要求になっている。
 現状一番困っていることは何かという質問に対しては、財政的基盤の不安を訴えるものが一番多い。これが全体の67%を占める。次に多いのが事務所、研修室、面接室といったような環境整備で全体の43%に及ぶ。これも日常の我々の仕事の中で全国的に、どこのセンターも一番苦しんでいると回答の中に出てきている。
 もし今後全国の各センターが財政的な援助をいただくとすれば、どういうような有りようがよいかということを質問した。約80%の組織が受け皿となる組織が必要であるという意見である。具体的にはどのような組織かということは出てこないが、国民の血税をいただくのだから安易なあるいはいい加減ないただき方はとてもできない、厳格ないただき方、厳格な受け皿となる組織が必要である、あることが望ましいとする意見が多数となっている。
 中には全国被害者支援ネットワーク事務局の受け皿でもよいという意見があったが、事務局としては、今のままであればそういう重大な仕事を処理するだけの能力はないと考えている。
 それから、援助をいただくに際して一定のガイドラインがあった方がよいかという質問を出したところ、多くがガイドラインは必要であるという意見である。例えばそれぞれのセンターの事業内容を比較考量して援助をいただこうという方法。人口当たりの応分の配分をいただくという方法。それからもう1つは、早期援助団体という認可を得た団体をまず優先的にという方法等。大体その3つあたりに収れんされると考えている。
 相対的に見ると、今、全国の様々な団体が一番望むものは財政的な援助、それ以外としては研修室、事務室、面接室であるといったような物理的な環境整備、それを大変強く望んでいるというのがはっきりわかってきたところである。
 次に、全国被害者支援ネットワーク事務局に関して報告する。現在事務局の主たる活動というのは資料記載のとおり。今年は10月3日に全国被害者支援フォーラムを予定している。全国犯罪被害者週間全国大会は11月26日の日曜日に東京で開催する予定としている。
 それらの様々な事業、行事等を現状では常勤2名、それから非常勤2名で処理している。常勤は2名の内、1名は65歳の男、1名は25歳女である。非常勤は2名いるが、1人は経理の専門で週2回、もう1人は一般的な事務で週1日である。
 事務局の経費であるが、資料に記載のとおりである。各地方のセンターからは10万円の年会費をいただいているが、必要に応じて会減免措置を考慮している。
 事務所は東京医科歯科大学から賃貸をしており、24平米、7.2坪、大変狭い、困難を極めるような狭さである。全国被害者支援ネットワークの会長が医科歯科大学に勤務しており、ご好意で医科歯科大学の書庫などを利用、事務局の大量の資料、文献などといったものを置かせていただいているが、この1、2年には現在の事務所を出ざるを得ない状況になる。都心にそれなりの面積を持つ事務所あるいは倉庫などを持つところを探すのはかなり至難の業と考えている。賃貸の民間の事務所などをインターネットで探してみるが、部屋のみを借りることはできるが、会議室、応接室、倉庫で等がつくと莫大なお金がかかってくるということになる。
 加盟団体への支援のうち十分できているものは何か、十分に対応できていないものは何かという質問であるが、率直に申し上げて十分にできていると自信を持って言えるものは実はない。ネットワーク事務局の主たる活動のところに記載の行事あるいは研修、フォーラム、ニュース発行など、一部はしっかりできていると思っているが、すべてについて十分との自信は持てない。  財政問題が解決できればできることは何かという問いであるが、まずどうしてもしたいのが、現在より広い事務所への移転である。会議室も含め応接室、面接室、倉庫等、物理的な環境整備を図りたいの。それから、常勤者を雇用したい、もう1人いればかなりいい仕事ができるのではないかと感じている。
 次に全国事務局長会議、年に1回開催するかしないかであるが、これを複数回開催したい。
 さらに、全国研修あるいは全国大会に対して、今、地方のセンターからの参加者の方に対して援助は一切ない。できれば地方のセンターから来られる方に例えば1人分でも補助が出せれば地方の各センターが自費の参加者と含めて2人ぐらいは確保できるということになるので、随分全国大会なり全国研修の様相が変わってくるであろう。
 また、全国6ブロック程度に分けてブロック会議あるいはブロック研修というものも是非やりたい。
 さらに、指導者を養成する研修あるいは指導体制の拡充あるいは整備をするといったようなそういう試みもさらにやってみたい。
 また、ネットワーク事務局に中央の被害者支援に関する研究センターの機能も持たせたいと考えている。
 すぐれた企画などが予算不足のためにどうしても今年だけはできないというようなセンターがあれば、そういうセンターに財政的な緊急援助をできるようなゆとりもあればと考えている。
 各センターとも全国一斉に年1回ぐらいはキャンペーン事業をしたいが、このキャンペーン事業でも予算が足りないという声をよく聞く。そういうときにやはり緊急的な財政援助をしたいと考えている。
 次に、国あるいは地方公共団体から受ける援助として財政援助以外にどのようなニーズがあるかということであるが、それは資料に記載したとおりで、環境整備などについて是非したい。
 それから、関係団体あるいは関係省庁から人材の出向をお願いして組織のてこ入れ、レベルアップなども図る方法もあるかなと考えている。
 これは全国共通ではあるが、例えば車両の確保というのも大変有効な方法ではないと思う。全国の幾つかの支援団体が日本財団から車両購入の補助をいただいているが、特に地方においては車両を使っての直接支援が大変有効である。現に大変効果的な使われ方をしているところがあるので、車両確保もそういう財政以外の援助の1つになろうかと考える。
 もしネットワーク加盟団体が財政的な援助をいただくならば、それに際しての基本的な考え方はどうかということであるが、資料記載のとおりである。私どもは全国被害者支援ネットワーク加盟団体というのは早期援助団体あるいはそれを目指す団体の緩やかな連合体であると考えている。その事業を推進するに足る費用、施設等の援助が是非いただければと考えている。
 現状、私ども自分自身をどのレベルにあるのか、どういう評価になるかと自問すると、とても納得のいくレベルにはなっていないのではと考えている。まだまだ多くの課題を抱えているといえる。
 最後に、私の極めて個人的な意見を言わせていただきたい。私がネットワーク事務局に入ったのは昨年10月で、まだ9カ月しかたってないが、今私が持っている印象というのは2つある。これほど重要な仕事をしている全国の多くの人々がなぜこれほどお金のことで苦しんでいるのかというのが1つ。それから、これほどの仕事をなぜこれほど個人の善意あるいは自己犠牲に頼っているのだろうかというのが1つである。
 私はネットワーク事務局に入る前は司法の第一線で38年間勤めていた。それだけに被害者支援という問題の重要性というのは大変よくわかる。この問題をどうするかというのは、結局この国のディグニティーが問われている問題ではないかと考えている。
 この検討会を成功させるために現場一線、事務局も含めて、精一杯努力し協力する。今後の日本の被害者支援の仕事に関しては財政的な援助あるいは物理的な援助等がない限りは先細りであることは間違いないと考えている。
 今年2月に全国事務局長会議を開いた。その会議の折に一番困っていることは何かという質問をした。やはり一番多いのは財政援助、お金のことだというのが回答であった。自他ともに認めるある地方の優秀かつ有能なセンターの事務局長がこう言っていた。日本財団からの援助があと1年で終わる。地方公共団体からの補助は永遠に続くはずはない。最悪の場合、あと2年たったらこのセンターは消滅しているかもしれない。閉鎖せざるを得ないかもしれないということを聞いて、私は思わず胸が熱くなった。そういういわば綱渡りのようなことを全国各団体が今しているところである。
 この検討会にかける私ども現場一線の期待というのは本当に大きいものがある。


《いばらき被害者支援センターの活動状況と財政運用状況について》
●有識者からの説明
 当センターは、平成7年に民間の任意団体「水戸被害者援助センター」として発足した。そのときに危機介入も含めた総合的な、直接的支援に活動が入っていくのだということを大前提として進めてきた。ただ、日本にまだそういう団体がなかったので、週2日の電話相談から始めた。
 電話相談については、資料を読んでいただければわかる。ただ言えることは、全国被害者支援ネットワークの多くの団体は、電話相談を、まだまだ心のケアと言っているところがある。電話相談員は本当に心のケアだけではなく、いろいろなことを知ってオールマイティにいろいろな情報を持って対応できなければその役目を果たさない。
 何年か前になるが、被害者の方から電話があったときに、「それは大変でしたね」と相談員が言ったときに、「おつらいですね」とか「大変ですね」なんか言われてもちっともうれしくないと怒られたことがある。被害者の方はいろいろな問題を抱えているから、ただ気持ちを聞いてもらっただけでは本当にそれだけでは全然解決にならない。その気持ちがつらい中には経済的な問題や法的な問題などいろいろなものを含んでいる。そうした小さいものがいっぱいあるから、そういったものが解決できないでただ「おつらいですね」と言われたところで何もうれしくないわけである。いろいろな被害者の方のニーズのデータを見たり、手記などを読んだりすると、法的支援が欲しかったと、そういうこともよく書かれてある。だから、私たちの電話相談員はすべてそういうことを踏まえた研修をして相談に当たっている。
 資料の2、3、4ページにグラフと表がある。当センターは平成14年に犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けているが、平成13年11月に社団法人ということで名称をいばらき被害者支援センターと変えた。その時点で社会的認知が大分違ってきたと思う。そして、14年12月に早期援助団体の指定を受けたが、それによってまた大きく県内の当センターに対する見方が変わってきたと思う。公安委員会の指定ですよというと大分見方が違ってきて、接し方が違ってきたなと思う。
 そういうこともありいろいろな県内のところにも当センターが知られるようになり、それによって件数も増えてきた。開設日数が増えたということもあるが、15年度あたりから件数が増えた。対象別に見ても殺人とか傷害とかそういういった当センターの目標に合ったものになってきている。当初開設したときには、当然だが、毎日泥棒が入るんですよとか、今日はニンジン盗られました、今日は白菜盗られましたとかそんな電話もあった。どう考えてもこれは犯罪というより人間関係の問題だろうとか思うようなものもあったが、徐々に本当に被害に遭った早い段階での相談が多くなってきた。
 それから、面接相談も、当初は専門家によるカウンセリングが中心であった。ただ、本当にとても大変なダメージを受けている場合はセンターのカウンセリングをしている程度ではとても済まない。専門家が当センターで割と身近にいたときは投薬もできる精神保健福祉センター等と連携して対応もできた。今では当センターはまず被害者の方にお会いして、ケースワーク的に何に困っていて、どんな支援が必要なのかと、そういった面接に入っている。そこから、その方が本当に精神的にとても大変な状態であれば、その方にとってどういうところを案内して、どういう方向にもっていけばいいのかと、そこを考えていく。つまり、コーディネーターである。被害者の方をきちっと見すえて、その方の回復にとっていいことはどういうことなのかということをきちんと考えられなければいけないと思う。そういった面接相談に変わってきている。
 それから、直接的支援であるが、これが早期援助団体の指定を受けて大きく変わった。早期援助団体の指定を受ける前も直接的支援は少しずつ始めてはいたが、やはり早期援助団体という仕組みは当センターにとってみれば警察との連携による支援、これは仕組みとしてはとてもいいのではないかと思う。被害に遭ってどうしていいかわからないときに、何だかこういう団体が支援しますよと言われても本当にそこに支援を頼んだり相談したりしていいのかなと、混乱している人は戸惑う。
 当センターが支援に行ったときに、あるご主人を殺された方が、話していた。最初はいろいろな人がやってくる、宗教の人とかいろいろな人がやってきていろいろなパンフレットをくれる。警察の人が当センターのパンフレットを置いていったが、何だこれと、別に気にもとめなかった。少し落ち着いてきて、でもまだパンフレットに目を通すとかいう段階ではなかったのだが、警察の方がフォローアップに行かれて、この間パンフレットあげたけれどもどうですかとまた言ってくださる。そういうこまめな警察の対応があって、ああ、そうかと。支援してくれるのですよ、ということで私どもとつながるわけである。警察が紹介してくれるのだからそんな変なところではないだろうなと思うわけである。
 当然、警察の提供情報として受ける。当センターも被害者の方が電話をしてきてこんな被害に遭ったのですぐ来てくださいと言われても、その事実はあるのかなとか迷うわけである。いろいろな質問をして、そういうことなのかとか、新聞記事とかいろいろ切り抜いてスタッフが整理しているので、既にその電話が入ると、事務局長、この記事ですねとすぐに出してくれるから、こういう事件だったよねとわかるが、記事にもならなかったりすれば、本当に支援していいものなのかなとこちらも思うし、向こうの方でも本当にいいのかなと思う。そういうことも考えると、早期援助団体というこの仕組みの中できちっとそういう情報提供があってその支援に入るということはとても現段階ではいいと思う。ただ、それがすべてだとは言わないが、これは本当に支援がしやすい仕組みだと思っている。
 直接的支援の中でいろいろ記載しているが、現在のところ法廷付添いを中心とする法廷関連サービスが多くなっている。被害直後に行ってすぐに家事援助したりとか、お葬儀の手伝いをしたりとかと、そういうことはまだしていない。
 本当に経済的にもいろいろな大変さを抱えている。被害者の方は、犯人が当然殺人だの強盗だのとかになってくると損害賠償もない。犯給法にどこまで該当するかとか、どの程度いただけるのか、それも見舞金程度だし、本当に経済的な大変さを抱えていくことになる。
 支援例については支援例1、2を記載した。支援例1というのは、被害者本人。この方は本当に、筆舌に尽くし難い被害を受けて、立ち直れるのだろうかというくらいのものであった。当センターが提供情報として受けたのは、被害から時間が大分たって、精神的なPTSDの治療も受けた後であった。裁判で証言をしないといけない。犯人が否認しているので。ビデオリンク、遮蔽、付添いという3点セットで裁判に臨んだという事例である。
 それから、私どもは数多く支援しているが、被害者本人とご遺族の場合というのはまた違う。対応の仕方も違ってくる。
 支援例2というのはご遺族。これは大変な事件で、実は1つの犯人で被害者が亡くなった方と、被害者本人と、2ケースあり、どちらからも支援の依頼があった。そのどちらも受けた。2チームつくり、8人体制で臨んだが、それはそれで本当に大変な状況であった。マスコミ対応もした。被害者によっては、マスコミとは遠ざかって関わりたくないというのが多いが、中にはちゃんと話したいと、そういう方もおられる。そういった場合には記者会見の設定もする。支援に入ると法廷関連のサービスだけでもかなり細かいことがたくさんある。そういったものが支援例として載っている。
 だから、支援員は本当に温かい心で、でも冷静に、何が起きても動じない、臨機応変に対応できるそういった姿勢で臨まなければならない。そのための研修や実地訓練を日頃からしている。当センターの支援のレベルは結構高いのではないかなと思う。
 犯罪被害者等給付金申請補助、自助グループについては資料をお読み下さい。
 養成事業についても、当センターは犯罪被害者等早期援助団体であり、公安委員会規則に定める資料に記載している支援が必要だということで力を入れている。その中でも犯罪被害相談員というのはとてもハードルの高いもので、専門家、弁護士、精神科医、臨床心理士といってもすぐに犯罪被害相談員にはなれない。犯罪被害者支援に関わり、その識見を有している者ということで、ただ肩書だけではなれない。
 それから、養成講座からの支援員の場合には、専門の訓練を受け、さらに1日4時間以上、週3日以上、3年以上という期間を要し、ハードルを超えないと犯罪被害相談員の認定基準に達しない。時々ぽろっぽろっと入ってくる人は、犯罪被害相談員にはなれない。職員としての位置づけが必要になる。そういった養成講座を当センターは2年をかけてやっている。他のセンターから見たら、どうしてそんなに養成講座に時間かけているのですかと言われるかもしれないが、それくらい被害者に接して支援するというのはいい加減にはできないということである。当然継続研修も力を入れている。
 資料10ページの支援体制は、最後に別紙で載っている。専門家はA、B、C、D、E、F。専門家は専門家謝金で支払っているが、謝金規程をきちんとつくったのが16年度、大体1時間5,000円という規定になっている。でもそれ以前は1円もお支払いしなかった。交通費すら払わなかった。お金がなかったから。
 それから、先ほど有識者の方からの説明で常勤の方で年収の最高が400何万円で下が96万円ということだったが、当センターは96万円もらっている人はいない。常勤になれないのである。職員もせめて社会保険とか入れればいいなと思ったが、問い合わせたら1日8時間で週5日働いて初めて社会保険に入れるからと言われて、「うちは入らなくていいのですか」と言ったら、労働基準の人が、「入らないんじゃなくて入れないんですよ、お宅は」と言われた。当センターは社会保険にも入れない団体なのだと、認識した。  10、11、12に関しては期限付き職員として日本財団の援助があるうちにとにかく犯罪被害相談員を増やさないといけないということで、3年間だけは払えると言って、その人たちを期限付き職員にして週に何日も、今集中的にその人たちに研修を兼ねて支援にどんどん入ってもらっている。
 10ページの経費の確保ということで、18年度の予算だが、実際会費収入は予算なので膨らませている。実際はこれより100万ちょっと少ない。でも、これぐらいもらわないとやっていけないよということで組んでおり、今年もまたこれだけ会費が集まるかなとすごく頭が痛い。補助金が資料に県と日本財団とある。これが18年度で終わる。19年度は何もなくなる予定。ただ、県とかいろいろ皆さん努力してくださっているようだが、もしこれがなくなると、19年度は何とか続いても、20年度には当センターはないかなと思っている。
 最初は事務局長として考えるとすごく頭が痛くて血圧も上がるし本当につらくてしょうがなかったが、最近はそのときはそのときだなと、気楽にするようにしている。身がもたない。
 事務所等については記載してあるとおり。
 それから、犯罪被害者等に対する対応ができている点だが、総合的支援体制については、当センターは最初から心のケアとか電話相談とかではなく、総合的支援をするということを目標に養成講座をしており、そういうものに対応できる支援員を育ててきたと思う。そういうことが今の支援事業を支えていると、その方針は間違っていなかったなとつくづく思う。
 犯罪被害者等早期援助団体として県警との連携のもとに支援員たちが直接的支援業務を中心に行っている。この県警との連携ということだが、本当にいい関係である。いろいろな相談をしたり、お互いにこうですねとかいって、いいパートナーシップでやっていると思う。
 それから、十分にできていない点。本当に被害直後の支援というのはまだまだこれからになる。被害直後に駆けつけるというのはなかなか難しいことだろうなと思う。それには当センターの体制として県内に人を多く配置したい。本当は支部とかをつくりたい、県南支部とか中央支部に。そうしたらそこからすぐに人の手配ができ、夜中でも被害に遭ったお宅に飛んでいって一緒にいたり、片づけたりといろいろなことができると思う。そういう体制はまだまだこれからだなと思う。  運営体制ですが、当センターはお金がないから管理部門と事業部門一緒にやっている。事務局長で私は、あちこち駆け回りながら、かつあちこちの会社訪問をしてお金を援助してくださいとか賛助会員になってくださいとかって、自分の人格がおかしくなるのではないかなと思うくらい、どうもどうもとか言いながらお金集めにも走っている。これは本当につらいこと。  経理も自分たちが全部やっている。公認会計士にもお願いしているが、本当によくやってますねとおほめの言葉をいただくくらいにきっちり支援員がすべてをこなしている。
 そういうことで、この先財源が入ればそういった管理部門と事業部門をきっちり分けて、よい支援体制ができるのではないかなと資料に記載してある。
 11ページの最後の方になるが、本当にときどき来るボランティアも大事だが、継続的に入る人がいなければこういう犯罪被害者支援団体は成り立たないと思っている。
 それから、財源があればどういうことができるかというのは、資料に書いてある。
 それから、財政的援助以外に国・地方公共団体に対してどのような援助を望むかということも、資料に書いてあるとおり。
 7番目に、「犯罪被害者等基本計画」と「犯罪被害者等早期援助団体に関する規則」との整合性を図ってほしいとあるが説明すると、犯罪被害者等基本計画の中というか基本法においては被害者等という対象を故意犯だけでなく過失もすべて交通事故もいろいろ含んでいる、幅広く被害者をとらえている。ところが、早期援助団体の方は故意による身体犯という、交通事故だと危険運転だけと、そういうことになっている。当然早期援助団体ということでいくとそこにちょっとずれが出てくる。その先に特定公益増進法人という、通称特増というものを受けるということを目指しているところもあるかと思うが、特増というのはその早期援助団体としての事業、そういう対象の支援が7割以上という限定がある、そうすると基本法では幅広く被害者を広げているのに、7割、そうするとどこで整合性を考えるのかなと。被害者をこれ該当しない人はちょっとこのくらいにしておいて、該当する人にいっぱい時間かけなくちゃみたいなことになると被害者を差別することにもなりかねない、私たちの団体としてもきちんとよく考えていかなければならないなということで書いた。

《おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズの活動状況と財政運営状況について》
●有識者から説明
 資料とともにニューズレターがある。それから、白焼きのコピーで、岡山県警の被害者の手引からの抜き刷りと、それから県内の団体の活動状況を示しているものと、全国の自助グループの状況、その3枚がお手元に資料としてある。あとは資料に沿ってご説明したい。
 おかやまの民間支援の状況は、2年半の歴史がある。最初の1年で被害者サポートセンターおかやま、私も関わっていたが、2つに枝分かれをして、被害者サポートセンターおかやまは早期援助団体の指定を目指して社団法人化し、私たちの被害者サポート・ファミリーズは自助グループを中心の活動へと2つの方向で分かれていった。
 1年たったが電話相談の数が少ないという実態がある。なぜ電話相談が少ないかというと、被害者の方の声を聞くと、被害直後はなかなか電話をかけることができないということであった。したがって、サポートセンターの方は早期援助団体の指定を目指して警察と密接な連携をとっていく方向を目指された。私たちの方は当事者の方が地域の中で声をあげられないままいる現状があるので、電話に手が届かない方がいかに地域の中で集まれる場ができるかということで、地域の中に当事者の方たちが集まれる場を形づくっていこうということで動き始めた。
 したがって、枝分かれの経緯もあり、我々の支援の視点というのは当事者の方たちが大きな団体をつくっていくことになかなかついていけないということがあり、やはり当事者の方たちと支援者が一緒に団体をつくっていこうということであった。被害者が入っていない支援組織にはやはり被害者の視点がどうしても欠けてしまうので、当事者の視点をきちんととらえて一緒に運営し、自助グループと電話相談を2つの柱に、当事者でなければできないこと、それから当事者だけではできないことということで、当事者の方たちの自助グループ、それを周りでボランティアの方が支える。そして、電話相談はその自助グループへの入口としての機能を果たしていくという形で動き始めた。
 活動している中でこの当事者の方たちが自ら声を発していく。発することにより呼びかけに応じて既にもう13名の方がつながってきている。1年数カ月だが、自助グループの輪が広がっている。これは自助グループを毎月第3土曜日に開催しながら、さらにその自助グループがこういう場にありますよということを分かっていただくために、今当事者のための当事者による連続講座、年間10回を計画して、今5回目まで連続講座が進んでいる。マスコミが非常に協力をし、今回は少年犯罪の遺族の方、今回は未解決事件の遺族の方、今回は交通死の遺族の方という集まりを設け、県内の方、県外の当事者の方をお招きして交流の場をつくっていくという活動をしている。毎回その講座を開くたびにお一人お一人その新聞記事を見てつながって来ている状況がある。
 このつながりの場ができるということがそこから当事者の方相互のピアサポート活動、仲間支援、相互支援と私はとらえているが、同じ気持ちを抱いた方がグループに一堂に集まるのは大変だが、お互い何か自分にできることはないだろうかということで新たに加わった方にサポートしていく、助言をしていくという活動が既に始まっている。
 これは既に全国の被害当事者の方たちの団体の中では相互に支援傍聴をし、自助グループの中でお互いの情報交換、そういったことはしているが、なかなかこれが表にあらわれない活動だということで、これをきちんと形にしていきたい。
 したがって、こういう地域の中で地域に根ざした当事者の方たちがなかなか声をあげられないままずっと声を押し殺して事件後の生活を生きている、そこを何とか集まれる場をつくり、長期的な支援をやっていきたいということで我々は動いている。
 早期援助団体がとても大切であることは私たちも十分理解しているが、事件直後からすぐ支援に入れなくても、事件からかなり長期間たってもまだ深い傷を抱えたまま地域で暮らしている方たちの集まれる場、それを継続的に保っていきたいということで長期的な支援を1つの視点としてとらえている。
 そして、我々が当事者の方たちと支援者が一緒に活動していく上で、やはり今回の犯罪被害者等基本計画は非常に心強い青写真であるので、それが形だけの施策として県・市町村レベルに下りてこないように、草の根で現場から当事者の方たちが行政に声を届けて、血を通わせていくという活動を我々のNPOのミッションとして現在行動をしている。
 全国被害者支援ネットワークに加盟しない理由については、1年間サポートセンターで電話相談を受けて、最初の時期というのはどうしても経済事犯等一般的な悩みの相談的なものが半分以上を占めるというような現状があり、真に支援を必要としている方への直接的な支援になかなか結びつかないということがあった。我々は生命犯、それから性被害、DV、虐待、被害類型を特定して広報しており、そういう意味で電話にかかってくる相談案件は一般の悩み相談とか財産被害の相談はほとんどない。交通死の方からの電話相談が大半を占めている現状である。
 岡山県警のリーフレットにもあるように、県下に今3つの支援団体があるが、サポートセンターは性被害の方の相談は比較的早い段階から県警と結びついて動いている。我々は交通死の遺族の方たちの自助グループ的な活動が中心になっている。
 また、さんかくナビはDV被害者の支援、これもシェルターを持っており、生活の場の中からの支援、自助グループの定期開催、法廷付添い、生活のすべての面でのサポートをしており、当事者が集まるところに必ずその支援の芽があり、それを1つ1つ形にしていくということである。
 あと全国ネットに加盟しない理由としては、加盟金とか研修に東京まで岡山から出向かなくてはいけない、かなり莫大な費用がかかる。そういうことで、我々がまだ1年目ということもあり現時点では加盟はちょっと難しいなという当事者の方からの声もあり、現在は加盟していない。
 また、10月3日の被害者支援の日の行事あるいは犯罪被害者週間の行事に対する考え方についても、全国ネットワークとそれから全国犯罪被害者の会の考え方の相違の部分もあり、おかやまでは、サポートセンターの方は県警と密接な協力をとりながら、商店街を県警の方たちと同じTシャツをそろえてパレードをされたということがあり、こういう形の広報活動も大事なことだとは思うが、被害者の方たちがこういう広報活動にはやはり参加しづらいということである。また、県警と連携をとるということで、交通死の遺族の方たちの中には警察の初動捜査に対して非常に不信感を持ち自助グループに加盟している方も複数いる。そうしたことでこういう形の行事にはなかなか一歩踏み出せない、枝分かれの経緯もあり、こういう形での行事には一線を画したいという意見で全国ネットの方には加盟していない。
 それから、活動内容については、電話相談と自助グループが中心であり、電話相談の中から直接支援が必要な案件については、弁護士、臨床心理士、それから精神科医の方たちと密接な結びつきを県内で持っており、既に14名の方への直接支援は行っている。電話相談はやはり相変わらず少ない状態である。交通死の方が20件程度、61件のうちの20件は交通死の方からの相談である。
 自助グループは既に毎月第3土曜日の定期開催が行われており、これは自助グループの中心的なメンバーが少年事件の遺族の方、それから未解決事件、奥様が誘拐されたまままだ発見されていない精神科医の方が当事者となっている。その精神科医の方と少年事件遺族の方、この2名がファシリテーターとして自助グループを定期開催している。既にのべ80名の方が参加している。この自助グループの中からピアサポート活動が活発に行われているのが現状である。9日にも連続講座が開かれたが、連続講座の場に参加されていた当事者の方、新たに加わった交通死の遺族の方がその場に参加されて非常に涙をこぼされていたところにそっと近寄って、先に加わっていた遺族の方が声かけをされ、非常にご自分を責めておられる当事者の方を抱えるような形でサポートされていたのを目にしている。
 それから、当事者、支援者による講演活動も既に17回行っており、警察等への研修も当事者の方が出向いている。連続講座は既に4回、9日に5回目の講座を開き、250名ほどの方が延べ参加している。
 そして、行政とのNPOとの協働事業が新たな活動として始まっている。これは基本計画をどう具体化していくか。NPO法人として6月6日から設立できたが、岡山県が非常にNPOと行政の協働を積極化しており、NPOとして声をあげて、草の根で我々もやっていきたいということがあり、県民局単位で、県下3つの県民局があるが、1つ1つ県民局にこの協働事業の提案をし、まず備前県民局が最終審査まで残していただいた。行政の方たちと基本計画を市町村あるいは県レベルで具体化していくためにはどういうことをまずできるかということ。当事者の方が一緒に加わって行政の方、当事者の方、そして専門職、精神科医、臨床心理士、そして大学の先生たち、一緒に考えていきたいという活動を行っている。
 我々の活動はこういったまだ草の根の活動だが、先ほど全国ネットの方のお話にもあったが、予算規模からすると非常に小さい規模である。これはむしろ活動が始まった初期の団体ではすべて同じような状況ではないかと思う。
 年間の予算額が275万円。正会員は今20名。正会員の会費が5,000円。賛助会員の会費が2,000円ということで、会費収入は20万円。幸い当事者の方たちが声をあげたということがあり、弁護士会の外郭団体の財団法人リーガルエイド岡山がNPOの立ち上げのために100万円を助成していただいている。NPOの立ち上げの助成ということで、中国労働金庫から20万円、そして県下文化振興財団で福武財団が15万円を寄附していただいた。また、赤い羽根の募金から30万円を自助グループピアサポート活動の支援事業ということで助成いただいた。
 そして、一番収入源としては、当事者あるいは支援者が警察の研修に出向くとか、あるいは行政の方たちの研修に出向く、そういった講師謝金を当事者の方たちがすべて寄附してくださる。既にもう17回の講演に出向いているが、その講師謝金をすべて寄附金としてプールして活動資金に充てている。交通費等もかかるが、全部自腹で皆さん行っている。
 支出の面は電話相談が16万円、そしてパソコンはサポートセンターの方に枝分かれの方に吸収されたので新たにパソコンの購入に18万円。一番大きな支出は連続講座。この連続講座は毎回10万程度の支出が会場費、それから講師謝金で必要である。地域の中で当事者の方たちが声をあげて交流をしていく、そういう場として非常に意味のある講座になってきている。当事者の方が声をあげ、語り、そして、当事者の方がそこに集まって声を聞く。その周辺に支える方、支援者の方、ボランティアの方、また県の行政の担当の方が既に参加している。教育委員会の方、精神保健センターの臨床心理士の方、警察の方も県警の被害者対策室の方が参加している。徐々に参加してくださる方が多くなっている。
 また、幸いなことにマスコミの方がこの連続講座を非常にバックアップしており、毎回報道してくれる。報道効果は非常にあり、記事を見て次の回に参加したいという方が毎回毎回お一人ずつだが増えている。お一人ずつ増えていくことにより、現在13名の方が増えている。これは本当に地道な気の長い活動だが、やはり当事者の方が声をあげないとなかなかその声が届かないという現状がある。ただ、その声をやはりキャッチして、今までこういう場が欲しかった、語る場がなかったという方が非常に多い。当事者の方と当事者の方がその場で出会われただけで何も言葉はなくても通じ合う部分があると、そういう場に何度も私は立ち会わせていただいた。
 1年たち、2年たち、3年たってやっと声が出せる方、そしてその思いを30分でも1時間でも語れる、そういう場がやはり地域の中に少しずつでもできていくという意味で、この連続講座だけは何とか定期開催ができるように、130万円から150万円を年間確保していこうと今自助努力をしている。
 それから、広報活動、自助グループの活動費は助成金をいただいたので計上している。また、人件費については36万円、これは非常勤の職員の人件費。
 我々の予算についての考え方は、やはり支援者の養成、支援者の研修のための費用というのも非常に大切だが、当事者に的確な情報提供あるいは当事者の方へのサービス提供、これをやはりNPOとしては最優先にしていきたい。当事者に還元される支出をやはり優先していきたい。したがって、支援のボランティアの方たちには非常に申しわけないが、支援者の方の研修については自己負担を原則として、ほかの方たちに伝達研修ができる研修については講座の参加費の半分をNPOとして助成するということでやっている。今は連続講座が当事者の方たちの交流の場であり、また支援者の方たちの学びの場でもあるという状況である。
 サポート・ファミリーズの組織だが、事務局は私の法律事務所が場所を提供している。もう1つ大事な電話相談の場所は、いのちの電話の相談員の方たちが電話相談員の方の大半を占めており、幸いいのちの電話の相談の相談室を無償貸与している神社がいのちの電話の相談の1階下の相談室を無償で貸してくれている。現状は相談室事務局とも無償でお借りできている。
 それから、自助グループの場が一番大変だったが、当初は私の法律事務所で第3土曜日定期的に集まっていたが、10名ぐらいしか集まる場所がない。NPOの申請をしてからは県のNPO会館の方の非常に明るいフリースペースを無償で使うことができるようになった。登録団体としての登録を済ませたので、NPO会館を無償で貸してくれる。これは自由に使えるので、そのフリースペースの1ブロックを自助グループ、そして理事会の開催場所として利用している。これは岡山県が非常にNPOに対しては積極的に協力してくれることの裏返しでもある。
 それから、常勤職員は現在いない。常勤職員を雇用するだけの財政的余裕はない。私の事務所で1名非常にNPOの事務、法人の事務について詳しい事務員が1名入ってくれたので、その事務員がNPOの設立運営はすべてやってくれた。事務委託料はまだ払うだけの余裕が全くない。
 非常勤の職員は、相談室に毎週土曜日詰めて、これは毎月3万円の報酬ということで活動をしている。電話ボランティアは無償。そして一般ボランティア、これは講演のときに当事者の方が出向くときの付添いあるいは自助グループ開催のときの自助グループの調整あるいは連続講座の会場設営、そういった方はいずれも無償である。
 専門家の参加については、私が弁護士ということと、それから副理事長の精神科医の方は被害当事者であり、この精神科医が自助グループの精神的な柱でもあり、相談員の方たちのスーパーバイズの点でも非常に心の支えになっている。非常にそういった意味で精神科医が全体をファシリテートしてくださっているというのが我々の被害者と支援者が協働して溝がないように一緒に活動していける大きな支えとなっている。
 臨床心理士の方も枝分かれのときに両方の団体から距離を置かれたが、非会員としていろいろな面でホームページの立ち上げ等協力してくれる。
 また、看護師の方が自助グループに1名加わっており、そういった意味でも当事者間の非常につなぎの役をきちんとしてくれる。
 我々の活動、今対応できている点については、当事者の方たちが集まる場ができ、交流する場ができたということと、非常に相互支援が当事者の方たち同士で始まったということ。そして、声をあげることによって行政が少し動くこと、一緒に動いてくれるようになり始めていること。そういったことが非常に大きなプラスの点である。ただ、まだすべての被害類型に対応できていないということと。やはり全国ネットに加盟していないということで情報不足の点がある。また、財政的な面でも非常に脆弱な点があり、少なくとも連続講座については常設化していきたい、あるいは自助グループが定期開催できる財政的な基盤をきちんとつくっていきたいと思っている。
 本当に助成金の申請をするだけでも非常に大変で、今週私は月曜日に県北の県民局に協働事業の提案に行き、火曜日は福武財団の助成金の決定を受けに行き、あさってはまた東京都にもう一度助成金の申込みに再度来るというような状況である。
 何とか助成金を得て当事者の方たちのピアサポート活動に焦点を当てて、当事者の方が地域の中で声をあげられないままいるという状況を打ち破っていきたい。そのためにはやはり地域の中に場をつくっていく。小さな場でも身近なところに場ができれば、そこから交流が始まり、そこから支援が始まるというのが1つの形ではないかと我々は思っている。
 そういった意味で、これはDVとか虐待にもつながる部分があり、先日の連続講座の第4回の際は、お子さんを連れてシェルターに避難されている方が連続講座に20名ぐらい来られた。その託児をNPOのさんかくナビのスタッフがやってくださり、講演に来てくださったのはレジリエンスの被害当事者の方、2名の方が講演をしてくださるという形で、非常に地域の中で小さいながらもいろいろな結びつきができていっているのが現状である。
 今後の課題としてはやはり教育現場、福祉現場にきちんと入っていきたいとを考えている。自助グループを有機的にネットワーク化してクリアリングハウス機能、つまり情報の中継基地として県下あるいはもう少し広がりを持たせてもいいかなと思っている。  いずれにしても、こうした活動をやっていく上では財政的な支援あるいは人の支援が必要である。特に人の支援では心ある臨床心理士の方、精神科医の方、保健師の方、そういった方の支援がどうしても必要になってくる。地域の中での当事者の方たちの集まり、当事者の方たちだけではとてもこれはできない。我々は精神科医の方が当事者でありながらファシリテーターとして関わっているのでグループにまとまりがある。これから小さなグループがたくさんできていく上ではどうしてもそういった心ある臨床心理士、精神科医、保健師などの方たちが地域の中で一緒に活動していただくことがとても大切だと思う。
 そして、今後、学校、教育委員会、そして人権教育にかかわっている方、そういった方たちがやはり被害者の問題は人権問題だということをきちんと理解して、多くの方が一緒に地域の中で参加してくださるということがとても大切なのではないかと思う。我々ができることは自助努力でやっていくが、今回民間団体への援助ということでどうしても経済的な側面で心もとない部分があり、そういった面では支援あるいは当事者の方たちの求めている実態あるいは実績に応じた支援をきちんとしていただきたい。当事者の方たち同士のピアサポート活動というのが実際行われていること、そして当事者の方たちが当事者の方たちを支えていることは、当事者の方は被害を受けて援助を受けるだけの存在ではなくて、お互い援助を受け、また援助をするという、そういう支援をする立場でもあるということを忘れないようにしていただきたい。

《自助グループの活動実態と財政運営状況について》
●有識者からの説明
 六甲友の会というのは、いわゆる犯罪で大切な家族を失った遺族の集まり、いわゆる自助グループ。メンバーの構成としては、兵庫県在住者が主体で、兵庫県の近隣の方も参加している。
 私も役員をしているひょうご被害者支援センターが2002年1月に設立されたが、その活動内容の中に被害者の自助グループを支援するという項目が含まれていたこともあり、当時役員の中に私ともう1人の方、2人の犯罪被害者遺族が加わっており、その2人を中心にしてひょうご被害者支援センター発足当初とともに活動を開始した会である。
 この会そのものはひょうご被害者支援センターとともにできたので、ほかの自助グループとは非常に異なっているところがある。まず、発足当初から臨床心理士の方々の参加を得られた。ひょうご被害者支援センターの役員の中には弁護士や臨床心理士、それから精神科医、税理士、あといのちの電話を主宰しているYMCAと、私たち犯罪遺族で構成されている。その臨床心理士の方々が率先して全くボランティアとして会の活動に参加していただいた。その活動する場所も甲南大学のカウンセリングセンターというところで使わせてもらい、非常に環境もいいところだと思う。
 兵庫県というのは、阪神淡路大震災という未曾有の大災害があった関係もあり、犯罪とは違うが、そういう被害者支援という気持ちを持った精神科医、臨床心理士の方々が多く育ったという背景があると思う、それが1つ非常にいい要因になったのではないか。
 私としても自助グループの活動を開始するに当たり、単なる被害者遺族だけが集まるというのはよくないと思っていた。だから、最初にそういう被害者支援の気持ちを持った臨床心理士の方々の参加を得ることができたというのは非常によいこと。どうしても被害者遺族だけで集まると気持ちが走り過ぎたりとかそういうところがあるので、それを適切にアドバイスしてもらったり、それを押さえて温かく見守ってもらえる、こういうことが自助グループの活動を促進していく面があると思っており、非常によかった。
 自助グループの活動内容だが、大体月に1度定例会を開いている。その定例会のときには自分の様々ないろいろな話をする。普段近所の方には話ができないようなこと、悔しかったこととか怒り、それから社会への憤りなど、非常に悔しい話もする。それ以外にも普通に世間話をして笑ったり、悲しんだり、そういうこともする。やはりそういうことが非常に精神の立ち直りには重要なことではないかと考えている。遺族同士という同じ傷を持った者同士の集まりという場合、そういうことが可能であると考えている。
 また、その定例会にはひょうご被害者支援センターの役員をしている弁護士の方もしくは警察の被害者対策室の担当の室長等に来ていただき、普段疑問に思っていることやいろいろな質問をして、また専門的な話を聞きながら勉強するということもしている。それ以外にもひょうご被害者支援センターが年2回シンポジウムを開いている。1回はネットワークと被害者支援の日、そのときに合わせたシンポジウム、総会を兼ねたシンポジウムを2回開催しているが、そのときに手伝いをしたり、場合によりそのパネリストの1人として参加している。
 また、支援センターではいろいろな研修会を開くので、電話相談員の研修会とか、直接支援要員の研修などにも参加し、被害者の声ということで1人ではなくて複数が参加していろいろな話をしたりする。
 また、一昨年、メンバーの思いをつづった『おもかげ』という手記集を出版させていただいた。これも支援センターの役員の方にいろいろとお手伝いをいただき、表紙の題字や挿絵も全部理事長に書いていただき、出版に関しても出版社を紹介していただいた。
 定例会にはマスコミの方、被害者支援に関心があるマスコミの方も受け入れており、その方々がやはり手記集に関しても記事にしていただいた。特に毎日新聞は、これは兵庫版だが、全部のメンバーの話を取り上げてくれ、そういう広報活動も手伝ってくれている状況である。こういうマスコミ関係の記者の方を入れることにより、被害者問題をより一般の方々にもわかってもらえる一助になるのではないかという思いでやっている。
 自助グループの組織体制は、メンバーの数そのものは20人程度。定例会には10人程度の方が参加している。スタッフは常勤、非常勤かかわらずいない。ただ、会の成り立ちの関係上、事務連絡等については、ひょうご被害者支援センターの事務局で協力していただいている。
 支援センターの役員で臨床心理士である兵庫教育大学の教授、甲南大学の教授2人が常に参加していただき、その教室のメンバーがメモをとったり記録等含めてお手伝いをしている。
 経費に関しては、当会に関する会費そのものは集めていないが、会員資格として一応ひょうご被害者支援センターの正会員であるということを原則としている関係上、正会員の年会費5,000円、1家族に1口払っていただいている。
 事務関係の費用等は、もし有償で施設を借りたりする場合はひょうご被害者支援センターの方から出したりしていただいている。また、その遺族の手記の出版の費用、これも数十万円かかっているが、ひょうご被害者支援センターから出していただいた。ただ、最近その手記の出版等で販売というか寄附というかで、収入がある関係上、その中の経費を出すことができるようになった。
 定例会の場所としては甲南大学のカウンセリングセンターという非常に環境のよいところを使わせてもらっているが、ときどき使用できないときがあるので、そのときは公的な施設を使用している。
 このヒアリングに当たり、私たちども以外の自助グループ、5グループだけだが、アンケートをした。そのアンケートの結果は資料のとおり。活動内容に関しては、他の5グループも大体同じ、やはり定例会、勉強会、講演、手記集の発行等が主体となっている。  組織体制についても、やはり自助グループというものの成り立ちから考えると、被害者主体の会がほとんどだと思う。専門家の参加や協力をしていただけるところはごくわずかと思う。
 経費に関しても助成を受けているところは1つあるが、それ以外は助成を受けているところは全くない。支援センターと関係している自助グループでは、その施設等に関して無償で借りているところがある。大体定例会のときに参加費として500円から1,000円ぐらいのお金を集めている。
 現在、自助グループにおいて十分対応できている点、それと対応できていない点について、自助グループそのもの趣旨は、もともと被害者同士が話をして、そして精神的な回復に向けてというものであるので、そういう意味では集まる定例会ができているということで対応できているといえる。さらに次の段階ということになるとやはり難しい状況だと思う。
 まず、どのグループにおいても活動資金が不足している。実際定例会を開催するにしても、自分たちだけで準備することが多いので、そういう運営をアシストしてもらえるようなボランティアなり専門家なりが欲しい。また、定例会、私どもは無償で使わせてもらっているが、そういう場所を確保するために費用を払っているところでは、会員の負担を少なくすることかできたらと思う。
 次の問題として、自助グループに本当に参加したいと思いながら、そして実際に参加を必要としている人がたくさんいるが、その中でもどうしても生きていくために、生活するために仕事をしていかなければいけないということで仕事を休むことができず、会に参加することができない方がかなり多数いるというのも現実である。また、自助グループの存在さえも知らない人も多くいる。そういう方々に参加できるようにして立ち直りの一助にしたいというのが思いである。
 それと、自助グループ同士の、他の自助グループとの間の連携がない、できないということが大きな問題と思う。自助グループはどうしても地域に足元を置いている。他府県であるとか地方が変わってくると、他のところではどのようにしているのかとの情報を知りたい。そういう集まりをつくろうとするとやはり資金的な問題が非常に大きい。
 財政的な問題がなければかなりの部分において対応可能ではないかと私は考えている。
 その財政的な問題がないとしても、すぐに対応できないこととして、やはり人の問題が大きい。いわゆる専門家の協力が欲しいといつも希望が出るが、専門家、専門家と言うが、精神科医、弁護士、臨床心理士など資格を持っていれば被害者支援の専門家というわけにはいかないので、それを養成するのには時間がやはりかかる。講義を受けただけでは専門家にはなれない。講義と実践を合わせながら地道に育てていかなくてはいけない。資金に加え、人手というのが非常に被害者支援にとっては重要なことであると考える。
 また、被害者基本法が制定されたけれども、各地域、自治体での支援の具体化というのはこれからである。被害者等の一般社会への浸透は非常に浅いというのが現状だと思うので、一層の理解と協力者を得るために啓発活動が非常に必要ではないか。
 国・地方公共団体から受ける援助として、財政的援助以外にどのようなニーズがあるかという点は、資料に記載したとおり。何回も言うが、専門家の育成は非常に重要なことだと私たちは考えている。本当に一朝一夕でできることではないので、被害者支援の専門家を継続的にきちんと養成できるシステムを構築してほしいと願っている。
 自助グループに関する支援そのものは民間の支援団体に比較すると必要な経費そのものはそれほど多くはないのではないかと思う。その自助グループの援助の仕方としては、ここにも記載したが、2つ方法があるのではないかと思う。というのも、自助グループそのものは被害者支援センターとの密接な関係がある自助グループと関係が希薄なグループとに分けられると思う。被害者支援センターと密接な関係がある場合で、被害者支援センターを通じた援助でもよいのかなと思うし、そちらの方が人的にも効率的な運用ができるのかなと私は思う。そういう密接な関係がない自助グループにはそれなりの援助は必要ではないかと考える。
 自助グループの活動そのものは民間支援団体の支援と同様に促進していただきたい。
 私も実は全国被害者支援ネットワークに参加しているひょうご被害者支援センターの役員もしており、少しだけこの点も意見をお話ししたい。
 どこの被害者支援センターも同じだと思うが、いばらき被害者支援センターの方もかなり経済的にきついようなことをおっしゃられていたが、やはりひょうごにしても経済的にはきつい状況が続いている。財政的基盤が非常に脆弱なもので、早期支援援助団体の指定となっていないが、直接支援に関しても現在行っている。兵庫はいろいろな事件が多いところで、昨年もJRの事故があったりして、ひょうご被害者支援センターも非常に活動をしている。この助成に関しても、できましたら意見書に書きました形での助成と寄附金控除についてまた考えていただけたらと思う。

○有識者による説明終了後、質疑応答が行われた。概略以下のとおり。

(構成員)全国被害者支援ネットワークの事務局長は、今日のためにいろいろアンケートをとっていただいて、貴重な資料だと思う。  レジュメの2ページの各地の団体からの聞き取りアンケートだが、その結果で財政的援助のありようとして、受け皿となる組織があることが望ましいとする意見が80%と多く、具体的案は出てこないとのことだが、例えばネットワーク事務局長ご自身の考え方として、どういうような受け皿となる組織が望ましいのか、現在のネットワーク事務局の問題点も含めて、どういう組織を望むのか、漠然としたもので結構なので、少しお話しいただきたい。
(有識者)今、私の極めて個人的な見解だが、考えているのは、加害者が刑務所を出てきたり仮釈放になったりするときに使われる手法、更生保護団体を経由して施設に入ったりするということがあるが、被害者の問題に関してもそれに類似の組織があった方がお金も動かしやすいし、人も動かしやすいのではないと考えている。ネットワークの内部ではネットワーク事務局がそれをやったらよいという意見があるが、条件が整えばやりたい。
 そのためには一定のガイドラインを持って、組織としてのレベルを吟味して援助の是非を決める組織はどうしても必要だろうと思う。国の方で全国の団体に直にお金を配るというのは、その負担等からいえば、マイナスが大きいのかなと思う。
(構成員)いろいろ見えてない部分についてもお話しいただけたことでいろいろ検討できることがあるのではないかと思う。全国被害者支援ネットワークの事務局長にお伺いしたい。
 まず、確認事項だが、資料の4ページの方にネットワーク加盟団体が財政的援助を得るに際して基本的な考え方、全国被害者支援ネットワークの目的というのが早期援助団体あるいはそれを目指す団体に今限定しているということなのか。
(有識者)少なくとも能力というか力量の基本的なレベルとしては早期援助団体の資格を得るくらいの力量があった方が仕事をする上で妥当であると。もっとも会則及び入会規程の規定にある入会の条件は早期援助団体または早期援助団体を目指す団体ということが明言されている。そういうわけで、基本的には早期援助団体あるいはそれを目指す連合体でありたいという議論をしたところである。
 目指すレベルがそのレベルであると考えていただければ結構である。
(構成員)説明の中で財政的問題について困っている点で、事務所あるいは環境的な問題、あるいはその人員の確保ということが参加団体の方から挙がっている。実際の支援にかける費用に比べるとその事務局等の運営費用の方がかなり多いということだが、支援にかける費用としてどういったもの、あるいはどれくらいのものといったような支援そのものにかかる費用についての希望とか内容といったものをアンケート等でおわかりになっていれば教えていただきたい。特に早期支援を目指すということであればかなりの経費がかかるということは想定されると思うので。
(有識者)ネットワークの会則の中に早期援助団体プラス早期援助団体を目指すものという文言がある。そういう団体を目指すためにはそういう物理的なハードルがあり、そこはどうしてもクリアしたい。特に早期援助団体の公安委員会からの指定の中に支援員、相談員という資格があるが、かなり厳格な、レベルの高い資格要件である。支援をする以上はそういうレベルの高いものを目指したいというのが私どもの考えである。そのための援助をいただければというのが私どもの望みである。
 確かに援助の中に早期援助団体の資格を取るということになれば、建物あるいは部屋、設備等々にかける費用が比重としては高くなる、これはやむなしと考えている。
(構成員)今の段階で支援にかける具体的な費用についての細かいところはわからないという理解でよろしいか。
(有識者)今のところ細かいデータはない。
(構成員)いばらきの方から非常に具体的な支援の例が挙がったのでその点お伺いしたい。細かいいくらというお金ではないが、例えば直接支援、法廷付添などした場合、1件にどれくらい実際のところ費用がかかるのか。
(有識者)いばらきの場合には県南、県西に事件が多くて、裁判に出向くのがどうしても遠方の裁判所になる。そうすると、まず当センターは日本財団のお金で車を買うことは無理だと考えた。その後の維持費とかいろいろ考えて。県の方の166万円の予算の中にレンタカーというものが計上されており、そのレンタカーを使う。例えば1回裁判で土浦に行くと、通常、特殊な5人だとか8人だとかは別にして、犯罪被害相談員と支援員と2人ペアというのが原則。場合によってはレンタカーもワゴン車を借りる。ワゴン車を1日借りた場合1万2,800円。普通のセダンだと8,400円。法人契約での金額。場合によっては2日連続もあるが、通常24時間とする。まず1万2,800円の車代。高速代が2,300円ぐらいかかる。ガソリン代が土浦まで往復して1,300円から1,500円ぐらい。支援に関しては往復25キロ以上の支援になると規定上、非常勤職員に旅費が支払われる。1日遠方だと2,200円、水戸の裁判だとゼロ円。ただ、遠方だと日当だけでも4,400円。今計算機を持っていないが、それを合わるとそれが最低の金額である。
 基本的に高速料金、レンタカー代、日当、ガソリン代、それは最低のお金である。
(構成員)そうすると、直接支援1件すると数万円かかる。
(有識者)それを月に何回もする。場合によって朝早いと前日からレンタカー借りたりすると、2日借りることにもなる。そうすると金額が倍になる。
(構成員)支援活動をすればするほど出費が増えるということになるわけですね。
(有識者)日本財団の助成があったから直接的支援を進められたが、財団のお金がなくなって自助努力で何とか頑張ろうと、金集めに奔走したが、限度がある。今度は助成がなくなったからといって、全部自分の車を使い、ガソリン代も自分で出し、日当もなしで、朝早くから遅くまで、夜8時まで裁判していたなど、本当に予期せぬ出来事が起こることもあり、そのお金を自分たちが持ち出しでやれるかどうか、今までどおりの支援をできるかどうか、それがとても私は不安である。
(構成員)私も被害当事者だが、ピアサポートのお話、非常に心打たれるものがあった。組織としてずっと維持させていくということについては、例えば先生が病気になったときどうなるのか。組織化するとすればお金なども要る。先生がもう少しこういうのがあればいいなというようなものは。
(有識者)今ピアサポートの話が出たが、これは当事者の方が当事者の方に対して相互の支援、仲間支援なのかもしれないが、それを組織化するのはなかなか大変なことだと思う。ただ、当事者の方たちが最初は支援を受ける側かもしれないが、何回か自分が支援を受ける経験を踏まえて、次の方への支援というのは必ずつながりができてくるわけである。
 具体的には、刑事裁判の中での意見陳述、次の期日までにやらなくてはいけない、どうやって書いていいかわからない。前に一度経験した方が自分の書いた資料を次の方に渡して、私はこういうふうに思いを伝えたと。今度はその方が自分で検事さんに話をしに一緒に行き、自分で書かれると。今度またたまたま次の方で意見陳述、日にちが決まっているが、1人で抱え込んでしまってどうしようもない。今度は2人の方がその方をサポートできるという形で支援の輪が広がっていく。
 組織化はなかなか難しいけど、うまく前にこういうことをやった方がいますよということを当事者の方でコーディネートできる方がお1人2人と広がってくれば、体験とか経験の蓄積をグループの中でやっていき、こういう場面ではこの方の経験が生かせるとか、そういうグループの中のコーディネーター的な役割の方、それを徐々に形ができていくのではないかと思う。当然その場には、私も立ち会って一緒にサポートをするが、やはり専門家の支援がどうしても必要である。当事者の方たち同士の仲間支援であると同時に、専門家の心ある支援がどうしても必要になってくる。
 では、その専門家をどう育てていくのかということが一番大変な話で、資格があるからできる話ではない。弁護士は被害者支援には余り慣れていない、弁護士だから被害者支援ができるということではない。当事者の方から学ぶ、当事者の方とともに学ぶという姿勢で一緒にグループに入ってきていただき、一緒に活動する中で見えてくる部分が多いと思うので、そういう人を1人でも増やしていく、そういう動きをとっていかなければいけないのではないかと思う。その辺は皆さんが専門の方をどんどん巻き込んで理解を広めていくという活動、非常に参考になると思う。
(構成員)幾つかの民間の被害者支援団体では自助グループへの支援を提供する支援サービスの1つとして位置づけているところが随分ある。そして六甲友の会とひょうごの支援センターとの関係というのはかなり密接のようにお伺いした。ただ、でもつかず離れずというような関係のようにお見受けしたが、その何かそういう関係のとり方というのはどのようにお考えか。
(有識者)私自身当初から臨床心理士の方の協力を得たいと思っていた。私自身医者であり、学問として、1人の経験だけで終ってしまうのでは次の世代につながらないと思ったので。やはり大学教授から協力していただき、一緒に被害者遺族の立ち直りを助けていただきながら、それを次の被害者支援に生かしてもらう、そういう気持ちもあった。やはり系統的にきちんとしていくというのは重要なことだと思いそう考えました。
(構成員)皆さんにお伺いしたい。公的、国や公共団体からの補助のあり方ですが、どういう形が望ましいのか。1つは、例えばアメリカのような例で言うと、こういう活動にお金をつける、こういうプロジェクトにお金をつけるというあらかじめ国や地方公共団体の方が示して、それぞれの団体が申請をしてそれに審査をした上で補助金をつけるというような形、そのような補助のありかたというのはいかがか。そういうのは余り望ましくないというお考えなのかどうか。
(有識者)選択肢の1つにはなるのではないかとは思う。ただ、多分一長一短がある思う。うちはこういうプロジェクトをしますといわば競争して申請をする。では、君のところに2,000万円つけようとかとそういうことになると思う。そういう能力なり人数なりいるところはそれでよいのだろうが、こういうプロジェクトをやりたいのが、人はいない、物理的な条件もない、だから競争型になるととても申請できないという組織も多分出てくるのだろうと思う。
 それから、もう1つ考えられるのが、各団体にその団体の大きさとか地域の人口であるとかさまざまなファクターを勘案して、君のところは今年はこの予算でやってみなさいといったような上から下ろしていくやり方、これも1つあるかなと思う。どれがいいのかというのは現場でいろいろ話はしているが、ちょっと結論は出ていないところである。
(有識者)その考え方には私も賛成である。もう1つ、予算を配分するということだけではなくて、やったことに対する評価をきちんとする必要がやはりあると思う。こんなことやりましただけではよくないだろうと。本当に被害者のための支援ができていたのかどうかということをやはりきちんと評価する、そういう組織がいるのではないか。そのためには実際に被害者の人にアンケートすると言ったらおかしいが、学生が教師を採点するようなことかもしれないが、そういうことも必要になってくるのではないか思う。
○海外調査の調査項目等について
 6月30日合同会議で行われた海外の実情に関する有識者からのヒアリング結果を踏まえ、9月実施予定のイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスにおける海外調査の調査項目等についての説明が事務局からなされ、構成員から意見等が述べられた。概略以下のとおり。
(事務局)資料5をご覧いただきたい。調査項目について、まず各国共通ということで、4つの国に行こうと思っているわけだが、各国共通で把握する必要があるのではないかという項目を掲げている。
 以下、前回6月30日の合同ヒアリングも踏まえ、それぞれの国でさらに深く調査すべき項目、あるいはこういうところを訪問したらいいのではないかという候補を掲げている。
 また、海外調査の人選であるが、有識者の構成は、アメリカについては本検討会の冨田座長に、イギリス・フランス・ドイツについては経済的支援に関する検討会の平井構成員及び、支援のための連携に関する検討会の奥村構成員にそれぞれお願いをし、内諾をいただいている。
 なお、一部の構成員の方から海外調査はそういうあるべき制度の姿を議論した上でやるべきで、9月は早過ぎるのではないかと、あるいは調査の人数、日数が少なすぎるのではないかといったご意見を3日前に事務局宛てにいただいた。この海外調査については前回の会合あるいはこの検討会で言えば第2回の会合においてもこの秋以降、今ヒアリングをしているが、この民間団体への支援活動のあり方あるいは国の援助のあり方を議論するための材料として海外調査を実施するということ。時期についても、9月ごろ行うということで一応ご了解を得たものと承知し作業を進めている。
 また、調査の人数、日数もできればもちろんもっとたくさん長期間かけてやりたいところ、予算上の都合等もあり、ご理解を賜りたい。
 いずれ今日ご議論いただきたいのは、聴取項目あるいは訪問先等についてできるだけお知恵を拝借して、有意義な調査となるように先方との日程調整等を行いたいと考えており、よろしくお願いしたい。
(事務局)海外調査については、前回の合同ヒアリングの結果を踏まえ、事務局で作成した調査項目案及び想定している訪問先について説明させていただく。資料5の1ページ目をご覧いただきたい。その上段に記載されているのが各国共通の調査項目についての事務局案ということになる。なお、各国が行っている民間団体に対する財政援助については既に合同ヒアリングの際に重点を置いて説明をしていただいたが、各国の財政援助形態の違いもあることから、さらに深く聴取が必要と思われる点を各国別の調査項目の中に入れているので、各国共通の調査項目の中には直接は入っていない。
 まず、各国共通の調査項目について。犯罪被害者等支援している各国の主要な民間団体について、その組織体制や活動の概要、活動の実績、財源などについて聴取し、○の5番目に全国的な民間団体等とあるが、補足して説明させていただく。各国の主要な民間団体のうちでの団体本部や傘となる団体という意味で記載しているものであり、それらの主要な民間団体の本部ないし傘となる団体と支部あるいは傘下に入る団体との関係について、具体的には傘下の団体となる認定の要件や財政等の援助内容について聴取をし、各国の主要な民間団体の基礎的なデータの把握をしようと考えている。
 さらにそれが主要な民間団体への財政的援助以外の援助の有無や内容、自助グループへの援助や連携協力の有無及び内容について聴取をしたいと考えている。
 以上が各国共通にその状況を把握し、整理しておきたいと考えた調査項目である。
 これらの事項に加え、各国が固有に持っている制度や民間団体の状況も踏まえ、各国別に調査項目を盛り込んだのが1ページ目の下段以降になる。アメリカについては、1ページ下段に記載してあるとおり、犯罪被害者基金の運営体制や財源についての考え方、基金への寄附や遺贈等を行う場合の税制上の優遇措置の有無や内容。州の被害者支援補助金により財政的援助を行う際に対象となる民間団体等の資格要件の内容や根拠。基金以外の民間団体等に対する財政的援助の有無及び内容等について調査をしたいと考えている。
 訪問先については、これはアメリカに限らないが、各国側との調整により調査項目に照らし最もふさわしいところを選定するということになるが、現在のところアメリカについては司法省、いずれかの州の被害者支援補助を担当している部局、実際に被害者支援を行っている民間組織を候補として想定している。
 イギリスについては、2ページ上段に記載。被害者基金の運営体制、同基金より性犯罪被害者支援団体等を助成する際の資格要件の有無及び内容。基金の財源についての考え方などについて聴取をしたいと考えている。訪問先については内務省とVS本部を候補として想定している。
 フランスでは、INAVEM以外の民間団体に対する財政的援助の有無及び内容等について聴取をしたい。訪問先については、法務省とINAVEM本部を現在は候補として想定している。
 ドイツでは「白い環」が交通事件の罰金からの割当金を活動資金としている理由や背景。「白い環」以外の民間団体等に対する財政的援助の有無及び内容等について聴取をしたい。訪問先については、「白い環」本部のほか、民間団体等に対する財政的援助を担当している部局を候補として想定している。
(構成員)この間、要望書として出させていただいた。私たちの海外調査報告書が2つ出ているが、かなり入念な準備をやり、事前に手紙のやりとりもした。拙速に海外調査することはちょっとやめた方がよいのではないか。是非もう少し時間をかけてお願いできたらありがたい。
(事務局)ご意見、要望書もいただき、私どももしっかり検討させていただいた。9月の段階で行かないと、海外の状況も十分精査した上でやはり我々の考えをこの検討会としての結論をまとめていく必要があると思うので、どうしても時期的には9月だろう。当然別の構成員の方からも十分聞いた上で中身の濃いものにしたいと考えている。
 これは、1の検討会でも2の検討会でもこの検討会でもこの間のときもそのようにご説明申し上げて特段の反論もなかったわけで、我々としてはそういうことでやらせていただければ非常にありがたい。
(構成員)9月上旬まではヨーロッパというのは夏期休暇である。そこら辺も勘案していただきたい。私、今日反対していることは議事録にきちっと載せておいていただきたい。本当の被害者のための、我が国にふさわしいものをつくるためにはあわてずにお願いしたい。
(構成員)時期とかは早くから予定が決まっていたと思うので、時期を今変えるとかいうことは難しいのかなと思う。ただ、この項目を見せていただくと、かなりわざわざ行かなくても随分資料として集められる部分がある。構成員にアメリカなどの専門家がいらっしゃる。VSなどは警察の方で相当な調査をしている。抽象的な流れとかどうしてこうなったかということより、具体的制度の問題に関し、ある程度ここのこの制度がいいだろうという方向性を持って、ここのこの点についてきちっと聞かなければいけないとか、この方向性では日本では絶対これは無理だが、ここは聞いておかなきゃいけないとか、もう少し細かく項目を立てるべきではないか。セレモニー的なものになってはいけない、せっかく今ここで検討会を開いているのだから、とそういう構成員の意見なのだと思う。
 確かに項目を見せていただくとちょっと抽象的すぎて、制度論のような形に感じる。特に各国共通のところは。この検討会には傘下の団体の選び方とかそういうこともいろいろ関係はしてくると思うが、もう少し実務的な部分を厚くし、今まで日本でも警察をはじめとしていろいろな調査をした結果などは全部利用した上で、さてそれでどうなのかと、具体的に日本に持ってきたらどうなるのだ、というような点を中心に是非お願いしたい。
(構成員)いろいろなご意見をいただいたが、せっかく行くことですし、内容のあるものにするというのは言うまでもないこと。それから、既に基本計画の中にもこの要望はかなり出ており、前回の合同検討会のときに具体的な調査項目も出ている、それも踏まえて制度だけではなく、その背後にある基本的な考え方、思想ということも含めて、その部分はなかなか文献調査ではできない部分であるので、その辺を中心にして実りのあるものにしていきたいと思う。
 ただ、具体的な調査項目であるとか訪問先については、全体的な日程の制約とか先方のご都合もあるので、今までのご意見を踏まえた上で、最終的には事務局に決定していただくのがよいかと思うが、そういう進め方でよろしいか。
(構成員)僕自身は犯罪被害者でいろいろな活動をしているが、欠けているのは、各国の制度を調べられ、いろいろな本もあるが、それを被害者が納得しているのかというところが一番大事な気がする。日本では基本法ができるまで被害者支援なんて全然なかったわけです。これから基本法、基本計画に基づいて新たなものをつくっていくわけです。そこの国の被害者はどう思っているのだろうかというところまで突っ込んだ調査をしてほしい。
 私も構成員として、被害者として思うのは、これから新しいものをつくるわけだから、いろいろな事務方の方々の計画というか、渡航するのにどうのこうのという手続の問題もあるが、やはりここはじっくり考えてじっくり準備してもらいたい。 (事務局)まさに構成員が言われるように、我々も本当に被害者のためになる民間団体援助をいかに厚くするか、これをいかに我が国なりの制度、すばらしいものをつくろうということで行くわけで、決してご懸念されているようなセレモリアルなものとかそういうことは全く考えていない。是非、そこは今ご意見出されたように、被害者の方がどういうふうに受けとめられているかとかそういう点も含めて調査をして参りたい。
 また、その調査項目とか、今言われたようなご意見、まだ時間もあるので、是非そういったご意見を十分に聞かせていただければと思う。時期については、まさに秋にこの検討会でやるためのやはりそのための海外調査だと思うのです。そうでないと時期を失してしまう。いつまでもこの検討会ずっと未来永劫続くわけではなく、期限も切られている。2年となっているが、できればもっと早めにでもやりたいということも考えているので、是非その辺のご理解をお願いしたい。
(構成員)私が言ったように被害者がどう評価するかということになってくると、まだこの企画案に入っていない。質問事項等々を交換するにはもうちょっと時期ですよね。向こうも夏期休暇に入るわけで、調査に行くのに1カ月、2カ月延びるぐらいは別に支障はない。私たちのそういう気持ちをもうちょっとくんでいただきたい。
(構成員)全体的なこの結論までの流れから言うと、今の時期を逸するとなかなか具体的な結論にまでいかないように私は感じる。もちろん今ご指摘あったそれぞれの国において制度がどのように評価されているのかということは当然こういう項目の中に含まれる事柄であり、どうなっているかだけではなくて、それがどう評価されているのかということももちろん調査項目ですので、それも含めて調査するのは当然だと思っている。
 ただ、スケジュールの点については、これでいかないとあとの作業がかなりきつくなるのではないかと私は考える。
(構成員)スケジュールがどうのこうのでも、やはりよいものをつくってほしいと思っている。セレモニーとか私ら思ってはいない。反対すべきことをしっかりと反対している。訪問先とかはよいと思う。もうちょっと期間を、もうちょっと煮詰める時間をつくっていただきたい。議論を煮詰めるということである。
(構成員)今の構成員にご発言に少し関連あるが、時期とかはもう決まっているということだとすると、構成員がご懸念されているのは十分詰めた議論の上でこれがなされるかどうかということではないかと思う。そうすると、聞いてくる内容であるとか聞く団体についてどのようなプロセスを経てこれを決めていくのかということにかかっていると思う。例えば今日ここで意見出すだけでは到底それは無理だと思う。最終的にどういう項目を聞いてくるのか、どういう団体に聞いてくるのかというそのプロセスについて決定の仕方について事務局でお考えになっていることがあれば、お話しいただきたい。
(事務局)今日ここで案をお示したのは、あくまで事務局の案である。今、構成員がご懸念のようなことも含めて大いにその中身が濃くなるように出していただきたい。
 ここでせっかく検討会開いているわけで、貴重な時間なので、できれば先ほどの構成員のようにたくさん出していただいた方がいいのだが、それだけではなかなか難しい。是非また別途の形で、メールでも意見書でも結構なので出していただいて、それを踏まえて我々も真剣に検討する。ただ、もう期日も限られているので、全部を実現できるわけにはいかないというのも、ご理解を賜りたい。 (構成員)今日は検討会の3であるが、検討会の2と1がもうすぐある、そこでもやはり皆さんの意見を聞いていただきたい。とりあえず十分な準備期間が要るということだけは考えていただきたい。
(事務局)十分準備の上でやらさせていただきたい、どうぞよろしくお願いしたい。
(構成員)これからも最終的な項目であるとか訪問先であるとかということについては継続してご意見をちょうだいするということでいかがか。
(構成員)訪問日を今ここで決めるというか時期を決めているということにはっきり反対ということで理解していただきたい。
(構成員)先ほどから申し上げているとおり、具体的な時期等については相手方もあることで、様々な要素で調整をしなければならないので、今のご意見を踏まえて事務局の方で調整していただくのが一番よろしいかと思う。
(構成員)日程を今ここで決めるということにはちょっと反対している。
(構成員)それを一応記録するということですか。
(構成員)はい。
(事務局)反対されるのはよろしいが、この検討会そのものを今後どうしていくかというのをまたお諮りしたいと思うので、やはりこの時点で9月のいつ行くかというのはまた先方の都合もあるが、この時期しかない。それについてはずっと前から申し上げて、既に海外ヒアリングを6月30日に実施し、その前からその後この日にこういう調査項目についてご意見を賜るということで前々から申し上げているわけである。反対されるのよろしいが、それではなかなか全体の、この検討会だけの問題ではないので、その辺で少なくとも中身についてはまたいろいろやるにしても、その時期に行くということについて、この検討会としてもまだ中途半端というのでは事務局としてはせっかくのこの検討会がうまくいかなくなってしまう可能性があるので、それは困るなというのが正直なところである。
(構成員)妨害しようという意図ではなく、きちんと事前の準備。被害者が本当に納得しているかどうか本当に大事なことで、日本国内でも向こうでもである。それにはやはり民間のというか国内におる日本の被害者支援の満足度の統計調査みたいなものが今ないわけで、ネットワークの支援の受けた人とか、何かそういう個別のきちんとした調査もあって、それをもって向こうでもできるのか、できないのかというのも必要だと思う。やはり我が国と向こうとの違いを鮮明にしてこそ次の施策というものも出てくるような気もする。その調査する内容というのを吟味したりするにはやはり時間がいる。
(構成員)多分考え方というか、流れのつかみ方が違っていて、恐らくここで議論をこの3つの検討会で議論を深めてある程度方向性を持ってそれで細かく準備して調査に行ってほしいというご意見なのだろうと思う。ただ、今までの事務局の計画からいくと、とにかく各国制度を調査してきて、それを検討会で料理していくというか、多分そういうイメージなのかなと思う。私の方はどちらがよろしいのかなというのは結論づけない。細かい質問事項を箇条書きでもして、ここにこういうことを聞きたいとか提案されたらいかがかと思う。
(構成員)期日は先ほど来ご説明のとおり諸般の事情である程度動かすことはかなり難しい。今言った構成員をはじめとして皆さん方が是非これは調べてほしい、そして真の被害者の支援に役立つために是非とも必要な項目をどんどん出していただきたい、一体いつまでそれを待っていつ調査を実施したらいいのか、いつまでたっても決まらない。それもこの時期を前提に、こういう視点でこういう項目を是非聞いてきてほしいということをお願いして、それを了解していただいて進めさせていただくのが一番賢明なやり方だと考える。
(構成員)もちろん海外調査について調査項目を今日やりとりするということは事前にはもちろん私ども把握はしているが、今日ここで民間団体の援助に対する項目が出てきても、私たちとしてもそれが出てきた上でやはり意見を出すというようなプロセスが必要。これは事務局として煩雑になるかもしれないが、すべての構成員に対していついつまでに意見を出してくれというような形で。そしてこの検討会に、今ここで出ているのは民間団体の援助に関する検討会事項だけだが、他の検討会であがっている項目についても意見を述べたい部分というのはある。他の検討会で出ていることについても一応たたき台を示していただき、このようなことをさらに深めていただきたいというような意見のやりとりをさせていただくということはできないのか。
(事務局)今日案をお示し、本当はかなりのご意見をいただければもっとよかったのだが、そういうわけにもいかない、先ほど申し上げたように、次回までにまたいついつまでというのはお願いすることになると思うが、ご意見を出していただき、それを踏まえてこういう項目でこういう訪問先でということをお願いしたいと考える。
 それと、その他の検討会のものもと言われると、参考資料としてはいいと思うが、ここはやはり民間団体援助に関する検討会であり、余り議論が拡散する可能性もあるので、その辺はいかがか。どうしてもということであれば別にやぶさかではない。 (構成員)民間団体の援助ということをここではそれが検討会の扱うべき範囲である。
(構成員)検討会2の連携とここは非常に密接である。
(構成員)この検討会について私たちはまず最優先に意見を述べるべきだと思うが、補足、意見として参考として述べさせていただきたいというような扱いにしてもらっても結構なので、あった方がいいかと思う。
(事務局)他の検討会で関連するものについて出すようにするが、ぜひ議論そのものは民間団体援助に絞っていただきたい。他の検討会と分けている意味が全然なくなる。もし参考意見あったら是非別途の形でいただきたい。
(構成員)今の点でちょっと誤解があったようだが、ここで議論することはもちろん民間団体の件で、それについて議論するということは全くやぶさかでないし、それ以外のことに時間をとる必要は全くないと思う。ただ、参考意見としてほかのも出させていただくために資料をいただけたらというだけの話で、そのようにご理解いただけたらと思う。
(構成員)今のご議論を通じて、最終的には事務局にて最終決定していただくということでご了解いただきたいと思うがが、よろしいか。ご了解いただいたということで、どうもご協力ありがとうございました。

○その他
次回の検討会は、8月3日(木)に開催予定

(以上)



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