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民間団体への援助に関する検討会(第2回)議事要旨


(開催要領)
日時: 平成18年5月25日(木) 15時05分~16時50分
場所:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
座長代理中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
構成員林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
廣田 耕一警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者対策室長
辻 裕教法務省刑事局参事官
代理出席萩野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
山口 高志厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐

※各構成員のいずれの発言についても、便宜上、「構成員」と表記した。


(議事次第)

1.開会

2.当面のスケジュールについて

3.論点整理について

 (1)事務局試案の説明

 (2)有識者構成員からの発表

   ・ 冨田構成員

   ・ 中島構成員

 (3)意見交換

4.検討会において実施するヒアリングについて

5.閉会


(配布資料)

  資料1  当面のスケジュールについて(案) [PDF形式:13KB]
  資料2  海外調査及び国内実態把握調査について(案) [PDF形式:12KB]
  資料3  今後の検討において想定される主な論点(試案) [PDF形式:12KB]
  資料4  冨田構成員資料 [PDF形式:29KB]
  資料5  中島構成員資料 [PDF形式:477KB]
  資料6  ヒアリング対象事項・対象者について [PDF形式:11KB]
  参考資料  民間団体への援助に関する検討会における検討事項の概要 [PDF形式:28KB]



(議事内容)

○当面のスケジュールについて
当面のスケジュールについて(資料1)事務局より概略以下のとおり提案がなされ、構成員からは特に意見はなく、了承された。

(事務局)本検討会では、基本計画により、「民間団体に対する国による財政的な援助を現状よりも手厚いものとする必要があることを前提として、被援助団体となる対象、援助されるべき事務の範囲、援助の経路、財源等の総合的な在り方を検討する」こととされている。検討の進め方として、こうした具体的にどういう範囲でやるかみたいなことを議論する前に、その前提となる民間団体の現状と問題点、それから民間団体による支援の在り方について議論をしてはいかがかと考えている。このため、夏頃まではヒアリング、あるいは調査を実施することにより、民間団体の実態をまず把握をし、現状の評価と問題点の整理を行うこととしてはいかがかと考えている。
 ヒアリングについては、第3回の6月30日の会合において、他の検討会と合同で海外の実情について説明を受けるということが既に決まっているところであるが、その後第4回、7月13日には民間団体の活動の実態についてヒアリングを行ってはどうか。それから、第5回の会合、8月3日は我が国の民間団体への援助がどうなっているのかその実態と、それからお金ではなくて、人や物の援助、これについての可能性について、有識者あるいは関係省庁から説明を受けてはどうだろうかと考えている。
 調査については、海外調査と国内実態把握調査を実施することとしている。
 こうしたヒアリング及び調査結果を踏まえて、10月上旬の第6回の会合において、民間団体の現状と問題点の整理を行い、構成員間で認識を共有したいと考えている。

(事務局)2つの調査について説明させていただく。海外調査では、第3回の海外の実情について行われる合同ヒアリングの結果も踏まえ、さらに深く調査すべき事項について、実際に現地に赴いて調査をすることを考えている。調査の対象国数や方面数については、現在検討中であるが、大まかな日程としては、9月上旬に調査派遣を行い、第6回の会合で結果を報告すると考えている。本検討会に係る調査項目等については、第4回会合において、構成員の方々からご意見を賜れればと幸いと考えている。
 なお、海外調査については、本検討会の関係だけでなく、3つの検討会の検討事項の調査として行うことを考えている。
 国内の実態把握調査については、地方公共団体における民間団体への援助の実態を把握するために実施を予定しているものであり、まずは各都道府県、政令指定都市を対象にアンケート調査を実施して、その後出てきた興味深い取組について、当該取組を行っている団体に対し、インタビュー調査をして詳細を把握し、今後の検討の参考にしていただければと考えている。
 アンケート調査については、事務局にて調査票を作成後、6月から7月にかけて実施し、第5回会合において、調査結果を事務局から報告することを考えている。インタビュー調査については、アンケート調査の結果も踏まえて、第5回の会合において調査の基本的な設計をご検討いただき、その結果を踏まえた形で9月頃に実施し、第6回会合において調査結果を報告することを考えている。

○論点整理について
●事務局試案の説明
事務局から今後の検討において想定される主な論点(試案)(資料3)について、以下概略のとおり提案された。

(事務局)論点は主に3つほどに分かれているが、大きな1つとして民間団体の現状と問題点ということで、夏頃までにヒアリング調査を実施し、1つはどんな団体が今我が国でどんな活動を行っているのかという実態を見るということ、それから被害者等が要望する支援のうちで、国や地方公共団体がやるものもあるので、民間団体が行うことが期待される、そういう活動というのは何だろうかということ、それからそういう期待される活動のうち、現状で何ができていて、何が不十分であるのかと。また、既に行われている支援について、どのような問題が生じているのか。それから、お金の問題は当然あるわけだが、もしお金の問題がないとすれば、民間団体の今の体制なり実情でどこまで被害者支援というのは可能なのだろうかというような話、それから民間団体に対して先ほど申し上げたが、資金面での援助に替わる具体的な人的、物的支援としてどういうものが可能かといったようなことを実際に支援を行っている民間団体の視点から把握をしてはどうかということを考えている。
 その上で、民間団体による支援の在り方ということで、全体の被害者に対する施策の中で民間団体の活動をどういうふうに位置付けをしていくのか。それから、国・地方公共団体とどういうふうに役割分担をしていただくのが民間団体として適当なのか。それから、似たようなことだが、民間団体が行うことが効果的だと思われる活動というのはどんな活動なのかという、そういういわば理念的な問題を検討いただければと考えている。
 さらに、その上で国による民間団体への援助の在り方ということで、民間団体の活動のうちでどこまで国や地方公共団体がそれぞれ財政援助を行うべきなのか、あるいは行うことができるのか、さらに具体的にどんな形で行うべきなのか、あるいは行えるのかという具体的な援助の在り方を検討することとしてはどうかというふうに考えている。

●有識者構成員からの発表
事務局からの提案の後、冨田構成員、中島構成員から論点整理について(資料4、5)概略以下のとおり発表がなされた。

(構成員)民間団体による犯罪被害者支援の在り方について、まず、犯罪被害者等の援助を行う民間団体の基本法、基本計画における位置付けについては、基本法において「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」と規定されている。この権利を具体化するために、国は総合的に、また地方公共団体は地方公共団体の地域の状況に応じて犯罪被害者等に対する施策を実施する責務を有しており、また国民の協力義務も定められている。さらに、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体は、この施策の円滑な実施のために公的機関に協力することが求められている。そして、さらに犯罪被害者等に対して行われる各般の支援において、犯罪被害者等の援助を行う民間団体が果たす役割の重要性ということが認められている。基本法、基本計画からは、その犯罪被害者等の援助を行う民間団体というのが一定の役割を果たすべきということは確認されているが、民間団体の役割がなぜ重要なのか、具体的にどのような役割を果たすべきかについては、必ずしもその法律からは明らかにはなっていないということである。基本計画でも法の22条を受けて、財政的援助のことについて述べられているが、果たすべき役割とか意義については具体的には触れられていない。これはいろいろ内外の文献を見ても、はっきりと民間機関が何をすべきか、特に公的機関とどんな役割分担をすべきかというのは、余り明確なものはないように感じている。
 また、民間団体による支援の意義は一体どこにあるのかということだが、以下の点を指摘できるかと思う。
 1つは、被害者支援の中心は刑事司法機関であると思う。これは刑事司法機関、この言葉の使い方はいろいろで私の場合は警察から矯正保護まで含む大きなシステムを考えているが、その中で刑事司法機関は犯罪被害者等の接触の機会が多いわけだから、それらによる支援というのは効果的である。したがって、被害者支援の中心は刑事司法機関だと私は理解している。しかし、多くの被害者調査の結果が示しているとおり、犯罪被害を刑事司法機関に通報しない被害者もかなりいる。これは罪種によって違うが、そうなると刑事司法機関からの支援を受けるということは非常に難しくなってくる。このような場合でも、民間機関であれば対応することができる。
 それから、警察による被害者支援については、法令上の明確な根拠がある。犯給法の22条、それからそれに基づくそれに関する指針とか対策要綱があるが、警察が全部ここに定められた業務を行うだけの人的な資源が確保されているわけではない。そこで、民間団体による補完ということも必要になると思う。犯給法の23条の早期援助団体の制度の位置付けだが、その補完のための制度と考えることもできる。
 3番目は、犯罪被害者等の直面する問題は、長期にわたる。刑事司法機関の場合には、それぞれの担当が終わればその手を離れてしまうと、離れた事件の被害者について継続して支援を行うということはなかなか難しいのではないかと思う。このような場合でも民間であれば継続して支援ができるのではないかと考える。
 4番目は、被害者の直面する問題というのは多様である。いわばコーディネーター的な役割、あるいは窓口的な役割を民間は果たすことができるのではないかということである。
 5番目、法にも書いてあるように、国民の協力義務というようなことから言うと、被害者のことを常に考えている、被害者の立場に立って支援をするという、そういう民間団体の存在それ自体が支えになるのではと考える。
 6番目、コストの問題だが、ボランティアは必ずしも無償ではないし、有償ボランティアもある。これから被害者支援が専門化していけば、民間による被害者支援も有給スタッフによる支援がもちろん必要になってくるが、それでもボランティア活用によって、コストの面からメリットがあると考えられる。合衆国においても、そのような視点が強調されている。合衆国では、刑事司法機関が直接民間人を活用する制度が多く、必ずしもすべてが民間団体によって行われているわけではないが、コストということは常に指摘されている。
 民間団体はどんな活動を行うべきなのかということだが、犯罪被害者支援の分類はいろいろな分類がなされるが、経済的支援、精神的、身体的被害の回復の支援、直接的支援、刑事司法における被害者の関与等あるわけだが、こういう活動を促進するための広報啓発とか、あるいは被害者のいわゆる権利擁護とか、被害者代弁活動とか、あるいは立法というような、いわゆるアドボカシー活動というのも大きな部分であると考えられる。公的な機関も民間団体も、これらのすべての活動に関与することができるので、私はこの公的機関の固有の領域というのはそれほどないのではないかと考え、基本的には、固有の領域はない、どちらもできると考えている。
 ただ、どちらが行うのが効果的かという点から考えた場合には、効果的な部分もあるし、また適切性からいったら、民間が担当した方がいいというようなものもあるかと思う。でも、実は今までのところ余りはっきりしていないと思う。
 被害者は何を望んでいるのかということだが、これについては被害者のニーズ調査をすればいいわけであり、我が国でも幾つかの被害者等を対象とした調査は行われている。警察庁でも行われているが、後で中島委員からも紹介があるかと思うが、ただ被害者のニーズを調査等によって明らかにするというのは、実は非常に難しいところがあり、それは被害者のニーズは必ずしも自覚されていないという部分があると思う。まだ被害者サービスが定着していないため、どんなことを求めることができるのか、どんなことが得られるのかということが意識されていない、自覚されていないわけで、被害者支援サービスというのは一種のニーズ開拓型というか、いろいろメニューを示して、こういうサービスも可能ですというようなことを確認しながら掘り起こすようなところがあるので、どんなことが必要だったとか、あなたはそのとき何が必要だったかと聞いても、余りはっきりしないというところがあると思う。
 そこで、刑事司法機関と連携して行う活動を促進するということが1つには重要だと思う。まず、既に現行法上の制度として、犯給法の早期援助団体があるので、これをさらに発展させるということがまずは大事なことだと思う。財政的援助も必要になると思う。
 2番目は被害者等自らによる活動の促進である。アメリカの場合だが、POMC、子供を殺された親たちとか、飲酒運転に反対する母親たちというような被害者等が自ら設立した民間団体があるわけである。これらはいわゆる自助グループだけというわけではなく、刑事司法機関と連携して支援活動もするが、権利擁護、代弁、広報活動、自助グループ、犯罪防止活動、立法活動とかなり幅広い活動をしているわけである。このうち、いわゆる自助グループ活動は被害者でなくては行うことができないし、またこれは被害の回復にも効果があるということも指摘されているので、これは促進し、定着させる必要があるかと思う。
 3番目は、2番目と関係するが、自助グループ等の運営の支援を行うことである。今、全国被害者支援ネットワークに加盟する団体の幾つかでは、自助グループの立ち上げや運営の支援を行っているが、この種の活動はかなり重要だと考える。
 4番目はアンブレラオーガナイゼーション(傘組織)。我々は今日本で被害者支援の団体と考えるのは、コミュニティベースドのものを考えているわけだが、それをカバーするというか、それぞれの団体を傘下に置く団体というのがある。アメリカには、NOVAとか、NCVCとか、連邦からの補助金をもらっている公的機関の集まりであるNAVAAとか、各州の行っている犯罪被害者補償に対して連邦からの補助金を受けている団体の集まりであるNACVCBとかがあり、これらが情報提供をしたり、より効果的な在り方を検討していて、これが各コミュニティベースドの組織に対して指導、援助をしている。これが非常に大事だと思う。我が国でも、全国被害者支援ネットワークがあるが、この活動を活発化させることが必要ではないかと思う。
 我が国の民間団体の現状だが、我が国の民間団体の活動がいつから始まったかはいろいろ議論があるところ、本格的な開始はしばしば引用されるが、1991年の犯給制度発足の10周年記念シンポジウムだとこれはほぼ一般的な見解だと思う。山上皓先生が開設した犯罪被害者相談室ということについては、ほぼ共有されている見解だと思う。その後、民間団体の設立が続いたし、ネットワークができて、現在42の団体が加盟している。また、犯罪被害者等によって設立した団体の活動も盛んになっている。これらの団体がどんな活動をしているのかが必ずしも明らかになっていない。調査不足というか、資料が不足していると思う。全国被害者支援ネットワークに加盟する団体については、次の点を指摘できる。電話とかによる精神的被害からの回復のための活動というのが多いと思う。法律相談もある。自助グループに対する支援活動、直接的支援については法廷付き添いなどが定着しつつあるが、危機介入は、行われているものの一般的ではないと思う。
 さらに、早期援助団体の活動は定着しつつあり、早期援助団体の指定を目指している団体も多いと思う。ただし、支援活動の種類が少ない、活動資金が不足している、専門家による協力がまだまだ十分ではない、それから、養成プログラム、それから標準的なプログラム、連携といった点で問題がないわけではない。
 今後の課題としては、民間団体がすべての地域に設置されて、それによる支援が広く行われること。それから、早期援助団体が増えること。それから、支援活動が充実したものになること、特に危機介入のような様々な活動が増えるということである。
 加えて、今、刑事司法の中で様々な提案がなされている修復的司法プログラムに参加する被害者に対する支援も海外では結構行われているが、日本では余り行われていないと思う。
 財政的基盤の確立。そして、これは今後の民間団体に対する援助を考える場合に非常に重要なポイントになってくると私が思うのが、支援活動を行う者の質の向上であり、教育・訓練プログラムを充実させることである。これはまだスタンダードなものがないし、かなり組織によって違う。精神的な支えとなる倫理綱領の制定とその遵守も重要な問題になると思う。
 それから、連携も警察本部を中心にして連絡協議会があるが、まだまだ余り実質的ではないところもあるので、連携を充実させていくことが必要ではないかと思う。
 今後の支援の在り方だが、民間団体が抱えている問題が多いが、まず自助努力が大事だと思うが、基本法に書かれているとおり、国や地方公共団体による「財政上及び税制上の措置、情報の提供等必要な措置」が講じられることが重要だと思う。
 それで、そのことを考える上での幾つかの視点だが、まず対象となる団体の範囲をどのように決めるのかということ。犯罪被害者等早期援助団体については、指定を受けるに当たってかなり詳細な基準があり、それを満たしている団体が提供する支援活動の質もある程度の水準に達していると思う。連携もきちんと行われている。
 そういうことから考えると、かなり重要な役割を果たしていると思うが、ただ財政的なメリットについては、特定公益増進法人となることができるだけで、その指定を受けたからといって資金的な援助を受けられるわけではない。この点の改善点は必要だと思う。
 2つ目は、どういう基準を設けるかというだが、これはなかなか難しい。財政的な援助の対象となる支援活動の種類というか、この部分についてこういうお金を出すというような考え方もあるのではないか。もちろんその場合でも対象となる団体等の範囲について、制約があると思う。例えば、守秘義務や倫理綱領に関する内部規定が存在しているとか、あるいは携わっているボランティアの前科・前歴調査とか、これはアメリカで一般的に行われていることで、こういうこともあるいは必要になるかもしれないと思う。
 もう1つは他の検討会でも出てくる話だが、財源の問題である。アメリカでは、VOCAがあるので、Crime Victim Fundからの補助金がかなり重要になっている。ご存じのとおり、この基金のもととなっているのは、連邦法違反の罰金等であるが、そういう金のもとをどうするのかということである。
 それから、資金援助以外の援助の話だが、早期援助団体については、今警察から早期援助団体に対する警察提供情報というか、情報提供があるが、この拡大も援助と言えるかどうかわからないが、援助の範囲を拡大するということから言うと一つ出てくるかと思う。
 それから、庁舎の提供、これは海外では一般的に行われている。あとは早期援助団体以外については、庁舎の提供とか広報活動の協力というのはあると思う。この点については、あとこの場合でもどういう団体に対して行うべきかという点では、いろいろ議論が出てくるかと思う。

(構成員)現在、我が国ではどのような民間団体が、どのような活動を行っているのかということで、とりあえずインターネットで検索できる比較的有名で大きな団体だけを取り上げてみた。大きく分けると支援者によって運営されているものと当事者によって行われているもの、そしてまた当事者と支援者両方が共同になって立ち上げているものがあるかと思う。別紙1を見ていただきたいが、恐らく被害内容によってかなり特殊性があるのではないかと思う。犯罪被害全般を扱っているもので一番大きな団体として、全国犯罪被害者支援ネットワークとその加盟団体ということになるかと思う。
 また、性暴力被害に関しては幾つか団体があり、専門家に対する教育やトレーニング、情報提供を行っている女性の安全と健康のための支援教育センター、実際に被害者に対して情報提供、あるいは相談を行っている東京強姦救援センターなどがある。あと個人的に知っているわけではないが、S&Sというサヴァイヴァーとサポーターが両方担ってつくっている浜松市の団体、有限会社女性ライフサイクル研究所といって、カウンセリングを中心としたメンタルケアを中心に行っているような団体がある。これらはもともと立てられた理念などによって、その活動が違ってきているので、多様なサービスが提供されていると言えると思う。
 あともう1つ団体の種類として、配偶者間暴力の被害者関係の支援団体がある。配偶者間暴力に関しては、地方自治体等でも支援を行っている。民間団体もかなり活発に活動していて全国大会が行われているが、取りまとめている団体がないようなので、東京近辺の2つの大きな団体を挙げた。フェミニスト・セラピーセンターとかながわ・女のスペース"みずら"である。配偶者間暴力に関しては、内閣府がもちろん中心だが、地方公共団体が婦人相談所等を持っている関係で、かなり地方自治体と連携しながらやっているところが多い印象を受けている。各都道府県にたくさんある。
 もう1つは児童虐待に関して、児童虐待防止協会という全国組織があり、すべての団体はここに加盟しているわけではないが、ここと連携をとっている各地域の民間団体がたくさんある。児童虐待に関しては、専門家も多く、児童相談所があるので、そこと連携をとりながら防止活動をしているというところがたくさんある。
 1つ取り上げてあるのが非常に古くて有名なCAPNAという大きな団体であるが、ここでは弁護団をつくっていて、非常に早い介入も行っている。これは1つまとまった形の活動をしている種類の団体であるかと思う。
 次は当事者、サヴァイヴァー等が中心となっているもので、犯罪被害に関しては、全国犯罪被害者の会(あすの会)という大きな団体がある。これは犯罪被害全般ということになる。あとはその方たちが遭った被害に特化した団体が多い。例えば少年犯罪被害当事者の会、犯罪被害者きょうだいの会、犯罪被害者支援の会などがある。犯罪被害者支援の会は、もともとは少年被害の被害者の方が設立されて、いろいろな形で拡張をされたところである。あと交通事故に関係しては、全国交通事故遺族の会という非常に大きな団体や高次脳機能障害者の家族等を中心とした後遺症の家族の会などがある。性暴力被害に関しては、これは精神科のドクターが中心となって建てられたところだが、日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオンというところがある。
 本当にここに挙げたのは一部だが、犯罪被害の内容によって、あるいはどのような設立によってかということで、ある程度分けられるかと思う。
 活動内容については、交流を目的としているものと支援を目的としているもの、特に自助グループに関しては、社会制度、あるいは立法に関しての社会活動を行っているところとそれぞれ力点が違っている。
 資金については、これも多様で、会員が多いところでは活動の内容が濁るということで、会費のみに限るというところもあるし、逆に会費は取らないで寄付のみというところがある。ぱっとホームページを見たところ、どこも非常に資金が苦しいという印象を受ける。かなりの団体で助成金を希望していたり、あるいはもらっているというところがある。
 非常に簡単だが、手に入る限りの情報で、被害者支援に関する民間団体として日本にはこのようなものがあるのではないかということがいえる。
 次に、犯罪被害者等が要望する支援で民間団体が行うことが期待されているものということだが、これは実際の被害者のニーズから見ていった方がいいかと思い、警察庁にて犯罪被害者実態調査を行っているので、この中で被害者のニーズとして挙がっているものから検討した。
 別紙2の6、7ページで被害者等に対する援助活動について聞いており、被害直後のニーズとしては男女ともに共通しているが、そばで話を聞いてもらうとか、身の安全を守ってもらう、カウンセリング、あるいは警察・病院への付き添い、あるいは家族、会社への連絡といったものに関してニーズが高いということがわかる。実際に行われているものとして、話を聞いてもらうというのはかなりの人がやってもらっているが、カウンセリングとか身の安全を守ってもらうということは、なかなか援助を受けることが難しいというようなことがある。
 男女比で見ると、女性の方が援助を受けている率が全体的に高い。被害別で見ると性暴力被害に関しては付き添いやカウンセリング、保護などのニーズが高いが、家事の手伝いというニーズが低い。一方、遺族や身体的負傷のある人では、家事や食事サービス、泊まる場所の確保とか、そういった生活支援を要するということで、被害内容によってもニーズは若干変わってくるのではないかと思う。
 これは事件直後のニーズだが、少し時間が経った場合どうなるかということについては、7ページにあげてある。調査時点2年から4年経過すると、全般的にニーズは下がってくるが、それでもカウンセリングや、話を聞いてもらうなどのニーズがかなり残っている。また、この時点でも身の安全を守ってもらうというようなことについても、ある程度のニーズが残っている。ここには載っていないが、3割ぐらいのニーズが残っているということである。この時点では、さすがに家事の手伝いのニーズは非常に低くなってきているが、精神的なニーズが長期的に残るということがわかるかと思う。
 あと実際に民間被害者支援団体からどれぐらい支援を受けているかということについては、実態調査報告書の15ページを見ていただきたい。実際に民間被害者支援団体から支援を受けている人は少ない。全体としては8%、1割に満たない。遺族が比較的多くて16%である。実際にどのような支援を受けているかということだが、カウンセリングや話し相手となってもらうということが多い。そのほかで多いのは、補償や刑事司法に関する情報の提供、警察、検察への付き添い、弁護士の紹介であった。被害者のニーズが高かったはずの病院への付き添いや家事の手伝いの支援は非常に少なかった。
 受けた支援に関しては、約半数は満足ということで、よく話を聞いてもらったというようなことがあげられていた。悪かった点として希望する援助を受けられなかったということがあったが、これは多分提供する内容が限られていたということにあると思うが、その他相談の時間帯や手段が限られている、アクセスが不便、必要なときに援助が受けられないなどの項目があがっており、リソースの乏しさというものを反映しているような結果が出ている。これらの被害者のニーズと実際受けているサービスとをあわせて考えると、話を聞いてもらうというような精神的な支援について、ある程度ニーズを満たすことは可能なようだが、身の安全の保護とか身の回りの手伝いとか、直後の支援というのはどうも十分ではないのではないかということが言えると思う。
 まとめると、民間被害者支援団体としては、被害者の需要に応じて行うことが必要であると言える。特に被害直後のニーズが非常に高いものについては、これに対応できなければいけないと思われる。被害直後に関しては、精神的な支援もさることながら、付き添いや家事の手伝い等、あるいは様々な手配等、ソーシャルワーク的な活動が要求されていて、それに対してまだ現状では十分なことができていないのではないかと思われる。一方、長期的には精神的な支援といったものが非常に要求されているのではないかと思う。
 もう1つパワーポイントの資料の一部分だけ示したいと思う。これは私が自分で考えたもので文献等により裏づけがあるわけではない。被害者支援とは何かとか、被害者支援はどうあるべきかという文献は非常に少なく、外国の文献も余りなくて、それを示すということは難しい。基本的には被害者支援の在り方として、被害によって障害された機能回復を助けるということと、被害によって新たに生じた問題、主に刑事司法に関することだが、それに対する援助を行うということと、社会との信頼関係を取り戻すというようなことが大きな目的となると思う。それに従って具体化されていくというようなことがあると思う。
 日本の被害者支援活動2と書いてあるのを見ていただきたい。今まで行われてきたものは、電話相談、面接による心理的援助が中心であった。昨今、警察での被害者対策の拡充や援助団体等の設立に伴い、法的訴追とか刑事司法手続に関する支援が増えてきている。あとは弁護士団体からの法律相談や、あるいは性被害、家庭内暴力、児童虐待など、特定の被害者プログラムができてきたということと、あと自助グループ活動が盛んになってきたということが言えるかと思う。
 恐らく今までの海外で行われている支援や被害者の需要から考えると、被害者支援という形で行われるべき援助の種類というのは、大きく7つぐらいのことではないかと思う。1つは、被害直後の支援である。これについては心理的なものにとどまらない非常に直接的なものが含まれるであろう。もう1つは心理的支援、これは非常にニーズもあるし、長期的にも必要である。もう1つは刑事司法手続における支援であり、これは情報提供だけでなく、付き添いや、海外では通訳サービスなども含まれる。あと補償や保険手続、例えば犯給法の手続等の支援である。これも現在の日本では非常に少ないが、医療機関での支援、これは付き添いだけではなくて移動の支援や、医療費等に関して補助が出るようであれば、その手続上の支援なども含まれる。ここには書いていないが、各医療機関、例えば救命救急等において連携をとるための支援というようなものもあると思う。その他日常生活上の支援、自助グループの支援というようなことがあるのではないかと思う。
 こういった支援というのがなかなか日本でできないということについては、歴史が浅いということもあるかと思うが、被害者支援団体個々の財源であるとか、質であるとか、そういったことが関係してくるのではないかと思う。
 もう1つの問題は、こういう支援を提供するに当たって、窓口となる機関との連携が非常に薄いということがある。先ほど刑事司法制度との連携というのがあったが、警察に通告しない被害者においては、例えば医療機関や福祉機関が窓口になるわけだが、そういったところから紹介されるというのは現在非常に少ない。今後はそのような機関との連携機能というものが逆に民間支援団体に要求されてくることではないかと思う。
 3ページの上の四角の中の文章はアメリカの大統領のタスクフォースで、こういうことを被害者支援プログラムではやりなさいと述べているものを挙げてあるだけなので、見ていただければ結構である。
 実際に民間団体がどのような支援をどの程度行っているのかについての調査があるが、非常に古いので、これが現状に合っているかどうかわからない。三菱総研が平成12年に調査したものがある。これは全国被害者支援ネットワークに所属する16の団体に、まだ16しかなかったときだと思うが、アンケート調査を行った結果である。
 現在、調査当時よりは改善している面はあると思うが、かいつまんで重要なところだけお話しする。まず、職員数が非常に少ない。職員数の平均が2.6名で常勤職員が平均1名しかいない。ほとんどがボランティアで、ボランティアに依存しているということが非常に特徴的だったと思われる。
 もう1つは活動内容で、実際の支援活動に割く時間というのが意外と少なく、半分以上の組織運営など事務的なことにかかってしまい、支援活動の時間は3割に満たないということがある。相談では主に電話が8割近くであり、来所によるのが中心というところは1割ぐらいしかなかった。実際の活動としても、約80%は精神的な支援を中心としていて、あとは紹介などが多かった。実際の付き添いや、身の安全の確保などについて行っているところは非常に少なく、1割ぐらいであった。この時点ではほとんど直接支援を行っているというところがなかったようである。相談者自身も精神的な支援だけではなはく、そのほかにも身の安全の確保が非常に被害者のニーズとして高いとか、経済的援助を必要としているとか、危機介入を必要としているという被害者のニーズを非常に感じているが、実際提供できていないというジレンマがそこに生じているということがわかると思う。
 活動上の問題も挙げられているが、ボランティアの数が少なく、1人当たりの負担が非常に大きいことが挙げられる。また、ボランティアだけでなく、常勤職員もそうだと思うが、専門的知識の不十分さが挙げてられている。ボランティアスタッフの75%は資格を有していない一般の人なので、トレーニングの必要性はあると思う。
 もう1つは資金面だが、非常に厳しい意見が出ていて、過半数が財政状況が悪くなるということを言っている。支援をしている方で、活動費が支給されているのは3割ぐらいしかなく、6割は自腹でやっている。しかも支給されていても、その3割は足りないということを報告している。公的機関に対する補助金の要請が高かった。9割ぐらいの団体がそれを望んでいた。あとは会員を何とか増やして会費収入をふやそうとしていた。こういった自助努力もあるが、公的機関に対する期待が非常に大きいことがわかる。
 そのほか公的機関に対する要望として、補助金の増額のほかに場所を提供してほしいということがあげられていた。非常に家賃の負担が大きいためだと思われる。その他、直接的な資金以外に税制上の優遇措置をしてもらうことで、その自助努力を援助してほしいというものがあった。したがって、この時点では財政上非常に厳しい状況で、地方自治体に対する期待は高い現状があったのではないかと思う。
 こういった財政的な問題がなければ、民間援助団体というのはどこまで活動を行えるのかということだが、この問題に解答することは難しいが、理想的な活動ということで考えてみることが可能かと思う。民間被害者支援団体が他の公共団体と違うところは、非常に柔軟に対応できるということだと思うので、直後から長期まで切れ目なく支援を行える。また、相談を制限せずに、すべての相談に少なくとも窓口としては対応できる。非常にきめ細かなニーズにきめ細かく、つまり状況に応じて対応できるのも特徴である、十分な訓練を受けたスタッフが養成できれば、スタッフの質をそろえることも可能である。こういったことが民間間支援団体としての特徴ではないかと思う。
 さらに、金銭的な問題がなければ、現在ほとんど行われていなくて、今後行ったらよいと思われるもの、24時間のホットラインや、24時間の危機介入プログラム、家事、育児等のアウトリーチの支援の充実であるとか、医療機関への付き添い、あるいは学校、地域住民への啓発プログラムや専門家を置いてのカウンセリングということができるようになると思う。これらを行うためには、場所と常勤の事務職員と専門的な知識を持った相談員がどうしても数名必要になる。実際にアウトリーチ活動の多くは日中で行われるので、ボランティアでは日中できる人は非常に限られてしまい、どうしても有給の支援が必要になるので、職員の給料が必要である。専門的なカウンセリングを行うためには、専門職を頼まないといけないので、ボランティアでは限界があり、ある程度のお金がやはり必要であるということだと思う。
 理想的な支援の1つの例として、日本でほとんど行われてないが、欧米で非常によく行われているレイプクライシスセンターのプログラムがある。ここではサンフランシスコの団体を例として挙げている。ここでは24時間の電話相談や、リーガルアドボカシー、特にメディカルアドボカシーは、医学的な検査、付き添いなどがあり、場合によってはそこで検査をおこなうというものである。非常にお金がかかるのではないかと思われるが、理想的にはこういったプログラムもあるべきではないかと思われる。
 最後に、国及び地方公共団体が支援すべき範囲は何かということだが、現在民間援助団体が行うことができない活動で国・地方公共団体が行うべき支援というのは、以下のことではないかと思う。
 1つは被害者への経済的な支援、これは別の検討会があるので、そこで検討していただけると思うが、特に緊急、一時的な経済支援が望まれているが、今はその制度がない。
 もう1つは、非常にニーズがあるのに多分恐らく民間では無理だと思われる安全の確保である。シェルターなどが必要である。
 あとは専門的な支援として、地方公共団体で特に福祉関係機関や、自治体病院、こういったところで専門的な支援行ってもらえることが必要なのではないかと思う。
 最後にその他ということで、地方自治体による活動場所の提供や、学校教育における啓蒙・予防教育、国からの助成、国による被害者支援活動の評価、全国の実態調査などの間接的な援助や支援のための情報提供といったようなものが必要なのではないかと思う。

●意見交換
 有識者委員からの発表後、論点整理についての意見交換がなされ、今後ヒアリング等を通じて新たな論点があれば随時対応することを前提として、事務局が提案した基本的な事項や順序に沿って検討を進めることが了承された。構成員からの意見等の概要は以下のとおり。

(構成員)事務局案の論点整理のペーパーについては、現状と問題点、まず現状を見て分析してということは必要なことだと思う。ただ、私の中ではそれをやるときに、特に問題点を挙げる場合に、その次に書かれている民間団体による犯罪被害者支援の在り方、これは非常に影響するのではないかと考えている。これはどちらかというと2の検討会の連携体制をどうとるかという、そのときに民間支援団体がどこにいるのかというところと関連してくるので、ここだけで議論すべきことではないと思う。私としては、民間団体のあるべき姿を考えなければ問題点は多分出てこないと思う。これはどちらが先ということではないが、同時進行的に話をしながら、あと2の検討会ともそれこそ連携して協議すべきことなのではないと思う。論点試案については、特に異議等はない。
 それから、現状の問題点とか民間支援団体の今行っていることとか、被害者のニーズとか、そういうことについては、先ほどの発表のとおりだと思うが、刑事司法機関の役割については、私とは考え方が違う。民間団体による支援の意義については、私は中長期的な支援、複数の公的機関が関与する場合の連絡・調整が一番大きくて、あと民間団体の存在自体が被害者等の精神的な支えとなることがその次にくるかなと思う。長期かつ多岐にわたる支援を行うために、支援の体制の中心は民間であるべきであって、民間でないと多分できないだろう、長期に及ぶ途切れない支援ということであれば、民間が真ん中に入るしかなくて、民間から専門的な支援を行う、例えば弁護士、医者とか、そういうところにつながっていくというのが私は理想型として常に思っているわけである。
 刑事司法機関が犯罪被害者と接することが多いというのは事実だが、日本の刑事司法制度を考えた場合に、これは被害者が手続の中から外れていたということと関連があると言えるが、刑事司法機関は例えば警察であれば捜査機関であり、被害者のためだけに捜査しているわけではない。公共の秩序とか安全のためにということがある。それから、検察庁も、被害者の代弁者であるという一方で、公益の代表者としての役割を持っている。
 刑事司法機関のサービスは、情報提供として必要な情報の通知とか、警察の行っている様々な対策、これはサービスと言える部分があるが、本来は第一義的には捜査などであるというふうに私は思っている。捜査機関と被害者というのは必ずしも協調関係ではなくて、非常に緊張関係がある場合がある。そういう意味合いから考えると、刑事司法機関が通常私たちがいう支援を行えるのか、行う支援とは二次被害を与えないできちんとした情報を与えるというかなり消極的な意味合いを持ってくるのではないかと思う。
 刑事司法機関、特に警察であるが、そこの位置付けというのは今後警察が今までリードしてきたという事実があるが、今後は検討の余地があるのだろうと思っている。余りにも過大に警察に被害者支援を求めることは、私は、決してこれはいいことではないとはっきり申し上げたいと思っている。民間の支援団体、特に早期援助団体が情報提供を得るということ、その意味で警察との連携は当然必要だが、民間支援団体には独立した立場で、時には捜査機関と緊張関係を持った被害者にも支援するということもあり得るわけなので、それができる、それだけの力を持つ団体が日本でも育ってくれればいいと思う。
 そして、活動についても独立するためには財政的な基盤が必要で、まずこれが第一であって、今の民間支援団体がいろいろできないというのは、そういう財政の問題点が一番あると思う。
 それから、危機介入だが、犯給法が改正されて早期援助団体ができて、危機介入が可能になったが、被害直後に本当に早期援助団体に被害者の情報が来るかというと、実際余り来てないということを聞いている。何日後ぐらいに早期援助団体に情報が来るのかという統計を私は持っているわけではないが、そういう状況であると弁護士にも情報は来ないわけである。東京など大きい都市の場合は犯罪直後には警察から直に弁護士会というルートでは、情報が来ないので、そうすると民間の団体を通じて来る。弁護士がついて、例えばメディアスクラムを阻止するとか、メディアに対して被害者の代弁をするとかという、そういう活動ができるわけだが、実際は大騒ぎになった後でしか弁護士は登場できないという状況がある。このため、情報を最初に一手に握っている捜査機関である警察と民間との情報の伝達のルートをもっと速やかにしていただくという意味の連携は非常に必要だと思う。
 私は民間団体に非常に期待しているので、できるだけ現状を把握して、どこをどうしたら、日本の被害者支援が発展するような民間団体ができるのか、考えたいと思う。

(構成員)東大作さんという人がゴールデンウイークの直前に発表された講談社「犯罪被害者の声が聞こえますか」という本がある。この本を読んでもらって、海外調査もしてもらえたら非常にありがたい。
 基本計画により被害者の訴訟参加と経済的支援を2年後に制定するということで検討が始まっているわけだが、民間団体にどういう役割を持たすかということがもう1つ明確でない。そこで、資料3にあるように「現状では何が出来ていないか」を把握することが重要と思われる。今考えなければいけないのは、要は訴訟参加が成就しましたよ、そして経済的支援もきちんと私たちあすの会等が言うようなものまでできましたと、その後の被害者をどうしたらいいのかということ。つまりあすの会で活動しているのは、2000年以前の被害者が中心である。何でここまで来たかというと、訴訟参加ができていない。裁判がいつ開かれるか、これも教えてもらえない。それが被害者保護法や1995、96年ぐらいから國松長官が取り組んでこられたり、福岡の一部の検察官からの通知制度等でだんだん知ることができるようになり、それで2000年の被害者保護法以降から、ある意味いろいろな手厚いというのか、行政からのかかわりが被害者に多くなってきていて、だんだんそこら辺は充足されていたと思う。
 だから、私たちあすの会が求めているものと、あと2年後以降の被害者と、2000年からとこれまでの被害者というのは、ちょっと求めることが違うと思う。このため、そこを分けた、つまり将来の被害者に対する取り組みも含めて考えないといけないというのが一つ。
 基本法には犯罪被害者等という「等」の言葉が入ったので、DVの人、性犯罪の人、ストーカーの人、交通事故、児童虐待も大体入ってきていると思うが、これを一緒くたに例えば支援ネットワークがやるような形でやるのが適当なのかどうか。それで用が足りるものなのか、その組織は非常に大きくなり過ぎてしまいやせんかということにもなるので、それぞれに合わせた専門性に合わせた支援団体ということもちょっと考えていかなければいけないだろうということが一つ。
 例えば、DVとか性犯罪、ストーカーというのはある意味警察権力が必要ないわゆる犯罪予防という面があると思うが、ここは連絡があってからずっと解決するまで、ものすごい相談というか、1人の被害者が相談する量とか数が解決するまでは多いと思う。ところが、私たち犯罪被害者になってくると、私は10年前にネットワークに電話をかけたことがあって、たらい回しされお話にならないと思ったから自分で活動し始めたのだが、電話相談だけではなくて、私たちが一番求めているのは、刑事訴訟に入りたい、これがあすの会の活動の中心なので、それがなくなったら何が要るんだろうかなと思うと、それほど大きなものも要らないんじゃないかなということを考えたりしている。ただしこの本の中にも書いてあるが、犯罪に遭うとどんな法律が被害者を救済するのか、制度があるかないかというのはわからないので、その中に専門的な人とか、過去の被害者の人たちが入った一つのくくりになった民間団体が要るのかなと、大体そういう方向性と今の被害者というものの分類、その人たちがどういう種類の支援が要るのかということをもうちょっと詳しく分けていった方がいいんじゃないかなと。そこからすべてがスタートしていかないと、でき上がった組織が結果的に機能しなくなるんじゃないかなというような気がしている。

(構成員)確かに、罪種は非常に問題で、基本法の対象は非常に広いものであるため、私たちも弁護士の被害者支援といったときに、どこまでを対象とするか、非常に困るところがある。
 構成員の発表にもDVや配偶者間暴力の関係があったが、児童虐待ももちろんある。それは外すことはできないが、基本的に別の法律でカバーされている部分、個別法でカバーされていたり、DVでいえば配偶者暴力相談支援センターが全国にあって、それが発展していき、シェルターもあったりと、不足している現状はあるが、そういうものがあるので、想定すべき罪種は生命・身体犯と、性犯罪であると思う。そのことを念頭に置いて、網羅できるところまでは、議論できるところまではすべきだと思うが、基本はそれでよろしいのかなと思う。性犯罪については、私はそういう事件を多く接しているせいかもしれないが、欠かせないし、かなり長期にわたって支援が必要なものなので、それは外せないと思っている。

(構成員)ネットワークがこれまでできてからどういう相談を受けてきたかとかというもののグラフみたいなのがあるとわかりやすいかなと。罪種についてこれを一緒にやっていいのか、別につくるかという意味でも、データというのは非常に必要だと思う。交通事故のデータが結構多いと思うが、身体犯のデータは余りないと思うので、そこら辺を一番大きな相談窓口であるということなので、どこかで1回そういう資料を見せていただけたらありがたい。

(構成員)本日この後でヒアリングについて議論することとなっているが、その際にネットワーク関係者からもしヒアリングということになったら、ご提案になったような資料も含めて出していただくというようなことをお願いすることは可能かと思う。

(構成員)この検討会の最終的なことというのは、結局民間団体に対してどのような援助を行うかということと、どのような民間団体に行うのかということ、それを評価する機関をどのように設置するのかいうことに尽きるのではないかと思う。そこで、どのような罪種にするかは非常に重要な問題だと思う。生命・身体犯・性犯に関しては、固有の法律という形での保護というのがないので、これについてはそれを行う団体に対する手厚い援助というのは非常に重要だと思う。しかし、基本計画でも基本法でも、DVも児童虐待も支援策が非常にたくさん含まれているので、中心には生命身体被害、性犯罪被害を据えるとしても、DV、児童虐待等についての団体も決して援助をもらっているわけではないので、検討することが必要である。これらの機関は自治体と連携はとっていても、十分な援助はもらっていない。これらの犯罪被害についても外さないというような観点で最終的なところが決まるまではご検討いただいた方がいいかと思う。

○検討会において実施するヒアリングについて
 事務局からヒアリング対象事項・対象者について(案)(資料6)が概略以下のとおり提案され、対象者の人選については、構成員からの意見を参考として、事務局で決定することが了承された。
 構成員からの意見等の概要は以下のとおり。

(事務局)第3回の海外の実情についてのヒアリングについては、3検討会合同で、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスそれぞれに詳しい学識経験者の方からヒアリングを行いたいと。人選については、大体決まってはいるが、ご都合もあるので、お任せいただければと思っている。
 第4回の7月13日では、支援ネットワークの関係者にひとつ聞こうかと、支援ネットワーク関係で1人どうだろうかと。それから、支援ネットワークに入っていらっしゃらない支援団体の方を1人呼んではいかがだろうかと。それから、3つ目に自助グループがございますので、この自助グループの方もお呼びして、活動の実態がよくわからないので、まずその実態をよく聞いてはいかがだろうかと考えている。
 第5回では、まず国で民間団体を援助している取組を警察がやっているので、警察庁、あるいは都道府県警における取組を警察、あるいは地方公共団体から実は援助しているところもあるので、それについて内閣府から説明を申し上げたいと考えている。
 それから、資金面での援助以外の援助の可能性について、被害者の支援団体の方と自助グループの方とそれぞれ資金援助以外の援助の可能性ということについてヒアリングを行ってはいかがかと考えている。

(構成員)先ほどの話から踏まえると、ここで挙がっているのが犯罪被害全般を対象とした団体であり、性犯罪被害者支援で一番歴史が古い、東京強姦救援センターとかからのお話を私は伺いたいなと思う。

(構成員)他の構成員のご意見の中で、警察と被害者の方との間に緊張関係が時としてあるというようなことを強調しておられたように思うが、私どもとしては100%これは警察は被害者の味方であるという考えに立っている。そのようなつもりで被害者支援を行っている。もちろん警察でできないことはいろいろあるので、できなかったこと、あるいは不十分であったことについて、被害者の方が現在どう受けとめられて、その結果、警察との間で緊張関係が生じるということは、それはあるのかもしれないが、私どもとしては最初から被害者の方と時として緊張関係に立つ存在ということでとらえているわけではない。そこはご理解いただければと思う。
 また、先ほどから性犯罪やDV、児童虐待の被害者に対して支援を行われている団体も、いろいろな財政的援助の対象から除外して考えるべきではないというご意見があったわけだが、そうなると、この行政からのヒアリングの中で、私どもの方から今現在民間団体に行っている財政的援助について説明せよと、これはもちろんさせていただきたいわけだが、例えば交通事故であれば、内閣府も旧交通安全対策室の時代から、交通事故被害者、あるいはその団体の方に対して支援をされていると思う。また、DVとか児童虐待の被害者については、これは厚生労働省の方でやられていることもあろうかと思う。そういったこともあわせて、今どういうものが行われているのか、どういう仕組みがあるのかということをあわせてお聞きになられた方がいいのではないかなと、これは提案である。

○ その他  次回検討会は、他の検討会と合同で6月30日(水)に開催予定。

(以上)


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