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民間団体への援助に関する検討会(第7回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年12月7日(木)14時59分~16時43分
場所: 中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
生嶋 文昭総務省自治行政局自治政策課長
辻 裕教法務省刑事局参事官
北村 彰厚生労働省社会保障担当参事官

(議事次第)

1.開会

2.民間団体による犯罪被害者等支援の在り方について

3.国による民間団体への援助の在り方について

4.その他

5.閉会


(配布資料)

資料民間団体の現状と問題点等[PDF形式:32KB]



(議事内容)

○事務局(内閣府犯罪被害者等施設推進室長) 皆さん、こんにちは。番構成員ちょっと遅れるという連絡が入っております。ただいまから第7回の民間団体への援助に関する検討会を開催いたします。
 冨田座長に司会をお願いいたしたいと思います。

○冨田座長 こんにちは。それでは、司会を務めさせていただきます。本日の議事につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施設推進室長) 議事次第をご覧いただきたいと存じます。前回会合で現状と問題点等ということで論点を整理いたしまして、ご了解を得たところでございます。本日は、その資料に沿いまして、民間団体による犯罪被害者支援の在り方あるいは国による民間団体の援助の在り方について検討を進めていただければと思っております。
 今日とそれから来月になるのでしょうか、次回の会合で一通り論点の検討を終えることができればというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

○冨田座長 それでは、本日はただいま事務局からご説明がありましたように議事を進めてまいります。
 まず、次第の2でございますが、民間団体による犯罪被害者等の支援の在り方についてです。これについて検討に入ります。
 資料の冒頭をご覧いただきたいと思います。
 ここでは、国・地方公共団体と民間団体との役割分担や民間団体で行った方が効果的な活動など、被害者支援全体における民間団体の活動の位置付けやその在り方についてご意見を伺いたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○林構成員 民間団体の位置付けということで、警察庁の方に質問事項とお願いを2点お願いします。、性犯罪、交通事故、暴力団、ストーカー、DV等々の相談窓口というのは警察にあるわけですけれども、殺人事件等々の相談窓口がありません。これはどういう理由によるものなのかということが1点。
 殺人事件の被害者窓口をできたら早くつくっていただきたい、というのが2点目です。その理由については、地方自治体というか知事部局という、これまで犯罪被害の対策に無縁だった部署がこれから基本計画に基づいて支援を行うということになってきましたけれども、警察に殺人事件被害者の相談窓口がないということは、他に特別のプログラムがあるのかなという錯覚を起こしてしまうのではないかなと思うからです。
 これからスッと地方自治体というか、都道府県レベル、市町村レベルでの被害者支援が混乱なくゆくには警察にそういう窓口がある方が一番スムーズではないかなと私は思ったのであります。
 犯罪被害者等基本法というのは、私たち殺人事件の被害者遺族が中心となって働いてきてできあがったものでありまして、私たちは今まで、被害者というのは国民の錯覚の中でほうっておかれたような気がしてこういう活動をしてきたわけですから、今、ここにいる皆さんは殺人事件等々が犯罪被害者等の支援の一番トップにあると思っていらっしゃるかもしれないけれども、10年、20年後、その中に殺人事件という言葉なり、警察の組織にそれがないとなると、結局これは今あるDVとか性犯罪とか交通事故の人たちを支援すればいいと解釈されかねないと思います。そういう勘違いが起こらないようにぜひお願いしたいというのが切なる私たちの願いであるということをご理解いただきたいのですが。 いかがでしょうか。

○冨田座長 どうもありがとうございます。 それでは、まず警察庁の方でご意見があればお願いいたします。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 殺人事件の相談窓口がないという意味がちょっと私は理解できないのですけれども、要は犯罪被害については各警察署に犯罪被害者支援の係なり課がございます。
 そこは、どういう犯罪であれ私どもの犯罪被害の観点からのできるサポートをするセクションとしてあるわけでして、個々具体の罪種を上げたセクションではありませんけれども、そういった窓口があるわけですね。
 本部にあっても、やはり犯罪被害者対策室なり犯罪被害者支援室なりがあって、そこが対応しているというふうに理解しております。

○林構成員 警察庁がつくられたパンフレットの中にも、さっき言ったやつはちゃんと項目であるんですけれども、殺人事件とかは犯罪一般となっていますよね、DVのものとか児童虐待とかストーカーとかいうのは、法律もあり、そういう窓口もあり、パンフレットの中にも載ってはいます。しかし、殺人事件とか凶悪犯罪被害者という形の文言がないですよね、そのパンフレット等にも。
 そして、前回内閣府が出された資料7でも、性犯罪、DV、ストーカー、被害承認、交通事故、その他となっていて、凶悪事件というのが入っていないわけですから、先ほどおっしゃった説明はそれでもいいだけれども、警察に窓口があれば、知事部局とか都道府県、市町村で相談窓口をつくるときに殺人事件被害者の支援もきちっといくのではないかなというそういう思いがありまして、ぜひお願いしたいと思っているんです。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  先ほどおっしゃられたストーカーとか、DV、それから児童虐待等のお話されていましたけれども、これは私も警視庁にいるときに、生活安全部というところで仕事をしていましたのでわかるのですが、結局ストーカーとか、DVとか、これについては刑事事件として立件するというだけではなくて、先生ご承知のように、例えばDVであれば警察の方でいったん相談を受けたらそれをきちんと書面化しておくことがその後の裁判所における保護命令の発動につながっていくでありますとか、ストーカーであれば刑事事件として立件するだけではなくて、警告をいったん掛けてそれに対する違反があれば行政処分で中止命令を科する特別な手続がやはりありまして、そこの部分については、それはやはり直接担当しているセクションが最初からご相談を受けるという方が合理的であるということから、そこに個別の対応の相談窓口という形で明記しておるという部分がございますので、そういう意味での窓口というふうにご理解いただければと思います。

○林構成員 いわゆる犯罪の現在進行形の犯罪をどう対処するかというのは一つ警察の……

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  そこと同じところが窓口として、立ち上がっている方が、いろいろな形で応じやすいということから、特化してそういう形になっているというふうにご理解いただければと思います。

○林構成員 殺人事件の方が窓口がないというのはそういう理由だということですか。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  窓口がないのではなく、窓口はあるんですけれども、具体的な名称としてはそういうことです。

○冨田座長 林構成員は、今、お話になったことはよくわかるんですが、今お話になったことを民間団体の活動とか役割分担ということについては何か、どういう感じが。

○林構成員 結局、今、地方公共団体も被害者支援という258項目の中でやらねばならないのですが、民間団体ができること、また、公共団体がやる中で殺人事件のことは警察に窓口がないからもう関係がないのかなと、被害者側もそう思ってしまうことが10年後、20年後、ひょっとしたら出たら嫌だなという将来への懸念から言っているんですね。
 今は、そういうことはないと思うんですけれども、やはりどうしても「等」という言葉が入ったものですから、付随という言葉はおかしいんですけれども、私たちはそうじゃなくて殺人事件の被害者の支援というのを求めて活動してきたものですから、何か範囲が大きくなりすぎてぼやけてしまっているような気がしています。私たちのことだけで言えば、まずこれを殺人事件の被害者遺族の支援の在り方をきちんとできるようにやってしまったら、ほかの罪種の被害者の支援もそれに準じてスッときっちりとなっていくのではないかなという事を思っていたんですよ。
 これまでの議論では、全部すべてが横一線で、的が絞りにくいかなという気持ちがあります。
 殺人事件はどうしても数が少ないですよね。発生レベルというか、例えば交通事故にしても10分の1だし。ですから、この人たちのことを今この時点できちっとしておかなかったら、5年、10年たったときには、相談件数の多いところが主体になってしまって、結局声が上げられないというか、取り上げられなくなるのではないかなという、そういう懸念がどうしてもあるものですから、そこをはっきりしておいた方がいいかなという意味です。

○冨田座長 ご趣旨はわかりました。ほかにいかがでしょうか。中島構成員、お願いします。

○中島構成員 この民間団体の支援の位置付けということですが、今、林委員が心配されていた点について言えば、民間団体というのはまさに重大な犯罪被害者というものを中心に対応していく場所に一番なり得る場所ではないかと思います。
 現実に、早期援助団体というのはまさに警察からの情報という重大犯罪の被害者の方の情報を受けているわけで、民間団体の役割とか形がはっきりしていけば、今、ご懸念の点といったようなものも解消されていく可能性があるのかと思います。
 民間被害者支援団体の位置付けにつきましては、こちらの資料の方で冨田座長から幾つか意見が出されているとおりだと思いますが、一番重要なことは刑事司法手続きの外にある被害者の相談が受けられるということと、刑事司法手続きが終了した後も支援が行えるという、この2点が非常に大きなことだというふうに私は理解しております。
 ただ、役割の在り方について、少しこのあたりをどうしたらいいのかなと私自身も考えている点が、地方公共団体に窓口ができた場合に、そことの連携や役割分担といったものをどこら辺に持っていったらいいのかということがあります。
 例えば、生活上の支援や、直接支援になりますと、地方自治体の方も多分かかわってくるのではないかと思いまして、私の中ではまだそこはまとまっていないのですけれども、例えば民間被害者支援団体の生活上の支援というのはある程度短期で、長期になったら、それは地方自治体の福祉関係の方に移行していくというような形で、一種のすみ分けといったようなものが考えられるのではないかと思っております。

○冨田座長 どうもありがとうございます。ほかには、今お2方しかいらっしゃいませんので、いろいろご意見いただきましたけれども、私も考えることを若干述べさせていただきますと、1つは民間団体の役割については既に資料にありますように、私もそこに書いてあるようなことを現在も考えております。
 それからもう一つ、基本計画の中に民間団体は多様な経験だとか能力を持った方が入っていると。それが非常に1つの意義だという文章がありますので、その辺も重要な点なのかなというふうに考えております。
 それから今、中島構成員がおっしゃったこと、私も全く同感でして、地方公共団体の方が直接支援、生活支援の方に入ってきていまして、それと民間の被害者支援団体のすみ分けと申しましょうかということをどうしたらいいのかというのは大きな問題というか課題だと思います。
 ちょっと余談になりますが、小さな民間被害者支援団体だと、都道府県などの公共団体が入ってくると自分たちのやることは残るんだろうかというような不安とまでいかないですが、そういうことを懸念しているところもあるというふうに考えております。
 ほかに各省から出席なさっているの方もおられますので、何かご意見ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。総務省の方、いかがでしょうか。

○総務省自治行政局自治政策課長  総務省でございます。ただいま地方公共団体との役割分担とのお話がありました。生活支援のお話になりますと、厚生労働省の方でも所管されている制度がありますので、そうしたものとのバランスといいますか、それを今後この場でも検討していくことになるんだと思いますし、またその中で、民間団体の活動で対応された方がよりよいだろうというふうな分野とすみ分けも、そうした中で明確にしていただければ、私ども総務省自体にノウハウがあるわけではありませんけれども、総務省を通じて、自治体の方にそうした自治体としてのかかわり方のあるべき姿を厚生労働省なんかと一緒にご提示していくと。そのようなこともあるのかなと、今伺っていて考えていたような次第でございます。

○冨田座長 どうもありがとうございます。厚生労働省の方、何かございますでしょうか。

○厚生労働省社会保障担当参事官 大体、今総務省がおっしゃられたのと同じような考えでございます。

○冨田座長 どうもありがとうございます。今のご意見をお聞きになって、さらに何か追加の意見等があればお伺いしたいと思いますが。

○林構成員 冨田先生が6番に書かれたコスト削減、これも非常に大事なことでありまして、省庁と民間団体とが両方でお金かかれば、結局全体としてはコストはかさばってしまうわけですから、やはりおっしゃったように、今ある民間団体等とか特殊な技能とか知識を持ってコーディネート役をやる人というのが非常に大きな役割に今後なっていくのかなとも思ったりするんですけれども、その教育をどうしたらいいかということも今後考えてもらったらありがたいかなと思います。

○冨田座長 その問題は、もう一つの連携の方でも議論されていて、いずれ合同会議などでその辺も出てくるのではないかと思っております。それでは、次の議題に移ってまいりたいと思います。
 国による民間団体への援助の在り方についての検討でございます。まず、被援助団体や援助の対象となる事務の範囲についてご議論いただきたいと思います。
 前回の自由討議におきましては、被援助団体の範囲につきまして1点として、犯罪被害者と早期援助団体か否かが1つのメルクマールになるだろうということか出ました。
 それから2つ目に、早期援助団体に対する財政的援助を充実させるとともに、早期援助団体の数を、今後全国的に増やす必要があるという意見も出ました。
 それから3つ目に、早期援助団体であれ、それ以外の団体であれ、公的な資金援助を受ける場合に、どのような資格要件が必要になるか議論する必要があるといった意見が出されたかと思います。
 そこで、早期援助団体に対する財政的援助を充実させる必要性につきましては、おおむね意見の一致を見ていると思いますけれども、財政的援助を充実させる際には、1つには財源の問題がございます。それから、もう一つ各団体が独立した組織として自主的に活動しているという点もございます。それから、公益法人等改革によりまして、公益法人に交付される補助金等の見直しが行われているということもございまして、これらの点にも留意する必要があると思います。今までの議論等を紹介していくと、そういうことですが、こういう点を踏まえまして、構成員からご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 中島構成員、お願いいたします。

○中島構成員 まず最初に、確認させていただきたいのですが、ここでの課題につきましては、大きく分けるとどのような民間団体に対して支援を行うべきかという点と、あと具体的にどのような支援をどのような形で行うかというところに集約されると思ってよろしいでしょうか。

○冨田座長 それで結構です。

○中島構成員 わかりました。まず、そうすると最初にどのような団体に支援を行うべきかということだと思います。やはり公的支援ということは国民の税金ということですから、ある程度の資格要件というのが当然必要になるかと思うのですが、現段階で公的な形で承認を受けているというのは、やはり早期援助団体ということになるかと思います。
 ですから、早期援助団体の国からの支援の仕方とそれ以外の団体については、ちょっと分けて考える必要があるのではないかと思います。
 それ以外の団体についてどのような形で支援を行うかということについて、1つの問題は国レベルで決めるのか、例えばこれは財源の分け方にもよるのですが、地方公共団体の方にそれを委託して、地方公共団体のレベルで、地域には特性があるということをかんがみまして、そこで判断するのかということがあるかと思います。私は、前回の会議に出席していないので、そういった判断や資格をつくる基準というのをどこで行うべきかということについて、今までご議論が出たか、あるいは内閣府等でご懸案のことがあるのか伺えたらと思います。

○冨田座長 今、ご質問がありましたけれども、いかがでしょうか。もう一度、最後のところを教えていただければ。

○中島構成員 早期援助団体の方は、これは既に公安の認定を受けているので、別個に考えた方がいい。しかし、それ以外の団体が資金援助等を受ける場合の資格ということがこれから問題になると思うのですが、その資格を決めるところを国レベルということで統一して考えるのか、それとも地方公共団体に委託してそこが決めていくような形になるのか、既にご議論等あるいはお考えがあれば伺いたいということです。

○冨田座長 それを今これからまさに議論しようということだと思うのです。ですから、その点について、中島構成員の方から何かご意見があればお伺いしたいと思います。

○中島構成員 わかりました。細かいことは、私は今の段階では、考えられないのですけれども、大きな基準というのを国の方である程度決めて、より細かい基準についてはその地域の特性とかがあるので、地方公共団体が決められるような形がよいのではないかと思います。
 おそらく、アメリカはどちらかというとそういう形ではないかと思います。私の方の今のアイデアとしてはそのように思っております。

○冨田座長 わかりました。どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○林構成員 これまでの説明では、ネットワーク早期支援団体はある意味警察と地方自治体との予算の意味ですね。今ここでこれから考えていく中にはこのお金の出所がどこなのか僕よくわからないもので、基本計画に基づいた形の予算もこちらに与えながら警察予算と両刀立てでやるのかが素人でわからないんですけれども、どう考えていいかが僕ちょっとわからないので、お答えいただけたらうれしいかなと思います。

○冨田座長 すみません、僕もちょっとよくわからない。もう一度。

○林構成員 ネットワークの早期支援団体には警察予算の判断でやっているところがあるわけですね、それと、今、民間団体に手厚い財政援助をという基本法ができて、基本計画ができた。一般財源だという話であると。この予算とこの予算とは別枠の基準になるのか、一緒くたで考えていくのかがよくわからないんですよ。いわゆる警察予算を通じてやっていくのか。

○冨田座長 早期援助団体のこととも関係していることなので、警察庁の方から何かご意見ありますでしょうか、今の。

○林構成員 一般財源という話で今までなっているわけじゃない、これから財源がどのようになるかわからないけれども。その財源は警察の予算として決まったものの中から出てくるのか、それとも基本法、基本計画に基づいた何か別の予算枠ができて、そこから来るものになるのかというか、それが全然わかっていないものですから。

○冨田座長 それがまさにこれからの議論。

○林構成員 そうなんですか。早とちりですみませんでした。

○冨田座長 今、話戻りますが、中島構成員がお話になったこと、アメリカのことをちょっと触れられましたけれども、アメリカではOVCのおおまかなガイドラインがあって、それに従って各州を通じて申請するというので、国がアメリカの場合、連邦があり、地方は地方のまた別枠もありますので、そういう一種の二重構造というか二重の基準になっているというのは、合衆国も同じ、ご指摘のとおりだと思います。余談です。
 それでは、今の質問とは離れまして、早期の援助団体の制度を所管している立場から早期援助団体に対する財政的な援助を拡充する場合に課題となる点につきまして、警察庁の構成員からご意見を伺いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  今、警察というか国レベルで、早期援助団体を含めまして、早期援助団体を目指しているネットワーク加盟団体に対して、相談員の委嘱でありますとか、直接支援員の委嘱等の経費について補助をさせていただいているところです。
 また、都道府県レベルにおきましても、早期援助団体、それからまだ早期援助団体になっていない民間団体にもいろいろな財政援助をやっていただいている県もございます。
 早期援助団体を含めて、いろいろ状況を警察に聞きますと、やはり財政的援助という観点では人件費でありますとか、事務所の借上費でありますとか、そういった運営経費の面が非常に財政的な面では課題になっているという話を聞いておるところです。
 そういった財源の確保につきましては、私どもがどうこうという立場にございませんが、やはり内閣府を含め政府全体で、また、地方公共団体においても、もう一度必要な財源確保というものを検討していただくということも必要になるのではないかと思っております。

○冨田座長 どうもありがとうございました。番先生、何かありますでしょうか。

○番構成員 おくれてすみませんでした。早期援助団体も非常に厳しい状況だというのはいばらき支援センターの照山さんからのヒアリングでも十分わかりましたし、都民センターも大変だということも聞いております。
 ですから、早期援助団体への支援がもっと充実するということはもちろん異論はありません。異論はありませんけれども、前も申し上げたように早期援助団体が今の数ではそこだけ財政援助を厚くしても全然意味がなくて、そうすると被害者の地域格差が広がるばかりです。
 ですから、少なくともネットワーク加盟の団体の中で、早期援助団体を目指してまじめにやっているところについても底上げを図ることができるような援助にしていただきたいと思います。
 例えば、ネットワーク事務局がそういう財政援助の受け皿になり得るのかという問題なんですが、できれば既存のシステムを使った方が簡敏だと思うんですけれども、事務局長のヒアリングのときに、それはちょっと難しいというお話がありましたが、別途、私が聞いたところによると、NPO法人化され、理事の方のお話などを聞くと、もっとしっかりした組織にしようとしているので、必ずしもできなくはないと、やりたいというお話も一方で聞こえてきます。
 ですから、やはり犯罪被害者支援ということでまとまった大きな1つのネットワークという組織がありますので、これは生かしていきたいという気持ちはあります。
 また、例えば私などが関係している性被害の問題を扱うグループとかもありますので、中島構成員がおっしゃるように、ある程度の申請のガイドライン、つまりチェックのガイドラインを決めて、地方自治体に申請するというような道筋もあわせて考えられればいいのですけれども。ネットワークの事務局がだめであれば、新たにそういうものをつくるのか、OVCみたいな形で1つつくって、内閣府の推進室の中でそれをつくるのかどうかはともかくとして、何かそういう受け皿的な組織をつくって、公平に行う機関をつくれるのであればつくっていただきたいと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。今、この早期援助団体に対する財政的援助の在り方についてご意見をちょうだいした後、次に立ち上げ等の問題についての議論をしようと思っていたところですが、またその意見は今拝聴いたしました。
 また、そのところへ戻ってまいりますが、今、早期援助団体に対する財政的援助ということが出ましたので、私の意見もここでちょっと述べさせていただきたいと思います。
 今、番構成員もお話になったんですが、早期援助団体につきましては、公安委員会による厳しい指定基準があるわけですので、団体としてきちんとしているというふうに考えてよろしいかと思いますので、個々の活動に財政的援助をするだけではなくて、今、番構成員のお話にもありましたように、人件費であるとか運営費についても補助の対象とするということが私は望みたいというふうに思っています。
 それからもう一つは、これは援助の経路に関することにもなるかと思いますが、現在、警察庁の方で早期援助団体に対して幾つかの項目について補助金が出ておりますけれども、いずれも国庫の補助は2分の1でありまして、あとは都道府県の方で負担する、県費で負担するということになっていまして、都道府県によっては2分の1分が出ないということがあって、せっかく国の方で予算をつけてくださっても、現実的に生かされないというところがありますので、ここがいい方向に行かないのかなというふうに個人的には思っております。
 ということで、私の意見を述べさせていただきましたが、続きましてほかにご意見ありますか。

○中島構成員 私も番構成員のご意見と似ているのですけれども、やはり早期支援というのは非常に重要ですから、最終的には各都道府県に必ず1個ぐらいあるような形にまでもっていってこそ、初めて価値というものが大きくなるのではないかと思います。そうしますとやはりそれを底上げしていく、それを推進していくということがあって、それを個々の機関がやるのはやはり非常に難しくて、どこかでそれを推進させていく推進力になるような団体が必要だろうと思います。
 そういう意味では、全国ネットワークの事務局、あるいはそれにかわるようなところが構成員の技術援助や、その立ち上げのノウハウでありますとか、そういったところを支援していくという必要があるので、個々の団体に支援するのと同時に、今は、どこがやるとは決まっていませんけれども、それを推進するセクションというものに対する財政援助というのはかなり重要になってくると思っております。そういった枠組みというものをある程度想定して、財政援助を考えていくというのがあると思います。
 先ほど、冨田構成員が言われましたように、残りの2分の1の補助をどうするかという点についても、このような団体があるとそこで寄附なり助成なりを受けて、その分を足りない団体に補充するというシステムをつくることも可能かと思いますが、これはただのアイデアです。
 地方自治体からの2分の1の補助が受けられないところも、傘になる団体がありますとそこから補助するという形で補える可能性が出てくるのかと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。今、もう既に議論に出ておりますが、私どもの方で考えていた早期援助団体の指定を受けている団体は現在9団体にとどまっておりまして、これを全国的に増やしていく必要があるということについては、今まで構成員の方からのお話で意見の一致を見ていると思います。
 指定を目指す団体の集まりとして、全国被害者支援ネットワークがありますけれども、その中には公益法人ありNPO法人あり任意団体がありまして、活動内容や組織、規模にも相当ばらつきがあります。したがって、早期援助団体を目指す団体とひとくくりにして、一律に援助の在り方を議論するのが難しいというふうに思います。
 早期援助団体の指定を目指す団体にどのような援助が必要、または可能であるかについての議論がぜひ必要になるわけですが、今、大体そのことも議論の中で、ネットワークの機能を充実させて、そこが指導をしていく、あるいはネットワークに対する財政的な援助も考えていくというようなご意見が出されましたが、ほかにいかがでしょうか。追加というか、ご意見がありましたら、ぜひ伺いたいと思います。

○林構成員 その点で言えば前もありましたけれども、警察が推進する団体だけでいいのかということと、もう一つ違う団体はやはり考えた方がいいだろうなということは気持ちの中に入れてもらったらうれしいかなと思います。

○冨田座長 この点について警察庁の方、何か今のところでご意見ありましたら、最後の立ち上げ支援等も含めて。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  目指す団体につきまして、先ほど申しましたように全国被害者支援ネットワーク加盟団体について、私どもの方でできる支援というのはさせていただいているところでありますが、いずれにしても早期援助団体ということになりますと、必要な犯罪被害相談員の確保でありますとか、被害者の方と面接する際に適切な面談室を確保するという場所的な要求でありますとか、先ほども各団体からの声としてお話ししましたけれども、やはり人件費、事務職員費等の運転資金的なものとかそういった財政的なものが非常にネックになっておるということでありますので、そういった部分をどういうふうに解決していくのか。
 それから、ネットワークの話も出ておりましたけれども、ネットワークはいろいろなネットワーク加盟団体を通じまして、本当に立ち上げのノウハウを持っておりますし、そういった観点からネットワークが何らかの形で関与していくことは非常に重要なことだと思います。
 早期援助団体の指定を目指す以前の財政以外の問題として、ときどき声を聞きますのが、犯罪被害相談員の人材確保、この辺が非常に難しいときがあるというお話でして、これは警察で犯罪被害相談窓口だったという、これは少数しかいないのですけれども、あとは民間支援団体で犯罪被害相談の経験があるとか、それと同等の能力を持たれているような方ということで精紳科医の方であるとか、臨床心理士の方であるとか、一定の専門知識を持っておられる方に限定して、犯罪被害相談員としての要件があるということで認めさせていただいているということをやっております。そういった一定の資質を持った方をどうやって養成していくのかということも形だけ指定していても意味がないものですから、やはり身のあるサービスをしていただくためには相談員の研修なり一定の資格を認めていく、そういう仕組みも非常に大事なことなのかなと思っています。
 それでネットワークとときどき話をするときに、ネットワークの方でもそういった研修なりいろいろなことを考えていかなければいけないというふうなことも聞いたこともありますけれども、もしそういった形で一定の研修等によってそういった犯罪被害相談員に足り得るだけの養成をしていただくようなことがあって、それが実際の支援の現場の方から見てもなるほどこういった方であればきちんと相談員としてやっていただけるという状況があれば、そういったものも我々の方で例えば一定の要件の1つとして加味していくということもあり得るのかなと思っております。以上です。

○冨田座長 どうもありがとうございます。
 今、警察庁の方のご意見、私も全く同感でございまして、一言意見を述べさせていただきますと、早期援助団体の指定を受ける際の最大のネックは、早期援助団体に関する規定の中でいって相談員の数をそろえるということが一番高いハードルでして、専門家の相談員であれば、それに犯罪被害者支援に関する専門的知識を有していれば、それはすぐにでもなれるわけですが、ただいわゆるそういう方は大体お忙しいので、実際に直接支援に赴けないというようなことがあって、専任あるいは準専任で相談員となって、直接支援に当たれる人の確保というのが何よりも大事だと私も考えています。
 そのときに、専門家のおられる前ですが、一般の方がなるためには、よく言われるように1日4時間、週3日、3年という経験がないと、相談員となることができないということがございまして、そうなりますと、いわゆるボランティアというものとはかなり違う、本当にかなりフルタイムに近づいてきます。ここに、どこのところもこの確保に困っていますと伺っておりまして、この辺の財政的支援と申しますが、そこができるとかなり早期援助団体の立ち上げもうまくいくのではないかというふうに個人的には思っております。
 ほかにいかがでしょう。それでは時間の関係もございますので、次の問題に移りたいと思います。
 我が国には、早期援助団体や当該団体の指定を目指す団体のほかに身体犯一般やDV、児童虐待など特定の被害類型を対象に支援活動を行う団体がございまして、一部の団体に対しましては地方公共団体から財政的な援助が行われております。
 これらの団体の設立形態はさまざまでありまして、形式的な基準を設けて援助を行うのは難しいと考えられますので、支援活動の種類そのものに着目いたしまして、財政的な援助の在り方を議論するのが適当ではないかとも考えられます。
 ただし、活動、種類に着目して援助を行う場合にも、援助の対象となった支援活動が確実に実施されるよう、財政運営や活動内容に関する透明性の確保など、一定の資格要件が必要になると考えます。
 したがって、どのような活動を重点的に援助すべきか、次の対象となる事務の範囲ということでご議論いただくとこになるかと思いますが、ここでは今申しましたような団体について今度財政的な援助を行う場合にどのような資格要件が必要となるか、その点についてご意見を伺いたいと思います。
 いかがでしょう。中島構成員、お願いいたします。

○中島構成員 先ほど、資格をどこで決めるかということについてお話させていただきましたが、実際にどのような資格が必要かという点で資格そのものを厳正にするというのはなかなか難しいところがあって、それを調べるために莫大な金や手間がかかってしまいます。資金援助というのは冨田座長の方からもご意見があったように、活動プログラムということに重点を置くのがいいのだろうと思います。
 ただ、プログラム援助をするに当たっても、最低限の団体の資格というものが必要になってくるのかなと思いますが、私としては前回諸外国の報告というところで、OVCが犯罪被害者団体に対する援助の一定の全米の基準が示されていますが、そこに挙げられているような非営利団体であるとか、犯罪被害者に対してその団体が最低でも7割以上のサービスをしているとか、それを有効に提供しているとか、特定の宗教や、余りにも特定の概念に偏らないその他情報管理など、そういったような基準を定めておくというようなことが必要なのかと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。その点につきましては、OVCが行っている財政的援助というのはかなり参考になるのではないかという気はしております。どうもご指摘ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。

○番構成員 私も、今、中島構成員と同じで余り細かい基準は多分できないので、OVCのそのような基準などを大枠にして考えるしかないのかなと思っています。

○冨田座長 どうもありがとうございます。今の資格要件等の話ですが、これにつきまして関係省庁の方々から何かご意見ございますでしょうか。厚生労働省、何かございますでしょうか。

○厚生労働省社会保障担当参事官 今の厚生労働省の方のDV法に基づくサービスとして一時保護があるわけですけれども、その場合には厚生労働大臣が定める基準というのは一応今決まっております。
 この基準は、一つはかなり抽象的ではあるのですけれども、社会福祉法人あるいはNPOなども含めたそういった法人、あるいはいろいろなDV被害者の保護実績、相当の活動実績があるというそういうふうな条件が一つ。
 それから、一時保護というサービスをするわけですから、当然ながらそれに必要な設備が必要だということ、例えばプライバシーの保護であるとか、あるいは衛生面、あるいは安全面といったようなところ、あるいは不特定多数の人が入ってこられないようなそういう開放されていないという設備面の条件、それからそういう方がDVの被害者が一時保護をされるという意味でいうと、2週間以上継続して入所できるようなそういう場所があって、食事なり衣服なり、そういう必要なものを提供できること、あるいは婦人相談所とかそういったところと連携がきちんととれるというふうな条件。
 さらには、都道府県への報告徴収、こういうものは特に一時保護の場合はきちんとした保護は必要なわけですから、報告徴収についてもきちんとできるような体制がとられていると、そういったようなことを最低限の条件ということで定めております。

○冨田座長 どうもありがとうございました。非常にこちらでの基準を考える場合に非常に参考になるご意見というか、情報でございました。ほかにいかがでしょうか。
 いろいろな意見を出していただきましたけれども、私自身は財政的援助を受ける団体に求められる資格要件については次のように考えています。
 1つは、やはり法人格のような形式的な基準というのはあるいは必要なのかもしれないという気がいたします。
 それから1つは経理等の透明性、多少抽象的な話になりますが、透明性でありますとか、あるいは効果測定と申しますか、何らかの報告をして、どれだけ実績があったのかということできちんと事後的にもチェックをしていくというような体制が必要であるかと思います。
 それからもう一つ、非常に抽象的な話になりますけれども、あるプログラムに対して補助を付けた場合にしても、それに支援活動に携わる人についての倫理綱領みたいなものはよくあるのですが、それよりももう少し具体的なといいますか、行動準則というか、行動基準というか、そういうようなものも定めることも遵守というようなことも必要ではないかと。ただ、そういう倫理綱領にしても倫理委員会のようにそれを実行するための機構というのが必要になろうかと思いますが、具体的なそこに携わる人の行動に関する規則のようなものもつくるといいのではないかなどと漠然とではありますが考えてはおります。この点についてございましたら。

○林構成員 まさにおっしゃるとおりだと思いますので、よろしく考えてください、お願いします。

○冨田座長 それでは、次の論点に移りたいと思いますが、お手元の資料に自助グループに関することがございます。
 自助グループへの支援につきましては、現状では主に民間の援助団体を経由して行われております。国や地方公共団体からの財政的な援助は行われていないかと思います。自助グループは、犯罪被害者等の精神的な支えとなる点で非常に重要な役割を果たしておりますし、直接財政的な援助を行う場合には、先ほど来議論しているところの資格要件の問題もありますし、また援助の対象となる活動にも一定の公益性ということも考えなければならないと思います。
 そこで、以上のような資格要件であるとか、公益性というような点を踏まえまして、自助グループに対してどのような支援が可能であるのか、この点についてのご意見をちょうだいしたいと思います。
 番構成員、お願いします。

○番構成員 確かに、自助グループは回復のためにとても有効であるということが実証されていると思いますので、それはよろしいかと思いますが、先ほどのような法人格を求めるということは難しいと思います。
 私は、資格要件についても法人格が要るかどうかということは、民間支援団体についても余り思ってはいないのですけれども、特に自助グループについてはそういう要件よりも継続して活動しているというようなことが、形式的には必要かなと思います。実際に活動しているということです。
 恐らく、自助グループが継続して活動してノウハウを持っているということがやはり一番大事だろうと思います。ただ単に集まりましたということではなくて、実際に活動していることが重要ではないか。それぐらいの要件でよろしいのではないかというふうに思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○林構成員 実際、私たちはあすの会を自助グループとは考えていないんですけれども、関西集会で毎月定例会を行い、68回目をこの前、12月3日にやったんですが、それほどお金が要るわけではなくて、集会での場所代を1000円参加費で集めて行い、あと、そこに集まるメンバーの交通費ぐらい。これを全国レベルにすれば、その代表が例えば代表者会議などに集まるという形でおおまかに考えると、交通費が主になってくると思うんですよね。全体の予算からいうと大したことではないし、被害者、当事者の意見というのも今後のためにも非常に大事かなと思うんですよね。
 DVの被害者の自助グループの意見も次の政策、年がたてば、DVに対する必要な法律等々も変わってくると思うんで、常にそういう人たちの意見が生かされるようなものをつくると。そのためには自助グループというのは大事です。だけれども、そんなにお金は要らないと思うから、先ほど番先生がおっしゃったように、そんなに資格要件を厳しくするよりは活動に対する直接的な資金援助が必要ですから、余り大した金額は要らないという前提で考えてもらったらありがたい。私たちも毎月大体20人ぐらいずつ集まりますけれども、そこの会場費が1万円ぐらい、それぞれ岡山とか、和歌山とか遠くから集まりますけれども、1人の交通費が5,000円ぐらい、20人集っても大した金額ではないですから。できたら、交通費まで予算を考えてもらえたら。そんなに要らないと思いますね。繰り返しになりますが、継続するということ自体が大事かと思いますので、よろしくそこら辺はご理解いただけたらありがたいかなと思います。

○冨田座長 ほかにいかがでしょうか。中島構成員、お願いいたします。

○中島構成員 自助グループに対する援助というのは、今までの当事者以外の支援団体に対するものとやはり少し異なるのではないかと思います。
 1つの理由は、番構成員がおっしゃったように、自助グループはある人の善意の力によって創設されて、その方がおやめになったらそれで終わってしまうかもしれないということで、活動の継続性ということがどの程度あるのか、それをどの程度広めているのかという問題があると思います。
 ただ逆に、財政的援助がないために、そういうふうに終わってしまうというジレンマも同時にあるので、援助を行うことによってそういった活動は継続されるということもあるのではないかと思います。
 自助グループに対する援助の仕方については、例えば厚生労働省では、今まで患者さん当事者団体に対して援助をされているような実績があるのかどうかという点についてすこしお伺いしたいと思います。
 やはり、今までの活動の内容の継続性と、今後の継続性の見通しといったような点に関して、きちんと活動計画なりを提出できるということと、事務的なスタッフとして継続的にかかわれる人が少なくとも1人はいることといったような活動の継続性、ある一定度の公共性のようなことが基準になるのではないかと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。今、厚生労働省の方にちょっと質問が出ましたけれども、いかがでしょうか。

○厚生労働省社会保障担当参事官 こちらで聞いている限りでは、先ほど申し上げた一時保護あるいは人材教育のためのいろいろな研修等、そういうものに対しては都道府県を通じた支援というのはやっておりますけれども、自助グループに対する直接補助をするとか、そういうことはしていないと聞いています。

○冨田座長 番構成員、お願いします。

○番構成員 自助グループの理解の仕方なんですけれども、被害者の団体、被害者そのものの集まりというとらえ方では私はありません。ファシリテーターがいて、その方が自助グループの被害者の回復のためのノウハウを持って、会議の持ち方とか、話の持っていき方とか、本来そういうようなノウハウを持った方が中心でやっていかなければいけないというように物の本で読みました。
 話をするルールというものも自然になければいけない。そういうものが被害者の回復のために支援となる、被害者自身が自分たちを支援するというような団体という形で理解しております。
 ですから、そういう活動を中心でやっているところということで、中島構成員もスタッフという言い方をされたと思うのですね。
 やはりそういうところに限って、自助グループとして見るしかないのかなというふうに思います。

○冨田座長 いろいろご意見をちょうだいしましたけれども、私も一言意見を述べさせていただきますと、1つは継続性であるとか、運営を的確に行うというスタッフのことが出てまいりました。そして、それに伴い費用のことが出ていましたが、この点がなかなか難しいので、やはり今その部分を各地の援助団体が担っているというか、肩代わりをしているというのが現状だというふうに思います。
 それから、2点目は自助グループの定義と申しますか、自助グループが何であるのかということ、またその活動が何であるのかというのが理解がさまざまで、ここを整理する必要があるのかなというふうに感じました。
 1つは、いわゆるピアカウンセリングみたいな話し合いで精神的な回復を目指すというのがもちろんあるかと思いますし、それが我が国では中心になっていると思います。
 ただ、海外の事例などを見ますと、1つはいわゆるアドボカシー活動といいますか、権利を主張する、あるいは場合によっては立法活動に参加するというのもあって、多様な活動があるわけです。
 ですから、私の個人的な意見としては、その自助グループ全体に対する援助というのはなかなか難しいのではないかと。ですから、やはりそこにある活動に着目して、そこに対して補助をするというのが現実的なのではないかという気がします。
 雑談的になりますが、アメリカでこの自助グループ的なものに対してOVCのお金を出すときに、いわゆる権利の主張はいいと。ただ、ロビー活動には使うことができないとか、いろいろ細かい基準があって、なるほどというふうに思ったことがございました。ちょっと関連づけて、その話をさせていただきました。ほかにご意見ございますでしょうか。

○林構成員 番先生のファシリテーターというのは、要するに女性、性犯罪の被害者の団体、私たちは殺人事件の団体ですから、過去形の問題があったりで、先ほど言うように、やはり罪種別の何かがあるのかなと……

○番構成員 違います。

○林構成員 違うんですか。僕の考え方とすれば、ちょっと違いがあると思うので、やはり自助グループにもそれぞれの特性というのがあると思うんですね。それに合わせた予算の振り分け方もある方がいいのかなと、逆に今の話で思ったんですけれども、違いますか。すみません。

○番構成員 今、座長からお話があって、そのような見方をすると、私が理解している狭い意味の自助グループの活動に対してという形で限定するということでいいのではないか、恐らく林構成員のおっしゃっているのは広義の意味の、被害者団体、私たちが通常考えている被害者団体すべてを含んだような形で、アメリカなども広義に自助グループがとらえられているようですけれども、私は狭い意味のとらえ方をずっとしていました。
 そうすると、やはり回復を目指して精神的なケアをするという意味の活動などに限定して援助するというような形になるのかと思います。それで自助グループは別に性被害ということに関係なくて、殺人の被害者のご遺族とか交通事故で亡くなられた被害者のご遺族とか、そういう方の方が、自助グループをたくさんつくっていらっしゃっていると思います。

○冨田座長 それでは、この自助グループに対する援助の在り方については大体意見が出たかと思いますので、次の論点に……

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) ちょっとよろしいですか。

○冨田座長 どうぞ。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施設推進室長) すみません。たしか、ここの資料にもありますけれども、今の議論を聞いていると、やはり自助グループというのは余り組織としてルーズなところがあるので、兵庫なんかでやっておられるように、ある程度やはり国や地方公共団体が直接やるのもあってもいいと思うんですけれども、原則的には支援団体というんでしょうか、そういうところがフレキシブルに対応する方が、むしろ実態に合った、それでおっしゃったように、余りたくさんの大きなお金がかかるわけでもない場合が多いでしょうから、場所の提供だとか、そういったことで対応できるので、そちらの方がむしろ原則的なことというふうに理解してよろしいでしょうか、ちょっとご意見を伺いたいのですけれども。

○冨田座長 どうでしょう、今のご意見は。

○林構成員 それは非常に大事だと思うんですね。要は、僕らも例えば関西集会に限って言えば、何か世話役が、つまり被害者とは違う人がいてくれて、予算も出てくれば本当に楽だと思うんですよ。だれか中心的人物がいれば。中心人物の犠牲の上で、自助グループは成り立っていると思うので、非常にそういう提案のというのはありがたい、これが一つです。
 しかし、悪いですけれども、警察との緊張関係という言葉は使いたくないんですけれども、やはり被害者にはそういういろいろな人がおられるので、全部が全部民間団体経由となった時、その人が組織から邪魔者扱いとされると嫌やなというのもあるし、そこら辺も大幅に緩めて見ていただける前提の上で、今提案していただいたような話であれば、ありがたいかなと。私たちの組織には、やはり警察と国賠をやっている人もいらっしゃいますし、そういう人たちが居られない組織というのは、私たちとしてはちょっと耐えられない部分もあるので、そこら辺をどう考えてくださっているのかなという不安はあるんですけれども、非常にいい提案であると思います。

○冨田座長 今の必要なお話が出たので、ちょっとご参考までにといいますか、同じ内閣府の方で、これは中島構成員も一緒に私も担当しているのですが、交通事故被害者支援事業というのがございまして、そちらの方で自助グループ立ち上げ支援というのをもう3年、4年でしょうか、3年ぐらい継続しておりまして、これは各地の民間援助団体を通じて、この交通事故被害者遺族の方々に対する自助グループの立ち上げの支援をし、さらには具体的な運営の支援をしていて、これは内閣府の方のそのページにも活動等が出ておりますけれども、その辺それは既にもう行われている交通事故被害者支援事業という形で行われているので、私のイメージとしては、これがやはり全体にも広がると、ひとついいのではないかなと思っております。いかがでしょうか。中島構成員。

○中島構成員 今のご議論を伺っていての意見なのですが、荒木室長のお話はもっともで、今そうやらないとなかなか立ち上げられない団体もいますから、その団体にだけというよりは、むしろそういった地方の民間支援団体を通じてサポートされるという形が一つあると思うのです。
 ただ、逆にそこを経ないまでも、既に活動実績があるようなところだとすると、単独で支援を受けたいとか、もう直接受けられるだけの力があるところもありますので、そういった場合には一般の民間被害者支援団体に対する支援と同じような基準、例えば自助グループでも会則をもって、それなりの組織を形成しているというような場合は、民間被害者支援団体と同じような基準で対応するというような形もあるのではと思いました。

○冨田座長 どうもありがとうございます。それでは、ほかによろしいでしょうか。次の議論でございますが、援助の対象となる事務の範囲について検討したいと思います。民間団体の活動につきましては、一つには電話、面接による相談が中心ということが言えるかと思います。それに反して、被害直後の付き添い活動であるとか家事支援等のアウトリーチ的な活動、それから自助グループへの支援というのが十分行われていないのではないか、それから広報啓発活動をさらに充実させる必要があるのではないか、こういう点が今まで指摘されました。  こうした民間団体の現状や被害者のニーズを踏まえながら、財源の限りがある中で、具体的にどのような活動を重点的に援助すべきか、この点についてご議論いただきたいと思います。中島構成員、お願いします。

○中島構成員 これが、きっと最初にお話しした地方自治体の活動とのすみ分けにすこしかかわってくる部分かと思います。やはり重点的に支援すべき部分というのは、被害者支援団体でないとできない部分というのが、非常に大きいのではないかと思います。
 被害者支援団体でないとできないという活動の中の大きな部分は、特に早期の危機介入的なプログラムと、被害者に対する直接のカウンセリング相談業務あるいは電話相談、あともう一つは、刑事司法に関連したサービスというのは、多分他ではまず行えない部分だと思います。例えば法廷の付き添いサービスであるとか、そういったものを他で行うと、なかなか難しいのではないかと思います。
 しかし、特に生活支援の部分については地方自治体の方で行える部分というのがあると思います。もちろん早期については民間被害者支援団体が中心的にということになりますけれども。民間被害者支援団体以外のところで行えない部分というものをリストアップして、それに対する支援を出していくと、支援を行っていくという考え方があるのではないかと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○林構成員 限られた予算と言わずに、そういうとらえ方をせずに、大きな予算があるかもしれないという発想でお願いします。

○冨田座長 財源については、また別途検討が進んでいるようですので。ほかに各省庁いかがでしょうか。警察庁、何かございましたら。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  この民間団体の支援について、まさに中島先生もおっしゃいましたけれども、やはり警察は警察としてできる方法があるわけですが、警察にできない部分があります。やはりそういったところでありますと、民間の方がやった方がなじむ、そういった業務について、ぜひ活動していただくということが重要だと思っていまして、私たちもこれまで、いろいろ乏しい中で補助をしている内容も、相談業務の委嘱でありますとか危機介入あるいはいろいろな付き添いとかの直接介入、直接支援的な部分、こういったところを特に重点を置いて、今までも補助をしてきたところです。これからさらにどうしていくかということについても、先立つのは財源の問題をどうするかということがあろうかと思うんですけれども、考え方としては民間の方にしかできない、あるいは民間の方がやった方が適切である、そういった部分に重点を置くということがいいのではないかと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございました。法務省の方で、先ほど中島構成員の方から法廷関連サービスの話が出て、検察庁に検察支援員がいて、そういう法廷関連的なサービスが行われているというふうに伺っておりますけれども、それと、この民間がそこに、現実には活動が行われているようなんですが、何かその点についてお考えというかご意見がありましたら、ちょっとお聞かせ願いたいんですが。すみ分けみたいな話ですが。

○法務省刑事局参事官  まず前提としまして、今ご紹介いただいたように、法廷付き添いサービスみたいなものは、各検察庁に被害者支援員というのがおりまして、ご希望のある被害者の方には行える体制、十分かどうかは別にいたしまして、一応やっております。それに対しまして、民間の団体の方も法廷付き添いとか、そういうことをやっておられる。どちらが適当かというのは、ちょっと私の立場で今申し上げられるだけのものはありませんし、申し上げるのも適当ではないかもしれませんけれども、先ほどお話があったように、およそ官の側でやっていないかというと一部やっているところもありますので、そういうことも踏まえて、今後どちらに重点を置いていくのかが適当かというご議論をいただければと思います。
 一言だけ申し上げますと、検察庁にいる被害者支援員というのは、ほとんどが検察庁職員のOBでありますので、そういう意味では刑事手続に関する詳しい知識というのは持っておりますので、そういう面での法廷付き添いでの適性というのはあるのかなと思っています。被害者の方々へ接するときの心構えであるとか、そういうことについての一定の研修もやってはおりますので、そういうことも踏まえて、どの方面、どちらの活動が重点的であるべきかといったご議論をいただければいいのではないかなとは思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。総務省、厚生労働省の方で、何かご意見ございましたらお願いいたします。

○総務省自治行政局自治政策課長  総務省でございますが、最初にご発言させていただく機会がありましたので、先ほど申し上げましたように国の各省庁さん、また民間団体さんと連携してできるような自治体はやっていくという、これはもうご説明したとおりですが、今せっかく警察庁さん、法務省さんからご発言ありましたので若干つけ加えるとすると、ことし3月に都道府県政令市の主幹課を集めて、基本計画に基づくいろいろな取り組みの説明をする中で、各自治体が一番懸念しておりましたのは、首長部局に窓口を設けるというのはいいけれども、それが意味することが警察からの一種の切り離しであるとすると、自治体は大変困るよということが、大変繰り返し繰り返し当時出ておりました。それは今おっしゃったとおり、警察は警察としてできる裁量、また法務省さんもOBの方を初めかかわっておられる。そうした国なりノウハウのある方のお取り組み、それから民間で先ほどお話があったように民間でやるべき、あるいはやられることが被害者の方にとってもいいという部分の整理があれば、あと自治体は何をすべきかというのは、おのずから整理されてくると思います。
 今後のそうした役割分担といいますけれども、デマケーションの整理がされますれば、自治体としてどういうことを担うのかというのが明確になってくると思いますので、それを私ども自治体と役割分担の整理で、総務省として窓口を果たしていきたいと思っております。以上です。

○冨田座長 どうもありがとうございます。厚生労働省さんの方、何かございませんか。

○厚生労働省社会保障担当参事官  先ほど申し上げたとおり、厚生労働省の方ではDVの一時保護もやっていますし、シェルターのスタッフとか、あるいは支援をしている人の教育研修等、そういうことをやっているわけですし、さらにプラスして一般施策にはなりますけれども、精神保健福祉センターなり保健所とか、そういうところのサービスもやっています。
 そういう中で、もちろんこちら側もできるだけそういうものを通じて、犯罪被害者の方々にお役に立てるようにしていきたいと思います。ただし、やはりそこのきめ細かいサービスという意味では、お互いに連携をとりながらやっていくというのが非常に大事だろうと思っています。

○冨田座長 どうもありがとうございました。番構成員、お願いします。

○番構成員 法廷傍聴の付き添いは、弁護士も、かなりしているんですね。それで、民間の支援員が付き添って、さらに弁護士が付き添うというのは大きい事件でそういう形で、その人数分だけ優先傍聴券をもらうということでやりますが、ちょっと意味合いが違っていて、弁護士がつけば、先ほどのお話しのように刑事手続に関してどうなっているかというのがわかるのと、検察の支援員さんと違うのは、では今後何をするか、つまり被害者がその手続の流れを見て、自分が証人で出たいとか意見陳述をこうしたいとか、そういうことについての支援を弁護士が行います。今後、被害者の刑事司法に関して被害者の行うことが広がっていくと大分違ってきて、法律家の付き添いとか、民間の方の付き添いという意味は、さらに違ってくると思います。
 ですから、民間の支援員さんの付き添いというのは、別の意味で、やはりそれも重要であって、それでただ刑事手続を説明するとかということであれば、刑事手続がわかっている人、例えば法学部の学生さんとかロースクールの学生さんのボランティアとか、そういう人もいいのではないかという議論も弁護士の間で出ていたことがあるんですね。弁護士は期日がなかなか入らないから。でも、本当は基本計画で、期日は被害者に配慮して決めるとされたのですが、余り検察官は知りません。基本計画をそのままいろいろ使って新しいことをしていくには、やはり弁護士がついていた方がいいのだろうと考えながら聞いていました。民間の支援の方の付き添いというのは、また違う意味があって、これはこれでとても重要なことで、心強いとか、そういう意味合いでは非常に重要なことだと思います。
 ですから、どういう活動にというのは、相談業務と直接支援に関して今なされていること、中島構成員がおっしゃたことと大体一緒になるのではないかと私も思っています。

○冨田座長 どうもありがとうございます。

○林構成員 民間団体とのすみ分けというのは多分出てくると思うんですね。実例ですが、ちょうど時期が一緒なんですけれども、○○○の裁判と×××××事件があったんですけれども、私両方とも傍聴に行きました。○○○事件のご遺族は、警察車両がずっと毎回隠して、マスコミも結構来ていたからでしょうけれども、送迎をやってくれていた。この×××××の事件の被害者ご遺族は、同じ町在住ですが、事件が□□だったからなのかもしれないけれども、自分たちで電車で裁判所まで行っておられる。警察にも警察車両の限度があったり、いろいろなことがあって全部できないと思うので、そういうときに民間団体がかわりにやってくれたらいいのかなとか思ったり、それが多分、民間団体の役割でもあるのかなと思ったりもして、残るものとすればですよね。
 あともう一つ、今、被害者支援というのが全面に出ているので、もうごちゃごちゃしていると思うんですけれども、これから整理されていくと思うので、あれだこれだとすべて決めずに、とりあえずやっていって、様子見というのも必要なものもあるのかなというのが私の今の意見です。

○冨田座長 どうもありがとうございます。この援助の対象となる、この事務の範囲に関係することですが、組織の運営の方を今度見てみますと、第一線の現場の支援員それから現場の管理運営などを統括する者などの有給スタッフが不足しているという問題が指摘されています。継続的な支援を行う上で、優秀な人材の確保は必要不可欠であるということは言うまでもありませんが、一方、財源に限りがありますし、各団体は、それぞれ独立した組織として自主的に活動していることもまた留意する必要があります。
 そこで、人件費を初めとする組織運営一般に要する経費について、財政的な援助を行うべきかどうか。行うべきであれば、どのような援助の仕方があるかご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。人件費等の組織運営に関する援助の在り方なんですが。中島構成員、お願いします。

○中島構成員 今、冨田座長からお話があった点が一番難しいところだと思います。本音を言えば、多分民間被害者支援団体、例えば常勤スタッフ何名につきの給料など形で欲しいとは思うのですけれども、先だってから話がありましたように、給付する対象を活動ということにしますと、人に対して出すのではないということになります。ただ、活動に出す場合でも人に出す可能性というのはあるわけで、例えばそれこそ研究費などを出す場合には、研究に対して支払っているわけですが、それに要する人件費というのがそこに含まれているわけなので、相談業務を行う人の人件費というものが、1年単位にはなるかもしれませんけれども、活動プログラムの中に含まれるというような形で支給する方法があるのではないかと思っています。場合によっては、研究費ではそれこそ備品費などもありますから、その活動に使うということを中心の目的として支給するというやり方がよいのではないかと思います。

○冨田座長 番構成員、お願いします。

○番構成員 これは、例えば相談業務についての活動に絞って援助をするというようなことになれば、もちろんそこに相談担当の者の人件費、これは当然そこに含まれると考えていいんでしょうか、そういうような理解でよろしいんでしょうか。

○冨田座長 どうなんでしょうか。この辺は、活動につけるといった場合に、そこに人件費―今、中島構成員のお話のあったこととも関係するんですが、それの具体的な支援活動を行うことに伴う人件費というのを含めて考えていいのかどうかということだと思うのですけれども。

○番構成員 含めないと何に対して、例えば相談業務とか直接支援とかといったときに、何に対してのことをイメージしたらいいのか、ちょっとわからないんですね、それを教えてください。だから、業務にある程度の援助、一定の支援業務についての費用援助ということになると、もちろん人件費も入るでしょうし、そうじゃなくて人件費一般とか運営費一般ということがどうかということをお聞きになっているのか。
 面接相談のための費用とか直接支援のための費用といったら、人件費が基本的に一番大きいもので、ガソリン代もあるとか、そういうようなお話もありましたけれども、それも含まれてくると思いますし、だからどのように理解したらいいか、教えてください。

○冨田座長 ちょっと私自身もその辺、その問題があることはわかっていまして、明確に言葉の使い方として整理していなかったようですが、ちょっとまた急に振って申しわけないんですが、警察庁の方でいろいろ活動について、先ほどの早期援助団体につけている補助ですね、あれなんかはどういう考えになっているんでしょうか。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  先ほど私の方で申し上げました、例えば相談なんかでありますと人件費そのものではなくて、例えば大体、年間相談件数がこのぐらいだと。そうすると、その電話相談でかけたり受けたりに要する通話料はこのぐらいだろうという形で、例えば電話料がこのぐらいかかるというところに着目したりとか、それとか例えばいろいろな方にその都度、非常勤という形でお願いするということでは、その都度の件数に応じた謝金ということで積み上げるとか、そういう形でやっておりまして、常時雇用する人件費という形で予算はとっておりません。

○冨田座長 そうすると、広い意味での人件費は含まれることになりますか。どうなんですか、また言葉……

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 先ほどの相談であれば、相談業務に従事する人の人件費そのものについては出ていません。その人が実際に相談業務を実施するのに際して必要になる、例えば電話をかけたりするときの通話料とか、そういった部分のお金を補助すると、そういう感じ、イメージです。

○冨田座長 どうもありがとうございます。厚生労働省さんの方のあれはどうなんでしょうか。先ほど出たDVであるとか、あの辺の考え方、いわゆる人件費的に。

○厚生労働省社会保障担当参事官  先ほど申し上げたように、一時保護の方のサービスは人件費、入っておられるときの入所の費用も含めて助成していますけれども、そうではなくて、むしろ今お話になっている相談の方、こちらの方は人件費ではなくて、むしろ研修をするときの費用に関して助成をしています。それは都道府県が実際には実施するわけですけれども、それに対して一定の助成をしているということで、それ以上の団体の人件費に対して補助をするとか、そういう仕組みはとっておりません。

○冨田座長 どうもありがとうございました。ここをちょっともう一度、考え方を整理する必要が―はい、どうぞ。

○林構成員 先ほどいろいろな相談員というか、被害者支援を行う人にお金が足らんからということがありましたが、今の考え方だったら、結局被害者のことをきちんとわかった相談員というか、資格を持った人たちを育てる予算規模にはならないということになっていきますよね。単純なボランティアだけの話、現状はね。だから、それを一回乗り越えて、やはり専門的な人間をこれから増やしていかないといけない。全国規模で。全国の被害者が公平な支援を受けるということで考えると、僕は全国を飛び回る人々の大きな組織や何かがあって指導していくというパターンもあってもいいと思っていたものですから。やはり今の考え方だけじゃだめなので、やはりもうちょっと給料として、きちんとする時期もあってもいいのかなという気がしますね。そういう組織が、どういう点から常勤をそれぞれの、例えば全国で言ったら東京ではこのくらい規模であるから、その規模に応じて常勤は何人に分けるとか、ちゃんとお金を回しましょうという形の方が、将来を見据えて行く上で大事かなと。被害者に対する支援の議論というのは初めてですから、被害者学とかいろいろなものがこれから広がっていくには最初が肝心だと思うので、まじめに考える人たちというか、そういう人たちを簡単に切り捨てないで、ちゃんと育てていくという形の常勤形態も必要かなと何となく私は思うんですけれども。

○冨田座長 どうもありがとうございます。総務省さんの方で、何か今この人件費等の話について、何かお話あればお願いしたいと思いますが。

○総務省自治行政局自治政策課長 総務省の場合、まず民間団体に直接補助等は行っていませんので、自治体の交付税措置ということになります。その場合、やはり自治体が措置を行う考え方というのが国との間の中で整理されていく中で、果たすべき役割が明らかになれば、その分、自治体が果たすべき役割が明確になった時点で財政措置というのを検討することになるんですね。
 ですから、国の方でも一切、もしこういう活動だけで人件費、組織運営費の方をされないというふうになると、自治体だけがそれを担うというのはなかなか難しかろうと思いますので、一回そこは基本的な整理を国、地方、民間の役割分担の中でご検討いただかないといかんだろうなと、自治体も納得しないだろうなとは思います。

○冨田座長 どうぞ。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施設推進室長) 総務省さんにご質問なんですけれども、別に総務省という立場というよりは、むしろ地方公共団体での公益法人なんかに対する援助のノウハウを有する方ということでお聞きしたいんですが、普通はそういう直接組織運営の運営費そのものを全部税金で面倒見るというようなことは、これは余りないと思うんですけれども、ただし、よくあるのは、そういう先ほどのカウンセリングなんかの話が出ていますけれども、カウンセリングに例えば何時間いる、当然それは謝金とか、謝金というのがどういう性格かわかりませんけれども、そういった形で実質的な人に要する費用も見ると。ただし、例えば事務局があって経理をやると、そういうふうな費用に出している例とか、そういうのもあるのかどうか。あるいはそれは、そういうような法律なのか条例なのか知りませんけれども、どういう感じなのかというのをちょっとお聞きしたいんですけれども。

○総務省自治行政局自治政策課長  一律、補助に対する考え方というのが財政法上整理されているわけではありませんけれども、ただ法人格を持っていらっしゃる団体であれば、基本的な設立運営に必要な財産を保持していることが法人格の取得の前提になりますので、その上で今度は活動に必要なもので公益性が高いというものを自治体が補助するというのが、普通の補助の整理ではないかと思います。

○冨田座長 わかりました。いろいろな意見が出てまいりましたけれども、ほかに何かございますでしょうか。

○番構成員 今の総務省さんからの意見は、説得力があると思いました。支援活動を選んでということ、公益性の高いものということと、今の民間支援団体がすることが適切である、あるいはふさわしいことという視点で、その中には、例えば相談業務などは、基本的には、人なのだと思うんですよ。だから、謝金とかという形で、人件費的なものを手当するのがいいのだろうと思います。というのは、今はボランティア的要素でやって、みんなの善意で、あるいは有給であっても非常に低く設定してやっているのが現状で、実際上はそのような状況であることは、もう把握しているわけですから、そこに人件費的なものを盛り込んでいただかないと、なかなか人は育たないだろうと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。いろいろご議論いただきましたけれども、私が考えていることは、確かに行為の給与とか、そういうものには総補助するというのは難しいかとは思いますが、ただその活動に伴う広い意味での人の費用ですね、これはやはりある程度補助の対象にしないと、現実的には活動が促進されないのではないか。とりわけ、これは先ほど私が申し上げたこととも重複しますが、早期援助団体について言いますと、相談員の養成のために来ていただくときの費用であるとか、あるいは相談業務に伴う人的な費用であるとかというのは、やはり何らかの形で補助の対象とするのがいいなというふうに思っています。
 それから、また海外の例ですが、OVCの場合は具体的には活動ですが、その中に人件費的なところ、人に関する要素も考慮されていますし、それから連邦から州への犯罪被害者補償についても、たしか5%はちょっと記憶がたしかではないですが、人件費に使ってもいいと後に改正されて、そこを手当しないと実際業務が運営できないということで改善されたように記憶しております。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○林構成員 賛成意見ということで、僕はいつも講演に行くときに言うんですけれども、私は基本的にはボランティアでそういうことをされるのが嫌いなんですよと。というのは、ボランティアというのは、ある意味受ける方からすると善意の押しつけで、ボランティアだから断り切れないとかというのが出てきます。有給の人そこには責任が出てくると思うので、いろいろなこういう被害者の支援というものには、やはり責任性がないとだめ。金をもらっている人だということがあれば、この人たちにきちんとした文句も言えたり、これはこうしてくださいということも言えると思うので、ボランティアは余り前面にしないということが大事だと、被害者の立場から。ということは、それなりの予算措置をやってほしいということで、その方向で考えてもらった方がうれしいかなと思います。以上です。

○冨田座長 それでは、ここまで被援助団体の範囲と援助の対象となる事務の範囲について、ご議論いただいたわけですが、これらの論点、さらにご意見のある方はご発言をお願いしたいと思います。中島構成員、お願いします。

○中島構成員 今までご議論があったとおりで、民間被害者支援団体にとって、やはり一番の資金の問題は場所のこともありますが、人件費だと思うんですね。人件費は、やはり人一人を雇用すると何百万という単位でかかって、それを寄附とかで行うというのは大変難しい。それから、その部分の補助がないというのは、なかなか民間被害者支援団体が発展していかないということになりますから、何らかの形でそれに対する助成というものが必要かと思います。
 一つ、私にはわからないので、もしどこかで検討いただければと思うんですが、地方自治体であり、国であり、そういう人件費という形で、今まで民間の団体に補助するような制度とか、そういうものがあったのかどうかということをどこかで調べていただけないでしょうか。まずその道があるのかどうかということを検討してもらえたらよいと思います。そして、その道がないということであれば、先ほど座長からお話があったように、活動ということで、その活動に要する人の謝金なりという形で、人件費が払われるという趣旨に含まれていくのではないかと思います。ただ、この欠点は毎年申請しなければならないということで、継続性がやや乏しく、その点について不安があると思います。

○冨田座長 今、質問ですが、ストレートに人件費につけるというような例はあるんでしょうか、もし、ご存じの方があればお教え願いたいんですが。今のところちょっとご意見ないようですが、ですから、それも含めてちょっと検討して、それが全く無理であれば次のステップというご意見かと思います。
 今いろいろ議論してまいりましたが、本日全体の議論を踏まえまして、事務局の方から何かございますでしょうか。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施設推進室長)  特にありませんが、ちょっと先ほど最後の座長の方から、そういう例があるのかということで、厚生労働省さんなんかの方で、何かいろいろ持っておられますよね。そういう例示とか、そういうものがもしあれば、お教えいただけると非常に参考になるのではないかと。なければつくってもいいんですけれども、つくる場合には、何かどうしても法律的にこういうネックがあるとか、あるいはそんなものは特に総務省さんなんかは渋いですから、そんなものは絶対だめだとか、そういうご意見を聞かせていただけると、余り変な方向に行かずに済むんじゃないかと思いますが。すみません。

○厚生労働省社会保障担当参事官  一般論で恐縮なんですけれども、今、国の方の全体の財政状況は非常に厳しいという状況の中なものですから、そういう中で、例えば民間団体に対する補助をとか、あるこういうふうな人件費、とりわけ人件費に対する補助というのは基本的には認められていないというのが現状なので、逆に見ますと、私どもの方でいろいろ工夫をしているのは、いろいろな活動、民間団体がやっている活動に対して何か補助をするとか、あるいは民間団体が活動する際に、先ほど申し上げたような研修をしてレベルアップをするとか、何かそういうふうなことによって、全体の底上げを図るようなものについて補助、助成を一部するとか、そういうふうな何らかの工夫をして、それが結果的にその分野の底上げを図っていくと、あるいは結果的に団体の方からしても役に立つというふうな形の助成の仕方で財政当局と折衝するというのが通例でして、いわゆる団体に対する人件補助というのは過去全くなかったかというと、過去はあったものはありますけれども、そういうものに対しては例年もう過去から極めて厳しい見直しが行われてきておって、極めて新しいものについてはほとんど不可能だろうというのが私の個人的な印象です。すみません、ちょっと余計なことを言ったかもしれません。

○冨田座長 総務省さん。

○総務省自治行政局自治政策課長 今のご説明のとおりで、あえてつけ加えるとすると国、地方を通じて大変厳しい財政状況で、大変厳しいルールで行政改革というか見直しを進めることを求められておりますので、人件費というのは経常的な経費をそのまま補助をするというふうなことについては、やはりかなり厳しいことになるであろうと。
 私ども、ここに総務省がありますけれども、総務省の中でも地財措置をやるのは、また別のセクションでございまして、そこは当然そういうことに対しては大変厳しい姿勢をとることを予想されるといいますか、そういうふうに考えております。

○冨田座長 どうもありがとうございます。それでは、全体的なことについて、よろしいでしょうか。番構成員、お願いします。

○番構成員 厳しいというのはよくわかりましたけれども、一つ心配なのは、私も中島構成員と同様で、本当は人件費というような形で手当てしないと、それこそ民間支援団体は厳しい状況なんですが、ただ、そのような形でもしできたとしても、例えば民間団体に対する監査のような、チェックが厳しくなり過ぎると民間団体はやはり逆に大変で、本当に民間という部分のよさがなくなります。ですから、きちんと報告を受けてということはもちろん必要なのですが、余りチェックが厳しくなるのもいかがなものかと思いますので、その兼ね合いがありますよね。そこも見据えてやはり考えなければいけないのかなと思っております。

○冨田座長 どうもありがとうございます。大体、議論は出たかと思いますが、事務局の方、何かよろしいでしょうか。追加で何かご意見、ご発言は。
 それでは、本日予定していた議題については、ほぼご意見をちょうだいできたかと思っております。ちょっと時間も早いんですが、それでは最後に事務局から何か連絡事項ございますでしょうか。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施設推進室長) 貴重なご意見大変ありがとうございました。
 とりあえず、今までのところで済んだところにつきまして、中間報告に向けて何か取りまとめみたいな案をつくってまいりたいというふうに考えております。そして、多分次回、残っております財政援助以外の人的、物的援助と、それから援助の先ほどから話が出ていますけれども、国と地方公共団体と、あるいは何かそういう新たな、そういうものをつくるのかどうかも含めて財源、経路の問題等について議論をいただきまして、またそれも踏まえて、何か取りまとめみたいなことを事務局の方で用意ができたらというふうに考えております。
 次回の会合については日程調整をまたお願いをいたしまして、連絡をすることといたしております。以上でございます。

○冨田座長 以上をもちまして、第7回民間団体への援助に関する検討会を終了いたします。本日は、長い時間にわたりまして、ありがとうございました。


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