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民間団体への援助に関する検討会(第4回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年7月13日(木)15:00~17:00
場所: 中央合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
座長代理中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長

林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
廣田 耕一警察庁犯罪被害者対策室長
代理荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官

辻 裕教法務省刑事局参事官
代理山口 高志厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
説明者渡辺 直全国被害者支援ネットワーク事務局長
説明者照山美知子社団法人いばらき被害者支援センター事務局長
説明者かわさき 政宏NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長
説明者土師 守自助グループ「六甲友の会」世話人・全国犯罪被害者の会
(あすの会)幹事、NPO法人ひょうご被害者支援センター監事

(議事次第)

1.開会

2.民間団体等の活動の実態等についての有識者からのヒアリング

 (1)渡辺 直 氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長)

 (2)照山 美知子 氏(社団法人いばらき被害者支援センター事務局長)

 (3)かわさき 政宏 氏(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長)

 (4)土師 守 氏(自助グループ「六甲友の会」世話人、全国犯罪被害者の会(あすの会)幹事、NPO法人ひょうご被害者支援センター監事)

3.海外調査の調査項目等についてて

4.その他

5.閉会


(配布資料)

  資料1  渡辺直氏資料 [1][PDF形式:27KB] [2][PDF形式:28KB]
  資料2  照山美知子氏資料 [1][PDF形式:27KB] [2][PDF形式:KB]
  資料3  かわさき政宏氏資料 [1][PDF形式:39KB] [2][PDF形式:77KB] [3][PDF形式:72KB] [4][PDF形式:67KB]
  資料4  土師守氏資料 [1][PDF形式:43KB] [2][PDF形式:47KB] [3][PDF形式:84KB]
  資料5  内閣府資料 [PDF形式:19KB]



(議事内容)

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 皆さん、こんにちは。お暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから第4回民間団体への援助に関する検討会を開催いたします。総務省の方ちょっとおくれているようですけれども、定刻ですので始めさせていただきます。司会を冨田座長にお願いいたします。

○冨田座長 それでは、司会を務めさせていただきます。まず、本日の議題につきまして、事務局からご説明願います。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) お手元に議事次第、一番上に乗っておりますのでご覧いただきたいと思います。
 本日は民間団体等の活動の実態等につきまして、実際に支援活動をなされている方々からご説明をいただくこととしております。説明時間をお一人当たり20分程度でお願いをいたしております。質疑応答につきましては4名の方々の発表が終わりました後でまとめて、一応引き算すると20分ぐらいということになりますけれども、よろしくお願いを申し上げます。
 その後で、9月上旬に予定をいたしております海外調査の調査項目等につきまして事務局より案をお示ししましてご意見賜ればというふうに考えております。以上でございます。

○冨田座長 どうもありがとうございます。それでは、早速ですが、議題2の民間団体等の活動の実態等についての有識者からのヒアリングを始めます。
 最初に、全国被害者支援ネットワークの事務局長、渡辺直様から、全国被害者支援ネットワークの加盟団体全般と事務局の活動状況について、ご説明お願いいたします。

○渡辺氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長) 全国被害者支援ネットワークの渡辺でございます。貴重なお時間をいただきましたので、現在私どものネットワークが抱えているさまざまな課題あるいは問題も含めて、格好悪いところも含めて正直にご報告しようと思っております。
 まず、資料の末尾にグラフを幾つか載せてありますので、そのグラフをご覧いただければと思います。図1から図5まで載せてありますが、今回皆様にご報告をしようというのに際しまして、全国加盟団体に問い合わせをしました。その結果得られたデータをもとにしてつくったグラフでございます。
 まず、全国に今数えられるボランティア、非常勤、常勤全部入れて1,054という数字が出ましたけれども、そのうちのボランティア、常勤、非常勤をあらわしたのが図1でございます。無償ボランティアが圧倒的に多い、常勤が少なめだなというのが図1から見えるところでございます。
 それから、図2が働いている人間の年齢分布です。年齢の記載のない回答もかなりあったものですから、有効回答671というところから抽出をいたしましたけれども、やはり50代以上が圧倒的な多数ということになります。
 それから、図3、次のページでございますけれども、性別内訳、これは女性が52%になっております。回答のなかったものが多くありまして、そのうちの大多数は女性であろうという推測をいたしておるところです。
 それから、図4、被害類型別の比較というところでありますけれども、これは早期援助団体、それ以外の団体というふうに分けてみました。これは実際の件数でございますので、早期援助団体9団体の平均と、それ以外の数の団体の平均でございますのでかなりの開きがあろうかなというふうに推測ができます。
 それから、図5でございますけれども、これも早期援助団体とそうでない団体の比較をとってみました。支援内容など比較をしてみますと、やはり早期援助団体に数が多めに出ているということが言えるだろうかと考えております。
 それでは、文字で書いた方に戻っていただきまして。本日現在ですけれども、全国40都道府県に42の団体がございます。来年度あるいは今年度中にはさらに3つのところで新しい団体が設立するとの情報をいただいております。現状は社団法人16、NPO法人15、任意団体が11という構成になっております。早期援助団体はそのうちの9団体。早期援助団体はいずれも社団法人となっております。
 次に、常勤、非常勤の分布は先ほどのグラフのとおりでありますけれども、パーセンテージで探ってみますと、常勤のいるところが72%、常勤のいないところが残り28%というふうに出ました。ただ、今回の調査の中で常勤について何人いるかと質問したところ、常勤の勤務時間に関して週16時間で常勤であるとか、週30時間で常勤とする答えもかなり出てきてばらつきましたけれども、常勤という報告で上がってきたものはすべて常勤のところにまとめてみました。非常勤職員のいるところも同じように72%という数字が出ております。
 常勤の中で賃金をもらっている、常勤ですから当然賃金をもらっているわけですけれども、常勤の賃金の最高額が年収450万、最低額が96万という数字が出ております。最も多いのが200万円台でありまして、200万円を超える賃金が全体の56%、常勤の平均年齢52歳、男女比は3対7、最高齢者は74歳、一番若い者は25歳と、そんな数値が出てきたところであります。
 ボランティアも大変数が多いわけですけれども、いわゆる有償ボランティアのみを配置しているところが1割、無償ボランティアのみを配置しているところが60%、両方を配置しているところが残り、30%、ということになりまして、現場一線を支えているのは無償ボランティアがやはり中心だと、日ごろの感触がそのとおり数値になってあらわれたようであります。
 それから、各センターの予算等々について調査をしてみました。年間予算で一番大きいのは1億4,000万円、一番小さいものは3万円という調査結果が出たんですけれども、3万円という予算で実際に仕事をしているのかというクエスチョンマークがつきますが、いわばかなり格差があるということは間違いなく言えると思います。年間予算2,000万円を超えているところが17%、1,000万円以下が50%、残りは1,000万と2,000万の中間ということになろうかと思います。
そのうち公的な援助につきましては、地方公共団体からの援助を受けているものが76%でありました。援助の額、最高額が1,600万円、最低額は29万という数値が出ております。全体的に見ますと、援助の500万円以下の部分が74%と最も多い数値になっております。
 次に、会費収入でありますけれども、会員には大体どこも正会員と賛助会員の2種類があります。正会員からの収入で最多の団体は740万円です。正会員からの収入で最も多いのが100万円以下で68%でありました。一方、賛助会員という会員を抱えている団体も大変多く、これはいわばスポンサーと言えると思いますが、スポンサー、賛助会員からの会費を最も多くもらっている団体は5,400万円でありました。全体的に見ますと賛助会員からの会費が500万円以下というところが全体の62%というふうに出ております。正会員の会費が2,000円、3,000円、5,000円、1万円、大体この4種類。賛助会員は3,000円から2万円の間何種類かありました。ある団体によっては賛助会員は1口1万円で5口以上というような条件をつけているところもありました。
 次に、民間からの寄附あるいは補助のところを見てみますと、民間からの寄附金で最も多額なものは1つの企業といいましょうか1つの団体から1,200万円いただいたのが最高の額でありました。センターによっては寄附ゼロというところもありました。それから、補助金を得たところでの最高額は700万、これは1つの団体から700万円をいただいたというところでございます。民間からの寄附、補助ともにないセンターというのは1つのみでありました。
 次に、それぞれの事務所がどうなっているのかを聞きました。事務所に関して援助を受けている団体が全体で28%、11ですね。そのうち無償援助が10でございます。月々の賃貸料が最高額が30万円、最低額3,810円、そこに記載のとおりです。一番多いのが10万円以下で、全体の75%が10万円以下に集中しています。
 それから、専門家の配置、そこに記載したとおり、各職種の方がすべての団体で行われておりました。
 次に、全国の加盟団体が今望んでいることを調査してみました。それぞれありますけれども、まず事務局体制の強化を言うところが全体の70%に達しております。まず、常勤を配置したいというのが一番強い希望でありまして、全国的な傾向としては管理・事務を統括する常勤と、現場一線の支援事業を統括する常勤とをそれぞれ欲しているというところが明らかであります。さらにその常勤者の低賃金を何とかしたいという声もございました。
 次に、広報・啓発についてですけれども、現状の広報・啓発というのは主にリーフレット、ちらしあるいはポスターというものを一定の場所に置く、飾るというスタイルが主流でありますけれども、今後は電車、バスあるいは駅張りといったような交通媒体、移動媒体を利用したいという意見が出てきております。しかし、これは予算等々の関係からいって現状ではかなり難しいことだろうと考えられます。
さらに、現場として必要であるけれどもできていないことを問いました。答えはそこにあるとおりで、相談内容あるいは事業内容の検証、自助グループの立ち上げ、財政を解決するための会員獲得活動等が挙げられております。これも十分ではない。さらに、事務所拡充を是非したいとの希望が多く、これは早期援助団体の指定をいただくためどうしても必要でありますけれども、それがなかなかうまくいかない。さらに人材、人手の不足、人材養成をしたいというのも大変強い希望になっております。
 次に、どうしてもやりたいこと、欲しいものを調査してみました。そこに記載のとおりでございます。特に人材を確保し、物理的な条件を整えて早期援助団体の指定をいただきたい、あるいは公益法人化の認可をいただきたいというものが切実な要求になっております。
 現状一番困っていることは何かという質問に対しましては、財政的基盤の不安を訴えるものが一番多いです。これが全体の67%を占めます。次に多いのが事務所、研修室、面接室といったような環境整備、そこに悩むものが全体の43%であります。これも日常普段の我々の仕事の中で全国的にどこの施設、どこのセンターも一番苦しんでいるんであろうなと思うところが回答の中に出てきております。
 その後に、もし今後全国の各そのようなセンターが財政的な援助をいただくとすれば、どういうようなありようがよいかということを質問してみました。約80%の組織が受け皿となる組織が必要であるという意見を言っておりました。具体的にはどのような組織かということは出てこないのでありますけれども、国民の血税をちょうだいするわけですからそんな安易なあるいはいい加減ないただき方はとてもできないと、厳格ないただき方、厳格な受け皿となる組織が必要であろう、あることが望ましいとする意見が多数となっております。
 中にはネットワーク事務局の受け皿でもよいという意見がありましたけれども、現状事務局としてはそういう重大なというか、国民の血税をちょうだいするような仕事を処理するだけの、今のままであれば能力はないというふうには考えているところであります。
 それから、援助をいただくに際して一定のガイドラインがあった方がよいかという質問を出しましたところ、多くがガイドラインは必要であるという意見でございます。例えばそれぞれのセンターの事業内容を比較考量して援助をいただこうというのが方法、人口当たりの応分の配分をいただきたくという方法。それからもう1つは、早期援助団体といったようなそういう認可を得た団体をまず優先的にという方法等。大体その3つあたりに収れんされるかなというふうには考えております。
 相対的に見ますと、今全国のさまざまな団体が一番望むものは財政的な援助と、それから財政的な援助以外としては研修室、事務室、面接室といったような物理的な環境整備、それを大変強く望んでいるというのがはっきりわかってきたところであります。
 以上が参加の全国のネットワーク団体に関するところであります。
 次に、私が現在おりますネットワーク事務局に関するご報告をいたします。事務局に関するものというところでありますが。現在ネットワーク事務局の主たる活動というのはそこに記載のとおりであります。今年は10月3日に全国被害者支援フォーラムというのをやる予定といたしております。それから、全国被害者週間全国大会は11月26日の日曜日に東京で開催する予定といたしております。
 それらの様々な事業、行事等を現状では常勤2名、それから非常勤2名で処理をいたしております。常勤2名の内、1名は65歳の男、1名は25歳女でやっております。非常勤は2名おりますけれども、1人は経理の専門で週2回、もう1人は一般的な事務をやっていただいておりますけれども、週1日ということでございます。
 余談でありますけれども、最近ボランティアの応募が大変少なくなってきたものですから、都心にある大手の大学、ボランティアを出してくれそうな大学に、5大学に美しいちらしをつくって配ってきたところでありますけれども、4カ月たっても一人の応募もありません。大変手応えが悪いと。今の学生はどうなっているのだろうと思わず考え込むような状況になっております。
 次に、ネットワーク事務局の経費でありますけれども、そこに記載のとおりの経費をちょうだいしております。各地方のセンターからは10万円の年会費をいただいておりますが、必要に応じては減免措置を考慮しているところであります。
 事務所は東京医科歯科大学から賃貸をしておりまして、24平米、7.2坪、大変狭い、困難を極めるような狭さでございますけれども、そこで仕事をしております。うちの会長の山上がたまたまその医科歯科大学に勤務しておりますのでご好意で医科歯科大学の書庫などを利用して、私どもの大量の資料、文献などといったものを置かせていただいておりますが、この1、2年には現在の事務所を出ざるを得ない状況になります。都心にそれなりの面積を持つ事務所あるは倉庫などを持つところを探すのはかなり至難の業かなと考えています。民間の事務所など賃貸のところをインターネットを使って探していますけれども、部屋のみを借りることはできますけれども、会議室、応接室、倉庫であるとかそういうものがつきますとこれはいわばべらぼうなお金がかかってくるということになりそうであります。
 それから、加盟団体への支援のうち十分できているものは何か、十分に対応できていないものは何かというご質問をいただいたのですけれども。率直に申し上げて十分との自信を持って言えるものは実はありません。我々の仕事をしているネットの主たる活動のところに記載の行事あるいは研修、フォーラム、ニュース発行などなど、一部はしっかりできているなとは思っておりますけれども、すべてについて十分だというふうには自信は持てておりません。
 次に、財政問題が解決できればできることは何かというところでありますけれども、まずどうしてもしたいのは、現在より広い事務所への移転である。会議室も含め応接室、面接室、倉庫等、物理的な環境整備を図りたい。それから、常勤者を雇用したい。もう1人欲しい、もう1人あればかなりいい仕事ができるのではなかろうかというふうには感じております。
 次にやりたいことは、全国事務局長会議、これは年に1回やらないかという、予算の関係もあるものですから、これを複数回やりたいと考えております。
 それからさらに、全国研修あるいは全国大会に対して、今、地方のセンターからの参加者の方に対しては援助は一切ありません。できれば地方のセンターからやってくる方に例えば1人分でも補助が出せれば地方の各センターが自腹の参加者と含めて2人ぐらいは確保できるということになりますので、それでも随分全国大会なり全国研修の様相が変わってくるであろうと思っております。
 また、全国6ブロック程度に分けてブロック会議あるいはブロック研修というものもぜひやりたいと考えております。
 さらに、指導者を養成する研修あるいは指導体制の拡充あるいは整備をするといったような試みもさらやってみたいと考えているところであります。
 それからもう1つのことが、ネットワーク事務局を中央の被害者支援に関する研究センターの機能も少し持たせたいというふうには考えております。
 さらに、すぐれた企画などが予算不足のためにどうしても今年だけはできないというようなセンターがあれば、そういうセンターに財政的な緊急援助をできるようなゆとりもあればと考えております。
 それから、各センターとも全国一斉に年1回はキャンペーン事業というのをやりますけれども、このキャンペーン事業でも予算が足りないという声をよく聞きます。そういうときにやはり緊急的な財政援助も出してやりたいなと考えているところであります。
 次に、国あるいは地方公共団体から受ける援助として財政援助以外にどのようなニーズがあるかというところでありますけれども、それは資料に書いたとおりであります。環境整備などについてはこれは是非のどから手が出るほど欲しいというふうには考えております。
 それから、関係団体あるいは関係省庁から人材の出向をちょうだいして少し組織のてこ入れ、レベルアップなども図る方法もあるかなというふうに考えております。
 それから、これは全国共通ではありますけれども、例えば車両の確保というのも大変有効な方法ではなかろうかと思います。全国の幾つかの団体が財団から車両購入の補助をいただいておりますけれども、特に地方においては車両を使っての直接支援が大変有効ですし、現に大変効果的な使われ方をしているところもありますので、車両確保もそういう財政以外の援助の1つになろうかなというふうには考えております。
 現状、ネットワーク加盟団体が財政的な援助をもしいただくとすれば、それに際しての基本的な考え方はどうかというところでありますけれども、記載のとおりでございます。私ども全国被害者支援ネットワーク加盟団体というのは早期援助団体あるいはそれを目指す団体の緩やかな連合体であるというふうには考えております。その事業を推進するに足る費用、施設等の援助が是非ちょうだいできればというふうに考えております。
 現状、私ども自分自身をどのレベルにあるのか、どういう評価になるかと自問いたしますと、余り大きい声では言えませんけれども、入口からちょっと入ったレベルかなと、とても納得のいくレベルにはなっていないのではと考えております。まだまだ多くの課題を抱えているといえます。
 以上が大体ネットワークに関する、事務局に関するまとめでございます。
 最後に、私の極めて個人的な意見をちょっと言わせていただきたいと思います。私はネットワーク事務局に入りましたのは昨年10月でありました。まだ9カ月しかたっておりませんけれども、今私が持っている印象というのは2つあります。これほど重要な仕事をしている全国の多くの人々がなぜこれほどお金のことで苦しんでいるのだろうかというのが1つであります。それから、これほどの仕事をなぜこれほど個人の善意あるいは自己犠牲に頼っているのだろうかというのが1つであります。
 私はネットワーク事務局に入る前は司法の第一線で38年間勤めておりました。それだけに被害者支援という問題の重要性は大変リアルにわかるつもりであります。この問題をどうするかというのは、結局この国のディグニティーが問われている問題ではなかろうかと私は考えております。
 この会議を成功させるために現場一線、事務局も含めて、精一杯努力、協力はするつもりでおりますけれども、今後の日本の被害者支援の仕事に関しては財政的な援助あるいは物理的な援助等がない限りは先細りであることは間違いないだろうというふうには考えております。
 ことしの2月に全国事務局長会議というのを一度開きました。その会議の折に一番困っていることは何なんだという質問をやはり同様に投げました。やはり一番多いのは財政援助、お金のことだというのが回答でありまして。自他ともに認めるある地方の優秀なかつ有能なセンターの事務局長がこう言ってました。日本財団からの援助があと1年で終わる。地方公共団体の補助は永遠に続くはずはない。最悪の場合、あと2年たったらこのセンターは消滅しているかもしれない。閉鎖せざるを得ないかもしれないということを聞いて、私は思わず胸が熱くなりましたけれども。そういういわば綱渡りのようなことを全国各団体が今やっているところであります。
 そんなわけで、この会議にかける私ども現場一線の期待というのは本当に大きいものがございます。

○冨田座長 渡辺さん、どうもありがとうございました。
 質問はまた後でお受けするといたしまして。続きまして、社団法人いばらき被害者支援センター事務局長の照山美知子様から、同センターの活動状況と財政運用状況についてご説明をお願いいたします。

○照山氏(社団法人いばらき被害者支援センター事務局長) いばらき被害者支援センターの事務局長の照山です。よろしくお願いいたします。
 今、渡辺事務局長の方からつぶれるかもしれないとかいう話がありましたけれども、全然うちは優秀ではないのですが、つぶれるかもしれないのでは一番かもしれない団体です。そういう団体がヒアリングに応じていいのかどうかというのはちょっと疑問がありますが。私どもの活動を知っていただくということで今日は参りました。よろしくお願いいたします。
 20分という時間の限定ですのでどこまでお話しできるかわかりませんけれども、詳細については私どもこの記念誌も今日の資料としてお分けしてございますので、この中にかなりの私どもの活動の経過とかどんなふうに養成研修しているとか、そういったものはそこに入っておりますので、それも合わせてご覧いただければと思います。本当にポイントだけをお話ししていきたいと思います。
 私どもは平成7年に水戸被害者援助センターとして民間の任意団体として発足いたしました。ただ、そのときに危機介入も含めた総合的な、直接的支援ですね、総合的な支援に入っていくのだということを全くの大前提として進めてきました。ただ、本当に日本にまだそういう団体がありませんでしたから、何からできるのだということで週2日の電話相談から始めましたけれども。電話相談だけではないんだよというのは、私どもは専門家とボランティアといいますか養成講座の方から活動に入っていく、そういった者たちとの専門家との非常にいい、先生たちには失礼なのですが、パートナーシップといいますか、そういう共通の論議ができたり見解を持つことができてこういうふうに進めてこれたと思っています。
 電話相談についてなんですけれども、そこに書いてありますのでこれは読んでいただければわかります。ただ言えることは、よその全国被害者支援ネットワークの多くの団体のところと私はいろいろ連携しておりますし、いろいろなお話を聞いたり、最近は講師として呼ばれることが多いので、あちらこちらの様子をちょっと見聞きしておりますけれども、やはりまだ電話相談、中にはまだまだ心のケアと言っているところがありますけれども。本当にもうこれは違ってきていると思います。電話相談員は本当に心のケアだけではないし、いろいろなことを知ってオールマイティにいろいろな情報を持って対応できなければもう電話相談もその役目を果たさないと思っています。
 ちょっと何年か前になりますけれども、被害者の方からお電話があったときに、それは大変でしたねとうちの相談員が言ったときに、おつらいですねとか大変ですねなんか言われてもちっともうれしくありませんと怒られたことがあります。そうなんですよね。被害者の方はいろいろな問題を抱えていますから、ただ気持ちを聞いてもらっただけでは本当にそれだけでは全然解決になりませんから。その気持ちがつらい、つらい中にはいろいろな経済的な問題やら法的な問題やらいろいろなものを含んでいますから、そういった小さいものがいっぱいありますから、そういったものが解決できないでただおつらいですねと言われたところで何もうれしくないわけです。いろいろな被害者の方のニーズのそういうデータなんかも見ますと、あとは手記なんかを読みますと、法的支援が欲しかったと、そういうこともよく書かれてあります。ですので、私たちの電話相談員はすべてそういうことをにらんだ研修をして相談に当たっております。
 グラフがありますけれども、2ページと3ページ、4ページとグラフと表がありますけれども。私どもは平成14年に犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けましたが、その前に13年11月に社団法人ということで名称をいばらき被害者支援センターと変えました。その時点で社会的認知が大分違ってきたなと思いました。そして、14年12月に早期援助団体の指定を受けましたけれども、それによってまた大きく県内の私どもに対する見方が変わってきたと思います。本当に、特に行政の方というのは何かいろいろな根拠がないと、何だ、そこはみたいな顔をして見られるんですけれども、公安委員会の指定ですよとかそんなことになっていくと大分見方が違ってきて、接し方が違ってきたなと思います。
 そういうこともありましていろいろな県内のところにも私どものセンターが知られるようになり、そしてそれによって件数も増えてきたというのが、開設日数が増えたということもありますけれども、15年度あたりから件数が増えました。それから、対象別に見ましても本当に殺人とか傷害とかそういった私どものセンターの目標に合っている。当初開設したばっかりのときには、当然のことなのですが、毎日泥棒が入るんですよとか、毎日今日はニンジン盗られました、今日は白菜盗られましたとかそんな電話もあるし、どう考えてもちょっとなと思うような電話が全国から入ったりしました。それから、どう考えてもこれは犯罪というより人間関係の問題だろうなとか思うようなものもありましたけれども、徐々に本当に被害に遭った割と早い段階でこういうことになってるんですがということの相談が多くなってきました。
 それから、面接相談も、当初は専門家によるカウンセリングみたいなものが中心でございました。ただ、本当にとても大変なダメージを受けている場合はセンターのカウンセリングをしている程度ではとても済まないわけです。専門家が私どものセンターで割と身近におりましたときは投薬もできる精神保健福祉センターとかと連携しましてそういう対応もできましたけれども、今はもう私どもはまず本当にお会いして、ケースワーク的に何に困っていて、どんな支援が必要なのかと、そういった面接に入っております。そこから、では、その方が本当に精神的にとても大変な状態であれば、その方にとってどういうところをご案内してどういう方向にもっていけばいいのだろうと、そこを考えていくわけです、しっかりと。つまり、コーディネーターですね。そこが被害者の方をきちっと見すえて、その方の回復にとっていいことはどういうことなのかということをちゃんと考えられなければいけないと思います。そういった面接相談に変わってきております。
 それから、直接的支援なんですけれども、これが早期援助団体の指定を受けて大きく変わったことです。早期援助団体の指定を受ける前も直接的支援は少しずつ始めてはおりましたけれども、やはり早期援助団体という仕組みは私どもにとってみればこの警察との連携による支援、これは仕組みとしてはとてもいいのではないかと思います。というのは、普通本当に混乱して被害に遭った人は、どうしていいかわからないときに、何だかこういう団体が支援しますよと言われても本当にそこに支援頼んだり相談したりしていいのかなと、混乱している人は戸惑います。
 私どもも支援に行ったときに、あるご主人を殺された方が、ある警察署の面接室でお会いしていろいろ話していったら、最初はいろいろな人がやってくると、いろいろな宗教の人とかいろいろな人がやってきていろいろなパンフレットをくれると。警察の人がうちのパンフレットを置いていったけれども、何だこれと、別に気にもとめなかった、混乱してましたから。少したって落ち着いてきて、でもまだパンフレットに目を通すとかいう段階じゃなかったのですけれども、警察の方がフォローアップに行かれて、この間パンフレットあげたけれどもどうですかとまた言ってくださって。そういうこまめな警察の対応があって、ああ、そうかと。支援してくれるのですよ、そうなんですねということになって私どもとつながるわけです。警察が紹介してくれるのだからそんな変なところではないだろうなと思うわけですよ。
 当然、警察提供情報として受けるんですけれども。私どもも被害者の方がただ電話をしてきてこんな被害に遭ったのですぐ来てくださいと言われても、その事実はあるのかなとかちょっと迷うわけですね。いろいろな質問をして、これはとか、新聞記事とかいろいろ切り抜いてスタッフがちゃんと整理していますので、既にその電話が入ると、照山さん、この記事ですねとすぐに出してくれるから、ああ、こういう事件だったよねとわかるのですけれども、記事にもならなかったりすれば、本当かなこれ、支援していいものなのかなとこちらも思いますし、向こうの方でも本当にいいのかなと。そういうことも考えると、早期援助団体というこの仕組みの中できちっとそういう情報提供があってその支援に入るということは私はとても現段階ではいいと思っております。ただ、それがすべてだとは言いませんけれども、これは本当に支援がしやすい仕組みだと思っております。
 直接的支援の中でいろいろ書いてございますけれども、当然現在のところ法廷付添いを中心とする法廷関連サービスが多くなっています。本当に被害直後に行ってすぐに家事援助したりとかそういったこと、お葬儀の手伝いをしたりとかと、そういうことはまだありません。
 本当に経済的にいろいろな大変さを抱えて被害者の方はいろいろ、当然殺人だの強盗だのそんなのになってくると損害賠償義務もありませんし。犯給法にどこまで該当するかとか、どの程度いただけるのかとか、それも見舞金程度ですし、本当に経済的な大変さを抱えていくことになります。そういうことなのですけれども。
 支援例については支援例1と支援例2を書きました。支援例1というのは、被害者本人ですね。この方は本当に、ここにはあっさりと書きましたけれども、筆舌に尽くし難い被害を受けまして、立ち直れるのだろうかというくらいのものでした。私ども提供情報として受けたのは、被害から大分たって、精神的なPTSDの治療も受けた後でした。それで何とか彼女は立ち直ってきていたところだったのですが。裁判で証言をしないと犯人が否認しているということで、じゃあ、どうしましょうということでビデオリンク、遮蔽、付添いという3点セットで裁判に臨んだという事例です。これは読んでいただければいいと思います。
 それから、私どもは数多く支援しておりますけれども、被害者本人とご遺族の場合というのはまた違います。対応の仕方も違ってきます。
 支援例2というのはご遺族です。これは結構大変な事件でして。実は1つの犯人で被害者が亡くなった方と、被害者本人と、2ケースあって、どちらからも依頼が来てしまって、来てしまったというのは失礼な言い方ですが、来ました。そのどちらも私ども受けました。2チームつくり、Aチーム、Bチーム。さらにその2つのチームの間を保つCチームまでつくって8人体制で臨んだりしたものなんですけれども。それはそれで本当に大変な状況でした。マスコミ対応なんかもしまして。被害者によってはほとんど私ども接している多くはマスコミとは遠ざかってかかわりたくないというのが多いのですけれども、中にはちゃんと話したいと、そういう方もいらっしゃいます。そういった場合には記者会見どうなさいますかということで、話したいというときには記者会見の設定もいたします。いろいろ本当に支援に入ると法廷関連のサービスだけでもかなり細かいことがたくさんあります。そういったものが支援例として載っています。
 ですから、支援員は本当に温かい心で、でも冷静に、何が起きても動じない、そういった臨機応変に対応できるそういった姿勢で臨まなければならない。そのための研修や実地訓練を日頃からしております。私どもの支援のレベルは結構高いんじゃないかなと私は思っているのですけれども。かなりよくやっていると思います。
 申請補助について、それから自助グループについてはお読みください。
 それから、養成事業についても、これは私どもは犯罪被害者等早期援助団体ですので公安委員会規則に定める、そこに書いてあるような支援が必要だということです。その中でも犯罪被害相談員というのはとてもハードルの高いもので、専門家、ただ弁護士だ、精神科医だ、臨床心理士だといっても犯罪被害相談員にはなれません。犯罪被害者支援に関わり、あるいはその識見を有している者ということですから、ただ肩書だけではなれません。そういった専門家。
 それから、養成講座等からいった場合には、そういう訓練を受け、さらに1日4時間以上、週3日以上、3年以上というそういった期間、ハードルを超えないと犯罪被害相談員の認定基準に達しませんので、ときどきぽろっぽろっと入ってくる人が絶対犯罪被害相談員にはなれないんですね。そういったことも含めるときちっとした職員としての位置づけが必要になるということになるんですけれども。そういった養成講座を私どもは2年をかけてやっております。他のセンターから見たら、何でいばらきさん、そんなに養成講座に時間かけてやってるのですかと言われるかもしれないのですけれども、それくらい被害者支援というのはいい加減にはできないんですよというそういうことをなんですね。当然継続研修も力を入れてやっております。
 10ページの支援体制です。これは一番最後に別紙で載っています。ここにこれだけの人数が書いてありますけれども、専門家はA、B、C、D、E、Fと。専門家は専門家謝金で支払っていますが、これは16年からと書いてあって、※の下の2行は弁護士等の専門家に対する謝金は平成14年9月からとなっていて矛盾がありますけれども。謝金規程をきちんとつくったのが16年度なので、そこで大体1時間5,000円という形の謝金規程になっております。その前の14年9月からというのはどんなに何時間やろうとも1回2,500円と、そういう非常に少ない、でもそれ以前は1円もお支払いしませんでした。交通費すら払いませんでした。お金がなかったからです。そういう形でやっと謝金規程でお支払いして。
 それから、さっき渡辺さんの方で常勤で最高が400何万で下が96万。うちは96万もらっている人はいません。というか、常勤になれないんですね。職員がせめて社会保険とか入れればいいなとか思ったのですが、問い合わせたら1日8時間で週5日働いて初めて社会保険に入れるからと言われて、じゃあ、うちは入らなくていいのですかと言ったら、労働基準何とかの人が、入らないんじゃなくて入れないんですよ、お宅はと言われて。あ、うちは社会保険にも入れない団体なんだと、そこでまた認識をいたしました。そういうことなんですね。
 さっき言ったように、10、11、12に関しては期限付き職員として日本財団のお金があるうちにとにかく犯罪被害相談員を増やさなきゃいかんということで、3年間だけよ、払えるのはと言って、その人たちを期限付き職員にして週に何日も入ってもらって、今非常に集中的にその人たちを鍛えていると言ったら変ですが、研修を兼ねて支援にどんどん入ってもらっております。
 それ以外のところは読んでいただければよろしいかと思います。
 戻りまして、10ページの3番の経費の確保ということですが。一応これ18年度の予算ですけれども、実際会費収入は予算なので膨らませているのですね。実際はこれより100万ちょっと少ないのです。でも、これぐらいもらわないとやっていけないよということで組んでいて、今年もまたこれだけ会費が集まるかなとすごく頭が痛いのですけれども。補助金がそこに県と日本財団とあります。これが18年度で終わるのです。19年度は何もなくなる予定なので。ただ、県とかいろいろ皆さん努力してくださっているようなのですけれども、もしこれがなくなると、19年度は何とか続いて、20年度にはうちはないかなとかそういうふうに思っています。
 でも、最初はすごく事務局長として考えると頭痛くて血圧上がるし本当につらくてしょうがなかったので、最近はそのときはそのときだなと、あら、なくなっちゃったって言ってるしかないなと気楽にするようにしています。身がもちませんので。
 それから、事務所等については書いてあるとおりです。
 それから、対応できている点。このことなのですけれども、総合的支援体制が、これは本当にうちは最初から心のケアとか電話相談とかじゃなく、総合的支援をするのだということを目標に支援活動員という養成講座をやって、そういうものに対応できる支援員を育ててきたと、そういうことが今の支援事業を支えていると、その方針は間違っていなかったなとつくづく思っております。
 それから、当然ながら犯罪被害者等早期援助団体として県警との連携のもとに支援員たちが頑張って直接的支援業務を中心にやっていると。この県警との連携ということなのですけれども、県警は警察提供情報をくれまして、いろいろと本当にいい関係でやっておりますが、県警はうるさいことを私どもにああしろこうしろなんて一言も言ってきません。私どもの様子を見ながらちゃんと警察提供情報をふってきて、その間のやりとり、いろいろな相談したり、お互いにこうだよねとかいって、本当にいい関係でいいパートナーシップでやっていられるなと思っています。
 それから、十分にできていない点。本当に被害直後の支援というのはまだまだこれからになります。これは県警の方でも多分様子を見ながら、これはちょっとまだ無理かなとか思ってくださっているのかもしれませんけれども、本当に被害直後に駆けつけるというのはなかなか難しいことだろうなと思っています。それには私どもの体制がやはりもっと人が多く県内に人を配置し、本当は支部とかをつくりたいのですね、県南支部とか中央支部。そうしたらそこからすぐに人の手配ができて、夜中でも何でも被害に遭ったお宅に飛んでいって一緒にいてあげたりとか片づけてあげるとかいろいろなことができると思います。そういう体制はまだまだこれからだなと思っています。そういうことがそこに書いてございます。
 それから、さっき言ったように、運営体制。私どもはお金がないですから管理部門と事業部門を一緒にやっております。それなので、事務局長で私は、あしたも朝早く支援に行くのですけれども、あちこち駆け回りながら、かつあちこちの会社訪問をしてお金をくださいとか賛助会員になってくださいとかって、自分の人格がおかしくなるのではないかなと思うくらい、どうもどうもとか言いながらお金集めにも走っております。これは本当につらいことです。
 あとは経理も自分たちが全部やっております。専門家がいないので。でも、公認会計士さんにお願いしていて、これだけ本当によくやってますねとおほめの言葉をいただくくらいにきっちり支援員がすべてをこなしております。
 そういうことで、この先お金が入ればそういった管理部門と事業部門をきっちり分けていい支援体制ができるのではないかなというようなことがそこにずっと書いております。
 11ページの最後の方にありますけれども、本当にときどき来るボランティアも大事なのですけれども、継続的に入る人がいなければこういう犯罪被害者支援団体は成り立たないと思っています。
 それから、お金が入ったらどういうことがというのはその辺に書いてあります。これは読んでいただければいいと思います。
 それから、財政的援助以外に国・地方公共団体に対してどのような援助を望むかと。これもここに書いてあるとおりです。
 6番目は非常に高速道路の料金免除してほしいなんて書いて、その後に7番目に、整合性を図ってほしいなんて非常に何だか落差のあることが羅列してございますけれども、この7番についてはちょっと説明しないといけないかなと思います。
 犯罪被害者等基本計画の中というか基本法においては被害者等という対象を故意犯だけでなく過失もすべて交通事故もいろいろ含んで、幅広く被害者をとらえています。ところが、早期援助団体の方は故意による身体犯という、交通事故だと危険運転だけと、そういうことになっていますから。当然早期援助団体ということでいくとそこにちょっとずれが出てきます。でも、被害者支援団体が広くあって、その中で指定を受けているこの部分は早期援助団体で警察提供情報もあってやると、それは十分いいと思うのです。ただ、その先に特定公益増進法人という、通称特増というものを受けるということを目指しているところもあるかと思いますが。特増というのはその早期援助団体としての事業、そういう対象の支援が7割以上という限定がありますから、そうするとこういうふうに基本法では幅広く被害者を広げているのに、でも7割って、え、そうするとどこでそういうふうにそれの整合性を考えるのかなと。じゃあ、被害者をこれ該当しない人はちょっとこのくらいにしておいて、こっちに該当する人にいっぱい時間かけなくちゃみたいなことになると被害者を差別することにもなりかねないから、それはちょっとよく考えて私たちの団体としてもちゃんとよく考えていかなければならないなということで書きました。以上です。

○冨田座長 照山さん、どうもありがとうございました。次に、おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長のかわさき政宏様から、サポート・ファミリーズの活動状況と財政運営状況についてご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

かわさき氏(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長) NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズのかわさきです。お手元に資料とともにニューズレターがございます。それから、白焼きのコピーで、岡山県警の被害者の手引からの抜き刷りと、それから県内の団体の活動状況を示していますものと、全国の自助グループの状況、その3枚がお手元に資料としてあると思います。あとは資料に沿ってご説明したいと思います。
 おかやまの民間支援の状況につきましては、2年半の歴史があります。最初の1年で被害者サポートセンターおかやま、私も関わっておりましたけれども、2つに枝分かれをして、被害者サポートセンターおかやまは早期援助団体の指定を目指して社団法人化し、私たちの被害者サポート・ファミリーズは自助グループを中心の活動へと2つの方向で分かれていきました。
 1年やってみまして電話相談の数がやはりなかなか少ないという実態があります。なぜ電話相談が少ないかといいますと、やはり被害者の方の声を聞きますと、被害直後はなかなか電話に手をかけることができないということがありました。したがって、サポートセンターの方は早期援助団体の指定を目指して警察と密接な連携をとっていくという方向を目指されました。私たちの方は当事者の方が地域の中で声をあげられないままいる現状がやはりありますので、電話に手が届かない方がいかに地域の中で集まれる場ができるかということで、地域の中に当事者の方たちが集まれる場を形づくっていこうということで動き始めました。
 したがって、枝分かれの経緯もありまして、我々の支援の視点というのは当事者の方たちが大きな団体をつくっていくことになかなかついていけないということがありましたから、やはり当事者の方たちと支援者が一緒に団体をつくっていこうということになりました。被害者が入っていない支援組織にはやはり被害者の視点がどうしても欠けてしまうので、当事者の視点をきちんととらえて一緒に運営していこうということで、自助グループと電話相談を2つの柱にして、当事者でなければできないこと、それから当事者だけではできないことということで、当事者の方たちの自助グループ、それを周りでボランティアの方が支える。そして、電話相談はその自助グループへの入口としての機能を果たしていくという形で動き始めました。
 活動している中でこの当事者の方たちが自ら声を発していく。発することによって呼びかけに応じて既にもう13名の方がつながってきておられます。1年数カ月なんですが、自助グループの輪が広がっています。これは自助グループを毎月第3土曜日に開催しながら、さらにその自助グループがこういう場にありますよということを分かっていただくために、今当事者のための当事者による連続講座ということで、大体年間10回を計画して、今5回目まで連続講座が進んでおります。マスコミが非常に協力をして、今回は少年犯罪の遺族の方、今回は未解決事件の遺族の方、今回は交通死の遺族の方という集まりを設けまして、県内の方、県外の当事者の方をお招きして交流の場をつくっていくという活動をしています。毎回その講座を開くたびにお一人お一人その新聞記事を見てつながって来ておられるという状況があります。
 このつながりの場ができるということがそこから当事者の方相互のピアサポート活動、仲間支援、相互支援というふうに私はとらえていますけれども、同じ気持ちを抱いた方がグループに一堂に集まるのは大変かもしれませんけれども、お互い何か自分にできることはないだろうかということで新たに加わった方にサポートしていく、助言をしていくというふうな活動が既に始まっています。
 これは既に全国の被害当事者の方たちの団体の中では相互に支援傍聴をしたりとか、自助グループの中でお互いの情報交換、そういったことはしているようですけれども、なかなかこれが表にあらわれない活動だということで、これをきちんと形にしていきたいというふうに思っております。
 したがって、こういう地域の中で地域に根ざした当事者の方たちがなかなか声をあげられないままずっと声を押し殺して事件後の生活を生きている、そこを何とか集まれる場をつくって、長期的な支援をやっていきたいということで我々は動いています。
 したがって、早期援助団体がとても大切であることは私たちも十分理解しておりますけれども、事件直後からすぐ支援に入れなくても、事件からかなり長期間たったまだ深い傷つきを抱えたまま地域で暮らしている方たちの集まれる場、それを継続的に保っていきたいということで長期的な支援を1つの視点としてとらえています。
 そして、我々が当事者の方たちと支援者が一緒に活動していく上で、やはり今回の犯罪被害者等基本計画は非常に心強い青写真ですので、それが形だけの施策として県・市町村レベルに下りてこないように、草の根で現場から当事者の方たちが行政に声を届けて、血を通わせていくという活動を我々のNPOのミッションとして現在行動をしています。
 全国被害者支援ネットワークに加盟しない理由につきましては、そこにありますように、1年間サポートセンターで電話相談を受けてみまして、先ほどいばらきの統計にもありましたように、最初の時期というのはどうしても経済事犯等一般的な悩みの相談的なものが半分以上を占めるというような現状がありまして、真に支援を必要としておられる方への直接的な支援になかなか結びつかないということがありました。我々は生命犯、それから性被害、DV、虐待、被害類型を特定して広報しておりまして、そういった意味で電話にかかってくる相談案件は一般の悩み相談とか財産被害の相談はほとんどありません。交通死の方からの電話相談が大半を占めているような現状です。
 先ほどの岡山県警のリーフレットにもありますように、県下今3つの団体があるんですが、サポートセンターは性被害の方の相談は比較的早い段階から県警と結びついて動いておられるようです。我々は交通死の遺族の方たちの自助グループ的な活動が中心になっております。
 また、さんかくナビさんはDV被害者の支援、これもシェルターを持っておられまして、生活の場の中からの支援ということで、自助グループを定期開催しながら法廷付添い、生活のすべての面でのサポートをしておられるということで、当事者が集まるところに必ずその支援の芽がありますので、それを1つ1つ形にしていくということでやっております。
 あと全国ネットに加盟しない理由としては、先ほど加盟金とか研修に東京まで岡山から出向かなくてはいけないということで、かなり莫大な費用がかかります。そういったことで、我々がまだ1年目ということもありまして現時点では加盟はちょっと難しいなという当事者の方からの声もありまして、現在は加盟しておりません。
 また、10月3日の支援の日の行事あるいは犯罪被害者週間の行事に対する考え方についても、全国ネットワークとそれから全国犯罪被害者の会の考え方の相違の部分もありまして、おかやまでは、先ほど白焼きのコピーの中にありますように、サポートセンターの方は県警と密接な協力をとりながら、ちょうど商店街を県警の方たちと同じTシャツをそろえてパレードをされたということがありまして、こういう形の広報活動も1つ大事なことだとは思いますけれども、被害者の方たちがこういう広報活動にはやはり参加しづらいということ。また、県警と連携をとるということで、交通死の遺族の方たちの中には警察の初動捜査に対して非常に不信感を持って自助グループに加盟しておられる方も複数おられます。そういったことでこういう形の行事にはなかなか一歩踏み出せないということで、枝分かれの経緯もありまして、こういう形での行事とは一線を画したいという意見で全国ネットの方には加盟しておりません。
 それから、活動内容につきましては、電話相談と自助グループが中心でありますが、電話相談の中から直接支援が必要な案件につきましては、弁護士、臨床心理士、それから精神科医の方たちと密接な結びつきは県内で持っておりますので、既に14名の方への直接支援は行っております。電話相談はやはり相変わらず少ない状態です。交通死の方が20件程度、61件のうちの20件は交通死の方からの相談というふうになっております。
 自助グループは既に毎月第3土曜日の定期開催が行われるようになりまして、これは自助グループの中心的なメンバーが少年事件の遺族の方、それから未解決事件、奥様が誘拐されたまままだ発見されていないという、精神科医の方が当事者となっておられますので、その精神科医の方と少年事件遺族の方、この2名がファシリテーターとして自助グループを定期開催しています。既にのべ80名の方が参加しています。この自助グループの中からピアサポート活動が活発に行われているのが現状です。ちょうどこの9日にも連続講座が開かれたのですが、連続講座の場に参加されていた当事者の方、新たに加わった交通死の遺族の方がその場に参加されて非常に涙をこぼされていたところにそっと近寄って、先に加わっていた遺族の方が声かけをされて、非常にご自分を責めておられる当事者の方を抱えるような形でサポートされていたのを目にしております。
 それから、当事者、支援者による講演活動も既に17回行っておりまして、警察等への研修も当事者の方が出向かれております。それから、連続講座は既に4回、9日に5回目の講座を開きまして、250名ほどの方がのべ参加しております。
 そして、行政とNPOとの協働事業が新たな活動として始まっております。これは基本計画をどう具体化していくかをNPO法人としてこの6月6日に設立できたこともあり、岡山県が非常にNPOと行政の協働を積極化しておりますので、NPOとして声をあげて、草の根で我々もやっていきたいということがあって、県民局単位で、県下3つの県民局があるのですが、1つ1つ県民局にこの協働事業の提案をして、まず備前県民局が最終審査まで残していただいて、まずこれは通ると思います。今年の下半期ですね、行政の方たちと基本計画を市町村あるいは県レベルで具体化していくためにはどういうことをまずできるかということ。当事者の方が一緒に加わって行政の方、当事者の方、そして専門職、精神科医、臨床心理士、そして大学の先生たち、一緒に考えていきたいというふうな活動を行っています。
 我々の活動はこういったまだ草の根の活動ですので、先ほど全国ネットの方のお話にもありましたように、予算規模からすると非常にまだ小さい規模です。これはむしろ活動が始まった初期の団体ではすべて同じような状況ではないかと思いますので、そういった意味合いで見ていただければと思います。
 年間の予算額が275万ということです。正会員は今20名おります。正会員の会費が5,000円。賛助会員の会費が2,000円ということで、会費収入は20万です。幸い当事者の方たちが声をあげたということがありまして、弁護士会の外郭団体の財団法人リーガルエイド岡山がNPOの立ち上げのために100万円を助成していただいています。あと、NPOの立ち上げの助成ということで、中国労働金庫から20万、そして県下文化振興財団で非常に大きなところの福武財団が15万を寄附してくださっています。また、赤い羽根の募金から30万の自助グループピアサポート活動の支援事業ということで助成をいただいています。
 そして、一番我々の収入源としては、当事者あるいは支援者が警察の研修に出向くとか、あるいは行政の方たちの研修に出向く、そういった講師謝金を当事者の方たちがすべて寄附してくださっています。既にもう17回の講演に出向いていますが、その講師謝金をすべて寄附金としてプールして活動資金に充てています。交通費等もかかるのですが、全部自腹を切って皆さん行っておられます。
 そういったことで、支出の面は電話相談が16万、そしてパソコンはサポートセンターの方に枝分かれの方に吸収されましたので新たにパソコンを買わざるを得なかったので18万ということで。一番大きな支出は連続講座です。この連続講座は毎回10万程度の支出が会場費、それから講師謝金で必要なのですが、先ほど申し上げましたように、地域の中で当事者の方たちが声をあげて交流をしていく、そういう場として非常に意味のある講座になってきています。当事者の方が声をあげ、語り、そして当事者の方がそこに集まって声を聞く。その周辺に支える方、支援者の方、ボランティアの方、また県の行政の担当の方が既に参加してくださっています。そして、教育委員会の方が参加してくださっています。また、精神保健センターの臨床心理士の方が参加してくださっています。そして、警察の方も県警の被害者対策室の方が参加してくださっています。そういうふうに徐々に徐々に参加してくださる方が多くなっています。
 また、幸いなことにマスコミの方がこの連続講座を非常にバックアップしてくださっていまして、毎回報道してくださいます。報道効果は非常にありまして、記事を見て次の回に参加したいという方が毎回毎回お一人ずつですが増えています。お1人ずつ増えていくことによって、現在13名の方が増えているということです。これは本当に地道な気の長い活動なのですが、やはり当事者の方が声をあげないとなかなかその声が届かないという現状があります。ただ、その声をやはりキャッチして、今までこういう場が欲しかった、語る場がなかったという方が非常に多いのですね。当事者の方と当事者の方がその場で出会われただけで何も言葉はなくても通じ合う部分があると、そういう場を何度も私は立ち会わせていただきました。
 1年たち、2年たち、3年たってやっと声が出せる方、そしてその思いを30分でも1時間でも語れる、そういう場がやはり地域の中に少しずつでもできていくという意味で、この連続講座だけは何とか定期開催ができるように、130万円から150万円を年間確保していこうと今自助努力をしているところです。
 それから、広報活動、自助グループの活動費は助成金をいただいたのでそこに計上しております。また、人件費については36万円、これは非常勤の職員の人件費ということです。
 我々の予算についての考え方につきましては、やはり支援者の養成、支援者の研修のための費用というのもこれは非常に大切なのですが、当事者に的確な情報提供あるいは当事者の方へのサービス提供、これをやはりNPOとしては最優先にしていきたいということで、当事者に還元される支出をやはり優先していきたいという思いでおります。したがって、支援のボランティアの方たちには非常に申しわけないのですが、支援者の方の研修については自己負担を原則として、ほかの方たちに伝達研修ができる研修については講座の参加費の半分をNPOとして助成するということでやっております。したがって、今は連続講座が当事者の方たちの交流の場であり、また支援者の方たちの学びの場でもあるという状況です。
 続きまして、サポート・ファミリーズの組織なのですが、事務局は私の法律事務所が場所を提供しております。もう1つ大事な電話相談の場所は、いのちの電話の相談員の方たちが電話相談員の方の大半を占めておりまして、幸いいのちの電話の相談の相談室を無償貸与してくださっている神社がいのちの電話の相談の1階下の相談室を無償で貸してくださっています。したがって、現状は相談室事務局とも無償でお借りできているということです。
 それから、自助グループの場が一番大変だったのですが、当初は私の法律事務所で第3土曜日定期的に集まっていただいていたのですが、10名ぐらいしか集まる場所がないものですから、NPOの申請をしてからは県のNPO会館の方の非常に明るいフリースペースを無償で使うことができるようになりました。登録団体としての登録を済ませましたので、NPO会館を無償で貸していただいています。これは自由に使えますので、そのフリースペースの1ブロックを自助グループ、そして理事会の開催場所として利用しています。これは岡山県が非常にNPOに対しては積極的に協力してくださっていることの裏返しでもあります。
 それから、常勤職員は現在ございません。常勤職員を雇用するだけの財政的余裕はありません。私の事務所で1名非常にNPOの事務、法人の事務について詳しい事務員が1名入ってくれましたので、その事務員がNPOの設立運営はすべてやってくれました。事務委託料はまだ払うだけの余裕が全くございません。
 非常勤の職員は、相談室に毎週土曜日詰めて、これは毎月3万円の報酬ということで活動をしてくださっています。電話ボランティアは無償です。そして一般ボランティア、これは講演のときに当事者の方が出向くときの付添いあるいは自助グループ開催のときの自助グループの調整あるいは連続講座の会場設営、そういったことをやってくださる方はいずれも無償でやってくださっています。
 専門家の参加につきましては、私が弁護士ということと、それから副理事長の精神科医の方は先ほど申しましたように被害当事者であります。この高橋さんが自助グループの精神的な柱でもありますし、相談員の方たちのスーパーバイズの点でも非常に心の支えになっています。非常にそういった意味で高橋さんが全体をファシリテートしてくださっているというのが我々の被害者と支援者が協働して溝がないように一緒に活動していける大きな支えとなっております。
 臨床心理士の方も枝分かれのときに両方の団体から距離を置かれたのですが、非会員としていろいろな面でホームページの立ち上げ等協力してくださっています。
 また、看護師の方が自助グループに1名加わっておられますので、そういった意味でも当事者間の非常につなぎの役をきちんとやってくださっています。
 そういった形で専門家が加わってくださっています。
 我々の活動、今対応できている点につきましては、当事者の方たちが集まる場ができ、交流する場ができたということと、非常に相互支援が当事者の方たち同士で始まったということ。そして、声をあげることによって行政が少し動くことに、一緒に動いてくれるようになり始めていること。そういったことが非常に大きなプラスの点です。ただ、まだすべての被害類型に対応できていないということと。やはり全国ネットに加盟していないということで情報不足の点があります。また、財政的な面でも非常に脆弱な点がありますので、少なくとも連続講座については常設化していきたいと、あるいは自助グループが定期開催できる財政的な基盤をきちんとつくっていきたいというふうに思っています。
 本当に助成金の申請をするだけでも非常に大変で、今週私は月曜日に県北の県民局に協働事業の提案に行き、火曜日は福武財団の助成金の決定を受けに行き、今日はここに来させていただき、あさってはまた東京都にもう一度助成金の申込みに再度来るというような状況です。そういった形で動いております。
 何とか助成金を得て当事者の方たちのピアサポート活動に焦点を当てて、当事者の方が地域の中で声をあげられないままいるという状況を打ち破っていきたい。そのためにはやはり地域の中に場をつくっていく。小さな場でも身近なところに場ができれば、そこから交流が始まり、そこから支援が始まるというのが1つの形ではないかと我々は思っています。
 そういった意味で、これはDVとか虐待にもつながる部分がありまして、先日の連続講座の第4回の際は、お子さんを連れてシェルターに避難されている方が連続講座に20名ぐらい来られました。その託児をNPOのさんかくナビのスタッフがやってくださって、講演に来てくださったのはレジリエンスの被害当事者の方、2名の方が講演をしてくださるという形で、非常に地域の中で小さいながらもいろいろな結びつきができていっているのが現状です。
 今後の課題としてはやはり教育現場、福祉現場にきちんと入っていきたいということを考えております。自助グループを有機的にネットワーク化してクリアリングハウス機能、つまり情報の中継基地として県下あるいはもう少し広がりを持たせてもいいかなというふうに思っています。
 いずれにしても、こういった活動をやっていく上では財政的な支援あるいは人の支援が必要です。特に人の支援では心ある臨床心理士の方、精神科医の方、保健師の方、そういった方の支援がどうしても必要になってきます。地域の中での当事者の方たちの集まり、当事者の方たちだけではとてもこれはできません。我々は精神科医の方が当事者でありながらファシリテーターとして関わってくださっているのでグループがまとまりがあります。これから小さなグループがたくさんできていく上ではどうしてもそういった心ある臨床心理士、精神科医、保健師などの方たちが地域の中で一緒に活動していただくことがとても大切だと思います。
 そして、今後、学校、教育委員会、そして人権教育にかかわっている方、そういった方たちがやはり被害者の問題は人権問題だということをきちんと理解して、多くの方が一緒に地域の中で参加してくださるということがとても大切なのではないかと思っております。我々ができることは自助努力でやっていきますけれども、今回民間団体への援助ということでどうしても経済的な側面で心もとない部分がありますので、そういった面では支援あるいは当事者の方たちの求めている実態あるいは実績に応じた支援をきちんとしていただきたいということです。当事者の方たち同士のピアサポート活動というのが実際行われているということ、そして当事者の方たちが当事者の方たちを支えていることは、当事者の方は被害を受けて援助を受けるだけの存在ではなくて、お互い援助を受け、また援助をするという、そういう支援をする立場でもあるということを忘れないようにしていただきたいということが、今日来させていただいた1つの目的でもありますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○冨田座長 続きまして、自助グループ六甲友の会世話人、そしてまた全国犯罪被害者の会、あすの会でございますけれども、の幹事、NPO法人ひょうご被害者支援センター監事であられる土師守様から、自助グループの活動実態と財政運営状況についてご説明をお願いいたします。

○土師氏(自助グループ「六甲友の会」世話人等) 六甲友の会の世話人をやっております土師です。
 六甲友の会といいますのは、いわゆる犯罪で大切な家族を失った遺族の集まり、いわゆる自助グループです。メンバーの構成といたしましては、兵庫県在住者が主体で、兵庫県の近隣の方も参加しておられます。
 私も役員をしておりますひょうご被害者支援センターが2002年1月に設立されましたが、その活動内容の中に被害者の自助グループを支援するという項目が含まれていました。当時、役員の中に私ともう1人高松さんという2人の犯罪被害者遺族が加わっておりましたので、その2人を中心にしてひょうご被害者支援センター発足当初とともに活動を開始したというのが私どもの会です。
 この会そのものはひょうご被害者支援センターとともにできましたので、ほかの自助グループとは非常に異なっているところがあります。まず、発足当初から臨床心理士の方々の参加を得られたということです。ひょうご被害者支援センターの役員は弁護士や臨床心理士、それから精神科医、税理士、いのちの電話を主宰しておりますYMCAと、私たち犯罪遺族で構成されていますが、その臨床心理士の方々が率先して、全くのボランティアとして会の活動に参加していただきました。その活動する場所も甲南大学のカウンセリングセンターというところを使わせてもらっていますので、非常に環境もいいところだと思っています。
 兵庫県というのは、皆さんご存じのように、阪神淡路大震災という未曾有の大災害がありました関係で、犯罪とは違いますけれども、被害者支援という気持ちを持った精神科医並びに臨床心理士の方々が多く育ったという背景があるかと思いますが、それが1つ非常にいい要因になったのではないかと思っております。
 私としましても自助グループの活動を開始するに当たって、単なる被害者遺族だけが集まるというのはよくないことだろうと思っておりました。ですから、最初にそういう被害者支援の気持ちを持った臨床心理士の方々の参加を得ることができたというのは非常に良いことでした。被害者遺族だけで集まりますと、どうしても気持ちが走り過ぎたりというところがあるのですが、それを適切にアドバイスしてもらったり、押さえてもらったり、また温かく見守ってもらえる、こういうことが自助グループの活動を促進していと思っておりましたので、非常によかったことだと思っております。
 自助グループの活動内容ですが、大体どこも似たような感じだと思います。大体、月に1度定例会を開いております。その定例会のときには、それぞれのメンバーが様々な話をします。普段近所の方には話ができないようなこと、悔しかったこととか怒り、それから社会への憤りなど、非常に悔しい話をしたりします。それ以外にも普通に世間話をして笑ったり、悲しんだり、そういうことも話します。やはりそういうことができるということが、精神の立ち直りには非常に重要なことではないかというふうに考えております。遺族同士という同じ傷を持った者同士の集まりだからこそ可能であるというふうに考えております。
 また、その定例会にはひょうご被害者支援センターの役員をしております弁護士の方もしくは警察の被害者対策室の担当の室長等に来ていただきまして、普段疑問に思っていることなどいろいろな質問をして、また専門的な話を聞きながら勉強するということもしております。ひょうご被害者支援センターが年2回シンポジウムを開いています。1回はネットワークの被害者支援の日に合わせたシンポジウムと、もう1回は総会を兼ねたシンポジウムと、計2回開催しています。会のメンバーが、そのときに手伝いをしたり、場合によりますとそのパネリストの1人として参加したりもしております。
 また、当然のことですが、支援センターではいろいろな研修会を開いています。電話相談員の研修会とか、直接支援要員の研修などですが、これらに参加して被害者の声ということで、1人だけではなくて複数のメンバーが参加していろいろな話をしたりしております。
 また、一昨年、メンバーの思いをつづった、そこに資料として置いています『おもかげ』という手記集を出版させていただきました。これも支援センターの役員の方にいろいろとお手伝いをしていただきました。表紙の題字や挿絵は理事長に書いていただきましたし、出版に関しましても、出版社を紹介してもらったりということをしていただきました。
 定例会には、被害者支援に関心があるマスコミの方も受け入れておりますが、その内の何社かが手記集に関しての記事を載せてくれました。特に毎日新聞は、兵庫版ですけれども、全部のメンバーの話を取り上げてくれました。マスコミの方々は、このような広報活動というようなことも手伝ってくれている状況です。このようなマスコミ関係の記者の方を入れていることによって、被害者問題をより一般の方々にもわかってもらえる一助になるのではないかという思いでやっております。
 自助グループの組織体制ですけれども、メンバーの数そのものは20人程度です。定例会には大体10人程度の方が参加しております。スタッフに関しては常勤、非常勤にかかわらずおりません。ただ、会の成り立ちの関係上、事務連絡等につきましてはひょうご被害者支援センターの事務局で協力していただいております。
 支援センターの役員で臨床心理士である兵庫教育大学の教授、甲南大学の教授2人が常に参加していただきまして、さらにその教室のメンバーがメモをとったり記録等含めてお手伝いをしていただいております。
 経費に関してですが、当会に関しますと会費そのものは集めていません。しかし、メンバーの会員資格というのも変なのですけれども、一応ひょうご被害者支援センターの正会員であるということを原則としております関係上、正会員の会費が年間5,000円ということですので、1家族に1口の会費を払っていただいています。
 会のメンバーが正会員であるという関係で、事務関係の費用等、またもし有償で施設を借りたりする場合はひょうご被害者支援センターから出したりしていただいています。また、遺族の手記の出版の費用、これも数十万かかっているのですが、この費用もひょうご被害者支援センターから出していただきました。ただ、最近その手記の出版で、販売といいますか寄附といいますか、かなり収入がありました関係上、その中から経費を出すことができるようになっております。
 事務所に関しましては、ありません。ただ、もう1人の世話人をされています高松さんが、自宅でかなりの事務仕事を行ってくれております。
 定例会の場所としましては甲南大学のカウンセリングセンターという非常に環境のいいところを使わせてもらっているのですが、ときどき使用できないときがありますので、そのときは公的な施設を借りてさせていただいています。
 このヒアリングに来るに当たりまして、5グループだけですが、私たちども以外の自助グループにも、アンケートの回答をお願いしました。そのアンケートの結果は資料のとおりです。大体活動内容に関しましては、ほかの5グループも大体同じようなことで、やはり定例会、それから勉強会なり講演、手記集の発行等が主体となっていると思います。
 組織体制にしましても、やはり自助グループというものの成り立ちから考えますと、被害者主体の会がほとんどだと思います。専門家の参加や協力をしていただけるところはごくわずかと思います。
 経費に関しましても、助成を受けているところは1つありますけれども、それ以外は助成を受けているところは全くありません。支援センターと関係しているところではその施設等に関しまして無償で借りているところがあるという程度だと思います。大体定例会のときに、参加費として500円から1,000円ぐらいのお金を集めているというグループが多いようです。
 現在、自助グループにおいて十分対応できている点、それと対応できていない点ということに関してですが、自助グループの最初の趣旨といいますのは、もともと被害者同士が話をできて、そして精神的な回復に向けてやっていこうというものですので、そういう意味では定例会ができているということで、対応できているということが言えると思います。しかし、さらに次の段階ということになるとやはり難しい状況だと思います。
 まず、どのグループにおきましても活動資金が不足しているということです。実際、定例会を開催するにしましても、自分たちだけで準備することが殆どです。そのような運営をアシストしてもらえるようなボランティアなり専門家なりが欲しいということがあるかと思います。また、定例会の場所についてですが、私どもは良い場所を無償で使わせてもらっていますけれども、定例会の場所を確保するために費用を払っているところでは、会員の負担を少なくすることかできたらという意見が出ています。
 次の問題ですが、自助グループに本当に参加したいと思いながら、そして実際に参加を必要としている人がたくさんいると思います。その中でもどうしても生きていくために、生活するために仕事をしていかなければいけないということで、仕事を休むことができずに会に参加することができないとうい方がやはりかなり多数おられるというのも現実です。また、自助グループの存在さえも知らない人も多くおられると思います。ですから、これらの方々に参加できるようにして、立ち直りの一助にしたいというのが思いです。
 それと、自助グループ同士の、つまり他の自助グループとの間の連携がない、できないということが大きな問題かと思います。自助グループといいますのはどうしても地域に足元を置いています。他府県であるとか地方が変わってきますと、ほかのところではどういうふうにしているのかということの情報を知りたいということがあるのですが、そのような集まりをつくろうとすると、やはり資金的な問題が非常に大きいのではないかなと思います。そういう集まりがあればまたいろいろできるのではないかなと思います。
 財政的な問題がなければかなりの部分において対応可能ではないかと私は考えております。
 まず、その財政的な問題がなかったとしましても、すぐに対応できないこととして、やはり人の問題が大きいのではないかと思います。いわゆる専門家の協力が欲しいといつも希望が出るのですが、専門家、専門家と言いますけれども、精神科医なり弁護士なり臨床心理士なりにしましても、資格を持っていれば被害者支援の専門家というわけにはいきません。専門家を養成するのには時間がやはりかかります。講義を受けただけでも専門家にはなれませんし、講義と実践を合わせながら地道に育てていかなくてはいけないというふうに私は思っています。ですから、資金に加え、人手というのが非常に被害者支援にとっては重要なことであろうというふうに考えております。
 また、被害者基本法が制定されましたけれども、各地域、自治体での支援の具体化というのはこれからです。まだ被害者等の一般社会への浸透は非常に浅いというのが現状だと思いますので、一層の理解と協力者を得るために啓発活動が非常に必要ではないかと考えております。
 国・地方公共団体から受ける援助として、財政的援助以外にどのようなニーズがあるかという点ですが、内容は資料に書かせていただいているとおりです。何回も言いますが、専門家の育成は非常に重要なことだと私たち考えております。本当に一朝一夕でできることではありませんので、被害者支援の専門家を継続的にきちんと養成できるシステムを構築してほしいというふうに願っております。
 あとはまとめの方になりますが、自助グループに関する支援そのものは民間の支援団体に比較しますと必要な経費そのものはそれほど多くはないのではないかと思います。その自助グループの援助の仕方としましては、ここにも書きましたけれども、2つ方法があるのではないかと思います。自助グループそのものは、被害者支援センターとの密接な関係がある自助グループと関係が希薄なグループと2つに分けられるのではないかなと思います。被害者支援センターと密接な関係がある場合でしたら、被害者支援センターを通じた援助でもいいのかなと思いますし、そちらの方が、人的にも効率的な運用ができるのかなと、私は思います。支援センターと密接な関係がない自助グループには、それなりの援助は必要ではないかと考えております。
 自助グループの活動そのものは民間支援団体の支援と同様に促進していただけたらと私自身思っております。
 最後になりますが、私は、ネットワークに参加しておりますひょうご被害者支援センターの役員もしておりますので、少しだけこの点に関しても意見をお話しできたらと思いますので、よろしくお願いします。
 どこの被害者支援センターも同じだと思うのですが、水戸のいばらき被害者支援センターの方もかなり経済的にきついようなことをおっしゃられていましたけれども、やはりひょうごにしましても経済的にはきつい状況が続いております。多くの支援センターは財政的基盤が非常に脆弱なものです。ひょうご被害者支援センターも、早期支援団体となっておりませんけれども、直接支援に関しましても現在行っています。兵庫といいますのは非常に事件が多いところです。昨年もJRの事故があったりとかでひょうご被害者支援センターも非常に活動をしております。この助成に関しましてもできましたら、意見書に書きました形での助成と寄附金控除についてまた考えていただけたらと思いまして、最後にお願いをさせていただきたいと思います。

○冨田座長 ただいま4名の方々から民間団体等の活動の実態についてご説明をいただきました。それでは、これまで4名の方々の説明に対しましてご質問のある方、挙手をお願いいたします。

○番構成員 ご説明いろいろありがとうございました。とてもいろいろな状況がわかりまして参考になりました。また、ネットワークの渡辺さんにはこのためにいろいろアンケートをとっていただきましたが、貴重な資料だと思います。
 そこで、渡辺さんに伺いたいのですが、レジュメの2ページの各地の団体からの聞き取りアンケートですか、その結果で財政的援助のありようとして、受け皿となる組織があることが望ましいとする意見が多く80%ということですが。具体的案は出てこないということですが、例えばネットワークあるいは渡辺さんご自身の考えとしては、どういうような受け皿となる組織が望ましいのか、現在のネットワーク事務局の問題点も含めて、どういう組織を望むのか、漠然としたもので結構なのですが、少しお話しいただければと思います。

○渡辺氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長) 今、私の極めて個人的な見解ですけれども、考えているのは、加害者の方が刑務所を出てきたり仮釈放になったりするときに使われる手法が、更生保護団体を経由してそういう施設に入ったりということがありますけれども。被害者の問題に関してもそれに類似の組織があった方がお金も動かしやすいし、人も動かしやすいのではなかろうかと考えております。ネットワークの内部ではネットワーク事務局がそれをやったらいいだろうという意見がありますけれども、条件が整えばやりたいというふうには考えております。
 そのためには一定のガイドラインを持って、組織としてのレベルを吟味して、ガイドラインを持ったところで援助をきちっとどういう団体にどういう条件で出すのか吟味するような組織はどうしても必要だろうというふうに思います。だからそういう団体があった方がいいのだろうというふうには考えております。お国の方で全国の団体に直にお金を配るというのは、その負担等から言えば、マイナスがちょっと大きいのかなというふうに思います。
 余り煮詰まった意見ではありませんけれども、そんなところを考えているところですが。

○中島構成員 本当に各団体の方々から貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。いろいろ見えてない部分についてもお話しいただけたことでいろいろ検討できることがあるのではないかと思います。幾つかお伺いしたいことがあるのですが、まずは全国被害者支援ネットワークの渡辺様にお伺いしたいことがあります。
 まず、確認事項なのですが、資料の4ページの方にネットワーク加盟団体が財政的援助を得るに際して基本的な考え方ということで、全国被害者支援ネットワークの目的というのが早期援助団体あるいはそれを目指す団体に今限定しているということなのでしょうか。まずその点をお伺いしたいのですが。

○渡辺氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長) 少なくとも能力といいましょうか力量の基本的なレベルとしては早期援助団体としての力量があった方が当然仕事をする上で妥当であると考えます。最も、ネットワークの会則及び入会規程に規定されている条件は早期援助団体または早期援助団体を目指す団体であります。基本的には早期援助団体あるいはそれを目指す連合体です。それ以上の固い議論はまだ詰めていないところであります。とりあえずの目指すレベルがそのレベルであると考えていただければ結構だと存じますが。

○中島構成員 それに連動したことなのですけれども、今まで出てきたお話の中で財政的問題で困ってらっしゃる点で、事務所あるいは環境的な問題、あるいはその人員の確保ということが参加団体の方から挙がっているということなのですが、前に三菱総研の調査でもちょっと出ていたのですが、実際の支援にかける費用に比べるとその事務局等の運営費用の方がかなり多いということなのです。支援にかける費用としてどういったもの、あるいはどれくらいのものといったような支援そのものにかかる費用についての希望とか内容といったものをアンケート等でおわかりになっていればちょっと教えていただきたいのですけれども。特に早期支援を目指すということであればかなりの経費がかかるということは想定されると思いますので。

○渡辺氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長) 現在私どもが持っている会則の中に早期援助団体プラス早期援助団体を目指すものという文言があるんですね。ですから、そういう団体を目指すためにはそういう物理的なハードルがどうしてもございますので、そこはどうしてもクリアしたい。特に早期援助団体の公安委員会からの指定の中に支援員、相談員という資格がありますけれども、これはさっき照山さんが申し上げましたように、かなり厳格な、かなりレベルの高い資格要件でありまして。支援をする以上はそういうレベルの高いものを目指したいというのが私どもの考えでありまして。そのための援助をいただければというのが私どもの望みでございます。
 したがって、確かに援助の中に早期援助団体の資格を取るということになれば、建物あるいは部屋、設備等々にかける費用が比重としては高くなる、これはやむなしというふうには考えているところです。

○中島構成員 今の段階で支援にかける具体的な費用についての細かいところはあがっていないというふうに理解すればよろしいですか。

○渡辺氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長) 今のところ細かいデータございません。恐れ入ります。

○中島構成員 いばらきの方から非常に具体的な支援の例が挙がったのでちょっとその点お伺いしたいのです。細かいいくらというお金ではないのですが、例えば直接支援、法廷付添いなどした場合、1件にどれくらい実際のところ費用がかかるのだろうかということをお教えいただけたらと思います。

○照山氏(社団法人いばらき被害者支援センター事務局長) なぜかいばらきの場合には県南、県西に事件が多くて、裁判に出向くのがどうしても遠方の裁判所になります。そうしますと、まず私どもは日本財団のお金で車を買うことはちょっと無理だと考えました。車を買った団体もありますけれども、その後の維持費とかいろいろ考えると。県の方の166万の予算の中にレンタカーというものが計上されておりまして、そのレンタカーを使って行きます。したがって、例えば1回裁判、土浦に行ったとする。通常、特殊な5人だの8人だのは別にして、犯罪被害相談員と支援員と2人ペアというのが原則なのですね。そうしますと、場合によってはレンタカーもワゴン車を借ります。ワゴン車を1日借りた場合1万2,800円です。普通のセダンですと8,400円です。法人契約でしていてその金額です。場合によっては2日連続で借りなきゃならないこともあるのですが、通常24時間とします。借りたとして、まず1万2,800円の車代。高速代が往復で1,050円掛ける、場合によっては1,150円なのですが、だから2,300円ぐらいかかります。ガソリン代が土浦まで往復して大体1,300円から1,500円ぐらいです、ちょっとガソリン代上がってきてるんです。当然、支援に関しては往復25キロ以上の支援になりますと規定上、非常勤職員に全部位置づけていますから、旅費の支払が出ます。1日遠方ですと2,200円、水戸の裁判ですとゼロです。ただ、遠方だとそういうことになります。日当だけでも4,400円。今ちょっと私計算機を持っていないけれども、それを大体合わせますと計算されるかと思うのですが、それが最低の金額です。
 場合によっては駐車場を借りたりとかいろいろなことが発生してきたりありますけれども。例えばとてもこれはご本人が出すと言っても、さっきの支援例のように2日がかりでも1日がかりなんていうときはもう彼女の好きなお弁当まで飲み物までクーラーボックスに用意していきますから、そういった費用もこちらで用意します。
 それから、駐車場を確保するのにずるいのですが、三角の駐車禁止とかいうものまで車に積んで行きます。何かあるととめられなくなったら大変だとか言ってそういうのを置いちゃったりとか、様々な苦労して、そういった細々したお金もかけていまして。でも、さっき言った基本的に高速料金、レンタカー代、日当、ガソリン代、それは最低のお金ですね。

○中島構成員 そうすると、直接支援1件やると数万円かかるということですか。

○照山氏(社団法人いばらき被害者支援センター事務局長) そうですよ。それを月に何回もやったりします。場合によって朝早いと前日から借りたりすると、場合によって2日借りることにもなってしまうのですね。そうすると金額が倍なのですよ、レンターの。

○中島構成員 そうすると、その支援活動をすればするほど出費が増えるということになるわけですよね。

○照山氏(社団法人いばらき被害者支援センター事務局長)そうです。だから、そこがいたしかゆしで、日本財団の助成があったから直接的支援を進めようと一生懸命その経費を使ってやりましたけれども、財団のお金がなくなって自助努力で何とか頑張ろうと、金集めに奔走しましたけれども、限度がありまして。じゃあ、その進めてきたそれだけお金使って直接的支援しても、今度はお金の助成がなくなったらそれができなくなって、みんな全部自分の車を使い、被害者の方に接するとき、お乗せするときには絶対レンタカー以外は使いませんから、自分たちの車で行き、ガソリン代も自分で出し、日当もなしで、朝早くから遅くまで、夜8時まで裁判やってたこともあります。本当に予期せぬ出来事が起きまして。そうしましたら、本当にそのお金を全く自分たちが持ち出しでやれるかどうか、今までどおりの支援を、それがとても私は不安です。

○林構成員 川崎先生、いい話をいろいろ聞かせていただきましてありがとうございました。私も被害当事者でありまして、ピアサポートのお話、非常に心打たれるものがありまして。結局、先生の情熱と高橋ドクターの情熱というのがあるんですけれども。これ組織としてずっと維持させていくということについては、例えば先生がひょっとしたら病気になったときどうなるのかと思うんですけれども。組織化するとすればお金も何もかも要るんですが。先生がもうちょっとこういうのがあればいいなというようなものというのは、もうちょっと踏み込んだ話というのはないでしょうかね。

かわさき氏(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長) 今ピアサポートの話が出ましたけれども、これは当事者の方が当事者の方に対して相互の支援ですね、仲間支援なのかもしれないのですけれども、それを組織化するのはなかなか大変なことだと思います。ただ、当事者の方たちが最初は支援を受ける側かもしれませんが、何回か自分が支援を受ける経験を踏まえて、次の方への支援というのは必ずつながりができてくるわけですね。
 具体的には我々の今やっている方では、刑事裁判の中でたちまち意見陳述、次の期日までにやらなくてはいけない、どうやって書いていいかわからない。前に一度経験した方が自分の書いた資料を次の方に渡して、私はこういうふうに思いを伝えたと。今度はその方が自分で検事さんに話を一緒にしに行き、自分で書かれると。今度またたまたま次の方で意見陳述、日にちが決まってるんだけれども、1人で抱え込んでしまってどうしようもない。今度は2人の方がその方をサポートできるという形で支援の輪が広がっていくんですね。
 ですから、組織化はなかなか難しいんですけれども、うまく前にこういうことをやった方がいますよということを当事者の方でコーディネートできる方がお1人2人と広がってくれば、体験とか経験の蓄積をグループの中でやっていき、こういう場面ではこの方の経験が生かせるとか、そういうグループの中のコーディネーター的な役割の方ですね、それを徐々に形ができていくのじゃないかと思います。当然その場には、私も立ち会って一緒にサポートをしますけれども、やはり専門家の支援がどうしても必要です。ですから、当事者の方たち同士の仲間支援であると同時に、専門家の心ある支援がどうしても必要になってきます。
 では、今度その専門家をどう育てていくのかというのはこれは一番大変な話で、さっき土師さんもおっしゃっていましたように、資格があるからできる話ではありません。むしろ弁護士は被害者支援にはむしろ余り慣れていないというか、弁護士だから被害者支援ができるということではありませんので、むしろ当事者の方から学ぶ、当事者の方とともに学ぶという姿勢で一緒にグループに入ってきていただいて、一緒に活動する中で見えてくる部分が多いと思いますので、そういう人を1人でも増やしていく、そういう動きをとっていかなければいけないのではないかというふうに思っています。むしろその辺はあすの会とか皆さんが専門の方をどんどん巻き込んで理解を広めていくという活動、非常に参考になると思います。

○冨田座長 定刻も過ぎていますが、私の方から1点お伺いしてよろしいでしょうか。どうも貴重なお話ありがとうございました。土師さんにお伺いしたいんですですが。六甲友の会には5つのグループが入っているということですが、六甲友の会自体が連合会みたいな感じではないんですか。

○土師氏(自助グループ「六甲友の会」世話人等) これはあくまで知り合いの自助グループに話を伺ったということです。やはり1つのグループだけよりもほかのグループの話も一緒に出した方がいいのかなということで出させていただきました。

○冨田座長 それからもう1点なのですが。幾つかの民間の被害者支援団体では自助グループへの支援を提供する支援サービスの1つとして位置づけているところが随分あるんですが。そして六甲友の会とひょうごの支援センターとの関係というのはかなり密接のようにお伺いしたわけですが。ただ、でもつかず離れずというような関係のようにお見受けしたんですが。その何かそういう関係のとり方というのはどの辺からそういうふうにお考えになったんでしょう。

○土師氏(自助グループ「六甲友の会」世話人等) 私自身当初から臨床心理士の方の協力を得たいと思っていました。私自身、一応医者という仕事をやっていますので、やはりこれを継続して続けていくためには、こういう言い方はよくないかもしれませんが、学問としてやる、1人の経験だけで終ってしまうのでは次の世代につながらないと思いました。やはり実際の大学教授ですから、協力していただいて、一緒に被害者遺族の立ち直りを助けていただきながら、それを次の被害者支援に生かしてもらう、これはもう私たち被害者にとっては一石二鳥と言ったらおかしいかもしれませんが、そういう気持ちもありました。やはり系統的にきちんとしていくということは重要なことだと思ってそのように考えました。

○冨田座長 もう1点皆さんにお伺いしたいことは、公的、国や公共団体からの補助のあり方なんですが、どういう形が望ましいのか。1つは、例えばアメリカのような例で言うと、こういう活動にお金をつける、こういうプロジェクトにお金をつけるというあらかじめ国なり地方公共団体の方が方針を示して、それぞれの団体が申請をしてそれに審査をした上で補助をというか補助金をつけるというような形はいろいろなところで行われているように思うのですが、そのような補助のありかたというのはいかがでしょうか。そういうのは余り望ましくないというふうにお考えなのかどうかということですけれども。

○渡辺氏(全国被害者支援ネットワーク事務局長) 選択肢の1つにはなるのではなかろうかとは思います。ただ、それにも多分一長一短があるのだろうと思うんですね。うちはこういうプロジェクトをしますといわば競争して申請をして、では、君のところに2,000万円つけようとかとそういうことになるんだと思うんですね。そういう能力なり人数なりいるところはそれでいいのでしょうけれども、こういうプロジェクトをやりたいのだけれども、人はいない、物理的な条件もない、だから競争型になるととても申請できないという組織も多分出てくるのだろうと思うのです。だから、そういうのが一長一短が1つ。
 それから、もう1つ考えられるのが、各団体にその団体の大きさとか地域の人口であるとかさまざまなファクターを勘案して、君のところは今年はこの予算でやってみなさいといったような上から下ろしていくやり方、これも1つあるかなと思います。どれがいいのかというのは現場でいろいろ話はしているのですが、ちょっと結論は出ていないなというところであります。

○土師氏(自助グループ「六甲友の会」世話人等) その考え方には私も賛成ですが、それだけでなく、もう1つ、予算を配分するということだけではなくて、やったことに対する評価をきちんとする必要があると思うんですね。こんなことやりました、こんなことやりましただけではよくないだろうと。本当に被害者のための支援ができていたのかどうかということをやはりきちんと評価する、そういう組織がいるのではないか。そのためには実際に被害者の人にアンケートすると言ったらおかしいですけれども、学生が教師を採点するようなことかもしれませんが、やはりそういうことも必要になってくるのではないかと思います。

○冨田座長 それでは、どうも長い時間にわたりまして、渡辺様、照山様、川崎様、土師様におかれましてはお忙しいところご説明いただき、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、事務局から海外調査の調査項目等についてご説明をお願いしたいと思います。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 時間も過ぎておりますが、資料5ということで、配布資料の最後のところをご覧いただきたいと存じます。
 調査項目についてということで、まず各国共通ということで、4つの国に行こうと思っているわけですけれども、各国共通で把握する必要があるのではないかという項目を掲げております。
 それから、以下、前回6月30日の合同ヒアリングも踏まえまして、それぞれの国でさらに深く調査すべき項目、あるいはこういうところを訪問したらいいのではないかという候補を掲げさせていただいております。詳細につきましては後ほど参事官より説明をさせたいと思っております。
 また、海外調査の人選ですけれども、有識者の構成につきましては、アメリカにつきましては本検討会の冨田座長に、それからイギリス・フランス・ドイツにつきましては経済的支援に関する検討会の平井構成員及び、支援のための連携に関する検討会の奥村構成員にそれぞれお願いをし、内諾をいただいているところであります。
 なお、事務局宛てに3日ほど前ですか、一部の構成員の方から海外調査はそういうあるべき制度の姿を議論した上でやるべきで、9月は早過ぎるのではないかと、あるいは調査の人数、日数が少なすぎるのではないかといったご意見を事務局宛てにいただいたわけです。この海外調査につきましては前回の会合あるいはこの検討会で言えば第2回の会合におきましてもこの秋以降、今ヒアリングをしておりますけれども、この民間団体への支援活動のあり方あるいは国の援助のあり方を議論するための材料として海外調査を実施するということ、時期につきましても、したがって9月ごろ行うということで一応ご了解を得たものと承知しておりまして作業を進めているところであります。
 また、調査の人数、日数もできればもちろんもっとたくさん長期間かけてやりたいところもあるのですけれども、ちょっと予算上の都合等もございまして、まことに申しわけないのですけれども、そういうことでご理解を賜りたいというふうに考えております。
 いずれ今日ご議論いただきたいのは、聴取項目あるいは訪問先等についてできるだけお知恵を拝借して、有意義な調査となりますように先方との日程調整等を行いたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室高津参事官) それでは、海外調査につきまして、前回の合同ヒアリングの結果を踏まえまして、事務局で作成いたしました調査項目案及び想定している訪問先について説明させていただきます。引き続きお手元の資料5の1ページ目をご覧いただきたいと思います。
 その上段に記載されておりますのが各国共通の調査項目についての事務局案ということになります。なお、各国が行っている民間団体に対する財政援助につきましては既に合同ヒアリングの際に重点を置いて説明をしていただいたところでもあり、各国の財政援助形態の違いもありますことから、さらに深く聴取が必要と思われる点を各国別の調査項目の中に入れておりますので、各国共通の調査項目の中には直接は入っておりません。
 まず、各国共通の調査項目についてですが。犯罪被害者等支援している各国の主要な民間団体につきまして、その組織体制や活動の概要、活動の実績、財源などについて聴取し、その次の○の5番目に全国的な民間団体等とありますが、ちょっと意味がわかりにくいかとも思いますので、補足して説明させていただきますと。各国の主要な民間団体のうちでの団体本部や傘となる団体という意味で記載しているものでありまして、それらの主要な民間団体の本部ないし傘となる団体と支部あるいは傘下に入る団体との関係につきまして、具体的には傘下の団体となる認定の要件や財政等の援助内容について聴取をし、各国の主要な民間団体の基礎的なデータの把握をしようと考えているところであります。
 さらにそれが主要な民間団体への財政的援助以外の援助の有無や内容、自助グループへの援助や連携協力の有無及び内容について聴取をしたいと考えております。
 以上が各国共通にその状況を把握し、整理しておきたいと考えました調査項目でございます。
 これらの事項に加えまして、各国が固有に持っている制度や民間団体の状況も踏まえまして、各国別に調査項目を盛り込んだのが1ページ目の下段以降ということになります。アメリカにつきましては、1ページ下段に記載してありますとおり、犯罪被害者基金の運営体制や財源についての考え方、基金への寄附や遺贈等を行う場合の税制上の優遇措置の有無や内容。州の被害者支援補助金により財政的援助を行う際に対象となる民間団体等の資格要件の内容や根拠。基金以外の民間団体等に対する財政的援助の有無及び内容等について調査をしたいと考えております。
 訪問先につきましては、これはアメリカに限りませんが、各国側との調整により調査項目に照らしまして最もふさわしいところを選定するということになりますが、現在のところアメリカにつきましては司法省、いずれかの州の被害者支援補助を担当している部局、実際に被害者支援を行っている民間組織を候補として想定しているものであります。
 イギリスにつきましては、2ページ上段に記載しており、被害者基金の運営体制、同基金より性犯罪被害者支援団体等を助成する際の資格要件の有無及び内容。基金の財源についての考え方などについて聴取をしたいと考えております。訪問先につきましては内務省とVS本部を候補として想定しているところであります。
 その下のフランスでは、INAVEM以外の民間団体に対する財政的援助の有無及び内容等について聴取をしたいと考えております。訪問先につきましては、法務省とINAVEM本部を現在は候補として想定しております。
 最後にドイツですが、ドイツでは「白い環」が交通事件の罰金からの割当金を活動資金としている理由や背景。「白い環」以外の民間団体等に対する財政的援助の有無及び内容等について聴取をしたいと考えております。訪問先につきましては、「白い環」本部のほか、民間団体等に対する財政的援助を担当している部局を候補として想定しております。
 調査項目及び訪問先に関しましての事務局案の説明は以上であります。

○冨田座長 今の事務局からの提案に対してご意見があればお願いします。

○林構成員 その期日を、この間要望書として出させていただいたんですが、やはりあすの会とすれば私たちの報告書、2つ出てますけれども、かなり入念な準備をやり、事前に手紙のやりとりもやり、ということであったわけで、先ほど材料として説明していただいたんですけれども、やはりその材料も一級品であるべきだと思っております。拙速にすることはちょっとやはりおいた方がいいんじゃないかなということと。
 この第3の検討会でもこの間やったんですけれども、1と2の方でのまだもうちょっと突っ込んだ話もやった上での方がいいんじゃないかなと思うので、もうちょい他の検討会でも重ねてからお願いしたいなと。是非ちょっともうちょい時間をかけてお願いできたらありがたいかなと思っております。

○冨田座長 いかがでしょうか。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) ご意見、要望書もいただきまして私どももしっかり検討させていただいたのですが。9月の段階で行かないと、これはそういう海外の状況も十分精査した上でやはり我々の考えをこの検討会としての結論をまとめていく必要があると思いますので、どうしても時期的には9月だろうと。おっしゃるように、中身の濃いものにしなければいけませんので、当然別の構成員の方からも別の検討会のあすの会で行われた検討結果につきましてもいろいろお知恵を拝借しておりますので、そういうものを十分聞いた上で中身の濃いものにしたいというふうに考えておりますので。ただ、時期と期間とか構成員とか、その辺につきましてはぜひご勘弁いただければというのが当面の我々の考えであります。
 これは、1の検討会でも2の検討会でもこの検討会でも一応この間のときもそのようにご説明申し上げて特段の反論もなかったわけでございますので、我々としてはそういうことでやらせていただければ非常にありがたいと思います。
 ご趣旨をもう一度別途の機会にでもご説明させていただく機会を今お願いをしておりますので、そんなことでよろしくお願いしたいと思います。

○林構成員 基本的にはもう本当に第一級の資料をまとめてもらいたいと思っています。ちょうど向こうも9月上旬まではヨーロッパというのは夏期休暇ですよね。ですから、それから仕事が始まってといったら、これから質問事項等々のやりとりもなかなかうまくいかないと思うんですね。そこら辺も勘案していただけたらありがたいと。
 私今日反対していることは議事録にきちっと載せておいていただいて、是非お聞きいただき、本当の被害者のための、我が国にふさわしいものをつくるためにはあわてずにお願いしたいなと思っておりますので、どうぞ。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 今のご発言はもちろん大変ありがたいと話だと思っておりますけれども、ただ我々事務を進めなければならない立場でありまして、できればこの検討会としては一応そういう方向で、中身はまたおっしゃるように、また今日もそれをまさに議論していただきたいわけで、調査項目であるとかあるいは訪問先についてそういうご見識を示していただければありがたいなというふうに考えております。
 そういうことで一応時期と行くことについては、少なくともこれは検討のための会1と2との関係もありますけれども、もう既に我々としては少なくとも前回までの検討会においてご了解得られたものというふうに理解しているのですけれども。その辺はいかがでしょうか。どうぞご議論いただきたいと思います。

○番構成員 時期とかそういうのは早くからご予定になっていたと思いますので、なかなか今の段階で時期を変えるとかそういうことは難しいのかなと思うのですが。ただ、準備という意味合いからいきますと、この項目を見せていただくと、わざわざ行かなくても随分資料として集められる部分があるように思います。まして冨田先生などの専門家がアメリカなどの専門分野の国にいらっしゃるのですよね。VSなどは今まで警察の方で相当な調査なさっていると思うのです。抽象的な流れとかどうしてこのような制度になったかというようなことは、今それをやる段階ではないので、具体的制度の問題ですから、ある程度ここのこの制度がいいだろうという方向性を持って、それぞれプロの方がこの点についてきちっと聞かなければいけないとか、この方向性は日本では絶対に無理だから、ただここは聞いておかなくてはいけないとか、もう少し細かい項目を立てないと、行きましたよ、こういう結果ですよというような、恐らく林さんは、セレモニー的なものになってはいけない、せっかく今ここで検討会を行っているのだからというそういうご意見なのだと思うのです。
 確かに項目を見せていただくとちょっと抽象的すぎて、制度論のような形に思えます。特に各国共通のところは。この検討会にも傘下の団体の選び方とかそういうことがいろいろ関係はしてくると思うのですが、もう少し実務的な部分を中心として、今までに日本で警察を初めとしていろいろな調査をなさった部分は全部利用した上で、さてそれでどうなのだと、具体的に日本に持ってきたらどうなるのか、その点を中心に是非実施していただきたい。

○冨田座長 今いろいろご意見ちょうだいいたしましたけれども、せっかく行くことですし、内容のあるものにするというのは言うまでもないことです。それから、既に基本計画の中にもこの要望はかなり出ているわけですし、それから前回の合同検討会のときに具体的な調査項目も出ておりますので、それも踏まえて制度だけではなくて、その背後にある基本的な考え方、思想ということも含めて、その部分はなかなか文献調査ではできない部分ですので、その辺を中心にして実りのあるものにしていきたいというふうに思っています。
 ただ、具体的な調査項目でありますとか訪問先につきましては、全体的な日程の制約とか先方のご都合もありますので、これから今までのご意見を踏まえた上で、最終的には事務局に決定していただくのがよろしいかと思いますが、そういう進め方でよろしゅうございましょうか。

○林構成員 僕自身はやはり犯罪被害者でいろいろな活動をしてきていて、いろいろして、ちょっと発言が下手くそな部分もあるんですけれども。1つ欠けているのは、各国の制度を調べられたりいろいろな本もあるんですけれども、それを被害者が納得しているんだろうかというところがまず一番僕大事な気がするんですよ、今後のいろいろなものを決めていく上で。日本では基本法ができるまで被害者支援なんて全然なかったわけじゃないですか。これから基本法、基本計画に基づいて新たなものをつくっていくわけなので。だから、やはりここにあるようなもの、これはいろいろな日本で調べられる話なんだけれども、そこの国の被害者はどう思っているんだろうかというところまで突っ込んだ調査をしてほしいなと。
 先日のあすの会の幹事会でまだ拙速じゃないかということになったわけですから。要望書を出したんですけれども、各検討委員会にもメールとして出ていないので意見交換が事前にできない、結局今日ここでこういう話になるんですけれども。やはり僕自身も本当に構成員として、被害者として思うのは、これから新しいものをつくるわけだから、いろいろな事務方の方々の計画というか、渡航するのにどうのこうのという手続の問題もあるけれども、やはりここはじっくり考えてじっくり準備してもらってと思っていますので。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) まさに林構成員が言われるように、我々も本当に被害者のためになる民間団体援助をいかに厚くするか、これをいかに我が国なりの制度、すばらしいものをつくろうということで行くわけですから、決してご懸念されているようなセレモリアルなものとかそういうことは全く考えておりません。是非、そこは今ご意見出されましたように、被害者の方がどういうふうに受けとめられているかとかそういう点も含めて調査をして参りたいと考えております。座長がおりますし、ぜひその辺でご理解をいただければと。
 それでまた、その調査項目とか、今言われたようなご意見ですね、まだ時間もありますので、是非そういったご意見を十分に聞かせていただければと思っておりますので、どうか少なくとも時期と、それにつきましては、まさにそれを秋にこの検討会でやるためのやはりそのための海外調査だと思うのです。そうでないと時期を失してしまうといつまでもこの検討会ずっと未来永劫続くわけではありませんので、期限も切られておりますので。2年となってますけれども、できればもっと早めにでもやりたいということも考えておりますので、ぜひその辺のご理解をよろしくお願いできればと思っております。

○林構成員 今まさに私が言ったように被害者がどう評価するかということになってくると、まだこの企画案に入っていないわけですから、それをやはりもうちょっと。質問事項等々を交換もするにはもうちょっと、時期ですよね。向こうも夏期休暇に入るわけですから。1カ月、2カ月延びるぐらいは別に、それほど調査行くのに支障はないと思うので。私たちのそういう気持ちをもうちょっとくんでいただいて。

○冨田座長 全体的なこの結論までの流れから言うと、今の時期を逸するとなかなか具体的な結論にまでいかないように私は感じているのです。もちろん今ご指摘あったそれぞれの国において制度がどのように評価されているのかということは当然こういう項目の中に含まれる事柄ですので、どうなっているかだけではなくて、それがどう評価されているのかということももちろん調査項目ですので、それも含めて調査してみたいというか、調査するのは当然だと思っておりますが。
 ただ、スケジュールの点については、これでいかないとあとの作業がかなりきつくなるのではないかというふうに私は考えますが。

○林構成員 スケジュールがどうのこうのでも、やはりええものをつくってほしいということを思ってます。セレモニーとか僕ら思っていませんので。よりよきものにするためにはちょっと幹事会でもちょっと待ってというのがあるものですから。反対すべきことをしっかりと反対していますので。訪問先とかそれについては僕はいいと思うんですけれども、もうちょっと期間を、もうちょっと煮詰める時間をつくっていただきたいなということであります。議論を煮詰めるということですね。

○中島構成員 今の林委員にご発言に少し関連のあることですが、時期とかはもう決まってらっしゃるということだとすると、今林構成員がご懸念されているのは十分詰めた議論の上でこれがなされるかどうかということではないかと思うのですね。そうしますと、この聞いてくる内容であるとか聞く団体についてどのようなプロセスを経てこれを決めていくのかということにかかっていると思います。例えば今日ここで意見出すだけでは到底それは無理だと思うのです。最終的にどういう項目を聞いてくるのか、どういう団体に聞いてくるのかというそのプロセスについて決定の仕方について事務局でお考えになっていることがあれば、まずちょっとそれをお話しいただけたらと思うのですが。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) ありがとうございます。これは今日まずここで今案をお示ししました。これはあくまで事務局の案ですので、今、林構成員ご懸念のようなことも含めて大いにその中身が濃くなるように出していただきたい。次の回ぐらいですかね、もしあれであれば、こういう形でいきますということでご了解をいただければというふうに考えております。まだ時間がちょっとございますので、そういうことでお願いしたいなというふうに思います。
 ここでもちろんせっかく検討会開いているわけですから、貴重な時間ですので、できれば先ほどの林構成員のようにたくさん出していただいた方がいいんですけれども、それだけではなかなか難しいでしょうから、是非また別途の形で、それこそメールでも意見書でも結構ですので出していただいて、それを踏まえて我々も真剣に検討いたします。ただ、いかんせんもう期日も限られておりますので、それはもうちょっと全部を実現できるわけにはいかないというのも、これもご理解を賜れればと思っております。そういう形でよろしいでしょうか。

○林構成員 今日は検討会の3でありますけれども、2と1がもうすぐありますよね、そこでもやはり皆さんの意見を聞いていただきたいとも思うので。今ここでもそうですけれども、やはり事務局や委員がいるわけですから、やはり事前にもっといろいろな話をもうちょっとね。僕らもそのとき言いそびれたりとかいう部分もあるから、もうちょっと事前にいろいろな、去年の検討会みたいに意見が出たらぱっぱっとやって、検討会ででもうちょっと煮詰めた話ができたりすると、今言ってるような齟齬もなかったのかなと思いつつもいるところなんですけれども。
 とりあえず十分な準備期間というか準備が要るということだけは考えていただけたら。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 十分準備の上でやらさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○冨田座長 今これからも最終的な項目であるとか訪問先であるとかということについては継続してご意見をちょうだいするということですので、これでいかがでしょうか。

○林構成員 ですから、訪問日を今ここで決めるというか時期を決めているということにはっきり反対ということでとりあえず理解してください。お願いします。

○冨田座長 今申しましたように、先ほどから申し上げているとおり、具体的な時期等については相手方もあることですし、さまざまな要素で調整をしなければならないので、その今のご意見を踏まえて事務局の方で調整していただくのが一番よろしいかと思いますけれども。

○林構成員 一応反対ということで。

○冨田座長 その反対ということを……

○林構成員 日程を今ここで決めるということにはちょっと反対しているということで。

○冨田座長 ということは、それを一応記録するということですか。そういう意見を林構成員はそのようにお考えになっているというご理解でよろしいでしょうか。

○林構成員 はい。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) すみません。反対されるのはよろしいのですけれども、この検討会そのものを今後どうしていくかというのをまたお諮りしたいと思うのですけれども。やはりこの時点で9月のいつ行くかというのはまた先方の都合もありますけれども、この時期しかない。それで、それについては既にずっと前から申し上げて、先ほどこの検討会の事前にという話もありましたけれども、既に海外ヒアリングを6月30日にやって、その前からその後この日にこういう調査項目についてご意見を賜るということで前々から申し上げているわけでありまして。是非その反対されるのは別によろしいのですけれども、それではなかなか全体の、この検討会だけの問題ではございませんので、その辺で少なくとも中身についてはまたいろいろやるにしても、その時期に行くということについて、いかがでしょうか、この検討会としてもまだ中途半端というのではもう実にそれはちょっと事務局としてはせっかくのこの検討会がうまくいかなくなってしまう可能性があるので、それはちょっと困るなというのが正直なところです。

○林構成員 妨害しようという意図じゃなくて、先ほど言ったようにきちんと事前の準備。それでやはり先ほどおっしゃったんですけれども、被害者が本当に納得しているかどうかというのも本当に大事なことで、日本国内でも向こうでもですね。これは僕は前々からそう思っていた部分があるんですよ。ですから、そこの部分と、それにはやはり民間のというか国内におる日本の被害者支援の満足度の調査統計みたいなものが今ないわけですけれども、ネットワークの支援を受けた人とか、何かそういう個別のきちんとした調査もあって、それをもって向こうでもできるのか、できないのかというのも必要だと思うんですよね。やはり我が国と向こうとの違いを鮮明にしてこそ次の施策というものも出てくるような気もしますので。その調査する内容というのを吟味したりするにはやはり時間がいるかなと。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 十分に中身についてはまたあすの会の皆さんのご意見なんかも別途聞く場も設けてもいいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○番構成員 多分考え方というか、流れのつかみ方が違っていて、恐らく3つの検討会で議論を深めてある程度方向性を持って、それで詳細に準備して調査に行ってほしいというご意見なのだろうと思うのですね。ただ、今までの事務局のご計画からいくと、とにかく各国制度を調査してきて、検討会でそれを料理していくというか、多分そういうイメージなのかなと思うのです。私の方はどちらがよろしいのかなというのは結論づけませんけれども、この間、あすの会でも細かい質問事項を箇条書きでもここにこういうことを聞きたいとなさったらよろしいのじゃないかと思うのですが。もうちょっと予定を変えるのは多分難しいでしょう、現実的に。

○冨田座長 どうもありがとうございます。それで、ただ、期日は先ほど来ご説明くださった諸般の事情でそこはある程度動かすことはかなり難しいと。ということであれば、今言った林構成員をはじめとしてあすの会の皆さん方が是非これは調べてほしい、そして真の被害者の支援に役立つために是非とも必要な項目をどんどん出してくださらないと、じゃあ、一体いつまでそれを待っていつ調査を実施したらいいのかということも、全然いつまでたっても決まらないわけですので。それもこの時期を前提にしていただいて、あすの会の方からどんどんこういう視点でこういう項目をぜひ聞いてきてほしいということをお願いして、それを了解していただいて進めさせていただくのが一番賢明なやり方だと考えますけれども。

○林構成員 でも、今の時点ではまだそれができてないわけだから、今の時点では反対しているということだけはきちっと残しておいて。

○冨田座長 それを出してくださいとお願いしているわけです。あすの会さんの方から。

○中島構成員 時間が押していて申しわけないのですが、少しこの点については意見を述べさせていただきたいことがあるのですけれども。海外調査について調査項目を今日やりとりするということは事前にはもちろん私ども把握はしておりますけれども、今日ここで民間団体の援助に対する項目が出てきた上で意見を出すというようなプロセスが必要と思います。これは事務局として煩雑になるかもしれないのですが、すべての構成員に対していついつまでに意見を出してくれというような形でお願いできないでしょうか。そしてこの検討会に、今ここで出ているのは民間団体の援助に関する検討会事項だけですけれども、例えば私は医者ですから、医療関係の補償については非常に関心があるので、他の検討会であがっている項目についても意見を述べたい部分というのはございます。ほかの検討会で出ていることにつきましてもたたき台を示していただきまして、このようなことをさらに深めていただきたいというような意見のやりとりをさせていただくということはできないのでしょうか。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 今日案をお示ししましたので、本当は今日かなりのご意見をいただければもっとよかったのですけれども、そういうわけにもいきませんから、先ほど申し上げましたように、次回までにまたいついつまでというのはお願いすることになると思いますけれども、ご意見を出していただきまして、それを踏まえてこういう項目でこういう訪問先でということをお願いしたいというふうに考えております。
 それと、そのほかの検討会のものもと言われると、参考資料としてはいいと思うのですけれども、ここはやはり民間団体援助に関する検討会ですので、ちょっと余り議論が拡散する可能性もありますので、その辺はいかがでしょうか。どうしてもということであれば別にやぶさかではありませんけれども。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) どうでしょうか。民間団体の援助ということをここではそれが検討会の扱うべき範囲ですので。

○林構成員 いいですか。やはり僕思うんですけれども、検討会2の連携とここは非常に密接なんですよね。それやはり密接なんですよ。それが回ってくることは非常に大事なことだと思うので。どうなんでしょう、先生、やはりあった方がよろしいんじゃないですかね。

○中島構成員 もちろんここの検討会は民間団体の援助ですからもちろんこの問題について私たちはまず最優先に意見を述べるべきだと思います。ほかの部分について、補足意見、参考として述べさせていただけたらと思うのですが。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 何と言いますか、そういうほかのこういうことをいきますというのは出すようにしますけれども、ぜひ議論そのものは民間団体援助に絞っていただかないと、検討会を分けている意味が全然なくなってきますので、そこだけはよろしくお願いしたいと思います。もし参考意見ございましたらぜひ別途の形でいただければと。貴重な時間ですので、よろしくお願いできればと思っております。

○中島構成員 わかりました。今の点で少し誤解があったようです。ここで議論することはもちろん民間団体の件で、それ以外のことで時間とる必要は全くないと思います。ただ、参考意見としてほかのも出させていただくために資料をいただけたらというだけの話ですので、そのようにご理解いただけたらと思います。

○冨田座長 それでは、今のご議論を通じて、最終的には事務局にて最終決定していただくということでご了解いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、ご了解いただいたということで、どうもご協力ありがとうございました。

○林構成員 反対していることだけ残してください、議事録に。

○冨田座長 それでは最後に、事務局から連絡事項ありましたらお願いいたします。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 長時間ありがとうございました。次回の第5回の会合は8月3日の午後3時からここと同じ場所で行う予定といたしております。
 内容的には関係省庁から今行っている援助の実情と、それから番構成員の方から性犯罪の支援団体についてのご発表をいただく予定としておりますので、よろしくお願い申し上げます。また、今出ました海外調査関係につきましても是非それまでにご意見賜りまして、お示ししたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○冨田座長 どうもありがとうございました。
 不手際もあって大変遅くなりまして申しわけございませんでした。
 これをもちまして第4回民間団体への援助に関する検討会を終了いたします。
 本日は長時間ありがとうございました。

(以上)


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