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犯罪被害者等施策
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支援のための連携に関する検討会(第8回)議事要旨


日時:平成19年2月2日(金)10:31~11:59
場所:合同庁舎4号館 共用第4特別会議室
出席者:
座長長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
奥村 正雄同志社大学大学院司法研究科教授
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
本村 洋全国犯罪被害者の会幹事
山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
生嶋 文昭総務省自治行政局自治政策課長
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
代理喜久里 要文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導企画係長
北村 彰厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任)
代理長田 晃一国土交通省住宅局住宅政策課長補佐

(議事次第)

1.開会

2.「更なるネットワークの構築(既存のネットワークの拡充、連携強化方策」について

3.「支援者・コーディネーター等の育成等」について

4.閉会


(配布資料)

資料1-1内閣府資料  [PDF形式:237KB]
資料1-2警察庁資料  [PDF形式:41KB]
資料1-3総務省資料  [PDF形式:28KB]
資料1-4法務省資料  [PDF形式:36KB]
資料1-5厚生労働省資料  [PDF形式:312KB]
資料1-6国土交通省資料  [PDF形式:18KB]
資料1-7小西構成員資料  [PDF形式:16KB]
資料1-8本村構成員資料  [PDF形式:12KB]
資料2-1内閣府資料  [PDF形式:31KB]
資料2-2警察庁資料  [PDF形式:19KB]


(議事内容)

1.「更なるネットワークの構築(既存のネットワークの拡充、連携強化方策)」について

 前回会合に引き続き、どの関係機関・団体等を起点としても、必要な情報提供・支援等を途切れることなく受けることのできる体制作りのための提言案について、事務局案に基づき、具体的で実現可能な方策を議論し、引き続き内容、文言等の詰めを行うこととされた。

○事務局 前回の会合でご議論いただき、その後も各構成員から貴重なご意見を賜り、修正版を作成した。主な変更点等について、ご説明を申し上げる。
 まず、前文について、もう少し洗練された方がいいのかもしれないが、いずれにしても途切れのない支援が重要であることについて改めて触れさせていただくなど、所要の修正を加えている。
 次に、犯罪被害者支援ハンドブックの作成について、(1)の「基礎的自治体レベルでの作成及び備付け」については大きな変更はない。
 次に、(2)の「都道府県レベルにおけるハンドブックの作成及び備付け」については、いろいろなご指摘を踏まえ、所要の文言修正を行った。
 次に、(3)については、国の援助であるが、モデル案の作成を行う主体を内閣府において各省庁の協力を得て行うということで、主体をはっきりさせた。
 次に、(4)モデル案の内容であるが、このうち倫理綱領については、当初ハンドブックの中にということだったが、民間団体に必要であろうということで、ハンドブックの中身には「心構え及び留意事項」ということで修正した。
 次に、(4)(3)の関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等に関する情報について、「最低限必要な事項」、「状況に応じて伝達することが望ましい事項」という区分けをして修正した。
 (5)、(6)は大きな変更はない。
 大きな2番目の「関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等に関する情報のガイドライン及び様式モデル案の作成」について修正した。まず、本文のところの真ん中だが、どこが主体となるのかというところで、内閣府において協力を得て、共有すべき情報・事項についてガイドライン及び様式モデル案を作成をするということをはっきりさせた。ただ、これはあくまでガイドライン及び様式モデルの案であり、それをもとに関係機関・団体において個別の事案に応じて適切な対応が必要ではないかということを書いている。
 前回説明が足りなかった、あるいはご指摘を受けて、私どもでイメージ参考1を作成した。これまでのいろいろな調査等から途切れない支援を実現するための橋渡しに際して、1つは被害者側から「何回も事情を繰り返し説明したくない」というニーズがあるということと、もう1つは被害者等を紹介するに際して、紹介元から提供される情報と、紹介を受ける側がこういう情報が欲しいというところがかなり齟齬があるということが明らかであり、これを何とか解決して円滑な支援に結びつけられないかということでイメージを作成したものである。
 参考2はあくまでイメージとして示したもので、この様式を統一的に全機関で全部使うべきだとかいうものではない。もちろん一部使ってもらっても結構であるし、あるいは独自のもの、あるいは機関・団体ごとにそれぞれ守秘義務だとか、あるいは内容についても全部違うことから、それぞれ各団体で対応することを前提として、このようなものでどうだろうか、こういうものであれば可能なのではないかということで作成しており、何もこれを一律に適用するということではないので、誤解ないようにお願いしたい。
 まず1つは、このサポートカード、名称は被害者支援連絡票でも何でもいいが、あくまで紹介元と紹介先のこの2つの機関・団体の間でだけ共有すべきということで作成した。前回もいろいろな方からご指摘があったように、機関・団体それぞれいろいろな事情とか団体の状況が全部違うので、そこに一律に情報を共有するというのはなかなかできない相談なので、あくまで例えば、警察から被害者支援センターに紹介をするという場合にこういうことをやろうとしている。
 それと、実は表側に事案の概要であるとか被害者の要望であるとか自分のところでやった支援の内容を一応イメージとしてこういうものをやって、2枚目の裏側に氏名、住所、連絡先、備考と、とりあえずのイメージでこのようにしているが、これは別にそのような事案があったということを証明する証明書でもないし、被害者の現状を書いてある、代弁をしているというだけである。したがって、当然、後ろの表のところにも書いてあるが、例えば、紛失したような場合には、これを表のところだけをコピーをして、被害者の方にもし状況に応じて必要があれば、表の方だけを例えばコピーして被害者の方に手渡しをして、これをもっていわゆる被害者カードとして使っていただいてはどうだろうかというのが我々の考えである。
 被害者の方にお渡しをするわけで、当然紛失とかのリスクがあり、余りなくしたときにも負担にならないように、あえて住所、氏名なんかも本当は絶対必要なことだが、これについては、あえていわゆる被害者の方にお渡しするものには入れない方がいいのではないかと考えている。
 それから、2つの機関だけの問題であるので、支援センターの方からまたさらに病院に紹介が必要だというときは、これまた必要に応じて、まず情報を支援団体同士で、これは今でもそうだと思うが、口頭でやる場合もあるでしょうし、メールでやる場合もあるでしょう。ただ、必要最低限このようなことはきちんと連携しましょうよということを示した上で、それで支援団体同士でまずそれできちんと話がつけば、もう余り被害者の方が何回も繰り返し言うことは余り必要なくなると思うが、それでもやはり何か紙に書いたものが欲しいということであれば、この表のところをコピーして渡すというイメージであり、これは支援に当たる、あるいは紹介をされる団体において判断をして、要するに被害者の方に必ずそのカードを求める権利があるとかいうものではなく、要はスムーズな支援が行われるための1つのツールとしてそういうものがあった方がいいのではないかというのが事務局案である。
 ですから、本来のというか、もともと被害者の方が求めておられるのは、それ1つあればどこへ行っても大丈夫だというのが本当は理想的なのでしょうが、それはなかなかやはり前回のご指摘もあったように難しい。だから、いわゆる被害者カードとしての役割としては非常に限界のあるものであるということをご理解いただきたい。
 次に、3.「被害者カードの作成」だが、表の部分を複写をして、なお書きで書いているように、余り細かいことを詳しく書く場合もあるかもしれないが、いずれにしてもまた行った先ではある程度の再事情聴取は避けられないわけで、その負担を軽減するという目的のために交付してはどうかということであり、その旨をまた再度の説明を求められることがあるということと、それとただそのような場合でも支援機関側がきちんとそのような被害者の感情に配慮して事情聴取を行ってくださいということを提言している。
 次に、最後の4番目であるが、「民間の支援団体における倫理綱領の作成」ということで、これはハンドブックと関係なく、現に全国ネットワークではつくっておられるので、そういったものをやはり各支援団体でつくっていただき、支援に当たる人の意識を本当に被害者に役に立つ、あるいは無用のトラブルが起こらないような、そのために必要ではないかということで提言している。

○構成員 2点、質問したい。1つは、カードについて、今のご説明では、警察と民間被害者支援組織の間をモデルとして、これをつくられたと考えてよろしいか。

○事務局 いえ、全くそうではなくて、今申し上げたのは全くの例示であり、それは地方自治体から病院ということもあるでしょうし、いろいろなケースがあり得るので、あくまでこのイメージというのは最低限事案とかそのようなものが必要ではないかということで作成したものであり、特別の機関を想定したものではないということでご理解いただきたい。

○構成員 もう1点は4.の今度「民間の支援団体における支援に」というのを入れており、このように書いたときに、具体的にこの綱領をどのあたりまで及ぼすかということについて、そのイメージがあれば教えていただきたい。

○事務局 これは、それぞれの民間の団体においてつくるべきものであると考えており、モデル的なものは今全国ネットワークにもあるわけで、そのようなものを各支援団体でそれぞれ持っていただく。例えば、このようなことをきちんとしている団体であれば、非常に信頼性がすごく高いかどうかはともかく、そのようなことも言えるだろし、今3の検討会で検討している援助についても、きちんとそのような綱領もあるとかを配慮しながらやるということもあり得ると考えており、いずれにしても、この倫理綱領をつくるつくらないというのはそれぞれの民間団体が考えることである。

○構成員 ただし、それが例えば、公的な支援とか研修の体制とかそういうことに影響し得ると考えておいていいということか。

○事務局 おっしゃるとおりである。

○構成員 今の確認だが、被害者カードはあくまでもイメージということだが、この管理についてはそれぞれの団体の中の内部規定とか、あるいはもちろん法的制限がかかっている場合があると思うが、そのようなもので対処すると。特にこれだけのものというのは特に予定はないということと理解してよろしいか。

○事務局 あくまでこれから詳細なガイドライン、支援機関同士で共有すべき事項とかいうものをつくっていく。その中で、あるいはそのような団体別のものも必要になってくるかもしれないが、いずれにしても、様式をどうするかということについては、あくまで最終的には支援を行う各組織の内部の管理とかそのようなものに服するというのではないかと考えている。

○構成員 これは要するに、被害者の方が何度も同じことを聞かれたりしないようにそれぞれの機関で情報を共有し合うということでスムーズな対応ということの位置付けと理解してよろしいか。

○事務局 まずそれぞれの支援団体の間で、特に紹介先と紹介元の間でこのような項目は必要であると。それも最終的にはあくまでモデル案で示すのは、我々でつくるのはそのようなものを国で示すので、それを受けて各団体でつくっていただくということになろうかと思う。
 被害者カードというのは、そのうちどうしても被害者の方が、支援機関同士ではもう本当に意思疎通がうまくいっていれば、別に名前を言うだけで中身も大体わかっているはずである。だから、それは必要ない場合が多いと思うし、あるいは今でもしょっちゅうやられていると思うが、口頭だったりメールだったりいろいろすると思うが、そのようなときであっても、やはり最低限このようなことはきちんと伝えましょうねという、それがガイドラインである。それをどうしても被害者の方がそういうメモが欲しいと、これを持っていくことで安心になるということがあると思う。ですから、それをどうしてもということで、それを出す出さないというのもあくまでいろいろな、例えば、捜査の情報だからなかなかここは書けませんとか、そういうこともあり得ると思う。だから、そこはあくまで支援する団体の方でそこをきちんと、すごい心配で心配でとにかく自分でしゃべれないような人だったら、それはもう付き添って行かなくてはいけないわけです。そういういろいろなやり方があると思うので、その中の1つの選択肢として、必ずしも被害者の方のニーズには十分ではないかもしれない、被害者カードというのもあり得るのかなということで提言している。

○構成員 私の出した資料1-8について説明させてもらってよろしいか。今事務局から被害者カードのご説明があって、もともと私被害者としてこのようなカードがあって全機関に回ったら被害者ということが証明されて、しかも迅速に支援できるということができればなと思ったのだが、議論を重ねているうちになかなか難しい問題があるということを理解した。
 ただ、支援をする側にしても支援をされる側にしても、どのような支援ができてどのようなことを求めているのですよと、受け手側はこのようなことをしてほしいのだなということがわかるようなカードになればいいと思い、いわゆるサポートカードの表側というものの案を書いてみた。
 多分、被害者に対して支援する場合に、必要な被害状況として最低限こういったことがわかればいいというものをまず被害状況というところにあげ、文章で書くと将来電子データ化するときも大変かもしれないし、書ける書けないこといろいろ出てくると思うので、例えば、今相談している方が続柄として当事者なのか家族なのか遺族なのかとか、警察に届出ができているのかできていないのかとか、加害者は検挙されたのか未検挙なのかとか、刑事裁判審議中か終っているのか、まだ未審議なのか、そういったことをチェックして、受ける側も、なるほどこの人の状況は今は警察に届け出てない事件であるとか、もう検挙されていて裁判中であるのかなということが一目でわかるようなものにしたい。
 あとやはり7番のところに書いているように、後遺障害というのがあるのかないのかということも支援する側は大事だと思うので、こういったことも書けるようなものにする。
 大体大まかな概況をチェックシートだけでは難しいかもしれないが、どういった状況かということを把握した上で、被害者の方がどういったことを要望しているのかというのを、大きく分けたら多分3つだと思う。生活支援と裁判の支援と経済的な支援があって、生活支援ではどのようなことを求めているのか。裁判支援ではこういうことを求めているのか。特に今後刑事裁判の被害者もかかわる可能性出てくるので、そういった点でも何を求めているのかというのが一目でわかるようなカードになって、これを被害者が持って次の機関に行く、次の紹介先の機関が持っていれば、事件の内容はいざ知らず、この人は今どういう状況で何を求めているかというのがすぐにわかって支援に取りかかる迅速化になればいいと思うし、紛失しても、多分このチェックシートだけではわからないことも多々あると思う。
 こういった形で、とにかく迅速にお金をかけずに支援するときに、この人は何を求めているのかということがまず支援者側にも支援される側にもわかるような形になれば、この被害者カードというのが役に立つのかなと思うし、書く人にとっても余り負荷をかけたら使われなくなってしまうので、なるべく簡素化してそういった形で、何か一歩、多分これを被害者の方が持っていれば具体的にどのような支援ができるのかということもわかるし、安心にもなると思うので、是非こういったものが普及するようなものになればなと考えた案である。

○構成員 今の構成員の意見の中でもあったと思うが、捜査から司法、法務に至る流れで考えると、被害者の方がいろいろな機関に相談に行くときに、その事件と被疑者の扱い、あるいは被告人の扱いとかそういうことがずっと問題になるが、このカードにはそれが恐らくあえて触れないような感じで書いているのだと思う。そして、本人の申告をもとにと書いているので、その事実で認定できる、事実であったとみなせるものと、本人が申告で本当は事実でないかもしれないというものを含むものであるから、事例によっていろいろな場合があるので、その辺をこの事務局案としてはどういう、この申告をもとにするとあるいは事実と違ったことをこの紹介文に書いてあるかもしれないが、その辺の事実の認定というか判断をどの程度紹介する人間が責任を負うと考えているのか教えてほしい。

○事務局 構成員がおっしゃったように、全部違うと思う。この構成員の案も非常に参考になる例だと思うが、例えば性犯罪の被害者の方のような場合だとやはり一番のメインは言いたくないことというのは、まさにその状況が言いたくないので、むしろ我々がつくったモデルはそういうのを念頭につくっている。多分こういう検挙の状況、捜査の状況、これは被害者連絡という形でいろいろ警察とか検察でもやられると思うが、そういうことも必要な被害者もいるでしょうし、あるいはここにあるように端的にこういう支援が欲しいのだと。それは多分住宅関係の役所に紹介するときに、こういう事情でこの住宅支援が必要なのだということを端的に伝えるようなことになると思う。
 ですから、いろいろな立場の支援団体に応じて、あるいは被害者の状況に応じて、いろいろ項目というのはいろいろあり得ると思う。ここで最低限必要なことと書いてあることも、あるいはもう少し場合分けをしなけらべいけないかもしれないということは考えている。それは提言でそのようなガイドラインが必要であると、しかも被害者カード的なものが必要であるということで検討会で一致していただければ、それを具体化するためにこのような貴重なご意見をもとにしながら我々の方で、現場の意見もいろいろあるでしょうから、そういうものを踏まえた上でそれぞれの病院関係、学校関係、いろいろなところに関係してきますから、必要に応じてこういう場合ということでモデル、あくまでそれも案になると思う。その具体的な個別の事案の、あるいは被害者の状況に応じて、あるいは紹介する団体の状況に応じて中身は変わっていくものと考えている。

○構成員 多分、犯罪被害者等からの申告をもとに記載と書いてあるものだから、多くはないかもしれないが、申出を吟味しなければならないケースもあり得るだろうと思うが、その辺はどのように考えたらいいのか。

○事務局 あくまで申告をもとにと書いてあるのは、もうどうしても本当は、余りいい例ではないが、本当は被害ではないのだが、被害だと主張する方もたくさんおられるので、あくまでそういう意味で一番最初に申したように、証明書ではないということで申し上げたのだが、そこを強調したいので、申告をもとに代弁するために書いただけのものであるという言い方をしている。
 ですから、あくまで中身についてどうするかというのは、支援団体それぞれの判断にしないと、こういうことも書いてくれと言われてそれはとても書けないと、あるいは危なくて仕方がないということもあり得るので、あくまで本当に困っている人の支援をスムーズにいかせるためのカードということでご理解をいただければと思う。

○構成員 今の構成員のご意見については、例えばDVの被害者の場合に、医師のところに最初に来るケースは結構ある。まだ裁判にかかってない。その場合に、事実認定がやはりできない。できないから書かないでいると、そうすると今度は民事なんか起こしたときに、いつどこでどういう被害があったかということの何か公的な記録というのが残っているか残っていないかが結構大きいわけで、やはり必要になる。今のところ自分自身の方針、あるいはこういうことをDVなんかをたくさん扱っている医師の中の合意としては、診断書の中に本人の申立によればこうであるということをはっきり明記して、私たちの判断は棚上げにする形で情報を記載するという診断書をつくる。少なくとも法的なかかわりができてきたときに必要な事項である。いつどこでだれがについては、本人の申立によりということだけで書いていく、簡単に書くということを一応やろうとは思っている。
 ただ、これは私たちは捜査するものではないし、法律にかかわるものではないから、むしろそのような書き方が可能だということもあるのかもしれないとは今思っている。ただ、そういうやり方をとり得る場所もあることは確かだと思う。
 それからもう1つは、どうしても具体的に、構成員がおっしゃっているものを被害者がどのように使っていくのかというイメージがわかないので、例えばある殺人事件の遺族の方だったら、これをどのように使うと、どのように役に立っていくのかというイメージがあったら何か教えていただきたい。

○構成員 例えば私だとして、私は事件が現場で起きて家がなくなった。警察から事情聴取を受ける間は、仮の宿舎を借りていたが、その後、当時山口県には被害者支援センターがなかったが、もし支援センターがあったとすれば家探しをしなきゃいけない。そのときに、今は多分ある支援センターがありますよというご紹介を受けて、自分でとことこそこに電話をしたり行くだけだったが、こういったカードがありますと、例えば警察がこれを書いてくれて、この方は今は生活支援で住居探していますというのを事前にその支援センターの方に連絡すると。私もこの紙を持って、こういう者なのですがと言ってそれを出すと。そうしたら、支援する側は警察からいただいたこの紙と被害者が持っている紙と一致すると、この人はその本人だと認識する。それによって支援を始めるというようなイメージを持っていた。
 ただ、構成員が書かれているように、最初は私も母子手帳のようなものをイメージしていて、本を開けば刑事裁判はこんな流れですとか、民事裁判はこんな流れとか全部書いてて、マニュアルみたいなものになっているというのと、あとは将来的には、ID的なものを持っていてどこにどのような被害者がいらっしゃるということがデータで管理できて、全く支援を求めてこない被害者の方がいたときに本当にこの人はちゃんと今生活しているのかとか、そういったことを後追いで追跡できるようなものまでできればベストだと思ったが、やはり被害者の個人情報というのは大事なものだということとその取扱いが難しいということをいろいろと私も考えました。
 とにかく橋渡ししたときに橋渡しされた側もその人が本当にその人なのかという確認する手段としてこれが一致すれば支援しやすいのではないかと思う。実際に私もいろいろな支援センターにお話に行くと、構成員が心配されているように虚偽の被害者ではないかという話と本当にこの人はその人なのかということの証明ができない。まさに事件も何も証明もできないということはまさにそのとおりで、特に警察に届出が出ていない事件とかもそうなると思うので、そういったときにこれが紹介された側が持っているこれと被害者が持っているこれが一致すれば、その本人の証明になるのではないかと思う。
 それと、何を支援していただきたいかということがあらかしわかれば、一から聞くのではなく、まずその支援をしてもらいたいポイントから聞いて、だんだん会話ができていく中で事件の概要を知っていくとかになればいいと思っていて、とにかくまさに橋渡しの役割になればと思っている。

○構成員 もしそうだとすると、例えば今のお話だと、やはり公的機関が発行しているということが大きな力になるということで、ある意味では被害者の方は犯給の対象になるとかかなり重大な被害を受けてらっしゃるということが必要なわけで、そうだとすると、大分違うニーズがいろいろあることがわかる。例えば、私のところに来られる方なんかは非常に具合が悪いし、事件のことは言えない。できたら警察から教えてもらえるとすごくいいと思うということはあるが、そのことをそういう形で使えるかというと、多分住宅とかそういう問題になってこない。
 これもちょっと1つDV法の保護なんかではどうなっているかということで参考になるかどうかわからないが、例えば保護命令の対象になるのは身体的な被害に限られている。本来は心理的に、あるいは精神保健的に考えれば心理的な暴力というのも非常に大きいわけだが、やはりこれは保護命令という法的な強制を伴うものまでもっていくのはとても難しいところがある。今議論されているが、私は多少そう思うところがある。しかし、今例えば相談とか研修の対象としてはそういうところまでも当然含まれていて、法律ではそれ全体というように定義されている。
 そうだとすると、構成員のようなニーズがある方というのは、ある程度限定せざるを得ないわけで、限定した形で公的な機関で何か発行できる人だけは発行してもらうというのも1案かと思う。ただし、それをすると今度は私の心配としては、そうでない人が被害者として不利益を受ける。あなたはこれを持っていないから本当ではないのではないかという二次被害がさらに厳しくなるという可能性もまたある。
 そこで、その両方をどうやってサポートしていくかということを考えないと、この話がなかなか具体的に前に進まないのではないかと思う。
 例えば、モデル形式として何か幾つかのパターンがあって、あなたが一番これにぴったりするもので書くのに、医者だと診療情報提供書というのがある。その診療情報提供書の中にこの人の具合なんかを簡単に書くというのがあり、非常に不十分な情報であるが、これは保健診療の中にすっかり組み込まれているから、ある意味ではきちんと書く。そういう意味で言うと、幾つかのひな型があれば、多分書き込まれることがはっきりすることによって、特にまだ余り研修の足りない現場の相談員とか市町村の方なんかは恐らく情報提供の質は上がるとは思うので、幾つかモデルを選択するというのも1つの案かと思う。
 そういう情報提供は当然今あると事務局もおっしゃいました、そのとおりなのだが、情報の提供はものすごいまちまちである。例えば、自分のところに来るケースでは、どうも強姦の被害者らしいです、よろしくみたいな、それだけしか書いてないものもあるし、それから、民間の方から2ページとか3ページとかものすごく詳しい情報が来るのだが、私の欲しい情報はないということもあったりする。そういうところを質を上げるという形でやるのであれば可能性があると思う。

○構成員 前回のこのような犯罪被害者の方にかかる情報の関係機関との伝達に関しては、例えばご紹介する相手方の関係機関がどのようなサービスを被害者の方にご提供されるのか、その公益性の程度であるとか、相手方の関係機関がどのような守秘義務を負っているのか、法律上きちっと罰則がかかっているのかどうかとか。あるいはそれだけではなく、さらに加えていろいろな情報管理システムをもって情報を管理していただけるかどうかとか。あるいはその被害者の方が遭われた犯罪の内容に関して、本当に他機関に何かで伝達しても、捜査のあるいは被害者の方に対する再被害といった観点から大丈夫なのかとか、いろいろな個別具体の判断をしないと提供していいかどうか。提供するとしてどのような内容を提供していいかどうかは難しいと。したがって、汎用的にすべての関係機関で共有するというのは難しいというお話をご説明したかと思う。
 それで、今日も幾つか、それぞれの具体的な関係機関同士でどのような橋渡しができるかという中で、あるいは求められているかというお話の中でDVの話とか公営住宅の話であるとか早期援助団体の話とかがあった。それで、早期援助団体については前回もお話ししたが、これは法律上守秘義務をかけている。それで、提供するサービスの内容も相談とか直接支援であるとか非常に公益性の高い内容であると、そういったもろもろの状況を考えて支援センターの方に私どもの方から被害者の方の同意を得て被害の情報をご提供するという形でやっている。
 それから、DV法についても今お話があったが、これはDV法の保護命令を裁判所が出す場合に、1つの出すパターンとして、まず警察の方にDVの被害者の方がいらっしゃる。そのときに相談を受けたということを私どもの方できちっと書面化して、今度はその被害者の方が裁判所に申し立てて、裁判所から照会があったときにそういう相談を受けておりますということを前提に命令をかけるといった形があるので、これもやはりきちっとした裁判所というそういう公的機関であって守秘義務もきちっと確保されるとか。かつ、そういうきちっと保護命令という形で被害者の方を法律上お守りする。そういう仕組みの中で法律上きちっと位置付けられているということを前提に、私どもそういう情報を提供しているので、やはり汎用的に何かをするというのは難しいということは改めて申し上げたい。
 それから、私ども前回申し上げたが、やはり一定の情報を関係機関同士で伝達するとすれば、やはり個々具体の判断が必要で、相手方の関係機関が提供するサービス内容によって相手方の関係機関が求めるサービスの情報の内容も当然異なってくるでしょうから、ある一定、一律の様式をお示しして、それで皆さんやってくださいというのは難しいと思う。
 それと、被害者カードをいろいろな機関が汎用性のある形ではなかなか難しいのではないかという感じには今なってきているかとは思うが、改めてやはり申し上げると、犯罪被害があったという証明というのはなかなか難しいことだと思う。それは警察であれどういった機関であれ、あくまで最終的には裁判所が被害事実を確定するわけであるから。
 それで問題は、では申立の内容がそのまま例えば記載された場合に、それが汎用的な形で回った場合に、先ほども若干お話が出ていたが、やはり例えば殺人にしても傷害にしてもいろいろな事件にしても相手方当事者がいる場合、言い分がそれぞれ食い違うというのは結構ある話で、最初は被害者だという話だったのが、実は被疑者で検挙せざるを得ない状況があったりとか、あるいは裁判に至ってからも被害者と検察及び被告の間で争いがあるとか、なかなか非常に本当に被害者かどうかということを申立だけで受けとめていいのかという判断をせざるを得ない場合もある。だから、そういうことを考えると、一律に何かあったらすぐそういった形で何かを差し上げるというのも恐らく難しいのではないかと思う。
 それから、様式モデル案に犯罪被害の概要というものが載っていたが、これは少なくとも私どもの立場からすれば、仮にそれに個人情報が載ってなかったとしてもそれを持ち歩かれる場合に、例えば財布とか身分証とかと一緒にカバンに入れておいて、置き引きに遭ったりひったくりに遭ったりとかいろいろな形で個人情報が漏れることで、この人の被害だということが特定される危険性があると思うので、なかなかその辺のところは慎重な判断がいるのではないのかと思う。
 ですので、前回の繰り返しであるが、本当に被害者の方との橋渡しということであれば、事務局からもお話がありましたが、やはり個々具体の関係機関同士で、どういうニーズが本当にあって、被害者との関係でどういう橋渡しが本当に必要で、ではその場合にどういう情報伝達をすれば被害者の方が自ら説明するという負担を軽減することができる連携の仕方ができるのかという、そっちの本来の目的のためにどういう手段を講ずるべきかということを考えるべきで、余り手段の方を自己目的化して検討しても余りいい結論は出てこないと思う。

○構成員 お手元に出してあるような意見を既に出している。それについては、事務局から回答をいただいている。
 それと、厚生労働省の資料に添付させていただいているように、母子健康手帳の様式の例を参考のためにつけさせていただいている。これについては、趣旨目的も違いますし、やはりこれについてはお母さんに対する教育、保健指導あるいは子どもの発達指導、健康診断といったような、そういう関係者に対して広くいろいろな必要な情報を提供していくという趣旨でつくられているものであり、ご参考といえばご参考ではあるが、こちらの方のカードに直接つながるものではないと考えている。

○構成員 警察庁からのご発言にほとんど賛同するものですが、事前に資料を見ていて思ったものと今日の事務局の説明を聞きますとかなりイメージが変わり、提示された案はひとつのモデルにすぎず、かなり個別具体的な対応が求められていることがわかって大分安心したところである。
 私ども例えば法テラスを所管しておる立場で言うと、具体的にどこの機関・団体とどの程度の連携関係ができるかというのはやってみるとなかなか大変なわけであるが、実際に事業を進めていきますと多くはあそこにご紹介するというパターンがどうしても決まってまいるので、そういう実情も踏まえながら、一番効率的な橋渡しの仕方、そのとき必要な情報というものを確認しながら、若干地道ではあるが、地に足がついて下から積み上げていくような進め方もまたいいのではないか。
 あと、例えば弁護士、精通弁護士紹介とかいうことを考えると、紹介元から概括的な情報を得ても、どうしても専門家の目で恐らく全部聞き直さなければならないことがほとんどではないかと思う。捜査機関の観点でも同じである。医療の場合には恐らくもう少し医療の専門的な観点から、やはり他から受け取った情報はやはり確認しなければいけないということが多いのではないかと思う。そういう意味でどこからどこに紹介する場合にはこのような情報ということはかなりきめ細かく対応関係の中での検討を進めるということが重要であって、それをまさに促進していく必要があると考えている。

○構成員 まず、カードの件に関しては、今のご議論を伺うと、特に市町村の役場に被害者あるいは被害者と主張される方が来てカードをつくって証明してくれと言われても市町村からそういうカードをつくるのは非常に難しいと思う。
 また、全体を通しての話として、地方公共団体に期待されている役割というのも随分あろうかと思うが、これをもって地方公共団体に具体の事務を義務付けるというのではなく、こういったことを見て地方公共団体の方で自主的に判断をしていただく、それを重要な資料にしていただくということのなのかなと思っている。

○構成員 先ほど警察庁、それから法務省の方からもお話がございましたように、犯罪被害者カードについて今日のご説明をお伺いして、最初案をお見せ頂いたときとかなり印象が違い、役割がよく理解できまして、その面で私どもとしても安心した。
 住宅部局の窓口の者については、支援を求められる皆さんからお話を聞いて、調書のようにきっちり漏れ落ちなくまとめるという仕事に慣れていないものがほとんどだと思うので、仮にこのモデル案で示されているような役所の側が記入をしてそれをコピーしてお渡しするというようなものをもし想定するということであれば、内容は各機関ごとでよく考えることだということでございますので、そこは個別に良く考えて対応するということになると思うが、構成員の示されたようなチェックボックスを活用するとか、あるいは機微が含まれるようなところについてはご本人にお書きいただいたものを添付するとか、そういう形で対応するのがよりよいと考えている。
 公営住宅の優先入居等の判断におきましては、どうしても犯罪被害の態様であるとか緊急性であるとかそのあたりをお伺いする必要が出てまいるので、そこはご本人との関係、それから警察との関係において二次被害の防止の観点からもより緊密、きめ細かに現場対応する必要があると感じている。

○構成員 文言については、そもそもこういった項目立てをするかどうかというところをよく議論した上で考えていかなければいけないところで、まだそういう細部の修正の段階に至ってないのではないかと思う。ただ今日は事務局から個々の関係機関・団体同士でよくそこを協議してそういった情報伝達をどのように考えていくかというお話もございましたので、やはりそのような本来のご趣旨が読み取れるような形でこの文章は作成されていかなければいけないと思う。
 それからあと、こういったカードを交付できるかどうかというのは、一律に正に権利としてそういうのをくださいと言われても、まず被害証明というのは非常に難しい。裁判所が最終的に確定するということだということと。もう1つやはり、では申立を前提にそれを書面に、ある何かしらの関係機関が記載してそれを渡した場合に、それが転々流通してそれが一人歩きすると、他方実はそれが真実の被害者じゃなくて加害者がそういった虚偽の申告をしてそれが流通して逆に被害者の方に二次被害を与えるということも想定されるわけで、今の記載ぶりであると当然それは交付するということが前提のような書きぶりになっていますが、そこはちょっとまだまだ議論していかなければいけないと思う。

○構成員 私も今の警察庁のお話を伺っていて、先ほどの議論を聞いていて思ったのですが、この被害者カードというのは名前が出す機関とか団体とかによって意味付けがかなり違ってくるのだろうということだと思う。一人歩きのお話をされたが、要するに例えば警察とか法務省とかそういう刑事司法機関の認定というのは非常に難しいし、それを出すと大変な責任を負うことになるわけだと思う。我々例えば、我々というか民間団体関係してますと、民間団体が出すのでそれぞれの団体同士の間の被害者でありますと、必ずしも被害者と警察で認定された人でなくても支援の対象になっていることがある。それで、そういう情報共有という意味でのものと、それは便利なツールとなるかもしれないが、それが警察だけではなくてそれぞれの行政機関が出されたら、それが犯罪被害者という形で認定されて、それによって1つのそのことがその機関が出したことによって法的な意味合い付けが非常な影響力を持って、それによって何々をすべきだ、ああすべきだとこういうことになってくる可能性が、恐れがあると思う。
 だから、趣旨として情報をお互いに提供せねばならないような二次被害を受けないようなという意味はよくわかるが、かなりこの点には慎重でないといけない。
 それとの関係で、もし民間団体、現在我々警察から例えば早期援助団体で情報提供いただいているわけで、これについては守秘義務がかかっている。その中で、他の機関と共有するという場合でも守秘義務がかかっているので、そう簡単にはいかないところがあるという問題もある。
 ですから、もしこの情報を共有するとしても、それを精査してかなり限定的なものにならざるを得ないのではないかと感じた。


2.「支援者・コーディネーター等の育成等」について

 民間の団体で支援活動を行う者の養成・研修及び犯罪被害者等支援のコーディネーター等の育成等の在り方に関する提言案について、事務局案に基づき、具体的で実現可能な方策を議論し、事務局案の基本的な内容については大筋で合意された。

○事務局 研修の関係で、民間団体で支援活動を行う者の養成研修及び支援のコーディネーター等の育成の在り方に関する提言案ということでご説明を申し上げたい。
 資料にあるように、まず関連の調査結果ということで、これまでのヒアリングあるいは海外の状況等について簡単にとりまとめをさせていただいている。
 5ページのところから提言案になっている。今連携ネットワークについてご議論をいただいているが、各機関・団体のやはり支援に携わる人のまず意識・認識とテクニックといいますか技能といいますか、そういうものがやはり十分でないときちんとした支援はできないわけであり、いろいろな関係機関・団体が一定以上のレベルの支援が行われるようにする必要があると考えている。
 そのレベルを保つために人材の育成を図っていかなければならないということは異論がないと思うが、ただ一朝一夕に人材養成できるわけではなく、やはり実際の経験がある程度ないと本当に被害者のためになる支援はできないということで、相応の時間が必要であるということも当然ではなかろうかと思う。現状を踏まえてやはり徐々にステップアップを図るということで研修等を進めていく必要があるのではないかという前文である。
 まず1つ提言させていただいているのは、そういう中で全国のレベルを上げるために研修のカリキュラムのモデルを国でつくろうかということを提言している。諸外国の例を挙げているが、いずれにしてもこういう一定レベル以上の民間団体で支援活動を行う方々の内容・質を確保するために各省庁のご協力を得て、カリキュラムのモデル案をつくりたいというのが1点目である。
 そのモデル案については、インターネットで周知し、それぞれ地域の実情に応じ、あるいは定期的にきちんとそういう団体において研修を行うべきだというのが(2)、(3)である。
 大きな2番目で、実は諸外国の例を見ても、国が直接研修あるいは認定を行っている例というのは余りなく、やはり民間のNOVAだとかVSだとかそういったところが研修を行っているケースがあり、やはり今のご時世からも民間団体においてそういった研修、認定等を行うのが適切ではないかと考えている。その際に、唯一現状を踏まえると、現在我が国における唯一の全国的な支援団体組織として被害者支援ネットワークがあり、このネットワークに対してそういった全国の加盟団体の研修等々、カリキュラムの作成等々についてやっていただいてはどうだろうかというのが2番目の提言である。
 ネットワークに対しては国・地方において必要な援助を行うということで、これについては今別途「民間団体への援助に関する検討会」においても、そういう方向で援助していきたいということを念頭に置いている。
 それから、3番目であるが、民間団体で支援を行う者の支援活動を助長する仕組みということで、中身としては要は身分保証のような話と、それと事故なんか起きたときの補償のような話であるが、まず、支援活動を行う者の信頼性の確保、身分をどうするかということについては、この研修のカリキュラムの中で研修あるいは認定制度を実施することによっておのずと、1のところで初級、中級、上級、コーディネーターコースというのを設けているが、これは仮称であるが、そういうことで一定の資格を与えるようにできないかということで、それをやればかなりの部分信頼性の確保に資するのではないか。
 それから、支援活動にかかる費用の弁償あるいは災害の補償等については、これはまさに活動の費用の援助の問題であり、「民間団体への援助に関する検討会」において援助を手厚くする中で当然配慮されるべきことであり、3の方の検討の結果を待ってはどうかということである。
 それから最後に、コーディネーター等の育成ということで4点目を提言している。このアドヴォケーターであるとかあるいはアドバイザーというような言い方もされるが、いずれにしてもいろいろな支援全般をコーディネートするコーディネーターの役割というのがやはり重要だし、必要ではないかというのがまず1点である。そのために民間支援団体へ本当は全団体にそういったコーディネーターの方が規模に応じて何人かいらっしゃるというのが重要であるが、しかしながらこのコーディネーターは非常に高度の知識あるいは経験が必要であり、その育成にはやはり時間がかかるのではないかと考える。
 したがって、いずれはそういうコーディネーター配置へ向けてその基盤の整備のために、カリキュラム・モデル案でコーディネーターコースのような一番最高コースをつくり、そういう認定制度というようなものを実施をし、コーディネーターとしての育成を図っていこうというのが提言である。
 今現にコーディネーターとしても十分やれるという方も何人かおられると思うので、そういう方をどうするかというのもあるかと思うが、いずれにしても全体としてはコーディネーターは必要であり、それに向けてきちんと認定制度をつくっていくべきである。
 それから、いわゆる専門的チームというのを現にやっておられるところがあり、弁護士とか医者とかそういう専門家の方を集めて連携して支援に当たっている例があるので、そういったこともコーディネーターの育成にはある程度時間かかるからそういった専門的チームの活用等についても配慮してはどうかということで提言している。

○構成員 ここで研修の主体と研修の対象と2つあると思うが、基本的に扱われているのは民間支援者を対象としている。支援のための連携の方では、むしろ公的機関の連携と公的機関の相談の資質を上げるということは二次被害の解消に役に立つという文脈だったと思うが、こちらについてはどのようになっているのか。

○事務局 もちろん公的機関の方のレベルアップも大変大事なことで、これは基本計画においてそれぞれの省庁において医者にしろ何にしろレベルアップを図るということで、それぞれのもう既に計画があるので、そこは一応お任せをして、一番やはり民間の団体で支援活動を行う者の養成研修ということで基本計画の中に謳われているので、そこを重点に提言している。

○構成員 確かに被害者支援ネットワークは全国組織であるし、早期支援というのは非常に大事なことで、ほかのところではできないから、そこを中心に支援をしていくことについては否定するものでは全然ないが、ただ、実際に早期支援ができるほどになりそうな団体が全国に今あるかというと、やはりそういう状況ではないと思うし、それから、DV法とここの法律の間のすき間に落ちてしまう性暴力被害者に関してはむしろほかの組織で、例えば女性センターなんかにはその辺のカウンセリングの組織があって、自分たちで認定なんかもやっている。そういうところの人もたくさん入っている。
 例えばDVに関しては、今例えばDVのアドバイザリーの派遣事業なんかがあって、これは公的機関の中の相談員であるが、そういう人の支援するというのも多少あるが、このやり方でやるのであれば、そういう性暴力被害系の支援をする民間の方にも何らかの支援の研修の助成であるとか、やはりそういうことの道が開かれていないと、全部が早期支援を目指す被害者支援ネットワークで、そこだけで集中してやっていくということでいいのかどうかについては私は多少心配がある。

○構成員 全国被害者支援ネットワークは、今41都道府県の42団体あるが、まだ組織によっては早期援助団体の指定がまだ現在9団体である。まだまだその指定がとれそうもないところもあるが、この国の財政的な援助がされるときまでにはすべての組織が早期援助団体になることを目指すということで今努力している。
 民間団体の援助にかかわるスタッフの教育の問題というのは今、構成員が言われたように、ネットワークだけではなくて虐待の問題であれDVの問題であれ、それにかかわっている人たち同じようにそういう機会を得る必要があるでしょうし、国の財政的な支援も当然そうされる構造になっているだろうと思う。
 ただ、この認定制度のことを私は是非実現してほしいと思う。この認定制度が効果を発揮するには、同時に、研修に関する費用、少なくとも研修に参加する人の旅費など実際にかかる費用、それをきちんと国が提供できるような形が伴っていなければならないと私は思う。全国被害者ネットワークに所属する人たちの中で援助者として非常に能力を伸ばしている人、またこれから伸ばせる人、コーディネーターになっていける人たちはたくさんいると思うが、今まではそういう国による支援がなかったから、全国研修会をやってもボランティアの方たちが自費で参加しなければならない。しかしそれがなかなか続かなくてやめていかれるようなことが繰り返されていたから、認定をし、研修をするというときには同時にその人たちをきちんと大切に育てていけるような、あるいは研修に参加しやすくするような財政的な支援の裏づけも是非平行して実現していただきたいと思う。

○構成員 私全国多分9割ぐらいのところは回らせていただいているが、やはり統一の研修制度がない。何言ってるかというと、性暴力犯罪とか交通事故とかいろいろな犯罪があるが、もっとその前の基盤として、どんな社会制度保障があって、どんな法があって、どんな権限が私たちにあってとか、そういったことすらが基盤整備されていない。だから、こういう上級、中級、初級といろいろ分けてくださっているが、例えば基本的なこの社会の仕組みがあって、こんな法があって、こんな制度があって、こういうことがありますよということは多分どの被害者支援をやろうとする志す方に対しても必要なものがあると思う。それは多分全国統一で1つの研修制度があってしかるべきだと思う。
 ただ、そこから一歩踏み出し、交通事故であったり性暴力だったり刑事犯罪だったりいろいろなところに踏み込むときには、多分個別の制度がいるのではないか。医者であれば多分基本は一緒で、そこから外科にいくのか内科にいくのかというのがあると思う。
 そういった点で構成員が言われたように、被害者としてはまず基本的なことは全部わかってらっしゃる方で、さらに私はこのことについては得意分野がありますというようになればいいと思う。まず全国一様なレベルまで支援者の方の知識や考え方を統一して、その上にさらにいろいろな犯罪種別に応じて個別のカリキュラムをつくって、国からモデル案を提示して、そのモデル案を使って各支援団体が、全国支援ネットワークに限らずいろいろな支援団体がそれを使って、参考になるようなものがあれば大変助かるのではないかと思う。被害者としても何々県ではこの支援が充実しているけれども何々県ではないとかとなると困るので、そういったことを提示していただくことは支援する側にとっても、逆に支援される側にとっても安心なのかなと思う。
 また、今回こういった内容をインターネットで出されるということなので、別に支援を受けようと思った人も大体どういう考えの下に支援をしているのかなということがわかれば、安心してそういった支援機関に行ってみようという気持ちになる。私も最初は支援センターいろいろありましたというお話を聞いたが、ブラックボックスだったので、どのような方たちが何をしているかわからないところがあって怖いことがあったが、このようにしていただくことで研修内容も明らかになれば、どのような考えでどのような支援をしているかということが明らかになれば、その門をたたきやすくなる方も増えるのかなと思う。

○構成員 全国でその均一のサービスをということはもちろんそのとおりだと思う。被害者支援ネットワークが警察が積極的に支援されて早期支援と、日本ではとても最初はできないようなことだと思ったが、それが進んできていること、とてもすばらしいことだと思う。
 ただ、実際にいろいろなところでやってますと、警察とかかわれないでいる人たちの支援とか、あるいは警察にもいろいろな事情があってものを申したい人たちの支援というのも当然ある。だから、私が危惧するのは、確かに被害者支援ネットワークに全部つぎ込むというのは効率的かもしれないが、そういうやり方でやっていると落とす人たちがたくさんあるし、それから現に今やはりここで殺人事件の遺族の方はたくさん当事者として発言されているが、実際にそうでない被害者の人たちでうまく被害者団体にも加盟できず、そうかといって何らかのところで発言することもできないような人たちというのは実際にある。自分はどうしてもそういう人たちを拾うところが多い場所にいるのでとても気になる。
 被害者支援ネットワークで何らかの形をつくって、そこできちんと知識やクオリティを保った人たちを育てていくことに対しては何も異議はないが、その一本だけにしないでもらえるような形を是非担保してほしい。そうでないやり方で、例えば何か研修をするときにある程度のレベルがあればそれを制度としてやっていけるとか。実際にそういうことをやっている団体が現にあるのにもかかわらず、やはりここには呼ばれていない。それは小さかったり、それから発言するに足るような安定した活動をしてなかったり、それから行政の方と距離が遠かったりいろいろなことはあるわけだが、でもその人たちのところに行ってる人たちもたくさんいる。
 むしろそこを今ここで入れないと非常にそういう団体と乖離した形での支援になってしまい、日本の全体の犯罪被害者支援という点からはよくないと思う。その裾野を広くとっておくということが非常に大事なように思う。

○構成員 基本的には私もこれを読んで賛成で、是非つくらないといけない。つまり、全国どこにいても、どの場所でも同じような支援を受けられる、均質の支援が受けられるということについての理想、なかなか現実はまだまだ遠いところはあるが、しかしこれが将来的には果たさなければいけない課題だろうと思う。そういう意味でもボランティアの方々とか、それからコーディネートしていく人たちの教育といいますかトレーニングをしっかりしてやっていくことが必要だ。
 ただ、そこの際に、1つはこの中でコーディネーターの役割、育成ということが謳われている。その1つに、これは第3検討会の課題かもしれないが、是非マネジメント能力というものを考えていただき、イギリスのVSのそれぞれのコーディネーターはマネジメント能力の非常にある方を採用しているみたいで、元企業で例えば経理関係の、あるいは人事とかでも働いていた人が、必ずしも被害者支援活動をしていた人ではなくてそういった人をリクルートしている。これはもちろん有償のペイドスタッフとして働いておられる。そういうつまりマネジメント能力が非常にある方でないと困る。単に橋渡しとかコーディネートできるだけではないということが1つだろう。
 それから、今、構成員がおっしゃっていた点について、これはまだまだ将来の課題ではあるが、この民間団体がそういう犯罪被害者の支援のプロとして活動していって、そしてそういうトレーニングマニュアルがしっかりできて、しかもそのトレーニングマニュアル、これもイギリスのVSの場合などは罪種別によっても違うということで、そのきめ細かなトレーニングマニュアルがある。そういったものをしっかりと学んで、それがフィードバックというか、各ほかの行政機関とかの研修というか、そういう被害者支援やサポートする立場にある方々の支援の研修にも参画するということをしているみたいであり、そういう作業が日本でも行われてもいいのではないかと思う。
 そうすると、被害者支援の専門家である民間団体のそういう将来的にはすぐれたトレーニングマニュアルというものがフィードバックされる、そういう役目を果たすことができるのではないか。そのためにも早期にこういうシステムをつくり上げていく必要があるだろうと思う。  それから、もう1つ、これも構成員がおっしゃったことであるが、その他の各種の団体がある。今私たちがここで言っているのは全国被害者支援ネットワークに参画するような団体ということであるが、そこが行っていくことと、それから例えば今おっしゃったように行政機関とはちょっと距離を置いたような立場の支援団体もあると思うし、いろいろな立場の支援団体があると思う。それはそれで支援活動されていくのだと思うが、我々現在はそれぞれ手さぐりで今まで、それからネットワークのいろいろな研修会を通じて学んだことをもとにしてつくっきた、それを統一化していこうということであるが、それを情報提供するという形は必要かと、ほかの団体に。しかし、各ほかのネットワークとかに入らないでそれぞれの自分たちの力で一定のスタンスを保って支援活動をなさっていくところは、我々がそれを公開したものを育成して、協力関係は持っていってもいいと思う。必ずしも統一基準でなくていいのだろうと思う。

○構成員 全国被害者支援ネットワークは警察と行政機関との連携を密にしているが、警察に届けていない犯罪の被害者とかあるいは警察とはうまくいかない方たちも私たちはできるだけきちんと対応できるように教育をしている。そういうことですので余り偏った立場ではないということは、言っておかなければいけないと思う。
 それからもう1つ、DVとかいろいろな専門の被害者支援の領域があるわけだが、私たちはそういうところとも連携をしているし、ここの研修のことに書いた文言でもネットワークのところを1つの項目として挙げて書いてあるが、ほかのところにそういうものはいらないということを言っているわけではなく、そこでの成果は被害者支援にかかわるあらゆる団体に共同で、あるいはそこを応用するような形でいろいろな形で認めていっていいものだと思うので、構成員が言われるような懸念は余りいらないのではないかと感じる。
 これは財政的支援の方の問題だが、全国被害者支援ネットワークとしては、今、私たち自身への活動に対する国の支援も要請しているが、同時に犯罪被害者団体あるいはほかの民間援助団体にも同じようにそれぞれのプログラムに応じて財政的な援助が行われるように先日要望書を出した。

○構成員 各省と同じだと思うが、私どもの方の関係の職種、とりわけ専門職種、先ほどお話があったが、そういうところについては基本計画の趣旨に則ってそれぞれ必要な知識を身につけてもらうということでやっている。こちらの方の今テーマになっているコーディネーターなどの育成については、私どもの方でペーパーで出しておる以上の意見はない。

○構成員 私ども担当している組織における被害者支援のスタッフの実力はいかがかと言われると率直に反省すべきところも多々あるということはよく認識しており、そこの研修の具体的な仕組みもまだまだこれからよくしていかなくてはならないという実情であるが、そこは一生懸命やってまいりますのでもう少し見ていていただきたいと思う。

○構成員 提言の2.、7ページであるが、今回必要な援助を行う主体として国及び地方公共団体という「及び地方公共団体」の部分が追加されている。例えば研修を行う際の場所の提供であるとか、あるいは講師の派遣といったようなものを考えられるということであるので、そういったことは十分あり得るだろうとは思うが、この文章だけ見ると、上記研修カリキュラムモデル案の作成など、地方公共団体の方々が自分たちがモデル案をあたかも作成するのかというような誤解を与えてもいけないという懸念を持った。
 また、提言という位置付け、地方公共団体との関係から文末「行うこととする」という表現がほかのところで、例えば「促す」とか「必要がある」とか「強力に求める」とかいろいろある中でどうなのか。

○構成員 カリキュラムをつくっていく上でのコンテンツということになるのかと思うが、支援にかかる制度にはどういうものがあるのか、どういう補償があるのか、この最低レベルのところがまずわからないということの実情も踏まえ、わかりやすいものを我々の方でも出していくということが必要である。


3.その他

 次回の検討会は3月26日を予定しており、ワンストップサービス化や法人格の創設の必要性や導入の可否などについて御検討いただくこととしている。

午前11時59分 閉会



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