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犯罪被害者等施策
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支援のための連携に関する検討会(第9回)議事録


日時:平成19年3月26日(金)15:00~16:43
場所:合同庁舎4号館 共用第4特別会議室
出席者:
座長長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
奥村 正雄同志社大学大学院司法研究科教授
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
高井 康行弁護士
本村 洋全国犯罪被害者の会幹事
山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
生嶋 文昭総務省自治行政局自治政策課長
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
木岡 保雅文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
北村 彰厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任)
依田 晶男国土交通省住宅局住宅政策課長

(議事次第)

1.開会

2.「ワンストップサービス(相談の一元的な受付・対応場所)化等」について

3.「支援のための連携に関する検討会中間報告(案)」について

4.閉会


(配布資料)

資料1  内閣府資料  [PDF形式:41KB]
資料2  警察庁資料  [PDF形式:21KB]
資料3  総務省資料  [PDF形式:14KB]
資料4  法務省資料  [PDF形式:18KB]


(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 皆さんこんにちは。
 小西構成員がちょっと遅れておられるようです。それから、厚生労働省参事官も5分ほど遅れるという連絡が入っております。定刻になりましたので、ただいまから第9回支援のための連携に関する検討会を開催をいたします。
 長井座長に司会をお願い申し上げます。

○長井座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 まず本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 議事次第にありますように、本日は残っておりました議題であります「ワンストップサービス化等」についてご議論いただきますとともに、中間報告の案につきまして、いろいろご意見をいただき、またご検討をいただきましたことを踏まえて作成しました事務局案について、ご議論いただければと考えております。
 以上です。

○長井座長 これより議事に入ります。
 議事次第の2、「ワンストップサービス化等」について事務局から説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料1、内閣府資料の中間報告案IIの5というところですが、6ページぐらいでしょうか。「ワンストップサービス(相談の一元的な受付・対応場所)化等について」をご覧いただきたいと存じます。
 いわゆるワンストップサービス化あるいは既存の団体と全く異なる法人をつくって被害者の方からの要望・意見にこたえてはどうかというご意見がございまして、ここで論点として取り上げるということになっておりました。これらの要望・意見の背景には、やはり適切な「橋渡し」がなくて、継ぎ目に当たる度に被害者の方が制度あるいは組織の谷間に落っこちてしまってすくい上げられないと、こういった状況があるのではないかと考えられるという認識を示しております。
 これまで、本検討会でそういう陥穽に陥ることがないように議論して参りましたハンドブックのモデル案あるいは研修をきちんとやる、そのためのカリキュラムを作成するという施策あるいは民間団体が、そういった研修などに当たることを検討会では予定しているわけですが、それに対して別の「民間団体への援助に関する検討会」によって検討されている民間団体援助等の施策を実施することで、平穏な生活を再び送ることができるまでに、また個々の事情に応じた支援を適切に受けられる体制を整備していくことが大事ではないかということであります。
 これらの施策の実施状況については、ほかの施策も同様でありますが、どれだけ進んでいるのかという被害者の声を聞きながら、検証・評価・監視をきちんと行いまして、いわゆるワンストップサービス化を求める背景について、その改善を図っていくことが必要ではないかということでございます。
 それから、御案内のように、いわゆる法テラスが運用を開始されておりまして、専用のダイヤルもできているわけでありまして、ある意味で、そういう意味でのワンストップサービス的なものは既にあるわけでありまして、ただ、これがまだできて半年にもならないわけでありまして、その運用状況を踏まえて、今後の取り組みの着実な実施と活動の充実に努めてはどうかということで、提言をまとめさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

○長井座長 ご説明ありがとうございました。
 それでは、この提言案(事務局案修正版)についてご意見がございましたら、よろしくお願いいたします。どうぞ。

○本村構成員 すみません、法務省の方に法テラスについて、少し勉強させていただきたいんですが、この日本司法支援センターでは法律相談だけではなくて、今はお電話していただいた方の相談内容を聞いて民間の支援団体等、そのほかの機関にもご紹介をするノウハウがあったりとかリストがあって、この場合は、まずここの機関をご紹介いたしますとかいう形で民間の団体やその他の団体も紹介するようなメカニズムを今有していると認識してよろしいかどうかということだけ、確認させてください。

○長井座長 どうぞ。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 民間の支援の団体につきましての情報も集約しておりまして、お問い合わせに対して、ご紹介申し上げてございます。
 ただ、日本司法支援センターは、基本的には適切な相談等の対応をする機関を紹介する第一次的な窓口というものがどうしても大きな役割にありますので、法律相談につきましても自分のところで完結するのではなくて、弁護士会でありますとか、そういうところをご紹介することがほとんどになるということでございます。

○本村構成員 わかりました。それは今は「全国支援ネットワーク」という大きな傘に入っている機関だけですか。それとも、ほかにも小さな…小さなは変ですが、ネットワークに入っていないような民間の支援団体とか有力な団体等ありますが、そういうところにも情報網とか連絡網を持たれていると認識してよろしいですか。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 把握できている限りにおきまして、さまざまな支援団体の情報を入手してご紹介申し上げるようにしております。

○本村構成員 わかりました。ありがとうございます。

○長井座長 どうぞ。

○奥村構成員 それにちょっと、今のことに関連しているのですが、まだ半年ほどしかたっていないと思うのですが、今の運用状況というところまでいかないのかもしれませんが、ちょっとその辺、もし何かおわかりになることがありましたらご案内いただきたい。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 まさに5カ月たった、6カ月目に入ったところでございまして、各地方・都道府県の地方事務所ごとに、地元の機関との連携の濃さというのは、かなりばらつきもございますし、全体的にまだまだ、十分なレベルに達してございません。それにつきましては、警察を中心とした協議会にまずは少なくとも加入いたしまして、その動向等も踏まえまして、やはり有効な連携が確保できるように、各地方事務所ごとに連携のあり方を模索しておるということでございます。
 日本司法支援センターではコールセンターというところで全国統一の電話番号でいろいろご相談を受け付けまして情報提供をしておるところでございまして、そちらの方もコンスタントにご相談が入っておるという状況でございます。
 また、もう一つ、被害者支援に精通した弁護士を紹介する業務というものをしてございまして、これはコールセンターにご相談がありますと、各地元の地方事務所の方に基本的に案件を回しまして、そこでのさらに詳しい対応ということになりますが、まだ半年で100件にちょっと足らないくらいの実績でございますが、だんだん定着して少しずつ伸びてきているかなというような印象も最近感じるところでございまして、国民に周知されるに従って、また弁護士会の方の対応もだんだん充実して参ると思いますので、さらにその点は伸びていくのではないかなと期待しておるところでございます。

○奥村構成員 どうもありがとうございました。以上です。

○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。それでは高井構成員、お願いいたします。

○高井構成員 結局、このワンストップサービス化については、この提言は賛成しているのですか。それとも、これは必要ないといっているのですか。この原案を読んでもよくわかりませんよね。要するに、そういうワンストップサービスをする部署が、新しい部署が必要であるという声があることは認識していると。しかし、そういう声が出てくる背景としては、こういうものがあると。今後そういう背景がなくなるように努力しなければいけないといっているわけですよね。そのあとに、法テラスの話がちらっと出てくると。そうすると、本来ワンストップサービスを求める声はあるが、それは継ぎ目があるからそういう声が出てくるわけであって、継ぎ目がなくなればそういう声は出てこないはずだという趣旨の意見・提案というようにこれは読むのですか。

○長井座長 では、事務局、どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 おっしゃるとおりでありまして、本来、ワンストップサービスというのは、先ほど法務省の方からもありましたが、そこに行けば、もう全部弁護士のサービスも何から何まで、カウンセリングも全部受けられると、そういうのが理想型だと思うのですが、ただ残念ながら、そういう理想的な形でのワンストップサービスというのは、なかなか現状では難しいと。おっしゃられたように、その背景となっている、要は連携ができて、きちんと途中でストップしないように、何カ所もいかなくていいように済むような、そういう施策をまずは打っていこうではないかと。そのためには法テラスも重要な役割を果たすであろうということで、どちらかといえばちょっと難しいですねという、本音を言えば、そういう感じの提言でございます。誠に申し訳ございません。

○高井構成員 それから逆に、法テラスが将来、今は始まったばかりだが、将来法テラスをワンストップサービスをする部署として育成すべきだという姿勢なのか。それとも、そこまでは法テラスに要求しないのですよということなのか、そこもこの提言案からよく見えてきませんよね。そこら辺はどういう位置づけなのですか。

○長井座長 どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それも現時点で、そういう法テラスをどう育てるかというのは、やはり今後の運用状況等を見ないと何とも言えないところがありますので、ちょっと抽象的な書き方にならざるを得ないと。

○高井構成員 僕の認識では、法テラスの主たる業務は、やはり被疑者国選に重点があって、被害者支援というのは、こういう言い方をするとちょっと語弊があるかもしれませんが、従たる業務のような位置づけで、予算もそんなに配分されていないと認識しているのですが、ですから、日弁連の中でも法テラスの中の被害者部分をどのように充実していくかというのは、日弁連サイドで何かできることはないかということを今、つい最近も議論しているのですが、その背景としてはなかなかその予算も少ないし、充実させていくのはなかなか難しいなという認識があるのです。ですから、そういう法テラスに過大な期待をするのは、被害者支援に関しては法テラスに過大な、今でも十分、今いろいろやっていただいてはいるのですが、それ以上ここに書いてあるようなワンストップサービスのようなものを、法テラスに将来的に期待するというのは、なかなか難しいんじゃないかなと私自身は思っているのです。
 ですから、法テラスと絡めてワンストップサービスが云々というような提案は、果たして妥当なのかなと。これは提案ではないのだよと、消極的なのだよということであれば、ああそうですかという話になるのですが。ただ、今後ものを考えるための材料として申し上げておくと、なかなか法テラスをそういうものとして育てていくというのは、僕自身は難しいと思うのですね。法務省はどのようにお考えなのか、それはちょっとわかりませんが、そのようなこと。
 その一方で、やはりいろいろなところで手分けをしてやるということは必要なのですが、どうしても被害者支援を、そうなると当然継ぎ目が出てくるので、そこをどうやって解消していくかというのは非常に大事な問題だなと思うのですね。僕、記憶がはっきりしないのですが、スウェーデンかどこかには、「被害者支援庁」みたいな役所が別途ちゃんとあって、そこで一元的に被害者支援をやっていると。今さら日本に新たな省庁を設けるべきだという提案をするつもりは全くないのですが、そのような官庁を持っている国もあるということを前提にして、この一元化の問題は考えていく必要があるのではないかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。
 続いて、室長の方から何かございますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 特にございませんが、司法支援センターは、やはりここで言うような理想的な形のワンストップサービスというのはなかなか難しいというのは、私も先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、基本計画などにおいても、司法支援センターの役割というのは結構たくさん書かれておりまして、やはりそういう意味でも充実を図っていく必要があるということは今後も必要ではないかと考えて提言とさせていただいております。
 以上でございます。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 一言よろしゅうございましょうか。

○長井座長 はい。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 法テラスにつきましてはご指摘のとおり、今の法律のつくり方からしましても、法テラス自身がワンストップの主体になるということは、まず難しいのが現状でございますが、総合的な情報提供の機能というものは大きく期待されていると思いまして、それが期待どおりに機能いたしますと、ワンストップを求める背景事情のうちの幾分かは解消されていくのではなかろうかなというようなことも考えまして、なお書きで司法支援センターもちょっと頑張れと、ちょっと尻を叩いていただいておると、そのように私どもは理解しております。

○長井座長 ありがとうございました。
 小西構成員、大変お待たせいたしました。どうぞ。

○小西構成員 私が言いたかったことは、ほぼ高井構成員の質問と一緒でしたので、それだけ。
 補足でちょっとだけ質問ですが、さっき100件というふうに法テラスで言われましたが、これは何が100件ですか。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 いわゆる精通弁護士の紹介でございます。

○小西構成員 犯罪被害者に対する精通弁護士の紹介が100件。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 はい、さようでございます。

○小西構成員 わかりました。ありがとうございます。
 この5のところなのですが、すみません、私ちょっと理解が進んでいないのですが、ワンストップサービスは基本的には都道府県単位のものと理解していたのですが、「なお」をどう読むかというところで、いかようにも読めるといえば読めるのですが、そちらに関してはもうほとんど何もいっていない状況になっていると考えていいのですか。

○長井座長 室長、お願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 これは、ワンストップサービスの概念も別にはっきりしているものではなくて、そういう全国ベースで必要だという声もございますし、それから都道府県単位でも必要ではないかという声もございます。ここは、どちらとも別に特定はせずに、いわゆるワンストップサービスということで全国的なものも、あるいは都道府県的なものも念頭に置きつつ、現在のところは全体のそういう連携強化を図るという、ここでご検討いただいた施策を充実させることをとにかく進めてみようと。その結果を検証して、なおこれでは不十分だという話になれば、またそのときに考えてはどうかということでありまして、特に全国レベルでということだけを念頭に置いて書いたわけでございません。
 なお、別途、当然そういう民間団体などの援助あるいは地方公共団体の役割も非常に大事だと我々思っておりまして、それにつきましては「民間団体に対する援助に関する検討会」のところで現在検討が行われているところでございます。
 以上でございます。

○小西構成員 現在のところでこれ以上具体的なことが書けないというのは、それは理解するのですが、例えば今お話になったように、全国レベルでも地方レベルでも必要とされていることについては書いておくとか何かそういう枠づけがないと、ここに書いてあることが何なのか、何だかはっきりしないように思いますし、法テラスにワンストップサービスは求めないというのが、今ここで出た意見では、多くの人がそれは無理だろうと思っているわけですね。弁護士紹介はとても大事なことですから、それは重要な機能だと思いますし、そのことについてここに書いていただくのはとてもいいことだと思いますが、全体の構成について、ここの部分のもう少し、今おっしゃっていただいたような枠が書いてあるとよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○長井座長 室長、お願いします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 その辺のところを盛り込む分には全然やぶさかではございません。

○長井座長 どうぞ。

○奥村構成員 私も今の小西構成員のご意見に賛成でありまして、前にヨーロッパ、欧米の視察の結果について申し上げましたが、ヨーロッパを回ったときも非常にこれからの課題だということではありましたが、イギリスなどでも警察を中心にするかとか、あるいはヴィクティムサポート(VS)などを中心とするか、それぞれいろいろな組み合わせがありますが、ともかくやはりワンストップサービスの仕組みは整えていかなければならないという認識はありますので、そういう前向きだという、またなかなか現実は厳しいところがありますが、難しいところはありますが、やはり前向きにそういう体制を構築していくという姿勢を示すことは必要ではないかと思います。

○長井座長 事務局、特にございませんか。
 山上構成員、お待たせいたしました。どうぞ。

○山上構成員 私たち全国被害者支援ネットワークは、もし私たちが目指している組織のしっかりした体制が整えば、このネットワークにつながればその方に必要な支援にどこにでもつないでいけるような体制をつくりたいと思っているところです。ここに民間支援団体の体制の充実、仕組みの支援とか、そういうのが書かれているのですが、それはぜひ強調しておいていただきたいと思います。今ほかの検討会で検討されていますが、なかなかどこまでそういう財政的な支援、特に人ですね。中心になる人の人件費が全然出せないということを一般的によく言われるのですが、要になる人材をきちんと位置づけないと、そこの組織が育たないものですから、そういうことも含めてぜひ民間支援団体の充実を、ここである程度触れてはおりますが、そこを強調していただければと思います。

○長井座長 ほかには何かございますでしょうか。
 それでは、このワンストップサービス化につきましては、今回で実現可能で具体的な方策を示すということが必要なわけですが、今まで各構成員の方からご意見をいただきましたが、それを踏まえて事務局の方から何かございましたらお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 先ほどから出ておりますワンストップサービスの位置づけみたいな話を盛り込みまして修文をさせていただきまして、できれば全体の方向案はこういうことでよろしければ、メール等でご相談をさせていただければと思います。よろしゅうございましょうか。

○長井座長 それでよろしゅうございますでしょうか。
 では、このワンストップサービス化につきましては、ただいまのご意見のように取りまとめたいと思います。ありがとうございました。
 それでは次に、議事次第の3、「支援のための連携に関する検討会中間報告(案)」について、事務局からご説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 中間報告案をこれまでの検討あるいは頂戴した御意見を踏まえまして、若干修文を行っております。
 まず1ページ目の「はじめに」のところですが、これも検討会でのご指摘を踏まえまして、研修の部分と2つに分かれているような感じでしたが、これを整理・統合をいたしまして、本検討会全体を貫くスタンスというものをはっきりさせたと。特に、余り書いても提言というのは別にないわけですが、まだまだ連携が原始的なレベルというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、本当につたない状況であるということを、やはりこの検討会の提言を通じて国民の方にも示すことが必要ではないかということで、そういうことで「はじめに」ということで書かさせていただいたところでございます。
 それから、大きな修正としては「被害者カード」のところでございますが、4ページから5ページにかけてということになろうかと思いますが、特に警察庁から、かなりちょっと難しいみたいなお話はございまして、もともと被害者カードは、どこにでも通用するようなものにはなかなか難しいし、いろいろ制約もあるということで、そうはいってもやはり少しでも、一歩でも進めたいということで、ご提言をさせていただいたのですが、さらに警察庁からのご意見等を踏まえて、もう少しカードの作成に伴ういろいろな問題点をより明確にしまして、さらにその紹介元機関・団体が、前は判断によりと、同じですが、裁量でいいですよと。要するに、もうできない場合はやらなくてもいいですということをより明確にしまして、しかも原則作るというような感じにも読めたわけですが、そうではなくて、支援に支障を来すおそれが認められないと考えられる場合という条件をつけまして、そういう場合においてのみカードを作成できますよということで、より慎重な言い回しにしております。そして、留意点は、これは前と大体同じでございますが、これをよりはっきりした形で、若干表現もかえさせていただいております。
 そういうことで、なかなか本来の意味のどこでも通用するカードというのは難しいのですが、本検討会においては、やはり被害者の負担を少しでも軽減する一歩としてカードについて、余りどれだけ有効かというのはなかなかやってみないとわからないのですが、そういうものが必要ではないかということで、かなりの修文を行っているところでございます。
 ご議論よろしくお願いしたいと思います。

○長井座長 ご説明ありがとうございました。
 ただいまご説明のございました事務局案について、ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。

○高井構成員 このカードのことですが、今のこの案ですと、紹介元機関あるいは団体がその裁量で、犯罪被害者の同意を得てカードを作ると。そのカードは、誰が持つことになるのですか。相手方機関に、それを例えば紹介元機関から紹介した機関に、そのカードを送るという趣旨なのか。カードを作って、それを被害者に持たせるということなのか。これはどちらなのですかね…ごめんなさい、「これを犯罪被害者に交付する」ということを言っているのか。しかし、これは「橋渡し」に際して作成されるものであり、当該二機関のみにおいて有効であるということ。逆に言うと、直送したって余り効果は変わりはないような、どうして被害者に交付することに何の意味があるのだろうなと思ってしまいますが。

○長井座長 どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 おっしゃるように前回もご議論いただきましたが、本来どこでも通用する、そして何回も説明しないようにしたいというのが被害者の方のご要望なのですが、それは機関が全部違いますし支援の状況も違いますので、それはなかなか困難であろうということで、まず一つは確実に支援の連携を支援する機関同士が図ると。それは、2つの機関だけの、そうしないといろいろな機関だとまた中身が違ってきますので、それをきちんとやりましょうと。そのときに、一応そういうきちんとした連携のための被害状況等を記載したものをつくるわけですが、そのうちで被害者に交付することがあってもいいのではないかと。なぜかというと、それは被害者の方にきちんと、こうやって連携しているよと、ここの機関に行けばきちんとこういう支援が受けられるよということを、被害者の方に口頭で説明しても足りる場合もほとんどであると思うのですが、それをどうしてもやはり自分がそれをいろいろな事情で被害者の方が求められたときに、それを持っていくことによって、より安心をされるというか、そういった効果を狙っているということで、おっしゃったように本来の被害者カードの役割である、どこに行っても通用するとか、そういうことができないものですから、そういう意味ではより一層連携を確実にするとともに、被害者に対して支援、連携状況を確実に示すことによって、被害者の方により安心してもらうということを狙ったカードということが言えようかと思います。

○高井構成員 そうすると、紹介状の細かい文言、具体的なもの、あるいは被害者が自分で書けるところ、それは大変だからといって別の支援団体が書いてあげると。これを持って次の機関に行ったらいいですよというような、そういうイメージですか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 いろいろなケースがあると思いますが、基本的にはそういうことに役に立つのではないかと思います。

○長井座長 警察庁、どうぞ。

○警察庁犯罪被害者対策室長 最初に、高井構成員からお話があったように、私どもも要は紹介元機関と紹介先機関の間で適切な情報伝達がなされていれば、それを超える情報量が被害者の方を介して書面の形で行くわけではないわけですから、むしろきっちりとそこの部分を情報伝達していくことの方が、被害者の方がスムーズに紹介先機関で相談、支援に応じていただけるという形になるのではないかということで、前からご意見をさせていただいております。
 それでこの事務局修正版の前の段階で、私どもが指摘した問題点をちょっと説明させていただきますと、いろいろな犯罪の当事者につきましては、やはり被害者がどちらの方なのかという認定が非常に困難なものがございまして、中には加害者、被害者双方の立場になる方などもいらっしゃる場合もあると。また、当事者の間で事実関係に争いがある場合も少なくないわけです。こうした中で、当事者の一方の申し立てで、そういったカードという形で内容を記載して、それを交付したということになりますと、その場合に紹介元機関は、そのカードを所持している方が犯罪被害者であると、あるいはカードの記載内容が真実であるといったような認定ないし証明を与えたという誤解を与えることになると。
 例えば、加害者の方が悪意で、そのカードを所持して自分が犯罪被害者であるというようなことを称した場合、真実の被害者に対して二次的な被害を与えるおそれもあるのではないかということで、その犯罪の当事者または被害者支援にかかわる関係機関・団体との間でも無用のトラブルを引き起こす可能性がございまして、本来の被害者の方への適切な被害者支援を行えないことにもなり得るのではないかと懸念するわけであります。
 また、一方当事者の「私が犯罪被害者である」という申告をもって、そういったカードを交付するとした場合、そのカード交付をもって被害者であるという認定をされたという誤解を与えて、刑事手続あるいは民事手続あるいは紹介されたところでは行政サービスなり支援のサービスにも混乱を生じさせるおそれがあるということを懸念します。
 中間報告案の中で、あるいは事務局修正版の中でも、カードは被害者であるということを認定・証明するものではないと書いておられるのですが、現実にそういったものを運用した場合には、こういった問題が発生することが懸念されると。
 それから、個別の事案によって、カードを作成しない判断ということであるとしても、やはり犯罪にかかわる当事者の間でそういったカードをいただけるのではないかという期待も高まりますし、そういった場合にカードを交付した、あるいは交付しなかったという場合に、その当事者の方と紹介元機関との間でも紛争というか、そういったものが生じるのではなかろうかと。
 そういったご意見をさせていただきまして、それを踏まえて今回事務局の方でさまざまな問題が起きる可能性があるという説明の中で、このカード作成については犯罪被害者等に関する個人情報保護の管理に伴う問題、これも私ども前々から申し上げておるのですが、個人情報保護法に基づいてというお話なのですが、これは5,000人以下の個人情報を取り扱うところは個人情報保護法の対象外です。ですから、そういったところについてどういう適切な管理が担保されるのかということについて、まだ何ら議論されておりませんし、特にこの公的機関の団体がカードを作成する場合、ここは事務局の作成版にございますが、こういったカード所持者が被害者として認定された、あるいは申告に基づいて作成されたカードの記載内容が事実として証明されたという誤解のおそれがある。
 一方でこのカードを提示したとしても、既に紹介先機関に対しては、紹介元機関の方から恐らくカードなるものよりも詳細な情報が行っているわけでして、その上でやはり紹介を受けた紹介先機関としては、それぞれの立場で必要なサービスを提供する上で必要な情報の確認をするわけですから、再度説明を求めることは避けられないという問題が正にあるわけでして、特にこれも警察の場合であれば、犯罪捜査機関としての立場もあわせて有する立場で、そういったいろいろな部分、当事者の一方の申し立てだけで、そういった内容の書面を交付するということに伴って、さまざまな問題が、先ほど申し上げたましたような問題があるわけですが、警察以外の国の行政機関あるいは都道府県、市町村の犯罪被害者の相談窓口に対して、いろいろな局面で犯罪被害者と称する方が、一方、当事者とのトラブルがあるようなものについて、そういったカードを提出してほしい、作成してほしいといった場合に、同じようにやはり公的機関であれば、特に一定の法的な要件のもとで一定の判断をして被害者かどうか、被害者だとして、どういう被害者の人なのかということで行政サービスを提供するということになりますと、非常にこういった問題は、大きい問題があるのではなかろうかと、特に公的機関については思うわけです。
 むしろ最初に、高井構成員もおっしゃっていましたが、本来は紹介先機関と紹介元機関がきっちりと情報伝達を連携していれば、被害者の方はスムーズに支援の連携で橋渡しを受けることができるわけでして、特に今回およそすべての関係機関、団体で流通する形での橋渡しでなくて、あくまで紹介先と紹介元との連携の話ですから、そこのところをきっちりなされればいいのではなかろうかと。
 他方、どうしてもそういった、何かしら紙でないと安心できないという方が例えばいるとすれば、そこはやはり行政、公的機関よりも、むしろ民間の支援団体などの方が柔軟に対応できるでしょうから、そういったところについてはいろいろなトラブル回避の前提の上で、そのようなことをやるということもあるのかなと思わないでもないのですが、いずれにしてもそのようなことを考えますと、今回の事務局案の中で犯罪被害者等からは支援を求めるために、自らの被害を説明しなければならないのはつらい作業だと。カードを作成して、窓口に見せれば被害について説明を行うようなことなしに支援を受けられるようにしてほしいという要望があるということだけが書かれているのですが、要するに、そういった要望があるなど犯罪被害者の方が支援を求める機関、団体から紹介された機関にスムーズに橋渡しを受けられるようにすると、これが目的だと思うので、2ポツのところは、あくまで紹介先機関と紹介元機関の伝達のことが書かれているのですが、犯罪被害者の方に対しても、きちっとそういった橋渡しをしているのだよということを、情報伝達というのでしょうか、お話ししていくということがよろしいのではなかろうかと。
 一方で、カードの問題については、先ほど言いましたように公的機関・団体がそこに関与するということは非常に難しいと思いますので、公的機関が紹介先機関・団体に対して橋渡しのための情報伝達をする場合は、当然紹介先機関・団体に対してガイドラインを参考として適切な情報伝達を行うと。これとあわせて犯罪被害者等の方に対しても紹介先機関・団体に情報伝達を行った場合、その場合にはそういった橋渡しのための連絡を行って、あるいは行うよということ。それから紹介先機関・団体がどういった支援を提供することになっているのか、その内容でありますとか、それとあわせて一番大事なのは、やはり紹介先機関の担当部署なり連絡先をご連絡することで、被害者の方がスムーズに紹介先の機関に行って支援なりを受けられるような形にしていくということが、一番大事なことなのかなと。
 なお、民間の団体等において、そういった形で、書面で何かおやりになるとしても、そこはやはり事務局案にありますように、そういったカードの作成が本当に必要と認められて、そういった問題が生じないと考えられる場合におやりになるというのが、そういった被害者の方あるいはそれ以外の当事者の方とのトラブルを防ぐという意味でも重要かなと思います。
 以上です。

○高井構成員 1点いいですか。質問させていただいて。
 これはカードは、当該2機関だけで有効であるとなっているのですが、紹介元から紹介先に行ったときに、そのカードは紹介先に渡してしまうのですか。それともその後、ずっと被害者がそのカードは持ったままなのですか、この制度の考え方として。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 そうですね、そこまで考えていないですが、それでもう用済みになりますので、どちらでもいいのではないか。

○高井構成員 だから、仮に被害者の持ったままだとすると、幾ら2当事者間でしか有効ではないのですよといったところで、ほかのところに持っていって、警察庁からとか、例えば警察署、どこどこの署からこういうカードを書いてもらいましたと見せることは可能なわけですよね。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ですから、ちょっとこれは図が載っていないので恐縮ですが、ちゃんと連絡先もここだけしかだめよという形で明示してあるのを予定してあります。おっしゃるように、被害者の方がここの病院だよと行っているのにほかの病院行ったとか、あるいはほかのところに行ったというのは、それは被害者の方の考えで、それは別にとめられるわけではないというのはおっしゃるとおりです。

○高井構成員 今、警察の方も言われたように、被害者と言われて、いろいろな方がおられるわけですよね。非常に加害者的な被害者もおられるわけです。被害者なのか加害者なのかよくわからないという被害者と称する人もいるわけですから、なかなかその制度として難しいなと思いますし、やはり公の機関がというか公の制度としてやる以上、カードを作成する被害者と作成してもらえない被害者がいるというのもいかがなものかなという感じもするのですね。ですから、こういう枠組みの制度であれば、むしろせっかく、これはいろいろ修文していただいた事務局の方とか、もしかしたら本村さん怒られるかもしれませんが、こういう仕組みのカードだと、なくてもいいのではないかなと。申しわけないのですが、なくてもいいのではないかと。
 要するに、ここでいわんとしていることは、紹介元と紹介先の間の情報伝達がしっかりされていて、被害者がAというところからBというところへ行ったのに「あんた何しに来たの」と言われて自分はどこへ行ったらわからないとか、いや実は、私はかくかくしかじかのことでこういうものです、改めて言わなくてはいけないというのがつらいという話ですから、Aという機関とBという機関がきちっと情報伝達されていれば、被害者である例えば甲という方がAからBという機関に行ったとしても、気持ちよくそこで支援を受けられれば、それで足りるわけですよね。ですから、そういうことを考えると、このカードはなくてもそういう仕組みはつくられるのではないかという気もするのですね。そういう意味では、今警察庁の方からおっしゃられた御意見は至極最もだなと僕は思いますが、出席回数が少ないくせに勝手なことばかり言って申しわけないですが、どうですか、本村構成員。

○長井座長 大変すみません、活発にご議論をありがとうございます。
 自由に述べていただいて結構なのですが、同時に実現可能で具体的な方策を示すという観点からしまして、具体的な文言修正等も含めてご意見を頂戴できれば大変ありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 本村構成員、どうぞ。

○本村構成員 まさに最初、事務局がご説明くださったように、本当はカードなり何かがあって全機関をこれを持って回れば、それなりの状況を把握していただいて、すぐに支援できると。最初、私は電子データ化されてID化されて、見た瞬間にぽっとパソコンの画面に出てくる、会社とか大体そうなっているのですが、社員証みたいなものを見せれば、大体その人の経歴とかもわかるというのが今の世の中かなと思っていたのですが、なかなかそういった難しい情報があるというのはあると思いますし、警察庁の方ご指摘のとおり、いろいろな問題をはらんでいると。
 ただ、被害者として、私はそういう行政の素人なので余り多くを申せませんが、私がこの検討会の構成員に、こんな若輩者がお受けするときにいろいろこの基本計画を読ませてもらいました。その基本計画の5の「重点課題にかかる具体的施策」という中の、第4というのがこの検討会だと思っているのですが、その中の相談及び情報の提供という中に、一文読ませていただきますが、「性犯罪や家庭内の暴力にかかわる犯罪被害者等の中には、被害そのものを明らかにすることができないため、捜査機関等のかかわりを持てず、相談や支援を要請する方法もわからないまま困難な状況に陥っている者も存在するとの指摘がある。」ということがございましたので、そういった例えば今検挙率が3割弱しかない中で、7割の方が加害者が見つからないと。そういった中で、一方の方の意見しか聞けない中で、被害状況を特定できないと。ただ、実際に支援する方々は、その被害者だけの情報をもって支援をするわけですから、その点を踏まえてこういった、まさに狭間に陥ってしまっている、本当は被害者なのになかなか信じてもらえないとか、あなたの話は信じがたいと言われてたらい回しにされてしまうとか、そういった方をどう救うかということを考えていただきたいなと思います。
 確かに、こういったことを発行することで、行政のプロから見るといろいろな所轄の問題があるとか、後々自分たちの立場が難しくなることはわかるのですが、確かに2機関だけの連携しか使えないとなりますと、高井構成員とか警察庁が言われたように、その2機関がちゃんと連携していて、どういう被害者をいつ、どこどこ、いつ必ず来ますとか、どんな状況ですということがちゃんとわかっているようなものであれば、もしかしたら被害者カードというのは、いわゆる被害者を安心させるため、ちゃんとここに何月何日、被害相談に来たと、ここを紹介されましたという証拠だけにしかならないかもしれませんが、それでも私はいいのかなと思っております。
 ただ、今言ったように、警察庁の方が言われたように、警察庁が見てもなかなか被害者と同定できない方も、でも実際は本当は被害者で困っている方もいらっしゃる。特に、私の周りにもいらっしゃいますが、家庭内暴力とかDV関係の方とか、本当に犯罪かどうかもわからない中で困っている方がいらっしゃいますので、そういった方をどう救うかということも、やはりもともとの被害者カードにはそういうところにあったと思いますので、そこも踏まえてご理解いただければなと思います。
 ただ、今事務局案にありますように、ある最初の起点となる相談の機関団体から、ある機関団体へ紹介だけというのであれば、まさにそのカードというのは紹介をしましたよという証明になりますので、それでも被害者にとっては安心材料になると思うので、ぜひこれであっても最初の一歩としてぜひ実現してもらいたいなと私としては思ってございます。ただ、それにかかわる施策の問題があるということはご指摘のとおりだと思いますので、そこをいかに防ぐかということを前向きに検討するような形になればいいのかなと私は思っております。
 以上です。

○長井座長 ありがとうございました。
 大変お待たせいたしました、奥村構成員、どうぞ。

○奥村構成員 今ご議論になっていますが、私、前回も申し上げたと思うのですが、先ほど警察庁の方がおっしゃった問題点は、実は被害者支援団体の構成員としまして感じているわけでして、例えばもしこういう被害者カードができたとしますと、今警察から民間被害者支援団体、早期援助団体には情報がリファーされてくるわけですが、仮にそこで被害者カードというのが仮にできたとしますと、そういう被害者がまさに2機関ですよね、警察と民間被害者支援団体との間の橋渡しとしてのカードを持ってくると。そこに一体どういう意味があるのかということですね。
 先ほど御指摘になられた問題点があると思うので、大事な点は、先ほどのワンストップサービスでもありましたように、要は機関同士、団体とか機関が連携して犯罪被害者の人が迷わないように支援をしていくということにあるので、その機関同士の情報交換がやはり一番大事なので、だから単なる紹介状みたいなレベルでしたら、それを持っていることだけで、今、本村構成員がおっしゃったように、それでも安心するんだというレベルぐらいでしたらいいのかもしれませんが、余りその中身の問題というのは、やはり機関同士が詳しい情報交換をしないとだめなので、そういう意味では犯罪被害者カードの実際上の意味というのは余り感じられないという気がします。
 むしろ、それからこれも前回申し上げたかと思いますが、被害者の方にとっては2機関だけで有効ですよと書いてあるわけですが、被害者にとっては、やはりそれを持っていますと、特に公的機関、別に警察に限らず県とか市とか、そういう公的な行政機関からもらったりしますと、やはりそれでもって何とか自分の主張を通したいとかいうようなことで、他の機関とか団体にもそういうものを持っていかれることがあります。無用の誤解を招く、トラブルが生ずるおそれもあるのではないかというようなことで、要は大切なことは、もし作るとしましても、本当に単なる紹介状レベルぐらいのものでしかない、意味を持たないのではないか。むしろ機関同士の情報を密接に持った、それがワンストップサービスの一つの実現のあらわれでもないかと思います。

○長井座長 山上構成員、どうぞ。

○山上構成員 私は、このカードの条項は残していただいた方がいいと思います。いろいろな難しい問題はあると思います。例えば民間団体であれば、自分たちが今まで論じられている非常に危険なところは、その組織なりにきちんとチェックをした上で、自分たちが責任を持てる範囲内での文章をつけることができるだろうと思います。それが必要と感じますのは、先ほど2機関の連絡であればと言いましたが、実際には例えば被害者が弁護士を紹介してほしいというようなときに、そういう警察が弁護士を紹介できるかどうかわかりませんが、もしするとしても被害者の方はこの弁護士で納得できなければ、これは行かなければいけない。その都度、警察が病院に行くとか、あるいは市町村に相談に行くというときも、全部その都度紹介状を警察が出してくれるということは余り現実的でないように思いますし、また警察に届けられていない被害者もいるわけですので、やはりそれは先ほど言われたような問題があることは、民間援助団体で自分たちが、きちっとこの部分は責任を持てるという文章をつくってカードを出せて、被害者のそういう対応を少し容易にできるようにするというところは残していただいた方がいいように思います。

○長井座長 小西構成員、どうぞ。

○小西構成員 今、山上構成員から民間団体からだったらできるのではないかというお話でしたが、それぞれやはり立っている立場によって、自分のところが出せるか、受け取れるかというもののイメージがどうも違っているなと思いました。警察は難しいと伺いましたが、私は医療機関の立場で見て診断書を出すような医者の立場から言うと、これはとても難しいです。
 警察と同じか、さらにかわかりませんが、例えば妄想で被害とおっしゃってくる方とか、そういう人も私たちも受けます。それから、実際にこれはどう聞いても司法には乗ってこないけれども、本人は被害だとおっしゃっている方も受けるので、そこの段階で今でも診断書を出す、出さないというところでちゃんとやろうと思うと物凄く苦労したり、患者さんに苦情を言われたり脅されたり、そういうようなことがやはり起きたりするわけですね、実際に。それを考えると、多分自分のところに何らかのそういう公的な責任が伴っているところでは、これに関してはとても難しいというのが、やはりみんなが思うことなのではないかと思うのです。
 ただ、本人が言ったことがそのまま書かれているものがあれば、それはそれなりには確かに役には立てられるのですが、本人がそのことで何かおっしゃった場合には難しいという、これも多分医療の方も同じだと思います。
 もしかしたら、出すところを限定していただくとか、そういう形でないと、この話はこれ以上ちょっと進まないかなと思うのですが。

○高井構成員 いいですか。

○長井座長 どうぞ。

○高井構成員 多分、こういう制度をつくると、これは本村構成員、気を悪くされるかもしれないが、被害者の中にはいろいろな人がいるのです。ですから、出す、出さないで今後、例えば僕のところに支援を求めてきましたと。では先生、カード書いてくださいよと。僕はちょっとこの人どうかなと、書けないねといったときに「何で書かないんだ、あんた」と。書く書かないで、支援する側と被害者との間で感情の問題が起きたり、いろいろな不信感、お互い不信感を持ったりするということも多分出てくると思うのです。ですから、どうしてもこの制度を作るというのだったら、ここだけ今おっしゃったように、どこかもうポイントを決めて、ここの機関でしか作らないようにするとか、そのようにしておかないと、かえって被害者支援が混乱すると思いますね。被害者支援が混乱して、支援する側と被害者との間の信頼関係にひびが入るおそれがあると思いますね。

○長井座長 本村構成員、何かあればどうぞ。

○本村構成員 では、ちょっと提案なのですが、山上構成員にお伺いしたいのですが、今、私たちの会でも犯罪被害者の会をつくっていて、そこに入会していただくときに、その人が犯罪被害者であるかどうか確認しないといけない作業があります。そのときに、被害の状況を書いてくださいとお願いをするのですが、便せんに長くいろいろ書いていくわけですね。読んでいくのですが、なかなか読みづらかったりとか、論点がはっきりしなかったりする場合がございます。
 提案なんですが、では逆に、犯罪被害者と称する方が支援をいろいろな機関に求めるときに、被害の状況とかどんな支援を求めるかとか、そういったことを書く定型フォーマットみたいなものをつくってあげて、これにとりあえず記入してくださいと被害者本人に書かせて、それを持って各機関行ってくださいというのは無理ですか。さらに、それは私は一番に紙にするのではなくて、以前も言ったのですが、今後の検討会の資料にたくさん書かれていますが、いろいろな基礎的自治体レベルだとか都道府県レベルだとか、いろいろなところでの連携のカリキュラムがあったりとか、研修の支援センターで働かれる方たちの研修のカリキュラムの考え方とか、倫理要綱であったりとか、さらにはいろいろな犯罪被害者にまつわる法律が種々できています。そういったものが小さくまとまって、ガイドブックみたいになっているものを一冊与えてあげて、その最初の何ページかにあなたの住所とか名前とか犯罪の罪名何ですかとか、刑事裁判中ですかとか民事裁判したいですかとか、何かそういうのを書く項目があって、被害者が書くとだらだらした文章になってしまうので、どんな被害で何を求めているのかということが、支援する方とかすぐわかるように、その手帳は被害者が自分で書いて持って、持ち回るというようなものというものはできないですか。最初のページの方には被害の状況が自分で書いてあると。後ろの方には、犯罪被害者にまつわる法律とか制度とか、この国の取り組みとか仕組みが書いてあるような冊子を与えてあげることで、それ1枚を持てば大体のこの国の支援のやり方とかわかるようなものとか、そういったものというのは逆につくることは難しいでしょうか。逆に、それを支援する支援センターの方とかは、いきなり被害者の方と話を何回もしていく中で、被害者が困っていることとか何をしてほしいかということを読み解くのではなくて、どんなことが支援できるかとか、どんなカテゴリーがあるのかということが項目としてある、アンケートとしてではないですが、ある方が支援しやすいのではないかなと思うのですが、そこはいかがでしょうか。

○高井構成員 1点よろしいですか。

○長井座長 山上構成員に続いて、高井構成員お願いいたします。

○山上構成員 私は、被害者自身がチェックするものをそのまま支援センターが支援センターの用紙を使って、どうぞ使ってくださいというわけにはいかないだろうと思うのです。やはり私の考えにあるのは、こういう判定の難しいケースではなくて、明らかに被害者であって、いろいろな援助を求める必要があって、例えば警察からも要請があるとか、そういうケースのさらにいろいろなところへ相談に行くときに負担をできるだけ軽くできるようにというような考えです。私はむしろ、その支援センターで出せる人をかなり、きちんと限定して、その評価をした上で出すということをできるようにすればいいのだと思います。それで、私は現場に混乱は起きないと、実際に援助のできる人たちと、ケースによっては我々がかかわるべきでないケースも、それは現場で判定していることですので。

○長井座長 高井構成員、どうぞ。

○高井構成員 本村構成員の提案の一つは、何度も何度も同じことを説明するのは被害者から見ると大変だと、つらいと。だから、1回説明すればそれですぐ足りるようにしてもらいたいというのが、まず根底にありますよね。ただ、今度支援する側から言いますと、紙に書いて私はこういう被害に遭ったのですという紙を持ってきて、さあ支援してくれと言われても、多分それは支援できないですよね。やはり支援をするというのは、「共感する」ということなのですよ。本村構成員なら本村構成員に共感するから支援ができるので、共感するためにはやはり聞かなきゃだめなのですよ、そこは生の声で。幾ら紙に詳細に、こんな被害に遭ったのですと書いてあっても、そこからは多分、同情は生まれるかもしれないが、共感は生まれないですよ。そこはもう1回、そのときどんな気持ちだったですかとか、どうして防げなかったのですかといろいろ聞いて、その中で受け答えをする中で共感が生じて、それが支援につながっていくのですよね。ですから、そういう意味では説明を略するという発想は、気持ちはわかりますが、それは行き過ぎてしまうと非常に支援が形だけの、心の伴わない支援になってしまうという危険もあるということを考えながら、この仕組みは考えなけらばならないと思います。

○長井座長 どうぞ。

○本村構成員 それはもうよく理解できます。そのとおりだと思います。
 ですから、であれば、一つだけお願いしたいのが、今までいろいろな機関に「すみません、私は犯罪被害でこんなことに遭っています。」と相談に行ったときに、非常に面倒くさがられたり、私のところではできませんよとか、そういったことがあったので、同情の目を持って被害者に対して犯罪を未然に防げなかったという反省のもとに支援をするという風土をつくっていただいて、どの地方自治体へ行こうがどこに行こうが、きちっとそれをあなたは犯罪被害者ですねと、変な奇異の目で見ずに受け入れてくれて、温かく支援を一緒に考えてくれるような風土ができれば、多分きっとこのようなものは高井構成員が言われるように要らないと思うのです。
 であるのであれば、被害者に紙を持たせて証明させるようなカードもなく、きちっと各機関が連携をして、被害者が可能なことは、できないこととできることはありますが、できる国の制度は可能な限りスムーズに検討したり使わせてあげているような橋渡しを、どう見えるようにするのかということが大事だと思うのです。各2機関できっちり連携をすればいいというのは、まさにそのとおりなのですが、どういう連携をするのかというのが逆に被害者から見えなくなってしまうので、そこは最初に述べられているモデル案の中にきっと盛り込まれていくと思うのですが、逆にそこできっちりと、そこを明記してたらい回しされたりとか、本当に私のこと真剣に考えてくれているのだろうかと思わないような仕組みをつくっていかなければならないのかなと思います。
 このカードを作る、作らないというところは大変デリケートな問題を含んでいますので、ちょっと私一人でどうかと言えないと思うのですが、私はできれば、何か被害者がきちっと各機関で連携して支えていただいているというものが実感できて、逆に支援する側も共感しなければならないというのも、まさに逆に被害者も信頼しなければ自分のすべてのことを話せませんので、そういった信頼関係をつくる何かものとして、信頼の証みたいなものがあればいいのかなと私は思っていますので、ちょっとすみません、最後は具体的な提案の施策を提示ができていないですが、何かそういった形のものを残せないかなと切に願っております。
 以上です。

○長井座長 警察庁、何か追加的なご発言があれば。

○警察庁犯罪被害者対策室長 特にありません。最初申し上げましたように、私ども警察または恐らくほかの公的機関もご発言ありませんが、同じだと思います。こういう形のカードに関与するというのは非常に難しいと思います。

○長井座長 小西構成員、どうぞ。

○小西構成員 ちょっと今、思いつきで発言することがこの場でふさわしいかどうかわからないのですが、先ほどの本村構成員の御意見を聞いて、例えば医療で使っているインテークの用紙というのがあります。要するに、症状を聞いたりということを自分で書いていただく用紙ですが、例えば高井構成員は聞かなくてはわからないとおっしゃいましたが、殺人事件の遺族で、お子さんを亡くされたということだけでもわかれば、家族構成を「お子さん何人ですか」と不用意に聞くとか、そういうところに少しストップが確かにかかるわけですよね。それから、レイプの被害者だって書いてあれば…ただ、そう言われたから、まただめだと門前払いされる可能性もなくはないのだが、書いてあれば、それなりの対応ができるのは確かにできるかもしれないですよ。責任の問題が大きいのだとしたら、ご本人に何か簡単に記入していただくということだったら、可能なのでしょうか。ただ、私たちが例えば医療の中で必要としている情報と、警察庁が必要としている情報と、民間支援センターが必要としている情報はそれぞれ違いますから、それが被害者の方にちゃんと納得できるような、紙1枚でおさまるかどうかわからないので、すごく簡単なことだけでも多少は違うかもしれないと、今聞いていて思いました。

○長井座長 どうぞ。

○警察庁犯罪被害者対策室長 この説明をしなくて済むようにという話なのですが、そうすると、紹介元機関から伝達された情報は、すべてが真実だという前提ですべて対応をしなくてはいけないということになりますと、やはりそれぞれの機関で事実関係を判断して対応していくわけですから、逆にそういう、かえってそこでまたお尋ねしていると、本当に私が最初の紹介元機関で話した内容を信用してもらっていないのかと、本当にそういった猜疑心を被害者の方に抱かせて、信頼関係が構築できないということになるのではないかと思います。
 私ども警察、もちろんまだまだ不行き届きな点はあると思うのですが、やはりいろいろな被害者の方あるいはご遺族の方の心情に思いをいたしながら、しかしながら私どもとしては、やはりお聞きしなければならないことはお聞きして対応しているところでありまして、なかなか紹介元機関からこういったお話があったということだけで、それを前提として何か対応するというのは非常に難しい部分もあるのかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。
 他の省庁の方からは、いかがでしょうか。一応ちょっとご発言いただければと思います。
 まず厚生労働省、いかがでしょうか。

○厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任) 基本的には警察庁がおっしゃることと同じ懸念を持ちますし、今、構成員の方からもお話がありましたように、それぞれ実際に援助を行う機関や公的な機関あるいは民間の医療、福祉関係業務を行う団体や機関で必要とする情報もさまざまであり、またその保護などのいろいろな問題がありますので、ここは慎重な対応が必要かなという印象を持っております。

○長井座長 ありがとうございました。法務省、いかがでしょうか。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 懸念材料というものは既にほぼ全部出てきたと思いますが、特に、原案では、カードは裁量によって作れる場合に作ればいいのだというスタンスで一つの解決策としたものと思いますが、被害者側に過度の期待を抱かせて、混乱を招くとしたらそれが一番怖いかなという印象を持っていたところでございます。
 司法支援センターは、主として紹介ばかりする機関になるわけでございまして、その立場から考えますと、具体的にどこの機関を紹介するかということで、その紹介先との間での連携の濃さを着実に高めていって、「本当に紹介する」というかな、本人の判断にゆだねる場合と、もう完全につないでしまう場合と分かれてくると思うのですが、こんなところもあるがどうでしょうか、お考えいただいたらという場合と、もうその場合にはここに行ってくださいと、すぐ行きますというのであれば、後者の場合には、ではそちらの方に連絡を入れますという形に、だんだん濃い連携のあり方を各機関ごとに、これからどんどん構築していこうと思っておりますので、その実践的なつなぎのよさをまずは私どもは追求していきたいかなと思っているということでございます。

○長井座長 ありがとうございました。総務省、よろしくお願いします。

○総務省自治行政局自治政策課長 自治体レベルでの対応につきましては、それぞれのレベルに応じましたハンドブックを備えつけて、これに基づいて職員が対応していかれることになると思います。基本的に専門的知識と経験等のない人間が、そうしたハンドブックに頼って対応するとなった場合に、誤解したり混乱したりすることのないようなシステムにしていただければと思っております。

○長井座長 ありがとうございました。文部科学省、よろしくお願いします。

○文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 文科省の方は、直接にはこの部分は余りかかわりが少ないように思うのですが、今まで出されておられるような考え方で私どもは構わないのかなと思っております。ただ、個人的なことを言えば、法務省の方で言われていたように、やはり若干これを作るために過度の期待を持たれることにはなるのかなと思っております。
 以上です。

○長井座長 ありがとうございました。国土交通省、いかがでしょうか。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 国土交通省の側からは、支援を行う住宅部局は情報の受け手でありますが、発信元になり得るかどうかについては、住宅部局に最初に来た方々について、住宅部局の側から他の機関に発信をしていくという意味で、紹介元機関になるということは、余り考えられないのかなと考えております。
 それから、現状ではご本人から支援を求める申し出があった場合、公営住宅の優先入居等の取り扱いをするときに、そうした申し出に至る犯罪被害事実なのか、あるいはそういったような被害の報告があるかどうかということについては警察の方に照会するような仕組みがあるわけでございますが、そうしたことについて照会に代替できるほどの内容がカードに書かれるということは、なかなか期待できないと思います。やはり改めて、また照会せざるを得ないと考えているところであります。

○長井座長 ありがとうございました。
 本検討会におきましては、今回で本日ご議論いただいている内容が最終回になるわけではございませんが、パブリックコメントをかける前の段階といたしまして、中間報告の取りまとめの中では、ぜひともその実現可能で具体的な方策を示すということで、具体的な文言を入れ込む必要がございます。この修正版につきまして、どこをどのようにというようなご意見がございましたら、ぜひともご発言をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ちょっとよろしいですか。

○長井座長 どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 いろいろ貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 ちょっと全体聞いておりますと、やはり公の機関ではなかなかカードをいかに裁量といえども難しいというご意見が多かった。他方、支援センター、そういう民間の団体では現に可能であるし、できるだけ出したいと。あるいは被害者の方から、やはり何らか欲しいというご意見もございました。
 私の全くの私案ですが、この被害者カードをそういう民間団体で出すと。それはここに書いてあるような条件とか、あるいは留意事項あると思うのですが、他方、警察庁からも冒頭ちょっと説明があったのですが、このシステムはやはり、一つは連携を支援機関同士の連携をきちんとするというのが一つと、その連携状況もやはりきちんと情報を被害者の方に伝達をすると、この意味が大きいと思うのです。したがって、そのカードという形にはこだわらないが、この中でやはりそういう公的な団体については、きちんと情報を伝達をすると、橋渡しをちゃんとしているという、その連携状況を被害者の方に説明をきちんとするというようなことを1項目入れて、カードそのものについては民間の支援センターの方で出すというような、それで一歩進めるというようなことでどうかなと、全く今私案で恐縮ですが、御議論をお伺いしていてそう思うのですが、いかがでしょうか。御議論お願いします。

○長井座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○奥村構成員 一つの考えとしては、民間被害者支援団体同士の連携というところで、そういうカードを使うということも一つの考えかもしれませんが、民間被害者支援団体としましも、その人が本当に、「犯罪被害者カード」というネーミングがちょっとよくないのかもしれませんが、被害者なのかどうかというのは迷うことが非常にあるわけで、被害者ではない方もいらっしゃることもありまして、その対応に苦慮することが実際はあるわけです。
 ですから、明らかに被害者という方について、今おっしゃったように無用な不安とか、それから被害者の方が、どういう支援を自分が責任を持って受けているのかというようなことの情報ということは、説明をすれば済むことが多いわけでありまして、実際は説明をして被害者の方に納得していただくということはありますが、この民間団体同士の間だけでも、かなり難しいという問題があるということで、ですから先ほどちょっと申し上げたように、他の機関にいらっしゃる場合、やはり民間被害者支援団体でもA県とB県との間の連携で、もしA県の被害者がB県に移られたということで、B県による支援が必要だという場合は、やはりその被害者の同意を得た上で情報交換をして、そして適正な支援をしていくということが、やはり大事なのではないかということでありまして、しかしまだこのカードの、下手をすると一人歩きするおそれというのは、その段階でも考えざるを得ないのではないか。それから、またもう一つ、民間被害者支援団体でも、早期援助団体というのは準公的な機関でもあるわけなので、その辺の問題もあるのではないかという気がいたします。

○長井座長 山上構成員、お願いいたします。

○山上構成員 民間支援団体が積極的にこういうものを出したいということではなくて、被害者のそういうニーズがあるときに自分たちが責任を持てる、明らかに犯罪被害者であると、いろいろなところへ相談に行くときに役立つような紹介状のようなものの書式を作って書くということは可能であろうということです。それは被害者の求めがあるときには出せるよう、それは、ですから改めてカードと言わなくても紹介状でもいいのかもしれません。
 だから、ほかでどこでも出せないのに民間団体だけが出すという形で残すのがいいことかどうか、判断できません。奥村構成員も民間団体の委員でございますので、そういう組織全体での相談も必要になるかとは思いますが、被害者自身のこういうものであっても要るという強い要望があれば、こたえることはできるのではないかとは私は考えています。ただし、対象はかなり限られ、しかも自分たちで、警察ともいろいろ連絡をとる場合があって、そういう中で自分たちが出していいと、本当に責任を持って考えられるケースに限られるだろうと思います。

○長井座長 ありがとうございました。ほかの構成員はいかがでしょうか。

○高井構成員 これ僕、思いつきですが、本村構成員の希望や何かを聞いていると、被害者カードというよりは「被害申告帳」みたいなものをつくって、この人が何を言っているのかと。例えばこの人は今まで自分は被害に遭ったと言っているが、それをどこで言ってきたのかと。例えば日弁連の被害者支援委員会でも言っていますと。例えば所轄署でも言っていますというようなことがわかるような書式をつくってみてはどうかなと。これは全くの思いつきですよ。ですから、多分、今までここで議論されている被害者カードとは全く意味の違うものになるのかもしれないのですが、本村構成員のご希望を前提にすれば、そういうものでも、ないよりはあった方がいいということだと思うのですよね、先ほどおっしゃった御意見なんかは。
 ですから、ちょっとイメージを変えて、どうしても被害者の方から見たら、何かがあった方がいいということであれば、ちょっとイメージを変えたものをもう1回考え直すと。今の問題はどこかが、この人は被害者ですよと認定したような形になるからいろいろな問題が起きますということですから、どこの機関も、この人が被害者だと公的に正しく認定したという形にならない形のもの、とにかくこの被害者だと言っている人は、こういうことを言っていて、今までこういう支援を受けているのですということがわかるというようなものであれば、今ここで議論されているような問題点の何点かはクリアされるのかなというふうにも思うのですが。

○長井座長 ありがとうございました。本村構成員、何かございましたら。

○本村構成員 非常に難しい問題だなと正直思っておりますが、被害者の要望でこれだけいろいろな方がご議論していただくことは大変感謝しております。
 まさに今、高井構成員が言ってくださったように、確かにどこかの機関が発行すれば、それが証明書となって一人歩きするということは、やはり問題があると思うことは私も理解しますので、どういう形がいいのか、ちょっと私も今考えたのですが、思い浮かばないのですが、ただ事務局から言われたように支援をする機関として被害者から、今、私の問題はどうなっていますかとか支援状況とか、連携されたどこの支援センターの誰にお伝えしたのかということを説明する義務とか配慮を課すということの文言を入れていただくことが大変ありがたいと思いますので、それはしていただきたいと思います。
 それと、民間支援団体のみが被害者カードを発行すると、やはりちょっと違和感があるかもしれないので、そこはちょっと考えなきゃいけないのかなというのは、正直思うところであります。
 あと、高井構成員が言ってくださったように、この「被害者らしき人」というのは余り言いたくないですが、「らしき人」はこういう主張をしていて、こういう支援が欲しいということを求めていますというのが何かすぐにわかるように、例えば手ぶらで行って「すみません、私はどこどこで被害遭いました」とか言うのではなくて、被害者と主張して何か相談に来ているのだなということがわかるようなものが、もうそれはどこが発行しなくてもいいです、個人で書くでもいいですし、そうすると余り意味がないのかな、難しいな。

○高井構成員 だから、それを公的に、書式を作って。

○本村構成員 何か書式を作っていただくことが多分そうなのかもしれないです。
 ただ、私がずっといろいろな被害者の方とか、私が最初に被害に遭った当時のことを思うと、被害に遭ったことはわかるのですが、何に困っていてどういうことをしてもらわなきゃいけないか、よくわからないのです。お金に困っているのか、家に困っているのか、仕事が続けられないとか、心の悩みがあるのかとかですね。それが何か、例えば経済的に困っているかいないかとか、何かカテゴライズしてもらうと、ああそうそう、僕はそういえば今お金に困っているなとか、そういえば仕事をやめたから、確かにこれは将来課題があるなとか、何かそういうのが、被害者が自己申告できるようなものを、何かもう当然、最後はきちっと話して詳細を言わなければ伝わらないと思うのですが、この人何ひょっこりあらわれてきたのかというのではなくて、ああなるほど、こういうことで困っているのかというか、いろいろな支援をこれからなさる機関の方が、すぐにわかるような申告書みたいなものがあると、それだけで私は小西構成員が言ってくれたように助かると思いますし、お子さまとか家族を殺された人に「何があったんですか」なんてのんきに聞かれても困るので、何かそういうことがないようなものを何かひとつ、この2年間にわたって検討するわけですから、形として国として一生懸命やってくださったわけですから、形として何か残してもらいたいと思ってございます。

○長井座長 奥村構成員、どうぞ。

○奥村構成員 本村構成員にちょっとお伺いしたいのですが、今のお話それから高井構成員もおっしゃったように、私もその理解できる範囲では、さっき申し上げたように、犯罪被害者カードとなるものをどこかが認定しちゃうと一人歩きするおそれがあるので、それはちょっと難しいということは先ほどから申し上げているのですが、ただ今のおっしゃった、例えば医者に行きますよね。最初、問診票というか、初診のときには書きますよね、問診票で。そういうことで、こういう訴えがあると。そういう、要するに申告すると。それを例えば支援団体、どこか機関が見たときに、こういう被害者の人だなと。それで具体的には説明を聞いていくと。そういうレベルのカードといいますか、申告書みたいなものだというのであれば理解はできます。そういうものの必要性ならわかります。ただ、ですから、ここで今提案されているような形というのは、非常に難しいのだろうということでありまして、まず問診票みたいなものであれば、その範囲なら実現性はあるのではないかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。山上構成員、どうぞ。

○山上構成員 私は逆に問診票としたら、問診を受けた機関の名前が書かれるとすれば責任がかかってくるでしょうし、書かないとすれば何の信頼性があるのかということにもなるので、自分で自由に書けばいいということになってしまうのだと思うのです。
 負担を軽くするというのは、明らかに、ひどい被害に遭ったという人たちに対して負担を軽くできるようなにということで、かなり対象を限る方がよい。初めて受ける機関でも、そういう人とある程度の理解を持って接することができるという意味で、私は効果があるのだろうと思います。
 ですから、誰でも自分が申告している人は全部そういう票を持って歩くのだとすれば、むしろ受け付けた機関の名前が書かれている場合、誤解を招くことになるだろうと思いますので、それだったら要らないのではないかと私は思っています。

○長井座長 どうぞ。

○高井構成員 例えば私のところに、被害に遭いましたという人が来ますね。「警察に行ったのですか」と言ったときに、いや、警察はまだこれからですという人もいるし、行きましたという人もいるわけですね。だから、その人に例えばそういう何かを持っていて、例えば所轄の印がぽんと押してあると、何月何日来庁と書いてある。そうすると、警察がどのように認定したかはともかくとしても、被害に遭ったと言っている、このAさんは、確かに警察にも行っているのだなということがわかるわけですよね。そうでないと、僕が一々聞いて、あなたは赤坂署へ行ったのと。赤坂署へ電話かけて聞かなくてはというようなことは省けるわけではないですか。ですから、そういう意味で、ここで構想されているものと全く違うのですが、そういうものがあれば支援する側としても、メリットはあるかなと。被害者の方も一々警察にいついつ行って、こういう話をしてきましたと言わなくても、僕がそれを見れば何月何日に警察に行っているのだなということがわかると。非常に効果はあると思いますが、私自身。

○長井座長 まずは奥村構成員、お願いいたします。

○奥村構成員 今、ちょっと山上構成員がおっしゃったので、私もちょっと。
 問診票を出したときに、それは診断書を書くわけではないと思うのです。診断書を書いてしまうと、それはやはり先ほどの問題の犯罪被害者カードと同じ問題が起こってくるわけでありまして、あくまでもこういう症状を訴えているというだけの参考資料に過ぎないというレベルならわかるといっただけでありまして、それに対して診断書を作成してしまうと、先ほどのご指摘のある問題点が出てくるので、それは難しいのだろうということで、あくまでも症状を訴えていることだけの参考資料に過ぎないというレベルなら、理解できるといったわけです。

○山上構成員 ですから、それだと書式も何もなしに自分の困っていることを書くことと何も変わらないわけですよね。ですから、特別にそういう書式を定めて問診という形で、問診票という形をとる意味は、私は余りないのではないかと思います。
 また、今、高井構成員が言われた、どこどこ警察に行ったという印を押せるものか。押したとしても、例えば警察にとって問題にできないようなことで言ってきた人も、それで帰ったような人だって印を押せるのかもしれませんし、そういうことで、やはりある程度の信頼性とか、そういう評価がないと、そういう書類は出ていかない方がいいのではないだろうかと私は感じています。

○長井座長 まずは、警察庁どうぞ。

○警察庁犯罪被害者対策室長 先ほどの警察署の印が押してあればというお話でしたが、まさに山上構成員がおっしゃったような問題、結局もともとの問題にしておりまして、要するに公的機関が何かしらのオーソライズを与えたような誤解を、やはり結局招いてしまうということもありますし、あと被害相談を受けているか受けていないかということ自体が、犯罪捜査の事案・内容によっては、それが対外的に知られたら、かえって被害者の方に被害が及ぶような、非常に危険な事案もございますので、そういう中で、どうしてもこれは欲しいからということで渡した結果、何か危害が生じたという場合はどうするのかということもありますので、なかなかそれは難しいのではないかと思います。

○長井座長 小西構成員、どうぞ。

○小西構成員 今まで聞いたところで自分の意見をまとめさせていただきますと、私はもしやるのであれば、個人の申告。それから、それぞれの相談をした経過などの記録は残さない。何のためにそれが役に立つかというと、実際に被害に遭った人からいろいろなものをいただいて読んだりする機会がありますが、本当にうまくかけていない。忙しい者が読むときに、例えば1個読むのに1時間とか2時間とかかかるものが、やはり読みきれないのです。そういうことをフォーマットの中におさめていただく。例えばA4ならA4、1枚の中に簡単な被害と、例えば今何に困っているかというのを書くような様式だけをご本人に差し上げるというところぐらいしかできることがないのではないかと、今思っています。

○長井座長 ありがとうございました。ほかにはございますでしょうか。
 本村構成員、何か。

○本村構成員 ちょっと悩んでいるのですが、それぞれの立場でいろいろな立場で意見は変わると思うのですが、やはり視点は被害者の負担をいかに減らすかということであって、そこの視点を踏み外したらわけわからなくなるので、やはり今いろいろ小西構成員と同じように、自己申告しかないかなとか、具体的な細かいことは書けないのかなと。
 ただ、何か初期導入をしやすくするというのと、見る方が何を求めているか、わかりやすくするというのは一つの案だと思うので、前回、私も被害者カードの案ということで、ただクリックするだけのものを作らさせてもらいましたが、そのぐらいでも自己申告で出させてもらうようなものが、使うか使わないかは被害者の自由かもしれませんが、そういったものを持って、こういうものですといえば支援をする方が、余り最初から根掘り葉掘り聞かずに、大体状況を察してくれて接してくれるような対応ができるということがわかるような自己申告のようなものができればなと思います。
 その自己申告を最初に受けたところが、それを承認するとかしないとかは、また別かもしれませんが、ただその中に、私が何月何日どこどこに行きましたとか書くぐらいはいいかもしれませんが、とにかく、たらい回しをしないということが大前提だと思いますので、何かそういったものを残したいと思っています。
 ただ、山上構成員が言われるように、何かしらの効果ですか、認定の効果がないと意味がないというのは、ちょっと私はわからないのですが、とにかく例えば加害者もよくわからない、家庭内暴力とか性犯罪とかでなかなか事件の立証が難しい方も、そういった性被害とかで困っている、家庭内性被害とか書けば察してしかるべきところもあると思いますので、そういった自己申告書なり何か持たせてあげて、それを持っていくと、それなりの対応で大体わかっていただけるというようなものが欲しいなと思っております。

○長井座長 山上構成員、どうぞ。

○山上構成員 自己申告書だとすると、一体どこがそれを発行して、一体誰の責任でどこに配るものなのでしょうか。それから、そういう責任がどこにもないような、ちょっと私には理解なかなかできない。むしろ自分で自由に書くのと、あるいはそういうときに書くときには、文章はこういうところに、短く、このように適切にというような書き方を指導するのかもしれません。それは一体誰が、そういうことを指導するか。内閣府の責任でそういう書式を決めるということなのでしょうか。ちょっとその内容がわからないのですが。

○長井座長 小西構成員、どうぞ。

○小西構成員 すみません、自分のまだイメージだけなのであれなのですが、例えばもちろん公的な機関で配られてもいいですが、ホームページなんかに被害に遭ったときに、このようにまとめていくといいですよという、プリントアウトできるような様式を置くとか、そういう形ではどうなのでしょうか。発行というイメージになってしまうと、すごく難しい話ですよね。だから、そうではなくて、情報が整理されて、この人が言いたいことが、実際に本当の被害者の方は来られると自分の必要な話をするまで、物すごく時間がかかったりしますよね。そういうことを両方とも避けた方がいいわけで、被害者の方も回り道してしゃべっている自分が嫌なのだが、そのようにしか話せないみたいなことをよく言われますから、そうだとしたら情報を整理するということだけで十分やはり役に立つことはあるわけですから、ちょっと発想を変えて、そのように被害者の人に役に立つための情報整理のフォーマットをつくると。それを持って来られても持って来られなくても支援はしますが、持って来られたときにはそれに従って、少しはいい支援ができるというイメージではどうでしょうか。

○長井座長 ありがとうございました。
 これまでのご議論踏まえて、事務局、何かございましたら。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ほかの省庁に聞いてみたいと思います。自己申告書について。

○長井座長 はい。それでは自己申告票につきましては他の省庁の方、ご意見ございましたらお願いいたします。
 まず厚生労働省、お願いいたします。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。
 皆様のご意見を伺っておりまして、申告書という形での案というのは、結構なのかと思いますし、申告書という形での問題点もまた出てくるのかもしれませんので、議論を見守っていきたいと思います。

○長井座長 ありがとうございました。法務省、よろしくお願いします。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 この場で考えている限りなので、十分に詰まっておりませんが、情報を整理していただいて、相談を円滑に進めるという意味では、有効性があるのかなと思います。ただ、それを統一の一つのフォーマットにするのか、それぞれ相談に行こうとする機関ごとに、こんなことを中心に整理してきてくださいという形で、それぞれフォーマットを作るのかとか、もう少しちょっと検討する必要があるかなと思います。

○長井座長 ありがとうございます。警察庁、いかがでしょうか。

○警察庁犯罪被害者対策室長 本日初めての出た提案ですので、今言われていることについてお答えできませんが、今、法務省、厚生労働省の方がおっしゃったように被害者の方の情報を整理してお話を整理してお聞きするということができる点はあろうかと思います。いずれにしても、ちょっとさらに議論をしていく必要があるのかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。総務省、いかがでしょうか。

○総務省自治行政局自治政策課長 総務省も、自治体職員がお話を最初に聞く段階で、そういう整理されたものがあるというのは利点があるようにも思います。また個人情報の取り扱いという意味で、それは見るだけで預からないのでしょうね。被害内容等の守秘すべき情報の扱い方も含めて示唆いただくような、ちょっと詰めたご議論をいただいた上で、その議論を踏まえてちょっとよく考えさせていただきたいと思います。

○長井座長 ありがとうございました。文部科学省、いかがでしょうか。

○文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 小西構成員が言われたような意味というのは、確かにあると思われますので、その点を踏まえて検討することは意味があることだと考えます。
 以上です。

○長井座長 ありがとうございます。国土交通省、いかがでしょうか。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 現状では、口頭でいろいろご説明していただいているところをある程度整理していただくという点では、意味があることではないかなと思っております。

○長井座長 ありがとうございました。
 それでは、事務局から何かございましたらお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 何か聞いていると、まだ最終的にはあれでしょうが、おおむねそういう自己申告によるニーズカードですか、「カード」という言葉は余りよくないのかもしれませんが、そういう被害者のニーズを簡単に自分で書く、そういうフォーマットを作って示すことは意味があるのではないかと。もちろん使う、使わないは被害者の方の自由だけれどもと、こういうご意見のように思います。
 先ほど申し上げた、そういう橋渡しをする支援機関がきちんと説明をするのとあわせて、そういった自己申告のフォーマット、これはどこでもできると思うのですが、そのハンドブックの中に盛り込むとか、もしよろしければ、そういう形で検討をして、具体的な文言等についてまたメール等でご相談をし、さらに必要があればもう1回開くというようなことでいかがかと思うのですが、どうでしょうか。

○長井座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○奥村構成員 多分さっきも出ましたように、フォーマットというのはそれぞれ、例えば医者の場合でも診察機関によって違いますよね、聞いている内容が。だから、やはりそれぞれ機関によって違うと思うのです。ですから、フォーマットというのはそれぞれの団体とか機関が、共通項とそうでないものが出てくると思うのです。その辺の形というのは、それぞれの機関で考えていく必要があるのではないかなと思うのですが。

○長井座長 小西構成員、どうぞ。

○小西構成員 これは、もう次の議論なので、ここは一旦これで納めた方がいいと思いますが、ちょっとだけつけ加えさせていただくと、私が被害者の方から言うと、ある程度自分のニーズが全部きっちりできて、要するに支援する方のニーズじゃなくて、被害者の方のニーズがはっきりするような形で、被害者が持つと考えた方が、だから全部にあった方がいいのではないかなとは今は思っていますが、とりあえずここはもう、一応のそういう形でということだったらおしまいにして、またゆっくり話した方がいいかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 では、御意見がなければ先ほど申し上げたような形で、そういう自己申告書のフォーマットみたいなもの、奥村構成員がおっしゃるように、そういう細かくするかどうかというのは、またその先の議論ですので、そこを作るときにまたいろいろ御議論するといたしまして、そういう方向でということでよろしゅうございましょうか。またメール等で文言等、ご相談させていただきます。ありがとうございました。

○長井座長 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 まだ、中間報告が完成するまでには、もう少しいろいろなやりとりがあるわけでございますが、今のところ、会議を開いてきて感じたところを、ほんの少しだけ申し上げたいと思います。
 犯罪被害者等の方々にとって、二次的な被害が忍耐の限界を超えているということは、よく承知しております。私個人といたしましても、二次的被害の問題を考えるとき、これまで直接お話を伺った被害者等の方々が抱かれていた耐えがたい思いを想起しないことはございません。また、本村構成員がこの検討会にずっとかかわってこられて、どういう思いを持っておられたかにつきましては、私なりに察しているつもりでございます。
 「支援のための連携」という非常に重要な課題でございまして、一方で、犯罪被害者等の方々の立場からすれば、すぐにでも全部、二次被害の問題は解消してほしいという思いをずっと持っていらっしゃることは、そのとおりだと思います。しかし、他方、刑事司法関係者及びそれ以外の被害者支援にかかわる、特に犯罪被害者等に直接かかわられる方々の日常業務を考えますと、毎日の職業生活の中に慢性的なストレスが伴っているわけでして、またそのことにも配慮しなくてはいけないと、ずっと考えてきたつもりでおります。
 警察だけではございませんが、日常業務の中で刑事司法関係者の方々が犯罪被害者等の方々を含むすべての人々に対して穏やかな態度でかかわれないほどに、日常業務そのものが大変であるということも承知しております。といいますのも、これまでの議論にも何度かご指摘がございましたが、被害者等のすべての方々が現実を踏まえた上で物事を客観的に認識し、また他者に協力的な方ばかりではございません。これもまた、犯罪被害者等の方々が直面する現実とは異なる、刑事司法関係者等が認識する現実であります。
 二次的被害は、本来、短期間で低減されるべき非常に重要な課題であろうとは思いますが、重要な課題であるがゆえに、非常に慎重に対応しなくてはいけないとずっと思っておりました。つまり、犯罪被害者等の方々の思いを鋭敏に感受し、さらにまた犯罪被害者等の方々を含む社会の全体状況をバランスよく把握せずに、短期間で大変革を試みようとしますと、恐らくひずみが起こるであろうと思います。また、そのひずみは犯罪被害者等の方々にどちらかというと、不利益に働くかもしれないというようなことが連想されます。
 本検討会は、短期的な視点のみならず長期的な視点を持って、犯罪被害者等の方々に社会的な責任を負う立場にあります。短期的な展望だけで犯罪被害者等の方々に大いなる期待を抱かせ、またその後に落胆させるような施策を実行に移すことがあっては絶対にならないと思います。結果的に、拙速であったという事実を残してはならないと考えます。
 支援のための連携改善には、現状を踏まえますと、本当に時間が必要であると考えます。この時間がかかることにつきまして、耐えがたい思いをずっと抱いてこられている犯罪被害者等の方々からご批判があるかと思いますが、それは私、甘んじて受けざるを得ないと思います。しかし、重要課題であるがゆえに、二次的被害を減らすためには被害者支援に直接かかわる大勢の方々が、この重要な課題を投げ出さず、また新たな追加的な業務にかかわり続け、日常業務のストレスにも耐え、犯罪被害者等の方々への対応改善のために努力を怠らないよう、中長期的な展望を抱きながら全体状況を見守り続けるという視点が不可欠であると考えます。
 犯罪被害者支援への理解者、協力者を一人でも増やそうといたしますと、時間をかけて見守り続ける以外の、よい方法がなかなか見つかりません。ただし、改善すべき事態がありましたら、これは早速改善するように全員で取り組むべきことだと考えます。また、犯罪被害者に直接かかわる全国の関係者の方々には、どうかその犯罪被害者等の切なる思いを理解しながら、誠実に、穏やかに対応していただきたいと考えております。
 以上のように考えております。今後とも犯罪被害者等の方々には、耐えがたきところを何とか耐えていただいて、改善すべきは即座に取り組みますが、社会全体が、特に被害者等に直接かかわる人たちが内面から変わって、認識も改まり、気持ちも切り替えて、被害者支援の重要性、すなわち支援のための連携が非常に重要だということを認識していただけるように見守り続けることが、犯罪被害者等の方々の利益につながると考えておりますので、ぜひとも御理解並びに関係者の方々には御協力をお願いしたいと思っております。
 私の基本的見解は以上の通りでございます。
 それでは、本日の議題は以上でございます。
 最後に、事務局からご連絡をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 次回会合の日程につきましては、追ってご連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

○長井座長 それでは、これをもちまして、第9回支援のための連携に関する検討会を終了いたします。
 本日は長時間にわたり、精力的なご議論をいただき、まことにありがとうございました。

午後4時43分 閉会


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