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支援のための連携に関する検討会(第7回)議事録


日時:平成18年12月11日(月)13時00分~15時01分
場所:合同庁舎4号館共用第2特別会議室
出席者:
座長長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
高井 康行弁護士
本村 洋全国犯罪被害者の会幹事
山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
代理荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
木岡 保雅文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
北村 彰厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任)
依田 晶男国土交通省住宅局住宅政策課長

(議事次第)

1.開会

2.「犯罪被害者等の支援に携わる関係機関・団体の連携に関する現状把握調査」(連携調査)について

3.「更なるネットワークの構築(既存のネットワークの拡充、連携強化方策)」について

4.閉会


(配布資料)

資料1連携調査関係資料
資料2内閣府資料

提言案[PDF形式:24KB]

【参考資料1】[PDF形式:29KB]

【参考資料2】[PDF形式:18KB]


(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 皆さん、こんにちは。
 ただいまから第7回の支援のための連携に関する検討会を開催いたします。
 司会を、長井座長にお願いいたします。

○長井座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 まず、本日の議事について、事務局からご説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 議事次第にございますように、本日は、前回の第6回の合同会合において中間報告をいたしました、いわゆる連携にかかわる現状の調査について、事務局から最終結果のご報告を申し上げたいと思います。それから、ネットワーク構築のために、具体的実現可能な方策について、事務局の提言案を作成いたしましたので、この提言案についてご議論をいただければと思います。

○長井座長 それでは、これより議事に入ります。
 「犯罪被害者等の支援に携わる関係機関・団体の連携に関する現状把握調査」、いわゆる連携調査について、事務局からご説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お手元に調査報告書がございますので、それに基づき、事務局から調査結果についてご報告いたします。サーベイリサーチセンターにお願いしまして、大変大がかりな調査を行っていただきました。これは、実は直前までいろいろ注文を出して、資料の訂正などをお願いいたしました。ご協力に感謝申し上げます。
 調査の概要について、ご説明いたします。
 まず、1ページをご覧ください。調査対象機関・団体については、7,450機関・団体に対して調査票を郵送しました。回収状況については、有効回収数が3,612件で、48%の回収率となっております。
 次に、2ページをご覧ください。機関・団体別の回収状況一覧については、ある意味予想どおりというところもありますし、ちょっと残念な数字になっているところもあります。有効回収率について、上から順番に申し上げますと、都道府県では3分の2、31の都道府県から回答がありました。市町村については、半分以下になっております。これは、国・地方の責務として、昨年4月に基本法が制定・施行になっておりますが、これから施策の重要性を地方公共団体に認識していただく必要があるのではないかと考えられます。もちろん都道府県などは、まだ被害者の窓口や担当セクションが昨年の段階では決まっていなかった、あるいは決まったばかりのところもあって、このような数字となっております。
 それから、司法に関する相談機関、いわゆる司法書士会や弁護士会などの数字が低いと感想を持っております。
 それから、児童関連福祉機関も半分のところから回答をいただいておりますし、その他の福祉機関、いわゆる児童福祉相談所や保健所についても、非常に被害者の対応については大事なところでありますが、半分程度の回答であります。医師会や学校・教育委員会も36%、46%ということで、特に児童虐待などについても基本計画ではかなり細かく書き込んであるのですが、被害者問題についてもう少し認識を持っていただく必要があると感じます。労働関係の労働相談コーナーのところも14%、公共職業安定所も6割弱ということで、被害者の方の再就職の相談なども非常に大事だと思うのですが、まだまだ被害者施策は始まったばかりと感じます。
 次に、5ページをご覧ください。調査結果のまとめについては、これは連携の状況を調べるのに大きく2つに分けて、自分のところに被害者を紹介されたというケースと、それから自分のところからどこに紹介したかということでアンケート調査をやりまして、どちらについても、多くて大体3割ぐらいでありまして、もちろん連携なしで自分のところで済ませられますというケースもありますから、一概には言えないわけですが、やはり連携としては、あまり十分ではないと推測されます。
 次に、6ページをご覧ください。上の表は、回答いただいた調査数3,612が、機関別に並んでおります。右の方は、それぞれどのくらい紹介を受けた機関・団体があるかどうか、それから紹介した機関・団体があるかどうかを、大体のイメージで示した数字であります。下の方は連携強度の分析ですが、紹介があって、かつ、頻度が100件以上を連携強度100とし、以下、75、50、25として、全く紹介もしたことがないものをゼロとして、連携指数を出しました。
 連携指数に基づき、どの団体がどの団体とどれぐらい連携をとっているかという分析をしたのが7ページ以下の表であります。都道府県については、都道府県の総数は31で、紹介する方が多いのか、される方が多いのかを単純比較する意味で、連携指数を足してみると、紹介する方が69.2、紹介される方が43.6で、都道府県の場合は紹介している方が多いということを大づかみでご理解していただければと思います。
 また、それぞれどの段階との関係が深いかということを、連携の強度で示しております。交通事故等相談機関、左の下の方ですが、やはり紹介する方が多いという結果が出ております。
 それから、その下の市区町村ですと、トータルで844の市区町村からご回答いただきまして、警察、福祉機関、地方公共団体との関係が深いということが見てとれるかと思います。
 次に、8ページをご覧ください。警察・海上保安庁については、警察の場合は、やはり民間の支援団体、民間団体との連携、地方公共団体、女性関連福祉機関等との関係が、紹介される場合も紹介する場合も多くなっている状況がうかがえます。
 それから、その下の裁判所・検察庁・法務局については、やはり警察とか司法相談機関といった、司法関係者同士が多いのが特徴ではなかろうかと思います。
 次に、右の9ページ中の司法に関する相談機関、弁護士会だとか司法書士会等については、民間被害者団体から紹介を受ける、あるいは地方公共団体から紹介を受けるというのが多くて、逆に警察や海保に紹介する方が多いという結果が出ております。
 次に、その下の矯正保護の関係については、全体に連携という意味では非常に薄いのかなということが、全体の数字で見てとれるのではないかと思います。
 次に、次の10ページ中の女性関連の福祉機関については、やはり同じ機関同士、あるいは警察や地方公共団体等との関係が深いということではなかろうかと思います。
 次に、児童関連の福祉機関については、やはり学校からの紹介が多く、全体に紹介するよりも受ける方が多いというのが、数字から見てとれるのではないかと思います。
 次に、11ページの上の方のその他の福祉機関、福祉事務所や保健所については、下の医師会や医療機関等に対しては、紹介するよりも紹介される方が多いという結果になっております。
 次に、15ページをご覧ください。15ページで、それぞれの機関・団体で、相談や紹介等に対応する職員の数については、大体4割が3人以下、それから100件以上対応していますというところでも、3割近くは3人以下で対応しているという結果が出ております。
 次に、17ページをご覧ください。情報提供あるいは直接支援といった対応については、4分の3が「該当なし」か「50件未満」ということで、そんなに数は多くないという状況であります。
 次に、20ページをご覧ください。まず犯罪被害者等に係る情報管理の方法については、文書で管理しているのが、全体で6割、それから100件以上対応しているところで、文書で管理しているのが77%。電子媒体で管理しているのが、全体で9%ぐらい、100件以上では20%近くとなっており、データで管理しているもののうち、データベースを構築していますかという質問が21ページでありまして、構築しているところが、左側では44%ぐらいです。100件以上の団体にあっては、73%ぐらいが構築しているという結果になっております。
 次に、23ページをご覧ください。支援サービスの種類については、どういうサービスを提供していますかということで、100件以上の団体と、それからそれ以外の全体では若干違いますが、いずれにしても情報提供が一番多い。それから法律相談、それからカウンセリングといったような順番になっております。
 25ページ以下は、それぞれの団体について個別にアンケートの結果がありますので、後ほどご覧ください。
 次に、220ページをご覧ください。どのような情報を犯罪被害者等に対し提供していますかについては、紹介先の機関・団体の連絡先というのが最も多い。また、紹介先の機関・団体が提供する支援の中身の説明というのが38%ぐらいということで、100件以上の団体では、その辺のパーセントが高くなっております。
 右の221ページが自由記載で、どんな要望がありますかということについては、やはり紹介先の機関・団体のより詳細な情報が知りたい。担当者や費用がかかるのかどうか、どのくらいかかるのかを知りたい。あるいは、プライバシーを守ってほしいとか、何度も説明したくないという要望が挙げられております。
 次に、223ページをご覧ください。ネットワークの状況については、関係機関・団体のネットワークに参画していますかということで、全体では半分が参加していませんとなっております。100件以上対応しているというところでも、参画していないところが4分の1近くあるという状況になっております。
 次に、227ページをご覧ください。定期的な情報交換や会合の実施については、全体ではやっているというのが結構ありますが、やっていないところも10%以上あります。それから、100件以上の団体でも、全くやっていないところが5%ぐらいあります。
 次に、228ページページですが、会合は開催しているが、支援ネットワークの運営や連携に関する問題点の自由記述回答については、やはりいろいろ問題があって、まず「人員体制」のところで、公的機関の担当者は異動が多いとか、それから「機能していない」と書いてありますが、会議が年数回だけで具体的な活動がないとか、あるいは形だけだとか、平素の連絡がいまいちだというような記載がございます。それから、「情報連絡が出来ていない」では、定例会が終始件数報告で終わっている。「支援の具体性がない」では、具体的な行動あるいは情報がない、支援内容のPRが不足しているということです。「財政面」では、公的機関とNPOの格差が大きいというような意見が出ております。
 次のページの「知識不足」では、他機関の役割が把握できていない、連携している機関の事件に対する理解が不足している、経験が浅くて対応に苦慮しているということです。それから、「その他」では、学校や教育委員会が参画していない、基本法について重要性や民間団体の位置づけが今後確立されるか不安であるという意見がございました。
 231ページの今後の連携のあり方については、上の方が今の充足度、現状どのくらい充足しているか。それから、下の方が重視している事柄ということで、やはりこの重視度というのは、他機関・団体担当者との信頼関係を重視したい、今はあまりないという感じのところが見てとれるのかなと思っております。
 次に、237ページをご覧ください。今後の連携のあり方についての自由記述回答ということで、いろいろございます。一番下のところで、研修交流会だとか、あるいはケース研究会などの学習会の必要性、研究会の必要性、あるいは次のページ、もっとやはり活動内容を認知してもらうための広報が要るのではないか、あるいは役割分担を明確にした案内リストが要るのではないか。それから、システムの構築については、連携する関係機関・団体をコーディネートできる機関の必要性、あるいは法的処理、民事被害に関する救済を早急化する、あるいは取り締まりや行政指導の強化を希望する意見等が見られたところであります。
 以上が、このリサーチの概要であります。被害者施策の浸透の度合い、あるいは連携の問題点等が、改めて明らかになったのではないかと考えております。

○長井座長 どうもありがとうございました。
 ただいまのご報告につきまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。

○本村構成員 7ページ目以降に、各団体が他の団体とどういう連携をしているかという連携の強度を数値化していただいているのですが、6ページの表2の方で強度の算出方法はわかるのですが、これはこの表7以降に出ている数値は平均値と思っていいのか。10機関あれば、10個の平均値ということですか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 はい。1機関が年間何回という感じですね。1つの機関が年間何回ぐらいという数値が、この指数という形であらわれているということでございます。

○本村構成員 はい。ありがとうございます。

○長井座長 それでは、ご発言をいろいろいただければ大変ありがたいと思います。
 まず、山上構成員、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

○山上構成員 実態が数字ではっきり出て、よく表されていると思います。これをもとに、特に自由記述でいろいろ指摘されているような、連絡会議の充実が必要なのではないかと感じます。

○長井座長 ありがとうございます。
 小西構成員、もし何かございましたらよろしくお願いします。

○小西構成員 とても膨大な調査で、よくやっていただいたと思うが、私もメンタルヘルス領域に関して、いろいろな調査を今見たりしているのですが、ほぼ回収率などは同じような動きです。現状が、やはりかなりちゃんと出ているのではないかなと思う。後ろの数字は、これは回収されたところの数字ですから、例えば20%とか30%とか、それくらいしか回収がないところは、実態としてはもっと連携が、今のところまだできていないんだという感じで考えた方がいいかなとは思いました。本当に自分が実際に知っていることからしても、それから今回の調査の数字からしても、ほぼこのあたりが実態だろうなという感じがいたします。

○長井座長 高井構成員、いかがでいらっしゃいますか。

○高井構成員 特にありません。

○長井座長 本村構成員、いかがでしょうか。

○本村構成員 私も見せていただいて、228ページ以降にある自由記載というのはまさに実態だと思っていまして、私もいろいろな地方自治体とか都道府県でやっています支援ネットワークとか連絡協議会で、講演とかを依頼されていくのですが、やはり結果、件数の報告と、講演会とかが終わったら、それでもう三々五々で皆さんすぐ分かれてしまうということで、横の連絡が全くないなとずっと肌で感じておりましたが、これがこういった数字であらわれてきましたし、都道府県や市町村からも、内閣府から依頼を出しても回答が来ないというのは、やはりまだまだ認識が低いところがあるのかなと思いまして、ここは徹底して強化していかなければいけないと思いました。
 それから、先の説明の中にはなかったのですが、私は233ページの充足度で、充足していないという理由についてということも大変に重要な情報が出されているなと思っておりまして、特に233ページの四角の上から3つ目で、「他機関・団体から提案される情報の伝達手段」について、これは伝達手段がきちんと確立されていないから、ファクスだったり口頭だったりばらばらで、当然、情報も均一になっていませんし、統一もされていない。よって、結局、資料収集に手間がかかることになる。まさに、私もいろいろな先生方のところに行って聞いてもそのような内容ですので、やはりここは何らかの手段をきちっと確立しなければいけないということも明確になったと思いますし、さらにその下から2つ目の「担当者の人員」、先ほど説明がありましたが、100件以上受けているところでも3人しかいない。3人で100人、1人33件というのはやはり多いと思いますので、そういった点も、やはり何とかしてそういった人員確保や基盤整備というのもしなければいけないということも、これでよくわかったのではないかなと思っております。

○長井座長 ありがとうございます。
 それでは、ご出席の関係省庁の皆様にも、感想、ご意見をお述べいただければと思いますが、まず厚生労働省、いかがでしょうか。

○厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任) 相当大部なものですので、今の段階では特に申し上げることはございません。また詳細については別途申し上げます。

○長井座長 ありがとうございます。
 法務省、いかがでしょうか。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 法務省の関係では、日本司法支援センターができたわけでございますが、この調査の時点ではまだ営業しておらなかったもので、今回は調査対象の外に外れております。
 ただ、被害者関係の情報提供の実績でいきますと、10月、11月の2月間で2,200件程度、既にコールセンターと地方事務所の方からいろいろな情報の提供を行っているという実績もありますので、また今後、ネットワークの一員として有効な機能が発揮できるようにしたいと思っております。

○長井座長 ありがとうございました。
 警察庁、いかがでしょうか。

○警察庁犯罪被害者対策室長 この調査については、前回の中間取りまとめのときにも非常に感じたのですが、やはり紹介先の機関・団体はどういう支援ができるかということをきちっと説明していかなければいけないでありますとか、紹介先の機関・団体の連絡先がわかるようにすべきではないかということが、今回のアンケートの中でも、220ページあたりで出ておりますが、そういったことが、支援の連携の関係では非常に重要なのかなと感じておるところでございます。

○長井座長 ありがとうございました。
 総務省、いかがでしょうか。

○総務省自治行政局自治政策課理事官 アンケートの回収率の低さは、私もちょっと意外な感じを受けております。
 ただ、私どもが調査いたしましても、当初はこんなものといいましょうか、それで催促して上がっていくという状況でありまして、もちろん、回答すれば何かいいことがありますよというものであれば、もうちょっと高いわけですが、催促して上がっていくというものなのかなというのも1つ思います。
 もう一つ思いますのは、比較的新しい分野といいましょうか、自治体の側にもノウハウがまだ蓄積されていないようなところもあるんだろうと思います。だから、ちょっと戸惑ってしまったところもあるのかなと感じます。そういたしますと、今後の対策をいろいろ考えていく中でも、ある程度、国の方で、手取り足取りと言うと地方自治の観点から語弊があるわけでございますが、あまり迷いがないような方向性を示してあげた方がいいのかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。
 文部科学省、いかがでしょうか。

○文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 当然のことなのかもしれないが、連携の度合いが強いところ、弱いところ、特に学校から見ると、似たような関係機関はあるのですが、随分と関係、連携の度合いが違うところがあるなというのが、率直な印象でございました。

○長井座長 ありがとうございました。
 国土交通省、いかがでしょうか。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 国土交通省の住宅施策については、この関係機関の中では地方公共団体、市町村ですとか都道府県の中に入っている部分だと思っております。そういう意味で、関係機関相互の連携、ネットワークということの中でも出ております情報提供の問題ですとか、そういったことに関するいろいろな課題があると思うのですが、そういった部分、部局間の中での問題と若干違う部分もあるかもしれませんが、そういったところを、ここでのまたいろいろな実態とかご議論とか、共通する部分もできるだけ抽出しながら、そういうものが現場で反映できるように、行政の中でのまた情報の共有化みたいな部分でも、議論できたらいいと思っております。

○長井座長 ありがとうございました。
 それでは、ほかに特になければ、議事次第の次のところに移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは次に、議事次第の3、更なるネットワークの構築について、事務局からご説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 これまでのヒアリング、あるいは今の調査等を踏まえまして、ネットワーク構築について、実質的にご議論をいただきたいと思います。
 原則として、うちの方でたたき台を作成し、一応、提言案としてお示しいたしまして、今回、大変申しわけありません、大分遅くなってしまったんですけれども、検討会の前に構成員の皆様にお示ししたい。検討会においては、この事務局案をもとにご議論いただければと考えております。
 今回は、参考資料の1で、前回の第6回会合で、連携の現状と問題点ということでご了承いただきましたので、そのことを踏まえまして、ネットワークの更なる構築のための既存のネットワークの拡充、連携強化に関する具体的で実現可能な方策についてご議論をいただきたいと考えております。
 事務局案のペーパーをご覧ください。今日は、このネットワークのあり方の話で、それから次回以降、また民間団体で支援を行う者の研修とか、あるいはコーディネーターの育成等について提言案をお示しできればと考えております。それで、全体をまとめて、中間取りまとめとしたいと考えております。
 どの関係機関・団体等を起点としても、必要な情報提供・支援等を途切れることなく受けることのできる体制づくりのための提言案ということで、一番最初に前文みたいなものをつけさせていただきました。これは、いろいろな調査を見ても、あるいはこの間の被害者週間等で、いろいろな被害者の方の意見や現場の方の意識等を聞く機会があったわけですが、やはりこのメンバーの中では多分もう認識は共有されていると思うのですが、この被害者の方が置かれている、どういう状況に陥るのかとか、それから二次的被害を支援すべき人・機関・団体、そこがまさに犯罪被害にもましての二次的被害を与えているのだということについての認識を、ぜひもっともっと広くPRする必要があるのではないかということで、前文として、そういう被害者の方の置かれた状況、あるいは二次的被害を防止することの重要性について、文章はあまりこなれておりませんが掲げさせていただいて、こういったことを7,450、もっとあるのかもしれませんが、そういった機関のそれぞれの人に周知する必要があるのではないかということで、そこに書かせていただいたところであります。
 具体的な提言として、事務局からは4点ほど掲げさせていただいております。
 1つは、犯罪被害者支援のハンドブックを作成し、それを備えつけてはどうかということであります。
 1つは、基礎的自治体レベルにおける「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成、備えつけということでありまして、調査にもございましたように、連携実績が薄い、それからニーズに必ずしも十分にこたえているとは思われない、それから各機関・団体が被害者に提供する情報、あるいは被害者等に関する情報の中身について、やはり大きな差があるということで、有機的な連携が行われているとは言いがたい状況であるということで、信頼関係というような言葉もありましたが、顔の見える連携を構築するためには、やはり支援に携わる機関・団体、特に一番身近な基礎的な自治体レベルでの関係機関・団体で支援・連携のために必要な知識、ノウハウを共有する必要があるのではないかということであります。
 現在、既存のネットワークとして、これは警察署単位ですから全国に1,200ぐらいあるのでしょうか、被害者支援地域ネットワークというものがありますので、これが、今、市町村の数も減って、千二、三百になったんでしょうかね。

○総務省自治行政局自治政策課理事官 1,820ほど。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 そうですか。大体、同じぐらいの数といいますか、これくらいの基礎的な自治体であります市町村単位で、被害者の支援を行う際の留意点でありますとか、あるいは関係機関・団体の支援内容、連絡先等をまとめたハンドブックというものを作成して、そういう関係の機関・団体に備えつけて、その活用を図るということが大事ではないかということで1点目の提言とさせていただきました。
 それから、2つ目といたしまして、市町村レベルでハンドブックを備えつけて、さらにやはり都道府県でも、このハンドブックの作成、備えつけが必要なのではないかと考えまして、都道府県レベルでの地域をまたぐ支援の対応もありますし、都道府県単位でも支援連絡協議会が既にございますので、こういった基礎的レベルのハンドブックを踏まえまして、主要な機関・団体ということになろうかと思いますが、支援ハンドブックを作成し、備えつけるということが大事ではないかと考えております。
 この間、被害者週間で秋田県に参りましたときも、秋田県ではハンドブックという名前ではありませんでしたが、そういう関係機関の連絡先などを一覧表にした冊子を作っておられましたので、やはりそういったことが必要であろうと考えております。
 それから(3)としてありますのは、こういう基礎的自治体レベル、あるいは都道府県レベルにおけるハンドブックの作成、備えつけ等に関して、ある程度の水準を確保できるように、国においてハンドブックのモデルを作成して、そういったハンドブック作成に必要な援助を行ってはどうかというのが3点目でございます。
 それから(4)が、このモデル案の内容というのは大体どういったことだろうかということで、以下の内容を盛り込んではいかがかということで、(1)から(4)までございます。
 1つは、支援に携わる者が保持すべき倫理や対応に当たっての留意事項ということで、ちょっと強弱はあろうかと思うのですが、被害者全般、あるいは家族・遺族等々ですね。あとは、これはちょっと被害種別ごとに書いてありますが、いずれにしても留意事項は必要だろうということです。
 それから2つ目に、これは犯罪被害者の方に提供すべき情報として、紹介先機関・団体がどういう支援ができるのか、あるいはお金はかかるのか、どれぐらいかかるのかといったようなこと、あるいは担当の部署とかその連絡先を、やはり備えつけておくべきではないかということです。
 それから(3)は、逆に今度は関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等に関する情報というものはどういうものかということで、犯罪の概要であるとかこれまでの支援の概要、あるいはこれまで支援してきた内容、あるいは被害者の要望とか留意点、そういったことが必要なのではないかということであります。
 それから(4)は、関係機関・団体の一覧表であります。
 それから(5)で、作成・運用上の留意点ということで、以下の点に留意すべきだということで、地域によってやはりいろいろ特殊な状況もあろうかと思いますので、それぞれの地域の実情や、あるいは犯罪の種類や被害の深刻さ等に応じて適切な支援が図られるように、その内容を考えるべきではないかというのが1つと、2つ目は、やはりハンドブックや連絡先などは、人事異動等でどんどん担当者等が変わりますので、改訂が的確に行われるように配意すべきだということを挙げさせていただいております。
 それから、これらのハンドブックやモデル案について、インターネット等によって地域住民・国民一般向けに情報を提供して、内容を広く周知させるべきではないかということであります。
 それから、以下の2.、3.、4.は、実はこのハンドブックの内容に関することで、特に重要であると考えられることについて特出しをいたしました。
 まず、2.の関係機関・団体へ伝達すべき被害者等に関する情報のガイドラインの作成については、何回も被害に遭った状況を説明しなければいけない、そのこと自体が非常に被害者の方に負担であるということであります。その被害者等に関する情報を、紹介元の機関から提供しなければいけないのですが、やはり問題がありまして、1つはそういう何回も説明を聞かれるという問題と、もう一つは片方で、やはり個人情報保護で法律や条例ができておりまして、その趣旨を踏まえなければならないということもございます。
 そこで、個人情報保護法、あるいは条例もほとんどの条例がそうだと思うのですが、利用目的を明示して、被害者の同意があれば、当然、被害者の方の情報を関係機関・団体に、その内容については紹介できるわけですから、犯罪被害者等に関して、こういう条件のもとで、こういう情報については大いに共有すべきであるというようなガイドラインをつくってはどうかというのが、この2点目の提言であります。
 そのガイドラインを作成するとともに、様式をある程度定めたらどうかということで、この様式の話が、次の3.の「犯罪被害者カード」の作成という提言につながってくるわけであります。何回も説明しなくて済むように、この検討会でも議論がございましたが、被害者等の同意に基づいて、この全国統一的な様式を交付して、これで犯罪被害者カードにしてはどうかというのが3点目の提言であります。
 それから、最後の4点目は倫理綱領の作成ということでありまして、アメリカやイギリス等において、やはりある程度、支援に当たる人の倫理綱領あるいは倫理基準のようなものを定めておりまして、最初の留意事項のところに関係してくるわけですが、支援に携わる者の倫理綱領の我が国版をつくってはどうかということで、これは参考資料2をご覧いただきたいのですが、アメリカのNOVAの犯罪被害者等支援員倫理綱領と、これは仮訳でありまして、権威のあるものではございませんで、全くの未定稿でありますが、そこにございますように、支援員というか、支援に当たる人ですから、7,450の機関・団体の一人ひとりの担当の人に、被害者等に関しては、誠実に行動し、尊敬と同情を持って接するとかということを、きちんと倫理綱領としてつくってはどうかということです。これはアメリカのものですので、我が国に合わないようなところもありますが、まず1つは、犯罪被害者等との関係において、被害者の利益を最重要のことと認識するとか、あるいは市民的法的権利を尊重するでありますとか、プライバシーや秘密の権利を尊重するとか、4番目のところは、一人ひとりの被害者等に思いやりを持って、個別の状況に応じたサービスを提供するということが挙げられております。
 それから大きな2つ目で、次のページになりますが、被害者に対する関係のことも、ほかにも重要なことがいろいろ書いてあるのですが、大きな2つ目で、同僚や関係する他の専門家、世間といった、世の中との関係において、相互理解や公の信頼、サービス向上を推進するような方法で同僚との関係を構築しなければいけないとか、あるいは同僚を批判するコメントは、建設的な場合しかだめだとか、この辺は細か過ぎるのでどうかとは思いますが、いずれにしても、そういう被害者支援の領域において、同等の敬意と尊厳を受けられるよう関連した専門家との関係を構築するとか、あるいは5番目で、仕事であれボランティアであれ、被害者等支援において知識を共有し、技量、腕前を磨く等々のことが挙げられております。
 それから、次のページに大きな3番目として、プロとしての活動においてということで、被害者のためのサービス提供者として、また権利擁護者として、高いプロフェッショナル的な水準を保つでありますとか、3番目でいかなる差別も行わないとか、4番目のところは、被害者等の特定につながる情報を法律の根拠がない限り公にしないとか、5番目は公のコメントにおいて、自分の属する組織による立場と個人的な意見の表明を区別するとか、6番目で公式の立場を、金銭的利益等特別の利益のために利用しないとかいった必ずしも我が国においては適用しにくいものもあろうかと思いますが、いずれにしても、こういったものを参考にしながら、我が国版の被害者支援に当たる人の倫理綱領といったものを定めてはどうかというのが、4つ目の事務局としての提言となっております。

○長井座長 ご説明ありがとうございました。
 ただいまご説明のございました事務局としての提言案について、ご意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

○小西構成員 4ページ3番の犯罪被害者カードとか情報の共通化のところなのですが、もう少しイメージを教えていただければと思います。
 というのは、例えば司法の中と、あるいは医療の中とでは、守秘について、具体的に何を守秘義務の中に入れて、そうではないかというようなことについても、日常の活動をしていて、違うというのを非常に感じる。例えば、この共通カードというか共通の情報が、どこに保持されて、どういう形でということで、何かイメージがあったら、ご説明いただければと思います。

○長井座長 推進室長、お願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 まさにそのところが、我々はあまりイメージがわかないわけですが、この3ページの(3)のところに、関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等に関する情報ということで考えておりますのは、もちろん名前だとかいろいろあるのでしょうが、その原因となった犯罪はこういうものですとか、それからこれまでこういう支援がありましたとか、こういう支援をずっと受けてきました。メンタルな面で言えば、こういう病院でこういう治療を受けたとか、こういうカウンセリングを受けたとかという話になると思うのですが、こういう点を注意しなければいけないとか、被害者からはこういう要望がありますということを一まとめにして、それを被害者カードということで、もちろん被害者の同意が得られたものについて、これもどこに配るかというのもあるでしょうから、どことどこにはこれで持っていくようにしますというようなことでやってはどうかと考えております。
 小西構成員のおっしゃる、医者とほかのところでは秘密の範囲が違うということで、そこがちょっとよくわからないのですが。

○小西構成員 実際に連携の会議とか、そういうところに行ったときに、情報を出せる範囲が違っていたり、例えば今、診断名とおっしゃいましたが、特にメンタルヘルスの領域の診断名というのは非常に微妙ですし、それから裁判にもかかわってきたりして、大きな意味があるのです。例えば、それが本人にくっついて歩くという形になったときには、かなりいろいろなことを考えないと危ないと、だれにとってもそういうことが十分あり得ると思います。
 もちろん、実際に医療の現場の話を聞いていると、犯罪被害者の支援をしたいし関心はあるのだが、どうしても手が出ないことの一つの原因として、裁判へのかかわりを強く求められるということがやはりあるのです。例えばそういうときに、どういうふうに犯罪被害者の方の同意をとって、どういうふうにすればということをある程度知っていれば、個人情報や守秘義務の範囲内で十分やっていけることはあるので、ある程度の技術というのも当然あると思います。それが今、足りていないということもあると思うのですが、そうやっても、特に医療やカウンセリングなどを持つ者としては、非常にリスキーなところがとてもあるのです。今度はサービスをする側からも、ある程度安全にできて、こういうことを守っていれば、私はきちんと支援ができて、突然民事訴訟に巻き込まれたりしないのだというようなことが保障されていかないといけないと思っているのです。どっち側の問題もあると思っているのですが、そういうことを考えると、このカードがどういう形でどういう情報をということは、かなり慎重に考える必要があるだろうなと今思いました。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 これはご議論いただきたいところなのですが、私どもが思っていますのは、そんなに厚いカードではなくて、せいぜい1枚紙のカードで、したがって、医療の細かい状況まで全部書くような、そういうことまではあまりイメージしていないのですが、少なくともどういう犯罪に遭って、例えばこういう病院にかかっているよというようなことだけでもわかれば、それをもらった新しい病院が、そこにおっしゃったような個人情報に深く関係する微妙な話は問い合わせもできるとか、そのぐらいの簡便なものにしないと、なかなかうまく機能しないと思いますし、そういった問題も出てくると私どもは思っていますが、その辺のイメージは、ぜひここでご議論いただければと思います。

○小西構成員 例えば、ボランティアレベルで持てることというのと、弁護士とか医師とか、そういう専門家が持てることというのはイメージが大分違うし、倫理指針についてもかなり違ってくると思うのです。基本的にはこういう形で、情報と理念とハウツーが共有されることについては賛成です。賛成ですが、その辺をよく考えてやらないといけないし、それからそれぞれの具体的な場所での指針が出てこないとなかなか難しい、実効がある形で書けないなと、今、伺っていて思いました。

○長井座長 どうぞ。

○山上構成員 関連する意見です。私も、基本的には小西構成員と共通する考えを持っているのですが、この情報の提供というのも、連絡会議の構成員の中には民間の方たちも、警察署レベルでしたら不動産屋さんとか葬儀屋さんとか、そういう方たちも入ってくるわけで、共通に情報を提供できることではなくて、むしろ裁判所とか検察庁とか警察とか、そういうところですと、ある程度、共通した情報の枠組みがあると思うのですが、その情報提供のレベルというか、ある程度、対象によって分けなければならないところがあるということと、もう一つは、このNOVAの倫理綱領もそうですが、被害者支援を中心とする民間団体の、ある程度共通した目標とレベルを持った団体が、自分たちはここをこういうふうに気をつけるという倫理綱領ですので、それぞれの組織がそういうものを持つのは適切にできると思いますが、各いろいろな団体が共通してというのは非常に難しいので、最小限のということで、あるいはレベル分けをするということを考えなければいけないのではないだろうかと感じました。

○長井座長 ありがとうございました。

○小西構成員 こういうものを実際に役立てていくためには、常に更新されていること、今、ご説明の中にもありましたが、特に紹介先などは常に更新されていないといけませんし、具体的に例えばある組織の長が変わってしまうと、紹介できる相手方の能力の度合いなども、実際に非常に変わったりするわけです。そういうことから考えると、やはりウェブ中心というか、もちろん紙ベースもあっていいと思いますし、紙じゃないと見えないこともあるのですが、できたらインターネット上の情報中心でやった方がいいのではないかなと思うのですが、だれもがそこにアクセスして見ると、新しい情報が見られる。
 ただ、そうすると、これは更新するための手間も必要ですから、それをどうやってキープしていくかとか、あるいはこれがうまく動かなかったときの苦情とか改編をどうするかというようなことを少し考えておかないと、つくって終わり。つくりっ放しで、また紙だけがあるが、実際に動かないという形になってしまうのではないかなと思いました。

○長井座長 ありがとうございます。

○本村構成員 今、ご意見をお聞きして、被害者の立場からちょっと話をさせてもらいます。
 今、多分、支援をする立場からお話をされたのですが、今回の調査がありますように、被害者としては、医者であろうが弁護士であろうがだれにしても、また一から話をしなければいけない。それを何とか回避したいというのが、この被害者カードの目的であります。それと、今回ご調査いただいた中の233ページに、他機関や団体から提供される情報の伝達手段について、要は各機関で専門的になり過ぎてしまって、多分、ファクスでの伝達が不安であるとか、口頭での連絡ではよくわからないということで、資料収集に手間がかかるということで、ある程度統一された様式で、必要な事件の事実、いつ起こったか、その人はその事件の本人なのか、配偶者なのか、親族なのかとか、自宅で事件があったのかとか、いろいろな基本的な条項を書いたものを一定様式にすることは、やはり被害者にとっては非常に有益だと考えております。
 それと、被害者カードの回し方なのですが、僕はこれは被害者自身が持っているものと支援する連携機関が持っているものが、やはりある程度同一なものであるべきなのかなと思っています。僕がイメージしていたのは、カードというイメージもあるのですが、母子手帳のようなイメージがあって、当然、その人の氏名と犯罪事実と期日があって、その裏に白紙のページがあってもいいですし、そこに例えば支援センターの方が書くページがあったり、医療の方が書くページがあったり、それを被害者に渡す。それを被害者が次に持っていって、「こういうものです」と渡すというようにして、詳細な情報は被害者に手渡ししてあげて、連携するところには大きな項目だけを扱ったもの、まさにA41枚とか2枚のカードのものを連携するようにして、あとはそれを照合していけば、プロの方が見ればわかるのではないかなと思っていますので、そういった形のものなのかなと思っております。
 それから、ちょっと私が一番最初に被害者カードと思ったイメージで、例えばその人の病気の症状がどうだとか、その後のその人が受けた被害に対して民事的な損害賠償をするときに、その被害の程度を立証するために使うとか、そういった意味ではないと思っていますので、小西構成員が言われたみたいに、そこの一線を画す必要はあるかもしれません。
 それと、もう一つ気になっているのは、今、提言の中で都道府県レベルと基礎的自治体レベルにおける2段階においてガイドラインをつくって被害者を支援するということで、大変いいことだと思います。
 ただ、私が1つ気になっているのは、今回ご調査いただいた中の225ページに、都道府県レベルだったり市町村レベルだったり、各都道府県警とか箇所の警察署もあるんですが、いろいろなところでネットワークをつくっているのですが、主たる運営というものが本当に統一されているのか。ある県では警察主導、ある県では都道府県主導とか、同じ県内でもここの地域はその箇所の警察の方が一緒にやっているとかということで、主たる運営をどこがやっているのかというところが、もしかしたら今後、重要になってくるかもしれないですね。今回、ガイドラインをつくるに当たって、どこが主たる連携の核となるのか、もしくは核をつくらないのかというのがあるかもしれませんが、そういったところをやはり明確にしなければいけないかなと思っております。
 それと、ガイドラインを基礎的自治体レベルや都道府県レベルに置いた場合に、もう一つ、それを利用する国民の方とか被害者の方にも、こういったネットワークができて、こんなことが利用できますよというのを、告知のためのガイドラインではないですが、被害に遭った方とか、いろいろな連携する地区に置いてあげて、要は連携だけを強くして、でも、実際にそんな連携があるというのを知らなくて利用できない場合があります。私も、犯罪被害者給付金支給法というのをいただいたのですが、実はこれを知らなくて、また多くの被害者の方に聞いても、そんなことを知らずに適用期間を逃れた場合もありましたので、ちゃんとそれを被害者や国民の方、一般の方にも、こんなシーンがありますよというガイドラインを提示する必要があるのではないかなと思います。要は、国はこんなことをやっていますということを国民に知らしめる。支援する側には、こんなことをするのだよということを出す。双方がそれを理解することによって、初めてシステムが動き出すと思いますので、今回の中に、基礎的な自治体と都道府県レベルのガイドラインがありましたが、それともう一つに、被害者や国民に対してこんな支援をしますということを明示するというものがあっていもいいのではないかなと思いました。

○長井座長 ありがとうございます。

○山上構成員 今の連絡会議の役割の問題に関連するのですが、この提言の中で、私は最初に支援の連絡会議あるいは支援ネットワークを地域にきちんと確立するというのが、1つ入った方がいいのではないだろうか、その上でのハンドブックづくりとかそういうもの、そこからつくられていくというようにする方がいいのではないかと感じます。
 というのは、今、支援のそれぞれのネットワークが必ずしもきちんと確立されていない、あるいは主体がどこになるかまだという、いろいろなレベルの差があるわけですが、ここは、本来はそれぞれの関係する団体がどういう被害者支援にどうかかわっているか実態を把握することと、そして被害者のニーズにそれぞれこたえているのかどうかということと、それぞれの連携の間におちこぼれてはいないかという、その3つぐらいをきちんと見て、そして充実させていく役割を持つべきではないだろうかと思うのです。その最後の連携のところでこのハンドブックとか、そういうものが生きるわけですが、幾らハンドブックがあっても、それぞれの組織が十分に被害者のニーズにこたえられなければ、連携をしても意味がないわけですから、それぞれのできれば実践のレベル、実務者のレベルでこういう会議を持って、その実務を通じて何が欠けているのか、そのそれぞれの組織をどう充実させればいいか、あるいはそれぞれの関係団体の間で落ちこぼれているところをどこが分担するのかとか、そういうことを決めながら、その結果、ガイドラインができていくということにすれば、年々、事例を重ねるにつれて充実したものになっていくのではないだろうか、そういうことにできると感じます。

○長井座長 ありがとうございます。
 ほかには何かございますでしょうか。

○高井構成員 しばらくお休みをさせていただいて、誠に申しわけございませんでした。大体、私個人の仕事も、一応、原隊復帰できる状態になりましたので、こちらの会議も一生懸命やらせていただきたいと思っています。
 それで、私はしばらくお休みをいただいた関係で、皆さんとかなりレベルが遅れているせいかなと思うのですが、端的に申し上げて、これを拝見してもよくわからないということです。皆さん、これまでのご意見で出ている部分もあるのですが、イメージとしてよくわかるのは、例えば倫理綱領が必要であると、これもそうでしょうと。それから、犯罪被害者支援ハンドブックをつくらなければいけない、そうでしょうと。多分これからさらに詰めるという前提で書かれているからそうなんだと思うのですが、2.と3.がよくわからないなと。2.と3.はどういう関係になっているんだろうなとかということがわからないし、例えばこういう被害者カードをつくるんだったら、それを動かす前提となるべきシステムは一体どういうものなのですかと。今どき紙ベースで議論するというのは、ちょっとおかしくないかと。これはもうデータでやりとりする、データベース、ウェブでやるのが普通ではないですかという感じです。それに対して、守秘をどうするかとか、いろいろな問題があると思いますが。
 それから、かなりの費用を使ってリサーチされているようですが、今現在、日本にこういう被害者関連の仕事をしている機関がありますと。この機関が今現在やっていることで、果たして十分なのかという分析・検討はどうなっているんでしょうかと。僕も昔、官にいて、そういうネットワークのところに少し顔を出したことがあるのですが、端的に申し上げて、形だけやっているというような参加者も結構いるわけです。ですから、現状あるものの上に、このハンドブックをつくって流す。それから、どのような形の被害者カードになるかわかりませんが、被害者カードをつくって、それを使えるようにするといっても、なかなか難しくないかなと。結局、そういうものをつくりましたよというだけで終わって、被害者が置かれている状況は、あまり変わらないのではないかなと思います。この辺は、さらに議論が進んでいく過程で、私の今日お聞きして受けた感覚が、「いや、間違っていたな」ということになるのだろうなと思っていますが、今現在はそういうような感じを持ちます。
 特に、被害者カードというのは、本来、被害者情報というのは被害者が管理すべきものではないのか。それを被害者から離れたところで、幾ら被害者の支援団体だといっても、その被害者情報を管理するというのは、基本的に間違っていないかなと思うのです。確かに、被害者しか持っていないと、今度は被害者が行かないと、周りは動けないのではないという話になるとは思うのですが、それはやはり紙ベースで考えるからそうなので、全国的なネットワークをつくって、それで動かせるようにすれば、そこにいろいろな守秘あるいはその他の技術を重ね合わせていけば、ある程度、被害者が基本的に管理しているという状況のまま、システムを動かすこともできるのではないかと思いますが。
 被害者サイドからいえば、カードを持っていますと。「私は被害者で、支援を受けたい。とにかくこのカードを見てくれ。」と。カードを渡して、カードをコンピューターに入れたら、画面に全部出てくると。先ほど来お聞きしていると、あまり詳しいことは書けないのではないかとか、いろいろありますが、被害者が自分で主体的に管理するという情報であれば、事細かく書いてもいいわけです。どこまで開示するかは、その都度、被害者が考えるようにすればいいわけで、そうすれば、例えば私の事務所にある被害者が来ました、私の事務所でこういう支援をしました、そういうものを全部ここに打ち込む。それは、データとして被害者カードに入っていくと。例えば、その被害者の方が、どこか別の病院なり、別の法律事務所へ行って、「では、高井さんの事務所で何があったの。」といったら、「とにかくカードを見てくださいよ。」と。カードを見たら、そこへ全部きれいに出てくると。一言も被害者が言わなくても、高井事務所で被害者支援で何をやったか全部わかるようにしないと、多分、被害者の方が求めているような状況にはならないと思うのです。「とりあえず、事件はこういうものだとわかりました。さあ、事件はわかったけれども、それであなたは高井事務所で何をやってきたの。」と。「いや、そういえば、高井さんが難しい顔して出てきて何だかんだと言っていましたけど、結果的にお金がこれだけ出たけど、それ以外のことはよくわかりません。」みたいな話になったら、今の状況とあまり変わらないのではないですかということだと思うのですが。
 ですから、この会議で、僕は今、おぼろげながらイメージとしてあるような抜本的なことをやろうとしておられるのか、それとも今ある組織の上に乗っかって、非常に悪い表現をすれば、弥縫策的なシステムをつくろうということなのかという基本的スタンスの問題もあると思うのです。それは、時間と予算の問題もありますから、それはそれでやむを得ない場合もあると思うのですが、もう少し実際のシステムがどうなのか、組織がどうなのかと、これは先ほど山上構成員もおっしゃっていましたが、そういう土台の部分をしっかり検討しないと、いきなり幾らそこへこういうハンドブックのようなものを乗っけても、動いていかないのではないかという気もします。

○長井座長 ありがとうございます。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 貴重なご意見、ありがとうございました。
 前のこの検討会でも申し上げたのですが、この検討会は経済支援とか、あるいは民間団体援助のいわゆるあるべき姿を追求する検討会ではございませんで、弥縫策ではないのですが、既存のネットワークないし既存の今ある団体・組織・機関、この連携をどういうふうにして強化していくか。さらにそれ以上の新しいネットワークはどうかというのは、もちろん検討していただいていいのですが、まずは先ほど連携調査の結果についても申し上げたのですが、はっきり言いますと被害者支援についてのレベルが、関係する機関・団体においても、本来やるべきところにおいても、まだまだ全く認識がないと。私どもが、ここでハンドブックというものを持ち出したのも、あるいはアンケート調査でも、実は大分、認識も変わったかもしれないというところがありまして、要は犯罪被害者支援という概念があることすら知らないようなところもまだまだあるかもしれない。そういったレベルですから、私どもとしては、まずは既存のネットワーク、したがって、ここで言えば都道府県レベルだとか市町村レベルでと申し上げているのですが、支援連絡協議会のようなものが、これは警察主導ですが、現にあるわけですから、ここが今リサーチしたように、全くではないですが、機能していないところもあるということですから、これをどう動かすのかということをまず検討して、提言すべきではないかということであります。
 そこで、今ご指摘がありましたように、ウェブのことも考えました。ウェブも検討したのですが、先ほどから両構成員から出ていたように、非常にウェブの場合はセキュリティーの問題があって、一遍にはなかなか難しいだろうということで、とりあえず何もないよりは、まず被害者カードというものを、今までそういう概念が全く我が国にはないわけですから、それを何とかつくって、一歩でも進めようと。
 この被害者カードはあくまで本人管理で、先ほどいいご提言が本村構成員からあったのですが、やはり本人が持って、それを持っていくというイメージなのです。むしろ、2.の方は、その被害者情報の管理について、やはり個人情報などのいろいろな制限がありますので、一方では物すごく制限されているし、一方では万が一の場合にとんでもないことになるので、そのガイドラインを決めましょうということを2.のところで強調したかったわけでありまして、あくまでこの被害者カードは被害者の方に利用してもらうということが前提で、もちろんウェブでできればいいのですが、なかなかそこまでは今の技術では、機微にわたる情報になれば難しいのではないかと。ですから、被害者カードはやはり紙で、これは必要だろうと。
 それから、ほかのご指摘もございましたが、一つ、二つ、私の方からもちょっと質問したいことがあるのですが、現に今、例えば全国ネットワークとか支援団体では、そういう倫理綱領みたいなものは、はっきりした形では多分出ていないと思うのです。いろいろな団体のそれぞれに、何項目かは入っていると思うのですが、そういう倫理綱領という形で出ているものがあるのかどうか、そこをお教えいただきたいのと、もう一つは、先ほど申したように既存のネットワークが中心となってということで考えておりますので、今の被害者支援の地域ネットワークあるいは連絡協議会で、どういう予算措置といいますか、これは連絡協議会になれば警察になるのですか。ほかにもDVだとか、いろいろあると思いますが、そこもお聞かせ願えればと思うのですが、例えばこういうハンドブックを備付するとか被害者カードをつくるとなったときに、お金の面をどういうふうに、今、例えば連絡協議会とかネットワークでは運用されているのか。それがあって、それをこの新しい提言に基づいて連携ネットワークを、一歩前進だと思いますが、そういったことをぜひやるのがこの検討会の役目ではないかと考えておりますが、できればこの質問に、ネットワークと警察庁に答えていただけるとありがたいと思います。

○山上構成員 全国被害者支援ネットワークでは、多分、4年ぐらい前に内部での倫理綱領というものをつくり、それにのっとって情報を外部に漏らしたりしないように心がけているところで、それが恐らく公安委員会の認定とか、そういうところにも配慮されているのだろうと感じております。

○長井座長 警察庁、いかがでしょうか。

○警察庁犯罪被害者対策室長 実は、私もこのたたき台の中身を見て、このハンドブックはどこの予算でおつくりになるのかなと思って、財源のことをお聞きしようと逆に思っていたぐらいでして、ちょっと今手元で協議会がどういう予算づけをされているかはわかりませんが、このハンドブックをもし全国津々浦々に整備されるということであれば、その財源のところもよくお考えになる必要があるのかなと思っております。

○高井構成員 この被害者カードは、どこが発行するのですか。発行元はだれになるのですか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それも、当然ご議論いただかなければいけないと思いますが、最初に相談に行った機関とか、そういうふうにする手もあると思います。最初から最後まで途切れのない支援ということですから、支援団体でもいいのだと思いますが、その辺はまさにですね。
 ただ、被害者カードが必要であると。ここではあまり明確にはどこがというのは書いていないのですが、確かにそこが一番問題で、私は行ったところがいいのではないかと思いますが、そこをご議論いただければと思います。

○高井構成員 そうすると、当然、被害者カードの書式、作成要領というのは決めて、統一しておかなければいけないということにはなりますよね。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 まさに、それを統一しようではないかというのが我々の考えでございます。

○山上構成員 民間の団体に最初に来るときもありますが、それでは本当に犯罪があったのかどうか、必ずしも証明できない部分があるものですから、やはり警察を通ったケースでなければできないのだろうと感じます。ですから、被害者カードの発行については、一応、公的なところを通ったケースということでなければならないかと思います。

○警察庁犯罪被害者対策室長 この犯罪被害者カードの関係なのですが、そういったカードを発行するかどうかの議論以前の問題として、犯罪被害者等に関して関係機関に一定の情報を伝達するその内容、伝達するかどうか、これはやはり提供しようとする関係機関にどういう守秘義務がかかっていて、どういう情報管理体制なのか、その関係機関がどういう役割を果たすかによって、全く違った内容になり得るわけですから、画一的に一律に、情報をこういう場合は提供すると決めてしまうのは、非常に難しい面があると思いますし、機能しないのではないかと思います。そういった利用目的問わずの一律の提供という、このカードについては正にそういうことになり得るわけです。仮に被害者の方に一定の行政サービスを提供するということに当たって、私ども警察の何らかの証明なり届け出が必要だということであれば、それはやはり先ほどの繰り返しになりますが、情報の提供を受ける関係機関がどういう役割を果たされるのかによっても、相手方の求める情報も恐らく異なってくるでしょうし、それはやはり個々具体の判断になり、一律に情報を定式化するというのは、難しいのではないかと思います。
 それと、私どもは最初の段階で、例えば被害者の方から被害申告を受けます。でも、その被害申告が、もちろんほとんどの人は被害者の方本人が感じられた、あるいは体験された内容をそのままにご説明されることもあるでしょうが、それがそのままでは証拠上照らして本当に事実認定されるのかどうかといった問題でありますとか、中にはやはり虚偽申告ということもありますから、それを汎用性の高いものとして流通させようとすると、かえって信用性というところに問題が生じて、結局、発行した側、それは警察以外の方が発行する場合もあり得るでしょうから、そこのところをよく考えておかないと、難しい問題があるのかなということでいくと、やはり個々の関係機関同士でどういう情報伝達をやっていくのか、その場合に、被害者の方が同じ内容を何度も説明したくないという心情をどういうふうに反映させた形でお互いが情報をやりとりしていくのかというところを、よく考えた方がいいのではないかと思っております。

○長井座長 ありがとうございます。

○高井構成員 まず、被害者には2種類あると思うのです。実際に被害者として、例えば少なくとも警察によって認知された人、要するに被害届を出したら受理していただけたと。これは被害者ですよね、明らかに。でも、「私は被害者だ」といって、客観的に僕らが見ても「ああ、これは被害者だよね」と思っても、警察が受理してくれない人、要するに警察が被害者として認知してくれない人、でも、客観的には被害者ですという人もいるのです。
 今ここで行われている議論は、その2つの被害者のうちのどちらを前提にして行われているのか。多分、今まで区別されないで行われていると思うので、両方とも前提になっていると思うのです。
 そうすると、この被害者カードの場合は、警察で認知された人、例えばそれは警察が発行しますということも、それは可能なのかもしれないが、では、警察にすら認知されない被害者、被害者問題の非常に大きな問題は、警察に認知されない被害者レベル、これが一番大きな問題なのです。警察に届け出て、警察が「よし、被害者だ。捜査してやろう」と言い出したら、それは社会のシステムが、AさんならAさんを被害者と認知して動き始めたということですから、被害者支援あるいは被害者問題の半分は、そこでクリアされたことになるのです。私どものところに来る一番大きな問題は、被害者なのだが警察が相手にしてくれないという問題で、どうしたら警察に相手にしてもらえるのか、それは被害者支援、あるいは被害者問題の大きな要素の一つなのです。そういう人たちに対しては、ではだれが被害者カードを発行するのですかという問題になるのです。
 ですから、この被害者支援ということを考える場合に、2種類の被害者がいるということを前提にした議論でないと、なかなか当を得ない場合もあると思うのです。

○長井座長 ありがとうございました。

○小西構成員 今の高井構成員の意見に類似したことを言いたかったのですが、メンタルヘルス分野でいいますと、一番たくさん抱える人は、遺族と性暴力被害者、それから虐待、DVです。この中の警察を通ってくる人がどれくらいの確率でいるかというと、半数を、それはもう明らかに超えないと思うのです。警察というか、刑法にかかわって、ちゃんと法律の中に位置づけられない人たちもたくさんいる。
 もう一つ、位置づけられた人たちでも、言いたくない人たちがたくさんいます。自分が持っているというのでも、リスキーだと思う人たちもたくさんいるのです。自分の情報を自分で持って、出せばいいようにしたい。自分で同意したものについては情報を書いておいてほしい、それはある意味ではユーザーの方の権利として、そういうことは考えてもいいかと思うのですが、全体からいうとなかなかこれは難しいなというのが、今、いろいろご議論を聞いていて、余計思うところです。

○長井座長 ありがとうございました。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ちょっとよくわからないのですが、いろいろな犯罪被害者のタイプの方がおられるのですが、いろいろご意見はあろうかと思うのですが、殺人だとか、今、犯罪被害者給付金を出しているような、そういうところの身体犯の被害者の方、もちろんDVとか児童虐待も含みますが、やはりまず我々が議論した方がいいのは、そういうものをまずメインとして、実は我々が念頭に置いていたのはそういう感じなのですが、もちろんDVはDVで、あるいは警察が取り上げない、いろいろあると思いますが、そうではなくて、これは本当に被害者で、本当に困っている人、これをどう救うかということをまず考えたものですから、そこで先ほどから申し上げておりますように、そういう全く被害者の方が相手にされない今の状況を一歩でも改善するためには、その被害者の方に関する情報のガイドラインをきちんとつくって示すのと、それと母子手帳方式ではないですが、そういう形でいろいろ問題はあると思いますよ。もちろん目的も明示しなければいけないし、被害者の同意が必要ですから、あまり機微にわたることなどは書けないかもしれないが、そこは被害者が自分で必要だと思うことをきちんとカードにして、一歩でもそういった身体犯の被害者の方の負担を軽減したいというのが我々の気持ちです。
 ですから、DVだとか性犯罪の被害者でも、もちろん被害を届けない方もいっぱいおられるでしょうから、そういう方ももちろん手当てはしなければいけないのですが、とりあえずそういうカードをつくるとかになると、先ほど山上構成員の方からもお話がありましたが、ある程度きちんとした公的な認定が必要だというご意見であれば、やはりきちんと警察において認知したものをということになるかもしれませんし、あるいは警察庁の方から出ていましたように、みんながみんなそういうカードを、うちでつくるのは嫌だということなのかもしれませんけれども、それではやはりいけないのではないでしょうかね。目的をきちんとした上で、そしてその被害者の方が同意の範囲で、これはそういうものをやらないと、なかなか被害者の方が困られるのではないかと。もちろん、何か目的を示さずにとおっしゃったので、そういうふうに申し上げているのですが、目的も示して、範囲なども本人が決められるようにすれば、そういったシステムもあるのではないかということでご提案しています。
 この我々の提言について、ここはこういうふうに変えてほしいとか、ここはもうちょっとこういう条件をつけるべきだとか、そういうふうなことを言っていただけると、私どもとしては大変助かるのですが。

○長井座長 どうぞ。

○警察庁犯罪被害者対策室長 まず、利用目的の話をいたしましたのは、例えばストーカーでありますとかDVでありますとか、こういった方については、住民票の開示の関係でいろいろとご相談があります。こういった場合については、関係自治体と私どもの方で連携しながら、そういった方に対しての対応をするといったようなこともやっておりますし、あるいは公営住宅の関係についても、私どもの方にそういった被害のご相談があったというケースについては、個別具体にご相談をして、そういった情報提供の仕組みをつくっております。
 ですから、その目的、相手方でどういうふうなサービスを受けられるかということがやはりないと、初めにカードありきで何のために使われるかわからないような形の前提ですべてを進められるというのは、それは受け入れられないと思っております。
 それから、犯罪被害給付制度の関係についてお話がありましたが、犯給金の支給対象になるような方については、これは現に犯給法の枠組みの中で、被害者の方から同意があった場合については、犯罪被害者等早期援助団体の方にあらかじめ情報を提供することにしてございまして、その援助団体を通じて、関係機関と連携した支援をするという形でやっておりますので、改めて二重にそういった情報提供の仕組みをつくる必要はないのではないかと思っております。

○長井座長 ありがとうございました。
 今回、実現可能な提言ができるようにということで、いろいろご自由にご議論いただいておりますが、関連各省庁からも、ぜひともご意見をいただければと思います。
 では、法務省、お願いいたします。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 2点ございまして、1点目は、提言案の前文というところでございまして、大変格調高いなと思うのですが、ちょっと一読した印象は、二次的被害の回避がメインに出過ぎておりまして、何かそれに特化したハンドブックとか、そういうものになってしまいそうな印象がありますので、もう少し連携の必要性の前提のところを書き加えた方が、バランスがよくなるかなと思います。
 それから、情報の更新のお話でございまして、小西構成員からお話があった点でございますが、日本司法支援センターでは、法的相談窓口の情報をお知らせするということを主たる業務として行っておりますが、その中で被害者の支援の関係では、法的相談に特化せずに、もう少し広い範囲で被害者支援の業務を取り扱う関係機関の窓口情報も提供しておるわけでございますが、それはデータベース化してございます。このデータベースについては、今年度末を目途にホームページで公開することを予定しております。大変大きなデータベースで、2万数千件の窓口が載ったデータベースですが、例えば地域と犯罪被害などという用語で絞り込み検索をすると、相当程度、使えてくるのではないかと思います。具体的には、当該機関・団体の概要とか、相談対応の分野、時間、場所、予約制か否か、有料か無料か、どのような者が相談に当たるかなどの情報がそこに入っておりますので、それをインターネット上に公開されているものとして活用していただく余地があるのかなということと、データベースの更新は、最低限年1回は確実にするということにしてございます。あとは個々に、紹介したときに電話番号が違っているとか、いろいろお知らせいただけますので、その都度その都度それは更新していくということで、なるべく正確な新しい窓口情報が公開できるように努力しておると。その辺のご活用も、考慮していただければと思います。

○長井座長 ありがとうございました。
 警察庁、どうぞ。

○警察庁犯罪被害者対策室長 この順番に申し上げていきますと、まずこの犯罪被害者支援ハンドブックの関係ですが、これについては先ほども申しましたが、今回の意識調査の関係からも、こういったハンドブックをつくっていくことは、非常に意義があるのかなと思っております。
 その中で、これは基礎的自治体と都道府県レベルの対応を2つに分けて記述されておりますが、都道府県レベルの対応のところについて、地域をまたぐ支援への対応を前提としてお書きになっているのですが、当然そういう場合もあると思いますが、あとは非常に重大な事案、死傷者が多く出た、例えば列車の転覆事故でありますとか、通り魔的な殺人で非常に被害者が多く出たような事件等については、やはりこういった場合は基礎的自治体の職員なり関係機関だけの対応では十分ではなくて、やはり都道府県全体の枠組みを借りて対応しなければいけない必要も出てくるのではないかと思いますので、ここのところの書き方としては、「規模、重大性にもさまざまな対応があって、適切な支援を行うためには基礎的自治体単位だけの対応では困難で、都道府県全体の対応も必要になる場合があり得るのではないか」みたいな感じで、その後もそうなのですが、そういうふうに書かれるというのも一つの書き方なのかなと思っております。
 それから、「支援に携わる者が保持すべき倫理、対応に当たっての留意事項」の、個別項目についてはまた別途、意見がある場合は言わせていただこうと思っているのですが、この1.(4)(3)については、これは先ほど私が申し上げたこととちょっと重複するのですが、やはり関係機関・団体に伝達する内容については、やはり伝達を受ける側にどういう守秘義務がかかっておるかとか、相手方がどういう役割を果たす機関であるかといったようなことによって情報の中身も異なり得ますし、やはり個別ケースごとに具体的に必要性を判断しなければいけないと思いますので、そういったことが反映された形でなければいけないと思います。ですので、一律にこういう情報を提供すべきであるというのは、なかなか書くのは難しいのではないかと思います。
 それから、倫理綱領なのですが、これはどうして倫理綱領という名称なのかなというのはちょっとわからないのですが、要は被害者支援に携わる方の資質、能力が今のままで十分でないというお話なのであれば、このハンドブックの中で、支援に携わるべき者がどういったことをやらなければいけないとか心構えとか、そういったことを書いていく。また、実際そこに書かれているとおりのことをできるようにしなければいけないということであれば、全国被害者支援ネットワークの方で研修とか、いろいろな仕組みも考えておられるようですが、そういった形で支援に携わる方の研修の仕組みをつくって、そこに位置づけていくというふうな形で対応していくのではないかなと思います。
 倫理ということになりますと、例えば国家公務員であれば国家公務員倫理法もありますし、警察では警察の倫理規程もありますし、やはり関係機関・団体によって、モラルという観点から守るべきものというのはまた別のものがあると思いますので、あえて「倫理」という言葉でなくても、被害者支援に携わるべき者が留意すべき事項なりやることというのは、もっと別の書き方があるのかなと思います。

○長井座長 ありがとうございました。
 厚生労働省、いかがでしょうか。

○厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任) かなり今まで各省庁がおっしゃられたことと重複するところが多いものですから、そういうところを省きますと、ハンドブックの作成自体は、二次的被害の予防だけかどうかは別にして、非常に意味のあることだとは思いますが、それをどういう形で、どこが中心になって、どういうコストでやっていくのかとか、そういうところはある程度、中身とともに詰めていく必要があるだろうという感じがいたします。
 それから、カードのところは先ほどからいろいろなお話がありますように、どういう位置づけにして、さらに追記といいますか、その後どういう形で更新していくのか、いかないのかというあたりも含めて、ちょっと基本的なところがある程度明らかになっていかないと、なかなか難しいかなと。逆に言いますと、医療とか福祉とか、そういうふうな関係機関のところが何かカードに書き込みをしていくとか、そういうものはあまり現実的ではないのかなという感じがしますけれども、逆に言うと、書く場合には、先ほど警察庁がおっしゃられたように、どういうふうな方がそれを見るのかとか、そういう方の守秘義務とか、いろいろなことを考えた上でやっていかないといけないということで、かなりいろいろと問題・課題はあるのだろうなという感じはいたします。

○長井座長 ありがとうございました。
 総務省、いかがでしょうか。

○総務省自治行政局自治政策課理事官 順次、項目に沿って申し上げますが、まず最初のハンドブックの件でございます。いいことだなと思うのですが、国の方でモデルも示されるということでございますので、もちろん地域の実情の部分で変えるのはあり得るとしても、是非ある程度完全な、このとおりやれば大丈夫だというものを示してあげる必要があるのかなと思っております。
 この理由は2点でございまして、1つは、これはネットワークを中心にして、あるいは警察署単位でやるのかもしれませんが、自治体の方も今、大変体制が厳しゅうございます。一方で人員削減を迫りつつ、一方で非常に求められる役割というものも大きくなってございます。かつ、2番目の理由として、なかなかノウハウもないということもございますので、ある程度モデルをしっかりと示していただきたいということでございます。
 この関係で、2点目として、地方の負担についてご配慮いただきたいということであります。人員の関係、それからこれによって必要な施策が生じてくるのであれば、その財政措置もきちんとしなければいけないということかなと思ってございます。
 関連して、すべての基礎的自治体レベルで本当に必要なのかということについても、若干、ご議論いただけないかなと思ってございます。基礎的自治体といいますと、市町村、100万人を超えるような政令市から、合併は進みましたが、まだまだ1万人に満たないような町村まであるわけでございます。能力も違いますし、やはり相談件数というのも、これも違うだろうと思います。こういったものは、ある程度担当する側にも蓄積がないと、二年、三年に1つぽんと来ても、やはりあたふたしてしまうといいましょうか、慣れていないとうまく処理できずに、かえって安心感が与えられないというようなこともあろうかと思いますので、すべての基礎的な自治体に本当に要るのかどうかということについては、ご議論いただければなと思ってございます。
 3点目が、ガイドラインの作成でございますが、これはぜひお願いしたいと思ってございます。地方公共団体の職員も守秘義務があって、個人情報保護の条例もございます。こういう場合に、どこまで何を出してよいのかということについてしっかりと示していただけないと、もしかしたらこれを出したら処分されるかもしれないと、1回ごとにドキドキしているようでは、なかなか事務も円滑に進みませんので、その点はしっかりと、こういう場合にはここまでということは、連携の中では必要な情報なのかなと思ってございます。
 それから、カードの関係ですが、これは高井先生ですとか小西先生からのお話もあって、私も通常、データベースをイメージしてしまったのですが、そうではないのだと。紙に書いたものについて、本人が持ち歩くのだということでございますので、それは理解いたしました。
 それから、倫理綱領についてでございますが、これは警察庁とやや同じ意見でございまして、関係するような組織について、すべてにこういう倫理綱領が必要かどうかというのは、まだ検討の余地があるのではないかなと思ってございます。

○長井座長 ありがとうございました。
 文部科学省、いかがでしょうか。

○文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 この文章を事前にいただきまして、読んでわからなかった点は、既に今日ご指摘があった部分でありました。特に私は、4ページ目の2.と3.の部分について、わからないところが多かったのですが、いろいろとご説明がありましたので、そのようなことかなと思いました。
 ただ、事前に思っておりましたのは、特に2.の3のパラグラフの部分については、これはここの部分でガイドラインを定めると言われていますが、私は出す情報の最低限の部分をここで示しているのかなと。ですから、この部分だけは必ず情報共有すべき範囲のものですよということで定めておいて、その部分を皆さん方に伝えるという話であって、それプラスアルファがいろいろとあるとは思うのですが、それは個別の機関同士の話なのかなと理解しておりました。
 また、3.の部分については、被害者カードの部分ですが、私は逆に、これはやはり紙ベースの話なんだろうなと思っておりましたが、これもやはり機関の方でつくって、相談に行かれる先がわかれば、そこからそこには送ってあげるのかなといったようなイメージで理解しておりまして、そういうふうなものだったらあり得るのかなと。行かれるというのであれば、カードをつくって差し上げて、そっちの方の機関にお届けしておくということがあるのかなと思っておりましたが、そうでもないようなので、もう少しこの辺ははっきりしてほしいなと思いました。

○長井座長 ありがとうございました。
 国土交通省、いかがでしょうか。

○国土交通省住宅局住宅政策課長 ハンドブックについては、こういったものが是非必要かなと思っております。それぞれの機関でどういうサービスを提供しているのかの情報提供というのも、個別にするということもありますが、そういった関係機関で、あるいは先ほど国民へのこういった情報の提供も必要だというお話がありましたが、取りまとめる過程が非常に大事だと思いますし、そういったものを総合的な情報発信するという意味でも、ハンドブックの作成については非常に大切なことではないかなと思っております。
 それから、各機関・団体へ伝達すべき情報のガイドラインの部分なのですが、これも恐らく我々住宅局の方は、警察庁からもご協力いただいて情報を得るような仕組みのもとで、配慮が必要な方に対する住宅の提供ということを、今、やる仕組みができているわけでありますが、そこで必要とする情報と、それからいろいろ総合的な支援をしていく機関が必要とする情報と、また情報の内容とか程度にも多分違いがあると思うので、ある意味であまりたくさんの情報を関係する機関すべてにということで提供されることによって、また逆にその情報の取り扱いだとか、いろいろと後の倫理綱領の部分もまた関係してくると思うのですが、多少、重た過ぎる部分もあるのかもしれないと。そこは、恐らく支援の内容との関係で変わってくると思いますので、先ほど文科省からのお話がありましたが、提供するガイドラインの中で、最低限のラインというのがあって、プラスアルファの部分があるとか、いろいろとそこは差があるのかもしれないなと思っております。
 それから、カードの部分については、支援を必要とする方の側から積極的にそういったものを、口頭で説明するかわりに提示するという部分においては、意味があるのだろうなと思っております。

○長井座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○山上構成員 犯罪被害者カードですが、これはつくり方がいろいろ難しいところもあるのかもしれませんが、被害者の方からの非常に早い時期からの要請だったのです。これは、特に警察から検察、裁判所、それから矯正施設へ加害者が移っていくときに、その都度、本人が被害者だということを証明していかなければ、その加害者の情報も得られないというようなことがあったからであります。それはこれから地方公共団体でも、住宅とか医療とか、被害者に対してサービスをするときに、やはりその公的な証明があるかないかで、非常に大きな違いがあります。そうすることで随分、被害者の負担は軽くなるのではないかと思います。
 それから、もちろん小西構成員が言われたように、公的に証明されない被害者がたくさんいらっしゃることは知っていますが、それは例えば地方公共団体としては、その証明が必ずしもなくても、その実態がはっきりわかれば、いろいろな医療サービスでも住宅の提供でも、することはできる状況になっていますから、必ずしもそれは出せなくてもよいと思います。もしそういう方も全部証明が出されるとなると、今度は逆に裁判所とか、そういうところで証明の真偽が問われるようなことになってしまいます。公的に届けられたケースについては、母子手帳とか障害者手帳のごとく最小限のデータを入れて、本人が利用したいときに一々何度も説明しないで済むというような便宜を図る方法を、配慮していただけたらいいと思います。

○小西構成員 今、山上構成員が言われたのは、どちらかといえば被害者であるということがアイデンティファイされる何かカードというように説明を聞きました。一方、先ほど伺った話ではそうではなくて、自分が説明するのがとても大変だから、そのことについて説明するカードをというお話もいただいたと思います。この2つは、かなり違います。
 積極的な意見をと言われたので、いいかどうかわからないから言うのですが、例えば後者だとすれば、今ですと被害者の方が全部自分で情報を集めて、医療だったら診断書なりなんなりを持ってきて、それから司法のところへはまた何かを持ってきてという形でやって、また出さなくてはいけない、そしてまた説明しなくてはいけないというのが大変なのだとしたら、要求があったときに出す書式とか、そういうことは定めると。だから、そういう要望にはこたえられるようにするのだが、本人が持っているわけではなくて、書式のみ専門機関同士、あるいはボランティアのところに送るということだけを定めるとか、何かそういう方法ではだめなのかなと。カードの方には、例えばあるところに相談したとか、あるところで、警察に認定されたでもいいのかもしれませんが、何かそういうことの殻だけでよければ、可能性はあるかなと思ったのですが。1つは、お話の本質的なところが少し違うのではないかなということと、もう一つは、ではどういうふうに具体的にやればいいのかなということで、1つ、ご提言ということです。

○長井座長 ありがとうございます。

○高井構成員 本村構成員が最初に言われた被害者カードというのは、被害者本人が持っているという前提ですよね?

○本村構成員 被害者本人が、自分が被害者であるということを証明できるのは最低、要ると。

○高井構成員 だから、被害者が自分で持っているものですよね?

○本村構成員 はい。
 それと、私が思っていたのは、先ほどすごくいいことを言っていただいて、被害者として認知される方と認知されない方がいらっしゃると。そのとおりで、ネットワーキングをつくる目的は、例えば警察に届け出ない、届けたくない、それは裁判をしたくないとか起訴してもらいたくないとかという事件に対しても、例えば病院に行って治療を受けているとか支援センターで支援を受けているという方を、被害者ですと認定するシステムが要ると思っていたのです。
 ただ、言われたように、どこが認知するかというのはとても難しい問題だと初めから思っておりまして、どうするのかという問題は、やはりここで議論していかなければいけない。そこを逃げては通れないと思っています。
 それから、言われたように、私は、まずその人が被害者であるから、公的な住居を優先しなければいけない人であるとか、そういったことが一々、国土交通省に行って、それから警察庁へ行って、照合してとかというものではなくて、何かすぐにそこでわかるようなシステムをつくるというのが、言われたように、ある程度、被害者手帳か何かを持っていってバーコード番号か何かを打てば、この人はどこどこの事件の方だとか何かわかるようなことが、そこですぐに照合できるとか、そういったものがあるといいかなというふうには漠然とは思っておりました。ただ、具体的なウェブのシステムをどうするかとか、そこまではちょっと考えておりませんでした。

○高井構成員 本村構成員がおっしゃっていることというのは、2つあるわけですよね。被害者であるということを証明する材料が欲しいということと、一々自分が説明しなくても、できるだけ多くの情報が相手方にわかるようにしてもらいたいと。その2つの目的をかなえるものとして、被害者カードというものを考えたらどうですかと。その場合、被害者カードというのは被害者本人が持っているものですよ、あるいは遺族が持っているものですよという前提ですよね?

○本村構成員 はい、前提です。

○高井構成員 だから、この被害者カードというのは、だれが発行して、被害者が持つものと想定してシステムを考えるのか、そうではなくて第三者が持っているものと考えるかによって、被害者カードに入れ込む情報の量が全然違ってきますよね?

○本村構成員 僕が思っていたのは、犯罪被害者として国からの公的な支援なり、ネットワークの中に入って支援を受けたいと思った方が言えば、例えば精神科医の先生に事細かに、「あなたのここのどこは」とかと聞くまでの情報は、それは可能性が薄いわけで、その前段階、ご家族が殺されたとか、家が放火されたとか、そういった基本的なこと、例えばお子様は幾つでしたとか、お名前は何ですかとか、そんなことを一々聞かなくていいような最低限の情報は、本人が承諾すれば、ある程度データベース化できると思っていました。ただ、それ以上の、例えばどこに行って、どんなことを受けましたとか、そういったものはネットワークの中でやりとりするのか、本人が診療結果とか何か受けた結果をもらって、それをファイリングしておいて次に持っていくとか、何らかのやり方はあるのだろうなと。例えば、一々「私は何月何日どこに行って、こう言われて、今度はここに来てこう言って、今ここに来ています」とか、そういったことを長々といくよりも、早くその人が何に困っているのかとわかるような仕組みをできればなと思っていました。

○高井構成員 その本村構成員がおっしゃっている中には、今までの支援履歴は必要ないのですか。

○本村構成員 要ります。

○高井構成員 それまでの支援履歴も必要なの?

○本村構成員 はい。

○高井構成員 そうなると、なかなか難しい話だね、それは。

○本村構成員 そうですね。しかし、小さくても一歩前進しなければいけないと思っているのですが。

○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 厚労省にお聞きしたいのですが、先ほど本村構成員から母子手帳という話が出たのですが、この母子手帳の仕組みといいますか、そういうものが今おわかりになりますでしょうか。

○厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任) 詳細を今、持ってはいないのですが、実際には妊娠がわかったときに保健所などに行って、そのときにもらうというもので、その後は、例えば妊娠したときに、いろいろ健康診査とかを受けますよね。そういう記録を自分が書いたり、あるいは、場合によっては保健師が書いたり、出産してから後の身長とか体重とか、そういうものの記録も書き込んでいくというふうなイメージのものです。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 後ほど、ぜひその詳細な根拠だとか、あるいは個人情報の関係はどうなっているのかとか、そういうことをぜひお教えいただいて、私が事務局として考えているのはそういう感じの、先ほど履歴がどうとかという話もありましたが、そこぐらいはある程度要るのかなと思いますが、場合によっては必要最小限の、本村構成員が言われたようなことだけでもとりあえずつくるとか、そういった形にしたらどうかとは思うのですが。

○警察庁犯罪被害者対策室長 被害者カードという名称かどうかはともかくとして、先ほどから言っていますが、いろいろな被害者の方が、例えば被害の関連で行政サービス等を受けなければいけない場合に、その機関との関係で一定の情報伝達を円滑にするための仕組みというのは、それは必要だと思っていますし、それは現に今までもやってきています。そういう場合に、紙で情報を提供するということもやっています。
 ただ、実際、それがどこにどういうふうに流通するかというのは、全くここで今、議論がないわけです。その中で、およそそれだけを前提に自己目的化的に話を進めていくのではなくて、具体的に例えば被害者の方がこういう機関に行くときに、こういう情報が必要で、この機関との関係ではそういうふうな情報流通の仕組みが必要であるとか、もっと個々具体の議論をしていかないと、一遍に全部同じような形でというのは、なかなかその必要性も私たちは説明できませんし、とにかく個別具体の議論をやはりやっていくべきではないかと思います。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 被害者カードが必要だなと思うのは、この間も中央大会である被害者の方が、病院に行って、こういう心ない言葉を言われたとかと言われていたのですが、まさに警察とか司法の世界はそれなりにあれなのですが、やはり病院だとか、あるいは、よくあるのは福祉の担当の方とか、そういった被害者のことが全くわからない方に対して、きちんとした応接をしてほしいなという思いですので、今、警察庁の方が言われたのはそのとおりだと思います。
 ただ、カードそのものを、名称はともかく、別に否定するものではないという理解でよろしいでしょうか。

○警察庁犯罪被害者対策室長 カードそのものですか…。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 では、そういうことで理解させていただきましたので、何とか、内容についてはまたご意見を伺いたいと思いますが。

○警察庁犯罪被害者対策室長 被害者カードという名称かどうかはともかくとして、関係機関との情報連絡の仕組みとして、一律にというのはなかなか難しいのではないかということを申し上げているのです。ですから、個々具体の受け手との関係でやはり情報を提供する。これは逆に私どもが、先ほどのお話であれば、警察では、証拠上被害者として裁判なりいろいろな過程で認定されていなかったが、現実に被害に遭われているといった方も、やはりそういったカードを求めておられるとして、その方々が関係機関でカードをおつくりになった場合に、我々の目から見ると、証拠上なかなかそれは犯罪被害として認定されないような方が、例えばそのカードを持って私どものところに来られたときに、「私は犯罪被害者です。犯罪として、きちんと捜査してください。」と、あるいは、検察庁のところへ行かれて「起訴してください。」と言われても、逆の場合は非常に難しい可能性もあるわけです。
 だから、やはりどういう関係機関との間でそれが必要になるかということをよく議論しないといけないのではないかと思います。私どもも、先ほどの繰り返しになりますが、公営住宅の場合であるとか、DVの場合であるとか、ストーカーの場合であるとか、やはり個々具体の関係機関との関係で、やはり必要な情報伝達をスムーズにしていくことが被害者の方のためになるということで、今、現にやっているわけですから、やはり個々具体の現実に問題になっているケースについて、それを考えていく必要があるのではないかということです。

○長井座長 ありがとうございました。いろいろなご議論ありがとうございます。
 本村構成員にお尋ねしますが、被害者のお立場として、いろいろなご意見をお聞きになられたわけですが、何か追加的なコメントがあればどうぞ。

○本村構成員 やはり被害者の立場と、実際にそれに対峙して支援される方、それを運用される方で、被害者問題の難しいところは、だんだん支援する側の方の意見が強くなってきて、原理原則、本体のところを忘れてしまうと。本当に困っているのは、自分が被害者であるということを知ってもらうことに、とても時間がかかるということ。逆に、裁判所に行ったりとか、いろいろな福祉関係に行ったときにも、自分がこういう事件に遭いましたよということを言うだけでもとてもつらいことなんです。それは、必要があれば、警察庁に問い合わせてくれれば出しますからと言ったって、そこに問い合わすときに、「私はこういうのが何年何月にあって、ご存じですよね。何とか警察署の何々課で対応してもらいました。」と言わなければいけない。だったら、例えば少なくとも警察の方が取り扱った事件に対して被害者と認定すれば、その都度、警察の方は、警察として受理しましたということを証明してあげるとか、そういったことがあるだけで、とてもうれしいと思うし、助かると思うんですよね。それがどれだけの効力を持つか。免許証みたいに、それで身分証明になるかどうかまではわかりませんが、「あなたは被害者として国が認定しました。このカードを見せれば、何らかの施設に行けば、迅速な支援を受けられる可能性があります。」とかがあれば、それは一つの安心になると思いますし、そういった点で、あればいいなと思いますし、忘れてもらいたくないのは、被害者の方がいろいろな国の仕組みとか法にはわからないところがありますが、実際に生活する中で、それを一々証明することは面倒くさい、また、説明するのもとても大変だということに対しては、何らかの支援があればうれしいなということでございますし、またいろいろな関係する機関も、どの機関がどんな支援をするかということがだんだんこれから明確になってくれば、被害者の方には被害者カードの裏にも、この機関ではこんな支援ができますよとか、この機関はこんなことができますよということを具体的に書いてあげて渡すようにすれば、このカードとこの裏を見て、例えばここに行こうとかあそこに行こうというような、被害者の方が能動的に次の行動に移せるような仕組みをつくることができればと。やはり、主体は被害者であって、すべての情報は被害者にあって、被害者が支援を受けなければ意味がないわけですから、その被害者を主体として物事を考えるようにしなければいけないのかなと思っております。

○警察庁犯罪被害者対策室長 私たちも、やはり被害者の方が何度も同じ説明をしなければいけないというのは非常につらいというお話は前から聞いておりまして、十分認識しておるつもりです。ですので、私たち警察の中でも、そういったことについて配慮ある対応ということはいつも考えておるところです。
 ただ、今、本村構成員がお話になられました、例えば警察で1回話した話を、検察でもしなければいけない、裁判所でもしなければいけないというお話なのですが、これは例えば警察で事件として送った場合、被害届とか一連の書類というのは、もう既に検察庁の方へ行っているわけです。そういった情報を前提として、なおお尋ねになっている部分が、ちょっとわかりませんが、あるのではないかと思うわけです。ですから、そのカードをつくったら、そういった司法手続上、何回も同じ話をしなければいけないということが解消されるかというと、必ずしもそうではないのではないかということはよくご理解いただきたいと思います。

○本村構成員 はい。わかりました。

○警察庁犯罪被害者対策室長 それから、いろいろな関係機関との連絡について申しますと、私どもは、例えば身体犯の被害者のご遺族の方に対して、被害者連絡というのをやっております。それで、これは捜査状況でありますとか、逮捕された、されなかったとか、そういった状況を定期的にお伝えする仕組みでして、その際に被害者の手引というものをお渡しすることにしています。これについても、いろいろご指摘を承っておりまして、途中で立ち消えになってしまうとか、特に被疑者検挙の場合については、いつの間にか、連絡が途絶えしまうとか、いろいろなご指摘をいただいておりましたので、先日、連絡の頻度等について見直しをするとともに、被害者の手引についても、従来は必ずしもそういった記載はなかったのですが、例えば犯罪被害者等早期援助団体等の民間支援団体のことでありますとか、先ほどの警察署レベル、あるいは県レベルの被害者支援連絡協議会のことでありますとか、法テラスのことでありますとか日弁連のことでありますとか関係機関のことも、極力今回の被害者の手引で網羅しております。ですので、今後、被害者連絡という形で被害者の手引を受け取られる方は、相当、関係機関でどういう支援が受けられるかということがわかるものをつくったつもりであります。参考まで。

○長井座長 ありがとうございました。
 大変活発で、有意義なご発言、ご意見等々を頂戴し、誠にありがとうございました。重要な議題でございますが、時間の関係がございまして、本日はこれで終わりとさせていただくことにいたしますが、なおかつご意見のおありの方には、ぜひとも15日金曜日までに、事務局へお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 今日、いろいろご意見をいただいたので、ちょっと今回は被害者週間などでばたばたしていたものですから、1週間前にしかお渡しできなかったので、今日のご意見とダブっても結構ですので、ご意見をぜひ15日ぐらいまでにお出しいただければありがたいなと思います。それによって、今日のご意見も踏まえ、また、先ほど厚労省さんには母子手帳の関係もお願いしましたけれども、そういったこと、それからこの倫理綱領なのですが、私どもとしては、要は被害者支援に当たる人が、片手間で余分な仕事だと思ってやられるのが一番よくないのではないかということで、あえて、名前は倫理綱領がいいかどうかはともかく、先ほどご指摘のあった、公務員の場合はちゃんと倫理規定があるとか、そういうこともNOVAには、3ページの一番最後に、そういうものにも当然拘束されるというようなことはわかっていますから、そうではなくて、公務員としてではなくて被害者支援に当たる者として、そういった宣言をしてはどうかということがございますので、もし、山上構成員の方でネットワークの倫理綱領みたいなものがあるのでしたら、ぜひお出しいただきたいと考えております。
 いずれにしても、今日のご議論も踏まえ、また各省のご意見もあるでしょうから、今週いっぱいぐらいに、是非よろしくお願いしたいと。その上でまた修文して、次回お諮りしたいと思っております。

○長井座長 今、室長からご説明がございましたように、今回のご議論を踏まえ、またさらにお寄せいただく追加的なコメントを十分考慮した上で、事務局の側で第2次案を作成いただきまして、次回にお示ししたいということにさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。

〔異議なし〕

○長井座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の議題は以上でございます。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 次回は、まだ日程はまた調整させていただきますが、来年1月下旬ごろを予定いたしております。今回ご議論いただきました提案について、またいろいろ案を作成いたしまして提供したい。できれば早目に案をお示しして、その案についてあらかじめメール等でご意見をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○長井座長 それでは、これをもちまして、第7回支援のための連携に関する検討会を終了いたします。
 本日は、長時間にわたり精力的なご議論をいただき、誠にありがとうございました。

午後3時01分 閉会


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