-
犯罪被害者等施策
-

警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 各検討会の開催状況 > 支援のための連携に関する検討会の開催状況 > 第5回議事録

-



支援のための連携に関する検討会(第5回)議事録


日時:平成18年8月7日(月)13:00~15:44
場所:合同庁舎4号館 共用第2特別会議室
出席者:
座長長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
奥村 正雄同志社大学大学院司法研究科教授
高井 康行弁護士
本村 洋全国犯罪被害者の会幹事
山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
廣田 耕一警察庁犯罪被害者対策室長
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
木岡 保雅文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
依田 晶男国土交通省住宅局住宅政策課長
代理荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
代理山口 高志厚生労働省政策統括官付 社会保障担当参事官室室長補佐
説明者和田 義広杉並区区民生活部参事
照山美知子いばらき被害者支援センター事務局長
かわさき 政宏NPO法人おかやま犯罪被害者サポートファミリーズ理事長
井上摩耶子ウィメンズカウンセリング京都代表

(議事次第)

1.開会

2.有識者からのヒアリング(連携を強化する「仕組み」について)
  1)杉並区の取組状況について
  2)連携を強化するための支援者の養成について
  3)コーディネーター・専門的チームについて
  4)アドヴォカシー制度について

3.連携調査の実施について

4.今後の検討の進め方について

5.閉会

(配布資料)

資料1杉並区資料[PDF形式:32KB]
資料2照山氏資料[PDF形式:25KB]
資料3かわさきししりょう[PDF形式:52KB]
資料4井上氏資料[PDF形式:21KB]
資料5連携調査関係資料[PDF形式:52KB]
資料6内閣府資料[PDF形式:14KB]


(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 皆さん、こんにちは。お暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 ただいまから、第5回の支援のための連携に関する検討会を開催いたします。
 今日は、有識者委員の小西構成員は欠席でございます。
 以後の司会は、長井座長にお願い申し上げます。よろしくお願いします。

○長井座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 まず、本日の議事について、事務局からご説明願います。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、議事次第をご覧願います。
 本日は、連携を強化する「仕組み」につきまして、関係機関・団体との連携に関する先進的な取組状況、あるいは民間支援者の育成の方策、コーディネーター等の状況等を把握するために、杉並区及び有識者の方からのヒアリングを予定いたしております。また、これから実施をする予定の関係機関・団体の連携に関する現状の調査、いわゆる連携調査の調査対象機関及び調査項目、それから今後の検討会の進め方等につきましてご議論をいただきたいというふうに考えております。
 ヒアリングにつきましては、1件当たり説明を約15分、質疑応答をその都度約5分ということでお願いしたいと考えております。
 以上でございます。

○長井座長 それでは、これより議事に入ります。
 連携を強化する「仕組み」についてのヒアリングは、関係機関・団体との連携等に関する先進的な取組状況、民間支援者の育成方策、コーディネーター等の活動状況を把握することを目的としております。そのような観点から、本日は、杉並区区民生活部参事の和田義広様、いばらき被害者支援センターの照山美知子様、NPO法人おかやま犯罪被害者サポートファミリーズのかわさき政宏様、ウィメンズカウンセリング京都の井上摩耶子様より、杉並区の取組状況、支援者の養成、コーディネーター・専門的チーム、アドヴォカシー制度について、それぞれご説明いただくことになっております。
 それではまず、杉並区区民生活部参事の和田様より、杉並区の取組状況についてご説明をお願い申し上げます。

○説明者(杉並区区民生活部参事) ただいまご紹介に預かりました、杉並区役所の区民生活部参事管理課長事務取扱の和田と申します。今日は、四居部長が伺ってご説明するところでしたけれども、緊急の用件が出ましたので、私が代わってご説明させていただきます。
 本日は、このような機会にお招きいただきまして、ありがとうございました。
 お手元に、資料を配付してございます。今回のご検討の趣旨が、連携の「仕組み」ということでございますが、杉並区の方はまだ始まったばかりでございまして、なかなか連携のところまではこれからの課題ということになりますので、資料の方に基づきまして、なぜ杉並区がこれまでこういった犯罪被害者支援を全国の自治体に先駆けて取り組むようになったかというような経過と制度の概要を簡単にご説明して、連携の仕組みにつきましては、幾つか私ども内部検討して、来年度の予算の中で措置するもの、それから現在少し手をつけた部分がございますので、大変恐縮ですが、口頭でご説明をさせていただきたいと存じます。
 それでは、杉並区の取組状況、レジュメに沿いまして簡単にご説明をさせていただきます。
 まず、(1)の条例制定までの取組ということでございますが、平成15年9月に第3回の区議会定例会において、議員から、「区においても、こういった犯罪被害者支援に取り組む必要があるのではないか。」と一般質問がありました。区が掲げている「やさしさを忘れず、共に生きるまち」をつくる、それこそこういったことがなされて初めて、誰もが安心して暮らせるまちになるのではないかと考えたものであります。それから、それを踏まえた具体的提案として、条例の制定、それから総合相談窓口の設置というご意見が出されまして、区としましてもそれを踏まえて、それでは制度検討をして、できるだけ早い時期に制度を立ち上げようということで、以下に記載のとおり、専門家検討会の設置から始まりまして検討を進めまして、平成18年4月に条例施行ということで、先ず平成17年10月に担当の係長を置き、それからこれはOB職員でございますが、2人の非常勤の相談員を配置して、事業を開始したという経緯でございます。
 こういった取組に行くいきさつの中では、この平成15年の議会以降、専門家検討会も含めまして、都民センターの方から多大なご支援をいただいて、職員の研修もしていただいたという経緯がございます。
 それから、条例制定後の取組でございますが、条例の中にありまして、区が具体的に犯罪被害直後のいろいろな生活困難、あるいは心理的な部分も含めて、自治体の取り組む意味がここに一番あるわけでございますが、どうその方の生活を再建するかという取組の中で具体的に決めてきたものということで、1つは犯罪被害者条例施行規則に定めて、いわゆるヘルパーの派遣とか、応急小口資金といった経済的支援、それから犯罪が当該者の住宅で行われた場合、そこになかなか住みがたいということもございますので、どういった形で住宅を確保するかと、この3つの施策が一つの柱になって、それに総合相談窓口というものを設置して総合相談するという仕組みですが、それらの関係規定を整備してきたということでございます。それを受けて、具体的には、ヘルパーの方につきましては、現在、福祉サービスというのは大体民間サービスでやってございますから、2つの法人に委託契約をしてきたところであります。あと、関係機関との連携とか関係部署との調整を進めてきたということでございます。それから、こういった取組をする中で、犯罪被害者支援ということが自治体行政の中でも比較的なじみの薄い分野でもありますし、地域にとっても非常にセンシティブであると同時に、すぐ飛び込めるような状況ではございませんので、とりあえずは一番最後に書いてございますが、職員向けの講演会というようなことをして、区役所内部のこういったものについての理解を深めて、行く行くは保健福祉部、あるいは福祉事務所、いろいろなところの連携が必要ですから、そういったところの露払いといいますか、基盤整備をしてきたという流れでございます。
 区民の方につきましては、(3)の事業周知でございますが、「広報すぎなみ」での周知、あるいは報道機関への情報提供といったことを進めながら、ポスターとかリーフレットの配付をやってきたというのが制度設計、あるいは今日に至るまでの大体の大きな流れということでございます。
 この間、専門家検討会については山上先生にメンバーになっていただくなど、専門的ないろいろなご助言がいただけて、この専門家検討会の報告書というのは、ある意味では条例のバックボーンでもありますし、我々、杉並区がいろいろな連携の仕組みを含めて考えていくときの基盤といいますか、バックボーンになっているというものでございます。
 2点目でございますが、犯罪被害者等支援条例の概要等ということでございますが、これにつきましては犯罪被害者支援をどういうふうにやっていくかという目的がございます。これは、国の基本的な考えと似たようなものでございますが、いずれにしても、自治体がなぜ取り組んでいくかというところでは、犯罪被害者支援につきまして、先ほど言ったような3つのサービスと、それから相談という構築をしてございますが、そういった専門セクションだけでの対応ではなくて、もともと自治体というのは区民生活、いろいろなところに医療・保健から始まって関わっているわけですから、そういった中で、十分、犯罪被害者の方が地域で普通の生活に戻るということを支える資源を有してございますので、そういったものをしっかりやっていくんだということで、理念を掲げて、併せて行政の考え方も示しているということでございます。
 特徴のところについては、今、大体言ったような話でございますが、そういったことを頭に置きながら、現実的には始まりましたら途切れなく、その人の事情に合って、その人の人権も尊重しながらサービスをするというものをどういうふうにやっているかというのは、現在始めたところでは試行錯誤中ということになります。
 お手元の資料の後ろに、今言った話の中で、いろいろなそれぞれの職員体制から始まって、それから4つの制度の概要についての資料がつけてございますので、簡潔にまたお読みいただければというふうに思います。
 ここで、資金貸付けの部分、「日常生活への支援」の次のところです。これは、いろいろ議論がありまして、貸付制度にするか、貸与制度にしていくかというようなところは、犯罪被害者の自立を支援するという意味からどちらがいいだろうかという議論があって、金銭的な支援の方については、国の関係の体制もありますので、区としては自立を促すということで、貸付制度がいいのかなということで構築してございます。
 それから、2ページ目へ行きまして、最後の方の「実績」というところでございますが、現在、38件の実績がございますが、財産的な被害、そういったものについての相談が今のところ多いというのと、相談をやっていく中で、まだこの制度が、私ども実感しているのは、本当に必要なところまで届き切れていないのかな、あるいは届いてはいるんだけれども、その人たちが区を信用して上がってくるというところにまでは至っていないのかなという状況がございまして、38件ございますが、具体的なサービスに行ったのは小口資金の貸付けというところで1件だけということが1つと、どちらかといえば、この犯罪被害者支援そのものよりは、少し精神的な、そういった心の問題として保健所で対応した方がいいのかなというような方もかなり多かったというのが実態でございます。
 最後に、今回のテーマに沿いまして、資料がなくて申しわけないんですが、連携の仕組みということについて、ちょっと簡単にご説明させていただきます。
 ここでは、今日は他の事例としてお話があるようですが、私どもでいきますと、最後の資料の下から3つ目のところに「地域における支援体制の構築」という言葉がございます。ここに、犯罪被害者支援員を、今、養成中でございますが、この辺について1つお話をさせていただきたいのと、今後の連携をどんなふうに考えていくんだというところでお話をさせていただきたいと思います。
 この連携につきましては、専門家検討会の報告を受けまして、条例の第10条で、1つは「区は、区と協力して犯罪被害者等の支援を行う者を養成する等、地域における犯罪被害者等の支援体制を構築するために必要な措置を講ずるものとする」ということで、私どもの義務規定といいますか、そういったものを起こしてございます。これが今ご説明させていただく「すぎなみ地域大学」という、地域での活動を支える人をこれから育成していこうと、いろいろな講座があるんですが、その中に位置づけて、来年度以降活躍していただこうとする人たちを育てているというところでございます。
 検討会では、もう一つ、この人材の活用という分野では専門相談員制度というのがございまして、地域にいる医師とか弁護士さんとか、そういった人たちを区の専門相談や何かの中で助言者として生かしていこうということも考えているんですが、当面、区としては、地域における支援という仕組みでは、こういったボランティア制度といいますか、地域の人材を育成して対応していこうということで、今回50名の入門コースの募集をしたところ、ちょうど50名来ておりまして、これを来年度以降の犯罪被害者支援員制度、地域の制度に結びつけるために、これから11月から実践編をやるということで、20名に絞り込んでつないでいこうといった考え方を持ってございます。これについては、まだ要件等についてはこれからということで考えていく形でやっているんですが、少なくとも専門家検討会の中で出された犯罪被害者直接支援員の犯罪被害者早期援助団体に関する規則の中で定められている犯罪被害者直接支援員の要件、25歳以上で人格云々といったことを想定しながらやっていくというのが一つの考え方で、もう一つ、この制度の特徴は、有償ボランティア制度でいこうかなというふうに思っております。一定の、例えば話し相手をするとか、あるいは実際、犯罪が起きたときに裁判所に付き添っていただくとか、そういったものについて、当面は有償で立ち上げていこうかなというふうに思っています。
 あと、2点目ですが、連携の仕組みについては2つありまして、1つは内部の関係部署との連携と、それから地域の例えば民生児童委員とか保護司とどう連携していくかという部分ですが、専門家検討会のときに、そういった民間の方も入っていただいていますけれども、これからこの制度については構築していくということでございますが、少なくともこの9月ぐらいにかけて、とりあえず内部での検討組織といいますか、検討会みたいなことをやって、いろいろなお知恵をいただきながら、どういった形で支援協力体制を組んでいくかということを構築して、それを踏まえてそれぞれが優れている関係団体との調整というものを進めていきたいというふうに思っています。
 各関係機関との連携の中では、2つテーマがございまして、1つは実際に、実績はさっき1件だけという話をしましたけれども、どう支援を協力してやっていくかという仕組みと併せて、もう一つ、さっきも言ったとおり、どうも周知は行っているようだけれども、本当に必要な人を掘り起こせていないのではないか。どういうふうな形で犯罪被害者が区のサービスを受けられる仕組みに、地域あるいは関係機関との連携の中でやっていこうかなというとこら辺も、検討していきたいなというふうに思っております。
 最後になりますが、経常的な形で、組織あるいは事業におきましては、こういった地域の関係団体も含めて、犯罪被害者等支援協議会といったようなものを制度的につくって、そういった中で仕組みをしっかり押さえて、評価、検討しながらやっていきたいと考えております。条例につきましては、3年後、見直しをするという予定で取組を進めていきたいというふうに思ってございます。
 話があちこちに飛んで申しわけなかったんですが、私からの説明は以上でございます。

○長井座長 参事の和田様、どうもご説明ありがとうございました。
 ただいまの杉並区のご説明について、ご質問等がありましたらよろしくお願い申し上げます。
 どうぞ。

○本村構成員 詳細なご説明、ありがとうございました。二、三、質問させてください。
 まず、資料の中の1ページ目の1.の(2)の日常生活支援のヘルパーに関しては、2つの民間企業に委託をされているということでしたが、この民間企業を選定するに当たって、何らかの基準や面談、面接等を行ったんでしょうかというのがまず1点目でございます。
 それと、2点目は、次のページの表になっているところの項目の「職員体制」という中に、内容で、杉並区の犯罪被害者支援の窓口の中には、担当係長と、プラスして相談員2名(委託職員)ということでございますが、この方々の属性というんですか、OBの方であるのか等々がわかれば、ちょっと教えていただきたい。
 また、都民センターの方の研修に行って、研修をされているということでございましたが、これはなぜ都民センターの方の研修制度を選ばれたかというところがもしあれば、教えていただきたいというふうに考えております。

○説明者(杉並区区民生活部参事) 私からは、2点、最初の質問にお答えさせていただきまして、今日は担当の係で、実は都民センターの研修に伺っております者が来ておりますので、3番目は担当の係の方から。

○本村構成員 はい。わかりました。

○説明者(杉並区区民生活部参事) 最初のヘルパー事業者の選定基準でございますが、区の方の保健福祉部、そういったところとも相談しながら、こういった犯罪被害者支援のヘルパーというのは、どうしても心のケアの問題とか守秘義務とかいろいろありますから、どういったところがいいかというところを含めて、私どもとしては特段の基準は設けてございませんが、そういった中で2つのこういったところに理解がある団体を選んできたということでございます。つまり、随意契約で区側の判断で決めたということで、これについてはさっきも言ったとおり、関係のところによく相談をして、それに合ったところ、こなせるところ、意欲があるところということで選んできたということでございます。
 それから、職員の属性でございますが、犯罪被害者担当の係長につきましては、これは区の常勤職員でございます。一般の事務の職員を派遣して、その対応ができる職員として育成してというような対処をしております。それから、相談員につきましては、区の職員のOBでございます。ただ、これにつきましても、区側として十分な対応をして、具体的に言いますと、1人は福祉事務所の経験を十分積んできた方ということ、それからもう1人の職員についても、こういった相談に耐えられる職員ということでお願いをして、本人のご了解をいただいて決めてきたという経緯でございます。

○本村構成員 では、OBということですので、いろいろな意味で人生の経験であったりとか、そういった方を選ばれているということと、シルバー人材を活用するという意味でも、両方の点ではかなり有意義な制度というふうに考えてよろしいですか。

○説明者(杉並区区民生活部参事) そうですね。有意義な制度というか、先ほどの連携の話になってきますけれども、区の中でも、やはり全くそういったエリアでなかった土木とか学校関係者がやれるわけではございませんので、そういう意味では区の中の、さっき言った育成してきた人材の資源という形で、これに耐えられる人材ということで決めてきたということでございます。
 では、最後の質問で、都民センターになぜ白羽の矢を立てて研修しているのか。

○説明者(杉並区区民生活部管理課犯罪被害者支援担当係長) 犯罪被害者支援を担当しております藤本と申します。よろしくお願いいたします。
 実は、私も、条例ができるのに伴って昨年10月1日付で辞令を受けたものですから、それ以前からもう既に、都民センターでの研修が決まっておりました。専門家検討会の中に、山上先生、それから都民センターの事務局長でいらっしゃいます大久保さんもメンバーに入っておりましたので、やはりこの職に携わる者につきまして、それなりの専門性ですとか最低限の知識の必要性というものがありますので、ではどこでそういったものを修得するのかといいますと、現状では被害者支援都民センター、民間のそういったセンターしかありませんので、そこで受け入れをしていただくようになったのではないかというふうに思いますが、私も辞令とともにそのことを受けたものですから、経過は余りよく存じておりません。

○本村構成員 なるほど。
 私がちょっと知りたかったのは、今、この検討会では、こういった支援をする方というのを、本当に国の資格としてやるのか、そういった各地域に任せるのかとある中で、きちっとした研修内容であったりとか資格認定制度があった方がやりやすかったのか、今あるそういった支援の研修の中で十分だったのかというところが知りたくてお聞きしたんですけれども、わかりました。ありがとうございました。

○長井座長 ありがとうございました。
 どうぞ、奥村構成員。

○奥村構成員 どうもありがとうございました。
 まず、私は、自治体のこの被害者支援対策の先進的な取組として、杉並区の動きについて非常に関心があるわけですけれども、二、三伺いたいと思います。
 まず1点目は、当初、この条例制定までの取組のきっかけとなったところが、ある議員の方からの一般質問でご提案があったということのようですが、行政は、こう言っては失礼ですが、いろいろ縦割りのところがあって、それで、まだこれは基本法ができる前の段階でありますと、例えば公営住宅の優先入居の問題とかでも、もともとそういう犯罪被害者のために設けられているものではないことで、なぜ被害者を優先しなきゃいけないのかとか、やはりそれぞれの部署部署によって、なぜ犯罪被害者が優先されるのかということが意識の中にあったのではないか。それを、背中を押したといいますか、一歩進んだというところがどこにあったのか。つまり、行政が積極的に取り組もうとされたところを、ちょっとお話しいただける範囲でお聞きしたいのが、まず1点目です。
 それから2点目は、地域における支援体制、ボランティアの動きです。資格と、今、本村構成員が言われた点とも絡むわけですけれども、有償ボランティアにされた。なぜ有償なのかということで、今、都民センターのお話も出ましたけれども、これは世界的な動きとして、私が知る限りでは、基本的には無償のボランティアによる支援ということが基本ではないかと思うんですが、それをなぜ有償にされているのかという点と、それから、今、東京都におきましては、都民センターのボランティアによる支援があるわけですけれども、それで杉並区さんの方では、ボランティアによる支援というのは、具体的にはどういうところが窓口で、都民センターとはどういう関係で、その支援とはまた別途、杉並区だけの、これは区民に対するサービスですので、杉並区が対象なんですけれども、具体的にはどういうセンター的な役割といいますか、センターと同じような仕組みを持っているのかどうか。窓口がどこで、具体的な支援の仕方というのはどういうふうにされているのか。つまり、都民センターとはどこが違うのかというようなところも含めて、ちょっとご説明いただければと思うんですが。

○説明者(杉並区区民生活部参事) 1点目の条例制定までの取組ということでございますが、先ほど申し上げた区議会の中で、議員から提案がありまして、そういった中で、その議員だけでなくて、ほかの会派の方も含めて、やはり杉並区が掲げている、先ほど言ったとおりの誰もが安心して暮らせるところ、それから共に暮らせるまちをつくっていくという中では、やはりこういったものが必要だろうということが、かなり議会サイドでも、ただ1人ということではなくて、かなり流れとして出てきたところです。それを踏まえて区の方でも、こちらのところも含めて、ではこういったことについてどうするかという形でいったときに、これはもう是非、どこの誰かがやっている、やっていないは別として、杉並区においても結構犯罪というのは起きていますから、これをどう支えていくかということが喫緊の課題だろうという流れの中で、まず区として大きな方針が決まってきたものです。そういう流れの中で、ではどうやって区全体でつくっていくかという流れで取り組んでまいりましたので、先ほど言った、例えば福祉の分野の資金のところとはなじまないとか、公共住宅がどうかという話は、余り私はそういった経過があったというふうには聞いていなくて、どうそれに沿った組織に、あるいは仕組みに変えていくかというようなことについては、かなりお互い協力の中で進んできたというふうに考えてございます。
 これについては、さっきも言ったとおり、専門家検討会の検討で、こういった非常によく整理された、それから自治体の取り組む意義ということも整理されて出てきたということは非常に大きかったです。そういったものが、条例の中でも議論がされてきたというふうに思っています。
 それから、2点目のなぜ有償ボランティアかということは、これはさっきも言ったとおり、これからというところで、まだ確定した話ではありません。これから財政当局とも詰める話なんですが、実は杉並区というところは、今、教育立区というところでいろいろな制度を組み立てています。それから、福祉のところもそうなんですが、要するに、自分たちができるときに、できることを、できる条件でやっていくということで、かなり古いときに、さんあい公社という福祉の公社があったんですね。そういったところのヘルパーも、協力員制度というのがございました。そういった中で一定の、1回当たり2,000円という感じですけれども、そういった制度で構築してきた福祉型の制度がありまして、同じことが教育についても、教育の分野でいろいろな授業の補助とか、学校を支える組織でコーディネーターとか、サポーター制度というのがあります。これも同じような仕組みで、基本的には同じような単価ですけれども、制度を構築してきまして、行く行くは全部が自前でやっていくということがありますけれども、少なくとも直ちに地域の中ですぐそういった形で立ち上げられないという中では、こういった有償ボランティア制度というのを区がつくって後押ししながら動いてきたという経緯がいろいろな政策の中でございましたので、私ども、この犯罪被害者支援についても同じ仕組みから入っていこうということで、ずっとこのまま有償でいこうかどうかというのは、これは今後の課題ですけれども、そういった流れの中で、今、来年度に向けてはそういったことを財政当局とやって、制度を構築したいというふうに思っております。
 では、最後の点ですね。ボランティアの中身と、都民センターとどう違うか。
 ボランティア制度は、今のところ、先ほど申し上げたとおり、今とりあえず地域大学という講座の中で、実践的にサポートできる人たちを養成しようということで、この間、入門コースが終わったところで、これから特に実践編については、今おっしゃったとおり、どういったことをねらいにして、どんな仕事をとりあえずしてもらうんだということも詰めながら、今いろいろな講座にしても、例えば実際の一つのシミュレーション研修といいますか、なかなか犯罪被害者の方に協力していただけないでしょうから、だれかが被害者になって、実際に例えば裁判所に付き添っていくときに、こういうやりとりをしてみたらどうかとか、そういう実践的なスキルを身につけていただこうと考えておりますが、いずれにしても、今のところで想定しているのは、そういった付き添い的な部分ですね。それから、生活支援としての育児介助とか家事介助というのは、専門員を入れる形になりますから、それはただ、時間が限られてきますから、そういった中で、家庭の中で、最近なかなか身近に親族とか話し相手がいませんから、どう話し相手になってその方を支えられるかというようなことですね。そういった形で、区の事業をサポートする形で立ち上げていこうという形なんです。
 ですから、今まだ制度設計は、今日提案の皆さんは、それぞれ制度設計されていますけれども、その辺を今、専門家検討会のことも含めながら、来年度予算に向けて制度検討と一緒に、後期の実践研修のところを今ちょうど詰めているところで、大体そんなとこら辺に来ていますね。

○奥村構成員 これからということですが、具体的には、区役所の中のどこかの部署に、相談窓口みたいな、相談室みたいなものを置いているのですか。

○説明者(杉並区区民生活部参事) そうですね。部署としては、総合相談窓口のところに置いてやっていく形で、制度としては、登録制度をとろうというふうに思っています。それで、必要なサービスがあったときにやっていく。
 ただ、さっきも言ったとおり、来年度になったとしても、連携の中でうまくサービスを引き出すことができなければ、実践をやるフィールドがなかなか立ち上がってきませんので、そうした場合について、制度を維持するために登録員同士で何をやってもらうかということも含めて、少し検討していかなきゃいけないのかなと考えております。
 都民センターとの関係でいいますと、今、そういった講座にも、入門コースのところに事務局長の大久保さんに来ていただいていますし、この講座の設定の仕方も、今、一緒に相談しているところでございます。それを含めて、その後、都民センターがやっているみたいな犯罪被害者の人たちの会をどう立ち上げるかといったところも検討しながら、都民センターの役割と区の役割とをどう整理していくかというようなところを少し考えていきたいというふうに思っています。ここで話していいかどうか、ちょっと難しいところなんですけれども、サービスについては、都民センター、そういう指定された団体と違いまして、私どもは警察の方から情報を直接いただけませんので、そういったところも含めて、都民センターとの関係で、ちょっとボランティアとは離れますけれども、そういった経緯で区の方にうまく連携していただいて、少なくとも杉並区に住んでいる犯罪被害者については、何かサービスに乗せられる仕組みをつくれないかなということも含めて考えているというところでございます。

○長井座長 どうもありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 山上構成員、お願いいたします。

○山上構成員 1つだけ。この条例のもとで、専門の相談員を設けていただくこと、大変すばらしい日本のモデルをつくってくださったことに感謝して、これができるだけ広がっていくことを期待しています。相談件数が36件あって、実質的な支援に結びつくところが少ないというのは、今ちょっと触れました、恐らく警察で最初に触れられる被害者の情報がすっと来るというようなことがあれば、また違ってくるのかなというのと、それから直接相談に来られるケースというのは、やはり少し時間が経って、組織のこの相談の窓口がよく広報されて、信用ができてという時を経なければいけない部分があるんですね。警察の方に関しては、早期援助団体の制度があって、それに認められればできる可能性があるものですから、そういうものを目指されるのかどうか。私は、都民センターとか、そういう民間の団体との関係というのは、重複する部分のところがあってよい、地域でそれぞれ存分にできるところと、やはりできないところは民間が余分にやらなきゃいけないという、それであっても構わないと思うんですが、そういう区としての将来の方向性を、少し教えていただければと思います。

○説明者(杉並区区民生活部参事) まだ、早期援助団体になるかどうかというような方向性については、議論もしてございませんし、どういった形になるかわかりません。警察との連携につきましては、少なくともそういった制度になっていますから、1つは、私ども、この犯罪被害者支援をするためには、警察での犯罪の確認という問題がありますので、その辺については警視庁の手続を改正していただいて、比較的安易に証明書が出せるといいますか、そういった仕組みになってございます。
 それから、私ども、4月に赴きまして、それぞれ杉並区の場合は3つの警察署があるわけですが、その犯罪被害者支援担当のところに、区の制度をよく周知していただきたいということで制度の説明と、ポスター等を置いて、向こうの方から本人を通じて杉並区につながるようにということで、今、お願いしているところでございます。

○長井座長 どうもありがとうございました。
 ほかにはございませんでしょうか。
 では、どうもありがとうございました。
 それでは次に、いばらき被害者支援センターの照山美知子様より、連携を強化するための支援者の養成について、ご説明をお願いいたします。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) いばらき被害者支援センター事務局長の照山です。よろしくお願いいたします。
 私は、支援者の養成ということで、その中での連携ということなんですけれども、そこにうまく焦点が合うかどうかわからないんですが、私どもの支援員の養成についてご説明しながら、その中で関わりがあるところをちょっとお話ししたいと思います。
 まず、私ども、いばらき被害者支援センターは、当初から総合的な被害者支援ができる支援員を養成しようと、そういうことを目的にしてきました。ネットワークの多くの団体が、電話相談員、心のケアということが割と中心に来ておりましたけれども、私どもは、電話相談から始まりましたけれども、危機介入をにらんだ総合的な被害者支援に入るんだと、そういう目標は当初から持っておりました。
 したがって、1期生に関しては、養成講座をやっておりまして、今、8期生が学んでおるところでございますが、1期生は最初、電話相談ということでいきましたけれども、その後はすぐ、総合的な支援をする支援活動員の養成というような名前で養成講座をしてまいりました。
 当然、私どもは、犯罪被害者等早期援助団体として公安委員会から指定を受けておりますので、現在の支援員の養成というところは、そことの絡みも出てきております。
 支援員の要件なんですけれども、早期援助団体の中には、犯罪被害相談員と犯罪被害者直接支援員、それから申請補助とか、何種類かの支援員の位置づけがあるんですけれども、ほとんど支援に対応する者は、犯罪被害相談員と直接支援員ということになりますが、この者たちは申請補助もできるということになっております。どういう要件かというのは、これは国家公安委員会規則に書いてございます。25歳以上で、(1)、(2)、(3)、(4)と書いてあります。厳密に、「生活が安定している」かどうかなどというのは、一々所得を聞いたり、「大丈夫?日々の生活に困らない?」などと、そんなところまで聞きません。それから「健康」というのも、ある程度、「血圧は大丈夫か」とか「どこか病気していないか。糖尿を持っているんじゃないか」と、そんなことを言ったら、私は血圧が高いですからすぐにだめなんですけれども、そんな細かいところまでは聞きません。大体見て、普通に支援に入れるかなと思えるということであれば、大丈夫ということになります。
 それから、犯罪被害相談員は、今言った中でもこの4つの要件を満たしたほかに、さらにその下にあります(1)、(2)、(3)の要件を満たさなければなりません。したがって、支援員を養成していって、たくさん支援活動員がいましても、その中でさらに犯罪被害相談員という役割を持つ支援員がいなければなりません。それには、3年以上の経験とか、それも1日4時間、週3日以上、3年以上と、そういった厳しいものになります。専門家ですと、犯罪被害相談員にはなれるんですけれども、ただ専門家だということだけではなれません。かなり犯罪被害者支援にきちっとした識見を有している者ということで、例えば「私、被害者支援のことに関心を持っている臨床心理士ですけど」と言ってきても、「どうぞ、どうぞ」とお入りいただくことはできません。そういったような犯罪被害相談員の要件が厳しいので、養成講座をしていった中で、さらにその支援員を育て、そこまで持っていかなければならないということです。
 求められる資質なんですけれども、これはちょっと私の長年の経験から書かせていただきました。「温かい人間性」、とにかく温かい心だけれども、常に冷静で、臨機応変にきちっとした判断ができる者。それがないと、いつも支援をしていまして、突然、本当に予期せぬ出来事が起こることがしょっちゅうあります。そういったときに支援員が動揺していては困るので、やはりそのとき被害者の方にとってどうするのがいいのかということをきちっと考えられる、判断のできる人間でなければいけないということです。
 それから、案外といろいろな団体と関係していまして、守秘義務について割とアバウトだなと思っていることがたくさんあります。したがって、この辺についてもきちっと守れる者、そういうことをちゃんと理解して支援に当たれる者というのが、私は非常に大事だと思っております。
 「バランス感覚」のよさというのは、やはり被害者の方により近づき過ぎてしまう人もいたり、適当な関係を保てないということ、そういうことになってしまうとよい支援はできないので、通常の人間としてのコミュニケーションの取り方が非常にまともというか、バランス感覚がよい人が、やはりよいのではないかなと思っています。
 これから、次のページに行きまして、支援活動員養成講座というものをしております。あえて、「ボランティア」という言葉は、私ども、使っておりません。「支援活動員」という言葉を使っています。
 私どもの養成講座は、AコースとBコースに分かれておりまして、Aコースは本当に被害者支援に入っていく人、そういう人を養成するものです。したがって、受講の前に面接をさせていただきます。電話でいろいろ応募がありますけれども、その中で、電話の段階でもう既にお断りする方もいます。よく電話してきて、「私、すぐやってあげるよ」とか「電話相談ぐらいならやってあげられるよ」とか、一番ひどかったのは、「なんだったら理事長とか会長をやってあげるよ」と、いきなり言ってきた人がいます、男の方で。「とてもすばらしい方かもしれませんけれども、私どもの支援にはちょっと向いていらっしゃらないかもしれませんね」などと言うと怒って、「やってあげると言っているのに何で断るんだよ」と言うから、「そういうふうにおっしゃるご自身に問題がおありかと思います」というふうにお断りしてお引き取りいただきますけれども、そういった方もいます。したがって、電話で、選別させていただいてと言うと変ですけれども、さらにこの方は支援に本当に入りたいなと思っている、頑張ろうと思っている方かなという場合には、面接をさせていただきます。でも、面接したから、ではすべてオーケーかというと、面接させていただくと、またそこでいろいろありますので、かなりそんな細かく、随分厳しいんじゃないかと思われるかもしれませんが、それぐらい被害者支援というのは、そう簡単にできることではないと思っているからです。そういったことで、Aコースは初級編・中級編・上級編と、2年間で学んでいただきます。
 Bコースは、初級編・中級編までで、上級編には行きません。Aコース、Bコース、初級・中級は一緒に受講します。Bコースの方は、ご自分のためにということで学ばれる方もいますけれども、今までの経験の中で、例えば産婦人科医の方とか学校の先生とか、いろいろな職種の方がいらっしゃいますけれども、本当に中級編まで学んでも、自分が性被害に遭った患者に対する対応の仕方が全く変わった、これを受講したことで本当によかったとおっしゃってくださったりもしていますので、このBコースの意味も大きいと思っているんですね。中には、Bコースの中で、「Aコースに行ってもらった方がいいかな」などと思う人もいたりするんですね。そういうときには、「どうでしょうかね、Aコースにちょっと行っていただけませんかね」などということで、ちょっと誘ったりしますけれども、やはり受講の中で見せていただいて、本当にこの方はふさわしいかどうかということが見えてくるんですね。
 養成課程については、そこに書いてありますので省きます。
 上級編が終わりまして、最終的にすべての出席日数とか、途中途中で試験面接がございます。それは、細かいペーパーテストで法律的なことがどこまでわかっているかとか、そんなことよりは、どちらかというとポイントを押さえ、本当に被害者支援に対してどのような考えを持っているかということで選ばせていただきます。最終的に、すべての課程を終えてクリアした者が、支援活動員として認定されます。
 ただ、上級編に行く際には、センターでの実地訓練というものが入ってきます。センターに入って実地訓練しますけれども、実際の電話に出ることはありません。センターの様子を見ていただいて、実際の電話に出たり、いろいろな書類を直接、個人情報につながるものを見てもらうということは、一切いたしません。被害者支援の現場がどういうところなのかということを、ちゃんと身をもって体験していただき、その中でその方がどういう動きをするかというのをこちらも見るわけですけれども、そういった実地訓練をしますから、当然、上級編に行くときには、誓約書を書いていただき、正会員登録していただきます。すべて終わり、支援活動員として認定をされて、証票をもらうことになりますが、私どもの支援活動員が証票をもらうということは、国家公安委員会規則による犯罪被害者等早期援助団体における直接支援員の証票も持つことになります。そういうことですが、支援活動員の任期は1年です。再任は妨げないということでやっております。
 主に、継続研修のところで、当然カリキュラムの中で、他機関や団体との連携ということが出てきておりますけれども、どちらかというと支援活動員になってからの継続研修というのをしておりまして、その継続研修の中で、私どもは臨機応変に、原則的には月に1回程度にはなっているんですが、必要に応じて月2回になったり、緊急に研修会を開いたりということもあります。その継続研修というのは、私ども支援員が被害者支援という大きな流れの中で、自分たちがどういう役割を担って、どういう動きをしなければいけないのかということを常に話し合って、共通理解を持っていくということです。ですから、タイムリーな世の中のいろいろな情報をきちっと吸収しなければならないので、そういった研修も緊急にやったりすることがあります。例えば、基本法がこうだとか、パブリックコメントがあるからとかというときに、ではということで集まって話し合いをしたりとか、そういうこともあります。
 私どもは、本当に支援活動員になってから、いろいろなことを細かく、本当に支援員として学んでいくわけですけれども、まず私どもが最初にいたしましたのは、「法廷付き添いマニュアル」というのをつくりました。これも、直接支援でまず何ができるかな、裁判所の付き添いかなということから入りました。それも、自分たちで2年間かけて、冨田先生を中心に、本当に話し合ってQ&Aをつくり、全部自分たちが考えてつくり上げました。したがって、そういうものが頭に入っているので、実際の支援に行っても、すぐにそれがちゃんと有効に生きてくるんですけれども、そういうものをつくりました。
 それから資源台帳、これが連携と大きくかかわりがありますけれども、連携先についていかにきちっとした情報を持つか。支援員が本当に、電話の担当をしようが、実際の外に出る支援をしようが、自助グループを支援しようが、どんな支援においても、自分たちがどういうところと連携をして、きちっとそこの情報を持って、被害者の方にとって適切であろう情報を提供するということですから、そのためには支援員が知らなければならないということで、資源台帳は自分たちでグループ分けして、いろいろなところを自分たちが実際に訪問したり、電話したり、いろいろなことをしながら情報を集めてつくり上げました。その資源台帳も、常にリニューアルしなければなりませんから、常にアンテナを張って、「ここは今こうだよね」、「ではこういうふうに書きかえましょう」とかと言いながら、資源台帳もつくっております。これは、本当に電話相談の上でも、一番の要になっているものです。
 それから、当然、外部講師による研修、これがよそとの連携というところで、やはりよそのいろいろなところを、実際にそこの方に来ていただいてお話を伺うというのは、より理解を深めることになりますから、そういったそこに書いてあるようないろいろなところの方に来てお話をしていただいております。
 実際に、こう書いてありますけれども、今までの連携先としては、茨城県被害者支援連絡協議会というのがございます。これは、警察署ごとにも被害者支援連絡協議会というのはありますけれども、その一番上に県の被害者支援連絡協議会がありまして、最初、できたときは、「何か形だけこんなものできて」とかとちょっと思いましたけれども、でも、「せっかくできているから利用しちゃえ」と思いまして、そこに集まってくる人たちに、片っ端から連携をとらせていただきまして、本当に何かあると、センターの電話の設備のことで何かいろいろあると、そこのメンバーにすぐに連絡をとり、検察庁のことで何かあれば、そこに来ていた検察庁の支援員の人や三席検事かな、そういう方にすぐ連絡をとらせていただいたり、あらゆる連絡協議会のところの人には、いろいろな方法で連携をとらせていただいて、そこでどんどん仲よくなって、いろいろな連携がとりやすくなっているなとつくづく思っております。
 それから、センターにおける課題なんですけれども、ここは読んでいただければよろしいかと思います。さっき、無償ボランティアということがありましたけれども、私どもはこの被害者支援に関しては、時々入ってきて電話の前にただ座ってという、そういう方がたくさんいても、実際の被害者支援には―それが無駄だとは言いません。そういう方も必要です。しかし、本当に外に出向いて緊急に、「はい、外に出る支援が入ったよ。自宅に行きますよ」といったときに、ぱっぱっと動ける支援員が必要なわけです。最低、私どものセンターであれば10人ぐらいが、わりと数多く入れるスタッフがそろっていればやっていけるかなと思います。当然、私ども、全くの無償の者もおりますし、月に何回以上入ったら、何回目から時給幾らで出しますよというのもあるし、職員として位置づけというものもありますけれども、そういうふうに有償といっても、段階ごとに決めております。
 本当に、犯罪被害相談員が数多くいないと、実際の支援には犯罪被害相談員と直接支援員がセットで行くということになっていますから、直接支援員だけでは行けないんですね。そういうことで、どんどんどんどん経験を積んでもらって、そういう経験を積んだ犯罪被害相談員も増やし、そのための支援員というのは、さっき言ったように1日4時間、週3日、3年などということは、自分の生活があったらできるわけないんですね。それをやるには、やはりセンターに入り、ある程度、有償でやっていかなければ絶対にできないわけです。ですから、わずかのお金であっても、モチベーションも違ってきますし、そういった有給のスタッフをきちっと位置づけるべきだと思います。そうしなければ、支援センターは動かないと思います。
 それから、全体的な問題点ということなんですが、研修内容を統一してほしいということなんです。これは、ネットワークの方の問題にもなりますけれども、全国に今42の団体がありますが、その養成の状況、いろいろ交流した中でわかってくるのは、ばらつきが非常にあります。差が大きいです。支援員の養成をしているところは、大分多くなりましたけれども、年齢制限もしないから、私も結構あちこち講師として呼ばれますが、八十何歳とかという受講生もいたり、70代もいる。それがダメというわけではないですよ。80代でもおやりになれる支援はあるかもしれませんが、緊急の外に出る支援は無理かなと思います。ですから、やはりある程度、支援員はどういうふうにしていったらいいのか、そして最低これだけは研修内容に入れるべきだとか、そういったものを統一していくべきではないかなと思います。これはネットワークです。
 それから、支援団体や支援員に関しても、ある程度の認定基準が必要かなと思います。今のところは早期援助団体として、早期援助団体の認定基準に合わせて私どもはやっていますけれども、全国にたくさんの支援団体がありますから、そこでも最低、こういう団体は支援団体として認定してもいいかな、こういう段階の人はこういう支援員としての認定をしてもいいかなというような、そういった基準もだんだんに設けていった方が、この被害者支援について、いろいろなたくさんの団体が出てきても、場合によっては非常に難しいことにもなりかねないので、最低レベル、そうしないと全国どこにいても一定レベルの支援は受けられないわけですから、そういった基準も必要ではなかろうかと思っております。
 以上です。

○長井座長 照山様、ご説明、どうもありがとうございました。
 ただいまの照山様のご説明について、ご質問等がありましたらお願いいたします。
 どうぞ。

○奥村構成員 どうもありがとうございました。
 ちょっと簡単に、2点お伺いしたんいんです。ボランティアの件なんですけれども、レジュメには書かれていなかったと思うんですが、最初の方のお話の中で、ちょっと私の聞き間違いかもしれませんが、守秘義務に関してちょっとアバウトなところがあるような、何か問題点のように私は受け取ったんですが、私の聞き違えかもしれませんけれども、その「守秘義務」と「アバウト」という単語が出てきたので、それが1点です。
 もう1点、先ほどの杉並区さんの方でも出ましたけれども、私が質問したわけですが、有償ボランティアの関係で、ぜひ必要だというご認識でいらっしゃって、現実にそういう有償ボランティアのスタッフの方がいらっしゃるということで、その場合、そうでないと立ち行かないとおっしゃったわけですけれども、特にその対象者といいますか、その方は、例えば相談員で非常に能力を持っておられて、最初は研修から始めて相当なレベルまで達せられた方で、どうしてもこの方が必要だという方に対しては、そういう手当を出されているという趣旨なのか、それともどういう線引きをされているのか、ちょっとそのあたりをお伺いできればと思います。全く無償の方もいらっしゃるわけですよね。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 守秘義務のアバウトというのは、守秘義務の考え方がちょっとあいまいな方というか、そういうのはダメだなというところです。例えば、養成講座受講の注意でいろいろと、こういうふうに学んでロールプレーしても、そういったことをよそで茶飲み話に話さないでくれと、帰りに喫茶店などに行ってそういう会話をしてはいけないと、そういうことも言っております。いろいろな話し合いの中で、「私は実はこういう仕事をしているんですけど」と、そこでの仕事上知り得たいろいろなことを話すんですね。「ちょっと待ってください。あなたは今ここでそのお話をしても大丈夫なんですか」と言うと、「いや、個人的に知っている人なので」とか「名前は出しませんから」とかと言うんですけれども、名前を出さないからいいという問題ではなくて、そういうことをその場で話していいかどうかの判断というのはつけなきゃいけないわけで、そういうことに対する考え方がやはりあいまいなのはダメだということと、もう一つあるんですね。それは、各団体がいろいろな研修で事例などを出したりしていますけれども、その際にも、その出し方について、これはどこまでいいのだろうか、本人の了解を得ているんだろうかとか、非常に心配になる。研修会でどんどん出てくるものに関しても、ちょっと心配になることがあります。

○奥村構成員 それは、研修の方ではなくて、実際もう支援員として活動されている方ではなくて、ボランティアの方のことですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 今言ったのは、受講の途中で、そういうあいまいさが、ロールプレーとか会話の中でもわかるんですね。そういう方は、ちょっとご遠慮いただきたいなと思うのと、それから研修会等での情報のというのは、これは主にネットワーク側の研修会とか、各いろいろな団体がやっている、うちの研修会という意味じゃなくて、いろいろなところが集まってきていろいろな話をするときに、ちょっと感じるのです。

○奥村構成員 だから、それはまだ支援員になるまでの段階で、そういう方がいらっしゃるという意味ですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 全国の場合は、もう支援員になっている人だと思うんですけれどね、全国の研修会に集まってきている人は。だから余計に、それでいいのかなという不安を持ってしまいます。

○奥村構成員 いばらき被害者支援センターの支援員という意味じゃなくてということですね。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) いばらきではありません。私ども、非常に厳しくしておりますので。

○奥村構成員 全国的な問題として、そう感じておられるということですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 時々感じることがあります。

○奥村構成員 そういうご趣旨ですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) ええ。いろいろな話をしているときに、これはいいのかなというふうに思っちゃう。

○奥村構成員 それは問題でありますが、ご趣旨はわかりました。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 私どもは、非常にお金のない団体でして、この前そういう検討会でも、お金がないことをいっぱい話したんですけれども、日本財団と県の予算が3年間限定でつきまして、平成18年度で終了いたします。平成19年度に、うちが残っているかどうかは、今ちょっと危ういところなんですけれども、私どもは都民センターとかと違いまして、管理も支援も一緒くたにやっておりますから、経理から何から全部支援員がやります。
 したがって、職員らしき者が三人。常勤になれないんです。お金が出せないから。そのほかに、犯罪被害相談員を養成するために、長い時間張りついてもらうために、期限つき職員を3名入れております。これで6名です。この6名で、結構動けるなと思うんですが、やはりそこに、さらに今度は週に2回ぐらいで月に3回以上入った場合に、3回目から交通費なしの時給660円とか、そういう段階の人もいます。あと、大方は、ほとんど無償ですね。月に本当に2回ぐらいしか来ない人はですね。

○奥村構成員 事務スタッフの方に対する有償というのは、よく理解できるんですが。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 一緒くたなんです、うち。すべてやっている。それがちょっとつらいところでして。

○奥村構成員 そうなんですか。わかりました。

○長井座長 ほかには。
 どうぞ、お願いします。

○山上構成員 いばらき被害者支援センターは、財政的には非常に恵まれないんですけれども、ここまで教育に関して、スタッフの研修に関しても、本当にモデルとなるようなしっかりしたものにされていて、敬意を表したいと思います。先ほど有償でなければという問題が出たのですが、恐らくこれは被害者支援センターも、有給の職員が何人か中核にいれば、ボランティアは無償でもきちんと教育できる、あるいは活動できる、チーム構成ができるのだと思います。実際のところ、今、日本の民間援助団体というのは、有償の職員、有給できちんとした職員というのが余り置けない状況があるから、それでボランティアだけではとても無理だという、そういう意味合いを含んでいるのかなと思いますので、その辺を少し1つお聞きしたい。それからやはり、これだけ苦労して、これだけしっかりした体制をつくられてきたので、相当いろいろな苦労をされていると思うんですけれども、一番苦労される点と、こういう点が改善されればというところがあれば教えてほしいということ、2点です。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) まず、有償というのは、全く山上先生がおっしゃったとおりでして、ある程度、有給のきちっと位置づけられた職員がいれば、そのほかに、私どももボランティアができる者は70名おりますけれども、被害者支援に携われる者はというと、32名です。そのうちの犯罪被害相談員が8名で、これは専門家も入ります。そうすると、その中で本当に何もかも、管理部門も支援部門も一緒というと、本当に6人ではちょっと足りないなと思います。多い日は、外の支援に出ますと5人や8人体制でやることもありますから、センターを閉めなきゃならないんですね。そういうときに、やはり電話だけでも受けられるようなスタッフがいてほしいし、ということがありますので、ですから本当に核となる有給スタッフをきちっと位置づけてほしい。そのほかに、無償のボランティアの人が数多くいても構わないと思うんですが、そうでないと日常の支援は継続性がありますから、ぽっと来ただけで、「この人は何の被害の人?」みたいになっちゃうから、きちっとした連携のもとに、きちっとその人に対応できなければいけないので、そういう比較的常駐に近い職員を配置しなければならないし、それから財団のお金がつきまして平成16年度から3年間期限つき職員ということで採用しましたけれども、全くそれまで交通費も1円も出さなかったということから考えると、モチベーションが違うなと感じます。生活に困っているという人ではないんですけれども、自分が頑張ってしたことに対して、たとえ500円でも1,000円でも交通費でも、そういうものが対価として支払われるということは、その方が自分はこういうことで責任を持ってやらなくてはというモチベーションにもつながっていって、その後の採用した人たちの勉強ぶりといいますか、本当に時間があいているときには常に本を開いていろいろ調べて、そういう学ぶ姿勢が全く変わったなと思っていますので、私は変な意味でお金の力というのはすごいなと思います。
 もう1点が苦労ですが、苦労はここまでやってきまして、私の考えですけれども、被害者支援は絶対に必要だと、これは自分の実感として思っているわけで、だからそれが被害者の方にとっていい支援になるために、本当に私たちはどういうふうにこれから頑張って、どういう課題をこなしてちゃんとやっていかなきゃいけないか、こういうところに来させていただきまして、いろいろな方々の話を聞かせていただいて、私たちは路線としては間違っていなかったなと、これからもそれは頑張っていきたいんですが、苦労というのは事務局としてお金がないという苦労です。支援に駆けつけたり、朝早く行って夜遅く帰ったり、被害者の方に接した支援は一向に苦にならないんですけれども、その翌日会社訪問してお金下さいとか、賛助会員になってくださいとか、ぺこぺこしている自分を何か二重人格みたいなちょっと変だなと思う、そのジレンマに苦しんでいる、それが一番の苦労かもしれません。ただ、センターの目的を一つにする支援の仲間がいるということが励みで頑張っています。

○長井座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょう。
 どうぞ。

○本村構成員 今日は貴重なお話ありがとうございました。
 一つ一つ一問一答式で答えてもらいたいんですけれども、まず犯罪被害者直接支援員の証票を持つことになると書かれていますが、これは実際何か茨城の支援センターをつくっているカードか何か、あるいは国からのものですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) これは国家公安委員会規則がちゃんとそういうフォーマットがありまして、それに則ってきっちりつくっていまして、茨城県公安委員会にちゃんと申請をして名簿ができて、それでつくっているものです。

○本村構成員 その申請の基準というのは、各センターに任されているんですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) いいえ、違います。さっき言いましたように、生活が安定しているとか、この要件を満たしていることが求められます。

○本村構成員 研修制度の内容とか、そういったものの審査みたいなのはあるのでしょうか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) それは細かく書いてありません。だから、統一した方がいいのではないかと私は思っているんですけれども、だからその要件は書いてありますけれども、あとどういう人を認定するかというのは、各支援センターまちまちですから、私どもは支援活動員ということで最低2年の研修をし、認定されたものを直接支援にしていますけれども、よそのセンターは同じではないわけですから、そこも統一がとれてないわけですね。

○本村構成員 なるほど、各センター独自の研修制度なり、いろいろな人の見方があって、それで各センターが推薦した人をこういった証票をもらうようなことになっているということですね。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) そうですね。あと犯罪被害相談員ってハードルが高いんですが、例えば専門家で警察職員だった人である程度そういう担当していた人なんかは、すぐに犯罪被害相談員になれるんですね。あとは弁護士さんとか臨床心理士とか精神科医とかって、ただ最近は売り込みが多いです。私こういう専門家なんですが、使ってくださいといきなりホームページを見てメールで応募してきたりする人がいます。お断りしております。

○本村構成員 それと、あと研修内容の統一ということを今後の課題に書かれていますが、(1)の方は全国被害者支援ネットワークが主語になっていますが、本来であれば例えば(2)にあるように認定制度をきっちりすることは研修制度なり、研修にかかる費用等を含めて、国なり地方公共団体できちっとその費用を担って、人材育成した後に各センターにこういう人がいますとかというものがいいというお考えでしょうか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) (1)はネットワークにというのは、とりあえずネットワークに42ありまして、自分たちが加盟しているところですから、せめてそこだけでもまずは研修内容は統一したらいいのではないか、でも広くもっと広げていって、支援団体というところは最低こういう研修はしておくべきですよねというのは必要だと思うんです。

○本村構成員 課題の(2)というのは非常におもしろいと思いまして、犯罪被害者等給付金支給法に関する法律の第23条で制定されている早期援助団体は早期援助団体とあって、それとは別に支援できる人というのは、国で一定基準を設けて認定すべきじゃないかというふうに受け取ってもいいということですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 早期援助団体はできている制度ですから、私どももその指定を受けまして、警察提供情報を受けて支援に入っていて、この仕組みは非常に有効だと思っているんです。ですから、それをチャラにはできませんから、それはそれの早期援助団体としての資格認定があると思うんですね。だけれども、支援団体と幅広くもっと全体に見て、でもいろいろな団体の中に早期援助団体になっているところは、さらにまたその要件を要するということになるから、もっと全体を見通して、せめて最低の何か基準があるべきではないかなと思います。

○本村構成員 団体としての認定についてですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 団体としてもあるし、さらに今度は進めば人としてもですね。

○本村構成員 個人としての認定ということもあり得るということですか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) はい。

○本村構成員 わかりました。ありがとうございました。勉強になりました。

○長井座長 どうぞ。

○高井構成員 先ほど協議会がつくられて、形ばかりのものをつくってと思ったけれども。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 最初ね。

○高井構成員 それをうまく活用していると、多分それはご本人の人間的魅力で活用しておられるんだと思いますが。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 隣になった人は必ず仲良くすることにしてまして。

○高井構成員 それがそういうことができる人とできない人がいると思うんですね。ですから、そういう協議会のようなものをつくったときに、それは形ばかりのものにならないようにするためには、こういう工夫があった方がいいですよというようなご提案はないでしょうか。

○説明者(いばらき被害者支援センター事務局長) 県の連絡協議会は回数が少ないんですけれども、警察署ごとに連絡協議会がまたありまして、そこには本当にいろいろなそこの地域のいろいろな方たちが構成員として入っているわけですね。そういう警察署がわりと警察署ごとの連絡協議会を開くんです。そこに私は県警の方と一緒に行ってお話しさせていただいて、もちろん基本法絡みの話とか、いろいろな話もするけれども、実際には支援がこういうふうでとかという話で、そうすると大体首長さんが座長というか会長なんですね。そうすると、終わってから例えばある市長さんが「こういう話は初めてききました。照山さん、うちの市としてはまず何をしたらいいんでしょうね」と聞かれて、ここまで金と思ったんですけれども、あさましいから、「そうですね、いろいろな意味で各市町村に私どもをまず知っていただくということで、広報とか、そういったものもお願いしたいし、こんなことも」といって、お金はちょっと言わなかったんですけれども、そういうふうに向こうからいろいろ働きかけてくださるので、各地域、地域にこっちから出て行って話をする、協議会をそういう意味でも利用させていただいています。これは県警との連携なんですけれども。

○高井構成員 ありがとうございました。

○長井座長 どうもありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、照山様、どうもありがとうございました。
 では、続いてNPO法人おかやま犯罪被害者サポートファミリーズのかわさき政宏様より、コーディネーター・専門的チームについてご説明をお願い申し上げます。

○説明者(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長) NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長のかわさきです。
 私たちのNPO法人につきましては、お手元に白焼きのコピーとニューズレターがあろうかと思いますけれども、被害当事者の方と支援者が共同して長期的な支援を中心にやっていこうということで、自助グループ中心の支援組織であります。今日は専門家チーム、それからコーディネーターの方を中心にお話しをします。私が弁護士を今しているということ、それから弁護士の前に保護観察官をやっていました。それから、弁護士になってから県の女性センターのDV被害者の相談を長くやっておりまして、そういった関係で行政と相談窓口、あるいは民間のシェルター、そういったところの連携の仕方、そのあたりも含めて、専門家チーム、あるいはコーディネーターのお話ができればというふうに思っております。
 お手元のレジュメについては、かなり部数が多うございまして、1ページから6ページの半ばまでは現状分析ということで書かせていただいています。かいつまんで、そこのところは簡略に報告させていただき、後半の専門家チーム、コーディネーターの話を中心にさせていただこうと思います。
 現状につきましては、既に皆さん述べられているとおりで、当事者の方は地域社会の中で孤立しているというのが現状です。語る場所がないので、語らないというために忘れられてしまって、長い孤独、孤立の状態が続いているということが言えると思います。各関係機関についても、お互い顔が見えていないところで橋渡しをするということが非常に不安が大きく、またそれぞれの窓口で支援メニュー中心の支援のために、目の前におられる当事者の方を総合的に支援していくというのがなかなかしづらいということがあります。
 そういう状況で、一方の当事者の方はどういうふうにそれぞれつながっていかれているかというと、2ページに簡単にまとめておりますが、私たちの自助グループでも現在13名ぐらいの方で自助グループをやっていますが、半分以上の方は全国犯罪被害者の会、あるいは全国交通事故遺族の会、そういった東京とか大阪に出向いて、そこで情報を得て、それから仲間を探してつながっているという現状があります。地域の中でつながる場所というのは、なかなかこれは難しいという状況があります。1年経ち、3年経ち、あるいは15年経って、やっとみんなと同じ場に集まれたという方がおられます。したがって、後ほど述べますが、早い段階からいかにつながっていくかということと同時に、非常に地域の中で長く沈黙をされている方たちがどうつながっていけばいいのか、その2つが大きな課題かなというふうに思っています。
 関係機関同士の連携につきましても、どうつながるかということで、今までは当事者の方が相談に行って、相談先からまた専門家につながる間に2段階ありますので、なかなか専門家までの道が遠いということがあります。いかにしてつながりやすい場所をつくり、そこに専門家が集まって、そこで拠点ができていくかというのが大変な作業ではないかなと思っております。
 2ページ目の真ん中から下に、県の臨床心理士の方が県警と連携しながら行う、カウンセリングアドバイザー制度というのがありまして、これについては岡山でも非常に機能的に動いていまして、特に性被害の被害者の方たちが被害直後に警察の方で把握して臨床心理士の方に早く橋渡しをするということで、臨床心理士の方がカウンセリングを重ねる中で、法的な問題がどうしても出てきますので、そういったときに弁護士会の外郭団体であるリーガルエイド岡山の支援弁護士に応援を求めるという形で、共同支援をとっています。この共同支援のシステムは非常に有効に働いていまして、そこで一緒に共同作業をした臨床心理士、弁護士、こういうチームが一つできますと、次の共同支援が非常にしやすくなります。お互いにどういう人柄であるかとか、お互いどういうことができるかということが非常に見えてきますので、顔の見える連携が警察も交えてできます。これについては、非常に今うまく動いているなというふうに思っております。
 それから、3ページ、4ページ目のところはどういうふうにして支援のつながりをつくっていくかということで、まず3ページ目のところにありますように、被害当事者の方がいて初めて支援が動いていくということがあります。先ほどお話ししましたように、皆さん大阪とか東京に出向いていって、そこでつながりを仲間を見つけて情報を得るということで、なかなか地域の中でつながるということが非常に難しいです。民間支援センターの中でも、一部の非常に熱心に取り組みをされている支援センターのところには、当事者の方たちが集まって、自助グループなどもできていっているところがありますけれども、まだまだ相談から直接支援へつながっているケースは少ないのではないかというのが実情かと思います。そういった意味で、早い段階からつながるためには、早期援助指定団体の方向で警察からきちんと情報を得て、早く入っていく。先ほどのカウンセリングアドバイザー制度もそうですけれども、早い段階で警察からの情報を得て支援の体制を組んでいく。その支援の体制を組むところに専門家が結集していくということが一つのあり方ではないかなというふうに思っています。
 もう一方で、長年支援の場につながっていかない、あるいは警察の援助を求めることができない、そういった当事者の方たち、そういった方たちがどういう場に今度は集まればいいのか、それが非常に大変な問題かなというふうに思っています。現在、東京とか大阪に毎月一回被害者団体に集まって活動されている方は我々のグループにも複数おられます。そういった被害者団体は皆さんお互いの傍聴支援とか、そういったことを熱心にされながら、実際は権利確立のための活動中心で、相互支援のところは実際やっておられながら、目に見える形でまだ整理ができていないというふうに感じています。そこを今後どういうふうにやっていくのか、そこが課題かなと思っています。東京、大阪以外の地方で孤立している被害者の方の孤立化防止をどういうふうに図っていくか、そのあたりが大変かなというふうに思います。我々は岡山で当事者の方を支える支援者が集まって、当事者、支援者が共同でグループを立ち上げて、これから動いていくところです。自助グループ中心でやっていますので、そこが一つの拠点になっていきつつあります。そこに専門家、あるいは行政の方をどう巻き込んでいくか、それが今後の課題かなと思います。
 地域の中でいろいろなネットワークがたくさんあるんですが、まだまだ犯罪被害者支援が自分たちの役割なんだということを認識されているネットワークが非常にまだ少ないです。そうした中では、目の前を被害者の方が素通りしてしまいますので、先ほど連絡協議会の話が出ましたけれども、形だけの集まりであるとどうしても難しいなという思いがあります。
 それから、特に長期的な支援を考えていく上では、当事者の方たちが地域の中で生活をしていますので、時間軸を見据えた連携をしていくことが必要になっていきます。いわゆる支援のメニューが尽きた後も人として関わっていく、そういった共に生きていく仲間としてどういう支援ができるか、そのあたりを今後考えていかなくてはいけないなと思います。
 支援を専門家が結集するためには、地域の中に拠点をつくっていくことがとても大切だと思います。既に取り組み実績のあるDV被害者支援がここ数年どういうふうに拠点をつくり、そして支援実績を上げていったかということが5ページに書かせていただいています。
 女性センターが立ち上がってすぐに私も法律相談の担当の弁護士として関わりましたけれども、当初のころは相談を聞いて、課題ごとにどういうふうにするか、ということを相談に答えるだけの相談員の方が非常に多かったと思いますけれども、つないだ結果をフォローして、再度つながりを持つようになりますと、相談に来られた方が一回きりで終わるのではなくて、2回、3回、そこの相談センターを訪ねるようになります。そして、どういう支援を支援先で受けたかのフォローを相談センターがきちんとするようになります。そうすると、その人が例えば家庭裁判所の調停に行って二次被害を受けたとか、弁護士事務所に行って二次被害を受けた、そういうことの悩みについてもさらに相談を受けて、さらに次のフォローをしていくということで、そこが拠点になっていきます。その拠点の信頼感が高まっていくと、当事者の方がそこに集ってくるようになります。自助グループ的なものも発生していくようになりますし、また専門の弁護士がそこに協力弁護士的な形で関わっていくようになります。
 一番強力な拠点としては、DV被害者については民間のシェルターを拠点とした支援ということがあります。シェルターについては生活支援なんですけれども、目の前の被害者が生活をしていく上で何が困っているかということを目の当たりにして24時間一緒に動きますので、その中で一つ一つ次に何をしなくてはいけないか、どういう情報をどういうふうにつなぎ合わせていけばいいか、それをコーディネートしていくように自然となっていきます。目の前の当事者の方を支えていくためにどういうふうにすればいいかをコーディネートをするコーディネーターがいなくては、シェルターはとても運営していけません。
 岡山の場合、昨年の1月に民間のシェルターができましたけれども、そこに5ページの下に挙げていますように、1月から5月まではシェルター1室でほとんど活動ができませんでしたが、シェルター4室になった6月以降は利用者の数も大幅にふえ、そしていわゆる直接支援的な活動が非常に件数的にも上がってきています。民間の被害者支援の団体の直接支援の件数に比べると、シェルターでの直接支援の件数が桁違いになっています。特に自助グループも自然発生的にシェルター利用者が自助グループをつくっていくというふうになっております。そういった状況を前提にして、専門家チームの話を6ページ以降させていただこうと思います。
 専門家チームは目の前の当事者の方が解決すべき法律的な問題、心理面での問題、そして健康面、生活面、いろいろな課題を抱えておられます。それらを混乱期に一度に解決する、あるいは次々に直面していく問題に1人ではとても対応し切れないということで、どう専門家が一つ一つの問題を縦割りで解決するのではなくて、総合的に解決していく手助けをしていくか、支えていくか、そこだと思います。
 先ほどのカウンセリングアドバイザー制度の問題ではないですけれども、当事者の方に臨床心理士の方と弁護士とが合同で面接をして、その中で直面している心理的な問題と例えば次の裁判までにこういう課題にぶつかってしまっていて、その課題を弁護士としてどういうふうにアドバイスをしていくか、あるいは一緒に法廷傍聴に行くときに臨床心理士の方も一緒に行くと、そういったことで被害当事者の方ご本人が抱えている問題を専門家が当事者の方が来るのを待つのではなくて、出向いていって一緒に解決していくと、そういう共同支援の形が専門家チームとして大切なのではないかなと思います。当事者の方が来られるのを待っていたのでは、来るまでが大変ですし、来てもその場で単独の対応しかできないということになりますので、専門家が拠点に出向く、あるいは当事者の方たちが集う場所に出向いて相談をしていく、あるいは臨床心理士と弁護士が共同で面接した場面のように、当事者の方がいるところに一緒にそろって話を聞く、そういう形の支援が大事なのではないかなというふうに思っています。
 そして、実際そういう支援に当たれる専門家についても、臨床心理士であるから、あるいは精神科医であるから、また弁護士であるからといって、すぐに犯罪被害者支援について精通しているわけではないということが一つの問題だと思います。研修と経験と問題意識がないと、なかなか心ある支援につながっていかないということがあります。
 1つは弁護士会でこういう被害問題について対応しなくてはいけないということで、弁護士に公募をして名簿を登録してもらって、年に一回ぐらい当番が回ってくるというような名簿をつくって対応をした時期がありました。たちまち相談機関からの法律相談のつながりは数年で全くなくなってしまうような状況になりました。年に一回対応するだけで、中には十分な支援を必要としている方が目の前で、今これからどうしなくてはいけないか、例えば保護命令をすぐにでもとってもらいたいというときに、保護命令の申し立てがすぐに対応できないというようなことになると、窓口の信頼感がぐっと落ちてしまいますので、どうしても相談者の方が出向いてきて窓口で相談を受けるというところは少なくなってしまいます。そのあたりが非常に難しいところで、どういうふうに逆に拠点に専門家を結集していくか、そこらあたりが一番難しいところではないかなというふうに思います。何とか専門家同士が顔の見える連携の中で支援を重ねる中で、共同支援を重ねる中で築いていくものが大切なのかなと思います。
 拠点にその専門家が結集して、そこで共同支援ができ始めると、今度は地域の中でまだ声が上げられない方たちのもとに専門家が訪問していく、あるいは出向いていく、そういうつながりにくい状況の方につながりをつけていくということもできるようになってくるのではないかなというふうに思います。地域でのチーム支援ということで、訪問型の支援についても考えられるのではないかと思います。
 警察あるいは検察、それから医師、臨床心理士、弁護士それぞれが現状どうしても待っている支援になっていますので、出向いていく支援がなかなか難しいというところを現状の7ページのところでは少し書かせていただいています。例えば、検察庁の被害者支援員の方、捜査担当、公判担当の検事さんとなかなか連絡が十分ついていなかったりとか、民間の支援センター、それから弁護士会を紹介するのがなかなか躊躇されるような現状がまだまだ多いように思います。それから、それぞれ医師、臨床心理士の方についても、共同支援していかないとなかなか顔が見えていかない。その辺の問題点があろうかと思います。
 そういう中で、今後の可能性、8ページのところにありますように、拠点をつくって、そこからどう支援をつなぎ合わせていくか、拠点をつくるときに民間支援センターが当事者グループ、自助グループをきちんと連携していくというやり方が一つあろうかと思いますし、またもう一つは被害者当事者団体が今東京とか大阪に集中していますので、地方でどういうふうに支援を組み立てていくか、そのあたりも考えていく必要があろうかなと思います。どうしても専門家支援というふうになりますと、医師とか臨床心理士、弁護士が中心と考えがちなんですが、ある意味では被害当事者の方も被害に遭ったときの審理状況、それからその後どう支援をしていけばいいかということに関しては、体験という非常に大きな専門的な立場を持っておられます。ある意味では、被害当事者も専門家の一部に十分なり得るのではないかというふうに私は考えています。
 つい先日も自助グループにつながってこられた方なんですが、意見陳述をどうしていいかわからないという入ってこられた方に対して、グループの当事者メンバーが自分はこういう意見陳述書を書けた。あるいは検察庁にこういうふうに言っていけばうまく意見陳述ができますよということを相互サポート、仲間支援の形でそういう非常に心ある支援をされているのがこのところ重なっています。ある意味では、体験というのは非常に貴重な資源なのではないかなというふうに思っております。
 それから、コーディネーターにつきましては、拠点をつくって専門家が結集するのが一つの理想だと思いますけれども、そこの支援の拠点になる個人のような方だというふうにイメージしています。当事者の方に一緒に動きながら、必要な支援をコーディネートしていく。本来であれば行政窓口や裁判所、そういったところに出向けるはずなんですが、混乱期は何から手をつけていいかわからない状況、どういうふうに資源を組み合わせていけばいいのか、そのあたりが非常につかみにくいという状況に陥っています。そういったときに、その方を代弁し、それから有効な支援を組み立てていく、そういった意味ではコーディネーターの役割がとても大切かなと思います。
 このコーディネーターについては、当事者の視点で話をまずきちんと聞ける方がとても大切だと思います。一緒に考えて、必要なことを明確化していく、そして一緒に行動できる。そして、全体を見渡しながら不備な箇所をチェックしていく、そういうことができる方が必要だと思います。特に資質等につきましては、話をきちんとまず聞ける方、当事者がどういうニーズがあるのかということを明確化していく力を持っておられる方、そしてさらに的確な情報提供ができる方、当事者の方が行動をきちんと選択できるような情報を提供していく、そういうことの情報を持っている方が大事だと思います。
 そして、特に大事なのは一緒に行動をするということで、一緒に行動する中で例えば弁護士事務所に一緒に行く、そこでコーディネーター、あるいはサポーターの方が一緒に付き添って面接を受けるだけで二次被害の防止にはかなり役に立ちます。また、窓口の認識も変えていくような働きかけがとても大切かなというふうに思います。そして、どの段階、どの時点でも当事者からの相談をきちんと受けとめていく、そういう拠り所になるような人がコーディネーターではないかと思います。
 今、岡山ではコーディネーターと呼ぶにふさわしい方はまだいませんが、DV被害者の関係ではお一人コーディネーターとしての動きをされている方がいますので、9ページから10ページにかけてまとめています。弁護士として刑事裁判での意見陳述をどうしたらいいかということを支援をして、刑事裁判が終わり、支援メニュー、いわゆるメニューとしての支援は終わったのですが、執行猶予つきの判決で非常にショックを受けて、その後立ち上がれないような状況のところに何かできることはありませんかというところから話を丁寧に聞いていき、これまで受けてきた二次被害について県警や所轄署へ一緒に出向いて、窓口対応の改善を求めていくという、一緒に行動する中で信頼感を高めていった。そして、同じような被害に苦しむような人たちがなくなってほしいという当事者の方の声を受けとめて、社会的な活動を行っていったという、そういう方がおられます。
 コーディネーターを考えるときに、連絡調整のためのワンストップサービス、それだけをもってコーディネーターということであれば、ある意味では簡単かもしれないんですが、当事者の方たちのよりどころになるような拠点、拠点となる人、そういう意味でのコーディネーター、積み重ね、実績の中から当事者の方たちが選んでいくのかなというふうに思います。もちろん研修、それから情報は最低限これは知っておかなくては支援すらできませんし、行政と共同作業ができる方でないとこれもなかなか大変なのかなというふうに思います。先ほどの検査については、行政との条例策定の非常に長い間の顔の見える連携がありましたので、行政の窓口も非常に連携がしやすくなっているということがあります。
 私たちの新しい試みとして、地域の中から支援を組み立てていくということで、お手元に新聞記事がありますけれども、被害者支援具体化へワーキンググループ、特にこれは岡山県の中の県民局単位、3つの県民局があるんですが、その県民局単位でNPOと行政の共同事業という形で被害者支援について基本計画を具体化していくために、教育現場あるいは福祉の現場で専門の方たちと一緒に話をしていこうという取り組みを今やっています。この取り組みはプロセスを非常に大切にしながら、行政の担当者の方が被害者支援についての役割認識をきちんと持っていただくと、そういった意味でただ窓口ができましたというだけではなくて、その窓口ができていくまでのプロセスの中で、行政の担当者の方がきちんと役割を認識して、当事者の方たちの声をきちんと聞いていく、そういうプロセスを大切にした取り組みとして今後下半期頑張っていきたいなというふうに思っています。
 私からの報告は以上です。

○長井座長 かわさき様、ご説明どうもありがとうございました。
 ただいまのかわさき様のご説明についてご質問等があればお願いいたします。
 どうぞ。

○奥村構成員 詳細なご報告ありがとうございました。
 ちょっと2点ほどお伺いしたいんですけれども、まず1点目は専門家チームによる支援ということで非常に注目されるわけですけれども、このご趣旨、1つは先ほどのいばらき被害者支援センターのような形の早期援助団体という、いわゆるボランティアの方で研修をしっかり受けられて犯罪被害者相談員となったと、そういうある意味被害者支援の専門家であるという支援ではなくて、弁護士の資格を持っておられるとか、あるいは臨床心理士とか、そういった資格を持たれた方の専門家による支援と、あるいは被害者の方もその資格はおありになるとおっしゃっていましたけれども、そのご趣旨はいわゆる民間のほかの団体のようなボランティアによる支援では限界があるというふうに思っておられるのか、あるいはまたそれは棲み分けで別のさらなる上位の段階といいますか、特にボランティアの方は法律相談とかはできませんので、そういうところを一気に積極的に解決していける、そういう存在としての意味で棲み分けするんだと、そういうご趣旨なのか、それが1点目です。
 2点目は私は専門家による支援というのは非常に大事だと思っているんですが、問題は費用がかかるということでありまして、弁護士による支援の場合、法律扶助の問題もありますけれども、ある弁護士の先生から聞くと、何しろいろいろ問題があるというふうに伺っているんですが、その費用が発生する。それから、仮に弁護士による支援の場合は法律扶助の利用とかというのがあったとしても、臨床心理士の方によるこれは大変な問題が発生してきますね。これは別に有償サービスではないんだろうと思うんですが、その辺のことを費用についてどうされているのか、その2点をお伺いします。

○説明者(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長) まず、1点目の専門家支援について、民間のボランティア支援を限界があるという意味で私は考えておりませんで、むしろ民間のボランティアの方たちの支援の方がある意味では非常に身近な支援ということで、非常に温かい支援につながっていくという意味では、民間支援の限界があるから専門家という考え方は逆に私にとってちょっと違和感があります。ある意味では民間の支援者の方たちも支援の積み重ね、実績を非常に重ねていかれている方たちの中には、資格だけがある専門家の方よりも専門性という意味ではかなりより優れた方たちが大勢おられますので、それは資格だけで専門家であるかどうかということはまた違う問題かと思います。むしろ当事者の方も専門家たり得るというのと同時に、民間のボランティアの方も支援経験を積み重ねていく中で、専門家たり得ると私は思っています。ですから、棲み分けの問題というよりも、むしろ同じ同列な問題ではないかなと思います。
 それから、2点目の費用につきましては、例えば先ほどのカウンセリングアドバイザー制度、岡山の場合、その場合は臨床心理士の方3名がこれは警察の方に登録、県警の方が把握されていますので、県警の方からそれは費用は支弁されるという形になっています。また、弁護士会の外郭団体のリーガルエイド岡山の弁護士についても、リーガルエイド岡山が財団法人ですので、そこは支援弁護士制度、援助制度を持っていますので、そちらから援助金が出るというシステムで、確かに有償の支援ではありますけれども、岡山に関しては支援の費用の手当てはできているという状況です。

○奥村構成員 そういう援助制度があるからと、それを背景にして行えるということですか。

○説明者(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長) あとは、ただ岡山ではそうなんですが、今後の広がりを考える中で、費用の問題は非常に一つ難しいところだと思いますし、仮にカウンセリングにしても早期段階から入ってこられた方は県警の制度が使えますけれども、我々の例えば自助グループにつながってこられた方でも、非常に波があって、カウンセリング的な対応がどうしても必要な方について、実際臨床心理士の方からの援助を受けようと思うと有償になりますので、そのあたりのところをきちんと手当てしていく問題については、また別途これは考えなくてはいけない問題かなと思います。
 以上です。

○長井座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、かわさき様、どうもありがとうございました。
 最後になりますが、ウィメンズカウンセリング京都の井上摩耶子様より、アドヴォカシー制度についてご説明をお願いいたします。

○説明者(ウィメンズカウンセリング京都代表) こんにちは、ウィメンズカウンセリング京都の井上摩耶子と申します。
 私は今までの方たちとは違って、民間のカウンセリングルームで特に性暴力、強姦、セクハラ、ストーキング、児童への性的虐待、それとドメスティック・バイオレンス被害者の支援に当たってきました。11年目になるんですが、私たちのカウンセリングルームは、伝統的な臨床心理士の方とは違って、フェミニストカウンセラーと名乗り、ジェンダーの視点から、性暴力・ドメスティック・バイオレンス被害者の支援に当たっています。
 1995年に世界女性会議が北京で開かれまして、そこで女性の人権、女性への暴力の根絶などが重点課題になりました。その後、日本でも男女共同参画基本法、ストーカー規制法、その前に男女雇用均等法の改正がありまして、セクハラの管理者の配慮義務が規定されました。来年4月に均等法が改正になり、配慮義務が措置義務になると思うので、もう少し厳しく管理責任が問われることになります。それからドメスティック・バイオレンス防止法、改正のDV防止法、このような法律が次々に制定されたことが私たちのフェミニストカウンセリングの追い風にもなって、すごくたくさんの性暴力、ドメスティック・バイオレンス被害者のかたたちの支援をしてきました。
 ここでは、今までの皆さんのようなシステム的な視点はないかもしれませんが、私個人と民間フェミニストカウンセリング・ルームでの活動を報告したいと思います。フェミニストカウンセリングの第一義的な役割は個人カウンセリングですが、同時にアドヴォケイト活動をしています。フェミニストカウンセリングにおいても、問題や困難を抱えて困っている人の個人的な問題を解決するとことが第一義的な目的です。しかし、その人の問題の原因は社会的要因にあると考えています。例えば性暴力の根底には女性差別があると思っていますので、個人カウンセリングと同時に社会の側をも変えなければならないと思っています。そのための一つの方法がアドヴォケイトということです。
 今日は私のアドヴォケイトしてきた経験をお話ししたいんですけれども、まずアドヴォケイトとは何かについて説明したいと思います。アドヴォケイトとは被害当事者の代弁、擁護ということなんですけれども、このアドヴォケイトする、代弁、擁護するということの基盤になっている考え方は当事者主義、あるいは当事者主権です。当事者の権利擁護や当事者の尊重ということが、アドヴォケイトの基盤にあります。当事者に代わってアドヴォケイトするのですが、当事者尊重という原則があるので、さっきもちょっと出ていましたが、専門家としての守秘義務違反には注意しなければなりません。カウンセラーにも医者にも守秘義務がありますけれども、アドヴォケイトする中で、被害当事者のプライバシーをどう保護しながらアドヴォケイトするのかという倫理的な問題や、技法的な問題も出てくると思います。
 何のためにアドヴォケイトするのかといえば、今言いました被害者当事者の権利擁護です。当事者性を尊重するということです。何をアドヴォケイトするのかという点では、当事者本人の個人的な状態、被害を受けて心理的・身体的にどんな状態になっているのかということ、それから生活上の問題――仕事をすることができなくなった、家族関係が崩壊してしまったというふうな生活上の問題、それと当事者本人が置かれている社会的な現実――被害を受けることによって差別を受けている、あるいは二次的な加害を受けてさらに困難な状態になっている、そういうことを当事者に代わって代弁、擁護するのがアドヴォケイトだと思います。
 どういうふうにアドヴォケイトするのかということですが、ここが難点です。私のアドヴォケイトは、性暴力・DV裁判で意見書提出や専門家証言をして、裁判所に対して被害当事者に代わって今言ったようなことを代弁してきました。裁判では、客観中立的にアドヴォケイトすることが求められるのですが、そこに落とし穴があると言いたいのです。女性の性暴力被害者から見ると、法廷は客観中立的ではなく、ジェンダー・バイアスがかかっています。はっきり言うと、男性加害者に甘くて、性暴力被害者に非常に厳しいのです。後で言いますけれども、そういうふうな状態があるので、どのようなスタンスに立ってアドヴォケイトするかということが問われます。ジェンダー・バイアスのある状況のなかで、アドヴォケイターが中立的位置をとるということは、男性加害者よりになることであり、女性被害者を代弁擁護することにはならない。そういう意味で、客観中立と同時にジェンダー中立になるように配慮されなければならないと思います。
 アドヴォケイトにおいて考えなければならない2番目の観点は、被害は被害当事者の個人的問題ではないということをはっきりと頭に置いてアドヴォケイトすることだと思います。フェミニストカウンセリングの基本理念は「パーソナル・イズ・ポリティカル」(個人的な問題は政治的問題である)なのですが、被害当事者が被害を被ったということは、「個人が責任を負うべき個人的問題ではなく、社会が責任を負うべき社会的な問題だ」というところを外さないでアドヴォケイトする必要があります。
 ここからは、レジュメに沿ってお話しします。性暴力・DV被害者救済のためのアドヴォカシーの必要で、今ちょっと法廷が加害者寄りに曲がっているというか、ジェンダー・バイアスがあるということを言ったんですけれども、例えば例に書いていますように、被害者が「セクハラ、ストーキング、強姦を受けた」と訴えても、相手側は「それは不倫関係における合意の上でのセックスですよ」と必ず反論してきます。「ドメスティック・バイオレンスなんです」と訴えても、「それは単なる夫婦げんかだとか、ちょっと妻をしつけただけだ」と解釈される。児童虐待の場合も、多くの加害者が「しつけだ」と言っています。この左側に書いた物語が、まだ私たちの社会における「支配的な物語」(dominant story)だと思うんですね。それを覆して「女性や子供への人権侵害としての犯罪なんだ」という「もうひとつの物語」(alternative story)をつくることがアドヴォケイターの大きな役割だと思っています。
 そして、2番目に被害者に直接かかわる相談窓口などに臨床心理学や精神医学理論は大きな影響を与えていますけれども、今言ったようなジェンダー・バイアスが心理学、精神医学自体にあるので、ここら辺は余り詳しくは今言えませんけれども、実際にアドヴォケイトをしていて、被害者の人が二次受傷を受けるのはここに大きな原因があると思います。私が、刑事裁判では検察官に、民事裁判では相手側弁護士に反対尋問でたたかれるのも、彼らもまたジェンダー・バイアスのかかった解釈枠組を使っているせいです。被害者の人がジェンダー・バイアスによって二次加害を受け、わかってもらえないと嘆く事態が、アドヴォケイターの私の身にも起こります。法廷はまだまだジェンダー中立にはなっていないのです。
 なぜアドヴォカシーが必要なのかということですが、相談窓口の周知徹底など、社会的な啓発システムが本当に不備ですね。平成18年4月に内閣府の男女共同参画局が『男女間における暴力に関する調査報告書』を出しました。DVを専門機関に相談した人はまだ1~2%なんですね。警察、それから配偶者暴力相談支援センター、女性センターや男女共同参画センターにも相談窓口がありますけれども、そこに行った人はまだ1~2%という現状です。これは今までずっと話してこられた地域での支援システム、そういうことが絶対に要るということだと思います。大抵の人は友人、知人、家族、親戚に相談している。45.7%がそうです。どこにも相談しなかったという人が59.5%、約60%ですね。これが現状です。
 4番目に「別れたいと思ったが、別れなかった」、これは男女共同参画で男性被害者の被害もとっているんですが、女性の43.2%は別れたいと思ったけれども、別れられなかった。恐らく親戚とか友人に相談すると、「あなたにも悪いところがあるんじゃない、もう少し我慢したり努力したらどうなの」と言われて、「やっぱり別れないで頑張ろう」とそういうふうな頑張り方をしている人が多いと思うんですね。そういう意味では、「DV当事者にさえDVが夫から自分への犯罪だ」という認識を持つということは難しいことだということがわかると思います。
 次に、支援のためのネットワーキングのためのアドヴォカシーということで、アドヴォケイターの役割は何をアドヴォケイトするのかということで、まず、性暴力、DVとはどんな犯罪なのかということを代弁するのです。それは「強姦神話」とは違うものです。「強姦神話」とは、加害者に非常に都合のいい物語であり、「女のノーはイエスのサイン」「男の性欲はコントロールできないんだから、短いスカートをはいていた、朝まで男と一緒に酒を飲んだ、隙を見せた女が悪い」と女を責めるような物語です。「DV神話」とは「暴力は夫からのしつけ」「究極の愛情表現」といったものです。性暴力やDVの現実は、「強姦神話」「DV神話」とは全く異なるものであるとアドヴォケイトをする必要があります。
 性暴力・DV被害者の心理、感情、思考、それから行動とはどんなものなのかの説明。大抵の被害者がなかなかDV状況から逃げられないんですね。そうすると、「なぜもっと早く逃げなかったんですか。あなたも嫌じゃないから逃げなかったんでしょう」みたいな言われ方を裁判でも、心ない周りの人にもされて、二次受傷を受けるわけですね。被害者心理を知らないからです。
 あるいはトラウマの再演・再被害化ということが言われますけれども、小さいときに性的な虐待を受けた子供が、小学校5年生ぐらいにると自分のほうから援助交際をしたり、ややこしい危険な男性関係を自らつくる。これをトラウマの再演と言っていますけれども、小さいときにはお父さんに性的被害を受けて、そのときは無力でどう抵抗することもできなかった。大きくなったから、今度はおっさんを引っかけて復讐してやろう。あるいは逆にコントロールしてトラウマを克服しようとするんですけれども、またそこで再被害を受けるんですね。こういうことは本当に被害者から話を聞いて、そういうことなんだと心理学・精神医学的に了解しないとなかなかわからないことです。こういう点に関するアドヴォケイトが必要です。PTSDの説明もそうです。このようなアドヴォケイトを誰にするのかということですが、行政の相談窓口、ケースワーカー、精神科医、医師、警察、検察、司法関係、小・中学校の関係者、ボランティアの人に対してです。私は、こういう人にたちに性暴力被害当事者のアドヴォケイトをしてきました。
 さっきから皆さんのお話を聞いていて思ったのですが、専門家としてのカウンセラーもただ相談室の中だけでカウンセリングをするのではなく、面接室の外に出てアドヴォケイトをする。多分、弁護士も警察官も本来の自分の仕事から一歩外に出てアドヴォケイトをすることが必要なのだと思います。うちのカウンセリングは有料ですけれども、私はアドヴォケイト部分をNPO部門に位置づけて無料に近い形でやってきました。専門家がこの地域社会の中でどう貢献するのかという一つのやり方がアドヴォケイトなのかなと思います。
 アドヴォケイターは犯罪被害者支援ネットワーキングの多分コーディネーターになれる人だと思うんですね。逆に言えば、コーディネーターができる人とは犯罪被害当事者のアドヴォケイトができる人、そうでなければコーディネーターはできないんじゃないかなと思います。そこでのコーディネーターの役割は、ネットワーク会議の開催。その会議で被害者心理・行動、またどのような支援を望むかをアドヴォケイトする。そこで、被害者のアドヴォケイターとして会議においてスーパーヴァイザー的役割を担う。カウンセリングでは先輩のカウンセラーが新米のカウンセラーにスーパーヴィジョンをするのですが、監督的な役割ですね。それは二次加害のチェックであったり、有効なケース展開や支援体制が組めているのかどうかを見ることなどです。あるいはネットワーク・システム全体の不備に対しても、「ここがまずいんじゃないの」というアドヴォケイトをする。アドヴォケイターとコーディネーターの存在とがダブっていますけれども、このコーディネーターによるワン・ストップ相談支援システム構築の可能性はあると思います。
 私はずっと裁判のためのアドヴォカシーを、被害者と弁護士と法廷に対してしてきました。被害者に対しては、初めのIの1で述べたように、あなたはそういう「支配的な物語」に負けちゃだめ、「ドメスティック・バイオレンス被害者としての物語」をつくらなきゃと、支配的な物語からの書き換え作業を一緒にしていくわけです。性暴力・DVを得意としている弁護士さんの紹介。弁護団会議や打ち合わせに出席してアドヴォケイトをします。それと、傍聴支援ですね。
 代理人に対しては、DVとか性暴力に詳しい弁護士さんであっても、法的な専門家であって、心理の専門家ではないので、2番目の1の(1)で述べたようなどういう犯罪なのか、被害者の心理状態のアドヴォケイト。そして、「支配的物語」と「もうひとつの物語」としての戦いなんだ、争いなんですよという観点から、裁判の争点を把握して構成する必要をアドヴォケイトしています。弁護士には「法的に無理」と言われても、被害者物語はこうこう、こういうことなんだから、何か主張することができないかと新たな戦略を一緒に考えるということですね。ここで、ジェンダーの視点に立った分析が有効なのだと思います。
 法廷に対しては、被害者証言の安全性の確保ということで、遮へい措置を要請します。加害者と一緒の法廷で、顔を合わせるような状態ではとても証言ができないのです。これはPTSDの回避症状――被害を思い出すような人物と一緒になることによって、気分が悪くなってパニック発作を起こす――によって証言できなくなることを防止するための措置です。カウンセラーやサポーターが補佐人として横につくということも認められてきているので、そういうアドヴォケイトをしています。それと、意見書とか専門家証言によるアドヴォケイト。
 最後に、性暴力・DV被害者支援のためのアドヴォケイトシステムは、具体的には上記アドヴォケイトI~IIIの役割を満たす人的資源を確保することによって構築できるのではないかと思います。特に性暴力とDV被害者支援においては、今すぐに使える拠点として、ジェンダーの視点、あるいは男女共同参画の視点を持った女性センター、場所によっては男女共同参画センターと名称が変わっていますけれども、そういうところをきちんと組み込んでほしいと思っています。
 そこに民間のフェミニストカウンセリング・ルームをその協力機関として位置づけてほしい。他の犯罪被害者に対するのとは違う解釈枠組みの適用や具体的支援における配慮や工夫が必要とされ、恐らく支援コーディネーター育成についても独自な養成カリキュラムが必要とされると思われるからです。
 このようなアドヴォケイター、あるいはコーディネーターというのは、国選弁護人制度のようにすべての被害者がどこの地域でも公平に社会的資源として利用できるようになればいいと思います。私は性暴力被害者、DVの被害者の人のアドヴォケイトをしてきましたけれども、極々少数の人に対してしかできていないんですね。こういうアドボケイトがすべての都道府県において公平にできるようになればいいと思います。
 あとのことはちょっとつけ加えているようなことなのですが、(2)の「DV被害者としてのDV夫殺害の加害者」についてだけ話します。DVですごく殴られ、いろいろな暴力を受けて、ついに夫を殺してしまったという事件で、私は拘置所段階から面会をして意見書を書いて、専門家証言をして、刑務所にも行って、今はもう出所していますけれども、ずっと彼女に支援を続けています。彼女は殺人犯という扱いで、DVという犯罪被害者としての彼女を助けるシステムは一切なかったですね。この辺が忘れられていく部分だと思うので、何とかしたいと思うところです。
 私の話はこれぐらいです。

○長井座長 井上様、ご説明ありがとうございました。
 ただいまの井上様のご説明についてご質問等があればお願いいたします。
 どうぞ。

○本村構成員 構成員の本村です。よろしくお願いします。
 ちょっと二、三勉強させていただきたいんですが、今話の全般を聞いている範囲では女性の性被害に対する刑事裁判であったり、民事裁判というものを想定されて話されているように伺ったんですけれども、例えば民事、刑事を起こすという考えはなくて、ご主人のDVに遭ってその後別れられて、自立して生活をしていきたいという女性に対しては、自立支援とか就職のお世話とか、そういった生活支援ということもやられているのかという点と、最後の性犯罪に対するアドヴォケイトというものは、いわゆるコーディネーターのようなものであるということでございましたが、この性被害に対しては他の犯罪被害者に対するのとは違う解釈枠組みの適用とか、別の独自な養成が必要であるというふうに言われましたけれども、それはいわゆる通常の犯罪とどういうところが違うのかというところをもし端的に言えれば教えていただければなというふうに思います。

○説明者(ウィメンズカウンセリング京都代表) まず、第1番目のDV被害者の人に対する自立支援とか、あるいはトラウマへのケアというのは、うちの日常的な業務です。カウンセリングルームなので、まず心理的なケアと、それからもちろん私たちも京都府のDVサポート・ネットワーキングのメンバーですので、配偶者暴力相談支援センターとか、あるいはハローワークとかいろいろなところとのネットワークを使って、その人たちが早く新しい住居や仕事を得られるようにという生活上のサポートは日常的にしています。
 2番目の点が一番私の主張したいところなのですが、性暴力、DV被害者に対する視点の問題なんですね。例えば、京都では今、京大アメフト事件が注目されています。京大生が集団で準強姦ですけれども、お酒飲んで女性に強姦したということでひどい事件です。でも、いろんなところから聞こえてくるのは、「何で女性が男性の家で朝まで酒飲んでいたのか」とか、「男が悪いんじゃなくて酒が悪いんだ」といった声です。そういう視点や考え方が被害者を責め加害者の強姦を容認している。ほかの犯罪、例えば強盗は無条件に悪いとなるのです。多分京大生もどれほど酒を飲んでも女の子たちから強盗しようなんて思わないんですよ、それはいけないとわかっているから。だけど、強姦についてはまだ認識が甘いんですよね。その意識啓発もできていないので、ついやっちゃって、また友達たちもあんないいやつがどうしたんだろうと右往左往している。そして、なにか加害者じゃなくて被害者の方が「途中で帰ることもできただろうに」とたたかれる。この強姦被害者への視点は、ほかの強盗だとか、殺人とかの犯罪被害者への視点と一番違うところだと思っています。

○本村構成員 あとは、ジェンダー・バイアスというものについて社会的啓発とか啓蒙活動をしていくことも、性犯罪のいわゆるコーディネーターを担っているから、それについて新しい考え方をきちんと研修する場が必要だということでよろしいですか。

○説明者(ウィメンズカウンセリング京都代表) そうです。

○本村構成員 わかりました。ありがとうございます。

○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○奥村構成員 どうもありがとうございました。1点だけお伺いします。
 レジュメの中でもちょっとおっしゃったと思うんですが、コーディネートの問題、ワンストップサービスということですね。イギリスなどでも、今性被害については非常にワンストップサービスというのを充実させてきているように見ているんですけれども、ここの点についてちょっと何かもう少しご説明いただければと思います。必要性について。

○説明者(ウィメンズカウンセリング京都代表) 性暴力、DV被害は人災ですから、全部犯罪は人災というところもあるけれども、特に信じていた人から被害を受けるという問題があります。日本ではまだちゃんとした調査がないですけれども、セクハラ加害者も、強姦加害者もおそらく90%以上が顔見知りなんです。指導教授、上司、同僚、友だちなのです。だから被害者は信頼していた人に裏切られたということで、人がすごく怖いんですよね。相談のためであれ、いろいろな人のところに行くということがもう怖くてできないという状態なのです。ワンストップ・システムができれば、被害者の方たちの心理的回復も髄分早くなるだろうと思います。いろいろ工夫して、すでにやっているところもありますよね。被害者の心理的回復の段階にもよると思いますけれども、誰にとっても一つのところに支援者が集まっていて、そこに行ったら一度で済むという仕組みはいいと思います。

○長井座長 どうぞ。

○山上構成員 内閣府の報告のところだったかと思いますが、DV、あるいは性被害もそうかと思いますが、自ら専門機関のところで相談をされる方が少ないというのが、やはりそういう相談をしたときの有効な対応ができるかどうか、それに対する信頼とかがない、あるいは不安がある。あるいは相談したところでかえって二次被害を受けるとか、再被害を受けるとか、そういうような問題を意識される方が少なくないんじゃないかと思います。そうすると、有効なアドヴォカシーという場合には、その後それを乗り越えて再起するだけの方策を用意しなきゃいけないような感じがするんですが、その辺でどういうものを用意しているか、あるいは現時点で足りなかったとすれば、どういうものがさらに必要かと、その辺を教えていただければと思います。

○説明者(ウィメンズカウンセリング京都代表) そうですよね。なぜ相談に行かないのかというところは、確かに今おっしゃったように、行ってもしようがないと思っている部分も多いと思うんですけれども、その前に自分が被害者だということが認められないんですよ。自分の夫に殴られている。できたらなかったことにしたいです。否認なんですけれども。指導教授に抱きつかれて、その上セックスを強要されたみたいなことはできたらなかったことにしたい。そのことを認めると、例えば大学院で勉強していたというキャリアを捨てなきゃならなくなる。あるいはDV夫に殴られているとわかったら結婚を解消して、専業主婦だったらパートに出るなり、生活保護を受けるなり、何かそういう状態を想像すると、自分が被害者だと思いたくなくなるのです。自分を「被害者化」することが難しいのです。否認していると、「DVや性暴力は犯罪なんだ」ということが被害者にも曖昧になり、そして、もし被害者だと自認したら、人生はもう終わりなんじゃないかと思えてくる。「終わりなんかじゃないですよ」というためには、「支援システムはこんなにあるんですよ」と言えないといけないけれども、本当にないんです。不備なのです。今は、DVの被害者に対しても、あるところまではみんなが関わり支えています。でも、DV被害者は、後から後から救援を求めて来ますから、一応新しい住居に移り、仕事も得て、子どもたちも転校できてよかったねという段階になると、急に支援の手がなくなるんですよね。そうすると、子どもは「転校してしまって、お母さん寂しいよね」と言い、まわりの支援の手もなくなり母親も「そうだよね」って。「やっぱりお父さんのところに戻ろうか」とまたDV夫のところに戻ってしまうという嘘のような話も起こっています。そういう意味で、継続的な支援、有効な支援が見えないから、あらかじめ「それだったら今の現状で我慢しよう」ということになってしまっていると思うんですね。まだそれが現状だと思っています。

○長井座長 どうもありがとうございました。ほかにはございませんでしょうか。
 それでは、井上様どうもありがとうございました。
 以上のヒアリングを踏まえて支援者の育成やコーディネーターのあり方など、連携を強化するための仕組みについて自由討議を行いたいと思います。
 構成員の皆様の積極的なご議論をお願いいたします。ご意見のある方、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ。

○本村構成員 先ほどかわさき様のときに聞きそびれたことがあったので、ちょっとお聞きしたいんですけれども、専門家チームによる支援というものが必要である。専門家ですね、弁護士であり、臨床心理士、医者等の支援が必要であるという、しかもそれは介入的でやるべきであるというふうにお話があったんですが、私も自分が被害者として悩んでいるところがございまして、専門家、要はそれを一生懸命勉強されて、資格を取得されて、職業と、生業とされているご職業で支援をする場合に、介入的な支援と応答的な支援と2つの考え方があると思います。自分自身が例えば精神的にちょっと辛いなと思って病院に行くとか、カウンセリングを受けるというのは、自分が働いて得た給料で自分が生活をしていくために、収入を得ているわけだから、自分で費用を払うことが筋じゃないかと思う一方と、本当に仕事ができなくなったり、生きるすべもなくなって困っている方に、突然向こうから来て、ご支援をしてあげましょうという専門家等が来ていただければ本当にありがたいことだと思うんですよね。ただ、そのように介入してくださるんだけれども、実は、でも費用が要りますとなったときに、押し売りまでは言わないんですけれども、例えばあなたの家にシロアリいますね。駆逐しないと大変まずいですよ。その代わり、これだけの費用がかかりますということになると、なかなか僕自身もジレンマがあるんですけれども、こういった専門家、要は職業でなさっている方たちが介入的に支援する場合は、先ほど奥村構成員からあった費用の問題ですけれども、将来的にはどう考えればいいのかなというところが僕自身もわからないので、もし何かかわさき様の中でこうすべきだとかいうお考えがあれば、ちょっとお知恵を少しだけご拝見できればなと思っています。

○説明者(NPOおかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長) 費用の点はやはり一番難しい問題だと私も思っております。ある意味では先ほどお話あったように、押しかけ的な支援、押しつけ的な支援になりかねない部分もありますし、そこで現実に費用が発生してしまうということであれば、本来のところからずれてしまうんだと思いますので、本当はやはりきちんとした専門の人が動くわけですから、何らかの財政的な手当てはどこかできちんとされるべきだと思うんですが、利用する方が利用の負担を負うというのであれば、本来的な意味からはかなりずれてしまうんじゃないかと思います。ですから、もしそういう介入的な支援をするのであれば、そこの費用的な部分は何らかの手当てが別途されるべきではないかと私は個人的には思っています。
 一番難しいのは、押しつけ的な支援にならないためにどうすればいいかというところがやはり一番大事だと思うので、地域の中でやはりそれぞれ問題を抱えた方が暮らしていく中で、いろいろ地域の中のネットワークがありますので、いろいろなネットワークがありながらそれが相互にまだリンクできていない状況があるので、問題を抱えた精神的な、心理的な状況で支援を必要としながらまだ届いていない方にどう早くそれに気がついて接していくかというところで、先ほど将来的な訪問的な支援ができれば一番いいと思うんですけれども、そこにどう情報をキャッチしてそっと入っていくかという、そこらあたりのシステムづくりが今本当に地域の中で本当にこれから保健所の方とか、それから精神保健福祉士の方とか、社会福祉の方と一緒に考えていきたいというふうに思っているのは、そのあたりでやはり身近なところで日ごろ接していて、どう早く気がついて、どうつながりを持つかというそこらあたりをきちんとやっていきたいなというふうに個人的には思っています。

○本村構成員 わかりました。ありがとうございます。

○長井座長 後は自由にご発言をお願いいたします。よろしくお願いします。

○山上構成員 今日の意見を述べてくだった方の中でもネットワークの組織のレベルの違い、各県による違いとか、あるいは研修の指導の基準とかそういうことが幾つか出されていた。私は個人として参加していますが、全国被害者支援ネットワーク全体の責任者でもあるので、個人的に私が感じている部分、そこについてお話しいたします。
 全国被害者支援ネットワークは今40都道府県にそれぞれ地域の方々、あるいは警察の方々の協力を得て組織を立ち上げていますが、実際組織の構成、経験者の質、あるいは予算の規模とか全く大きく違っています。ただ、私たちがそれぞれの県にまず最初に、一緒に被害者支援に、総合的な支援に取り組もうとする意欲を持つ組織の基盤ができるということを尊重していますまず、すぐに一緒に加わって、一緒に勉強をしていただいて、研修も受けるということにしてきました。そういう形でネットワークを設立して10年近くなるわけですけれども、その中でようやく育ってきた人が次々と地域の事情で辞めてしまうとか、替わってしまうようなことがありまして、やはり一つの組織として一定の基準のとか質を高めていくようなことができるために、組織としての財政とかあるいは人事とかそういうものにある程度口を出せるだけの、財政的な裏付けがなければやはり難しいんだろうと思います。そういうことで、いろいろ組織上はまだ弱点もありますけれども、そこを国がきちんと財政的な援助をしてくださる形で、全国一律にどこでも同じ支援ができるというところまで目指したいと思っていますので、今は残念ながらできませんけれども、そういう姿勢であるということを理解していただきたいと思います。

○長井座長 ありがとうございます。ほかにはございませんでしょうか。どうぞ。

○奥村構成員 感想といいますか、今日お話を伺って、最初の杉並区による行政による地方自治体による被害者支援について、これは非常に注目されるわけで、今後他の自治体でもこういう動き、基本法できていますこともありますので、講じられていくんだろうと思うんですけれども、さっきの最後の方で、私もちょっとお話を伺ったところがありますけれども、支援員の役割というのは、今早期援助団体の場合は、これ犯救法で規定されているわけですよね。それの警察による情報を受けたり、そういう資格に伴う義務というものがあるわけですけれども、その辺の関係を先ほど山上構成員からもご質問ありましたけれども、行政による相談員がどういう資格で行うのか。もしなければ限界が出てくると思うんです。そういう民間団体との棲み分けの問題など、これで課題になってくるだろうなと思いますし、しかし一方で行政による相談員以外の分野については非常に積極的に講じられていくように思いますので、そこを他の自治体も杉並区から多くのことを学ぶ必要があるんだろうなと、こういうふうに思いました。ただ、課題は先ほどの、支援員についてはまだ問題があるだろうなと思いました。
 それから、民間団体のいばらき支援センターのお話を伺って、私も京都の方で関わりは持っておりますけれども、ボランティアの育成について、特にボランティアになられる方については2年間の研修という義務づけられているというようなことなんですね。研修制度、非常に充実されていることもありますけれども、これは今のお話もありましたように、全国理想とするところは等質の、どこにいても同じような支援が受けることができるようにしなきゃいけないわけですので、そのためにいばらきのセンターとか、ほかにも都民センターとか、幾つかのところはそういう早期援助団体としての資格を持っているわけですけれども、そうでないところもまだまだ多いわけでありますので、是非早期援助団体になれるようなというか、今やはり警察とうまく連携した、それからまだ他の行政と連携をとった支援システムというのは構築していかなきゃいけないわけで、そこでは早期援助団体でも財政的な問題を先ほどのお話にもありましたように非常に抱えているわけで、その辺を是非これは国ないし自治体両方の支援体制、財政的な補助金の支援体制、これは前々回の6月30日の報告でも出しましたように、イギリスなどはそれについて必要な予算を組んでいるわけですので、そういうものをぜひお願いしたいというふうに感じたということでありますし、それから専門家へも場合のように、専門家による私は支援というのは非常に重要だと思っていますけれども、さっきからのお話に出ていましたように、やはり費用の問題、これをぜひ、これも無償支援と、有償支援というのは、弁護士による支援で、支援といいますか、依頼人として法廷による支援と、これはもう話は別になってくると思うんですけれども、そうでない法律相談の範囲内でやると、これは無償支援でいくべきだろうと思います。そこに、ただ費用が発生してくるところが多々ありますので、その段階でも財政的な援助ができるような仕組みが講じられていく必要があるだろうと思います。
 最後のウィメンズカウンセリングのお話を伺っていて、私も質問させていただいたように、これは前々回の6月30日の報告でもちょっとご紹介しましたように、イギリスなどでも特に性犯罪被害者の方の事情聴取などについてはとか、あるいは事情聴取、それから検査といいますか、医学的な所見を出さなきゃいけないわけですが、そういったことについてはあちこち病院とか警察とかいうんじゃなくて、ある施設で、一定の施設で一つのところで検査もできるし、事情聴取も受けられるというようなワンストップサービスですね、これがかなり充実してきている、イギリスでは充実しているわけですけれども、それは特に性犯罪被害者についてはこういった対応が是非とも必要だろうと、日本でもこのワンストップサービスの確立というのは必要になってくるんだろうなと思います。そこに、民間団体のボランティアの人もかかわるとかいう形も含めて、このような点が課題であろうと、こういうふうに感じました。

○長井座長 ありがとうございます。
 本日ご出席の府省庁の関係者の方々、何かございますか。
 それでは、有意義なご意見、ご発言をいただき、まことにありがとうございました。
 本日、頂戴いたしましたご意見につきましては、第6回以降の具体的な検討に反映させたいと思います。
 ヒアリングにご参画くださいました和田様、藤本様、照山様、かわさき様、井上様、本日は貴重な知見を賜りまして誠にありがとうございました。
 それでは、次に議事次第3の連携調査の実施について事務局からご説明願います。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料の5をご覧いただきたいと存じます。8月から10月にかけまして、いわゆる連携調査を予定をいたしております。
 対象、それから項目等につきまして、既に事務局案をお示しいたしまして、皆さん方からいただきましたご意見を踏まえて改訂したものが資料5でございます。
 実は、次回のスケジュールとも関係しますが、10月には海外調査と連携調査の結果をご報告して、これまでのヒアリングの結果も踏まえて具体的なネットワークのあり方について議論をしていただければと考えております。調査対象項目等につきまして参事官より説明をさせます。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 お時間もございませんので、ポイントだけ説明をさせていただきます。
 まず、調査対象機関及び団体についてですけれども、名称に関するご意見いろいろと寄せられました。これについては正しい名称に変えさせていただいております。
 それから、医師会等を削るべきではないかというご意見もありましたけれども、既にネットワークがあるようなもの、もしくは多数の犯罪被害者等が実際に訪れて何らかのサービスを提供する可能性があるところは広く調査対象としたいと考えております。
 逆に被害者を加えるべき等の意見につきましては、内閣府意見にありますとおりでございまして、有効性、必要性に疑問があります上、実際上、別個の調査になるような、大規模なものになってしまいますので、予算等の制約からもこれは難しいということであります。さらに、BRO/BRCにつきましては、新たな連携を考慮するような段階があれば別論ですが、現状の段階で実態把握という調査目的からすると、あえて加える必要はないのではないかと考えているところであります。
 次に調査項目ですけれども、この点についても回答様式や調査方法について、これは調査会社の方と協議の上決めたいと考えておりますが、調査項目案についてのご意見に対する対応についてのポイントをご説明させていただきます。
 本調査は多数の民間の機関・団体を含めまして任意のご協力をお願いして実施する調査ですので、回収率の確保と正確性の担保はまず図られなければならない重要な課題と考えております。回収率を上げるためには、調査に協力する側の負担を極力減らすことでありまして、調査を受ける側の身になって考える必要があると考えるものであります。そうしますと、分類をし、さらに数値の回答を求めるという案があり、これが可能であれば有益であろうと思われるのですけれども、こういう統計を既に作成していたり、可能となるような分類が既になされていない場合、こういうことを調査されようとしますと、すべての記録に目を通し、被害者との記載があるようなものを抜き出して精査し、それからさらに集計するという極めて膨大な作業を必要とするのであります。こういう作業を課しますと、回収率が非常に下がるというようなことが予想されますので、基本的な事務局の考え方としましては、本調査の調査項目は原則として〇×で回答可能で、特段大きな内部調査は要さず、かつ連携の実態調査という本来の趣旨を満たすために必要十分な項目に厳選して作成し、それでもなお必要ということであれば、自由記述の回答欄を設けることで対応すべきではないかと考えた次第であります。
 そういうことで出されたご意見に対しましては、今の趣旨で入れられなかったものもありますが、それに反さない限りでは可能な限りご意見を踏まえさせていただいたつもりでございます。
 個々の説明については省略させていただきます。

○長井座長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局案についてご意見等がありましたらお願いいたします。
 なお、スケジュールの関係上、本日の議論で対象項目等を確定したいと思いますので、具体的なご意見を頂戴できれば幸いに存じます。
 それでは、ご意見のある方よろしくお願いいたします。どうぞ。

○本村構成員 今、ご丁寧なご説明ありがとうございました。
 私が提出させてもらった資料が後ろにつけていただいております。それで、今参事官からご説明あった点でほぼ理解いたしました。
 それで、件数についてなんですが、もともと統計をとっているところからは、例えば平成18年度には何件あったというものはいただくと、統計をとっていないところについては、〇×で連携したか、しないかということだけの確認であるということでよろしいですか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 私の方からお答えさせていただきます。
 これは一律の調査票をまいて行う調査ですので、基本的には調査項目を設けないのが最も好ましいと考えておりまして、そういう対応をさせていただきたいと思います。
 統計があるようなものといったら基本的には省庁以外に多分ないと思いますので、そういうのがどうしても知りたいということであれば各省庁あてに検討会の場でこういう資料がほしいというような形でご要望を出されるのが好ましいのではないかと思います。この調査に関しましては、項目を設けるのは控えさせていただきたいというのが事務局の考え方です。

○本村構成員 1点恐れているものがございまして、例えば1回しか連携をとっていないところも〇、1,000回やっているところも〇となったときに連携の強度ですよね、それを指し示す指標というものをどうするか。例えば恒常的にあるんだったら◎とか、年に何回かあるところは〇とか、何か連携の強度というかパイプの太さというものを何かとらえるようにしないと、間違った連携の絵を描いてしまうのではないかなと危惧して、もしわかれば件数がわかればいいのかなというふうに思った次第でございます。ただ、それで回収率が低くなったりすれば、本来の趣旨は果たせませんので、これ以上は、統計調査のプロではありませんので言えませんが。ただ統計管理の勉強はしたことあるので、件数が1も1,000も一緒となってしまうとまずいかなと思ったのが1点です。
 それと、いただいた事務局案には、犯罪被害者全般というふうにしか区分がなかったんですけれども、ここはやはり例えばの話、犯罪被害者当事者なのか、それともご家族なのか、もしくは殺人事件であればご遺族であるのかとか、そういったもう少しもう二、三個ぐらい区切った方が、例えばお子さまの犯罪なのかとか、自分の、親の犯罪なのか、いろいろあると思うんですけれども、何か被害者全般というのは広過ぎるのかなというふうに思いましたので、そこは回収率等を専門家の方と議論していただいて、もし更に区切った方がいいというふうにご判断になれば、検討をいただければなと思います。私自身は、とにかく殺人の遺族であるのか、それとも被害者の当事者であるのかというところは知るべきだということと、あとご自宅自体が放火などで住めなくなったのか、ご自宅での殺人だったのかというところは、やはり生活に資する大事なところでありますので、そういったところがわかればいいんではないかなというふうに思いました。
 それと、あと調査対象とすべき関係機関として、私は「放送と人権等権利に関する委員会機構」に入れさせてもらったんですが、実は結構報道されたことで困っている方とかやめてもらいたいという被害者遺族の方が訴える先がなかなかない。せっかく今回BROとかBRCができましたので、そこに実際どのぐらい連携があるのか。今回は別でもいいと思うんですけれども、今後新たな連携という意味では是非とも入れていただいて、例えば使ってもらいたくない写真とか映像がすぐさま使われているとか、事実と明らかに違うことが言われている場合にすぐに何らかの形でメディア規制までできませんけれども、意見できる手段として新たな連携として入れれば、これほど被害者にとって有効なものはないし、報道被害というものを最小限に抑えるという点では有効ではないかなと思いますので、どこかのこの2年間の、まだまだ日数あります、どこかで入れていただければなというふうに思っております。
 以上です。

○長井座長 これにつきましては、事務局の方で何かございますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 ご趣旨は更に深くよくわかりまして、質問票の立て方によってはある程度対応が可能ではないかとも思いますので、調査会社とその辺は鋭意検討する中で検討したいと思います。ただし、必ず入るかどうかまでは保証はできませんが、特に1件か1,000件かとかそういうレベルのは質問項目の立て方で大分解決は可能だと思います。
 それから、BRO/BRCに関しましては、先ほど私からも申し上げたとおり、新たな連携を模索する中では入っている。ただ、現状把握という点では特に現時点では必要ないのではないかなと考えた次第です。

○本村構成員 わかりました。

○長井座長 ありがとうございます。ほかに、どうぞ。

○山上構成員 対象団体のところで、医師の件なのですが、精神医学に関連するところ、関わり得るところですと、医師会と精神保健福祉センター、それから医療機関(病院・診療所)ってあります。実は精神科医はいろいろなところで接していると思うんですが、産婦人科医師会みたいに精神科医師会というのはない、現場では日本精神科病院協会とか日本精神科診療所医師会とかいろいろな形で入っているものですから、そこに届くだろうかなという感じがちょっとするんです。このままだと、精神科医のところには余り届かないかもしれないと印象を持ちましたので、参考意見です。

○長井座長 事務局の方で何かございましたら。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 病院・診療所とか膨大な数のものすべて調査するわけではもちろんございませんで、選抜する中で今のご意見は鋭意適切に踏まえていきたいと考えております。

○長井座長 どうぞ。

○文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 同様の質問なんですけれども、前回には回答様式の様式のみに載っているというような対象があったと思うんですけれども、今回は何かそれがもう対象になったような書き方をされておるんです、病院もそうなんですけれども。それはどんなふうに変化された、どのように扱われるんでしょうか。

○長井座長 事務局お願いします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 従前の案は、数が膨大になりますので不可能であろうという前提で行っておりましたが、調査会社を選定する際に、すべてはもちろん無理なんですけれども、ある程度有意性を保てるような数の調査が行えるのではないかという段階に来ているので、現時点では様式というのは外して実際の調査対象になるかもしれないということで記載しているものです。そのあたりは調査会社との調整が済んでみないと実際に調査対象になるかどうかは確定的なことは言えないということでありまして、従いまして、直接の郵送調査等の調査対象にはなり得るとご理解ください。

○長井座長 それでよろしゅうございますか。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○警察庁犯罪被害者対策室長 警察庁でございます。
 私どもの方から被害者の方の調査も行ってはいかがかということにつきまして消極のご回答をいただいておるんですけれども、こういうご意見を申し上げた一つの趣旨は内閣府の調査の案は一応現状把握ということでございますが、それで本当に問題点が明らかになるのかなという懸念がございまして、結局調査対象がまさに連携の当事者である関係機関や団体でございますので、その関係機関や団体に連携の不十分な点というのを質問をして、適切な答えが、あるいは現状を聞いてそれで問題点を浮き彫りにできるのか、あるいは不十分な点についての適切な答えが返ってくるのかという疑問があったわけであります。
 それで、具体的にどういう場面でどういう支障、あるいは不都合、負担があったのかということを調査されてはどうか。例えば、この検討会の第1回か2回か忘れましたが、本村構成員の方からご自身が犯罪被害に遭われたケースをご経験から、こういう実は連携上の問題があったんだというようなお話がありましたけれども、ああいう話をもう少し具体的に幾つか事例をピックアップできれば、あるべき姿といいますか、どういう点で不十分ではないかということを前提に具体的な議論が、より皆さんの中にイメージを持ってできるのかなと、そういうふうに思ったわけであります。
 ただ、恐らく先ほど参事官のご説明があったように、費用や期間という点から制約があるというお話でしょうから、これは一つの提案でございますけれども、これも設問の仕方、あるいは設問を設けるかどうかということで、ある程度対応可能なのかなと、これらの関係機関・団体に対する質問の中に対応した事案の中で具体的に問題があった、あるいは被害者の方がご不満を持ったといったような、そういったケースを自由記述でもいいと思うのですけれども、あれば記述してもらうとか、できるだけ被害者の生の声も上がってくるようにご工夫をいただいた方がいいのかなというちょっと感想を持っております。

○長井座長 ありがとうございました。事務局から、何かございますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 今の点は十分踏まえるべく質問項目の中にもそういう趣旨のことが入っております。さらに、自助グループ、支援団体の方も調査対象になっておりますので、そこからもかなり被害者の方々のご意見は吸い上げられると考えているところです。

○長井座長 ありがとうございました。ほかにはございますか。どうぞ。

○山上構成員 自助グループと書いていますけれども、被害者団体によっては自助グループではなくて被害者団体という名前で言われる方たちもいますが、それは同じ同列ということでしょうか。

○長井座長 どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 限定している趣旨ではございません。

○山上構成員 そうですか、わかりました。

○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、皆様のご意見を踏まえ、慎重かつ実行可能な線で実施したいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、議事次第の4、今後の検討の進め方について事務局からご説明いただきます。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料の6をご覧いただきたいと存じます。
 第6回検討会以降の進め方につきまして、既にメールにて配付させていただいておりますけれども、ご説明申し上げたいと思います。
 第6回は、10月の下旬ごろに、実は民間団体への援助に関する検討会と合同でやってはいかがかと考えておりまして、ここにおきまして9月に行います海外調査と今ご議論をいただきました連携調査の結果等についてご報告を申し上げます。その際に、民間団体の財政援助の現状と問題点、あるいは連携の現状と問題点、これまでのヒアリング、その調査等を踏まえて、ある程度のものをお示しして、討議を行っていただくということを考えております。
 それから、まず支援・連携の被害者の方が本当に困っておられる連携をいかに途切れのない、個々の事情に応じた連携ができるかということで、その在り方を第7回等で議論をいただきまして、さらに連携の実効性を高める方策、あるいはコーディネーター等々、研修等々につきまして7回、8回、9回とこの辺でご検討をいただきまして、5月ごろには中間報告をまとめていただいてパブコメをかけて最終報告と、こういうふうに持っていきたいと考えております。検討会の日時につきましては、とりあえずの案でありまして、検討状況によってはもっと回数を増やすこともあろうかと思いますけれども、その辺は柔軟に対応をしたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○長井座長 ただいまの今後の検討の進め方に関する事務局案についてご意見等がありましたらよろしくお願いいたします。

○本村構成員 第6回に民間団体への援助に関する検討会と合同の会議って大変すばらしいご提案だと思います。これは1回しかやらないという今前提でございますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 いや、もう全然そういうことはございませんで、また必要に応じて合同検討会も必要になってくるかと思いますので、よろしくお願いします。

○本村構成員 わかりました。ありがとうございます。

○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、特にご意見がないようですので、先ほどの付加した点も含めまして事務局案に沿って進めることといたします。
 本日の議題は以上でございます。
 最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 次回は、今ありましたように合同会議で行いたいと考えておりまして、日程調整等につきまして、またご連絡をさせていただきます。
 ありがとうございました。

○長井座長 これをもちまして、第5回支援のための連携に関する検討会を終了いたします。
 本日は長時間にわたり非常に活発なご議論をいただき、まことにありがとうございました。

午後3時44分 閉会


▲ このページの上へ

-

警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 各検討会の開催状況 > 支援のための連携に関する検討会の開催状況 > 第5回議事録