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犯罪被害者等施策
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経済的支援に関する検討会(第3回)議事要旨


(開催要領)
日時: 平成18年6月21日(水) 15時~17時02分
場所:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金理事長代行・常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授
構成員岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
中江 公人金融庁総務企画局総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席廣田 耕一警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者対策室長
村木 厚子厚生労働省政策評価審議官
谷 みどり経済産業省商務情報政策局消費経済部長



説明者池上 直樹厚生労働省保健局保険課課長補佐
橋本 泰宏厚生労働省年金局企画官
巽 慎一厚生労働省老健局保険課課長補佐
松嶋 賢厚生労働省障害保健福祉部企画課長

※ 各構成員のいずれの発言についても、便宜上、「構成員」と表記した。


(議事次第)

1.開会

2.関連する我が国の社会保障・福祉制度

  • 医療保険制度
  • 公的年金制度
  • 介護・障害者福祉

3.自由討議

4.その他

  • 海外調査

5.閉会


(配布資料)

  資料1  警察庁資料 [PDF形式:22KB]
  資料2  国土交通省資料 [PDF形式:19KB]
  資料3  厚生労働省資料
 ・医療保険制度   [1] [PDF形式:454KB]   [2] [PDF形式:395KB]   [3] [PDF形式:476KB]   [4] [PDF形式:240KB]
 ・公的年金制度   [1] [PDF形式:125KB]
 ・介護保険制度   [1] [PDF形式:184KB]
 ・障害者福祉制度 [1] [PDF形式:459KB]   [2] [PDF形式:484KB]   [3] [PDF形式:190KB]
  資料4  構成員資料 [PDF形式:13KB]



(議事内容)

○ 検討の進め方について

 議事に先立ち、検討の進め方に関して寄せられた4構成員連名の意見書に対して、概略以下のとおり事務局より提案がなされ、構成員による議論の後、構成員への資料送付は検討会の約1週間前とすること、制度の説明は20~30分間で的確になされるようにすること、検討会の時間はテーマに応じて予め適切に設定することを原則とし、議論の推移によっては臨機応変に対応することとされた。

(事務局)いただいた要望事項について、事務局として考えを申し上げてご議論を賜りたいと考えている。
 まず、資料送付の時期であるが、これまでも構成員が検討会に先立って資料に目を通すことができるように、説明をしていただく省庁に対して1週間前に資料の提出を求め、資料が揃い次第、送付をさせていただいたところである。今回はこの意見書が来る前に、関係省庁に対して6月15日までに資料提出を依頼していた。今後は1月前というのは、少し早過ぎるという感もあるので、約1週間前ということで依頼をして、その代わり今回もそうであったのだが、どうしても遅れがちになるので、そういうことがないように、期間厳守を求め、その前に届いた資料については、届いた順番で構成員に配付するということでいかがかと考えている。
 また、2回目、3回目、今日もであるが、次の会、あるいはその次の会ぐらいまで、そういう関係の制度等のヒアリングのようなセッションが続くわけであるけれども、この制度説明の時間については、基本計画において社会保障・福祉制度全体の中での犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿、財源を検討するとされていて、既存の経済的支援、あるいは社会保障・福祉制度全体に対する十分な理解が必要であると考えており、10分ではやや短いのかなと。20分から30分の間で、できるだけこの検討会の趣旨、目的は既に周知のとおりであるので、それに沿った的確な説明が行われるように、依頼をしてまいりたいと考えている。
 それから、最後に検討会の時間であるが、一応2時間と設定をさせていただいているけれども、無制限というわけにはいかないが、別に2時間で終わりということでもないので、こういった制度の説明に続いて、いろいろなご質問なり、問題点等についてのご議論を自由にやっていただいて、ご発言をいただければ時間が延びるということもあり得べしと考えている。事務局としては、一応ご意見を伺って、そうした対応をしていきたいと考えているが、これは検討会で検討いただくべきことであると考えるので、ご意見があればお願いしたいと思う。

(構成員)今の事務局案について、お四方を含めご意見のある方はご発言をお願いする。

(構成員)詳しくご説明いただくことは、大変にありがたいことであるので、私どもも全面的にいろいろな制度について詳しくわかっているわけではないのだけれども、それだけに時間を費やしてしまうと、肝心の論点整理というところに至らないうちに時間が経ってしまう。一番重要な新しい制度をどのように作ったらよいのかを検討する時間がそれだけ圧迫されてしまうと、何もならないのではないかと考えて、実はここでいただいた資料、あるいは説明していただいた資料を基にして、被害者の方々ともいろいろ打ち合わせをしたり、現実にその点についてどのようにするのが一番よいのかということを持ち帰っては検討し、ということをやっているわけなので。その上でできれば次の会までに皆様にもご参考になるような意見のようなものを出させていただいて、そしてまたそれについていろいろ深めていただく方がよいのではないかと思っているわけである。
 既に昨年1年間やった検討会の中で、いろいろな被害者の方の要望の中、あるいはヒアリングの中で、どのように経済的に困っているのかという実態もかなり出ているし、またそれについてのご要望もいろいろ出ているので、各省庁の方々はお忙しいところ大変申しわけないが、全体的な制度というと、犯罪被害者とは関係のない部分のところも大分たくさんあるので、できればそうした被害者の方の実態に合わせた、焦点を合わせたところを中心にご説明いただいて、できれば私どもの議論のしやすいような形にしていただきたいと、そういうことが要望として、1週間前というと、実のところ、それをみんなで検討するということがなかなか難しいことから、実はこの意見書で7月26日までには大分間があるので、ご用意いただく場合にも少し間をあけて資料をご用意いただけたらと思ったわけである。
 6月21日に対して6月14日というのは、これは仕方がないことだったと思うが、今後そういうことで、もし我々の方のそういう意見の文書などについても、事前に提出させていただいて、検討していただけるようにということになると、1週間だときついかなと思っているのだけれども。

(構成員)実は制度の理解というのは非常に難しいもので、今日出ている例えば医療保険、公的年金、それから介護・障害者福祉というのも、制度自体としては非常に大きな制度であり、かつ、また確かに今、構成員が言ったことも理解できるのだが、他方でどうしてもある程度の全体的なイメージを持った上で議論をしないと、制度のある局面だけをとらえた形での議論ということになって、必ずしも適切な形に議論が進行しないという懸念というのを、どうしてもそういう観点から考えてしまう。そういう意味で、一制度1時間とか、そういうのは言外としても、20分程度のご説明をいただくというのは、ある程度私としてはやむを得ないと思っている。あらかじめそういう準備の時間をお持ちになりたいというのも、これもある程度それはそのとおりだと思うが、正直申しあげて、1カ月前にもらっても困るかなという部分も私的にはある。1週間というのは確かに厳しいとは思うが、どこかその辺の妥当なところで、ある程度、もちろん準備をする側の都合もあるので、妥当なところで提出期限というものを事務局サイドでお考えいただければよろしいのではないかと思う。
 それから、時間であるが、申しわけないが、後ろの時間はせめて決めておいていただかないと、スケジュールを立てようがないということになってしまうので、延びる部分ということであれば、あらかじめ時間を多目に予定しておいていただくというような形にしていただかないと、その後どのくらい延びるかわからないということでは、申しわけないが、私としては非常に困るということがあるので、ご検討いただければと思う。

(構成員)一応、前回の内閣府からの資料で、今後のスケジュールについてというところで、2回目、3回目に論点整理等と書いてあった。前回のお話を伺った後に、論点整理がなされたのかというと、なされなかったと私は思った。これがその後のヒアリングまで、こういうペースでいくと論点はどこで出てくるのかと思った。できれば資料を提供していただいたところで、犯罪被害者がここにどのように入り込めるのかという、あるいはどういうところが問題で入り込めないのかとか、要するに利用できるのか、できないのか、そこまでもし資料で出していただけるとしたら、それが論点整理の部分に入るのではないかと思っているのだが、そこら辺がヒアリングだけで終わってしまっているので、かなりこのスケジュールだとずれ込んでいってしまっているのではないかと感じている。

(構成員)私も意見を述べさせていただいた1人であるが、前回の討議、そして今回の資料を拝見して、限られた時間で有効に討議をしていくという観点からすると、犯罪被害者の関係とそれぞれの制度との関係というか、特に関係が深いところはどういう点なのか、犯罪被害者の経済的支援を検討するときにどういう点を留意するべきなのかといったような観点で、それぞれの制度について、それぞれのご専門の立場から特にお話しいただければ、より理解がしやすいのではないかというように思います。もう一つは論点整理ということであるが、少し調べてみると、1994年に21世紀の福祉ビジョンが出されているし、1995年に社会福祉の基礎構造改革が出され、そういう意味では現時点の福祉制度の全体的な改革の進め方というものが、基本的に出されているのだと理解している。また、2000年に社会福祉法という法の改正で、より具体的に、特に社会福祉サービスの基本的なあり方というものが出されている中でのそれぞれの制度の改定ということになるかと思う。そういう観点から考えると、先ず社会福祉制度の全体の状況を御説明いただいて、その趣旨からこういう制度があって、それがこの犯罪被害者の経済的支援と関係するのだという理解が私は一番望ましいのではないかと考えます。こうした理解の上に立って、それでは犯罪被害者の経済的支援の方向はどうなのか、全体的な日本の福祉の進め方の中で検討していくことが必要だと思うので、そういった点が私としてはご説明いただきたいという思いで、実は意見書の前段のところに私の意見を入れさせていただいた。
 なお、時間の点については、いろいろな現実を考えると、この討議の時間、あるいは資料をいただく時間については、事務局からお話しいただいた内容で私としては十分理解できる範囲と考えている。

(構成員)前回もお話しさせていただいたが、各省庁からのヒアリングの中では現状報告だけではなくて、犯罪被害者等基本法を踏まえて、あるいはその基本計画に沿って考えた場合、被害者の要望に沿うような形での制度はどういうことが最大限考えられ得るのかというあたりもあわせてご説明をお願いしたいということも前回も申し上げたし、また今もそのように思っている。時間については、それぞれ決められた時間の中でこの時間をつくっているかと思うので、かと言っても、前回の基本計画のときも、場合によっては時間が長引くということもあったので、適宜適切な形での時間をとっていただければと思っている。

(構成員)今、4人の構成員の方々が言われたことというのはもっともだと思っている。ただ、一つだけご留意をいただきたいのは、前の検討会(基本計画検討会)ですでに議論された方と今回から入った方との間に理解に差があることだ。いろいろなこと、一般的なことを含めて知らないので、あまり性急に進められても非常に私自身はついていけないところがある。先ほどの議論であまりお互いにあまり対立はないように思うし、事務局の説明のとおりで私はいいのではないかと思う。先ほど構成員がおっしゃったように、ジェネラルな部分も大事だし、また被害者にフォーカスした部分も重要というご意見なので、それを10分でというのは恐らく無理ではないかと思うので、20分程度というのが妥当な範囲ではないかというふうに思われる。
 もう1点、構成員が言われた1カ月前というのは、省庁としてはすごくしんどいということなので、この点はもう少し事務局と構成員、あるいは4人の方々で決められて、どの程度まで可能なのかということを常識の範囲でされたらいいのではないかという気がする。
 あまりこの点について対立していても意味がないように思うので、先ほどの事務局の説明は一応穏当な点は出しているように思うので、この辺で次の議論に移ったらどうかと思う。
 それから、もう1点、先ほど構成員から言われた論点が残ってしまって、あやふやになってしまっているのはよくないと思うので、その点は文書なり、口頭なりで事務局を通して、各省庁に質問を出すとか、何か意見を表明するという形でされて、その後また次の会議のときに、少し冒頭議論するとかという形で進められたらいいのではないか。つまりやりっぱなしというのはよくないと思うので、その点で詰めるところは詰めて次の段階に入ると一応共通の認識にしたらどうかと思う。

(構成員)今後の審議の在り方に関することであるので、私からも意見を申し述べさせていただくけれども、1つは論点整理ということがあった。一つ一つ論点を整理しながら議論しなければいけないというのは当然のことであろうと思う。ただ、これは関係省庁に論点を整理してくれというのはおかしな話であって、論点整理というのは我々がしなければならないことであるから、その都度、その都度、我々が論点を詰めていくということであって、関係省庁にお願いするのは、それぞれの制度説明をしていただくにしても、一般的な説明だけに終始するのでなくて、被害者との関連づけというか、被害者対策、被害者支援との関連づけをつけながら、ご説明いただければ論点がおのずから明確になってくると、こういうことであろうと思う。関係省庁には事務局を通じて、そのような配慮を持って、今までもそうやってしていただいておると思うが、もっと明確にそういう意識づけをもってご説明をいただくという形にしていっていただいて、論点整理については、あいまいなまま時間が徒過するということは、これは全くないように心得てまいりたいと思うが、先ほど構成員からも話があったけれども、私も今回から入ったばかりであるので、一回一回議論を詰めようとすると、全体としてよくわからないということにもなりかねないので、とにかく7月あたりまでヒアリングが入っているので、いろいろな話は一応聞きながら、ただ聞きっぱなしでなくて一つずつ論点を整理するというか、各人がそれぞれ論点を整理していくべきだと思う。
 被害者関係の団体の方はそれぞれお持ち帰りになって、ご討議をなさるというのは大いに結構なことであるので、その討議を通じて論点整理をして、次回までにまた皆さんに出していただくということでやっていけば、論点の詰まらないまま時間が徒過するということはないと思う。そういうことのないように、心がけていきたいと思う。とにかく一応全体のヒアリングまでは話をまず聞いてみたい。ただ、漫然とした説明は困るし、漫然と聞いているのもよくないということであろうと思う。先ほど構成員からもお話が出たけれども、この問題はお互いにあまり対立点があるような、そういう問題ではないと思う。一応の話を聞いた段階で、8月ぐらいからは本格的な議論を始めないといけない。そのころまでには全体像は大体わかるので、私の方で大体全体をひと当たりお伺いしたところ、こういう点が論点になるのではないかということは、その前に構成員とか、そういう方からいろいろなご意見も承るであろうから、それらを踏まえて、こちらから一つの進め方として論点を整理をして、そこから精力的に議論をしていくということでやっていきたいと思う。何せ時間は限られているので、漫然と説明を聞く、漫然と説明をしていただくというのではだめだということはわかるが、そこはそういう配慮の問題であろうと思う。
 それから、資料提出期限の問題で1カ月というお話があったけれども、構成員はあまりお役人をおやりになったことがないので、そういう話が出るのかもしれないが、1カ月前に資料を整理するというのはなかなか大変で、その後の変化というものもあると思う。特に医療とか介護とかという問題は、今、制度がガラガラ変わっているときであるので、いろいろと話をお伺いしながら、なるべく早く、1週間といって1週間まで出さないというのでなくて、できているものはもっと前に出していただくということはお願いするにしても、遅くとも1週間前には全部そろえてもらうということを事務局として合意を得ながらやっていっていただければいいのではないかと思う。
 それから、終了時間は確かにお困りになる方もおられると思うので、これは事務局の方でもその時々のテーマによっては、延びそうか、延びそうでないかというのはある程度わかると思うので、時間の設定は確かに早目にやって、終わりの時間があまり大幅に崩れるようなことがないように、いつも2時間というのでなくて、場合により3時間を予定しておくとかというような形でやりながら、少し含みを持たせながらやっていくということにした方がよいのではないかと思う。ただ、あまり議論がある程度白熱した場合には若干遅れることだけは、これは仕方がないのではないかと思うので、そこは臨機応変やっていくべきではないかと思う。
 基本的には、さまざまなご意見があったが、おおむね事務局意見に沿った形にはなるかもしれないが、漫然とした議論をしないというか、説明を聞かないということにお互い留意しながら議事を進めていけば、それでよろしいのではないかと思うが、いかがだろうか。

(構成員)よろしいだろうか、大体そういうことで今後やっていきたいと思う。


○ 関連する我が国の社会保障・福祉制度について

 医療保険制度については、厚生労働省資料(資料3)「医療保険制度について」に基づき、厚生労働省から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答が行われた。

(厚生労働省)ただいまお話があったように、社会保障制度、医療保険制度もそうであるが、全体について触れざるを得ないと思う。どういった思想で成り立っているのか、費用はどのように賄われているのか、そういったことも触れながら、ただ漫然と説明するということではなく、なるべく犯罪被害者の方に関係の深い給付の内容がどうなっているかとか、そういったことに重点を置いてご説明をしたいと思う。
 それから、最後の方で資料をつけているが、幾つか具体的に論点をお出しいただいている点があろうかと思う。それについての私どもの考え方を最後の方でご説明させていただければと思う。
 資料をごらんいただくと、まず1ページのところで医療保険制度の沿革ということでご紹介してある。大きく健康保険制度、それから国民健康保険制度、老人保健制度と3つに分かれているわけだが、それぞれ例えば健康保険制度であると、昭和2年から実施されているというものである。一部負担金について、中心に経緯を説明してあるけれども、被用者保険については順次医療費の増大に伴って、また患者のコスト意識を喚起するという観点から、一定のご負担をいただくように制度を見直してきているところである。
 続いて、2ページ目をごらんいただきたい。こちらはそれぞれ国民の皆様がどういった制度に加入しているかということを説明する資料であるが、ご承知のように我が国は皆保険制度をとっている。一部の例外、生活保護を受けているような方を除いて、基本的にはすべての方がどこかの医療保険に属して、いつでも必要な医療を受けることができる制度となっているところである。制度として大きく2つに分かるが、お勤めの方とそれの被扶養者の方が加入する被用者保険の仕組み、それからそれ以外の方々が加入する地域保険である国民健康保険という二本立ての仕組みである。加入の割合をごらんいただくと、政府が管掌している健康保険、これが約4分の1、それから健保組合と呼んでいるけれども、組合管掌の健康保険が同じく4分の1くらい、そのほか公務員の加入する制度等もあるが、あと多いのは、その市町村が運営する国民健康保険で、これが約40%というふうになっている。
 3ページ目に医療保険制度がどういう仕組みで成り立っているのかというのが図示してある。ご承知の部分もあるかと思うが、簡単にご説明させていただく。左上の方に患者の絵がかいてあるけれども、こちらの方は定期的に保険料を保険者の方にお納めいただくと。社会保険制度は保険料で支えられている仕組みであるので、保険料を支払うということが給付を受ける条件になっている。そういった方が傷病で医療を受ける必要が生じた場合に、これは医療機関の方に行って医療を受けるわけだけれども、その際自己負担は現役世代だと原則3割、それから高齢者の方だと現在原則1割というふうになっている。残りの費用の負担はどうなるかということだが、病院の側から保険者の側に残りの費用の請求を行うということになっている。費用の請求はあらかじめ定められた価格表みたいなものに基づいて請求を行って、保険者はその内容が適正なものであるか、審査をした上で支払うということになっている。この制度であるが、疾病とかけがを負った場合、そういった場合のリスクを国民全体で広く分散するために、あらかじめ保険料を納めて、必要なときに給付を受けるという仕組みで成り立っている。この場合の疾病だとか、あるいはけがを負った理由については、制度としては特段区別を設けていない。病気になった、あるいはけがを負ったという事実のみに着目して、そこのリスクを国民全体で分散していくという仕組みになっているところである。
 次のページをごらんいただくと、どういった給付があるかということが書いてあるが、一番大きいのは、一番上に書いてある療養の給付、医療サービスの給付ということである。これは以前は被用者保険である健康保険とそれ以外の国民健康保険で給付率がバラけていたりということもあったのだが、平成14年以降、7割給付ということでまとまっている。ただ、3歳未満についてはそれが8割給付、70歳以上については9割給付という若干の例外の取り扱いがある。
 それから、一つ飛ばして「高額療養費」と書いてある欄があるが、これは基本的には3割なり1割の定率負担をお願いしているわけであるけれども、そういった負担では非常に医療費が高額になってしまうというような場合については、保険制度の方から一定の金額以上については、高額療養費という形でさらに給付を行うということになっていて、医療にかかる費用が家計に過重な負担とならないような配慮を設けているところである。ちょっと具体的には細かくなるので、省略するけれども、例えば長期に入院して4カ月以上入っているような場合については、4カ月目以降はさらに低い限度額を設ける等の配慮をしているところである。
 それから、下半分が現金給付ということでいろいろ書いてあるけれども、これは医療サービスの提供以外の部分について、必要な給付を行っているところである。下から2つ目のところに傷病手当金ということで書いてあるが、これは例えば犯罪被害による場合も当然含むけれども、傷病によって働くことができなくなったような場合には、医療保険の方から今だと平均賃金の6割相当、これは19年4月から3分の2相当に引き上げられるが、最長で1年6カ月、医療保険制度の方から補てんを行う仕組みとなっている。
 こういった給付を行う財源がどうなっているかということであるが、次のページをごらんいただきたい。医療費の動向ということで書いてある。ご承知のように、我が国は高齢化が進んでおり、それに従い国民医療費の伸びというのも改革努力を行わないと、どんどん、どんどん伸びていってしまうという状況にある。近年、いろいろな改革を続けていて、国民医療費の伸びは比較的穏やかになっているところではあるけれども、それでもやはり国民所得に占める医療費の割合というのは、安定的にふえているという状況である。これらの費用はどのように賄われているかというと、基本的には先ほど来申し上げているように、保険制度に加入する加入者の縦枠の保険料、それと財政力の弱い保険者については国費であるとか、あるいは市町村から公費で補てんを行うということをしているところである。
 それから、最近の動きのご紹介をさせていただくと、6ページのところをごらんいただきたい。先週の水曜日に、おかげさまで改正法案が国会で成立したけれども、長期的に持続可能な仕組みとしていくために、医療保険制度の改革を今国会において議論していただいたところである。柱としては、3つほど左側に太字で書いてあるけれども、安心・信頼の医療の確保と予防の重視、これは患者に必要な情報をなるべく医療機関側が提供していくようにしよう、あるいは在宅医療を充実していく、地域における医師の偏在をどのように対応していくかといった話、それから生活習慣病対策をしっかり進めていこうということに取り組んでいるところである。
 それから、2番目の柱としては、医療費適正化の総合的な推進ということで書いてあるが、これは2つあるけれども、中長期的には国民の健康づくりをサポートする、それから、過剰と思われるような病院のベッド数の削減を進めていくといった取り組みを進めて、中長期的に医療費を適正化していくということを考えている。それから、なかなか厳しい財政状況であるので、給付の重点化を図るという観点から、公的保険給付の内容であるとか範囲の見直し、これは短期的な対策ということだと思うけれども、そういったことに取り組んでいるところである。3つ目としては、直接国民の皆様とのかかわりは若干薄くなるけれども、保険者について安定的な運営を行えるよう、さまざまな見直しを行っているところである。対応する法律改正については、右側の方で書いてあるので、ごらんいただければと思う。
 7ページの方は、先ほどご紹介した医療費適正化にどのように取り組んでいくかということが書いてある。これまで国が中心となって、医療費適正化ということに取り組んでいたが、今回は都道府県にも参画していただいて、それぞれができる役割を果たしていこうと考えているところである。
 8ページをごらんいただくと、先ほど短期的対策ということでご紹介申し上げたけれども、それの具体的なメニューについて書いてあるところである。
 9ページ以降は、犯罪被害に遭われた方々について、どういったことが考えられるかということで考え方の整理をしている。まず、患者の一部負担金についてであるが、医療保険制度、これは国民全体で病気とか障害に対するリスクの分散を図っていくという仕組みになっている。そういう制度の成り立ちを考えた上で、病気をして医療を受けた場合には、医療を受けた方とそうでない方との負担のバランスを図る。それから、患者のコスト意識を喚起するという観点から、一部負担金の支払いを求めているところである。一方、特別な事情があって病気になったり、あるいはけがを負ったりというケースも多々あるわけだけれども、犯罪被害者に対する場合については、現在その法律に基づいて、一部負担金相当額が支給されているものと承知している。参考で書いているが、結核とか感染症とか、特別な公衆衛生的な立場から治療を行う必要のある疾病、あるいは原爆の被爆者の方だとか障害者とか、国として特に保護を要する方々に対しては、特別な法律を立法して、これは保険料ということではなくて、公費負担によって患者の一部負担金の減免が図られているところである。
 ご紹介すると、10ページをごらんいただくと、これも今年新たに立法措置されたアスベストによる健康被害、これが救済制度の仕組みであるけれども、仕組みとしては、まず医療保険の方で必要な給付を行った上で、なお残る一部負担金の負担をこういった特別の制度で穴埋めするという措置を講じている。ちなみに、この必要な費用は絵のすぐ上の2行のところに書いてあるが、国からの交付金、地方自治体からの拠出金、あるいは事業者からの拠出金という形で賄われているところである。
 次をおめくりいただくと、これは一般的に難病と言われるような原因が不明であって、治療の仕方も確立していないというものであるけれども、これについても同じく補助金という形で一部負担金の負担を減免する措置が講じられているところである。くどいようであるが、12ページをごらんいただくと、こちらは障害者の方の医療であるが、同じく公費で一部負担金を減免する措置が講じられているところである。
 ほかに類似するかもしれない例としては、医薬品の副作用被害というものもあるけれども、そういったものについても同じく医療保険の方からは通常のルールに則って給付が行われて、その上でなお残る一部負担金について、公的に補い合う仕組みができているところである。
 それから、13ページをごらんいただくと、医療保険利用の利便性確保についてということで資料を出している。こちらの会議、あるいは前身の会議でご指摘があったと思うが、犯罪被害に遭われた方が医療機関で普通に保険診療を受けることがなかなかできない、できにくいというお話をいただいていたところである。これについては、当然に医療保険が適用されるべきものであるので、下の方に書いてあるけれども、医療機関への指導を徹底するように、医療機関を監督する立場にある社会保険事務局を集めた会議で、そのようなことのないように周知を図ってまいりたいと考えている。医療保険制度については以上である。

(構成員)社会保険での健康保険と国民健康保険と大きく分けてある。それで、健康保険を使って治療を受ける場合に、加害者側に払ってほしいということを何度も病院の方に申し上げたけれども、それはまず病院に払うのはあなただからということで、何年間にもわたってその病院からの請求を受けてしまって、大変苦労したという、そういうケースがあって、私どもはあまり詳しくないのだけれども、第三者傷害という、何かそういう届け出をすれば、自己負担分も含めて、全部加害者側の方から払ってもらって、被害者は一銭も払わなくてもいいというような、そういうことはできるのだろうか。

(厚生労働省)現在の制度をご説明申し上げると、基本的には一部負担金の支払い義務というのは、実際に医療を受けた方にそこは生じてしまう。それとあわせて、健保組合とか、保険者の方も病院側に残りの費用を払うという状況になっているわけである。こういったところは、別に原因者がいて、そういう傷病を負ったという事情がある場合に、保険者はまず一旦医療機関側に費用を支払った上で、第三者求償ということで、原因者の方にその費用を請求していくということになる。被害者の方も、同じように一旦お支払いいただいた上で、原因者の方に請求していただくと。ちょっとこれは仕組み上、そういうふうに手続をとっていただくしかないのかなと考えている。

(構成員)そうすると、第三者行為による疾病届けというのか、そういうものを仮に出したとしても、一旦は請求されたら払わなければならないということか。

(厚生労働省)はい。医療機関側がこれも一応運営をしていく立場にあるので、医療機関側はまずは実際に医療サービスを受けられた患者に費用をお支払いいただくというのはやむを得ないのではないかと思うが。

(構成員)それから、先ほど現金給付という項目の中に傷病手当金というものの支給があれで書かれていて、市町村については任意給付なので、市町村についてはそういう制度が設けられているところがないということになると、健康保険の方はそういう制度の利用ができると、それは第三者行為による届け出をする、しないにかかわらずできるわけか。

(厚生労働省)はい。

(構成員)国民健康保険の方はそれはないと。

(厚生労働省)国民健康保険の方は自営業の方とか、あるいは年金受給者の方とか、いろいろな特性を持った方が加入している関係上、必ずしも皆さん勤労収入みたいな安定的な収入があるとは限らない。その事業収入で、ある年は黒字になることもあれば、ある年は赤字になることもあると。そういった中で、傷病を負った場合に所得補償をどのくらい行うかというのは、これは非常に合意形成が難しいのだと思う。市町村が任意で仕組みを設けることはできるようにはなっているけれども、そういうバラエティに富んだ方々が加入しているという背景があって、広がっていないのかなと思っている。

(構成員)今、構成員から出た保険請求、被害者だけやるというのも負担が重いというような場合について、どうするかという問題はまさに論点の一つだろうと思う。我々は現行法の解釈をやるだけではなくて、どういう仕組みをつくるかということも議論していくわけだから、今の点は今後何らかの段階で、一定の条件をつけて、加害者に直接請求するような形ができないものかというのは、また議論の対象になってくると思う。今日はとりあえずそういう論点があるなというぐらいのところで、よろしいのではないかと思う。


○ 公的年金制度について

 公的年金制度については、厚生労働省資料(資料3)「公的年金制度について」に基づき、厚生労働省から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答が行われた。

(厚生労働省)お手元の「公的年金制度について」という資料に沿って、なるべく簡潔にご説明させていただきたいと思う。
 1ページ目をおめくりいただくと、年金制度の意義ということで書かれているが、公的年金制度は私的な年金制度とは違って、いわゆる世代間扶養と呼ばれている、ないしは社会的な仕送りという言い方をすることもある。最初の2行があるが、老後の生活を世代が順送りで支え合うということと、それから若いうちに障害を負われたとき、あるいはお亡くなりになった場合でも、本人や遺族の生活を支えると、そういう機能を果たすものである。
 それから、その下2行飛ばして、社会保険方式をとる我が国の公的年金制度は、すべての国民の方々に保険料を負担していただいて、それを財源として老齢、障害、死亡という稼得能力の喪失、そういう保険事項というものに対して、障害、死亡等に至った個々の事情によって区別することなく、過去に保険料を拠出されたその実績に応じた給付を行うと、こういう仕組みである。こういうものを私どもは社会保険方式と呼んでいるけれども、それぞれの方が保険料をご負担いただいて、その保険料の納付実績のもとに応じた給付をさせていただくということである。こういう世代間扶養の仕組みによって、賃金ないし物価の動向に応じて、年金の額をスライドさせていって、いわゆる物価スライドとか賃金スライドということで、実質的な年金の生活への貢献というか、生活を支えることのできる年金の額というものを維持していくということである。
 それで、制度体系であるけれども、全国民が国民年金という制度に入って、全国民に共通の基礎年金というものを支給すると、これが土台をなす、我々はよく1階と呼んでいる、この1階の上にサラリーマンであると、あるいは民間サラリーマン、あるいは公務員であると、その上に2階と呼んでいる厚生年金とか共済年金というものが乗っかるという仕組みになっている。
 2ページ目のところをごらんいただきたい。絵があるけれども、年金制度の体系ということで、下の方に色がついているところがいわゆる基礎年金の部分である。ここの部分については、自営業の方であれ、民間サラリーマンの方であれ、公務員の方であれ、共通のものということである。その中で、特にサラリーマンになっておられる方の場合には、その上に厚生年金なり共済年金というものが乗ると。それから、この厚生年金なり共済年金に入られている被保険者の方々の奥さんが多いけれども、扶養されている配偶者、そういう方々の場合には、第3号被保険者と呼んで、一番左のところに書いてあるが、約1,000万人の方が基礎年金だけを充足という形で措置がなされている。これの上に企業年金、あるいは任意加入である国民年金基金、そういったものが上乗せされているという状況である。
 3ページ目の方をおめくりいただいて、年金制度をお金の流れで概観したものであるけれども、何十兆円というお金の給付であるので、にわかになかなか感覚がつかみにくいものかと思う。左の上のところに、国民年金の制度加入者ということで、約7,000万人の方がお入りになっていると。それから、受給権をお持ちの方が約3,000万人いらっしゃるということで、約1億2,000万人の国民がいるわけであるが、約7,000万人の現役、支える側の人間が約3,000万人の受給権者を支えていると、こういうふうな状況だとご理解いただければと思う。
 それから、大体の年金額の目安であるが、真ん中やや下あたりに、基礎年金(40年加入)で月額約6万6,000円と書いてある。厚生年金で夫婦2人分の標準的な年金額と書かれてあるが、要は厚生年金に40年間お入りになった方で、ご本人と奥さんの2人分の基礎年金、つまり2人分の基礎年金とご本人の分の厚生年金、これを足したものが大体月額23万円ぐらいというのは、今の男子サラリーマンの平均的な報酬額に応じた計算式で出てくる額ということである。
 それから、4ページの方に、若干歴史的な沿革を書いている。簡単にしておきたいと思うが、要は戦前の時代から制度としては始まって、昭和30年代に国民年金ができたことによって、国民全員が公的年金制度をカバーすると。私どもはよく国民皆年金と呼んでいるが、そういう制度になったわけである。その後、経済成長に対応した給付改善というものを行い、それ以降また低成長時代に入ってから、いかにして制度間を公平にしていくか、あるいは持続可能な制度にしていくかという種々の改革を重ねてきている。
 一番下に平成16年のところでいろいろ書いてあるが、最も直近に行った制度改正であって、この中で保険料の段階的な引き上げ、あるいは給付水準の適正、それと基礎年金の国庫負担の割合の引き上げ、それから積立金の活用、そういった種々の対策を講じて、より持続可能性を高めたというところである。
 それで、5ページ以降が個々の年金を少し簡単に説明したものである。5ページ、6ページは老齢年金の関係であって、老齢年金について、基本的には最低限、25年間の期間保険料をお納めいただくということが基本的な支給要件である。そして、基礎年金については65歳から支給、それからその上に乗る報酬比例の老齢厚生年金の方については、現在は徐々に支給開始年齢を引き上げている最中であって、ゆくゆくは基礎年金と同じ65歳から支給という格好になってくる。具体的に支給開始年齢を引き上げていくスケジュールは6ページに資料としてつけてあるので、後ほどご覧いただければと思う。
 7ページであるが、公的年金は物価スライドということで、物価に応じて上下をする仕組みになっている。18年の年金額については、前年の消費者物価指数に応じてスライドさせるということであるので、17年の平均の消費者物価指数が0.3%マイナスになったことを受けて、ことしの4月分からの年金額を0.3%引き下げている。
 8ページからは今度障害年金であって、この辺から少し犯罪被害者の方々の生活とかかわりが深くなってくるかと思う。まず、障害基礎年金であるけれども、被保険者としての期間、あるいは60歳を過ぎた後、65歳という基礎年金を受け取るようになるまでの期間、その間に初診日がある、そういう傷病によって、何らかの障害を負ったと。そして、初診日から1年6カ月経った日、ないしは1年6カ月は経っていないけれども、治ったということで症状固定が見られたという日であるけれども、これを障害認定日と呼んでいて、その時点で1級ないし2級という障害の状態にある場合に要件に該当するということで支給の対象になるわけである。
 この障害の状態とあわせて、注にあるけれども、保険料の納付要件というものがある。つまり国民としての保険料の納付義務を怠っていなかったかどうかということが問われるわけであって、1つは初診日の属する月の前々月までの保険料を納付しなければならない期間の3分の2以上を納めているかどうか。逆に言うと、3分の1以上の期間の未納がないかどうかということが一つの条件になっている。それから、もう一つの特例措置として、全体としては3分の1を超える未納期間があるとしても、直近の1年間だけを見て、初診日の属する月の前々月までの1年間で未納がないと、滞納がないということであれば支給をするという格好になっている。
 それから、通常の障害基礎年金はこういった条件で支給しているわけなのであるが、幼くして障害を負われると。つまり20歳という国民年金に入られる以前の若いときから障害になるというケースもある。こういう場合にも、障害基礎年金の支給対象としていて、それからこの場合にはまだ一度も保険料を納めないうちに、初めから障害者という形で国民年金の制度に加入してこられるという格好になっていくので、一定の所得制限を設ける形になっている。ここにあるが、所得が360.4万円を超える場合には2分の1を支給停止、それから462.1万円を超える場合には全額支給停止という形で、2段階での支給停止を行っている。
 それから、額については先に2級の方を申し上げるが、老齢基礎年金の満額と同じ額の年額79万2,100円、これに子供加算がつくが、これが2級の場合の額である。1級の場合にはこれに1.25倍を掛けるという額になっており、1級の場合には約99万円の年度額になっている。
 それから、1ページおめくりいただいて、9ページであるが、こちらは障害厚生年金である。障害厚生年金は基本的にいわゆる1階部分が障害基礎年金が出ている方に対して、上乗せの2階建ての部分として出されるものであるが、この下の等級の例というところで書いてあるように、3級というのが障害厚生年金の方にあって、基礎年金の方には3級というのはないので、3級に該当する方の場合には厚生年金だけの単独支給という格好になっていく。障害等級については、いろいろ細かくご説明させていただくと、ものすごい時間がかかってしまうので、代表的なものだけ書かせていただいているが、例えば1級というのはどんなイメージかというと、両手がないとか両足がない、それから両眼の矯正視力の和が0.04以下とか、そういう格好で、それぞれの機能に応じて書かれている。それから、2級でいくと片手がない、あるいは片足がない。それから、両眼の矯正視力の私が0.05以上0.08以下とか、こんな格好になっている。
 それから、今度は10ページと11ページが遺族年金の関係である。こちらの方は被保険者の方がお亡くなりになったという場合に、後に残された遺族の生活を支えるという目的で支給されるものである。遺族基礎年金のところの支給要件の(1)と(2)というところが本来ならば老齢年金をいずれはもらうというつもりで年金制度に入っていた方が老齢年金を受け取る前に亡くなってしまったというケースである。それから、(3)、(4)と書いてあるものというのは、既に老齢年金という形で受給を始めている方が先にお亡くなりになって、後に年老いた夫婦のうちの片方が残されるというパターンのときに、遺族基礎年金という形で支給が継続されると、そういう形で見ていただければよいと思う。
 それから、先ほど障害年金のところで、3分の1の期間を超える未納がないということ、あるいは直近1年間で未納がないということが要件になると申し上げたが、遺族年金の場合にも同じ要件がかかっていく。
 それから、支給対象者であるけれども、死亡した者に生計を維持されていた遺族ということで、子のある妻、あるいは子供ということで、お父さん、お母さんと一緒に生活している間は子供の方の受給権の方は支給停止といった形がとられる。年金額であるけれども、79万2,100円ということで、老齢年金の満額と同じ額が基本になっている。
 それから、遺族厚生年金がこの11ページの方であるが、支給要件としては、いずれ老齢年金を受け取るつもりで入っていた方がお亡くなりになったような(1)、(2)のようなケース、それから既に障害年金、あるいは老齢年金を受給されていて、その方に扶養されていた方が後に残されるケースという格好にそれぞれ分かれている。支給対象者であるが、子のある妻、あるいは子、それから子のない妻、孫、それから夫、父母、祖父母ということで、若干基礎年金に比べると厚生年金の方が範囲としては広いけれども、子のある妻ないし子という、基礎年金と同じ受給権者に受給権が発生する場合には、以降の順位の者には受給権は発生しないので、そこの仕組みは基本的に遺族基礎年金とそれほど大きく変わるわけではない。
 それから、選択方法というところで3番に書いているが、これは現在どうしても男性と女性との間で現役時代の給料のもらっている額に現実の問題として相当差があるので、それに応じて報酬比例の年金である遺族厚生年金には、大きな男女差がある。これをどうするかということで、現在の遺族厚生年金というのは、亡くなったもともとのご本人の方の老齢年金の4分の3の額が遺族厚生年金に設定されていて、それを受給するか、あるいは残されたご自身の老齢厚生年金の方を受給するか、あるいは遺族厚生年金の3分の2の額と自分の厚生年金の2分の1の額を足した額を受給するか、この3つの中から選ぶという仕組みに今なっている。実は来年の4月からこの仕組みがまた変わって、今度は自らの老齢厚生年金というものを満額を受給するということを前提にして、現行制度の給付水準よりも、自分の厚生年金が低くなっている場合に、その差額を遺族年金としてお支払いするという仕組みに変わることになっている。
 12ページは現在どのくらいの額が実際に支給されているかということを示したものである。
 13ページが他制度との併給調整の関係であって、労災の支給額、それから雇用保険の方の失業給付、こういったものとの併給調整がある。一番下に注であるが、犯罪被害者等給付金支給法に基づく給付金については、併給の調整対象外としているので、それぞれ満額の支給対象になる。
 最後のページであるが、最初に公的年金制度の考え方をご説明したように、すべての国民の方々に対して保険料のご負担をいただいて、それを財源として老齢、障害、死亡という稼得能力の喪失ないし減退ということに対して、まさに個々の事情に区別することなく、納付実績に応じた給付を行うという仕組みであるので、犯罪被害に遭われて、そこで障害を負われたり、あるいは亡くなったりという場合に対しては、先ほど3分の1を超える未納がないとか、あるいは過去直近1年間に未納がないとか、こういう障害年金、あるいは遺族年金のそういう支給要件をクリアする場合には、こういった障害年金なり遺族年金の制度があって、給付金の方と相まって生活を支えていると、こういう状況である。以上である。

(構成員)まず障害基礎年金の方であるが、20歳以上60歳未満の方が犯罪によって障害を負った場合は、国民年金の基礎年金の方はこの対象にはならないのか。

(厚生労働省)これは国民年金の被保険者期間中と書いてあるが、まさに国民年金の被保険者期間というのは20歳以上60歳未満というのが被保険者期間であるので、この期間中の障害を負われた方については、当然基礎年金の支給対象になっている。あえて「または」でその後書いてあるのは、老齢基礎年金が65歳から支給なわけだが、老齢基礎年金を受給し始めるまでの間、つまり国民年金の被保険者の期間は終わったけれども、まだ老齢基礎年金の受給を始めてない期間、この期間が60歳以上65歳未満の期間であるので、その部分をあえて別に書いてあるということである。だから、ご質問いただいたように、20歳から60歳までの期間については、当然老齢基礎年金の保障の対象である。

(構成員)障害基礎年金の。

(厚生労働省)はい。

(構成員)1と2だと1は被保険者期間中または被保険者の資格を失った後65歳、被保険者期間中というのに入るということか。

(厚生労働省)はい。

(構成員)わかった。それで、厚生年金でない方の人は1級と2級で、厚生年金に入っている人は3級も。

(厚生労働省)3級の方がより軽い障害なわけであるが、それも対象になっていると。

(構成員)それと、死亡した場合の実は浜松につい先だってテレビでもやったけれども、ブラジル人にレストランを経営していたご主人を殺されて、犯人がブラジルに帰ったという、その方の相談があって、そういうような場合は自営業だから国民健康保険となる。国民年金ということだと思うけれども、そういうような場合はお子さんが成人しているが、これは遺族年金というのはどうなるのか。

(厚生労働省)第1号被保険者の場合には、そういう自営業者の方の場合には子のある妻というものに該当しない場合のことをおっしゃっているのだと思うので、寡婦年金という第1号被保険者特有の仕組みというのがあって、第1号被保険者としての期間が25年ある方が老齢基礎年金を受給せずにお亡くなりになったと。婚姻期間が10年以上ある配偶者の方である場合に、60歳から64歳までの間支給すると。65歳からはご自身の老齢基礎年金があるわけだがも、そういった仕組みが第1号被保険者に限ったものとして、この資料の中にはないが、別途ある。

(構成員)それはまた別にそういうのがあるということか。

(厚生労働省)はい。寡婦年金というのがある。

(構成員)1点だけ。13ページの犯罪被害者の給付金と国民年金法に基づく給付の調整はされないということの考え方であるけれども、これはいわゆる犯罪被害者の給付金が社会保険として位置づけられていないからということでよいのか。

(厚生労働省)先ほど申し上げた老齢、障害、遺族の公的年金給付というのがまさに一般制度として、老後、あるいは障害を負ったときの生活の基本的な部分に対応する仕組みとなっているので、ある意味先ほど来申し上げているように、どういう事情でそういう状況になったかというところを問わない仕組みになっているわけである。
 それから、もともとこの年金というものと犯罪被害者に対する給付金というものの支給目的、趣旨、目的というところが同じではないというところで、併給調整の対象外ということかと思う。それに対して、労災給付だとか失業給付というところは、全く同じ目的でやっているわけではないけれども、ただある状態が生じるに至った原因というか、そういったところに着目したときに、いろいろと共通するところも出てくるというところで、これを調整しない場合には、いろいろな別の不合理も出てくるということで、あえて調整をさせていただいているということである。

(構成員)確認だが、したがって社会保険事業というか、社会保険として位置づけられるものと、いわゆる福祉サービスというか、そういう考え方で位置づけられる仕組みと、それぞれ違うところに位置づけられているものについては、お互いの調整が基本的になされないと考えてよいのか。別にこの件だけではなくて、全体的にそういう考え方で社会福祉の考え方が整理されているという考えでいいのか。

(厚生労働省)保険料というものを財源とする社会保険の仕組みをとるか、あるいは公費財源という形での仕組みをとるか、そこのところというのはまた別途のいろいろなもの、要素も含めて制度設計がされている部分であるので、保険と福祉は調整の対象外ということで、そこまで思い切った形で言い切れるかというと、そこのところはまたいろいろな考えなければいけない要素があるのかなと思う。

(構成員)今ご説明があったとおりであるが、補足すると、社会保険かそうでないかできれいに分かれているわけではないので、制度ごとの趣旨、目的によって、年金なら年金の給付にさらに上乗せする形で支給するのか、それとも調整の対象にするのかということが決まっていると申し上げる方がよろしいのかなと思う。有名な例では、児童扶養手当が公的年金の調整対象になるが、児童扶養手当については、あれは社会保険ではないので、公費で義務的にやっているという例であるけれども、調整の対象になっているということもあるので、一概に社会保険かそうでないかということで決まるということではないと考えられると思う。
 それと、私の方からお伺いしたい点があって、2点ほどであるが、第1点は基礎年金については、例えば障害年金にしても遺族年金にしても、障害の20歳前は除いて、一定の保険料納付の要件、あるいは納付者の要件というのが受給に必要であるということになっている。これは犯罪被害者の場合には限られないので、年金制度であるからそうなっているのだが、免除を受けないまま保険料が未納になっていて、障害に陥ったり、あるいはご本人が死亡した場合、遺族の方に対する年金の支給というのはどうなるのか、何かそういった場合について、年金制度ではなくて、何かその外で何かやるという例があるのかということをひとつお伺いしたい。
 それから、もう一つはこれも犯罪被害者に限られない、特に遺族基礎年金固有の問題、制度設計そのものの問題なのだが、10ページの資料で支給対象者として、子のある妻ということになっていて、妻については子があることが要件になっていると。しかし、逆にいうと子のある夫というのは支給対象にならない。例えば、何らかの事情で障害年金などをもらっていないけれども、働けない事情がある夫がいて、妻がその夫を扶養していたという例で子供がいるというときに、妻が例えば死んでしまったというときには夫には年金は支給されないという理解でよろしいのか、その2つである。

(厚生労働省)それでは、1点目であるが、いわゆる保険料納付要件というところに引っかかる形で、障害年金の受給、あるいは遺族年金の受給ができないケースということが実際にある。それで、そういった方々の中で、いわゆる過去に国民年金制度というものが20歳から60歳までの方に対して全員が強制加入という格好でなくて、一部の方に対しては任意加入というふうな仕組みをとっていた時代があった。例えば、学生の方々については、つい比較的最近まで任意加入とされていたし、それから昭和60年まではいわゆる専業主婦の方については任意加入という格好になっていた。実はそういった方々はもちろんご自身は加入していなかったわけなので、保険料を納めていなかったわけだが、ただ加入そのものが任意であったが故に入らずにいて、そして保険料を納めなかったということで、そういった期間中に怪我をしたり、あるいは亡くなったりということが生じたときに、障害年金、あるいは遺族年金とも支給されないと。特に障害年金が問題になったわけであるけれども、この障害年金の無年金の問題が議論になって、そういった国民年金制度というものが20歳から60歳まで全員強制加入になるという現在の姿が完成する以前の問題として、そういう発展過程の中で任意加入していなかった方々については、特例的に保険料を財源とするものではなくて、全額公費で特別障害給付金というものを支給するということが一昨年議員立法でなされて、これに基づく給付が昨年から始まっている。したがって、いわゆる先生がおっしゃったような通常の保険料納付を怠っていたと、本来受けられるのに免除の手続をせずにいたとか、あるいはいわゆる十分所得があるにもかかわらず納めずにいたという、そういう未納の方々ではなくて、かつての任意加入時代の学生、あるいは専業主婦の方については、別途の公費負担による手当という制度がある。それが1点目である。
 それから、2点目の方の子のある夫の方の問題であるけれども、ここの問題については、障害基礎年金の方だけでなくて障害厚生年金の方についても、死亡当時、55歳以上だったということが夫については要件とされているわけであって、ここら辺は男女で取り扱いが違うという問題は、ほかのいろいろな年金制度をめぐる男女のいろいろな問題とめぐって指摘もあるところではある。現状、こういうふうになっているというところであって、いろいろご指摘があるということは事実である。


○ 介護・障害者福祉について

 介護・障害者福祉については、厚生労働省資料(資料3)「介護保険制度について」、「障害者自立支援法について」に基づき、それぞれ厚生労働省から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答が行われた。

(厚生労働省)介護保険の説明をしたいと思う。まず、介護保険制度についてということである。1ページ目である。  介護保健法成立後の主な動きということで、介護保健法は1997年、平成9年にできて、まだ施行されてから6年しかたっていない制度である。その間に平成17年、2005年に介護保健法の見直しをされているところであって、今第3期目の介護保険事業計画、大体介護保険については、中期財政運営といって、3年間に一度介護保険料の見直し、あるいはサービス等の支援計画の見直しということをやることになっている。
 次の2ページ目の介護保険導入の経緯については、皆さんご存じのとおり、要介護高齢者の増加、あるいは介護期間の長期化ということで、老老、家族扶養の問題、そういった問題があって、介護給付が必要になったということで、これも医療保険、年金保険と同じように、社会全体が支え合う仕組みということで、社会保険方式の介護保険を創設したところである。
 3ページ目のところであるけれども、これは介護保険制度の概要ということである。介護保険の財源については、税金が半分、保険料が半分という構成になっていて、医療保険と違うところについては、後期高齢者の医療制度と同じで1割の利用者負担になっているわけだが、介護保険についても1割の利用者負担、残り9割が、介護給付がなされているということである。財源の税金、公費の部分については国が25%、都道府県、市町村それぞれ12.5%という構造になっている。
 保険料については、現在第1号被保険者といい、これは65歳以上の人が第1号被保険者、40歳から64歳までの方を第2号被保険者といって、それぞれこれは人の頭割りでその保険料が賦課されている。65歳以上が2,617万人、40歳から64歳までが4,285万人と、その対比で19%、31%という保険料を賦課しているところである。現在、これらの年金天引き等も含めて、第1号の被保険者の保険料については4,090円という形になっている。
 4ページ目であるが、サービス利用の手続きということで、医療保険と違うところは、医療保険については、保険者証1枚で病院等行けば医療給付を受けられるということであるが、介護保険については、まず被保険者であっても要介護認定という認定の申請をして、その審査を受けて要介護度を判別してもらって、ここで書いてあるように要介護5から要介護1まで、あるいは要支援1、2という形で、これらの者について施設サービスなり在宅サービスを受けると、そういう仕組みになっている。
 それと、この要介護5、要介護1、あるいは要支援1、要支援2ということであるけれども、医療保険については、給付は天井であるけれども、介護保険については、それぞれの要介護度に応じて支給限度額というのがあって、サービスについてもその支給限度額の範囲内で介護給付を受けるということである。したがって、医療保険については、市町村の要介護認定等、その支給限度額があるということで、医療保険と違いがある。
 先ほど忘れたが、保険者については市町村が保険者となっているところである。
 5ページ目であるけれども、被保険者数は当然高齢化に伴いふえている。要保護者数についても飛躍的に伸びており、2000年から2005年の間に204万人、94%の増加になっているということである。居宅サービス、施設サービスについても、それぞれかなりのサービス利用者数がふえているという状況である。
 次の財政の現状であるが、これについても2000年から2倍以上の伸びで伸びている。2006年度には予算ベースであるけれども、7.1兆円、保険料についても第1期、第2期、第3期とあるけれども、第1期、2,911円であったものが第2期で3,293円、3期、18年度からは4,090円、これは全国市町村の加重平均の数字である。要支援、要介護者についても、同様に伸びているという実態が次の資料としてある。
 それで、介護保険の給付なのだけれども、後ろから2枚目の介護サービスの種類というところを見ていただければいいのだが、大きく分けて居宅サービスと施設サービスに分かれる。ここの黄色い部分については居宅サービスを、この居宅サービスの中でも訪問サービスと通所サービス、それとこれはショートステイといわれるものであるけれども、短期入所サービス、あるいは福祉用具貸与とか、あるいは福祉用具の販売、そういったものがある。施設サービスは介護老人福祉施設、これが特別養護老人ホームに当たるものである。あるいは介護老人保健施設、これは在宅復帰を念頭に置いた施設である。それと、もう少し病院に近い介護療養型医療施設というものに分かれる。
 今回の介護保険は先ほど平成17年に見直しをしたと言ったけれども、その中で居宅サービス以外に軽い人たちに対するサービスというのが新たにできており、介護予防サービスというものができている。それについては、黄緑色の部分の累計がある。
 今回介護保険については、これまでの指定権は都道府県にあったわけであるが、市町村に指定権を移すということで、地域密着型サービスというのも新たに創設されている。それがその左の赤い部分と青い部分の地域密着型サービス、あるいは地域密着型介護予防サービスという部分である。
 最後の保険給付額については、それぞれ総枠で5兆5,221億円、これは給付費ベースで、先ほどの費用の伸びをあらわしたものについては、あれは費用であって、利用者負担については、この介護給付費には含まれていない。それと、介護給付については若干医療系も入っている。例えば、この中で訪問看護とか、あるいは訪問リハビリテーション、あるいは通所リハビリテーション等については、若干医療色のある介護給付である。ほかにも先ほど言った介護老人保健施設、これは在宅復帰を念頭に置いたリハビリテーションを中心にした施設であるが、そういったもの、あるいは介護療養型医療施設、従来医療保険に入っていたものが介護保険の方に一部来ているところである。
 犯罪被害者については、基本的に医療保険と同じような、例えば第三者求償の話とか、そういった部分については介護保険もほとんど同じような規定がある。
 それと、介護保険も公費の給付と同じような保険優先と公費優先というものがある。例えば、先ほど医療保険でもあったけれども、原爆被爆者に対する法律に伴って出されている給付については、基本的に介護保険が優先されるわけであるが、残りを全額公費でみているものとか、あるいは石綿の健康被害救済法についても、介護保険優先が先に9割給付をなされて、残り1割について全額公費でなされていると、そういうようなものであって、医療保険と似通った保険優先の制度がある。
 ほかに公費優先の給付もあって、それについても例えば労働災害、あるいは公務災害の補償、あるいは国家補償的な給付、これは戦傷病者等特別援護法とか原爆、そういったものの位置づけであるが、そういったところについては保険優先ではなくて公費優先になされて、その範囲内で介護保険の給付は行わないという規定になっている。以上である。


(厚生労働省)障害福祉施策についてご説明させていただく。
 この資料、全部説明している時間がないので、まず全国に障害者といわれる数はどのぐらいいるのかということであるが、私どもの方、障害者というのは、5年に一遍の実態調査をしている。したがって今現在だと、13年の数字でいうと、障害者数、日本全国で655万9千人ということで、人口の約5%。うち、在宅サービスを受けているのが、在宅でおられる障害者の方々が589万5千人ということで、約90%。うち、社会福祉施設なんかに施設入所しておられる方66万4千人ということで、約10%という割合になっている。これが日本全国の障害者の数ということで、今回の障害者自立支援法だと、身体、知的、精神、こういうふうに3つに分かれておった障害のサービスを一元的に支給決定等を行おうということになったわけである。
 そこで、今介護の方が説明したように、介護保険は保険制度である。私どもの方、障害者施策はすべて一般会計でやっている。基本は国が2分の1、地方自治体4分の1、それからあとサービスの自己負担が1割負担、それから食事は自己負担ということに制度はなっている。
 施設の種類については、よくいわれる重症心身障害児施設ということで、非常に程度の重い障害児(者)については、福祉と医療とのダブルセッティングになっている。それ以外の施設は、一般的にいうと、医療の部分は外来で受けてください、あとは施設の入所サービスについては一般会計ですべてやる、こうなっている。
 施設にも、今言ったような重度の障害者、それから、重度ではないけれども何らかの手当てが必要ということで24時間介護する施設、それから一定の訓練をして社会に帰す、もしくは就業に結びつける訓練をする施設、それから、もともと福祉工場といわれるような障害者が、労働法規の適用を受けて働く福祉工場という尺もある。それから、よくいわれる老人と同じように障害者でもホームヘルパーの在宅サービス事業というのもある。これも私どもの方、年齢によるけれども、65歳以上の場合については保険優先。保険優先というのは、介護保険優先である。それ以外の年齢の人については、障害の一般会計で在宅のヘルパー、それから施設サービスを行うというふうになっている。
 ただ、障害者だからといってすべてサービスが受けられるかというと、介護保険と同じように手間のかかり具合という判定をしてほしいということで、判定を受けた者について障害者福祉サービスを実施しようという構図になっている。
 ではさりとて、先ほど来年金局の方からご説明あったように、サービスでもどのような所得というか、利用料を取ってなるのかというと、先ほど、障害年金2級の人というのは、月額約6万6,000円もらっている。それで1割負担出せと言われても、例えば障害者の施設だと、24時間お預かりする施設だと30万かかるとか、45万かかるとかいう施設もある。そうすると1割負担といっても、6万6,000円の中から利用料の1割負担、それから食事は自己負担だと、こう言われても出し切れないと。そこは施設を経営する方々については、そこのサービスの低下をしないために一定の手持ち、現金2万5,000円の、趣味趣向その他に必要な部分があるので、そこは持っていていただいて、あと1割負担、あと残りの食事負担については出せないという部分については、公費を施設に埋める。要するに月額約6万6,000円の障害年金2級の場合には、2万5,000円の手持ち現金を残すと4万1,000円しか取り切れない。結局、それ以上のサービスの部分については、私どもの方が補足給付もしくは個別減免ということで利用料の個別減免をするという取り扱いをしている。
 また、障害年金1級といって、重い障害者の場合でも月々8万3,000円だと、1割負担取り切れないといった場合については、それぞれの受けるサービスによって違うけれども、施設の入所の場合については、それぞれ個別減免を受けたり、それから食事負担の補足給付を行うとかいうことも行っている。
 それからもう一つは、犯罪被害者云々とかいうこととかかわりなく、要するにサービスは平等に行おうということで、では所得のない人はこの障害者サービスは受けられないのかという、今先ほど年金局が言われたように、障害年金も保険料の未加入をしている場合には、障害年金も受けられない。そうすると無年金者である。その場合にはどうするのかというと、そこの部分は結局私どもの方、所得にというか、色はない。したがって、利用者が幾ら所得があるかと福祉事務所で見させていただいて、預貯金も年金も何もないといったら、結局そこは生活保護に準ずるということで、利用料も全部ゼロと。そこの部分はすべて公費で賄う、このような形をとっている。
 それでは、在宅サービスを受ける方々についてはどうかというと、同じ屋根の下で鍋釜を共にしている親と子の関係、もしくは成人に達しても障害者の場合は鍋釜を一緒にしているといった場合については、そのご家族の所得がいくらあるかということによって、利用料負担を取ろうと。ただし、利用料負担といっても全額取るわけにはいかない。最高取っても、一般世帯の場合には3万7,200円という形で上限を設定している。
 あと、低所得者の場合についてはさらに2万4,600円、1万5,000円、最後は生活保護に準ずる者であればゼロというところまで持っていっている。
 それから、よく言われることは、障害に何らかの交通事故、もしくは犯罪によって障害者になった場合について、車いすとか、バリアフリーの住宅改修というのはどのようになっているのかというご質問も受ける。車いすについては、私ども、補装具といって支給されている。それから住宅改修については、老人と同じように今現在1回につき20万という形で、手すりを付けたり、段差をなくすという費用が出るような形をとっている。以上である。

(構成員)二、三お聞きしたいのだが、1点は、例えば45歳の方が犯罪被害に遭われた結果として、障害を負って介護が必要な状態になったというときには、これは障害者の自立支援の方になるのか、介護保険になるのかというのが一つであって、それからその方が65歳になったときには、それは障害者自立支援になるのか、介護保険になるのかということについて、お伺いをしておきたいというのがまず第1点である。
 それから第2点は、例えば65歳以上の方について、年金から源泉徴収している方についてはあまり問題ないが、年金の額が低くて介護保険の保険料を源泉徴収していなくて、市町村の方で徴収をしているというときに、保険料の未納があったという場合については、介護保険の給付というのは、例えばそういう方が犯罪被害に遭われた場合に、介護保険の給付は出るのか出ないのか。出ないとすると、その方はどういうことになってしまうのかということについてご説明をいただければと思う。

(厚生労働省)先ほど、第1号被保険者については65歳以上の者、第2号被保険者については40歳から64歳までの者ということであった。給付については、第2号被保険者、40歳から64歳までの人については、この介護状態について特定疾病といって、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるものという限定がある。これは、当時介護保険ができるときに、そもそも被保険者を若年障害者まで引き下げるかという議論があったわけであるが、結局その負担の問題があって、最終的には40歳以上から保険料を取るという形になって、そういったことで、本来高齢者に発生する疾病が65歳未満で発生する場合について限定しようと、そういうような話があった。だから、その特定疾病というのは、例えばパーキンソン病とか、あるいはALS、筋萎縮性のああいうような難病とか、そういったものが政令で指定されているわけであるけれども、犯罪被害者の場合については特定疾病に当たらないので、そういう意味で、64歳までの給付はなされない。65歳になった段階で介護給付はなされるということになっていく。
 それと、障害者自立支援法の先ほどの給付については、また障害者独自の給付があるので、それは逆に先ほど障害の企画課長がおっしゃったとおり、介護保険以上に負担については低所得者対策という意味で利用者負担が配慮されているので、介護保険でサービスを受ける者については介護保険優先で、だめな場合については障害者自立支援法で給付がなされると、そういう仕組みになっている。
 それと、年金の天引きの話であるが、これは特別徴収といって、基本的に年金で18万円以上の人について年金で天引きするという形でなっている。基本的に18万未満の方については普通徴収といって、これは一般の納付書で保険料を徴収するという形になっている。当然介護保険についても、保険料を払っていない者については、保険給付の、例えば1割の部分について利用者負担を3割にするとか、そういう制裁措置等がある。そこの部分については、先ほどの医療保険と同じように、特に何かなされているかという部分については、介護保険の中ではそういう手当てはない。

(構成員)障害者自立支援法のことでお聞きしたいのだが、これは従来ある身体障害者の制度、それから知的障害者の制度、それから精神障害者の制度を何か一本化したと聞いているのだが、例えば犯罪によって身体的な重度の障害を負ったという方、それから、PTSDのように心的外傷で社会生活に適応できなくなってしまったというような方とか、あるいはその両方かぶさっている方とかいろいろあるけれども、そういう方々についてはこの自立支援法で適用になるということでいいのか。

(厚生労働省)非常に今の問題でも、すべてなるというのか、障害認定区分ということで、老人は手間のかかり具合ということで79項目の判定基準をしている。障害は障害で、さらに障害特有な判定があるだろうと。例えば目がご不自由な障害者とか、心の病を負っている方々だとか、とっさに行動障害を起こす方だとかいう、要するに障害特有な部分というのがあるだろう。それは27項目を足している。したがって106項目の判定を受けた方であれば、今言った身体、知的、精神障害者としてサービスが受けられると思う。

(構成員)今言ったような、例えばそういう強姦事件などで、外的な障害は何もないけれども、心に傷を負ってしまってという、そういう方の場合も。

(構成員)多分そこは、私非常に医学的な部分になるし、難しいのは、精神の方のサービスかなと。精神でもよくいわれる重い判定が出た精神障害者というのは、もともと医療の精神科の病院の方に入っておられるということで、今のような心の病を負った方でも、そこまではいかないで、要するに福祉のサービスで十分、要するに見守りとかという形で入れるということであれば、そこは福祉の方の精神障害者のサービスになるのではないかなと、こう思っている。
 ただ、精神の場合でも重い精神を負った方は、どちらかというと病院の方の治療が必要ではないかなと、このように思っている。

(構成員)私は、この障害者自立支援法というのは大変興味深く、今お話を承ったところであるので、このような一つの考え方で犯罪被害者についても何か考えられるのかなということは、一つの論点とする必要はあるのかなと思うが、向こうは向こうの制度の一般的な原則があるので、PTSDなんかも乗ってくる場合と乗ってこない場合があるのだろうけれども、それをどう犯罪被害者に対する支援という形で調整をしていくのかというのは、まさに私どもの議論にこれからなってくるのではないかと思う。今日はあまり深く入るわけにいかないと思うが。大変今日は興味深いお話を承った。

(構成員)もう一点だけ。これは利用計画というものもつくるわけだが。それで、その場合に利用者の負担というのがいろいろな程度によって違ってくるとは思うけれども、利用者の負担というのは、どういうことでどれくらいのものがかかってくるものなのだろうか。

(厚生労働省)その利用計画というのは、障害の話か、介護の。両方とも市町村の計画があって……。

(構成員)介護の保険の方は先ほど適用ないということだったので、障害自立支援法でやる場合だけれども。

(厚生労働省)それは、まず障害者の自立支援の利用計画というか、市町村が計画を立ててくださいといって、今現在新しい新制度になったので、市町村に計画を立ててもらっている。その計画というのは施設のサービスと、それから在宅のヘルパーだとかグループホームだとか在宅サービスの計画だとか、これを要するに今までの、身体なら身体、知的なら知的のサービスがあるわけである。実施主体は介護保険と同じように市町村がやっているので、それを第1期計画ということで20年度末まで、第2期が23年度末までということで、まず第1期の計画をつくって、こういうお願いをしている。それはゼロから発進ではなくて、今までのサービスしていたのがあるわけである。急に莫大にふえるということはあり得ないわけである。したがって、今後各市町村、自治体としたならば、どのようなサービスをどのぐらい伸ばしていくか、その希望をとってということで、今年度中に全市町村からとろうと。
 ただ、私どもの方、障害者のサービスというのは、このような言い方をしたら大変失礼な言い方であるけれども、介護保険とか年金とか医療保険というのは、医療保険は別であるけれども、保険制度というのは一定の割り切りをせざるを得ない。だけど福祉でやっているやつというのは一定の割り切りというわけにいかないということで、でき得るかぎり私どもの方のサービスで拾っていかないと、介護保険の場合も65歳以上は介護優先と、こういっているけれども、今言ったような形で介護保険料も納めていない場合については、介護サービスを受けられない。その場合にはどこで拾うかといったら、結局障害者の方のサービスで提供せざるを得ないのかなと、このように思っている。

(構成員)多分、今の構成員のご質問について、今課長からご説明あったとおりであるが、非常にわかりやすく言えば、個別の障害者の方について、これは介護保険の場合も同じであるけれども、それぞれの方の障害の特性に応じて、例えばホームヘルパーを週に何日使うかという形で利用計画を立てる、ケアプランなり自立支援の個別の計画を立てるわけで、それぞれのサービスについて単価が決まっているから、そのサービスの利用計画を立てることによって、その人について、例えば一月あたりどのくらいの費用がかかるかというのは、単価を積み上げることで出る。それに対して、今度は定率負担で1割というのが原則で入って、あとそれぞれの所得の状態に応じてそれを軽減していくという、そういう仕組みになっていると理解していただければよろしいかと思う。
 それと、先ほど座長がおっしゃった点について言えば、精神的障害の場合は、やはり難しいのは医療保険の世界で考えるのか、福祉の世界で考えるのかという、その仕分けということも多分議論の余地があって、それは当然のことながら個別の状況によると思うが、どちらで引き取るのかということも検討しなければいけない論点であるか思う。
 最後に、介護保険について構成員がおっしゃったのだが、65歳以上は犯罪被害者の方についても介護保険優先になるので、介護保険優先で、その後、負担できない部分については障害者の福祉の方で行うと、そういう構造になっている。
 1点だけお伺いしておきたいのは、介護保険でやる場合で、例えば重度の要介護状態の場合だと、自己負担分が一月当たり結構高額になるというケースもあり得るが、そういった場合について、何か介護保険なり、あるいはそれと関係して障害福祉の方で手当てがなされているのかということについて、補足的にお伺いできればと思う。

(厚生労働省)先ほど医療保険でも高額療養費という仕組みがあると言った。つまり月である一定の上限になれば、それ以上は自己負担、利用者負担をさせないという仕組みであるけれども、介護保険についても同様に高額介護サービス費というのがある。それについても、1割負担の部分について所得に応じて段階的に上限を設定されているところである。大体年収80万円以下、生活保護者も含めてだけれども、その場合は月当たり1万5,000円である。80万円から、これは住民税非課税世帯になるけれども、この場合については大体2万5,000円、1割負担の部分についてはそういう高額介護サービスというのは別途ある。
 それともう一つは、今回医療保険でも同じだけれども、施設に入った場合、あるいは病院に入った場合について、食費、介護の場合については居住費も入っているわけだが、その部分について給付の対象外になっている。ただ、低所得者については、給付の対象外にはなっているが、補足給付というような形で別途介護保険から給付がなされている。そのことによって低所得者の配慮をしているところである。


○ 自由討議

 これまでの制度説明について、またその他の意見について自由に発言を求めたが、構成員から特段の発言はなかった。


○ その他

 6月30日の外国における犯罪被害者等に対する支援制度、支援体制についてのヒアリングを踏まえ、9月上旬に海外調査を行う予定である旨、事務局から説明がなされた。

※ 次回の検討会は、平成18年6月30日に他の検討会と合同で開催する予定。

(以上)


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