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犯罪被害者等施策
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警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 各検討会の開催状況 > 経済的支援に関する検討会 > 第15回議事要旨

経済的支援に関する検討会(第15回)


(開催要領)

日時:平成19年4月10日(月)15時~17時38分
場所:中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授
構成員飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
佐々木 知子帝京大学教授、弁護士
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫元オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
巽 高英警察庁長官官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席振角 秀行金融庁総務企画局参事官
中野 雅之厚生労働省政策評価審議官
安井 正也経済産業省商務情報政策局消費経済政策課長
説明者宇都宮 啓厚生労働省保険局医療課企画官

(議事次第)

1.開会

2.経済支援制度のあるべき姿についての検討(10)

3.その他

4.閉会


(配布資料)

資料1 中間とりまとめ叩き台資料  [PDF形式:40KB]
資料2 飛鳥井構成員資料  [PDF形式:15KB]
資料3 大久保構成員資料  [PDF形式:14KB]
資料4 白井構成員資料  [PDF形式:119KB]
資料5 高橋構成員資料  [PDF形式:16KB]
資料6 警察庁資料  [PDF形式:18KB]
資料7 法務省資料  [PDF形式:16KB]
資料8 厚生労働省資料  [PDF形式:13KB]


○経済的支援制度のあるべき姿の検討について
 概略以下のとおり議論が行われた。
(事務局) お手元の議事次第にあるように、本日も構成員が私案として作成された中間とりまとめのたたき台を基に、経済的支援のあるべき姿のとりまとめに向けて、検討を順次行ってまいりたいと考えている。
(構成員) それでは、そのように議事を進めてまいるが、何点か資料があるので、事務局から説明をお願いする。
(事務局) 資料1であるけれども、これは例の中間とりまとめのたたき台である。赤字、青字でそれぞれ修正しているが、後ほど構成員から説明がある。
 資料2から資料8については、このたたき台に対して、各構成員からそれぞれ提出された意見に関する資料である。それぞれ関連の部分で御発言をいただければと考えている。
(構成員) それでは、本日の検討に入る。
 本日はまず前回の検討会に引き続き、中間とりまとめたたき台の後半部分について、検討を進めてまいりたい。時間があれば、前回の検討会で検討した前半部分について、先ほど御説明もあったが、構成員の方から御意見が提出されている論点や、たたき台を赤字及び青字で再修正している部分について、再度検討してまいりたい。
なお、資料1のたたき台は、前回の検討会での検討を私なりに踏まえ、前回の検討会でお配りしたたたき台を修文したもので、朱書きと青書きとで修文している。朱書きの修文は本日の検討会までに構成員の皆様から御意見をいただくために、事前にお配りしたものと同じものである。青書きの修文というのは、朱書きの修正部分に対して、その後いろいろ御意見を頂戴し、その御意見を踏まえ、更に修文したものである。今回、直前の配付となったけれども、そういう趣旨であって、本日お配りをしているのは、事前にお配りしてあるものと同じものである。
 また、たたき台の各論点の表題については、平仄を統一するために、必要な箇所を青書きで修文している。
 それでは、資料1のたたき台ペーパーの5ページ「(3) 経済的支援制度の管理・運用」の「(1) 経済的支援に関するアドバイザー制度」から本日の議論を始めたいと思う。
 では、事務局から当該部分を読み上げていただきたいと思う。
(事務局) 「(3) 経済的支援制度の管理・運営」。
 「(1) 経済的支援に関するアドバイザー制度」。
「犯罪被害者等に適用のある経済支援制度は、犯罪被害給付金のような犯罪被害者に特化した制度にとどまらず、医療保険、障害者福祉制度、年金制度など、国民一般にも適用される制度が多数存在する。
 しかしながら、犯罪被害者等の意見・要望を見ると、現場の認識の誤りや犯罪被害者等に対する制度の周知不足により、これら制度が必ずしも適切・円滑に適用されていないと思われるケースも見られる。
 経済支援制度を実質的に現状より手厚くするためには、犯罪被害者等に対して、犯罪被害者等に特化した制度だけではなく社会保障・社会福祉制度の全般に関して、犯罪被害者等の相談に乗り、必要な助言を行うアドバイザーが必要である。
 この点については、すでに『支援のための連携に関する検討会』において、経済的支援を円滑にすることも含めた関係機関・団体の連携強化という観点から、
 ・犯罪被害者等が置かれている個々の事情に応じたアドバイスができるような、社会保障制度を含む犯罪被害者等の経済的支援に関する包括的知識のある人材育成の必要性とそのための研修等を全国に広げる仕組みの必要性
 ・社会福祉士や税理士等の専門家と連携できるネットワーク作りの必要性が指摘され、これに対処するための施策の提言が検討されており、その提言に基づく取組を着実に実施すべきである」。
(事務局)  この文案については、構成員から御意見が出ているので、御発言お願いできるか。
(構成員) 6ページの上から4行目であるが、こちらの方では「・社会福祉士や税理士等の専門家と連携できるネットワーク作りの必要性」ということが書かれているが、被害者の回復のためのトータル的な支援を行うためには、関係者との連携をより効果的に行って、支援を実践することが必要だと考える。社会福祉士は、あらゆる分野でのコーディネートができる。社会福祉士の前に犯罪被害相談員という言葉も入れていただき、やはり支援の現場では犯罪被害相談員と社会福祉士が、司法書士や税理士という割に狭い分野の専門家と連携を持って、被害者の回復のための支援が行えるようにという意味合いを含めた方がいいと思う。社会福祉士の言葉の前に犯罪被害相談員という言葉を、また、実際に支援の現場では、税理士というよりも、もっとトータル的に、例えば成年後見人制度等に熟知した司法書士との連携が、実際に支援を行う上では必要になることが数多くあるので、その2つの役割を担う人を入れていただければと考えた。
(構成員) 御趣旨はわかった。ここは幾つ例示を挙げるかということがあるわけであるが、あくまで例示で、割と代表的なものから1つとか2つを挙げるような形になるだろうと思うが、その点は犯罪被害相談員あるいは司法書士というのを、社会福祉士や税理士と並べて書き入れないと、現場の感覚に合わないということか。
(構成員) そう思う。これからますます犯罪被害相談員の役割というものは大きくなってくると思うし、また社会福祉士は当然これから役割が大きくなっていくので、それはそれで入れていただきたいけれども、先ほど言った2つのものも並べてあった方が、多くの方の理解と連携、協力を得ることができるように思う。
(構成員) 構成員はその点はいかがか。
(構成員) 代表的なものを書くということであるな。構成員の意見に賛成である。
(構成員) ほかにこの点で御意見あるか。どちらにしなければならないとこだわるような話でも実はないだろうと思う。ただ、余りたくさん書くのは、感じが私もよくわからないが、税理士と司法書士というと、司法書士の方を書いた方がいいという意味か。
(構成員) 多分、司法書士というのは例えば殺人事件などが起きて、途端に相続問題が生じて、土地建物の登記の移転とか、そういうことも御遺族の方は相談しなければならないということも生じるし、今、司法書士はリーガルサポートセンターという形で、成年後見のための社団法人をつくっていて、もし頭をなたで割られてしまって、痴呆症状に被害者がなってしまったなどというときは、その方の財産を管理するための成年後見人を選任しなければならない。そのときに司法書士がリーガルサポートセンターとして、成年後見人になるというような、現在そういう相談に乗る活動をしている。そういうことではないか。
(構成員) そうである。実は税理士という言葉がここにあるということが、いま一つ、どのような意味合いで入ったのかが私にはよく理解できない。被害者支援の現場では、司法書士との連携が被害者の方の回復のためにトータル的に関わっていただけるということで、職種としては、そちらの方が適切かと思ったが、書かれている以上は何か理由があるのではないか。
(構成員) ここは「支援のための連携に関する検討会」でこういう書き方になっているということではないのか。
(事務局) 実はここまで細かくは書かれていなくて、経済的支援も含めて、そのほかの法的な支援だとか精神的なケア、そういうものも含めて、トータルで連携ネットワークをつくろうということで、その中にいわゆるコーディネーター、アドバイザー的な人が必要であるという必要性を言っていて、社会福祉士だとかそういう言葉が別に出てきているわけではない。ただ、これは経済的支援なので、税理士は、税金の問題なども出てくるのでという感じで、一応入っていると思うが、もし、司法書士の方がより適切であるというのであれば、別にやぶさかではない。
(構成員) 私がここをこういうふうに書いたのは、向こうの支援の検討会の方が大体こういう流れできていると聞いていたので、さらっと書いただけである。ただ、現場でごらんになって、税理士を入れるのであれば司法書士を入れてくれというようなお話があれば、それはそれでまた検討させていただく。
(構成員) その方が適切と思う。
(構成員) わかった。
 御指摘をいただいた部分は入っているはずであるが、ほかの部分はよろしいか。
(構成員) はい。
(構成員) 今の点だけであるか。
(構成員) そうである。
(構成員) わかった。
(構成員) 文章の訂正ということではないけれども、ここでこういうことを書いて提案するわけであるが、アドバイザーを養成するのはどこが責任を持つのかという問題があって、このように社会福祉士の関係する問題になると、今までのように、全国ネットワークとか、あるいは警察庁の方でのいろいろ助力を得て検証するというような、そういうだけでは足りないわけで、当然厚労省とか、もしそれを制度化するのであれば文科省とか、ほかの関係省庁の方にも協力をしていただかないと、ちゃんとしたアドバイザーの養成ができないのではないかと思うけれども、その辺はどうか。文章に書く書かないは全然関係ない。
(事務局) よろしいか。今の構成員の御指摘について、連携の検討会において、コーディネーターも含めて、民間の支援団体の支援に当たる人の研修をやろう、研修は民間団体、今、念頭に置いているのは全国ネットワークにやっていただこう。そのカリキュラム、どういうコーディネーターについて、どういう研修プログラムを組むかについては、事務局において、関係省庁の協力を得ながらモデルを示すということになっていて、御指摘のような各省庁挙げてのきちんとしたコーディネーター、アドバイザーが養成できるような仕組みにする提言に現在のところなっているので、よろしくお願いしたい。
(構成員) アドバイザー制度の件について、ほかによろしいか。
 今、構成員から御指摘のあった点は、御意見も斟酌して、最終的な御了解の得る案にしていきたい。
 それでは、次に進み、「(2) 認定機関、不服申立機関」の検討に入る。事務局から当該部分の読み上げをお願いする。
(事務局) 「(2) 認定機関、不服申立機関」。
 「認定機関、不服申立機関は現行通りとするが、どのような場合に給付金が支給されるか、その認定はどのようになされるか、どのような場合に不服申し立てができるか等制度の内容が一般に十分周知されていないきらいもあるので、犯罪被害者等に対してだけでなく、広く一般の国民に対しても、制度に関する積極的な広報に努めるとともに、認定機関・不服申立機関における公平性・中立性の確保に一層努めていくべきである」。
(構成員) ここの部分の表現について、各構成員から格別な御意見はこれまで頂戴していないが、この席上で何か御意見があればお願いする。よろしいか。
(「はい」と声あり)
(構成員) それでは、次に進みたい。「(4) 経済的支援制度に関する法形式」の検討に入る。たたき台でお示ししている案を、事務局から読み上げていただく。
(事務局) 「(4) 経済的支援制度に関する法形式」。
 「新たな経済的支援制度の全容が明らかになった時点で、現行の犯罪被害者等給付金支給法の改正でいくのか、新規立法を行うのかを検討する」。
(構成員) この部分について、格別な御意見をいただいているわけではない。いただいていないのは、この問題について、私の方からとにかく全体を1回よく検討してから討議すべき問題であろうということを言っていて、先延ばしをするように、私の方で仕向けているので、御意見が出ていないのだろうとも思う。
ただ、今回が終わると、次回までには最終案を詰めるので、大体今までの御議論で、法律になる形ができてくるわけであるけれども、今までの大体の御議論、御意見で固まってきた内容によると、結局のところ、現行のいわゆる犯給法の改正、その延長線上でいくということについては、おおむねそういう了解で議論が進んでいる。
私のその認識について、御意見があればお伺いするのと、先般来、若干ずつ出ているのは、延長線上あるいは改正でいくにしても、表題を何とかしたらどうかというような御意見を何回かお聞きしているので、そういう御意見が本日も出ると思うが、名称が今の犯給法は長いというか、わかりにくいというか、ピンとこないところがあるという御意見であれば、どういう表題にしたらよろしいかという点を含めて、御意見をお伺いできたらと思う。どなたからでもよろしくお願いする。
 現行法のタイトルは、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律である。もうちょっと長かったのではないか。
(事務局) そんなことはない。
(構成員) 昔からこれか。
(事務局) 昔は犯罪被害者等給付金支給法というものであった。
(構成員) 今の法律は、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律になっている。したがって、これが全部でき上がった段階で、この表題でいいのかどうかということについては、御意見をいただきたい。この席でも結構であるが、次回までには大体ある程度固めていきたい。何か御意見があれば、お願いする。
(構成員) 前にこの検討会の中で、構成員から問題提起された法律の名前を犯罪被害者等保障法というか、趣旨に合った国民にわかりやすい名前にすべきだというのは私も賛成で、今回の提言の趣旨からすると、自動車損害賠償保障法の政府保障事業並みにというのが入っているので、もしその保障という文字を「保つ」に「障」と書くのであれば、それはそれでもいいとは思うけれども、そういう形にすれば、趣旨に合うのではないか。
それとこれは立法形式のことなので、余りここでぐちゃぐちゃ言うべきことではないと思うので、参考であるが、私が平成13年の改正のときに、ちょうど参議院の審議に呼ばれて、意見を述べろということで述べさせていただいたことがあるけれども、そのときに、突然この犯給法の23条の例の早期援助団体の条文が挿入されたわけである。22条、23条が挿入されて、ちょっと奇異に感じた。本来は経済的な保障の制度の法律の中に、支援団体の指定の条項が入っているので、本当は法を整備するとしたら、その辺を別立てのものにした方がすっきりするのではないか。そうすれば、犯罪被害者等保障法という名称の法律にして、その部分はまた別の形の法律にするということも、どうせ検討するなら、すっきりさせた方がいいのではないかというのが私の感想である。
(構成員) 構成員、いかがか。
(構成員) 全然考えてきていなかった。
(構成員) 先ほど構成員がおっしゃったように、余りここで大議論をする話ではないと思うが、ただ、私どもの討論の結果を1つの法律の形で表す場合には、今の表題の中でやっていけばいいのか、今、構成員からお話があったように、ちょっと奇異だという点だけは、御意見として受け止めておいた方がいいのかなと思う。
(構成員) 私はそこら辺は構成員とは少し違うけれども、改正犯給法の中に23条が入ったということは、経済的なものと直接関係がないという御意見だったかと思うけれども、犯罪被害者等早期援助団体ができて、被害直後から被害者の方に関わることによって、被害者の方が例えば仕事が続けられなくなってしまった状況であっても、支援者が早期から介入することによって、仕事を続けることができた。あるいは半公的な支援センターとしては、当然、弁護士とは違うので、詳しい情報提供はできないけれども、一般的な情報提供をする。それによって、社会復帰、社会生活を続けることができたということは、実際の支援の現場ではたくさんあるので、早期援助団体というものは、犯罪被害者が回復をしていくときに、実際の金銭面ではありませんけれども、その他の面で被害回復にはとても大きく役立っているものと思うので、私はすごく意義のあることだと日ごろから感じている。
(構成員) 今は給付金ということなので、やはり23条が入るとちょっと趣旨が違ってくるのかなと思う。だから、この名前はやはり変えた方がいいと思う。お金だけではなくて、早期援助団体になったら、今度は支援法的な要素も入ってきたということであるから、やはりこの法律の名前は変えた方がいい。今回の経済的支援のことでいろいろ盛り込まれるとしたら、やはり別の名前にした方がいいのではないかと私は思う。
(構成員) わかった。一応、構成員の御意見を聞いておく。
(構成員) 今いろんな御意見をいただいたので、今後また立法作業をするに当たって、参考にさせていただきたいと思う。
(構成員) この辺は全部の議論が終わった段階で、どういう表現にしておけば一番当検討会のとりまとめ案としてふさわしいのかということを決めて、お諮りしたいと思う。余り時間をとって御議論するほどのことでもない。何かあるか。
(構成員) 私も名称そのものについては、今の法律はすごく長いので、もう少し短くて、国民一般にわかりやすいようなものがよいのではないかと感じている。
(構成員) 割と短いことは短い。もっと長い法律は幾らでもある。ただ、構成員のおっしゃるのは、給付金というのはちょっとという意味であるな。その辺も踏まえて、長さはこのぐらいであれば長くもない。ただ、言葉遣いで、余り長くない文章の中に「等」というのが二度も出てくるし、確かに給付金というのは、どんなものかという御意見を踏まえて、その辺は最終的に検討してお諮りをしたいと思う。
特に今、この問題について、御発言いただくことはあるか。
(構成員) 形式的なことについての御質問であるが、ここの項目を見ると「新規立法を行うのかを検討する」という語尾になっているが、ほかの項目は大体提言のところは検討すべきであるとか、考慮すべきであるというふうに「べきである」と結んであって、ここだけ「する」となっているので、どういうことかなと思った。これは中間とりまとめの段階ではこうであるけれども、最終とりまとめまでの間に、更にここで検討するという意味でよろしいか。
(構成員) それでよろしいか。
(事務局) はい。
(構成員) 要するに、このまま最後までいくというのではなくて、今おっしゃったようなことは、ある程度コンセンサスが得られるのではあればそういうことで、例えば中身はともかくとして、名称はこうすべきであるというようなことになる。ただ、それは余り書かない方がいいのではないかという御議論になれば、ここはむしろ。
(構成員) わかった。
(構成員) ほかはよろしいか。それでは、ここの部分はこの程度にとどめておく。
 次は「4 経済的支援の対象について」の検討に入る。事務局から、当該部分の読み上げをお願いする。
(事務局) 「4 経済的支援の対象について」。
 「基本的には現行の犯罪被害給付制度の対象を維持すべきであり、過失犯ないし財産犯の被害者等や日本に住所を有する外国人以外の外国人をその対象とすることは困難である。
 ただし、過失犯ないし海外で身体犯被害を受けた日本国籍を有する被害者等に関しては、個別の事情に照らし、何らかの救済を行わないと基本法の趣旨を全うできないと思われる特別の理由がある場合、前記基金による対応を考慮すべきである」。
(構成員) この部分について、御意見のある方は御発言をお願いする。この点は、構成員いかがか。何か御意見あるか。
(構成員) 特に海外については、私は何度か御意見を申し上げたが、構成員の方でそういう趣旨を汲んでこういう形で入れていただいているので、是非実のある基金で、そういう救済ができることを願っている。
また、今回そういう意味では、過去に余り議論がなかったが、過失犯についても入っているわけであるけれども、これも被害者にとっては、限りなく故意犯に近いというケースもあるので、むしろ同様にこういう形で基金で例外的な基本法の趣旨を全うすべく対象としていくことは、私はより望ましいことだと思っている。
(構成員) わかった。こういう処理にさせていただいた。ただ、過失犯については、もっと詳しく言うと、過失犯の中で相当多くの部分を占めるのは、道路交通関係のもので、その中に自賠責に入ってこないようなものがある。そういうものは、もし公的な自賠責の範囲から抜け落ちてきているようなものが仮にあるのであれば、例えば自転車などの場合、そういうものは自賠責の改正でやっていただくというのがまず1つの筋だろう。
それから、それ以外の過失犯というと、大体労災で救済ができるとか、いろんなものがあり、本当の意味でここの基金に入ってくる場合というのは、かなり限定的なものであろう。ただ、労災でも拾えないし、自賠責にも入ってこないような、また自賠責が幾ら範囲を広げてもできないというような場合は、やはり基金で救済をしていくということであろう。ここのところはそういうニュアンスのある言葉であるが、いずれにしても、個別の事情に照らして、ほかの公的な救済措置が何もない。しかし、何らかの救済を行わないと、基本法の趣旨というのが全うできないような事情がある場合、そういう特別な理由がある場合には基金でやっていく。基金というのは、そういう性格のものとしてつくっていくということである。
最終的にはそこでこの経済的支援の対象として、救済をするという措置の取れる仕組みというのはつくっておくべきではないかということである。
この点について、ほかのどなたか御発言ごあるか。大体こんな表現でよろしいか。
(「はい」と声あり)
(構成員) それでは、4のところについては、大体このような表現ぶりでまいりたい。
 次に進む。「5 テロ事件の被害者等に対する特例的措置について」の項である。たたき台でお示ししている案を事務局から読み上げていただく。
(事務局) 「5 テロ事件の被害者等に対する特例的措置について」。
 「対象となるテロ事件の定義付けは困難である上、テロ事件の態様は様々であるから、一般の犯罪被害者等とは別に特別の救済策をとることをあらかじめ包括的に定めておくことは困難である。
 ただし、国家または社会に対するテロ行為により無差別大量の死傷者が生じた場合には、国は、迅速に、当該テロ事件を指定して特別措置法を制定するなどにより、当該テロ事件に対する国の対処方針を決定し、そのなかで、被害者等に対する医療、カウンセリング等の早期支援の実施を定めるとともに、社会の連帯共助の精神に基づく『基金』を設置するなどにより、事案に即した被害者等の経済的救済を図る措置を明確に示すべきである」。
(構成員) という表現である。当然のことながら、ここに出てくる基金というのは、今まで出てきた基金とは違う性質である。特別に個別事案について設置を決めるのであれば決める。そういう基金である。何か御意見あれば、お願いする。
 構成員何かあるか。大体このような形でよろしいか。
(構成員) 結構である。
(構成員) ほかに何かあるか。よろしいか。
 それでは、大体当検討会で本来検討しなければならない事項について、一当たり終わったので、「6 併せて検討することとされているものについて」の検討に入りたい。実はこの部分は、余り今まで討論をしていなかったものだから、いろんな御意見があると思うので、よろしくお願いしたい。
 それでは、6の「(1) 損害賠償債務の国による立替払及び求償の是非」という項目について、ここに書いていることを読み上げていただきたい。
(事務局) 「(1) 損害賠償債務の国による立替払及び求償の是非」。
 「そもそも加害者に資力がなく、犯罪被害者等が、事実上損害賠償を受けられず、何らの救済も受けられないでいる実情にかんがみ、社会的な連帯共助の精神から、国が給付金を支給する制度が創設されたものであり、実質的な面から見ても、従来の求償実績に照らし、求償権行使については実効性の担保が期待できず、給付制度と異ならないから、結局、本項の問題については1~5までで行った給付制度の検討に帰着するものと考えられる」。
(構成員) 御意見があれば、お願いする。前回お示ししてから、この部分について、特段の追加的な御意見はなかった。この席で何か御意見があれば、お願いする。ここはよろしいか。
(「はい」と声あり)
(構成員) ここの部分は、この案をお示しして以降、格別な御意見がないところであるので、この席上で御発言がないようであれば、次に移りたい。
 次に進む。「(2) 公費による弁護士選任、国による損害賠償費用の補償等の是非」についての検討に入る。たたき台でお示しをしている案を、事務局から読み上げていただく。
(事務局) 「(2) 公費による弁護士選任、国による損害賠償費用の補償等の是非」。
 「(2) 公費による弁護士選任(被害直後から)、損害賠償費用の補償
 民事の面については、裁判における弁護士費用、損害賠償費用とも、それが相当なものである限りは基本的に敗訴者(加害者)側が負担すべきであり、これを国が補填することは適当でない。
 また、日本司法支援センターにおいては、資力の乏しい犯罪被害者等に対しては、民事法律扶助事業により、無料の法律相談や加害者に対する損害賠償請求に当たっての弁護士費用の立替え等の支援を行っている。
 刑事の面については、警察・検察において、犯罪被害者等の質問・相談に適切に応ずることができるよう、より一層配意すべきである。
 また、(財)法律扶助協会(平成19年3月31日解散)が行っていた、犯罪被害者等に対する刑事事件に関する法律相談、証人尋問への付添い等の援助事業(犯罪被害者等法律援助事業)など、民事法律扶助事業の対象とならない者や手続に関する事業(自主事業)について、日本弁護士連合会がこれら事業の実施主体となった上、総合法律支援法に基づき、これを日本司法支援センターに委託することとされたところである。
 なお、相談・紹介に関しては、『支援のための連携に関する検討会』において、日本司法支援センターや民間被害者支援団体等の連携強化のための施策も検討されている」。
 「(2) 新たな制度導入に伴う公費による弁護士選任(公的弁護人制度)
 『犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度』、『損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度』に関連した法案が国会に提出されている。
 ・『犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度』に伴う公費による弁護士選任については、関連法案の国会審議状況等を注視しつつ、制度導入に向けて検討を行うべきである。
 ・『損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度』に伴う公費による弁護士選任については、(2)同様、基本的に民事に係る問題であり、法律扶助の枠組みの中で対応すべきである」。
(構成員) この項目に関しては、何人かの方々から事前に御意見が出ている。それぞれの方々から御発言をこの席でいただきたい。
 まず構成員からお願いする。
(構成員) この文章を検討させていただいたが、いろいろ不正確な表現も感じられて、部分的にここをこういうふうにとやると、ごちゃごちゃになってわかりづらくなってしまうので、構成員には大変申し訳ないが、ずばりわかりやすくした方がいいのではないかと思って、余分なことは書かずに、現在、犯罪被害者が利用できる制度をまず挙げて、そして、どこが足りないのかということを指摘して、それに対する国の対策を考えていただくという文章にしたものである。
2ページに意見として出させていただいたとおりである。御案内のように、旧民事法律扶助法に基づく法律扶助は、現在、法テラスの方で扱っている。これは犯罪被害者特有の制度ではなく、民事一般に関わる司法福祉的な制度であって、それをたまたま損害賠償請求の場合に犯罪被害者も使える。これは訴訟だけでなく、調停でも使えるが、ほかの形での加害者との対話とか、あるいは刑事和解などのときには、非常に使い勝手が悪い。刑事和解の場合には、使えないかもしれないものである。
犯罪被害者等の法律援助事業は、もともとなかったものであるが、国による犯罪被害者の支援の弁護士制度ができるまでの間、一時的なものとして苦肉の策で法律扶助協会が自主的に考え出したものである。これに日本財団から援助をいただき、それが全国に広がったというもので、やっているところもやっていないところもあるというのが実情である。したがって、犯罪被害者特有の援助制度としては、犯罪被害者等法律援助事業になる。それが、正直な話、日本財団の方もいつまでやればいいのかという問題もあって、やはりここのところをきちっと国の方で手当をしていただきたい。
例えば構成員の案だと、民事、刑事と分けてあるが、刑事和解などはどういうふうになっているかというと、実際上、和解の部分は民事訴訟法が適用されている。それで、国選弁護人が刑事和解をやるとなると、わざわざ民事の代理人委任状を裁判所に提出しないと刑事和解ができない。そういうように、民事、刑事と分けてしまうと、実は民事の方に刑事和解は入るようなものである。だから、表現の仕方として、そういうふうに分けない方がいいのではないか。やはり犯罪被害者援助のための特有の弁護士業務といいますか、そういうことで、犯罪被害者法律援助事業はこうだ、援助事業の対象になるものはこうだ。これについては、国の方で経済的な手当をしていただければ、犯罪被害者は自由に使えることができる。使い方も個々の項目を選択しながら、被害者の方がこの項目とこの項目を弁護士にお願いしたいということもできるし、1セットで全部最初から最後までお願いしたいというやり方もできるようになっている。であるので、それが被害者の方にとっては、非常に重要な制度だと思うので、国の補助金にしていただきたい。
ただ、(2)の公的弁護人制度と違い、あくまでも扶助の形をとることにしておいて、法テラスの方でこれを本来業務というふうに総合法律支援法を改正していただいて、そこへ国の費用を出していただければ、ややこしい問題は生じないので、かねてより日弁連の、この間ここで説明をした犯罪被害者支援委員会の方も、そういう案を立てて、国の方にずっとお願いをしてきている。そういうことであるから、このように表現させていたただいたが、それは総合法律支援法の改正にも関わることで、ここであれこれと差し出がましく言うことも、断定的に表現することは憚られると思ったので、それを検討してほしいという形の表現にしてある。
(構成員) わかった。今の構成員の意見について、議論をしていきたいと思うが、刑事和解は結局のところ民事だという点、結局、民事のことになる部分が非常に多いというのはわかるが、私の頭の中ではやはり民事は民事である。刑事の部分もどうしても残る。その部分については、特に検察官が被害者に対してはいろいろとアドバイスをするのが、一応の建前だろうと思う。その部分は書く必要はないのか。
(構成員) 刑事和解については、検察官はタッチしない。
(構成員) 私が言うのは、被害者がいろいろ直面する場合は、刑事事件の部分について、弁護士に頼む場合もあるかもしれないが、その前に検察官によっていろいろアドバイスをいただくという場面もあるのではないかという趣旨で、ここに「刑事の面については、警察・検察において、犯罪被害者等の質問・相談に適切に応ずることができるよう、より一層配意すべきである」ということで、きちっとできるようにすべきであるという1項目が入っているが、これは要らないということか。
(構成員) 私は警察とか検察庁の方で懇切丁寧に相談に乗っていただくということ自体をここに記載していただくことは、別に異論はないが、ここの表題は弁護士選任の表題になっているので、まず弁護士選任の問題については、きちっとさせておかないといけないもので、検察庁や警察の方でいろいろ相談に乗っていただいたり、アドバイスをしていただく問題、それはそれとして記載していただくことは何ら不都合はないけれども、何で弁護士が必要なんだということは、きちっとしておかないといけないものだから、そこの部分は明確にしたいということである。
(構成員) わかった。
(構成員) 被害者によっては、警察に相談したくないという被害者もいるので、そういう部分では、勿論、私などもそうだったけれども、弁護士が一番身近に感じられたというケースもあるので、そういう面で弁護士にお願いしたいということがあるので、ここはきちんと弁護士もということで規定していただきたい。
(構成員) 構成員から御意見が出ているが、その部分について、関連するので、御説明いただけるか。構成員の資料5の(2)の(1)、(2)についてである。
(構成員) 民事のことは弁護士に相談して民事訴訟を起こすわけであるけれども、それで被害回復するためには、加害者からということが一番当然なわけで、その前提となる裁判を起こす費用ですら、やはり大変なわけである。だから、その費用を国に補償してほしいということである。そういうことが書いてある。
 あと、今の法律扶助と法律援助事業、そこら辺はまだはっきりしていないところがあるということで、私は実際に日本司法支援センターなどと関わっているわけではないので、どういうことか実際に体験として言えるわけではないが、聞いたところによると、司法支援センターが何をどこまでできるのかということは、この検討会の推移を見守っていることがあると伺っているので、そこら辺はこちらからはっきり、どこまでをやると提言した方がいいのではないかと思う。それでこういうふうに書いたわけで、そこら辺の不明なところを、こういうふうにきちんと言った方がいいのではないかと思っている。
 それから、最後の部分で、基本的に民事法律扶助の枠組みの中で対応すべきなわけであるが、それによって、どういう点が対象になるかならないかというような基準がまだ不明だということもあるわけであるけれども、例えば被害前の資産があるから対象にならないというようなこともあり得るのではないかというようなこともあって、そこら辺も検討して、はっきりさせた方がいいのではないかと書き入れた。
 趣旨としては、構成員の御意見とほぼ同じということである。
(構成員) 同じというふうに理解してよろしいな。
(構成員) はい。
(構成員) わかった。今の点について、構成員からコメントをいただけるか。
(構成員) いろいろなところに話題が及んでいるので、要領よく御説明ができるかわからないが、まず構成員の方から言われた弁護士費用を国が保障するという問題については、もともとのたたき台に記載されているように、裁判における弁護士費用というものが基本的に敗訴者側の負担になっているということであって、その上で国がそれを保障するというのは、損害賠償を一部国が立て替え払いをするのと、結果としては同じ効果を生むものであり、そのこと自体はやはり上の項目にある損害賠償費用の立て替えと同様に、本来的には経済的支援、経済的給付をどの範囲でするかということとの関連で検討されるべき問題に帰着するのではないかと考えられるところである。
 日本財団が拠出して、これまで法律扶助協会が行い、今般、日本司法支援センターが行う犯罪被害者のための事業であるが、構成員の御意見の中に、今後の継続が不明といった記載もあったが、私どもの理解としては、現段階において、日本財団が日弁連に対して助成金を出すということで、確定をしており、平成19年10月以降も事業の継続は確保されているという理解なので、その点はそのような前提でお考えいただければよいのではないかということである。
 構成員のお話は、かなり大きなお話であるけれども、結局、現在、民事法律扶助があり、勿論、捜査機関、警察、検察による被害者への対応というものがあり、更には今の日本財団からの拠出による事業というものがあるわけで、更にそれを超えて、特に国の負担によって、いろいろな弁護士の法律事務の提供について、国がお金を拠出することをどう考えるかという問題だと思う。民事は民事で法律扶助という枠組みが一方であり、その他の部分については、勿論、弁護士が支援すべき分野があることは事実だろうと思うし、それが被害者にとって貴重な援助になることも事実だろうと思うが、それを今の事業を超えて、国が負担してやるとなると、税金でもって、そういったいろいろなサービスを給付することになるので、具体的に何をどこまでやるのかという中身を詰める必要があるし、今回のこの検討会におけるもともとのテーマである経済的支援全体との兼ね合いで、何をどこまで国のお金で負担するのかという全体の位置づけの中で、財源も含めて考える必要がある。そういう性質の問題だろうと思っている。
その上で、特に被害の直後、捜査段階で具体的に国がお金を拠出して、弁護士のサービスを提供することができるかという問題になると、それはもともと金銭給付も同様であるが、被害者をどういう手続で認定して、それに対してどういう範囲で何を給付するかということになるので、迅速に確定できるかどうかという問題もあるわけであり、実際に国の負担で迅速な対応をとるのは、そう容易ではないということをまず考える必要があると思う。
そういう意味で、日本財団の資金で迅速に対応しているのは、国の財源でないからこそ、そういう対応が柔軟にできるわけで、今回の検討会の中で、基金の構想があるのと同様の位置づけになるのではないかという感じがしている。
(構成員) 構成員の御意見の中で、司法支援センターに委託を行い実施予定の犯罪被害者等法律援助事業というのは、国の財源によるものでないために、極めて脆弱であるという、この辺の御認識は構成員はどうか。
(構成員) そこは、政府が直接タッチしてやっているところではない部分になるので、それが多いとか少ないとかというのは、なかなかコメントしづらい。それが被害者の方々から見て、十分な資金が充てられているとは見えないということもあるかと思うが、逆に先ほど申し上げたように、それが国費という形になると、それこそまずお金を出して、あとで被害者でなかった場合には回収するのかとか、そういう問題が結局出てきてしまうという問題があることも御理解いただければと思う。
(構成員) 実際に現場のお仕事をしていて、この辺のところは何か問題意識を持つことはあるか。
(構成員) 実際に資力のある方であれば、弁護士を雇って刑事裁判にも一緒に傍聴していただくなどという方法をとることができるが、多くの被害者の方は被害に遭ったことによって、例えば仕事も失う、住む場所も失う。そういう中で、自ら弁護士を探して相談することは、到底不可能なことである。そして、勿論、警察、検察官、そういう方たちとのコミュニケーションを取りながらということはわかっているけれども、現実問題には、忙しい職種の方なので、十分に被害者の話を聞いて、コミュニケーションを取って、被害者の人が納得できるような情報提供を受けるということは、なかなか難しいことでもある。
  被害者自身が法的な言葉もわからないから、皆さんこうおっしゃる。「何か聞かれたけれども、意味もわからなかったから、どう答えればいいのかもわからないので、わかったふりをしてしまった。あれはどういうことだったんだろうか」というような質問はよく、被害者支援センターの方にも来る。
  ですから、できれば被害者の方も、間違いなく被害者であると認定された時点からでも構わないので、公的に相談できる弁護士という制度は、やはり必要だと考えている。
(構成員)  この問題は、制度設計の問題と今ある仕組みをどう動かしていくか、よりよく動かすにはどうしたらいいのか。この2つは分けて考えないといかないところはあると思うが、今ここで我々が議論するのは、主として制度設計の問題だと思う。
  その観点から見て、構成員に質問であるが、民事法律扶助というのが今ある。それと犯罪被害者等法律援助事業とが若干格差があるというのはお感じになっているであろうけれども、民事法律扶助という仕組みをうまくやっていけば、その面に関してはいいということでよろしいか。
(構成員)  それは、あくまで損害賠償の請求事件に限っている。しかし、被害者の方々が犯罪被害者支援センターなどを通じて、我々被害者支援弁護士の方に相談に来られるのは、もう事件の最初のマスコミ対応から検察官との打ち合わせ、あるいは警察官との打ち合わせ、法廷傍聴、記録の閲覧、そういうことで全部、検察官のお話を聞くだけでは、本人がわからない、だから、一緒に検察庁に付いていって、検察官のお話を聞いて、それを咀嚼して本人に説明して、では次の意見陳述はどうするかということまで、アドバイスも全部して、そして場合によれば裁判所とも交渉して、傍聴席がこうだから、被害者を守るために悪いけれどもこういう形で特別室を設けてくれないかとか、通路はこういうふうに使わせてくれないかとか、証人に出るときには、被害者の方につい立てを設けてくれないかとか、そういうことまで全部弁護士が裁判長と交渉したり、加害者側の弁護士と交渉したりして、実際は全部やっている。現在はほとんど無料でやっている
  そういう細かいことまで全部法律扶助でどうのこうのというわけにはいかないし、また法律援助事業の申請というものも、正直な話、もう面倒くさいからいいや、ただでやってしまおうとなってしまうわけである。
  であるので、実際には統計に表れている数字よりもはるかに多くの数字の被害者の方の援助をやっている。
  説明するのに、ここで何と何と何の法律事務であるというわけにはいかない、非常に微妙な被害者の方のいろんな需要に応じて実はやっている。それも、犯罪被害者支援センターのボランティアの方と、県警の被害者対策室の方と、我々弁護士が一緒になって、そして場合によれば検察官とも連絡を取りながら、ずっと進めている。
  それを細かく全部説明すると、すごく細かいことになってしまうから、構成員がおっしゃっていたように、もし国の補助として検討するのであれば、一体どの範囲を、どういう形でターゲットにするのかというのは、勿論検討していただく必要があると思うが、少なくとも検討は始めてもらいたいということである。
(構成員)  わかった。いろいろと現場におけるニーズがあるというのはわかるが、大本のところで、この私のたたき台の一番最初の3行で書いてあるが、民事の面について裁判における弁護士費用、損害賠償費用とも、それは基本的には加害者が負担すべきものであって、国が負担すべきものではない。国が補填すべきものではないというのは、ちょっと動かせないのではないか。その後のいろんな制度運用というのは、別の面であるというのは、今いろいろ御説明があってわかるが、ここのところの基本認識は、当検討会としてあるべきではないかと思う。
  この点は、いかがか。国が代わりに、公費によって弁護士を選任する。弁護士費用を公的に見るということ自体は、ちょっと無理なんではないかという点は、いかがか。そこの点があいまいであると、何かわかりにくくなることがあると思う。
(構成員)  そもそも犯罪が起きたときに、加害者に権利があって被害者に権利がないということがあり、これがもう根本的に被害者の権利のなさだというふうに私は思っている。
(構成員)  しかし、この弁護士費用等を含め、裁判の段階、あるいは裁判の準備段階において生じてくる費用というのは、仕組みの上で、とにかく大原則として加害者が持たないといけない。したがって、被害者の権利というのは加害者に請求する権利であるというところは、動かせないのではないかということである。被害者の権利がないということではなくて、本来加害者が持つものをなぜ国が持っていくかということについて、今の日本の法律では、どこの国でもそうだと思うが、法律的な理屈立てができないのではないかと思うが、その点はいかがか。
(構成員)  ほかの国がどうなっているのかということを知りたいのと、語句の基本的な使い方で申し訳ないけれども、損害賠償費用ではなくて訴訟費用ではないか。訴訟費用と弁護士費用だと思う。
(構成員)  そういうことである。ほかの国のことというのは。
(構成員)  例えばイタリアなどは、弁護士費用の無料に関する法律が独自にできていて、そして犯罪被害者の場合、加害者側も全部一緒の条文になっているけれども、生活が苦しくて弁護士を選任できないようなものについては、民事の請求も含めて全部、その法律によれば大体年間収入が九千何ユーロと、そういう法律ができている国もある。
  それはもう捜査段階からいろんな弁護士を頼んでやる場合も全部出るようになっている。
(構成員)  勿論、そういうふうに出るようになるが、それは結局のところ日本でもそうであるように、支援センターであるとか、そういうところを経由していくような話になるのではないか。
(構成員)  イタリアの場合は、条文そのものは支援センターとかは書いていないので、国の費用で弁護士を付けることができるという条文になっている。
  ただ、今のところは、確かに損害賠償請求と一般論で言えば、弁護士費用は加害者側の負担にというのは、それは一応判例が確定して、不法行為の場合に弁護士費用が損害賠償金の一部として加害者側に負担させるという形で裁判所は認めている。
  だから、その意味で言えば加害者が負担するということは間違いではないと思うけれども、ただ、構成員が言うように、犯罪被害の場合、加害者側は刑務所に入ってしまうから、そういっても支払い能力がない。だから、損害賠償という位置づけで見るのであれば、同様に今言った本検討会は経済的支援の検討会であるので、言わば損害賠償で加害者が負担できない部分を国がいかに保障するかということをここでやっているわけである。
  その一部である弁護士費用の部分も同様に犯罪被害者に特有の問題として、弁護士費用を見るべきではないかということなので、いきなりここで国が補填することは適当ではないということをぼんと大上段に書いてしまうと、それは何かおかしなものになってしまって、あくまで一般論になってしまうわけである。
(構成員)  一般論を書いたわけである。つまりそこのところをある程度はっきりさせたいという気持ちを私は持っている。それを踏まえた上で、今でもいろいろな民事法律扶助とかあるわけである。民事法律扶助には、一定額の国庫補助もある。そういう形で公的な扶助をやって、日本の仕組みはそういう形でできているから、その範囲内でその内容を実施するということはあるのかもしれないけれども、仕組みとしてはそういう形しか取れないのではないかというのが、私の認識である。だから、ここに冒頭ぼんと適当でないというのは、ややきつい言い方であるけれども、むしろこの辺をあいまいにしておくと、いろいろと後で差し支えが出てきてもいけないという気持ちもあったので書いているわけである。
  その点についての御意見は承るが、とにかく加害者負担というのが原則であって、国が直にそれを補填していく制度ではなくて、日本の場合は司法支援センターとかいろんな仕組みができているので、そういうところを通じていろいろやっていく。あるいは刑事については、検察官とか警察官が一定の法律アドバイスもするという、これは1つの仕組みとしてあるわけであるから、それをもっと適切に行っていくという仕組みでやる。その中で、勿論、構成員のおっしゃったような点は、むしろ構成員の意見はその範囲内でやることをやれと書いてあるように理解している。つまり大前提を変えろという御意見ではないと理解している。
(構成員)  もし大前提をどうしてもということであるなら、やはり構成員が修正意見で出されているように、こういうことで犯罪被害者の場合、賠償を取れないことが多いんだということを、次の段落に挿入していただいた方がいい気もする。
(構成員)  構成員のような書き方をずっとしていくと、割とすんなり読めると思う。非常に脆弱であるとかというのを、そのまま書くかどうかは問題はある。あるいは法律を変えろということまで言うのかということはあるが、全体の流れとしてはそれでもいいと思う。どう書くかは別として、少なくとも当検討会としては、そこは難しいだろうということから出発しないといけないのではないかと思う。
(構成員)  先ほどの構成員からの回答の部分で確認させていただきたいけれども、過去に法律扶助協会で行われていたものが、今、犯罪被害者等法律援助事業で行われている。これが平成19年10月以降に日本司法支援センターの方に移行するということで、それはそのまま移行するというふうに私は今、聞いたと思うが、つまり過去にさかのぼれば、法律扶助協会で行われていた被害者のサービスがそのまま日本司法支援センターの方に移るということである。そうすると、その後に構成員への回答の中で、そのサービスに関する財源の問題で、日本財団のものから国のものに移ったならば、どこまでサービスができるかわからないというふうに私は受け取ったので、それはちょっと矛盾があるのではないかというふうに聞こえた。
(構成員)  私が申し上げたのは、今、構成員が言われたように、従来法律扶助協会の方で行われていたものについて、今後日弁連が事業主体になって、日本司法支援センターに委託するという形で、犯罪被害者支援事業が継続するということである。
  私がその後で構成員の意見について申し上げたのは、構成員の意見が継続される犯罪被害者等法律援助事業ではなくて、要するに国の負担でそれをやるべきだという御意見だとすれば、それはこれまでとは違う財源、これまでは日本財団の財源でやっていたものを、今後は税金でやるわけであるので、税金でどこまでできるのか、どこまでやることが相当なのかというのは、その時点で考える必要があるということを申し上げている。
  それは、経済的支援という枠組みの中からすれば、医療費をどうするのかとか、あるいはカウンセリングをどうするのかとか、そういう問題と同じレベルであって、どういうサービスに対して税金を使うのかという次元で考えるべきではないかということを申し上げた。
(構成員)  そうすると、今まで法律扶助協会でサービスが行われていたものは、やはり被害者が必要としていたもので助かっている。それが今度国の財源になったからということで制限されるのは、むしろこの検討会で後ろ向きになるのではないか。
(構成員)  結論的に制限するというふうに申し上げているのではないが、あくまでも税金でいろいろなサービスを提供するという枠組みになってくると、もともと今の犯給法の支給でも被害者の認定をして、その上で仮給付、本給付という形で、いずれにしても数か月かかって支給が行われているという実情の紹介があったが、国の税金を使ってやるとなると、同様の認定なり何なりの手続を経た上でサービスを提供することにならざるを得ないということだと思う。更には、具体的にサービスの中身としてどういう法律事務を賄ってもらうのが適当なのかというのは、一つひとつ税金の使い道という意味で議論をする必要があるのではないかということを申し上げている。
(構成員)  構成員に質問だが、日本財団というのは、ずっと継続するという意思表示はあるのか。
(構成員)  基本的には継続するというふうに理解している。
(構成員)  額はどうか。
(構成員)  基本的に継続すると理解している。
(構成員)  構成員の意見で言うと、どうもそういうことをやっていると脆弱なので国でやれということか。
(構成員)  それは、私が法テラスを設立するときの準備委員としてずっとかかわってきて、どの程度実施事業を、どういう形で存続させるかということは大問題で、現在ある法律扶助協会の財源を基本にしながら、何とか日本財団の助力を得て、少しでも長く継続しなければということで、苦肉の策で現在のような、日本司法支援センターに日弁連が委託するという形を取ったわけである。
  しかし、それはあくまで苦肉の策で、本来はもう日本司法支援センターの本来業務としてやっていただく。これは総合法律支援法ができる前から与党の方にお願いしていたことだが、どうしても急ぐということで現在のような法律になってしまったけれども、犯罪被害者に対する支援は、どうしても国の費用できちっとやっていただきたいというのが、本来の要望だったわけである。それで、改めてここで出させていただいた。それを現実化することになった場合には、構成員のおっしゃるように、いろんな細かいことを検討しなければならないとは思うが、基本の柱としてそういう方向を是非御検討いただきたい。
(構成員)  わかった。構成員の見解は、今、御発言があったとおり、公的扶助にした場合には、それなりに公費を使うものとして、どの程度のものができるかということは、別途検討すべきであるという筋論をおっしゃっているわけである。それはそのとおりだと思う。
(構成員)私も構成員と同じ考えである。今、日本財団がお金を出してくれているので、犯罪被害者への刑事手続に関するときの助言という形で、弁護士に付いていただくことができている。
  でも、これは日本財団も国が出すようになれば、やめるということをはっきりおっしゃっている。それがわかっているのであれば、やはり犯罪被害者への経済的手当を手厚くするということで、この文言の中にそれを積極的に検討するとか、それができるような制度設計をするというような文言を、是非入れていただければと思う。
(構成員)  わかった。そこのところは、やった後の結果がどうなのかという問題は後の話であるから、その前をどう書くかということは、今の御意見を踏まえてもう一回検討させていただきたいと思う。
  ただ、こだわるようであるけれども、それはあくまでこの民事法律扶助の内容、あるいは犯罪被害者等の法律援助事業の中身をどのようにしていくかという問題であって、そもそもさかのぼって加害者が負担すべきものを国がてん補していくという原則が揺ぐものではないという点は、もう一度確認をしたいと思う。
(構成員)  私も実態がよくわからないところもあるけれども、先ほどの原理的な、理論的なところでいうと、私は構成員の言われたことが、あくまで常識的なことであると思う。
  構成員の御説明も、我々の理解からすれば、非常に穏やかに言われながらも、原則をきちっと言っているように思うので、なかなかそれを崩すとなれば、相当大きな問題があると思う。
  ただ、今回の中間的なとりまとめでやるとすれば、現在の犯罪被害者の方に対する経済的支援のレベルが落ちるということでは、極めて望ましくないと思う。その点、よく将来の見通しを考えながら制度設計しておかないと、中間とりまとめをして、それでレベルが落ちるようなことでは、この検討会の意義そのものが問われると思いますので、その辺は事務局が注意深く制度設計をする必要があるんではないかという気がする。
(構成員)  わかった。ほかに御発言あるか。
(構成員)  それと、私の意見書でも指摘したが、損害賠償費用という言葉が、もし訴訟費用だということになると、これはまた別のことになってくる。それはまた民事訴訟費用法と民事訴訟法の訴訟救助の関係があり、現実に現在、国の方で救助を与えているので、適当でないとその中に入れてしまうと、それで私はもういっそのこと削除してと書いたが、検討しなければいけないのであれば、ここで申し上げるが。
(構成員)  先ほど構成員が言った、訴訟賠償費用か。
(事務局)  だから、訴訟費用なのである。訴訟を起こすための、まさに印紙代とかである。それがメインである。
(構成員)  もしそれを検討するのであれば、私は検討していただきたいと思っている。
(構成員)  それは、検討の対象にする。
(構成員)  いつも例に出しているけれども、A君の事件のときに、介護費用まで含めると億を超える損害賠償請求ということになってしまったわけである。そうすると、印紙代だけで九十万何円という印紙を張らなければならない。それで、私の方は訴訟救助を申し立てたけれども、お父さんとお母さんの収入があると訴訟救助の対象にならない。そういうことで、仕方がないので請求金額を半額、一部請求にして、そして印紙代もおよそ半額以下になるので、悪いけれどもこの分だけは訴訟救助にしてもらいたいという形で訴訟救助にしていただくということで何とかやっている。
  それなので、恐らくそういう経験はほかの被害者の方もたくさんしているのではないか。何十万円もの印紙代を払わなければならない。そういうことがあるのではないかと思う。
  A君の場合は、その裁判を起こすまでの間に、医療関係費で使われたお金はもう1,000 万円を超えていた。だから、お父さんたちやお母さんたちの収入があったとしても、入院代とか出費するお金も大変な状態にあるので、何とか救助してもらいたいと裁判官にお願いして救助してもらったわけである。
  それなので、できれば本当は収入要件をかなり緩和するか、あるいは収入要件を外した形で、犯罪被害の場合には印紙代は救助するというようなことも本当は考えていただきたい。
(構成員)  そうである。この損害賠償費用というのは、損害賠償に関する訴訟費用という意味である。だから、当然印紙代やその他の訴訟費用を指す。
(構成員)  ついでに説明すると、こういうシステムである。最初、印紙を貼る。それで裁判をやって、当然被害者側が勝つ。そうすると、裁判で訴訟費用は被告の負担とするという判決が出る。そうすると、すぐに被害者の方は相手から訴訟費用の印紙代40万円を取れるかというと取れない。
  どうするかというと、訴訟費用額確定決定の申立てというのを別にやる。それで印紙代が幾ら、証人の日当が幾ら、紙代が何枚で幾らということを全部計算して、書記官の方に申請して、決定が出て初めて、あなたに対しては幾ら幾らの訴訟費用を加害者から取ることができるという決定をもらうわけである。そんな面倒くさいことをやっている弁護士は、恐らく2万人いる弁護士の中でも数えるほどしかいないのではないかと思う。まして被害者がそんな面倒くさいことをやって、加害者から取るということは至難の技である。
  だから、そういうことも考えると、最初から印紙を貼らなくてもいいという制度を、是非とも考えていただきたい。
  今度、損害賠償命令を構成員でつくっていただいたのは、幸いにして2,000円の印紙を貼れば申立てができるので、そういう点では助かる被害者の方も相当大勢いらっしゃるんではないかと思う。
(構成員)  今の印紙代の点は、額はいろいろあるだろうけれども、これはいわゆる民事法律扶助で賄える、実際の問題と理屈と両方あると思うけれども、それは賄うべきものなのか。実際に賄っているのか。
(構成員)  基本的には民事法律扶助の中で賄っているということだろうと思う。
(構成員)  今の点は印紙代が出ているけれども、それは民事法律扶助の方に回せないのか。
(構成員)  今、言ったように、資力要件がある。だから、民事法律扶助の方も、A君のような場合は、資力要件をクリアーしてないので扶助は出ないと思う。  法律援助事業の方は資力要件があるけれども、非常に緩やかにやっているので、何とか、何百万円かの年収がある方についても出している。だけれども、民事法律扶助の方は厳格なので、かなり低い方でないとだめということである。
(構成員)  法律扶助の問題と訴訟救助の両方の援助があるんだろうと思う。ただ、どちらも現実にこういう場合にはうまく使えないことがあるということが起きている場合があるのかもしれない。しかし、訴訟費用という民事訴訟の基本にかかわる部分の話であるので、犯罪被害の場合の損害賠償請求は、特別に扱うことが果たしてできるのかという問題なんだろうと思う。
  その点に合理性があるのかどうかについて議論されるべきなんだろうと思うけれども、先ほど来申し上げているように、結局本来加害者が負担すべきお金を国が負担する、立て替えるという性質になるものであるので、結局損害賠償の立て替えと、問題を共通にする部分があると言わざるを得ないのではないか。
  そうだとすると、今回の給付のレベルをどの程度にするのかという議論の中で考えられるべき事柄という感じがしている。
(構成員)  その場合、先ほど構成員からあった印紙代を免除するような仕組みというのは、どうか。それは結局のところ、加害者が持つべきものを国が填補することになってしまうから、それは制度設計上難しいという御見解なのか。
(構成員)  だから、訴訟救助という手続とか、あるいは民事法律扶助という形で、一般的な制度としては行われているということだと思う。
(構成員)  訴訟費用の点がどこが違うかというと、民事扶助の場合、弁護士費用というのは弁護士に払うお金である。印紙代というのは、国に払うお金である。税金みたいなものである。登記するときに登記印紙を貼る。税金と同じようなものである。
  犯罪被害者の損害賠償の収入に対して、税制上優遇措置を取っている。人的被害による損害賠償については、所得税法上、税金を課さないという条文もできている。
  同じように、犯罪による被害によって民事損害賠償請求を起こす場合の印紙は貼らなくてもいいという制度は、税制上の優遇と同じように、国の制度としてそういう制度を設けることは別に不思議はないと思う。
  だから、そういう問題として考えられるのであれば、所得税法などと同じように、民事訴訟費用の方も一定程度優遇措置を取るということは可能だと思う。
(構成員)  税金と同じで考えられるかというのは、問題があると思う。これは、訴訟という裁判所を利用するための手数料であるので、税金の場合のいろんな減免と同列かというと、まさに直接的な手数料を減免するということができるのかという問題だと思う。
(構成員)  今は、印紙代を幾らか貼る。それで裁判で被害者が勝つ。それは加害者に請求するものなのか。
(構成員)  先ほど申し上げましたように、面倒くさい手続を経て決定が出る。
(構成員)  制度的には、加害者が持つことになるわけか。
(構成員)  印紙代ということの中に、私たちもオウムの破産のときに、国に先立って私たち被害者が損害賠償請求したわけであるけれども、そういう中で破産になって、破産の予納金も1,000万払っているということがあるので、そういうのもみんな被害者の負担になっているので、では破産で配当はというと、またそれが100%受けられたわけではないので、被害者の経済的負担が大きいということがあるということである。
(構成員)  わかった。先ほどの構成員の御提言の中にある、損害賠償費用についての記述は削除するというのは、これはやれと言われている話であるから、これはあくまで損害賠償に関する訴訟費用ということで、今まで議論しなかったわけではなくて、印紙代をどうするとかという話がある。だから、これは削除ということではなくて、今、言ったような印紙代をどうするかとか、そういう問題は更に御意見があれば承りたいと思う。
(事務局)  あとこちらの新たな制度で何かあるか。
(構成員)  ここの部分はまた後ほど御相談するか。
(構成員)  よろしくお願いする。
(構成員)  (2)の御意見に移って、そこでまたいろいろ御意見があれば(2)に戻っていただきたいと思う。
  (2)の方について、ここの御意見を承りたいと思うが、構成員から。
(構成員)  「(2)  新たな制度導入に伴う公費による弁護士選任(公的弁護士制度)」のところについての修文の意見は、紙に記載したとおりで、1つは、このテーマについては、この検討会で議論をしていただいた上で、一定の結論が出されるべきものではないか。もともと基本計画で、この検討会において併せて検討すべきというふうにされているところでも、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための諸施策を踏まえ、更に必要かつ相当であるかを検討するということになっているので、この検討会での議論に基づいて、一定の結論を書いていただく必要があるのではないかと思っている。
  ただ、この新しい制度自体が、まだ法案段階であり、成立しているわけではないという問題があるわけで、そういう意味で今の段階で確定的にこうだというふうに言いづらい面がある。私どもとしては現在国会に提出をして、これから審議をお願いするところであるので、その審議の状況も踏まえた上で、更にこの検討会で引き続き検討していただければいいのではないか。最終的なとりまとめまでの間に、更にここで検討するということで中間的なとりまとめをしていただければいいのではないかということで、こういう意見を出させていただいた。
(構成員)  そこのところで、制度導入に関するところが、制度導入に向けてとなっているが、これでよろしいか。
(構成員)  むしろ最終意見のとりまとめまでの間、引き続きまた議論していただいて、最終意見のところでそれなりの結論というか、方向を明確にしていただくということではないか。
(構成員)  そうすると、要するに、関連法案の国会審議状況等を注視しつつという言葉があれば、あとは制度導入に向けてとなっているか、制度導入に関するとなるか、検討するということについては、特に問題はないということか。
(構成員)  検討を行うべきであると書かれているので、この検討会で検討を行うということではなくて、政府なりどこかで検討せよという趣旨だとすると、まだ早いのではないかという意味である。
(構成員)  早い遅いはあるかもしれないが、当検討会としては、この中間答申案というのは政府に対して出すものであるから、我々としては勿論国会審議の状況がどうなるかということは見ておかなければいけないけれども、それを見ながら公費による弁護士選任ということについても、制度導入に向けて検討をしてもらいたいという意見を表明するのは、これは時期の問題ではないと思う。我々としてはそれしか言いようがないような気もする。
(構成員)  制度の導入に向けてといっても、その場合の制度というのは、給付制なのか、あるいは貸与制なのか、そのほかある程度骨格みたいなものはいろいろバリエーションが考えられるわけで、そういったことも議論しなければ結論が出せないと思う。
(構成員)  それはどうであるか。我々としてそこのところは、むしろ国会とかそういうところで御審議をいただくべきことであって、中身に立ち入って討論するというのは、ちょっとやりにくいと思う。だから、あくまで制度設計がどうなるかはわからないけれども、とにかく新たな制度導入に伴って、公費による公的な弁護人制度についても、どういう形でできるかというのは、それは国会審議の様子がある。制度というのは、いろんなかたまり方が国会審議の結果あるのだろうけれども、いずれにせよ、そういう制度導入に向けて、そういう制度をつくるように検討してほしいというのは、そこまで踏み込まないと意見にならない。注視していようというだけでは、ちょっと議論にならないのではないかというところがあり、やや踏み込んでいる。
(構成員)  私の理解は、新たな参加制度の導入に伴って、それについて公費による弁護士選任という制度を導入するか、導入するとした上で、どういう制度のものとするかということも含めて、この検討会で議論をされるべきものではないかというふうに思う。
(構成員)  私の理解はそうではなくて、それこそ国会の方で公費による弁護士選任の在り方というのは御検討なさるのではないのか。
(構成員)  今回の法案自体にその点が含まれていないので、国会自体でそこが議論されるということではないと思う。
(構成員)  それができた後、犯罪被害者に関してどういうことをやるべきかということは、構成員の方で御検討いただかなければ、ここでは検討しろと言われても、ちょっと困る。
(構成員)  財源の問題も含めてこの検討会で検討するというのが、基本計画におけるマンデートであるので、それをこの検討会で検討しないで、関係当局で全部検討しろというのは、それは基本計画の考え方からはずれてくると思う。
(構成員)  それはそうであるけれども、この参加制度の国会審議が終わって、こういう形でやるという形が出てくれば、その出てきた状況に応じて犯罪被害者をどうやって組み入れるべきかということを検討しろと言われたら、できないこともないのかもしれないが、それがまだ決まってなくて、余りその辺は突っ込んでもらっても困るということであれば、この検討会としてものの言いようがないと思う。
(構成員)  だから、先ほど申し上げたように、まだ成立していないので、国会審議の状況を見ないと確定的なことは言えないということは理解できるから、中間とりまとめの段階では、制度に関する検討を、引き続きこの検討会でも行うということを述べるにとどまるということになるのではないかということを申し上げた。
(構成員)  ただ、この検討会というのは、国会審議の状況が固まるまで存在するのかどうかもわからない。
  それと、今、構成員がおっしゃったような趣旨は、まさに国会審議状況等を注視しつつという言葉の中に含めているわけで、それを見ていようということだと思う。
(構成員)  ちょっとわかりくいので、構成員のお考えをもう少しくだいて御説明いただければと思う。今、ここでもし被害者参加制度の公的弁護人制度となった場合に、どういう形の制度にするのかという中身等について、ある程度ここで検討するということか。
(構成員)  先ほど申し上げたように、もともと完全に国費で給付する形にするのか、場合によっては、立て替える方式でやるのかというのは、それによって財源は違ってくるので、そういう基本的な骨格みたいなものは、新たな弁護士の役割をどう位置づけるかという議論も必要であるが、それを前提とした上で、ある程度の骨格というものを議論していただく必要があるのではないかという趣旨である。
(構成員)  その趣旨でいけば、一言、加害者側に対する国選弁護人と同様の被害者国選弁護人という形で、国費を支給する形での公的弁護人選任制度を検討すべきであるというふうに入れていただければ、一番ありがたいと思う。
(構成員)  その御趣旨もわかるが、そこのところに余り踏み込むと、結局(1)の方に跳ね返ってくることになる。だから、そこのところは、私の理解では国会でやっていることで、その骨格が全部決まってから犯罪被害者にどうするかというのはあるのだろうけれども、それは当検討会の任務からちょっと外れるというか、違うのではないかという気がしているけれども、その点どうか。
  本音を言えば、できた後は構成員がやっていただきたい。ただし、我々としては、そういう制度設計に向けて検討していただきたいということを政府に言うということは、とりもなおさずこの問題については恐らく構成員が御検討なさる話であるから、構成員にそういうことで御検討いただく。それはあくまで制度設計に向けてであって、新しい制度を何らかの形でつくっていただくという意味を込めて、この向けてという言葉を使っている。当検討会で言えるのは、せいぜいその範囲ではないかと気がしている。
(構成員)  繰り返しになってしまうが、基本計画の中でわざわざ刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための諸施策等々を踏まえ、更に必要かつ相当であるかを検討することとし、具体的には検討会において、いろんな財源の問題、あるいは社会福祉全体の問題の中で検討するというふうに書かれたのは、まさにその中身を検討するということではないのかという意味であって、勿論この検討会は未来永劫続くわけではないし、2年という期限があるので、そういう意味で、その範囲で可能な検討をしていただくということになるのだろうと思うが、いずれにしても、まだ半年あるので、その間の国会の審議状況を踏まえて、なお検討するということであってもいいのではないかという趣旨である。
(構成員)  わかった。ただ、踏まえるとおっしゃるけれども、今のところ踏まえる土台がないという感じである。
(構成員)  だから、中間とりまとめの段階では、こう書くしかないが、恐らく最終とりまとめの段階では、国会審議が終わっていれば国会審議の状況を注視しつつとは書けないはずなので、そういう意味で、そういう審議を踏まえたこの検討会としての結論を、その段階で書いていただくということになると思う。
(構成員)  それがもし決まっていれば、そういうことになるが、恐らくこの中間とりまとめ案というのは、できたら5月の中ごろの段階でまとめたいと思っているが、その段階で国会審議が終わっているということは、ないのではないかと思う。したがって、このような表現でいかがかということである。
  そう御心配になるはないと思う。むしろ国会審議の状況がまだわかりもしないときに、どういう形の犯罪被害者支援をやれということを書くというのは、適当ではないと思う。
(構成員)  だから、私どもの方は、修文で何か中身を書いているわけでは勿論ないわけで、あくまでも中間とりまとめの段階では、国会審議の状況がわからないとすれば、この程度の書き方しかないとは思うが、いずれにしても、最終とりまとめまでの間に、引き続きこの検討会で検討するということではなかろうかということで申し上げている。
(構成員)  わかりにくい議論をいろいろやってしまったけれども、要するに、各構成員にお伺いしたいのは、ここの部分はいろいろあるが、構成員の御意見も踏まえ、赤の二重線で消してある部分は消した上で、青字の部分を制度導入に向けて検討を行うべきであるという表現にしておくということについて、特に御意見はあるか。大体これでよろしいか。構成員とはまた少しやりたいと思うが、各構成員の方の御意見としては、国会審議が進んでいる最中というのは、この程度の表現なのかということで、特に御異論はないと理解していてよろしいか。
(「はい」と声あり)
(構成員)  別の点で何かあるか。
  構成員から(1)について御意見が出ているが、特に御発言はあるか。
(構成員)  基本的には、「十分に」という文言だったところを、「適切に」と直していただきたいという意見で、それはこの修文案で直していただいているので、これで結構である。
(構成員)  あとこの点は、議論が不十分なところもあるようには思うが、特に(2)の(1)、(2)の表現で非常に困るという点はあるか。
  ただ、これは構成員の御意見が、ある意味では全面書き換えのような形で出ているので、これについては、構成員と後ほど相談して、両案をうまくミックスするような形で書けるのかどうか、それは検討した上で、なるべく早く各構成員に、ここはこういう形にすることにしたという案をお示ししたいと思う。
  ほかに何か。
(構成員)  意見として、法律扶助に関する部分と刑事事件に関する援助事業が文書の中で混ざっているような感じがするので、もう少しすっきりとわかりやすいような表現にしていただければと思う。
(構成員)  どうしようか。
(構成員)  それは話し合いによって。
(構成員)  構成員も、構成員案にある刑事の面について云々というところの表現そのものはこれでいいということか。
(構成員)  この警察、検察において云々という2行は、別に何の異論もない。
(構成員)  ただ、上の方とか前後はちょっとわかりにくい。だから、それをこういう形にしたいということであるな。
(構成員)  現在ある制度で被害者が利用できる制度を、まずばんと出した方がわかりやすいと思う。
(構成員)  それはわかった。
(構成員)  法テラスとは一体何だったのかという気が若干した。というのは、犯罪被害者に対して、それほどきちっとした援助が明確に出されていない。今後に任されているという議論があったけれども、それでいいのかということは、是非ここで言っておきたい。
  できたときに、巨額の設立の費用が投入されたが、犯罪被害者に対する支援という観点が抜け落ちている部分があるのではないかという疑いを持たざるを得ない。
  だから、今回のことに関しても、法テラスの方に対する要望という点でも、この検討会として出すべきことはがあれば出す必要があるのではないかという気がするし、また連携という点では、法テラスとの連携ということも考えるべきだと思う。
  ただ、これは雑駁な印象なので、少し入念に、綿密に検討する必要がある問題だという気がする。
(構成員)  わかった。これは、構成員の法律を変えろという文言を詰める段階で、そういうところが出てくるんだろうと思う。御趣旨がはっきりするように、修文したいと思う。
(構成員)  私も今、構成員がおっしゃった法テラスの役割の点ははっきりとしていただきたいと常々感じている。
(構成員)  わかった。ほかにあるか。
  それでは、時間も押しているので、次に移らせていただきたいと思う。「(3)被害直後及び中期的な居住場所の確保」について、事務局から当該文を読み上げていただきたいと思う。
(事務局) 「(3)被害直後及び中期的な居住場所の確保
 被害直後の居住場所の確保については、既存の取組のほか、警察庁において平成19年度予算において、被害直後の一時避難場所の借り上げに係る予算措置がなされたところであり、まずはこれらの取組を着実に推進すべきである。
 中期的な居住場所の確保については、基本計画における国交省の取組みを着実に実施するほか、まずは犯罪被害者等に身近な公的機関である地方公共団体において、居住場所の確保や被害直後からの生活支援策に対する取組みがなされるよう、国において情報提供、啓発等の取組みを行うべきである」。
(構成員) この部分について御意見があれば、お伺いする。よろしいか。
 それでは、最後の「第3 おわりに」のところは、こんな内容で結んだらどうかということが書いてあるが、読み上げていただけるか。
(事務局) 「第3 おわりに
 犯罪被害者等に対する給付は、これまでも、昭和55年の制度創設以来、遂次、その充実が図られてきたところであるが、本提言の実施により、さらに抜本的な犯罪被害者等に対する給付の拡充が行われることとなる。
 犯罪被害者等施策推進会議において、本提言に係る施策の実施状況を検証、評価、監視することにより、本提言が着実に実施され、犯罪被害者等に対しできるだけ手厚い経済的支援が行われることが望まれる」。
(構成員) この部分の表現ぶり等について、御意見があれば、お願いする。
(構成員) 別に反対というわけではないけれども、犯罪被害者等に対する給付の拡充というのは、何かどうしてもお役所的な表現になってしまうと思う。やはり犯罪被害者等に対する十分な保障とか、そういう別の文言にはできないか。あるいは、犯罪被害者等に対する保障の充実が行われることになるとか。
(構成員) 今までずっと議論してきた過程で出てきた1つの議論なので、御趣旨はわかるが、保障という言葉を使うことについて、ここの中でのコンセンサスというのもあるのかどうかという問題があるのと、世間一般に出たときに、むしろそういう言葉を使うと、中身と違うではないかという議論がかえって出ないか。
 これに書いてあるのは給付金の倍増とか、カウンセリングでの費用をもう少し高くするための措置を書いてあるとか、基金であれ何であれ、全部やることは給付の充実ということが書いてはあると思う。
 だから、それでは足らないのではないかという御趣旨はあるが、とりあえずやっていくのは、この給付の充実ということであるので、端的に内容を書くと、その保障という言葉がどの程度熟しているのがあると思う。
(構成員) 最初の部分で理念のところでも基本法の3条を引用しているわけであるけれども、基本法でも尊厳にふさわしい処遇を保障される権利といって、保障という言葉を使っているし、その意味で経済的な保障とか、そういう言葉を使うこと自体は、起承転結ではないけれども、文章としては最初の出だしと一番終わりが同じような保障ということになれば、別にそんなにこだわるわけではない。
(構成員) ただ、私の理解では、まさに手厚い処遇を受けることを保障されるというのはあるが、保障しようという理念はまさに基本法の理念であって、その基本法の理念を踏まえて、経済的支援はまさに処遇の中身である典型的な形での給付の充実を図る。
 だから、あくまで基本法を踏まえながらやっているに違いないけれども、我々が端的に書かなければならないのは、何とかを保障するというのではなくて、その保障される中身を書くのだろう。
 そうすると結局のところ、余りいい言葉ではないという御意見はある程度あるのかもしれないが、ずっと項目を見ると、みんな給付の充実である。給付水準の引き上げであるとか、カウンセリングについても、費用はまさに給付として自己負担分を見るとか、そういう問題であるから、何をやるんだというところが出てくれば、それでいいのではないか。
 その全体をどういうふうに保障するかというのは、まさに基本法の方で御議論なさることだと、私の理解がそういうところであるから、余りこの保障という言葉を使っても、必ずしもコンセンサスがない。
 要するにどういう意味かと言われても、必ずしもみんな具体的に認識が共通になっていない言葉を使うと、中身があいまいにならないのかなというところはある。
 しかし、この辺はずっと消えずに出ている御意見であるので、もう一回検討させていただく。
(構成員) 要するに政府の役所だけで検討したのではなくて、被害者代表も入っているし、いろんな人が入って検討会をもって検討したということがある程度、文言上もちょっと役所の言葉とは違った文言を工夫していただいた方がいいのではないかという気もする。給付と言うと、役所的な印象をどうしても受けてしまう。
(構成員) そういう御理解もある。私は元役人であるので、その辺は少し偏った言語感覚を持っているのかもしれない。やはり国が何をやるかと言ったら給付水準を上げることだと思う。保障水準というのではあいまいになってしまう。
 むしろ給付水準を上げるということを被害者の皆さんも入っていただいて決めるというのは、勿論そのとおりであるので、給付という言葉を使ったから、官の方で全部決めたという印象になるというのは、私としてはやや理解できないところではある。もう少し検討させていただきたい。
(構成員) 法律の名称に関しては、やはり羊頭狗肉は避けるべきだと思う。内容から見て、それにふさわしい名称でいいと思う。
 なぜかというと、かえってそれは幻想を生むというところもあるので、今回はこれだけのことができたというところでいいのではないかと思っている。
 ただし、今回の議論で、割合大きな問題が実は積み残しになっていると思うし、財源に絡むことが実はかなりあるので、今回は中間とりまとめとしては、これでいいと思う。もしそれが大きな問題として出てくるのであれば、また表現は変えていいのではないか。
 ただ、今回のこの中間とりまとめでは、何か大きなことをここで書いたとしても、それが実現できなければ何の意味もないわけで、この辺は現実的に考えていいのではないか。
(構成員) オウム事件、いわゆるテロ事件の被害者だから、国から補償を受けたのだろうということを私たちは非常にたくさん言われる。そうすると、この補償というのが先ほどのどういう字を当てるのかというのにもよるけれども、ここに保障と使われると、私たちとしては保障を受けているわけではないと思うので、やはり給付の拡充だと思う。
(構成員) わかった。今、御意見が出た点も踏まえて検討させていただきたいと思う。私も先ほど、構成員がおっしゃったように、少なくとも終わりの部分は、中身に沿った言葉で結んだおいた方がいいのかなという印象を持っている。もう一回検討させていただく。
 ほかに何かあるか。
(構成員) 文書の訂正ではないけれども、「おわりに」の後段の3行である。問題意識としては、これから施策が実行されていく。しかし、新たなる犯罪被害、新しい仕組みができてそれが実行されていく中で、その枠にはまらない、そういう新たなる犯罪被害に対して、基本法の趣旨に沿って、その新しい仕組みが運用されていくということが望まれるのではないかと思うが、それは内閣府の基本計画のパンフレットの検証、評価、監視の仕組みのところで図解されているけれども、その運用が次なる基本計画に結び付いていく。
 そのように図解されているわけであるけれども、後段のところで、私はそういう趣旨も踏まえて、より充実した手厚い経済的支援が行われるということは、そういうことも含んだ意味合いで理解すべきだし、実際に運用されていくという立場からは、何か新しい仕組みに合わないからというか、適用できないから、もう対象外ということではなくて、基本的に新たなる犯罪被害で、この枠組みでなかなか救済できないものについてはどうするかというのは、基本法の趣旨にのっとって運用していく。それが手厚い犯罪被害者の経済的支援に結び付いていく。更には次の基本計画に結び付いていくというように理解をしたいと思う。
 特に文章上でこうすべきだというのはないが、そのことの重要性を私としては述べさせていただきたい。
(構成員) わかった。その点は私も同じように考えていて、基金であるとか、そういう制度もまさに本提言の中に入っているから、そういうものを含めた全体の本提言が着実に実施されることによって、新たな形での犯罪被害者に対する経済的支援が行われていくということを、それはなるべく手厚いものであることを期待しているという趣旨で書いたつもりである。
 修文上、何かこうした方がそういった趣旨がもう少しあるということであれば、検討させていただきたい。本提言ということの理解だろうと思う。ほかに何かあるか。
 時間が押しているが、お時間を拝借して、前回の検討会で検討した論点のうち、いろいろな構成員の皆様からの御意見を踏まえて、再修正した青書きの部分がある。
 まだ非常に流動的ではあるが、もうそろそろ固めるべきでもあるので、ここでもう一回戻って、赤字の修正部分、青字の修正部分についての御意見を承りたいが、頭からやると時間的にも制限があるから、振り返って一番御議論をもう一回いただいた方がいいと思うのは、実はカウンセリングの項である。
 したがって、今、たたき台資料としての部分で、まず最初に御検討いただきたいのは、4ページの「(2)カウンセリング費用について」というのが上から3行目から始まっている。
 ここの部分はかなり大幅に直しているところである。これはもう既にお示しをしているので、御理解いただいていると思うが、この青字の部分については、特に「ア 医師によるカウンセリングについて」というところは、構成員の御意見を踏まえた修文になっているが、長時間曝露法云々というところもある。これは構成員、さらなる修正意見をお持ちであるか。この点について、構成員の御意見を承りたいと思う。
(構成員) さらなる修正意見として、少し言葉を正確にするために、精神的被害のところをPTSDと修正させていただいた。
 その前に具体的な療法が入っているということの問題があるが、ちょっと専門的で細かい話になって恐縮であるけれども、私が念頭に置いているのは、1つはこの曝露療法の中でも長時間曝露法という技法がある。広くトラウマ焦点化認知行動療法と言われるものの中の1つの技法なんですが、これをもうちょっと広げたような名前とするか、ピンポイントにこういう名前にした方がよいかという問題はある。ただ、これは成人のPTSDのための治療法である。
 実はもう一つ大きな事情があるのは、児童の治療というのが大きな問題で、現在も特に女子児童の性暴力被害ということはかなり社会的に問題になっているが、そのうちに本当にきちんとした手当てを受けることができているのはごく一部で、これは深い傷を残したまま放置されているというケースが多い。そういうことに対して、やはりきちんとしたエビデンスに基づいた治療法というのが、海外でも今、広まってきているが、日本でも同じように、すぐに必要になってくると思う。要するに未成年者の治療である。
 それともう一つが、やはり遺族の治療で、これも前回話したように、ほとんど有効な治療法がなかった中で、アメリカとヨーロッパで有効だと思われるような技法が出てきて、これが今、広まりつつある。
 その基本にあるのが、大体いずれも長時間曝露法と共通するようなものを土台にして、それを応用したような形になっている。ということで、長時間曝露法という言葉を使っていただいても結構かなと思う。
 ただし、例えばというふうに勿論入れていただいているし、これだけではなくて、ほかにも幾つかの技法が有効性を証明されているものがあり、こういうものについても今後出てくる可能性はあるかと思う。
 そこで例えばということで、長時間曝露法等について、PTSDという言葉と併せたというような修正をさせていただいた。私の趣旨はそういうところである。
(構成員) その他、全体の表現としてはこれでよろしいということで、そのように理解してよろしいか。
(構成員) それで科学的評価ということが出てくるかと思うが、要するに前回御説明のあった通院精神療法というバスケットの中から外に出して、その手間ひまに見合うだけの報酬の評価をしていただきたいというのが、ここでの趣旨になると思う。かつていろんな精神療法、例えば精神分析療法でもいろんな療法をバスケットの中から出して、特別に認められた療法があるけれども、その当時は精神療法について、余り科学的評価ということは問われる時代ではなかったと思う。
 ただし、今では精神療法についてもきちんとエビデンスに基づいた評価を行われるべきだというのが世界的趨勢になっているし、その点についてはこういったような書き方で問題はないと思う。
 ただ、後ほど構成員の方からもまた御意見があるかと思うが、提案で安全性、有効性、普及性についての科学的評価ということが言われているけれども、例えば薬物療法のように動物実験をして安全性を評価するとか、そういったようなのはちょっとなじまないものであるので、ここら辺の科学的評価あるいは科学的根拠ということの表現をどのようにしていくかということについては、また後ほど御意見を伺いたいと思う。薬物ではなくて、やはり一種の医療技術なわけである。トレーニングを受けた人がやれば安全だし、受けてない人がやれば危険ということで、そういったようないろんな問題があるので、いわゆる医療技術としての科学的根拠なり科学的評価をどういうふうにしていくかということで、また字句を考えていただければと思う。
(構成員) わかった。今の構成員の御発言に関連して、この項目について、構成員、どうぞ御意見を言っていただきたいと思う。
(構成員) 私どもの意見は、お手元の資料8に提示させていただいているが、これは青字の修正が入る前の段階での意見を出させていただいたものである。
 修正案はこのとおりであるが、理由のところに書いているようにポイントは2つあって、1つは医療保険制度の中での診療報酬の改定であるので、その枠組み、すなわち中央社会保険医療協議会において、保険者側、診療側の代表等で構成されているところで論議決定されなければならないという手続を経ていただかなければならないということが1つ。
 もう一点は、この科学的根拠等のデータ等は、学会等から出していただくので、そういうところから提出していただいた上で審査、協議していただく。この点を踏まえた表現ぶりとしていただければという趣旨である。
 なお、構成員から今お話があったことについては、担当の局が来ているので、補足して発言したいと思う。
(構成員) お願いする。
(説明者) 今のお話に補足させていただくが、やはりこの診療報酬改定に当たっては、今、申し上げたとおり、中医協と申しているけれども、その協議会の中に更に細かく分科会、小委員会、あるいはワーキンググループのようなものを設けて、専門家集団である学会等からお示しいただいたものを審査、評価して決めているというところであるので、当方がそれぞれの技術的なものについて、主体的に判断しているという誤解を招くような表現は、我々としてもなかなか難しいところではないかと思っている。
 後段の方に出ているけれども、診療報酬について、もし評価を上げるというようなことになった場合には、これは制度として、むしろ患者さんの自己負担が増加するというような側面もあって、その経済的支援と言ったときに果たしてこういう場所にうまくそぐうのかどうか。そぐわない面もあるのではないかということも、我々としてはちょっと懸念しているというところである。
(構成員) 前段のところはそのとおりで、これは当然、専門家のコンセンサスを得た上で提出するということになるし、審議会の審査基準をクリアーしなければ通らないというのはそのとおりだと思う。
 後段の自己負担のところでは、これはもともと自己負担を減らすということでの意味で、要するに保険適用されないとずっと自腹を切るか、あるいは高いので諦めるかという現状がずっと続いているという認識があって、本来、私の要望は自費診療分も補填してくれということだったのであるが、それは今の保険制度がある以上できないということで、それでは保険に乗せていこうということで始まった話で、今の御説明だとそれが逆転しているように聞こえたが、どうだろうか。
(説明者) つまり先ほど構成員がおっしゃった、通院精神療法というバスケットクローズからむしろ特出しをして、それを高い評価をするというお話であるので、そういうことになれば、医療保険制度としては自己負担分が増えてしまうという話になるということである。
(構成員) そこの認識がまだ御理解いただけていないのではないかと思う。ここで話が出たのは、要するに一般の診療機関の精神療法ではペイしないので、自費診療として請求されている。
 したがって、被害者の人が被害者にもかかわらず、自腹を切って治療を受けざるを得ないという現状がある。診療機関としては、それは保険制度の中でやりたいけれども、それをやるとペイしないので、自費を請求しているということがあるので、そこから始まった話である。
(構成員) 結局そういう形で、もし仮に診療の特出しをして評価が上がった場合、自己負担が増えたとしても、自己負担のその部分は犯罪被害者給付金の方で見ていただくということになる。そういうことが前提であれば、我々が先ほど発言した趣旨は、そういう犯罪被害者給付金の方の自己負担を払う部分が増えるということを確認的に発言したと理解していただければよろしいかと思う。要は犯罪被害者の方自体の負担が増えるという意味ではない。
(構成員) 今ちょっと懸念されたけれども、そういう現状があるということを構成員としては是非認識しておいてほしい。それが出発点だということで、その認識がぐらついておられたような印象を受けたので心配になった。
 それが今度、保険適用のいろんな作業が進むときに、またこの話が出てきて、それは自己負担を増やしてしまうといったようなことになると、本末転倒になってしまう。現在、自費診療を余儀なくされているということがあって、保険適用されれば国家からの給付が受けられるということで始まった話であるので、その点を是非認識しておいてほしい。
(構成員) わかった。先ほどの構成員がおっしゃった、まず学会等から科学的根拠というのが示されるというのは確かにそのとおりだろうと思うが、当検討会の書きぶりとして、科学的評価を行い、これを踏まえてと書いたからといって、何か科学的根拠を全部、仮に例えば厚生労働省で判断してやるという趣旨のことが書いてあるというふうには読めないのではないかと思う。
 ここでわざわざ学会等から示された上でと書かないといけないものなのか。これはそういうように厚生労働省の方で理解をしていただければいいので、科学的評価を行うのはだれが行うのかと言ったら、まず学会から出していただくという手続論があるということであるから、それはそのように御理解いただければいいので、この書き方は何もそういう実体的な手続論を変えて、学会から出させないで、その前に厚生労働省に判断してくれということまで書いてあるわけでは全然ない。
(構成員) おっしゃる趣旨はわかった。それと同時に、あとはまた文言の問題であるけれども、最後のところが「必要に応じて措置を講ずる」となっている。
 これは今回の全体のたたき台案を見ても、最後にこのような終わり方をしている部分は、恐らく私がざっと見たところはないと思うので、表現としては大体のところは、何々をする必要があるとか、何々すべきであるとか、そこら辺りは我々もまた改めて意見を申し上げたいと思うし、また御相談させていただければと思う。
(構成員) この「必要に応じて」というのは、ある程度、私どもとしては、まさにいろんなところがある。したがって、必要が出てきて、必要性を御判断いただければという趣旨でこう書いてあるということですか。
(構成員) その最後の終わり方の「講ずる」というところである。
(構成員) その辺は後ほどということで、今のカウンセリングについて。
(構成員) 最初の犯罪被害による心理的外傷を原因とした深刻な精神的被害というのがPTSDだというふうに、私は理解したけれども、今、構成員が精神的被害を消してPTSDにされたので、PTSDのそもそもの定義が必要ではないかと思った。
(構成員) 御説明をする。精神的被害といった場合には、恐らく一番近いのは非器質性精神障害という言葉だと思う。これは例えばうつ病も入るし、その他の不安障害も入るし、PTSDも入るけれども、一般的には自賠責事故の後の精神的被害についても、よく非器質性精神障害という言葉を使われている。
 ただ、その中の代表がPTSDということになるが、ほかの疾患、うつ病その他のものについては、現在、例えば薬物療法であるとか一般的なカウンセリングが行われているけれども、特にPTSDとなった場合には、またそれとは違った、要するに有効な、かつコストというか手間ひまがかかる治療がある。
 現在、そういうのがわかっているけれども、そういうものを受けるときに保険診療ではペイしないという問題があるということで挙げさせてもらった。ただ、細かいことを言うと、ここは細かくなってしまうけれども、例えばとか何とか等ということで付いているということで、含むことはできると思う。
(構成員) この辺の文言は、また構成員の御見解ではこう変えても、内容は変わらないということであるな。長時間曝露法が一番効くのはPTSDであるという例示になる。
(構成員) あるいはもう一つの修正案も考えたら長くなってしまうけれども、PTSDに対する長時間曝露法等の精神的被害に対すると入れていただければ。
 つまり長時間曝露法というと、これはもうPTSDに特化した治療法になるので、それはセットにしていかないといけない。長時間曝露法が精神的被害に一般に効くという意味ではない。それは別にうつ病に効くということではないので。
(構成員) 構成員は、むしろ今おっしゃったようにした方がわかりやすいか。ちょっとごちゃごちゃとするかもしれないけれども、そちらの方が例示として挙がっているわけであるから。
(構成員) そうである。
(構成員) 構成員はそれで構わないか。あとで構成員の御指摘のあった点を踏まえて、確かにPTSDに有効とされる療法というだけでいってしまうと、一部を言っているだけみたいな感じもする。これは今、構成員の言ったような形で変えた方が正確と思うので、検討させていただく。
 このカウンセリングについては、別の角度から構成員の御意見が出ているので、構成員からお願いする。
(構成員) 前回発言させていただいた内容を文章にしたものである。
 現在の犯給法の中にも運用において、障害給付として出していただいているけれども、それをより適格に障害給付を出していただくようにして、その中から長期にわたるカウンセリングの費用を自分で出していただくという道を開くということで、イの次にこれを入れていただければと思う。
(構成員) 御趣旨は前回からわかっていて、これは構成員の方の障害等級表の変更に関する旨になってしまうが、この構成員の御意見について、どんな御見解をお持ちか。
(構成員) 前回も申し上げたかもしれないけれども、この基準というのは自賠責、労災等とすべて共通ということで、もし異なる基準を定めるとなると、ある意味、自賠責等のほかの社会保障、社会福祉制度との均衡の調和を失するということにもなるわけであるので、いかがなものかというか、その合理的な理由はあるのかなと思っている。
 この障害等級というのは、一定の身体的、精神的障害が残ったという場合の程度を示す基準であって、障害給付金については障害等級に定める障害の程度に応じて給付額が定まるということである。
 一定の身体的、精神的障害が残った場合に、障害程度が同じだという場合に、それがいかなる犯罪行為によって生じた障害かということで、給付額に差を設けるということは逆に不合理、あるいは公平を欠くことになるのではないかというふうにも思っていて、障害程度が同一であれば、その障害の原因となった犯罪行為が殺人とか強盗とか傷害とか性犯罪とかいった、そういう犯罪行為の態様にかかわらず、同一の給付額とするのが合理的なのではないだろうかと考えている。
(構成員) この点はカウンセリングの中身の充実という意味では、1つの考え方であろうと思うが、今、構成員から説明があったとおり、この等級表の変更というのは犯給法だけにとどまらない問題があり、結構時間がかかる問題ではある。
 だから、基本的にはこの中間とりまとめというのは、原則的にはほとんど全部、平成20年度で措置をしていただこうということが書いてあるので、スピードの上でどうかという点はあるので、その点は構成員、どのようにお考えか。
(構成員) 恐らくいろいろと国の費用を使ってやることであるので、ほかの制度との整合性とか、そういう意味では財政当局からもうるさく言われるかどうかわからないけれども、そういうこともあるかもしれないが、やはり将来的には犯罪被害に特有の問題として、どうしても将来はイギリスのように検討していかなければいけない問題ではあると思う。いつまでも労災と自賠責をそのまま使わせてもらうというのは、限界があると思う。
 だから、すぐにできるかどうかは別に、それは御事情があると思うので、もし書いていただければ、そういう問題があるということを後に残せるかなと思ったわけである。
(構成員) わかった。また後ほど御相談し、表現ぶりを含めて検討させていただく。
 このカウンセリングの問題というのは、大変いろいろと変更点が多くてわかりにくいことになっているのかもしれないので、御質問を含めて、何か御発言はあるか。
 もう時間になっているが、もうちょっと御辛抱いただきたいと思う。その他のところである。一つひとつ頭からやっていってもいいが、大体いろいろと今までいただいた御意見は踏まえて、修正をしている。
 その修正の仕方が御意向に沿ったものかどうかというのはあるわけで、そういうことを後ほど御意見をお寄せいただいてもいいと思うが、例えば「はじめに」のところの(2)の真ん中辺りであるが、「自助・共助・公助のシステムと調和・均衡のとれた」という文言に変えた。これは構成員の御意向を受けて変えているが、そういう点について、御意見があればと思う。
 「(1)理念・目的」のところも少し変わっている。これは構成員の意見を受けて、この青字の部分が変わっている。
 (2)の(2)のところは「稼働能力の喪失、減退の程度等を考慮し」と書いているが、これについては、構成員から元の方がいいのではないかという御意見もあるが、これも後ほど検討させていただきたいと思う。
 「ひき逃げ・無保険車」というのは、この方が正確でありますので、変わっている。
 財源の部分も大体このとおりでやっている。
 基金については、3ページの(4)である。「犯罪被害者等に対する新たな経済支援制度」という言い方で書き換えているのは、後との平仄の関係でこう書いてあるが、特に「例外的な事情により被害者の自立・回復」云々というところの「例外的な」という言葉は、ふさわしくない言葉ではないかという御意見もあったので、これは書き換えているところである。
 (4)の基金の一番最後のところのパラグラフであるが、国における関与というのをもう少し積極的にメッセージを伝えるべきだということで「とともに」で結んであるところを書き分けたという変更をしている。
 あとのところは項目の立て方で、医療費とカウンセリング費用のところは、(1)、(2)であったのを(1)(2)と変えてある。
 その他はそれほど変わっていない。
 5ページであるが、前は(2)は「給付方法はいかにあるべきか」となっていて、「(1)年金型の給付」と書いてあるが、給付は一時金とするということで、大体御異論はないようであり、年金型の給付というのは出ていない。だから、表題と中身が違うので、これは「給付の迅速化」というタイトルにする。
 本給付、仮給付のことも書いてあるが「また」以後の貸付制度というのが実際問題はかなり有効であるというか「犯罪被害者等の被害直後の生活支援にとって効果的である」という認識を示して、そういうことを地方公共団体で積極的に行われるよう、国において啓発活動をやっていくべきだという形に書き換えている。ちょっとアクセントを付けたということである。
 その他は大きな変更点はなくて、大体この赤字ないしは青字で変わっているところである。
 はしょった部分もあるが、御意見を聞いていても、今は若干、特に併せて検討する部分のところは大幅に表現が変わるところもあるが、その他の我々が本来検討すべきところについては、おおむね意見をいただいたと思うので、まだ微調整、細かな表現などについて御意見がある場合には、連休明けぐらいまでに御意見をお寄せいただき、それに従い、できればこの次の5月16日には、中間的なとりまとめ、つまりパブリック・コメントを得る前のとりまとめ案としては、おおむね確定したいと思っているので、御協力をいただき、いろんな御意見があれば、それまでに御意見をいただきたい。
 16日までにもう一回全体会議を開くゆとりがないので、私の方で判断して、必要があれば、各構成員と個別にお話をさせていただき、その結果をまた各構成員に全部まいていくという個別折衝のような形でとりまとめを行っていきたいと思っているところであるので、よろしく御協力をお願いしたい。
 以上のとり進めについて、御意見はあるか。
(構成員) 私の方で意見を出していなくて申し訳ないが、私も全然気づかなかったけれども、一番最初の理念のところで、自立を支援するということで、私はこれでいいのではないかと思っていたけれども、やはり被害者の方々の中には、自立ということを強調された場合に、自分がまだ寝たきりの状態であるとか、あるいは家の中でふさぎ込んで社会に復帰できていないような状況のような被害者の方には、自立、自立と言われると、おまえは早く自立しろということを後ろから背中を押されているような感じがして、自立、自立ということに対しての嫌悪感を感じる方もいるらしい。
 それで、その表現の仕方をもう少し変えてほしいという意見もあり、連休明けぐらいまでの中で、もしかすると出させていただくかもしれない。
(構成員) わかった。この自立、自立と言い続けたのは、私である。しかし、私も余りこだわっているわけではない。実はこれは被害者の方もそういう御感触を持っておられるが、構成員も余り積極的に評価をしていただいていなくて、自立というのはおかしいのではないかという御指摘も受けている。
 立ち直りという言葉を使うという御意見があって、そのとおりであるけれども、私としてはこの経済的支援というのは、何も施し物とかそんなものではなくて、究極的には、経済的支援をするのは被害者の尊厳ある自立を支援していくという趣旨がこの経済的支援に出ないと、非常に格調が低くなると思うので、尊厳あるという言葉は使いたい。
 その場合、尊厳ある立ち直りというのは日本語としておかしいので、自立でどうだと言って今まで頑張っているわけであるが、余り評判がよくないので、ここは変えて、尊厳という言葉を使い、かつ立ち直りという言葉も使って何か書けないかというのは検討してみたいと思う。
 ただ、この理念というところはそういう趣旨を書くということで、簡潔に言い切りながら何かいい方法があるか。構成員のお知恵も拝借するが、構成員ともよりより相談をして、別途、表現を考えてみて、それを各構成員にお示したいと思う。
(構成員) 今、自立という言葉よりも立ち直りという言葉というお話が出たけれども、どちらかと言うと、立ち直りという表現は、被害者自身の受ける印象として、自立よりはマイナスのような気がする。
 それと自立という言葉はたしか検討会の2回目ぐらいに、自立という言葉が、それは被害者にとってやはり必要なことだということで、ずっと今まで来たという印象に残っているので、決して悪い言葉ではないと思う。また100%被害者の方が満足する言葉というのは、まず見つからないのではないかと思うので、そこは構成員の御意見を通すという辺りでよろしいのではないかと思う。
(構成員)もう少し検討させていただくが、確かに自立というと、何かちょっと冷たい感じがするという御指摘は前々からあって、実際に経済的支援というのは、自立というよりも、立ち直りという言葉がいいかどうかは別であるが、立ち直りを支援するという実態があるのは間違いないというところもある。
 構成員、何か御意見があれば。
(構成員) 自立に関しては、前回かなり詳しく私の意見を申し上げた。被害者ということだけではなくて、国民全体にということと、福祉全体との調和の中でということで、福祉についても長年十数年そういうことが実は、今、私が言うのもおかしいけれども、懇談会では尊厳ある自立ということがうたわれている。だから、広く理解すれば本当にいい言葉だと思っている。
 ただ、前回申し上げたように、いろんな誤解があるので、そこを少し前段で説明するようなことを考えればということで、今回はそのポイントだけ入れていただいているが。私はそういう意見である。
 もう一点は、実は前回申し上げて、今回の再修正で省略されて、なくなっているので、御質問であるが、仮給付である。
 仮給付については、第8回のこの検討会の議事録を読む限り、いわゆる基金で対応していくという議論で終わったのではないか。
 そして、その次にこの仮給付の議論がされたのが今年の2月であるが、そこで地方公共団体との対応制度ということで議論があった。それはそれでそういう方向でまとまった。
 更に構成員からの中間とりまとめのたたき台でそういった案が出されて、私は前回、それはそれで実効ある内容だとは思うけれども、ここでも少し議論があったが、必ずしもすべてがすべて地方自治体でそういう仕組みができるということについては疑問があるわけであるから、そういうところで救済されない被害者のためにも冒頭から、この基金の事業の中にそういうものを含められないかというのが、私の前回の意見だった。
 今回、そういう意味では、ほぼ全地方自治体でこういう仕組みが導入されるという理解で、こういう形で書かれたと考えていいか。
(構成員) そこはまず、私の基金に対する考え方自体にぶれがあって、最初のうちは割と公的資金も全部含めたような幅広い基金というのをまずつくってみたらどうかという考えがあった。
 ただ、それを詰めていく過程で、やはり公的資金を入れた基金をつくるというのはなかなか大変であるのと、運用上も非常に難しいということで、民間浄財だけの基金にしてはどうかということに変わったわけである。
 したがって、そうしていく過程で、仮給付であるとか貸付であるとかいうことは、基金の業務にすると、とても基金の仕事として構成するのは大変難しい。そもそも大変多数の人間が要るし、どうやって調査するのかとか、各現場に係員を置かなくてはならないかとか、いろいろ問題が出てくる。基金で仮給付の行き届かない部分や、貸付制度が行き届かないとかいう点をカバーするというのは、ちょっと難しいのではないかというのがある。
 したがって、基金という問題はこの仮給付・貸付というものからは、今は別立てで考えた方がよいと思っている。ここで書いたのは、迅速化をしなければならないということであり、運用として本給付、仮給付というものを、もっと迅速に行って運用すべきだというのが1つ。
 それから、地方公共団体への貸付制度というのをもう少し充実していくという方向性を出すというこの2つであって、基金とは別の話である。
 その辺は私の最初からの考え方が変わってしまったということであり、基金というのは基金として、余り広げずに考える。
 もちろん、貸付制度とかも基金でやるというのは1つの考え方だと思うが、基金が貸付を行っていくと言った途端に、相当数の事務量をこなさなければならなくなる。そういう基金というのはどうしてつくるんだろうというと大変難しい。やはり本当の意味で有効なのは、被害直後の支援のやり方としては、やはり一番身近にある地方公共団体が貸付するというような仕組みを充実していくという方向が一番手っ取り早い。
 ただ、これが国のやることではないので、地方公共団体がおやりいただくことであるから、私どもとして政府に物を言う場合に、貸付制度を是非つくれということをどれだけ強く言えるかというのがあると、結局、啓発活動であるとかいうことを大いにやっていて、地方公共団体にそういう仕組みをつくってもらうというぐらいのことしかと言えないということになる。本当は基金か何かつくって、どんどん支援をしていくというのができれば一番いいのかもしれないけれども、そういう仕組みはできにくいということである。回りくどい言いわけであるが、そこは変えざるを得なかったということである。
 それでよろしいか。
(構成員) 理解はできた。
(構成員) 早い話、最初に風呂敷を広げすぎて、御迷惑をかけたという点はあるのかもしれない。ただ、今は、私は基金というのは、こじんまりつくっておいた方が実効性はあると思っている。
 ほかに何か御意見はあるか。大変時間をオーバーして恐縮であるが、以上のようなことであるので、5月16日の検討会において、最終案を検討したいと思うので、御協力いただきたい。



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