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経済的支援に関する検討会(第7回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年9月26日(火)14:59~17:46
場所: 合同庁舎4号館  共用第4特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授
構成員飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫元オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
中江 公人金融庁総務企画局総括審議官
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席中野 雅之厚生労働省政策評価審議官
谷 みどり経済産業省商務情報政策局消費経済部長

(議事次第)

1.開会

2.論点整理

3.経済的支援制度のあるべき姿についての検討(2)

4.その他
  • 海外調査
  • 第8回検討会の日程調整

5.閉会


(配布資料)

○論点整理関係資料
資料1論点整理関係資料
 1-1 経済的支援に関する検討会における検討事項[PDF形式:18KB]
 1-2 犯罪被害者等に対する給付例[PDF形式:115KB]
資料2カウンセリング関係資料
 2-1 飛鳥井構成員資料[PDF形式:74KB]
 2-2 大久保構成員資料[PDF形式:25KB]
 2-3 警察庁資料[PDF形式:31KB]
 2-4 厚生労働省資料[PDF形式:20KB]
 2-5 国土交通省資料[PDF形式:13KB]
 2-6 文部科学省資料[PDF形式:12KB]
資料3海外調査関係資料
 3-1 海外調査における聴取結果概要[PDF形式:20KB]
 3-2 法務総合研究所研究部報告 [1][PDF形式:275KB][2][PDF形式:338KB]
資料4内閣府資料
 4-1 平成19年度犯罪被害者等施策関係予算概算要求[PDF形式:71KB]
 4-2 収容等に係る諸費用等について[PDF形式:16KB]



(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 皆さん、こんにちは。1分ほど前ですけれども、全員おそろいですので始めたいと思います。
 ただいまから、第7回の経済的支援に関する検討会を開催いたします。
 有識者構成員のうち佐々木構成員と岩村構成員は本日欠席であります。
 司会を國松座長にお願い申し上げます。

○國松座長 それでは、司会を務めます。
 本日の議事につきまして、事務局からまずご説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お手元の議事次第にございますように、本日はまず次々回の第9回検討会の日程調整を行っていただきまして、その後、先般帰ってまいりました海外調査の結果を平井構成員、それからうちの参事官の方から、まだ簡単な報告しかできないんですけれども、ご報告をいただきまして。その後、前回に引き続きまして経済的支援制度のあるべき姿について検討を行いたいというふうに考えております。

○國松座長 それでは、一応24日、大体皆さんよろしいようでございましたら24日ということで押さえさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、続きまして、海外調査の報告をお願いいたしたいと思います。現在、先ほどもお話がありました資料の翻訳作業を行っているとのことでありまして、詳細な報告は別な機会になると思いますが、それぞれの国で調査概要や感想などにつきましてご報告をいただきたいと思います。
 イギリス、フランス、ドイツにつきましては平井構成員から、アメリカにつきましては内閣府の高津参事官から報告をしていただきます。
 それでは、イギリス、フランス、ドイツの調査結果及び感想などを含めて、平井構成員、お願いいたします。

○平井構成員 それでは、私の方からイギリス、フランス、ドイツの調査結果につきましてご報告申し上げたいと思います。資料3の海外調査関係資料に概要がございますので、ごらんをいただきたいと思います。
 この調査に当たりまして、皆様方、構成員からいろいろな質問事項もございまして、それを集約する形で事務局で事前に質問等についてご準備いただいて、訪問先を訪問したということでございまして。私が感じましたのは、非常に訪問先でほとんどの訪問先が予定時間をオーバーするような形で可能な限りのご説明と、また私どももあつかましくもいろいろな資料をいただきたいということで要望いたしましたが、どの訪問先もほとんど可能な限り努力するということで、そういう意味では膨大な資料もいただいてまいりました。そういう意味で、今ございましたように、今日のところは聞き取り調査いたしました内容の中で、特に質問事項で重要な事項及び少し今までと我々のヒアリングを通じて学びましたことと異なりますといいますか新しい事項につきまして、重点的にご報告を申し上げたいと思います。
 まず、イギリスでございますが、内務省と犯罪被害補償審査会を訪問いたしました。ヒアリングを通じて学びましたように、イギリスについては連帯共助の精神からの補償ということで、いわゆる障害等級別のタリフスキームと、そして逸失利益の補償と、さらに特別医療費の補償といったようなスキームの補償でございますが。
 まず、テロの犯罪被害者と一般犯罪被害者との間における対応の差異ということについて尋ねました。基本的にはテロ被害者も一般犯罪被害者もこの犯罪被害補償制度については同じ対象だということでございましたが、それとは別に、テロの被害者にはロンドン市長と赤十字によって「ロンドン爆弾テロの被害者を救済する慈善基金」が設立されておりまして、そこから義援金が支給をされているということでございます。政府もこの基金に350万ポンド、約8億500万円を支出しているということでございます。
 この給付の内容につきましては、この基金の委員会が決めるということでございまして、全くそういう意味では犯罪被害補償制度とは異なるということでございました。内容的には重障害を受けた場合に約17万ポンド、3,910万円ぐらいになります。また、配偶者をテロ被害で亡くした場合には、扶養する子どもの数によって異なりますけれども、最高15万ポンド、約3,450万円まで支給されるということで、18年6月末までの支給額の累計が1,050万ポンド、約24億1,500万円となっているということでございます。
 この基金からの給付というのは犯罪被害者補償制度あるいは社会保障制度に基づく給付とは併給調整されない、全く別個のものということでございました。従来にない取り扱いであるわけでございますが、これはロンドン爆弾テロ事件が類例のない大規模なテロ行為で、自爆行為であったということを考慮して、政府の判断によってそのような取り扱いをするということでございました。
 それから、国外の被害についてでございます。これについては、国外は対象外ということでございますけれども、ここでもいわゆる基金の設立準備が進められているということでありまして、いわゆる会社とかあるいは個人とか政府が支出をして、そしてこのファンドを運営するという準備が現在進められているということでございました。海外で事故に遭った場合には医療費や遺体運搬費のうち海外旅行保険でカバーできない部分についてこの基金から支払がなされるということで、いわゆる事故発生後一回のみで当座に必要な費用、お話では約3,000ポンドから4,000ポンド、49万円から92万円ぐらいが払われる予定だということでございました。
 それから、具体的な犯罪被害者補償制度の内容についての特に重要な質問の中で、最高額の50万ポンド、約1億1,500万円になりますが、どういう場合に支払われるのかということについては、2点の答えがございました。1つは、全身不随や植物人間になった場合ということで、大体いわゆる逸失利益がこの給付額のほとんどになるということで、毎年10名から20名程度がこの対象になっているということでございました。
 もう1点は、揺さぶられっ子症候群によりましていわゆる脳機能障害が残った場合ということで、この多くはいわゆる逸失利益と医療費などが非常に金額的に大きなものになってしまうということでありますけれども、大体こういった症状の場合には成年である18歳までにこういった補償金を使い切ってしまう場合がほとんどだということで、18歳以上になりますと一般と同様の社会保障制度の枠組みの中でいわゆる住宅とかあるいは介護サービスとかそういった幅広い支援サービスを受ける権利があるということで、そういった支援を受けるということになっているということでございます。
 それから、もう1点は、犯罪被害者補償制度の中で遺族に5,500ポンド、126万5,000円ぐらいになるわけですが、これ以上支払われるという場合はどんな場合があるかということでありますけれども。これは、ここにありますように、実の親あるいは生計主あるいは後見人がその犯罪被害によって死亡した場合ということで、扶養手当、養育費が支払われるということでございます。ただ、死亡した被害者の命が5,500ポンドなのかといったような批判もあるというようなことでございました。しかし、このイギリスの補償制度では、死亡した被害者よりも生きている被害者に対する補償を優先すると、そのように考えているということでございました。
 それから、もう1つは、年金方式で支払われている場合があるのかどうかということでございましたが、これにつきましては年金方式での支払いは行っていないということでございました。ただし、年金方式で支払われるケースが想定されるということで、2点説明がありました。これは補償制度からの年金方式ではないわけでございますが、1つは、信託という形で児童虐待のような被害者本人に補償することが加害者に利する場合にはその信託の受託者が分割して払うというようなことをしているということでございます。犯罪被害者補償審査会は受託者に一括して支払うわけでございますが、ソリシタ、弁護士を通じて被害者に信託した旨を連絡するという形の方式で支払われるということが1つは考えられるということでございます。
 もう1つは、いわゆる裁判所といいますか無能力者保護法廷による命令ということで、保護法廷の命令によって財産保全管理人を指名して支払うといいますかそういうようなケースについては想定されるということでございます。
 それから、最後に仮給付でございますが、これについても該当基準が存在して、それに基づいてということで。ただし、申請から給付まで通常6か月から8か月を要する。その理由は、他の公的機関からの給付や警察からの回答というものを確認してから給付するということになるので、それなりの期間を要するのだというような説明でございました。
 それと、この仮給付の質問の中で、事件直後の支援については、当然のことながらイギリスにおいては医療費については無料の仕組みがある。また、給与についても、28週間までは補償されるのが一般的で、小企業においてもそういった給与の補償がなされている。自営業、年金生活者の場合にはインカムサポート(生活保護)というシステムでカバーされているというような実態になっているのだという説明でございました。
 イギリスは以上でございます。
 それから、フランスでございますが、フランスにつきましては司法省と補償基金にまいりました。ここでは最大の新しい発見ということでございますが、補償基金の沿革のところで書かせていただいておりますけれども。まず、この補償基金は1951年に交通事故の被害者に対する補償業務というものを行うために組織化されたというものでございまして。その後1986年にテロ被害に対する補償、そして、91年には一般の犯罪被害者及び薬害エイズ被害者に対する補償。そして、2002年にはアスベスト被害者の補償業務という形で、いわゆる補償業務を基金に委託されている。したがって、この基金はそういう意味では民間組織であるということでございます。したがって、独立採算制ということで、いわゆる私的な法律の規制を受けるというそういう組織であるということでございます。ただ、公の資金を管理しているために、経済財政省の指揮監督を受けているということではございましたが、かなりそういう意味では自主的なといいますか、みずからの努力でこの基金を運営するということがなされている印象を受けました。
 それから、この財源でございますが、これについては損害保険の保険料の一部と加害者からの求償、そして資金運用の運用益ということで、国からの交付金というものはないと。この3つで運営しているんだということでございました。フランスでは保険制度が発達していて、さまざまなリスクをみずから保険でカバーしているということで、カバーできない部分を連帯の精神で国が補てんしているんだとこういう説明でございました。
 それから、3つの国の中で最大の特色でもありましたが、加害者への求償権の行使でございます。これについては職員が220名おられますが、その中の20名が求償業務担当ということで、非常な努力をされておりまして、大体加害者が特定されている事案のうちで回収できたのが20%ということでございました。具体的に加害者の3分の1が受刑者であるために、刑務所の会計担当官と相談するなどして確実に求償を行使するといいますか、そういうことを行っているんだ。
 また、この補償基金の性格上、政府からすべての銀行口座に関する情報にアクセスできる、そんな権限も与えられているということ。あるいは、かなりITシステムというものを導入されまして、そして求償の判断というものをしているということでございました。
 それから、申請から給付までの期間でございますけれども、そういう意味では非常に早期化といいますか、そこに努力をされているということでございました。基本的にはテロと交通被害についてはこの補償基金が直接申請を受け付けて給付額を決定する。一般の犯罪被害者については補償委員会が申請を受け付けて給付を決定して、現実の給付はこの基金がするという仕組みになっているわけでございますが、ここにオファー制度というものが導入されまして、この基金が具体的に被害者に補償金額をオファー(提示)して、被害者の同意が得られた場合には、司法官の追認を受ければ補償委員会の決定を待たずに給付できるという形になりました。従来は書類が基金に届いてから5、6か月かかっていたものが現在では最短で1か月から1か月半ぐらいで処理できるということでかなり短縮化されているということでございます。
 そして、時効につきましてはここにございますように、犯罪が起こってから3年以内か刑事上の裁判で有罪が確定した日から1年以内ということでございました。
 そして、最後にドイツでございます。連邦労働社会省とデュッセルドルフの援護庁を訪問いたしました。重要な質問でございますけれども、理念、そしてこの制度の位置付けということにつきましては、この犯罪被害補償というのは社会補償権制度というそういう制度の一環として位置付けられているということでございまして、これは国が権利を独占する能力があるにもかかわらず、国民の安全を守れなかったことによって補償を行うという考えであるということでございます。
 合わせて、連帯という理念も併存するのかという質問をいたしましたけれども、それについてはノーだということでございました。あくまでもそういう国民の安全を守れなかった責任ということから補償をするもの。
 この社会補償権という制度の内容でございますが、4つございまして、1つが戦争犠牲者、そしてもう1つは軍務負傷を負った軍人、それから、この犯罪被害者、そして、旧東ドイツ等における政治的理由に基づく抑留者。この4つをそういう意味では社会保険制度とは別に社会補償権制度という仕組みで補償しているということでございました。
 財政につきましては税収のみということで、主に州が負担している。それは市民の安全を守る義務を負う警察の管轄が州であるということから、州が主に費用を負担しているいうことで、連邦政府は一部分を負担しているんだということでございます。
 それから、給付の内容でございますが、これにつきましてはヒアリングでございましたけれども、3つの年金ということでございます。1つは、基本年金。所得に関係なく就業能力の低下に応じて毎月一定額が支給されるという基本年金。そして、2番目に、職業損害補てんということで、就業能力の低下による収入の減少を補てんする目的で、所得に応じて月額で給付されるということでございまして、この給付の額はいわゆる税込みの額から社会保険料とか税を控除したものが支給されるということで、それがこの42.5%というヒアリングでもお話がございましたが、それはそういう意味でございます。
 それから、調整年金でございますが、これにつきましては基本年金等を受給しても不足している生活費を補てんする目的で所得に応じて月額で給付されるということでございまして、これも詳しい表をいただきましたけれども、就業能力の低下に応じて決められた額から現在の税込みの収入と資産等々さまざまなその他の収入の額に応じて規定された額を控除した金額が支給されるということでございます。
 それから、リハビリテーション費用、介護費用、住宅改造費用、治療具、義肢・義足等は犯罪被害補償から支給される。カウンセリングの費用については既に他の給付に含まれているということで、この制度からは支給されないということでございます。
 そして、他の公的制度からの給付との関係でございますが、先ほど申し上げましたように、この社会補償権制度は他の制度とは独立しているということでございまして、他の制度による給付との相殺はないということでございます。ただし、法的年金を算出する際には職業損害補てんと調整年金は収入に算入されるということでございます。
 最後に、時効ということで、これについてはなかなかいわゆる時効はないという取り扱いについては非常に難しい点があるということでございましたけれども、証拠というものがなかなかないというケースがあるわけでございまして、これについては被害者の口述記録で信頼に足れば証拠として採用しているということでございました。デュッセルドルフ援護庁でも1952年の事件を実際に審査したということがあるということでございます。
 なお、ドイツではこの連邦労働社会省におきましてもデュッセルドルフ援護庁におきましても、現在の仕組みといいますかドイツの制度についての課題ということがいくつか話されました。その中で、時間の関係もございますからポイントだけ申し上げます。この社会補償権制度というものは戦争犠牲者のためにつくられた。戦争犠牲者は当時400万人おられて、ほとんどが重度の障害によって職業生活を全く送れない場合が多いということであるわけでございますが、犯罪被害者が置かれた状況と相当異なっている。また、犯罪被害補償制度の対象者が1万5,000人ということ。あるいは新しくPTSDなど新しい被害といいますかそういうものが生まれているということで、包括的な補償制度を犯罪被害者にこのまま適用すべきかどうかという点について問題認識を持っているということでございます。
 それから、国外での犯罪被害を受けた場合にも補償すべきではないかということについては政治的な議論もあると。しかしながら、先ほど申し上げましたように、警察が市民を守ると、その義務を果たさなかったという考え方の根幹にかかわる問題であるということでございました。
 さらに、この年金につきまして例えばという話でございましたが、子どものころに虐待を受けて精神的外傷を負った場合に、一生涯年金を支払う意味があるのかどうか、それよりも就業できるようにまとまった金額を渡す方が意味があるのではないか、そういった問題もあるんだというようなご担当のご説明でございました。
 最後に、少しだけ私のこの調査を通じて感じたことを申し上げたいと思いますが。1つは、当然のことであるわけでございますが、この犯罪被害者支援制度の仕組みというものは、国家の諸制度と独立的に成り立っているわけではないわけでありまして、そういう意味で改めて社会保障制度あるいは福祉関連諸制度と密接にかかわっている、その中で理解をしていかなくてはならないというように感じたところでございます。
 そして、2点目には、どの国におきましても被害者補償制度の具体的運用に当たりましては、常に犯罪被害者の立場に立って運用がなされている。これも当然といえば当然であるわけでございますが、その視点というのを極めて重視されているということを痛感いたしました。特にテロに対する被害者補償というものは、被害者の立場に立って、そして迅速な補償ということに注力をされているということを強く感じたところでございます。
 最後にもう1点。先ほどドイツの例で申し上げましたように、各国の補償制度もこの社会の変化への対応ということで、いずれも見直しといいますか問題意識をお持ちであり、そしてこれからそういう意味では改革といいますか、改善を行っていくということになろうかと思います。そういう意味で継続した各国の変化というものをとらえていくという必要性というものを痛感したわけでございます。
 時間の関係もございますので、具体的な点については省略をさせていただきます。
 以上でございます。

○國松座長 どうもありがとうございました。
 それでは次に、アメリカの結果につきまして、高津参事官からお願いします。

○高津参事官 本日はアメリカの調査をいただきました「民間団体に対する援助に関する検討会」の冨田座長が所用によりご出席いただけませんでしたので、私の方からかわって報告をさせていただきます。報告内容につきましては冨田座長のご了解、確認を得ているものであるということを申し添えます。詳細につきましては、翻訳作業等終了後になると思いますので、その点ご理解をお願いいたします。
 まず、本日の報告の骨子につきましては、資料3-1の3ページに書かれてあります。今回の調査ではこの検討会に関係する事項の聴取先として、司法省司法プログラム局犯罪被害者対策室、OVCですね、それとニューヨーク州犯罪被害者委員会、CVBを訪問して聞き取り調査を実施いたしました。
 主としてアメリカにおけるテロ犯罪被害者に対する対応と、経済的支援制度の財源についてご報告したいと思います。
 まず、テロ犯罪被害者に対する対応についてですが、9.11テロ事件に対する対応は一般の犯罪による被害者はもちろん、9.11以外のテロ事件による被害者に対する対応と比べましても相当特異な位置付けを有しております。これは9.11テロ事件が4機という多くの航空機を多数の人が存在する建物に向けて墜落させるという前代未聞の形で行われたこと、それによって未曾有の数の被害者が発生したというこの事件の有する極めて特殊な側面によるところが大きいようであります。
 9.11テロ事件に関する補償はOVCの所管外で行われますが、この根拠法令は「航空運輸安全安定化法」という法律になります。この法律は、2001年9月11日のテロ攻撃によりましてみずからも甚大な被害を被るとともに、機内持ち込み荷物のチェックなど、重い安全管理上の責任を有することから、多数の個人被害者に対して膨大な損害賠償を負わされるおそれの高かった航空会社に補償するために制定されたという特別の側面を持っている法津であります。この法律に基づきまして、テロ活動の被害者と認められた航空会社に対して最高で100億ドルが支給されるとともに、9.11テロ事件の航空機事故により負傷または死亡した個人に対する補償制度も設立されることになりました。
 この補償制度は、先にも言いましたようにOVCの所管外の制度でありまして、同一事件に対して受給資格のあるすべての付帯的補償制度によってもカバーできない部分について補償する最後の支払手段というアメリカにおける通常の犯罪被害者補償とは補償内容において大きく異なっております。ここで言うすべての付帯的補償制度というのは、犯人からの賠償、民間保険、社会補償、福祉制度など一切を含むということは既に冨田座長からのヒアリングでお聞きになっていると思います。
 この補償制度の9.11テロ事件の補償制度の申請者は1人1件または遺族代表に限られ、通常に比して賠償並みという非常に手厚い補償を受けられるわけですが、その反面で9.11テロ事件により被った被害に対して民事訴訟を起こす権利、これは航空会社に対するものも含んでいるわけですけれども、それを放棄しなければならないということになります。これによって航空会社は莫大な賠償債務を免れるという側面があるわけです。
 なお、付帯的補償制度によります補償はそちらを優先して受けなければならないというわけではありませんが、受給した場合には金額の分だけ減額される対象となり、二重に受け取ることはできません。
 このように、9.11テロ事件に対する対応はアメリカにおける他のテロ事件に対する対応と比べてもかなり特殊なものと言うことができます。9.11テロ事件を除きますと、国内におけるテロ犯罪被害者に対する対応は一般の犯罪被害者に対するものと異なるところはありません。
 アメリカにおきましては、テロ犯罪被害者について特別に対応しているもう1つのことがありまして、これは国外におけるテロ犯罪被害に対する対応であります。国外のテロ犯罪被害の被害者に対しては、これはOVCのプログラムの1つであります国際テロ被害者費用補償制度というものが適用されます。この制度に基づきまして、国外で発生しました国際テロ行為により心身の障害を被るまたは死亡した国民及び米国政府職員は受給資格のある費用について補償を申請することができます。もっとも、この制度によって補償の対象となる費用の範囲は、通常の国内犯罪に対する補償制度と基本的には異なるところはなく、付帯的補償制度によってカバーできない部分について補償する最後の手段という位置付けについても通常の犯罪の場合と同様であります。したがいまして、通常の犯罪による被害者と大きく異なるのは、国外の犯罪でも補償制度の適用の対象になるという点ということになります。なお、他の付帯的補償制度から受給した金額はもちろん、被害を受けた国における補償制度から受給した金額、いずれも減額の対象となります。
 次に、経済的支援制度の財源についてです。VOCA、犯罪被害者法による補償の財源についてですが、基本的には既にヒアリング、冨田座長からご説明をいただいた内容のとおりでありますが、犯罪被害者基金と各州が負担するということになります。基金、州ともいろいろな財源から資金を得ておりますが、州の圧倒的多数は犯罪者からの徴収を補償財源としており、大多数の州では制度の運用にも被害者に対する支給にも税金は使っておりません。基金が罰金を財源にできる背景といたしましては、我が国と異なり、アメリカではいわゆるホワイトカラー犯罪により莫大な額の罰金を徴収できているという事情があります。
 財源の確保のためにアメリカで行われている我が国には存在しない制度としては特別賦課金からと受刑者からの徴収が挙げられると思います。特別賦課金は対象となる犯罪者の罪種や徴収額等、州により若干異なりますが、多くの州では重罪につき50ドル、軽犯罪につき25ドルといったように所定の罰金や料金を被害者補償基金に支払うように犯罪者に義務付けております。それ以外では、罰金の特定割合をとったり罰金を上積みしたりする州があるようです。
 また、刑務作業で受刑者が得た賃金からの徴収を財源の1つとしている州も多く、変わったところでは刑務所内食堂の支出を押さえてその分を財源にしているという州が若干あるということであります。そのほかでは保護観察や仮釈放中に社会奉仕活動等によって得た資金を補償財源に使っている州が1つあります。
 ニューヨーク州の場合ですが、ニューヨーク州では基金から60%の援助、40%を州がみずから負担して制度を運営しております。州の財源は罰金、特別課徴金、交通違反による過料、刑務作業にかかる収益からの徴収などといった加害者側から徴収したものがほとんどでありまして、なるべく納税者である被害者自身が納めているお金でもある、つまりは税金であるところの一般財源は使わないようにしているということでありました。
 年間使用可能額に上限を設けておりますが、かなり高く設定しているため、通常であれば不足分を一般財源に求めるような事態にはならないということでありました。
 次に、補償内容ですが、先ほど来から出ていますように、アメリカにおける犯罪被害補償制度は、保険や社会保障制度や福祉制度を含む一切の付帯的補償制度によってカバーされずに個人負担となってしまった諸費用について、最後の手段として支払うという位置付けで行われていているものであります。このため、他の付帯的補償制度があるのに犯罪被害者補償制度を受けようとすると、他の制度をまず利用するよう促されるということになるようであります。補償対象となる費目は州により決められておりますが、主要な費目はほぼ全州同じでありまして、歯科を含む医療費、精神科のカウンセリング、犯罪にかかわる障害を理由に就労不能となった被害者の損失賃金、休業補償ですね、殺人事件被害者の扶養家族に対する損失、葬儀埋葬費用などとなっています。
 日本の犯給制度のように費目を定めずに一括支給するのとは異なりまして、各費目ごとに定められた上限の範囲内で実費を積み上げて金額を算出して支給するというのが特徴であります。
 ニューヨーク州ではCVDへの郵送または州内に3ヶ所あるCVD事務所に持参して申請を行うこととなりますが、申請額の審査に際しては実際にかかった費用を証明するレシート等の必要な証拠書類を求められるということになります。CVDが提供する補償金、これはつまりニューヨーク州で行われている補償制度の補償金は、心理療法を含む医療費、それから所得の損失または殺人被害者家族の扶養に関する費用として週600ドル、大体月29万円ぐらいまで、これが上限であります。それから、総額の上限が3万ドル、これが大体360万円弱ということになりまして、単純計算しますと50週間分、1年分に限られるということになります。また、被害者本人と、遺族のうちでは扶養されていた遺族に限られるというのが特徴です。
 それから、埋葬費に関しては6,000ドルまで、犯罪現場原状回復費用に関しては2,500ドルまで、引っ越し費用に関しては2,500ドルまでなどとなっております。
 医療費を除きますと上限は総額で4万1,000ドル程度、つまりは500万円くらいということになります。これが上限ということになります。
 最後に課題ですが、何と言っても制度の財源となる資金調達に関して問題を抱えている州が非常に多いということが挙げられます。増え続ける被害者からのニーズに応え、大量の死傷者が出るような事件に備えるためにも、健全な水準に補償残高を維持しなければならないという課題はあるわけですが、その一方で医療費は高騰を続けており、コスト増への対応に努めているものの、この課題は依然解決されないままの状況になっているとのことでありました。
 アメリカの調査結果についての報告は以上であります。

○國松座長 ありがとうございました。
 ただいまお二方から報告がありました。詳細についてはまた翻訳等の作業が終ってからということになりますが、今ご発言があったことにつきまして何かご質問がありましたらどうぞお願いいたします。
 どうぞ。

○瀬川構成員 あまり詳しくは後ほどということで結構なんですけれども、イギリスで財源についての新しい動きというのはかなり具体化されているのかどうか。あるいは従来のままといいますかそういう感じになっているのか、その点だけまず1点。

○平井構成員 財源ということでございますが、私どものヒアリングでは先ほどご説明申し上げましたような新しい基金、そういう形で設けられている、これは政府の拠出金と民間その他の拠出金で行われているということでございまして。財源につきましては基本的にヒアリングの中では従来以上のものは得られておりません。基本的には変わらないのではないかと思われますが。

○瀬川構成員 前、奥村構成員がここで報告されたときに刑罰賦課金のことを少しおっしゃったかと思うんですけれども、この点についての動きというかそういうものもまだないということか。それともある程度これは進んでいるのかということなんですが。

○平井構成員 刑罰賦課金で特に性犯罪を中心に新しい基金を運用されているという奥村先生のご説明でございまして、基本的にはあのときのご説明でもそういった刑罰賦課金を性犯罪被害者を支援する組織に対する援助に使っているということについてはそういう方向だというふうなお話だったので、基本的にはそういう意味では変わらないということだと思います。

○國松座長 ほかに。どうぞ。

○大久保構成員 すみません、2つ教えてください。イギリスのところで、揺さぶられっ子症候群も支給対象となるとなっていますけれども。これは例えば虐待などの場合を指しているのでしょうか。それともその他の犯罪によってたまたまこういう症状になったのでしょうか。ということとあと、ドイツでは社会の改革に伴って改善を行っていかなければいけないということですが、平井構成員といたしましてどのように改善を行っていく方向に向いているというようにお感じになったでしょうか。その点を教えてください。

○平井構成員 第1点目の揺さぶられっ子症候群といいますか幼くして脳障害というケースについては、具体的にこういったケースでこのようなということではなくて、一般的にといいますか、ここに表現させていただいたような表現で、それ以上具体的なお話は聞けておりません。
 それから、ドイツでございますけれども、これは本当にそういう意味では具体的にこういう方向でということは私もある程度自分の予測といいますか、こんなことだろうということも含めて考えてみますと、1つは、先ほどの年金制度のあり方、これにつきましては現在連邦政府の方と、それと州の代表で話し合いをしているということでございまして。具体的に先ほど申し上げたようなケースで一時金の方がより望ましいのではないかというようなことを具体的に発言されましたので、恐らくそういったことが具体的な政府と州の間で議論になっているのかなというように思われます。そして、援護庁の方でもやはり最大は、先ほど申し上げましたように、戦争被害者の数百万の被害者、その制度そのものをこの犯罪被害者に適用している。しかし、犯罪被害者の、例えば働き方とかあるいはまた被害の内容というものが時代とともに大きく変化してきている。したがって、ぜひその点を理解してほしいとこうおっしゃったわけでございますけれども、そういう意味で考えますと、より今日的ないろいろな課題といいますか犯罪被害者の現状というものを踏まえて適用できるようなといいますか、より犯罪被害者の現実に則した内容に変えていくべきではないかという問題意識を、これは連邦政府でも、そして援護庁でもそんな話が出ましたので、そういう方向でご検討されているのかなというようなところでございます。
 以上でございます。

○國松座長 ほかよろしゅうございますか。
 瀬川構成員。

○瀬川構成員 いずれ詳しいご報告があるかと思いますが、今日のご報告の中にもかなりいろいろな理解が鮮明になったように思いますので、すごく貴重な調査だったという感じがいたします。それで、少し高津さんも含めて、平井構成員も含めてお聞きしたいんですけれども、行かれる前に考えられたというか従来の理解と、行って何かここは今までの理解とは違っていたなというようなことがおありになったのかどうか。印象的なことで結構ですので伺いたい。少し先ほどの報告にも含まれているようにも見えましたし、いや、はっきりそこは言いにくかったのかもわかりませんけれども、もしお感じになることがあれば教えていただきたいと。

○國松座長 平井構成員からいかがですか。

○平井構成員 3点ばかりございまして、1つは、これは各国の特にテロ被害についてでございますが、ポリシーだと。つまりかなり政治的、具体的な制度の適用ということではもう適用しきれないような事態に対してかなり政治的といいますか、政府の方針で対応すると。例えばドイツでも海外でテロの被害を受けた者に対し給付を行ったケースがございましたが、これも政治的な判断により、補償制度の枠外で行われたと。イギリスのそういったテロに関する諸制度といいますかいろいろな支援もそういった動きでありますから。
 そういう意味で制度の運営とともに、そういった新しい事態が発生したときにどのように被害者の立場でカバーしていくのかということが大変非常に前向きにとらえられているなというのが1つ印象でございます。
 それから、もう1つは、フランスの基金でございます。いわゆる政府の方は、むしろ理解しやすく言えば1つの保険会社があると思ってくださいと。私どもに従来のヒアリングでは税金が基金として1契約3.3ユーロでしたが、税金として拠出されているという理解で行ったんですが、全くそうではなくて、全く税金ではない、保険料なんだと。確かに保険料、各個人が契約する契約書類にそのことがきちんと書かれていると。それをみんな認識しているんですかと聞きましたけれども、それは多分あまり契約のときにそこまで認識できているかどうかというようなお話もありましたけれども、かなり、先ほど申し上げました交通事故からいわゆる日本でのその他の関連制度全体が1つの基金として運用されている。これがまさに準民間組織といいますか、役員構成を見ますと政府の方、そしていわゆる被害者支援の方というような形で構成されているようでありますからそういう意味で政府の考え方というものがこの基金に反映されるわけです。実際にその運営をされていますのは本当に民間のような、いわゆるITシステムを導入していかに被害者に早く、そして正確に被害者の望むことができるかという視点で努力をされているということでございまして。例えば先ほど申し上げましたような仮給付についても本当に驚くような努力で、あるいはまた求償権についても20%と申し上げましたが、そういった努力でいわゆる自主的に運営をされているということについては大変驚きでありました。
 そして、3番目は、ドイツが最も補償については行き届いている、被害者にとっては非常に安定的だとこういうように思って訪問したわけでございますが、それはそのとおりだと。それはドイツのいわゆる医療制度あるいは年金制度等々を調べましてもそれは非常に手厚い内容でありますし、そしてこの被害者の支援制度についても手厚いわけでありますけれども。そこで先ほど申し上げましたような具体的な被害者の立場といいますかあるいは現状から見て、実は課題があるんだということで、その点についてイギリス、私の印象ではイギリス、フランスよりもご担当の方から最後の説明の終わりで必ず援護庁の方もそういうお話がございまして。その点については私も改めてそういう現実的な問題を感じられているのかということを改めて感じた次第でございます。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 特にフランスの基金につきましてのご印象を述べられましたが、この問題は後で財源のところでまた、これは飛鳥井構成員から財源の問題についてこのペーパーにも基金のようなものを創設したらどうかというようなあれもありますので、そのときにまた議論をすることになるのではないかと思います。
 そういう意味でちょっと1つだけ私から質問なんですが、フランスの場合はこの基金の財源は、例えば保険料であるとか加害者からの求償だとかで国からの交付金はないというようにお話になりましたが、最終的に足りなかった場合には国が出さざるを得ないのではないでしょうか。その点どうなんでしょうか。

○平井構成員 その点につきましては、いわゆる1契約3.3ユーロの保険料を基金へということでございますが、この金額は実はもうずっと3.3ユーロかというとそうではなくて、たしか私の記憶では3ユーロから数年前に3.3ユーロに変えられたと。ですから、理事会で実は毎年その基金運営上どういった内容がいいのか、つまり、3.3ユーロが妥当かどうかというのは実は議論をしているんだと。ただし、毎年議論をしているけれども、ここ数年その金額は変わっていないということでございまして、そういう意味では財政事情によって1契約当たりの拠出金といいますかこれが変更される可能性はあるということでございまして。あとはその求償と、それから具体的に膨大な資金を実際に運営、いわゆる運用されて、その運用収益、この3つでということでおっしゃっておりましたので、そういう形で運営されているということでございました。

○國松座長 ありがとうございました。
 高津参事官の方から、アメリカ何か印象で。

○高津参事官 申しわけありません。私がアメリカに行ったわけではございませんので、私の方から印象というのはちょっと。

○國松座長 そうか。それでは。
 どうぞ。

○高橋構成員 海外調査に行く前にロンドンテロのことについてということを私がお聞きしたこともありまして、この慈善基金とか委員会とかできたその経緯についてもう少しお聞きしたいなと思います。つまり、ロンドン市長と赤十字ということだったんですけれども、要するにこういうロンドン市となると公的機関というふうにとらえていいと思うんですけれども、そちらから自発的に救済をしなくてはいけないといって迅速にこういうものができたのか、それとも被害者側から押されて動いたのかという、そこら辺もちょっとお聞きしたいと思いました。

○國松座長 何かございますか。

○平井構成員 その点につきましては先ほどポリシーと申し上げましたが、ヒアリングでは2、3日後に市長と赤十字がチャリティの組織というお話がございましたので、いわゆる政治的なことが先行したと。そして後から国もそれを認めて拠出したと、2回に分けて拠出したということでございますので、そういう意味では被害者からのいろいろな要望に基づいてということではなかったようにお聞きしました。

○國松座長 大体よろしゅうございましょうか。
 それでは、また詳しい資料は後ほどまた拝見することにいたしまして、本日のこの海外調査の問題につきましてはこの程度にいたしまして。
 前回に引き続きまして、これから経済的支援制度のあるべき姿についての検討に進みたいと思います。
 その前に、事務局から何点か資料について説明があるようでありますので、事務局からお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、資料について若干ご説明を申し上げます。まず、資料1-1ですけれども、これは前回の検討会で座長案として配布いたしました1枚紙、論点整理の資料ですけれども、これをもう少し中身をかみ砕いて事務局の方でとりまとめて3枚紙にしたものでございます。今後の検討に資していただければというふうに思います。
 それから、次の横の方になっておりますけれども、論点整理関係資料の1-2でございますけれども、警察庁の方から具体的なモデルケースを想定してどれくらい出るのかというのを計算してみたらどうかということでつくってみたものでございます。ちょっと1枚目だけ見ていただきますと、これは子ども2人、専業主婦の奥さんという男性が殺されたという場合に、労災の適用があった場合、支給金が例えば378万円出るわけですけれども、労災でなかったという場合には一時金の方は犯罪被害者給付の対象ということで1,200万円あまり出る。そのかわりと言っては何ですけれども、右の方を見ていただきますと、労災の方は大変年金制度が充実をしている。それに引きかえまして年金の方は労災の適用がない場合はあまり多くはないと、こういうことがおわかりになろうかと思います。
 以下、いろいろケースを変えて見やすい資料にしたつもりでございます。
 それから、続きまして、カウンセリング関係資料というふうに資料2でございますけれども、これ実はカウンセリングと余り関係のない資料も入っておりまして、まことに申しわけないんですが、資料2-1と2-2はそれぞれ飛鳥井構成員と大久保構成員からいただいた資料でございます。それぞれ中に「取扱い注意」あるいは「公表不可」とされているところがございますので、ホームページにはその部分は載せないようにしたいというふうに考えております。
 それから、カウンセリング関係資料の2-3-1ですけれども、警察庁の方から、まず2-3-1はカウンセリングの実態に関する警察庁からの資料。2-3-2というのが、これはカウンセリングとは直接の関係はございませんで、前回質問のございました交通反則金の使途先に関する警察庁の資料でございます。
 それから、資料2-4はカウンセリングに関します厚生労働省の資料。
 それから、資料2-5ですけれども、これはカウンセリングとあまり関係ありませんが、国土交通省からの自賠責に関する資料でございます。
 それから、資料2-6ですけれども、文部科学省からのカウンセリングに関する資料というふうになっております。
 それから、海外調査関係資料3ということで、先ほどヨーロッパ、アメリカについてご報告をいただきましたけれども、その後ろにニュージーランドの法総研の資料をつけております。これは平井構成員の方からご要望ございましたので、ヒアリングやるのもなかなか難しいので一応つけておきましのでご参考にしていただければと思います。
 それから、最後に内閣府の資料の4でございますけれども、これはまず1つは、平成19年度の犯罪被害者施策関係予算概算要求ということで資料4-1ですけれども、19年度の予算要求被害者関係予算ということでとりまとめをしておりますので配布をさせていただきました。総額102億9,400万円ということで、前年度比14%プラスということであります。経済支援に関する予算措置ということで、まだ検討中ですのでなかなか新しい新規の予算というのはないんですけれども、(3)の警察庁の方から犯罪被害者等に対する一時避難場所の借り上げ予算というものが新規に要求をされているということであります。
 それから、あとは細かいのがありまして、一番後ろに内閣府資料4-2というのがございまして、これはいわゆる加害者側にどれくらいかかっているかという費用の一覧表でございまして。刑務所の収容等に要する諸費用ということで、トータル706億円余りということになっております。これも平井構成員の方から加害者と被害者でどのくらい違うんだろうというお話がありましたので、一応まとめさせていただきました。ただし、被害者の側の方もDVだとか児童虐待の中の被害者施策分というのが切り分けができなかったり、あるいはどこまでを予算としてとらえるかという問題がありますので、ご参考にしていただければということだと思います。
 以上でございます。

○國松座長 はい、わかりました。まず、論点整理の資料でありますが、前回の資料1-1をまとめて本日は資料1-1で論点整理関係資料がございますが、こちらの方がよくまとまっておりますし、いずれにいたしましても、皆さんからいただいた論点につきましては全部ここに盛られておりますので、今後この資料1-1に基づいて議論を進めてまいりたいというように思います。
 なお、配布資料の関係は、本日はこれからカウンセリングの関係についてのご議論いただきたいのでありますが、資料の中にはそれ以外の資料も何点か入っておりますので、まずその問題につきまして、警察庁からは交通反則金の使途等についての資料が出ております。これは警察庁の構成員から何かご説明がありますか。

○警察庁長官官房総括審議官 反則金の使途についてのお尋ねが前回飛鳥井構成員からございましたので、その調査結果をご報告いたしたいと思います。年間の反則金納付額は864億8,400万円余りという形になっております。これは昨年度実績でありますけれども、18年度からちょっと制度が若干変わりまして、2枚目をごらんいただきたいのでありますけれども、この反則金制度から一部外れたものがございまして、これが今年の6月1日から新聞等でも大分書いてございますけれども、新しい駐車対策法制が施行されまして、これは反則金制度から外れてまいりました。これがまた別の経理がなされるということになっています。
 状況は、その次のページ、色つきの図をつけてございますけれども、まず、反則金制度の取り締まりが行われますとそれが国の歳入になる、国に納付されるという形になります。これが特別会計に一たん入りまして、そこで一定の事務手数料を控除した上で、ここに書いてあります交通安全対策特別交付金という形で、都道府県と市町村に配布されます。これは交通事故の実態とかということを見ながら一定の指標に基づいて計算の上配布をするという形になりますけれども、3分の2が都道府県、3分の1が市町村という形になっています。
 ここに入ったお金は、そこに書いてございますように、信号機とか道路標識表示とかガードレールとかカーブミラーといった交通安全施設に使うということになっております。
 それから、次にもう1枚めくっていただきまして、駐車対策法制の関係でございますけれども、これがことし6月1日から始まったわけでございますが、そのうちの右の部分が新しい形になりますけれども。駐車違反を行って従来どおり反則金を納める場合には左の方の従来どおりの流れになりますけれども、反則金を納められなかった場合には、運転者が反則金を納めなかった場合には、車の使用者に対してこの放置違反金納付というものを命じます。これを使用者が払うという形になるわけでございますが。これにつきましてはそこのフローチャートにもございますけれども、国ではなく都道府県の歳入になるということでございまして。そして、使途は何ら限定をされないという形になるということでございます。こういった形で制度が変わったということでございます。
 あともう1点、資料はございませんけれども、若干の訂正と補足説明でございますが、自賠責関係で政府保障事業について、前回私が一部政府保障事業に一部一般会計から繰り入れられておりますという説明をいたしましたけれども、これちょっともう少し具体的に細かく説明いたしますと、制度上と運用上の問題がありまして、制度上は政府保障事業に一般会計予算を繰り入れることができるのでありますが、それは政府保障事業に要する事務的経費に充てるためのお金を繰り入れることができるということでございまして、したがって、実際に被害者に払われる補償金にはこの一般会計からはお金は補てんされていないということで、これは全部保険金からまかなわれるということでございます。ただし、運用上、今申し上げた事務経費の繰り入れということも当分の間行わないということでもって現実には行われていないということでございました。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 自賠責の政府保障事業につきまして、通常の自賠責保険と政府保障事業の運用上の相違であるとか最適化の相違について国土交通省から資料を提出いただいておりますが、国土交通省、きょうは来ておられますか。何か補足的にご説明ありますか。

○国土交通省自動車交通局保障課課長補佐 では。国土交通省の自動車交通局保障課、田中と申します。よろしくお願いします。資料2-5につきまして簡単な説明資料を用意させていただいておりますが、自賠責保険と補償事業での運用上の違いについてご指摘をいただいておりましたのでお答えいたしたいと思います。
 1つ目は過失相殺の問題についてのご指摘でありますが、自賠責保険におきましては年間120万件という莫大な量をスピーディーに処理するという要請から、被害者に重大な過失がある場合のみ過失減額するという制度運用を行っております。具体的には、70%未満の被害者過失は過失減額なしという形で全額てん補する、70%以上あるいは80、90%のときには一定の割合を減額すると、そういう制度でありまして、これを重過失減額制度といいます。
 補償事業におきましては、加害者へのてん補と表裏一体のスキームとして実は加害者への求償という制度がついておりまして、したがいまして厳密な過失相殺を行っております。被害者の過失割合を甘くすると加害者の過失が厳しくなって、加害者への求償額が上がることになってしまいます。そうすると、到底加害者の理解は得られませんので、またその後訴訟とか和解をするときにとてももたないので、そこを判例等に基づいて過失減額していくという制度運用を行っています。
 しかしながら、本年6月に自賠制度のあり方懇談会というのが開かれまして、政府保障事業も可能な限り自賠責保険に近い損害てん補を行うようにというご指摘がございまして、現在政府保障事業の取り扱いの変更について自賠責とできたら同じような仕組みにできないかということで検討をしている最中であります。
 それから、政府保障事業に仮払い制度がないというご指摘がありました。自賠責保険の場合は、ご案内のとおり、保険金から一定金額の仮渡しを求めることができるという仮渡し金制度というものがございます。一方、政府保障事業の場合は自賠責保険のような仮払い制度はありませんが、実はその穴を埋めるような制度をつくってありまして、自動車事故対策機構というのがございまして、政府保障事業の保障金の一部を無利子で立替貸付を行うという制度がつくってございます。
 1枚おめくりいただきまして、次に政府保障事業の支払までの期間が長いというご指摘がございました。自賠責保険の支払期間は平均で1カ月以内に支払われております。一方、政府の保障事業は平均で5カ月以内に支払うとこういう状況になってございます。ご指摘のとおり、自賠責保険に比べると政府保障事業の支払までの期間少し長いとこういう状況でありますが、それでも毎年処理期間の短縮化を推進しておりまして、今後とも迅速に処理していきたいというふうに思っておりますが。ただ、保障事業の特殊性といいますか、加害者にかわって被害者に立替払いをして被害者にかわって加害者に求償する、そういう制度でございますので、いわゆる保険給付というような形の制度と若干性質が異なっておりまして、加害者支払額を控除するとか、法令給付を除くとか、それからいろいろな事故調査等を行わなければならないということで若干時間がかかっております。特に無保険事故とか轢き逃げ事故というのは自動車心中とか窃盗団の事故だとかひったくりだとか当たり屋とか、どうしても事件性が高いという事故が多くて、そもそも保障事業に該当するかどうかとか、過失割合を決めるときに事故状況がどうかとか、刑事裁判の状況を横目でにらみながらどうしても審査しなければならないケースが多々ございまして、多少時間を要してしまうというこういうやむを得ない面があることをぜひご理解いただきたいと思いますが。
 いずれにしましても処理期間の短縮化につきまして、これは大きな我々のテーマだと思っておりますので、今後とも迅速化に努めていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 今、警察庁と国土交通省からの説明がありましたが、何かご質問ございますでしょうか。

○飛鳥井委員 すみません、1点だけ。まず国土交通省の方になんですけれども。政府保障事業で一時立替貸付をされているということなんですけれども、これは貸付して、実は後になって被害者の方にかなり過失割合があって、いわゆ焦げ付きるといいますか、必要以上に貸し付けてしまって、後で問題になったとかそういったような齟齬というのは出てきたことありますか。

○国土交通省 可能性としてはございます。しかしながら、件数が割と少ないということと、そういう相談があったときにすぐ我々と調整できるように事務的な調整をやっていますので、そういうことがないようにしております。

○飛鳥井構成員 わかりました。
 それから、もう1点、警察庁の方になんですけれども。反則金収入があって、国庫に納められた後、交通安全対策に使われると。つまり、収入の要因と支出の要因が割と見合った特定交付金の制度があるということなんですが。これはこういうふうに制度があるというのは、何か財政法上とか法的な規定というのは何かあるんでしょうか。こういうふうに使えるということ。

○警察庁長官官房総括審議官 規定は、道路交通法の付則にそういった規定がございまして、それに基づいて交付金を交付するという形になってます。法律に根拠があるということです。

○飛鳥井構成員 わかりました。

○國松座長 白井構成員。

○白井構成員 ちょっと読み方を教えてもらいたいんですけれども、警察庁の方の資料で資料1-2ということなんですけれども。これ一番左の欄に、厚生年金対象とか対象が書いてありますが。あと横の方に見ていく場合、どういうふうに理解したらいいかちょっとわかりにくかったものですから、ちょっと教えてもらいたいんですが。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 これはですね、先ほどちょっと簡単に申し上げましたけれども、労災に当たる場合ですね、勤務中に被害に遭ったという場合には労災の対象になりますから一番上で見ていきます。交通事故に遭った場合には当然自賠責ですから自賠責でやると。勤務中でなかった場合に殺された場合は、これは労災ではありませんので、あるいは交通事故でもない場合は犯罪被害者給付の対象になります。そのときに、会社員で厚生年金に入っている場合と自営業者の場合、国民年金の場合とで若干、右側を見ていただきますと、年金の額が違ってきますので、その2つを区別しているということでございます。
 下の2つの右側の方なんですが、遺族基礎年金は同じように出るわけですけれども、いわゆる2階建て部分の厚生年金、ちょっと書けなかったので小さいのであれなんですけれども、会社の方で厚生年金の2階建て部分ですね、この部分が年金として多少出ると、その違いがありますということを表現をしているということであります。

○白井構成員 そうすると、もし国民年金だけの方はこの5万円と1,196万円と124万円が、その合計額が出ると。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 1,200万円というのは一時金ですから、犯罪被害者給付金として一時金として支払がなされると。プラス毎年遺族年金として120万円余りが国民年金の場合は出るということです。

○白井構成員 これは国民年金の場合。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 厚生年金の場合は毎年遺族の方に174万円出ると。

○白井構成員 わかりました。それで、このモデルでは43歳で月平均月収40万円という方をモデルにしたわけなんですけれども。これはもう少し例えば20歳代とか30歳代というような収入の低い金額の方の場合にはどうなるのかということも資料として示していただくことはできますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それは可能ですけれども、基本的な考え方というかこのバランスというのは大体同じようなことになるんじゃないかと思いますけれども。もし必要であればおつくりするのは全然やぶさかではございませんけれども。どういう場合が必要ですか。もうちょっと給料が低いような場合を想定されておられますか。

○白井構成員 そうですね、毎回私が名前を出してあれなんですけれども、ヤマモトテッペイ君のような場合は年齢低くして1級の障害になっちゃっているわけですよね。一時金で確かに金額は出ましたけれども。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 わかりました。それもちょっと。

○國松座長 ほかにどなたか。
 どうぞ。

○大久保構成員 また先ほどの国土交通省の方にお尋ねしたいんですけれども。政府保障の事業の場合、加害者への救済がなされているということですが、こちらの検討会でも例えば民事訴訟を起こしても実際には加害者から支払ってもらえないので絵に描いた餅になりやすいということが何回か出ていると思うんですが、この自賠責に限ってはきちんと加害者は求償、どれくらいの率できちんと回収されているのかどうなのかというあたりを教えていただきたいと思います。

○国土交通省 実はちょっと難しい問題もございますが、過去からの無保険事故の累積債権額に対する累積の回収額ということでいきますと、金額ベースで25%ほどということになります。これが多いかどうかというのはなかなか比較するものが実はなくて難しいところがあるんですが。基本的に政府保障事業でやっている場合は、無保険、無車検で走っている。そしておまけに場合によってはよくあるのが無免許、飲酒運転で事故を起こすと、そういうような加害者ですからろくな支払能力、資力はありませんし、外国人も最近は非常に、感じとして多くなってきているということで、なかなか回収の方が上がらないというのが実態であります。

○國松座長 よろしゅうございますか。
 どうぞ。

○白井構成員 資料4-2に関連してなんですけれども。懲役囚などが労役をして売上があった場合のその収入とかそういうものはどうなっているのかという。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料4-2の真ん中のところですね。受刑者に対する作業報奨金20億円。

○白井構成員 それで、これはこれだけの経費がかかっているということなんですけれども。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 いえいえ、報奨金を出しているということですね、受刑者に対して。

○白井構成員 受刑者に払っているということですよね。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 はい。

○白井構成員 それで、受刑者が働くことによって取引先から得られる売上というかそういうのがあるはずだと思うんですが、そういうのはないんですか。

○國松座長 今のは法務省、いかがですか。

○法務省大臣官房審議官 いろいろな契約の仕組み等々全体像もまだ今の段階でここでご説明できる資料持ち合わせておりませんが、実際に例えばつくられたものをどこに売ってどういうふうにお金が入るというそういう流れはあり得ると思っております。

○白井構成員 その場合、要するにその収入の方の側がどれくらいあるかということ、トータルで年間。

○法務省大臣官房審議官 いずれにしましてもちょっと現在ここに資料を全く持ってきておりませんので、またこちらの方で調べてみます。

○國松座長 では、次回以降でやっていただけますか。
 それでよろしゅうございますか。

○白井構成員 はい。

○國松座長 ほかに。
 それでは、次に移りたいと思います。被害者の負担するカウンセリングの費用をどのように経済的な支援という立場から支援をしていくかという問題につきましては、前回一部議論に入りました。そのときのいろいろな質問等に関しまして、警察庁と厚生労働省、それから文部科学省からそれぞれ資料が出ております。ごらんいただきたいと思います。
 本日は警察庁、何か補足的に説明することありますか。

○警察庁長官官房総括審議官 私どもからお出ししましたのは資料2-3-1でございます。それで、資料2-3-1の別紙というのをごらんいただきたいと思います。横長のこういう資料ですけれども、これまで行われてきた状況であります。これは警察庁から都道府県に対して補助金を出しておりますので、ただ全県その補助金を予算化しているわけではございません。予算化している県は一部なんですけれども、そういうところを含めて実施状況をそこに記載をしております。
 上の段が部内、部内に私ども臨床心理士とかある程度カウンセリングできる者を抱えておりますので、その人間がやっている回数でございますけれども、これは当然に被害者の方から負担は求めていないということでございますけれども。お一人当たり平均すると、その右下の2.4回という形になっております。
 それ以外に部外の精神科医とかまた臨床心理士の方々にお願いをしてやっていただいているものが、その下の段でございますけれども、平均回数1.3回でございますが。それをごらんになっておわかりになりますように、回数の制限を規定上置いていないとか、また被害者等からの負担も求めていないという点が大変に実際に多くなっているんでございますけれども。ただ、その中身について申し上げますと、ちょっと中身的にはいろいろ各県ごとに格差がありまして、大変熱心にいろいろな医療方法、治療方法をやっている県とかもありますし、他方では臨床心理士の資格を持っていない、ある程度カウンセリングの経験のある者なんですけれども、そういう者が電話とか面接でやっているものとかいろいろ格差がありまして、一概にはなかなか申し上げられないんですけれども、基本的には回数制限がないとか負担が求めていないという県が多くて、実際に相当な回数、お一人当たり相当な回数をやっている県も中にはあるということでございます。

○國松座長 厚生労働省の方から提出した資料につきまして、何か補足的に説明ありましょうか。

○厚生労働省政策評価審議官 資料2-4でございます。まず、1番目の地下鉄サリン事件におけるこういうカウンセリング必要性の調査は実施しておりませんし、また2のデータも把握しておりません。
 それから、3番目でございますが、これについてはなかなか個々の事情が異なると思われますので、一律にどのようなものがふさわしいかは答えはなかなか難しいわけでございますが。診療報酬で見ている範囲は、次のページでございますが、問4でまとめておりますが。代表的なものとして入院精神療法、それから通院精神療法、心身医学療法、それぞれ医師が行うものについて対象としておりますが。これについてはその次のページにございますように、別紙にございますように、それぞれ一定の回数については限度があるという形になっております。
 それから、問5でございますが、この支払猶予に関しては特段法令上、手続上何も定められておりませんので、これは結局は個々の当事者間に委ねられている、当事者間の問題だということでございます。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 文部科学省はきょう来ておられないですね。資料は2-6に臨床心理士等の数であるとかカウンセリングに支払われる報酬額について一定の回答がきておりますので、ご参照いただきたいと思います。
 それで、このカウンセリングの必要性だとか有効性等につきましては、飛鳥井構成員と大久保構成員から資料を頂戴をいたしております。大変わかりやすいといいますか、問題点のよくわかる資料でありまして、どうもありがとうございました。これは皆さんもごらんいただいておると思いますが、飛鳥井構成員、大久保構成員からこの資料につきまして、何か補足的に説明することがございましたらお願いをしたいと思いますが。

○飛鳥井構成員 それでは、ちょっと意見を補足させていただきます。全部のことをダラダラとお話はしません。
 問題点が2つあると思うんですね。1つはこの問題を出した前提となることですけれども、1つはやはり基本法で犯罪被害を受けたことの心理的外傷による精神的被害への治療ケアを充実させるべきだということが、もうこれは基本法で盛り込まれております。そこには裏にはやはり今の体制では充実していないということがあるわけでありまして、例えば警察庁でも早期カウンセリングは十分取り組まれている、あるいは当然保険内診療でもいろいろな精神科等の治療は受けられいてるんですけれども、それではやはり体制としては十分ではないということがあって、それで基本法の文言になっているんだと思うんですね。実際海外では心理療法を含めた医療費の補てんがあったりとか、ドイツでもPTSD対策が課題になっているというふうな話もありますけれども、それは海外でも既にもう前例として取り組まれていることだと思いますね。それは前提とありまして。
 もう1つは、いわゆる刑事政策上の不均衡といいますか、加害者と被害者とで若干の不均衡が生じているという事実もあります。それは、例えば今年度法務省で性犯罪の加害者の改善指導プログラム等やりますけれども、これが取り組まれております。実際は内容的には認知行動療法に近いものなんですけれども。それに対して大体年間でたしか1億1,000万ぐらいですかね、それぐらいの国費が投入をされております。つまり、性犯罪の加害者の方につきましてはそれだけ、要するに処罰一辺倒はではもう無理なので手厚い指導プログラムというものが受けられるようになった。これは大変な進歩だと思うんですね。明らかに進歩だと。
 しかし、被害者の方はどうかというと、相変わらずそういう同じ程度のプログラムを受けようと思うと1回何千円か払いなさい、東京ですと1回1万円払いなさいという実情があるわけでありまして。そのためにそういうプログラムが受けられないと。これはやはり刑事政策上の不均衡的に見えるというような実態があるわけですね。
 こういう2つのことがありましてこの論点を出させていただきました。それで、回答もいろいろ書かせていただいたんですけれども、7ページですね、表にまとめさせていただいて具体的イメージを恐らく持っていただいた方が話がわかりやすいかと思って表にまとめたものです。
 では、何らかのそういう専門性の高い心理療法と呼んでもカウンセリングと呼んでもいいですけれども、そういうものを提供しようとする場合、やはり大きく医療型と非医療型に分かれるだろう。医療の枠内でやるか医療から外して行うかということで。医療機関でやる場合には、ただし現在の保険内診療でやった場合には多分医療機関はどこもペイしないので、実際には先ほど言ったような被害者が自費負担でかかっているという実情が多くあります。これを給付しようとすると、保険適用外の自由診療に給付するという形になる。実施者は医師ないし臨床心理士。これであれば重傷病給付金の範囲で準じた手続で個別給付ができるのではないかといったようなことですね。ただ、この問題は支援対策の範囲を超える問題としてPTSDに有効な治療法について認知行動療法のようなものを保険点数化するようなことが将来的にできるかどうかとか。あるいは混合診療の問題にかかってきますので、それについての運用上の問題をどういうふうにクリアするかといったようなことが出てきます。
 そういったような医療で行わないとなるとこれは非医療型ということになるんですけれども。これは医療機関外での心理面接ということになりまして、臨床心理士が主には行う。ただ、これは今国家資格化されておりませんので民間資格ということなんですね。これがアメリカなんかとは違うところで、アメリカはもう公的な認証を受けたカウンセラーに対して、そのカウンセリング費用に対して給付を行うということができますが、日本ではまだ民間資格なものですから、それに対して個別に公的給付を行うということについてはかなりいろいろな問題が出てくるかと思うんですね。そうすると、被害者支援センターですとか、例えば臨床心理士会等に各地域で手を上げてもらって、そこに委託をしたり補助金を出すということが具体的に考えられるだろうという問題。こういったA型、B型、あるいはさらに折衷したような案もあるかと思うんですね。
 裏を見ていただきまして、私の主張としては、今得られている情報で医療型の方にちょっとメリットがあるのではないかというように考えております。全国一律の制度利用が可能であるということと。非医療型の場合も手上げ方式ですので、どうしてもすばらしいシステムをつくる地域もありますし、あるいはほとんど受け皿がないような地域も出てくるということで、かなりばらつきが出てくるということと。
 それから、臨床心理士が大都市ではいろいろな心理相談室というのがたくさんあります、あるいは開業している心理療法士というのがいますけれども、地方に行きますともうほとんどの臨床心理士は医療機関に所属をしておりますので、被害者にとって人材ですとか実施機関、アクセスを考えますと、やはり医療機関の中で行ってもらうものが利用しやすいという問題があるんですね。
 それから、重傷病給付金と制度的に統合すると、何といってもいろいろ申請とか認定といったような手続が一本で済みますので、新しい制度になってまたそこで認定を受けて申請を受けて給付受けなきゃいけないというと、またこれ被害者に新たな負担を強いることになると。だから、同じ理由で事務作業量としても新制度でさらにまた時間的、経済的コストをかけるということを考えれば、犯給法の中で一本の申請・認定作業から給付作業まで一本化することで重複を避けるというふうなメリットがあるんですけれども。しかし、この医療型の場合はクリアすべき2つの大きな問題があります。これも小さくない問題なんですね。
 1つは、保険適用外の自由診療に公的給付を行う、その根拠と妥当性はやはりしっかりいるということで、それをどういうふうにクリアしていくかということと。それから、これは例えば厚生労働省の方にとって大きな問題になると思うんですが、混合診療に引っかかってくるのではないか。これを保険診療と自由診療、同じ医療機関で薬も出しました、片方で臨床心理士の人が自由診療でカウンセリングもしました。これは混合診療の問題に引っかかってきますので、そこをどういうふうにクリアできるような運用方法があるのかということがありまして。これが実はちょっとあまり小さくはない大きな問題で頭が痛いところなんだと思うんですよ。ただし、それを省けば医療型にはメリットがありますけれども。
 ということで、案としては医療型でも非医療型でも何らかの形で心理療法あるいはカウンセリングに対して、早期カウンセリングの後のそういう精神的なケアに対して給付が受けられるようになるというのは大きな前進だと思うのでぜひ実現していただきたいと思うんですけれども。具体的にはこういったような問題があって、各構成員の方のご意見も伺って何とか方策はないかなと考えているところです。
 以上です。

○國松座長 ありがとうございました。
 今、飛鳥井構成員のご指摘のところがまさにこれから議論されなきゃならん話だと思います。
 その前に大久保構成員、事例等につきましてかなり詳しい資料を出していただいております。何か補足的にご説明がございますか。

○大久保構成員 はい。事例につきましてはまた読んでいただければカウンセリングが必要なケースはかなりあるし、なかなか途中でやめてしまうような場合にありましても経済的な問題が1番。次には、やはり適切なカウンセリングを受けることができない。それは今、飛鳥井構成員の方からのお話の中にも少し含まれていたかと思いまして、なかなかそういう国家資格にもなっていない中で、同じ臨床心理士さんにかかってもかえって悪化してしまって二次被害を受ける、そういうこともあるということは言えるかと思います。
 私が出させていただきました資料の1ページを見ていただけるとよろしいかと思いますが。こちらの方には一応都民センターの方でカウンセリングが必要だと思われた事例を平成15年から17年まで少し洗い出しをして載せてみました。もちろん総件数はこの3年間では7,000件を超えておりますが、この中では一応こちらの方に書いてあります被害別のケースとして2,138件を出してみました。その中でカウンセリングを必要としているというものは199件ありました。当然例えばここに載っていません財産的な被害あるいはその他の事故に遭って精神的支援が必要だとしている方もたくさんおります。
 次には支援センターでカウンセリングを希望する理由の1つとして、支援センターでは例えば1回1万円というような形での支払というものはありませんので、あるいは無料というところもありますので、経済的な意味から支援センターで受けたいということを希望する方が多いですし、なかなか自分で適切な機関を見つけることもできないということを言っている方もいました。
 あと、こちらの図といたしまして、カウンセリングを必要とする事例の場合、どういう被害別に多いのかということを資料1の図、ブルーと紫で出したものに載せてみました。これを見てみますと、例えば殺人などの場合は168人中36名の、パーセントにしますと21.4%でした。交通死亡事故につきましては大体21.7%、性的被害については14%、そのほかだんだん低くなりまして、例えばストーカーでしたら1.5%というような形で、重大な被害に遭った人たちがやはりカウンセリングを望んでいるということがこの表の中からわかりました。
 それでは、全国に今40都道府県に42の被害者支援センターがありますが、そちらの方ではどのようなカウンセリングをしているのかということも合わせて少し調べてみました。それでは、有料の専門家といいますのは、実は支援センターの理事ですとかあるいは専門の相談員というような立場にある人たちが支援センターで例えば1件いくらというような費用を負担してその理事あるいは相談員の方にお願いをしてあるというところが結構ありました。
 支援センターによるカウンセリング費用の負担状況については3ページの図4のところを見ていただければ出ています。
 それと、すみません、出すのをうっかりしておりまして、今日机の上に配らせていただきました。費用の点につきまして、ちょっと白黒、都民センターはカラーコピーありませんで白黒ですが、準備をしてまいりましたので。これを見ていただきますと大体1回の費用がどれくらいかかるのかというあたりがわかっていただけるかと思います。
 支援センターによりましては、例えば1事例10万円というような上限を決めまして、医療機関なりあるいは臨床心理士さんのいるようなクリニックなりにお願いをして、そしてそこからの請求によって支払をしている、そういうところもありました。ただ、それでも回数からしますと四、五回ぐらい、それ以上になりますと後は自己負担でというような形になりまして、その後続かなくなるということを訴えている方もいらっしゃいます。
 支援センターもまだもう1つの検討会の方で民間支援団体への援助ということが検討されていますように、支援センターそのものも財政的には大変脆弱な中にありながら、カウンセリングが必要な方がいればそのセンターがお金を出して理事さんをやっている臨床心理士さんとかに支払をするというような形になっておりますので、結構支援センターにも大変負担がかかっているという状況がわかっております。
 それと、4ページ以降はカウンセリングが必要な事例の中から幾つか代表的な形ということで出させていただきましたので、また参考に見ていただければと思います。
 ただ、被害者支援センターにいますと、実はカウンセリングといいますのは被害者支援のごくごく一部でして、やはり被害に遭って破壊された日常生活を取り戻していくというところに視点を当ててこの経済的支援のあり方も考えていかなければいけないのではないかというように思っておりますので、これはごくごく一部でして、あとはもっともっと幅広く経済的な支援というものを検討していっていただければと思っております。

○國松座長 わかりました。もちろん経済的支援、カウンセリングだけが問題じゃないのはそのとおりでありますが。
 私などから見てみますと、このカウンセリングの部分だけがどうも何かちょっと飛鳥井構成員のご指摘を待つまでもなく、今の犯罪被害者支援の中でちょっとレベルが低く押さえられている分野ではないのかなと思いますので。これはひとつちょっと今回のこの議論で経済的支援の枠内で何ができるかということをご議論いただく必要があるのかなと思っております。
 飛鳥井構成員からのこの資料で問題点は大体わかってきているわけでございますが、今までの飛鳥井構成員のご説明あるいは大久保構成員のご説明につきまして、何かご質問とか、それをきっかけとしたご議論がありましたらどうぞご自由にお願いします。
 どうぞ。

○白井構成員 白井ですけれども。大久保さんにお聞きしたいんですけれども。被害者の方が法廷に行くとか検察庁に行くとかそういうような場合にボランティアの方の付添いだけじゃなくて、実際にそういう症状が非常に重篤で臨床心理士さんなどの資格を持った方の付添いも必要とされるというような場合はないんでしょうか。それから、大久保さんの資料で性被害の方々が非常にカウンセリングの要請が強いわけなんですけれども。性被害の場合には被害申告率が非常に低いということで、実際にはまだ警察にも行けないけれども、そういうカウンセリングというか相談を受けたいというようなそういう方々もかなりあるんですかね。そこら辺を聞きたいんですけれども。

○大久保構成員 まず1つ目の質問に対してですけれども、一人で、例えば公判の場に立つあるいは公判に行くだけでも被告人の顔を見るだけで体が震えてしまうので行きたくても行けない、そういうような場合は支援センターとしては付添い支援ということをやっております。ただ、私は日本の被害者支援は外国をまず初めはまねをして始めたものですから、どうしても被害者支援イコール話を聞く、傾聴というような形の部分があまりにも大きくとらえられているんだと思うんですね。外国のボランティアさんというのは自分の専門職を自分の空いた時間に生かすというような形ですので、日本のボランティアさんとはやはり少し質の面で違うような気がするわけです。
 都民センターではボランティアセミナーをやりまして、毎年ボランティアさんを養成はしていますけれども、よほど人柄がいい方であってもまたある程度被害者の方に直接接していただくようになるまでには3年とか4年かかります。公判に行くような緊張する場にボランティアさんでいいということは決して被害者のためにはなっていないと思うんですね。
 だからこそ犯罪被害者等早期援助団体でもきちんと指定されるような犯罪被害相談員ですね、きちんとした訓練を受けた方であれば、私は何も職種にはこだわらなくても、そういう方でも被害者支援はできると思います。かなりの訓練された方が必要だと思っています。
 それと、性被害の方につきましては確かに相談電話の中でも警察にはまだ行きたくない、だけれども、とても混乱をしているのでと言われますので、当然面接をする必要性は感じますので一回は来ていただきます。でも、その後、例えば今回の被害のことだけではなくて、それまで何か受けたトラウマなどがありますと、それは支援センターは医療機関ではありませんので、きちんと時間をかけて専門的にかかわっていただけるような医療機関に紹介をするケースがあります。今までも何ケースかお願いはしましたが、そういう方の中にもやはり金銭的に続かないのでということでまた支援センターの方に連絡が入りますが、支援センターとしましてもそこまでの力量も人材もありませんので、気にはなりながら今かかっているドクターからどこかをまた紹介をしてもらってくださいというような形になることも多いわけなんですね。そういうあたりでは支援センターとしては大変無力感を感じますが、中途半端にはかえってかかわれないということも感じておりますので。それは問題だと思っています。

○國松座長 ほか、何か。
 私から飛鳥井構成員というよりむしろ大久保構成員にお話をお聞きした方がよろしいんですかね。カウンセリング費用の支援をどういうようにやっていくかという問題になります場合に、1つは、早期支援団体がやっております支援段階からもっと継続的にやっていくということになる。その場合にニーズがどの程度あるのかというのが継続治療の必要性ですよね、これについてどういう実態になっているのかということにつきまして。今、飛鳥井構成員の資料の中でカウンセリングを終了時点でのチェックリストのようなもの、評価をどの程度継続治療を必要としているのかというような概算データを得ることが可能であればそこでやればいいんじゃないかということがありますが。これは大久保構成員なんかのやっておられますようなセンターなどでそういった早期支援団体のカウンセリングから引き続いて継続治療が必要であるというようなことを示すようなデータというのはまず出てくるものなんでしょうか。それが私の質問。

○大久保構成員 資料1の図であらわしましたように、重大な事件の場合はやはり継続的にずっと、都民センターでは「カウンセリング」という言い方はしませんで「面接」という言い方をしているんですけれども。面接が必要な方といいますのは例えばご遺族の場合でしたら3年、4年というような長きにわたりまして必要だと感じています。ただ、初めのころは1週間に1回であっても、それから1カ月に1回、二、三カ月に1回あるいはもっと年数がたてば半年に1回というような形での支援は必要なものだと感じています。

○飛鳥井構成員 今ジャンルとしては疫学的な調査ということなんですが、なかなか難しいものがあると思うんですね。今、各県警の被害者支援室にもケース上がってくるんですけれども、それはやはり現場の捜査官のフィルターがかかっているんですよね。そこでこぼれている、やはり現場の捜査官が見たらこれは問題だというケースが上がってくるんですけれども。1つは明らかにストレス症状関連のものがあったりとか、それからいろいろ精神的な問題があって上がってくるんですが。最初の段階で自分があまりもう被害を受けたことを回避していたりとか感情麻痺なんかを起こしていますと、もう結構です結構ですと言って一見元気に振る舞って援助を求めないということはPTSDの場合非常に多いものなんですね。それから、早期の支援の時期を過ぎてしばらくしてからだんだんと感情麻痺などが取れてきて症状が出てくるという例も珍しくありませんので。必ずしも警察も早期カウンセリングで全部をきちっと拾えているかどうかというところには疑問は残るんです。
 したがって、本来一律に全部チェックリストを使って症状評価すればデータはとれるでしょうけれども、なかなか現場の犯罪捜査のレベルでそういうことをするのはいろいろ問題もあるでしょうし、ご本人の同意その他の問題が出てくるので難しいかとは思うんですけれども。ただ、今警察で、警察庁の方から先ほどご報告ありました各県警での早期カウンセリングを行っておりますので、それが恐らく終了したぐらいのところでちょっと何かチェックリストのようなものを使ってどの程度まだ精神的なケアのニーズがあるかということについては概算のニーズの把握というのはできる可能性はあるかなとは思っています。

○國松座長 警察庁、どうですか。

○警察庁長官官房総括審議官 今のお尋ねの点につきましては、先ほどご説明しました資料の後に、資料でお配りをちょっとしておるんですが。警察の部内あるいは部外に委嘱してカウンセリングを行う、これは数千件の単位であるわけですが、それについて現時点でその後どういうふうにすべきかという分析がきっちり行われているというわけではありません。これは各県でも運用が大きく違っているということもございます。ただ、現実の問題としてどのくらいの方を精神科医等に引き継いだかというのを数字をとってみたわけですが、平成17年度中で46人とこういうことでございました。警察で現実に動いたのはこのぐらいは出てきているとこういうことでございます。

○國松座長 それから、先ほど既に飛鳥井構成員から問題として指摘をされておりますいわゆる医療型がメリットは多いのではないかということですが、それがクリアしなきゃならない点が8ページに書いてございますが。保険適用外の自由診療に公的給付を行うことの根拠と妥当性ということで。もう1つはこの混合診療に当たらないという運用方法というのがあるのかどうかというか、この辺は直ちにはお答えできないかもしれません。厚生労働省、ご担当でわかりますか。

○厚生労働省政策評価審議官 次回までに担当のところに。なかなかこれは難しい問題があると。

○國松座長 これが実は悩ましいところでありまして。特に混合診療というのは大変大事だと思いますので。

○厚生労働省政策評価審議官 規制改革絡みでも議論ございますので。

○國松座長 ちょっとこの飛鳥井構成員から出ました2点につきまして、何らかの厚生労働省としてのお立場を次回お示しいただけると思いますので、担当の方に言っておいていただけますか。

○厚生労働省政策評価審議官 はい。

○國松座長 今日は担当行政庁の意見はちょっと、担当の方が来ておられませんので聞けませんが、ここが一番の問題であろうと思います。
 先ほど飛鳥井構成員からありましたように、何か一歩前へ出るということが必要なわけですね。その辺のクリアができませんとどういう制度設計をしたらいいのかちょっと見当がつかない。
 またこれは飛鳥井構成員、1つの質問なんですが。非医療型というのはちょっとさっきもありましたように、地域でばらつきが出ちゃってなかなか難しいと思いますが。制度設計のやり方として、こちらでいけるというのは何かあるんですか。そういうばらつきなどを是正しながらやっていくという方法もあり得るんですかね。

○飛鳥井構成員 これですと、例えば国から半分、それぞれの自治体から半分ということで、自治体の財政事情、体力の問題もありまして。それから、実際には臨床心理士の方が中核になると思うんですが。臨床心理士の数なども各県によって大分ばらつきがありますので、やはり先ほど言いましたように、もうすばらしいシステムをつくれるところと、もうほとんど維持するのが困難でどこも手を上げてくれるところがないといったような地域とで、これはなかなかこの格差を埋めていくのは難しいと思います。ただ、それを少しでも均等にしていくためには、それこそ5年、10年といったようなことが必要だと思うんですね。そこら辺は医療型の方がまだ格差は少ないですし、それからそういう大きな問題に、結局は今の臨床心理士の方は特に地方ではほとんど医療機関につながっているので、医療機関、自分の勤めているところでカウンセリングができればそれでもいいんですけれども。非医療型の場合はその心理室か何か、それもまた手当をしなきゃいけないということで。全体のコストとしてはもう非医療型の方が大分かかるだろうなと思っております。コストパフォーマンスで見たら大分違ってくるだろうなと。

○國松座長 それで、医療型でいった場合に、これを犯給法の中で一本化してできるということもご指摘があったんですが。これは警察庁の方としてはどういうお考えですか。

○警察庁長官官房総括審議官 重傷病給付金に準じた手続というふうに資料には書かれておりまして、ご案内のとおり、現在の重傷病給付金は保険診療の対象になるというのが大前提で、それが標準的な適切な治療という前提に立っているわけなんですけれども。基本的にはそこへ乗せていく方向がまずあるんだろうというふうに思いますが。
 仮に自由診療、保険診療の外のものを重傷病給付金に乗せるとすると、これは法律を変えればできると言えばできるのかもしませんが。通常の医療の外にあるものの中で、たくさんあると思うんですが、この部分はぜひ必要だという状況がやはり医学的にもあるいは実際のニーズの場面ででもそれなりのきちんとした裏づけができないとなかなか法律として制度化するというのはそう簡単なことではないんだろうと思うんですね。その辺は、これは保険診療でいくとしてもあるいはそうでないとしてもかなり詰めていく必要があるだろうというふうには思います。

○國松座長 どうぞ。

○飛鳥井構成員 それで、私の冒頭、意見というより基本法の精神をお話しさせていただいたんですけれども。これ本当に調査しようと思うと大変な調査になるんですね。どこまでの正確なデータというものが必要なのか。それならば、なぜ基本法は精神的外傷の治療ケアを充実しろということを出したのか、何を根拠にああいうことを出したのかということなんですね。充実しなきゃいけないというコンセンサスは既にあるんだと思うんです。今からなぜ充実させなきゃいけないのかということを調査をしろというのは、本当にそこまで必要なのかどうか。実際海外ではもうそういうことが行われていることがあるわけですね。
 私はこの対策としてはもちろんニーズの問題もありますし、果たして提供できるだけの人材はあるのか、有効性はどうなのかといった個々の議論はあります。それは専門家としても1つ1つ努力すべきだと思うんですけれども。全体としてやはり明らかにそういったような必要性があるということがあるので、では、どうやって具体的に展開しようかということの大きな指針をここの検討会で出していただくのがここの役割なのかなというふうに考えているんですけれども。

○國松座長 わかりました。そういうようにこれから議論を進めていきたいと思います。
 ただ、その場合に、全く何もないのはちょっと困るので、要するにそんな詳細な大調査をやらなかったらいけないようなことは必要ないんだろうと思いますが。どういう必要があるのかということは大久保構成員の方の大体の現場を扱っておられる方が必要なんだというあたりでよろしいのかもしれませんけれどもね。ある程度のデータがないと何か前へ進まない。
 それから、やはりそこをやや法律的には非常に面倒くさい話をせんといかんところがあるものですから、そこはちょっとある程度は必要なのかなと思います。
 とにかくまずは当検討会の方向としては基本法の精神にのっとってやるわけでありますから。

○飛鳥井構成員 了解しておりまして、そこで私のクリアすべき自由診療に公的給付を行うその根拠と妥当性、どの程度の根拠と妥当性がいるのかというのを逆にここで検討していただいて、では、何を調べてどういうデータを出せばいいのかということをむしろそういうことをご議論していただいた方がいいかてと思います。

○國松座長 わかりました。いずれにいたしましてもこの点は厚生労働省の担当部局のご意見をちょっと聞いてみる必要もあるのかなと思いますので、そこは本格的な議論は次回以降にしてみたいというふうに思います。
 ほかに何かこのカウンセリングの問題につきまして、ご指摘あるいはご質問等がありましたらご自由にお願いいたします。
 どうぞ。

○平井構成員 私、京都の被害者支援センターの関係しているわけでございますが、基本的に先ほど大久保さんがおっしゃったようなことだと思うんですけれども。京都のケースでは、やはりだれが相談に乗るかということによって随分結果といいますか、異なってくると。それは、相談員の経験と質といいますかそういうものによっていわゆるカウンセリングが必要かどうかという判断も随分と異なるといいますか。したがって、先ほど都民センター、全国のデータから見ましても相談員が過半の相談を専門家よりもしているという実情があるわけでございますので、そういう意味では私は経済的支援の枠内ではないかもわかりませんけれども、そこのいわゆる今で言う専門家でない相談員、トレーニングを受けていく相談員の質的レベルといいますか、これを同時に向上させていくということが被害者にとって最適のカウンセリングを受けることにつながるのではないかと。
 京都も10年近くの経験によって、こういうケースの場合どのカウンセラーあるいはこれはカウンセリングではなくて弁護士の問題だとかそういう判断がだんだんとできるようになってきたというような経験も考えますと、被害者にとっての最適なカウンセリングというように考えた場合に、そういう全体の中でこの質的に上がっていく中でより専門的なカウンセリングが必要な方は適切に受けられるという仕組みを考えていくことが大切ではないかというように考えた次第でございます。

○國松座長 もちろんそのとおりなんですが、問題は一種の早期支援団体なりその辺で、後で前裁きといいますかやるというのは非常に必要な、適切な前裁きをやるというのが必要になって。今これから我々が議論せんといかんのは、その後の専門性の非常に高いカウンセリング、ある程度資格のある保険外だけれども、かなりの専門性の高いカウンセリングをやる場合の費用をどう見ていくんだ。保険外だったらどうするのか、混合診療とどう違うかというそこのややこしい議論をちょっとしないと話が進まないところがある。
 その専門性の高いカウンセリングを受ける、それを受けさせるといいますか、受けていただくような仕組みというのは当然必要ですけれども、その場合といった場合の金の出方といいますか、それは経済的支援の枠内でどういうふうにやっていくのかというのが問題になってくるんだろうと思います。これを何とかクリアしないといけないということだと思います。
 きょうはその程度でよろしゅうございましょうかね。

○白井構成員 その補償の対象なんですけれども、カウンセリングの場合のですね。直接の被害者の方ではなくてそのご家族の中とかそういう方も補償の対象、カウンセリングの費用を補償する場合にそういう方も必要になると思いますので、それも考えておく必要ははあるんじゃないかなと。

○國松座長 都民センターなんかもそういう被害者自身でなくて、親族というのもあるわけですよね。

○大久保構成員 ええ、かえって、例えば子どもさんが性被害を受けたというような場合はその親御さんのカウンセリングをするということが一番という場合もありますので。要望に合わせてこちらでそれが必要と判断した場合は適切な対応をしております。

○國松座長 それは飛鳥井構成員の方もそういう理解ですね。

○飛鳥井構成員 今、大久保構成員が出されたお子さんが被害の場合は必ず親子でカウンセリングをしますので、当然親も含まれますね。それから、実際「犯罪被害者等」と書いてありますけれども、遺族の方のためのカウンセリングというのも大きなニーズになっていることも確かです。

○國松座長 よろしゅうございますか。
 それでは、そう時間がありませんけれども、できるだけということで。この検討事項といいますか、論点整理の資料といたしまして、今カウンセリング等の費用を国が負担すべきかどうかという問題についての議論があったわけでありますが。実は、その上の医療費について、1年を超える医療費の自己負担分、今の犯給法の制限があるわけでありますけれども。これについて、1年を超える医療費の自己負担分についても国が負担することになるのが妥当なのかどうか。言葉を変えると医療費の無料化ということなんですが。これは実は前回まだ議論をしておらないところでありますが、この点について何かご意見がありましたらお願いいたします。白井構成員から出ていたんですかね。
 何かありましたらどうぞ。

○白井構成員 やはりその被害者の方がもとの生活にできる限り近づけるようにということであれば、お医者さんがまだ治療が必要だよというふうに言っている限りは補償を継続すべきだというふうに思いますけれども。

○國松座長 この点につきまして何かほかにご意見。
 どの程度の長さかというのはその被害の対応とか何かによるということになるんでしょうかね。これはひとつどの程度のものになるのかということにつきまして、当検討委員会としても意見を出さなければならない問題だろうというように思います。
 これは警察庁の方、今の段階で何かお答えできることありますか。

○警察庁長官官房総括審議官 いや、これはちょっと現段階では例えば1年を何年にするかとかそういう考えを持っておりません。やはりこの被害者給付なりあるいはこれにかわる制度かもしれませんが、そういう制度をどういう考え方で組んでいくかというのと関わっている話なんだろうというふうに思います。

○國松座長 これもほかの制度との関連で難しい問題があると思いますが。議論を続けたいというように思います。
 この問題について何か特に今ご発言が、白井構成員からあったことに加えて何かご発言がございましょうか。
 どうぞ。

○高橋構成員 地下鉄サリン事件の被害者の場合には、労災を受けられた被害者に関してはアフターケア制度というのがありまして、いろいろな検査はしていただくんですけれども、その検査によって治療が必要だとなった場合に、それはやはり自分たちで医療機関に行って支払っているということなので。それは原因がやはり事件ということなので、そこら辺も補償していただければいいんじゃないかなというふうには思っていますけれども。

○國松座長 ほかに何かございますか。
 これはまた後ほど繰り返して話が出てくることであろうと思います。
 項目に従ってざっといってみたいと思うのでありますが。あと重度の障害が出たときの介護費用であるとかリハビリ費用というのは障害者保健福祉施策でカバーされているわけでありますが、それとは別に支給をする必要があるのかどうか、これも一種のエビデンスといいますか、こういう場合にはやはり支給すべきだというようなケースがあるかどうかということでありますけれども。これは大久保構成員の方で何かそういう事例というのは現場であるんでありますか。これ障害者関係だと1割負担なんですね。

○大久保構成員 今は新しい法律で1割負担で。

○國松座長 それが払えない方とか。
 どうぞ。

○白井構成員 法律はできているんですけれども、新しい障害者自立支援法に基づいて一体どの程度のものをやっていただけるのかという具体的なことがわからないんです。それなので、被害者の方に聞いてもその専門のソーシャルワーカーの方に聞いても、ちょっと今のところまだ具体化していないのでと言われちゃうんです。

○國松座長 わかりました。そういうことであればここで議論しても始まりません。後でこの問題もう一回出てくるのかもしれませんが、そういう問題が1つあるという指摘にとどめておけばいいのかなと思います、ここでは。特にご議論する必要がなければその程度で。問題点の1つとしてこの検討会で出てきたという……

○大久保構成員 それは多分きちんとまたこちらの方で相談を受けた中をもう一度きちっと調査してみますと多分あるのではないと思うんですね。生活保護になってしまっている場合は無料ですけれども、そうでもなくて市町村税が控除されているような対象の方たちも多いかと思いますし。そういう方々もやはり1割負担ということは確かにかかってはきますので。

○國松座長 そういう問題があるということ程度で。本当にそこに手を差し伸べなければならないようなケースが出てくるのかどうか、白井構成員から話がありましたように、自立支援法の方もまだこれからのところもありますのでちょっとよくわからない、経緯を見なければわからないというところがあるのかもしれません。
 次は、項目でまいりますと、通院費とか付添い費など、医療を受けることに付随する費用を国が負担すべきかどうかということがありまして、これを負担すべきだというようなご意見も出ておったわけでありますが。この点につきまして、何か補足してというかここでご発言がありましたらお願いいたします。
 特にありませんですか。これは論点整理の中で出てきていたものであります。
 次は後遺障害を負った場合に要する費用、これは補装具費というんですか、それとか環境整備費ということで車いすであるとか義肢などの補装具費。これもまた今の話に戻りますけれども、新障害者保健福祉施策ということで、これはある程度現行でも出ることになるわけでありますけれども、それを別に支給する必要があるものがあるかどうかということ。あるいはこれは住宅だとか自動車の改造費など、犯罪被害者にあってはそれが必要な場合もあるわけでありますが、そういうもののいわば一種の環境整備費で、これも障害者保健福祉施策とは別に支給する必要があるものがあるかどうかというようなことにつきまして、どのようにお考えか、ご意見がありましたらお願いをいたします。

○白井構成員 ちょっとこれもわからないんですが、脳をやられて、おやじ狩りにやられて、それで感染症を併発されて、その感染を防止するためのいろいろなエプロンとかそういうものを買わなきゃならないとか、それからおしめとかそういうものも実はお願いしたいという意味なんです。そういう車いすとかという大物ばかりじゃなくて。そういう治療費じゃないんだけれども、いろいろ日常的にかかるものでお金が、何と言うの、日用品の自己負担というようなのがかかるものがあるんですね。そういうものも含めて言ってるんですけれども、これ。

○國松座長 ほかに何かご意見ございませんか。
 今言ったような割と細かなといいますか、必要だけれども細かなという問題がある場合、この取り扱いのあり方というのは2通りあると思うんですが。1つは、そういうのを項目を抜き出して、例えば我々の意見の中に今のようなものは項目としてぜひいくらいくら補償していくべきであるという形で明確にしていく。項目的に1つの補償、支援をしなければならない項目としてやっていくというやり方が1つと。
 それから、そのほかにもいろいろと現在の犯罪被害者給付制度もそうですが、一時金的なものがありますね。一時金というのはどういう形で一時金の額を決めるかというと、積算根拠といいますか、何を根拠にしてその額が出てくるんだというのがあるわけであります。そういうものの中に今言ったような点も組み込んで額を決めていく、いわば積算根拠の中に入れてしまうというやり方と、それを外へ出してやるという場合と2通り扱い方があるんですね。
 ですから、これからいろいろと議論するのでちょっとお伺いをしておきたいのは、今言ったような形で外に出さなきゃならないような費用というのは一体何があるんだろう。あまり細かいことまで全部挙げていきますと大変なので、ある程度は一時金の中の積算根拠でやってしまうというかそういう取り扱いをするというものもあるんだろうと思うんです。
 ちょっとお伺いしたいのは、被害者の立場からといいますか被害者の立場で考えた場合、この項目だけはきちっと外に、今言った外に出しておいてもらわないと困るというようなものは一体何があるのだろうかという点についてのご意見があれば、それがこの我々のこれからの議論の1つの方向を示してくれるのではないかなと思うんです。その点はいかがですか。
 白井構成員、何か。
 これはですね、将来いろいろここでどういう給付の内容を充実するのか。とにかく我々は充実するためにいろいろ議論しているわけですから、充実するかといったときにどういう項目があるかということと、それは一時金といいますかそういう中で積算の中で考えればいいじゃないかというものと、外へ出すのと。これは1つでき上がった制度の顔形にも絡んでくることなんですよ。ですから、被害者のお立場として、これはやはり顔として外に出しておいてもらわんと困ると、何か腹の中に入っちゃっているだけでは困るというのは何があるのか。その辺の区分けですね、それについてもちょっとご意見を言っていただかないという感じがしております。

○白井構成員 ほかの方の補償がどの程度実現できるのかともかかわってくると思うんですね。例えば3級、2級、1級ぐらいの介護の必要な方については別に介護手当を、毎月毎月の介護手当を別に支給するようなそういう制度をとっているものもありますよね。そういうような場合にはそういうふうに毎月支給されるものの中で支弁してもらいたいというような場合はいいんですけれども、今言ったようなずっともう毎月毎月、今私どもがお聞きした方はそういう費用が毎月毎月医療費とは全然別に1万2,000円とか2万円とかかるらしいんですね。そうすると、それだけでも相当な。ご主人がそういう状態になっちゃってて最低限のものしかいただいていないところへもってきてそういうお金が毎月出ていくらしいんですよ。そうすると、それを一時金の中でもう払ったからそれで全部まかなってくれということもちょっと言えないのではないかと。毎月ランニングコストでかかってくるようなものはですね。
 ですから、もしそういうふうに介護手当は別に支給いたしますみたいなふうにやっていただけるのであれば、じゃあ、我慢しようかというような面もあるんですけれども。ほかの補償のものとも兼ね合うようなことにもなると思うんですけれども。

○國松座長 結局そういうことにもなるのかもしれませんですね。前回も自賠責並みというような議論が1つ出ました。これはしっかり詰めないといけないと思いますが。給付額がどの程度まで上がるのかということとの兼ね合いにはなってくるとは思いますが。
 ただ、この問題は先ほど申しましたように、1つの顔形という言い方はおかしいんですが、こういうものをきちっと手当していますよということが外に出ているというのも意味があるんだろうと思いますね。ですから、そういう観点からまた今日でなくて結構ですから、後ほどどういうものをリストアップしたらその顔形がよくなるのかということについてのご意見も承ったらと思います。中に入れるか外に入れるかという問題だけではない問題もあるのではないかというふうに思います。
 ある程度どちらかというと非常に具体的なといいますか、個別の給付内容の問題にもなりますが、この補装具、環境整備費、住宅とか自動車の改造、これは自動車改造費は地方公共団体によって出ているところもあるんですか。この辺もちょっと地方によってでこぼこがあるようでありますけれども。そういった問題も含めて今後その必要性というのを検討していただかなければならないというふうに思います。
 次、その他犯罪被害者、家族・遺族への給付というものについてのいろいろな論点が出ております。整理をいたしますと、結局今私が言ったような話になるんでありますが、現行の犯罪被害者給付制度では個別の費用や損害を積算せずに、使途を限定しない一時金として給付しているところもあるわけでありますが。個別の費用や損害を積算し、あるいは考慮すべき場合、その対象となるものは何だろうかという問題、いわゆる外出しの問題にもなるのではないかと思います。
 ここにありますのは、逸失利益、あるいは被害者及び介護者の休業補償、あるいは葬儀費用、あるいは慰謝料といったようなものが各構成員からのご意見の中に出ておりました。
 この点につきまして何かご発言がありましたら、どうぞお願いします。
 どうぞ。

○白井構成員 一応私の方でこの休業補償を出しているのは、現在犯給法では後遺障害となったときにその後遺障害の障害給付金を出すというのと、それに重傷病で治療期間中の一部医療費を負担するというそういう形になっていると思うんですが。その後遺症として障害給付金をいただく前に、長期のそういう療養で仕事ができない場合の休業補償というものと別に、障害補償給付とは別に出していただきたいと、こういうことなんですね。それは、死亡の場合も、それから被害者本人の方の場合も同様なわけなんです。例えばこの前言いましたように、ブラジルの強盗殺人でご主人を失った浜松の方の場合でも、もうたちどころに生活に困っちゃっていて、生活保護も出ないということで生活が困っちゃっているわけです。そういうこともありまして、一時金がすぐに出る場合にはいいんですけれども、一時金が障害の場合には障害等級が認定されるまでは一時金の補償金が出ないと。長期の療養を必要とするということでその期間中の休業補償をということなんですね。それで、死亡の場合も、これは仮給付の問題になるのかちょっとわかりませんけれども、死亡の場合もお店を休業状態にされてしまって全く収入が途絶えてしまうというようなそういうケースもあるものですから、そうした補償をどうするかということなんです。

○國松座長 ご趣旨はそのように私も理解しておるのでありまして、これは検討しなければいけない問題ではあると思いますが。ただ、一応一時金という考え方でいく場合、それが出ない場合どうするのということで、逸失利益とか休業補償とか葬儀費とかこういってまいりますと、保険制度の中で処理するのであればそういうのも出てくるのでありますが、犯罪被害者に対する支援という形で休業補償というのがどういう考えで入ってこれるのかというのはちょっとなかなか難しい問題があるんだろうと思いますね。保険とちょっと違いますので。
 だから、その点、要するに考え方としては一時金がきちんと速やかに出るということであれば、今、白井構成員が言った問題点というのはかなり解決する面もあるんだろうと思うんですね。ですから、その辺の外に出してといいますか、休業補償という概念の給付といいますか支援をこれからやっていくのかどうかという問題というのはなかなか難しい問題もあるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがですか。

○白井構成員 治療するに従って症状も次第に軽快していくわけで、最終的には後遺障害として症状固定に残るのが比較的軽い場合もあるんですが、そこにいくまでの間、例えば6カ月間ぐらい全然仕事ができないと。その結果、ある程度療養した結果、後遺障害はなくなったとか、あるいは後遺障害があってもせいぜい14級ぐらいの程度で済んだというような場合があるんですが。そうすると、最終的に障害給付金で一時金としてもらっても、非常に少ないものしかもらえないわけなんですね。自分が休んでいた期間の収入減よりもはるかに低い補償しか受けられないと、そういうこともありまして。
 短い期間、10日や2週間ぐらいの短い期間のものであればいいんですけれども、6カ月とか1年とか長い療養期間になった場合には、やはりある程度休業補償金というものも障害補償給付とは別に考える必要も、そういう事例もあるんじゃないかと思います。

○國松座長 それから、この慰謝料というのは、これは実は理念の問題とも絡んできて、要するにドイツ流の国家賠償といいますか、というような立場からいうと割とすんなり慰謝料というのは出てきやすいのでありますが、そうでなくて社会連帯であるとかあるいは自立支援という立場からこの経済的支援をどうするのかということになりますと、ちょっと慰謝料というその言葉の使い方、概念がちょっと出にくいところもあるんですね。
 ですから、この辺も理念との絡みで議論していかなきゃいけないとは思いますが。慰謝料というのを支給するという話になりますと当然理念の問題との絡みも出てくると思いますので。この点はちょっと難しい問題が出てくると思います。

○白井構成員 私どももそれを検討したときに、やはり今の犯給法がやっているように、ある程度一律に金額を定めていくという方法が簡便ですし、それからやはり被害者の方の事故前の事件前の収入の高によってあまり大きな開きが補償額で出てしまうというのも、これもまたちょっとなかなか国民の納得を得られないところではないかということで。そうすると、ある程度平均的に決めていかざるを得ないとなると、そうすると個別積算方式みたいにやると差が大きくなってしまうので、それで慰謝料金額を参考に、自賠責の場合の慰謝料金額というのは事故前の収入の高に関係なく等級で決まっていますので。それで金額的にはそれを参考にしただけで、別に中身が慰謝料というわけで言っているわけではないわけなんです。
 ですから、イギリスのように若干逸失利益も加味しながら、かつある程度そんなに大きな差ができないで各等級ごとにある程度決まった金額ということになると、余り細かく個別費目をやるというのはちょっとなかなか難しいんじゃないかなと思ったわけなんですけれども。

○國松座長 要するに若干この一律支給の名目として慰謝料的支給というのがあっていいんじゃないかというこういうご趣旨ですか。

○白井構成員 要するにあまり差が大きくならないで、かつ標準金額を自賠責並みにするにはどうしたらいいかということを工夫して、それならば慰謝料金額を参考にしたらいいじゃないかと、中身が慰謝料というわけではなくてですね、そういう意味なんです。

○國松座長 そういう意味ですか。わかりました。そういうご趣旨でいろいろとまた考えていく。
 今、犯給法の一時金の積算根拠なんかは今言ったような、どういうように考慮してやっているんですか。

○警察庁長官官房総括審議官 犯給法の場合は基本的にはやはり収入とかを見てはいるんですが。ただ、どこまででも際限なく高くなるとか安くなるというふうにはならないように、上限と下限をつくってやる形をとっています。したがって、非常に貧しい人でも全然なくなってしまうとかそういうことは決して起こらないわけですね。現在の形でベストかどうかはいろいろご議論があると思うんですけれども、それなりに今おっしゃられたような趣旨、ある意味では一律の部分もあるし、ある意味では所得補償的なめりはりがつく部分もあると。それを両立させているつもりではあるということでございます。

○國松座長 結局額の問題になってきちゃうんですかな、最終的にはね。

○警察庁長官官房総括審議官 そうですね。やはり個別具体的なケースに当てはめてみて、納得できるような額になっているかどうかということで最後は判断するしかないと思います。

○國松座長 話はそこへいっちゃうんですかね。先ほどから何べんも繰り返すようでありますが、どういう費目というものをこの障害者一時金などの外に出していくのかというのは、あるいは中に入れてしまうのか。今おっしゃいます慰謝料的なものは要するに一時金の中身に積算根拠の中で考えてもらえばいいじゃないかというようなご趣旨、それでよろしいわけですね。

○白井構成員 そういう意味ではない。そういう意味で私たちの案であの金額を出したのはそういう慰謝料という意味で出しているわけではなく、その慰謝料の金額をとりあえず参考の金額として掲げたということなので。中身としてはやはり逸失利益的なものも含まれるということにはなると思うんですけれども。イギリスの場合のように完全にタリフスキームと逸失利益をまた別立てにして、それでしかも逸失利益の算定方法に上限を設けて平均賃金の1.5倍までを上限とするみたいな形で逸失利益の補償を別立てで加算するというような方式も考えられたわけなんですけれども。そうすると、やはりかなり金額が高くなってしまうので、一応1級から14級までということを前提にしながら、かつ金額を上げてもらうということにした場合の1つの参考基準としてそういうふうに出したということです。

○國松座長 どうぞ。

○瀬川構成員 おっしゃっていることはよく理解できますし、非常に実際的な補償が必要な場合があり得ると思う、実際にケースがあると思うんですけれども。先ほどから座長がおっしゃっていますように、新たな法律をつくるときに言ってみれば合理的な理由づけというか、あるいは法体系全体を崩さない前提というのは非常に必要なので。単に犯罪被害者に特化してというかその部分でやれるだけの根拠というのはやはり示さないとなかなか難しいと思うんですね。
 それで、慰謝料というものをそういう形で項目立ててやるということは、私は法律家としては若干消極的でありまして。非常に難しい。必要ないという意味ではなくて、必要あるんでしょうけれども、その算定の仕方とかそういうことを考えますと、なかなか慰謝料というのを項目として出すことは難しいのではないか。白井構成員も今おっしゃっている意味は、それを実際に組み込んでほしいというような趣旨かと思いますので、引き上げを目指しつつ、その中に組み込んでいくという努力をして、白井構成員のおっしゃるような実際の場面で、ケースでそういうことを救えるような体制を整えたらいいんじゃないかと。それも難しいかもわかりませんけれども、恐らく法律としてはそういう仕組みしかつくり得ないのではないか。慰謝料を全面に出してこれをするということについてはよりリスクを伴うというかマイナス面を伴うような気がいたします。

○國松座長 今の点でもほかにご意見ございますか。
 では、時間ももうきているわけでありますが、この項目一番下に次からこの3に入れるわけでありますが、もう1つちょっとお願いしたいのでありますが。現在、犯罪被害者等給付金は課税をされていないが、それ以外にも税制上犯罪被害者等優遇する措置を講ずる必要のあるものはあるかという設問に整理させていただいているわけでありますが。
 これは実は高橋構成員からの給付金の非課税枠を設けるというご意見がありましたので、それをこういうふうな形にしているわけであります。この点について、高橋構成員の方から何か。非課税枠という趣旨をもうちょっとご説明いただくとありがたいんですが。書いておられましたね。

○高橋構成員 はい。結局被害によって、それ以前と同じだけの収入が得られなくなったりした場合に、やはりそこのところで税率というか、非課税にしていただきたいというようなことなんですね。要するに収入は減るということですね。

○國松座長 その人が被害者の所得が減るので、そのものにかかる税金を特に被害者であるがゆえに少し軽減しろと、こういう趣旨ですか。

○高橋構成員 そうですね、はい。

○大久保構成員 実はこの給付金そのものには課税されませんでも、収入と見なされるとその次の年、例えば保育所の保育料が上がったりとかいうこともありますので、そのあたりの改善をしていただけることがいいのかと思います。給付金はそのまま、そのときは課税はされなくてそのままきます。でも、次の年になりますと、前の年にそれが収入としてあったということで、前年度の税金によって支払う額が変わってくるようなものが結構ありますよね。一部負担金というものが。例えば保育料などもそうですね。いくら税金を納めているかによって月々の保育料は違ってくるんです。

○國松座長 そうですか。わかりました。ちょっと私はそれについて認識が甘かったのかもしれませんが、そういう問題があるわけですね。それを。
 高橋さんのご趣旨もそういうことなんですか。非課税枠をしないと、所得が減って……

○高橋構成員 例えば通院とかで勤務時間が減ったりして、それがボーナスに影響したりとかというと全体の収入が減るということが、ということがありますね。

○國松座長 それ減ったんだから税金も少し……

○高橋構成員 そうですね。

○國松座長 ですから、これは一時金が税金あるないとかその問題とはちょっと違うわけですな。

○高橋構成員 もちろんそうです。その分に関しては、例えば損害賠償金も非課税で申告はするけれども、非課税になるということですよね。そういうことではないです。

○白井構成員 先ほどの浜松の方の例なんですけれども、事件が起きたのが11月だったんですね。そうすると、その年はある程度の収入があるわけなんですね。翌年収入が全然なくなっちゃったにもかかわらず、前年度の収入実績で課税がなされてくるわけですよね。それで、もう地方税を、国税の場合は予定納税についてはそういう場合には減免の申請ができるんですけれども、地方税の場合にはもうその実績でもって課せられてきちゃうものですから、健康保険料とか、そういうことで、それだけでも何とかならないかと言われていますけれども。

○國松座長 わかりました。

○高橋構成員 すみません、それからこの前配布資料で9.11のご遺族の補償を受けたその補償金に関してもちょっと資料を入れさせていただきましたけれども。1億何千万という補償を受けられた方が多いと思うんですけれども、それが日本に来たら亡くなった方のお金を遺族が相続したということで相続税が5割近くかかって。たまたまあれは日本の企業が間に入っていることがありまして、そういう会社の方から税務署にお願いして、交渉してそれが、早く言えば日本で言えば損害賠償金ですよね、なので非課税になったということがありますけれども。こういうことが今後起こると、一々それに対応していかなくちゃいけなくなりますけれども。これはきちんと海外での補償を受けられた場合には、それはもう日本での損害賠償金と同じだから非課税というふうに一文あれば、そういう被害者はこのことに対して一々悩まないで済むというふうに思っています。

○國松座長 はい、わかりました。そういう問題点があることを踏まえてこれからも議論してまいりたいと思います。
 この経済的支援の内容に関するもの、これはまた後でいろいろと繰り返して議論しなきゃならない問題が幾つかあるわけでありますが、ここまでのところできょうのうちに特にご発言しておいていただくことがありましたらお願いいたします。次からは3に入りたいと思いますけれども。
 どうぞ。

○飛鳥井構成員 カウンセリングのところでちょっと追加させて、厚生労働省の方に持ち帰ってご回答いただけるということで、ちょっと2点ほど注文があるんですが。
 1つは、やはりPTSD等に対する時間のかかるし専門性も高いカウンセリングなり心理療法なんですが。これを迅速に将来保険点数化していくためにはどういったような道筋があるのかということをぜひ何か教示していただければと思うんです。
 それから、先ほどの頭の痛い混合診療の問題ですが、これもまかりならぬというお返事だけではなくて、こういうふうな運用をすればその問題はクリアできるといったような何かサジェッションのようなものをぜひご回答のときにはご用意していただければと思うんです。それは私からのお願いです。
 よろしくお願いいたします。

○大久保構成員 すみません、では、私も1つ厚生労働省の方にお願いをしたいのですが。生活保護を受けるとき、クーラー等は最近持っても大丈夫ということになったということはお聞きしていますが、車はだめだというように言われるわけですね。でも、犯罪被害に遭った方というのは、例えば人ごみに出るのが怖い、電車、バスに乗れないということで大変苦しんでいるわけです。車だったら何とか外へ出れる、仕事にも行けるというときに、生活保護を受けるのであれば車をすぐに手放しなさいと、そう言われますとその方はもう生活ができないんですね。そういうあたり、特別な配慮というものは全く考えられないわけでしょうか。それとも個別に対応していただけるものでしょうか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 事務局から、すみません。前回の厚生労働省からの回答の中で、前回の資料9に生活保護との関連が出ていまして、自動車は原則は認めていないけれども、そういう障害者の通院や通学とかそういうものに必要だというときには実施機関が判断するときはその保有を認めても差し支えないと、こういう回答が厚生労働省から来ておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○大久保構成員 ありがとうございます。今そのことで大変悩んでおりまして、今その担当のところへ行かなければと思っておりますから。わかりました、そのことを聞いて、ありがとうございます。

○國松座長 ほかに何かございましたらお願いいたします。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、予定していた時間がまいりましたので、本日の検討はここまでといたします。次回はこの資料1-1の3から初めてまいりたいと思います。もちろん本日までに戻ってもう一回ご議論いただくのはご自由でございますが。次は3からの検討を再開することといたしたいと思います。
 事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 次回検討会、10月24日ということでご了解をいただいております。午後3時からで、会場等につきましては追ってご連絡差し上げます。
 ありがとうございました。

○國松座長 それでは、これをもちまして第7回の経済的支援制度に関する検討会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


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