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経済的支援に関する検討会(第6回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年8月25日(金)15:00~17:34
場所: 中央合同庁舎4号館共用第2特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金理事長代行・常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授

飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
佐々木 知子帝京大学法学部教授・弁護士
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫元オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席野崎 英司金融庁総務企画局政策課課長補佐
村木 厚子厚生労働省政策評価審議官
谷 みどり経済産業省商務情報政策局消費経済部長

(議事次第)

1.開会

2.論点整理

3.経済的支援制度のあるべき姿についての検討(1)

4.その他
  • 海外調査
  • 第8回検討会の日程調整

5.閉会



(配布資料)

○論点整理関係資料
資料1内閣府資料 [1][PDF形式:159KB] [2][PDF形式:52KB] [3][PDF形式:50KB]
資料2國松構成員資料 [1][PDF形式:11KB] [2][PDF形式:22KB]
資料3飛鳥井構成員資料[PDF形式:21KB]
資料4大久保構成員資料[PDF形式:47KB]
資料5白井構成員資料[PDF形式:38KB]
資料6高橋構成員資料[PDF形式:13KB]
資料7平井構成員資料[PDF形式:28KB]
資料8警察庁資料[PDF形式:13KB]
資料9厚生労働省資料[PDF形式:20KB]

海外調査項目等関係資料[PDF形式:71KB]



(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 皆さん、こんにちは。蒸し暑い中お運びをいただきましてありがとうございます。岩村構成員はちょっと遅れておられますけれども、出席予定でございます。定刻になりましたので、ただいまから第6回の経済的支援に関する検討会を開催させていただきます。
 いつものように司会を國松座長にお願い申し上げます。

○國松座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 本日の議事につきまして、事務局からご説明をいただきます。

○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 お手元の議事次第をごらんいただきたいと存じます。本日はまず懸案でありました論点整理についてご議論をいただきまして、実質的に本格的な議論となります経済的支援制度のあるべき姿について検討を行っていただきたいと考えております。その後、海外調査の聴取事項等について固まってまいりましたのでご報告を申し上げまして。さらに、次々回の10月の第8回検討会の日程調整を行っていただければというふうに考えております。
 以上でございます。

○國松座長 それでは、ただいまのような形で議事を進めたいと思います。
 その前に、論点整理関係の資料が幾つかあるようですので、事務局からご説明をお願いします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、論点整理関係資料について若干のご説明を申し上げます。まず、大変大部になっております資料1-1でございますけれども、各構成員よりいただきましたご意見・資料を内閣府におきましてとりまとめたものでございます。これは昨日送信いたしましたものと同様でございます。ほぼ論点については網羅がされているのではないかというふうに考えております。
 それから、資料1-2ですけれども、これにつきましては以前各構成員の論点整理の参考といたしまして被害者の方の要望・意見ごとにこれまでの国内の制度あるいは国外の制度についてのヒアリングの状況等について内閣府においてとりまとめたものをまた配布をさせていただいております。
 それから、資料1-3は、犯罪被害者について後遺障害がない場合、ある場合、それから死亡の場合について、それぞれ労務災害の場合と交通事故の自賠責の場合と、それから犯罪被害者等給付金の給付が行われた場合、大体どういう給付が行われるのかということでイメージ図をつくってみたものでございます。これも事前にお配りをさせていただいております。
 なお、警察庁の方から典型的なモデルケースで大体どれくらい出るのかというのを試算してみてはどうかというご提案がありまして、これもいいご提案だと思いましたので作りたいと考えておりますが、現在作成中であります。次回の検討会にはお出しできるようにしたいと考えておりますので、関係省庁のご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 それから、資料4の大久保構成員の資料でありますけれども、このうち部外秘とされているものがございますので、この場では配布をいたしておりますけれども、ホームページには載せないようにしたい、そういう取り扱いでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それから、資料9でありますけれども、これも既に配布済みでありますが、厚生労働省の方から例えば犯罪被害者等給付金の給付が行われた場合に生活保護との関係がどうなるのかといったそういった法制上あるいは運用上の問題につきましていろいろ疑問点があったわけですけれども、これについてご回答をいただいたものでありますので、ご参考にしていただければと思っております。
 論点関係資料の説明につきましては以上でございます。

○國松座長 ただいまご説明がありましたとおり、各構成員からの論点整理の資料は内閣府資料1-1として事務局がまとめたものが提示されております。また、資料2から9までがそれぞれの構成員から出た資料でここにつけられておるわけであります。
 いずれにいたしましてもこの内閣府の資料1-1として事務局がまとめたところに大体我々がこれから議論をしなければならない論点がほぼ網羅されていると思います。そこで、これをこれからどういう形で進めていくかということにつきまして、私の1つの案としてお示しをしたいのが、資料2、國松構成員資料の1枚めくっていただきまして資料2-1として書いてございます。
 ここに書いてございますことは、今後の議論は、1に書いてございますように、まず最初に、理念・目的、財源といったようないわば総論的な問題を現行の犯罪被害者給付制度対象者に対する給付水準をどの程度引き上げたらいいんだろうかというようなことをめぐってご議論をいただく。ただ、この理念・目的、財源といった問題はかなり難しい問題でございますので、いきなり意見の集約を図っていくということはなかなか難しい問題があろうと思います。そこで、大体ひとあたり皆さんのこの総論的な問題につきましてのご意見を承った後、その2以下に書いてございます給付の内容であるとか手続とか給付とか、給付の対象であるとか、こういったようなところに議論を進めていったらいかがかと思います。そういう個別の議論の過程でまた理念とか目的とか財源は一体どうなっているんだというような話が当然繰り返し問題になってくるわけであろうと思いますので、その段階でまた理念とか目的といったようなものをご議論いただく。1の理念・目的、財源などについて「(併行審議)」と書いてありますのは、そういう意味でありまして、行ったり来たりしながら議論をしていくということです。1で止まっていますとなかなか前へ進めませんので、やはり一定の段階で2、3、4、5というのを1と併行してやっていくというようなそういった議論の仕方をやっていったらいかがかと私は考えておるところでございます。
 その点につきましてまず構成員各位のご意見を承りたいと思います。

○白井構成員 この論点の整理していただいたもので私の意見についてきちんと整理していただいてあるんですが、その意見書の中に書かなかったことで少し気がついたことがありまして、もし追加してもらえるようであればお願いしたいと思っているのは。

○國松座長 中身はどんな話ですか。

○白井構成員 この論点整理の中で1つは8ページ目の私の意見で補償対象の場所的範囲ということで。

○國松座長 8ページ。

○白井構成員 はい。要するに日本国籍を有する方が国外で被害を受けた場合に補償の対象とすべきではないかということと合わせて、もしできれば日本に定住していらっしゃる外国人で日本にきちんと税金を払っている外国人の方々もたくさんおられるわけで、その方々が日本国内で犯罪被害を受けた場合にその補償の対象とすべきかどうかということについて、もし1つ論点として挙げていただけないだろうかということと。

○國松座長 どうぞ、追加していただいたらいかがですか。

○白井構成員 ええ。それともう1つ、その少し上の方で補償の対象ということで罪種のことについて言っているんですが。その8ページの上の方で罪種のことについては挙げてあったんですが、人的範囲の問題のもう1つの問題として、家庭の中で被害者を重い障害を受けた被害者の方を抱えてしまった家庭で、その被害者の方そのものにどういう補償をするかということはそれはそれでいいわけなんですが。同時に、一家の支柱となるような方がどうしても仕事を大幅に制限されてしまって収入が大幅ダウンしてしまうというような、要するに補償を被害者本人だけでいいのか、それにかかわってご家族の中で重大な損害を生じてしまうご家族が出た場合にその方も補償の対象とすべきかどうかというそういうことも論点として挙げていただければありがたいと思います。

○國松座長 わかりました。それを白井構成員の論点整理の追加として後ほどお示しいただけますでしょうか。この資料の中につけ加えたいと思います。
 ほかに何か。
 大体議論の進め方というのはそんなところでよろしゅうございましょうか。理念・目的から入ってずっといろいろやっていくという感じでございます。
 それでは、そうしたような形で今後の議論、いわば総論的な議論からまずは入ってまいりたいと思いますが。私の座長案と書いてあります、理念・目的、財源などについて何かご発言。若干総論的な問題であればこれ以外にこういう項目もということでご発言いただいてもいいと思いますが。給付の内容などに具体的に入る前に総論的に議論しておきたいというような論点があり、それについてのご意見があればお話をいただきたいと思います。
 飛鳥井構成員。

○飛鳥井構成員 すみません。一番最初に書いてありますので少し意見を述べさせていただきます。これまで国内のいろいろな補償の諸制度をご説明いただきましていろいろなことがわかってまいりました。それで、もちろん当然のごとくすべての制度には理念というものがありまして、それに基づいて国民の広く合意を求めるという姿勢があるわけなんですけれども。これから考える制度につきましてもどういう理念のもとで国民に合意を求めるのかというのがまず明確化すべきだと思います。これはずっとこれからも議論されていくと思うんですけれども。
 それで、いろいろな資料を見ますと、1つには社会連帯共助説というような、今の犯給法もそれに通じた理念だと思いますし、それからもう一方にはドイツで行われているようないわゆる国家責任説によって国家賠償するといったような少しそれとは明らかに違う考え方がございまして。日本でも被爆者援護法などは文章を見るとちょっと国家責任説に近いのかなというふうなニュアンスもありましたけれども、そういったような理念がありまして、どちらに、大きく分けてこの2つの理念があるのかなと感じたんですが、どちらの方に立脚するのかというところはやはり考えておく必要があるかと思います。
 意見としては、現在の犯給法の社会連帯共助説、これについては国民には広くコンセンサスを得られていると思います。それについてはそんなに変える必要はない、同じような理念でよろしいのではないかというようには感じております。
 もう1つの対極のドイツ法の国家責任説なんですけれども、二次資料を拝見しただけなので正確なことはまた補足していただければと思いますが。伺うところによると、国家が意思的行為として行った戦争での軍人、兵士に対する補償ということで、やはりこれと一般の犯罪被害者とを同じ理念で補償をくくるというのはかなり論理的に難しいのではないか。特に、そこに幾つか理由も書きましたけれども、そこで国家責任説とすることで社会のコンセンサスを得るということは難しいのではないかというのが私の意見でございまして。その点では現在の社会連帯共助説でよろしいのではないかというように考えております。
 それから、ついでにもう1つ、2ページの給付の水準ということなんですけれども、これもいろいろな諸制度を見せていただきまして、今の社会連帯共助説をとるにしても一番理念的に近いのは、これまでもさんざん意見が出てきましたけれども、やはり自賠責の特に政府保障事業のものですね、引き逃げとか無保険車両によるいわれなき被害を受けた方への補償ということがありまして、それとやはり犯罪被害者とは理念的には近いかと思います。しかし、ご存じのように、補償額で大きな差があると。下関の通り魔事件のときにもそれがさんざん問題になりました。引き逃げで殺された人と刺されて殺された人とでは当時3倍弱ぐらいの差がありました。現行法で言いましても2倍ぐらいの差が出ると。だから、これは犯罪被害者の人がこの不公平に甘んじなさいというのは少し理屈が通らないかなということがあります。そこで自賠責の補償規模を1つの指標にするという考えは妥当なものだと思います。
 ただ、自賠責の政府保障事業は一般の自賠責に比べて少し運用上制限が厳しいところがあるというふうに伺っております。これは国土交通省の方から後で認識が正しいかどうかご意見伺えればと思うんですけれども。例えば、過失相殺の問題についても、一般の自賠責は割と緩やかに考えていますが、政府保障の分はかなり厳しく査定をしたりとか、そのために支給されるまで長く時間がかかるということがあったりとか。それから、政府保障の分については仮払いとか前払いが認められないといったようなことがありまして、運用上少し不自由なことがあるように伺っていますので、また私の考えが違っていれば正していただければと思いますけれども。しかし、それにしても自賠責が1つの指標になるのかなというのが私の意見です。
 以上です。

○國松座長 今、飛鳥井構成員から国交省の見解はということでお聞きしましたが、きょうは残念ながら国土交通省来ておりませんので、事務局を通じて今のようなご発言があったことを国土交通省につないで、回答といいますかお答えいたしたいと思います。
 ほかにご意見がありましたらお願いいたします。

○大久保構成員 出させていただきました私の資料で、この経済的支援のところに属さないというような形で支援のための連携に関する検討会資料ということで幾つかのものがまとめられていますが、後ろから2枚目です。その部分につきましては確かに直接的に経済的支援の関係のところに結びつかないという考え方もあるかと思いますけれども、一方では適切な支援そのものが犯罪被害者の方の負担を軽減するというような考え方でいけば、決してこれは支援のための連携のところの検討会に属するというものではなくて、やはり経済的な検討会の中でもこの視点を忘れずに検討していっていただきたいと思いますので、そのようにまた資料をお使いいただければと思いますが。

○國松座長 すみません、11ページですか。

○大久保構成員 16ですね。A3の大きなものです。これです。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料1-1。

○國松座長 すみません、ちょっと別の資料を見てました。16ページの。

○大久保構成員 大きなものの10ページ。17ページですね、これでは。

○國松座長 17ページ。わかりました。それは当然議論しなければならない話として出てまいりますが、少し順番的には後の方に出てくると思いますが。

○大久保構成員 早過ぎました、失礼いたしました。

○國松座長 忘れずに議論しなければならないかと思います。

○白井構成員 私の意見はそこにまとめていただいてありまして、基本法が成立した今日においては基本法を前提にものを考えていけばいいんじゃないかというのが基本的な考えなんですが。ただ、その前に国が十分な補償をしなければならない根拠というものは単純に責任説か連帯共助かという単純に割り切れないものがやはりあるのではないかなというふうに思うわけです。
 1つは、やはり犯罪というものが自然災害と違いまして人為的に起こされるもので、その人為的に起こされる行為によって被害が生じるというところがほかの自然災害による被害とは根本的に違うところでありまして。そうすると、社会を構成する人間によって引き起こされる被害であるということについては、その社会そのものがその人間の行為を防止する責任というのはやはり自然災害の場合とは違った特別のそれを防止する責任というものは国にあるのではないか、あるいは社会にあるのではないかというふうに私は思うわけです。
 その場合に、それを十分に防止できなくて被害を発生を許してしまったということについてはやはりそこに国の責任というものがやはりどうしても関わってくるのではないか。その責任の法的な性質について損害賠償的な意味でのいわゆる民事的なあるいは国家賠償的な損害賠償的な意味での責任というところまでは直ちにはいかないにしても、やはりそういう社会自体がそういうものを許してしまった責任を国が社会に代わってその責任を負っていくんだという、ある意味では国に責任があるというそういうことはあるのではないかなというふうに思います。
 それともう1つは、やはり連帯共助といった場合に、見舞金でも連帯共助じゃないかといえば、極端なことを言えばそういうこととも受け取れるわけですが、連帯共助という場合のやはり犯罪というものがもちろん第一には加害者個人の責任ではあるんですけれども、やはりそういうものを犯罪そのものが社会を基盤として生まれて来るものであるということで、しかもいつ何時だれが被害に遭ってもおかしくないという状況にあるということが基本計画でも言われているわけなんですけれども、そういう中でたまたまAさんに被害が生じてしまった、その生じてしまった被害をAさん一人の負担に任せてしまっていいんだろうかということで。やはりそういう場合には社会全体で被害の負担というものを公平に分担していかなければならないのではないか。道端をAさんとBさんが歩いていてたまたまAさんだけが殴られてしまったけれども、あるいはBさんが殴られる可能性だってあったかもしれないというような事件はたくさんあるわけで、そういうような意味で損害の公平な分担といいますか、社会全体で被害を負担していくんだというような、そういう考えに基づいて、それを国というレベルで考えたときにその負担というものも公平に考えていくというふうにした場合に、一般財源の方から補償というものをしていっても決しておかしくはないのではないかというようなそうした考えも出てくるのではないかと思いますけれども。
 やはり基本法がこのようにうたった根本的な前提としてはそういういろいろな面での国の責任ということがあって、それを基本法で法定化したというふうに考えるべきではないか。したがって、ここでの作業としては基本法を前提にして考えていけばいいのではないかというふうに私は思っております。

○國松座長 わかりました。今2つご意見が出ましたが、ほかの構成員のご意見を承りたいと思います。どうぞ、平井構成員。

○平井構成員 私の論点整理1で基本的な進め方といいますか考え方をまとめておきました。私自身の資料7の3枚目の論点整理1で、私はこんな形で考えるべきではないかということをまとめたわけです。1つは当然のことながら基本計画というものの考え方がどのようになっているのかということ。それから、この場でヒアリングをしたわけでありますけれども、日本の社会補償制度あるいは福祉サービスについての考え方がどうであるのかということと合わせて海外の基本的な考え方といいますか方向性、こういったことを整理して、その上で理念を考えていくべきではないかというのが私の考えでございます。私はその点を最後のページの論点3で整理をさせていただきました。これはまた一部私の誤解もあるかもわかりません。その点はご指摘いただければと思いますが、そういう視点に立って、戻りますけれども、とりまとめ資料1-1の私の理念についての考え方ということでございます。
 したがって、そういう視点から私なりに整理をいたしますと、この基本計画で国家の責任といいますか、今も議論が出ておりますけれども、そういう点については触れられていないというように私は理解をしたわけでございます。したがって、ただ基本計画の中で被害回復の権利と、そして国家の責務というものが定められている、そういうように議論されてまとめられているわけでございますから、私はそういう視点からこの経済的な支援というものを議論していくということが妥当な考え方ではないか、このように考えたわけでございます。
 そして、具体的に論点整理をしていく中でいろいろとその具体的内容とか水準とか議論になるかと思うんですけれども、そういう枠組みが実際に犯罪被害の実態をどれだけカバーできるか、齟齬を来しているのかどうか、そういう形で議論を進めていくのが私としては望ましいのではないかという意見でございます。
 具体的な検討いたしますときには、ここでもさまざまな犯罪被害以外のいろいろな被害の日本の補償制度の実態をヒアリングさせていただいたわけでございますから、当然犯罪被害以外にもいろいろな困難に直面されている方々の現状というのがあるわけでございますから、そういったものも合わせて議論していくということがより望ましいのではないか、より実のある議論になるのではないかというのが私の意見でございます。

○國松座長 議論の進め方といいますか何を討論するかということについてのご意見はわかりました。ただ、今の白井構成員の基本法及び基本計画における考え方というものを踏まえながら議論すべきだということ、それをどのようにご理解をいただいておられるんでしょうか。要するに国家責任に触れていないと言っておられますか。どういう。

○平井構成員 それは基本計画の議論を議事録で見る限り、この点について明確に示されていないという意味でございまして、そういう意味ではそこのところは国家責任があるかどうかということは明確になっていないのではないかという、そういう意見なんです。

○國松座長 ですから、それをどういうようにこれから経済的支援のあり方というのをこれから考えるわけでありますが、そこをどういうように明確にしていくべきだとお考えでございましょうか。

○平井構成員 したがって、私の意見としては、基本的な考え方について当然議論としてはすべきだと思うんですが、そこについて結論的にどうこうという、AかBかということについては私はこの経済的支援の検討会ではなくして、この問題はもっと広く犯罪被害者に関して経済的支援以外のことについても及ぶことですから、私はここで結論ということではなくして、基本計画のところでもっと議論をされて明確にしていくことではないかというのが私の意見です。

○國松座長 わかりますが、私どもが経済的支援についてどういうようにこれから制度設計をしていくかということ、いろいろな総論的な部分は一応抜きにして、結論が出なくてもとにかく給付内容をどうする、対象をどうするということをこれから議論せんといかんのですが、その場合のまさに経済的支援のあり方を議論するわけですが、その場合の基本的な考え方というのはある程度議論しておかないと前へ進まないと思いますんですが、その点についてどのようにお考えで。

○平井構成員 私が書かせていただきましたように、被害回復の被害者の権利、そして国家の責務ということをまとめていただいておりますから、そのことを原点、基本にするべきだという考えでございます。

○國松座長 わかりました。
 ほか、どなたか。高橋構成員、お願いします。

○高橋構成員 白井先生がおっしゃった意見に私は非常に賛成です。本当に細かくここに説明されているような内容で全く同感していまして。だれでもいつでも犯罪被害者になり得るということでは社会連帯ということでいいと思うんですね。それで、あと、私自身の経験からしても、加害者から賠償金を取るということが非常に難しい。それから、ある程度国の責任、被害に遭ってしまったということに対する責任もあるのではないか。何か被害に遭いそうだということの予見が結構ある場合があると思うんですね。その場合には犯罪被害者が国家賠償訴訟を起こそうという気持ちになっても、それはなかなか難しいのではないか。そういうところで国による補償というのがあったら被害回復につながるというふうに思っています。

○國松座長 ほかに。各構成員にひとあたりご発言をいただけたらと思います。
 佐々木構成員、いかがですか。ご意見ありましたらよろしくお願いします。

○佐々木構成員 私は國松座長のご提案でよろしいかと思っております。

○國松座長 瀬川構成員。

○瀬川構成員 私の専門分野は刑事法でありまして、民事法あるいは行政法の分野ではどういう議論をされているかわかりませんけれども、学会では理念ということに関しては社会連帯共助ということでほぼ定着しているというふうに私は理解しております。基本法以後それが変わったのかということは1つ大きな問題だと思いますけれども、これは大きく変更されていないというのが学会の一般的な理解ではないかという気がします。
 ただ、先ほど白井構成員が言われたように、従来の社会連帯共助というのから一歩踏み込むというか、そういうところはあるだろうということは思いますけれども、それはどこまでかという議論はこれからすべきだと思います。理念という点で言えば、社会連帯共助という点でほぼコンセンサスがあるというふうに考えていいんじゃないかというふうに思います。
 先ほどの白井構成員も国家賠償ということを言われたわけではなくて、むしろ社会連帯共助を基本としながらいわゆる国家の責任ということを言われたかと思いますので、その点ではこの検討会の中でも国家賠償というか、そういうことを前面に出されるのなら別ですけれども、社会連帯共助ということでコンセンサスがあるという形で進めていいのではないかというふうに考えます。ただ、その内容については従来のようないろいろな不十分なところはいっぱいあると思いますので、そこを改めていくという方針でやっていくべきではないかというふうに思います。
 それから、法律家の立場から言いますと、先ほどから国家の責任とか国の責任という言葉がよく出るんですけれども、これはあまりあいまいに使うべきではない。われわれは具体的な法的な請求ができるという場合に国家賠償という言葉を使います。ほかの例えば何か事件があったときに親の責任とか学校の責任なんて言いますけれども、そういう場合には、言ってみればシンボリックな意味の使い方も、具体的な請求権が発生するという使い方もありうる。国家補償ということも書かれていますけれども、私はこの言葉もややあいまいというふうに考えております。いずれにしても国家賠償という場合の意味合いというのは非常に法的には厳しいといいますか、きつい意味を持ってますので、その点は注意深く使う必要があるのではないかという気がいたします。
 先ほど白井構成員のおっしゃった範囲では私は賛成で、一歩踏み込むというかそういう感じで話を進めたいというふうに考えております。ただ、基本は社会連帯共助ということで、それ以上ジャンプした考え方というのは今のところ定立できないのではないかというふうに考えております。

○國松座長 岩村先生、いかがですか。

○岩村構成員 私も大体社会連帯というかそういった考え方というのが恐らく全体を一番うまく説明できるだろうというふうには思っております。国の責任という、ちょっと瀬川構成員がおっしゃいましたけれども、国の責任というふうに言っても、とらえ方によりますが、社会と切り離して何かものすごく独立して国というものが存在するわけでは必ずしもなく、少なくとも犯罪被害者の方に対する経済的支援の場合の支援をする主体であるとかというようなことを考えたとすると、その中には一般の国民の方々もあるだろうし、当然社会の1つの端っこには当然国家というものがあるわけですから、広い意味での社会の連帯ということを考えたときに国といったものも含めた意味でそれをとらえればよいのではないかなというふうに感じております。
 あと、ただ、1つだけ考えておく必要があるかなと思うのは、例えば社会連帯というような言葉で考えたときには、理念の問題というみんなで支え合うんだというその理念の問題と、それからもう1つは財源をどういうふうに調達するのかということとも普通は結びつけて考えるだろうというふうに思います。少なくとも社会保障との関係でしばしば議論になりますけれども、社会連帯というふうに言った場合にも幾つかの意味があって、例えば税でやるような福祉的な政策というのも社会連帯という形でとらえることもありますし、そうではなくて、社会保険といったようなそもそも保険料などの拠出をするというようなものについても社会連帯というようなことで説明するといったこともあるので、どういう形で財源をも含めて全体の制度を構成するのかということもある程度ここの言葉の使い方によって影響を受けるというか規定される部分があるということは少しどこかに念頭に置いておいた方がよろしいかもしれないというふうに思います。
 理念的には、ですから、結論から言うと、社会連帯といったような観点から考えるということで私はよろしいのではないかなというふうに思っております。

○國松座長 私も一構成員でありますので、ちょっと書かせていただいたことをこの場で述べさせていただきたいんですが。社会連帯か国家補償かという2つの問題になるのかということが今まで出ておるわけでございますけれども、私は前の厚生労働省からのご説明で障害者自立支援法の話を承ったときに1つ感じたのでありますが、犯罪被害者に対する経済的支援を行う場合にも、犯罪被害者等が自立をしていくための支援を行うというのが経済的支援の目的である、理念と言ってもいいのではないかと思います。その自立という言葉の前に尊厳を加えて尊厳ある自立を支援していくということにしてもいいのではないかと思いますが、そういう自立支援という考え方はいかがなものか。そういう支援の目的を明確にしていくというのはいかがなものかという考えを持っております。どちらかというと社会連帯の延長線上にある考え方だと思いますが、社会連帯だからといって何かお見舞金だけ出せばいいんだという意味ではなくて、やはり犯罪被害者等の尊厳ある自立を支援するために必要な経済的支援を行う、それが我々がこれから検討しなければならない経済的支援のあり方だという理解はいかがかという意見も持っております。またこの点につきましてはいずれ具体的な問題が出ましたときにご議論があると思いますので、各構成員のご意見を承りたいと思います。
 なお、本日は行政側の構成員も出席をしていただいております。いずれにいたしましてもこの理念の問題、給付の内容をどうするかというようなことを考える場合、法律を書く場合には当然そこのところをどう書くかというのが問題になります。それは行政の方のご担当をいただかなければならんということもありますので、本日ご出席の行政側の構成員のご意見をひとあたりこの際お伺いしておこうと思います。
 いかがですか、行政の方で。警察庁、いかがですか。

○警察庁長官官房総括審議官 今お話を伺っていて考え方にあまり大きな差はないのかなというふうに思っております。白井先生からも、いつでもどこでも被害に遭い得るということでもって社会全体で公平に分担しましょうという趣旨ではないかというお話なんですけれども、まさにそのとおりだと思います。ただ、それを、国の責任と言うか社会連帯共助の精神というかは少し別で、私どもは、皆がお互いリスクを負っているので、そのリスクを公平に分担しましょうという意味で、その中で現実に被害が生じたことに対して連帯共助の精神でご支援をするというふうな趣旨で考えておりますし、犯罪被害者等給付金支給法もそうだと思いますし、これからもこういう考え方は妥当するのではないのかなというふうに考えています。
 あと、見舞金という言葉について白井先生いろいろご意見をお書きになっていらっしゃるんですけれども、あまり見舞金という言葉にこだわる必要は私はないと思っています。今でも現に、遺族給付金で1,500万円以上、また、障害給付金で1,800万以上支給されておりますが、これは見舞金という額としてはちょっと枠を外れているという感じもします。我々も、今申し上げました連帯共助の精神でこれから被害者に対する支援を手厚くしようというつもりでここに来ておりますが、それは今の考え方からも十分私はできると思っていますので、ぜひ、瀬川先生がおっしゃったように、足らざる部分はここでご議論いただきながらご意見いただきながら我々も努力したいというふうに考えております。

○國松座長 厚生労働省、何か。

○厚生労働省政策評価審議官 社会連帯という理念は税でやるにしろ保険でやるにしろ比較的皆さんに受け入れられやすい理念だろうと思います。
 それから、先ほど國松座長が言われたように、犯罪被害者の問題というのは非常に障害者と似ている部分がありまして、ある日突然全く自分の責任のないところで生活ががらっと変わってしまって非常に多くのものを失うということで似ていると思います。障害者の場合は今度の自立支援法の中で特に大事にしたものは、失われたものをいろいろな給付で補っていくということと、もう1つは残された力をいかに使ってもう一回尊厳ある自立を取り戻すかというところが1つ大事なポイントだったというふうに思います。犯罪被害者の場合もそういった発想というのは役に立つ部分があるのではないかというふうに思います。

○國松座長 きょうは法務省の三浦審議官においでいただいておるんですが、財源の話も先ほどちょっと出たんですけれども、それも含めてこの経済的支援の理念のことについてご意見がありましたら。いかがでしょうか。

○法務省大臣官房審議官 理念の問題については先ほど来かなり共通の理解といいますか認識があるのかなという感じで伺っております。国の責任、国家の責任という言葉もございましたが、先ほどご指摘もありましたように、法的な意味で、特に賠償責任という意味で国の責任というふうにとらえていくというのは少なくとも現段階では非常に難しいとらえ方かなという感じがいたしますので、そういう意味でやはり社会連帯ということで考えていくというのが適当というふうに感じております。
 ただ、社会連帯共助といっても、その共助として何をするかというのがその先の問題としてあって、見舞金という言葉を使うのがいいのかどうかという問題はございますが、それにとどまるというのもあったわけでしょうし、先ほど座長が言われたような社会連帯として自立を援助していくという方向に向かっていくということもあるので、中身の議論をする段階でそういう社会連帯として何をするのかということを詰めていくべきかなという感じがしております。
 それから、財源の問題につきましては、論点整理の中でも若干触れられているところがございますが、この種の議論をするときに税でまかなうのかそれ以外のものなのか、特に話題にのぼるものとして罰金はどうなのかということが言われることがございます。まだ私ども結論を出す状況ではないかと思っておりますが、一般的な考え方としてどうなのかということだけ若干ご紹介しておきますと、ご承知のように、罰金は現在は国の一般財源として繰り入れられておりますので、そういう意味で言うと税と一緒になって一般歳入としていろいろな施策のために支出しているということであります。その罰金を何らか犯罪被害者の経済的支援という特定の支出のために使うという形で構成していくと、現在一般歳入で行っている施策のうちの一部分を削ってそちらに回すということになりますので、そういう意味で言うと、パイの中で食い合うという性格はいずれにしても否めないのかなという感じがいたしております。
 それから、もう1つは、これも前の検討会などでもご説明したことがあるかと思いますけれども、一般に特定の支出のために使う財源はいろいろな税でありますとかいろいろな収入関係で日本の制度の中にもございます。通常そういう場合はその支出によって利益を受ける人であるとか、支出の原因になった人が一定の負担をするということで、受益者なりあるいは原因者が負担をするという関係にある場合が通常だろうというふうに思いますけれども、罰金の場合、現実にどういう人が罰金を払っているかといいますと、かなりの割合、8割ぐらいかと思いますが、いわゆる道路交通法違反ということで、必ずしも被害者を生んでいる犯罪者が罰金を納めているわけではなくて、当然殺人とか傷害致死、重大な犯罪の犯人というのは懲役という形で刑務所に入っておりますので罰金を払っているわけではないという意味で、原因者と罰金を払う、納めている人間との間にずれがある、そういう問題をどう考えるかといったようなことが1つの問題かなという感じがしております。
 とりあえず以上です。

○國松座長 ありがとうございました。
 金融庁、何かございますか。

○金融庁総務企画局政策課課長補佐 金融庁でございます。金融庁は第2回目の会合のときに申し上げましたとおり、違法な経済取引の被害者に対して被害金を返還していくという制度について関心を持ってこの検討会に参画しております。したがって加害者から本来の被害者に当然返すべきお金を返還するという仕組みについて何か検討ができないかということに関心があります。そういう意味で社会的連帯か国家補償かという点については特段どちらかという意見は持ち合わせておりません。

○國松座長 行政側から、経済産業省からもお見えでございます。何かございますか。

○経済産業省商務情報政策局消費経済部長 特段ございません。

○國松座長 大体ご参列の構成員の皆様方からはこの1の問題についての議論ご意見を……。
 どうぞ。

○瀬川構成員 理念のところに少しつけ加えておきたいところがあるのと、財源の話になりましたので少しお話ししたいと思うんですが。先ほどのところで一応理念としてはそういう形におさまろうかと思うんですけれども。例えば厳密な議論が必要だという意味で申し上げたいんですけれども。社会の責任と国の責任ということを言うわけですけれども、私は刑事政策という分野も専攻していますので、その点から言いますと、例えば殺人事件が起こったりあるいは傷害事件が起こったときに、それは社会や国の責任だという場合は確かにあると思うんですけれども、一般論的にそういう言い方がすべてできるのかというと私はできないと思います。犯罪原因というのはさまざまなものが考えられますので、原因を集約して社会の責任なんだ、国の責任なんだなどという形で言えるのかということですね。この点は慎重に議論する必要があると思います。
 特に、もしそういう形で社会の責任であり国の責任であると言い切ってしまうのであれば、それは例えば刑事裁判をして犯罪者を処罰すること自体意味がなくなってしまうことになりかねませんので、そういう意味で非常に気をつけて議論すべきだというふうに思っています。
 それから、治安政策の観点から、社会の責任だ国の責任だといった場合にそういう形で議論が進めばいわゆる治安政策全体が非常に厳しくなるといいますか、市民的な自由というのは非常に奪われてしまうわけですから、超監視社会となる恐れもあるわけで。やはり自由主義的な発想というかそういうものも残しておく必要があります。あまり抽象的に、そういう形でのどこどこの責任という議論はやはり慎むべきだというふうに私は考えます。
 それから、もう1つ財源の問題なんですけれども、理由の説明としてはもっともなところもあるかと思います。罰金を財源とすることについて、先ほど三浦構成員はややつれなく言われたように思うんですけれども、確かに一般歳入に入っていたとしても、1,000億あるというふうに聞いておりますので、1つの財源にするという方策というのは当然考えるべきことだというふうに考えます。先ほどの理念、社会連帯からの共助という点からも重要であると考えております。
 それからもう1つは、ほかの財源ですね。つまり、財源というのは択一的なものではなくて、いろいろなところから取ってきてもいいわけですから。例えば前回議論ありました刑罰賦課金、有罪判決を受けた人から少額を取って1つの財源にするというのも1つの方策であって、その点は発想の転換を図り、そういうものをぜひ財源については考えていってはというふうに考えております。
 以上です。

○國松座長 飛鳥井構成員、どうぞ。

○飛鳥井構成員 財源のお話が出ましたので、私も3番目の論点で財源のお話をさせていただいたんですが。そこでも先ほど来出てますような罰金ですとか没収金あるいは賦課金を利用してはどうかというような意見を述べさせていただきました。というのは、今の財政状況ではなかなか一般財源を期待するというのは財務省の前で玉砕主義で進むようなところもあるかと思いまして。やはり国民が一番納得するのは罰金、没収金、賦課金というようなことだと思うんですね。確かに三浦構成員が言われたように、それでも本当に入口と出口のものを考えるとズレは確かにあるんですが、ほかの財源はもっとズレがあるわけでありまして、その中で一番相対的に見てズレが少ないのが先ほどの罰金のたぐいだと思うんですね。私も少し伺ったところでは、交通反則金などは交通安全対策に使われている部分が、国土交通省の方がおられればまた調べてほしていんですが、かなり支出されていると聞きますし、具体的に出口と入口をなるべくすり合わせるような形で使われている実例もありますので、それを考えれば納得しやすい形で一番使いやすいのは罰金等の財源ではないかというふうに考えた次第です。

○國松座長 岩村構成員は財源の具体的な話について、あまりきょうの段階で突っ込む必要もないのかもしれませんが、どのようにお考えでございますか。

○岩村構成員 論理立てて考えるとすると、共同連帯とか社会連帯とかという考え方をとったときに、先ほど少し申し上げましたが、例えば私の専門である社会保障の観点から考えたときに、1つは税でやるという、これは例えば生活保護であるとか基礎年金、今3分の1の人ですが今度2分の1に負担率が上がるとか、社会福祉が基本的には税でやっているとかいうようなことで、税でやる考え方もあり、もう1つは、さっきも申し上げましたけれども、社会保険のように被保険者の人々から保険料を取るというそういうやり方というのもあると思います。
 実は考えてみますと、犯罪被害者の方の経済的支援ということを考えたときには、本音を言うとある意味保険になじむんですね、実は。偶発的な事象でありまして、一定の確率で発生するわけですから、実は保険になじむ。ただ、現実的なことを考えると、これを例えば犯罪被害者のための強制保険制度をつくって国民のみんなから保険料を取るんだということは、今の国民年金とか国民健康保険を考えたときには非常に非現実的な話になっていってしまう。
 そういったことを考えていくと、趣旨としてはできるだけ、先ほどどなたか構成員おっしゃいましたけれども、犯罪被害というのは一定の確率で社会の中で発生し、だれもが場合によっては被害者になり得ると。要するに相互補完性というか相互性があるものですので、実はできるだけあの考え方として論理的に考えていくと、幅広い国民なり社会の構成員の人たちからお金を集めるというのがおそらく最も財源のあり方としては論理の筋が通るんだろうというふうに思います。
 保険料が仮に技術的に難しいとすると、実は一番幅広に国民全体から集められるのは所得税ではなくて間接税なんですね。ですから、それを本当は考えるというのが多分論理的には一番筋が通っているかもしれないという気がいたします。罰金というのは確かに1つの論理としてあり得ると思いますが、先ほど法務省の方もおっしゃいましたように、新たな財源調達をしない限りは予算の食い合いになるということになってしまって、高度の政治的判断というものがそこで働けば動くんでしょうけれども、そうでないとなかなか動きにくいということもあり、いずれにしてもそこ自体は私はオープンになりまして罰金を使うということも、出口と入口の違うという問題はあるにしても、それは、クリアできないことではないだろうと、割り切りの問題かなというふうな気がいたします。
 他方で間接税という話になるとこれもまた高度な政治的な話になるので、論理的にはその筋道かなという気がしているんですけれども、実際にという話になったときには非常に難しい。高度の政治的判断と言ったときに、じゃあ、罰金とかそういったものを充てるというのと間接税というのを考えるというのとで、より政治的判断の度合いが楽かというそういう現実的なところが議論の分かれ目になるような直感を持っております。
 あまり整理されていませんが、そんな感じであります。

○國松座長 この話ばっかりあまりやってもあれなんですが。少しついでで質問させていただけますと、保険として取るというのは、非現実的であろうということなんですが、例えば寄附金的なものを集めてそれを財源にするというのはこういう制度設計上どうなんでございましょう。つまり、民間篤志家といいますか、そういう人からの寄附金を財源にするというやり方というのはどういうことになるんでしょうか。

○岩村構成員 そのこと自体は何か例えば制度の趣旨とかいうようなことに違反するというようなことではないと思うんですが。恐らく一番の問題は、篤志家なり何なりの民間の寄附金ということになると、安定的な財源確保が見込めないというのが一番のネックになると思います。あるときポンと2億円出してくれるという人がある年はいるかもしれないけれども、それが10人ぐらいいるかもしれないけれども、次の年は全くゼロというようなそういうことになってしまって、制度として安定的な運営を図ろうということになると、やはり安定的な財源を確保するということを考えなければいけないということになりますので。そういう方がいらっしゃるときに、いや、寄附は受け付けませんと言ってお断りする理由はないと思うんですが、ただそれを安定的な財源の一部として事業運営の中で見込むというのはちょっと難しいだろうというふうに思います。

○白井構成員 ちょっと財源の方まで話がいっちゃったんですけれども、やはり財源の問題につきましては私も長年にわたってどういうふうにしたらいいのかという一番悩みの種ではあるんですけれども。やはりどういう中身の補償をどの程度やるのかということによって金額が大分違ってくるわけなんですね。今抽象的にやりますとものすごい大変だという話になってしまうんですが、実際に細かくやっていきますとかなりこの程度だったら一般財源でもかなり確保し得るのではないかという範囲からあるいはもう少しこういうものをつけ足してとかいろいろまた工夫ができると思うんですが。
 1つやはりご明記いただきたいのは、基本法ができて国の責務として補償を十分にということが定められておりますので、一応定めた国としては財政予算の中から措置をするんだという責任というものを国としては負っているわけで、一般論として言えばやはり国の一般財源というものから出す責任というものはこの法律を制定した以上はあるとは思うんです。
 ただ、そうは言っても実際に今日本は言ってみれば貧乏国に陥ったような大分赤字を抱えているわけですから、具体的には先生方がおっしゃられるようないろいろな工夫というものもあるいは考えなければならないかもしれませんが、ある意味では国会の責任で考えていただくという面もあるとは思うわけなんですね。ですから、その辺も踏まえて、一応今のところはどれにするかということはなかなかすぐには決めがたい面もあるとは思うので、やはり補償の中身とか程度とか大体どれくらい金がかかるんだろうかというようなことも話し合いながら進めていったらいいんじゃないかなと私は思うんですけれども。

○國松座長 すみません、私がちょっと財源の方に話を振ってしまったのでややコースがそれた感じがいたします。おっしゃるとおりでありまして、財源をどうするかということを考える前に給付の水準をどうするか。
 いずれにいたしましてもこの経済的支援制度を充実して、現状よりも手厚く犯罪被害者等に支援をしていくというのは基本法と基本計画に我々に課せられた命題でありますので、まずそれを議論するのが先決であろうと思います。話をもとへ戻させていただきます。
 給付水準等につきまして何かご発言はございますか。
 ちょっと私から質問という形で発言をさせていただきますと、先ほど飛鳥井先生からのお話も出ましたが、給付水準を、少なくともという言葉をおつけになる方がおられますが、少なくとも自賠責並みに引き上げるというご議論をこれまでいろいろ聞きましたけれども、飛鳥井先生のご発言も大体そういう趣旨であったわけでありまして。これは何となく大変わかりやすい議論であります。下関の事件などもありまして非常にそこの差がはっきり出た事例もありますので非常にわかりやすいんですが。よく考えますと、自賠責も保険制度でもありますし、自賠責並みというのはわかりやすいけれども、それだけではなかなか少し議論として煮詰まっていない面がかなりある。
 私がむしろご専門の構成員にお伺いしたいのは、自賠責並みということをおっしゃる場合の理論的な根拠というのは何でございますか。どういう理屈づけで自賠責並みということが言えるのか。その点についてむしろ私はお教えいただけたらありがたいという感じがいたします。わかりやすい議論だけれども、そっくりそのままそれをこの検討会としてそうだそうだというわけにはいかないところがある。どういう理屈で、この今の経済的支援の理念とか目的という関連でどういう理屈づけが可能なのか。そこができると話が割と前へ進むのかなという感じもするんでありますが。その点についていかがでしょうか。給付水準という問題に関する問題。いかがでございましょうか。

○白井構成員 私の方の意見書でそういう一時金について、1つは自賠責保険並みにということを申し上げて、それはあくまで一時金の金額についてということで、そのほか後遺障害が認定されるまでの、例えば治療期間が1年なり2年なりかかってしまった場合の休業補償とかそういう問題もあることはあるんですけれども。やはり自賠責並みというふうにしたのは、1つはあくまでも参考でして、基本的な考え方としては犯罪行為によって重大な被害を受ける方の場合に損害賠償というものを計算するわけですね。損害賠償を計算した場合に1級、2級のような重度の障害ということになりますと億を超える損害賠償の金額になってくると。また、死亡の場合にもそういうかなり高額な金額の損害賠償金になってくると。
 ところが、重大な犯罪で被害が重大であればあるほど加害者は長期の懲役になってしまうとか、要するに加害者に支払能力がないということが重大な問題として起きてきているわけで。その場合にやはり国の補償というのはどうしても被害者が受けた被害を金額に換算した場合の被害額というものをどうしてもやはり、そのうちのどれだけのものを補償でカバーするのかというふうに、金額ということで言えばそういうふうに考えていかざるを得ないと思うわけなんです。先ほどちょっと警察庁の方もおっしゃられましたけれども、確かに現在の犯給法でも建前は見舞金と言っておりますけれども、金額的には一部損害賠償的な金額も含まれていると思うわけなんですね。ですから、国としても必ずしも損害賠償的なものを、その一部を国で補償として被害者の方がもとの生活を取り戻すための1つの助けとして損害賠償金として計算されるものの中のある程度のものを補償していくんだという考え方に立っていると思うんです。
 そうした場合に、我々が考えたのは、今日本の社会の中で損害賠償ということを一般的に国民が考えた場合に、一番国民の間でポピュラーなものは何だろうかといいますと、やはり交通事故による損害賠償ということにならざるを得ない。もしほかの例があれはほかのものを参考にすれば、国民が納得していただけるようなほかの例があればそれを参考にしてもいいわけですが、今のところ圧倒的にポピュラーなものは自動車の交通事故の損害賠償しかないわけなんですね。
 それで、その交通事故の損害賠償ということで考えた場合に、幸いにして政府事業による補償の仕方というものが定められていると。それを見てみると、死亡の場合に3,000万、重度の障害の場合には4,000万までということが定められているので、それだったら国民の方々に受け入れられる損害賠償の補償としてはそれを例にしたらいいじゃないかということなわけなんです。
 ですから、参考に言いますと、その金額も実際の損害賠償、裁判所の実務でいきますと、その金額も慰謝料の金額程度で、実際には逸失利益部分はほとんどないと。金額的には、もし3,000万円といっても、今一家の支柱が交通事故で死亡しますと2,800万から3,000万円ぐらいの慰謝料を裁判所は認めておりますので、もし仮にこの犯罪被害者の補償として3,000万円を認めたとしても、本当に損害賠償の中の一部ということになるわけなんです。ですから、そういう意味で出しているわけなんですけれども。

○國松座長 あくまで参考値であると。

○白井構成員 そうです。だから、もう少し高くてもいいわけです。イギリスのようにやっていただければ。

○國松座長 あまり自賠責並みということが一人歩きすると変に低くなる部分もあるということですか。

○白井構成員 はい、そうですね。

○國松座長 今の給付水準ということの絡みで話がちょっと出ましたけれども、もとに戻りまして、理念・目的等につきまして何かさらなるご発言なさる方はございますか。
 この問題は先ほど申しましたようにあまり今日、いろいろなご意見が出ておりますが、ここで集約するためにずっといくという、一応置くことにいたしまして、個別の問題をやっていくということの中でまた立ち返って理念・目的、あるいは一般論としての給付水準というようなお話があります場合にはご自由に立ち返ってご見解を述べていただきたいというように思います。
 私の整理した段階で、理念・目的、財源などについて現行の犯罪被害給付制度対象者に対する給付水準の引き上げをめぐって今のような理念・目的、財源とこういう整理の仕方をさせていただいているわけですが、何か追加的にご発言があるところがございましたらお願いいたします。
 今の給付水準の問題で自賠責の問題が出ました、白井構成員からの話もありました。この点について犯罪被害給付金との関係で何か警察庁、片桐審議官の方からご発言がありましたらお願いいたします。

○警察庁長官官房総括審議官 給付水準の話でありますが、財源をどこに求めるかによってまた給付水準の考え方も変わってくると思いますけれども、今の一般財源でまかなう、国民に幅広く負担をしてもらって全体で連帯共助の精神によって支援しようということを前提にすると、自賠責並みというお話もあったわけですけれども、これとうまくリンクさせて説明することは、役人的に言わせていただくと極めて難しい部分があります。お気持ちは十分わかるんですけれども。
 ただ、1つのヒントは、今、飛鳥井先生がおっしゃったような政府保障事業があるじゃないかというお話でございますけれども、今日は国土交通省いませんが、これもほとんどは保険金でまかなっていて、国の一般財源から投入する額というのは極めて小さい額だと聞いておりますので、これもなかなか決め手の説明には割合なりづらいのかなというふうには思っています。
 ですから、今現在の私の感じから言えば、この自賠責を、これは保険的な発想で自動車の使用者という広いグループの中でお互いにまかなっている部分でございますから、これをなかなか上回るということについての説明は非常に難しいのかなというふうに思っています。あと、他方でまた同じような原因者負担で損害賠償的な考え方に立って行われています公害健康被害補償制度、こういったものもなかなか上回ることは難しいものと。またもう1つ、これは一般財源でやっているんですけれども、私どもでやっています警察官の職務に協力援助した方に対する給付金制度でございますけれども、これも自分の身を投げうって犯人逮捕とか人命救助に当たった方々に対する給付金ですから、これもなかなか上回れないのかなというふうなことは我々限界としては考えておるところでございます。
 ただ、事実の話として我々もこれまで給付水準の引き上げをやってまいりましたが、自賠責をにらみながらやっていることは間違いない、事実上はですね。説明はリンクしていませんけれども。それは間違いないことなので、こういった制度のことを念頭に置きながら、そこにどこまで近づけていけるのかということはこれから真剣に考えていかなければいけないということは思います。
 それから、今、白井構成員からお話があった、本当の損害の額というのはものすごく大きいんだということはごもっともなんですけれども、ただやはり完全な補償というのはどうしても無理なのかなというふうに思います。犯罪被害者等基本法でも再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間の支援と書いてありますので、完全な補償というのはいずれにしても少し無理な話なのかなというふうに思いますけれども、この範囲内でどこまでできるかという議論はさせていただきたいと思います。

○國松座長 ありがとうございました。今の点、白井構成員、よろしゅうございますか。

○白井構成員 今自賠責並みにどれだけ近づけるかというようなお話でしたが、先ほど私が発言いたしました、あくまで一時金の参考としてということで申し上げていますので、それはちょっと警察庁の方の考え方と少し、自賠責というものに対する考え方は少し違うと思います。

○國松座長 ほかに何か。よろしゅうございましょうか。
 それでは、時間の余裕がございますので、どの程度できるかわかりませんが、この給付の内容という問題に入っていきたいと思います。これは非常に具体的な話になってくるわけでございますが、医療費、これの自己負担分をどうするのかとか、介護費用、その他ここに書いてございますようないろいろな問題につきましてどの程度被害者に対して経済的な支援という枠内でやっていけるのかということが出てまいります。この点につきましては既に各構成員からいろいろなご意見を承って、それが先ほどの5ページ以下に書いてあるわけでございます。これにつきましてご意見がありましたらひとつお願いします。
 どうぞ。

○瀬川構成員 ちょうど1から2に移る中間的な段階で少しお話しをしたいことがあります。引き上げについては、合意が得られ、自賠責並みということが先ほど話に出たんですけれども、それはそれで結構で、私もその方向で考えるべきだと思います。ただし、引き上げとなると留意する必要があると思うのは、前に岩村構成員が言われた、モラルハザードということ。やはり引き上げることによって一定の不正受給というか虚偽申請というか、そういうものが発生する可能性がある。あるいは、悪用する人もでてくる。そういうことによって制度に対する信頼を失われるということを我々は常に考えて議論する必要があるのではないかということをここで一言申し上げておきたいと思います。

○國松座長 その問題はいろいろな管理、前に岩村先生からもどうやって管理するんだという論点整理が出ましたが、そういう問題としてまた十分議論になるんじゃないかと思います。
 この給付内容につきましていかがでございましょうか。
 私ばかり言うようで恐縮でありますが、5ページの一番最初に私の医療費関係ということで、まさに出ちゃっておりますので、申しわけありません。要するにここで私が問題としておりますのは、医療費の自己負担分の補てんということが犯罪被害者で言われるわけであります。その場合に、現在犯給法がございまして、いわゆる重傷病給付金というのが出るわけです。その中では重傷病というものが一定の定義がございまして、加療1カ月以上、3日以上の入院という範囲が決まっておりますことと、それの給付金の支給の期間は1年間という制限があるわけです。自己負担、これはこの範囲で自己負担しているわけでありますが、この範囲でよろしいものでありましょうかということは大いに議論されねばならない問題であるというのが私の思うところでございます。
 この問題に関連するご発言でもよろしゅうございますし、そのほか飛鳥井構成員の心的外傷による精神的被害に対する保険外心理療法の治療補償費という問題でも結構でございますので、ご発言をお願いします。

○飛鳥井構成員 では、書いてありますので。これももうこれまでいろいろ論議されてきたと思いますけれども、要するにカウンセリングが保険外で行われているという場合が大変多うございます。もちろん厚生労働省のお考えとしては保険診療内でも通院カウンセリング料とかもろもろの薬物療法以外のそういう精神療法というのは認めておられるということはもちろんそのとおりなんでございますが、実態としては実はかなりの多くの被害者の方がその範囲でのカウンセリングではおさまらないことが多いというのが実情でございまして。そのほかのもう少し時間をかけた心理療法というものを希望されている方が少なくありません。実際それによって精神的な回復が早まるということがあるわけなんですが、それについては保険ではまかないきれない。どうしても時間がかかるものですから、医療機関としてはそれを保険診療でやるとペイしないということがありまして自費でしているわけですね。
 したがって、被害者の方としてはもちろんお金がかかるということもあります上に、自分が被害を受けたのに何でまたそれで自腹を切って特別にお金のかかる治療を受けなきゃいけないのかという矛盾を大きく感じまして、そのために受療行動、心理療法を受けたいと思ってもためらってしまうということが実際にはあるようです。
 したがって、もう明らかにこれは被害に関連した精神的な苦悩であって、それに対して少なくとも適切な心理療法、具体的な運用の方法はいろいろとあると思うんですが、適切であると認められて、しかもそれが標準的な料金ですね、法外な料金を取ってするというのではなくて、標準的な料金であれば今の制度の中でも認めていただいていいんじゃないか。もちろん、それによってある意味で不正というか過剰診療といったような危険も必ず発生しますので、内容とか回数とかそういうものについてはきちっと範囲内におさめるということであれば認める方向で進めていいんじゃないかと思います。
 また自賠責の話になりますけれども、自賠責でもそういったような関連の医療類似行為というものについても、120万という限界はありますけれども、きちんとそれ適正なものであるといえば認められていくという実績がありますので。心理療法でも自賠責では何回やって1回いくらでしたということであれば、恐らく認められていると思うんですけれども。それと同じような形でできないかというふうに考えております。

○國松座長 今の制度というと要するに今の犯給法の範囲でこれは見ていくべきじゃないかと、こういうご趣旨でございますか。

○飛鳥井構成員 そうです、今の犯給法の中でも実現できるのではないかというふうに考えてはいますけれども。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 ご専門なので飛鳥井先生にお聞きしたいんですが。私どもが現場で被害者の方々の支援をしている場合に、どうしても心理的なケアをしていただく方に付き添っていただきたいと、例えば法廷まで付き添っていただきたいとか、我々弁護士と相談をする場合に被害者に専門家の方に付き添っていただきたいというようなそういう例もかなりあるんですけれども、そういうような場合、カウンセリングというのか何かわからないんですけれども、有料というか、どういうふうになるんでしょうか。

○飛鳥井構成員 今は警察庁の方でもそういう制度をたしか設けておられると思います。各自治体で指定をして精神科医を1回いくらで雇い上げてしているというものがあります。それから、いろいろな県では早期支援で地元の例えば臨床心理士会の方に委託して、警察官と一緒に早期のカウンセリングを行って、それについては補助金でいくらか出すというものに取り組んでいる自治体がありますので、既にそれは現行の中でも、どこまで行き渡っているかは知らないんですが、行われていると思います。  私が言ったのはそうじゃなくて、その後ですね、早期支援の後に続く治療。その段階は今言いましたような形である程度公的なところ、補助金出ているところがあるんですが、それが切れるともうそれからは出ないので、後からは自費で払ってくださいということになる。それで、もうそれならばいいですという人が多い。

○國松座長 今の点は、警察庁、いかがですか。

○警察庁長官官房総括審議官 今の建前は保険診療対象の医療について自己負担をお支払いするという建前なので、まず、可能であれば、厚生労働省さんの方でそういったものについて保険診療の対象にならないのかということを、できればお考えいただきたいとは思っています。

○國松座長 村木さん、ご担当でないのかもしれません、何か。

○厚生労働省政策評価審議官 担当ではないんですが。保険診療というのはまさに医療保険ですから医療について必要なお金を保険料を皆さんから集めてそれでそういうコストをまかなっていくという仕組みなので、したがってルールとしてお医者さんはこれは治療に必要だというふうに認めたものについてそのお金を払うということになります。ですから、それ以外のものに広げていくということになれば、当然コストがたくさんかかりますから、じゃあ、保険料を上げますか、どこまで広げますかという議論になってくるんだろうと思います。ですから、保険でそういうことをやろうということになれば、そこのところを議論をしなければいけないということだろうと思います。

○飛鳥井構成員 実は私もその点一般に保険診療の中で認めてもらうと少し趣旨が違うと思うんですね。というのは、私が言っている心理療法というのは一般的なもう少し専門性の高いカウンセリングというのではなくて、やはり犯罪被害者のための治療ということなんです。そのための例えば犯罪被害によるPTSDに対しての十分トレーニングも受けているような心理療法士であれば、それについて認証なら認証してきちっとそれについては認めていいのではないかといったようなことなので。一般的に心理カウンセリングを保険診療の中で認めるというのとは少し話が違うということです。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 私も今、飛鳥井先生がおっしゃったことには賛成で、やはりその点について保険の中で改革するのか、被害者補償制度の中で改革するのかという方法についてはあると思いますが、何らかの形で独自のものを考えるべきじゃないかなと。

○大久保構成員 私も同じ考えでして、支援センターの方で被害者の方を支援しておりますと、長期にわたるカウンセリングはどうしても必要という方がいらっしゃいますので紹介をしますが、医療機関に紹介をしても、初めに何回か精神科医の方にお会いしても、ここでは時間がかかるのでカウンセリングはできないということでほかのところに回されます。大体1回1万円程度は取られますので、毎週1万円払えるという方はまずほとんどいらっしゃいませんので皆さん途中で治療を中断してしまいます。今までも厚生労働省さんのお考えを聞いていますと、犯罪被害者だからということで特別な扱いはできないということをずっと耳にタコができるほど聞かされてきましたので、そこがよい形で動くというよりも、やはり新しい制度としてつくり上げなければ犯罪被害者のため、回復のためになる支援体制、医療体制といいますか、カウンセリング体制は確立されないのではないか、そのように感じております。

○國松座長 今のご議論でいうと、結局犯罪被害者特有のそういう療法というのが1つ必要であると。それは恐らく保険の外に出ちゃう感じで理解してよろしいんですか。そうすると、もちろんこれはあと事務局的には犯給法の範囲で何ができるか、厚生労働省の方で保険をカバーする範囲をもう少し広げていくということでどこまでできるのかという議論まだあると思いますけれども、それにもかかわらず犯罪被害者特有の分野というのがあって、そこにこそ心理療法が必要になるということになると、結局警察庁の方に話が戻ってきちゃうというところがあるんですけれどもね。この辺のところは、今、大久保構成員からは新しい制度という、新しい給付項目ということになるんですかね。ということになると思いますが、その点は警察庁、いかがですか。

○警察庁長官官房総括審議官 まだ別に結論を出して言っている話ではなくて、今の建前ではこうなっていますと、これを前提にすれば厚生労働省さんの方でお考えいただく余地はありませんかと申し上げているんですけれども。保険の話は、私の専門ではありませんからよくわかりませんが、今おっしゃったように、犯罪被害者の治療としてもし必要だということであれば、保険に乗らない話でもないのかなというふうな感じもします。また、自賠責でもやっているというお話もありましたから、我々が努力する部分もあるのかなという感じもしますから、もう少し検討させていただきたい。今ちょっとここでやりますとか、できませんとかいう結論まではなかなか言いがたい部分がございますので、もう少しお時間いただければと思います。

○國松座長 それは結局ニーズといいますか、保険診療では絶対にはまってこない犯罪被害者独特のものがあるかという、それは資料みたいなものが出るんでございますか。

○飛鳥井構成員 実際には犯罪被害者の治療に関する知識や経験を持っている精神科医でも診療、まだまだ少ないのが実情なわけですね。一般的な精神科医あるいは臨床心理士ができるかというとそういうレベルではありません。もちろんいろいろな教育研修活動はしておりますけれども、まだまだ少ないので。やはりそういったような知識、経験がある人で初めて有効な時間をかけた治療というのができますので、そういったような特殊な技術というものが必要になるというふうに考えております。

○國松座長 大久保構成員の分もそういう保険外の診療が必要なケースというのは出せますか。○大久保構成員 それはたくさんありまして、実際に1回か2回受けても、その後経済的に続かなかったのでやめたという方はたくさんいらっしゃいます。多分多少のものは統計資料として出せるかもしれません。

○國松座長 どうぞ。

○岩村構成員 ちょっと議論のあれで整理させていただきたいと思うんですが、私の観点ですね。第一に、今問題になっている心理療法なりカウンセリングというのを現在の公的な医療保険の中で犯罪被害者の方に特化してそれを診療の対象とするというのは恐らく先ほど村木さんがおっしゃったように、現在の公的医療保険の体系の中では難しい、これはできないというふうに思います。そうしますと、やはりやるとすれば公的保険の外に出して、そしてそこで新しい仕組みなりで受け皿をつくるということを考えるということになるんだろうと思います。その際恐らく議論しなければいけないのは、飛鳥井構成員もお書きになっているとおりなんですが、これは私は専門外なのでわかりませんけれども、1つは仮にそういったものをカバーの対象にするということになれば、それは公的なお金、財源は何であれいずれにしろ公的なお金になるわけですから、公的なお金でカバーをするということである以上、第一にその心理療法が医学的なり何なりに見て有効性があるということの何らかのきちっとした資料が必要なのではないかというようには思います。これはもう飛鳥井先生なりどなたかにきちっとした資料を出していただくということしかないのかなと。
 少し今気になったのは、大久保構成員がおっしゃったんですが、途中で現在やめちゃっている人が多いということになるとその有効性ということまできちっと検証できるのかどうかというのがやや気になるんですね。そこが1つの問題だろう。別に私は有効性がないとかそういうことについての予断を持っているわけではなくて、そこは必要になるでしょうということと。
 もう1つは、飛鳥井先生のアイデアで多分一定の資格を持った認定なり何なりを受けた方のもとでのカウンセリングということになるでしょうが、やはりそういう縛りをかける、あるいは回数とか期間といったものについての制約というか条件、それから報酬の額が一体どの程度が適当なのか、公的なものでお金をカバーするとなるとその問題が出てくるというようなことをやはりある程度調査してデータをもとにして議論をするということが必要になるのかなというふうに思いますので。私は全く専門外ですが、その辺をぜひ実りある議論にするためにはそういうデータの収集をぜひお願いできればというように思います。そうするとある程度建設的な議論ができるのではないかというふうに思います。

○國松座長 飛鳥井構成員、どうぞ。

○飛鳥井構成員 まさに岩村構成員が言われたとおり、多分こういう話が出てくるんじゃないかと思っておりまして、データを取れないこともないと思うんですね。実際幾つか警察では今早期支援で心理カウンセリングを補助対象としておりますので、大体4回から5回しておりますので。1つはそれが終わった段階でさらに心理カウンセリングが必要だと、しかし、それからはもう有料になるわけですから、では、受けたいけれどもここまでで辛抱するという人たちがどれくらいいるのかといったようなことはむしろ警察庁の協力を得られればあるいは調べられるかもしれないとは思っています。それが恐らく多少ニーズのエビデンスが出せるかなと。

○國松座長 むしろそういう具体的なケースは大久保構成員の方で何か出せるのがありますか。
 その点について、どうぞ。

○白井構成員 そのことについてつい数日前にご相談したばっかりなんですが、名古屋大学の蔭山先生がずっともう愛知の犯罪被害者支援の組織の創立者の一人で長年にわたりそういう例を存じ上げておって、しかも、白井さん、こうだよということでいろいろご意見もいただいておりますので、もしお調べいただければ参考になることも出てくると思います。

○高橋構成員 地下鉄サリン事件では警察庁が被害追跡アンケートを、あれ残念ながら2回しか行われていないんですけれども、そこら辺でそういう項目があったかどうか今ちょっと記憶にないんですけれども、そこもちょっと見直してみていただければというふうに思います。

○國松座長 これはいずれにしてもエビデンスといいますか、これは犯罪被害者に対する支援という意味でやらなければならないことだという具体的なイメージがわくような事案といいますかケースをどの程度見つけられるのか。そういうものを見て岩村先生からお話になりましたような療法の有効性であるとか、どういう資格のある療法士がやった場合がいいのかとか、あるいは回数とか額とか、そういうものについて具体的に詰めていった上で、この問題についての給付の新しい仕組みをつくるのかどうか、新しい給付項目をつくるのかどうかということも含めて結論を出していければと思います。
 これは事務局の方でその辺のところ、してもらえますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 1つは、今基本計画の中で既に厚生労働省さんの方でやっていただいた、要するに今必要なPTSDなんかの治療について医療保険でどこまでカバーできるのか。これこの間の診療報酬改定でキャップスというんですか、詳しいことはわからないんですけれども、やっていただいて、そこは医療保険でできる。だから、できるがどこまでいけるのかというのと。じゃあ、どうしても、先ほどから議論が出てますように、保険から外れるものがどうしても出てくるんだと思うんですよね。今、早期支援団体では何回かまでは無料でやるという制度がこれはもうできてるわけですから、多少ばらつきはあるにしても。問題は、私はもちろん事例とかエビデンス、説得するための材料は必要だと思うんですけれども、それ以上にやはり私はニーズはあるんだと思うんですよね。ですから、その保険以外で4回目、5回目以降のものについて資料を集めるのはともかくとしても、それについてやはり何らかの制度というか、あるいはそれをどこが出すかとかそういう問題はあろうかと思うんですけれども、そういった前向きに考えた方が良いのではないでしょうか。あまり詰めてると、時間があまりないのではないのでしょうか。

○國松座長 何か一歩前へ出る、より充実させるというのはいいとして、実際にこの提案を書く場合に、何かわからんけれどもやれというのもちょっとおかしいので、やはりこういうケースがあってこれはカバーされていないから、それについて手をうちましょうということになるのだと思います。これは先ほど言った蔭山先生とかあるいは大久保構成員の方で持っておられるデータとかを少し集めて、それに基づいてやっていくと。むしろ犯給法の範囲内で何ができるかという、犯給法の範囲といいますか保険外で何ができるかということになってくるんじゃないかと思うんです。飛鳥井先生のご協力もいただきながらと思っております。
 そんな整理でよろしいですか。今結論が出る話ではないことは間違いない。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ですから、いろいろなデータを集めるのは私も大事なことだと思うんですけれども、持っていらっしゃるのが多分早期支援団体の関係ではないかと思うんですよね。一番身にしみてもわかるし、あるいは白井先生のおっしゃったようなところもあるんだと思うんですけれども。ぜひ、申しわけございません、事務局、そういう手足がございませんので、ぜひその辺のご協力をいただければ、そのエビデンスを集めて前向きに一歩踏み出せるようなそういう方向性が出てくるのではないかとこういうふうに考えております。よろしくお願いしたいと思います。

○國松座長 いずれにいたしましても後で座長におきまして事務局と詰めてどういうやり方をするか、問題点は今のご議論で出たと思いますので。
 この点について何かほかにございますか。どうぞ。

○瀬川構成員 今の点なんですけれども、早期支援というのができているのであれば、そこから抜け落ちている部分をもっと積極的にやるということをここで合意を得て、今後前向きに検討するということで進めたらどうなんでしょうか。つまり、早期については今のところできているが、しかし、長期にわたる人についてはなかなかうまくいってないということがわかったわけですから、中長期にわたる部分についてもより支援の輪を広げようという形で進めていいんじゃないかと思うんですけれども。特に今すぐにエビデンスなければだめだというのではなくて、必要性は当然あるということは合意できていると思いますので。むしろどう前に進めるかという判断でいいんじゃないかと思います。もう一回何かやってエビデンスを検証しましょうというのではなくて、早期の部分については、固まっているんだけれども、中長期の部分についてはやられていない、だから、その部分については前向きに考えるということでやられたらいいんじゃないかと思います。

○國松座長 わかりました。私もそういう趣旨で言ってるわけで。だた、早期支援の範囲内で一体何があるんですかというのが何かイメージがわくようなケースがあればその方がいいということで、そういう意味でのデータ収集ということでありますので。後ほどまたその点につきましての作業を続けたいと思います。
 ほかに、カウンセリングというのが今出ておりますが、何かございますか。

○白井構成員 医療費のことなんですけれども、今の犯給制度で自己負担分の給付というのがあるわけなんですけれども。被害者の方にとっては最初から自分が一旦支払って、そして認定されるまで待った上でそれからその分を支払ってもらうというそういうことよりも、最初から支払わなくてもいいような制度にしていただきたいと。1万円、2万円というような金額であればまだ何とかなるかもしれないんですけれども、手術費から何からというと自己負担分でも相当の金額になるという方もいるわけで、それを一旦自分が払ってから改めて犯給制度の中で請求するという制度ではとても被害者の方にとっては負担が大変だという面もありまして。できれば最初から払わなくてもいい制度というものをつくっていただけないだろうかということなんですが。

○國松座長 払わない。

○白井構成員 今の制度だと一旦自分で払うわけですね。それで、自己負担をしておいてから犯給制度でもし自分が対象者として認定されればお金をもらう、そういう仕組みなので、一たん病院に払い込まなきゃならないわけです、自分が。ですから、そうじゃなくて、もう最初から自己負担分は払わなくてもいいような制度に変えていただきたいということなんです。

○國松座長 仮払いというのはまた後で給付の方法のところで若干出てくる問題もあって、正式な給付額というのが決まらないので、あらかたのところで仮払いをしておくというやり方というのはあるんですが。そうじゃなくて、白井構成員の言うのは、初めから何も払わないということですか。

○白井構成員 2つ方法があると思うんですね。1つは、現在の医療保険制度の中でそういう払わなくてもいいような仕組みを改正していただくような方法でのやり方と。そうではなくて、犯罪被害者補償制度の中でそういう制度を設けていく。例えば現在の自賠責保険などでは被害者請求と加害者請求という形が設けられているわけなんですが、被害者そのものは自分でお金を払い込まなくてもいい制度になってるわけですね。ですから、それは現在の医療保険制度の中でやっているというよりも、自賠責保険制度の中でそういう仕組みをつくっているというかそういうことだと思うんですけれども。いずれにしても被害者本人が払わなくてもいいという制度ができているわけです。
 ですから、つくり方はどういうつくり方にするかは今ここですぐにどちらかというふうにはいかないと思いますので、一旦とにかく被害者が払い込まなくてもいいような制度というものをここで検討するんだということをぜひ決めていただきたいんです。

○警察庁長官官房総括審議官 おっしゃるように自賠責にそういう制度があるということは承知していますし、労災でもそのような制度があることは十分承知をしておりますが、考えておくべき1つの問題は、重傷病給付をするしないという裁定にはいずれにしても時間がかかりますので、その間はいずれにしても被害者の方はご自分でお支払いいただかなければならないということになると思います。
 もう1つは、これは非常にまた役人的な話になりますが、例えば警察の方に直接請求していただいて、我々が医療機関の方にお金を払い込むという形にしますと、事務量が相当増えます。やはり人も増やさなければいけない。この負担をどうするのかという問題があって、その負担を公的な部分がやるべきなのか、でなくて、お金を一時的に払うことはやはり被害者に引き続きやっていただくべきなのかということはよくお考えいただかなければいけないと思います。そういう問題があるということをぜひ頭に置いていただきたいなというふうに思っています。

○白井構成員 それは、認定するまでに多少時間がかかるということはわかるんですが、例えばとりあえずの医療費だけは先ほど言いました仮払いの、自賠責のように仮払いの制度と給付というものがタイアップして一体となって早期に支払が開始されるような仕組みになってるわけですね。ですから、もし犯罪被害者の補償対象としての認定に時間がかかるとしても、当面医療費について支給を開始するというのは仮払いの制度とタイアップさせれば不可能ではないということと。病院から請求が来るのは、入院したらすぐ来るわけじゃなくて1カ月後ぐらいに来るわけですよね。ですから、事件から、入院してから1カ月ぐらい間があるわけで、その間にいろいろな手続をして、病院に対して手続をするか。あるいは多少病院で待っててもらって、2カ月か3カ月支払を待っててもらって、そして後で補償の方から病院に支払をすると、そういう工夫をいくらかでもすれば、一たん被害者が払わないでも済むような方法はいくらでも工夫はできると思うんです。

○警察庁長官官房総括審議官 給付するかしないかを含めて裁定をするということになりますから、必ず給付があるという前提ではありませんから、警察が債務を負うといいますか、それをお支払いするということはなかなか難しいのかなという感じがします。ただ、仮給付の問題については、後でまた出てまいりますけれども、我々問題意識を持っておりまして、今仮給付制度が余り使われていない、また仮給付にいくまでの期間が長いということについて問題意識を持っていますので、これについてはもっと早くお支払いができるようなことは別途考えております。

○飛鳥井構成員 冒頭のときに国土交通省への質問ということでさせていただきましたが、たしか自賠責の政府補償も仮払いはしていないというふうに考えているんですけれども。多分それはやはり過失相殺の含めた認定とか裁定の時間の問題だとかそういうことを考えて少し不自由な制度になっている。そこら辺の実情もお聞かせ願えればと思うんですけれども。
 それから、やはり裁定が下りるまでにとりあえず直接国から病院に払うというと、どうしてもそこでもめちゃった場合、病院が音を上げちゃうと思うんですね。その問題があって、結局本人は払わないと言ってる、国からはこれは認めないと言ってるというと、非常に診療機関が嫌がる。確実に診療費が入ってくる方法を考えてあげないと無理だと。そういう意味では医療費を直接それの対価を払うというよりは、何らかの形で少し仮給付をもう少し迅速にするような形、当座はそれでいろいろな費用に使えるというような形にした方がより現実的かなという感じもします。

○國松座長 払わないというのはちょっと僕にはよくわからない。そこのところ、仮払いではどうにもならないということがあるんですか。

○白井構成員 今の制度はそういうものがないので、仮給付という形で、仮給付もなかなかすぐには出ないんですよね。なので、この前申し上げましたように、長崎のオカモトマスミさんのようなケースでずーっと医療費の請求、これを受けて、そしてそれがもちろん加害者も支払わないと、そういう形で困り果てたというそういうケースがありまして。ほかにもそういう何十万円も病院の方から自己負担分だということで請求を受けてしまうというようなケースもありまして。ですから、被害を受けた上にそういう高額な自己負担分を先に病院に払わなきゃならないということは非常に被害者にとってはつらい負担になると。ですから、軽い傷害で本当にご本人も多少は身に覚えもあるというようなそういうケースは、それはたくさんあると思いますのでそれはともかくとして、やはりそういう重大な被害を受けたようなケースについては最初から払わなくてもいいような制度というのは、もちろんそれをどういう仕組みとしてつくり上げるかは別として、それをぜひともお考えいただきたいと思います。

○岩村構成員 自賠責と事情が違うのは、自賠責の場合は基本的に全額が自賠責で面倒見るんですね、医療費を。ところが、犯罪被害者の方の場合は公的医療保険でみる分と、それから今話題になっている自己負担分というものとがあって、自賠責ほど実は権利義務関係が簡単じゃないという問題があります。先ほどちょっと警察庁の方もおっしゃいましたし、飛鳥井先生もおっしゃいましたけれども、仮に例えば重傷病として認定されないと払ってしまった後返せという話になっちゃったりとか。なかなかちょっとクリアしなきゃいけない論点がいろいろあるかなと。できないことはないと思うんですけれども、あまり権利義務関係を複雑にしないで、事務処理も簡素でというようなやり方が何か頭が工夫できるかどうかというところが要かなという気がいたします。
 それともう1つは、これはすみません、ちょっとマイナスの面を申し上げて恐縮なんですが。一部負担をゼロにしていいのかどうかというのも問題としてはあるかもしれない。それは傷病の状況によるので全部としては言えませんけれども、前にも申し上げたとおり、老人医療などで一部負担を全くなしにすると医療費が非常に膨張するということが起こりますので、犯罪被害者の場合それほど多くないということであればそういうことは心配しなくてもいいんですけれども、制度のつくり方によってはそういう問題が生じるということも少し頭の中に入れておく必要があるかと思います。
 ただ、いずれにしても今公的医療保険の自己負担が一般論としては3割というかなり高い率になっていますので、その点についての配慮が必要だろうということで自体は白井構成員と皆さんおっしゃっるとおりだろうというふうには思っています。

○國松座長 その点で今の犯給法の重傷病給付金ですね、この問題にいくんですが。今重傷病の範囲は加療1カ月以上、3日以上の入院ということになって、しかも補助金は1年間。この間自己負担分を持つということですよね。この範囲をある程度広げていくということについては警察庁はどんなご見解ですか。

○警察庁長官官房総括審議官 ご承知のように、前回重傷病給付金の支給対象を広げました。入院要件を2週間から3日間に縮め、なおかつ精神的な傷害を負った方については必ずしも入院がなくても3日間就労できなければお支払いをするという形にいたしました。支給期間も3カ月だったのを1年間に延ばしたということで、一応今回こういった手だてを打っておりますので、当面この様子をぜひ見ていただいて、なおかつこれで足りないという問題があって、それがまた制度化になじむというお話であればまた検討したいと思います。恐らくほとんどの方はこの範囲内で、これは試算段階なんですけれども、おさまるのではないかなと思っていますけれども。残った方の問題がありますから、その辺もよく見ながら、まず運用状況をよく見て、その上でもって今後またできること、やるべきことがあるのかどうかは考えていきたいというふうに思っています。

○國松座長 どうぞ。

○平井構成員 私も白井構成員がおっしゃった点については、非常に重要な問題といいますか切実な問題だという認識をしております。したがって、いわゆる仮給付といいますか、そういう、それは警察庁の方でも問題意識をお持ちということですので、そういうことを可能な限り解消するといいますか軽減していくような方向でこの問題を一歩でも二歩でも前へ進めていくことが大事だと思います。いろいろな問題があるので難しいことはわかりますけれども、ゼロか1ということではなくて、少しでも解決していくような方向で検討していくということが重要なことではないだろうかというふうに思います。

○國松座長 仮給付をもう少し迅速に行うという場合での、払ったけれども返せという問題が起こるわけですか。

○警察庁長官官房総括審議官 実際にそういうケースがあったかどうかわかりませんが、制度上は一旦お支払いしたもので、後で給付しないという決定が下りた場合にはお返しいただくという制度はあります。ですから、こういう制度があるということは、あらかじめお支払いしておいてまたお返しいただくということは制度上は可能だということでございます。
 今お話があったように、仮給付が実際に給付されるまでの時間が非常に長いとか、あと裁定自体に非常に時間がかかっているという実態が今あります、実際には。ですから、本裁定によって給付がなされるまでの期間が長いという問題もありますから、問題はむしろこちらの方なのかなという感じもするんですけれども、この辺は我々問題意識を持っておりますので、何とかもっと短い期間内に、仮給付なり又は本裁定なりが下りるように、それは努力したいと思います。

○國松座長 どうぞ。

○大久保構成員 実際に体験した事例なんですけれども、先ほど給付までに時間がかかるというお話がありましたけれども、事件によってこれは明らかに給付の対象となるような事件もあるかと思うんですね。そういう方が実際に入院をしたときに、その被害者の方は実際に病院へは支払をしないで、給付があるまで病院が待ってくれたという事案も実際にはありますので、そういうよい、被害者にとりましてよい事案はなぜそのようになったのかというあたりを少し分析をしていただきまして、よいことは即取り入れて実践していただけるような形にしていただければと思います。

○國松座長 ほかに、何かこの現在の重傷病給付金の仮払いの問題に入ってしまったんでありますが。これは警察庁の犯給法の運用としてはここのところをかなり広げてきて、大体のところはカバーできつつあるので、それを運用を見ながら、やはりカバーされてないじゃないかというのをあるかどうかを見て、また拡充といいますか、そういうものを検討するというような今のところの整理でございますが、それで大体よろしいでしょうか。

○瀬川構成員 私はそれで結構だと思います。白井構成員がおっしゃったことすごくシンパシーを感じまして、例えばいわれなき犯罪を受けて、しかも金銭的な請求を受けると、より大きな打撃を受ける、当然これは想像できる。恐らく現実にはそういうたくさん事例があるんだろうと思うんですね。そういう意味でこれは何とかしなきゃいけないと思っています。ただ、構成員の方が言われたように、制度設計するのには非常に難しいところがあるとすれば、現実の運用面というか、そういう面で新たな何かもっと工夫ができないのか。

○國松座長 私も大変切実な問題があるというのは先ほどの白井構成員の方から出ましたのであるんですが、それを制度設計的にこういう場合は払わなくていいというか全く無料というのがいいのか、仮払いを広げるのかというのはいろいろあると思いますけれども、そういう制度設計で考えるというのは1つの考え方としてあると思いますが、実際にやってみたら本当に難しいと思うんですね。これは僕は実態はわからないんですが、そういう場合に一時的に金銭的な負担をしなければならない被害者に対する扶助制度といいますか、どこか別のファンドのような基金のようなものから出るというような仕組みというのはないんですか。

○白井構成員 詳しいことはわかりませんけれども、地方自治体によっては事件当初に3万円なら3万円もう即座にさっと条例で被害者支援の金額を出していただけると。重傷の方だと20万円まで出していただけるというような条例を設けている自治体、滋賀県なんかもありますよね。そういうことで当座の治療費なり何なりに充ててくださいよというような形で、とにかく余り難しい認定とか何とかそういうことを言わずにすぐに支援していただける。ドイツの白い輪の場合もあまり難しいことは言わずに当座すぐにポッと支給していただける金額があるというふうに聞いておりますけれども。そういうのが1つの方法かと思いますが。

○國松座長 地方自治体で、市町村だと思いますけれどもね、市町村が出すと。何かそういう制度があるとそこのところをカバーしてもらえると。

○白井構成員 そうですね、非常に助かると思います。

○國松座長 わかりました。そういう地方自治体等が行う一種の扶助制度、そういうものを拡充する方向について、この経済的支援検討会で何が言えるのかはちょっと検討してみたいと思います。ただ、私の感じとしては、この経済的支援の枠内で何かやろうというと本当に難しいんじゃないかなという感じはしております。

○瀬川構成員 公的な機関でやる場合は犯罪の認定については非常にあやふやな段階でそういう支給するということは非常にやりにくいと思うんですね。そういう意味で今おっしゃったようなことはヒントになると思うので、民間の支援団体とかそういう方法とかあるいは自治体とかでやるというのは1つの方法ではないかという気がいたしました。

○白井構成員 すみません、ついでと言っては何ですけれども。ですから、もし認定された後はスムーズにいくわけですので、いろいろなこからできてくるカウンセリングにしても医療費にしても介護にしてもいろいろなものができればスムーズにいくように犯罪被害者手帳みたいなものを持たせていただいて、そしてそれで持って行って受ければもう無料で受けられるというようなシステムを、認定された後はそういうようなことをぜひお考えいただければ。
 大久保さん、そういうあれ。

○大久保構成員 後ろの方でそのような意見も書かせていただきましたけれども。やはり被害者の方は例えば医療機関に行ってもこういう原因で被害に遭ったということをなかなか言いづらいというあたりもありまして、正しく伝わらないということもありますので、何か簡単な、この方は被害に遭った方だということがわかるような。最近妊娠初期の方にもベビーマークということで、電車の中でも席を黙って譲ってもらかるようにというようなものも広く普及してきていると聞きますので、そういうような何か犯罪被害者であるという証みたいなものもあるということも形としては被害者支援の役に立つのではないかと思っております。

○國松座長 ご趣旨はよくわかりますが。今問題になっているのは、手帳が出るって失礼ですね、その前の問題ですね。

○大久保構成員 それがもしあればという話ですね。そうすると、医療機関に行っても、例えば医療機関によってはその被害の度合いによって支払を少し待ってくれるとか、そういう融通性もかなり効くのではないかと思います。

○國松座長 手帳などが必要だと思いますが。問題は手帳が出る前の問題を今議論していたというか。

○大久保構成員 当然です。たまたまその手帳があれば、証明書のようなものがあればという話が出ましたので、それはまだもっと後の方での話し合いだと。

○國松座長 わかりました。
 平井構成員、6ページの上のところで補償制度、給付内容と給付方法ということでここに書いておられますが、この点について平井構成員の方から今のところに含まれてくると思いますが、何かもうちょっと。今ずっと医療の無料化、カウンセリングというような議論が進みまして、6ページの一番上のところで平井構成員のご意見として、給付内容と給付方法を書いておられますが。仮払い制度というものを書いてございますが。何かここについてご説明をいただくことありますか。

○平井構成員 私はこの被害回復について3つの観点から取り組むべきだと考えています。その第1がここにありますように健康被害であって、この回復にやはり第一義的にといいますかまず取り組むべきだと。その上でその健康被害が回復でき得ない、つまり障害が残るというようなときには、その次にいわゆる生活能力とかあるいは労働能力とかそういうものの回復に取り組むべきだと考えます。そして、なおかつそういった労働能力の回復もままならないというときに経済的支援ということでどういう形で支援していくのかというように考えるべきであると考えたわけです。
 したがって、そういう意味でこの健康被害の回復というものは大変最も重要なものだという考えでです。ここに書いておりますのは、基本的には肉体的、精神的健康被害に最善の施策を考えていくということが私は望ましいのではないかという趣旨でここにそういう意見を書かせていただいたわけです。
 したがって、基本的にはいろいろな細部にわたります支給といいますか補償といいますか、ございますが、それは私はそういう視点でこの問題を考えるべきだろうと。
 そして、もう1つは、今申し上げた医療費の自己負担ということについては、大変大きな負担になっているといいますか、より困っておられる方ほどそういう困難に直面されるということでありますので、この点については先ほど申し上げましたように、何らかのプラスの、いわゆる前進する施策、それが白井先生おっしゃったようなそういう考え方もございますし、私は少しむしろ仮給付というものが現実的に可能なそういう健康を回復するために可能な限り支援する施策の1つとしてこのことは重要だと、そういう意味で書かせていただきました。

○國松座長 仮給付のことについても。

○平井構成員 今申し上げました。

○國松座長 今ずっと議論してまいりまして、6ページのこのとりまとめ資料に従ってずっと大体話が進んでおるわけでありますが。給付内容のうち医療費の自己負担の問題、それからいわゆる保険外の心理療法を受けなければならない場合の支援のあり方というようなことについて、宿題が大分残っておりますが、そこまで話がきておるわけでありまして。あと、介護関係、障害一時金の問題というのはこれまた別個大きな問題にもなりますので、今日はここまで入りますとちょっと時間的にオーバーする可能性がありますから、一応ここのところまでのご議論ということで。
 何か今までのところでご発言漏れといいますか、言っておきたいということがありましたらご発言をお願いします。どうぞ。

○飛鳥井構成員 医療費の負担を広げると、それが実現すれば大変理想的なことだと思うんですけれども。ただ、現実的にはかなりいろいろ難しい問題が出てくると思うんですね。よくあることなんですが、負担の補償を広げた場合に、どこまでそれを広げるか。要するにもともとご本人が持っていた疾病と犯罪被害によって発生した疾病とを区別するというのが至難なんですね、どんどん請求がきますから。被爆者援護法で見たときにおもしろいなと思ったのは、一般的な疾病についても給付の対象にするんですね。なぜかと理由をお聞きしたら、とにかくやはり健康管理上必要だということで認定をしているわけですが。あれと同じ理屈はなかなかもってこれないだろうと思いまして。そうすると、請求が来たときにこれは被害から発生した必要な治療なのか、それからもともとご本人が必要としていた治療なのかということが、これは査定をするのはかなり技術的に時間もかかりますし技も必要です。いろいろな機構がそれに苦労していますけれども、こういう問題が発生してくるということはぜひ覚えておいていただきたいなと思います。

○國松座長 わかりました。そういう点も踏まえた上で、早期支援の段階でやっていること以外に何ができるのかというのは少し検討してみようと。そのために若干そこでこういう必要があるという事実といいますか、そういうものを踏まえてイメージをつくった上で少し検討してみたいというふうに思います。
 ほかに。どうぞ。

○平井構成員 ちょっと。今回の意見では私出させていただいておりませんでしたが、先ほど座長の方で自立支援とおっしゃいましたけれども、私は大変重要な基本的な考え方であると考えております。私自身も犯罪被害者でありますけれども、そういう意味では一方的にある日突然全く自分の意思と関係なく、今まで長年積み上げてきた自分の人生を根本的に違う方向に変えられてしまうということだと思うんです。しかしながら、また明日から自分の人生をやはり歩んでいかなきゃいかんというわけでありますから、当然従来の努力以上の努力をして被害者として人生を歩んでいかねばならないのです。したがって、そういう基本的な考え方のもとでどう犯罪被害者の支援ができるかということを私は考えるべきだと思います。
 そういう意味で、先ほど健康と、そして生活能力、労働能力と申し上げましたけれども、そういう支援をして、最終的にお金というか経済的な面で支援をしていくことが必要だと思います。ですから、私はちょっとまた別のところで申し上げたいと思うんですが、特に生活能力、労働能力の支援に関しては基本計画でご議論になったことについては十分ではないと思っております。少し書かせていただきましたけれども、特に生活能力、労働能力に関してはもっともっといろいろな面で施策を考えて、そしてむしろ生活能力、労働能力がもし回復できれば、経済的支援というのはみずから自分で自立するわけでございますから、経済的支援というもののそういう意味では必要性といいますか、それがより自分の人生にとっては少なくなるわけでありますし。また自分の人生を歩んでいくのにどちらが幸せかと言えば、当然労働能力を回復して、そして新たな人生を歩んでいくということが私は大事だと思いますので。
 そういう意味でこの経済的支援の全体の構想の中で自立支援とおっしゃった点を、そういう視点から私は具体的にこれからの各論の中で議論していければいいのではないかというのが私の意見です。

○國松座長 わかりました。

○大久保構成員 私も先ほど國松座長さんが自立支援ということも大切だということをおっしゃってくださいましたが、私もまさにそのとおりだと思いますし。今、平井構成員からのお話も全くそのとおりだと思います。被害に遭うということはその尊厳をある日突然壊されてしまうわけですね。それをもう一度取り戻して自分の健康、日常生活、社会生活、経済生活をもう一度つくり上げていくというときには本当に大きな大きな努力が必要なわけです。それでも結局やはり自分の足でもう一度歩いて人生をつくっていくということが必要なわけです。
 ただ、そのとき支援の現場でいろいろな被害者の方に接していますと、一生懸命努力をしても経済的に不安定な状況にある方はすべてのことで回復をしていかない、長い時間がかかる。ときには途中で人生を放棄してしまう、そういう被害者の方が大変多いということを感じています。反対に、経済的な基盤がしっかりしている方は大変な中でももう一度自分の人生を取り戻していっているということをいつも目にしておりますので、そういう意味におきまして経済的支援のあり方というのは大変重要なことだと思いますので、また本当に深めていっていただきたいと、そのように願っております。

○國松座長 今日いろいろな経済的支援の目的といいますか理念についてのご議論が出ましたけれども。私は自立支援、尊厳ある自立を支援するという目的がいかがかということになりましたが。この点につきましては、私としてはこの次に問題になってきます被害者に対するある程度継続的な経済的支援、端的に言えば年金というものが出ておりますが、そういうものの取り扱いをどう考えていくのかというところで結局もう一回そういう話が出てくるのかなと思いましたので、あまり今日は詰めずに、すべて詰めずに終わっちゃっているんですけれども。少し保留しておいたまま内容を詰めてまいりましたけれども。もう少し今度は一時金をどうするのかとか、年金というのはどうですかというような議論が進んでまいりますので、その過程で今言ったような問題はもう一回戻って議論していただきたいと考えておりますので、そのような進め方をしてまいりたいと思います。
 ほかに何か。どうぞ。

○白井構成員 確認なんですけれども、6ページの平井構成員の補償制度のご指摘の車椅子云々と書いてある前のところまでがきょうのということで、そういうことでいいですね。

○國松座長 はい。

○白井構成員 それはまた次回以降にということで。

○國松座長 私の理解では車椅子かとそういうのは生活支援的な話に入ってくるのでもうちょっと後の話かなと思ったものですから、ちょっと今のところで切りましたが。車椅子、義肢、補装具ということで、平井構成員がお示しになっておられること以降のところは後日といいますか次回でお願いをしたいというように思います。
 それでほかに、今までのところで追加的にご発言ございますか。
 なければ、この経済的支援のあり方に関する本日の議論はこの程度にとどめたいと思います。ご協力ありがとうございました。
 それでは、事務局から次の議題について。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、続きまして、次の議題であります海外調査について報告を申し上げたいと存じます。いろいろとお知恵をいただきまして、海外調査、一応日程はアメリカ方面は9月4日から10日まで、それからヨーロッパの方は9月3日から13日ということで。実はヨーロッパの方は当初の予定よりも多少ですけれども、長くさせていただきました。
 聴取項目等につきましては、この資料にございますけれども、既に配布もいたしておりますけれども、行き先地ごと、それから機関ごとに何を聞くかということでとりまとめをいたさせていただきました。既存の資料等で明らかなものについては除いております。また、行き先地につきましてもまだ幾つか大使館と調整をしているものがございますけれども、特にドイツにつきましては地方庁がまだ決まっておりませんで、ケルンかデュッセルドルフかどちらかには必ず行けるように調整を現在しているところでございます。
 どうしても膨大な項目なものですから、先方とやりましたときにどうしてもというのと分けてくれとこういう話がございまして、大変申しわけございませんけれども、できるだけ全部聞きたいと思っておりますけれども、特にこれだけはというのを一応◎ということでやっております。ただ、この◎につきましても必ずしも全部聞けるかどうかもちょっと不安なところもございますけれども。ぜひそういうことで最大限の努力をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと考えております。
 この聴取項目等につきましては他の連携の検討会あるいは民間団体援助の検討会のメンバーの方にも配布をきょうさせていただきたいというふうに考えております。
 そんなことでよろしくお願い申し上げます。以上でございます。

○國松座長 わかりました。海外調査のあり方につきましてはもうこういうことでということでの事務局の案でございます。何かご意見ございますか。
 どうぞ。

○白井構成員 1つは、アメリカの財源で、もしこれは可能ならばということで結構なんですが。1つは今回のこの検討会にも金融庁の方から参加していただいておるわけですけれども、犯罪によって没収したものの中から、それを被害者にという、主として経済犯罪ではないかと思うんですけれども、もしそういうことで実際にそれがどのように被害者の方に使われているのかというようなことがわかれば、それも一緒に調べてきた方がいいのではないかと。聞くところによれば、金融庁の方でもそれを何かアメリカの制度を調べていると聞いたんですけれども。

○金融庁総務企画局政策課課長補佐 調査を開始したところです。

○白井構成員 では、もしわかればで。
 それともう1つは、アメリカではこれは直接この経済的補償と関係ないのかもしれませんけれども、加害者が服役中に働いて得たお金の中から直接被害者に送金するというそういうシステムをとっている、これは州でやっているのか連邦でやっているのかわかりませんけれども。それで、被害者送金分と自分の家族送金分とかというふうに刑務所の方で分けて、それをこれは司法省が管轄しているのかちょっとわかりませんけれども、そういうシステムもあるというふうに聞いておりますが、もしそういうこともわかれば。これは無理には言いません。
 それから、もう1つ、これは字句の問題ですが、ドイツの3ページ目の中段ほどで職業損害補てんというところでドイツ語が書いてありますが、そこにsとuの間に四角くなっておりますが、これはaウムラウトではなくaでありますので、多分パソコンで出てくると思います。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 承りました。大変失礼いたしました。

○國松座長 よろしゅうございますか。

○岩村構成員 1点だけ。中身のことではないんですが、老婆心ながらと言うと大変失礼でありますけれども。この手の調査は通訳が決め手でありますので、予算の可能な限り優秀な通訳のご手配をいただく必要があろうかと思いますので、よろしくご配慮をいただきたいと思います。

○國松座長 事務局、いかがですか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 もう既にこの項目も向こうに送って、かなり高額の通訳を雇うようにしておりますので。ありがとうございます。

○國松座長 それでは、この海外調査につきましては、当経済的支援に関する検討会からは平井構成員に調査に参加をしていただきますが、大変厳しい日程の中で盛りだくさんのあれをこなすことになるわけで、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、最後に、次回の検討会はこの間の会議のときに9月26日ということで決まっておりますが。10月の検討会の日程について調整をさせていただきたいと思います。次回、9月26日でございますので、大体1カ月後ということになりますと10月末ごろということになりますが、23日からの週というのが最後に入ってまいります。この23日からの週で私の方で出してまいりますと、23、24、25という月、火、水でございますが、この3日ぐらいで調整をさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○瀬川構成員 3日間詰まってるんですが。

○國松座長 3日ともだめですか。ほかはどこがよろしゅうございますか。

○瀬川構成員 26、7は大丈夫です。

○國松座長 では、26日を私は入れてもよろしいと。26を含めますと、私ちょっと27日がちょっとだめでございますので、23、4、5、6と。

○平井構成員 26は私が。

○國松座長 そうすると、ほかは。23、4、5。

○瀬川構成員 24の火曜日は調整可能なんですが。

○國松座長 24日でいかがですか。大丈夫ですか。よろしゅうございますか。
 それでは、24日ということで。大勢は大体そういうところだと思いますが。よろしゅうございましょうか。26日はどうもちょっとお二方ほど。
 それと、瀬川構成員、恐縮でありますが、24日をちょっと調整していただいて、24日ということで決めさせていただきたいと思います。
 では、10月24日ということで決めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 時間は。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 時間は一応3時でいかがかと思っておりますけれども、いかがかと思っておりますけれども、よろしゅうございましょうか。

○瀬川構成員 次回日程調整なんですが、会議の冒頭にしていただけないでしょうか。つまり何人かおられないときにやるというのはこの間、きょうは幸いよかったと思うんですけれども、という可能性がないとは言えないと思いますので。

○國松座長 わかりました。そのようにいたします。まず日程を先に決めるというようなことで。皆さんお忙しい方ですので。
 では、次々回は10月24日、15時ということでお願いをいたしたいと思います。
 事務局から何か連絡がありますか。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 特にございません。先ほど座長からありましたように、次回は26日の火曜日、午後3時からでありまして、場所については追って連絡を申し上げたいと思います。
 以上です。

○飛鳥井構成員 すみません、1点だけです。ちょっと事務局から、国土交通省の方かと思うんですけれども。今交通反則金が一たん国保に入った後どういう趣旨でどういう目的でどの程度使われているかというのをちょっと資料をお願いできれば。

○警察庁長官官房統括審議官 それはうちの方なので、私の方でいたします。

○國松座長 よろしゅうございますか。
 それでは、これをもちまして第6回の経済的支援に関する検討会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


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