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経済的支援に関する検討会(第2回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年5月17日(水)15時03分~17時10分
場所: 合同庁舎4号館共用第4特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金理事長代行・常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授

飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
佐々木 知子帝京大学法学部教授・弁護士
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
中江 公人金融庁総務企画局総括審議官
代理出席大谷 晃大法務省刑事局刑事法制管理官
森山 寛厚生労働省労働基準局労災補償部長
谷 みどり経済産業省商務情報政策局消費経済部長



説明者片桐 裕(上記参照)
廣田 耕一警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者対策室長
森山 寛(上記参照)
瀧本 峰男国土交通省自動車交通局保障課長

(議事次第)

1.開会

2.検討の進め方等について
  • 検討の進め方
  • 当面の検討スケジュール
3.我が国の経済的支援について
  • 犯罪被害給付制度
  • 自動車損害賠償保障制度(政府保障事業)
  • 労働者災害補償保険制度

4.自由討議

5.その他
  • 日程調整の方法について

6.閉会


(配布資料)

  資料1  内閣府資料 [PDF形式:24KB]
  資料2  警察庁資料 [PDF形式:108KB]
  資料3  国土交通省資料 [PDF形式:290KB]
  資料4  厚生労働省資料 [PDF形式:45KB]
  資料5  白井構成員資料 [PDF形式:35KB]



(議事内容)

○事務局(荒木内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 皆さん、こんにちは。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから第2回、実質第1回ですけれども、経済的支援に関する検討会を開催いたします。
 司会を國松座長にお願いをいたします。

○國松座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 本日は実質第1回目の会合ということでありますが、とりあえず本日の議事につきまして事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、お手元の資料の一番上にある議事次第をごらんいただきたいと存じます。本日の議事は、事務局の方で決めさせていただきました。初めに、この検討会実質第1回ですので、検討の進め方、それから当面のスケジュールについてご検討をいただきまして、その後、被害者の経済的支援と関係の深い犯罪被害者給付等の現行の制度につきまして関係省庁より説明していただくこととしております。その後、自由討議を行っていただきまして、最後に今後の日程調整の方法についてご検討いただければと考えております。以上でございます。

○國松座長 本日の議事次第につきましては今、事務局からご説明があったとおりなんですが、とりあえず検討の進め方についてということが議題になります。この点につきましても事務局からご説明をお願いいたしたいと思います。

○事務局 検討の進め方ということで2点ほどお諮りをしたいことがございます。1つは、検討の順番ということであります。犯罪被害者等の基本計画によりますと、この検討会では経済的支援の制度のあるべき姿及び財源について検討を行いますとともに、長期療養を必要とする被害者のための施策など、5項目についても合わせて検討を行うということになっております。
 事務局からのご提案ですけれども、まずこの検討会の最も大きな使命であります経済的支援を手厚くするための制度のあるべき姿及び財源についてまず検討を進めていっていただいて、その後他の検討事項について検討することとしてはどうかというものでございます。
 なお、そのほか基本計画検討会の検討過程におきまして、この検討会で検討をしていただきたいという事項も幾つかございますので、それにつきましても関連する項目の中で適宜取り上げていくということでいかがかと考えております。
 2つ目は検討の方法ということであります。どうやって具体的に検討していくかということで、既存の制度についての課題を踏まえて上で現行制度の限界や問題点などの論点をまず整理して、これらを新たな視点で検討するという方法が最も適切ではないかということで、実は今日も関連する制度について関係省庁に説明を依頼したところでございます。
 ほかに、例えば被害者に対する経済的支援の理念をまず決めようと。それをまず検討して、その上で理念に基づいて、こういう理念だから支援の対象、程度をこうしたらどうかと、そういう検討の仕方もあろうかと思うんですけれども、どうしても入口のところで抽象論に流れてしまうのではないかという危惧がございます。
 また逆に、個別の被害者の意見・要望というのがたくさんございますので、これを取り上げて検討していくというやり方もあり得るとは思うんですけれども、なかなか断片的な話になってしまうのではないかということで、既存の制度から見て何が問題かをしっかりと掌握をして、論点を絞った上で議論していくということがこの検討会の検討の仕方としてよろしいのではないかと考える次第であります。
 以上、2点ほど、まず中核であります経済的支援制度のあるべき姿、財源を検討の俎上に乗せるということと、既存の制度について説明を聴取した上で論点整理を行って議論を深めていくというこの2点につきましてご意見を賜りたいと存じます。

○國松座長 ただいま事務局から検討の進め方ということで提案がございました。これ自体1つの手続に関するものでありますが、今後の議論を大きく左右する重要な事項でもございますので、進め方につきまして各構成員のご意見をお伺いしたいと思います。どなたからでも結構でありますので、ご自由にご発言をお願いいたします。
 瀬川先生。

○瀬川構成員 あるべき姿と財源というふうにおっしゃいましたけれども、双方に関連するという問題でもあるかと思います。最初にそのあるべき姿というフレームを作って、それから財源というものを考えるという意味なのか、それともあるべき姿を考えつつ、財源も考えつつというそういう趣旨なのか、それはどちらなのでしょうか。

○國松座長 事務局、いかがですか。

○事務局 不可分のものでございますので、どちらかといえばこういうのが必要だ、こういう制度がいるということをまず先行させるような形にはなろうかと思いますけれども、しかし、おっしゃったように、こういう財源だからこういう制度もあり得るというところもありますので、多少財源の方がおくれてついてくるというようなイメージかなと思っております。

○瀬川構成員 その際に注意しておかなければならないことがあります。まずあるべき姿を描き、できあがってしまってから、いや、財源がございませんという形での議論では非常にみんながシュリンクすると思います。事務局の方でも、財源についても研究というか調査を始めていただきたいというふうに考えています。

○事務局 了解しました。財源についても当然私どもの方でも研究を進めてまいりたいと考えております。ありがとうございました。

○國松座長 それでは、白井構成員、どうぞ。

○白井構成員 ちょっと質問なんですけれども。あるべき姿についての検討につきましてはおおよそどれくらいの回数といいますか、検討のボリュームを考えておられるのかということなんですけれども。

○事務局 後ほどスケジュールのときにお話ししようと思っていたんですが、全部で大体1月に1回程度と考えますと、20回程度の検討会になろうかというふうに考えておりまして、おおむね1年後ぐらいのところで多分中間案のとりまとめみたいなことに入ると思います。その前には先ほど申しましたそういう合わせて検討するとされた事項結構たくさんございますので、その辺の検討にやはり四、五回必要でございますから、この経済的制度のこの部分をやるのは7月、8月から始まって9、10、3回ぐらいかなというふうに考えております。そこはしかし、検討の状況によりますので、おおむねことしの秋ごろが一番ピークかなというふうなイメージですけれども。ただ、これは検討次第ですので、必ずしもそういう。一応事務的なスケジュールとしてはそういうイメージでございます。

○國松座長 今の白井構成員のご発言、実際我々がこれからやっていく、どの程度のことをやるのかということに直接絡んでくる問題なんですが。今、実はご提案があるのは、とにかく1つの検討の方法としては、とりあえず今現行のシステムについて関係の省庁の皆さんからいろいろ話を聞いてみようと、その聞いた上で実質的なトーンを進めていこうじゃないか。各省庁からの制度説明というのが1回、2回、そのほか先生方で学識経験を持っておられる方からも外国の制度なんかについても聞かなければならない。現行制度といっても国内及び国外に及びますので、それをひとあたり聞いてからというと、今回と次とその次ぐらい、3回目は合同会議になりますから、それが終わった後ぐらいから実質的な討論が始まってくるのかなと。
 その討論はどういう議論をするかによって長短がいろいろ決まると思いますけれども、ある意味ではやってみないとちょっとわからんということもあるんじゃないかと思いますけれどもね。
 とりあえず今日のところは今事務局からご説明のあった検討の方法として、現行既存の制度の課題を踏まえて経済的支援制度のあるべき姿について検討をする、本日については関係省庁に既存の制度について説明を依頼しているので、それについての説明を聴取してはいかがかというのが事務局の提案になるわけですが、この点についてのご意見はほかに何かございましょうか。
 どうぞ、平井構成員。

○平井構成員 私も基本的にはこのご提案内容で進めていくのが非常に現実的ではないかと思います。ただ、現在の諸制度をできるだけ間口を閉ざさずに説明いただきたいと思います。1つは、今日の事務局案のスケジュールを見てみますと、給付金ができましたときの検討状況から考えれば、例えば警察官などに対して協力して人身災害を受けた場合の救済制度であるとか、あるいは証人等の被害についての給付金を支給する制度であるとか、あるいは公害関係の健康被害の補償制度などについて最初にできましたときにいろいろご検討になったと伺っています。したがって、このような諸制度もできるだけ間口を広げて説明いただいて、現状を理解していくのが良いのではないかと考えます。
 もう1つは、この制度を検討されましたときに刑事司法制度上の不均衡があるということが指摘されておりました。つまり、犯人の保護内容と被害者の保護内容との間に非常に不均衡があるということでございまして、基本計画の検討会の議事録を読む限りは、トータルないわゆるこれだけのお金を使っているという点については少し触れられておりますが、個別的といいますか、具体的にどういう内容で不均衡があるのかという点については基本計画のところでも議論がないように思いましたので、できればこの場で、犯人と被害者の不均衡の内容を出きるだけ具体的に説明いただきたいと思います。
 それから、もう1つは、諸外国の支援の諸制度もぜひ勉強したいと思います。諸外国ではいくつかの保障の形があるようでございますが、例えば事故保障型の国についてはここでの説明対象にされていないように思いますので、少し現実的にどうかという点もあるかも分かりませんが、世界の現状がどうなのかということを理解するときに、いわゆる見舞金型とかあるいは労災補償型であるとか損害賠償型であるとかいろいろな国がありますが、どの国もそういうところからスタートしながらもう少し広い範囲で国の責任をということから事故保障型という国も出てきているようでございますので、できれば少しこういった点も説明いただき、現状を広く理解した上で具体的なあるべき姿の検討に入るという方がより望ましいのではないかと思います。

○國松座長 今のご提案については、事務局の準備にもかかわることですので、いかがですか。

○事務局 この後の検討スケジュールとも関係しますけれども、一番最初に言われたできるだけ間口を広げるということに関しましては後ほど申し上げますけれども、関連すると思われる、あるいは参考になると思われる制度を幾つか説明を聞こうということで一応のスケジュールには入れております。ただ、ほかにもこういう聞いたらいいんじゃないかというふうな制度がございましたら取り入れていきたいと、そういうふうに思っております。それが1つ。
 それから、もう1つ、犯人と被害者でどのくらい差があるのかという点については、これもきちんと調べてこの場に提出をしていきたいというふうに考えております。
 それから、3点目の諸外国の例ということですけれども、これも6月に4ヶ国について聞こうということで前回もお話を申し上げましたけれども、これ以外にもこういう国が必要ではないかということがあれば対応してまいりたいというふうに考えております。

○國松座長 よろしゅうございますか。また具体的にどういう制度について聞きたいというようなことがありましたら事務局の方にお申し出いただければいいのではないかと思います。
 ほかに何かございますか。大久保構成員。

○大久保構成員 先ほど事務局の方から、例えば既存の制度の説明の中ではその問題点あるいは論点を整理してそれを議論するという提案がありましたが、それには賛成です。今まで、今回出されました資料を見せていただきますと、現状のみになっているように感じますので、できればなるべく犯罪被害者等基本法を踏まえて、これから各関係省庁が考えられる施策も合わせて出していただけますと議論を深めることができるのではないかと思いますので、その点もよろしくお願いいたします。

○國松座長 わかりました。その点は座長としても心得て関係省庁にまた付加的にお願いしてまいりたいと思います。
 ほかに何かございますか。
 特にございませんようでしたら、ただいま若干のご意見も出ましたので、そういうことを踏まえながら、基本的には事務局からご提案のあった方法に沿いまして、今後いろいろと議論を進めてまいりたいというように思います。
 ただいま既に当面の検討スケジュールの中身に関するご質問もいろいろ出ておりますので、当面の検討スケジュールということにつきまして事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局 では、お手元の内閣府資料というのをごらんいただいて、1枚めくっていただきますと、当面の検討スケジュールの事務局案というのがございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 既に開催日を決めさせていただいております第6回までの検討スケジュールにつきましての事務局案をご説明を申し上げます。
 本日は、先ほど申し上げたとおり、犯罪被害者と関わりの深い現行制度について説明を受けることとし、自由討議を行うこととしております。
 第3回、6月21日でありますけれども、これはやはり犯罪被害者とも関係の深い現行の社会保障・福祉制度として医療保険、公的年金、介護・障害者福祉について厚生労働省の方から説明を受けて、その後自由討議をしてはどうかと考えております。
 その次の6月30日は、これは前回申し上げておりますように、諸外国の制度につきまして有識者から合同でヒアリングを受けたいというふうに考えております。
 第5回、7月26日でありますけれども、これは先ほど平井構成員の方からもございましたけれども、何か参考となる制度ですね、これが何かないかということで、私どもとしてはまず社会保障・福祉制度全般の考え方というかそういうものについて有識者、学識経験者の方に説明をしていただく。実は今日ご欠席ですけれども、岩村先生ではどうだろうかと考えているんですけれども。そういうことで説明をしていただいて、その後、何らかの形で原因者がいるということで、そういう意味で犯罪被害とある程度似ているところのある公害健康被害補償と原子爆弾の援護の関係と、それから医薬品の副作用の被害救済制度というのがございますので、この3つの制度について説明を聞いてみてはどうだろうか。それで何か参考になることはないだろうかということで第5回は考えております。
 それの上で、時間があるかどうかわかりませんけれども、この回からできれば経済的支援制度のあるべき姿ということで、ある程度論点を絞って議論をしていければというふうに考えております。
 それから、8月につきましては、まだ必要なヒアリングがあればまだやるということで、経済的支援制度を厚くするという前提での検討を行っていきたいというふうに考えております。
 これ以降、9月以降の検討についてはまたご意見を伺いながらと考えておりますけれども。いずれにしても当面の第6回までについてご意見を伺えればというふうに考えております。

○國松座長 私からちょっと質問ですが、第5回のときの公害とおっしゃいましたか、ここには原子爆弾被爆者に対する援護ということで厚生労働省からと書いてありますが。公害というのは同じセクションからの説明になるんですか、それとも。

○事務局 いえ、公害は、これ実は環境省になるんだと思います。これはやらないということではなくて、一応例示として原爆と医薬品副作用を挙げていると。

○國松座長 ここですと4項目になるということですか。

○事務局 そうですね、今のところ私どもとしてはやはり公害も参考になるんじゃないかということで考えております。資料には載っておりませんけれども。

○國松座長 そうすると、それは説明部局は違うんですね。

○事務局 ええ、これは多分環境省の所管の方に。

○國松座長 では、それはひとつお願いいたします。

○事務局 はい。

○國松座長 ただいまありました当面の検討スケジュールについて、何か、既にもうあったわけですけれども、追加的にまだご意見等ございましたら、ご自由にお願いをいたします、このスケジュールにつきまして。

○金融庁総務企画局総括審議官 1点よろしゅうございますか。金融庁でございます。今後の検討スケジュールにも関連いたしますので、ちょっと金融庁の問題意識をここで述べさせていただきたいと思います。
 最近、当庁の所管分野だけでもヤミ金融ですとか振り込め詐欺ですとか偽造盗難カードなど、非常に多様な金融経済犯罪が発生をしておりまして、その被害者の損害回復というのもなかなか困難なものがあるなというふうに思っているところでございます。この点に関しましては、例のゴリョウカイの事件をきっかけといたしまして、財産犯に係る犯罪被害財産の没収、追徴と、その財産の被害者に給付というものを可能とする法整備が法務省さんの方において行われておりまして、今の国会の方で審議をされているということで。これは大変大きな前進があったというふうに考えているところでございます。
 それで、今後より一層こういった金融経済犯罪被害者の金利利益の保護を図る観点から、こういった司法のみならず何か行政のレベルでどのような取り組みが行われるかということについて検討していく必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 アメリカなどでは行政が違法行為者から不当利益を剥奪をいたしまして、これによって基金を形成をしまして被害者に分配をするという仕組みがあるというふうに聞いておりますので、金融庁といたしましてはこういった諸外国の事例なんかも参考にしながら、こういった金融経済犯罪被害者へどのような経済的支援を行っていくかといった点につきましても今後こういう場で議論をさせていただければというふうに思っております。

○國松座長 ありがとうございました。そういう財産犯といいますか、金融犯罪の被害者の取扱いというのは、これはここでどういうふうに今後取りあつかっていくかというのはまた新しい問題で、いろいろ構成員の皆さんの意見を聞きながら決めていかないと思います。土俵をどこまで広くするかということもありますが。  この点は、今日のところは金融庁の今のご意見をお伺いするという程度にとどめておいてよろしいですか。どうぞ。

○白井構成員 先ほど財源の話がちょっと出ていたんですけれども、そういうことで没収、追徴されたお金のうちから、その当該の犯罪被害者の方に配分したその以外の没収されたものについて、こちらの方の人身被害の方の補償の財源の一部になり得るのかなり得ないのかというふうな意味であれば、かなり関係するのではないかなとは思うんですけれども。そういうこともちょっと耳にはさんでいたものですから。

○國松座長 事務局、いかがですか。

○事務局 金融経済犯罪の被害者も含めて、被害者の方には交通事故の被害者もいらっしゃいますし、あるいは少年犯罪の被害者の方もいらっしゃいます。被害者にいろいろ種別というんですかね、いろいろありますので、そういう個別の問題というのも当然取り上げて、後半戦では議論することになるのではないか。その前にやはり全体に今中核となっている全般的な制度の問題点なり何なりをまず詰めて、その後で当然そういう経済犯罪についても議論もいくことがあるというふうに考えております。
 ですから、個別の問題を論点としてそれぞれまた議論することもあり得るという整理だと思います。

○國松座長 ですから、先ほどの当面の検討スケジュールということがありましたけれども、大体第6回以降の議論になってきたときに、制度のあり方と裏腹の問題として財源どうするのという話は当然出てくると思いますので、その辺で今の金融庁のご提案のあったような話も折り込みながら、ここでも議論していくということになりましょうかね。その程度で本日はよろしゅうございますか。
 それでは、そういうことで金融庁のご意見はここで本日のところはお承りをするというだけにするということにとどめたいと思います。
 ほかに何かご意見ございましたらお願いをいたします。
 それでは、第6回までといいますか、具体的には第5回までの検討スケジュールはこんなもんであるということで、ご了解をいただいたということでよろしゅうございましょうか。
 それでは、大体そういうスケジュールで進んでいくということを前提にいたしまして、今後はやってまいりたいと思います。
 そこで、先ほどお示しのありました次の議題であります、我が国の経済的支援制度についてということで、各省庁からのご説明を承るということに進みたいと思います。
 まず初めに、犯罪被害給付制度につきまして、警察庁の片桐総括審議官からご説明をお願いいたします。

○片桐構成員 警察庁の総括審議官の片桐でございます。よろしくお願いいたします。お手元に警察庁資料というものがお配りしてございますので、それをご参照いただきながらお聞きいただきたいと存じます。
 私の方からは、今ご紹介ございましたように、警察庁が所管しております犯罪被害給付制度の概要についてご説明申し上げますが。私からまず概要についてご説明申し上げて、その後にここにおります犯罪被害者対策室長の廣田から詳細な説明を申し上げたいと存じます。
 では、資料1枚目をごらんいただきたいと思います。犯罪被害給付制度の沿革という資料でございます。まず沿革なのでございますけれども、皆様既にご承知のとおり、犯罪被害者の補償制度につきましては昭和42年ごろからある犯罪被害者のご遺族によってその実現に向けた運動が展開をされたわけでございますが。こうした運動が大きな関心を呼ぶこととなりましたのは、そこにございますように、昭和49年8月30日の三菱重工ビル爆破事件以降でございます。ここでは本当に何の罪科もない方々が大変大きな被害を被ったわけでございますけれども、この中で、一方で労災等の公的給付を受けられる方と、全くそういった給付が受けられない方の不均衡が強く意識されたところでございます。
 加えまして、1960年代から70年代にかけて世界各国で犯罪被害者に対する公的救済制度が新設されるという動きがあったことから、我が国でも犯罪被害者救済制度の必要性に関する声が高まったところでございます。
 こうした声を受けまして、我が国政府といたしましても本格的な検討に入ったわけでございますが。その結果、昭和55年5月1日に警察庁所管の法律として「犯罪被害者等給付金支給法」が成立をいたしました。そして、その法律が翌年1月1日から施行されるということになったわけでございますが。
 この立法当初、給付金の支給対象は死亡または死亡と同等の評価を受ける重度の障害を受けた方に限られたところでございます。しかしながら、その後平成7年3月20日に発生いたしました地下鉄サリン事件を契機といたしまして、犯罪被害給付制度の拡充と、被害者に対する総合的支援を求める要望が大変に高まったわけでございます。
 そして、こうした声を受けまして、警察庁としましては、平成9年に、若干でございますが、障害給付金の支給対象の拡大を図ったところでございますけれども。その後さらに検討を加えまして、平成13年7月1日に「犯罪被害者等給付金支給法」の大幅な改正を行ったところでございます。
 その中身でございますが、そこに書いてございますように、1つは、障害給付金の支給対象である障害等級を大幅に拡大をした。従来1級から4級までであったものを1級から14級までに大幅に拡大をしたということがございます。2つ目には、重傷病給付金という制度を新設をしたということでございます。これはまた後ほどご説明を申し上げます。3つ目には、そこに書いてございませんが、給付水準の大幅な引き上げをここで行っております。これによりまして、例えば遺族給付金でございますが、最高額が1,573万円にまで引き上げられております。また、障害給付金の最高限度額が1,849万円にまで引き上げられておりまして、これを制定当時、昭和56年当時と比べますと約2倍近くの水準にまで引き上げられたということになるわけであります。
 なお、この法律改正のときに国会でさまざまなご議論があったわけでございますが、その中で今、大久保構成員からもご指摘がありました問題意識ということにもかかわるのでございますけれども、親族間の犯罪に係る支給制限については深刻化するDV等の現状及び世論の動向を踏まえて検討を行うことというふうな指摘がなされておりましてこれは後ほど申し上げますけれども、今回、ことしの3月に規則を改正しまして一部手当をしておりますけれども、そういったご指摘があった。
 またこれに加えまして、外国における邦人間、日本人の間同士による犯罪の被害とか、過失犯による被害についてもこの本制度を適用するか否かについて今後とも注視をしてほしい、注目をしてほしいというふうな附帯決議がついたところでございます。
 そして、こういった改正を行ったわけでございますが、その後になって、これはもう既にご承知のとおり、平成16年12月に「犯罪被害者等基本法」が制定されまして、昨年4月1日に「犯罪被害者等基本法」は施行されたと。そして、この法律に基づいて、「犯罪被害者等基本計画」について検討が行われまして、昨年12月に基本計画が決定をされたところでございますが。
 この基本計画の中で犯罪被害者等給付金の支給対象の拡大を行えというふうなことが盛り込まれておりましたわけでございますけれども、それを受けまして、既にことしのしで3月の、今ちょっと申し上げましたけれども、政令とか規則の改正によって重傷病給付金の支給対象の拡大であるとか、また支給期間の拡大、延長であるとか、また今ちょっと申し上げました、親族間犯罪における支給制限の緩和とかといった措置が既に講じたところでございます。詳しくは後ほど室長の方からご説明を申し上げたいと存じます。
 以上が沿革でございます。
 2枚目でございますが、犯罪被害給付制度の理念ということでございます。どういった考え方でこういった制度が組み立てられたのかということでございますけれども、昭和55年のこの法律の制定当時、この給付金の性格として3つの点が挙げられております。1つは、そこにございますように、不法行為制度の補完ということが言われておりまして、これはどういうことかと申し上げますと、加害者側に資力がないなど、事実上損害賠償制度では救済されない被害者が多いという現実にかんがみまして、実質的に国がこれにかわって一定の給付を行おうとするものであるという説明が行われております。
 2つ目には、補償制度間における救済上の不均衡の是正ということが言われておりまして、すなわち、労災であるとか自賠責であるとか、さまざまな補償制度が法制化された一方で、犯罪被害者に着目をしてこれを救済するという制度が全くなかったということでございまして、その結果、同じような被害を被った方にあっては、一方で他の制度で救済される方と、また一方で他の制度では救済されない、悲惨な状態で放置されているという被害者もあったということから、こういった不均衡を是正をしようということで、この制度によって他の制度によって救済されない犯罪被害者の方々の救済を図ろうという趣旨であるということが2点目に挙げられたところでございます。
 3点目には、刑事政策上の不均衡の是正ということでございまして、今ちょっとお話ございましたように、加害者については強制処分の改善等が図られるなど、国による処遇の充実が図られている反面、被害者については国の救済の手は差し伸べられていない。その結果、両者の間で不均衡が生じているということから、このバランスをとるべきであろう、不均衡を解消すべきであろうという趣旨から給付するものであるという説明が行われております。
 こういったように、この制度は単一の理由で設けられたものではございませんで、主にこの3つの理由からこの制度が成り立っているという説明が行われているところでございまして、この考え方によって、そこにございますように、他の何らかの救済の手段のない犯罪被害者に対しまして社会連帯共助の精神に基づく被害者の精神的・経済的被害からの早期の回復。言いかえれば、被害からの早期の立ち直りの支援を国民全体の負担の上で行うとするものであるということでございます。
 財源でございますが、財源につきましては、例えば原因者負担による責任保険というものはこういった犯罪法についてはなかなかなじまないであろう。また、被害者の社会保険制度を創設することも事実上不可能であろうということから、社会全体でこの負担を負おうということで、国が一般財源によって支給を行おうということにいたしたわけでございまして。言いかえれば、社会全体によって犯罪発生のリスクとかコストを分散して負担しようという趣旨によるものであるという説明が行われているところでございます。
 以下、この制度の詳細につきましては犯罪被害者対策室長の廣田からご説明を申し上げたいと思います。

○警察庁説明者(廣田警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者対策室長) 犯罪被害者対策室長の廣田でございます。それでは、3枚目の方からご説明させていただきたいと思います。
 犯罪被害給付制度の概要でございます。まず、犯罪被害者等給付金の種類でございますが、全部で3種類ございます。遺族給付金と障害給付金、重傷病給付金ということで、いずれも一時金でございます。
 一番左の重傷病給付金につきましては、先ほど片桐の方からご説明ありましたように、平成13年の制度改正、法律改正によって新設された給付金でございます。
 一番右の遺族給付金の方からご説明させていただきます。これは被害者の方が亡くなった場合に、その遺族の方にお支払いされるというものでございます。この金額は最低額320万から1,573万というふうになっておりますが、これは被害者の方が被害に遭う前に得ていた収入、これは3ヶ月分を日額で計算しまして、それをもとに給付の基礎額というものが決まってまいります。この給付基礎額につきましては、年齢に応じて最低額と最高額が定められておりまして、最高額を越える場合は最高額で計算させていただくと。最低額に満たない場合は最低額で計算させてもらうというものでございます。
 その給付基礎額に遺族と被害者の方の間に生計維持関係があったかなかったかで違った倍数をかけるわけでございますが、生計維持関係があった場合には1,300倍を、なかった場合は1,000倍をかけるということでございます。そういう形で得られた額の最低が320万、最高が1,573万ということでございます。
 なお、※で被害者が死亡前に療養を要した場合、療養についての被害者負担額も支給というふうになっております。これは平成13年の改正によりまして、被害者の方が亡くなった場合、その亡くなる前に療養を受けていたと、何らかの治療をされていたけれども、そのかいなく亡くなったということがあるわけでございますが、その療養を受けていた場合にその療養費、保険診療にかかる自己負担相当額ということでございますけれども、それも合わせて支給するということになっております。
 それから、真ん中の障害給付金でございます。これは被害者に後遺障害が残った場合に支給されるというものでございます。先ほど、これも片桐の方から説明がありましたように、制度創設当時は非常に重い後遺障害、1級から3級までに支給されると、途中で4級まで拡大されましたが、というものでございましたが、13年の改正以降、1級から14級までの最も軽い後遺障害を受けた方にも支給されるということになっております。最低額18万から最高額が1,849.2万ということでございます。
 この額の計算でございますけれども、これも先ほどちょっと申し上げたような同じような考え方で給付基礎額というものが決まります。これも最低額と最高額が定められているのですけれども、遺族給付より10%ほど高くなるように規定がされております。この給付基礎額に障害等級に応じた倍率が掛けられてこの額が得られるということでございます。具体的には最低の14級であれば50倍、最高の1級であれば1,340倍という倍率が給付基礎額に掛けられてこの額が得られるというものでございます。
 それから、一番左の重傷病給付金でございますけれども、これは犯罪被害によって重傷病になったという場合にも支払われるものでございます。これはいわゆる医療費の自己負担相当額を補充する、補てんするというものでございまして、この場合の医療費というのは保険診療に限られております。
 これは制度創設当時はこの自己負担相当額を3ヶ月を限度として支給しておったわけですけれども、ことしの春の改正、平成18年4月1日の改正によりまして1年を限度として支給されることになっております。
 また、重傷病の要件についても緩和がされておりまして、制度創設時には過料1ヶ月以上かつ14日以上の入院を要するということでございましたけれども、今回の改正によりまして過料1ヶ月以上、かつ3日以上の入院というふうに緩和されております。また、合わせて精神疾患につきましてはこの入院要件を課すのではなくて、今までは精神疾患であってもなくても疾患の身体か精神かにかかわらず、14日以上の入院という要件を課されておったんですけれども、今回の改正によりまして、精神疾患については入院要件ではなく、3日以上労務に服することができない程度の症状であったということを要件として支給されるということになっております。
 1枚めくっていただきまして、次は支給対象者等でございます。まず、対象となる犯罪被害、これは日本国内または国外にある日本船舶もしくは日本航空機内において行われた人の生命または身体を害する罪に当たる行為ということでございます。それから、支給が受けられる被害者または遺族の資格でございますが、日本国籍を有するか、あるいは日本国内に住所を有するということでございます。したがって、この原因となった犯罪行為が行われた時点で日本国内に住所を有していた外国の方も対象となるところでございます。
 支給を受けられる人についてもう少し、特に遺族給付金について少し詳しく説明したのが一番右側の方でございます。遺族給付金につきましては亡くなられた被害者の第一順位遺族の方に支払われるというものでございます。その順位でございますけれども、その下にございますように、まず配偶者、それから被害者の収入によって生計を維持していた被害者の子・父母等、それからそれらに該当しない被害者の子・父母等ということで、(1)から(11)の順番で順位が定まっております。したがって、子でありますとか父母のように第一順位遺族の方が複数出てくるというケースがございます。そういう場合にはこの給付金の額をその数で按分して、割った数で給付されるということでございます。
 重傷病給付金と障害給付金につきましては被害者ご本人に支払われるというものでございます。
 こういった支給を受けられる人は住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請をするということでございます。ただ、この申請につきましては犯罪行為の発生を知った日から2年、あるいは犯罪が発生した日から7年を経過したときにはすることができないという申請のジョセイ期間が定められております。
 裁定につきましては、この申請を受けた都道府県公安委員会がこれを行うということでございます。この裁定の結果に不服がある場合には、国家公安委員会に審査請求の道が開かれております。
 次に、1枚めくっていただければと思います。他法令による給付等との調整ということでございます。これは犯罪被害給付制度が、先ほど片桐の説明にもございましたように、不法行為制度の補完、ほかに救済手段のない被害者の方々への救済というそういう経緯、性格を有しているという関係上、ほかに公的給付がある場合ですとか、損害賠償が行われた際には調整がされるということになっております。
 まず、公的給付との調整でございますけれども、一番左上でございますけれども、遺族給付金と障害給付金についてはそれぞれ死亡や障害を原因として被害者、遺族に労災保険法その他の法令による給付で政令で定めるものが行われるべき場合には、その給付の限度において支給しないということでございます。限度において支給しないというのは、他の公的給付の方が犯罪被害等給付金を上回れば犯罪被害者等給付金は支給されない。下回れば、その差額が給付されるということでございます。
 調整対象となる災害給付の種類は、その右側に矢印の方で書いております。労災補償保険法等、27の法律が今政令で定められております。基本的には労災関係の法律、あるいは公務に何らかの形で協力援助した場合に被災した方々への補償に関する法律、あるいは損害賠償責任に基づいて原因者負担によって何らかの給付が行われるような法律。すべてひっくるめていわゆる災害給付が調整の対象となっております。
 他方、右側に紫の色囲いで国民年金保険法、厚生年金保険法等を書いておりますけれども。こういった法律による年金などについては調整対象外でございます。これらの年金というのは本来的に所得保障としての機能を有するということで、いわゆる災害給付とは性質を異にするということで、こういったものによる給付とは調整はされないことになっております。
 次に、公的給付の2番目でございますけれども、真ん中のあたりになりますが、重傷病給付金、それからこれは及び障害給付金となっておりますけれども、これはちょっとミスプリントでございまして、遺族給付金でございます。しかも、遺族給付金の中で、先ほどご説明申し上げたように、被害者の方が亡くなる前に何らかの療養を受けていた場合にはその療養に関する負担分も支給されるというふうに申し上げましたけれども、その負担分のことを指しているものでございます。したがって、これは重傷病給付金というふうにお考えいただいて大きな間違いはないかと思います。
 この重傷病給付金についても法令の規定によって療養に関する給付が行われるべき場合には、その給付の限度において支給しないということになっております。
 調整対象となる療養給付の種類につきましては、健康保険法等以外の法令の規定によって行われるべき療養に関する給付、条例を含むということで。おおよそ何らかの形で療養給付が行われればそれとは調整されるということでございます。
 それから、最後に、損害賠償との調整でございます。犯罪被害の原因として被害者または遺族が損害賠償を受けたときはその価額の限度において給付金を支給しないということでございます。これは被害者が加害者側から実際に損害賠償を受けている場合には、国として給付金を支給する必要はないと、そういう考え方に基づくものでございます。
 次に、1枚めくっていただきまして、こういった犯給制度の運用実績でございます。昭和56年1月1日施行から現在まで25年余り経過しているわけでございますが、それまでの申請の状況でございますが、被害者数でいうと5,568人、申請者数でいうと8,346人でございます。これは申請者数の方が多くなっておりますのは、先ほど申し上げたように、例えば第一順位遺族の方が複数いる場合、それぞれの方から申請がなされるものですから、申請者数の方が多くなっております。それから、次に支給被害者、実際に支給がなされた被害者数、裁定・決定者数の数が異なっておりますけれども、これも同じ事情によるものでございます。
 これまでに支給・裁定がなされた額、それから決定とありますが、これは仮給付というような仕組みがございまして、裁定までに非常に長時間要する場合には仮給付ということが公安委員会がその権限でできるんですけれども、裁定に至らないけれども決定はなされたというものもありますから、それを含めて3月末現在までに約169億7,100万が裁定・決定されているということでございます。
 一番直近に支給額が引き上げられました平成13年の改正以来の1被害者当たりの平均支給額を見ますと、そこにございますように、遺族給付金につきましては約475万。重傷病給付金につきましては、これはいわゆる保険診療の自己負担相当分をお支払いするということでございますので、約15万というそれほど大きい額にはなっておりません。それから、障害給付金、これは現在は1級から14級まで支払われるということで、その平均をとるとこれだけの額になるということでございます。
 もう1枚めくっていただきまして、そういった犯給金のこれまでの申請と裁定の推移でございます。ごらんいただきますとおわかりのように、平成12年までは裁定件数100件台で推移しております。それが13年に大幅な制度拡充を行った関係上、400件台で推移しているということでございます。
 もう1枚めくっていただけますでしょうか。次の資料でございます。犯給制度の変遷ということで、これまでも拡大、拡充の経緯を表にまとめたものでございます。これまで合計6回ほど犯給制度の中身、制度の拡充ということで行っております。
 その前に、昭和56年1月1日の制度制定時のところ、一番右側の方に改正の趣旨、経緯の欄をごらんいただきたいんですけれども、給付額の考え方としてなのでございますが。制度創設時の考え方としましては、損害賠償責任を根底に置いた原因者負担であるほかの公的給付制度を上回ること、あるいは積極的に社会貢献のために尽力した結果被害を受けた場合の警察官の職務に協力援助したものの災害給付を上回るということは均衡上適当ではないのではないか。また、損害賠償そのものである自動車損害賠責任保険とも比較することはできないのではないかという考え方に基づいて給付水準が決定されているということでございます。
 改正の経緯でございますけれども、まず2番目の欄になりますけれども、昭和57年、それから62年、平成6年、3回にわたりまして給付基礎額の増額、これは政令改正でございますけれども、が行われております。これはほかの制度との均衡も参酌しつつ、物価水準の上昇に伴う給付価値の減少を是正するために行われたものでございまして、最高額の方の改正も行われております。最低額については引き上げ措置は講じられておりません。
 この結果、遺族給付金につきましては最高額が1,000万を越える、障害給付金については1,200万を越える水準となっております。
 次に、平成9年の改正でございます。これは障害等級1級から3級を1級から4級に拡大したというものでございます。これは4級の障害等級に該当する方につきましても、労働能力の喪失率が92%ということで、1級から3級が100%なわけですけれども、それに準ずる、亡くなるということに匹敵するような非常に重大な犯罪被害であるということで1級から4級まで拡大されております。
 それから、合わせて神経系統、それから精神の障害に関する規定も4級に新たに置いております。これはいわゆる地下鉄サリン事件も含めて、神経系統あるいは精神に障害が残ってしまう犯罪被害者の方が少なからずいたということを踏まえて、こういった方々を救済するために置かれたものでございます。
 次に、平成13年7月1日に大きな改正がされております。犯給制度につきましては、そこにございますように、1つ重傷病給付金の創設というのが行われております。それから、障害給付金につきましては1級から4級を14級まで拡大をしております。
 それから、給付基礎額を大きく引き上げております。これは一番右側の改正の趣旨をごらんいただきますと、法施行後20年が経過して、ほかの公的給付の水準と比較して非常に大きな隔たりが生じたという現状を踏まえまして、賃金センサスを基準として給付基礎額の見直しを行っております。最低額につきましても物価上昇率を考慮して大きく引き上げをみております。
 この結果、遺族給付金につきましては最低額が320万、最高額が1,573万。障害給付金につきましては最高額が1,849万ということになっております。おおむね1.5倍に給付額が引き上げられたということでございます。
 それから、最後、6番目、平成18年4月、この4月の改正でございます。先ほどちょっと申し上げたように、重傷病給付金の支給範囲等の緩和を行っております。内容としましては先ほど申し上げたように、入院要件を緩和したということ。それから、支給期間を3月から1年に大きく延長したということでございます。
 それから、親族間犯罪の支給制限についても緩和を図っております。これは、非常に今まで広い範囲の親族の間の犯罪において原則として不支給というふうになっておったわけでございますけれども、これを狭める改正をしております。具体的には原則支給の親族範囲を夫婦と直系血族と兄弟・姉妹に限ることとしております。これまでは三親等内の親族、それから同居の親族まで不支給だったところを狭めております。
 それから、さらにDV犯罪による被害の救済という観点から、DVによる夫婦間犯罪については特例として、今までも特段の事情が認められる場合には、原則不支給ですけれども規定額の3分の1まで支給できるという規定があったんですけれども、さらにそれを弾力的な運用が可能なようにということで3分の2まで、非常に特別な事情が認められないようなケースについては3分の2まで支給できるようにしたということでございます。
 ということで、これにつきましては先ほどもご説明ございましたけれども、犯罪被害者等基本計画において私どもに対して求められていた施策でございますけれども、可及的速やかに措置を講じたというふうに考えております。
 それから、次でございます。これは平成18年度の私ども警察庁の予算、犯罪被害者対策関連を抜粋したものでございます。これは被害者の経済的な負担の軽減方策として、必ずしも犯罪被害給付制度だけではなく、さまざまな観点から負担の軽減を図っているということでご紹介をいたしたいところでございます。
 (1)のアにつきましては犯罪被害者給付金の関係でございますが。イでございますが、性犯罪被害者に対する緊急避妊等に要する経費。これは都道府県警察に要する経費に対する国庫補助金ということで措置をしております。2分の1は国が出して、2分の1は都道府県が支出するというものでございます。中身は、性犯罪被害者の緊急避妊等に要する経費ということで、初診料や診断書料、それから性病等にかかっていないかの検査費用、それから中絶費用も含むものでございますが、それを公費で負担するということでございます。対象となっておる犯罪被害は性犯罪ということなんですけれども、強姦と強制わいせつということで。中絶費用と緊急避妊については強姦の被害者に限られております。
 それから、ウでございますけれども。そういった性犯罪以外の身体犯被害に遭われた方についても負担軽減をするということで、初診料や診断書料、それから埋葬許可に必要な死体検案書料ですね、こういった費用を公費で負担するという仕組みもこれまた補助金で平成18年度から措置しております。
 それから、エとオでございますけれども、これはそれぞれ15年度、それから16年度から既に実施しているものでございますけれども、司法解剖後の遺体修復費。司法解剖した後、傷跡を目立たなくさせるような修復措置ですね、これに要するに費用を公費で負担するということ。それから、司法解剖後の遺体搬送費。司法解剖した後、そのご遺体をご家族のもとまで運ぶのに要する経費、これをそれぞれ公費で負担するということで。これもいずれも補助金でございますけれども、それぞれそこに記載の額を措置しているところでございます。
 それから、最後に1枚めくっていただきまして、これは警察が国としてやっている仕組みではないのですけれども、非常に関連が深いということでご紹介させていただきたいと思います。財団法人犯罪被害救援基金が行っている奨学金事業についてご説明させていただきたいと思います。これにつきまして、座長の國松様が今この犯罪被害救援基金の常務理事理事長代行をなされておりますので、ちょっと僣越でございますけれども、私の方からご紹介さていただきます。
 この犯罪被害救援基金の発足の経緯でございますけれども、犯罪被害者等給付金支給法、いわゆる犯給法が昭和55年に成立する際に附帯決議がなされております。そこに※で書いておりますけれども。本法施行前に犯罪被害を受けた者及びその遺族の救済については別途被害者の扶養にかかる児童・生徒に対する奨学金制度の実現などにつき検討することとなっています。
 これは犯罪被害給付制度創設時にこの制度創設前、法施行前に犯罪被害に遭われた方の救済をどうするんだと、遡及適用はしないのかというようなことが1つの論点になりました。しかし、なかなか法律の原則として遡及適用することは難しいと、それからどこまで遡及提起をするのか、どこかで線引きしたところにやはり不公平の問題が生じるといったようなことがございまして、それはやはり法律的には難しいということがございました。
 そこで、かわりにというわけではございませんけれども、しかし、法施行前に遭った方も何らかの形で救済しなくちゃいけないということでこういう附帯決議がなされまして、その附帯決議を受けてこの救援寄金が設立されたというものでございます。
 事業の概要につきましては、犯罪被害遺児等に対する奨学金等を給与する。これは差し上げるということでございます。それから、犯罪被害者等早期援助団体の育成強化という、こういう事業を主な事業としてやっていただいております。
 奨学金の今までの給与実績でございます、3でございますが、昭和56年にこの基金が創設されて以来、1,652人の小学生の方に16億余りの奨学金が給与されてという状況でございます。
 この奨学金制度につきましては、右側の方に若干詳しめに書いております。犯罪被害者の子、孫、弟妹等であるということでありまして、故意の犯罪行為によって不慮の死を遂げた方あるいは重障害、障害等級1級から4級を受けた方の子弟ということでございます。それから、主に被害者の収入によって生計を維持していたこと。それから、学費の支弁が困難と認められることといったことを要件としております。
 奨学金として給与される月額につきましてはそこにございますように、小、中、高校、大学生ということで、ここに書かれているような額が給与されることになっております。
 モデルケースとして、仮に小学校在学中に6年間給付を受けるとするとこうなります、あるはい中学校在学中はこうなりますと、私立であればこうなりますということで、総額としてこれぐらいになりますということを参考までに記載しております。
 ちょっとはしょった説明になりましたけれども、以上で終わらせていただきます。

○國松座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの警察庁からの説明につきまして、何かご質問がありましたらご自由にお願いをいたします。
 高橋構成員。

○高橋構成員 犯罪被害者の経済的に切迫したりしているとお金を親から借りたりとか、中にはサラ金から借りたりするような人もいると思うんですけれども。これが申請から実際に支給されるまでどれくらいの期間があるのかちょっと教えていただきたいということと。
 あともう1つ、支給される対象、遺族給付金の対象で3番の、2に該当しない被害者の子とか父母、孫、祖父母とかずっと書いてありますけれども、これは一緒に生計をともにしていなくてもということなんでしょうけれども。例えば父母の場合に、離婚していて片方が生活の面倒を見ていない、そういう人にも、このお金がいくのかどうか、そこをお伺いしたいです。

○國松座長 どうぞ、警察庁、お願いします。

○警察庁説明者 まず、申請から実際に給付の裁定が行われるまでにどれくらいの期間がかかっているかということでございますけれども。平均的にいうと7ヶ月ほど期間がかかっております。
 それから、先ほど第一順位遺族、支給を受けられる人についての順位の説明をした際に、これ以外の方についてはどうなのかということでございますけれども、これ以外の方については給付金は受けられないということになっております。

○國松座長 離婚した場合、だめということですか。

○警察庁説明者 お子さんが亡くなった場合ということでよろしかったでしょうか。その場合は婚姻関係にかかわりなく、父としてあるいは母として支給されると。

○國松座長 よろしゅうございますか。

○高橋構成員 はい。

○國松座長 佐々木構成員。

○佐々木構成員 質問なんですけれども。調整対象となる法律が27あるということなんですが、例えば労災が支給されるであろうから支給決定をしないとか、あるいは支給決定した後に労災が例えば払われたから返してくれとか、何かそういうような形になるんでしょうか。

○警察庁説明者 他の公的給付が見込まれるということであればそこは犯給金は支給しないということで、基本的にはその辺の状況を踏まえつつ支給の裁定を行っているというのが実態でございます。ですから、基本的には犯給金が支給された後に他の公的給付が行われるということは余り実態としてはないと思っております。

○國松座長 白井構成員。

○白井構成員 犯罪で検挙された件数とか犯罪白書でずっと載っているわけなんですけれども、この支給実績を見させていただきますと、一番新しい平成17年でも障害が81名で遺族の方が258名ということで、最終的に後遺症が残る被害者の方が数が実際の検挙件数とはうんと少なくなるとは思うんですけれども。そういう1つは罪種別のこの申請件数とか、それから検挙件数と申請件数、それから申請に対する支給決定と不支給決定のそういうような統計みたいなものは出ますでしょうか。

○警察庁説明者 罪種別にはちょっと統計はとっておらないんですけれども。例えば遺族給付金で考えますと、大体年間交通事故を除きまして犯罪被害でお亡くなりになる方、殺人ですとか傷害致死ですとか強盗、強姦致死ですとか、そういう方が千二、三百とかそういうオーダーでございます。それと比べてこの裁定なり申請が多いのか少ないのかというのはなかなかちょっと判断はしかねますけれども、そういう比較は可能でございます。

○白井構成員 実際にはその事件が、刑事手続が行われている間に障害が確定、症状固定になるという方があったりなかったりと数字的にはいろいろなるとは思うんですが、その辺の統計というか、実際には例えば障害等級が残られた被害者の方がこれくらいおるんだけれども、申請があったのはこれくらいで、そのうち支給されたのがこのくらいでとかというような統計はないんですよね。そこまでは追っかけてないという。

○警察庁説明者 今おっしゃったのは、障害が固定されてからどれくらいかとかいうことですかね。

○白井構成員 いえ、申請された方が何等級に属するかとかというのはわかるんだけれども、そうじゃなく、実際に例えば傷害事件でいえば大体年間4万件くらい起きていて、警察の統計でいけば重傷というのは全治30日以上で統計とっていますよね。しかし、実際の被害で全治30日といったら大したことない被害なわけで、ほとんど後遺障害なんか残る人が少ないので、4万人のうち、実際には重傷と言われてもずっと減ってくるとは思うし。また、加害者側から示談金が支払われる例もありますので、その申請のところまで行き着く方は少なくなるとは思うんですが。
 実は申請してもむだですよというか、親切で言っているとは思うんですけれども、事前に申請が制限されてしまって、制限しているわけではないとは思うんですけれども、実際に補償が必要な方なんだけれども、申請されていないという方がかなりいるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はわからないんですかね。

○片桐構成員 いろいろ我々犯罪被害者の方への支援をしているんですけれども、そこまで突っ込んでといいますか踏み込んで、実際に障害があるんだけれども、申請されない方がどれくらいいるのかとか、なぜしないのかということまでなかなか調査が行き届いていないということはあります。
 ただ、他方で、被害者を支援する段階でこういう制度がありますよという表示は積極的にやらせておりますので、なるべく使ってくださいということは被害を受けた方にはお伝えをするという努力はしているつもりでございます。

○白井構成員 もうちょっといいですか。ほかの方があれば。

○國松座長 どうぞ、いいですが、その辺のところは結局あとの財政的支援のあり方の本論に入ってまいりますので、本日のところは軽いジャブ程度のところでやっておいていただいて。このままいっちゃいますとエンドレスになりますので。もうしばらくジャブの範囲内であれば、どうぞご質問を続けてください。

○白井構成員 では、不支給になった方で不服申し立てられた方がどれくらいあるかというような、その不服申立の理由というかそれは、今日はわからなければ別にいいんですけれども。
 それから、実際にはストレートに支給で計算すればこれくらいの金額になるけれども、加害者側から多少の見舞金が入ったために調整されて、実際に支給された金額はそれよりも減ってしまったとかというような統計はありますでしょうか。

○警察庁説明者 今、審査請求の件数については今ちょっと手元にはありませんけれども、それはお出しすることはできます。大体大ざっぱに言って年間1件から2件というそういう感じです。
 内容につきましては、今お話しされましたように、不支給について不服がある、あるいは減額されたことについて不服がある、あるいは調整されたことについて不服がある、そういったことでさまざまでございます。

○白井構成員 それと、ジャブ程度ということで。障害等級別の支給数というんですかね、統計とかというのは出ますか。

○警察庁説明者 出ます。

○國松座長 では、今、白井構成員からあった話のうち、出せる統計数字は、次回まででよろしいんですか。次回までにご用意いただけますか。
 それでは、瀬川構成員。

○瀬川構成員 昭和55年にできて既に25年経ちましたが、御報告で最近の発展がよくわかったと思います。この構成員自体に理解のアンバランスがあったらいけないと思います。共通の認識としておきたいんですけれども。日本の犯給制度の特色というのは一体何だというふうに現在時点でお考えでしょうか。諸外国をモデルにしてできたわけですけれども、我が国の犯給制度の特徴を簡単で結構ですので、お答え願えればと思います。

○片桐構成員 なかなか一口には難しい部分があるんですけれども、社会の連帯扶助の精神に基づく支給という意味では各国幾つか同じような例はございます。ですから、これは特に我が国について特色ではないというふうに思っていますけれども。
 ただ、他の国でいいますと、犯罪被害者に対する救済の支給をする対象範囲というものが相当我が国より広いケースが多いんです。ですから、我が国の場合にはちょっとその幅が狭いということがあるのかなと。ただ、支給額の平均からするとさほど他の国よりは、他の国が非常に軽い被害まで救済していますから、他の国に比べれば1件当たりの支給額は比較的高いのかなということは言えようかと思います。
 あともう1つ特徴的なのは、我が国では支給の実態を見てみますと、遺族給付が大変に多いということでございまして、ほかの国は遺族給付よりはむしろ障害を負った方に対してどう救済するのかという観点が大変強いんですけれども、我が国の場合には支給の実態から見る限りの話なんですけれども、遺族に対する支給の比率が高いということは言えようかというふうに思っております。
 あと、財源の問題では、これは恐らく何回も後に有識者の方からいろいろとお話があるんでしょうけれども、一般財源で措置するというのは他の大体の国も同じような形になっております。ただ、特定の国では罰金を財源にしているとかいうところもございますし、特定の例えば損害保険に税金をかけてそれを特定財源にするとかいう国もあるんですけれども。大体一般財源で措置をするというのがほかの国と比べて同様の形かなというふうには思っております。
 ちょっとまとまった話はなかなかできかねたんですけれども、主にそんなような。ちょっと私が今手元に持っている資料を見る限りではそんな感じかなというところでございます。

○國松座長 それでは、警察庁のご説明につきましては大体以上でとりあえず終わることにいたしまして。
 次に、自動車損害賠償補償制度につきまして、国土交通省自動車交通局の瀧本保障課長からお願いをいたします。

○国土交通省説明者(瀧本国土交通省自動車交通局保障課長) ご紹介いただきました国土交通省自動車交通局保障課長の瀧本でございます。どうぞよろしくお願いします。資料3に国土交通省の資料といたしまして、自賠責保険の制度の概要等をお示しております。沿革等の資料について十分に付けておりませんけれども、車の損害賠償の保障を少し口頭で申し上げますと、車自体は、まさに戦前も相当あったわけでございまして、その当時は任意の保険制度がどうもあったようでございます。それで、戦後間もなくでございますが、その頃から当時やはりああいう時代でありましたから車が増えてきました。昭和30年ごろには150万台の車があったと言われておりまして、現在それが8,000万台になっております。これは登録をしている車の数でございますけれども、自賠責の対象となるいわゆる原付バイクも含んでおりますから、それらを含めますと9,000万台ぐらいが自賠責の補償の対象になってございます。
 いずれにしましても、昭和30年にこの制度ができ上がりまして、戦後の昭和20年代に、旧運輸省におきまして、道路運送法というのが昭和26年、それから道路運送車両法といういわゆるバス、タクシー、トラック等の運送事業、それから車の車両の安全という観点の法律が昭和26年に同時にできました。そのすぐ昭和28年の改正でもって、この道路運送法93条にこの自動車損害賠償保障制度を確立すべきだと、こういう条文を改正をいたしまして検討を進め、昭和30年にこの法律ができたということでございます。最終的に昭和31年2月21日に全体的に公布されておりますものですから、まさにこの制度は50年の歴史を持っているということでございます。
 途中、昭和37年でございますが、自賠責制度のちょうど世界との関係の特徴ということを申せば、非常に車との、車検とのリンクをきちっとしているものですから、車検、車を買ったとき、あるいは改めて検査をするとき、そのときに自賠責保険に入っているか否かというものを国土交通省の運輸支局という職員がチェックをいたします。いろいろ車の登録を、ナンバープレートを出すときに確実にこれが入っているかどうかをチェックいたします。そのほか、いろいろな税金が払われているかということも職員がチェックいたします。そういうものをきちっとリンクされているという制度を昭和37年に車検のリンクを開始したということもあります。そのほか、先ほど申しましたように、いわゆる原付バイクにもこの自賠責保険制度を適用していくというふうなことが経緯でございまして、現在に至っているということでございます。
 この自賠責保険という自賠責という責任保険の分野でございますけれども、これはほかの健康保険、労災と違いまして、国みずからこの事業をやっているわけではございません。まさしく皆さん方が保険会社、いわゆる損保の保険会社と契約をするということになっております。平成13年以前、この資料の1枚目でございますが、それまでは政府再保険制度という制度がございまして、国土交通省におきまして保険金の6割を国が再保険するという仕組みをとっておりました。そういうわけで、その保険料の6割分が特別会計の中に入りまして、それで支払の不適正な現金支払がないかどうか、いわば1つ1つチェックしていたような体制があったわけでございますが、規制緩和でもってこういう制度はやめまして、事後的なチェックをしているということでございます。
 そのほか、こちらの資料にございますが、国みずから行っている事業といいますのがこの自賠責保険という保険にきちんと入っていただく人は結構なんですが、どうして未保険者がおります。それから、ひき逃げとか盗難というのがございまして、そういう場合につきましてはこの自賠責保険では保障されませんもんですから、みずから政府が保障事業と称しておりますけれども、これをやってございます。これは14年の制度改正のときにも引き続きこれは保持するということでございまして、通常の自賠責の保険料の中にこの賦課金というのも現在大体3万円ぐらい、マイカーで2年の自賠責の保険料が3万円ぐらいございますが、そのうち70円分がこの賦課金でございます。この財源をもとにしましてこういったひき逃げ無保険者の事故被害者に対して政府みずから措置をしているということでございます。
 数といたしまして、ひき逃げが4,000人、無保険が1,000人ぐらいの5,000人ぐらい、大体50億ぐらいを活用しているということでございます。この自賠責保険自体が事故が大体100万人以上の方が死傷ございまして、それに対して保険の同じような形の方に払っているということでございます。
 ここに全体ございますように、事後的なチェックをする意味で、保険金の支払トラブルがありますと新しい制度でもって指定紛争処理機関というのができまして、ここの方に保険会社との保険金支払のトラブルがありますと調停にもっていくというか、そういう仕組みをつくっておりますが。
 そのほか、保険契約をする際の特徴といたしまして、非常に多くの保険会社、どこでもよろしいわけでございまして、さらに強制保険ということで締結義務を課しているわけでございますが、保険会社がこの損害の調査を損害保険料率算出機構と、昔はジサンカイという言葉を言っておりました。今は損害保険料率算出機構といいますが、ここに損害調査を委託しまして、一律的に自賠責の分でございますが、損害調査をしております。あるいは、各種こういった保険の件数等につきましてはここがやっているところでございます。
 そのほか、この損害保険会社のほかに、共済組合がおりまして、例えば農協のJAというそういう共済の形も参入しているということでございます。
 犯罪被害者の関係ということで、この交通事故被害者の救済措置といたしまして、そのほか自賠責制度、政府保障事業のほかに自動車事故対策事業というのをやっておりまして、これにつきましては政府再保険をしていたときに財源が幾らかたまりました。それから、政府保障事業につきましてもこういう保険制度でございますので、保険料が収入として入りまして、さらに保険金の支出をするまでの間にいくらかのタームがありますものですから、それで運用益が発生しておりまして、その運用益を活用したり、あるいは運用益そのものを取り崩すこともあるわけなんですが、被害者救済対策として介護料を支給いたしましたり、療護センター運営ということで、いわゆるセンエイ性意識障害といった脳外傷、交通事故によりましてそういうような状態になった方たちに対しましては自賠責制度の中で介護料を支給したり療護センターの運営をしていると、こういうようなことをやっているということでございます。
 次のページでございますが、この自賠責保険の仕組みでございます。まさに保険契約を保険会社といたしまして、保険金、保険料を支払って保険料をいただくというふうな保険制度でございますけれども、この辺の締結義務があるということが1つ。
 それから、自賠責の特徴といたしまして、通常は加害者である保険契約者が保険会社に保険料を請求するわけでございますが、被害者みずから加害者との関係がうまくいかないということもあるわけでございますが、直接請求を加害者が持っている保険会社に請求をすることができると、こういう特徴があるわけでございます。
 こちらの方に免責の三要件というのがございますけれども、加害者側に免責の立証責任を課すことにより、事実上の賠償責任が明確化されているということでございまして。加害者の側でございますが、事故より運転者が自動車の運行に関し注意を足らなかったこと、それから被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと、自動車の構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと、こういうときであれば自賠責保険が払われないことがあるということでございます。
 典型的には、いわゆる赤信号で被害者の方が突っ込んでしまったと、加害者の方からすればその場合は過失がない、あるいはセンターラインをオーバーしてしまって、そこでオーバーした方が亡くなられて被害者になるわけでございますが、それは過失がない。こういうときで有責、無責というような議論がされますが、そこで一度判断をしたときに、それでもいかがなものかということでよくこれは実際に自賠責保険の額等につきまして議論が出ることがあります。それにつきましては、先ほど前のページにあります損害保険料率算出機構の再審査会というのにかけたり、さらにそれでもうまくいかない場合には、この指定紛争処理機関にいく。あるいはそれでもそうではないときは裁判に行くと、こういうような民事の方法等も行っているということでございます。
 支払件数はこちらに書いてございますけれども、120万件以上の支払がございまして、1兆円近い額が支払われているということでございます。
 次に、自賠責保険料の構造ということで、先ほど申し上げましたけれども、現在平成14年から6年間の措置でございますが、この制度改正によりまして保険料と充当交付金制度というのが6年間だけやっております。平成17年度につきましては1,050円、本来保険料の3万2,000円弱になるところを1,050円だけ低くしているということでございます。この保険料の内訳でございますけれども、純保険料の部分、それから付加保険料ということで損害調査の有無、それから営業費、代理店手数料、というのが内訳としてございまして。そのほか、政府保障事業に相当する純賦課金、それからその手数料でございます賦課賦課金と、こういったものの内訳になってきているということでございます。
 これらがそれぞれの車種ごとに決まっておりますが、ここには書いてございませんが、基本的には全国一律でございますが、沖縄と離島、こういったものについては別の料金になっているということでございます。
 それから、保険金限度額の推移ということで、昭和30年からの推移を書いております。死亡と死亡に至るまでの障害、それから障害、それから後遺障害というのがございまして、発足当時は障害については重傷、軽傷というような分けがございましたけれども、現在はこれはなくなりまして。後遺障害も昭和42年から1級から14級という区分がございました。それから、平成14年の改正でもって、この後遺障害を別表1と2に分けまして、意識障害の常時介護する方、それから随時介護する方、こういうより症状の重い方につきましては別表を設けまして、死亡が今現在3,000万でございますから、さらに上乗せをしまして4,000万という保険限度をあくまでやっているということでございます。
 この額でございますけれども、任意保険との関係がございまして、自賠責保険というのは全体の保険に関する、当初は最低の保障というかそういう小さい保障を考えていたそういった保障がございました。その後はだんだん基本保障というような考え方になりまして、それなりの保障をしていくと。いわゆる国民がほとんど車を持っている方は基本的に自賠責に入ってきているという状態で、比較的こういう3万円ぐらいの保険料でもって3,000万、4,000万の保障が得られると、まさにこういうことは欧米と比較しても日本の特徴だと思っております。
 それから、次のページでございますが、後遺障害、これは今申しましたように、別表1と2ということで、神経系統の機能、精神関係、そういうことで別表を、介護を要する後遺障害というのを設けておりまして。別表2に1からいく方が、3級まで等をよく重度障害ということを言っておりますけれども、基本的には労災に倣いまして、日数ではなくて金額でもって限度額を決めているということでございます。全体100万円ぐらいの支払のうち、自賠責についてはこういったぐらいでございます。
 死亡については書いてございませんけれども、現在政府の取り組みによって死亡は減っておりまして、大体今6,700人というのが24時間以内の死者の数でございますが、自賠責の場合、当然その後随分たってから亡くなられる方もおられますから、そうすると7,000人等の方が死亡ということでございます。
 次のページがその支払基準でございまして、これは従来内部的な基準でございましたが、法改正のときに法律に基づいて金融庁と国土交通省、それから内閣総理大臣が定めまして告示されているところでございます。詳しくは書いてございませんが、死亡、障害、後遺障害ということで、障害について申しますと、まず積極障害ということで、治療関係費、それぞれこういう項目がございまして、必要かつ妥当な範囲というふうな言い方をしております。例えば自賠責の場合に、具体的に診療費はどうなのかというのが気になります。これはご承知かと思いますが、健康保険を使えば健康保険の点数になるわけでございますし、労災は労災の基準がございますが、自賠責の場合はそういったものを使わなければ自由診療というか、言葉がちょっと正確ではございませんけれども、お医者さんなり集めているものでございまして、一応そういった診療報酬基準案というのが医師会と損保協会や損保料率機構の間で決められているというのがございまして、そういったものに応じてそれぞれ定めているということでありますが。
 どうしても障害につきましては120万が限度でございまして、それを越えることがままあると。通常の支払は五、六十万で大体障害は終わっておりますけれども、平均的にはそうですが、それを越える方がいて、そこで越える分は、次に説明しますように、任意保険でもってされればよろしいんですが、任意保険と申しますのは、多くの人はほぼ入っておりますけれども、一部やはり入ってらっしゃらない方がいて、その辺で自賠責とのその辺の給付の違いが問題になってくるということでございます。
 後遺障害につきましても、そういう意味で逸失利益、慰謝料、それから死亡につきましても葬儀費も入ったものでございます。これにつきましては、よく議論になりますのは、今現在ライプリッツ方式ということで、中間構造というのを5%で計算をしておりまして、損害額を計算する際に、そのときの収入をもとに67歳までその辺の労働の損失といいますかそういうものを勘案しながら決めていくわけでございますが、やはりそういったときにそこで一時金で支払うものですから、その辺の割引率についていろいろ議論がありました。ただ、これについてはことしの3月、最高裁判決ございまして、そこは5%ということで一応決着を見ているところでございます。
 そういう意味で支払金額につきましてそういうことでございます。
 それと、こちらにも十分書いてございませんけれども、1つ自賠責保険の特徴といたしまして、被害者にやはり支給をするというような普通の単なる保険ではないと。被害者重視ということがございまして、先ほどの過失割合につきましても、通常の不法行為でございますとまさに加害者以外にこちらの過失割合があるかということなんでございますが、被害者の過失がたとえ7割ございましても、減額の分が2割にとどめていると。本来であれば被害者が7割悪ければ7割減るわけでございますが、自賠責保険の場合は2割でとめていると。99%悪い場合でも半分、5割は被害者の支払うと、こういうことを先ほどの限度額、死亡の場合ですと3.5倍でございますが、被害者がたとえ悪くても、100、ゼロでない限りは最低50%払う、そういうような措置もやってございます。
 それから、次でございますが、自賠責保険と任意保険ということでございまして。この自賠責保険に対して上積み保険という性格を持ってきておるわけでございます。これにつきましては、日本の自賠責制度自体が、特に私はドイツあたりをもとに考えて話もしておりますけれども、よくヨーロッパなんかでは1つの国になってございまして、政府が最低の保障の額を決めまして、一緒にいろいろな額の意見があるようでございますが、日本の場合は保険制度ときちっとリンクをして、いわゆる二階建て構造になっていると、こういうのが特徴でございます。
 それで、任意保険の部分につきましては、今も保険が自由化になっておりますけれども、損保会社あるいは共済の自由な発想でいろいろな商品が出されているということでございます。
 最初に特に申し上げませんでしたけれども、自賠責自体は、ご承知のように、対人会社でございまして、それについてはこれは関係ございません。これも外国の事例ですと物損を対象にしている場合もございますけれども、日本の場合は対人のみ。そういう意味で対物保険あるいは車輛保険、あるいは相手の加害の部分でございますから、家族の場合、家族の搭乗者の障害あるいは人身障害保障とかそういうこと。あるいは自損事故、これも先ほどの加害の条件の中で自賠責では自損事故の場合には対象になりませんもんですから、そういう場合もカバーするような保険商品が出てきているということでございます。
 それから、次に、政府保障事業でございますけれども、これは私ども保障課の職員がこの事業をやっております。私どもがやるところは、てん補額の決定をするところが国の役割でございます。被害者の方からは、これはどこの任意の保険会社にでもよろしいんですが、受付を請求いたしまして、調査依頼、先ほど申しました損害保険料率算出機構に行きまして、そこが被害者からのいろいろ連絡をしたりして紹介して書類をつくりまして、保険会社に調査結果を報告いたします。それを一件書類と称しておりますけれども、私どもの方にまいりまして、これを私どもなりチェックをします。相手がこういうひき逃げのような事案でございますから、あるいは亡くなっているケースですと、相続人がだれかというようなことも、今個人情報の関係で厳しいところはありますけれども、できる限り役所の力でもって調べることは調べまして、額を決定しまして、それを通知をします。それで、被害者の方に払うわけでございますが。
 この額自体は、被害者に対したものというのは国の立場とすれば、損害賠償請求権を取得をして求償を行うということで国の債権になりますものですから、これを加害者の方に求償すると、こういう仕事をしてございます。大変こういう無保険の車であったりします。ひき逃げの場合は相手がわかりませんのでこういうことができませんけれども、無保険者、本来国民の99.9%という方がそういうちゃんと保険に入って車検も受けて運行しているわけですが、そうじゃない方がやはりいるわけでございますが、そういう方たちの求償の処理に苦労しております。こういうことで、件数的には5,000件程度でございますが、こういうことでやっているということでございます。
 それから、最後に、被害者支援に係る主な事業ということで、この再保険によります運用益を活用いたしまして、重度後遺障害者の介護度支給、それから短期入院費の助成、それから療護施設の運営ということを独立行政法人の自動車事故対策機構というところが実際そういうことをやっております。
 それから、交通遺児の方には生活資金の貸付をしたり、それから交通遺児の育成基金運営ということで、これは任意も含めて賠償金が入ってくる。そのときに遺児の方のために基金として財団の方に預けていただきまして、国の補助もしながらでございますが、運営をして給付していくと、こういう仕組みでございます。
 それから、交通遺児の授業料の減免もしているということでございます。
 さらに、日弁連交通事故相談センターというところで、全国数十ヶ所でございますが、無料法律相談あるいは示談の斡旋などもしているということでございます。それから、紛争処理機構に対する斡旋もしております。
 それから、救急病院に対する医療設備、それから救急知識の普及といったようなこともやっているということで。
 保険の制度以外にもこういった保障制度あるいは自動車事故の被害者相談といったことをやってきているということでございます。
 ご要望のあったことに十分応えているわけではございませんけれども、これらにつきましては答えられるものは答えていきたいと思います。
 以上でございます。

○國松座長 どうもありがとうございました。
 若干時間が押してきておりますが、何かご質問がありましたらお願いいたします。どうぞ。

○飛鳥井構成員 1点だけですけれども。ご説明の中で、被害者にかなりの過失割合があった場合でも給付の減額はごく一部にとどめるといったように示されましたけれども。その背景にある理念といいますか、考え方というのをご説明いただけますか。

○国土交通省説明者 それはさっき申しましたが、自賠責制度自体がいわゆる責任保険という、まさに保険制度で見る部分と、やはり被害者の保護というのが重要だということで、社会保障的な発想もございまして、その2つの考え方から必ずしもというか、これは運用でやっているところでございますけれども、その支払基準が今現在位置づけられております。そういうことで、法律上そういうことをやるということを明確に書いているわけではございませんで、そういう理念をもとに運用としてできているということでございます。

○國松座長 ほかにございますか。どうぞ、白井構成員。

○白井構成員 一番最初の方のページの政府事業の緑色のところを見ますと、1,168億円というので一般会計繰入490億円というふうになっているんですけれども、これはどういう。一番後ろの方から2枚のあれですと、平成16年の支払件数が4,754で、支払額55億円となっているんですけれども、それはどういうあれですか。

○国土交通省説明者 今のお話は、すみません、一般会計の繰入の話でございますか。

○白井構成員 支払額が55億円だと、政府事業で支払額55億円だと、その金額と一番最初のページの金額との関係というか、これはどういう関係になるんですか。

○国土交通省説明者 まず、一般会計繰入のことはちょっと別件でございまして、政府の財政事情が非常に悪うございまして、平成6年、7年に2度にわたりまして自賠特会から一般会計の方にいわばお貸ししているお金がこれだけあると。それで、その後何年かにわたって入ってきておるんですが、まだいまだにこれだけの490億と5,100億という額がまだ一般会計の方にお貸ししているという状態であるということでございます。
 それから、この上の方に1,200億が今1,168億に保障勘定になってございますけれども、この賦課金が、今は70円ですが、少し前はもう少し値段が高かったんですが、そういったことで。これも運用益が発生しておりまして、その中でお支払いが、むしろ今50数億円支払っている額の方が保障事業で見ますと多うございます。現実に毎年フローとして入って来る額以上に払っています。それはかつてのそういう運用があるからということでございます。

○白井構成員 累積額がここに書かれている。

○国土交通省説明者 そうですね。

○國松座長 ようございますか。

○白井構成員 はい。

○大久保構成員 1つだけお願いいたします。次回までで結構ですので、この一番最後の資料にあります被害者救済対策の中で支給者の人数は書かれていますが、支給額は書かれていないので、一人当たりと支給額と総額を教えていただきたいと思いますので、お願いいたします。

○国土交通省説明者 わかりました。

○國松座長 では、よろしゅうございますか。どうぞ。手短にお願いします。

○平井構成員 1つは、保険金の限度額の改定についてでございます。改定の理由は物価上昇率などとか書いてありますけれども、改定を過去4、5度なさっていますが、改定金額の目安といいますか、改定金額の最終的な判断基準があればご説明いただきたい。もう1つは、3,000万円とか4,000万円の上限ございますね。これらの金額の最終的な目安、つまり最終的にそのように決められる判断基準があれば説明いただきたいのですが。

○国土交通省説明者 消費者物価指数をある年の改定前の状態から、例えば今回検証するとすると、平成14年4月から現在までどのくらい物価上昇、上がったかと、そういうものを検証して水準を改めるべきかということを議論して、金融庁と一緒になりまして審議会にかけて検討するわけでございますけれども。そもそもその額にどうしたかと申しますと、やはり任意保険との関係のカバー率というような概念を持っておりまして、大体このぐらいの額でおおむねカバーできていればと、そのやつなんかをロク障害等を考えておるわけでございますが。実際、等級ごとに見ますと非常にカバー率が低いのもございますし。今、死亡自体もこれが限度額ですから、例えばお年寄りの場合ですとここまでいかないケースもございます。そういうようなこともあって、大体限度額としてはこのくらいでよかろうというような考え方できていると。それがあってさらに介護措置を見ながら考えていくと、こういうことでございます。

○國松座長 それでは、この程度にとどめておきたいと思います。
 ありがとうございました。
 では、続きまして、労災保険関係につきまして、厚生労働省の森山労災補償部長にご説明をお願いいたします。

○厚生労働省説明者(森山厚生労働省労働基準局労災補償部長) 労災補償部長の森山でございます。よろしくお願いいたします。資料4をごらんいただきたいと思います。
 まず、理念・目的でございますが、そこに書いてございますように、労災保険制度、これは昭和22年に労働基準法の制定と同時に発足をいたしました。基本的にはその後改正を行っておりますが、まさに労働基準法に基づく使用者の災害補償責任、これを保険によって担保しているというものでございます。
 最後のページの参考というのをご覧いただきたいと思います。ここに沿革が書いてございまして、昭和22年に基準法と同時につくった。これは基本的に基準法、これに基づく罰則付きで災害補償をやっておりますけれども、それを保険という形でやることとした。その後、40年に給付の年金化、そしてまた47年に全面適用、48年に通勤災害に対する給付、それから介護(補償)給付、二次健康診断等給付という形で拡大をしてきたというものでございます。
 最初の1ページに戻っていただきまして、目的はそこに書いてございますように、業務災害、通勤災害に対して保険給付を行う。そして併せて、社会復帰の促進等の事業を行っております。
 適用でございますが、原則としてすべての事業に強制的に適用となります。それから、労働者につきまして、職種の種類を問わず、労働者に賃金を支払われるものに対して適用しているというものでございます。国家公務員、地方公務員、船員は適用除外となっております。事業場数は、263万事業場、4,855万人が今対象となっております。
 保険給付の内容でございますが、4ページをごらんいただきたいと思います。右の方に保険給付と書いてございまして、まず療養のために休業する場合ということで、これ療養給付、これが全額療養費の全額出ます。補償と書いてございますのは、業務災害の場合が療養補償給付でございまして、通勤災害は療養給付と呼んでいます。休業補償給付、これは4日目から60%、給付基礎日額というのはその平均賃金でございます。これで60%出していくと。ちなみに、3日目までは労働基準法で出すようになっております。
 傷病補償年金、これは1年6ヶ月を経過して治らない、症状が重いという場合、そこに書いてございますように、年金という形で313日から245日分の年金を出していくというものでございます。
 それから、障害が残った場合、これは年金、重い場合は1級から7級が年金でございまして、これも程度に応じまして313日分から131日分が出されます。それから、それ以下の場合、8級から14級の場合一時金でございまして、503日分から56日分が出ます。
 亡くなった場合、これは遺族補償給付でございまして、これも遺族の数に応じまして年金の場合、これは153日分から245日分の年金出ます。それから、遺族補償年金の受給者でない場合、これは1,000日分の一時金が出ます。ちなみに、7ページをごらんいただきたいと思います。7ページで年金と一時金の対象者が書いてございまして、年金の場合は業務上の事由により死亡した場合に労働者の収入によって生計を維持されていた次の方ということでございまして、妻とか夫とか子どもとか父母、それから孫、祖父母、兄弟・姉妹とございますが、年齢等によってこの遺族年金をもらえるか、それ以外の形として一時金という形でもらえるかが決まっております。4ページにお戻りいただきまして。ただいま申し上げました遺族補償給付、これは年金の場合と一時金の場合がございます。葬祭料、これにつきましては31万5,000円足す給付日額の30日分ということで、60日分を最低補償額にしております。
 介護を要する場合、これにつきまして、そこに書いてますように、常時介護の場合は10万4,590円、随時介護の場合は5万2,300円を上限として支給をしております。
 それから、最近残念ながら増えております脳・心臓疾患、これに関する異常所見を見るということで、二次健康診断等給付ということで、脳血管とか心臓の状態を把握するための二次健康診断、それからまた医師等による特定保健指導というものを行っております。
 これらが全体で保険給付でございます。
 それに加えまして、下の方でございますけれども、労働福祉事業として4つの事業を行っておりまして、例えば義肢等の支給、あるいはアフターケア、あるいは労災の就学等援護費の支給、それからいろいろな各種の労働災害の防止、こういう事業等を行っております。それから、また未払賃金の立替払事業、これも労働福祉事業として行っているところでございます。
 その左側の方で全体の額等書いてございます。併せてご説明いたしたいと思います。このページは18年度予算書いてございまして、全体としまして保険料収入、1兆318億円でございます。財源は、基本的には全額事業主負担でございます。一部国庫負担と書いておりますが、これは大体13億円ぐらいでございまして、基本的にはこれは全額事業主負担でやっているという状況でございます。
 これは、労災はそれぞれの事業の種類によりまして災害率異なるものでございますので、そこに書いてございますように、1,000分の4.5から1,000分の118までの各種業種の開きがございます。ちなみに、1,000分の118というのがずい道事業、こういうものは1,000分の118事業でございまして、1,000分の4.5は普通の金融業とかそういう事務職的なのは1,000分の4.5というような形になってございます。
 1ページをもう一度ごらんいただきたいと思いますが。1ページの3番目の別紙のとおりが先ほどご説明したとおりでございまして。※印で書いてございますが、業務中あるいは通勤中において、犯罪被害に遭って負傷した場合、これも業務の事由又は通勤によるものと認められる場合は労災保険の対象となるということでございまして。抽象的に書いてございますが。例えば今まで認められたのは、建設部長が現場なんかで作業の手抜きなんかを指摘して、部下の大工から例えば殴られたとかそういうことで負傷したというような場合は、これは業務、注意をしたことによって殴られたというような形で被災した。あるいは警備員が暴漢に襲われて被災したというような場合、こういうものは業務との因果関係があるということでございまして。個別事例でまた違いますけれども、基本的に支援あるいは指摘関係によってそういう暴行を受けたものではないと、業務との因果関係があるというようなものにつきましては、これは業務災害という形で労災の適用になっております。通勤災害の場合も、例えば暗いところに通勤途上で暗いところにあって、例えば暴漢に襲われて被災したというような場合も通勤途上、通勤災害という形で適用しているわけでございます。ですから、けんかとか私的関係があった場合、個別事案によって違いますが、そういうものでない限りは、つまり業務や通勤と因果関係が認められた場合には業務災害、通勤災害として認めているということでございます。
 それから、2ページでございますけれども、他の給付との調整でございますが、これも基本的に同一の事由について併給が行われる場合、例えばそこに書いていますような労災年金のいろいろな障害とか遺族とかございますけれども、例えば厚生年金保険等にも障害の厚生年金とかいうのがございます。同一事由について併給される場合には、この併給の方法は年金の種類によって違いますけれども、労災の方を一定の率で減額していく。例えば典型的には、障害更生年金と障害補償年金なんかの場合、労災の障害補償年金と厚生年金の障害年金なんかの場合は、労災の方を0.83掛けいたしまして、減額をして出している。厚生年金の方は全額出しているという調整になっております。休業補償給付と厚生年金保険の年金とも同じような考え方で調整をしております。それから、5番目でございますが、労災保険と民事損害賠償との調整。これも調整を行っておりまして、労災事故につきましていろいろな民事損害の調整、損害賠償請求ございますけれども、その調整につきましては両方の間で調整を行っております。第三者行為災害によった場合、これにつきましても基本的に、そこに書いてございますように、損害賠償が保険給付より先に行われた場合には損害賠償の額の限度で保険給付が減額をしておりますし。また、保険給付が損害賠償より先に行われた場合にはいわゆる求償権を取得して求償しているという状況でございます。
 それから、労働福祉事業をやっているということでございます。
 費用負担は先ほどご説明いたしました、全額事業主負担ということでございます。この保険料率は3年に一度見直しをしているという状況でございます。
 実績でございますが、次の3ページでございます。新規の受給者、16年度60万人でございました。保険給付の支払額合計で7,772億円強でございます。これが16年度の実績でございます。以上、大体概要でございます。
 最近の動きといたしまして、つい一番最近の国会での改正でございますけれども、複数事業所間の移動での災害、あるいは単身赴任者の方の赴任先住居と帰省先住居間の移動、これにつきまして通勤災害に加えるという拡大の改正を行ったところでございます。
 以上、資料のご説明でございました。よろしくお願いいたします。

○國松座長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明につきまして何かご質問がありましたらお願いいたします。

○平井構成員 今ご説明にはなかったんですが、5ページで特別支給金というのがございますね。この趣旨といいますか、少し補足説明いただきたいんですが。

○厚生労働省説明者 労働補償の給付水準に関しては、ILO条約とILO勧告ございます。例えば休業補償給付でやるならば60%というのはILO条約でございますけれども、勧告においてさらにそれを上回るものが望ましいというような形でILO勧告が出ております。それに基づいて、例えば休業であれば60%のものにつきまして20%を出していくとか、そういうことを行っております。これは基本的に労働福祉事業として行っているものでございます。だから、例えば休業した場合には80%のものを出しているということになります。

○白井構成員 最後の方の8ページ目のところで、新規受給者数が60万人ということになっているんですが。5ページ目の給付の一覧によりますと、特別支給金の方で一時金をもらって給付の方で年金もらうというようなことで、一時金と年金もらっている方を合わせてもらうわけですよね。

○厚生労働省説明者 そうです。

○白井構成員 それからまた年金だけの方と。

○厚生労働省説明者 ええ。

○白井構成員 そうすると、年々年金もらっている方が累積していくわけですよね。

○厚生労働省説明者 はい。

○白井構成員 そういう累積の変化の状況とかいうのはわかるんでしょうか。その人数といいますか、どういうふうに。今まで年々年金もらう人は累積していくわけですね。

○厚生労働省説明者 大体新規年金はここ数年労働災害少なくなっておりますので、減ってきておりますが、例えば平成7年でいきますと、8,000人が新規年金受給者でございました。経緯的に見ますと、平成16年でいきますとそれが6,600人でございまして、大体大ざっぱでございますが、直線的に大体減ってきているという状況でございます。
 年金受給者は、当然先生おっしゃいましたように、累積になっていまして、平成7年度は20万9,000人でございましたが、平成16年度は22万1,500人ということでございます。

○國松座長 それでは、どうもありがとうございました。以上で関係の省庁からのご説明及びそれに対する質疑が終わりました。
 次に、自由討議というところがあるわけでありますが、内容の実質につきまして自由討議をしております時間ございませんので、大分時間押してきておりますので、今日のメインの問題であります今後の検討の方法とかそういうやり方につきまして、何かさらに追加的ご意見等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 大体よろしゅうございましょうか。
 それでは、本日の自由討議を含みまして、実質的な審議は以上の程度にとどめたいと思います。ご協力ありがとうございました。
 なお、最後に、私からの今後の日程についての提案でございますが、第6回、8月25日までは既にもう決まっております。その後、この検討会の日程をどのように入れていくかということでありますけれども、これ余り前広にこの日程を出せと言われるとちょっとなかなか難しい。そうかといって非常に間際になって言われてももう全部埋まっていて皆さんも調整するのもこれも非常に難しいということで、どの程度前に皆さんのご意見を承っていけばいいかということが実はこれからの検討会の日程を定める場合に大変難しい問題でございます。
 そこで、私のほかのいろいろな検討会なんかに出ているときの経験からいたしまして、大体こういうやり方をすると割とうまく決められるんじゃないかというところのご提案をするわけでございますが。大体2ヶ月ぐらい前に、つまり例えば今度でございます7月まで決まっておりますので、8月以降が決まらないんですが、6月30日のときに8月のと、つまり2ヶ月先の日程を大体決めていくと。それもご欠席の先生もおられますので、その方にこの日だけというとご欠席なさった方もつらいところがあるだろうということもありますので。今後の開催としましては、2回前の、2ヶ月前の我々が集まったときに2ヶ月後の日程につきまして候補日と予備日と2日ぐらいを皆様からちょうだいして、大体この日とこの日はいいという日にちを決めて、そのどちらかから決めていくというやり方をすると比較的いいのではないか。余り1ヶ月前と言われましてもちょっともうなかなかつらいと。3ヶ月と言われても何のことかわからないという、そこの大体のいいところが2ヶ月ぐらい前かなという感じもするわけでございますが。
 これは皆さんは大変お忙しい方々ばかりでありますので、日程の決め方につきまして何かご意見がございましたらお願いしたいと思いますが。いかがでございますか。
 大体よろしゅうございますか。これは何も今決めたら未来永劫ずっとやるということではありませんので。大体そういうことで9月以降は6月に一回決めてみると。どうもうまくなかったらまた変えるということでいいと思いますけれども。とりあえず座長としての提案といたしましては2ヶ月前に2日間ちょうだいしてどちらかで決めるということで日程を決めてまいりたいと思います。
 それでよろしゅうございましょうか。
 では、それで、9月につきましてはそういうことでやってみたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 以上で本日の大体の日程は終了いたしました。
 最後に、事務局から何か連絡事項がございましたらお願いいたします。

○事務局 次回はスケジュールどおり、6月21日の午後3時から開催を予定しておりますのでよろしくお願い申し上げます。会場につきましては追ってご連絡を申し上げます。ありがとうございました。

○國松座長 それでは、これをもちまして第2回の経済的支援に関する検討会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


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