-
犯罪被害者等施策
-

警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 各検討会の開催状況 > 経済的支援に関する検討会 > 第11回議事録

-




経済的支援に関する検討会(第11回)議事録


(開催要領)
日時: 平成19年1月19日(金)15:00~17:30
場所: 合同庁舎4号館共用第4特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授

飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫元オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
巽 高英警察庁長官官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席振角 秀行金融庁総務企画局参事官
中野 雅之厚生労働省政策評価審議官
安井 正也経済産業省商務情報政策局消費経済政策課長

(議事次第)

1.開会

2.第13回検討会の日程調整

3.経済的支援制度のあるべき姿についての検討(6)

4.その他

5.閉会


(配布資料)

資料1論点対応叩き台資料  [PDF形式:29KB]
資料2國松構成員資料  [PDF形式:114KB]
資料3白井構成員資料  [PDF形式:71KB]
資料4内閣府資料  [PDF形式:19KB]



飛鳥井構成員資料  [PDF形式:32KB]



(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 お待たせいたしました。
 第11回の経済支援に関する検討会を開催したいと思います。
 本日は有識者構成員のうち、岩村構成員と佐々木構成員より欠席の連絡がまいっております。
 なお、自賠責も関係してまいりますので、国土交通省よりお忙しいところ、担当者のご出席をいただいております。ありがとうございます。
 それでは、本日の司会も国松座長にお願いを申し上げます。

○國松座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 本日の議事につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 議事次第にございますように、本日は次々回、第13回の検討会の日程調整の後、前回の検討会に引き続きまして、國松座長から私案として提出されました論点対応の叩き台というものをもとに、経済支援のあるべき姿の中間取りまとめへ向けてのご検討を行っていただければと考えております。

○國松座長 それでは、ただいま事務局から説明があったように議事を進めてまいりますが、まず3月の検討会の日程について調整をしたいと思います。

(日程調整)

○國松座長 それでは、3月19日ということで日程を入れさせていただこうと思いますので、3月19日の午後3時ということでよろしゅうございますか。
 では、それで開催をいたすことにいたします。
 では、検討を進めてまいります。
 何点か資料があるようでありますので、事務局からご説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 まず、資料の1ですけれども、これは前回の検討会でも配付いたしました論点対応の叩き台でございます。
 資料の2につきましては、事前に配付をいたしておりますけれども、シミュレーションということで、座長より提出された資料であります。これは座長の叩き台に沿いまして、事務局の方においてシミュレーションしたものでございます。
 若干ご説明を申し上げます。資料2をお開けいただきたいと思います。
 まず、試算の前提でありますけれども、まだまだ議論が詰まっておりませんので、一応試算の前提としては17年度の犯罪被害者等給付金の実績、被害者数等をもとにして試算をするということで考えました。
 それから、現在の犯罪被害者給付制度しかないものですから、今のところ具体的にそれ以外に参考とするものはございませんので、これを前提として給付額を引き上げるということで試算をさせていただいたところであります。試算のシミュレーションを3つに分けまして、遺族と障害と重傷病給付ということで3つに分けてシミュレーションしております。
 まず、遺族給付金についてでありますけれども、17年度、遺族給付金の支給を受けたのは209人、そのうち扶養関係があると認められたのが60人ということでございました。全体の額が約9億5,000万円ということで、1人頭平均が454万円という実績がございます。これを今最高限度額1,573万円ですけれども、これを約3,000万円に上げるということにいたしまして、しかしながらみんながみんな1,500万円もらっているわけではないですから、平均額454万円ということですから、大体3分の1ぐらいですよね。そういうことで、1,000万円が扶養関係にある60人について給付されるということを仮定をいたしまして、1,000万円掛ける60人ということで、約6億円ほど必要ではないかということです。
 それから、それ以外の扶養関係のない遺族149人については、この平均額がそのまま給付されるということにいたしまして、454万円掛ける149人ということで、約6億8,000万円ほどと。合わせまして12億8,000万円近くになるわけですけれども、これで17年度に支給裁定されましたのが9億5,000万円ありますから、これを引きますと約3億3,000万円近くの追加の財源が必要となると、こういうシミュレーションでございます。
 それから、1枚めくっていただきまして、障害給付金の給付を現在より手厚くするのだということで、障害給付金を71人がもらっていますけれども、その総額は1億7,000万円ほどでありまして、被害者1人当たり約235万円ということになっております。シミュレーションですけれども、まず1級から3級のいわゆる重度障害者については、それぞれの自賠責の限度額いっぱいいっぱいを給付するものとして計算をいたしました。そうしますと、第1級は4,000万円で、この受けた方が10人ですから4億円、それから2級が3,000万円で3人ということで9,000万円、3級が2,200万円ちょっとですけれども、2人ということで4,400万円ということで、トータル5億3,500万円ほどが必要になると。それから、4級から14級につきましては、1被害者当たりの平均額235万円がおおむね倍になるということで、これも仮定でございますけれども、約470万円支給するものということで56人を掛けまして、約2億6,000万円ほど必要になるのではないかと。合わせますと、約8億円のお金が必要になるわけですけれども、それから17年度支給されました1億7,000万円を引きまして、追加となるお金が約6億3,000万円というふうに試算をいたしております。
 次に、1ページめくっていただきまして、第3の重傷病給付金でありますけれども、これにつきまして、医療費とは別に新たに休業損害を考慮した給付を行うということが私案で示されておりますので、これにつきましてシミュレーションをしてみました。
 支給されたのが114人、総額が1,653万人ということになっております。この重傷病給付金はご案内のように去年の4月からかなり対象が拡大されておりまして、人数なんかも本当はもっとふえると思うんですね。しかしながら、そういうことがなかなか予測がつきませんので、人数はそのままにいたしまして、そしてあとは自賠責の保険金の休業損害と慰謝料を合わせての支払い限度額が120万円ということになっておりますので、この120万円、丸々これを出すかどうかもまだ全然決まっていないわけですけれども、一応これを120万円ということで、そこから重傷病給付金が既に出ていますから、その支給裁定額を引きまして、約105万円が休業損害ということで一応仮定をいたしまして、その105万円掛ける人数は114人のままということで一応算定をさせていただきました。これによりまして約1億2,000万円、これは新たに今の犯罪被害者給付制度にないものをつくるわけですから、1億2,000万円が丸々追加になるということで、この遺族、障害、それから重傷病給付の3つを合わせまして、トータルで約10億8,000万円ぐらい増加になるのではないかと。支給裁定総額が17年度11億3,000万円ですから、おおむね倍増というような感じのシミュレーションをいたしたところでございます。
 全くのあらあらでございますので、ご参考にしていただければと思います。
 それから、資料の3でございますけれども、白井構成員より提出されました犯罪被害補償制度の要綱、あるいは想定予算額等の4種類の資料がついてございます。
 それから、資料の4でございますけれども、これも事前に配付してございますけれども、財源のモデルを示せないかというようなお話がございましたので、事務局の方で作成をいたしました資料でございまして、一応諸外国の例を見ながら、一般財源型ということでイギリス、ドイツ、日本のそれぞれの金額、それから罰金型ということで、アメリカは罰金、あるいは課徴金等を財源としてやっておりますので、アメリカの状況と我が国における罰金の額とか起訴の人員だとか、反則金の納付額等を全くの参考ですけれども、掲げさせていただいております。それから、保険徴収型ということで、フランスは1保険契約について3.3ユーロを徴収しておるわけですけれども、これについての状況をご説明をさせていただいております。
 備考といたしまして、要は総額等に大きな日本と諸外国は開きがあるわけですけれども、これはそこにございますように、そういう給付金の対象となるいわゆる凶悪犯、性犯罪等のこれは検挙人員になっておりますけれども、要するに発生がおおむね5倍から10倍諸外国は多いということと、この支給件数もかなり諸外国は多いわけですけれども、これについてはほとんどの国で我が国よりももっと軽い傷害についても支給がなされている模様であるということを備考として掲げさせていただいたところであります。議論の参考としていただければと思っております。
 それから、本日飛鳥井構成員より、いわゆるカウンセリングの費用負担につきましてご意見をいただきました。その資料を別表記で置いておりますし、別途また白井構成員より補償額における諸外国との比較表みたいなものも出ておりますので、これもお配りをさせていただいております。
 また、前回の検討会で財務省の出席についてご要望があったわけですけれども、財務省にお伝えをしたのですが、検討の段階で意見を述べることはなかなか難しいということで、ちょっとご出席は難しいというご返事でございました。
 私からは以上でございます。

○國松座長 それでは、資料のご説明を若干補足的にしていただいた方がいいと思いますが、飛鳥井構成員はすぐ後でカウンセリングの話が入っています。そこでご説明いただくということでよろしゅうございますか。
 それでは、白井構成員提出の資料は、これは資料として本日の議事録の中に一括してといいますか、一体のものとして入れるわけでありますが、何か補足的にご説明いただくことはありますか。

○白井構成員 白井でございます。
 本日提出した資料をちょっとご説明させていただきます。
 まず、全国犯罪被害者の会でつくりました犯罪被害者等補償制度(案)要綱というものがありまして、新しくできる補償制度はこういうふうな内容にしてほしいということでございます。
 次の資料は想定予算額というものでございまして、この想定予算額というのは、もしあすの会の犯罪被害者補償制度(案)要綱に則して、おおよそのシミュレーションをした場合にどれぐらいの予算がかかるのかということを出してあります。大体対象人員というのは、基本的には現在の犯給法で支給が裁定されている裁定実績の件数等を参考にしながらも、性被害の方々とか、それに漏れている方々を多少修正しながらシミュレーションしたものであります。
 それだけでは自賠責の政府保障事業並みという前回の議論とかみ合いませんので、一番最後のページに、もし仮に政府保障事業と同じ補償内容でシミュレーションした場合に、どれぐらいの予算がかかるかということを想定してございます。それが3ページに書いてあるものでございます。
 そして、次の資料は犯罪の処罰によって国が得ている収入と加害者の処罰に支出している予算の現状をこの検討会に出された法務省の資料、あるいは警察庁の資料に従って整理したものでございます。もちろん処罰による収入は国の一般財源に入りますし、反則金は使途が特定されているわけでございますけれども、一応数字的に見ますとそのような形になっていると。約2,000億円に対して被害者への支出の割合は約12億円程度と、そういう資料でございます。
 それから、もう一つこれはどういうものかといいますと、現在の犯給法に基づく給付金と座長私案のシミュレーションがなかなかちょっと難しいのですが、大体その倍ぐらいを予想してということに基づいた座長私案の金額と自賠責保険の政府保障事業に基づく方式で計算したものと、さらに実際の加害者に対する損害賠償として算定する場合はどうなのかということですが、特にこれは慰謝料を除いた逸失利益のみを算定してあります。これは20歳の学生というような想定と45歳で家族もいるような場合の想定をいたしまして比較してあります。その比較の計算の説明等の資料がここに提出してあります。
 最後に、本日提出させていただいた資料は、補償予算額の各国比較は出されましたが、単純に総額だけを比較しても意味がないということですので、もしこれを人口比に直した場合どうなるかという比較をしたものであります。
 もし日本の人口比にならって各国を修正いたしますと、およそ各国の金額は日本でもし実施した場合はそれぐらいの金額になると。各国の国民1人当たりの犯罪被害者の補償金のための予算の負担額でございますが、支給総額を単純に人口で割って単純に出したものですけれども、そこにありますように日本は8円71銭ということで、ほかの国と比べると、国民1人当たりの負担額というのがものすごく少ないという、そういう資料でございます。
 中身はどうしましょうか、一つ一つの中身はここで説明いたしますか。

○國松座長 このシミュレーションといいますか、想定額ですね。数字につきましては、私の案ということで、私が事務局に依頼してつくってもらったものがあります。その突き合わせということを、数字ですから、やらないといけないと思いますが、ここで一つ一つやっていきますと、そのことで時間ばかり食いますので、これは白井構成員の案なんですか、それとも被害者の会の案なんですか。

○白井構成員 被害者の会で検討したものですが。

○國松座長 その案の一つ一つ、例えば95億円の根拠になる数字のところは事務局の方でちょっと突合させていただいて、それでやったらいいと思います。

○白井構成員 大枠の一番根本的に違うところを……。

○國松座長 だから、その基本的な考え方のようなものを言っていただいて、数字が幾ら、幾らといって今やっても、時間ばかりかかってどうしようもありませんので、それは後で事務局で少し整理して、私のつくったシミュレーションの案と一回突き合わせるという作業は後刻やったらいいのではないかと思います。次回までの間で、白井構成員との間である程度突合した上で、次回各構成員にはご報告をするという形にした方がいいのではないでしょうか。議論をする話ではないと思いますね。だから、基本的な考え方で、こういう考え方であるんだというところがありましたら、補足的にお願いいたします。

○白井構成員 基本的に、このあすの会の案というのは、被害者の方々の実情に合わせて、本当に大変な被害者の方々にどんな援助が必要なのかという、そういう各費目ごとにどういうことがどれだけ必要なのかということを基本的に構成して、この補償制度要綱案でも補償の内容というものを基本的に決めてあります。ですから、それに従ってどれくらいの金額がかかるのかということをやってあるわけなんですが、この座長私案に基づくシミュレーションだと、どこが一番大きく違うかといいますと、座長私案の場合にはあくまで現在の犯給法の支給算定システムをほとんど変えることなく若干の修正をするという形で恐らくやっていると思うんです。ですから、平均支給額四百何万というものに対しておおよそ倍額をするとどうなるかというようなシミュレーションの仕方をすると。そうすると、前回私が言いましたように、例えば20歳ぐらいの方で損害賠償金で計算すると、それこそ1億円を超えるような方であるにもかかわらず、実際に現在の犯給法で支給されるものは400万円ちょっとのものしか支給されない。それを倍額しても九百何万にしかならないと。その基本的なシステムを根本的に変えないまま金額を倍額する。特に1級、2級の重症の方については、満額が支給できるようにするということですので、その他の方はシステムそのものは変えないまま、それを倍額する形でしか過ぎないわけです。
 それで、今回シミュレーションで休業補償というものを別に105万円の平均金額として見ていた。これは恐らく自賠責の政府保障事業に合わせた金額ということであるとは思うんですけれども、実際に後遺障害の認定になる前の事件から本当に入院中、あるいはなかなか治るのか治らないかわからない。家族が心配してどうなるかわからないというような時期がずっと経過していくわけですけれども、その間の休業補償とか、あるいは医療費とか介護費とかカウンセリング費用とかというものをそれをどのように構成するかという、ここがこのシミュレーションだと、確かに休業補償だけは120万円の範囲内で一定限度重傷病に合わせて別途支給する形になっておりますが、カウンセリングにしても介護にしても、そのほかのものは全部一時金の中で算定する形になっているわけですね。ですから、基本的には現在の犯給法の仕組みを大きく変えないままやるという、そういう考え方なんです。
 ところが、このあすの会の方のやり方は、あくまで一時金は一時金としてそれを満額支給できるようにすると。それは死亡の場合の一時金、それから後遺障害が認定された場合の一時金、これは自賠責の政府保障事業と同じように、できる限り満額が支給できるようにするということを前提としながら、さらに後遺障害が認定されるまでの間の入通院期間の間の医療費だとか介護費だとかカウンセリング費用とか、そういうものは別にきちっと被害者の実情に合った形で手当てができるような、そういう仕組みにしてあるわけですね。ですから、そこのところが根本的に違うところだと思います。それで金額が違ってくるのだろうというふうに思います。
 この案を私どもの予想の推定予算額、それから補償制度の要綱等を先日、22日に行われました自民党の委員会の方にも提出させていただきました。その際国会議員の先生方からも、これはこういうほかの国との比較をしてみても、日本の被害者に対する補償額というものは予算の総額がゼロが1つ桁が違うのではないかというような、そういうご意見まで出まして、これは相当の検討を要するので、ぜひ検討会の方でもこのあすの会の案も含めた形できちっと検討してほしい、というような国会議員の先生からのお話もいただきましたので、ぜひそういう点で被害者の実情に合った中身を検討しながら、どれぐらいの予算もかかるものなのかということも考えていただきたいというふうに思います。

○國松座長 今の点について、私がどこまで言っていいのかということがありますけれども、とにかく私の出した案というのは、確かに通院費とか、そういったようなものは一時金の算定のときに考え、考慮に入れればいいではないかという形で一応整理はしてありますが、すみませんが、そのことはまだ審議されていないことなんですよね。私の出した案、私の出したペーパーの性格というのはよくご理解をいただきたいんですが、この検討会が出す答申といいますか、あるいは中間報告といいますか、報告案、そういうものの内容を書いたものではないんですね。あくまでそれはこれから書くことで、その議論はこれからして、まさに給付の内容についてはご意見はまだ十分出ていない段階だと思います。ですから、そういうこれから議論していく方向性を示した、こういう項目について、大体こういうことを考えているんだけれども、これでいかがですかと、その方向性を今出していこうということでありますから、これがそっくりそのまま既定事実として一つの報告案として出てくる、そういうつもりで考えているというようなものではないわけであります。ペーパーの性格をひとつよくご理解いただきたいというのがまず一つ。
 それから、こちらの95億円になるこの想定予算額の案ですか、これなんかはまさにこれからやる医療費をどうする。それから、あるいはその他いろいろなカウンセリングの費用であるとか、それから休業補償とか葬祭費とか慰謝料、そういうことについて、中に含んであるのか、外に出すのかということについて、まさに今日これからやっていこうということでありますから、基本的には一時金の中に入れるかどうかというのは、一つ一つは検討して、これはとにかく中に入れてもらっちゃ困るんだよ。外にきちっと、例えば介護手当なら介護手当費用というのは外に出した方がいいのではないかとか、そういうご意見はこれからやっていただく話だろうと思います。したがいまして、いわゆる給付水準について、大体自賠責並みでいこうよといったことだけからいろいろなことを全部決められても、決められてといいますか、決めつけて物を言われましても、こっちもちょっと困る。特にご意見の中でちょっとあいまいだということがありますが、これはあいまいなのは初めからわかっているので、その点を補っていただくために、これから皆さんのご意見を聞いていこうという性格のものではないんでしょうか。このあすの会の案はわかりましたが、数字そのものについてはちょっと事務局において突き合わさせていただくことにいたしたいと思います。
 ただ、もう一つ言っておきますと、算定のやり方というのが今被害者の実情に合った形になっていないとおっしゃいましたけれども、それはどうやって合わせたらいいかということについてご意見を言っていただいたらどうなのでしょうか。私の案が言っているのは、今はちょっと低過ぎるので、自賠責並みといいますか、倍額にするところまで上げて、それで給付水準としては考えてはどうだろうかということを言っているわけであります。それに従って、当然最低額のところも上がっていくんだろうと思います。それから、算定の仕方も今までどおりでいいのか、悪いのかというのは、まさにそれは実情に合ってない算定の仕方なのであれば、少し変えていくということは当然そういう必要があるのであれば言っていただければいいということだと思います。
 だから、これからいろいろご議論をいただくといいますか、答申といいますか、報告の中身を書くときにご議論いただくことを今の段階で言っていただいても、ちょっと困るのではないかという感じがいたしますね。

○白井構成員 白井ですけれども、基本的にこれから中身を決めていくんだということについては、そのとおりだと思うんですね。ただ、今私がこれは資料の説明の際に、本当は細かく中身を説明すればいいんですが、そんなことをやっていると時間がかかるので、大枠だけを今説明させていただいたんですね。

○國松座長 それで、したがって大枠だけで議論いたしませんから、それで細かな数字の例えば医療費がどうとか……。

○白井構成員 それで、数字の前にぜひともやっていただきたいのは、補償のやり方といいますか、医療費とかカウンセリングとか、今まで議論してきたのがありますよね。ずっと10回の検討会の中で、これはどういうふうにしたらいいか、ああいうふうにしたらいいかと議論してきたわけですよね。それで、そのことが非常に大事だと思うんですね。補償のやり方、先にお金がありきではなくて、先にどういう援助が必要なのかということをもう少し細かく議論していただいて、座長がおっしゃるように、そういうことを細かくやりながら、最終的に数字というものを考えていくという、そういうことの方が実情に合うと思うんです。ですから、こちらの方の要綱の説明もそれぞれの項目のところでどういうふうにしたらいいかという議論をしていただけるのであれば、それぞれの項目のところで私も今日提出した資料をさらに細かく説明させていただきたいと思います。

○國松座長 これから給付の内容に入ってまいりますので、そこで議論していただきたいと思いますが、今でも既に医療費をどう扱うとか、カウンセリング費用をどうするかということについては、大体の話は出ております。それを踏まえてある程度書いたものでありますから、したがって必ずしもあすの会のおっしゃるようなことになるかどうかは別でありますけれども、それぞれの項目のときに、ここは考え方はこうであって、額の方はもうちょっと事務的に詰めてやらないと、こんなかけ違った数字が出てしまっていますから、それをある程度事務的な突き合わせがむしろ必要であろうと思いますけれども、基本的な考え方について、これからそれぞれの項目のときにご発言いただければいいのではないかと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、前に進みたいと思います。
 実は前回の検討会では、(3)の財源を何に求めるべきかということについての検討は途中で終わっておりました。今回、さらに詰めようということでございます。そのときに、叩き台のペーパーの第2ページ目の黒丸にお示しした有罪判決を受けた者から一定の金額を徴収する制度というものをつくったらいかがなものかという案が出ているので、それにつきまして、先般法務省からご発言があるということですが、時間的にちょっと時間がなかったので、今回に先延ばしした経緯がございます。法務省からこの点に関するご発言をお願いいたします。

○法務省大臣官房審議官 前回の叩き台の2ページの一番上でございますが、基金の財源として、有罪判決を受けた者から一定の金額を徴収する制度の導入ということが掲げられておりますので、その点について若干申し上げます。
 ここに書かれておりますのは一つの考え方であろうというふうに思いますが、その詳細が出ているわけではありませんし、またもともとこの基金でどういうことをするのか、あるいはそこでどれだけの財源が必要になるかということと、制度の内容は関連するわけでありますので、その点は留保せざるを得ないわけでありますが、まず一般的にそういった被害者の支援、救済のための基金というものを考えるとして、それにこのようなものを財源とすることはどうだろうかということで、あくまでも一般的な問題として考えてみたらどうなるかということで申し上げます。
 1つは理屈の問題になるわけですが、こういった徴収金をどういう法的性質のものととらえるかということにつきましては、いろいろな議論があり得ると思いますけれども、我が国の刑罰といいますのは、現在刑法で死刑から懲役、禁錮、罰金、拘留、科料といった形で刑法の中で法定されていますし、また今回のこの徴収金というものが、行われた犯罪の責任に応じて金額が算定されるというものではないのだろうと考えられることからいたしますと、この徴収金は刑罰ではなくて、むしろ基金の財源を確保するという行政目的に基づく財産上の負担ということではないかと考えられるところであります。
 前回、岩村構成員がこの点について、前回のご説明にあった独禁法とか、あるいは証取法のいわゆる課徴金とはやや性格が違うもので、目的税的なものではないかというふうに言われましたけれども、その趣旨も今私が申し上げたような説明と同じことではないかと考えられます。ただ、そういう性質のものであるといたしますと、犯罪被害者の支援、救済のための基金の財源を負担する理由といたしまして、有罪判決を受けたということが果たして合理的な理由になるのだろうかという問題があるということでございます。有罪判決の大半といいますのは、いわゆる犯罪被害者を生まない特別法犯、特別法違反の犯罪であるということからいたしますと、犯罪被害という問題に関しましては、まさに原因者でも、あるいは受益者でもないという者になるわけでありまして、そういう人がそのような一定の行政目的のために特別の負担を負うということに合理性があるかというと、かなり疑問があると言わざるを得ないところでございます。
 こういう理屈の問題のほかに、実際上の問題としてかなり大きな問題があるという点をご説明いたします。
 罰金刑でありますとか、あるいは独禁法、証取法等の課徴金は、性質としては制裁として課されるものでありますので、その制裁を実現することに意味があるということであります。ですから、その実現のために一定の行政コストをかけるということも正当化できるものであると考えられます。ところが、この提案される徴収金というのは、財源の確保が目的でありますので、その徴収自体にあまり行政コストをかけられないという問題があります。課された人が任意に徴収金を支払えば、もちろんコストはあまりかからないわけでありますけれども、徴収金を支払わない場合に、何か不利益が生ずるかというと、例えばそれによって身柄が拘束されたり、あるいは何らかの別の行政処分が行われるということになれば、任意の支払いを確保する担保になり得るわけですが、今回の場合、そういう制度がなかなか想定できないところであります。例えば、罰金の場合にはその不納付に対しまして労役場留置という処分がありまして、身柄が拘束されるという制度がございます。そういう制度が存在すること自体によって、任意の支払いが促進され、確保されている面がございますが、徴収金についてそのような制度というのはなかなか想定しにくいというところでございます。
 任意の支払いを担保する措置がない場合には、最終的には強制執行を行うほかないわけでありますけれども、具体的にどういうふうにこれを行うかといいますと、これは徴収機関におきまして、相手の所在を捜査、調査したり、資産を調査した上で、手続的には法務局に依頼をして、裁判所に強制執行の申し立てをするということになるわけでありまして、恐らく少額の金額を徴収するために、こういった形で行政コストをかけるというのは、現実にはできないことではないかということでございます。
 結局、こういった制度を設けても、その徴収の実現にはかなり大きな困難がございまして、結果としていわゆる逃げ得を許さざるを得ないという問題があると考えられます。要するに、私どもとしては、こういった制度でありますと、なかなか実現は困難と言わざるを得ないと考えているところでございます。

○國松座長 今、法務省の方からお話のあったことについて、何かご意見はございますか。
 私から一つ質問というか、あれなんですけれども、今申しました有罪を受けた者がここで言う課徴金と言われているものを負担するというのは、ちょっと言ってみればつながりがないということですね。有罪を受ける者というのは、ほとんどが特別法犯であるとか、そういうものなので、被害に結びつかないということですよね。これはアメリカなんかの場合でも、話はそう違わないので、にもかかわらずやっているというところもあるわけでありますから、その辺の踏み切りというのは理屈の問題というよりも、むしろ政策判断の問題と言うべきではないのかなという気もするんですが、その点はいかがですか。本当に純粋、理屈の上では絶対理屈が立ちませんという話でもないのではないかと。

○法務省大臣官房審議官 確かに、アメリカでは、本日の資料にも一部書かれておりますけれども、州などでそういう徴収金の制度があるということでありますけれども、私どもの承知している限りでは、そのように行われている制度というのは、アメリカでの位置づけとしては、それは刑罰であるというふうに考えられておりまして、その限りで言いますと、先ほど申し上げた理屈の問題のところで申し上げた財源確保という行政目的との関連で合理性があるかというような問題は、その限りではやや引っ込むかも知れません。ただ、逆に言いますと、なぜそのような刑罰が認められるのかということがむしろ問題でありまして、この点は私どもは断定的に申し上げることは難しいわけですが、あくまでも一般的に申しますと、アメリカの裁判所というのは非常に幅広い権限を持っておりまして、刑罰の種類も日本の先ほど申し上げたような刑罰の種類にとどまらず、いわゆる社会奉仕命令であるとか、損害賠償命令であるとか、非常にさまざまなものが認められているわけでありまして、ある意味ではそういった刑罰とか司法というものについての考え方において、日本とアメリカでは相当基本的な考え方の違いがあるということではないかと思います。
 それから、もう一つはアメリカで徴収が実際どの程度、どういうふうに行われているかというのは、正確にわからない部分がありますけれども、一般的に申しますと、アメリカの場合は裁判所の命令に対する拒否というのは、身柄拘束を伴う制裁が課されますので、こういう徴収金の支払いを担保する一定の仕組みがあるというふうに考えられます。
 それから、アメリカの場合にはご承知のように司法取引というのが非常に広く行われておりますので、有罪を認めて刑に服するということを条件にして起訴の数を減らしたり、あるいは量刑を軽くするというやり方がありますので、そういったものを通じて支払いを確保するということも考えられるわけでありまして、私どもとしてはアメリカ、よその国で行われている制度であるといっても、前提となる法制度がさまざま異なる場合には、なかなか同様のものをつくるといっても容易ではないということをご理解いただければと思います。

○國松座長 わかりました。
 非常に理屈の立て方が難しいというのはわかります。この議論をあまりしていても時間ばかりかかると思います。私なんかがちょっとこれを考えましたのは、罰金を財源にして被害者対策をやったらどうかということをいろいろ言いますが、結局既存のパイの取り合いみたいな形にしかならないと。そうすると、結構額は上げなければならないときにちょっと限界があるので、何らかの形でこれは一つの政策判断でいけるものがあれば、新たな今までにない財源を確保することによって、話がうまくいくのではないかというあれがあるものですから、ひとつこういう形のあれはどうだろうかということを言ったまでであります。前回も財源のときの問題としては、一つだけではなくて幾つか考えてみて、その選択ができるようなところを検討会の意見として出していったらどうだということもありますので、私はある意味では言い出しっぺみたいになっていますが、必ずしもまだあきらめているわけではありませんが、難しいというのはわかったと。ただ、今後は次に何かその辺のところをうまい理屈が立てば、財源問題、これはいいでしょうということになれば、大変やりやすいことにもなりますので、ちょっともう少しこれは検討させていただきたいと思います。今の法務省のご意見はよくわかりました。
 白井構成員、何かありますか。

○白井構成員 これはちょっと参考なんですけれども、今の課徴金の問題ではないんですが、私どもは基本的には一般財源の方できちっと手当てをしていただくということが一番いいというふうに考えているんですが、一番最新の日本経済新聞に掲載されたニュースなんですけれども、裁判員制度のために新たに予算をとった金額が載っていたんですが、広報啓発活動に17億円、裁判所の裁判員用の改修の費用のために220億円もの新たな予算を獲得しているわけですね。そのほかに、これは日弁連の方でずっとお願いしていたんですけれども、被疑者国選、これで国選弁護の費用もまた十何億ですか、約20億円近くのお金が新たな予算として獲得されているわけなので、本当に国民のためにいいものを制度設計してつくるということであれば、一般財源の中できちっと確保をしていただくというのが基本ではないかなというふうには思うんですけれども。

○國松座長 もちろん一般財源でやれればきれいだなとは思いますけれども、一般財源というのは本当に難しいんですね。ですから、何か外へ出すといいますか、一般財源の外で何か泳げないかということは、もうちょっと考えてみる必要があるように思います。
 ほかに何かございますか。
 どうぞ。

○平井構成員 ちょっと座長のご意見に関連するのですけれども、今日の資料の財源のモデルには書かれておりませんけれども、イギリスでも先ほど触れられたような刑罰課徴金に基づいて新たに被害者基金というものが設けられています。いわゆる性犯罪被害の対応ということでなされているケースがあるわけですけれども。先ほどはアメリカの例ですけれども、このあたりはどう理解すればいいですか。

○國松座長 どうぞお願いします。

○法務省大臣官房審議官 ちょっと正確に制度の中身を伺わないと何とも申し上げられませんが、もともと裁判所に非常に裁量といいますか、幅広い権限を認めるというのは、アメリカもイギリスも非常に共通する法制でありますので、その辺の発想が前提にある可能性はあるかと思います。詳細はその制度の中身をもう少し伺った上で、何かあればまたご説明させていただきたいと思います。

○國松座長 平井構成員の今のお話というのは、この間ご発言になった海外調査に関する調査結果概要というのがございますね。あの中で触れておられた別枠で出てくるという、この部分でありますか、どうなんですか。

○平井構成員 そういう意味です。ここでのヒアリングで……。

○國松座長 内務省でやるものがある。内務省、犯罪被害補償審議会ですか、これでやっていくのがあって、それとは別枠で出る。

○平井構成員 別枠で新しく。たしか瀬川構成員からご質問があって、私がお答えしたと思うんですが。これはここのヒアリングでイギリスのケースについて、奥村教授からご説明がありましたけれども。そこにそういう趣旨がございまして、そういう意味でちょっと記憶にあったものですから、全く同じようなケースなのでご質問しました。

○國松座長 わかりました。私のメモがちょっと不正確であったかもしれませんが、私も調べてみまして、私の案をサポートするようなあれになっていただくとありがたいということで、法務省の方に再チャレンジをしてみようと思いますけれども、今日はこの辺はあまり議論している時間はないと思います。次回またもう一回財源はどのみちぶり返すと思いますので、そのときに一つのやり方としては、ちょっともう少し継続して検討してみたいというのが私の考えであります。
 その程度で、えらい先を急ぐようでありますが、これは非常に大きな問題でもありますので、ひとまずここでの議論はこの程度にして、後でまた財源につきまして議論をぶり返してみたいと思います。
 次に進みます。
 2の経済的支援の内容に関するものでございます。
 (1)経済的支援の内容はいかにあるべきかという項の検討に入ります。
 まず、(1)の医療費についてでありますが、1年を超える医療費の自己負担分についても国が負担するべきかどうかというようなご意見もございました。これにつきまして、私の一つのあくまでこれは議論の方向の整理ということでありますが、これは今3カ月から1年間というところに延ばしたばかりでありますので、当面はその運用を見るべきではないだろうかということで、次の答申の中身は考えていったらどうだということでございます。この点につきまして、どうぞご自由に、そういうことでは困るというご意見も含めてご議論をいただきたいと思います。これについてのご意見をお伺いしたいと思います。
 どうぞ。

○白井構成員 白井ですが、1年をということで、先ほど私が提出した想定予算額の算定をした場合も一応医療費については、1ページ目で(1)というところなんですが、高額医療の補償から外される分の8万円に12カ月を掛けて算定したわけなんです。ですから、1年をという意味でいけば、座長のお考えとそういう点では期間的には一致はするんですが、一番最初のころに私はここの検討会で出させていただきましたように、Aさんのように、火傷の手術を何年にもわたって何回も繰り返さなければならないと、そういう被害者の方もいらっしゃいますし、背骨から首にかけて100発も猟銃の弾が入ったまま医者にずっとかからなければならないというような方もいるわけですね。
 それで、基本的に1年というようなある程度限界は必要なのかもしれないんですけれども、どうしても必要な方にはその必要に応じて援助ができるように、特にそういう必要が認められる場合はこの1年という原則はあるけれども、特に必要が認められるような、そういう被害を受けている方については、それも特別に認められるような、そういう例外といいますか、そういうものも認められるような定め方というのをしていただくことはできないのでしょうか。

○國松座長 その点はまた後ほどご議論いただければいいと思いますが、私の案でも例外的な場合の救済措置ということで触れているんですが、実は一つの制度設計というものを考えた場合、確かに被害者の実情を見れば見るほど、いろいろなケースがあると思いますが、制度設計を見る場合、どうしてもある程度標準的なところをとらまえて、それに対してどういう措置をするのかというところを中心に考えませんと、あまり例外的なところだけについていきますと、どうしてもうまくいかないということが出てくると思うんですね。ただ、しかしセービングクローズというか、そういうものは必要であると。例外的な場合については、何らかの形の手が打てなければいけない。これで原則終わり、はい、それで終わりでございますというのではない何か措置が必要であろうと思います。
 私の頭の中にあるのは、そういう場合にはまた別のところとの絡みもいろいろ出てくるのでありますが、支援基金であるとか支援機構というようなものがある程度いろいろなところから財源を集めてできるようになるのであれば、そこにきちっとした審査をする機関を設けて、これは1年ではうまくいかないねというような例外的なケースがあったら、それはその基金なり機構なりで救済をしていくと、そういう仕組みというのは必要なのではないかと。公的資金を使ってやっていく場合の原則論の立て方というのは、何かちょっと標準的なケースでは大体この程度で、1年なら1年で切ってみましょうとか、そういう一つの区切りをつけるというのは必要なのではないかと。ただ、それにはまらない場合はだめというのではなくて、何か別の形でいろいろな形で見ていくという、そういう仕組みの方がいいのではないかと。その点については、私は恐らく白井構成員と同じような考え方で言っているんだと思います。ただ、同じ公的な資金、特に一般財源でやるというようなことになりますと、そこのところはあまり例外にわたって何年もやりますということをきちっとあまりにも書き過ぎますと、そこの部分だけが非常に膨大になってきてしまうというか、仕組みがちょっとゆがむといいますか、そういう形になるのではないかという感じがいたします。

○白井構成員 確かに、おっしゃるように原則というものはきちっとしておかなければいけないとは思うんですけれども、新しい補償制度ということできちっとやる場合には、本当に必要な人に対しては必要なものが補償されるんだということを明文できちっとさせるべきだと思うんですね。それを定めたからといって、対象になる方の人数というのはそんなに多くなるわけでもないし、また次第、次第に回復が少しずつでもしていけば、医療費そのものもかかってくる金額もかなり減ってくるというわけですので、それを定めたからといって予算額がそんなにふえてしまうという、そういうようなことにはならないと思うんです。ですから、被害者の方にきちっとこういう場合にはこういうふうに医療はすべて無料で受けられますよと、ここからこっちは何々保険で、ここからここまでは犯罪被害者給付制度で、ここからここまでは何々基金でというようなことを一々やるのでは、被害者の方も安心できないと思うんですよね。
 それで、特に医療費というのは事件直後から一番最初にかかってくる被害を受けて、1カ月後には病院から何十万円も、時には100万円を超えるような請求を受けなければならないというようなことがありまして、それが入院するときからこういうことであなたの場合には負担しなくてもいいんですよということがわかるのとわからないのとでは、全然違うと思うんです。ですから、仮にもし1年を原則にするということは、それはそれで定める必要はあるのかもしれないんですが、きちっとどうしても必要と認められるような場合には、それも補償しますよということもその例外の規定を設けること自体はそんなに難しいことではないんではないかなと、私はそういうふうに思うんですけれども。

○國松座長 例外規定の書き方の問題にもなると思います。この点ほかの方はどうですか、ご意見をどうぞ。

○高橋構成員 高橋ですけれども、この基本計画が具体的に書かれるときに、それは専門家の方だけが見るわけではなくて、被害者本人も見ますし、支援者の人、ボランティアの人も見て、そして被害者に優しい制度が提供されているんだということを示されているということが大事だと思うんですね。そのときに、法律とか今までのいろいろな補償制度の書き方のように、クローズドされてしまうのではなくて、こういう場合にもまだあなたには支援の手が差し伸べられますというような雰囲気が出るような書き方というんですか、表現の仕方が必要だと思うんですね。だから、原則として1年ということは、それはいいと思うんですけれども、ただ例外的に再審査も認められるというようなこととか、何らかのそこでぶつっと切るということではなくて、そういうまだ必要という人には何らかの手が差し伸べられるというようなこともそこに一言添えられているといいなというふうに思います。

○國松座長 ほかにいかがですか。
 どうぞ。

○大久保構成員 この検討会では、現状よりも犯罪被害者への経済的支援を手厚くするという形での検討会ですし、これは座長案ですので、今実際に犯罪被害者の方に直接支給されるものといたしましては、犯罪被害者等給付金しかありませんので、それが土台になるということはとても十分わかります。それをわかりつつ、これを読んでおりますと、どうしても現状の基金、犯罪被害給付金制度を拡大するというあたりに視点が行き過ぎて、新たな制度を入れるというあたりがどうも弱いような気がしますので、またこれからの討論の中では、新たな制度としてどうあるのかというあたりをどんどん積み重ねていっていただきたいと思います。

○國松座長 ご趣旨はよくわかりました。私とそう違わないのではないのかなと思うんですけれども、ですから温かいという言葉はあれなんですが、そういう被害者の実態に応じてぶつっと切るのではなくて、ある程度非常にはっきりした状況があるのであれば、それに対しては1年を超えて出していくこともあり得るということを制度的に確立するために、この支援基金であるとか支援機構というのをつくるのがいいのではないかと思うわけでありまして、支援機構なり支援基金ができたときには、そういうところをいろいろと原則論からは落ちてくるようなものは、こちらの方でいろいろと手を差し伸べてまいりますということをはっきりしたような形にこの支援基金をつくれば、おっしゃったような趣旨は出るのではないかと。出るお金というのは、どこから出るかということで別に変わってくるわけではないと思います。白井構成員がおっしゃったように、それは気の毒だねというようなケースというのは、そう年間何百件も何千件もあるわけではありませんから、金額的にものすごい額になるわけではないと思うんですね。ですから、それはそういうものはきちっと手を打ちますということが私どもの答申案の中にはっきりすれば、それはそれでいいのではないのかなと思って、あまり違わないのではないのかなと思っていますが、私の方がちょっとラフなんですかね。
 ですから、これは今日のご趣旨を踏まえて、また答申案の内容というのは結論的には事務局の方である程度あらあらのところは書いてもらわないとどうしようもないと思いますが、その中には今日のようなご意見は当然踏まえて、表現の仕方といいますか、書き方なんかは配慮した書き方にするということにはしなければならないと。今日のご意見はそういうご趣旨であろうということだろうと思いますが。
 瀬川構成員。

○瀬川構成員 私もそれで結構だと思うんです。大多数は恐らく1年以内でおさまるというのが通常だろうと思うので、何か大きな弊害がたくさん出てくるというわけでは無いように思われます。また、最近改正されたばかりで、当面運用を見守るということなので、私はこれでいいと思います。
 それから、もう一つ1年以上ずっと長くかかるということは、むしろ過剰な医療リスクを伴っている。そういう意味で限られた財源の中で公平な負担をするという意味では、1年で切っておく方が望ましい。被害者の方というよりも医療側の問題がかなりあるわけで、厚生労働省の管轄になるかもわかりませんけれども、この点は最近の動きから見ても、有限的に1年ということで区切る方がよい。期間を広げていけばいくほど、弊害は出る可能性が高くなります。他方、救済が抜け落ちる部分については後で実質的に補填する、補充する方策をとることでよいのではないでしょうか。

○國松座長 今日出たようなご意見を踏まえて、答申案といいますか、報告案を書く場合には、その表現について座長として十分に配慮するといいますか、注意をしていくということでここはよろしゅうございましょうか。そのできた案をまた見ていただければいいんだろうと、そのときにまた言っていただければいいんだろうと思います。
 それでは、次は医療費については大体原則的には1年よりも書き方については十分配慮しなければならないというのはわかりました。
 次は医療に関する費用のうち、保険外診療費、介護費、通院費等に関するところの(2)の方に入ります。1番目のところは早期支援後の心理的外傷による精神的被害に対する保険外心理療法(カウンセリング等)の費用を国が負担すべきかどうかという項目でありますが、私の一つの整理の仕方といたしまして、ここで黒丸で3つほど書いてございます。
 精神的被害に対する先進医療が保険内診療となるよう、その拡大に努めるということが1点、それから医師による保険外診療費については、必要性及び効果が認められる場合に限り、医療費給付の一環として全額を負担することという形でいかがなものだろうかと。それから、3番目として、臨床心理士等の行うカウンセリングについては、民間団体援助に関する検討会の方がありますので、そちらの方と歩調を合わせて、早期援助団体等の民間団体から支援を受けられる、あるいは既に実施されている同支援が拡充されるような仕組みを検討するという形で書きました。
 私としては、前回といいますか、以前の検討会の席上、飛鳥井構成員からお話があったところを踏まえてある程度書いたつもりでありますが、どうも専門的知識に欠けるものですから、何かちょっとこれで間尺に合っているのかどうか、まことに自信がございません。この点につきましては、先ほど資料の提出がございますので、飛鳥井構成員から具体的な提言を含めてご発言いただいたら大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。

○飛鳥井構成員 今、國松座長からご指摘がありました黒丸の3点ですけれども、これは本当に私の考えと全く同じでございまして、全く異論はございません。大筋として本当にこの3つが実現すれば大変すばらしいことだと思っております。
 ちょっと急ごしらえで本日になってしまったのですが、座長私案を少し肉づけするような形で追加の意見を述べさせていただきたいと思います。
 お手元の私の資料を見ていただければと思いますが、2ページだけですけれども、1ページの最初のところで幾つか背景となることが書いてございます。この前もご説明しましたけれども、精神的被害に対する回復ということは、各国でも大きなテーマになっております。被害者支援の一つの柱になっているということは事実ですし、日本でもそういう柱を打ち立てるということは支援策の目玉の一つになるということはご理解いただいているところかと思います。実際、精神医学、あるいは臨床心理学の立場からの治療ガイドラインというものが幾つか出されていますけれども、そこでも心理療法というものが強く推奨されております。日本でも基本法の中で調査研究といったような項目がありまして、私もかかわっておりますが、まだまだ十分ではございませんが、多少データらしきものもそろってきておりまして、恐らく日本人のこういう犯罪被害者の心理的外傷に対しても時間をかけた心理療法というものがかなり有効性が高いということは、十分期待できると考えております。
 しかし、一方実際の今の被害者の方がこういう心理療法を受けようと思うと、自腹を切らざるを得ない。といいますのは、もちろん保険内で通院、精神療法を初め、幾つか保険からカバーされる、カウンセリングに類したものがあるわけなんですけれども、それだけではこういう医療機関側としては手厚い心理療法をしたときにぺイしないということがございますので、結局それではできない。そうすると、自費診療で払ってくださいということで、被害者の方にとってはご自分が被害を受けたのに自腹を切らないと有効かつ十分な心理療法が受けられないという問題がございます。それでも納得いかなくても自腹を切って払っている方も、受けている方もおられますし、それからそれならば納得いかないから、あるいは現実にそこまでの負担はできないからということで、渋々そういう治療を受けることをあきらめるという方も多くおられるわけですね。
 そこで、座長の私案にもありますように、そういったような治療が保険内診療となってくれれば、これは一番いいわけでございまして、形としてもすっきりするわけですね。何の矛盾もないということなんですが、前回いろいろとここでもお話しいただいたときにも議論になりましたけれども、これはなかなか難しい問題がございまして、といいますのは被害者支援の枠の中で犯罪被害の精神的被害に対する例えばPTSDなどに特化して一つの療法を保険を適用してくれといったようなことは、昨今の医療経済の状況から見ても難しいですし、なかなか制度的にもここの検討会の中では大いによしとされても、この検討会から一歩出ればいろいろな意見が出てくることはわかっております。したがって、その議論をさらに進展して、それからそれを実現化していくためには、まだかなりの社会の理解なり、あるいは医療界の理解なりといったものが必要ですし、時間がかかるだろうと思うんですね。それまで待てというのも、ちょっと今本当に現状が逼迫しておりますので、それまで待てという余裕はないと思うんですね。
 そこで、どういったような、それは筋としてあくまでも目指すとして、何とかそれをそこに至るまで補完できるような制度はないかということで苦慮をしておりまして、それとてもいろいろなところで言葉の一つ一つがひっかかってきてしまうのですけれども、私としても実がとれればいいということですけれども、言葉の問題、名目の問題はある意味ではそんなにこだわらない。実をとって、実際に精神的な被害を受けている方がこういう手厚い心理療法を受けることができれば、自腹を切らずに受けることができればそれでよしとするものでございます。
 そこで、保険外心理療法というこれも厄介な言葉を出させていただいていますけれども、これに対して公的給付対象とするような道がないのかどうか、保険外と公的という言葉がこれはなじまない言葉なんですけれども、しかし一方でも自賠責ではあまりそこら辺の議論はクリアしておりまして、保険外のカウンセリングであっても医師が必要と認めた場合については給付をしております。もちろんこれは国の給付ということではなくて、あくまでも自賠責で保険制度の中でやっていることですから、だから制度的に柔軟な対応ができると思うんですね。国が直接負担するとなると、そう簡単にはいかないということもありますけれども、しかし片一方でこういうふうにしてこういう議論をせずに、保険外のカウンセリングについても全額支払い対象として認めるという前例があるわけでありまして、何とかそういうように近づけるようなロジックというものがこの検討会で見つけ出していっていただけないかなというところでございます。
 提案に入りますけれども、これもおおむね座長の私案に沿った形のものでございます。
 1つは、提案として今医療機関等ですけれども、医療機関等にて実施される保険外心理療法に公的給付を行うと。その給付の条件としましては、重傷病給付金を少し下敷きにしたような考えになっていますけれども、犯罪被害による心理的外傷を原因とした精神的被害を対象とする。これに限定するということですね。
 それから、傷病発生後1年以内を限度とすると。
 それから、医師による指示を必要とする。
 それから、前回のときにも議論が出ましたけれども、有効性、ある程度エビデンスというものがきちんとあったようなものを対象とする。何でもいいというわけではないということですね。これはエビデンスが上がってきたものがあれば、それは追加で認めていくと。
 それから、医療費、治療関係費という言葉でもいいですけれども、給付の一環として国が全額を負担すると。
 ただし、社会一般の診療水準に比して著しく高額で相当性がない場合は対象としない。常識の範囲内での金額については、国が負担するというような提案です。こういうものが何らかの形で制度的に実現しないかというものが提案でございます。
 それから、もう1段階としまして、これも座長私案にありますけれども、早期支援後の臨床心理士等による継続のカウンセリング、もちろん警察の早期支援のカウンセリングというものはこの前も資料をご提示いただきましたけれども、それぞれの自治体で行われております。しかし、その後になると思うんですね。早期支援から継続して行うカウンセリングサービスの拡充が図られるような何らかの経済的措置をしていただければいいのではないかと思っています。窓口は各自治体での被害者支援にかかわる民間団体がサービスを運用すると。
 対象が被害者本人、遺族、現場目撃者と書いてありますけれども、提案の1の方は重傷病給付金ですから、これは被害者本人です。遺族は含まれてはおりません。あくまでもご本人が傷病を負ったということ、その精神的被害に対する心理療法ですけれども、2番目の方は直接被害者だけではなくて間接被害者としての遺族も含む、それからもう一つの大きなというか、人数は多くないですけれども、間接被害者としてあるのが現場の目撃者でございまして、目撃者というのは別にただ単に現場を傍観をしていたという人ではございませんで、現場に飛び込んでいって死傷者の救護に当たったような方たち、大変生々しい思いをしまして、そういう方たちからもPTSDが実際に出ておられます。私も、最近でも二、三人そういう方を診て、本当に飛び込んでいって、その人たちを救護して、その後、あまりの生々しさに衝撃を受けて、もう外に出られなくなってしまったり、ずっとフラッシュバックや悪夢に悩まされているという方がおられます。そういう方たちは、やはりちゃんとカウンセリングサービスを提供してあげたいという気持ちがございますので、明らかにこの人は間接被害者であるというような方も含むということになるかと思います。
 ページをめくっていただいて、カウンセリングの内容については、あまり方法論についていろいろな縛りをかけるということではございませんで、しかし、現在の段階で、概ね専門家が見たらこれは妥当な内容であるというものであれば、給付の対象とするというぐらいでよいのではないかと思います。
 それから、これも座長のご指摘にありましたけれども、もう一つの検討会、民間団体援助に関する検討会でも並行して議論が行われておりますので、そちらの議論とのすり合わせということが必要ですし、それから、現行の警察の早期支援によるカウンセリングというものが各自治体で行われていますので、それとの連携と、それから調整、多少、いろいろな自治体によって運用の多様性がございますので、個々の自治体レベルでの連携調整というものを図りながら、制度を検討していってはどうかというふうに考えております。
 それから、この2番目の方の大きな問題は、各自治体の財政事情が大分違うということなんですね。つまり、国の方で太鼓をたたいて歌を歌っても、各自治体の方は、ない袖は振れないという制度がほかのものでもあったと思うんです。そうすると、ここのところの格差を少なくして、それから人的資源というものが大分違います。精神科医の数、あるいは臨床心理士の数でも、人的資源というものが各自治体によって大分違いますので、こういう格差を少しでも少なくしたいといったような工夫が必要かと思います。財政事情の面でいえば、やはり何らかの最低基準のようなものを設けまして、これぐらいは早期支援の後も継続のカウンセリングが必要なような人についてはサービス提供してほしいと。例えば、少なくとも半年間、回数としても10回ぐらいについては、少し給付の対象としてくれないかといったような、これは一案ですけれども、そういったようなものを設けてはどうかというように考えました。
 下の表は、私どもの文部科学省の助成を受けております研究ユニットでの、まだ予備的な段階でのデータでございます。
 以上です。

○國松座長 このカウンセリングのことにつきまして、何かご意見がございましたらどうぞ。

○白井構成員 基本的には、飛鳥井先生のご意見に賛成なんですけれども、ちょっと質問したいんですが、飛鳥井先生の提案1の方で、保険外診療の公的給付の対象になる人の中に、遺族や家族は含まれるという考えでいいのでしょうか。

○飛鳥井構成員 1番の方には、遺族は含んではおりません。というのは、先ほど言いましたように、これが重傷病給付金で下敷きをしておりますので、含みませんでした。遺族については、やはり2の方で広く含んではどうかと思うんです。
 といいますのは、遺族を1の方に含むということについては、非常に定義の難しい問題がございまして、私のところでも、直接同居されていたご両親であったり、あるいはお子さんであったり、おじいさん、おばあさんであったり、ご兄弟の方であったりというのがありますし、それから逆に内縁関係の方、パートナーとして暮らしている方もおられましたし、本当に被害を受けている遺族というものを言葉で定義するのは、なかなか難しいものがあるんですね。遠く離れた直系の親族よりも、一緒に同居しているパートナーの人の方がよっぽどひどい被害を受けていて、そういう人こそ本当に治療を受けたいというようなこともあります。広い意味では、遺族なわけですね。そうすると、この1番の方は、どうしても公的給付ということになると、言葉で対象を定義するということになりますので、その難しさが1つあります。
 それから、もう一つ難しいのは、期間の問題がございまして、私自身も、今、遺族に対する認知行動療法の研究も並行して進めておりますけれども、早い方で、被害を受けて2カ月で来られております。長い方は、5年、6年たって来られております。その間、訴訟の問題があり、保険会社との交渉があり、生活再建の問題があり、そこで走り回っていて、ちょっとそれが落ち着いた段階で、初めて精神的なダメージと向き合うということになりまして、何年かかかって初めて登場してこられるという方があります。そこの段階でも、いろいろなPTSDの症状がありますけれども、したがって、この期間の限定というものが難しくなりますので、これはよりフレキシブルな形で提供できるようなサービスの中で、遺族の方は対象とした方がよろしいのではないかなというふうに考えた次第であります。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 1つは、どの範囲を補償の対象にするかという認定上の問題ですよね、先生が今おっしゃったのは。

○飛鳥井構成員 はい。

○白井構成員 それで、そういう認定上の困難性というのはあるのかもしれないんですけれども、例えば東京で起きた事件で、ご存じかもしれませんが、自宅で加害者が刃物を持って襲いかかってきて、お母さんが殺されそうになったところを、お風呂に入っていた息子さんが飛び出して、それを防ごうとして息子さんが刺し殺されたと。同時に、お母さんも大けがをしたということで、お母さんは現在も非常に重篤なPTSDとか、そういう状態にあるんですが、同時に、その場にはいなかったんですが、帰ってきてご主人が、やはり非常に精神的なショックで、もうご商売ができなくなってしまって、ずっともう商売も閉鎖してしまうという。そこに住んでいられなくなって、東京都にお願いして、別の住宅の手当てをしていただかなければならないような、そういう方。その場合に、もしそのご主人の心理的な被害をこれから外してしまうということになるのは、やはり直接の被害者と同じように、本来の1の方の対象にすべきではないかと。
 ですから、もちろん2の方の対象の方もあるとは思うんですが、実際に刑事司法手続の中で警察に協力したり、あるいは裁判に協力したりするのは、その残された遺族の方だと思うんですね。そういう方が、自分の心理的な被害を抱えながら、かつ、捜査機関や司法機関に協力していかなければならないということをやっていくわけですから、認定上云々という問題はあるかもしれないんですけれども、やはりそれは制度の対象の範囲の定め方の問題だと思うので、そういう場合も飛鳥井先生の提案1の方で、ちゃんとした公的給付が受けられるようにすべきだというふうに私は思いますけれども。

○國松座長 ほかに、今の点を含めて。
 どうぞ。

○大久保構成員 飛鳥井先生に少し質問という形になるかと思いますが、例えば2の場合、遺族が対象となっていますけれども、この場合、カウンセリングというような形でして、認知行動療法というような実際の治療というものが中に含まれないという形になりますと、今、白井先生がおっしゃったような問題も出てくるかと思います。
 それと、もう一つ、民間団体との連携ということが大きな一つのポイントになるということも書かれていますけれども、例えば先生のPTCUで治療だけをしている方の回復度と、あるいは民間支援団体がかかわって、また別のサポートをしている被害者及び遺族の方での回復度の違いなどがわかりましたら教えてください。

○國松座長 飛鳥井先生、どうぞ。

○飛鳥井構成員 専門の治療を受けている方と、それからセルフヘルプグループの方との……。

○大久保構成員 必ずしも自助グループとは限りませんけれども、民間支援団体がきちっとサポートしていて、なおかつ専門治療を受けている方の回復と、専門治療だけを受けている方の回復度では、その回復度に違いがあるかどうか。つまり、民間支援団体の役割というものは、かなりのものがあるのか、さほどでないのかというあたりですね。もし現段階でおわかりになれば、教えていただきたいと思います。

○飛鳥井構成員 恐らく、データとしては何もないので、データがない以上は何も言えませんので、何とも言えないと思うんですね。
 ただ、私のところにも、実際は都民センターからほとんど遺族の方は紹介を受けておりますので、自助グループに入って私のところに来られたり、あるいは治療が終わって、また自助グループに参加されたりということがありますので、どちらも必要だと思うんですね。回復された後も、やはりそういう仲間の中で少し定期的な交流もしたいという方もおられますので、どちらが回復がいいのかどうかというのはわからない。あまりそういったような会合に、そんなにもう参加しなくてもいいですという方もおられますので、それはそんなに比較はしなくていもいいと思うんです。利用できるものは、何でも利用できればいいと思います。
 ただし、遺族に対する専門治療というのは、本当に世界的にも新しい領域でございまして、私のところも含めて、恐らくまだ世界でも指折り数えるほどしかしていないと思います。大変効果的であるといったような手ごたえは得ております。来年度ぐらいになると、少しまとまったデータが出せますけれども、これまでの通常の遺族カウンセリングだけではもう一つだった方についても、もう1段階の回復を推し進めるようなお手伝いができるのではないかといったように考えておりまして、本当のことを言えば、確かにこれについても公的給付は欲しいんですね。被害者ご本人のPTSD以上に、もう少しまた手厚いことをしなければいけませんので、経費はちょっとかかります。1.5倍ぐらいかかるかと思うので、白井先生がおっしゃった前半のことは、私と全く同意見でございまして、その治療の必要性というものは本当にあるんですが、ただ、制度的にすり合わせるのがちょっと難しいかなと思いまして、2の方に含めました。それよりも、むしろ無理やり医療制度の中に組み込むよりは、例えば給付金の方を、少しそのことも含めて上乗せしていただいて、遺族については精神的被害からの回復にかかわる経費ということも、もう給付の中に含めていただいて、そこから少し手当てしていただくといったことの方が、あまりいろいろな頭を悩まさなくても済むのかなというように感じた次第です。

○國松座長 どうぞ、何かございますか。

○厚生労働省政策評価審議官 私の方から、今、飛鳥井先生からご提案がありました点の、2の方は医療制度の枠外での話であれば、特段問題は恐らくないと思うんですが、1の点について、医療保険制度上の技術的な観点から、2点ほど述べさせていただきたいと思います。
 まず、飛鳥井先生が、保険外診療という意味が、保険ではペイしないから、実態として自由診療が行われているというふうにおっしゃいましたように、現在の医療保険制度上、こういう通院精神療法等につきましては治療方法が特定されておりませんので、医師が適切だと判断すれば、ここで掲げられております認知行動療法でも、制度上、対象となり得るということで、点数が低いということが課題だとおっしゃられましたが、点数が低いということから、実情としては保険外診療を行っているところがあるいう意味合いにおいて、本来は制度上保険診療の対象となり得るものだということを前提にご議論していただく必要があるのではないかと思います。
 それからもう1点は、1のような形で保険外診療について公的給付を行うということにいたしました場合、保険診療と自由診療の組み合わせということになる可能性、これはもう昨年10月のときにご議論いただいたわけですが、いわゆる混合診療の問題がありますので、全体は自由診療といいますか、全額保険の適用外になる可能性がありますので、それをクリアする道として、先般、担当の者が10月に申し上げましたように、1つは先進医療という位置づけによって、その上乗せ部分だけ全額患者の負担とし、基礎となる診療行為については通常の保険診療、とする組み合わせが可能な制度はあります。
 ただ、その際も、いずれにせよ判断は、一般的な医療制度の枠組みの中で有効性なり、そういうことを判断していく、こういうご説明を申し上げたと思いますので、飛鳥井先生のご提案の趣旨、それから座長の試案の方向の趣旨はわかるんですが、制度の技術上の問題点ということがありますので、その辺は我々もまた、今後よく詰めて議論していく必要があると思っております。

○國松座長 何かございますか、飛鳥井構成員。

○飛鳥井構成員 私は、先ほど言いましたように実をとることが目的でございまして、こうあらねばならないということではございませんで、こんなふうに考えれば、かなり実利としても十分なものが得られるのではないかといったような、むしろ私どもがご意見を伺えれば、大変助かるかと思うんですけれども。

○國松座長 私も、今の飛鳥井構成員と同じなんですけれども、内、外をあまりきちっとやりますと、何かちょっとかえってやりにくくなるところがあるので、まさに実をとってやっていった方がいいと。その辺は、そちらの仕組みとしては、それでは困る、しっかりしてもらわぬと困るということはあるんですか。先進医療とおっしゃるんですか、先進性があり、有効性、安全性等が確保されたものとかというのがありますね。このためには、何かおたくの先進医療専門家会議というので決めていかねばいかぬわけですね。

○厚生労働省政策評価審議官 そういうことです。

○國松座長 それは、ある程度早く結論が出ることになるんでしょうけれども……

○厚生労働省政策評価審議官 3カ月。

○國松座長 3カ月ですか。そこでどうなる、ならないでまたやっているよりも、もう犯罪被害者の本人あるいは遺族については、経済的措置というのは、公的資金が無理だったら、結局先ほど言いましたような支援機構とか、そういうところでやっていくという形になってくるんだろうと思いますけれども、そうなるとまずいですか。

○厚生労働省政策評価審議官 問題点は、そのときに、通常の保険診療との組み合わせになるかどうかです。今日見たばかりですので、自賠責の制度はよく分からないですが、恐らく自賠責は、根っこからすべてが自賠責の制度で見ておるのではないかと思いますので、医療保険は医療保険の制度がありますから、この犯罪被害者の給付金体系は、それを前提とした上での制度ですから、その辺の違いも制度的にはあるのではないかと思います。
 したがいまして、技術的によく詰めませんと、あくまでも技術的な問題ではあるんですけれども、医療保険制度上の問題と、ここはかかわる問題があり得ると思っております。

○國松座長 それは、実際に書く段階で、またいろいろとそちらの方の技術的なことは言っていただいてもいいと思いますが、飛鳥井先生は、その点はもう公的に犯罪被害者に対する給付金としてやっていけばそれでいいのだと、こうおっしゃるわけですね。

○飛鳥井構成員 そうですね。何らかのものが得られれば、それは言ってしまえば国からの直接給付ではなくても、あるいは基金からのものでも何でもいいわけなんですね。
 それからもう一つは、厚労省だけではなく警察庁の方にも、いわゆる自賠責でのカウンセリング、給付しているという実績がございますので、先ほど言われましたように根幹制度が違いますので、すぐ右倣えはできないかと思うんですが、何とかそれに少しでもなぞらえたようなことで、いわゆる医療の外のものについて、カウンセリングについても、やはり医師が必要としているといったようなことでその必要性、相当性があるものについては、重傷病給付金の中でも給付対象とできないかどうかといったようなことも、ちょっとご検討いただければと思います。

○國松座長 それはまた詰めた段階で、いわゆる混合診療の問題とも絡んでまいりますので、そこは今後よく詰めないといけないと思います。
 ほかに何か、私がちょっとわかりにくいといいますか、私自身がわかっていないのでわかりにくい書き方しかできないのでありますが、飛鳥井先生がおっしゃったような2つの提言にまとめた形、これも私は基本的には同じことだと思いますが、飛鳥井先生の今日のご提案のような形の方がわかりやすいのかなと思います。この点につきまして、何かご意見がございましたら。大体こんなものだなというのであれば、もう次に。
 どうぞ。

○白井構成員 もう1点だけ、ちょっと質問なんですが、性被害の方々で、静岡県でも白川先生が、ずっと犯罪被害者支援センターの理事として大勢の方々を見ていただいているんですが、被害を受けてから相当たってから、もう一度、先生のところに見えられる方も結構おられると聞いているんですが、一応、警察に事件を届け出て、その方が犯罪被害による強姦であるということがちゃんとわかって、その当時、事件直後にずっと精神科の先生に診ていただいて、よくなったなと思ってしばらくたったけれども、また悪くなったというような、そういう方ではないかと思うんですけれども、そういう場合は、やはり引き続き給付の対象というふうにすべきだと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。

○飛鳥井構成員 これも、先ほど出た議論と同じで、非常に難しい問題があるんですね。1つは、遅延性の発症といいまして、特に性暴力被害の方などは、最初のうちはいわゆる感情麻痺のような状態がありまして、あまり症状がはっきりしていない、しばらくしてから出てくるということがありまして、そこから治療を受けると、犯給法の1年にはすぐ引っかかってしまうという問題があるんですが、しかし、これは警察庁の方にお伺いしましたら、あくまでも傷病発生からの1年ということなので、それまでは割と小康状態だったのが、はっきりPTSD症状が、例えば被害を受けてから何カ月後くらいに出たという場合は、そこから1年ということなので、カバーはできるのではないかと思います。
 ただ、再発の問題については、これは性被害のPTSDだけではなくて、恐らくあらゆる疾病障害で再発・再燃の問題がございますので、どこで線引きするか、先ほどの議論と同じになると思うんです。しかし、これも有限にしないと、主として医療機関側のモラルハザードが出てきたりとか、難しい問題があります。座長からも提案のございました、別枠で例えば労災のようにアフターケアといったような形については、制限された範囲で認めるとか、幾つか工夫する方法はあると思うんです。明らかに被害と関連している障害が長期に続いているといった場合に、どの程度のサービスをどこからするかということについては、恐らくまた別途、議論が必要かと思います。

○國松座長 よろしゅうございましょうか。
 どうぞ。

○高橋構成員 白井先生の対象でお話しされたものの追加みたいな質問になってしまうんですけれども、2番の方の対象は家族が入っていないというのが、例えばDVとか虐待の、特に子供などは、やはりかなり後から精神的障害が出てくるということもあるのではないかと思うんです。私は、専門的にはよくわからないんですけれども、そこら辺で、やはりこういうカウンセリングサービスが必要なのではないかと思うんですが、家族ということですね。

○國松座長 家族は含むんですよね。遺族と書いてあると。

○飛鳥井構成員 はい。遺族、そうです。遺族ではない家族もですね。

○國松座長 遺族ではない家族も含むということだと思いますが。遺族というのは、本人が死んでしまった場合だけということ。そうではないですね、飛鳥井先生がここでおっしゃっているのは。

○高橋構成員 殺人ではなく……

○國松座長 ええ。ですから、現場目撃者も入っていますから。

○飛鳥井構成員 そうですね。はい、わかりました。要するに、現場目撃者に近いところになるかと思うんですけれども、巻き込まれた方ですね。

○國松座長 遺族及び家族という、それはそれでよろしゅうございますか。家族も当然含む。遺族という言い方でなくて、遺族及び家族というラインで整理はしていったらいかがかと思います。
 ほかに、いかがでございますか。この項はよろしゅうございますか。
 それでは、次に進みます。
 次は、私のまとめ方としては、恐らく十把一からげで何だというおしかりを受けるかもしれませんが、次の介護費、通院費等、それから補装具費、環境整備費、それから逸失利益、休業補償―休業補償は先ほどちょっとまた別に出ておりますけれども、それから葬儀費、慰謝料等、これらにつきましては、一時金の水準の決定に当たって、こういう要素も考慮してその額を決めていくという整理の仕方でいかがかということでございますが、この点につきましては、白井構成員、どうぞお願いいたします。

○白井構成員 この介護は、家族の方がずっと付き添うのと同時に、専門の介護をされる方に料金を払ってお願いしなければならないような場合から、いろいろあると思うんです。それで、交通事故の損害賠償の算定に当たっては、介護の費用、これが近親者の付き添いの場合も含めて別途計算されるわけです。それで、自動車の損害賠償の保険の場合にも、もし近親者が付き添った場合でも1日幾らというふうに、一時金とは別に算定していくわけですね。ですから、できればこの介護の費用というのは、相当の金額、場合によると1カ月に20万円も30万円もかかるような介護が必要な場合もあるということを、あすの会の会員さんの中にはそういう体験を持った方もいらっしゃるというようなことなものですから、できればこの一時金とは別に、特に重い方には計算していただきたいということであります。
 ただ、我々の方のシミュレーションでは、介護につきましては、この想定予算の2ページの方には、将来の介護費用として、一応、10年間だけ見た場合にどうなるかということをシミュレーションしてあります。これは、10万円というのはどこから持ってきたかといいますと、被爆者援護法の、ここで報告されました被爆者に対する援護では、重症者に10万円の介護手当、被爆者の援護につきましては、そのほかに毎月3万円以上の健康管理手当が出されまして、そのほかに介護の手当として、10万円、十何万円ということが物価スライドつきで定められているわけなんですが、それを参考にして計算すると、仮に10年を見た場合にそうなるということなんですが、これは10年間の累積した場合の金額でございますので、実際にはそんなに、件数を20件というふうに想定したわけですが、これは級の上の方を想定しているものですから、20件ぐらいと見た場合でも、大体1年間にその10分の1という程度のものでございます。ですから、この将来の介護費も含めて考えていただきたいということであります。

○國松座長 ここで、将来の介護費用の算定の基礎として、原爆被爆者の例を持ってくるのが果たしてどんなものなのかという議論は当然出てくると思うんですけれども、要するに介護費用というのは、やはりどうしても外にといいますか、別個やらなければならないというご意見だろうと思いますが、ほかの点はどうなんですか。葬儀費とか、想定予算額の案ですと全部外へ出していますね。こういうものを全部算定した上で、全部外に出してこういうものを計算した上で、さらに一時金は倍にしろというご意見なんですか。

○白井構成員 実は、この介護費の問題につきましては、一時金、つまり将来の介護費ではなくて、事件直後からの病院に付き添う等の付添費をどうするかという問題が、介護の問題としてあるわけですね。それで、我々の方でそれをどういうふうにシミュレーションするかということをずっと検討しているんですが、障害者自立支援法と介護保険法がありまして、公的な介護がどのようにしていただけるのかというのが、非常にこれは複雑な面があるわけです。それで、私が例にいつも出しているC君のような若い人の例だと、介護保険法が適用にならないと。そうすると、現時点だと障害者自立支援法ということになります。その障害者自立支援法で、では一体どういう程度のことがどのようにやっていただけるのかということが、シミュレーションしようとしても、各地方自治体ごとに皆プランニングが遅れているということがありまして、どこまで公的に賄っていただけるのかということが想定しにくいわけなんです。それで、やむを得ず、現段階である程度わかっているものとして、ではこれは金額で出したら幾らになるのかということで、何万円かかろうとも、一応、公的給付として今現在、介護手当としてはっきり法的に定められている被爆者援護法のものを参考にしたわけです。
 ですから、相当の重症な方でも、障害者自立支援法でうまいぐあいに介護がやっていただけるような方であれば、それはその公的な給付の範囲内で、仮に自己負担額が1万5,000円なり3万円なりあったとしても、その範囲内で済むと。しかし、そうではなくて、家族も仕事をやめてずっと付き添っていなければならない、自宅でも付き添っていなければならないなどというような方の場合には、やはりその分をきちっとお金で補償していかないと、生活に相当響いてくるわけなんです。公的な介護だけではとても賄い切れないということになって、介護の分の補償をしないといけない。そういうことで、一応これは別に出していただきたいということなんです。

○國松座長 この点は、ほかにございますか。
 どうぞ。

○警察庁長官官房総括審議官 今、白井先生からもちょっとお話が出ましたけれども、介護費用、リハビリ費用、あるいは補装具、こういったものについてどうするか、あるいは休業補償についてどうするかということにつきまして、1つは、やはり今おっしゃられた介護費用等につきましては、障害者自立支援法という枠組みがあって、また介護保険法という法律もあって、公的な給付がなされているわけでありますし、それからまた休業補償という点で申し上げますと、健康保険法で、一応、これは標準報酬日額の60%を給付するというような制度がもうできているわけであります。
 この被害者の方への支援を考えるときに、犯罪被害者等基本計画におきましても、「社会保障、社会福祉制度全体の中における犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿やその財源を検討する」というふうに書いているわけでございまして、全体の社会保障、社会福祉の枠、そういった今まであるいろいろな制度の中で、足りないところがあれば、そういった足りない点を指摘する、そして改善するといったような形で、幅広く全体的に大きな枠の中で考えていくというのが一つの方法ではないかというふうに考えているわけでありまして、単に犯罪被害給付制度だけではなくて、今申し上げたような枠の中で考えるということが、結果的には被害者の方への支援の充実につながるのではないかなというふうに考えているところでありますので、そういった観点からご議論をいただければありがたいというふうに思います。

○國松座長 ほかにこの件について、えらく十把一絡げですが、そういう一つ一つのご意見で結構でございますので、何かございますか。
 どうぞ。

○平井構成員 今、ご説明があったとおりだと思うんですが、一方では、この基本計画の基本方針のところで、いわゆる個々の事情に応じて適切に行われることということがあります。もう一つは、座長の提案で、いわゆる一時金の水準については、働く能力といいますか、その減退の程度に応じてということ、それからもう一つは、今おっしゃった福祉の関連諸制度、これらの中で検討するということでございますので、基本的にはそういう視点で、私はこの項目を見ていくべきではないかと。
 したがって、座長提案では、すべてこの中にということでありますけれども、この中身を見てみますと、いわゆる犯罪被害者全体に共通する項目と、重度の被害者に共通する項目と、そしてもう1点は、個別的なといいますか、今、介護の問題が出ておりますけれども、あるいはそれ以外の通院費といったような、これでは整理し得ないという内容もあると思うんです。ですから、すべてがすべて個別的にというのは、なかなか困難なことも十分わかりますので、そういう意味での各項目についての整理の上で、いわゆる実費補償的に補償するものと、そして一時金の中で給付されるものというものを、ある程度、私は整理できるのではないかと。先ほど言いましたように、すべてが全額ではなくて、介護保険法であるとか、あるいは自立支援法で、それぞれ10%の負担と。あるいは、生活用具についても、ここにはありませんけれども、貸与というものもあるわけでございますから、そういうことも全部整理すれば、ある程度コンセプトが、私自身は整理できるのではないかなというように思いますので、そういうことを考えたらどうかなと思うんですが。

○國松座長 私も、実は同じことを考えているんですけれども、考えた末に、とにかく全部一時金の方へ入れてしまえという非常にラフな話になっているんですが、今のご意見で、ではこの中でどれを外に出すといいますか、個別にきちっと我々の提言の方で書くべきなのか、その項目は何なのかという点については何か。今、私の場合、一時金のところへ全部入れてしまっているんですけれども、どれがいいでしょうかね。

○平井構成員 その点に関しては、私はその他の制度といいますか、ここでヒアリングがございましたけれども、公害であるとか医薬品であるとか、あるいは原爆の被害者がございましたが、その他の制度で共通してといいますか、あるいは全部が共通しないにしても補償されている項目がありますので、そういうものを参考にしていけばよいのではないかというように考えたんですが。

○國松座長 それぞれ、大分違うんですよね。趣旨が違うものですから、犯罪被害者の場合にどれを個別に見るべきかというところがなかなか難しいものですから、一時金の算定のときにやればいいのではないかなという形で整理はしてしまっているんですけれども、確かにちょっとラフ過ぎるのであれば、これだけはやはりちょっと個別に出さないとまずいのではないかというのは、何かありますか。例えば、この中でも補装具費などのようなものは、これはある程度、保険でも行きますし、ですからこれを個別に書いて、補装具費を幾ら出すというような言い方は、ちょっと細か過ぎるといいますか、やや、そういうものはもう一時金の中でやればいいのではないかというのはあると思います。ただ、被害者の実情に応じて考えた場合に、これは一時金の中では絶対に困るというのは何があるのかということは、いろいろおっしゃっていただくとありがたいんですけれどもね。

○平井構成員 私は、最低限、先ほど来ございます介護費と、それから通院費は、先ほどの基本的な考え方からすると、それも中へというのは非常に矛盾するのではないかと思います。通院費の場合は、通常の公共交通機関といいますか、そういうものは入るとしても、非常に遠隔地であるとか、公共交通機関が使えない、そういう通院をせねばならないという方もいらっしゃるわけですから、それは被害の程度とは関係ないと思うんです。ですから、そういう意味合いで、そういった項目については、私はそう考えております。

○國松座長 どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 全体の構成が、今の座長の私案によると、全体の水準をとにかく自賠責の水準にできるだけ近づけようではないかということで来ているんだと思うんです。そういう中で、給付水準を上げましょうという話で、今、進んでいるわけですけれども、今お話が出ているように、例えば現にあるいろいろな介護費用にしてもリハビリにしても、それぞれの保険とか、そういうもので出るわけですけれども、それを横に出してプラスアルファでというふうにしても、結局は全体の自賠責の水準をはみ出てこれを支援するということになると、多分、私は国民の理解がなかなか得られないのではないかと思うんです。要は、全体の水準を自賠責並みに引き上げますよという、その中でやはり物事を検討しているわけですから、そうすると、申しわけないですけれども、介護保険費用などについても、一定のところはもう既に福祉の制度で出るわけですから、それにプラスアルファで必要なこともあると思うんですけれども、その額はそんなに大きくはないのではないか。そういうものについては、申しわけないですけれども、ある程度、制度として運用するためには、一定のこういう一時金の中で、一時金を2倍にするというのも簡単な話ではございませんので、そういう中で全体として自賠責の水準に近づけるということで、大方、コンセンサスはできていると思うんですけれども、その中で見ていくというのが一番適切なのではないか。要は、外に出しても、では自賠責の水準を超えられるかというと、やはりそこはなかなか難しいのではないか。そこまでやれとおっしゃるのであれば、この私案自体がもう少し全体の構成を考えなければいけないという感じではないかと思いますね。
 だから、申し上げたいのは、極めて切り出すのが困難であるということと、個々の事情はもちろん大事で、被害者に優しい制度をつくらなくてはいけないと思うんですけれども、そこの本当にはみ出る部分は、先ほどから出ている重度の人の1年以上のものもそうですけれども、そこは多分、後で出てきますけれども(5)の基金とか、そういう本当の例外的な、これはやはりひどいではないか、介護費用が例外的に何百万もかかっているではないかという人もおられると思うんですよね。そういう場合は、例外的にそういった基金の方からフレキシブルに支援できるようなバスケットクローズを置いておけば、というのが制度としての限界ではないかと私は思うんですけれども。

○國松座長 その点、どうぞ。

○白井構成員 確かに、自賠責の水準並みにと言っていただけるのは、非常にそれはそれでありがたいんですが、何度も申し上げるように、現在の犯給制度の計算の仕方と根本的に違っておりまして、もし介護費などを自賠責のようにその枠内でおさめるという考え方をとるのならば、やはりきちっと逸失利益なら逸失利益、そういうものも積算する。そういう方式で、その積算をした上できちっと自賠責の範囲内におさめるというようなやり方をすれば、付添介護費も、それでは近親者の場合は1日5,700円なら幾ら、そうでない場合、専門家の付き添いを行った場合は専門家の付添費が幾らというふうにして積算して、それで、その中できちっと逸失利益も、自賠責の場合は慰謝料も含まれておりますけれども、そういうものをやって、年齢の低い方にもきちっと自賠責の最高額が支給されるような仕組みに変えていただく。そういう中で、今、荒木室長がおっしゃっていただいたように、自賠責の範囲内ではみ出るというものはまた別に考えるという、その考え方をとるのであれば、ある程度、やむを得ない面があると思うんですけれども、今のままの犯給制度の計算の仕方を前提にして、介護費などはその範囲内でというふうにされてしまうと、これはもう全然補償が厚いことにはならないことなんですね。これは、前回、私がCさんのような若い人の例を挙げて計算を出したとおりだと思うんですけれども。

○國松座長 どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 白井構成員のシミュレーションなどを見てもちょっと思ったんですけれども、自賠責でも必ずしも全部最高限度額を支給するなどということはないわけですよね。それは、十分ご存じのことだと思うんですけれども、したがって、死亡した場合でも、平均支給額は2,200万円ぐらいしかないわけですよね。ですから、そこをよく考えていただきたいんです。
 要するに、我々は何とか厚くしたいと。おっしゃったように、ちょっと誤解もあると思うんですけれども、別に低所得者の人を今のままの計算方式で、今のままただ倍にするだけだとか、そんなことはちっとも考えていませんので、その辺のご意見は言っていただいても結構ですけれども、しかし、全体として自賠責の水準に上げるよという、そのコンセプトの中に、全員に3,000万円与えるんだというような考えは、私はもう全く国民の理解は得られないという感じがしておりまして、もしそういうことでいきたいとおっしゃるのであれば、もう少し説得力のある、根拠のある議論をしていただかないと、せっかくの検討会ですから、そこがないといけないのではないかなというふうに考えておりますけれども。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 おっしゃるとおり、私はここに持っていますけれども、自動車保険の概況という資料がございまして、確かにこの資料によれば、平均の支給額というものは二千何百万円であるということでございます。
 しかし、私どもの言っているのは、1つは死亡の場合、ご遺族への補償というのは、逸失利益を計算しただけでも大体どのくらいになるかというのは、はるかにこの3,000万円を超える金額にほとんどなるわけです。もう本当に高齢の70歳ぐらいの人とか、そういう高齢の人が亡くなった場合は逸失利益というのは非常に少ないので、この3,000万円よりも下になるんですね。しかし、そうではない大体60歳ぐらいまでの方を計算すれば、逸失利益だけでももうこの3,000万円の金額を超えていく、そういうことになるわけなんですね。それで、私どもの方のシミュレーションで出した。だから、もちろんある程度、予算の計算ですので、どの程度支給されるかということを計算する場合に、死亡の場合3,000万円というふうに出しているのはそういう意味なんです。ですから、全員に何が何でも、どんな場合でも3,000万円出せということではなく、制度の設計上は、それは自賠責と同じように設計すればいいわけです。そうすれば、平均支給額は二千何百万円に、あるいはなるかもしれません。
 それから、障害の場合も、1級とか2級とか、そういう金額になりますと、本当はその介護手当も相当高額な金額なんですね。ですから、もう1級、2級の方の損害賠償を計算すると、大体いつも1億円から2億円ぐらいの金額になってしまうわけなんです。ですから、仮にもしその場合に3,000万円なり4,000万円ということを想定したとしても、重症の方の場合にはそういう金額が出てきます。それで、こちらの方としても、もし1級の重症の方に4,000万円というシミュレーションをする場合も、では、そのうちの3,000万円までは逸失利益というふうに考えたとしても、あとの1,000万円は将来の介護費というふうに考えることもできるのではないかということも、我々の方では検討したわけなんです。
 ですから、確かに荒木室長のおっしゃるように、平均の支給額でいけば二千何百万円ということは、この資料に出ております。それは、私どもも別に、もし犯給制度も自賠責と同じ制度を組んでいただけるのであれば、あるいは平均支給額は3,000万円よりも低くなるかもしれません。

○國松座長 おっしゃるご趣旨は、一時金のところで倍にするというか、自賠責並みにすると。その算定根拠という言い方はちょっとおかしいのかもしれませんが、どういう項目を立てていってそうなっていくのかということは、当然、ある程度、説明をせぬといかぬことになると思うんです。その中で、今、私の考えているのは、そういうことを考えるときに、今このいろいろ出ているものは全部加味していく。それは、今までの犯給法の支給の中には入っていない項目も、いろいろ入ってくるわけですよ。また、逆に言いますと、そういう項目を入れていきませんと、理屈として倍にするという理屈は出てこないわけですよね。ただ倍にするというわけにはいかないわけですから、どういう項目を入れていくと大体上がっていくというようなことも考えないといけないと思いますので、算定の仕方そのものは、算定基準がどうなるかということは、ちょっと私も今の段階ではわかりませんけれども、とにかく今の犯給法のままいくということはあり得ないのではないかと。やはり、それはそれなりに別に新しいやり方、仕組みで考えていって、上が倍になったら、当然、途中から、最低額から何から全部上がっていかぬといけないと思うんですね。今日出ている白井構成員のペーパーの中にもありますけれども、最低額のことが何も書いていないではないかと言うけれども、上を上げれば、下は当然上がるわけで、ということは、算定の仕方そのものが変わっていくということですから、もしその点についてあまりはっきりしない、何かよくわからぬというのであれば、実際に案を書くときに、こういうこともちゃんと入れて上に上げていくべきではないのか、算定もすべきではないのか、介護費用の分も当然含めて考えるべきではないのかということを、我々の答申案の中に書いていったらどうなんでしょうか。つまり、それはあくまで書き方の問題になってくるのでありますが、私のこの案は、そういうことは一時金の中で考えたらどうだろうというのが案でありまして、ただ、これはご議論の結果、どうしても、いや、それは中には入らない、一時金の中ではとてもおさまり切るものではないというものは、一体何があるんでしょうかという。私は、若干ラフな考え方かもしれませんが、ここに書いてあるようなものは、中で書いていいのではないかなと。休業補償は、実はちょっと違うので、先ほど既に入れてあるんですけれども、その点、そういう整理の仕方というのはいかがかということであります。

○白井構成員 ちょっと基本的な考え方が、大分、座長と違う面があるのではないかと思うんです。それはそれとして、もし介護手当の問題を考える場合に、やはり後遺障害として認定されて、その障害保障給付の中、一時金の中で考えていくという、それも一つの案だと思うんですね、障害、後遺症として認定された場合は。
 ところが、その認定される前の段階、つまり、被害を受けてずっと治療中の段階がありますね。その治療中の段階に、付添看護費用とか、そういうものをどうするかという問題があるわけなんですね。自賠責保険などは、後遺障害の補償と、後遺障害に認定される前の入通院中の補償については全く制度が違って、計算方法も違う方式をとっているわけですね。それで、現在の犯給制度では、一応、通院中のものは重傷病という形で設けていただいてあるわけですよね。今、介護保険、介護の問題、手当の問題について、障害保障給付とは別に、やはり入通院中にご家族に手当てが必要になった場合どうするかということであれば、一時金に含ませるのは無理だと思うんです。そもそも、後遺障害になる前の話、認定される前のことですので。
 ですから、そこのところは、先ほどほかの先生方もおっしゃっていただいておりますように、自立支援法を使って介護していただくということが、入通院中ですから、当然、考えられるわけですね。そのような場合に、もし、それではとても賄い切れないという状態が出た方のような場合を、おっしゃるように、1つはこの基本となる補償制度の中でやるのではなくて、もうそういうふうに公的給付からはみ出たものは基金の方でやってもらえばいいではないかというのも、確かに一つの考えではあると思うんです。ただ、いずれにしても、入通院中に介護が必要になった方、それから後遺障害として認定された場合に将来の介護が必要な方と、2つの問題をどのように制度設計するかということだと思うんですよ。

○國松座長 それは、おっしゃるご趣旨はわかりますが、やはり認定される前のところというのは、自立支援法とか保険法というのがあるわけですから、そちらでやっていくし、それでもだめというような場合を、私どものこれから書く答申案の中にきちっと書かなければいけないものなんでしょうかね。そこのところは、ある程度、先ほど言ったセービングクローズのところでやっていけばいいのではないかという感じがしますが、しかし、そういうものが実際に出てくるのでしょうか。

○白井構成員 では、ちょっと厚労省の方に質問なんですけれども、例えばお医者さんが、この人は命が危ういかどうか、要するに回復できるかどうかわからないといって、非常に重篤な状態で入院しているというような場合に、障害者自立支援法で付添看護のような、そういうあれもやってもらえるんですか。

○國松座長 今の点はどうでしょうか。

○厚生労働省政策評価審議官 それは、結局、それぞれ市町村が判断することになりますので、必要性は総合的に判断するということになると思います。

○國松座長 それは、この報告書の中できちんと書くべきである、こういうご趣旨ですが、その点、ほかの皆さんはいかがですか。何か今のような場合、やはり書くべきだというのがご意見ですか、付添費ですな。

○白井構成員 ええ、介護費ですね。

○國松座長 付添介護費ですね。それを書く。
 ほかに、この点についてのご意見、何かありますか。

○白井構成員 ほかの公的な給付が受けられればそれで、ですから、ほかの公的給付でどうしても不足するような場合には、この被害者補償制度で補償しますというような、何かうまい文句の書き方は、ちょっと今思いつかないんですが、そういうことを書いていただくわけにはいかないでしょうか。

○國松座長 わかりました。それは、ちょっと検討いたします。私の頭の中にある立て方は、そういうものを含めて一時金の中で何とかならぬものだろうかというか、そこでやってしまって、ある程度そこから出てくるもの、カバーできないものというのは、支援基金なり支援機構ですか、そういうところで例外的なケースとして―例外的なケースといいますか、例外的と言うのはおかしいと思います。要するに、そういうように公的資金ではちょっとできにくいというようなものは、そこで救済していくという仕組みの方が、制度を国民の皆さんに提示した場合にわかりやすいのではないか。あれもこれもいろいろと必要、こういうケースがある、だからこれが要るんだということでどんどん入れていきますと、早い話がいろいろでこぼこしたようなものができますので、それではこっちも要るだろう、なぜこっちは外したんだというような議論にもなってまいりますし、あまり制度としてすっきりさせるために、本当は入れるべきものも全部外してしまったというのはあってはならないことかもしれませんが、その辺の整理としては、もう少し考えさせていただきたいと思います。また、実際に、我々として考えるべきことだと思います。
 どうぞ。

○警察庁長官官房総括審議官 犯罪被害給付制度との兼ね合いの問題でありますけれども、自賠責の水準にできるだけ近づけるということは、もちろんそれで必要なことだし、そのように今までもやってまいりました。今回のたたき台でも実質的に自賠責並みの水準に近づけるということでありますけれども、自賠責というのはあくまでも保険料による損害賠償制度ということでありますし、犯罪被害給付というのは全額国費による給付制度であります。もう制度がそもそも全然違うわけでありますので、そういう意味で、自賠責と同じような算定方法をとるべきだという点については、これはちょっと違うのではないかというふうに思っております。この点、ぜひご理解いただきたいというふうに思います。

○國松座長 どうぞ。

○瀬川構成員 今までの議論を聞いていますと、保険制度等のほかの制度、あるいは最近の法律の改正とかに絡んで複雑な様に思えますので、先ほど座長がおっしゃいましたように、事務局ですり合わせるということをもう少ししていただいたらどうかと思うんです。何か大ざっぱな形で、お互いが意地を張り合って議論しているような感じで、白井構成員はあすの会を背負っているという気持ちでやっておられますし、荒木室長は荒木室長で譲れないところは譲れないと思いますので、このような議論をしても、何か余計に気まずい感じになってしまうのでは。私は、今の議論の中でどちらにも理解できるところがありますので、一体何が射程距離にあるのかをはっきりさせることに焦点をあわせてはどうでしょうか。
 なお、自賠責並みに引き上げるということは、自賠責のような同じようなシステムでやるということを意味する訳ではありませんので、先ほどありましたように被害者に役立てていただけるような、優しい議論をすべきであると同時に、法体系全体としては、いろいろな類型の被害者の方がおられるわけですから、この検討会だけが突出して、公平な予算の分配を踏み外して議論はできないということは原則としてあるわけです。そういう意味で、少し今までの議論を聞きますと、事務局か、あすの会からも、複数出られてもいいかと思いますが、今日の原案を、相互に具体的にすり合わせていただけないでしょうか。食い違いがあるところは食い違いがあるという形で出していただくのも結構だと思います。
 それからもう一つ、私の考えですけれども、これまでの犯給法の流れからいくとという限定つきですけれども、一時金としてきちっと出した方がシンプルでよいのではないか。制度をつくり上げるときは、できるだけ簡潔に、国民の理解を得やすいようにつくっておかないと、かえって制度自体が危ういことになりかねません。そういう意味で、犯給法の精神を生かしながらというか、そういう形で一時金を自賠責並みにつくり上げて、そこで抜け落ちる部分については何らかの救済策を考える。座長の私案には、例外的な場合の救済制度ということが(5)に出ておりまして、これは見落とすべきではない。つまり、制度設計するときはシンプルにつくって、しかも、そこから抜け落ちる部分については、個々の本当にお気の毒な被害者にしかるべく実質的なサポートをする、そういう制度設計をつくるということが望ましいのではないか。
 白井構成員は制度設計の部分でいろいろ意見をおっしゃいますけれども、ほかの法律とか、あるいは保険制度との関係で無理であれば、この(5)の中で実質的な例外的措置をつくり上げるべきだと思います。
 以上です。

○國松座長 ほかに何か。
 どうぞ。

○高橋構成員 (4)のその他で、この●は座長案ですか。「慰謝料を除く」というところが、どうして慰謝料を。確かに、心の痛みというのは金額にしにくいものですが、犯罪被害者にとっては、これは絶対切り離せないものだというふうに思っているんですけれども、一時金の水準の決定に当たって除くということになっていますが、ちょっと教えていただきたい。

○國松座長 これは、慰謝料というものを経済的支援の一つの中身に入れてまいりますと、慰謝料というのはあくまで加害者といいますか、そういう損害賠償というような問題になったときに、そこで出てくる概念であって、経済的支援を行う場合には、国が公費で出すわけですね。それは何も慰謝ではないのであって、社会的連帯に基づく給付というような言い方だったらいいのかもしれませんが、そういう要素が当然、今度の一時金の中には入ってくるわけなんですけれども、慰謝料という項目を給付の内容に入れるというのは、これはあくまで私の考えですけれども、ちょっとなじまないのではないかと思いましたので、慰謝料は落としてあるわけであります。それは、慰謝を受けるべきだというお考えがあります。それは、やはり慰謝料という以上は加害者との間でやっていく話であって、その慰謝料に当たるべき部分は、精神的な苦痛に対する社会的連帯、気の毒な目に遭ったということに対する給付であるというような形に言いかえてやっていくべきものではないのかなと思うものですから、慰謝料という言葉は給付の内容には入ってこない方が、一つの給付金の性格を考える場合にいいのではないかと。ですから、精神的な苦痛とか、そういうものに対して、本当にお気の毒な目に遭いましたね、ひとつ立ち上がってくださいという趣旨が入っていないという意味ではないんです。慰謝料という言葉であらわされる金員というものを、この経済的支援の給付金で賄うという立て方は、ちょっととれないのではないかというのが、ちょっとややこしい言い方でありますが、私の考えなんです。精神的なものに対する気持ちというものが、全然ないというわけではない。当然それは入っているということだと思いますけれども、社会連帯に基づく見舞金という言い方からして、それはどうもよくないんだという話が、今、ずっと出ていますけれども、ある意味ではお見舞金的な趣旨というのは、当然この犯罪被害給付金の中には入ってくるんだと思いますね。ただ、今、給付金の場合は、見舞金の域を確実に出て、もっと別の要素が全部入ってきているわけですけれども、やはり見舞金という要素もある。その見舞金という要素は、よく見てみれば、加害者との関係では慰謝料と言われる性質のものが、それにかわって入っているのではないかなと私は考えております。

○高橋構成員 犯罪被害者でこの対象になる人たちというのは、ほとんどが何の落ち度もない被害者だと思うんですね。そうすると、慰謝料という言葉を使うと加害者との関係が出てくるわけですけれども、そうしましたら、その何の落ち度もなく被害に遭ったという心の痛みの部分に関しては、言葉をかえて何らかのものがまた制定されるんでしょうか。

○國松座長 犯罪被害者等給付金の一番の原点のところにあるのは、社会連帯に基づくお見舞いをするんだという発想があって、ある程度、出ているわけですね。ただ、その後、何遍かの改正を重ねるごとに、今はもう見舞金という性格が完全に変わって、休業補償的なものもある程度入っておりますし、ということで、今の給付金の性格は変わってきておりますけれども、原点となるところには、それは今でもあるのではないでしょうか。本当にお気の毒でした、その社会連帯の気持ちのあらわれの一環としてお見舞いいたしますという性格のお金というのは、当然入っているんだろうと思うんです。
 ですから、それを慰謝料と言うか言わないかという話になるのかもしれませんけれども、慰謝料という言葉は、加害者が被害者に対して何かやって、それに対して精神的な償いをしなければならない場合に出てくる言葉ではないか。そうであれば、ちょっとその慰謝料というのは入らない方がいいのではないかなというように考えたんですが、これは恐らく、ちょっとまた別の意見の方もおられるのかもしれません。

○瀬川構成員 高橋構成員がおっしゃっている意味というのは、すごく大きな意味があると思いますし、私も何とか精神的な損害についても、何らかの措置というのは必要だというふうに考えますが、法律家としての言い方で申しわけないんですけれども、次のように言わざるをえません。これまでの犯給法の制定当時、1980年、昭和55年前後の議論を見ても、慰謝料を入れるかどうかというのはやはり大きな議論で、重要な問題だったようでありまして、1個の重要な問題だと思うんです。しかし、結局は入れられなかったという経過がございました。
 諸外国を見ても、慰謝料という形で入れている国があるのかどうかということなんですが、全くないわけではないかもわかりませんけれども、あまり見かけない。
 それはなぜなのかということなんですけれども、私は2つ理由があると思います。1つは、精神的な損害というか、慰謝料という場合は、やはり国が被害者に出すというよりは、加害者が被害者に慰謝料を払うというのが、法律の大前提だった。それからもう一つは、どう算定するかということについて、困難があるということ。国が犯罪被害者の方に慰謝料を払うという場合に、どういう算定の基準や仕方があるのかということについては、極めて難しいところがある。
 精神的な損害に対してということについては、特にテロの場合というか、それは本当におっしゃるとおりだと思いますけれども、なかなか制度設計は、各国でもできていないし、我が国でもしにくいのではないかというふうに思います。

○國松座長 白井構成員、何かありますか。

○白井構成員 (4)のところでよろしいですか。今、ちょっと慰謝料の話が出ましたので。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 私たちの方でも、一応、慰謝料は除いて、逸失利益を中心にして考えているわけなんです。
 ただ、その場合に、やはり現在の逸失利益の計算の仕方が、被害を受けた方の将来の就労可能年数と、それに伴うライプニッツ係数、そういうものを基本にして、そして平均的な賃金というものを基本にして計算するという方法をとっているわけです。交通事故の政府保障事業の方の補償の仕方もそういう方法でやっておりまして、ですから、今後の新しい一時金の補償の仕方として、やはりそのような稼働期間と平均賃金といいますか、そういうものをもとにした一時金の算定方法、そういう方法をとっていただきたいというのがこちらの案でございます。
 それで、自賠責保険ですが、自賠責保険そのものの計算の仕方と政府保障事業の計算の仕方が違っておりまして、政府保障事業の場合には、ほかの給付があった場合にはそれを差し引くという条文になっておりますので、そういう点では、ちょっと後の併給調整のところと関連するとは思うんですけれども、それは当然、併給調整は考えなければならないだろうというふうには思いますが、一時金の仕組みといいますか、それは今言ったような形にしていただきたい。

○國松座長 これは、先ほど瀬川構成員からもお話がちょっと出ましたけれども、逸失利益、死亡の場合は3,000万円出すとか、そういうところの数字の算定の突き合わせは、もう少し事務方と詰めた上で、ここでやらずに、もうちょっと白井構成員との間で話を詰めたいと思います。この点は、一番の問題は、今言ったどの項目を入れるのか入れないのかという話と、その額をどうするのかということです。これは、先ほど申しましたように数字に関することですから、ちょっとここでやるよりも、別途やってまいりたいというように思います。
 ほかに何かございますか。
 もう2項目、進めさせていただきたいと思いますが、税制上の優遇措置については、前回も異論があったのでありますけれども、この場合は、財務省の方からも話がありましたように、税制上の優遇措置を設けることは、なかなか困難ではないかという認識を私は持っておりますので、この点についてはこういうことで整理させていただいてよろしゅうございましょうか。税制問題につきましては、また別途、これは高橋構成員から出た話ですのであれなんですが、税制上の優遇措置を設けていくというのは、強いサポート、どうしてもやらなければならないという議論は、この会ではちょっと出なかったと思いますので、一応、整理項目の中に入っておりますが、これは困難であるという形で整理させていただきたいと思います。
 あと、例外的な場合の救済措置というものについては、これは今までも何度も出ておりますし、瀬川構成員からこの項目の意味というのもお話がございましたが、私も制度設計を1つした上で、ちょっと抜け落ちてくる部分をどうするかというのは、こういう拾い方をしてやっていく手法というのが、ある意味では一番わかりやすいのではないかなと。これは中に入れて、あれは入る、これは入らないというようなことをやりましても、ちょっと制度自体がごちゃごちゃしてしまうというあれもありますので、どこまでやるかということはこれから議論がありますが、私は、こういう形で支援機構であるとか支援基金というようなものを設けて、その基金なり支援機構なりの運用として必要な給付をして、先ほどから出ているお言葉であれば、被害者に温かい感じを持たせる給付というのは、むしろこちらの方でいろいろやっていくというところがあっていいのではないのかなということでございますが、これをどういう形でつくっていくのか、何も書かなくては、どういうことをやるのかわからないというようなことでも困りますので、ある程度、この点につきましては必要な支援機構あるいは支援基金の構成なり任務なり、あるいはその活動なりというようなものはきちんと書かなければならないと思いますが、これは先般来お話も出ていますように、ほかの検討会との関連もございますし、これはある意味ではすぐれて政策判断を要する問題でもありますので、また自民党なりなんなり、そういう先生方ともお話をしながら成案を得たいというふうに考えているところでありますが、ここではこういう例外的な場合―言葉が「例外的」というのはいけないのかもしれませんが、公的資金に基づく救済からなかなか入りにくいようなものは、こちらで救済していこうという仕組みとしてこういうものをつくるということにつきましては、大体ご同意いただけるということで進めていってよろしゅうございましょうか。

○白井構成員 確認なんですけれども、(4)の休業補償というのがありまして、それで……

○國松座長 ちょっと待ってください。どこですか。

○白井構成員 座長試案の(4)の、今、慰謝料のところを云々として。

○國松座長 はい。

○白井構成員 それで、今日、荒木室長の方から出された資料2の中のやり方としては、3ページをごらんいただきますと、これは第3の重症病給付金を、もし120万円と想定したら、105万円分ぐらいは休業補償で一時金とは別に見たらどうだろうかという新たな提案をしてくださっているわけなので……

○國松座長 これは、医療費ですね。こういうものとは別にという。

○白井構成員 そうですよね。ですから、そういう一時金とは別の形で、休業補償の点については設けていただけると。

○國松座長 いや、私の案としては、重症病給付金対象者というものにつきましては、治療期間が大変長期にわたるというようなことがあった場合には、医療費の問題とは別に、新たに休業損害を考慮して一定の支給を行う。この金は、当然、公的資金といいますか、中で見るというつもりなんですけれども、それでもまだちょっと落ちてくるようなものがあった場合には、基金の方に回っていく、こういう整理をしているつもりでありますが。

○警察庁長官官房総括審議官 今、白井構成員から、休業補償の話がちょっと出ましたけれども、休業補償については、さっきちょっと私も申し上げたのですが、基本的に健康保険法で、一応、制度としてはありまして、業務外の事由による傷病のために休業した場合には、休業の4日目から最大1年6カ月間、標準報酬日額の60%の休業補償が出る―傷病手当金と呼ぶようでありますけれども―というふうになっているわけでありまして、新たに休業補償の制度を犯給の制度に関連してつくる場合に、今申し上げたような制度との関連、位置づけ、整理、こういったものが必要になるだろうというふうに思っておりますので、そういう点についてもご議論いただければ非常にありがたいというふうに思います。

○國松座長 今までのところで、2のところまでが終わるわけでありますが、何かこの際、ご発言いただくということはございますでしょうか。経済的支援の手続、給付方法等につきましては、今日はちょっと進めませんでしたから次回にしたいと思いますが、今までのところで何かございましたら、どうぞ。

○高橋構成員 話を蒸し返すようで申しわけないんですけれども、税制上の優遇措置なんですが、物を盗まれたりしたとき、物損控除というのがありますよね。でも、体を痛めつけられて収入が減ったというときには、例えば障害逸失利益みたいな感じになって、その年の控除額を10万円とか20万円と設定するという、私がこの前お話ししたのは、岩村先生がフォローしてくださったんですけれども、翌年のということでしたが、実際言いたいことはそうではなかったんですけれども、だから、働けなくなったがために、全体の課税対象額から控除額を例えば10万円とか20万円とか、そういう枠をつくるということはできないんでしょうかということだったんです。

○國松座長 この間、私はちょっとあれですけれども、そういう場合は所得から控除されるのではないですか、違うんですかね。優遇措置というのは、収入が減ったとか何とかというのは、計算は翌年になるというか、その話をこの間したんですね。そうではなくて。

○高橋構成員 ええ。そのときのその対象額ですね、それから控除されるというのはないんですか。

○國松座長 今の点は、どうなんだろう。私の理解は、そういう場合にはいろいろと、収入が減るわけですよね。

○高橋構成員 収入が減ったことに対してではなくて、課税対象額は減るわけですけれども、その課税対象額の中に、控除枠というのができないんでしょうかという。例えば扶養控除とか、控除の対象がいろいろありますよね。その中に、犯罪被害によって身体を傷つけられたという、その犯罪被害に遭ったということの控除枠ですね。

○國松座長 すみません。理解していないかもしれないですが、収入が減りますね。減ったら当然、その年の収入は減っておるわけですね。減った収入に対して税金はかかってまいりますから、その減ったという差額は、当然その分は税金がかからないので。

○高橋構成員 差額ではなくて、例えばその人が年収100万円だとして、被害に遭ったがために80万円になったとしますよね。その80万円に対しても、課税されるわけですよね。その課税される80万円の課税対象額に対しても、控除枠を。

○國松座長 それは、幾ら引くわけですか。

○高橋構成員 だから、そんなものはないわけですから、そういうことはできないでしょうかという。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 けがを負われた場合は、当然、医療費の控除というのがありますから、その限度で控除がなされると。

○國松座長 所得の問題を言っているのでしょう。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ですから、所得税を課税する場合に、医療費が控除されるという制度は既にございます。

○國松座長 それは当たり前の話ですね。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 当たり前ですけれども、それ以上に、今おっしゃったように何らかの収入の減少だとか、そういう控除に値する本当の資産の減少とか、そういうものがない限りはなかなか難しいのではないかというのが、今までのところの話し合いだと思いますけれども。

○國松座長 高橋構成員の言うのは、犯罪被害控除枠というのはないのかということですね。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それは、金融庁の側はどうですか。

○金融庁総務企画局参事官 金融庁は関係ないですけれども、ちょっと難しいでしょうね、そういうのは。

○高橋構成員 実際には、物を盗まれたという以上に、体に傷害を負わされた方が、もっとダメージは大きいわけですよね。というふうに思うんですけれども。

○國松座長 被害控除といいましても、物損控除とか、そういうものもいろいろありますな。損害があれば、その分だけいろいろ減りますし、これは当然、税金にはね返ってまいりますよね。それで物損にはね返ってきて、当然、支払い税金は減っていますね。さらに、控除枠というのをつくると。

○白井構成員 こういうことではないかと思うんですけれども、要するに、収入が減るということはいいんですが、出ていくお金が医療費以外にもたくさんあるわけですね。例えば、さっき言った交通費だとか何とかと、そういう被害を受けたがために出ていくお金、あるいは体が障害になってしまったためにかからなければならないお金とか、いろいろ目に見えない出ていくお金がたくさんあるわけですよね、そのときに。そうすると、そういうふだんだったら使わないようなお金を使う。しかし、それを全部、国の補償にお願いしますというわけにはいかない。そうすると、自己負担分というのが相当残っているわけですよね。だから、犯罪によって、実際にはそういう生活経費が、ふだんの経費よりもたくさんかかってしまっている。だから、そういうものを税金の控除対象にと、そういうことなのではないか。

○高橋構成員 そうです、はい。

○國松座長 わかりました。ということで、1回、国税庁の方にそういう仕組みというのが可能であるかというのは聞いてみますが、なかなか……とにかく、ちょっと聞いてみます。難しいのではないのかねというのはありますけれども、医療費は控除するわけですし、いろいろあるわけですから、それをころっとした形で被害者控除でやれということですよね。被害者控除枠というのをつくれということでしょう。確定申告などをやるときに、下の方に配偶者控除とか、いろいろありますよね。あそこに被害者控除というのをつくれと。

○高橋構成員 そうです。物損だけではおかしいのではないかと思うわけですよ、犯罪被害に遭うということでは。

○國松座長 わかりました。それは聞き合わせてみますが、ちょっと難しいかなという感じはしますけれども、何らかの形でもう少し控除の中に入れられるものが、犯罪被害の中に何かあるのかどうかということですね。だから、犯罪被害者控除枠というのをつくるというのは、ちょっとというのはあるかもしれませんが、実質的に、今、医療費が控除されるとか、当然、犯罪被害に遭ったから医療費がかかるんですよね。それは控除するというのはありますよね。だから、そういう以外に何か若干、高橋構成員がおっしゃるような精神的なことで、やっていたものを控除すると。実質的にそういうものが何か項目としてあるのかどうか、ちょっと聞き合わせてみたいと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。
 それでは、大分時間も超過いたしましたので、2のところまで終わったということで、次には3の経済的支援の手続、給付方法等に入るということにいたしまして、本日の討議はこの程度にしたいと思います。
 どうもありがとうございました。


▲ このページの上へ

-

警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 各検討会の開催状況 > 経済的支援に関する検討会 > 第11回議事録