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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等施策推進会議(第5回)議事要旨

日時:平成19年6月19日(火)
午前7時50分~8時15分
場所:総理大臣官邸3階南会議室

会長塩崎 恭久内閣官房長官
委員大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
山田 勝利弁護士
高市 早苗内閣府特命担当大臣
溝手 顕正国家公安委員会委員長
菅 義偉総務大臣
長勢 甚遠法務大臣
冬柴 鐵三国土交通大臣
石田 祝稔厚生労働副大臣

※ なお、委員に限らず全ての出席者の発言について、便宜上、「委員」と表記した。


1. 開会

2. 会長あいさつ

3. 3つの「検討会」の中間取りまとめについて

4. 国民からの意見募集について

5. 自由討議

6. 閉会


<配布資料>

資料 13つの検討会の中間取りまとめ(案)の概要 [PDF形式:81KB]
資料 2-1経済的支援に関する検討会中間取りまとめ(案) [PDF形式:45KB]
資料 2-2支援のための連携に関する検討会中間取りまとめ(案) [PDF形式:318KB]
資料 2-3民間団体への援助に関する検討会中間取りまとめ(案) [PDF形式:58KB]
資料 3検討会中間取りまとめに対する国民からの意見募集について(案) [PDF形式:10KB]



○冒頭、会長(内閣官房長官)より概略以下のとおり挨拶があった。
 昨年の4月、犯罪被害者等基本計画に基づき、経済的支援のあるべき姿、途切れることのない支援等のための体制づくり、そして、民間の団体に対する財政的援助のあり方について検討を行うため、推進会議の下に3つの検討会をつくっていただいた。各検討会においては、これまでの約1年間、精力的な調査・審議が行われて、今般、中間取りまとめがなされたところである。本日は、これらについて御検討をいただくことになっている。
 中間取りまとめにおいては、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並みの金額に近づけるなどの抜本的な拡充、連携ネットワークの充実強化や民間団体における支援者の研修・資格認定のための方策、民間団体への財政的援助の充実等が打ち出されているところである。
 犯罪被害者等の権利・利益の保護が図れる社会の実現のためには、検討会において取りまとめられる施策を、政府を挙げて着実に推進していくことが重要と考えている。
 各委員におかれては、引き続き、犯罪被害者等施策の一層の推進に取り組んでいただくようお願い申し上げたい。
○報告者から、「経済的支援に関する検討会」、「支援のための連携に関する検討会」、「民間団体への援助に関する検討会」の中間取りまとめについて、概略以下のとおり報告された。
 まず、経済支援に関する検討会であるけれども、犯罪被害者に対する給付を抜本的に拡充をするということで、給付金の最高額を自賠責の並みの金額に近づける。すなわち、御遺族に対する給付については現行の1,500万円余りが約3,000万円に、それから、重度障害者については約1,800万円余りを4,000万円にできるだけ近づけようということになっている。それに伴い、最低額についても引き上げることになっている。
 また、現在の制度では、収入が低い場合は給付額が低くなるようになっているけれども、重度障害者については、若い方で収入の少ない方についてそうならないように配慮すること、また、遺族であって子どもがたくさんいるような負担の重い御遺族の場合には、同じく配慮を行うことを提言している。
 大けがを負ったような場合に、休業を余儀なくされることがあるけれども、休業された場合に休業給付を新設することについても検討することとされている。これらに伴う財源については、一般財源で賄うことになっている。
 また、事件を知った日から2年、それから、発生から7年以内に申請を行わなければならないという規定があるけれども、やむを得ない事情で申請できなかった場合に、特例的に申請できる制度の検討を行うということになっている。
 さらに、公的給付はできないけれども、事情があって救済しないと基本法の趣旨を全うできないと考えられるような例外的な事態の場合は、民間の基金において救済を図ってはどうかと考えている。
 それから、性犯罪等で深刻な精神的被害を受けた場合のカウンセリングについて、現在、保険の点数が低いために自費診療となってしまっているケースがあると言われている。診療報酬改定時において、これらについて検討を行うことにしている。
 それから、無差別大量のテロ事件が万が一発生した場合に、例えば9.11のアメリカにおいては特別立法により、また、ロンドンの地下鉄テロについては、民間と政府、ロンドン市による基金設置により、特別の救済が行われたところである。我が国においても、同様に迅速かつ事案に応じた適切な対応をとることを提言している。
 現在、被害者の方が刑事裁判に参加するための刑事訴訟法の改正案が参議院において審議中であるが、これが成立した場合には、被害者の方が刑事裁判に参加する場合の弁護人を公費で負担する制度の導入に向けて検討を行うこととしている。
 2つ目の検討会は、連携ネットワークの構築等についての検討会である。まず、警察・検察のみならず、病院とか福祉機関等、支援に当たる機関・団体において、被害者の方にそれぞれ適切な支援が行えるようにネットワークの強化を図ることとして、それぞれの機関・団体に被害者の方と接する際の留意事項あるいは地域の関係支援機関の連絡先等を記載したハンドブックを備えつけることとしている。また、被害者の方の事情聴取の負担を軽減するために、被害者の方が被害の状況、支援のニーズ等について簡便に記載できる被害申告票を作成することとして、そのための申告票のモデル様式等を国において示してはどうかということを考えている。
 また、民間団体で支援に当たる支援員の研修と資格の認定を、全国被害者支援ネットワークが行うこととし、最上級の支援員であるコーディネーターについても研修・育成を図ることとしている。
 3つ目の検討会は、民間団体の支援に関する検討会である。民間支援団体の被害者支援における重要性にかんがみ、現在、警察から補助金を受けている犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律に基く早期支援団体と、その指定を目指す団体、その全国組織である全国被害者支援ネットワークに対して、引き続き援助の充実を図ることとしている。
 また、警察以外の知事部局、市町村の果たす役割が大変重要であることから、国により、こうした地方自治体と民間団体が連携してのモデル事業、あるいは、地方財政措置について検討を行うこととしている。
 さらに、支援団体に対する民間の企業等の寄付を受けやすくするために、被害者問題に対する広報啓発等を国民運動的に展開することとし、民間団体に対する財政基盤を強化することとしている。
 以上が3つの検討会の中間取りまとめの概要である。
 資料3にあるに、この中間取りまとめについては、この会議に報告した後、約1カ月パブリックコメントにかけて、期限である年末の最終報告に向けて、引き続き調査・審議していくこととしている。
○犯罪被害者等施策担当大臣から、3つの検討会の中間取りまとめについて、案のとおり国民からの意見募集に付するとともに、引き続き最終的な取りまとめに向けて調査・審議を続けるということに対する異議の有無を求め、そのとおりとすることで異議無く了承された。
○自由討議
 犯罪被害者等施策に関する今後の取組などについて、有識者委員から概略以下のとおり発言があった。(委員) まず初めに、私が官房長官と初めてお会いしたのは、自民党のヒアリングに呼んでいただいたときで、あれからもう4年以上たつ。いつも世界に誇れる基本法にするということをおっしゃってくださり、精力的に取り組んでくださった上、いつも被害者を励ましてくださり本当にありがたい。心からの感謝を申し上げたいと思うし、また、今日こういう場所でお会いできたということを感無量に感じている。
 被害者支援の現場では、基本法ができたことで、例えば警察とか検察など関係機関の理解と協力体制が大変広がってきているということを強く感じている。今回のこの中間取りまとめ案の中で、各省庁の皆さんが精力的に取り組んでくださり、きちんと出来上がってはきたけれども、ちょっと心配な点がある。それはどういうことかというと、被害者への経済的支援であるとか、あと、被害者支援団体への安定的活動のための支援、それと公的弁護人制度の早期導入等に対して、その財政基盤がはっきりとしていないという部分もあるということが少し気になっている。
 ただ、自民党の司法制度調査会の犯罪被害者保護・救済特別委員会として、その点の申し入れもしていただいているので、官房長官をはじめとして、大臣の皆様の強い政治的リーダーシップで、さらにその最終報告が充実していっていただくということを心から願っている。
 実は、私も長勢大臣と同じ富山県の人間で、毎週、富山県から東京まで通って被害者支援活動を一生懸命にやっているので、これからもまた力を尽くしていく所存であるので、どうぞこれからも皆様のお力添えを一層お願いしたいと思う。よろしくお願いする。
(委員) 私は、精神科医として、深刻な精神的被害を受けた被害者の治療とかカウンセリングを専門としている。今、おっしゃっていただいたように採算が全然とれないので、大学の中でこういう方の治療を行っているけれども、先週も、犯罪被害を受けられて、事件の話をしようとするとフラッシュバックしてしまうので、話自体ができないというような方が、ちょうど初めていらっしゃった。そういう方の声というのはなかなか大きくならないので、こういう形で拾っていただけることはとてもありがたいことだと思う。
 被害者支援にかかわってからもう十数年になるけれども、犯罪被害者等給付金の拡充と、今、審議されている司法の参画は本当に抜本的な問題で、これが今回こういう形で取り上げていただいたというのは、私は非常に評価している。ありがたいことだと思っている。
 恐らく、こういう施策は、このままきちんと全国で実施されていくことになるわけであるけれども、一方で、この連携の問題とか支援の問題に関しては、ここではスキームができている状態で、実際に地方でどのように行われていくのか、それから、例えば切れ目のない支援が実現されたとして、その端っこには、私どもの立場から言えば、実際に役に立ってスキルを持っている専門家が配置されないと意味がないわけである。ここのところはまだ本当にこれからの問題で、少し時間がかかることだと思っている。
 自分も、そういう方たちを育てたり、あるいは、地域の中でのレベルの底上げなどにがんばりたいと思っているけれども、ぜひこのあたりは、ただスキームを描いて終わりになるのではなくて、長期的な視点を持って、どういうふうに実現していくか見ていただけるとありがたいと思う。
 実際に、例えば、深刻な精神的被害を受けた方のカウンセリングとして挙げられている治療法を、今、全国でできる人は、恐らく10人ぐらいしかいない。もちろん、ほかの療法もあるけれども、そういうものを広げていくことはとても大変なことであるので、ぜひこれからも関心を持っていっていただきたいと思う。
(委員) 自賠責並ということで、被害者に対する補償が厚くなったことは大変喜ばしいことだと思っている。私は弁護士会の出身であるけれども、弁護士会もつとに、自賠責並には上げた方がいい、上げるべきであるということを主張してきた。特に、犯給法の性格を、お見舞金的な性格から、これを補償法的な性格にすべきであるということを言ってきた。今回はそこまではいかなかったようであるが、いずれにしても、金額が高くなるということで大変よろしいと思う。
 ただ、比喩的に申し上げると、目玉商品はあるけれども、その目玉商品が3つとか4つとか極めて少数でしかなくて、あとはみんな、お客さんが来てみると、そうでもないという商法があるようである。今回も、最高額は自賠責並になった、それから、最低額も引き上げるということであるけれども、その中身が果たして充実しているのであろうかということは、計算式をどう立てるかによっていかようにでもなることであるので、中身もしっかりと充実させていただきたい。
 また、ほかのことでも、被害直後、あるいは、中期的な居住、いわゆるシェルターと呼ばれるものについても触れられているし、大変結構であると思う。それから、先ほどお話があった公的弁護人制度も大変よろしいと思うが、いずれにしてもお金のかかることである。公的弁護人制度などが導入されると、弁護士会としてはまた負担が増えるわけで、みんなでとりかからなければならないけれども、そうしたことはもちろん覚悟の上で、精一杯やろうという意気込みであるので、ぜひこれを実現していただきたい。その際には、予算措置を伴うことであるので、その点を重々お願いしたい。ひとえに予算にかかわるところが大だと思う。羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいにならないように、ぜひともお願いを申し上げる次第である。
○最後に、犯罪被害者等施策担当大臣より概略以下のとおり発言があった。
 本日の御議論も踏まえ、事務局において、国民から意見を求める手続きを開始させていただく。その結果を踏まえて、それぞれの検討会において、最終取りまとめに向けて調査・審議を行っていく。
 今回、お話に上がった、被害者の方々に対するより手厚い経済支援であるとか、様々な関係機関・団体による継ぎ目のない支援の実現、そしてまた、民間団体に対する国からの支援の拡充という重要課題を検討する3つの検討会に対しては、被害者の皆様からも大きな期待が寄せられているものと思っている。
 冒頭で官房長官におっしゃっていただいたが、犯罪被害者の権利利益の保護が図られる社会の実現のためには、今回、検討会で取りまとめていただく施策を、政府を挙げて着実に推進することが必要であるので、御出席の閣僚の皆様におかれては、引き続き、各施策を積極的かつ強力に推進していただくようにお願いを申し上げる。



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