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犯罪被害者等施策
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第8回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

(開催要領)
日時: 平成23年1月12日(水)10:00~11:10
場所: 中央合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室
出席者: 山上議長、大久保構成員、久保構成員、瀬川構成員、中島構成員、松坂構成員、松村構成員
  内閣府犯罪被害者等施策推進室長、警察庁長官官房総括審議官、総務省大臣官房企画課企画官、法務省大臣官房審議官、文部科学省大臣官房総務課副長、厚生労働省社会保障担当参事官、国土交通省総合政策局政策課政策企画官、金融庁監督局保険課課長補佐

(議事次第)
1.開会
2.国民からの意見募集(パブリックコメント)の結果について
3.第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案について
4.その他
5.閉会


(議事内容)

○山上議長 では、ただいまから、第8回基本計画策定・推進専門委員等会議を開催いたします。本日は、パブリックコメントの結果等を踏まえて、「第2次犯罪被害者等基本計画(仮称)案」について検討を行います。
 まず、事務局より、骨子に対するパブリックコメントの実施結果、及びその対応案の全体について御説明いただき、その後、有識者構成員から事前の意見提出があった事項について、担当省庁から見解の発表をいただき、協議をいたします。
 なお、意見の事前提出がなかった分については、事務局から提起された対応案で御了承いただけているものと思われますので、円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、事務局、お願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、事務局の方から、パブリックコメントの実施結果やその対応案等について御説明いたします。
 まず、資料1を御覧いただきながら、パブリックコメントの結果等について御説明いたします。このパブコメは、昨年の10月15日から11月5日までの間、第二次基本計画の骨子について、内閣府のホームページやファックス、郵送により御意見を募集する形で行いました。
 御意見をお寄せいただいたのは、個人で105名、犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体で16団体、その他の団体で14団体でございます。団体名につきましては、御了解を得まして資料に記載してございますので、御覧ください。
 お寄せいただいた意見の数につきましては、延べ件数でいいますと668件、内容が重複するものを除きますと482件となります。
 なお、パブリックコメントの手続とは別に、国会議員からも意見が寄せられておりまして、お寄せいただいた意見の数にはこの国会議員からのものも含まれております。
 次に、資料2と資料3を適宜御覧いただきながら、パブコメに寄せられた意見内容と、これに対する対応などについて御説明いたします。
 お寄せいただきました668件の御意見につきましては、事務局において、同趣旨の意見は1つにまとめまして、内容を一部要約するなどした上、各意見をAからEに分類いたしました。資料2の頭に分類が書いてありますが、Aは、これまでに検討されていない御意見で、当該御意見に対する対応、具体的には案文を修正するのかしないのかについて検討をする必要があるというものであります。Bは、当該施策を実施するに当たっての要望として、担当省庁において参考とするものということであります。Cは、単に賛成の意を表しているものや感想を述べているもの、事実誤認に基づく意見、個別の事件に関するものなどであります。Dは、既に検討済みのもの。Eは、犯罪被害者等基本計画の見直しの中での検討になじまないと思われるものであります。
 寄せられた御意見の内容は、資料2の一覧表の意見内容欄に記載しております。また、各意見に対する分類は分類案に記載しております。
 なお、意見の数が大変多いので、この場での御紹介は割愛させていただきます。
 いただいた御意見のうち、Aと分類された御意見につきましては、担当省庁から対応案をいただきました。それを資料2の一覧表の備考欄に記載しております。御意見を踏まえて案文を修正するものについては、赤字の見え消しで記載してあります。また、案文の修正を行わないものについては、その理由を記載しております。
 このように、担当省庁からの対応案をいただいた後、パブコメ意見とこれに対する対応案等を整理した一覧表を有識者委員に送付し、パブコメ意見と各府省庁の見解を踏まえて、計画に反映する必要があるかどうかという観点で御意見をいただきたいという照会をさせていただきました。また、その際、併せて計画の前文ですとか、総論部分も記載したものを送付いたしまして、これらの部分についても意見の照会をいたしました。
 そうしましたところ、4名の有識者委員から御意見をいただきました。その御意見は資料5にまとめてあります。有識者委員からいただいた御意見についても、担当省庁に検討をしていただきました。具体的には、この意見を踏まえて案文を修正するのか、しないのか、するのであれば修正文、しないのであればその理由を出していただきました。
 これを整理して一覧表にしたのが資料3でございます。左の欄には、施策の案文、それからパブコメの意見、この意見を踏まえた担当省庁の見解を記載しております。真ん中の欄に有識者委員の意見を記載し、右の欄に有識者意見に対する担当省庁の見解を記載してあります。
 有識者委員の御意見に対する検討結果につきましては、後ほど担当省庁から御意見の要旨と、これに対する検討結果を御説明していただくこととしておりますが、この有識者委員の御意見の中には、特段検討を求めるものではないというものもございます。資料では、担当省庁における検討結果欄に斜線を引いてあるものです。ですので、特段検討を求めるものではない御意見についてのみ、私の方から御紹介させていただきます。
 資料3の1ページ、2番です。小西委員から、全体につきまして、当事者、支援団体、関連団体、学会等から多くの意見が寄せられており、また、意見内容も具体的なものが増え、実際に支援する際の困難性が可視化されているので、A分類以外に分類されている意見についても、その内容を十分重視すべきであるという御意見をいただいております。
 また、資料3の2ページ、5番を御覧ください。中島委員からの御意見です。施策は、弁護士等が犯罪被害者等との打合せにカウンセラー等を同席させることに対して、日本司法支援センターが支援を行うことについて検討すること等の施策についてですが、この部分につきまして、検討に際してはカウンセラー等の定義が必要になる旨の御意見をいただいております。
 3ページで6番、小西委員から、カウンセリング費用の公費負担についての検討について、この施策に対する意見が複数あり、検討の会においては実質的で有効な検討が行われることが重要である旨の御意見をいただいております。
 そして、7ページに飛びますが、13番、松坂委員から、少年被害者のための治療等の専門家の養成、体制整備、及び施設の増強に資する施策の実施に関しての御意見をいただきました。この施策につきましては、パブコメの意見を踏まえまして、担当省庁である厚生労働省において修正をしているところですが、松坂委員からは、毎年、児童・少年の精神疾患事案が増加している反面、それに対応できる児童精神科医が不足しているという極めて深刻な事態があり、国として早急に対策を講じる必要がある旨の御意見をいただいております。
 それでは、資料3につきましてはこの程度にいたしまして、次に資料4を御覧いただきながら、パブコメの意見、有識者委員意見等を踏まえて、案文を修正した、そのことにつきまして御説明いたします。
 資料4は、各施策部分だけではなく、前文や総論部分も含めた計画案の全文であります。修正箇所は赤字の見え消しと青字の見え消しの部分であります。赤字の見え消しの部分は、パブコメ意見を踏まえた修正であります。パブコメ意見を踏まえた修正部分について、簡単に説明しておきます。
 まず、13ページの(3)を御覧ください。カウンセリング費用の公費負担についての検討の部分です。この施策につきまして、パブコメで、子どもの被害者では言語を用いないプレイセラピーや描画治療なども含まれることから、「カウンセリング費用の公費負担」ではなく、「カウンセリング等心理療法の費用の公費負担」とすべきではないかという御意見をいただきまして、この御意見を踏まえまして、御意見どおりに修正したものでございます。
次に、14ページの(6)をごらんください。「性犯罪被害者の医療費の負担軽減」のところであります。中絶手術への公費負担を明記すべきとの御意見を踏まえまして、1行目に「人工妊娠中絶」を加えました。
 次に、少しページは飛びますが、18ページを御覧ください。下の(11)「少年被害者のための治療等の専門家の養成、体制整備及び施設の増強に資する施策の実施」の部分です。この施策につきまして、賛成であるが、精神科と小児科医と連携できるような環境を整備する必要がある等の御意見をいただきまして、その御意見を踏まえて、案文の最後の方を加筆いたしまして、「児童精神科医等専門家の適正な配置や連携体制の整備及び施設の増強に資する施策を実施するとともに、専門の医療機関等についての情報提供を行う」と修正いたしました。
 それから、20ページになりますが、(16)の施策です。「犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する臨床心理士の養成等」についてです。毎年、被害者支援研究会を行い、各都道府県に被害者支援担当者を置いているのは、一般社団法人日本臨床心理士会であるので、研修の実施等を促進するため、内閣府が働きかける先として臨床心理士会も加えるべきとの御意見をいただきまして、この御意見を踏まえて、「一般社団法人日本臨床心理士会」も加えました。
 次に、21ページになりますが、(22)「少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等」についてです。スクールソーシャルワーカーの会を明記してもらいたい旨の意見を踏まえまして、イの案文に「スクールソーシャルワーカー」を追加するなどいたしました。
 次に、ページは少し飛びますが、29ページになります。(6)「犯罪被害者等と検察官の意思疎通の充実」について、「コミュニケーション」という言葉で逃げず、被害者の権利を守り、被害者の主張を伝えると書いてもらいたいとの御意見を踏まえまして、「コミュニケーション」については「意思疎通」という言葉に言い替えました。また、イでは、犯罪被害者等基本法第3条の「『すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する』との規定等を踏まえ」という文言を加えるなどいたしました。
 次に、また少しページが飛びますが、36ページです。(6)の「性犯罪被害に遭った児童生徒への対応の充実」についてです。学外の機関との連携も強化し、積極的に活用していただきたいとの御意見、また、子ども性虐待への研修にも重点が置かれるべきである。加害者が教員の場合には、学外での支援が得られることが不可欠であり、学校内外、場合によっては教育関係者以外との連携をつくる必要があるとの御意見を踏まえ、案文の最後に「関係機関との積極的な連携を促進する」との文言を加えました。
 最後、45ページに飛びます。2の(1)です。「犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に資する研究」についての部分ですが、御意見は、他の施策とも併せ考えると、「犯罪被害者等」と「等」をつけるのが適切であるとの内容でありまして、この御意見を踏まえて、「犯罪被害者等」と修正いたしました。
 次に、青字の見え消しの部分ですが、これは有識者の御意見と国会議員の御意見を踏まえた修正と、前後の文の流れや表現の適正化等の観点からの修正であります。
 なお、後ほど厚生労働省から御説明があると思われますが、厚生労働省は有識者委員の御意見を踏まえまして、施策を追加することといたしました。しかし、時間の関係もございまして、当該施策の表題や挿入の位置についてまで確定させることはできませんでしたので、これらにつきましては、本日の御議論を踏まえまして、追って調整して確定させることとしたいと思います。
 最後になりますが、これまでの議論や具体的施策の案文の作成に当たりましては、第3次男女共同参画基本計画案との調整を図ってきたところでありますが、昨年12月17日にこれが閣議決定されましたので、第3次男女共同参画基本計画のうち、第9分野、女性に対する暴力の根絶の部分を抜粋したものを資料6として付けましたので御参照ください。
 事務局の方からの説明はこれで終わらせていただきます。
○山上議長 それでは、次に有識者構成員から御意見があった事項について、担当省庁から御説明をいただきます。関係省庁から一通り御説明をいただいた後、質疑及び討議を行います。
 それでは、内閣府からお願いします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、内閣府から説明をさせていただきます。
 有識者委員からいただきました御意見と担当省庁における見解につきましては、先ほど事務局から説明がありましたとおり、資料3にまとめておりますが、内閣府の担当部分につきましては、前文についての御意見でございますので、全体像を見ていただいた方が分かりやすいかと思いますので、資料4を御覧いただきたいと思います。
 大久保委員から、5か所につきまして修正意見をいただいております。資料4の1ページ目、青字で修正されている部分でありますけれども、真ん中よりやや上に、「社会においても、必ずしも十分な理解が示されていなかったこともあり」という部分を、「社会においても、必ずしも理解が示されていたとは言い難かったこともあり」と修正すべきとの御意見でございました。御趣旨は、理解が不十分であるということをより強調する表現にした方がいいのではないかなということと思われます。この部分につきましては、御意見のとおり反映いたしました。また、言葉の面からも、その次の文章でも「十分な支援」ということで、「十分な」が重なりますので、表現が重ならないという観点からも修正が望ましいというふうに考えました。
 2か所目は、2ページの真ん中よりやや上の部分でございます。「刑事手続において被害者は証拠として扱われているにすぎないと批判された従来の状況については、改善が図られたと言える」の部分の「改善が図られた」の前に「一定の」を挿入すべきとの御意見でございました。次期計画案でも、刑事手続の関与拡充については更なる改善に向けた施策も盛り込まれているところでありますので、御意見のとおり、修正をすることといたしました。
 3か所目は、3ページの第1段落の部分であります。御意見では、内閣府の実施した調査を紹介する部分で、「数倍以上となっており」というものを「9ないし10倍程度にもなり」として、具体的な数値を示すべきとの御指摘をいただいたものであります。
 調査結果では、重症精神障害相当とされる割合は、一般対象者の方が4.1%、犯罪被害者の方は35.5%でありましたことから、10倍近くになっており、表記することといたしました。
 なお、どのような犯罪被害者の方々を比較対象とするかによりまして、この数値はかなり変わってくることが考えられますので、比較の対象とした犯罪被害者等につきまして、4ページ目の※1の部分の注書きでかなり詳しく記載をして、正確を期することといたしました。
 4か所目は、3か所目の修正の次の文であります。「職場・学校の者」という表現を「職場・学校関係者」とすべきとの御意見であります。本調査におけるアンケート調査票における選択肢の表現は、「同じ職場・学校等に通っている人」でありますので、「職場・学校の関係者」と表記しても特段差し支えはありませんし、その方が言葉としてもふさわしいのではないかと考えますので、御意見を反映することといたしました。
 5か所目は修正をかけておりませんので、青字になっておりませんが、同じく3ページの前文の最後の部分、真ん中より上の部分で、「もとより」以下の段落のところでございますけれども、「今後とも、国民の理解と配慮・協力を一層促すとともに、政府全体として、更なる取組の強化を図っていく必要がある」という表現を、御意見では「今後とも、政府全体として更なる取組の強化を図っていくとともに、国民の理解と配慮・協力を一層促す必要がある」と、逆にしてはどうかとの御指摘でありました。政府の取組が国民の理解より先ではないかという御趣旨ではないかと思われますが、この部分につきましては、第2次犯罪被害者等基本計画の前文の締めくくりでありますし、また、政府における計画策定の必要性を強調するため、また前後の文脈の流れという観点でも、より自然ではないかと思われますので、原案どおりとさせていただきたいと考えております。
 内閣府からは以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。次に、金融庁、お願いします。
○金融庁監督局保険課課長補佐 金融庁の保険課でございます。
 資料3の2ページ目の番号3の部分で、中島委員からコメントをいただいた件でございます。当初の意見におきまして、最終文に「犯罪を誘発し、逆効果となるおそれがある」という記載をさせていただきましたが、その記載が表現上適切ではないのではないかというようなコメントをいただきました。
 御指摘の表現の趣旨は、保険の設計の検討に当たって不可欠な逆選択の問題に言及をしたものでございますが、御指摘の趣旨を踏まえまして、最終文を削除した上で、第1文の部分について、「生命や身体、財産に関する被害など、それぞれの被害をカバーする保険については、すでに、生命保険や傷害保険、盗難保険等が存在しているため、犯罪を原因とする被害の補償のみを包括的にカバーする保険を国主導で創設した場合には、自助努力で運営されている民間保険との切り分けが困難」であるという指摘をする形とさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。次に、国土交通省、お願いします。
○国土交通省総合政策局政策課政策企画官 国土交通省でございます。中島委員から、公営住宅の優先入居のところで、周知徹底をするといったような記載をしたらどうかという御意見をちょうだいしたところでございます。
 私どもとして、この周知徹底というのはおっしゃるとおりだと思っておりますし、これまでも機会あるごとに周知徹底を図ってきたという思いは持っております。ただ、このような御意見をちょうだいしているということは、まだ十分に行き届いていないということの反省は踏まえなければいけないということでございまして、この周知徹底というのは引き続き更に隅々まで行き渡るようにやらなければいけない、こういう思いは持っているところでございます。
そういう意味を込めて、更に推進するとしておりまして、この施策そのものは周知徹底が目的というよりも、優先入居を果たすということについてどのような対応をしていくかということで、その中の一つとして周知徹底もしていくということで施策全体を推進していこうという意図でございまして、それで原案のままということで、この周知徹底することも含めて更なる推進をしてまいる、このような理解の下にこの原案を構成していることから、原案のままでいかがかと、このように見解を示させていただいたところでございます。
 以上であります。
○山上議長 ありがとうございました。次に、警察庁、お願いします。
○警察庁長官官房総括審議官 警察庁でございます。5ページになりますが、小西委員の方から、ワンストップセンターについて、「モデル事業の検証を速やかに行い、更なる支援センターの開設に役立つよう」という表現を入れてほしいという御指摘でございますが、「速やかに」という部分についてはほかの部分のところにもございます。私どもとしても、当然、検証については急いでやるという気持ちはありますが、ほかの部分と表現等の関係で、「速やかに」という表現はいかがかと。「さらなる支援センターの開設促進に役立つよう」というものにつきましては、センターの設置をさせるために以下の施策を推進するという形で書いてある中身になりますので、重複になりますので、これは重複を避けるという意味で原案どおりとさせていただこうということでございます。
○山上議長 ありがとうございました。次に、総務省、お願いします。
○総務省大臣官房企画課企画官 総務省でございます。資料3の6ページ目、番号の12番でございますけれども、大久保委員の方から、犯罪被害者等に関する情報の保護というところに、恐らくこれは加害者が被害者の住民票なりを見ることで二次被害を防止しようという御趣旨かなと思っておりますけれども、住民基本台帳法につきましては、従前は居住関係の公証という役割を持っていたということで、何人も閲覧なりができたということでございましたけれども、社会情勢の変化とか、個人情報保護の意識の高まりといったことから、平成18年と19年に個人情報保護に配慮した制度に再構築して今やっております。運用は市町村がやっているわけでございます。
 具体的にどういうふうにしているかと申し上げますと、国とか地方公共団体以外の第三者が住民基本台帳を閲覧したり、住民票の交付を申し出ることができる場合といったものを限っております。閲覧につきましては、世論調査等、マスコミでありますとか、大学、そういった機関が世論調査をする場合とか、あと、公共的団体が公益事業を行うのに必要である場合、あと、訴訟を起こすとか、そういった特別な事情がある場合、そういったことについて閲覧を認めているということでございます。
 また、交付につきましては、基本的に第三者からの交付請求というものは、首長なんかに提出するとか、あと自分の権利義務を行使するためということで、かなり限定をされておりまして、それぞれの申出を出させて、どういった方かということについて本人確認をした上で、その申出の理由が正当である、相当であると認める場合に限って、閲覧なり、交付をしているということでございます。
 したがいまして、この改正以前のように、何人も見られるという状況ではございませんで、かなり限定をしているところでございまして、そういった現行制度におきましては、加害者の方が被害者といいますか、再被害防止対象者、そういった方々の住民票を閲覧したり、住民票の交付を請求して受け取るということは基本的に不可能ではないかなと思っております。また、そういった理由にうそ、偽りをついた場合についても、制裁措置といったものを併せて設けておりまして、そういったことから、現行制度で基本的には対応可能ではないかなと思っています。
 こちらに盛り込むことによって、ややもすれば、現行においても住民票の閲覧といったものはかなり自由に見られるといったようなことなり、誤解といいますか、そういったことを惹起するということも若干我々としては気にしておりまして、そういった点から、大久保委員の御意見等がございますけれども、この計画に載せるということについてはなかなか困難ではないかなという見解をお示ししております。
 以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。次に、厚生労働省、お願いします。
○厚生労働省社会保障担当参事官 厚生労働省でございます。複数ございますけれども、まず資料3の4ページ、7番目でございます。こちらは松坂委員の方からいただいている御意見でございまして、PTSDの診断及び治療にかかる医療保険の適用の拡大ということに関しまして、御意見ではこういった方たちに対する治療を行う際の診療報酬について必要な措置を講ずるということを御指摘いただいているところでございます。
 それに対しまして、御指摘のとおり、分類をAとした上で、以下のとおりの見解ということで書いてございますけれども、少し補足いたしますと、診療報酬、これは社会保険診療における価格であるわけでありますけれども、この価格を設定するに当たりましては、当事者であります診療側、そして保険者、こういった当事者同士の一種の価格交渉といったようなことを行う場として中央社会保険医療協議会というものがございます。そして、この診療報酬については、2年に1回ずつ改定するというルールになっておりまして、その際には、1つの考え方としましては、医療の有効性、そして安全性ということについて評価が得られるものについて措置を講じていくといったようなことになっております。そういったことから、このPTSDといった治療に対する診療報酬上の評価につきましても、次の診療報酬改定、これは今年の暮れにかけて行われて、来年度ということになるわけでありますけれども、そういった中で、医学のいろいろな向上といったようなこともありますので、専門家の御意見も十分に伺いながら、その中で有効性、そして安全性の評価が得られるものについては措置を講じていくというような考え方をしているところでございます。
 次の関係は8番でございます。こちらは救急医療に連動した精神的なケアのための体制整備ということで、同じく松坂委員から御意見をいただいております。救急医療に連動した精神的ケアの更なる体制整備の必要性ということでございます。こちらにつきましては、指摘のとおり、分類Aとした上で、以下のとおりということで書いてございますけれども、少し補足いたしますと、こういった救急医療における精神的ケアの重要性ということについては、私どもとしても認識しているところございます。
 そして、こういった救急医療ということに関しては、地方、特に都道府県などと連携をして取り組んでいく必要があるというようなことでございます。
 そういった中で、私どもの方では、毎年、救命救急センターの評価というものを行っております。A、B、Cの3段階の評価を行うというようなことの中で、その中の項目としましては、救急医療と精神科医療との連携体制といったようなことも評価項目に追加をしてきておりまして、そしてそういったことについても、精神科の医師を確保するといったようなことについて都道府県に要請をするというようなことを行ってきているところでございまして、今後とも、こういったことの重要性に鑑みまして、真摯に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
 次が5ページ目になります。これは、思春期精神保健の専門家の養成ということに関連しまして、同じく松坂委員の方から御意見をいただいております。具体的には、思春期の意味を明確にすべきであるということで、主に15歳前後から二十歳前後の未成年者といったような御意見なわけですけれども、私どもといたしましては、思春期の対象年齢ということを明確にしますと、かえってそこから漏れてしまう方が出てきた場合、それをどうするかといったような不都合が生ずるということもございますので、原案の方が被害者の方にとっても柔軟に対応できるという点ではいいのではないだろうかというふうに考えている次第でございます。
 次に、6ページでございます。こちらは、緊急避妊の情報の普及活動ということで、中島委員からいただいている御意見でございます。先生の方からいただいておりますように、緊急避妊薬「ノルレボ」の承認が実は昨年の暮れ、12月24日の厚生労働省の薬事分科会において認められたというようなことでございますので、これについてはそのことを反映するということで、資料4の計画の案の方でいきますと、22ページでございますけれども、追加をさせていただくというようなことにしたいと思っております。そして、このことに関しましては、緊急避妊の情報普及に努めていくというようなことをしていきたいと思っている次第でございます。
 次が、1ページ飛びまして8ページ、14番でございます。こちらは、医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取等の促進の関係でございます。こちらは、主として警察庁において担当ということなわけでございますけれども、ここの担当のところに厚労省も入れたらどうだろうかということを中島委員から御意見をいただいているところでございます。
 これについては、いただいた御意見の趣旨としては、医療機関との体制整備ということでございますので、厚生労働省ということではないかと思いますけれども、こちらの証拠採取というものは、今回の場合ですと、性犯罪の捜査器材の整備というようなことでありますので、一般的な医療提供の器材ではなく、刑事事件の証拠となる証拠採取・保存の関係ということでございますので、原案どおり警察庁ということで、厚労省としては今の案文にありますように、協力ということにさせていただければと思っております。
 ただ、こういった協力ということから言いますと、別途、計画案文の第2の1の(13)の方に、この資料4でいきますと19ページでございますけれども、体制の整備ということを厚生労働省ということで書いてございます。こういったことで、私どもとしては、医療関係者に対して情報提供を行うといったようなことで協力をしていくということは何ら変わりはないわけでございます。
 次が15番、一番最後、9ページでございます。これはもともと案文になかったものですけれども、中島委員の方から、地域包括支援センターの体制整備と活用ということに関連して御意見をいただいております。これは、先生の御意見にありますように、高齢者介護ということで介護保険法の中で、地域包括支援センターに保健師、社会福祉士といったような専門家を配置して、その中では高齢者に対する虐待への対応といったような権利擁護の業務を行うといったようなことがございますので、そういった点について追加をさせていただきたいと考えている次第でございます。
 そういったことで、先ほど事務局からも紹介がございましたけれども、資料4の45ページでございます、こちらの方にこういった形で、高齢者に対する虐待への対応を含む権利擁護業務を行うといったようなことで追加をさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
 以上でございます。
○山上議長 ありがとうございました。それでは、討議に入ります。御質問や御意見がある方はお願いします。どうぞ、中島委員。
○中島構成員 内容についてではないのですが、まず内閣府の方にお伺いしたいと思います。こちらの「対応案に関する有識者構成員意見等整理表」は後日、ウエブ等を通じて公開されるものでしょうか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 資料3ですよね。すべて配付資料ということで公開されます。
○中島構成員 分かりました。それでありましたら、それを受けて、実際の案文の話ではないのですが、これを読まれる一般の方に誤解がないようにということで、少し省庁の御回答の方にその旨を付け加えていただきたいと思っている部分がございます。
 資料3の4ページの7ですけれども、パブコメ意見の方で、意見番号120につきまして、医師の経済的な側面の安定を図る必要があるということで、理由というところに、PTSDの治療について保険適用のある薬として承認されている薬はないという記載がございます。確かに一番有効であるとされているSSRIがPTSDの保険適用になっていないのは事実なんですが、不安障害としまして抗不安薬の投与は保険でできるはずだと思います。ここについては読んだ方が誤解がないように、厚労省の方でコメントのところにその旨を記載していただいた方がよいのではないかと思いました。
○山上議長 どうぞ。厚労省。
○厚生労働省社会保障担当参事官 おっしゃるとおりだと思いますので、私どものところに書くようにしたいと思います。ありがとうございました。
○山上議長 そのほかに、どうぞ。
○大久保構成員 先ほど、意見は出されても以前のままの形で、「国民の理解と配慮、協力を一層促すとともに」という文面を生かすというお話がございましたが、基本法の中では、犯罪被害者への支援は国、地方公共団体、国民の責務であるというように順番がついているように思うんですね。私といたしましては、やはり、まずは政府が更なる取組みの強化を図って、そして国民の理解と配慮、協力を一層促す必要があるというのが何となくこの計画の中になじむような気がしますけれども、もう一度再考していただけませんでしょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 この順番については、私どもも大久保委員と同じ思いで、国民云々も大切というのは当然のことながら、やはり国としてきちんとやるんだぞというのを示すためには、どちらに置く方が国民が読んだときにそういう意識を持ってもらえるかという意味で、最後に「政府として」と書いた方が、政府のスタンスが明確になり、政府全体として最後に図っていく必要があるんだということで言った方が政府としては強く出せるのかなと思って、こう書いているわけであります。委員の先生方が、逆に、「いや、そうじゃない。大久保委員が御提案のとおり、国と書いて、最後に国民理解を図るという形にした方がいいんだ」ということであれば、これは正直申しあげてそんなに拘泥するつもりはないんですが、政府の基本計画として出すときに、やはり政府の役割をきちっと最後に締めておきたいという趣旨でこういう形にしているということでございますので、御議論いただければと思います。
○大久保構成員 私がお願いをした趣旨も、今、室長さんがおっしゃってくださいましたそのとおりですので、どちらがよいのか、私にも分からなくなりました。
○山上議長 ほかに、この点について御意見があれば。
○松村構成員 国民の理解と政府全体の施策という問題ですけれども、昨年の犯罪被害者週間を見ていますと、本当に政府としてやっているのかなと疑問に思います。犯罪被害者週間というのは、犯罪被害者の権利を国民の人に理解していただくための週間だと思っていました。しかしながら、犯罪被害者の権利を否定する、あるいは加害者の権利を主張するというような人がパネリスト、あるいは基調講演者として出てきているというのはちょっと考えにくいんですね。そういう面からいきますと、やはり政府として正しい姿勢を先に示す、それで国民の理解を得るというのが順序ではないかなと私は思います。
○山上議長 ほかの方で御意見はございますか。私は文章の流れからいくと、この案の方が自然な感じがするんですけれども、ほかに御意見がございましたら。どなたかございますでしょうか。久保先生、どうですか。何か御意見がございましたら。
○久保構成員 難しいところなんですけれども、文章の流れと、先ほど室長のおっしゃった政府等の責務を最後に明確にするという趣旨から言うと、このままでもいいかなという気がいたします。
○山上議長 それでよろしいですか。それでは、そういうことでよろしくお願いします。
 そのほかに御意見がございましたら、どうぞ。
○松村構成員 今回の見直しに間に合わなかったんですけれども、法務省の方にお願いしたいことが1件ありますが、よろしいですか。
 既に3月の専門委員のこの会議でも述べたんですけれども、加害者が一方的に供託金を取り戻してしまったために損害賠償が得られず、被害者は大変傷ついた事例があります。したがって、このような場合に、そもそも供託する以上、確実に被害弁償がなされると思ったから、刑事の裁判官も刑の軽減事由にするわけですけれども、それに関わらず、軽減を得た判決言い渡し後に勝手に取り戻すということは、軽減判決の食い逃げとも言うべき事件が出ております。
 そもそも、昨年の11月に東京新聞でそのことを取り上げてくれまして、ベテラン裁判官も「刑事裁判に対して重大な背信行為だ」とコメントを発表しておられて、法務省も「そのようなことがないように、被害者へのパンフレットなり、周知徹底をしたい」と述べられています。
 そこで、今後、法務省において、被害者に注意を呼びかけるとともに、検察官への研修会などにおいて、実際の裁判では供託金取戻請求権を放棄する旨の放棄確認書というものを被告人から事前に取るなどして、そのような放棄書の提出がないときは、供託したからといって直ちに有利な事情として過大に評価することがないように注意を呼びかけるなど、研修をしていただきたいということを是非検討していただきたいと思っております。
 以上です。
○山上議長 これは、基本計画そのもののことではなくて、今後の施策を進める上での参考意見としてですね。どうでしょう、法務省。
○法務省大臣官房審議官 御趣旨を踏まえて検討していきたいと思います。検察官が集まったときなどに注意喚起する方法について考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○山上議長 そのほかに御意見がございましたら。どうぞ。
○中島構成員 些細な修正で申し訳ないのですが、第2次犯罪被害者等基本計画の文章の中で、20ページの(17)の最後の2行のところで、「国立精神・神経医療センター」と書いてありますが、独法化しまして、「国立精神・神経医療研究センター」になっておりますので、すみませんが、名前を直していただけますようお願い申し上げます。
○山上議長 よろしくお願いします。
○厚生労働省社会保障担当参事官 おっしゃるとおりですので。
○山上議長 そのほかに、御意見がございましたら。どうぞ。
○松坂構成員 ワンストップ支援センターについて、日弁連の方からの意見書の中には、まだモデル事業として始めたばかりなんだけれども、ゆくゆくは5年以内に確実に定着し、かつ各地域にしかるべき適切な施設、ワンストップ支援センターができるようにしていただきたい、それを目標に掲げていただきたいという意見を述べまして、それに対して、まだモデル事業に着手したばかりなので、その検証をした上でないと何とも言えないというのは全くごもっともな意見ですから、それはそれで承認するとして、なお、気持ち的には、やはり一つの目玉商品であるような位置づけでもありますから、是非警察庁におかれましては、頑張ってこれをいいものとして仕上げていただきたい。
 地元の愛知県弁護士会でも一生懸命協力すると言っていますし、これが全国的に普及すれば、日弁連としても協力していいものに仕上げていきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
○山上議長 私からも、是非、これを重点的に取り組んでいただきたいものと感じています。
○警察庁長官官房総括審議官 愛知の方でやっておりますものにつきましては、関係機関の御協力をいただいて今進めております。これにつきましては、しっかりと検証して、その知見を基に関係省庁とも連携をとりながら、こういった制度をどうやって進めていくのか、真剣に考えていきたいと思います。
○山上議長 そのほかに御意見がございましたら。どうぞ。
○松村構成員 43ページの日本司法支援センターによる支援のことですけれども、これは今までも私どもからお願いしているのですけれども、弁護士さんが、選任と選定を間違えて、被害者が裁判に参加しても何も発言できない、あるいは発言することを知らなかったという事例が複数我々の会の方にも報告されています。そういうことがありますので、是非、選任と選定の違いを弁護士さんの方に研修を是非していただきたいと思っております。これお願いしまして、意見としたいと思います。
○山上議長 よろしいですか。
○法務省大臣官房審議官 御意見は承りましたので、しっかり研修したいと思います。
○山上議長 ほかに御意見はございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がないようでしたら、本会議として第2次犯罪被害者等基本計画案を資料4のとおりで確定することでよろしいですか。
(「はい」と声あり)
○山上議長 では、御了承いただいたということにいたします。
 次に、犯罪被害者等支援シンボルマークの件で報告をいただけるということですので、内閣府からお願いします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、資料7を御覧いただきたいと思います。第6回のこの会議におきまして、犯罪被害者等支援のシンボルマークを公募により選定する旨を御報告させていただきましたが、先般、最優秀作品をシンボルマークとして決定をいたしましたので、御報告をさせていただきます。
 作品につきましては、昨年の7月26日から9月17日まで間、募集いたしまして、合計で438点の御応募をいただきました。大変関心を持っていただけたと思っております。この中から事務局で9点ほど選定いたしまして、これを専門委員等会議の有識者委員、犯罪被害者団体及び犯罪被害者支援団体にお示しをいたしまして、御意見を伺うなどして、その結果、最優秀作品1点が決まった次第でございます。
 そして、犯罪被害者等施策担当大臣の岡崎大臣においてこの最終作品をシンボルマークとして決定をしていただき、昨年の12月1日の犯罪被害者週間「国民のつどい」中央大会で表彰させていただきました。
 決定したシンボルマークはこの柄のとおりでございますが、青森県の工藤和久さんの作品でございます。
 有識者委員の皆様、また御意見をいただきました犯罪被害者団体及び犯罪被害者支援団体の皆様には、この場を借りましてお礼を申し上げたいと思います。
このシンボルマークにつきましては、内閣府だけではなく、使用を希望される民間団体や地方公共団体にも、チラシ、パンフレット、啓発グッズ、各種行事など、様々な広報啓発活動に御活用いただきたいと考えています。
 なお、言うまでもございませんが、このシンボルマークは各団体が独自に作っておられますシンボルマークに代えて使っていただこうというものではございません。独自のシンボルマークとともに内閣府のこのシンボルマークも御活用いただければ、相互に横のつながりを意識するとともに、国民に犯罪被害者等施策について身近なものとして考えてもらい、支援活動の機運を一層盛り上げていく一つの材料にしていただければという趣旨でございます。
 なお、私ども内閣府の方も、各地方自治体の方に発出します文書については、極力このシンボルマークを載せて、犯罪被害者関係の資料であるということをきちっと認識してもらうとともに、このシンボルマークの普及を図っていきたいと思って、実際、そういう運用を現在させていただいております。
 シンボルマークの使用に関します手続的なことにつきましては、現在、事務局で詰めているところでございまして、近日中に内閣府のホームページに掲載する予定でございますので、是非、積極的な御活用をいただければと考えております。
 以上でございます。
○山上議長 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 長期間にわたり、計画案に盛り込むべき事項の御検討をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。日程的に大変タイトなスケジュールでいろいろと無理を申し上げまして、申し訳ございません。また、ありがとうございます。
 先ほど、私、パブコメ意見を踏まえた修正の御説明のところで1点漏れていましたので、そこだけを補足しておきたいと思います。
 資料4の12ページの(7)ですが、「暴力団犯罪による被害の回復の支援」というところでございまして、パブコメの意見で用語についての御指摘を受けまして、「民事介入暴力対策委員会等」ということで、「介入」という言葉を挿入しているというところであります。漏れまして申し訳ありません。
○山上議長 今漏れていたところですが、厚労省で施策を2つほど入れているというのは、どこの位置づけにするかという問題もあったと思いますが。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それも、先ほどの御説明ですが、今後のことについての御連絡です。
 仮称ですけれども、この第2次犯罪被害者等基本計画案につきましては、今後、政府部内において若干調整等をいたしまして、それで推進会議の方で計画案を決定していただいて、年度内に閣議で決定していただくということを予定しています。ですので、先ほど、事務局と厚生労働省の方から御説明がありましたように、この内容の施策について、入れる位置ですとか、表題をどうするかなどにつきまして調整を図って盛り込んでいくということでございます。
 年度内に閣議決定ということで、これから進めてまいりたいと思っておりますが、推進会議につきましては、可能であれば、専門委員を含めて有識者構成員の皆様に御出席いただければと考えております。ただ、会議室の都合ですとかの関係もございまして、持ち回りという可能性がないわけではないということでございますので、あらかじめ御了承いただければと思います。
 それから、本会議につきましては、次回は4月以降の開催を予定しております。次回以降は、この決定された第2次犯罪被害者等基本計画の推進状況についての確認などを行っていくことになります。開催日や議事につきましては、近くなりましたら御連絡を差し上げます。
 なお、有識者構成員の皆様の任期は今年度末までとなっておりますが、事務的な手続につきましては別途個別にさせていただきたいと思います。皆様におかれましては、今後ともそれぞれのお立場で犯罪被害者等施策の推進への御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○山上議長 それでは、これをもちまして、第8回基本計画策定・推進専門委員等会議を終了します。
 このメンバーでの専門委員等会議は本日が最終日ということでもありますので、皆様、一言ずつ簡単に御挨拶をお願いします。松坂委員から、着席順でよろしくお願いします。
○松坂構成員 私は日弁連の推薦という立場で、途中から参加をさせていただきました。私にとっても大変貴重な、有意義な議論に参加させていただいたと、大変感謝しております。また、結果的に、この推進専門委員等会議の議論の結果、まだ、確かに道半ばではありますが、犯罪被害者の施策の基本計画が充実したものにより近づいたというふうに私も非常に評価をさせていだきたいと思います。
 今後、ますます日本国の品格を高めるためには、犯罪被害者の施策の充実は大変重要でありますので、なお、この基本計画が充実して施策として推進されることを祈念いたしております。ありがとうございました。
○山上議長 中島委員、どうぞ。
○中島構成員 このたび、基本計画の策定の方に関わらせていただきまして、誠にありがとうございました。私は、初回の基本計画の策定のときから関わっておりますけれども、その当時と比べますと、今回のパブリックコメントにおきましても、非常に国民の関心も高くなっておりますし、また、各団体におきましても御自身の経験を踏まえた御意見等を出していただいたことがありまして、新たな2次の計画案が、実際的な面において推進される形になったということは本当によかったと感じております。この膨大な資料の整理は大変なことだったと思いますので、各専門の委員の先生方、また内閣府の方々、各省庁の方々に改めて御礼申し上げたいと思います。
 私は精神科医でございますので、この御意見を踏まえて、また自分の分野で犯罪被害者の方の支援に関わる研究等を進めていきたいと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。
○久保構成員 前書きにありますように、第1次基本計画は膨大な課題を掲げたわけですけれども、概ね着実に前進しているというふうに感じております。同時に、今回の2次の議論を通じまして、やはり未解決といいますか、まだ積み残しの課題も相当あって、それが昨今の厳しい社会経済環境の中でますます深刻化しているのではないかなということを改めて感じさせていただきました。
 それから、こうした未解決の課題を少しでも前進させるためには、先ほど、大久保委員の御提案にもありましたように、行政的な支援を手厚くするというのは第一、当然のことですけれども、私はやはり国民の理解を更に一層深めていく努力が必要ではないかと。
 そういう観点から、この5年間を振り返りますと、国民の理解を背景にして、地域の住民とか、自治体とか、そういった人たち、機関を巻き込みながら、地域の連携とか支援体制を構築していく、そういうダイナミックな努力といいますか、そういうものがやや足りなかったのではないかというふうな感じがしておりまして、これが今後の課題ではないかと感じております。
○大久保構成員 まずは、いろいろまとめ上げてくださいました内閣府を初めといたします各省庁の皆様、そして委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
 私は、1次計画とこの2次計画の2つに関わらせていただきました。被害当事者といいますのは精神的にも苦しくて、地域でも孤立してしまうために、なかなか社会に発言するということが難しい状況にあります。私は、たまたま被害者支援の現場にいるということで、その被害者の方が置かれる過酷な現状ですとかを関係者の皆様に少しお伝えすることができまして、それが新たな制度の創設等に少しでも役立ったのであれば、大変うれしいと思っています。
 とはいいましても、犯罪被害者の目から見ますと、今、久保委員の方からも御発言がありましたように、まだまだ検討課題、あるいは問題が山積みしていると思います。ただ、今後はこの2次計画を受けまして、被害者への新たな補償制度の創設ですとか、カウンセリング費用の公費負担、あるいは生活保護制度における犯罪被害者等給付金の収入認定除外におけること、あるいは刑事裁判の被害者参加制度の旅費ですとか、国選弁護人制度における資力要件に関すること、あるいは仮釈放審理における意見陳述等に資する情報提供の拡大等、その他たくさんのことが今後検討されることになっておりますので、今後はその経緯を本当に大きな関心を持って見守っていきたいと思っております。
 そして、被害者が被害に遭っても、もう一度国や社会を信じて生きてみようと思えるように回復できるような制度の創設ですとか、充実を図りまして、基本法の基本理念を生かし続けて、被害者が地域に住み続けることができるような社会づくりに力を尽くしていっていただきたいと願っております。
 皆様には大変お世話になりましたことを、この場をお借りいたしましてお礼を申し上げたいと思います。今後とも、被害者支援をどうぞよろしくお願いいたします。
○瀬川構成員 私の方からは、パブリックコメントをずっと拝見していまして、いろいろなことを考えさせられ、大変参考になりました。、被害者支援の問題に関心を持っている方の問題意識は非常に高く鋭い指摘があって非常に学ばせていただきました。一方では、先ほど少しお話がありましたが、国民全体の理解・関心という点では、まだまだであるような気がいたします。それゆえ、今後、この第2次の計画案について、推進していく上ではいろいろな障害が予想されるのではないでしょうか。
 もう一つは、前にも申しましたが、いろいろな施策をやる上では、財源をどこに求めるのかという議論を常にしておかないと、アイデアがまとまっても、何もできないということになりますので、今後も予算、財源は大きな課題だと思います。
 それから、第2次の計画案を見ましても、言葉の壁というのを非常に感じました。それは重要なテーマについて、結局これから「適切な対応をする」あるいは「十分な対応をする」という趣旨の言葉で終わっているところがあるからであります。実際の問題解決はこれから今後の検討によるところが大きいと思われます。これからは、むしろより難しい課題が残っていますので、実質的な議論をどうするかということは非常に重要ではないかと思っています。
 以上です。
○松村構成員 私はこの2年間この委員をやらせていただきまして、いろいろ勉強になりました。犯罪被害者施策というものがいろいろあることは頭では分かっていたんですけれども、具体的にこんなにいっぱいあるのかということを改めて確認させられました。
 特に、パブリックコメントでもあれだけの案が出てくるというようなことになりますと、ある程度国民の関心は一応持ってきているのかとも思いますけれども、それだけの多い案を内閣府の方でよくまとめてくださいまして、その努力には本当に感謝したいと思います。
 その中でも、特に、この会の中でも私どもが非常に優先的に取り上げていただくことを了承いただいた経済補償の問題を取り上げていただいて感謝しますし、特に今後の検討の中でも、犯罪被害者の本当に困っている人が救済されるような制度に是非なっていただきたいと思います。そのためには国民の理解は必要なんですけれども、本当に犯罪被害者週間という1週間でいいのかどうか、月間ぐらいにしてやらないと間に合わないのではないかという気もします。その辺も含めて広く国民の理解を求めて、理解していただきながら、理解していただかないと財源も出てきませんので、それも含めて今後なお一層努力していただきたいです。また、私どもの会員には、満期出所者が出てくる段階のときに、刑務所の中から「出たら殺すぞ」というようなことを言われているような人もかなり出てきておりますので、それに対しての対策も法務省が初めとなって考えていただかなければならないだろうと思います。
 いずれにしても、今後の第2次基本計画において、まだまだ積み残した問題は多いんですけれども、一つ一つ解決していっていただきたいと思います。そのような努力を皆様にお願いして、挨拶としたいと思います。どうもありがとうございました。
○山上議長 どうもありがとうございました。私も最後に一言。
 宮澤先生が途中で退かれた後、ここで座長を引き受けさせていただきまして、私には少し重過ぎる任務でありましたけれども、各委員の御協力があって、また、行政の方々もそれぞれに前向きに取り組んでいただき、着実に成果が上がっていることを感謝したいと思います。
 着実に施策は進んでいるのですが、それがどこまでかというと、まだまだ真に「個人としての尊厳にふさわしい処遇」を保障しているようなレベルでは到底まだまだなくて、被害者の方たち、あるいは被害者支援に直接関わっている者たちから見ると、まだまだそこにその支援の温かい手が届いているという感じを持ちづらい状況があるというふうに思います。そこを、行政は形から入るときもありますけれども、それを常に点検して、被害者の視点、あるいは支援者の視点から見て、実効性のある施策としていく努力が求められている。そういうところをこの検討会がチェックをする、そうした役割も果たしたのではないだろうかと思っております。
 今後の重要な課題が2つ残されて、これから検討課題とされていきますけれども、いつも行政の側には大変高い壁があって、民間団体とか、あるいは被害者個人への国による財政的支援ということがなかなかスムーズにいきません。けれど、私は犯罪被害者に対する施策は犯罪者対策と同程度に、放置すれば国の基本を揺るがすようなものであるはずだと思っています。決まりを破って同じ社会の構成員を傷つけたときに、加害者を罰し、あるいは更生させられると同時に、被害者は当然社会が守らなければいけない、そのところを力点の置き方がまだ相当バランスを欠いていると感じます。そういう姿勢で、今後ともしっかりと被害者支援に前向きに取り組んでいただければと思います。
 これで私の挨拶を終わります。これからもどうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

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