-
犯罪被害者等施策
-


第6回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

(開催要領)
日時:平成22年7月29日(木)10:00~11:55
場所:中央合同庁舎4号館4階 共用第2特別会議室
出席者:山上議長、井上構成員、大久保構成員、久保構成員、小西構成員、瀬川構成員、中島構成員、松坂構成員、松村構成員
 内閣府犯罪被害者等施策推進室長、警察庁長官官房総括審議官、総務省大臣官房企画課課長補佐、法務省大臣官房審議官、文部科学省大臣官房総務課副長、厚生労働省社会保障担当参事官、国土交通省総合政策局政策課政策企画官、内閣府男女共同参画局配偶者間暴力対策調整官
その他発言者:厚生労働省医政局医事課課長補佐

(議事次第)
1.開会
2.男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望に対する施策について
3.松村専門委員からの提案等に対する対応について
4.第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案骨子案について
5.その他
6.閉会


(議事内容)

○山上議長 それでは、ただいまから第6回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催します。
 本日は、前回の会議で十分時間のとれなかった男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望についての計画案文について補足的に確認をし、その後、松村構成員からの提案に対する対応及び犯罪被害給付制度の拡充やカウンセリング費用の公費負担の問題等についての検討方法について検討します。
 その後、第二次犯罪被害者等基本計画案(仮称)の骨子案について、事務局から御説明を受けることとします。
 それでは、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望についての計画案文について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 事務局から説明に入ります前に1点、資料2の説明をしておきます。
 これは先日7月23日ですが、男女共同参画会議から総理に対しまして答申がなされました。それが、資料2の「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)」の抜粋部分です。前回会議で配付されましたのは、男女共同参画会議基本問題計画専門調査会作成の基本的な考え方の案でして、この案から答申まで若干修正はあったようですが、現在こちらで検討しております論点に関連する箇所については変更ございません。
 資料2につきましてはこの程度にいたしまして、次に資料1をごらんいただきたいと思います。前回の会議では、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた計画案文について、検討が時間切れになってしまいましたので、若干の確認をお願いしたいと思います。
 計画の案文につきましては、前回説明したとおりです。
 用語についてですが、犯罪被害者等基本計画では「性暴力」ではなく「性犯罪被害者」の用語を用いたいと考えております。この性犯罪被害者については被害申告をしない者や警察等の捜査機関との接触をしない者も含まれるということで考えております。
 なお、前回お配りしたものから若干修正を加えたものが今回の資料1となっておりますので、その点を御説明いたします。
 まず1ページ目、要望番号14と17に関連いたします計画案文ですが、青字で「※」で注記しておきましたが、重点課題ごとに整理するために、前回提示いたしました案文を医療費についてとカウンセリングについてということで2つに分けております。更に、医療費につきまして赤字の部分を加えております。「性犯罪被害に伴う精神疾患についても犯罪被害給付制度の対象となることの周知も含めて、各種支援策の効果的な広報に努めるよう」という部分ですが、この部分を加えているということが変更・修正点です。
 次に、4ページをごらんいただきたいと思います。要望番号162番に対応します計画の案文です。青字の「※」で注記いたしましたが、これも重点課題ごとに整理するために、赤字の部分は一部修正の上「国民の理解の増進」の重点課題のところに盛り込むことといたしました。そこが前回からの修正点です。
 また、2ページになりますが、要望番号51、52、56についての修正を前回口頭で言いましたが、それが反映されているのが今日の資料1でございます。
 男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた計画案文について、これでよろしいかということをお諮りしたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
○山上議長 今、御説明がありましたけれども、これでよろしいでしょうか。
○小西構成員 貴重な時間を使っていただいて検討していただいてありがたいと思っています。おおむね今の段階では、ここまでしかできないのかなと思っておりますが、性犯罪というのが性暴力を含むというふうにここでは考えるという、「接触しない方」という言い方になっているんですけれども、やはり男女共同参画の基本計画の答申を見ますと、題には「性犯罪被害者の支援」と書いてある中に、今度は性暴力被害者の支援と書いてワンストップセンターの話が出てきたりということで、性犯罪とするか性暴力とするかということに意味があるのであれば、今回はこれで間に合いませんけれども、是非そこのところをきちんと定義していただいて使うようにしないと、警察に接触しない人たちの支援というのがいつまで経っても具体化しないと思いますので、その点だけは確認させていただきたいと思います。
○山上議長 それは男女共同参画局側への要請ですが、こういう意見を踏まえてこれから検討していただくということでよろしいでしょうか。
○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官 前回も説明させていただきましたけれども、答申を踏まえまして今後、具体的施策を検討していきますので、年末の計画の策定に向けてそういった誤解が生じないように、言葉の使い方についてもしっかり検討させていただきたいと思っております。
○山上議長 それでは、よろしくお願いいたします。
 次に、警察庁から前回御説明いただいたワンストップ支援センターの件でお知らせがあるとのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
○警察庁長官官房総括審議官 本日の直接の議題ではありませんけれども、議題2に関連しまして1点御説明いたします。資料3でございますが、警察庁では愛知県警と連携しまして、基本計画の案文に盛られております平成22年度性犯罪被害者対応拠点モデル事業を今週の7月26日から実施いたしました。拠点の名前はハートフルステーション・あいちと申しまして、愛知県一宮市の大雄会第一病院の中に、民間被害者支援団体の被害者サポートセンターあいちに業務委託をする形で設置しました。この資料に記載のとおり、電話相談、付き添い支援、医師をはじめとした関係者との連絡調整等の業務を民間の女性支援員と県警の女性警察官とで行ってまいります。
 この会議でも、この事例に関しましてはいろいろお言葉をいただいておりますが、性犯罪被害者のため、また、性犯罪被害の潜在化防止のために精いっぱい取り組むとともに、計画案文にもありますように、モデル事業終了後には検証を行いまして、その結果を関係省庁及び犯罪被害者支援団体に提供したいと考えております。
 以上でございます。
○山上議長 どうもありがとうございました。
 それでは、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望についての計画案文については、資料1のとおりということでよろしいでしょうか。
○松坂構成員 今の警察庁からの御報告、お話をいただいた資料3のハートフルステーション・あいちについて、若干質問をさせていただきたいと思います。
 まず、その前に、総論的には是非、頑張って成功していただきたいと、我々も非常に関心を持って見ております。
 その上で、よりよいものにするという観点での質問と意見です。
まずは、一宮というところに設置したことに伴う質問です。この場合、例えば、一宮管内で犯罪が起こったときは当然ここに誘導できると思いますが、例えば、名古屋市や豊橋市で起きた犯罪被害者の方の場合はどうなるのかをお聞きしたいと思います。一宮にせっかくいい制度があるわけですから、ここに誘導する仕組みといいますか、その辺りはどのような制度設計といいますか、どういうふうにお考えなんでしょうかというのが1つ目の質問です。
○警察庁長官官房総括審議官 今回、病院の御協力ということで結果的に一宮になったんですが、御案内の愛知県の場合、旧尾張部については名古屋市も含めてこれで対応できるのではないかと思っております。広報等も愛知県内に広くされておりますので、そこについては少なくとも名古屋市内の病院、いわゆる旧尾張部の警察については、こういった制度についてはかなり周知徹底していると。ただ、旧三河部になりますとちょっと遠方になりますので、一応制度の中身の広報については、そちらも含めてやってはいますけれども、実態としてはちょっと厳しいかなという感じがいたします。少なくとも大都市の名古屋については、なるべくこれでカバーしたいと考えております。
○松坂構成員 あと2つ質問がございます。2つ目は、このレジュメの2の(5)の開所時間の3行目に「時間外は」とあって「来所者は支援担当の警察官等が拠点を開所するなどとして対応」とあるんですが、ちょっと意味がわからなかったんですけれども、「支援担当の警察官等が拠点を開所するなど」というのはどういう意味でしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 実は、この制度をつくる際に一番問題になったのが夜間の体制の確保でした。本来は、受託団体ですべてやっていただくのがベストなんですけれども、やはり夜間24時間対応するのは実際には難しいということもございましたので、一応、開所時間としましては午後8時までとしまして、それ以外の時間については、県警本部でこういった性被害の犯罪を扱っているもともとの窓口電話がありますので、こちらに転送されると。
 要するに、これの意味するところは、受けた警察官が病院に出向いてきまして、そこで夜間に臨時的にオープンするという意味でございます。
○松坂構成員 そうであれば安心いたしました。
 最後の質問です。(6)のカに、弁護士などいわゆる犯罪被害者の方と接触する法律専門家の対応の問題なんですが、ここで「弁護士等」とあるんですが、我々の立場から言うと精通弁護士という制度がありますので、それに準じた形で、二次被害を出さないためにもある程度訓練を受けた、ないしは精通した弁護士が対応するようにした方がいいと思うんですが、もしかすると、法律専門職ということで司法書士さんとか、それ以外の業種の方も入るとすれば、それなりの配慮が必要だと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 一応、今の制度をつくるに当たって、当然弁護士会等ともお話をさせていただいておりますが、現在のところでは弁護士会さんの方に御連絡するということでして、司法書士さん等は入っておりません。
○松坂構成員 では、地元の、愛知県弁護士会になると思うんですが、是非連携を取られて、よりよい制度にしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中島構成員 計画案文については別に異論はないのですが、内容につきまして確認と質問をさせていただきたいと思います。1つは確認です。男女共同参画の方から多分2回位の前の会議のときに、性犯罪被害者等に対するカウンセリング機能の充実について、男女共同参画センターの機能の充実を検討するという文章が出ていたかと思いますが、今回の答申の方にははっきりそういう言葉は出ていないのですが、今後そういったことを検討されるという理解でよろしいのでしょうか。
○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官 男女共同参画の答申に対応したものではなかったものですから、それとは別の方で資料7の27ページになりますけれども、男女共同参画センターにおける中長期的なカウンセリング等の支援の取組が促進されるように、実際今そういう取組を行っているところもありますので、我々としてもそういう好事例を収集して、こういう取組をやってくださいという形でできるだけ促していきたいと考えております。
○中島構成員 もう1点よろしいですか。こちらは厚生労働省への質問です。計画案文の2ページに、SANEの活用に関して、厚生労働省において看護師等の活用の啓発を推進するとあります。これは今の段階では難しいかもしれませんが、例えば、専門看護師としての認定とか、そういったところまで検討はされているのでしょうか。もし、何か案があったら教えてください。
○厚生労働省(医政局医事課課長補佐) 厚生労働省でございます。看護師や助産師などの方々の中には、性犯罪被害者に対する自主的な取り組みを行っていらっしゃる方々もおられるということを承知しております。厚生労働省といたしましても、こういった好事例について所管する日本看護師協会あるいは日本助産師会等から情報収集をしながら、関係団体を通じて情報提供や啓発を行っていきたいと考えている次第でございます。
○小西構成員 事実の補足なんですけれども、私はこの養成に直接かかわっておりますが、始めた当初ほとんど来られる看護師さんは少数でしたが、ここ2年ぐらいお断りする状況が続いております。要するに、ニーズがかなり増えているということがありまして、是非、御検討いただければと思います。
○山上議長 それでは次に、松村構成員提案の新たな補償制度の創設についての対応及び犯罪被害給付制度の拡充、カウンセリング費用の公費負担についての検討方法について検討します。なお、松村構成員から先日の提案に補足したい事項があるとのことですので、御説明をお願いいたします。
○松村構成員 説明する機会を与えてくださいまして、どうもありがとうございます。資料4を参照していただきたいと思います。
 初めに、本要綱案は、現在の犯給法を抜本的に見直す全く新たな生活保障型の補償制度案です。その大まかな特徴は次のとおりです。一時金のほかに年金方式を取り入れることで途切れない支援という基本法第3条の考え方を取り入れ、また、被害を受ける前の収入から被害後の現実の収入の差額を補償することで、再び平穏な生活を営むことができることを保障し、更に、被害前の収入の上限を平均賃金としたり、資力要件を設けたりすることで本当に困っている人にだけ厚く補償することにしました。
 収入を被害者本人だけでなく、生計をともにする家族全体の収入とすることで現実的な対応に努めました。
 治療費等の医療関係費は緊急性が高いので、すべて現物給付とすることで迅速かつ完全な補償を目指しました。
 更に、過去の犯罪被害でも現に困っている人も多くおりまして、その人たちを放置することは正義に反するので、遡及適用を認めました。
 以下、死亡、後遺障害、障害の3ケースについて御説明させていただきます。
 まず最初に、死亡の場合ですが、この場合すぐ一時金として1,000万円を支払うと。この1,000万円という金額は平成20年7月1日以降の犯給法の支給実績を参考にしました。しかし、本当にこの金額でいいのか検討の余地があります。例えば、オウム真理教被害者の特別立法では、死亡の場合2,000万円支給されていることもあります。
 更に、死亡した場合に一時金だけではなく年金を支給するということでございます。支給する要件としましては、<1>被害者と生計をともにした家族が年金受給時にも存在する場合に限る。これはどういうことかといいますと、生計をともにしていた家族とした趣旨は、共働きで家族全体で生計を維持していたところ、殺人で妻が亡くなった。その子どもを養育するために夫がフルに働くことができなくなった。そのために収入も大幅に下がったという場合、事件前の家族全体の収入と事件後の家族全体の収入を比較しないと非現実的ですから、生計をともにしていた家族の収入としました。もっともDV被害で家族が離散しているような場合、被害者と生計をともにした家族というようなくくりでは救済されない人も出てきてしまいます。そこで、どのような文言を使えば広く被害者を救済できるか、是非とも皆さんのお知恵をお借りしたいと思います。
 更に、年金受給時にも存在するとした趣旨は、年金受給の時点で生活保障を必要とする家族が現に存在するという趣旨でございます。例えば、父親が殺害されて幼い子どもと妻が残されたとします。その後、妻が病気で死亡したが、子どもは既に成人しており、それなりの稼ぎが得られているとき、このようなときまで成人の子どもに年金を引き続き給付する必要はないのではないか。つまり、殺された父親の稼働年齢、判例上67歳となっていますが、達するまで年金を支給するというのではなく、残された家族の生活保障が現に必要な時点まで支給するという意味で書いてあります。
 <2>生計をともにしていた者の数によって補償する年金額に差を設けない。被扶養者の数を考慮しなかったのは、被扶養者が何名だろうと、要するに、事件前の家族全体の収入と事件後の家族全体の現実の収入の差額さえ補償しておけば、少なくとも事件前の生活レベルを取り戻すことができると考えております。
 <3>資力要件を設けて一定の資力以下の者にだけ補償する。また、ここでの資力は流動資産に限らず、不動産なども含みます。ここで言う資力要件というのは、国選被害者参加弁護士をつけるための資力要件である150万円未満というような低い資力を想定しているわけではございません。例えば、事件前と事件後の差額として年金を300万円取得できる場合で、残された家族の生活保障が必要な期間が20年のケースを想定した場合、合計で6,000万円年金を取得できたと計算できます。そこで、将来取得できるであろう年金総額を超える流動資産、不動産を現に持っている人には年金を支給しないというように、高いレベルでの資力要件を考えております。そうしないと、年金制度を設けた意味がなくなってしまうからです。ただし、これも今後の大きな検討課題の1つであると考えております。
 次に支給額ですが、<1>事件前の被害者と生計をともにしていた家族の収入の合計額と、事件後に残された当該家族の収入の差額を補償する。要するに、家族の主たる生計を稼いでいた人が亡くなった場合に、その差額を補償するということでございます。
 <2>事件前の被害者及び被害者と生計をともにしていた家族の収入を算定にするに当たっては、平均賃金を上限とする。例えば、年収5,000万円の大会社の社長が殺され収入がゼロになったとき、年金として5,000万円を毎年補償することは国民の理解が得られるものではないと思います。そこで、被害を受ける前の平穏な生活を取り戻すという基本法第3条の趣旨を平均的な世帯の生活を取り戻すと理解して、事件前の収入は平均賃金を上限とすることにしました。ただし、平均賃金といっても男女を区別せず、全年齢、すべての学歴をならせば約490万円ですけれども、男女別、年齢別あるいは学歴別などのように個別具体的に平均賃金をとられることにしますと150~860万円ぐらいの差があります。そこで、ここで言う平均賃金をどうとらえるかは、今後の検討課題でもあります。
 <3>事件前及び事件後の収入を算定するに当たっては、他の社会保障制度による年金も収入と見なす。例えば、通勤途中に犯罪被害に遭えば労災か障害年金が支給されますので、労災の給付も事件後の収入としてカウントいたします。
 第3項目として、死亡するまでの間の医療費、介護費、交通費を全額現物支給して、立て替えをなくします。
 第4項目として死亡するまでの間の被害者の休業損害を全額補償する。家族の休業損害についても必要に応じて補償する。本人については全額補償するけれども、家族については必要に応じて考えていくということでございます。
 次に後遺障害の場合ですが、書いてありますように一時金を支給いたします。ここは14級と書いてありますが、ここで言う等級は交通事故のときの等級認定を想定しています。しかし、金額は交通事故の場合の後遺障害の慰謝料とは違います。ちなみに、交通事故で1級の後遺障害を負ったときの慰謝料は2,800万円ぐらいですが、ここで言う一時金はそのような慰謝料という意味ではなくて、当座の資金として必要だから支給するということを意味しております。
 また年金を支給いたしますが、支給要件としては、<1>9級以上の後遺障害があった者を対象といたします。ここで9級を掲げたのは、交通事故の後遺障害の認定の場合、9級より重い後遺障害のときに初めて労務に服することが可能かどうかという判断基準が出てくるので、それを参考にいたしました。
 <2>資力要件を設けて、一定の資力以下の者だけに補償する。また、ここでの資力は流動資産に限らず、不動産も含むということでございます。この資力要件も死亡の場合の年金と同じく、かなり高いレベルを想定しております。
 年金の支給額ですけれども、<1>事件前の被害者と被害者と生計をともにしていた家族の収入の合計額と、事件後の被害者と当該家族の収入の合計額の差を補償するということでございます。共働きの妻が被害に遭ったとしますと、被害に遭った本人だけではなくて、妻の後遺障害の介護を夫がしなければならない。あるいは妻がそれまでやっていた子どもの教育の部分を夫が代わりにやらなければならないということで、夫がフルに働けなくなりまして収入が減る例も少なくありません。その差額を補償しようということでございます。
 <2>後遺障害の等級によって補償する年金額には差を設けません。後遺障害の認定等級がどうであろうと、事件前と事件後の収入の差額を補償すれば、事件前の平穏な生活を保障できますから、認定等級は考えないでもいいと考えました。
 <3>事件前の被害者及び被害者と生計をともにしていた家族の収入を算定するに当たっては、平均賃金を上限とする。これは先ほどの死亡の場合と同じでございます。
 <4>事件前及び事件後の収入を算定するに当たっては、他の社会保障制度による年金も収入と見なす。これも死亡の場合と同じです。
 違うのは、医療費、介護費、交通費、自宅改造費・義足などの環境整備費、ハウスキーパー、カウンセリング費用等を全額現物支給するということで、死亡の場合と違うのは、自宅改造費などの環境整備費、ハウスキーパー、カウンセリング費用などが追加された点でございます。
 そして、症状が固定するまでの間の被害者の休業損害を全額補償する。家族の休業損害についても必要に応じて補償する。これは死亡の場合と同じでございます。
 第3のケースとして障害の場合があります。これは後遺障害が残らない場合でございますけれども、これは一時金として、加療1か月以上の場合に限り、程度に応じて5~30万円を支給する。医療費、介護費、交通費を全額現物支給し、完治するまでの間の被害者の休業損害を全額補償いたします。これも同じように、家族の休業損害については必要に応じて補償するということでございます。
 大きい変更点ですが、遡求効を考えようということでございます。新しい被害者補償制度は、施行前に被害に遭った者で、施行当時、現に被害に苦しんでいる者に対しても一時金を除き、制度を適用いたします。将来、現れるかどうかもわからない抽象的な被害者に先に予算をつけて、現に目の前で困っている被害者・遺族に予算をつけない、救わないというのは、どう見ても正義に反します。遡求効というのはあって当然ではないかと思います。
 以上が、こちらの内容でございますけれども、今後検討していただきたい課題として、次のようなことを考えております。
 1番目が、一時金の金額はこれでいいのかどうか。
 2番目として、年金における被害者と生計をともにしていた家族、年金受給時にも存在するという要件の吟味が必要だと思います。
 3番目に、年金における資力要件の具体的な額についても決めなければいけないかと思っています。
 4番目に、後日、加害者から賠償金の支払いを受けたときに、併給調整は必要なのかどうかについても検討しなければいけないだろうと思います。
 5番目に、他の社会保障制度との併給調整の妥当性についても検討しなければいけないと思います。
 6番目、現在の犯給法で問題になっております親族間の支給制限の緩和ないし廃止についても検討しなければいけないと思います。
 7番目として、海外で日本国民が被害を受けたときにどう補償していくのか、それもカバーしなければいけないのではないかと考えております。
 8番目、後遺障害の等級表について、犯罪被害者特有のものを新たにつくるかどうか、これも必要なのだろうと思います。
 9番目として、補償制度を司る機関をどうするのか。警察や厚生労働省等いろいろ関係する役所が多いんですけれども、どのようにしたらいいかということ。
 10番目として、その他ということでございます。
 最後に、この案件についての取扱いですが、是非この推進会議で引き続き検討してくださいますことをお願いして終わります。どうもありがとうございました。
○山上議長 それでは、今の松村構成員の提案された制度についての前に、犯罪被害給付制度の拡充あるいはカウンセリングの公費負担の問題もすべて含めて、まず、事務局から対応案の説明をしていただいて、その後でということにいたします。
 では、事務局から対応案の説明をお願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 犯罪被害給付制度の拡充につきましては、経済的支援に関する検討会と同程度の多角的検討を必要とすることや、平成20年度以降の犯罪被害給付制度の運用実績等を踏まえて検討を行うべきという警察庁の見解を踏まえて、第二次基本計画策定後、別途検討を行うこととしたいと考えております。
 また、松村構成員御提案の新たな補償制度の創設につきましては、犯罪被害給付制度の拡充について検討する中で、犯罪被害給付制度の枠組みを超えた補償制度創設の必要性などを犯罪被害者等に対する経済的支援の在り方を含め検討していくのが適当であると考えております。
 また、カウンセリング費用の公費負担の問題につきましては、松村構成員御提案の新しい補償制度にはカウンセリング費用についても補償の対象にするという構想であることなどから、犯罪被害給付制度の拡充等の問題と併せて検討していくこととしたいと考えております。
 そうなりますと、今回の計画の見直しに関連して省庁横断的に検討すべきテーマは1つになりますので、引き続きこの基本計画策定・推進専門委員等会議で検討いただくことも考えられます。しかしながら、テーマが絞られておりますので、機動的に検討するため参加省庁を絞って、また、有識者の方も社会保障に知見のある研究者の方に参加していただくようなことなどにも配慮いたしまして、別途検討会を開催することがよいのではないかと考えております。勿論、検討会での検討結果につきましては、この専門委員等会議にも報告させていただきたいと思っております。
 したがいまして、事務局といたしましては、第二次基本計画の策定後に犯罪被害者等に対する経済的支援に関する検討会(仮称)といったものを開催いたしまして、犯罪被害給付制度の拡充、新たな補償制度の創設、カウンセリング費用の公費負担について検討を進めるということでいかがかと考えております。
 なお、検討会の構成員となっていただく省庁といたしましては、警察庁、法務省、厚生労働省、国土交通省を考えております。そして、議題によりまして、その他の関係省庁の御出席をお願いしたいと考えております。
 事務局からは以上です。
○山上議長 それでは、松村構成員からの提案の制度について、御質問のある方はいらっしゃいますか。
○久保構成員 松村構成員に2点ばかり質問させていただきたいんですが、1点は、今の年金制度と社会保障福祉制度との兼ね合いはどうなっていくのかということ。
 もう一点は、現在の犯罪被害者等基本法では第一義的な補償義務というのは加害者が負っていて、現実にはそれがほとんど実行されていないと、それを踏まえて国等が必要な支援を途切れなく行うというようなことではないかと理解しております。今回のご提案は、(先日いただいた説明資料にありましたように)国に補償義務があるというお考えのように思われますが、国の補償義務と(基本法の)途切れのない支援というものの間には大分、考え方に開きがあると思うんです。そうしますと、将来は基本法の改正なども視野に入れるということなんでしょうか。
○松村構成員 お答えさせていただきます。現在あります制度をいろいろ検討いたしまして発展させると考えております。ですから、完全にリプレイスされるということではなくて、できれば発展させて、その上でやりたいと考えております。
 2番目の義務なのか支援なのかという非常に難しい問題で、私がここで言うのもどうかと思うんですけれども、できれば国家責任の方がいいんですが、そこで問うのは難しいということで、それもしかるべく検討していく中で議論されることではないかと考えております。
○山上議長 ほかにどなたかございますか。
○瀬川構成員 拝見しますと、すごくよく考えられているといいますか、今までの実態を踏まえられてこういう制度が必要だという主張は非常に理解できる提案だと思います。新たに検討会を開かれるということで、先ほどの事務局のまとめで私はいいと思いますけれども、ただ、議論が始まると最大の問題は財源ということだと思います。この問題の解決を抜きにして検討会だけやっても余り意味がないんじゃないかと。色々検討しても、結局、財源の問題で終わるというのであれば、検討会を持つ意味がはたしてあるのかどうかということが、まず第1の疑問です。
 もう一つは、理論づけという点で「途切れない支援」も大事なんですが、国民の理解も必要なので、「生活保障型」とか「年金」という言葉が果たして国民の理解を得られるのかどうかというのは、もう少し考えてみる必要があるのではないかという気がいたします。
 そういう意味で、先ほどの事務局のまとめで結構なんですけれども、ただ、検討会をやったらいいということだけではないので、またやって失望されるといいますか、こんなものだったのかということにならないように、財源の問題を慎重に、しかも大胆に可能性を探っていただきたい。その上でないと検討会をやっても意味がないと考えています。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) そういったことも踏まえて、検討会の検討事項の在り方の検討をしていきたいと思います。
○松村構成員 先ほども申し上げましたように、こういう年金制度、その他をやるに当たって、国民の理解を得るというのは絶対に必要なんですね。そのために国民にどうやって理解していただくか、それを最優先に考えた上で施行しなければ意味がないのだろうと考えております。
○瀬川構成員 もう一つよろしいですか。内閣府の資料9で損害賠償命令制度の履行状況を調べていただいたのが出ていますので、これは非常に貴重な資料です。非常にショッキングといえるかもわかりませんが、履行状況なしというのがかなり多い。ただ、これは予想されたことであって、別に想定外のことではないかもしれません。というのは、実施している国でそれほど加害者から損害賠償命令のとおりに実行されることはありませんので、そういう点では想定内のことかもわかりませんが、こういう実態も踏まえて、松村構成員の提案も検討していただきたいと思います。
○小西構成員 今お話がありました、損害賠償命令の履行状況というのは現実に聞いてもこういう形ですよね。特に、後遺障害がある方の場合に、何らかの年金型の補償ということがないと本当に困っていらっしゃる方が多いと思います。それについては是非、検討していただければと思います。ただ、やはりかなり抜本的な仕組みの問題、それから、制度設計の問題、ほかの制度との整合性の問題を考えなくてはいけないことなので、今全部は意見が言い切れないということもあります。ですから、積極的に是非続けて検討していただきたい。特に、実際に困っている方がどう困っているかが、この場にいらっしゃる方でさえ多分御存じないのだと思います。お金が全く出ないで谷間に落ちている人がどうなっているか。そういう実態などは、むしろ松村構成員などにもお話しいただいたり、調査していただいたりして、やっていければなと思います。
 もう一つ、カウンセリングの件なんですけれども、今、資料7の4ページのことをお話しいただいたと考えていいんですかね。お話としては、この2つを両方合わせて1つの検討会にしたいということでしょうか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) そういうことです。
○小西構成員 かなり性質が違いますので、一緒というのはどうかと私は思います。
 それから、もう一つ、カウンセリングの方に関しては、内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省、国土交通省となっているんですけれども、今まで臨床心理士について所管官庁だったのは文部科学省でして、文科省の方に出てきていただかないと、やってほしいことばかりの話になってしまって、結局ここで問題になったのは、国家資格としてなっていないということが実現に関して非常に問題になったわけですから、そこが抜けてしまってはだめなのではないかと思います。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 事務局といたしましては、まず、犯給制度の拡充というお話と、松村構成員の御提案のそれを抜本的に変えて新たなというところが大変リンクしているところがあるのかなと。そして、松村構成員の御提案の内容の中にカウンセリング費用というのが入っていたものですから、1つの検討会でということを考えたわけです。そして、恐らくこれからどう進めていくのかということも、また御相談ということになると思いますが、事務局といたしましては、そういう形で1つの中でやっていくと。
 ただ、先ほど最後に申し上げましたように、議論というか、ある時期はこれに何回か絞って議論するというようなことになってくると思うんですが、そのときに必要な省庁にまた来てもらって、そこで議論していくということをイメージしておるということです。
○小西構成員 多分、大分性質が違いまして、今の新しい制度の検討は、かなり抜本的なところで被害者支援をどう考えていくかという問題を含んでいますので、むしろ、ここにいらっしゃるような方が実際に合意しない限り進まないわけですよね。かなり大きな問題です。
 一方で、カウンセリングの問題というのは大分詰めていただきまして、問題はかなり絞られていると思います。それがどういうふうに実現されるかというところにあると思うので、審議すべき人も違うと思うんです。むしろ、今のお話だったら、こういう新しいことを考えていらっしゃるのかということですから、実際に例えば、ここにいらっしゃる法律の専門家の方、犯罪被害者支援についてよく知っていらっしゃる方がどういうふうに思うのかということを私は知りたいと思いますし、それから、実際に被害の当事者の方がどう思っているかを知りたい。多分そういうレベルから話が進まないとだめだと思うんです。
 一方は、では、今の制度とか資格認定の中をどう切り抜けていくか、あるいはどう進めていくかという話なので、分けるという言い方がどういうデメリットがあるか今は思いつかないんですが、今伺った限りでは、かなり別のことをすることになるのではないかと考えます。
○山上議長 ほかの委員で、今の件に関して御意見ございますか。
○松坂構成員 私からもちょっと意見を述べたいと思います。何度か申し上げているんですが、やはり犯罪被害者に対する国民的レベルで経済的支援がどのようになされているかということは、その国家の成熟度といいますか、品格といいますか、バロメーターであろうと思います。そういう意味から言うと、今の日本国におけるレベルというのは、他の文明国家に比べて極めて劣っているというふうに反省しなければいけないだろうと思います。そういう観点から言うと、現在の犯給法の運用実績ですが、確かに従前の検討会で自賠責並みにということで、いわゆるそれを検討会で結論付けて、運用実績も変えたはずなんですが、ふたを開けてみると実際には2,400万円ぐらいの自賠責の実績なんですが、実際には犯給法の実績は1,200万円ぐらいにとどまっている。極めて貧弱な状態であると。そういうことで、こういう議論もますます活発になっていくわけなんですが、そこで、何はともあれ犯罪被害者の方々に対する経済的支援をますます充実させる方向で、確かに松村構成員の提案については、まだまだ検討して充実させていかなければいけない論点が残っておりますけれども、いい方向で議論が進んでいってくれればなということを願っております。
 それから、ついでに犯給法についての運用を改善していただきたいという点が1つありますので、意見を開陳させていただきます。それは、親族の関与が完全に否定できない未解決事件や、加害者と被害者の間で帰責性が争われていて客観的に決める証拠がないような事件で、なかなか支給の裁定がなされないで長引いいている事案もあると聞いていますが、そういうことに対する行政側の対応に関する意見です。
もし、そういうケースがあるとすれば、そういうところも是非御検討いただいて、実際に犯罪に遭って苦しんでいる方が泣き寝入りをしなくて済むようにしていただきたいなと思います。
 以上です。
○山上議長 今後開くことになる検討会では3つの課題があるわけで、事務局案ではその3つを一体として検討会で論じていくという方針でしたけれども、それに対してそれぞれ性質の異なるものであるから分けてという意見もありました。ほかの委員の方で、これについて何か意見があればどうぞ。
○中島構成員 私も、一緒にできるのかということについて少し心配している点があります。1つは、松村構成員の御提案にせよ、犯罪被害給付制度の拡充にせよ、恐らくこれは警察に届けない被害者を対象にして考えるというのは非常に難しい制度であろうと思われます。ところが、カウンセリング費用の公費負担については、警察に届け出をしない被害者も含めた検討が前からも要望として出されているわけなので、それも骨子案に入ってくると思います。ですので、果たして同じ土台で話ができるのかという心配がありまして、例えば、制度全体のことを話した上で分科会に分けるというようなことも考えられるのではないかと思います。単純に1つでやれるかどうかについては、少し検討が必要ではないかと思っております。
○山上議長 これについては、事務局はどのように考えますか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私の方から経緯について全般的にお話をいたします。まず、松村構成員からこのような提案がなされ、この提案につきましてもきちんと議論していくべきであろうということもありました。一方で、基本計画につきましては5か年、今年度で終わるということがありますので、少なくとも年末から年初にかけて確定していかなければいけない。そこで、相当の時間なり調査が必要な非常に大きな議題について議論する時間的ゆとりが現実的にないであろうということで、別途、経済的支援の在り方について考える部門をつくって、基本計画の策定とは別に検討していく形をとりたいと。これは現実的にそれしかないだろうと思っておりますし、また、警察庁さんの方からも犯給法の見直しの関係につきまして、既に先般大きな改正をなされた後の実態を踏まえ専門的な検討会をつくって時間をかけた議論が必要だということもありました。このことについては、恐らく御異論はそれほどないだろうと思います。
 その中で、1つ私どもも非常に悩んだのは、犯給法についてどう考えていくのかというときに、先ほど松村構成員からも、これはガラガラポンということではなくて拡充というようなことがありました。そうなってくると、犯給法の枠を超えるのか、超えないのか、これは言葉の問題なのかもしれませんが、例のカウンセリングの問題も犯給法の中でどう対処していくかという議論もありました。犯給法を真ん中に起きながら、大きくそれを超えるような形になるのか、抜本的なものなのかを含め、松村構成員の提案が議論の一つあり、もう一つは、カウンセリングの問題を含めるて、そこは一体として議論していく方が現実的ではないかなということで御提案をさせていただいたわけです。確かに先生方からお話がありましたように、カウンセリングの問題については、かなり専門的な部分があって、具体的な議論もなされている。そういう意味では、抜本的な見直し云々の議論とは質的に違うんじゃないかというところも確かにあるのだろうなと思います。これは私ども事務局の中でも議論がかなりありました。そのときに、事務局として専門委員会を2つつくって運営していくのと、1つの中で議論を分けながらやっていくのと、実務的にどちらのがやりやすいのかなということもありました。ただ、これはあくまでも事務の進め方の問題ですので、今日出た御意見を踏まえ、基本的には基本計画をつくっていかなければいけないということがありますので、専門委員会の活動については基本計画策定後ということにならざるを得ませんから、多少の時間がございますので、再度、事務局案を検討させていただくということでいかがかと思っております。
○山上議長 検討会を立ち上げた上で、テーマごとに少し絞った小さな委員会をつくっていくことも可能ですよね。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 給付制度の抜本的検討となると、どうしても社会保障的な知見のある方に入っていただかないといけませんし、場合によっては保険関係の人たちにも入ってもらわなければいけなくなるかもしれません。一方で、カウンセリングになると精神科、また、先ほど文部科学省の話も出ましたけれども、そういう分野の方にも入っていただかなければいけないだろうということで、そこは柔軟に対応していこうということで、コアな部分はコアとして、そのほかに議題に応じてということで考えておったんですが、そこまでするぐらいだったら2つに分けたらどうという話も勿論出てこようかと思いますし、分科会というような形もあろうかと思います。そこについては検討させていただきますが、基本的には先ほどの繰り返しになりますけれども、基本計画を何としても年末年初くらいまでにつくらなければいけないということもありますので、この件につきましては別途、検討会の場で議論させていただくということで、まずは御理解・御了承いただければと考えております。
○山上議長 それでは、そういうことで今出た意見を考慮して、検討会を発足させ、進めていくということで了承していただきたいと思います。
 次に、新たな犯罪被害者と基本計画の骨子案について、事務局から内容と今後のスケジュールについて説明をお願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) では、若干長くなるかもしれませんが、事務局から御説明いたします。配付資料は資料5から資料8までを使って説明をいたします。
 まず最初に、新たな犯罪被害者等基本計画の閣議決定までのスケジュールについて御説明いたしまして、次に新たな基本計画の名称や構成について事務局の考えているところを御説明いたしまして、その後、パブコメにかけます骨子の内容などについて御説明したいと思います。
 まず、今後のスケジュールという資料5をごらんいただきたいと思います。本日と9月14日の第7回の会議で、第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)の案の骨子案をこの会議で確定していただきたいと考えております。なお、事務局案に対する有識者構成員の意見の提出の期限は8月12日とさせていただいておるところです。本日これから資料7の整理表につきまして説明してまいりますが、これに対する意見を8月12日までで締め切りまして、そのいただいた御意見を踏まえて、また省庁といろいろ協議などしますと、整理表の2次案というものができてくるかと思います。御意見が多岐にわたる場合には、2次案が今日御説明するものから変わる可能性もありまして、そうした場合は9月14日の会議の前に、もう一度御意見を有識者構成員の方に求めるということもあり得るかと思いますので、その際はよろしくお願いいたします。
 スケジュール案ですが、9月下旬に開催予定の推進会議で、この会議で確定した骨子案をお諮りしまして、第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案の骨子を決定していただきます。その後9月下旬ないし10月上旬から、第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案の骨子について3週間程度パブコメにかけまして、国民の皆様からの意見を募集したいと考えております。
 このパブコメ終了後、11月下旬ごろになろうかと思いますが、第8回の専門委員等会議を開いていただきまして、パブコメに寄せられました意見の検討、それから、計画全文の検討を行っていただきまして、第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)の案を確定していただきます。状況によりましては、12月上旬にもう一度、専門委員等会議の開催をお願いすることもあり得るかと考えております。
 その後、12月から来年1月ごろ、推進会議で専門委員等会議で確定した第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)の案をお諮りいたしまして、この計画案を決定していただきます。
 12月から来年1月に、閣議で第二次犯罪被害者等基本計画を決定していただくということで、ここで名称も「仮称」がとれて、計画の「案」もとれて決定ということになると考えております。
 次に、名称と構成についてですが、事務局といたしましては、これまでの説明の際「(仮称)」と仮称つきで表記しておりましたとおり「第二次犯罪被害者等基本計画」という名称でどうかと考えております。
 構成につきましては、現行計画とほぼ同じ構成でどうであろうかと考えております。すなわち現行計画は、Iといたしまして基本計画の目的などを書いておりますので、新たな計画でもそういった総論的な記述をIに持ってきまして、IIとして基本方針、IIIとして重点課題、IVとして推進体制に係る施策、Vとして重点課題に係る具体的施策、こういう構成ではどうかと考えています。
 そして、基本方針と重点課題につきましては、現行計画が掲げる4つの基本方針と5つの重点課題をそのまま掲げるというのが適当ではないかと考えております。基本方針につきましては、1つ目が尊厳にふさわしい処遇を権利として保障すること、2つ目が個々の事情に応じて適切に行われること、3つ目が途切れることなく行われること、4つ目が国民の総意を形成しながら展開されることであります。
 また、重点課題につきましては、1つ目が損害回復・経済的支援等への取り組み、2つ目が精神的・身体的被害の回復防止への取り組み、3つ目が刑事手続への関与拡充への取り組み、4つ目が支援等のための体制整備への取り組み、5つ目が国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取り組みですので、これを掲げるのが適当と考えております。
 次に、スケジュールでただいま説明しましたとおり、パブコメにかけるのは第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案の骨子でして、この専門委員等会議では計画案の骨子案を確定していただくことになりますので、骨子案の内容について事務局案を御説明いたします。
 まず、骨子案のイメージについて御説明いたしますが、資料6をごらんいただきたいと思います。骨子案は計画期間、それから、基本方針、重点課題、もう一つ推進体制、重点課題に係る具体的施策から構成されております。
 計画期間につきましては、平成23年4月1日から平成27年度末までの5年間と考えております。基本方針と重点課題につきましては、先ほど申し上げたとおり現行のものをそのまま掲げるということで考えております。
 また、イメージのページをめくっていただきまして、これはイメージですので1つ例示としてしか挙げておりませんが、推進体制については具体的施策をすべて盛り込むと。それから、重点課題に係る具体的施策についても、重点課題ごとに、また基本法の条文に則して担当省庁を明示して施策内容を具体的に掲げるということを考えております。
 また、検討を要するものについては、検討ないし施策実施までの期限も明示することとしております。
 期限については、基本的には調査まで要するようなものについては2年、検討事項が多岐にわたるとか、慎重かつ多角的な検討を要するなど2年では足りないと思われるものについて3年ということで考えております。
 なお、推進体制に係る各具体的施策や重点課題に係る各具体的施策については、計画にそのまま掲載できる程度に具体化されたものを掲載することとしております。
 次に、重点課題に係る具体的施策について細かく説明していきたいと思います。まず、資料7に沿って説明していきたいと思いますので、ご覧ください。資料7は、本体の整理表と別添の表から成っております。この整理表というのは、重点課題ごとの具体的施策を現行計画と第二次計画とで対比できるようにしたものです。
 現行計画の施策のうち、検討を要するものについては、検討ないし実施済みで終了したものと、検討ないし実施済みだけれども第二次の計画でも施策を展開していくもの、この2つに分けられると思います。第二次計画には後者、すなわち現行計画で検討ないし実施済みだけれども、第二次計画でも施策を展開していくというものについて掲げることになります。また、第二次計画に掲げる施策の中には、現行計画の施策と同じ内容あるいは一部修正した内容というものも掲げられます。更に、第二次計画には現行計画にはない施策も盛り込むことにしております。先ほど申し上げたように、検討を要する施策については期限も明示しておるというところです。
 そういった大まかな話をしまして、整理表の見方について簡単に説明して、以下順次御説明したいと思いますが、まず、整理表の本体の1ページをごらんいただきまして、一番左にあります新番号ですが、これは第二次計画の具体的施策の通し番号です。その隣にあります旧番号ですが、現行計画の具体的施策の通し番号です。一番右側にある要望番号は、犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からの要望に対する論点整理表において、各要望につけた通し番号のことです。従前からこの会議で、要望番号幾つと呼称していたものです。
 現行計画の施策のうち、検討済みまたは実施済みのものについては、この整理表では第二次計画欄に斜線を引いております。そして、別添の「検討・実施済み施策に係る検討実施の状況等」と題した表に、実施状況や検討結果等を記載してあります。例えば、今ごらんいただいている旧番号1というのがそうです。
 逆に、現行計画では具体的施策がなくて、第二次計画で新たに盛り込むものにつきましては、現行計画欄に「現行施策なし」と書いて、備考欄に「新規」と記載しております。例えば、1ページ目の一番下にある新番号2番がそうです。
 また、現行計画の施策について検討・実施済みなんだけれども、同じ内容であるいは一部修正して第二次計画でも展開していく、こういうものについても備考欄では「新規」と表記しております。例えば、4ページをごらんいただきまして、旧番号の23番と新番号の17番が、今申し上げたような意味での新規ということになります。
 現行計画の具体的施策の内容と同じ表現ぶりで第二次計画にも盛り込む場合には、現行の施策と同じ案文を第二次計画の施策欄に記載しております。
 それから、現行計画の具体的施策内容を一部修正したり、表記や表現ぶりを修正している場合は、修正された案文を第二次計画の施策欄に記載して、備考欄には「一部修正」と記載しております。
 なお、第二次計画の方では、現行計画の施策のうち整理統合できるものについては、整理統合した案文を示しております。どれとどれを整理統合したかにつきましては、備考欄に記載してあります。
 あと、凡例のところにも書きましたが、黄色く塗りつぶされているのは、この会議の論点整理でA論点と分類されて、議論・検討の結果、計画に盛り込むこととされたものです。水色で塗りつぶされているのは、担当省庁から計画案文の提出を受けて検討したもの、ピンクで塗りつぶされているのは、男女共同参画会議での検討結果を踏まえて検討がなされたものです。
 全体的な説明はこの程度にいたしまして、以下順次説明してまいります。
 まず、1ページ目をごらんいただきたいと思いますが、旧番号1~3番につきましては、検討・実施済みです。
 そして、新番号1番につきましては、旧の計画と同じ内容で盛り込むこととしております。
 新番号2番は、日本司法支援センターによる支援の検討及び施策の実施でして、法務省及び日本司法支援センターにおいて、犯罪被害者等が提起する損害賠償請求訴訟等の準備及び追行の過程で、代理人である弁護士等がカウンセラー等を犯罪被害者等との打合せに同席させることに対して、同センターが支援を行うことについて検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施するということです。
 2ページですが、新番号3番も日本司法支援センターによる支援ですが、これは現行計画を一部修正した施策内容となっております。
 旧番号でごらんいただきますと6~9番、11番につきましては、実施済みあるいは整理統合されています。
 また、旧番号14番も整理統合しているものです。
 新番号4番は、現行と同じ内容です。
 また、新番号5番、6番につきましても、現行計画と同じ施策内容でやることとしております。
 新番号7番、保険金支払いの適正化等ですが、これも一部修正して盛り込むということです。
 また、新番号8~11番につきましては、若干の語句の修正などはありますが、現行計画と同内容のものを盛り込むことにしております。
 新番号12番の施策につきましては、一部修正で盛り込むこととなっております。
 旧番号21番、22番の犯給制度の関係あるいは経済的支援の関係の検討は、すべて検討されているということで終了です。
 新番号13番が、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討、新番号14番が、カウンセリング費用の公費負担に関する検討ということで、いずれも別途検討会を開催して検討・調査を行っていくという内容となっております。事務局案ということで、カウンセリング費用も1つの検討会でやるということで提示しておりますが、今日の御意見を踏まえまして、もう一度検討したいと思っております。
 新番号15番、地方公共団体による見舞金制度の導入促進ということで、これは新規の施策となっております。
 新番号16番、生活保護制度における犯罪被害者等給付金の収入認定除外についての検討ということで、これも新規のものです。
 新番号17番ですが、性犯罪被害者の医療費の負担軽減というのが新規ですが、先ほど申し上げましたように、現行計画での検討と施策の実施を踏まえたものということです。
 新番号18番は、現行施策と同様の内容を盛り込むことにしております。
 旧番号25番につきましては、実施していただきまして、それを若干修正したような形で新番号19番の医療保険の円滑な利用の確保というのが新規の施策としてあるというところです。
 旧番号26番の公営住宅への優先入居等は実施済みで終了ですが、新規の20番で公営住宅への優先入居等について更に推進していく施策として盛り込まれます。
 新番号21番ですが、公営住宅への優先入居等ということで、現行計画を一部修正してはおりますけれども、盛り込むことになっていきます。
 この辺は公営住宅関係が続きますが、新番号22番、23番は現行計画と同内容のものを盛り込むことになっております。
 旧番号30番と新番号24番、被害直後及び中長期的な居住場所の確保ですが、これは現行計画のものについては検討・実施済みですが、更に新しい施策という整理をして、ほぼ同じ内容ものにつきまして現行でも盛り込むということです。
 旧番号31番は実施済みで終了、新番号25番の施策については現行と同じ修正なしということです。
 新番号26番、現行施策なしですが、やっております。
 新番号27番は、現行計画と同内容のものを行っていくということです。
 表の見方が大体わかっていただけましたところで、若干説明を省かせていただきますが、新番号28番ですが、ちょっと備考欄がありまして、事業主等の理解の増進ということで同じような内容なんですが、現行計画にある独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターというのが主体から消えております。それは、独立行政法人雇用・能力開発機構が廃止される予定となっているからです。
 同じ理由から旧番号38番ですが、現行施策で終了ということで、第二次の計画には盛り込まないことになっております。
 新番号33番が、B論点の被害回復のための休暇制度の周知・啓発という施策です。
 新番号35~37番というのがA論点として議論していただいたPTSD治療の可能な医療機関についての情報提供、犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進等となっております。
 旧番号47番は、検討・実施済みではありますけれども、これに関連しまして新番号40番の施策を第二次計画で盛り込んでいくことになっております。
 新番号41番の交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等というのが新規になっております。
 新番号44番ですが、これは旧番号52番を一旦終了とした後に、同じような内容で新規としているものです。
 新番号45~48番が、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた論点についてのものとなっております。
 旧番号55番と新番号49番、犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する臨床心理士の養成等に関して、引き続き推進していく施策ということですので、ほぼ同じ内容を掲げておりますが、この主体が文部科学省から内閣府に変更されております。これは文部科学省の方で、財団法人日本臨床心理士資格認定協会に対する監督を平成25年までに行わなくなるという関係にあるということですので、それを踏まえまして犯罪被害者等施策全般について行っております内閣府が、この協会に働きかけて犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する臨床心理士の養成と研修の実施を促進するという施策を展開していくということです。
 12ページから時間の関係ではしょらせていただいて申し訳ありませんが、15ページまでは今まで説明してまいりましたように、現行施策のそのままあるいは修正、展開していくようなものなどを記しております。
 16ページをごらんいただきたいんですが、旧番号96番、再被害の防止に資する教育の実施等ですが、非行少年等の立ち直り支援に関する事業は平成21年度で終了しておると。また今後、関連事業を行う予定もないということで、この施策が終了ということで斜線を引いております。
 17~19ページは特段説明はなく、今申し上げたような整理で、現行と第二次計画の具体的施策を整理しております。
 20ページの新番号98番ですが、新規の医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取等の推進という施策を入れておりまして、あとは被害者参加制度ですとか、実施済みのものは終了ということで、旧番号113番の冒頭陳述等記載書面の交付などについては、検討して施策を展開しておりましたけれども、今後も続けていくということで新規の99番になっております。
 新番号100番が、被害者参加人への旅費等の支給に関する検討及び施策の実施で新規でして、新番号101番は、被害者参加人のための国選弁護制度における資力要件に関する検討ということで、国選弁護制度における資力要件に関する検討は、被害者参加人の旅費等の支給に関する検討及び施策の実施と併せて検討を行うという内容になっております。
 20ページからずっとめくっていただきまして、これが「第3 刑事手続への関与拡充への取組」の施策です。
 26ページを御覧いただきたいのですが、新番号134番の下の欄です。性犯罪についての時効の撤廃に関する検討及び施策の実施です。この点につきましては、性犯罪の処罰の在り方に関しては、男女共同参画会議においてその検討が求められているところでして、性犯罪の公訴時効の在り方に関しても、その一環として検討することとして、第二次犯罪被害者等基本計画には掲載しないということを考えております。
 次に「第4 支援のための体制整備への取組」ですが、新番号135番と136番が、地方公共団体における総合的対応窓口の設置の促進等ということで、現行の施策を一部修正または新規として掲げている施策です。
 新番号137番につきましては、先ほど男女局から説明がございましたけれども、地方公共団体における性犯罪被害者等支援への取り組みの促進ということで、内閣府において男女共同参画センターにおける中長期的なカウンセリング等の性犯罪被害者支援の取り組みが促進されるよう、先進的な好事例の収集・提供に努めるという内容になっております。
 新番号138番、139番は、第2で掲げたものの再掲ですけれども、医療機関における性犯罪被害者への対応の体制の整備等です。
 新番号141番、ワンストップ支援センター設置促進ですが、これも再掲しているものです。
 新番号142番は、旧番号159番の現行施策の現行での検討や施策の実施を踏まえて修正したような扱いの新規ですけれども、コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成への支援という施策です。
 29、30ページは、比較的現行計画をそのままないし一部修正して実施するという施策になっています。
 新番号150番ですが、人身取引被害者の保護の推進です。これは、関係省庁において「人身取引対策行動計画2009」に基づいて被害者保護のための各種施策を推進するという内容になっております。
 今回、日本司法支援センターによる支援の関係につきましては、若干いろいろと整理などをしていただいておりまして、例えば、新番号167番で弁護士紹介以外の情報提供については、旧番号191番の施策で対応しているということになっております。
 終了したところで申しますと、旧番号193番、犯罪被害者団体等専用ポータルサイトの開設につきましては、平成19年2月に開設済みでして、また、ホームページの充実についての施策も今回の第二次計画で対応するということです。
 34~37ページまで、特段説明なくごらんいただけるかと思います。38、39ページも、特段御説明なくごらんいただきたいと思います。
 40ページですが、旧番号231番は終了ということで、新番号201番に統合されている内容になっています。あと、昨年の事業仕分けの結果を受けて「心のノート」の全小・中学生への配付を行わないこととなっております。
 41~44ページまで、特段備考欄の説明等もないのですが、駆け足で申し訳ないんですが、こういった整理表は現行とこれからの計画の対応関係、何が終了したのか、何が新しいものなのか等の対比が御理解いただけるようにということでつくっている基本的な表です。
 今日、イメージということでA4縦置きのものにお示ししましたけれども、8月12日までには委員の皆様に縦置きのものにきちんと施策を書き込んだものをお送りして、見やすいものをつくりたいと思っております。
 それから、資料8をごらんいただきたいと思いますが、これは推進体制に係る施策の整理表で、これも左側に現行、右側に第二次計画の施策を書いております。基本的には、現行と同内容のものを盛り込んでいくことにしておりますが、若干整理統合などをしているところです。この推進体制に係る具体的施策につきましても、A4の縦置きにきちんと書き込みまして、それを委員の方々にお送りするような形にしたいと思っております。
 私からは以上です。ちょっと聞きづらい説明で申し訳ありませんでした。
○山上議長 どうもありがとうございました。
 御質問や御意見がある方はいらっしゃいますか。
○松坂構成員 本日、机の上に配付していただきました意見書のとおりなんですが、私の方で意見を申し上げたいのは、資料7の2ページ目の新番号3、旧番号5、日本司法支援センターによる支援の書き振りです。それから、同じことが新番号167、旧番号187でも記載されていますので2つにまたがると思いますが、意見書に書いてあるとおりでございます。ここでは繰り返し述べませんので、ひとつ御再考いただけたら幸いです。
 以上です。
○山上議長 文言の使い方の表現の問題ですので、これは事務局で対応をお願いできますでしょうか。
○法務省大臣官房審議官 御指摘の点について、ちょっと申し上げたいと思います。ここの部分は従前、この会議でも、被害者の方が被害者参加され、被害者参加弁護士についてもらう際に、なかなか意思疎通等がうまくいかなくて、被害者の方が希望したような状況になっていないのではないかという御指摘があって、それを踏まえてこういった記載をしているところでございます。
 また、もともとこの点に関する計画案文については、もう少し書き振りが違った形であったわけでございますが、これに対して前回か前々回の委員からの御指摘で、むしろ「研修等を行うとともに」というのを入れるべきだという御意見がございまして、それを受けてここに記載したという経緯がございます。
 松坂構成員の御指摘は、もともとは弁護士自治の観点から留意すべきだという御指摘で、その点は全く異論があるわけではありませんけれども、さはさりながら、総合法律支援法で研修まで規定してはいないのですが、特定の業務を遂行するために必要な附帯業務をすることは当然でございますし、また、現実にも弁護士自治に配慮しつつ、弁護士会とも十分協力して研修等を現に行っているところでございますので、決して弁護士自治に反するようなことを考えて、義務的あるいは押し付け的にやるような内容のものではないということは御理解いただければありがたいなと思っております。書き振りの問題かもしれませんが、どういう書き振りであれば、そういった御懸念を払拭できるのかということもあろうかと思いますけれども、この案文については、この会議の席で、こういうものをむしろはっきり入れるべきだという御指摘もあって出てきたものだということは申し上げておきたいと思います。
○松坂構成員 ちょっと誤解もあるようなので釈明したいと思いますが、多分、前回の会議での私の発言のことをおっしゃっておられるのかと思いますが。
○法務省大臣官房審議官 違います。他の委員からの御意見です。
○松坂構成員 私が申しあげたのは、あくまでも二次被害があるとすれば、それは具体的な情報を頂いて、弁護士会ないしは日弁連の方できちんと研修のときには、更なる質の良い精通弁護士の提供という観点からやっていきたいということを述べました。
 あくまでも、今の法務省さんの考え方、根底にあるところを否定するわけではなくて、私が気にしているのは書き振りです。ですから、これについては場合によっては日弁連と法テラスとのライン協議もございますので、そちらの方で詰めていただくというのも一つの手かなと思っていますので、御検討いただけたら幸いだと思います。
○山上議長 ほかの委員で何か御意見ございますか。
○小西構成員 余りにも膨大なので頭がぼーっとしているんですが、実は今回の検討で余り取り上げられなかったんだけれども必要なこととして、子どもの犯罪被害者の支援があると思うんです。虐待の死亡だけで100人以上というのがこの前ありました。今見た限りでは、ほとんど文科省の関連の学校の中の支援に思えたんですけれども、その辺で何か変わったことがあったら教えてくださいというか、どう考えていらっしゃるか、全体の中で今飛ばした中にあったら教えてくださいということが1つです。
 もう一つは、この場でなくて構いませんが、今おっしゃった文科省が臨床心理士の担当省庁として平成25年に変わられるというお話について、それは先ほど私が主張したことにもかかわってきますので、後でで結構ですから教えてください。
○山上議長 論議の進め方の問題ですが、先ほどの松坂構成員の発言について、法務省でどのような対応が可能ですか。
○法務省大臣官房審議官 また検討させていただきたいと思いますが、この書き振りで御懸念のことがあるようにも、こちらとしてはそもそも考えておりませんでしたので、これで弁護士会と協議うんぬんというのは予定はしていなかったものですから、また、先生の御意見等も伺えればと思います。
○山上議長 今の小西構成員の意見については、事務局で何か付け加えることはございますか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 学校の関係というのは、第4のところでもともとBということで文科省に検討していただいて、水色で塗りつぶしているところでして、例えば、今御指摘を受けて見たところで言うと30ページの新番号155ですとか。
○小西構成員 むしろ学校以外。例えば、司法面接の話とか出たか出なかったかちょっと記憶がないんですが、例えば、学校に行かないところでの問題ですよね。虐待の問題なども。そういうことであったかなと思って、今、御質問しました。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 済みません、私も今、学校に行かないところということで即座に出てこなくて。
○小西構成員 でしたら結構です。では、私としては、そういう問題が今回まだ抜け落ちているということを指摘するということだけで結構です。
○山上議長 では、ほかにどなたか御意見ございますか。
○松村構成員 先ほどの松坂構成員の御意見ですけれども、連携して研修するということは絶対に必要なんですね。ということは、今まで弁護士によって被害者参加制度で参加したけれども何もしゃべらせてくれなかったと。弁護士が第二検察官になってしまっているというような苦情を相当受けているわけです。ですから、そういうことがないように研修していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大久保構成員 今の松村構成員に関連してなんですけれども、実は支援センターと弁護士会は結構協力して、もう既に研修会等もやっておりますので、余りその点で懸念することはないのではないかと思います。また、弁護士さんの被害者支援と、例えば、支援センターのように被害者の方の生活全般、つまり、線の形で支援をしている立場と、弁護士さんのように点の形で支援をする役割というのは違いますので、その役割を相互にしっかりと理解した上で被害者にかかわることが、被害者に二次被害を与えずに、また、生活再建ができるということにつながっていきますので、協力ということは必要なのではないかと思います。問題であるということであれば、それは文言上、表現上の問題なのではないかと思いますので、御検討をお願いできればと思います。
○松坂構成員 まさにおっしゃるとおりで書き振りなんです。法テラスと弁護士会、日弁連は車の両輪だと我々は認識しておりまして、お互いにこれまでも協力してきましたし、これからも協力していくんです。どちらが上で、どちらが下ということはないんです。だから、そこは誤解を招かないような書き振りにしていただければ問題はなくて、円満に収まりますので、その点だけ御配慮いただきたいというお話をしただけです。
○井上構成員 私も、別にこの書き振りで御懸念のようなことはないと思うんですね。これは要するに、国ないし公の機関が何をしないといけないかということなので、ここにむしろ日弁連においてこういうことを行うとは書けないだろうと思うんです。ですから、それを否定している文章ではないように思います。弁護士会の方でやっておられるということは当然の前提としながら、司法支援センターにおいてもそういうことに配慮していくべきだ、努力していくべきだ、こういう文脈かなと思いますので、弁護士会の独自の取組とか自治を犯すという文章には、私が読んだ限りでは受け取れないですから、この書き振りでもそんなに誤解はないのかなと私自身は思いますけれども。
○山上議長 ほかに、どなたか御意見ございますか。
○中島構成員 こちらの具体的施策整理表の35ページにありますが、調査研究の推進等で文部科学省と厚生労働省が実施済みとなっています。確かにこのテーマでは実施済みだと思いますが、犯罪被害者等基本法の趣旨を考えますと、調査研究というのがこれで終わってしまうという趣旨になるものだろうかという疑問があります。一般的な研究体制のような、一般的施策としての書きぶりでもよいと思いますので、調査研究というのは継続して推進されるものではないのかということから、もし検討の余地があったら何らかの形で継続されるといった旨の記載があったらよいかと思います。
○山上議長 これについて、どなたか御意見ございますか。8月12日までにまた改めて意見を提出していただければ、それを考慮することになりますので、今の時点で意見はございますか。
○大久保構成員 今の資料7のことではないんですが、先ほど松村構成員から提案されたことにつきまして、一言だけお願いしたいと思います。松村構成員からの提案といいますのは、被害者が経済的に困窮していて、被害に遭う前の生活を取り戻せずに苦しんでいる被害者の声を本当に集約して、代弁して、このような形で提示したものだと思いますので、最大限この内容を尊重して検討会も進めていただきたいと心から願いますので、よろしくお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 先ほど事務局からもお願いいたしましたけれども、先ほど資料7、それから、一応終了したものについての別添ということで、こういう現状ですよというもの、あと、資料8に関するものにつきまして、今、一部の項目につきましては御意見をいただいて議論がありましたけれども、整理する必要がございますので、それぞれ御意見のある部分につきましては文書で8月12日までにお出しいただきたいと思います。また、これがちょっと弱いのではないかということであれば、その点につきましてこういう文案でどうかということも含めておっしゃっていただきたい。先ほどの小西先生からのお話は、児童虐待等が恐らく念頭にあるのではないかと思われますが、全く記載がないわけではないのですが、薄いということであれば、その点についてこの書きぶりでどうだろうというようなことも併せ御意見をいただければ、最終的な案文として、勿論これはその御意見が全部そのまま採用できるかは、関係省庁との詰めであるとか整合性等もありますけれども、是非お願いしたいと思います。
○小西構成員 それは具体的にこう書いたらどうかという提案をするんですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 そういう形で示していただい方が、事務方としてはまとめやすいなとは思います。ただ、全く今まで議論されていなかったものがポンと出てくることになると、議論の進め方としていかがかなという部分がありますが。
○小西構成員 その前に、とりあえず意見として出すということでもいいですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 結構でございます。
○山上議長 よろしいでしょうか。それでは、そのほかに本日、内閣府から2点報告事項があるということですので、まず1点目についてお願いいたします。先ほど紹介があった損害賠償命令履行状況調査についての報告がございます。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、内閣府から2点のうちのまず1点目、損害賠償命令の履行状況の調査結果ということで資料9を御覧いただきたいと思います。既に議論されている状況でございますが、説明をさせていただきます。
 まず、第1回の会議におきまして、損害賠償債務の国による立替払というのが議論としてございました。それを議論するに当たって、損害賠償命令制度の履行状況を知っておく必要もあるだろうということで御提案がございまして、内閣府におきまして、あすの会及び全国被害者支援ネットワーク、またネットワーク加盟団体に御協力いただきまして、全てということはなかなか難しかったと思いますけれども、損害賠償命令の履行状況の調査をいたしました。その調査結果が資料9でございます。それぞれの団体で把握している損害賠償命令が出された事例につきまして19件ありました。賠償が全くなされていないものが18件、大半です。一部なされたものが1件ということです。したがって、命令が出された後に全額賠償された事例はなかったと。
 言うまでもございませんけれども、この調査は損害賠償命令制度によって命令が出た事例の、ひょっとしたらごく一部なのかもしれません。また、当初から通常の民事訴訟手続によった場合でありますとか、損害賠償命令の申立後に民事訴訟に移行して支払が命ぜられた事例は対象としておりませんし、また、加害者側が示談などによりまして自発的に賠償を行った場合は含まれておりません。したがって、この調査結果をもって犯罪被害者等がほとんど賠償を受けていないということまでは必ずしも言えないかもしれませんけれども、殺人等重大な被害を受けながら加害者から全く賠償がなされていない犯罪被害者等の方々がいるという実情の一端を見ることができると考えております。
 ところで、前回の経済的支援に関する検討会におきましても、この立替払について検討がなされておりました。同検討会では、次のような表現で議論されております。「そもそも加害者に資力がなく、犯罪被害者等が事実上損害賠償を受けられず何らの救済も受けられないでいる実情にかんがみ、社会連帯共助の精神から国が給付金を支給する制度が創設されたものであり」、これは犯給法のことですが、「実質的な面から見ても、従来の求償実績に照らし、求償権行使については実効性の担保が期待できず、給付制度と異ならないことから、結局、損害賠償債務の国による立替払及び求償等の是非については、給付制度の検討に帰着するものと考えられる」との検討結果となっております。金額の水準は別といたしまして、事後的に加害者への求償を行う立替払としても、求償はしない給付制度としても、国が犯罪被害者等への給付を行うという点では、両者は構造的には同じものという考え方ではないかと思いますが、その構造に関しましては、現在においても特段の状況の変化はないと考えております。
 したがいまして、この問題につきましては、現状において国による立替払い制度の検討は、結局のところ給付制度の充実等の検討に帰着することになろうかと思いますので、先ほど来いろいろと出ております議論も踏まえまして、今後新たな犯罪被害者等基本計画の策定後に別途行うことと予定しております犯罪被害者等に対する経済的支援に関する検討会(仮称)の議論の中に吸収されていくものではないかと理解しております。そのような形で検討会を進めていくことになろうかと思いますが、それでよろしいかということでございます。
○山上議長 これについては先ほど既に意見も出ておりましたし、その検討会で経済的な支援の問題を含めて論じられることになるかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山上議長 では、よろしければ次に、もう一点お願いします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 次は御連絡ということになりますが、資料10をごらんいただきたいと思います。この基本計画の策定に直接関係するものではありませんけれども、施策の推進に関連する大事なことだと思いますので、御報告をさせていただきます。
 犯罪被害者等基本法が制定されまして約5年半、基本計画が閣議決定されてから4年半経過をいたしました。この間、政府として同計画に基づき犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進してきましたし、また、国民の理解と配慮、協力を促すための広報・啓発活動も力を入れてやってきたつもりでございます。また、この場で現在は次の計画に向けての検討がなされております。そのような状況の中で、今後、これも議論が既になされておりますが、各種広報・啓発活動や民間団体の募金活動等さまざまな活動の一層の展開を図っていく必要があると。そのためにも、国民が犯罪被害者等に関する問題をより身近なものとして理解し、また、とらえていただき、誰もが犯罪被害者等支援い係ることができるのだということが認識できるものとして、また、国や地方公共団体、犯罪被害者団体、犯罪被害者支援団体などの活動の象徴として、相互に横のつながりを意識できるものとしてシンボルマークをつくったらどうだろうということであります。
 男女共同参画等その他、さまざまな施策でシンボルマークは既にございますけれども、この被害者支援に関しましては、そういうものが今まで国としてはありませんでした。そういうことで、内閣府として犯罪被害者等支援のシンボルマークを公募により制定することといたしました。もとより制定したシンボルマークについては、その使用を強要するものではございません。使用を希望する民間団体や地方自治体に使っていただき、また、内閣府においてさまざまなキャンペーン、啓発活動を行うときには使用していくというものでございます。
 シンボルマークの制定までの流れはここにありますけれども、一般からの公募といたしております。特に幅広く、意識を持っていただきたいということもありまして、現在、各種専門学校ですとか、デザイン・美術系の大学等々に働きかけを行っております。ちょうど夏休みでございまして、その期間考えてもらえればということで、7月26日から9月17日までを募集期間とし、応募作品の中から10点程度を事務局で選定し、10月中旬に専門委員会の場、または犯罪被害者団体なり支援団体の方々の御意見を広く伺って、最優秀作品1点を定め、犯罪被害者等施策担当大臣が決定し、12月1日の国民の集い中央大会におきまして、大臣表彰していただこうと考えているものでございます。
 審査の過程におきましては、ここにお集まりの皆さん、また、各種支援団体、被害者団体の方々の御協力を是非いただきたいということで、幅広く国民の人たちに被害者の置かれている状況を考えてもらうきっかけともなればと思っておりますので、御報告をさせていただきます。
 以上です。
○山上議長 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 次回ですが、9月14日火曜日に開催を予定しております。時間と場所は今回と同じです。
 先ほども御説明いたしましたが、有識者構成員の皆様の御意見の締め切りは8月12日の木曜日とさせていただきたいと思います。
 次回会議では、今回の御意見と8月12日までに提出された御意見等を踏まえた骨子案について御検討いただきまして、推進会議に報告する骨子案を本会議として確定していただきたいと考えております。なお、本日イメージとしてお配りした骨子案につきまして、先ほど御説明しましたように、施策を入力したものを配付いたしますので、御意見の提出の際に参照していただければと思います。
 事務局からは以上です。
○山上議長 1つ、先ほど小西構成員から文科省が加わってという希望があったわけですけれども、先ほどの案には入っていませんでしたが、文科省の方で何か意見がございましたら、お願いしたいと思います。
○文部科学省大臣官房総務課副長 先ほど先生から御指摘がありましたことにつきましては、整理をいたしまして後日、事務局を通じてでよろしゅうございますか。また御説明をさせていただければと思います。
○山上議長 それでは、これをもちまして第6回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終了いたします。
 本日は長時間にわたり精力的に御議論いただき、ありがとうございました。

▲ このページの上へ