第27回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成30年9月4日(火)午後2時00分~午後4時00分
場所:中央合同庁舎4号館12階・1214特別会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 飛鳥井 望 医療法人社団青山会青木病院院長
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中島 聡美 武蔵野大学人間科学部教授
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  伊藤 冨士江 上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授
  小木曽 綾 中央大学大学院法務研究科教授
  武 るり子 犯罪被害者遺族
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  山岸 直人 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当)
  赤羽 史子 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当)
  丸山 彰久 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長
  渡邉 清 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
  小笠原 陽一 総務省大臣官房企画課長
  金子 修 法務省大臣官房政策立案総括審議官
  生川 浩史 文部科学省大臣官房総括審議官
  阿部 幸生 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  角野 浩之 国土交通省総合政策局政策課政策企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況について
  3. 閉会

配布資料

 資料1 警察庁提出資料

  • 1-1 犯罪被害給付制度の改正の概要
  • 1-2 警察におけるカウンセリング等費用の負担軽減
  • 1-3 「性犯罪被害相談電話番号の統一化」について
  • 1-4 「平成29年度犯罪被害類型別調査」について
 資料2 内閣府提出資料
  • 2-1 行政が関与する「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」一覧
  • 2-2 性犯罪・性暴力被害者支援交付金

参考資料

  • 参考資料1 平成30年版 犯罪被害者白書
  • 参考資料2 第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況の把握方法(修正版)
  • 参考資料3 前回会議における質問事項に対する回答 

議事内容

  • 飛鳥井議長 それでは、少し早いようですけれども、皆さんおそろいいただきましたので、始めたいと思います。
     本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。ただいまから第27回基本計画策定・推進専門委員等会議を開催いたします。本会議の主たる目的は、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれました具体的施策の実施状況のフォローアップとなりますので、よろしくお願いいたします。
     本日の出席状況ですけれども、岩村構成員と川出構成員の御二人は所用のため会議を欠席されるとの連絡を受けております。また、今回は構成員以外に金融庁の御担当の方にも御出席いただいております。
     それでは、まず本日の議事及び配付資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 本年4月から警察庁で犯罪被害者等施策担当の参事官を務めております赤羽と申します。本日は事務局を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、お手元の議事次第を御覧ください。本日の配付資料は1-1から2-2までの6種類でございまして、警察庁及び内閣府から提出されました第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の主な進捗状況に関する資料でございます。
     また、参考資料1としまして、平成30年版の犯罪被害者白書の市販版をお配りしておりますので、適宜御参照ください。また、参考資料2としまして、第3次基本計画におきまして、施策の進捗状況の点検においては定量的に把握することに努め、これが困難な場合もできる限り定性的に把握するとされていることを踏まえまして、本年度修正したものをお配りしております。最後に参考資料3としまして、前回、会議の最後に森山構成員からいただきました御質問に対する回答をまとめたものをお配りしております。
     事務局からは以上でございます。
  • 飛鳥井議長 どうもありがとうございました。既に御承知のように平成28年4月1日に閣議決定されました第3次犯罪被害者等基本計画は、その計画期間を5年としていますので、ちょうど2年半で折り返し地点ということになるかと思います。この間、各省庁が担当施策を推進していくこととされておりまして、3年目となったわけです。
     本日は現時点における主な進捗状況につきまして、各省庁から御報告をいただければと思います。各構成員の方からの御質問、御意見等につきましては、全ての府省庁からの御報告が終わった後でまとめてお伺いしたいと思います。
     それでは、まず警察庁からお願いいたします。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) 本年3月から警察庁におきまして、犯罪被害者等施策担当審議官をしております山岸と申します。よろしくお願いします。
     それでは、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策のうち、警察庁が推進主体となっております施策のこれまでの進捗状況につきまして御報告を申し上げます。なお、時間の関係もありますので、ここでは特に進捗が見られたものについて御報告いたします。
     初めに、施策番号12番の犯罪被害給付制度に関する検討について御報告いたします。資料1-1を御覧ください。
     第3次犯罪被害者等基本計画において、犯罪被害給付制度に関する4項目について、実態調査や他の公的給付制度に関する調査を1年を目途に行い、これらを踏まえた検討を速やかに行って、必要な施策を実施する旨が盛り込まれたことを受けて、平成28年度に実態調査等を実施いたしました。そして調査結果を踏まえた検討を行うため、昨年4月から当会議の川出構成員や渡邉構成員にも御参加をいただき、犯罪被害給付制度に関する有識者検討会を開催し、同年4月に提言を取りまとめていただきました。同提言を踏まえ、警察庁では、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行令及び同規則の一部を改正し、本年4月1日から施行されたところです。
     次に、改正の内容について御説明させていただきます。1点目は、重傷病給付金に係る給付期間の延長です。従来、治療費相当額等を支給する重傷病給付金の給付期間については、犯罪行為により負傷し、または疾病にかかった日から起算して1年を経過するまでの間とされていましたが、これを3年を経過するまでの間に延長することといたしました。
     2点目は、仮給付の柔軟化です。犯罪被害に係る事実関係に関し、速やかに裁定することができない事情があるときは仮給付金を支給することは可能ですが、その額については支給決定時点で認定が可能な犯罪被害者等給付金に相当する額の3分の1が上限とされているところ、当該制限を撤廃し、全額を支給することを可能としました。
     3点目は、遺児への手厚い支援です。遺族給付金の額については生計維持関係遺族の人数に応じ、一般に遺族の生活の回復及び自立に必要とされる期間である10年を勘案して定められていたところ、犯罪行為が行われた時から10年が経過しても、なお18歳に満たない遺児がいる場合についての遺族給付金の額を引き上げました。
     4点目は、親族間犯罪被害に係る支給基準の抜本的見直しです。親族間の犯罪被害に係る犯罪被害者等給付金については、犯罪行為が行われた時に親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合等には、当該親族関係を理由とした支給の制限を行わないこと、犯罪行為が行われた時に18歳未満の者が犯罪被害者等給付金を受給する立場にあるときは、その者と加害者との間の親族関係を理由とした支給の制限を行わないこととするなどの見直しを行いました。引き続き、改正内容を踏まえつつ、警察庁として、犯罪被害給付制度の適切な運用のために都道府県警察に対して必要な指導を行ってまいります。
     次に、施策番号15番のカウンセリング等心理療法の費用の負担軽減及び施策番号58番の警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実について御報告いたします。資料1-2を御覧ください。
     警察では、臨床心理士資格等を有する警察部内カウンセラーの配置を促進しており、平成30年4月1日現在、40都道府県、残念ながら前年度比マイナス1県において、135名の警察部内カウンセラーが配置されております。また、平成28年度から、犯罪被害者等が自ら選んだ精神科医、臨床心理士等を受診した際のカウンセリング費用を公費で負担する制度の全国展開を進めてまいりましたが、本年7月、全国47都道府県警察の全てで、制度の整備が完了いたしました。今後とも、犯罪被害者等の精神的負担の軽減に資するべく、警察部内カウンセラーの確実な配置に努めるとともに、全国展開したカウンセリング費用の公費負担制度の適切な運用に取り組んでまいります。
     次に、施策番号201番の性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大及び施策番号209番の被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する相談体制の充実及び理解の促進に関連して、「性犯罪被害相談電話番号の導入・相談窓口の充実」について御報告いたします。資料1-3を御覧ください。
     各都道府県警察においては性犯罪被害相談電話を設置しておりますが、都道府県警察ごとに電話番号が異なるため、一般的に認知度が高くなく、また、相談電話をかける際に個別の電話番号を検索して電話する必要があるなど、利便性も低いとの問題がありました。そのため、性犯罪被害者がより相談しやすくなるよう、全国共通の短縮ダイヤル番号「#8103」、「ハートさん」と呼称しておりますけれども、これを昨年8月から導入しております。これにより、相談窓口の認知度が向上するとともに、相談者が相談窓口にアクセスしやすくなるなど、性犯罪被害の潜在化防止等の効果が期待されます。また、「#8103、ハートさん」を通じた相談窓口の24時間対応に向けた取組も進めており、24時間対応が可能な相談窓口は、昨年8月の導入当時の23道府県から本年9月3日現在で40都道府県まで拡大しております。今後とも、ポスターのほか、ウェブサイトやSNS等を通じた広報を展開して、「#8103、ハートさん」の周知を図るとともに、相談しやすい環境の整備や適切な相談対応に努めてまいります。
     次に、地方公共団体における犯罪被害者支援の進捗状況についてであります。
     1点目は、施策番号153の地方公共団体における総合的かつ計画的な犯罪被害者支援の促進について御報告いたします。白書の62ページを御覧ください。第3次基本計画では、地方公共団体における犯罪被害者等の視点に立った総合的かつ計画的な犯罪被害者支援に資する方策として、条例の制定または計画指針の策定を挙げております。警察庁では、地方公共団体等に電子メールで配信している犯罪被害者等施策メールマガジンにおいて犯罪被害者等の支援に特化した条例を取り上げ、その条例に基づく主な支援施策等を紹介するなどし、地方公共団体に対する情報提供に努めております。本年4月現在、62都道府県・政令指定都市、510市区町村において、犯罪被害者等に関する条例の制定又は計画指針の策定が行われております。
     2点目は、地方公共団体間の連携・協力の促進等、施策番号154についてであります。白書の64ページ、コラム12、及び66ページ、コラム13を御覧ください。第3次基本計画では、警察庁において各都道府県内における市町村の連携、協力の促進を図るため、都道府県による市町村の犯罪被害者等支援担当者を集めた研修の実施等に協力することとされております。平成29年度は犯罪被害者等施策の総合的推進に関する事業として、和歌山県、大分県及び佐賀県において、市町村職員等を対象とした研修を実施いたしました。また、同事業において、先進的な取り組みとして、適時適切な支援を受けるために必要な情報を整理し、事件・事故等に係る経過を記録するための犯罪被害者等支援のためのノート「つむぎ」を作成する事業を京都府で実施するなど、先進的な取り組みを滋賀県、熊本県、横浜市で実施いたしました。今後も地方公共団体と連携し、地域における犯罪被害者等支援体制の一層の整備に努めてまいります。
     地方公共団体における犯罪被害者支援の進捗状況については以上でございます。
     次に、施策番号210の犯罪被害者等の状況把握等のための調査実施に向けた検討について御報告いたします。資料1-4を御覧ください。
     本年1月、警察庁では、犯罪被害類型別に犯罪等被害が犯罪被害者等の心身の健康に及ぼす影響、主観的な回復状況とその要因に関する認識等を把握し、各省庁の施策の企画立案に反映させることを目的として、「平成29年度犯罪被害類型別調査」を実施いたしました。この調査では、1:殺人・殺人未遂、傷害等の暴力犯罪、2:交通事故、3:性的な被害、4:ストーカー、5:配偶者からの暴力、6:児童虐待の犯罪被害者等を対象として、警察等への通報・相談状況や、支援・制度の利用状況とニーズ等について質問しております。
     この調査を実施するに当たり、本日御出席の中島委員をはじめとする有識者の皆様を構成員とする企画分析会議を設置いたしまして、そこでの議論や検討を踏まえて、調査票の作成や調査結果の分析を行いました。調査結果の詳細については、資料を御覧いただければと思いますが、警察庁では今回の調査結果を踏まえ、引き続き関係機関・団体と連携し、相談者が安心して相談できる環境を整備するなど、信頼性の向上に努めるとともに、相談機関等の認知度の向上に向けた効果的な広報を実施していく必要があると考えております。
     第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況に関する警察庁からの報告は以上でございます。
  • 飛鳥井議長 続きまして、内閣府からお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 内閣府男女共同参画局から参りました渡邉と申します。よろしくお願いいたします。
     私からは性犯罪・性暴力被害者支援の一環として行っております性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを中心としまして、内閣府の取り組みを御説明させていただきます。ワンストップセンター関係の資料は資料2-1という縦と、資料2-2という横の資料、2枚を御用意させていただいております。
     このワンストップ支援センターは、第3次犯罪被害者等基本計画、それから第4次男女共同参画基本計画に基づいて、被害直後から相談を受け、医療的な支援、心理的な支援を可能な限りワンストップ、1か所で提供するセンターを設置促進するというもので、警察庁に移る前の犯罪被害者等施策推進室で端緒をつくっていただきまして、内閣府男女局で他省庁等の御協力をいただきながら、こちらの取り組みを進めさせていただいているところであります。ワンストップ支援センターにつきましては、第4次男女共同参画基本計画におきまして、平成32年中に各都道府県に最低1か所設置することになっております。
     本年7月時点でございますが、お手元の資料2-1にお示ししましたとおり、47都道府県のうち45都道府県で設置がなされております。ただ、この資料自体提出が早かったものですから間に合いませんでしたけれども、9月1日、つい先日に愛媛県で設置できましたので、現時点では46都道府県で設置済みとなりまして、残りは奈良県1県となっております。ただ、奈良県も近々設置見込みと承っておりますので、前倒しで47全都道府県に設置というのは達成できるかと思います。その意味では、各都道府県に1個は設置できたものの、これから先はさらに内容、質の充実を図るとともに、県によっては広い面積を持った県もありますので、2つ目をどうつくっていくかどうかとかいったところで、各都道府県の御意向なども聞きながら、設置を進めていきたいと思っております。
     その意味のツールといたしまして、資料2-2として御用意させていただきました性犯罪・性暴力被害者支援交付金を平成29年度に創設させていただきました。平成30年度の予算額は1億8,700万円で、これを相談センターに支給させていただいております。その中には支給を受けないで自立運営されているところもございますけれども、できる限りこういった形で支援していきたいと考えております。来年、31年度予算におきましても、さらに増額を予定しております。できれば24時間365日相談を受け付けられるような体制をつくっていきたいということと、それから非常に要望の多い病院拠点型、大阪のSACHICO(サチコ)という施設が代表的と言われておりますけれども、病院を中心として、相談機能がそこに附随しているような形の施設が望ましいという声が非常に多いのですが、そういう形も非常にすばらしいのですが、拠点となる病院と相談センターがしっかり連携をとれるような形でもすばらしい運営ができるかと思いますので、協力する病院が衛星のようにまばらに周りに点在しているというだけでなく、できる限り拠点病院をつくっていただくなどの取り組みにも支援していきたいと考えております。
     今後とも関係機関、関係省庁と連携を強化し、地域の実情に応じた被害者支援の充実に取り組んでいきたいと考えております。また、資料は御用意してございませんけれども、これ以外に内閣府では、性犯罪の被害者などが被害を訴えることをためらわずに、安心して必要な相談・支援を受けられる環境整備の促進を図るために、行政職員やワンストップ支援センターの相談員さんなどを対象に研修を行っております。引き続き関係省庁とも連携して、性犯罪・性暴力被害者支援に取り組んでまいりたいと考えております。
     内閣府からは以上でございます。
  • 飛鳥井議長 総務省、お願いいたします。
  • 総務省大臣官房企画課長 総務省でございます。
     ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為、児童虐待、あるいはこういったことに準ずる行為に対する被害者の方々の保護のために、住民基本台帳事務に対して配慮しているわけでございますが、それに関する事項でございます。この住民基本台帳、被害者の方の住民基本台帳に対する事務につきましては、既に事務処理要領を発出しておりまして、これに基づいて市町村に適切な助言をしてきているところでございますが、今年3月、加害者の弁護士の方が、その加害者の代理人として、被害者の方の住民票の写しの交付を申し出てくると。こういった場合には、たとえ弁護士の方が申し出てきた場合であっても、これはもう加害者本人から申し出とみなす。そしてその申し出を拒否するといった取り扱いをすることについて、今年の3月通知を発し、市町村をはじめ主要団体にも周知を行ったところでございます。今後ともこの通知につきましては、市区町村におきましてDV支援措置に関する事務が適切に行われますように助言、情報提供を行ってまいります。
     それから2点目でございますが、ドメスティック・バイオレンス、あるいはストーカー行為の被害者である選挙人、要するに候補者の方々の名簿の抄本の閲覧に関する取扱いでございます。これについても加害者から被害者の名簿の閲覧の申し出がなされた場合にはそれを拒否するということを内容とする通知を発出しております。引き続き市町村の選挙管理委員会に対して、取組の周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
     総務省は以上でございます。
  • 飛鳥井議長 では、続きまして、法務省お願いいたします。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 法務省政策立案総括審議官の金子でございます。よろしくお願いします。
     本省の関係する施策は多岐にわたりますが、最近動きのあった点を中心に進捗状況を御報告いたします。
     まず、被害児童からの事情聴取における配慮及びビデオリンク等の犯罪被害者等の保護に関する制度の運用についてでございます。
     施策番号110を御覧ください。検察庁におきましては児童の負担軽減及び児童の供述の信用性の確保の観点から、警察及び児童相談所等と連携を強化し、被害児童の事情聴取に先立って協議を行いまして、関係機関の代表者が聴取する取組を積極的に実施しております。また、被害児童からの事情聴取に際しましては、司法面接と呼ばれる手法等を参考にしまして、聴取の場所、回数、方法等に配慮して実施しているところでございます。
     このような代表者聴取の取組を開始した平成27年10月から本年3月までの間に、法務省が把握している限りではございますが、1,000件を超える代表者聴取を行っております。また、代表者聴取を行った後におきましても、刑罰権を適切に行使するとともに、再犯により児童が繰り返し被害を受けることがないようにするとの観点から、警察及び児童相談所と打ち合わせを行うなどの方法により情報共有を行うこととしております。
     施策番号111を御覧ください。法務省におきましては、公判段階での被害者支援として、証人の証言時の負担・不安を軽減するため、証人に別室で在席していただき、法廷と別室とをケーブルで結びましてモニターを通じて尋問を行う、ビデオリンク方式、それから証人尋問の際の付添い、遮へいの措置の運用について、会議や研修等のさまざまな機会を通じまして、検察の現場への周知徹底を図っております。検察庁におきましては、犯罪被害者等に対する適切な情報提供に努めております。平成29年中にビデオリンク方式により証人尋問が行われた証人は延べ225人、付添いの措置がとられた証人は延べ78人、遮へいの措置がとられた証人の人数は延べ1,105人でございました。
     続きまして、適切な加害者処遇の推進等について御説明いたします。
     施策番号92を御覧ください。刑事施設におきましては、受刑者に対し、自らの犯罪と向き合い、犯罪被害者等の心情等を認識させ、犯罪被害者等に誠意を持って対応するとともに、再び罪を犯さない決意を固めさせることを目標とした被害者の視点を取り入れた教育を実施しております。平成29年度の同教育の受講を開始した受刑者数は804人でございました。また、少年院におきましては、原則全在院者に対しまして、被害者やその支援団体等と連携した「被害者心情理解指導」を実施しております。  次に、施策番号145と146を御覧ください。保護観察所におきましては、保護観察対象者に再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者等の意向に配慮しながら誠実に対応することを促すため、しょく罪のための指導を実施しております。平成29年中にしょく罪指導プログラムを終了した保護観察対象者は344人でございました。なお、保護観察所におきましては、犯罪被害者等の申し出に応じまして、犯罪被害者等から被害に関する心情や犯罪被害者等の置かれている状況等を聴取し、保護観察対象者に伝達する制度、心情等伝達制度におきまして、当該対象者に対して被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるような指導監督を行っているところでございます。平成29年中に心情等伝達が実施された件数は177件でございまして、少しずつ増加しているという傾向にございます。
     続きまして、性犯罪被害者や被害児童をはじめ、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等からの相談体制の充実及び理解の促進についてでございます。
     施策番号209を御覧ください。人権擁護機関におきましては、全国の法務局で女性及び子供の人権問題の専用電話であります「女性の人権ホットライン」、及び「子どもの人権110番」を開設し、犯罪被害者等を含む人権被害を受けた方々からの相談を受けております。昨年度の基本計画策定・推進専門委員等会議以降、平成29年11月13日から19日までを「全国一斉『女性の人権ホットライン』強化週間」、今年につきましては8月29日から本日までを「全国一斉『子どもの人権110番』強化週間」としまして、相談窓口の周知を行うとともに、相談時間を延長しまして、相談体制の充実に努めてきたところでございます。昨年中の数字にはなりますが、「女性の人権ホットライン」による相談件数は1万9,656件、「子どもの人権110番」による相談件数は2万2,122件でございました。また、教師や保護者等身近な者に相談できない子供の悩みごとを的確に把握し、学校や関連機関とともに連携を図りながら、さまざまな人権問題に対応できるよう、全国の小・中学生全員に「子どもの人権SOSミニレター」を配布し、子供からの相談に応じております。本年度につきましては、年度のより早い時期から子供の悩みに対応できるよう、多くの地域において配布時期を従来の夏休み明けから、5月下旬から7月上旬に変更いたしました。平成29年度の「子どもの人権SOSミニレター」による相談件数は1万6,005件でございました。
     最後ですが、日本司法支援センターにおける新たな支援について御説明します。
     施策番号185と186を御覧ください。日本司法支援センター、法テラスにおきましては、本年1月24日に施行されました改正総合法律支援法に基づきまして、認知機能が十分でないために弁護士等による法的サービスを自ら求めることが期待できない高齢者、障害者、それからDV、ストーカー、児童虐待の被害者、このような方を対象としました資力を問わない法律相談援助制度の運用等を開始しております。この改正総合法律支援法に基づく新たな制度による法律相談援助の実施件数は、実施が始まりました今年の1月24日から3月31日までの約2か月間の数字ですが、高齢者、障害者に対する援助件数が122件、DV、ストーカー等の被害者に対する援助件数は141件となっております。
     法務省からの報告は以上でございます。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。
     では、続きまして、文部科学省からお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省でございます。総括審議官をしております生川でございます。
     文部科学省からも、文科省が主体となって推進しております施策の進捗状況について、代表的なものについて御報告させていただきたいと思います。
     続きまして、参考資料2という横長の資料を御覧いただきながら話を聞いていただければと思います。
     最初に5ページ以降、第2とあります精神的・身体的被害の回復・防止への取組の中の具体的施策について御報告させていただきます。さらに1枚おめくりいただきまして7ページを御覧いただきますと、施策番号54がございます。被害少年等の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実でございます。文部科学省では、学校と児童相談所など関連機関との連携の充実を図るために、昨年10月31日と11月13日に警察庁との共催で開催いたしました。問題行動に対する連携ブロック協議会などの機会を活用しながら、学校、児童相談所、警察等との連携を充実させることを関係者に対して要請してきているところでございます。
     第2点目として、次の8ページでございますが、施策番号55と56がございます。被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等でございます。文部科学省では、犯罪被害者等を含む児童・生徒の相談等に的確に対応できるよう、児童・生徒の心理に関して専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラー、及び福祉の専門的な知識・技術を用いて児童・生徒を支援するスクールソーシャルワーカーの配置を推進してきているところでございます。具体的には、平成31年度までに原則としてスクールカウンセラーを全公立小・中学校に配置すること。また、スクールソーシャルワーカーについては、全中学校区に配置すること。これらを目標として進めているところでございまして、平成28年度でございますけれども、スクールカウンセラーを全部で2万4,661か所に配置し、スクールソーシャルワーカーについては、実人数で1,780人を配置してきているところでございます。引き続き目標達成に向けて配置の充実に努めてまいりたいと考えております。加えて教職員支援機構において、昨年度に引き続き、本年6月に地方公共団体の教育相談指導者に対して、犯罪被害者に関する内容を含む教育相談指導者養成研修を実施し、学校現場における相談体制の充実を図ってきているところでございます。
     続きまして、この資料の13ページをお開きいただきまして、施策番号89番になりますが、児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等でございます。文部科学省では児童虐待の防止に資するよう、地域人材や専門家等で構成する家庭教育支援チームによる取り組みを広く推進してきているところでございます。具体的には、情報や学習機会の提供、訪問型支援等の相談対応の充実、家庭と地域とのつながりづくりや学校との連携等の地域の活動を支援してきております。
     続きまして、21ページ以降になりますが、第4とあります支援等のための体制整備への取組の中の具体的施策について御説明いたします。
     まず、少し飛んでいただいて26ページになりますが、一番下に施策番号190とございます。学校内における連携及び相談体制の充実でございます。文部科学省では、学校内における連携及び相談体制の充実のための研修を実施してきております。昨年9月には教育委員会の指導主事、教育センターの研修担当主事、及び各学校や地域において研修のマネジメントを推進します教諭等78人に対して、健康教育指導者養成研修を実施し、児童虐待を受けた子供への対応に関する事例演習等を行ったところでございます。
     続きまして、次のページになりますが、施策番号191がございます。教育委員会と関係機関、団体等との連携・協力の充実・強化、及び学校における相談窓口機能の充実についてでございます。文部科学省では、教育委員会が心理学、教育学等の知識を有する専門職員や臨床心理の専門家等を教育支援センターや教育相談所等に配置するための支援を行い、相談窓口機能の充実に努めてきているところでございます。平成28年度におきましては、教育相談機関は全国に1,441か所設置されておりまして、来所相談数約41万件、電話相談室約24万件、訪問相談数約12万件など、合計約87万件の教育相談に対応してきているところでございます。
     続きまして、32ページ以降になります第5の国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組の中の具体的施策でございます。
     まず、その下すぐにあります232でございます。学校における生命のかけがえのなさ等に関する教育の推進についてでございます。文部科学省では、生命の尊さについて理解し、尊重するための教育を含めた道徳教育の充実を図るための研修を行ってきております。昨年5月から10月にかけては教職員支援機構と連携して、各都道府県指定都市の指導主事等約950人を対象に、全国7カ所で道徳教育指導者養成研修を実施し、各学校や地域において道徳教育等の研修のマネジメントを推進する指導者の養成を図ってきているところでございます。
     次の33ページでございますが、上から3つ目、施策番号236でございます。家庭における命の教育への支援の推進でございます。現在、全国各地域で保護者向け学習プログラムを用いた学習講座が実施されているところでございます。文部科学省では昨年7月時点において43自治体の事例を収集把握して、私どものホームページを通じて情報提供することにより、地域における家庭教育支援の取り組みを促進しているところでございます。
     以上、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況に関する文部科学省の御報告でございました。よろしくお願い申し上げます。
  • 飛鳥井議長 それでは、続いて厚生労働省からお願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省社会保障担当参事官室の阿部でございます。
     同じく参考資料2に基づきまして、厚生労働省関係の具体的施策の進捗状況について、代表的なものを御説明差し上げます。
     まず4ページの第1の柱の中で、26、86と施策番号がございますけれども、1つになってございます。被害直後及び中期的な居住場所の確保と一時保護場所の環境改善等でございまして、平成31年度末までに個別対応できる児童相談所・一時保護所の環境改善を実施することとされております。平成29年4月時点で個別対応できる児童相談所・一時保護所の数につきましては、全136カ所中109カ所が個別対応できるという状況になってございます。
     ページをおめくりいただきまして、5ページの施策番号38でございます。被害回復のための休暇制度の周知・啓発でございます。被害回復のための休暇制度について認識不足という状況があるということですから、厚生労働省においてアンケートによる実態把握を行って約6万2,000部のリーフレットの作成・配布を行ったり、セミナーの実施などにより周知・啓発を行っております。
     それから、第2の精神的・身体的被害の回復・防止への取組の中で、7ページの施策番号48番でございます。高次脳機能障害者への支援の充実ということで、これにつきましては高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援・普及事業の実施を通じまして、全国101か所の支援拠点に総合支援コーディネーターを355名配置しているほか、全国で研修会を363回開催いたしまして、2万人を超える参加をいただいているところでございます。引き続き高次脳機能障害に対する支援体制の整備を図るとともに、ライフステージに応じた支援方法や都道府県における取り組みの共有など、支援の充実に努めてまいりたいと。
     同じページ、施策番号49番でございますけれども、思春期精神保健の専門家の養成でございます。厚生労働省においては、もう平成13年から医師・看護師等を対象とした思春期精神保健の専門家の養成研修を継続して実施しています。平成29年度では4回実施し、288人が参加したところでございます。
     同じページ、施策番号52番でございますけれども、児童虐待に対する夜間・休日対応の充実等ということで、児童相談所において夜間・休日を問わずいつでも相談に応じられる体制の整備を図る、24時間365日体制強化事業を実施してございます。これにより児童相談所を設置する全ての自治体で、その体制を確保しているところでございます。
     それから柱の第4、支援等のための体制整備の取組といたしまして、30ページ後半のところです。施策番号214番でございます。児童虐待防止対策に関する調査研究ということで、厚生労働省におきましては、児童虐待防止対策に関する必要な調査研究を実施することとされておりますけれども、直近の平成29年度におきましては、児童虐待の地域及び国際比較のためのデータベース構築に関する調査研究などを実施したところでございます。
     最後になりますけれども、第5の国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組といたしまして、34ページ、施策番号が248番でございます。犯罪被害者等施策の関係する特定期間における広報啓発事業の実施でございます。平成16年から毎年11月を児童虐待防止推進月間と位置づけて、関係省庁、関係団体と連携して、広報啓発活動を実施しているところでございますけれども、29年度におきましても、全国フォーラムの開催など、ポスター、リーフレットの配布ないしテレビ番組とか、新聞広告等によりまして、児童虐待が社会全体で解決すべき問題であるということを周知啓発して取り組んでまいりました。引き続き関係機関、自治体等を含めまして、施策の推進に努めてまいりたいと思ってございます。
     厚生労働省からの報告は以上でございます。
  • 飛鳥井議長 それでは、国土交通省、お願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局政策課政策企画官 国土交通省総合政策局政策課政策企画官をしております角野と申します。本来であれば総合政策局次長の山上が出席すべきところですが、所用のため欠席せざるを得ないため、私からかわって御報告させていただきます。
     国土交通省からは、第3次犯罪被害者等基本計画に定められた国交省関連の施策のうち主なものについて取組状況を御報告いたします。同じく参考資料2を使って追っていきたいと思います。
     まず、1ページから2ページにかけての施策番号で申し上げると、5、7、8番の保険金支払いの適正化等についてでございます。こちらは自賠責保険、事故があったときの被害者に対して補償する保険ですけれども、強制保険に関する施策でございます。被害者と保険会社との間で保険金の支払いに関して紛争が起こることがありますけれども、その保険金の支払いの適正化を図るために、指定紛争処理機関を設置しております。それに対する国交省としての監督を着実に実施しております。また、保険会社等からの死亡などの重要事案の届出に対しては、国土交通省で審査するということで、これら施策を着実に実施しております。平成29年度の実績で申し上げると、紛争の処理件数として950件を処理しているところでございます。
     それから、ひき逃げ、無保険車による事故の場合、加害者が保険に入っていないということで、適切な保険金の支払いがなされないような場合がございますけれども、それに対しては政府保障事業ということで、直接に政府が損害のてん補を実施しております。こちらに関しても着実に取り組んでございまして、平成29年度実績で申し上げると、損害てん補件数771件、額として約8.6億円ということで支払いをしております。
     続きまして、3ページにございます施策番号20番の公営住宅への優先入居等でございます。犯罪被害者等の皆様に公営住宅に優先的に入っていただく、あるいは目的外使用として入っていただくことを優先的に進めるということに関しては、これまでも自治体に対して国土交通省から通知を発出して、適切に対応してくださいということで要請してまいっているところでございます。こうしたことを踏まえて、平成29年12月時点で都道府県及び政令市における入居の状況としましては、入居戸数として634戸、目的外使用入居戸数として48戸ご利用いただいているということでございます。
     続きまして、6ページでございます。施策番号47番の交通事故による重度後遺障害者に対する医療支援の充実等でございます。こちらについては自賠責制度の一環として取り組んでいるものでございますが、非常に重度の後遺障害を負った交通事故の被害者の皆様に対して、国交省、所管の独立行政法人である自動車事故対策機構で療護施設を直営で設置・運営しております。また、在宅で介護を受けるそのような被害者、それからその御家族の皆様に介護料の支給をはじめとする支援を行っております。こうした取り組みに関して平成29年、昨年度、これまで療護施設8か所だったものをもう1か所増やしまして、全国9か所にするということをしてございます。また、直営でやっている療護施設ですけれども、全国に9か所といいましても、空白地域があったりするわけですが、これまでの療護施設は80床、50床とか少し大規模な形で運営していたのですけれども、小規模な形でも病院で受けてくれるところがあれば、新たな療護施設として展開していくという施策を新しく開始しようとしてございます。
     それから、次に申し上げるのは、24ページの施策番号172番でございます。交通事故相談活動の推進という項目でございまして、都道府県、政令都市に158か所の交通事故相談所が設置されていて、221人の交通事故相談員という方々がおられます。これは平成29年度末の数字でございますが、そういった方々に対して、国土交通省として研修とか、あるいは相談方法のガイダンスをつくりまして周知徹底を図ってございます。今年度は研修を5回実施する予定でございます。
     最後になりますが、同じく24ページの施策番号173番の公共交通事故被害者への支援でございます。公共交通事故に係る被害者支援に関しましては、被害者に寄り添うことを基本に、国土交通省として支援室を設置してございます。霞が関の本省と地方の運輸局の職員にもメンバーになっていただいて、支援室に60名という体制を置いておりますけれども、そこにおいて主に2つの機能を担っております。1つが、万が一公共交通における事故が発生した場合の情報提供のための窓口機能、それから被害者等が事故発生後から再び平穏な生活を営むことができるまでの中長期にわたるコーディネーション機能というような2つの機能を持つ新室を設置いたしまして、活動しております。
     例えば平成28年1月に発生しました長野県軽井沢スキーバス事故に関しましては、御遺族や被害者からの御相談などへの対応、それから事故原因及び再発防止策についての説明会や意見交換会の開催などを御遺族や被害者の皆様の気持ちに寄り添った対応を行うよう努めてございます。昨年度のこの会合以降での取り組みといたしましては、例えば遺族会との意見交換会を昨年10月、今年2月、2回実施するといったような取り組みも実施してございます。
     また、この支援室ではこうした具体的な事故に対する対応だけではなくて、平時からの対応にも取り組んでございます。例えば公共交通事業者に対して、被害者等支援計画の策定促進に向けた啓発活動の一環として、公共交通事故被害者等支援フォーラムを実施しております。また、支援にかかわる国土交通省職員などを対象とした研修なども実施してございます。
     国土交通省からの報告は以上ですが、今後とも第3次犯罪被害者等基本計画に基づき、当省関連施策を着実に進めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 飛鳥井議長 それぞれの御担当者の方、ありがとうございました。
     それでは、早速、質疑応答に移りたいと思います。ただいまの関係省庁からの御報告に対しまして、御質問、御意見等のある方はよろしくお願いいたします。
     森山構成員。
  • 森山構成員 森山です。
     大きな問題が2つほどあるかと思っております。1つは地方公共団体の見舞金とか公営住宅への優先入居、中期的居住場所の確保、それからさまざまなきめ細かな支援があるわけですけれども、名古屋市では一定期間ヘルパーの派遣、食事配達をするとか、福岡県では殺人事件の遺族が加害者に損害賠償を請求する際の訴訟を援助するという、都道府県によって格差が生じている感じがいたしまして、特に地方公共団体全ての都道府県・市町村で、条例が制定されているところと制定されていないところでの格差が生じているような気がしています。先進的なところはそういうことで非常にきめ細かなところまで行っていますが、早期に制定したもののその後充実策が図られていない公共団体があるのではないかと思っておりますが、こういうことに関しては国、内閣府さんなのか、全体的な意味の話になるのですか。各都道府県・市町村にどのような助言というか、あるいは会議とかそういう何か開かれているのでしょうか。
  • 飛鳥井議長 これは……。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) では、警察庁の参事官室から御説明、御報告をさせていただきたいと思います。
     今、森山先生から御指摘があったのは、施策番号で申し上げますと153番のあたりと承知しております。警察庁としましては、各地方自治体の実情に応じて、また、地方自治とのバランスもとりながら、各地方公共団体で施策を進めていただきたいということでございまして、153番の具体的な施策の内容としましても、警察庁において犯罪被害者等に関する条例の制定、または計画指針の策定状況について適切に情報提供を行うという内容になってございます。
     したがいまして、警察庁では、各自治体の実情を無視して一定のモデル条例案を示して推奨したりするのではなく、こういう条例をつくって、こういうふうにうまくいっているところがありますよとか、こういうところで隘路があって御苦労されているところがありますよとか、そういった情報提供をさせていただき、地方公共団体における犯罪被害者支援の促進を図っているところでございます。
     具体的には、例えば毎年5月ころに各地方自治体の犯罪被害者等施策を担当する主管課の担当者をお呼びして会議の場を設け、そこでこちらから情報提供をさせていただいたり、あるいは意見交換をして、情報を共有していただくというような取組をしております。また、このほか警察庁のウェブサイトにおきまして、全国の自治体で実際に制定されている条例を御紹介させていただいております。また、毎月、犯罪被害者等施策情報メールマガジンを配信しておりまして、その中で新たに条例が制定された地域があれば、その条例を紹介させていただくといったこともしております。また、犯罪被害者等支援に特化した条例につきましては、こちらで情報を収集してまとめたものを全国の自治体に配布するというような取組も行っているところでございます。
     以上でございます。
  • 飛鳥井議長 よろしいでしょうか。
  • 森山構成員 ありがとうございました。
  • 飛鳥井議長 内閣府、お願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 内閣府でございます。
     先ほど御説明いたしましたワンストップ支援センターの関係では、相談員さんに対する研修を行っております。相談員の方は本当に現場に張りついて相談を受け付けていらっしゃるので、出てこられる人、派遣できるようなところはぜひ来てくださいという形で相談員の研修をさせていただく中で、各都道府県ごとのワンストップ支援センターの取組などは横展開ができるように、好事例の紹介などをさせていただいています。それから、交付金のお話もさせていただきましたが、交付金の申請に当たっては、なるべく杓子定規ではないようにそれぞれの都道府県で抱えておられる問題点をお聞きして、こんな形にしたらどうかというようなアドバイスをしながら、ただワンストップ支援センターについては各都道府県ごとに中核となる病院がきちんとあるか、その周りにうまく相談センターが配置できるかとか、いろいろなやり方、その都道府県ごとの特色がありますので、できるだけ画一的にはならないようにしながら、かつ他の都道府県のいい事例については御紹介させていただいて、交付金を使っていただく中で、できる限り質の向上を図っていただくというというような形で御相談に乗っているというのが現状でございます。
  • 飛鳥井議長 よろしいでしょうか。はい。
  • 瀬川構成員 関連の質問なのですが、先ほどの説明で、犯罪被害者白書の63ページの上に、30年4月現在62都道府県、510市町村において、犯罪被害者等に関する条例の制定と書いてありますが、先ほど参事官がおっしゃった特化したという意味はこれと同じですか、違いますか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) この白書に書かれております条例というのは、犯罪被害者等支援に特化した条例だけではなくて、例えば安全・安心まちづくり条例とか、そういった条例の一部に犯罪被害者の方に対して見舞金を支給するといった条項が盛り込まれているようなものも全て含んだものとなっております。
  • 瀬川構成員 そうすると、犯罪被害者にとっての大きな意味があるものと、文言だけ触れているに過ぎないものと違いがあるのではないかと思うのですが、どう思われますか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 犯罪被害者支援に特化した条例になりますと……。
  • 瀬川構成員 今、幾つありますか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 概数ということで御容赦いただければと思うのですが、今年4月現在で大体19の都道府県、政令指定都市、それから約200の市区町村で犯罪被害者等支援に特化した条例が制定されていると承知しております。ただ、この数字は必ずしも精査したものではございませんので、若干の誤差があった場合には御容赦いだきたいと思います。
  • 瀬川構成員 森山先生から少し触れられたほうがいいかもわかりませんが、こうした条例の制定は、非常に広がったという印象は確かにあります。なぜこんなに広がらないのだろうと思った時期がありましたので、非常に尽力された跡が見られるのですが、実質的には本当の援助になっているかどうかということが大切なので、私はこの検証を早急にやるべきだと思います。
  • 飛鳥井議長 はい。
  • 渡邉構成員 私も被害者がつくる条例研究会ということで、全国の市町村・都道府県に犯罪被害者に特化した条例をということで活動を続けているのですが、警察庁さんにはそういう意味では今年7月に日比谷図書文化館で開いたシンポジウムの告知とか、あるいはブックレット、全ての町に被害者条例をというのを発行しましたというようなものをメルマガに載せていただいて、非常に感謝しております。また、この活動をしていますと、各県警の被害者支援室が、ばらつきはあるのですけれども、市町村に非常に働きかけてくれているところもあるのです。ですから、そういう意味では警察さんの被害者支援についての前向きな態度には非常に感謝しています。
     この前、たまたま自治体の職員から話を聞いたので、そんなことはないだろうと思って確認したいのですが、犯罪被害給付金と条例における見舞金、支援金の支給の関係というのは、条例をつくろうとしている自治体の職員から、その見舞金を出しても犯給金から引かれるのだから、これはもう見舞金を出しても無駄だよねという話があったのです。僕は「いや、そんなはずはないだろう」と言ったのですが、その辺はどうなっているのか確認したいと思います。
     調べている間に、もう一ついいですか。
  • 飛鳥井議長 よろしいですか。今調べていただいているので、その間に。
  • 渡邉構成員 それと、各自治体における総合的対応窓口の関係ですけれども、白書によりますと全国で99.6%設置されている、北海道と沖縄の一部がまだ設置されていないと。ほかは全部できているという話です。ところが、今年の初めに近畿圏のある県で弁護士会が条例をつくろうということでシンポジウムを開いたのです。私どもの条例研究会も参加してシンポジウムをやったのですが、そこで弁護士会が各市町村に、あなたの町には被害者支援の窓口がありますかということでアンケートを実施したのです。そうしたら、29ある市町村のうち15の市町村が「私の町には窓口があります」と、14の市町村では「私の町には窓口がありません」という回答だったのです。これは警察庁さんが言っている北海道、沖縄を除いて全てできているということですけれども、多分、警察庁向けの窓口はできていても、市民向け、住民向けの窓口にはなっていないのではないかという思いを非常に強くしたのです。ですから、その辺は何というかもっと充実させるような方向で、指導なり、情報提供なりしていただければと思います。これは希望です。
  • 飛鳥井議長 それでは、最初の給付金と見舞金の相殺の問題。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 犯罪被害者等給付金に関しては、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律に、損害賠償との関係を定めた規定がございます。この中で、この犯罪被害を原因として損害賠償を受けたときは、その価額の限度において調整されるということを定めておりますが、条例による一般的な見舞金について言えば、損害賠償という性格がなければ、それは調整の対象にはならないということであります。一方で、自治体が支給したお金を加害者側に請求すると、賠償金の請求権を代位するというような形になりますので、相殺される可能性も出てくるわけでありますけれども、基本的には見舞金という形であれば、損害賠償としてという性格のものではございませんので、相殺はされないということでございます。
  • 渡邉構成員 大体、一般的な条例の見舞金、支援金というのは、立ち直りのための見舞金、支援金ですので、賠償金ではないはずです。そうすると、犯給金は削減されないという理解でよろしいですね。もう一つ、明石市の場合は損害賠償の請求権の一部を市が譲り受けて、その分の300万円に限っては支払うという形で、これはちゃんと法的に折り合いがついて実施しているという話も聞きましたので、その辺は問題ないかと思うのです。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 基本的には条例の規定次第となりますので、損害賠償の性格を帯びるものであるかどうか検討を要する場合もあるかと思いますけれども、そこはまさに条例でどのように規定し、運用されるかによるところで、一般論を申し上げると、その趣旨が見舞金ということであり、損害賠償という性格を帯びなければ、調整されることはないと考えています。
  • 渡邉構成員 損害賠償でなければいいということですね。わかりました。
  • 飛鳥井議長 よろしいですか。それでは、2点目の総合的相談窓口、これは周知が難しいという前年度からの課題がありまして、整備されてもなかなか知られていないという問題がありまして、この辺りについてはその後どうでしょうか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 渡邉委員から御指摘いただいたとおり、箱をつくっても中身が伴わなければそれは被害に遭われた方たちを支えることにはならないと考えておりまして、今後の課題の1つとして、当然、窓口の中身の充実にも力を入れて取り組んでいきたいと思っております。また、先ほど警察庁の審議官からの御報告にもございました「犯罪被害類型別調査」の結果において、犯罪等の被害に遭われた方のうちの約8割が総合的対応窓口の存在を知らなかったと回答されたこともございますので、今後は窓口の中身の充実と窓口についての広報、周知の徹底に力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
  • 渡邉構成員 お願いします。
  • 飛鳥井議長 どうぞ。
  • 伊藤構成員 伊藤です。
     今の関連で、施策番号の152に、警察庁から地方公共団体に対して専門職の活用を働きかけるということが決まったかと思うのですけれども、具体的にどのように働きかけを行っておられるのか、今のお話だとなかなか窓口の中身が伴っていないというようなことでした。キーワードになっている、専門職の方を置いていただくというのは大事かと思いますので、現在の状況をお聞かせ願いたいということ。それから、定性的把握のところに、専門職の連携による効果的な犯罪被害者施策を把握するとあります。これは把握と書いてありますけれども、どのように把握なさっているのかということも教えていただきたいと思います。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) ありがとうございます。
     まず1点目の専門職の活用の関係で、どのように地方公共団体に要請といいますか、充実・強化をお願いしているかと申しますと、第1には先ほども御報告させていただいた、毎年、各地方自治体の犯罪被害者等の支援に携わっている担当者の方を警察庁にお呼びして、会議を開催しておりますけれども、そういった中で専門職の活用の重要性に関する講義・講演を実施するなどの働きかけをさせていただいております。各自治体の財政的な問題等もございまして、例えば一律に何人以上置きなさいというふうに強い指示のようなことはなかなか難しい状況にあるのですけれども、専門職の方がいらっしゃることの有効性、必要性というものは警察庁としても、今後もきっちりと働きかけて要請していきたいと考えております。
     次に、2点目、定性的な把握でございますが、毎年、地方自治体に犯罪被害者支援の取組に関して、警察庁で調査をしており、その中で例えば総合的対応窓口における好事例や効果的な対応について情報収集をしております。そうやって収集した情報の活用ですけれども、それも含めて、今後また引き続き取り組んでいく必要があると思っております。定性的な把握というところでは、以上でございます。
  • 伊藤構成員 ありがとうございます。働きかけるということなので、もし何が難しいのかというのがわかるとまた違うと思うのです。ですので、せっかくそういう窓口ができたのであれば、専門職を置けないのだったらその理由がどの辺にあるのかというのを、もし警察庁さんで把握していただけると、じゃ、そのできない理由をなくしていけばいいのだと思うので、その辺もうちょっと前に進めるかと思いますので、御検討よろしくお願いいたします。
  • 飛鳥井議長 総合相談窓口については、それこそ伊藤構成員も調査をされて、結果を出されていますけれども、一番の問題は総合相談窓口の担当者をバックアップするシステムが非常に貧弱で、経験の浅い人はあまり専門職からのバックアップもなしに業務についていると、いろいろ広報・周知して相談が寄せられても、実際どのように対応していいか非常に迷われることが多い。そうすると、なかなか広報がしにくいという声もありますので、そこら辺の担当者のバックアップをどうしていくかということが課題になるのではないかと感じております。
     ほかの構成員の方、いかがでしょうか。武構成員。
  • 武構成員 昨年の犯罪被害者週間のときの中央大会の中でディスカッションがあり参加をさせてもらいました。横浜市の方の例が話されたのですけれども、例えば相談窓口の人が何か困ったときに、その人が相談できる人が市に1人いるという事でした。大阪にも、出来たら大阪府に1人そんな人がいて欲しいと思いました。いきなり担当になられた人が、被害者の人が相談に来られても経験がない為に自信が持てず、こわごわと担当することになったりして、返事も曖昧だったりすることがあると思うのです。そんなときすぐに相談できる人が市に1人、府に1人、どこでもいいのですが、近くに1人いると心強いと思うのです。そうなると対応の仕方にもっと自信が出てくるのではないかと思いました。だから、横浜市だけでなく、全国のどこでも必ず相談窓口の担当者の為の相談者がいるようなシステムを早くにつくっていただきたいです。
     それと現在は、色々な窓口に立派なパンフレットが置いてあります。でもそれを遺族の人が、もらってもよくわからなかったりしています。私は息子の事件から22年になりますし、有り難いことに、いろいろな会議にも出席させてもらうようになりました。だから関係者の人達の説明を聞いているのでパンフレットの事が分かるようになっています。私は当時、そんなパンフレットがあったら良かったのにと今すごく思うのですが、現在、被害に遭って、あちこちでパンフレットをもらったとしても、遺族の人には分かりにくいです。事件直後は、もうすごくパニック状態です。そんな時にそれを理解しようと思うことはとても難しいので、担当の方の説明がとても大事です。それも丁寧にしていただきたいです。被害者の人によると思うのですが、自分は果たしてこれが使えるのだろうかと、何が使えるのか、自分はどこに相談に行けばいいかも分からなかったりします。事件に遭うと思って生きている人は誰もいないです。普通に生活をしている中で突然事件に遭う人が圧倒的に多いのです。そんな人がいろいろな大切な内容が書いているパンフレットをもらっても理解できないというのはすごくもったいないと思います。大切な事だから丁寧に、それも何回も繰り返し説明していただきたいし、そして被害者が質問しやすいような「空気づくりをしっかりしてください」といつもお願いしています。と言いますのは、窓口の敷居が高かったりするので、遠慮する人もいます。自分は理解できないから恥ずかしいとか、情けないとか思ったり、何回も聞いていいだろうかと思ってしまう人もいます。だから、何回聞いてもいいですよと思える空気づくりがすごく大事です。繰り返しになりますが、丁寧な説明するそれはまず原点だと思うのです。そういう事を徹底していただきたいです。そうしたら、より早く、必要なときに支援がしてもらえるのではないかと思うのです。
  • 飛鳥井議長 中島構成員。
  • 中島構成員 複数質問があるので、順番にお伺いしたいと思います。警察庁、法務省、厚生労働省に質問、プラス要望がございます。
     最初に警察庁ですけれども、犯罪被害者等に対するカウンセリング事業の件で質問させていただきます。私自身が最後の座長をしましたので、この制度が運用されていることをとてもうれしく思っていますし、実際被害者の方がこれを利用されてとても喜んでいるという話も耳にいたしました。この事業の開始に当たって、医療機関に対する補助は比較的やりやすいけれども、臨床心理士のカウンセリングへの適用というのは難しい面もあるというような意見も出ていたと思うのですが、実際にこれを運用されてみて、カウンセリングとしての公費負担制度の運用上の何か問題点、困難な点とか、今後改善するべき点とか、何かそういった状況がわかっていらっしゃいましたらお教えいただければと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 カウンセリング費用の公費負担の関係でございます。これにつきましては、全ての事例について、どのような方にカウンセリングしていただいたのかというところまで必ずしも把握しているわけではないのですけれども、現在のところ、先生御指摘のような、臨床心理士の方によるカウンセリングについて、何か問題があったというような話は聞いておりません。
  • 飛鳥井議長 このカウンセリング制度、本当に10年来の思いがやっとかなったということで、とりあえず全国展開していただいて、本当に大きな一歩を踏み出したと思うのですが、今後はそれがどのように利用されているのか。おそらく各都道府県によって広報の仕方が大分違うと思いますので、その辺もまたいろいろ調査していただいて、中身についてもまた別の機会に御報告いただければと思います。
  • 中島構成員 座長の補足、ありがとうございます。非常に重要な制度ですので、ぜひ利用についての調査等をお願いしたいと思います。
     2番目に法務省に質問ですけれども、ここに載っていない施策のことではあるのですが、おそらく施策の143とか144とかに関係することなのかと思いますけれども、先日NHKで、医療観察法の被害者に関して加害者の、公判はないわけですから医療観察制度のもとでの処遇についての情報提供制度がスタートしたというような報道がなされていて、今年度、第3次基本計画におきましては、潜在する被害者への支援ということなので、こちらもかかわりのある事業ではないかと思い、もし御存じでしたら御紹介いただけるとありがたいと思います。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 御質問ありがとうございます。今御指摘のとおり、今年の7月9日から医療観察事件の被害者等の権利利益の保護の充実を図るため、保護観察所から医療観察対象者の処遇段階等の情報を提供できるよう通達を発出しまして、その運用を開始しています。これまでも医療観察事件の被害者、御家族、御遺族の方々から、保護観察所に問い合わせがいろいろございまして、そのようなことを踏まえまして、もちろん医療観察対象者の個人情報の保護にも配慮しつつ、医療観察事件の被害者等にどのような対応ができるのかということについて、省内では検討を進めてきたところです。その結果、医療観察事件の被害者等の、医療観察対象者の氏名、処遇段階、入院処遇になっているのか、それとも地域社会において処遇を受けているのか、処遇が終了したかというようなこと、それから当該事件が係属している保護観察所名、直近6か月間に保護観察所と面会をした回数について情報提供をできるようにしまして、7月9日から運用しております。
     今までの運用との大きな違いは、これまでは情報提供により対象者の社会復帰の促進が見込まれること、かつ対象者の同意がある場合という限定があったために、情報提供が非常に限られていたのですけれども、対象者の社会復帰の促進の見込みというようなことの要件を問わず、また対象者の同意がなくとも、先ほどのような限定された情報ではございますが、情報提供をするというようなことをしております。これまでもいろいろな通知制度で、ほかの場面では少年事件なり、あるいは成人事件で刑罰を受けた者については充実させてきたのですが、確かにこの部分について対応がおくれていた面もあるので、今回、そういう形で対応を開始したということでございます。
  • 中島構成員 ありがとうございます。私自身は被害者施策の1つに含まれるのではないかと思いますので、引き続き進展につき、この会議の場でも御報告いただけるとうれしいと思います。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございます。実はこの問題は私もお聞きしようと思っていたところなので、本当に少なからぬ前進だと思っています。忘れられたところだったもので。個人的な話ですけれども、私自身が、被害妄想にかられた隣人から被害を受けたという男性被害者の方に2例続いて相談を受けたことがあります。ところが、医療観察法の審判については教えてもらえるのですが、その後については情報がないため、非常に不安をお持ちになって、突然退院してきたらどうしようというようなことで、これは一家で引っ越そうかといったようなことがありました。しかし、今回そのことが進展しまして、他の通知制度と同じような情報を受けられるということになったので、とてもよかったと思います。
     もう一つですね。
  • 中島構成員 最後に厚生労働省に2点です。1点目は、私自身もかかわっている問題ですが、御存じのように公認心理師制度が運用されまして、9月9日が最初の国家試験でございます。公認心理師の資格制度は、被害者支援の教育におけるすごく重要なきっかけと思います。臨床心理士の方も少なからずこの試験を受けますし、臨床心理士以外の方もかなり、受けていらっしゃると聞いております。ここは国家資格ですので、厚生労働省及び文科省もかかわりがあるとは思いますが、このカリキュラムについて犯罪被害者の施策、あるいは犯罪被害者の心理的ケアについてきちんと盛り込んでいただくということがとても重要だと思っております。現在、試験に当たって、厚生労働省からブループリントが指針として出されておりまして、犯罪被害者につきましては、司法犯罪に関する心理学の部分で、小項目で被害者支援とか、被害者の視点を取り入れた教育が入っておりま。入っていることは大変すばらしいのですが、災害の心理的支援につきましては中項目でもう一段上のレベルで取り上げられています。それを考えると、若干少ないのではないかというのがあります。非常にいいチャンスですので、公認心理師の教育におきまして、被害者の心理ケアの項目をぜひ充実していっていただければと思います。これは要望です。
     もう1点は研修の問題ですけれども、参考資料2の5ページ、PTSD対策に係る専門家の養成研修会の内容の充実とございます。厚生労働省は今までずっとこの研修会を実施していらっしゃると思うのですけれども、最後に書かれております国立精神・神経医療研究センターでの「犯罪被害者メンタルヘルス研修」は既に終わっておりまして、2か年を経過しておって、その後行われておりません。実は昨年、このPTSD対策専門家研修会で犯罪被害者の講義がなかったと聞いております。この研修事業は障害保健福祉部が行っていると聞いております。これも要望ですが、障害保健福祉部はPTSDの専門官も置いておりますので、厚生労働省におきましてはこのような研修の実施母体との連携を深くいたしまして、基本計画の施策の推進を充実させていただきたいと思います。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。
     個別のことについては私も全て承知していなかったので勉強になったのですけれども、1つは資格試験の公認心理師のカリキュラムの問題というのは、私からも担当官には必ず言うようにしますので、要望として承ります。研修についても今年度で終わっているということなので、次年度以降どうするのかについて、まだこういう計画をちゃんと履行していかないといけないという責務を負ってございますので、盛り込めるように努力していきたいと思います。ありがとうございます。
  • 飛鳥井議長 小木會構成員。
  • 小木會構成員 小木會です。
     これは将来的な希望といいますか、お願いですけれども、刑法が改正されまして、性犯罪について被害者の告訴が訴訟条件でなくなりましたので、その影響を統計的に測ることができるようなデータが集まった時には、ぜひ、法改正によって、潜在化していると言われる性犯罪の実態に何等か変化が生じたかどうかということの調査をお願いしたいと思います。
     それから、先ほど出ておりました専門職の件ですけれども、これは自治体の予算等の問題もあると思うのですが、ビデオ会議システムといったものもありますので、そうしたものを整備して、大きなところには専門職がいらっしゃると。しかし、事件はどこで起こるかわからなくて、例えば小さな自治体で事件が起きてしまって被害者を助けられる人が誰もいないというようなときに、そうしたシステムを使ってアドバイスを受けることができる、というようなことも考えられていいのではないかと。これは思いつきですが、思いました。
     以上です。
  • 飛鳥井議長 最初の性犯罪の刑法改正の検証について、法務省から何かコメントはありますか。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 大きな刑法改正がされまして、今後も運用状況を見ながら、実態の把握もしつつ、検討していくということになっております。告訴が訴訟条件でなくなったことも大きな変更点ですので、調査についてどのような対応が可能かはまた検討させていただきますが、頂いた御意見を念頭に置いて今後の対応を考えさせていただきたいと思います。
  • 飛鳥井議長 伊藤構成員。
  • 伊藤構成員 先ほど中島先生からお話があったので、私は社会福祉の専門ですけれども、今回の第3次基本計画の中では、社会福祉士と精神保健福祉士の活用を図るということでした。その辺どんな形で、厚生労働省も含めてその活用に向けて具体的に何か働きかけておられるようでしたら、それを教えていただきたいと思います。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省です。お調べいたします。
  • 伊藤構成員 実はカリキュラムが社会福祉士についても変わってきており、更生保護制度というのが科目として入ったわけですが、例えば犯罪被害者支援とか、そういう科目立てはありません。ですので、犯罪の加害者側のことは勉強するのだけれども、被害者のことはほとんど勉強する余地がないということで、その辺をどうしたらよいか。せっかくこういう形で基本計画に盛り込まれましたので、社会福祉士、精神保健福祉士を活用するのであれば、カリキュラムから考えてほしいかと思っております。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 具体的な方針を担当課に聞いてございませんので、個別にお調べして返したいと思います。
  • 伊藤構成員 ぜひご検討いただけたらと思っております。それと、もう1点いいですか。
     今度は法務省ですけれども、施策番号で言いますと145から147にかけてなのですが、特に146の心情等伝達制度というのがありまして、毎年、実施件数については報告していただいているかと思うのです。今回も170件ですか、だんだん増えているというようなお話でしたけれども、この制度に関しては犯罪被害者の中長期的支援から考えますと、更生保護制度の中の制度ですが、利用したいという被害者の潜在的な要望はかなりあるのではないかと思っているのです。この制度は大切にしていただきたいと思っていまして、ただ件数でこれぐらい実施しましたよという話だけではなくて、本当にこれが利用しやすい制度になっているかとか、被害者のニーズを満たしているかというような点から、把握といいますか、調査していただきたいと思っております。この辺何か教えていただけたらと思いますので、お願いいたします。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 被害者の方々からの御希望に応じてということにはなりますけれども、心情を伝えた結果、相手方というか、対象者がどのような反応、どういうことを述べたとか、あるいはそれが何か具体的なアクションにつながっていったとか、そういう反応につきましては被害者の方々に通知により、お伝えしています。これを利用される方々のニーズというか、何をお望みで、それがこの制度を通じてどこまで達成できたのかということについて、それをどのようにおはかりするのがいいのかということはあるように思います。また被害者の方々、利用される方々にフィードバックする際に、どういうお気持ちでおられるか、こういう点についてもうちょっと何とかならないのかというようなことをお聞きして、さらに運用の改善に努めていくというようなことは考えられるかと思います。私どもも被害者の方と加害者の方をつなぐ制度として重要だという認識はしておりますので、御指摘を踏まえて、どのような対応が可能なのか少し考えさせていただければと思います。
  • 伊藤構成員 せっかくできた制度でもう10年たちますので、単なる件数だけではなく、その中身が大事になると思います。ほかの制度に関しても、例えばしょく罪教育プログラムにしても、意見聴取制度とか、被害者の視点を考える教育プログラムにしても、何かこれだけやっていますという件数だけではなく、その中身自体がもっとわかるような工夫をした報告をしていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
  • 飛鳥井議長 今お話がありました、中島構成員と伊藤構成員から御指摘のありました教育の問題は私もかなり根本的な問題なんじゃないかと思うのです。いろいろな各専門職で犯罪に関するような教育というのは、ほとんどが加害者心理と加害者処遇の教育です。シラバスがみんなウエブサイトで公開されていますけれども、その片隅に被害者とか被害者支援があるというのが今の日本の実情でして、これを変えていかないとなかなか人が育たないと思うのです。ただ、教育に当たっている方が実際加害者の心理とか、加害者の処遇のことにたけている方が多いので、被害者支援に携わっている方が圧倒的に少ないものですから、どうしてもそのようになってしまいます。これはある程度国からリードしていって、全国どこの大学の学部でも大学院でも、被害者心理についての理解や基本的な精神援助、あるいは被害者支援について、少なくともこれについては教育してくださいといったようなことを打ち出して、それが本当に浸透すればとてもすばらしいことになるのではないかと感じておりますので、文科省でまた将来的に少し御検討をいただければと思います。実情は非常に惨憺たるものです。専門職を幾ら配置しようと思ってもほとんど教育を受けていませんので、どうしていいかわからないといったような悪循環になっているのではないかと思います。
     中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 お願いいたします。今、伊藤先生がおっしゃったところの続きになるようなことで申し訳ないのですが、まずは法務省の方にお願いいたします。
     更生保護における被害者支援制度の中で、147番の地方更生保護委員会において、仮釈放などを許すか否かというところですけれども、これは被害者の方、あるいは御遺族の方が意見を述べたとしても、その希望どおりにいかないのですよという前提のもとで意見を述べるということで、例えば満期まで刑務所に入っていてほしいですという意見を述べたとしても、最終的には地方更生保護委員会の方の意見に基づいて決まるということになると思うのです。その際に通知が被害者の方のところに来るわけですが、その通知に関して、例えばただ簡単な文章でなく、被害者の方がいろいろな思いで意見を述べるということだけでも結構大変なことなので、それに対してなぜ仮釈放を許したかという理由をある程度もう少し詳しく、答えていただける範囲になるのかもしれませんが、なぜそういう判断をしたのかを少し書面に書いていただくなどということはできないものかと思っています。
     それから、支援をしていて感じることなのですが、性犯罪の被害者の方は面接をさせていただいたりすると必ず、加害者がもし刑務所に入ったら、性犯罪の処遇プログラムを受けるのかどうか、どのようなものを受けるのか、そういうものを受けたら効果はあるのでしょうか、本当にもう再犯を犯さないのでしょうかというふうなことをお聞きになることがあります。私どもではきちんとお伝えすることはできないので、そういう意味では、被害者等通知制度で、性犯罪の被害者の方のところには、半年に1回ぐらいいろいろな通知が行っているわけですけれども、その中でも比較的簡単な書き方で、加害者の様子が5段階評価か何かで丸か何かをつけてあるという感じだったと思うのですが、そういうあたり加害者がどんな様子でやっているかということを被害者の方に、聞きたくないと言う方もいらっしゃるかもしれないですけれども、希望されればもう少し詳しくお伝えしていただくことができないものかということも日々感じていることです。
     それから、施策番号の121番なのですが、その具体的施策の中に被害者参加人が公判前整理手続の傍聴を特に希望する場合において、検察官が相当と認めるときは当該希望の事実を裁判所に伝えるなどの必要な配慮を行うよう努めるとあります。具体的施策がこのように表現されてとてもよかったと思っているのですが、実際事件にかかわられる検事さん、被害当事者や遺族、国選被害者参加弁護士が、実際「配慮を行うよう努める。」ということを知っておられる方が非常に少ないように思います。新潟県だけなのかもしれませんが、知っておられる方は少ないように思うので、公判前整理手続で傍聴を希望し、実際に傍聴できているとしたら、どのぐらい行われているのか、その辺をお聞かせ願いたいと思いますし、検事の方、あるいは弁護士の方にこのあたりを周知徹底していただくことができないものかと思っています。
     まず法務省の方にお願いいたします。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 まず仮釈放を許すか否かを決める地方更生保護委員会に対して御意見をお伝えいただけるというような、意見聴取制度についてですけれども、もちろん意見の内容につきましては、最終的に判断する地方更生保護委員会できちんと斟酌するということになっています。ただ、結局、仮釈放するかどうかという判断が、もちろん被害者側の感情というのは重要な要素ではありますけれども、そのほかにも様々な要素について総合的に判断することとなりますので、各要素をどのように斟酌したのかを明確にお伝えするのが難しい側面があるということは御理解いただきたいと思っています。
     加害者の悔悟の情とか、あるいは改善更生の意欲とか、再犯のおそれとか、そういう面についても考慮することとなるため、被害者の方々の意見は重要な要素ではありますけれども、それを斟酌しつつも最終的には総合的な判断になるものですから、反対したけれども仮釈放が認められたというような、そういう受けとめられ方も全体の要素を考慮した結果でありますので、このような事情からお伝えの仕方も難しいところがあるのかという気はしています。御意見をいただいた被害者の方にどの程度お伝えするのがいいのか、あるいはそれが可能なのかにつきましては、引き続き考えさせていただきますが、なかなか難しい面もあるということは御理解いただければと思います。
     それから2つ目の御質問ですが、先ほど御指摘の施策番号121番の点につきましては、検察官に対しては、最高検から通知を発しており、いろいろな会議などを通じて通知の内容について周知を図っているということでございます。
  • 中曽根構成員 弁護士の先生方はどうなんでしょうか。被害者参加弁護士として参加できる……。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 被害者参加人の弁護士が公判前整理手続に参加できるかはもちろん裁判所による個別の判断になりますので、当然それが可能というものでもないわけですが、そういう御要望をいただければ配慮するということについては十分通知しているつもりですけれども、弁護士の先生方、被害者の支援に携わっている弁護士の方々への周知という面で、不十分であるところがあればまた検討させていただこうとは思います。それから、被害者の方の公判前整理手続への参加のところですが、被害者の方というのは、その後の手続によっては法廷で証言していただかなければいけない場面が出ます。それで、公判前の段階で被害者の方にどれだけの情報を提供できるかについては、その後の手続によっては、加害者と被害者の方との言い分が対立して、真実探究のために法廷に出てきて御協力いただくというような場面もあるので、そういう面での限界もあるので、そういう事案かどうかも含めた検討が必要になりますので、事案によってという面がかなりあるということは御理解いただきたいと思います。
  • 中曽根構成員 処遇プログラムのことについて。
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官 処遇プログラムにつきましては、必ず受けるというものでは当然ないので、本人に受ける気がなければ強制しても効果が上がらないという面があるので、それはそういう性質のものです。ただ、もちろん矯正施設で受けるように働きかけることはしていますけれども、どうしても嫌だと言う人について受けさせるというところまで行っていないと把握しています。ただ、いずれにしても矯正施設の中で今どのような状況にあるか、プログラムを受けていますとかいうことの御説明はできると。被害者の方にそういう情報提供をすることはできると思いますし、できるだけそのような方向で考えているところかと思います。もちろん効果は人それぞれです。積極的に受けようという気持ちがもともとある人については、当然効果が高いという面もありますし、そういう意思があるから効果が高いのか、処遇プログラムがいいから高いのかというのは今後の検証の課題になりますけれども、嫌々受けているということであれば、それは限界があるということになってくるとは思います。
     ということで、全部お答えしたかどうかわかりませんけれども、よろしいでしょうか。
  • 中曽根構成員 ありがとうございます。
  • 飛鳥井議長 よろしいでしょうか。はい。
  • 森山構成員 参考資料2の8ページから、61から163というところに、各ワンストップ支援センターの設置促進ということで、先ほど性犯罪・性暴力被害者支援交付金の御説明もございましたけれども、日弁連で昨年、人権大会のために事前に全国のワンストップ支援センターにヒアリングした際、全国のセンターは本当に財政基盤が極めて不十分であると。要するに現場の支援員、あるいは病院関係者の苦労、熱意というもので成り立っているというような現状を把握しているわけでありまして、その意味で、資金難とか人材不足といったものをまずは全国的に展開していくということも直近の課題ではあると思いますが、今後に向けて、特に病院拠点型が全国にまだ7つしかないという現状でありまして、直接的、緊急的にすぐ対応できる病院拠点型が必要だと。もっと広範になることが望まれると思うので、そういうことに関しては、先ほどの話にありましたけれども、自治体ごとによって対応の仕方が違ってきている現状もあるということはわかりますが、今後はそういう意味で、ワンストップ支援センターの中身の充実についてどのように打開していくのかについて、これはこれからの話にもなってきますけれども、現状認識と今後の対応。それから、男性の性被害者に対する対応もきちんとなされているのかというところも不安があるのですけれども、その辺について御質問と、意見も含めてお願いします。
  • 飛鳥井議長 これは内閣府からお願いします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 御質問ありがとうございます。
     私からも先ほど申し上げたとおり、確かに各都道府県のワンストップ支援センターごとにいろいろ体制も、もちろん個々の人の熱意で成り立っているところがあるので、ボランティア的にやられていて本当はもっとお金を流してあげて、人件費とか、相談員の方もきちんと生活できるようにして差し上げたいというのは、実際現場を見たときに私もそう思いました。ただ、基本、都道府県でどのようなセンターにしていくかということをまず構想を練っていただいて、その上で都道府県なり市町村なりに合わせて自治体で出していただくお金が2分の1で、そこの2分の1を国から出して、トータル1ということになるわけですけれども、都道府県でどれだけ頑張っていただけるかということで、おそらく都道府県側の熱意もかかわってくると思います。できる限り質の向上を目指していきたいということと、2つ目以降も設置を希望する都道府県があれば対応していきたいと考えているという、方向性としてはそのように考えておりますが、今は1億8,000万ほどの交付金を四十数都道府県に分けて差し上げているということで、なかなか十分に行き渡ってないという現状であります。今後も財務省との折衝の中で、できるだけ予算をとっていけるように我々も努力していきたいと思っております。
     それから、病院拠点型の話もありました。病院拠点型は今7府県にあります。国会でもいろいろ御指摘を受けているのですけれども、皆さん病院拠点型がすばらしいと。例えばSACHICO(サチコ)とかもそうですし、すばらしいという方もいるのですけれども、病院拠点型というのは、拠点となる比較的力のある大きな病院がしっかりとあって、それが都道府県との間で協力関係が結ばれているというような環境が整ったところという限定がありますので、まずいきなり病院拠点型というのが難しい都道府県については、できるだけ病院拠点ではないですけれども、相談センターを中心として、どこか中核となる病院を決めていただいて、そことのあれで協定を結ぶなりして、病院拠点型に近いような形をとっていただくということも1つのやり方としてあるかと思います。そこも含めて、病院拠点型にしたい、それから中核的な病院との間で協定を結んだ形にしていきたいといったところには、来年、31年度で交付金予算を取ってきたものについては、そういうところを中心にやや加算を増やして対応していきたいと考えて、今、予算当局と折衝を始めているところです。それと、24時間365日化というところもあわせて加算の対象にしていきたいと考えています。微々たるものであることは承知の上ですけれども、できるだけ頑張っていきたいと思っております。
     以上です。
  • 森山構成員 よろしくお願いします。1点だけ、もう一つ、申しわけありません。
     39番のPTSD対策に係る専門家の養成研修を実施されているということなのですが、現実にPTSDの患者の治療ができるようになった専門家がどなたであるのか、被害者側から誰が研修受講者で、どういう専門家がいるのかについての周知が、こちらからあまりアクセスできないような状況にあるかと思っておりますので、そのアクセスが開示できるようなら開示してほしいという要望がありましたので、御検討いただきたいと思います。
  • 飛鳥井議長 はい。
  • 瀬川構成員 最初に報告された資料1-1が、これはスタートしたばかりなので、この段階で質問するのはどうかと思いますが、おそらく構成員の中でも最も関心があるところだと思います。犯給制度の改善が図られたのですが、資料1-1の4項目について、ほぼ円滑にスタートしたと見てよろしいでしょうか。スタート時に問題点というか、困難な点はなかったのでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 新制度に基づく給付金についてでありますけれども、本年4月1日以降の犯罪行為による犯罪被害でございますので、4月1日以降にそういった原因となる犯罪行為があって、しばらく時間が経過してから申請するという流れでありますので、申請そのものはまだそう多くはないと承知しております。また、そういう中で、都道府県警察からの照会は幾らかあるようには聞いておりますけれども、現段階におきましては、新しい制度について特段問題になっているようなことは承知しておりません。
  • 瀬川構成員 引き続き発展させていただきたいと思っています。
     もう1点なのですが、資料1-4の類型別調査は、重要なもので、今まで関心はあったけれどもなかなか手がつけられなかった調査だと思います。とくに被害者の内面に入っていっているような気がしますので、こういう調査は今後もぜひやっていただきたいと思います。1点だけ、些末なことですけれども、結果概要のところで相談状況、ア、相談相手・機関と書いてあって、「警察等の専門機関」と書いてあるのですけれども、ここでの「等」というのは何が含まれていますか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 参事官室からお答えいたします。
     警察等の相談機関といいますのは、警察、行政の相談窓口等を指しております。
  • 瀬川構成員 さっきの総合的対応窓口が含まれているという趣旨ですか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) そのとおりです。それから、民間の犯罪被害者支援団体や医療機関なども含んでおります。
  • 瀬川構成員 民間の団体は含んでいますか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) はい。含んでいると理解しております。
  • 瀬川構成員 わかりました。こうした調査は、おそらく支援制度の中の調査としては深化したというか、進んだ調査だと思いますので、ぜひ今後も続けていただきたいと思います。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 補足させていただきますと、今御質問いただいた警察等の相談機関ですけれども、弁護士会、警察、法テラス、地方自治体、それから民間支援団体、医療機関といったものを総称して、この調査では「専門機関」と呼んでいるところでございます。
  • 瀬川構成員 そうすると、「警察等の」というのは、このような書き方だとやや狭過ぎますね。どうですか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) そうですね。「警察等」という「等」の中にいろいろ含ませていただいておるというような。
  • 瀬川構成員 含ませ過ぎじゃないかと思いますが。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 確かに、家族、友人・知人に並ぶグループとして、それ以外の専門機関を広く含むものとなっております。
  • 飛鳥井議長 よろしいでしょうか。大分時間が押してきましたので、それでは。
  • 武構成員 また戻るのですけれども、先ほどの146番と147番、法務省の方に伝えたいのですが、私たちが意見を述べる事ができるように、いろいろな制度ができたのですが、いつも一方通行って感じるのです。それに対しての、説明があるとおっしゃったのですが、みんなその後の説明や結果とかをあまり知らされていないのです。一方通行というのがとても悲しいわけです。自分のしたことが無駄ではないかと思いがちです。だから説明というのは、その後どうなったとか、こういうことを加害者に伝えたとか、そういう通知とか説明は大事だと思うのです。
     私たちに限って言えば死亡事件なので、どんな説明や通知を受けても満足はないです。正直ないです。だけれども、満足するために被害者にどう言おうかと考えるのは無理だと思うのです。だから被害者の満足を考えるのではなくて、ないよりもあったほうがずっといいのです。それはより丁寧なほうがいいという思いで始めていただきたいし、これからもしっかりそれを充実させていただきたいと思います。
     それから、仮出所の前に私たちが意見を述べる機会があるのですが、例えば刑務所とか少年院とかを出る直前に聞かれるので、意見を言っても仮出所は決まっているのではないかという感覚になってしまいます。現在、法務省での法制審議会の中で議論されているように、少年院に送られた直後から、少年刑務所に送られた直後から被害者の意見や心情を聞きながら、それを加害者の教育に反映させる事、早い段階からそういうことにしていかない限り、被害者はいつまでも、「あ、やっぱり自分たちの言うことは無駄だった」と思ってしまうと思うので、そういう制度をしっかりつくっていただきたいと思います。
     もう一つ聞きたいことがありまして55番です。被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実と書いてあるのですが、この犯罪被害者等の中に、私たちであれば残された兄弟も入るのでしょうか。兄弟も学校に通っている子どもたちが圧倒的に多いのですが、学校に行けなくなったり、いろいろな問題が起きてくるのです。それに学習が遅れたりもします。一定の期間どうしても行けない子どもたちが出てくるのです。そんなときに誰かが勉強を教えるということを考えられないのかと思っています。現在は、残された兄弟がすごく苦労しているのです。それは目に見えないことが多いです、被害に遭っていないから自分からは、なかなか言えないのです。だから、そんなことも丁寧にしていただきたいと思います。
     今日、たまたま岡山の方と話をしていたら、岡山では学生さん達が被害者支援にすごく力を入れていて、学習支援をしますという学生さん達が出てきたそうです。だけれども勉強を教える場所がないという事でした。実際、市役所とかそういうところに行っても貸してはもらえない。だから、場所探しが大変だと聞いたのです。それは国がするべきだと思うのです。ボランティアでは続かないです。その学生がいなくなったらできないし、引き続きの学生が出てこなければ続いていかないです。今まで被害者支援から抜け落ちていた残された兄弟のこともこの際しっかり考えていただきたいと思います。
     ありがとうございました。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。それも潜在化した被害者支援ニーズの問題で、被害児童の兄弟姉妹の支援というのは、おそらくまた今後新しいテーマになるのではないかと。まさに言われたとおりのニーズがあると思います。それから、心情伝達制度はこういう制度がありますよという紹介だけではなくて、その後のフィードバックとかケアも含めて、関係した職員の方に啓発していただければということも大事なことだと思います。
  • 武構成員 私たちが感じるのは、いつも加害者の教育のためとか、加害者の処遇のために被害者がいると被害者のための施策なのに、被害者が中心にいないと思ってしまいます。加害者のための処遇を私たちが考えないといけない、私たちがお手伝いしないといけない。もちろんそれは大事な事なのでします。生きていく加害者がこれから罪を犯さないために私たちのことをいい形で使っていただきたいというのはありますが、何か軸が違うのではないかと感じています。被害者の為の施策なので被害者のために何がいいのか、本当に必要な事が出来ているのか、被害者が、少しでも生きていきやすいようにやっていただきたいのです。
     よろしくお願いします。
  • 飛鳥井議長 予定の時間を過ぎていますが……はい。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 よろしいですか。文部科学省でございます。
     カウンセリングの件で御質問いただきました。被害者のみならず兄弟も含めてカウンセリングの対象になり得るかということですが、これはなりますということでございます。被害者及び被害者の兄弟のみならず、問題を抱えられている児童・生徒全て対象にしてカウンセリングさせていただいているということで、まず1点御報告させていただきます。
     それから、関連の学習支援であろうかと思うのですけれども、文科省はいろいろな施策をやらせていただいております。これは被害者及び被害者の兄弟のみならず、学習でいろいろ課題を抱えられている児童・生徒に対して、いろいろな形でサポートさせていただいておりますので、そういった支援をぜひ御活用いただけたらと思います。もしかしたらまだ十分でないところもあるかと思いますので、我々、引き続き拡充をしてまいりたいと考えておりますので、それも含めてぜひ活用いただければありがたいと思います。
     以上です。
  • 飛鳥井議長 予定時間を超過しておりますが、よろしいでしょうか。
  • 武構成員 1つだけ、ごめんなさい。私たちの会のことなのですが、毎年WiLLという集会をしていまして、今年は10月7日の日曜に行います。遺族の人たちが困っていることをそのままの言葉でみんな伝えていますので、今年は20回という記念にもなります。よかったら関係者の方々、大阪なのですが一度見に来ていただきたいです。WiLLは学生さん達と作っています。準備から片づけ、進行も全て学生さんがしてくれています。そんな学生さんのことも見に来ていただけたらうれしいと思います。
     宣伝でした。ありがとうございました。
  • 飛鳥井議長 中曽根構成員はいいですか。
  • 中曽根構成員 先ほどの教育のことで文科省にお願いしたいのですが、いろいろな関係機関の団体との連携で考えておられることはよくわかります。民間の援助団体も学校の方たちとの連携もとても考えているのですけれども、なかなか思うようにはいっていないというのが実情だと感じているのですが、この相談件数は87万件とおっしゃられている。子供たちには本当にいろいろな問題があると思うのですけれども、犯罪被害に遭ったという相談が学校の中ではどのぐらいの件数があるのかとか、それから犯罪被害によって例えば学校に来られないとか、それは学校に来られないという問題の前に、実は犯罪被害に遭っていたというようなこととか、そういう数というのは次回でもいいですけれども、わからないものでしょうか。平成29年度分という形で、わからないものでしょうか。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 今手元にございませんので、持ち帰らせていただいて、そういう数字、データがあるかどうかも含めて確認させていただいて、可能であればまた次回御報告させていただきたいと思います。
  • 中曽根構成員 相談にたくさん乗っておられるのはもちろんわかっております。お願いいたします。
  • 飛鳥井議長 まだ御意見があるかもしれませんが、時間をオーバーしてしまいましたので、これで終えたいと思います。本当に最後まで大変熱心な御討議ありがとうございました。ただいまの各構成員からの御意見等を踏まえまして、関係省庁においては引き続き第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の確実かつ適切な推進をぜひお願いいたしたいと思います。
     それでは、これをもちまして、第27回基本計画策定・推進専門委員等会議は終了いたします。
     本日はどうもありがとうございました。
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