第26回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成29年8月4日(金)午後4時00分~午後6時15分
場所:警察庁16階第1会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 飛鳥井 望 医療法人社団青山会青木病院院長
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中島 聡美 公立大学法人福島県立医科大学放射線医学県民
健康管理センター特命准教授
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  伊藤 冨士江 上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授
  岩村 正彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  小木曽 綾 中央大学大学院法務研究科教授
  川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  武 るり子 犯罪被害者遺族
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  小島 隆雄 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当)
  小堀 龍一郎 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長
  渡邉 清 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
  簱野 敏行 総務省大臣官房企画課課長補佐
  金子 修 法務省大臣官房審議官
  中川 健朗 文部科学省大臣官房総括審議官
  玉田 耕大 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  一見 勝之 国土交通省総合政策局次長

議事次第

  1. 開会
  2. 第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況について
  3. 閉会

配布資料

 資料1 警察庁提出資料

  • 1-1 犯罪被害給付制度に関する有識者検討会提言(概要)
  • 1-2 警察におけるカウンセリング等費用の負担軽減
  • 1-3 「性犯罪被害相談電話番号の統一化」について
  • 1-4 「犯罪被害者等施策に関する世論調査」の概要
 資料2 内閣府提出資料
  • 2-1 行政が関与する「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」一覧
  • 2-2 性犯罪・性暴力被害者支援交付金について

参考資料

  • 参考資料1 平成29年版 犯罪被害者白書
  • 参考資料2 第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況の把握方法(修正版)

議事内容

  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 会議に先立ちまして、事務局から、基本計画策定・推進専門委員等会議における議長について説明いたします。
     これまで、椎橋中央大学大学院教授が議長を務められておりましたが、本年5月3日付で専門委員と議長を御退任されました。本会議の議長は、犯罪被害者等施策推進会議決定において、構成員の中から、国家公安委員会委員長が指名するとされております。5月の構成員改選に併せまして、新たな議長には飛鳥井構成員が指名されております。したがいまして、以後の議事進行は飛鳥井議長にお願いすることといたします。
  • 飛鳥井議長 冒頭、少し御挨拶させていただきます。御指名がございましたので、椎橋隆幸前議長の後を受け継ぎまして、議長を務めさせていただくことになりました飛鳥井でございます。
     改めて簡単に自己紹介させていただきますと、職種は精神科医でありまして、犯罪被害者支援の関連では、被害者支援都民センターの理事長と、あとは全国被害者支援ネットワークの理事を現在、務めさせていただいております。
     本会議の専門委員は、一昨年の5月に拝命がございまして、それから、第3次犯罪被害者等基本計画の後半の議論の途中ぐらいから参加させていただいておりました。何分、新議長ということで、いろいろと不慣れなところですとか、至らないところも多々あるかと思いますけれども、構成員の皆様方のお力添えを得まして、この第3次基本計画の進捗状況を確かめながら、そこに掲げられた内容のよりよい実現を目指した議論を積み上げていきたいと願っておりますので、どうぞ皆さん、よろしくお願いいたします。
     それでは、ただ今から第26回基本計画策定・推進専門委員等会議を開催いたします。冒頭、事務局から説明がありましたが、本年5月、本会議の構成員の改選が行われ、新たに構成員になられた方もいらっしゃいます。そこで、引き続き、構成員を務めていただきます方も含めて、御出席の全有識者構成員から一言ずつ、御挨拶を賜りたいと思います。それでは、森山構成員からお願いいたします。
  • 森山構成員 弁護士の森山です。仙台から来ました。仙台は結構涼しいのですが、こちらは暑いということで、2時間、よろしくお願いします。
  • 中曽根構成員 中曽根と申します。にいがた被害者支援センターの理事と支援局長をやっております。それから、全国被害者支援ネットワーク、NNVS認定コーディネーターをやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 中島構成員 福島県立医科大学の中島と申します。精神科医で、犯罪被害者のメンタルヘルスに関する研究や治療を行っております。よろしくお願いいたします。
  • 岩村構成員 東京大学大学院法学政治学研究科の岩村と申します。専門は社会保障法ということでありまして、前の犯罪被害給付制度に関する検討会で参加させていただいておりました。よろしくお願いをいたします。
  • 川出構成員 同じく東京大学大学院法学政治学研究科の川出でございます。私は、刑事訴訟法、刑事政策を専門としております。よろしくお願いいたします。
  • 武構成員 こんにちは。武といいます。大阪から来ました。少年犯罪で大切な子供を殺された家族の会をしています。とても緊張しています。よろしくお願いします。
  • 渡邉構成員 渡邉保と申します。私は、この専門委員は3期目で、平成25年の5月から務めさせていただいております。私も、犯罪被害者の遺族です。なるべく犯罪被害者に寄り添った施策ができるように頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。なお、伊藤構成員と小木曾構成員、それから瀬川構成員が若干、遅れておられますので、後ほど、到着次第、御挨拶をしていただきたいと思います。
     それから、関係府省庁におきましても、人事異動により構成員が変更になっております。本日は、警察庁、内閣府、法務省、文部科学省、国土交通省から、新たに構成員になられた方に御出席をいただいております。順番に一言ずつ、御挨拶をお願いいたします。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) 警察庁の小島と申します。本日付をもちまして、犯罪被害者等施策担当の審議官ということで命ぜられております。今後ともよろしくお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 7月11日付で内閣府の官房審議官、男女共同参画局担当に就任いたしました渡邉清と申します。先日、専門委員の辞令を頂戴いたしました。初めての参加になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 法務省大臣官房審議官 7月7日付で総括担当の法務省大臣官房審議官を命ぜられました金子といいます。この会議にこれから参画させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 7月11日付で文部科学省大臣官房の総括審議官を拝命いたしました中川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局次長 国土交通省の総合政策局次長であります一見でございます。7月付で次長になりました。前職は海上保安庁の総務部長でございました。海上保安庁も、被災者や被害者の方に寄り添うということで業務を執行しておりますけれども、この職になりましても、犯罪被害者の方々に寄り添う気持ちをしっかり持って対応してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。今、瀬川構成員が到着されました。一言、御挨拶等をお願いします。
  • 瀬川構成員 同志社大学の瀬川でございます。刑事法を専攻しております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。
    それでは、議事に入っていきたいと思います。本日の議題は、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況についてであります。まず、事務局より、配付資料等について説明をお願いいたします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 事務局でございます。お手元の議事次第を御覧ください。配付資料は、1-1から2-2までの6種類で、警察庁及び内閣府から提出された、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の主な進捗状況に関する資料でございます。また、参考資料1として、6月6日の閣議決定を経て、国会に報告された平成29年版の犯罪被害者白書の市販版をお配りしております。関係府省庁からの進捗状況の報告の際などに、適宜、御参照していただければと存じます。
     さらに、第3次基本計画におきまして、施策の進捗状況の点検においては、「定量的に把握することに努め、これが困難な場合も、できる限り定性的に把握する」とされていることを踏まえまして、前回会議におきまして、進捗状況の把握方法について御議論をいただきました。その際にいただいた御意見などを踏まえまして、修正したものを参考資料2として配付させていただいております。
     事務局からは以上でございます。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。昨年4月1日に閣議決定されました第3次犯罪被害者等基本計画は、その計画期間を5か年として、各府省庁が担当施策を推進していくこととされております。第3次基本計画が策定されてから1年以上が経過したことから、本日は、現時点における主な進捗状況について、各府省庁から御報告していただきたいと思います。
     また、各構成員からの御質問、御意見等は、全ての府省庁からの報告が終わった後に、まとめてお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
     では、早速、警察庁からお願いします。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) それでは、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれました具体的施策のうち、警察庁が推進主体となっております施策のこれまでの推進状況につきまして、御報告申し上げたいと存じます。
     なお、時間の関係もありますので、ここでは特に進捗が見られたものにつきまして御報告したいと思います。
     初めに、犯罪被害給付制度に関する検討についてであります。警察庁の資料の1-1を御覧いただきながらお聞きいただければと存じます。
    第3次犯罪被害者等基本計画におきまして、犯罪被害給付制度に関する4項目について、「実態調査や他の公的給付制度に関する調査を1年を目途に行い、これらを踏まえた検討を速やかに行って、必要な施策を実施する」ことが盛り込まれたところでありまして、平成28年度の1年間をかけまして、警察庁において実態調査等を実施いたしました。
     そして、その調査結果を踏まえた検討を行うため、本年4月から専門委員等会議の構成員であります川出構成員、そして、渡邉構成員にも御参加いただいた上で、有識者検討会を開催し、7月14日、「提言」を取りまとめていただきました。
     提言の概要について御説明申し上げます。
     まず、「重傷病給付金の支給対象期間等の在り方」については、現行制度上、治療費相当額等を支給する重傷病給付金の支給対象期間が1年、上限額が120万円とされているところ、これらの制限を撤廃することについて検討をするものです。
     当庁が実施した調査の結果、犯罪を原因とする傷病の治癒、又は症状固定までに要した期間は、3年以内が約99%、治療費の自己負担額は120万円以下が約99%であったことが判明いたしました。この結果等を踏まえ、支給対象期間を1年から3年に拡大することとし、一方、上限額の120万円は維持することが提言されました。
     次に、「犯罪被害者に負担の少ない支給の在り方」は、現行制度では、犯罪被害者が一旦、治療費の支払を行った上で、事後的に支払った額に相当する額を重傷病給付金として支給することとなっているところ、犯罪被害者が病院で治療費を支払うことなく治療を受けられる仕組み、いわゆる現物給付の導入について検討することを内容とするものであります。
     この点については、当庁が実施した調査により、現物給付を導入するには、医療機関に相当程度の負担を受けていただくことの協力、理解が必要であることが分かりました。他方、調査の過程で、犯罪被害給付制度以外の既存の医療費負担軽減制度が十分に利用されていない実態があることが判明いたしました。
     提言では、まず、現物給付の導入は困難とする一方で、犯罪被害者の治療費の負担を軽減するための方策として、「現行制度においても事実認定が一部終了していない場合に、仮給付金を支給できる仕組みがあるところ、これをより柔軟に使えるように上限額の制限を緩めること」、「各関係機関が有している既存の医療費負担軽減制度が、これを必要とする犯罪被害者に確実に利用されるよう、関係機関の連携を強化すること」が提言されております。
     次に、「若年者の給付制度の在り方」は、幼い子がいる若年の犯罪被害者に係る遺族給付金の増額について検討するものであります。
     当庁における調査の結果、遺児がいる犯罪被害者は、若年者に限らず、幅広い年代に分布していることのほか、遺児が大変お気の毒な状況に置かれていることが改めて浮き彫りになりました。これらの結果等を踏まえ、提言では、犯罪被害者の年齢に着目した給付水準の引き上げは困難であるとする一方、遺児の年齢に着目した給付金額の引き上げを図ることが提言されております。
     すなわち、現行制度では、犯罪被害者等が立ち直り、自立するまでの期間として10年を想定して給付金額を算定しているところ、8歳未満の遺児については、10年分を支給してもなお、子供の自立に最低限必要な18歳になるまでの数年分に達していないことになりますので、遺児については、犯罪発生時の年齢を問わず、少なくとも18歳になるまでの分の支給をすることに増額を行うことが提言されております。
     最後に、「親族間犯罪被害に係る給付金の在り方」についてです。
     現行制度では、親族間犯罪の場合は、不支給を原則としつつ、DV等で全額支給が可能とされているところ、その在り方を見直すことを検討するものであります。
     この項目については、当庁において実施した実態調査により収集した事例を提示し、それぞれの事例について、支給すべきか否か、その判断基準は何か等について具体的な議論が検討会において行われました。
     その結果を踏まえ、「親族関係が事実上破綻している場合には全額支給すること」、「18歳未満の者が受給者となる場合には支給の特例を設けること」等が提言されております。
     今後の予定でありますが、警察庁においては、提言の内容を踏まえた制度改正を実現すべく、政令や規則の改正作業を現在実施しており、平成30年度予算が成立した後、可能な限り早い段階で施行ができるよう取り組んでまいります。
     次に、「カウンセリング等心理療法の費用の負担軽減」及び「警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実」についてであります。これは資料の1-2を御覧いただければと存じます。
     警察では、警察部内のカウンセラーによるカウンセリングのほか、犯罪被害者が選んだカウンセラーによるカウンセリングについて公的負担をすることを進めております。後者については、一部の県で行われていたところ、これを平成28年度予算から国庫補助とすることとし、現在、全国展開を進めているところであります。
     その進捗状況についてでありますが、平成29年4月1日現在、警察部内カウンセラーを配置する都道府県警察については、41都道府県警察、前年比プラス4府県でございます。また、部内のカウンセラーでありますけれども、144人で、前年比、プラス10名というところでございました。
     また、カウンセリング費用の公費負担制度を運用する都道府県警察は、一般身体犯につきましては33都道府県、性犯罪につきましては36都道府県となっておりまして、昨年と比べますと、実施都道府県警察が23増えております。
     いずれにつきましても、第3次犯罪被害者等基本計画が策定された昨年4月と比べ、充実してきているところではございますけれども、いまだ警察部内カウンセラーが配置されていない県や、カウンセリング公費負担制度の運用を開始していない県もありますことから、引き続き、犯罪被害者等の精神的負担の軽減に資するべく、これらの普及を図ってまいりたいと考えております。
     次に、「性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大」や、「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する相談制度の充実及び理解の促進」、これに関連しまして、「性犯罪被害相談電話番号の統一化」についてでございます。これにつきましては、資料の1-3を御覧いただきたいと存じます。
     各都道府県警察におきましては、性犯罪被害の相談電話窓口を設置しておりますけれども、それぞれ番号が異なるため、性犯罪被害者は各都道府県警察の相談電話番号を検索し、電話する必要があるなど、認知度、利便性が低いとの問題があります。そのため、性犯罪被害者がより相談しやすくなるよう、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通の短縮ダイヤル番号を導入することといたしました。これにより、相談電話の認知度が向上し、また、相談者にとって、相談窓口にアクセスしやすくなることにより、性犯罪被害の潜在化防止等の効果が期待されるところであります。
     番号につきましては、性犯罪の被害に遭われた方々の御意見もお聞きしながら検討いたしまして、「♯8103」(ハートさん)と決定し、8月3日より運用を開始しております。今後、被害者支援団体やホームページを通じた広報等によりまして、番号の周知を図るとともに、適切な相談対応に努めてまいります。
     次に、地方公共団体における犯罪被害者支援の進捗状況についてであります。
     1点目は、「総合的な対応窓口の設置及びその充実」についてであります。卓上に配付しております犯罪被害者白書の58ページ、資料編では172ページを御覧いただきたいと存じます。
     警察庁では、地方公共団体に対しまして、犯罪被害者等からの相談・問合せに対応して、庁内関係部局や関係機関・団体に関する情報提供や橋渡しを行う総合的対応窓口の設置を要請しておりますけれども、本年4月現在、全国1,721市区町村のうち1,697市区町村が総合的な対応窓口を設置しており、98.6%でございます。また、前年比33市町村が増加し、1.9ポイントの上昇となっているところでございます。第3次基本計画のできる限り早い段階で100%になるように、引き続き、地方公共団体に対して働き掛けを行っていくこととしております。
     また、今後は、総合対応窓口の充実強化を促進し、犯罪被害者等の生活支援を効果的に行うことが課題であると考えております。充実強化の1つの方策としまして、第3次基本計画では、警察庁において、地方公共団体に対して、社会福祉士や精神保健福祉士等の専門職の活用を働きかけることが盛り込まれております。
     白書の59ページに記載がございますけれども、本年4月現在、地方公共団体の総合的対応窓口等に専門職を配置しているのは、10都道府県・政令指定都市、39市町村となっているところであります。
     2点目は、「地方公共団体における総合的かつ計画的な犯罪支援の促進」についてでありますが、これは白書の60ページを御覧いただきたいと存じます。第3次基本計画では、地方公共団体における犯罪被害者等の視点に立った総合的かつ計画的な犯罪被害者支援に資する方策としまして、条例の制定又は計画・指針の策定を挙げているところであります。警察庁では、地方公共団体等に電子メールで配信しております「犯罪被害者等施策メールマガジン」において、新たに「条例の小窓」というコーナーを設け、犯罪被害者等の支援に特化した条例を取り上げまして、その条例に基づく主な支援施策等を紹介するなどし、地方公共団体に対する情報提供に努めているところであります。
     本年4月現在、60都道府県・政令指定都市、482市区町村において、犯罪被害者等に関する条例の制定又は計画・指針の策定が行われているところでございます。
     次に、「犯罪被害者等の状況把握等のための調査実施に向けた検討」についてであります。これにつきましては、資料の1-4を御覧いただきたいと存じます。
     本年1月、警察庁では、内閣府政府広報室と協力して、世論調査の附帯調査として、犯罪被害者等施策に関する調査を行いました。問いの数としましては、6問の簡易な調査でございまして、犯罪被害者等施策に関する用語や相談機関・窓口の認知度や、被害が潜在化しやすい犯罪に遭った場合の相談先やそこを選んだ理由等について聞いております。
     調査結果の詳細につきましては、資料を御覧いただければと思いますけれども、警察庁では、この調査で明らかになった国民の行動傾向を踏まえまして、今後、関係機関・団体と連携し、相談者が安心して相談できる環境を整備するなど、信頼性の向上に努めるとともに、相談機関等の認知度の向上に向けた効果的な広報を実施していく必要があると考えております。
     なお、この調査は簡易なものではありましたが、警察庁では、本年度予算で、犯罪被害者等施策に関する調査に要する経費を措置し、犯罪被害者等が置かれている状況や求める支援等について調査することとしております。
     具体的な調査方法や質問項目等につきましては、現在、検討中ではありますが、犯罪被害者等施策の充実に資する有益な調査にしたいと考えているところであります。場合によっては、今後、構成員の方々の御知見をお借りすることもあるかもしれませんが、その際は御協力のほど、よろしくお願いいたします。
     第3次基本計画に盛り込まれました具体的施策の進捗状況に関する警察庁からの報告は以上でございます。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。ただ今の警察庁からの報告の中に最初にありました犯罪被害者給付制度に関する有識者検討会では、現行よりも一歩、二歩、踏み込んだ提言をまとめていただきまして、関係された有識者の方々にはお礼を申し上げたいと思います。
     この検討会の座長は川出構成員が務められたと伺っておりますが、川出構成員の方から、警察庁の報告に何か追加することや補足することがありましたら、お願いいたします。
  • 川出構成員 提言の内容につきましては、ただ今御説明のあったとおりですので、検討会での議論の状況について、座長を務めた立場から、御報告をさせていただきたいと思います。
     検討会を開催するに先立ち、警察庁において、基本計画の趣旨に沿ったかたちで、議論の土台となる詳細な実態調査をしていただきました。それがあったおかげで、検討会では地に足のついた現実的な議論ができたと思います。個々の論点については構成員の間で意見の違いはありましたが、実態調査を踏まえて、既存の犯罪被害給付制度の基本的な枠組みを前提とした場合に、どこまで改正が可能で、改正が難しい点は何であるのかということについて、構成員全員が納得できる結論が出せたと思います。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。それでは、引き続き、関係府省庁から進捗状況の御報告をお願いいたします。それでは、内閣府からお願いします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 内閣府の官房審議官の渡邉でございます。新任でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     内閣府の方からは、資料を出させていただいております。資料2-1という縦型のリストになっている紙と、資料2-2が交付金について御説明するポンチ絵になってございます。
     まず、資料2-1からでございますが、その前提としまして、性犯罪・性暴力被害者支援の一環といたしまして、第3次犯罪被害者等基本計画、それから、男女共同参画という観点からは、第4次の男女共同参画基本計画に基づいて進めております。被害直後から相談を受けて、医療的な支援、心理的な支援を可能な限り1か所で提供する、「性犯罪・性暴力被害者支援のためのワンストップ支援センター」の設置促進を始めとした内閣府の取組について御説明させていただきます。
     その資料2-1でございますけれども、こちらにつきましては、第4次男女共同参画基本計画におきまして、目標年度を平成32年におきまして、各都道府県に最低1か所設置をするという成果目標が設定されております。
     そこで、本年、29年4月における設置状況ですけれども、このお手元の資料2-1のとおり、都道府県数で38、愛知県で政令市である名古屋市での設置によって複数設置になっておりますので、38都道府県、39か所ということで設置が進んできております。
     未設置県が9県ございますが、この9県のうち、今年度中に設置をする予定をしておりますのが4県ございますし、また、年度明け早々、30年の4月に設置を予定しているものが1県ございます。もし、それらが成就いたしますと、残りが4県ということですけれども、できるだけ早く、32年を待たずに設置ができるように、設置の促進をしていきたいというのが私どもの考えでございます。
     そのためにということも含めて、予算をとっておりますのが、2枚目の資料2-2というポンチ絵の方でございますけれども、「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」というのを29年度当初予算で初めてつけていただきました。1.6億円の交付金ですけれども、こちらによって、相談員の人件費等、相談センターを運営するに当たって要する経費、それから、警察に相談できない被害者の医療費等、都道府県の方で負担をされているものにつきまして、財政的に支援をするということにしております。
     この交付金を活用して、全都道府県、47都道府県での早期設置、そして、設置しただけでなくて、そのセンターの安定的な運営が図られますよう、今後とも関係機関との連携強化等、地域の実情に応じた被害者支援の充実に関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
     資料の説明は以上でございますけれども、それ以外で、内閣府として行っているものとしては、性犯罪の被害者の方々が被害を訴えることをためらわずに、安心して必要な相談支援を受けられるよう、環境整備の促進を図るために、地方公共団体等の行政の職員の方、それから、ワンストップ支援センターの担当の相談員の方、こういった方々を対象に研修を行っております。そのほか、「男女間における暴力に関する調査」というのを3年に1度実施しておりますが、こちらの調査も充実させるために、先般の刑法の改正等も踏まえまして、調査対象、調査項目について、しっかり見直しをした上で、本年度の実施を予定しております。
     引き続き、警察庁を始め、関係省庁と連携しまして、性犯罪・性暴力被害者支援に男女共同参画という観点からも協力をしていきたいと考えておりますので、いろいろと御指導をお願いしたいと思います。
     内閣府からの説明は以上でございます。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。ワンストップ支援センターについては、新たな交付金というような財政的な措置も得ていまして、もう一歩のところで全国展開ができるというところまで来ているという御報告でございました。
     それでは、続いて、総務省からお願いします。
  • 総務省大臣官房企画課課長補佐 総務省大臣官房企画課の籏野でございます。よろしくお願いいたします。
     総務省の方は、参考資料2を御覧いただけますでしょうか。施策番号の83番になりますので、ページで言いますと11ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは各省の施策等も並んでいるのですけれども、総務省としましては、1行目にありますドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための住民基本台帳事務における支援措置ということでございます。これにつきましては、既に発出されている事務処理要領等がございますので、それに基づきまして、市町村において適切に事務処理が行われるよう助言をしているところでございます。今後とも、市区町村におきまして、DV支援措置に関する事務について、適切に行われますよう助言、紹介、回答等を行っていきたいと考えております。
     また、同じところで、2行ほど下がって、ドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者に係る選挙人名簿の抄本の閲覧に関する取扱いの周知徹底でございますが、これにつきましても、加害者から被害者に係る閲覧の申出がなされた場合には、その申出を拒否することなどを内容とする通知を累次にわたり発出しているところでございますので、こちらも引き続き、市町村の選挙管理委員会に対して、これらの取組の周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
     総務省は以上です。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。DV被害者等の個人情報保護について、更に強化に取り組まれているという御報告でした。
     続いて、法務省からお願いいたします。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省の金子でございます。よろしくお願いします。
     法務省の関係する施策も多岐にわたっておりますので、本日は、以下の2つの視点で御説明したいと思います。1つ目が、ストーカー事案等で痛ましい結果が生じているということも報じられているところでございますので、「犯罪被害者の方々等に関する情報の保護」について。それから、2つ目は、「犯罪被害者等の意見等を踏まえた加害者の処遇改善・更生の推進」といった観点から御説明させていただこうと思います。
     資料としましては、先ほどの参考資料2を御覧いただければと思います。最初の視点の「犯罪被害者等に関する情報の保護」につきましては、施策番号80、81、83は各省庁にまたがっていますが、法務省の該当部分を御覧いただければと思います。それから、施策番号94辺りがこれに当たります。これも各省庁にまたがっていますが、法務省の辺りを御覧いただければと思います。
     法務省・検察庁におきましては、裁判所の決定があった場合、被害者の氏名及び住所、その他、被害者が特定されることとなる事項を公開の法廷で明らかにしない制度につきまして、その円滑な運用に取り組んでおります。また、平成28年12月1日に施行されました刑事訴訟法等の一部を改正する法律によりまして、検察官が証拠開示の際に、弁護人に対し、被害者等の氏名等を被告人に知らせてはならない旨の条件を付して行うといった措置をとることができるようになったわけですが、この新しい制度につきましても、依命通達を発するなどして、円滑な運用に取り組んでおります。また、これらにつきましては、会議や研修等の機会を通じまして、運用に当たっている検察官等への周知に努めているところでございます。
     ストーカー事案に関しましては、事案に応じた適切な処理を行うとともに、捜査、公判の各段階におきまして、犯罪被害者等に関する情報の保護に配慮した、適切な対応に努めているほか、会議等の機会を通じまして、検察官等への周知に努めているところでございます。
     それから、次に、法務局、地方法務局におきましては、戸籍関係、不動産登記関係、供託関係のそれぞれの段階で、被害者の方々に関する情報の保護についての周知の徹底を図っているところでございます。戸籍関係につきましては、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆるDV法に規定する被害者、あるいは、ストーカー行為規制法に規定するストーカー行為の相手方、児童虐待防止法に規定する児童虐待を受けた児童等の住所や電話番号等、被害者等の連絡先の記載がある届出書等につきまして、そのような書類の閲覧請求、又は、そのような書類に記載された事項の証明書等につきましては、被害者から市区町村長に対して、その住所等が覚知されないよう配慮を求めるといった申立てがされている場合は、その部分については伏せ、覚知されないよう、運用上、工夫・配慮するものとして、その旨を事務連絡等を通じて、周知徹底に努めてきているところでございます。
     不動産登記関係につきましても、被害者等が転居された場合であっても、所有権その他の権利の移転の登記の前提として、住所の変更を要しないこととする取扱いを認めて、その旨の通知を発するなどして、手続の周知と、その厳格な運用を図っているところでございます。
     供託につきましても、同様な問題がございます。供託物払渡請求書に住所を記載することになっていますが、DV被害者等から、その住所等の秘匿に係る申出があった場合の措置の徹底につきまして、平成28年4月に法務局、地方法務局に対して、改めて注意喚起を行い、その手続に遺漏がないよう徹底を図っているところでございます。
     続きまして、「犯罪被害者等の意見等を踏まえた適切な加害者の処遇の推進等」でございます。施策番号で言いますと143から147までがこれに当たります。保護観察所におきましては、保護観察対象者に対する問題性に応じた専門的な処遇プログラム、例えば性犯罪者処遇プログラム、暴力防止プログラム、飲酒運転防止プログラムの内容等の充実を図るとともに、当該プログラムの受講を保護観察における特別遵守事項として設定するなどして、適切に実施しているところでございます。
     また、保護観察対象者に再び罪を犯させない決意を固めさせ、犯罪被害者等の意向に配慮しながら、誠実に対応することを促すため、しょく罪のための指導を適切に実施しております。
     直接的に効果を把握するものではございませんけれども、参考指標となる実績としましては、平成28年における特別遵守事項による専門的処遇プログラムによる処遇の開始人員は、性犯罪者処遇プログラムが939人、暴力防止プログラムが262人、飲酒運転防止プログラムが288人であったほか、同年中にしょく罪指導プログラムを修了した保護観察対象者が356人でございました。
     また、保護観察所におきましては、犯罪被害者等の申出に応じまして、犯罪被害者の方々の被害に関する心情、それから置かれている状況等を聴取しまして、保護観察対象者に伝達する制度において、被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるような指導監督を行っているところでございます。
     これも直接的に効果を把握するものではございませんが、参考指標となる実績として、平成28年に被害者の方々の心情等を伝達するということが実施された件数は155件でございました。さらに、地方更生保護委員会においては、仮釈放等を許すか否かの判断に当たりまして、犯罪被害者の方々から聴取した意見等を考慮するとともに、必要に応じて、保護観察中の特別遵守事項に反映させておりますところ、仮釈放等の審理において、一層、犯罪被害者の方々の意見がしんしゃくされるよう努めているところでございます。
     これも直接的に効果を把握するものではございませんが、参考指標となる実績として、平成28年に犯罪被害者の方々の意見等の聴取が実施された件数は325件ございました。 それから、再被害防止に資する教育の実施等がございます。犯罪被害者の方々の心情等を理解させるため、刑事施設における被害者の視点を取り入れた教育の実施状況につきまして、平成28年度に受講を開始した受刑者数は843人でございました。
     また、全少年院におきまして、被害者の方々やその支援団体等と連携した、被害者の心情理解指導を実施しているところでございます。
     法務省からの説明は以上です。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。法務省からは、いろいろな場面で個人情報を扱うわけですけれども、再被害防止のために、被害者の個人情報を、特に加害者から守るということ、関係機関にその点を周知徹底するというお話と、再犯防止のための加害者処遇の中での指導プログラム、いろんなプログラムがございますが、これも順調に件数が伸びているという御報告でございました。
     ここで伊藤構成員が御到着されましたので、一言、御挨拶をお願いします。では、小木曾構成員から。
  • 小木曾構成員 中央大学、小木曾と申します。専門は刑事訴訟法であります。よろしくお願いいたします。
  • 伊藤構成員 上智大学の教員の伊藤冨士江と申します。専門は社会福祉、中でもソーシャルワークを専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 飛鳥井議長 それでは、また議事に戻りたいと思います。
     引き続きまして、文部科学省から御報告をお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省の総括審議官をしております中川でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
     第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策のうち、文部科学省が推進主体となっております施策のこれまでの進捗状況につきまして、主なものを御報告申し上げます。お手元の資料の参考資料2の項目に沿って、代表的なものを御説明申し上げます。
     最初に、五つの柱のうちの第2の柱の「精神的、身体的被害の回復、防止への取組」の具体的施策について御報告いたします。
     7ページをおめくりください。施策番号54番、「被害少年等の保護に関する学校及び児童所等の連携の充実」でございます。
     文部科学省では、昨年10月に警察庁との共催で開催された問題行動に対する連携ブロック協議会におきまして、学校、児童相談所、警察等の連携を充実させることを周知いたしました。具体的な取組として、例えば、兵庫県におきまして、母親のパートナーから虐待を受け、問題行動を繰り返す児童につきまして、スクールソーシャルワーカーが関わって、要保護児童対策地域協議会を活用して、警察と連携して対応した事例があったということでございます。
     2番目、その下でございます。施策番号55番、「被害少年に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等」でございます。文部科学省では、犯罪被害者等を含む児童生徒の相談等に的確に対応するため、昨年8月に開催されました教育相談指導者養成研修におきまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用について周知いたしました。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置につきまして、具体的な目標でございますが、まず、平成31年度までに、原則としてスクールカウンセラーを、約2万7,500校ございます全公立小中学校に配置する。また、スクールソーシャルワーカーにつきましては、全公立中学校区に約1万人を配置する。これを目標としております。
     平成27年度におきましては、スクールカウンセラーが配置されておりますのが2万2,563か所でございます。全部で2万7,500校が目標でございますが、2万2,563カ所に配置されております。スクールソーシャルワーカーの実人数は1,399人配置しており、こちらもまだまだでございますが、目標達成に向けて、引き続き、配置の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
     第3番目に施策番号56番、「被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等」についてでございます。文部科学省では、教育職員免許法施行規則により、教職に関する科目の生徒指導、教育相談及び進路指導等に関する科目におきまして、教育相談の理論及び方法の履修を義務づけているところでございます。そして、課程認定を有する大学では、教育相談の基礎を履修した上で、大学のカリキュラム特性や地域の実情などを勘案しつつ、犯罪被害者等としての児童生徒への理解についても学習しているところでございます。
     また、昨年8月には、教育委員会の指導主事、教育センターの研修担当主事、教諭等の地方公共団体の教育相談指導者82人を対象としまして、犯罪被害者に関する内容を含む教育相談の研修を実施したところでございます。
     以上が大きな2つ目の柱の3つの施策でございます。
     続きまして、20ページに飛びますが、20ページから後ろが4番目の柱の「支援等のための体制整備への取組」となっています。
     このうち、21ページの施策番号158番、「性犯罪被害に遭った児童生徒への対応の充実」についてでございます。文部科学省では、学校内の教育相談体制及び関係機関との連携充実を図っているところでございますが、具体的な成果の1つといたしましては、例えば静岡県におきまして、性的虐待の疑いが持たれる生徒に対して、教員、スクールカウンセラー、管理職が連携して対応し、速やかに児童相談所と連携をした事例が報告されてございます。また、文部科学省としても、都道府県に対しまして、児童生徒や保護者への24時間子供SOSダイヤルの周知を依頼しております。また、28年度は、相談窓口紹介カード、あるいはリーフレット等の配布により、周知が実施されたところでございます。29年度も、この取組を引き続き行う予定でございます。
     2つ目でございますが、25ページの施策番号190番、「学校内における連携及び相談体制の充実」でございます。こちらにつきましては、養護教諭の資質向上のための研修の充実に取り組んでいるところでございます。昨年12月には、教育委員会の指導主事、教育センターの研修担当主事及び各学校、地域において研修のマネジメントを推進する教諭等、155人が参加した健康教育指導者養成研修を実施し、児童虐待を受けた子供への対応に関する事例演習等を行いました。
     この研修のアンケート調査によりますと、児童虐待への対応についての講義、演習が大変有意義だったと返答した者の割合は93.5%、145名となっておりまして、児童虐待の理解向上に資することができたものと考えているところでございます。
     3番目に同じ25ページの施策番号191番、「教育委員会と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び学校における相談窓口機能の充実」についてでございます。こちらにつきましては、教育委員会が、心理学、教育学等に関する知識を有する専門職員や臨床心理の専門家等を教育支援センターや教育相談所等への配置に関する支援を行うなどにより、相談窓口機能の充実に努めています。平成27年度におきましては、教育相談機関、これは全国に1,508か所設置されておりますが、来所相談は約41万件、電話相談は約23万件、訪問相談は約11万件等、合計約83万件もの教育相談がございました。
     最後の柱でございます。30ページの一番下から、第5の柱、「国民の理解の増進と配慮、協力の確保への取組」に関する具体的施策について御説明いたします。
     31ページの施策番号232番、「学校における生命のかけがえのなさ等に関する教育の推進」でございます。文部科学省では、生命の尊さについて理解し、かけがえのない生命を尊重するための教育を含めた道徳教育の充実を図るための研修等を行っております。昨年5月から10月にかけ、教職員支援機構と連携しまして、各都道府県、指定都市の指導主事等、約900人を対象に、全国7か所で道徳教育指導者養成研修を実施し、各学校や地域において道徳教育等の研修のマネジメントを推進する指導者の養成を図りました。
     次に施策番号234番、「学校における犯罪被害者等に関する学習の充実」についてでございます。文部科学省では、警察等の関係機関と連携した犯罪被害者等に関する学習の充実も図っているところです。具体的な成果といたしましては、平成28年に、新潟県におきまして、中高校生等を対象に、犯罪等で家族を亡くした遺族が講演を行い、犯罪被害者等を思いやる意識を養うとともに、規範意識の向上につながる、「命の大切さを学ぶ教室」を警察等と連携して開催した事例を把握しております。
     以上、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策は、1つ1つが大変重みを持つもの、1つ1つが現場と非常に連携をした取組でございますが、とても大事なものと認識し、引き続き、文部科学省としても、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。
     以上でございます。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。大変盛りだくさんな御報告があったと思います。まず、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといったマンパワーの充実、それから、学校内外の連携、これも幾つかの項目にまたがっておりましたけれども、その充実を図るといったことや、大学の教職課程でのカウンセリングの研修の充実、それから、児童に対する学習の機会を更に充実させるといったような幾つかの基本計画に盛り込まれた内容が進捗されているという御報告でございました。
     それでは、続いて、厚生労働省から御報告をお願いします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     厚生労働省も、同じく参考資料2に基づきまして、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれております厚生労働省関係の具体的施策の進捗状況について、ご説明をさせていただきます。
     まず、第1の「損害回復、経済的支援等への取組」の中で、4ページの施策番号26、86というのが1つになってございます。「被害直後及び中期的な居住場所の確保」と、「一時保護場所の環境改善等」ということでございまして、平成31年度の年度末までに個別対応できる児童相談所、一時保護所の環境改善を実施するとされております。平成28年4月時点で個別対応できる児童相談所、一時保護所数につきましては、全136か所中97か所が個別対応できるという状況になってございます。
     それから、同じページの施策番号31番、「性犯罪被害者等に対する自立支援及び定着支援」でございます。相談者に対して、自立支援や定着支援を一体的に行いまして、効果の検証をするモデル事業を実施するとされておりまして、26年度以降、今年度も引き続きモデル事業を実施するという状況にございます。
     それから、第2の「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」の中で、5ページ目、施策番号39番、「PTSD対策に係る専門家の養成研修会の内容充実等」でございます。これにつきましては、PTSD対策専門研修事業を実施しております。28年度は研修を3回実施いたしまして、医師、看護師、保健師等、関係者223人に御参加をいただいたところでございます。
     それから、6ページの施策番号48番、「高次脳機能障害者への支援の充実」でございます。これにつきましては、高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業の実施を通じまして、全国103か所の支援拠点に相談支援コーディネーターを355名配置しているほか、研修会を全国で363回開催いたしまして、2万人を超える参加をいただいたところでございます。引き続き、高次脳機能障害に対する支援体制の整備を図るととともに、ライフステージに応じた支援方法や都道府県における取組の共有など、支援の充実に努めてまいります。
     それから、7ページ、施策番号51番、「里親制度の充実」でございます。29年度におきましては、里親支援事業としまして、里親に委託された子供のうち、特に専門性の高い支援が必要とされる子供に対し、心理面からの訪問支援を行う心理訪問支援員の配置を加算対象とするなど、充実に努めているところでございます。
     それから、13ページ、施策番号91番でございます。「児童虐待防止のために行う児童の死亡事例等の検証の実施」ということで、専門委員会での児童の死亡事例等の検証を行うこととされております。毎年度、専門委員会におきまして、分析、検証、それから、問題点や課題から具体的な対応策を提言として、取りまとめをいただいておりまして、28年におきましても、第12次の報告を取りまとめたところでございます。
     それから、柱の第4、「支援等のための体制整備への取組」としまして、28ページ、施策番号214番でございます。「児童虐待防止対策に関する調査研究」ということで、厚生労働省において、児童虐待防止対策に関する必要な調査研究を実施することとされております。28年度におきましては、ネグレクト事例に対する支援スキルの向上に資する事例集を策定するための調査研究、又は、地方公共団体が行っている子供虐待事例の効果的な検証に関する研究などを実施したところでございます。
     最後に、第5の「国民の理解の増進と配慮、協力の確保への取組」といたしまして、32ページ、施策番号248番、「犯罪被害者等施策の関係する特定期間における広報啓発事業の実施」でございます。平成16年から、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け、関係省庁、関係団体等と連携して、広報、啓発活動を実施しているところでございます。28年度におきましても、全国フォーラムの開催やポスター・リーフレットの配布ないしテレビ番組、新聞広告等によりまして、児童虐待が社会全体で解決すべき問題であるということを周知・啓発して取り組んでまいりました。引き続き、関係機関、自治体等を含めまして、施策の推進に努めてまいりたいと思います。
     以上でございます。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。厚生労働省からは、児童虐待や性被害、あるいは高次脳機能障害等、それぞれ困難な状態について、自立支援を図ったり、様々な支援事業を展開するといった御報告がございました。それから、虐待については、虐待死についての検証をしたり、虐待防止のための調査に取り組むといった御報告もございました。
     それでは、引き続きまして、国土交通省、お願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局次長 それでは、国土交通省の取組につきまして、御説明を申し上げます。
     犯罪被害者対策につきましては、大きく言いまして3点実施しております。1点目は、自動車の事故被害者への対応でございます。2点目は、犯罪被害者の方の公営住宅への優先入居でございます。3点目が、陸海空の公共交通に関する事故の被害者の方々やご家族への支援。この3点を実施しているところでございます。
     参考資料の2に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。
     まず、1ページでございますが、施策番号5番、7番、8番、これは自賠責保険でございます。自動車事故の保険で強制保険でございますが、この支払の適正化につきまして、御報告を申し上げたいと思います。
     自賠責保険の支払の適正化を図るために、被害者と保険会社で紛争が起こることがありますが、その調停、あるいは死亡等の重要事案の審査を、私どもで処理をしているところでございまして、28年度の紛争処理件数は1,000件弱、968件に対応しております。
     また、無保険の場合、あるいは誰が加害者か分からないひき逃げの場合は、通常であれば保険金は出ないのですけれども、ひき逃げや無保険車による事故の被害者に対し、政府保障事業ということで、自賠責の金額の一部を財源しまして、そういった被害に遭われた方に対して支給をするということをしております。28年度の実績で申し上げますと、984件、10.3億円の支払いをしているところでございます。
     続きまして、3ページの施策番号20番、「公営住宅への優先入居等」についてでございます。公営住宅への優先入居、あるいは目的外使用についての特段の配慮について地方公共団体に要請しております。一般的に公営住宅は、入居要件を満たす方が抽選で入っていただくということになりますけれども、犯罪被害者の方々については、優先的な取扱いにより入っていただくことにさせていただいております。これは、前回、中曽根委員からも御質問をいただきまして、私どもで改めまして、自治体の方にもお願いをしております。もし、それでもということがございましたら、私ども住宅局の方にお話をいただければ、対応をさせていただきたいと思っております。
     また、公営住宅の目的外使用について、本来、大臣承認が必要となりますが、一定の要件を満たす場合には、地方整備局長に対する事後の報告で、補助金適正化法の承認があったものとして取扱うことができる旨を地方公共団体に周知しておりますので、簡便、スピーディーに犯罪被害者の方々が住宅に入っていただけるよう、自治体が対応できるようにしております。
     ちなみに、平成28年12月時点の都道府県及び政令都市における入居状況でございますが、犯罪被害者などの方々の優先入居は555戸でございます。目的外使用により63戸が入っていただいている状況でございます。
     続きまして、6ページ、施策番号47番でございます。交通事故被害に遭われた方の重度後遺障害、いわゆる寝たきり、意識が戻らないという方がおいでになられます。そういった方々に対して、独立行政法人自動車事故対策機構という組織がございまして、そこで全国8か所、寝たきりになっている方々に対するリハビリを行う施設を持っております。うち4か所が直営になっており、その設置、運営を行っており、加えて、被害者の方あるいは家族に介護料の支給等も行っております。平成28年度の支給実績は、重度後遺障害者の方々4,776人がおいでになられますが、30億強の介護料の支払をしております。
     また、交通事故に遭われると、医療としては、まず、ER、救命救急に運ばれることが多くあります。その後、治療として各科に運ばれるわけでございます。その後、数か月のリハビリ期間がございまして、もし遷延性意識障害ということになりますと、長期のリハビリに入るわけでございます。この間、転院を繰り返します。今は治療をしている途中からリハビリしたほうがいいというお話もありますので、現在、研究を始めているところでございますが、一貫して、一定の病院で治療をし、それからリハビリをすることができないかという調査、研究に着手したところでございます。
     続きまして、23ページ、施策番号172番、「交通事故相談活動の推進」でございます。都道府県、政令指定都市に162か所の交通事故相談所が置かれており、228人の交通事故相談員という方々がおられますが、当省において、そういった方々に対しての研修でありますとか、あるいは、相談方法についてのガイダンスを作りまして、周知徹底をしているところでございます。今年度は、去年同様に5回の研修を実施しております。また、どんな形で相談に対応するかというハンドブックも毎年作っており、これを28年度も作りまして、周知をさせていただいているところでございます。
     続きまして、同じく23ページ、施策番号173、「公共交通事故被害者への支援」でございます。これは、前回、議長からも御指摘を頂戴いたしましたが、平成24年に、私ども、法改正をいたしましたときから、これは随分前から、昭和60年のJAL事故のときから言われておりましたが、交通事故被害者の遺族の方々に、あるいは被害に遭われた方々に寄り添うような対応をすべきであると。その後、信楽の事故や福知山線の事故もございまして、ようやく24年に、こういう被害者の支援対応を確立いたしました。現在、全国に、私どもの職員でございますが、支援室、60名の体制で被害者への対応をしているところでございます。
     最近では、29年7月に神戸空港の航空施設に定期船が衝突する事故がありましたが、そのときも出動いたしまして、被害に遭われた方々にコンタクトカードなどの配付をし、必要であれば、病院等の紹介、あるいは、どう対応するかの紹介もさせていただいているところでございます。
     また、前回、議長から御質問いただきました、28年1月15日の長野県のスキーバス事故につきましても出動し、対応したところでございます。これも、実際、現場に出向いて対応することのほかに、交通事故被害者の支援フォーラムというような形で、これは私ども、沖縄も含め全国に運輸局が10か所あるわけでございますが、年1回、必ずフォーラムを開きまして、事業者の方、あるいは一般の方もおいでいただきまして、どんな対応をしているかということも広く周知をしているところでございます。
     以上、国土交通省の対応を御説明申し上げましたが、今後とも、第3次基本計画に基づきまして、施策を着実に進めていくこととしております。
     以上です。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。お伺いした公営住宅の優先入居も、これもいろいろ問題がございましたけれども、今、制度を整えておられるということですし、それから、これも深刻な障害であります、交通事故後の重度後遺障害です。本当に御家族も御本人も困っておられますけれども、これについても、いろいろ支援策を進めておられるということ。それから、前回、私も少し意見を言わせていただきましたけれども、公共交通事故被害者への支援ということ。これも早期から支援が展開できるように、制度を整えておられるといったような御報告でございました。
     それでは、ただ今の関係府省庁からの報告に対しまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いをいたします。森山構成員、どうぞ。
  • 森山構成員 最初に、警察庁の方から、犯罪被害給付制度の有識者検討会で一定の結論が出て、これだけのものになったというような、前進したと評価しております。また、カウンセリングの充実についても、同じように、先ほどの紹介については、大変よい結果になっていると考えております。
     それで、参考資料2の2ページ、施策番号11番に、警察庁と日本弁護士連合会で、「加害者の損害賠償責任の実現に向けた調査の実施」ということで、それまでは内閣府と日弁連との協力でやって、一定の調査結果を既に内閣府の方に渡してあるのですけれども、今後、これについて、日弁連との協力というか、今後、どのように進めていかれるのか、何か方向性があるのかということをお聞かせ願いたいと思います。
     それから、同じページ、施策番号14番に「性犯罪被害者の医療費の負担軽減」があります。男女共同参画社会の話の中で、これは女性被害者のこと、大体、産婦人科のお医者さんのことが考えられているようですが、男性の被害者が出た場合、肛門科とか泌尿器科とか、そういう医療機関、ここに書いてあるような医療費の問題等について、何かお考えなどはあるのかどうか。これはこれからの問題だと思いますが。
     それから、施策番号17番、「地方公共団体による見舞金制度等の導入促進」ということで、警察庁の方で頑張っておられるということで、それぞれ各自治体で条例をつくる動きが高まり、また、進んでいるというお話を伺っておりますけれども、今後、どういう働き掛けをして、また、どれだけ条例化が進んでいくのか、その辺の情勢等をお聞かせいただきたい。まず3点、お願いします。
  • 飛鳥井議長 3点について、お願いします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) では、警察庁からお答えさせていただきます。
     まず、1点目の損害賠償責任の実現方策についての御質問ですけれども、日弁連において、第3次基本計画の策定中に調査を行い、取りまとめていただいたところでございます。
     その後、それを踏まえて、どういったことが必要なのかということを関係省庁等と考えているという段階でございます。現時点におきまして、今後、具体的に日弁連に御協力いただいて何か具体的な調査をということでお示しできるようなものはないのですけれども、施策自体の状況といたしましては、前回の専門委員等会議でも少し御報告させていただきましたが、現在、法制審議会の部会におきまして、民事執行制度の議論がなされているということを承知しております。直近では、今年の7月21日に第10回の部会が開催されたと伺っております。その部会で、中間試案のたたき台が示され、その中で、債務者財産の開示制度の実効性の向上に関して、現行の財産開示手続の見直しですとか、あるいは、銀行等が想定されているかと思いますけれども、第三者から債務者財産に関する情報を取得する制度の新設といったことについて議論がされていると伺っております。
     犯罪被害者に特化したものではないのですけれども、これらで一定の方向性が示されれば、犯罪被害者の保護にも資するというふうに考えているところでございます。
     また、3点目の見舞金についてですけれども、こちらにつきましては、我々が事務局となり、毎年5月頃に、自治体の被害者施策の担当者を集めた会議を行っております。その中で、全国の見舞金、貸付金制度の推進状況につきまして御報告をさせていただくとともに、その重要性について御説明をし、まだ制度を導入していないところについては創設をお願いしたいという呼び掛けをしているところでございます。
     こちらからは以上です。
  • 飛鳥井議長 もう1点、男性の性犯罪被害者の場合です。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 施策番号14番についてですけれども、カウンセリング費用や診断書料等のように、男女共通する部分はあると思います。基本的な考えとしては、男女を区別する必要はと思っております。ただ、実際は、警察庁が都道府県警察費補助金として予算を措置した上で、各都道府県警察が予算措置をし、その運用の細かいところを決めていますので、各都道府県の運用実態を確認した上で、必要な検討と指導をしていきたいと考えております。
     以上です。
  • 飛鳥井議長 森山構成員、よろしいでしょうか。
  • 森山構成員 施策番号17番について、一定程度、条例化が進んでいる県というのはあるのでしょうか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 現在、条例の制定を検討している自治体があるという御報告は頂戴しているのですけれども、具体的に見舞金の点について、どういう制度設計を検討しているかというところまで把握していないものですから、今後、把握し次第、御報告できるようにしたいと思います。
  • 森山構成員 分かりました。
  • 飛鳥井議長 他に。瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 犯罪被害給付制度に関する提言についてお聞きしてよろしいですか。
     重傷病給付金の支給対象期間についてですが、ある程度、予想されていた面があったかもしれませんが、調査結果、エビデンスがきちんと出されて、政策提言されたことは、高く評価されるべきだと思います。治療期間について1年以内が約70%、3年以内が約99%。そこで支給対象期間を3年に拡大する。これはこれで結構なのですが、私が気になるのは、残りの1%の方。その方の中に、非常に気の毒な症例があり得ると思うのですが、その点に対する配慮をお聞きしたい。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 まず、これまで傷病の治癒又は症状固定までに要した期間は、1年以内が約70%という話がありましたが、瀬川構成員の御指摘のとおり、実際のケースを見ますと、犯罪被害により重傷を負って、入退院を繰り返し、治療に1年以上かかっている非常に気の毒な方もいらっしゃいました。そこで、それらの治療費もカバーできるように、3年間に拡大しました。
     今回の重傷病給付金の支給対象期間等の在り方を検討するに当たり、実態、ファクトベースで検討することとしました。今回の調査の結果、3年以上のものが1件であり、その1件の事例をみてみますとPTSDに係る精神治療を要した方でした。PTSDにつきましては、厚生労働省からも、自立支援医療制度で精神的治療にかかる医療費の負担がかなり軽減をされるように徹底していただきまして、通達等も出していただいています。治療期間が3年間を超えた、その1名の方についても、3年以内に障害者総合支援法に基づく自立支援医療制度が適用されていました。犯罪被害給付制度は、他の制度との関係で、橋渡しという考え方をしておりますので、こうしたことを踏まえて3年という結論となりました。
  • 瀬川構成員 よく分かりました。ただ、資料1-1の2ページ目、真ん中辺りのブルーの字で書いてある部分のことを今おっしゃったのですね。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 そうです。
  • 瀬川構成員 私は、できれば、提言の中にも、これが盛り込まれてもよかったのではないかと思うのですが、これは盛り込めなかったのですか。盛り込んでありますか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 今述べたファクトは盛り込んでおります。
  • 瀬川構成員 どこでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 本日は配付しておりませんが、提言の2ページの中段に、3年を超えた1件については、自立支援医療制度が3年以内に利用されていることが判明した旨を記載しております。
  • 瀬川構成員 了解しました。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 分かりづらくてすみませんでした。
  • 瀬川構成員 ただ、この図のほうが非常に分かりやすく感じましたので、むしろ、この辺をもっと強調してもよかったのではないでしょうか。つまり、気の毒な方を切り捨てていないのだということをむしろ強調してもいいのではないかと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 その考え方で検討を行いました。
  • 瀬川構成員 結構です。それから、もう1点、この資料1-1の若年者の給付金の在り方についてです。この調査結果のうち、幼い子がいる犯罪被害者は、若年者に限らず、幅広い世代に分布しているということは注目すべき事実だと思います。
     その際に、「遺児のうち、より幼い8歳未満の者が約4割」だというふうに書いてあるのですが、その提言の中では、「遺児が18歳になるまでの年数分を満たすよう遺族給付金を増額」ということで、18歳になるまでという限定がついていますが、この点、どういう形で議論され、「18歳になるまで」という文言が出てきたのか。その点を御説明いただければありがたいです。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 現行の犯罪被害給付制度においても、生計維持関係遺族という概念があり、その範囲が政令で定められておりますが、その範囲に含まれる子供については、18歳未満とされております。では、そもそも18歳未満というのはどこから由来したのかといいますと、他の公的給付制度の中に様々な遺族年金がありますけれども、その中で子供というのは18歳で区切るという例が多く、そのような他の制度を参考にしながら、生計維持関係遺族として、18歳という年齢で区切っています。すなわち、今回、新しく18歳で区切ったというよりも、そもそも犯罪被害給付制度では、18歳未満の子供は生計維持関係遺族だということが位置付けられておりましたところ、そこまではしっかり支援しようという考えで、今回、制度設計をしたものです。
  • 瀬川構成員 分かりました。その際に、この会議でも指摘されたことがあるかと思うのですけれども、もう少し延ばしてもいいようなケースもあるのではないかというような議論は出ませんでしたか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 今回の有識者検討会では、遺児の在り方というよりも、親族間犯罪の在り方を検討する上で、御指摘のような議論がありました。具体的には、幼い子供が親族から殺されかけたといった、非常に気の毒な事案について、現行制度では支給が制限されるところ、これを何とかすべきではないかという議論をしていた際に、では、幼い子供としてその対象とすべき年齢は何歳かという議論をしました。小学生、中学生、18歳、いやいや大学生までかといった様々な御意見がありましたけれども、最終的には、他の公的給付制度も参考にしながら考えると、18歳というのが相場ではないのかなということになりました。
  • 瀬川構成員 この提言の中でも、その点が出ていますので、理解できます。今後も是非、具体的な症例を注意深く、検討対象にして頂きたいと思っています。
     以上です。
  • 飛鳥井議長 他の御意見、いかがでしょうか。中島構成員。
  • 中島構成員 幾つか質問があります。このたび、犯罪被害給付制度に関して改めて提言をいただきまして、拡充されましたことは本当によかったと感じております。私の患者様でも、今まで該当されなかった方が今後は該当するような形になってきたと思い、大変うれしく思っております。
     それ以外のことについての質問です。1つは、警察におけるカウンセリング費用の負担軽減です。この件につきまして、自分が座長をしたというのもあり、関心を持っております。公費負担制度の全国展開が23都道府県増えたということも非常に喜ばしいと思います。始まったばかりで、まだそれほどフィードバックはないかもしれませんが、実際に、これによって、今まで適用できなかった方たちへの適用が拡張されているというような、何かフィードバックがありましたら、教えていただきたいというのが1点でございます。
     2点目は、これも警察庁に対してですが、性犯罪被害相談電話の統一化です。こちらにつきましても、潜在化しやすい被害者がアクセスしやすくなったというのは大変喜ばしいと思います。一番の問題は、これがどの程度普及するか、要するに、皆さんに周知されるかだと思っております。先ほど少しお話がありましたけれども、本当に多くの方に知っていただきたいと思いますので、具体的な周知の取組について、工夫等ありましたら、教えていただきたいと思います。
     また、実際の世論調査でも、多くの方が相談機関・窓口を知ったというのは、ネット等ではなく、テレビとか新聞を通してという記事がございました。特にこういった媒介を通じての周知につきまして、何かお考えでしたら、教えていただきたいと思います。
     最後、3点目ですけれども、このたび、性犯罪に関して刑法改正が行われまして、先ほどの森山構成員の御質問にも関係あると思いますが、親告罪の撤廃ということがございますし、男性の方に対しても旧強姦罪が適用になるということですので、支援の現場でも何らかの変化があると思います。特に研修等が関係あるかと思いますので、法務省や警察庁の方で、何か刑法改正に伴う支援に関する御検討をなさっているようでしたら、お教えいただければと思います。
     以上、3点です。
  • 飛鳥井議長 お願いします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 まず、1点目ですけれども、御案内のとおり、去年からカウンセリング費用の公費負担を、国による予算措置、補助金化をしました。警察庁で予算の補助をしますと、まず、都道府県警察は、各都道府県の負担分の予算措置をしなければならなず、国の予算措置と実際の運用までの間にはタイムラグが生じます。そうした中でも、昨年度と比べプラス23都道府県で拡充することができたということについては、御理解いただきたいと思います。
     それから公費負担制度の使用実績や具体的な事例については、この場で御紹介できるようなものを持ち合わせておりませんが、当然のことながら、公費負担制度は有意義に使われていると考えています。これについては、また後日、改めて確認していきたいと思っております。
     2点目の性犯罪被害相談電話の統一番号化については、「#8103」(ハートさん)と銘打っていますけれども、御指摘のとおり、周知というのは非常に重要な要素だと思っております。現在のところ行っていますのは、まず、警察庁ウェブサイトのほか、フェイスブック等のSNSを利用した広報を行っております。また、性犯罪被害者の支援団体を通じまして、この番号の普及の依頼をし、快く引き受けていただいています。また、テレビや新聞でも、取り上げていただきました。
     ただ、中島構成員の御指摘のとおり、これは一過性のものではなくて、継続的に周知をして、何かあった場合に目に触れられるような形にしておくことが肝要だと考えております。そのため、私どもとしましても、引き続き、各方面に働き掛けていきたいと思っております。今後の予定ですが、ポスターを作成し、例えば学校等の協力を得ながら、広報することも考えております。
     3点目の刑法改正につきましては、様々な付帯決議がなされているところ、我々がやるべきこともあると考えておりますので、御指摘の研修についても、今後、考えていきたいと思っております。
  • 法務省大臣官房審議官 刑法改正に伴う対応ですけれども、これは、この法律の改正に限ったことではないのですが、当然、法改正がございますと、運用に大きな変化が生じますので、今、御指摘のように、対象に男性も被害者として含まれるようになる、あるいは、手続も親告罪でなくなるということもございます。そういうこともございますので、刑事局長から検察庁に向け、注意点等を盛り込んだ形での通知を発しています。また、今後の研修にも遺漏がないようにしていきたいと思っております。
  • 飛鳥井議長 よろしいでしょうか。他に、どうぞ。
  • 渡邉構成員 私たち犯罪被害者というのは、全国どこで被害に遭っても同じような支援が受けられる、そういう体制づくりというのが望まれるということで、それを願って、いろんな活動をしています。カウンセリングの全国展開という点で、部内カウンセラーがどんどん増えてきたと。あるいは、公費負担をする都道府県が増えてきたというのは分るのですけれども、まだ100%にはなっていないわけです。ですから、これは何で100%になっていないのか、その辺の理由と思われるものをお伺いしたい。
     それと、私は「全国犯罪被害者の会」の活動と同時に、「被害者が創る条例研究会」ということで、全国あまねく市町村に、被害者支援に特化した条例を作ってほしいということで活動をしているのですが、これがなかなか進みません。つい先日ですが、7月の末にも札幌に行きましてシンポジウムをやったのですが、これは名前を出して申し訳ないけれども、札幌市は政令指定都市で、190万ぐらい人口がいます。そこの窓口に、去年、どのぐらい相談がありましたかと聞いたら、1件だけでした。それも、他の市に住んでいる方が住宅の相談に来たというだけなのです。
     ですから、私に言わせれば、言葉は悪いですけれども、犯罪被害者支援が警察庁に移ったので、警察庁向けの総合窓口はできているけれども、被害者向けの窓口になっていないというのが非常に残念なところだと思うのです。周知徹底がなされていないということで、それを周知徹底させるには、やはり被害者支援に特化した条例をつくっていただき、広く公布をして、こういう窓口がありますよという形になれば、より市民にも浸透していくと思うのです。
     そこで、聞いた話なのですけれども、アメリカなんかですと、これはもう全国的に広めたいということがあった場合に、うろ覚えなのですけれども、例えば、メーガン法ができたときは、いつまでに、これに準じた州令というか、条例をつくると、補助金を出しますよということをやったら、ばーっとできたという話です。ですから、お金のかかることなので、なかなか大変だと思うのですけれども、そういう条例を作ったら補助金を出すということは可能なのかということをお伺いしたい。
     それと、今、法務省において、再犯防止に向けた何か検討会というものをやっているということをインターネットで見たのですけれども、過日、新聞にも、「労働を課すばかりじゃなくて教育する方に重点を置いて」というような記事も読みました。我々被害者から言わせれば、収容されている加害者、犯罪者の待遇がどんどん甘くなっているんじゃないかという気がしてしようがないのです。もちろん再犯なんか起こしてほしくない、新たな被害者も生み出してほしくないという思いはあります。その辺は難しいところなんですが、再犯防止と、自分の犯した罪に対する、きちっとした検証というか、反省、そういう点を認識させる、そういったものも必要なんじゃないかなという気がするんです。これは疑問というか、私の意見ですけれども、そういうことです。
  • 飛鳥井議長 自治体ごとのカウンセリング体制のばらつきの問題とか、それから、自治体の相談窓口が必ずしも機能していないといったような問題があるのではないかというような御指摘とか、いかがでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 まず、カウンセリングの公費負担についてですが、渡邉構成員の御指摘のとおり、まだまだ未整備なところがあり、今後も拡大できると考えております。
     何故措置ができないのかという事情については、県によって異なり例えば、信頼できる適当なカウンセラーがなかなか見当たらないという県があります。
     また、被害者が選んだカウンセラーによるカウンセリングの公費負担制度に、既に警察ではなく、県が補助金を出す民間団体が行っており、更に重複する形で警察にも同様の制度を設けることは難しいということで、県知事部局と交渉している県もあります。
     さらに、非常にテクニカルな話ですが、会計手続上、被害者への支給の手続がまだ整理できていないため、措置できない県もあります。適当なカウンセラーがいないということは、問題なのかもしれませんけれども、最後に申し上げました会計手続の未整理が理由となるものは、解決できる問題ではないかと思います。今後とも、どこでも同じような支援を受けられるように努めていきたいと思います。
     以上です。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 2点目の自治体における総合的対応窓口があまり機能をしていないのではないかという御指摘についてですけれども、渡邉構成員が御指摘のとおりで、我々としてもそういう問題意識は持っているところです。数字の上では、都道府県と政令指定都市では窓口の設置は100%であり、市区町村では、今年4月で98.6%と、ほぼ100%に近いところまで来たわけですけれども、実際の相談の数というのは非常に少ないのだという現場の声も聞いております。
     1つの問題意識として、では、例えば市役所に来たときに総合的対応窓口の存在が分かる状況になっているのだろうかということを確認してみたところ、案内板や窓口に、ここが被害者の相談窓口ですと掲げたりしているところが非常に少なかったのです。これでは、せっかく窓口があってもワークしないということにもつながりますので、アクセスしたい方がアクセスできるよう、周知をきちんとやっていくことが必要ではないかということで、今年5月の担当者会議でもお伝えして、共有したところでございます。
     あとは、相談件数を全国的に把握する必要があるのではないかということも考えておりまして、今後、詳細に検討していきたいと思っております。
     3点目の条例制定の促進についてですけれども、渡邉構成員のおっしゃるとおり、被害者支援に特化した条例ができるというのは、その地域における施策を進めていく上で非常に重要だと理解しております。ただ、地方自治との兼ね合いということを考えると、国の方で、例えばこういった条例を作ってくださいといったことを明示したりするのは、立場上難しいという制約もあるところでございます。
     そういった中でも、条例の有効性を考えて、条例を作った自治体の好事例や、条例を作ったことによるメリット等を会議等の場で共有するなどして、引き続き、条例制定が促進されるように考えていきたいと思っております。
     そういう意味では、条例を作ると補助金を出すというような制度設計までは難しいと考えていますが、できる限りの方策で、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  • 飛鳥井議長 カウンセリングの公費負担は、御指摘のように、本当に各自治体で実情は様々だと思います。意外と他の制度で救済されていたり、それから、そもそもカウンセラーの人的資源が絶対的に不足していたりとかということがございます。もう少しデータが集まったところで、各地域ごとに検討していくことが必要ではないかと思います。
     それでは、法務省から、先ほど加害者の処遇について、いろいろ指導プログラムを展開されているというお話でしたけれども、もう少し、御説明を補足してください。
  • 法務省大臣官房審議官 渡邉構成員からいただいた御指摘はごもっともかと思います。つまり、犯罪を犯した者の反省、悔悟、それが二度と犯罪を犯さないということの基本にあるということは、そのとおりかと思います。
     それから、今、併せて御指摘のあった再犯防止、確かにこれは法務省が今、1つの重要な施策として考えているところでございます。
     渡邉構成員が御指摘になった反省、悔悟の問題と、それから、犯罪者が施設から出た後、出たその日から、いわば生活の基盤が非常に築きづらい状況にあって、行き場所がない、住む場所がない、それから、手持ちのお金もほとんどなく就職も難しいという状況で、また犯罪を犯すという現象が統計的にもかなり見られていまして、今、犯罪のうち約半分は再犯者による犯罪ということもございます。
     もちろん反省、悔悟の上に、そういうような教育を施した上で社会に復帰していただくという基本姿勢に変わりはございませんで、そこを緩めるという趣旨ではなく、しかし、更生するにも、更生を妨げるという事情があるならば、せっかく反省して、一生懸命、社会に復帰しようという者に対して、そこは甘くするということではなく、取り除ける障害があるのなら、それを取り除くことによって、二度と犯罪の被害者を生まないというようなアプローチですので、私は、両方を両立させたい、させなければならない問題だと思っているところでございます。
  • 飛鳥井議長 よろしいでしょうか。武構成員、どうぞ。
  • 武構成員 私は、21年前に息子が事件に遭っているのですけれども、そのころを思い出してみると、こういうものは全くありませんでした。だから、私は、本日、ここに来る時からいろいろな事を思いだし、胸が詰まっていたのですが、今、第3次基本計画の261項目を見て、そして説明を聞いていて、ああ、変わったな、本当によかったなと思い、嬉しくて涙が出ます。でも、すばらしい政策なのですが、知らない人が多いのが現状です。遺族になった私たちでさえ知らないのです。
     それは、ほとんどの犯罪被害者は突然、事件に遭います。そんな人たちがこれらの施策に行き着くのは本当に大変です。だから、いかにその人が早い時期にこういうことを知るかが大事だと思います。だから、告知というか、それにもっと力を入れていただきたいです。
     そして、遺族だけでは、その内容を理解することは難しいです。ですから、より早い時期からの支援が必要なのです。多くの場合、まずは警察と関わりますので、警察の窓口、支援センター、現在ではいろいろな機関に窓口があると思いますので、その関係機関の連携を今よりもっとしっかり作ってもらいたいです。そうでないと、必要なときに必要な施策が使えないということがあると思うのです。だからそういうことにもっと力を入れていただきたいなと思います。
     そして、幾つか質問があります。損害賠償のところで、充実させるというところがあるのですが、ここには、国が立替払をするということは入っているのでしょうか。といいますのは、私たちは、少年犯罪の被害者なので、民事裁判で勝訴しても加害少年には、支払う力がないと言われてしまいます。もちろん少年院、少年刑務所から社会に出て、働いて、一生懸命払うという人がいたらいいのですが、少ないです。ほとんどが支払われないままになっています。だから、私たちは、国が立替払をして、国がその加害者からしっかり回収していただきたいのです。そういうことは、まだ考えられていないのか、どうなのか、それを聞きたいです。
     それと、被害者の心情伝達という制度が数年前からできました。良かったなと思うのですが、被害者遺族は、そのために一生懸命、何日も前から文章を考えます。事件のときに戻って、その思いを一生懸命、書くのです。そして、ものすごい思いで出かけていって話をするのですが、それがどんなふうに反映されているのか分からないです。反映されているのか、ただ聞くだけなのか、形だけなのか。経験をした人たちは、みんな言うのです。「形だけだったのではないか、何も反映されていなかったように思う」と言うのです。だから、もし、反映されていたなら、どんなことがどんなふうに反映されたかということをちゃんと被害者に伝えていただきたいのです。そういうことは考えられているのかなと思いました。
     もう1つ質問があります。私たちは、警察庁が行っています「命の大切さを学ぶ教室」で話をしています。会の人たちも何人かが行っています。この取組が何年も続いているので、時々、感じることがあるのです。1年に何回かを、ただその回数をこなせばいいと思っているのではないかなという事を感じてしまうことがあるのです。担当の方が熱心な方であればいいのですが、ただ回数をこなして、被害者遺族が話をすることで良しとなっているのではないかと不安を抱えています。
     もう1つは、自分の話でいいのかなと思い、とても不安なのです。自分の話が本当に子供たちに届いているだろうかと悩みます。その後に感想文をもらい、読ませてもらうのですが、多くの子供たちは、とてもいい話だったといいことを書いてくれます。優しいなと思います。時には自分の悩みを書いてくれる子供もいるので、読んでいて嬉しくなったり、時には涙することもあります。でも、やっぱり悩むのです。遺族の話が子供たちにとっては難しい内容が入っていて理解しにくいのではないか等考えたりします。だから、気付いたところがあった時には、どんな工夫をしたらよいか、そういうのも、よかったら教えてもらいたいです。それでないと、自己満足になってしまうのが怖いのです。
     遺族だから言えないとか、言いにくいとか、それではだめだと私は思うのです。この教室は大切でこれからも続けてもらいたいです。だからもっと充実させるには、主催する人たちも私たち遺族もしっかりとした意識を持って取り組むことが大事だと思います。そういうことは考えられているのか、少し聞きたいと思いました。お願いします。
  • 飛鳥井議長 ありがとうございました。最初に言われた支援策に関する広報、普及ですね。それから、連携については、もう第3次基本計画の随所で、これも非常に重要だということが言われております。正に御指摘のとおりで、今後とも、その点で充実していくということが基本計画の大前提でございます。
     それから、公的な立替払制度につきまして、私はその議論はしていないのですが、第3次基本計画の議論のときにも、多分、出てきたようなことで、構成員の方は、大体、それについて一通り議論されてこられて、それぞれの御意見があるかと思いますので、そこの経過があれば、第3次基本計画の策定のときに、有識者の方からどういった意見が出たかということをお話しいただければと思います。
     それから、最後の被害者の方の心情をどういうふうにお話していただく、あるいは、「命の授業」の在り方、これはもう、個々の現場でも、日々、悩んでいるところでございまして、どういうふうに伝えるのがいいのか、あるいは、どなたにお話ししていただくのがいいのかというのは、これは、こういう制度設計というよりも、本当に個々の現場でも、日々悩み、工夫しているところでございます。そういったところでの事例ですとか、こういうふうにしたら、とてもよく市民の方に伝えることができた、あるいは、学校でうまくいったような事例をいろんな形で支援者の間で教育していくということかなと思いました。
     それでは、賠償制度のことについて。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 立替払の点について、警察庁からお答えをさせていただきます。立替払につきましては、第1次基本計画のもとで開催されました「経済的支援に関する検討会」で、論点の1つとなっておりまして、その議論の結果としては、立替払制度は、結局は犯罪被害給付制度の拡充の議論に帰するとされたところでございます。犯罪等による被害について、一次的に責任を負うのは加害者であるということですとか、経済的支援は社会の連帯共助の精神にのっとって行うなどの理由から、この制度については採用されなかったという経緯がございます。その後、この検討会での結論を変えるような変化というものは、現在のところないのではないかと考えておりまして、現時点において、国において、立替払制度を導入するということは考えていないというお答えになります。
     ただ、武構成員がおっしゃるように、加害者の損害賠償責任が十分に果たされていない状況については非常に問題意識を持っているところでして、そのような意味で、第3次基本計画の施策として入っている「損害賠償責任の実現に向けた実現方策」について、先ほど御紹介した法制審議会の部会での議論等もございますけれども、こういったものも注視しつつ、その実現が図られるよう考えていきたいと思っております。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) 「命の大切さを学ぶ教室」などで、遺族の皆様方に大変お辛いお話をしていただいており、これは本当に感謝をしているところです。我々は現場で、遺族の皆様方に話をしていただくときに、どういう形で行ったら今後にも活きるかとか、どういう形で心に響かせて、それで、1つは加害をしないようにと。もう1つは、我々警察の職員も聞くことが多いのでございますけれども、被害に遭われた方にどうやって接していくかとか、そういうことを現場でもいろいろと考えながら、遺族の皆様方とお話ししながら、そういう教室とか、講話をしていただいているつもりではあります。
     ただ、遺族の皆様方、被害者の皆様方に、そういうふうに不安に思われるようなことになっているというのは、我々としても、相当反省をしなくてはいけないと思っております。そういう教室を行う回数の問題ではなくて、1つ1つのお話の中で、全員に響くかどうかは、本人の心の問題なので、分からない部分はあるのですけれども、人の集め方もそうですし、話し方もそうなのですけれども、そういうことについて、我々自身も現場の方ともよく話をして、しっかりと心に響くような形を作っていけるよう、今後、一層、進めていきたいと思っております。
     また、皆様方、特にお話しされている方々の御意見というか、それを我々とよく話をさせていただいた上で、一層、充実していくという形を進めていきたいと思っております。現場でもそうですし、我々にも教えていただければ、その改善を少しずつでもしていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  • 飛鳥井議長 法務省、どうぞ。
  • 法務省大臣官房審議官 いろいろ被害者の方、御遺族の方がお話をいただくに当たっては、大変な御負担を乗り越えてきていらっしゃるということにお応えする意味でも、それがどう響いたのかということを伝える努力をきちんとしなければならないと改めて思った次第です。
     いろいろな行政施設の職員が窓口となって、皆さんにお願いに上がり、また、皆さんのお話をお聞きして、それについてどう思ったのかというようなことを、加害者からお聞きした内容は、できるだけ皆さんの方にお伝えするということにしたいと思っていまして、そういう取組をしてきたつもりですが、実際、具体的な個々の現場では、そういう認識に不足があったのかもしれません。
     今日のお話をいただいて、改めて被害者の方々にお話ししていただく意味と、また、それがどう加害者に響いたのかということについて、きちんとコミュニケーションができるように周知を図っていきたいと思っております。
  • 飛鳥井議長 中曽根構成員、あと、その次、瀬川構成員。
  • 中曽根構成員 国土交通省の方について、先ほどはどうもありがとうございます。公営住宅の優先入居について取組が進んでいるということで、安心いたしました。引き続き、よろしくお願いいたします。
     それから、公共交通事故被害者への支援のことについてなのですが、確かに国土交通省の方も、例えば長野の事故のときとか、駆けつけて、相談に応じられたということを聞いています。しかしながら、被害に遭われた方たちは、その後もずっと、中長期的な支援が必要であるという意味で、民間の援助団体の立場といたしましては、国土交通省との連携は、まだまだ少ないように実は思っております。
     例えば、被害に遭われた方々は、軽井沢から、それぞれの地元にお帰りになると思うのですけれども、帰られた後のサポートについては、地元の民間援助団体等との連携を強化していただけたらということを考えております。もし私が分かっていなかったら大変申し訳ないのですが、そのようにお願いしたいと思っております。
     それから、法務省の方にお願いです。先ほど武さんが言われたことにも近いのかもしれないのですけれども、心情の伝達制度について、私どもが支援をした方の中には、実は、伝達するのではなくて、保護観察中の加害者に、できたら、第三者を入れて、保護観察所の方でもいいのですけれども、直接会って話をしたい、意見を述べたい、それが伝達するという制度というのはちょっと、と思われる方もいらっしゃいます。御遺族とか被害者の方が加害者に向かっていくようなことはしないと思うのですけれども、加害者に、できたらきちんと自分で意見を伝える方法はないものでしょうか。その辺は、被害者の方や御遺族のニーズに応えられるような制度になっていかないものかと考えています。意見として述べさせていただきたいと思います。
     それから、意見等の聴取制度、これは地方更生保護委員会のあるところに行って意見を述べるというのが基本だと思います。例えば新潟ですと、埼玉に行かなければなりません。埼玉までの旅費が出るわけでもなく、そこに行って意見を述べるか、あるいは、郵送で手紙を送るかというのが基本です。
     ただ、地元の保護観察所で、被害者担当保護観察官でしたか、そういう方がおられて、そこに、地元の保護観察所に行って意見を述べたり、一緒に文章を作成してもらったり、そういうことができることもあるのです。でも、それは、多分、更生保護における被害者支援のパンフレットとかリーフレットの中には、地元でもそういうことができますよということは書いていないのではないかと思うのです。
     できたら、被害者の方は地元で被害者担当保護観察官の方と一緒に考えたりしながら、文章を作成するということもできるということを周知徹底させていただきたい。被害者支援センター等に関わられた方だと、そういうこともできますよとお伝えしたりしているケースもありますが、そうでない場合は、あまりお分かりにならない被害者の方あるいは御遺族の方が多いと思いますので、その辺はパンフレットなどで周知をなさっていただけるとありがたいと思っています。よろしくお願いします。
  • 飛鳥井議長 それでは、国交省の方から。
  • 国土交通省総合政策局次長 御指摘ありがとうございます。公共交通の事故被害者支援室につきましては、先ほど申し上げましたが、60名の体制で行っておりまして、事故が発生した直後に対応するということを申し上げました。
     それ以外に、平時における対応も行っておりまして、例えば支援員の訓練だとか、あるいは、フォーラムの開催等もしております。それ以外に、被害者の支援ネットワークというのも構築をしておりまして、警察、消防、医療機関、海上保安庁、日赤の方々等ともネットワークを構築するようにしております。加えて、犯罪被害者支援のNPOの方々とのネットワークも作っております。
     例えば、8.12、JALの事故の方々です。遺族の連絡会の方々との窓口も作って、パイプで交渉といいますか、相談もしております。また、軽井沢のスキーバスでありますと、北陸、信越の2局において相談窓口を開いております。ただ、今、中曽根構成員から御指摘をいただきましたが、新潟を担当しておりますのが北陸、信越の2局でございます。まだお話をさせていただいていないということがありましたら、直ちに私どもの方から御連絡をさせていただきまして、ネットワークをきちんと作らせていただきたいと思いますので、御協力方、よろしくお願い申し上げます。
  • 中曽根構成員 よろしくお願いします。
  • 飛鳥井議長 続いて、法務省。
  • 法務省大臣官房審議官 先ほど御意見いただきまして、ありがとうございます。1点目につきましては、持ち帰らせていただきたいと思います。
     2点目につきまして、旅費については、平成27年度から支給されるようになっていると承知しています。
     それから、それぞれ意見聴取あるいは心情の伝達等の制度について、御指摘もございましたし、その辺の周知のお話もございましたが、リーフレットにつきましては、今後、直近の改正で、その趣旨を盛り込むということで、今、準備を進めているところですので、できましたら、また御参照いただければと思います。
  • 飛鳥井議長 それでは、ちょっと時間を超過していますので、瀬川構成員、お願いします。
  • 瀬川構成員 今、中曽根構成員が言われたことに関連して申し上げますと、被害者と加害者との対話という問題は、修復的司法という試みがあって、海外でなされており、我が国にも影響を与えています。私は、時期尚早と考え、10数年ぐらい前には反対の立場をとりました。
     実際の場面でも、犯罪の類型によっては、加害者が被害者に会いたくない、顔も二度と見たくない方もおられますし、全ての試みがスムーズに運ぶと思われませんので、国としての制度設計に私は反対の考えをもっていました。
     ただ、今後、個々に具体的な事例の中で、加害者と被害者が対話する試みが必要なケースがあり、被害者の心情から考えて問題がないようであれば、実施に移す試みを考える余地もあるかもしれません。
     先ほどの武さんの御発言は感銘深くお聞きしました。御存じない方もあるかもしれませんが、少年法改正と被害者保護2法を被害者の立場から力強く推進されたのは武さんでありまして、我々、研究者も、武さんの書かれた意見書等を参考にさせていただきました。
     先ほど、この会議に来られて非常に隔世の感があるというようなことをおっしゃいましたが、この会議は、国の各省庁が集まっています。当初は警察庁と法務省が中心でしたが、今では各省庁に広がっています。是非、武さんもいろいろ気づかれたことを、渡邉さんも含めて、どんどん言っていただきたい。ただ、すぐに解決できる問題というのは少ないと思います。なぜかというと、かなりの程度に被害者支援は進展しましたので、残る問題というのは、時間を要する問題もあると思います。すぐに改善できないことも多いのですが、是非意見をおっしゃって、政策を実現していただきたいと思います。
     以上です。
  • 伊藤構成員 時間がないようですので、簡単に。伊藤と申します。
     心情等伝達制度の話が出ましたので、多分、武構成員は、更生保護における心情等伝達制度のことを言っておられたのだと思いますが、今、修復的司法の話もあって、日本で唯一、加害者と被害者との対話というか、そういう萌芽が見えたのがこの伝達制度だったと思うのです。
     ただし、内実を見ますと、なかなか更生保護の中で被害者支援をすることが難しいというのがあって、一応、被害者担当保護司、被害者担当保護観察官という方がおられますけれども、なかなか被害者の心情を酌み取って、それをしっかり加害者に伝え、しかも、それを加害者の更生につないでいく、そういうことが被害者の方にまた伝えられるというところまでいっていないのではないのかと思っています。
     特に、担当官の方は加害者支援、加害者の更生についての教育やトレーニングを受けておられて、そういう仕事をなさってきている方たちの中に被害者支援を入れ込むというのはやっぱり難しいという事情があるのかなと思っています。3年前に調査をさせていただいたこともあって、是非、法務省の方で、この心情等伝達制度を本当に被害者のための制度にするにはどうしたらよいかということを御検討いただけたらと思っております。
     以上です。
  • 瀬川構成員 今おっしゃったとおりで、被害者の心情を聞くのですけれども、その結果、どうなったかの詳しい説明が被害者になされていないことが少なくないのではないかと思います。その点をきちんとやらないと、中曽根構成員がおっしゃったような、お互いの心情を交わし合うということは不可能だと思います。ただし、それは難しさがあると、法務省も御存じだと思いますが、そこを突破できるような仕組みを是非やっていただきたいと思います。
  • 飛鳥井議長 法務省の方、宿題になりますけれども、今日はもうディスカッションを深める時間がございませんので、また何かの機会にいろいろと御説明いただければと思います。
     それでは、少し超過いたしましたけれども、大変熱心な御議論をありがとうございました。
  • 森山構成員 2時間という時間なものですから、私、実は13くらい質問を予定していたのですけれども、今日は3つで終わりました。議長にお願いなのですが、私が聞きたいことをペーパーで出しますので、各省庁の方に、いずれ、お答えいただくという形で、そういう機会を設けてほしいと思います。よろしくお願いします。
  • 飛鳥井議長 よろしいですか。書面回答のような形。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 検討をして、後ほど御連絡をさせていただきます。
  • 飛鳥井議長 関係府省庁におきましては、引き続き、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の確実かつ適切な推進をお願いできればと思います。
     本当に大変熱心な御議論をありがとうございました。
     それでは、これをもちまして、第26回基本計画策定・推進専門委員等会議を終了いたします。
     本日はありがとうございました。
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電話番号 03-3581-0141(代表)