第25回基本計画策定・推進専門委員等会議議事録

開催要領

日時:平成28年11月25日(金)午後4時00分~午後6時00分
場所:警察総合庁舎7階大会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中島 聡美 公立大学法人福島県立医科大学放射線医学県民
健康管理センター特命准教授
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  飛鳥井 望 医療法人社団青山会青木病院副院長
  伊藤 冨士江 上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  西川 直哉 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当)
  野川 明輝 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長
  大塚 幸寛 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
  橘 清司 総務省大臣官房企画課課長補佐
  高嶋 智光 法務省大臣官房審議官
  関 靖直 文部科学省大臣官房総括審議官
  進士 順和 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  瀧口 茂隆 国土交通省総合政策局政策課企画専門官
  吉田 英雄 金融庁総務企画局企画課調査室課長補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況について
  3. 閉会

配布資料

資料1 第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況の把握方法
資料2 警察庁提出資料
資料3 内閣府提出資料
資料4 法務省提出資料

議事内容

  • 椎橋議長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
     ただ今から、第25回基本計画策定・推進専門委員等会議を開催いたします。
     本日は、第3次犯罪被害者等基本計画の決定後、初めての専門員等会議になります。構成員の皆様方も大分お久しぶりという感じがいたしますけれども、よろしくお願いいたします。
     今後の会議の主たる役割を申しますと、それは、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の実施状況のフォローアップということになりますので、よろしくお願いいたします。
     それでは、まず本日の議事及び配付資料について、事務局から説明をお願いします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 警察庁で犯罪被害者等施策担当の参事官を務めております、阿波亮子と申します。事務局を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
     それでは、お手元の議事次第を御覧ください。
     本日の議題は「第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況」の御報告でございます。
     配付資料につきましては、資料1から資料4までになります。
     資料1は、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況の把握方法に関する資料でございます。
     資料2から資料4は、関係府省庁から御提出いただきました、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の主な進捗状況に関する資料でございます。
     また、参考資料として、平成28年版の犯罪被害者白書を卓上に置かせていただいております。139ページ以降には、第3次犯罪被害者等基本計画の全文も掲載されておりますので、適宜御参照をお願いいたします。
     事務局からは、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     議事に入る前に、本年4月、犯罪被害者等基本計画の作成及び推進に関する事務が、内閣府から国家公安委員会・警察庁に移管されました。御承知のことと思いますが、それに伴いまして本会議の構成員も変わっております。これについて、事務局の方から御説明をお願いします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 事務局でございます。
     内閣府から国家公安委員会・警察庁への事務移管に伴いまして、内閣府の犯罪被害者等施策推進室長のポストが廃止され、これにかわりまして、警察庁に関係府省庁における犯罪被害者等施策を取りまとめる審議官ポストが新設されましたので、当該審議官が本会議の構成員となっております。
     また、内閣府の男女共同参画局は、女性に対する暴力の根絶に関する事務を担っており、その重要性を踏まえて、4月から新たに内閣府の男女共同参画局担当の審議官に本会議の構成員になっていただいております。
     事務局からは、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     事務移管に伴い新たに構成員になられた方に加えて、前会議以降、人事異動により、関靖直文部科学省大臣官房総括審議官が新たに構成員になっておられます。
     ここで、新たに構成員になられた方から、一言ずつ御挨拶をお願いしたいと思います。
     警察庁からお願いいたします。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) 警察庁の官房審議官、西川でございます。
     どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 続きまして、大塚審議官お願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 内閣府の大塚と申します。今、御紹介のありましたとおり、私ども男女共同参画の一環として、女性に対する暴力に取り組んでおりまして、まさしくその1つの切り口といたしまして、性犯罪・性暴力被害者の支援に取り組んでいるところでございます。
     よろしくどうぞお願いいたします。
  • 椎橋議長 続きまして、関靖直文部科学省審議官、お願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省の総括審議官をしております、関でございます。
     どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 それぞれ新しく構成員になられた方々、どうぞよろしくお願いいたします。
     なお、本日は構成員以外に、金融庁の担当者の方にも御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
     それでは、これから議題に入っていきたいと思います。
     本日のメインは、関係府省庁からの進捗状況の報告でありますが、その前に、第3次基本計画ではフォローアップの実施について、施策の進捗状況の点検においては定量的に把握することに努め、これが困難な場合もできる限り定性的に把握するとされております。
     そこで、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況の把握方法について、現時点で関係府省庁において考えている方法について事務局から御説明願います。
     お願いします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 事務局でございます。
     資料1を御覧ください。
     第3次基本計画には、重複を含めて261の具体的施策が盛り込まれており、また、先ほど議長からの説明にもございましたが、フォローアップの実施については、施策の進捗状況の点検においては定量的に把握することに努め、これが困難な場合もできる限り定性的に把握するとされております。
     これを受けまして、関係府省庁において、具体的施策の一つ一つについて進捗状況の把握方法を検討していただきました。担当省庁が複数ある施策については、省庁別に進捗状況の把握方法について検討していただきました。
     検討に当たっては、各省庁において、まずは定量的に把握することを検討していただき、これが困難な場合にもできる限り定性的に把握することを検討していただきました。また、定量的又は定性的に把握できない場合には、その理由についても明記していただきました。
     関係府省庁における検討の結果、定量的に把握するものが83、定性的に把握するものが124、定量的又は定性的にも把握できないものが87となっております。
     定量的に把握するものについては暦年又は年度で取りまとめるものがほとんどであり、本日の関係府省庁からの報告において数字的にお示しできるものはなかなかございませんが、今後、進捗状況を定量的に把握するものについては、その推移について専門委員等会議で御報告していくとともに、できる限り犯罪被害者白書の中でも紹介していく方向で検討していきたいと考えております。
     事務局からは、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策を、犯罪被害者等にとって実効性あるものにし、また対外的な説明責任を果たすという意味で、定量的又は定性的なフォローアップの実施は非常に重要であります。
     ただ今事務局から説明のありました、具体的施策の進捗状況の把握方法につきまして、御質問、御意見等がありましたら、お願いしたいと思います。
  • 飛鳥井構成員 では、個別なことを話してもよろしいのでしょうか。まだ、全体の総枠のお話でしょうか。
  • 椎橋議長 ここでは、把握の方法論と言いますか、それについてお伺いして、具体的な問題についてはこの後、各省庁から実施状況についての御説明を伺うことになっておりますので、あるいはそこでのほうが適切かもしれませんが、でも、総論に関わるようなことであればここで御発言いただきましょうか。
  • 飛鳥井構成員 後ほど。
  • 椎橋議長 またその先のところで具体的なところを御意見なり御質問なりしていただいてもいいと思いますが、後になって、先に言っておけばよかったなと思っても困りますので、どうぞ御発言ください。
  • 飛鳥井構成員 よろしいですか。各論的な話で申し訳ないのですが、よろしいでしょうか。
     ざっと拝見させていただいて、定量的な評価も目指されるということは大変よろしいかと思うのですが、各具体的な項目の中で是非その定量的な評価として加えていただければいいかなと思ったのが、1つは、8ページの、性犯罪・性暴力被害のワンストップセンターの設置促進のところでございます。御存知のように、日本では拠点型、連携型、相談型として、いろいろなタイプのものが全国でどんどん、展開しているところでございますが、一方でいろいろな形があって、その運営の理念というのが少し幅が広がって、どういうものだったのかなというのが分かりにくいということがございまして。
     個人的なことなのですが、今年の2月と3月に、たまたまイギリスのほうで全国被害者支援ネットワークの調査事業がありまして、それに行って、スコットランドのSARC(サーク)のワンストップセンターを見学する機会がございましたけれども、やはりイギリス等は非常に理念がはっきりしておりまして、ぶれが全くないんですね。
     そういうところで見たときに、やはり日本も最初はそのワンストップセンターというのは理念がはっきりしていたのですけれども、とにかく全国に広げたいということがあって、いろいろ現状に合わせたというところがございますけれども、今後、第3次基本計画で取っかかりになって、おそらく第4次でも更に充実させていくということになったときに、その機能をどう評価するかということがやはり大きいかと思うんですね。そのときに何か定量的な評価をしていただければと思うんです。
     具体的には、これは個人的な提案なのですけれども、本来のワンストップが持っていた機能というのは、まず緊急の婦人科診察と、証拠採取、それから初期の精神援助、この3つが1カ所でできるということ。おおむね期間としては、被害を受けてから1週間程度と。これがおそらく欧米で提唱されていたワンストップということなのだと思うんですね。
     だから、日本でも本来のワンストップの機能を果たせた件数というのが、それぞれどれくらいなのか。それは拠点型でも連携型でも相談型でもいいんですけれども、要するに、その3つを、被害があってから1週間以内の被害者に提供できた件数がどれくらいなのか。
     その件数が伸びていくということが、おそらくこのワンストップの充実につながると思うので、おそらく年度ごとの集計をしていけば、非常に順調にその数が毎年伸びていくようなセンターと、それから伸び悩んでいるセンターがあって、伸びているセンターはどういう条件がよかったために伸びていったのか、伸び悩んでいるセンターはどういうところにもう1つ工夫が必要なのかといったようなこと。
     定量的に把握ができて、それを評価できれば、次の何年後か、さらに充実させていくことにいかしていけるのではないかなと思ったので、それが1つなのです。
     もう1つは、自治体の総合相談窓口のことなのですが、これも全国的に展開しておりますが、充実しているところと、それから実際設置はしたものの、もう一つ件数が伸びていないところがあるというのは、大体薄々分かってきているので、それも定量的に、ざっくり相談件数でも何でもいいのですけれども、やはりちょっと評価をしていただいて、順調に機能しているところと、もう一つ機能し切れていないところとを比較していけばいいかなと思いました。それが2つの提案でございます。
  • 椎橋議長 どうもありがとうございました。
     ワンストップ支援センターにつきましても、自治体の相談窓口につきましても、全体に関わる御指摘でしたので、今御発言いただいたのは大変よかったと思います。
     いずれにしても、その定量的な把握というものが必要であると。
     特にワンストップの問題につきましては、飛鳥井構成員が最近視察されたスコットランドの実情をお話しいただきまして、3つの機能について1週間程度でどのぐらい実施できたのかというようなことを提供できるということが望ましいという御意見をいただきました。
     総合相談窓口についても、ばらつきはあると思うけれども、やはり全体としてどのぐらい行われているのかということを定量的に把握すべきだという御意見をいただきました。
     これについて、全府省庁に関わるので、この時点で何か御説明できることはありますでしょうか。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) ただ今頂戴した御意見を踏まえまして、各府省庁のほうでも、もっと定量的、定性的に評価できるものがあるのではないかという観点から、再度御検討いただければと思います。
  • 椎橋議長 この定量的に、あるいはそうでなければ定性的に、それもできない場合はできない理由を示してほしいという形で始めたところで、この会議で、これからまず府省庁の取組状況について御説明いただいて、それについて委員の方々から御意見をいただいて、どういうふうに更に進めていったほうがいいのかというようなことを含めて、その過程で全体としてもどのぐらいそれが実現されていくのかということをまとめながら、そういうあるべき方向に向かってやっていこうということになろうと思いますので、そういう意味で1つ重要な指針になる御意見をいただいておりますので、ただ今の御意見を参考にさせていただきたいと思います。
     ほかに御意見ございませんでしょうか。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 まずは質問です。定量的把握については各省庁での理解の誤差は少ないと思うのですが、今回この定性的把握を評価していただくに当たって、共通認識としてどのようなものをもって定性的把握という形で聞かれたのかというのをお伺いしたいと思います。
  • 椎橋議長 ただ今の御質問については、事務局からお願いします。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 定性的評価という言葉については、3次計画の策定の過程においてもちょっと分かりにくいのではないかといった御意見を頂戴したところでして、最終的にはこの定量的、定性的という言葉の形で基本計画として策定されたわけなのですけれども、その定性的ということにつきましては、3次計画での検討過程で事務局から御説明させていただいたとおり、各施策の中でこういった好事例があるとか、あるいは、こういった考え方を、例えばトレーニングを行うといった取組をするのであれば、それをテキストの中で新たに書くことにしましたとか、そうしたことが、言ってみれば定性的な把握として進捗状況と言えるのではないかということで、御説明させていただいたところです。
     ただ、今回、この会議に先立って各省庁からこの把握方法について伺った際に、確かにそこは御指摘のとおりばらつきがあって、そういった具体例を掲げるといったところもあれば、あとは更に進んで、効果測定と言いますか、それをやったことによって、アンケートの結果、こういう結果が出ましたとか、そういった測定を定性的な評価というところで記載していただいた省庁もございますので、ここはむしろ構成員の先生方の御意見を頂戴して、どういった形で評価するのが一番施策の評価としてふさわしいかというところも、御意見を頂戴できればと思っております。
  • 椎橋議長 ただ今の説明にありましたように、この問題は、前の第3次計画案をまとめる段階でも議論になりました。必ずしも定性的な把握というのははっきりしないのではないかというところがあって、今、説明をいただいたところでありますけれども、より定性的な把握というものはこういうものなのだという中身について、より明確にするということが、この専門委員等会議の中で実現できるといいなと思っております。
     そういうことも含めて、こういうことだけが定性的な把握なのだということは、なかなか内包、外延含めて、どうだというのはまだ言えないところがあるのではないかなと、私も思っているのですけれども。言えないなんていうのは、そんなことでいいのか、と言われそうな感じがするのですけれども、より明確な基準、概念にしていくということも含めて、ここで議論して作り上げていきたいと考えております。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 今、議長からお話があった点、非常に重要だと思います。
     なぜかと申しますと、その厳密な定性的な定義にこだわるというよりは、できるだけ定量的、定性的に把握できないという部分を減らすというふうに言ったほうがいいのではないかと私は思っております。
     どんな小さな取組であっても、それに一歩進んだということは評価するべきことだと思いますので、府省庁間で、例えば取組とか、実態例の把握というのはそこまで定性的評価に入らないと、もし考えておられる府省庁があれば、それも是非含めて、ない、と言わずに、ある、というふうに見直していただけたら良いのではと思います。
  • 椎橋議長 大変有益な御意見をいただきました。貴重な御意見でありました。ありがとうございます。
     どうぞ、瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 私は前の会議でも、定性的とか定量的ということは、一般市民から見ると分かりにくい言葉だと言ったんですけれども、あるいは、被害者の方がこの文献を見られてすぐ分かるというものではないと思うので、そういう意味で今の御発言はすごく大事で、特に参事官がおっしゃった、具体的な例示というのは1つだということですね。具体的に有効な方法であるということですね。
     そのほか、何かないですか。具体的な。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) 取組の具体例を書くというのが、一番の定性的な評価の例だと思うのですけれども、アンケート調査をして効果を測定すると書いていただいた府省庁も多いので、そういった、その施策をしたことによる影響と言いますか、どんな効果が現れたのかというところを結果として明記していただくということも1つの定性的な評価に当たるのではないかと思います。
  • 瀬川構成員 おっしゃったことを踏まえますと、中島構成員が言われたことも踏まえて、若干模索的ではあるのだけれどもそういう定性的なものを探っていこうという意味に理解していいのですね。
  • 警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当) はい。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     そのほかには、いかがでしょうか。
     各府省庁から出された中には、先ほど出た事例、取組の具体例、アンケート調査、モニタリング、それから施策の取組状況の把握、こういったところが定性的な把握として出されているというところでございます。
     先ほど事務局から説明がありましたように、今回の、今の時点での報告としましては、各府省庁からの検討の結果、定量的に把握するものが83、定性的に把握するものが124、定量的又は定性的にも把握できないものが87となっているということで、先ほどの中島構成員の御意見によれば、その87を少なくし、さらに124を少なくし、というような形で努力を続けていく。そのためにはどうしたらいいかということがこれから議論になるのだろうと思います。
     それで、特に今の時点で、この言ってみれば方法論についての御意見がなければ、今いただいた御意見を踏まえた上で、関係府省庁におかれては具体的施策の進捗状況の把握方法について改めて御検討いただきたいと思っております。
     そういうことで、次に進んでよろしいでしょうか。今のところで何か言い忘れたということがなければ、先に進ませていただいてよろしいですか。
     それでは、先に進ませていただきたいと思います。
     今日のメインのテーマなのですけれども、本年4月1日に閣議決定されました第3次基本計画は、その計画期間を5年とし、各府省庁が担当施策を推進していくということになっております。
     本日は、現時点の主な進捗状況について、各府省庁から報告をしていただきたいと思います。各構成員からの質問、意見等は全ての関係府省庁からの報告が終わった後に、まとめてお願いいたします。
     まずは、警察庁からお願いいたします。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) それでは、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策のうち、警察庁が推進主体となっております施策の、これまでの進捗状況について御報告を申し上げたいと思います。
     なお、時間の関係もありますことから、ここでは特に御報告すべき進捗が見られたものについてかい摘んで御報告させていただきます。
     1つ目は、施策番号15でございます「カウンセリング等心理療法の費用の負担軽減」、それから、施策番号58にございます「警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実」についてでございます。
     資料2-1に記載がございます、「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」において取りまとめられました報告書を踏まえまして、本年4月1日に、カウンセリング費用の公費負担の実施要領に係る通達を、全国警察に発出いたしまして、制度の全国展開を図っているところでございます。
     また、警察部内カウンセラーや警察部外の委嘱カウンセラーによるカウンセリングを実施しているところでありますが、犯罪被害者がカウンセリングを受けやすい環境の更なる整備を推進する前提といたしまして、第3次基本計画開始時点におけます警察部内カウンセラー等の配置状況の確認を進めているところでございます。
     今後は、この確認結果を踏まえまして、性犯罪被害者に対するカウンセリング制度が充実したものとなるよう、全国会議等を通じて指導を実施していくとともに、この指導に基づく配置状況の変化等を調査、公表する予定でございます。
     次に、「海外での犯罪被害者に対する経済的支援」についてでございます。施策番号19でありまして、資料は2-2、2-3でございます。
     この施策につきましては、国外において行われた犯罪行為により一定の被害を受けた日本国民又はその御遺族の方に対しまして弔慰金等を支給する国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律が本年6月7日に交付されましたことから、今月の30日に予定されております同法の施行に向けまして、警察庁において下位法令の整備や、事務担当者に対する制度説明会の開催、ポスター等による制度の周知等の施行準備の事務を進めてきたところでございます。
     また、この法律の公布日から施行日の前日までの間に行われました国外犯罪行為により、被害にあった日本国民又はその御遺族の方々に対しましては、本年7月12日の閣議決定に基づきまして、国家公安委員会の決定を経まして特別給付金を支給することができるというようになってございます。
     次に、「地方公共団体間の連携・協力の促進等」、施策番号154でございますが、これについてでございます。
     第3次基本計画では、警察庁において、各都道府県内における市町村の連携・協力の促進を図るため、都道府県による市町村の犯罪被害者支援担当者を集めた研修の実施等に協力する、と記載されましたことから、平成28年度は地方公共団体における犯罪被害者支援体制整備促進事業の一環といたしまして、市町村職員等を対象にした研修会を実施することといたしました。既に11月中に高知県及び大阪府で実施済みでございまして、12月には岩手県で実施する予定としております。
     また、地方公共団体をまたいで連携・協力することが必要な事案が発生した際に備えまして、各地方公共団体における犯罪被害者支援に関するコンタクト・ポイントを一覧にまとめた資料を整備するということが盛り込まれたところでございますが、本年8月に各都道府県はもちろん、各市町村における犯罪被害者等施策担当部署及び総合的対応窓口の電話番号、メールアドレスを一覧にまとめた資料を配布しておりまして、地方公共団体の間の情報の共有化を図っているところでございます。
     次に、施策番号201にございます「性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大」についてでございます。資料2-4でございます。
     警察における性犯罪の相談窓口といたしまして、各都道府県警察では、性犯罪110番で電話相談に対応しているところでございますが、都道府県警察ごとのダイヤルの番号、電話番号がまちまちでありますことから、性犯罪被害者の方が実際に相談したいとお考えになった際に、番号がよく分からないという懸念がございます。実際、内閣府におかれまして、平成26年度に実施していただいた調査では、どこに相談してよいのか分からなかった、というような回答があったと聞いておるところでございます。
     このような懸案に対処すべく、性犯罪110番を全国統一したシンプルな番号で運用するということにいたしますと、利用者の利便性の向上、あるいは、被害の潜在化防止といったことが見込まれるところであります。
     また、各都道府県警察で個別に実施しておりました性犯罪110番の周知活動の一本化が図られるというようなことで、全国での周知活動に相乗効果が期待できるというように考えております。
     この制度に係る必要経費につきましては、来年度の予算概算要求に、「性犯罪被害者相談電話番号の統一化に要する経費」として盛り込んでおるところでございます。
     次に、「犯罪被害者週間にあわせた集中的な啓発事業の実施」についてでございます。資料2-5でございます。
     第3次基本計画におきましても、引き続き11月25日から12月1日までの間を、犯罪被害者週間といたしまして、この週間に併せて集中的に啓発活動を実施することといたしております。
     12月1日には東京で中央イベントを予定しているところ、第3次基本計画において、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する適切な支援ということが明記されたことを受けまして、今回のシンポジウムでは、性犯罪被害者支援にスポットを当てることとしております。
     普段、犯罪被害者支援になかなか馴染みのない方々にも広くシンポジウムに御参加いただけるよう、公共交通機関の中吊り公告に犯罪被害者週間に関するポスターを掲示しておりますほか、様々な機関・団体を通じましてシンポジウムの開催について広報しておるところでございます。
     また、都道府県においても、犯罪被害者週間に併せて講演会等、様々な広報啓発活動が行われるようでございます。
     次に、「一般国民に対する効果的な広報啓発の実施」についてであります。施策番号241でございます。
     国民に対して、犯罪被害者支援についてお考えいただく機会を提供いたしまして、理解促進を図るために、今年度も標語の募集を実施したところであります。
     最優秀賞の審査につきましては、有識者委員の先生方にも御協力いただいたところでございますが、4,000件を超える応募作品の中から、中学一年生であります、髙橋実桜(たかはし みお)さんに御応募いただきました「支え合い 寄り添う心 育んで」というものをお選びいただいたところであります。
     最優秀賞の受賞者につきましては、12月1日に開催されます中央イベントにおきまして表彰を行うとともに、この標語については、犯罪被害者週間のポスターに活用するなど、犯罪被害者支援について国民に広く知っていただくためのツールとして活用することを予定しております。
     最後に、施策番号11にございます、「加害者の損害賠償責任の実現に向けた調査の実施」についてでございます。
     本施策に関する動きとしては、これは犯罪被害者等に特化したものではなく、民事執行一般についてでございますが、本年9月、法務大臣から法制審議会に対しまして、民事執行法の見直しに関する諮問がされたと伺っておるところでございます。
     勝訴判決等を得た債権者が、債務者財産に関する情報を取得する制度といたしましては、債務者自身の陳述から情報を取得する財産開示手続が平成15年に創設されたところでありますけれども、その後の運用状況を見ますと、その実効性が必ずしも十分でなく、利用実績は年間1,000件前後と、それほど多いとは言えない実情にあるというような指摘があったところでございます。
     このような背景を踏まえまして、今後、債務者財産の開示制度の実効性を向上させるための議論がされるものと思います。したがいまして、警察庁といたしましては、法制審議会における御議論を関心をもって、注視をさせていただくこととしております。
     第3次基本計画に盛り込まれました具体的施策に関します進捗状況についての警察庁からの報告は、以上でございます。
     よろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ただ今、警察庁から第3次基本計画の具体的施策の進捗状況について、主として7点を中心に御報告いただきました。
     続きまして、内閣府からお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当) 内閣府でございます。よろしくお願いいたします。
     私の方からは、先ほど既にお話もございました性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの件につきまして、御報告を申し上げます。
     資料3を御覧いただけますでしょうか。
     このワンストップ支援センターにつきましては、この犯罪被害者等基本計画と併せまして、男女共同参画でも基本計画を閣議決定しております。
     第4次の男女共同参画基本計画は昨年末に閣議決定いたしましたが、その中でこのワンストップ支援センターにつきましては、こちらも5年間の基本計画になっておりますが、その5年間、つまり平成32年までに、まずは各都道府県に最低1か所、このワンストップ支援センターが設置できるようにしていこうと、そのために必要な施策を関係府省庁は講じていこうという形になっているわけでございます。
     まず、資料3-1は、今現在、各都道府県等のセンターの設置状況はどうなっているかという一覧表でございますが、ここにお示しをいたしましたとおり、左から番号、それから自治体名、ワンストップ支援センターの名称と、それから若干、先ほど飛鳥井先生からお話もございました形態ということで、我々は病院拠点型、それから相談センター拠点型、さらに複数の病院が協力する連携型と、その他ということで、ここにその形態別を書いてございます。
     それから、支援開始年月日と、右側の実証的調査研究と言いますのは、これまでこういう調査研究という、ワンストップ支援センターの事業に対して、実質的に我々なりに財政的支援をしてきておりまして、直近の平成28年度で約8,800万円の予算を計上しておりますが、その事業の対象となったところに丸印をつけた表でございます。
     それで、御覧になりましたとおり、現在、設置されていますのは、全部で33自治体、このうち1つ、愛知県には県とは別に、名古屋市が設置しているものがございますので、都道府県単位で申し上げますと32都道府県ということになっているわけでございます。
     それから、まだ私ども、正確に把握できておりませんが、宮崎県にもこうしたセンターが開設されていると伺っておりまして、宮崎県も入れれば都道府県ベースで33ということになります。
     それから、表の下に細かい字で恐縮ですが、注2というところを御覧いただきますと、例えば、平成27年度ということで、秋田、鳥取、香川、金沢といったような県名が書いておりますし、平成28年度もこの表以外でもこれらの県動きがあるという情報もお聞きしているところでございます。
     それから、こういったようなことも踏まえますと、とりあえずこの年度内に36都道府県ぐらいまでは設置が進む見込みと考えておりまして、約4分の3ぐらいの都道府県で、今年度末までに設置が進むであろうという前提に立ちまして、次の資料3-2を御覧いただきたいのですが、一方で残りの4分の1近くが、設置がまだ思うように進んでいないということと、それから実際に設置をして動き出したセンターについても、なかなか安定的な運営が、特に財政面で厳しいという声も多々お聞きしているところでございまして、そういった設置促進と、言ってみれば安定的な継続的な運営ができるような形の、もう少し財政的な支援のしつらえができないかということで、来年度予算に向けて、これはまだ内閣府の案として計上しているものでございますけれども、この体制整備等促進交付金という形で、約2億6,000万円強の概算要求をさせていただいているところでございます。
     その表の下の、2.概要というところを御覧いただきますと、センターの開設、運営の安定化等の地方公共団体による被害者支援の取組を促進するということで、基本的には、それぞれ地域の、基本は都道府県を単位に、まず一義的に設置をしていただく、そこで諸々必要になるお金の所要経費をこの交付金という形で支援するものでございまして、その交付対象経費はそこに書いてございますが、例えばそのセンターの運営に関するもの、それから、警察に相談に行っていただければそれでもちろん結構なのですが、一方でなかなか警察の相談にもつながらないという方も少なからずいらっしゃるとお聞きしておりまして、そういった方々への一定の医療費、それから、やはりなかなか支援に当たる人員が足りない、なかなか育成できないという声もお聞きしますので、そういった医療関係者、支援対象者の研修に係る経費、それから、まずはセンターそのものを知っていただき、そこにアクセスしていただくための諸々の広報に関する経費、こういうものを含めて、要すれば、ワンストップ支援センターの運営に必要なものは大体盛り込んだ形にしているつもりでございますが、いずれにしてもまだこれは財政当局と折衝中でございます。
     大変厳しい財政事情の中で、全額確保は非常に難しいと思っておりますが、少しでもこういった形で予算的な面での手当を行って、都道府県レベルでの設置促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。ただ今、内閣府からワンストップ支援センターの設置状況、それから今後の見込み、そして設置を増やすことについての課題と、それを克服するため、財政の面、広報の面、いろいろ御努力されておられることは分かりました。
     続きまして、総務省の方からお願いいたします。
  • 総務省大臣官房企画課課長補佐 総務省でございます。
     私どもの総務省で第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策につきましては、施策番号83番でございます。
     83番、具体的施策が複数省庁にまたがっておりまして、大変読みにくくなっておりますが、総務省の関係では、市区町村における、かぎかぎ(「」)でたくさん入っていますが、1つ目のかぎと3つ目のかぎ、住民基本台帳の関係と、選挙人名簿の抄本の閲覧に関する関係、これらについてDVやストーカー行為等の加害者から被害者に係る情報の請求や申出があったときに、それを制限できるといった措置でございますが、この措置について、一番下から3行目のところに飛びますが、引き続き、これらの手続の周知を図るとともに、厳格な運用によりまして犯罪被害者等に係る情報の管理の徹底を図る、ということが具体的施策として盛り込まれております。
     その進捗状況ということでございますが、前者、住民基本台帳の一部の写しの閲覧等請求については平成16年から、選挙人名簿の抄本の閲覧の申出の制限については平成17年から、こういった措置を実施しておりまして、前者については事務処理要領等を自治体に対して発出し、後者については通知というものを発出させてもらっておりまして、その後、毎年、自治体において的確な事務ができるよう、自治体から照会がありましたら適切な回答対応ですとか助言といったようなことをしておりまして、これまでの中で、仮にその被害者に対して誤送付といったような事案が発生したような場合にあっては、直ちに再発防止ということで、新たな通知を発出したり、直近の都道府県担当者や市区町村の担当者を集めた会議でも、口頭で再発防止についての周知徹底を図るといったような取組をこれまで行ってきておりまして、今後も引き続き厳格な運用が自治体の現場で行われますよう、取組の周知徹底を図っていくこととしているところでございます。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。総務省の方からは、住民基本台帳の取扱いと、情報管理の徹底についての御努力を伺いました。ありがとうございました。
     続きまして、法務省からお願いいたします。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省でございます。
     法務省の関係する施策も多岐にわたっておりますので、本日はそのうち主だったものについて進捗状況を御報告するということとしたいと思います。
     まず、施策番号110番でございます。
     110番は、被害者が児童である場合に、その児童から事情聴取等をする場合、参考人の場合もございますが、被害者が児童である場合にその被害児童から話を聞く場合には、既にここでも議論がありましたとおり、児童の負担をできるだけ減らすという観点と、それから何度も何度も話を聞かれているうちに、その供述が不正確なものになっていくおそれがありますので、そういう観点から、その事情聴取等に関係する機関が事前に協議して、その代表が話を聞くというような内容の施策になっているものでございますが、お手元の資料の4-1を御覧ください。
     この資料4-1というのは、昨年10月28日、第3次基本計画が策定、完成する前の段階ではございましたが、ちょうどこれが議論されているときに、最高検察庁と、それから警察庁、それと厚生労働省が同時に発出した文書でございます。
     それぞれ内容を協議した上、他庁が出したものにつきましても、例えば、資料4-1の記と書いてあるところの直前2行を読んでいただけばお分かりのとおり、それぞれを引用した形で、協議済みですということで、その3庁が協議した上で聴取することを検討するという内容になっております。
     実際の数字等でございますが、これは第3次基本計画前に発出しているもので、今年の3月までの数字しか現在はございませんが、約90件について協議が実際に行われ、そのうち40件についてはいずれかが代表として事情聴取を行ったという報告がございます。
     次に、施策番号182番を御覧ください。
     182番の施策は、犯罪被害者の相談窓口の周知と研修体制の充実に関するものでございます。法務省は、人権擁護局を持っておりまして、全国の法務局に人権擁護機関を抱えておるところでございますが、この人権擁護局が中心となってやっている施策について御紹介させていただきたいと思います。
     なお、施策番号209は、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する相談体制の充実及び理解の促進ということで、施策が重なり合うところがございますので、ここで合わせて説明させていただきたいと思います。
     先ほどの資料4を3枚ほどめくっていただきますと、SOSミニレターというのが出てきます。このSOSミニレター小学生用というのがまずありまして、めくっていただきまして、今度は中学生用というのがございます。また、その次にリーフレットで、「今、悩みを抱えるあなたへ」ということで、「人権侵害に関する御相談はこちら」ということで電話番号等が記されているものがございます。さらに最後のパンフレットで、「法務局による相談・救済制度の御案内」ということで同じように人権相談電話番号等が記されたものがございます。
     先ほどの子どもの人権SOSミニレターでございますが、これは、既に第3次基本計画が開始される前から配布等しているものでございます。また、今年の6月27日から7月3日までの1週間を全国一斉の子どもの人権110番強化週間としまして、相談窓口の周知、それから相談時間の延長等をして相談体制の充実に努めたところでございます。
     さらに、今年の11月14日から20日まで、これは土日を含む1週間ですが、同じく全国一斉の女性の人権ホットライン強化週間としまして、同じく相談体制の充実に努めたところでございます。
     この期間、法務省のホームページや政府広報、それから地元マスメディア、自治体広報等への掲載等を通じて、積極的な広報活動をしまして、日頃よりも多くの相談が寄せられたという報告を受けているところでございます。
     なお、先ほどのミニレターでありますが、これは全国の全小学生、中学生に配布しておりまして、これは料金受取人払の便箋兼封筒となっておりまして、この子供たちが送ってきた手紙は、それぞれの住所を管轄する法務局宛てに届くようになっております。宛先がちょっとこれは一例しか載せていませんが、それぞれ配った先の小学校を管轄する法務局が宛先になっておりまして、法務局に届きましたミニレターにつきましては、1通1通返事を書いて、その子が希望する宛先に送るようになっているものでございます。
     法務省からは、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     主に2点を中心にお伺いしました。
     児童の供述をとるために3者で相談して代表を決めて、もう半分近く実施されているということのようですね。早い取組をされていると思います。
     それから、相談窓口の周知についても、より多くの相談が寄せられるようになっているという状況をお伺いしました。
     ありがとうございました。
     次に、文部科学省からお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省でございます。
     第3次の基本計画に盛り込まれました具体的施策のうち、文部科学省が推進主体となっております施策のこれまでの進捗状況につきまして、代表的なものを御報告申し上げたいと思います。
     最初に、被害少年等の精神的、身体的被害の回復、防止への取組に関する具体策についてでございます。
     7ページの施策番号54番でございますが、被害少年等の保護に関する学校及び児童相談所の連携の充実でございます。
     文部科学省では、10月18日と24日に警察庁との共催で開催されました問題行動に対する連携ブロック協議会におきまして、学校、児童相談所、警察等の連携を充実させることを教育委員会に対しまして周知をしたところでございます。
     具体的な取組といたしまして、例えば、兵庫県で母親のパートナーから虐待を受け、問題行動を繰り返す児童について、スクールソーシャルワーカーが関与して、要保護児童対策地域協議会を活用し、警察と連携して対応した事例を把握しております。
     次に、55番でございますが、被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等についてでございます。
     文部科学省では、犯罪被害者等を含む児童生徒の相談等に的確に対応するため、8月23日に開催された教育相談指導者養成研修におきまして、このスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用について周知をいたしました。
     また、これらの配置につきましては、平成31年度までに、スクールカウンセラーを全公立の小・中学校に配置すること、また、スクールソーシャルワーカーを全公立中学校区に配置するということを目標としております。
     現段階では、スクールカウンセラーを2万383校に配置し、スクールソーシャルワーカーを実人数で1,399人配置をしておりまして、目標達成に向けて、来年度に向けても必要な概算要求等を行いながら着実な進捗を目指しているところでございます。
     次に、12ページの施策番号89番でございます。児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等でございます。
     平成28年度には、全国で505の地域人材や専門家等で構成する家庭教育支援チームの支援を予算措置しております。その結果、例えば、愛媛県の大洲市では家庭教育支援チームである大洲子育てサポートそよ風等が活動いたしまして、児童虐待の防止、発生予防等に貢献するなどの成果を上げていると把握しております。
     続いて、被害少年等の支援等のための体制整備への取組に関する具体的施策でございます。21ページの158番でございます。
     性犯罪被害に遭った児童生徒及びその保護者等への対応の充実についてでございます。文部科学省では、都道府県に対しまして、児童生徒や保護者への24時間子供SOSダイヤルの周知を依頼しております。平成27年度は全ての都道府県におきまして相談窓口紹介カードやリーフレット等の配布により、周知が実施されたところでございますが、平成28年度も同じ取組を引き続き行う予定でございます。
     次に施策番号の191番、教育委員会と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び学校における相談窓口機能の充実でございます。
     問題の性格に応じまして、児童相談所、警察、市の担当部局、病院等の関係機関と連携を行う教育委員会の事務局に青少年支援センターを設置しているような自治体も把握をしているところでございます。
     また、各都道府県、市町村の教育委員会におきまして、児童生徒が犯罪被害者となる重大事件が発生した場合に、対応可能な関係機関についての情報を提供しているところでございます。
     続きまして、学校における生命を尊重するための教育及び人権教育等の国民の理解の増進と配慮、協力確保への取組に関する具体的施策について御説明をしたいと思います。31ページの233番、234番でございます。
     学校における犯罪被害者等の人権問題も含めた人権教育の推進、あるいは、学習の充実についてでございます。
     人権教育啓発法に基づきまして、学校教育、社会教育における人権教育を推進しているところでございますが、例えば、学校教育における取組といたしまして、静岡県での高等学校でございますが、学校での人権講話会を通して、被害者やその家族の人権に関する生徒の認知度が上昇したという例の報告を受けております。
     また、社会教育の関係につきましては、専門的な指導、助言等を行います専門の職員を養成するべく、社会教育実践研究センターと全国の11の大学に委嘱をいたしまして、社会教育主事講習を実施しております。引き続き、これらの専門的な職員の養成に基づきまして人権教育の充実を図ることとしているところでございます。
     次に、236番の家庭における命の教育への支援の推進でございます。
     地方公共団体におきまして家庭教育に関する学習講座の開催を促しているところでございますが、例えば、埼玉県におきまして、道徳心、思いやり、命の大切さ等の心の育成についての学習講座を実施しております。
     また、このような様々な家庭教育に関する情報を文部科学省のホームページを通じて提供をしているところでございます。
     幾つか代表的なものでございますが、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     被害少年に対する相談、各機関の連携、また、スクールカウンセラーの全学校への配置を目指しているということ、さらに児童虐待への対応、人権教育の推進等々についての実施状況について御報告いただきました。
     続きまして、厚生労働省からお願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。よろしくお願いいたします。
     私からは、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれました厚生労働省関係の主な取組の進捗状況につきまして、基本計画における重点課題に係る具体的施策の分野ごとに御説明を差し上げたいと思います。
     まず、第1の、損害回復・経済的支援等への取組についてです。
     資料1の3ページの施策番号25、それから、ページがまたがってしまいますけれども施策番号26を御覧ください。
     その中で、居住の安定ということなのですけれども、被害直後及び中長期的な居住の場所の確保というものにつきまして、児童相談所や婦人相談所による一時保護の実施について、適正な運用に努めるとともに、児童相談所及び婦人相談所等の一時保護場所の環境改善等を実施することとしております。
     4ページの施策番号26にも記載がございますけれども、平成31年度末までに、個別対応できる児童相談所・一時保護所の環境改善を実施ということがありますけれども、これにつきましては新たに平成28年度第2次補正予算におきまして、一時保護所における個別対応等に向けた施設の改修等を実施する場合の補助率について、現行2分の1だったものを3分の2に引き上げる内容を盛り込んだところでございます。
     また、4ページの施策番号31を御覧ください。
     性犯罪被害者等に対する自立支援及び定着支援ということでございますけれども、性犯罪被害者を含む相談者に対する支援といたしまして、地方公共団体やDVシェルターを運営する特定非営利活動法人等が、生活相談や行政機関への同行支援等の自立支援と、家庭訪問や職場訪問等の定着支援というものの2つを一体的に行い、その取組の効果を検証するモデル事業を実施しておりますけれども、具体的には、DV被害者等自立生活援助モデル事業といたしまして、今年度も引き続き実施をしているところでございます。
     さらに、5ページの施策番号38を御覧ください。
     被害回復のための休暇制度の周知・啓発というものについてでございますけれども、こちらにつきましては、なかなかこの休暇制度というものが十分な認知がされていないという状況にあることから、厚生労働省におきまして、今回新たにそのアンケートの実施を行っているところでございます。
     また、リーフレットの作成ということも取り組んでございますけれども、併せてセミナーも開催をさせていただいておりまして、9月から11月にかけて計7回実施をしているというところでございます。
     次に、第2の精神的・身体的被害の回復・防止への取組についてです。
     5ページの施策番号39を御覧ください。
     その中で、保健医療サービス及び福祉サービスの提供ということでございますけれども、犯罪、災害等の被害者となることで生ずるPTSD等に対する、精神保健福祉活動の充実を図ることを目的といたしましたPTSD対策専門研修事業というものを実施することとしておりまして、平成29年度概算要求におきまして、犯罪被害者等のPTSD等の心理的反応に対応する専門家の育成に資するよう、PTSD対策専門研修事業の強化について現在財政当局に要望をしているところでございます。
     また、5ページの施策番号42と、ページが前に飛んでしまいますが、4ページの施策番号40についてでございます。PTSD治療というものが障害者総合支援法に基づく自立支援医療、具体的には精神通院医療の対象となることにつきまして、本年4月に都道府県及び指定都市に対して、広報等を通じた周知を図るということを依頼しております。
     また、先般の平成28年度診療報酬改定におきまして、認知療法、それから認知行動療法の対象疾患というものにPTSDを新たに追加したところでございます。
     また、10ページの施策番号78を御覧ください。
     被害児童からの事情聴取における配慮に関しては、先ほど法務省からも御説明がありましたけれども、虐待を受けた子供からの被害状況等の聞き取りについて、心理的負担の軽減等を図る観点から、昨年10月に、子供の心理的負担等に配慮した面接の取組に向けた警察、検察との更なる連携強化について、各都道府県宛てに通知を発出し、定期的な実施状況の報告を求めることとしているところでございます。
     次に、第4の支援等のための体制整備への取組です。
     28ページの施策番号214を御覧ください。
     児童虐待防止対策に関する調査研究ということですけれども、ネグレクト事例に関する支援スキル向上に資する事例集を策定するための調査研究ですとか、あるいは、性的虐待被害児童やその保護者、家族への配慮と支援に関するガイドラインを策定するための調査研究等を実施しているところでございまして、その結果も踏まえて適切な支援の実施につなげていきたいと考えております。
     最後に、第5の国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組についてです。
     32ページの施策番号248の犯罪被害者等施策の関係する特定期間における広報啓発事業の実施ということでございますけれども、この関連施策といたしまして厚生労働省におきましては、毎年11月を児童虐待防止推進月間と位置付けております。
     関係府省庁のみならず地方公共団体、関係団体等とも連携をいたしました広報啓発活動を実施しておりまして、今年度におきましては、福井県福井市で子供の虐待防止推進全国フォーラムというものを開催するなど、集中的な広報啓発活動を実施させていただいているところでございます。
     厚生労働省の主な事項につきましては、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     犯罪被害者の早期の保護と言ったらいいのでしょうか、被害者の一時保護ですとか、DVシェルターによる支援事業、休暇制度等について、また、PTSDの専門研修事業、あるいは、その治療についての取組についてお伺いしました。
     ありがとうございました。
     続きまして、国土交通省からお願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局政策課企画専門官 国土交通省でございます。
     国土交通省からは、第3次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた当省の関連施策のうち、5つの施策について本年度の取組状況を御報告いたします。
     まず、1ページになりますが、施策番号の8番、保険金支払の適正化等、政府保障事業の支払等の状況について御報告いたします。
     政府保障事業は、ひき逃げ事故や無保険車による事故による被害者の救済を図るために、政府がその損害を直接填補する制度です。
     平成28年4月1日から同年9月30日までにおける政府の保障事業に対する請求受付件数等についてですが、請求受付件数がひき逃げ事故が456件、無保険車事故が125件、損害填補件数がひき逃げ事故が475件、無保険車事故が116件、損害填補額がひき逃げ事故が3.1億円、無保険車事故が2.9億円となっております。
     続きまして、ページで言いますと3ページになります、施策番号20番の公営住宅への優先入居等について御報告いたします。
     公営住宅への優先入居、それから目的外使用につきましては、平成17年12月に発出した通知「犯罪被害者等の公営住宅への優先入居、目的外使用に係る特段の配慮について」による地方公共団体に対する要請により、着実に推進しているところでございます。
     また、犯罪被害者等の公営住宅の目的外使用について、一定の要件を満たす場合には地方整備局長に対する事後報告により、補助金適正化法の承認があったものとして取り扱う旨を地方公共団体に周知しております。
     平成28年度の入居状況につきましては、集計期間の関係でお示しすることが今のところできないのですけれども、平成27年12月現在の都道府県及び政令市における入居状況につきましては、犯罪被害者等の公営住宅への優先入居戸数としては553戸、犯罪被害者等の公営住宅への目的外使用の入居戸数については67戸となってございます。
     続きまして、資料で言いますと6ページの47番、交通事故による重度後遺障害者に対する医療支援の充実等について御報告いたします。
     重度の後遺障害が残る交通事故が依然として多発する中、国土交通省及び独立行政法人自動車事故対策機構では、療護施設の設置運営に加えまして、在宅で介護を受ける自動車事故被害者とその家族に、介護料の支給を始めとする支援を行っております。
     今年度の取組として、自動車事故対策機構を通じまして、9月末日現在で、重度後遺障害者4,686名に対し合計約15億2,500万円の介護料を支給するとともに、受給者1,760人の御自宅を訪問し、相談対応、情報提供を行っております。
     また、受給者が検査等のために当省指定の病院等に短期間入院又は入所される際の費用の一部を支援しておりまして、利用者615人に対し合計約3,300万円を助成しております。
     次に、ページで言いますと23ページの施策番号172番、交通事故相談活動の推進について御報告いたします。
     国土交通省は、都道府県の交通事故相談員が交通事故被害者等から刑事手続等の相談を受けた場合には、警察、検察、法テラス、被害者支援センター等の支援活動について適切に教示するよう、研修等の場において周知することとしております。
     今年度におきましては、5月及び10月に研修会を開催し、周知を行っているところです。
     また、12月に発行を予定している交通事故相談員向けの交通事故相談ハンドブックにおいても、その旨、周知を図る予定としております。
     最後になりますが、同じページの施策番号で言いますと173番、公共交通事故被害者等への支援について御報告いたします。
     国土交通省では、公共交通事業者等に対して、被害者等支援計画の策定が促進されることを目的とした被害者等支援の重要性やその具体的な内容についての啓発を行う公共交通事故被害者等支援フォーラムを、昨年度と同様、本年9月9日の北海道を皮切りに全国10会場において実施しております。
     また、国土交通省内において、被害者等と直接向き合う業務を担う、国土交通省内各局や地方運輸局等の関係職員に対しまして、被害者等に寄り添った対応ができるよう、被害者等支援に関する基本的や知識や心構え等の習得のための研修も、毎年度2回実施しています。
     国土交通省からの報告は以上になりますが、今後とも第3次犯罪被害者等基本計画に基づきまして、当省の関連施策を着実に進めてまいりたいと考えております。
     以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ひき逃げ等の被害者に対する損害の填補、あるいは、公営住宅への優先入居の推進、重度後遺障害者への支援の充実等について、具体的な件数、それから金額等についての御説明をいただきました。
     それでは、最後になりますが、金融庁の方からお願いいたします。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室課長補佐 金融庁でございます。
     私からは、3ページの18番、預保納付金の活用について御報告させていただきます。
     具体的施策としましては、平成25年度から実施している預保納付金事業につきまして、犯罪被害者等の子供への奨学金を貸与制から給付制に変更するとともに、犯罪被害者等支援団体への助成対象に相談員の育成に必要な費用を追加することとし、平成28年度中を目処にその募集等を開始するというものです。
     この具体的施策の進捗状況につきましては、預保納付金事業について、犯罪被害者等の子供への奨学金を貸与制から給付制に変更するとともに、犯罪被害者等支援団体の助成対象に相談員の育成に必要な費用を追加するため、内閣府・財務省令等を改正しております。この内閣府・財務省令は、今年の6月22日に公布されまして、来年の4月1日施行予定となっております。
     また、奨学金の給付制の導入等の見直しにより、事業の内容が変わることから、担い手の再選定も行っております。給付制奨学生の募集等につきましては、平成28年度中に開始する予定となっております。
     金融庁からは、以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     金融庁からは、預保納付金の活用について、奨学金の貸与制から給付制への移行等について、御報告をいただきました。
     これで8つの府省庁から、現在までの具体的施策の進捗状況について御報告をいただきました。
     構成員の方々から、ただ今の御報告につきまして、御質問、御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。どうぞ、どなたからでも御遠慮なくお願いいたします。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 警察庁の方に質問をさせていただきたいのですが、警察庁の事業としまして、資料2-2のところ、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律が成立しましたことは大変すばらしいと思っております。
     質問の内容ですが、海外での大きな事件の場合は国内の警察も関与すると思いますが、海外で被害に遭った場合、必ずしも国内の警察は関与しない事件というのもたくさんあるかと思います。この制度において被害者への情報提供というのは、例えば外務省等と連携して行うとか、何かそういった工夫はなされているかどうか、もし分かったら教えてください。
  • 椎橋議長 それでは、警察庁ですか。お願いします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁犯罪被害者支援室でございます。
     現状におきましても、国外の犯罪被害者の方々に対しましては、例えば、出入国の際に直接的な支援を行っているときがございます。
     そういったプロセスにおきまして、制度を教示する機会がこれからは出てくると思っています。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ほかにいかがでしょうか。
     瀬川構成員、どうぞ。
  • 瀬川構成員 法務省に初歩的な質問です。資料4-1で、骨子はよく理解できたのですけれども、その資料4-1の最後のほうですけれども、検察・警察・児童相談所の3機関のうちの代表者という意味は、これは具体的にはどのようなイメージなのでしょうか。
  • 椎橋議長 法務省からお願いします。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省でございます。
     要するに、この代表者というのは、何度も何度も児童から話を聞くということの弊害をなくそうという趣旨ですので、この機関のうち誰かが代表して聞くということです。
     それは、場合によっては検察官であったり、警察官であったり、あるいは児童相談所の職員の方であったりすることもありますが、それを誰にするかということにつきましては、それぞれこれらの機関が協議して決めるということであります。ちなみに先ほど、今年の3月31日まで40例ほど、代表者が事情聴取したという例を御紹介させていただきましたが、そのうち検察官が代表して聞いたという例が半数以上あったと聞いております。
     以上です。
  • 瀬川構成員 3機関のうちの代表者という意味ですか。この3つの機関の代表者が、それぞれ児童に対応するという意味ではないのですね。
  • 法務省大臣官房審議官 3機関のうち誰か1人だけ、つまり3回という意味ではなくて、3機関合わせて1回だけという趣旨でございます。
  • 瀬川構成員 分かりました。
  • 椎橋議長 どうぞ、森山構成員。
  • 森山構成員 ただ今の質問に関連してですが、協同面接の手法のところで、児童相談所ではガイドラインとかそういうものを参考にして協同面接を実施するという記載がありますが、検察官の場合も何かそういうのはあるのですか。
  • 椎橋議長 法務省、いかがでしょう。
  • 法務省大臣官房審議官 ただ今の御質問の趣旨は、警察官ですか、検察官ですか。
  • 森山構成員 検察官です。
  • 法務省大臣官房審議官 検察官ももちろん含まれておりまして、先ほどもお話ししたとおり、検察においては、検察庁の職員が聞く場合は、大抵、検察官が聞くことになるというふうに承知しております。
  • 森山構成員 厚生労働省からの各児童福祉の主管に対する通知の中の一番最後のページの「5.協同面接」のところ、「(2)協同面接の手法」というのに、こういうやり方というのが書いてありますが、検察官が協同面接する場合には、何かそういうガイドラインというのは別にないのですかということなのですけれども。
  • 法務省大臣官房審議官 どのように聴取するか、代表者がやるのか、つまり3機関が一緒になってそのうちの誰かが聞くのか、あるいは順次聞くのかというようなやり方につきましては、前にもこの場でちょっとお話ししたことがあったかもしれませんけれども、やはり事案によっていろいろ、どうやるのが一番いいのかというのは非常に違ってくるところがございます。
     子供さんの性格だとか、聞く場所だとか、それから聞く側の立場の人間がいわゆる司法面接というものに精通しているかどうかとか、そういう様々な事情がありますので、それはケース・バイ・ケースにならざるを得ないというふうに承知しておりまして、そうしますとどうなるかというと、それは3者の協議の上、決めるということで、その中の1つのやり方として、協同面接という場合ももちろんあり得るということでございます。
  • 椎橋議長 森山構成員、よろしいですか。
  • 森山構成員 はい。
  • 椎橋議長 それでは、中曽根構成員、どうぞ。
  • 中曽根構成員 金融庁の方にお願いします。
     預保納付金の活用のことで、平成28年度中に給付型の奨学金の募集を開始するということでしたけれども、そうなると、例えばその定量的把握というのは、具体的な数値と言いますか、例えばどのぐらい給付を受けたとか、平成29年度以降はできるようになるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室課長補佐 金融庁でございます。
     担い手のほうで給付した人数を把握していますので、どのくらいの方に給付したかというのを把握できます。それは公表できることと思います。
  • 中曽根構成員 よろしいでしょうか。
  • 椎橋議長 どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員  国土交通省の方にお願いしたいことがあるのですけれども。
     公営住宅への優先入居、先ほど戸数も大変多く、犯罪被害者の方が優先入居させていただいているということも分かって、大変感謝いたします。
     しかしですね、実際、現場で支援をしておりまして、やはり、優先的に入居ができないケースも、実はまだまだありまして、今後もどうぞ地方自治体に対してその取組を進めていただけるようお願いしたいと思います。
  • 椎橋議長 国土交通省の方、いかがでしょうか。
  • 国土交通省住宅局 国土交通省住宅局住宅総合整備課、西岡と申します。
     私のほうで公営住宅の管理を担当しておりまして、全国の自治体の管理担当者様の方に、最近の制度の動きですとか、こういったお願いごとを話す機会というのが、研修会みたいなものが、年に何回かブロックごとにありますので、こういった機会を通じて、今後とも、現に今もお願いをしているところではあるのですけれども、繰り返しお願いを続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  • 椎橋議長 中曽根構成員、よろしいですか。
     ほかにいかがでしょう。どうぞ、渡邉構成員。
  • 渡邉構成員 金融庁にお伺いしたいのですけれども。
     今まで預保納付金の受託事業というか、それは日本財団がやっていましたよね。それが、今年、何か入札というのではないでしょうけれども、いろいろなところからヒアリングを受けているという話を聞いたのですけれども、それは決まったのですか。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室課長補佐 金融庁でございます。
     今年の10月27日に、また日本財団が担い手に決まりました。これは公表しております。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょうか。中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 少し関連するテーマで、法務省と文科省に、お願いも含めての質問です。
     まず法務省に対してですが、小学生、中学生、一般向けに人権のミニレターというものを作成されていて、届いているというのは、すばらしい事業だと思っております。
     質問は、これによってどれぐらいの子供たちから返事が来ているのかということと、件数は分からなくてもよいので、その中に、例えば犯罪被害とか、特にいじめのような問題はかなり含まれているのかというのを、分かりましたら教えていただけますか。
  • 椎橋議長 どちらにお聞きしたらよろしいですか。まず、法務省の方からお願いできますか。
  • 法務省大臣官房審議官 まず、SOSミニレターの受領通数で申し上げますと、平成27年度では1万6,823通という数字になっております。
     大体横ばいで、平成23年度が2万2,000通程度でしたが、若干減少という感じで、ほぼ横ばいで推移しているというところでございます。
     また、これを端緒として、人権相談を受理している件数、平成27年度で言いますと1万9,107件ございます。
     あと、その相談内容の内訳ですが、平成27年度だけの数字で申し上げますと、体罰関係109件、虐待が591件、いじめが6,762件、その他が1万1,645件。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
     文科省の方、いかがでしょう。補足することとか、ございますか。
  • 中島構成員 この質問は法務省だけにです。
     文科省に関係があると言ったのは、後で文科省の方に、いじめの問題を犯罪被害の問題とどのように関係付けて施策として取り入れていらっしゃるのかというのを聞きたいというのがあったからです。今のことを伺って、いじめの問題についての相談が一番多くて約6,700件ということで、とても重要だと思います。いじめをどのように考えるかというときに、やはり人権侵害だと考えてくださるのはとても大事なことだと私は思っております。
     それで、お願いですが、小学生が人権と言ってもやはり分からないかなと思います。このレターを見ると、どんな相談がオーケーなのかというのがなかなか分かりにくいと思いました。今後、もしレターのデザインを変える場合には、いじめとか、そういった多く寄せられている相談は対象なんだよ、ということをより明確に書いていただくと良いと思います。
     最後のパンフレットのほうは、いじめ、セクハラ、パワハラとかとても大きく書かれているのですが、子供が一番よく分かる必要があると思いましたので、是非改訂される時があったら、より詳しく書いていただくともっと多く困っている子供さんが相談できるのではないかというお願いです。
     できれば先ほどの質問について、文科省の方に。
  • 椎橋議長 文科省の方、お願いします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 いじめの問題については、今御指摘にございましたように、やはりいろいろな対応がございます。いじめにつきましては、心理的あるいは身体的な苦痛に本人が遭っているというようなことがあるわけでございまして、その対応についても、嫌がらせ的なものから暴力に至るもの、又は金品を脅し取ることも含めまして、犯罪に該当するようなものもございます。
     今お話がございましたように、全て人権侵害という観点での重要な課題であると思っておりますし、そういった意識を持って、いじめをなくすことを子供たちに教育することを、全体の教育活動の中で行うことが大変重要だと思っています。
     そして、被害を受けた児童生徒に対するケアを通じて、まず子供を守るということが大変重要なことでございます。
     近頃報道もされておりますけれども、横浜市の大変残念な事件があったわけでございます。転入した子供がいじめを受けたにもかかわらず、学校や教育委員会が適切に対応しなかったというようなことがございました。この点について、どういった状況だったのかにつきまして、今週になって副大臣が横浜市に赴いて直接お話をして、更なる事実関係の把握、そして、同様の事実が今後起こらないようにするためにどうしていけばいいのかということを伝えました。いじめの問題は、学校の体制の在り方、あるいは教育委員会の支援の在り方の検討を含めまして、しっかり取り組んでいかなければならない課題であると思っております。
     このいじめの関係につきましては、そういった意味で、先ほどの法務省のSOSのレター等につきましても、従来からいろいろ連携等も図っております。また、警察等とも連携をしながらいじめ対策に取り組んでいるところでございまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     どうぞ、飛鳥井構成員。
  • 飛鳥井構成員 23ページ、173番の国交省の公共交通事故被害者の支援のことで、意見というかコメントなのですけれども、国交省でこういうような被害者支援室を立ち上げられたことは大変すばらしいです。
     中長期のコーディネーション機能も担っていかれるということなのですが、なかなか難しい面もございまして、そこら辺のところを少し御理解いただければと思い、最近の例で長野のバス事故が典型的ないい例だと思うんですね。
     あれも、中長期のケアがまだ続いているのですが、うまくいった例だと思います。と言いますのは、長野県警の支援室と、それから長野の被害者支援センターとが割と連携がうまくいって。
     ただ、この大型の公共交通被害の場合というのは、被害者が現地にいるのは救急医療が必要な数日間か一週間程度で、その後は全国に散ってしまうわけなんですね。それをどうやって追いかけるかというのがとても大きな課題でして。
     例えば東京の例ですと、長野県警の支援室と警視庁の支援室とが連携して、どういう方がいるかという引き継ぎがあって、それから民間の支援センターでも連携があって、東京は東京で、警視庁の支援室と都民センターが連携して、遺族の方あり、怪我をした学生さんあり、それから、正にそこで現場を目撃して、とても精神的な後遺症を受けている学生さんあり、それからそのお友達あり、といったような様々な層の被害者の方がいて、そういう人たちにそれぞれ今も支援を展開しています。
     そういった現地でまず把握して、それを全国に散った人たちにうまくその情報を引き継いでいって、帰住先でまた支援を展開するといったようなシステムが必要なので、国交省の支援室が、そういったようなネットワークの中でどういう機能を果たしていかれるかということですね。
     ほかの支援サービスとのネットワークということがとても大きな課題になるのですけれども、そこら辺のところで何か御意見があればと思いますが。
  • 椎橋議長 国交省の方、お願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局総務課交通安全対策室係長 公共交通事故被害者支援室の曽我部と申します。
     私たちの機能として、警察とか厚生労働省とか、被害者支援に取り組んでいる機関は多々ありますので、そういった機関が多くあるのですけれども、被害者にとってはどこに相談したらいいか分からないということが多々ありますので、うちとしては窓口機能として、こちらのほうに御相談していただければ、被害者と各被害者支援機関の間に入って、御紹介をする機能を主として担っております。
     今回の被害者遺族とかとも、よく連絡は取り合っておりますので、こういった御要望が多々あれば、うちを通して各省庁と連携を図っていきたいと思っております。
     以上です。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょうか。
     渡邉構成員、どうぞ。
  • 渡邉構成員 警察庁にお伺いしたいのですけれども、施策番号の12番、給付制度に関して、非常に強く私どものほうで望んだことなのですけれども、最終的に1年を目途に調査をして必要な施策を講ずるということなのですけれども、1年というとあと4か月程度しか残っていないわけですね。今、どのぐらいまで進捗しているのか、もし言えるところがあったら、それだけで結構ですので教えていただきたいと思います。
  • 椎橋議長 今分かっている状況についてお願いします。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) この施策番号12につきましては、記載のとおりでございますが、重傷病給付金の期間等の在り方、あるいは犯罪被害者に負担の少ない支給の在り方、若年者の給付金の在り方、それから親族間の犯罪被害に係る給付金の在り方、この4項目につきまして、今年度については調査を行っているところでございまして、来年度以降、これを踏まえて速やかに検討ということになっておるところでございます。
     現在、実態調査ですとか、あるいは他の公的給付制度に関する調査、こういったものを実施しておるところでございまして、個々の例まで踏み込んで、かなりディープな調査をさせていただいているところでございます。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
  • 渡邉構成員 すみません。
  • 椎橋議長 どうぞ。関連する質問ですね。
  • 渡邉構成員 ということは、この1年を目途にというのは、調査をする期間が1年ということなのですか。
     1年で調査を終わって、それから検討するということですか。
  • 警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) さようでございます。
     調査を1年を目途に行うという記載になってございますように、今年度は調査を行うという予定にしておりまして、その調査は現在進行中でございます。
  • 椎橋議長 どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 法務省の方にお聞きしたいのですが、施策番号の146番とか、147番辺りなのですが、20ページです。
     地方更生保護委員会において、仮釈放を許すか否かの判断をするときに、犯罪被害者の方が意見を、意見等聴取制度と言うんですか、確かあると思うのですが、意見を述べても、結局は仮釈放になってしった場合、これは被害者の方から伝えていただいてもいいと言われたのでお話をしたいのですが、決定通知はいただくのですけれども、その報告の書類があまりにも淡々とし過ぎていて、どうしてそのように仮釈放を決めたのかという理由をもう少し具体的に書いて欲しいし、被害者の方に対する配慮がないものかと、最近ちょっと思うのですけれども、いかがでしょうか。
     進捗状況とちょっと違うかもしれないのですけれども、すみません。
  • 法務省大臣官房審議官 具体的なケースがあって、そのケースにおける保護観察所の職員の対応に十分ではない面があったという御趣旨ですか。
  • 中曽根構成員 というよりも文書ですね。
     必ず文書が来ますよね。その文書の書き方という意味です。
  • 法務省大臣官房審議官 具体的な事案は承知していないのですけれども、その文書に対して何か問合せをしてそのときの対応がということではなくて、単に文書自体の話でしょうか。
  • 中曽根構成員 文書自体です。
     それは別に1人の方というわけではなくて、その報告をいただくときに、その文書があまりにも淡々としているという意見は被害者の方から多くありまして。
     そういう意味です。
  • 法務省大臣官房審議官 一般的なそういう通知文書というのは、ある程度書式が決められていて、その中で結論しか書いていないということで、いかにも冷たい感じがするという御趣旨だと思うのですけれども。
  • 中曽根構成員 そうですね。
  • 法務省大臣官房審議官 例えば、これは保護観察所からの連絡だと思いますが、それに限らず、一般的に刑事関係の機関からの通知というのは若干そういうところがありまして、そういうふうに感じられる方も確かにいらっしゃるのだろうなとは思います。
     ただ、具体的にその内容について聞いていただければ、説明できることは説明するという姿勢でおりますので、その書式がちょっと冷たいとかいうことなのかと思いますけれども、決してその職員の心が冷たいわけではございませんので、何かございましたら問合せていただければ、答えられることにつきましては答えていくと思いますし、その対応の中で何かちょっとおかしな点がございましたら、またそのときにはこういう場を通じてでも結構ですし、言っていただければと思います。
  • 中曽根構成員 ありがとうございます。
     やはり、特に加害者に関する情報に関して、とても淡々としていると被害者の方たちがおっしゃいますので、そのあたりについてもよろしくお願いいたします。
     確かに公判請求との文書は淡々としているのかもしれないのですが、その辺についてはあまり聞いておりませんが、更生保護における被害者支援の意見等聴取制度の通知文等については、いろいろな意見が出ておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
     法務省の方、どうぞ。
  • 法務省大臣官房審議官 御意見承りまして、関係部局には伝えたいと思います。
  • 中曽根構成員 よろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 今までいろいろ御意見、御質問をいただきましたけれども、第3次基本計画が実施されてから半年余を過ぎたというところであります。
     今日はその具体的施策の進捗状況について、8府省庁の責任者の方から、具体的な御説明をいただきました。その取組の状況というものが、かなり具体的に分かってきたということがあろうかと思います。
     中身、項目にしろ何にしろ、多岐にわたりますので、今日、全部にわたって御意見を聞いて議論するというわけにもまいりませんので、本日はこの程度にしたいと思います。
     各府省庁の担当者の方におかれましては、ただ今構成員の方々から御意見がありましたけれども、それらを踏まえて、引き続き、第3次基本計画に盛り込まれた具体的施策の確実かつ適切な推進をお願いしたいと思います。
     それでは、大分、時間が超過して、私の不手際によるところでお詫び申し上げますが、これをもちまして、第25回基本計画策定・推進専門委員等会議を終了したいと思います。
     どうも本日はありがとうございました。
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