第20回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成27年7月27日(月)午後2時00分~午後4時00分
場所:中央合同庁舎8号館8階  特別大会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中島 聡美 (国立研究開発法人)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
成人精神保健研究部犯罪被害者等支援研究室長
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  飛鳥井 望 医療法人社団青山会青木病院副院長
  伊藤 冨士江 上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授
  川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  安田 貴彦 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  沖田 芳樹 警察庁長官官房総括審議官
  野川 明輝 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長
  羽田 翔 総務省大臣官房企画課課長補佐
  高嶋 智光 法務省大臣官房審議官
  永井 孝治 法務省秘書課付
  森友 浩史 文部科学省大臣官房総務課副長
  坂本 裕一 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  英 浩道 国土交通省総合政策局政策課政策企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 要望意見の整理において「B」とされたものの再検討
  3. 要望意見の整理において「A」とされたものに対する対応の検討
  4. 第2次犯罪被害者等基本計画と新たな基本計画における案文との対比
  5. その他
  6. 閉会

配布資料

資料1 「B」とされたものの再検討結果(厚生労働省)
資料2 「B」とされたものの再検討結果(外務省)
資料3 要望意見の整理において「A」とされたものに対する対応(案)
資料4 第2次犯罪被害者等基本計画と新たな基本計画における案文との対比
資料5 警察庁提出資料

議事内容

  • 椎橋座長 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
     ただいまから第20回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催いたします。
     まず、本日の議事及び配付資料につきまして、事務局から説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     議事次第と配付資料について御説明させていただきます。
     今回、構成員の皆様への資料の送付が大変遅くなりまして、申し訳ございません。また、資料1と資料5につきましては、事前の送付ができませんでしたので、今回、卓上に置かせていただいているもので御確認下さい。
     それでは、お手元の議事次第に沿って説明をさせていただきます。
     まず、議題の1つ目でございますが、「要望意見の整理において『B』とされたものの再検討」でございます。これに関する資料といたしまして、資料1及び資料2をお配りしております。
     議題の2つ目は「要望意見の整理において『A』とされたものに対する対応の検討」でございます。これに関する資料として資料3をお配りしております。
     議題の3つ目は「第2次犯罪被害者等基本計画と新たな基本計画における案文との対比」でございます。これに関する資料として資料4をお配りしております。
     議題の4つ目は「その他」となっておりますけれども、前回に引き続き、渡邉構成員からの提案に関する検討を予定しております。これに関する資料として資料5をお配りしております。
     事務局からは以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     まず、会議に入る前に、前回の会議でも御紹介させていただきましたけれども、6月29日付けで新たに専門委員に上智大学総合人間科学部教授の伊藤冨士江氏が任命されております。本日が会議への最初の御出席となりますので、一言御挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 伊藤構成員 伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。
     新たな基本計画策定に向けて、今後、忌憚のない御意見を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、早速、議題に入りたいと思いますが、最初に「要望意見の整理において『B』とされたものの再検討」に入りたいと思います。
     前回の会議におきまして構成員から御意見をいただきまして、それを受けまして、厚生労働省及び外務省で再検討を行っておりますので、その結果についてそれぞれ御説明をお願いしたいと思います。
     まず、厚生労働省からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐   資料1に基づいて御説明申し上げます。
     御提案項目といたしましては「保健・福祉専門職教育カリキュラムにおける犯罪被害者支援項目の創設又は追加」ということで、社会福祉士や精神保健福祉士等の福祉専門職の教育カリキュラムの中に犯罪被害者に関するものを入れてはどうかという御提案でございます。
     前回の会合におきまして弊省から提示させていただいた回答においては、一律全ての福祉専門職の教育課程の中に特定の事項を直ちに追加するのはなかなか難しいのではないかということで、「事前提出した検討結果」に記載してある内容を回答させていただきましたが、前回の会議におきまして、中島構成員から、既に実際のカリキュラムの中に犯罪被害者支援というものが入っている部分があるのであれば、そこについては対外的にも誤解を与えないように記載すべきではないかという御指摘を頂戴しております。
     そうした御指摘を踏まえまして、一番下の検討結果の修正でございますが、前回も御紹介申し上げましたとおり、社会福祉士につきましては、現行のカリキュラムの策定時において、想定される教育内容として「更生保護制度」という科目を設けております。当省のほうでも実際の教育課程で用いられているテキスト等を幾つか確認させていただきまして、確かに犯罪被害者等施策に関する内容というのも記載されているところでございますので、検討結果のほうに、具体的には「例えば」以下でございますが、「社会福祉士については、教育カリキュラムにおいて『更生保護制度』という科目を設けていることから、教育課程で用いるテキストの中には、犯罪被害者等施策に関する内容が記載されているものもある」ということで追記をさせていただいております。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     続きまして、事務局から外務省における再検討結果を説明させていただきます。お願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 前回の会議におきまして、中島構成員のほうから、外務省において国内における被害者支援機関についての情報を被害者等の方に提供するべきではないか、犯罪被害者支援のホームページ程度のことを御紹介するだけでもよろしいかと思うという御意見があったところでございます。
     これを踏まえまして、外務省のほうで再度この部分についての検討をしていただきました。資料2の「構成員の意見を踏まえての結果」というところを御覧いただければと思います。外務省におきまして再検討した案文でございますが、記載のとおり、「外務省において、海外で邦人が犯罪等による被害に遭った場合、当該犯罪被害者等の要請に応じて、在外公館を通じ、現地の弁護士や通訳・翻訳者等に関する情報提供及び関係省庁の犯罪被害者支援に関するホームページを紹介するとともに、その他関連情報についても、当該犯罪被害者等からの要請に応じ、可能な範囲で提供するよう努める。また、警察において外務省と連携し、海外における犯罪の被害者に関する情報の収集に努めるとともに、日本国内の遺族等や帰国する被害者等に対する支援に努める」ということで、犯罪被害者支援に関するホームページの紹介という部分を加えていただいたところでございます。
     補足説明といたしまして、それらの情報につきましては、内閣府犯罪被害者等施策ホームページの被害者支援の相談窓口や、各都道府県警察の被害相談窓口に関する情報ページを御紹介いただけるということでございました。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     いずれの省庁にあっても前回の会議における中島構成員からの御意見を受けて再検討されたということでございます。
     その関係で、まず中島構成員、御意見がございましたらお願いいたします。
  • 中島構成員 前回の意見を反映していただきまして、大変ありがたく思います。
  • 椎橋座長 それでは、その他の構成員の方々、いかがでしょうか。
     渡邉構成員、どうぞ。
  • 渡邉構成員 今の外務省さんの件ですけれども、私、ちょっとひねくれているせいかどうか分からないのですが、要請があればというところがちょっと引っ掛かります。では、要請がなければ教えないのかということで、犯罪被害者というのは、思いがけないことが起きてしまって、天地がひっくり返ったような、冷静な判断ができないような、そういう状況なのです。何かお困りごとがあったらこういう相談するところがありますよというのを要請がなくてもしていただく、こういう形にしていただければ、よりいいかなと思います。
     以上です。
  • 椎橋座長 今日は外務省から御出席がないので、直接、外務省の方からお答えいただくということはできないのですが、今日の会議で渡邉構成員からこういう御意見があったということをお伝えして、さらに検討していただくということでよろしいでしょうか。
  • 渡邉構成員 それで結構です。
  • 椎橋座長 外務省の関係では、3行目の「及び関係省庁の犯罪被害者支援に関するホームページを紹介する」というのが入ったのですね。途切れのない支援につなげようという趣旨だと思いますけれども、「要請に応じ」というところをさらに検討していただきたいという渡邉構成員の御意見がありましたので、それはお伝えしたいと思います。
     ほかにはよろしいでしょうか。
     それでは、今の渡邉構成員からの部分についてはさらにお伝えしますけれども、それ以外の今日の回答についてはこれでよろしいでしょうか。
     ありがとうございました。
     それでは、続きまして「要望意見の整理において『A』とされたものに対する対応の検討」に移りたいと思います。
     まずは、事務局から資料の説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     この議題に関する資料といたしまして、資料3をお配りしております。
     本年3月から5月の専門委員等会議におきまして、地方公共団体における犯罪被害者支援の充実促進を始めといたします8つの論点と日本財団における奨学金事業等について御検討をいただいたところでございます。これらの検討の際、構成員の先生方からいただきました意見を踏まえまして、関係省庁において新たな基本計画に盛り込むべき案文等を検討していただいております。
     資料3にありましては、各論点ごとにまとめておりまして、会議における構成員の先生方の発言を左の欄に、これを踏まえました関係省庁の検討結果や計画案文を右の欄に記載するという形で作成しております。
     なお、検討に時間を要するものもあることから、一部、検討中になっている箇所もございます。
     事務局からは以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     それでは、どなたからでも結構ですので、御意見等がありましたらよろしくお願いしたいと思います。  なお、日程との関係で、前に事務局からもお話があったと思いますけれども、10月にはパブリックコメントにかけるという予定ですから、9月の会議ではまとめたい、そのためには、今回、8月は予備だったのを正式の会議に直させていただいたということで、この2回でまとめて、9月は、できれば確認するという形になれば理想的だと思っています。そういう意味では、今回、来月というのは非常に重要な会議でございますので、活発な御意見を頂戴したいと思います。今まで御発言いただいたこと、あるいはそのときには気が付かなかったけれども、その後、気が付いたので、こういうことも盛り込むべきではないかとか、あるいは対応が困難だという回答がございますけれども、これはもちろん各省庁で御検討いただいているので、そのとおりだと思う箇所もあると思いますが、その理由についてもう少し確認したいということがあるかもしれません。あるいは、さらに案文を、より具体的な文章、より踏み込んだ表現にすべきではないかということもあるかもしれません。そういうことを含めて、今回、次回、活発な議論をお願いできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。
     資料4の第2次基本計画と新たな基本計画における案文との対比は情報量もたくさんあって、字も細かいものですから、私など、字が読めるぎりぎりのところですが、お困りの方が他にもいらっしゃるかもしれません。  森山構成員、どうぞ。
  • 森山構成員 6番の犯罪発生地と住所地が違っている場合、情報の共有を促進するということが内閣府の案文にあります。1行目において「各都道府県内における市区町村」と書いてありますが、実際には県をまたぐ場合がありまして、県内の市区町村ということばかりではなくて、各県をまたぐということにも対応できるように資料を整備し、情報の共有化を促進するというような形にしていただけたらと思います。
     もう一つが7番のワンストップ支援センターです。前回の議事の中で男女共同参画局推進課のほうから、具体的なイメージで昨年度より性犯罪被害者の総合的支援に関する実証的調査研究事業を行っているということで、各地方公共団体で新たにワンストップ支援センターを作りたい場合において、財政的な面で実証的調査研究事業として予算を3,900万から1億にしたということが具体的な話として出ておりますので、ワンストップ支援センターの設置の促進ということについて、内閣府の相談体制の充実を図るということばかりではなく、そういう各地におけるワンストップ支援センターづくりについて調査研究事業等を行い、各自治体で展開する取組を行うというようなことを具体的に書いていただければいいのかなという気がします。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     6番、7番とも森山構成員から、かねてよりの御発言がありまして、それに対する回答があって、この中身というよりも、6番については「各県をまたぐ」というような文章が入っていることが望ましいということでしょうか。
     7番については、ワンストップ支援センターの設置の促進について、より具体的な書き方が必要ではないかという趣旨だったと思いますが、内閣府のほうからいかがでしょうか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 第1点目の自治体の関係でございますけれども、一番気を付けなければならないところがまずは各都道府県内の自治体における連携体制ということだろうと思っております。御指摘のとおり、都道府県境をまたがっての事例というものも当然あるわけでございますので、どんな形で情報の共有化を図る仕組みが設けられるのか、今すぐ答えはありませんけれども、その点についても検討はしてまいりたいと考えます。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 男女共同参画局の実証的調査研究事業の関係でございますけれども、こちらにつきましては、本日、男女共同参画局が出席しておりませんので、先生の御指摘を伝えまして、また検討させていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     森山構成員、よろしいですか。
     ほかにいかがでしょうか。
     それぞれの項目について御発言いただきました構成員の方がおられますけれども、こういう検討結果でよろしいということでしょうか。
     推進室長、どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 基本計画を取りまとめる立場から先生方に御議論をお願いしたい点でありますが、青い表紙の見直しにおける論点の中でも取り上げておりまして、これまでも一応の議論はしていただいたわけでございますが、特に今回、新しく大きな項目として取り上げております中で言いますと、3の「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援」という点でまだ御議論が深まっていないのかなというふうにも受け止めております。
     行政あるいは民間も含めた支援となかなかつながらない被害者に対してどうアウトリーチしていくかなどの様々な対処方策、あるいは潜在化している方々でございますので、実態把握をどうすべきか、調査研究も含めて、更に御議論いただければと思います。また、被害の類型の点におきましても、性犯罪なり子供の被害という点についてはある程度議論もございましたけれども、まだまだそのほか御議論されていない類型等もございますので、その辺についても御議論をいただければと思っております。
     それから、この紙で申し上げますと6の「犯罪被害者等の安全・安心の確保」という点も、まさしく犯罪被害者の方々にとって最も切実なニーズであろうと思いますし、また警察を始めとする行政機関としても最大限重視していかなければならない課題ではないかと思っております。この点についても、例えば特にDV、ストーカー、あるいは犯人の出所後の問題、同じ犯罪者から再被害を受けることの防止等につきまして、加害者に対する制約を極小化しつつ、被害者の安全・安心を確保する方策など、御議論を深めていただければありがたいと思っております。
     差し当たり、以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま安田室長から、相対的に見て議論が少なかった部分、例えば被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援の問題、あるいは犯罪被害者等の安心・安全の確保の問題、再被害の防止の問題、こういったところについてもさらに議論を深めていただければという御要望がありました。これらを踏まえて、さらに御意見、御質問をいただければと思います。
     どうぞ、森山構成員。
  • 森山構成員 今日は、Aとされたものについての計画案文の意見交換ということですが、Bとされたものと何か重複するような、似たような箇所もあるので、それと絡んだというか、関連する形の質問をしていいのでしょうか。
  • 椎橋座長 そうですね。絡むのであれば。
  • 森山構成員 性犯罪被害者のニーズの把握はBということになっていて、今回は計画案文の対象ということで出てこないのですが、例えば中島構成員から出ている22番の性犯罪被害者のこととか、私が28番の被害の潜在化のところで言っておることに関して、文科省のほうで、例えば23番の「性犯罪被害者である児童生徒及びその保護者の相談等に対し、学級担任、生徒指導担当教員、養護教諭等が連携し」云々ということがあります。
     特に中学生、高校生が性犯罪被害に遭ったときにどういうふうにすれば被害の救済につながる道筋があるのかということについて、被害に遭ってからの話ではなくて、日頃の教育の中で事前に、一般に言われる性教育とはまた違ってくると思いますが、そういうところもやはり教えて、これはいじめの問題とも似てくるとは思いますが、何もないときからそういうことを教育の中でしていって、シグナルが出やすいようにしておくことが最も効果があるのではないかと逆に思うわけです。23番等は、被害者という場合に限らず、一般的な学習教育活動の中でできないかとしたほうがよろしいのではないかと考えるのですが、その辺、文科省さんはどうなのでしょうか。
  • 椎橋座長 ただいまの森山構成員の御質問に対して文部科学省の方、いかがでしょうか。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 今のお話は、被害が起きる前にアクションとして、そういうことに遭わないようにするという観点からの教育ということでございましょうか。
  • 森山構成員 そういう場面に接したときに、すぐに声を上げることができるように、事前に教育の中で教えることができませんかということです。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 防犯というか、そういった観点からということでございますね。
  • 森山構成員 そういうことです。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 直接、担当している者が来ていないので、そのお話は持ち帰って、現在でも何かやっていることもありましょうし、また検討したいと思います。
  • 椎橋座長 中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 今の森山構成員の御発言と関連することですが、文部科学省のほうから案文としていただいているのは事後対応のことなのです。このテーマが、被害が潜在化しやすい犯罪被害者の支援ということで、もちろん子供たちが性犯罪被害に遭ったと言ってくれれば、これは可能なのですが、潜在化しやすいということは、つまり、言ってくれないということなのです。
     ここの中で一歩踏み込むのは、言えない子供たちをどうやって拾い上げるのかということなので、今の森山構成員の御発言は非常に重要で、それは前回の第2次の基本計画にも出ていたことだったのですが、子供たちが被害に遭ったときにどこに相談したらいいのかを何らかの形で学校教育の中に取り入れて欲しいということが必要なのではないかと思います。
     第2次の基本計画検討会のときもでしたが、性教育については積極的に取り上げられないという御返事を文部科学省からいただいておりまして、犯罪被害の防止は性教育ではございませんので、犯罪被害の対応という観点で潜在化しないようにという試みを、よりこの案文の中につけ加えていただけたらと思います。
  • 椎橋座長 ただいま中島構成員のほうから御要望がありましたが、いかがでしょうか。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 あわせて検討させていただければと思います。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     飛鳥井構成員、どうぞ。
  • 飛鳥井構成員 今の件ですが、これまで学校で子供が性犯罪に巻き込まれたケースで学校関係者から何件か御相談を受けたことがあります。印象としては、こういう事案は各学校でも少ないのです。どの学校でも関係者は初めて体験するということで、どうしていいかわからない。そうすると自動的に蓋をしようというほうに働いたり、学校の校長先生、上層部が積極的に動かないとスクールカウンセラーの人も動けないということがありますので、とにかくそういうときに学校関係者はどこに相談すればいいのかということを是非徹底して情報提供していただければと思います。外部の機関と連携をとるということをもう一歩踏み込んでしていただけるようになるといいと思っています。学校というのは外の機関となかなか連携をとりにくいというものがありますので、事前に話しても、どの方も初めてのケースなので、非常に戸惑うことが多いというのが実感です。
  • 椎橋座長 そういう問題点を含めて、そういう認識をされた上で御検討をお願いできればと思います。
     ほかにいかがでしょうか。
     この議題につきましては、中曽根構成員、よろしいですか。前に関連する意見を幾つかお出しいただいていたので。
  • 中曽根構成員 39番です。大分無理なことを提案していたのかもしれないのですが、内閣府の方は検討中で、法務省の方の検討結果は特に盛り込めることはないと書いてあります。この辺について御説明願えればありがたいと思います。
     41番は、具体的に数を増やしていただけないかということも書いたのですが、検討結果は、再被害防止対象者に指定するということで書いてあります。そうすると再被害防止対象者の数は結構多くなると思いますが、実際にそのように指定していただくという方向で考えておられるのかということをお聞きしたいです。
  • 椎橋座長 ただいまの御意見に対して、関係の省庁の方、いかがでしょうか。まず、警察庁。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 緊急通報装置の関係でございますが、予算の観点もあり、困難な点もあるかと思いますけれども、ここに書いてありますとおり、再被害防止対象者に指定するとともに、緊急通報装置以外にも、防犯指導、あるいは加害者に対する直接の指導、警告等、様々な方法がございますので、そのような代替手段も考えながら、再被害防止対象者の保護にしっかり努めてまいりたいと思います。
  • 椎橋座長 法務省の方、いかがでしょうか。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省でございます。
     電子監視の手法による再犯防止というのは、実際、導入している国はございますが、非常にドラスティックなやり方で、人権上の問題もあります。刑罰が終了した後の監視が一番大事なのだと思いますが、刑務所を出て、保護観察がついている場合はそれが終わって、本来なら自由になる、それからもずっと監視を続けるというのが多分この御趣旨だとしますと、これは刑罰とは何かという根本に関わるところでありまして、法制上の問題も非常に難しいものがございます。簡単ではなくて、かつ憲法上の制約も非常に厳しいものがある、こういう感覚で、ここに書きましたとおり、非常に慎重な検討が必要です。今ここで「直ちにこれをやりましょう」とはとても申し上げられませんし、将来的にも相当難しい、そういう問題と認識しております。
     以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま何人かの構成員の方から御意見がございまして、各関係省庁におかれては、検討すべき事柄については検討していただいて、あるいは御意見として受け止めていただく点についてはそういう形で受け止めていただきたいと思います。
     どうぞ、瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 非常に困難であるという御回答だったのですが、確か中曽根構成員のお話があったときに、川出構成員が支持されるような発言をされた記憶がありますが、そんなことはなかったですか。それに対する回答はここでは検討中となっていて、中曽根構成員に対しては困難であるという回答ですが、ニュアンスの差があるのかないのか、これはいかがですか。
  • 椎橋座長 法務省の方、いかがでしょう。42番に整理されている問題でございます。
  • 法務省大臣官房審議官 資料3に記載されているものが現在の検討結果でございます。川出先生から御質問があったのは、2回ぐらい前のときであったかと承知しております。
  • 椎橋座長 ちょっと整理したほうがいいと思いますが、事務局、どうぞ。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     一応こちらの整理といたしましては、まず中曽根構成員のほうから御発言のあった電子監視につきましては、刑罰終了後の電子的な監視という趣旨であると事務局としては整理しております。ということで、法務省さんのほうにもこの点についての検討をお願いしたところ、こういう検討結果であったと理解しております。
     42番の川出構成員の御発言につきましては、これは刑罰終了後という御趣旨ではなくて、DV防止法の接近禁止命令やストーカー規制法の禁止命令等の担保という趣旨でございますので、場面が違うのだろうと考えております。こちらの川出構成員の御発言の点につきましては、引き続き関係省庁において検討してまいりたい、そういう整理をしているところでございます。
  • 椎橋座長 そういう整理でございます。よろしいですか。
     それでは、この議題についてはこの程度にさせていただきます。
     続きまして、次の議題に入ります。次の議題は「第2次犯罪被害者等基本計画と新たな基本計画における案文との対比」でございます。
     まず、事務局から資料の説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     この議題に関する資料といたしましては、資料4でございます。前回の会議におきまして、要望意見の整理において「B」とされたものを踏まえた計画案文、及び男女共同参画会議における検討結果を踏まえた計画案文をお示しいたしました。さらに、本日は、要望意見の整理におきまして「A」とされたものを踏まえた計画案文をお示しさせていただいたところでございます。
     これまで計画案文をそれぞればらばらにお示ししていたことから、これを一覧にまとめまして、さらに現行の第2次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた施策のうち、引き続き新たな基本計画に盛り込むべき施策を加えたのが右の欄の「新たな基本計画における案文」になります。これと現行の第2次犯罪被害者等基本計画を対比したものが資料4でお示ししているものです。
     本日、この資料に基づきまして御検討いただきまして、次回会議におきましては、構成員の先生方からの御意見を踏まえまして、新たな基本計画の骨子案をお示しできればと考えております。
     以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     それでは、どなたからでも結構ですので、御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思います。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 中身ではなくて、この案文の検討の進め方についての質問です。今回、この案文が届くのが会議に非常に近い日付になっていて、これだけ膨大なものを丁寧に読む時間が私どもさすがにございませんでした。本当は今回で出さないと、省庁に議論していただいて次回のところで最終確認できない時間だとは思いますが、それでは多分無理ではないかと思います。会議の数を増やすことは難しいと思うので、少し足りない部分をどのように補っていったらいいのかについて内閣府の御意見を伺いたいところです。例えば、今日出せなかった意見については、ある程度の期限を決めていただいて、メール等で提出して、次回までには省庁から御意見をいただくなどしていただけないかと思います。
  • 椎橋座長 時間的にもう少し必要だということです。8月の会議でもこの案文について議論できるのですね。事務局からお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     今回、資料の送付が遅れまして大変申し訳ございませんでした。御指摘のとおり、今回だけでいろいろ御検討いただくのはかなり難しい部分がございますので、今日御議論いただくとともに、また次回の会議までに、ちょっと期限を区切らせていただくかもしれませんが、構成員の皆様から書面で御意見を提出いただければ、次回の会議におきましては、それに対する回答も併せて御説明できるように準備させていただきたいと思っております。
  • 椎橋座長 中島構成員がおっしゃるように、確かに分量が多いものですから、私の感覚では、今日は資料3が十分に検討できれば、資料4についてはできる範囲でご質問、ご意見を出していただいて、次に向けて、2週間程度でできれば質問を出していただいて、そして各省庁から御回答いただいて、8月の会議で詰めた議論をする、そういう形にできればと思っております。今日、気が付いたところについて御意見、御質問を承れればと思います。大変暑いところを短期間で恐縮なのですが、これから2週間程度精力的に読み込んでいただいて、質問をお出しいただいて、その上で各省庁からお答えもいただいて、8月にさらに議論をしたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
     どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 旧も34番で新も34番の「被害回復のための休暇制度の周知・啓発」というところです。実際に支援をしていて感じるところですが、休暇制度についての十分な認知がなされていない状況ではないでしょうか。2次の基本計画でうたわれていても、余りよく理解されていなかったり、被害者にとって休暇もうまく取れないような状況があると思われますので、3次に引き続きこのように載せていただくのは大変ありがたいことですが、2次の期間、どのような努力をされてこられたのか、お聞きできないかと思います。今後また周知徹底していただけたらとは思っています。
  • 椎橋座長 厚生労働省の方、いかがでしょうか。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 御指摘いただきました休暇制度の関係でございますが、確かに御指摘のとおり、なかなか事業主に対する周知が進んでいないということで、これまでの取組としましては、そこにも記載しておりますけれども、リーフレットを事業主団体に配布したり、ホームページに掲載したりなどの取組をやっております。実際に運用状況を聞きますと、会社で働く労働者の方が、例えば事業主に自分が犯罪被害に遭っているので休暇をいただきたいということを言いづらい状況もあるようですので、そういった観点からも、より事業主サイド及び労働者サイドにとって負担がないような形で休暇制度の普及や取得というものにつなげていけるように丁寧に対応していきたいと思っております。
  • 椎橋座長 とれた休暇期間の実績とか、このぐらい増えてきているとか、そういうものはなかなか分かりづらいのでしょうか。リーフレット等によって周知を図る努力をされてきたので、こういう効果は表れているというようなことを書くこともなかなか難しいですかね。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 今、手元に数がございませんので、確認の上、次回、そちらについては回答申し上げたいと思います。
  • 椎橋座長 よろしくお願いいたします。
     ほかにいかがでしょうか。
     室長、お願いします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 計画を取りまとめる立場として計画全般に渡る話になりますが、計画を効果的に推進していく担保として考えるべきことはないかということで、一つ思いますのは、そういった個別の施策の効果検証とか実施状況の的確な把握というのが必要でだろうと思っております。その意味で、計画の中では定性的に表現されているものが多いわけですが、その計画自体あるいは計画期間内の達成目標等をできる限り定量的に表現できないだろうかという点も考えるところでございます。また、計画自体としては定性的な記述の表現にならざるを得ないとしても、個別施策の推進状況について数値的に把握できるものは、可能な限りそういった進捗状況の把握ができればよいのではないかと思っております。
     例えば、各専門職の養成課程あるいは大学の医学部、法科大学院で犯罪被害者問題に対して講義とか演習等を実施しているということでございますけれども、仮の話ですが、例えばそれだったら幾つの法科大学院で実施されているのかといった形で数値的に把握することも考えられるのではないか。全てを定量的にというのは難しいかと思いますけれども、できるものもあるのではないかと感じております。
     それから、第3次計画が全体として国民にどのように浸透しているのかという点についても、計画の効果検証という観点から実施する必要があるのではないかと感じております。内閣府として十分でなかった点を反省している点もあるのですが、平成20年度に犯罪被害者等に関する国民の意識調査が実施されておりますけれども、それ以来、個別の調査研究はいろいろありますが、犯罪被害者に関する政府の世論調査という形で行われておりません。
     また、国民一般だけではなくて、先ほどの潜在的な被害者の問題にも関わりますが、被害者が被害者等施策をどのように享受できているのか、できていないのかという点についても、これまでの被害者に対する調査研究等を一歩前に進めていく必要があるのではないかと感じておりますので、そういった計画全体をどう推進させていくのか、あるいは実施状況を把握していくのかという点についても、また御意見を賜れればと思っております。よろしくお願いを申し上げます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま室長から各関係省庁の取組に対して、定性的なものに限らず、定量的な表現ができるところとできないところがありますので、できるところについては定量的な表現というものも出していただけないか、効果の測定という意味で、国民にどの程度浸透しているかということについても、具体的に表現できればそういうものも表現していただきたいという御意見、御要望がございました。
     どうぞ、森山構成員。
  • 森山構成員 新番号50番の「性犯罪被害者対応における看護師等の活用」というところで「性犯罪に関する専門的知識・技能を備えた看護師、助産師等の活用」と書いていますが、日本の現状において、そういう専門職的な看護職について明確な立場として位置付けられているものがあるのでしょうか。アメリカでは性暴力被害者支援看護職とか、そういう特別な職があるそうですが、日本の現状はどういうふうになっているのでしょうか。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。  これは厚労省でしょうか、警察庁でしょうか。厚労省の方、どうぞ。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 看護師の関係でございますが、御指摘のように、性犯罪対策に特化した形の看護師資格というものは現状で我が国にはないと承知しておりますが、今、あるとすれば、例えば養成学校を卒業して看護師になられる方もいらっしゃいますが、養成学校の卒業時の到達目標の中の一つとして犯罪被害についてもきちんと知識を習熟しておくことというものが盛り込まれているのが現状でございます。
  • 椎橋座長 そういう専門的知識を持った方は現場にどのくらいおられるのですか。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 これはデータが取れるかですが、実際にどういう課程の授業項目を盛り込むかというのは各施設の判断ということになりますので、すべからく全国でどのくらいがその科目を履修しているかというのは統計的にはなかなか分かりづらいところです。
  • 椎橋座長 これに関連して、前に小西構成員から、精神的なケアを含めた、専門的な知識を持った方の対応に限らず、証拠の収集とか、そういったものも含めた対応というのが必要だと、そういう専門的な知識・技能を備えた方はどのぐらいおられるのかというような質問が前にあったと思います。この際ですので、もしそういうこともお分かりになったら、警察庁の方でしょうか、厚労省の方でしょうか、教えていただければありがたいと思います。
     どうぞ、中島構成員。
  • 中島構成員 性犯罪と証拠採取等に専門的な知識を有する看護師の民間団体が行っている資格として、SANE(Sexual Assault Nurse Examiner:性暴力被害者支援看護職)という性暴力被害者支援看護職の研修というのが民間のネットワークで行われていて、そこではそういった技能のある看護師の普及を目指していたかと思います。男女共同参画の施策の中にこういった資格を拡大するとかが入っているのかどうかということにもよるのかと思うのですが、そのあたり、もし内閣府のほうでおわかりでしたら教えていただけますでしょうか。
  • 椎橋座長 それはどこにお尋ねしたらよろしいでしょうか。内閣府ですか。男女共同参画局で議論されたことはありますか。
  • 中島構成員 議論されている可能性があるかと思います。
  • 椎橋座長 事務局からお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     今、中島構成員から御指摘のありました点でございますけれども、現状の男女共同参画基本計画の策定に当たっての基本的な考え方の中には「性犯罪被害者に対する包括的・中長期的な支援を推進するとともに、医療費、カウンセリング費用の助成について検討する。また、性犯罪に関する専門的知識・技能を備えた看護師等や民間支援員の活用を促進する」といった施策が入っているところでございます。
  • 椎橋座長 ほかにはいかがでしょうか。
     どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 基本的なことでお聞きしたいのですが、旧番号の218番です。文科省で家庭教育手帳というのを出しておられたということですが、これは削除になっています。もう必要ないので、更新していないのだと思われるのですが、こうなっているのですが、家庭教育手帳というのはどのようなものだったのか、お聞かせ願えますか。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 以前、国のほうで作っていた家庭教育手帳の中身は、乳幼児のときにどういう教育的なケアが必要なのかといったことについて子育ての参考になるような内容を入れて、母子手帳と同じぐらいの大きさで、かなり小さい冊子というか、そういうものをお配りする施策をやったものです。
  • 中曽根構成員 そうしますと、各家庭一人一人の児童に対して配布されていたということなのでしょうか。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 すみません。記憶がうろ覚えなのですけれども、母子手帳をお渡しするタイミングか、何かのタイミングで一緒に各市町村のほうから配っていただくということで、当初は全て印刷する経費とか持っていたと思うのですけれども、どこかのタイミングで、マスターのものをつくっておいて、それを各市町村でコピーして配るという形にたしかなっていたのだろうと思います。
  • 中曽根構成員 ありがとうございます。
  • 椎橋座長 この言い方は失礼ですけれども、余り効果がなかったということですか。
  • 文部科学省大臣官房総務課副長 すみません。ちょっと確認させてください。
  • 椎橋座長 もちろん、効果的に活用されないものをそのままやっておく必要はないわけで、別の、より有効な形で伝えるということのほうが大事なのでしょうから、こだわる必要はないと思うのですが、一応、念のためにお調べいただければと思います。
     そのほかにいかがでしょうか。
     どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 私もざっと読んで意味が分かっていなくて、もう既に決められたことなのかもしれないのですけれども、旧の44番の「思春期精神保健の専門家の養成」は、3次計画になると対応済みだから削除というふうになっているわけです。研修の実施は3次計画になるとやらない、これは効果が見られているから逆にやらないという考え方でよろしいのでしょうか。
     結構こういう形で削除というところが幾つか、例えば55番のPTSD対策に係る専門家の養成研修会、継続的に実施するメンタルヘルス研修も削除となっているのですけれども、このようなものは、実際に養成したり、メンタルヘルス研修を行い、既に効果がみられたので実施しないということで削除になっているのでしょうか。
  • 椎橋座長 事務局のほうからお答えします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事前にお配りしていた資料では、旧の44番と55番は削除になっていたのですけれども、その後、厚生労働省に検討していただきまして、3次計画においても入れていただくという形になっております。事務局の説明不足で申し訳ございません。
  • 椎橋座長 お送りしたのを読んでこられたので、それはそのとおりで、今日配付したものとは異なっているということです。
  • 中曽根構成員 失礼しました。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局の資料の整理に不備がございまして、大変申し訳ございませんでした。
  • 椎橋座長 それでは、議題の4につきましては、今日はこの程度にさせていただきまして、来月もまた再び取り上げたいと思います。
     続きまして、5の「その他」に移らせていただきたいと思います。「その他」になっておりますけれども、具体的な中身は渡邉構成員からの提案に関する検討でございます。
     前回の会議におきまして、渡邉構成員から大きく3つの御提案をいただきました。第1は重傷病給付金の拡充、第2は親族間犯罪の見直し、第3は若年の被害者等に対する手厚い給付の提案がございました。本日は、これらの提案につきまして、1つずつ取り上げて検討していきたいと考えております。
     まずは、重傷病給付金の拡充についてであります。前回の会議におきまして、「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」取りまとめにおける「重傷病給付金に関し、被害者の負担軽減をさらに図るべき合理性が認められる実態があるか確認するため、現行制度について運用状況をさらに調査すべきである」という提言を受けて、警察庁から「現在、運用状況を調査中でありまして、その結果を踏まえて、支給対象期間、支給額の見直しを検討したい」、こういう御発言があったところでございます。これに関しまして、そういう経過ですので、本日は警察庁から、具体的にどのような調査を実施しておられるかなどについて可能な範囲で詳細に御説明をいただきたいと思います。警察庁の方からお願いいたします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁でございます。  資料5の1に記載がございます。御覧ください。
     警察では、議長から御紹介がございましたとおり、提言を踏まえまして、実態調査を本年1月から実施しているところでございます。具体的には、平成23年度、平成24年度の重傷病給付金受給者の実際の加療期間あるいは自己負担額等について医療機関を対象として聴取を行うべく、都道府県警察に対し依頼をしているものでございます。御協力いただけない医療機関があるとの報告を都道府県警察から受けているなど、大変時間を要しているところでございますけれども、今後、できる限り早くこの調査結果を集計いたしまして、加療期間、自己負担額等の実態を分析したいと思っております。
     また、重傷病給付金に係る現行制度の見直しについて、分析結果を踏まえ検討する旨、第3次犯罪被害者等基本計画案文に盛り込みたいと考えております。  以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま警察庁から御説明がございました。調査結果を踏まえて、支給対象期間、支給額の見直しを検討することとしたいという説明でございました。したがいまして、重傷病給付金の拡充につきましては、警察庁のただいまの説明を踏まえて、支給対象期間、支給額の見直しを検討するということを前提に何か御意見等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
     まず、渡邉構成員、いかがでしょうか。
  • 渡邉構成員 前回、瀬川構成員のほうから、構成員同士は信頼し合ってというお言葉をいただいたのですけれども、この資料を見ますと、去年の1月に提言が出て、調査に着手したのが今年の1月、1年経っているわけですね。警察庁の組織自体がどうなっているのか私は知りませんけれども、提言を受けてから調査するまでが1年、調査していって、その結果が出るまで何年かかるのだろうと、非常に疑問に思っているところです。
     前回も言いましたけれども、過去の例からいくと3割が積み残されている。3割の人が1年を超えて治療している実態があるということです。私どもとしては、調査した結果がどうあれ、1年以内に終わっている人が大部分であれば一番いい。期間を延ばすとか、金額の上限をもっと上げるとかという形をしても、実際にそれが適用される方が少ないのであればいいことですから、調査をするのは結構ですけれども、そういう困っている人を救っていただきたいということなので、調査の結果を待ってというよりは、それが妥当かどうかという話し合いをしていただいて、早急に結論を出していただきたいというのが私の願いです。
  • 椎橋座長 警察庁の方、調査はどのぐらいかかる見込みでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 現在調査しているところで、なかなか明確にお答えするのは難しいのですけれども、一つは、もし改正するということになれば、やはり立法事実というのが必要になりますので、実績等をしっかり確認させていただきたいというのがある一方で、お待ちになられている、あるいは将来の被害者の方々を考えますと、長期間の調査はできないということで、何とか本年度中には目鼻を付けたいと思っております。
  • 椎橋座長 本年度中には何とかしたいという御回答がありましたが、調査の関係では厚労省の方の御協力というのはあるのでしょうか。病院の関係ですね。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 今のところ、こちらで把握しているものは特にないのですけれども、何か事情があってこちらでも協力できることがあれば随時協力をさせていただきたいと考えております。
  • 椎橋座長 要請があれば厚労省も御協力するということで、今年度中には終わらせたいということですが、渡邉構成員、それでいかがでしょうか。
  • 渡邉構成員 期間と金額については、そういうことであれば、ある程度待っているのはやむを得ないという気はしますけれども、それに関連して、犯罪被害者証みたいなものを発行していただいて、現物給付にしていただくとかという点についてはどういう状況なのでしょうか。
  • 椎橋座長 現物給付との関係は、この前提は、まずは調査をしてからというお考えですね。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 はい。
  • 椎橋座長 この問題は、もちろん警察庁だけで判断されるというわけにはいかないでしょうから、それとの関係は別にして、ともかく警察庁のほうで調査をした上でということだと思いますが、現物給付との関係についても含めて、構成員の方々の御意見はいかがでしょうか。その調査が終わるまでの間どうするかということですね。警察庁のほうはその関係をどうお考えですか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 現物給付という給付方式が可能か否か、あるいは可能であればどんな方法を取り得るかということにつきまして、既に現物給付制度をとられている関係省庁もあるかと思いますので、そういったところの御知見をまず聞かせていただこうと思っております。
  • 椎橋座長 調査しながら、それも含めて考えていくということですね。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 現物給付の観点についてはそのとおりでございます。金額の上限の関係もありますし、期間も関係してくると思います。
  • 椎橋座長 ということですが、いかがでしょうか。
  • 渡邉構成員 重傷病の対象になるというのは、過去の例をとってみても、私どもが調査した結果によると全国で200人程度、県によっては1件か2件しかないとか、あるいは東京等では10件ちょっと、そういう調査結果も受けています。数の上からするとそんなに多くはないはずなのです。事務量がそんなに大変になって、どうしても難しいとかということはちょっと考えられないと思うので、なるべく早急に結論を出していただければ幸いだと思います。
  • 椎橋座長 ただいまの点についてほかにいかがでしょうか。
     それでは、特に御意見がないようですので、こういう形でまとめさせていただいてよろしいでしょうか。警察庁におかれては、ただいまの渡邉構成員の御意見を踏まえて、重傷病給付金の運用状況についてできるだけ早く調査を行って、調査結果を踏まえて、支給対象期間や支給額の見直しを検討するということで、新たな基本計画に盛り込む具体的な案文を検討する、そういう形でまとめさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。警察庁のほうもそういうことでよろしいですか。構成員の方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。  それでは、そういう形にさせていただきたいと思います。
     続きまして、親族間犯罪の見直しについて検討したいと思います。これにつきまして、まずは警察庁から御説明をお願いしたいと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 こちらも資料5の2を御覧ください。
     記載にございますとおり、社会実態の変化を踏まえまして、親族間犯罪についてその支給の在り方を検討すべきであるとの御指摘を受けまして、今後の検討に資するため、親族間犯罪についての実態調査を行いたいと考えております。
     この調査につきましては、この基本計画策定・推進専門委員等会議あるいは犯罪被害者等施策推進会議におきまして御了解が得られました後、実態調査の準備作業に要する期間をいただいた上で、平成28年度から行いたいと考えておりますが、個別の事件を丁寧に調査する必要がございますため、時間を要するのではないかと考えております。
     今後の予定といたしましては、この調査における具体的な調査内容あるいは方法について検討してまいりたいと思っております。また、調査を実施いたしまして、必要な検討を行う旨を第3次犯罪被害者等基本計画案文に盛り込みたいと考えております。  以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま警察庁から、運用状況を調査し、どのように見直し得るかを検討することとしたいという説明がございました。したがいまして、これについても調査等を行うということを前提に警察庁のただいまの説明に関して何か御意見等があればお願いしたいと思います。どなたからでもどうぞお願いしたいと思います。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 この調査の質問なのですが、私がよく把握できていないのかもしれないのですが、今回行う調査というのは、親族間犯罪に関わる給付の拡大が起こったことの影響を調査するということでしょうか。それとも、親族間犯罪における経済的な困窮の問題まで踏み込んだような調査となるのでしょうか。そのあたりをお教えいただければと思います。
  • 警察庁長官官房総括審議官 犯罪被害給付制度の中では、親族間犯罪は、規則の中で基本的には支給しないという形で規定されてきたものですが、DV被害者、あるいは高齢者等の虐待被害者、そういった場合については最高で全額支給することができるよう改正を行ってきました。また、同居していない兄弟姉妹に対しても支給の途を開くよう改正を行ってきたわけであります。そういう方向で拡大を図ってきたのですが、一方で、そもそもなぜ親族間犯罪だからといって不支給になるのだという、我々は原則、不支給とは言っていないのですが、常識的にはそういう捉え方も決して間違いではございませんので、そういう声がある中で、親族間犯罪でもいろいろありますが、特に被害者として、あるいは御遺族として、そうでなくても未成年の方が被害関係者で残った場合に、そうした方が大変困窮され、困った状態になっているという実態もよく分かるところでございます。
     ただ一方で、親族間犯罪を原則支給のような形にした場合に、本当にそれでいいのかという疑念が若干ございます。都道府県警察が裁定おいて補佐業務を行っておりますが、もちろん今は親族間犯罪については基本的に支給していませんので、その実態がよく分からない。今、例えば殺人事件、殺人未遂も含めまして、1年間で殺人が1,000件ぐらい、そのうち親族間が50%近いわけですが、その実態はどうなのか。では、それを原則支給とした場合に社会通念上どうなのかということを踏まえて、制度をどうすべきかということを是非御議論していただきたいという趣旨でございます。
     かなり哲学的な部分もございまして、警察庁は、親族間犯罪が原則不支給となっている理由について、例えば扶養義務、相互扶助義務があるとか、場合によると加害者を利するおそれがあるなどを理由としていたのですが、私自身、余りぴんとこないところがございまして、そうではないのではないか。逆に言いますと、親族間犯罪以外でもそもそも支給対象は今のままでいいのかという疑念もあります。
     ちょっと話がずれて申し訳ないのですが、親族間犯罪以外の場合で、全く縁もゆかりもない兄弟姉妹に給付金が払われる場合、それを警察は教えるために一生懸命探し出してしまうのです。三百数十万円、縁も切れているような方に何で出すのか、特に公安委員の先生方はそういう御疑問をお持ちで、それと必ずしも同じ話ではないのですが、親族間犯罪の支給をどうするかといった場合に、そもそもなぜ親族には逆に払うのですかといったところも、やはり哲学的というか、考え方の問題では出てくるのではないか。そういった意味で、実態としてどうなのかということもある程度踏まえつつ、どういう方向に持っていくべきかということを是非御議論していただきたいという趣旨でございます。
  • 椎橋座長 かなりたくさんの事例の調査ということになるのでしょうか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 余り範囲を広げても時間がかかるばかりですので、議論に資することのできるように、つまり、よく言われるのが、原則、親族と関係なしに払うということにして、ただ、社会通念上、払うことが適切でない場合には、払わなければいいのではないかという御議論も一部あります。ただ、それですと余りにも裁量が広過ぎるため、そもそも親族間犯罪は、ある程度事例を見ていくと、払うのが極めて好ましいという実情があるのか、そうでもないのか。というのは、原則、支払うということにしても、やはり社会通念上適切でない事例が多いと都道府県公安委員会が判断すると、申請するほうも期待を裏切られるような話ですし、また、何をもって社会通念上適切であるか、適切でないか、ただその一言だけをもって裁定業務をするというのは非常に難しいところだと思います。そうした意味で、調査をし、その調査結果を踏まえた上で御議論いただきたいという趣旨でございます。
  • 椎橋座長 中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 そのような議論をしていただけるのは大変重要かと思います。私どもの外来に来るような方でも、非常に生活困窮されている方がいますが、残念ながら現在では受けられないということになっています。しかし、状況は他の犯罪被害と余り変わらないのではと思っておりますので、よろしく御検討いただければと思います。
  • 椎橋座長 親族間犯罪の支給例、不支給例、これを実態に即して調査していただくということになれば、それが妥当かどうかということが見えてくると思いますので、この調査は非常に重要だと私も考えております。
  • 警察庁長官官房総括審議官 一言付け加えさせていただきますと、現状ではほとんど親族間犯罪は不支給ですので、親族間犯罪を調べた上で、それが支給になるとしたらどういう状態になるか。例えば亡くなられた場合、遺族としてどういう方が受けられるか、あるいは事件関係で余り細かい背景等まで調査をし始めると切りがありませんので、ある程度外形的なことで分かるような実態を基に、支給されるとすればどういうことになるのかということを中心に調べたいと考えております。
  • 椎橋座長 その中には、ある意味では当然に、中島構成員が言われたように、改正後拡大された事例も入ってきますね。
  • 警察庁長官官房総括審議官 当然、入ってまいります。ただ、今のところ、規則改正でそれに基づいた事例がほとんどないと聞いております。
  • 椎橋座長 ないのですか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 ただ、私どもはいずれにしても、本当に困っている方は是非犯給法で救いたい、でも犯給法で救うことが適切と思えない方はやはり対象外にすべきだろうという考えで臨みたいと考えております。
  • 椎橋座長 どうぞ、渡邉構成員。
  • 渡邉構成員 親族間については、立場立場でお考えがいろいろ違うとは思いますが、私ども「あすの会」でも1年かかって調べた結果が27人分しか集まらなかったという実態はありますけれども、本当に困っている被害者の方は声も上げられないというのが実態だと思います。
     その27件集まったうち、はっきりは覚えていないのですけれども、先ほど言われたように、殺人事件が日本で大体年間1,000件、そのうち53%ぐらいが親族間と言われているように、半分近くが親族間の犯罪です。改正になったのが去年の11月でしたか、それから支給されている実態がないということなのですけれども、多分、私が想像するに、各地方の警察署の職員が親族間の支給についての制度が変わったというのを理解していない場合が多くて、親族間は請求しても無理ですよと言われたケースもあるのではないかと思います。幸い、うちの会員ではそれはありません。
     それと、先ほど言った誰に支給するかという点で、うちの会員等でも、結婚を前提なのかどうか分かりませんけれども、3歳の子供がいて、同棲して1カ月で、当初は同棲相手のほうに行くと言われていたらしいのですが、いろいろと申請した結果、子供が受取人になった。ただ、お母さんが被害者で、お母さんも働いていたのですけれども、自分が主になって生活を賄っていたとは認定されなかったらしくて、本当に低い金額で、その被害者の母親は、国は自分の孫にこれしかやってくれなかったのだということを大きくなったら知らせると言っていました。それは余計なことかも分かりませんけれども、確かに親族間でも、我々が調べた関係では、他人と全く一緒なのです。もう家族関係が全く壊れてしまっているということで、被害者のほうは別れたくてしようがなかった。それが最悪の事態になってしまったというケースが非常に多いのです。そういうのを見ると、ただ単に親族間だから不支給になるというのは余りにも理不尽ではないかと思って、こういうお願いをしているということなのです。
  • 椎橋座長 そういう理不尽な例が多いかどうかも調査で出てくれば判断できると思います。申請していない事例の場合、そういうのも拾い上げられますか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 基本的に申請していない事例を中心に、調査を行うこととなります。私ども警察は、親族間犯罪も含めて殺人等、どういう犯罪が発生しているのかということが分かりますので、申請していない事例についても親族間犯罪がどういうものかということを調査したいということでございます。もちろん支給事例の親族間犯罪も含めて調査を行いたいと思っております。
  • 椎橋座長 ということですが、いかがでしょうか。
     それでは、警察庁においては、ただいまの渡邉構成員等の御意見も踏まえて、親族間犯罪についてまずは調査を行うということで、新たな基本計画に盛り込む具体的な案文を検討していただくということでまとめてよろしいでしょうか。
    (首肯する構成員あり)
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     それでは、警察庁の方にはよろしくお願いしたいと思います。
     次に、若年の被害者等に対する手厚い給付について検討したいと思います。これについては、前回、事務局からも説明がありましたが、先の検討会では「あすの会」の提案する新たな補償制度の中で支給金額の総額の水準ということで議論がありましたけれども、若年層等に手厚い給付をすべきという形での検討はされていないものと思われます。
     そこで、この点について論点として取り上げ、新たな基本計画の下で検討すべきかについて議論していただきたいと思います。どなたからでも結構です。どうぞ、御意見、御質問をお願いしたいと思います。
     渡邉構成員、どうぞ。
  • 渡邉構成員 今の犯給法上の計算でいきますと、所得の高い人がたくさん犯給金を受け取れるという制度になっているのです。私どもとしては、逸失利益といいますか、若い人だったら確かに収入は低いけれども、これから何十年と働けるであろう、その失った金額、その年数を考慮して計算方式をちょっと変えていただければその辺はできると思います。今は、年齢が高くて、50歳代の前半で扶養家族がいっぱいいて収入の高い人がたくさん貰えているという形なので、若年者、特に子供さんがいて、働き手が被害に遭ったという方については、その後の生活が非常に困窮する事例が多いということですので、ちょっと計算方式を変えていただければと思います。それこそ、なくなりましたけれども、新国立競技場を作る、そんなお金がかからなくても、十分被害者の手元には行くと思いますので、よろしくお願いします。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。
     今の点に関連して、あるいはそのほかの点でも結構ですが、いかがでしょうか。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 今の議論を考える上での質問なのですけれども、自賠責とか労災のほうでは逸失利益を考慮されているのでしょうか。そういったものが参考になるという考え方ができるのでしょうかという質問です。
  • 椎橋座長 これについてはどうでしょうか。事務局は把握しておられますか。警察庁さんのほうでおわかりですか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 自賠責につきましては、加害者が賠償するという観点から逸失利益を含めて計算すると承知しています。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。
     労災につきましては、厳密な意味では逸失利益という形にはなっていないのですが、制度の趣旨自体は、労働災害によって失われた労働者の稼得能力の補填を行うということですので、ベースとなりますのは、疾病の発生が確定した日の直近3カ月間の賃金をベースに1日当たりの賃金額を算定して給付基礎日額を算出している。ただ、そうしますと、御指摘のとおり、若年期に被災された方と壮年期で被災された方の給付の額に差が出てしまって、それが生涯にわたって解消されない不合理が生じる可能性があるということになっておりますので、制度上工夫をしております。
     給付基礎日額を算定するときに統計資料を使いまして、年齢階層別、今、5歳別にしておりますけれども、最低限度額というものを入れております。例えば25歳から29歳の方については最低限度額5,570円ということになっていまして、これを下回る賃金額が算定された場合にはそこを引き上げる。この最低限度額というのが年齢とともに上がってきまして、若いうちから上がっていくのですが、50歳から54歳が6,457円ということで一番金額が高くなっております。その後さらに年齢が上がるにつれて下がるような形で、大体、給与水準の実態と近いようなカーブを描く形で制度上は設計しているところでございます。
  • 椎橋座長 自賠責と労災では違うようですね。労災の場合は、年齢か低いところを最低限度額のところまで上げるという形にして、後は年齢ごとに賃金が上がっていくので、それに従って計算していく。自賠責は逸失利益を含めている。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 犯給制度につきましては、労災の仕組みに近いのですけれども、被害に遭われたそのときの被害の軽減を図るという観点で、基本的には被害時点の収入額をベースにして、被害の軽減を図った上で、次の福祉制度なりに引き継いでいく、橋渡ししていくというイメージで作られております。そういう意味で、逸失利益の考え方というのは、本来であれば、先ほど申し上げたとおり、加害者が負担すべきものを国民全体で負担すべきかどうかということについては議論があると思っております。
  • 椎橋座長 渡邉構成員に伺いますけれども、若年者に対する手厚い給付をするべきだという考え方と犯給法の基本理念とはどういうふうに整理されておられるのでしょうか。
  • 渡邉構成員 正直、犯給法の基本理念がどうという、そこまでは考えていません。ただ、平成20年の犯給法の改正で自賠責並みになったというふうに警察庁の方はおっしゃっていた。でも、蓋を開けてみたら、若年は全くその金額に届いていない。実際、27件調べても、20歳代ですと改正になってからでも300万とか400万とか、そのぐらいしか出ていないという実態があるので、少しでも言葉どおりの自賠責並みに近づけて下さいというお願いなのです。
  • 椎橋座長 ほかにいかがでしょうか。
     なかなかこのあたりは難しいところで、犯給法の金額が自賠責並みということで上がってきているわけですから、実態は相当変わっているわけですね。しかし、犯給法の理念自体を変えているわけではない。実質的には変わってきているのでしょうけれども、基本理念自体を変えていないという中で、若年者について率を上げて支給するということがどういう理由づけで正当化されるのか、どのぐらいの額というものがそこから導き出せるのかというあたりがなかなか難しいところではないかと思うのですが、御意見をお聞かせいただければと思います。
     どうぞ、渡邉構成員。
  • 渡邉構成員 先ほども国民の合意が得られるかという話もありましたけれども、私どもがよく言っているのは、いつ、誰が、どこで事件の被害に遭うかわからない。それこそ、申し訳ありませんけれども、議長でもこの会議の帰りに事件に巻き込まれる可能性はなくはないわけです。そういう点をアピールすると言ったらおかしいですけれども、国民の総意というのは得られると思います。
     本来は加害者が損害賠償を負担すべきだという理論も分かりますが、殺人事件を起こすような加害者に支払能力がある者はほとんどいません。いたとしても、この前も言いましたけれども、裁判中に、偽装離婚か分かりませんけれども、離婚して慰謝料として自分の預貯金を全部払ってしまう、不動産も全部名義を書き換えてしまう、自分名義の財産は一切ないという状況で、取れない。
     この前、示した4件の事例でも、北海道の件で、自衛隊を退職した、それも相当上の階級で退職した犯人、これも一応、離婚しています。財産も退職金から何から全部、奥さん名義にかわっています。本人名義のものは幾ら調べても今のところ出てこないというような実態がありますので、そういう本当にやられ損の人を何とか救って下さいということで、こういう要望をしているということです。その辺を是非理解していただいて、構成員の皆様も前向きに考えていただければと思います。よろしくお願いします。
  • 椎橋座長 ほかの構成員の方々はいかがでしょうか。
     飛鳥井構成員、どうぞ。
  • 飛鳥井構成員 自賠責並みという話が出たときの例として、加害者が車ではね殺したときの被害者と、その後、車から降りてナイフで刺して殺したときの被害者は、経済的な補償が全然違ったということがあって、これはおかしいだろうという議論があったように記憶をしています。そこで、少なくとも自賠責並みにという話が出たと思うのですが、今、若年の被害者で交通事故の場合と殺人の被害の場合では、それほど食い違いが実際あるのかないのかというところを教えていただければと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 先ほど申し上げたように、自賠責につきましては、加害者自身に資力をつけさせて、加害者自らが賠償するというような制度になっておりますので、それと犯罪被害給付制度とは性質が違うと思います。先ほどから説明しておりますとおり、収入額をベースにして金額を決めておりますので、若年者というのは幾ばくか低い額になっていると思っております。
  • 椎橋座長 飛鳥井構成員、よろしいですか。
  • 飛鳥井構成員 自賠責は加害者の補償というより、要するに支えるのは被保険者ですね。加害者が補償というよりも制度として補償するわけですね。あのときも、ひき殺された人間と刺された人間とで同じ被害者でこうも違っていいものか、やはり社会通念上これはどうかというものがあったのですが、今もそういう実態が放置されているとすれば、何か手当てが必要と思います。今どの程度食い違っているのかですね。
  • 警察庁長官官房総括審議官 支給実態としては、かなり低いと思います。要するに、払い得る最高限度額は自賠責並みに上がっていますけれども、実際の支給としてはそこまでいっていない。特に若年者については、依然としてかなり水準は低いというのが実態だと思います。
  • 椎橋座長 ほかにいかがでしょうか。
     中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 今の段階で全部決めるのは難しいと思うのですが、今のお話を伺うと、自賠責のように逸失利益を計算していく方法と、労災のように最低賃金を定めることによって若年層で非常に収入が低い人もある程度の底上げが図られる方法、2つぐらいあるのかと思います。例えば、そういったものを適用するとどれぐらい今までと違うのかみたいなものを試算し、出していただいた上で検討するとか、そういうことは可能なのでしょうか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 現状でもそれぞれ年齢ごとに、大体5歳刻みで最高額と最低額というのが決まっていまして、例えば、遺族給付金が支給される場合で、かつ生計維持関係遺族がいない場合にあっては、犯罪行為が行われたときの犯罪被害者の年齢が20歳以上25歳未満ですと最低額3,600円、これに倍数を掛けるわけでありますけれども、以前の改正のときにこの最低額を引き上げたのです。ただ、渡邉構成員もおっしゃるとおり、逸失利益は考えていませんので、自賠責との比較で言うと、極端に最低額を上げない限り乖離は続くと思います。それは、財源といいますか、犯給金は税金、自賠責のほうは保険料から出ているという点、恐らく犯給法の考え方と自賠責の考え方の違いなのかと理解しております。
  • 椎橋座長 渡邉構成員のほうでは、率を上げ、計算方式を変えるというのは、どの程度、どういう風に変えるというような具体的な案はお持ちなのですか。最低どのぐらいにするとか、そういう議論も少し出てきていたので、もしそういうものが計算されているのであれば、お尋ねします。
  • 渡邉構成員 逸失利益を計算していただければ、おおむね同じぐらい、年齢が高くて収入の高い方は働ける期間が短いということで、年数が短くなりますので、金額的には抑えられるということで、大体言葉どおりの自賠責並みの3,000万ぐらいまで引き上げてほしいというお願いです。
  • 椎橋座長 中島構成員もおっしゃったように、今まとめるという段階には、この点については熟していないような気がしますので、もう少しまた時間を取って、次回以降、検討させていただきたいと思います。
     それでは、結論が出なかったテーマもございますけれども、一応、本日の検討事項は以上ということになります。
     最後に、事務局から次回の日程に関する連絡がありますので、お願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     次回の会議日程について御連絡を申し上げます。次回は、8月24日(月)の午後2時から、場所はこの建物の6階、623会議室を予定しております。
     本日、事務局から提出いたしました資料につきまして、次回会議までに御意見をいただければと思います。目途といたしましては、本日から2週間以内に事務局のほうに書面にて御意見、御質問等を提出いただければと思っております。それを踏まえまして、次回の会議におきましては、御意見、御質問等に対する回答も含めまして、骨子案というものについてお示しできればと思っております。また、骨子案につきましても、できる限り早い時期に各構成員の皆様に事前送付したいと考えております。
     事務局からは以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいまの事務局の説明に対して何か御質問等はございますでしょうか。
     ないようですので、それでは、これをもちまして、第20回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終わります。どうも本日はありがとうございました。
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