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犯罪被害者等施策
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第2回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

(開催要領)
日時:平成22年3月24日(水)10:00~12:00
場所:中央合同庁舎4号館4階 共用第2特別会議室
出席者:山上議長、大久保構成員、小西構成員、久保構成員、瀬川構成員、中島構成員、松村構成員、山田構成員
 泉政務官、内閣府犯罪被害者等施策推進室長、内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官、警察庁長官官房総括審議官、総務省大臣官房企画課企画官、法務省大臣官房審議官、文部科学省大臣官房総務課副長、厚生労働省社会保障担当参事官、国土交通省自動車交通局保障課長

(議事次第)
1.開会
2.「現行計画の評価」及び「犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点」の修正について
3.論点についての検討<1>
   ・損害回復・経済力支援等への取組
4.その他
5.閉会


(議事内容)

○山上議長 ただいまから、「第2回 基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催します。本日は泉政務官に御出席をいただいております。どうぞお願いします。
○泉政務官 皆さんおはようございます。本日は第2回の基本計画策定・推進専門委員等会議ということで、本当にお忙しい中、皆様お集まりいただきましてありがとうございます。
 政府としても、それぞれ担当だからということではなくて、一人の国民として、犯罪被害者の皆様を支援をしたいという気持ちを持って取り組ませていただいているところでありますが、特にそういう中で、多くの被害者と接してこられている、あるいはまさに当事者である皆さんの御意見は本当にありがたく思いますし、それを活かせるような施策をつくっていかなくてはいけないと思っております。
 これまではとかく計画というのは一度つくると基本的には行政内部のみの評価で、また計画が途中で変えられることなく進んできたというのがございますが、これからはPDCAサイクルとよく言われますが、チェックをしたものをしっかりとその後アクションにつなげていくということ。そして、また次のプランにつなげていくということで言えば、計画途上であっても直すべきところは直すという姿勢が今後はやはり求められるのではないかと思います。そういった意味でのまさに実のある検討になれば大変ありがたいなというふうに思っております。
 そういった意味で、まず論点整理が前回行われたということでございます。更に今回いろいろと御議論を詰めていただければというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 実は、私、他の公務等もございまして同席をさせていただくことができませんが、ぜひ皆様の率直なさまざまな御意見を賜って、今後のいい議論につなげていっていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
 松村さんのこの「あすの会」の文書も私いただいてまいります。
○山上議長 どうもありがとうございました。
(泉政務官退室)
○山上議長 それでは、議事に入ります。「現行計画の評価」及び「犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点」について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、事務局から、資料1と2について御説明を申し上げます。
 資料1でありますけれども、これは現行計画についての評価につきまして、前回、御議論いただき、修正すべき部分を修正して、本日また再度御提示に至ったものであります。
 具体的にどの部分を訂正したかについて資料1についてお話しをさせていただきますけれども、資料1の1枚目、一番下の赤字のところであります。「雇用の安定」のところ、赤字の部分をつけ加え、横線の部分を削っているというものがまず1箇所。
 それから、同じく資料1の3ページ目をご覧ください。「第5国民の理解の増進と配慮・協力確保への取組」の部分であります。それの評価案のところ、赤字で書かれたこの3行の部分、これを新しく挿入させていただいております。 資料1については、以上であります。
 資料2でありますけれども、これは前回の論点整理の結果として論点を箇条書きにしたものでありますが、前回、新たに検討すべき論点として加わったもの、例えば「1 損害回復・経済的支援等への取組」のところでは、一番下の「犯罪被害者等給付金を生活保護の収入認定から除外すること」を加え、「2 精神的・身体的被害の回復・防止の取組」の箇所において、1つ目の「○」、同じく赤字でありますが、「PTSD治療、カウンセリング等の利用促進のための体制づくり及び費用の公費負担」という論点を新たに加えさせていただきました。
 資料2は、以上であります。
「現行計画の評価」及び「犯罪被害者等基本計画の見直し」の修正については以上であります。
○山上議長 今の報告について、皆さんの了解が得られますかどうか、御意見があれば言ってください。松村委員どうぞ。
○松村構成員 今の論点整理の中で、一番上にあります「損害回復・経済的支援等への取組」が、ただ単なる「犯罪被害給付制度の拡充」ということで取り上げられていますが、私どもといたしましては、犯罪被害者給付制度にとらわれることなく全く新しい抜本的に改革された給付制度というものを提案したいということを申し上げております。タイミング的にヒアリングのときに間に合わなかったので、大変申し訳ないのですけれども、追加的にもこれを取り上げていただけたらありがたいなと思います。
○山上議長 これについて、どなたか意見ございますでしょうか。「損害回復・経済的支援等への取組」に列挙された論点があるわけですが、給付制度の抜本的見直し、同列には少し論じられないような大きな問題になりますけれども、この意見についてどうでしょうか。
○松村構成員 追加的に申し上げさせていただいてもよろしいですか。
○山上議長 はい。
○松村構成員 犯給法そのものが改正されて、自賠責そのものと同じになったということは言われているのですけれども、今日配られた資料を見ましても全然違うんですね。そういうことからしましても、はるかに自賠責を超えた金額を基本的には犯罪被害者に対しても補償しなければいけないだろうというように思います。今現在の犯給法制度そのものがただ1回限りの支給であるということは非常に大きい論点でございます。現在被害が発生して10年以上たっても、まだ障害を引きずっているという被害者は非常に多いということもありますし、そういうことですと、犯罪被害者等基本計画の基本精神であります犯罪被害者に対する途切れることのない支援ということとほど遠い体制・制度になっていると思います。
 それともう一点、大きいのは、今の犯罪被害者に対して時効でもありましたけれども、遡及しないという非常に大きい問題がありますので、それを遡及するようにすると。現在事件が例えば10年なら10年の時効が過ぎても、現在まだ傷を負っているという被害者もおるものですから、そういう人への何らかの補償をするような制度をつくってもらいたいということの趣旨でございます。そういうことでお願いしたいと思います。
○山上議長 規模な大きな課題になりますけれども、経済的な支援の問題に関しては、前回の基本計画のところでも、2年間部会をつくって検討してきたところですが、瀬川委員、もしこの点について何か意見ございましたらお願いします。
○瀬川構成員 報道などで、そういう提案がされたということは知っていましたけれども、具体的な中身についてはまだ全然知りませんので、特にここでコメントすることはできないと思います。また、非常に大きな提案ですので、本日、この会議になじむのかどうかという点を少し検討する必要があるのではないかというように思われます。
○山上議長 松村委員に確認です。これは松村委員個人の専門委員としての意見というように考えてよろしいですね。
○松村構成員 もちろん私の意見でもありますし、「あすの会」としての意見でもあります。確かに「あすの会」としても、今まで過去絶対不可能だろうと言われた被害者参加制度も全部実現してきましたので、また、そういうことがあるのではないかということでもあります。また、更に、私はたまたま内閣府の犯罪被害者類型別調査の委員もやっていまして、その中で、その調査そのものは犯罪被害者が現在どの程度被害から回復しているのか、また、彼らが何を要求しているのかということをアンケートで答えてもらう調査なんですね。その中でも犯罪被害者が充実してほしいと一番求めているのは経済的補償制度なのです。そういうことで、絶対この会でもって討議していただきたいし、ほかに討議する場所があったら教えていただきたいと思います。
○山上議長 今日の会のためにいろんな準備をされたり意見を出したり、そういう準備があるので、前回の論点整理は全員が一致して賛成したところでもありますので、それはそれとして進めるとして、この抜本的な問題もきちんとこの会議の中で時間を設けてきちんと論ずることにする、経済的な問題は今日で終わりということではなくてということであればよろしいですか。恐らくこの問題を抜本的なということをここで論じ始めると時間を有効に使えなくなってしまう可能性がありますから。また意見というのは、あくまでここは専門委員個人の意見として出していただいて、我々もいろいろな会に所属していますけど、その会の代表としてとなると収拾がつかなくなってしまいます。また、ここにいない、参加、発言できない会も他にたくさんありますので、あくまで個人の判断で扱いについて決めていただくということにしたいと思うのですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○松村構成員 結構でございます。
○山上議長 それでは、そういうことで了承いただいたということで、この「あすの会」の提案に関しては、この会の終わる前にきちんと時間をとって、今後の扱いについて、経済的な問題はこれで終わりとしないで論ずるということにさせていただきます。よろしいですか。どうぞ
○大久保構成員 私も、とても大きな問題でもありますし、被害者が回復をしていくときには、まずは経済的安定がなされなければ精神的な回復も図れないということは支援の現場でいつも実感していることですので、継続的にということで、ぜひこれは取り上げていくという方向で行っていただければと思います。
○山上議長 あと、よろしければ、従来の方針に従って議事を進めていただきたいと思います。
本日は、資料2の論点として挙げられた事項のうち、「損害回復・経済的支援等への取組」に関する論点について、皆さんに議論いただきます。
まず「犯罪被害給付制度の拡充」について検討をします。犯罪被害給付制度については、給付額の更なる引き上げ、事実上の養子を給付対象とすること、重傷病給付金における入院要件の撤廃の3点が論点となっていますが、この3点について、警察庁の見解の御説明をお願いします。
○警察庁長官官房総括審議官 「3つの検討会」の提言を受けまして、改正犯罪被害者支援法、それと関係政令が平成20年7月から施行されております。改正後の制度が適用されますのが、施行日以降に発生した被害でありますから、改正に係る裁定件数は遺族給付につきましては32件、高度後遺障害につきましては1件となっております。当面はそういった意味で運用状況をきちんと見ていくことが必要ではないかと思います。
 先般来ありました自賠責との関係ですが、お手元の「犯罪被害給付制度と自賠責制度における給付金支給額の比較」という資料がございますが、それをご覧いただきたいと思います。これは平成21年度上半期に遺族給付金及び障害給付金の支給裁定がなされた事件のうち、平成20年7月1日以後の犯罪被害者につきまして、当庁から提供した年齢・性別、年収等の基礎データをもとに、国交省におきまして、自賠責における保険金が支給された場合の金額の算出を行いまして、その結果を内閣府でまとめていただいたものでございます。つまり同一人物について、犯罪被害給付制度ならいくら、自賠責ならいくら支払うかというイメージを1つの表にまとめたものでございます。もちろん「※」にありますように、両制度の仕組みが大きく異なっており、自賠責で必要になるデータと中身に差異がありますので、推定値を用いている部分があるなど厳密なものではありません。そういった意味で、あくまでもおおよそイメージを把握するための参考としていただきたいと思います。
 これを見ますと、犯罪被害給付制度と自賠責とでは自賠責制度の支払いのほうが高いという傾向がわかります。特に生計維持関係の遺族がいない被害者についてはその差が大きくなっているというのが資料で見てとれるかと思います。これは、両制度の理念、目的その他等々でスキームが異なっておりますので、その結果、金額に差異が生じるということであろうかと思います。そういった意味でなかなか理念、目的が違う制度の水準を論じることは非常に難しい部分があると思います。
 次に、要望の2つ目の事実上の養子を支給対象とするという2つ目の御要望でございますが、これについては、事実上の養子関係を遺族給付金の支給対象と認めた場合には、申請があった者以外に事実上の養子が存在するか否かについて確定できないので、的確な裁定を行うことができないというように、犯罪被害給付制度の迅速性に影響が出てくると思います。そういった意味で、事実上の養子を遺族給付金の支給対象することにつきましては、当庁としては適当ではないと考えております。
 なお、事実上の養子縁組関係にある者につきましては、他の公的給付制度においても受給権者から除かれる者としてむしろ明確に定められている事例がたくさん認められます。支給の積極要件とするような制度は見当たらないというのが現状でございます。
 次に重傷病給付金における入院要件の撤廃の部分でございます。
 重傷病給付金につきましては、平成13年の法改正によりまして新設され、その際にどのような傷病を給付対象にするかにつきましては、平成12年の「犯罪被害者支援に関する検討会」から、全治1か月以上の傷病の中にもいろんな態様の被害があり得るため入院期間の要件を加える必要があるのではないかということ。それと検査入院のみに短期間の入院で終わるなど、そういう場合は含まず、外傷の場合に相当程度の手術が必要になるような被害に対象を絞る必要があるとの提言を受けまして医療関係者に聴取した結果を踏まえ、犯罪被害として想定され得る症例で、相当高度な手術を要するに最低必要とされる入院期間として2週間以上入院することを要件とするというのがこの制度の始まりでした。
 しかしその後、平成17年12月の基本計画において入院期間の短縮が検討がされましたので、平成17年度中の重傷病を負った犯罪被害者について、治療経過等の調査を実施したところ、加療1か月以上の者のうち入院期間が1ないし2日というのが、経過観察や検査のための入院であり、相当高度な手術等を要した場合であっても入院期間が3~4日程度というケースがあることが判明しましたので、平成18年の制度改正で入院期間に関する要件につきまして、治療のための入院の最短期間になる3日に緩和したという経緯がございます。
 今回の御要望につきましても、今のような経緯で3日以上としているわけですが、前回改正から4年近くたっておりますので、医療技術の進歩等によりまして、高度な手術をしても入院する期間が以前より短縮される、更に必要ないという状況があるのかどうか、これにつきましては、医療専門家等から意見聴取をするなどの調査を行ってみようと考えておりまして、その結果を踏まえて、入院要件のあり方について検討する必要があるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○山上議長 それでは意見交換をいたします。どうぞ、御意見ございましたら。 よろしいですか、私からですが、犯給・被害給付制度の拡充ということで、今回、自賠責並みということが非常に大きく言われて、私ども非常に期待していたのですが、この実際の金額で見るとかなり差があるので、自賠責並みに本当に近づけるとすればどういう改革というか、変更があればできるのでしょうか。それとも非常に難しいのでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 ここに自賠責制度の場合の試算方法が書いてありますが、この辺がかなり違いますので、そういった意味で、特にこういった生計維持関係の遺族数などによってかなり差が出てしまいます。今までの給付制度に比べ、この新しい制度によりますと、給付額は相当上がっておりますものの、自賠責のほうと比べれば、まだ差が残ってしまうというのが現状だと思います。
○山上議長 犯給法の算定方式を変えていくというようなことは難しいものなのでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 犯給法の算定方式・認定方式は、類似制度等とバランスをとりながらつくっているものであります。特に1つの目安になりますのは、例えば警察の職務等々で、それで被害に遭われた方々に対する給付制度もあるのですが、そういったものも1つの制度の横目で見なければならない制度としてもあったりして、そういったものとのバランスから考えると、道途上であるかもしれませんが、先の制度改正は第1ステップではないかと思っています。
○山上議長 ほかに、どうぞ。
○小西構成員 2つ御質問しますが、1つは自賠責並みと言われて、これを見て率直に言ってショックを受けました。見ると、生計維持の関係、遺族数が多い方が多くなっている算定の方式のように見えますけれども、もしそうだとしたら、例えば6番、7番のあたりは男性で遺族が2人いて、多分これからすごいお金がかかるところというような感じの方ですよね。算定方式が違うというならば、こういう方にはもっと手厚く、むしろ自賠責よりも多く出てもいいはずで、そういう意味では実質自賠責並みということが、たとえ算定方式が違うとしても補償されていないのではないかと思います。
 それから、もう一つですけれども、殺人事件の件数が未遂も含めて年間1,000件以上あると思いますが、ここに上半期で28件ですよね。これまでも犯給というのは出てきた件数に関しての支給裁定された割合はかなり高く保たれてきたと思いますけれども、全体の件数から言うと非常に少ない一部の方だと言わざるを得ません。ここのところに、例えば制度の周知や要件についてどのように現場で考えられているのか。あるいは、そういうことを申し出ることが十分に被害者ができるようになっているのか、その辺を教えていただければと思います。
○警察庁長官官房総括審議官 給付制度の対象になっている人が今でも非常に少ないのではないかという御指摘です。年によって変動がありますけれども、例えば殺人ですとか傷害致死の被害者は平成20年で言いますと、殺人未遂も含めて約1,570人になります。そのうち亡くなられた被害者が約810人。そこから不支給事由に該当する加害者と親族関係にあった方を除いた被害者は約450人になります。この中から更に労災ですとか、その他の公的救済、更に損害賠償を相当額受けられた方、それと被害者側のほうにも犯罪を誘発する行為等があったケースが犯給支給対象から除かれることになり、しかもタイムラグの問題もあって、平成20年度中の被害者について、そのまま次年度中に給付金の支給が受けられるというわけでもなく、平成20年度の遺族給付金の支給裁定に係る被害者数は173人という数字になります。
 これが多いのか少ないかという問題はあろうかと思います。犯給制度ができて相当年数がたっておりますし、特に被害者の方々は、被害発生直後は非常に混乱されておられますので、私どもとしても、被害発生直後だけではなくて、その後も被害を受けた後、継続的になるべく同じ人間が接触するなどの支援を行っています。また、そういった中でも、給付制度が使えるケースについては制度の教示をして、なるべくこういったものも申請を上げていただけるように努力しておりますし、これからもこの努力につきましては不断に続けてまいりたいと思っております。
○山上議長 ほかに何か御意見ありませんか。
○山田構成員 皆さん同じ感じだと思うんですけれども、羊頭を掲げて、狗肉を売るたぐいを免れないのではないかと思いますね。自賠責並みになった、自賠責並みになったということが繰り返し述べられておりまして、あたかも鬼の首をとったようにといいますか、金科玉条のごとく言われてきて、それ自体は大変喜ばしいのですけれども、やはり中身がどうなんだろうかと。最高額は上がった、最低額も上がったけれども、その中間の支給はどうなっているのだと。手続面も含めて、その実態はどうかということが極めて疑問であったわけですけれども、この間、こういう数字を見るにつけましても、やはり慨嘆すべきものがあるだろうと思います。
 いろいろ国の予算等との関係もあろうかとは思いますけれども、本来の趣旨に戻りまして、これを、それこそ抜本的に解決、改善していかなくてはならないというふうに思っております。
○山上議長 よろしいですか。
○松村構成員 先ほど警察庁の説明の中でも算定方式がいろいろ違うから、同じ額に引き上げるのは難しいということが本当の言葉だと思うんですね。ですから抜本的に解決しない、直さないと、同じようにせい、同じようにせい、あるいは自賠責のほうにしばられていたら全然上がらないというのが実情なんだろうと思う。何らかの新しい方法を考える必要があるのではないかと思います。
○瀬川構成員 それとの関連なのですけれども、給付金の総額、これはどのように変化しているのかということはどうでしょうか。現在の状況の中で自賠責並みということにジャンプするときに、何かそういう足かせがあるのかどうかという点ですね。
○警察庁長官官房総括審議官 いわゆる予算要求上といいますか、これは必要があればどんどん更に追加されるような仕組みになっていますので、別に予算額がアッパーになるわけではありません。むしろ制度のほうで、どれだけ支給されるかということで額が決まってまいりますので、予算額がこれだからといって、ここでたががはまっている、これを使い切ったので、それ以上出ないということは、仕組み上はありません。ただ、一応こういった制度の拡充によって、予算額は引き上げになっていますし、足りない分が出れば、そこは当然必要に応じて支給されますので、必ずしもこの予算額でたががはまるということではありません。あくまでも制度の中でどこまで支給されるかということにかかってきます。
○瀬川構成員 具体的な数値は挙げることはできないんですか。
○警察庁長官官房総括審議官 裁定額で見ますと、平成20年は全体で9億ぐらいですね。
○瀬川構成員 何がですか。
○警察庁長官官房総括審議官 遺族給付金ですとか、重傷病給付金等全部含めて、裁定してお支払いしている額が20年度で約9億円になります。
 ですから、そういった運用を見てみて、更にまだ問題点があれば、また御指摘をいただきながら、適切な対応に努めてまいりたいと思っております。
○瀬川構成員 支出したということですか。
○警察庁長官官房総括審議官 そうです。
○瀬川構成員 予算はいくらだったんですか。
○警察庁長官官房総括審議官 21年度、予算額上は20億円です。
○瀬川構成員 当初の仕組みをつくるときに自賠責並みということを目標としましたけれども、一方でそのときに、予算上非常に逼迫した状況をつくりたくないという発想、パンクするということを避けたいという考えが恐らく行政側にあったと思うので、そういう意味で、算定方式とかほかの場面でも非常に注意深く、慎重に、やや消極的につくった面があるのではないか。その点、先ほど山上議長がおっしゃいましたように、どうしたらいいのかという議論ですので、この点、何かそういうきっかけというか、例えば、現在の算定方式について、見直す手だてはないのかということは議論すべきだと思います。
○山上議長 私からももう一つ、お聞きしたいのですが、この自賠責並みが実現する前から、この給付金の額は制約があるというときに、警察の職務に協力した人たちへの支払いがここまでだから、それを超えることはできないとずっと言われていた。それが自賠責並みというのが実現しても、まだ言われているというのはやはり問題ではないのだろうか。むしろ自賠責並みというのは、最低限必要ということでしたのであれば、警察の職務に協力する方たちも同じように引き上げていって、算定方式を基本から変えるという考え方で取り組むことはできないのだろうかと感じるのですけれども、いかがでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 いろいろな給付制度があり、それぞれの目的が違いますので、一概には言えない部分もあると思うのですが、そういった中でどのようにバランスをとっていくのかという問題がどうしても出てきます。そういった意味で、確かに羊頭狗肉とおっしゃられる部分もありますが、少しでもアップにということで、上限額だけではあるんですが、自賠責並みに近づけていこうという努力をしています。ただ、先ほど言いましたように、ほかの制度とのバランスは、法制度を考える場合には考慮せざるを得ない要素ではあると思います。
○山田構成員 今、「努力」という言葉をお聞きしたのですけれども、これは裁定基準があって、計算方式があるとなると、単に努力ということだけでは解消できない問題なのだろうかなと思うんですね。ですから裁定基準自体を変えなくてはならないと、そういう議論というものを、ここでは別かもしれませんが、改めて設けて、それをやりませんと、いつまでたっても、努力したけどだめだった、という結果になるのではないかと。バランスということは、確かに重要なことだと思いますので、いろんな施策があって、その中でのバランスということは重要だと思うんですが、そういったことがあることは百も承知の上でこれができたわけですよね。それを「バランス」という言葉の陰に隠れるというのでは全く意味をなさなくなると思います。ですからその点、これからまた皆さんで協議をしていくべきであろうと思います。
○中島構成員 今、犯給制度の拡充について御意見が出ていると思いますが、私も事前意見のほうで述べさせていただいたのですが、犯給制度ができた後にこの基本法ができたわけなので、その犯給制度の当初の理念から、基本法ができた上での理念というものに当然移っていかなければいけない部分があると思います。基本法の理念というのは、被害者の方が回復するまで支援を行うというのが基本の理念でありますから、それに沿った形で犯給制度というのも見直していく必要があるのではないかと思います。
 自賠責は1つの目安にはなると思うのですが、自賠責が足りないので、普通の人は更に任意保険に入っているわけですから、ある意味、自賠責というのは最低の基準なわけで、最低の基準に満たない状況で被害者の人が果たして回復できるのかという問題はあると思います。ですから自賠責がこうだからということではなくて、改めて被害者の方にこういった部分が必要であるという視点が必要だと思います。自賠責の共助の精神から発している上でかかっている費用、例えば慰謝料に相当するような部分は確かに犯給にはなじまないかもしれないなど、何が被害者の回復に必要なのかという事項に沿って見直していただけたらよいと思います。
 その上で、要望にもありましたように、身体負傷についての入院要件についてですが、逆にこれは自賠責で入院要件はついておりません。医学が進歩はすればするほど入院は必要でなくなります。かつ被害者にとって負担なのは、単に重傷であるということではなく後遺症が残って長期に医療費がかかるということでもあります。
 内閣府の先日の調査でも、後遺症のある人というのは精神的回復が悪いというような結果が出ておりますので、そういう意味では、入院したらということが必ずしも重傷であるという目安にはならないと思います。
 精神疾患については、既に撤廃されておりますので、身体疾患についても入院要件というのはあまりなじまないものではないかと私は思っておりますので、ぜひご検討いただければと思います。
○山上議長 裁定の基準とか、算定方式というものを見直さなければ、実質的な自賠責並みとなかなか言えないのではないかという感じがございますけれども、そういうことの見直しというのは今後取り組むことは可能なのでしょうか、どうなんでしょう。
○警察庁長官官房総括審議官 まさに先ほどからお叱りを受けております給付の実績ですが、少なくとも今回のデータについて見ますと、32例の平均ではるものの、まず遺族給付金につきましては、改正前で算出しますと約606万円が、改正後は約1,100万円というふうに約1.8倍になっております。現行での最高支給額というのは、生計維持関係遺族が3人で約1,800万円です。これは改正前で計算しますと約600万円でありまして、この分は約3倍になっています。
 また、重度後遺障害者に対する障害給付金につきましては、障害に固定するのに時間がかかりますので、まだ1例しかありませんけれども、減額事由を取捨して考えますと、約1,970万円の支給になっておりまして、改正前の規定で算出した支給額が約660万でありますので、約3倍の増額効果ということであります。
 そういった意味で、まだまだというお叱りを私ども甘んじてお受けしますが、一応一歩としてはこういう状況になっているということは御理解いただきたいと思います。
○瀬川構成員 おっしゃる意味はよくわかるのですけれども、恐らく被害者の方々の実態とはかなり違っているということははっきりしているのではないか。先ほど松村委員が新しい給付制度という提案を取り上げてほしいと言われたわけですけれども、私も具体的な中身は知りませんけれども、やはりギャップがあるからそういう提案が出るわけで、恐らくこの会の今後のあり方としては、運用上手直し、改善ということの方向が見出せるのかどうかにかかっているのではないかと。でないと繰り返しそういう新しいものが必要なのだということになってきますので、現場の状況については我々はよくわからないところもありますけれども、何かそういう工夫する手だてがないのかということを少し検討いただけないでしょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 いろいろと議論が今出ていますけれども、何らかの形で方向性出さなければいけませんので、私の意見として申させていただきます。
 まず1つは、最高額を自賠責並みにすることを1つの看板として先般の改正がなされたわけですが、まだ相当の差があるということがわかったわけでありまして、そういう意味では、1つこのデータについて出してもらったということはいいことだなというふうに思います。ここにありますのは、実際に犯給法の支給になった人たちの生データというか、数字でありますので、取扱いについてはここに書いてありますような形にさせていただいておりますけれども、こういう実際の状況を踏まえた上での議論というのは次に結びつくという意味では大変大事なことだと思っております。
 ただ、一方で、警察庁というか、政府として、十分ではないかもしれませんが、確実にこの金額が上がってきているという事実もあると。そこは努力は多としていただければありがたいなと思いますが、かといって、これで十分かというのは、今、各委員から御意見があったとおりであります。
 一方で、被害に巻き込まれてお亡くなりになった方に対する給付金というシステムの中では、日本は世界でもかなり高額な給付金が支給されているというのが実態であります。ただ、これは日本人の生死観と、諸外国ではどちらかというと、重傷病で後遺症を負った方に対して手厚く対応していくというもの、それから比較的軽微な事案についても支給をしていくというような形になっておりますので、制度の考え方が違う部分もあるのかなと思いますが、いずれにしてもそういう実態はあるものの、最高額を自賠責並みというような1つの方向性としてあったというのは事実であります。
 それと、松村委員が先ほど言われました抜本的という部分がありますが、抜本的というのは先般の経済的支援の検討会で2年かけてやってもなかなか結論が見出しにくいという実態を考えますと、とりあえず今の段階で、犯給法について、今の御意見を踏まえて、警察庁さんのほうで自賠責並みということを1つ念頭に置きつつ、算定基準について、更に被害者の実態を踏まえた上で、この額を可能な限り対処していけるような方向で御検討を継続してもらうと。それが各委員の意見であるという形で受けとめていただいて、対処願えないかなというふうに思っておるんですが、いかがでしょうか。
○松村構成員 どうして自賠責にとらわれるのか、私は非常にわからないんです。実際に被害者がどれだけ困っているか、全然わかってないのではないかと思うんですね。そういうことから言ったら、こんな自賠責の中でもって議論進めてもナンセンスだと思います。
 ですから本当に被害者が困っている実態がわかっているならば、犯給法が自賠責になじまないということからいって、新しい制度をつくらなければいけないということにぜひ議論を進めていただきたいと思います。
○山上議長 抜本的なというのは、最初にお話しましたように、その扱いについては検討させていただきたい。
 今の太田室長からの意見について、警察庁からお願いできますでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 たちまち変えるということはなかなか今の段階ではお約束はできませんが、私どもとしても、そういった被害者の方の実態等を踏まえながら、いろんな御要望を踏まえながら不断の努力はしてまいりたいと思っております。そういった意味で、先ほどの入院要件につきましても、更に実態調査等も進めてみて、細かい手直しになって恐縮ですが、しかし方向性として、なるべく給付水準の向上というのは、皆さんの願いでもありますので、どういう形でできるのか、私どももいろいろ知恵を絞りながら考えてまいりたいと思いますし、それについて皆さん方のいろいろとお知恵を拝借したいと思っております。
○山上議長 それでは、よろしいですか、第1の論点、時間の制約もございますので、次に自賠責補償制度の拡充について検討します。国土交通省から見解の説明をお願いします。
○国土交通省自動車交通局保障課長 国土交通省で自賠責制度を担当しております八木と申します。よろしくお願いいたします。
  資料5で、「胎児の被害に対する補償の拡充」という御要望をいただいている点につきまして説明します。既に今の議論で自賠責制度についても随分触れられておりますが、御承知のこととは思うんですが、自賠責は共助、保険でございまして、そういう意味で財源的なものは予算ではないのですが、保険料を払っていただく自動車のユーザーの方と合意を形成して、そして作っていくという制度であるというのが1つ特徴だと思います。それから、中島委員の御発言にもありましたが、任意保険が別途ございますので、それとの関係では本当に最低限必要な部分を保障するという考え方もとられている、そういった制度でございます。
  そういう中で、御要望いただきました胎児の被害ということにつきまして、どのように考えるかということについては、まず胎児を民法上の損害賠償の対象にするかどうかという根本問題のところにつきましては、これは自賠責制度単独でお答えすることが難しいといいますか、ここに関しては民法の制度そのものの問題かと思います。自賠責制度としては、この問題は、お母さんの慰謝料の問題といたしまして、私どもが定めております被害をどのように補てんするかの基準―支払基準の中で、はそれをきちんと慰謝料で出しなさいということを保険会社に対して申し上げているということでございます。
  保険会社といたしましては、下のほうにちょっと書いてございますが、支払基準の実施要領におきまして、妊娠の月数に応じまして、慰謝料の中でこのくらいの金額を支給しておるという実態がございまして、更に具体的な数字に関しましては、飛びますが、資料8というのが3枚後くらいに付いてございます。18年度から20年度まで、件数とその平均額という資料をお出ししておりますが、このようにして実際にお支払いをしてもらっているということでございます。
  これを拡充するという課題につきましては、先ほど言いましたように、これは保険制度の中でやっていく必要がありますので、被害者の救済を考えるだけではこの制度は動きません。そういう意味で保険料をお支払いいただくユーザーの方とか、保険の実務を扱う保険会社の人などが入った実は自賠責審議会なり、あるいは私ども国交省が持っておりますあり方懇談会というような場が既に2つありますので、そういう場できちんと議題として提示いたしまして議論させていただこうかという対応を考えてございます。
資料5につきましては、以上でございます。
  続けて、次の資料も御説明したほうがよろしいですか。
○山上議長 お願いします。
○国土交通省自動車交通局保障課長 次の資料6をごらんいただきたいと思います。これも御要望がございましたが、「自賠責制度における高次脳機能障害」という神経障害についての補てんの制度についての資料でございます。
 自動車事故などで脳が損傷され、一定期間以上、意識が障害された場合に発生し、CT・MRIなどの画像診断で急性期の所見があり云々ということで、こういった症状ということでございます。
 2番目の「○」のところですけれども、自賠責保険の、後遺症の等級におきまして、「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し」という言葉になりますけれども、その後にある「常に介護を要するもの」以下、現に生じている症状に応じまして、ここにありますような等級号で認定がなされるという仕組みでございます。
  その考え方が、下の四角のオレンジ色のところで書いておるということでございまして、高次脳機能障害につきましては、私ども交通事故では発生する確率が多いということで随分取り組んできておりまして、保障を順次厚くしているといいますか、認定をより緻密にやっていくという取組をしておるところでございます。
  高次脳機能障害につきまして、資料7をお出しさせていただいております。損害保険料率算出機構のほうでやっております「高次脳機能審査会審査の推移」という題名がついた資料てす。損害保険料率算出機構といいますのは、交通事故の損害を調査することもやっている団体でございます。そこにおきましていろいろな調査をした結果、高次脳機能障害であるかどうかということについて判断を要するという事案につきましては、専門の先生たちによります審査会というものにかけて判定をさせていただいているということでございますが、小豆色の部分がその判定にかかった審査件数、それに対して青いところが認定を実際にした件数ということで、85%程度を認定をさせていただいているという実績をお示ししたものでございます。
  次の資料8は、既にご説明したものです。
  以上でございます。
○山上議長 今の2点について、意見交換したいと思いますが、御意見ございましたらどうぞ。どうぞ、中島委員。
○中島構成員 後半の資料6、7についてですが、高次脳機能障害についての現在の算定につきましては了解できたのですが、要望を見ますと、必ずしも高次脳機能障害に限定してこの方が発言しているとは思えない部分があります。脳や神経の高次脳機能障害というのは明らかに器質性の問題であって、所見が認められるものです。この方の後半部分にPTSD等に対するというようなことを書かれていますので、精神障害を被った場合においての自賠責の補償の充実といった部分ももしかしたら含まれているのではないかと思います。ですので、国土交通省のほうで、精神障害における自賠責の補償の現状などがわかれば教えていただきたいと思います。
○国土交通省自動車交通局保障課長 国土交通省でございます、お答えしますが、今、中島委員の御指摘の、非器質性の有無に関しましては、実績といたしまして、平成20年度で474人の方々に認定を行っているという事実がございます。この御要望自体がそこまで言っているかどうかわからないのですけれども、器質性のもの、高次脳機能障害などといったものが組み合わされているケースが実際は多いと思いますが、そういう形でなくても現在の認定基準でも、認定をさせていただいているということでございます。
○中島構成員 今、御説明ありがとうございました。非器質性のものについての認定の内容まではもしかしたらおわかりにならないかと思うのですが、一般の保険でもPTSD以外は非常に裁定されにくいです。その理由は恐らく因果関係という言葉にあるのだと思います。ただ、厳密にいえばPTSDでさえ100%の因果関係があるわけでなく、1対1で発症しているわけではないことを考えますと、私どもの研究所でも3割ぐらいの人が交通事故でうつ病その他精神障害を発症して非常に社会機能低下が見られるというような報告も出しておりますので、非器質性の精神障害に関しても、あまりにも過重な因果関係を求めずに、それがある程度そのことによって発症したと認められる場合に裁定がされるような形になっていければよいのではないかということを私の希望として申し上げたいと思います。
○国土交通省自動車交通局保障課長 御意見ありがとうございます。先ほども言いましたように、ほかもみんなそうなんですが、被害者の方からの御意見を踏まえて少しずつ制度をいろいろなところで改善しておりますので、今の点も踏まえまして、今後検討させていただきたいと存じます。
○山上議長 それでは、この問題よろしいでしょか。どうぞ、大久保委員。
○大久保構成員 胎児が亡くなった場合の保障額があまりにも低いということでびっくりしたのですけれども、今までこのことが問題になりまして、検討してきたというようなことがあるのでしょうか。それと同時に多分今の医学では7か月ということであれば、例えば交通事故に遭ったり、殺人に遭ったりということでなければ生きることができるはずだと思うんですよね。そうしました場合はやはりそのことを勘案してきちんと、たとえ胎児であっても、本来は生きることができたはずだというような形で、この保障のほうもしていくのが普通の考え方なのではないかと思いますが、この点はいかがなものでしょうか。
○国土交通省自動車交通局保障課長 慰謝料ということで認定するということになりまして、先ほど言いました自賠責は最低限の保障ということで、慰謝料というのは、例えば病気で治療のために入院して、入院費は別途なのですが、そのための慰謝の部分というのは、御本人の慰謝の部分といたしましても、1日4,200円、それに治療日数というような算定になります。例えば10日ということであれば4万2,000円くらいでございます。これに実際に治療費などを加えて、保障の範囲内でやっているということでございますので、比較するというのはどうかという御意見あるかもしれませんが、最低限の保障をしていくという中では、かなり何といいますか、考えて保障するようにしているということでございます。
○山上議長 ほかに御意見ございませんか。
 では、先ほど非器質性の障害についても考慮に入れてという要望が出ましたが、そういう委員の意見を酌んで、今後の運営をお考えいただくということで、次の課題に移ります。
  次に「刑事裁判への被害者参加や傍聴のための旅費の支給、休業損害の補償」についての検討をします。法務省から見解の説明をお願いします。
○法務省大臣官房審議官 法務省でございます。刑事裁判への被害者参加でありますとか、傍聴のための旅費等について支給すべきではないかという御意見がございました。これと対比されておりますのが、証人でありますとか、通訳人、あるいは裁判員に旅費等が支給されているので、それと比べるとアンバランスではないかというのが一つはあるのだろうと思います。
 この仕組みを考えるときに、証人等については、証人の都合で裁判所に来ているというわけではなくて、刑事訴訟に出頭する義務を課される。この点は裁判員も同じでございまして、出頭義務が課されて、その義務を履行することによって生じる損失を補てんするという趣旨で旅費等が支給されているわけでございます。
  これに対して、被害者参加につきましては、被害者側のイニシアチブによって参加されているというものでございますので、証人あるいは裁判員の旅費等とはかなり性質が異なってくるものではないかと思います。そういう意味では、刑事訴訟の仕組みとして、証人等と同じような形で被害者参加された方に旅費等を支給するというのはなかなかなじまないのではないかと思います。
  そういう刑事訴訟制度という枠を離れて、もう少し広い目で見たときにどうなのかということはまた考えなければいけないということだろうと思うんですが、それは社会連帯共助の精神からそういった仕組みを設けるかどうかということを改めて考える必要があるのだろうと思います。それについては、経済的支援の在り方について、どういう範囲で、どういう考え方に基づいて支給するのか、あるいは仕組みをどのように考えるのかということを慎重に検討する必要があるのではないかと思います。
 もう一つ、傍聴の点についても言及がされていますが、傍聴につきましては、被害者参加よりまだ遠いところがございまして、裁判の公開が保障されているということに伴って傍聴が認められているということでございますので、ここのペーパーの書きぶりが分かりにくかったのかもしれないのですが、そういう意味で、これに要した費用はというのは、「傍聴の費用」はという趣旨でございますが、被害者参加よりも、なお権利行使のためというような色彩が薄れてしまうという趣旨でございますので、これに要した費用を国庫として負担することが適当かという点については、更に慎重な検討が必要なのではないかと思っております。
 取りあえず以上でございます。
○山上議長 意見交換ですが、これについて。
○松村構成員 今の甲斐審議官のお話なんですけれども、公訴参加制度で被害者が参加するという場合に被害者が国選弁護人を雇いますね。そうすると国選弁護人に対する旅費は出るというのが現状でございます。いろんな刑事裁判のときなんか、刑事被告人の場合には弁護士がつかないと裁判が始まらないということがあるんですけれども、被害者参加制度の場合、被害者参加人に弁護士がつかなくても裁判できるんですよね。弁護士をつけるかつけないかは被害者の判断です。被害者参加の弁護人そのものは選択制になっているわけですね。被害者が裁判に参加するか、しないか、これも選択制です。
  同じようなことからいえば、被害者参加人に対しても旅費を払うのはおかしくないということになるのではないかと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。
○法務省大臣官房審議官 国選弁護人の比較でおっしゃられた点は、確かに被害者の国選弁護人の方の旅費というのは国庫で支払われる。それから、被告人に付けられた国選弁護人も国庫で支払われるということになっておるわけでございます。
 他方で、被告人については、本人の裁判への出頭という、捕まってない場合、在宅で起訴された場合については自費で出頭することになるわけでございますので、何と何を比較するのかという問題はあるのかなというふうには思います。
○小西構成員 意見にも書きましたけれども、私はこのことについてはまた別の視点からちょっと見ていただかないといけないのではないかと思っています。というのは、実際に被害者の方にお会いしたときに、お金がかかるから行けないから被害者参加もできない。あるいはここには傍聴に行けないということを書いた方いらっしゃいましたけれども、少なくとも制度で保障していることが、これからこの会でずっと見ていかなくてはいけないこととして、被害者の方に公正に適用される。例えば住んでいる場所とか、そういうことでむらができてはいけないというのは理念としてあると思うんですね。
 そういう立場から見たときに、現在だと裁判所までの旅費がどれくらいかかるか、あるいはその人の経済力がどれくらいあるかということで受けられる支援というのが変わってしまう。そのことは非常に問題があると。むしろそこから見ていったほうがいいのではないかと思います。意見です。
○山上議長 私も同じ意見を書かせていただいたのですけれども、犯罪被害者が権利を行使したくても、実際に九州から東京まで出て来なければいけないような人たちがいらして、その負担は心理的にも非常に大きな負担を負っている上に、経済的にも負うというような状況があります。もし義務的にほかの人たちはお金が出るというのであれば、裁判をこの方の場合は、九州でやればいいということになるんですが、それは実際にできないわけですから、裁判に参加する、あるいは被害者遺族として最低限の権利として傍聴することがしやすいように援助するのがむしろ当然のことではないだろうか。 それがもし刑事司法の枠組みで、先ほどのような形でできないのであれば、総合法律支援法ですか、司法支援センターの役割の中に、犯罪被害者が裁判に参加しやすいように支援するということをきちんとうたっていますので、司法支援センターの役割を大きくするような形でそこから支援するということを考えていただけないだろうかというのが私の意見でございます。
 大久保委員、どうぞ。
○大久保構成員 今のことに関連いたしまして、私も意見のほうに書かせていただきましたけれども、この回答を読ませていただきますと、本来は基本的には加害者である犯人に対して損害賠償を行う中で、犯人が負担すべきなどと書かれていたということに実はびっくりいたしました。被害者はみんな加害者から損害賠償を受けたくてもほとんどの被害者は受けることができずに日常生活にも困窮をしているという現状があるわけですね。
 そういう中で、裁判傍聴を行うということは被害者にとりましてもとっても負担が大きいことがあります。実際の支援の現場では、例えば九州から東京まで来ますと、1回30万から40万かかるそうです。友人からお金を借りながら、それでも裁判がどのようなゆくえになるのかということを見届けるのが親の役割だということで、ぐあいが悪いのを押して一生懸命傍聴していらっしゃる遺族の方もいらっしゃいます。また、ある東北地方に住む方たちは、一回一回出て来るのも大変ということで、結局地方にあります家も売って、田んぼも売って、それでも裁判を見届けたいということで出て来る遺族、あるいは被害者の方もいらっしゃるわけですね。
 そういう現状も考えて、やはりこのようなことで、被害者が経済的にそれを負担する力があるかどうかだけで、例えば参加制度あるいは裁判傍聴もできないということであれば、それは基本法の精神にも反することだと思いますので、その点、ぜひしっかりと検討していただいて、被害者の方が安心をして参加できるようにという手だてを考えていただきたいと思います。
○山上議長 法務省のほうで何か。いいですか。中島委員、どうぞ。
○中島構成員 ちょっとこの点について私は一つ疑問があったのですが、法務省が書いていただいたことは非常によくわかりますし、ほかの法廷に参加する方が義務であって、その参加人というのは被害者の希望であるということについてですが、被害者参加制度がこれだけ問題になるというのは被害者の方が実際に刑事司法に参加して、そこで何らかの役割を担うという点だと思います。単に本人が希望するからというだけの理由で法廷に参加して影響を与える人の立場が、希望というだけで減じてしまうものなのでしょうか。そこである程度の役割が発生するということがこの国の司法制度に対して何らかの役割を請け負っていると考えられるのではないかと思うので、単にそれが自発的な意思によるものであるという理由によって、被害者参加人の立場というのはほかの方々と区切られてしまうものなのでしょうか。被害者参加人という方の立場というのを刑事手法においてどのような位置づけになっているのかということを御説明いただけたらと思います。
○山上議長 いくつか意見が出ましたが、法務省からお願いします。
○法務省大臣官房審議官 犯人の負担とすべき云々というところにつきましては、これまでの犯罪被害者等基本計画の中でも、経済的支援に関する検討会の取りまとめの中で、民事の面については、裁判における弁護士費用、損害賠償費用ともそれが相当なものである限りは、基本的に敗訴者・加害者が負担すべきであるとされているところでございますので、必ずしも犯人負担がそもそもの出発点という点が基本法の精神に反するとまでは言えないのではないかと思います。
 制度を実効的に利用できるようにすべきだという点は私もよく理解できるところでございますが、その場合に考えなければいけないのは、どういう制度を組むのかということかなというふうに思っています。一般にこの手の話であれば、国選弁護人の場合は、一定の資力要件を設けて国で弁護士さんを付けるというような仕組みがなされているわけですが、それ以外の旅費等についてまで負担をしているという制度自体があまり、私も外国のことはよく分かりませんが、そこまでなかなかされていないのではないかという気がしているところでございます。
それはなぜそうなのかというのもよく分からないのですが、弁護士さんというのは、専門的知識が必要であると同時にそれなりの費用が掛かるということが大きいことではないかと思うんですね。非常に遠隔地で裁判が行われた場合に相応の費用が掛かるというのはおっしゃるとおりの場合があるだろうと思うのですが、大半のものについては、近隣の裁判所、その県内の裁判所で裁判が行われるということでございますので、旅費云々のものについても、正直言って、それが異常にかかるので出られないというのがどれほどあるのかということが私どもとしてはまだよく把握できておらなかったというところだろうと思うんです。一定の資力要件を設けて何らかの援助をするという考え方もあるのかもしれないのですが、その場合は、国選弁護の場合に比べれば、弁護士さんの費用と旅費の問題がまた別途基準が変わってくるので、そこをどう考えるのかというのが一つございます。  それから、もう一つは、こういった制度そのものを考えるときに、被害者のための制度はいろいろな御意見、御希望があって、これまで順次創設してきたところでございます、被害者参加にしろ損害賠償命令にしろ。それを被害者参加の旅費の負担もすべきであるという形になると、ほかの被害者のために創設していった制度についてはどうなのかということも考えていかなければいけないのかなと思います。
 もう一つは、現実の仕組みとしてどういう機関が、どういうことをやって、負担というか、支給をしていくのかという点が正直言ってなかなかイメージしにくいというところがございまして、そういう点も検討していく必要があるのかなというふうには思っております。  何分、こういった制度は、ある意味、かなり新規な取扱いということになりますので、そこはいろんなことを考えてよく検討しなければいけない。それが合理性のあるものであるのかどうかということを考えなければいけないのかなというふうに思っております。
○山上議長 裁判に関する支援という意味では、この次のテーマ、「損害賠償請求に伴うカウンセラー等に要する経費の公費負担」、このことも関連がありますので、あわせてまだ意見があるかもしれませんが、進めさせていただこうと思います。法務省の説明、お願いいたします。
○法務省大臣官房審議官 その次のカウンセラー等の費用についても、これも類似の問題がございます。これも資料11のほうに記載をさせていただいておりますけれども、そもそもどういう仕組み、制度として位置付けて考えるのかということが問題になろうかと思います。精通弁護士に頼むときの仕組みというかなり狭いところで考えるとなかなかそれはうまくいかない話でございますので、一つは、経済的支援を幅広く認める中でどのような制度が考えられ得るのか。 もう一つは、民事法律扶助の仕組みの中でどのように考えるのかというところがあるのだろうと思います。民事法律扶助の中で申しますと、資力の乏しい方に弁護士さんの報酬でありますとか、事務処理に必要な実費の立替えということは行っているところでございます。カウンセラーの付添いの費用でありますとか、そういう付添いなり相談が望ましいということはもちろん言えることでございますけれども、それが損害賠償請求の中で、事務処理に必要な実費なり経費を考えられるのかどうかというところが一つは問題になるのだろうと思います。
いくつか挙げられていた中で、例えば心理学やカウンセリングの専門家としての意見書の作成費用という点が挙げられておりましたが、これについては、例えば今でも訴訟を遂行する上で鑑定費用が必要だという場合は、それは事務経費の中に含まれると解されておりますので、そういう意味で扶助の対象として立替えが行われるということにはなるのだろうと思います。
他方で、弁護士さんと相談するときにカウンセラーがいていただいたほうが良いということで、その費用をどうするかというような話になりますと、それがどこまで必要不可欠な経費と言えるのかどうかという問題が出てくるのではないかと思っております。そういう意味で、法律扶助の範囲内で出来ることは一部にはあるのだろうと思いますが、全体として全部法律扶助の中で賄うというのはなかなか難しいところはあるのではないかと思っております。
○山上議長 それでは、意見交換いたします。どうぞ、小西委員。
○小西構成員 質問なのですが、現在の場合は、例えば損害賠償請求に専門家の付添いがあった場合に、その費用に入らないということなんですね。
○法務省大臣官房審議官 はい。
○小西構成員 そうだとしたらということですけれども、実際に自分でもそういうケースでやったことがありますが、意見書にも書きましたように、問題が2つあると思います。一つは、この費用が払えない被害者がかなりいるし、また、そういう付添いが必要な方ほどなかなか資力がないというのが現実だと思います。それから、鑑定書、意見書、診断書ということになるのですが、これを書いてもらう費用というのはやはりかなり高いですよね。そこに一つ問題がある。
 それから、もう一つは、今度書く側の問題があると思います。普通の保険の医療をしている医師の場合に診断書は当然書けますけれども、こういう裁判の中で要求されていることをもう少し、例えばどのように、それでこの人が生活が阻害されているのか、あるいは事件との関連はどうなのか、そういうことについて当然意見を求められることが多いわけですけれども、そういう意見書という形になると、保険診療をしている普通の医師にはとてもやりにくいというか、扱えないものになっていることが多いし、実際に被害者の方の話を聞いても、それについては拒否された。そういうことを言うのだったら診療しないというふうに言われているケースも実際に知っています。また、診療している医師の立場から言うと、やろうと思っても、勤務の時間外に、いろんなシステムの外でやっていかざるを得なくなったり、あるいはそういうことをやることが、例えば勤務している機関全体の方針としてそういうことはしないということを言われたりすることも実際にはあるわけですね。
 それから、今度は書く場合に何を要件としているかということは、司法精神医学をやっている医師には比較的わかりやすいかもしれませんけれども、そうでない医師にこういうことが求められた場合に、自分に何が要求されているのか、その後、何が必要となってくるのか、この辺の見通しが立たないために、裁判にかかわることだったらやめますという形でしか言えないというような状況が実際にあるんですね。
 今の短い時間で言い切れないのですけれども、両側の問題が解決されないと、実際に臨床している者の立場で言うと、この犯罪被害者等基本法ができて、そういう要請は非常に多くなりました。たくさんの方がそういうことを言うようになったことというのはとてもいいことだと思っていますが、それに応じられる実態がないということが今問題として浮かび上がっていると思います。ですから両側にぜひ新しい対策を立てていただきたいというのが私の意見です。
○山上議長 ほかに御意見ございましたら。先ほどの問題と含めて、法律、裁判にかかわる被害者に対する支援のあり方ということでも結構でございます。どうぞ。
○大久保構成員 総合法律支援法の中では、犯罪被害者等支援制度ですとか、被害者の刑事手続の参加制度、あるいは法律扶助制度ということで、被害者が法制度を使えるという形では本当に皆様の御努力によりまして幅が広がってきまして大変ありがたく思っています。
 そういう中で思うことなのですが、今、申しました3つの制度を必ずしも被害者がみんなが使うわけではなく、例えば法テラスに電話をして、でもこれは電話だけではなくて、やはり弁護士さんの面接相談が必要となった場合であっても、そういう場合は有料になってしまうわけなんですね。よく法律のことがわからないので、それ以上の相談はしないで泣き寝入りをしてしまったり、あるいは加害者側の主張するとおりに流れてしまったりということで被害者は後でとても後悔をするということがよくありますので、せめて総合法律支援法は、この後に犯罪被害者等基本法もできているわけですので、そのことも踏まえまして多少工程直しということも考えていただけないでしょうか。
○山上議長 私も意見の中で書いたのですが、司法支援センターの役割というのは犯罪被害者に対してもよくされていますけど、被疑者・被告人への対応と比べると、犯罪被害者への訴訟を利用しやすくするという、最初の理念にあったわけですけど、そこのところが実際かなり薄いのではないだろうか。そこを手厚くするような何か運営の改革があってもいいのではないかと私は感じているので、そういう方向での検討というのは難しいものでしょうか。
○法務省大臣官房審議官 直ちにこう出来ますということを申し上げにくいところがございますので、御指摘の点はまた持ち帰らせていただきたいと思います。
○瀬川構成員 被害者参加と経済的な支援という問題なのですが、率直に申し上げて、従来の伝統的な考え方から言うと、今の法務省の説明で我々は納得できる、法律家はなるほどというところがあるかと思うのですけれども、ただ、時代は変化している。例えば、法テラスも出てきました。それから、今、大久保委員がおっしゃったような新しい法体制ができつつある。先ほどおっしゃったような、いわゆる遠隔地から来られているような気の毒なケース、あるいは公正さを欠くというか、被害者参加の制度に非常に後ろ向きになるような事例があるとすれば、それを救済する、支援をする仕組みがあっていいのではないかという気はします。
 特に証人、通訳人、裁判員との比較において、こういう説明をされると納得するところもあるので、そこを突破することはなかなか難しいのですけれども、しかし、徐々に我々の知らなかった実態もわかってきているわけですから、そういう気の毒なケース、公正さが疑われるようなケースについては、全面的な支援ということは難しいかもわかりませんけれども、補助的なことというのは可能になるのではないかという気がしますので、今、議長がおっしゃったように、何かそういう方策というか、それを考えてみる必要性はあるのではないかという気はいたします。
○山上議長 それでは、今、各委員から出された意見を踏まえて、法務省でこういう問題への対応を検討していただくということで、この論点を終えたいと思います。
 次に、「地方公共団体における犯罪被害者等への給付・貸付制度の導入促進」について検討します。内閣府から見解の説明をお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 地方公共団体における犯罪被害者等に対する給付・貸付制度につきましては、資料12、特に13のほうが実態、こういう実態ですという形で、制度はあっても給付実績は少ないのですが、現在ここにありますように43。ただ、県によってかなり偏りがあるわけですけれども、私どもとしましては、現在犯給制度、先ほどから議論されていますけれども、それが存在しておりますけれども、犯罪被害者等の実情を踏まえた場合、可能な限り経的負担の更なる軽減というのができるのであれば、それは当然望ましいことでありますし、また、見舞金の給付や緊急に必要な資金の貸し付けなどによります地域社会からの支援というのは単に経済的なもののみならず、地域全体で支えているよという意味における精神的被害の軽減にも資する部分があるのではないかというふうにも思っております。
 したがいまして、私どもとしては、この施策の充実のためには、地方公共団体における犯罪被害者等に対する給付・貸付制度については、積極的な導入促進を働きかけていく必要があるものと認識しておりまして、その手法としては、都道府県の犯罪被害者等主管課室長会議を開催しておりますし、また研修会も実施しておりますので、そういう場を使いながら、地方公共団体に対し、この給付・貸付制度の導入を更に要請をしていきたいと考えております。
 以上です。
○山上議長 これについての意見交換でございますが、どなたか意見ございましたら。  そういう方向で努力していただくということでよろしいですか。

(「はい」と声あり)
○山上議長 それでは、次に進めます。次に「犯罪被害者等給付金を生活保護の収入認定から除外すること」についての検討をいたします。厚生労働省から資料をお出しいただいておりますので、簡単に御説明をお願いいたします。
○厚生労働省社会保障担当参事官 厚生労働省でございます。お手元の資料の14に生活保護の関係の法令等を載せておりますので、それに則して説明をさせていただきたいと思います。
 御要望のございました犯罪被害者等の給付金など収入に認定しないこと、つまりそのものについては手元に残るようにできないだろうかといったような御要望と理解しておりますけれども、この点に関しまして、まず生活保護自体について少し御説明をさせていただきたいと思います。
 1枚めくっていただきますと、生活保護法が載っております。生活保護法、憲法25条の最低限度の生活の保障ということで設けられているものでございます。この考え方、いくつかの大きな原則から成り立っておりますけれども、そのうちの1つが補足性の原則と言っているものでございます。この第4条に掲げておりますけれども、保護は、生活に困窮する方が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを活用することを要件とするといったような規定でございます。
 これはどういうことかといいますと、生活保護の考え方としまして、自分で生活をしていくということが我が国社会の大原則であると。そしてまた貧困に陥らないために、例えば年金でありますとか、医療保険等の各社会保障制度によってまず対応していくと。そういう中にあって、最後の手段、最後のセーフティネットということでこの生活保護は設けられているということでこの規定があるわけでございます。
 そして、この規定を見ていただきますと、「利用し得る資産、能力その他あらゆるもの」と書いてございます。したがいまして、例えば預貯金でありますとか、その他の金融資産のみならず働くことができる方、そして、また働く職場のある方等については、その能力を活用していただくといったようなことでこの制度は運営されているわけでございます。そういった点でいろいろな手段を講じても必要な生活費が得られないという方に対して生活保護は補足的に足りない部分を支給するという考え方になるわけでございます。制度に則して言いますと最低生活費という考え方を設けまして、それと実際の収入との差額、これを丈比べをして、その足りない部分を支給するということでございます。
 こういった中で、収入としてどういうものが認定していくのかということが問題になるわけでございますけれども、今、申し上げましたような原則ということからいたしますと、次のページを見ていただきたいのですが、原則としてはすべての収入を認定するということでありますけれども、その中には、例えば年金等の収入があれば、それも入ってまいりますし、いろいろなものが入ってまいります。ただし、いくつか例外を設けております。その1つが、生活保護の実施要領、昭和36年の通知でございますけれども、そこにありますものでありまして、「災害等によって損害を受けたことにより臨時的に受ける補償金、保険金又は見舞金のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額」については例外的に収入からは控除するということで、その分は手元に残るようにしているところでございます。
 したがいまして、今回お尋ねのありました犯罪被害者等給付金についても、自立には資するという範囲でありましたら収入から除外をすることは可能であるということでありますけれども、逆に言いますと、自立更生に資するという部分を超える部分については、やはり収入として認定をせざるを得ないということでございます。生活保護におきましては、取扱いに差があるということになりますと、いろいろと問題が出てまいります。そういうことで、これはいい、これはだめということであまりケース・バイ・ケースの対応がしにくいというところがございます。そういう点で、今、申し上げましたような範囲で対応させていただきたいということでございます。
 具体的に申しますと、次にございます同じ実施要領についてというものでありますけれども、局長の通知という中で、更に具体的なものを挙げておりますし、また、次のページでございますけれども、保護課長通知ということで、更に細かく挙げておりますので、なるべくここに挙がっておりますような、例えば自立更生ということで生業、家屋の補修とかといったようなものに使うのだということで、この収入認定から除外するという範囲で対応させていただくということで御理解をいただきたいと思います。
 とりあえずの説明は以上でございます。
○山上議長 意見交換に移りますが、どうぞ御意見ございましたら。
○山田構成員 犯給法で支給されるお金の中には実損を補てんするという点もあるかと思いますが、慰謝料的な要素も多分にあると思うんですね。一般人の場合には、慰謝料的なものもそれによって補われると。ところが生活保護を受けておられる、いわば最も最低生活を余儀なくされている人たちについては、その部分はどうなるのでしょうか。一般人が補てんされて、最低生活を強いられている人たちはてんされない、支給を受けると生活保護費は返しなさいとなる、それはいかにも不公平ではないでしょうか。
○厚生労働省社会保障担当参事官 一般の方と比べてどう考えるかということがございましたけれども、そういった生活保護を受けておられる方のいろいろな事情、ぎりぎりの中で生活をされているといったことも勘案し、かつ扱いにばらつきが生じないようにということでの制度としてのぎりぎりの工夫として、今、申し上げましたような自立更生に資するというところになるべく読み込んでいくということで、手元にお金が残るようにさせていただいているということでございます。
 こういった取扱い、実は今回のこの給付金に限らず、それ以外の例えば交通事故等で亡くなられる、あるいはけがに遭われるといったようなことで支給される、先ほど自賠責とかの話がございましたけれども、民間の保険、あるいは加害者の方が直接レアなケースかもしれませんけど、賠償金を支払うような場合、いろいろなケースがありますけれども、今、申し上げたような形でいずれも対応させていただいているということでございます。
○山田構成員 法治国家ですから法律に従わなくてはならないことは事実ですし、現に施行されておる法律は尊重されるべきだと思うのですが、しかし何か物事を解決しようというときに、現在の法律に拘泥していたのでは何も解決できない。法律を変えようという意思がなければできないと思うんですね。その変えるという動機となるものは何かといえば、どちらがより実質的に国民のためにとっていいかという判断であると思うのですが、私はいろいろなお話を伺いましても、現在の法律の解釈に拘泥しているのではないかと。そうしたらやはり御説明の域を出ないだろうと思うんです。
 ここで議論するのは、これはおかしいから変えていこうではないか、不平等ではないか、実質的に気の毒ではないか、社会連帯共助に反するのではないかという視点から見ればこれは変えるべきだという結論が先にあって、それも強い意思があれば、これを変えることは容易であろうと思うんです。確かに微に入り細に入り細かな場合を分けるということはかえって不平等になるでしょうけれども、それも逃げの方便でしかないのではないかというところを我が身を振り返って考えてみればいろいろなことができるのではないかと思いますね。
 先ほどの認定除外のところですか、「次に掲げるものは、収入として認定しないこと」と書いてありますアイウエオのオのところですけれども、オの次に「犯罪被害を受けて支給を受けた者」ということを入れれば、それで済むことではないか。それで少し行き過ぎという点があるのであれば、それは変えることも可能であろうと思うんですね。生活保護法も何度か改正されてきたことでしょうが、当時はまだ「犯罪被害者」という問題意識がなかった。犯罪被害者等給付法が充実された今、保護法改正の動機付けとなる下地は十分あると思うのですが。
 以上、そのように感じます。
○山上議長 どうぞ、意見ございましたら。
○厚生労働省社会保障担当参事官 生活保護というものをどういう制度と考えるかということにもかかわってくるのかなというふうに感じております。この制度が税金によって賄われているという制度であり、そして生活維持自己責任原則という基本的な我が国社会の考え方の中にあって、最後のセーフティネットであるということからこういった補足性の原則という大原則があるわけでございますので、それをなかなか超えるようなことということになりますと、今の社会保障の枠組み、考え方にも大きくかかわってくるということでありますので、またそうなった場合にはいろいろな制度との関係、そしてまたこういった犯罪被害者の方に対する給付金ではないものについても似たような議論というのは必ず出てまいりますので、今、申し上げたようないろいろな工夫の中で対応させていただきたいと考えております。
○山上議長 ほかに、どうぞ。
○松村構成員 先ほど山田委員が申されたように、法律があるのと公平さとかいろいろ考えて対処するとおっしゃっているのですけれども、犯罪被害者は人的な大きい災害なんです。そういうことを考えていただくと、天災はまた大きいですけれども、犯罪被害そのもののダメージ、しかも、それはただ1回の、犯罪被害でなくて、天災なればその時期に起きたダメージをリカバリーすれば終わるのですけれども、犯罪被害というのはその時点だけでなくてずっと後引くんですね。一生涯治らないかもしれない。そういうようなことを考えた上で、同じように扱うというのはまずいと考えられるので、さっき山田委員がおっしゃったように、オの次に入れて、これは除くというようなことをぜひ考えていただきたいと思います。
○大久保構成員 私も全く同じ意見なのですけれども、先ほど工夫の中で対応とおっしゃいましたが、工夫となりますと、それを対応した職員の方一人ひとりによって、また対応が必ず違ってきますので、一番わかりやすいのは、オの中に「犯罪被害者」と1つ入れていただければスムーズにいくのではないかと考えますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
○山上議長 ほかにどなたか、どうぞ。
○厚生労働省社会保障担当参事官 繰り返しのような話にもなってしまいますけれども、先ほどほかの災害とは違う面があるのではないかというお話もございました。確かにそれぞれ災害、交通事故、あるいはその他のいろいろな事故等によって事情は違うかもしれませんけれども、それぞれ保険金であったり、損害賠償金であったり、あるいはこういった給付金であったりということで金銭が支払われると。そういった中で、これはよくてこれは違うといったようなことというのを本当にできるのだろうかということで、今の大久保委員の話とも関係しますけれども、私どもとしては、細かい通知は説明しませんでしたけれども、現場での取扱いが違わないように、できる限り具体的なこういう形での取扱いを示して対応をしているところでございますし、また、そういったいろいろな現場での対応については、会議でありますとか、監査指導といったような中でも対応してきておりますので、なるべく差が生じないようにしていきたいというふうに思っております。
○松村構成員 オに入れることはどうなんですか、イエスか、ノーですか、どっちですか。
○厚生労働省社会保障担当参事官 生活保護の考え方から言いますと難しいと思います。
○中島構成員 生活保護の理念ということでお話をいただいている件ですが、オの「災害等」ということで犯罪被害を含めていただけるということは非常に重要なことでありますし、それがきちんと伝わるということが大きいと思います。オに入れない場合でも、例えば災害に関しては、厚生労働省の通知というものがございますが、その中にこういったものは自立更生のための費用であるということでいくつかの災害について、例えば家屋補修等というような形で特化した形で書かれています。
  犯罪被害の場合にもやはりそういう特化したものがあると思うんです。例えば犯罪被害者が裁判にかかる費用というものについて、これは生活保護だから裁判ができないとか、参加できないというような物すごくあってはならないことであって、これはまさに自立更生に係るお金であると考えることができると思うんです。ただ、そういった文書が中に入ってないと現場で使うときに非常に混乱を招くと思いますので、オに入れるということがもし難しいとしても、何らかの形で犯罪被害者の裁判、司法制度にかかわるものであるとか、そういった特有の費用についてのものは、収入認定しないものの中に含まれるのだというような記述が設けられることが望ましいと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
○山上議長 私も同じような意見を持っていますけれども、「災害等」の中に含まれるとして、意見として事前に提出しましたけど、犯罪被害者の給付金を受けるような方々は非常に後まで傷が残りますし、従来の生活を取り戻すためだけでも非常に長期を要して負担が大きくなります。それに対して給付金というのはそれを補うに非常にわずかな額ですので、そういう意味で自立更生に要する資金としてほとんど認定するような形で、これが場合によっては、直ちにということでなく、定期的に年金のような形で受け取る形でいいのかもしれませんけれども、犯罪被害者の場合にはそういう対応ができるような、何か通知のほうで対応していただけないだろうか、運用のほうでできないだろうかというのが私の意見です。
○厚生労働省社会保障担当参事官 議長のほうから御指摘がありまして、たしか紙でもいただいていたと思いますけれども、預託金みたいな形で別途預けておいて、そして年金のような形で受け取るということはどうだろうかといったような御指摘がございましたけれども、結局は年金で受け取る場合に、それが自立更生のためなのかどうかというところでもう一回ふるいにかけられるわけでございますので、それがどうかという点が1点と、あと、先ほど冒頭申しましたように、ありとあらゆる資産を活用するということでありますので、通常でございますと、預貯金等の資産について言いますと、それを引き出す、取り崩すといったようなことが求められるのが生活保護でございますので、この預託金というものはどういう性格のものなのか、そこから支払われるお金がどういうものなのかということにかかわってくるのかなというのがとりあえずの私の感じでございます。
○山上議長 関連して、自立更生に資するという意味では、犯罪被害者の方たちが、従来の生活を維持するのに大変な苦労をしておられる。例えば被害に遭ったために家を移らなければいけない。家は壊れていないけれども、その家にはとても住めなくなって引っ越しもしなければならなくなる。あるいは学校も変わらなければならなくなる。子どもが被害に遭ったために送り迎えのために母親がいつも行かなければいけないとか、いろんな不自由なところがあって、そういうようなことは、従来の災害の概念でとらえられないところがあります。ですから自立更生というのを幅を広くとれば犯罪被害者の給付金の対象ぐらいは全部含めるぐらいの状況があるのだと思うんです。そういうような配慮をした通達をしていただけるといいというのが私の意見です。
○厚生労働省社会保障担当参事官 生活保護の、従来のこういった通知、運用上の基準はどういうふうになっているかといいますと、御承知のとおりでございますけれども、生活保護は全国の福祉事務所で実施をされているということでありますので、そういった現場で、実際どういうことが問題になっているのか。それについてどう考えるのかといったようなことも踏まえて、今まで申しましたような通知を改訂をしたり、あるいは別途いろいろな考え方、扱いを示すというようなことをやってきております。
 したがいまして、この場で、私のほうから、自立更生だということの考え方について、これ以上、今申し上げられる状況ではございません。しかし、こういった御意見があるということでありましたら、いろいろなこういった現場での意見も聞いた上で、必要に応じた対応、しかしながら、先ほど法律は変えてしまえばいいではないかみたいな話もございましたけれども、なかなか一朝一夕にそういうわけにもまいりません。生活保護自体、これまでも社会保障審議会、その下のいろんな場で議論がされて現在の姿になってきておりますので、そういったことも踏まえますと、こういった自立更生ということで、どこまで工夫できるか、その考え方を検討してみるというところにとどまらざるを得ないと思っております。
○山上議長 それでは、皆さんの御意見を踏まえて、厚労省のほうで、運用のこと等について検討していただくということでよろしいですね。
 それでは、次に移ります。次に、論点ではありませんけれども、前回、法務省の検討結果を踏まえて検討することとされた供託制度の問題について法務省から見解の説明をしていただきます。お願いします。
○法務省大臣官房審議官 供託について、前回、御質問がございまして、ペーパーを出させていただいております。資料15でございますが、実は最初に提出いたしましたペーパーについてはまだ若干意を尽くしきれていないところがございまして、その次のページにもう少し詳しいものを出させていただいておりますので、こちらに基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
 前回のお話では、加害者側が裁判中に供託をして被害者がそれを受領しないでいたところ、裁判が終わるとすぐに加害者がそれを取り戻してしまうというケースがあるので、何とかできないのか、こういう御指摘であったかと思います。
 ここにも書かせていただきましたが、民法の494条で供託制度について規定がございまして、<1>債権者が受領を拒絶している場合、<2>債権者が受領することができない場合、<3>債権者を確知することができない場合には、弁済者(債務者)は、供託をすることができて、供託をすると債務を免れると、こういう制度になっております。他方で、496条で、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告をした判決が確定しない間は、弁済者(債務者)が供託物を取り戻すことができると、このようになっているところでございます。
 こういった制度趣旨からいたしますと、民法の規定でございますので、債権者と弁済者の利益考量をした上で規定が組まれていて、なおかつ犯罪者の場合だけに限らず、さまざまなケースに対応するような形で規定がされているということでございます。
  現実問題としてどういうことが考えられるのかというのが2ページ以下に書かせていただいたところでございます。3のところで書きましたけれども、一つは、加害者は取戻請求権というのがあるわけですが、これは権利でございますので放棄することができるというふうに解されております。加害者において供託をした上で取戻請求権を放棄した場合には、取り戻すことがもはやできなくなるということになりますので、裁判をやっている間にそういった放棄する気があるのかどうか、後でまたすぐ取り戻すつもりなのかという点も交渉の材料になるのではないかと思われます。
  4番に書かせていただいたのは、債権者側(被害者側)のアクションとして考えられるものということでございますが、債権者(被害者)が供託を受諾するという行為によって取り戻しができなくなるということになっております。したがいまして、供託を受諾するという意思表示をしても、直ちに供託金の還付を受ける必要はないということになっておりますので、供託金の還付を受けない理由を裁判所に表明して、受諾をするという手続を供託所にとることによって、直ちに加害者側が取り戻すということを防ぐことができると思われます。
  次の5番目でございますが、問題の根本は、供託金の受領と刑事裁判の行く末がどうなるかということを被害者が心配されてのことなのかと思います。この点はむしろ裁判所に対して仮に供託金を受領した場合であっても、どういう意思、被害者側の心情であるのかという点をよく伝えていただくということもあり得るのではないかと思っております。この点については、被害者参加制度もございますし、意見陳述制度もございます。また、一般的にいえば、検察官は被害者の人が加害者から弁償金を受領するとか、あるいは示談をするといった場合であっても、被害者にその時点でのお気持ちを確認して、それが必ずしも加害者を宥恕するわけではないのだというような事情が明らかになれば、その点は裁判所のほうにも伝えるようにしているのが実務運用ではないかと思われますので、そこは検察官とよくコミュニケーションをとっていただきたいと思います。
  以上のような次第でございますので、供託の受諾等々の方法によって問題提起された部分は防げるのではないかと思った次第でございます。
○山上議長 意見交換に入りますが、どなたかございましたら。
○大久保構成員 被害者は、今、説明をしてくださったように、細かくしっかりと説明を受ければ理解はできるのですが、残念ながら、こういう問題が起きますのは事件が起きてからあまり日数がたっていないときですので、被害者自身正常な判断ができない上、何か言われたこともすぐ忘れてしまうような状況にありますので、また、繰り返し繰り返し説明をするのが大切ですけれども、何らかの形で被害者の意識にしっかりと残るような何か書面ですとか、パンフレットですとか、そういうようなものも配布をしていただいて、なおかつ相談に乗っていただければ大変ありがたいと思います。
  それと同時に、先ほど参加制度ですとか、意見陳述という制度もあるので、そのときにということでしたが、実際問題といたしましては、不安であるがゆえに、あるいはどういう制度なのか、被害者である自分はそこでどのような役割を果たせばいいのかというあたりを被害直後から丁寧に丁寧に説明をしてもらえて、いつもそばにいて不安なことが相談できるような被害直後からの支援体制がまだ日本の社会の中では整っておりませんので、そういうあたりのところも整えるということによりまして、被害者は安心して、またこの供託制度というものも使えるようになるのではないかと思いますので、幅広い意味で、また今後ともさまざまなよい形での検討を進めていっていただければと願っておりますので、よろしくお願いいたします。
○山上議長 よろしくお願いいたします。
○法務省大臣官房審議官今、御指摘の点、被害者向けのパンフレットは法務省で作っておりまして、大きな事件であれば、ほぼ必ず被害者の方にお渡しして、どういう制度、仕組みが利用できますか、刑事裁判、これからどういうふうになりますかということを御説明するようにしております。供託については、さすがにそこまで私どももそういう問題があるということを承知しておりませんでしたので、パンフレットの中には入っておりませんけれども、被害者参加などについてはもちろん記載がございます。
 被害者の方の中には、被害者参加の説明をしても、いや、自分はそういうところにまで出て行きたくないというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますし、それから、大久保さんがおっしゃったように非常に不安で、どういうふうになるの分わからないので、参加していいものやら悪いものやら迷いますと、こういったことをおっしゃる方もいらっしゃるわけです。
 私もある事件でお聞きしたところでは、被害者の方がそういうふうにおっしゃったということで、一遍別の事件の生の裁判をごらんになりますかと、どういうふうに裁判は進むので、その中で自分の不安を解消できるかどうか、一遍見てみたらどうですかということで、ほかの事件の傍聴をして、案内をしたというようなこともあったように聞いておりますので、御指摘の十分説明をするようにという部分は、今、取り組んでいるところでございます。
○山田構成員 執行猶予をつけてもらいたいと思って供託する。執行猶予がついた。すると、さっさと供託金をおろしちゃう。こんなことが許せるかというのが動機としてあるだろうと思うんですね。前回も、私そんなようなことを申し上げましたが、他方、現在の仕組みでも、仮差押さえとか仮処分の保証金は、裁判所のほうの供託原因消滅証明書、供託原因が消滅したということの証明書がないとおろせないという制度になっている。
 そういうことを考えれば、犯罪被害者の供託金についてもできるのではないかということも申し上げたのですが、いただいた法務省の意見書等を拝読しまして、そうだなという点もありました。現に裁判所が出す供託原因消滅証明書があれば法務局も判断が簡単なのですが、犯罪被害者の場合にそれは難しいだろうなと。被害者の印鑑証明書付き何とかだとか、そういったものを添付させる制度とするとしてもなかなか現実の問題としては難しくて、法務局のほうでも判断するに非常に困るだろうなというのを考えたりしまして、そういうことから、この法務省の回答を了とすべきかなという感じがいたします。
 その場合に、5にお書きになられたようなことについては、検察庁もそうですし、弁護士もそうですし、裁判所も恐らくそうだと思うんですね。そこら辺のところをよく理解するような風土を法廷の中に持ち込んでいかなくてはならないだろうと思います。
 以上でございます。
○山上議長 それでは、そういうことでよろしくお願いします。
 最初に松村委員からの提案がありましたが、もう時間がございませんけれども、この取扱いについて論議したいと思います。新しい被害者補償制度の創設についてというのを、この委員会でぜひ論議していただきたいということですけど、これまでの論点骨子とはまた違った大きなテーマになりますので、少し時間をかけて、また準備もして論じなければいけないことになるかと思いますが、今日の損害回復・経済的支援等の取組の中でもいくつか論点を残して、各担当府省庁で検討した上でという、後ほどもう一回、論点を取り上げて論ずることがあると思います。一応この論点整理の順で、前回1から6まで聞きました。これを終わった時点で、7回目として、7月、8月ぐらいできちんとその問題をテーマとして論ずるということを、時間をもってほしいと思うんですが、それでよろしいですか。
○松村構成員 ぜひともお願いしたいと思います。
○山上議長 それでは、そういうことで、各委員もまた既に論じられた後で、新たに出したいものが、そこで論じられるということで、これからでも出していただいても結構だと思います。
○瀬川構成員 今の御提案で、松村委員が了承されるのはそれでいいですけれども。先ほど算定方式のことで、改善の方策はないのかということで引き取られましたが、その結果、それほど改善策はないとか、あるいは犯給法自体の限界があるのだという形で終わる可能性もなきにしもあらずだと思いますので、その点では、松村委員の新たな提案も視野に入れてはどうか。7月、8月だと、本会の終盤だと思いますので、あるいは次回でも冒頭その話をお聞きする機会があってもいいのではないかというように思いますが、この点は事務局の判断でやっていただいたら結構かと思います。
○松村構成員 できれば、早めに出していただいて、7月、8月というと、パブコメの時期になってきちゃうと思うんですね。そのときは大体固まっちゃっていますので、少なくともそれ以前に討議して、一定の方向を出していただきたいと思います。
○山上議長 固まる前にという意図でございますので、そういうことで、事務局のほうで検討していただいて、機会を持つということにお願いいたします。
 実は、山田委員が都合により今回をもって退任をされるということを伺っております。一言、お願いいたします。
○山田構成員 平成17年にこの委員会、前身の委員会が発足して以来ずっとお世話になってまいりまして大変ありがとうございました。
  私はもともと弁護士会におきましては、サービサーであるとか、ロースクールであるとか、あるいは弁護士職務基本規程、倫理でございますが、そういったものに対応しておりまして、この犯罪被害者の問題につきましては全くの門外漢でございました。いろいろ場違いな発言やらとんちんかんなこと、皮相な考え等を申し述べたことも多々あったかと思いますが、おかげさまをもちまして何とか今日までやってくることができました。 非常にこの会議の雰囲気は紳士的で、かつ真摯な取組が行われてきたことだと思います。
 非常に困難な問題もいくつか提案されたわけですけれども、それを国のほうでも正面から率直に受けとめていただきまして実現できてきたことは大変喜ばしいことだと思います。
 今後とも、この委員会が充実していくことを切に望んでおります。既に犯罪に遭っている方、あるいは明日、明後日、明々後日、これから犯罪に遭う人も、言うなれば、この委員会に非常に期待をしておるところだと思いますので、ぜひまた充実した、ゆくゆくは他国にも誇れるような制度になったらよろしいかなと願っております。
 どうもお世話になりました。ありがとうございました。(拍 手)
○山上議長 山田委員は特に貴重な意見をたくさんいただきまして、どうもありがとうございました。
では、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、定刻のお時間を過ぎて大変申し訳ないのでありますけれども、連絡というか、お諮りをしたい点が3点ほどございます。
  まず第1点です。資料4の「犯罪被害給付制度と自動車損害賠償補償制度における給付金支給額の比較」というペーパーでありますけれども、このペーパーにつきましては、個々具体的事例に基づいたデータを記載していることなどから、ホームページ上で公開する本会議の配布資料からは除かせていただくとともに、本会議終了後に回収をさせていただきたいと考えております。
  まず、1つ目について、お諮りをお願いいたします。
○山上議長 よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○山上議長 了解得られました。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 続いて第2点でありますけれども、本日、松村専門委員から御提出していただいた資料についてでありますけれども、本日、御提出いただいた関係もあって、資料16の表紙のリストには載っておりません。いただいた資料はホームページで公表することになろうかと思うのですけれども、その位置づけとして、資料16の中に16-6として入れるのか、それともまた別個独立したものとするのか、それをお諮りいただきたいと思います。
○山上議長 何か意見はございますでしょうか。松村委員から何か意見ございますか。
○松村構成員 差し当たり16-6に入れておいていただきたいと思います。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ちょっとそれに関しまして、松村委員は専門委員として御参加いただいていますので、松村先生御自身の御意見という形で対応させていただいてよろしいですね。
○松村構成員 結構です。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 「あすの会」というクレジットを外させていただく形になります。
○山上議長 はい。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 最後の第3点です。次回の議題であります。先ほど瀬川専門委員から御提案があったところでありますけれども、次回に、先ほどの松村委員から御提案があったことについて討議をするかどうかについて若干御確認をしたいと思います。
 事務局といたしましては、次回は実は資料2をごらんいただきたいと思うのですが、資料2の4を議題にすることを考えておりました。「支援等のための体制整備の取組」、いわゆる民間団体に対する財政的援助への拡充等の論点であります。論点表の順番とは若干異なるわけですけれども、4が1と同じくらい重要な論点であろうと、そういうことで、4についての検討を考えていたわけでありますけれども、それをどうするのか。
  あともう一個、若干お考えいただきたいのが、今日いただいた意見書、松村専門委員の意見書に記載の論点はいずれも重いというか、重大な論点でありままして、会議の意見の提出というのは前回と同じく2週間以内にお願いしたいと考えているところでありまして、論点の重要性から考えて2週間以内に各関係省庁に御意見をいただくというのはちょっと大丈夫なのかなというのが事務局として若干心配であります。その点で次回の議題を御確認をお願いいたします。
○山上議長 よろしいですか。どうぞ、御意見を。
○松村構成員 次回の冒頭にでも説明させていただきたいというふうに考えております。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 冒頭、この資料について御説明いただいた上で、論点4に入るという形で。
○松村構成員 ということで。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 という形ですね。
○山上議長 そういうことでお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、今の話を踏まえて、日程等について、更に補足で御説明したいと思います。次回につきましては、前回の段階で日程をとらせていただいておりますけれども、4月22日(木曜日)を予定しております。時間と場所は今回と同じであります。次回については、冒頭に松村専門委員から御提案の趣旨を御説明いただいた上で、論点の4を検討していただきたいと思います。
 会議の開催2週間前までに、関係各省庁から御意見をいただきたいと思います。その御意見を各委員に配布をさせていただきますので、それに対する御意見、御質問について、会議の開催1週間前までに事務局への御提出をお願いいたします。
 以上です。
○山上議長 これをもちまして、第2回基本計画策定・推進専門委員等会議を終了いたします。本日は長時間にわたり精力的に御議論いただきありがとうございました。

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