第19回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成27年6月30日(火)午後2時00分~午後4時10分
場所:中央合同庁舎8号館8階 特別大会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中島 聡美 (国立研究開発法人)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
成人精神保健研究部犯罪被害者等支援研究室長
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  飛鳥井 望 医療法人社団青山会青木病院副院長
  川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  安田 貴彦 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  沖田 芳樹 警察庁長官官房総括審議官
  野川 明輝 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長
  羽田 翔 総務省大臣官房企画課課長補佐
  高嶋 智光 法務省大臣官房審議官
  永井 孝治 法務省秘書課付
  徳久 治彦 文部科学省大臣官房総括審議官
  坂本 裕一 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  舟本 浩 国土交通省総合政策局政策課政策企画官
  水本 圭祐 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長

議事次第

  1. 開会
  2. 要望意見の整理においてBとされたものに対する対応の検討
  3. 男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見に対する対応の検討
  4. その他
  5. 閉会

配布資料

資料1 要望意見の整理において「B」(担当省庁において検討し、担当省庁から計画案文の提出を求めるもの)とされたものに対する対応(案)
資料2 要望意見のうち「B」とされたものを踏まえて担当省庁から提出された計画案文(重点課題・府省庁別)
資料3 第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)(案)(抜粋)
資料4 男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見に対する対応(案)
資料5 森山構成員からの質問・意見
資料6 中島構成員からの質問・意見
資料7 渡邉構成員提出資料
資料8 警察庁提出資料
資料9 関係府省庁における再検討結果

参考資料
 lancet(Governments must do more to address interpersonal violence)
 Global status report on violence prevention 2014(WHO)
 平成27年度「犯罪被害者週間」の標語募集(チラシ)

議事内容

  • 椎橋座長 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
     ただいまから、第19回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開始いたします。
     まず、本日の議事及び配付資料について、事務局から説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     お手元の議事次第を御覧ください。
     議題の1つ目は、「要望意見の整理において『B』(担当省庁において検討し、担当省庁から計画案文の提出を求めるもの)とされたものに対する対応の検討」でございます。
     これに関する資料を、資料1及び資料2としてお配りしております。
     資料1は、紙ファイルにつづっているものでございます。内容としましては、要望意見の整理におきまして「B」、つまり、担当省庁において検討した上で計画案文の提出を求めるとされた要望事項への対応について、関係省庁において検討した結果を一覧にまとめたものと個別の検討結果となっております。
     資料2は、担当省庁から提出された計画案文は複数の要望事項に対して同一の計画案文で対応しているものが多数ございましたことから、計画案文に着目して、重点課題と府省庁別に列挙したものでございます。
     計画案文の中には表現等が非常によく似たものもあるところでございますが、要望意見のうち「B」とされたものを踏まえて担当省庁から提出されたものにつきましては、155個となっております。これらにつきましては、通し番号を付しております。
     なお、計画案文の末尾に記載されている数字は、要望事項の番号に対応しているところでございます。
     2つ目の議題でございますけれども、「男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見に対する対応の検討」でございます。
     資料として、資料3及び4をお配りしております。
     現在、男女共同参画会議の下に置かれました計画策定専門調査会や起草ワーキングチームにおきまして、今年末までに第4次男女共同参画基本計画を策定するため、検討を進めているところでございます。
     資料3については、第4次男女共同参画基本計画のたたき台となる「基本的な考え方(素案)」のうち、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」に関する現段階の案でございます。
     資料4は、要望意見のうち、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされたものと、計画策定専門調査会等での検討状況との対応関係を記載するとともに、これを踏まえて要望意見に対する対応案を関係省庁において検討した結果を、一覧にまとめたものでございます。
     資料5及び資料6といたしまして、森山構成員と中島構成員から事前に御提出をいただきました質問と意見をお配りしております。
     また、少々飛びますけれども、これらを踏まえた関係府省庁における再検討結果を資料9としてお配りしております。
     3つ目の議題は「その他」となっておりますけれども、前々回の会議から持ち越しになっておりました渡邉構成員からの御提案に対する検討を予定しております。
     これに関する資料といたしまして、資料7及び資料8をお配りしております。資料7につきましては、両面の印刷になってございます。
     さらに、参考資料でございます。
     WHOが昨年12月に公表いたしました「Global status report on violence prevention 2014」につきまして、中島構成員から情報提供をいただいております。そのレポート本体とこれに関する記事が掲載された雑誌の写しをお配りしております。
     また、本日の議論に直接関係するものではございませんが、現在、本年度の「犯罪被害者週間」に係る標語を募集しておりますので、そのチラシを参考資料としてお配りしております。構成員の皆様におかれましても、様々な機会を捉えて標語募集につきまして周知いただくように御協力をいただければと思います。また、有識者の先生方には、最優秀作品の審査に御協力いただくことになりますので、その際はよろしくお願い申し上げます。
     事務局からは、以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     まず、6月29日付けで新たに専門委員に上智大学総合人間科学部教授の伊藤冨士江氏が任命されております。
     しかし、本日は所用のため欠席されておりますので、後日、改めて御挨拶いただきたいと思います。
     また、本日は、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見に対する対応について検討することとしておりますことから、内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室の水本室長に御出席いただいております。
     水本室長、どうぞよろしくお願いいたします。
     次に、参考資料として配付しておりますWHOが公表した資料の概要やポイント等について、中島構成員から説明していただければと思います。
     中島構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 中島構成員 ただいま御指名いただきました、国立精神・神経医療研究センターの中島です。
     貴重なお時間ですので、簡単に資料の御紹介のみさせていただければと思います。
     WHOでは、過去におきましても、Gender based violence、性差に基づく暴力等、様々な暴力レポートを出してきているわけでが、特に昨年度に発表されましたこのグローバル・ステータス・レポートにつきましては、対人暴力全般についての大変重要なレポートでありますので、是非構成員の先生方に御紹介したいと思った次第でございます。
     これはとても厚いので、私もとても全部は読めていませんが、概要につきましては、これを取りまとめた研究者の先生がランセットといわれる大変権威のある医学雑誌に投稿されておりまして、むしろランセットを見ていただくのがいいかと思います。この論文の、一番最初のタイトルとして、政府は対人暴力に関する対策にもっと注意を払うべきだということを言っております。
     どうしてかといいますと、このグローバル・ステータス・レポートは、確か世界133か国の国において、暴力防止の施策あるいは被害者支援についてどの程度行っているかというものを取りまとめた資料になっております。
     その結果、世界における対人暴力は非常に大きなインパクトがあって、例えば、4人に1人が幼少期に虐待を受けているとか、5人に1人の女性あるいは10人に1人の男性が性的な被害を子供のときに受けている実態があって、そのコストとか影響が非常に大きいことを報告しております。
     そういったものに対して、各国が十分な暴力対策を取っているかと言われれば、必ずしもそうではないことが言われておりまして、特にメンタルヘルスに関しても、こういった対人暴力がメンタルヘルスに関して非常に大きな影響があるにもかかわらず、被害者が十分な精神的なサポートを受けられていると回答した国が、必ずしも多いわけではない。特に開発途上国においては極めて低いことをレポートされております。
     こういった現状を踏まえまして、欧米諸国につきましては、ある程度、法の整備などは進んでいるけれども、その実効性といったもの、実際にそれが予防に結びついているのかどうかという検証が不十分であって、特に暴力の防止に影響のある貧困であるとか、銃器の制限、飲酒といったものに対する対応が必ずしもエビデンスに基づいた形で行われていないことを報告しております。
     このグローバル・ステータス・レポートでは、後ろのほうに各国の現状が載っていまして、143ページに日本についての報告がまとめられております。
     これは字が小さくて、私も見づらいのですけれども、これを見ると、法の整備について日本は進んでいますが、被害者支援等のサービスにつきましては、3となっており十分なレベルになっていないものが非常に多いことが、ここで見るとわかります。
     もちろん、ほかの国と比べて遅れているわけではなく、法整備に関してはかなり進んでいるとは言えるのですけれども、実際の被害者支援に関しては、まだこれから検討の余地があることがわかります。
     他の国との比較等もできますので、御関心のある方は是非目を通していただければと思います、今、国際基準で犯罪を防止することと被害者への支援に関して注意喚起がなされている現状がありますので、この会議が大変重要な意義を持ってくるのではないかと思いまして、御紹介をさせていただきました次第です。
     以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     今までの中では、一番包括的、総合的な調査研究ということになりましょうか。
     構成員の方々、何か御質問等はございますか。
     どうぞ、瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 単純な質問なのですけれども、このレポートは、犯罪予防に重点があるのか、被害者支援に重点があるのか、どちらですか。
  • 中島構成員 両方です。
  • 瀬川構成員 両方としても、その関係性が不明確のように思うのですが。
  • 中島構成員 暴力の防止とサービスの両方について各国で調べていますので、どちらかにウエートを置いているわけではなくて、どちらもどの程度取り組まれているかと報告されていると思います。
     被害者へのサービスが暴力防止の中にある意味で含まれているといえば、含まれている形での報告になっているとは思います。
  • 瀬川構成員 大部なものであれなのですけれども、具体的にどうしたらいいのかということについて、何か提案があるのですか。
  • 中島構成員 各国の現状について、それぞれ違う状況があると思います。まず、取組さえ行われていない国についても項目が挙げてあるわけです。例えば、65歳以上の高齢者のサービスがほとんどは行われていないとか、法的なものがないとか、そういうものについては、法であるとか、サービスを提供するようにと、項目に従って不足している部分について重点的に、特にエビデンスに基づいて実証的な有効性のあることをやってくださいというレポートになっていると思います。
  • 椎橋座長 国とか、地域によって調査がどのくらいできるかという偏りがあるという限界はありますけれども、今の時点では一番包括的な調査なのでしょうか。
     ただ、限界もこの報告自身が認めておられるようで、暴力がいろいろな形で及ぼす影響について、かなり深刻なものがあることを指摘しておられて、暴力の予防とか、被害者に対する支援をどうするかということについて警告を与えるというか、そういう意味で大変参考になる報告のように私も認識させていただきました。
     それでは、これはこのくらいにさせていただきまして、議題に入りたいと思います。
     まず、要望意見の整理において「B」とされたものに対する対応について検討したいと思います。
     これにつきましては、事前に構成員の方々に対しまして関係省庁から提出のあった計画案文や検討結果を送付しております。
     これに関連しまして、森山構成員及び中島構成員より事前に質問・意見が提出されておりますので、まずはこの質問・意見に対する回答を関係省庁からお願いしたいと思います。その上で議論に入りたいと思います。
     まず、内閣府からお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 内閣府から、中島構成員の御質問に対する回答案を申し上げたいと思います。
     まず、要望番号307でございますが、「途切れない支援を被害者と考える会」が作成した「被害者ノート」のような冊子の作成又は既に作成されているノートの利用等について、何か検討しているのかという御質問をいただいております。
     「被害者ノート」につきましては、犯罪被害者等にとって大変参考になる情報が掲載されておりますし、被害者自身や家族の状況を書き込めるなど、民間団体において工夫がなされているものと受けとめております。
     内閣府におきましては、そういった点を踏まえまして、「被害者ノート」を今年の平成27年版犯罪被害者白書のコラムで御紹介させていただいております。
     そのほか、昨年11月には、地方公共団体向けに発行しております犯罪被害者等施策メールマガジンで御紹介をして、その活用について呼びかけたところでございます。
     政府が定める基本計画自体において、特定の民間団体が作成したものを明記することは必ずしも適当ではないのではないかと考えまして、計画案文には明記をしておりませんけれども、計画案文の81と90におきまして、犯罪被害者支援における先進的・意欲的な取組事例を始めとする有益な情報の提供及び犯罪被害者等の援助を行う民間団体の意義・活動等の広報といった点が盛り込まれておりますので、こうしたことに基づきまして、内閣府では、引き続き、機会あるごとに「被害者ノート」を始め、民間団体の取組について、地方公共団体に対し情報提供をしていきたいと考えておるところでございます。
     以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     続きまして、警察庁からお願いしたいと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁です。
     森山構成員より、2点、御質問がございましたので、回答いたします。
     性犯罪被害に遭った方に対する緊急避妊あるいは人工妊娠中絶等に要する経費につきましては、都道府県警察補助金といたしまして、平成27年度予算において約7,800万円を措置しております。この額の範囲におきまして、都道府県が負担した額の半額を当該都道府県に交付しております。
     2点目に、司法解剖後の遺体搬送等の実施状況についてでございます。
     平成25年中の数字になりますけれども、遺体搬送件数が2,046件、遺体修復件数が5,752件となっております。
     次に、中島構成員からの御質問に関連いたしまして、要望番号307番、被害者ノートの活用についてでございますけれども、各都道府県警察におきましては、刑事手続の概要や犯罪被害者が利用できる制度等が記載された「被害者の手引」を作成、配布することとしておりまして、犯罪被害者の方にとって、警察が対応している段階で必要とされる情報が盛り込まれていると考えております。
     警察といたしましては、被害直後の被害者の方に対しては、必要最小限の情報を簡単な冊子にしてお伝えすることが適当であると考え、「被害者の手引」を作成・配布しておりますけれども、御要望を踏まえまして、その内容の充実を図ってまいりたいと思っております。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     続きまして、法務省からお願いいたします。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省からは、中島構成員からの御質問、要望307番について御説明させていただきたいと思います。
     法務省が所管しております、日本司法支援センター、通称、法テラスでは、被害者ノートが作成された昨年当時、被害者ノートを作成している団体とその活用方法において協議をしていたところでございますが、このノートを作成、送付をしている団体がどこか、窓口はどこかということを、法テラスの窓口において説明するようにしております。もちろん、法テラスの各窓口自身もこのノートを入手して対応しているということでございます。
     法テラスにおきましては、今後も引き続きこのような取扱いを継続していくという趣旨で、本要望に対する計画案文として、犯罪被害者等からの相談内容に応じた最適な専門機関・団体等を紹介するコーディネーターとしての役割を果たしていきたいと考えております。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     続いて、文科省からお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省関係では、全部で4点ございますけれども、後ほども申し上げますが、2点目のところにつきましては、厚労省の関係のものでございますので、省略させていただきます。
     1点目でございますが、計画案文46のところで、医学部における犯罪被害者等への理解を深める教育を推進するとしていたことにつきまして、具体的にどのような教育を提供することを検討されているのか教えていただきたいといことでございました。
     これにつきましては、医学部におきまして犯罪被害者等への理解を深めるために、PTSDに関する教育のほか、個別の事例を踏まえました被害者を理解する教育が行われているところでございます。
     例えば、一例を申し上げますと、筑波大学におきましては、3年次の学生を対象の授業科目、「機能・構造と病態Ⅱ」という具体的な科目の中で、実習形式で被害者支援についての教育を行っております。
     26年度におきましては、ドメスティック・バイオレンスの被害者を支援しているNPOの団体の代表の方を招きまして、被害者の視点に立ってそれぞれの被害者の個別的背景を理解して、実践的な診断及び臨床に必要な知識、考え方を身に付けるための教育を実施しているところでございます。
     教育の具体的な内容につきましては各大学におきまして判断されるものでございますけれども、こういった取組は非常に有意義でございますので、犯罪被害者等への理解を深める教育が行われるよう、引き続き会議等を通じて要請していきたいと考えているところでございます。
     3つ目の●でございますけれども、教員等について犯罪被害者等への理解や支援についての研修を行うことを積極的に検討するべきではないかという御意見でございまして、これにつきましては、資料9でお配りさせていただいております再検討結果の中で、御意見を踏まえまして修文をしております。御覧いただければと思います。
     4つ目の●、犯罪に遭った少年の学業継続の保証に関しまして、特に養護教諭が支援者として関わることについてどういった検討をしているのか、御回答いただきたいということでございます。
     これにつきましては、もともと案文では養護教諭に特化した記載をしておりませんけれども、スクールカウンセラー等の中に養護教諭が含まれるといった形で「学校における教育相談体制を充実させる」と記載をしているところでございまして、御案内のとおり、犯罪被害に遭いました子供たちに対応するために、子供の置かれている環境とか、犯罪の内容が非常に様々で、一律の対応が非常に難しいケースが多くございまして、ケース・バイ・ケースで柔軟に相談しやすい体制をつくって、悩みや不安を受けとめて相談に当たることが重要だと考えておりまして、専門的な心理学知識、心理援助知識等を有するスクールカウンセラーと学校の教職員が連携して、例えば、相談する児童、生徒の立場に立って、養護教諭に限らず、最も相談しやすい場所での対応、雰囲気づくり等の配慮を行うこと等々、そういったことを頭に置きながら相談をしていくことが大事かと考えているところでございます。
     冒頭、申し上げましたが、2つ目の●につきまして、御指摘の部分が厚労省の関係でございますので、御回答は控えたいと思います。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     続きまして、厚生労働省からお願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。
     厚生労働省関係は、中島構成員から3点、要望80、84、254につきまして御指摘をいただいておりますので、順に御回答申し上げます。
     まず、要望80の関係ですが、こちらは、現在、日本医師会が認定を行っています産業医の関係につきまして、産業医の認定の研修等で、PTSDですとか、犯罪被害者の休業等についても内容を盛り込むことができないかという御指摘でございます。
     まず、事実関係といたしましては、現在、厚生労働省で行っておりますPTSDの専門家の養成研修におきましても、産業医は排除する形はとっていないため、必要に応じて産業医の方も対象になっている状況でございます。
     また、日本医師会が行っております産業医の方に対する研修につきましては、2つのパターンに大きく分かれておりまして、1つは、医師会自身が独自に産業医の資質向上という観点から行っている研修、2つ目が、厚生労働省で指定産業医研修機関として日本医師会を指定しておりますので、そうした機関として行っている研修と、2つに分かれております。
     まず、前者の独自に行っているほうなのですが、こちらは厚労省として義務付けをしていくことはなかなか難しいので、コメントが難しいところでございます。後者の指定産業医研修機関としての研修につきましては、まず、研修科目につきましては、厚生労働大臣の告示におきまして、労働衛生の関係ですとか、健康診断に関する、いわば産業医として必要なものを定めているところでございます。
     御指摘の犯罪の関係につきましては、業務との直接的な関係性について御意見がちょっと分かれるところですので、直ちに告示において科目として盛り込んでいくことはなかなか難しいのですが、一方で、何らかの形で産業医の方に情報提供ですとか、別途の形の研修ができないかということを、こちらでも検討させていただきたいと考えております。
    続きまして、要望84の関係でございます。
     こちらは、社会福祉士等の教育カリキュラムの中に犯罪被害者の関係を加えることができないかという御指摘でございます。
     こちらは資料も御提示いただいておりまして、厚労省で出しております「社会福祉士、養成課程における教育内容等の見直しについて」という資料でございます。
     御指摘いただいた箇所とは別の箇所に、社会福祉士の教育カリキュラムの中で、更生保護制度という科目を設けていまして、御提示の資料では、この中に被害者等支援という項目が盛り込まれております。
     あくまでこれは想定される教育内容の例の一つとして盛り込まれておりますので、必ず実施しなければいけないものではないのですけれども、テキスト等々には被害者等支援が盛り込まれているものがあるようですので、そういったところで一定の知識の習得が図られているのではないかと考えております。
     最後、要望254の関係でございまして、中島構成員にも代表を務めていただいた厚生労働科学研究の中で、性暴力被害者向けの情報提供のハンドブックを作成しております。そちらを広く情報提供できないかという御指摘でございます。
     当省におきましても、周知を広く図っていくことが必要だと思っておりますので、具体的な周知方法につきましては、研究の代表である中島構成員ともよく御相談をさせていただきたいと考えております。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま、合わせて5つの府省庁から質問に対する回答をいただきました。
     このほかに、中島構成員より外務省に対する質問・意見も出ておりました。外務省からの回答について、事務局から説明を願いたいと思います。よろしくお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 外務省からは、書面で回答をいただいているところでございます。
     資料9の表紙をおめくりいただきまして、1枚目でございます。
     中島構成員からの御意見でございますけれども、「海外で犯罪被害に遭った場合の情報提供につきまして、外務省において国内における被害者支援機関についての情報を明記していただくほうがいいのではないか」という内容でございました。
     外務省からの回答は、原案どおりにさせていただきたいということでございました。
     その理由ですけれども、記載のとおりでございますが、国内における被害者支援機関についての情報を外務省において把握することがなかなか困難であるということでございました。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。
     ただいまの関係府省庁からの回答につきまして、まず、森山構成員、中島構成員、いかがでしょうか。さらに御質問とか御意見がございましたら、お願いいたします。
  • 森山構成員 森山です。
     要望番号51に関連しての質問ですが、いわゆる緊急避妊等の公費負担の運用が全国的に同水準で行われることが計画案文で書かれておるのですが、我々現場にいる者からすると、各地で、そういう制度の周知徹底が全く図られていないところと運用されているところとばらつきが非常に目立つという声が出ておりまして、先ほどの話ですと、7,000万幾らかの補助金等が出ているということなのですが、それらが具体的に各都道府県においてどのような運用がされているかを把握して、それが同水準で行われるためにどういうことが必要なのかについて、どのようなお考えでいられるかということについて質問したいということであります。
  • 椎橋座長 これについて、いかがでしょうか。
     警察庁の方からですか。お願いします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 全国同水準で行われていないという部分について、実例として把握していないのですけれども、制度的には全国で同一の運用がなされるよう、制度的に同一性を担保する形で指導を進めているところでございます。
  • 椎橋座長 どうぞ。森山構成員。
  • 森山構成員 やはり現場が非常に大切だと思いますので、その辺のところの各都道府県に対する指導が徹底して行われるようにしていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 森山構成員からは、それでよろしいですか。
     どうぞ。
  • 森山構成員 もう一つ、要望番号61番で、これもまた同じことでありまして、司法解剖後の遺体搬送費あるいは遺体修復費の措置も運用がばらばらになっているという話をよく聞きます。そういう制度があるのかというところと、そんなことは当たり前ではないかというところとの格差が目立つように思われるのですが、どうなのでしょうか。
  • 椎橋座長 これについても、警察庁からお願いします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 今の御指摘を踏まえまして、都道府県警察に対して十分に指導してまいりたいと思います。
  • 椎橋座長 森山構成員、よろしいですか。
  • 森山構成員 はい。
  • 椎橋座長 中島構成員、いかがでしょうか。
  • 中島構成員 各府省庁には、丁寧に御回答いただきまして、ありがとうございます。
     特に文部科学省で、従来なかなか医学教育に被害者支援が反映されないところを、具体的な大学の取組まで御教示いただきまして、大変うれしく存じます。
     2点ありまして、1点は、厚生労働省から、要望84につきまして、私が示したところ以外で既に被害者支援について盛り込まれるべき内容として挙げていただいているということで、それも大変よかったと思うのですが、関係省庁の検討結果のところに「困難である」と書いてあります。
     既にこのように取り組まれているのであれば、その内容を明記していただいたほうがよろしいのではないかという次第です。
     案文のことではなく、こちらの検討結果でもし反映していただけたらよろしいかと思います。
     もう一点、外務省がいらっしゃらないので、今この場では伝わらないと思いますが、情報を把握することが困難だということについては、具体的に一つ一つのことを御紹介していただきたいわけではなく、警察の犯罪被害者支援あるいは内閣府の犯罪被害者支援のホームページ程度のことを御紹介していただければよろしいかとは思います。もし、警察に紹介していただければ警察が連携して紹介していただけると思うのですけれども、外務省がそういうサービスがあるのだということを一言でも言わないと、警察につながっていない方は全く知らないということになります。ニューヨークテロのときも(被害者支援機関を)知らない方が非常に多かったのです。
     ですので、原案どおりとありますけれども、警察と公的な機関について、公的なホームページでも結構ですので、御紹介いただくよう、内部的に御検討いただければという意見だけ述べさせていただきます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     外務省の件については、事務局からお答えしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 今、中島構成員からいただきました御意見につきましては、改めまして外務省に伝えまして、また検討していただくことにさせていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 では、厚労省の方はいかがでしょうか。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐  御指摘を踏まえまして、検討結果の文章を修正させていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 中島構成員、それでよろしいですか。
  • 中島構成員 はい。
  • 椎橋座長 それでは、質問があらかじめ森山構成員、中島構成員から出されておりましたので、先に口火を切っていただきましたけれども、他の構成員の方々につきまして、関係省庁から事前に出されました計画案文や検討結果等について、御質問、御意見等がございましたらお願いしたいと思います。
     どうぞ、飛鳥井構成員。
  • 飛鳥井構成員 要望事項の161番の後半のほう、「被害児童・障害を持つ被害者への事情聴取(司法面接)の技法の確立と普及を推進してほしい」ということでの質問なのですが、警察庁と法務省にちょっとお伺いしたいと思います。
     私たちが実際に被害者の支援の現場で見ていても、複数の子供の深刻な性被害の被害者がいて、加害者も特定できている、しかし、物証がなくて子供の証言しかないときに、子供の供述だけでは何とも不確かだということで立件できないと、親もじくじたる思いがする。これは日本全国どこでもあると思うのです。
     それを打開する方法として司法面接という制度があって、子供にできるだけ負担をかけない方法で供述をとって、かつ、その中から信憑性があり、妥当性のある証言を得て、それを裁判でも証拠として使うといったことが一部の先進国では行われております。
     御回答は、被害者に負担をかけないということで、いろいろと二次的被害を防ぐとか、心情を理解するとか、そういうことについては留意しましょうということは確かに書いてあるのですが、要するに、もともと司法面接の趣旨は、それもあるけれども、同時に、その中である程度これは信憑性のある証言だということをオーソライズできるような制度を導入しようと。
     日弁連からも要望が出ていると思いますが、日本で司法面接の制度は、今後どういう展開になっていくのか、あるいは、既に検討はされているのか、恐らく総論的には賛成の人が多いので、各論だといろいろと法曹界からも御意見が出て賛否両論はあると思うのですが、国として少なくとも研究レベルでも進めていくとか、今は熱心に進めている一部の研究者の方がおられますけれども、制度として、国としてはどういう方向で進んでいくのかということを、今の段階でお返事いただけることがあればお伺いしたいのですが、警察庁と法務省にお願いします。
  • 椎橋座長 立件に必要な証拠収集を子供に負担をかけない形で行う、事件後の早い段階で信頼性のある証拠を収集する、そのため制度の一つとして司法面接制度があるということで、飛鳥井構成員の御提言も含まれているのかもしれませんけれども、こういう問題、状況と、一つの御提案として具体的な司法面接という方法が出されましたけれども、これについて、警察庁、法務省、どちらからでも結構ですが、お答えいただければと思います。
     いかがでしょうか。
     法務省、よろしくお願いします。
  • 法務省大臣官房総括審議官 司法面接の考え方は非常に大事でして、できるだけ早い段階で被害に遭った子供に面接して、できるだけ信用性のある形でその供述はどうなのかということを把握して、一方ではその児童の救済を図りながら刑事手続もしっかり進めていく、これが一番いい形だとは思うのですが、実際のところ、現実問題として、これは国の政策とかそういうことではなくて、実際に生起する現実の社会の中で、一番最初に被害に遭った子供たちが、親や学校の先生や近所の人などにいろいろと尋ねられていくうちに、だんだん記憶にコンタミネーションが起こり、なかなか本当の事実を引き出すことが難しくなっていくということが、経験的にもよくあることです。
     だからといって、被害に遭った子供については、親に面接させない、先生に接触させない、近所の人とも話をさせない、遮断して早く警察あるいは検察官が到着して話を聞くまで隔離しておくのかというと、これはまた子供たちの被害から気持ちの面で救出してあげるという観点からすると、非常に難しい。本末転倒なのではないかという批判もある。
     ですから、非常に現実的に難しい問題があることは御理解いただかなくてはいけないと思います。
     ただ、検察庁でもそうですし、恐らく警察でもそうだと思うのですが、司法面接という考え方はすごく大事だと、早い段階、しかもその記憶が誘導によって汚染されてしまわないうちに、できるだけ早く児童、被害者に接して、その本当の事実は何だったのかということを聞き出す必要があるということについては、最近、職員研修等をよくやっております。
     実際にそれを実践した例が最近は出てきているところであります。今後、それは進んでいくと思います。
     検察官も警察もそうだと思いますが、そういう子供の供述の信用性については非常にセンシティブなものがあって、ちゃんと気を付けなくてはいけないという意識が非常に高まってきておりますので、今後、そういう研修制度を一方で充実させながら、かつ、緊急事態ですから、できるだけ早くその供述に接することが必要なのだと考えております。
     ただ、先ほど冒頭に申しましたとおり、現実的には供述のコンタミネーションといった難しい問題がございます。これとの相克の中で解決していかなくてはいけない問題なのだろうと認識しております。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     警察庁はいかがでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁でございます。
     今し方法務省からの御説明があったような、児童の供述に関する問題認識については、法務省と共通しているところもございますので、今後、法務省を始め、関係省庁と連携しながらより良い対応ができるように検討を進めてまいりたいと思います。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。
     飛鳥井委員、いかがでしょうか。
  • 飛鳥井構成員 御丁寧に説明していただいて、ありがとうございました。
     どうしても記憶の汚染は避けられないとは思うし、理想的にはいかないので、その中でどれだけ信憑性のある証言を得られるかということで、さらにいろいろと御検討を願えればと思います。ありがとうございました。
  • 椎橋座長 これは特にこの文章を書きかえるべきだとか、そういうところまでの御意見ではないのですね。
  • 飛鳥井構成員 今、言ったように、少し技術的な問題もあるので、方法論について御検討中であるとか、後半の部分も少し盛り込んでいただければと、恐らく要望意見を出された方はそういうことも含めて、制度として取り入れられないのかという意味で要望されたと思いますので、そのことに触れていただければと思います。
  • 椎橋座長 見直しの場で検討することは困難であるということで、しかし、内部でそういった検討というか、試みというか、そういう努力をしているとか、検討中のことを何らかの形で表現できれば、その方がより良い感じもいたします。
     そういう御意見があったので、もしさらに検討の余地があれば、どうぞ。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省でございます。
     なかなか現段階でどういう制度とするのがいいのかというのは、答えが非常に難しいところでありまして、まずは必ずしも浸透していない司法面接の考え方という、子供の被害者に対する接し方、タイミングと聞き方はすごく大事なことということ自体をもう少し広げていけば、自然に捜査官の行動にあらわれてきますので、その時間を少しいただくことが必要かと考えているところでございます。
     こうするべきだと打ち出すにはなかなか今は段階的にはすごく難しいし、明確な答えが見つかっていない段階なのかなと思っております。
  • 飛鳥井構成員 いや、答えを見つけていただくというより、少なくとも何か研究を進めているとか、要するに、検討しているとか、明確なことは恐らく現段階では言えないと思うのですけれども、それはそんなに強くこだわっていることではありません。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     私も少し計画案文のところについて誤解していたところがありますので、飛鳥井構成員からそういう御要望があったということでございます。取組もされているということですので、さらに御要望を受けとめていただくということでお願いしたいと思います。
     ほかにはございませんでしょうか。
     ないようでございますね。まだ議題がたくさんございますので、もしさらに御意見、御質問がございましたら、事務局宛てに御提出していただきたいと思います。
     次の議題に入らせていただきます。
     次は、「男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見に対する対応の検討」に移りたいと思います。
     この要望意見への対応につきましては、3月に開催された第16回の専門委員等会議において事務局から説明がありましたように、男女共同参画会議の下に置かれている計画策定専門調査会や起草ワーキングチーム等での検討を踏まえて、犯罪被害者等施策として新たな犯罪被害者等基本計画にどのように盛り込むかについて検討することとされておりました。
     当初は、本日、資料3として配付しております「基本的な考え方(素案)」が計画策定専門調査会において決定された後に、これを踏まえて専門委員等会議において、犯罪被害者等施策として新たな基本計画にどのように盛り込むかについて検討することを予定しておりましたが、初めに事務局から説明がありましたように、まだ案の段階であります。
     男女共同参画会議における検討を待っていると、今後の専門委員等会議における検討スケジュールが大幅に遅れることになってしまいますので、この段階で専門委員等会議において検討することにしたいと思います。
     なお、新たな犯罪被害者等基本計画と男女共同参画基本計画において大きな齟齬が生じないよう、その点については事務局同士で調整していただきたいと思いますので、構成員の皆様におかれては、忌憚のない意見等をよろしくお願いしたいと思います。
     まず、この点について、内閣府男女共同参画局の水本室長から、男女共同参画会議における検討状況や「基本的な考え方(素案)」の概要等について説明していただきたいと思います。
     水本室長、よろしくお願いいたします。
  • 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長 内閣府男女共同参画局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     ただいま御説明いただきましたとおり、男女共同参画局におきましては、新たな男女共同参画基本計画の、第4次ということになりますが、その策定に向けた作業を進めておるところでございます。
     具体的には、昨年10月、男女共同参画社会基本法に基づいて置かれております男女共同参画会議に対し、内閣総理大臣から新たな男女共同参画基本計画を策定していく際の基本的な考え方についての諮問がございました。
     現在は、それに基づきまして、男女共同参画会議の下に置かれております計画策定専門調査会及びさらにその下に置かれております起草ワーキングチーム等におきまして、議論をいただいているということでございます。
     本日、資料3としてお配りしている資料は、去る6月25日に開催されました計画策定専門調査会におきましてお配りした資料のうち、女性に対する暴力に関する事項の部分を抜き出したものでございます。
     したがいまして、先ほど御紹介もありましたとおり、現在はまだ議論中のものでございまして、専門調査会での御議論あるいは各省の調整等を踏まえまして、まだ修正等があり得るものということで御了解をいただければと思っております。
     以下、内容について御説明をさせていただきます。
     資料3を2枚ほどおめくりください。
     「7 女性に対するあらゆる暴力の根絶」ということで、基本的考え方の7番目の分野として項目を立てております。
     最初に、この分野全体の目標について記載しております。
     まず、第1パラグラフで女性に対する暴力が重大な人権侵害であって、暴力の根絶を図ることは国の責務であることを明示いたしております。
     第2パラグラフでは、配偶者暴力あるいはストーカー行為に加えまして、SNS等を通じた新たな暴力等にもきちんと対応すべきであること、第3パラグラフにおきましては、被害者が子供、高齢者、障害者、外国人等である場合の背景事情への十分な配慮等、最後のパラグラフにおきましては、そういったことを踏まえて、暴力の根絶のための基盤づくりの強化あるいは近年の法改正内容等を踏まえた周知徹底とか、厳正な執行といった大きな方向性を記載しております。
     以下、個別の事項ごとに施策の基本的方向と具体的な取組について記載しております。
     1番目が、女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくりで、具体的には広報啓発でございますとか、職務関係者への研修等の充実でありますとか、調査研究の推進等を盛り込んでおります。
     2番目が、配偶者等からの暴力の関係でございまして、こちらは昨年1月に配偶者暴力防止法の改正法が施行されまして支援対象が広がったこともございますので、そういったことも踏まえて、特に若年層等に対する周知徹底、広報啓発の実施でございますとか、現状の把握等ということを新たに盛り込んでおるところでございます。
     48ページ、3番目に、ストーカー行為でございます。
     こちらが今回で一番大きな修正点でございまして、ストーカー行為につきましては、第3次の計画では配偶者暴力の一項目という扱いになっておりました。
     ただ、御承知のとおり、このストーカーの関係は重大な事件もございましたし、政府でもストーカー総合対策という形で施策の取りまとめを行いましたので、そういったことも踏まえまして、今回、独立の項目ということで項目立てをいたしまして、総合対策に盛り込まれている施策など、具体的な施策の内容も充実させたところでございます。
     4番目、こちらが恐らく本会議と最も関わりのある部分かと思いますが、性犯罪への対策の推進の関係でございます。
     こちらについては、具体的な取組といたしまして、まずはいわゆるワンストップ支援センターの設置の促進、あわせて、関係部局と民間支援団体との連携の促進ということを書いております。
     以下、2から5までについては、とりわけこの性犯罪被害者支援ということになりますと、医療の関係、心のケアを行う方の役割は非常に重要でございますので、そういった方の人材育成でございますとか、研修、啓発の強化といったことを盛り込んでおります。
     3としましては、被害者のプライバシー保護と一般社会の理解の促進、6が警察・検察における理解の促進あるいは体制の充実、8は、現在、法務省さんにおいて有識者会議で御検討いただいていると承知しておりますけれども、性犯罪に関する罰則の在り方の検討を盛り込んでおります。
     5番目は、子供に対する性的な暴力の根絶の関係でございます。
     こちらは、近年の動きを踏まえまして、例えば、JKお散歩とか、JKリフレという新たな形での動きもあったりしますので、こういったものが若年者への性的暴力被害等の誘発につながるのではないかということもありますので、そういったものの実態把握、違法行為への厳正な対処といったものを新たに盛り込んでおります。
     6番目が売買春、7番目が人身取引対策、8番目がセクシュアルハラスメント防止ということで盛り込んでおりまして、最後の9番目がメディアにおける性・暴力表現への対応ということでございます。
     御承知のとおり、こちらは近年児童ポルノ防止法の改正がございました。それから、いわゆるリベンジポルノ防止法という新たな法律もできておりますので、そういったものを踏まえた実態把握、適切な取締り等を新たに盛り込んでいるところでございます。
     簡単でございますが、私からの御説明は以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     続きまして、資料4の「男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見に対する対応(案)」について御説明いただいたほうがいいと思いますので、事務局からお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 資料4を御覧いただければと思います。
     この資料ですけれども、要望意見のうち、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされたものを左の欄に記載してございます。計画策定専門調査会等での検討状況につきましては、真ん中の欄に記載しておりまして対応関係を明らかにしております。これを踏まえまして、関係省庁におきまして要望意見に対する対応案を検討した結果を右側の欄にまとめてございます。
     もう一度、表紙を御覧いただきたいと思いますけれども、これらの要望事項につきましてここでは3つに分類しております。
     分類につきましては、一番右側の「分類」に書いているところでございます。
    Ⅰでございますが、要望事項が「基本的な考え方(素案)」に直接反映されており、犯罪被害者等施策として新たな基本計画にどのように盛り込むかについて検討すべきもとしたのでございます。
     IIが、要望事項が「基本的な考え方(素案)」作成に当たり、直接の検討はなされていないものの、関連する施策がある又は第2次犯罪被害者等基本計画におきまして関連施策があるなど、担当省庁において検討すべきとしたものでございます。
     IIIにつきましては、専門委員等会議における検討外の事項と整理させていただいております。
     Ⅰに分類されました要望事項に関連する事項については、男女共同参画会議における検討でも取り上げられていることから、一定の方向性は示されているものと考えられます。
     ただし、基本的な考え方は、新たな男女共同参画基本計画のたたき台的な位置付けでもございまして、中には、具体的な取組、施策という形までは示されていないものもございます。
     そこで、男女共同参画会議における検討も踏まえまして、関係省庁から要望事項に対する対応案を出していただいたということでございます。
     IIに分類されました要望事項につきましては、男女共同参画会議で直接検討はされておりませんけれども、関連施策がある又は第2次の犯罪被害者等基本計画において関連施策があることなどから、これらを踏まえまして、関係省庁から要望事項に対する対応案という形で提出いただいたものでございます。
     IIIの分類につきましては、専門委員等会議における検討に適していないのではないかという整理をさせていただいております。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ただいま事務局から説明がありました、資料4の中に記載されている右の欄の対応案について、御質問、御意見がございましたら、お願いしたいと思います。どなたからでも、どうぞ。お願いいたします。
     中島構成員。
  • 中島構成員 ここの内容ではないのですが、当初、お話しいただきましたように、この男女共同参画案をこちらに反映すると私も思っておりましたので、こちらが先行した場合に、この内容がこちらの男女共同参画の素案に逆に反映されていく形になることはありますか。
     特に、要望事項が、そちらにはもともと反映されていないような内容であっても、かなり密接に関係ある場合に、こちらに入っていくことはあるのでしょうか。
  • 椎橋座長 その点については、いかがでしょうか。
  • 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長 それぞれの計画のスケジュール感がまだはっきりしておりませんので、最終的にどちらが早くなるかということはあるのですが、いずれも最終的に政府の計画として決定するものである以上、その中身について大きな齟齬があってはならないと思います。
     ですので、こちらの御議論の中で男女共同参画の議論とずれがあると、その中で事務局同士で調整をさせていただくことはあるかと思っております。
     ただ、男女共同参画の推進という立場と犯罪被害者等施策の推進と、それぞれの切り口が違いますので、文言が完全に一致している必要まではないかと思っておりますけれども、いずれにしても調整させていただければと思っております。
  • 椎橋座長 ほかにいかがでしょうか。
     どうぞ、森山構成員。
  • 森山構成員 資料4の3枚目、「4 性犯罪への対策の推進」の中で、ワンストップ支援センターの設置を促進するという調査会での検討状況になっていますが、これについて、具体的にワンストップ支援センターはどういう形のものを考えておられるということなのでしょうか。
  • 椎橋座長 ただいまの森山構成員の質問に対しては、いかがでしょうか。
  • 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長 ワンストップ支援センターは、御承知のとおり、法的な定義が今はないものでございます。
     したがいまして、自治体によってもその性格がかなり違っておるのでございますけれども、少なくとも我々の基本的な考え方に書いておりますように、相談窓口機能を持っている、これは当たり前の話であろうと思います。
     ただ、それだけではなくて、必要に応じてきちんとつないでいくということ、とりわけ大事になるのが性犯罪被害者、急性期の被害者に対しては、医療の関係、産婦人科の方にしっかりつなぐ、もちろん病院そのものにセンターが置かれている場合は問題がないのだと思いますが、そうでない場合もきちんとその被害者に対してつないでいける、あとはその被害者の状況に応じてですけれども、警察にきちんとつなぐ、例えば、その場合に同行支援を行いますとか、あるいは、警察からいらっしゃっていただく場合に、それに付き添うとか、そういうこともあるかもしれません。
     そのほか、例えば、法的な支援であれば法テラスさんでありますとか、あるいは、民間支援団体もあるかもしれませんし、福祉事務所もあるかもしれません。
     関係機関にきちんとつなげるような体制をつくっていくことが最低限なのかなとは思っております。
     ただ、かちっとした法的な定義として置かれているということではないということで、とにかく性犯罪の被害者をワンストップで支援できる取組を進めていこうという趣旨でここに書いているということでございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     森山構成員、今のお答えでよろしいですか。
  • 森山構成員 ありがとうございます。
     ワンストップ支援センターは非常に大切なものであると、運動の中でも中心的な位置を占めるべきではないかと常々考えておるのですが、これがいろいろと、どこが主導するかというか、民間型が強くなるのか、公的なものが強くなるのか、お医者さんが強くなるのか、様々な組織によって違う形になるかとは思うのですが、民間におけるワンストップ支援センターに対する財政的支援を我々はいつもお願いしているので、その辺についての方向性はどこかで議論に出てくるということなのでしょうか。
  • 椎橋座長 ワンストップ支援センターにつきましては、これが必要だということは共通の認識だと思います。
     ただ、どうやって具体化するか、どこが主導権を持つのか、今、御質問のように、財政的にどうするのかという、いろいろな問題があると思うのですが、そのあたりはどこでどういう形で議論されていくのでしょうか。
     府省庁の方は、お答えいただけますか。
     男女共同参画会議では、どういう方向性を持っておられますか。
  • 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長 男女共同参画会議と申しますか、男女共同参画局としてお答えをいたします。
     この関係は、非常に関わる省庁が多い分野でございます。我々は女性に対する暴力の根絶という観点からこの関係に携わっておりますけれども、犯罪被害者等施策という観点から共生社会も加わっておりますし、もちろん警察庁さんや厚生労働省さんもそれぞれ所管の立場から様々な支援を行っておるところでございます。
     今のワンストップ支援センターの状況は、そもそもワンストップ支援センターと呼べるものが十分にないことが現実であろうと思います。
     定義がはっきりしていませんので、ちゃんとした数はなかなか数えられないのでございますが、恐らく我々が聞いている範囲でも、都道府県レベルで十数カ所とか、そういうレベルなのであろうと思います。
     まずは、ワンストップのサービスができる、それをセンターと呼ぶべきなのかどうかわかりませんが、そういったものを増やしていくことが大きな課題であろうと思っております。
     男女共同参画局でやっていることで申し上げますと、1つは、昨年度より性犯罪の被害者の総合的支援に関する実証的調査研究事業を行っております。
     これは、例えば、各地方公共団体においてワンストップ支援センターを新たにつくりたい、あるいは、既存のセンターの機能を強化したいということを計画にしてお出しいただきまして、我々が有識者の先生のお力も借りて選ばせていただいた事業については、その費用をお出しする。
     実際にその取組を自治体に行っていただきまして、その結果を我々にフィードバックしていただき、それを報告書という形で取りまとめて、他の自治体にも横展開することで、さらにワンストップ支援センターの設置を促進する取組を行っております。
     昨年度から始めたもので、昨年度の予算が3,900万、今年度は大幅に増額いたしまして約1億円の事業になっております。
     内閣府の立場としては、こういった予算を使って、あるいは、それ以外に性犯罪被害者支援に係る相談員さん等の研修の経費も若干ございますので、そういったところで質の向上も図りつつ、まずは性犯罪被害者に対する支援を拡大していきたいと思っております。
     もちろん、それ以外に各省庁さんでいろいろとお考えの支援、あるいは、既に行っていただいているものもあろうかと思いますので、そういったところとも協力しながらさらに進めていただければと思っております。
  • 椎橋座長 森山構成員、よろしいですか。
  • 森山構成員 はい。
  • 椎橋座長 今の点についてですか。どうぞ、中島構成員。
  • 中島構成員 今の点ではないのですけれども、男女共同参画局の方が来ているので、お伺いします。警察庁で犯罪被害者のカウンセリング費用の公費負担制度についてかなり議論をした上で、都道府県警におけるカウンセリング費用の実費的な公費負担を推進していくとなったのですが、その会議の中でも、男女共同参画局では、このカウンセリングの普及に関して、例えば、配偶者暴力の支援を行っている機関、そういったもので性暴力被害も含めているような機関、あるいは男女共同参画局の管轄している相談窓口等でのカウンセリングを行えるような支援員を増やしていくとか、無料のカウンセリングについての制度を推進するとか、そういう話はないのかなという話も出ておりましたので、こちらの警察庁の取組とは別に、何かカウンセリング費用の助成等について検討されているようなお話がありましたら、教えていただけるとありがたいです。
  • 椎橋座長 カウンセリングの普及について、男女共同参画局でどういう取組をされているか、お願いいたします。
  • 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長 性犯罪被害を受けられた方は、もちろん、外科的な治療と申しますか、産婦人科的な治療はすごく大事なのですが、あわせて心のケア、カウンセリングは非常に重要でございます。これは急性期の方だけではなくて、特に中長期の被害者支援を考えた場合も重要であろうと思います。
     内閣府としては、省庁の性格上、恒常的な補助金的なものを内閣府で持つことはなかなか難しいのでございますが、先ほど申し上げた実証的調査研究事業におきまして、例えば、ワンストップ支援センターで、これまでいなかったのだけれども、カウンセラーの方に週に何回か来ていただくような、新たな取組みたいなものがもしありますれば、それがモデル性、先進性のある取組と我々で認めることができれば、そういった方の費用について当予算で措置という事例はございます。
  • 椎橋座長 中島構成員、よろしいでしょうか。
  • 中島構成員 はい。
  • 椎橋座長 そのほかにいかがでしょうか。
     どうぞ、瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 1点、お尋ねです。かつては「性暴力」という言葉がよく使われていて、どういう意味なのかよくわからないところがありましたが、今回、出された資料3の中には「性暴力」という言葉はなくなっているに近いと思うのですが、「女性に対する暴力」あるいは「子供に対する性的な暴力」といった言葉が使われています。私自身は「性暴力」という言葉に曖昧だという印象を持っていましたので、明確化してあってこのほうがいいと思います。これは何か自覚的にされたのか、自然にそうなったのか、何か議論はありましたか。
  • 椎橋座長 いかがでしょうか。
  • 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室長 会議の中で何か議論があったということではないのでございますけれども、「性犯罪」という場合は、例えば、いわゆる刑法上の強姦罪でありますとか、強制わいせつ罪を一義的に想定しているのだろうと思います。
     「性暴力」という場合は、もう少し広いというか、若干曖昧な概念でございまして、その中には、この中身でいうと、4番というよりは、例えば、2番の配偶者暴力の中の性的な暴力でございますとか、お子さんに対する暴力、どちらかというと性的虐待に近いようなものとか、いろいろな概念をかなり広く含み得るものでございますので、一応、政府としてまとめていくものとして正確を期すということで、4番については「性犯罪」という言い方で統一したものでございます。
  • 瀬川構成員 わかりました。結構です。
  • 椎橋座長 ほかにいかがでしょうか。
     ありがとうございました。
     この論点につきましては、今日はこのくらいにしたいと思います。
     さらに御意見、御質問がございましたら、事務局に提出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
     次の議題に入らせていただきます。
     次の議題は、「その他」となっておりますけれども、渡邉構成員からの提案に関する検討がその内容でございます。これにつきましては、前々回の会議からの持ち越しとなっておりました。
     新たに構成員になった方もいらっしゃることから、私から経緯について簡単に説明したいと思います。
     すなわち、前々回の会議におきまして、渡邉構成員から、犯罪被害に遭ったことにより生活に困窮している方々の事例の紹介がございました。16例をお示しいただいたと思うのですけれども、このような方々に対する新たな経済的支援が必要であることから、本会議においてこれを論点として取り上げてほしい旨の御提案があったわけであります。
     これに関しまして、他の構成員から、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会において検討された事項と重なるものの、日本財団における奨学金制度を始め、今ある社会資源をどのように活用するかを含め、検討してはどうかという意見とか、渡邉委員からの強い提案もあることから、時間をかけて議論したほうがいいのではないかなどの御意見がございました。
     私からは、渡邉構成員に対しまして、過去の検討会で議論された論点とは異なる、新たな視点や切り口について説明してほしい旨、御依頼していたところであります。
     本日、渡邉構成員から新たな資料が提出されましたので、まずは渡邉構成員に資料の説明をお願いしてから、議論に入りたいと思います。
     渡邉構成員、お願いいたします。
  • 渡邉構成員 まず、資料7を御覧いただきたいと思います。
     先ほど座長が言われましたように、私は、この推進会議で犯罪被害によって生活に困窮している被害者をどうにか救ってほしいということで、以前からこの推進会議でずっと要望をしてきたのですけれども、今回、これを取り上げていただくということで、非常にうれしく思っております。
     犯罪被害に遭って、今でも生活に困窮している被害者を救済すること、また、今後、出るであろう被害者が困窮しないような制度をつくることは、国あるいはこの推進会議の責務だと私は思っています。
     私は、そのような声を上げられない被害者の代弁者として、この会議に出席していると思っております。
     犯罪被害に遭って、現在の生活に困窮している被害者にとっては、先の検討会で提出しました、あすの会作成の犯罪被害者補償制度案要綱の年金型が最もふさわしいと、今でも思っております。それは御理解いただきたいと思います。
     先月、5月19日の自民党の犯罪被害者等保護・支援体制の一層の推進を図るプロジェクトチームのヒアリングを受けました。
     今回の新たな3点の要望については、先の自民党のプロジェクトチームのヒアリングに提出した内容と同じです。
     本会議でも、真に困っている被害者を救済することが目的だという立場で、この会議でも議論していただくことを期待します。
     資料7の内容ですけれども、先ほど言いましたように、3点ございます。
     1番目が、現在の重傷病給付金では救われない被害者が多い。3割も取り残されている。これは、先の検討会でもそういう議論はありました。3割の被害者が1年を超えて治療をしている。長期になればなるほど、治療費の負担、カウンセリングの費用の負担が重くなってくるのが実態です。
     要望としては、重傷病給付金が、現在、1年以内、総額120万以内ということで制限されていますけれども、この制限を撤廃していただきたい。犯罪被害によって受けた怪我あるいは心の怪我が治るまで、見ていただきたいということです。
     それと、「犯罪被害者証」を発行して、それを持っていけば、病院で、現物支給で診てもらえるようにする。
     この「犯罪被害者証」については、いろいろと議論もあると思いますけれども、明らかに犯罪被害者だとわかる事例もたくさんあるわけです。そういう場合に、すぐ発行してくださいと。犯罪被害者なのか、過失なのか、ちょっと判断がつかない場合については、いろいろと調査をして、その結果、被害者だということになった場合に「犯罪被害者証」を発行していただくという形で、我々としては、何でもかんでも被害者だから「犯罪被害者証」を出せということは言っておりませんので、その辺は御理解ください。
     それから、リハビリ費用、介護・付添い費用、カウンセリング費用は、被害者の家族も含みます。
     特に介護費用が高くなること、また、子供、性犯罪被害者のPTSDのカウンセリングの要望が非常に高いということです。
     なお、この重傷病給付だとか、その現物給付については、過去の被害者で現在も治療費負担で苦しんでいる被害者については、対象としてほしいということです。
     2番目に、これも先の検討会で非常に議論になったところですけれども、親族間犯罪という理由だけで不支給・一部減額とされ、困窮する被害者が非常に多いということで、親族間犯罪についても原則支給という形にしていただいて、社会通念上ふさわしくないと認定された場合には不支給あるいは一部減額という形にしてほしい。
     3番目が、現在の犯給法上の給付金は非常に少ない。
     平成20年の改正で自賠責並みになったことが言われていましたけれども、それを聞いて私どもも非常に喜んだわけですけれども、内容を見てみたら全く自賠責並みになっていないということで、随分前ですけれども、犯給金が自賠責並みの金額で支払われた例はどのくらいあるのでしょうかということで警察庁に問い合わせてあるのですが、これはそうなれば回答をいただかなくても結構ですけれども、いまだ回答をいただいていないということで、死亡事案についてみれば、自賠責並みの3,000万くらいまで補償してほしい。
     これが自賠責並みになっていないために、若年の被害者、しかも子供さんがいる方については、非常にその後の生活に困窮している事例が、あすの会で調査した結果でも顕著にあらわれていますので、この3点について議論していただいて、何とか困窮している犯罪被害者を救済する方向でまとめていただきたいと思います。
     蛇足になりますが、海外の犯罪被害者について、先の国会に出されたという話までは聞いているのですけれども、その後、どのようになっているか、ちょっと教えていただければ助かります。一部では、廃案になってもう検討されないのではないかという声も聞いているのです。それもわかりましたら、お願いします。
     以上です。
  • 椎橋座長 それでは、内容について入る前に、渡邉構成員から提出がありました、今の資料7ですけれども、この裏面の資料は、場合によっては当事者が特定されるおそれがあると思われますけれども、この資料の扱いについてお諮りしたいと思います。
     具体的に申しますと、内閣府のホームページで公表をするかどうかということなのですけれども、これについて渡邉構成員の御意見をお伺いしたいと思います。
  • 渡邉構成員 前回提出しました16人分の調査の内容ですけれども、これもホームページには出していただきたくないということでお願いしたのですが、今回も、知らない人が見れば、どこの誰だか全くわからないということですけれども、例えば、近所の方が見たとかという形になると人物が特定されるおそれがあるということですので、ホームページの掲載あるいは構成員の方々も、この取扱いについては十分に注意して取り扱っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  • 椎橋座長 何か、この点について御意見はございますか。
     渡邉構成員から御要望があったように、2枚目の資料、具体的には裏面ということになりますけれども、この部分については、プライバシーの関係で非公表の扱いにしたいと思いますが、構成員の方々、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。
    (「はい」と声あり)
  • 椎橋座長 ありがとうございます。
     それでは、2枚目の資料、裏面については、非公表の扱いにしたいと思います。
     これから渡邉構成員の御提案の内容について議論していきたいと思いますけれども、一言でいうと、犯給法の改正が中心になると思うのですが、もう一つ、海外の犯罪被害者についてどうなっているのかという御質問がありました。
     両方について、それぞれ事務局から説明をしておいてもらったほうがいいということがございます。特に前者については、前に内閣府の取りまとめとして、過去の検討会における取りまとめの概要が記載されておりますが、新たに構成員になられた方もいらっしゃるということで、検討会における取りまとめの概要について、今日、もう一度改めて事務局から説明をいただきます。
     それから、順序は逆になりますけれども、後の御質問で、海外の犯罪被害者がどうなっているのかという御質問がございましたので、まずはそちらからお答えいただいて、その後、前者、過去の経緯について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
     お願いします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 内閣府から、まず、海外犯罪被害者の関係について御説明を申し上げます。
     経緯から申し上げますと、平成26年1月、第2次犯罪被害者等基本計画に基づいて設置されました犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会におきまして、犯給制度の拡大適用の形ではないとしても、社会の連帯共助の精神にのっとり、海外における犯罪被害者、とりわけ殺人事件でお亡くなりになった方の遺族対しまして、何らかの経済的支援をスタートすべきではないかという取りまとめがなされたところでございます。
     それを受けまして、昨年3月に開催された犯罪被害者等政策推進会議におきまして、この検討会の取りまとめに従った施策の推進のため、与党と連携しつつ具体化に向けた取組を進めることが決定をされたわけでございます。
     こうした動きを受けまして、政府といたしましては、与党自民党、公明党と連携をいたしまして、検討を行ってきたところでございます。
     その結果、前回の通常国会におきまして、国外犯罪被害者の遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案が提出をされたのですけれども、昨年11月の衆議院解散に伴いまして、審議未了のまま廃案となっているところでございます。
     したがいまして、現在は具体的な法律案が国会に上程されているところではございません。
     ただ、与党等におきまして現在も検討が続けられているところでございまして、我々も実務的な検討に協力もさせていただいているところでございます。
     まだ法律案ができておりませんので、その意味では、法律案の内容については、現在、検討中としかコメントしかねるわけでございますけれども、できる限り早期に何らかの制度整備を図る方向で検討をされていることは、御理解いただければと思います。
  • 椎橋座長 続いて、事務局からどうぞ。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 続きまして、事務局から渡邉構成員の本日の資料にありました論点についての、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会での議論について、御紹介をさせていただきたいと思います。 
     こちらの検討会につきましては、昨年1月30日に取りまとめを行ったということでございますので、その内容について御説明いたします。
     1点目、重傷病給付金の関係でございます。
     これは、本日渡邉構成員から期間の制限と支給額の上限の撤廃と現物給付という点で触れられたところと理解しております。
     重傷病給付金につきまして、検討会でも様々な御意見をいただいたところでございます。3割の被害者が1年を超える治療を必要としているという御意見もあったところでございます。
     取りまとめでは、重傷病給付金につきましては、被害者の負担軽減をさらに図るべき合理性が認められる実態があるか確認をするため、現行制度について運用状況をさらに詳細に調査すべきであるとされました。
     その上で、1年をさらに延長する必要がある状況が出てくれば、重傷病給付金の支給対象期間の延長及びその場合における上限額の引上げを検討する必要があるとされたところでございます。
     また、医療費等の現物給付の点につきましては、まず、当該現物支給の申請者が犯罪被害者であることをどのように認定できるのかといった疑問や、犯罪被害者であることの認定に一定の時間を要することが不可避であることから、被害直後から支給可能となる制度とすることが困難ではないかという御意見もありました。また、過剰医療等の問題点もあるのではないかといった御意見もあったところでございまして、何らかの制度を具体的に創設するという提案にまでは至らなかったところでございます。
     ただし、カウンセリングにつきましては、こちらの資料7にもお書きいただいておりますけれども、心理療法、カウンセリングの範囲等を明らかにするための研究会が設置され、その研究に基づき、公費負担制度が導入されることを期待するとされたところでございまして、既にこの会議でも警察庁から御報告いただきましたとおり、先日、研究会が取りまとめを行ったところでございます。
     2点目、親族間犯罪不支給の原則についてでございます。
     これにつきましての検討会の議論ですけれども、親族間犯罪の場合は不支給という原則を改めるべきという御主張ももちろんございました。
     その一方で、犯給制度は通り魔殺人等の故意の犯罪による不慮の死亡等の犯罪被害を対象として発足したものであって、互いに助け合うべき親族の間で行われた犯罪については同列に論じられないといった御意見もございました。
     また、親族間犯罪の場合には、給付金の支給によって結果的に加害者を利するような場合も考えられるのではないかという指摘もございまして、不支給の原則を現時点で変えなければいけない状況はないのではないか、立法事実がないのではないかという御指摘があったところです。
     このような様々な議論があったところでございますが、結局、原則と例外を入れかえるべきという提言には至らなかったという状況でございました。
     最終的な御提言といたしましては、DV事案以外にも全額支給と減額割合を3分の1までとする特例を認めるべきという提言が出されたところでございまして、警察庁においてその旨の規則改正がなされたことも、既にこの会議で御報告したとおりでございます。
     3点目、給付金額についてでございます。
     給付金額につきましては、先の検討会では、あすの会の御提案の新たな補償制度に関する議論の中で、支給総額はどのくらいが適切なのかという問題として検討がされたと理解しております。
     その中では、犯罪被害以外で自分に責任がない要因に基づいて経済的支援を要する状況に置かれている人たちのことを考えると、社会保障の枠組み全体の中での公平性の問題があるのではないか、あるいは、財源の問題があるのではないかといった御指摘がございまして、具体的な補償制度の創設あるいは犯給法の給付金額の引上げという形には至らなかったところでございます。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     具体的な検討に入りたいと思いますけれども、先ほど渡邉構成員より犯給法の一部改正に係る検討の提案がなされました。これに関して、犯給法を所管する警察庁からコメントがございましたら、お願いしたいと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁でございます。
     資料8という形で横長の表を配付させていただいております。渡邉構成員から示されました御提案につきまして、犯罪被害給付制度において実現するための方策と主な課題について検討したものでございます。
     順に説明してまいります。
     まず、重傷病給付金の支給対象期間と支給額上限の撤廃の実現には、現行の1年間120万円を規定している法令条文の改正を伴うことになります。
     また、現在、1年間の治療後に症状が残った方には、固定した症状に応じて障害給付金が支給されますため、これとの調整や、他の給付制度との均衡を図る必要がございます。
     本件につきましては、御提案を受けまして、先ほど事務局の説明にありましたとおり、受給者の加療期間あるいは自己負担額等の全国調査を始めております。調査結果を踏まえまして、見直しを具体的に検討したいと思っております。
     次に、「犯罪被害者証」を所持する者への治療の現物給付の実現につきましては、犯給法等を改正いたしまして、当該給付を一から創設する方法等が考えられます。
     現物給付する医療機関の指定あるいは診療費請求の制度等を一から創設することにつきましては、現時点で警察においてこのような知見がほぼないため、制度の案をお示しする段階には至っておりません。
     なお、現物給付が警察の「犯罪被害者証」を基に出される場合、犯罪被害者の認定にはある程度の時間を要するため、被害直後の治療を現物給付できない場合もあると思います。
     また、公務災害等においても、被害直後の診療費用はとりあえず御自身で払う方が多いと聞いております。そのような場合には、地方自治体や民間被害者支援団体の支援金あるいは見舞金制度が活用できますので、その周知や充実に努めてまいりたいと思います。
     次に、リハビリ費用、介護・付添い費用、カウンセリング費用の給付の実現につきましては、重傷病給付金の対象となる療養の範囲を拡大する政令改正に限らず、②にありますとおり、公費負担制度の予算措置を行う方法等も考えられますが、いずれの場合でも、療養の範囲、その認定方法、他の給付制度との均衡、既存の利用可能な制度との切り分け等を検討する必要がございます。
     これらの給付のうち、リハビリ費用や介護・付添費用につきましては、これまで具体的な議論をされておりませんけれども、特に御要望のあったカウンセリング費用につきましては、医療関係者等の調査を踏まえまして、一部の都県警察が導入している公費負担制度を全国展開することとして、現在、準備中でございます。
     なお、別の切り口ではございますけれども、様々な医療福祉制度の中から、犯罪被害者お一人お一人に応じたものを御紹介する支援制度の充実を求める御意見も強いことから、この点にも努めてまいりたいと思っております。
     続きまして、親族間の犯罪につきましては、昨年11月に支給範囲を大きく拡大したところでございますけれども、現時点におきまして、新たな支給範囲の給付の実績はまだございません。
     このような段階でございますけれども、さらに踏み込んで親族間犯罪を原則減額不支給とせず、社会通念上妥当でない場合にのみ支給を制限する法改正を行うことについては、その前提といたしまして、先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、通り魔事件とは異なる親族間犯罪の特殊性あるいは親族間犯罪の支給の在り方をどう考えるか、現在でも様々な御意見があると承知していますので、広く御議論されることを望んでおります。
     その上で、実務的な面を申し上げますと、全国で誠実な給付裁定が行われるように、社会通念上妥当でない場合を具体的に類型化する必要があると考えております。
     他方、親族間犯罪の状況が多様な中で、単純に類型化ができるのかということを懸念しております。また、被害者が受給者となる重傷病給付金、障害給付金と、御遺族が受給者となる遺族給付金とでは、社会通念上妥当でない場合の考え方が異なる場合もあるのではないかと考えております。
     そこで、当庁で行えることといたしまして、まずは現行制度下で給付申請がされないことが多い親族間犯罪につきまして、最近の発生状況を調査いたしまして、その実態を丁寧に把握して、今後の検討につなげる必要があると考えております。
     次に、若年被害者の遺族等に手厚い給付ということで、今は、現行の労災等に準じた算定方式をとっているのですけれども、実現には、他の給付制度との均衡あるいは調整を図りつつ、これを見直していくことになると思います。
     他にどのような参考とすべき方法があるかなどについて、今後、御知見を賜りたいと考えております。
     最後に、年金給付につきましては、他の年金制度との均衡、併給調整、あるいは事務体制を検討するとしても、当庁としてはかなりハードルが高い課題であると思っております。
     説明は以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     渡邉構成員から犯給法の一部改正について大きく6つの論点が挙げられまして、これらについて警察庁から御発言がありました。
     それを踏まえて、渡邉構成員から御提案のありました論点について、本会議として論点として取り上げるべきか否かについて、構成員の皆様から御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どの論点からでも結構です。
     どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 親族間の犯罪ということで、前回に話し合われたときにも意見を述べたと思うのですけれども、犯罪被害者等給付金は、社会通念上妥当でない場合は全額支給というわけではないですので、親族間の犯罪も原則支給という形でやったほうがいいのではないかと考えています。
     例えば、交通の被害者に対して、無保険者とか、ひき逃げの被害者に対して、政府の保障事業が確かあると思うのですけれども、そう考えていきますと、給付金の額はどのようなものなのか、実際にどのくらいの額が平均的に支払われているかということを、わかっていない面もあるので、比較をしてみたりするのもいいのではないかと考えます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     ほかにいかがでしょうか。
     どうぞ、川出構成員。
  • 川出構成員 今、意見を求められているのは、これをこの会議で論点として取り上げるかどうか、ここで議論するかどうかということですね。
  • 椎橋座長 今、御意見も伺いましたけれども、私が提示しておりますのは、論点として取り上げるかどうかということでございます。中身が関わってくるとは思うのですけれども、議論はそのように設定しております。
  • 川出構成員 以前の会議でこれが話題にのぼったときに座長からご指摘がありましたように、被害者の方への経済的支援については前の検討会で議論をして報告書を出したわけですから、ここでもう一度議論をするというのであれば、それが単なる議論の繰り返しでないということを示す必要があるかと思います。その観点から考えますと、まず、最初の重傷病給付金の支給対象期間と支給額上限の撤廃の話については、警察庁から御紹介がありましたように、現在、運用状況を調査中で、調査結果を踏まえて見直しを検討するということになっています。これは、見通しとしては、どれくらいで調査の結果が出るのでしょうか。
  • 椎橋座長 警察庁の方、いかがでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 現時点で調査を開始したところでございまして、調査自体も直接、被害者の方々に聞くわけではなくて、医療機関に問い合わせをする形でやっております関係上、見通しがなかなか立たないのですけれども、現在、鋭意進めているところでございます。
  • 椎橋座長 どうぞ。川出構成員。
  • 川出構成員 そうしますと、この問題をここでもう一度論点として取り上げるということは、現在行われている調査の結果に関わらず、支給対象期間や支給上限額の撤廃につき議論することになりますので、それは、まさに検討会での議論の蒸し返しになってしまい余り意味がないと思います。むしろ、例えば、基本計画の中に、調査結果を踏まえて支給期間と支給上限額の撤廃について検討するといった内容を書き込むほうがよいと思うのですが、それは可能でしょうか。
  • 椎橋座長 そのとおりです。
  • 川出構成員 わかりました。
     それが可能であれば、この点については、そうした形をとるのがよいかと思います。次に、3つ目の給付方式等の中の若年被害者の遺族等に手厚い給付の部分なのですが、この点についても、検討会において議論がなされたのですが、その際に被害者の方が経済的に困っておられるという具体的事例として出されたケースは、平成20年の犯給法改正前の事例がほとんどでしたので、改正されて支給額が引き上げられた後にも不都合が生じているかはまだよくわからないということだったと思います。
     そうだとしますと、今回、資料として出していただいたケースの中には、改正後の事案も含まれていますので、それを踏まえて、給付額の引上げが十分なものであったかどうかを、ここで議論する余地はあると思います。
     最後に、親族間の犯罪についての扱いですが、警察庁提出のペーパーの「考えられる主な課題」の中に書かれているように、親族間犯罪のどこに特殊性があり、例外的に支給される場合が拡大されてきた理由に照らして、そもそも、親族間犯罪を特別に扱うこと自体に本当に合理性があるのかどうかという点について、検討会である程度議論をしたのですが、私の印象では、最後は時間切れのようになって議論が詰められないままに終わってしまったように思います。
     そうだとしますと、結論がどうなるかはともかくとして、前の検討会で十分に詰め切れなかった部分を議論するという意味で、この会議で論点として取り上げることはあってもよいのではないかと思います。
     以上です。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     今までの議論の経緯についても、的確に分析された上での御意見だったと思います。
     ほかにいかがでしょうか。
     どうぞ、渡邉構成員。
  • 渡邉構成員 重傷病についてですけれども、前回の検討会でも3割が積み残しになっている、3割が1年を超えて治療を受けて自己負担でやっているという実態があるわけです。
     ですから、調査をするのは結構なのですが、調査をしていますということで、いつまでも結論が出ないで取り残された人たちが苦しんでいる、これが現状だと思うのです。
     ですから、仮に撤廃しても、調査した結果が1年以内でほとんど終わっているということであれば予算的にもいいわけですから、何も期間と金額を撤廃したから支出がどんどん増えることはないと思うのです。
     過剰医療の関係がどうのこうのと言っていますけれども、これは治療を受ける被害者がもうかるわけではないのです。その辺の心配は、病院のいろいろな点数とかを見れば、どんな治療をしたかはほぼわかると思うのです。
     ですから、その辺の精査をしっかりやれば、全く問題がないと思います。
     それと、「犯罪被害者証」についても、明らかな犯罪被害者だと認定できるケースはたくさんあると思うのです。その場合だけすぐに「犯罪被害者証」を発行してくださいと言っているわけですから、あやふやなものまで全部発行しろとは言っていないわけです。
     労災を例にとってみても、事業主がこれは労働災害ですと証明したらすぐに現物給付になる。なかなか発行しないというか、証明しない使用者もいると聞きますけれども、その場合は、一旦立て替えてもらって後日返還する形をとっているということですから、それと同じような形にすれば何ら問題はないと思うのです。
     親族間犯罪については、私も一昨年から随行でこの会議の内容をずっと拝見していたのですけれども、民間の専門委員は、親族間は原則支給でいいのではないかという意見が多かったように思います。それが何でそうならなかったのかというのがちょっと不思議でしょうがないのですけれども、ほとんどの方が原則支給、時代が変わった、家族は助け合うから親族間の場合は出さないとか、加害者にそのお金が渡るおそれがあるとか、そんなことは机上の空論です。加害者は刑務所に行ってしまっていますから、加害者の手元には行きません。家族関係は崩壊しているから、こういう事件が起きるのです。
     ですから、警察庁さんの言われる理由付けは、全く説得力がありません。
  • 椎橋座長 ほかに御意見はございませんでしょうか。
     森山構成員、どうぞ。
  • 森山構成員 親族間の犯罪について、私も前の検討会に最後だけ参加して、取り入れられませんでしたが、この親族間犯罪の特殊性をどのように捉えるかということは、要するに、通り魔的なものあるいは互いに助け合う親族間の犯罪という、犯罪の態様から被害給付をすべきかどうかの切り分けをすること自体、正しい見方なのかということについて疑問ではないか。むしろ犯罪の深刻さに目を向けないと、被害給付、被害の回復が抜本的に図られないのではないかと思います。
     親族間犯罪は、傷害とか、殺人とか、犯罪の中の大体半分くらいが親族間の犯罪だと言われていると私は聞いていますけれども、そういう意味でも、そういう事件が多く行われ、かつ、DVあるいは虐待事案について支給となった、要するに、家族間でのそういうものについても給付する方向でいかないと被害回復が図られないのではないかということが、社会的にはどんどん認知されるようになってきていると思いますので、是非とも取り上げていただきたいと思います。
  • 椎橋座長 ほかにはいかがでしょうか。
     どうぞ、瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 渡邉構成員がこういう形で出されたことは、我々は重く受けとめるべきだと考えております。
     ただ、警察庁が今日出された「考えられる主な課題」を、私はかなり前向きに捉えています。調査結果を踏まえないで議論しても意味がないので、警察庁から調査結果について、渡邉構成員がいつまで待っても出てこないのではないかとおっしゃいましたが、ゴシックで書いてある部分は意味のあることで、通り一遍のことのようには私には思えません。お互い構成員同士は信頼し合わないと意味がないので、期待感をこめてですが、調査結果をできるだけ早く出していただきたい。全国的なあるいはパーフェクトな調査ではなくても、ある程度の調査結果が出た段階で見直しを検討してはどうでしょうか。
     私は、前の検討会で松村構成員が出された提案も考慮に値したと思いますけれども、渡邉構成員の問題提起は、今回の場合、特に重要な論点を3つに絞られて提案されていますし、非常にわかりやすくなっていると思いますので、時間はかかるかもわかりませんが、この点は前向きに捉えてみてはどうか。
     ただ、事務局提案でスケジュールが決まっているようであれば、それとの整合性、事務的な事情もあるかと思いますので、この点は、事務局あるいは座長の方で現実的な検討をいただけたらと私は思います。
  • 椎橋座長 警察庁で、この調査結果を踏まえて、調査結果はどのくらいになったら出る予定か、大体のところはおわかりになりますか。
     支給対象期間と支給の上限だけではなくて、親族間の犯罪について原則例外を逆転させるべきだと、この点についても、規則の改正がどうなっているかということも、これを見てからという理由がかなり大きかったのではないかと思いますので、これについても、その後、どの程度このあたりの状況の変化を把握されておられるのか、わかれば教えていただきたいと思います。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁でございます。
     先ほどもちょっと御説明したのですけれども、重傷病給付金の調査につきましては、おおむね数百件の案件につきまして、医療機関に対してお願いをして調査をしている状況でございます。
     ですから、医療機関からどの程度の御協力をいただけるか、もう少し実績を積まないと、どの程度の期間で調査結果をまとめられるかということが感覚的にまだつかめていない状況でございますので、期間につきまして、今の段階では正確に申し上げることはできないということで御理解を賜りたいと思います。
     親族間犯罪の検討につきましては、先ほども御説明しましたとおり、26年11月に犯給法施行規則が施行されまして、現在まで新たな拡大範囲を適用対象とする申請がまだ出ておりませんので、こちらももうしばらく状況を見ないと、どの程度の実績といいますか、事例が集まるか、にわかには見通しが立たない状況にはございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございます。
  • 警察庁長官官房総括審議官 警察庁ですが、親族間犯罪について若干補足いたしますと、親族間犯罪での支給範囲を拡大した施行規則の運用状況につきましては、現在まで、新たな支給範囲を対象とする請求事案がないということでございます。
     そういう意味では、現時点まで、新たな支給範囲に対する犯給金の給付実績はないという実態があることの前提の上で、しからば、そもそも親族間犯罪をどう捉えるのかということにつきましては、いろいろなお考えの方がいらっしゃるわけであります。そういった意味では、確かに家族の在り方、家族観が変わっている中で、親族間犯罪について、どう考えていくかということを議論していただくことは、私個人としては非常に意味のあることだと考えております。
  • 椎橋座長 ほかにいかがでしょうか。
     中曽根構成員、どうぞ。
  • 中曽根構成員 今のと別のことになってしまうのですけれども、いいですか。
  • 椎橋座長 結構です。
  • 中曽根構成員 資料2のところなのですけれども、先ほどは意見というよりも感想になると思い述べなかったのですが、2ページ目、支援をしていてすごく感じることで、こういうものが挙がってきたら本当にありがたいと思うことですが、厚生労働省の方の要望番号76番です。
     休暇制度のことについて、被害者の方、御遺族とか、親族の方でも休暇制度が理解されていないということをお聞きすることがあります。ですからこういうものが挙がってくるととてもありがたいことだと思って見ていました。
     さらには、10ページ、要望番号199番、200番、「地方更生保護委員会において」というところがありますが、加害者が仮釈放でいつ出てくるのかということで被害者の方は非常に不安になって、更生保護における犯罪被害者等の方々のための制度の1つである意見等聴取制度を使って意見を述べたりしていても、結局は意見が認められずに仮釈放になることもあったりしますので、地方更生保護委員会の委員の方に対する研修内容の充実に努めることは、大変いいことだと考えています。
     さらには、検事、特に副検事の教育ということで、要望番号157番ですが、交通事件等では特に、被害者参加制度等を被害者や御遺族に説明をされない副検事さんもおられますので、そのあたりは一層の充実を図っていただけると大変助かると思っています。お願いします。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     それでは、ただいま御意見としてお伺いしました。
     戻りまして、渡邉構成員の御提案についてでありますけれども、何人かの構成員の方々から、論点として取り上げることについて賛成だという御意見もいただきました。
     その前提について、その後の状況がどうなっているかということを把握した上で判断したほうがいいという御意見も出されましたので、時間が短かったこともありますし、一つ一つもっときちんとやっていけばよかったという私の反省も含めて、前提となる事項について、要するに、その後の運用状況について警察庁でもう少し資料を検討した上で出していただいて、その上で、次回以降、渡邉構成員の出された3つの論点について、論点として取り上げるかどうかということをそこで判断したいと思います。
     今日、渡邉構成員におかれては、問題提起をしていただいて、どういう状況かということについての認識がさらに共有されたと思いますので、それを踏まえて、さらに次に警察庁から資料を出していただいた上で、論点とするかどうかと決めたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。今日直ちにということはやや尚早かなという感じがいたしますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
     渡邉構成員から、4つの具体的な事例を示していただきました。これらについては、さらに詳細な事実関係の調査が必要になってくる可能性もありますので、その場合には渡邉構成員には御協力をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  • 渡邉構成員 はい。
  • 椎橋座長 よろしくお願いいたします。
     大分時間を超過して申し訳ありませんでしたが、検討事項は以上です。
     あとは、事務局から前回会議で検討されました加害者の損害賠償責任の実現方策に関して若干の説明がありますので、お聞きいただきたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     前回の会議におきまして、加害者の損害賠償責任の実現方策について、構成員から具体的方策を考えるに当たり、現状に関するデータの把握の必要性等に関する発言をいただいたところでございます。
     これを受けまして、事務局といたしましては、日本弁護士連合会の御協力を仰いで実態調査を行いたいと考えており、現在、日弁連と御相談をさせていただいているところでございます。
     以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     日弁連と相談中ということでございますので、適宜その検討状況等について報告をしていただきたいと思います。
     今の点については、何かコメントはございますか。
     よろしいですか。
     それでは、最後に事務局から次回の日程に関する連絡がありますので、お願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 次回の会議でございますけれども、7月27日、月曜日、午後2時から、場所は本日と同じ特別大会議室の予定でございます。
     次回は、本日の構成員からの御意見を踏まえまして、関係省庁において再度検討した計画案文等があれば、それをお示ししたいと考えております。
     また、次回では、3月から5月の会議にかけまして御議論いただきました論点につきまして、構成員からの御意見を踏まえました具体的な計画案文を関係省庁からお示しできればと考えております。
     次回会議までの作業手順におきましては、今回と同様でございます。関係省庁から提出のありました計画案文を各構成員に事前に送付したいと考えております。これを受けまして、構成員の皆様におかれましては、資料受領後2週間をめどに、事務局宛てに各省庁の計画案文に対する御意見や御質問等を提出していただければと思っております。さらにこれを受けまして、担当省庁におきましては、各構成員から提出された御意見を踏まえ、再検討をした結果を事務局宛てに御提出いただければと思っております。
     その上で、次回会議におきましては、構成員からの御意見等に対しまして、担当省庁が再検討した事項等を中心に御議論をしていただければと思っております。
     なお、従前、8月24日の午後2時から午後4時までの間を会議予備日ということで、構成員の皆様の御予定を仮押さえしていただいたところでございますが、8月24日につきましては、現在、会議を開催する方向で考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
     事務局からは、以上でございます。
  • 椎橋座長 ありがとうございました。
     大変暑い時期ですけれども、8月24日は予備日ですが、開催の見込みのようです。
  • 瀬川構成員 「方向で」と言われたのですけれども、開催しない可能性もあるという意味ですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 方向でと申しましたが、開催する可能性がかなり高いと思っております。
  • 椎橋座長 それでは、これをもちまして、第19回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終わります。
     どうも本日はありがとうございました。
警察庁 National Police Agency〒100-8974 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号
電話番号 03-3581-0141(代表)