第18回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成27年5月26日(月)午後4時00分~午後6時30分
場所:中央合同庁舎8号館8階 特別中会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中島 聡美 (国立研究開発法人)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
成人精神保健研究部犯罪被害者等支援研究室長
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  飛鳥井 望 医療法人社団青山会青木病院副院長
  川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  安田 貴彦 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  沖田 芳樹 警察庁長官官房総括審議官
  野川 明輝 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長
  穂積 直樹 総務省自治行政局住民制度化課長補佐
  高嶋 智光 法務省大臣官房審議官
  内野 宗揮 法務省民事局参事官
  松江 正宣 法務省刑事局付
  尾西 晃典 文部科学省大臣官房総務課法令審議室審議第四係長
  坂本 裕一 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  舟本 浩 国土交通省総合政策局政策課政策企画官
  中澤 亨 金融庁総務企画局企画課調査室室長
  江崎 崇 金融庁総務企画局企画課調査室総括課長補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 論点についての検討③
    • 犯罪被害者等の安全・安心の確保
    • 民間団体の活動促進
    • 加害者の損害賠償責任の実現方策
  3. その他
    • 日本財団における奨学金事業について
  4. 閉会

配布資料

資料1 「犯罪被害者等の安全・安心の確保」のための警察の取組状況と今後の方針について(警察庁)
資料2 総務省提出資料
 ・住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置
 ・支援措置を受けるための手続の流れ(例)
 ・住民基本台帳事務における支援措置申出書(表面・裏面)
 ・参考条文
資料3 「犯罪被害者等の安全・安心の確保」への取組状況等について(法務省)
資料4 「犯罪被害者等の安全・安心の確保」の取組状況及び今後の方針(厚生労働省)
資料5 国土交通省提出資料
 ・「犯罪被害者等の安全・安心の確保」への取組状況及び今後の方針
 ・自動車の登録制度の概要
 ・自動車登録情報の提供制度について
 ・配偶者からの暴力等被害者の保護のための取扱いについて
資料6 「民間団体の活動促進」への取組状況及び今後の方針(内閣府)
資料7 「民間団体の活動促進」のための警察の取組状況と今後の方針について(警察庁)
資料8 金融庁提出資料
 ・振り込め詐欺救済法の制度概要
 ・振り込め詐欺救済法等(抜粋)
 ・まごころ奨学金の実績、団体助成事業の実績
 ・預保納付金残高等の推移
資料9 法務省提出資料
 ・不動産競売手続の概要
 ・債権執行手続の概要
 ・民事執行法上の財産開示制度について
資料10 公益財団法人犯罪被害救援基金による奨学金等給与事業
資料11 中島構成員からの質問・意見
資料12 中曽根構成員からの質問・意見

議事内容

  • 椎橋議長 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから第18回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催いたします。お忙しいところ、本当にありがとうございます。
     まず、本日の議事及び配付資料について、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。それでは、お手元の議事次第を御覧下さい。
     本日の議題の1つ目は「論点についての検討③」でございます。本日は「犯罪被害者等の安全・安心の確保」「民間団体の活動促進」及び「加害者の損害賠償責任の実現方策」の3点について御検討をいただくこととしております。
     「犯罪被害者等の安全・安心の確保」に関する省庁側からの資料として資料1~5、「民間団体の活動促進」に関する省庁側からの資料として資料6~8、「加害者の損害賠償責任の実現方策」に関する省庁側の資料として資料9をそれぞれお配りしております。
     2つ目の議題は「その他」となっておりますけれども、この中で、前回会議におきまして中曽根構成員から御意見をいただきました、「日本財団における奨学金事業について」御議論をいただくこととしております。これに関する資料は、資料8と資料10になります。なお、資料10につきましては、議長より公益財団法人犯罪被害救援基金による給付型の奨学金事業に関する資料を準備するようにという御指示をいただきましたので、事務局において基金から提供いただきました資料を基にまとめたものでございます。
     また、本日の論点に関しまして、中島構成員と中曽根構成員から事前に御質問・御意見をいただいております。これらを資料11及び12としてお配りしております。  なお、前回会議におきまして御検討いただきまして、引き続き検討することとされた渡邉構成員からの御提案でございますけれども、本日、時間の都合等もございますので、次回会議以降に改めて検討することにさせていただければと思っております。
     事務局からは以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     議事に入る前に、新しく構成員となられた方を御紹介させていただきたいと思います。5月4日付けで新たに専門委員に医療法人社団青山会青木病院副院長で精神科医の飛鳥井望氏が任命されておりますので、一言御挨拶をお願いしたいと思います。
  • 飛鳥井構成員 青木病院副院長の飛鳥井でございます。職種は御紹介いただきましたように、精神科の医師をしております。昨年度まで在職しておりました東京都の医学総合研究所では、約20年間PTSDの診断と治療に携わってまいりました。現在は、あわせて被害者支援都民センターの副理事長、全国被害者支援ネットワークの理事、それから東京都の犯罪被害者支援連絡会の会長と、警視庁の犯罪被害者支援室のアドバイザーを務めております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     それから、4月27日付けで高嶋智光法務省大臣官房審議官が任命されておりますので、一言御挨拶をお願いしたいと思います。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省大臣官房審議官の高嶋でございます。
     4月10日付けで現在のポストに参りました。前任は東京地検公判部におりました。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 両構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
     それから、本日は、中曽根構成員からの御意見を踏まえまして、金融庁が所管しております預保納付金を活用した犯罪被害者等支援団体に対する助成事業及び奨学金事業について議論することとしております。その関係で、金融庁の担当者にも途中から御出席いただけると伺っております。
     それでは、議論に入りたいと思いますが、議題に入る前に、先回の会議におきまして森山構成員から警察庁に対しまして、都道府県警察における臨床心理士の採用状況と今後の予定について質問がございました。その回答を警察庁からしていただけるということですので、まず、それをお願いした上で議論に入りたいと思います。  警察庁の方、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 警察庁長官官房総括審議官 それでは、回答申し上げたいと思います。
     今年4月1日現在で、犯罪被害者支援に携わる臨床心理士の方は33都道府県警察におきまして80人の配置となっております。これは昨年同時期と比べまして10人の増加という状況でございます。また、こうした臨床心理士の配置がない県におきましても、カウンセリングに関する専門的知識・技能を有する職員、例えば、臨床心理士の方ではないのですが、心理職等の区分で採用されている方の活用を図っているほか、御案内のとおり部外の精神科医の先生方あるいは臨床心理士の方々に対して、カウンセリング業務等の委嘱を行っているところでございます。
     今後の見通しといたしましては、前回の会議で報告いたしましたが、「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する報告書」におきまして、警察が所管するカウンセリング制度の拡充が提言されておりますことから、これを踏まえまして、その方向で検討を進めてまいる所存でございます。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     森山構成員、ただいま警察庁からの御回答がありましたけれども、何かコメントがございましたら、お願いいたします。よろしいですか。
  • 森山構成員 はい。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
     それでは早速、議題の「論点についての検討③」に移りたいと思います。
     まずは「犯罪被害者等の安全・安心の確保」について検討したいと思います。これにつきましては、警察庁、総務省、法務省、厚生労働省、国土交通省から御説明をいただきたいと思います。なお、総務省におかれては、ここでの説明内容が3番目の論点であります「加害者の損害賠償責任の実現方策」の議論に資する住民票の写し等の交付等の概要にも関連性を有するということから、ここであわせて御説明いただけると伺っております。
     まずは、順番に警察庁からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 警察庁長官官房総括審議官 それでは「犯罪被害者等の安全・安心の確保」ということで、資料1を御覧いただきたいと思います。
     警察では、犯罪被害者等の方々の不安を解消し、加害者から再び危害を加えられることのないようにするために、一般的な捜査活動に加えまして、安全・安心の確保のための各種取組を実施しております。
     具体的には、まず1に記載いたしましたとおり、平成19年度より都道府県警察補助金を措置いたしまして、犯罪被害者等の一時避難場所の確保に努めております。
     また、2の「再被害防止措置」に記載のとおり「再被害防止要綱」に基づきまして取組を実施しておりますほか、以前かなりマスコミ等でも取り上げられ、問題にもなりました再被害防止への配慮が必要な事案における逮捕状の記載の方法につきまして、被疑者の面前で読み上げることとなる被疑事実の要旨に、被疑者に知られていない被害者の氏名・住所等を記載しないことなどを都道府県警察に指示しているところでございます。
     再被害防止措置につきましては、中曽根構成員から御質問をいただいておりますので、回答いたします。
     まず、御質問の①、都道府県警察から報告があった再被害防止対象者として指定されている被害者等の数でございますが、平成26年12月末時点におきまして被害者、被害者の親族の方の合計で、全国で約1,200名となっております。
     続きまして、御質問②の再被害防止対象者としての指定期間でございますが、個別の事案ごとに必要な期間を指定しておりますが、原則として1年ごとに当該指定の継続の要否について検討することとしております。
     また、再被害防止措置の内容といたしましては、再被害防止対象者と警察との連絡体制を確立いたしまして、その御要望を把握いたしますとともに、自ら警戒していただくための防犯指導を行ったり、警察としてパトロール等所要の警戒措置を講じております。
     さらに、再被害防止対象者から加害者の釈放等に関する情報等につきまして教示を求められた場合、又は再被害防止のために必要な場合には、関連情報をお教えすることになっております。
     それから、中曽根構成員御指摘の緊急通報装置の貸出しについてでございますけれども、これは都道府県警察におきましてそれぞれ実施しておりますが、若干機器が違うという状況はございます。
     加害者に対する措置といたしましては、加害者の動向把握を行うほか、必要に応じまして指導・警告等を実施することといたしております。刑罰法令に触れる行為があれば当然、厳正に対処するわけでございます。
     次に、御質問③の刑事施設、検察庁、保護観察所等との連携につきましては、再被害防止対象者の加害者の釈放等に関する情報を把握する必要があるときは、刑事施設等に加害者の釈放等に関する情報の通報を要請いたしまして、その提供を受けているほか、警察において仮釈放中の再被害防止対象者の加害者の特異動向を認知した場合には、当該加害者の帰住先を管轄する保護観察所へ通報するなど、加害者に関する情報を共有しているところでございます。
     御質問への回答は以上でございますが、資料1の1、2に記載いたしました取組以外にも、3のとおり、被害者等の意向に応じて捜査に関する情報提供を行っておりますほか、特にストーカー、DVや人身取引に関する被害者の方々に対する取組として、それぞれ4の(1)(2)に掲げた取組を実施しているところでございます。
     いずれにいたしましても、再被害を防止するということは非常に重要なことでございますし、そのことによって被害申告を容易にするなど捜査上も不可欠であること、また、こうした取組を着実に実施することが犯罪被害の有無を問わず、全ての方に対して安全・安心を感じていただくことにつながることと考えておりますので、警察では今後も引き続き以上の取組をより充実させて推進してまいりたいと考えております。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     省庁に対しては、中島構成員と中曽根構成員からそれぞれ質問が出ておりまして、それが資料11と資料12という形で配付されております。これに対して御回答を今日いただいているということがありますけれども、各省庁の御説明を伺ってから、後でまとめてさらに御質問があればお伺いすることにしたいと思います。
     引き続きまして、総務省から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 総務省自治行政局住民制度課課長補佐 総務省でございます。よろしくお願いいたします。
     総務省からは、住民基本台帳制度におきます観点で犯罪被害者等の安全・安心の関連、施策の御説明をさせていただきたいと思います。資料2でございます。支援措置の概要、手続の流れ、様式、参考条文をつけさせていただいております。
     まず、住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置ということで、安全・安心の観点で申し上げますと、住民基本台帳制度は御案内のとおり、氏名や住所といった情報が記載されている住民票でございます。こちらにつきまして、DV等もしくはストーカー等々の加害者の方が被害者の住所を知るということは、現行制度上で予定されている中で制限されるかどうかというところで、この制限を一定の場合にすることを支援措置と申しております。
     具体的には資料2の1、2に書いてございますが、DV、ストーカー行為、児童虐待、これらに準ずる行為に係る加害者が、被害者の住所を探査するために住民票の写し等の交付の請求をいたしまして、これを取得してしまうことがないように、一定の方については制限をかけるという措置でございます。
     概要といたしましては、加害者が市町村長に住民票の写し等を請求しても、支援措置の対象者である方につきましては、その交付等を拒否する、交付しないという措置を講じております。この根拠となっておりますのが、後ほど条文を御覧いただきますけれども、法律上、不当な場合には交付を拒否できますとか、相当な理由がなければ交付ができないという条文がございまして、それに関連する省令もしくは事務処理要領ということで、運用方法について定めさせていただいているということでございます。
     具体的に、どういうときに住所情報を知るということがあるのかということで、少し飛びますけれども、参考条文を御覧いただければと思います。住民基本台帳制度上、住所という情報を知り得る手段が大きくいうと3つございます。
     1つ目は、住民基本台帳法の第十一条の二に書いてございます、いわゆる台帳閲覧、見ることによりまして住所を知るということでございます。ここには個人、法人ということで、いわゆる第三者の方が住所を見るということでございます。
     それから、第十二条の三にございますのが、住民票の写しの交付を受ける。これは本人ですとか、もしくは第三者の方が住民票の写しの交付を得る、その中で住所情報を知るという手段がございます。
     それから、同じく戸籍の附票といいまして、本籍地において戸籍単位で、いわゆる本籍には住所情報がございませんので、本籍情報と住所情報、住民票情報をつなぐものとして戸籍の附票というものがございます。戸籍の附票には住所等が書かれておりまして、本籍地から住所がわかるような形になっております。その写しの交付を受けるというのが第二十条でございまして、大きく3つございます。
     こちらそれぞれにつきまして、先ほど拒否もしくは交付しないというルールがあると申し上げましたけれども、例えば、第十一条の二の閲覧につきましては、第1項でございますが、申出を相当と認めるときは閲覧をさせることができるとなっていたり、あとは、わかりやすい第三者の住民票の写しの交付ですと、第十二条の三の第1項、申出を相当と認めるときは交付することができるというような形になってございまして、それぞれ相当の理由を認めるときに交付できるとなっております。これを受けて相当と認めないという場合が、いわゆる支援措置の対象者につきましては、そういう措置を講じているということになってございます。
     実際の手続といたしましては、戻っていただきまして2ページでございますが、支援措置を講じるためには、本人から申出をしていただくことになってございます。これは一つの流れの例でございます。いろいろなパターンがございますが、例えば、警察署等にまず御相談に行っていただいて申出書を出していただき、そこに状況について警察等に意見を付していただくことになっております。次ページに申出書の様式を添付させていただきました。こちらを最終的には市区町村に提出するのですが、下に「相談機関等の意見」という欄がございます。警察もしくはDVの相談センター等に行っていただき被害の状況等を御説明いただきまして、ここに相談機関としての意見を付していただくと。これをもって2番の書類を返していただいて、3番目で市区町村にその書類を持っていきまして、DVの支援措置を講じるかどうかを判断しまして、決定されますと、その方については先ほど言ったような加害者からの申出があった場合に制限されるというフローになってございます。
     こちらの対象となりますのが、いわゆるDVと言われる配偶者暴力関係、ストーカー関係、児童虐待、その他これらに準ずるものということで、これはかなり広い範囲をカバーしておりまして、そういった行為につきまして住所情報が加害者に知られないような措置となってございます。これにつきまして、例えば、申出書の支援措置を求めるものということで、先ほど申し上げた台帳閲覧ですとか、写しの交付、戸籍の附票の写しの交付といったものを住所地または前住所地、または本籍地、前本籍地、お引っ越しをされたときに転出先の情報等も書かれておりますものですから、前の住所地等も含めて制限措置を講じるような仕組みになってございます。
     テーマの中の加害者の損害賠償責任の実現ということで、これは多分、加害者の住所を知るという方法でのお話だったと思いますが、今こういう形で住所情報を知るという手法がございますので、そういった中で要件に合致するかどうかということで、住所情報を入手できるかというところになってくるかと思います。それは主体や目的によって変わってくるところでございますので、だれがどういう目的でその情報を取るかというところで、根拠となる条文が若干変わってくるかと思っております。  資料11で本日お配りいただいている中島構成員から①の1番で御質問をちょうだいしている件でございますが、大きく2つの御指摘をちょうだいしております。1つ目が、被害者からの申請によるということで、知らないと利用できないということでございます。従来この制度につきましては、制度化をされたのが平成16年度の改正によりまして明確な位置付けをされましたが、地方自治体におきましては、それより前から先行して実施しておりますものですから、いわゆる支援措置の制度自体はかなり浸透していると理解しておりますし、また、窓口でも当然こういう方がいれば、もしくは相談機関にそういうお話があれば、こういう支援措置制度があるということで御紹介・御案内はさせていただいているところでございます。
     2つ目のところ、窓口担当者が制度を熟知しているかにつきましては、住基事務の一環で行っておりますものですから、その部分につきましては制度を運用している立場ですので、適切にしっかりと運用支援をしていると理解しておりますし、相談窓口に実際に来た場合でも、この制度については御案内いただけるようにしてございますので、いわゆる被害者の方に対する支援措置をしっかりサポートできるような形で取り組んできております。不足する点があれば、また御指摘をいただければと思っております。
     一応、こちらからの説明は以上でございます。
  • 椎橋議長 どうもありがとうございました。
     続きまして、法務省から御説明をお願いいたします。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省から、刑事裁判、その後の刑の執行等における安全・安心という観点から御説明させていただきます。お手元の資料3を御覧下さい。
     大きく分けて2つの点について書いておりまして、1点目は、刑事裁判における被害者の安全・安心についてです。刑事裁判における証拠開示の際に、証拠の中に被害者を含めまして証人がどこに住んでいるのか、どこのどういう人なのかが特定できるようなものが書いてある場合がございます。最近は、先ほど警察庁から御説明がありましたように、これをできるだけ書かないようにしているわけですが、書かざるを得ない場合もありまして、その場合であっても、それが関係者に知られることがないように求める制度というのが刑事訴訟法の中にございます。これを弁護人に要求する制度が実際に運用されているところです。
     それから、性犯罪の被害者に関しまして、公開の法廷では氏名・住所、その他被害者が特定されることになる事項を明らかにしない制度がございます。これは傍聴人に対してわからないようにするという仕組みでございます。これも現在はごく普通に運用されているところです。
     また、被害者を含む証人の方が圧迫を受けて証言ができなくならないよう、証人への付添いや被告人や傍聴席からの遮へいといった措置が設けられておりまして、この周知徹底を図り、現在ではごく普通にこれらの制度が運用されているところでございます。
     第2点目は、被害者等通知制度でございます。検察庁、少年院、刑務所等の刑事施設、それから、地方更生保護委員会、保護観察所が連携しまして、被害者の方に対して必要に応じて、加害者が受刑していたり、あるいは少年院に入っていたりするわけですが、現在どういう状況にあるのか、いつ出所するのかというような点について、本人が希望すれば通知するという制度がございます。平成26年4月には、その通知すべき内容についてさらに拡充して、刑務所あるいは少年院等において懲罰あるいは褒賞等についてどういうものを受けたかについても通知するようにいたしましたし、さらに特定の犯罪傾向を改善するための専門的処遇プログラムを実施している場合には、その実施状況等をも通知するという仕組みを作りまして、現在その情報提供すべき内容の拡充を図っているところでございます。
     それから、中島構成員から御質問がございました。証拠開示あるいは公判において被害者の名前・住所等を明らかにしてはならないということで手続が進んでいるのに、これをわざとあるいは誤って法廷で明らかにしてしまった場合についての制裁措置、つまり罰則等がないけれども、罰則を設ける必要があるのではないかという御趣旨の質問と理解しておりますが、これにつきましては、現在、被害者特定事項の秘匿制度というのが非常にうまく運用されておりまして、特に裁判員裁判対象事件においては、公判前整理手続でその点をしっかり確認し合って、被告人にもしっかり弁護人から、例えばAさんだとか、実際の名前ではなく、仮称を使いましょうという形にして、本当の名前を言わないように徹底しております。誤って名前を言ってしまうということはまれにあるようではありますが、その場合はすぐ制止して、その先でそれを繰り返し行うことのないようにしているというのが実情です。
     罰則の問題でございますが、故意にそういうことを繰り返し、被害者特定事項について法廷で述べたり、公に明らかにしたりという事例は見当たりませんが、仮にそういうことがあったとした場合は、弁護士法第56条1項によって品位を失うべき非行があったとして所属する弁護士会の懲戒処分、最悪の場合は除名ということがありますが、懲戒処分の対象となり得ます。
     それから、被告人等の場合は、当然、民法上の不法行為あるいは刑事上の名誉毀損罪になる場合等がございますので、そういう罰則あるいは民事上の制裁を活用することによって歯止めがかけられると承知しておりまして、現在のところ罰則まで設けるという段階には至っていないと承知しております。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     続きまして、厚生労働省からお願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。資料4を提出させていただいております。  「犯罪被害者等の安全・安心の確保」ということで、3つの取組を御紹介させていただいておりまして、資料の構成としましては、左側に現行の取組状況を記載しております。右側に今後の方針ということで記載しております。順に御説明申し上げます。
     まず、(1)は児童相談所や婦人相談所による一時保護の関係でございます。1つ目の○でございますが、現在、児童相談所や婦人相談所、または婦人相談所が一時保護の委託先として契約した婦人保護施設等を活用しまして、こちらはDVだけではなくて、性暴力やストーカー等の被害者に対する一時保護を実施しております。
     一時保護の実施に当たりましては、大体平均的なデータを見ますと、保護期間は2週間位となっているところでございますが、被害者の個々の状況に応じまして保護期間を延長したり、また加害者の追及の可能性があるということであれば、都道府県の県域を越えて広域的な対応を行っているところでございます。
     右側にいきまして今後の方針でございますが、児童相談所等の一時保護を行う機関におきましては、引き続き通常の日中の勤務時間だけではなくて、休日・夜間等にも連絡がつくような対応を図ることとして、被害者の方の安全の確保に配慮していきたいと考えております。
     また、被害者の方がまれに直接、一時保護の委託先に来所する場合もあるようですけれども、そういった場合には、婦人相談所の担当者が速やかに連絡を取って、一時保護の要否を判断できるようにしていきたいと考えております。
     続きまして(2)児童虐待の早期発見・早期対応の取組でございます。
     取組状況の1つ目の○は前回の会議でも御紹介いたしましたけれども、現在、児童相談所全国共通ダイヤルということで、全国共通の相談ダイヤルを設置して周知徹底を行っているところでございます。
     2つ目の○も前回御質問いただきましたが、乳児家庭全戸訪問事業ということで、現在95.3%の市町村が生後4ヵ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問するといった取組を行っております。また、乳幼児の健診のタイミングですとか、予防接種のような機会を捉えまして、虐待のリスクが高いと判断される家庭等の把握に努めているところでございます。
     右側の今後の方針も前回御紹介させていただきましたが、児童相談所の全国共通ダイヤルにつきましては現在10桁ということで、共通の番号ではあるのですが、なかなか覚えづらいという御指摘もありますので、ことし7月1日からはダイヤル番号を3桁ということで189、「いち早く」という語呂合わせで覚えていただくように変更しまして、7月から運用を開始できるよう準備を進めております。
     また、2つ目の○でございますが、児童相談所における休日・夜間の対応の体制強化ということで、財政支援を従来しておりまして、具体的には非常勤職員を雇う場合の人件費の一部を補助しているのですが、例えば夜間につきましては、従来2名分を補助していたところ、今年度の予算からは夜間4名分と。休日につきましても、従来1名だったものを2名分ということで増額して予算を積んでいるところでございまして、そうしたものも活用して適切な職員配置を行っていきたいと考えております。
     (3)は配偶者等からの暴力被害者の安全確保の強化ということで、取組状況の1つ目の○でございますが、まず、婦人保護施設において入所者保護の観点から、夜間の警備体制の強化を図ることとしています。具体的には、警備員等を配置しております。また、心理療法の担当職員ですとか、お子様を同伴されている方もいらっしゃいますので、そうした児童のケアを行う指導員の配置も進めております。
     また、婦人相談所の取組としましては、DV被害者等の被害の状況に応じて、必要な場合には裁判所に対して加害者が被害者に近寄らないように保護命令申し立てというものができるようになっております。こうしたものは法的業務に精通された弁護士の方にお願いする場合もありますので、そうした弁護士の紹介等の取組を行っております。
     右側の今後の方針でございますが、1つ目の○で、婦人保護施設の夜間警備体制強化のための警備員ですとか、心理療法の担当職員等の配置を引き続き推進してまいりたいと考えております。
     2つ目の○ですが、被害者の精神的・肉体的負担の軽減の観点から、行政機関等で被害者の方が手続を行う場合には、婦人相談員に同行してもらうという取組を行うとともに、特に、性的犯罪の被害者の方ですと、同じ被害の状況を複数の機関で説明しなければならないという二次被害の問題もありますので、そういったことが生じないように関係機関で情報を共有していくという取組を行っていきたいと考えております。
     最後に3つ目の○ですが、平成26年度からモデル事業を実施しておりまして、具体的には婦人相談所の一時保護が終了したDV被害者の方に対して、保護が終了したということでその場で支援を打ち切るのではなく、保護が終了した後も電話相談や家庭訪問を行うとともに、その後の社会生活の場ということで、例えば、職場ですとか地域活動の場へ一緒に同行して、地域生活を定着させるための支援を引き続き実施していきたいと考えております。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     最後になりましたが、国土交通省から説明をお願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局政策課企画官 国土交通省でございます。国土交通省から資料5に沿って御説明させていただきます。
     資料といたしましては中身が2つございまして、1つ目が、居住の安定という観点からの資料が1枚紙の表裏となっております。もう一つが、事務局から自動車の登録の関係でDV被害者等の保護のための制度について御説明をということでしたので、残りの1枚半につきましては、自動車の登録制度の関係と保護制度について御説明させていただきます。
     まず、居住の安定の関係でございます。現在、施策番号といたしまして20、21、22ということで白書にも載っておるところでございます。
     1つ目でございますけれども、犯罪被害者等に対する公営住宅への優先入居等を実情に即し、さらに推進するということでございます。この点につきましては、平成17年12月に公営住宅の事業主体であります地方自治体に対しまして、犯罪被害者等の公営住宅への優先入居や、また目的外使用に係ります特段の配慮について要請を行っているところでございます。また、目的外使用についてですけれども、一定の要件を満たす場合、目的外使用ということですので本来であれば事前の補助金適正化法上の承認が要るということになるわけですけれども、緊急の場合には事後的な報告で承認があったものとして取り扱うという旨の周知を平成23年にも併せて行っているところでございます。
     実績でございますけれども、私どもから都道府県と政令市にお聞きしているところでは、優先入居の戸数が平成26年12月現在で584戸、目的外使用につきましては83戸の実績があるとお伺いしているところでございます。
     施策番号21ですけれども、独立行政法人都市再生機構の賃貸住宅、いわゆるURと呼ばれておりますけれども、こちらについて犯罪の被害者等の入居の優遇措置について、その必要性について検討を行って結論を出すと施策上はなっているところでございます。
     なお、犯罪の被害者等の住居を確保するため、公営住宅の管理主体から賃貸住宅の借上げ要請があった場合には柔軟に対応するということになってございます。この点につきまして、現在URの賃貸住宅につきましては空きが十分あるという状況でございます。下に※で書いてございますが、平成25年度末時点におきまして4.2万戸の空きがあると。さらに、最新の数字でございますが、平成26年度末ですと4.3万戸とほぼ同じくらいの空きの住宅がございまして、こちらは特段の優先入居というような措置を行うことなく、御希望があればお入りいただけるというような状況でございます。一部抽選があるようでございますけれども、例えば新築の大変人気のある場所とか、例外的な場所について抽選があるようですけれども、それ以外につきましては申込順で入っていただける。実は、UR住宅自身が既にいろいろな制度改革の結果といたしまして、相場並みの家賃ということになってございまして、家賃上優遇できるような状況にないということもございまして、特段需給状況が逼迫している状況ではないということでございます。
     なお書きに書いてありますけれども、公営住宅の管理主体からURの賃貸住宅を公営住宅として活用したいというお話があれば、柔軟に対応させていただきたいと考えておりますけれども、これまでのところそういうお申出はないということでございます。
     最後でございますけれども、公営住宅の入居に関する情報提供を警察庁さんや法務省さんと連携して行うということでございますが、この点につきましても冒頭申し上げました平成17年12月に、地方公共団体に対します通知の中にあわせて記述しておりまして、周知・連携していただくように公営住宅の事業主体の皆様にはお願いしているところでございます。
     今後の方針ですけれども、基本的にはこれまでの対応を継続してやらせていただきたいと思ってございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げました公営住宅の事業主体であります地方公共団体の皆様方と情報交換をするという場がいろいろございますので、その場を使いまして情報提供を引き続き行ってまいりたいと思っております。
     URにつきましては、現状ニーズが特段上がってきていないという状況のようでございますので、地方自治体の方から公営住宅として借り上げたいという場合には、きちんと対応させていただきたいということでございます。
     続きまして、自動車の登録制度につきまして簡単に御説明させていただきたいと思います。
     先ほど総務省さんから住民票の取扱いについて御説明があったと思いますけれども、同じような取扱いを自動車の登録制度におきましてもさせていただいているという御紹介でございます。
     御案内のとおり自動車につきましてはナンバープレートがございまして、ナンバープレート交付とともに国土交通省で自動車登録を行ってございます。
     1枚おめくりいただくと、登録情報の提供制度が書かれておるかと思います。御覧いただきますとおり、左側、申請者から申請がありますと、その車に関する登録情報の証明書の交付をする制度になってございます。この中に住所地も含まれているということでございます。請求自身は所有者本人だけではなくて、様々な方が請求できる。実際に法律上は何人も国土交通大臣に対して交付請求ができるという制度になってございます。この理由といたしましては、先ほどございましたけれども、基本的には車というのは不動産に続く財産ということで、財産権を保護するということで登録を受けることで第三者に対抗することができるというような法制度になっている観点から、どなたでも請求できることになってございます。
     その中で、先ほどからあります一方で悪意を持って使われる方につきまして、どのように排除していくかという論点で、住民票の取扱いと同じように私どもも制度を整えさせていただきまして、昨年から制度を運用させていただいているところでございます。
     最後を御覧いただきますと「配偶者からの暴力等被害者の保護のための取扱いについて」という紙がございます。まず、全国に車の登録を行っている運輸支局がございますが、被害者の方から保護のための請求がありましたら、私どもの出先機関から警察に確認させていただきまして、保護する必要があるという回答をいただいた場合には、そういう取扱いをさせていただいております。
     被害者からの申請というのは、一般的にはお住まいの出先機関に申請があるのですけれども、実際には先ほどの登録情報自身は全国どこの事務所に行っても、どの車についての登録情報も引き出すことができるという制度になっているものですから、一旦保護の取扱いをすると決めた案件につきましては、本省に私どもの出先から連絡が参りまして、その保護を行うということを全国の出先に周知して、全国的に取扱いを実施するという形で現在進めてございます。
     先ほど申しましたように、昨年からスタートさせていただいておりまして、今のところ保護してほしいという請求は15件あったと聞いてございます。一方で、その請求に基づいて請求を拒否する、ここで交付しなかったという事例は今のところないということでございます。  以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ただいま5つの省庁から御説明をいただきました。これからの検討におきましては、説明していただきました省庁だけではなくて、他省庁が行っている取組に対する御質問や御意見、現行施策の問題点や改善点、さらには、新たな基本計画に盛り込むべき具体的施策の提案等について、幅広く検討していきたいと考えております。  まずは、質問事項を提出していただきました中島構成員、中曽根構成員から、先ほど各省庁から回答があったわけでございますけれども、さらに御質問があれば、あるいはそれに対するコメントがあればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いいたします。
  • 中島構成員 私のほうから総務省と法務省に質問を出させていただいたのですけれども、総務省から市町村の窓口ではかなり徹底されているというお話を伺って、良かったと思っております。被害者側の利用につきまして、先ほどの流れを見ますと、恐らく相談した被害者は相談機関からそのことを聞いて知っていると思いますが、まだどこにも相談していないような被害者が市町村の窓口に来るというような事態もあるかと思います。これは私が把握していないだけかもしれないですが、このような住民票の交付等につきましての配慮について、市町村の窓口で被害者にわかるような何らかの掲示物といったものがあるといいのではないかと思います。例えば、そういった交付に関して御心配のある方は御相談下さいというようなものであってもいいかもしれないし、DVに関する資料をさりげなく置いていただくことでもいいのかもしれないです。全ての方が相談されているわけではないので、逆にそういったものを通して相談機関につながるということもあるかと思いますので、できれば市町村の窓口で被害者にそういった制度についての通知をしていただけるとよいのではないかと思いました。これは意見です。
     そのまま引き続きでよろしいですか。それとも一旦、総務省に返しますか。
  • 椎橋議長 そうですね。ただいまの点について総務省からお答えいただけますか。
  • 総務省自治行政局住民制度課課長補佐 ありがとうございます。全部網羅的に調査しているわけではないのですけれども、中島構成員御指摘のとおり、初めて相談に来るといった場合もございますので、各市町村の住基部署でも場合によっては掲示していたり、もしくは何か渡せるようにしたりという対応は、それぞれ自治体の判断によりますけれども、してきていると思います。
     あと、自治体の窓口だけではなくて、自治体の中の例えばDV等の相談窓口にお越しになったり、もしくは相談機関に相談に行ったりということがございます。警察署さんもそうですし、DVの暴力相談支援センターさんとか、いろいろな相談機関がございます。そういったところに行った際にも、そういう制度の御紹介をしていただけるような形で従来からお願いしてきております。また、各自治体もしくは各相談機関でも、必要があればホームページ等を通じて掲載していたりということで、できる限り知る機会というか、制度を知っていただくということは各所で御努力いただいてきていると思いますけれども、引き続き取り組んでいくことが必要だと認識しておりますので、また機会のあるときに我々からも各自治体にもお願いしていきたいと思っております。ありがとうございます。
  • 椎橋議長 被害者が支援措置申出書を出す前に、加害者が申請して市役所が支援措置の対象者であるかどかの判断ができ難い段階で交付しまったというような事例はないですか。
  • 総務省自治行政局住民制度課課長補佐 支援措置を申出る前にということですか。それはいわゆる住基部署のほうでどういう形で知るかですが、支援措置申出書が間に合わない場合でも柔軟に対応しているところはございますので、それがわかるかどうかですね。請求して交付を受ける権利というのも一方でございますものですから、窓口に来た方が加害者であるということがやり取りをしている中でわかれば、そういう対応も取り得るのでしょうけれども、実際問題ケース・バイ・ケース、実際の窓口応対の中で、被害者から申出が出ていない中で加害者であると知るというのは、なかなか難しい問題があろうかと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     中島構成員、さらに続けてどうぞ。
  • 中島構成員 法務省からも御説明をいただきまして、かなり教育はされているということを伺って、そこはホッといたしました。いかに少数の事例であってもお名前を漏らされてしまうと、その方の一生を左右してしまうことになりますので、で罰則までいかないとしても、その場合に裁判官が制止するなどのことをされないと、被害者側としては傷付いたままになってしまいます。特にこういう状況で制止される方は裁判官だと思いますので、裁判官に対してより教育を周知していただきたいと要望いたします。
  • 椎橋議長 法務省の方から何か御意見はございますか。
  • 法務省大臣官房審議官 法廷には裁判官だけではなくて検察官もおりまして、そういうときは本来であれば検察官がまず第一に気付いて止めなくてはいけないということだと思います。徹底していきたいと思います。裁判所のところは、我々からというのは三権分立ですので難しいのですが、少なくとも検察官は常におりますので、しっかりやっていきたいと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     そのほか中島構成員、よろしいですか。
     それでは、中曽根構成員いかがですか。
  • 中曽根構成員 再被害防止のことで警察庁の方にお願いします。先ほどはどうもありがとうございました。再被害防止対象者を支援していて、質問・意見のところにも出しておりますけれども、民間の援助団体で調べた表を見ていただくとわかるように、DVとストーカー以外の被害者の方、性犯罪被害者や暴行や傷害、交通事故等の被害者の方でも再被害があるのではないか、また報復があるのではないかということで非常に恐れられる被害者の方がたくさんいらっしゃいます。緊急通報装置を、確か生活安全課とかで貸し出すということで、お願いしたりしたこともあるのですが、なかなか数が足りないように感じています。ですので、数を増やしていただくとかそういうことができないかということと、ここには書かれていないのですけれども、警察の方たちが110番登録もよくして下さっているということで、引き続きそういう形で被害者の方たちの恐怖心を少しでも軽減できるようにやっていただけたらと思っています。お願いします。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。御要望を含めての御意見ということですが、警察庁の方からコメントはございますか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 機器、予算等の問題がありますけれども、被害者の方の安全・安心を確保するということは、警察にとっても最重要課題でございますので、引き続き努力してまいりたいと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     先ほどからの関係省庁からの御説明、また、説明に対するお二人の構成員の質問、さらに質問に関連した回答がございましたけれども、それにこだわらず「犯罪被害者等の安全・安心の確保」という観点で、ほかの構成員の皆様から御質問・御意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
     森山構成員、どうぞ。
  • 森山構成員 資料1の警察庁の1の関係で、一時避難場所の確保についてですが、ここに平成19年度から自宅が犯罪行為の現場となり、自ら居住する場所が確保できない場合等に利用できるということですが、公道上等で被害に遭ってなおかつ住居がわかっている場合等は、逃走されますと再被害のおそれがあるということで、自宅が犯罪行為の現場にならない場合等にも対応することはできるのでしょうか。これは平成19年のことなのか、現在はその辺はもう少し広げられているのか、あるいはこの適用は厳格にされているのか、その辺の実情を知りたいのですけれども。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
     警察庁の方でお答えいただけますでしょうか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 実際の具体的な事例でどうしているかということは把握していないのですが、対象といたしまして、自宅が犯罪行為の現場になっただけではなくて、被害者が加害者あるいはその関係者から危害を加えられるおそれがあるとき、その他一時避難措置を行う必要があると認められるときということで、当時から通達上はそれだけに限っておりません。ただ、申し訳ございませんが、具体的にどれだけどういう事例があったかは、今手元にございません。
  • 椎橋議長 森山構成員、よろしいですか。どうぞ。
  • 森山構成員 もう一つ、2番で逮捕状請求の段階で、被疑者に知られるべきでないと思われる情報は記載しないということで請求されているのですが、現実に令状が発布される段階で裁判官から、これはきちんと書きなさいというような、裁判所と警察とで異なる扱いがされる事例というのはあると思われるのですが、その辺はどうなのでしょうか。
  • 椎橋議長 警察庁の方いかがでしょうか。
  • 警察庁長官官房総括審議官 御案内のとおり、令状はあくまで裁判官の権限でございますが、それで令状却下になった例はあまり聞いたことはございません。大体御理解いただいていると理解しております。
  • 椎橋議長 森山構成員、よろしいですか。
     そのほかにございますか。渡邉構成員、どうぞ。
  • 渡邉構成員 再被害防止という点では、住民票を非開示にするとか車の情報を漏らさないとか非常にいい制度なのですけれども、これを見ると必ず被害者が警察に相談に行く、住民票の場合は警察が事情を聞いて、その書類を被害者に渡す。被害者が市区町村に行って、市区町村の窓口でそれを出さなければいけない。車の場合は、被害者が警察に相談に行く、全国の運輸支局に申出る、運輸支局から警察に問合せが来る、警察がそれに回答する、それによって初めて非開示になるという形で、非常に時間もかかるし、被害者の負担が非常に大きいのですよね。ですから、別に被害者を甘やかせて下さいとは言いませんけれども、どうせ警察がそういう情報の聞取りをするのだったら、警察から直接市区町村の窓口とか運輸支局に通知するという制度は無理なのでしょうか。その点が非常に気になりました。
     それともう一つ、法務省さんの説明で、被害者等通知制度があって、私も去年4月から処遇状況の中で懲罰と褒賞等が記されて、こんなことをやっているのかというのでわかりやすくなったというのは非常に評価できるのですけれども、うちの会員でやはり通知制度をもらっていると。ただ、その内容が何月に閉居房何日、理由が全く書かれていない。検察官に聞いてみたら、こういうことですよとやっと教えてくれたという状況なので、うちの場合は命令に抗ったとか、あるいは物を持ち込もうとしたとか、そういう理由が一応付して通知が来ているのですよね。これは全国統一された形で通知するということではないのでしょうか。その点をお聞きしたいと思います。
  • 椎橋議長 それでは、警察庁と総務省の方、回答をお願いします。
  • 警察庁長官官房総括審議官 警察で被害者から被害申告を受けまして、こういった閲覧制限できるということを教示するとともに、御要望がございましたら、関係市町村に対して実はこういう御要望がありますということを連絡しております。ただ、連絡を受けて、それだけをもって市町村が直ちに閲覧制限をしているのかどうか、ここまではちょっと確認は取れておりません。連絡を100%しているかどうかは把握しておりませんが、そういう形で実際に行っていると承知しております。
  • 総務省自治行政局住民制度課課長補佐 総務省からよろしいですか。今お話がありましたけれども、先ほどのフロー図は一例でございまして、例えば、先に警察様に御相談に行ったときに、そこから一旦書類を預かって御郵送いただいているケースもあったり、もしくは先に市役所に来た場合、警察に以前から相談に行っていますよということもあろうかと思います。その場合には役所から警察に御照会して、住民の方に動いていただかなくてもいいという対応、一例のフローでございましたので、そういった省力化といいますか御負担のないような形、あと緊急性もありますので、その場合には書面のやり取りに代えて電話等でやったり、ケースに応じてですけれども、そういったことで対象者に認めるということもやっております。ただ、そういう被害があるかどうかという確認もしながら、時間との兼ね合いでというのは実態としてはあると聞いたりしておりますので、先ほどのものは一例ということでございます。
  • 椎橋議長 かなり弾力的な運用はされているということですね。
  • 渡邉構成員 それをきちんとやっていただければ被害者の負担も非常に少なくなると思います。それには、総合的対応窓口の設置を一番我々被害者としては望むところなのです。その辺も一応、頭に入れておいて下さい。
  • 椎橋議長 もう一点のほうはよろしいですか。
  • 法務省大臣官房審議官 受刑中あるいは、少年院に入院中の少年に関する懲罰・褒賞等に関して、まちまちなのではないかという御質問だったと思いますが、最低限何を通知すべきなのかというのが、今資料を探していますが手元にすぐ出てこないのですけれども、あるいは御指摘のとおり、ある刑務所は結論だけしか記載しておらず、ある刑務所はその理由も記載しているということはあり得るかなと思います。恐らくその原因は、最低限通知すべき事項というのを記載しておいて、これだけではということでプラスαで情報を追加しているのかなと思いますが、いずれにしましても、懲罰あるいは褒賞等がどういう内容かということに非常に強い御関心をお持ちの場合は、聞いていただければ答えられる範囲でお答えできるでしょうし、そこを今、統一すべきなのかどうかは検討いたします。つまり、前提として何を通知すべきとなっているのかが今直ちにはわからないものですから、御指摘を踏まえてしっかりやりたいと思います。
  • 椎橋議長 渡邉構成員、よろしいですか。
     それではでは、川出構成員、どうぞ 再被害の防止ということについて、質問を1点と,その上で意見を申し上げたいと思います。
     まず、法務省に質問なのですが、基本計画の施策番号89に、仮釈放に際して「事案に応じた犯罪被害者等の安全確保に必要な遵守事項の適切な設定に努め」という記載があるのですが、現在、例えば、被害者に近づいてはいけないといった遵守事項を定めることはあるのでしょうか。
  • 法務省大臣官房審議官 結論としてあるようでございます。
  • 川出構成員 わかりました。その上で、本日、中曽根構成員から出されている意見の中で、電子監視のようなシステムを考えたらどうかというものがありましたので、それについて意見を述べさせていただきたいと思います。ここに挙げられているドイツの電子監視というのは、保安処分の一環として行うものですので、それを日本に導入するのはなかなか難しいのではないかと思います。ただ、現在は制度としてはないのですが、例えば、DV防止法の接近禁止命令とかストーカー規制法の禁止命令等の担保手段として、被害者に近づいてはいけないということを確保するために電子監視を導入するということであれば検討に値するように思います。さらに、先ほどの法務省からのご回答によれば、保護観察の遵守事項として、被害者に近づいてはいけないということが設定されているということでしたので、その担保手段としての電子監視というのも考え得るかなと思います。再被害防止のために警察の方がパトロール等をされるということでしたが、そうはいっても24時間ずっと見ているというわけにはいかないでしょうから、それに代替する一つの手段として考え得るのではないでしょうか。もちろん、行政命令の担保手段、あるいは遵守事項の担保手段としての電子監視というのが法制度上どのように位置付けられるのかといった問題はありますが、検討事項の一つとして考えていただければと思います。
     それと関連して、これも,本日、中曽根構成員から出していただいた資料に、民間の支援団体における再被害のおそれのある相談・支援の調査の結果報告がございます。これは非常に参考になる資料だと思うのですが、もし可能であれば、再被害が手続のどの段階で起こっているのかを示していただけると、どういう施策を取ったらよいのかということも見えてくると思います。例えば、DV事案であれば、接近禁止命令等が出ていたにもかかわらず再被害があったということなのか、それとも、命令がまだ出ていないときの再被害なのか、刑事事件になっている場合であれば、捜査が開始された後、起訴前に再被害が起きているのか、あるいは起訴後,公判中に再被害が起きているのか、判決後に起きているのか、それとも刑が終了した後で起きているのかといったことです。同じく再被害が起きている場合でも、どの段階で起きたかによって、それを防ぐためにできることは、それぞれの段階で違います。例えば、先ほどの電子監視についても、接近禁止命令が出ているにもかかわらず再被害が起きている事例が多いということであれば、それを防止するために電子監視を入れたらどうかという話になりうるのですが、そうではなく再被害は刑の終了後がほとんどだとすると、それは難しいということにもなります。ですから、もし可能であればで結構ですが、再被害のより詳しい実態、どの手続段階で起きているか、あるいは、一定の措置がとられているにもかかわらず再被害が起きているのかどうかがわかれば、対応する施策も考えやすいと思いますので、そういう調査をするということも考えていただければと思います。
  • 椎橋議長 御質問と御要望とがございましたけれども、今すぐにということはなかなか難しいと思いますので、御検討いただければと思います。
     飛鳥井構成員、どうぞ。
  • 飛鳥井構成員 ちょっと話が戻りますけれども、住民基本台帳の支援、自動車の登録情報の支援はとてもすばらしい制度だと思うのですが、窓口ではこういう制度ができたということは周知徹底していただいているということですが、先ほど中島構成員からも御意見がありましたけれども、当事者への周知を是非徹底していただきたい。特に、窓口に相談に来た人には必ず伝えることができても、まだこれから相談行動を起こすか起こさないかの人、あるいはそういう当事者の相談に乗っているような家族の方とか一般市民の方にこういう支援制度があるということをあらゆる機会を捉えて広報していただければと思います。特に自動車登録情報の場合、地方に住んでいる方には本当に大事なことですので、その点についても是非御尽力いただければと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。ただいまのは御意見ということでよろしいですね。
     いろいろ御意見がございまして、さらに御意見がおありかと思いますけれども次の論点がございますので、この論点についてはこのぐらいにさせていただきたいと思います。もし、この点についてさらに御意見・御質問がございましたら、事務局宛てに御提出していていただければと思います。
     続きまして、「民間団体の活動促進」に移りたいと思います。この論点につきましては、内閣府、警察庁、さらに金融庁から預保納付金を用いた犯罪被害者等支援団体に対する助成事業について御説明をいただきたいと思います。
     まずは、内閣府からお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 それでは、内閣から民間団体の活動促進につきまして、資料6に基づきまして内閣府が主体となっております施策の取組状況と今後の方針について御説明をさせていただきます。
     まず、1点目が、コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成への支援ということでございます。民間団体には、必ずしも行政機関では十分に果たせない犯罪被害者等の多様なニーズに応じたきめ細かな支援の実施とともに、犯罪被害者支援に関する機関団体をつなぐ要としての役割を果たしていただき、また、被害者に対して途切れることのない支援を提供する担い手としての役割が期待されるところです。こうした役割を担っていただくに当たりまして、内閣府では犯罪被害者等の心情に寄り添い適切な支援を提供できる支援員やコーディネーターの育成が重要であると考えております。民間団体が開催する研修会等に講師として職員を派遣するとともに、研修会で活用できる教材の提供あるいは民間団体における人材育成の支援を行って、その質の向上等に寄与しているところでございます。
     2点目が、民間の団体への支援の充実についてでございます。民間団体におきましては、民間団体自身が財政基盤の充実に向けて様々な取組や努力を行っていると承知しております。内閣府といたしましては、こうした取組を支援させていただくため、民間団体が行う募金活動に対する情報を私どものFacebook等により、より広く周知するなどの協力を行っているところでございます。
     また、金融庁が設置いたしました預保納付金の活用方法について検討するプロジェクトチームにもメンバーとして参加して、預保納付金を活用した犯罪被害者等支援団体に対する助成事業の開始にも協力させていただいたところでございます。
     3点目が、研修カリキュラム・モデル案の内容の充実についてでございます。平成21年3月に、初級、中級、上級等のレベルごとに研修カリキュラム・モデル案を作成・配付し、民間団体における人材育成に活用していただいているところでございます。
     4点目が、民間の団体に対する広報でございます。私どものホームページや政府広報を始めとする各種媒体を通じまして、民間団体の活動の意義や内容につきまして広く国民に向けて広報し、理解の促進を図っているところでございます。
     以上が、現基本計画に盛り込まれている施策の取組でございます
    。  次に、現行計画見直しに当たりまして、一般国民や犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体から寄せられました御意見・御要望等を踏まえまして、今後どのような点に重点を置き、民間団体の活動促進を図っていくかについて御説明申し上げます。
     まず、1つが、犯罪被害者等の援助を行う民間団体の支援員養成への支援でございますが、先ほど申し上げましたような研修会への職員の派遣のほか、現在は主に地方公共団体の職員を対象に実施しております研修事業につきまして、今後は民間支援員に対しても門戸を広げて、参加を促すような形で実施していけないか検討していきたいと考えております。
     2点目が、犯罪被害者等の援助を行う民間団体の活動への支援等についてでございますが、3月の会議における論点でもございました犯罪被害者等を支える機運の醸成、この際にも触れましたけれども、その意義や趣旨に賛同できる民間団体主催のシンポジウム等の後援をさせていただいたりしまして、その活動を支援していきたいと考えております。
     また、地域における途切れない支援を促進するためには、民間団体と地方公共団体との連携協力の充実強化が重要でございます。この促進についても、地方公共団体に対して働きかけをさせていただきたいと思っております。
     3点目が、犯罪被害者等の援助を行う民間団体に対する情報提供でございます。民間団体からの御意見・御要望の中に、政府による新たな犯罪被害者等のための制度や取組について、いち早く情報提供を望むということがございました。現在メールマガジン等によりまして、私どもから地方公共団体に対して情報提供を行う仕組みは構築されておりますが、民間団体に対する情報提供手段といたしましては、ホームページや白書を御覧になって頂いたり、先ほど申し上げた研修会等において紹介しているという程度でございましたが、今後、御意見・御要望を受けまして、民間団体に対しても新しい制度や取組について随時、御提供させていただければと考えております。
     4点目でございますけれども、犯罪被害者等の援助を行う民間団体に関する広報でございます。先ほども申し上げたとおり、民間団体の果たす役割というのは非常に重要であり、また、国民一般に知っていただいて活動が促進されるということが望ましいと考えておりますので、内閣府といたしましても各種広報媒体を通じまして、民間団体の中には税制上の優遇措置を受けられる団体があることも含めまして、民間団体の活動内容を広く国民一般に知っていただくための積極的な広報を図ってまいりたいと考えております。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     次に、警察庁から説明をお願いいたします。
  • 警察庁長官官房総括審議官 それでは、警察庁から御説明いたします。資料7でございます。
     まず、警察では1に記載いたしておりますとおり、コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成するために、民間団体が行う研修への協力のほか、被害者連絡協議会等において実践的なシミュレーション訓練を実施するなどしております。
     2点目としまして、民間団体への支援の充実でございますけれども、主として業務委託に要する経費ということで、約2億6,000万円の予算措置を講じているところでございます。
     それから、3にありますとおり、シンポジウムの開催ですとか、あるいは様々な媒体を通じて民間団体の活動等に関する広報啓発を行っているところでございます。  この関係につきまして、中島構成員より御質問・御意見をいただいております。資料11の一番下のところで、犯罪被害者等早期援助団体が夜間・休日の活動を行っていないことへの早期援助における問題はないかということでございますが、こうした民間団体は、夜間・休日の活動をほとんど行っておらず、平日の日中帯というのが実態でございます。これは人的基盤や財政的基盤の確保が難しいという実情があるわけでございまして、具体的に問題が起きたということはございませんが、活動が非常に制約されているという意味では問題であると思っております。したがいまして、現状におきましては、民間団体が活動していない時間帯につきましては、警察の指定被害者支援要員等が必要に応じて可能な範囲で対応させていただいているということでございます。
     あわせて、今後早期援助団体に対して、夜間や休日における相談の拡張を促していくことを検討しているかとの御質問をいただいております。先ほど申しましたとおり、体制あるいは財政的にも厳しい団体が多くございまして、実は夜間・休日以前の問題として、主要な時間帯である平日の日中における支援活動自体もやや十分ではない団体もおりますことから、早期援助団体に対しまして、夜間・休日における相談の拡張をすぐさま促していくということは非常に困難であると考えておりますけれども、今回いただいた意見につきまして、全国被害者支援ネットワークと共有させていただきたいと思いますし、こうした団体に夜間・休日の対応をしていただくことは当然望ましいと考えておりますので、引き続き警察として何ができるか、考えてまいりたいと思います。
     それから、資料11の裏でございますが、助成事業の中で支援の評価等を行い、不足している部分により重点的な助成・支援を行うことを検討していくことが必要だと思われるとの御意見を賜りました。まさに御指摘のとおりでございまして、予算として取っている以上、その予算が果たして有効に活用されているかどうか、委託内容にふさわしい活動が行われているかどうかといったフォローアップを行うように、引き続き都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
     以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     最後に、金融庁からお願いいたします。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 金融庁でございます。振り込め詐欺救済法に関する制度について御説明させていただきたいと思います。資料8ということで4枚組になってございます。後ほど奨学金事業の話もございますが、ここでは団体助成事業に絞って御説明させていただきたいと思います。  まず、振り込め詐欺救済法に基づく犯罪被害者支援事業ですけれども、これは振り込め詐欺で被害に遭った方が銀行口座を通じて被害に遭った場合に、その口座を失権しまして、基本はそこに振り込んでしまった人にお金を返すということが前提になってございますが、いろいろな事情で返してほしいという申請がなかったケースについては、預金保険機構に一時的にお金を集めて、それを活用しようという事業になっているところでございます。
     1枚目のポンチ絵に描かれているように、現在の事業の担い手は日本財団さんになってございまして、犯罪被害者等の子供に対する奨学金事業、それから、犯罪被害者等支援団体に対する助成の2事業になっているところでございます。
     2ページは条文を書かせていただいておりますが、この2事業をなぜ選んだかでございますけれども、もともとこの振り込め詐欺救済法というのは議員立法でございまして、議員立法時にも犯罪被害者等の支援の充実のために何に使うのかというのは当然議論があったわけでございますが、関係する方々の御知見をいただきまして、先ほど内閣府さんからも御紹介がありましたように、関係省庁の方にも集まっていただきまして、この立法趣旨を敷衍するという趣旨の下、当時の金融庁、内閣府、財務省の3省庁の政務官によるプロジェクトチームを立ち上げまして、そこでどういうものに使おうということを決めていただいたところでございます。
     団体助成事業の実績でございますけれども、3ページ右側でございます。平成25年度から始まりまして、御覧のとおりの助成件数・助成金額になっているところでございます。
     具体的に団体助成事業はどんなことをやっているのかにつきましては、中曽根構成員より、まことに的確におまとめいただきましてありがとうございますということなのですが、中曽根構成員の資料12の2ページの下、「また」以下で、現在の担い手の方が何をやっているかということが的確にまとめられております。いろいろ書かれてございますが、1つは、犯罪被害者等を支援する団体が自立を目指すために財政基盤を支える仕組みをつくる事業を支援する。それから、犯罪被害者等支援の業務拡充のために資機材を整備する事業、その他、相談、面談、役務の提供等による充実に関する事業もやっているところでございまして、こういう事業化ができると、今の担い手さんである日本財団さんのほうでどういう事業をやるかというのは決めているところでございますが、その事業に乗っかる形であれば、例えば、人材育成事業みたいなことも当然できるということかと思います。
     ただ、現実に、中曽根構成員のレジュメにも書かれているのですが、いわゆる本当の人件費そのものというのは、なかなか事業ということが言い難いという判断が恐らくあろうかと思いまして、直接私どもがその事業の選定過程を見ているわけではなく、むしろ椎橋先生のほうがお詳しいと思いますけれども、日本財団さんのくくり、それから、もう一つ重要なことは財源の問題がございまして、資料8の一番最後でございますが「預保納付金残高等の推移」となってございますけれども、振り込め詐欺を口座を通じてやっている事犯が多かったときは当然、失権された金額というのが相当ございましたが、振り込め詐欺でも銀行口座を通じない事案が増えているということもございまして、足元の発生額は相当減ってきているということでございます。このうち残高で56.8億円あるわけでございますが、40億円については先ほど申しました昔の政務官PTのほうで奨学金事業に充てるという仕切りになってございまして、団体助成事業は残りの16億何がしと、毎年入ってくるお金でやるということになってございますので、例えば、人件費に対する助成というのはどのくらいの額になるかにもよってくると思いまして、相当大きな金額になってしまえば、この部分はあっという間に枯渇するということになりますので、その辺のバランスも見つつ、現在の担い手さんで事業の選定をやっていただいているということかと存じます。
     金融庁からは以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ただいま内閣府、警察庁、金融庁の担当者の方から御説明をいただきました。金融庁の御説明の中でありましたように、預保納付金の活用方法につきましては、関係3省庁の政務官等で構成されるプロジェクトチームによって検討され、現在の事業が開始されたという経緯がございます。したがいまして、この会議の検討のみで新たな活用方法について決めるということは難しいと思われますが、しかし一方では、預保納付金につきましては法律上、犯罪被害者等の支援の充実のために支出するとされておりますので、その活用方法につきましては、この会議の構成員の方々から御意見等を出していただきまして、今後の金融庁等における検討にできる限り反映していただければと思います。ここでの議論を反映していただくということは大事だと思いますので、それを含めて御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。御質問でも構いません。
     渡邉構成員、どうぞ。
  • 渡邉構成員 本当に初歩的な質問なのですけれども、私、以前から感じていたのですが、この犯罪被害者を支援する民間団体の中に、何で被害当事者の団体が入らないのでしょうか。それが不思議で、不思議でしようがないのです。私の実感からいくと、うちの事件が起きたときには、まだうちの県にも被害者支援センターができていなかったという話ですけれども、事件から2年後、私は全国犯罪被害者の会に入って、そこですごく救われたのです。3年後に犯人が逮捕されて裁判になったと。裁判のときは、被害者支援センターの人間も傍聴に行っていたのですよというのは後で聞いたのですよ。そういう方たちが来ているというのは全く知らなかった。私は、あすの会の仲間たちが支援・傍聴に来てくれて、それが非常に心強かったし、事件から3年経ってから犯人が逮捕されたということで、どんなことをしたらいいのかというのも全部あすの会で聞いたという経緯があるのですけれども、被害者の心は被害者だけが知るとは言いませんけれども、被害者の心を一番知っているのは被害者なのですよね。その知っている被害者の団体が支援するというのが一番効率的にできるのではないかというのは以前から思っているのですが、こういうものを見ると、民間団体の中には必ず被害当事者の団体が含まれない。これが不思議でしようがないのですけれども、何でそうなったのか経緯を御存じの方がいらっしゃったら教えていただきたいと思いまして、本当に初歩的な質問ですけれども聞いてみたのですが。よろしくお願いします。
  • 椎橋議長 それでは、その経緯を御存じの方にお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。金融庁の方でしょうか。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 預保納付金事業のお話ということではなくてですよね。そこだとお答えし難いです。
  • 椎橋議長 そうですね。ご質問の趣旨がいま一つわかりにくかったところがありました。どこにお尋ねになりたいかわからないからですよね。お聞きになりたいことの一番のポイントは何でしょう。
  • 渡邉構成員 民間団体の中に被害当事者の団体が含まれないのはなぜでしょうかということなのです。聞いた話ですと、支援する側と支援される側、犯罪被害者は支援されればいいのだと、私たちが支援してあげるよという思想が、その奥底にあるという話をちらっと聞いたことがあるのです。ただ、それが正しいかどうかはわからないのですけれども。ずっと疑問に思っていたのはその辺なのです。
  • 椎橋議長 どういう関係でというのがわかりにくかったものですから。
  • 渡邉構成員 今すぐでなくても結構ですけれども、その辺を聞きたいと思いまして。
  • 椎橋議長 質問がもう少しはっきりしていれば、すぐわかると思うのですが。
  • 渡邉構成員 質問の意味がわかりませんか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 私も渡邉構成員が最初に御発言されたとき、預保納付金におけるお話かと思ったのですけれども、一般的なお話と理解させていただきました。ただ、一般的な場面で、いわゆる被害者の方の当事者団体と民間被害者支援団体が取り立てて区別されているような場面がおありになるという認識でいらっしゃるということですか。それは、どういう場面であるかをお教えいただけますと、お答えもしやすいのかなとも思っているのですが。
  • 渡邉構成員 例えば、私は被害者が創る条例研究会に入っているのですけれども、そこで各自治体の条例を集めてみたときに、民間団体というと被害当事者の団体が含まれないという解釈ができる条例が結構あったのです。ですから、私たちがつくった条例案には被害当事者の団体も民間の団体に含むとしたのですけれども、それ以外のところでいろいろ聞いてみると、民間団体という定義の中には被害当事者の団体は含まれない。一番端的に言うと、民間の支援団体というのは被害者支援センターあるいはネットワークも入るのかどうかわかりませんけれども、それらが対象になっているということなのです。
  • 椎橋議長 いろいろな被害者の支援のことが問題になるときに、審議会であるとか、そういったところに被害者の代表が入るということはよくありますね。あるいは内閣府で調査をするときに、被害者のことを一番よくわかっているので被害者の方に入ってもらうとか、いろいろな形で被害者の方が参加されていると思います。
     他方で、例えば、助成を受けるというような場合には、助成を受ける対象となっておりますので、対象になる方が決める中に入っているというのは、自分で自分の受け取る対象や額を決めることになると、やはり事柄の性格上問題があるということで、そういう場合には含まれないということで、その会の性格によって意見を反映することが大事なものには参加されて、受益者になるような場合には入らないということになっていると思いますけれども、それはそれなりの合理性のある仕切りではあると思いますが。
  • 渡邉構成員 では、大きいくくりで民間の団体という中には、もちろん被害者の当事者の団体も入るということですよね。
  • 椎橋議長 そのあたりは内閣府のご意見を伺えますか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局からお答えするのが適当かどうかよくわかりませんけれども、基本的には我々等が例えばいろいろ民間の団体から御意見を伺うときは、当事者の団体の方ですとか、もちろん支援団体の方からも伺っているつもりでございます。その上でどちらだからどうだとか、こちらだからこうだという区別は特段させていただいているつもりは今のところはございません。
  • 椎橋議長 中曽根構成員どうぞ。
  • 中曽根構成員 よろしいですか。やはり民間の援助団体というのは被害当事者の団体も入ると私は思っています。というのは、私が今活動しているところは、被害者支援センターなのですけれども、実際に私が被害に遭ったときに支援してもらったところは当事者の会でしたので、被害者がどういう団体を求めて、どういう支援を望むかによって、民間の援助団体ということで考えていけば、被害者当事者の会も全国被害者支援ネットワークのもとにある被害者支援センターも、どちらも民間の援助団体と言えるのではないかと考えています。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 私が申し上げることかどうかわかりませんけれども、平成13年に犯罪被害者等給付金支給法の改正を担当して、犯罪被害者等早期援助団体の制度を創設する案を策定した者の1人として申し上げると、要するに当該団体の目的あるいは機能によりけりということだろうと思うのです。ですから、犯罪被害者等早期援助団体について申し上げるのは、法人格であるとか、目的であるとか、あるいは構成している支援員の方々のトレーニングの状況ですとか、いろいろな要件を兼ね備えている方々の団体を指定するという制度をとっているということで、法的な制度の枠組みに入るのか入らないのかという点については、おのずと違いがあるのは事実だろうと思います。
     ただ、一口に民間団体といってもいろいろな性格などの違いがあるので、それぞれの目指しているところ、あるいは果たしていただいている機能といったものに応じて、我々のほうもいろいろな局面で御意見を伺ったり、御協力を我々から要請したりという相互関係があるのかなとは思っております。
     ちなみに、犯罪被害者等早期援助団体も、当時の考え方ですので今は違うかどうかわかりませんけれども、別に都道府県に1つに限ったものではございませんので、それぞれに要件を満たせば早期援助団体になり得る可能性があるということは、御参考までですけれども申し上げておきます。
  • 椎橋議長 渡邉構成員、さらに御質問があるようでしたら、質問事項をまとめていただいて事務局に提出していただければありがたいと思います。  飛鳥井構成員どうぞ。
  • 飛鳥井構成員 先ほど、中曽根構成員からも出た人件費のことで、これも要望ですけれども、民間支援団体の活動の質と量を規定する大きな要因が、やはり人件費の安定財源なんですね。ほとんどそれで決まってしまう。夜間・休日のことやいろいろスローガンを出していただいても、結局そこで全部引っかかってきてしまうものですから、それがないとどんどん先細りしていくということがあるので、本当にわらをもすがる気持なのですけれども、ぜひその点を十分ご斟酌いただいて、何とか事業費だけではなくて人件費についても、額のことは言いませんけれども、是非一歩前に出て御検討していただければと思います。
  • 椎橋議長 御要望として承りました。
     その関係で、先ほどのお話で、今までの経緯から預保納付金をどう使うかということについて、40億円を奨学金関係の事業、16億円余を民間の支援事業に使うという枠組みは決まっているということでしたけれども、同じ資料の1枚前をめくりますと、平成27年度の実際の実績は、奨学金については4,586万円、団体事業の助成については3億5,651万円ということで、これから振り込め詐欺の剰余金がどのくらいになるかわかりませんけれども、今の状況で言えば非常にまだ余裕があるという状況ですので、この会議でどこまで言えるのかわかりませんけれども、もし、合理的な理由が付けられるのであれば人件費のほうにというようなことは、これから意見のまとまりがあれば要望を出していくということは可能なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 事業の何をどうするかというのは実は担い手に全部投げられているものですから、我々からこうしろああしろというのは実は言えないという立て付けになっています。
     あと、先ほど申し上げたように、人件費の場合、例えばどのくらいの年間所要額があるのかにも寄ってくると思いますし、今も人材育成事業という形ではネットワークを中心に支出されていると思うのですけれども、そこの組み方を工夫するという方策も恐らくあるだろうとは思います。ただ、これは金融庁としてこれでいいという話ではなくて、あくまで事業を採択するのは事業の担い手の基準に沿った形になりますので、そこは私どもからこうしろああしろというのはなかなか言えないということだけは御理解いただきたいと思います。
  • 椎橋議長 今、御説明がありましたように、担い手の日本財団の事業もあるときにお金をいただいて、それをパッと使ってしまってそれで終わりというようなことでは、被害者援助が持続可能なものにならないということで、長く続いていくようにファンドレイジングをしたり、あるいは人材の育成をしたりという形で、もちろん、ある程度の助成というのは常に必要なのですけれども、それがあれば自分たちでも自助努力をしながら続けていけられるようにというような取組をなさっていることですので、そういう関係の中で人材育成のための費用だということで工夫は必要かと思いますが、議論の余地というか可能性はあるのではないかと、感想ですが思いました。
     それでは、まだご意見はあるかと思いますけれども、ご意見等がございましたら事務局にお出しいただければと思います。
     それでは、次に「日本財団における奨学金事業について」でございます。金融庁の御都合もあるということで、ここでこのテーマについて議論をしたと思います。これについては、前回会議の犯罪被害者等に対する中長期的支援に関する検討の際に、中曽根構成員から犯罪被害者等となった子供の学費の問題が提起されました。日本財団における奨学金事業について、貸与型から給付型に変更することはできないかという御意見をいただきました。日本財団における奨学金事業にありましては金融庁が所管しているということでございますので、この点について金融庁からまず御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 都合がありまして私のほうを先にやらせていただいて恐縮でございます。
     奨学金の話でございますが、これも先ほどちょっと申しましたように、平成23年に立法者意思を敷衍するというか補強する観点からやっていただいたプロジェクトチームの中で様々な議論があったと思いますけれども、まず、持続可能性があるものをつくりましょうと。もう一つは、学費を受けるほうのインセンティブの付与ということで、プロジェクトチームの議論の中身を見ますと、学業を終えた後も自らが社会により支えられたことを思い出す機会を提供するとともに、就職して自立するよう子供自身に対してインセンティブの付与を図ることが重要との考え方に基づき、貸与方式が適当だという結論になっています。
     もう一つ、内閣府さんから資料が出ていると思いますけれども、中島構成員のレジュメにも出ているのですが、犯罪被害救援基金の給付型奨学金というのがあって、あれがあるのでこちらは貸与方が望ましいとも書かれておりまして、その辺が意思として確定しているということかと思います。
     質問を受けている件についてお答えを申し上げますと、中曽根構成員から出ている実績の動向についてですが、資料8の3枚目に、先ほど椎橋先生からもございましたが、奨学金事業の実績の表をつけてございますけれども、平成25年度は31件の貸与件数があったのですが、平成26年度の継続分が26件に減ったのは何かという御質問がございました。これは担い手に聞いてみたところ、平成25年度の段階で大学4年生、もしくは高校3年生だった人が卒業して、その後使わなかったというケースだと聞いています。他方、平成25年度もまだ2年生、1年生だった人が、その次の年に継続して借りているというお話も伺っているところでございます。
     平成26年度の新規分が27件と減っているのはなぜかということですが、正直言ってよくわからないのが現状です。それから、貸与型ということで利用をためらう傾向にあるかどうかも、我々は把握できていません。ただ、一般論として申し上げれば、どんな場合でも給付型、貸与型の場合では給付型のほうがありがたい、もらいたいというケースがありますので、そういうことはあろうかと思います。
     それから、どんな犯罪類型の被害者に貸与されているかですけれども、犯罪被害救援基金のほうは、いわゆる身体犯の被害者のケースに限られていると認識しておりますが、預保納付金事業についても実はいろいろな議論がございました。もともとは詐欺なので詐欺犯みたいなものに限定すべきではないかという議論もございましたが、そうやってしまうと恐らく数が出ないだろうということもあったので、対象犯罪としては限定なしという形になっています。したがって、犯罪被害救援基金のほうでは対応できない犯罪類型、端的に言うと詐欺ですけれども、詐欺被害に遭った方の御子息が学費に困られて、この奨学金制度を利用するというケースも幾つか例としてはあると伺っています。どんな犯罪でもOKですので、類型的にはいろいろあろうかと思います。
     貸与型、給付型の話ですけれども、財源の問題というのは中島構成員御指摘のとおり、給付型にすると、案件が殺到すれば当然あっという間に枯渇する可能性があるので、その辺は慎重に考えていかなければいけないかなとは思いますし、先ほど申しましたプロジェクトチームの議論でも持続性が重要だということになっていますので、現在の立法者意思としては貸与制を維持ということかと思います。
     以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     中曽根構成員、何かございますか。
  • 中曽根構成員 当時いろいろ話し合われて決めたことに基づいて今、御説明を受けて、現行でいきたいとおっしゃっておられますけれども、実際に実績を見ながら、よりよい方向に考えを変更するということもあるのではないかと思います。当時話し合われたことは、その当時はそうなのかもしれないけれども、今の社会の実態に合わせて考えていただけないかなと思います。
  • 椎橋議長 御要望がありましたが、金融庁の方のコメントはございますか。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 御要望は承りましたと言っていいのかよくわかりませんけれども、いろいろなことを考えなければいけないかなとは思っていまして、仮に給付型とした場合に、今の貸出しはどうするのかという問題も出てくるというのが1つ。
     それから、もちろん財源の問題もそうなのですけれども、持続性を可能とするためにどういう策ができるのか、あるいは貸与の額と給付の額というのは同じでいいのかとか、いろいろ考えなければいけない点はたくさんあろうかと思います。
     それから、奨学金の広報みたいなものをこれまで我々はやってきて、これは現在の担い手さんの日本財団さんとも大分議論させていただきましたが、奨学金の募集期間が果たしてこれで正しいのかどうかということもやった上で、一応手を尽くして、最も当時議論したときの想定人数が今も妥当しているのかというのは甚だ疑問のところもありますので、事業が始まって3年目ということでございますので、未来永劫絶対これで一切変えないというつもりもないと思いますけれども、とりあえず今の段階では現状を改善していくものを見定めていきたいと考えています。
  • 椎橋議長 確かに、まだ日が浅いということはございますね。
     飛鳥井構成員、どうぞ。
  • 飛鳥井構成員 給付・貸与の話とは別として、大学院生を除くと書いてありますが、最近の世の中の情勢という意味では、大学院の進学者も増えていますし、せめて修士課程前期ぐらいまでは出してあげられないのでしょうか。大学院生も対象になっていますか。大学生の数の中には大学院生も含まれているのですね。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 御覧になっているのは資料8でございますか。資料10のほうではないですか。入っています。
  • 飛鳥井構成員 わかりました。すみません、勘違いでした。
  • 椎橋議長 中島構成員、どうぞ。
  • 中島構成員 なかなか現状は変え難いということで、あえて意見です。委託された時点で決められたことですので、先ほども中曽根構成員からお話がありましたように、ずっと変えないでそのままいくのかというというのは、やはり運用状況を見て検討していただく必要があるのではないかと思います。
     何で給付ということを言うのかというと、本来これは加害者が払うべきお金と私たちは理解していいます。ほかのこととは違うと思います。本来払うべき人がいるにもかかわらず彼らに資力がなくて払えないというのが、ほかの奨学金を受ける場合と全く違っているので、ほかの奨学金と同じように、社会の人が助けてくれたから返さなければいけないという考え方で果たしていいのだろうかという気持を持っているわけです。
     今運用されている金額から考えますと40億円、それも使っていけばなくなるお金なのですけれども、これを別途何らかの形で継続していくような方策までも含めて検討していただくことによって、先ほど大学という話もありましたが、せめて高校生ぐらいまでは貸与ではなく給付にできないかとか、様々な案を継続して検討していただきたいということを申し添えさせていただきたいと思います。
  • 椎橋議長 金融庁の方、どうぞ。
  • 金融庁総務企画局企画課調査室長 まるっきり未来永劫絶対変えないと言っているつもりはないですし、我々役人の一存としてなかなか決め難いというのもあるので、そこは御理解いただきたいなというのが第1点。
     当時のプロジェクト報告書にも一部免除制度というのはあってもいいのではないかという論点もございましたので、運用状況を見つつ、それはどこかの段階で見直しということはあるのかもしれませんけれども、今の段階では現状いろいろ制度改変したものを見定めていきたいということでございます。
     それから、中島構成員には担い手の選定のときに委員をやっていただきまして大変ありがとうございます。財団が担い手をやるときの一つのあれは、貸与制だったらうちはできるということを言ったということもございます。その辺も含めて総合的に検討していかなければいけないということかと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ただいま意見のやりとりがありました。それを踏まえまして、金融庁を始めとする関係省庁におかれては、預保納付金が犯罪被害に遭った方の子供のために、さらには犯罪被害者等の支援の充実のために更に有効活用されるように検討していただければありがたいと思います。この問題については、あるいはまた議論をすることがあるかもしれませんけれども、金融庁等におかれましては有効活用をお願いするということでよろしくお願いしたいと思います。
     それでは、もう一点だけ議論テーマが残っておりますので、大変恐縮ですが議論させていただきたいと思います。「加害者の損害賠償責任の実現方策」を検討したいと思います。これにつきましては、本日の検討に資するとして、法務省から現行の債権執行手続や民事執行法上の財産開示手続等の概要を御説明していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 法務省民事局参事官 法務省でございます。
     今日の御議論にもありましたように、犯罪被害に遭われた方々が様々な支援制度によって経済的な被害を回復するという方法もあろうかと思いますが、一方で、加害者側に資力がある場合は,犯罪被害者の方々が民事裁判で加害者に対して損害賠償を請求し判決を得て、確定した判決に基づいて、民事執行法に基づく強制執行制度を利用することが考えられます。本日は、強制執行の代表的な例といたしまして、不動産競売手続と債権執行手続の概要を御説明申し上げた上で、これらの手続を補完するものとしての民事執行法上の財産開示制度について御説明させていただきます。
     資料9を適宜ご覧ください。まず、不動産競売の手続です。確定判決、民事執行法上は債務名義と呼んでおりますけれども、これを得た債権者(犯罪被害者)の方々が、競売の申立てを地方裁判所にします。そして、債務者(加害者)の有する不動産を,裁判所において入札にかけまして、お金に換え、その売却代金等から債権の回収を図る、これが、不動産競売手続の概要です。
     図の上段に「申立て」とありますが、これが、先ほど私が申し上げた申立てで、裁判所によって競売手続の開始決定がされて差押登記がされ、これにより、以後の不動産の所有権の自由な移転が対抗できなくなります。その上で、配当を受ける債権の金額を調査するとともに、不動産の状況や不動産を売却する基準となる価額を調査するために現況調査及び評価という手続が行われます。そして、図の下のほうにあります入札という手続が行われ、裁判所が、具体的な買受人を決め、その者に対する不動産の売却を許可する決定をします。その後、買受人が代金を裁判所に納付して、最終的に配当がされて債権の満足が図られます。
     今の事例は、強制執行の対象が不動産でしたが、債務者(加害者)は、例えば、預金等をしている場合もあり得ますし,会社に勤めているのであれば、勤務先に対する給与債権を持っており、これらの債権を引当てに、債権者(犯罪被害者)が債権の満足を得るということが考えらます。これが,資料の2枚目の債権執行手続です。  手続の構造は先ほど申し上げました不動産競売手続とほぼ同様です。まずは、確定判決等の債務名義を得た債権者が申立てを行い、裁判所から債権について差押命令が出されます。これによって、債権の移転等が対抗できなくなるわけですが、その上で、例えば、図の下の左側にありますように、債権者が自ら、第三債務者、すなわち、債務者(加害者)に対して債務を負っている方から直接取立てを行うという形で、損害賠償請求権の満足を得るという手続が、債権執行です。
     これらの2つの手続に共通しているのは、加害者が具体的な財産を持っていて、これに対して強制執行するということを裁判所に申し立てなければいけないという点です。そうしますと、加害者が有している財産を被害者が具体的に知らなければ、両方の制度は利用することができないわけです。
     そこで、資料の3枚目にあります財産開示制度が、民事執行法上設けられています。債務名義を得たが強制執行をすることができないという結論はよくないということで、勝訴判決等を得た債権者が債務者財産に関する情報を得ることができるようにし、その権利の実効性を確保するため、平成15年の民事執行法の改正によって創設された制度が、財産開示制度です。
     手続の流れは、図の中ほどに書いてあるとおりです。債権者が申立てをしますと、裁判所が、一定の要件を審査した上で、財産開示の実施決定をします。その決定がありますと、債務者、この事案では加害者ということになりますけれども、自らの財産目録を提出しなければなりません。また、財産開示手続という裁判所における手続が予定されています。この手続は非公開ですけれども、債務者を呼び出し、嘘をつかないという宣誓をさせた上で、あらかじめ提出された財産目録の内容が正しいということを述べさせます。債権者(犯罪被害者)は、裁判所の許可を得て、債務者(加害者)に対し、その財産の状況について質問を発することもできます。このように、債務者(加害者)が自らの財産について陳述をさせるという形で、その財産を明らかにさせる手続が、財産開示の制度です。
     仮に、債務者(加害者)が虚偽の陳述等をしますと、過料の制裁が科せられることになっています。また、債務者(加害者)が正当な理由なく出頭しない場合も、同じく過料の制裁が科されることになっています。
     なお、この手続を通して得た債務者の財産状況についての情報を、債権者が債権の回収のために使うならば、まさに制度趣旨に沿った正しい利用の仕方ということになりますけれども、例えば、債務者の財産の状況を公表してしまうなど、債権者が、債権の回収を図る目的以外のために情報を利用した場合は、債権者に対して過料の制裁が科されることになっています。
     制度の概要は以上のとおりです。ありがとうございました。
  • 椎橋議長 どうもありがとうございました。
     刑事裁判で被告人が損害を賠償するということで、それが量刑上斟酌されて刑が軽くなる。しかし、裁判が終わってみると、なかなか損害賠償をしないと。どうも財産はあるようだという場合に、民事裁判を起こして認められれば強制執行ができるということになるわけですけれども、どのくらい財産を持っているのか等々のことはまず知らなければいけないということで、財産開示制度というものがあるということで御説明をいただきました。被害者を救済するための制度の一つとして、これをどう有効に活用していくのかを含めて御質問・御意見等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
     渡邉構成員、どうぞ。
  • 渡邉構成員 この制度そのものは非常にいい制度だと思うのです。ただし、私が聞いている範囲ですと、うちの会員等でも加害者のほうが偽装なのだと思うのですけれども、離婚して慰謝料として全部払ってしまっているとか、不動産は名義を書き替えているという形で、本人名義の財産が全くなくなってしまうと。そうすると、幾ら判決が出ても取り立てようがないという実態があちこちで見られるのです。ですから、例えば、被告人になった時点で名義替えを認めないといった制度があればなおいいと思うのですけれども、形をつくって魂入れずになってしまっては何もならないと思うのです。  以上、私が聞いている範囲でそういうことがたくさんあるということです。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     ほかにいかがでしょうか。森山構成員、どうぞ。
  • 森山構成員 損害賠償命令制度と刑事和解制度ということですが、制度はいいのですけれども、これを強制執行までつなげてきちんと財産的被害、経済的被害が回復されるという実効性があるものにはほとんどなっていないように我々は実務家としては感じております。この制度を設けたけれども、どれだけ意味があったのかということを反省しないと駄目なのではないかと思います。この制度だけに頼ってしまうと、犯罪被害の回復というのは、普通の民事訴訟でも強制執行までして取れるというのは難しくて、絵に描いた餅で諦めている方が随分いるわけです。判決という形でやる分には。ですから、なおさら犯罪被害の場合に回復というのは極めて厳しいことなので、こういう制度ができたけれども、制度をつくっても実効性がないということになれば、また別な方法を考えないと、補完する制度というか、そういうことを調査研究してもらいたい。実際にどれだけの犯罪被害回復が図られているかについての調査研究等をまずしていただいて、この制度の実効性について反省すべき点をまとめていただいて、これを今後このまま続けていいのかどうかについて、新しく補完するあるいは代替する制度を創設していくべきではないかという視点でやっていかないと難しいのかなと思います。
     現実に、明石市の市長さんは債務名義を取った段階で、市でそれを買い取ってあげるという形で、現実に損害回復について地方公共団体で立替制度をやるという極めて斬新なところもあるわけで、このままでは魂が入っていない制度になって死んでしまうと非常に危惧しているので、基本的な情報をもう少し集めていただいて、この制度をどうしたらいいのかみんなで考えなければいけないと思っております。
  • 椎橋議長 川出構成員、どうぞ。
  • 川出構成員 法務省に質問なのですが、最後の財産開示制度ですけれども、申立て件数の数字は書いてあるのですが、その上で、実際に不出頭だったとか、財産目録を提示しなかったというのがどのくらいあるのかというのはおわかりでしょうか。
  • 法務省民事局参事官 財産開示制度は裁判所において運用されているもので、法務省として統計を収集している訳ではなく、具体的な数字については申し上げることのできる状況にありません。
     ただ、資料に書かせていただきました事件数、これは裁判所から公表されている統計ですが、見ていただきますと、財産開示手続の申立ては年間で1,000件程度ということになっています。財産開示制度を利用する債権者が有する債権は、犯罪被害者の債権以外の債権も含んでいますので、この数字をどのように見るか、多いかどうかについては、いろいろな御見解がある得るものと思っています。しかし、民事基本法制を預かる法務省としては、金銭債権の実効性確保は重要なことであると考えており、そのため、財産開示制度も含めて更なる検討が必要であるものと思っております。
  • 川出構成員 具体的な数字がわからないという話ですが、例えば、虚偽の陳述等で過料の制裁が科された統計というのは取られているのですか。
  • 法務省民事局参事官 法務省としてはお尋ねの統計を収集していませんので、御質問に回答することはできません。  補足をさせていただきます。先ほどは、恐らく損害賠償命令制度を念頭に置かれていたものと思いますけれども、そういった手続を進めている間に加害者に財産を移転されてしまい、最終的に犯罪被害者の権利が満足されないという問題点を御指摘いただいたように認識しています。本日は、民事執行法上の強制執行制度及び財産開示制度の説明をさせていただきましたけれども、別途、民事保全法という法律があり、この法律上、将来判決を得る可能性のある権利を保全するために債務者の財産を仮に差し押さえる民事保全という制度があります。御指摘いただいた問題点については、この民事保全を利用して対処する、という方法がありますので、併せて紹介させていただきます。  以上です。
  • 椎橋議長 何人かの構成員から御質問がありましたので、被害者に対する損害賠償を可能にする制度というものはどういうものがあって、どのくらい実施されているのかについて、今日の御説明も一般的には非常に専門的なものですから、全体としてこういう制度があって、どのくらい実効性があるのかということを示していただけると大変ありがたいと思いますが、それは可能でしょうか。今後ということでお願いしたいということでございますが。
  • 法務省民事局参事官 債権の満足を得る方法は、裁判所の手続によらない方法もあり、個別の債権回収の実態について調査をすることについては困難な面があります。また、裁判所における各種手続による債権の回収のみについても、制度の運用を担っているわけではない法務省が、個別の事案の内容について調査をするということ自体に限界があります。
  • 椎橋議長 それでは、森山構成員、川出構成員から御質問がありましたけれども、事務局と相談の上、出していただける資料を追加資料として出していただくということでよろしいでしょうか。さらに御意見がありましたら。森山構成員、どうぞ。
  • 森山構成員 調査の方法なのですが、これに関わった代理人にアンケート調査して、実際にそれがどれだけ実績が上がって実効性があるかという一般的なアンケート等をしないと、具体的な実効性が見えてこないと思います。それをやって良かったかどうかという反省も含めて、きちんとそういうデータをつかんでいただかないと。そういう意味では役所だけでは、なかなかわからない数字だと思います。
  • 椎橋議長 そういうアンケートは今の時点ではないですよね。それは事務局に引き取らせていただきまして、検討させていただきたいと思います。
     それでは、この点につきましても何か御意見・御質問がありましたら、事務局にお出しいただければと思います。
     本日の検討事項は以上でございます。
     最後に、事務局から次回の日程に関する連絡がありますので、お願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 次回は6月30日火曜日の午後2時から、場所はこの会議室の隣、特別大会議室でございます。  次回予定されております論点は、男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望に対する対応の検討及び要望意見の整理におきまして、B、つまり担当省庁において御検討いただき、計画案文の提出を求めるとしていたものについてでございます。
     次回会議の開催までの作業手順にあっては、前回までとは若干変更させていただきます。男女共同参画会議の検討結果を踏まえることとされた要望意見及びBとされた要望意見に対する関係省庁の検討結果がまとまり次第、各構成員に送付したいと考えております。これを御覧いただきまして、各構成員の皆様におかれましては、資料受領後約2週間を目途に事務局宛てに御意見・御質問等を提出していただければと思います。これを受けまして、担当省庁において各構成員から提出された御意見を踏まえ、再検討の結果をその1週間後、事務局宛てに御提出いただければと考えております。その上で、次回会議におきましては、構成員からの御意見等に対して担当省庁が再検討した事項を中心に御議論をしていただければと考えているところでございます。
     事務局からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     司会の不手際によりまして予定の時間を大幅に超過してしまいまして、お詫び申し上げます。
     これをもちまして、第18回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終わります。本日は、どうもありがとうございました。
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