第15回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成27年2月17日(火)午後2時00分~午後4時00分
場所:中央合同庁舎8号館8階特別中会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  小西 聖子 武蔵野大学人間科学部教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  中島 聡美 (独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
成人精神保健研究部犯罪被害者等支援研究室長
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  安田 貴彦 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  沖田 芳樹 警察庁長官官房総括審議官兼長官官房審議官
  山本 仁 警察庁長官官房給与厚生課長
  畑山 栄介 総務省大臣官房企画課企画官
  小野瀬 厚 法務省大臣官房審議官
  毛利 栄吉 法務省大臣官房司法法制部付
  岡田 志乃布 法務省刑事局付
  丹羽 雅也 文部科学省大臣官房総務課法令審議室審議第四係
  荻原 和宏 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  舟本 浩 国土交通省総合政策局政策課政策企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価について
  3. 第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点について
  4. 第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定等のスケジュールについて
  5. その他
  6. 閉会

配布資料

資料1 第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価(案)
資料2 第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見の募集結果
資料3 第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見に対する整理(案)
資料4 第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点(案)
資料5 第2次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定等スケジュール(案)

議事内容

  • 椎橋議長 本日は,お忙しいところをお集まりいただきまして大変ありがとうございます。ただ今から,第15回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催いたします。
     まず,議事に先立ちまして,前回の会議で内閣府の犯罪被害者等施策の業務移管についての御説明がございました。その際,次回の会議で政府の決定内容やその経緯等について内閣府の大臣官房総務課から報告する旨の御説明がなされておりました。これに関しまして,本日,内閣府大臣官房の原総務課長においでいただいております。 それでは,原課長,御説明のほうをよろしくお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房総務課長 ただいま御紹介いただきました,総務課長の原でございます。
    お手元の資料の一番上のあたりに「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」という27年1月27日の閣議決定,二枚紙があろうかと思いますけれども,それを参照してください。かけさせていただいてよろしいでしょうか。
  • 椎橋議長 どうぞ。
  • 内閣府大臣官房総務課長 この閣議決定におきまして,現在,内閣府が所管いたしております犯罪被害者等施策に関する事務につきましては,2ページ目の(3)の1にございますように,国家公安委員会に移管するという方針が閣議決定されたところでございます。
    今回の閣議決定は,平成13年の中央省庁等再編以来,府省横断的な政策課題が増加して,その多くが内閣官房・内閣府に集中してきている中で,先般取りまとめられました与党の提言を踏まえまして,内閣官房・内閣府が,内閣が取り組もうといたします政策課題により機動的に対応し,重要政策に関する司令塔機能など,そういう役割により専念できるようにするために,政策の基本的な方向性が定まってきた課題等につきましては,現場に近い各省,あるいは相対的に豊富なリソースを持っている各省に担っていただくということで,政府全体としてのより強力かつきめ細かい政策の推進が可能になるという考え方に基づくものでございます。
     犯罪被害者等施策につきましては,犯罪被害者等が置かれた厳しい状況に行政として対応する必要がございますということで,平成16年の基本法制定以来,内閣府で事務を行ってきたところでございます。その後,2度の基本計画の策定を経まして,その間,被害者参加制度でありますとか損害賠償命令制度の創設,あるいは犯罪被害給付制度の拡充等の成果が上がっているものと認識してございます。
     こういう中で,現場に最も近く,より犯罪被害者等に近い立場で施策を展開していただいております国家公安委員会,警察庁でございますけれども,こちらに業務を移管いたしまして,中心的な役割を果たしていただくことによりまして,政府一体としての取組体制の維持・更なる強化を図っていくということで決めさせていただいたということでございます。
     現在,内閣官房を中心といたしまして,関係法案を今通常国会に提出すべく,準備を進めているところでございます。内閣府といたしましても,この閣議決定を踏まえまして,平成28年の4月に予定されておりますこの移管が円滑に行われますように,必要な対応を行ってまいりたいと考えておりますので,御理解賜りますようにお願いいたします。
     とりあえず以上でございます。
  • 椎橋議長 どうも御説明ありがとうございました。
    ただいまの御説明に対しまして,御質問がございましたらお願いいたします。
     よろしいですか。
     それでは,御質問がないようでございますので,この件についてはこのぐらいにしたいと思います。原総務課長,どうもありがとうございました。
    (内閣府大臣官房総務課長退席)
  • 椎橋議長 それでは,本日の議事及び配付資料につきまして事務局から説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
    それでは,お手元の議事次第を御覧ください。本日の議事は大きく3点でございます。
     まず1点目でございますが,「第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価について」でございます。
     これに関する資料を資料1「第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価(案)」としてお配りしております。
     2点目は,「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点について」でございます。
    これに関する資料を,資料2「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見の募集結果」,資料3「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見に対する整理(案)」,資料4「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点(案)」としてお配りしております。
     3点目は,「第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定等のスケジュールについて」でございます。
     これに関する資料を資料5「第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定等スケジュール(案)」としてお配りしております。
     事務局からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     本日は,現行の第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価とともに,第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおいて検討の対象とすべき論点等について御議論いただきたいと思っております
    。 最初の議題は,「第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価について」であります。これについて,事務局のほうから説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,事務局から御説明申し上げます。
     資料1「第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価(案)」を御覧ください。こちらの評価(案)ですけれども,昨年7月の第13回基本計画策定・推進専門委員等会議において,各省庁から御発表いただきました第2次犯罪被害者等基本計画下における施策の進捗状況と,これに対する委員の御発言等を事務局としてまとめたものでございます。
    書式につきましては,第1次の犯罪被害者等基本計画にのっとった形で,5つの重点課題ごとに,講じられた主な施策を掲げ,評価を記載させていただいております。
     また,第1の2の給付金の支給に係る制度の充実の2ポツ,海外での犯罪被害者に対する経済的支援の部分,さらに4ポツのカウンセリング等心理療法の費用の公費負担につきましては,それぞれ,一部【P】としております。
     いずれも,検討会で御議論いただきまして,推進会議での決定もいただいているところでございます。推進会議決定を踏まえまして,海外での犯罪被害者に対する経済的支援につきましては,昨年の通常国会で,与党より法案が提出され,衆議院解散で一旦廃案となっておりますけれども,今後,動きのある可能性がございます。
     それから,カウンセリング等心理療法の費用の公費負担につきましては,現在,警察庁のほうで研究会が開催されているところでございます。2月6日に取りまとめの報告書の素案について議論されまして,3月上旬ころには最終的な取りまとめがなされるものと聞いておりますので,いずれについても,現段階では【P】とさせていただいているところです。
     専門委員等会議としての評価案につきましては,本年9月ごろに開催予定の専門委員等会議において確定させていただく予定でございますので,それまで,【P】とした部分に動きがある場合には追記させていただきまして,またお示ししたいと考えております。
     以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,ただいま説明をいただきました案につきまして,御意見,御質問がありましたらお願いしたいと思います。どなたからでも御自由にどうぞ。
     どうぞ,中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 すみません。1ページの3番「居住の安定」についてなのですけれども,評価案に「公営住宅への優先入居等にあっては,着実に推進されているといえる」というところがあるのですが,これは各地方公共団体において何か数字のようなものというか,推進されているといえる根拠というか,そういうものはあるのでしょうか。
  • 椎橋議長 この状況について事務局から説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 公共住宅の入居に際して配慮を行う制度の状況ということでございますけれども,平成26年4月1日現在で,都道府県・政令指定都市でそのような配慮がなされているところは,合計で52,市区町村レベルで171でございます。
    こちら,平成25年から見ますと,12の都道府県・政令指定都市,市区町村で純増ということです。今,それより以前の数字が手元にないのですけれども,数が増えているということで一応推進されているという形に事務局案としてはさせていただいているところでございます。
  • 椎橋議長 ただ今の説明でよろしいですか。
     ほかにいかがでしょうか。
     どうぞ。
  • 中曽根構成員 度々すみません。1番の「日本司法支援センターによるカウンセラー費用等の公費負担」についてですけれども,これも昨年度,私,似たような質問もしたと思いますが,あれから約1年近く経ちましたが,実施状況というのはどのようなものですか。
  • 椎橋議長 それでは,この点についてはどなたから説明していただけますか。
  • 法務省大臣官房司法法制部付 法務省の司法法制部からお答えさせていただきます。
    このカウンセラーの公費負担に関しては,残念ながら,まだ実績はございません。実際に利用していただいた例はないと聞いております。
  • 椎橋議長 よろしいですか。
    今の点は,予算は計上されているのですか。
  • 法務省大臣官房審議官 予算は計上されております。
  • 椎橋議長 まだ実施はされてないということですね。
     どうぞ、中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 すみません。今度は2ページ目になりますが,「刑事手続への関与拡充への取組」のところでお聞きしたいと思います。
    資力要件が,確か流動資産が200万以下ということに変更になっていると思うのですけれども,例えば犯罪被害者等給付金が給付されたとすると,それは流動資産の200万の中にやはり入ってくることになるのでしょうか。
    その辺は,例えば犯罪被害者等給付金が支給されたとしても,それを流動資産の中に入れないとか,そのようなことで何か配慮されているようなことはあるのでしょうか。
  • 椎橋議長 今の点については,法務省ですか。
  • 法務省大臣官房審議官 今調べていますが,分かれば後ほど御説明させていただければと思います。
  • 椎橋議長 それでは,分かった時点でお答えいただくということで。
  • 中曽根構成員 すみません。というのは,例えば犯罪被害者等給付金が早目に出るように警察庁のほうがやってくださったとしまして,それが入ることによって逆に流動資産が200万以上になるという場合に,被害者の方を支援するに当たってどのように考えていったらいいのかという部分もありますので,それでお聞かせ願いたいと思いました。
  • 椎橋議長 御質問の趣旨はよく分かりました。今の点については分かった時点でお答えいただくということで,そのほかの点について御質問,御意見はございますでしょうか。
    ほかには御意見,御質問ないようですので,先ほどの御質問でお答えができなかった点についてまた後からお答えするということで,特に今までのところ,構成員の方々の御異論はなかったと思いますので,【P】,ペンディングにしてある部分は別として,資料1に書いてある実施状況の評価案につきましては,当会議としては,これをこういう形で認めるということにしたい,これが当会議の評価だということにさせていただきたいと思います。
    なお,9月に開催予定の専門委員等会議において再度全体をお示しした上で,当会議として最終的な評価案を確定したいと思っておりますが,今日の会議としては,これについては御異論なかったということで進めさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
    (「異議なし」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
     それでは,次の議題に移りたいと思います。「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点について」でございます。これについて,まず事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,議題3「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点について」,事務局から御説明申し上げます。
     資料にあっては,資料2「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見の募集結果」,資料3「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見に対する整理(案)」,資料4「第2次犯罪被害者等基本計画の見直しにおける論点(案)」になります。
     まず,資料2を御覧いただきたいと思います。事務局では,昨年8月から10月にかけまして,犯罪被害者等基本計画の見直しに当たり,新計画に盛り込むべき事項につきまして広く一般の方から書面による要望・意見を募るとともに,希望のありました犯罪被害者団体,犯罪被害者等支援団体から要望・意見を聴取するヒアリングを実施いたしました。
     書面による要望・意見は70人,さらに56団体から提出をいただいたところでございます。また,ヒアリングには,犯罪被害者団体,犯罪被害者等支援団体合わせて25団体に御参加いただきました。
     資料3は,それらの要望・意見を取りまとめた上,事務局として,関係省庁の割り振りと,A~Cまでの整理案を付したものでございます。要望・意見は合計で354件と整理しております。
     なお,この要望・意見整理(案)の関係省庁欄の記載がございますが,こちらは建制順に並べたものでございまして,最初に記載されている省庁が当該要望の取りまとめ省庁を示すという趣旨ではございません。
     また,A~Cの割り振りでございますが,まず,Aにつきましては,これまでにない新たな要望等であったり,重要と思われるものであって,第3次基本計画に盛り込むかどうか,専門委員等会議の場で議論する論点とすることが適当なのではないかと思われるもの。また,Bにつきましては,ひとまず担当の省庁に対応を御検討いただきまして,おって計画案文の提出をしていただこうと考えているもの。
    さらに,Cについては,要望ごとに理由は異なりますが,検討対象外,つまり,専門委員等会議における論点とするべきではないと思われるもの,あるいは疑義があるものというところでございます。
     また,例えば資料3の12ページをちょっと御覧いただきたいと思いますけれども,こちらの一番下,60の備考欄に,「男女共同参画基本計画の見直しの中で…」と記載してございます。
    このようなものが幾つかございますが,これらは主に性犯罪被害者の支援等に関する施策でございます。
     このような性犯罪被害者の支援に関する施策につきましては,男女共同参画基本計画とも競合するところです。
    政府では現在,第4次男女共同参画基本計画の策定にとりかかったところでございます。聞いておりますところによれば,この専門委員等会議で行う犯罪被害者等基本計画案の策定のスケジュールよりも,男女共同参画基本計画の策定のほうが早いペースで進むようでございます。
    したがいまして,この項目につきましては,男女共同参画基本計画のほうの議論を待ち,その内容を見てから専門委員等会議で御議論いただくという形で整理させていただいております。
     また,この要望・意見の整理につきましては,便宜上,第2次基本計画の第1から第5までの重点課題に基づいて記載しているところです。複数の重点課題にまたがるものもあるかと思いますが,そこについては整理せず,最も関係の深い課題のところに整理したと御理解いただければと思います。
     とはいえ,そもそも,第3次計画におきまして,第2次までの5つの重点課題という枠組みをそのまま維持するということでいいのかという議論もあると思いますので,本日,こちらのほうにつきましても御議論いただければと思います。
     この事務局が整理いたしました要望・意見整理(案)を基に作成いたしましたのが資料4の論点表ということになります。専門委員等会議において第3次計画に盛り込むべきかどうか,御議論いただく内容についての論点表ということであります。現段階では要望・意見整理(案)でAとしたテーマを論点表に盛り込んでおります。ただし,この論点表に載っているからといって直ちに第3次計画に盛り込むという趣旨ではございませんで,あくまで盛り込むかどうかも含めて検討すべき論点ということで整理しております。
    専門委員等会議において検討すべき論点はこれでいいか,ほかに盛り込むべき論点はあるかどうかといった点につきまして御議論いただきたいと思っております。
     また,各項目の下において○で掲げている施策等がございますが,こちらは事務局のほうにおきまして,寄せられた要望・意見を踏まえて例として挙げているものでございます。したがって,論点表の中でも「性犯罪」や「性暴力」,あるいは「性虐待」等の用語を使っておりますけれども,これらは寄せられた要望・意見から引用しておりまして,事務局において特に使い分けているというものでもございません。
     論点表がセットになりましたら,計画に盛り込むべき具体的な方策等について,次回以降の検討ということでお願いしたいと思っております。
     事務局からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それではまず,事務局からの説明にもありましたけれども,新たな基本計画においても5つの重点課題をそのまま維持することでいいのかどうか,その扱いについて御意見をお伺いしたいと思います。
    それから,個々の論点で,この論点で議論を進めていくのがいいのかどうか,新たに別に盛り込むべき論点があるのかどうかはその次にしたいと思います。
    まず5つの重点課題という枠組みで進めていっていいかどうかということについて御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
    どうぞ,森山構成員。
  • 森山構成員 この基本方針と重点課題の中で,いわゆる被害者給付の実現策について,国等が一時立て替えて,それを後に加害者に請求するというような,ノルウェーなんかで行われている被害者庁というものがあって,そういうやり方もあるわけですけれども,そういうやり方というのは,この基本方針,あるいは重点課題の中でどこか取り上げられる余地のあるものなのでしょうか。
  • 椎橋議長 立替の問題については,今の重点課題に経済的補償という項目が入っておりますので,その中でそういう論点を取り上げるべきかどうかというような形になると思います。5つの重点課題という枠組みを変えるかどうかという問題とは少し違うような気がいたします。
    事務局から何かありますか。
    それはそれでまた森山構成員のほうから,関係するところでお出しいただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
    ちなみに,今日,机上配付しております犯罪被害者白書の後のほうに基本計画も載っておりますので,逐次御覧いただければと思います。今は枠組みの是非の問題です。私があらかじめ申して予断を与えてはいけないのですけれども,枠組みを変えるというのはやはり事態に相当大きな変化があって,この5つと言うけれども,1つは必要ないとか,あるいは枠組みをこのように変えたほうがいいということがあれば,それはそれでお出しいただきたいと思いますが。なかなか枠組みを変えるということになると難しいかもしれませんね。
    余計なことを言いましたが,御意見がございますか。
    もし御異論がなければ,5つの重点課題という枠組みはこのまま維持するという形で進めていくということでよろしいでしょうか。
    (「異議なし」と声あり)
  • 椎橋議長 それでは次に,こちらのほうがいろいろ御意見いただけるのではないかと思っておりますが,資料3と4について事務局から説明がありました。案として示させていただいております「要望・意見に対する整理」,それから「論点」というのがございますけれども,これについて御意見等がございましたらお願いいたします。
    どうぞ,渡邉構成員。
  • 渡邉構成員 私は,この整理案を見て非常に驚きもして,不満な気持ちも強く持ちました。というのは,被害回復,経済的支援についてでは,先の犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会でこれを検討されたということで,多分私どもの要求,50番と176番になるのですけれども,これが外されたと思うのですけれども,昨年7月14日の13回のこの会議でも,私,言わせていただいたのですけれども,その会議の内容を拝見すると,本当に困っている被害者の立場に立った議論がされてなかったと私は感じました。
    その会議の構成員であったあすの会の松村代表幹事も,取りまとめに関する意見書の中でこう言っているのですね。16回の検討会が持たれたが,名称にふさわしい議論がなされたとは思えない。その検討会では大部分の時間を犯給法の検討に当てて,新しい補償制度の検討についてはほとんどなされてなかった。そういう中で,困っているのは犯罪被害者だけではないのだというような意見も出たということで,本当に犯罪被害者の立場に立った議論がなされたかどうか非常に疑問だと言っているのですけれども,私も全くそのとおりだと思っています。
    確かに自分に責任のない原因で経済的支援が必要だという方もいるというのは承知しています。ただ,私ども,そういう人を放っておいて犯罪被害者だけを助けてくださいと言っているわけではないのですね。そういう人がいるから,あなたたちも我慢しろという論理には全く同意できないと。ですから,全員で健康で文化的な生活を送られる,憲法に保障されたそういう生活が送られるような環境にしてほしいということなのです。
    また,この整理案の備考にも書かれていますけれども,犯罪被害者に特化した制度だけではなくて,国民一般に適用されるような制度があると。それは確かにあります。いろんな制度はあるのですけれども,我があすの会の会員で,事件のために高次脳機能障害を負って仕事に就けない,あるいは身体的に障害を負って仕事に就けない,そういう方々は生活保護を受けて最低の,ぎりぎりの生活を送っているのです。こういう人たちを私たちは何とか救いたいということで,先の検討会で検討された被害回復制度ですけれども,もう一度何とか,本当に困っている被害者の立場に立って検討してほしいと。そういう思いで出したのですけれども,これがCランクで検討外という形なので,非常に納得できないという思いでいます。
    私たち被害者がよく話し合いをする中で出てくる言葉が,この国は犯罪者の権利を非常に尊重して,しかも刑務所の処遇状況は非常に好待遇だと。聞くところによると,個室でテレビ付きの刑務所もあるそうですし,3食保証されているということで,それに比べて犯罪被害者は,少しずつ改善はされてきていますけれども,まだまだそのような状況に置かれている。こういうのは何とか解決してほしいということで,経済的補償制度,新たな,今の犯給法では十分ではないと。
    というのは,今の犯給法が改正されて自賠責並みになったと言われていますけれども,自賠責並みの補償を受けられる被害者というのは,年齢が50代の前半,被扶養者が4人いる,そういう方が被害に遭ったときに2,965万,ほぼ自賠責に近づいてきた。ただし,その年代のその扶養家族のいる方だけです。例えば20歳未満の単身者なんていうと320万,これが最低の金額。これのどこが自賠責並みになったと言えるのでしょうか。全く言葉のまやかしだと私は思います。
    ですから,いまだ犯給法ではまだまだ救えない被害者がたくさんいるということで,新しい制度をどうにかしてつくってほしいと,そういう思いでいっぱいです。私はそのためにこの会議に参加していると思っていますので。
  • 椎橋議長 ただ今の御発言の関連の御意見とか御質問ございますでしょうか。
     ただ今の御意見についてどう扱うかと。具体的にはCではなくてAとして,論点として議論すべきだという御意見だと思いますけれども,これにつきましては,確かに渡邉構成員がおっしゃったように,前の検討会でも議論がなされました。
    ただ,いろいろな構成員の方の御意見がございましたので,結論的には,その検討会で議論した上で,渡邉構成員の御意向に沿うような結論にはならなかったという経過がございます。一応そこで一定の結論が出たということだと思います。
     ですから,私も渡邉構成員の言われることはよく分かりますけれども,一度この検討会で結論が出た場合に,再度その議論をするという場合には,もう一度論点として検討することが説得的だと言えるような理由が必要なのではないかと思います。もし渡邉構成員のほうで,前の議論ではこうであったけれども,もっと違う視点があって,それについて十分に構成員の間で共有されていなかったので,先のような結論になったと。新しい状況とか,あるいは切り口とかいったものを示していただけると議論はしやすいかなと思うのですけれども,その点についてはいかがでしょうか。
  • 渡邉構成員 昨年1月の取りまとめの後,あすの会では,全国に呼びかけて,今でも生活に困っている被害者の情報を出してくれということで募ったのですけれども,大体20数名の情報が来まして,私ども,顧問弁護士と一緒に面談をして,いろいろ状況について聞き取りをしました。それが20数名分ありますので,もしあれだったら,それを来月のこの会議で出すのはやぶさかでないのですけれども。ほかのところでも使おうかなということで,今,精力的に取りまとめているという段階ではあるのですけれども,とりあえず簡単にまとめたものだけはすぐ出せるという状況にあります。
  • 椎橋議長 それも新たな事実として重要だと思いますけれども,前の会議で一番問題になったのは年金制度とか現物支給とか,そういった問題だったと思うのですね。そのあたりのところについては特に変更はないということでしょうか。
  • 渡邉構成員 現物支給については,今現在,労災制度が現物支給だそうなのですね。私は余り詳しくは知らないのですけれども,労災が現物支給できていて,この犯罪被害者のほうが現物支給できないというのは,どうしてもその辺は理解できない。労災なんかでも,これが労災なのかどうかちょっとはっきりわからないというような場合は,とりあえず医療費を立て替えてもらって,後で労災が認定されたらその分はお返しするという形なので,この犯罪被害者の現物支給についても,犯罪被害者かどうか見極めがつかないとか,あるいは過剰医療になるおそれがあるとか,反対のための反対意見と私は思うのですけれども,そういうことで一応見送られたという経緯はあるのですけれども,実際,労災でやっていることができないはずはないと私は思います。
  • 椎橋議長 記憶がそれほど明確ではないのですけれども,その点についてもかなり,前の検討会では議論はされたと思うのですね。先ほど,その後20数名の被害者の方にいろいろ話を聞かれて,こういう今の制度では埋め切れないところがあるというようなことをお伺いしました。それから,あすの会の経済的支援の在り方についての仕組みについて,この点について議論されなかった,こういうところについては全く本質的には議論されてなかったのではないかということがあればもう一度指摘していただいて,というのは,やはり前の検討会の議論とその結論というのは重いものだと思いますので,同じことを繰り返すというわけにはまいりませんので,もう一度,そういった繰り返しではないのだと,新しい検討すべき事実があるのだということをお示しいただいて,論点にすべきかどうかというのをもう一度議論させていただくということではいかがでしょうか。
  • 渡邉構成員 持ち帰ってちょっと検討したいと思います。
  • 椎橋議長 そういうことでお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。
     どうぞ,川出構成員。
  • 川出構成員 整理案での要望事項の振り分けのことなのですが,先ほど60番を例に上げて,これは男女共同参画基本計画の見直しの中で検討がされているので,とりあえずその結果を待つという意味でBになっているということでした。おおむね性犯罪関係の要望事項がそのような位置づけになっていると思うのですが,例えば68番の専用シェルターの整備等はAになっていますね。これは,この事項は男女共同参画基本計画の中では取り上げられていないので,BではなくAに振られているということなのでしょうか。
  • 椎橋議長 どうぞ,事務局からお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 男女共同参画基本計画の中でという整理なのですけれども,まず,男女共同参画基本計画のほうの検討もまだ始まったばかりということで,具体的にこの整理案の中に挙げているものが論点として挙がっているという段階ではまだございません。男女共同参画の中で取り上げられないようなものについてもこの整理案の中に入っているだろうと思っております。ですので,男女共同参画基本計画の中に入ってこないものでも,当然,犯罪被害者等施策として取り上げるべきだというものも出てくるだろうとまず考えております。それは1つ前提でございます。
     御指摘のありました68番につきましては,確かにAにしているのですけれども,これは特に犯罪被害者等の安全・安心の確保という切り口で非常に重要ではないだろうかということで,特に男女共同参画基本計画の議論を待つまでもなく,こちらで議論してもいいのではないかと,そういう考えでAにしているというものでございます。
  • 川出構成員 分かりました。そうすると,逆に,整理案ではBになっていても,男女共同参画基本計画の見直しの中では論点にならなかったということであれば,改めてAという位置づけにしてこちらで取り上げるということでよろしいですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 おっしゃるとおりです。
  • 椎橋議長 それでよろしいですか。
     それでは,どうぞ森山構成員。
  • 森山構成員 ワンストップ支援センター関係,94以降ですね。Bということで,これはこれで各省庁のほうで計画案を立てられるということになるようですが,1つ質問です。169の【被害者参加人の最高裁における在廷権】の備考に,下から4行目から言うと,「『平成19年改正刑事訴訟法等に関する意見交換会』を開催し,制度上及び運用上講ずべき措置の要否等について意見交換を行った。その上で,同意見交換会の議論を踏まえ,法改正を行わないこととしたところであり」ということで,「法改正を行わないこととしたところ」というまとめになっているのですが,こちらのほうの理解ですと,現行法制上難しいということになったのであって,法改正まで行わないというところまで意見が集約されたのかなというのが,その辺ちょっと私らのほうと,この内容に関して,このような内容でいいのかという疑問が1つあります。
  • 椎橋議長 この意見交換会についてですね。これはどういう形でおまとめになったのか,法務省のほうからお願いします。
  • 法務省刑事局付 法務省刑事局付の岡田と申します。お答えいたします。
     この資料に書いている文言につきましては,被害者参加制度等に関するこの意見交換会全般について,最終的に法務省として法改正の必要まではないということになったということを書いておるものでございまして,個別の在廷権の関係について意見交換会において法改正の要否を検討してどうということを書いているわけではございませんで,若干誤解を招く表現になってしまって大変申し訳ございません。
     意見交換会の議論の中におきましては,最高裁において被害者参加人が在廷することについては,現行法上,最高裁判所では被告人が在廷することがそもそもないというところ,あるいは最高裁判所において,法律審というところから被害者参加人が何らかの訴訟行為を行うことが予定されていないというところから,現在の運用として被害者参加人が在廷するということは行われていないという御説明をさせていただいているところでございます。
  • 森山構成員 それに続いてですが,被害者参加人のいわゆる控訴審,上告審における在廷についてはそういうことで,法律上,今の現行制度が在廷まで認められてないということで,旅費,日当の支給ももちろん対象にならないわけなのですが,この辺について,現行の控訴審,上告審での被害者参加人が出席できるというような形の法律の明文化,あるいは,そうでなくても,裁判所から出席を求め,傍聴席で傍聴することになった場合でも,旅費の支給の明文化というか,現実に控訴審,上告審で遠方から,その場合には高裁所在地,あるいは東京に行くことになるわけなので,そういう意味からも,そういうことについての要望が出ていたと思うのですが,これについてはCということで,現在の厳しい財政事情の下ということが主たる原因なのでしょうか。
  • 椎橋議長 今の点についていかがでしょうか。
  • 法務省大臣官房審議官 傍聴等の関係につきましては,例えば168にも出ているところでございます。ここにも書かせていただいておりますけれども,新しい法律が施行されて間もない時期であり,現在の厳しい財政状況の下ではなかなか厳しいのではないかなというのが法務省の考え方でございます。
  • 椎橋議長 森山構成員,よろしいですか。
  • 森山構成員 また後で。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょう。
     小西構成員,どうぞ。
  • 小西構成員 先ほどからも皆様が御指摘の性犯罪被害についての扱いなのですけれども,男女共同参画のほうの議論を待ってというのは,それは分かるのですが,そうだったら,そのことを明示する形にしていただけると,要するに,Bの扱いの中でも,内容を読むと確かに男女共同参画のほうの結果を待って議論するみたいな形に書いてあるのですけれども,ほかのところでは,Bは,各省庁からの答えをもらうというところで止まっているBもあるわけで,それが一目で分かるようになってないのは分かりにくいと思うのですね。
    もし今みたいな御返事がいただけるのであれば,それは何か,さっきの【P】みたいな形で書いていただいたほうが,とても重要な問題だと思うけれども,順番があるということで納得できますけれども,いかがでしょう。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 大変失礼いたしました。御指摘のとおりだと思います。性犯罪被害者支援のところで,男女共同参画と競合すると思われる点,ちょっとまた別に整理したものを提示させていただければと思っております。
  • 椎橋議長 そのほかにいかがでしょうか。
     どうぞ,中島構成員。
  • 中島構成員 共通性のあるテーマのことについて幾つかの意見から出されていますが,多少扱いが異なるのではと思うことがあります。今回,性暴力被害者のシェルターを重点的に取り上げるということで,非常に有用で重要な視点と思思うのですが,もう一つ大事なこととして,児童虐待,特に性暴力被害に遭った子どもたちに対するケアをどのようにしていくかということがあります。,例えば116ですが、。【被害児童に対する国費による専門的治療等】ということの中で,子どもたちのカウンセリングを,専門家を養成して積極的に進めていこうということがあげられており非常に重要な課題だと感じております。 また,同様の内容で141ですが、。近親姦を受けた子どもに対しての専門的知識を持ったスタッフを配置していくということが書かれており。,これもまた大変重要であり、Aとして取り上げられているいます。しかし,161ですが、性犯罪被害者からの事情聴取技法の確立になると,司法面接の取扱がBになってきています。そちらも,備考に書かれているように,確かに録音・録画制度というのはこれに限ることではないので,内閣府だけで推進できるものではないと思うのですが,その前との絡みでいくと,司法面接という言葉を使うか使わないかは別にしても,子どもの将来的なケアを考えた場合に,事情聴取と司法の場における子どもの2次被害防止等については,こちらでもう少し強く取り上げてもいいのではという感じがします。ですから、ここの前段部分についてもAでもいいのではないかと感じた次第です。
  • 椎橋議長 161をBとCにしたと。これについては何か補足されることありますか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課長 警察庁でございます。
     ここがBになっておりますのは,司法面接を刑事手続の手段として使うということではなく,技法として事情聴取の中で活用することにつきまして、非常に有用であり,既に全国警察への指導徹底を継続して行っているということで,Bとさせていただいたものでございます。
  • 椎橋議長 もう現実におやりになっていると。それを普及していきたいということですね。
  • 警察庁長官官房給与厚生課長 そういうことです。
  • 椎橋議長 警察庁のほうでやっておられるということで,各省庁でできることは各省庁でやるということでBになっているという御説明でございました。
    ほかにいかがでしょうか。
     どうぞ,渡邉構成員。
  • 渡邉構成員 すみません。ちょっと何番に書いてあったか覚えてないのですけれども,たしか犯罪被害に遭った子どもの兄弟のカウンセリングとかなんとか,そういう部分があったような気がするのですね。今現在は,兄弟の場合は全く忘れ去られているということで,うちの会員にも,15年前の事件,当時小学生だった弟さん,その子が20歳を過ぎて,今,多分その影響だろうというようなのが現れている会員がいるのですね。ですから,被害に遭った被害者の兄弟のカウンセリングとかそういったものもこれから必要になってくるのではないかなという思いがあります。
  • 椎橋議長 事務局のほうで,それはどこだか分かりますか。それは,御記憶ではBとかCになっていたのですか。
  • 渡邉構成員 BかC,どっちかだったような気がするのですが。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
     御指摘の点ですけれども,すみません。要望・意見の中で兄弟に特化した要望があったという御指摘でよろしかったでしょうか。
  • 渡邉構成員 見たような記憶が片隅にあるのです。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 すみません。ちょっと今探しているところなのですけれども,それはそれといたしまして,資料の3で「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援」というものが書かれているのですけれども,その中に「犯罪被害に遭った子ども及びその家族に対する支援」という項目を掲げております。これはもちろん,被害に遭った子供もそうですけれども,その家族というのは親だけでなくて兄弟等も含むと,そういう趣旨で記載させていただいておりますので,当然,論点にすべきだろうとは事務局としては考えております。
  • 椎橋議長 ほかにはいかがでしょうか。
     どうぞ,中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 すみません。176番,【被害者参加制度の拡充】ということで,これもやはりCになっているのですが,実際に支援していて思うのに,公判前整理手続のときに,被害者,あるいは被害者参加弁護士が出席できないという現実は,やはり被害者の方,御遺族とかにとってはとても耐えがたいことというか,心情を理解してもらえないこともあるので,何とか参加,出席できるようにならないものかなあと思っていましたが,これがやはりCになっているというのは,法務省の中で,既にこのことについて,話し合われていて,結論が出ているのかどうかということと,それから,347番,【マスコミによる二次被害の防止】で,メディアの表現の自由だから,それはもう犯罪被害者等施策の枠を超えていると書いてあるのですが,例えば被害者支援に対しての啓発を行うという点で,例えばマスコミにも理解してもらうような方法を考えるとか,できないものでしょうか。
  • 椎橋議長 まず最初の御質問については法務省のほうから御説明いただければと思います。
  • 法務省大臣官房審議官 公判前整理手続等のこの関係につきましては,この備考に書いてあるとおりでございまして,昨年の7月まで意見交換会で様々な御意見をいただいたところでございます。そういった御議論を踏まえて,法務省としては,法改正は行わないと考えているものでございます。
    なお,この検討会の開催後でございますが,昨年の10月に最高検が通達を出しました。公判前整理の経過,あるいは結果というものはきちんと適宜の時期に説明するという趣旨の通達です。
  • 椎橋議長 仄聞するところによりますと,公判前整理手続でどういう論点,証拠を整理するかということについて,検察官と被害者参加弁護人の方とで相談して,被害者参加弁護人の方,あるいは被害者参加人の方の意見がそこに反映されるようにすると。実務上それはやっていけるのではないかということも伺っておりますけれども,そういうことでしょうか。
  • 法務省大臣官房審議官 はい。通達もその趣旨でございます。
  • 椎橋議長 前半の御質問に対する回答にはそれでよろしいですか。
  • 中曽根構成員 はい。
  • 椎橋議長 後半のマスコミによる二次被害との関係,これはどなたかから御説明いただけますでしょうか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 御指摘の点は大変重い課題であろうとは思います。ただ,この2次計画の推進の過程の中で見ておりますと,私ども,認識不足の部分があればまた御指摘いただきたいのですけれども,メディアの取材・報道等によって直接的に被害者の権利なりプライバシーを侵害して大問題になったということについては,余り大きな論点となった事案を認識してないというのが1点ございます。
    それと,メディアの側も,いろいろお聞きしている中では,メディアスクラムの問題であるとか,あるいは被害者の人権,プライバシーという問題について,各社ごとに,あるいは新聞協会等においていろんな自主的な取組もなされていると承知しているところでございます。
    その意味で,新たな具体的なこういった問題があるのではないかという御指摘があれば,御提示いただければと思いますけれども,現時点においては,国として,メディアの取材・報道等について直接的に何か申し上げるということに至るような状況ではないのではないか。それでも,なお,メディアの側の理解の促進とか,あるいは具体的な活動の在り方について御指摘あるということであれば,被害者支援団体,あるいは被害者団体等の皆様が直接そのメディアの側と意見交換会とか懇談の場を持つということは考えられるのではないかなとは思っているところでございます。
  • 椎橋議長 中曽根構成員,よろしいですか。
    それ以外にございますでしょうか。
    どうぞ,瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 これまでの議論を聞いた中での若干の要望です。先ほどの男女共同参画基本計画の見直しという点もそうですし,今,議論されました平成19年改正刑事訴訟法等に関する意見交換会もそうなのですが,どちらも当会議にとって重要なものだと思います。構成員の中で理解の食い違いというほどではなかったかもしれませんが,理解の濃淡あるように感じられます。男女共同参画基本計画については,どんな趣旨でどんな論点でどんな議論をしようとしているのか,アウトラインで結構ですので,簡単なものでも出してもらえないでしょうか。
    それからもう一つ,平成19年改正刑事訴訟法等に関する意見交換会のほうですが,これは取りまとめされたかどうか存じませんが,これも重要な意見交換会と聞いておりますので,取りまとめがあるのなら取りまとめたもの,それに関連した通達が出ているのであれば,通達を出していただけないでしょうか。我々の理解を共通にする,深めるためにもそういうものが必要ではないかと考えますので,可能であればということで御検討いただきたいと思います。
  • 椎橋議長 男女共同参画のほうは日程の関係もあると思うのですけれども,ただいまの瀬川構成員の御意見,重要だと思いますので,それを踏まえて,どういう議論の経過になっているのか知りたいところです。それから,もう一つの19年改正刑事訴訟法に関する意見交換会ですね。これについて,どのぐらいの資料を出していただけるかということはあると思いますのが,それでは最初のほうから説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 男女共同参画の関係ですけれども,起草ワーキングチームというものをつくって,そちらのほうで,現在,非公開で検討されていると承知しております。そちらのほうの事務局とも御相談した上で,明らかにできるものは明らかにさせていただきたいと思っております。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省も,御指摘の点について検討させていただきたいと思います。
  • 椎橋議長 それぞれについてよろしくお願いしたいと思います。なるべく早いほうがよろしいということですね。ほかにいかがでしょうか。
    どうぞ,中島構成員。
  • 中島構成員 質問です。第2次基本計画の見直しにおける論点(案)の2の「犯罪被害者等を支える気運の醸成」というところで,「効果的な広報啓発活動の実施」の中で「交通犯罪の悲惨さを伝える啓発ポスターの作成」とあり,もちろんこれに反対するということではないのですが,交通犯罪に限定されることの要望がみつけられませんでした。これは、要望が交通犯罪だったからということでしょうか。
  • 椎橋議長 これについて,事務局から説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 交通犯罪についてという要望があったから例として挙げたという趣旨でございます。特にそれに限るとかそういう趣旨では,事務局ではございません。
  • 中島構成員 交通犯罪はもちろん重点的でありますけれども,犯罪被害全般に関してという解釈で論点として取り上げるという理解でよろしいですか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 おっしゃるとおりです。あくまで例として挙げたということでございます。
     ちなみに,要望番号といたしましては320番のほうで,「啓発ポスターには,高速道路のサービスエリア等に展示されているような事故の現場写真を載せてほしい」という要望があったところでございます。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょうか。
     どうぞ,小西構成員。
  • 小西構成員 論点のほうで質問していいようなので,ちょっと続けて。すみません。  男女共同参画とあわせて考えるということになると,多分そこから抜け落ちるのが,女児は多分男女共同参画の中でも一つのテーマとして扱われていますけれども,例えば男性の成人の性被害がありますし,性的虐待のサバイバーも結構いるわけですけれども,ある意味では,この要望にも挙がってこないぐらい挙がりにくいものだとも言えますね。
    3のところの「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援」という,そのくくりはとてもいいと私は思っています。外国人・障害者,性的マイノリティという形で書かれていて,子どもも女性も書かれているのだけれども,性犯罪被害の圧倒的なマイノリティは,もう一つ,男性というのもあるけれども,全くなしで大丈夫か。出てないと何もとれないということなのか,そういうことも含めて議論できるようにしておいたほうがいいのではないかなと思います。高齢者というのも,なかなか要望も挙がってこない被害者としてあるのですけれども,そのあたりはどのようにお考えになるか,ちょっと質問したいです。
  • 椎橋議長 ただいまの点についてどうでしょうか。ある民間の被害者支援団体,性犯罪被害について,かなり重点的にというか,真剣に取り組んでおられる民間の支援団体によりますと,性犯罪被害の相談申出2割ぐらいが男性の被害者だというところもあるようですので,無視はできないと思いますね。それは排除するということではないですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 全く排除するという趣旨ではございませんで,そういったものも広くということで一応考えております。
  • 小西構成員 多分,趣旨はそうだろうとは思うのですけれども,これだけそれぞれ特定して書いてあって,全然ないというのはどうなのかなとちょっと思いました。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 委員御指摘のとおりだと思います。そういう意味で,「潜在化しやすい」という大きなくくりの中で,代表的と思われる事例といいますか,被害者の類型をここに挙げているという理解で,「等」という形で表現しているつもりでございます。ここに挙げているもの以外でも,例えば,非常に同調圧力の強い閉鎖的な集団の中での,権力的な状況の中での被害だとか,あるいは,犯罪と言えるかどうかの問題はあるかもしれませんけれども,いわゆるハラスメントと言われるような状況の中で,声に出しにくい犯罪被害が生まれているということもあり得るかと思いますので,幅広く,こうした被害についても取り上げるべきではないかという御意見をいただいて検討していければなと思っております。
  • 小西構成員 ちなみに,男性の性被害は,数はすごく少ないのですけれども,アメリカの疫学調査では,女性よりもPTSDの発症率が高くなっております。そういう点では,声も挙げられずに具合が悪い人がいることは事実なので,それはどこかでちゃんと含められるようにしていただければと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょう。
     それでは,この要望番号354項目あるので,大変たくさんある中でいろいろ御意見をいただきまして,ありがとうございました。今日いただきました御意見を踏まえまして,もし修正すべきものがあれば修正して,今日はそれほど修正すべきだとされたような感じではないと思いますけれども,またもう一度論点として出したいという部分もありましたので,次回の会議において再度この点についてお諮りしたいと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。
     それでは,この点についてはこのぐらいで終わりにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
     それでは,法務省から先ほどの御質問,お答えできるということなので,中曽根構成員の御質問に対してお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  • 法務省刑事局付 法務省の岡田と申します。
     先ほどのお尋ねにつきまして,大変遅くなりまして申し訳ございませんでした。被害者参加人の国選弁護に関する資力要件における資力の関係でございますけれども,ここで言う資力というのは,参加人の方がお持ちになっている流動資産,現金等ということになっておりますので,お持ちになっているお金がどこから来たのかということについてまで調べることは困難ということになりますので,例えば保険金が入ったとかそういったものも含めて,お持ちになっている現金の中には犯罪被害者等給付金で受け取られたお金も入ってくるということにはなろうかと思います。
    実質的には,この法律上,療養費等の控除ということがございますので,実質的に被害に遭ったことによる治療費等でかかるお金があるという部分についてはそちらで控除されるということにはなりますが,犯罪被害給付金として受け取られたお金が資力の中に入るかという御質問につきましては,現金等という形で入らざるを得ないのかなと考えております。
  • 椎橋議長 よろしいですか。
     それでは,次の議題に入りたいと思います。「第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定等のスケジュールについて」でございます。これについて,まず事務局のほうから説明をお願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,今後の検討の具体的なスケジュールということで説明させていただきます。資料5を御覧ください。 こちらは,以前,第13回のときにお示ししたスケジュールにつきまして,もう少し具体的に記載したものでございます。次回以降,3月からということになりますけれども,本日御議論いただきました論点表に従って御検討いただきたいと思っております。本日,論点表につきまして,渡邉委員のほうから,犯罪被害者補償制度について加えるべきだという御意見をいただきましたので,まだ論点表自体はセットになっていないというところでございますけれども,資料4の論点表の1,「地方公共団体における犯罪被害者支援の充実促進」及び2の「犯罪被害者等を支える気運の醸成」といったところにつきまして,論点として取り上げることについては特に御異論もなかったということで御承認いただいたと理解しております。ですので,次回は,今申しました1と2の点について御議論いただければと思っております。
     具体的な進め方でございます。まず,会議の2週間前までに,次回の論点で取り上げる各論点につきまして,関係省庁から現在の取組状況や見解,それから新たに考えられる施策等についての資料をお出しいただきまして,各構成員にお送りしたいと思っております。会議の2週間前までにお送りするということでございます。それを御覧いただきまして,会議の1週間前までに,これらに対する御意見,御質問等がありましたら,構成員の皆様から事務局に御提出いただきたいと思います。それを担当省庁のほうに回付するということで考えております。これらの作業は,会議の間の日程を使って行うということにいたしまして,会議当日は,構成員からの御質問等に関係省庁がお答えした上で,具体的な施策について御議論いただくという形で進めたいと考えております。
     また,6月と7月の会議におきましては,先ほど来御説明させていただいております男女共同参画基本計画と競合するものについての御議論もあわせていただきたいと思っております。今伺っているところでは,男女共同参画基本計画の素案が決定されるのが5月下旬ころということでございます。その素案も踏まえまして,6月7月の専門委員等会議で御議論いただくというふうに考えております。
     また,6月,7月,それから9月の会議では,もともと要望・意見整理案でBとされていたものにつきまして,関係省庁から提出された案文,さらに論点の検討の結果,3次計画に盛り込むこととなった施策の案文についても御検討いただくということで考えております。
     さらに,こちらには記載していないのですけれども,昨年7月の第13回の専門委員等会議で御報告いたしましたとおり,児童ポルノ禁止法に基づく検証というものを専門委員等会議でやっていただく必要があろうかと思います。こちらにつきましても,事務局といたしましては,10月までのどこかで実施する必要があると考えているところです。
     ただ,こちらは社会保障審議会と連携の上ということでございますので,厚生労働省とも現在調整中でございます。そのため,現段階で具体的なスケジュールまでちょっとお示しすることができませんので,またおって御説明させていただきたいと思っております。
    10月以降のスケジュールにつきましては,第13回でも御説明させていただいたとおりでございます。
     大変タイトなスケジュールで恐縮でございますが,よろしくお願い申し上げます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ただいまの説明にありましたように,これからは非常にタイトなスケジュールになるということで,構成員の皆様方には,あるいは関係省庁の方々にもその準備をお願いするということで,皆様に大変御苦労,御尽力をお願いするということになります。
    今のスケジュール案について,御意見,御質問がありましたらお願いしたいと思います。
     このタイトなスケジュールでやっていくということについて御同意をいただくということになりますが,よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。それでは,今後,説明があったようなスケジュールに沿って作業を進めていきたいと思います。
    それでは最後に,事務局から次回の日程に関する連絡がございますので,お願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,次回の日程について御連絡申し上げます。
     次回は,3月16日(月曜日)午後2時から,場所は,本日の会場の隣でございます特別大会議室を予定しております。
    議事ですけれども,本日御検討いただきました論点表の「1」と「2」を論点とすることに御了解いただきましたので,この点についての御議論等をいただきたいと思っております。
    会議開催までの作業手順は,先ほど御説明申し上げたとおりでございます。関係省庁から提出のありました各論点に係る取組状況や見解等を,次回会議開催の2週間前までに各構成員に送付させていただきます。これを受けまして,各構成員の皆様におかれましては,次回会議開催の1週間前までに,事務局宛てに御意見や御質問等を提出いただければ幸いでございます。
    以上です。
  • 椎橋議長 これをもちまして,第15回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終わります。前は長引く会議が多くあり申し訳なく思っておりましたが,今日は予定より大分早く終わりまして,少しほっとしております。今後ともよろしくお願いいたします。
    本日はどうもありがとうございました。
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