第14回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成27年1月26日(月)午後4時00分~午後6時00分
場所:中央合同庁舎8号館8階特別大会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  小西 聖子 武蔵野大学人間科学部教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  中島 聡美 (独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
成人精神保健研究部犯罪被害者等支援研究室長
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  安田 貴彦 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  沖田 芳樹 警察庁長官官房総括審議官兼長官官房審議官
  阿武 孝雄 警察庁給与厚生課犯罪被害者支援室長
  畑山 栄介 総務省大臣官房企画課企画官
  小野瀬 厚 法務省大臣官房審議官
  徳久 治彦 文部科学省大臣官房総括審議官
  荻原 和宏 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
  舟本 浩 国土交通省総合政策局政策課政策企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 犯罪被害者支援法施行規則の改正について
  3. 諸外国における犯罪被害者等への支援の現状について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料

資料1 犯罪被害者支援法施行規則の改正~親族間犯罪における支給特例の拡大~
資料2 海外の制度等に係る有識者等ヒアリング(海外調査)について

(第13回基本計画策定・推進専門委員等会議資料5抜粋)
資料3 諸外国における犯罪被害者等への支援の現状について
資料3-1 被害者の安全を確保するための取組について
資料3-2 被害が潜在化しやすい被害者への支援について
資料3-3 民間支援団体との連携・協力について
資料3-4 被害者を支える気運を醸成するための取組について
資料3-5 その他のヒアリング項目について

議事内容

  • 椎橋議長 本日は,お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから,第14回の「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催いたします。
    まず,議事に先立ちまして,皆様方,報道等を通じて御存じかもしれませんけれども,現在,内閣府の犯罪被害者等施策の業務移管が検討されているということでございます。御関心のあるところかと思いますけれども,これに関しまして内閣府のほうから御説明がありますので,お聞きしたいと思います。
    内閣府の共生社会政策総括担当の田中参事官補佐に来ていただいております。よろしくお願いいたします。
  • 参事官補佐 田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。共生社会政策担当で総括担当の参事官補佐をしております田中と申します。
    本日,当初,私の上司であります参事官の三上から,業務移管に関する検討の状況について御報告させていただく予定でございましたけれども,急遽,国会対応の関係でこちらに出席かないませんで,代わって私のほうから御説明申し上げます。
    内閣官房及び内閣府の事務につきましては,平成13年の中央省庁等の改革で内閣府が発足したわけですけれども,それ以来多くの施策が追加されてきている状況でございます。こうした状況も踏まえまして,昨年11月でございますけれども,自民党の行政改革推進本部におきまして,「内閣官房・内閣府のスリム化について」と題する提言が取りまとめられまして,その中において,犯罪被害者等施策については,第2次犯罪被害者等基本計画終了時,これは平成27年度末でありますけれども,警察庁に移管するとされたところでございます。
    この提言では,省庁再編後,第2次安倍政権発足以前までに,内閣官房・内閣府に追加された業務,これを中心として点検・見直しを行ったということで,平成16年に基本法が制定され,平成17年に施行された犯罪被害者等施策についても,この点検・見直しの対象となったと承知しております。
    先週23日,金曜日でございますけれども,自民党行政改革推進本部と公明党行政改革推進本部の連名で,11月の自民党提言とほぼ同様の内容の提言を安倍総理に渡されたと承知しておりまして,週末,一部新聞等でも報じられているところでございます。
    政府におきましては,基本的には与党の提言を尊重するというスタンスで,内閣官房行政改革推進本部事務局を中心としまして対応を検討してきているところでございまして,内閣府におきましては,大臣官房において検討や関係府省庁との調整を担っております。現在,調整の最終段階にございまして,基本的には与党の提言を踏まえる形で,近日中に政府としての対応について決定が行われる方向と承知しております。
    施策の担当部局である共生社会政策担当といたしましては本日は以上の御報告にとどめさせていただきまして,政府としての決定の内容ですとか経緯等については,次回,2月17日と承知しておりますけれども,会議の場におきまして,内閣府の大臣官房総務課のしかるべき者より御報告・御説明させていただきたいと考えておるところでございます。
    以上,内閣府の業務の見直しの現在の状況について御報告申し上げます。何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ただいま,内閣府から犯罪被害者等施策の業務移管について御説明いただきました。今お話ありました状況でございますので,この件に関しての御質問があります場合には,後ほど事務局にお寄せいただきまして,後日御回答いただくということにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 田中参事官補佐,どうもありがとうございました。
  • (参事官補佐退席)
  • 椎橋議長 それでは,本日の議事及び配付資料について,まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,お手元の議事次第を御覧ください。本日の議事は2点ございます。
    まず1点目でございますが,「犯罪被害者支援法施行規則の改正について」でございます。前回の会議以降に進展が見られた施策について,警察庁から提出のあった資料を資料1としてお配りしております。
    2点目は,「諸外国における犯罪被害者等への支援の現状について」でございます。前回の会議でお配りしましたヒアリングの項目を記載したペーパーを資料2として,海外の状況に関する有識者からのヒアリングの結果を資料3としてお配りしております。
    事務局からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,議事に入る前に,前回の会議以降新しく構成員となられた方を御紹介させていただきたいと思います。
    まず,昨年8月4日付で,今林顯一総務省大臣官房総括審議官,今別府敏雄厚生労働省政策統括官がそれぞれ任命されておりますが,本日は御欠席ということで,代理の方が出席されております。次回以降に御挨拶いただくことにしたいと思います。
    それから,本日付で,沖田芳樹警察庁長官官房総括審議官が任命されました。沖田総括審議官は遅れて御出席いただく予定でございますので,出席次第,一言御挨拶をお願いしたいと思います。
    それでは,議事に入りたいと思います。
    まず最初に,「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」の取りまとめにおいて提言されました犯給制度の特例の拡大につきまして,規則改正がされたということでございますので,警察庁からその点について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁の犯罪被害者支援室長の阿武と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
    今日は,先ほど御紹介ありましたように,本来,総括審議官の沖田から説明する予定でございましたが,ちょっと遅れて参りますので,代わりに私から説明をさせていただきます。
    それでは,犯罪被害者支援法施行規則の改正について御説明させていただきます。昨年1月に「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」で提言が取りまとめられまして,犯罪被害給付制度における親族間犯罪被害者への支給に関しまして,配偶者暴力被害以外にも全額支給又は減額割合を3分の1までとする特例を認めるべきであるとの結論を得られたこと等を踏まえまして,昨年10月,親族間犯罪における支給特例の拡大を内容とする犯罪被害者支援法施行規則の改正を行いまして,同年11月より施行となっております。
    改正の内容は資料を見ていただければと思いますが,大きく2点でございまして,まず1点目でございますけれども,改正前の規則におきましては,犯罪被害者等と加害者との間に兄弟姉妹の関係がある場合には,犯罪被害者等給付金は原則不支給とされておりましたけれども,今回の改正によりまして,不支給とするのは同居の兄弟姉妹に限り,別居の兄弟姉妹につきましては,原則3分の2減額した額を支給するという支給特例の拡大を図っております。
    2点目につきましては,改正前の規則におきまして原則不支給となります夫婦,直系血族,兄弟姉妹,それから,原則3分の2減額となります3親等内の親族の間で発生しました親族間犯罪被害につきまして,不支給・減額とすることが社会通念上適切でないと認められる特段の事情があることによりまして,減額割合が例外的に減るという場合でありましても,いわゆるDV防止法の保護命令が発せられているとき,またはこれに準ずる事情があるときに限り,全額支給できましたが,今回の改正により,当該犯罪行為が特段の事情に該当した上で,生命・身体に重大な危険が生じていたような児童虐待,高齢者虐待,障害者虐待と認められるとき,またはこれに準ずる事情がある場合におきましても,最高で全額支給することができるというような改正を行ったものでございます。
    この規則に関しましては,昨年8月22日から9月20日までの間,パブリックコメントを実施しました後,同年10月10日に公布されまして,11月1日より施行となっております。
    それから,規則改正に加えまして,もう一件,補足で御説明させていただきます。前回の会議で御報告させていただいておりました国外犯罪被害者の遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案につきましては,昨年の通常国会におきまして与党から衆議院に対し提出されておりましたけれども,先の臨時国会の衆議院解散に伴い廃案となっておりまして,今後も同法案の再提出等の動向に応じ,適切に対応してまいりたいと考えております。
    警察庁からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,ただいまの警察庁の御説明につきまして御質問がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
    どうぞ,川出構成員。
  • 川出構成員 改正内容の2のほうは,検討会の提言が反映されたものだと思うのですが,1のほうは,必ずしも提言では触れられていなかったように思いますので,改正の考え方,あるいは趣旨を若干説明していただけないでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 それでは,警察庁から説明させていただきます。
    まず,今回の規則改正以前,原則不支給となります,規則第2条に掲げる夫婦,直系血族,兄弟姉妹の間で行われた犯罪のうち,特例で全額支給が可能であったものは夫婦間のDVのみでありました。検討会の取りまとめで,先ほど申し上げたような親族間の支給拡大について提言を受けたところでございます。
    そこで,御指摘いただきましたように,2点目のところで,夫婦間での犯罪被害に加えまして,親子間で主に行われるであろう可能性の高い虐待の関係を手当てさせていただきました。そうした中で,規則第2条に掲げられている兄弟姉妹のところでも何らか手当てができないものかと考えまして,別居と同居という形で差がつけられるのではないかと検討したものでございます。
    実際の犯罪の発生状況を見ますと,兄弟姉妹間で発生しております殺人事件等におきましては,大体3分の2の事件が同居であるのですが,3分の1は別居ということになっておりまして,通常,別居の兄弟,特に成人して以後,人間関係というのは親子関係よりも若干疎遠と言っては何ですが,不慮性が高い状況もあろうかと思います。実際の犯罪を見ましても,他の不慮性が高い事件と比較して,やはり救済すべきような事情がある事件というものもございますので,そういった観点から,別居の兄弟姉妹に関しまして,規則第2条の全額不支給から1つ緩和した形での3分の1支給,つまり3分の2減額というカテゴリーに整理させていただいたところでございます。
    以上です。
  • 椎橋議長 よろしいでしょうか。
    そのほかにございますでしょうか。
    それでは,ないようですので,第1の議題についてはこのぐらいにさせていただきたいと思います。
    続きまして「諸外国における犯罪被害者等への支援の現状について」ということでございますが,今回,資料2としてお配りしております「海外の制度等に係る有識者等ヒアリング(海外調査)について」のヒアリング項目に沿って,有識者の方々からヒアリングを行いました。その結果について事務局のほうから報告していただきたいと思います。
    少し説明しますと,ヒアリングに当たりましては,イギリスにおける被害者支援の状況につきましては奥村正雄同志社大学大学院教授から,ドイツにおける被害者支援の状況につきましては滝沢誠専修大学法科大学院准教授から,さらに,アメリカにおける被害者支援の状況については新恵理京都産業大学准教授から,それぞれヒアリングを行っております。 同時に,常磐大学の国際被害者学研究所からも御協力をいただいたところでございます。
    それでは,事務局のほうから説明をお願いしたいと思いますが,項目が多数ございますので,まずは資料3の項目に沿って,「資料3-1 被害者の安全を確保するための取組について」,それから,「資料3-2 被害が潜在化しやすい被害者への支援について」まで御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
    ただいま議長からも御紹介がありましたが,今回,イギリス,ドイツ,アメリカについて各先生方から御協力をいただいております。そのほか,フランスについても一応実施を検討したところでありますが,今回,ヒアリングを実施するタイミングにちょうど都合よく御協力いただける先生を事務局において見つけることができませんでしたので,今回は見送らせていただいております。また,前回会議におきまして承認されましたヒアリング事項について,ヒアリングのみならず,常磐大学等にも御協力いただきまして,文献等の調査を行いました。できる限り明らかにしようとしたところではございますが,情報が得られなかった部分もあることにつきまして御容赦いただければと思っております。
    また,私の御説明の後,質疑応答の時間がございますけれども,事務局として直ちにお答えできないものもあろうかと思います。それにつきましては一旦引き取らせていただきまして,ヒアリングに御協力いただきました先生方から再度ヒアリングするなどして,できる限り回答させていただきたいと思っております。
    説明は,配付資料3に従って適宜要約,省略しながら説明させていただきます。また,机上に参考資料ということで文献を翻訳したものを置かせていただいております。こちらは常磐大学から提供いただいたものでございまして,私の御説明の中では特には触れませんが,御参考になさっていただければと思っております。
    それでは,資料3ということで御説明を差し上げます。まず,1枚おめくりいただきまして,2ページでございます。御参考までということで,「ヒアリング対象国の状況について」書かせていただいてございます。特段説明しませんが,御覧いただければと思います。
    それから,本日説明の中で,現地の通貨単位で示されている金額等がございますが,こちらにつきましては事務局のほうで邦貨換算を行っておりまして,その際に使用したレートにつきましては資料の2ページに記載のとおりでございます。
    続きまして3ページでございますけれども,参考情報ということで,EU加盟国のドイツにつきまして,ドイツ法とEUの関係等について,滝沢准教授のほうから御説明いただいております。すみません。こちら,時間の関係で飛ばさせていただきます。
    そして,同じページの下ですけれども,「アメリカの被害者支援の状況に関するヒアリングについて」というのがございます。アメリカについてですけれども,皆様御承知と思いますけれども,州によって法制度が異なっております。今回は,新准教授自身が調査を行っているペンシルベニア州について主に伺っております。同様の取組が他州で行われるとは限らないという点に御留意いただければと思います。
    また,今回,アメリカの民間の被害者支援センターとして,ペンシルベニア州のチェスター郡犯罪被害者支援センターについて御紹介いただいております。こちら,民間の被害者支援センターの設置状況も州によって非常に異なっておりまして,レイプ・クライシス・センターしか設置されていない地域もあるということでございます。しかしながら,各地では被害者支援センターという形でなくても,民間の団体が支援を提供している場合もあるということでございました。
    それでは,資料3-1を御覧いただければと思います。被害者の安全を確保するための取組ということで御説明いたします。
    まず,「1 身体的安全確保のための取組」について,アメリカの取組で参考になるものということで(1)で御紹介しております。「ア 児童虐待の報告義務について」ということで,児童虐待の被害者を更なる被害から守るための取組ということでございます。
    ペンシルベニア州のチェスター郡ですけれども,児童虐待についての対応はチルドレン・ユース・ファミリー(CYF)という郡の機関で対応しております。同郡では,子供と接する専門職に従事している者につきましては,虐待の事実を知った場合に,それを報告するということが州法で義務付けられておりまして,虐待が疑われる場合でも報告しなければならないとされているところです。
    報告を怠った場合は処罰の対象になり,また,虐待の事実を知りながら報告せず,その結果,子供が重傷を負ったり死亡するような重大な結果が生じた場合には,報告義務違反で逮捕されることもあり得るということでございます。単純な報告ミスであっても,禁固刑,あるいは禁固の代わりに罰金,重大な結果をもたらした場合にはさらに重い禁固刑,それに加えて(あるいは禁固の代わりに)罰金ということでございます。
    この児童虐待事案に対応するための関係機関の連携について,イを御覧いただければと思います。例えば教師等がCYFに虐待の疑いを報告すると,CYFは警察に報告する。そして,警察は24時間以内に捜査を開始して,30日以内に最終的な結論を出さなくてはならないとされているそうです。捜査は,医師による診察,周囲への聞込み,子供本人へのインタビュー等によって行われるということでございます。CYF,犯罪被害者支援センター,学校の関係はケースによって複雑な動きを見せるということですが,おおよそ次の2ページに示したとおりでございますので,御覧いただければと思います。
    次に,捜査後の対応ということでウでございます。捜査の結果,虐待があったと結論付けられた場合には,CYFは,これ以上虐待が起こらないように,虐待している加害者から子供を切り離すということになるそうです。
    具体的には,加害者が,両親など同居家族や血縁関係である場合には,裁判所の退去命令により対応するということだそうです。この命令を裁判所が発する場合ですけれども,様々な手続が必要ですが,命令自体は即日,翌日など早く出される。さらに更新もできるということでございます。
    本命令が出された場合には,加害者のほうが被害者の家から退去するということになります。これは子供のほうを例えば施設に預けるなどした場合,子供自身が「自分が悪い子だから家から放り出された」と責めてしまうことが多いからとの理由だということであります。
    次に「エ DV事案の発見について」ということで御説明をいただいております。まず,ペンシルベニア州ですけれども,DV事案の発見のために,医師による患者への問診が義務付けられているということでございます。救急で来院した際の問診票に,外傷がDVによるかという質問項目が加えられており,個室で被害者に回答してもらうということだそうです。
    これは,DVの被害者が被害申告をしにくい,加害者から口止めされている場合等があるということから,夫など排除した場所で問診票に記載させるという理由だそうです。これによってDVであることが明らかになると,通報義務のある医師が,警察,DVセンター,あるいは関係機関に連絡するなど,被害者の安全確保を図る制度が構築されているということでございます。
    なお,再被害を防止するための取組として,ストーカー及びDV事案に関して,比較的早く加害者の身柄を拘束するという傾向にあるようでございます。また,例えばDV事案におきましては,カウンセリングを受けること等が加害者の釈放条件であったり,刑務所に収監される代わりにそのような条件が付く場合があるということでございました。
    次に,オで,電子監視につきまして若干説明しております。ペンシルベニア州におきましては,電子監視は少年院送致に代わる処分等として使われることがあるということで,DV・ストーカー事案に対する被害者保護といった観点からの適用は承知していないということでした。
    次に,カで「民間シェルターの活用について」御説明しております。チェスター郡の被害者支援センターにおきましては,民間シェルターへの紹介,入所手続等を手配しているということでございました。アメリカにおきましては,民間シェルターの活用は非常に一般的であるということで,設置母体は様々でございますが,基本的には無料で利用できるということでした。
    また,キで「加害者が刑務所から脱走した場合について」ということで1つ情報を得ております。被害者の安全の確保という観点から御説明できると思いますけれども,DVやストーカー事案に限らず,拘置所,刑務所等から加害者が脱走した場合には,その施設の長から被害者に対して,直接,緊急の連絡を行うことが強く義務付けられているということでございました。
    次に,(2)イギリスにおける取組ということで御説明いたします。まず「ア ストーカー関係の法律について」,(ア)のハラスメント防止法でございます。イギリスではストーカーはハラスメントの一つと整理されているということで,1997年6月16日施行のハラスメント防止法により処罰されるということでございます。2013年度,1万535件の訴追がなされているという情報がございました。
    それから,ちょっと飛ばしまして,「(イ)ストーキングに関する立法について」でございます。2012年,自由保護法によりまして次の2つの行為が新たな犯罪として創設され,ハラスメント防止法に導入されたということでございます。
    まず,1でございますが,ストーキングに当たる一連の行為を含むハラスメントということでございます。これまでもストーキング行為は処罰されておりましたが,付きまといに連続性がある場合に,ハラスメント自体を新しい犯罪として処罰できるようにしたということでございました。
    それから2でございますけれども,暴力行為の威嚇を含むストーキングということでございます。従前は暴力行為の威嚇,重大な警告・苦痛を与える行為をそれぞれ犯罪として捉えていたというところですが,これらが組み合わさった2つの方法で行われたストーキングを新たな犯罪として処罰できるようにしたということでございます。
    次,「イ ドメスティック・バイオレンスについて」でございます。イギリスでは,DVは女性に対するものだけではなくて,男性に対するものも非常に多く,全体の40%以上を占めているということでございます。「(ア)ドメスティック・バイオレンスに関する法律について」でございます。2004年DV,犯罪及び被害者法があるということでございます。こちらは,ちょっと詳細は不明ですが,民法の親族法の改正等も含まれておりまして,犯罪に特化しているわけではないですが,日本の犯罪被害者等基本法に近いものがあると奥村教授から御説明を受けております。こちら,2012年に修正法が成立したということでございます。内容ですけれども,児童・要支援成人の死亡を惹起する行為等を犯罪化しているということでございました。
    それから,(イ)ですけれども,警察におけるDV対策ということでございます。警察には,被害者・児童を更なる虐待から保護する義務があり,DVを非常に重大な暴力と考えているということでございます。もちろん逮捕権限等を行使することもあるということでございました。
    また,奥村教授におかれましても詳細は把握されていないということでございますけれども,次の6ページになりますが,DVにより夫婦が別居した場合には,被害者と一定の距離を保っていることをモニタリングするようなシステムを確立する必要があるということで,そのような対応をとっているということでありました。
    また,警察におけるDV対策というのは通達により実施されておりまして,DV被害者の保護,一時避難場所の提供,支援団体・関係機関との連携,刑事訴追において検察と協力関係を築いています。そして,全国の警察署にはDV専門官というものが置かれているということでございました。
    次に,(3)ドイツにおける取組ということで御説明いたします。ドイツでは,改善保安処分における行状観察の一環ということで,具体的には足環を付けるということでございますが,電子監視が行われているということでございます。ただし,この電子監視ですけれども,その者が立ち寄った先がわかったり,あるいは足環を外したかどうかということが捕捉できるだけであって,再犯を行うこと自体は可能であるということで,間接的な再被害の防止効果しか生じていないのではないかということでございました。
    次に「2 被害者情報を守るための取組」でございます。まず(1)で「アメリカにおける被害者情報について」記載しております。新准教授によれば,加害者らに被害者の情報が知られないようにする取組については,正直なところ,把握していないということでございました。
    もっとも,アメリカにおきましては,日本の戸籍のようなものはなく,ソーシャルセキュリティナンバー,社会保障番号がございまして,原則は個人管理であるために,行政機関等から加害者に情報が漏れることはないのではないかということでございました。
    次に,「(2)イギリスにおける被害者情報について」でございます。主に刑事手続における被害者情報の保護ということで御説明いただきまして,行政機関の情報保護については情報保護法により行われているということでございました。
    刑事手続における保護としては,アの少年司法及び刑事証拠法で,児童もしくは知的障害者等が性犯罪に関わり証人となる場合の保護が規定され,それから,イの性犯罪修正法で,「性犯罪により,犯人が訴追された後は,被害者を特定する報道はできない」などの規定があるということでございます。そのほか,ウ,エ,オとそれぞれ少年司法及び刑事証拠法,あるいは法廷侮辱法等で被害者保護の規定があるということを伺っております。
    ただしということで,※印でございますが,報道規制等の規定があるものの,実際に報道する内容につきましては報道各社がそれぞれ定めている実務規範に任されているということで,下にある事例のように,事件が特定されて被害者の氏名等が明らかになってしまう場合もあったということの御説明を受けております。
    それからドイツにつきまして,(3)でございます。これは直接被害者情報の保護という観点なのかちょっとわかりませんけれども,まずアですが,警察から,被害者支援団体である白い環という団体がございますが,こちらに対しては被害者等の情報が直接伝達されることはないということでございます。被害者のほうから白い環のほうに連絡してもらう体制になっているということで,ドイツでは電話帳等に白い環の連絡先が大きく記載されており,非常に認知度が高いと思われるということでございました。
    それから,イで刑事手続に関するものですが,「起訴状の記載内容について」ということで御説明をいただいております。まず,日本とドイツでは刑事訴訟の構造が異なるということが前提ですけれども,ドイツの起訴状には,証拠手段として,被害者など証人の氏名,住所等も記載されるということです。この場合に,「性的虐待の被害者の諸権利を強化する法律」というものが制定されまして,子供及び少年の性的虐待の被害者保護の強化がされているということでございました。詳細は資料3-5のほうに記載してございます。
    それからウ,証人保護ということですが,ドイツでは,ビデオリンク方式による証人尋問も行われているということでございました。
    資料3-1につきまして以上でございます。
    引き続きまして,資料3-2「被害が潜在化しやすい被害者への支援について」ということで御説明させていただきます。まず,1の(1)ですけれども,アメリカでの被害が潜在化しやすい被害者の類型ということで新先生に幾つか挙げていただきまして,それに関する取組ということで御説明をいただいております。児童,女性に対する取組につきましては,先ほど児童虐待・DV等で御説明したとおりでございます。
    それから,アですけれども,ヘイトクライムにつきまして御説明いただきました。ヘイトクライムは,マイノリティに対する犯罪であり,アメリカでは,例えば同性愛者のカップルが襲われるなどターゲットになることが多いということで,そういった被害者の方々は被害届を出しにくい状況にあるということでございます。
    しかし,ヘイトクライムは非常にエスカレートする危険があるということから,警察においてもそれを放置しないようにということで,ポスターを使った啓発活動を行ったり,ホットラインを設けるなどしているということでございます。また,民間のマイノリティの団体,あるいはマイノリティの支援団体も独自にホットラインを持つなどして,相談しやすいような環境を整備しているということでした。
    次に,「イ 外国人に対する犯罪について」でございます。アメリカでは,不法滞在の外国人が犯罪に巻き込まれる率が非常に高くなっているということでございました。そのような不法滞在の外国人は,不法滞在が発覚することを恐れるために,警察への届出率は非常に低い状況にあるということでした。そのため,犯罪被害に遭って警察に相談した場合には,その被害についての捜査は行うけれども,被害者の不法滞在については移民局には通報しないという約束をしているところだということでございます。
    続きましてウですが,民間の被害者支援センターにおける取組ということで,支援センターにおける被害を潜在化させないための取組ということでございます。
    まず(ア)ですけれども,前提として民間の被害者支援センターの認知度というものについて,新先生から御説明を受けております。先生によれば,一般的な被害者支援センターの認知度ははっきりはわからないけれども,レイプ・クライシス・センターの認知度は高いのではないかということでした。例えばチェスター郡の犯罪被害者支援センターはもともとレイプ・クライシス・センターとして設立され,その後,性犯罪以外の犯罪にも対象を拡大したというものでございます。警察のような911のフリーダイヤル3桁でなくても,電話帳の1ページ目に電話番号が掲載されているということで,市民にとっても性犯罪被害についてはレイプ・クライシス・センターという認識があるということでございました。
    ただし,アメリカにつきましては非常に格差の大きい社会であるということで,中間層以上はそのような町の社会資源というものをよく知っているけれども,そもそもそのような層では犯罪に遭う機会が少ない。圧倒的に犯罪被害に遭うのは犯罪多発地域に住んでいる人々で,イエローページのみならず,家に電話もあるかわからないような低所得層が多いということで,アウトリーチも必要ではないかという見解でございました。
    次に(イ)でございます。こちらは学校など教育機関への働きかけということでございます。チェスター郡の被害者支援センターでは,教育・啓発部門がありまして,専属のスタッフが,地域内の学校や幼稚園,それから警察等の公共機関,民間企業等に対して犯罪被害者に関する講演を行っているということでございます。パーセンテージとしては教育機関が非常に多いということで,低学年には低学年向け,高学年には高学年向けということで講演を実施しているということでございました。
    それから(ウ)で,モバイル・カウンセリングというものについて御説明を受けました。センターでも新しい取組だということでございます。これまでは被害者支援センターに被害者に来てもらって無料のカウンセリングを提供していたところでございますが,先ほど申し上げたとおり,犯罪被害者の多くは犯罪多発地域に住んでいて,センターまでのアクセスの手段がないということでございます。このため,センターのスタッフのほうからそのような地域まで出向き,公民館等を借りてカウンセリング等を実施したり,あるいは防犯を含めた啓発教育活動,それから虐待問題等の掘り起こし等も同時に行っているということでございます。
    それから,3ページの「(エ)バイリンガル・カウンセラーについて」でございます。バイリンガル・カウンセラーは,外国人や移民など,英語を母国語としない被害者のためのサービスということでございます。アメリカでは,農業生産物の収穫期等に季節労働ビザで入国するメキシコ系の季節労働者が非常に多いということで,そのような者のコミュニティが多数存在しているということでございます。コミュニティに所属している方々が犯罪被害に遭うことが非常に多いということですので,そのような方々向けにいろいろな防犯対策,それから被害者へのサービス等をするため,スペイン語を母国語とするバイリンガルのメキシコ系の女性を採用して支援に当たっているということでございます。
    また,そのような季節労働者等のコミュニティ内では,子供への性的虐待,DV等も非常に深刻な状況ということでございました。特にメキシコ人であって英語がほとんど話せない場合等は,例えば妻のほうが被害に遭っても,夫の収入に依存していたりして,なかなか被害を訴えることができないという状況でございます。
    そういった状況に対する対策としまして,バイリンガルスタッフのほうでは,メキシコ系の労働者に対して,相談活動のほか,無料の英語教室の紹介,それから高校卒業資格のスクールの受講を勧めて,就職口を探すなどの援助を行っているということでございました。
    次に,「(2)ドイツにおける取組」でございます。滝沢准教授によれば,連邦政府として被害を潜在化させないための取組というものは積極的に行われていないのではないかということでございました。ドイツの基本的な考え方として,自分の権利を実現するためには主張しなくてはいけないのだということで,被害を受けた場合には被害を申告することが一般的なのではないかという見解でございました。
    4ページでございます。しかしながら,支援団体の白い環におきましては,被害者が被害申告等をためらったりする場合には,証人保護制度等を念頭に置いて被害申告を促すという取組は行っていると思われるということでございます。特にドイツの被害者補償制度の申請に当たりましては,捜査機関に被害を申告することが,原則,条件となっているということで,そういった点から,被害者が給付を受けられるように被害申告を促しているということでございました。
    しかし,ドイツにおきましても,被害が潜在化しやすい犯罪というのが社会問題化しているということで,例えば児童ポルノを視聴した者に対して不正請求が行われる事例,それから,教会において少年が性被害に遭った事例等,被害者がなかなか被害申告しにくいような事案があるということで,特に教会における事例などは社会問題化しています。しかしながら,この点について,政府としては有効な対策はとられていない様子だということでございました。
    白い環のほうでは,こういった状況も踏まえまして,犯罪の予防という観点にも非常に力を入れているということでございます。例として,子供がいじめの場面を録音・録画して,インターネットですとかSNSに掲載して自慢する「サイバーいじめ」というものがはやっているようでございますが,こういうものにつきまして刑法で処罰されるということを記載した広告,パンフレットの作成など行って,生徒に注意喚起するなどの取組をしているところだということでございます。
    次に,「2 中長期的な支援のための取組」ということでございます。こちら,アメリカ以外についてはなかなか情報を得られなかったところですけれども,アメリカにおける取組として,児童虐待の場合の中長期的な支援ということで1つ御紹介いただいております。先ほどDV等の被害者がシェルターに入れるということを御紹介しましたが,シェルターは基本的には緊急避難的なところですので,最長で2年間程度滞在できるステップハウスというものを郡のほうで設置しているということでございます。こちらに入所しますと,被害者は子供と一緒に生活しながら自立を目指すということになります。経済的に自立するための職業指導等のプログラムを受講するということになっておりまして,被害者支援センターにおいては,こういった点につきまして子供や家族等へのカウンセリングを定期的に行うなどして見守っているという状況でございます。
    イギリス,ドイツにおきましては,この点については情報が得られておりません。
    3-2までとりあえず以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    今,御説明いただいている部分は「諸外国における犯罪被害者等への支援の現状について」ということですけれども,資料の作り方として,アメリカについての現状,イギリスについての現状というような国ごとの実情の説明という形ではなくて,「その他」を入れると5つの項目それぞれについて,アメリカやイギリス,ドイツではどうなっているかというような形で構成して,わかりやすく比較できるようにという工夫をされているのだと思います。何分にも情報量が多いものですから,そのうちの大体半分のところで,安全確保の取組と被害が潜在化しやすい被害者への支援について,今,説明をいただきました。
    これから,今,説明のあったところについて御質問,御意見を承りますけれども,その前に,少し前に警察庁の沖田総括審議官がお見えになっておられますので,一言御挨拶いただきたいと思います。
  • 警察庁長官官房総括審議官 警察庁総括審議官の沖田でございます。途中からの出席になりまして,大変失礼いたしました。
    このたび,前任の鈴木審議官の異動に伴いまして,専門委員に就任いたしますとともに,犯罪被害者支援業務を担当することになりましたので,どうかよろしくお願い申し上げます。
  • 椎橋議長 沖田審議官,どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは,2点について御説明いただきましたが,説明のあった部分について御質問とか御意見ございましたらお願いしたいと思います。御自由にご発言をお願い致します。
  • 森山構成員 アメリカのCYFというのと犯罪被害者支援センターというのは図で書いてありまして,CYFは郡の機関で,犯罪被害者支援センターは民間の機関ということで,そこで,裁判所に退去命令の申立てをするというのは,どこの,どういう方がアドバイス等するのですか。本人がするのを被害者支援センターが助言するのか,それをちょっと。捜査のほうは結論がそういう処罰に至るのはわかるのですが,この退去命令というのはどういうものなのか,ちょっと教えていただければ。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 すみません。詳細につきまして,またできる限り調べまして回答させていただければと思います。
  • 椎橋議長 そのほかにいかがでしょうか。
  • 瀬川構成員 個々の内容に関する質問でなく,本資料の記載の仕方に関してです。具体的に何年と書いてあるのと何年と書いてないのと両方あります。外国の3国を比較する場合,3国と我が国を比較する場合もそうですが,何年のものなのかが明らかでないと,適切な比較・参照ができないように思われます。何年代の動向なのか,最近のことなのか,あるいは以前のことなのかという点を明確にしていただきたい。
    もう一つは,根拠法を,何年の何々法に基づくものであるということを明記されていないと我々も確認できません。要望ですけれども,今後,補充される場合に,できればその点も明記していただきたい。今回の事務局の御努力は,大変な仕事なので敬意を表しますが,できればこうした点に気を付けていただければありがたいと思います。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。瀬川構成員御指摘のとおり,書いてあるものもあればそうでないものもあるということで,できるだけ統一した形にして,それから出典もわかりやすいようにするということで,それはもう一度事務局のほうで整理して補いたいと思います。よろしいでしょうか。
    ほかに。
    どうぞ,中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 資料3-1の6ページ,「ドイツにおける取組について」というところで,「電子監視(足環)による監視が行われている」と書いてありますが,この加害者というか,性被害にだけとか,加害者の対象は決まっているのかどうか,わかりますか。
    あと,被害者の方が,支援センターで支援した後にも,再被害の防止対象者としてというか,再犯のおそれをすごく怖がって,警察の方にお願いしたりということもあるわけですけれども,ドイツの場合はこのような取組がなされていることは,説明をいただいてわかったのですけれども,その辺について詳しいことはわかりますか。
  • 椎橋議長 これよりさらに詳しい状況がお知りになりたいということですね。ここでも書き方自体が,間接的な防止にしかなってないということなので,ここから再被害があるのではないかということが読み取れるような感じなので,そうであれば,どのぐらいあってというようなこともわかるといいですね。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
    まず,どのような犯罪についてかということと,実際,間接的な再被害の防止ということでどれぐらい効果があるかという御関心と思いますが,罪名等について正確にお答えが,今日の段階ではできませんので,こちらの点についても改めて調べまして御回答させていただければと思います。
  • 椎橋議長 どうぞ,中島構成員。
  • 中島構成員 まず質問なのですけれども,今まで御説明いただいた内容は全てお三方から聞き取った内容のみで構成されたものですか。それとも,幾つかのものは内閣府のほうで別途調べた資料の情報が入っているということでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 今日御準備させていただいたものは,基本的にはヒアリングした内容ということでございます。ただ,ヒアリングに当たりましては,もちろん資料の御提供等もいただきましたので,それに基づいて御説明を受けたりと,そのような形でございます。そのほか,もちろん,文献等の調査等もできる限り行ったところですけれども,翻訳作業等もいろいろございまして,皆様の御要望にお応えできるものになっていないかもしれないというところでございます。すみません。
  • 中島構成員 ありがとうございます。何でそういう質問をしたかというと,アメリカは州によって非常に違うので,このペンシルベニア州のものが最先端かどうかということと,今後の日本の被害者支援の参考になるかというとちょっと違うところもあると思います。特に被害者保護に関しては今後非常に重要な視点になると思いますので,できればペンシルベニアだけでなく,例えばOVCのようなところで少し情報を追加していただきたいと思います,多分,検察等における法廷での被害者保護についてまとまった資料とかあるのではと思います。
    なぜそう言うかといいますと,虐待を受けた子供についての保護については,,マイアミなどではもう少し進んだ対策を,過去に訪れた時ももしておりました。私の記憶があやふやだったら申し訳ないのですが,アメリカにはレイプシールド法というのがあるはずです。それは多分メディア対策だったような気がするのですけれども,もう少しいろいろな情報があるような気がしますので,アメリカについてはもう少し広く情報を集めていただけるとありがたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 本日,ヒアリングの結果ということで委員の先生方に御報告しているところですが,引き続き,今日御質問あった点も含めまして,また情報を集めまして,御提供できるものにつきましては御提供させていただきたいと思っております。
  • 椎橋議長 そのほかにはよろしいでしょうか。
    どうぞ,瀬川構成員。
  • 瀬川構成員 内容にわたるものではなく,確認です。資料3の2ページに「ヒアリング対象国の状況について」という表があり,その下に「各国の犯罪の認知件数は,犯罪白書による」と明記してありますが,「犯罪の発生状況」のコメントは誰のコメントでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 これは,ヒアリングに当たりまして概況ということでヒアリング対象の先生方から御説明を受けたものでございます。
  • 椎橋議長 先ほどから御指摘ありまして,それに対する事務局からの答えがありますように,基本的に今日の資料はヒアリングの結果をまとめたというものでありますので,今日の委員会で構成員の皆様方から御質問いただいて,それも必要だということであれば,できるものについては事務局でそれを補いたいと考えております。それから,ここはこうなっているというようなことがあれば御教示いただいて,それも補っていきたいと。そういう趣旨でございますので,完全なものというものではございません。
    それでは次に,まだ後半が残っておりますので,後半のヒアリングの部分を説明させていただきまして,また御意見,御質問を承りたいと思います。後半の説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 再び事務局でございます。
    資料3-3から御説明を申し上げたいと思います。まず,「民間支援団体との連携・協力について」ということでございます。1では「団体に関する基礎情報」ということで御説明しています。(1)アメリカでございますけれども,アで,NOVA(全米被害者援助機構)ということで御紹介しております。皆様も御存じだと思いますけれども,簡単に説明いたします。NOVA自体は全米規模の団体ということで,各州,各郡の支援センターが傘下に入っているということでございます。准教授によれば,傘下団体の数,7,000とも1万とも言われているということでございました。
    (イ)で活動内容でございますけれども,NOVAの業務は,基本的には傘下の支援センターへの助言等の活動です。そのほか,2つ目に力を入れていることが啓発活動で,NOVAが傘下の団体等を代表して,政府,全米に対して大きくメッセージを発信しているということでございます。
    それから,3つ目の活動としまして,被害者の権利の主張,法改正を含めた被害者運動の展開ということで,毎年開催されている年次大会で政策提言等を行うなど活発な活動をしているということでございました。
    現在のNOVAの一つの目標としては,合衆国憲法を改正して被害者の権利を盛り込むことだということで新准教授から御説明をいただいております。
    2ページのほうから,刑事裁判における被害者の意見陳述等を例に挙げて御説明いただいたことを記載しております。被害者の権利を実現するためのいろいろな提言を行っているということでございました。
    それから,イですけれどもペンシルベニア州の被害者支援センターということで今回は御紹介いただいております。名称はチェスター郡犯罪被害者支援センターということで,こちらのセンターの概要です。
    (ア)ですけれども,先ほども申し上げましたとおり,このセンター自体は,1973年にレイプ・クライシス・センターとして設立され,その後,1976年に性犯罪以外の犯罪にも支援対象を拡大したということでございます。
    センターの組織図ですけれども,3-3の3ページに記載のとおりで,理事会の下に所長,それから情報提供部,直接サービス部・コーディネート部,企画コーディネート部等々の組織があるということでございます。このほかにも様々なセクションがあるということでございます。
    2010年現在ということで,センターの事務方は3人,そのほかは支援のスタッフで,合計約40名程度ということで,常勤スタッフになるためには大学卒業以上の資格が必要であるなどの条件があるということでございました。
    それから,(イ)は被害者支援センターの収入でございます。グラフがございますけれども,こちらは2000年に発行されております新准教授の著作から許可を得て転載させていただいているものでございます。若干時間が経っておりますけれども,御参考までということでございます。
    まず,センターの収入の内訳ということでございますけれども,約75%が州と郡からの助成金であるということでございます。この助成金は税金ではなくて,加害者から徴収した罰金,過料,又は交通違反の反則金等が財源となっているということでございました。
    そのほか,収入の12%がユナイテッド・ウェイという共同募金の団体,下に注釈がございますが,こちらのほうからということでございます。「センターのHPを見る限り」とありますが,これは今回のヒアリングに当たって確認していただいた内容でございます。これによると,13の基金から寄附をもらっているということでございました。
    それから,(ウ)は支出についてでございますけれども,こちらにつきましては,同じように,5ページの真ん中あたりにグラフ2がございます。被害者へのサービスのための支出が約68%ということで,少々古い情報ではございますが,1998年で被害者へのサービスのためにかかる1年間の費用が44万ドル,約5,200万円ということでございました。そのほか,地域への啓発プログラムやスタッフ・ボランティア養成のための経費等を合わせて,総支出額は約64万ドルということでございました。
    それから,(2)ですが,イギリスにおける民間の被害者支援団体ということで,アでVictim Supportの概要について御説明申し上げます。Victim Support自体は,イングランドとウェールズの被害者・証人に対して支援を行う独立した団体ということでございます。本部はロンドン,各地に地方のVictim Support,それから,各刑事裁判所と治安判事裁判所にWitness Serviceがあるということでございます。
    支援の内容ですが,面接相談,情報提供,それからその他の援助,犯罪被害者補償と保険制度の情報提供,その他の支援機関との連携をしているということでございます。
    それから,Witness Serviceのほうでは裁判所内での精神的・実際的支援活動に特化したものということで,法廷内の案内ですとか証人付添い等のサービスを行っているということでございます。
    6ページのほうに,組織概要ということでわかりやすい表を御提供いただきましたので掲載しております。
    それから,イでVictim Supportの組織体制ということでございます。以下の組織体制になっているということで,細かく情報提供いただいておりますが,御覧のような各組織があるということでございます。
    それから,7ページの(イ)では,本部のほうの人員体制ということで,こちらも資料を御提供いただきました。合計で53名ということで,本部のほうでは,マニュアル等の作成,それから訓練等を行っているということでございます。
    それから,(ウ)地方組織として,地方にあるVS及びWitness Serviceですけれども,30の行政区においてこれらの地方組織が設置されているということで,全体で,有給のスタッフが1,500名,無給のボランティアが5,600名ということでございます。
    それから,(エ)では財政状況ということで御説明しております。こちら,新しく今回のヒアリングに当たりお調べいただいたもので,何年だか追って補足させていただきますが,比較的新しいものでございます。
    まず収入につきましては,4,835万1,000ポンド,約89億円,支出につきましては約87億円ということでございます。その内訳は表に掲載してあるとおりでございますが,法務省からの補助金が収入の約8割を占めているということでございます。また,支出のうちの大部分は人件費であるということでございます。この点につきまして,Victim Supportが政府から財政援助を受けている理由ということで,奥村教授のほうから詳しく御説明いただいておりますので,ちょっと読む形になりますけれども,御紹介させていただきたいと思います。
    まず,イギリスですけれども,1964年に犯罪被害者補償制度が創設され,被害者には経済的支援がなされていたところです。しかし,いわゆる二次被害,それから裁判等に関する情報が満足に入手できていないということで,被害者は刑事司法に対する信頼感がないだけではなく,非常に孤独な状態に置かれていたという状況でございました。
    このような状況下におきまして,また犯罪者の社会復帰支援の一環で被害者や国民の理解を得るため,1974年にVictim Supportの前身に当たる組織がブリストルで設立されたところでございます。
    このような設立の経緯から,当時のメンバーには保護観察官が多かったということでございました。そして,設立以後は保護観察や,特に地域の警察と連携して密接な関係を築いて草の根運動を行っていたということでございます。そして,1978年には被害者支援組織が全国30カ所でできまして,1979年に全国ネットワーク化されて,1980年にロンドンに本部が開設されたということでございます。
    活動資金につきまして,初代事務局長のヘレン・リーブス氏らの働きかけによって,個人のトラストだけではなく,1979年に内務省のボランティア支援課から本部に提供されるようになったということでございます。1979年にサッチャー政権が誕生し,「法と秩序」政策が進められていく下で,犯罪抑止対策の一環として被害者対策を講じることになったということでございます。これは刑事司法制度に対する被害者等の信頼を獲得する必要があったと考えられるということでございました。
    そして,Victim Supportはボランティアが警察と連携して被害者支援を行う組織であります。ボランティアは地域社会において犯罪が引き起こす影響等について十分認識しているということから,被害者や証人に対する精神的・実際的支援は,行政機関が行うよりもVictim Supportが行ったほうがいいという判断のもと,そして,被害者対策のために公務員を専属で雇うよりも安上がりということで,こういった形の被害者対策がとられたということでございます。
    現在,Victim Supportは内務省から法務省に所管が移っております。法務省のほうでは,財政負担が非常に大きくなっているということから,交付金を減らすために,Victim Supportに対して,自治体,企業,個人等からの補助金や寄附金等に財源を求めるべきであると言い始めているということでございますが,Victim Supportからは反論があるということでございます。
    この点につきまして,新しい情報として,今回,奥村教授に御提供いただきました情報について説明したいと思います。まず,現在,イギリスでは各自治体で被害者支援について重要な役割を果たします「警察及び犯罪コミッショナー」,以下,PCCと略称いたしますが,2014年度にできたということでございます。これまでVictim Supportへの補助金として行っておりました2,400万ポンドを削って,その活動資金としてこちらのPCCのほうに回すという動きがあるようでございます。
    このPCCですけれども,地域社会の治安維持に関する警察当局の対応が不十分であるということで,与野党を超えた要請で誕生したものだそうでございます。2011年の警察改革及び社会的責任法を根拠法としているということで,18歳以上の市民の中から選挙で選ばれ,3年間の任期であるということでございます。
    主要な役割として,地域社会における警察の職責を効果的に機能し得るものにする。さらに,警察本部長の支援をするということでございます。そして,2014年の10月から被害者の支援活動を開始しているということでございました。その役割の中で特に重要だとされているのが被害者と証人に対する支援ということで,カウンセリングや再被害防止策の助言,それから性犯罪やDV犯罪被害者に対する専門的支援を実施して,立ち直りに貢献することにあるということでございます。
    PCCのほうは専門家による支援,Victim Supportのほうはボランティアの非専門家による精神的・実際的支援を行うことが中心であったわけですけれども,最近は,Victim Supportのほうでも専門家による支援を積極的に展開しているところですので,PCCとVictim Supportの間の支援について競合する部分が非常に大きく,今後のすみ分けがうまくいくかどうか注目だと奥村教授からお話をいただいております。
    それから,Victim Supportの今後行うこととしている活動につきまして,ウでございます。先ほど申しましたけれども,(ア)「警察及び犯罪コミッショナー」との連携,協力関係の構築ということが1点挙げられます。
    それから,(イ)のDVの被害者支援,(ウ)子供や性犯罪の被害者への配慮として,児童証人や性暴力被害者等の要支援の証人に対する反対尋問を行う被告人側の弁護士に,二次被害防止のための訓練を受けさせること等を考えているようでございます。
    それから,(エ)修復的司法といったものについても今後考えているということで,法務省も近時,修復的司法の採用を積極的に考えているということでございました。
    それから,(3)ですが,ドイツにおける民間の被害者支援団体ということで,「ア 白い環の概要について」でございます。白い環自体は1976年にドイツの国営放送のキャスターの方々によって創設されたということで,現在はハンガリー,オーストリア,スイス連邦等にも存在しているということでございます。連邦本部がマインツ,そして全16州に本部が設置されているということでございます。
    (イ)は職員についてですけれども,有給の職員が80名ほど,無給の職員が3,000人ほどということでした。
    それから,(ウ)は財政状況でございますけれども,収入につきまして,1,496万ユーロ,約22億円ということで,寄附に相当するものが9.5億円,会員から集めた会費が2.6億円,それから,区簡易裁判所による交通事故関係の罰金の引当金が約2.6億円あるということでございます。
    それから,2の支出でございますけれども,約21億円ということで,被害者支援に関わるものが9.2億円,人件費が5.6億円ということでございます。
    それから,(エ)白い環の活動内容でございます。「1犯罪予防」でございますが,白い環は犯罪の予防のための活動にも非常に力を入れているということでございます。例えばパンフレット等によって犯罪予防のアドバイスを行っておりまして,またスーパーマーケットのレジ付近に,「買い物袋から財布をとられないように注意をしましょう」というステッカーを張ったりということをやっているようでございます。
    それから,「2犯罪被害者支援」でございます。支援活動も行っておりますけれども,それに携わる者の育成・研修,それから,他の民間被害者団体への支援・連携などを行っているということでございます。
    3ですけれども,啓蒙活動にも非常に力を入れているということで,例えば白い環の代表が連邦や州政府の要人等と面会する,そして,その内容を広報誌に掲載するということを行っております。滝沢准教授のほうからそれらの資料について御提供いただいておりますので,ちょっと回覧させていただきたいと思います。御参考までに御覧いただければと思います。
    それから,学術研究の成果の公刊ということで,会員の中にいる法律の専門家とその他の専門家が研究を行った結果等を公刊しているということでございます。さらには政策提言等も行っているということでございました。
    それから,「2 連携・協力のための取組」ということで,アメリカ,これはチェスター郡犯罪被害者支援センターについてということでございます。まず,関係機関・団体との状況ということですけれども,日本の被害者支援連絡協議会のようなものについては承知しないということでございました。むしろセンターが核となって,センターと例えば病院,センターと警察,DVセンターのように,二者の間での連絡会議等を実施していたということでございます。
    それから,警察との連携につきまして,15ページのイでございます。制度として,日本の早期援助団体のようなものはないということでございますが,事件発生の場合には,被害者の同意の有無にかかわらず,警察からセンターのホットラインに連絡があるということでございます。ただし,そこでは個人情報等は教えられないということで,スタッフが警察に出向いて行って,被害者から聴取するということでございました。
    それから,裁判所との連携ということでございます。こちらは,裁判所からセンターのほうに対して,その日の刑事裁判の開廷リストというものがFAXで提供されているという情報をいただきました。
    それから,弁護士とは連携しているのかということで,エでございます。准教授の承知している限りは,民間団体等が被害者支援において弁護士と連携しているという事例はあまりないのではないかということでございました。
    それから,(2)でイギリスでございます。まず法務省との関係ということですけれども,先ほど申し上げましたとおり,法務省が監督官庁ということで多額の交付金を交付しているということでございます。
    それから,警察との連携ということでございますが,これは非常に緊密に連携しているということで,警察署内に事務所があるVSの地方支部もあるということでございました。警察が捜査過程で得た被害者情報のうち,氏名,連絡先,事件名の情報等につきまして,軽微事犯については自動付託ということで,その情報が警察から地方支部へ送られ,重大犯罪の場合には同意を得た上で送られるということでございました。
    それから,裁判所との連携ということで16ページのウでございます。こちら,Witness Serviceの関係でございますけれども,刑事裁判所と治安判事裁判所の中にWitness Serviceの事務所があるということで,常駐のボランティアが付添い等のサービスを行っているということでございます。
    その他,自治体との連携,刑務所との連携,あと民間団体との連携等もございますが,時間の関係もございますので飛ばさせていただければと思います。
    続きまして16ページ,(2)ドイツでございます。ドイツの白い環における相談の受理体制ということでございます。先ほども申し上げましたとおり,スーパーマーケットに犯罪予防のステッカーを張ったりということをやっているほか,近年では,ヨーロッパ全域から無料でアクセスできるホットラインが新たに設置されているということで,17ページにそれについて書いてあるパンフレットを掲載させていただいております。
    それから,他の機関,病院等からの白い環の紹介というのもあるそうです。さらに,刑事訴訟法によって捜査機関の職員が被害者に対してできるだけ早い段階に,通常は書面で被害者の理解できる言語で支援団体による支援が受けられる旨を告知することが義務付けられているということだそうでございます。
    そして,イで白い環における被害者支援ということですけれども,基本的には個々の支援員が被害者本人の求めに応じて個人的に面倒を見る形で行っているということで,その内容については多岐にわたりますけれども,取調べへの同席,そのほかについてやっておられるということでございます。
    長くなって申し訳ございません。続きまして,資料3-4でございます。「被害者を支える気運を醸成するための取組について」ということでございます。
    まず,「社会全体に対する取組」ということで「(1)アメリカにおける状況」でございます。アですけれども,被害者の権利週間ということでございます。アメリカでは,NOVAの提唱によって「被害者の権利週間」というものが毎年4月の第3週に行われております。これによって全米各地で活発な啓発活動が行われているということでございました。もちろん,被害者問題の啓発というのはそのとおりですけれども,被害者支援や被害者の権利ということだけではなくて,犯罪の悲惨さ等も訴えているということでございます。
    なお,イに記載してございますけれども,チェスター郡の被害者支援センターでは,センターでの行事ということで,郡の中で被害者になった方を悼むイベントがあるということでございます。その中では,センターを設立して以降の被害者の方とか,それだけではなくて,警察の殉職者の方の名前を読み上げるということをやったりするそうです。
    それから,地域の住民に訴えかける取組として,2ページでございますけれども,マラソン大会等も企画して,参加費を募って実施しているということでございます。
    次に,「(2)ドイツにおける状況」ということでございます。ドイツにおきましては,例えば行政機関のほうで社会全体に対して広報・啓発活動等を行っている状況にはないということでございます。白い環が個別分野において積極的な広報・啓発活動を行っているということで,先ほど申し上げたような形での啓発活動等を行っているということでございます。
    また,こちらは今回のヒアリングで得られた情報ではないのですけれども,欧州犯罪被害者デーというものがあるようでございまして,こちらについてちょっと御紹介したいと思います。内閣府におきまして平成23年度に諸外国における犯罪被害者等に対する経済的支援の調査を行っております。このときに,フランスのパリで開催されておりました欧州犯罪被害者デーというイベントを視察していたところでございます。このイベント自体は特に当時の御報告事項ではないので詳細不明ですけれども,写真が残っておりまして,エッフェル塔の前の広場に幾つもブースが出ておりまして,このような形でイベントが行われているという状況でございました。
    次に,資料3-4の下のほうでございます。「特定の分野における取組」ということですけれども,アメリカでの状況ということでございます。アメリカのほうではセンター主導でいろいろなところに対する啓発活動等を行っているということでございます。学校の教員,医療関係者のほか,新人の警察官に対する研修等も行うことがあるということでございました。
    それから,(2)ドイツの情報ということでございますけれども,基本的に白い環の活動の中で広報啓発活動を積極的に行っているということで,先ほどの社会全体に対する取組で記載したとおりでございます。もともと伝統的に白い環では,強姦とか性的強要,児童が被害者のもの,それから,窃盗についての啓発活動を積極的に行っていたそうでございます。最近では,そこに4つ挙げてございますが,児童虐待,家庭内暴力,外国人に対する犯罪,それから,先ほどちょっと御説明しましたサイバーいじめというものが非常に問題になっており,これらについての犯罪予防のための活動,被害者支援に力を入れているということでございました。
    資料3-4につきましては以上でございます。
    それから,資料3-5につきましては,大きな項目ではございませんけれども,それぞれ挙げられた項目についてヒアリングを実施しております。
    「基礎自治体による被害者支援の取組とその方策」ということでございます。まずアメリカですけれども,准教授の知る限りでは,基礎自治体が被害者支援に特化した取組を行っているということは余りないのではないかということでございました。基本的には警察や検察,司法機関,それから,それをサポートする民間団体の仕事という認識なのではないかということでございました。ただ,もちろん,福祉の関係で,年金や障害者向けのサービス等の窓口は自治体にはあるということでございます。
    それから,(2)イギリスですけれども,こちらも市役所等の行政機関において,表面的には被害者対策を行っているということはないということでございます。ただし,もちろん,一般的な市民相談所のようなものがあるということでございます。また,そちらにも記載してございますが,フーリガン等の反社会的行動によって被害を受けた人々に対しての「被害者を守る騎士」という支援の活動があるようでございます。ただし,これ自体もVictim Supportのほうに委託しているということでございました。
    それから,(3)ドイツでございます。ドイツにおきましても,市役所等の行政機関では犯罪被害者支援の取組を行っているというのは把握していないということでございます。ただ,ベルリン市において1点取組があるということですが,これは後で説明させていただきます。
    それから,「2 原因者(加害者)による損害賠償の実現のための支援の在り方」ということでございます。まずアメリカでございますが,アメリカにおいても加害者には資力のないことが多いということで,やはり犯罪被害者補償制度がこれらをカバーしているのが実情であるということでございました。
    (2)イギリスでございますけれども,イギリスは損害賠償命令が制度化されているところでございますけれども,こちら,刑罰として科されることになっているということでございます。
    それから,(3)ドイツですけれども,ドイツにおいても加害者が資力に富んでないケースが多いということで,加害者の損害賠償によって損害を回復していくということはほぼ不可能なのが現実ではないかという滝沢准教授の御意見でございました。
    ちなみに,ドイツにおきましては付帯私訴制度が定められているわけでございます。しかし,この制度は実務上ほとんど使われておらず,また学者からもあまり評価されてないという御指摘をいただいております。その理由につきまして下に書いてありますけれども,ちょっと長くなるので割愛させていただきます。
    3ページの下のほう,「むしろ」というところでございますが,実際には損害賠償の実現のため,付帯私訴は使わずに,通常の民事訴訟を提起する前の段階で,刑事訴訟への「訴訟参加制度」を活用している点が注目されるということでございました。
    ちょっと細かくなりますので簡単に御説明させていただきますけれども,この制度を利用して被害者が訴訟の記録等を閲覧することができるということで,事件の内容を把握して,民事訴訟を提起するための準備をしているということでございます。こういった点から民事訴訟等を使っているわけですけれども,最初に述べましたように,資力がないことが多いということで,実際の被害者の損害回復というものは犯罪被害者補償制度によって行われているのが実情であるということでございました。
    それから,「3 国外で犯罪被害に遭った自国民及びその家族への支援とその連携の在り方」ということでございます。
    まず,(1)のアメリカは,民間被害者支援団体の連携ということで,チェスター郡の支援センターでは,連絡をとれる範囲で海外の関係機関と連携をとるようにしているということでございます。
    それから,イギリスでは経済的支援について情報をいただいております。国外で被害に遭った場合には,イギリス本国からの経済的支援はないということでございます。ただし,EU圏内であれば,それぞれの国においての被害者補償制度があるので,その国の補償を受けられるように情報提供等をするということでございました。
    それから,(3)ドイツでございます。こちらは国外で被害に遭った自国民・その家族に対して犯罪被害者補償法の規定によって一時金の支給がなされるということでございます。このあたりは平成23年の内閣府の調査でも御報告させていただいたところでございます。
    それから,5ページでございます。「4 自国で犯罪被害に遭った外国人に対する支援とその連携の在り方」ということでございます。アメリカについては,先ほど外国人についてちょっと御説明しましたとおりでございます。
    それからイギリスにつきまして,2008年スキームの「犯罪被害者補償制度」ではイギリスへの旅行者も対象としていたところでございますが,こちら,2012年に改正が行われまして,新たなスキームでは,イギリス国内に6カ月以上居住していることが支給の条件になったというところでございます。
    それから,(3)ドイツでございます。こちらにつきましては,白い環の取組として,多言語によるパンフレットの提供等を行っているということでございました。また,経済的支援につきましては,EU構成国の国民や相互保障のある国の国民であれば,ドイツ国内で犯罪被害に遭った外国人に対しても,同様に経済的支援を受けることができるということでございます。
    多言語のパンフレットの画像を掲載させていただいております。また,今,回覧で適宜御覧いただいているかと思います。
    それから,「5 被害直後の緊急的なニーズに対する支援策(一時金等)について」ということでございます。アメリカでは,センター等が政府から早目のサービスが受けられるように支援することが基本ということでございます。センターとしては一時金の給付とか貸付金の対応はしていないけれども,衣類等は支給していたということでございました。あとはシェルター等の手配等も行っているということは先ほど述べたとおりでございます。
    それから,(2)でイギリスの困窮基金(Hardship Fund)について御紹介させていただきたいと思います。こちらは新しい制度ということでございます。先ほどもちょっと触れましたけれども,2008年のスキームについて平成23年度調査で御報告させていただいているところですけれども,2012年に改正が行われております。この改正の方向性ですけれども,非常に重度の被害者に手厚く,そして軽度の被害者には被害補償を行わない方向になったということでございました。
    その改正の内容につきましては下の注釈のところに記載してございます。しかし,今回の被害者補償制度の改正,2012年のスキームによりまして,軽傷であっても経済的に負担できない被害者がいるということで,そういう被害者のためにHardship Fundというものが設けられることになったということでございます。こちらの対象は暴力犯罪の被害者かつ低所得者で,一時的に生活困窮となった者に対して一時金の給付を行うということでございます。
    これにつきましては,一時的に就業困難で,障害を受けてから4日以降28日までの休業期間について,そして,他の公的給付が受けられない場合について支払われるということでございます。さらに,もちろん,犯罪被害者補償制度による支給が受けられないこと,それから,申請者が過去に有罪判決など受けている場合には,それが解消されていることが要件として定められているということでございます。政府はその基金に約9,000万円を拠出しているということでございました。
    そちらの手続的なところですけれども,8ページに書いてございます。受付窓口はVictim Supportだそうでございます。Victim Supportで申請可能性というものを判断して,犯罪被害補償審査局のほうに送致するということでございます。申請に必要な事項として,被害者のほうで準備しなければならないものも幾つかあるということでございます。また,支給金額につきましてもそちらに記載のとおりでございます。
    さらに,(3)ドイツですけれども,白い環の活動ということで,被害に遭った被害者に対して小切手を支給している。これは白い環が支給しているということでございます。
    それから,「6 被害者の中長期的なニーズに対する支援策」ということでございます。こちら,経済的支援と社会福祉制度の関係につきましては平成23年の調査で詳しく調査しておりますので,基本的にはそちらに譲るという形で,それ以外でということ,あるいはその後の状況ということで伺っております。
    アメリカでは,財政逼迫があって,なかなか福祉も充実していない,日本のほうが充実しているという新准教授の意見があったところです。
    イギリスにつきましては,中長期支援ということでVictim Supportが行っているのではないかということでございました。
    ドイツにつきましては,23年調査でも御報告しました,社会保障制度の枠内に経済的支援制度があるということでございました。
    次に,「7 弁護士による支援の在り方」ということで,被害者支援の分野における弁護士の活動状況ということでございます。
    アメリカでございますが,基本的には弁護士が被害者支援に積極的に関わることはあまりないのではないかということでございました。
    (2)イギリスでございます。イギリスの場合,法廷弁護士と事務弁護士がいるわけですけれども,事務弁護士が刑事手続の被害者関与,それから損害賠償,犯罪被害補償金の申請等で関与することはあるということでございました。
    それからドイツですけれども,白い環に弁護士が参加しているということはあるようでございます。ドイツにおきましては,被害者支援に関心のある弁護士が増加してきているということでございました。先ほどもちょっと言いましたけれども,ベルリン市では,市が弁護士に委託して,被害者の権利・利益を擁護するという弁護士制度を採用しているということでございました。
    それから,「8 刑事手続上の配慮について」でございます。イギリスにおけるものということで御説明いただいております。簡単に説明させていただきますけれども,もともと政府内務省が1990年に『被害者憲章』を出したということで,刑事手続における被害者保護・支援に向けた対策が講じられてきたところでございます。その後もいろいろな改正・改善が相次いだところでございました。一般的な傾向というところでございます。
    それから,ドイツにおける最近の動向ということで(2)でございます。子供の被害者の証人等についてビデオリンク等の方法がとられるようになっているということ。それから,イ,性的虐待の被害者の諸権利を強化する法律ということで,そちらに記載のような法律上の被害者の保護という方策が順次とられているということで御説明をいただいております。
    長くなって申し訳ございません。以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    かなり情報量が多いので御説明が長くなりましたけれども,資料3-3,3-4,3-5にわたって説明いただきました。3-3については,3つの国の民間支援団体の支援の在り方,本部と地方組織との関係とか,あるいは民間支援団体と検察,あるいは法務省,裁判所との連携・協力について説明がありました。3-4では,被害者を支える気運を醸成するための取組ということで,アメリカとドイツにおける広報啓発活動というものが紹介されました。さらには,その他ということでいろいろな項目がありましたけれども,自治体による被害者支援の取組とか,損害賠償実現の在り方とか,あるいは国外での犯罪被害者への支援がどうなっているか,被害直後の緊急的なニーズの支援策とか弁護士による支援の在り方,さらには刑事手続上どのような配慮がされているかということについて紹介がございました。これらについて,御質問,御意見がございましたらお願いしたいと思います。
    どうぞ,小西構成員。
  • 小西構成員 本当に大変な労作で,Victim Supportについては新しい情報をいただいて大変よかったと思います。思いますが,今の最後のところですと,例えば資料3-5の「刑事手続上の配慮について」のところで,イギリスにおける状況,ドイツにおける状況と並んでいるのですけれども,書きぶりは全然違いますね。例えばその前のところに,白い環の活動として小切手を寄附しているというのが出ているのですけれども,これを書くのだったら,アメリカはやはりOVCから始まっている給付のことについて書かなくてはいけないわけで,どなたも,海外に行って調査すれば御自分が知りたいことを聞いてくるしかないので,それはもう当然そうだと思いますけれども,各国を代表するような形でこのように出されると,とても居心地が悪いところがありますね。
    特に白い環,Victim Supportは比較的均一で全国にまたがった団体ですからこういう書き方も可能ですけれども,NOVAとVictim Supportは全然性質の違う団体ですし,それから,白い環は,防犯協会と言ったら怒られるかな。でも,そういうところの活動も多い,割と小さい団体ですね。実際には,例えば児童虐待の制度を見にいこうと思ったり,それから,DVや女性の暴力の制度を見にいこうと思って行けば,刑法から,あるいは制度から,全部また違ったものが出てくるわけです。
    それはしょうがないことだし,こうやって出していただいていく中でだんだんわかっていくと思うのですけれども,私のお願いとしては,少なくともこの一つ一つが国の状況全部を代表していないものがたくさんあることを考えると,情報のソースだけは全部書いておいていただかないと,例えば全然知らない人が見たときに,これが全体なのかと思われてしまうと大変困るという気はするのですね。
    それぞれの先生がお調べになっているところはとてもユニークで価値のあるものだと思うのですが,全体としては,せっかく工夫されて,多分それぞれ引き抜いてまとめられたと思うのですけれども,その辺が非常に怪しい感じが多少してしまうので,もったいないという気がするのですね。両方何とか生かすとしたら,ぜひソースをきちんと書いていただく,個人の体験なり,あるいはチェスター郡の体験なり,あるいはどこそこで行った聞き取りなり,資料から出たということを書いていただけるとちょっと安心して見られるのかなという気がしました。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    こういう会で,諸外国との比較において,日本の被害者支援はどういう状況にあるのか,何が決定的に不足しているのかというようなことを考える場合に,諸外国との比較というのは非常に大事なのですけれども,それぞれ国によって制度が違いますので,このような調査をする場合にはあらかじめ,同じ,または,近い実態を持つ対象について,同じ基準に基づいて,それぞれの国について調べるべき項目について調べることが有効な比較調査になるのだと思います。それから,やはり各国はそれぞれ特色があるので,その国におけるその制度の位置付けをしておくことも欠かせないでしょうね。
    特にアメリカのことを考えると,先ほどから御質問が出ていて,そう思われた方たくさんいらっしゃると思うのですけれども,ペンシルベニア州の被害者支援というのがアメリカの中でどういう位置付けになっているのかということをはっきりさせないと,どう受け止めていいのかわからないということは確かにあると思うのですね。ですから,そういう意味では,もちろん完全な資料というわけにはいかないと思うのですけれども,アメリカは特定の州を中心とした調査で,しかも若干古い時点の調査ですけれども,イギリスとドイツについてはかなり新しいところについての情報も入っているということで,理想的には同じ時期のしかも最新の調査であることが望ましいのですが,その点については必ずしも同じ時期の調査ではないという弱点はあります。とはいえ,これらの調査は,主要な国の被害者支援の状況を知る上では,かなり有益な資料を提供していただいているということも間違いないと思いますので,そういう意味では主要な国々の被害者支援の実情の重要な項目はそれぞれこうなっていますということで受け取っていただいて,それで,今,小西先生からいただいたように,さらに調査すべきことがあれば調査して,より良いものにしていきたいと考えています。しかし,人的なソースと,それから時間的な問題も恐らくあると思いますので,どこまでできるかわかりません。できる範囲でということで申し上げるしかないのですけれども,御質問に対してなるべくいい参考資料となるような形でさらに補ってはいきたいと思いますし,それは協力者の先生方にさらに補充をお願いできると思います。できる範囲でとしか申し上げようがないのですけれども,小西構成員のおっしゃったようなことについてはなるべくよりよいものにしていきたいなとは思っております。
  • 小西構成員 むしろそれはすごい大変なことはわかるので,限界をはっきり示していただくというほうがよいのではないかと思っています。例えば各国に調査を投げて文書で回答をもらうと,今度は本当にそれがどう働いているかわからないわけですね。そういう点では,チェスター郡が実際にどう動いているかがわかる資料ではあるのですけれども,例えばレイプ・クライシス・センターがもとになって動いている場所と,それから裁判の中でのWitnessの支援が基本になって動いているところでは当然出だしが違うわけですね。だけれども,ほかの活動はないかといえば,ここに全く見えていないものもたくさんあるわけで,だから,全部やるのは多分難しいと思うし,とても大変だから,そういう限界があることと,リソースを示していただくということで,ここの中では皆さんかなりそういうことはわかっていらっしゃると思うので,中で資料だったら構わないと思うのですけれども,それがちょっと私のほうからの提案です。
  • 椎橋議長 今の点について,室長からお願いします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 先ほどの瀬川先生の御指摘も小西先生の御指摘もごもっともだと思います。私どもも,網羅的,悉皆的調査をしたつもりはございませんで,ここに書いてないことがないことだということでもないと思うのですね。書いていることは事実あるだろうと思いますので,そこで書いてあることについては,その確認といいますか,正確な情報を引用出典も含めてできる限り明らかにしていただくように,その辺はまた先生方にお願いしていきたいと思います。確かに我々も時間的,財政的,人的限界もありまして,私自身も,知っていることでも書いてないことがいろいろありますので,そこのところは限界があるということは御理解いただきながら,また,ある意味では構成員の皆様方から補充する有益な情報があれば,是非御提供いただきますようよろしくお願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 私の説明の中で1点補足でございます。
    先ほど,イギリスのVSの収支について御説明したかと思うのですけれども,2012年度のものでして,VSの年次報告より得た情報であるということをつけ加えさせていただきます。
  • 椎橋議長 そのほかに御意見とかありますか。
    川出構成員,どうぞ。
  • 川出構成員 資料3-3の10ページにあるイギリスのPCCについてですが,これは,地方自治体レベルで,それぞれに置かれている一種の行政機関だという理解でよろしいのでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 すみません。PCCは新しい制度ということで,我々もあまり情報を持ち合わせておりません。今回,奥村先生にお調べいただいたということですので,ちょっとまた追加で先生のほうに確認させていただきます。
  • 川出構成員 それと関連して,もう一つ,PCCの役割として,被害者と証人の支援が重視されていると書かれています。これは,今までVictim Supportがやってきたことに何か不十分な点があったので,PCCという組織を作ったということなのでしょうか。ここには,「棲み分けがうまくいくか,今後の動きが注目される」と書いてありますが,被害者支援との関係でPCC設立の経緯がどうであったとかいうことをもう少し調べていただけると,わが国における民間支援団体との連携のあり方を考える上でも非常に参考になると思いますので,その点の追加調査をお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 承知いたしました。
  • 椎橋議長 ここにも書いてありますように,PCCというのは法律に基づいてつくられているものですし,それから,もしそれが実現されれば,今,検討中ということですけれども,補助金をVictim Supportから回す額も少なくないので,かなり大きな変化ということになりそうですので,そこら辺は確認させていただきたいと思います。
    森山構成員,どうぞ。
  • 森山構成員 アメリカのことを先ほど座長もお話しになられて,州ごとにいろいろ違うと思うのですが,このアメリカの資料3-3の中で,あるいは資料3-5とかで,弁護士の連携状況とか弁護士の関与の程度とか,それから,3-5の9ページには,日本の弁護士のようなことは「アメリカの弁護士では真似できない」ということが書いてあるのですが,我々の感触としては,アメリカの弁護士は多分しているはずだと思っておるのですけれども,民間団体,行政機関との連携について,弁護士との連携状況があまり出ていない,あるいは犯罪被害者補償制度の中で弁護士がどのように関与しているのか,その辺,何となくすっと入っていかない部分があるのですが,どんなものなのでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 これはあくまで新准教授のヒアリング結果ということで,新准教授の見解とお捉えいただいてもいいのかなと思うのですけれども,日本のような,例えば法テラスが精通弁護士を紹介するとか,そういう意味での連携は少なくともないという説明があったことをつけ加えさせていただきます。
  • 椎橋議長 どうぞ,中曽根構成員。
  • 中曽根構成員 すみません。民間の援助団体と各機関との連携のことについてという観点からちょっと見せていただいていたら,資料3-3の3ページに図が書いてありますけれども,民間の援助団体の人間たちが少年裁判所内に開設された部署にいたり,あるいは検察庁内に開設された情報提供部というところにいるということとか,Victim Supportでいけば,5ページのWitness ServiceのところにVictim Supportのメンバーがいるという点でいくと,日本とやはりちょっと違うなということを感じて,だんだんと日本国内も検察庁の方とか裁判所の方とかと民間の援助団体も連携ができつつあるとは思うのですけれども,このように部署が機関の中に設置されているというのはいいことだなと思いました。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。そのほかにはございますでしょうか。
    それでは,いろいろ御意見,御質問いただきまして,十分にお答えできなかった部分もあると思いますので,さらにそれを含めて,もっとこういうところも調べたらいいのではないかというような御質問,御要望とか,あるいは逆に,ここの部分はこうなっているのだという,構成員の方々,たくさん知見をお持ちでいらっしゃると思いますので,ここは実はこうなっているのだということについて御存じの方は,そういったことについて御教示いただければ大変ありがたいと思いますので,御意見,御教示,御質問含めて事務局のほうにお寄せいただけますれば,それについて調査できるものは調査する,それから,教えていただいたことはそれを付け加えるということで少しでもいいものにしていきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。
    それでは,一応これで3の議題は終わることにしまして,「その他」は特にございませんので,最後に事務局から次回の日程に関する連絡がございますので,お願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
    次回は2月17日,火曜日の午後2時から,場所は,本日の会場の隣,特別中会議室を予定しております。
    現行計画の実施状況の評価案や一般国民や被害者団体・支援団体等から寄せられた第2次基本計画見直しに関する要望・意見の整理案・論点案等について御検討していただくことを予定しております。それぞれの資料は,次回会議開催前に,事前に構成員の皆様宛てにお送りできればと考えております。
    事務局からは以上でございます。
  • 椎橋議長 それでは,これをもちまして,第14回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終了したいと思います。
    どうも本日はお忙しいところありがとうございました。
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