第13回基本計画策定・推進専門委員等会議 議事録

開催要領

日時:平成26年7月14日(月)午後3時30分~午後5時30分
場所:中央合同庁舎4号館2階共用第3特別会議室

出席者

「基本計画策定・推進専門委員等会議」
議長 椎橋 隆幸 中央大学大学院法務研究科教授
  小西 聖子 武蔵野大学人間科学部教授
  瀬川 晃 同志社大学法学部教授
  中曽根 えり子 (公益社団)にいがた被害者支援センター理事・支援局長
  森山 博 弁護士
  中島 聡美 (独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
成人精神保健研究部犯罪被害者等支援研究室長
  渡邉 保 犯罪被害者遺族
  安田 貴彦 内閣府犯罪被害者等施策推進室長
  鈴木 基久 警察庁長官官房審議官
  滝澤 依子 警察庁給与厚生課犯罪被害者支援室長
  畑山 栄介 総務省大臣官房企画課企画官
  小野瀬 厚 法務省大臣官房審議官
  宮木 恭子 法務省司法法制部付
  三谷 真貴子 法務省刑事局付
  徳久 治彦  文部科学省大臣官房総括審議官
  森 真弘 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室政策企画官
  奈良平 博史 国土交通省総合政策局次長

議事次第

  1. 開会
  2. 第2次犯罪被害者等基本計画の評価及び第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定のスケジュールについて
  3. 第2次犯罪被害者等基本計画の評価方針について
  4. 犯罪被害者等施策の実施状況について
  5. 海外調査について
  6. その他
  7. 閉会

配布資料

資料1 第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定等スケジュール(案)
資料2 第2次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見聴取要領
資料3 犯罪被害者等基本計画(平成17年12月27日閣議決定)の実施状況の評価(平成22年10月13日犯罪被害者等施策推進会議決定)
資料4 犯罪被害者等施策の実施状況
資料5 海外の状況に関する有識者からのヒアリング項目(案)
資料6 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(抄)、犯罪被害者等基本法(抄)

議事内容

  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。
    本日は川出構成員については御欠席,小西構成員については遅れるとの連絡が入っております。そのほかの皆様はおそろいですので,始めさせていただきます。
    それでは,進行は椎橋議長にお願いいたします。
  • 椎橋議長 定刻になりましたので,これから会議を始めたいと思います。
    大変お忙しいところ,しかもこのように暑い中お集まりいただきまして,ありがとうございました。
    本日は第13回「基本計画策定・推進専門委員等会議」ということになります。
    初めに,本日の議事及び配付資料について事務局から説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,お手元の議事次第を御覧ください。
    本日の議事は4点ございます。
    まず1点目でございますが,第2次犯罪被害者等基本計画の評価及び第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定スケジュールについてでございます。
    第2次基本計画策定時のスケジュールをもとに,事務局が策定いたしましたスケジュール案を資料1として,また,要望・意見の聴取要領を資料2としてお配りしております。
    2点目は,第2次犯罪被害者等基本計画の評価方針についてでございます。
    平成22年10月13日付,犯罪被害者等施策推進会議決定である第1次基本計画の評価を資料3としてお配りしております。
    3点目は,犯罪被害者等施策の実施状況についてでございます。
    各省庁から提出のあった資料を,資料4としてお配りしております。
    4点目は,海外調査についてです。
    海外の状況に関する有識者からのヒアリング項目案を,資料5としてお配りしております。
    なお,先日改正されました児童ポルノ禁止法等の関係条文を資料6としてお配りしております。議事に入る前に御説明を申し上げます。
    事務局からの説明は以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,議事に入る前に,まず前回の会議以降,新しく構成員となられた方がいらっしゃいますので,御紹介させていただきたいと思います。
    まず,安田貴彦内閣府大臣官房審議官が着任されました。安田審議官,一言御挨拶をお願いしたいと思います。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 内閣府の大臣官房審議官で共生社会政策担当の安田でございます。本年の1月31日付で着任しました。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 続きまして,徳久治彦文部科学省大臣官房総括審議官が着任されていらっしゃいます。徳久審議官,一言御挨拶をお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文科省の総括審議官を4月に拝命いたしました徳久でございます。よろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    最後に,事務局として及川京子内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官が着任されていらっしゃいます。及川参事官,改めて一言御挨拶をお願いいたします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 及川でございます。これからよろしくお願いいたします。
  • 椎橋議長 3名の新しい構成員の方々,どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは,続けて資料6の説明をお願いします。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 では,資料6について御説明をさせていただきます。御覧ください。
    先の国会におきまして,児童ポルノ禁止法が改正され,6月25日に公布されたところでございます。
    この改正法では,児童ポルノの単純所持を処罰対象とするなどの改正が行われたほか,被害児童の保護に関する施策の検証等を行う機関として,社会保障審議会とともに犯罪被害者等施策推進会議も明記されたところです。
    あわせて,犯罪被害者等基本法の改正も行われております。まだ改正法が成立したばかりでございますので,どのように検証を行っていくかなどの具体的な対応については,現在検討しているところです。改めまして皆様方には御相談,御報告をさせていただきます。
    説明は以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,本日の議題に入りたいと思います。最初は「2.第2次犯罪被害者等基本計画の評価及び第3次犯罪被害者等基本計画(仮称)策定のスケジュールについて」でございます。
    これについて,まず事務局から説明をお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは,お手元の資料1を御覧ください。
    冒頭,御説明申し上げましたとおり,前回のスケジュールをもとに事務局で作成した第2次基本計画の評価及び仮称ですけれども,第3次基本計画の策定に関するスケジュール案でございます。
    全体のスケジュールでございますが,第2次基本計画の期間が満了する平成28年3月までに閣議決定を行うこと,また,その前にパブリックコメントを実施することなどを考えると,構成員の皆様には御負担をおかけすることになりますけれども,年明けからおおむね月1回のペースでこの専門委員等会議を開催する必要があると考えているところでございます。
    御了解をいただけましたら,このようなスケジュールで進めさせていただきたいと考えております。
    なお,第2次基本計画の評価方針,方法につきましては,この後,御議論をいただくことを予定しております。
    また,第2次基本計画の評価,見直しの前段として,本年9月ごろに新たな計画に盛り込むべき事項に関する要望・意見について,国民の皆様から聴取することを予定しております。
    資料2を御覧ください。これまで第1次計画,第2次計画と作成していく過程で,被害者団体及び被害者支援団体から寄せられた御要望をもとに検討を行ってまいりました。今回は被害者団体,被害者支援団体はもちろんのこと,団体に所属していない被害者個人や有識者なども含め,広く国民の皆様から意見を聞くため,インターネットを利用してホームページにおいて要望・意見を受け付けることを考えております。
    あわせて,特に犯罪被害者団体,犯罪被害者支援団体の方々のための要望・意見聴取会を開催することも考えております。
    また,これとは別に,海外の状況に関する有識者からのヒアリングを実施することを検討しております。こちらにつきましては資料1にお戻りください。これまで海外の状況に関しましては,例えば経済的支援に関する状況については,先の検討会で調査を行っているところでありますが,被害者施策全体がどうなっているのかという観点からの調査はされていないところです。
    基本法の制定前は,我が国の犯罪被害者等施策は諸外国に比べて20年遅れているという言葉を聞くこともありました。その後,基本法が制定され,基本計画も第1次,第2次と進んでいく中で,我が国の立ち位置は諸外国と比べてどうなのだろうということを確認しておくことも,第2次計画の評価,第3次計画の検討に際しては有用ではないかと考えるものです。
    時間的,予算的な制約がございますので,現地に行って調査をするということではなく,議長とも御相談の上,知見のある有識者の方複数名から事務局がヒアリングを実施し,その結果を本年12月ごろにこの会議に報告させていただくことを考えております。
    具体的なヒアリング項目などにつきましては,後ほど御議論をいただくことを予定しておりますので,ここではヒアリングを実施するということ自体について,また,事務局で有識者からヒアリングを実施して,その結果を報告するという実施方法について御意見をいただければと思います。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,まず全体のスケジュールについて御意見,御質問がございましたらお伺いしたいと思います。かなりタイトなスケジュールになるということが予定されておりますが,この点についていかがでしょうか。再来年の3月の第3次基本計画の策定,閣議決定という出口を見据えると,それまでにやるべきことがいろいろございます。被害者団体,被害者支援団体のみならず,被害者個人からの要望聴取あるいは海外の状況に関する有識者からのヒアリングなどを経まして,委員会を重ねる。それから,パブリックコメントを経て,そして推進会議に上げて閣議決定というスケジュールになりますので,大体それを見据えますとこのような形になるということでございますが,全体のスケジュールについてまずいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
  • (一同,うなずく)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    それでは,被害者団体あるいは被害者個人からの要望を意見聴取するということと,海外の状況に関するヒアリングを実施するということも予定に入ってございますけれども,これについて御意見,御質問がございましたらお願いいたします。御意見,御希望を伺う機会を設けるということ。それから,ヒアリングを実施するということについては,その中身についてはまた御意見をお伺いすることがあると思います。今はこういったことを行うということについて御賛同いただければと思いますが,いかがでしょうか。よろしいですか。
  • (一同,うなずく)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    それでは,被害者団体の方等の要望,意見を聴取すること,それから,海外の状況に関するヒアリングを実施するということを含めて,第2次基本計画の評価及び第3次基本計画(仮称)策定のスケジュールについては,御了承いただきました。
    次に「3.第2次犯罪被害者等基本計画の評価方針について」に移りたいと思います。
    お手元に資料3として,第1次基本計画の評価をお配りしてございます。前回はこの資料にありますように,基本計画の各項目ごとに講じられた主な施策についての評価を行い,最後に計画全体を総括するという形をとっております。考えてみれば,ほかに考えられる方法としては,ちょっと極端ですけれども,241ある施策の1つずつについて評価を行うということも考えられますし,他方では計画全体についてのみ評価を行うというような方法も考えられるところでございます。
    この点について御意見をお伺いしたいと思うわけでありますけれども,具体的には施策1つずつの評価を行うというのは,なかなか時間的な制約ということを考えると非常に難しい。それから,計画全体のみを評価するということでは,余りにも大ざっぱ過ぎるというふうに思われますので,私は最初にこういう意見を申し上げては,言い過ぎかもしれませんけれども,前回同様の形で評価を行うということが,評価の方法としては妥当なのではないかと思われますが,いろいろ御意見もございましょうからお伺いしたいと思いますので,評価方法について御意見なり御質問がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。渡邉構成員,どうぞ。
  • 渡邉構成員 私は1点だけ最初に言っておきたいのですけれども,この1月に取りまとめが行われました先の検討会,犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会。これについては取りまとめの席上で,私どもの代表幹事の松村からもはっきり言ってありますけれども,非常に不満だと。2年以上時間をかけてこれだけのメンバーの方が集まって検討したにしては,海外における被害者の見舞金程度で終わってしまっているということで,本当に被害者の立場に立った検討がなされたのかという点については非常に疑問が残ります。私に言わせれば,これだけの人が集まって検討したにしては,本当にお粗末な結果しか出ていないということで,時間と経費の無駄遣い。経費というのは税金ですね。それの無駄遣いと私は思います。
    ですから,これからこの被害者問題を検討する場合には,いつ,誰が被害者になるか分からないということで,もし自分の家族が被害に遭った場合,どうしたらいいのだろう。そういう立場から検討をしていただきたいと思います。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ほかにはございますか。ただいまの御意見については,前回の最後に承りまして,私も非常に重く受けとめておりますけれども,会議といたしましては全体としてまとまったところの限度で提言するということでございましたので,ああいう形になったということでございます。
    それぞれの構成員の受けとめ方はいろいろだろうと思いますけれども,それぞれ重く受けとめておられることは間違いないことだろうと思っております。
    ほかにございますでしょうか。ないようですので,この第2次基本計画の評価の方法としては,前回同様の形で行うということにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
  • (一同,うなずく)
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,今の点については何か事務局から補足はございますか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 具体的な評価の進め方についてでございます。
    この後,これから議事4で各省庁から御説明をいただきます施策の実施状況や,第2次基本計画の見直しに関してお寄せいただく予定の要望・意見等を踏まえまして,事務局のほうで評価の原案を作成いたしますので,先ほどのスケジュールに沿って,平成27年2月ごろに開催予定の会議で皆様に御議論をいただければと考えております。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    それでは,3つ目の本日の議題であります「4.犯罪被害者等施策の実施状況について」に移ります。
    御承知のとおり第2次犯罪被害者等基本計画は,平成23年3月策定されまして,現在,約3年半が経過したところでございます。残りの計画期間は約1年半となったわけでございます。
    先ほど全体のスケジュールを御了承いただきまして,今後,第2次基本計画の評価や新たな計画の策定について御検討いただくことになりますが,その前提として現在の施策の実施状況,どこまで来ているのかということについて各省庁から御報告いただきたいと思います。これがこれからの議論にとって非常に重要だと思われますので,それぞれの省庁から御説明をいただきますけれども,一括して御報告いただきまして,構成員の皆様方からの御質問あるいは御意見というのは,説明いただいた後にまとめてお願いしたいと思いますので,そういう形で御了承いただきたいと思います。
    それでは,資料4に沿いまして,この順番に従って,まず内閣府からの御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 内閣府でございます。
    それでは,内閣府からは資料4-1に基づきまして御説明をいたします。第2次基本計画における内閣府関係の具体的な施策と進捗状況につきまして,主なものを取りまとめておりますので,これに沿って御説明をいたします。
    まず初めに,「第1 損害回復・経済的支援等への取組」について御説明いたします。
    「1 犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討」についてでございますけれども,皆さん御承知のとおりかと思いますけれども,今年1月に取りまとめが行われたところでございます。
    取りまとめといたしましては,親族間犯罪被害者についてDV事案以外にも全額支給又は減額割合を3分の1までとする特例を認めるべき,そして,海外での犯罪被害者については,犯給制度の拡大適用の形ではないとしても,社会の連帯共助の精神にのっとり,何らかの経済的支援をスタートさせるべきなどの御提言がなされました。
    取りまとめは今年3月の推進会議に報告され,与党と連携しつつ,取りまとめに従った施策を推進していくということが決定されまして,まずは海外での犯罪被害に関しては,今年6月に与党から「国外犯罪被害者の遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案」が国会に提出されました。前通常国会では成立をみなかったのですけれども,継続審議扱いとなっているところであります。
    また,先に申し上げました親族間犯罪につきましては,現在,警察庁において検討がなされているところでございます。追って警察庁からも御説明があるものと承知しております。
    その次に「2 カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討」についてですけれども,これも御承知のとおりでございますが,検討会を開催し,平成25年1月に最終取りまとめを行ったところでございます。
    取りまとめにおきましては,公費負担制度の対象として相当と認められる心理療法,カウンセリングの範囲を明らかにするための研究会が設置され,その研究に基づき公費負担制度が導入されるということを期待する,警察内部有資格者等において提供されるカウンセリングと,既存の公的機関あるいは制度において提供される心理的支援について,人材の育成等が図られ,一層充実した心理療法,カウンセリングが受けられるようになるための措置がとられるべきなどの提言がありました。
    取りまとめは平成25年3月の推進会議に報告をされ,取りまとめに従った施策を推進していくことが決定され,現在,警察庁において研究会が開催されているところでございます。同研究会につきましては,警察庁から後ほど御説明をいただく予定でございます。
    次に「3 地方公共団体による見舞金制度等の導入促進」についてであります。基本計画では地方公共団体に対し,犯罪被害者等に対する見舞金等の支給制度や生活資金等の貸付制度の導入について要請するとされているところ,内閣府では地方公共団体に対し,犯罪被害者等施策主管課室長会議や,地方公共団体職員を対象とする研修会などを通じ,見舞金や貸付金制度の導入について要請するなどの取組を行ってまいりました。
    その結果として,第2次基本計画の計画期間の最初の年である平成23年4月1日現在と,今年4月1日現在で比較をしますと,見舞金制度の導入は56市町村であったものが,2政令指定都市96市町村に増加をし,貸付金制度につきましては2県5市区町であったものが,2県7市区町に増加をしているところであります。
    次に「第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組」であります。基本計画ではワンストップ支援センターの開設,運営の手引の作成が掲げられておりますところ,内閣府ではワンストップ支援センターを運営している民間団体あるいは各省庁の御協力をいただきまして「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの開設・運営の手引~地域における性犯罪・性暴力被害者支援の一層の充実のために~」を作成しまして,平成24年5月に公表し,犯罪被害者支援団体,医療機関,地方公共団体,警察等に配布をしております。
    次に「第3 支援等のための体制整備への取組」でございます。基本計画では市町村における犯罪被害者等施策の窓口となる部局の確定や,犯罪被害者等に関する適切な情報提供を行う総合的な対応窓口の設置を促進するとされているところ,内閣府では先ほど申し上げた会議や研修会などの機会を通じ,市町村における施策担当窓口部局の確定及び総合的対応窓口の設置を促進するよう,要請してまいりました。
    その結果,平成23年4月1日と平成26年4月1日で比較をしますと,施策担当窓口部局が92%から98%,総合的対応窓口が56%から81%にそれぞれ増加をしました。
    最後に「第4 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」であります。内閣府では毎年,犯罪被害者週間に合わせてイベントを開催するなどをして,犯罪被害者等のための施策の広報啓発活動に努めてきたところであります。また,平成22年に決定をいたしました犯罪被害者等支援シンボルマークに関しまして,国民の犯罪被害者等に係る問題をより身近なものとして意識できるようにすることを目的とし,昨年度,広く国民の皆様から愛称を募集しまして,愛称を「ギュっとちゃん」と決定をして,地方公共団体等に対しパンフレットへの掲載等を呼びかけているところでございます。
    内閣府からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    続きまして,警察庁の取組状況についてお願いしたいと思います。
  • 警察庁長官官房審議官 警察庁の官房審議官の鈴木でございます。
    私からは,第2次犯罪被害者等基本計画における警察庁関連施策の進捗状況について御説明いたします。資料4-2を御覧いただきたいと思います。
    警察庁では,平成23年3月の第2次基本計画の策定を受け,同年7月,今後の5年間において特に講ずべき具体的施策を示した犯罪被害者支援要綱を策定し,積極的な支援活動を推進しているところでございます。
    さらに,同要綱に基づきまして,警察庁においては毎年度犯罪被害者支援推進計画を策定し,推進するとともに,都道府県警察においては当該計画を踏まえ,都道府県の実情に応じた計画を策定し,各種取組を推進しております。
    警察では,この支援要綱及び推進計画に基づき,第2次基本計画における具体的施策を推進しております。それらのうち主な施策の推進状況について御説明申し上げます。
    まず第2次基本計画の施策番号12の現行の犯罪被害給付制度の運用改善についてでございます。警察庁において,都道府県警察に対してパンフレット等を活用して,犯罪被害給付制度の周知徹底を図るよう指導いたしました。また,警察庁において迅速な裁定が行われるよう,都道府県警察を指導し,給付金の早期の支給に努めました結果,平成22年度には7.4か月であった平均裁定期間が,平成25年度には6.8か月と短縮してきているところでございます。
    次に,犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討についてでございます。本年1月の検討会取りまとめ及び3月の犯罪被害者等施策推進会議決定を踏まえ,現在,警察庁において犯罪被害給付制度における親族間犯罪に関する特例の拡大や,重傷病給付金の運用状況の調査の実施等について検討を行っているところでございます。
    また,海外で犯罪被害に遭った邦人に対する経済的支援につきましては,犯罪被害者等施策推進会議決定を受け,与党における議論を踏まえて関係府省とともに検討を進めてきたところでございますが,先般,与党から衆議院に対し,国外犯罪被害者の遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案が提出されましたことから,今後の国会等での御議論,御検討に対応してまいりたいと考えております。
    次に,カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討でございます。昨年1月の検討会最終取りまとめを踏まえ,本年3月から警察庁において精神医学,臨床心理学,被害者学等の有識者からなる犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会を開催し,検討を行っているところでございます。
    次に,ワンストップ支援センターの設置促進についてでございます。平成22年度に実施いたしました性犯罪被害者対応拠点モデル事業について,平成23年,有識者を含めた検証部会を設置して検証を実施し,その結果を関係省庁等に提供するなどの施策を推進いたしました。
    次に,ストーカー事案への適切な対応についてでございます。ストーカー事案に一元的に対処するための体制を全国の警察本部に確立し,迅速かつ的確な対応の徹底を図っているほか,被害者に対し事案の危険性や警察の執り得る措置等を分かりやすく説明する被害者の意思決定支援手続や事案の危険性等を判定する危険性判断チェック票の導入,関係機関との連携協力等,被害の拡大及び再被害の防止対策を推進しているところでございます。
    次に,犯罪被害者等早期援助団体に対する指導についてでございます。都道府県公安委員会が指定しました犯罪被害者等早期援助団体に対し,適切かつ確実な支援を行うために必要となる支援体制等についての情報提供や,必要な助言等,適切な指導を行っております。
    最後に,交通事故被害者等の声を反映した国民の理解増進についてでございます。交通事故の被害者等の実態や惨状等に関する国民の理解を増進するため,交通事故被害者等の手記を取りまとめた冊子等の配布や講演の実施のほか,都道府県公安委員会による運転者等に対する各種講習において,ビデオ,手記等を活用し,交通事故被害者等の声を反映した講習を実施しているところでございます。
    以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ただいま警察庁から主な施策の推進状況について御報告いただきました。
    引き続きまして,法務省から主な施策の進捗状況についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 法務省大臣官房審議官 法務省でございます。
    それでは,第2次基本計画におけます主な施策の進捗状況につきまして,資料4-3に基づきまして御説明させていただきます。
    主な施策,大きく分けまして4つの項目でございます。
    1ページ「第1 損害回復・経済的支援等への取組」でございます。犯罪被害者等が提起されます損害賠償請求訴訟等の準備等の過程で,代理人である弁護士等がカウンセラー等を犯罪被害者等との打合せに同席させることに対して,日本司法支援センターが支援を行うことについて,必要な施策を実施するとされておりました。
    この点につきましては,支援を受ける一定の要件を満たす場合に日本司法支援センターが実施します民事法律扶助制度による立替払の対象とすることといたしまして,平成26年4月から実施しております。
    2点目でございますが,「第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組」でございます。犯罪被害者等の方々に対しましては,加害者についての様々な情報を提供いたします被害者等通知制度がございますが,こういった被害者等通知制度の更なる充実について,必要な施策を実施するというふうにされているところでございます。
    これにつきましては,例えば受刑中の刑事施設におけます処遇状況に関しまして,褒賞あるいは逆に懲罰というものを受けたといった項目を追加するですとか,保護観察開始時の通知事項として,特別遵守事項の内容あるいは生活行動指針の内容を追加することなどをしております。これも今年4月から実施されております。
    次に1ページから2ページにかけてでございますが,「第3 刑事手続への関与拡充への取組」でございます。この点につきましては犯罪被害者等が被害者参加制度を利用して,裁判所に出廷する際の旅費等の負担の軽減あるいは被害者参加人のための国選弁護制度におけます被害者参加人の資力要件の緩和といったことにつきまして検討を行うこととされておりました。これにつきましては所要の法律案を提出し,成立いたしまして,昨年,平成25年12月1日に施行されております。
    その結果,被害者参加人に対しまして日本司法支援センターが旅費,日当,宿泊料を支給することができることになりましたし,また,国選被害者参加弁護士制度の適用されます被害者参加人の資力要件が緩和されております。
    最後に,2ページの下のほうでございますが「第4 支援等のための体制整備への取組」でございます。ここでは保護観察所の被害者担当の保護観察官,保護司による協働態勢のもとで,被害に係る刑事裁判が終了した後の犯罪被害者等の支援について,関係機関,団体等との連携,協力を深めるなどして,一層適切な支援の実施に努めることとされておりました。
    これにつきましては,平成19年から被害者担当官あるいは被害者担当保護司の協働態勢のもとで,犯罪被害者等に対する相談支援を行っておりますが,地方公共団体等が主催します犯罪被害者等が集うシンポジウム等に担当官及び担当保護司を積極的に派遣する,あるいは当省の保護局主催で実施します担当官,担当保護司に対する研修に犯罪被害者支援関係機関・団体等から講師をお招きするなどして,関係機関,団体等との連携の強化を図っているところでございます。
    法務省からは以上でございます。
  • 椎橋議長 どうもありがとうございました。
    それでは,さらに続きまして,文部科学省から第2次基本計画の主な施策の進捗状況についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 文部科学省でございます。
    資料4-4に基づきまして,文部科学省の取組施策を御紹介させていただきます。
    大きく3項目ございます。1項目ずつ,1ページずつでございます。
    1ページ,精神的・身体的被害の回復・防止への取組ということでございます。文部科学省関係の主な計画内容としては,そこに書いてございますように,1つ目が犯罪被害者等への適切な対応に資する大学における医学教育の促進。
    2点目といたしましては,法科大学院における教育による法曹の犯罪被害者等への理解向上の促進。
    3点目といたしまして,少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実。この3点が計画として盛り込まれております。
    これにつきましての具体的な取組でございます。
    まず1点目でございますが,医学教育モデル・コア・カリキュラムを改訂いたしました。注に書いてございますように,大学における医学教育のモデル・コア・カリキュラムというものをつくっておりまして,そこで医学生が卒業までに身につけておくべき能力を到達目標として示した教育の内容のガイドラインというものを文科省で策定しておりますけれども,その内容に23年3月でございますが,改訂をいたしまして,PTSDに関する記述を明記するとともに,医療系の学部関係者が参加する各種会議で基本計画の内容を紹介いたしまして,各大学におけるカリキュラム改革の取組を要請したということがございました。
    2点目でございますが,法科大学院における犯罪被害者等への理解も含めた責任感や倫理観の涵養という点でございますけれども,これも法科大学院において被害者学などの授業科目を開設するということを推進いたしてきたところでございます。
    3点目でございますが,これは学校における職員といたしましてスクールカウンセラー,心理の専門家でございますとか,スクールソーシャルワーカーというような方々の配置の促進を図ってきている。そのための配置の拡充,研修の実施についての補助を拡充してきているところでございます。
    2ページ目でございますけれども,支援等のための体制整備への取組という点でございます。これも計画内容といたしましては,地方において教育を所管しております教育委員会と関係機関との連携・協力の充実・強化。また,学校において相談対応能力の向上を図る。また,犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合の継続的支援を促進する。これが計画内容に盛り込まれているものでございます。
    これにつきましても,その下でございますけれども,具体的な取組を推進してございます。
    1点目でございますが,関係機関との連携・協力による相談窓口機能の充実ということで,学校や教育委員会が警察等と連携いたしまして,いじめ事案等に対応できるような留意事項を示したところでございます。
    2点目といたしましても,先ほど申しましたスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置の拡充,生徒指導を担当している教員に対する研修を重視してまいりました。
    3点目といたしましては,いじめ対策等生徒指導推進事業において,いろいろいじめや暴力行為などの問題を抱える児童生徒などに対する効果的な支援について,そこに書いてございますように,いろいろな事業によって調査研究を行いまして,その内容を連絡協議会等により普及を図っているところでございます。
    3点目でございますが,国民の理解の増進と配慮・協力への確保の取組,3ページ目でございます。文科省における主な計画内容でございますけれども,学校における生命のかけがえのなさに関する教育の推進,また,学校における犯罪被害者等の人権も含めた人権教育の推進,学校における犯罪抑止教育の充実,この点の計画内容につきましては,その下に書いてございます取組を実施しているところでございます。
    1点目といたしましては,学校における道徳の関係の教材として「私たちの道徳」というものを文科省で作成しておりますけれども,それをこの4月に「私たちの道徳」ということで全国の小中学校に配布いたしまして,児童生徒が生命の尊さやかけがえのなさについて,自ら考えを深められるような題材を盛り込み,生命を大切にする心を育成するような教育の一層の推進を図ったところでございます。
    また,学校における人権教育の指導方法の在り方などの調査研究ということで,そこに第三次取りまとめという形で人権教育の指導方法等の在り方についてまとめまして,実践事例として配布をしたところでございます。
    最後といたしまして,警察と連携した非行防止教室,これは各学校で開催しております。そういうようなものを実施,充実してきたところでございます。
    以上でございます。
  • 椎橋議長 どうもありがとうございました。
    文科省から主な計画についての具体的な取組を御説明いただきました。
    続きまして,厚生労働省から具体的施策の進捗状況をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室政策企画官 厚生労働省でございます。
    資料4-5を御覧ください。厚生労働省関係の主な施策としては,1つは虐待等を受けた児童等の一時保護と居住場所の確保,それから,被害者が労働者である場合の休暇制度の周知と,PTSD等への対応などが主な施策の内容となってございます。
    まず一番最初の施策番号23「被害直後及び中期的な居住場所の確保」でございます。児童相談所における一時保護件数につきましては,児童相談所に隣接されています一時保護所内で保護している件数が23年度は2万289件,24年度は2万777件となっております。
    他の施設等に委託する一時保護委託の件数が23年度は9,985件,24年度は1万1,268件となっております。
    DVの被害者等については,婦人相談所による一時保護者数が23年度は6,059人,24年度は6,189人というふうになっております。
    児童相談所,婦人相談所の一時保護所や,婦人相談所が一時保護委託先として契約した婦人保護施設,民間シェルターなどにおいて一時保護を実施しておりまして,個々の状況に応じて期間を延長するなどの柔軟な対応を行うとともに,場合によっては加害者等の追求から逃れるために,都道府県域を超えて保護等がなされるというような広域的な対応も行っているところでございます。
    続いて,労働者が被害者である場合,もしくは遺族である場合等の時間的,精神的負担の軽減についてでございますが,企業や労働者に対して休暇制度の周知普及を図るために,25年度にはリーフレットを作成して関係団体等に送付しております。また,25年度に休暇制度の導入につきアンケートを実施したところ,企業,労働者とも今の時点でまだ9割以上が同制度を導入すべきという意見があることさえ知らないという状況でございます。今年度も引き続ききちんと周知啓発というものを行ってまいりたいと考えております。
    裏面にまいりまして,PTSD対策に係る専門家の養成研修でございます。医師,看護師,保健師,精神保健福祉士などを対象にしたPTSD専門家の養成研修を行っておりまして,これによって精神保健福祉センター,病院,保健所などでPTSDを抱える住民等に対する相談支援を実施しているところでございます。
    この専門研修会では,遺族のケアと子供のトラウマといったことをテーマに研修に盛り込んでおりまして,23年度から25年度まで,延べ619人が受講しております。平成22年度から模擬患者等を用いた実際のケースを使った対応方法等を組み合わせて,実践的な内容にしているところでございます。
    続いて,犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に資する研究でございますが,23年度から3か年計画で,大規模災害や犯罪被害者等による精神科疾患の実態把握と対応ガイドラインの作成・評価に関する研究というものを実施しております。24年度におきましては犯罪被害直後の急性期における対応の仕方についてまとめました,犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドラインというものを作成しております。また,25年度においては医療現場,団体や性暴力被害者支援センター等で活用できるように,パンフレットの「一人じゃないよ」というものを作成し,公表・周知しているところでございます。
    特定期間における広報啓発事業の実施ということでございますが,平成16年から毎年11月を児童虐待防止推進月間と位置付けておりまして,全国フォーラム,広報用ポスター,リーフレット,児童相談所の全国共通ダイヤル等を紹介し,政府広報を活用した周知・啓発等に努めているところでございます。
    厚労省からは以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ただいま厚生労働省から主な施策の実施状況について御報告をいただきました。
    最後になりましたけれども,国土交通省から主な施策の進捗状況について御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 国土交通省総合政策局次長 それでは,お手元の資料4-6に基づきまして,3点御報告申し上げたいと思います。
    まず第1点目は,保険金支払の適正化についてでございます。犯罪被害者等基本計画に基づきまして,関連制度の概要のところを見ていただきますと,自賠責保険機構による調停の実施,国土交通省による保険会社等への立入検査,必要な指示あるいは日弁連交通事故相談センターによる無料の法律相談や示談のあっせん,さらには加害者が特定できないひき逃げや無保険車のため加害者による賠償金の支払が困難であり,かつ,ほかの手段では救済を受けることができない場合における国土交通省による直接被害者に対しての補償金の支払等を実施しているところでございますが,進捗状況のところを見ていただきますと,平成22年度と平成25年度の比較におきまして,御覧いただきますように着実に実施をしてきているところでございます。
    2点目は,公営住宅への優先入居ということでございまして,優先入居につきましては関連制度の概要を見ていただきますと,住宅に困窮する実情に応じて地域の住宅事情,ストックの状況等を総合的に勘案して,事業主体の判断により優先的な取扱いを行うことが可能になっております。また,目的外使用につきましても,空き家となっている公営住宅を事業主体の判断により活用することが可能となっておりまして,地方公共団体に対する要請等を行ってきているところでございますが,特に目的外使用につきましては一定の要件を満たす場合は,地方整備局長に対する事後報告により補助金適化法の承認があったものとして取り扱う旨,周知をさせていただいているところでございまして,ここに御覧いただきますような優先入居の戸数あるいは目的外使用の入居戸数という実情になっているところでございます。
    また,計画ではURの賃貸住宅につきまして,その入居優遇措置について,その必要性を含めて検討を行い,2年以内を目途に結論を出すということになっているわけでございますけれども,イのところを御覧いただきますように,平成25年度末における募集あっせん中の空き住戸は4万2,000戸程度ある。現状は入居される方よりも退去される方が多くて,この空き住戸が拡大する傾向にございますので,右に御覧いただきますように特段の入居優遇措置を行うことなく受け入れが可能と判断しておりまして,抽選ではなく申し込み順での入居を受け付けさせていただいているところでございます。このような実情を踏まえまして,公営住宅の管理主体からUR賃貸住宅の借り上げ要請は現在ございませんけれども,要請があれば柔軟に対応していく考えでございます。
    また,関連機関との連携でございますけれども,犯罪被害者等に対する公営住宅に関する情報提供については,関係機関と連携して引き続き適切に対応していきたいと考えております。
    3点目,交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実ということでございますけれども,まず1点目,質の高い治療・看護を受けられる機会の拡充ということで,自動車事故対策機構(NASVA)が専門病院である療護施設を整備しているところでございますが,右側の数字を御覧いただきますと,平成22年度の比較におきまして療護施設あるいは病床数とも拡大を図ってきているところでございます。
    また,在宅で療養生活を送る重度後遺障害者の短期入院の受け入れを積極的に行う病院を国土交通省が指定をいたしまして,必要な機器購入費等の助成を行う短期入院・入所協力事業を実施しているところでございますけれども,これも平成22年度の比較におきまして,協力病院,協力施設等ともに拡大を図ってきているところでございます。
    また,被害者の実態把握でございますが,年4回の被害者団体等との意見交換会を開催しておりますし,重度後遺障害者宅への訪問支援の実施ということで,精神的支援を含めまして着実に実施してきているところでございまして,訪問支援の実施割合も今,御覧いただきますような数字で拡大を図ってきているところでございます。
    以上でございます。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    ただいま6つの各省庁から,第2次基本計画の主な施策についての実施状況をお伺いしたわけでございます。
    報告の中身はかなり多岐にわたっておりますけれども,構成員の皆様方,どこからでも結構だと思いますので,御質問がございましたらお願いいたします。
  • 中島構成員 幾つかの省庁に質問がありますので,順番にさせていただければと思います。まず内閣府のほうに質問をさせていただきたいのですが,最初の1ページ目にございます国外犯罪被害者の遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案が今回,継続審議扱いになったのは特段の理由がありますかというのが1つ目です。
    その裏側,支援のための体制整備への取組で,相談窓口で市町村数が減っているのですが,これも何か特段の理由がありますでしょうか。お分かりでしたら御説明いただければと思います。
  • 椎橋議長 内閣府からお願いいたします。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 まず1点目の今回,議員提案になっております国外の被害者に対する弔慰金の支給に関する法律案でございますけれども,継続審議となったのは,与党の中での調整なりいろいろな議論に時間がかかって,通常国会の会期末ぎりぎりに御提出ということになったという事情によるものでございまして,特に国会内で特段の理由があったということではございません。ですから,また秋には臨時国会があるものと思いますけれども,そこで審議がなされるものと期待をしているところでございます。
    2点目ですけれども,市町村数が減ったのは,これは単純に合併で市町村の数が減ったことによるものと認識をしております。
    以上でございます。
  • 椎橋議長 よろしいですか。中島構成員,どうぞ。
  • 中島構成員 引き続き警察庁に質問です。ワンストップ支援センターが各地でつくられていたのは大変有意義なことだと思っているのですが,警察庁のモデル事業で愛知がスタートされまして,先駆けですばらしかったと思うのですが,今後,警察庁のほうでモデル事業として施設等を増やしていくとか,そういった計画はおありでしょうかということをお伺いできればと思っております。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁でございます。
    ワンストップ支援センターにつきましては,御指摘のとおりハートフルステーション・あいちを平成22年度に警察庁のモデル事業として実施いたしました。モデル事業終了後の23年度以降は、愛知県警が独自で運営をしてきているという状態でございまして,警察庁としてのモデル事業は現在はないということでございます。
    当該モデル事業の検証結果の中でも,様々な形態のワンストップ支援センターがあるものと承知しておりますけれども,より被害者の方にとって使いやすい形にしていくにはどういう形がいいのかということも考えながら進めていかなければいけないということかと思っております。現時点で具体的にモデル事業を推進していこうということは計画していないところでございますけれども,それぞれの地域で様々な動きがあるところでございますので,警察といたしましても当然協力しながら進めてまいりたいと思っております。
    以上でございます。
  • 中島構成員 2つですけれども,文部科学省に質問です。1ページ目の医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂につきまして,当初の基本計画からも言われていることなのですけれども,犯罪被害者のPTSDはもともと精神医学の問題としてとりあげられています。ここでは、医学教育において犯罪被害者等へ適切な対応など,犯罪被害者そのものについての医学教育といったものが必要であるということだと思います。その中には例えば児童虐待の被害者を早く見抜くとか,DV被害者に対応するというような内容が当然含まれると思います。しかし,ずっと,PTSDについてのみ、このコア・カリキュラムに織り込むという話が継続されているような印象を受けているのですが,今後の計画の中でPTSDだけではなく,犯罪被害者全般に対して適切な対応をするための教育を盛り込むという案を提言していかれる御予定はありますでしょうか。
  • 椎橋議長 文科省の方,いかがでしょうか。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 ありがとうございます。
    この医学教育モデル・コア・カリキュラムは大学におけるそういうカリキュラムを,医師の国家試験があって,そこの試験科目に対応した科目を中心にいろいろな学問,分野を学んでいくということのモデル案をつくろうということでつくってきました。その中でもこの会議等いろいろな場でいろいろ指摘されていることについて,そのモデル・コア・カリキュラムに改訂するという形で入れ込んできているというのが今まででございます。
    今日,先生から御指摘いただいた点についても,今までのいろいろ議論の中でこれをどういう形で改訂していくのか。それから,ほかの項目についてどういう内容でどう盛り込んでいくのかということについて,全体計画の中でどういうふうにこなしていくのかという話があると思っていますので,このスケジュールでこういうことをするとか,こういうことができないということで今の段階で申し上げられませんので,申し訳ありませんが,要望として引き取らせていただきまして,今後の議論の中でどういうタイミングで,何をどう改訂するのかについて検討させていただき,また,御報告させていただきたいと思います。
  • 中島構成員 最後,厚生労働省に御質問させていただきたいのですけれども,被害回復のための休暇制度の周知・啓発が,大変難しい状況で継続しているのですが,この制度を9割以上が知らないというのは,行政機関の中でもこの程度の周知なのでしょうか。それとも行政機関においてはもう少し周知されていると理解していいのでしょうか。もしお分かりでしたら教えてください。
  • 椎橋議長 いかがでしょうか。厚生労働省の方,お願いいたします。
  • 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室政策企画官 厚生労働省でございます。
    私ども今回,アンケートを行っておりますのは,基本的には民間企業を対象にして行っております。したがって,行政の分野で実際にどういう状況なのかというのは正直把握していないところでございますが,こういう状況を踏まえて民間企業,行政を含めて,全体として認識そのものを広める取組をさせていただきたいと考えております。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょうか。
    渡邉構成員,どうぞ。
  • 渡邉構成員 内閣府に,これは質問というよりはお願いなのですけれども,昨年の犯罪被害者週間の中央大会は,入場者も場所が場所だったのかもわかりませんが,結構入場者もあって,これだけ入ればいいんだなと思ったのですけれども,一昨年までは会場ががらがらだったのです。ですから,そういう意味では周知方法や何かももう少し検討していただいて,なるべくたくさんの人が集まるような日にちの設定だとか場所の設定あるいはカリキュラムというか内容のやり方ですね。そういったものも考えていただければと思います。よろしくお願いします。
  • 椎橋議長 内閣府の方,何かございますか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 御要望に適切に対応できるようにして参りたいと思います。我々としてもせっかく実施する以上は多くの方に聞いていただきたいと思っておりますので,いろいろ検討して努力したいと思います。
  • 椎橋議長 ほかにいかがでしょうか。小西構成員,どうぞ。
  • 小西構成員 2つ,重ならないように伺いたいと思います。
    1つは内閣府ですかね。ワンストップ支援センターが確かに複数できてきたことは大変いいことだと思いますが,実際にはこの運営に関しては,各地でそれぞれ違うところで非常に困難が起きていると思います。
    例えばこういうセンターを継続していくためには,当然,資金が安定して必要なわけですけれども,そういうことに対する整備というものがまだ行われていなかったり,あるいは逆に組織をつくるところでかなり無理がいっていて,実働ができなかったりという実情があると思いますけれども,そのあたりについて今どういうふうにお考えなのか,もう少し詳しく教えていただければ,分かる範囲で結構ですけれども。
  • 椎橋議長 大臣官房審議官,どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 先ほど御説明しましたとおり,24年にワンストップ支援センターの開設,運営の手引を作らせていただいたわけでございますけれども,各地において財政的な問題あるいは人的資源の問題,多機関の連携の問題等でいろいろな困難を抱えている実情であるということは,我々も耳にしているところでございます。これに対してどういったことができるかということでございますけれども,基本計画上は,まず,この手引の作成ということがうたわれているところでございまして,それについてのひとまずの成果物は出して我々の役割は一応果たしているのかなと思っているところでございます。
    ただ,最も大事なことは,性犯罪の被害者にとってなるべく負担のかからないように,いろいろな支援が受けられる体制を作るということなのだろうということは十分認識しておるところでございます。そのスタイルは病院主体のワンストップセンター以外にも,いろいろな取組のありようはあるのかなと思っております。
    引き続き,我々としても何かできる御支援があるのかどうか検討してまいりたいと思いますし,また,内閣府内の男女共同参画局とも,あるいは他の関係省庁とも,協議を進めたいと思います。
  • 小西構成員 引き続きいいでしょうか。
    今,お答えいただきたいわけではないのですけれども,実際に活動の状況を見ていますと,この取組がこれだけメインのこととして挙がってきているにもかかわらず,男女共同参画局とこちらの犯罪被害者の間で落ちてしまって,どちらからもなかなか実効のある取組というものがなされていないような実情を感じるのです。これはむしろ今後のことということになるかもしれませんけれども,そういうことも調査していただければと思っております。
    もう一つよろしいですか。法務省に伺いたいのですけれども,日本司法支援センターの民事法律扶助制度によるカウンセラーの費用の公費負担。26年4月からですから,まだ余り始まったばかりということかもしれませんが,実績がどれくらいあるのか。もし分かっていれば教えていただきたい。
  • 椎橋議長 法務省の方,いかがでしょうか。実績がお分かりになれば。
  • 法務省大臣官房審議官 4月から施行ということで,まだ現在は件数はございません。
  • 小西構成員 では始めたところということですね。
    もう一つですが,その次のところで判決確定,保護処分決定後の加害者に対する情報提供拡充というところで,褒賞及び懲罰を追加というふうになっているのですけれども,まずはこれの理由を教えていただければと思います。
  • 法務省大臣官房審議官 犯罪被害者の方々にお知らせする,加害者に関する情報の範囲,情報の中身を拡充するということで,これまで刑務所の受刑中の状況ということですと,どこの刑務所にいるか,あるいは懲役作業あるいはこういう特別の改善指導として何をしているか,こういったことがあったわけですけれども,きちんとそういう受刑中の態度に関するこういった褒賞ですとか懲罰というものも追加して,情報の範囲を広げようとしたわけでございます。
  • 小西構成員 その目的は大変結構だと思うのです。実態をなるべく伝えようということでよろしいかなと思っているのですが,例えば刑務所についてどこに収容されているかというのは確かに通知が来ますが,被害者の方とお話していると,例えば刑務所に収容されているということは,専門家には非常に意味が分かっても,その意味が分かってというのは,そのことでいろいろなことが分かる情報もあるわけです。だけれども,実際には何でそこの刑務所にいるのかなというところでとまってしまう。この情報をどう読めばいいのかというのが実際に被害者の方に聞かれることがあって,専門家の通訳がないとせっかくいろいろなことを書いて努力して増やしていただいているにもかかわらず,分からないのです。
    別にそこに書いていなくてもよろしいのですけれども,もう少し親切に何か刑務所の級はどう決まっているのかとか,そういうことについてのパンフレットみたいなものが一緒に入っているといいのになとずっと実は思っていたものですから,もしそういう目的でやられるなら,その辺もできる範囲で親切にしていただくことが可能なのではないかと思って伺いました。
  • 法務省大臣官房審議官 そういうことも含めて,この点につきましてはいろいろとまた考えていきたいと思います。
  • 小西構成員 以上です。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 1点,先ほど小西先生からの質問に答え忘れておりましたけれども,各自治体でもワンストップセンターの充実の取組は,一部かもしれませんが,始まっているところがございます。特に財政的なバックアップということになると,自治体によるところが大でございますので,その辺についてもいろいろ情報を把握したり,あるいは情報提供に努めていきたいと思っております。
  • 椎橋議長 先ほどの小西構成員の質問と関連するのですけれども,小野瀬審議官に伺います。被害者は受刑中の者が改善,更生しているかどうかということを知りたいということと,褒賞を受けたりとか懲罰を追加されたということは,仮釈放が認められるか否かの場合に被害者が意見を述べることができますが,そのときの材料にするということもあるのでしょうね。
  • 法務省大臣官房審議官 おっしゃるとおりでございます。
  • 椎橋議長 ほかにございますか。中曽根構成員,どうぞ。
  • 中曽根構成員 法務省の方にお聞きしたいのですけれども,カウンセラー費用の公費負担ということで,まだ件数はゼロということでお聞きしましたが,結局これは公費負担ということなのですけれども,民事法律扶助制度だから立て替えるということですよね。ということは,被害者が後でお支払いするという形になるので,経済的な負担としてはやはりどうなのかなと思います。
    それから,被害者参加人に対する旅費等の支給。これは平成25年12月からでしたが,これは実際にもう何件かの例が出てきていると思うのですけれども,被害者参加のほかに傍聴される御遺族やら御家族やらが,いらっしゃると思うのですけれども,その方たちに対してはまだ旅費とかというのは出ないと思うのですが,その辺も検討していただけないかなと思うのです。
    それから,被害者参加人のための国選弁護制度の被害者の方の資力要件についてです。これは多分,確か150万の預貯金から200万に変わったと思うのですけれども,一般的に,200万の預貯金よりもある被害者の方の場合は,この制度が利用できなくなってしまう。経済的に大変な被害者が対象だからと言われれば,これは仕方のないことかも知れないのですけれども,誰も被害に遭いたくて被害に遭ったわけでなくて,大変な中で弁護士の方をお願いするに当たって資力によって対象外となった場合に,御自分で費用を出しておられる被害者の方も大勢おられると思いますので,その辺,150万から200万になった経緯も含めて,さらにはもう少し被害に遭われた方だったら誰でも国の費用で弁護士をお願いできるという制度になっていかないものかなと思っているのですけれども,その辺はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  • 法務省司法法制部付 法務省でございます。
    カウンセラーの費用が立替である点について,被害者支援として十分なのかという御趣旨の御質問についてですが,損害賠償請求というものが民事事件であり,犯罪に起因するとはいえ私人間の紛争であるということで,厳しい財政状況の中,国が一方の当事者に経済的給付を行うという制度が現在ないという状況もございまして,そういった制度の是非については非常に慎重な検討が必要であるということで,立替制度,すなわち今ある民事法律扶助制度の枠内で行うということとした次第でございます。
    なお,被害者参加旅費の支給の実績についてでございますが,平成25年12月から支給を行っており,まず平成25年度の実績でございますけれども,12月,1月,2月,3月の4か月間における請求件数が939件で,実際にお支払いした金額につきましては,約700万円でございます。
    平成26年度に入りまして,現時点で分かっている実績といたしましては,4月,5月,6月の3か月間で請求件数が534件で,お支払いした金額が約430万円となっております。
  • 椎橋議長 中曽根構成員,よろしいですか。
  • 法務省大臣官房審議官 補足いたしますと,例の国選弁護の資力要件につきましては,現金資産等から一定期間の療養費を差し引いた分が200万円未満ということでございまして,そこの療養費の期間につきましても3か月というものを6か月に拡充したというところがございます。そういったことで私どもとしては,かなり資力要件は緩和されたのかなと思っております。
    また,被害者参加人の方の傍聴される御家族というところになりますと,この制度として被害者参加人御本人とその方々とを同じにできるかどうかというのは,また少しいろいろと難しい問題もあろうかと認識しております。
    以上でございます。
  • 中曽根構成員 その資力要件のことで,例えば預貯金はあっても,ローンを組んでいる場合,ローンは計算の中に入らないということはたしかあったと思うのですけれども,そういうところも緩和されていくといいのになとは思いますので,もしまた今後いろいろと検討されるときには,その辺も考えていただけないかと思っています。
  • 椎橋議長 始まってそんなに時間がたっていないということもあって,どういう場合が被害者にとってネックになっているのか。どのくらいこの制度が役に立っているのかということを検証していく必要はあると思うのです。そのあたりのところはいろいろ被害者の方とか,被害者団体の御意見を聞いて,今,実績を伺いましたけれども,これがどのくらいの被害者の役に立っているのか。そのあたりを検証しつつ,さらに今後,改善できるものがあったら,そういう方向に持っていっていただきたいということだろうと思いますので,そのあたりのところも御意見を聞きながら検証していただければと思います。
    ほかにいかがでしょうか。中曽根構成員,どうぞ。
  • 中曽根構成員 文科省の方にお聞きしてもよろしいですか。学校における命のかけがえのなさ等に関する教育の推進というふうに文部科学省関係の主な計画内容というところにありますが,例えば警察庁の命の授業があると思うのですが,これと文科省の教育の推進,学校における命のかけがえのなさ等に関する教育の推進というものの連携とか,そういうことはあるのでしょうか。同じことではないのですね。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 具体的な説明になってしまうかもしれませんけれども,今,小学校,中学校は,小学校だと45分が1コマ,高校だと50分が1コマなのですが,授業が1週間大体29セクションある。その中で週当たり1時間道徳という時間があります。その道徳で学ぶことは,小学校,中学校それぞれ各授業において週当たり1時間の道徳の時間なのですが,そこではいろいろ学ぶ項目がありまして,例えば個人なら個人に関して自分がいかに成長するかとか,今後どういう職業に就いて,どういう働きをするかとか,対外的に社会の中の一員としてどういうことをするのか,できるのかというような話とか,自然との関係で自分は自然の中でどういうような役割を果たし,どういう考え方をするのか。そういう様々な項目が中学校ですと二十数項目ございますが,それを大体週当たり1時間とか2時間,道徳という例えば月曜日の1時間目だとか,水曜日の4時間目だとか,そういう中の授業でやっていきます。
    そういう中に例えばここで言うと,生命の尊さやかけがえのなさについて学ぶという項目が1項目あって,大体授業で多くなされているのは,その時間に道徳の教材といって,ここに書いてある「私たちの道徳」というのがそうなのですが,そこにいろいろ例えば小説から引っ張ってきたとか,あるいは篤志家の方に書いていただいた教材の読本の一部があって,それを読みながら命の尊さとかかけがえなさについて学ぶことが多いです。
    しかし,今,御指摘があったように,例えば一番下に書いています非行防止教室までは言えないかもしれませんけれども,そういう実際に命を失われた方とか犯罪被害に遭った方とか,命を失っていないにしてもそういうような被害に遭われた方とか,いろいろな体験を持っている方がいらっしゃいます。そういうような方に例えば学校の授業に来ていただいて,そういう方からの体験を先ほど言った題材とあわせてかもしれませんし,題材ではなく,人の話を直接お聞きすることもありますし,道徳の時間以外にも各授業でいろいろ項目がありまして,そういう中で篤志家の方に来ていただいていろいろなお話を聞くとか,それは道徳の1時間とは外のコマでそういう話を聞くことがある。
    今,多分御指摘の点は,今のような話でいくとどちらかというと後者で,警察の方のみならず,地域の方とかに来ていただいて,one of themも含めてですけれども,そういうところでお話を聞く機会というものがあると思います。それは各学校,もちろんそういう犯罪被害とかそういう系統だけではなくて,例えば料理の仕方がどうだとか,国際的なつき合いの仕方はどうだとか,多方面について学校で学ぶ機会がありますので,そういうことのone of themとしてやられている。これは各学校それぞれあると思う。そういう中で1つの学校を切っていけば,こういうようなコマがあることがケースとしてあるということだと思っています。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 若干補足をさせていただきます。
    警察庁でございます。大変差し出がましいのでございますが,全体像としては今,お話があったとおりかと思っております。
    中曽根構成員御指摘の命の大切さを学ぶ教室の実施につきましては、犯罪被害者御遺族の方等の多大なお力を得まして実施をしているところでございます。さらに、文部科学省の御了解も得た上で,各都道府県の教育委員会や個別の学校とも御相談をいたしまして,今,お話がありましたような課外授業的なものになるのか、または道徳のコマで行うのかなどといったことを検討しながら実施をさせていただくようにお願いをしているところでございます。
  • 渡邉構成員 警察庁の方にお伺いしたいのですけれども,今日,あすの会に来たメールの内容なのですけれども,千葉県の事例なのですが,犯給金の申請をしたいということで警察に行ったら,相手方加害者のほうで被害弁償の申出がありますかというふうに聞かれたらしいのです。申出はありますけれども,実際,ありましたが,現在もらっていません。新たに申出のあった金額を払ってくださいと言ったら,払いませんと言われた。
    県警の被害者対策室の人からは,損害賠償の申出があった場合には,その分,犯給金は引かれますというふうに言われたというのです。それはおかしいのではないか,腑に落ちないということで支援センターの人に相談して,たまたまその支援センターの方が東京に行く用事があって,東京の警視庁か何かで話を聞いたらしいのです。そうしたら,引かれることはないですというふうに言われて,それを今度千葉に持って帰って県警の方に言ったら,最後には渋々,引かれることはありませんという話になったということで一段落したということなのですけれども,その対応がおかしいのではないかということで相談が来たのですが,そういった事例というのは実際,おかしいですよね。
  • 警察庁長官官房供与厚生課犯罪被害者支援室長 大変耳の痛い御指摘でございます。研修なり法の内容についての正しい理解が足りていない面があるかと思っておりますが,御指摘のようなことがあれば,被害者の方に大変な御負担をかけるようになってしまいますので,分からない点等ございましたら警察庁に問合せをきちんとするようにということも含めまして,更に指導してまいりたいと考えております。
  • 椎橋議長 森山構成員,どうぞ。
  • 森山構成員 森山です。
    本日,実施状況について御報告を受けたのですが,今後のスケジュールとの関係に移ってくると思うのですけれども,この実施状況,各省庁からのことに関して2月に現行計画の実施状況の評価の案を事務局で用意されるということなのですが,この委員会の中において実施状況について,さらにこの点についての実施状況はどうなっているのかとか,はっきり言ってこれだけでなくて,現実にできなかった部分もあるかと思うのですけれども,そういう点も含めてこういうことはできなかった。あるいはこういう課題が残ったとか,そういう省庁自らの反省とまでは言いませんけれども,できた程度というか進捗状況について,今回だけのこれで終わりで,次回2月にその評価案が出てくるというふうに考えていいのか,この実施状況に関する今日の各省庁の内容のほかに,補足的に今後もこういう実施状況について,こちらからいろいろ質問すれば出てきて,今後の会議の中でそれはそれで1回だけに限らず,そういうものが補足的に出てくると考えておけばいいのか,その辺のところを教えていただきたい。
  • 椎橋議長 基本的には本日の進捗状況の報告と質問に対する回答が今の実施状況ということですので,各構成員の方々からさらに,今日は6つの省庁から報告がありましたが,全てこの場で質問し尽くすということはできないと思いますし,また,御要望もあると思うのです。それらにつきましては事務局に御質問等を寄せていただいて,事務局から各省庁に回答をお願いして,それをお知らせする。もちろん質問された構成員の方だけではなくて,全構成員にその情報は共有する。そういう形にしていきたいと思います。ですから,御質問御要望等をお寄せいただければと思います。
  • 森山構成員 そうすると基本的には27年2月にはそういうたたき台ができる程度まで,その間,事務局にいろいろこちらから情報提供をお願いすれば回答いただけるという形になる。回答というか,実施状況についての補足的説明がいただける。
  • 椎橋議長 そのとおりです。
  • 森山構成員 具体的な内容で質問いいですか。お聞きしたい点があります。
    警察庁のほうにおかれては,2ページにカウンセリングの費用の公費負担についての研究会を開催されるということですが,この研究会の内容とか具体的な構成員とか,何か情報は公開されているのですか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 カウンセリング費用の公費負担の件でございますけれども,「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」は、今年3月から実施をしておりまして,警察庁のホームページ上に概要等を掲載させていただいております。議事要旨も,構成員の方の御了解をいただいた上で掲載せさせていただいております。発足後2回開催したというところでございまして,構成員の方々から御指摘いただきながら,犯罪被害者の方に対するカウンセリング等の実態の把握をどうやって進めていこうかという点等を含めまして,御議論をいただいているところでございます。
  • 森山構成員 これはどのくらい,今後一定の結論というか,期間がかかる予定でしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 議論の経過にもよるかとは思っておりますが,現在のところでは26年度中に一定の取りまとめができればということで,進めていただいているところでございます。
  • 椎橋議長 森山構成員,よろしいですか。
  • 森山構成員 それから,取りまとめでそういうことだったのは,警察庁だけのこういう動きがあるということなのでしょうか。ほかの省庁でもこういう研究会というのはあるのでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 この研究会でございますが,構成員は有識者の先生方でございますが,警察庁のほかに内閣府ですとか,テーマの内容に応じて厚生労働省の方に出席いただいて御説明をいただくなどの取組を行っているところでございます。
  • 椎橋議長 ほかの省庁でも,この種の研究会をされておられるかどうかということについてはいかがでしょうか。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 御質問の趣旨は,カウンセリングの提供に関する研究会が他の省庁であるかということでございますか。それについては特にございません。今,警察庁で御検討をいただいている研究会に私どもを含めて関係の省庁が,先ほど御説明があったとおり加わってやっているという状況です。
  • 椎橋議長 ほかにはいかがでしょうか。瀬川構成員,どうぞ。
  • 瀬川構成員 国外犯罪被害者遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案の国会提出に関連してですが,その中身について,簡単で結構ですので,御紹介いただけないでしょうか。
  • 椎橋議長 警察庁の方,お願いします。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 警察庁でございます。
    審議官から御説明させていただいた中にもございましたとおり,議員立法として提出をされておりまして,本来警察庁から詳しく御説明申し上げるべき立場にはないと思いつつ,施策を担当する省庁として念頭に置かれているのが警察庁でございますので,若干,御説明をさせていただきます。
    法案の概要でございますけれども,日本国籍を持たれる方が国外において故意の犯罪行為により死亡された場合に,一律で100万円の弔慰金をお支払いするという内容のものになっていると伺っているところでございます。1月に出された検討会1の取りまとめにおいて御提言いただいたような内容におおむねなられたのではないかと拝見しているところでございます。
  • 瀬川構成員 御努力に大変敬意を表しますが,100万円という積算の根拠について,どんな議論があったのか,可能であれば御紹介いただきたい。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 与党の議員の方々の議論の結果というものが結論なのでございますけれども,拝見している限りで申しますと,犯給制度に限らず,いろいろなほかの給付制度なども御覧になられて,そのあたりも参考として議論されたと承知をしております。
    いずれにいたしましても,この額の面も含めまして,今後の国会でまた御議論がなされるものと思っているところでございます。
  • 瀬川構成員 高いとか低いとかで余り合理的な根拠なく言うのはおかしいのですけれども,私は直感的ですが100万円というのは不十分ではないかと考えております。できれば今後の議論の中でより額を上げていただく方向で検討していただきたい。その議論の展開を期待したいと思っています。
  • 椎橋議長 多分,警察庁の方も議員立法ですので意見を差し挟むという立場ではないと思いますので,何かそういうような意見が求められた場合には,こういう委員会ではこういう意見もあったということは言っていただいてもよろしいかなと思います。ところで、海外での犯罪被害者が弔慰金の支払いを受けられるのは今の段階では死亡の方のみということで,重度障害が残った方については今後検討ということですね。その場合は遡及の問題というか,重度の障害が残るという結果が出てくるのはしばらく後だと思いますけれども,そのようなことについても検討されるのでしょうか。
  • 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 これもお答えしにくいところかなというふうに思いますが,現在,案としてでき上がっていらっしゃる制度も特段,遡及ということにはなっていらっしゃらないと承知しております。法が成立いたしまして,施行後の犯罪行為について適用するという仕組みになっておられると拝見をしておりますので,仮に今後,重度障害について検討が行われ,それについても何らかの形で措置がなされるというときも同じような考え方なのではないかとは思っておりますが,ちょっと何とも申し上げられないところかなと考えております。
  • 椎橋議長 ありがとうございます。
    文科省さんにお尋ねしたいのですけれども,大学の教育との関係で,先ほど中島構成員から医学部のモデル・コア・カリキュラム。現実にはPTSDを中心にして考えられているけれども,もっとより広く被害者のための医学教育ということに取り組んだらいかがだろうかという御意見がございました。
    それから,法科大学院でもそういった取組がなされていて,私どもこの取組に積極的に参加している者の意向でありますけれども,法科大学院の学生の関心もかなり高くて,受講者もかなり多くおります。被害者と法という科目は,将来,法曹になったときに法曹としての責任感や倫理観を涵養するという上でも有益だと思っているのですが,更にこの科目や取組をどのようなものに発展させていくかということについては,現在,担当者の中でその在り方を相談はしているのですけれども,できれば大学の医学部とか法科大学院,それから,文科省の担当の方とか,そういった方々との意見交換なんかがあると,より先に進めることができるのではないかと考えているのですが,実際にやられているかどうか自体も知らないのですが,もしそういうようなことがあればいいかなと思っているのが現状ですが,その点について何か御意見がございましたらお願いします。
  • 文部科学省大臣官房総括審議官 貴重な御指摘ありがとうございます。
    一般論でまず申し上げますと,医学教育,法曹教育につきましては,当然,大学だけで完結する話ではなくて,最後に医師の国家試験であるとか,法曹関係の試験であるとか,そういう出口の問題があって,先ほども申しましたけれども,どういう科目を課すか。必修として課すか,選択科目にどこまでの科目として設けるかという,そこの試験内容の構成の問題が,これは恐らくそれぞれ厚労省であるとか法務省の関係であるとか,そういうところでお決めになるのですけれども,例えば一例で申しますと,法科大学院については以前は単年度に法曹の試験の合格者を3,000人出さなければいけないという議論が平成16年,17年ぐらいにありまして,そういう形で法科大学院という制度について,従来だと学部で法曹の試験を受けられたわけですけれども,それを法科大学院という大学院の制度にして,従来,点であった養成を線という形にしようという形でずっと法曹の改革に取り組んでいきました。
    そういう中で,当然のことながらそういう3,000人という規模が妥当なのかどうかという議論もありましたし,法科教育の内容そのものについての議論もございますし,大学における法曹試験の問題であるとか,いろいろな種々の課題もその改革に合わせて出てきております。これにつきましてはいろいろな各制度関係の議員の関係の会議もございますし,役所間で言いますとそういう内閣官房に設けられました担当セクション,私どもの関係,法務等の関係,いろいろな関係がございますので,そういうところでいろいろテーマを出していただきながら,テーマを絞りつつ議論してきたという経緯があります。
    具体にこの科目はどうかという個別の議論よりは,もう少し大きな議論ということのセクションで議論してきているということでございまして,そういう中でどういう科目を本来的な教育内容としたらいいのかということもございますし,個々の大学が自分のところでどういう科目を設けたらいいのかという,個々の大学における検討というものもあります。ですから,そういうようないろいろなセクションにおいて,いろいろな教育内容についての検討という枠組みの中でされてきているということで思っておりまして,御指摘のありました点につきましても,今,言ったような中で今後の改革の中に乗っていくのかというのが非常に期待されるところでございますように,関心が高まってきている。こういう状況だと存じております。
  • 椎橋議長 どうもありがとうございました。
    それでは,この議題についてはこの程度にさせていただきたいと思います。もしさらに御質問等がございましたら,事務局にお寄せいただければと思います。
    続きまして,今日の議題の最後になりますが「5.海外調査について」を議論していただきたいと思います。
    事務局からまず御説明をお願いしたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 事務局でございます。資料5を御覧ください。
    先ほど海外の状況に関するヒアリングを実施するということについて御了解をいただきました。ここではヒアリング項目案として,第2次基本計画の評価及び新たな計画の策定の検討に当たって参考となるのではないかと思われるものを挙げております。
    項目案に対する御意見,また,これまで海外調査と申しますとアメリカ,イギリス,フランス,ドイツが主な調査対象となっておりますが,調査対象国についても御意見をいただければと思います。
    なお,先ほども申し上げましたように,時間的,予算的な制約がございますことに加え,適当な有識者が見当たらないなどの理由により,ここに挙げている項目の中でも実際にはヒアリングできないものも出てくる可能性があることをあらかじめ御了承いただきますよう,お願い申し上げます。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    海外調査の問題については,今までもやってまいりました。ですから,それをいかに有効に使うかということもあります。しかし,前の調査では抜けているのではないか。今度の資料5にもありますように,被害者の安全の確保,被害が潜在化しやすい被害者への支援,民間支援団体との連携・協力についてというような項目等々。あと4がありますね。被害者を支える気運を醸成するための取組。これら全てをカバーしているというわけではありませんので,それらについて更にどうするかということがあります。具体的には調査対象国等について御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。小西構成員,どうぞ。
  • 小西構成員 ここに書いてある項目は,皆とても大事なものだと思いますので,やっていただければと思いますが,1つ私,最近まだ捜査とか裁判の過程にある被害者の方と結構お話を聞くようになりまして,例えば検察審査会が強制起訴するようなケースになっているというケースに会ったりするわけで,法的にはもちろん現行の法律の中で行われていることだというのは承知しておりますが,検察審査会が強制起訴するということは,ごく一般に普通の常識から見たときに,当然罰されるべき,あるいは裁判で行われるべきだというふうに,一般の人の感覚だったらそう思うのだけれども,でも専門家は今の法律制度ではそうはできないとおっしゃるようなケースだと思うのです。
    例えば性犯罪の被害者で,被告人のほうが否定されると当然証言が必要になってくるわけですけれども,そのために告訴を取りやめるという方も経験しました。それから,例えばむしろそういうことの中で警察官や検察官の方も悔しい思いをしているのだけれども,それ以上どうにもできないということも分かるようになりましたが,そういうようなケースをたくさん見ますと,やはり捜査とか公判とか,そういうところで現実にほかの国でどういうことが行われるか。
    例えば私の専門ではないので,もしかしたら皆様よく御存じのことなのかもしれませんけれども,強姦の要件というのがすごくさまざまなところで性犯罪ではとても難しいことをもたらしているわけですが,ああいう形でない性犯罪の法律を改正している国もありますし,さらに捜査の段階で,あるいは裁判の段階での被害者保護ということについて新しい試みをしているところもたくさんあると思います。私はそれほどたくさん知りませんけれども,例えば最近読んだものでは,アメリカの司法の中では例えば性犯罪についてクラスを決めて,それによっていわゆるレイプ,強姦というものを使わないで対応しているということもあるように伺います。
    自分でやっていると,法律がこうだからというところで今,とまってしまっているのですけれども,せめて実際に世界で例えば捜査や公判によって新しいところでどういう試みがされているかということも教えていただければなと。そういう段階なのですけれども,もしかしてこの中の法律家の皆さんはそういうことを知っていらっしゃるのかもしれませんが,被害者と一緒にやっていると,そこから先が何とも言えない壁になっていて,では日本ではできないのかという感じになってしまいます。そういうことももし教えていただける方がいたら,世界の状況を教えていただければと思います。
  • 椎橋議長 これはどなたにお答えいただいたらよろしいでしょうか。私が知る限りは,お隣にいらっしゃる瀬川構成員が最も専門家で,今の御質問の点については一番よく御存じな学者なのですけれども,今の点についてはどなたが答えたらよろしいでしょうか。
  • 小西構成員 今,聞きたいのではなくて,海外の状況などを全部自分で知ることはとても難しいことなので,こういう機会にまとめて何か情報をいただければ,また考える材料にもできるし,この先のことも考えられるのになと思っているだけで,今,欲しいわけではありません。
  • 椎橋議長 分かりました。
    実際に被害者の方が法律の壁にぶち当たるという場合,どうしたらいいかという問題ですね。問題意識としては。
  • 小西構成員 今,私たちが常識だと思っている被害者参加人の制度も,あるいは様々な被害者の制度も最初はすごい常識外れでしたね。20年ぐらい前に私が被害者の話をしたときに,法曹の専門家の方から,あなたは法律のことを知らないからそういうことを言うんだというふうに言われたこともあります。
    そのことを考えると,もう一歩先に進むには,そういうところから私たちも知っていたほうがいいのかなというふうに思いまして,これはだから海外調査でヒアリングをなさるなら,これは瀬川先生から教えていただく必要が,全く可能性がないものではないのだと思うのですけれども,教えていただかないと先に出ていけないかなという気がいたします。
  • 瀬川構成員 私以外にもたくさん専門家がいると思います。
  • 椎橋議長 何か御意見ございますか。安田審議官,どうぞ。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 大変重要な御指摘をいただいたものと受けとめております。ただ,法務省さんのほうでお答えをいただいたほうがいいのかもしれませんけれども,これまでも法務省さんのほうにおきまして,刑事手続上の問題等につきましては意見交換会が随分積み重なっていると承っておりますし,その中でいろいろな御議論が既になされており,また,恐らくいろいろな海外制度との比較などもなされているのではないかという点を1つ申し上げておきたいと思います。また法務省さんのほうから補足があればお願いしたいですけれども,もう一つ,さまざまな御指摘をいただいた中で必ずしも私も頭の整理ができているわけではございませんが,まずこの犯罪被害者等基本法に基づく基本計画の射程に入っているかどうかという問題もあろうかと思うのが1点と,私どもがこの海外調査案の中でピックアップさせていただいた項目は,これまで必ずしも十分に議論がなされてこなかった問題であるものの,それにしてはかなり重要ではないかという問題を我々事務局なりに整理をして,御提示をさせていただいたものであるということでございます。
    とりあえず補足的に申し上げました。
  • 小西構成員 刑法のことをここで議論しろというわけでは,全然そうではありません。ただ,例えば捜査に関して例えば聞き方の問題という形まで落として,司法的なインタビューの仕方があるということだけしか取り上げてこられていないのだけれども,もう少し,では証言ということについて,これはここの中でももしかしたら扱えるのかなと思うのです。どうやって保護するかということをもう少し詳しくやっていったり,あるいはそういうことをよく知らないまま終わっている被害者がたくさんいるのです。その内容について余り説明を受けないまま,そうだったら何も言われないのだからいいやという形で,例えば見知らぬ人からレイプされていて,未成年で,私から見るとこれは絶対刑事事件になりそうなのにというところが,やはり説明不足や保護の仕方というところの問題でならないようなケースもあるので,むしろここの中で,今の話の中で何が扱えるのかというのが,それも私もちょっとよく分からないところがあるのです。そういう犯罪被害者等基本法の射程の中で,そういう問題についてもどのくらい扱えるのかということを教えていただきたいと言ったほうが正確かもしれません。
  • 中島構成員 1ついいですか。このヒアリング調査の進め方の件なのですけれども,2つ質問があって,1つは有識者というのは国内の有識者に限ってお呼びするということですかというのが1点と,もう一つ,内閣府のほうでヒアリングを行うということですが,概要としては専門委員のほうに通知されるということですけれども,例えば実際にヒアリングに直接参加したい,直接聞きたいという委員の要望があったときには,そのヒアリングに例えば委員が参加できるといったこともあるのでしょうか。
  • 椎橋議長 事務局いかがでしょうか。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 まず1点目の国内の有識者に限るのかという御質問なのですけれども,基本的には国内の方になろうかと思っております。ただ,タイミングよく何かの折に国外の方が日本にいらっしゃるようなことがあれば,そのときにでもできたらいいのかなとは思っていますが,基本的にはそういうことで考えております。もちろん有識者の方からお話を伺うだけではなくて,さまざまな文献などの調査もあわせてやりたいと思っております。
    それから,構成員の方がヒアリングに御参加になるという場合なのですけれども,現段階ではそこまで詳細に考えているわけではないのですけれども,御希望があれば日程等が合う限りは特段問題ないと思いますので,そういうような御要望があれば,またお寄せいただければと思います。
  • 椎橋議長 森山構成員,どうぞ。
  • 森山構成員 海外に関しての有識者からの意見聴取という,この範囲の話が先ほど出ましたけれども,最初の基本計画と第2次基本計画,それぞれ4つの基本方針と5つの重点課題という形でつくられておるのですが,これもいずれ第3次犯罪被害者等基本計画も,その前提としての評価をしていろいろやるということなのだと思うのですが,その場合にいろいろ聴取する範囲というものについては,今までのこのような基本方針と重点課題的な枠組みの中で考えてやるのか。さらにもっと幅広いというか,もう少しこれと違う視点での基本方針的なものも追加されるというようなことも射程範囲に置いて,そういう海外調査をされるのかというところ,基本的な視点として,更に拡大する可能性もあると考えていていいのかということ。
    これはこれからの議論の中でいろいろな話が出てくることだとは思うのですが,海外調査,先ほど対象国の話が出ましたけれども,具体的にこれと違うことをやっている国があって,そういうものについても基本方針として考えていくことが有意義ではないかということが出てくることもあり得るような気もするので,具体的に言うと日弁連はこの夏に被害者庁というものをノルウェーに行って調査してきます。そういうようなものが,また具体的な今後の国の方針として何らかの必要性等が認められるようなことが出てくれば,またそのこともこの委員会で取り上げることも必要なのではないかということを思いまして,まだ行っていませんから具体的なことは何も言えませんけれども,そういう意味で対象国についてもそれ以外にもいろいろあろうかと思いますので,射程範囲についてはもう少し今まで第1次,第2次という枠組みの中で余りこだわらないほうがいいのかなという気もするのですが,どうなのでしょうか。
  • 椎橋議長 今の点は非常に大事なことですので,事務局としては,その点についていかがでしょう。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 御指摘の点なのですけれども,事務局といたしまして今の段階で特に4つの基本方針,重点課題に限定するということまで考えているわけではございません。新たなものが付け加わるということも当然排除していないと考えております。
  • 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 対象国につきましては,先ほど事務局からも御説明させていただいたとおり,別に英米独仏に限ったものではないと認識しております。ほかにも参考にすべき国があれば,大いに参考にしてまいりたいと思います。ただ,あくまで犯罪被害者等施策基本計画でございますので,要するに犯罪被害者の方々に対する施策,支援の在り方としてどういうものがあるのかということの議論の中で調査をしていきたいと思っておりますので,組織云々ということについては,様々な施策を実現する上においてこういう組織でなければならないということがあれば,またそれは議論の対象になり得るかもしれませんけれども,基本的にはこの会議は施策を検討する場だと認識しております。
  • 椎橋議長 弁護士会で行うノルウェーの調査というのは,かなり大規模なものなのですか。
  • 森山構成員 そうですね。大規模と言っても限られた財源で行うものですからあれですが,秋には成果が出ると思いますので,ぜひ聞き取りに来ていただければ幸いです。
  • 椎橋議長 多分その成果は,森山構成員からこの会議に出していただいて,そうするとこの委員会の中で議論するべき事柄の中に組み入れて,その知見を生かすということは可能だと思います。多分そんな特殊なことというか,この計画から大きくはみ出るようなことでは,予測ですけれども,ないと思われますので,それはぜひ生かしていただければと思います。
    ほかにございますでしょうか。海外調査についての御意見等。
    それでは,これにつきましても,もしさらに御意見等がございましたら,事務局にお寄せいただければと思います。海外の状況についてヒアリングを行うということは,先ほど御了承いただきましたので,ヒアリング項目とか対象国については,議長に御一任いただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。
  • (「異議なし」と声あり)
  • 椎橋議長 ありがとうございます。それでは,そうさせていただきたいと思います。
    これで本日予定しております議題については審議したということになりますので,事務局から次回の日程について御連絡をいただきたいと思います。
  • 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 次回の会議日程について御連絡申し上げます。
    次回は本年12月ころ,ただ今ありました海外の状況に関する有識者からのヒアリング結果の御報告を予定させていただきたいと思っております。後日,日程調整を行わせていただきますので,またよろしくお願い申し上げます。
    以上です。
  • 椎橋議長 ありがとうございました。
    次は12月ということになりますので,何かございましたらどうぞ御遠慮なく事務局へお寄せいただきたいと思います。議題等を設定する上で,御意見を可能な限り取り入れていきたいと思います。
    それでは,本日はこれをもちまして第13回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を終わりたいと思います。どうも本日はありがとうございました。
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