(議事内容)
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 皆さんおはようございます。ただいまか ら、第1回「基本計画策定・推進専門委員等会議」を開催いたします。
本日は、福島大臣に御出席をいただいております。最初に、福島大臣からごあいさつをいただきます。よろしくお願いいたします。
○福島大臣 どうも皆さんおはようございます。お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。内閣府特命担当大臣の福島みずほです。
17年12月に閣議決定されました犯罪被害者等基本計画も策定から4年が経過をいたしました。その間、被害者参加制度の創設など、少しずついろんな点で着実に進展をしております。この間も犯罪に遭われたさまざまな方たちから話を聞きましたし、私自身は、個人的にはセクシャルハラスメントやドメスティック・バイオレンスや、性暴力の被害者のとりわけ女性の事件を弁護士として担当してきたということで、犯罪被害者の皆さんに対するさまざまな施策がまだまだ足りないということをとても痛感しております。
22年度末までとされております現行の犯罪被害者等基本計画を見直して、よりきめ細やかな施策を推進する必要があります。
本日は、第1回目、キックオフということで、これから今までの施策を振り返り、かつ新たな点でどういうことが本当に必要なのか、さまざまな皆さんの要望等も踏まえて、しっかりした基本計画を皆さんたちと一緒につくってまいりたいと考えております。
先日も新聞を見ておりましたら、神奈川県の犯罪被害者サポートステーションで、ある意味ワンストップサービス、さまざまな連携をとりながら、そこに行ってみんなの力を合わせて、チームワークで犯罪被害者の皆さんのサポートをしていくという紹介がありました。生身の人間、犯罪被害者の皆さんをサポートする仕組みは、確かに総合的観点から、みんなで力を合わせてサポートをしなければならないことは、疑いありません。
是非、今日は1回目、キックオフということで、全国の皆さんとも力を合わせて、いい中身の基本計画を一緒につくってまいりたいと思っております。
どうかよろしくお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 どうもありがとうございました。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、報道関係者の皆様方は、申し訳ありませんが御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 内閣府犯罪被害者等施策推進室長の太田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま、福島大臣のごあいさつにありましたとおり、平成17年12月に閣議決定をされました現行の犯罪被害者等基本計画につきましては、計画期間が平成22年度末までの5年とされております。その後につきましては、施策の進捗状況を含め、犯罪被害者等を取り巻く環境の変化を踏まえまして見直すこととされております。
そこで現行計画の見直しを行うため、犯罪被害者等施策推進会議の決定により、本会議が開催されるもので、本日がその第1回目となります。
今後、基本計画の見直しに向けた具体的な検討は、この会議の席上で行われることになります。委員及び専門委員の皆様方におかれましては、御多忙のところと存じますけれども、今後の御協力をよろしくお願い申し上げます。
また、議事録の取扱いなど、事務的な運営につきましては、従前の基本計画推進専門委員等会議と同様とさせていただきます。
議長につきましては、推進会議決定に基づき、福島大臣の指名がございましたので、引き続き山上専門委員にお願いいたします。
なお、推進会議決定及び本会議の構成員名簿につきましては、資料1と2を御参照いただきたいと思います。
それでは、以降の進行を議長であります山上専門委員にお願いいたします。
○山上議長 それでは、議事に入ります。
本日は、現行計画についての評価を最初に行って、その上で、計画の見直しにおいて検討対象とすべき論点について絞り込みを行いたいと思います。
論議の重点は、今後の論点ということになると思いますけれども、まず、事 前にお配りしました現行計画の評価(案)につきまして、意見交換を行いたいと思います。
まず、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、私の方から御説明を申し上げます。議題2の「現行計画の評価について」でございます。
お手元の資料3をご覧ください。「犯罪被害者等基本計画(平成17年12月27日閣議決定)の評価について(案)」という題名の書面であります。
この資料3は、事務局で作成いたしました現行計画の評価の原案であります。前回までの3回の専門委員等会議のいろいろな御意見、御議論をベースとしてとりまとめたものであります。
内容的にコンパクトになっております。通常、政策評価の中には膨大なものもございますが、施策の進捗状況に関しましては『犯罪被害者白書』が別途ありますので、詳細はそちらに譲るという位置づけで作成しております。
以上です。
○山上議長 それでは、意見のある方はお願いします。評価(案)について、修正や付け加えたいこと、あるいは質問などがございましたらお願いいたします。
瀬川構成員、どうぞ。
○瀬川構成員 なければ、私の方から1点申し上げたいのですけれども、損害賠償請求のことです。
ここには「負担軽減に効果があったものといえる」とあります。この表現は正しいと思いますけれども、実際の運用というか、状況をもっと知りたいところがあります。特に不払いですね。つまり、損害賠償命令が出て、その場合に支払えない例についてです。そういうものの状況、とりわけ理由と背景ですね。そういうものを少し調べていく必要があるのではないかと思います。
というのは、国際的に見ましても、この制度というのはなかなかうまく機能しない。実際に制度ができても、不払いの状況があって、実効性を持たないことがありうる。すぐというわけにはいかないと思いますが、将来的に不払いの状況をなくすようなといいますか、少なくする方向性を考えておく必要はあるのではないかと思われます。
○山上議長 私からも1つ意見があるんですけれども、損害賠償請求についての後段の方であります。「被害者支援精通弁護士による二次被害がみられるという指摘もあり、今後も、弁護士会等と連携、協力の上」と書いてありますが、この精通弁護士による二次被害というのは、むしろ被害者団体や被害者支援団体が実感しているところなものですから「弁護士会等と連携、協力」の「等」の中には、被害者支援団体とか被害者団体も含めて、そういう連絡、協力を密にして、こういうものを防いでいく努力をしてほしいと思います。「等」にそれが含まれていると考えていただければいいと思いますので、そういうふうにしていただければと思います。
大久保構成員、どうぞ。
○大久保構成員 幾つかお尋ねしたいことがあります。
「保健医療サービス及び福祉サービスの提供」の中で、精神保健福祉センター、保健所を対象として、既に手引書が作成されているということですけれども、もしそのようなものがありましたら、またこちらの席ででも配付していた だければと思います。
それと「安全の確保」のところで「矯正施設等と警察との連携の推進」ということですが、具体的にどの程度の利用者数、利用率があるのかという辺りも出していただければと思いました。
それと、先ほどの参加制度のことですけれども、参加制度を利用した被害者の方たちがどのように参加をして、どう感じたのか。もっとこうしてほしいという点があったのか、どうなのかという辺りのところを含めまして、アンケート調査などもしていっていただければと思います。
それとワンストップサービス。例えば性被害の場合でしたら、少しずつ体制を整えるというように、動きは出てきているように感じてはいますけれども、犯罪被害者の場合、まだなかなかそこまでいっていないという状況ですので、先ほどの大臣からのお話にもありましたように、うまくいっているところを紹介して、それをどんどん広げていくという体制もお願いできればと思っております。
以上、感じたところです。
○山上議長 この評価のまとめの(案)ですが、文章や文言の修正とかは特にございませんでしょうか。いかがですか。
中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 この評価(案)の「4 雇用の安定」のところで「被害回復のための休暇制度についての認知度は高まりつつあるものの」という言い方がされているかと思います。勿論、高まりつつはあるのですが、こちらの『犯罪被 害者白書』の28ページの「被害回復のための休暇制度導入の是非に関する検討」という部分につきまして、アンケート調査の結果、企業、労働者とも9割が同制度を導入すべきという意見さえ知らないという現状があるという文章と照らし合わせますと「高まりつつある」とまで書いてしまうのは、この文章と整合性がとれないように思われますので、むしろ「十分認知されていないので」という表記の方が、現状と合うのではないかと思われます。
○山上議長 事務局、それはよろしいですか。修正はできますか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 白書の9割が知らないという今の記載については、平成18年度の記載になっておりまして、それと比較して、現状としては高まりつつあるのではないかということで記載をさせていただいているところであります。
更に、やはりそれを踏まえても修正すべきだという先生方の御意見であれば、また承りたいと思います。
○山上議長 徐々に高まってきていることはたしかですので、今の説明でよろしいでしょうか。
○中島構成員 はい。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 この関係につきましては、厚労省さんの方で何か御意見はございますか。このアンケート調査は平成18年ということですね。平成19年以降につきましては、そのような調査がなされているのかどうか。
○山上議長 どうぞ。
○厚生労働省社会保障担当参事官 厚生労働省でございます。
その後も調査はしておりますけれども、高まりつつはあるのかもしれませんが、状況としては似たような状況だということであります。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ということですと、中島構成員の御意見を踏まえながら、厚労省さんと詰めて修文をかける方向で検討させていただくということでよろしいですか。
○中島構成員 はい。
○山上議長 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 ここの論点ごとでは、おおむねこれだけ短いものとしてまとめようとすれば、この辺でよろしいのではないかと思うんですが、国民に知らせる方法ですね。この犯罪被害者制度というものが新しくできて3年、4年と経ってきている。それがどういうふうになっていて、皆さん利用できますよと。それは被害に遭った人だけではなくて、一般国民にも知らせることによって、例えば企業にそういったことを周知させることも必要かと思います。それらについての評価が相対的にはないなという感じがします。一般国民にとっては、自分が被害者になるということは、通常考えていませんから、余り関心がない。そういった人たちにも関心を持ってもらうために、もっと広報活動が必要であろうと思います。
この中で「第5 国民の理解の増進と配慮・協力確保への取組」というところに、若干それに関連するところがあるのですが、ここでは「国民のつどい」だとか、学校における教育だとか、個別的なことだけが記載されておりまして、もっと広く広報活動をすべきであるということについての評価を踏まえられた方がよろしいのではないかと思います。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 全体としては、被害者週間等での活動で周知を図るという方向性ですが、実際に被害に遭った個別の方々につきましては、現在、第一義的に対応する警察の方で、被害者の手引等で具体的な制度設計、手続から、こういう支援が受けられますというパンフレットで説明がされているという意味におきまして、実際に被害に遭った人についての対処というのは、推進されていると考えておりますが、何か警察庁の方で付け加えることはございますか。
○警察庁長官官房総括審議官 私どもの方でも、引き続きいろいろな機会を捉えて制度の広報に務めてまいろうと思っています。
また、私どもでは、例えば交通安全など、いろいろな活動を行っておりますけれども、そのような中でも、できるだけ被害者の方々が利用できる制度などに関する広報を取り入れて、その普及に努めてまいりたいと思っております。委員御指摘の国民の方々の関心について、私どもでは、中高生を対象にした「命の大切さを学ぶ教室」や、大学生に対する講義を行っているところですが、引き続きそのような形で少しずつ社会全体で被害者を考えていく気運を醸成していきたいと思っております。
○山上議長 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 今の議案は、評価(案)に対する評価といいますか、加筆するようなことはございませんかという議長のお話ですので、その内容について、現在こうこうこういうふうにしているということではなくて、これからの心構えとして、評価として広報活動に一層努めるべきであるという趣旨のことを加えた方がよろしいのではないでしょうかというのが私の趣旨でございます。
個々の回答は、また資料5の方でお話があるのではないかと思っておりまして、先ほどの弁護士による第二次被害のところについても、資料5のところにまいりましたら、お話ししようかなと思っていることはございますが、今ここではしないということです。
○山上議長 それについてはどうですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 より一層広報に努めるべきという趣旨については、全くそのとおりだと思います。その方向で修文を検討させていただきます。
○山上議長 よろしいでしょうか。幾つか出た文章の修正の検討をお願いいたします。
では、第1の議案は終えて、次の議題に移ります。今、出ました意見を踏まえて、事務局で評価(案)を修正して、最終的な評価を決定したということでお願いします。
次の議題ですけれども、犯罪被害者等基本計画の見直しに向けて、本会議で今後検討していくべき論点の整理を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、私の方から、議題3に関する資料について御説明を申し上げます。お手元の資料4と5をご覧ください。
今回の基本計画の見直しを行うに当たりましては、内閣府では平成21年9月~11月までの間に、被害者団体や被害者支援団体の皆様方から要望聴取を行いましたが、その要望の総数は280ほどに上りました。これらの要望は、内容的に重複するものも幾つかございましたが、それでも総数はかなりの数になっております。資料5の通し番号で240になっております。
そのような関係で、時間の制約もございまして、すべての要望について御議論をいただくことは困難ではないかと考えました。そこで事務局の方で、一つひとつの要望について整理をさせていただいたのが、資料5の整理案であります。
240に上る要望ですので、個々の中身については、ここでの説明は差し控えさせていただきますけれども、このA、B、Cのランクについて御説明をいたします。
この整理案の中で、専門委員等会議の中で御議論をいただくのが相当ではないかと考えられる論点、つまりその論点について、資料5ではAランクを付けております。
資料5と4の関係ですけれども、資料5でAランクを付した論点を箇条書きで列記させていただいたものが資料4になります。
戻りまして、資料5について更に御説明いたしますと、論点を整理するに当たっては、大きく3つのカテゴリーに分けさせていただいています。
Aは、先ほども申し上げましたが、専門委員等会議で実際に論点として取り上げて、議論の対象とするのが望ましいと思われる論点であります。基本的には、現行の基本計画に記載されていない論点については、Aに振分けをさせていただいています。
Bは、専門委員等会議の俎上にお乗せするほどではないものの、現行計画の案分の修正とその可否について検討するのが相当と思われる論点であります。
Cは、今回の専門委員等会議の議論に乗せること自体が、その性質上難しいと思われる論点として区分をさせていただいています。
ここで御留意いただきたいのは、このランク付けは要望内容の重要性について区分したものではありません。論点として、専門委員等会議の議論に乗せるのが適当かどうかという観点から区分したものであります。
補足の説明でありますけれども、各論点の省庁割りについては、Bランクについてしか省庁割りをしておりません。これはAにつきましては、新規の論点が多いこともありまして、この会議でどのような切り口で議論に上げられるかということによって、担当省庁が変わることが考えられので省庁割りは、現時点ではしておりません。
以上です。
○山上議長 それでは、論点整理における意見交換を行いたいと思います。
ここに整理された論点として、漏れている事項はないか。または論点として上がっているけれども、まずは関係省庁の検討に委ねることで足りるのではないか。あるいは詳しい施策が上がっておりますけれども、その中で更に論点に取り上げるべきものはないかということでも結構でございます。自由に意見交換をお願いいたします。
なお、時間の関係もありますので、それぞれの論点の内容にわたる議論ではなく、今後この会議の場で議論していく必要があるかどうかの観点からの御検討をお願いいたします。
順に行きますが「第1 損害回復・経済的支援等への取組」で、是非これを取り上げた方がよい、あるいは追加した方がいいということがございましたら、どうぞお願いいたします。
瀬川構成員、どうぞ。
○瀬川構成員 もしなければ、私の方から1点だけ。
既に運用上、解決されているのかどうか不確かですけれども、例えば犯罪が起こって、被害者が申請する公安委員会の地域と、被害者が住んでおられる地域が違う場合、実際これは被害者側にとっても非常に負担が大きいことがあると思います。それから、公安委員会でも非常にやりにくい面もあり、あるいは警察側でも負担が大きいと思うのですけれども、この点は何か運用上工夫されているのかどうか、いかがでしょうか。
○山上議長 警察庁、いかがでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 一応、私どもとしては、なるべく被害者の方の便宜ということで、原則住所地の方で裁定するようにしておりますので、そういった意味では、被害者の方の負担がなるべく少ないようにしているつもりでございます。
○瀬川構成員 それでは、法律の10条があるのですけれども、その点では、運用はうまくいっていると認識されているのですか。
○警察庁長官官房総括審議官 そういう意味では、なるべく御負担をかけないようなことでやっております。
○瀬川構成員 わかりました。結構です。
○山上議長 この論点案として上がっているもの以外は論じないという趣旨でしたら、例えば給付制度の拡充の中で私はときどき感じるのですけれども、親族の関係があったり、給付制限があるという例でも、DVのような形で籍が実際には抜けられなくて、そして被害に遭ったけれども、籍があるから出ないとか、そういう個々の事例によっては、制限の対象とするのは気の毒だというケースもときどきあるものですから、ああいう制限をもう少し柔軟に被害者の立場に立って運用できるといいなと思いました。運用の問題かもしれませんけど、ときどき感じるものですから、そういう点も加えて検討していただければと思います。
○警察庁長官官房総括審議官 DVの関係に関しましては、まさに今、おっしゃられた問題も実際にございますので、実は昨年の秋に規則を改正しまして、DVにつきましては、今までは籍の上で親族関係がある場合には、かなり制限がかかるようになっていたのですが、そういう制限が緩和できるような改正をしております。
ですから、そういった運用を見てみて、更にまだ問題点があれば、また御指摘をいただきながら、適切な対応に努めてまいりたいと思っております。
○山上議長 瀬川構成員、どうぞ。
○瀬川構成員 今、山上議長がおっしゃった点に関連するのですけれども、各公安委員会で、事例によっては、これを支給するのは不合理なケースがあるのではないでしょうか。DVの問題とか、あるいは子どもが死亡して、父親とはもう長く交際がないのに、父親に給付金が払われるという事例があると思うのです。
恐らく、幾つかそういう不合理なケースがあると思いますので、むしろ警察庁が公安委員会に尋ねてみるとか、そういうケースの集積といいますか、あるいはモラルハザードのケースとか、さらに、支給すべきではないと考えても、実際法律上は出さざるを得ない事例があると思います。これは、やはり全体としては改善の余地があると考えますので、そういう不合理と思われるケースがあれば、集積してみる必要があるのではないかと思います。
○山上議長 よろしいでしょうか。1番目の「損害回復・経済的支援等への取組」については、論点として特に付け加えることはございませんか。
松村構成員、どうぞ。
○松村構成員 実は最初にいただいた資料には入っていて、今日いただいた資料には入っていないのですが、生活保護の問題は大きい問題だと思います。生活保護といろいろな犯罪被害者給付金、あるいは救援基金の支援金などの関係でもって、そちらをもらうと生活保護が打ち切られてしまうということで、申請をしないという被害者が多いように聞いています。そういうことがないように、その辺をある程度のルールか、変な公平さということではなくて、できれば両方入るようにしてもらえないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山上議長 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 その点は私も同意見でございまして、整理番号22番に今のお話があって「C」を付けられているんです。備考欄における「C」とした理由を拝読しますと、そうかなという気はするのですが、しかしそれでは、本当に実質的な意味はなくなるのだろうと思うのです。一般人は、犯罪に遭って、経済的損害が出た場合にはそれが補われる。生活保護者の方は、保護が打ち切られるということになれば、一般人以上にひどい仕打ちを受ける結果になるのではなかろうかと。備考欄に記載されているようなことは理解できるにしても、何らかの知恵を働かせて、これを救済する方法はないものでしょうかと思います。
○山上議長 井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 私もこの備考欄に書かれている難しさというのはよくわかるのですが、ちょっと私に関係したところでも問題がありまして、生活保護というのは、経済的な支援だけではなくて、医療費もカバーするのです。これが例えば支援金が出て生活保護が打ち切られると、医療費が全部自己負担になってしまうのです。そうすると、かなり重度の被害を受けて、ずっと継続的に治療を受けないといけない人たちが、それを受けられない。それでこの支援金だとか、給付金の制度を利用できないというか、申請を受けて出す側だったのですけれども、これは出していいものかどうか。本当に御本人がそこまでわかっているのかどうかということで、そういう意味でもすごく躊躇を感じたと。個別のケースで調整していただくということをせざるを得ないのですけれども、その辺は何かもうちょっと知恵がないのかなと思います。全体の生活保護の関係で非常に難しいというのはよくわかるのですけれども、そういう感想を持ちました。
○山上議長 難しいけれども、取り上げて検討してみてはどうかという意見が3人の意見から出ておりますが、どうでしょうか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 事務局でありますけれども、今の先生方の御意見は、資料の22番であります。これについては、関係省庁等からもし御意見があればお願いいたします。
○厚生労働省社会保障担当参事官 この問題に関しましては、やはりいろいろとこういった犯罪被害者の方に対する給付金以外にも、例えばいろいろな補償金や社会保障関係の給付も含めてお金が入ってきた場合にどういうふうに取り扱うかということで、やはり統一的なルールにしませんと、ケース・バイ・ケースということになりますと、また非常に不公平を生んでしまうという問題がございます。
そういうことで、これまでもこういった方に対する給付は、この犯罪被害者に限らず、なるべく見舞金に近いようなものについては、そのお金が自立促進、例えばお子様の就学であるとか、あるいは働くための技能習得であるとかということに使われる場合は、収入認定から控除する。つまり、収入認定から控除しますと、その分は手元に残ることになりますので、できる限り弾力的には扱ってきているところであります。
それを超えるさらなる配慮ということになりますと、ではこの犯罪被害者の方以外は何もしなくていいのかという議論を生んでしまう。やはり、生活保護の大原則というのは幾つかありますけれども、今の基本的考え方は補足性の原理、つまりほかに収入があるのであれば、生活保護は後から出ていくといったようなことでありますので、またやはり無差別平等ということで、この場合はよくて、この場合はだめだということになりますと、非常に不公平感を生んでしまうということでありますので、なかなかこの会のこういう形での論点ということで取り上げていただくということは、事務方としましては、ほかとの関係がありまして、対応に苦慮するといったことで、御理解をいただければと思っております。
○山上議長 いかがでしょうか。
井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 難しさは重々わかるのですけれども、そういう形だと、ここで取り上げないとすると、どこかでそういう問題は検討するのですか。
○厚生労働省社会保障担当参事官 生活保護自体に関して言いますと、今、どうこうということではなくて、これまでも生活保護の在り方に関しましては、例えば社会保障審議会の中で、そのための部会だったでしょうか、専門委員会をつくって検討してきた経緯がございます。そういう中で、運用上対応できるものは見直す、あるいはいろいろと議論はありますけれども、生活保護の基準についても検討するといったような形でやってきております。
○山上議長 松村構成員、どうぞ。
○松村構成員 例えば救援基金の支援金をいただいたけれども、これを使ってしまうと生活保護が打ち切られますよと。だから、これを使わないでくださいという例が現にあるのですね。そういう意味では、早急にその見解というか、それを決めていただかないと、被害者は参ってしまうのです。できるだけ早く決めていただくようにお願いしたいと思います。
○山上議長 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 個々ばらばらにケース・バイ・ケースでやるのが不都合であるということはよくわかります。ですから、そうではなくて、一定の基準を設けて何とかならないのか。今までの考え方に落とし穴がないのか、もう一度考えて、検討しないことには、やはり相当問題があって、実質的な効果がなくなってくる制度ではないかと思います。
○山上議長 今までいろんな制度の整合性とか、そういうことがあって、難しいと言われても、裁判の被害者参加制度など、実現したケースもあるわけで、やはり被害者の視点からすれば、全体の制度とも当然それを配慮して調整をしなければいけないと思いますけれども、論点として論じ、そしてできるだけそういう制度側との問題も少なくするような道が開けないかどうか。そういう検討をするということはよろしいのではないかと思うのですが、よろしいですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私ども事務局としては、先ほど厚労省さんからの御説明がありましたような趣旨を踏まえて、「C」とさせていただいておるわけでございますけれども、厚労省さんの説明を含めましても、論点として取り上げるべきだということなのか、それとも事務的にもうちょっと詰めてほしいということでありますのか、どちらで対処させていただくか、御議論をいただければと思います。
○山上議長 皆さんの声も広くありますが、厚労省のお立場も十分に配慮した上で論議をしていくということにしてはいかがでしょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 では、これにつきましては、厚労省さん、そういう趣旨でございますので、よろしいですか。
○厚生労働省政策統括官社会保障担当参事官 我々は事務局でございますのでね。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、この22番につきましては「C」にさせていただいておりましたけれども、論点として「A」という形で今後御議論をいただくという整理をさせていただきたいと思います。
○山上議長 次に「第2 精神的・身体的被害の回復・防止の取組」に関して、どなたか意見かございましたらお願いいたします。
中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 次の方に移ってしまったのですが、前の段の方で質問を1点させていただきたいと思います。整理案の14番及び17番の性被害者に対する医療費等の検討事項なのでございますが、「B」ということで、これは男女共同参画局における検討もなされているので、そちらからの記述を求めるということになっておりますが、それは具体的にはどのようなプロセスを経るのでしょうか。
つまり、性被害者に対する対応というものは、やはり犯罪被害者の中でも非常に重要テーマであり、ここである程度意見を持って、それをまた男女共同参画と刷り合わせるとなるのか、それとも男女共同参画の議事の進行の方が先行しているので、それを踏まえてこちらで議論するようになるのか、その辺りを知りたいと思ったので、御質問させていただきました。
○山上議長 事務局から何かございますか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 今の事務局の考えを申しますと、今、中島構成員からお話のございました後者の方であります。男女共同参画の方が議論は先行しておりますので、それを踏まえてというか、見て、考えていきたいと考えております。
○山上議長 では、ほかにいかがでしょうか。
松村構成員、どうぞ。
○松村構成員 また戻って申し訳ないんですけれども、整理番号23番の立替払い制度、損害賠償債務の国の立替払いについて確認したいと思います。
実は私の事件の場合でも、確かに損害賠償命令は出ましたが、結局相手の被告人の方は刑務所に入っているわけですね。よほどものすごく金を持っていない限り、一月数千円の報酬ですから、払えるわけがないわけです。ということを考えますと、損害賠償命令で出た金額と、実際に犯罪被害給付金の一部ではないかと言われておりますが、犯罪被害給付金で支給される金額に余りにも落差があり過ぎるのです。ですから、スタンダードが2つあるような感じですから、できれば1つにするか、あるいは国で立替払いにして、後で加害者に請求するという制度をやはりつくっていただく必要があるのではないかなと思っています。
いずれにしても、法務省というか、裁判所で出た金額と警察庁の犯罪被害給付金の額が余りにも違い過ぎるのは、やはりおかしいと思います。その辺の整合性を是非とっていただきたいなと思います。
犯罪給付金が少ないことは少ないですけれども、損害賠命令で出た金額は、基本的には加害者、被告人が払える金額ではないのですから、それはやはり国によって立替払いをするという制度が新たに見つかるべきではないかなというのが私の意見です。
以上です。
○山上議長 事務局案では、そこを論点とするのは難しいということであったと思いますけれども、この問題については、ほかの委員で御意見ございますか。
大久保構成員、どうぞ。
○大久保構成員 今回の基本計画をよりよい形で被害者の方がもう一度社会復帰をして、少しでも被害に遭う前の平穏な生活を取り戻すことができるようにということでの見直しだと思いますので、この「C」とされてしまっている部分でも、Cだからといって、どこででも検討しない、あるいはどこかにお任せではなくて、やはりこの基本計画をもう一度つくるという検討会でもありますので、例えばこの立替払いにしましても、是非論点の1つに入れていただければと思います。
「C」の方はもう一度しっかりと見てみますと、本当にそれはそのまま検討しなくてよいのか、あるいはせめて「B」として担当省庁にきちんちとお願いをして、そしてそれをお願いするときにも基本計画の会としてお伝えすることもあるのではないかということを感じております。
○山上議長 瀬川構成員、どうぞ。
○瀬川構成員 最初に、私の方から損害賠償命令の不払いのことを申しましたけれども、これと直結する問題ですので、もう少し運用状況をよく調べないと、いきなりここで「C」というのは、やや性急という感じがいたします。
○山上議長 ほかに御意見ございますか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私の方からですが、まず損害賠償の国の立替払いというのは、非常に大きなフレームの問題になってきますので、ここに備考で書いてありますような形で、限られた時間の中での議論という意味では、相当難しい、困難な状況があるのではないかといいうことで整理をしたわけですが、先生方の方で、そうはいっても、まず実態がわからないのではないかという御指摘もありますので、そこは法務省さんの方で実態調査はできるんですか。
○法務省大臣官房審議官 民民の話になってしまいますので、検察官も全くそこまで把握はしておりません。裁判所も、決定は出されるかもしれませんが、多分、その後まではフォローができないと思いますので、どういうふうにしてやるのか、なかなかイメージが湧きません。申し訳ございません。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私も今、法務省さんから説明があったとおりだと思いますが、逆に被害者支援の皆さん方が、構成員の方々の中でこういう実態だということを御提示いただき、それを踏まえて、また論点として論じることができるのかどうか御検討をいだたくというプロセス。ちょっと時間の制約があるので、今回の基本計画の中で間に合うかどうか私も正直言って自信がございません。これは制度的に非常に大きな議論になろうかと思いますが、今も申し上げましたプロセスを経るということでいかがでしょうか。
○山上議長 国の立替払いについては、損害賠償命令が出ても、実際に支払えないというのがほとんどなわけですから、そのときに私はよその国で見たのですけれども、加害者の財産をすぐ調べて、検察が協力して、賠償をきちんとできるだけ払わせるようにするとか、そういう国もありましたね。
ですから、単に制度的にこういう形では無理だといっても、損害賠償が得られるような支援を国がするというところまでは、是非考えてほしいように思います。
この問題自体、損害賠償に関する国の立替払いに関しては、どういう形でここの問題にするか。
井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 今、太田さんが御提案になったようなことでよろしいのではないかと思います。制度の問題として、前の検討会で議論をして、一応の整理をした段階ですね。まだどういう運営状況になっているかというのは、我々も把握していませんし、余り一般論でこの段階で議論をするよりは、実情はどうなっているのかということを、恐らく法務省さんも言われたように、制度を管理している方から、どこが管理しているのかよくわからないですけれども、損害賠償命令が出てしまったら、あとは執行の問題だけになってしまうので、実情把握は非常に難しいと思うのですが、両サイドからもし何らかの形で情報が得られれば、そういうのをまず我々にも知らせていただいて、その上でこの段階で論点として取り上げるべきなのかどうか、それを次のステップでやったらどうかと思います。基本的には、太田さんの提案でよろしいのではないかと思います。
○山上議長 まず、実態に関する情報を得て、この論議の過程で論じていくということでよろしいですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、一応「C」という形では置いておきますが、今、お話にございましたような形で、ペンディング的な「C」という理解でこちらの方は整理させていただきますので、よろしくお願いいたします。
なお、これにつきましては。
○福島大臣 話の途中でごめんなさい。次、官邸に行かなければならないので、途中で中座をいたしますが、是非よろしくお願いいたします。
○山上議長 どうもありがとうございました。
(福島大臣、退室)
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 先ほども話に出ていましたけれども、犯罪被害者給付金との乖離の話がありました。この論点の中で、論点Aという形で給付制度の拡充ということも併せて議論しておりますので、それとのリンケージということもあろうかとも思います。そういう形で対応させていただきたいと思います。
○山上議長 ほかに御意見がございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
○松村構成員 済みません、ひとつ、今ほどの立替払いと少し共通する部分で、被害者への経済的支援ということですけれども、33番の「被害者への賠償金の供託等」ということで、被害者はまだこれを受け取るか、受け取らないか、受け取ってしまって、わからないがゆえに被害者にとって不利になったらという辺りで、そのままにしておきますと、いつの間にか今度加害者がそれを取って行ってしまったということが、具体例として結構聞くことがありますので、その辺りもせめてこれは被害者にわたるような何らかの方策を考えていただくことはできるものでしょうか。
○山上議長 これについては、法務省の方から何か意見はございますでしょうか。
○法務省大臣官房審議官 余り民事は詳しくないのですが、まず、受取りを拒否される事情も多分ケース・バイ・ケースであるのだろうと思うんですが、いったん受取を拒否された場合でも、また被害者の方の方でやはり受け取りますと、あるいは判決が出た後で受け取りますということはできるのだろうと思います。
それをその後にずっと置いておいて、加害者側がまた下ろしてしまうというか、引き出してしまうということは、もちろんあるのだろうと思うのですが、そうさせないでずっと置いておくことが果たして可能なのかどうかという、かなり難しい問題が出てくるのではないかなという気がいたします。そういう意味で、ここに書かれています供託制度自体の在り方に関わってくるような気がしているところでございます。
少なくとも、もちろん加害者側が取り戻しをした場合には、受け取れないということはそうかもしれませんが、その前に被害者側で受け取ることはできるわけですので、どういう解決方法というか、そういうものがあり得るのかというのは、まだ私どもの方もイメージができないところでございます。
○山上議長 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 家賃供託などのように、供託金を供託した者が自由に下ろせる場合と下ろせない場合との両方が今でもあります。それでいろんなケースがあるでしょうけれども、刑事事件に関連しての加害者の供託を被害者が受取らないというのは、やはり許さないという気持ちから、これを受取らないということが一番多いのだろうと思います。額が少ないからではなくてですね。
それから、その少ない額を受取ってしまうと、もっと大きな額が請求できなくなってしまうかもしれないからという危惧ということもあるでしょう。が、やはり、許さないという気持ちが強いと思います。
他方、供託した側は、判決が出てしまうと、それをさっさと下ろしてしまう。これは非常にずるいですね。なぜ供託するかといえば、供託したことによって反省の意を示している。だから、寛大な処分をお願いしたいとしながら、裁判が終わるとさっさと下ろすというのは、これも許されない。
そうであるとするならば、それは被害者がずっと受取らない場合はどうなるのだということになれば、例えば1年以内に受取りなさいとか、判決が確定してから1年以内に受け取る方法とか、そういうこともできるだろうと思うのです。
ですから、これは民事執行全体に関わる問題で、単に供託制度のことではないかと思うのです。刑事訴訟法ですら改正できたものですから、こんなことの改正はそんなに難しいことではないかと思うので、検討すべきだろうと思います。被害者側から見ても、加害者側から見ても、制度がそれほど難しいことではないだろうということから見ても、これは検討すべきだろうと思います。
○山上議長 法務省で検討していただくとすれば、Bというグループになりますけれども、そういう検討は可能でしょうか。
○法務省大臣官房審議官 即答はできませんけれども、持ち帰って、検討できるかどうか伝えるようにいたします。
○山上議長 そういうことでよろしいでしょうか。
○山田構成員 はい。
○山上議長 では「B」に変えさせていただきます。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 一応「C」のままにして、検討できるのであれば「B」に上げるということですね。
○山上議長 そうです。法務省の検討の結果で「B」に上げるようにしていただく。
ほかにございますか。
「精神的・身体的被害の回復・防止の取組」に関してはどうでしょうか。
どうぞ。
○警察庁長官官房総括審議官 先ほど大久保委員から御質問をいただきましたので、出所情報の通知の関係の実績の一つを報告申し上げます。
法務省さんから、13歳未満の子どもを対象とする暴力的性犯罪の前歴者の出所情報を警察が通報を受けるという形の制度があります。これは平成17年6月から運用が開始されまして、平成21年8月末までの数字ですが、この制度の対象となりますものが628人出所しております。そのうち481人につきましては、担当する都道府県警察によって所在を確認しています。63人につきましては所在不明ということで、データベースに登録した上で、全国に所在確認をし、もしそこでわかれば、確実に所在を把握するというものであります。
なお、出所したばかりの84人については、今、帰住予定先での居住事実を確認中でございます。
○山上議長 御意見、質問等がございましたらお願いいたします。
45番の警察における司法解剖のところに関する説明のところですけれども、これは「警察官及び検察官からの説明の徹底」ということで「B」にされていますが、被害者遺族の了承なしで、大学などで遺体の一部を保管するということはあり得るという上での説明なのでしょうか。それとも了解がなければ、そういうことはされないということなのでしょうか。その辺の御説明をいただければと思います。
○警察庁長官官房総括審議官 解剖する場合には、鑑定処分許可状に基づき、その効力の中で例えば事件のために保存したりすることはあるのですが、事件の捜査が終わってからの保存ということになってまいりますと、率直に申し上げて、先生の研究のために保存されているということも実際にはないこともないようでありまして、そういった意味では、その辺のパイプ役を警察などできちんとして、御遺族の方に十分に御説明しておく必要があると思います。これにつきましては、私どもとしても、法医学の立場からのそういった必要性と、被害者の方々の心情の問題がございますので、このパイプ役については、これからも更に気を使いながらやってまいりたいと思っております。
○山上議長 ほかにございますか。
中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 「精神的・身体的被害の回復・防止の取組」の論点のことでございますが、PTSDの治療費、カウンセリング費用等の公費負担について大変要望が多いので、論点として取り上げるのは非常に重要だと思います。ただ、既にこのカウンセリング費用については、経済的検討委員会の方でかなり議論をされて、相当難しい状況がわかっておりまして、この点だけを議論しても、正直言ってなかなか解決の道が見出せないと思います。
被害者の方からの要望というのは、勿論医療費ということもあるのですけれども、PTSD等の重度のストレス反応に関する医療が十分に受けられていないという現状というものの上にある問題だと思います。
この専門医の養成であるとか、治療システムに関しては、厚生労働省からの御意見をということになっておりますので、勿論厚生労働省からの計画というものがベースになるとは思いますけれども、医療費の問題としてだけ集約するのではなく、その被害者に対する医療というものをどういうふうに普及させるのかということについて、総合的な形で取り上げていただいた方がよいのではないかと思っております。
○山上議長 そういうカウンセリング治療について、お金がかからないということが非常に大事なのですけれども、早期にそういう援助を得られることが非常に重要で、そこに病院に行ってとか、自らそういう治療を受けに行くということもなかなかできないような被害者の方々はたくさんいらっしゃるわけです。そこに、決してお金はかからないで、しかも積極的にそういう援助の場に誘えるような体制ができていくことが非常に重要だと思いますので、そういう一貫した医療的な援助の在り方というのを論じる必要があるのではないだろうかと思います。
その際に、やはりカウンセリングとか、そういうものが被害者にできるだけ早い時期にきちんと無料で援助できるようなシステムをできるだけ考えていただきたいと思います。ですから、ここのところをそのように少しふくらませて、公費負担ということだけではなくて、治療的な援助の問題全体として考えていただけるといいと思います。
この点について、厚生労働省の方から何か意見はございますでしょうか。
○厚生労働省社会保障担当参事官 質問の趣旨をよく理解していないのかもしれませんけれども、今回「B」でお出しした点に関しては、厚労省として検討させていただきたいと思っておりますけれども、更にということであれば、どういった点を検討していいのか、お教えいただければと思います。
○山上議長 私が感じておりますのは、医者あるいは心理の専門家に治療に関する知識とか、PTSDに関する知識、治療の経験というものを学ばせたとしても、それが被害者のいるところにはなかなか行き届かないのです。被害者が自分からそういうところを探して行くということは、ほとんどできないのです。ですから、被害者にそれが届くようなシステム、これは民間の援助団体とか、被害者団体にはそういうつながりが随分ありますけれども、そういうところに被害者が積極的にそこで治療を受けられるようなアウトリーチといいますか、そういうものが同時に必要なのではないか。せっかくそういうスタッフの経験を積み重ねていっても、被害者はそこにめったに行かないという状況があるのではないだろうかと感じているということです。
○厚生労働省社会保障担当参事官 そういうことでございましたら、私どもの方で「B」となっている範囲でいろいろと検討できる点もあるかもしれませんけれども、もしかしますと、いろいろな関係者、団体あるいは医療機関というネットワークといいますか、うまくそこをつないでいくみたいな話があるとしますと、私どもだけではなくて、ほかの関係省庁も含めて検討する必要があるのではないかと思っております。
○山上議長 大久保構成員、どうぞ。
○大久保構成員 1つ質問ですけれども、「B」となされているものにつきましては、すでに各省庁では大体このような検討を今後計画しているという考えがあるのでしょうか。それとも、今日この会を受けた上でお考えになってくださるのでしょうか。それによりまして、もう既に考えているということであれば、果たしてそれでよいのかどうなのかという辺りは、どのようなことを考えていらっしゃるのかがわからなければ、これは「B」のままより、やはり「A」で検討すべきものではないかという辺りも併せて考えていかなければ、なかなか「A」でよい、「B」でよい、「C」でよいということの結論めいたものは、この場では出しづらいような気がいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それについて、事務局の方から補足でお話をさせていただきます。先ほども冒頭でお話ししましたけれども、「B」については、担当省庁において検討して、担当省庁から計画案分 の提出を求めるという整理にさせていただいております。これについては、現行の計画の各案分について、修文の可否も含めて、担当省庁から案分を提出していただき、おおむね今、考えているスケジュール感では、4月半ばごろまでに修文をいただくことを考えております。
○大久保構成員 ということは、まだ案文は事務局の方には出ていないということですか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) これからということになります。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 少し補足しますと、被害者の方々からの要望を整理して、この整理分については、時間が限られているので、この場で即議論というよりも、各省庁で持ち帰って御検討いただくものが「B」になっているという形ですから、その各省庁の御検討結果が出た段階で、またそういう計画の中にどう入れるかという形になります。したがって、議論されないというものではありません。
この論点で、中島先生から御指摘がありましたことは、厚労省さんの方はネットワーク的に対応する部分も必要なのではないかという見解が示されたわけですけれども、この資料4論点案の方にあるのは、公費負担というのを論点の対象にしていますが、公費負担も含めたカウンセリング体制の充実という形で議論してほしいという趣旨でしょうか。
○中島構成員 そうです。逆に言うと、多分それがどうしても一緒になってしまうだろうと思っております。
○山上議長 よろしいですか。では、そのような方向でお願いをいたしたいと思います。
ほかによろしいですか。
「刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等」では、いかがでしょうか。
山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 計画そのものではないのですが、前回申し上げましたことと、先ほども冒頭に近いところで申し上げました弁護士による二次的被害のことです。項目として上がっていないので、整理番号が幾つとは申し上げられないで恐縮すけれども、前回申し上げましたとおり、それが由々しき事態であれば、改善していかなくてはならないと思っております。
日弁連の犯罪被害者の委員会におきましては、法テラスと連絡を取りまして、具体的に担当した弁護士にアンケートをしまして、実態を調査しようと。民事でも、刑事でも、依頼者の中には、自分の希望が通らないと弁護士はみんなだめみたいなことを言われる方もときどきおられますので、そういうことなのか、あるいは本当に困っておられて、弁護士が無理解であるのかということを調査しようと思っております。それにつきましては、法務省の御協力も是非必要かと思いますので、なお今後とも継続していただきたいということを、場違いになるかもしれませんが、この場で申し上げさせていただきます。
○山上議長 それに関しては、弁護士さんからの調査だけではなくて、被害者団体、被害者支援団体からも意見を聞いていただければいいというものですが。
○山田構成員 そういったことを含めまして、同じことをやっても仕方がありませんし、かえって手薄になろうかと思いまして、どういう方法が効率的かということも含めて、御協力をいただければと思います。
○山上議長 この刑事手続への参加の機会の拡充のところで、これは警察の担当のところで、交通犯罪の被害者からいろんな要望が出ていて、いずれも犯罪捜査全般に関わる要望で無理だということで「C」とされておりますけれども、交通事故の被害者遺族の方たちから見ると、いろんな深刻な要望がたくさんあるものですから、それは別に個々の要望を取り上げるということではなくて、もう少し被害者の視点に立って、改善策というか、何か警察庁の方で取り組んでいただけないだろうかと思うのです。調書を開示するとか、そういうことではなくて、被害者のいろんなそういう要望があり、あるいは不満があるというところを少し聞いて、被害者の視点を少し配慮した改善策を検討していただきたいと思います。これはそういう意味での、もう少し漠然としたテーマでもいいですけれども、「B」として、交通被害に関してはずっと手付かずで来ているような気がしますが、どうでしょうか。
どうぞ。
○警察庁長官官房総括審議官 一般論としましては、交通についても、やはり確かに被害者の数は多いわけですが、この犯罪被害者支援につきましては、いわゆる刑事事件だけではなくて、交通事件についても同様に配慮しています。しまし、まだまだ不足している部分はあると思います。交通の場合は事件数も多いものですから、なかなか現場のことで行き届かない部分があると思います。その点につきましては、今後とも不断の努力はしてまいりたいと思いますので、私どもとしても、交通における被害者支援の取組みについて、引き続き、さらに徹底していきたいと思います。
○山上議長 ほかにございますか。
大久保構成員、どうぞ。
○大久保構成員 101番の「公判前整理手続への被害者参加」ですが「C」となりまして、もう既に法制審議会で論議されて、出席は認められないとなっておりますけれども、せめてこれは「B」として取り上げるということはいかがなものでしょうか。
○山上議長 法務省の方から御意見はございますか。
○法務省大臣官房審議官 この辺は公判前整理手続の在り方というのは、かなり法制審の中でも議論になったところで、とりあえず動き出したという状況でありますので、もう少し様子を見ないと、何とも言い難いところはあるだろうと思います。「B」でいきなりすぐこういう検討結果ですと言えるほどのものが出てくるかどうか。
もう一つは、裁判員との関係も実はあって、公判前整理手続の話と裁判員裁判と両方セットで実施されることも多いわけですが、これについては、今後また裁判員裁判の検討会で検討されるということがございますので、そこだけ先取りするというのは、ちょっとどうかなという気はいたしております。
○山上議長 井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 この点はかなり難しいのではないかと思います。刑事裁判に被害者あるいは被害者の遺族の方々がどういう立場で参加するのか。刑事手続の全体の中でどういう位置づけを与えるのか。ここのところは、かなりこの前の参加制度をつくるときに議論をされたところで、例えば当事者ではないですね。ですから、争議を設定したり、基本的な争点を出していくという立場とはちょっと違うだろうという整理なのです。
そういうものですから、公判前整理手続というのは、両当事者と裁判所が争点を整理して、公判を事実的な争点に沿って充実したものとしていくというものですので、そういう位置づけなものですから、理屈の上でかなり難しいところはあります。そこまで踏み込んでということになると、恐らくこの場で議論するとは難しいですし、今、甲斐さんが言われたように、できたばかりで動き出したところですので、それをもう一度根本に戻って議論するということに今すぐできるのかというと、かなり難しいのではないかと思います。
むしろ、被害者の方々がそこに今、参加できないということによって、どういう点に問題を感じておられるのか。そこもまだよく見えないところですので、その辺のところをもう少し出して、それはそういう形でないと対応できないものかどうなのか。恐らくそういう検討を今後やっていった方がいいと思います。
これは今、甲斐さんが言われたように、裁判員制度では必然的に行われて、当然やらないといけない手続になっていますので、そういう中でも当然出てくるのではないかと思いますし、いきなり「B」で法務省さん検討してください、検討しますよという段階には、まだ差しかかっていないのかなと思います。そういうお声があるというのは、理解しています。ただ、参加できないことによって、どういう不都合があるのか。そこのところをもう少し出していただいた方がいいのかなと思っています。
○山上議長 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 私も今の井上先生の御意見に全く賛成でございます。公判手続の整理ですので、どういう証拠がどうだとか、そういう実体の中に入らない。裁判そのものとは違いますので、今の段階では難しい。例えば4年、5年経過して、いろいろ参加できないことによる御不満がたまってきて、それからなるほどこれならこういうふうに改正できるのかなということであるなら別ですけれども、今の段階ではちょっと難しいと思います。
○山上議長 大久保委員、どうぞ。
○大久保委員 現段階で被害者の方たちがよくおっしゃるのは、例えば刑事裁判の中で証言をしたり、意見陳述をしたり、あるいは参加制度を使う被害者の方たちもいらっしゃいますが、当然検察官の方たちは、最近とてもよい対応をしてくださる方が増えておりますので、情報としては、被害者は聞いて裁判に参加はしますけれども、全くそこの部分が見えないということは、裁判で証言をするにしても不安を感じてしまって、自分の思うことをしっかりと伝えられなかったと感じてしまうこともあるものですから、もしそれが可能であればと思って、今、お尋ねしてみました。
現状がわかりましたので、そういう被害者の声を少しずつ集めるということも大切だということもわかりましたので、また努力してみたいと思います。
○山上議長 井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 今の点は、公判前整理手続の経過については、冒頭のところで示すということになっていますし、それ以前にも、検察官の方からこういう経緯でこういう争点が絞られたのだよということは、ある段階で説明できると思 います。恐らく公判でお話になるときには、その情報があれば、そんな不安は解消できるのかなと思います。
ですから、まだそこのところは本当にそうなのかどうか。多分運用というか、対応をもう少し十分にすることで、かなりそこは解消できるのかなという感じもするのですけれども、今、伺った限りでの印象ですが、それ以上にやはり参加できないことによって、こういう不都合があるのだということが、今、山田さんが言われたように、経験を積んで、実績を積んで出てくれば、それはそれでまた取り上げていくことができるのではないかなと思います。
○山上議長 よろしいですか。
松村構成員、どうぞ。
○松村構成員 次の「控訴審(高裁)での被害者参加」ですけれども、これは結構いろいろと被害者から聞いているのですが、確かにまだ例が少ないということで、今の上の段と同じように、もう少し様子を見てということになってしまうのでしょうか。その辺はどうでしょうか。
○山上議長 法務省の方で何か御意見ございますか。
○法務省大臣官房審議官 ここにも記載をさせていただいていますが、まだそこまで熟していないのかなとは思っておりますので、実例なり、不備な点がもう少しはっきりした段階で検討するというのは、あり得ることだとは思っています。
○山上議長 そのほかに何かございますでしょうか。
では、次に行ってよろしいですか。「第4 支援等のための体制整備への取組」の122番以降です。
山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 私の理解不足なのかもしれませんけれども、海外において日本人が犯罪被害に遭ったことについては135番に載っているのですが、日本国内において外国人が被害に遭った場合のことはどうでしたか。ちょっと記憶がないのでお尋ねしたいのですが。
○山上議長 警察庁の方からお願いします。
○警察庁長官官房総括審議官 現在の制度で御説明しますと、既に社会の一構成員になっている我が国に住所を有する外国人は給付対象となっていますけれども、旅行者等の日本に住所を有していない外国人は給付対象になっていません。
○山田構成員 すみません、今「給付対象」とおっしゃられましたか。
○警察庁長官官房総括審議官 はい。
○山田構成員 そうしますと、刑事手続の参加だとかいうのは、どうでしたか。
○法務省大臣官房審議官 そういった手続的なものについて、その人が日本人であるか、外国人であるかというのは、特に区別はございません。
もちろん、被害者の中には外国人の方もいらっしゃるということで、法務省では被害者のためのパンフレット、かなり詳しいものを用意して御説明するようにしていますが、英語版のものも作って、各国版まで作れればもちろんベターなのですが、とりあえず英語版のものを作って御説明するようにはしているところでございます。
○山上議長 ほかにどなたかございますでしょうか。
久保構成員、どうぞ。
○久保構成員 先ほど大臣もおっしゃったように、ワンストップ体制の整備ですけれども、一つひとつ含めて、申出のない被害者の対応とか、その辺については、大体130番ぐらいからずっとあるのですが、先ほど中島構成員が質問されましたが、ちょうど男女共同参画基本計画の見直しとの兼合いということで、これも被害者の利便性とか、二次被害の防止ということで、非常に重要なテーマだと思うのですけれども、基本計画の見直しの進展というのですか、これはどの程度行っているんでしょうか。そして、この問題も検討の対象に入っているのでしょうか。
○山上議長 男女共同参画の御担当からお願いします。
○内閣府男女共同参画局推進課配偶者暴力対策調整官 男女共同参画局でございます。現在、基本計画の見直しでございますが、男女共同参画会議の下に置かれます専門調査会におきまして議論を開始しております。現在のところ、まだこういった、今、お示しになったようなところまで議論が至っているというよりは、論点整理の段階でございまして、具体的などういうものの取組例として、計画あるいはそれに先立つ答申に盛り込んでいくかということは、これからまさにスタートラインについたというところでございます。
現段階では、こういった状況でございます。
○山上議長 中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 今の点について、男女共同参画局の方に御質問させていただきたいのですが、その段階であるとすると、この犯罪被害者に関する基本計画のところで出たこのような論点であるとか、意見というものは、そちらに反映されるようになるのでしょうか。そちらでこれを本当に扱っていただけるようになるのでしょうか。もし扱っていただけないとしたら、ここで扱わなければいけないことになってしまうので。
○内閣府男女共同参画局推進課配偶者暴力対策調整官 現段階では、幾つか論点整理の中では、例えば性犯罪への対策の推進ということで1項目上げております。その中では、実際議論の中で出ている中でも、おっしゃっていたワンストップセンター的なものが必要ではないかという議論が実際に出ておりますので、結論としてどういう形というのは、現段階ではなかなか申し上げようがございませんけれども、こういったものを射程に入れて議論をしていくということで御理解をいただければと思います。
以上です。
○山上議長 警察庁に質問したいのですけれども、こういう性犯罪被害者に対する被害直後からの支援というのは、警察が民間団体やカウンセラーの人たちとかと組んで、被害直後からきちんとしたサポートをするというのは、かなり広い国で行われているので、これは男女共同参画会議での検討を待つことなしに警察がどんどん進めていいことではないのだろうかと感じますけれども、どうなのでしょうか。
○警察庁長官官房総括審議官 そういったことで、22年度予算の中でもワンストップセンターについてモデル的なものができないだろうかということで、予算要求等もしております。まだまだ十分ではありませんけれども、少しずつでも詰めてまいりたいと思っています。
○山上議長 それはいずれ男女共同参画会議とも何か調整が行われるということになるのでしょうか。
○内閣府男女共同参画局推進課配偶者暴力対策調整官 警察庁さんともよく意 見交換をしながら、答申、計画をまとめてまいりたいという予定でございます。
○山上議長 ほかにどなたかございますか。
○久保構成員 そうしますと、それはいずれこちらにも検討で出てくるのでしょうか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) その関係で、男女局の方のスケジュール感を言える範囲で言っていただければと思います。
○内閣府男女共同参画局推進課配偶者暴力対策調整官 改めて、男女共同参画基本計画の関係でございますけれども、現在議論を開始したということでございまして、最終的には、年内に計画を改定するということなのですが、答申のまとめを6月ぐらいにはできればということでございます。その前段階といたしまして、中間整理というのを行いたいということでございまして、それが4月早々にできればということで、今、議論を開始しております。
○山上議長 ほかにどなたかございますか。
松村構成員、どうぞ。
○松村構成員 174番に「青少年自立施設の充実」というものがありますけれども、確かに加害少年については少年院というのがあります。しかし、被害少年についての施設はほとんどないのですね。スクールカウンセラーがたまに接してくれるぐらいだということで、加害少年のために少年院があるならば、被害少年のために被害少年院というものがあってもいいのではないかなと思うのですけれども、その辺についてはどうでしょうか。
○山上議長 これは厚生労働省で何かございますか。管轄ではないですか。
○松村構成員 文科省ですか、厚労省ですか、法務省ですか。
○山上議長 現在、管轄できるところはないということのようですけれども、被害少年の相談を受けるところというのは余りないですね。学校のカウンセラーになると、大抵は加害者側と一緒に担当されて、きちんとしたサポートを受けられないことがよくあります。ただ、学校によってはちゃんとやられていたり、被害少年が児童相談所でサポートされたりとか、そういうこともあり得ますけれども、何かこれに関してございませんか。大久保さん、被害少年に関してのサポートについて、何か御意見ございませんか。
○大久保構成員 被害少年、そしてまた被害者の家族の中で育つ子どもたちといいますのは、機能不全に陥りました家庭の中で育ちますので、しっかりと健全に育っていくことが大変難しい状況になっております。具体的に今のいろいろな問題を犯罪被害に遭った上に、家族の中でもまた問題を抱えなければいけないという状況になりますので、そういう子どもたちを支える、勿論どこか、今、松村委員がおっしゃったような被害回復のための施設があれば、本当にありがたいことだと思いますので、今、どこも担当部署がわからないといったことが、日本の被害者の子どもたちの現状だということを改めてわかりましたが、是非その点も考えていっていただきたいと思います。
それと同時に、実は現場で本当に困ったときにどこに相談しようというときに、例えば阪神大震災の後にできました「にじの家」だったと思いますが、そういうところでは、親が亡くなった子どもたちのケア、子どもたち同士のグループというものもありますので、そういうところと連携をとったりということも実際には行ったりしていますが、ただ、やはり犯罪被害という特化されたものでないものですから、そこにお願いしたからそれで十分というわけではありませんので、是非これを機会に、ここの場でも考えていっていただければと思います。
○山上議長 実際の児童の被害者の支援に関しては、我々もいろいろお願いするところを探して、児童相談所の心理のスタッフに最終的に担当してもらったりすることがあります。やはり被害者のことできちんと専門的にそういう経験を持っているとは限らないわけです。それは教育研修とか、そういうところになるかもしれませんけれども、被害者のためにもう少しそういうところが生かせるようになるといいと思います。
どうぞ。
○厚生労働省社会保障担当参事官 必ずしも厚労省でカバーできるわけではないので申し上げますと、被害者だということだけでは、なかなか私どもの方で手を差し伸べるすべをすべて持っているわけではありませんけれども、虐待を受けたというケースでありますと、これは養護の対象になりますので、今、おっしゃられましたように、児童相談所とか、あるいは養護関係の施設といったようなところの出番というのはあるのかもしれません。
そういったところは、今回、子ども・子育てビジョン、あと、今、社会的養 護専門委員会というものをつくって検討していますので、虐待ということに関して言えば、そちらの議論をまず見ていただくという感じかなと思います。
○山上議長 性犯罪の被害に遭った児童でも、結局、子どもを見られる心理の方ということで、児童相談所にお願いしたりすることはありました。それは適切に援助をいただけたときもありますし、そういう経験が余りないということで、受けられなかったこともあります。そこのところは未整備なのだろうと感じます。
ほかにございますか。大久保構成員、どうぞ。
○大久保構成員 先ほどの子どもの被害者の支援体制の追加になるのですけれども、どこでも犯罪被害者というのは長期にわたる支援が必要だとなっておりますが、例えば児童相談所に保護されました被害者の子どもであっても、18歳になればもう施設から出されて、自立社会の中で突然に自立していかなければいけないのです。当然いた施設に相談に行くということは可能ですけれども、18歳だからということで、すぐ出されてしまったその後、もともと精神的にいろいろな問題も抱えておりますので、大変難しい状況の中で暮らしている被害者の子どもたちもたくさんいるということを是非御理解をしておいていただきたいと思います。
○山上議長 親を亡くされたお子さんのことですね。
○大久保構成員 そうです。親もなく、兄弟もなく、たった1人になって、18歳です、さあ施設も18歳までですよ、自立しなさいと言われて、しっかりと自分の夢と希望を持って、前を向いて歩いて行くことができるとお思いでしょうか。本当に困難な道を歩いていかなければいけませんので、その点も是非念頭に置いて、これからの施策をお願いしたいと思います。
○山上議長 「支援等のための体制整備への取組」について、ほかの点でございますでしょうか。
山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 先ほど弁護士の二次被害のことが出ましたけれども、この二次被害については、以前は裁判官による二次被害があったということが報告されたりしておりましたが、今、ここで見ますと、180番ですか。「支援要員の資格制度の確立」という表題で、犯罪被害者支援センターによる二次被害が頻発しているとございます。これは「C」となっておりまして、その「C」のところに格別な意味があるわけではないのですが、やはり全般的に二次被害という問題は大きなテーマでありましたので、これを何らかの方法で、二次被害というものを収集して、対策を考えることは必要かなという感じはいたします。それだけでございます。
○山上議長 私もそのように思います。やはりフィードバックして、それぞれの組織の活動の質を高めていく必要があると思います。
中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 179番の「専門的研究所の設置」というところで、整理案として「C」で、御回答の方はごもっともだと思いますし、その専門的研究所の設立というのは非常に難しいことだと思うのですが、この方の御要望というのは、勿論研究所を建ててほしいということもあるのですが、調査研究を推進してほしいということではないかと思うのです。ですので、文言どおりに取ってしまって「C」とするよりは、例えば研究費でありますとか、厚生労働科学研究費でありますとか、その担当省庁の方で今後そういった調査研究についての御計画案を提示するという形でお答えすることもできると思うのですが、いかがでしょうか。
○山上議長 どうでしょうか。今までの論議の中でも、経験を蓄積しとか、情報を集めてということがありましたけれども、やはりそれは調査研究のきちんと普段からそういうものを集めていって、この施策に反映するという体制が要るのだろうと思いますので、そういう調査研究等の推進というのは、どこかに入っていてもいいようには思いますが、どうでしょうか。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 今の話で、事務局から若干補足をさせていただいてもよろしいでしょうか。
調査研究の推進については、今、中島構成員からお話があったとおり、162番の「調査研究の推進等」という項目の中で、性犯罪被害者を対象にした調査研究を記載させていただいている部分もあります。あと、160~162番辺りであります。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ちょっと補足をいたしますと、いわゆる犯罪被害に関する調査研究というのは、委員も御案内のとおり、いろんな形で実施はされていると認識はしております。ただ、その調査研究というものは、継続的になされるべき、または更に深くなされるべきという趣旨であれば、それは恐らくどこの関係省庁も必要性は認識した上で、対応していくものと認識はしておりますので、改めてこの調査研究を具体的に何についてしろという形であれば、その担当省庁というのはあるのでしょうけれども、一般論として調査研究を進化させるべきということであれば、それは認識済みと言ったら、まだまだ足りないと言われるかもしれませんが、それを踏まえた形でいろんな施 策が展開されるということで言えば、論点的には「C」の整理でも、これはやらなくていいという趣旨では勿論ありません。確かに研究機関云々という建物の話であれば、ここに回答のとおりになるのかもしれませんけれども、実際の要望というのが委員の御指摘のような形のものであるとすれば、それを踏まえた上でこういう施策が展開されるということで整理させていただきたいなと思います。
○山上議長 いかがでございましょうか。
○中島構成員 私も一般的に推進されればということでございますが、つまり前回の基本計画のときでは、科学研究費の方で重点課題として取り扱われたりとか、厚生労働科学で研究班がつくられたりという案が提示されましたので、もしその省庁等ですぐ御案をお持ちであれば、「B」としてそれを提示いただいた方がよいのではないかという意味においてでございます。
○山上議長 よろしいですね。
では、ほかに御意見がございましたらお願いいたします。
久保構成員、どうぞ。
○久保構成員 先ほどの評価案の中で触れられていたのですが、いわゆる地方自治体の現状です。都道府県段階ではほとんどで総合窓口が設置されて、体制の整備は進んだという表現があったのですけれども、市町村の段階などはどうなのでしょうか。今回の要望の中でも、体制の整備が不十分とか、理解が不足しているとか、そういう不満がかなり寄せられており、「A」とか「B」「C」と様々なランク付けが行われています。地方自治の建前から、義務づけとか、ストレートな要請というのは難しいとしても、被害者に最も身近な存在だけに、地方自治体の動きを一層活発化する方向で、地方自治体との関係をもう一度考えてみたい。例えば134番にある募金などは非常に面白いのではないかと思います。赤い羽と同じような募金をやってみたらどうか。行動を促すという意味では非常に面白いのではないかという感じもします。いずれにしろ地方自治体との連携については、全体的に議論をもう一度やってはどうかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
○山上座長 いかがでしょうか。何か意見はございますでしょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 地方自治体の方で、この犯罪被害者の関係につきましては、基本法ができて以来、各行政機関がいろいろと窓口を定めたりしながら、また自治体によっては条例等を設置して対処していただいていると認識しております。そういう意味では、かなり進化しつつあると。評価に書いてあるとおりであります。
関係の行政機関の方々、県単位でありますけれども、県の方はまた各県の中の自治体を指導していただくという形になりますが、指導という表現がいいのかどうかはありますが、そういう意味で、被害者担当窓口の会議等も催して、共通の認識をとるようにしておりますし、また、各県レベルでいろいろな形で被害者支援の担当者を集めての指導なり、会議等も催されていると認識しています。
ただ、自治体でありますから、それぞれ正直言って濃淡はあるというのが現実だと思いますが、マニュアルなり、カリキュラム等を作成して、そういうものをお配りしながら、均一化ということを自治体行政の中で言っていいのかわかりませんが、満遍なく被害者の方々に全国どこでも同じレベルでの、少なくとも最低基準は超えるレベルでの支援がなされるような形での指導は、現在推進していると私どもは考えておりまして、これは直ちにというものではないのかもしれませんが、それは着実に行わせていただきたいと思っております。
○山上議長 それに関連してですけれども、地方公共団体の中では、被害者支援条例などをつくって、非常にその地域の被害者に対して手厚い援助ができるような体制をつくっているところもあるのですが、それが全国でやはり一律に同じようにできることが望ましいと思うのですが、そういうところを広げていく、数を増やしていく、全国に広げていくような働きかけというのは、総務省あるいは内閣府などで何かできる可能性はあるのでしょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 そういう意味で、全国で幅広くという認識を持っていた上での被害者週間でのいろいろと広報啓発なりとか、さまざまなイベントの取組み等々がなされているわけでありますけれども、ただその週間のときだけやればいいというものでは勿論ありませんので、そういう趣旨でいろいろな研修を、NPOの人たちとも協力しながらやっているという状況であります。
○山上議長 どうぞ。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 若干のデータの御説明をしたいと思います。
先ほど御質問があった担当部局の設置率と窓口の設置率は、平成21年4月時点のデータでありますが、市町村です。市町村は担当部局の確定状況、これは市町村の中には政令指定都市も入っておりますが、担当部局の確定状況は86.5%です。
そして、相談窓口の設置状況については、都道府県は100に至っていないですけれども、都道府県は87.2%です。市町村は43.6%になっております。
○山上議長 あとはよろしいでしょうか。
この「支援等のための体制整備への取組」の中で、被害者団体、被害者支援団体に対する援助を行うための基金の創設というのが論点として上げていただいておりますが、これは是非実現していただきたいと思います。ただ、このように新たな基金といったときに、一体どこが担当して、どこにできるのかとか、そういうところが漠然としているものですから、それがどこに集約されていくのだろうかと思うのですけれども、何かここをまとめられた方の御意見はございますでしょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 こういう民間団体に対する財政的支援については非常に要望が強い。また、これが民間団体の果たす役割を考えた場合に、財政的な基盤がしっかりしていないと十分な被害者支援ができないと私どもも認識しておりまして、何らかの方策がないといけない。まさにそれをここで御検討いただくということでありますので、さまざまな案というものが出てこようかと思います。私どもでこれがいいということをここで御提示するというのは、今の段階ではしにくいものがございますので、また次回以降の議論でやっていただきたいなと思っております。
○山上議長 そろそろ時間になってまいりましたけれども、あと「第5 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」でございますが、これについては何かございますか。
松村構成員、どうぞ。
○松村構成員 最初にあります11月の第3日曜日のことですけれども、既に犯罪被害者週間ということで、11月25日~12月1日までということでやっていますが、内閣府の方でもこの1週間はものすごく大変なのではないかと思うのです。確かに国民の理解を増進しようと思っても、土曜日が1回、日曜日が1回しかないということでいくと、やはりこの段階は別にして、犯罪被害者週間は犯罪被害者月間としてもらったらどうなのかなと思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○山上議長 どうぞ。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私どもも週間を月間にしようという検討はしてこなかったので、また御意見としては加えていきますけれども、とりあえず週間が定着して、広く認識されるのがまず大事かなとは思っております。
○松村構成員 1週間だと、さすがにあちこちで忙しいです。そう考えると、やはり月間の方がいいかなという感じがしましたので、申し上げました。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 御意見として承らせていただきます。
○山上議長 1週間と決めたときは、この1週間はほかの国の行事とぶつからないという理由もあったのですが、月間にするとあちこちにぶつかる可能性は出てきますね。
では、そういうことでよろしいでしょうか。大体論点はこれで論じられたかと思いますが、よろしいでしょうか。
これで論点に関する論議を終えさせていただきます。私たちは被害者支援の実践の場に接していると、この基本計画ができてから、現場で市町村の窓口とか、区の窓口とかに接するときに、とても協力が得やすくなりました。また司法の場、検察とか裁判所でも被害者がいろいろな対応をきちんとしてもらえるということで、隔世の感があるわけで、大きな進展があったと思います。
ただ、やはり各省庁の施策は随分進行しているわけですけれども、被害者の視点から見ると、まだそこに効率よく届いていないという部分がたくさんありまして、それが今後の見直しにおける論点として幾つも挙げられているかと思います。これから何回かの会議で具体策を論じていって、本当に被害者のために実効性が上がっていくような、また省庁それぞれの施策というだけではなくて、その間に落ちるもの、あるいは官と民の協力の下でできるもの、そういうものを皆さんの論議の中で積み上げていければと思います。
では、これで終えさせていただきますが、事務局から連絡事項があるということですので、お願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、私から今後のスケジュールについて御説明を申し上げます。資料6になります。
本日は初回ということもありまして、長期的なスケジュールと次回までのスケジュールの双方について順に御説明をいたします。
まず、長期的な方でありますけれども、本日の会議で今後検討すべき論点について選定をしていただいたところでありますが、次回以降は5月までの間に毎月1回程度の会議を開催したいと考えております。
なお、積極的な討議の対象になるのは、ランクで言うと「A」になるわけでありますけれども、その中でも丁寧な議論が必要な論点もあると思われますが、5月までの間にすべての論点について一通り検討を行っていただいて、議論を更に進化させる必要がある。そういう論点に関しては、6月以降に更に議論を深めていくという進行方向を考えております。
また、先ほど少しお話をさせていただきましたが、Bランクにつきましても、今の時点では4月半ばごろの案分の提出を予定しておりますので、6月ごろからは修文の内容についても議論の対象になっていくものと考えております。
その後、9月にパブコメ案を決定し、このパブコメ案については、現時点では、犯罪被害者等施策推進会議に図る予定でおります。その上でパブコメを行って、11月にそれを受けて最終の素案を決定して、再度推進会議に図りまして、平成22年の年末か23年1月ごろに閣議決定を得るというスケジュールを現在では予定しております。ですので、本日は、できれば5月までの日程を調整していただければと考えております。
次に、次回、第2回専門委員等会議までの間のお話でありますけれども、資料5の論点整理表に基づいてお話ししますと、第一、被害回復、経済的支援の取組の中のAに位置づけられた要望、論点について御議論をお願いしたいと考えております。
そして、次回までのスケジュール感でありますが、本日の御議論のランク付けについての整理を早急に行わせていただきまして、関係省庁と個別に御相談させていただいた上で、次回会議の2週間前ぐらいまでに、関係省庁から各論点についての御意見等をいただきたいと考えております。
それを事務局でとりまとめまして、委員の先生方に送らせていただきまして、委員の先生方におかれては、御意見、御質問等があれば、それを事務局の方にお返しいただきたいと思います。
その委員の先生方からの御意見でありますけれども、できれば次回会議1週間前をめどにお願いしたいと考えております。
スケジュールについては、以上であります。
○山上議長 それでは、事務局の進行に合わせて、活発に意見を寄せ合って、充実した施策の実現を迎えられたらいいと思います。本日はありがとうございました。