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2.イタリアにおけるテロ事件被害者等への経済的支援

イタリア共和国は、人口5,987万人(2008年)、面積30万平方kmを擁し、20の州から構成されている。

テロ被害者への経済的支援を規定した法律は、1990年に制定されたマフィア型犯罪被害者支援と一体化した共通の法律が基本となっている。ただし、2004年に新たな法律が制定され、テロ被害者のみを対象とした拡充策が示された。ヨーロッパ内外での紛争の勃発により、国際平和維持部隊として派兵される兵士のほか、平和活動の目的で現地に赴く民間人ボランティアの数も増え、テロ行為などの標的にされる犠牲者が発生しており、こうした支援法強化の必要性に対する関心が広く高まった結果と考えられる。このような背景から、当法律は国内だけでなく国外も適用範囲としている。

当法律によると、イタリア領土内で起きたテロ事件については、イタリア国籍者だけでなく、無国籍者を含めたあらゆる人間を対象とする。一方、イタリア領土の外で起きたテロ事件については、イタリア国籍を有する者だけが対象となる。


本章では、イタリア政府による犯罪・テロ被害者への補償制度について整理する。なお、別添の表2-1にて、国内の犯罪およびテロに関する補償制度をまとめているので参照されたい。

表2-1:イタリアにおける犯罪・テロ被害者への経済的支援制度
  一般犯罪 テロ マフィア型犯罪
国内 国外 国内 国外 国内 国外
犯罪被害者補償制度 × × ×
被害者基金 × × × × ×

2-1:犯罪被害者への経済的支援

後述するマフィア型犯罪被害者、テロ事件被害者に対する支援を除いて、イタリアでは、一般的な犯罪被害者への経済的支援は、現在のところ法律の規定がない。欧州レベルでは、被害者への補償を前提とした法律の整備を促す「暴力的犯罪被害者のための欧州条約」(注2)が欧州評議会のとりまとめで、1983年11月に成立した。しかし、犯罪被害者の救済に対して国内世論が決して無関心でないにも係わらず、イタリアはいまだに同条約を批准していない(注3)。同条約は、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウエーデン、英国などが批准し、1988年に発効した。現在批准している加盟国は24である。

一方で、イタリアでは“マフィア型犯罪”に特化しての支援措置は複数整備されている。これはイタリアの特殊性といえる。一般市民を対象にした支援基本法の制定は1990年代にさかのぼるが、その後も改正を重ね、支援の中身が充実されている。マフィア型犯罪被害者支援に関する制度は、経済的被害への支援と身体的被害への補償とに大きく分けられる。以下にそれぞれの説明を行う。

2-1-1:イタリアにおけるマフィア型犯罪による経済的被害者への経済的支援

イタリアにおけるマフィア型犯罪による経済的被害者への経済的支援制度として、「マフィア型犯罪被害者への連帯支援循環基金(Fondo di rotazione per la solidarietà alle vittime dei reati di tipo mafioso)」(注4)が存在する。以下にその詳細を項目別に述べる。

(1)制度の根拠法令および理念・趣旨
「マフィア型犯罪による経済的被害者への連帯支援循環基金」の法的基盤は、1999年12月22日付で成立した法律512号「マフィア型犯罪被害者への連帯支援循環基金設立法(Istituzione del Fondo di rotazione per la solidarietà alle vittime dei reati di tipo mafioso)」(注5)である。
  この法律はマフィア型犯罪被害者への連帯を示し、生活や仕事の再起を促すことを趣旨とするものである。担当機関として、「マフィア型犯罪被害者のための連帯委員会(Il Comitato di solidarietà per le vittime dei reati di tipo mafioso)」(注6)が内務省内に設置されている。当委員会の委員長は内閣によって任命される「マフィア型犯罪被害者のための連帯イニシアチブ調整のための代表委員(Il Commissario per il coordinamento delle iniziative di solidarietà per le vittime dei reati di tipo mafioso)」(注7)が務める。
  当基金の運営には、「公的保険サービス代理機関(CONSAP=concessionaria diservizi assicurativi pubblici)」(注8)が内務省から委任されている。
(2)給付対象(注9
給付対象は、後述するマフィア型特定犯罪の被害者であり、被告を相手に損害賠償請求を起こし、1982年9月30日以降に下された判決で勝訴した原告を対象とし、そこで認められた賠償金額と裁判に要した費用が、年間の基金予算の範囲内で給付される。原告は、個人、もしくは訴訟手続法に則って構成された団体のいずれでも構わない。ただし団体に対しての補償は訴訟費用に限られる。(注10
<同法律で対象としているマフィア型特定犯罪とは>
A 刑法416-条Bis に規定する犯罪
B 刑法416-条Bis に規定する状況を利用して行われた犯罪
C マフィア型組織の活動を手助けする目的で行われた犯罪

<刑法416Bisとは(注11)>
  イタリア刑法第5章「治安を脅かす犯罪」の中の第416条の定義は、「複数の犯罪謀議の為に3人以上で結社を組む者には3年から7年の禁固刑に処す」と定めている。しかし、この規定では巧妙で広範囲なマフィアの対応には不十分とされ、ある事件をきっかけにした世論の高まりの中、1982年416条にBis項が追加された。その内容は「3人以上のマフィア型結社の構成員を成すとそれだけで3年から6年の禁固刑に処す。マフィア型とは、犯罪を犯すため、直接又は間接的に民間の経済活動や公共調達に関して実質的な運営を獲得するため、不当な利益を生むため、また選挙時に自由な投票行動を阻むなどの目的で、集団としての絆・従属・沈黙の掟を強制し威嚇行動を行う結社である」と定義している。

被害者が故人となっている場合は相続人が申請者となることが可能である。
給付の申請を行う上で、以下の要件を満たす必要がある。(注12
  被害者本人が申請書提出の日において、被害者が故人である場合は死亡原因となるけがを被った事件の当日において、
-刑事訴訟法典第407条2項のa)に規定される犯罪(注13)で最終有罪判決を受けていないこと、または、同種の犯罪で刑事訴訟の手続き中でないこと。
-1965/575号法律(注14)により予防措置を適用されていない、また、その適用決定途中にない。
  さらに、申請書提出のその日までに、被告から給付対象の補償金を受け取っていないことが条件である。
(3)給付内容および併給調整
給付対象者が以下の種類の司法判決を受けた時に、その内容に沿って給付される。(注15
a) 財産的・非財産的損害に対する損害賠償責任の確定有罪判決
b) 最終審に至っていないが、損害賠償責任の有罪判決とその仮払いの命令が出ている
c) 訴訟及び弁護費用の費用賠償責任についての有罪判決

  このような種類の判決で認められた金額が補償されることになるが、基金の予算に十分な金額が残っていない場合は、残金が次年度に支払われる。
(4)申請方法および査定方法(注16
所定の申請書類と判決正文抄本を、申請者の居住する、若しくは判決を下した裁判所の所在する県の政府代表事務所長(Prefetto(注17))あてに提出する。
当該法律512/1999号が発効した日(2000年1月25日)以降に下された判決に対する請求には申請期限はない。それ以前に下された判決に対する申請期限は、2001年1月25日までであり、すでに期限が過ぎている。所定の申請書の様式は内務省のHPから取り寄せることができる。
  申請書を受理した県の政府代表事務所長は、申請書類に基づき、警察等他の機関とも連絡を取り、申請のための前提条件と要件を申請者が満たしているか確認する予備審査を行なう。申請書受理後20日以内に連帯委員会へ、申請書類及び予備審査書類を送付する。その後当該委員会において、申請書類に基づき審査を行なう。補足書類の提出を要求する場合もある。
  請求者の申請書提出後60日以内に可否の決定を行なう。
(5)財源および給付実績
当循環基金への拠出は、政府による年次拠出金とマフィア組織から押収した資産の売却金によるものである。政府による年次拠出金とは、「恐喝的要求及び高利貸し被害者のための連帯基金(Il Fondo di solidarietà per le vittime delle richieste estorsive e dell'usura)」(注18)へ総額の拠出金が決定された後、その一部を内務大臣令により当該基金に割り当てられるのであるが、その比率は毎年変動する。
  給付実績であるが、2008年には298件の請求があった。その内訳はつぎのとおりである。委員会により支給が決定されたケースが65件、総額34,558,697.57ユーロ。予備審理が完了した案件は48件で、2009年に委員会による審理に付される。金額にすると総額で25,629,891.78ユーロになる。その他、185件の案件が予備審理中で、総額27,189,394.52ユーロに上る。(注19
  2009年1月から10月までの状況としては、新たな請求が475件、承認件数は215件で総額39.927.438ユーロ、32件が拒否され、現在審査継続中が478件総額43,140,055ユーロに上る。(注20

2-1-2:イタリアにおけるマフィア型犯罪における身体的被害への補償

(1)制度の根拠法令および理念・趣旨
この制度の基盤となるのは、1990年10月20日付け 302号法律「テロ及び組織犯罪被害者のための規定(Norme a favore delle vittime del terrorismo e della criminalità organizzata)」(注21)であり、その後部分的改定を示した1998年11月23日付407号法律「テロ及び組織犯罪被害者のための新規定(Nuove norme in favore delle vittime del terrorismo e della criminalità organizzata)」(注22)も参照されている。組織犯罪の暴力的行為にさらされた市民に対して、政府からの具体的な連帯を示すことを趣旨としている。
(2)給付対象(注23
イタリア国内においてマフィア型犯罪行為に巻き込まれけがをし、死亡又は恒久的障害を被った犠牲者が対象である。イタリア人、外国人、無国籍者を問わない。本人が死亡した場合は家族が給付の申請をすることができる。この場合の家族とは以下を指す。
  1. 配偶者と事件当時に被扶養であった(成人者を含む)子ども
  2. 事件発生当時に配偶者が生存していないか年金継承権を有しない場合は、被扶養と限定されない子ども
  3. 両親
  4. 事件当時に同居していた被扶養の兄弟、姉妹
  5. 事件以前の過去3年間被害者の被扶養者であった同居人、内縁関係の妻又は夫
上記1から5に該当する家族は、申請の優先権をその順に有する。
ただし、申請者のいずれも、当該犯罪に関与していてはならない。
(3)給付内容(注24)および併給調整
給付の内容は、被害者が死亡した場合、けがにより障害を負った場合、またその障害の程度によって内容が異なるので、それぞれの場合について順に説明する。
A)被害者が死亡した場合
  • 特別給付金200,000ユーロが請求権を有する受益者の間で分割し、一括して支給される。
  • 終身手当(注25)月額500ユーロが請求権を有する受益者各々に支給される。
  • 特別終身手当(注26)1,033ユーロが請求権を有する受益者各々に支給される。
B) 被害者がけがにより労働能力の25パーセント以上27の障害を負った場合
  • 特別給付金地域の病院医療審査委員会が認定する障害の程度1パーセントごとに2,000ユーロが支給される。
  • 終身手当(注28)月額500ユーロが受益者に対して至急される。
  • 特別終身手当(注29)1,033ユーロが受益者に対して支給される。
C) 被害者がけがにより労働能力の25パーセント未満の障害を負った場合
  • 特別給付金地域の指定病院医療委員会が審査し認定する障害の程度1パーセントごとに2,000ユーロが支給される。
  当初の1990年302号法律では、A)とB)に係る特別給付金と終身手当はそのいずれかを申請者が選択する規定になっていたが、1998年407号法律で、B)のカテゴリーにおいては両方の受給が可能となった。A)のカテゴリーでは、2001年から両方の受給が可能となった。
  特別終身手当は、テロ被害者のみを対象として2004年に生まれた拡充策の一つであったが、2008年からマフィア被害者と遺族にも適用されることに決まった。
  法律の施行当時はリラ建ての金額であったがその後の改正により現在は上記のようにユーロ建てに変わり実質的に増額されている。そのうえ、いずれの金額も、給付の決定時にISTAT(注30)の示すインフレ係数を基に再評価される。継続的に支払われる手当は毎年同様に見直される。また、給付金、手当てなどについて所得税が免除(注31)される。
直接的な金銭支給以外の支援策は以下のとおりである。
  • 被害者本人は、医療の自己負担分を免除され、様々な医療サービスを無料で受けることができる(注32)。
  • 被害者及び被害者の子、遺児を対象にした奨学金制度が1998年407号法律の第4条で規定された。さらに当該奨学金制度について細かく明確な手順を示す法律が2009年5月5日付け58号(注33)で制定された。テロ被害者と家族、殉職者遺児と共通の規定であるが、それによると、毎年800人に対し400ユーロ(小学生・中学生)から3000ユーロ(大学・専門学校)の支給が可能で、応募要綱に従って申請を行った候補者の中から、障害の重度・収入状況・学校での成績の3要素について点数で評価を出し、受給者が決定される。
  特別給付金は、同じ事由に関して給付される他の公的な一括払いの支援金の類と重複できない。また終身手当は同様に、他の公的支援による継続的手当と重複できない。複数の受給可能性がある場合、どれを選択するか明確な選択が該当者本人に要求される。(注34
申請者が、当該犯罪の責を負う者から損害賠償を既に受けていた場合、その額は特別給付金の総額から控除される。終身手当から差し引く場合は、75の数字から受益者の年齢を引いた数字と年間受取額を掛けて平均的総額を割り出し、その金額から控除する。(注35
(4)申請方法及び査定方法
・申請窓口
居住県あるいは事件発生県の政府代表事務所長を通じ、内務省の市民の自由及び移民局あてに提出する。申請書は内務省HPでも入手できる。
 海外居住者は居住地の領事館に提出することとし、領事館から事件発生県の政府代表事務所に書類が送られる。(注36
 代表事務所長は申請書受理後、給付決定に係る意思を申請者に確認することがある。
 例えば、[1]同じ件で他の公的支援金を受け取っているか、[2]他にも申請し得る公的支援金で二者択一の場合の選択についてである。(注37
・申請期限
関係する事件の司法措置確定から3か月以内
・審査方法
  けがの原因となった事件の発生状況とその関係性を評価するほかに、病院医療審査委員会(Commissione Medica Ospedaliera)が、所定の規定に従った方法で、死亡または障害を導いたけがの状況について保健衛生的な判断をくだし、障害がある場合はその度合いを査定し、百分率の形式でそれを認定する。同時に、就労不能であるか、退職を余儀なくさせる状況であるかについても判断をくだす。同委員会が上記の審査を行う場合には、法医学に精通した警察庁の衛生官2名が加わる。2名は内務省公安局中央衛生部部長から任命され、申請者を訪問し委員会の会合に参加する。同委員会は申請日より60日以内に判断を下す。万一期間内に判断が下されなかった場合、担当機関は同様の審査が可能な国立機関、国立病院、大学研究所などに依頼し、20日以内に結果を出すよう求める。被害者が死亡していてその因果関係が明白な場合には、上述の審査委員会の判断を必要としない。また、政府代表事務所長が事件の捜査状況や証拠を鑑みて、テロ事件・マフィア型の犯罪との関連がないと判断した場合にも、上述審査会の評価を必要としない。

  申請者が外国籍、無国籍の人間の場合も手順は同じである。申請者が海外に居住している場合、現地領事館が指定する3 名の医師により特別委員会が設置され、上述委員会とまったく同様の手順で審査を行い、その結論を事件発生県の政府代表事務所長に他の資料とともに送付する。

  県の政府代表事務所長は申請書とともに、当該事件の状況についての詳細な報告書や犯罪についてはその刑事裁判の判決、場合によっては目撃者証言、その他のあらゆる入手情報、医療審査委員会の結論を添えて、内務省に伝達する。また、同時に、けがの発生原因について、結果としての障害もしくは死亡と原因との因果関係について、給付のためのその他の前提条件についてなど、自らの所見を述べることになっている。

  金銭の支給を決定する上で、障害の程度など保健衛生面以外の点で不確実要素が存在すると認められた場合、内務省は、その省内に設置した諮問委員会に意見を求めることができる。この諮問委員会(注38)は、内務省公安局、警察、憲兵、財務警察、内務省市民サービス局から各1名の委員をもって構成されている。また、提供された情報が最終判断をくだすに至らないと見なされた場合、内務省は理由を開示してさらなる調査を命じることができる。

  政府代表事務所長の報告書作成のための調査活動に支障が発生した場合は、審査期間を一時中断することが可能で、その旨は申請者に連絡される。(注39

  事件に関連した司法措置決定が出る前に仮払い給付金や終身手当の支給が始まった場合、その後に出た決定について政府代表事務所長は迅速に情報を内務省に伝える。その内容を吟味した上で、最終的な給付の是非が決められる。(注40)最終決定のための充分な根拠を見いだせない場合は、政府事務所長が見解やさらなる調査結果などを示し、その検討をもって内務省が最終判断を示す。

  関連事件についての司法判決最終審が出る前、若しくはそのような関連司法措置がない場合で、調査結果としての情報をもとに、担当機関は給付の是認を決定することがある。その場合、申請者の請求により終身手当の支給開始や特別給付金の90%の額を仮給付することができる。(注41

  同様の方法で、給付申請が一度は否認された場合も、後に司法判決があった時点で決定の是非について再検討を行う。既に否決した給付についても是認する場合がある。

  申請が否認された場合、申請者は異議申し立てを、その通達受領後60日以内に行政裁判所あてに行うこと、もしくは120日以内に共和国大統領あてに行うことができる。

  申請が認可されると、給付金は一括して中央財務部から、終身手当の場合は地方財務部から指定の銀行口座に振り込まれる。

  政府代表事務所長は、認定された被害者及び遺族に対し、金銭以外の支援を得るために必要な身分証明書を発行する。
(5)財源および給付実績
  政府による年次拠出である。
  具体的な予算額は、制定直後の年度については法律の中に示されている。実績について具体的な数字を公表した資料は見つかっていない。

2-1-3:国外で犯罪被害に遭った場合の経済的支援

イタリアにおいてこの場合の支援策は、後述のテロ被害者支援を除くと、現在特に設けられていない。


注1
イタリアのみに存在する
注2
http://www.conventions.coe.int/Treaty/ita/Treaties/Html/116.htm 条約の全文伊語
http://www.conventions.coe.int/Treaty/en/Treaties/Word/116.doc 条約の英語版
注3
http://www.conventions.coe.int/Treaty/Commun/ChercheSig.asp?NT=116&CM=8&DF=6/16/2009&CL=ITA
批准国一覧2009年6月現在
注4
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema002.html
注5
1999年512号法律の全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/antimafia/legislazione_218.html
注6
脚注3の法律1999/512号、第3条に当委員会設置の規定とその構成委員の内訳が示されている。
注7
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema004.html
に現在(2009年9月7日)の代表委員の紹介
注8
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema002.html
注9
脚注3 の1999/512号法律の第4 条に給付対象の規定が示されている。
注10
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema002.html
2009年94号法律の規定による
注11
416-Bis の全文
http://www.camera.it/_bicamerali/leg15/commbicantimafia/files/pdf/Art_416bis.pdf
注12
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema002.html
のページのB参照
注13
刑事訴訟法の407条は予備調査の期間を定義している。2項のa)では通常より長い2年間の調査期間を適用できる犯罪を述べていて、刑法416 Bis に関する犯罪、武器の不法製造や販売などが含まれる。
注14
1965年575号法律は、マフィア犯罪の捜査段階での特別な措置を規定する法律。その中で、マフィア関係者の疑いがある人間で不可思議なほどの財産や収入を持つ者に対し、検察庁の承認により、財産や収入の出所について特別な捜査を、犯罪予防措置の一環として行うことが可能と述べている。
注15
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema002.html
1999/522号法律第4条の1、2008/186号法律第2条Ter、2009/94号法律第2条の 23,24 項による。
注16
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/come_fare/antimafia/Accedere_la_fondo_solidarietx_vittime_reati_mafiosi.html
注17
伊和辞典等でprefettura, perfetto を“県”“県知事”との表記を含む場合があるがそれは誤訳である。(原因は、県を英語に翻訳する時、prefectureとの言葉が使われているためと思われる)Prefettoは、伊内務省で最高に位置する官僚の資格を指し、県警や地方の政府代表事務所の責任者などを歴任する。例えば脚注5の代表委員もPrefettoの肩書きを有する。prefetturaは、内務省が各県に配置した国の出先機関としての“代表事務所”である。以前は内務省だけの連絡事務所としてであったが、近年の組織改正で、政府全体の代表事務所の性格を与えられた。
内務省のHP、prefetturaの役割を説明=
http://www.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/ministero/prefetture/
内務省のHP、prefetto の役割を説明
http://www.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/ministero/prefetture/il_prefetto/
注18
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/come_fare/antiracket/Vittime_dellxestorsione.html
商業・工業分野の経営者、フリーランス就業者対象にマフィア型犯罪に対抗するための支援策、そのための基金
注19
内務省同基金の年次報告書より参照
http://www.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/assets/files/16/0635_Relazione_2008.pdf
注20
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema002.html
注21
302号全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_243.html_319159481.html
注22
407号全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_244.html_319159481.html
注23
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/come_fare/antimafia/Vittime_del_terrorismo_e_crim_organizzata.html
注24
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_mafia/sottotema006.html
注25
2001年財政法(=2000年法律388号)により、マフィア型被害者の遺族にも、特別給付金にプラスして受給できる規定が適用された。
最初は月50万リラだったが、2003年法律350号で500ユーロに金額が変更された。
注26
2008年財政法(=2007年法律200号)第105条によりマフィア型被害者遺族にも適用することがが決められた。
注27
障害の程度を決定する為の規範を統一する目的で、細則を規定する法律が、2009年10月30日付181号大統領令として発布された。以下全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/0992_2009_10_30_DPR30102009n181.html
ただし、具体的な障害の状況とそれに相応するパーセンテージが表になって示されているわけではなく、参照先の法律が示されている。
注28
1998年法律408号第2条で、被害者本人には特別給付金にプラスして支給される規定が生まれた。最初は月50万リラだったが、2003年法律350号で500ユーロに金額が変更された。
注29
2008年財政法(=2007年法律200号)第105条によりマフィア型被害者にも適用することが決められた。
注30
イタリア中央統計局
注31
法律407号第2条の4項による
注32
第302号法律15条
注33
奨学金の支給律する法律の全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/0994_2009_05_05_DPR05052009n58.html
注34
302号法律第13条
注35
302号法律の第10条の第2項
注36
大統領令 1999年7月28日付け510号第3条の4項全文は以下のHPに
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_241.html
注37
大統領令 1999年7月28日付け510号 第4条1項
注38
大統領令 1999年7月28日付け510号 第11条
注39
大統領令 1999年7月28日付け510号 第12条
注40
大統領令 1999年7月28日付け510号 第10条
注41
302号法律第7条3項及び2003年法律56号第2条による改定

2-2:テロ被害者への経済的支援

イタリアでは、民間のテロ被害者に対する経済的支援を行う公的機関は、内務省の「市民の自由と移民局(Dipartimento per le Liberta Civili e l'immigrazione)」(注42)である。警察官、消防士、刑務官等公務員としての責務を果す上で被害にあった人間については、それぞれ管轄の省において、支援が提供されている。よって、これから取り上げる支援は、民間人の立場でテロ事件に巻き込まれた場合についてである。被害者が故人となっている場合は、相続人が請求できる。
  イタリア国内で起きたテロ事件の場合、支援の対象は、イタリア国民のほか外国人、無国籍の人間を含むあらゆる人種を想定している。外国で起きたテロ事件に関してはイタリア国籍を持つ人間に限っている。(注43

(1)制度の根拠法令および理念・趣旨
テロの被害者となった民間人への支援を行う上で、最新の法令は2004年8月3日制定の法律206号「テロ行為及びそれに由来する無差別殺傷事件の被害者支援新規定(Nuove norme in favore delle vittime del terrorismo e delle stragi di tale matrice)」(注44)である。
ただし、これは基本的支援の更なる強化策を打ち出した内容であり、当法律で特に規定のない事柄については、既に発効している1990年10月20日付法律302号「テロ及び組織犯罪被害者のための規定(Norme a favore delle vittime del terrorismo e della criminalita organizzata)(注45)、及び、1998年11月23日付けの法律407号「テロ及び組織犯罪被害者のための新規定(Nuove norme in favore delle vittime del terrorismo e della criminalita organizzata)(注46)の定めるところに従うこととされている。

  また、経済的支援とは別に、2008年から“テロリズムの犠牲者”という名誉称号が制定され、理想や道徳的信念に基づく行動により武力的破壊行為の犠牲となった人間に対し、共和国大統領から金のメダルが授与される。これは、民間人の自発的行動、公務員の任務のいずれもが対象で、遺族の申請により審査に付され、内務大臣が大統領に推薦する。2007年29号法律の第34条、及び2008年5月6日の省令にその詳しい規定が述べられている。(注47
  同時に5月9日が「テロ犠牲者を追悼する日」に制定され、当日大統領官邸で開催される式典の中で新たな“テロリズムの犠牲者”に称号の授与が行われる。2009年度においては約200通の申請が寄せられたとの記載(注48)が大統領府のHPにある。(注49)5月9日に制定された理由は、1978年の5月9日、“赤い旅団”に誘拐されていたアルド・モーロ元首相(当時はキリスト教民主党党首)の遺体が発見された日にちなんだからである。その事件では、誘拐時に警察官とボディーガードの5人が殉職している。

  イタリアでは国内テロの頻発した70年代前後を“鉛の時代”と呼ぶが、その象徴的事件が、1969年の「ミラノ・フォンタナ広場の爆破事件」である。これは広場に面していた農業銀行が標的となり、死者17名、負傷者88名を数え、いまだに未解決となっている。また、数多くの市民が巻き込まれた事件として代表的なものは1980年の「ボローニャ駅の爆破事件」があり、85名の死者、200人余りの負傷者を出した。その後国内テロ事件は90年代より下火となり2000年以降はほとんど起きていない。その一方で、2000年以降にテロ被害者支援が強化されている。その背景として、コソボ、イラク、アフガニスタンと近隣諸国での海外紛争が頻発し、公務員のほか、少なくない数の民間人がNGO活動の担い手として、あるいはジャーナリストとして現地に赴いており、民間人がテロに巻き込まれる事件が発生している現実がある。イタリアでは、そのような危険にもかかわらずボランティアを続ける民間人への敬意が、世論に醸成されている点が特徴的である。また、イタリア政府はOSCE(注50)、ISAF(注51)の一員としてこれらの紛争に派兵しているが、その反対意見も国民の一部に根強いことを意識しての方針でもあるとの見解がある。
(2)給付対象(注52
イタリア国領内で1961年1月1日(注53)以後に発生したテロ行為及び民主的秩序破壊行為またそれらに由来する無差別殺傷事件により、障害を被ったあらゆる人間(イタリア市民、外国人、無国籍者を含む)、及びイタリア国外の同様の事件により障害を被ったイタリア市民が対象である。
  被害者が死亡した場合はその家族(イタリア市民、外国人、無国籍者を含む)が申請可能で、家族の定義と優先順位は次の通りである。
  1. 配偶者と事件当時に被扶養であった(成人者を含む)子ども
  2. 配偶者が生存していないか、あるいは配偶者が年金継承権を有しない場合、事件発生時に扶養されていない場合も含む子ども
  3. 両親
  4. 事件当時に同居していた被扶養の兄弟、姉妹
  5. 上記に該当する者がいない場合は以下の順に従う。
    • a)遺児
    • b)兄弟あるいは姉妹
    • c)直系親族(以上三者は同居である必要も被扶養である必要もない)
    • d)親族でも姻族でもなく婚姻関係もないが過去三年間死亡被害者に扶養されていた同居人
    • e) 内縁関係の妻又は夫(被扶養を問わない)
(3)給付内容(注54)及び併給調整
給付の内容は、被害者が死亡した場合、けがにより障害を負った場合、またその障害の程度によって内容が異なるので、それぞれのケースについて順に説明する。
A) 被害者が死亡した場合
・特別給付金200,000ユーロ請求権を有する受益者の間で分割し、一括して支給される。
・終身手当(注55)月額500ユーロが請求権を有する受益者各々に支給される。
・特別終身手当(注56)1,033ユーロが請求権を有する受益者各々に支給される。
B) 被害者がけがにより労働能力の25パーセント以上の障害を負った場合
・特別給付金地域の指定病院医療審査委員会が認定する障害度数1パーセントごとに2,000ユーロが支給される。
・終身手当(注57)月額500ユーロ
・特別終身手当(注58)1,033ユーロが受益者に支払われる。
C) 被害者がけがにより労働能力の25パーセント未満の障害を負った場合
・特別給付金各地域の病院医療委員会が審査し認定する障害の程度1パーセントごとに2,000ユーロが支給される。
  法律の施行当時はリラ建ての金額であったが、その後の改正により現在は上記の額である。ただし、いずれの金額も、給付の決定時にISTAT(注59)の示すインフレ係数をもとに再評価される。継続的に支払われる手当は毎年同様に見直される。また、給付金、手当については、所得税が免除(注60)される。
直接的な金銭支給以外の支援策は以下のとおりである。
  • 被害者とその家族は、医療費の自己負担分を免除され、無料で治療を受けることができる。また、当該事件によるけがや疾病の治療費に限らない(注61)。
  • 被害者とその家族には、費用の政府負担により心理的ケアと治療が提供される。(マフィア型被害者にはない支援策)
  • 被害者及び被害者の子、遺児を対象にした奨学金制度が1998年407号法律の第4条中で規定されたが、当該奨学金制度について細かく明確な手順を示す法律が2009年5月5日付け58号によって生まれた。(注62)殉職者遺児、マフィア型犯罪被害者及びその家族と共通の規定であるが、それによると毎年800人に対し400ユーロ(小学生・中学生)から3,000ユーロ(大学・専門学校)の支給が可能で、応募要綱に従って申請を行った候補者の中から、障害の重度・収入状況・学校での成績の3要素について規定に沿った点数を付け、受給者が決定される。
  • 通常の年金受給については、労働能力の80%以上に値する障害を負った場合は即時受給開始の権利を得る。80%以下の場合は10年分の年金保険料納付分相応の加算が将来の受給時に与えられる。(注63)(マフィア型にはない措置で、2004年の新法律により追加された便宜である。)
  特別給付金は、同じ事由に関して給付される他の公的な一括支払いの支援金と重複できない。また、終身手当は他の公的支援の継続的手当と重複できない。複数の可能性がある場合、どれを選択するか明確な選択が該当者本人に要求される。(注64

  申請者が、加害者等の当該犯罪の責を負う者から損害賠償を既に受けていた場合、その額は特別給付金の総額から控除される。終身手当から差し引く場合は、75の数字から受益者の年齢を引いた数字と年間受取額を掛けて平均的総額を割り出し、その金額から控除する。(注65
(4)申請方法および査定方法
この項はマフィア型犯罪被害者の場合と、申請期限を除いて共通である。
・申請窓口
  居住県あるいは事件発生県の政府代表事務所長を通じ、内務省市民の自由及び移民局宛てに提出する。申請書は内務省HPで入手できる。
  海外居住者は居住地の領事館に提出し、領事館から事件発生県の政府代表事務所に書類が送られる。(注66)   代表事務所長は申請書受理後、給付決定に係わる意志を申請者に確認することがある。
  例えば、[1]同じ件で他の公的支援金を受け取っているか、[2]他にも申請し得る公的支援金で二者択一の場合の選択、[3]一時給付金か終身手当てのいずれを選択するか、などについてである。(注67

・申請期限
1999年3月17日以前に発生したテロ事件については随時可能。1999年3月18日以後の発生事件については、関係する事件の刑事措置確定後(裁判での判決、不起訴命令等)3か月以内である。

・審査方法
  けがの原因となった事件の発生状況とその関係性を評価するほかに、各地域の病院医療審査委員会(Commissione Medica Ospedaliera)が、所定の規定に従った方法で、死亡又は障害を導いたけがの状況について保健衛生的な判断を下し、障害がある場合はその度合いを査定し、百分率の形式でそれを認定する。同時に、就労不能であるか、退職を余儀なくさせる状況であるかについても判断を下す。同委員会が上記の審査を行う場合には、法医学に精通した警察庁の衛生官2名が加わる。2名は内務省公安局中央衛生部部長から任命され、申請者を訪問し委員会の会合に参加する。同委員会は申請日より60日以内に判断を下す。万一期間内に判断が下されなかった場合、担当機関は同様の審査が可能な国立機関、国立病院、大学研究所などに依頼し、20日以内に結果を出すよう求める。被害者が死亡していてその因果関係が明白な場合には、上述の審査委員会の判断を必要としない。また、政府代表事務所長が事件の捜査状況や証拠を鑑みて、テロ事件・マフィア型の犯罪との関連がないと判断した場合にも、上述審査会の評価を必要としない。

  申請者が外国籍、無国籍の人間の場合も手順は同じである。申請者が海外に居住する場合、現地領事館が指定する3名の医師により特別委員会が設置され、上述委員会とまったく同様の手順で審査を行い、その結論を事件発生県の政府代表事務所長に他の資料と共に送付する。

  県の政府代表事務所長は、申請書と共に当該事件の状況についての詳細な報告書や、犯罪についてはその刑事裁判の判決、場合によっては目撃者証言、その他のあらゆる入手情報、医療審査委員会の結論を添えて内務省に伝達する。また、同時に、けがの発生原因について、結果としての障害若しくは死亡と原因との因果関係について、給付のためのその他の前提条件についてなど、自らの所見を述べることになっている。

  金銭の支給を決定する上で、障害の程度など保健衛生面以外の点で不確実要素が存在すると認められた場合、内務省は、その省内に設置した諮問委員会に意見を求めることができる。この諮問委員会(注68)は、内務省公安局、警察、憲兵、財務警察、内務省市民サービス局から各1名の委員をもって構成されている。また、提供された情報が最終判断を下すに至らないと見なされた場合、内務省は理由を開示して更なる調査を命じることができる。

  政府代表事務所長の報告書作成のための調査活動に支障が発生した場合は、審査期間を一時中断することが可能で、その旨は申請者に連絡される。(注69

  事件に関連した司法措置決定が出る前に仮払い給付金や終身手当の支給が始まった場合、その後に出た決定について、政府代表事務所長は迅速に情報を内務省に伝える。その内容を吟味した上で、最終的な給付の是非が決められる。(注70)最終決定のための充分な根拠を見出せない場合は、政府事務所長が見解や更なる調査結果等を示し、その検討をもって内務省が最終判断を示す。

  関連事件についての司法判決最終審が出る前、若しくはそのような関連司法措置が無い場合で、調査結果としての情報をもとに、担当機関は給付の是認を決定することがある。その場合、申請者の請願により終身手当の支給開始や特別給付金の90%の仮払いをすることができる。(注71

同様の方法で給付申請が一度否決された場合も、後に司法判決があった時点で決定の是非について再検討を行う。既に否決した給付についても是認する場合がある。

  申請が否認された場合、申請者は異議申し立てをその通達受領後60日以内に行政裁判所あてに行うこと、もしくは120日以内に共和国大統領あてに行うことができる。
  申請が認可されると、一括の給付金は中央財務部から、終身手当の場合は地方財務部から指定の銀行口座に振り込まれる。

  政府代表事務所長は、認定された被害者及び遺族に対し、金銭以外の支援を得るために必要な身分証明書を発行する。
(5)財源および給付実績
  政府による年次拠出である。
  具体的な予算額は、制定直後の年度については法律の中に示されている。実績について具体的な数字を公表した資料は見つかっていない。
注42
部局の活動範囲を説明するHP
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_terrorismo/sottotema001.html
注43
同上のHP参照
注44
当法律の全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_601.html
注45
当法律の全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_243.html_319159481.html
注46
当法律の全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_244.html_319159481.html
注47
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_terrorismo/sottotema002a.html
注48
大統領府のHPのコラムより
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/sala_stampa/notizie/vittime_terrorismo/0680_2009_05_07_medaglie.html
注49
その後実際には何名に授与されたかは不明である。
注50
欧州安全保障協力機構
注51
NATO指揮下の国際治安支援部隊、アフガニスタンに派遣
注52
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/come_fare/vittime_terrorismo/Vittime_del_terrorismo_e_delle_stragi_di_tale_matrice.html
注53
この期日を設定している理由は、公務員を対象にしたテロ被害者支援策が70年ごろから存在し、そのころの法律に期日を合わせたものと考えられる。
注54
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/temi/vittime_terrorismo/sottotema002.html
注55
1998年407号法律第2条により、特別給付金にプラスして支給される旨が規定された。
注56
2004年206号法律第5条による規定
注57
1998年407号法律第2条により、特別給付金にプラスして支給される旨が規定された。
注58
2004年206号法律第5条による規定
注59
イタリア中央統計局
注60
法律407号第2条の4項による
注61
2004年法律206号第9条
注62
奨学金の支給律する法律の全文
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/0994_2009_05_05_DPR05052009n58.html
注63
2004年206号法律第2条、第4条
注64
302号法律第13条
注65
302号法律の第10条
注66
大統領令 1999年7月28日付け510号第3条の4項全文は以下のHPに
http://www1.interno.it/mininterno/export/sites/default/it/sezioni/servizi/legislazione/vittime_terrorismo/legislazione_241.html
注67
大統領令 1999年7月28日付け510号第4条1項
注68
大統領令 1999年7月28日付け510号第11条
注69
大統領令 1999年7月28日付け510号第12条
注70
大統領令 1999年7月28日付け510号第10条
注71
302号法律第7条3項、2003年大統領令13号と2003年法律56号第2条の修正による

2-3:総括

イタリアでは一般犯罪被害者に対する支援策が整備されていないものの、マフィア型犯罪被害者及びテロ事件被害者に対しては手厚い支援が用意されている。両者の扱いは最初、1990年302号による唯一の基本法で同等に規定されていた。その後、徐々に内容が拡充され、最初は選択制であった一括給付金と終身手当が1998年407号で両方の受給が可能になった。この取り扱いにはマフィア型被害者の遺族だけが除外されていたが、2000年388号法律(2001年財政法と同じ)で同様に適用されることになった。同法律ではまた、「マフィア型犯罪被害者に便宜を与える時、テロ被害者に対する規定がより有利な場合はそれを適用する」(82条6項)との規定を設け、実質的に両者を同等に扱う基盤に戻った。

しかし、2004年206号でテロ被害者とその家族のみを対象にした法律が制定され、拡充策として年金増額と新たなる特別終身手当の支給が盛り込まれた。同時にその法律で、前述の同等の取り扱い規定(2000/388法律の82条6項)が除外された。ところが、2008年からは同年財政法により、特別終身手当の給付がマフィア型犯罪被害者とその家族にも適用されることになった。

こうした経緯から、マフィア型犯罪被害者よりテロ被害者を優先させる意図とそれに対するゆさぶりが交互して進んできたように思われる。全体としてはいまだ、年金の増額その他の点でテロ被害者のほうが支援策の内容は豊富である。いずれにしろ、両者の支援策に関してその給付の中身や適用条件など、随時事細かに修正規定が発生している様子から、今後も同様に、予算のありようなどにも関連して修正が行われることが想像される。現在までのところ、支援策強化の方向性は変わっていない。

また、イタリアの給与所得者の平均収入が手取りで1,200ユーロ(注72)であることと比較すると、一括給付金以外に月々給付される手当の金額は決して少なくないと言えるだろう。終身手当と特別終身手当の関係について述べている告知や規定が見つからず、また、両方の同時受給を否定する文言が見つからないので、その条件に適応する限り両方を受給できるものと思われる。

一般犯罪被害者に対する支援策の制定は特に進展はないが、特殊な事件について、個別に、テロ事件被害者と同一便宜の適用を法律で規定する、という方法が一部に見られる。2007年財政法で、1980年の「ウスティカ飛行機墜落事件」、1994年解決を見た「白い車のギャング連続強盗殺傷事件」の被害者に、2004年206号法律の便宜をそのまま適用することが決められた。前者は81名の被害者を出した国内定期便の墜落で、未解決であるが、機内での爆発物若しくは外国戦闘機のミサイル誤発射が原因との仮説が根強く残っている一件である。後者は現職警官二人を含む強盗団が7年にもわたり次々と銀行支店等を襲い、銃撃戦を繰り返し24人の死者と114人の負傷者を出した事件である。最もありふれた白の車種を盗んでは犯行に使い、現職警官であったので狙撃が得意で、逃走用の道筋を熟知していたので、長年捕まらなかったという。

1994年以降のイタリアは、総選挙ごとに中道右派、中道左派の間で連立政権が交代している。今後、そのような変化が当該テーマの法律制定や修正などに影響を与えることも考えられる。

注72
OECDが発表した2008年度の資料によると、購買力平価で算出した全イタリア給与所得者の手取り月給は、扶養者無しの場合、1,200ユーロとなる。(repubblica 紙の記事から)
http://www.repubblica.it/2009/04/sezioni/economia/retribuzioni/dossier-salari/dossier-salari.html