第2章 パネル調査結果

2.類型別調査結果

2)身体・精神状況について(問1~8)

問1 過去30日間の健康上の問題の有無

 過去30日間に健康上の問題があったとする人は、殺人・傷害等で48%、交通事故による被害で65%、性犯罪による被害で63%(8名中5名)となっている。過去10年間に深刻な犯罪被害にあっていないとする「一般対象者」を対象とした調査(※)では、41%が過去30日間に健康上の問題があったとしており、健康上の問題があったとする人の割合は、被害者等でやや多くなっている。

 昨年度調査(※※)と比較すると、全体的な傾向に大きな違いはないが、殺人・傷害等において、健康上の問題があったとする人の割合が今年度調査においてやや少なくなっている。

 被害者との関係別にみると、昨年度調査と比べ、自身が被害にあわれた方で、過去30日間の健康上の問題があったとする人の割合が71%から58%に少なくなっている。

○過去30日の健康上の問題の有無(類型別)

過去30日の健康上の問題の有無(類型別)

※一般対象者に対しては、基本属性に加えて、問1、問3、問5、問7、問8及び問9と同じ設問を尋ねている。一般対象者に対する調査方法については、「第3章 Web調査結果」、基本属性については、「補足資料2.一般対象者の基本属性」を参照されたい。

※※本章においては、本年度調査のサンプルに合わせ、平成19年度調査回答データを再集計した結果を「昨年度調査結果」として示す。なお、昨年度調査結果を経過年数別にみるときは、昨年度調査時点での被害からの経過年数で集計している。

昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題の有無(類型別)

昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題の有無(類型別)

○過去30日の健康上の問題の有無(被害者との関係別)

過去30日の健康上の問題の有無(被害者との関係別)
昨年度調査結果:過去30日の健康上の問題の有無(被害者との関係別)

昨年度調査結果:過去30日の健康上の問題の有無(被害者との関係別)

○過去30日の健康上の問題の有無(経過年数別)

過去30日の健康上の問題の有無(経過年数別)
昨年度調査結果:過去30日の健康上の問題の有無(経過年数別)

昨年度調査結果:過去30日の健康上の問題の有無(経過年数別)

 

問2 健康上の問題と事件との関係度合い【ベース:過去30日間に健康上の問題があった人】

 健康上の問題と事件との関係度合いについて、過去30日間に健康上の問題があったとする人に尋ねたところ、殺人・傷害等で56%、交通事故による被害で65%、性犯罪による被害で60%(5名中3名)と、いずれの類型においても過半数が「事件が関係している」と回答している。

 昨年度調査で過去30日間に健康上の問題があったとする人をみると、殺人・傷害等の60%、交通事故による被害の83%、性犯罪による被害の100%(5名全員)が「事件が関係している」としており、いずれの類型においてもその割合は今年度の方が少なくなっている。サンプル数の少ない性犯罪以外では、特に交通事故で約20ポイントとその減少の度合いが大きい。

 次に、被害者との関係別、被害からの経過年数別にみても、過半数の人が健康上の問題は事件と関係していると回答しているが、その割合を昨年度の結果と比較すると、被害者との関係別では、自身が被害にあわれた方で約30ポイント、経過年数別では、被害から3年以上経過した人で約20ポイント、少なくなっている。

○過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(類型別)

過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(類型別)
昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(類型別)

 

昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(類型別)

○過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(被害者との関係別)

過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(被害者との関係別)

昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(被害者との関係別)

昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(被害者との関係別)

○過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(経過年数別)

過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(経過年数別)
昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(経過年数別)

昨年度調査結果:過去30日間の健康上の問題と事件との関係度合い(経過年数別)

 

問3 過去30日間の精神的な問題や悩みの有無

 過去30日間の精神的な問題や悩みの有無について尋ねたところ、殺人・傷害等で79%、交通事故で83%、性犯罪で88%(8名中7名)の人が「あった」としている。一般対象者(39%)と比較すると、その割合は、いずれの類型においても40ポイント以上高くなっており、精神的な問題や悩みがより深刻であることがうかがえる。

 昨年度調査と比較しても全体的な傾向に大きな違いはなく、昨年度調査では、殺人・傷害等で75%、交通事故による被害で81%、性犯罪による被害で88%(8名中7名)の人が精神的な問題や悩みが過去30日間にあったとしている。

 被害者との関係別、被害からの経過年数別のいずれの類型においても80%以上が過去30日間に精神的な問題や悩みがあったとしている。

 また、昨年度調査と比較しても、精神的な問題や悩みがあるとする被害者等の割合は、この1年間、ほぼ横ばいであることがわかる。

○過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(類型別)

過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(類型別)
昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(類型別)

昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(類型別)

○過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(被害者との関係別)

過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(被害者との関係別)
昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(被害者との関係別)

昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(被害者との関係別)

○過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(経過年数別)

過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(経過年数別)
昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(経過年数別)

昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みの有無(経過年数別)

 

問4 精神的な問題や悩みと事件との関係度合い【ベース:過去30日間に精神的な問題があった人】

 精神的な問題や悩みと事件との関係について、過去30日間に精神的な問題や悩みがあったとする人に尋ねたところ、殺人・傷害等で68%、交通事故で76%、性犯罪で71%(7名中5名)と、いずれの類型においても60%以上が精神的な問題や悩みと事件との関係はあるとしている。

 昨年度調査では、殺人・傷害等で72%、交通事故による被害で92%、性犯罪による被害で100%(7名中全員)が、精神的な問題や悩みと事件は関係があるとしており、いずれの類型においても、その割合は今年度やや少なくなっている。

 被害者との関係別、被害からの経過年数別にみても、全体的な傾向に大きな違いはみられない。特に、自身が被害にあわれた方で、精神的な問題や悩みと事件が関係しているとする人の割合が90%から55%と35ポイント程度少なくなっている。

○過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(類型別)

過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(類型別)
昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(類型別)

昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(類型別)

○過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(被害者との関係別)

過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(被害者との関係別)
昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(被害者との関係別)

 

昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(被害者との関係別)

○過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(経過年数別)

過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(経過年数別)
昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(経過年数別)

 

昨年度調査結果:過去30日間の精神的な問題や悩みと事件との関係度合い(経過年数別)

 

問5 過去30日の間の精神健康状態について【K6】

 過去30日間の精神健康状態(K6)をみると、殺人・傷害等で31%、交通事故による被害で45%、性犯罪による被害で38%(8名中3名)の平均合計値が13点以上(※)となっている(スコアの合計値は、殺人・傷害等で平均10.4、交通事故による被害で平均13.0、性犯罪による被害で平均10.9)。一般対象者では、13点以上(平均合計値は4.3)が6%であることを考えると、これらの数値がいかに高いかがわかる。

 ただ、昨年度調査時の平均合計値は、殺人・傷害等で10.9、交通事故では16.3、性犯罪では13.6であったことから、被害者等の精神健康状態はやや回復傾向にあると考えられる。

 この傾向は、サンプル数の少ない被害からの経過年数が3年未満の対象者を除き、被害者との関係別、被害からの経過年数別のいずれの類型においてもみられる。被害からの経験年数が3年未満の対象者の平均合計値は、この1年間で12.5から14.7に上昇している。

※問5では、過去30日間に「神経過敏に感じた」、「絶望的だと感じた」、「そわそわ落ち着かなく感じた」、「気分が沈みこんで、何が起こっても気が晴れないように感じた」、「何をするのも骨折りだと感じた」、「自分は価値のない人間だと感じた」の6つの設問について尋ねている。合計値は、各設問項目の回答に基づき、「全くない」=0、「少しだけ」=1、「ときどき」=2、「たいてい」=3、「いつも」=4とスコア化し、合算して算出している。K6の合計値が13点以上の場合は、「重症精神障害相当」とされている。

○過去30日の間の精神健康状態について【K6】(類型別)

過去30日の間の精神健康状態について【K6】(類型別)
昨年度調査結果:過去30日の間の精神健康状態について【K6】(類型別)

 

昨年度調査結果:過去30日の間の精神健康状態について【K6】(類型別)

○合計値の分布

<殺人・傷害等(n=52)>

合計値の分布<殺人・傷害等>

<交通事故(n=75)>

合計値の分布<交通事故>

<性犯罪(n=8)>

合計値の分布<性犯罪>

○過去30日の間の精神健康状態について【K6】(被害者との関係別)

過去30日の間の精神健康状態について【K6】(被害者との関係別)
昨年度調査結果:過去30日の間の精神健康状態について【K6】(被害者との関係別)

昨年度調査結果:過去30日の間の精神健康状態について【K6】(被害者との関係別)

○過去30日の間の精神健康状態について【K6】(経過年数別)

過去30日の間の精神健康状態について【K6】(経過年数別)
昨年度調査結果:過去30日の間の精神健康状態について【K6】(経過年数別)

昨年度調査結果:過去30日の間の精神健康状態について【K6】(経過年数別)

 

問6 この1年間での非就業日数

 この1年間に事件が関連すると思われること(事件による心身の不調や刑事手続きなど)によって仕事や日常生活が行えなくなった非就業日数を尋ねたところ、殺人・傷害等の33%、交通事故による被害の21%、性犯罪による被害の38%(8名中3名)が、「0日」と回答しており最も多くなっている。一方、いずれの類型においても10%以上が非就業日数は、181日~365日(約半年~1年)と回答している。平均非就業日数は、殺人・傷害等で54.2日、交通事故による被害で92.0日、性犯罪による被害で71.1日となっている。

 昨年度調査での非就業日数は、殺人・傷害等で平均88.8日、交通事故で平均107.3日、性犯罪で平均111.5日となっており、この1年間で非就業日数は減少してきている。このことからも、被害者が回復傾向にあることが見受けられる。

 被害者との関係別、被害からの経過年数別にみると、昨年度調査と比較して、この1年間で非就業日数は「0日」とする割合はいずれにおいても多くなっているが、それぞれの類型で10%以上の回答者が「181日~365日」と答えている。平均非就業日数が最も少ないのは被害からの経過年数が3年以上の回答者で67.8日。ついで遺族の70.4日である。

○この1年間での非就業日数(類型別)

この1年間での非就業日数(類型別)
昨年度調査結果:この1年間での非就業日数(類型別) 

昨年度調査結果:この1年間での非就業日数(類型別)

○この1年間での非就業日数(被害者との関係別)

この1年間での非就業日数(被害者との関係別)
昨年度調査結果:この1年間での非就業日数(被害者との関係別)

昨年度調査結果:この1年間での非就業日数(被害者との関係別)

○この1年間での非就業日数(経過年数別)

この1年間での非就業日数(経過年数別)
昨年度調査結果:この1年間での非就業日数(経過年数別) 

昨年度調査結果:この1年間での非就業日数(経過年数別)

 

問7 健康上の問題の解決策【ベース:過去30日間に健康上の問題があった人】(複数回答)

 過去30日間に健康上の問題があったとする人に健康上の問題の解決策を尋ねたところ、「医療機関に通った」とする人が殺人・傷害等で68%、交通事故で67%、性犯罪で40%(5名中2名)と最も多くなっている。

 昨年度調査と比較すると、交通事故の被害者等で「医療機関に通った」とする人の割合が減り、「医療機関に通わず市販の薬を服用、湿布した」、あるいは「特に何もしていない」とする人の割合がやや増えていることがわかる。

 被害者との関係別、被害からの経過年数別でみても、全体的な傾向としては大きく違わないが、被害者との関係別では、自身が被害にあわれた方、また、被害からの経過年数別では事件から3年未満の人で、「医療機関に通った」とする人の割合が今年減り、「医療機関に通わず市販の薬を服用、湿布した」、あるいは「特に何もしていない」とする人の割合がやや増えている。

○健康上の問題の解決策(類型別)

健康上の問題の解決策(類型別)
昨年度調査結果:健康上の問題の解決策(類型別)

昨年度調査結果:健康上の問題の解決策(類型別)

○健康上の問題の解決策(被害者との関係別)

健康上の問題の解決策(被害者との関係別)
昨年度調査結果:健康上の問題の解決策(被害者との関係別)

昨年度調査結果:健康上の問題の解決策(被害者との関係別)

○健康上の問題の解決策(経過年数別)

健康上の問題の解決策(経過年数別)
昨年度調査結果:健康上の問題の解決策(経過年数別)

昨年度調査結果:健康上の問題の解決策(経過年数別)

 

問8 精神的な問題や悩みの解決策【ベース:過去30日間に精神的な問題や悩みがあった人】(複数回答)

 精神的な問題や悩みの解決策について、過去30日間に精神的な問題や悩みのあった人に尋ねたところ、「自助グループに参加した」とする人が、殺人・傷害等(37%)と交通事故による被害(57%)で最も多い。性犯罪による被害では、「医療機関に通った」(57%、7名中4名)が最も多くなっている。

 昨年度調査と比べても、全体的な傾向に大きな違いはないが、いずれの類型においても「その他」あるいは「特に何もしていない」とする回答がやや多くなっている。

 被害者との関係別でみると、遺族で「自助グループに参加した」とする割合が55%と他と比べて多く、自身や家族では、「家族や知人に相談した」とする人がそれぞれ50%と42%と最も多くなっている。昨年度調査と比べると、全体的な傾向として「医療機関に通った」、「カウンセリングを受けたり相談した入りした」とする割合が今年度やや少なくなっている。

 被害からの経過年数別にみると、被害から3年未満の人で、「家族や知人に相談した」とする割合が今年度調査で67%、昨年度調査で56%と、被害から3年以上の人に比べて多い。

 最後にK6の平均合計値別でみると、平均合計値13点以上の人の間で、「医療機関に通った」とする人の割合が51%と他と比べて多くなっている。

○精神的な問題や悩みの解決策(類型別)

精神的な問題や悩みの解決策(類型別)
昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(類型別)

昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(類型別)

○精神的な問題や悩みの解決策(被害者との関係別)

精神的な問題や悩みの解決策(被害者との関係別)
昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(被害者との関係別)

昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(被害者との関係別)

○精神的な問題や悩みの解決策(経過年数別)

精神的な問題や悩みの解決策(経過年数別)
昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(経過年数別)

昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(経過年数別)

○精神的な問題や悩みの解決策(K6合計値別)

精神的な問題や悩みの解決策(K6合計値別)
昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(K6合計値別)

昨年度調査結果:精神的な問題や悩みの解決策(K6合計値別)

 

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