犯罪等に関する用語の理解として、特に認知(「説明できる」+「意味が分かる」+「聞いたことがある」)や理解(「説明できる」+「意味が分かる」)が浸透しているのは「裁判員制度」で、「説明できる」は27%、「意味が分かる」の57%を加えると84%となり、国民一般のほとんどは理解しているといえる。次いで高いのは「PTSD」で理解のパーセンテージは57%で半数を超えるが、他の用語の理解の浸透は3割以下である。
比較的新しい用語として、「被害者参加制度」の認知はほぼ半数に達しているが、理解者は17%にとどまり、「法テラス」も理解者は約1割と低く、国民一般の理解が不可欠な「裁判員制度」との違いが現れている。理解が浸透していない用語として、「犯罪被害者等基本法」は、半数近くには認知されているが、理解の浸透は8.5%と低い。
前回調査した用語について、認知・理解の変化を見ると、「PTSD」や「二次的被害」は微増しているが、他の用語は減少傾向が見られ、国民一般には理解の浸透は進んでいない。
用語の理解度を性別で見ると、「PTSD」や「自助グループ」は男性より特に女性に高く、他の用語は男性に高い傾向が見られる。
年代別で見ると、「裁判員制度」は年齢にかかわらず理解が浸透している。特に、年代により差が大きい用語は、「PTSD」は、20代~40代は60%台の高いレベルであるが、50代以上では急に低くなる。反対に、「犯罪被害給付制度」は加齢に従い理解度が急に高くなり、20代では約50ポイントの差が見られた両用語は60代以上ではほとんど差が見られない。このように用語により、浸透のパターンは多様であり、背景にある犯罪や犯罪被害者等への社会的な取り組みのあり方や国民一般の関心の持ち方の一端を示すものといえる。