国民一般が「重犯罪の犯罪被害者等」としてイメージする犯罪の種類は、「暴力犯罪」が84%であり、国民の多くは犯罪被害者等といえば、暴力犯罪の犯罪被害者等を想定することがわかる。続いて、「性犯罪」9%、「交通犯罪」5%である。我が国で実際に発生している犯罪は、おおよそでは交通犯罪・暴力犯罪・性犯罪の割合は、91:8:1であり、国民が描く犯罪や犯罪被害者等は、罪種という観点からは、実態とは大きくかけ離れていることがわかる。国民の多くが「暴力犯罪」をイメージする背景には、一つにはメディアの影響があるように思われる。近年は飲酒運転による交通犯罪なども大きく報道され、その際に、犯罪被害者等についても触れられるようになったが、一方でメディアは特異な犯罪や無差別殺人等について繰り返し大きく報道し、国民一般に強い印象を与えている。その結果、暴力犯罪のイメージが大多数を占めていると考えられる。また、国民は、直接犯罪被害者等に遭遇する機会が多くない(問11)ことから、日常生活の中で比較的身近に接する他者間の「争いやけんか」などを想起し、暴力犯罪のイメージを抱いているとも考えられる。
この傾向は、2年前の調査結果と比較して、より一層顕著になったといわざるをえない。犯罪被害者等のイメージが「暴力犯罪」の犯罪被害者等に偏り、「交通犯罪」の犯罪被害者等は、国民からは遠ざかりつつあると考えられる。
性別に見ると、男性より女性が「暴力犯罪」をより多くイメージしている。年代では、50歳代までは加齢に従い「暴力犯罪」をイメージする傾向が高まっている。