「欧米先進国に比べて、我が国の被害者支援は、約20年の後れを取っていると言われている。被害者支援の活動は、支援組織だけでできるものではない。関係機関は言うまでもなく、一般市民の参加・協力が不可欠である。」*1との指摘がなされているように、犯罪被害者等に対する今後の支援の一層の具体化、施策の実効性の担保に当たっては、国民一般の理解・協力が非常に重要となる。しかしながら、現状の国民一般の犯罪被害者等への理解は必ずしも高くないことが考えられ、「制度や刑事施設や人々の反応を介して被害者にあらわれる被害」*2 、いわゆる二次的被害(secondary victimization)を引き起こしている側面もあると思われる。
上記のような問題意識の下、本調査では、国民一般の持つ犯罪被害者等への意識を把握するとともに、犯罪被害者等の経験及び被害後の意識等を聴取することで、国民一般の犯罪被害者等へ持つ「イメージ」と犯罪被害者等の実態部分とのギャップ(ずれ)を明らかにすること、また、平成18年度に実施した同調査と比較検討することにより、その経年変化について検討し、今後の国民一般に対する普及啓発活動への活用及び施策展開の参考にすることを目的とした。
結果については、今後、国民理解の促進に向けた広報・啓発等の展開の際、基礎的資料として活用していく。
犯罪被害者等に対する国民一般の持つイメージを調査から明らかにし、国民一般の中の「被害者像」の概念的枠組みを抽出すること。
国民一般の中の「被害者像」を犯罪被害者等の実態部分との比較で分析するために、犯罪被害者等については、被害後の意識や経験についての基礎的な実態把握を行う。
Web調査
※ 「本調査」(犯罪被害に関する設問)に進む前に、「予備調査」として「自身または自身の家族が、殺人・傷害や交通事故または性犯罪等により、生命・身体・精神に深刻な被害を受けた経験があるか」という問を設け、これに対して「ある」と回答した人を「犯罪被害者等(本人やその家族・遺族)」、「ない」と回答した人を「国民一般」として、「本調査」の振り分けを行った。
※ 前回は、「犯罪被害者等」の一部を被害者団体を対象として郵送調査で回収したが、今回は、前回実績を踏まえ、「犯罪被害者等」もすべてweb調査にて調査を実施した。
<Web調査>
ヤフーリサーチモニター(全国18歳以上の男女)を性別、年代、居住都道府県の国勢調査結果構成比に準拠して割付抽出した。
平成20年(2008年)10月17日(金)~10月22日(水)
ヤフーバリューインサイト株式会社
総発送数(抽出数):39,829 総回収数:11,512 (回収率;28.9%)
調査依頼数:8,418 総回収数:7,573 (回収率;90.0%)
※ 「国民一般」の対象者条件を満たして予備調査が完了した9,563名の中から、本調査で5,000サンプルを回収するのに必要と判断された8,418サンプルを無作為に抽出し、調査依頼メールを送信した。
分析サンプル:5,000 (7,573サンプルの中から、5,000サンプルを無作為に抽出)
※ 前回の国民一般サンプルの性年代別構成比と同じになるように、性別・年代別の割付を設けた上で、総回収サンプル7,573から5,000サンプルを無作為に抽出した。
調査依頼数:1,949 総回収数:1,410 (回収率;72.3%)
※ 「犯罪被害者等」の対象者条件を満たして予備調査が完了した1,949名全員に調査依頼メールを送信した。
分析サンプル:835
※ 暴力犯罪及び性犯罪の犯罪被害者等が100サンプル以上含まれ、かつ全体の分析サンプル数が前回の実績から大きく減少しないよう、暴力犯罪及び性犯罪の犯罪被害者等以外のサンプルを無作為に抽出した。
本調査の実施及び報告書作成は、企画分析会議の協力を得て行われた。
調査方針・調査事項を協議し、前回行われた1回目の調査において用いた調査票について再検討し、必要な加除修正を行う。調査実施後、調査結果を分析し、当該分析に基づいて作成された報告書案の検討を行い、報告書を確定する。
座長 | 細井 洋子 | 東洋大学社会学部教授 |
阿久津 照美 | 社団法人被害者支援都民センター相談員 | |
臼井 敏男 | 元朝日新聞社東京本社論説副主幹 | |
奥村 正雄 | 同志社大学大学院司法研究科教授 | |
辰野 文理 | 国士舘大学法学部教授 | |
松村 恒夫 | 全国犯罪被害者の会副代表幹事 | |
瀬戸 真一 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 |
(敬称略)