1.犯罪被害者等に関する国民意識調査について

1-2.犯罪被害者等に関する国民意識調査概要

(1)調査目的

 「欧米先進国に比べて、我が国の被害者支援は、約20年の後れを取っていると言われている。被害者支援の活動は、支援組織だけでできるものではない。関係機関は言うまでもなく、一般市民の参加・協力が不可欠である。」*1との指摘がなされているように、犯罪被害者等に対する今後の支援の一層の具体化、施策の実効性の担保に当たっては、国民一般の理解・協力が非常に重要となる。しかしながら、現状の国民一般の犯罪被害者等への理解は必ずしも高くないことが考えられ、「制度や刑事施設や人々の反応を介して被害者にあらわれる被害」*2 、いわゆる二次的被害(secondary victimization)を引き起こしている側面もあると思われる。

 上記のような問題意識の下、本調査では、国民一般の持つ犯罪被害者等への意識を把握するとともに、犯罪被害者等の経験及び被害後の意識等を聴取することで、国民一般の犯罪被害者等へ持つ「イメージ」と犯罪被害者等の実態部分とのギャップ(ずれ)を明らかにすること、また、平成18年度に実施した同調査と比較検討することにより、その経年変化について検討し、今後の国民一般に対する普及啓発活動への活用及び施策展開の参考にすることを目的とした。

 結果については、今後、国民理解の促進に向けた広報・啓発等の展開の際、基礎的資料として活用していく。

(2)各調査のテーマについて

1. 国民一般を対象とした意識調査

犯罪被害者等に対する国民一般の持つイメージを調査から明らかにし、国民一般の中の「被害者像」の概念的枠組みを抽出すること。

2. 犯罪被害者等を対象とした意識や経験に関する調査

国民一般の中の「被害者像」を犯罪被害者等の実態部分との比較で分析するために、犯罪被害者等については、被害後の意識や経験についての基礎的な実態把握を行う。

(3)調査設計

調査方法(データコレクト手法)

Web調査

※ 「本調査」(犯罪被害に関する設問)に進む前に、「予備調査」として「自身または自身の家族が、殺人・傷害や交通事故または性犯罪等により、生命・身体・精神に深刻な被害を受けた経験があるか」という問を設け、これに対して「ある」と回答した人を「犯罪被害者等(本人やその家族・遺族)」、「ない」と回答した人を「国民一般」として、「本調査」の振り分けを行った。

※ 前回は、「犯罪被害者等」の一部を被害者団体を対象として郵送調査で回収したが、今回は、前回実績を踏まえ、「犯罪被害者等」もすべてweb調査にて調査を実施した。

調査対象者抽出方法

<Web調査>

ヤフーリサーチモニター(全国18歳以上の男女)を性別、年代、居住都道府県の国勢調査結果構成比に準拠して割付抽出した。

予備調査 計画サンプル表(性別・年代)
表:予備調査 計画サンプル表(性別・年代)

調査期間

平成20年(2008年)10月17日(金)~10月22日(水)

調査実施機関

ヤフーバリューインサイト株式会社

(4)回収結果

【予備調査】

総発送数(抽出数):39,829   総回収数:11,512 (回収率;28.9%)

グラフ:問8 犯罪被害経験有無

【本調査;国民一般】

調査依頼数:8,418   総回収数:7,573 (回収率;90.0%)

※ 「国民一般」の対象者条件を満たして予備調査が完了した9,563名の中から、本調査で5,000サンプルを回収するのに必要と判断された8,418サンプルを無作為に抽出し、調査依頼メールを送信した。

分析サンプル:5,000 (7,573サンプルの中から、5,000サンプルを無作為に抽出)

※ 前回の国民一般サンプルの性年代別構成比と同じになるように、性別・年代別の割付を設けた上で、総回収サンプル7,573から5,000サンプルを無作為に抽出した。

性年代別構成比(分析サンプル)
表:国民一般のサンプルの性年代別構成比

【本調査;犯罪被害者等】

調査依頼数:1,949   総回収数:1,410 (回収率;72.3%)

※ 「犯罪被害者等」の対象者条件を満たして予備調査が完了した1,949名全員に調査依頼メールを送信した。

分析サンプル:835

※ 暴力犯罪及び性犯罪の犯罪被害者等が100サンプル以上含まれ、かつ全体の分析サンプル数が前回の実績から大きく減少しないよう、暴力犯罪及び性犯罪の犯罪被害者等以外のサンプルを無作為に抽出した。

表:犯罪被害者等のサンプルの性年代別構成比

(5)調査結果の見方について

<結果を見るに当たって>

  • 調査結果の数値は回答率(%)で示している。%の母数はその質問に回答した数または分類別(性別等)の数で、「サンプル数」または「n」で表している。
  • 割合は小数点第2位で四捨五入し、小数点第1位までを示している。よって、○は1つだけの質問であっても、回答比率の合計値が100.0%にならない場合がある。また、複数回答の質問は、回答比率の合計値が100.0%を超える場合がある。
  • 本文やグラフ・数表上の選択肢の表記は、語句を簡略化している場合がある。正確な表記は巻末にある調査票を参照のこと。
  • 調査結果の割合で5%未満のものに関しては、グラフに数値を表示させていない。しかし、必要と判断された箇所については、適宜表示させた。

(6)設問一覧

表:設問一覧

(7)企画分析会議の役割と構成員の一覧

本調査の実施及び報告書作成は、企画分析会議の協力を得て行われた。

<企画分析会議の役割>

 調査方針・調査事項を協議し、前回行われた1回目の調査において用いた調査票について再検討し、必要な加除修正を行う。調査実施後、調査結果を分析し、当該分析に基づいて作成された報告書案の検討を行い、報告書を確定する。

<構成員一覧>

座長 細井 洋子東洋大学社会学部教授
阿久津 照美社団法人被害者支援都民センター相談員
臼井 敏男元朝日新聞社東京本社論説副主幹
奥村 正雄同志社大学大学院司法研究科教授
辰野 文理国士舘大学法学部教授
松村 恒夫全国犯罪被害者の会副代表幹事
瀬戸 真一内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官

(敬称略)