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犯罪被害者等施策
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【PDF版:91KB】

「犯罪被害類型等ごとに実施する継続的調査」の結果について

内閣府犯罪被害者等施策推進室
1 調査の概要
(1)調査目的
本調査は、被害類型別、被害者との関係別に、犯罪被害者等の置かれた状況について継続的な調査を実施し、時間の経過に伴う当該状況の経過等を把握することを目的とする(※)
(※)19年度は、身体犯、交通事故、性犯罪の3被害類型と、本人、家族、遺族の別で調査を行った。
(2)調査方法
被害者のプライバシー保護及び安全確保、二次的被害防止の観点から、以下の2種類の方法により、アンケート調査を実施した。次年度以降も継続して同様の調査を実施する予定。
<1>被害者団体・支援団体を通じて実施するパネル調査(次年度以降も同一人を調査)
発送数:581名、有効回収数:187名
<2>モニターを利用したweb調査(単年度調査を継続実施)
スクリーニング回収数:17960名、発送数:943名、有効回収数:583名
(3)調査の企画・分析
調査に当たっては、有識者等から成る企画分析会議(別紙参照)において、調査内容の企画・結果の分析等を行った。
(4)被害者の方々の手記
被害者団体・支援団体を通じて手記を募集し、22通のご応募をいただいた。いただいた手記については、本報告書に掲載するほか、内閣府ホームページ上に掲載する予定。

2 主な調査結果
(1)身体・精神状況について
・ 健康上の問題より精神的な問題や悩みがあったと回答した人の割合が高く、パネル調査では7割を超え、Web調査でも過半数に及んだ。<参考-1>(PDF23KB)
・ 精神的な問題の解決手段として、パネル調査では身体犯及び交通事故の被害者が「自助グループへの参加」、性犯罪被害者が「カウンセリング」、Web調査では「身近な人に相談」及び「何もしない」と回答した人が多くなっている。(p7,p35,p36,p39,p89,p90,p93)
・ 現在の精神状態について、重症精神障害の診断に該当する可能性がある人の割合がパネル調査で8割、Web調査でも3割に達しており、一般住民における有病率と比較して高くなっている。(p8,p37,p91)
(2)経済・生活状況について
・ 現在の経済状態について、生活に困っていると回答した人が約3割を占めており、被害からの経過時間に関わらず、問題を抱えている人が多いことがうかがわれる。(p9,p40,p94)
・ 事件に関する経験について、加害者から謝罪や賠償を受けたと回答した人は2~3割にとどまっており、加害者側の対応に不満を感じている被害者が多数存在することがうかがわれる。また、Web調査では、約3割の人が捜査・裁判の状況について分からないと回答しており、事件に関する情報を把握していない被害者が多数存在することがうかがわれる。(p11,p45~p47,p99~p101)
・ 事件後の生活上の変化について、学校や仕事を辞めた、変えた、しばらく休んだと回答した人、長期通院や入院をするようになったと回答した人の割合が高く、事件後すぐに生活全般に関わることについて支障をきたしてしまう人が多いと考えられる。(p12,p48~54,p102~108)
・ そのほか、性犯罪では、転居(引越し)をした、学校や職場、地域の人々との関係が悪化したと回答した人の割合が高くなっている。(p53,p54,p107,p108)
・ 事件直後と比較した状況の変化について、身体的な状況及び精神的な状況に比べ、経済的な状況が悪化傾向にあると回答した人の割合が高くなっている。(p13,p56,p57,p110,p111)
(3)支援及び制度の利用経験の有無、満足度について
・ 最近導入された制度が多いこともあり、各支援制度等を利用した経験があると回答した人は全体として低率であり、今後の調査における推移が注目される。特に、Web調査においては低率となっており、関係機関・団体における一層の制度等の周知・広報の必要性が認められる。(p18,p19,p59,p113)
(4)二次的被害について
・ 全被害類型を通じ、「加害者関係者」や「捜査や裁判等を担当する機関の職員」から気持ちが傷つけられることがあったと回答した人の割合が高くなっている。(p19,p68~p74,p118~p124)
・ そのほか、パネル調査では、身体犯の被害者で「報道関係者」から、性犯罪の被害者で「病院等医療機関の職員」から二次的被害を受けたと回答した人の割合が高くなっている。(p68~p74)<参考-2、3、4>(PDF39KB)
(5)今後望まれる施策について
・ 全被害類型を通じ、「民事損害賠償請求への援助」、「犯罪被害者等に対する加害者の情報提供の充実」、「犯罪被害者等に対する給付制度の充実」、「PTSD等重度ストレス反応の治療専門家の養成」を望む声が多かった。いずれの事項も基本計画や経済的支援に関する検討会において施策が盛り込まれており、今後の調査における推移が注目される。(p20,p21,p75,p76,p125,p126)
・ 上記のほか、パネル調査では、身体犯の被害者で、「刑事裁判・少年審判への参加の機会拡充」や「司法・行政機関職員の理解・配慮の増進」といった裁判に関わる配慮や支援について、望む人の割合が高かった。また、性犯罪の被害者では、「居住の確保」や「雇用の確保」といった、生活の根幹に関わる事項についてのニーズがそれぞれ他類型よりも高く、厳しい状況に置かれていることがうかがわれる。(p75,p76)
・ また、web調査では、身体犯の被害者で「加害者の改善更生」、「捜査、公判等の過程における配慮」、交通事故の被害者で「社会保障・福祉制度の充実・利便性の促進」、「報道機関からのプライバシーの保護」、性犯罪の被害者で「加害者の改善更生」、「PTSD以外の犯罪被害者等のための医療体制の整備」、「報道機関からのプライバシーの保護」が上位を占めた。(p125,p126)<参考-5、6>(PDF44KB)

3 調査結果の活用等
・ 本調査の結果については、今後の施策を検討するにあたっての参考資料とするとともに、内閣府ホームページ上に掲載するなど広く国民一般に公開し、国民の理解の増進を図る。
・ 次年度以降は、施策の効果や時間の経過による影響等についても分析を行っていく予定。







「犯罪被害類型等ごとに実施する継続調査」企画分析会議 構成員
(敬称略)
座長 椎橋 隆幸   中央大学法科大学院法学部教授
構成員 照山 美知子  社団法人いばらき被害者支援センター事務局長
中島 聡美 国立精神・神経センター精神保健研究所
成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長
松村 恒夫  全国犯罪被害者の会幹事
藤田 悟郎  科学警察研究所犯罪行動科学部捜査支援研究室長
高津  守  内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官




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