4.調査結果のまとめ

4-2.最後に

(1)アンケート調査票回収状況

 今回実施したアンケート調査では、回答期限までに返信があったものが約半数に留まっており、その後、1か月にわたる督促電話等によって回答期限を1か月以上経過したところで100%の回収が達成できた経緯がある。

 回答期限までに約半数という回収率は、行政が行う一般的な民間企業向けのアンケート調査に比べれば高いが、地域住民向けの意識調査と比べると、ほぼ同程度の回収状況といえる。

(2)アンケート調査票回収時のやり取りから見えてくるもの

 アンケートの回答提出を督促する電話等の中で、地方公共団体の担当者が「犯罪被害者等施策」という言葉自体を理解していない様子も多く窺われた。条例を策定済みの団体の中でも同様のことが見られた。

 条例に関する質問項目については、犯罪被害者等を想定していないにもかかわらず、防犯や安全に関する条例を明記する回答も散見され、個別に確認を行った。また、警察署単位で設置している「被害者支援地域ネットワーク」と民間支援団体とを混同している場合も見られた。

 こうした地方公共団体とのやり取りからも、ある程度取組が進んでいる都道府県・政令市と比べて、市区町村では、「犯罪被害者等施策」自体の認知度や理解が十分でないことが窺えた。

(3)今後の調査のあり方

 今回の調査では同一内容のアンケート調査票を全ての地方公共団体に向けて一律に配布したが、アンケート結果から分かるように、地域の諸条件や関係機関・団体等との連携状況などによって、施策等の取組事情は異なっている。また、当該施策への認識にも大きな温度差が生じており、出来る限り正確な状況把握を行うためには、施策等の理解度に併せて質問項目を変えていくことが必要である。

 今回の調査を踏まえて、今後は、被害者等施策の地域条件・取組状況などに応じて、調査対象を絞り、その対象の理解度に合わせた内容・テーマを設定した上で質問項目を検討・実施することにより、より綿密な実態を把握し、そこから得られる問題・課題の抽出、その解決策から推進策へと続く一連の戦略的なアプローチを施していくことが必要と思われる。