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犯罪被害者等施策
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講演


「支援団体の現状と地方公共団体との連携の必要性」
特定非営利活動法人神奈川被害者支援センター専務理事 舩越 融 氏

 ご紹介いただきました舩越でございます。
 今からお話をさせていただきますけれども、全国でも初めて県と警察と我々民間支援団体が1つのフロアで、同じ被害者支援の仕事をさせていただいているというちょっと特異なところだということで、そのお話をという依頼を受けまして話をさせていただくわけでございますが、何といっても私たちは民間でございますので、常日ごろ被害者支援の最前線、いわゆる実働部隊というつもりで被害者支援に当たらせていただいております。支援を通じまして感じたことをお話させていただいて、今後の皆様方の被害者支援に活かしていただければという思いで今日は話をさせていただきます。
 いいことばかりでもなく、生意気なことも言うかもしれませんが、そこのところはご容赦いただいて、常日ごろ被害者支援のためにここまでやっていきたいと思っているというふうにご解釈いただければと思っております。

 行政で被害者支援をやっていかれる中で、ぜひとも頭に置いていただきたい1つの言葉がございます。「被害者等」という言葉で定義しております被害者、その家族・遺族という言葉で言っておりますけれども、「被害者」という言葉でくくっていただきたくない。被害者一人ひとりは全部違います。一人の被害者にとりましては、自分の被害以上の苦しみ、つらさ、これ以上のものはないのだという気持ちでございます。一人ひとりが皆そういうふうに思っておられるぐらい厳しいものでございます。どうか一くくりにされないで、人と人という人間の関係の中で被害者支援をとらえていっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それでは話をさせていただきますが、今、ご紹介いただきました特定非営利活動法人神奈川被害者支援センターは、平成13年に設立しまして、平成19年に「認定特定非営利活動法人」の認定をいただきました。それから平成20年3月26日に、神奈川県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」の指定をいただいて被害者等の支援に当たっております。
 我々の組織は、役員が14名、理事が12名、監事が2名でございます。職員は14名、ちょっと多いなと思われるでしょうが、実は今年の4月1日から、ボランティアの中から7名を非常勤職員にして直接支援に特化して活動していただいています。通常事務職として働いているのは、私含めて7名でございます。それから、私たちのセンターで活動していただいているボランティアの方が41名で、これで運営をさせていただいております。

 支援事業の内容ですが、もともと当センターは電話相談を基調とする活動を始めたものでございますから、今のところ一番大きな形で進んでいるのは電話相談でございます。電話相談から引き続きまして、どうしても会ってお話をしたいという被害者がおられれば面接相談につなげております。それから、裁判や警察署に行かれるときに、心細い思いをされたり、司法手続がわからないというときは、そういうことをカバーするための付添い支援がございます。小さいお子さんがおられれば、面倒を見たりする生活支援、こういうことまで含めてやっております。
 そのほかに、一番大事な被害者の立ち直りですが、被害者は決して元には戻りません。ただ、もとの平穏な生活状況に近い状態に戻っていただくお手伝いをするために自助グループの運営を行っています。これは被害者が集まってお話をすることによって少しずつ立ち直っていくというグループでございますが、その運営からコーディネートや場所の提供を我々がさせていただいています。こういうことが主な我々の活動内容でございます。

 支援実績はどのぐらいあるかというと、昨年度は291件の電話相談がありました。そして、面接相談が65件なんですね。これは前年度から比べると約2倍になっています。また、付添い支援は85件ありました。これは前年度の2.7倍でございます。なぜこんなに増えたかというと、これからお話をさせていただくかながわ犯罪被害者サポートステーションという場所ができて、三位一体、県と警察と私たちが一緒になって活動を始めたからだということが言えるかと思います。

 かながわ犯罪被害者サポートステーションの関係から、本来は、神奈川県の被害者支援条例についても言及しなければいけないのでしょうが、後ほど、今日見えております神奈川県の川合課長さんがお話をされますので、私たちは行政との関係でどういうふうな形でやればうまくいくのか、またどういった形のメリットがあるのかというお話をさせていただきたいと思っております。
 我々の活動の場所は、今言いました「かながわ犯罪被害者サポートステーション」といって、横浜駅の西口にございます。県の施設である「かながわ県民センター」の1室をお借りしております。ここに昨年の6月1日から、神奈川県と神奈川県警察の被害者支援室、この方たちと一緒になって、同じフロアで、同じように机を並べて仕事をさせていただいている。本当に珍しい形かと思います。お互いに知られたくない、知りたくないことがあっても、1つの部屋ですので、正直言って、何もかもツーとカーというような感じで仕事ができている。これがまた被害者支援にとって非常に役に立つものであると考えております。
 メリットは何かといいますと、まずワンストップで相談が受けられるということです。今までは、支援センターで相談を受ければ、それから電話をあちこちにかけるとか、もしくはこういう機関があるから、ここに電話したらどうですかというたらい回し的な被害者支援からなかなか抜けきれなかったんですが、それがなくなった。例えば警察であろうと、県の相談電話であろうと、我々の相談電話であろうと、ひとたびそこに電話が入りさえすれば、そこですべてが行政を通じて市区町村にまで支援の仕方を教示できるし対応ができるようになったということが一番大きなメリットではないかと思います。被害者にとっては同じことを何回も説明させられる。自分の口から話さなくてはいけないというのは非常につらいものでございますので、それがなくなったというのは一番大きなことではないだろうかと思っております。
 それから、初期的支援から中長期にわたる支援まで、継続して一緒に考えながらやっていけるということです。事件というのは大体110番や警察に届けが来ますので、警察の被害者支援室の方、5名が来ておりますけれども、この人たちが現場に行きます。そこから情報がサポートステーションに入ってくるんですね。なぜそういうふうにできるかといいますと、神奈川県の犯罪被害者等施策の担当部署は「くらし安全交通課」と言いますけれども、ここの方たちが今課長以下8名おられます。この方たちと神奈川県警察と併任辞令が取り交わされております。ですから情報が共有できるんですね。民間の団体は、通常は情報は共有できません。個人情報の問題がございます。ですが、神奈川被害者支援センターは、先ほど申し上げました公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」の指定を受けておりますので、被害者の同意があれば情報が警察から提供されてくる。そこで情報共有ができるという形になっております。
 そうしますと、最初に現場に行った警察から、その場で支援が必要になったり、もしくは警察でやっている支援が長期的にわたっていくとなると、被害者支援センターに応援要請が来る。ほかにも、警察は嫌だけれども、民間の団体の支援ならば受けたいという方もおられまして、そういうつながりができあがっていって、長期的な支援までやっていけるようになっています。最終的に自助グループへの参加までつないでいくとなりますと、ここは行政と民間支援団体が組んでいかなければとてもやっていけないところですので、それができるようになっているというのも大きなメリットの1つではないかと思っております。
 加えて、支援業務の財政的な裏打ちができるようになったんですね。我々被害者支援センターは平成13年にできたときには、大体が臨床心理士や一般公募のボランティアなどの36名体制でできあがった組織なんですね。最初は面接、いわゆるカウンセリングまでやっていたのですが、臨床心理士はボランティアとしてやっていた。一銭もお金をもらえるわけではなかったんですね。ですからその当時は付添い支援もあまりできなかったんです。全くお金がございませんでした。
 ところが現在はカウンセラーによるカウンセリングは県から委託費用をいただいております。神奈川県臨床心理士会と当センターが協定を結びまして、一本電話することによって、カウンセリングの先生、臨床心理士にカウンセリングをやっていただける。しかも原則4回までは無料でやっていただくことができるようになりました。これも大きなことだろうと思います。
 付添い支援も補助金をいただいております。一人頭いくらという形で補助金が交付されておりますので、我々も付添い支援にも支援活動を大きく伸ばしていこうという形で、現在そちらに活動範囲を広げつつあり、被害者支援が本当に緒についてきたかなという感じを持っております。
 ほかに、従来にはなかった財政的な支援ということになるのでしょうが、弁護士費用を初回は無料で県が支援してくれているんですね。神奈川被害者支援センターの副理事長にも弁護士がおりますけれども、横浜弁護士会の被害者支援委員の委員長だったものですから、常々弁護士相談があるときにはこの弁護士にいつも泣いてもらっていたんですね。それを県でお金を出していただけるということになったので、これもまた非常に被害者に喜んでいただけている、感謝されている事業の1つだろうと思います。
 また、生活資金を貸し付けしていただけるようになりました。犯給法の対象になるような事件でございますと、給付金の支給が早くても4か月から5か月はかかってしまう。その間、生活資金に困る方も出てくる。それは生活資金を貸していただければクリアできるだろう、と、犯給法が支給されるまで生活資金を貸して生活を確立していただくという制度もできあがりました。
 それから、緊急避難場所です。自宅で性犯罪や殺人等の事件がありますと、その場所には住めない。その場所には寝られないとなりますと、ホテルなどの宿泊場所を確保しなければならない。そのホテル代はだれが出すのだろうとなると、県にやっていただけることになっています。警察から緊急避難の連絡が来たりすると、サポートステーションの中で県と我々とが話をして、こういうホテルを使いましょうということができるようになりました。即応性が高い形になりましたので、被害者にとっては楽なのではないかと思います。

 我々が一番頭を痛めますのはボランティアの募集でございます。このボランティアの募集についても県が力を入れてくれておりまして、県で広報して、ボランティアの募集をしていただいております。これも我々だけがやったのではなかなか結果が出てこない。県でやっていただくと、その広報効果が全然違うということで、ありがたいなという気持ちを持っております。
 支援員の養成及びレベルアップということでございますけれども、我々は初級・中級・上級という3つのコースで支援員を養成しております。それも県の委託費の中でやっております。レベルアップができるし、民間のボランティアになりたいという希望をお持ちの方、被害者支援に何らかの興味をお持ちの方、そういう方たちをこの研修に引っ張り込み、ボランティアにつなげていくこともできているようになっております。
 こういう形で県と警察、民間支援団体の3つが一緒になって非常にやりやすくなってきたと思っております。それが先ほど申し上げました支援件数の増加につながったと思います。また、被害者にとっては、県内で支援する場所が1つになったから、そこにさえ電話すればいいという気持ちなってこられたので、これは非常にありがたいことだと思っております。また、神奈川県でサポートステーションができた関係で、市区町村に改めて犯罪被害専用電話相談だとか、また場所、物件費、人件費をかけなくても済むのではないかというところまできている。例えば、いわゆる一般の相談窓口の担当者は当然必要でしょうから、被害者支援の担当者でもあるという形で置いていただく。従来の相談電話等を通じて、犯罪被害の相談があれば、サポートステーションに連絡をしていただきさえすれば、そこからすべての支援が行われていく。ワンストップで全部できていきます。また、社会福祉の関係、生活保護だとか、そういうものの関係になると、またその担当部署にフィードバックしていくということも全部行政の中のお互いの連絡の中でできるということで、被害者にとって煩わしさがなくなる。非常に使いやすい組織になったのではないかと思っております。

 連携の必要性ということに触れさせていただきますが、財政的な裏づけがないと支援活動はできない。ボランティアだけでは、被害者支援はどうしてもできない。財政的な支援がなければ被害者支援は目的を達成できないものだと私は思っています。支援団体の経済的な支援、我々自身も経済的な支援はしていきたいと思っておりますが、NPOという団体である以上、収益事業というのは制限されてしまいます。収益事業がなければ寄附に頼らざるを得ない。補助金に頼らざるを得ないという組織運営でございます。先ほどから申し上げましたように、財政的な裏づけがなければ、ホテルを頼むだとか、住宅に入るとか、もしくはカウンセリングを受けるとか、付添い支援にだれかついていってもらって、その交通費を払ってもらうとか、そういうものがないときめの細かい支援ができるとは限らないと思います。サポートステーションで県と一緒になっていることによって、我々の活動も理解していただいて、また、県の代わりに我々が現場に出て行って仕事ができるという体制がとられている。そういう意味で連携の必要は絶対にあるのではないかと思っております。県では財政的なものを考えていただき、仕組みを考えていただき、我々民間の団体が、被害者への直接支援を行う活動部隊として動いていく。2つが力を合わせれば、非常にうまい被害者支援ができるのではないかと思います。
 それから、柔軟な解釈による踏み込んだ支援ができるようになったのです。先ほども申しましたが、サポートステーションでは県の川合課長さんが私の隣にいますから、ちょっと難しいケースがあったら、課長、これはどうなんだろう、こういうのはできないだろうか、条例で何とかやっていけないだろうかという話をできるんですね。これが別々の組織にいると、それは条例のここに入らないからだめとはねられるようなものでも、ちょっと考えてみようか、ということで支援の幅が広がっていくものも実際にあります。具体的な例では、カウンセリングの対象は犯罪被害者ということになっておりますけれども、例えば秋葉原の無差別殺傷事件のように、自分の目の前で人が殺されたのを見た目撃者がPTSDになってしまった。こういう人たちのカウンセリングを何とかできないだろうかとなると、我々民間支援団体としてはやってあげたい。お金が出て4回までカウンセリングが無料でできれば、臨床心理士の先生もやりやすいだろうとなると、何とかして県でできないだろうかと知恵を絞っていただくこともできる。このように、支援の幅が広がり、解釈の柔軟性が出てくるのではないかと思っております。

 最終的な立ち直りの方法ですけれども、被害者支援は人と人とのかかわりでございます。途切れない交際をしていかなければいけない。ただ単に被害者支援という言葉の中で、仕事の中でやっていただいては困るんですね。被害者支援の辞令をもらったからやる、という仕事の中での支援であっては本当の意味での被害者支援はできないと私は思っております。人と人とのつながりでございます。例えば被害者の、先ほどもお話がありました、命日を覚えておく。遺族のところに行って、命日のときには何かしら花を持ち、線香をあげさせてもらうということも私たちもやっております。それから、誕生日には何かしらお祝いをしましょうねというようなこともやっておりますが、これはまだ我々は支援の人たちが自腹で払っていくような、まだそういう体制でしかありませんけれども、こういうことをつなげながら、例えば自助グループに入っていただいて、中長期にわたって被害者支援センターとかかわっていただいて、また自助グループが終わっても、被害者支援センターの中に被害者が立ち寄ることができるような場所をつくって、そこにいつでも来てお話をしていただく。被害者の立ち直りのためのこういった支援をやるとするならば、これは行政に場所を提供してもらい、また、支援で必要な交際を認めていただいて、それを連携しながらやっていくという必要性も出てくるのではないかと私は思っております。
 行政のあい路を補てんした支援活動もできると思っております。というのは何かといいますと、神奈川県の条例では、支援対象は神奈川県に居住する者となっておりますから、神奈川県に居住していなければ被害者支援条例の適用がありませんので、無料弁護士相談だとか、4回まで無料のカウンセリングは受けられないわけですね。去年の6月1日に被害者支援センターはかながわ犯罪被害者サポートステーションに入ったのですが、実はその日に都筑区というところで、夜仕事を終えて帰る看護師さん3人が信号待ちしているところに車が突っ込んで3人が亡くなるという痛ましい事故があったのです。その事件の看護師お二人は神奈川県内在住の方でした。ところが一人は東京都在住だったんですね。そうするとこの東京都在住の方には無料弁護士相談はできないですね。カウンセリングもできないんですね。
 どうするかというと、我々支援センターが代わってやるしかないんですね。実際、今年もそういうあい路を何とか打開しなければいけないなということで予算化して、弁護士相談の費用は支援センターが持つとか、そういう形をとっています。あい路の補てんをし合うのはサポートステーションで一緒に仕事をしている良さではないかと思います。
 もう一つの例で言いますと、去年バリ島で旅行中に殺された女性がおられました。あの方は神奈川県在住だったんですね。日本国内で殺されたわけではありません。日本の船舶の上でもありません。航空機の中でもない、外国の地だったということで、犯給法の対象にならなかったということでご遺族は非常に苦しんでおられました。これは何とかならないかと県とも検討したのですけれども、県でも条例の適応ができない。犯給法を基につくってありますので対象として出てこない。となると我々で何とかしなければならない。我々だけでもできないので、全国被害者支援ネットワークにお願いして見舞金をやっと少しもらったというようなことでございます。雀の涙みたいなお金だったのですが、それでもやっと支援することができた。
 そのご両親が半年たって、カウンセリングを希望して来られました。これも我々で対応できるのではないか。また、これは神奈川県の課長さんとまた検討させていただいて、事件ということだけでとらえていくならカウンセリングもやっていけるのではないかということで、協働しながら、カウンセリングを進めていこうとしております。

 先ほど申しました市区町村との連携、これが神奈川県全体をカバーしている。市区町村が独立して犯罪被害者支援をやろうとすると、自分のところで起こる事件というのはそれほど多くないですね。そうなるとわざわざ電話を置いて窓口を設けるとなると、なかなか足並みが揃わないところが多いだろうと思います。そういう意味では県でサポートステーションをつくってくれましたので、県内全域に支援の傘がかぶった。そうすると市区町村との連携がとりやすくなってやりやすい、良いところはこういうところかなと思っております。

 ただ、我々仕事をしておりまして、問題点も若干あります。これは考えていかなければいけないなというのは、早期援助団体として我々はいるんですけれども、この体制がそれほどうまくいかない。ここに財政的な基盤がないとどうしてもできない。限界があるのだということです。早期援助団体になりますと、事件発生があったとなると、被害者の同意があれば警察と一緒に支援に行くことができます。情報をその場で提供していただきさえすれば、我々はそこから支援に入ることができるわけなんですけれども、現実には現場のシリアスな空気の中で、事件の被害者に対して、早期援助団体の支援の同意をとるの、とらないのとか、そんなことはとてもじゃないけれども、とれない。被害者の同意がなければ早期援助団体の支援はだめだよと言われていると我々は動きがとれない。この規則がなくなればいいかなと思っているんですが。なくなれば、すぐに対応できる。
 では、被害者支援センターは365日、24時間対応ができるのかというと、ボランティアで構成しているので、夜中には対応できません。日本のボランティア制度の中では無理だろうと思います。もし夜中、支援をするよとなると、金よこせという言葉がボランティアから出てきます。残念なことですけど、これが実態なんですね。被害者支援に特化して、365日24時間体制でできるようにするには、非常勤であるにしろ生活の基盤ができるような形で職員として置かないと対応できない。そういう問題も若干ございます。
 それから、神奈川県で条例つくっていただいて、非常にすばらしい条例だと私は思っています、条例に基づいた、先ほど申し上げました支援の内容があります。けれども、実際、神奈川県と隣接の都県の中で、被害者支援のサービスに差があっていいのだろうか。被害者というのは、全国どこでも同じようにおられるわけですから、被害者支援のサービスが県によって異なるというのはあってはいけないのではないか。そうなると、同じ地方公共団体として横に連携していただきながら、同じような形をつくっていく、そういう話し合いが必要ではないかという気持ちもいたします。先ほど申し上げましたように、県内在住云々という言葉がありますから、隣接の都県で話をし、連携方法を探らなければならない。
 もう一つの問題は、先ほどとは逆でございますが、神奈川県に在住している人が、よその都道府県で被害に遭った場合は、警察同士、もしくは被害者支援センター同士の連絡がない限りは、せっかく受けられる支援が受けられないということもございます。そこのところ都道府県間の連携が必要かなと。先ほど申し上げました被害者の支援・サービスに差がないという意味では、国に何とかして制度としてつくっていただきたいというのが我々の偽らざる気持ちでございます。犯罪を抑止できなかった責任というのは、被害者支援という義務で何とかして果たしていきたいと思っておりますので、ぜひとも被害者が本当の意味で生活を確立し、精神的にももとの生活に近い状態に戻れるように、サポートしていただくような施策をつくっていただければと思っております。
 民間ということで、気持ち軽く、言いにくいことも言わせていただきましたけれども、ご清聴ありがとうございました。何かしら、よろしく被害者のためにご尽力いただきたいと思います。

ありがとうございました。


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