講義2

 
テーマ:「相談員の活動について」
講師:島田 佐喜子 氏(NPO法人長野犯罪被害者支援センター相談員)

 相談員をしております島田佐喜子と申します。私の話は少なくして皆さまとの懇談に時間をあ充てたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 私は電話相談を週に1回担当させていただいております。先日お受けした相談の電話についてお話させていただきます。内容は病室でお金を1万円抜き取られてしまった。病院の担当の方に訴えたところ、証拠はあるのか、証拠のないものを言ってこられても困る。反対に名誉毀損で訴えられるよと脅された。困って相談に行ったのに、怒鳴られたあげくに名誉毀損だなんてとご立腹でした。お電話をお聴きしながら感じたことは、病身側の初期対応に問題があったのではないか、困っている相談者の側に立って親切に対応すれば、丸く収まった内容ではなかったかと思いました。

 また、よくある電話の例ですが、かなりご立腹で興奮して掛けてくる方がいらっしゃいますが、そんな時には最後までしっかり、納得のいくまでお聴きすると、たいがいは話してすっきりした。楽になった。聴いてくれてありがとう。と言ってお切りになります。ご自分で解決する力を持っていらっしゃるんですね。私たち相談員はそのお手伝いをする。いえ、させていただく。そんな気持ちで電話を受けております。

 皆様にお聞きしてよろしいですか。今、ボランティアをやりたいなと思っていらっしゃる方はいらっしゃいますか。ここで皆さんの意見などもお聞きしたいと思っているのですが、ご一緒にどうでしょうか。何か今日全体を通して質問のある方、是非お願いします。

質問1 長野県は大分長い。面積が非常に広いんですが、なぜ現在、電話相談が長野、中信、飯田にしかないのか。各行政ですとこのほかに、少なくとも上田か佐久にあるんですよね。ないのは犯罪が少ないのか、スタッフが足りないのか、その気がないのか、行政の知恵がないのか、お伺いしたいと思います。

解答1 今のお話ですが、正直申しまして電話の相談でございますから、長野県中、どこから電話をかけられても行くわけです。上田にない、あるいは佐久にないというお考えもありますが、例えば上田や佐久の方がお電話をかけられますと、長野へかかってくるわけです。正直申しまして、松本・中信地区の電話の相談は豊科にあります。その地区の方が常時、松本・中信地区に相談員の方がいればオーケーなのですが、松本・中信地区は月曜と水曜日だけしか行っていない。それから飯田地区につきましては、一月に1回だけしか電話相談の開設をしていないというのが実態です。

 飯田にお住まいの方、あるいは今申しましたように佐久や上田の方がお悩みの電話をかける場合は、どこの相談へかけても、いずれにしても私どものセンターへ電話がかかってくるということですから、そんなにお悩みにならなくても結構ではないかと思います。

 ただ将来的にはこういうことも考えております。電話の相談だけでなくて、これから直接的な支援をやっていこうということで、いろいろ策をとっています。直接的な支援を行うには、やはり相談されてきた方の一番身近にいる方が対応できることが、一番早い段階で被害者に接触できるということで、いい状態なわけなのです。

 ところが、申しましたように、飯田地区では相談員の方が非常に不足しています。飯田だけに限りません。南信地区でも非常に相談員の方が不足しております。そんなことで、是非、長野県中どこにいても、こういった形で支援の受けられるような状態になっていかなければならないので、将来的にはこの上田地区にこういった拠点をつくるかどうかの問題、それから現在、飯田に電話の相談室がありますが、そこに常時、人がいるというわけではないので、南信地区のちょうど真ん中辺の伊那地区あたりにこういった拠点をつくっていったらどうかと、さらに今現在、豊科にある電話の相談室を松本に移して、中信地区の被害者対応を手早くできるような状態にするということを、考えながら、今、策を進めているところです。このようなことで、どうぞご了承願いたいと思います。

質問2 犯罪被害の支援ボランティアに携わっていただいているようなんですけれども、実際、現在ボランティアに携わっていらっしゃる方は何名ぐらいいらっしゃって、それで具体的にボランティア、例えば週に1回と今おっしゃいましたけれども、ほかの方々では、例えば、何回もやっていらっしゃる方がいらっしゃるとか、先ほど間中さんがおっしゃったとおり、遠くまで出かけた方がいらっしゃるとか、そういう対応が各々違うかと思うんですけれども、人数とかその対応の仕方の状況なんかを、ちょっと詳しく聞かせていただければ助かるかなと思ったんですけれども。

 私は実はまだ仕事をやっておりまして、たまたまそちらのほうの仕事に絡んでいたものですから、今日は参加させていただいたんですけれども、まあ対策もそろそろかなというところも実はございまして、いずれ仕事に絡んだ中で、何らかの形で世の中のそういう活動に携わっていければなと思っている部分もございまして、ちょっとそんな状況をお聞きしたいなと思いました。

解答2 現在、私どもへ参加していただいておりますボランティアの相談員の方は、ここにおります島田さんを含めまして、約50名の方がおります。

 「約」という言い方は非常に失礼な言い方ではあるかもしれませんが、ボランティアの方が関わっていただいても、長いことお関わりになっていただいていればありがたいんですが、昨日までボランティアの活動をおやりになっていた方が、急に今日になるとお辞めになるとご連絡して来られるような方もいるものですから、「常時これだけの人がいます」という形が難しいのです。

 現在、約50名の方がボランティアとして活動していただいているわけですが、この50名のうち20名ぐらいの方が、常時電話の相談に出ていただいております。このほかに、何度か申し上げておりますが、直接的な支援という形でやっているわけですが、電話の相談をやっておられます相談員の方が、すべてこの直接的な支援ができる方、可能な方ということではないのです。電話の相談をある程度、何百時間というほどおやりになった上でいろいろな研修を受けた方について、この直接的な支援をやっていただくというような形になっているます。

 現実の問題としまして、20名の方が電話の相談を受けていただきまして、この直接的な支援を受けてやっていただけるような相談員は、10名いるかいないかくらいというのが実態でございます。この10名の方も、北信地域に7名近くの方が偏っており、中信地区では2名くらいです。南信地区では正直申しまして、この直接支援に関わっていただけるような相談員はいないというのが実態でございます。このようなことから、やはり長野県中、すべての地域で、同じ状態で関わっていただけるような方が出てくることが一番の私どもの望みであるわけです。このようなことでよろしいでしょうか。
 

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