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第7回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」
議事録

○ 小西座長本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、第7回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を開催いたします。
本日は、第7回の検討会ということですが、本日の議事及び配付資料について、最初に事務局から説明をお願いしようと思います。
もう一つ、もうそろそろこの議論も何らかの方向を見出していく時期に差しかかっておりますので、密度の濃い議論をしなくてはいけないと思いますが、<1>の方の検討会でどのように進んでいるかということと関連付けて話すということが最初の前提としてございましたので、<1>の検討会の進行状況についても、本日、議論を進めるために簡単に御説明いただこうかなと思っております。
では、よろしくお願いします。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官それでは、お手元の議事次第、配付資料の方をご覧ください。
まず、資料について御説明申し上げます。
資料1は、今後のスケジュールについて作成いたしました。先ほど座長の方からもございましたように、本検討会が本年度中に結論を出すため、秋にはその案を取りまとめ、パブリックコメントにかけて御意見をいただいて、それを更にまとめていくという作業が必要となってこようかと思います。
そこで、メールで別途スケジュール調整をさせていただきましたけれども、通常の開催時期を1か月早めまして、検討会<1>との合同検討会というのも間に入ったものとなっております。したがいまして、検討会<1>と御議論いただく前提の検討会<2>としての案は、次回の検討会でまとめていただくという流れとなっておりまして、相当きついスケジュールとなっております。申し訳ございません。
なお、資料5に飛びますが、前回にもお話がありましたし、また、先ほど座長の方からもありましたように、検討会<1>は何をやっているのかということについて、今までやってきたことについて箇条書きにしてみました。要は、犯罪被害者は現状、どのような経済的支給を受けているのか。被害者や遺族はどのような支給を受け、あるいは受けないことで問題が生じているのか。更に、外国ではどのようなことになっているのかということについてのヒアリングや調査をしてまいりました。太田構成員にもお手伝いいただいたところでございます。
次回からは、被害者施策そのものではないのだけれども、被害者にも活用されております社会保障的な制度についてのヒアリングを行っていき、結局、被害者への支援が不足している分野はどこなのだということを見据えながら、支援に不足があるとして、どのような対応をしていくのかというふうに進んでいく予定でございます。なので、現状、目指す方向性、あるいは実質的なこういう制度をつくるのだという議論については、検討会として、たたき台の上に具体的に上がっているものは、まだない状態でございます。
では、資料2の方に戻ります。これは、前回の御議論を議事録から拾って、項目ごとに表にしてみたものでございます。
これを更に簡略化してみましたのが、資料3の2枚の表となります。厳密に言いますと、資料3の方は、前回の議事録だけというよりは、前回までの御議論の中で出てきた中から論点を整理してみたというものでございます。
資料3の最初の表は、カウンセリング給付制度として挙げられた制度としては、3つくらいに分けられるかと思いましたので、それを整理いたしました。
1つは、犯給制度の中の重傷病給付金の拡大。これは、結局、医療保険適用範囲にカウンセリングを入れることができないのかというところが主な論点になろうかと思います。
2つ目は、犯給制度の中に、名称はともかくといたしまして、カウンセリング費用に特化した給付を設けるということでございます。ここでの一番の争点は、この心理療法をこの制度で支払っていいのかという判断が、どのようにできるのかという点になろうかと思います。特に、心理療法、カウンセリングの種類に限定を付けないという御意見が多かった。また、施術者についても、さまざまな資格あるいはしっかりした資格のない分野の方も入ってくる可能性がある。その中で、誰がどう、この施術は犯罪被害者へのカウンセリング費用として認定していいのだという合理性を担保できるのかというところが問題になろうかと思われます。
3つ目は、全く新しい制度をつくるという御意見でした。これは、犯給制度でいくと、対象となる被害者が現行の犯給法の枠内におさまる被害者のみになってくる。そこから、犯給法外に出るということが前提にあったかと思います。ただ、そうすると、犯罪被害者性をどう認定していくのか。あと、2番目の心理カウンセリング給付制度同様、どのように費用負担される心理療法の適否を判断するのかという部分の論点がございます。
それぞれにつきまして、被害者の範囲としての罪種の問題、その他の要件については、いろいろ細かい御意見がございましたが、どうという確たる合意はなかったので、クエスチョンマークを付けて整理しました。
次の表は、現状、現物給付と言われているような制度も、大まかに3つに分けられるかと思いましたので、これは現状の整理としてつくってみました。いろいろヒアリングをしてまいりましたので、間違っておりましたら、関係省庁には是非修正をお願いしたいと思います。
ただ、私の理解では、警察が被害直後の被害者に実施しているカウンセリング、あるいは相談業務を委託している民間支援団体などで実施されているカウンセリングは、必ずしもカウンセリングとして予算をとっているものではないと思っております。また、全国一律のサービスとはなっていないというものでございます。
また、右端の精神保健福祉センターとか婦人相談所、児童相談所などにつきましては、各制度が守備範囲としている対象者に無料でカウンセリングが実施されております。逆を言えば、これらの制度でカウンセリングが受けられるのであれば、児童虐待もDVも犯罪と重なる部分はあるにしても、別途、犯罪被害者認定をして犯罪被害者のための制度としてのカウンセリングに持ってくる必要があるのか、ない分野ではないかと考える余地がございます。特に、警察への届け出の要否ということにつきましても、御念頭に置いていただいた方がよろしいかと思いました。
また、先取りで恐縮ですが、今回、中島先生から頂戴した御意見にもございましたが、性犯罪被害者につきましては、男女共同参画局の方の基本計画上、今後、中長期のカウンセリングについて、男女共同参画センターによる取組み促進が期待されているところです。ただ、こちらについても、まだまだ自治体によっての差が著しいところでありますので、あくまで今後の提言ということになろうかと思います。
また、精神保健福祉センターでのカウンセリングにつきましては、利用者に特段限定がかかっていないということについて、これはもう一度戻られるとすれば、第2回検討会資料4-2をご覧ください。
資料4ですが、今回の検討を前に、いただいた御意見をそのまま編てつさせていただきました。そして、これを踏まえて、今回の議事ということになるわけですが、前回、制度論にも相当立ち入って御議論いただきました。また、今回、特に新しい制度についてのお考えについて、詳しめに展開いただいた御意見も頂戴いたしました。他方、今回、警察庁、厚生労働省の方から、制度論を前提に、それぞれのお立場からの御意見も頂戴しておりまして、警察庁としては制度を担えないという部分、厚生労働省としても制度を担えないという部分についての御意見が出ております。
これらの御意見を前提といたしまして、先ほど申し上げましたようなこれからのスケジュール的なことも考え合わせますと、事務局としては本日、議論の対象を相当絞っていただかないと、検討会<2>として実効性ある提言をするには時間切れとなってしまうと懸念しております。なので、以下、制度設計という点では、3点に御留意しつつ御議論いただけないか、お願い申し上げたいと思います。
まず1つは、今回頂戴いたしました御意見の中では、具体的なお話が一切なかったのですが、財源論でございます。財源と言いますと、罰金流用は以前話して無理だったから、一般財源しかないのではないかと、御念頭にあるだろうと思われますが、そういうレベルのことではございません。現在、どこの省庁も、今の制度の予算を削っていくということで予算交渉がなされているところでございます。恐らく、最初、案として申請する段階で、前年比10%カット。これは、どこの省庁にも宿題として降りてきてございます。
これが、更にどれくらい削られるかという状況でございますので、全く新規の制度に何もなしに上乗せ予算をくださいということは、非常に難しい状態にございます。要は、犯罪被害者のためのカウンセリング代を上乗せするなら、どこを削りますかという話になってしまうということでございます。
例えば、遺族についてのカウンセリングというお話がございました。他方、遺族給付金の使い道には何も限定がかかってございません。御遺族となられたことから、もろもろ生じる御負担、一切総括的に支払われるという給付金でございますので、カウンセリング代だけ、なぜ別途特出ししなければいけないのかという話には、当然なってくるのではないかと思います。少なくともカウンセリングを犯罪被害者等として公費で受けられる制度をつくって、先にこの制度を利用したというのであれば、ほかの被害者への給付と同様、遺族給付金との調整の必要性といった議論も出てくるかもしれません。
それは、単に一例でございますが、現状、予算が必要となってくる何かを拡充あるいは新制度化ということになると、どこか別のところで金額を削る。しかも、似たような制度で削れるところがないかという御準備がない限り、新しい制度を実現するのは非常に困難であろうと思われます。
2つ目は、犯罪被害者性の問題でございます。現状は、捜査現場からの捜査資料などを前提として、犯罪被害者性を認定する警察が運用している犯給法に基づく支給で、犯罪被害者への経済的支給制度が回っております。
警察には来られない。要は、犯罪被害者という枠に入ることにちゅうちょされている被害者をいかにカバーすべきか。犯給制度を超えた制度設計についての御意見についてでございますが、あえて犯罪被害者の制度という枠組みで制度設計をするとした場合、先ほども申し上げましたように、法制度上も犯罪被害者という限定がない分野でカウンセリングを行っている機関がある。これに重ねて、なぜそちらの制度が使えず、犯罪被害者にだけ適用されるカウンセリング制度を新しくつくらなければいけないのか。「犯罪被害者だけ」という制度理由が必要となってこようかと思います。
そして、古く遡って恐縮ではございますが、犯罪被害者等基本法が国会で御議論されているときから、被害者のメンタル面でのケアということは、議員の先生方からの御質問がありました。これにつきましては、厚生労働省の方から、PTSDの専門家の養成研修を行って、保健所や精神保健福祉センターでの相談支援をやっていくという御答弁をいただいております。
実際、これら施設を被害者が利用している現状もある中で、犯罪被害者だけ重ねた制度枠を設けるということにつきましては、先ほどの予算の逼迫ぐあいから二重行政という点で問題もありますし、わざわざ分けた犯罪被害者という認定は、それなりに厳格にならざるを得ないと思います。これが現状の犯給制度よりも緩和した運用での認定ということは、難しいのではないかと思っております。
最後に、そのような特別枠を設けて支給しなければいけないカウンセリング制度は、犯給制度の中につくるにしても出てくる問題ですけれども、どんなカウンセリングに公費負担をしなければいけないのか。というのも、重傷病給付金については公費を出す合理的な医療措置であるということについては、保険診療の範囲内でお医者様が決めていることで合理性を担保しています。今回、その意味では、カウンセリングの種類の限定、施術者の限定、その認定制度の基準がまだまだ整理されていない分野でございます。
また、どれくらいの費用がかるのだということも、これから御議論いただく必用があり空白でございます。
加えて、カウンセリング費用という意味では、警察も含めて、既存所属官庁がないという状態でございますので、単にカウンセリングの実施費用のみならず、所属官庁の中で新しい担当者という人員制度としての予算も加わってくるということについて、御留意いただきたいと思います。
事務局として、これからの御議論をお急ぎいただかないといけないという段取りといたしましたこと、大変申し訳なく思います。ただ、前回から、更に今回の御意見をいただいた中で、不確定要素が広がる御意見、特に主務官庁が全くない領域に話が広がった感がございましたので、これから半年ちょっとで結論を出していく中で、現実的な懸念事項を事務局としてあえて申し上げさせていただくことにいたしました。申し訳ございませんでした。
以上です。
○ 小西座長ありがとうございました。なかなか厳しい話なのですけれども、制度設計と言いながら、現実的な側面も考えなければいけないというのは、当然のことだと思います。まずは、この件も含めて議論に入りたいと思います。前回の検討会において論点検討を行って、制度論という枠組みは付けずに、犯罪被害者と心理療法、心理療法の実施者とは何かというお話をいただきましたが、その中でさまざまな制度の話も出てまいりました。
本日は、カウンセリングの公費負担の制度として、どのような制度を提案していくか、御議論していただくことになります。その上で、先ほど事務局から、現状について、かなり具体的に踏み込んでお話をいただきましたけれども、まず何か御意見、御発言がございましたらお願いいたします。いかがでしょう。
○ 松坂構成員今の事務局のお話をお聞きして、確かに現実的にはそういうことになろうかと思うのですが、だとするならば、どこがストライクゾーンの上と下なのだという限界のところをお示しいただいた方が、この範囲内だけ議論してくださいとしないと、結局また同じ、そんなことを言ったって無理ですよという話に戻ってしまうのではないかと思います。
だから、その辺の枠の、この生けすの中でしか議論できませんよというところをお示しいただいた方がいいのか。何しろ、我々の中でそれを最初に議論した方がいいのか。そうでないと、議論が広がり過ぎてしまうのではないですか。その辺、座長、いかがでしょうか。
○ 小西座長前回、さまざまなことを議論して、皆様にいろいろ御提案いただいたということは、大変ありがたく思っております。御提案いただいたにもかかわらず、実際の制度設計ということを考えると、今、事務局の方からお話いただいたようなことも考えざるを得ない。それでは何のためにしたのかということに当然なるのだと思うのですね。少なくとも、この検討会のもとのところに立ち戻ると、前回の基本計画を受けて、では現実にできる制度設計というのはどういうものなのかというところにあったことを、もう一回確認しておきたいと思います。
その上で、今の事務局のお話ですと、かなり限定してやらなくてはいけないということが出てきましたけれども、もし皆様方にそれに対して御意見が今なければ、むしろ今、対象となっている警察庁、厚労省の名前が出てきましたけれども、そちらの方でどのようにお考えなのかということを、ちょっと詳しく伺った方がいいのではないかなと私は思っていますけれども、いかがでしょうか。
それでは、まず実際に制度の担い手として名前が挙がっております警察庁と厚生労働省の立場から見たときに、今までの議論の中で挙がってきた制度の中で、どのような問題点があるのか、あるいは実現可能というところで、ぎりぎりのストライクゾーンというものがどの辺りにあるのかについて、ちょっと詳しく伺えればと思います。
まずは、警察庁から御意見をお願いできますでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長資料4-5でございますけれども、その前に資料3の整理の仕方について、ちょっと違っているのではないかと思うところがございますので、御説明申し上げたいと思います。
資料3の1枚目で、中長期ということで、犯罪被害給付制度の中身を、重傷病給付金の拡大と、仮称ですが、心理カウンセリング給付金の新設ということで整理していただいておりますけれども、これは必ずしも適当ではないのではないでしょうか。仮に考えるとしても、分類するとすれば、心理的カウンセリングが医療保険の対象となることに伴う、重傷病給付金における医療費自己負担額の実質的拡大になる場合がその1でして、その2が、心理的カウンセリングが医療保険の対象とならないけれども、何らかの形で犯罪被害給付制度に盛り込む場合という分け方にするべきであると思っております。
医療保険のお話が厚生労働省さんからあろうかと思いますけれども、それに入るのか、入らないのかというお話が切り分けのところかと思っております。医療保険にはならないのだけれども、犯罪被害給付制度にするべきだということであれば、その制度のたて付け自体は、後ほど申し上げるように前提条件がいろいろございますけれども、いろいろなたて付け方があるだろうと考えているところでございます。
また、この整理の中で、いろいろ御議論のあったところでございますけれども、過失犯を対象とするとか、償還払いではない方法とするというところについても御指摘ございますけれども、心理的カウンセリングのみを対象として、そこだけ特出しをして変えることも、正直申し上げて難しい面が法の仕組み上、ございます。犯罪被害給付制度の中の他の給付金については、こういった仕組みになっておりませんので、全体を覆うものという形になっている中で、これだけを対象とするわけにもいかないというのが法の仕組みであることを御承知おきいただければ、大変幸いでございます。
それで、資料4-5を御説明申し上げたいと思います。
最初に、公費負担に当たっての考え方としております。これは、従来、こちらの検討会での御議論についてということでまとめたものでございます。
イ.心理療法を公費負担している既存の枠組みの拡充の可否ということで、犯罪被害給付制度に入れるとすれば、どういう点が課題になるのかというところでございます。先ほど内閣府さんの方だったでしょうか、警察庁が制度を担えないと発言しているということであったようですけれども、必ずしもそう決めているわけではなくて、カウンセリングについて、まだまだ必要性があるということ自体は認識しておりますが、担うとすれば、こういった課題があるということで御説明申し上げたいと思っております。
まず、(ア)支給の条件ということでございます。先ほど申し上げたところと重なっておりますが、犯罪被害給付制度の枠組みで対応する場合には、警察に届け出が何かしらの形であること。それから、本人が対象になるということでございます。更に、不支給あるいは減額事由を問うことになってまいりますし、支払いの方法としては償還方式。一旦は被害者の方に負担していただきまして、後ほど支給する方式になるというのが、これは犯罪被害給付制度全体を通じているものでございますので、この部分だけ変えることはなかなか困難であるというところでございます。その点については、御承知おきいただければということでございます。
次に、(イ)で、内閣府さんのとりまとめの中でもございましたが、どのような範囲が給付対象となるカウンセリングとなるのかという点についてでございます。法律上の制度として給付制度を設けて、公費により運営する以上は、給付対象となるカウンセリングは、その制度にふさわしい内容であることが求められると考えております。こちらのヒアリング等で明らかになったところでございますけれども、カウンセリングに関する国家資格、あるいは国家資格ではないにしても、何かしらの公的な認定制度等が現状では存在していない中で、どの範囲であれば支給の対象とすることができるのかということでございます。
犯罪被害給付制度、現在の重傷病給付金に限りますと、医療費自己負担額相当分をお支払いすることになっておりますが、医療費というのは、医療保険制度の中で医師の方が行う行為で、有効性・安全性が認められているものであると判断した上で、法制度の中に組み込んでいるものでございます。仮に医療保険の中に入らないとしても、それに準ずるような形で有効性・安全性、あるいはどの程度の費用が掛かるのかといったことも含めて、制度として組み込まれたものが何かしら必要であるということでございます。
これは、公費を支出する以上、当然というか、ここをクリアーしないことには、役所内の話で恐縮でございますけれども、勿論、財政当局に対しても話をすることもできませんし、法律でございますので、内閣法制局のチェックも必要ですし、国会の方で御審議いただくことも必要となりますが、これについてもなかなか厳しいことになるだろうと考えているところでございます。
警察の立場といたしましては、警察は勿論カウンセリングの必要性ということを認識いたしまして、十分でないという御指摘もございますけれども、さまざまな形でカウンセリングのための予算を措置したり、部内にカウンセラーを用意したり、部外の医師、臨床心理士の方を委嘱するということはやってきておりますけれども、これは犯罪被害者に対して早期に精神的支援を行う必要性というところから、活用させていただいているという立場でございまして、カウンセリングの中身、どういうものが効果的で有効であるのかということの可否を判断できる立場にはございません。
実際に、外部の臨床心理士の方の委嘱につきましても、限られた範囲の方について、この方であれば経験を有していらっしゃるということで見ているものでございますけれども、外縁、どこまで大丈夫なのかというところを制度として決めるだけの専門的知見を持っている機関ではないということでございます。よって、カウンセリングについて専門的な知見を有される機関、厚生労働省さんになるのか、文部科学省さんになるのか、あるいは内閣府さんになるのか、何とも申し上げられないところでございますけれども、そういったところによる枠組みが前提となるのではないかと考えているところでございます。
また、同じ話でございますが、心理療法の範囲・回数等についても、枠組みとして検討していただく必要があると考えております。
更に、(ウ)財源についてでございます。これも先ほどから御指摘があったとおりでございますけれども、犯罪被害給付制度の枠組みにおいて実施するとした場合、当然でございますが、給付額全体の増加につながっていくということであります。参考でございますけれども、平成23年度の予算は18億800万円余りいただいていたところでございますが、これはほとんど使い切るということで実施しております。使い切っているということは、つまりは裁定額としては、実際にはこれを若干超えておりまして、24年度の予算で一部は執行していっているところでございます。
それから、(エ)他制度との平仄ということで記載させていただいております。これは、説明の問題なのかもしれないと思っておりますが、一部を犯罪被害給付制度、一部をその他の何かしらの制度とするとした場合、なぜ分ける必要があるのかとか、どちらか要らないのではないかというお話に必ずなるのではないかと思っているところでございます。
(2)は、これまでやってきております、さまざまな取組みということで記載させていただいているものでございまして、いずれも更に発展させていくように努めてまいりたいと思っておりますが、財源の課題などはあるということについて、御承知おきいただければと考えております。
以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。御質問もあるかと思いますけれども、次に厚生労働省の方から御説明をいただいた後にまとめた方がよいかと思いますので、続いて厚生労働省の方からお願いいたします。
○ 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官厚生労働省でございます。資料4-6をご覧いただきながら、資料3に沿って御説明申し上げます。
まず、1つ目に書いておりますのは、警察への届け出のない被害者の扱い。これがこの検討会でも議論になっているところかと思います。これは、警察に届け出が難しいのだから、新しく別の枠組みを考える必要があるという御議論だと思いますけれども、仮にそういう議論をしたとしても、最終的には公費による制度を考えられているということだと思いますので、公的機関が何らかの形で認定なり確認をしていく必要があるとなると、行政機関が最終的には確認せざるを得ない。
そうした場合、結局は同じ問題が出てきてしまうのではないかと思いますので、まずは第一義的には、警察への届け出をいかにしやすくするのか、警察にいかにつなげていくのかということを考えていくことが重要なのではないかという意見でございます。
2つ目、要件具備の判断をする者。資料3の真ん中辺に「犯罪被害の判断(事実認定)」と書かれているところの話ですけれども、これは公費による制度ということを考えますと、まず、犯罪被害者かどうかというのは行政機関が行うべきだと思いますし、更に資料3でいきますと、同じ欄の2つ下、「心理療法の必要性の判断」というところに関わる話ですけれども、これは医師あるいは臨床心理士という御意見が出ているわけです。
仮に医師で考えたとして、医師が有力な判断材料を提供するということはあるとは思いますけれども、最終的に公費の制度を考えた場合に判断権者になり得るのか。そういったことがなかなか難しい事情があるのではないかと考えますので、そういった場合、行政機関が出てくるということが必要なのではないかというものでございます。
3つ目の丸は、資料3の下から3つ目に該当しますけれども、「実施者の認定を行う者」というところでございます。実施者の誰が実施をするのか、あるいはどういう基準で判断をしていくのかということについては、全体の制度を所管しているところが、その予算の制約とか、その制度の趣旨、目的、政策効果を考慮して検討していくべきものであると思います。
当然、検討に当たって、こういう有識者がいますとか、そういうところで厚生労働省の知見で御協力申し上げることはあり得ると思いますけれども、犯罪被害者に対する救済という制度目的に沿った実施者の対象範囲の限定を考えていく必要があるかと思いますので、ここのところは、その制度全体を所管するところが、あわせて考えていくべきものと考えます。
4つ目は、資料3の一番左側に整理されているところの、下から5つ目の欄のお話だと思いますけれども、この検討会でも医療保険制度の適用対象の拡大の可否が議論になってございます。その際、厚生労働省からも何回か御説明申し上げているところでございますが、ここに書かせていただいたのはその繰り返しでございます。今、三者構成になっております中医協で治療の有効性・安全性等を議論して、その対象範囲が決められてございますので、何らか犯罪被害者の関係でこういう医療が必要であるということであれば、そういう有効性・安全性の議論を経た上で対象範囲が決まっていくということではないかと考えております。
なお、この医療保険とはまた別に公費負担の対象を考えていくのだということであれば、必ずしも論理的には医療保険の対象範囲に限定する必然性はないと考えます。
一番下のところは、今日の資料3でも、随所に「厚生労働省?」と書いていただいているわけです。そもそも、こういう検討会の場で所管の話をするのが、必ずしも適当なのかという考えもありますが、一応書かれておりますので、考え方を申し上げます。制度の所管、医療サービスあるいは福祉サービスであれば厚生労働省なのではないかというお考えがあるのかと思いますけれども、いろいろな制度を見渡してみますと、制度の所管というのは、その施策の目的・趣旨、そういった特定の政策目的の観点から定まってくるということでございます。
ですので、医療保険制度という国民一般に対する保障という厚生労働省の所掌の範囲を超えて、上乗せの公費制度ということを考えていくのであれば、それは当該施策の目的に合った省庁で行うことになるのではないかという点でございます。
2つ目の段落は、もし仮に今の犯罪被害の給付制度と別に、新しい制度という類似の制度を設けることになると、それは対象者が重なり合うところについて実施主体が複数になることになって、制度の複雑化などの問題が出てくるのではないかと思います。
以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。どちらも幾つか希望が持てる点もあり、厳しい点もあるというところだと思いますけれども、先に御質問があれば、今。
そうしたら、久保構成員からどうぞ。
○ 久保構成員警察庁にお伺いしたいと思うのですが、犯給法を基にした制度設計というのは、新たな給付金類型を設けるにせよ、いずれにせよ無理があるということについては理解できるわけですが、全体の御意見・御指摘を読んでみますと、11ページにあるように、警察庁としては、専門的な知見を有する機関等による認定等の枠組みがなければ、対応することができないという御意見のように読めるわけです。私も、多分それは必要じゃないかなと思うのです。
そうしますと、専門的な認定機関というのは、警察庁としてはどういうイメージを描いておられるのか。行政機関としてなのか。だとすると、どこの省庁が所管するのが自然なのか、ふさわしいかということ、差し支えない範囲で今、お聞かせ願えればと思います。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長まさにこちらの検討会で御議論いただければというところでもあろうかと思いますけれども、恐らくやっていただくことは、どのような者が行う、どのような療法が適当なのかということですとか、それを誰が決めるのか。いろいろあろうかと思います。
例えば、ここは本当に個人的な意見で大変恐縮でございますが、個別の医師の方がお決めになるのか、何か業界団体のような形でお決めになるのか。それとも、国家試験のような形で、行政なりがお決めになるのかという仕組みが、法令などの後ろ楯としてできているということになりますと、制度としては非常に盛り込みやすいということになるだろうと思っております。また、どの程度の費用が適当なのかということも、独禁法のお話も前にございましたけれども、おおむねの相場についても、現状を踏まえた上で御検討いただくことが必要なのではないかと考えております。
○ 久保構成員イメージとしては、判断したり認定したりする、新しい第三者機関的なものが必要と。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長やり方としては、いろいろあろうかと思っておりまして、資格制度とか認定制度というのもいろいろな形がございますので、法令に規定があって免許制度などになっている医師の方とか、そういう形もおありかと思いますし、そうではないけれども、こういう形で行政機関が認定した団体が認定した者については、こういうことができるということを法令上、書く例も多分あるだろうと思います。それは、どのような制度がふさわしいかということを、現状を踏まえて御検討いただくことなのではないかと思っております。
○ 小西座長それでよろしいでしょうか。
○ 久保構成員今のところ。
○ 小西座長では、続いて太田構成員、お願いいたします。
○ 太田構成員警察の方の制度についてお伺いしたいのですけれども、今、警察による犯罪被害者への公費負担の制度として、犯給制度がまずありますけれども、性犯罪被害者に対する公費負担として、初診料とか緊急避妊治療とか人工妊娠中絶のような費用を、基本的に都道府県から出す制度があると思うのですけれども、この仕組みについて、ちょっと簡単に教えていただけますか。どういう予算的な裏付けをとっておられるのかということと。
それから、初診料や緊急避妊処置というのは、これは保険の適用になっているのでしょうか。この辺、私、保険制度が分からないですけれども、少なくとも人工妊娠中絶は病気ではないので、保険適用にはなっていないと思うのです。でも、指定医と言いますか、母体保護法に基づく医師が行ったということで、領収書を持ってくれば、それで支給しているということなのか、この仕組みを簡単に教えていただけますでしょうか。この制度が利用できるかどうかということを射程に含めての質問であります。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長これは、法令に根拠があるものということではなくて、警察庁としては国費で補助金を取得いたしまして、各都道府県警察におろしております。各都道府県警察は、補助金でございますので、それに県費を加える形で事業費として執行していることになっております。各都道府県警察は、警察庁の方でこういう趣旨でとっている予算ですよということは知らせておりますので、それに基づいて運用のための規定を設けて運用していっているという形になっております。
済みません、確認できておりませんけれども、保険の対象になっているものも、なっていないものも、確かにあろうかと思っております。人工妊娠中絶などは、病院によって、額も若干違っておられるようでございます。そういうものについて、額の上限を設けている都道府県警察もございますし、相当な範囲であればという形の規定の仕方をしているような都道府県警察もあることとなっております。
○ 太田構成員だから、これも保険適用になっていないような施術というか、治療ということに対しても公費負担しているということですね。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長例えば、現在、カウンセリングについても、別に保険の適用でも何でもございませんけれども、補助金を付けまして、各県の方で外部委託などもしていることになっておりますので。
○ 太田構成員それも、どちらかというと現物支給みたいな形ですけれども、こちらの人工妊娠中絶の方は、被害者の方、勿論警察に届けられて、そこら辺の事実確認が済んでいらっしゃる方だと思うのですけれども、領収書を持っていって、その後の償還という形でやられているわけですね。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長県によってはそうです。
○ 太田構成員分かりました。
もう一つ、先ほどの認定という話なのですけれども、重傷病給付金の場合には、医療保険の適用というところで1つ、枠がきちんと固定されていますけれども、最終的に支給するかどうかというのは、これは公安委員会の方で決めているわけでございますね。だから、裁定機関は公安委員会ということですけれども、こちらに例えば医師とか臨床心理士という方が入っておられる例というのはあるのでしょうか。
私の知り合いの大学の教員の中にも、委員をやっていらっしゃる先生がいらっしゃったのですけれども、一般的なイメージは有識者ということで、財界の方とか大学の研究者等ですけれども、この中に医師とか弁護士さんとか臨床心理士さんが入っている例があるのかどうかということです。重傷病給付金の裁定なども、組織の名称は分かりませんけれども、みんな公安委員会の方でやられているわけですね。その中にこういう医療関係、もしくは心理療法関係の方が入っていらっしゃるのかどうか、もし分かりましたらお願いいたします。急に今すぐに思い付いた質問なので、もし分からなければ、将来的に情報提供いただければと思います。
○ 警察庁長官官房総括審議官ちょっとお答えにならないかもしれないのですが、あくまでも公安委員会として裁定を行っております。ただ、都道府県によっては、お医者さんが公安委員になっている場合もあります。ですから、お医者さんたる方が加わって、公安委員会として裁定を出すという現実はあるのですが、医療の専門家という観点から、専門的な判断をその方が下しているということでは、必ずしもないのです。
○ 太田構成員それは私も分かりますけれども、公安委員会の中にたしか犯給法の小委員会みたいなものがありませんか。別途、委員会が組織されていたように思うのですけれども。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長国家公安委員会には、専門委員会を設けております。これは、国家公安委員会に対してなされる、都道府県公安委員会が出した裁定の審査請求について議論する機関ということです。
○ 太田構成員地方はどうですか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長地方の都道府県公安委員会にはございません。
○ 太田構成員それは、都道府県の公安委員会の母体そのものが裁定されているということでよろしいですか。その中には、専門的・医療的な判断をするための委員の委嘱というわけではないにしても、医師は入っている可能性はあり得るということですね。
○ 警察庁長官官房総括審議官すべての都道府県公安委員会においてお医者さんがメンバーとなられているわけではございません。
○ 太田構成員分かりました。
○ 小西座長今は、認定をどうするかというお話から、多分、太田構成員のこの御質問も出てきたと思います。
議論が拡散しないように整理しておきたいのですけれども、一番最初に御意見いただきましたように、今、ここでどの点を議論していけばいいかということになると、警察庁、厚労省の話を聞きますと、犯給の制度の内側なら何か可能性があると私には理解できました。それ以外のところで新しい仕組みの創設、例えば医療保険を使った制度の新設という形になりますと、今の両省庁の御意見では、それはとても難しいということなのだと思います。
とりあえず、今回の議論すべきところというのを、今、太田構成員のお話もありましたけれども、外側にも何か準備する必要というのは議論しなくてはいけないのかもしれないのですけれども、今、制度設計については、この犯罪被害者給付制度の中でどのようなことが可能なのかというところで考えていくべきかと思いますけれども、このことについては何か御意見はございますでしょうか。今、伺った限りでは、そんな印象を持ちました。
○ 太田構成員私も、何か総合的・包括的な一つの制度のもとで、被害者がそこに行けば心理療法に関する公費負担がされるという制度ができれば、勿論理想なのかもしれませんけれども、今の警察の方でもそういう総合的なものは難しい、厚労省の方も所管外だという話になってくると、こういったものを全く独自に新しく、しかも予算措置も全部一からやるみたいな制度を、今ここで提言するというのは現実的ではないように思われます。
そういう意味で犯給制度というものがあるわけですから、これを拡充するということも射程範囲に当然入れなければいけないとすれば、例えば被害の範囲とか受給者の範囲とか被害届が必要だという、いろいろな制約があるにしても、この犯給制度を一方で拡充するとして、私は、今の重傷病給付金では難しいのではないかと思いますので、犯給制度でやるとすれば、個人的には新しい心理療法給付金のようなものをつくらざるを得ないと思います。
ただ、犯給制度の中でカバーできない者がいて、この検討会ができる前の議論でも、広くカバーすべきだという御意見が出て、この検討会がつくられていますし、この検討会の中の御意見でも、届け出も出さないような人とか家族も含めて対応すべきだということについては、ある程度コンセンサスが得られてきていると思うとすれば、複数の制度になるというのはいろいろやりにくいのではないかという話も出ておりますし、それに対して正当な根拠を示せという話も警察庁さんの方から出されておりますけれども、それ以外の何らかの制度も必要になると思われます。
1つは、犯給制度を拡充する方向をとり、これは公費負担であるがゆえに、いろいろな事実の確認とかは犯給制度の中でやり、それから漏れるものについてはもう少し広く対象をとったような制度を、外部と言っても、全く一からつくるというのは難しいので、私は先ほど警察庁の性犯罪被害者に対する公費負担の制度を質問させていただいたのですけれども、そういう形で、警察庁の方でもう少し広げたような制度も検討すべきだと思います。特に、家族などは犯給法から漏れてしまう可能性があるので、そういった可能性を例えば警察庁の方の公費負担のようなものを御検討いただくということで二段構えでいってはどうかと思います。
更に、そこでもだめなものは、現物支給的なもので、今、警察庁がやられているものとか、それから被害者支援センターがやっているものとか、DVとか児童虐待であれば自治体のセンターというところで、漏れないようにしていくという複数段階のものにしていくことが、現実的な提案ではないかなという気がしております。
○ 小西座長ありがとうございました。ほかに何か御意見ございますか。はい。
○ 松坂構成員第1検討会と、この第2の検討会との平仄を合わせると言いますか、そちらの方が気になるのですが。こちらの検討会の方が期限が切迫していますから、先に結論を出すことになるのですが。
そもそも、第1の検討会の方がより重要と言ったら恐縮ですが、むしろ広い意味での改革を考えているのですね。そちらの方で新たな制度をつくって、抜本的にこういう制度をやりましょうという意味でのアドバルーンを上げようとしているときに、これはよく分かりますけれども、第2検討会の方でそういう現実論に終始してしまうことがどうなのか。その辺りのある意味では政治判断もちょっと必要になってくるのではないか。
私はむしろ、最高裁の判決風に言うならば、判決はそうだけれども、少数意見として、ないしは反対意見として、そういうのもあったという両論併記的な考え方も必要なのではないかと思いました。
○ 小西座長その両論併記というのは、今、太田構成員が言われたような複数の提案ということについてでよろしいですか。
○ 松坂構成員予想とすれば、最終的には現実路線でおさまるような意見に座長が取りまとめをなさるのだろうなと思います。ただ、その際には、こういういわゆる反対意見、理想論と言えばそれまでなのですが、そういうこともあって、今後はそういう観点で検討を継続すべきであるとか、そんなふうにおまとめいただければありがたいなということです。
○ 小西座長それは私も感じておりまして、実際にできることと、本来やるべきことの差が非常に大きいわけですね。だからといって、作文を書いて終わりにするというのでは、この検討会の意味もないと思います。だけれども、課題がたくさんあることについては、ちゃんと示すべきだし、提言できることはするべきであろうと私も考えておりまして、松坂構成員に同意いたします。
ほかに御意見ございますか。どうぞ。
○ 中島構成員今、財源等の問題の話があったと思いますが、当初、検討会の背景に、松坂構成員からもお話がありましたが、第1検討会の方で新たな被害者の経済的支援という制度があるかもしれないということをいつも含みながら、ずっと検討してきたと思います。ただ、今のところ、はっきりした見通しが付いていないということです。
今までずっと出てきた問題というのは、明らかに犯罪被害者として私たちが分かる。つまり、それは警察で捜査がなされる被害者ということになりますが、この方たちと、もう一つ、はっきりとした犯罪被害を認知することが難しい。しかし、潜在的には間違いなく多くいると分かっている被害者を、両方まとめる制度はないかということをずっと考えてきたわけですが、それを明らかにするのは、第1検討会において、経済的な新たな支援の枠組みがあるということにおいて、初めて成立する問題ではなかったかと考えられます。
そちらの方がはっきりしない以上、こちらの方で新たな制度ということに固執して議論を続けることは、非常に難しい状況に今なっているのではないかと思えます。
そうすると、私どもで、今、現実路線という話がありますが、現実的にそこだけしかしないという視点ではなく、まず最も優先すべき深刻な被害を抱え、なおかつそれを国がはっきりと認知している被害者に対して、どのような回復の手続をとるのかということを第一義にとらえて、それ以外の被害者の問題について、今後、そういった制度ができていくということを念頭に置きつつ、将来、これで犯罪被害の支援が国としてすべて終わるわけではありませんので、検討していくという考え方もできるのではないかと思います。
それにおいては、現状、国が既に認知している犯罪被害者の方が、この制度がないために十分に精神的な回復ができないという問題を解決するためという視点において、現状、犯給の中で何ができるかという議論をするのが妥当ではないかと思います。
この点について、費用の拡大ということがありましたけれども、現実には財源として追加でとらなければいけないのだけれども、もしかしたら将来的に考えると、これは経費を削減できる方向になるのではないかという点について、1点お話ししたいと思うのです。
今、早期に認知行動療法を受けた被害者については、回復してしまっているために障害給付が逆に受けられないということが出てきているのです。それはいいことなのです。つまり、長期にわたる障害をその方たちがこうむらないで済んだけれども、カウンセリング費用が出されていないために、その人たちはかえって不利益をこうむるような状況が起きているわけです。
この問題を解決するに当たって、この方たちが早期に回復することを支援するという意味において、カウンセリング費用の給付というものがなされる意義があるのではないかと思われます。そうしますと、最終的に長期にわたる精神的な障害に対する給付というのは減ってくる可能性というのも、また考えられるので、一概に財源が膨らんでいくだけとは考えなくてもよいのではないかと私は思っております。
○ 小西座長ありがとうございました。
御発言、まだいただいていない方、何か御意見がありましたら。では、加藤構成員、お願いいたします。
○ 加藤構成員現実的な範囲での制度設計をどういうふうに考えていくかということに、時間的な流れから言っても、せざるを得ないと思います。それから、両論併記型でこういう問題があったということを、この検討会として書くことによって、ある意味、第1検討会の方にボールを投げ返すことにもなるでしょうから、そういう形でまとめざるを得ないと考えています。
それから、今、中島先生がおっしゃったカウンセリングの問題。結局、カウンセリングの範囲をどういうふうに考えるのかというのが最後まで残ると考えています。
○ 小西座長ありがとうございます。どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長第1検討会との関係についてのお話もございましたので、ポイントとして。この検討会を開始したときの最初の検討の進め方を確認しておきたいと思いますけれども、検討会には、現行制度で抜け落ちている部分について、余り時間をかけずに対応する必要があるという考えのもと、2年以内に結論を出すという形になっておりますので、その辺りも踏まえて、今日は事務局からあのような説明もさせていただいたところであります。
あと、今のお話の中で、現実的な話というところから参りますと、実は心理カウンセリングを、仮に何か犯罪被害給付制度で対応するとして、そこの対象をどうするのかといった論点自体は、従前から出ていた部分でありまして、これだけ検討会が進んできておりますけれども、警察庁の方では今回の意見が特に変わっておりませんでしたので、おそらくその先へ進む道がまだ見えていないのではないかという感じがするのです。
さっき久保先生からでしたか、では何を進めたらということのお話があり、警察庁からは余りはっきりした形の答にはならなかったと思うのです。その辺りについて、課題とされている部分を進めていく方法を探していかないと、何か現実的な道が見えないのではないかという感じもしないではないですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
○ 警察庁長官官房総括審議官私どもの考え方をある程度率直に申しますと、資料3にあった、どういう道で行くにせよ、どういうカウンセリングを費用負担の対象とするかという基準を明らかにしないと、役所的には作業を進めようがないというのが率直な考えでございます。ですから、この検討会でその点についても御議論いただくということであれば、大変ありがたいなと思っております。
○ 小西座長ありがとうございます。
そうすると、ちょっと整理させていただきたいのですけれども、2つの御意見をいただきました。警察の方では、認定、それからカウンセリングの内容の保障ですね。そのことについて、今のところではとまってしまうところがあるということでありました。
一方で、厚労の方では、例えばそういう認定に関わって、有識者が何か協力するということは可能であるとも伺える。1つは、犯罪被害者の要件をどう決めるかということについては、厚労の方ではできないとおっしゃり、一方、警察庁の方では、カウンセリングの要件を決めることはできないとおっしゃる。それは、当然そうだと思います。そこのところが両側で相補うような形になっていますので、むしろここのところがうまく解決できたらいいのではないかなと、伺っていて考えたのです。
例えば、厚労省の方で御回答いただいた中での、有識者なり機関なりの協力ができるかもしれないというのを、私は大変ありがたく聞いたのですけれども、もし何かもう少し細かい御意見とかイメージがありましたら、ちょっとお話しいただければなと思います。
○ 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官少し過大に期待をいただいているような気もしますが、資料4-6の真ん中のところで書いておりますのは、恐らくどこの行政機関、どこの省庁であっても、専門的な知見という意味では同レベルに立っていて、ないのだと思います。したがって、何か対象範囲を限定しようとするためには、専門的な知見を何らかの形で外から入れる必要があると思われて、その場合は有識者の審議会なのか、よく分かりませんが、会議体が必要になる。
その会議体が必要になったときに、どういう人がいいのでしょうかという話があれば、そういったところに対する知見の提供という協力はさせていただくことはあり得るでしょうという意見を書いております。したがって、厚生労働省という行政機関にこういう分野に対して知見があるということではありませんので、どこの省庁であっても、何らかの外からの意見を求めることが必要なのではないかという意見でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。
だんだん問題がはっきりしてきたと思うのですが、とりあえず今日のところは、両論併記の問題は合意というか、そういうことにいたしまして、それではその中の犯給でやっていくのにも、今お話があったようにいろいろな問題がある。そこのところをどういうふうに詰めていくかということに限って、今お話をしていきたいと思います。このことにつきまして御意見がありましたら、是非お願いいたします。
○ 太田構成員両論併記は勿論構いませんし、心理療法の給付金を包括する、更に大きな制度を第1検討会が更に別の制度をつくれという提言をするにしても、もう少し具体性を持ったものを書かないといけないと思います。ただ、心理療法に関する公的負担の制度をつくれ、理想的な制度をつくれという両論併記をしても、何も言っていないのに等しいので、両論併記するとしても、そちらの方はそちらの方で検討する必要があるということと、それから、私は犯給制度の中に法律上の制度としてつくるという意味も大きいと思いますし、被害届を出している被害者の中には公費負担が必要な人もいますので、その辺をきちっと救済と言いますか、支援できる制度を法律の制度としてつくっておくというのが必要だと思います。
そうしますと、犯給制度の中でこういった新しい給付金制度をつくるとした場合に、警察庁でここが一番ネックになるというところは、恐らく先ほど出た認定の問題でしょう。それ以外の問題は、被害者の範囲も一般の国内での被害に限るとか、過失犯は除くとか、被害届は、事実上、そういうものがあるというのが全部要件としてかかってくるので、多分一番難しいのはその辺だろうと思います。
では、何ができて、何ができないのかということも、一方で警察の方からお示しいただいて、我々としては、こういう方法はできませんかという提案をしていくことは必要だろうと思います。私は、臨床心理士というのが国家資格でない関係で、法令の中に、特に法律の中に当該資格を書いて、この人が認定を行うということは非常に難しいのではないかと思いますが、下級法令であれば、こういった制度認定みたいなもの、例えば今の早期援助団体の相談員の資格とか直接支援員といったものも、できないわけではないと思います。
そうすると、小西先生、中島先生から情報提供ないしはご提案いただければと思うのですけれども、心理療法の必要性を、医師が何か診断書を書くみたいな形で判断し、実施するのは心理療法士さんとか精神保健福祉士さんとか作業療法士さんとか、いろいろなものがあるかもしれませんけれども、医師が心理療法の必要性を判断して、診断書みたいなものを出す仕組みであれば、法制度として可能なのかどうかということも御検討いただければなと思います。また、もしそれがだめだということであれば、何ならできるのかということを逆にお示しいただければ助かるかなと思います。
勿論、医師が行って保険適用になるものは重傷病給付金の方でカバーできるので、そうではなくて、医師がこの人は心理療法が必要なのだよという、きちっとした診断書が出せるということのもとで、実際に施術するのは臨床心理士さんですよという場合に、この犯給法に新しい給付金をつくって支給しますという制度の可能性があるのかないのか。それで問題がクリアーできているのかどうかということを御検討いただければと思います。
○ 小西座長ありがとうございます。
それでは、警察庁の方で今のことについて御意見ください。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長勿論、認定制度につきまして、どのような制度を立てられるかということによろうかと思います。医師の方がされるという可能性もあるだろうと思いますけれども、現状のままで、何の限定もなく医師なら誰でもできる、あるいは精神科医と分類される医師の方ならできるとしてしまっていいのかどうかというのが、我々としては何とも分からないところだろうなと思っております。
医療保険の制度の中では、精神科の医師の方の御指示のもとで、臨床心理士等を使う場合は医療保険の対象になられるということではあるのですけれども、そこから出たものについて、どの範囲までなら医師の方がこういうことで、この人は大丈夫だと判断できる方なのかどうかというのを、制度的な裏付けをしていただければ、もしかしたらあり得るのかもしれないと思っております。
医療保険にいたしましても、医療保険は医師の方ということであれば大丈夫だと限定されておりますけれども、そうではないものについて、どこまでの範囲の医師の方なら大丈夫だと本当に言えるのかということも、現実問題としても分かりませんが、おありなのではないかと思っております。
○ 太田構成員2つあると思うのです。医師が誰がやるかに関しての妥当性を判断するという枠組みは、多分ないと思います。医師は、心理療法が必要かどうかということの判断をする。それを実際にやる人が誰かというのは、これはまた臨床心理士協会でしたか、そういうところがつくるとか、厚生労働省さんがつくるという話で、医師が、誰がやるのが適当かと個別に判断するという話ではなくて、この人は心理療法が必要なのですと。自分の指導のもとに誰かがやりますという形での診断書と言いますか、そういうものが出せるなら給付金を支給しますという制度が、法制度として可能なのかどうかということが1つある。
ですから、医師が、誰が適当か判断するという話ではないと思います。それは、また別途、臨床心理士さんの中で、何か特別な認定資格みたいなものをつくるのかどうかというのは、また別の話だと思います。
それから、医師なのか、精神科医なのかというのは、これは制度設計の問題なので、余り深刻な問題ではないのかなという気がしております。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長勿論、そうかと思っておりますけれども、それでは医師の方が選ぶ、誰かを決めるというわけではないにしても、臨床心理士なら臨床心理士の方でもいいかと思いますが、心理療法の実施者として、この範囲なら大丈夫だというのを、では、誰が、どういうふうに決めることになるのかについての検討が必要になってくるだろうと思います。
○ 太田構成員お医者さんが病院で治療するときに、この看護師さんで看護が大丈夫かどうか、一々判断しないですね。看護師さんは国家資格だからということなのでしょうけれども、そこまで制約がかからなければできないという話になるのか。それとも、臨床心理士さんの協会の方で、こういった研修を受けて、犯罪被害心理療法臨床心理士となっている人であればいいとするのかということで、個別に医師が判断しなければいけないようなものに持っていく必要があるのかどうかという気はいたします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長私どもは、別に個別の医師が判断しなくてはいけないと言っているわけではございません。どちらかの団体なり国の機関なりが、臨床心理士なら臨床心理士さんでもいいですし、それ以外の方でも合理的な方なら結構かと思いますけれども、そういう方について、ある程度見ておいていただいて、その上で心理療法の実施者として適当かということを認定するという仕組みが、どういうものになるかということによろうかと思います。
医師の指示等により、対象が挟まった上でないとだめだという仕組みにされるのか、それとも直でもいいとされるのかというのは、もともとのこちらの団体か個人か分かりませんが、実際に心理療法を医師でない方がされる場合についての認定の度合いというものによるのではないかと思っております。
○ 太田構成員私ばかり話をしていてもいけないと思うのですけれども、医師を絡ませると発想したのは、臨床心理士さんそのものがダイレクトに認定しているというのは、今の臨床心理士が国家資格でないので難しいだろうという前提の中で、次善策としては、医師のスーパーバイザーの中で行うというものであれば、何とか法制度に持っていけるのではないかという御提案です。それが唯一の方法だとか、ベストと言っているわけでもないのです。
だから、それが法制度として成り立つのであれば、そちらの方で、法制度としてこういったものならできますよということを詰めていただければなと思っております。そういう意味で御提案しているということです。
○ 小西座長中島先生の御意見、もしありましたら伺えればと思います。
○ 中島構成員この問題について、先ほど警察庁の方から繰り返し述べられていた、犯給の対象にするためには、医療に準ずるというところをどのように保障していくかということではないかと私は理解しています。臨床心理士が国家資格であったならば、この問題は生じていないわけです。ただ、残念ながらそうではないということにおいて、非常に難しい状況が生まれているのだろうと思います。そうすると、犯給でカウンセリングを給付するに当たって、できる限り医療に準じるのだということを明示できることが必要になってくると思います。
これは、一つの仮の案ですけれども、例えばこの人が医療的なレベルでカウンセリングを必要としているのだということに関しては、医師がそれを認定すればいいわけと思います。それは、そんなに難しいことではないです。医師が、この人が回復のために心理療法を必要としているという診断書を書くことは、比較的容易なことではないかと思うのです。
また、カウンセリングの行為に関して、医療保険なら安全性・有効性が別に担保されているわけではないと思います。医療保険は、確かにそういうものではありますが、先ほどの緊急避妊に関しても、あれはなんらかの疾患があるという場合に行う場合には、当然保険対象になりますけれども、疾患ではない場合では自費になっているわけです。医療保険外だからといって安全性・有効性が担保されていないということではないですね。医療保険になっているものが、ある条件が変わってしまうと医療保険外になってしまうものがあるわけです。
その最たるものが混合診療なわけです。混合診療を行うことができないがために、長時間の心理療法を行うに当たっては、患者さんは医療保険の適用外になってしまって、別途医療機関に併設しているカウンセリング機関等で、全く同じ内容のものをそこで受けているということが現実あるわけです。そうすると、現状で医療保険になっている心理療法というもの、支持的な精神療法であるとか認知行動療法といったものに限定すると。これは、医療において認定されている心理療法である。そういうものに限定することによって、医療に準じる心理療法という枠にすることは可能なのではないかと思います。
最後に、一番難しいのが、では、誰が行うのかという資格のところだと思います。ここは確かに悩ましいところになるかと思うのですけれども、これについては何か検討委員会といったものをつくって、有識者を入れて基準を明示する。その基準というのは、例えば臨床心理学においての研修を積んでいることがはっきり分かる資格であるとか、大学院における研修、実施研修を受けていることを条件にしている資格であるとか、既に医療機関において、その人たちが診療しているという実績のある資格というような、ある基準を設けた上で、それは個別の都道府県の最終的には公安委員会の方で決めるというところまでは可能なのではないかと思います。
そういったことによって、医療に準じるといった問題をある程度クリアーすることはできないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長そもそも療法として、どこまでがいいのかというのは、もしかしたら先生がおっしゃるとおりなのかもしれませんけれども、私ども自身がそういったことが本当にそれでいいのか。外部の専門家を入れて勉強すればいいじゃないかと言われれば、それまでかもしれませんが。そうしますと、そもそもの医療の範囲からはみ出て、染み出てきている部分について、本来所管するところはどうなのかというところは、勿論議論があるのではないかなと思います。一方で、心理学について所管するところはどこなのかというお話もあろうかと思います。
公安委員会は、犯罪被害とはどういうものかということなどは、検討して判断しなくてはいけない機関でございますけれども、このカウンセラーという方が本当に相当なのかどうなのかということを判断するような機関では、少なくとも現状ではないと思っているところでございます。
○ 小西座長お願いします。
○ 松坂構成員私なりに現段階における考え方を示したいと思うのですが、資料3で意見を開陳しました。理想的には、新しい仕組みの創設というところを申し上げてきたわけですが、それはなかなか難しいだろう。時間の関係もあります。となりますと、次善の策としては、この真ん中に書いてあるところの、現在の犯給法の枠組みの中における心理カウンセリング、現物給付ということを構築する新しい制度設計。これは、法律の改正は当然伴う必要があるわけです。いずれ犯給法という既存の法律の中での改正ですから、言い方は乱暴かもしれませんが、微調整ということでやれるのかどうか。
そういうことで考えていったときに、犯給法の範囲内で枝分かれした新しい制度でありますから、その犯給法の中にあるわけですから、警察庁におけるすべて運用の中で考えざるを得ない。例えば、犯罪被害者にしてみれば、帰責性の問題もあるでしょうし、届け出の問題もあるでしょう。現実論としては、それはしようがないなという気がいたしますね。
あと、問題は、現物給付としての心理療法をいかにスムーズに広く、特に重篤な緊急の人に対して提供することができるような制度を構築できるか。そのためには、何を、どこをいじったら良いのだというところに限定して議論せざるを得ないのかなということです。
そういう観点から言うと、先ほど私が言ったストライクゾーンというのは、もう決まっているわけですから、その中で我々がここで具体的な提言ができるのはどこなのだというと、どこなのでしょうね。せいぜい今、太田先生が指摘したように、国家資格を有する医師の診断書に基づいて、そこで何らかの公的な認知がないといけないのですが、しかるべきところをある程度あらかじめ認定しておいて、そこにその診断書を持っていけば心理療法が受けられる。
もう一つは、警察庁が盛んに気になさっている、私もそう思いますが、何でもかんでもやれるのかということじゃなくて、具体的に認知行動療法とか、ある程度費用のかさばるものもあるのでしょうけれども、とりあえず支援的カウンセラーに限定して、それを例えば10回程度は公費でできますよという制度でスタートするとか、そんなところから議論していかないといけないのでしょうかと、ちょっと考え始めました。
○ 小西座長ありがとうございます。
議論を整理させていただきたいと思いますが、必要性に関しては、医師の診断書というのが必要なのではないかという点については、余り議論がないかと思うのですが、その先に関して、制度論的な問題と、現実にどうやって内容を担保するかという問題が錯綜して語られているのだと思うのですね。そもそもの警察庁からの御意見の中にも、制度論として、こういう形なら可能であるということと、実際にそれでいいのかというレベルの2つのことがあるように思いますし、今、出た意見の方でも、その2つのことがあるように思います。
ちょっと誤解があったら言っていただきたいのですが、私の整理では、制度論としては国家資格である医師というものをうまく活用して、つくっていかざるを得ないだろう。何にしてもそういう形になるであろう。ただ、実質的に担保するということが、それも制度に乗っていなくてはいけないかというと、それはまた別の問題であると考えることはできると思います。その実質というのがどこまでか、これはまた議論の対象かもしれませんけれども、その2つが錯綜しているように思うので、整理した方がいいかなと思うのですけれども、いかがですか。
○ 松坂構成員その前に、小西座長がおっしゃる実質というのは、もっと具体的なイメージは。
○ 小西座長例えば、先ほど警察の方で言われたように、制度上、精神科医師というのも余り法律上にある名前じゃないですから、医師が診断書で必要性を書くということぐらいしか、公式の言い方では言えないわけですね。だけれども、医師にもさまざまあろう。それから、そこで目指されている、例えばカウンセリングなり心理療法なりがあったときも、内容はさまざまあろう。
例えば、全く専門じゃない医師が、自分のところで金もうけしようと思って、隣につくったカウンセリングのところに振って、それでお金をもらうのはまずいのではないかという話で、内容の担保が必要だと警察が言われたと私は考えています。そうだとしたら、制度論で書けるところと、それでは困る。これだけ苦労して出てくるものが、そういう形のものでは確かに困るわけですから、内容的担保ということをどうやっていけばいいのかということを、そこはもう少し自由に議論もできるのではないか。
例えば、先ほど太田構成員が言われましたように、制度の上に全部書かなくてもいい部分もあるのかもしれない。むしろ、これは私は専門じゃないので伺いたいところなのですけれども、そういうふうに構えて考えてもいいのかなと思ったわけです。
○ 松坂構成員今の小西座長の実質論で言いますと、参考になるのが法務省所管の法テラスの精通弁護士という制度があります。犯罪被害者の支援をする弁護士は、犯罪被害者の実務に精通した弁護士を推薦して、それを名簿に登載することになっているのです。同じように、犯罪被害者の心理療法に精通した医師と限定しておくだけで、事実上、問題は解決しそうな気がするのですけれどもね。
○ 小西座長ありがとうございます。これは、例えば精通した医師のところで必要性というのを出すところで担保していくというやり方だということですね。
○ 松坂構成員だから、国家資格を持っているからといって、整形外科の先生が診断書を書いてもおかしいわけですから、当然、医師会なりでも、また厚生労働省がどのように関与するか分かりませんが、それなりの制度設計だと、警察庁も一緒になって絞りをかけるということになるのではないでしょうか。
○ 小西座長はい。
○ 加藤構成員この検討会でA県警の心理療法を担当なさっている女性の方のお話を聞いたと思うのですが、要するに私が持っているイメージは、犯給制度を拡大することによって、ああいう方に心理カウンセリングをやっていただいて、それをある意味、犯給制度から費用を捻出しようということだと思うのです。だから、恐らくそれは各警察が既にやっておられるわけだから、そういう人たちはいるわけです。
1つの問題は、ああいう方に橋渡しをするときにお金が付くようにオーソライズするための機関が必要だという話だと思います。だから、それは精神科医に絞ってもいいという話もあると思いますけれども、各地にいる必要は全然なくて、北海道の場合は、結構小さな単位で何か所かあるのですけれども、せいぜい5か所ぐらいに認定機関なり先生を2人とか3人置いて、犯給制度のカウンセリングにオーソライズしてもらう組織が必要となると思います。
問題は、ああいうベテランの方はそういないでしょうから、そこについては人材の育成とか養成ということは、別途、充実させてゆく必要があります。臨床心理士であれば誰でもいいというわけではなくて、ある程度経験年数があって、警察の方もあの人だったら任せられるような人ということで絞り込んでいけばいいのかなというイメージです。
だから、精神科医であるかどうかという判断は、また別途あるかもしれませんけれども、そんなに至るところに医者を張り付ける必要はないのではないかと思います。
○ 小西座長ちょっと質問なのですけれども、至るところに張り付ける必要がないのは、オーソライズする人をという意味ですか。
○ 加藤構成員はい。
○ 久保構成員今の御意見に関連して、ちょっと伺いたいのですが、先ほど警察庁の御説明で、専門的な認定の枠組みが必要であるということをおっしゃいましたけれども、それは要するに、実施のために必要な要件を法律に書き込めば、それでいいのか。それとも今の加藤先生の御意見のように、一定の認定をする機関、第三者と言いますか、新たな機関が必要とお考えなのか、その辺はいかがでしょうか。
○ 警察庁長官官房総括審議官事細かく法律に書くということは、実際ありません。ただ、何が有効なカウンセリングとして公費負担の対象になるのかということを、ある程度犯給制度の中に、法律の中に骨格を入れていく必要はあると思います。先ほどから医師の診断書ということも出ていますので、そういうことも参考にして、制度を考える場合には考えていきたいと思いますが、全部法律で示すということでは必ずしもないと思います。
○ 久保構成員では、その大きな枠組みを実施していく場合に、今、加藤先生がおっしゃったような、何がふさわしいのかという認定をする必要がありますね。法律にふさわしいカウンセリングなのかという、あるいは実施者、対象者も含めてふさわしいのかどうかということを、実際には認定していかなければいけない。それはどういうふうにお考えなのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長まさに御検討いただくべきことだと思っておりますが、警察庁というか、警察というのは、これが犯罪被害なのかとか、犯罪被害者支援のための留意するべき事項ということは、よく承知しているつもりですけれども、例えば、もともとは医療保険なり、医療の世界の中に含まれている認知行動療法というものがどういうもので、たまたまそれが保険の適用外になっていると言われても、それがどういう方がやっている、どれがいいのかというところまでは、正直申し上げて分かっているわけではないという中で、誰が、どう認定していくのかというのは、まさにこちらの検討会でも御検討いただくべきことなのではないかと思っております。
今、重傷病給付金の中にございます医療費負担というのは、基本的に医療保険の制度があるということを前提にして組み立てておりますので、何もかも犯給法の中で書いているわけではございませんので、どちらかで決めておられる制度なり、法律なりを引っ張ってきて、それを活用する形で書かせていただくことも可能なのだろうと思っております。
○ 太田構成員加藤先生の先ほどの御意見の確認ですが、今でも各県警の方で精神科医のほかに、臨床心理士の先生に委託されて、それを無料で受けられる。先生の御意見というのは、各県警で委託している心理療法やカウンセリングなどをもう少し拡充するような形で、そういうものに対する県警からの予算的な裏付けをするという御意見でよろしいですか。現在の現物支給という形、被害者が後から償還してもらうのではなくて、県警が指定している、現在でも数は限られているでしょうけれども、臨床心理士さんの数をもう少し増やして、そこに行けば無料で受けられる。その臨床心理士さんに対する予算的な裏付けを、公費負担という形で検討すればいいという御意見のように伺いましたが、それでよろしいかどうかということです。
それから、そこに行かなかった人をどうするかという問題をどう考えるか。そこに通うのはちょっと大変だとか、こちらの方でヒアリングさせていただいた被害者の方も、被害者支援のセンターに電話をかけたけれども、どうしても肌が合わなかったからやめたということもおっしゃっていましたし、あそこまでは通えないという方もいらっしゃいました。
もし、たまたま警察の方のカウンセリングまで受けられて、それで済む方も多分たくさんいらっしゃると思うのですけれども、それ以外のところで受けた人が出てきた場合に、あえてこういうサービスがあるのに利用しなかったから自己負担ですよということになるのか。それも別につくられた方がいいという話なのかどうか、その辺はいかがですか。
○ 加藤構成員予算の問題は、犯給制度は償還払いになっているので、そこをあえて無償で提供するということまでは考えていません。仕組みとして、A県のあの方がやっているようなサービスを犯給制度のところで位置付けるというのが、最も現実的なのかなと私は思います。
○ 太田構成員それを犯給制度でやるということですか。
○ 加藤構成員ええ。つまり、そこは今、はっきりしていない。でも、カウンセリングということで、御尽力なさっているところをもう少し拡充してというイメージで考えていたのです。
○ 太田構成員では、県警の方が臨床心理士さんなどを指定しておいて、そこで受けた場合は犯給制度で対応するということでもないですか。
○ 小西座長ちょっと私の方で整理させていただいていいですか。加藤先生の御意見は、犯給の内側で制度をつくった場合に、実質的に宮崎先生がやっていらっしゃるようなカウンセリング。実際、宮崎先生は、3回しかできないから、もっとできれば私はできるのにということをここでおっしゃっていましたね。そういうところを犯給の内側の制度で、今の認定の話に関わって言われたという認識です。その認定のところで、こういう形で、ああいう人に実質上、カウンセリングを持ってもらえるようにするといいのではないかというお話として伺いましたけれども、それでよろしいですか。
○ 加藤構成員恐らくここの議論は、認定というのは2つの意味で使われていると思うのです。
1つは、犯罪被害者にカウンセリングが必要かどうかという認定をするというのと、サービスプロバイダーとして、どういう人が提供主体としてお墨付きを与えるかという意味の認定です。私、2つ混ぜこぜに言ってしまったと思います。だから、犯罪被害者を宮崎先生に引き継いで、そこでサービスを受けられるかどうかというのを、太田先生の御意見だと、精神科医みたいな方が県に2人か3人いれば、犯罪被害者の方は宮崎先生にカウンセリングを受けてもらうべき犯給制度を利用する資格があるのだということを、まず認定してもらう。
宮崎さんのような経験のある方は少ないでしょうから、そこの部分について拡充するという努力をした上で、各都道府県、どこに行っても受けられるような体制を組んではいかがかということです。確かにそういうサービスを受けられないようなところに住んでいる人もいると思うのですけれども、それをどうするかという問題は残ります。
○ 太田構成員でも、それは犯給制度の中でということですね。誰がやるのかという話は、そういうこととして、お金は犯給制度の中というお話ですね。
○ 加藤構成員今、犯給制度を前提にということです。
○ 太田構成員ちょっと先走ってしまうようなのですけれども、犯給制度だけでやろうという場合には、そういうやり方があるだろうなと思うのですけれども、犯給制度の中でカバーできるのは限られた方ですね。家族までできるのかどうか、御議論いただきたい。法制度的には可能だと、私は思っているのですけれども、現在だったら被害者本人になるのが、今までの制度の中だけでは順当なので。
そうすると、先生がおっしゃるように、実際にどなたがやるのかというのは、警察が委嘱する方というやり方はあっても、犯給制度の中だと限定がかかってしまっているので、私はそこから漏れた人をどうするのかまで考えたいと思っています。
私は、犯給制度でやっておいて、それで漏れた人は、今、言った警察が委嘱しているような臨床心理士さんなどがやった場合には、また県警の方の、さっき言った中絶費用みたいな形での公費負担みたいなものを、2段階目のものをつくりたいと思っているので、重なってきてしまう可能性があるかなと思って、ちょっと確認させていただいたということです。
だから、犯給制度1本だけで行くのか、もし広げるのだったら、そっちの方で県警さんの臨床心理士さんのネットワークの方で、公費負担なり、更には現物支給までセーフティーネットとして置いておく。その辺で協力いただければなと思っております。
○ 小西座長太田構成員の御意見はごもっともだと思いますが、とりあえず犯給の内側のことについて、今日は話そうという中での加藤構成員の御発言だったと思います。ただ、宮崎先生のやっていらっしゃる制度そのものは、外にある現物給付という制度なので、今はちょっと混乱したと思います。例えば犯給の内側でやるということについても、家族というのを変えることはできないのかというお話が1つ挙がったわけですけれども、これも当然、1つ問題としてあると思います。このことについても議論する必要はあります。
ただ、今ちょっと置いておいていいですか。順番として、ここまでずっと認定に関わることで話してきて、2つの種類の認定があるというのはおっしゃるとおりですね。1つは、必要性に関すること。1つは、実施主体に関することだと思います。一応、ここのところを詰めておいて、その後、今、太田先生が御指摘になった点など、いろいろ重要なところだと思いますので、それもやりたいと思いますけれども、順番としてはそれでよろしいでしょうか。はい。
カウンセリング実施者のところで、加藤先生の御意見としては、少数の人を実質的に認定する制度がつくれればいいのではないかということでした。もう一つ、その前に言われていたこととしては、ある程度決まった数の医師がその先を認定するという精通弁護士制度のような形を使ったらどうかというお話もありました。
私、1つ御質問したいのですが、厚労の方でPTSDに精通した医師という形での養成をやっていらっしゃると、先ほどお話があったと思うので、その制度に乗ってくる医師というのがどういうふうに現状あるのか、お伺いできればと思います。
○ 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官申し訳ありませんけれども、今、知見がございませんので、宿題として持ち帰ることでよければあれですが。
○ 小西座長今のところ、全然情報がないということですか。でも、養成をやっていらっしゃるのはたしかですね。だから、PTSDに精通しているという形での医師というのは、ある程度把握されていると考えていいでしょうか。
○ 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官申し訳ありません。私の資質の問題ですが、私が今、分かりませんので、持ち帰らせていただければと思います。
○ 太田構成員基本的な質問の確認だけなのですけれども、精神科医というのは認定医ではないのですか。病院に行くと、小児科は認定医みたいな認定証が置いてありますけれども、精神科医というのはどうですか。
○ 中島構成員精神科というのは、標榜ですね。その科を標榜するということであって、精神保健に関しては精神保健医という別途の認定制度というものがあります。
○ 太田構成員では、自分が精神科を専門としている医師ですという、小児科認定医みたいなものはないわけですか。
○ 小西座長それが国家資格としてあるものは、精神保健指定医。
○ 中島構成員あるいは学会とかが出している専門医。
○ 太田構成員眼科医もそうですね。
○ 小西座長学会認定資格だと、臨床心理士と同じですから、ほとんどやる意味がなくなります。ですから、法的な資格としては、医師か精神保健指定医だと思います。
実は、3つ話があって、必要性の話とカウンセリングの内容の話と実施者の話というのがあるのだと思うのですけれども、宮崎先生の話は、お話としては、今の制度に乗っている宮崎先生という人ではなくて、そういうタイプの人、そういうことができる人ということで出されたと思っていいですね。要するに、今、現物給付を実際にやっていらっしゃる本人にということではなく、ああいう形で被害者支援を経験されて、被害者支援の心理的なカウンセリングができるような先生を、こういうところでちゃんと認定していける制度があればいいとおっしゃったと考えてよろしいですか。
○ 加藤構成員はい。
○ 小西座長例えば、そういうカウンセリングの、この人が何をやっているかということまで医者が判断できるかというと、被害者とかPTSDの専門の医者がいるとしても、そこがまた難しいところではありますね。医師を介しない限り、この話は進まないのではないかと私は思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○ 加藤構成員私の考えているのは、犯給制度に乗せるスイッチを誰が押すかという、スイッチを押すときのオーソライズのシステムです。警察が恐らくこの人は必要だと考えて、今まで宮崎先生に御紹介していたと思います。でも、それはほかのお金の手当てがあるから、お金は済みません、そっちで出してくださいという話なのでしょうから、犯給制度の中でお金の面倒を見るように、警察は、この被害者の方は心理療法が必要だと判断されたら、犯給制度もありますよという話をした上で、そこでOKというスイッチを押してくれる誰かという話です。
それは、いろいろな心理療法があって、精神科医でも犯罪被害相談の経験がある先生方もいらっしゃるでしょうし、それこそ精神保健指定医みたいな人が、措置入院のときに2人以上の診断が必要だというのがありますから、ああいうものを念頭に置いて話していましたが、そういう方が各都道府県に2人ぐらいいて、その人たちで判断すればいいということです。
○ 小西座長だんだんよく分かってきました。今の議論について、警察庁の方で御意見はありますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長必要性を認定していただける医師の方がいらっしゃって、カウンセリングの内容についても、その医師の方が指示まで行かないにしても、御説明されるなりして、更にどなたか分かりませんが、どちらかの団体か、あるいは医師の方が認定された実施者の方が実施してくださるということを、何か制度的に担保していただけるということであれば、流れとしてはそうなのかなと思っております。
○ 小西座長座長としての話では全然なくて、私の体験の話ですけれども、私の大学の心理臨床センターはこういう方がたくさん来られて、医師の紹介の方もたくさん来るのです。そのときには、医師から診療情報提供を受けるときに、例えば指示的カウンセリングをお願いしますとか、認知行動療法をお願いしますということを言ってこられる方もありますし、心理支援をお願いしますと書いてあることもあります。うちは医療機関ではないけれども、そういう形で実質的には受けているのです。
もう一つ、そのことを考えると、私は生かすといいのではないかと思うのは、ここまで犯罪被害者支援は内閣府がずっと総合的に持ってきて、その中で、厚労の方でも、例えば犯罪被害者に関する研修を精神保健福祉センターとか県とかでやりなさいということが出ていたり、さっきのPTSDに精通した人材を養成しなさいということが、ずっと行われているわけですね。今、両方で持てないところがあるとしたら、せっかく今までなされてきた、そういう犯罪被害者支援についての、厚労の中で行っていらっしゃる、いろいろな試みの成果なども利用するといいのではないかと、ちょっと思いました。これは、私の個人的な印象です。
お願いします。
○ 久保構成員犯給法の中でやるにしろ、あるいは犯給法の中で医療保険の対象外の方に広げるにしろ、結局残るのは専門的な認定の枠組みをどうするか。それがなければ、なかなか具体的に物事は動かないと思うのです。
その場合に、警察庁の御意見だと、組織の中ではそういう機能を有していない、認定する専門的な判断ができる機能を有していないとおっしゃっていますけれども、だとするならば、加藤先生はスイッチとおっしゃいましたけれども、次につないでいく認定というものを、どこが、どういう形で行われるのかというのが、なかなかイメージとしてわいてこないと言いますか、いかがでしょう。
○ 小西座長お願いします。
○ 警察庁長官官房総括審議官先ほどから医師の方の診断書でというお話が大分出ていましたので、それは1つ考えられます。そこがスイッチになって制度が動いていくというのは、あり得ることだと思います。
私どもの希望といたしましては、関係省庁の方々も入っていらっしゃいますので、この検討会で、いろいろな観点でその辺を煮詰めていただくと、私どもとしては今後動きやすいというか、ありがたいと思います。
○ 久保構成員そうしますと、必ずしも認定のための機関というか、枠組みというか、そういうものは必要としないで、ある一定の要件、医師の診断書とか、そういうものが整えば実施は可能であるということになりますか。
○ 警察庁長官官房総括審議官それは、十分な説明ができれば可能であると思います。
○ 中島構成員今のお話の絡みなのですけれども、今、条件としていることは、ほかの公費で賄っていることと比べて非常に厳しい条件を付けているのではないかということがあります。例えば、犯罪被害者に精通した医師というのをどう証明するかみたいな話になってくると、例えば障害年金を書くのも、精神保健指定医じゃなくても、精神科標榜医師が公費としてサインすれば出ていくのにかかわらず、犯罪被害者のことだけ、どうしてここまで厳しい縛りをかけられなければならないのかというのが疑問です。
結局、犯給に関しては、警察庁の方で国の方に、こういう公費で支払うに当たって、どういった基準に基づいて、正しく、必要な方に支払っているかという枠組みが必要なのだとおっしゃっているのだと思います。それに当たり、どこまでの厳密さを求められるかというのが私どももちょっとよく分からない。
例えば、医療に準ずるというのがあったので、私、先ほどかなり細かいことを提言したのだけれども、そういう意味ではなくて、犯罪被害者がこういった治療を必要としていることに関して、ある程度判断能力があることを示せればいいのか。それは、何らかの研修を受けている。例えば、厚生労働省でトラウマの治療研修をやっていますね。それを受けているとか、あるいは警察庁の方が既に契約されているような資格の方であればいいとか、どこまでの基準を求めていらっしゃるのか、よく分からないのです。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長我々としても、具体的にここならできるということは正直言って申し上げられないところでございます。それこそ、こちらで御検討いただければと思っております。ただ、犯罪被害者にだけ厳しくしているとか、そういうつもりは全くございません。現在も医療保険制度の中で重傷病給付金をやっている。これに横並びに考えると、それに相当するような制度が必要なのではないかと思っているのです。
あと、先生が先ほどおっしゃいました精神科医の方の診断書というのは、精神科医の方の権限の中でやっていらっしゃるということかと思いますので、精神科医の方の手を離れた、実際には手を離れていない仕組みにしていただければいいのだろうと思いますけれども、離れたところでやることについて、どういう枠付けがあれば公的な制度ということで納得性が得られるのかというところなのだろうと思っております。
○ 小西座長どうぞ。
○ 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官一般論として御参考になるのか、よく分かりませんが、医療保険制度は医師が保険制度の対象になるかどうかを判断する仕組みになっていますけれども、医療の範囲を超えた制度としては、例えば介護保険制度というものがあって、その場合は、医師にかわる人がいないという前提で、行政機関、市町村が要否の判断をするわけですね。ですから、公的な財源で制度をつくったときに、一般的に必要とされるものとしては、医療保険は医師となっていますけれども、例えば介護保険、障害の制度などもそうですけれども、行政機関が関与して、そこを担保している。
その行政機関が判断するに際して、専門家の意見を審査会などで得るというのはありますけれども、最終的には行政機関が判断しているということですので、今回、議論されている内容が、心理療法が医療にかなり近接しているのであれば、医師ということがあり得るでしょうし、その範囲がかなり広いということであると、医師で十分なのかという議論が出てくるということではないかと思います。
○ 小西座長どうぞ。
○ 松坂構成員警察庁の方とちょっとすり合わせをしてみたいのですが、だんだん議論が整理されてきまして、枠内でやると。枠内でやるのだけれども、既存の制度をそのままというのではなくて、新しい心理療法の現物給付を考えるということを前提にしています。
それで、制度の枠内のことですから、犯罪性を認知するためには犯罪の届け出、被害届けが必要でしょう。これはそうでしょう。これが要件1。
それから、要件2が、今、議論されているところの国家資格を持つ医師の診断書。これは心理療法を必要とする、担保するものですね。ただ、これは医師であれば誰でもいいのかという問題がありますから、私などは精通医師的なものをイメージしていますが、それをどう議論を詰めていくのか。
問題は、この後、質問なのですが、次に、その精通した医師が診断するところまで、公費による心理療法を現物給付の対象として、適切な被害者ですよというところまでなのですが、問題はその診断書をもって、その次どうするかですね。ここは、加藤先生の話につながっていくのですが、宮崎さんのような人にどうスムーズにつないでいくかという話なのですが、そこはさっき小西座長もおっしゃったとおり、精通している医者だからといって、具体的な心理療法、現物給付できる人を押さえているわけではないですね。
そこで私のアイデアとしては、各都道府県警察の公安委員会なのか、警察の直轄なのか分かりませんが、そちらの方である程度の、私の理想論の中に出てくるのですけれども、いわゆる公費による心理療法を提供できる資格者の名簿みたいなものをイメージして、そこに警察の方でつなげていくという制度が、この枠内の法律改正で可能かどうかというところを、ちょっとお聞きしたかったのです。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長法律改正と申しますか、恐らくこれも先ほどの認定の話の中の一環になろうかと思っております。一番最初に来られるのが医師の診断書だとして、その次に来るのが、どなたがやるのかという実施主体の認定を、どういう形で、誰が行うのかということにかかるのかと思っております。医師の方がされるというのも一つの方策かと思いますし、まだなっておりませんけれども、完全に例えばの話でございますが、臨床心理士会なり資格認定協会の方で認定されるというのも一つの方法かと思います。
ただ、警察は外縁を決めるまでの知見がなかなかございませんが、警察が名簿を備えるということも一つあるかもしれないと思っておりますけれども、金の出元がそこまで決めていいのかという話も、またあろうかと、これは個人的な感想としては思っております。
○ 松坂構成員例えば、名簿という言葉を使いますが、各都道府県の県警で名簿をつくるときに、警察庁と厚労省、ないしはその他の専門機関がお互いに情報とか知見を共有し合って、適切な心理療法が提供できる人を各都道府県で誰にしようか。その人に委嘱する。名簿を50人分とか30人分とか10人分か知りませんが、つくるということは可能なのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長結局、どなたが実施主体になられるのが正しいのか。それを周知する手段としては、警察なり、どこかホームページに張るなり、いかようにもあろうかと思っておりますけれども、誰が、どのようにして、どういう基準でそういう方を認定されるのかという、そこになろうかと。
○ 松坂構成員それは、むしろこの検討会にいわゆる専門家の先生が入っていますので、こういう人たちを対象に名簿をつくったらいいのではないですかと提言すればいいわけですね。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長更に、そういうものが制度として裏付けがあるものになれば、使いやすいと思っております。
○ 松坂構成員最後になりますが、一番関心の財源の問題なのです。警察庁所管の犯給法の枠内で、今、私が申し上げたような制度ができ上がるとして、そんなに急激に件数は増えないような気がするのです。要件として、本人しか対象になりませんので。その場合、財源的に、先ほど18億8,000万円という話をお聞きしましたけれども、これを国に対して、折衝によって財源を増やしてもらうことは可能なのでしょうか。
○ 警察庁長官官房総括審議官先ほどの18億円というのは、遺族給付金から障害給付金、全部込み込みの数字でございますけれども、それは新たにカウンセリング給付金みたいな制度を導入しようとする場合に財政当局に対して予算要求するのは当然でございます。ただ、冒頭に申し上げましたように、予算要求する環境というのは年々厳しくなっているというのが実態でございます。
○ 松坂構成員だとすると、それに対する反論ですが、この検討会でそういうことは非常に大事なのだと。したがって、新たな財源も確保して、早急に制度を立ち上げるべきだという意見が出れば、それは非常に有力というか、推進する力になるわけですね。
○ 警察庁長官官房総括審議官それは、是非御提言いただければと思います。
○ 小西座長実際にこの制度を立ち上げるということになると、その予算措置の問題というのは出てくるわけで、もし何かやるとすれば、当然御努力いただかなければいけないのですけれども、そこが実質上、どのぐらいかかって、どれくらい頑張らなければいけないのかというところも含めて、またそれも制度には関わってくるところだと思うのです。
例えば、そういう要素が今後考えていく上で必要でしたら、どのくらい対象になるかということ。多分、マキシマムは簡単に分かると思うのです。そういうことをお示しいただくとか、あるいは実際に被害者のカウンセリングを何回ぐらいやっているのかというのが、うちのケースでよろしければ、終結に至った方、中断に至った方でどれくらいの回数をやっているかの統計はとれると思うので、そういうものを次回にお持ちすることは可能だとは思います。警察の方でも、ある程度具体的なデータを出していただく。ただ、今のこの段階ではちょっと難しいですね。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長犯給制度をにらみながらの議論ということの前提で、ちょっと確認しておきたいと思いますが、犯給制度では、重傷病給付金という制度があり、今のところはこれの類似の制度という形で考えておられるのが基本的なベースだと思います。その場合、重傷病と付いている給付金でございますから、一定の要件がある。勿論、そもそも犯給制度が国民の税金で給付する以上、幾ら犯罪被害に遭っているからといって、すべてを面倒見切れないところからスタートして、こういう形になっていると、基本的な御理解はいただいていると思うのですけれども、財源の話も出てきましたので。
そうした中で考えましたときに、ちょっと分からないところが、先ほど中島構成員から、初期的な対応をするとおさまるようなケースのお話がありました。そうなってくると、想定されているカウンセリングにはいろいろございますので、重傷病給付金と同等の重いレベルになっているので、犯給法の仕組みにならって、それに掛かった費用も面倒を見ましょうという考え方ではない形で考えるとすれば、あえて心理カウンセリングだけを別につくるという合理的理由を見出さなければならなくなると思います。その辺は、どういうふうにお考えであるのか。それによって、規模も全然違ってくるというところを確認させていただければと思ったのです。
○ 中島構成員先ほども重傷病給付と横並びになるという条件があったのは、あくまでも重傷病給付の枠を広げるという点においてのカウンセリングの公費負担という話だったと思います。これが重傷病給付ではなくて、犯給の中ではあるけれども、別の枠で立てるのだとした場合には、重傷病給付と全く同じ水準・基準である必要はないという考え方ができるのかというのを、まずお伺いしたかったのです。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長理論的に全くだめだというわけではないのですけれども、同じ制度内にありまして、同様な形でつらい目に遭っていらっしゃる御本人の負担にお支払いするというところについて、もし変えるのであれば、変える理由を考えていかないといけないことになるだろうと思います。
○ 中島構成員では、それを踏まえてですけれども、2つの考え方があると思うのです。今、室長の方からおっしゃっていただいたように、重傷病に該当する方であって、本来であれば心身の回復にかかっている費用があるのだけれども、たまたまそれが医療保険外であるがために、この制度に入っていない。だから、本来、これが医療保険であったら当然支払われるべきものであったろうという考え方に基づいて、そういう方たちに対しての上乗せとしてカウンセリング費用というものが入るということであれば、これは重傷病給付の枠の中で考えていくことがあると思うのです。
ただ、それについては問題があって、ほかにもいろいろな障害がいっぱいあるのに、カウンセリングだけ特段に抜き出すことの整合性が、もしかして重傷病では若干付かなくなってくるかもしれないことがありますね。そうすると、精神の回復というのは重点課題の一つでありまして、また犯罪被害者からのニーズが非常に高い分野であるという判断に基づいて、心理的な回復については別途枠を設けるのだという考え方もできるのではないかなと思います。
その場合には、勿論公費ですから、制限のないということは難しいと思うのですけれども、例えば今、重傷病で限定されているのは、精神科については3日の労務不能というものです。労務不能かどうかは別にして、この方が精神的回復に必要であるという診断ぐらいで許されるという考え方もできるかと思うのですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長現在、重傷病給付の精神疾患につきましては、加療1か月以上かつ3日以上の労務不能ということになっておりまして、これは現実の実態を踏まえた上で、精神疾患の方は、入院されないことが多いけれども、入院されるようなものと比較しても、これぐらいであればということで、この形になっているところでございます。であれば、カウンセリングについてどうするのかというところを、また実態に照らして考えていかせていただくことになるだろうと思っております。
ですので、普通の精神疾患の重傷病給付と違う何かがあるのかというのは、また少し細かく考えていかなくてはいけない。同じように、加療1か月、3日間労務不能で行くのか、もう少し違う書き方をするのかというのは、実態に照らして考えるということになろうかと思います。
○ 小西座長太田構成員、どうぞ。
○ 太田構成員私も、遺族給付金、障害給付金、重傷病給付金というのは、それぞれ同じものを対象にしているわけではないので、新しい心理療法給付金みたいなものをつくった場合でも、全く同じように組まなければいけないという理屈の方がむしろ分からないということが1つと、それから、心の傷というものをあまり軽視してはいけないのではないか。要するに、物理的な怪我の場合には、本当に軽いものからものすごく重いものまで幅がありますけれども、心の傷というのは、目に見えないがゆえに軽く評価されてきた時代がありました。だからこそ今は重要な問題だとされているとすると、カウンセリングにくるぐらいの心の傷というのは非常に重いものだと考えられます。
とは言っても、それこそ殺人とか重大な被害を受けた家族の方というのは、多かれ少なかれ、大きな精神的な被害を受けているわけですので、全部というわけにいかないとすれば、それは政策的な判断で何らかの制約をどういう形で規定すればいいのか。制度設計はいろいろあろうかと思いますけれども、例えば何回以上のカウンセリングが必要かとか、できるかどうか分かりませんけれども、そういう制約をつくることは別に大きな問題ではないだろうという気がします。
ただ、私は、上限の方をどうするかというのは、一応議論しておく必要があるだろうと思います。と言いますのは、重傷病給付金の場合も上限があるということですし、こちらもカウンセリングがずっと長引いた場合、どうするかを考えなければなりません。給付金の方で、ニューヨークの場合はずっと給付できるという制度になっているために、現在の仕組みだと、1年後に申請して、また1年後に続いていますから申請といったふうにやっていくと、現在の犯給制度の中ではやりにくい点がある。
それから、これぐらいのところである程度ケアできるのだというのを、実際のケースで御紹介いただいて、それを標準として、例えば何回までとか、1年までという制度設計をしていくという議論はしておく必要があるだろうなと思っております。
○ 小西座長ありがとうございます。ちなみに、ちょっとだけお答えしておきますと、被害に遭った方で、うちに来られて、終結・中断になった方の平均回数は、15回前後でした。だから、10回とか20回という回数が標準的なのかなと思っています。
○ 中島構成員カウンセリング給付という制度をもし設けるのだとした場合、私のイメージでは、重傷病の枠の中で治療をする人たちをどこかの機関に委託して診査してもらうというのは、どうも制度上なじまないのではないかと思ったのですけれども、心理カウンセリング給付というものが別枠であった場合、さっきの例で挙げていたように、臨床心理士の協会の方で臨床心理士の研修会などを行っていますので、そういった機関に委託して、そういう人たちのリストを出してもらうというのは可能性があるのではないかと思います。
というのは、公費という枠だけで考えた場合、例えば裁判員制度において、裁判員で精神的に不調をきたした方のカウンセリング料を公費で払っていますけれども、カウンセリング提供者については別に国家資格者に限定されているわけではなく、たしかどこかの機関に委託されている事業であったと思いますし、先ほども厚生労働省からお話がありましたように、公費という点で、必ずしも国家資格がある者が認定しなければならないということでないとすれば、例えば警察庁が今までの犯罪被害者支援に対する実績を踏まえて、審査につきまして、ある機関に委託するという可能性はあるかどうかということをお伺いしたいのですが。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長裁判員になった方へのカウンセリングのお話が出ましたけれども、警察としましても、同様の考え方でカウンセリングに取り組んでいます。今も外部の臨床心理士の方に県警の方から委託しておりまして、それに基づいて公費もお支払いしているところでございますので、予算について、すべて公的資格がないとだめだ、国家資格がないとだめだと言っているわけではございません。そういう意味では、裁判員になった方へのカウンセリングの場合と別に変わるところはないと思っております。
ただ、制度として行う場合に、どういったものに支払うべきなのかというのを、何かしらの形で書かないといられないわけでございます。犯罪被害者のお役に立つカウンセリングと書くだけではおさまらないことになりますので、どういったものについてということを書いていく必要があるということかなと思っております。
○ 小西座長ここまでの議論を聞いておりますと、いかに警察に安心できる制度と言いますか、ここではこちらで決めるという形で投げられるわけですけれども、どういう形で安心できるのか、どういう形なら満足されるのかという案が複数の構成員から出ていますが、いま一つ見えてこないために、提案もさまざまです。どこまで可能性があって、どこがだめなのか、私たちに余りはっきり見えないのです。その中で、単に認定はできませんと言われて投げられてしまっても、今ここで何か議論を詰めるというのがなかなか難しいですね。
警察の方で何らかの、ちゃんと安心できる仕組みが欲しいし、後押しも欲しいとおっしゃるのは、すごくよく分かります。勿論、そういうことがないと、今の状況の中で新しいことをやっていくのはとても難しいと思います。できたら、そういうことをしたいのですけれども、その具体性が今、見えない感じがするのです。例えばここでこういうことを議論しほしいとか、あるいはこのことについてはこうなのだということが、何回か松坂構成員も言われていたと思いますけれども、そういうことがあればもう少し言っていただけるといいのかなと思うのです。
○ 警察庁長官官房総括審議官今、私どもに特段の考えがあるわけではないので、それをここでお示しするというのは非常に難しいのですが。もしあれでしたら、各構成員の方々から、こういう制度というのはあるべきじゃないか。それは、例えば重傷病給付金の一つの種類としてのカウンセリングを主として想定されるのか、それとも新たにカウンセリング給付制度みたいなものを導入されるのか。いろいろなお考えがあると思いますが、こういうものがあるべきだというものを構成員の方からお示しいただいて、私どももそれについていろいろ御意見を出させていただくというのはあるのかなと思うのです。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官構成員の方から御意見をいただく前提といたしまして、今まで若干かみ合っていなかったなと思っております。もし構成員のお考えをお示しいただくという流れでいくのであれば、何のカウンセリングに公費を付けるのだというところを明らかにしていただいた方がいいのだろうと思います。
医療に準じるカウンセリングなる概念があるのか。それが、先ほど中島先生がおっしゃっていたように、本来、保険診療の点数が付く療法なのだけれども、たまたま諸事情によって点数が付いていない。療法として、それを限定したカウンセリングの公費負担の制度を考えればいいのかということ。あるいは、そうではなくて、誰かが認定したカウンセリングというばくっとしたものとなると、認定者をどう限定するのかという話になるのだろうと思うのですね。
それが、重傷病に匹敵するだけの非常に重篤症状を示している人に対してだけのカウンセリングの話なのか、あるいはそこに至らない、どちらかというと予防的な意味でのカウンセリングということを制度設計しなければいけないのか。それによって、犯給制度の中でも新しい制度にしなければいけないのか、あるいは重傷病にプラスαの保険外の認定をどういうふうにしていくのかという制度を仕組めばいいのかという境が出てくるのかなと思います。
○ 小西座長ちょっと私の方から質問なのですけれども、重傷病給付金というのは、基本的に保険医療に関わるもので、ここの上には乗せられないということは、もう確認されたと思うのですね。ですから、今の議論というのは、心理カウンセリング給付金の新しい制度を創設するに当たって、重傷病給付の補完的なものと考えていくのか、その性質の問題ですね。
そうではなくて、精神的損害について回復の支援をしていく。例えば、今までいろいろな調査の中でカウンセリングが必要ですかと、無限定的な聞かれ方で聞かれているカウンセリングというものがありますね。そういうところで広くとらえていくかと考えていいですか。その2つで、在り方が違ってくるというお話ですかね。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官認定の仕方は、少なくとも相当変わってくるであろうと思われます。そもそも医師がどれぐらいばくっとしたものについての診断書が書けるのか。医師の資格のできる範囲というのも、ちょっとよく分からないのですけれども、医療という概念におさまる範囲が、医師が診断書を書ける範囲なのではないか。
その辺は、私、専門ではないので分からないのですが、医師の診断書による担保という形で行くとした場合は、おのずと限定があるような気もいたしますので、何のカウンセリングを公費負担しようとしている制度なのかというのは、やはり固めていただいた方がよろしいのではないかと思います。
○ 小西座長何のというのは、何のためのですか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官どのような。
○ 小西座長内容ということですかね。では、先ほどから3つ言っている、内容についてのところのということですね。
まず、重傷病給付金の拡大という形では無理だということは、皆様共通の理解でいいですね。では、その内容について、お願いします。
○ 中島構成員今までの警察庁の話だと、私はそれが無理だと言っているように聞こえないのです。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長まだやりようはいろいろありようかと思いますけれども、重傷病給付金の中の加算金にするという形も可能かもしれませんし、あるいは重傷病給付金の中に、医療費ではない、準ずるものを入れ込むということも、もしかしたら可能かもしれません。今までに言う重傷病給付金の中の医療費負担とは違うというのは、それはおっしゃるとおりかもしれませんが、重傷病給付金の枠から必ず出るかというと、そういうわけでもないと思っております。
○ 小西座長そうですか。そう言われると、余計混沌としてきてしまいますが。
○ 太田構成員少なくとも医療保険の外に出るということ自体は、新しい制度なので、それは別に名前を付けるのか、重傷病給付金を拡大するのかというのは、問題として大きいことは大きいのですけれども、現在の医療保険を前提とした重傷病給付金の中でできない部分があるので、そこにプラスαするということを別の名前にするのか、重傷病給付金の加算金にするかという違いですね。だから、現在の枠の中でできないことはできないわけですね。
○ 小西座長現在の重傷病給付金制度の中でできないことは、みんな確認していると。それで、外に出方はどういうふうに出るかは、これもまたちょっと不明な点があります。それは置いておいて、既存の制度とは違う制度であるという上で、どういう形で認定するか。もし広くやるのであれば、認定制度というのをどう考えるか。申し訳ありませんが、この2つのことをセットで御意見をいただければと思います。それについては、今、出しておかないと後が難しそうなので、よろしくお願いします。はい。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長今の関係で私が確認したかったのは、カウンセリングの中で重傷病給付金の概念があって、重傷病給付金を受けられる程度の大変な目に遭っている方と同等の方ならば、同じように面倒を見てあげなければいけないでしょうというのは、制度を説明するのに割とやりやすいやり方です。
ですが、それとは違う部分のところまで面倒を見ようとしますと、犯罪被害者給付制度は、かなりの被害をこうむっている方を一定程度軽減しようとなっているものですから、重傷病という、どこまでそれが準ずるのだという難しい議論はありますけれども、そうじゃなくて広くカウンセリングをという議論は、どちらかというと現物給付として別途議論された方がいいのかなと、私自身は個人的には思っています。
そこまでは入らないにしろ、こういう給付をする制度の対象として、比較的初期の段階で、まだ重さも分からないものから全部面倒を見ることは、その立場から言えば、そういうことをすることが被害者にとって非常に意味のあることだということになるわけですが、一方、被害者側は、負担の大きさで、苦しんでいるのですということも必要なのではないか。ただ役に立つというだけでは、多分だめで、一方で費用負担がない部分が被害者にとってかなり厳しいのですというところと合った部分として、そのゾーンはどれぐらいなのだろうか。重傷病に近いレベルだという話になれば、割とそこは説明しやすいと思うのですけれども、そのレベルで考えるのか、それとも今、言ったような部分が、実はかなり問題なのですということであれば、そこのところをよく議論して、ちょっと今までとは違うレベルの話を付けましょうという議論をすることになるのかなと思うのですが、その辺りがいかがなものか、中島構成員から御意見を伺えればと思います。
○ 中島構成員それは、すごく大事なことで、これは検討していないと思うのですけれども、重傷病給付に準ずるということは何を意味しているかというと、精神障害がある人にしか給付しないということだと思ってもらった方がいいと思うのです。医者が診断書を書く。精神障害に準じるぐらいも入りますけれども、鬱病じゃなくても抑鬱状態とか、そういった診断が付く人に対してのカウンセリング。つまり、それは完全に治療的なカウンセリングということになります。
従って重傷病給付に準じる、そして医師の診断書を条件とすると言った場合には、そこまで制限がかかった被害者の方に対しての給付となります。だから、これはある意味非常に納得が行く面であるという言い方もできると思います。
ただ、もうちょっと広く考えると、別に診断は付かなくても、犯罪被害を受けた方が心理的な立ち直りをするというような広い意味で、特に、この場合は非常に急性期ですね、カウンセリングを受けることによって、精神障害になることを予防できるかもしれないというレベルの心理カウンセリングまで入れるかどうかというところが、重傷病給付に準じるか、準じないかというところの大きな違いなのではないかと思います。
財源的に考えたら、重傷病給付に該当するような人に、まずともかく回復してもらわなければならないので、その人たちに手厚くするという考え方に基づけば、重傷病給付に準じるという辺りからスタートしなければいけないとは思います。しかし、むしろそうならないように防ぐことの方が、被害者にとってはもっと利益があるわけですから、診断が付かない段階であっても、ある一定の基準を満たすような心理的カウンセリングを提供できる方のなさるカウンセリングについても、枠を広げることが可能であれば望ましいと思います。ただ、私としては、その辺は財源に依存しているのかなと思っています。
○ 太田構成員重さというのは、それこそ専門医の話を伺わなければ分からないのですけれども、我々が想定しているのは、医師の診断書で心理カウンセリングを受けてくださいという人は、1回話を聞いて終わりでいいというレベルではないわけですね。少なくとも5回とか10回やることを念頭に置いたものなので、それが重傷病給付金と同じレベルではないということを言い始めると、そもそもこの検討会が存在し得なくなってしまいかねません。
多分、そういう対象者を念頭に置いているのだろうと、イメージを私は持ってきたので、医師が診断書を書くのもそれぐらいの人ですね。誰かに話を1回聞いてもらってすっきりしましたという人を対象にするようなイメージで検討してきているわけではないと思いますが、いかがでしょうか。
○ 小西座長私の意見を申しますと、太田構成員のおっしゃるとおりかなと思います。診断名が付く程度の人というだけで、かなり多いですし。
ただ、私がちょっと気になるのは、余りに重傷病給付の方に制度的に寄せてしまうと、これは本来、そこで解消されるべきものなのではないか。今の日本の状況では、例えば診断名が付く人という言い方でもいいですけれども、そういう人たちのカウンセリングというのが行われていないわけですね。お金がなくてやらない人もいるわけですね。そういう人に給付しようという、もともとの最初のところに戻ってみると、それが現在の保険医療の方に余りに寄り過ぎるのはどうかなという気持ちはするのですね。
ただ、実質的には、今、太田先生がおっしゃったように、犯罪被害者の中でカウンセリングをしたいと希望される方のほとんどは診断名が付く人だと思いますし、そこのところで線引きするということが、概念的には当然必要でしょうけれども、人の数は余り変えないのではないかと思います。
○ 太田構成員むしろ問題なのは、ここから漏れた人をどうするかという議論は、別途必ず必要だと思うので、何でもかんでもこれを全部やりましょうということを申し上げているつもりでは、全くございません。
○ 小西座長ほかの方、御意見ございましたら。はい。
○ 松坂構成員結論だけ申し上げておきたいと思います。
今の議論に即して言いますと、重傷病給付金に準じた、ないしはそれに上乗せみたいな制度設計だと、我々が考えている救済が非常に狭まってしまいます。したがいまして、しかるべく精通したドクターの方の診断に、5回もしくは10回程度の心理カウンセラー、指示的な心理療法を必要とする程度の人が救済できるような新たな制度を、その中に盛り込めるような結論を導き出したいと思っています。
○ 小西座長ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。久保構成員、お願いします。
○ 久保構成員重傷病給付の中に心理カウンセリング給付みたいなものを設けるとして、中島先生のおっしゃるように、重傷病給付と同等の厳しいものよりも、やや緩やかな、心理的な治療を必要とする者をかなり広く対象にすることになるのでしょうか。
問題は、その他の早期対応とか予防的なカウンセリング。今、警察がおやりになっているものですが、それを拡充するのはいいのですけれども、それは警察に届けたものだけが対象になるわけです。もう一つの対象として、届けていないものをするのはどうするのかという問題が残ります。現実にはいろいろな医療機関とか、政府のDVの相談機関とか、民間の援助団体といったものが独自に受け入れているのでしょうが、どのぐらいあるのか、現状はよく分かりませんけれども、そういうものをどうするか。それを現在やっている警察の早期対応の中に取り込めるのかどうかということも、ちょっと伺いたいと思ったのです。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長警察における早期、部内のカウンセラーでございますとか、お金を出している民間支援団体とかは、これは別に必ず被害届が出ていないといけないというわけでもないので、幅広くやっております。ですけれども、更にそういう警察と全く触れ合いたくない人に警察からお金を出すというのも、ちょっと難しいというか、どうやってやるべきかというところもございます。今までやっていることについては、引き続きと思っておりますし、財源の制約はございますけれども、充実させてまいりたいと思っております。
○ 久保構成員例えば、民間が独自にやっているカウンセリングの情報を集約できるようなシステムがあって、そうした民間のカウンセリングを警察の早期対応給付の中に、現物給付として認めてもらいたいという申請があった場合に、それを認定というか、取り込めるのかどうなのか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長先生がおっしゃっておられます、民間支援団体でカウンセリングなどをやりますと、これは基本的ただでに行いますので、とりあえずそれで十分なのではないでしょうか。そこから先もということでございますか。民間支援団体が終わった後も、更に。
○ 久保構成員もうちょっと先までつなぐという意味で。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長そもそも民間支援団体が行っているカウンセリングの内容、例えばその人の名前とか内容について警察の方に伝えるということは、民間支援団体にとってはやってはいけないことでございますので、これはなかなかできないのかなと思っております。
○ 久保構成員分かりました。
○ 小西座長ほかにございますでしょうか。
○ 太田構成員そろそろ時間も限られているので、犯給制度の方で何らかの形で制度をつくるとした場合に、そこから漏れる、先生のお話もありましたけれども、被害届を出していない人もありますけれども、被害届を出してあっても、被害者の家族は給付制度の方から漏れる公算が高いですし、自動車運転過失致死の遺族の方も漏れてしまうし、海外で家族が殺された人も漏れてしまう。これを民間の方でやるか、もしくは現物給付のある中でやればいいという方向に行くかどうか。犯給制度でカバーできない人も、もう少しこの辺まではきちんと対応すべきだろうと思います。
私は、何でもかんでも警察でと言うと、何か申し訳ないような気もするのですけれども、そういうところから漏れた人は、さっきお話が出ていたような、警察が委託している精神科医とか臨床心理士、その辺で現物支給がかなりできるような制度を充実させていくところまでは持っていかないと、犯給制度でカバーできる人たちはかなり限られているので、その辺の検討もこの検討会の提言の中にはあわせて盛り込んでいただければなという気がしております。
○ 小西座長家族のことを話せないままになってしまいましたけれども、例えば家族に給付対象を、この制度については広げるという案だったら警察がどうお考えになるかだけ、今の時点で聞いておいて、太田構成員の今の御意見は、また後ほど検討していくということでどうでしょう。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長まだ詳しく検討しているわけでもございませんので、結論というわけでもないかと思いますけれども、家族を指定することになりますと、ではどこまでなのかという枠付けをこれもしなくてはいけないだろうと。それに当たっては、現にどういうような事例があるのかということを踏まえて考えていく必要があるかと思っております。
また、ほかにこれまで家族というものを制度内で扱っておりませんので、どうしてこれが必要なのかということを説明していく必要があるだろうなと思っております。
○ 太田構成員確かに被害者本人に限定した方が制度としてはすっきりしやすいのだろうと思うのですけれども、理論的にこの心理カウンセリング給付金に関して、遺族を含められないということは、法制度的には多分ないと思います。順位に関しては、遺族給付金の順位は、配偶者、子、父母とか、そういう形で範囲は限定している。ただし、遺族給付金の支給を受けた者は除くという形にする必要はあるかもしれませんし、重傷病給付金は本人だけだから、こっちも本人だけしかできないのかどうかということは、ちょっと御検討いただければと思います。
もし、どうしても難しいということであれば、それはほかのところのセーフティーネットで拾えるようにしなければいけないと思いますので、あり得ないものかどうか、規定の在り方とか、ちょっと御検討いただければなという気がしております。
○ 小西座長どうぞ。
○ 松坂構成員今の点なのですけれども、多分この検討会での議論は、最初の30分でやったところに戻るのですが、あるべき姿とすれば、本人に限定すべきではないという議論が大前提で議論したのだけれども、冒頭の議論によって、それは理想論として分かるけれども、時間もないし、具体的に現実可能な線で行くとどうなのでしょうかということで議論したとすれば、多分、警察庁が差配できるような話ではないのだろうと思います。犯罪被害者、ここで言うのは本人に限定されていくのでしょうし、ほかとの平仄を合わせると。
ですから、むしろそれはとりあえず現実可能に早急に提言できるところと、長期的に2年後、3年後に実現できる、第2段階の準実現可能な提言と、そんなふうに2段階で議論していくということになるのかなと。その中に、給付対象者として本人以外の家族とか遺族とか同居の親族という議論が入ってくるのかなという気はしますね。私は理想論ですから、先生と全く同じ考えなのですけれども、残念ながらそういうことにならざるを得ないのかなという気がします。
○ 加藤構成員ただ、重傷病給付金とは別枠の新たな給付をつくるというときの理屈としては、精神被害ということに着目すれば、あながち家族を最初からこの枠組みではだめだということにはならないような気もします。
○ 太田構成員私もそう思うのです。ただ、遺族給付金の受給を受けた人をどうするかという調整は必要かなとという気がします。遺族給付金が使途を限定せずに支給している関係で、その支給を受けた人もこれを申請して受給することの必要性が、勿論、いろいろなことで使ってしまいました、必要ですということであれば給付すべきだとなるのですけれど。
私は、できると思っているのですけれども、松坂先生がおっしゃるように、私も、家族も公費負担の何らかの形でどこかでカバーできるようにしておくべきだと思うのです。だから、給付金でできないならば、2段階目のところで必ず拾えるようにしておく必要があると思います。
ただ、その中で、もし家族を含めた場合に、遺族給付金との関係をどうするかとか、その辺の規定がちょっと複雑になるので、そこの警察の御意見をお伺いできればと思います。だから、あり得ないわけではないと思っております。
○ 小西座長今の皆様の御意見で、そういうことも考え得るということであります。
そろそろ時間になってきまして、しかも大変密度の濃い議論をずっとしておりまして、だんだん頭も疲れてきましたけれども、これまでのところをちょっと確認させていただければと思います。
まず1つは、この議論の範囲をどういう形で行うか。さっきのお話で言うと、届け出あり、届け出なし、さまざまな被害者にどういうふうに当たるかということですけれども、恐らく全員が広い範囲の被害者の支援を目指したいと、そこは変わらないと思いますし、そういうところにニーズがあるということもよく分かっていると思います。
ただ、今の予算の状況、さまざまな状況から考えまして、具体的に何か進めるとなると限らざるを得ない。その限らざるを得ないところで、犯給の内側で議論しよう。その犯給の内側で議論するということの中でも、例えば重傷病給付金の拡大という案もありますし、カウンセリング給付金の新設ということもある。全く新しい仕組みの創設ということもあり得るわけですけれども、基本的には重傷病給付金は医療保険が大きく関与しているものですので、ここの中では扱い切れないだろう。それに延長する形になるのか、新設かは別として、その中のものとしては扱わない。
それから、皆様の御意見を伺っていますと、少なくともそこに専門家としては医師を関わらせるということが現実的であるということについては、御了解、共通の理解があると考えます。
それから、今の家族の問題も本当に必要性の高いものだと思いますけれども、これについては、今のところ可能性がないわけではないというところで、今日のところは、話をここでペンディングにしておかざるを得ないのかなと思います。少なくとも家族の問題について、何らかの支援の方策を提言の中に書くということは、恐らく皆様共通で思われていることだと。
この提言の内容について、今すぐに実現できるものと、それからある程度の期間が必要なもの。あるいは、ちょっと違う言い方かもしれませんけれども、何らかの程度を付けることが必要であろう。その中で、今すぐできなくても書かなくてはいけないことがあるということは、これも共通の理解と考えます。
もう一つ、ここから先に議論を進めるのに、実際にどれくらいの予算が必要で、どれくらいのニーズがあって、どのくらいの範囲、何回も出てきましたけれども、内容・対象というものが想定できるのかということについては、これも資料を出しながら、また考えるということが必要になる。
一まず、今日のところは、こういうことで確認しておきたいと思いますけれども、それでよろしいですか。もう少し詰めた方がいいことはありますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官ありがとうございます。恐らくその方向で、犯給制度の中でどういう泳ぎ方があるのかということにつきましては、結局、認定のところが残ってしまう。こういうカウンセリングを公費負担にしましょうねという判断に医師が関与する。では、どういう医師なのかとか、医師が書けば何でもいいのかという部分が残ってしまうかと思います。
これにつきましては、引き続き警察庁と、場合によっては厚労省等の知見をおかりしながら、どういった形で関与できるものなのか、あるいはこういう認定ができるものなのかというのは、小西先生、中島先生の御知見もおかりしながら検討を続けていかないと、恐らく警察庁さんの方が犯給制度で仕組みがそもそもつくれないということになろうかと思いますので、そこのところは引き続きのペンディング案件として引き取らせていただきたいと思います。
○ 加藤構成員それに関連して、既にひょっとすると警察庁から資料が出ているのかもしれませんが、A県の宮崎先生のように、各都道府県で心理カウンセリングを委嘱している対象の人たちというか、何人もいらっしゃって、実際に従事している方は少ないのかもしれませんけれども、そういう数字とか、宮崎先生は臨床心理士だったと思いますけれども、ドクターも入っているのか、都道府県によって濃淡があると思います。そういう資料があれば、それをお示ししていただくと、少し具体的に考えることができると考えます。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長以前に人数だけは御説明したような気も若干いたしますけれども、またその点は御説明申し上げるようにいたします。
○ 太田構成員都道府県のデータもあった方がいいですね。ある県はたくさんいるけれども、この県は少ないということも知りたいので、もし都道府県別の情報まであればお願いします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長調整調製いたします。概括的に申しますと、部内のカウンセラーがいるところでは外部が少なかったり、部内のカウンセラーがいないところでは外部の方を多くしたりという傾向は若干ございます。
○ 加藤構成員部内の臨床心理士の方がカウンセリングをやっておられるのですね。それも分かれば、その資料も一緒にお示しいただくといいのかなと思います。
○ 小西座長具体的に見ていくためにも必要だと思いますので、是非お願いいたします。
まだ詰まっていないところもありますし、ある程度明確になったところもございますけれども、今回の御議論を整理した上で、次回までに構成員の方々にお見せできるような、また意見の提出をいただけるような形で、要するに原案として私の方で案を準備したいと思っております。今後の提言に盛り込むべき事項も、多分、今日出た以外にも皆様あるのではないかと思いますので、事務局の方からも改めて御意見を募っていただきたいと思います。大分仕事が多くなるかもしれませんけれども、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、最後になりましたが、第8回検討会の開催について事務局より説明をお願いいたします。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官一番最初に資料1としてお示ししましたように、次回第8回検討会は、9月24日を予定してございます。時間は、同じく10時から1時程度の幅を見ております。2か月、間がございますので、その間に先ほど引き取らせていただきましたようなところも省庁間でも詰めたいと思いますし、また皆様方に御質問させていただくこともあろうかと思いますが、御回答の方、どうぞよろしくお願いいたします。
○ 小西座長ただいま、第8回の検討会の検討予定事項の御説明がありましたけれども、また御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、ちょっと早目に終わったのが意外ですが、これをもちまして第7回犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会を終わります。
本当にお疲れ様でした。どうもありがとうございました。

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