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第6回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」
議事録

○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)そろそろ時間ですので開催させていただきます。では、小西座長、よろしくお願いします。
○ 小西座長本日は、お忙しいところ、またお足元の悪いところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
ただいまから、第6回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を開催いたします。
まず、議事に入ります前に、人事異動により新しく本検討会の構成員となられた杵淵智行内閣府犯罪被害者等施策推進室長から、一言ごあいさつをいただきます。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長5月11日付の人事異動によりまして内閣府大臣官房審議官、併せまして犯罪被害者等施策推進室長を命ぜられました杵淵でございます。犯罪被害者等施策推進のために努力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○ 小西座長今年は何らかの結論を出していくところで室長がお変わりになられましたけれども、是非変わらずよろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日は第6回の検討会ということですが、本日の議事について事務局から御説明願います。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)議事の御説明と配付資料の御説明を続けてさせていただきます。
まず、議事次第をご覧ください。本日は、第5回、前回に今後の議論の論点案として提示させていただきましたものを、その後、御意見を伺いながら修正してきたわけですが、それで固まったもの、論点リストに沿いまして御議論いただく予定でございます。その固まった論点自体については、資料1としてお配りしております。
この論点に対して御意見を頂戴いたしました。それをこちらの方で簡略化してまとめましたものが資料2。資料2の前提としていだたきました御意見が資料3でございます。3-1から3-6まであるはずでございます。
なお、論点のリストを固める前に論点案の段階でいただいた修正意見の中に、実質的には論点自体への御意見という形でいただいているものもございましたので、これを参考資料としてまとめております。太田構成員からいただきました御意見が論点修正案への御意見の中に含まれておりましたので、こちらの方に編綴してございます。
また、第5回で論点を作成する前提として承りました御意見の中にも、やはり参考となる視点が多々含まれていたかと存じますので、第5回のときに提出させていただきました御意見のまとめを一応本日の参考として机上に置かせていただきました。この分につきましては、前回の資料となっておりますので、第6回分の資料として公表する中には含める予定ではおりませんので、御了承ください。
私の方からの説明は以上です。
○ 小西座長ありがとうございます。それでは、前回までの検討会において、犯罪被害者等に関する心理療法の現状について、ひとまず現状を把握し、心理療法の必要性、有効性にかかわる共通理解が得られたところです。
今、事務局から御説明いただきましたように、前回から論点整理を行い、皆様に御議論いただき、更にその上で御意見をいただいて、本検討会で検討すべき論点として確定させたということです。
本日は、確定しました論点について御議論いただくことになりますが、論点のうちの「公費負担の対象とする犯罪被害者等に対する心理療法」、分かりにくいですが、具体的には「犯罪被害者等」「心理療法」及び「心理療法の実施者」、そういう概念につきまして、まずは制度論としての枠組みに限定をつけずに御検討をいただきたいと思っております。何か最初のきっかけとしてお話をいただくことも必要ですし、どうしても議論するべき対象だと思います。
制度論としての枠組みをつけずに検討をいただくと申しますのは、頂戴した御意見はそれぞれ何らかの制度を前提としておられると思いますが、少なくとも論点検討の第1回目である今回の検討会では、その前提とされている制度が何であれ、「被害者等」「心理療法」について御議論いただいた方がよいのではないかと考えております。
勿論、その場合、お話が対象の問題と制度・枠組論との間で当然行ったり来たりするということは予想されるところです。ただ、本日、とりあえず本検討会で公費負担するように持っていきたい対象範囲を机上に出して並べることができれば、次回はそれを整理し直して、公費負担の枠組みや将来の提言に入れ込む範囲を検討していくたたき台とすることができるのではないかと思っております。
そこで、本日は、まず1としまして公費負担の対象とする場合の犯罪被害者等の限定の基準、及び2としまして公費負担の対象となる心理療法について、主に御議論いただきたいと思います。
それでは、まず資料2「論点検討に係る意見の概要」に沿って御意見を提出してくださった各構成員から趣旨の御説明をいただきたいと思います。それぞれの御意見について、前提として予定されておられる制度や枠組みがあるようでしたら、併せて御説明をいただけると整理上助かりますので、よろしくお願いいたします。
事前に御提出いただいた御意見を伺った上で、各論点について御議論いただきたいと考えております。この御議論の中でも、特定の制度設計を念頭に御意見をおっしゃる場合には、意見の前提となる制度等についても簡単に説明をお願いします。済みません、ちょっと分かりにくい御説明になりましたが、当然前提となる制度がある場合は、それも含めて今日まずその概念について議論しようということでございます。
では、公費負担の対象とする場合の限定の基準(犯罪被害者等)について、皆様から御提出していただいている意見がございますので、加藤構成員から提出いただいた御意見につきまして趣旨の説明をお願いしたいと思います。
○ 加藤構成員まず、前回、小西座長の方から、私の理解ではより現実的な問題提起というようなことでありましたので、私としては犯罪被害者等の範囲というのと今直接かかわりませんが、医療保険の適用拡大というのは、望ましい方向ではあるけれども、すぐには難しかろうということがあって、現在ある犯給制度というものをベースに考えていくべきではないかということで、一応この案を考えております。
もう一つは、私は北海道に住んでいるものですから、プロバイダーの少ないところというか、カウンセリング業務の少ないところも結構あります。しかし、そういうところでも犯罪は発生するわけですから、満遍なくそのサービスが受けられるようにということを念頭に考えております。
1と2の論点に限定してよろしいのですか。
○ 小西座長そうですね。もし、前提としている制度ということがございましたら、そのことも述べていただけるとよろしいかと思います。
例えば、今のお話ですと、犯給の拡大という言葉をいただいたと思いますが、それはこの検討会の中では一つの枠組みの提示ですよね。そういう形で言っていただければ結構でございます。
○ 加藤構成員それで、一応私が考えてきたところを資料3-1に従って簡単に説明していきたいと思います。
犯罪被害者等というのは、最後のページのメモというところに、犯罪被害者とそれ以外の被害者に分けるべきではないかということを書いたのですが、これは基本法と犯給法の被害者等の定義の仕方がうまく接合しているのかなというのが私は読み取れなくて、忘れないためにメモという形で置いておいたものです。犯罪被害者については何らかの形で公費、税金を投入するということであれば、一定の制限を設ける必要があるんだろうと思いますが、DV被害者とか性犯罪被害というようなこともあるので、余り厳格に制限する必要はないのかなと考えております。
それから、制限を設けるとして何を基準とするのかというのは、具体的には届出要件の運用をどうするかということなのでしょうが、中島構成員が割と現在の犯給制度でも拾えない人たちがいるのではないかという御意見を表明しておられて、それにどういう形で答えていくべきかということを考えていったところですが、基本的なスタンスとしては、公費を負担する以上、それを正当化するための客観的な基準というのは必要だろうと思っております。
しかし、罪種に関する制限は必要ないと考えます。それから、損害賠償の受取りの有無等に関する問題は、給付制限規定を設定する必要があるいはあるかもしれない。帰責性の有無による制限についてはどうするのかということについては、理屈は全然持ち合わせませんが、反対と考えております。
それから、交通被害者や警察に相談のない性暴力者等々についてどうかということについては、北海道警のホームページなんかを見ると、署長が必要と認める事件というのは認定をして、ストーカーとかDVとかを被害者支援員制度というもので支援活動の一環として取り上げているということですので、そういう運用というのができないのかなと考えております。
それから、要件を誰が判断するのかというのは、これまで各都道府県警で対応してきたという実績等を踏まえて、更には犯罪被害者に一番近いのは恐らく警察だろうということから、基本的には警察において要件具備を判断する。これに加えて、犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けた団体における相談業務等を通じても、そこから警察に連絡、通報するというようなシステムをとれないのかなと考えました。
それから、前回いろいろ皆様の話を聞いていて、私なりに考えたのは、カウンセリングというサービスというと語弊があるのかもしれませんが、サポーティングとフィルタリングとカウンセリングという三層構造になっているのかなと考えております。まず、犯罪被害者について、恐らくどんなことでもいいと思うんですけれども、何からの支援というのがあって、その中からこの人はカウンセリングにつなげた方がいいのではないかというフィルタリングがあって、最終的にはカウンセリングにつないでいくという形になるのではないかというふうに、そういう三層構造で考えると、先ほども冒頭に述べましたが、第1次的には各警察にどういう形でどういう密度で配置するかはさておきですが、臨床心理士の資格取得者等を配置して対応する。日常業務の一環としてサポーティング・サービスを提供し、そこに合わせて犯罪被害者等の早期援助団体の指定を受けた団体もその業務を担当する。そのサポーティングの中で、できればということですが、臨床心理士というものが精神科医や、より専門的なカウンセリングの必要性を判断して、そこのフィルターを通った人たちに対して犯給法、あるいは医療保険プラス公費負担で対応するのが理想なのかなと考えております。
ただ、ここのカウンセリングの問題は、カウンセリングを提供できる有資格者の数であるとか、臨床心理士の国家資格化の問題であるとか、保険適用への可能性という問題があるでしょうから、公費負担医療を直ちに適用を拡大するという形で実現していくということについては、私は実現可能性は低いのかなと考えています。
あと、心理療法につきましては、私は専門外でありますが、一定の限定を加えるということについては疑問です。かといって、広範囲に認める必要性はないとも言えますけれども、こういう心理療法に限定するんだということによって、治療の範囲が限定されたり、治療効果が阻害されるということは避けるべきではないかなと考えております。
あとは公費負担のシステムですが、ここは理念論ですけれども、どこでもそれなりのサービスが受けられるということで、地域的な偏在は避けるべきで、できるだけ普遍的な支援網の整備ということです。ただ、拡充か創設かという論点もあったと思いますが、支援することに異論はありませんが、限られた財源をどのように投入するかということについては、なお議論があるのではないかと思います。
それから、最後に8行あたりにわたっている文章は、第1段落は医療保険の適用範囲を拡大するというのは、正論というか、最終的にはそこを目指していくべきで、最終ゴールだとは思いますけれども、直ちにそれで対応できるということにはならないのではないかということです。だとすると、犯給法に基づく公費負担という形になっていくと思いますが、現行の重傷病給付金については保険診療の適用が前提となっていますから、心理療法を手厚く提供しようとすると、医療保険の存在を前提としない新しい給付類型、例えば心理療法給付というような形の給付のセッティングというのが考えられるのかなというのが今のところの私の雑駁な考え方でございます。
○ 小西座長加藤構成員、どうもありがとうございました。お1人伺っただけでも、例えばDV防止法やストーカー規制法との関係ということもあったりして、いろいろございます。今回は、まず皆様方、構成員の方がどのようにお考えかということを伺っていきたいと思いますので、とりあえずそれぞれの方に趣旨を説明していただきたいと思います。
では、次に松坂構成員、お願いいたします。
○ 松坂構成員私の場合は、まず基本的なポリシーは、実際に被害に遭われてカウンセラーを必要とする方の立場に立ったときに、どういうふうな制度設計をしておくのが使い勝手がいいものなのか、そういうイメージの中で考えたものです。
まず、おおむね犯罪が発生し、被害者がそこに発生し、ということをイメージしながらポンチ絵風に言葉で言っていくと、まず犯罪が発生します。ここでは、犯罪被害者としてカウンセラーとして公費負担するための犯罪は何でもいいのかということを議論しなければいけません。私は、ここは制限を加えるべきだろうと。例えば、極端なことを言えば、窃盗罪の被害者、明らかに国民の目から見て、カウンセラーを必要とすることが想定されないような犯罪、そういうものは最初から省くべきだろうと。
次に、その制限をクリアして、犯罪被害者が観念的には特定しますね。その方と、死亡事件であれば遺族ということもあると思いますが、いずれその方々を主人公にしたときにどうなればいいだろうかと。
私のイメージだと、例えばインターネットで2回か3回クリックするだけで、そういう方はカウンセラーが国費で受けられますよというインフォメーションがすぐ出てくると。では、どこに行けばいいんだと。さっき、加藤先生がおっしゃったとおり、いわゆるカウンセラー過疎という問題も出てくると思うんですね。そうすると、北海道であれば札幌初め、中心都市には全部ありますよと。例えば、網走であれば網走には3か所のこういう機関、施設、クリニックがありますよと。そんなイメージです。
次に、その人たちをどうやって選定していくんだと。それは、私のメモにも書いておきましたが、何らかの認定制度が必要かなと。これは登録制度になるのか、認定制度になるのか。間違いなく医師、臨床心理士は資格要件があると思うんですが、それ以外にどういう資格を有する方を入れるか。また、医師であろうが、臨床心理士だろうが、犯罪被害者に対する対応にある程度精通していただかないといけないので、そのあたりの問題をどうクリアするのか。一、二回研修を受けていただくだけでいいのか、ないしはマニュアルをお渡しして読んでもらうだけでいいのか、そんなことを考えてみました。
次に、例えば今網走にいる方が被害者になったと。網走には4か所該当する登録されているクリニックがあったと。その中の1か所に行ったとします。行った場合には、そこで仮に臨床心理士なり、精神科の先生がクリニックで担当していただいたとしたら、その先生がその被害者の方を診察して、いわゆる犯罪被害者としてカウンセラーを公費で受けられる方なのかどうかの判断をしていただく。その場合には、当然制度設計がないといけませんから、例えば一定の犯罪の被害者であること、それからこれは中島先生のレジュメにもありましたけれども、ある程度のカウンセラーを必要とする医療上の必要性の判断などなどが多分審査対象になるのかなと思います。それをクリアした場合にはオーケーということになります。それに該当しない場合には、その先生の判断で、あなたはちょっと対象になりませんと。こんなイメージです。
次に、それを診断上クリアした場合には、あなたに対しては制度設計されたカウンセラーのサービスが国費で受けられますと。それが今度はどういうカウンセラーが受けられるのかどうか。これは大体20回程度を上限として、あとは現場の先生の判断で、10回で終わる場合もあるだろうし、20回目いっぱいする場合もあるだろうし、そんなイメージです。
次に、ある程度国費で賄われるカウンセラーが終わったとしたら、その都度かもれませんが、費用の請求をどうするんだと。これは、カウンセラーを担当した医療機関、ないしはクリニックから、後で議論になるでしょうけれども、しかるべき機関、これが新たに新設される機関なのか、それとも既存の例えば警察庁のどこか出先なのか、ないしは警察庁が認定した一定の、網走であれば網走の犯罪被害者支援センターのような団体をイメージするのか、それは今後議論が必要でしょうが、そんなところに国費を支出する権限を与えて、クリニックの方ではそこに請求すればそこからお金が振り込まれる。こんなイメージです。ただし、場合によっては、クリニックの審査が甘くて、実態がいないのに違法な請求が行われる場合があるでしょうから、お金を支出する機関にはある程度の調査権限を与える。こんなイメージです。
最後に、国費を支出した後で、この国費を犯罪被害者本人に償還請求するのかしないのか。これは当然しない。そうでないと、犯罪被害者を救済するという制度趣旨を没却してしまいますので、とりあえずは償還をしない。こんなイメージです。
あとは、私の資料3-3に戻って補足しますと、資力要件とか帰責性については、警察庁の御意見にもあるとおり、それを要件とすると、簡単に救済できる制度にしなければいけないのに、かえって制度が活用、運用が難しくなってしまう。したがって、入り口は緩やかにしておくというのが私の考えです。すなわち資力要件は設けない。それから、帰責性についても問わない。
あと、私は医療保険制度の拡充というところで、カウンセリングの点数を増やしたらどうか、臨床心理士を国家資格化して保険の対象に加えるという改正をしてはどうかということを書いてありますが、これはもし新たな制度がつくられなかった場合にはという場合の話ですから、新たな制度がきちんとつくられるのであれば、このような改正は不要ということになります。
取り急ぎ、以上です。
○ 小西座長松坂構成員、ありがとうございました。それでは、資料の順番と違ってしまって申し訳ございませんが、次に中島構成員、お願いいたします。
○ 中島構成員私の方は、資料3-2というところで意見を出させていただきました。それに従って簡単に御説明いたします。
まず、公費負担の対象とする犯罪被害者をどのように決めていくかいうことですが、一応制限とありますけれども、基本的にはこれは犯罪被害者等基本法に基づく施策ですから、当然犯罪被害者等基本法の基準で考えるのが望ましいと思います。そうしますと、第2条に犯罪等により被害を被った本人と、そこで家族を含むと書いてございますので、当然家族・遺族も対象となると思います。また、犯罪等について、特に刑法犯罪と限定しておらず、広く心身に有害な影響を及ぼす行為というふうにされておりますので、実際には被害者全部をカバーする基準であるというふうに私は考えております。まず、ここを最初の前提とする。しかしながら、結果として財源でありますとか、当然被害者本人が優先的に支援を受けられなければなりませんから、金額がどのぐらい用意できるのかということになってくると、ここで制限が入ってくる可能性はあると思います。
公費負担がどのような制度によって行われるかということで、ここがかなり影響すると思いますが、もし犯罪被害者給付制度を使いますと、現在の給付制度の対象者に限定されてしまうというところがあると思います。ほかの給付の内容にもかかわりますから、ここだけ拡大というのは恐らく難しいだろうと。そうしますと、結果的に警察に届出をした被害者を中心にということになりますし、家族が対象にならないということになります。
そうすると、先ほど言った広い被害者を対象とするためには、別途、支援する制度が必要になると思います。済みません、私、損保預託金と書いてしまいましたが、預保納付金ですね。振込詐欺による基金のことでございますけれども、そういったものが現在被害者向けとしては用意されるものだと思いますので、それらを活用して、警察に相談できない被害者、あるいは家族に対する支援が行われるような制度を別途つくるということになるのではないかと思います。
先ほど言いましたように、ただ中核となる被害者が支援を受けられないということがないように、ある種の優先的な順位というものが、もしかすると必要になってくる可能性はあると思います。
基準としては、そういう広い被害者であり、なおかつ、これは心理カウンセリングについての制度ですから、当然心理カウンセリングは必要であるというようなことを要件としたいと思います。
この心理カウンセリングが必要であるということについて、誰が判断するかということですが、これは実際に被害者の相談に乗った心理職、あるいは医療職が判断するのが望ましいかと思います。海外の調査をしていただきまして、ニューヨーク州ではそのように医療者、あるいはカウンセラーがそういった判断をして、また被害につきましても特段警察の届出ではなく被害者の申告によってということだったと思いますので、そういうような形でもできるのではないかと思います。
資力要件等につきましては、先ほど松坂委員からもお話がありましたように、余りそこで複雑なことを入れてしまいますと、判断するのが難しくなってくると思われます。また、特に損害賠償についてはすぐ支払われるものでもございませんので、早期の援助をしようと思った場合に、それを要件に入れていると、被害者がなかなかお金を受けられないということになると思いますので、余りここを制度として制限を設けるというのは望ましくないのではないかと思います。
どのような心理カウンセリングを提供するかということですが、専門家の立場からいっても、この精神療法とかこの心理療法というふうに制限をつけることはできないと思います。新たな心理療法が開発された場合、またそれを一々制度を改正して付け加えるのかというのは非常に難しい。したがって、精神医療、あるいは心理カウンセリングの専門職が提供するものを広く心理カウンセリングというふうにとらえてしまった方がよろしいのではないかと思います。
その資格ですけれども、現状、国家資格としては医師です。医師も精神科だけではありません。心療内科、小児科なども心理カウンセリングを提供していると思います。あと、医師と協力して、例えばデイケア等では看護師や精神保健福祉士が行ったり、あるいは保健師が訪問するということもありますから、こういった国家資格については恐らく余り問題がないと思われます。問題は、臨床心理士であるとか、今実際に性被害者のカウンセリングを行っているフェミニストカウンセラーのような、いわゆる国家資格でない人たちが提供するものをどうするかということです。
これについて、例えば臨床心理士だけを特化するとなると、ほかの心理士を養成している学会、団体等から不公平感が出ると思いますので、国家資格でないものについては、別途、学会等が代表してこういった基準を設けていて、こういう研修があるのでこれらの資格者をこの制度の対象としてほしいというような申請を行うのが一つのアイデアではないかと思います。したがって、これを判断する機関というのがどうしても必要になってくると思います。
例えば、ある研修を受けた人とすることもできますけれども、その研修が普及するまでに非常に時間がかかりますので、これは今後必要なことではありますが、それを資格要件とするのは望ましくないと思います。
公費負担の限度ですけれども、これも本当に財源によって変わってくると思います。何回というのは結構難しいと思いますので、1人に支払われる上限の金額を定めるということになります。ただ、ここには書かなかったのですが、医療費の自己負担だと負担額が少ないので、大変たくさん受けられるということになるかと思いますので、今の犯給の1年は短いと思いますけれども、もしかしたら年限についてはある程度必要かもしれないと思います。
公費負担については、やはり必要とする被害者に届けられるということが最大のことですので、この制度に当たってできるだけ漏れなくそれができるような制度で考えていった方がいいのではないかと思います。犯給を使う場合にも、現在の重傷病給付ではいろいろ制限がついておりますので、もしかしたらここに挙げましたように、別途、枠組みとして心理カウンセリング給付金のようなものを設置することによって、今まで医療給付に限られていたものを拡大するというようなこともあるかと思います。しかし、先ほどとの繰り返しになりますが、そういうことができなければ、やはりこの制度でカバーできない被害者に対する新たな給付金の制度が必要かと思います。
それに当たって、被害者個人にというのもありますけれども、例えばカウンセリングを行える、あるいは行っている団体に対して現物給付という形をとることもできるとは思うんですが、現物給付には被害者に対するカウンセリングを行っている機関の数が現状は少な過ぎるという問題がありますので、韓国のスマイルセンターのように、実際にそれを広く普及するという制度と合わせないと難しいのではないかと思っております。
以上です。
○ 小西座長ありがとうございました。それでは、太田構成員、お願いいたします。
○ 太田構成員事前に特段意見という形では提出させていただいていないのですけれども、今日、被害者の範囲と心理療法の内容を中心にということですので、その範囲に限定をして、それとのかかわりの中で関係のある制度的な枠組みだけをコメントいたします。
まず、被害者の範囲についてですけれども、被害者本人と遺族は含まれるというのは全く問題ないだろうと思いますが、最初の意見のところにも書いておいたのですけれども、この間の性犯罪被害者からのヒアリングのときにもあったように、遺族でない、いわゆる被害者の方が御存命の場合の家族も相当大きな精神的な被害を受けているというケースがあるということで、そういった話がほかでも報告されているようでありますので、これは被害者本人、遺族、それから被害者の家族、そういうものを含む枠組みが望ましいのではないかなと思います。
それから、罪種による制限ということですけれども、例えば給付制度ですと過失犯は除かれているとか、原則としては親族間、特に特定の親族間内の被害が対象にならないとか、そういった制約がありますけれども、心理カウンセリングの場合はそういう制約はまずいだろうと思います。過失犯であろうと、DVの被害者であろうと、対象にならなければいけないであろうし、それから先ほど松坂構成員の方から窃盗は除くべきではないかというお話がありましたけれども、確かに件数が増える可能性もありますけれども、例えば侵入盗の被害者なんかの場合にも非常に恐い思いをしたり、家に入ったときにどろぼうがちょうど逃げていくときだというようなことがあったときに、非常に大きな精神的な被害を受ける場合もあります。もしくは、お年寄りがひったくられた場合に寝たきりになるというような話もあると聞いていますので、一律に窃盗犯の被害は対象外、心理カウンセリングは必要ないんだというふうに認定してしまうのはまだまずいのではないかなという気がいたしますので、そこら辺は罪種による制約というのは難しいのではないかと思います。
ただ、それこそ実施可能性といいますか、予算の問題も含めて、そういうことから考えますと、制約をしなければいけないとなると、そういった財産犯の一部は対象外にせざるを得ない場合もあるかもしれません。ただ、カウンセリングの必要性という点では、窃盗罪は除くというのは非常にまずいのではないかなという気がしております。
その点で、制度的枠組みとの関係で話しますと、私も以前心理カウンセリング給付金なんていうようなことをお話しましたけれども、たとえ新しい給付制度だとしても、犯給法の枠組みでやるとなると過失犯は除かれるということになってきてしまいますので、そうなると給付金の中で行うのは難しいのではないかなと感じます。これは制度的な枠組みとの関係の中で、また後ほど議論すべきことだと思いますけれども、被害者の範囲という点から考えましても、制度的な枠組みの在り方は考えなければいけないだろうと思います。
それから、被害者本人やその遺族と家族というのが含まれるべきだというのは問題ないと思いますけれども、その被害を受けた事実というのをどういうふうに確認するかという問題が非常に大きいだろうと思います。
要するに警察への被害届ということを要件とするかどうかということであります。犯給法でも別に要件として規定されているわけではありませんけれども、警察が窓口になっていること、公安委員会が裁定機関であるということとの関係で、申請用紙も一般には公開されておらず、警察だけで交付される申請書類になっていることを考えますと、警察に届出をした人だけが対象になっているというふうに考えざるを得ないわけであります。そうなりますと、例えば性犯罪被害の方でも警察に被害届を出していないケースはたくさんあるということを考えますと、被害届というものを事実上必要になるような枠組みというのは、心理カウンセリングの費用の公費負担という点では対象の人が狭過ぎるといいますか、本当に必要な人が漏れてしまうおそれがあるのではないかという気がいたします。
ただ、そうなると、被害を受けたという事実確認をどういう形で行うのかということが問題になります。これは、構成員の方や警察庁の方が御指摘されていますとおりでありますけれども、勿論被害届を出しているという場合にはそれを通じて確認すればいいわけでありますけれども、そうしていない場合はどういう確認をするかという方法が非常に大きいかと思います。どういう形で被害者だということが確認できるかということは、被害者の範囲がどこまでかということにかかわってくるかと思います。警察に届出を出していない人の場合でも、例えば早期援助団体なんかに相談をしている人とか、医師等で相談をされている人が、これは事実確認と言えるのかどうか分かりませんが、事実確認は関係なしに、ある程度の心理カウンセリングということを行えるのかどうか、この辺は医学的には分かりませんけれども、そういう相談に行った先、国家資格を持っているとか、ある程度法的な根拠のある団体などにおいて、ある程度事実確認ができるという形でもよいというふうにするかどうかということがあろうかと思います。そうすると、恐らく現在の給付制度の枠組みとは違う枠組みという必要性が出てくるのではないかなという気がしております。
ちなみに、先ほど中島先生の方から、ニューヨークの方では別に警察に通報していなくてもいいというようなお話がありましたけれども、実はそうではございません。カウンセリングの必要性というのは、医師とかカウンセラーの人たちが判断をしますが、あくまでも被害者補償制度のカウンセリング費用の補てんのためには通報要件が必須になっておりますので、警察に被害を、しかも72時間という一定の時間以内に通報しなければいけません。ただし、性犯罪被害者とか、DVとか、児童虐待というように、必ずしも直ちに通報できないような場合は、医師等の機関で認定されればいいというようなことになっているということが現在の制度だろうと思います。
あと、療法の方も今日のお話の範囲に入っているということだったかと思いますけれども、私は療法の内容から限定するということは難しいので、あり得るやり方とすれば、実施者ということで限定してくる方法であろうと思います。ただ、その場合に、先ほどから問題になっておりますように、国家資格でない者、カウンセラーなんかをどうするかということは、制度の早期実現ということを考えますと難しい面があるのではないかなという気がしますが、だからといって医師だけでよいのかという気もいたします。医師以外の者によるカウンセリングなども公費負担をしていくというのが一つの目標であったとすると、そこら辺をどうするかというのは詰めなければいけない大きな問題だろうという気がしております。
以上です。
○ 小西座長ありがとうございます。ちょっと質問ですけれども、ニューヨークの方で、遅れた場合は医師等の何についての証明があればいいということですか。
○ 太田構成員まず、通報は絶対要件です。これは連邦法が補助金の支給についてそれを要求していますので、各州でも通報要件を規定していないところは、全部確かめたわけではありませんけれども、ないと思います。
ただし、通報が遅れたことの正当な理由がある場合を除くというふうなただし書きがありますので、その場合には裁量といいますか、裁定機関の裁量があるということと、特定の罪種、これは法定されておりますけれども、例えばニューヨーク州の場合には、規定されているのは性犯罪被害者と児童虐待で、DVが入っていたかどうかは今はメモを持っておりませんけれども、これについては病院の方での受診記録といいますか、そちらの方で対応というふうな内容になっていると思います。
○ 小西座長では、その内容についてもということですね。要するに、72時間というのが延びることについての理由というのではなくて、その犯罪事実についての認定ということも医療機関という形なんですか。医療機関の方で、さっきの事実確認という問題にも踏み込んでということなんですかね。
○ 太田構成員事実認定について医療機関で行うという書き方はされていませんけれども、性犯罪被害者と児童虐待については医療機関の方で受診をして、犯罪被害事実について申告すれば、警察に通報が直接行われていなくてもいいという規定になっておりますので、その中にいわゆる犯罪被害に遭ったということの認定が明確には規定はされていなくても、そこに含まれているというふうには考えられるかと思います。
ただし、裁定機関の方がそれ以外の罪種の場合でもしゃくし定規にやっているというわけではなくて、通報が遅れたことについて正当な理由がある場合、例えば入院していて1週間意識が不明だったとか、そういう場合には当然通報が遅れていても構わないということです。
○ 小西座長ありがとうございました。済みません、途中で伺ってしまいまして。
それでは、次に久保構成員からお願いいたします。
○ 久保構成員私の意見は3-4に収録させていただいておりますが、犯罪被害者等の範囲と、それと密接に関連するのではないかと思われる公費負担の仕組み、この2点について意見を述べさせていただいておりますが、今日は公費負担の仕組みを。
○ 小西座長できたら簡略にお示しいただいて、被害者の範囲についてお話しいただければと思っております。
○ 久保構成員それでは、最初に犯罪被害者等の範囲ですけれども、大きく2つに分けて考えたいということです。1つは、現在、全国の警察が中心になって行っている犯罪被害直後の早期回復とか被害軽減のためのカウンセリング、これは専門医や民間団体にも委嘱、委託して行われていますけれども、現時点では極めて重要な位置を占めていると私は認識しておりますので、量的にも質的にも更に充実させる必要があるのではなかろうかと思われます。
その場合の対象者としては、特別制限は設けないで、犯罪被害者本人、家族、遺族等というふうに非常に緩やかにして受け入れているようですので、そういった幅広い救済窓口を確保するという意味で、さらに充実することが重要です。
第2は、更に次の段階のいわゆる医学的、専門的な心理療法と言われているものですけれども、これについては公費支出である以上はカウンセリングの必要性というものを明確に担保する何らかの基準、または制限が必要ではないかと思います。異論もあるかと思われますけれども、事前に提出した件の中で、例示として警察への被害届、公的機関への申請、専門医、指定病院の診断等をあげております。ここは更に議論を深めていただければと思います。
それから、先ほど来議論になっております交通犯罪とか、過失犯、それから帰責性とか、資力要件とか、これについてはやはり考え方はいろいろあろうと思われますので、今後も議論を深めていく必要があると思われます。
そして、第1、第2のケースでも対象から漏れるおそれがあるのは、警察庁の意見や中島先生の御指摘にあるように、警察への届出をしない性犯罪被害者等の被害者をどうするかということです。私もずっと考えるんですけれども、こうしたらいいのではなかろうかという、いい考えがなかなか浮かびません。これを避けて通ると、やはり警察庁が御指摘になっているように、本検討会設置の趣旨からも問題があろうかと思うので、今後の議論を是非お願いしたいということです。
それから、次の公費負担の仕組みについてですが、私が事前に出した意見は、加藤先生が先ほど御説明になりましたサービスの三層構造とか、中島先生の心理カウンセリング給付金の創設のご意見と似たような考え方ではないかと思います。
犯罪被害者等の範囲にも絡むんですけれども、第1段階は、先ほど申しましたように、早期回復とか危機介入を目的とした警察、民間団体の幅広いカウンセリング体制、第2段階は、一定の要件の下で医療保険、あるいは犯罪被害給付制度の対象になろうと思われます。医療保険についてはこれは別の議論になりますので、ここでは触れないで、犯罪被害給付制度について考えますと、御承知のように、医療保険が適用される医療ということが要件になっております重傷病給付金ではなかなかすくい取ることが難しいということで、例えば中島先生がおっしゃったような、心理カウンセリング給付金みたいな制度を新たに、もっと緩やかなものとして新設できるのかどうなのか、その辺を考えてみたい。
この場合は、当然のことながら、犯罪被害者にも常に接している一番近い立場にある警察が実施主体になると思われますけれども、警察だけということではなくて、今、民間が行っている被害者支援ネットワークと連携して、例えば相談カウンセリングのほかに、先ほど申しました幅広い救済、事件直後の救済を目的とした第1段階から、第2段階、つまり医療行為に移行する場合の申請業務とか、あるいは警察に持ち込まれないような相談・カウンセリングを公的な救済制度につないでいくような申請事務、そういったようなものを行ってもらってはどうか。現状では、民間団体の中で組織がきちっとしているところはそれほど多くないので、なかなか難しいと思いますけれども、そういう警察の公的制度につないでいくような業務を連携として分担できないか。
この場合も、では公費負担が適当と誰が判断するのか、あるいは誰が認定するのかという問題が当然残ることになります。これを被害者支援ネットワーク、個々の被害者団体に行わせるのはやや無理があるということで、例えば思いつきみたいなことで恐縮ですけれども、全国被害者支援ネットワークという中央全国組織を強化して、ここに専門性とか組織の強化を図った上で、お医者さん等の専門家をプールして、そういう人たちが公費負担の適格性とか、認定とか、、そういったようなものを行う機関に活用してはどうかと考えたわけですが、これもやはり現状ではなかなか難しいと思います。
私の基本的な考え方というのは、こういう議論が行われている今をおいて、心理療法の公費負担の実現というのはなかなかチャンスはないだろうというものです。その一方で、財政的、あるいは社会環境的にも非常に厳しい状況にあるのも事実なので、できるだけ現在ある資源の活用を図って、それで実現可能な施策、方策というものを探っていけたらなと考えたわけです。
以上です。
○ 小西座長久保構成員、ありがとうございました。それでは、警察庁からも御意見をいただいております。それから、法務省からもいただいておりますので、2つ続けてお願いできればと思います。お願いいたします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長警察庁でございます。資料3-5をご覧いただければと存じます。
前提としてでございますが、何か特別な制度を犯給に入れなければいけないとか、入れてはいけないということで考えているというわけでもないのですけれども、やはり犯給は念頭に置きつつやっているところは否めないかなと思っております。
まず、制限を設けるか否かということでございますけれども、既に何人かの先生方から出ていたとおりでございますけれども、公費支出である以上、何らかの枠というのは当然設けられることになるだろうと考えております。
その際には基準ということでありますが、届出を要件とするべきかどうかというのは、やはり一つの検討するべきことであろうと考えております。御指摘があるとおりでございますけれども、届出していただきやすくするような努力はしておりますけれども、それでもやはり性犯罪被害者の方など、届出を望まないという方はたくさんいらっしゃるということは事実でございますので、これについてどうするかということは検討すべき事項かと思っております。また、帰責性をどうするかということも検討課題かと思っております。
ちなみに、現在の犯給制度では、帰責性というふうには申しておりませんが、例えば被害者が誘発するような行為をした場合については減額なり、全部を支給しないという措置をすることとしておりまして、そのあたりとのバランスということもあろうかと思っております。
「一方で」としておりますが、罪種等につきましては、現在の犯給制度でございますとか、他の保険制度、補償制度等とのバランスということも、公立の制度としてつくる以上は必要になってくる可能性があるのではないかと思っております。この点も要検討ということかと考えております。
それから、これらの要件具備を判断する者ということでございますけれども、帰責性とか、犯罪行為の有無ということを、現在の犯給法ではある程度求めているわけでございますけれども、この点をきっちり事実認定するということになりますと、やはりある程度届出がございまして、有罪になるとか、起訴されるということではないにしても、実際には一定程度の捜査をして警察として判断をするということにしないと、事実認定というのがなかなか厳しいところがあるかなと思っております。勿論、ほかにできる方法もあるのかもしれません。
この点については警察がかなり力を発揮するところかと思いますが、犯罪被害者が心理療法を必要とする状態にあるかどうかを判断することというのは、心理療法を行うに当たって最も大事なところでございますけれども、この点についてはやはり専門的知識を有する方の御判断が必要かと思っております。
警察は、これまでもるる御説明申し上げておりますように、臨床心理士等もかなり採用いたしまして配置をしていっているところでございますけれども、それでもまだ3分の1の県には臨床心理士が1人もいないという状態でございます。
また、先ほど申し上げましたとおりでございますが、犯罪被害者の方の中には警察に届出を望まないという方もいらっしゃるということで、心理療法を必要とする状態にあるのかどうかを判断するということは、すべての警察にできるかどうかというと、このあたりについては、もともと警察は心理的カウンセリングについて早期の段階での精神的回復の支援という観点からやっておりますので、この点についての知見があるかどうかというところについても御検討いただきたいと思っております。なかなか実際には厳しいかというふうにも考えております。
それから、公費負担の対象となる心理療法ということでございますが、質の確保ということでもございませんけれども、先ほどと若干重なるところがございますが、実施される方の認定でございますけれども、警察もその機関としては専門的知見を有しておりません。犯罪被害者の方が苦しいお立場にあって、精神的回復の支援が必要であるということ、それから現場での臨床心理士等、カウンセラー等による早期回復への取組みということは実施をしておりますけれども、中長期的に見てどのような心理療法をどういう人が行っているのかということの専門的知見を有している機関ということではございませんので、その点に親和性のある機関が認定のための枠組みを新たに検討していただく必要があるのではないかと考えているところでございます。
それから、公費負担の限度ということでございますが、こちらはまた御検討いただくべきことかと思っておりますが、重傷病給付金につきましては保険診療を踏まえた上での支給ということになっておりますけれども、それとのバランス、あるいは精神療法とのバランス等々、それから実際に現にどの程度の期間を要しているのかというような実態的なところも踏まえまして検討していただくべきことかと思っております。
本日の御議論の関係につきましては、以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。それでは、法務省、お願いいたします。
○ 法務省大臣官房秘書課付法務省でございます。大変簡単で恐縮でございますが、本日の論点に関しましては、公費負担の対象となる心理療法の点につきまして、意見と申しますよりは、今後の議論をしていくに当たりまして検討する際にどのような視点でというような点から1点だけ意見を提出させていただいております。
公費負担の対象となる心理療法の種類、範囲についてでございますけれども、現在、御承知のとおり、民間の犯罪被害者支援団体、あるいは臨床心理士等が実施している取組の中におきましては、捜査機関、裁判所、弁護士事務所等、様々な場面で被害申告、あるいは事情聴取、それから証人尋問等における答弁、尋問というものがございますけれども、これらにつきまして、それに同行する、あるいはそこに対していろいろなアドバイスを行うといったような支持的カウンセリングというものも行われております。あるいは、更に延長・類似行為としましては、精神的・心理的な一般的な支援というものもございます。
そうしますと、この検討の中におきまして、幅広く枠組み全体にかかわってくる問題かとも思っておりますけれども、どこまで支援の対象とするのか、そういう意味合いもありまして、心理療法の中にどういったものが含まれてくるのか、そういったものにつきましても御議論いただいて、問題整理をしていただければと思っております。
以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。ここで検討に入りたいと思いますが、皆様方から提出いただいたそれぞれの論点というのがたくさんありまして、なかなか難しいことは分かりますが、一方で皆様共通して言われていることもあると思います。
例えば、公費負担である限り何らかの要件が必要であろうということは、どの構成員も、当然濃淡の差はありますけれども、言われていたように思います。そういうところで、ほか方のお話を聞いたところで、御自由に御意見をいただければと思います。
まずは、公費負担の対象とする場合の限定の基準について御意見をいただいて、討議したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○ 松坂構成員具体的に。
○ 小西座長それぞれの方のこれについての議論だけをもう一度簡単に整理した方が分かりやすいですかね。そういう形で進めてもいいですか。私が伺った範囲ではですが、違ったら教えてください。
公費負担の対象とする限定の基準については、何らかの基準を設けるべきということですよね。資料2をご覧いただくと、ほぼそれが簡単に出ております。もし御自分の意見と違うということがありましたら、言っていただければ結構です。
では、公費負担の対象者として、皆様広くとれることがこの領域では望ましいのではないかということも共通しておっしゃっていましたが、今度は実現可能性の問題として、実際にどうしていくのかということも大きな問題がある。
特に、家族をどうするかということが一つの論点としてあったと思います。家族への適否を検討すべきという御意見が幾つかありました。それから、犯罪被害者等、あるいは犯給法における被害者、これが事実認定の問題とも絡んできていると思いますけれども、そこのところをどう考えるか。幾つかの御意見がある中で、それについて今御自由に御意見がいただければというふうに思います。
○ 松坂構成員まず、基本的には広く救済をしたいという考えから、すべからく、家族という表現でいいのかどうか、3親等とか、2親等という表現に絞る必要があるのかないのか、ちょっと議論の必要がありますが、いわゆる日本語で言うところの同居の家族、もしくは同居していなくても、同居している場合に準じて、心情的に愛情的に保護すべき範囲の人たちをまず特定をし、かつカウンセラーを必要とする現象があれば、すべからく公費でカウンセリングを受けられるようにしてもらいたい。そういう観点から言うと、いたずらに絞り込むことなく、入り口、間口は広く定めておいていただけるとありがたいなと。
以上です。
○ 小西座長ほかにはいかがでしょうか。中島構成員、どうぞ。
○ 中島構成員現場の方から、家族がカウンセリングが必要であるという点について、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
被害者本人がPTSDになるというのがございますけれども、例えばPTSDの中でも、それを目撃した者というのはやはりPTSDになります。例えば、DV家庭における他の家族、被害を受けていない家族、子どもたちが目撃したら当然PTSDになるわけで、これを被害者と言えないかというと、やはり広い意味での被害者に入るであろうと思われます。
また、私のところにでも、例えば性暴力被害であるとか、傷害の被害者の御家族が実際にうつ病になって来られて、長期に療養を必要としている場合が少なくありません。全員の家族が来るわけではなくて、特に被害者に深くかかわっている家族が来ます。そうすると、むやみに家族が来るわけではなく、やはりうつ病であるとか、医療を必要とされる方が来るわけなので、不必要に家族に給付が行われるということは余りないのではないかと思います。
特に、遺族に関しては非常に深刻な悲嘆や、PTSDであるとか、うつ病の方がいらっしゃいます。私は事前の書類で犯給に関して遺族が適応と書きましたが、遺族は遺族給付金であって重傷病給付の対象ではございませんので、ここに遺族を入れるのはもしかしたら望ましくなかったかもしれません。遺族に対してもカウンセリングは必要であって、被害者本人と同じぐらい手厚いケアが必要な場合も少なくないということで、家族・遺族というのを対象にしていただけたらと思います。
ただ、その場合に、どこまでを家族とか遺族というのかという問題があると思いますので、例えば普通同居しているのは2親等ぐらいだとしても、例えばおじさん、おばさんをその子を養育していれば、2親等以外でも非常に衝撃が強いと思いますので、ほぼそれに該当する家族というような枠は必要であるかと思います。
○ 小西座長ありがとうございます。今日ここで確認することについては、制度ということを考えたときに当然考え直さなくてはいけないこともあるという前提の議論です。そんなことを踏まえまして、今まで伺った限りでは家族は対象に入れたい。それについては皆様合意されているということでよろしいでしょうか。
そうでしたら、取りつきようが難しいということでしたら、例えば今、制限の有無ということ、それからイとして制限の基準ですね。例えば、先ほどの届出、あるいは被害認定の問題というふうに順番で並んでいますから、これに沿ってまた考えていくのもよいかなと思います。
1つは、家族を対象にする、このことはいいんだけれども、それでは例えば犯罪被害者等の制限についてどういうふうに考えられるか、これは根幹にかかわることかもしれませんけれども、御意見がありましたら伺えたらと思います。
○ 松坂構成員では、口火を切りますけれども、まず届出、何らかの外部に対して通報するとか、届出をするとか、何らかの書類をどこかに出すということが一つメルクマールとしては考えられますが、これについてはこれまでの事前調査の中で、実際にそういう外部に通報したり、届出をしない人の中に、非常に深刻なカウンセラーを必要とする人たちがたくさんいらっしゃるということが分かったわけです。ですから、ここでもし届出ないしはそれに準じたものを要件とするという制度設計をしたのでは、結局、趣旨が没却してしまうと思います。したがいまして、私は届出、もしくはこれに準じた制限をかけることには反対をしたい。むしろ、制限なしでいいのではないかと考えております。
○ 小西座長ありがとうございます。その他の御意見は。よろしくお願いします。
○ 太田構成員私も、警察への被害届を必須要件とすることには基本的には反対であります。ただ、公費負担をするという考えでは、やはり何らかの事実確認というのはせざるを得ないだろうと思います。だから、あとはそれをどうするかという方の問題で、かなりの人が届出をしてくれているような罪種、例えば傷害とか、そういうのはありますから、届出をしてくれる人はそれでいいというふうにして、そうでない性犯罪被害者とか、DVとか、児童虐待とか、そういったものの場合をどうするかということを御議論いただければなと思います。
例えば、犯給法の枠組みの中でも、配偶者とか、兄弟姉妹という場合には原則不支給になっていて、復活支給の制度があって、その復活支給は例外として配偶者暴力の法に基づく保護命令の申請をしてある場合には更にその例外とするというのがありますから、例えばDVの場合には保護命令を申請しているとか、それからもっとインフォーマルな、もしくはストーカーですと警察の警告処分、そういう手続がしてあるとか、それから早期援助団体に指定してあるところで相談を受けたことがあるとか、これはニューヨークの場合なんかはそうでしょうけれども、医師による事実認定というふうな言い方をしていいのかどうか分かりませんけれども、何もなくてもよいというふうには言えないかと思いますので、そういうふうなかなり公的なものから、もうちょっと法制度上のものではないものまでの手続の中で何らかの事実確認ができればいいというふうにしていく方法があるかなという気がいたします。
これは、お医者さんである中島先生や小西先生に聞きたいのですけれども、偽装申請と言葉は悪いんですけれども、要するにお医者さんのところに犯罪被害を受けたとして診察に来る人の中で、この人は犯罪被害ではないなというのはあり得ないわけですね。基本的に診察に来られて、カウンセリングをされている方は。そうでもないですか。
そうなると、お医者さんの方で、犯罪被害の診察治療に来ているけれども、これは犯罪被害の結果ではないのではないかとか、もしくは精神的カウンセリングの必要性が犯罪被害から直接生じたわけではないもの、これはあるかもしれないですね。そこら辺の判定がお医者さんの方で可能なのかどうかということは、現場でのお話なんかを伺った上で、医師によるこういった確認といいますか、例えば診断書みたいなものでもってこういった公費カウンセリングの申請の要件といいますか、提出書類の一つにするということだけで足りるというふうにするかどうかということについては、現場での御経験なんかもお聞かせいただければと思います。
だから、私はとりあえず警察への届出は必須だというふうにはしない方がいいと思うんですけれども、事実確認の方法としてどういうものを想定しておくかということの作業は必要だろうと思います。
○ 小西座長どうぞ。
○ 中島構成員私が、自分の意見の中に犯罪被害の要件を書かなかったのは、その問題がありまして、ある程度の基準がないと、医療現場が混乱する可能性があるからです。確かに、警察のみに限定してしまいますと、職場で性被害に遭ったような人の場合はほとんど届出をしません。でも、話を聞いていて明らかにレイプだなと分かることがあります。例えば、家族の性虐待とかになると、これも届出をしないということになります。
精神科を受診される方の中で難しいのは、例えば被害妄想で、非常に妄想的に思っておられる方と、自分が被害者だと思い込んでいるけれども、お互いの口論のような場合で、本当にどっちが被害者か分からないような場合であるなど医者がその判断を求められても非常に困るということがあります。
ですので、医療現場としては、警察に届出という限定はしなくてもよいのですが、何らかの基準がないと、医療の側、あるいはカウンセラーの側が混乱する可能性というのはあると思います。
○ 小西座長では、私もちょっとつけ加えて。結論から言うと、基本的それは無理で、1つは中島先生が言われるように、詐病というよりも本当に被害かどうか分からないというところから、切れ目なく来られた患者さんの訴えというのがあって、そこに限定をつけないからこそ医療で何とか診ていけるのだけれども、事実はどうかと聞かれると、分からないケースが実はたくさんあるということです。それは来られた方が詐病しているということではない。それはむしろ少ないと思います。ないとは言えませんけれども。
もう一つは、中島先生は非常に特別な医者で、そういう人でも診ようということを考えられてますけれども、多くの医師に診断に必要な症状以外のことを聞くことを依頼することさえなかなか難しいのが現状です。例えば、診断書なんかに何があったか書けるかというと、これは書けないというのが普通だと思います。
そういう点で、私の立場でこういうことを言うのは非常に残念ですが、医療や臨床心理のところで事実確認をするということは不可能に近い、不可能ではないかなと思っています。
○ 太田構成員そうすると、そこで警察に届けた人は、事実確認という点では全く問題がないんだろうと思いますけれども、届出さえもやはり苦しくてできないという人で、でも本当に犯罪被害だという人に対してどういう形で事実確認をした上で公費負担の方に持っていくのかという点での事実確認は、医師の方では非常に難しいというのはよく分かりました。
そうすると、それ以外のところでどこにも引っ掛かっていない人、例えば被害者センターにも行っていないとか、どこにも引っ掛かっていないという人をどうするかという問題が出てくるように思いますけれども、その辺はいかがですか。
○ 小西座長中島先生が意見があればまた欲しいんですけれども、私は今回個人の意見としては出していませんが、正直、届出がない限り、特に公費負担の場合の要件を決めることは本当に残念ながら難しいと思っています。
ただ、今、届出ということに実質要求されているものよりもう少し広い形の届出でいいのかとか、それから例えば本人は届ける気がないんだけれども、別に裁判まで必ず行くという覚悟をしなくても届ければいいというような制度があるのであれば、医療ではないですね、どちらかといえば被害者支援をしている側からそういうことをお勧めすることはできるかもしれないと思うんです。
ただ、警察に対する届出というところで切らない限り、基本的には難しいと私は思っているんですね。そうでないと、本当に混乱してしまうのではないか。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長制度という観点で考えたときに、一定の給付をするという以上は、事実確認の審査をして出すというのがどんなものでも基本的にはあると思いますので、何らかの形でその事実の有無を審査する機関があり、そこが給付するんだろうと思うんですね。今はそれが多分、犯給制度では公安委員会という形になっていて、それが現実警察なので被害届からスタートするのが実務になっているということだと思います。あとは、まず審査なしで何か出てくればそれでいいよという形で公費を出すというのは、イメージとしてちょっと難しいのではないのかなと。これは常識的にはこんな感じかなと思うんですね。
問題は、今度、審査をする段階でどれだけの材料が集められれば審査ができるのかという議論はあると思いますので、その場合に御本人からの届出が必須なのかどうかというのはまた議論の余地はあるのではないかと思いますが、何か客観的に別の形で審査ができる手法があればあり得るのだろうという感じがします。
あと、もう一つは、警察への届出をためらわれている理由というのが、それが警察自体に話すのが嫌なのか、裁判にするのが嫌なのかということでも、また切れ目がもしかしたらあり得るのかもしれませんと、今お話を伺っていて思った次第です。
○ 小西座長幾つかの海外の制度の場合に、届けるということが要件とされて、それから別の形では、本人ができる司法的な協力というのがどの程度かというのことはいろいろあると思いますが、それはしたんだというようなことが要件になっているところもあるなというのを今思い出しておりました。
もし、中島先生、何か御意見があれば。
○ 中島構成員この点について、先ほど太田先生の方から私のニューヨーク州の理解の不十分について御指摘があったかと思いますが、まさにそういうことを意味していたわけで、警察に届出をした方について、それは対象となるということは当然だとは思います。明らかに性被害者の場合は、警察に届出は少ないということは分かっています。例えば起訴できないと思ってしまえば、当然被害者は届け出ないということはあると思いますね。
ただし、その場合でも今室長からお話があったように、給付をする機関が何らかの被害があったというふうに認められるだけの書類のようなものはやはり必要であろうと思います。それは、児童虐待の場合であれば、警察ではなく児童相談所が当然持っているわけですから、児童相談所からの資料でもよろしいかもしれませんし、DVであれば暴力相談センターというようなところからかもしれません。
性被害者の場合、刑事裁判にはしていなくても、民事裁判は行う人がいますので、弁護士からの書類というような、何らかの形で公的、あるいはそれを認定できるような機関に相談があり、そちらからの書類を必要とするというような、これは給付する側がそれを判断する資料というような形でもよいのではないかと思います。医療が判断することはできませんので、医療者としては診断といったことについてしか出せませんので、判断基準は給付する側に求められるかと思います。
○ 小西座長お願いします。
○ 松坂構成員議論を蒸し返すつもりはないんですが、室長のおっしゃることはよく分かります。制度設計する場合には、確かにそういう歯止めが必要でしょう。ただ、そうなりますと、今回の場合、結局今までの議論の中では救われない人がいるからということでこういう議論をしてきたわけなので、その話に戻ってしまうと、また前に戻ってしまうんですよ。
私が考えたアイデアというのは、先ほど申し上げたとおり、いずれ警察に届出をしたところで、それがもし偽物だったら、警察の方がその届出は受理しないといけないわけですから、実際はこれはいいかげんだなと思えば受理をしないということも現実に現場でありますが、一応は受理はしないといけないことになっていますね。
いずれにせよ、そういう問題のある人のカウンセラーの申込みについては、必ず10件中1件、もしくは100件中1件は紛れ込むわけですから、結局、この話を詰めていくと、100分の1、もしくは10分の1を避けるために10分の9を犠牲にするような話になってしまうのかなという気もしないわけでもないんですね。
今度は、医療の現場の先生方のお立場に立てば、確かに分かるんですね。私たちに判断しろというのかと。場合によっては、これは詐病だ、ないしは犯罪被害者とは認定できないということを診断した瞬間に逆恨みの対象になってしまいますからね。そういうことを考えると、確かにお気の毒な立場ではあるなと思うけれども、いずれにしても一番カウンセラーを必要とする人なのか、そうでないのかということを専門的知見によって判断できる立場の人というのは、実はやはり専門家のカウンセラーの方だと思うんですね。
ですから、私のイメージではまずヒアリングをしたときに、最初の審査、ここが事実認定ですね。本当にこの人は犯罪被害に直近に遭った人なんだろうかと。ヒアリングをしていれば、うそだなとか、人格障害上の問題で記憶が混同しているなとか、何らかのメルクマールによって判断できるのではないかなと。これは私の期待です。それによって、おおむね審査パスか、それともだめというのか、そこで1次的に判断をしてもらって、そこでエビデンス的なものが必要であれば、診断書のマニュアルみたいなものを日本全国共通のものを決めておいて、そこに書き入れて、それをエビデンスにしておくというのも一つの方法かなと。それでパスしてオーケーということになれば、カウンセリングに入っていくということなんですけどね。
それ以外に、何かうまい方法があれば、私も前向きに賛同します。今のところ、それ以外の方法が思いつかないものですから。先ほど、弁護士さんが何か言ったらどうかという話もありますが、弁護士は確かに専門職の一人でありますけれども、その人がうそをついているかどうかについては、確かに医療の専門家ではありませんので、本人がそう言っていれば多分そうでしょうというだけの話です。だから、そのあたりの認定をどうするかですね。
○ 小西座長分かりました。今、誰が判断するのかという問題になってきていますけれども、逆恨みされるからという感じではないんですね。本当にいろいろな方がいらっしゃるので、例えばですけれども、発達障害があって被害を受けていらっしゃる方が結構あります。だけど、もともと個人の認知というのが結構被害的だなと思えることなんかもあるんですね。妄想がある方もあります。
そういうときに、妄想があって、でも実際被害を受けている方もいるわけですよね。勿論、ここで言っている認定というのは、刑事裁判で要求される事実認定とは違うと考えなくてはいけない。それは勿論そのとおりだと思います。今のお話を聞くと、ラフでも誰かがやらなくてはいけないし、むしろそういう人たちを守るという仕組みは必要なのかもしれません。
ただ、多分医療の現場で大変たくさんの人を診て、被害と言われている人を診ているときに、医療に預けてしまうのは現実的に何か無理な感じがするんですね。むしろ、医者ということを今言われてしまったので、そうなってしまうのかもしれません。もっと詳しく聞くということができれば違うのかもしれません。ただ、きれいにそこで分けるということは、実際にはなかなか難しいのではないかなと私は思います。
○ 太田構成員その判断が非常に難しいというのは想像がつくんですけれども、医師に最終決定をしろと言っているわけではないので、明らかにこれは犯罪被害だと、ただ警察には届けていません、どこにも相談していませんという人も多いわけですので、医師としてはこれはこういうふうなトラウマティックな出来事で、犯罪であって、こういうふうになっていて、今は後遺症だということを診断できる人はいることも間違いないわけでしょうから、それでどうも何かよく分からないということであれば、そのよく分からないということの判断でもよろしいのではでしょうか。これはどうも対象になるような被害でないのではないかというのは、これは恐らく裁定機関の方で最終決定するので、医師が裁定機関になれと言っているわけではありません。ただし、確かにそこの確認でさえも、全国の平均的な精神科医に求められたら困りますと言われてしまえばそれまでですけれども。
だから、もともと医師や臨床心理士などに来るカウンセリング、心理療法が必要とする人をどうサポートしていくかという話なので、そこでは判断できませんというふうに言われてしまいますと、やはり公的な警察の事実認定のところにお任せするしかないなというふうになってしまうので、そこまでの精度のものが求められるのかどうか。それは最終的にあくまでも裁定機関が責任を持って判断をする。不服申立ての制度もあるわけで、そこら辺を医師が最終責任を持てと言われているわけではないということは確認しておく必要があるだろうと思います。
また、改めて戻りますと、もう一つのやり方としては、被害届を出している人がかなりいて、そういう人たちが心理カウンセリングを必要とし、かつ公費を必要としている人たちがいることも間違いないので、それはそれで一つの制度としておいて、例えばそれを犯給法の中でやるのか、犯給法の外でやるのかは別ですけれども、そういう制度に乗りにくい人たちは別途現物給付とか、そういう形での違う枠組みをつくっていくということが次善策かなという気もいたします。
要するに、はっきりとした事実確認ができるような人たちは公費負担という形の制度の枠組みに乗せていって、そこがどうも難しいという人たちはそれ以外の現物給付なり何なりの形での支援という形で行っていくという方法は次善策としてはあるかなという気がいたします。
○ 小西座長ありがとうございました。ほかには。
○ 中島構成員今、医師の判断ということが出ました。私は医療現場が分かりやすいと思いますので、まず医療現場ということでお話しします。医者が何らかの判断をしないとか、できないと言っているわけではないんですね。それはすべて保険にしろ、現在の犯給にしろ、診断書を書いているわけです。したがって、患者様の訴えに基づいて、この方はこういう被害に遭ったとおっしゃっている、私たちもそういう被害があったことによってこういう障害が起きているというふうに考えられると、診断書を書くまではそれは全く問題がないです。それについて求められる分については何ら問題ないと思います。
ただ、それが事実認定の最終決定になってしまうということは無理であると思います。医者側にこういう要件で見てくださいということを余り言うと、既に被害者に対して司法関係があるということでかなり医者が引いているわけですから、被害者に対する心理的なカウンセリングも含めてがかかわりにくくさせてしまうというリスクが非常にあると思います。
ですので、医療について、この方が言っていることに基づいて心理療法が必要であると、そこまでは医者は十分できる範囲だと思います。それ以上の事実認定については、給付する機関が警察の届出、あるいはそれに準ずるような証拠認定というような書類が提出されれば行うというような形であれば、医療、あるいは臨床心理士の現場は十分対応できるものというふうに思います。
今、太田委員からもおっしゃっていただいたように、一つの方法として被害認定が難しい方については、今も犯罪被害者支援団体は別に被害認定しなくてもカウンセリング等を行っていますので、そういった形での現物支給というものを普及していくというのが一つあるかと思います。警察の認定よりはやや広くカウンセリングの公費負担ができる制度があればいいかなとは思います。
○ 加藤構成員今の御発言に関連しての質問ですが、この議論の最初の取っかかりは、警察に届けてはいないけれども、心理カウンセリングが必要な人たちをどういうふうにすくうかという話でしたよね。それで、私はお聞きしたいのですけれども、いろいろな支援団体というのは警察以外にありますよね。そういう人たちのところに、例えば具体的に言うと性被害の人たちというのは、そこである程度情報はすくわれているというふうにとらえていいのでしょうか。そこにもう情報は上がってきていないということが前提になっているんですか。
○ 小西座長これは、私は個人的な意見は持っているんですけれども、むしろ警察とか、現状を御存じの方がいたら伺った方がいいかと思います。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長いろいろな被害者支援団体に性犯罪被害者の方が来ているかということでございますでしょうか。
○ 加藤構成員もっと簡単に言うと、警察に届け出ていないような被害者がいるんだということを、警察はどういうところで情報をキャッチしているのかということです。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長法務省などがされました統計などもございます。幅広くとられまして、性被害の経験があるというふうにお答えになった方に、それでは警察に届けましたかということを聞きますと、非常に低い値が出るというようなことから、かなり潜在化している方がいるだろうということもお伺いしておりますし、必ずしも統計としてとっておりませんけれども、いろいろな民間被害者支援団体などにも、警察というか、最終的に被害届は出したくないんだけれども、一たん警察に来て、その後支援団体に行かれるとか、そういう方もいらっしゃることは確かでございます。
○ 久保構成員今の話に関連してですけれども、統計的ではなくて、日常業務の中で支援団体なんかに直接行く人がいるのかどうなのか。それで、そういう人たちの情報というのは、警察は把握でき得るのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長どのぐらい被害者支援団体に来るかというのは、被害者支援団体の取組み具合によってもまたかなり違って、性犯罪被害者の方に向けた大きなメッセージを出しているような団体であれば、それはかなり来ておられるだろうと思いますし、まだ体制とかが非常に低くてそこまでやりきれていないところもあろうかと思います。ですので、かなり受け付けておられて、いろいろ対処に苦しみながらやっていらっしゃる民間支援団体もあるというふうには聞いております。
一方で、それを警察にそのままおっしゃるかというと、やはりそこは信頼関係がございますので、警察に言ってほしくないんだということをおっしゃっている方のことを警察に言うようなことはございませんけれども、民間被害者支援団体の方が御検討されて、これは警察に訴えて犯人をつかまえてもらった方がいいよという話をされるようなことなどはあるだろうと思いますので、そういう方が警察の方に来られるということはないわけではないと思っております。
○ 小西座長久保委員はそれでよろしいですか。
○ 久保構成員嫌がるものを警察に通報するということではなくて、常に情報のやりとり、風通しというんですか、そういうものは民間の団体との間で期待でき得るのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長勿論、一般的な情報などは当然やりとりなんかはできますし、協力関係にあるんですけれども、個々の案件につきまして、この人は実際には警察には言っていないみたいなんだけれども、こういう被害があるんですよということを言うというのは、団体としての存立基盤にかかわりますので、そこは団体の方は我々にはおっしゃいません。被害者の方の同意が得られれば、勿論お話としてはあると思います。個別の案件について了解もないのに警察に対して言うということは、すべての被害者支援団体は、どちらかというと本当に民間ベースから始められ、警察とは違う受け皿として活動してこられたということもございますので、そういうことはないと思っております。
○ 小西座長済みません、詐病のところから始まったので、話が医療ではできませんというところに来てしまっているんですけれども、松坂構成員がおっしゃるように、そもそものところから考えるに、ではどうしていけばいいかというふうに考えていかないといけないと思うんですね。
むしろ、今の話で言うと、医療の側は中島構成員が言われたように、医療だけではないです、臨床心理士、医療は必要性については十分判断ができる。あと、別に刑事事件の事実認定まで、そういう形のものをすべての人に要求するわけではないと。この2つぐらいのところは、皆様了解ができるところなのかなと、今お話を伺っていて思ったんですね。
そうだとすると、その中でどういうふうに仕組みをつくるかと、もう少し話を絞ることができるように思うんですが、何かございますか。
○ 松坂構成員誤解がないように話を整理したいんですが、私が言っている事実認定というのは、そういう意味での本当にそういう事実があったかどうかの認定ということではなくて、本人がそういう意思を発露したかどうか。これは結局、警察に届出を出そうが、弁護士に申告しようが、犯罪被害者支援センターにしかるべき書類をたくさん書いて申告しようが、いずれにせよそれは裏付け捜査をしなければ分からない話です。
私は、カウンセリングを受けようという人が普通はそこでうそはつかないだろうと。それなりに深刻な顔をして、しかもそういう症状を抱えて駆け込んでくるわけですから、それをプロのお医者様とか臨床心理士の方が見れば、ほぼ9割方判断するんだろうと。それは、ある程度本人の申告に従って診断をされるわけですから、その診断で私はいいと思うんです。その診断書というものがあれば、一応私のイメージしているところの1次審査オーケーと。それで、あとは具体のカウンセラーに入っていける。こういうイメージなんですね。
問題は、後でカウンセラーの方が今度カウンセラーをした費用をしかるべき機関に請求をすることになります。そのときに診断書とカウンセラーの経過報告などをして費用の請求をするわけですが、そのときにお金を出す第三者機関が何らかのチェックをするのかしないのか、これはまた別の制度設計になると思います。そういうイメージです。
○ 太田構成員1点、今の議論はもう少し詰めなければいけないと思うんですけれども、結局誰がある程度の事実確認をするか、その前提となる情報を集めるかということとは別に、もし犯給制度によるとしたら、結局これは警察が窓口にならざるを得ないので、後々、制度的な枠組みの話になって、犯給制度の方でということになってしまえば、結局それはそこで当然絞られてきてしまうわけですね。ですから、そうでない制度にする場合にどうするかというのがより大きな問題になってくるのかなという気がいたします。
もし、犯給制度にしてしまったら、今までのとおり警察署で配付される申請書に従って申請するというわけですから、それは要するに、そこで警察への被害届というものが、事実上警察に情報提供なされるということですから、余り大きな問題にならないんだろうなという気がするので、それをしないような全く別の枠組み、警察も裁定機関にならない、公安委員会も裁定機関にはならないような制度とするとそこら辺の大きな問題がクローズアップされるかなという気はいたします。
○ 小西座長ほかの方、いかがでございましょうか。
○ 加藤構成員今の太田構成員のお話との関連で言うと、今、我々が議論しているのは、結局心理カウンセリングが必要だという人に2種類あって、警察に届出をして、そこから心理カウンセリングが必要だというふうにフィルタリングされるという人と、民間の支援団体等で必要性が判定されて、今現在団体が自主的に行っているようなサービスを受けている人たちに対しても何らかの心理カウンセリングを手当するという方策をどういうふうに考えていくか、きっとそういう議論ですよね。
松坂先生がおっしゃっているのは、むしろ後者の部分で警察に届け出ない人たちのような部分もどういうふうに取り込んでいくかという議論に重点を置かれて議論をしているというふうに理解しているんですが、それでよろしいですか。久保先生とか松坂先生がおっしゃっているのは、そういう意味で理解しているのですが。
○ 松坂構成員要するに、広く届出を不要として、とにかくしかるべきカウンセラーのところに申告さえすれば、そこで犯罪被害者という診断がなされれば、もうそれで国費を投入する要件としては十分だというふうに考えた制度設計なんです。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)よろしいですか。もうある程度は整理されてきてはいるかと思うんですが、一応趣旨として、論点のところに立ち返って一度御説明をさせていただきたいと思うんですが、資料1の方で、アの「犯罪被害者等」の<3>のところに、「要件具備の判断をする者」というのとは別に、イで「心理療法を受ける対象として認定する者」というのを実は別口で分けたんです。
というのは、制度設計をするという観点から、こちらで考えて頭の整理をしていたときに、今回要件になっているのは犯罪被害者に心理療法は出すということになるわけですね。なので、犯罪被害者かどうかという認定と、心理療法が必要かどうか、当然間に因果関係も必要になってくるわけですけれども、その2つの認定というのがやはり必要になってくるであろうと。
それが、例えばカウンセリングが必要な人というのが先にあって、それをさかのぼってその原因は犯罪被害なのかどうかという方向での認定もあり得るかとは思います。逆に、犯罪被害者という一定のプールがいて、そこからカウンセリングが必要だよねという人を連れてくる。どっちかの形で絞っていくことになるんだろうと思うんですけれども、もともと犯罪があったのかどうかというのは、刑事手続、最終的に有罪になるかどうかはともかくとして、構成要件に該当するようなことがあったのかどうかという部分の認定はある程度警察で今まで知見があってやってきたという部分だろうと思います。
もともと、重傷病の方でいきますと、医療行為が必要だったのかどうかという部分については、お医者さまの診断書によっていたという部分がありますので、そういう意味でもともと犯罪被害者なのかどうかということと、ある支援、公費負担が必要だったのかどうか、そこの公費負担の必要性というのは必ずしも警察ではなかったという部分で分かれていたというのはあったろうと思います。
なので、一応そういうふうに2つ、要件の具備といった場合に2ステップあるのではないのかなというふうに、こちらとしては念頭に置かせていただいていたということだけ御報告しておきます。
○ 松坂構成員今の指摘に対応する意見ですが、私はそれを切り離すのは論理的、教科書的には勿論すっきりするんですが、現場で片方の要件はAさん、片方の要件はBさんというのは二度手間ですから、むしろ診療の現場で、私の素人考えだと、最初にカウンセラーの必要性の有無が判断され、結局それを考えるときには必然的に「どうして」というところにさかのぼりますから、それが結局犯罪の申告をしていただくというところに必ず触れるんだろうと思います。ただ、診断書の中には当然カウンセラーの必要があると。その原因としてはこれこれと本人が申告しているということが書かれていればいいのかなというイメージなんです。ですから、私は2つの要件を2つの機関に分ける必要がないという考えです。
○ 久保構成員反論するようで恐縮ですけれども、医者とかカウンセラーの判断というのは、あくまでも症状から見てカウンセリングを必要とするかどうかという判断にとどまるべきであって、その考え方は当然のことながら診断書に反映されるわけですね。医師、カウンセラーの仕事はそこまでであって、その診断書を今度は公費負担の是非を判断する場合の重要な、あるいは必要な要件の材料に使う。実際に公費負担の必要性を判断するのは、警察がやるのか、あるいは別の新たに機関を設けるのか分かりませんけれども、医師の必要性の判断というのは、あくまでも症状によるカウンセリングの必要性にとどまると思います。医師が公費負担の必要性の判断、あるいは犯罪事実認定というのはやはり無理があると思うんです。そういうものはまた別にやらなければいけないのではないかなと思います。
○ 太田構成員先ほどの整理も趣旨がよく分からないんですけれども、従来は警察窓口として給付制度をやっていたので、基本的には被害届が出されているということで、事実確認もそこでできたわけですけれども、今度の場合はそういうところに行っていない人までも広くサポートしたいということなので、その場合もやはり警察での事実確認みたいなことが必要になるのかどうかということだと思いますので、結局、窓口が警察以外のところになってしまうと、その問題はどうしても避けて通れなくなってきて、それでもいいのかということだと思います。かといって、事実確認もしないで公費負担をするということはまずかろうと思いますので、ではそれはどこが、裁定機関は最終判断をするとしても、その裁定機関に出す情報源としては医師の話だけでいいのか、それとも警察によるものが要るのかどうかということが問題になってくると思うんですね。
○ 久保構成員それはいろいろ条件はあると思いますね。
○ 太田構成員だから、警察だけでなくてもいいような気もするんですけれども、医師の方だけだと厳しいと言われると、そこら辺だけでは無理なのかなという気もします。
それから、私が進行する必要はないんですけれども、回数が限られているとすると、今日は被害者の話などほかの話もいろいろしなければと思いますが。
○ 小西座長心理療法の方もしたいんですけれども。
○ 太田構成員あと、資力要件とか、いろいろほかにも出ていましたけれども。
○ 小西座長今の話は多分きっとこれから先にかかわってくるところだと思いますので、ちょっと延ばしておりました。皆様に御心配をかけて、どうも済みません。
とりあえず、問題がどこにあるかは少し見えてきているとは思います。今、結論を出すというところには至りませんので、問題が見えたというところで、一たんここでこの話については今日はおしまいにするということで、それはよろしいですね。
○ 中島構成員原点ということに関して言いますと、私自身は警察に届出をされていない方にも公費負担が対象となることを望んでおりますが、もともとの議論の原点は犯罪被害者給付金では医療しか給付できないというところが原点かと思います。警察に届け出た方でさえも、いわゆる保険以外のカウンセリング費用が支給されていないというところが一番の問題の原点だと思います。
そうしますと、警察に届け出た方のカウンセリング費用がまず公費負担になるということ、そして今まで話が出たように、重傷病給付では家族・遺族が対象となっておりませんので、そういった方が対象となることというのがまず最低のラインとして必要だということが出だしではないかと思います。
○ 小西座長ありがとうございます。実は、さっきそれを言いたかったんですけれども、言い忘れてしまいましたが、犯給の中の対象の方たちがこの制度があるわけではないということも是非知っていただきたいというか、最初からそれは議論の対象であって、カウンセリングということについて、要するに保険医療以外のところが対象となっていないことは一つの大きな要点だったはずです。犯給の中の人はすべて済んでいるんだということでは全くありませんので、そのことは御確認願います。
今の論点の資料2のところで進めたいと思います。2のところを見ていただきますと、まずは「犯罪被害者等」につきまして、今制限の基準、あるいは要件具備の話というのがございます。次に、対象として認定する者というのもございますが、これは連動してくることですので、もし特段の御意見が今どうしてもということがあればいただいて、なければその次の方に進みたいと思っております。よろしいでしょうか。
それでは、今度は公費負担の対象となる心理療法という方ですけれども、この心理療法の範囲、種類につきましては、それほど皆様の御意見には違いがなかったように思っております。むしろ、法務省からいただきましたどこまでの範囲かはっきりさせておいた方がよいという線引きについての御意見がありましたので、これについて何か御意見がございましたらいただければと思います。
○ 松坂構成員日弁連の犯罪被害者の委員会の方にも関係している関係で、意見を申し上げたいと思います。法務省の方で言っていただいた被害者参加弁護士が被害者の方でなかなか弁護士とうまくコミュニケーションがとれないといった場合に、実は現場では切実な問題として問題提起されております。
すなわち、そのときにしかるべきカウンセラーの方が同行していただけると、非常にコミュニケーションがとりやすい。だけど、なかなかそれができない。例えば、制度的にその分の費用は弁護士が自腹で払うということがるる報告されていたかと思うんですね。ですから、法務省が御提案のとおり、それも制度設計の中に入れていただけると、弁護士会の方とすれば非常にありがたいという話です。
○ 小西座長ほかにはいかがですか。私はこれはちょっと意見がありますが、今のところ、ここでイメージされているものはカウンセリング・心理療法なんですね。心理的な支援はすごく役に立つことは私も実感しております。
ただ、同行支援については、今、被害者支援団体で実際に早期支援の中の大きな柱としてやっていらっしゃる。それから、さまざまな支援の中で、どちらかといえば、権利擁護の活動として行われているところを考えますと、そういうものと截然と画して、心理カウンセリングの中に同行支援を含めるというのが、カウンセリングする立場からすると無理があるようには思います。ほかに御意見はございますでしょうか。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)先生、私の方からもよろしいですか。
基本計画上の位置付けから申し上げますと、公費負担のカウンセリング費用という意味での心理療法等の公費負担の検討会というものとは別に、法務省さんと日本司法支援センター、法テラスとの方で、カウンセラーなどを犯罪被害者等との打ち合わせに同席させることについての支援といいますか、その体制というようなものの枠組みは御検討いただくということになっておりまして、むしろ計画上はその検討会とこの法務省及び法テラスさんの施策を融合させるかどうかという位置付けになるということになることについて補足いたします。
○ 小西座長これにつきましては、むしろ今までこういうことについて議論していなかったことですけれども、第2次の基本計画の方からしますと、やはりここでの議論にはなじまかないかと。非常に必要な支援であることはもう間違いございませんが、ここではそういうふうに確認しておきたいのですけれども。
○ 松坂構成員今の座長の意見を了解をしたいと思います。別の切り口で、多分、法務省と法テラスの方と、それの受け皿として日弁連に法テラス推進本部というのがありまして、その中の犯罪被害者の支援のチームがありますので、そこで三者協議が多分進むんだろうと思いますので、そこを是非サポートしていただいて、それはそれとして充実した施策になるように、よろしくお願いをしたいと思います。
○ 小西座長ありがとうございます。それでは、公費負担の対象となる心理療法の方の今度は2番目のところの御意見をいただきたいと思います。
1番目の方は、特に限定をしないという御意見でいいかなと思うので、2番目の「実施者」で、質の確保について、それから必要とされる人数の確保についてという題が挙がっておりますけれども、これにつきましてほかの構成員の御意見も見ながら御自由に意見を少しいただければと思います。
○ 中島構成員さっきの1点だけ、蒸し返して申し訳ないのですが、例えば何々心理療法という枠は要らないのですが、もし何らかの枠を定めるとしたら、少なくとも対面による面接であることというような枠、つまり最初から最後まで全部電話相談で1回も被害者の方に会ったことがないというような場合は除くようなことはもしかしたら必要かもしれないです。
○ 小西座長多分、これは細かくやっていくと、そういうことを考えなければいけないことがたくさん出てくると思います。今、御意見を伺っておいて、また後ほど検討したいと思います。ありがとうございます。
次は実施者について、今日結論に至るわけではありませんけれども、今御意見があれば出していただければと思います。
○ 松坂構成員結論から言うと、認定制度が一番いいかなと思います。対比する考え方として登録制度があります。要するに、ある程度の資格を認めておいて、あとは好きな人がどんどん「この指とまれ」ということで登録を受け付ける。登録をした人は特段の事情がない限り全部リストアップするという考え方ですが、私は質の確保という点から言うと、やはり何らかのルールを決めて認定制度、そうすると誰かが認定しないといけないのですが、そこの認定をする機関というのは、先ほどお金を出すところと多分一致するんだろうなというイメージですが、そこの認定機関が、ここで絞りをかけるわけですが、例えば精神科の医師、臨床心理士、その他、カウンセラーの専門職の中で一定のこれこれという条件を具備した人であって、いわゆる第三者機関がその条件にかなうとして認定した人。
具体的には、認定してくださいという申請をその団体ごとから出してもらって、それを日本全国で統一したリストをつくって、それをさっき私が言った、インターネットで検索すると、網走の人が私のところは誰だろうとすぐ検索できるようなシステムにする。そういうイメージを今持っていましたので、一応私の意見として申し上げました。
○ 小西座長ほかにはいかがでしょうか。
○ 太田構成員私も、そういう認定制度が割と早期にできれば技術的には一番いいかなという気がしますけれども、そこに申請してくる可能性のある職種というのは大体どういうものがあるんでしょうか。心理士でも結構いっぱいありますね。さっきどなたかの先生から出ていましたけれども、余り特定なものに限ると、不公平だとかという話になるという話がありましたので、そこを余り狭くしない方がいいと思うんです。
ただ、ある程度限度もあるだろうと思いますので、そこら辺の範囲がどれぐらいなのかということで、どなたか情報をお持ちだったら教えていただければなと思います。
○ 小西座長今のことに関して、何かございますか。
○ 太田構成員中島さんだと看護師、これは医師の指導に基づくと書いてありますけれども、例えば看護師なんかもいいのかとか。作業療法士さんとか。
○ 中島構成員ここで言ったのは、とりあえず心理カウンセリングを行う可能性のある国家資格というので挙げていて、例えば病院で集団の認知行動療法を看護師がやっているということはあるんですが、その場合も基本的には医師の指導の下なので、これは通常の医療行為の範囲、国家資格のほとんどは医療行為の範囲に収まってしまうので、実は余り認定をしなくていいということがあると思います。
むしろ、難しいのは国家資格ではない方たちがやっている場合で、その場合、個々人の認定というのは難しいです。臨床経験何年というのを一々その機関が全部認定するというのは困難です。そうすると、各団体が資格を付与しておりますので、その各団体の資格付与について、この資格は犯罪被害者の診療をするに相当するだけのトレーニングを積んだ人たちに出していますねということを認めるというのが妥当なラインかと思います。
そういう意味で、一番資格が難しいのがいわゆるフェミニストカウンセリングを行っているような機関だと思います。そうしますと、場合によっては犯罪被害者に特化して支援を行っている機関については、その機関での認定というような形にもなるのかなと思います。これはできるだけ今現在犯罪被害者をちゃんと支援している方を認定できるというような方向で考えていったらよいのではと思います。
○ 太田構成員私も、臨床心理士さんとか、精神保健福祉士さんとか、割とイメージがつくんですけれども、それ以外、今問題になっているのは単独でやった場合ですから、例えば看護師さんなんて認定を受けた人は単独でやって、そういう可能性のある職種なのかということと、余りコメントしにくいかもしれませんけれども、それから被害者相談員という制度がございますね。あれは法令に基づく制度なので、被害者支援早期援助団体の場合には被害者相談員という一定の経歴を持った人がおります。例えば、そういう人たちも研修を受けて認定を通った者はそういう対象になるのか、ならないのか。学会なら学会レベルでもちゃんとした心理関係のものをやっている人に限るという話なのかどうか。だから、その辺の幅どこら辺まで広がっているのかなというのを知りたかったものですから質問いたしました。
○ 小西座長ありがとうございます。これも本当に個人的な意見ですけれども、地域によって結構実情が違いますので、例えば被害者支援団体にしても、民間のさまざまなカウンセリング団体にしても、活動の度合いとか、どの程度の質で認定しているかというのはかなり差があるんですね。
今、網走の話を松坂先生にイメージとして出していただいているのですが、やはりその地域でないとどこがというのはなかなか言いにくいだろう。もしかしたら、認定ということを地域単位で考えるということもあるのかなというふうには思っております。
ほかにはよろしゅうございますか。お願いします。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長制度とつい頭で考えてしまう立場からの発言になるのですが、どうしても一定の公費が投入されるとなりますと、悪用されない制度になっているのかというのも考えなければいけない場合に、先ほど、松坂構成員に私が若干言葉が過ぎたかなと思ったんですが、事実の審査ということを申し上げた次第でした。それは犯罪被害としての対象者かということですね。
今度は、療法を行う方が、今は大変皆さん苦労されてやっている世界ですから、そんな心配は全くしなくていいと思うんですけれども、一定の公費が出てくると、言わば相談屋と呼ばれるものがはびこるおそれというのをどう考えるのかというのがあって、一定の資格がある世界ですと、きっちりしていますからよろしいかと思いますけれども、そこら辺が国家資格がない世界の中でどういう水準を保つのかというのは、やはりある程度何らかのきちっとしたものを持っていないと非常に危ないので、ですから認定制度というような考え方もあると思います。その場合にどういう形でやっていくのかとなると思います。
あともう一つ、ここは非常に難しくて私は、よく分からないんですけれども、カウンセリングもいろいろなレベルがあって、それが療法としてある程度相当な効果があるというレベルのものから、とにかく被害者の方の話を聞いてあげることで一定程度緩和をしていくレベルまであって、どこの水準から見るか。これはもしかすると、制限すべきではないという議論のところで申し上げるべきだったのかもしれませんけれども、それってどこか切る必要は本当にないのかなというあたりは、微妙な問題はあるのだろうかというところを思った次第でございます。
○ 小西座長これについては、多分今まで大分議論したり聞いたりしてきて、その結果が皆様方がそういう形で切るのは余り望ましくないという結論なんだと私は思っています。勿論、今おっしゃったような危険性をどうやって防止するかということは、またその制度の中に盛り込んでいく必要が当然あると思いますけれども、原則どう考えるかというところで、何か治療法を限るということはどなたもお考えになっていないのかなという理解でございます。
やはり国家資格でない資格をどういうふうにしていくかというところが一つ、またここにもどうやって線を引いていくかというような問題があるということが今共有できたかと思います。これについて、何か警察庁の方でございますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長特にはございません。
○ 小西座長それでは、時間も詰まってきましたけれども、公費負担の限度、例えば松坂構成員からはカウンセリング20回程度、中島構成員からは上限は一応検討すべきではないかというような御意見をそれぞれいただいております。
どういう形で区切っていくか、あるいは区切らないかということについて、何か御意見がございましたら、いただければと思います。
○ 松坂構成員私は専門外ですから、20回と言ったのも、中島先生とか、小西先生とか、あと日弁連の中の犯罪被害者の委員会の中で聞きかじった情報を総合判断して20回ぐらいかなと。1回単価が1万5,000円から2万円と見て、大体40万以内で収まるんですね。そうすると、1人の被害に対して40万ぐらいが高いか安いかは価値観の相違がございますけれども、まあまあしかるべき犯罪の被害者としてそれなりの御苦労をなさっている方に対し、国民感情としてその程度の費用負担は一般的に許容範囲かなということで一応20回、約40万程度をイメージした意見を出したということです。
○ 小西座長ありがとうございます。中島構成員はいかがですか。
○ 中島構成員今のような目安が妥当だろうと思います。今日本の中で医療保険については大体決まっているので、すぐ試算ができるのですけれども、いわゆる医療保険でないものについては値段が結構ばらつきがあり、高い先生だと何万もかかるということがあると、その被害者の方が、どこの機関に行くかによって、相当金額が変わってしまうだろうということがあります。大体平均的な回数、あるいは金額から想定した金額の上限で設けた方がいいのかなと思います。
1つには、そんなことはないと私も望みますけれども、不必要に長期に、かかってしまうということを防ぐためにも、ある上限というものがあった方がいいのかなと思います。
そうすると、先ほども言いましたように、医療費の場合は個人負担がいろいろな制度を使うと非常に安くなりますから、上限金額にしておくとかなりの長期にわたって受けられる。それが医療だからいいのだという考え方もあるかもしれませんが、ある程度何年ぐらいまでというような目安をもしかしたら設けておくのがよいのではないかと思います。ただ、現状の1年はちょっと短いかもしれないなと思います。裁判でさえ1年で終わらないということを考えると、もう少し長期であってもいいのかなとは思っています。
○ 小西座長ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。どうぞ。
○ 太田構成員まだ厳密に検討したわけではないのですけれども、認定制度をつくるという前提となった場合に、果たしてそこで標準的な報酬水準みたいなものを設けるかどうかを検討する必要があります。一番最初のころに、たしか松坂先生がそれは今弁護士報酬でもできないことになっているというお話でしたので、例えば1回1万円とか何とかというふうな、もし公費負担のあれで認定されたカウンセラーがやるのならば1回1万円ですよという形で、そういう標準設定がもしできるのであれば回数というようなものでやることとし、もしそうでないとすると、ある人は3万円、ある人は1万円となってくると、回数だと合計額が違ってくるので、その場合には金額、合計額ということになるんだろうという気がします。
それから、年数だと、保険の場合にはいいんですけれども、保険適用がないものだと、年数というのは人によっては、毎日行く人はいないかもしれませんけれども、しょっちゅう行く人と回数が少ない人がいるので、ちょっとまずいのなかなという気がしますので、認定制度の標準化ということが果たして可能なのかということと関係で、もしそれがある程度できるのならば回数で、もしそうでないとした場合には金額での上限で線を引くべきだろうと思います。
ニューヨークはアメリカで唯一カウンセリング費用が青天井になっている州だということで調査に行ったわけですけれども、ニューヨーク州の担当者は、我々はアメリカで唯一無制限なんだけれども、長期のカウンセリングはほとんど必要ないというふうに説明しておりました。一定期間カウンセリングを受けたところで、社会へ復帰ということが可能になっているという現状というのは、日本の独自の状況というのはあるかもしれませんけれども、そういうことも考えても、あと公費負担という性格を考えても、やはり一定の枠を設けておくということは、ある意味では被害者の早期の立ち直りという点でもいいのではないかなという気がいたします。
○ 松坂構成員1点だけ。私が20回といった場合には、当然費用は制度設計上は通常のカウンセラーであれば例えば1万円と。通常3万円もらっていようが、5万円もらっていようが、とにかくこの国費をいただく場合にはとりあえず一律1万円とか、特殊な複雑な療法であれば、Aという療法の場合は3万円とか、Bという療法であれば5万円とか、ある程度これは基準が設定できるのではないかなと思うんですね。ですから、そういう意味での人によって高いとか安いということはないのかなと思います。
○ 小西座長そうしますと、今までのところの整理ですが、今ここで認定制度とかと絡んで話していることは、要するに医療保険外で行われることについてどういうふうにやっていくかという問題であると。ここのところはよろしいわけですね。
その中で、皆様の御意見で、無制限がいいという方はいらっしゃらないということですね。では、妥当な線でどうやってやるか。今、そういう形になっているというふうに考えます。
私の個人的な意見ですけれども、今度、心理療法をやる側としてですが、制限があった方がいいと思っています。なしでやると、治療とまた違いましてなかなか定まりにくい。最後が定まりにくく、ずっとやってしまうというようなこともやはりあると思いますので、ある程度回数というか、何らかの制限があった方がいいと思います。当然、臨床上もいいかなと思います。十分な回数が必要なことは言うまでもありませんけれども。
○ 太田構成員あと、これは被害者が先に払ったものを後から償還するタイプにするのか、カウンセリングをやった人が、先ほどの松坂先生は、どちらかというとカウンセリングした方が国に請求するというイメージだったと思うんですけれども、こちらの方は被害者が費用負担をしなくて済むというメリットはあるんですけれども、そのどちらをとるかというやり方も関係してくるように思います。
○ 小西座長関係というのは、例えばどういうふうに。
○ 太田構成員金額とは直結しないかもしれませんけれども、例えば心理カウンセラーが自分の費用を私は1時間3万円なんだよというのを設定しておいて、それを全部負担するのではなくて、いずれにしてもその中で1万円分を公費負担の方でサポートできるんだよというふうな形にするのか、それとも、もし公費負担の枠の中でカウンセリングを提供するのならば、それに応じたカウンセリングという前提でやるのかというようなことと関係してくるようにイメージとして持っているので、制度の方法としては償還タイプにするのか、実施者の方がまずは負担するのかということも、この制度設計の中には入ってくるかなという気がいたします。
○ 小西座長ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○ 加藤構成員太田先生にお聞きしますが、ニューヨークの場合は何か期間的な制限というのは全然ないのですか。
○ 太田構成員被害者補償の中のほかの費用はみんな上限があるんですけれども、唯一医療費、その中にはカウンセリング費を含む、この分だけはアメリカで唯一制限が置かれていない州がニューヨーク州ということで調査に行った訳ですが、向こうで非常に長期間のカウンセリング費用を負担するような、補償するようなケースはありませんかということを聞いたら、20年支給しているケースはあるんだけれども、それは例外中の例外で、ほとんどは短期間の間にカウンセリングは必要ないということでした。
それは毎年、医師ないしはメディカルソーシャルワーカーとか、そういう人たちが精神保健治療報告書(Mental Health Treatment Report)という報告書を書くことになっていて、それで最終的に補償を継続するかどうかを決めているということでした。
一応制度的には青天井になっているんだけれども、実際にはかなり短期間で終わるのがほとんどだということでした。
○ 小西座長ほかにはいかがでしょうか。なかなか複雑なんですけれども。
それでは、ちょっと駆け足になって1と2を議論してみたという感じです。実は少し時間が余りました。ここで、今日の1と2を踏まえて、皆様方にもう一度御意見をそれぞれ伺っておくようにしたいと思います。今日の議論を踏まえて、是非御意見をいただければと思います。こちらから指名してもよろしいですか。では、端から、加藤先生からお願いできますか。
○ 加藤構成員私は届出というのはとりあえずこの新しい心理カウンセリングの公費負担のスイッチ役に警察ということを考えていたのですが、やはり警察で情報を収集して公費負担とか、心理カウンセリングに流す方法と、被害者団体からのルートという2つのシステムがこの心理カウンセリングを犯罪被害者等に対して手厚く提供するという趣旨から言うと、2本立てというのはいいのかなと、皆さんの御意見を聞いていて考えていたところです。
あとは、資格等の問題については、今認定制度ということが出ていまして、それについて特に異論はございません。簡単ですが、以上です。
○ 小西座長ありがとうございました。太田先生。
○ 太田構成員犯罪被害者の範囲で未検討の部分が今日残っているかと思うんです。例えば罪種をどうするかとか。私は余りこれまで考えてこなかったんですが、今日何人かの先生から資力要件なんていう話が出ていたので、そういうことも考えなければいけないのかなと思います。従来の給付制度だとそういう発想がないものですから、どうなのかなということですけれども、ただ、こういった犯罪被害者の範囲にしろ、心理療法の実施者にせよ、従来の制度とは異なったかなり独自の内容を盛り込めば盛り込むほど、犯給法の中でやるのは難しくなるのではないかなという印象を持っております。
もしくは、今お話に出ましたように、2本立てないしは3本立てといいますか、給付制度の中でできるものはやり、それ以外の制度もつくるという方法があると思います。給付制度といっても、例えば罪種の問題で過失犯は除くとか何とかという枠組みは、犯罪被害給付制度の中で遺族給付金、障害給付金、重傷病給付金、何かもう一つ新しい給付金をつくるとしても、全部それがかかってきてしまう。その給付金だけ全く別の要件にするというのは、立法技術上、極めて困難といいますか、できないことはないと思うんですけれども難しいことは確かです。、そうなると、1つのやり方は犯給法の枠内でできるような制度もつくり、それから漏れるような場合の独自の公費負担の制度もつくり、更にそれにも対応できないような人は警察でのカウンセリングだとか、被害者支援センターでのカウンセリングというような現物支給の形のものを基盤整備しておく、そういう形にならざるを得ないのかなという気がします。全部犯給制度の中でやれというのは、いずれにしても難しいのかなと、今日先生方の御意見を聞きながら感じました。
○ 小西座長ありがとうございます。松坂構成員。
○ 松坂構成員再度、ポリシーといいますか、考え方を整理する、やはり被害者の方にとって分かりやすいこと、それから使いやすいこと、それから費用負担がないこと、この3つの要件をイメージしながら発言をしてきたつもりです。
今まで述べたことと重複しないようにお話をするとすれば、罪種の件ですが、これは確かに日本国の法律の中でいわゆる刑法犯、もしくは刑罰を伴う犯罪というのは書き出したらきりがないぐらいたくさんあるわけですから、それをAグループとBグループに分けてAだけですよという切り分けがいいのか、それとも何らかの抽象的な文言で、例えば財産犯は除くとか、もっと絞り込んで、心理カウンセラーを必要とするような生命・身体に何とかかんとかという表現で絞り込みをかけるのか、これはちょっと工夫が要ると思いますが、何らかの絞り込みは必要かなと思っております。2つ目は、私のイメージあくまでも新たな制度設計、仕組みをつくるということであります。
先ほど何度も申し上げているとおり、被害者はいろいろな警察のお世話になってカウンセリングに行く場合もあるし、犯罪被害者支援センターに最初助けてもらって、それからカウンセリングに行く場合もあるし、それから直接カウンセラーを自分で探していく場合もある。いずれにせよ、心理カウンセラーのところで心理療法を受けるということになりますから、そこで制度設計しておけば、すべて足りるのかなというイメージです。
次回、お話をすることになるので、財源、第三者機関について、本日現在こういう意見を持っていますということでお話をしたいのですが、第三者機関として私は厚生労働省あたりが適切かなということを考えております。すなわち、お金は支給する、ないしは何度も言うとおり、クリニックのところで費用を請求するわけでありますから、それを警察庁に持っていくというのは筋違いかなと。警察庁以外の犯罪被害者支援団体に持っていくといっても、それはなかなか国費をそういう民間団体に預けるわけにいきませんので、やはり厚生労働省が管轄するのが国民にとっては一番分かりやすいかなと、そんな気がいたします。
したがいまして、あとは間口を広げておいて、後でちょっと詐病、もしくはそういうことはないと思いますが、カウンセラーの方の放漫治療、場合によっては違法行為、これは当然厚生労働省の方でチェックをしていただくということをイメージしております。
以上です。
○ 小西座長ありがとうございました。では、久保構成員、どうぞ。
○ 久保構成員公費を支出するのですから、一定の基準というか、枠は必要であるというのは大体皆さんの一致するところではないかと思います。ただ、その枠の設け方によって救済する範囲がかなり違ってくるということで、私は犯給法の中に別枠としてカウンセリング給付みたいな部分をつくるのはどうかなと思っていたんですが、太田先生がおっしゃるように、これも一定の基準が必要で、犯給法でやる場合にもやはり公費負担の基準を広げることはなかなか難しいという気がいたします。ですから繰り返しになりますけれども、民間の支援団体みたいなものももっと活用できないかなと思いますが、仄聞するところによると、今、民間支援団体は財政的にも非常に困窮しているし、人材的にも非常に困難な状況にあるということで、それもなかなか難しい状況です。最初に申し上げたように、今非常に厳しい時代ですので、今ある資源をいかに生かすかということを考えると、こうした民間団体等にてこ入れをして、公費で漏れた部分をすくい上げていくようなシステムが何か考えられないかなと、これは言うだけでなかなか難しいかも分かりませんけれども、そういう考え方です。
それから、資格については、もろもろの認定とか審査というもの、これはやはりきちっとやる必要があると思うので、第三者機関的なものを設ける必要があるかなという気がしてきました。
以上です。
○ 小西座長ありがとうございます。中島構成員、どうぞ。
○ 中島構成員たくさん御意見を伺わせていただきまして、いろいろ考えるところも多かったのですけれども、やはり財源がどこなのかにかなり影響されるのだろうと思います。もともとカウンセリング費用の公費負担というのは第1次の基本計画のときからあった問題で、犯給法によってカウンセリング費用が賄えないのかということが一番最初の出だしで、それをどうしてもできない、現法上拡張するのが難しいということでそのままになっていて、もう一回今回それを検討していると思うんですね。
犯給法の中での現状の被害者、医療給付以外のものについて公費負担ができる可能性があるのであれば、まずそれを拡張していただいた方がよろしいのであろうと思います。ただし、今までの検討会でそれが難しいということがあったので、ここでまた検討しているわけなのです。もし犯給が無理だとすると必ず別の基金でそれを支出するということになるか、現物給付を拡張していくかという2つの道しかないことになると思っていますので、この議論に当たって犯給法はどうできるのかということを抜きにするというのは難しいと思いますので、是非そのあたりを同時に検討していただく必要があるのではないかと思っております。
○ 小西座長犯給の中でどうできるのかということですか。
○ 中島構成員はい。
○ 小西座長ありがとうございました。更にほかに御意見、省庁の方からもございましたら。では、まずは太田構成員、どうぞ。
○ 太田構成員簡単に、ちょっと備忘録といいますか、将来御検討いただければということで発言しておきますと、被害者の範囲ということに関して、国外で犯罪被害を受けた被害者の中にも支援を必要とする人はたくさんいると思います。直接伺ってはいませんけれども、当然構成員の先生方の御意見は、勿論どこで被害を受けようとも心理的なカウンセリングが必要ならば支援をすべきだということになろうかと思いますから、そうしますと、これは現在の犯給法の中では対応ができないことになってきますので、犯給法を拡張するという話と同時に、それ以外のものは必ずつくらなければいけないということになるかなという気がします。そういう国外での被害の場合ということも御検討いただければなと思います。
○ 小西座長ありがとうございました。ほかにございますか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長失礼いたします。第1次犯罪被害者等基本計画の検討会に実際に出ていたわけではございませんので何とも申し上げられないところがございますが、犯給制度でこれまでカウンセリングが対象になっておりませんのは、重傷病給付金の枠がございますので、医療保険の対象になっていれば当然範囲になり得る。まず、第一義的にはそちらでお考えをいただければ、システム的にはうまくいくのではないかというのが、恐らく前回の第1次基本計画の検討会の議論だったのではないかなと思っております。
医療保険についてはどうなのかというお話も本日も出ておりましたけれども、そのあたりも踏まえまして、更に犯給制度でどうかということを今回警察庁も警察庁なりに考えてまいりましたところ、しかしそうは言っても、幾人かの先生から御指摘があったとおりでございますが、犯給制度の中にそのままのみ込んでいくには非常に厳しいところも多々あるというところについて御理解をいただければと思っております。
以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。本日、御検討いただきましたところで、私の進行の不備もございまして、例えば資力の問題とか帰責性の問題、ほかの要素との関連の問題といったところはまだ議論されておりません。更に、実施者の中でどの程度の人数が必要なのか、これも難しい問題ですけれども、幾つか取り残しております。
次回は、論点表、それから残りの論点につきまして、また御検討いただきたいと思います。大変複雑ですけれども、お話を伺って大変勉強になるやと、もうちょっと整理されていくところもあると思いますので、是非よろしくお願いします。
それでは、最後になりましたが、第7回検討会の開催について、事務局より御説明をお願いします。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)次回、第7回の検討会につきましては、7月25日水曜日になります。午前10時から午後1時まででございます。遠方からの先生には午前中からの会議となりまして申し訳ありませんでした。また、今回日程調整にはもろもろ御調整いただきまして、本当にどうもありがとうございました。
○ 小西座長ただいま、第7回検討会の検討予定事項について説明がありました。本日の議論を踏まえまして、事務局で意見のとりまとめを行ったものに基づき、皆様方にはまた事前に御意見を頂戴したいと考えております。検討会当日の限られた時間の中で有意義な議論を行うため、構成員の皆様方には是非事前意見を出していただき、それらについてお互いに事前に把握した上で密度の濃い議論をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
また、提出いただいた事前意見は、事務局から事前に構成員に送付するとともに当日配付いたしますが、可能な限り正式な配付資料として公表したいと考えております。
なお、第7回目以降の準備のため、事務局から論点に関する御意見の提出について、有識者及び省庁の構成員の皆様に御依頼をさせていだたくこともあろうかと思いますので、その際には御協力いただきますようお願いいたします。
それでは、これをもちまして第7回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を終わります。どうもありがとうございました。

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