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第4回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」
議事録

○ 小西座長おはようございます。
本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、第4回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を開催いたします。
まず、今回から、人事異動により新たに警察庁の北村総括審議官においでいただいております。
一言ごあいさつをお願いできればと思います。
○ 警察庁長官官房総括審議官10月25日の異動で警察庁の総括審議官を拝命いたしました北村でございます。
カウンセリングにつきましては、犯罪被害者、また被害者家族からもその重要性につきましては、既に御指摘いただいておりますし、また我々もその推進に努めているわけでございますけれども、さまざま予算上、組織上の制約等もあるところでございまして、またこういった会合におきまして先生方からさまざまな形で御指導、御鞭撻をいただいて、施策の改善、向上に努めてきたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○ 小西座長ありがとうございました。
それでは、本日は、第4回の検討会ということですけれども、本日も議事がたくさんございます。
事務局から御説明を願います。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、お手元の議事次第をごらんいただければと思います。
この後、心理療法の公費負担に関する各種制度等につきまして省庁の方から御説明をいただきます。その後、犯罪被害者等に対する心理療法の実施状況ということで、本日は公的機関からの委嘱等により費用が公費負担されている心理療法等につきまして宮崎先生からヒアリングをいたします。そして、次が社会保障制度における心理療法と公費負担医療ということで、本日、加藤構成員からお話をいただくということになっております。続きまして、犯罪被害者等に対する心理療法の必要性及び有効性に関連する調査結果ということで御説明をいたします。次に、心理療法の定義、種類、実施者等の概念整理(共通イメージ保有のための整理)ということで、最初の方で積み残しになったものにつきまして資料について御説明いたします。その後、自由討議、当面の検討スケジュールということで閉会となっております。
以上です。
○ 小西座長ありがとうございました。
それでは、早速、内容に入っていきたいと思います。
では、議事次第の2、心理療法(カウンセリング)の公費負担に関する各種制度等についての補足説明ですけれども、これは前回、前々回、検討会におきまして各省庁から御説明をいただいております。それに対して構成員の皆様から御質問が出ておりましたもので、今回、担当の省庁からそれぞれ御回答いただきます。
まず、厚生労働省、お願いいたします。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長厚生労働省でございます。
お手元の資料1-1に事項の一覧がございます。厚生労働省関係は、(1)~(5)までの5点につきまして回答を本日、用意してございます。
回答自体は、資料1-2をごらんいただきたいと思います。
まず、第1点、PTSDが幅広く保険診療の対象となる見通しがあるか、そのための条件は何かという御質問でございました。
回答でございますが、診療報酬の算定要件につきましては、中央社会保険医療協議会、通常、中医協と言っておりますが、この中医協におきまして医療の提供者、医療の費用を負担する保険者や患者代表、学識経験者の三者構成になっておりますけれども、こちらの中医協で有効性、安全性について議論をした上で決定をしていくということになってございます。したがいまして、PTSDにつきましても、その治療の有効性、安全性等につきまして中医協で議論し、検討していく必要があるということでございます。
2つ目、臨床心理技術者が専門的な精神療法を実施した場合に、診療報酬の対象となるためにはどのような条件が必要かということでございます。
回答でありますが、現在の保険診療上のいわゆる診療報酬点数表におきまして、例えば入院集団精神療法、通院集団精神療法などにつきまして、これは前回お話があったかもしれませんが、精神科医師及び1人以上の精神保健福祉士または臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行ったものという評価の仕方をしております。臨床心理技術者が単独で行った精神療法が診療報酬の対象になるかどうかということですが、基本的には、保険診療は医師の診療行為に着目していって、評価をしていくということではありますけれども、単独で行った場合についても評価の対象になるかどうかにつきましては、中医協で審議し、検討する必要があるものと考えております。
3点目、臨床心理士が国家資格となった場合については対象になるのかということでございますが、診療報酬の算定要件につきましては、繰り返しになりますが、中医協で議論され、決定されるものでありまして、精神科専門療法の算定要件につきましても、国家資格となった場合、国家資格となったことによって自動的に算定できるかどうかということよりも、個々の技術につきまして議論されていきますので、その臨床心理士が行った精神療法についてそれぞれ議論され、決定をされていく必要があるだろうと考えております。
4点目、精神保健福祉士と臨床心理士で、診療報酬上の取り扱いに差があるのは、職務の性質上や技能の内容が違うことによるのかということですが、職務の性質や技能の内容が違うということでございまして、精神保健福祉士は主にケースワークを行うけれども、臨床心理士などの臨床心理技術者は主に心理療法を行うということでございますので、こういった違いがあり、ケースワークはどういう技術かということにつきましてですが、精神障害者や家族を対象として、主として社会福祉的な観点から問題解決や課題遂行という技術であると整理をされているところでございます。
5点目、それでは、精神科専門療法の診療報酬点数でどういったものが算定でき、その場合の実施者はどうなっているのかということですが、以下、2ページにわたりまして現在の点数表上の精神科専門療法について記載をしてございます。個々に説明いたしませんが、例えば一番上でいきますと、精神保健指定医その他の精神科の医師となっているもの。002-2のように、精神科医師、またその指示の下でこういう人がやった場合など、それぞれの区分につきまして実施者が特定をされているのが現在の点数表の構成でございます。
その後に小西構成員御照会ということで2点つけております。
まず、臨床心理士あるいは心理技術者が精神科外来通院者に保険診療で行える心理療法について、それはないということでよろしいかということにつきましては、先ほどの一覧表にありましたように、一定の場合、通院集団精神療法の場合につきまして算定できるとしているものがございます。
一番最後のページですけれども、PTSDに関する認知行動療法は保険診療外である。現在日本で行われている定式化された持続エクスポージャー法は自費診療しか道はないということなのかということでございますが、持続エクスポージャー法につきましては、通院・在宅精神療法の中に含まれているので、保険診療として行うことができる。ただし、算定要件がありますので、そういう場合に限り算定ができるという整理になってございます。
私どもからは以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。
このことにつきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。
私の方の照会に答えていただいてありがとうございます。
質問がちゃんと自分の意図が表現されていなかったと思います。
もう一度だけ確認していいですか。
個人の精神療法について臨床心理士が保険点数がとれるものはないということでよろしいですね。私はそう理解しているのですが、皆様にそのことをきっちり知っていただきたくて御質問しておりました。質問の仕方が悪かったと思います。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長個人のといいますのが、臨床心理士の方が心理療法をやった場合ということでございましょうか。
○ 小西座長個人の患者さんに対して臨床心理士が精神療法をどんな形ででもやった場合には保険点数にならないということでよろしいかという質問に変えさせていただきたいです。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長あくまで保険診療でございますので、保険診療といたしまして、医師が診断し、それに基づいて治療が必要だと判断をされて行われた治療行為に診療報酬が出るということですので、その治療行為、診療行為が具体的にここに書いてありますように、精神科医及び1人以上の精神保健福祉士または臨床心理技術者ということですので、この算定要件を見ますと、精神科医なしで単独でこの臨床心理技術者が行った場合は算定できないということかと思います。
○ 小西座長そうですね。算定できないということをはっきりさせておきたかったということです。
認知行動療法の方は、うつの認知行動療法については特定の点数がついていますが、PTSDの認知行動療法にはそういう特定の点数はないということでよろしいかという質問です。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長特定の点数がない場合に、それは保険診療で認められているのか認められていないのかという話にもなりますが、今回の御回答で提出しておりますように、一定の要件に当たる場合につきましては、保険診療で行うことができるのですが、特定の点数がついているかというと、そういう点数が設定されているわけではないということになろうかと思います。
○ 小西座長分かりました。
済みません、質問に不備があったと反省しております。
どうぞ。
○ 太田構成員今、精神科医の人と、もう1人、心理技術者が2人以上で行った場合に保険点数がつくという具体的な状況ですけれども、例えば病院の中に医師と臨床心理士がいて、医師の指導の下で共同で、もしくはその後で医師の指導の下で臨床心理士がやれば保険点数がつくというのは分かるのですけれども、例えば通院で医師が治療していて、その指導の下に自分がよく知っている非常にいい臨床心理士が外部の個人開業でやっているので、そこに行ってこういうものを受けてきなさいといって、医師がそのような指導か何かをしてやった場合は、これはもう保険点数がつかないという理解でよろしいでしょうか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長それは対象外ということになります。
○ 太田構成員そこは対象外ということで、同じ病院なら病院内でやらなければいけないということですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長そもそも日本の医療保険の仕組みですけれども、保険医療機関という機関指定がございまして、そちらが保険診療を担当するということになりますので、保険医療機関という、通常病院なら病院ですし、その医師なら医師が、保険医として、また保険医療機関として診療を担当することになっております。したがって、保険医療機関でないところが保険診療を行うということは法律上は想定されていないということです。
○ 太田構成員臨床心理士もそこの保険医療機関に所属していなければいけないということになりますね。分かりました。ありがとうございました。
○ 小西座長もう一つ、今の点で確認させてください。
前者の保険診療機関内に医師と臨床心理士がいて、その場合に精神療法というのをとることが、臨床心理士がカウンセリング、心理療法をやった場合に保険の範囲内でやることができるということですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長保険医療機関としての病院の中に、そこに所属する技術士の方が算定要件に合うことで行った場合については、算定ができるということでございます。非常にかたい御説明で申し訳ございません。
○ 小西座長ありがとうございました。
久保先生からもこの心理療法の保険適用についての御意見をいただいておりますけれども、何か御意見ございましたら。
○ 久保構成員私も前回からずっとこの点については質問をしているわけですけれども、今、医療保険は極めて厳しい状況にあると。そういう中で、犯罪被害者等の精神的なケアを保険診療でどこまで引き受けるのか、あるいはどんな形で引き受け得るのかという見通しがあればいいし、非常に難しくて見通しがないのであれば、また別の方法を考えなければいけないなということで質問を繰り返させていただいているわけです。
中央社会保険医療協議会の検討を経なければならないというのは重々承知ですけれども、もう少し見通しみたいなものが分かれば、厚生労働省としても非常に難しい立場でしょうけれども、少しでも御説明が可能であれば伺いたいという趣旨です。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長御質問の趣旨は重々理解をするところでございますが、どの医療行為、診療に関して保険に適用していくのかというのは、私ども厚生労働省は中医協事務局という立場で、国会で私どもの大臣が問われた場合はなかなか見通しを語ることが難しいということでございますので、見通しというのはこの場では私からは申し上げられない。
どんな感じになっているかといいますと、今、医療保険財政が大変厳しい中でというお言葉をいただきましたが、新たな医療技術を保険適用に追加するかどうかというのは、大体手続としては、関係各学会から要望を出してもらっております。これは膨大な数になりまして、それを1件1件精査いたしまして、最終的に2年に1度、通常改定が行われますので、そのときにどの技術を新規技術として保険に入れるかどうかを決めているという状況であります。最近の傾向でいいますと、やはり財政の問題もありますので、そんなに大幅には入れることができない。それぞれの領域の学会、この学会の数もたくさんありますので、各学会の要望の中でごく限られたものが順次認められている状況であります。
以上を申し上げた上で、私の立場では見通しというのは申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
○ 小西座長久保先生、よろしいでしょうか。
○ 久保構成員はい。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)久保構成員からの資料8-3を拝見しておりますと、今、おっしゃった見通しもさりながら、最後のパラグラフで今まで中医協でどんな議論が行われてきたかを可能な範囲で適当な機会に概略のお示しをお願いしたいということだったと思うのですが、それも御意見としてあるということで、適宜な機会にまた別途お願いをするという御意見ということでよろしいのでしょうか。
○ 久保構成員今日がそのタイミングかどうかは別としまして、機会があれば可能な範囲で伺いたいということでございます。
○ 小西座長それでは、これまでの経緯というのはきっと膨大だとは思いますが、特にここで扱っています心理療法、PTSDの療法などにつきまして、これまでの経緯があれば、また適宜お示しいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長関係局とも相談をして、どの程度お出しできるか検討させていただきたいと思います。
○ 小西座長ありがとうございました。
では、次に警察庁から御説明をお願いいたします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長失礼いたします。警察庁でございます。
それでは、資料1-1-2のところに警察庁に対する御質問等ということで項目を出させていただいております。
厚生労働省さんに続きまして、資料1-3をごらんいただければと存じます。
まず、1つ目、カウンセリング等について現在の警察としての体制は被害者側の要請に質、量とも十分答えられているのか。予算、スタッフ等の体制に関する現状認識ということと、民間の被害者支援団体を今以上に活用するための方策ということでございます。
まず、部内の体制でございますけれども、予算につきましては、言わずもがなでございますが、人件費が中心でございまして、都道府県警察費で対応しているところでございます。
部内のカウンセラー等の配置の状況でございますけれども、23年4月1日現在でございますが、臨床心理士の資格を持っている者が32県で84人、その他のカウンセラーということで、臨床心理士資格者ではないのでございますけれども、心理学的なものを持つ者でございますとか、その他資格がある者ということで174人ということになっております。
研修カウンセラーの質についてということでございますけれども、一定の専門知識は持っているわけでございますけれども、常に更新をしていく必要があるということで、さまざまな研修、警察庁の方でも全国を集めました教養なども実施しております。また、随時でございますが、委嘱をした部外の専門家、臨床心理士でございますとか精神科医の方からアドバイスを得るなどして、質の向上に努めているところでございます。
運用実績ということでありますが、22年中は1,361人の被害者の方に対して3,916回のカウンセリングということで実施をさせていただいております。
部外専門家への委嘱の状況でございますけれども、精神科医の方が59人、臨床心理士の方が126人ということであります。
現状についてということでございますけれども、総括的に申し上げますと、努力をしているつもりでございますが、被害者の方などが望まれるカウンセリングすべてに対応できているかというと、そういうわけではないということは承知しているところでございます。また、予算面でも、警察でございますので、事件直後の危機介入的なものを中心にという予算の使い方になって、継続的できめ細やかなカウンセリングはなかなか難しいという点もあるのが実態でございます。ただし、この辺りをフォローするためにということで、民間被害者支援団体の方に委託の経費ということでお願いをしているところもございます。引き続き充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
6、民間被害者支援団体を更に活用するための課題でございますが、継続的な財政的基盤の整備と強化ということでございますけれども、現在も都道府県警察の方から補助金ということで出させていただいているところでありますが、これを引き続き実施することかと考えております。また、連携・協力の強化と県によっては犯罪被害者等早期援助団体に指定がなされていないところもございますので、それについては早期に指定をしていくということで努力しているところでございます。
次ページ、(2)民間被害者支援団体における臨床心理士等によるカウンセリングの実施でございますけれども、件数ということでございましたが、単なる電話相談ではなくて、面接をいたしまして、ある程度、カウンセリングと呼べる対応をしたものということで、各県に調べてもらったところでございますが、平成22年度中で全国48団体ございますけれども、このうち35団体において381人の被害者に対して988回実施しているということであります。それぞれの団体の職員あるいは役員として臨床心理士などの方が団体の中に入っていらっしゃるところもございますし、あるいは外部に委託されているところもございますが、内訳等は記載のとおりになっております。
次ページ、(3)外部委託している精神科医、臨床心理士の方の選考基準でございますけれども、各都道府県が決めて選考しているところでございまして、特段、規定のないところもあるのでございますが、規定をしているところでいいますと、県内居住の方でこのような知識、技能経験がおありで、人格、行動について社会的信望を有すると記載のような形でございますけれども、このような形の規定を設けている県もございます。
次に、(4)部外精神科医、臨床心理士等のカウンセリング費用でございます。外部委託によりまして、カウンセリングの公費負担をする場合には、それぞれの都道府県警察でこれも規定の仕振りが違っておりまして、額が異なっておるところでございます。いろいろでありますけれども、1回5,000円ぐらいというところが多いかなと思っております。それぞれが規定する上限件数までは公費負担されておりますが、それを超えた場合には犯罪被害者の方の御負担になります。
資料8-4の方で上限回数が通常どれぐらいなのかという御質問をいただいておりますが、これも各県でまちまちでございますが、初回のみとしているところもございますし、3回まで、6回まで、10回までとしているところもございますし、必要があれば特に回数の制限はないとしているところもございます。ただ、予算の制限自体はありますので、必要な範囲内でということになろうかと思っております。
次ページ、(5)精神疾患のみの場合の重傷病給付金の代表的なケースについて、平均額の場合と比較的高額の場合に医療費の自己負担などがどういう状態であったのかということでございます。
2つございまして、まず、ケース<1>が、この方は給付額が約25万円だった方でございますが、20代女性が性犯罪被害に遭われたというものでございますけれども、入院が91日間、加療1年以上ということでございます。被害者負担額25万円で、この25万円をそのまま給付金としてお支払いしているわけでございます。負担額は、実は60万円でございまして、このうち高額療養費・付加給付金ということで、健康保険組合等からでございますが、一部払わなくていいようになっておりますので、それを差し引いた25万円を実際には御負担されておりまして、その部分について給付金をお支払いしているということになります。この方の場合には、休業加算額がございませんでしたので、この25万円がそのまま重傷病給付金の給付額になっております。
ケース<2>、この方は、やはり20代女性の性犯罪による被害ということでございます。入院はされなかったのですけれども、労務不能期間ということで、349日、加療は1年以上ということになっております。犯罪被害者負担額でございますが、実際に御負担された額は3万円ということで、高額療養費等については当てはまるものではなかったということであります。この方の場合には休業加算額があったということで、この3万円に休業加算額を足して総額としては90万円ということで、比較的高額な形になっているところでございます。
次ページ、(6)、精神的なものにつきましての第2等級、第3等級の実際の等級、症状等についてという御質問でございます。障害等級の認定に沿って少し御説明をさせていただきたいと思います。
まず、ケース<3>として載せておりますのが、障害等級第2級に該当するということで、障害給付金をお支払いしたものでございます。被害の種別でございますけれども、10代の男性が遭った傷害事件による被害ということで、障害の状況はPTSDということで、心理不安、睡眠障害、食欲不振、頭痛等の症状があるということでございます。障害等級を認定するに当たりましては、医師の方に意見を出していただきまして、まず、精神症状の状態、能力に関する判断項目という(3)(4)に関する項目について医師の御意見をいただきます。抑うつ状態がどうなのか等々の精神状態についてと、日常生活が送れるのか、意思伝達はどうかということについて能力がどのような形で低下しているのかについて御意見をいただきます。この方の場合は、精神症状についても幾つか抑うつ感が強いなどの症状が出ているということと、能力につきましても、身辺日常生活についてしばしば助言・援助が必要であるということでございまして、(3)(4)について一定程度以上に当てはまりますと、(5)の意思疎通能力等についてどのような喪失度合いであるのかということ。介護の状態が必要なものなのかどうなのかということについて医師の御意見などをお伺いすることになります。この方については、(3)(4)についてはこのような状態であるということで、(5)の4つの能力の喪失の程度についても、医師の御意見をいただきまして、このような形になっております。意思疎通能力は半分程度喪失、その他については大部分喪失ということになっております。介護も外出、買い物については随時の介護が必要であるという認定がございまして、障害等級第2級ということで認定をされているところでございます。
次ページ、ケース<4>、障害等級第3級として認定をした方についてでございます。被害の種別は、10代の女性にかかる性犯罪被害でございますが、障害の内容といたしましては、やはりPTSDということで、症状は社会不安、対人緊張の強さから来る不登校、同年代男子に対する病的恐怖、全般的コミュニケーション障害等ということになっております。この方についても(3)(4)の精神症状の状態と能力に関する判断項目ということで医師の御意見をいただきまして、記載のとおりになっております。やはり不安の状態が非常にあるでございますとか、仕事・生活に積極性を持つことができない等々という判断になっておりますので、意思疎通能力等4つの能力についての喪失の度合いについても医師に判断をいただきまして、これについても半分程度、大部分喪失等という御判断をいただいております。ただ、この方については介護の必要性はないという判断がありまして、これについて先ほどのケース<3>の方と差が出ておりまして、その点で障害等級第3級という認定になったということでございます。
以上でございます。
○ 小西座長ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見がございましたら御自由に。
どうぞ。
○ 松坂構成員松坂です。
1ページ目の点で質問をさせていただきますが、5の現状のところで、カウンセリングが必要と思料されるすべての事件に対応できているとまでは言いがたいということで分析をいただいておりますが、そうしますと、逆に警察の現場から見て、カウンセリングが必要と思料されるすべての事件に対応できているというためには、例えば上の2のところのカウンセラーの配置の数がどのぐらいになればいいのか。
次に、3の運用実績のところがどのぐらいの数字が上がってくれば、いわゆるカウンセリングが必要と思料されるすべての事件に対応できている、もしくはそれに準じた状態に達しているという評価ができるのか。
ちょっとざっくりした質問で申し訳ないのですが。
逆に、見方を変えれば、今、本来理想とされる警察の現場の皆さんが一生懸命頑張っておられまして、もっともっと支援をしてあげたい、もっと心理療法をしてあげたいと思っていても、費用の関係とかマンパワーの関係でできていないのが実情だと思うんです。逆に言うと、どのぐらいの資格を有するカウンセラーの方を配置して、どのぐらいの実績があればいいのだろうという質問です。今の出来高が何%ぐらいの満足度といいますか、その辺りの実情をお知らせいただきたいと思います。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長申し訳ございません、具体的な算定をしている状態ではないんですけれども、例えば1,361人という数でございますが、性犯罪のみに限ったとしてもこういった数ではございませんし、PTSDについても性犯罪のみに出てくるものではなくて、事件によっては必要とされる方も出てくるということかと思っております。勿論これまでも御要望される方には全力でおこたえをある程度しているつもりでございますが、御本人が言い出さない場合、もしかしたらもっとこちらから持ちかければ、必要とされるケースというのもあるのかもしれないと思っております。
ですので、今、これが歩留り的にどの程度できているのかというのはなかなか算定しがたいところはございますけれども、非常にざっくりとしたお話で恐縮でございますが、性犯罪だけをとってみても、あるいはほかの犯罪を視野に入れたとしても、恐らくカウンセリングが必要な状態にある方というのはある程度おられるだろうと思っております。
申し訳ございません。
○ 松坂構成員いずれにせよ、警察の現場の御努力にはいつも敬服しておりますので、今後とも頑張っていただきたいと思っております。
もう一つ、1ページのところで民間被害者支援団体に対する経費として1億200万円の措置がありますが、このうち我々が今、議論をしているカウンセラーによる心理療法の方に使われている金額の割合はお分かりになりますでしょうか。事前に質問を出しておけばよかったのですが。大変申し訳ないです。
○ 小西座長それでは、今、お答えいただけるのでしたら別ですけれども、持ち返っていただいて、お答えになれるところで出していただいた方が時間的にもよろしいかと思いますが。
どうぞ。
○ 警察庁長官官房総括審議官先ほどの件数の関係でございますが、今、滝澤の方から話があったとおりですけれども、例えば強姦の認知件数が、認知というのはほとんどすべてと言っていいと思いますが、1,289件、強制わいせつもそうでございますが、7,027件ということでございまして、したがいまして、この実施件数と被害者の方、性犯罪だけに限ってもすべてについて行っているわけでは全くないということと、カウンセリングについては性犯罪に限るものではないということでございますので、そういった非常にあらあらの数字からいっても、十分でない状況が明らかであるということでございます。
○ 小西座長どうぞ。
○ 太田構成員2点ばかりお伺いさせていただきます。
まず1点目は、1ページの臨床心理士の資格者の配置状況がありますけれども、臨床心理士などの資格者が配置されている部署はどこでしょうか。少年サポートセンターみたいなところに臨床心理士の方がいらっしゃるのはよく伺うのですけれども、そうなりますと少年中心ということになっていると思いますし、そうでない、いわゆる警察署の中に臨床心理士の方がどこかに行って、その方が警察の制度で指定被害者要員制度でしたか、警察署内で何かあったらその人に支援の方を頼むみたいな、そういうシステムができていると思うのですが、そういうところにこの人が配置されているのか。配置部署のことをまず1点目、お伺いしたいということです。
2点目は、給付金の方でございます。これは質問させていただいて、特に5ページ~6ページにかけて実際のケースをお示しいただいたのは非常に参考になりました。その上で、若干、もし分かればということで結構ですけれども、例えば5ページの方の重傷病給付金の支給の例からかなりこれは重いケースだと思うのですが、この人の場合は重傷病給付金だけだったのでしょうか。それともこれぐらいですと場合によっては、一番低い等級ですと、10等級とかその辺りにも精神的な障害に対する給付の規定があったり、5等級にもあったかのように記憶していますけれども、かなり低い方であれば該当するような気もするのですが、そこの区分はいかがかということをお伺いさせていただければと思います。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長まず、配置されている部署についてでございますけれども、こちらは何らかの形で被害者支援にかかわっている者でございますので、少年部門と兼務になっている者などもございますし、少年部門で少年の被害者に対応している者も入れておりますが、少年部門以外にも本部の犯罪被害者支援室というところに配置されている者などもおります。
警察署で被害者支援要員に当たっている者は、基本的には警察官が中心でございますので、臨床心理士のような高い専門的技能を持つ者については本部の犯罪被害者支援室等におきましてカウンセリングの必要などがある場合に連れてきてもらったり、あるいは行ったりして対応しているというのが中心でございます。
○ 太田構成員では、臨床心理士だけですと、32県で84人ですから、1県当たり平均でも2~3人ですから、本部にいるとなると、広い県などですと、警察署などで割としょっちゅう対応しなければいけないときなど、あと複数のところで同時にいろいろな必要もあるでしょうから、そうすると機動力といいますか、そういう点ではまだ不足があるような気がするんです。基本的に本部にいるというイメージの方が近いということでしょうか。少年サポートセンターでもない。それはカウントされていないわけですか。
○ 警察庁長官官房総括審議官カウントされていないです。
○ 太田構成員それは、また全く別ですか。
○ 警察庁長官官房総括審議官少年と兼務の方はカウントされていますけれども、少年プロパの方はカウントされていないです。
○ 太田構成員では、例えば児童被害者に対するサポートなどをできる臨床心理士の資格を持った方は少年サポートセンターにこれ以外にもいらっしゃると。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長被害者支援を担当していない者ということになります。
○ 太田構成員それ以外のここに掲げてある方は割と本部にいるという感じですね。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長本部を中心におるというイメージでございます。
○ 太田構成員分かりました。ありがとうございます。
○ 加藤構成員ちょっとそれに関連してですけれども、私は北海道の者ですから、北海道でいうと、札幌にそういう心理療法士の資格の方がいて、例えば旭川の被害者のところに出張とかということもやっておられるのですか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長申し訳ございません、北海道についてまた調べてまいりますが。
○ 加藤構成員いや、広い県という意味で。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長広い県ではどこでもやはり出張してやっております。広い県であったとしてもです。ですので、確かに機動性という面では若干いろいろあろうかと思いますけれども、被害者は精神的なダメージが大きくて、カウンセリングが必要であるという場合には、警察署の方から是非派遣してほしいと言われまして、そちらまで出向くという形でやっております。
ケースの方について障害給付金が出たかどうかでございますが、ケース<1>と<2>についてということでよろしいですか。
○ 太田構成員一定の治療をした後に精神的な疾患でも障害が残った場合には、両方とも給付金を支給することができるようになっていたかと思うのですが。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長こちらの場合は、<1>のケースも<2>のケースも障害給付金も合わせてお支払いをしているということになります。
○ 太田構成員全体的にこの<1>の人にはどれぐらい必要だったのかとか、どれぐらい給付されたのかということがもし分かれば、また後日お示しいただければと思います。
○ 小西座長ありがとうございます。
皆様方から幾つか質問があり、多分、警察の中で本部に詰めている被害者担当の臨床心理士さんの働きということもなかなか見えにくいという御質問もあったと思いますので、そういうことも含めて、次回お答えできるようにしていただければよろしいのではないかと思います。
それでは、今までのところで実は20分ぐらい超過しておりまして、多分、後ろの方を順次、もしかしたら次回に回させていただくようになるかもしれません。今日、来ていただいて、せっかく御準備をしていただいていらっしゃる皆様もございますので、まずはそちらの方に移りたいと思います。
今後の検討においても制度などはまだ更に調べたり、確認していくことが必要となる場合があると思いますので、担当の方はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次に、議題3、犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の実施状況に入りたいと思います。
犯罪被害者等に対する心理療法、カウンセリングが実際に現場でどのように行われているのか、対象者(被害者等)の特性、症状、心理療法等の内容、実施者、効果、費用等について、実際に現場で心理療法等の実務に携わっていらっしゃる方からヒアリングを行うことが犯罪被害者等に対する心理療法等の公費負担の検討を行うに当たり必要なことであると考えられます。
本日は、以前からお願いしておりましたように、警察から犯罪被害者等に対するカウンセリングに関しての委嘱を受けておられます臨床心理士の宮崎美千代様から公的機関等からの委嘱等により費用が公費負担されている心理療法(カウンセリング)についてレクチャーいただくこととしております。
なお、本日、宮崎先生から参考資料として御提供のありましたもののうち、資料<2>以外につきましては、本検討会終了後回収を前提に提供いただいております。本日お話いただく内容についても、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条各号に掲げる情報が含まれる場合に当たるため、本年3月25日付の犯罪被害者等施策推進会議決定「『犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会』及び『犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会』の開催について」8に基づきまして、議事録から削除する、あるいは概要としてまとめるなどの作業を行った上で公表するという扱いとしたいと思います。
また、宮崎先生から提出いただいております資料2以外のものにつきましては、構成員限りの机上配付とし、本検討会終了後に回収させていただきます。
なお、宮崎先生から、皆様がどういうことを知りたいかをむしろ伺いながら話をしたいと、その方が短い時間で限られたことの中で有効にお話いただけるということを伺いましたので、宮崎先生に30分お話していただく予定ですが、大体15分ぐらいお話していただき、そこで御質問をいただいた上で更にお話をしていただくようにしたいと思います。
それでは、宮崎先生、どうぞよろしくお願いいたします。
宮崎美千代氏御紹介いただきました臨床心理士の宮崎でございます。よろしくお願いいたします。
少し自己紹介をさせていただきます。私は東京都に心理技術職として採用され、福祉局を中心に勤務しておりました。特に福祉局の中でも児童相談所が大変長かったものですから相談業務が中心でした。当時、公務員は夜間の兼職が許可されていた時代で、青山学院大学の学生相談室へ週2回ほど勤務し、ここでも学生相談をしておりました。
定年退職後、今度は山梨学院大学に招かれて、やはり学生相談を担当致しました。
平成16年からA県警に委嘱カウンセラーとして勤務して、現在に至っております。
A県警には、臨床心理士が採用されていません。被害者支援担当として委嘱されているのは全部で7人おります。3人が精神科医で男性ばかりです。臨床心理士は4人です。男性が1人、女性3人ですが、私以外の3人は本務が忙しくてほとんど、被害者の方たちの、この時間に会ってほしいという希望に対応できるのが定年を過ぎております私しかおりませんので、事実上、A県警の中では私が1人でやっているというのが実態です。どうしても私の都合がつかないときだけほかの人が代わってくださいます。この被害者支援以外に警察職員と家族のカウンセラーも委嘱され、警察職員の研修もここ数年担当しております。
先ほどから先生方の御関心のある、警察はどういう人を心理療法に回すのかということに関与してくるかと思うのですが、私は今、警察の中ではこんな仕事をさせて頂いております。
前回、日本臨床心理士会の会長が臨床心理士がどう養成されて、どんな仕事をしているかというお話をしたかと思うのですけれども、臨床心理士会の中の下部組織というか小さな委員会が幾つかあるのですが、その中に被害者支援専門委員会というのがございまして、私はその専門委員の1人を務めさせていただいています。
これも直接関係があるかどうか分からないのですが、1971年に民間のボランティアによって創設されたいのちの電話という電話相談があります。71年から本日まで、私は、東京、多摩、山梨の3個所のいのちの電話の仕事を続けておりますので、そこの電話にも時々こういう犯罪被害者からの電話相談もあり、日本電話相談学会の理事もさせていただいております。
私が歩いてきた道は、ほぼ50何年ですが、本当に臨床の現場しか知らないと言えます。しかし自分の人生の最後がまさか警察になるとは夢にも思わなかったというのが本当に実感です。
お手元の資料2をごらんいただければと思います。
これをざっと見ていただきますと、委嘱されているのがA警察本部です。そこで今、申しましたように被害者のカウンセリングだとか、研修だとか、そういうことをいろいろやっております。
A県警の場合、公費負担される費用の範囲は1人3回までです。先ほどから警察庁のご説明を伺いケースと回数を見ると、何となく全部3で割れるなという感じがあるものですから、日本中、お1人3回が公約数なのかと思いました。私がちょっと聞いている限りは、兵庫県が10何回という、兵庫県警はたしかすごく回数が多いなという記憶があります。いずれにしても、警察庁の方から御説明のように各都道府県まちまちで、一定にはなっていないようです。
4番にありますように、これは私が公費負担としてお目にかかった方たちの人数で、平成23年が5人になっているのですが、もう少し増えるかもしれません。その方たちに3回ずつお会いしておりますので、この表では、宮崎個人は72回の面接を行っているということです。90%が性犯罪です。
性犯罪以外のケースもありますけれども、ここのところほとんど性犯罪が続いております。
1人当たりの平均実施時間が大体、平均90分間です。
場所は事件が発生した、事案を取り扱います警察署管内にそれぞれ設けられている相談室を使っております。
対象者は、今、申しましたように、犯罪被害者と家族。例えば未成年性犯罪被害者の母親の方も不安定という時ですが、家族のカウンセリングも担当いたします。
担当する被害者の年齢は、多岐に及んでおります。
多分、先生方の御関心はどのようなカウンセリングを私がしているかということだと思って9番からと思ったのですが、その前にどういう形で私のところへ委嘱されるかという、11番のカウンセリングが実施されるまでの流れから御説明しようと思います。
実は、警察官の方々の研修をしておりますので、先ほども御発言がありましたように、ここのところ必ず実施しているのが、女性警察官、特に性犯罪指定捜査員というダブル配置をされていらっしゃる方たちの研修を、過去、平成16年からずっといたしております。この研修は、朝の9時~5時までという長い時間、ロールプレイをしたり、ケース検討をしたり、いろいろなことを試みますので、女性警察官は私のことをかなりよく知っております。
ちょっと話が横道にそれますが、私の県警におけるニックネームは、白髪の宮崎さんと呼ばれています。もともともう白髪でしたし、いつも染めていたんですけれども、明日辺り毛染めをしようかなと思ったときに、緊急で今日、今から来てほしいというケースがあって、この白髪頭で行きました。
白髪頭でカウンセリングを実施した結果、被害者が自分のおばあちゃんを連想して、安心感が醸成されることもございます。
そういう経験もあったので、白髪というのがもしかしたらこの仕事にはいいのかなと思ったわけです。
それまでは、年をとって白髪というのが嫌だと思っておりましたが、その日を境に私は髪を染めるのをやめました。それから私は白髪の宮崎さんで通るようになりました。女性警察官の方たちが事情聴取をしていて、先ほどの御説明にありましたように、直後の危機介入が必要だ、これはカウンセリングが必要だと感じたとき、彼女たちが白髪のおばあちゃんの先生だから会って話をしてみたらどうかというカウンセリングの薦めをして、私のことを事前にオリエンテーションしてくれているようです。
したがいまして、そのケースが全部上がってくるかどうかは分からないのですが、事件を担当した女性警察官の方が所轄の上司に伝えられ、それがここの11番に書きましたように、所轄警察を経て、県警の被害者支援室へカウンセリング依頼という格好できて、そこから日程調整をして、私のところへ参りますものですから、どういう方がどう上がってくるかと先ほど御質問がありましたけれども、私もよく分からないのですが、何となくここのところ増えてきたなというのは、女性警察官と私との仲間づくりというか、同士ということがかなり影響を与えているのかもしれません。
はっきりとした記録は残しておりませんが、1年、5~6人といった人数を担当しておりました。
今のところ、女警さんたちからの紹介という形でしょうか、依頼件数が特に今年はこの数より増えているという、そういう流れで実施されています。
前に戻りますが、9番の実施するカウンセリングの内容ですけれども、これまでの検討会ついてはホームページで拝見させていただいて、いろいろな心理療法のことは先生方、御検討いただいているようですので、私はこんなことをしておりますということをお伝えしながら御質問いただきたいと思います。
そこに書きましたように、被害者、特に性犯罪を中心にお話いたしますが、本当に人間不信に陥っています。そのために、第1回目の面接相談では、カウンセラーを敵か味方かという格好で身構えているのですが、幸いなことに、女性警察官のオリエンテーションが功を奏しているのか、入ってきて、初対面のときのみんなの顔が、あっ、本当に白髪だというような感じで、何となくまず目で挨拶をするような形で、おかげさまで私は第1回目の面接が、今、そんなに凍りついたような関係にならないのはとても幸せだと思っています。
でも、いずれにしても身構えていて、信頼関係の構築が何より先決だと思いますので、私は傾聴に徹しています。そして、被害者に共通した症状、特性は先ほどからいろいろと警察庁の方にもお話いただきましたように、まさにまだ事件が起きたすぐという危機介入的なところに関与いたしますので、ショック状態、困惑、精神的混乱、話にまとまりは当然ありません。
また逆に解離状態というか、感情麻痺で淡々と話して、冷静な人がいるのですが、この解離状態ということは、女性警察官の研修のときに私は声を大にして伝えます。すごく冷静でしっかりしていると思ったら危ないと思って話を聞きなさいと。何度も何度も言っているので、A県の女性警察官は、被害者がしっかり冷静に話をする人のときには心して事情聴取しています。これが今かなり徹底しているものですから、私が被害者にお会いするときになると余り感情の麻痺という状態は最近なくなっています。
私が全ケースで、特に性犯罪の場合、必ず初回にお話することがあります。これは私がモットーにしております。「よく勇気を出してあなたは告訴してくれました」「その勇気をとってもうれしいと思います、感謝します」と、これは必ず伝えます。あなたが届け出たことによってまだ逃走中、性犯罪の場合、捕まる犯人は本当に少く、逃走中にまだ何人もの女性を探している犯人がいるはずだから、捜査は一段と先へ進むし、逮捕も一日も早くなると思う、あなたは何人もの女性のための助けになっています。あなたの勇気には本当に感謝します。このメッセージは、全ケースに伝えます。
それでも最初のうちはほとんど話せなくて、ぽつりぽつりと口を開くので、傾聴と共感を繰り返して、そこにも書きましたように、あなたは悪くない、今のあなたの症状は起きて当然という、いわゆる心理教育の初歩のようなことを試みます。
3回しかありませんので、2回、3回目になると彼女たちが訴えている話を要約したり、場合によっては問題を整理したり、傾聴に徹するといいましたが、2回目辺りになると、私はちょっと聞いていいかしらと言って、こんなことはないかとか、フラッシュバックみたいな症状が起きないかとか、眠れているか、食欲はあるかというようなことを聴いてみます。それがきっかけになって、それなら話してもいいかなということになります。そういう問いかけを入れておりますので、完全に傾聴とは言えないかもしれませんが、心理教育的な技法というか、それはするようにしております。
小西先生と中島先生のご本は私のマニュアルみたいなものですから、本当にいつも活用させていただいているのですが、被害者支援における心理教育の目的は、トラウマ反応とか悲嘆反応の悪化を防いで、先ほどから話題になっておりますPTSDや複雑性の悲嘆を予防することにあるのだということがどちらの本にも書いてありますし、自己対処を促すためにはこれは必要だということですから、心理教育的な発言を心理的サポートをしている中にさりげなく盛り込むというアプローチをしているというのが私のやり方です。
被害者のニーズが把握できて、提供できる情報があれば勿論それを提示しますが、今、長期暴露療法が非常に画期的に、成果があるということもいろいろな本で読んでいるのですが、3回しか会えませんので、私はまだ自分の技術に自信がございませんし、危険なので使用したことはありません。
そこに書きましたように、繰り返しますが、私は訴えを傾聴するということを基本にしたカウンセリングをしております。
3回ですので、4回目を是非ということは、ほとんど全員の人に言われます。ところが、私は開業しているわけではありませんし、警察に委嘱されているだけなのでできないので、なるべく臨床心理士のいるクリニックを紹介したり、中には本当にこの方はこれだけでは、PTSDになりそうだと思えば、3人の委嘱されている精神科医が勤務していらっしゃるか、開業していらっしゃるところへ守秘義務ですと申し添えケースレポートをつけて、そちらにリファーしております。
カウンセリングを実施し、リファーした医師から、何年も経過した後に「症状が悪化している。」旨を伝えられることもございます。
ですから、危機介入的に会ったといっても、3回しか会えませんでしたから、リファーしてもこういう状況になる方もあるということを御報告いたしました。もう少し最初の方のカウンセリングが長くできたらどんなに良いかと思っておりました。
いずれにしても、3回だけというのは、私はインテークをやっているような形ですのでリファーを受けた臨床心理士から宮崎さんがインテークしているから、それから先はやりやすいと言ってもらえますけれども、私は今回の検討会はそういう意味ではとても期待しています。是非3回ということでなく、もう少し公費負担でこの方たちをフォローできたらどんなにいいかなということを思って、この辺りで、あとは先生方にお返しいたします。
○ 小西座長ありがとうございました。
現場の貴重なお話をいただきました。
それでは、まだ宮崎先生にお話いただく時間ですが、是非御質問をいただきながら進めたいと思います。
どなたでも、今、ございましたら。
それでは、私からまず1つ伺います。
今、回数がもうちょっとあったらと言われましたけれども、宮崎先生の御経験では、なかなか難しいことかもしれませんが、大体どのぐらいあったらある程度のめどはつくとお考えか、もしわかったら教えてください。
宮崎美千代氏もし可能だったら、やはり過去のほかの相談の経験からも、せめてお1人10回という感じです。
○ 小西座長ありがとうございます。
では、どうぞ。
○ 太田構成員これは警察の方にももしお分かりであればお答えいただきたいと思うのですけれども、宮崎先生のケースの90%が性被害とのことですが、これら以外にも精神的な大きなトラウマなりPTSDを追うケースは、例えば殺人の御遺族とか、いろいろいらっしゃるとは思うのですけれども、どうしてそういうケースが先生のところに来られないかということについて何らかの御経験なり、御見解がありましたら教えていただければと思います。
宮崎美千代氏先ほども申しましたように、実は私は本当に分からないんです。犯罪被害者支援室からまた1つ事案が起きましたから、よろしくというだけで、例えば発生しているケースが全部来るということはあり得ません。ですから、その辺の判断は警察がなさるのだろうと思うので分からないのです。
自分の年を申し上げますけれども、私はこんな年になってこういう仕事ができるということをとても光栄に思っております。もうすぐ誕生日を迎えますと78歳になります。おばあちゃんと言われて、こういうふうに被害者の方から頼っていただけるのだったら、時間は沢山ありますから、幾らケースを頂いてもかまいませんと申し上げているのですが、警察側もとても皆さん喜んでいるので実施したいのだけれども、やはり経費の点でとおっしゃっていらっしゃいますので、どう選ばれているかはよく分かりません。むしろ警察庁の方に伺ってください。
○ 太田構成員先生のお仕事は割と早期の危機介入的なことなので、例えば性犯罪被害のようなものがかなり優先的に先生のところに送られてくるということもよく分かるのですけれども、それ以外の場合でも、急に通り魔的な事件で、急に御家族を亡くされた方とかというのは、直後から相当大きな精神的なダメージを受けている方はほかにも多分いらっしゃると思うので、ここから先は警察の方へのお願いですが、全国の状況を調べるのは多分、極めて難しいので、例えば東京都とか分かりやすいところの1つのケースで、公費負担によるカウンセリングがどういうタイプの被害の方に行われていて、東京の場合だと何回まで行われているのかとか、1回幾らで、予算的にはどれぐらいとられているのかということも一例でも、幾つか、機会がありましたらお示しいただければと思います。
○ 小西座長では、よろしくお願いいたします。
ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
○ 加藤構成員電話相談もなさっているということですが、電話相談も先生の御経験からいうと、被害者に対する心理療法の一環としてという位置づけでよろしいのでしょうか。
宮崎美千代氏私自身はスーパービジョンなどではそう言っておりますが、今のいのちの電話は、かなりの訓練を受けた人が受けておりますし、記録が残っております。それを調べていると、被害者からの相談として比較的多いのは、交通事故の被害者の方からの電話相談は多いです。後遺症として医療費がすごくかかるとか、いろいろなことがやりにくくなったとかという、そういう辛さというのはいのちの電話の場合の電話相談の記録から分かります。さすがに性犯罪の相談は少なくボランティア相談員は専門家にリファーしているようです。
私はB被害者支援センターに非常勤で勤務しておりました。2年前に定年退職という形で退職しましたが電話相談のときは、こちらはかなり厳しい電話が入ります。こうした電話相談はその後、面接につないでいました。
○ 小西座長どうぞ。
○ 中島構成員今、被害者支援センターというお話が出たのでお伺いしたいと思ったのは、先ほど警察庁からお話がありましたように、民間の被害者支援団体にカウンセラーの委嘱をするための相談業務のお金が出ているということもありまして、例えば継続が必要なケース等を民間の被害者支援センターにお願いすることについては、警察と被害者支援団体とのカウンセリングに関する連携はどうなっていますでしょうか。
宮崎美千代氏私も退職いたしまして2年以上たっているので、多分まだ早期援助団体になっていないのではないかと思います。私が在職中には警察から頼まれるケースは幾つかありました。A県警には臨床心理士がだれもいないものですから、そちらで受けてほしいというので、警察から回ってきたケースは当時かなりありましたが、現在はどうなっているかちょっと分かりません。
B被害者支援センターの場合は、面接の回数に制限がないので、これは割合丁寧に、特にDVなどというのは専らセンターの方でさせていただきました。加えて裁判所の付き添いでついて行ったときに、DVの場合でしたが今でも私が印象に残っているのは、女性検事の方からちょっと意見を聞きたいといって呼ばれたこともあります。DVの被害に遭った方は特殊な行動をおとりになるものですから、そのような意見交換をした経験もあります。
そんなことでよろしいでしょうか。
○ 小西座長どうぞ。
○ 松坂構成員よろしくお願いいたします。
私からお伺いをしたいのは、今、我々は制度設計を考えつつあるわけですが、そうしますと、犯罪被害者の方がおられるとして、どういう基準で、どういう場合にこの人には心理療法が必要だ、この人の場合は要らないのではないか、その辺の切り分けをどうなさるのがいいのか。かつもっと突っ込んだ言い方をするならば、どんな仕組みが理想として考えられるのか。もし先生の御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
宮崎美千代氏非常に大きい問題なので即答というのは今、よく分からないのですけれども、先生方が重々御承知のように、性犯罪の被害者の告訴率はどのぐらいでしょうか。私たちが警察官たちと話していると、恐らく3割。7割は告訴していないだろうと思います。
例えば、被害者自身が届け出たケースではなくて、警察の余罪捜査で特定できた被害者の場合、本当に望んで私のカウンセリングを受ける状況か分からない。警察に事件を知られたこと自体がショックなわけですから。
ですからどういう人にカウンセリングが必要かという御質問はとても難しいと思います。でも、私は性犯罪のように心に傷を受けた人、魂の殺人だということはどんな本にも載っていますけれども、被害者はできることだったら、だれにも知られたくない、でもだれかに話したいというアンビバレントな状態にありますから、やはり心してだれかがカウンセリングしたいと思います。
○ 松坂構成員ありがとうございました。
○ 小西座長どうぞ。
○ 久保構成員宮崎先生の資料の中に、4回目以降は関係機関につなぐんだとあります。しかし、それは費用の関係で長続きしないともありますね。その場合、これは警察に伺った方がいいのかも分かりませんが、例えば委嘱のカウンセラーから、実は制度上は3回だけれども、4回目以降が必要であるという連絡や情報を、警察は得るのでしょうか。もしそういう連絡を得た場合には、警察は3回目が限界だから、もう4回目はやむを得ないということで突き放さざるを得ないのか。県警によって違うのだろうと思いますが。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長各県の詳しい規定は手元にないのですが、県によっては原則として何回としているところなどもございますので、原則としてがついているような規定ぶりであれば、恐らく状況を踏まえて、必要性があれば更にということも可能なのかもしれないと思います。また特段必要があれば制限がないという県も規定によってはございますので、そういうところであれば、必要である限りは引き続きやるということになろうかと思っておりまして、書きぶり、その県の規定の仕方とか、運用の内容によるところかなと思っております。
○ 小西座長よろしいでしょうか。
どうぞ。
○ 加藤構成員被害者の範囲ということでお伺いしたいのですが、本人以外でほかにきょうだいとか父親とかということもカウンセリングの対象になさったことはございますか。
宮崎美千代氏ある意味でこのカウンセリング制度が有効だと思って増えたのか
事故死の被害者遺族に対してカウンセリングを実施したこともございます。
県警もこういうケースを回してくれるのだなと思って逆にびっくりしています。
先ほどからいろいろ御質問いただいているのですが、範疇とか、基準だとかというのは、私はいただいたケースに一生懸命という、それだけの話です。
○ 小西座長よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
最後に1つだけ伺いたいのですけれども、宮崎先生がこういうふうに活動していらっしゃって、県警の委嘱を受けて有効にやっていらっしゃるということは、いろいろなところでお話を伺って知ったわけですが、ほかの県でも同じような活動をしていらっしゃる心理士さんはたくさんいらっしゃるのでしょうか。
宮崎美千代氏いらっしゃると思います。先ほど申しました被害者支援専門委員ですから、時々、我々自身の研修のときにそういう情報を得て、そういう方たちに発表していただいていますので。多分、兵庫県辺りはすごくいろいろやっていらっしゃるのではないかと思います。
○ 小西座長ありがとうございました。
それでは、時間になりましたので、宮崎先生からお伺いするということはここまでにしたいと思います。
本当にありがとうございました。
それでは、続きまして、犯罪被害者等に関する心理療法の費用の公費負担についての検討を行うに当たり、今度は心理療法(カウンセリング)と公費負担医療の関係を整理すること、また、社会保障制度における心理療法(カウンセリング)の公費負担の考え方、可能性などについて把握することは重要なことであると考えられます。
よって、本日は、社会保障制度の専門家である加藤構成員に社会保障制度における心理療法(カウンセリング)と公費負担医療について御説明をいただくこととしております。
加藤構成員、よろしくお願いいたします。
○ 加藤構成員宮崎先生の非常にすばらしいお話の後にちょっとやぼな話になってしまうのですが、社会保障制度における心理療法(カウンセリング)と公費負担医療ということで簡単に御説明していきたいと思います。
まず、ここで報告の前提とするのは、私がこの報告をするのに念頭に置いたということですが、サービスへのアクセスが確保されることということで、北海道に住んでいるものですから、過疎地域でも対応できるということを念頭に置いたということです。
どういう形で臨床心理士を公費負担医療のシステムに組み込むかという問題が出てきますが、恐らくすごく難しい問題は、臨床心理士の行う心理療法は果たして医療という定義にのっとるのかということが大きな問題ですが、ここでは、医師の指示の下で臨床心理士が施術、施療を提供できる体制を念頭に置いています。このため、臨床心理士の国家資格化ということを一応の前提として話を進めていきたいと思います。
カウンセリングにつきましては、私は全然よく分からない分野でございますが、直接面接による心理的相互作用によって問題を解決することができるように援助することという定義が与えられておるようですが、この定義を少し広げて、社会的支援とか相談業務という意味でとらえた場合に、社会保障制度の中でどういう位置づけが可能かということでございますが、医療の問題はこれからお話をしますが、福祉領域とか公衆衛生領域における取り組みは存在したと思いますが、一くくりに言うと、重点化とか焦点化されて政策が見直されたということはどうやらないのではないかなと思ってございます。
例えば児童福祉法の中では、家庭その他からの相談に応じてというような相談をするのが市町村の業務だという位置づけがあったり、都道府県の業務としては、児童及びその家庭について必要な調査及び心理学的な判定を行うということがございますし、児童福祉士については資格の中で心理学を専修する過程、または学科を卒業した者ということも織り込まれていますので、ある意味そういうカウンセリングに近い相談業務というものも福祉領域の中で取り組まれているということになろうかと思います。
次に具体的な話で、医療保障という広いレンジで考えた場合は、医療保障体制を前提に犯罪被害者に対するカウンセリングサービスを考えていく場合に、医療体制はそこにありますように大きく言って3つ、公費負担医療、医療保険、自由診療がありまして、これを順に説明していきたいと思います。
そこにも書いてありますが、公費負担医療というのは全額公費型と医療保険+α型に大別されます。
公費負担医療というのは、社会保障や公衆衛生の向上、発展を期するための施策で、国及び地方公共団体が一般財源を基礎としてサービスを提供するものということになります。これに全額公費型と医療保険+α型というのがございます。
医療保険は、基本的には、健康保険とか国民健康保険を差します。ここでは労災保険というものも含めて考えることが可能ですが、ここでは話が錯綜しますので、労災保険については言及しません。
自由診療というのは、医療保険が適用されないという意味です。先ほども言いましたが、カウンセリングというのが診療行為と言えるかどうかというのは大きな問題で、現在の時点で言うと、診療行為と言えたとしても、現在は保険がきかないという意味で、開業なさっている臨床心理士さんもいるようですが、そこにおけるカウンセリングは保険がきかないという意味の自由診療ということになります。
公費負担医療というのは、その目的から5つの類型に分類することができますが、これはそこに書いてあるとおりですので、これ以上の説明はいたしません。
次、公費負担医療、先ほど言いましたが、全額公費型と医療保険優先+α型と2つのパターンに分けられます。
全額公費負担型の場合は、その名称のとおり、患者に対して全額公費に基づいて医療が提供されるというものです。典型的には、原爆被爆者援護法における認定疾病医療とか、感染症法における新感染症という類型がございまして、それに対する入院治療などが全額それらの法律に基づいて対応することになってございます。
一番多いのは、医療保険優先+α型で、これは医療保険をベースにするものですので、患者となるべき者は、医療保険の被保険者か被扶養者の資格を持っていることになります。+α型というのは何かといいますと、簡単にいいますと、医療保険は7割が保険給付で対応しますが、3割は一部負担金ということになります。この3割の部分をどのように負担するかということで、更に2つに分類されます。これは+α型の3割の部分を全額負担するというパターンとそのうちの一部を負担するという2つのパターンに分かれます。
次に、では、医療保険優先の全額負担型はどういうものかというと、医療保険で7割の部分を手当し、3割の相当分、これは詳しいことを言いますと、年齢によって2割になったりもしますが、多くは3割ですが、3割の部分を公費負担医療で賄うというものです。これに該当するのは、これもやはり原爆被爆者援護法における一般疾病医療とか、戦傷病者特別援護法における公務上の認定傷病あるいは精神福祉保健法における措置入院、母子保健法における養育医療というものはこの類型に該当いたします。
次に、医療保険優先で一部負担型というものがございます。これは患者負担の一部をこの表では公費負担2割ということでお示しをしておりますが、3割のうちの2割を公費で負担するとか1割とか、これはいろいろケースによって違いますが、一部を公費負担し、患者の3割負担の部分を圧縮する、負担を圧縮するという形になってございます。これに該当するのは、障害者自立支援法に基づく更生医療あるいは育成医療、精神通院医療、特定疾患治療研究事業というものがございまして、この中で医療保険優先事業というのが56疾患定められておりますが、これらが該当するというものです。
ここでは障害者自立支援法、カウンセリングということもありまして、障害者自立支援法の精神通院医療が最もカウンセリングというのに近いのかなということで、そこの部分を詳しく見ていきたいと思います。
障害者自立支援法は新しい法律に変わることがもう既に決定されていますが、ここでは一応、この枠組みに基づいて説明をしておきます。
ここには自立支援医療としては、育成医療、更生医療、精神通院医療という3つがございます。精神通院医療のシステムということで今、説明してきました費用負担のパターンでいくと医療保険優先・一部負担型に該当します。
精神通院医療は、支給認定というものを受けなければなりません。精神通院医療を受けようとする障害者または障害児の保護者は、市町村等に支給認定を受けなければならない。これには一定の所得要件がございます。この認定を受けて自立支援医療費を支給されるわけですが、市町村等は支給認定を受けた障害者等が支給認定の有効期間内において自立支援医療を受けたときは、自立支援医療費を支給することになってございます。
これは先ほどの図のように、2割の部分を自立支援医療費として支給しますので、患者自身が負担する部分は1割になります。
ちょっと表が見づらいかもしれません。7割が医療保険の部分で、2割が自立支援医療費が対応する。1割を患者御自身が負担することになります。
この精神通院医療を受けるには、指定自立医療機関というものの指定を受けた医療機関で受診をしなければいけないということになります。2割の部分の精神通院医療の負担ということにつきましては、都道府県が支弁をするけれども、国がその半額を負担するということが障害者自立支援法の中で規定されています。
精神通院医療の枠組みの中に臨床心理士を組み込むことが妥当なのかなと考えているところでございますが、臨床心理士は医師ではないということで、医師以外の者のサービス等医療保障という視点に着目しますと、医療保険にも参考となるものがございますので、保険診療というところも見ていく必要があると思います。
いわゆる医療保険の中で保険給付というものが大きく言って3つございます。我々が普通に病院に行って受ける保険給付を療養の給付と言います。
これは教室事例的な説明になりますが、旅行先に行って保険証を持っていないけれども、病院にかかるという場合が療養費というものです。最近、TPP関係で話題になっていますが、混合診療、保険外併用療養費というものもございます。現在、精神科医が行うカウンセリングはこの療養の給付というので対応されていますので、精神科医がやるカウンセリングはここでは措置、手当できることになります。それ以外の例外的な給付として、療養費というのと保険外併用療養費というのがあるということです。
療養費につきましては、先ほど旅行先で被保険者証が提示できないという話をしましたが、ここには医師以外の者が行う施術というのがございます。これは柔道整復師とかあん摩マッサージ指圧師などが提供する施術がございます。これらで手当されるのが療養費というものです。
ここでなぜ療養費という言い方をするのかというと、これは、施術に要した、受けたサービスの全額をまずサービス提供先に支払って、後からこういう理由で柔道整復師でサービスを受けましたというので、保険者に申告をして、後から7,000円戻ってくるというのは療養費の基本的なお金の流れ方です。
ただ、これについては、そこに柔道整復師型とあん摩マッサージ指圧師型と2つ書きましたが、2つのやり方がありまして、柔道整復師型というのは、さすがに最初に1万円用意していって、後から7,000円が戻ってくるというのは迂遠なので、最初から3,000円を支払うというパターンで、そういうやり方を認めようというのが柔道整復師型です。これを受領委任払いと言います。この受領委任払い方式は、患者一部負担金相当額を3,000円だけを柔道整復師に支払って、柔道整復師が7,000円の療養費の支払いの手続を委任されるというシステムです。
 これについては歴史的な経緯がありまして、日本柔道整復師会に所属する者は県ごとに組織されている柔道整復師会と協定を結んで取り扱う。整復師会に所属していない整復師については、知事との間で契約を結ぶということでお金のやりとりをやっています。
では、あん摩マッサージ指圧師というのはどうなっているかというと、原則は、さっき言いましたように、まず、1万円を払った上で、後から7,000円が戻ってくるという方式をとっているのです。つまり、受領委任払い方式というのが認められていないというものでございます。
ただ、これについては、柔道整復師との取り扱いに差があるということを理由に損害賠償で争われた裁判がありまして、千葉地裁の平成16年1月16日という判決ですが、この中で、そうは言っているけれども、保険者のうち約7割が受領委任払いを認めているよという記述がありまして、この辺は私もこれ以上調べようがないので、厚生労働省さんはその辺のことを後から、今日すぐということにはならないと思いますが、教えていただきたい。こういうことになっていますが、一応、法律上の建前は違う取り扱いになっております。
だから、もし臨床心理士が国家資格化されるとこういう柔道整復師型になるのか、あん摩マッサージ指圧師型になるのかはさて置きですが、そこに組み込むということも1つ考えられるのかなということでございます。
もう一つは、保険外併用療養費というもので、これは今、問題になっています混合診療というものです。
日本は皆年金、皆保険ということで、非常に充実した医療保険を備えているわけですが、ほとんどすべて保険診療の適用になるのですが、ごく例外的に一部、まだ先進的な医療でこれを一般化するのは難しいということは保険外という、保険の対象にしないよということはあるのです。
そういう保険外の診療をしてしまうと、医療保険の適用を全部外してしまうと、これは混合診療の禁止という考え方ですが、オールオアナッシングで対応していますが、それはさすがにその患者の救済としては問題があるということで、一部保険外の部分も併用する形で認めているという領域がございます。
それが保険外併用療養費ということで、ここには大きく言うと2つ、評価療養と選定療養という2つのグループがあります。1つは、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価されるべきサービスとして位置づけられるもの。特別な病室の提供など被保険者の選択・選定に関するサービスというものと2つに分けられております。
これはちょっと難しいのかなと思いますが、臨床心理士のカウンセリングをこの評価療養というところに位置づけるということも可能なのかなということですが、しかし、結局お金の負担の問題は上乗せ部分と基礎的な部分ということになりまして、基礎的な部分は保険外併用療養費ということで手当をしますが、上乗せ部分については患者からの徴収ということになりますので、それは結局、現在のシステムと基本的には余り変わらないということですので、これはカウンセリングの必要性が叫ばれている中で前進ということにはならないのかなということになります。
今まで話してきたことを最後に簡単にまとめていきたいと思いますが、臨床心理士によるカウンセリングの公費負担医療という形で組み込むとする場合には、臨床心理士を国家資格とした上で、臨床心理士が行うカウンセリングを施術に該当する名称を与えて施療ということが言えるのかなと思いますが、療養費の支給対象とするという方策が考えられます。
ただ、療養費の支給対象とする際には、カウンセリングの実施について医師の指示という条件を付するか否かというのが制度設計上の問題ということになります。更にこの問題とは別に診療報酬の設定ということがどういう形で金額を手当するかということが問題となろうかと思います。
そういうことで、公費負担医療というところでの課題ということになりますと、そこに大きく4つ挙げましたが、財源、報酬額、サービス網、犯罪被害者の範囲ということになろうかと思います。
財源については、今、簡単にお話をしてきたところで言うと、医療保険+α型というのが現実的です。α部分のところをどうするかが問題ですが、これについては、既に平成19年9月では、原因者負担とか罰金の特定財源化あるいは課徴金制度ということも検討されていたようですが、いずれも問題があるということで、ここは一般財源に頼るしかないと。
報酬額につきましては、医師によるカウンセリングにつきましては、診療内容に見合っていないという批判もあるようですし、臨床心理士によるカウンセリングということを考える場合には、医師の指示の下での組み込みというのが一応すわりはいいと思いますが、その場合にどういう形で報酬を設定するかという問題が出てくることになります。
サービス網につきましては、地方でも交通費や移動時間の負担をできるだけ少なくするネットワークの構築が必要であろうと思います。
次に、犯罪被害者の範囲ということですが、今の法律では被害者あるいは遺族ということは定義されていますが、家族ということについては給付金等の対象になってございませんので、この辺の範囲をどうするかという問題がまず1つあろうかと思います。もう一つは、重傷病給付金という中にこの費用を含めるのかどうか。あるいは全く新しい給付類型を設けるのかということも考えていかなければいけない課題なのかなと思います。
これは臨床心理士会の話は、今日の宮崎先生の話、前回の会長の話もお聞きしましたが、大きな問題が1つ、もう既に開業なさっている人もいらっしゃるようですが、開業を認めるかどうかというのも、恐らく国家資格化のところで、これはちょっと今日の話題とは離れますが、大きな問題になるのかなと考えておりますので、つけ加えさせていただきます。
走りましたが、以上で私の発表を終わります。
○ 小西座長ありがとうございました。
簡潔にやっていただいてありがとうございます。
それでは、御質問等がございましたら、御順にお願いいたします。
○ 松坂構成員最後のまとめの財源のところを専門家の先生のお立場からどうお考えなのかということをお教えいただきたいと思いますが、このような場合、国策としてどの程度の年間の財源を見たらいいのかというときのアプローチの仕方ですけれども、社会保障を考えるときのアプローチの仕方を教えてください。いわゆる素人としての私から考えれば、犯罪被害者に対するどのような支援が必要なのか。そのためにはどういうスキームが必要なのか。そのためにはどれだけのお金が必要なのか。こんなふうに考えていくのかなと思うのですが、ただ反面、日本国の置かれた経済事情等々を考えますと、学者の立場から言うと、そうはいかないのですよということになるかもしれません。すなわち、結論として財源はこのぐらいしかとれないので、逆にこういう制度をつくるしかないのですよというアプローチもあろうかと思うのですが、この辺について、先生のお考えはいかがでしょうか。
○ 加藤構成員臨床心理士のカウンセリングということを考えると、むしろ療養費型のような形にして、つまり、国家資格化をすることによって医療保険のベースに乗せるということがお金の問題も考えれば少ない予算の増額する額に比べて効果が大きいのかなと思います。その場合、更に一部負担金の部分をどうするかという問題はまだ出てくるとは思いますけれども、そこはまた制度設計の在り方だと思います。
○ 小西座長どうぞ。
○ 太田構成員どうもありがとうございます。
今の財源に関して1点。
もし聞き間違いだったらお許しいただきたいのですけれども、財源でかつて課徴金とか罰金を組み込むというような議論があったように記憶しています。今、もう一つ進んでいる給付金の方の検討会でまさにこの問題が議論されると思うので、この場でもしお答えできることがあれば、教えていただきたいというのが1点。
それから、まだ十分に理解できていないところがあるのですけれども、保険給付の中でいわゆる整体師とかあんまマッサージと呼ばれる療養費という扱いなのですけれども、結局、お金的には7割とかを保険で払って3割を自己負担。ただ、それを最初から全額払うか、最初は自己負担分だけでいいのかというのはありますけれども、これが療養の給付と分かれている仕組みになっているという理由は医師であるか、ないかということなので、そうすると、整合性というか体系性からいうと、もし臨床心理士が国家資格になった場合は療養費に組み込むのがいいということなのか。
それとも、もし何か別の理由であれば、こちらの保険給付の方に組み込んでいってしまって、療養給付もしないで例えば臨床心理士の方も今の一部、医師と一緒やった場合とか、精神保健福祉士の場合には1人でも給付が下りるような場合もありますから、あちらの方に組み込んでいった方がストレートでいいのではないかという気もするのですけれども、その辺りのもともとの経緯等を含めて今後の在り方でなぜ療養費の方にしなければいけないか、必然性みたいなものがあるかどうかということを教えていただければと思います。
○ 加藤構成員後者の部分については、厚生労働省の見解と違うかもしれませんけれども、私の理解ですと、ドクターがやるのとは違うという整理なのだと理解していますので、国家資格化されても恐らく療養費という取扱いになると思います。
ただ、それも柔道整復師型になれば、お金の流れは我々が普通に病院に行って風邪の診療を受けるというのと同じ形になりますので、そこは条件としてはイコールということになるのだろうと思います。
それから、財源の課徴金等々の話は私も今回の報告をするに当たって、ざっと資料を見せていただいただけなのですが、やはり犯罪被害者ということとの関係で言うと、原因者負担金とか課徴金というのは難しいのかなということがありまして、そういう意味では医療保険のルートに乗っけてくるのが、とりあえずいいのかなと考えたということです。その程度です。
○ 太田構成員この保険の方でかつてそういう議論があったということでは。
○ 加藤構成員ないです。
○ 太田構成員済みません。では、聞き間違えました。申し訳ありません。
○ 小西座長では、厚生労働省。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室長 ありがとうございます。
ただいまの加藤先生のお話につきましては、私ども制度所管官庁としてどう考えているかという制度の経緯もあります。今日は時間がありませんので、後でまとめてお話する機会をつくっていただければと思います。
その上で、今、療養費の話が出ました。療養費は国家資格化されれば療養費に該当するのではないかという話がありましたので、そこだけ申し上げておきますと、今、療養費で認められているもの、基本的に療養の給付というのは現物給付なのですが、現物給付を受けられないやむを得ない事情がある場合に療養費ということ。
かつてありました、あんま、鍼灸、マッサージ、柔道整復について医業類似行為という概念がありまして、医療そのものではないのだけれども、かつてから認められてきた医業類似行為というものがあって、医療が受けられず、やむを得ずそれを利用している方がいて、そういう方の場合に一旦、払っていただいたものを後で本当にやむを得なかったということを判断した上で払い戻すというのが療養費なのです。
そういうことから言いますと、保険証を持っていなかったというのも1つの理由にはなりますが、そういうことで言いますと、例えば柔道整復以外の場合はお医者さんの今の医療ではなかなかこれ以上進展がないので、やむを得ず鍼灸を使ってもいいという医師の診断書付きで認められているのが療養費払い。
それから、柔道整復の場合は、御紹介にいただいた判例もあるのは柔整だけなぜ違うと言いますと、柔道整復の方だけ骨折、脱臼の手当てが認められておりまして、そういう応急的な場合に医師の診断書がないと認めないということが事実上、不可能なので、現物給付に近い措置をとっているというのが今、お話になっている療養費の概念。
私ども基本的には医業類似行為という極めて歴史的経緯のある類型を新規に追加するのは非常に問題が多いのではないかと思っておりますので、そこで国家資格にすれば、療養費をどんどん増やしていけるかという御発言がありましたけれども、所管省庁としては、これはそう簡単なことではないという感じがいたします。
もう一つ、国家資格という話が出ましたので、1つあえて申し上げますと、医療保険で払えるかどうかというのは医療かどうかというところが非常に大きいのです。療養費は医療ではないけれども、医業類似だというややグレーな領域を認めている。認めていいのかという問題は多少あるとは思うのですが、認めている。
これは医療行為だということになれば、基本的に医師の判断、医師の指示があって、その指示の下にどういう人がどういう行為をできるかという法体系になっています。その法体系の中に入るのかどうかという大きな問題があると思います。そういう体系の中に入るのであれば、医療保険適用の可能性はないわけではないと思いますが、その代わり自由開業というのが基本的にできないということになります。
一方で、医師の指示をいちいち受けなくてもいいという行為で利用するとすれば、それは医行為、医療ではないということになりますので、自由開業という形はいいけれども、それは医療でない以上、医療保険では払えないという話になります。そういった幾つか非常に難しい話がありまして、短時間では御説明し切れないので、改めて機会をいただければと思います。
○ 小西座長ありがとうございました。
大変大きな基本的な話なので、この時間ではやり切れないというのは、そのとおりだと思いますので、また後ほど考えさせてください。事務局と検討させていただきます。
それでは、実は議事次第を見ていただきますと、この後、犯罪被害者等に対する心理療法の必要性及び有効性に関する調査結果というものと心理両方の定義、種類、これは最初のときから積み残しているのですが、この2つについては次回に回すということにさせていただきたいと思います。もう時間がございませんので、そういう形にさせていただければと思います。御準備していただいた先生、申し訳ございません。
それから、前回、第3回検討会におきまして松坂構成員からカウンセリング業務に従事している方からヒアリングを、実際に被害を受けた方からのヒアリングも行いたいと御意見、要望をお伺いしたと思います。この点に関しまして、本日、検討しておかなくてはいけないと思うのですが、まず、私は実際に犯罪被害者の方の臨床の実務を行っておりますので、提案をさせていただきたいと思います。
例えば体験談を自由に話していただくことさえ、なかなか厳しい方が多いです。現にカウンセリングを受けている方とかカウンセリングの直後の方はなかなか人の質問に、今、ここに先生方に来ていただいて質問に答えていただくように、要領よく話していただいて二次被害なくということは難しいというのが私が思うことなのです。
ただ、松坂構成員がおっしゃっていることは、是非、私たちも必要なことだと思うので、代替案として構成員から被害者のカウンセリングに関して、あらかじめ聞きたい質問を皆様に出していただきして、これを御協力いただける被害者の方に私あるいは臨床を担当している者から実際に聞き取って、御本人の承諾が要るのですが、録音を取らせていただいてそれをまとめる、あるいは録音を直接御紹介するという形ではどうだろうかと提案させていただきたいと思います。
余り待ってゆっくりやっているひまもありませんので、今、考えていただいて、いかがでしょうか。それでよろしければ、そういう形でやってみるのはどうかと思いますが、御意見がございましたら。
○ 松坂構成員結論から、それで結構だと思います。やはり制度設計をする場合には、立法事実というのが必要ですが、その立法事実の中の大きな割合を占めるのは、この場合、犯罪被害者のその方々の実情、要望です。
我々があと更に検討しなければいけないのは、よかれと思ってしたことが十分だったのか、足りなかったのか。それから、むしろこういうことをしてほしかった、ないしはもっとしてほしかったとかその辺のことを知らないと、今後のことは議論できませんので、是非、それは充実したヒアリングをしていただきたい。小西座長のおっしゃるとおりで結構だと思います。
○ 小西座長実際に実名公表をしていらっしゃる方も少数いらっしゃいますけれども、そういう方でさえ横で一緒にいることがあるのですが、とても出ることで大変です。そういう点では、こういうなるべく安全な方法をとらせていただきたいと思います。
よろしければ、では、事務局の方へ被害者の方のカウンセリングに関して、例えば費用の面とか困ったことなど聞きたい質問事項、あるいは例えばどういう方を対象とするということが全部御要望に沿えるかどうか分からないのですけれども、そういうことも含めて出していただきまして、現在、了承をいただいて伺えそうな方に聞き取りを行い、次回その結果を御紹介するということにさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 皆様、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○ 小西座長では、そうさせていただきます。
それでは、もう一つ、松坂構成員から犯罪被害者等への心理療法の費用の公費負担を検討するに当たり、今後の論点となり得る事項についてまとめた貴重な御意見をいただいております。
次回以降、これに入っていかなくてはいけないのですけれども、その際にこれについても御議論いただくこととし、本日はこういうものをいただいているということで御紹介のみとさせていただきたいと思います。
なお、ほかの構成員の皆様からも論点整理をすべき事項につきましては、御意見をいただきたいと考えております。後日、事務局から依頼させていただきますので、その際は御提出をよろしくお願いいたします。
どうぞ。
○ 太田構成員今日の議題の内容に関係して、また情報提供をいただきたいことを2点ばかり、今日の議論の中で思い付いたことがありますので、よろしいでしょうか。
我々が知りたいことは、犯罪被害者の方がどれぐらいこういった心理療法などで費用を支出していて、どこまで十分でどこが足りていないかということが一番重要なことだと思います。
この間、来ていただいた被害者の方も医療費の負担が非常に重いということをおっしゃられていたので、いろいろな医療費の保険の話もいろいろ聞きましたし、公的なカウンセリグの話も聞きましたけれども、どうしてあそこまで大変な状況になっているのかということを知る必要があると思っています。
そのことと関連して、今日、警察の方のケースを見ていてはたと思ったのですが、高額療養費の負担の制度がありますね。今回のケースでも60万円のうちの35万円ぐらいが出て、25万円で済んだという話がありましたけれども、厚生労働省保険局さんが出されている資料などを読んでみたのですが、あれがもしかなり適用されていれば、一定の額以上が1か月以内に払うことはなかったり、1年以内で払うことはないような感じなのですけれども、いろいろな要件がありますので、うまく要件に合わないために、かなり高額なものを負担している被害者の方がいると思います。
1つ、厚生労働省さんの資料では高額療養費の制度が結構いろいろな複雑なことが書いてあるのですけれども、どういう要件が係ってきて、このような場合だと、こういうのは認められないということを整理して教えていただければ、非常に被害者の方の給付の限度額みたいなことがわかってくるかなと思いましたし、警察の方でも余りあれもこれも調べてくれと言うのは非常に申し訳ないのですけれども、ああいうように高額になった人があれがあるためにこれぐらいで済んでいるというケースがもう少しあったら、また後日でも教えていただければなと思っています。これが1点。
それから、小西先生の最初の御質問の中でお話になっていたので思ったのですけれども、認知行動療法が医師によって行われたり、医師の指示の下でカウンセリングを行った場合に保険給付の対象になるというお話でありましたが、先生が両方の技法というのでしょうか、エクスポージャー、あれがなっているかどうかというお話をされていたので、ひょっとしてそういうものが認知行動療法の中でいろいろな療法があると思いますけれども、それが全部認知行動療法という形で保険の対象になっているのか。それとも技法ごとにと言いますか、そういうのが決まっているのかとかいうのがもしありましたら、また機会がありましたら、そういうことも教えていただければと思います。
今日も定義のところでいろいろな療法の説明がありましたけれども、あれが全部認知行動療法の中で認められているのか、それともある程度科学的な検証が進んでいるものについて認められているのか。これは認められて、これはだめだというのがもしあるのかどうかということも後日、教えていただければなと思います。
○ 小西座長では、かなりたくさんの御質問をいただきましたので、次回にこのことを扱いたいと思います。
ほかにこれだけは言っておきたいということはございますか。
それでは、検討スケジュール(案)について事務局から説明をお願いいたします。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、資料7をごらんいただきたいと思います。当面のスケジュール(案)ということで、次回の第5回以降のところを書いております。
この検討会2の方は2か月に1回、会を催しておりまして、そうしますと、来年の2月に日程調整ということになります。
ところで、もう一つの検討会1の方では海外の制度も出張して調査するということになっておりまして、アメリカ、ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツの3か国、それから、韓国の3回に分けて有識者の方と事務局で行くという予定にしております。この時期が1月下旬から2月いっぱい、もしくは3月上旬ぐらいというところになっておりまして、若干2月に検討会2を入れるのが難しい状況にあるという状況がございます。
また、この調査の事項なのですけれども、被害者保障制度、それと社会保障制度等を併せまして犯罪被害に遭われた方にどういった給付がなされているのかということを調べてくるということになっておりまして、当然、検討会2で検討しております心理療法ないしカウンセリング、これについても各国、どういった実施者がどういった犯罪被害者に対してどういったことをすると、公費で負担がされているのか。その負担者はだれでどういったシステムなのか、そういったところも調査してくるということで今、調査事項を有識者の方と御相談しながら詰めておるという状況です。
したがいまして、この検討会2でも海外調査の結果を踏まえて御議論いただくというのは有益ではないかということで、第5回を調査が終わりまして24年の4月の上旬か中旬にいたしまして、その際に海外調査に関する報告を1つ入れたいというのが事務局の案でございます。
また「被害者からのヒアリング」とここに書いておりますが、今、皆様方に御了解いただいたような方法で被害者の方の生の声をここの検討会の場で御紹介をするという形でできればと思っておりますし、また、毎回盛りだくさんの議事次第にして積み残しがあって大変申し訳なく思っておりますけれども、今回積み残した分ですとか所管庁、各省からの御説明等を第5回にさせていただきまして、その後、2回か3回、論点検討ということを経て2年間という期限がございますので、10月の上旬から中旬ごろに座長試案・中間とりまとめの案の提示や検討という、そんなスケジュールで当面進めていきたいというのが事務局の考えでございます。
○ 小西座長ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御意見はございますか。どうも今の積み残し状況だと、2~3回というのは絶対に3回の方ではないかと私は思っておりますけれども、何か御意見が今、ございましたらお願いします。
○ 太田構成員今の御説明、進行方法で異存はありませんけれども、これは中間とりまとめ案というのを出すということなのですが、この後に意見公募か何かをされる予定はあるのでしょうか。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)パブコメにかける予定でございます。
○ 小西座長実はここで少し空くと、かなり後が詰まる感じがいたしますので、是非、御協力いただければと思います。
ほかに何か御意見はございますか。
最後になりましたが、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○ 事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)それでは、今、御了解いただきました当面のスケジュールで進めさせていただきますので、第5回の開催につきましては来年の4月上旬から中旬までの間で後日、日程調整の御連絡をさせていただきたいと考えております。
また、本日、必要性と有効性に関する資料をいただきまして、御説明の御用意もいただきました中島先生と小西先生にはまた次回ということになって大変申し訳ございませんでした。ということで、また次回よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○ 小西座長ただいま第5回検討会の開催予定について御説明がありました。論点整理についての御意見のほか、本日のたくさんの議論を踏まえまして、検討課題や現状把握についてさらなる御意見がございましたら、事務局の方へお寄せください。
また、提出いただいた事前意見は事務局から事前に構成員に送付するとともに当日配付いたしますが、可能な限り正式な配付資料として公表したいと思っておりますので、御協力ください。
これをもちまして、第4回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を終わります。
どうも皆様、ありがとうございました。

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