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第2回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」
議事録

○小西座長 それでは、1分少々前かもしれませんけれども、始めさせていただきます。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、足元の悪い中、どうもありがとうございます。ただいまから第2回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を開催いたします。
 本日は、第2回の検討会ということですが、まずは本日の議事について、事務局から御説明願います。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、お手元の資料の議事次第をごらんいただければと思います。
 本日の議事の内容は、「検討の進め方等」、「検討課題等」、「心理療法(カウンセリング)の定義、種類、実施者等の概念整理(共通イメージ保有のための整理)」、「心理療法(カウンセリング)の公費負担に関する各種制度等」、そして、自由討議「犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の実施者等について」、「その他」でございます。
 以上です。
○小西座長 本日のこの議事次第については、今、事務局から説明があったとおりですが、それぞれの議事ごとに検討を行っていきたいと思います。また、一通りの議事の検討が終わった後に、時間がありましたら、自由討議を設けておりますので、その時間にまた御発言ください。
 ただ、今回、心理療法、カウンセリングの公費負担に関する各種制度ということで、各省庁から説明のために多数の方においでいただいております。それで、この件については是非、今日行いたいと思っておりますので、こちらについては14時ぐらいから始めさせていただき、もしその他の件でもっと話さなくてはいけないことがありましたら、また次回とか、あるいはその後に考えたいと思います。どうぞ、それだけ御了承ください。
 それでは、まず、検討の進め方等についてという議題になっております。これは前回の第1回合同検討会において御意見をいただきましたので、それを受けての検討ということになろうかと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 事務局から資料1-1について、まず御説明いたします。第1回の合同検討会のところで、検討会<1>と検討会<2>の関係についてということで若干御議論がございました。それを踏まえての事務局案であります。
 検討会<1>と検討会<2>は、相互に密接に連携して検討を進める。
 検討会<2>は、現行制度で抜け落ちている部分について、余り時間をかけずに対応する必要があるという考え方の下、2年以内に結論を出す。
 検討会<1>は、検討会<2>の結論を尊重する。検討会<2>の結論が検討会<2>の議論とも矛盾なく対応できるものであれば、検討会<1>の結論は、検討会<2>の結論を取り込んだものとなる。検討会<2>の結論が検討会<1>の議論と矛盾する可能性が出てきた場合には、検討会<1>において、調整の上結論を出すこととなるということでございます。
 検討会<1>の第2回をやって、そこでも御了承いただいた事務局の案でございます。よろしくお願いします。
○小西座長 ただいま、事務局から第1回検討会における意見を踏まえての検討の進め方について御提案がありました。今後の議論の進め方に影響する重要な事項でもございますので、この検討の進め方について、構成員の御意見をお伺いしたいと思います。
 それでは、どなたからでも結構ですので、御自由に御発言をお願いいたします。
 特にございませんでしょうか。
 それでは、皆様にこれを了承していただいたということで、今後進めていきたいと思います。大枠はこういう形でいくということです。
 次に、「当面(第I期)の検討スケジュール(案)」についてでございますが、それを事務局から御説明願います。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、資料1-2につきまして、当面の検討スケジュール(案)ということで御説明いたします。これは検討の推移やヒアリング対象者との日程調整等により変更があり得るものであることを御承知おきいただければと思います。
 第2回は本日でありまして、内容はそこに書かれているようなものとなっております。
 第3回は、10月19日午前10時から12時まででありますが、まず犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の必要性及び有効性に関する現状把握を行いたいと思っております。また、公費負担されている犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の実施状況(対象者(被害者等)の特性、症状、心理療法の内容、実施者、効果、費用等)を学識経験者の方から伺う。また、公費負担されていない犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の実施状況について、学識経験者の方から伺う。それから、社会保障制度における心理療法(カウンセリング)と公費負担医療ということで学識経験者、これは今回の検討会の構成員である加藤先生にお願いしたいと思っております。また、臨床心理士による実務の現状(業務形態、主たる分野、報酬、医療との連携、養成、研修等)についてでございます。
 それから、検討課題(論点整理)、自由討議でございます。
 今、読み上げた中で※が付いているものにつきましては、時間の関係とか、また、お話しいただく方の御都合などにより、第4回になるということもあります。イメージとしては、この※を第3回と第4回でお話しいただくような形になろうかと思います。
 第4回は、12月7日午前10時から12時でありまして、海外における心理療法(カウンセリング)の公費負担制度等、論点整理、自由討議。
 そして第5回が、2月中旬から下旬目途ですが、論点検討や自由討議。
 第6回は、4月中旬から下旬が目途ですが、座長試案提示、検討。
 第7回は、中間取りまとめ案提示、検討。
 第8回は、8月中旬から下旬を目途としておりますが、中間取りまとめ案の作成、その後、パブリック・コメントの実施、専門委員等会議や推進会議にかけるというような当面のスケジュールを考えております。
 以上です。
○小西座長 ありがとうございました。
 ただいま説明のありました当面の検討スケジュールに関係が深いと思われる事前意見を、松坂構成員からお寄せいただいております。まず、松坂構成員に御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○松坂構成員 松坂です。
 私の意見の趣旨は資料9-2に書いてあるとおりです。いずれにせよ、この第3回に予定されているようなヒアリングは必要であると考えます。 ただ、やはり最も大事なのは現場の実情です。心理療法が現場においてどうなさっているのか、どういう方々がどういう人に対してなさっているのか、そして、それはどのような費用負担でなされているのかが気になります。例えば一つの例を挙げますと、いわゆる医師法に基づく精神科の医者の方がなさる場合は大体30分以内で、短時間で薬を出して、いわゆる療法をなさるというケースが多いやに聞いております。
 実情としては、もっとヒアリングをして、いわゆるカウンセリングの中身を充実したものをしたいのだけれども、いろいろな保険診療の制度上の問題とか、そういう問題からペイしない、費用対効果が合わない、それで、おのずとそういう実情になっているという話も聞いております。
 それから、他方、臨床心理士の先生方は、長い時間、1時間とか1時間半とかをかけて、いわゆる暴露療法とか、認知行動療法ですか、行動認知というんですか、そういうものを実践して、しかるべき実績を上げておられると聞き及んでいます。ところが、保険の対象ではなく自費負担ですから、これは犯罪被害者の人の自己負担でやらなくてはいけない。
 それで、費用はといいますと、大体1時間1万円以上ということのようです。しかも、それが1回で終わるのであればいいのですが、大体20回から30回必要とするのが通常のようです。
 それ以外にも、フェミニストカウンセラーですか、DVなどでよく活躍なさっている現場の先生方がおられるようであります。それから、警察庁管内とか厚生労働省管内の各施設におられる方々がそれぞれの専門領域でそういうカウンセラー業務をなさっています。
 その実態をまず我々は把握して、正しい知識を持つべきです。そして、しかる後に犯罪被害者の立場に立って、どのような制度を作るのが最もよいのかを検討すべきです。当然、これは費用対効果といいますか、国費を投入する制度設計でありますから、青天井であるわけではありません。そこは当然、合理的な制限というものが発生するわけでありますが、それにしても、まずは犯罪被害者の方々が、その犯罪被害の精神的な被害を回復するためにどういうふうな制度設計をしてあげたらいいのかという観点から議論をしていきたいと思います。
 そういう観点から言いますと、まずはそういう心理療法の現場の実情をお聞きしたいと思います。いわゆる学識経験者の方々からお話を聞くのも当然必要なのですが、やはり現場の生の声を是非お聞きしたいし、逆に今度は反面、犯罪被害者の方からバイアスのかかっていない方に限ると思いますが、こういうものでよかったとか、こういう面が不満とか、よくなかったとか、そういうものも我々が議論する上で情報としてあった方がより成熟した議論ができるのではないかなと思います。
 そういう観点から、こういう意見を述べさせていただいた次第です。
○小西座長 貴重な御意見、ありがとうございました。
 松坂構成員のおっしゃるとおり、やはり実情を把握することが私たちにとってはとても大事なことであって、例えば今日の、システムについても知る必要があると思いますし、当事者の声、現場の声、それから、実際に動いている実情をやはり全部知りたいところだと思います。
 それで、第3回あるいは第4回にかけて、そのうちのすべての方に実際に来ていただけるかどうかは分かりませんけれども、なるべく先生がおっしゃるような形で現場の状態が知れていけるようにできたらいいなと私も思っているところです。
 このことについて、ほかに御意見はございますでしょうか。
 それでは、今の松坂構成員の御意見も尊重して、またスケジュールを考えていくというふうにしたいと思います。
 その他、当面の検討スケジュールに関して、御意見はございますでしょうか。
 それでは、具体的には日程調整なり時間の余裕なりにより変更があり得ますけれども、今、御説明したようなスケジュールで進めていくということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり))

○小西座長 それでは、そういうふうに御了解いただいたということで進めさせていただきます。
 次に、「3.検討課題等」に移りたいと思います。前回の第1回合同検討会でも事務局から説明がありましたが、当面の検討の進め方として、現状把握とともに、今度は検討課題の抽出も行っていきたいと考えております。
 検討事項の整理を行うに当たり、第2次犯罪被害者等基本計画策定時の議論等を踏まえて検討課題を抽出していくことが必要であると考えているところです。
 今回、第2次犯罪被害者等基本計画策定時の議論を整理し、検討すべき課題について検討してまいりたいと思います。
 この点について、まず事務局から説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、事務局から資料2に基づいて御説明いたします。この資料は、第2次計画策定時における意見等に基づいて検討課題を抽出するということと、検討課題ごとに論点を抽出して整理するのに資するようにということで作成したものであります。検討会<2>が検討会<1>と別立てされたのは、検討する事項が専門的であることとか、第2次計画策定時の議論でかなり具体的な議論がなされたということにありますので、検討会<2>における検討課題や論点整理に際してはこの議論を踏まえる必要があると考えまして、この資料を作成した次第でございます。
 まず、検討課題ですが、大きく言いますと3つあるかと思います。1つ目が「公費負担のあり方(理念)」、2つ目が「公費負担の対象」、3つ目が「公費負担の仕組み」であろうと思います。公費負担の対象やその仕組みについての細目は、そこに記載のあるとおりであります。時間の関係がございますので、詳細は資料をごらんいただきたいと思います。
 まず、1つ目の「公費負担のあり方(理念)」であります。
 第2次計画策定時の議論では、心理療法ないしカウンセリングについては、保険診療とは異なる社会的支援、犯罪被害者の権利回復の一環として位置付ける必要があるという意見がございました。
 犯罪被害者等に対する心理療法の公費負担のあり方に関する考え方につきましては、大きく分けますと2つあるように思います。1つは、公費負担するのはあくまでも医療の範疇にあるものであるとして、医療保険の適用を拡大することで公費負担を図るべきだという考え方。もう一つは、医療の範疇のものに限らず、犯罪被害者等に対する心理療法ないしカウンセリングを社会的支援・犯罪被害者の権利回復の一環として位置づけた上、医療保険適用拡大以外の方策で公費負担を図るべきだという考え方であります。
 1つ目の考え方を取れば、公費負担の仕組みは医療保険の適用拡大になろうかと思いますし、2つ目の考え方を取れば、それ以外の仕組みになろうかと思います。なお、そもそも心理療法の費用は、犯罪被害者等に対する経済的支援制度における支給内容の一つとして検討されるものであります。ですので、ここで言います公費負担のあり方、理念というものは、検討会<1>で検討事項となっている犯罪被害者等への経済的支援のあり方、理念とは若干レベルは違うものではないかと思っております。
 次に、2番の「公費負担の対象」で、まず対象者についてですが、第2次計画策定時、被害を警察に届けていないと考えられる被害者も臨床現場では多数治療されているけれども、犯罪被害給付制度の対象となる者に限るしかないという意見があった一方、カウンセリング費用の公費負担については、警察に届け出をしない被害者も含めた検討が必要という意見がありました。また、将来に向けては、警察に届け出をしていない性暴力被害者等に対し何らかの支援を行うことを考える必要があるという意見もございました。
 次に、実施者のところですが、研修を受けた臨床心理士の活用が必要という意見などがございました。
 3つ目で、心理療法の内容ですが、現在医療保険外のカウンセリングとして提供されている心理的支援が、海外で治療効果が実証されている専門的療法から、より一般的な療法、時には一部で行われている特殊な療法まで広がりがあり、質もさまざまであることは事実である。公費負担を考えるには、カウンセリングの質において何らかの担保が必要という意見などがございました。
 それから、回数についてですが、40回ぐらいが妥当とか、物によりまして5回、16回と右側の箱に記載しておりますが、そのような意見もございました。
 費用負担の範囲ですが、長期化する者が多いけれども、カウンセリングの目標を明確化するという点から考えても無制限に給付することは必ずしも望ましくないという意見がございました。
 費用負担の方法についてですが、現在行われている被害者へのカウンセリングの費用を補てんするという意見がございました。右側の方にあるのはこれを敷衍する意見になろうかと思いますが、警察庁では既に、都道府県警察における臨床心理士等の部内カウンセラーの育成・配置、民間の犯罪被害者支援団体が行うカウンセリングに対する業務委託等の施策を実施しているが、これらの資源は各都道府県に1~2か所と限られており、遠方の被害者にとって利用することは困難であることや、認知行動療法のような高度の心理療法を行う環境にはないことから、被害者の近隣において、高度の心理療法を含むカウンセリングを受ける場合にも費用が補助されることが望ましいという意見がございました。
 3番目の「公費負担の仕組み」です。まず、犯罪被害給付制度の拡充ですが、第1回の合同検討会でも御説明いたしましたけれども、第2次計画策定時の議論では、犯罪被害給付制度の重傷病給付金を拡張して心理療法ないしカウンセリングの費用を給付してはどうかという具体的提案がなされました。この議論の経過につきましては第1回で詳細に御説明いたしましたので、本日は時間の関係もあることから、考え方のところだけ御説明いたします。
 所管庁からは、傷病を負った被害者が共通して負担することとなる保険診療による医療費の自己負担分が傷病の程度を最も的確に表していると考えられることから、重傷病給付金は健康保険制度の適用される医療行為に係る費用が対象となるとの見解が示されました。
 これに対しては、重傷病給付金には自賠責にならって既に休業補償が組み込まれており、必ずしも医療給付には限定されていない。休業補償のような精神的回復のためのカウンセリング費用の枠を重傷病給付金の中にも別途設けることは考えられるのではないかという意見がございました。
 そのほかは、資料に記載のある意見でございます。
 ページをめくっていただきまして、「公費負担の仕組み」の<2>のところで、臨床心理士等による心理療法への医療保険適用の可否のところです。これも所管庁からは、PTSDの診断及び治療にかかる医療保険の適用拡大に関しては、診療報酬について協議する中央社会保険医療協議会がある。診療報酬については、2年に1回ずつ改定するルールになっており、一つの考え方として、医療の有効性、安全性について評価が得られるものについて措置を講じていくという考え方をしているという意見がございました。
 それから、新たな仕組みの導入というところですが、従来の警察庁で取り組んできたカウンセリング等の対象の、あるいは規模の拡大、充実ということでも対応できる部分があると思うとか、重傷病給付金で休業補償のような、むしろ精神的回復のためのカウンセリング費用の枠を設けることが難しい場合には、最高裁における裁判員の心のケア制度を参考とし、適切と認められたカウンセリング機関においての費用が補償されることが必要という意見とか、対象となるカウンセリング機関については、各都道府県において有識者委員会による事前評価を行うことなどが考えられるという意見がございました。
 このほか、<1>~<3>のいずれの仕組みについても必要と考えられるものについて、カウンセリングの質を担保するための仕組みも検討課題となると思われます。その意見は資料に記載されたとおりでございます。
 資料2-2でありますが、これは検討会<1>の第2回で提出させていただいたものであります。経済的支援に関する検討会の最終取りまとめの内容と、それに対する対応状況がどうなっているかなどをまとめ、更に検討会<1>における対応(案)、つまり検討会<1>においても検討課題として取り上げるかどうかの参考としていただくために作成した資料です。
 心理療法の費用負担とカウンセリング費用のところについては、2ページ目に記載されております。少し大部になりますので、説明は省略させていただきます。
 以上です。
○小西座長 ただいま説明がありました専門委員等会議における議論等を踏まえた上で、公費負担のあり方や対象等これらの項目について、改めて本検討会で検討していく、検討課題とするということになります。
 今回、これにつきまして久保構成員及び中島構成員から事前に御意見をいただいておりますので、まず久保構成員、簡潔にお願いできたらと思います。
○久保構成員 事前に提出した意見に書いてあるとおりですが、私もカウンセリングや心理療法の公費負担の必要性は皆さんと認識を共有するものであります。ただ、ここに書きましたように、今、わが国は社会的、経済的に非常に厳しい状況にあるので、漠然と公費負担の必要性を示すだけでは、国民の理解を得るのはなかなか難しいという認識でおります。
 そういう視点から今回の検討課題(案)を見た場合に、問題点を網羅して、非常によくできていると思います。ただ、私は国民とほぼ同じレベルの素人だろうと思いますが、そういう立場でこの中身を読んでみますと、やはり、この心理療法、カウンセリングが、今、どういう状況にあって、どういうものが救済対象として行われているのか。あるいは警察庁、厚生労働省、それから、文部科学省、それぞれに行われているんですが、今、やっているものでは、どこがだめで、どこが足りないのかとか、そういったようなものが漠として、なかなかイメージとしてできてこない。そういうものに対して、新たに公費を負担するというのは一体どういうことなのかというのが最初に浮かんだ疑問であります。
 具体的には非常に難しいと思うんですけれども、例えばどういう分野では何件ぐらいの実績があって、どのぐらい必要数を満たしているのか、データ的にとらえたりすることは可能か、どうなのか、それから、先ほど松坂先生がおっしゃったように、やはり実態を把握した上で基本的な認識を共有して、その必要性を明確な形で具体的に国民に示していくということをまず作業としてやってはどうかなと考えまして、書かせていただきました。
○小西委員 ありがとうございました。
 それでは、次に中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 私の方の意見は資料9-3の方にあります。今までの議論を踏まえて全体的に、今後検討していく上でこういった視点があった方がよいのではという意見だというふうに聞いていただければよいかと思います。
 資料9-3の2.のところなんですが、今まで心理療法の公費負担は果たしてどの程度必要なのかという御意見があったと思いますが、既に内閣府の方や警察庁の方で、かなり調査はされております。ですので、そういった資料などを今後挙げていただく必要があるのではないかと思います。
 例えば、ここで少し挙げさせていただきましたのは、内閣府の犯罪被害類型別継続調査報告で、これは警察に届けていない被害者も含むウェブモニターの被害者の精神健康の調査をしたものです。上から3つ目の棒グラフを見ていただきますと、K6と言われる精神障害のスクリーニングのスコアを使いまして、13点以上というのは、ほぼ臨床上問題になる、医療機関に行った方がいいというレベルですが、この黄色い被害経験のない一般群に比べ、著しく犯罪被害者において割合が高いと結果が出ています。やはり一般の人に比べて犯罪被害者の精神医療のニーズは相当あるというのが既にデータ上示されています。ただ、これは警察に届けている人も届けていない人も含まれているということを考えますと、こういった公費負担に関して届けている人だけということで果たしていいかどうかというような考え方もあるかと思います。
 次のページへ行きまして、現状で既に使われている制度として、こちらにまとめていただきました。犯罪被害給付金を始め、直接の給付ではないものとして、警察や民間被害者支援センター、一部の自治体の被害者支援等そして、被害者に特化しないものにおいては、精神保健福祉センターで一般の被害者はカウンセリング費用が補償されております。
 これらは警察に届けた方を中心に提供されているものですが、一方、ほかの法律、児童虐待や配偶者暴力に関しましては、児童相談所、配偶者暴力相談支援センターにおいて、警察への届け出の有無と関係なく、被害者が心理療法をほぼ無料で受けることが可能になっています。
 そうすると、それ以外の被害者におきまして、特に性暴力被害者の場合は警察に届けない限りこういったものが受けられないということで、DVとか児童虐待に比べると少し不利な状況に置かれているという可能性があります。そういったことも是非認識していただいた上で議論を進めていただけたらと思っております。
 公費負担の可能性については、今後検討する課題ではあろうかと思いますけれども、大きく分けて2つあります。つまり、個人に支給するわけではなく、既に公費での支援が可能な機関において、費用を補てんする形です。被害者本人に渡すわけではなく、被害者が無料で受けられる施設を充実させていくという考え方と、もう一つは、実際に受けた被害者にお金を渡していく、公費を提供するという2つの考え方があるのではないかと思っておりますので、こういった点は、今後御検討いただければと思っております。
○小西座長 どうもありがとうございました。
 ニーズの方はもうあるということは分かっているという御意見だったと思いますが、先ほどの松坂構成員、それから、久保構成員の御意見のように、今度は受け手の方の現状も考えていくということだと思います。
 それで、検討課題につきましては、現状把握等を行いつつ抽出を行い、論点を整理し、この後、検討していくことになると思います。
 そのほか、御意見はございますでしょうか。
 それでは、この後、まず、この前、心理療法の概念がはっきりしていないというお話がありまして、例えばカウンセリングとは何か、実施者とは何か、心理学的に言うととても大きな問題をまずここで簡単に考えようということになっておりましたが、少し時間の関係で、今日しかできない、公費負担に関する各種制度の問題の方に進ませていただければと思います。お配りしたものですと、議題5に当たります。心理療法、カウンセリングの公費負担を行っている各種制度等につきまして、それぞれの制度の所管官庁から御説明をいただきたいと思います。
 これは、今回、犯罪被害者等に対して行われるものに限らず、広く公費負担により行われていると考えられる心理療法、あるいはカウンセリングについて、制度の概要、対象者、実施者、行っている心理療法等の定義や内容、費用負担の仕組み、財源等に関して、実際にどのような制度があるのかを把握し、各種の制度を比較することにより、今後の心理療法等の公費負担のあり方についての検討に役立てることができるのではないかと考えております。
 まず、厚生労働省からお願いしてよろしいでしょうか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 それでは、資料に従って御説明をさせていただきたいと思います。私、厚生労働省保険局医療課の前田と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、資料4-1でございます。医療保険制度について簡単に御案内を差し上げたいと存じます。
 皆さん、もう御存じのとおりかと思うんですけれども、医療保険制度は当然、保険料という形で国民の皆様から費用をちょうだいいたしまして、それに国費という形なりで、公費という形で報酬全体という形を構成してございます。それで、その費用を各医療行為に対して診療報酬という形でお支払いをいたしますけれども、そのどの項目についてお支払いするかは、診療報酬の項目につきましては中央社会保険医療協議会、中医協と呼ばれるところで2年に1度議論をしておりまして、厚生労働大臣の諮問・答申という形で規定しておるものでございます。
 具体的に、どの診療行為についてお支払いをするかですけれども、基本的には保険医とかが患者の状態像を診察いたしまして、それで医学的判断の上、必要と思われるような診療行為を行った場合に、診療報酬としてお支払いするという形でございます。
 それで、精神疾患への診断・治療等を評価した項目の例というところで、初・再診料とか入院基本料という形でいきなり書いてございますけれども、すべての医療行為を一個一個診療報酬でお支払いしているわけではございませんので、例えばガーゼ1枚使ったらガーゼ1枚分の費用を出すかといいますと、必ずしもそうではないので、ある程度包括的にお支払いしているというところがございます。
 精神科で言いますと、例えば初・再診料という形で、診察とかそういった基本的な行為は初・再診料に入っている。それで、入院中の費用につきましては、基本的には精神病棟入院基本料と呼ばれるような、入院料の中で賄われている。その中でいろんな行為をしても、その中に入っている。それだけでは賄い切れないものについては別途評価をするという形を取りますので、例えば入院中に特別な精神療法を行った場合には入院精神療法という形を取ったりとか、あるいは外来で精神療法を行った場合は通院・在宅精神療法という形で評価を行うということがございます。
 例としては、入院精神療法という形で記載してございますが、これが1回360点、1点10円ですので3,600円という形になりますけれども、入院基本料を別途お支払いをしていますので、それに上乗せという形になります。
 通院・在宅精神療法で言えば、基本的には外来診療に加えてこういったことを行っていただくと、専門医がやった場合は500点、5,000円ですけれども、30分以上でしたら4,000円というような形でお支払いをしている。
 次のページに、これは中島構成員の方から御指摘がございましたが、認知療法・認知行動療法という形についても診療報酬上評価をしておりますが、これにつきましては一定のマニュアルという形で規定がございまして、そのマニュアルに即して、30分以上16回という形でやっていただきますと、こういった点数が1回につき算定可能という形になります。
 それで、費用負担という形ですが、国負担で国庫が25%とか、保険料が現在20.4%という形で、基本的には、診療報酬をお支払いするときには窓口負担が3割、70歳以上でしたら2割、今、特例で1割という形になっておりますが、75歳以上でしたら1割という形で自己負担をお支払いいただくということでございます。
 当方で用意した資料が唯一それなんですけれども、資料2-1を拝読いたしまして、まさに心理療法の内容というところで幅があるという御指摘があったと思うんですが、どういった医療行為を、だれに対して、だれがやるか、それによって効果がどういったものがあるかというような有効性とか安全性を踏まえまして、その有効性・安全性があるものについて、それを保険で特別に包括で行うか、特別に診療報酬の項目としてお支払いするかという形は、お金を払う側と医療者側と公益という形で、第三者的な視点の者で構成されております中医協で議論をして、最終的に決定をするという形になっております。
 医療保険制度について、簡単に御案内を差し上げました。
 以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
 少しだけ確認ですが、ほかのところではお話しいただいている心理療法の実施者、行っている心理療法の定義については、やる人は医師のみということでよろしいですか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 今、診療報酬上評価をしておる者というのはいろいろあるんですけれども、基本的には保険医が、お医者さんがやっていただくか、あるいはお医者さんの指示で精神療法福祉士さんとか、あるいはその他看護師さんとかが行った行為について評価をするということがございます。
 それで、ときどき認知行動療法という項目がございますので、その項目に着目して議論いただくことがあるんですが、ここで診療報酬上定義をしております認知療法・認知行動療法については、医師が規定されたマニュアルに従って30分以上行った場合に点数を4,120点という形でお支払いをするという構成でございます。
○小西座長 行っている心理療法の定義というのは、特段にはないと考えてよろしいですね。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 大きくは、認知行動療法はそういう形で決まっているんですけれども、ほかは、大きくは精神療法という形でとらえておりますので、精神科医が専門性を持って行った行為に対して評価をしておりますから、特段これに限るという形で厳密に規定をしておるものではございません。
○小西座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きお願いいたします。
○厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課課長補佐 厚生労働省精神・障害保健課の川島と申します。資料4-2について、精神保健福祉センターが行う精神保健福祉相談について、資料に沿って御説明させていただきたいと思います。
 精神保健福祉センターというものは、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための総合技術センターという形で、資料にあるように、<1>~<7>を主に活動を行っているという形ですけれども、この「<3>精神保健福祉に関する複雑困難な相談指導」という形で、その中で相談を行っているという形です。この中には犯罪被害に伴うような相談も含まれているというふうに聞いているところでございます。
 根拠法令等でございますが、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、いわゆる精神保健福祉法の第6条が法令根拠となっております。
 心理療法の対象者ですけれども、基本的には利用希望者という形で、利用者を絞っているというものではございません。
 心理療法の実施者で、相談をされている実施者でございますが、主に医師とか精神保健福祉士、臨床心理技術者、保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉相談員等という形になっておりまして、特段のだれでなければいけないという形になっているわけではありません。
 どのような心理療法でやるのかでございますけれども、先ほど申し上げましたように、精神保健福祉相談という形で相談を行っているというふうでございますので、その中で犯罪被害に伴うような相談も含まれているというふうな現状になっているという形でございます。
 回数に関してなんですが、回数の制限はないという形です。
 次のページですが、公費負担に関する費用の範囲ですけれども、相談者に関する費用の自主負担はございませんで、全額公費で負担をしているというふうな状況です。
 費用負担の仕組みですけれども、先ほど申し上げたように、利用者の負担はなくて、全額を公費で負担しているところで、3分の1を国で、3分の2を都道府県等で負担しているという形でございます。
 運用実績で、衛生行政報告例という形で報告をしていただいているということで、その中で犯罪被害の相談というものも報告に上がっているところでございまして、具体的には、相談延べ人員といたしまして2,098人、訪問指導延べ人員としては29人、電話による相談延べ人員といたしましては312人という形になっているところでございます。
 私の方からは、以上です。
○小西座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きお願いします。
○厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課 厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課でございます。私の方から資料4-3、児童相談所におけるカウンセリング・心理療法等の技法による援助に係る制度等について御説明させていただきたいと思います。こちらは(カウンセリング強化事業)と書かせていただいておりまして、国庫補助で行っている事業について書かせていただいております。
 制度の概要といたしましては、児童相談所の職員である福祉司や心理司による指導に加えて、医師等の協力を得て、虐待を受けた子ども等に対する心理的側面等からのケアを行うものでございます。
 根拠法令等につきましては、児童福祉法第12条第2項、別途、児童虐待防止対策支援事業の実施についてという局長通知でございます。それで、今回書かせていただいているものは、この2番目のポツの方の局長通知の要件で定めているものでございます。1つ目のポツは、一番下の※に書かせていただいているんですが、そもそもの本来業務として、児童相談所は都道府県の機関でございまして、その都道府県の児童福祉司、児童心理司の職員が指導ということで、心理療法等の技法を活用して子どもの支援に当たるというものは本来業務の一つとしてありますので、更に上乗せして国庫補助で行っているということで今回書かせていただいております。
 対象者につきましては、指導が必要な子どもとか保護者等を対象としております。
 実施者につきましては、児童相談所の職員のほか、医師等の外部の専門家の協力を得て実施するものであります。
 具体的に、心理療法の定義につきましては特段設けているものではございませんが、国庫補助の事業でございますので、一応、事業内容につきましては次のページ以下3枚で書かせていただいております。内容は少し長くなりますから説明は割愛させていただきますが、事業内容につきましては、別添のとおりとなっているところでございます。
 具体的に、心理療法はどのようなことをやっているかというのは、何とか療法という形で縛っているものではなく、子どもとか保護者の状況に応じたカウンセリング等を行っていただくものということで認識しているものでございます。
 回数につきましても、特に制限を設けているものではございません。
 公費負担する費用の範囲でございますが、一応、利用者負担は想定しておりません。ありません。それで、補助金で行っておりますので、補助基準額につきましては以下のとおり書かせていただいているものでございますが、この基準額を国が2分の1、都道府県、指定都市、児童相談所設置市が2分の1負担するということで事業を実施しているところでございます。
 財源につきましては、補助金で行っているものでございます。
 運用実績につきましては、主なものといたしまして、カウンセリング促進事業につきましては、今、児童相談所が全国206か所あるんですが、168児童相談所で平成22年度は実施している。それで、家族療法事業につきましては55児童相談所で実施しているというものでございます。
 資料4-3につきましては、以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
 それでは、資料4-4、HIVの方をお願いいたします。
○厚生労働省健康局疾病対策課 厚生労働省疾病対策課でございます。私の方からは、エイズ治療拠点病院等治療ケア促進事業について説明させていただきます。
 制度の概要としましては、ここに記載のあるとおり、HIV感染者、これはヒト免疫不全ウイルスという、エイズウイルスに感染した方及びエイズ患者、こちらは実際エイズという症候群を発症したという、感染者と実際に発症した患者さんのよりよい医療を確保するため、エイズ治療拠点病院等において、カウンセラーの設置、派遣等を行う事業であります。また、検査、相談、治療及び院内感染防止等の体制整備を図る事業全体としてはありますが、今回の該当する項目というのはカウンセラーの設置、派遣等というところで説明させていただきます。
 根拠法令等につきましては、「エイズ対策促進事業について」という厚生労働省健康局長通知で実施しております。
 心理療法の対象者につきましては、先ほど申し上げたHIV感染者・エイズ患者とその御家族。
 心理療法の実施者は、心理療法士の方が対応しています。
 行っている心理療法の定義は、特段の定義はなく、実際HIV感染者・エイズ患者について、医療的な不安とか、あるいは今後の社会参加、差別・偏見という根強い問題もありますので、それに対する不安の解消、いろんな相談に対応しているというのが実情でございます。
 回数につきましては、都道府県、政令市、特別区による事業で、1回幾らというカウントはしておりませんので、回数は分かりません。
 公費負担する費用の範囲につきまして、利用者の負担はありません。実際、都道府県、政令市、特別区の方で、カウンセラーを設置するための人件費とか、派遣を行う際の謝金とか、旅費とか、そういった費用を積み上げて、事業費として国庫補助しているというのが現状でございます。
 運用実績としましては、こちらは予算上の総事業費ですが、国と県合わせて3,743万3,601円。また、実施主体につきましては24自治体でした。
 本事業につきましての説明は、以上で終わりにします。
○小西座長 ありがとうございました。
 ここまでの4つの御説明について、御質問・御意見等がございましたら、御自由にお願いいたします。
 松坂構成員、どうぞ。
○松坂構成員 資料4-1の精神科の医療現場についてお尋ねしたいと思います。
 まず、中島構成員からも出されていましたが、この1日につき500点というのは平成20年度の実績で、平成22年度に改正されたので、これはなくなったのではないかと思いますがいかがでしょうか。中島構成員の言われるとおり、改正されたのではないかという疑問です。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 500点という書き方をしたんですけれども、よく御存じだったので、詳細に点数を説明させていただきますと、通院・在宅精神療法につきましては、精神保健指定医が、初回が500点という形になりまして、それ以外の者が実施した場合は、30分以上が400点、30分未満が330点という点数構成になってございます。
○松坂構成員 分かりました。
 それでは、それを前提に、もし現場の実情がお分かりであれば聞きたいのですが、例えば犯罪被害者の方がいわゆる精神科を訪れたとします多分、入院という例は余りないと思いますが、例えば通院を10回か20回すればいいのではないかと思われるようなケースをイメージします。このときは、いわゆる今の制度で十分対応できているんでしょうかという質問なんですが、それは分かりますか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 済みません、あくまで保険なので、費用面の話だけなので、申し訳ございません。
○松坂構成員 了解しました。
○小西座長 どうぞ。
○久保構成員 同様に、資料4-2の精神保健福祉相談、この中にも犯罪被害者が含まれていると先ほどお聞きしましたけれども、これも、例えばどの程度あるとか、そういう実態は把握されているんでしょうか。
○厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 あくまで、こちらの<9>の衛生行政報告例という形で、各精神保健福祉センターから上がってくるものをカウントしてという形ですので、中身についてはこれ以上のことは分からないというのが現状です。
○久保構成員 分かりました。
○小西座長 太田構成員、どうぞ。
○太田構成員 私も、この保険制度についてお伺いをしたいんですけれども、この精神療法とか認知療法・認知行動療法というものは、精神科医が、要するに医師が行うことができて、その場合に保険点数が付くというのは分かるんですが、先ほどのお話にも出たように思いますけれども、例えば医師の指導の下に精神保健福祉士が行った場合にも点数が付くということでよろしいんでしょうか。
 それから、今の500点とかという、この通院・在宅精神療法のときに、精神保健福祉士等が行った場合に500点で、1以外の場合というのは、この精神保健指定医以外の医師のことなのか、それ以外の、例えば精神保健福祉士とかそういう方のことなのか、この確認も含めてお願いできればと思います。
○小西座長 お願いします。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 保険局医療課でございます。
 1つ目の御質問でございますが、これは診療報酬の項目によりまして、医師だけが算定できるものと、医師か医師の指示を受けた者ができるというものがございます。それで、今、申し上げました精神保健福祉士とか臨床心理技術者という形で表現をしておりますけれども、そういった方々が算定可能な項目というものも精神科の専門療法の中に、例えば集団の精神療法でありましたり、これは入院とか通院でございますし、あるいはそういった方々が勤務をしていることを要件にしている診療報酬の点数などもございますので、そういった場合、包括評価していますので、個別の行為は問うておりませんが、その人の動きも含めて点数の評価を行っているという形になります。
 2つ目の御質問でございますが、通院・在宅精神療法につきましては医師が提供するものでございますので、精神保健指定医とそれ以外の医師という形になります。
 以上でございます。
○小西座長 どうぞ。
○太田構成員 済みません、この辺は詳しくないものですから、もう一度確認ですけれども、それでは、今の精神療法は医師が行う。それで、この認知療法・認知行動療法というものは、医師の指導の下にそれ以外の臨床心理技術者が行うことができる場合にも包括的に点数が付くということでよろしいんですか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 たびたび済みません、保険局医療課です。
 認知行動療法につきましても、これは現行、エビデンスといいますか、有効性・安全性をそういう学会とかでとりまとめているものが、医師が30分以上16回という形でとりまとめがございますので、現行診療報酬で評価しておりますのは医師という形になります。
○太田構成員 ただ、医師の指導の下に精神保健福祉士とかが行っても、それ自体としては付かない。ただ、全体として、例えば医師がこの人には30分10回やりましょうというふうに指定した場合に、それを実際にやるのは、精神保健福祉士がやっても1日につき420点付くということでよろしいんでしょうか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 いえ、これは医師自らがやっていただく形になります。
○小西座長 ここは、今のお話では、医師でないとここに出ているものではだめだということですけれども、皆様方の御関心が高いようなので、この点数とできる人。それから、私が実際に診療している実情で言いますと、一番多いのは5分以上30分未満の精神療法というのもあると思うんですけれども、この辺りについてもう少し詳しく、この次に資料だけでもいただけるとよいかと思いますが、いかがでしょうか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 分かりました。
○小西座長 どうぞ。
○太田構成員 ですから、その際に、医師の指導の下にできるのが精神保健福祉士だけなのか、臨床心理士が入っているのかどうかということも併せて御教示いただければと思います。それで、もし両者に何か違いがあるとすれば、どうしてそういう制度になっているのかという背景もお教えいただければと思います。
○小西座長 どうぞ。
○松坂構成員 関連して、例えば、医師が当初の診療計画を立てたときに、私のところではそこまでできないので、私が推薦する臨床心理士のクリニックを推薦するので、そこで私がイメージした治療を受けてくださいといったような場合はどうなるのかということも御質問しておきたいと思います。次回で結構ですのでよろしくご検討下さい。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 はい。
○小西座長 それも含め、私どもの関心としては、だれがやれるのか。指導の下にのときの指導というのは具体的にどういうことなのか。それから、どういう形が通常カウンセリングと言われるようなもの、ここで言われている精神療法に当たるようなものがどんなものがあるのかというのをもう少し網羅的にお示しいただけたらということですので、それをお願いしてよろしいでしょうか。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 はい。
○小西座長 どうぞ。
○中島構成員 自分がやっている現場なので分かっていますが、今の御議論を聞いて、もう少しほかの構成員に御説明をいただいた方がいい事項が何点かあると思いましたので、次回でよいのですが、お願いしたいんです。
 1つは、現状で出ているのは通常の保険医療の枠組みですけれども、公費負担ということになりますと、精神医療につきましては自立支援法に基づく公費負担制度がございますね。あと、生活保護を受給した場合や、高額医療は精神科では余り出ないと思いますけれども、そういったさらなる公費負担制度があると思います。それはほかとの兼ね合いで必要になる事項かと思いますので、その辺りも御説明をいただいた方がいいかと思います。
 もう一点は、今のカウンセリングに関係することですが、例えば、今、お話があったように、PTSDに関して認知行動療法を提供したいという場合、今の認知行動療法の診療報酬は、実はうつ病にしか算定できないんです。PTSDに関して認知行動療法をやっても、たしか認知行動療法の点数は付かないはずです。そうしますと、例えば併診のカウンセリングに行ってやってくださいとか、別途自由診療でやりたいといった場合に、現状では保険診療と自由診療はまぜることができないですね。その辺りの説明も、よろしければお願いしたいと思います。
 たくさんになって済みません、よろしくお願いします。
○小西座長 どうぞ。
○厚生労働省保険局医療課課長補佐 済みません、今日は大人気のあれがあるんですけれども、基本的に認知療法・認知行動療法につきましては、今、エビデンスといいますか、ガイドラインでまとめているもの、私、最初にどういった方に、だれが、何をしたときに点数を評価して、その効果が何だというところが診療報酬で特に評価をするときのポイントという形で申し上げましたが、今はうつ病の患者さんに対して行ったというところについてまとまりがございますので、それについて評価をさせていただいているというところでございます。当然、PTSDでうつということであればそれは算定可能ですので、それは診療録の方にそういった形を記載していただけば、それは当然重なりがございますので、そういった形で算定可能ということはございます。
 2つ目ですけれども、保険医療機関は自己負担以外の費用を取ってはいけないという形になっておりますので、無料でカウンセリングという形であれば、特にその行為自体をもってしてはいかぬという形にはならないんですが、保険診療をしつつ、別にお金をいただいて何らかのことを行うということは、特に自己負担をいただいていい規定を別途設けておりますけれども、それ以外で費用をいただいている場合は混合診療という形になります。  以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
 この話は、実情を全く御存じない方が大半なわけですので、そういう方にも誤解がなく伝わるように資料をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
 もう一つありましたか。どうぞ。
○太田構成員 ごめんなさい、資料4-4のことなんですが、この「カウンセラーの設置、派遣等」というところの「派遣」というのは、具体的にどういう形でやっているのか、お聞かせ願いたいんです。
○厚生労働省健康局疾病対策課 厚生労働省疾病対策課でございます。
 この「派遣」というのは、事業の実施主体そのものが都道府県、政令市といった行政機関であることから、これらの行政機関でカウンセラーを雇い上げて、実際、資料の中にありますエイズ治療拠点病院とか通常の医療機関とかというところに派遣をするという仕組みになっております。
○小西座長 よろしいでしょうか。
○太田構成員 はい。
○小西座長 それでは、たくさん御質問・御意見もあると思いますけれども、次に移りまして、警察庁に御説明をお願いいたします。
○警察庁犯罪被害者支援室長 警察庁の犯罪被害者支援室長の杉本でございます。御説明を申し上げます。
 まず、カウンセリングということで、非常に難しい定義・問題がありますけれども、私どもがやっておりますカウンセリングというものを大まかにどういうふうに考えているかをまず申し上げたいと思います。
 私どもは、犯罪被害直後にすぐに被害者の方々と接することになります。その後、捜査への御協力をいただいて捜査を完結させるわけですけれども、その際に被害者の方あるいは御遺族の方、非常に混乱をしておられると当然、捜査もうまく進みません。そういうことで、最初に我々が接するということ。それから、被害者の恐らく一番大きな望みである加害者の検挙ということ。この2つのためにいろんな精神的な支援を行っております。
 その一つが私どもがやっておると思っているカウンセリングなんですけれども、これは犯罪被害後、できるだけ速やかに早期の段階において精神的混乱や、あるいは日常生活上いろんな困難を伴っておられる状況はありますが、そういった困難の程度、更にまた捜査担当者、あるいは周囲の人たちとのコミュニケーションがどれぐらいうまくいっているか、うまくいっていないかといった事柄を査定といいますか、アセスメントをしまして、傾聴と言われる技術とか、心理教育、情報提供、さまざま行いまして、精神面、それから、日常生活面、捜査への御協力といった、各方面にわたって支援をしながら、徐々に今後の見通しを立てさせていただきながら、その状況に応じて精神的打撃や日常生活の困難などをできる限り軽減していくというために、心理学的な知見に基づいてさまざまな支援を行っている。概括的には、そんなふうに言えようかと思っております。
 資料5-1から順次御説明申し上げますけれども、まず部内の職員によるカウンセリングでございます。
 制度の概要、根拠法令等に書いておりますとおり、被害直後からできるだけ早期の段階においてカウンセリングを行って、ともかく精神的な混乱のただ中から何とか救い上げる。それによって、捜査への御協力とか日常生活の困難をできるだけ軽減していくということでございます。根拠法令、支援に関する指針とか、あるいは支援要綱といったものを書いてございますけれども、一番大きなものとしては当然、犯罪被害者の支援法を根っこにしておりまして、警察本部長が行うべきさまざまな被害者あるいは御遺族への支援の一環として行っているというものでございます。
 カウンセリングの対象者につきましては、これも本当に個々の事情に応じますけれども、基本的には被害者、その御家族あるいは御遺族といったところでございます。
 カウンセリングの実施者でありますけれども、これは部内の臨床心理士資格等を有します、専門的な知見を持っている職員でございます。
 <4>のカウンセリングの考え方・目的というのは冒頭に御説明したとおりで、どのようなカウンセリングであるのかといったことにつきましては本当にごく簡単に書いておりますけれども、やはり被害後すぐに私ども警察と接触いたしますので、その時期における、いわゆる危機介入と言われているもの、それから、その後の引き続く精神的な支援を行っております。
 カウンセリングの回数ですけれども、これも本当に個々の事情に応じて実施しておりますものですから、回数という書き方でお書きすることができておりません。
 費用負担ですが、これは人件費としてそれぞれの都道府県警察で負担をしておりますので、特別な費用をいただくということはございません。
 運用実績ですけれども、平成22年中は約1,400人の方に対し約4,000回実施しております。私どもは早期の段階で、かつ非常に回復が難しい、これは医療の方面につながなければいけないという見極めをつけつつやりますので、大体落ち着いてくるのが3~5回といったところかと思っております。中には20回、30回とか、そういう非常に長期にわたる方もいらっしゃいます。
 次の資料5-2で、これは資料5-3以降と並びまして、外部の専門家の方に委託している、その一つでございます。精神科医、それから、臨床心理士の方にお願いして、業務委託をいたしましてやっていただいているものでございます。
 心理療法の対象者につきましては、先ほどと同じ被害者、その遺族または家族でございます。
 心理療法の実施者につきましては、精神科医の方、臨床心理士等の資格を持っておられる方々に委託してございます。
 心理療法の考え方・目的につきましては、それぞれの御専門でございますので、冒頭に申し上げた私どもの目的の方向に照らしてお願いをして、適切な療法を取っていただいているというふうに考えております。
 それから、この制度につきましては、それぞれの都道府県警察で規定を設けて委託しておりますので、それぞれの都道府県警察の規定によっておりますけれども、基本的には後ほど説明いたしますが、精神科医の先生、あるいは先ほども精神科医の指導の下にというところはありましたけれども、ともかく保険医療として認識できる限りについては重傷病給付なり何なりに移行してまいりますので、医師によるものは、まずその取っかかりをつくるというような考え方から、それほど多くの回数は設定しておらないようでございます。また、臨床心理士につきましても、それぞれの都道府県警察の規定によってございます。
 財源でありますけれども、都道府県警察費。これにつきましては、国費による補助金の措置を講じております。
 運用実績ですが、おおむね130人に対して340回ほどの実施になっております。
 次の資料5-3ですけれども、これは民間被害者支援団体に対しまして業務委託をしている部分でございます。
 特異なところにつきましては、<3>のカウンセリングの実施者のところでありますが、民間支援団体のスタッフの方、そこから委嘱された臨床心理士あるいは精神科医の方々となっております。
 また、<5>の公費負担を行う心理療法の回数ですけれども、これもそれぞれの民間支援団体の規定によってございまして、一様ではございません。  財源につきましては、国費の補助金を取っている都道府県の警察費となります。
 運用実績につきましては、私どものカウンセリングにしても多少似たようなところはありますけれども、特に民間団体の件数につきましては、相談といいますか、カウンセリングという概念がはっきりしていないということもありまして、相談というレベルのものといったものまで含めて民間団体の方で計上してございまして、おおむね平成22年中2万3,000件という数になってございます。
 次のページに、民間団体に対する財政援助の補助金の枠組みを簡単に載せさせていただいております。
 次に資料5-4でありますけれども、これは犯罪被害給付制度に乗っかってくるものということで御説明を申し上げます。
 <1>の制度の概要にありますとおり、読み上げさせていただきますと、故意の犯罪行為により重傷病を負ったにもかかわらず何らの公的救済や損害賠償も受けられない被害者に対し、社会の連帯共助の精神に基づいて国が犯罪被害者等給付金を支給する。それで、この最初の方の括弧内に要件が書いてございますけれども、加療1か月以上というのが法律の要件でありますが、あと、政令で入院3日以上を要する負傷または疾病。それで、精神疾患につきましては入院がほとんどないこともありまして、入院という要件を課さずに、3日以上労務に服することができない程度という要件にしてございます。
 根拠法令等は、犯罪被害者支援法でございます。
 給付の対象者は、犯罪被害者御本人となります。
 心理療法の実施者ですけれども、これも医療行為の実施者ということで、ちょうどはりきゅうにもお医者さんの指導の下というんでしょうか、指示の下になされたものについては保険診療の方に入ってきておりますけれども、それと同様なことがこちらでも、現在もあるのかもしれませんが、とりあえず医療行為の実施者ということで書かせていただいております。
 行っている心理療法につきましては、先ほど厚労省からもお話がありましたとおり、保険診療が適用される医療行為としか私どもも、申し訳ないところであります。
 回数、それから、費用の範囲ですけれども、まとめて書かせていただいておりますが、傷病の発生から1年間における保険診療による医療費の自己負担分ということで、上限額が休業加算額を含めまして120万円までとなってございます。
 費用負担につきましては国費でございまして、被害者の方がその住所地を管轄する公安委員会に申請されるという仕組みになってございます。
 最後、運用実績ですけれども、平成22年度の精神疾患を理由とする重傷病給付を、これは手集計でずっと、全部拾ってみましたところですが、30件ございました。
 私の方からは、以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
 警察関連につきましては、太田構成員から更に、各都道府県警察に設置されている少年サポートセンターにおける被害少年へのカウンセリングの状況、それから、臨床心理士等への被害少年カウンセリングアドバイザーの業務への関わり方についてということで御質問いただいております。
○警察庁犯罪被害者支援室長 太田先生からいただいております事柄についてですけれども、まず少年サポートセンターにおける被害少年へのカウンセリングの状況であります。これにつきましては、大変申し訳ございませんけれども、相談というレベルとカウンセリングというレベルを分けて統計を取ってございません。したがいまして、いわゆる専門的なカウンセリングというイメージのものがどの程度あるのか、今、手元にございません。大変申し訳ございません。
 ただ、いろいろそれぞれの府県に聞いておるところでは、被害者、加害者もそうですけれども、被害少年への心理的なフォローは非常に重要でございますので、少年サポートセンターというものを私どもは全国の警察で200近く設置をしてございます。できるだけ警察施設外につくって来やすいようにしてはおるんですけれども、そこに専門的な知見を持った職員を配置して支えているというようなところでございます。児童ポルノの問題とか、いろんな被害少年がございますので、そこの立ち直りを支援するということでやってございます。
 件数については、申し訳ございません、今、手元にございません。
 それから、カウンセリングアドバイザーですけれども、先ほど申し上げました、部内のそういう専門的な知見を持つ職員はございますが、当然、更に専門的な知見を有しておられる精神科医の先生とか臨床心理士の先生から必要な助言を個別の事案についていただいて、できる限り的確にやれるようにしておるところでございます。
 少しお答えが足りないかもしれませんけれども、こんなところでございます。
○小西座長 太田構成員、いかがですか。
○太田構成員 直前に質問を出させていただいたので、十分なデータがなくても仕方がないと思いますけれども、印象で結構なんですが、少年サポートセンターに訪問する機会もあるんですけれども、センターによってかなり様子が異なっているような印象を少し持っておりまして、もともと少年補導センターのころから、やはり少年の継続補導の方に力を入れていて、被害少年へのサポートはほとんどやっていないところと、割と一生懸命、そういうものも新しい業務としてやっているところが印象にあるような気がしますので、そういった状況を、今後、何か情報提供ができる部分がありましたらお伺いしたい。
 それから、この被害少年カウンセリングアドバイザーというものは、あくまでもアドバイザーですので、直接、相談業務やカウンセリングに関わることはないと考えてよろしいのか。
 あと、たしか被害少年サポーターというボランティアの制度があったと思うんですけれども、これは一応、地域のボランティアというふうな説明なので、どちらかというと、一般とか、こういう臨床心理士さんとか、そういうことではなくて、一般の方々が付き添い等をするという程度で、この中に臨床心理士さんなどが入っていて、もう少しメンタルな部分までケアしているということはないというふうに考えてよろしいかどうか。  まずは、この点をお伺いしたいと思います。
○警察庁犯罪被害者支援室長 申し訳ございません、的確なお答えができるか、あれですけれども、まずサポートセンターの活動実態につきましては、私も実は詳細は存じているわけではありませんが、児童ポルノの問題とか、あるいはそもそも被害を受けたお子さんがそのまま放置されますと加害の方にも入っていってしまうという事例もたくさんあるようでございまして、被害少年をどう立ち直らせるのかということは非常に大きな問題として少年部門はとらえてございます。ですから、先生の御印象で、何があるみたいだねというところはあろうかと思いますけれども、非常に大きな、重要な問題としてとらえてございますので、順次、より向上していくんだろうと思っております。
 それから、アドバイザーにつきましても、県によりまして外部に委託しておられるところもございます。中心的には部内の職員に対するアドバイスがそのカウンセリングアドバイザーというものでありますが、そのカウンセリングアドバイザーとは別個に、私、この資料の中でも申し上げました、外部の先生にお願いするというところもあるというふうに聞いております。
○太田構成員 あと、サポーターの、これはあくまでも付き添いで、こういうメンタルケアというもの等には関わっていないと考えてよろしいんでしょうか。
○警察庁犯罪被害者支援室長 サポーターにつきましては地域のボランティアの方々でございまして、ただ、何も専門的なことを知らないといいますか、被害少年と付き添うときに、何も心理的な特性を知らないというわけには当然まいりませんので、必要に応じてそういう学習もしていただいております。ただ、余り深いことは当然、専門的な知見が要ることでありますので、基本的にはボランティアベースという活動になっております。
○太田構成員 ありがとうございます。
○小西座長 そうしますと、被害少年カウンセリングの状況というのは、もう少し詳しく出していただくことも時間があればできるということですか。
○警察庁犯罪被害者支援室長 これまでの統計の取り方がネックになっておりまして、どこまでお答えできるか分からないんですけれども、努力をさせていただきたいと思います。
○小西座長 それでは、次回までお願いいたします。
 ただ、1つ確認しておきたいのは、ここで問題になっているのは専門家のカウンセリングでありまして、例えばボランティアの電話相談とか、1分とか5分で終わるような相談というのは入っていませんで、そういう意味では実質的にそういう担保があるようなものはどのように行われているかということで御回答いただければよろしいかと思います。よろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○太田構成員 済みません、多分、データとか統計というのは非常に難しいと思いますので、どこか、割と積極的にやっているところか何かの例か何かをお示しいただくことで、こういう被害少年などのメンタルケアを積極的にやっています。特に、その中で専門家が関わっているようなものがあるというケースなどを御紹介いただければ、それが一つのいい例になるかなと思います。
○小西座長 ありがとうございました。
 ほかに御質問はございますか。
 久保構成員、どうぞ。
○久保構成員 資料5-2ですけれども、精神科医等による支援が年間約130人と一番下にございますが、前の資料5-1に、いわゆるカウンセリングが年間約1,400人となっています。先ほどカウンセリングの中で、医療が必要な場合は医療につなぐとおっしゃいましたけれども、それはこの1,400人の中の130人と考えてよろしいんでしょうか。
○警察庁犯罪被害者支援室長 お答えいたします。
 1,400人とこの130人、ダブっているところもあるはずです。ただ、個別の人間で取っておりませんので確たるお答えはできないんですけれども、基本的には私どもの方でまず早期の対応をやらせていただいて、これは非常にひどい状況だ、私どもの手には負えないというときに精神科医の先生におつなぎをする。そういうふうにとらえていただければと思います。ただ、私どもの部内の職員では嫌なので、ほかにありませんかとおっしゃる方もまれにはいらっしゃるようです。
○小西座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○加藤構成員 済みません、資料5-1と資料5-2で、数字のことで申し訳ないんですけれども、臨床心理士の資格を持っている警察職員が何人ぐらいいらっしゃるのか。それから、資料5-2の実施者の方の精神科医とか臨床心理士というのは全体でどれぐらいいらっしゃるのかをお聞かせください。
○警察庁犯罪被害者支援室長 臨床心理士の職員につきましては、全国で100人弱ございます。そのほかにも専門的な知見を有しているという資格もございますので、それらを合わせると300人弱ほど抱えております。
 それで、精神科医の、あるいは外部の臨床心理の先生がどの程度いらっしゃるかということにつきましては、申し訳ありません、県ごとには数人というレベルかと思いますけれども、今、手元に資料がございません。よろしければ、また次回にお話し申し上げたいと思います。
○加藤構成員 よろしくお願いします。
○小西座長 ほかにございますでしょうか。
 どうぞ。
○太田構成員 たびたびで済みません。給付制度についてお尋ねしたいんですけれども、この資料5-4によると、重傷病給付の中で精神疾患にかかる件数が、手集計ということですが、30件ということなんですけれども、この30件の支給額が大体どれぐらいのレベルになっているのかということがまず1点。
 それから、障害給付金の中にも、いわゆるかつて3等級、4等級のころから14等級に拡大したときに、その中に何段階かあったと思いますけれども、いわゆる精神的な、PTSDといいますか、それに対する障害給付の基準が定められていますが、あれはほとんどないと考えてよろしいでしょうか。例えば強姦事象のように、身体疾患が分かっていればそちらの方でカバーされているかもしれませんけれども、それがない、いわゆる精神疾患だけの場合、もしくは精神的なもの、それからPTSDだけの場合に障害給付金が認められたケースはほとんどないと考えてよろしいでしょうか。
 それから、申請もないのかどうかということです。そうすると、申請の段階辺りではねられているのではないかという憶測もあるんですけれども、そこら辺はいかがでございましょうか。
○警察庁犯罪被害者支援室長 重傷病給付につきましては、平成22年中全体で、裁定をした件数で言えば、220件ございます。その中の精神疾患を第1の理由とするものとして30件という数字を挙げさせていただいております。ですから、精神疾患があり、身体的なものもありというものも当然、その30件の中には入ってございますし、精神疾患だけというものも当然たくさんございます。そういうところでございます。
 それから、一方の障害給付ですけれども、これも平成22年、済みません、資料をひっくり返しての手集計なんですが、全体で平成22年度の支給裁定の件数は143件ございます。このうち、精神疾患を理由とする障害給付は25件になっております。こちらの方は精神疾患を障害の類型とするものですけれども、そんなところでございます。
 それで、まだ平成22年につきましては、平成20年に改正をした後の犯罪被害というものが、この精神疾患についてはございませんで、後遺障害につきましては最高で700~800万円ぐらいであったかと記憶しておりますが、それぐらいの額で、今、改正後の案件が出ておりますので、更に2倍ぐらいには達していくといいますか、700~800万円という案件であれば2倍ぐらいになっていくということでございます。
 それで、重傷病給付で平成22年中に精神疾患でお支払いした最高額は120万円でございます。これは休業加算も含めての額であります。ですから、重傷病給付につきましても、本当にそれぞれに応じてでございますので、この部分は、最低、最高というのは余り意味をなさないかもしれません。
○小西座長 どうぞ。
○太田構成員 余り個別のケースをこういうところで出していただくのは、件数が少ないですからよくないかもしれませんけれども、今後、この公的給付が犯給制度と絡んでくる可能性がありますので、今の重傷病給付の中で、身体疾患がある場合とない場合、それぞれについて、まずは120万円ということですけれども、大体どの辺りに幾らぐらいの給付額に分布しているのかというのは、今後、もしそういった情報が得られれば参考になります。要するに満額の120万円をもらった人がいると、それは身体疾患の方も入っているかもしれませんので、身体疾患がある人、ない人、それからない人の場合で大体どれぐらいの給付額の分布が多いのかということも今後お示しいただければと思います。
 それから、今、障害給付の方で精神的な障害ということで25件あるというのは、私、非常に驚いたんですけれども、これは身体疾患がなくて、主たる障害が身体疾患ということでよろしいわけですね。
○警察庁犯罪被害者支援室長 これにつきましては、主たる障害が精神疾患であるものを選んでおります。それが障害等級の決定に大きく寄与しているものです。
○太田構成員 ただ、これも満額の700~800万円だとしても、結局は被害者の方の、こちらの方は収入の日額の7掛け、8掛けと、あちらの方に絡んできますが、結局、どれぐらいになっているかというのはそちらの収入とも絡んできてしまいますけれども、そういうことも含めまして、今後、もしそこら辺のもう少し詳しい情報がいただければお願いしたいと思います。
○小西座長 よろしいでしょうか。
 それでは、もし皆さん、ほかにも御質問があればまた出していただく形で、先に進めたいと思います。
 次は、文部科学省にお願いいたします。
 臨床心理士についても、議題6のところで、心理療法の実施者についてというところで御説明をお願いする予定なんですけれども、ここでは、まず資料6-1につきまして、制度の方につきまして御説明ください。お願いいたします。
○文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 文部科学省の初等中等教育局児童生徒課生徒指導室の郷治と申します。よろしくお願いします。スクールカウンセラーによるカウンセリングの実施に係る制度等について御説明します。
 資料6-1でございますが、これは公立の小学校・中学校・高等学校などに児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知見を有する方を配置しまして教育相談を実施する制度でございます。この制度を始める前から教員が子どもの悩みを聞き取って相談するという教育相談をやっておるわけですが、より心理的な専門性を高めて、その体制を整備しようという事業であり、平成7年度から、特に法令上の根拠はなく、毎年度の予算事業としてやっているものでございます。
 少し下の方にまいりますけれども、費用負担の仕組みといたしましては、都道府県や政令指定都市が行う事業につきまして、その3分の1を補助するということで、残りの3分の2は自治体の方で出しますので、利用者の負担はないということでございます。
 元に戻りまして、心理療法の対象者でございますけれども、教育相談ということで始めておりますので、厳密に医療行為に当たるものかどうかということはもっと幅広い概念でやっておるわけでございますが、児童生徒に加えて、<4>のところにあるように、いじめや不登校とか校内暴力などが起きているとき、心理的なストレスを受けている子どもへの対応について、教職員や保護者、地域の方などに助言・援助するということもいたしているということでございます。
 <3>の実施者でございますけれども、臨床心理士、精神科医の方で約8割を占めております。平成21年度は6,140人の方が全国でスクールカウンセラーになっておりますが、そのうちの5,000人弱、4,997人が臨床心理士であり、精神科医は30人ほどしかおりませんので、ほとんど臨床心理士の方にお願いしております。残りの2割の「等」に当たるのは、教育相談の経験が一定以上ある元教員などをこれらの資格者に準じて任用しているというところでございます。
 行っている心理療法の定義というものは特段ございませんで、どのような心理療法ということにつきましても、1対1でカウンセリングをやる場合、あるいは教職員や保護者等に対して1対1で助言・援助する場合もございますし、教室で子どもを観察して、気になる点を教員につなげたりといったようなこともしているような状況でございます。
 回数等につきましては、特に制限はございません。
 運用実績は、相談件数で数えておりますが、平成21年度は全国で延べ209万9,957件の相談件数がございまして、このうちで児童生徒を対象としたものは約68万84,436件あったという状況になっております。
 かいつまんで申し上げましたが、以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
 少し話があちこちしていますけれども、基本的には、これは個別のニーズにどのような公費負担でカウンセリングが制度設計されているかというのが今日の興味の基本ですから、そういうところでお話しいただいているということです。
 何か御質問・御意見がございましたら、どうぞ、御自由にお願いいたします。
 中島先生、どうぞ。
○中島構成員 今日でなくてもいいんですが、公費負担に関してどのような資格者を対象とするかということがずっと問題になってきています。それで、文部科学省の方がスクールカウンセラーとして、いろいろかく心理士の資格の中で臨床心理士を選ばれた理由が分かったら、次回で結構ですので、お教えいただけたらと思います。
○文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 分かりました。
○小西座長 それでは、よろしくお願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。
 どうぞ。
○松坂構成員 今の関連質問です。今のケースで言うならば、6,000人のうちの約1,000人が臨床心理士、精神科医以外のその他のいわゆる社会的経験をお積みの方々ということになるのですが、それを文科省として、スクールカウンセラーとして何か認定制度があろうかと思うんですけれども、いずれにせよ認定する場合、どのような審査でそういうことを決めるのか。いわゆる、認定する際の絞り込みをどうなさっているのか。それをお聞きしたいと思います。
○文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長 2枚めくっていただきますと、スクールカウンセラー等活用事業の実施要領がございまして、これは補助金の運用の要領で、局長裁定で定めているものでございます。
 これの3番では、「スクールカウンセラー等の選考」について(1)のとおり臨床心理士、精神科医の方、またはこれに匹敵するような大学の先生などというように定めております。(2)では「スクールカウンセラーに準ずる者の選考」について、次のページにまいりますが、<1>~<3>の要件を定めているところです。なお、これは、補助金の運用においては、事業者は都道府県・政令市でございますので、そちらでより上位の資格者などが地域で人材不足の場合等に、こういう方を公募して、そこの中で経験等に応じて選考しているという状況でございます。
○小西座長 よろしいでしょうか。
○松坂構成員 はい。
○小西座長 ほかにございますか。
 それでは、文科省さん、ありがとうございました。また後でお願いいたします。
 次に、内閣府男女共同参画局に説明をお願いいたします。
○内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室でございます。本日は、当室が共管しております、いわゆる配偶者暴力防止法に定められている心理療法に当たる事項について、簡単ではございますが、御説明させていただきたいと思います。お手元の資料7「配偶者暴力相談支援センターにおけるカウンセリングに係る制度について」と書いたペーパーをごらんください。
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律では、配偶者暴力相談支援センターについては第3条に書かれております。配偶者暴力相談支援センターについては、都道府県には設置義務がございますが、市町村に対しては努力義務となっております。
 このセンターの業務については、第3項に掲げております6つの業務を行うものとされております。この2号が心理療法あるいはカウンセリングに該当するものです。後で御説明します2事例につきましても、この第3条第3項第2号を根拠法令として事業を実施しているということでした。
 既に御承知の方も多いと思いますけれども、配偶者暴力防止法における配偶者の暴力ということについては記載のとおりです。
 次のページをごらんください。配偶者暴力相談支援センターは、もともとあった施設に機能を付与する形でできておりますので、婦人相談所がすべての配偶者暴力相談支援センターの機能を果たしておりますが、男女共同参画センターや福祉事務所等が配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設となっている場合もあります。
 総数につきましては、本年7月1日現在で全国に203施設あるということです。
 これらの施設において、相談件数については別紙をごらんいただきたいのですけれども、平成22年度の年間で総件数が7万7,000件を超えている状況です。
 配偶者暴力相談支援センターの業務としましては、先ほど申しましたように6つの業務があるわけですけれども、第3条第3項各号に掲げるいずれの業務を行わせるかについては、支援センターを設置する地方公共団体の判断に委ねられております。また、実施方法につきましても同様に地方公共団体の判断に委ねられております。
 したがいまして、国の方では、特に婦人相談所ではない支援センターにおいては、いずれの業務を行っているかについて網羅的に承知しているわけではありません。ただ、昨年度当局で実施いたしました調査によれば、支援センターの業務としてカウンセリングを行っている地方公共団体は、都道府県、市を合わせまして79団体と報告を受けております。
 今回、2事例ですが、婦人相談所ではない配偶者暴力相談支援センターを設置している地方公共団体に照会いたしまして、心理療法あるいはカウンセリングについて尋ねました。
 結果が次のペーパーです。「地方公共団体が行っている心理療法(カウンセリング)について」というペーパーをごらんください。
 地方公共団体のA市は政令指定都市ですけれども、心理療法については記載のような仕組みをつくっております。
 対象者ですが、配偶者からの暴力から逃れ自立を目指す被害者で、女性相談員が被害者からの相談を基に、A市が臨床心理士によるカウンセリングが必要と判断した者ということです。
 カウンセリングの実施者その他については、記載のとおりです。
 ただ、この制度につきましては、A市によれば、昨年末から始めたものでして、実績は今のところない。したがって、今、この仕組みでうまく回っていくかどうかなどの検証はできていないということも併せて情報提供いただきました。
 次に、地方公共団体のB県ですが、こちらは男性相談と女性相談をやっており、また、A市とは違った仕組みですので、記載の表につきましてもそろえることができておりませんが、仕組みが違うということで御理解いただければと思います。
 対象者については、男性相談は、電話相談を受けた者でカウンセリングを希望する者。女性相談は、面接相談により必要と認められた相談者について本人の同意の下に実施しているということです。
 実施者につきましては、男性相談は臨床心理士、女性相談はフェミニストカウンセラーです。
 カウンセリングの手法については、B県が特に指示をしているということはないということです。
 カウンセリングの回数につきましては、男性相談、女性相談ともに、利用者1人については1回1時間というふうに決めているのですけれども、利用できる回数については、例えば何回までは無料で、何回以上は有料になるといったことはやりませんで、B県が必要と認めた場合には、利用回数については特に制限はなく、利用者に費用負担はありません。B県においても、利用者が一時的に立替えをするといった負担は一切ございません。
 実績ですが、ここに書いておりますとおりです。男性相談の方は、電話相談と専門相談に分けて数えておりますけれども、カウンセリングについては、電話相談を受けた者の中からカウンセリングを希望する者を対象にしているということでした。記載しておりませんが、電話相談については年間で99回。これは99日間であり、カウンセリングは48回、つまり48日したということです。女性相談につきましては、先ほども申しましたように、B県における複数のセンターでの延べ件数ということで、このような記載とさせていただきました。
 以上、簡単ではございますが、男女共同参画局の説明とさせていただきます。
○小西座長 ありがとうございました。
 この件につきまして、御質問・御意見がございましたら、どうぞお願いいたします。
 よろしいですか。
 済みません、少し確認ですが、ここで述べられているカウンセリングというものは、普通の配暴センターにおける相談ということは、また別に設定されていると考えていいんでしょうか。
○内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室 はい。今、例としてお出ししておりますものにつきましては、相談というものが電話相談とか一般相談がありまして、一般相談の場合、電話相談と面接がある場合は面接相談と考えておりまして、一般相談と専門相談というふうに分かれており、電話相談あるいは面接相談が一般的な相談でして、そこから必要に応じてカウンセリングに行くというような仕組みがこの2公共団体ですので、これに限って言いますと、今、座長がおっしゃったような御理解でよろしいかと思います。
○小西座長 ありがとうございます。
 ほかにございませんか。
 それでしたら、次は、最高裁判所の裁判員メンタルヘルスサポート窓口制度について、これは事務局から御説明願います。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、資料8に基づきまして事務局から御説明いたします。この資料は、制度を所管しておられる最高裁判所から事務局が聞き取りをいたしまして作成したものであります。資料の3枚目の、最高裁のホームページから引用しております図を見ながらお聞きいただければと思います。
 裁判員メンタルヘルスサポート窓口制度の概要ですが、裁判員・補充裁判員及びそのいずれかであった者、これは以下、裁判員等と申し上げますが、これを対象とした電話及びeメールによる健康相談及びカウンセリング、希望または必要に応じた臨床心理士、精神保健福祉士等の資格を持つ者による面接によるカウンセリング、必要に応じた医療機関の紹介を行うというものでありまして、開設日は平成21年7月15日です。
 根拠法令は、特段ございません。
 心理療法、カウンセリングの対象者ですが、裁判員等で、裁判員メンタルヘルスサポート窓口に対し、電話またはeメールによるメンタルヘルスに関する相談をした者で、面接によるカウンセリングは、本人の希望や臨床心理士等が症状から判断して行うというものであります。
 心理療法、カウンセリングの実施者ですが、裁判員メンタルヘルスサポート窓口への電話及びeメールによる健康相談、カウンセリング、臨床心理士・精神保健福祉士等による面接カウンセリング並びに医療機関の紹介・情報の提供は、すべて委託業者に委託して実施しております。
 すべての相談の一次受付は、委託業者の健康相談部門の看護職が担当し、健康相談、メンタルヘルスに関する相談の振り分けを行います。
 メンタルヘルスに関する相談は、委託業者の心理職が対応いたします。
 面接によるカウンセリングは、委託業者の直営相談室(東京、大阪、名古屋)と提携先のメンタルクリニック、カウンセリングルーム(全国47都道府県160か所)の臨床心理士、医師等が対応します。
 委託に当たっては、相談内容が外部に流出する事態が起こらないよう委託業者が個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備しているかどうかを確認いたしまして、契約書や仕様書に秘密保持条項を入れるとともに、過去3年間に官公庁署、地方公共団体の構成員を対象とした本件と同種の業務を実施した実績があることを条件としております。
 行っている心理療法の定義については、特段ありません。
 回数ですが、電話及びeメールによる健康相談及びカウンセリングについては利用回数に制限はありません。面接によるカウンセリングは5回まで無料となっております。
 公費負担する費用の範囲やその仕組みについてですが、利用者の負担はありません。保険者の負担もありませんで、全額費用を最高裁が負担しております。委託業者に対して委託料を一括して支払っており、委託業者と提携先のクリニック等の支払関係については把握しておらないということです。
 財源は、裁判員のメンタルヘルス対応電話相談等委託経費で、平成22年度実績は78万6,000円、平成23年度の予算額は980万4,000円であります。
 運用実績ですが、施行後平成23年6月末までの間の利用件数は106件で、その内訳は健康相談が35件、メンタルヘルス相談が71件ということであります。
 以上です。
○小西座長 ありがとうございました。
 それでは、ここまでの各省庁の御説明を含めまして、御意見・御質問がありましたら、御自由にお願いいたします。
 久保構成員、どうぞ。
○久保構成員 大変初歩的な質問で恐縮なんですけれども、今、御説明いただいたものが、官が関わっている心理療法、カウンセリングを大体網羅していると考えていいのか。そして、民間で行われているいろんなものについては、警察庁が業務委託している支援団体の行う業務ということで、それですくい上げているのか。その辺のことは分からないでしょうね。
○小西座長 そういう御質問なんですけれども、この回答をいただいた事務局の方から、何か分かれば教えてください。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 事務局の方でこの資料を作成いたしましたのは、広く、犯罪被害者に限らずに心理療法ないしカウンセリングの公費を負担している仕組みがどういうものがあるかということを、これからの検討の参考にしていただくためにということでありますので、官が行っているものを全部網羅しているのかという御質問に対しましては、これがすべてであるとは言えるかどうかというのは、私どもとしては言えないのではないかと思っておるんですが、ほかの仕組みもあるかもしれないということであります。
○小西座長 どうぞ。
○松坂構成員 まだ途中経過の感想です。まずはいわゆる精神的なケアの実情・実態について、各方面から報告を受けたわけでありますけれども、我々がこれから議論しなくてはいけないのは、犯罪被害者の方々が国費の負担でどれだけ救済されているのかという実情です。そこで、今まで聞いた御報告を総合判断すると、ほとんど、いわゆる対象外になっているということが分かったということだと思います。もし強いて言うならば、今日御報告いただいた実績の中で、現実の犯罪被害者が何%ぐらい救済されたのか。もし我々がそれを議論するとすれば、そういう点に限られるのではないかなと思います。
 むしろ、実態としては必要な個所に対して十分に国費が投入されていないということがよく分かったわけでありますから、今後は、それでは現実に犯罪被害者はどういうふうに精神的なケアを受けているのかを検証すべきと思います。多分、これは自費が多いのだろうと思いますけれども、その実態をこれから我々は検証していって、その実態を、要するにそのまま放置していいのか、それとも、国費で救済をすべきなのか、そういう議論をしていくべき思います。
○小西座長 多分、今日出していただいたのは、公費で負担をしていく仕組みの例示だと私は考えています。このほかにもさまざまな形、例えば今回の東日本大震災に関して、その被害者の支援ということで、厚生労働省の方も、あるいは文部科学省の方も、それぞれの専門家に関してかなりたくさんの派遣をなさっています。こういうことも一つの公費でやる支援の一つだと思いますけれども、実際に犯罪被害者がこの中にどれだけ入っているかといいますと、入っているものも入っていないものもあったんだと思います。
 できれば、勿論、そういう数は知りたいんですが、こういうもので全部、犯罪被害者がどれだけケアされているかということと別に、こういうような仕組みでそれぞれの個別のニーズの下に支援されていることを仕組みとして知っていただくことが、それから、私たちがそのことを知って議論することが大事なのではないかなと座長としては思っております。
 ほかに御意見がございますでしょうか。
 どうぞ。
○中島構成員 今後の検討に向けて今回分かった点でということですが、こうやって各制度を出していただいたことで、私も今までよく頭が整理できなかった分ができました、犯罪被害者の精神的健康の回復が基本計画の重点の一つとなっているにもかかわらず、被害者から十分ケアを受けられていないのではないかというニーズが上がっている問題点が一体どこにあるのかというのをずっと考えていました。
 児童虐待やDVに関しては個別の法律があり、かつ相談機関がもともとあって、つまり心理的ケアを回復する土台が行政にもともとあったわけなので比較的多くの被害者を拾うことができたと思うのですが、犯罪被害者に関しては、行政で心のケアを賄う機関がもともとないわけです。その結果として、警察でカウンセリングを提供しても、結果的には警察に関わった方のみでありますし、また長期に警察がそういうことをするのもどうもなじまない面があって、犯罪被害者については宙に浮いてしまい、結果的に民間に委託されて、行政が負うべき機関がないままということだったのだろうと思っています。
 そうしますと、ほかの児童虐待、DVと同様に、広く相談を提供するためには公的な、金銭的な援助で代わりになるものを提供していかなければ被害者の方が取り残されてしまうという実情になるのだろうと思っておりますので、そういった視点で被害者の方が十分受けられる施設がないのであれば、経済的な援助という形で広げていただけるように検討していくことが必要なのかと思っております。
 もう一点は、今後の議論の中で、広く精神的な回復のためのカウンセリングといったものと、被害者側のニーズが非常に高いPTSD等の高度の専門的な心理療法の提供というもので、少し提供する場所が変わってくるのだろうと思います。、次回そういった面での報告があるかと思いますので、どこがどういうレベルのものを提供するかということも併せて検討していく必要があるかと思っております。
○小西座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは、こういうことについて更に議論を深めるということは非常に大事だということは分かったと思います。
 それで、ここから、今度は自由討議ということなんですけれども、実は、本日は自由討議の頭に、犯罪被害者等に対する心理療法、カウンセリングの実施者等について御議論いただきたいと思います。
 実施者等につきましては、太田構成員から、臨床心理士の療法実務の実態について把握すべきとの事前の御意見がございます。まず、これにつきまして、太田構成員から御説明をお願いいたします。
○太田構成員 冒頭に松坂構成員や久保構成員の方から現状把握という問題提起があったことと大体重なっているかと思うんですけれども、今後、この心理療法のこういうふうな問題を考えていくに当たって、いろんな専門家がいると思うんですけれども、今日のお話にもたくさん、臨床心理士がそこに随分関わっているという実態がありましたが、私は専門家でないこともありまして、この臨床心理士が、どのような者が、どのような過程を通じて臨床心理士になり、どのような分野で、どのような業務を行っているのか、医療との関わりはどうなっているのかとか、報酬の問題、それも勤務先との関わりもあるでしょうし、それから、そういった質の問題、質の維持の問題はどうなっているのかということに関して、ほとんど知識を持ち合わせていないものですから、今後、この議論を進めていく上で、こういったものについて、今後、情報提供をいただければと思っております。
○小西座長 ありがとうございました。
 それでは、文部科学省から、臨床心理士について、なるべく分かりやすく、専門家でない方にも分かるようにお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長 文部科学省学校健康教育課長の平下でございます。資料6-2で、「臨床心理士について」ということで資料を用意させていただいておるところでございます。
 臨床心理士についてということで、臨床心理士は、財団法人日本臨床心理士資格認定協会が資格審査を行って、その認定を行っている民間の資格という位置づけで、昭和63年度から認定がされて、現在に至っているというところでございます。
 それで、臨床心理士とは、協会の方で定めております規定がありますけれども、臨床心理士審査規定第11条によって、学校教育法に基づいた大学、大学院教育で得られる高度な心理学的知識と技能を用いて臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助及びそれらの研究調査等の業務を行う者と定義されております。
 2番目が「臨床心理士の認定について」で、臨床心理士の受験資格試験を受けて、それをパスした人が臨床心理士になるわけですが、その受験資格については1.から5.までありますが、大学院は、日本臨床心理士資格認定協会の方で第1種とか第2種とか指定しているものがございますけれども、これはスタッフとか設置されている科目等によってそういうふうに認定されております。
 第1種の場合には、修士課程とか博士課程前期課程を修了した者に受験資格がある。
 第2種の場合は、修士課程あるいは博士課程前期課程を修了後、1年以上の心理臨床経験を有する者。
 3.が、専門職学位課程を修了した者。
 4.が、外国において第1号または第2号のいずれかと同等以上の教育歴あるいは当該教育機関を修了後、日本国内における2年以上の心理臨床経験を有する者。
 5.が、医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験を有する者というふうに定められておるところです。
 審査ですけれども、これは臨床心理士として必要な臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助及びそれらの研究調査等に関する基礎的な知識及び技能について、筆記試験と口述面接試験によって年に1回行われております。
 (3)が「資格の更新について」で、資格を得た後、5年間有効であり5年間にいろんな研修等を受けて、そして5年ごとにその更新を受けなければいけないというふうになっているところでございます。
 それから、「臨床心理士の活動分野等」というところで、現在、臨床心理士は全国で2万3,000人ぐらいおりますけれども、教育とか、あるいは医療、福祉等さまざまな分野においてその業務に従事しているということで、例えば下の方にありますけれども、<1>から<6>までありますが、保健・医療領域には4,600人ぐらい、福祉関係では1,900人ぐらい、教育関係では5,000人ぐらい、大学・研究所領域では3,000人ぐらい、司法・法務・警察領域では400人ぐらい、その他が2,300人ぐらいといったような実態になっておるところでございます。
 とりあえず、概略はそのような感じでございますので、質問があればお受けしたいと思います。
○小西座長 ありがとうございます。
 それでは、御質問・御意見がございましたら、どうぞ。
 太田先生、よろしいですか。
○太田構成員 まだいろいろな、この臨床心理士さんの活動実態に関しては今後もう少し情報提供いただければと思うんですが、いわゆる施設心理相談という、これは自分で相談所とかを開設して相談やカウンセリングなどを行っているということなので、こういう人たちというのは実際的に極めて少ないんでしょうか。日本の場合、余りこういうものはまだ一般的でないようにも聞いておりますが、海外の中では割とそういった施設・事務所みたいなものを持っている人が結構多いというふうに聞こえますけれども、この辺りの実態はいかがでございましょうか。
○文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長 協会の方から聞いた範囲では、欧米に比べると、それほどまだ普及しているわけではなくて、人数的にはそんなに多くないというふうには聞いております。
○太田構成員 報酬などは、こういう機関に所属している場合にはそういうところから給与とか報酬という形で支給されているかと思いますけれども、こういう自分で開業する場合の報酬基準みたいなものは設定されているんでしょうか。それとも、実際に相場みたいなものがあるんでしょうか。
○文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長 詳細については余り把握していないんですけれども、聞いた範囲では、高度な技術を持った人は割と高い報酬を得ていて、そうでない人はあまり高くないとかというような話も聞きかじっておりますが、ただ、必ずしも全体を把握しているわけではないので、詳しくはまた次回以降お伝えできればと思っております。
○小西座長 どうぞ。
○太田構成員 弁護士さんみたいな報酬基準みたいなものを協会がつくっているとかということはないんでしょうか。
 要するに、言い値でやっているわけですか。
○文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長 いや、ある程度、それなりにあると思いますけれども、詳細には資料を用意しておりません。
○小西座長 とりあえず、今、時間なんですが、15分ぐらい延長させていただいていいですか。

(「はい」と声あり)

○小西座長 では、松坂構成員どうぞ。
○松坂構成員 弁護士会の場合ですが、以前は日弁連もしくは単位会である各弁護士会において報酬基準というものを決めていたんですが、独禁法違反の疑いがあるということで数年前から撤廃されまして、各弁護士が事務所ごとに自由に基準を定めております。多分、臨床心理士の先生方も各自自由に定めておられるのではないかなというふうに聞き及んでおりました。
○小西座長 ただいまの議論を伺いますと、要するに私たちはもっと実態を知りたいということだと思います。それで今後、心理療法、カウンセリングの実施者全体について実態を聞いていく、活動実態について知るということが大事なんだと思いますけれども、例えば文科省さんの方で、そういういろんな活動実態とかについて話していただける、活動されている方について把握されていますか。例えばここに来てお話ししていただくとか、そういうことはできますでしょうか。
○文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長 例えば、臨床心理士の方に来ていただいてお話しいただくといったことでしたらば可能かと思います。
○小西座長 そうですね。例えば、今の皆様の疑問に実際に答えるような、やはりそういうことが必要なのかなと思うんです。
○文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長 それは少し相談したいと思います。
○小西座長 後でまたお教えください。
 それでは、いろいろありがとうございました。
 幾つか宿題も出まして、それから、カウンセリング、心理療法とは何か、ここでどういうふうにそれを考えていくのかということについては積み残してしまいましたので、次回にこのことは回したいと思います。議題4でございます。
 更に、幾つか宿題をお願いしましたこともあります。厚生労働省、警察庁、文科省それぞれにお願いしたこともあると思います。
 それで、次回以降、関係者からヒアリングを行うことなどについても、事務局にその辺りは検討をお願いしてやっていきたいと思います。
 それでは、本日いただいた御意見を踏まえまして、次回以降、更に検討いたします。
 ほかに、今、何か追加でいただくことがあれば、お話をいただこうと思います。
 どうぞ。
○松坂構成員 先ほど、私が皆さんからのお話を聞いた上での意見として、現在の支援状況は余り犯罪被害者に資してはいないのではないかという発言をしましたが、それは訂正をさせていただきます。特に警察などは、現場で犯罪直後においてよくがんばっていただいていると聞いております。我々も現場で臨んだときに、犯罪被害者支援センターと警察の連携で非常に御苦労いただいているというのはよく分かっておりましたので、先ほどの発言はそのように修正をさせていただきます。ほかの分野におかれましても、皆さんよく頑張っていただいているというのはよく分かっておりますので、先ほどの発言はそういう方向で修正をさせていただきます。
○小西座長 ありがとうございます。
 ほかにはございますか。
 それでは、最後になりましたが、第3回及び第4回検討会の開催について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) 第3回及び第4回の検討会について御説明します。
 日程ですが、第3回は10月19日水曜日の午前10時から午後零時まで、「犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の必要性及び有効性に係る現状把握」、「犯罪被害者等に対する心理療法(カウンセリング)の実施状況(公費負担されているもの、公費負担されていないもの)」等を内容とする予定でございます。
 第4回の日程ですが、12月7日水曜日午前10時から午後零時ということでございます。
 以上です。
○小西座長 ただいま、第3回検討会の検討予定事項等について説明がありました。本日の議論を踏まえまして、検討課題や現状把握について、さらなる御意見がありましたら、事務局の方へお寄せください。
 事前意見の提出についてですが、今回、事務局から依頼がなされておりますけれども、とても広い範囲を扱わないといけません。ですので、検討会当日の限られた時間の中で有意義な議論を行うため、構成員の皆様には、可能な範囲で、是非、事前意見を出していただき、それらについてお互いに事前に把握した上で、密度の濃い議論をしていただきたいと考えております。是非よろしくお願いします。
 今の臨床心理士の活動状況については、文科省と事務局の方で調整させていただくということです。
 提出いただいた事前意見は、これまでもそうでしたけれども、事務局から事前に構成員に送付するとともに、当日配付いたしますが、可能な限り、正式な配付資料として公表したいと考えております。
 なお、どうしても、正式な配付資料として公表すると支障があるという場合には、その旨を事務局にお伝えいただくようお願いいたします。
 前回もお願いしておりますが、第3回以降の準備のため、事務局から検討課題や現状把握が必要な事項について、有識者及び省庁の構成員の皆様には御依頼をさせていただくこともあろうかと思いますので、その際には、御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 これをもちまして、第2回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」を終わります。時間が延びてしまって申し訳ございませんでした。
 どうもありがとうございました。

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