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第10回基本計画策定・推進専門委員等会議及び第9回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」・「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」合同会議
議事録

○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官それでは、始めさせていただきたいと思います。
本日は、議事進行を椎橋先生にお願いします。
○ 椎橋座長椎橋議長 皆様、おはようございます。
本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。ただいまから、第10回「基本計画策定・推進専門委員等会議」・第9回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」・第9回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」の合同会議を開かせていただきたいと思います。
御案内させていただきましたように、30分程度の延長を見込んでおりますので、その点を御承知おきくださいますように、お願いいたします。
本日は合同会議ということですが、本日の議事及び配付資料について、まず事務局のほうから御説明をいただきたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官本日の議事につきまして、御説明申し上げます。
お手元の議事次第と配付資料をご覧ください。本日は検討会2の心理療法の費用の公費負担に関する検討会の中間取りまとめ案を資料1として配付いたしております。こちらのほうを検討会1及び「基本計画策定・推進専門委員等会議」のほうに御報告させていただく会ということでございます。
以上です。
○ 椎橋議長それでは、本日は、検討会2の中間取りまとめ状況についてお伺いするということになりますけれども、その前に、検討会1と検討会2の関係について、再確認させていただきたいと思います。
この点については御承知のように、第2次基本計画策定時には、心理療法・カウンセリング費用についても、犯罪被害者等への経済的給付の一部として検討会1の中で扱うということも議論されておりました。しかし、基本計画策定時に既にある程度具体的な議論がなされているということや、専門的な検討を要するということなどを踏まえまして、他の経済的給付の論点とは分けて議論されるということになったわけでございます。
他方、本年度末までに検討会2が結論を出されるわけでありますが、もともとの経緯から申しまして、心理療法・カウンセリング費用の公費負担は、更にもう一年存続する検討会1の論点の中にも含まれているわけでございます。
そこで、先に出ている検討会2の結論を検討会1としてはどう扱うべきかということでございますけれども、検討会1は、検討会1での議論と矛盾しない限り検討会2での結論を取り入れ、尊重する。他方、検討会1の議論が検討会2の結論と矛盾する可能性が出てきた場合には、検討会1において、調整の上結論を出すという形で整理されてきております。
検討会2におかれては、約1年半にわたって、8回に及ぶ会議を開催して、議論をされてきたと伺っております。その状況を中間的に取りまとめたものが、お手元にお配りしている中間取りまとめ案でございます。
本日は、基本計画策定・推進専門委員等会議の構成員としてのお立場から、あるいは、犯罪被害者等に対する支援を幅広く検討するという検討会1の構成員としてのお立場から、この中間取りまとめ案について御報告を受けて、一部、検討会2においても、結論に至らなかった点があると報告を受けておりますので、御質問などを承っていきたいと考えております。
そういう次第でございますので、まずは、中間取りまとめ案につきまして、検討会2の小西座長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 小西座長おはようございます。小西でございます。
検討会2の中間取りまとめ案について、御説明いたします。資料1をご覧ください。
検討会2では、第2次基本計画策定時の議論を踏まえまして、犯罪被害者の現状に見合った現実的な議論を行い、心理療法・カウンセリング費用公費負担の制度を設計し、その実現を図りたいと考えました。
そこで、まず、犯罪被害者等における精神的被害の状況、心理療法やカウンセリングがどのように行われているかという現状を調査しまして、国内・国外で誰がどのような心理的支援をどの範囲の犯罪被害者に対して、どのような費用負担で実施しているのかという現状を把握することにしました。また、そのような支援制度の課題、不足がどこにあるかについて明らかにすることとしました。
そして、判明した課題等を踏まえて、心理療法・カウンセリングの公費負担の実現に向けて複数の制度を検討してまいりました。
しかし、中間取りまとめ案をご覧いただければ分かるように、検討会2では案として実現可能な制度を提言するということがまだできていません。私の理解では、検討会2が設置されたのはカウンセリング・心理療法の公費負担というものが喫緊の問題であり、早期に実現させることが課題であり、更にその検討もこれまである程度なされてきたということで、検討会1とは別個に議論を進めることになったものですが、その趣旨を生かすことができていないという残念な状況であるということです。カウンセリング・心理療法の問題は以前から被害者の要望が多いことが分かっており、前進に向けて現実的な議論を構成員の方にも積み重ねていただいたにもかかわらず、このように提言せざるを得ないということです。取りまとめ案では、せめてどこに問題があり、何を議論し、何が分かり、どこで進めなくなったのかということを丁寧にたどっていったほうがよいということで検討会で意見の一致を見ました。
このことを踏まえて、中間取りまとめ案の構成をローマ数字のI~VIIで示しております。I、IIにおいて検討会の前提と検討の流れを示し、III、IVで検討会2として把握した被害者やカウンセリング提供側の現状及び問題点を取りまとめております。続いて、VとVIのところでは、公費負担のあり方、そのほかの課題について検討した経緯を取りまとめ、VIIで提言を行っております。
以上が全体の概要です。
それでは、内容について詳細に説明していきたいと思います。議長から項目を区切ってとのことでしたので、まず、「I.はじめに―本検討会の前提」及び「II.本検討会での検討の流れ」について、説明いたします。
Iでは、検討会2が設置された経緯について、第2次基本計画策定時の議論及び検討会2の検討会1との関係について記載しております。
IIは、先ほど述べましたとおりの検討会2の議論の経過を概観したものです。
簡単ではありますが、IとIIについては、説明は以上とさせていただきます。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
まず、区切ってお願いしておりますので、それぞれの項目ごとにお願いしたいと思いますが、今、御説明がありましたIとIIの部分、これは前提の部分でございますが、この点について、何か御質問ございますでしょうか。前提ですので、この点についてはよろしいでしょうか。
それでは、次に移りたいと思います。小西座長、よろしくお願いいたします。
○ 小西座長それでは、次に「III.犯罪被害者等の現状」について、説明いたします。
ここでは、過去の研究について構成員からいただいた報告、また、実際にカウンセリングを行っている関係機関や、被害者御本人から行ったヒアリングなどを通じまして、検討会として把握・認識するに至った内容をまとめております。テーマとしては大きく分けて「A.犯罪被害者等の精神的な被害回復のための心理的支援・治療の必要性」、「B.心理療法・カウンセリングの有効性」、「C.犯罪被害者が心理療法・カウンセリングを受けるに当たっての支障」と整理いたしました。
Cの支障としては、検討会2としては当然経済的支障についても注目したのですが、適切なカウンセリング機関についての情報不足、医療機関等の側にも、被害者対応については不足があることもうかがえました。
経済的支障としては、カウンセリング代、治療費だけではなく、専門機関が限られていることから遠隔地まで行く交通費、そもそも就労が困難になった場合は、就労困難ということ自体の困難も大きく、カウンセリングどころではないという状況もうかがえました。
なお、IV以降も同様でありますけれども、冒頭申し上げましたように、問題点の所在を明らかにするために、検討会として議論したことを丁寧に拾っていくべきであるとの意見で一致を見たことから、若干詳しい記述となっております。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました部分について、御質問のある方はお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
構成員2の方々は十分御存じのところで、構成員1の方々についても、この報告書に記載されておりますので、犯罪被害の回復のための心理的支援、治療の必要性、その有効性、それに当たっての問題点、支障ということについて、分けて整理されておりますけれども、このあたりのところで、特に御質問をされたいという方はございませんでしょうか。なければ、次に移りたいと思います。
それでは、IVの部分になると思いますが、小西座長、よろしくお願いいたします。
○ 小西座長余りに分量が多いので、ここで一気に説明をして御意見をというのも難しいのかもしれません。
次に「IV.犯罪被害者等へ心理療法・カウンセリングを提供する側の現状」について、説明いたします。
ここは、カウンセリング等が提供されている状況についてまとめたものです。具体的には、カウンセリング等を行っている関係省庁や関係機関からのヒアリングを通じて把握しました、カウンセリングの担い手の資格や適性の問題、医療保険、犯給制度、その他の公費負担による支援に関する現状と問題点をまとめたものです。それぞれの問題としては、医療保険については、現在でも保険が適用される療法がありますが、診療報酬等の兼ね合いで、医療機関にとって保険診療として実施するインセンティブに欠けているという実態がうかがえました。また、現行の犯給制度については、被害者が保険診療と対象となる心理療法を受けた場合には、重傷病給付金の支給対象となり得るわけですが、自由診療扱いであれば対象とならないこと、警察への届出をちゅうちょする被害者には利用しにくいことなどが指摘されました。
更に、その他の公費負担による支援については、「現物支給型」という名前で検討会2では呼んでおりました。これはさまざまな制度があるのですけれども、都道府県警察が内部職員や外部嘱託によって専門家が提供しているカウンセリング、警察からの支援を受けて民間犯罪被害者支援団体において提供されているもの、犯罪被害者に対するものとは限られないものの、精神保健福祉センター、男女共同参画センター、児童相談所などで被害者に対して提供されるものなど、カウンセリングの機会自体が提供されている制度を全部集めております。いずれも、その果たしている役割は重要であると認識したものの、実施者の資格、技量、回数等、地域によるばらつきがあることが確認されました。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
ただいま、心理療法・カウンセリングを提供する側の現状について御説明をいただきましたけれども、今の部分について、御質問のある方、お願いしたいと思います。
黒澤構成員、どうぞ。
○ 黒澤構成員極めて単純な質問なのかもしれませんが、パラグラフ24番、25番、この辺がよく理解できないのですが、ちょっとブレイクダウンをしていただければありがたいです。
○ 小西座長ここはなかなか複雑なところなのですけれども、事務局のほうで御説明されますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官医療保険制度の中でこれが網羅的かというと、自信がないのですけれども、一般的に被害者のところで出てくるであろう診療報酬の点数のつけ方として該当してくるものとして、パラ24に書いてあります通院・在宅精神療法というものと、認知療法・認知行動療法といったあたりなのかというところで記載しております。
ただ、この認知療法・認知行動療法という003については、パラグラフ25のほうに説明してありますように、鬱病の治療という部分に限られておりまして、PTSDの認知行動療法は入っていません。PTSDに対する認知療法を保険診療でやろうとすると、002の通院・在宅精神療法のほうとしてやるという形になっております。
こちらの中間取りまとめ案では、詳しい点数は出していないのですけれども、通院・在宅精神療法は、精神療法と言ってしまえば何でも入るということもありまして、基本的な点数がついているという理解でよろしいかと思います。
○ 黒澤構成員26番のほうなのですが、002は90分以上を要する。003-2のほうは30分という理解でよろしいのですか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官認知行動療法、003のほうはもともと評価点数が30分を基準に算定されております。ただし、認知行動療法そのものは30分程度でおさまるというよりはもうちょっと長い、基本60分とか90分とかかけるべき行動療法なので、そもそも鬱病としても認知行動療法の点数のつけ方が低いということは言えるのですけれども、一般の精神療法となると、通常は5分ぐらいの診察というところを、90分くらいの認知行動療法ができるのかといったときに、とても安くなってしまうということです。26パラはおっしゃるとおり言い回しが難しいのですが、もともと鬱病として認知行動療法自体としても時間が短い点数のつけ方をしているのですが、もっと時間が短いといいますか、使いづらい精神療法のほうでもカウントしているということになっている。ここは小西先生に御説明いただいたほうがいいかもしれません。
○ 小西座長座長としてではなくて、PTSDの認知行動療法をやる者としてここで簡単に御説明します。
今、PTSDの治療法で科学的エビデンスがもっとも強固であるとされているのが、プロロングド・エクスポージャー法という認知行動療法ですが、これは定式が決まっておりまして、1回が大体90分から120分かかるものです。それを毎週10回から20回ぐらいやっていくものなのですけれども、その場合、現在保健のうち、点数がとれるのは通院・在宅精神療法という形での算定しか考えられないために、PTSDの認知行動療法を通常の保険医療の中で実施すると、医師の側からいうと、全く採算がとれない状況になってしまうというお話がこういう形で書いてあるということです。
今の説明でよろしいでしょうか。
○ 黒澤構成員大体分かりました。
○ 椎橋議長川出構成員、どうぞ。
○ 川出構成員その次の27のところで、臨床心理技術者が単独で行うカウンセリングは診療報酬の対象にならないとされていますが、なぜそういうことになっているのでしょうか。
○ 小西座長これも実際に今、とられていないのです。
○ 岩村構成員私が適任かどうか分かりませんが、公的医療保険の場合、保険診療でカバーする範囲というものが、基本的に診療報酬の体系で決まっております。その診療報酬の体系の中で、ある療法についてはそこまで細かく決まっていない場合もあるのですが、基本的には対象となる病気というものと具体的な治療の中身、それをある意味で誰がやるかということが通達その他、いろいろなもので実際には決まっていて、それで言わば範囲が隠されている。その基準を満たしていないと、結局医療保険のほうでは診療報酬は支払わないということになっているわけです。
ですから、先ほど御説明がありましたように、例えばPTSDの認知行動療法については、一般の認知行動療法については鬱病というものが対象になってしまっているので、PTSDというものを仮にやったとしても、それは保険診療と対象にならないと診療報酬上の体系上、そうなってしまっている。PTSDを使えるとすると、先ほど御説明がありましたように通院・在宅精神療法という形でやるにしても、診療報酬上30分というものを基準に点数を算定するということになっているので、したがって、仮に先ほど小西座長から御説明があったように、PTSDの方に90分、120分とやっても、点数としては30分しか算定できないということになるので、お医者さんのほうとして、それではとても採算がとれませんということになってしまう。
多分、私もここは詳しく見てはいませんけれども、カウンセリングについてもあくまでもこれは医者が何らかの形で関与する形であれば、診療報酬の体系にのるのではないかと思いますが、臨床心理技術者だけが行うということだと、診療報酬点数算定の基準を見たなさいということになって、医療保険ではカバーできないということになるのではないかと思います。
○ 小西座長ありがとうございます。
今の御説明でお分かりいただいたと思いますけれども、かつ、臨床心理技術者というものは、法律上しっかり定義されていません。国家資格ではありません。そういう方がやっていくというところで、保険点数になかなか算定されにくい仕組みになっている。とても複雑な言い方で申しわけありませんけれども、それが現状であるということを御理解いただければと思います。
そういう点では、今、問題になりました25~27のパラグラフというものは、当然医療保険でカバーできればいいのではないかということが、検討会2でまず考えたことではあるのですが、それでカバーできない現状ということを述べているところです。
○ 椎橋議長中曽根構成員、どうぞ。
○ 中曽根構成員2点、分からないのですけれども、まず認知行動療法のPE法のほかに、聞いたことがあるものではEMDRとか、薬物とかいろいろあると思うのですが、それらがみんな今、御説明があったような通院・在宅精神療法で一応保険適用にはなるのですか。
○ 小西座長今、おっしゃったものは、その療法そのものとしては、全て保険適用になっておりません。
○ 中曽根構成員あと、もう一点よろしいでしょうか。臨床心理技術者という表現は法律に定義づけられているということなのですけれども、いわゆる臨床心理士という方たちがいらっしゃると思うのですが、大学院を出られて、所定の研修を受けて資格を取った方達だと思うのです。その他にいろいろな講習とかを受講したりして心理カウンセラーとか、いろんな資格を持ったような人たちがたくさんいらっしゃるようなのですけれども、その方たち全体を総称して臨床心理技術者という形でいいのでしょうか。
○ 小西座長これもとても複雑な議論があるということは私たちも分かったのですが、臨床心理士という資格は財団が認定する資格であって、国家資格ではない。それは事実です。そのほかにも幾つかの資格があるということを検討会でも認知いたしました。その内容がどうで、ここに書いてある臨床心理技術者がどうかという意見については、余り詳しくは議論されていないと私は理解しております。もし事務局で補足があれば、どうぞ。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官臨床心理技術者につきましては、注9で臨床心理技術者というものが法律上出てくるとすればここぐらいしかないというところを記載しております。要は、心理的な専門知識を持っている職種の人たちという使い方をしているだけでありまして、これ自体が認定資格であるというわけではないのです。医療保険の枠組みの中で心理職的な人に言及するとしたら、こういう言い回しをしようと言っているだけでありまして、この中に具体的に例えば臨床心理士を持っている方であるとか、先ほどおっしゃった心理カウンセラーといろいろあるのですけれども、それらは全部民間資格でございまして、個々にどういう資格の人が入ってくるかということは、その職場によって具体的にこの人は専門家だということで採用されているという立場でありまして、保険診療の臨床心理技術者という言い方で資格が1つあるというわけではありません。
○ 小西座長ここのところが制度設計をしていく上でとても難しいところだということなのですけれども、結局28にありますように、以上のような診療点数の評価の低さ及び臨床心理技術者によるカウンセリングが診療報酬対象でないこと。医療機関にとって、PTSD治療、カウンセリングを保険診療として取り組むインセンティブが低下している。かつ、そういうことを保険診療内に組み込んでいく仕組みというものを今、私たちは持っていない現状があるということが、ここの認識でございます。
○ 中島構成員今の中曽根構成員の御質問に対しての補足なのですが、この議論は何を意味しているかということを御説明します。検討会が始まる前の基本計画の時点でのパブリックコメントの中で、性暴力被害者を中心として、PTSDに対する専門的な治療のニーズが大変高かったということがあります。PTSDに対する専門的な治療というのは、もちろんここに挙げている持続曝露療法のみではございません。薬物療法としては、一般的に抗うつ薬であるところのSSRIも有効だということが言われていますし、今、お話に挙がったEMDRももちろん有効性が示されております。また、近年では認知処理法といったものも入ってきておりますので、もちろん曝露療法だけではないです。
これは全て保険診療で行うことはできるのです。もちろん、薬物療法については通常の診療で行うことはできます。これらの精神療法もここに書かれている保険上の算定としての通院・在宅精神療法という形で行うことは全く問題はありません。ただ、有効だと言われている治療法が全て30分の枠におさまるものではないために、これを医療機関で進めようとしたときに、医療機関として余り進めたいような治療ではなく、これらを普及させるためには、例えば保険点数上時間に見合ったものがつかない限りは、なかなか難しいだろうという問題があるということです。だから、実際には、医療機関でやろうと思えばできるものではあるけれども、普及が難しい状況にあるということがここに示されていると思われます。
○ 小西座長ここのところは、例えば犯罪被害者のカウンセリングの現状を知ってらっしゃる方にとっては、私も始める前はそうだったのですけれども、臨床心理士さんにやってもらえばいいではないか。その分を補助していければいいではないかという非常にアバウトな形で、でも多くの方がそう考えていらっしゃると思うのです。では、実際に保険診療の診療報酬の問題、それを誰が担当するか、その資格は何なのかという問題を、制度を設計するという視点から見ると、ここのところがひとつ引っかかってくるところであると御理解いただけるといいかと思います。
○ 椎橋議長非常に単純な質問なのですけれども、インセンティブを高めるために点数の算定を上げればということがあります。そこの難しさというのは、どこにあるのですか。それから、臨床心理士の中でも国家資格を与えて、PTSDの治療等に精通しているという人について認定をしていくということが考えられるのですが、その難しさはどこにあるのでしょうか。
○ 小西座長今日は全体の報告なので、なかなか議論を深める時間がなくて申しわけないのですが、診療報酬の問題は、当然中医協(中央社会保険医療協議会)のほうで決まっていく問題でありまして、恐らくそちらで議論になるとすれば、今度は科学的エビデンスの問題、その有効性の評価の問題ということも1つ問題になるかと思います。誰が担うかという問題も、そこで問題になってくるかと思います。
もう一つ、これは第2次基本計画の中でも書かれていることだと思いますけれども、では、そういう専門家が今、制度さえつくれば十分いるのかといったら、そうでもない。非常に不足しているという現状もあります。これも検討会の中で議論されたことなのですけれども、例えばそういう専門家をつくるべく行われている研修というものが、今、ここで認定するに足るほど十分なものなのかどうか。あるいは、どういうふうに質が保証されているかというところで、制度にのせていくにはまだ不十分な部分があるということが、検討会2の認識と考えております。
○ 椎橋議長岩村構成員、どうぞ。
○ 岩村構成員今の小西座長のコメントのとおりなのですが、若干補足しますと、まず第一に診療報酬との関係で言いますと、おっしゃるように中医協で議論するということになるのですが、率直に言って、今、公的医療保険は金がありません。したがって、新しい治療法というものを診療報酬点数表に加えるということは2年ごとの改定のときにやってはいるのですが、多くの場合ゼロサムゲームになっていまして、新しいものを加えるとどれかを追い出すのが実情になっています。そういう意味で、非常にハードルが高くなっている。かつ、私の知っている限りでは、基本的には関係学会がこれを診療報酬にのせてくれということで、中医協の下の部会とかそういうところに要望を出すのですが、診療報酬改定のたびに実は膨大な量の要望が出ていて、それを選定していくという作業を実際にはやっている。
その場合に問題になるのは、結局小西座長もおっしゃいましたけれども、医学的な有効性ということが1つと、もう一つは、どれだけ一般的に使えるのかということが、大体2つぐらいの指標としてあります。つまり、ある特定の病院でしかできないということは、なかなか診療報酬の体系の中にのってこないのです。そういう問題が実はあり、診療報酬の中にのせるというのは、現実にはなかなかハードルが高いでしょうということです。
もう一つ厄介な問題は、お医者さんと医療関連職との役割分担という非常に厄介な問題があって、医師法その他がそこに絡んできて、例えばほかの分野ですと、介護福祉士さんが胃ろうができるかできないかということも、大変な議論をしてやっとできるようになったとか、そういう経緯があるので、物すごく難しい問題です。かつ、医者が関与せずに例えば臨床心理士さんがやるといったときに、それは医療保険にのっかる医療なのですかと言われると、という問題が出てきてしまう。その辺のいろんな難しさというものが現実には存在するということでございます。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
犯給制度の関係では、ございませんか。
○ 小西座長また先で、犯給についても議論していく必要がありますので。
○ 椎橋議長提案のところとも関係してきますでしょうから、今の段階ではこの程度にさせていただきまして、次に移りたいと思います。Vになると思います。小西座長、お願いいたします。
○ 小西座長では、次に「V.公費負担の在り方についての検討状況」について説明いたします。
ここは、これまでIII、IVで述べましたような現状把握を踏まえまして、公費負担としてどのような組み立て方が考えられるか検討した経緯であり、検討会2としても時間をかけて議論してまいりました。
まず、Aにおいて、検討会2として心理療法・カウンセリングの公費負担のあり方として、あるべき姿をどのように考えたかという点について示しています。警察への届出の有無を問わず、犯罪被害者本人だけでなく、その家族・遺族が精神的被害から回復するのに必要な心理療法・カウンセリングを十分に受けられるような支援が理想である。これは議論のないところだと思いますけれども、考えました。
次に、Bにおいて、公費負担を考える以上、医療保険の適用拡大ができないかどうかが最初の論点として挙げられました。医療保険が適用されれば、少なくとも被害者の自己負担が3割に抑えられ、更にその3割を軽減するほかの制度もあることから検討を行ったものです。これは診療報酬の改定という今のお話や、カウンセリングをあんま、鍼灸のような「療養費」扱いでやることができないかという観点も考えました。
しかし、結論としては、今、岩村構成員からお話があったように、医療保険の拡大というのは、直ちに変化が期待できない。それではということで、次に、医療保険を前提としない新たな制度の導入について検討したものがCでございます。公費で負担する以上、対象となる範囲をどのように限定できるのかという観点から、「犯罪被害者」の範囲、「心理療法・カウンセリング」の範囲等、さまざまな論点を議論いたしましたが、いずれについても、多様な意見が出され、最終的には全く新しい制度の枠組みを提案することは、検討会の時間的制約等から難しいとの結論に至ったところであります。
それではということで、例えば被害者の範囲ということで限定はつきますけれども、Dにおいて、既存の犯給制度の中で対応できないか。具体的には、重傷病給付金にカウンセリング費用を含められないか。あるいは、現在の犯給制度にございます遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金のほかに、新たな給付金として制度を組むことができないかという検討を行いました。結果的には、この検討がまだ途中であるということです。新しい給付金をつくるとしても、誰が当該被害者に対する給付の必要性を判断するのか。また、どのような心理療法やカウンセリングが対象になるのかなどにつきまして、現状では不明確な点があり、それらを決める枠組みなり基準が決められないと、もう一歩踏み出せないというのが現在の結論であります。
あわせて、Eにおいて、もう一つの公費負担のあり方として、現在、警察などで行われているカウンセリング等の現物給付の充実の必要性についても議論を行っております。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
ただいま、公的負担のあり方についての検討状況を御説明いただきました。これは大変質量ともに分量があるものですから、A~Eまで間で区切らせていただきまして、「A.公費負担のあるべき姿について」、「B.医療保険の適用拡大の可否」、この部分について御質問がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○ 松村構成員先ほどのお話を伺っていまして、臨床心理士が国家資格ではないということが、私にはなかなか理解できないのです。その辺の歴史的経緯ということでありますけれども、私の理解のためにも御説明願えたらありがたいと思います。
○ 小西座長どうしますか。私が説明すると不正確かもしれないので、それについて構成員の方の補足をいただくという形で簡単に御説明いたします。
臨床心理士が国家資格になっていないことについては、実際に臨床心理士会の会長に来ていただきまして、現状を御報告いただきました。本当に歴史的な経緯を言えば、それこそ30年以上前からさまざまな経緯があって、今に至っているわけですけれども、それについては、臨床心理士会あるいは関係の団体がございますが、そういうところでも国家資格化のほうで議論されているとは伺っております。
ただ、先ほどお話があったように、例えば医療の兼ね合いをどう考えるか。あるいは、臨床心理士の国家資格を持つときに、どういうことを資格要件とするか。その辺でいろいろ議論があると伺っています。
私個人としましては、この問題が解決するということがこれを前進させるのに必要なことではないかと思っております。御質問の趣旨はよく理解できます。
○ 椎橋議長ほかにはいかがでしょう。
○ 松村構成員先ほど中医協に対しての申請なり何なりをして、そこで承認をもらわないと医療費の改定ができないということなのですけれども、実際に現在の日本の金の使い方を見ていると、無駄な使い方をいっぱいしているわけです。その中で、小さいところにやるではなくて、そういうことをやっている中だから、実際の金額的にこれぐらいのお金は大したことはないと思うのです。そういうことができないことが不思議でありますし、そういうことをやろうという気がないのではないかと思わざるを得ませんので、その辺についてどうお考えですか。
○ 小西座長おっしゃるとおりだと思っています。実は、この検討会2の方向づけとして、私としてはこれが2年ということもあり、既に前提となる議論があったことも含めて、少し早くて現実的な方向で制度をつくるのが目標なのだと考えてやってきました。要するに、今日のこの段階で、何か具体的なものを出すことが私たちの使命なのだと思ってきたのですけれども、結局引っかかっているところは先ほどの医療保険、診療報酬の問題、今のお話ですと、臨床心理士の問題、資金をどうやって配分するのかあるいはなかなかそこにお金がついてこないとどうなるのかと、非常に基本的なところというか、根本的なところで引っかかっているわけです。
そこで引っかかるということならば、もう少し広く考えなくてはいけないのではないかとも考えられますし、あるいは制度の中でやっていくとしたら、どこか一点突破していくという形でやらざるを得ないのかもしれない。個人の意見として申し上げますが、そこは今回の議論をぜひ踏まえて、現実的な方向にあるいは現実的な方向というものが、もっと大きい主張をしていく必要があることであれば、そういうふうに意識的に考えていく必要があると思っております。
○ 中島構成員今の中医協の問題なのですけれども、もし私が間違っている部分があったら、厚生労働省の方から補足していただいたほうがいいかと思うのですが、申請に当たってのいろいろな手続がありまして、先ほどお話があったように、学術会議に登録している学会が申請しなければならないという制約があります。この犯罪被害者におけるPTSDの問題というのは、有病率が人口の1%で比較的少なく、受診者が余りいないということがあって、今まで大きな精神科の学会で中心的に取り上げられてこなかった経緯があるのです。これを中心的に取り上げているのが、小西座長とか私も理事をしております日本トラウマティック・ストレス学会です。この団体自体が、まだ学術会議登録団体になっていなかったということもあって、なかなか進まないでいたのですけれども、近年、保険診療にPTSDの治療を取り込まなければならないということで、日本トラウマティック・ストレス学会でかなり活動してきているという経緯があります。
例えば1つとして、先ほど言ったSSRIというものは、PTSDに対する保険適用がない薬なのです。これはうつ病に対してのみ保険適用がなされているということで、PTSDに対しての保険適用が必要だということです。今、これは学会が関わって公知申請を進めていると聞いています
また、持続曝露療法につきましても、RCT、無作為化比較試験を幾つか関係者が行っていて、申請ができるような準備というものは、整えてきておりますが、こういう手続には時間がかかって、すぐに保険上の適用まで持っていけないという現状があります。ただ、少しずつ進められているということは事実です。
○ 岩村構成員今、非常に詳しく御説明していただきました。もう一つの問題は、公的な医療保険の性格として、犯罪被害者に特化してということができないということがあります。
○ 椎橋議長それでは、このA、Bについてはこのくらいにさせていただきまして、次に「C.公費負担による新たな制度の導入の可否」の部分について、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。御質問がありましたら、お願いいたします。
松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員先ほどからいろいろ出ていまして、犯罪被害者に特化するのは難しいということをおっしゃっておられますけれども、難しいからこそこういう検討会をやっているので、その辺のことが逆になると、何も進まないのではないかと心配しています。そういうことを振り払って、進めていただきたいということを述べさせていただきます。
○ 椎橋議長中曽根構成員、どうぞ。
○ 中曽根構成員お聞きしたいのですけれども、全国的に考えてみて、PTSDの治療がきちんとできるといってしまうと失礼な表現かもしれないのですが、そういう診療ができる先生方というのは、全国的に見たら、どの程度いらっしゃると考えたらいいのでしょうか。
○ 小西座長座長として答えられることではないと思いますが、確かにそんなにたくさんではないのですけれども、この10年で増えていることも確かだと思います。例えば検討会で実際に被害者の支援のカウンセリングをしている臨床心理士さんなどにも来ていただきましたが、地域で非常に頑張っていらっしゃるという方もいらっしゃいました。ただ、都道府県ごとというレベルで考えると、濃度の差があることは事実だと思います。済みません、その程度のお答えしかできないのですけれども、それでよろしいでしょうか。
例えば今、中島構成員が言われたように、トラウマティック・ストレス学会というところには、比較的関心のある専門家が集まっておりますが、その中で技量が保証できるかと言われると、これがCの問題にかかわってくるわけですけれども、誰がどうやって保証するのかというところで、今のところこれ以上の具体的な数が出せないというのが実情だと思います。
○ 椎橋議長番構成員、どうぞ。
○ 番構成員こちらに書かれている問題があることは十分わかっております。確かにどういう被害者に施すのかとか、その判断を誰がするのかということはあるのですけれども、現実に被害者と向き合っている私などにとっては、特に性暴力の被害者は基本的に届出をしたとしても、告訴のハードルが高い。届出もできないような状態になっている方もいる。犯罪として成り立つものが性暴力事件の中のごく一部だということになると、そこで限定されてしまうと、例えばこういう制度ができたとしても、救われる被害者が少なくなるということが懸念されます。
それから、保険にするのも問題があったりいろいろな問題があるということは十分わかるのですけれども、現実的に費用が出ない殺人の御遺族や女性の被害者の方について、研究対象として認知行動療法をやっていただいて、きちっとした治療をしていただいたら、本当に画期的に元気になったケースを私自身も知っていますし、何年たっても治療にお金がかかってできないので、いまだに回復できない強姦の被害者も知っています。ですから、そのような被害者は日本でこういう議論が始まったといったら、いつ制度ができますかと言っていらしたのですけれども、いまだに彼女は立ち直れないでいる。そうすると、社会として非常に損失だと思うのです。日常生活を送れない、就労できない、皆さんとても能力ある方たちがそれができなくなる。ですから、先ほどお話もありましたが、金額的には対象が限定されれば、それほどかかるものではないので、特別な制度をもっと早くつくれないものかと感想ですけれども、思います。
以上です。
○ 椎橋議長岩村構成員、どうぞ。
○ 岩村構成員私も考えつつ、非常に難しいと思っていたのですけれども、検討会におかれて、保険外併用療養費を使うというのは御検討はされたのでしょうか。というのは、そうすると一応30分のところは診療報酬で見て、超えたところを自費となり、その自費の部分を更に別途カバーするという制度設計というものは考えられなくはないのですが、ただ、先進医療になってしまうので、その要件をそもそも満たすかとか、病院ごと指定になるので、それができるかとか実際上の問題が現実的にはあると思っているのですが、そこは議論になったかどうかだけでも教えていただければと思います。
○ 小西座長私の記憶では、先進医療の形で使えないかということは検討会でちょっと出たと思います。ただ、そのことをぎりぎりと議論したわけではないという記憶です。
○ 岩村構成員そちらのルートを行っても、越えるべきハードルは結構あるので、そうだろうなと思いつつ、議論をされたかどうかだけお聞きしたかったのです。
○ 小西座長言葉としては出ております。
皆様におっしゃっていただいているように、本当に必要だということは誰もが認めており、対していろんな予算からすれば、お金もかからないということも誰もが認めていることだと思うにもかかわらず、この制度設計に踏み込んでいったときにいろんな困難があったというのが、私の率直な感想でございます。
○ 椎橋議長それでは、ほかにいないようですので「D.カウンセリング給付金(仮称)についての検討」でございますけれども、この検討の部分について、御質問のある方はお願いしたいと思います。
○ 小西座長今までのところで、医療保険ということをうまく使っていくことも困難があった。かつ、新しい制度を一から設計するということにもいろいろ認定の問題、資格の問題、困難があることが分かった。では、この2年で何か実際にできることがないかという点で、対象を少し狭めてでも今、お話があったように、本来は性暴力の被害者などは警察に来られない人のほうがずっと多いし、その人たちは苦しんでいるわけですから、そういう人も入れるべきだ。だけれども、今できることをやろうという形で考えてみたものが、Dのところです。犯罪被害給付の制度を使って、何かできないかということですけれども、そういうふうに見ていただけばと思います。
○ 椎橋議長いかがでしょうか。これは犯給制度という重要な役割を果たしている制度がありますけれども、新しい制度が難しいということになると、現行の制度の中で比較的使いやすいのではないかということで、この犯給制度を拡充するという形でカウンセリング費用についても出せないかという検討の内容でございますが、これについていかがでしょうか。
番構成員、どうぞ。
○ 番構成員13ページのパラグラフ60なのですけれども、例えばカウンセリング給付金というものを設けた場合に、ほかの身体的被害にかかわる医療行為とのバランスがおかしいのではないかという御意見が出たのでしょうけれども、もともとこの検討会<2>が設置された時点でこのカウンセリングが非常に有効なもので必要だというところから始まているわけですから、私はこの書き方にちょっと違和感を感じています。
そういう話ではないでしょうということです。それが有効な治療でありながら保険適用されていないから検討しようと言って、保険ができないからカウンセリング給付金と言っているのに、また保険の話に戻るのはおかしい、堂々めぐりで全然前進しないという印象を持っています。
○ 椎橋議長そのあたりも当然議論はされたのではないかと思いますけれども、何かつけ加えることはございますか。
○ 小西座長堂々めぐりになって足が出て行かないので、ここをどうするのかというのが1つ大きなことなのだと思いますが、御意見出された方に伺ってみたりしてもよろしいですか。済みませんが警察庁のほうで御意見があったらちょっと言ってください。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長これは何と申しましょうか、他の自由診療との区別ができないとか、あるいは必要性が低いということを申しているわけではなくて、制度として組み立てていくためには、区分けをする理由をつくっていかなければいけないという趣旨で御説明をしたものでございます。
先ほど来お話が出ておりますように、認知行動療法になられるのかPTSDについてのいろいろな療法になられるのか分かりませんが、例えば30分までしか保険診療が認められていないところ以上のものをやろうとすると、恐らく自由診療になられるのだろうと思いますが、これを制度として説明していくためには、どうしてその保険診療が30分なのか説明する必要があります。お金がないとか制度の全体のバランスでという理由だけですと不十分で、なぜ犯給の場合だけそこを突破できるのかということを、犯罪被害者についてはこうであると、具体的なデータや、もともとの保険制度について、どのような理由でそういう区分づけがなされているのかを踏まえた上で、突破するための理由を考えていかなくてはいけないという趣旨で御説明をしているものでございます。
○ 小西座長今、いただいたような説明を検討会2の中でも繰り返しいただいていまして、要するになぜ犯罪被害者だけがそういうものをやるのかというところで、結局保険診療にのってなくて今、必要。だったら別の制度でやろうということになると、今度そこから、では根拠は何なのだというところに戻ってきて、なかなか進まないというのが実際検討会2でも現状であったと思います。
○ 椎橋議長番構成員、どうぞ。
○ 番構成員ここに限らずちょっと質問させていただきたいのですが、日本は犯罪被害者に対しての精神的な治療はある意味で遅れている部分があったのですけれども、被災者に対しての問題については、かなり進展してきたと伺っておりますが、例えば被災者がPTSDにかかるという場合、そういう治療の場合もやはり同じなのですか。
例えば阪神・淡路のときとか、今回の東日本のときはどうなっているか分かりませんけれども、それは例えば社会の仕組みの中でやはり保険は適用されませんよ、ではどこも出せませんね、お金がない人は受けられませんねという話になっているのかどうなのか。そのあたりについて、どなたか御存じの方教えてください。
○ 椎橋議長中島構成員、お願いします。
○ 中島構成員私が全部答えられるわけではないので、できればほかの方が補足していただいたほうがいいと思いますが、私が答えるのは私のセンターに「災害時こころの情報支援センター」があるので、多少情報を知っているということです。
基本的には普通の医療システムの中で、被災地であろうと行われているということですからPTSDに関しては、通常の保険範囲で行われる薬物療法でありますとか、心理療法に関しても医療関係者が支給できると考えになった範囲で行われていると思います。はみ出た分を御自身たちが負担というのはおかしいですけれども、経費に合わなくても行いになっているということがあると思います。
ただし、震災に関しましては、各都道府県で全部仕組みが違います。今、東北被災3県では全て心のケアセンターが設置されております。例えば兵庫のこころのケアセンターは阪神・淡路大震災以降つくられましたが、そこでは例えばPTSDの専門治療を提供しております。その場合はほとんど無料に近いのではないかと思います。だから、被災3県についてセンターがそういう機能を持つということになれば、被災者に関しては比較的低額、あるいは無料といった形で提供できる可能性はあると思いますが、現実にやっているかどうかまでは私は分かりません。
○ 小西座長では補足させていただきますと、要するにカウンセリングが指している対象にもよるのですけれども、今、どちらかと言えば医療のほうに寄ってきていましたが、一般に海外で犯罪被害者に対するカウンセリングといった場合には、もう少し広い範囲を指したりしているわけですけれども、今、中島構成員の言われたような、震災の現地での心のケアというのは、基本的には現物給付です。公費負担という形にはのってこなくて、公費負担になってくると今度は医療のほうにのってくる形で行われているということになると思います。
もし、認識が違っていれば御指摘ください。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官中島先生のほうで御説明いただいたとおりでございまして、基本的には被災者の方も含めてそうした精神療法等については、保険診療でやるとすれば、現行の診療報酬の基準の枠内で医療を提供させていただくということになります。
それにつけ加えてという部分、いわゆる特別な事情等についてどう考えるかということになりますが、そこはそれぞれの目的でどういう制度をつくるのかということになるのですが、被災者に関して言えば、御説明あったように、個々と個別の給付というよりは、例えば自治体さんで一般的に提供する現物給付と言ってよろしいかと思うのですが、一般的行政サービスの中でそういった心の対応をするという形になっております。
以上でございます。
○ 椎橋議長各自治体のサービスを提供するという根拠は、どういうものに基づいてやっておられるのですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官個別の給付を行うというよりは、ある意味、例えば自治体が行う一般的な保険サービスというのも通常ございますが、そういった公衆衛生なり保険サービスの提供という観点から、例えば被災者の方についてのこういった精神療法、カウンセリングも提供するということでございます。
○ 中島構成員もう一点つけ加えますと、心のケアセンターに関しては、新潟中越地震の際も作られておりますが、それは災害復興基金をもとにつくられております。今回の東北3県もたしかそうだったと思いますから、通常の予算枠ではないものとしてつくられていると御理解いただければと思います。
○ 加藤構成員1つだけ確認しておきたいのですけれども、今、やっている被災3県の心のケアサービスというのは、医者とかが入っても要するに一般の行政サービスとして現物サービスを提供しているという理解でいいのですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官私が正確なお答えが可能かどうか恐縮でございますけれども、先ほど申し上げたように、個々の保険給付のように、個別の何々さんに対して現金を給付するとか現物給付を行うということではなくて、一般的な行政サービス的に提供しているところでございます。ただ、そのサービスの担い手として当然ドクターの先生方にお入りいただくとか、保健師さん、臨床心理士の先生方にお入りいただくということはもちろんあります。
○ 加藤構成員そうすると、特別な予算措置というのがあって、その中でサービスを提供するという理解でいいのですね。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官簡単に言えばそういうことになります。
○ 加藤構成員分かりました。
○ 椎橋議長それでは、先に進ませていただきたいと思います。
「E.現物給付の充実の必要性」についてでございます。これについて御質問・御意見がございましたらお願いいたします。
この点については、若干御質問の中でも出てきたと思いますので、更に先に進ませていただきたいと思います。
次は「VI.経済的給付以外の問題点」について小西座長から御説明お願いしたいと思います。
○ 小西座長これもこれまでの御意見の中にも出てきたことなのですけれども、経済的給付以外の問題点について。ここでは具体的にAで担い手の問題として、カウンセラー過疎。特に地方においてこういう不足というのが明らかだと思いますけれども、カウンセラー過疎の問題、精神科医や心理職としても、更に被害者支援の専門性が求められる。例えば精神科医だというだけでできるのかといったら決してそうではないというのは皆様御存じのことかと思いますが、そういう問題。加えて、心理職が民間資格のみであることについて問題点を認識しました。
Bとして関係各所の連携の重要性に関する問題についても検討を行っております。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問・御意見がありましたらお願いいたします。
中曽根構成員、どうぞ。
○ 中曽根構成員ちょっと質問なのですけれども、都道府県の警察職員の方で心理カウンセラーの資格を持って、被害者に当たっておられる方たちがいらっしゃると思うのですが、この方たちは都道府県によって違うのでしょうけれども、何回かはわかりませんが、被害直後の方のところへカウンセリングに行くということもやっていると思うのですが、ばらつきはあるのでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長御指摘のとおり県によってかなり違いがございまして、取り組みの体制もかなり異なっております。警察の中に臨床心理士などを採用して、内部でやっているものもあります。こういう場合ですと、内部の職員でございますのでそれなりの融通がきく場合があろうかと思いますが、それでも適宜の段階で専門家に御紹介をしたりするということもございます。
また、都道府県警察でやっておりますもう一つといたしまして、部内にはそういう専門家がちょっといないのだけれども、外部の精神科医の方とか、臨床心理士の方に委託をして、そこに来ていただいて行う分については無料で診ていただけるという制度があります。これは多くの場合予算の限りがございますので、ある程度の限定、上限をつけているところが多いかなと思っております。
○ 中曽根構成員警察で認知をされていわゆるカウンセリングを受けられる被害者の方、そこもまだいろいろな課題があると思うのですけれども、実際にもし被害を届け出ないで、でも誰かに相談したいからということで、民間の援助団体に相談されている被害者というのも結構いらっしゃります。
そうするとここにも書いてありますけれども、民間の被害者援助団体は大変ばらつきがあって、そのセンターの中に臨床心理士がいるかどうかとか、精神科医の先生ときちんと連携ができているかどうかとか、各県によってさまざまだと思うのです。
例えば東京都などは、協働事業として、民間の援助団体の中に臨床心理士を何名かおき、そして精神科医の先生ともつながるという形がとれていると聞きました。そういう意味では、全国どこでも被害者が同じような支援が受けられるように、地方の民間の援助団体もきちんと充実していかなければならないのではないかと思われるので、それぞれの民間の援助団体の中に臨床心理士を配置するとか、何らかの形を今後考えていってもらいたいと思います。
○ 警察庁長官官房総括審議官今、御指摘ありましたように、民間の支援団体と私ども警察もよく連携をして、地域差が相当ございますので、実態をよく見て、予算面にしてもそうでございますし、今、御指摘のあった臨床心理士を配置するということでもそうでございますが、これからも一生懸命努力をしていかなければいけないという認識を持っております。
○ 椎橋議長松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員担い手が非常に不足しているということはよく分かるのですけれども、たまたま精神科医の方とたしか去年精神科の研修会があって犯罪被害者について話しをしました。そういう精神科学会かどうか知りませんけれども、そういう恒常的に犯罪被害者のことについてレクチャーを受けるとか聞くという機会は今ありすでしょうか。ちょっとお聞きしたいので分かりましたらお願いします。
○ 椎橋議長中島構成員、お願いいたします。
○ 中島構成員これはそもそも基本計画の中の医学教育に犯罪被害者への対応を盛り込むべしというのがちゃんと入っているのですが、現状それはまだ進んでいないということにもなります。
メンタルヘルスに関してはこの中にもちょっと書いてありますけれども、厚生労働省の委託事業だと思うのですが、10年近くPTSDに関する研修会が毎年行われていて、そこには相当数の精神科医が参加しています。あと、今年で8年目になりますが、国立精神・神経医療研究センターにおいて、私自身が主催しております犯罪被害者メンタルケア研修というのを行って、これはかなりインセンティブにやっております。
日本トラウマティック・ストレス学会においても、犯罪被害者支援委員会ができたということを踏まえて、犯罪被害者の支援に関する研修というのは、少しずつできる体制をつくろうとしていますが、おっしゃるとおり、そんなにたくさんあるものではありません。特に、犯罪被害者ということに特化すると余りないのが現状です。
臨床心理士会のほうにも犯罪被害者支援委員会があって、ここでもずっと研修会は持続されているということなので、学ぶ機会はありますが、多くの方が参加しているというところまではまだ行っていないというのが現状だと思われます。
○ 椎橋議長担い手についても、徐々に増えている。連携についても各都道府県警察と民間の支援団との間でいろいろな形で努力されている。ただ、まだまだ少ないというのが現状のようです。
続きまして提言の部分に入りたいと思います。本日で最も重要なポイントだと言っていいと思いますが、この点について小西座長から説明をお願いしたいと思います。
○ 小西座長それでは、最後の15ページからの「VII.提言」でございます。
これまで説明してまいりました現状の認識や課題の把握、そしてそれらを受けた検討の結果、検討会2として至った結論がこの提言になっております。
まずは、その提言ではないのですけれども、75のパラグラフのところで、検討会2としては、現状、公費負担として不足していると思われたのが社会的支援としてのカウンセリング。要するに広義の支援という意味で、カウンセリングが不足している。これについての必要性、有益性も認めたいということで書いております。
76のパラグラフでは、今、ある現物給付型のカウンセリングの公費での提供を充実・強化・発展させることにより、より多くの被害者の救済を目指すことを提言しています。この現物給付型というのはここまでに何回か出てきて、公費負担というのが検討会2の名前ですけれども、非常に重要な一端であるということが分かりますので、それを書いております。
また、77パラグラフにおいては、52~64までの段落を踏まえて、カウンセリング給付金を犯給制度内で設けるためには、制度の対象とすることが相当なカウンセリングの範囲を明らかにしないといけない。それに向けた研究会を設置するよう提言しております。
ただ、16ページを見ていただきますと分かりますが、赤字のまま残っておりますのが、医療保険制度についての言及ですけれども、これは医療としての心理療法・カウンセリングという部分については、やはり基本の医療保険制度において被害者の負担が軽減されることが基本だという意見もあったことを踏まえて、検討会としては、今後保険診療対象として拡大していくこともより望ましいという観点から挿入しております。
ただ、表現として未確定でありまして、赤字で対案を併記しております。
また、研究会の立ち上げを提言すること自体については意見の一致を見ておりますが、この研究会の主催者がどこであるべきかは、省庁から異なった意見が出ておりまして、一致しておりません。主体をどうするかという部分は、検討会2としてもまだ十分議論したとは言えない状況ですので、本日検討会1及び基本計画策定・推進専門委員等会議メンバーの御意見も承れれば、最終取りまとめまでに検討会2としても議論をして、結論を出していきたいと考えております。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
この点については、是非いろいろ御意見をお伺いしたいと思います。
まず、75、76パラグラフの提言について御質問・御意見がありましたらお願いいたします。カウンセリングの必要性、有益性を認める。それから、現物給付型のカウンセリングの行為での適用を充実・強化・発展させるというところでございますが、いかがでしょうか。このこと自体については御異議はないだろうと思いますけれども、何か更に御意見があればお伺いしたいと思います。
中曽根構成員、どうぞ。
○ 中曽根構成員犯罪被害給付金の性格から言ってどうなのかはちょっと分からないのですけれども、先ほどから出ている重傷病給付金の対象の中に、犯罪被害者の家族を対象に加えるかどうかということ、それから、例えば診療にしても地方ですと県庁所在地のところとか、そういうところへ診療に来るというだけでも、大変交通費もかかるということもあります。たしか、法務省でも被害者参加制度等に被害者が来られる場合の交通費をどうするかということが話し合われていると思うのですけれども、そういう意味でも、例えば診療を受けるための交通費等を加えることはできるのかどうかとか、その辺も検討していただけないものかなと考えます。
更には、先ほど何度か言いましたが、民間の援助団体や相談機関の中で、警察には届け出ない被害者の相談を受けておりますので、民間の援助団体でも臨床心理士を配置する等の制度の充実を望みます。お願いします。
○ 椎橋議長ただいまの御意見について、どうぞ。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長診療のための交通費の関係でございますけれども、観点としては恐らくあり得るものかなと思っております。ただ、これは恐らく精神的な心理療法についてだけの問題でもないということでありますとか、現在の犯罪被害給付制度に対して御意見はいろいろございますが、今のところ実費の全てを補償するというやり方ではなくて、重傷病給付金については被害の程度に応じて医療費の部分と休業補償を算定するという方式になっております。
これがいいのかどうかというところも含めて、恐らく今後も検討会1でも御議論いただくようになるのかなとも思っております。ただ、現行の中ですと重傷病給付金の性質といたしましては、実費全てを補償するような形にはなっていないということになっております。
それから、民間のさまざまな被害者支援団体がいらっしゃいますけれども、連携の必要性ということも警察としても強調しているところでございます。また、警察に訴えられないような被害者の方、あるいは一旦警察に来てもやはり被害届を書いたりするのは嫌だという方もたくさんおられますので、そういう方について民間被害者支援団体の方がいらっしゃる役割というのは本当に大きいと思っております。
従来からも不十分だという御指摘をかねがね受けておるところでございますけれども、相談事業について、委託のような形で各都道府県警察から犯罪被害者支援団体のほうに若干の補助を行っているところがございますが、これも県によって若干差があるということと、例えば先ほどお話ございましたように、東京都さんなどは知事部局独自で出されたりですとか、幾つかの県はそういう考え方をもっていらっしゃるところもおありですので、そういう広がりも含めて、何とか財政的な基盤も確立し、こういった活動もしていただけるように御相談しながら検討してまいりたいと思っております。
○ 椎橋議長それでは、77パラグラフでありますけれども、検討会2にはカウンセリング給付金の設置とその範囲をどうするかということで非常に大きな難しい問題として残っている。
もう一つは保険診療対象を拡大していくことが望ましいという提言がされておりますけれども、特に前者についてはカウンセリング給付金の範囲を明確にするために、研究会を設置するということが提言されております。
しかし、この研究会の立ち上げについては、その主催者をどこにするかいろいろ御意見があったようでございます。このあたりについて、事務局から整理していただけますでしょうか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官まず、主催者問題の前に、先ほど小西先生からも御紹介いただきましたが、第1案、第2案と77パラグラフのところで2案出ているということについて御説明いたします。
これはもともと第1案という形で構成員の方に御意見を募っていたところ、その赤字部分につきまして、若干の留保意見があったことからペンディングになっていました。その対案として第2案の書きぶりに直すという御意見をいただきましたが、これが皆様に御案内する直前に出てきたということで、並列になっているということでございます。
もともとの問題意識からすると第2案でもいいのだろうということで、決して今、本当に対立しているというわけではなくて、書きぶりとして検討会2で新しく出てきた案で差し支えないということであれば、このまま別に対立があるというわけではないという状態でございます。
その主体の話なのですが、前提として研究会ということ自体についても補足説明をさせていただいたほうがよろしいのかなと思います。
提言にあります研究会というのは、現状、立ち上がる予定の制度の対象として認められるカウンセリングの必要性を判断するもの、あるいはカウンセリングの類型、カウンセリングの実施者といった観点から、そのカウンセリング給付金の制度の範囲はどれぐらいのものなのだということを提言に書かれているとおりでございますが議論することを予定しております。
検討会2のほとんどの構成員にとっては、この研究会の概念自体、前回第8回の検討会で中間取りまとめ案として初めて提示されたものでございまして、そのカウンセリング給付金(仮称)の制度の創設が議論に上がり始めたこと自体が第7回になってからのことでございます。ですので、いずれにしましても、検討会2としても余り議論を深めている時間がなかった点でございます。
そもそも全く新しい制度をつくるとした場合に、検討会2としては時間切れになってしまうことから、少しでも現状からプラスアルファする土台として、犯給制度が使えないのかということで検討会の第7回で出てきた発想でございます。
他方、第7回の検討会の時点で警察庁からは、犯給制度の中で何らかの給付制度をつくるとしても、カウンセリングに関する国家資格、あるいは国家資格ではないにしても、何らかの公的な認定制度等が現状では存在していない中で、どの範囲であれば支給の対象とすることができるのか。現在の重傷病給付金に限れば、医療費自己負担額相当分をお支払いすることになっておりまして、ここで言う医療費というのは、医療保険制度の中で医師の方が行う行為として基本的に認められているということになっている新しい給付金が仮に医療保険の中に入らない行為への費用を負担することになるとしても、重傷病給付金に準ずるような形で、有効性、安全性、あるいはどの程度の費用がかかるのかといったことも含めて、制度として組み込まれたものが何かしら必要であるといった留意点というか注意点を、御意見としていただいたところでございます。
事務局といたしましても、警察庁からの問題意識に応えるべく、既存の精神医療にかかわる制度の中で、参考とすることができる枠組みがないかということを厚生労働省さんにも御知見を借りていたところなのですが、結局医療と医療外の心理療法、カウンセリングの関係、あるいはそれぞれの担い手という問題点において、既存の枠組みというのは、少なくとも警察庁がすぐ使えるぞという枠組みがなさそうだということが分かった。それが第7回と第8回の検討会の間で発覚したところでございます。
そこで、研究会というものを立ち上げて新しい給付金として費用をつける範囲というのを決めないと、給付制度は難しいのではないかという御指摘を警察庁から受けて、第8回検討会において、研究会をつくるという提言の方向性をほかの構成員にも御確認いただいたという流れでございます。
その主催者問題なのですけれども、検討会2が今年度で何らかの形で終了する。その後に誰がこの研究会を主催していくのかというのが、まだ提言の中で主語が入っていない部分でございます。主語を確実に入れる必要があるのかというのはそれもまたあるのですが、どちらにしても、提言として構成員の中で共通認識がまだできていない部分でございます。
事務局としては、犯給制度の中に新しい給付制度を創設するとして、その給付の限界、外縁を決める研究会という性質なので、研究会自体は制度を持っている官庁である警察庁が主催して、必要に応じて専門知識を持っている団体なり省庁なりが参加するという形のものになるのかなと考えておったのですが、これはあとで警察庁からも御指摘を受けたいとは思うのですけれども、他方、犯罪被害者がどのような精神状態にあった場合に、どういう治療が必要となってきて、それが現在は医療保険対象外であったとしても、公費負担されるべき医療行為なのだという判断は、中医協の保険診療対象を認める際の研究に極めて類似した性格になることが予想されます。ですので、警察庁が主催しても、必要な研究ができないから、当室が主催して厚生労働省を招聘してほしいというのが警察庁の立場であったかと思われます。
要は、主催者としては警察庁か当室かということになっておりまして、追って厚生労働省や警察庁からもお立場を確認していきたいとは思っているところでございますが、当室としては、厚生労働省が内閣府でないと協力しないということでもないと思うこと。あと、どのような研究があれば新しい給付金の立法化に取り組んでいただけるのか。この研究は十分だという線引きは結局制度官庁になります警察庁になると思われましたので、現状すぐさま内閣府として主催者ということをお受けすることにちゅうちょしている段階でございます。
議論としてはこういう状況でございます。
○ 椎橋議長ただいま事務局で、カウンセリング給付金制度というものを設けるという提言に対して、新しい制度をつくるための検討をする研究会を立ち上げる場合の必要性と問題点について整理していただきました。特に主催者をどうするかということについても整理していただきましたけれども、今の御説明について何か質問とか、御意見とか御提言があればお願いしたいと思います。
黒澤構成員、どうぞ。
○ 黒澤構成員確認と意見、2点ございます。まず第1点目確認ですけれども、検討会1との関係をどう理解すればいいかということなのです。検討会2でこういう中間報告ですが、克服すべき課題はより大きくなるのかもしれませんが検討会1で全く新しい理念でもって、こういったことに対処する。検討会1でどうなるか分からないのですけれども、それとの関係はどうなるのか。
ある意味では今、出ている77番は表現が悪いのですけれども、診療報酬の呪縛というか、それが前提というか、それにかかわった話なのです。私が具体的に意見を持ち合わせているわけでもなんでもないのですけれども、あと1年余あります検討会1で今後検討する中で、検討会1と検討会2の関係をどう理解していくのか。また、議論の進展によっては研究会の担い手というか主催者等もそういった観点からも考えなければならないのかなという気もいたします。
もう一点は意見なのですが、この第1案と第2案です。学会において、いろいろな実証研究を更に蓄積される必要はあるということは私も分かりました。少なくとも今の診療報酬制度の中でいろいろ実現するには幾多の問題点があるということは良く分かりましたが、結果として資するようなもの。これは先ほど来お話を伺っていてもいろいろあるわけでして、運用を改善していく、全く新しいものを入れてもらうというのではなくて、例えば鬱病なら鬱病という正面はそこから捉えるしかないとしても、結果として犯罪被害者のPTSDに資するような医者がインセンティブを持つような現行制度を前提とする改善といったことの実現可能性というのはより高いのではという気がいたします。
そういたしますと、1案と2案でいきますと、もちろんこれは対立するものでもなんでもない。また、第2案のこういったことも蓄積されなければならないことも正しいわけですが、それにしてもこのペーパーにもありましたように、ある程度の成果物も出ているわけですので、1日も早く犯罪被害者のためにという観点からは、第1案の医療保険制度内での対応の検討を行いつつ、例えばこういったことをやるという意味では、第1案に私は意見としては賛成をいたしたいということでございます。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
まずは質問のところですけれども、新しく立ち上げる研究会の位置づけと言いますか、検討会1との関係をどうするのか。全く新しい構想でつくるものなのかどうか。2番目の御意見は第1案のほうがよいということでしたのでそれは分かりましたけれども、質問の点についてはどうでしょうか。事務局からお答え願えますか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官この研究会というのが、おっしゃるように検討会2からはみ出た形に提言されていることになりますので、検討会1の立場で検討会2の提言を踏まえてどうしようかと。最初に椎橋議長からも御整理いただいたところなのですけれども、検討会2が何らかの結論を出して、検討会2の結論が検討会1の話の中で矛盾するところが出てきたとした場合は、検討会1でそれを整理して、それを踏まえて検討会1としての結論を出すということになりますので、引き続き検討会1の中でもこのカウンセリング給付の検討会のほうの提言、あるいは結論をどう考えていくのかというのは議論していっていただければと思います。
他方そういう意味では、検討会2の提言内容の中身がよく分かっていないというのもあって、検討会1としてもどう踏まえたらいいのかというのが分からないかもしれませんので、今日中に結論が出るというわけではないのですが、最終取りまとめまでには、検討会2としては、何の研究会を提言しているのかお分かりいただけるような形で最終取りまとめ案に盛り込んでいけたらと思っているところでございます。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
ほかには質問なり、御意見なりございませんでしょうか。
岩村構成員、どうぞ。
○ 岩村構成員都合ができてしまって途中で退席させていただかなければいけないので、簡単に意見だけ申し上げたいと思います。
第1案のほうの引き続き医療保険制度の中で対応の検討を行うということについては、第2案で赤字で書いてある部分も入るということも読み込めるのですが、他方で今の実務上の工夫でいろいろ対応するということになると、問題も発生し得るのかなという気もしていまして、そういう点からすると、やはり今の実務上も実務上のものとしてやっていくにしても、余りそれを正面から書いてしまうのはどうかという問題もあるような気もしますので、むしろ今後のことを考えると、そういう意味では正攻法で行くのだよと書いてある第2案のほうが、私はより適切ではないかなと思っております。
それから、検討会をどこが持つのだという話ですが、個人的には全く関係ない問題で同じような状況にあることに若干関わっていまして、それとの関係で言うと、やはり所管官庁になる警察庁さんで持っていただくほうが、警察庁は嫌かもしれませんが、いいのではないかなというのは私自身の個人的な考えであります。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
そのほかにいかがでしょうか。
警察庁、どうぞ。
○ 警察庁長官官房総括審議官警察庁でございます。
主催者については、事務局から話があったとおり、私どもの意見は述べたわけでございますが、本日構成員の方々の御意見をいただいて考えてまいりたいと思っています。
研究会についてもどうするかというお話が今、あったのですけれども、いずれにいたしましても警察庁としては、カウンセリング費用の公費負担について、犯罪被害給付制度の対象になるように有識者による研究会というものができればそこに参画をして、前向きに検討を進めていきたいという考えでおります。
ただ、ちょっと鶏と卵みたいな話になるかもしれませんけれども、その制度を発足させるに当たって、やはり具体的な話として予算を取らなければいけませんし、法制度を組み立てる場合には、破綻のないものをつくっていくということで、きちんとした理屈を積み上げていく必要がございます。いろいろなところでも、例えば国会等でも御説明していかなければいけませんし、そういう意味で言うまでもありませんけれども、医療に関する知見のない私ども警察庁としては、単独でそれを進めていくということは非常に難しいと思っています。
特に、制度に関する検討に当たりましては、医療の各種の制度との関係や、そういう制度との整合性について整理をしていく必要がありますので、関係府省の参画、研究会への参画というのは同時に必要であると考えております。
例えば、公費負担が適当と思われるカウンセリングを抽出いたしました場合に、先ほど26パラグラフか28パラグラフあたりで御質問ありましたけれども、それらが現行の診療報酬制度の対象となっていないとすると、なぜ対象外なのか、そして犯罪被害者についてはなぜ公費負担の対象とすることができるのかということを説明しなければなりませんが、そのためには現行の診療報酬制度についての検討経緯、従来の説明ぶりについて詳しい知識というものが必要になってまいります。
そういったことで、有識者の研究会というのが今後できる場合には、これまで検討会2の事務局を担われていた内閣府、厚生労働省、警察庁等、関係省庁が参画をして検討することは少なくとも必要だろうと私どもは考えております。
以上でございます。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
そのほかにはいかがでしょうか。
太田構成員、どうぞ。
○ 太田構成員今日の全体の議論も踏まえてのことなのですけれども、先ほど来から検討会1の構成員の方々から厳しい御意見や御批判をじくじたる思いで伺っております。恐らくこれは検討会2のほかの構成員の先生方も全て同じだと思います。こういう使命を課せられてある意味では続くという形、to be continuedという形の提言しかできないことを本当に悔しい思いで見守っております。
ただ、自分だけいい子になるつもりは全くありませんけれども、研究会にしても検討会1でも給付金でやるとなったら検討しなければいけない問題だと思いますので、ひとつ何が最後にネックになったのかということが、この中間取りまとめ案には出てきていないので、今、まさに先ほど参事官と警察庁から説明がありましたように、非常に大きく要求された内容は、要するに公費負担をするに値するだけの心理療法の有効性を示せということでした。
そこら辺はある程度まだ発展途上の心理療法ということがもちろん多いのでしょうけれども、そこは我々は医師でも臨床心理士でもないので分からないのですが、余り厳密なものを求められると全く話が何も進まなくなってしまう。
先ほどの診療報酬のところは我々の検討会で扱える話ではないと言いますか、付言くらいはできますけれども、最終的には中医協で一日も早く拡大の方向で議論されればいいなと思うだけであります。ただ、私はそこら辺でありますとか、もう一つの臨床心理士が国家資格になっていない。これも近い将来なればいいなと思うのですけれども、ここから先は私の個人的な感想で、ほかの先生方もこういうようなニュアンスではなかったのかなと思うのですが、最初議論していく中で、我々はどんどん制度をこの検討会の中で縮小してきたわけです。
最初は、もともとの第二次基本計画の中でも警察に届け出もしていないような被害者に対しても心理カウンセリングの費用をカバーできるような何か全く新しい公費負担の制度を構想すべきだというところから始まりました。でもやはりこれはどこの官庁がやるのか予算はどうするのか、基本設計はどうするのかと物すごいことになってくるので、そこら辺は考えつつも、既存の犯給制度というのがあるので、それを拡大する案を検討しようということになりました。ただしそうなると届け出をしてあるものとか罪種が限られるとか、国内被害に限られるとか、家族や遺族は、本人が存命している場合はだめだとか、医療保険に限定されるということが出てくる。だけれども、全部カバーするのは犯給制度では無理だけれども、とりあえず一番コアな部分は犯給制度でカバーできるようにしましょうということを考えました。
その中で、まず臨床心理士が国家資格でないではないかということをしきりに言われるので、そこでかなり譲歩して、医師の指導のもとで、臨床心理士さんとかがやった場合に限ればいいではないかと考えました。でも、お医者さんが指導した後に、全く臨床心理士が個人でやっているようなところに行っていいのですかという話になるので、それは医師のもとで、病院の中でそのときに勤務する臨床心理士がやればいいのではないですかということで、かなり縮小してきた。私は個人的にはそういうほうにやっていけばある程度制度設計としては可能なのではないかと思っております。
そこで最後に決定打として当局から要求されたのは、この77番の文面では削られているのですけれども、前に有効性という話が出ていました。今日の最終案には出ていないのですが、やはり参事官の説明にもありましたし、今の警察庁さんの説明にもありましたけれども、要するに医療報酬にも入っていないような、ましてや今度の新しい制度での公費負担を正当化できるような心理療法の有効性を示してください、立法事実として示してくださいということを言われたので、我々の検討会2が終わることになるのですけれども、そのことが次の検討会1や研究会で足元をすくわれないような前向きな形で議論していかないと、厳密に言えばいつまでたっても結論がでないと思います。研究が進んであと何年かかるのか分かりませんので、そういうところが実は最後のほうにかなり大きな問題としてあったということは認識をしていただいて、できるだけ早く制度化に向けて進めるような議論をしていただければなと思います。
○ 椎橋議長ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員今回の提案、報告書そのものもそうですけれども、非常に苦労した跡がよく分かります。実際、私の最初のイメージからいけば、今後の検討会でやるようなことを今回やられたと思っていたのです。ですが、それがまだ全然これからやらなければならないということに実を言いますと失望しました。
ですけれども、こういうことで今後検討してやっていただくことが恐らく非常に犯罪被害者のためにもなると思いますので、それはそれで期待したいと思います。今後主催者をどこにするかということなのですけれども、関係する組織としては厚生労働省もそうだし、警察庁ももちろんそうですが、ほかにも文部科学省とかいろいろかかってくると思うのです。
そうするとやはり内閣府にやっていただくのが一番いいのではないかなと、希望だけ述べさせていただきます。よろしくお願いします。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
そのほかにいかがでしょうか。
事務局、どうぞ。
○ 内閣府犯罪被害者等施設推進室参事官ちょっと補足で太田先生からお話があったことの有効性の研究という部分についてなのですが、なぜ有効性を研究しなければいけないのかというのは、具体的な診療自体が効くのか効かないのかというのを研究したいというよりは、医療保険で今まで認められている範囲でない部分にお金をつけるといったときに、ではどこまでが普通の医療なのか。要は自由診療と言った瞬間に青天井なわけです。どんなメニューが入ってくるのか分からない。先ほどいろいろEMDRとか暴露療法というお話があったのですけれども、それを門外漢の人間が診断書を見て、精神疾患用の治療なのかすらも分からないというものにお金をつけるわけにはやはりいかないので、犯罪被害者であれば、こういう治療が必要になってくるよね、こういう治療は普通認められているよねという枠を知らないと、公安委員会もその領収書にお金をつけられないでしょうという部分なのです。
ですので、そういう意味で、被害者の治療として有効性があると認められている治療がどういうものなのかということは、枠として知らないと、そもそも制度としてつくりづらいということを言っていたところでございます。
必ずしも、こっちのほうが有効でこちらが有効でないという部分ではなかったのではないかなという理解をしております。
○ 椎橋議長ほかにいかがでしょうか。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長先ほど警察庁から申し上げたことの補足的なことになっておるのですけれども、事務局から警察庁が論点も示さずできないようなことを言っているという説明があったのですが、そういうわけではございません。例えば、今後制度を具体的にカウンセリング給付金について作っていくに当たりまして、ほかにもいろいろ検討するべきことがあるだろうとは思っておりますが、個別の例だけを申し上げますと、診療報酬の対象となるのが、基本的に30分のみとなっている。PTSDについて鬱病的なものということであったとしたら、本来90分くらい要るものの、あと60分については診療報酬の中では診られないということになっている現状だと一応理解をしております。犯給制度の中に取り込む可能性が一番高いものとして、診療時間の差であれば恐らく心理療法の療法自体としては確立されていらっしゃるものだと思いますし、必要性あるいは有効性ということももしかしたらもう既に研究済みでいらっしゃる部分もおありなのかもしれないのですが、なぜ30分で切っているのかというところにつきまして、いろいろ通達もおありかと思いますし、実際の診療報酬制度の運用の中での慣例などもおありなのかと思いますし、診療報酬全体を通じた考え方というのもおありかと思います。
そういった点について、正直申し上げまして、警察庁だけですと分かりませんので、関係されるところから教えていただきながら検討していくということが恐らく必要となります。そうすると一つの枠はできることになります。ほかにも恐らくこういう診療、療法についてはどこと関係があって、診療報酬には入っていないけれども、どうして犯給制度には入れられるのかということを、一つ一つ見ていくという作業が次の研究会としては必要なのだろうと思っております。
そうでないと、結局いろいろな制度官庁から言われるであろうことは、診療報酬でもない、何も制度的な基盤がないものについて、どうして犯給で出せるのかという点となりますので、それをゼロから説明するとなると、ゼロからの科学的な研究ということになってしまいかねません。そういった点につきましては、関係されているところの知見を教えていただきたいと考えております。
また、最終的にでき上がったものは警察庁だけが調べましたということですと、説得力がないものになってしまいます。どうして警察庁が医療に関するところの詳細について承知をできるのか、あるいは判断ができるのかということになろうと思います。もちろん有識者のお知恵をお借りしたとしてもでございます。
ですので、そういったものについて権威のある省庁なり、あるいは学会の方になられるのかもしれませんけれども、結果を権威づけしていただくような形にするためにも、研究会の中には関係されるところに入っていただきまして、外側から見まして、これはバランスのとれた適切な内容になっているということをバックアップしていただきたいと考えております。恐らくこのあたりも議論の論点の1つになってくるのだろうと思っております。
いずれにいたしましても、最終取りまとめまでの間に御相談を申し上げながら検討してまいりたいと思っております。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
そのほかに御意見ございますでしょうか。
厚生労働省、どうぞ。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室企画官ちょっと検討会の話から少しそれてしまって恐縮なのですが、1案と2案について、私から補足で御説明させていただきたいと思いますが、先ほど岩村先生もおっしゃいましたように、現状の診療報酬制度の枠内とか限界みたいなものを踏まえますと、ある意味、今後仮にこの先頑張って診療報酬で何とかできないのかという余地があるとすれば、やはり単純に保険制度の中での対応を検討ということではなくて、どういうプロセスを経て行けば、実現可能性という意味でなし得るプロセスなのだろうかということを、むしろ丁寧に書いていただいたほうが、私どもとしてもありがたいかなと思います。
そういうことで、厚生労働省の立場からすれば、この1案と2案どちらかというお尋ねが仮にあるとすれば、2案の形で書いていただくのがありがたいかなと思っています。
議論とちょっと離れましたが、診療報酬をいろいろ御議論いただいたように、ある意味非常にハードルも高いし、先ほどの太田先生の言葉で言えば、厳密な検証を要する舞台がある意味保険診療でございます。そのためには、いろいろなエビデンスの蓄積であったり、そういったものが必要になりますので、まずはそこから蓄積をお願いしたいというところがございます。
あと、検討会、新たな制度のことに関して申し上げれば、今、申し上げた例えば診療報酬であれば、厳密な検証というものをある意味必要とする舞台であるということ。一方新たな制度については、厳密な検証からもう少し広がるようなというか緩くなるようなとか、そういったこともある意味求められるのかもしれません。そういったこともお含めをいただいた上での御検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
そのほかにございますでしょうか。
それでは、大分いろいろな有益な御意見をいただきましたけれども、本日の合同会議は、新たな研究会についてどこが主管庁になるかとか、あるいは第1案がいいか第2案がいいかという結論を出す場ではございませんので、それについては、今日たくさん御意見をいただきましたので、それを踏まえて検討会2の皆様方で引き続き御検討をよろしくお願いしたいと思います。
検討会1としても、最終的には検討会2の結論をどう受け止めるのか。我々の来年の取りまとめにもかかわってまいりますので、次回以降に考えていくということでいかがでしょうか。そういう形でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○ 椎橋議長それでは、最後になりましたけれども、第10回検討会の開催について事務局より説明をお願いしたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官それでは、検討会1、検討会2それぞれ第10回検討会になります。次回の開催につきまして、御説明いたします。
まず、検討会1は12月18日火曜日1時から3時半で30分延長の可能性があるということでよろしくお願いいたします。内容的には、以前からペンディングになっておりますが、松村構成員からの提案の趣旨説明をしていただくということと、事務局のほうから提出するとお話し申し上げておりました、被害者のヒアリング結果などを踏まえた経済的給付の整理状況などをお示しするということと、本日を踏まえまして、検討会1としての今後の方向性などについても言及できる時間があればなと思っております。
検討会2は、年を明けまして1月16日水曜日10時から12時。これも最大30分延長の可能性ありということでよろしくお願いいたします。これは本日の議論も踏まえまして、最終取りまとめ案の取りまとめということをしていきたいと思っております。
以上でございます。
○ 椎橋議長ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、検討会1と検討会2の合同会議を終わりたいと思います。どうも本日はありがとうございました。

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